(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-02
(54)【発明の名称】新規ポリペプチド
(51)【国際特許分類】
C07K 19/00 20060101AFI20240925BHJP
A61P 27/04 20060101ALI20240925BHJP
A61P 27/02 20060101ALI20240925BHJP
A61K 38/16 20060101ALI20240925BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20240925BHJP
A61K 47/02 20060101ALI20240925BHJP
C07K 14/00 20060101ALI20240925BHJP
A61L 12/14 20060101ALI20240925BHJP
G02C 13/00 20060101ALI20240925BHJP
G02C 7/04 20060101ALN20240925BHJP
【FI】
C07K19/00
A61P27/04 ZNA
A61P27/02
A61K38/16
A61K9/08
A61K47/02
C07K14/00
A61L12/14
G02C13/00
G02C7/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024516814
(86)(22)【出願日】2022-09-15
(85)【翻訳文提出日】2024-05-13
(86)【国際出願番号】 CN2022119040
(87)【国際公開番号】W WO2023040963
(87)【国際公開日】2023-03-23
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2021/118499
(32)【優先日】2021-09-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524098846
【氏名又は名称】シャンハイ プヨウ バイオメディカル カンパニー, リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ジャン, インハオ
(72)【発明者】
【氏名】ヤン, グイルイ
(72)【発明者】
【氏名】ワン, ヤオ
(72)【発明者】
【氏名】リー, ウェンハン
【テーマコード(参考)】
2H006
4C058
4C076
4C084
4H045
【Fターム(参考)】
2H006BB10
2H006DA08
2H006DA09
4C058AA09
4C058BB07
4C058JJ08
4C076AA12
4C076BB24
4C076CC10
4C076DD23D
4C076FF14
4C084AA02
4C084AA03
4C084AA07
4C084BA01
4C084BA08
4C084BA20
4C084BA23
4C084CA59
4C084DC50
4C084MA17
4C084MA58
4C084NA14
4C084ZA331
4H045AA10
4H045AA30
4H045BA19
4H045BA20
4H045BA21
4H045BA40
4H045EA20
4H045EA50
(57)【要約】
本開示は、新規ポリペプチドを提供する。ドライアイ(DE)またはDE関連障害を処置または防止するための眼科用組成物も提供される。それを必要とする対象におけるDEもしくはDE関連障害を処置もしくは防止するため、涙液を刺激するため、涙膜を安定化するため、またはこれらの任意の組合せのための方法であって、対象に有効量の新規ペプチドを投与するステップを含む、方法も提供される。新規ペプチドを含むコンタクトレンズケア製品およびその調製方法も提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
X-Y(I)
の人工ポリペプチド
(式中、
Xは、配列番号1に対して少なくとも80%の同一性を有する配列を含む部分であり、
Yは、10~50アミノ酸を含む部分であり、前記10~50アミノ酸のうちの少なくとも50%がI、V、L、F、C、M、およびAから選択され、
Yに含まれるシステイン(C)の総数は、5個未満である)。
【請求項2】
Xが、配列番号1に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む、請求項1に記載の人工ポリペプチド。
【請求項3】
Xが、配列番号1に対して少なくとも95%の同一性を有する配列を含む、請求項2に記載の人工ポリペプチド。
【請求項4】
Xが、配列番号1の配列を含む、請求項2に記載の人工ポリペプチド。
【請求項5】
Xのアミノ酸の少なくとも50%が、R、K、N、D、Q、E、およびHから選択される、請求項1から4までのいずれか一項に記載の人工ポリペプチド。
【請求項6】
Yに含まれるシステイン(C)の総数が、4個未満である、請求項1から5までのいずれか一項に記載の人工ポリペプチド。
【請求項7】
Yに含まれるシステイン(C)の総数が、3個未満である、請求項6に記載の人工ポリペプチド。
【請求項8】
Yに含まれるシステイン(C)の総数が、2個未満である、請求項6に記載の人工ポリペプチド。
【請求項9】
Y中の疎水性アミノ酸の総数が、8個よりも多い、請求項1から8までのいずれか一項に記載の人工ポリペプチド。
【請求項10】
Y中の疎水性アミノ酸の総数が、12個よりも多い、請求項9に記載の人工ポリペプチド。
【請求項11】
Y中の疎水性アミノ酸の総数が、15個よりも多い、請求項9に記載の人工ポリペプチド。
【請求項12】
Y中の親水性アミノ酸の総数が、5個以下である、請求項1から11までのいずれか一項に記載の人工ポリペプチド。
【請求項13】
Xが、配列番号81~83から選択されるいずれか1つに対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む、請求項1から12までのいずれか一項に記載の人工ポリペプチド。
【請求項14】
Yが、配列番号3~15、58~61および84~85から選択されるいずれか1つに対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む、請求項1から12までのいずれか一項に記載の人工ポリペプチド。
【請求項15】
Yが、配列番号3~18、58~61および84~85から選択されるいずれか1つに対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む、請求項14に記載の人工ポリペプチド。
【請求項16】
配列番号29~41、54~57および91~95から選択されるいずれか1つに対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む、請求項1から15までのいずれか一項に記載の人工ポリペプチド。
【請求項17】
式(II):
X-Y(II)
の人工ポリペプチド
(式中、
Xは、配列番号1に対して少なくとも80%の同一性を有する配列を含む部分であり、
Yは、10~50アミノ酸を含む部分であり、前記10~50アミノ酸のうちの少なくとも50%がI、V、L、F、C、M、およびAから選択され、
Yは、配列番号2に対して最大で90%の同一性を有する配列を含む)。
【請求項18】
Xが、配列番号1に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む、請求項17に記載の人工ポリペプチド。
【請求項19】
Xが、配列番号1に対して少なくとも95%の同一性を有する配列を含む、請求項18に記載の人工ポリペプチド。
【請求項20】
Xが、配列番号1の配列を含む、請求項18に記載の人工ポリペプチド。
【請求項21】
Xのアミノ酸の少なくとも50%が、R、K、N、D、Q、E、およびHから選択される、請求項17から20までのいずれか一項に記載の人工ポリペプチド。
【請求項22】
Yが、配列番号2に対して最大で80%の同一性を有する配列を含む、請求項17から21までのいずれか一項に記載の人工ポリペプチド。
【請求項23】
Yが、配列番号2に対して最大で70%の同一性を有する配列を含む、請求項22に記載の人工ポリペプチド。
【請求項24】
Yが、配列番号2に対して最大で50%の同一性を有する配列を含む、請求項22に記載の人工ポリペプチド。
【請求項25】
Y中の疎水性アミノ酸の総数が、8個よりも多い、請求項17から24までのいずれか一項に記載の人工ポリペプチド。
【請求項26】
Y中の疎水性アミノ酸の総数が、12個よりも多い、請求項25に記載の人工ポリペプチド。
【請求項27】
Y中の疎水性アミノ酸の総数が、15個よりも多い、請求項25に記載の人工ポリペプチド。
【請求項28】
Y中の親水性アミノ酸の総数が、5個以下である、請求項17から27までのいずれか一項に記載の人工ポリペプチド。
【請求項29】
Yが、配列番号16~18から選択されるいずれか1つに対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む、請求項17から28までのいずれか一項に記載の人工ポリペプチド。
【請求項30】
Yが、配列番号16~18から選択されるいずれか1つに対して少なくとも95%の同一性を有する配列を含む、請求項29に記載の人工ポリペプチド。
【請求項31】
配列番号42~44に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む、請求項17から30までのいずれか一項に記載の人工ポリペプチド。
【請求項32】
式(III):
X-Y(III)
の人工ポリペプチド
(式中、
Xは、40~65アミノ酸を含む部分であり、前記40~65アミノ酸のうちの少なくとも50%がH、R、K、D、Q、NおよびEから選択され、
Yは、配列番号2に対して少なくとも80%の同一性を有する配列を含む部分であり、
X中のH、R、K、D、Q、NおよびEの総数は、33個未満である)。
【請求項33】
Yが、配列番号2に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む、請求項32に記載の人工ポリペプチド。
【請求項34】
Yが、配列番号2に対して少なくとも95%の同一性を有する配列を含む、請求項33に記載の人工ポリペプチド。
【請求項35】
Yが、配列番号2の配列を含む、請求項33に記載の人工ポリペプチド。
【請求項36】
Yのアミノ酸の少なくとも50%が、I、V、L、F、C、M、およびAから選択される、請求項32から35までのいずれか一項に記載の人工ポリペプチド。
【請求項37】
X中のH、R、K、D、Q、NおよびEの総数が、30個未満である、請求項32から36までのいずれか一項に記載の人工ポリペプチド。
【請求項38】
X中のH、R、K、D、Q、NおよびEの総数が、25個未満である、請求項37に記載の人工ポリペプチド。
【請求項39】
X中のH、R、K、D、Q、NおよびEの総数が、20個未満である、請求項37に記載の人工ポリペプチド。
【請求項40】
X中の親水性アミノ酸の総数が、10個よりも多い、請求項32から39までのいずれか一項に記載の人工ポリペプチド。
【請求項41】
X中の親水性アミノ酸の総数が、15個よりも多い、請求項40に記載の人工ポリペプチド。
【請求項42】
X中の親水性アミノ酸の総数が、20個よりも多い、請求項40に記載の人工ポリペプチド。
【請求項43】
X中の親水性アミノ酸の総数が、25個よりも多い、請求項40に記載の人工ポリペプチド。
【請求項44】
X中の疎水性アミノ酸の総数が、15個以下である、請求項32から43までのいずれか一項に記載の人工ポリペプチド。
【請求項45】
X中の疎水性アミノ酸の総数が、10個以下である、請求項44に記載の人工ポリペプチド。
【請求項46】
Xが、配列番号23~27から選択されるいずれか1つに対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む、請求項32から45までのいずれか一項に記載の人工ポリペプチド。
【請求項47】
Xが、配列番号23~27から選択されるいずれか1つに対して少なくとも95%の同一性を有する配列を含む、請求項46に記載の人工ポリペプチド。
【請求項48】
配列番号49~53に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む、請求項32から47までのいずれか一項に記載の人工ポリペプチド。
【請求項49】
式(IV):
X-Y(IV)
の人工ポリペプチド
(式中、
Xは、40~65アミノ酸を含む部分であり、前記40~65アミノ酸のうちの少なくとも50%がH、R、K、D、Q、NおよびEから選択され、
Yは、配列番号2に対して少なくとも80%の同一性を有する配列を含む部分であり、
Xは、配列番号1に対して最大で90%の同一性を有する配列を含む)。
【請求項50】
Xが、配列番号1に対して最大で80%の同一性を有する配列を含む、請求項49に記載の人工ポリペプチド。
【請求項51】
Xが、配列番号1に対して最大で70%の同一性を有する配列を含む、請求項50に記載の人工ポリペプチド。
【請求項52】
Xが、配列番号1に対して最大で50%の同一性を有する配列を含む、請求項50に記載の人工ポリペプチド。
【請求項53】
Yが、配列番号2に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む、請求項49から52までのいずれか一項に記載の人工ポリペプチド。
【請求項54】
Yが、配列番号2に対して少なくとも95%の同一性を有する配列を含む、請求項53に記載の人工ポリペプチド。
【請求項55】
Yが、配列番号2の配列を含む、請求項53に記載の人工ポリペプチド。
【請求項56】
Yのアミノ酸の少なくとも50%が、I、V、L、F、C、M、およびAから選択される、請求項49から55までのいずれか一項に記載の人工ポリペプチド。
【請求項57】
X中の親水性アミノ酸の総数が、10個よりも多い、請求項49から56までのいずれか一項に記載の人工ポリペプチド。
【請求項58】
X中の親水性アミノ酸の総数が、15個よりも多い、請求項57に記載の人工ポリペプチド。
【請求項59】
X中の親水性アミノ酸の総数が、20個よりも多い、請求項57に記載の人工ポリペプチド。
【請求項60】
X中の親水性アミノ酸の総数が、25個よりも多い、請求項57に記載の人工ポリペプチド。
【請求項61】
X中の疎水性アミノ酸の総数が、15個以下である、請求項49から60までのいずれか一項に記載の人工ポリペプチド。
【請求項62】
X中の疎水性アミノ酸の総数が、10個以下である、請求項61に記載の人工ポリペプチド。
【請求項63】
Xが、配列番号19~22および76~79から選択されるいずれか1つに対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む、請求項49から62までのいずれか一項に記載の人工ポリペプチド。
【請求項64】
Xが、配列番号19~22および76~79から選択されるいずれか1つに対して少なくとも95%の同一性を有する配列を含む、請求項63に記載の人工ポリペプチド。
【請求項65】
配列番号45~48および86~89に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む、請求項49から64までのいずれか一項に記載の人工ポリペプチド。
【請求項66】
式(V):
X-Y(V)
の人工ポリペプチド
(式中、
Xは、配列番号1に対して少なくとも80%の同一性を有する配列を含む部分であり、
Yは、10~30アミノ酸を含む部分であり、Yは、配列番号2の少なくとも10個の連続したAAを有する配列を含む)。
【請求項67】
Yが、10~25アミノ酸を含む、請求項66に記載の人工ポリペプチド。
【請求項68】
Yが、10~20アミノ酸を含む、請求項66に記載の人工ポリペプチド。
【請求項69】
Yが、10~15アミノ酸を含む、請求項66に記載の人工ポリペプチド。
【請求項70】
Xが、配列番号1に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む、請求項66に記載の人工ポリペプチド。
【請求項71】
Xが、配列番号1に対して少なくとも95%の同一性を有する配列を含む、請求項70に記載の人工ポリペプチド。
【請求項72】
Xが、配列番号1の配列を含む、請求項70に記載の人工ポリペプチド。
【請求項73】
Xのアミノ酸の少なくとも50%が、R、K、N、D、Q、E、およびHから選択される、請求項66から72までのいずれか一項に記載の人工ポリペプチド。
【請求項74】
Yが、配列番号2に対して最大で80%の同一性を有する配列を含む、請求項66から73までのいずれか一項に記載の人工ポリペプチド。
【請求項75】
Yが、配列番号2に対して最大で70%の同一性を有する配列を含む、請求項74に記載の人工ポリペプチド。
【請求項76】
Yが、配列番号2に対して最大で50%の同一性を有する配列を含む、請求項74に記載の人工ポリペプチド。
【請求項77】
配列番号53~56のいずれかに対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む、請求項66から76までのいずれか一項に記載の人工ポリペプチド。
【請求項78】
式(VI):
X-Y(VI)
の人工ポリペプチド
(式中、
Xは、配列番号1の配列の変異体を含む部分であって、前記変異体が配列番号1中のDの少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、または9つがSに変異し、かつ/または配列番号1中のEの少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、または6つがTに変異したものであることを特徴とする、部分であり、
Yは、配列番号2の配列の変異体を含む部分であって、前記変異体が配列番号2中のCの少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、または5つがAに変異したものであることを特徴とする、部分である)。
【請求項79】
Xが、配列番号1に対して少なくとも70%の同一性を有する配列を含む、請求項78に記載の人工ポリペプチド。
【請求項80】
Xが、配列番号1に対して最大で95%の同一性を有する配列を含む、請求項78に記載の人工ポリペプチド。
【請求項81】
Yが、配列番号2に対して少なくとも80%の同一性を有する配列を含む、請求項78に記載の人工ポリペプチド。
【請求項82】
Yが、配列番号2に対して最大で95%の同一性を有する配列を含む、請求項78に記載の人工ポリペプチド。
【請求項83】
Yのアミノ酸の少なくとも50%が、I、V、L、F、C、M、およびAから選択される、請求項78から82までのいずれか一項に記載の人工ポリペプチド。
【請求項84】
X中のR、K、T、A、N、Q、D、E、S、およびGの総数が、30個よりも多い、請求項78から82までのいずれか一項に記載の人工ポリペプチド。
【請求項85】
X中のW、Y、F、M、L、I、およびVの総数が、20個以下である、請求項78から82までのいずれか一項に記載の人工ポリペプチド。
【請求項86】
Y中のR、K、T、A、N、Q、D、E、S、およびGの総数が、10個よりも多い、請求項78から82までのいずれか一項に記載の人工ポリペプチド。
【請求項87】
Y中のW、Y、F、M、L、I、およびVの総数が、20個以下である、請求項78から82までのいずれか一項に記載の人工ポリペプチド。
【請求項88】
Xが、配列番号80~83から選択されるいずれか1つに対して少なくとも80%の同一性を有する配列を含む、請求項78から82までのいずれか一項に記載の人工ポリペプチド。
【請求項89】
Xが、配列番号80~83から選択されるいずれか1つである配列を含む、請求項88に記載の人工ポリペプチド。
【請求項90】
Xが、配列番号80~83から選択されるいずれか1つである配列である、請求項88または89に記載の人工ポリペプチド。
【請求項91】
Yが、配列番号3に対して少なくとも80%の同一性を有する配列を含む、請求項78から82までのいずれか一項に記載の人工ポリペプチド。
【請求項92】
Yが、配列番号3の配列を含む、請求項91に記載の人工ポリペプチド。
【請求項93】
Yが、配列番号3の配列である、請求項91または92に記載の人工ポリペプチド。
【請求項94】
配列番号90~93から選択されるいずれか1つに対して少なくとも80%の同一性を有する配列を含む、請求項78から82までのいずれか一項に記載の人工ポリペプチド。
【請求項95】
配列番号90~93から選択されるいずれか1つである配列を含む、請求項94に記載の人工ポリペプチド。
【請求項96】
配列番号90~93から選択されるいずれか1つである配列である、請求項94または95に記載の人工ポリペプチド。
【請求項97】
式(I)
X-Y(I)
の人工ポリペプチド
(式中、
Xは、配列番号1に対して少なくとも80%の同一性を有する配列を含む部分であり、
Yは、10~50アミノ酸を含む部分であり、前記10~50アミノ酸のうちの少なくとも50%がI、V、L、F、C、M、およびAから選択され、
Yに含まれるシステイン(C)の総数は、5個未満である)
の変異体であって、X中のDの少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、または9つがSに変異し、かつ/またはX中のEの少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、または6つがTに変異したものであることを特徴とする、変異体。
【請求項98】
Xのアミノ酸の少なくとも20%が、R、K、N、D、Q、E、およびHから選択される、請求項97に記載の変異体。
【請求項99】
Xのアミノ酸の少なくとも30%が、R、K、N、D、Q、E、およびHから選択される、請求項97に記載の変異体。
【請求項100】
Xのアミノ酸の最大で90%が、R、K、N、D、Q、E、およびHから選択される、請求項97に記載の変異体。
【請求項101】
Xのアミノ酸の最大で80%が、R、K、N、D、Q、E、およびHから選択される、請求項97に記載の変異体。
【請求項102】
Xが、配列番号1に対して少なくとも70%の同一性を有する配列を含む、請求項97から101までのいずれか一項に記載の変異体。
【請求項103】
Yに含まれるシステイン(C)の総数が、4個未満である、請求項97から102までのいずれか一項に記載の変異体。
【請求項104】
Yに含まれるシステイン(C)の総数が、3個未満である、請求項102に記載の変異体。
【請求項105】
Y中の疎水性アミノ酸の総数が、8個よりも多い、請求項97から104までのいずれか一項に記載の変異体。
【請求項106】
Y中の疎水性アミノ酸の総数が、12個よりも多い、請求項105に記載の変異体。
【請求項107】
Y中の疎水性アミノ酸の総数が、15個よりも多い、請求項105に記載の変異体。
【請求項108】
Y中の親水性アミノ酸の総数が、5個以下である、請求項97から107までのいずれか一項に記載の変異体。
【請求項109】
Yが、配列番号3~15、58~61および84~85から選択されるいずれか1つに対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む、請求項97から108までのいずれか一項に記載の変異体。
【請求項110】
Yが、配列番号3~18、58~61および84~85から選択されるいずれか1つに対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む、請求項109に記載の変異体。
【請求項111】
式(II)
X-Y(II)
の人工ポリペプチド
(式中、
Xは、配列番号1に対して少なくとも80%の同一性を有する配列を含む部分であり、
Yは、10~50アミノ酸を含む部分であり、前記10~50アミノ酸のうちの少なくとも50%がI、V、L、F、C、M、およびAから選択され、
Yは、配列番号2に対して最大で90%の同一性を有する配列を含む)
の変異体であって、X中のDの少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、または9つがSに変異し、かつ/またはX中のEの少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、または6つがTに変異したものであることを特徴とする、変異体。
【請求項112】
Xのアミノ酸の少なくとも20%が、R、K、N、D、Q、E、およびHから選択される、請求項111に記載の変異体。
【請求項113】
Xのアミノ酸の少なくとも30%が、R、K、N、D、Q、E、およびHから選択される、請求項111に記載の変異体。
【請求項114】
Xのアミノ酸の最大で90%が、R、K、N、D、Q、E、およびHから選択される、請求項111に記載の変異体。
【請求項115】
Xのアミノ酸の最大で80%が、R、K、N、D、Q、E、およびHから選択される、請求項111に記載の変異体。
【請求項116】
Xが、配列番号1に対して少なくとも70%の同一性を有する配列を含む、請求項111から115までのいずれか一項に記載の変異体。
【請求項117】
Yが、配列番号2に対して最大で80%の同一性を有する配列を含む、請求項111から115までのいずれか一項に記載の変異体。
【請求項118】
Yが、配列番号2に対して最大で70%の同一性を有する配列を含む、請求項116に記載の変異体。
【請求項119】
Y中の疎水性アミノ酸の総数が、8個よりも多い、請求項111から118までのいずれか一項に記載の変異体。
【請求項120】
Y中の疎水性アミノ酸の総数が、12個よりも多い、請求項119に記載の変異体。
【請求項121】
Y中の疎水性アミノ酸の総数が、15個よりも多い、請求項119に記載の変異体。
【請求項122】
Y中の親水性アミノ酸の総数が、5個以下である、請求項111から121までのいずれか一項に記載の変異体。
【請求項123】
Yが、配列番号16~18から選択されるいずれか1つに対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む、請求項111から122までのいずれか一項に記載の変異体。
【請求項124】
Yが、配列番号16~18から選択されるいずれか1つに対して少なくとも95%の同一性を有する配列を含む、請求項123に記載の変異体。
【請求項125】
式(III)
X-Y(III)
の人工ポリペプチド
(式中、
Xは、40~65アミノ酸を含む部分であり、前記40~65アミノ酸のうちの少なくとも50%がH、R、K、D、Q、NおよびEから選択され、
Yは、配列番号2に対して少なくとも80%の同一性を有する配列を含む部分であり、
X中のH、R、K、D、Q、NおよびEの総数は、33個未満である)
の変異体であって、X中のDの少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、または9つがSに変異し、かつ/またはX中のEの少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、または6つがTに変異したものであることを特徴とする、変異体。
【請求項126】
Xのアミノ酸の少なくとも20%が、R、K、N、D、Q、E、およびHから選択される、請求項125に記載の変異体。
【請求項127】
Xのアミノ酸の少なくとも30%が、R、K、N、D、Q、E、およびHから選択される、請求項125に記載の変異体。
【請求項128】
Xのアミノ酸の最大で90%が、R、K、N、D、Q、E、およびHから選択される、請求項125に記載の変異体。
【請求項129】
Xのアミノ酸の最大で80%が、R、K、N、D、Q、E、およびHから選択される、請求項125に記載の変異体。
【請求項130】
Xが、配列番号1に対して少なくとも70%の同一性を有する配列を含む、請求項125から129までのいずれか一項に記載の変異体。
【請求項131】
Yが、配列番号2に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む、請求項125から130までのいずれか一項に記載の変異体。
【請求項132】
Yが、配列番号2の配列を含む、請求項130に記載の変異体。
【請求項133】
Yのアミノ酸の少なくとも50%が、I、V、L、F、C、M、およびAから選択される、請求項125から132までのいずれか一項に記載の変異体。
【請求項134】
X中のH、R、K、D、Q、NおよびEの総数が、30個未満である、請求項125から133までのいずれか一項に記載の変異体。
【請求項135】
X中のH、R、K、D、Q、NおよびEの総数が、25個未満である、請求項134に記載の変異体。
【請求項136】
X中のH、R、K、D、Q、NおよびEの総数が、20個未満である、請求項134に記載の変異体。
【請求項137】
X中の親水性アミノ酸の総数が、10個よりも多い、請求項125から136までのいずれか一項に記載の変異体。
【請求項138】
X中の親水性アミノ酸の総数が、15個よりも多い、請求項137に記載の変異体。
【請求項139】
X中の親水性アミノ酸の総数が、20個よりも多い、請求項137に記載の変異体。
【請求項140】
X中の親水性アミノ酸の総数が、25個よりも多い、請求項137に記載の変異体。
【請求項141】
X中の疎水性アミノ酸の総数が、15個以下である、請求項125から140までのいずれか一項に記載の変異体。
【請求項142】
X中の疎水性アミノ酸の総数が、10個以下である、請求項141に記載の変異体。
【請求項143】
式(IV)
X-Y(IV)
の人工ポリペプチド
(式中、
Xは、40~65アミノ酸を含む部分であり、前記40~65アミノ酸のうちの少なくとも50%がH、R、K、D、Q、NおよびEから選択され、
Yは、配列番号2に対して少なくとも80%の同一性を有する配列を含む部分であり、
Xは、配列番号1に対して最大で90%の同一性を有する配列を含む)
の変異体であって、X中のDの少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、または9つがSに変異し、かつ/またはX中のEの少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、または6つがTに変異したものであることを特徴とする、変異体。
【請求項144】
Xのアミノ酸の少なくとも20%が、R、K、N、D、Q、E、およびHから選択される、請求項143に記載の変異体。
【請求項145】
Xのアミノ酸の少なくとも30%が、R、K、N、D、Q、E、およびHから選択される、請求項143に記載の変異体。
【請求項146】
Xのアミノ酸の最大で90%が、R、K、N、D、Q、E、およびHから選択される、請求項143に記載の変異体。
【請求項147】
Xのアミノ酸の最大で80%が、R、K、N、D、Q、E、およびHから選択される、請求項143に記載の変異体。
【請求項148】
Xが、配列番号1に対して少なくとも70%の同一性を有する配列を含む、請求項143から147までのいずれか一項に記載の変異体。
【請求項149】
Yが、配列番号2に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む、請求項148に記載の変異体。
【請求項150】
Yが、配列番号2の配列を含む、請求項148に記載の変異体。
【請求項151】
Yのアミノ酸の少なくとも50%が、I、V、L、F、C、M、およびAから選択される、請求項143から150までのいずれか一項に記載の変異体。
【請求項152】
X中の親水性アミノ酸の総数が、10個よりも多い、請求項143から151までのいずれか一項に記載の変異体。
【請求項153】
X中の親水性アミノ酸の総数が、15個よりも多い、請求項152に記載の変異体。
【請求項154】
X中の親水性アミノ酸の総数が、20個よりも多い、請求項152に記載の変異体。
【請求項155】
X中の親水性アミノ酸の総数が、25個よりも多い、請求項152に記載の変異体。
【請求項156】
X中の疎水性アミノ酸の総数が、15個以下である、請求項143から155までのいずれか一項に記載の変異体。
【請求項157】
X中の疎水性アミノ酸の総数が、10個以下である、請求項156に記載の変異体。
【請求項158】
式(V)
X-Y(V)
の人工ポリペプチド
(式中、
Xは、配列番号1に対して少なくとも80%の同一性を有する配列を含む部分であり、
Yは、10~30アミノ酸を含む部分であり、Yは、配列番号2の少なくとも10個の連続したAAを有する配列を含む)
の変異体であって、X中のDの少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、または9つがSに変異し、かつ/またはX中のEの少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、または6つがTに変異したものであることを特徴とする、変異体。
【請求項159】
Xのアミノ酸の少なくとも20%が、R、K、N、D、Q、E、およびHから選択される、請求項158に記載の変異体。
【請求項160】
Xのアミノ酸の少なくとも30%が、R、K、N、D、Q、E、およびHから選択される、請求項158に記載の変異体。
【請求項161】
Xのアミノ酸の最大で90%が、R、K、N、D、Q、E、およびHから選択される、請求項158に記載の変異体。
【請求項162】
Xのアミノ酸の最大で80%が、R、K、N、D、Q、E、およびHから選択される、請求項158に記載の変異体。
【請求項163】
Yが、10~25アミノ酸を含む、請求項158に記載の変異体。
【請求項164】
Yが、10~20アミノ酸を含む、請求項158に記載の変異体。
【請求項165】
Yが、10~15アミノ酸を含む、請求項158に記載の変異体。
【請求項166】
Xが、配列番号1に対して少なくとも70%の同一性を有する配列を含む、請求項158から165までのいずれか一項に記載の変異体。
【請求項167】
Yが、配列番号2に対して最大で80%の同一性を有する配列を含む、請求項158から166までのいずれか一項に記載の変異体。
【請求項168】
Yが、配列番号2に対して最大で70%の同一性を有する配列を含む、請求項167に記載の変異体。
【請求項169】
Yが、配列番号2に対して最大で50%の同一性を有する配列を含む、請求項167に記載の変異体。
【請求項170】
ドライアイ(DE)もしくはDE関連障害を処置もしくは防止するため、涙液を刺激するため、涙膜を安定化するため、またはこれらの任意の組合せのための眼科用製剤であって、請求項1から96までのいずれかに記載の人工ポリペプチド、請求項97から169までのいずれかに記載の変異体、または、配列番号28、配列番号57および配列番号62~74から選択されるいずれか1つもしくはその断片もしくはバリアントに対して少なくとも80%の同一性を有するポリペプチドを含む、眼科用製剤。
【請求項171】
前記DEまたはDE関連障害が、ドライアイ症候群、涙液機能不全症候群、乾燥性角結膜炎(KCS)、流涙角結膜炎、涙液減少型DE、蒸発亢進型DE、シェーグレン症候群におけるDE、非シェーグレン症候群におけるDE、結膜炎関連DE、ウイルス性結膜炎後DE、白内障手術後DE、VDT作業関連DE、コンタクトレンズ装用関連DE、環境性DE、角膜血管新生DE、アレルギー性DE、LASIK誘発性神経上皮症、涙液減少症、眼球乾燥症、スティーブンス・ジョンソン症候群、眼類天疱瘡、眼瞼縁炎、閉瞼不全、角膜潰瘍、眼瞼炎および眼の充血からなる群から選択される、請求項170に記載の眼科用製剤。
【請求項172】
前記ポリペプチドが、約0.1μMから約50μMまでの濃度を有する、請求項170または171のいずれか一項に記載の眼科用製剤。
【請求項173】
前記ポリペプチドが、約1μMから約5μMまでの濃度を有する、請求項172に記載の眼科用製剤。
【請求項174】
眼科用組成物が、1種または複数種の薬学的に許容される賦形剤をさらに含む、請求項170から173までのいずれか一項に記載の眼科用製剤。
【請求項175】
前記薬学的に許容される賦形剤が、安定剤、緩衝剤、保存剤、浸透圧調整剤、抗酸化剤、乳化剤、および増粘剤を含む、請求項174に記載の眼科用製剤。
【請求項176】
前記眼科用組成物が、液剤、ゲル剤、軟膏剤、懸濁剤、半液状剤、半固形ゲル剤、発泡ゲル剤、クリーム剤、コンタクトレンズ溶液、または洗眼液として製剤化されている、請求項170から175までのいずれか一項に記載の眼科用製剤。
【請求項177】
前記眼科用組成物が、点眼液として製剤化されている、請求項176に記載の眼科用製剤。
【請求項178】
前記眼科用組成物が、局所投与、結膜下投与、眼球後投与、眼周囲投与、網膜下投与、脈絡膜上投与、または眼内投与用に製剤化されている、請求項170から177までのいずれか一項に記載の眼科用製剤。
【請求項179】
それを必要とする対象におけるドライアイ(DE)もしくはDE関連障害を処置もしくは防止するため、涙液を刺激するため、涙膜を安定化するため、またはこれらの任意の組合せのための方法であって、前記対象に、請求項1から96までのいずれかに記載の人工ポリペプチド、請求項97から169までのいずれかに記載の変異体、または、配列番号28、配列番号57および配列番号62~74から選択されるいずれか1つもしくはその断片もしくはバリアントに対して少なくとも80%の同一性を有するポリペプチドを有効量で投与するステップを含む、方法。
【請求項180】
前記ポリペプチドが、配列番号28、配列番号57および配列番号62~74のいずれかのポリペプチドまたはその断片もしくはバリアントである、請求項179に記載の方法。
【請求項181】
前記ポリペプチドが、配列番号28、配列番号57および配列番号62~74のいずれかのポリペプチドである、請求項179に記載の方法。
【請求項182】
前記ポリペプチドが、配列番号28および配列番号62~74のいずれかのポリペプチドである、請求項179に記載の方法。
【請求項183】
前記ポリペプチドが、配列番号28のポリペプチドである、請求項179に記載の方法。
【請求項184】
前記DEまたはDE関連障害が、ドライアイ症候群、涙液機能不全症候群、乾燥性角結膜炎(KCS)、流涙角結膜炎、涙液減少型DE、蒸発亢進型DE、シェーグレン症候群におけるDE、非シェーグレン症候群におけるDE、結膜炎関連DE、ウイルス性結膜炎後DE、白内障手術後DE、VDT作業関連DE、コンタクトレンズ装用関連DE、環境性DE、角膜血管新生DE、アレルギー性DE、LASIK誘発性神経上皮症、涙液減少症、眼球乾燥症、スティーブンス・ジョンソン症候群、眼類天疱瘡、眼瞼縁炎、閉瞼不全、角膜潰瘍、眼瞼炎および眼の充血からなる群から選択される、請求項179から183までのいずれかに記載の方法。
【請求項185】
請求項1から96までのいずれかに記載の人工ポリペプチド、請求項97から169までのいずれかに記載の変異体、または、配列番号28、配列番号57および配列番号62~74から選択されるいずれか1つもしくはその断片もしくはバリアントに対して少なくとも80%の同一性を有するポリペプチドを含むコンタクトレンズケア製品。
【請求項186】
コンタクトレンズケア製品用の1種または複数種の許容される成分をさらに含む、請求項185に記載のコンタクトレンズケア製品。
【請求項187】
前記コンタクトレンズケア製品用の1種または複数種の許容される成分が、無機塩、ホウ酸、界面活性物質、保湿剤、保存剤、および溶媒からなる群から選択される、請求項186に記載のコンタクトレンズケア製品。
【請求項188】
前記無機塩が、塩化ナトリウム、塩化カリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、炭酸ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、またはこれらの任意の組合せを含む、請求項187に記載のコンタクトレンズケア製品。
【請求項189】
前記保湿剤が、ヒアルロン酸またはその塩を含む、請求項187に記載のコンタクトレンズケア製品。
【請求項190】
前記溶媒が、水を含む、請求項187に記載のコンタクトレンズケア製品。
【請求項191】
コンタクトレンズを保存、保護、および/または洗浄するための溶液である、請求項185から190までのいずれか一項に記載のコンタクトレンズケア製品。
【請求項192】
コンタクトレンズケア製品を調製するための方法であって、請求項1から96までのいずれかに記載の人工ポリペプチド、請求項97から169までのいずれかに記載の変異体、または、配列番号28、配列番号57および配列番号62~74から選択されるいずれか1つもしくはその断片もしくはバリアントに対して少なくとも80%の同一性を有するポリペプチドを、コンタクトレンズケア製品用の1種または複数種の許容される成分と組み合わせるステップを含む、方法。
【請求項193】
前記コンタクトレンズケア製品用の1種または複数種の許容される成分が、無機塩、ホウ酸、界面活性物質、保湿剤、保存剤、および溶媒からなる群から選択される、請求項179に記載の方法。
【請求項194】
前記無機塩が、塩化ナトリウム、塩化カリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、炭酸ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、またはこれらの任意の組合せを含む、請求項193に記載の方法。
【請求項195】
前記保湿剤が、ヒアルロン酸またはその塩を含む、請求項193に記載の方法。
【請求項196】
前記溶媒が、水を含む、請求項193に記載の方法。
【請求項197】
前記コンタクトレンズケア製品が、コンタクトレンズを保存、保護、および/または洗浄するための溶液である、請求項192から196までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項198】
コンタクトレンズケア製品を調製するための、請求項1から96までのいずれかに記載の人工ポリペプチド、請求項97から169までのいずれかに記載の変異体、または、配列番号28、配列番号57および配列番号62~74から選択されるいずれか1つもしくはその断片もしくはバリアントに対して少なくとも80%の同一性を有するポリペプチドの使用。
【請求項199】
前記コンタクトレンズケア製品が、コンタクトレンズケア製品用の1種または複数種の許容される成分をさらに含む、請求項198に記載の使用。
【請求項200】
前記コンタクトレンズケア製品用の1種または複数種の許容される成分が、無機塩、ホウ酸、界面活性物質、保湿剤、保存剤、および溶媒からなる群から選択される、請求項199に記載の使用。
【請求項201】
前記無機塩が、塩化ナトリウム、塩化カリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、炭酸ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、またはこれらの任意の組合せを含む、請求項200に記載の使用。
【請求項202】
前記保湿剤が、ヒアルロン酸またはその塩を含む、請求項200に記載の使用。
【請求項203】
前記溶媒が、水を含む、請求項200に記載の使用。
【請求項204】
前記コンタクトレンズケア製品が、コンタクトレンズを保存、保護、および/または洗浄するための溶液である、請求項198から203までのいずれか一項に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
相互参照
本出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、2021年9月15日出願のPCT出願第PCT/CN2021/118499号の優先権を主張するものである。
【背景技術】
【0002】
背景
ペプチドの疎水特性および/または親水特性は、ペプチドの安定性、例えば貯蔵寿命、ならびに二次構造立体配置、ペプチド-タンパク質相互作用、吸着および脱離のカイネティクス、細胞膜移行および透過などを含めた生物活性のために必須である。疎水性または親水性特徴は、ハイドロパシー的特徴(hydropathic character)、ハイドロパシシティ(hydropathicity)、またはハイドロパシー(hydropathy)とも称される。例えば1つまたは複数のアミノ酸を逆のハイドロパシー特徴を有するアミノ酸で置き換えることによってペプチドのハイドロパシー特性を改善することにより、ペプチドの安定性または生物活性が改善され得ることもある。
【0003】
涙液は、はっきりとした視覚を得るため、および眼の健康を維持するために不可欠である。涙液は、まばたきする度に眼の前面に広がり、潤いをもたらし、外来物質を洗い流して眼表面を滑らかで汚れていない状態に保ち、また、感染のリスクを低減させる。ドライアイ(DE)は、眼により十分な涙液が産生されない状態、または涙液の蒸発が速すぎる状態である。ドライアイは、最も一般的な眼の障害の1つであり、多くの場合、特に高齢者において慢性的な問題である。DEに付随する症状としては、乾燥、灼熱感、刺激感、充血、目やに、目が疲れやすいこと、およびかすみ目が挙げられる。一部の患者では、適切な処置を行わなければ、DEにより瘢痕化およびさらには眼の炎症がさらに生じる恐れがある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
概要
本開示は、新規ペプチドを提供する。DEを処置するための、当該新規ペプチドを含む眼科用製剤も提供される。それを必要とする対象におけるDEもしくはDE関連障害を処置もしくは防止するため、涙液を刺激するため、涙膜を安定化するため、またはこれらの任意の組合せのための方法であって、対象に当該新規ペプチドを有効量で投与するステップを含む、方法も提供される。当該新規ペプチドを含むコンタクトレンズケア製品およびその調製方法も提供される。
【0005】
一態様では、式(I):
X-Y(I)
の人工ポリペプチド
(式中、
Xは、配列番号1に対して少なくとも80%の同一性を有する配列を含む部分であり、
Yは、10~50アミノ酸を含む部分であり、10~50アミノ酸のうちの少なくとも50%がI、V、L、F、C、M、およびAから選択され、
Yに含まれるシステイン(C)の総数は、5個未満である)
が提供される。
【0006】
一部の実施形態では、Xは、配列番号1に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、Xは、配列番号1に対して少なくとも95%の同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、Xは、配列番号1の配列を含む。一部の実施形態では、Xのアミノ酸の少なくとも50%は、R、K、N、D、Q、E、およびHから選択される。一部の実施形態では、Xは、配列番号81~83から選択されるいずれか1つに対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む。
【0007】
一部の実施形態では、Yに含まれるシステイン(C)の総数は4個未満である。一部の実施形態では、Yに含まれるシステイン(C)の総数は3個未満である。一部の実施形態では、Yに含まれるシステイン(C)の総数は2個未満である。一部の実施形態では、Y中の疎水性アミノ酸の総数は8個よりも多い。一部の実施形態では、Y中の疎水性アミノ酸の総数は12個よりも多い。一部の実施形態では、Y中の疎水性アミノ酸の総数は15個よりも多い。一部の実施形態では、Y中の親水性アミノ酸の総数は5個以下である。一部の実施形態では、Yは、配列番号3~15、58~61および84~85から選択されるいずれか1つに対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、Yは、配列番号3~18、58~61および84~85から選択されるいずれか1つに対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む。
【0008】
一部の実施形態では、人工ポリペプチドは、配列番号29~41、54~57および91~95から選択されるいずれか1つに対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む。
【0009】
別の態様では、式(II):
X-Y(II)
の人工ポリペプチド
(式中、
Xは、配列番号1に対して少なくとも80%の同一性を有する配列を含む部分であり、
Yは、10~50アミノ酸を含む部分であり、10~50アミノ酸のうちの少なくとも50%がI、V、L、F、C、M、およびAから選択され、
Yは、配列番号2に対して最大で90%の同一性を有する配列を含む)
が提供される。
【0010】
一部の実施形態では、Xは、配列番号1に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、Xは、配列番号1に対して少なくとも95%の同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、Xは、配列番号1の配列を含む。一部の実施形態では、Xのアミノ酸の少なくとも50%は、R、K、N、D、Q、E、およびHから選択される。
【0011】
一部の実施形態では、Yは、配列番号2に対して最大で80%の同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、Yは、配列番号2に対して最大で70%の同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、Yは、配列番号2に対して最大で50%の同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、Y中の疎水性アミノ酸の総数は8個よりも多い。一部の実施形態では、Y中の疎水性アミノ酸の総数は12個よりも多い。一部の実施形態では、Y中の疎水性アミノ酸の総数は15個よりも多い。一部の実施形態では、Y中の親水性アミノ酸の総数は5個以下である。一部の実施形態では、Yは、配列番号16~18から選択されるいずれか1つに対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、Yは、配列番号16~18から選択されるいずれか1つに対して少なくとも95%の同一性を有する配列を含む。
【0012】
一部の実施形態では、人工ポリペプチドは、配列番号42~44に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む。
【0013】
別の態様では、式(III):
X-Y(III)
の人工ポリペプチド
(式中、
Xは、40~65アミノ酸を含む部分であり、40~65アミノ酸のうちの少なくとも50%がH、R、K、D、Q、NおよびEから選択され、
Yは、配列番号2に対して少なくとも80%の同一性を有する配列を含む部分であり、
X中のH、R、K、D、Q、NおよびEの総数は、33個未満である)
が提供される。
【0014】
一部の実施形態では、Yは、配列番号2に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、Yは、配列番号2に対して少なくとも95%の同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、Yは、配列番号2の配列を含む。一部の実施形態では、Yのアミノ酸の少なくとも50%は、I、V、L、F、C、M、およびAから選択される。
【0015】
一部の実施形態では、X中のH、R、K、D、Q、NおよびEの総数は30個未満である。一部の実施形態では、X中のH、R、K、D、Q、NおよびEの総数は25個未満である。一部の実施形態では、X中のH、R、K、D、Q、NおよびEの総数は20個未満である。一部の実施形態では、X中の親水性アミノ酸の総数は10個よりも多い。一部の実施形態では、X中の親水性アミノ酸の総数は15個よりも多い。一部の実施形態では、X中の親水性アミノ酸の総数は20個よりも多い。一部の実施形態では、X中の親水性アミノ酸の総数は25個よりも多い。一部の実施形態では、X中の疎水性アミノ酸の総数は15個以下である。一部の実施形態では、X中の疎水性アミノ酸の総数は10個以下である。一部の実施形態では、Xは、配列番号23~27から選択されるいずれか1つに対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、Xは、配列番号23~27から選択されるいずれか1つに対して少なくとも95%の同一性を有する配列を含む。
【0016】
一部の実施形態では、人工ポリペプチドは、配列番号49~53に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む。
【0017】
別の態様では、式(IV):
X-Y(IV)
の人工ポリペプチド
(式中、
Xは、40~65アミノ酸を含む部分であり、40~65アミノ酸のうちの少なくとも50%がH、R、K、D、Q、NおよびEから選択され、
Yは、配列番号2に対して少なくとも80%の同一性を有する配列を含む部分であり、
Xは、配列番号1に対して最大で90%の同一性を有する配列を含む)
が提供される。
【0018】
一部の実施形態では、Xは、配列番号1に対して最大で80%の同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、Xは、配列番号1に対して最大で70%の同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、Xは、配列番号1に対して最大で50%の同一性を有する配列を含む。
【0019】
一部の実施形態では、Yは、配列番号2に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、Yは、配列番号2に対して少なくとも95%の同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、Yは、配列番号2の配列を含む。一部の実施形態では、Yのアミノ酸の少なくとも50%は、I、V、L、F、C、M、およびAから選択される。一部の実施形態では、X中の親水性アミノ酸の総数は10個よりも多い。一部の実施形態では、X中の親水性アミノ酸の総数は15個よりも多い。
【0020】
一部の実施形態では、X中の親水性アミノ酸の総数は20個よりも多い。一部の実施形態では、X中の親水性アミノ酸の総数は25個よりも多い。一部の実施形態では、X中の疎水性アミノ酸の総数は15個以下である。一部の実施形態では、X中の疎水性アミノ酸の総数は10個以下である。一部の実施形態では、Xは、配列番号19~22および76~79から選択されるいずれか1つに対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、Xは、配列番号19~22および76~79から選択されるいずれか1つに対して少なくとも95%の同一性を有する配列を含む。
【0021】
一部の実施形態では、人工ポリペプチドは、配列番号45~48および86~89に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む。
【0022】
別の態様では、式(V):
X-Y(V)
の人工ポリペプチド
(式中、
Xは、配列番号1に対して少なくとも80%の同一性を有する配列を含む部分であり、
Yは、10~30アミノ酸を含む部分であり、Yは、配列番号2の少なくとも10個の連続したAAを有する配列を含む)
が提供される。
【0023】
一部の実施形態では、Yは、10~25アミノ酸を含む。一部の実施形態では、Yは、10~20アミノ酸を含む。一部の実施形態では、Yは、10~15アミノ酸を含む。
【0024】
一部の実施形態では、Xは、配列番号1に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、Xは、配列番号1に対して少なくとも95%の同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、Xは、配列番号1の配列を含む。
【0025】
一部の実施形態では、Xのアミノ酸の少なくとも50%は、R、K、N、D、Q、E、およびHから選択される。一部の実施形態では、Yは、配列番号2に対して最大で80%の同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、Yは、配列番号2に対して最大で70%の同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、Yは、配列番号2に対して最大で60%の同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、Yは、配列番号2に対して最大で50%の同一性を有する配列を含む。
【0026】
一部の実施形態では、ポリペプチドは、配列番号53~56に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、ポリペプチドは、配列番号53~56に対して少なくとも95%の同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、ポリペプチドは、配列番号53~56のいずれかの配列を含む。
【0027】
別の態様では、式(VI):
X-Y(VI)
の人工ポリペプチド
(式中、
Xは、配列番号1の配列の変異体を含む部分であって、変異体が配列番号1中のDの少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、または9つがSに変異し、かつ/または配列番号1中のEの少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、または6つがTに変異したものであることを特徴とする、部分であり、
Yは、配列番号2の配列の変異体を含む部分であって、変異体が配列番号2中のCの少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、または5つがAに変異したものであることを特徴とする、部分である)
が提供される。
【0028】
一部の実施形態では、Xは、配列番号1に対して少なくとも70%の同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、Xは、配列番号1に対して最大で95%の同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、X中のR、K、T、A、N、Q、D、E、S、およびGの総数は30個よりも多い。一部の実施形態では、X中のW、Y、F、M、L、I、およびVの総数は20個以下である。一部の実施形態では、Xは、配列番号80~83から選択されるいずれか1つに対して少なくとも80%の同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、Xは、配列番号80~83から選択されるいずれか1つである配列を含む。一部の実施形態では、Xは、配列番号80~83から選択されるいずれか1つである配列である。
【0029】
一部の実施形態では、Yは、配列番号2に対して少なくとも80%の同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、Yは、配列番号2に対して最大で95%の同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、Yのアミノ酸の少なくとも50%は、I、V、L、F、C、M、およびAから選択される。一部の実施形態では、Y中のR、K、T、A、N、Q、D、E、S、およびGの総数は10個よりも多い。一部の実施形態では、Y中のW、Y、F、M、L、I、およびVの総数は20個以下である。一部の実施形態では、Yは、配列番号3に対して少なくとも80%の同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、Yは、配列番号3の配列を含む。一部の実施形態では、Yは、配列番号3の配列である。
【0030】
一部の実施形態では、人工ポリペプチドは、配列番号90~93から選択されるいずれか1つに対して少なくとも80%の同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、人工ポリペプチドは、配列番号90~93から選択されるいずれか1つである配列を含む。一部の実施形態では、人工ポリペプチドは、配列番号90~93から選択されるいずれか1つである配列である。
【0031】
別の態様では、式(I)
X-Y(I)
の人工ポリペプチド
(式中、
Xは、配列番号1に対して少なくとも80%の同一性を有する配列を含む部分であり、
Yは、10~50アミノ酸を含む部分であり、10~50アミノ酸のうちの少なくとも50%がI、V、L、F、C、M、およびAから選択され、
Yに含まれるシステイン(C)の総数は、5個未満である)
の変異体であって、X中のDの少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、または9つがSに変異し、かつ/またはX中のEの少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、または6つがTに変異したものであることを特徴とする、変異体が提供される。
【0032】
一部の実施形態では、Xのアミノ酸の少なくとも20%は、R、K、N、D、Q、E、およびHから選択される。一部の実施形態では、Xのアミノ酸の少なくとも30%は、R、K、N、D、Q、E、およびHから選択される。一部の実施形態では、Xのアミノ酸の最大で90%は、R、K、N、D、Q、E、およびHから選択される。一部の実施形態では、Xのアミノ酸の最大で80%は、R、K、N、D、Q、E、およびHから選択される。一部の実施形態では、Xは、配列番号1に対して少なくとも70%の同一性を有する配列を含む。
【0033】
一部の実施形態では、Yに含まれるシステイン(C)の総数は4個未満である。一部の実施形態では、Yに含まれるシステイン(C)の総数は3個未満である。一部の実施形態では、Y中の疎水性アミノ酸の総数は8個よりも多い。一部の実施形態では、Y中の疎水性アミノ酸の総数は12個よりも多い。一部の実施形態では、Y中の疎水性アミノ酸の総数は15個よりも多い。一部の実施形態では、Y中の親水性アミノ酸の総数は5個以下である。一部の実施形態では、Yは、配列番号3~15、58~61および84~85から選択されるいずれか1つに対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、Yは、配列番号3~18、58~61および84~85から選択されるいずれか1つに対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む。
【0034】
別の態様では、式(II)
X-Y(II)
の人工ポリペプチド
(式中、
Xは、配列番号1に対して少なくとも80%の同一性を有する配列を含む部分であり、
Yは、10~50アミノ酸を含む部分であり、10~50アミノ酸のうちの少なくとも50%がI、V、L、F、C、M、およびAから選択され、
Yは、配列番号2に対して最大で90%の同一性を有する配列を含む)
の変異体であって、X中のDの少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、または9つがSに変異し、かつ/またはX中のEの少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、または6つがTに変異したものであることを特徴とする、変異体が提供される。
【0035】
一部の実施形態では、Xのアミノ酸の少なくとも20%は、R、K、N、D、Q、E、およびHから選択される。一部の実施形態では、Xのアミノ酸の少なくとも30%は、R、K、N、D、Q、E、およびHから選択される。一部の実施形態では、Xのアミノ酸の最大で90%は、R、K、N、D、Q、E、およびHから選択される。一部の実施形態では、Xのアミノ酸の最大で80%は、R、K、N、D、Q、E、およびHから選択される。一部の実施形態では、Xは、配列番号1に対して少なくとも70%の同一性を有する配列を含む。
【0036】
一部の実施形態では、Yは、配列番号2に対して最大で80%の同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、Yは、配列番号2に対して最大で70%の同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、Y中の疎水性アミノ酸の総数は8個よりも多い。一部の実施形態では、Y中の疎水性アミノ酸の総数は12個よりも多い。一部の実施形態では、Y中の疎水性アミノ酸の総数は15個よりも多い。一部の実施形態では、Y中の親水性アミノ酸の総数は5個以下である。一部の実施形態では、Yは、配列番号16~18から選択されるいずれか1つに対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、Yは、配列番号16~18から選択されるいずれか1つに対して少なくとも95%の同一性を有する配列を含む。
【0037】
別の態様では、式(III)
X-Y(III)
の人工ポリペプチド
(式中、
Xは、40~65アミノ酸を含む部分であり、40~65アミノ酸のうちの少なくとも50%がH、R、K、D、Q、NおよびEから選択され、
Yは、配列番号2に対して少なくとも80%の同一性を有する配列を含む部分であり、
X中のH、R、K、D、Q、NおよびEの総数は33個未満である)
の変異体であって、X中のDの少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、または9つがSに変異し、かつ/またはX中のEの少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、または6つがTに変異したものであることを特徴とする、変異体が提供される。
【0038】
一部の実施形態では、Xのアミノ酸の少なくとも20%は、R、K、N、D、Q、E、およびHから選択される。一部の実施形態では、Xのアミノ酸の少なくとも30%は、R、K、N、D、Q、E、およびHから選択される。一部の実施形態では、Xのアミノ酸の最大で90%は、R、K、N、D、Q、E、およびHから選択される。一部の実施形態では、Xのアミノ酸の最大で80%は、R、K、N、D、Q、E、およびHから選択される。一部の実施形態では、Xは、配列番号1に対して少なくとも70%の同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、X中のH、R、K、D、Q、NおよびEの総数は30個未満である。一部の実施形態では、X中のH、R、K、D、Q、NおよびEの総数は25個未満である。一部の実施形態では、X中のH、R、K、D、Q、NおよびEの総数は20個未満である。一部の実施形態では、X中の親水性アミノ酸の総数は10個よりも多い。一部の実施形態では、X中の親水性アミノ酸の総数は15個よりも多い。一部の実施形態では、X中の親水性アミノ酸の総数は20個よりも多い。一部の実施形態では、X中の親水性アミノ酸の総数は25個よりも多い。一部の実施形態では、X中の疎水性アミノ酸の総数は15個以下である。一部の実施形態では、X中の疎水性アミノ酸の総数は10個以下である。
【0039】
一部の実施形態では、Yは、配列番号2に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、Yは、配列番号2の配列を含む。一部の実施形態では、Yのアミノ酸の少なくとも50%は、I、V、L、F、C、M、およびAから選択される。
【0040】
別の態様では、式(IV)
X-Y(IV)
の人工ポリペプチド
(式中、
Xは、40~65アミノ酸を含む部分であり、40~65アミノ酸のうちの少なくとも50%がH、R、K、D、Q、NおよびEから選択され、
Yは、配列番号2に対して少なくとも80%の同一性を有する配列を含む部分であり、
Xは、配列番号1に対して最大で90%の同一性を有する配列を含む)
の変異体であって、X中のDの少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、または9つがSに変異し、かつ/またはX中のEの少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、または6つがTに変異したものであることを特徴とする、変異体が提供される。
【0041】
一部の実施形態では、Xのアミノ酸の少なくとも20%は、R、K、N、D、Q、E、およびHから選択される。一部の実施形態では、Xのアミノ酸の少なくとも30%は、R、K、N、D、Q、E、およびHから選択される。一部の実施形態では、Xのアミノ酸の最大で90%は、R、K、N、D、Q、E、およびHから選択される。一部の実施形態では、Xのアミノ酸の最大で80%は、R、K、N、D、Q、E、およびHから選択される。一部の実施形態では、Xは、配列番号1に対して少なくとも70%の同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、X中の親水性アミノ酸の総数は10個よりも多い。一部の実施形態では、X中の親水性アミノ酸の総数は15個よりも多い。一部の実施形態では、X中の親水性アミノ酸の総数は20個よりも多い。一部の実施形態では、X中の親水性アミノ酸の総数は25個よりも多い。一部の実施形態では、X中の疎水性アミノ酸の総数は15個以下である。一部の実施形態では、X中の疎水性アミノ酸の総数は10個以下である。
【0042】
一部の実施形態では、Yは、配列番号2に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、Yは、配列番号2の配列を含む。一部の実施形態では、Yのアミノ酸の少なくとも50%は、I、V、L、F、C、M、およびAから選択される。
【0043】
別の態様では、式(V)
X-Y(V)
の人工ポリペプチド
(式中、
Xは、配列番号1に対して少なくとも80%の同一性を有する配列を含む部分であり、
Yは、10~30アミノ酸を含む部分であり、Yは、配列番号2の少なくとも10個の連続したAAを有する配列を含む)
の変異体であって、X中のDの少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、または9つがSに変異し、かつ/またはX中のEの少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、または6つがTに変異したものであることを特徴とする、変異体が提供される。
【0044】
一部の実施形態では、Xのアミノ酸の少なくとも20%は、R、K、N、D、Q、E、およびHから選択される。一部の実施形態では、Xのアミノ酸の少なくとも30%は、R、K、N、D、Q、E、およびHから選択される。一部の実施形態では、Xのアミノ酸の最大で90%は、R、K、N、D、Q、E、およびHから選択される。一部の実施形態では、Xのアミノ酸の最大で80%は、R、K、N、D、Q、E、およびHから選択される。一部の実施形態では、Xは、配列番号1に対して少なくとも70%の同一性を有する配列を含む。
【0045】
一部の実施形態では、Yは、10~25アミノ酸を含む。一部の実施形態では、Yは、10~20アミノ酸を含む。一部の実施形態では、Yは、10~15アミノ酸を含む。一部の実施形態では、Yは、配列番号2に対して最大で80%の同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、Yは、配列番号2に対して最大で70%の同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、Yは、配列番号2に対して最大で50%の同一性を有する配列を含む。
【0046】
別の態様では、ドライアイ(DE)もしくはDE関連障害を処置もしくは防止するため、涙液を刺激するため、涙膜を安定化するため、またはこれらの任意の組合せのための眼科用製剤であって、式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)または(VI)の人工ポリペプチド、(I)、(II)、(III)、(IV)または(V)の人工ポリペプチドの変異体、または、配列番号28、配列番号57および配列番号62~74から選択されるいずれか1つもしくはその断片もしくはバリアントに対して少なくとも80%の同一性を有するポリペプチドを含む、眼科用製剤が提供される。
【0047】
一部の実施形態では、DEまたはDE関連障害は、ドライアイ症候群、涙液機能不全症候群、乾燥性角結膜炎(KCS)、流涙角結膜炎(lacrimal keratoconjunctivitis)、涙液減少型DE、蒸発亢進型DE、シェーグレン症候群におけるDE、非シェーグレン症候群におけるDE、結膜炎関連DE、ウイルス性結膜炎後DE、白内障手術後DE、VDT作業関連DE、コンタクトレンズ装用関連DE、環境DE、角膜血管新生DE、アレルギー性DE、LASIK誘発性神経上皮症、涙液減少症(hypolacrimation)、眼球乾燥症、スティーブンス・ジョンソン症候群、眼類天疱瘡、眼瞼縁炎、閉瞼不全、角膜潰瘍、眼瞼炎および眼の充血からなる群から選択される。
【0048】
一部の実施形態では、本開示のポリペプチド(例えば、式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)または(VI)の人工ポリペプチド、(I)、(II)、(III)、(IV)または(V)の人工ポリペプチドの変異体、または、配列番号28、配列番号57および配列番号62~74から選択されるいずれか1つもしくはその断片もしくはバリアントに対して少なくとも80%の同一性を有するポリペプチド)は、約0.1μMから約100μMまでの濃度を有する。一部の実施形態では、ポリペプチドは、約0.1μMから約50μMまでの濃度を有する。一部の実施形態では、ポリペプチドは、約1μMから約5μMまでの濃度を有する。一部の実施形態では、眼科用組成物は、1種または複数種の薬学的に許容される賦形剤をさらに含む。一部の実施形態では、薬学的に許容される賦形剤は、安定剤、緩衝剤、保存剤、浸透圧調整剤(tonicity agent)、抗酸化剤、乳化剤、および増粘剤を含む。一部の実施形態では、眼科用組成物は、液剤、ゲル剤、軟膏剤、懸濁剤、半液状剤、半固形ゲル剤、発泡ゲル剤、クリーム剤、コンタクトレンズ溶液、または洗眼液として製剤化されている。一部の実施形態では、眼科用組成物は、点眼液として製剤化されている。一部の実施形態では、眼科用組成物は、局所投与、結膜下投与、眼球後投与、眼周囲投与、網膜下投与、脈絡膜上投与、または眼内投与用に製剤化されている。
【0049】
別の態様では、それを必要とする対象におけるドライアイ(DE)もしくはDE関連障害を処置もしくは防止するため、涙液を刺激するため、涙膜を安定化するため、またはこれらの任意の組合せのための方法であって、対象に、式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)または(VI)の人工ポリペプチド、(I)、(II)、(III)、(IV)または(V)の人工ポリペプチドの変異体、または、配列番号28、配列番号57および配列番号62~74から選択されるいずれか1つもしくはその断片もしくはバリアントに対して少なくとも80%の同一性を有するポリペプチドを有効量で投与するステップを含む、方法が提供される。
【0050】
一部の実施形態では、人工ポリペプチドは、配列番号28、配列番号57および配列番号62~74のいずれかのポリペプチドまたはその断片もしくはバリアントである。一部の実施形態では、人工ポリペプチドは、配列番号28、配列番号57および配列番号62~74のいずれかのポリペプチドである。一部の実施形態では、人工ポリペプチドは、配列番号28および62~74のいずれかのポリペプチドである。一部の実施形態では、人工ポリペプチドは、配列番号28のポリペプチドである。
【0051】
一部の実施形態では、DEまたはDE関連障害は、ドライアイ症候群、涙液機能不全症候群、乾燥性角結膜炎(KCS)、流涙角結膜炎、涙液減少型DE、蒸発亢進型DE、シェーグレン症候群におけるDE、非シェーグレン症候群におけるDE、結膜炎関連DE、ウイルス性結膜炎後DE、白内障手術後DE、VDT作業関連DE、コンタクトレンズ装用関連DE、環境性DE、角膜血管新生DE、アレルギー性DE、LASIK誘発性神経上皮症、涙液減少症、眼球乾燥症、スティーブンス・ジョンソン症候群、眼類天疱瘡、眼瞼縁炎、閉瞼不全、角膜潰瘍、眼瞼炎および眼の充血からなる群から選択される。
【0052】
別の態様では、治療における使用のための、式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)または(VI)の人工ポリペプチド、または(I)、(II)、(III)、(IV)または(V)の人工ポリペプチドの変異体が提供される。
【0053】
別の態様では、それを必要とする対象におけるドライアイ(DE)もしくはDE関連障害を処置もしくは防止すること、涙液を刺激する、涙膜を安定化することまたはこれらの任意の組合せにおける使用のための、式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)または(VI)の人工ポリペプチド、または(I)、(II)、(III)、(IV)または(V)の人工ポリペプチドの変異体が提供される。
【0054】
別の態様では、それを必要とする対象におけるドライアイ(DE)もしくはDE関連障害を処置もしくは防止すること、涙液を刺激すること、涙膜を安定化することまたはこれらの任意の組合せにおける使用のための、配列番号28、配列番号57および配列番号62~74から選択されるいずれか1つもしくはその断片もしくはバリアントに対して少なくとも80%の同一性を有するポリペプチドが提供される。
【0055】
一部の実施形態では、DEまたはDE関連障害は、ドライアイ症候群、涙液機能不全症候群、乾燥性角結膜炎(KCS)、流涙角結膜炎、涙液減少型DE、蒸発亢進型DE、シェーグレン症候群におけるDE、非シェーグレン症候群におけるDE、結膜炎関連DE、ウイルス性結膜炎後DE、白内障手術後DE、VDT作業関連DE、コンタクトレンズ装用関連DE、環境性DE、角膜血管新生DE、アレルギー性DE、LASIK誘発性神経上皮症、涙液減少症、眼球乾燥症、スティーブンス・ジョンソン症候群、眼類天疱瘡、眼瞼縁炎、閉瞼不全、角膜潰瘍、眼瞼炎および眼の充血からなる群から選択される。
【0056】
別の態様では、それを必要とする対象におけるドライアイ(DE)もしくはDE関連障害を処置もしくは防止するため、涙液を刺激するため、涙膜を安定化するため、またはこれらの任意の組合せのための医薬を調製するための、式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)または(VI)の人工ポリペプチド、(I)、(II)、(III)、(IV)または(V)の人工ポリペプチドの変異体、または、配列番号28、配列番号57および配列番号62~74から選択されるいずれか1つもしくはその断片もしくはバリアントに対して少なくとも80%の同一性を有するポリペプチドの使用が提供される。
【0057】
一部の実施形態では、DEまたはDE関連障害は、ドライアイ症候群、涙液機能不全症候群、乾燥性角結膜炎(KCS)、流涙角結膜炎、涙液減少型DE、蒸発亢進型DE、シェーグレン症候群におけるDE、非シェーグレン症候群におけるDE、結膜炎関連DE、ウイルス性結膜炎後DE、白内障手術後DE、VDT作業関連DE、コンタクトレンズ装用関連DE、環境性DE、角膜血管新生DE、アレルギー性DE、LASIK誘発性神経上皮症、涙液減少症、眼球乾燥症、スティーブンス・ジョンソン症候群、眼類天疱瘡、眼瞼縁炎、閉瞼不全、角膜潰瘍、眼瞼炎および眼の充血からなる群から選択される。
【0058】
別の態様では、式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)または(VI)の人工ポリペプチド、(I)、(II)、(III)、(IV)または(V)の人工ポリペプチドの変異体、または、配列番号28、配列番号57および配列番号62~74から選択されるいずれか1つもしくはその断片もしくはバリアントに対して少なくとも80%の同一性を有するポリペプチドを含むコンタクトレンズケア製品が提供される。
【0059】
一部の実施形態では、コンタクトレンズケア製品は、コンタクトレンズケア製品用の1種または複数種の許容される成分をさらに含む。一部の実施形態では、コンタクトレンズケア製品用の1種または複数種の許容される成分は、無機塩、ホウ酸、界面活性物質、保湿剤、保存剤、および溶媒からなる群から選択される。一部の実施形態では、無機塩は、塩化ナトリウム、塩化カリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、炭酸ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、またはこれらの任意の組合せを含む。一部の実施形態では、保湿剤は、ヒアルロン酸またはその塩を含む。一部の実施形態では、溶媒は、水を含む。一部の実施形態では、コンタクトレンズケア製品は、コンタクトレンズを保存、保護、および/または洗浄するための溶液である。
【0060】
別の態様では、コンタクトレンズケア製品を調製するための方法であって、式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)または(VI)の人工ポリペプチド、(I)、(II)、(III)、(IV)または(V)の人工ポリペプチドの変異体、または、配列番号28、配列番号57および配列番号62~74から選択されるいずれか1つもしくはその断片もしくはバリアントに対して少なくとも80%の同一性を有するポリペプチドを、コンタクトレンズケア製品用の1種または複数種の許容される成分と組み合わせるステップを含む、方法が提供される。一部の実施形態では、コンタクトレンズケア製品用の1種または複数種の許容される成分は、無機塩、ホウ酸、界面活性物質、保湿剤、保存剤、および溶媒からなる群から選択される。一部の実施形態では、無機塩は、塩化ナトリウム、塩化カリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、炭酸ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、またはこれらの任意の組合せを含む。一部の実施形態では、溶媒は、水を含む。一部の実施形態では、コンタクトレンズケア製品は、コンタクトレンズを保存、保護、および/または洗浄するための溶液である。
【0061】
別の態様では、コンタクトレンズケア製品を調製するための、式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)または(VI)の人工ポリペプチド、(I)、(II)、(III)、(IV)または(V)の人工ポリペプチドの変異体、または、配列番号28、配列番号57および配列番号62~74から選択されるいずれか1つもしくはその断片もしくはバリアントに対して少なくとも80%の同一性を有するポリペプチドの使用が提供される。
【0062】
一部の実施形態では、コンタクトレンズケア製品は、コンタクトレンズケア製品用の1種または複数種の許容される成分をさらに含む。一部の実施形態では、コンタクトレンズケア製品用の1種または複数種の許容される成分は、無機塩、ホウ酸、界面活性物質、保湿剤、保存剤、および溶媒からなる群から選択される。一部の実施形態では、無機塩は、塩化ナトリウム、塩化カリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、炭酸ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、またはこれらの任意の組合せを含む。一部の実施形態では、保湿剤は、ヒアルロン酸またはその塩を含む。一部の実施形態では、溶媒は、水を含む。一部の実施形態では、コンタクトレンズケア製品は、コンタクトレンズを保存、保護、および/または洗浄するための溶液である。
【0063】
本開示の例示的な実施形態が単に示され、説明されている以下の詳細な説明から本開示の追加的な態様および利点が当業者には容易に明らかになろう。理解される通り、本開示には、他の異なる実施形態が可能であり、そのいくつかの詳細を、種々の明白な点で、全て本開示から逸脱することなく改変することが可能である。したがって、図および説明は事実上例示的なものと解釈されるべきであり、制限するものと解釈されるべきではない。
参照による組込み
【0064】
本明細書において言及されている全ての刊行物、特許および特許出願は、個々の刊行物、特許、または特許出願が、具体的にかつ個別に参照により組み込まれることが示されたものと同じく参照により本明細書に組み込まれる。
【0065】
本開示の種々の特色が添付の特許請求の範囲において詳細に記載されている。本発明の原理が利用されている例示的な実施形態が記載されている以下の詳細な説明および付属図を参照することにより本開示の特色および利点のよりよい理解が得られよう。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【
図1】
図1は、本開示のポリペプチドの、DEの眼の角膜フルオレセイン染色(CFS)スコアに対する効果を例示する。
【0067】
【
図2】
図2は、本開示のポリペプチドの、DEの眼の涙液層破壊時間(TBUT)に対する効果を例示する。
【0068】
【
図3A】
図3A~3Bおよび
図4A~4Bは、本開示のポリペプチドの、急性重症DEの眼に対する効果を例示する。
図3A~3Bは、プラセボで処置した重症DEの眼および本開示のポリペプチドで処置した重症DEの眼CFSスコアを例示し、
図4A~4Bは、プラセボで処置した急性重症DEの眼および本開示のポリペプチドで処置した急性重症DEの眼のTBUTを例示する。
【
図3B】
図3A~3Bおよび
図4A~4Bは、本開示のポリペプチドの、急性重症DEの眼に対する効果を例示する。
図3A~3Bは、プラセボで処置した重症DEの眼および本開示のポリペプチドで処置した重症DEの眼CFSスコアを例示し、
図4A~4Bは、プラセボで処置した急性重症DEの眼および本開示のポリペプチドで処置した急性重症DEの眼のTBUTを例示する。
【
図4A】
図3A~3Bおよび
図4A~4Bは、本開示のポリペプチドの、急性重症DEの眼に対する効果を例示する。
図3A~3Bは、プラセボで処置した重症DEの眼および本開示のポリペプチドで処置した重症DEの眼CFSスコアを例示し、
図4A~4Bは、プラセボで処置した急性重症DEの眼および本開示のポリペプチドで処置した急性重症DEの眼のTBUTを例示する。
【
図4B】
図3A~3Bおよび
図4A~4Bは、本開示のポリペプチドの、急性重症DEの眼に対する効果を例示する。
図3A~3Bは、プラセボで処置した重症DEの眼および本開示のポリペプチドで処置した重症DEの眼CFSスコアを例示し、
図4A~4Bは、プラセボで処置した急性重症DEの眼および本開示のポリペプチドで処置した急性重症DEの眼のTBUTを例示する。
【0069】
【
図5】
図5は、本開示のポリペプチドの、BSA熱凝集の阻害に対する効果を例示する。
【0070】
【
図6】
図6は、本開示のポリペプチドの、oxLDL取り込みに対する効果を例示する。
【0071】
【
図7】
図7は、本開示のポリペプチドの細胞結合能を例示する。
【0072】
【
図8】
図8は、本開示のポリペプチドの投与前後の涙液分泌およびCFSスコアを例示する。
【発明を実施するための形態】
【0073】
本特許または出願のファイルは、カラーで製作された少なくとも1つの図面を含有する。カラーの図面を伴う本特許または特許出願公開のコピーは、要請し、必要な料金を支払えば、特許庁により提供されるであろう。
【0074】
詳細な説明
定義
本明細書で使用される場合、以下の用語は、特に指定のない限り、それらに帰する意味を有する。
【0075】
本明細書および特許請求の範囲において使用される場合、「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」という単数形は、文脈によりそうでないことが明確に規定されない限り、複数の参照対象を包含する。例えば、「1つの(a)細胞」という用語は、複数の細胞を包含し、これらの混合物も包含される。
【0076】
本明細書で使用される場合、「含む(comprise)」、「含む(include)」、「含有する(contain)」という用語およびこれらの変形は、追加的な物質または方法の可能性が排除されないオープンエンドの移行句を意味するものとする。そのような用語が本開示のある特定の医薬組成物、製剤、キット、使用または方法を記載するために使用される場合、医薬組成物、製剤、キット、使用または方法が、記載されている物質または方法からなる状況も包含される。例えば、「溶媒は水を含む(comprise)」という表現は、溶媒が水からなる状況、すなわち、溶媒がただ水のみを含有する状況も包含する。本開示に関しては、「からなる(consisting of)」という用語は、追加的な物質または方法の可能性が排除されるクローズエンドの移行句を意味するものとする。
【0077】
本明細書で使用される場合、本開示に記載されている範囲は、別段の指定のない限り、その範囲の終点のそれぞれおよびその範囲内に含まれる各整数を明確に開示するものとする。例えば、「Xは40~65アミノ酸を含む部分である」とは、Xという部分中のアミノ酸の数が、40個、41個、42個、43個、44個、45個、46個、47個、48個、49個、50個、51個、52個、53個、54個、55個、56個、57個、58個、59個、60個、61個、62個、63個、64個または65個であり得ることを意味する。別の例として、「Yは10~50アミノ酸を含む部分である」とは、Yという部分中のアミノ酸の数が、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、21個、22個、23個、24個、25個、26個、27個、28個、29個、30個、31個、32個、33個、34個、35個、36個、37個、38個、39個、40個、41個、42個、43個、44個、45個、46個、47個、48個、49個または50個であり得ることを意味する。さらに、これらの整数からなる任意の部分範囲が本開示の範囲内に包含されるものとする。したがって、「Xは40~65アミノ酸を含む部分である」は、「Xは41~64アミノ酸を含む部分である」、「Xは42~63アミノ酸を含む部分である」、「Xは43~62アミノ酸を含む部分である」などの部分範囲を明確に開示するものとみなされる。
【0078】
「約」または「およそ」という用語は、本明細書では、当業者によって決定される特定の値の許容される誤差範囲内に入ることを意味し、許容される誤差範囲内はその値の測定または決定の仕方、すなわち測定系の限界に一部依存する。例えば、「約」は、当技術分野における慣習に従って1または1よりも大きい標準偏差の範囲内に入ることを意味し得る。あるいは、「約」は、所与の値の20%まで、10%まで、5%まで、または1%までの範囲を意味し得る。特定の値が本出願および特許請求の範囲に記載されている場合、別段の指定のない限り、特定の値に対する許容される誤差範囲内に入ることを意味する「約」または「およそ」という用語が想定されているものとする。
【0079】
「ポリペプチド」、「ペプチド」、および「タンパク質」という用語は、本明細書では、互換的に使用され、任意の長さのアミノ酸のポリマーを指す。ポリマーは、直鎖であっても分枝していてもよく、修飾されたアミノ酸を含んでもよく、また、非アミノ酸が間に入っていてもよい。この用語は、例えば、ジスルフィド結合の形成、グリコシル化、脂質付加、アセチル化、リン酸化、または任意の他の操作、例えば、標識用構成成分とのコンジュゲーションによって修飾されたアミノ酸ポリマーも包含する。
【0080】
「断片」という用語は、本明細書で使用される場合、タンパク質に適用される場合、ネイティブな生物活性タンパク質の短縮型を指し、治療活性および/または生物活性の少なくとも一部分を保持するものであっても保持しないものであってもよい。
【0081】
「バリアント」という用語は、本明細書で使用される場合、タンパク質に適用される場合、ネイティブな生物活性タンパク質に対する配列相同性を有する、生物活性タンパク質の治療活性および/または生物活性の少なくとも一部分を保持するタンパク質を指す。例えば、バリアントタンパク質は、参照生物活性タンパク質と比較して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%のアミノ酸配列同一性を共有し得る。
【0082】
本明細書で使用される場合、「アミノ酸」という用語は、これだけに限定されないが、グリシンおよびDまたはL光学異性体の両方、ならびにアミノ酸類似体およびペプチド模倣体を含めた、天然アミノ酸および/または非天然アミノ酸もしくは合成アミノ酸のいずれかを指す。アミノ酸の指定には標準的な1文字または3文字コードを使用する。
【0083】
「天然のL-アミノ酸」という用語は、L光学異性体形態のグリシン(G)、プロリン(P)、アラニン(A)、バリン(V)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、メチオニン(M)、システイン(C)、フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)、トリプトファン(W)、ヒスチジン(H)、リシン(K)、アルギニン(R)、グルタミン(Q)、アスパラギン(N)、グルタミン酸(E)、アスパラギン酸(D)、セリン(S)、およびトレオニン(T)を意味する。
【0084】
「親水性」および「疎水性」という用語は、物質が水に対して有する親和性の程度を意味する。親水性物質は、水に対して強力な親和性を有し、水に溶解する、水と混合する、または水により湿る傾向があるが、一方、疎水性物質は、水に対する親和性を実質的に欠き、水を寄せつけず、吸収しない傾向があり、また、水に溶解もせず、水と混合もせず、水により湿ることもない傾向がある。アミノ酸をそれらの疎水性に基づいて特徴付けることができる。「親水性アミノ酸」の例は、アルギニン、リシン、トレオニン、アラニン、アスパラギン、およびグルタミンである。アスパラギン酸、グルタミン酸、およびセリン、およびグリシンが特に興味深い親水性アミノ酸である。「疎水性アミノ酸」の例は、トリプトファン、チロシン、フェニルアラニン、メチオニン、ロイシン、イソロイシン、およびバリンである。
【0085】
「宿主細胞」は、主題のベクターのレシピエントになり得るまたはレシピエントになっている個々の細胞または細胞培養物を包含する。宿主細胞は、単一の宿主細胞の後代を包含する。後代は、自然に起因して元の親細胞と必ずしも完全に同一ではない可能性がある(形態または全DNA一式のゲノムに関して)。
【0086】
「キメラ」タンパク質は、領域を配列内の天然に存在する場合の位置とは異なる位置に含む融合ポリペプチドを少なくとも1つ含有する。これらの領域は、通常は別々のタンパク質に存在するものであり得、融合ポリペプチドで一緒になる;または、これらの領域は通常も同じタンパク質に存在し得るが、融合ポリペプチドで新しい配置に置かれる。キメラタンパク質は、例えば、化学合成によって、またはペプチド領域が所望の関連性でコードされるポリヌクレオチドを創出し、翻訳することによって創出することができる。
【0087】
「コンジュゲートした(conjugated)」、「連結した(linked)」、「融合した(fused)」、および「融合(fusion)」は、本明細書では互換的に使用される。これらの用語は、2つまたはそれよりも多くの化学元素または構成成分を、化学的なコンジュゲーションまたは組換え手段を含めた任意の手段によって接合することを指す。
【0088】
「ポリヌクレオチド」、「核酸」、「ヌクレオチド」および「オリゴヌクレオチド」という用語は、互換的に使用される。これらの用語は、デオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチドのいずれかの任意の長さのポリマー形態のヌクレオチド、またはその類似体を指す。ポリヌクレオチドは、任意の三次元構造を有するものであってよく、公知または未知の任意の機能を果たすものであってよい。以下はポリヌクレオチドの非限定的な例である:遺伝子または遺伝子断片のコードまたは非コード領域、連鎖解析によって定義される遺伝子座(複数または単数)、エクソン、イントロン、メッセンジャーRNA(mRNA)、転移RNA、リボソームRNA、リボザイム、cDNA、組換えポリヌクレオチド、分枝ポリヌクレオチド、プラスミド、ベクター、任意の配列の単離されたDNA、任意の配列の単離されたRNA、核酸プローブ、およびプライマー。ポリヌクレオチドは、メチル化ヌクレオチドなどの修飾されたヌクレオチド、およびヌクレオチド類似体を含み得る。ヌクレオチド構造に対する修飾が存在する場合、その修飾は、ポリマーのアセンブリ前に付与されたものであってもポリマーのアセンブリ後に付与されたものであってもよい。ヌクレオチドの配列は非ヌクレオチド構成成分が間に入っていてもよい。ポリヌクレオチドは、重合後に、例えば標識用構成成分とのコンジュゲーションによってさらに修飾されていてもよい。
【0089】
「ポリヌクレオチドの相補物」という用語は、参照配列と比較して相補的な塩基配列を有し、逆向きであり、したがって、参照配列と完全な忠実度でハイブリダイズすることができるポリヌクレオチド分子を指す。
【0090】
「組換え」とは、ポリヌクレオチドに適用される場合、そのポリヌクレオチドが、in vitroにおけるクローニング、制限および/またはライゲーションステップ、ならびに宿主細胞において発現し得る潜在性がある構築物をもたらす他の手順の種々の組合せの産物であることを意味する。
【0091】
「相同性」または「相同な」は、2つもしくはそれよりも多くのポリヌクレオチド配列間、または2つもしくはそれよりも多くのポリペプチド配列間の配列類似性または互換性を指す。2つの異なるアミノ酸配列間の配列同一性、類似性または相同性を決定するためにBestFitなどのプログラムを使用する場合、初期設定を使用することもでき、blosum45またはblosum80などの適当なスコアリング行列を選択して、同一性、類似性または相同性スコアを最適化することもできる。相同なポリヌクレオチドは、本明細書で定義されるストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、それらの配列に対して少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%、より好ましくは95%、より好ましくは97%、より好ましくは98%、なおより好ましくは99%の配列同一性を有するものであることが好ましい。
【0092】
「パーセント同一性」および「%同一性」という用語は、ポリヌクレオチド配列に適用される場合、標準化されたアルゴリズムを使用してアラインメントされた少なくとも2つのポリヌクレオチド配列間でマッチする残基のパーセンテージを指す。そのようなアルゴリズムでは、2つの配列間のアラインメントを最適化するため、したがって、2つの配列のより有意義な比較を実現するために、比較される配列に、標準化された再現性のあるやり方でギャップを挿入することができる。パーセント同一性は、例えば特定の配列番号によって定義される、定義されたポリヌクレオチド配列の全長にわたって測定することもでき、より短い長さにわたって、例えば、より大きな定義されたポリヌクレオチド配列から取得した断片、例えば、少なくとも45個、少なくとも60個、少なくとも90個、少なくとも120個、少なくとも150個、少なくとも210個または少なくとも450個の連続した残基の断片の長さにわたって測定することもできる。このような長さは単に例示的なものであり、本明細書において表、図または配列表に示されている配列によって裏付けられる任意の断片長を使用してパーセンテージ同一性を測定することができる長さを記載することができることが理解される。
【0093】
「パーセント(%)アミノ酸配列同一性」は、本明細書において同定されるポリペプチド配列に関しては、第2の、参照ポリペプチド配列またはその一部のアミノ酸残基と、配列をアラインメントし、最大のパーセント配列同一性を実現するために必要であればギャップを導入した後、いかなる保存的置換も配列同一性の一部とみなさずに、同一である、クエリ配列内のアミノ酸残基のパーセンテージと定義される。パーセントアミノ酸配列同一性を決定する目的でのアラインメントは、当技術分野の技術の範囲内に入る種々のやり方で、例えば、BLAST、BLAST-2、ALIGNまたはMegalign(DNASTAR)ソフトウェアなどの公的に入手可能なコンピュータソフトウェアを使用して実現することができる。当業者は、比較される配列の全長にわたって最大のアラインメントを実現するために必要な任意のアルゴリズムを含め、アラインメントを測定するための適当なパラメータを決定することができる。パーセント同一性は、例えば特定の配列番号によって定義される、定義されたポリペプチド配列の全長にわたって測定することもでき、より短い長さ、例えば、より大きな定義されたポリペプチド配列から取得した断片、例えば、少なくとも15個、少なくとも20個、少なくとも30個、少なくとも40個、少なくとも50個、少なくとも70個または少なくとも150個の連続した残基断片の長さにわたって測定することもできる。そのような長さは単に例示的なものであり、本明細書において表、図または配列表に示されている配列によって裏付けられる任意の断片長を使用してパーセンテージ同一性を測定することができる長さを記載することができることが理解される。
【0094】
「ベクター」は、挿入される核酸分子を宿主細胞内におよび/または宿主細胞間で移行させる核酸分子であり、適当な宿主において自己複製するものであることが好ましい。この用語は、DNAまたはRNAの細胞への挿入のために主に機能するベクター、DNAまたはRNAの複製のために主に機能するベクターの複製、ならびにDNAまたはRNAの転写および/または翻訳のために機能する発現ベクターを包含する。上記の機能の1つよりも多くをもたらすベクターも包含される。「発現ベクター」は、適当な宿主細胞に導入されると、転写され、ポリペプチド(複数可)に翻訳され得るポリヌクレオチドである。「発現系」は、通常、所望の発現産物が生じるように機能し得る、発現ベクターを含む適切な宿主細胞を含意する。
【0095】
「t1/2」という用語は、本明細書で使用される場合、ln(2)/Kelとして算出される終末相半減期を意味する。Kelは、対数濃度時間曲線の最後の直線部分の線形回帰によって算出される終末相の消失速度定数である。半減期とは、一般には、生きている生物体内に負荷された投与された物質の半量が正常な生物学的プロセスによって代謝または排出されるのに必要な時間を指す。「t1/2」、「終末相半減期」、「消失半減期」および「循環半減期」という用語は、本明細書では互換的に使用される。
【0096】
「生理的条件」とは、生きている対象における温度、塩濃度、pHを含めた条件を模倣する、温度、塩濃度、pHを含めた、生きている宿主における一連の条件ならびにin vitroにおける条件を意味する。in vitroアッセイにおいて使用するための生理的に関連する条件が多く確立されている。一般に、生理的緩衝剤は、生理的濃度の塩を含有し、約6.5から約7.8まで、好ましくは約7.0から約7.5までの中性pHに調整される。種々の生理的緩衝剤がSambrook et al. (1989)に収載されている。生理的に関連する温度は、約25℃から約38℃まで、好ましくは約35℃から約37℃までにわたる。
【0097】
「アンタゴニスト」という用語は、本明細書で使用される場合、本明細書に開示されるネイティブなポリペプチドの生物活性を部分的にまたは完全に遮断する、阻害する、または中和する任意の分子を包含する。ポリペプチドのアンタゴニストを同定するための方法は、ネイティブなポリペプチドと候補アンタゴニスト分子を接触させるステップと、ネイティブなポリペプチドに通常付随する1つまたは複数の生物活性の検出可能な変化を測定するステップとを含み得る。本発明に関しては、アンタゴニストは、生物活性タンパク質の影響を低減するタンパク質、核酸、炭水化物、抗体または任意の他の分子を包含し得る。
【0098】
「アゴニスト」という用語は、最も広範な意味で使用され、本明細書に開示されるネイティブなポリペプチドの生物活性を模倣する任意の分子を包含する。適切なアゴニスト分子として、具体的に、アゴニスト抗体または抗体断片、ネイティブなポリペプチドの断片またはアミノ酸配列バリアント、ペプチド、小有機分子などが包含される。ネイティブなポリペプチドのアゴニストを同定するための方法は、ネイティブなポリペプチドと候補アゴニスト分子を接触させるステップと、ネイティブなポリペプチドに通常付随する1つまたは複数の生物活性の検出可能な変化を測定するステップとを含み得る。
【0099】
「活性」とは、本発明の目的に関しては、融合タンパク質の構成成分の、対応するネイティブな生物活性タンパク質の作用または効果と一致する作用または効果を指し、「生物活性」とは、これだけに限定されないが、受容体結合、アンタゴニスト活性、アゴニスト活性、または細胞もしくは生理的応答を含めた、in vitroまたはin vivoにおける生物学的機能または効果を指す。
【0100】
本明細書で使用される場合、「処置(treatment)」または「処置すること(treating)」、「和らげること(palliating)」、および「好転させること(ameliorating)」は、本明細書では互換的に使用される。これらの用語は、これだけに限定されないが、治療的利益および/または予防的利益を含めた有益なまたは所望の結果を得るための手法を指す。「治療的利益」とは、処置される基礎障害の根絶または好転を意味する。また、治療的利益は、基礎疾患状態に付随する生理的症状の1つまたは複数の根絶または好転によっても実現され、したがって、対象がなお基礎障害を患っているにもかかわらず、対象において改善が観察される。予防的利益に関しては、特定の疾患状態が発生するリスクがある対象、または疾患生理的症状の1つまたは複数が報告されている対象に、たとえ当該疾患の診断がなされていない可能性があったとしても、組成物を投与することができる。
【0101】
「治療効果」は、本明細書で使用される場合、本発明の融合ポリペプチドによって引き起こされる、生物活性タンパク質が有する抗原エピトープに対する抗体の産生を誘導する能力以外の、これだけに限定されないが、ヒトもしくは他の動物における疾患状態の治癒、緩和、好転、もしくは防止を含めた生理的効果、またはヒトもしくは動物の身体的もしくは精神的ウェルビーイングの他での増強を指す。治療有効量の決定は、特に、本明細書に提示される詳細な開示を踏まえれば、当業者の能力の範囲内に十分に入る。
【0102】
「治療有効量」および「治療有効用量」という用語は、本明細書で使用される場合、生物活性タンパク質単独でまたは融合タンパク質組成物の一部としての生物活性タンパク質の、1回または反復用量で対象に投与した場合に、病態または状態の任意の症状、様子、測定されるパラメータまたは特徴に対して何らかの検出可能な有益な効果をもたらすことが可能な量を指す。そのような効果が有益であるために絶対的なものである必要はない。疾患状態は、障害または疾患を指し得る。
【0103】
「治療有効用量レジメン」という用語は、本明細書で使用される場合、生物活性タンパク質の、単独でまたは融合タンパク質組成物の一部として連続的に投与される用量に関するスケジュールを指し、用量は、病態または状態の任意の症状、様子、測定されるパラメータまたは特徴に対する持続的な有益な効果をもたらすための治療有効量でもたらされる。
【0104】
「対象」、「個体」または「患者」という用語は、本明細書で使用される場合、これだけに限定されないが、ヒト、霊長類、齧歯類、イヌ、ネコ、ウマ、ヒツジ、ブタなどを含めた、本開示に関して使用することができる任意の動物を指す。
【0105】
「in vivo」という用語は、本明細書で使用される場合、対象の体内で起こる事象を指す。
【0106】
「in vitro」という用語は、本明細書で使用される場合、対象体外で起こる事象を指す。一部の実施形態では、in vitroアッセイは、対象アッセイ外で実行される任意のアッセイを包含する。in vitroアッセイは、生細胞または死細胞を使用する細胞に基づくアッセイを包含する。in vitroアッセイは、インタクトな細胞を使用しない無細胞アッセイも包含する。
ポリペプチド
【0107】
一態様では、式X-Y(I)の人工ポリペプチドが提供される。
【0108】
一部の実施形態では、式(I)のXは親水性部分であってよく、そのうちの少なくとも50%はR、K、N、D、Q、E、およびHから選択される。一部の実施形態では、式(I)のXは親水性部分であってよく、そのうちの少なくとも55%はR、K、N、D、Q、E、およびHから選択される。一部の実施形態では、式(I)のXは親水性部分であってよく、そのうちの少なくとも60%はR、K、N、D、Q、E、およびHから選択される。一部の実施形態では、式(I)のXは親水性部分であってよく、そのうちの少なくとも65%はR、K、N、D、Q、E、およびHから選択される。一部の実施形態では、式(I)のXは親水性部分であってよく、そのうちの少なくとも70%はR、K、N、D、Q、E、およびHから選択される。一部の実施形態では、式(I)のXは親水性部分であってよく、そのうちの少なくとも75%はR、K、N、D、Q、E、およびHから選択される。一部の実施形態では、式(I)のXは親水性部分であってよく、そのうちの少なくとも80%はR、K、N、D、Q、E、およびHから選択される。一部の実施形態では、式(I)のXは親水性部分であってよく、そのうちの少なくとも85%はR、K、N、D、Q、E、およびHから選択される。一部の実施形態では、式(I)のXは親水性部分であってよく、そのうちの少なくとも90%はR、K、N、D、Q、E、およびHから選択される。
【0109】
一部の実施形態では、式(I)のXは、配列番号1に対して少なくとも80%の同一性を有する配列を含む部分であってよい。一部の実施形態では、Xは、配列番号1に対して少なくとも85%の同一性を有する配列を含む部分である。一部の実施形態では、Xは、配列番号1に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む部分である。一部の実施形態では、Xは、配列番号1に対して少なくとも95%の同一性を有する配列を含む部分である。一部の実施形態では、Xは、配列番号1に対して少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の同一性を有する配列を含む部分である。一部の実施形態では、Xは、配列番号1の配列を含む部分である。一部の実施形態では、Xは、配列番号1の配列である部分である。
【0110】
一部の実施形態では、式(I)のYは疎水性部分であってよく、そのうちの少なくとも50%はI、V、L、F、C、M、およびAから選択される。一部の実施形態では、式(I)のYは疎水性部分であってよく、そのうちの少なくとも55%はI、V、L、F、C、M、およびAから選択される。一部の実施形態では、式(I)のYは疎水性部分であってよく、そのうちの少なくとも60%はI、V、L、F、C、M、およびAから選択される。一部の実施形態では、式(I)のYは疎水性部分であってよく、そのうちの少なくとも65%はI、V、L、F、C、M、およびAから選択される。一部の実施形態では、式(I)のYは疎水性部分であってよく、そのうちの少なくとも70%はI、V、L、F、C、M、およびAから選択される。一部の実施形態では、式(I)のYは疎水性部分であってよく、そのうちの少なくとも75%はI、V、L、F、C、M、およびAから選択される。一部の実施形態では、式(I)のYは疎水性部分であってよく、そのうちの少なくとも80%はI、V、L、F、C、M、およびAから選択される。一部の実施形態では、式(I)のYは疎水性部分であってよく、そのうちの少なくとも85%はI、V、L、F、C、M、およびAから選択される。一部の実施形態では、式(I)のYは疎水性部分であってよく、そのうちの少なくとも90%はI、V、L、F、C、M、およびAから選択される。
【0111】
一部の実施形態では、式(I)のYは、10~50アミノ酸を含む部分であってよく、Yの疎水性アミノ酸の総数は5個である。一部の実施形態では、式(I)のYは、10~50アミノ酸を含む部分であってよく、Yの疎水性アミノ酸の総数は5個よりも多い。一部の実施形態では、式(I)のYは、10~50アミノ酸を含む部分であってよく、Yの疎水性アミノ酸の総数は6個である。一部の実施形態では、式(I)のYは、10~50アミノ酸を含む部分であってよく、Yの疎水性アミノ酸の総数は6個よりも多い。一部の実施形態では、式(I)のYは、10~50アミノ酸を含む部分であってよく、Yの疎水性アミノ酸の総数は7個である。一部の実施形態では、式(I)のYは、10~50アミノ酸を含む部分であってよく、Yの疎水性アミノ酸の総数は7個よりも多い。一部の実施形態では、式(I)のYは、10~50アミノ酸を含む部分であってよく、Yの疎水性アミノ酸の総数は8個である。一部の実施形態では、式(I)のYは、10~50アミノ酸を含む部分であってよく、Yの疎水性アミノ酸の総数は8個よりも多い。一部の実施形態では、式(I)のYは、10~50アミノ酸を含む部分であってよく、Yの疎水性アミノ酸の総数は9個である。一部の実施形態では、式(I)のYは、10~50アミノ酸を含む部分であってよく、Yの疎水性アミノ酸の総数は9個よりも多い。一部の実施形態では、式(I)のYは、10~50アミノ酸を含む部分であってよく、Yの疎水性アミノ酸の総数は10個である。一部の実施形態では、式(I)のYは、10~50アミノ酸を含む部分であってよく、Yの疎水性アミノ酸の総数は10個よりも多い。一部の実施形態では、式(I)のYは、10~50アミノ酸を含む部分であってよく、Yの疎水性アミノ酸の総数は11個である。一部の実施形態では、式(I)のYは、10~50アミノ酸を含む部分であってよく、Yの疎水性アミノ酸の総数は11個よりも多い。一部の実施形態では、式(I)のYは、10~50アミノ酸を含む部分であってよく、Yの疎水性アミノ酸の総数は12個である。一部の実施形態では、式(I)のYは、10~50アミノ酸を含む部分であってよく、Yの疎水性アミノ酸の総数は12個よりも多い。一部の実施形態では、式(I)のYは、10~50アミノ酸を含む部分であってよく、Yの疎水性アミノ酸の総数は13個である。一部の実施形態では、式(I)のYは、10~50アミノ酸を含む部分であってよく、Yの疎水性アミノ酸の総数は13個よりも多い。一部の実施形態では、式(I)のYは、10~50アミノ酸を含む部分であってよく、Yの疎水性アミノ酸の総数は14個である。一部の実施形態では、式(I)のYは、10~50アミノ酸を含む部分であってよく、Yの疎水性アミノ酸の総数は14個よりも多い。一部の実施形態では、式(I)のYは、10~50アミノ酸を含む部分であってよく、Yの疎水性アミノ酸の総数は15個である。一部の実施形態では、式(I)のYは、10~50アミノ酸を含む部分であってよく、Yの疎水性アミノ酸の総数は15個よりも多い。
【0112】
一部の実施形態では、式(I)のYは、10~50アミノ酸を含む部分であってよく、YのI、V、L、F、C、M、およびAの総数は5個である。一部の実施形態では、式(I)のYは、10~50アミノ酸を含む部分であってよく、YのI、V、L、F、C、M、およびAの総数は5個よりも多い。一部の実施形態では、式(I)のYは、10~50アミノ酸を含む部分であってよく、YのI、V、L、F、C、M、およびAの総数は6個である。一部の実施形態では、式(I)のYは、10~50アミノ酸を含む部分であってよく、YのI、V、L、F、C、M、およびAの総数は6個よりも多い。一部の実施形態では、式(I)のYは、10~50アミノ酸を含む部分であってよく、YのI、V、L、F、C、M、およびAの総数は7個である。一部の実施形態では、式(I)のYは、10~50アミノ酸を含む部分であってよく、YのI、V、L、F、C、M、およびAの総数は7個よりも多い。一部の実施形態では、式(I)のYは、10~50アミノ酸を含む部分であってよく、YのI、V、L、F、C、M、およびAの総数は8個である。一部の実施形態では、式(I)のYは、10~50アミノ酸を含む部分であってよく、YのI、V、L、F、C、M、およびAの総数は8個よりも多い。一部の実施形態では、式(I)のYは、10~50アミノ酸を含む部分であってよく、YのI、V、L、F、C、M、およびAの総数は9個である。一部の実施形態では、式(I)のYは、10~50アミノ酸を含む部分であってよく、YのI、V、L、F、C、M、およびAの総数は9個よりも多い。一部の実施形態では、式(I)のYは、10~50アミノ酸を含む部分であってよく、YのI、V、L、F、C、M、およびAの総数は10個である。一部の実施形態では、式(I)のYは、10~50アミノ酸を含む部分であってよく、YのI、V、L、F、C、M、およびAの総数は10個よりも多い。一部の実施形態では、式(I)のYは、10~50アミノ酸を含む部分であってよく、YのI、V、L、F、C、M、およびAの総数は11個である。一部の実施形態では、式(I)のYは、10~50アミノ酸を含む部分であってよく、YのI、V、L、F、C、M、およびAの総数は11個よりも多い。一部の実施形態では、式(I)のYは、10~50アミノ酸を含む部分であってよく、YのI、V、L、F、C、M、およびAの総数は12個である。一部の実施形態では、式(I)のYは、10~50アミノ酸を含む部分であってよく、YのI、V、L、F、C、M、およびAの総数は12個よりも多い。一部の実施形態では、式(I)のYは、10~50アミノ酸を含む部分であってよく、YのI、V、L、F、C、M、およびAの総数は13個である。一部の実施形態では、式(I)のYは、10~50アミノ酸を含む部分であってよく、YのI、V、L、F、C、M、およびAの総数は13個よりも多い。一部の実施形態では、式(I)のYは、10~50アミノ酸を含む部分であってよく、YのI、V、L、F、C、M、およびAの総数は14個である。一部の実施形態では、式(I)のYは、10~50アミノ酸を含む部分であってよく、YのI、V、L、F、C、M、およびAの総数は14個よりも多い。一部の実施形態では、式(I)のYは、10~50アミノ酸を含む部分であってよく、YのI、V、L、F、C、M、およびAの総数は15個である。一部の実施形態では、式(I)のYは、10~50アミノ酸を含む部分であってよく、YのI、V、L、F、C、M、およびAの総数は15個よりも多い。
【0113】
一部の実施形態では、式(I)のYは、10~50アミノ酸を含む部分であってよく、Yのシステイン(C)の総数は5個である。一部の実施形態では、式(I)のYは、10~50アミノ酸を含む部分であってよく、Yのシステイン(C)の総数は5個未満である。一部の実施形態では、式(I)のYは、10~50アミノ酸を含む部分であってよく、Yのシステイン(C)の総数は4個である。一部の実施形態では、式(I)のYは、10~50アミノ酸を含む部分であってよく、Yのシステイン(C)の総数は4個未満である。一部の実施形態では、式(I)のYは、10~50アミノ酸を含む部分であってよく、Yのシステイン(C)の総数は3個である。一部の実施形態では、式(I)のYは、10~50アミノ酸を含む部分であってよく、Yのシステイン(C)の総数は3個未満である。一部の実施形態では、式(I)のYは、10~50アミノ酸を含む部分であってよく、Yのシステイン(C)の総数は2個である。一部の実施形態では、式(I)のYは、10~50アミノ酸を含む部分であってよく、Yのシステイン(C)の総数は2個未満である。一部の実施形態では、式(I)のYは、10~50アミノ酸を含む部分であってよく、Yのシステイン(C)の総数は1個である。一部の実施形態では、式(I)のYは、10~50アミノ酸を含む部分であってよく、Yのシステイン(C)の総数は1個未満である。一部の実施形態では、式(I)のYは、10~50アミノ酸を含む部分であってよく、Yのシステイン(C)の総数は0個である。
【0114】
一部の実施形態では、式(I)のY中の親水性アミノ酸の総数は5個である。一部の実施形態では、式(I)のY中の親水性アミノ酸の総数は5個以下である。一部の実施形態では、式(I)のY中の親水性アミノ酸の総数は4個である。一部の実施形態では、式(I)のY中の親水性アミノ酸の総数は4個以下である。一部の実施形態では、式(I)のY中の親水性アミノ酸の総数は3個である。一部の実施形態では、式(I)のY中の親水性アミノ酸の総数は3個以下である。一部の実施形態では、式(I)のY中の親水性アミノ酸の総数は2個である。一部の実施形態では、式(I)のY中の親水性アミノ酸の総数は2個以下である。一部の実施形態では、式(I)のY中の親水性アミノ酸の総数は1個である。一部の実施形態では、式(I)のY中の親水性アミノ酸の総数は1個以下である。
【0115】
一部の実施形態では、式(I)のYのR、K、N、D、Q、E、およびHの総数は5個である。一部の実施形態では、式(I)のYのR、K、N、D、Q、E、およびHの総数は5個以下である。一部の実施形態では、式(I)のY中の親水性アミノ酸の総数は4個である。一部の実施形態では、式(I)のYのR、K、N、D、Q、E、およびHの総数は4個以下である。一部の実施形態では、式(I)のYのR、K、N、D、Q、E、およびHの総数は3個である。一部の実施形態では、式(I)のYのR、K、N、D、Q、E、およびHの総数は3個以下である。一部の実施形態では、式(I)のYのR、K、N、D、Q、E、およびHの総数は2個である。一部の実施形態では、式(I)のYのR、K、N、D、Q、E、およびHの総数は2個以下である。一部の実施形態では、式(I)のYのR、K、N、D、Q、E、およびHの総数は1個である。一部の実施形態では、式(I)のYのR、K、N、D、Q、E、およびHの総数は1個以下である。
【0116】
人工ポリペプチドの一部の実施形態では、式(I)のXは、配列番号81~83から選択されるいずれか1つに対して少なくとも70%の同一性を有する配列を含む。人工ポリペプチドの一部の実施形態では、式(I)のXは、配列番号81~83から選択されるいずれか1つに対して少なくとも75%の同一性を有する配列を含む。人工ポリペプチドの一部の実施形態では、式(I)のXは、配列番号81~83から選択されるいずれか1つに対して少なくとも80%の同一性を有する配列を含む。人工ポリペプチドの一部の実施形態では、式(I)のXは、配列番号81~83から選択されるいずれか1つに対して少なくとも85%の同一性を有する配列を含む。人工ポリペプチドの一部の実施形態では、式(I)のXは、配列番号81~83から選択されるいずれか1つに対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む。人工ポリペプチドの一部の実施形態では、式(I)のXは、配列番号81~83から選択されるいずれか1つに対して少なくとも95%の同一性を有する配列を含む。人工ポリペプチドの一部の実施形態では、式(I)のXは、配列番号81~83から選択されるいずれか1つに対して少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の同一性を有する配列を含む。人工ポリペプチドの一部の実施形態では、式(I)のXは、配列番号81~83から選択されるいずれか1つの配列を含む。人工ポリペプチドの一部の実施形態では、式(I)のXは、配列番号81~83から選択されるいずれか1つの配列である。
【0117】
人工ポリペプチドの一部の実施形態では、式(I)のYは、配列番号3~15、58~61および84~85から選択されるいずれか1つに対して少なくとも70%の同一性を有する配列を含む。人工ポリペプチドの一部の実施形態では、式(I)のYは、配列番号3~15、58~61および84~85から選択されるいずれか1つに対して少なくとも75%の同一性を有する配列を含む。人工ポリペプチドの一部の実施形態では、式(I)のYは、配列番号3~15、58~61および84~85から選択されるいずれか1つに対して少なくとも80%の同一性を有する配列を含む。人工ポリペプチドの一部の実施形態では、式(I)のYは、配列番号3~15、58~61および84~85から選択されるいずれか1つに対して少なくとも85%の同一性を有する配列を含む。人工ポリペプチドの一部の実施形態では、式(I)のYは、配列番号3~15、58~61および84~85から選択されるいずれか1つに対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む。人工ポリペプチドの一部の実施形態では、式(I)のYは、配列番号3~15、58~61および84~85から選択されるいずれか1つに対して少なくとも95%の同一性を有する配列を含む。人工ポリペプチドの一部の実施形態では、式(I)のYは、配列番号3~15、58~61および84~85から選択されるいずれか1つに対して少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の同一性を有する配列を含む。人工ポリペプチドの一部の実施形態では、式(I)のYは、配列番号3~15、58~61および84~85から選択されるいずれか1つの配列を含む。人工ポリペプチドの一部の実施形態では、式(I)のYは、配列番号3~15、58~61および84~85から選択されるいずれか1つの配列である。
【0118】
式(I)の人工ポリペプチドの一部の実施形態では、ポリペプチドは、配列番号29~41、54~57および91~95から選択されるいずれか1つに対して少なくとも70%の同一性を有する配列を含む。式(I)の人工ポリペプチドの一部の実施形態では、ポリペプチドは、配列番号29~41、54~57および91~95から選択されるいずれか1つに対して少なくとも75%の同一性を有する配列を含む。式(I)の人工ポリペプチドの一部の実施形態では、ポリペプチドは、配列番号29~41、54~57および91~95から選択されるいずれか1つに対して少なくとも80%の同一性を有する配列を含む。式(I)の人工ポリペプチドの一部の実施形態では、ポリペプチドは、配列番号29~41、54~57および91~95から選択されるいずれか1つに対して少なくとも85%の同一性を有する配列を含む。式(I)の人工ポリペプチドの一部の実施形態では、ポリペプチドは、配列番号29~41、54~57および91~95から選択されるいずれか1つに対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む。式(I)の人工ポリペプチドの一部の実施形態では、ポリペプチドは、配列番号29~41、54~57および91~95から選択されるいずれか1つに対して少なくとも95%の同一性を有する配列を含む。式(I)の人工ポリペプチドの一部の実施形態では、ポリペプチドは、配列番号29~41、54~57および91~95から選択されるいずれか1つに対して少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の同一性を有する配列を含む。式(I)の人工ポリペプチドの一部の実施形態では、ポリペプチドは、配列番号29~41、54~57および91~95のいずれか1つの配列を含む。式(I)の人工ポリペプチドの一部の実施形態では、ポリペプチドは、配列番号29~41、54~57および91~95のいずれか1つの配列である。
【0119】
別の態様では、式X-Y(II)の人工ポリペプチドが提供される。
【0120】
一部の実施形態では、式(II)のXは親水性部分であってよく、そのうちの少なくとも50%はR、K、N、D、Q、E、およびHから選択される。一部の実施形態では、式(II)のXは親水性部分であってよく、そのうちの少なくとも55%はR、K、N、D、Q、E、およびHから選択される。一部の実施形態では、式(I)のXは親水性部分であってよく、そのうちの少なくとも60%はR、K、N、D、Q、E、およびHから選択される。一部の実施形態では、式(II)のXは親水性部分であってよく、そのうちの少なくとも65%はR、K、N、D、Q、E、およびHから選択される。一部の実施形態では、式(II)のXは親水性部分であってよく、そのうちの少なくとも70%はR、K、N、D、Q、E、およびHから選択される。一部の実施形態では、(II)のXは親水性部分であってよく、そのうちの少なくとも75%はR、K、N、D、Q、E、およびHから選択される。一部の実施形態では、式(II)のXは親水性部分であってよく、そのうちの少なくとも80%はR、K、N、D、Q、E、およびHから選択される。一部の実施形態では、式(II)のXは親水性部分であってよく、そのうちの少なくとも85%はR、K、N、D、Q、E、およびHから選択される。一部の実施形態では、式(II)のXは親水性部分であってよく、そのうちの少なくとも90%はR、K、N、D、Q、E、およびHから選択される。
【0121】
一部の実施形態では、式(II)のXは、1つまたは複数のアルギニン(R)を含む親水性部分であってよい。例えば、式(II)のXは、少なくとも1個、少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個、少なくとも9個、または少なくとも10個のアルギニン(R)を含む親水性部分であってよい。一部の実施形態では、式(II)のXは、1つまたは複数のリシン(K)を含む親水性部分であってよい。例えば、式(II)のXは、少なくとも1個、少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個、少なくとも9個、または少なくとも10個のリシン(K)を含む親水性部分であってよい。一部の実施形態では、式(II)のXは、1つまたは複数のアスパラギン(N)を含む親水性部分であってよい。例えば、式(II)のXは、少なくとも1個、少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個、少なくとも9個、または少なくとも10個のアスパラギン(N)を含む親水性部分であってよい。一部の実施形態では、式(II)のXは、1つまたは複数のアスパラギン酸(D)を含む親水性部分であってよい。例えば、式(II)のXは、少なくとも1個、少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個、少なくとも9個、または少なくとも10個のアスパラギン酸(D)を含む親水性部分であってよい。一部の実施形態では、式(II)のXは、1つまたは複数のグルタミン(Q)を含む親水性部分であってよい。例えば、式(II)のXは、少なくとも1個、少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個、少なくとも9個、または少なくとも10個のグルタミン(Q)を含む親水性部分であってよい。一部の実施形態では、式(II)のXは、1つまたは複数のグルタミン酸(E)を含む親水性部分であってよい。例えば、式(II)のXは、少なくとも1個、少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個、少なくとも9個、または少なくとも10個のグルタミン酸(E)を含む親水性部分であってよい。一部の実施形態では、式(II)のXは、1つまたは複数のヒスチジン(H)を含む親水性部分であってよい。例えば、式(II)のXは、少なくとも1個、少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個、少なくとも9個、または少なくとも10個のヒスチジン(H)を含む親水性部分であってよい。
【0122】
一部の実施形態では、式(II)のXは、配列番号1に対して少なくとも80%の同一性を有する配列を含む部分であってよい。一部の実施形態では、Xは、配列番号1に対して少なくとも85%の同一性を有する配列を含む部分である。一部の実施形態では、Xは、配列番号1に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む部分である。一部の実施形態では、Xは、配列番号1に対して少なくとも95%の同一性を有する配列を含む部分である。一部の実施形態では、Xは、配列番号1に対して少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の同一性を有する配列を含む部分である。一部の実施形態では、Xは、配列番号1の配列を含む部分である。一部の実施形態では、Xは、配列番号1の配列である部分である。
【0123】
式(II)の人工ポリペプチドの一部の実施形態では、Yは、配列番号2に対して最大で50%の同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、Yは、配列番号2に対して最大で55%の同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、Yは、配列番号2に対して最大で60%の同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、Yは、配列番号2に対して最大で65%の同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、Yは、配列番号2に対して最大で70%の同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、Yは、配列番号2に対して最大で75%の同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、Yは、配列番号2に対して最大で80%の同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、Yは、配列番号2に対して最大で85%の同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、Yは、配列番号2に対して最大で90%の同一性を有する配列を含む。
【0124】
式(II)の人工ポリペプチドの一部の実施形態では、Yは、配列番号16~18から選択されるいずれか1つに対して少なくとも70%の同一性を有する配列を含む。人工ポリペプチドの一部の実施形態では、Yは、配列番号16~18から選択されるいずれか1つに対して少なくとも75%の同一性を有する配列を含む。人工ポリペプチドの一部の実施形態では、Yは、配列番号16~18から選択されるいずれか1つに対して少なくとも80%の同一性を有する配列を含む。人工ポリペプチドの一部の実施形態では、Yは、配列番号16~18から選択されるいずれか1つに対して少なくとも85%の同一性を有する配列を含む。人工ポリペプチドの一部の実施形態では、Yは、配列番号16~18から選択されるいずれか1つに対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む。人工ポリペプチドの一部の実施形態では、Yは、配列番号16~18から選択されるいずれか1つに対して少なくとも95%の同一性を有する配列を含む。人工ポリペプチドの一部の実施形態では、Yは、配列番号16~18から選択されるいずれか1つに対して少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の同一性を有する配列を含む。人工ポリペプチドの一部の実施形態では、Yは、配列番号16~18から選択されるいずれか1つの配列を含む。人工ポリペプチドの一部の実施形態では、Yは、配列番号16~18から選択されるいずれか1つの配列である。
【0125】
式(II)の人工ポリペプチドの一部の実施形態では、人工ポリペプチドは、配列番号42~44から選択されるいずれか1つに対して少なくとも70%の同一性を有する配列を含む。人工ポリペプチドの一部の実施形態では、人工ポリペプチドは、配列番号42~44から選択されるいずれか1つに対して少なくとも75%の同一性を有する配列を含む。人工ポリペプチドの一部の実施形態では、人工ポリペプチドは、配列番号42~44から選択されるいずれか1つに対して少なくとも80%の同一性を有する配列を含む。人工ポリペプチドの一部の実施形態では、人工ポリペプチドは、配列番号42~44から選択されるいずれか1つに対して少なくとも85%の同一性を有する配列を含む。人工ポリペプチドの一部の実施形態では、人工ポリペプチドは、配列番号42~44から選択されるいずれか1つに対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む。人工ポリペプチドの一部の実施形態では、人工ポリペプチドは、配列番号42~44から選択されるいずれか1つに対して少なくとも95%の同一性を有する配列を含む。人工ポリペプチドの一部の実施形態では、人工ポリペプチドは、配列番号42~44から選択されるいずれか1つに対して少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の同一性を有する配列を含む。人工ポリペプチドの一部の実施形態では、人工ポリペプチドは、配列番号42~44から選択されるいずれか1つの配列を含む。人工ポリペプチドの一部の実施形態では、人工ポリペプチドは、配列番号42~44から選択されるいずれか1つの配列である。
【0126】
別の態様では、式X-Y(III)の人工ポリペプチドが提供される。
【0127】
一部の実施形態では、式(III)のXは親水性部分であり、そのうちの少なくとも50%はH、R、K、D、Q、NおよびEから選択される。一部の実施形態では、式(III)のXは親水性部分であってよく、そのうちの少なくとも55%はR、K、N、D、Q、E、およびHから選択される。一部の実施形態では、式(III)のXは親水性部分であってよく、そのうちの少なくとも60%はR、K、N、D、Q、E、およびHから選択される。一部の実施形態では、式(III)のXは親水性部分であってよく、そのうちの少なくとも65%はR、K、N、D、Q、E、およびHから選択される。一部の実施形態では、式(III)のXは親水性部分であってよく、そのうちの少なくとも70%はR、K、N、D、Q、E、およびHから選択される。一部の実施形態では、式(III)のXは親水性部分であってよく、そのうちの少なくとも75%はR、K、N、D、Q、E、およびHから選択される。一部の実施形態では、式(III)のXは親水性部分であってよく、そのうちの少なくとも80%はR、K、N、D、Q、E、およびHから選択される。一部の実施形態では、式(III)のXは親水性部分であってよく、そのうちの少なくとも85%はR、K、N、D、Q、E、およびHから選択される。一部の実施形態では、式(III)のXは親水性部分であってよく、そのうちの少なくとも90%はR、K、N、D、Q、E、およびHから選択される。
【0128】
一部の実施形態では、式(III)のXは、40~65アミノ酸を含む部分であり、X中のH、R、K、D、Q、NおよびEの総数は33個未満である。一部の実施形態では、式(III)のXは、40~65アミノ酸を含む部分であり、X中のH、R、K、D、Q、NおよびEの総数は32個未満である。一部の実施形態では、式(III)のXは、40~65アミノ酸を含む部分であり、X中のH、R、K、D、Q、NおよびEの総数は31個未満である。一部の実施形態では、式(III)のXは、40~65アミノ酸を含む部分であり、X中のH、R、K、D、Q、NおよびEの総数は30個未満である。一部の実施形態では、式(III)のXは、40~65アミノ酸を含む部分であり、X中のH、R、K、D、Q、NおよびEの総数は29個未満である。一部の実施形態では、式(III)のXは、40~65アミノ酸を含む部分であり、X中のH、R、K、D、Q、NおよびEの総数は28個未満である。一部の実施形態では、式(III)のXは、40~65アミノ酸を含む部分であり、X中のH、R、K、D、Q、NおよびEの総数は27個未満である。一部の実施形態では、式(III)のXは、40~65アミノ酸を含む部分であり、X中のH、R、K、D、Q、NおよびEの総数は26個未満である。一部の実施形態では、式(III)のXは、40~65アミノ酸を含む部分であり、X中のH、R、K、D、Q、NおよびEの総数は25個未満である。一部の実施形態では、式(III)のXは、40~65アミノ酸を含む部分であり、X中のH、R、K、D、Q、NおよびEの総数は24個未満である。一部の実施形態では、式(III)のXは、40~65アミノ酸を含む部分であり、X中のH、R、K、D、Q、NおよびEの総数は23個未満である。一部の実施形態では、式(III)のXは、40~65アミノ酸を含む部分であり、X中のH、R、K、D、Q、NおよびEの総数は22個未満である。一部の実施形態では、式(III)のXは、40~65アミノ酸を含む部分であり、X中のH、R、K、D、Q、NおよびEの総数は21個未満である。一部の実施形態では、式(III)のXは、40~65アミノ酸を含む部分であり、X中のH、R、K、D、Q、NおよびEの総数は20個未満である。
【0129】
一部の実施形態では、式(III)のXは、40~65アミノ酸を含む部分であり、X中の親水性アミノ酸の総数は10個よりも多い。一部の実施形態では、式(III)のXは、40~65アミノ酸を含む部分であり、X中の親水性アミノ酸の総数は11個よりも多い。一部の実施形態では、式(III)のXは、40~65アミノ酸を含む部分であり、X中の親水性アミノ酸の総数は12個よりも多い。一部の実施形態では、式(III)のXは、40~65アミノ酸を含む部分であり、X中の親水性アミノ酸の総数は13個よりも多い。一部の実施形態では、式(III)のXは、40~65アミノ酸を含む部分であり、X中の親水性アミノ酸の総数は14個よりも多い。一部の実施形態では、式(III)のXは、40~65アミノ酸を含む部分であり、X中の親水性アミノ酸の総数は15個よりも多い。一部の実施形態では、式(III)のXは、40~65アミノ酸を含む部分であり、X中の親水性アミノ酸の総数は16個よりも多い。一部の実施形態では、式(III)のXは、40~65アミノ酸を含む部分であり、X中の親水性アミノ酸の総数は17個よりも多い。一部の実施形態では、式(III)のXは、40~65アミノ酸を含む部分であり、X中の親水性アミノ酸の総数は18個よりも多い。一部の実施形態では、式(III)のXは、40~65アミノ酸を含む部分であり、X中の親水性アミノ酸の総数は19個よりも多い。一部の実施形態では、式(III)のXは、40~65アミノ酸を含む部分であり、X中の親水性アミノ酸の総数は20個よりも多い。一部の実施形態では、式(III)のXは、40~65アミノ酸を含む部分であり、X中の親水性アミノ酸の総数は21個よりも多い。一部の実施形態では、式(III)のXは、40~65アミノ酸を含む部分であり、X中の親水性アミノ酸の総数は22個よりも多い。一部の実施形態では、式(III)のXは、40~65アミノ酸を含む部分であり、X中の親水性アミノ酸の総数は23個よりも多い。一部の実施形態では、式(III)のXは、40~65アミノ酸を含む部分であり、X中の親水性アミノ酸の総数は24個よりも多い。一部の実施形態では、式(III)のXは、40~65アミノ酸を含む部分であり、X中の親水性アミノ酸の総数は25個よりも多い。
【0130】
一部の実施形態では、式(III)のXは、40~65アミノ酸を含む部分であり、X中の疎水性アミノ酸の総数は15個以下である。一部の実施形態では、式(III)のXは、40~65アミノ酸を含む部分であり、X中の疎水性アミノ酸の総数は14個以下である。一部の実施形態では、式(III)のXは、40~65アミノ酸を含む部分であり、X中の疎水性アミノ酸の総数は13個以下である。一部の実施形態では、式(III)のXは、40~65アミノ酸を含む部分であり、X中の疎水性アミノ酸の総数は12個以下である。一部の実施形態では、式(III)のXは、40~65アミノ酸を含む部分であり、X中の疎水性アミノ酸の総数は11個以下である。一部の実施形態では、式(III)のXは、40~65アミノ酸を含む部分であり、X中の疎水性アミノ酸の総数は10個以下である。一部の実施形態では、式(III)のXは、40~65アミノ酸を含む部分であり、X中の疎水性アミノ酸の総数は5個以下である。
【0131】
一部の実施形態では、式(III)のXは、配列番号23~27から選択されるいずれか1つに対して少なくとも70%の同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、式(III)のXは、配列番号23~27から選択されるいずれか1つに対して少なくとも75%の同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、式(III)のXは、配列番号23~27から選択されるいずれか1つに対して少なくとも80%の同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、式(III)のXは、配列番号23~27から選択されるいずれか1つに対して少なくとも85%の同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、式(III)のXは、配列番号23~27から選択されるいずれか1つに対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、式(III)のXは、配列番号23~27から選択されるいずれか1つに対して少なくとも95%の同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、式(III)のXは、配列番号23~27から選択されるいずれか1つに対して少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、式(III)のXは、配列番号23~27から選択されるいずれか1つの配列を含む。一部の実施形態では、式(III)のXは、配列番号23~27から選択されるいずれか1つの配列である。
【0132】
一部の実施形態では、式(III)のYは、配列番号2に対して少なくとも70%の同一性を有する配列を含む部分である。一部の実施形態では、式(III)のYは、配列番号2に対して少なくとも75%の同一性を有する配列を含む部分である。一部の実施形態では、式(III)のYは、配列番号2に対して少なくとも80%の同一性を有する配列を含む部分である。一部の実施形態では、式(III)のYは、配列番号2に対して少なくとも85%の同一性を有する配列を含む部分である。一部の実施形態では、式(III)のYは、配列番号2に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む部分である。一部の実施形態では、式(III)のYは、配列番号2に対して少なくとも95%の同一性を有する配列を含む部分である。一部の実施形態では、式(III)のYは、配列番号2に対して少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の同一性を有する配列を含む部分である。一部の実施形態では、式(III)のYは、配列番号2の配列を含む部分である。一部の実施形態では、式(III)のYは、配列番号2の配列である部分である。
【0133】
一部の実施形態では、式(III)のYは疎水性部分であり、Yのアミノ酸の少なくとも50%はI、V、L、F、C、M、およびAから選択される。一部の実施形態では、式(III)のYは疎水性部分であり、Yのアミノ酸の少なくとも55%はI、V、L、F、C、M、およびAから選択される。一部の実施形態では、式(III)のYは疎水性部分であり、Yのアミノ酸の少なくとも60%はI、V、L、F、C、M、およびAから選択される。一部の実施形態では、式(III)のYは疎水性部分であり、Yのアミノ酸の少なくとも65%はI、V、L、F、C、M、およびAから選択される。一部の実施形態では、式(III)のYは疎水性部分であり、Yのアミノ酸の少なくとも70%はI、V、L、F、C、M、およびAから選択される。一部の実施形態では、式(III)のYは疎水性部分であり、Yのアミノ酸の少なくとも75%はI、V、L、F、C、M、およびAから選択される。一部の実施形態では、式(III)のYは疎水性部分であり、Yのアミノ酸の少なくとも80%はI、V、L、F、C、M、およびAから選択される。一部の実施形態では、式(III)のYは疎水性部分であり、Yのアミノ酸の少なくとも85%はI、V、L、F、C、M、およびAから選択される。一部の実施形態では、式(III)のYは疎水性部分であり、Yのアミノ酸の少なくとも90%はI、V、L、F、C、M、およびAから選択される。
【0134】
一部の実施形態では、式(III)の人工ポリペプチドは、配列番号49~53から選択されるいずれか1つに対して少なくとも70%の同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、式(III)の人工ポリペプチドは、配列番号49~53から選択されるいずれか1つに対して少なくとも75%の同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、式(III)の人工ポリペプチドは、配列番号49~53から選択されるいずれか1つに対して少なくとも80%の同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、式(III)の人工ポリペプチドは、配列番号49~53から選択されるいずれか1つに対して少なくとも85%の同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、式(III)の人工ポリペプチドは、配列番号49~53から選択されるいずれか1つに対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、式(III)の人工ポリペプチドは、配列番号49~53から選択されるいずれか1つに対して少なくとも95%の同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、式(III)の人工ポリペプチドは、配列番号49~53から選択されるいずれか1つに対して少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、式(III)の人工ポリペプチドは、配列番号49~53から選択されるいずれか1つの配列を含む。一部の実施形態では、式(III)の人工ポリペプチドは、配列番号49~53から選択されるいずれか1つの配列である。
【0135】
別の態様では、式X-Y(IV)の人工ポリペプチドが提供される。
【0136】
一部の実施形態では、式(IV)のXは親水性部分であり、そのうちの少なくとも50%はH、R、K、D、Q、NおよびEから選択される。一部の実施形態では、式(IV)のXは親水性部分であってよく、そのうちの少なくとも55%はR、K、N、D、Q、E、およびHから選択される。一部の実施形態では、式(IV)のXは親水性部分であってよく、そのうちの少なくとも60%はR、K、N、D、Q、E、およびHから選択される。一部の実施形態では、式(IV)のXは親水性部分であってよく、そのうちの少なくとも65%はR、K、N、D、Q、E、およびHから選択される。一部の実施形態では、式(IV)のXは親水性部分であってよく、そのうちの少なくとも70%はR、K、N、D、Q、E、およびHから選択される。一部の実施形態では、式(IV)のXは親水性部分であってよく、そのうちの少なくとも75%はR、K、N、D、Q、E、およびHから選択される。一部の実施形態では、式(IV)のXは親水性部分であってよく、そのうちの少なくとも80%はR、K、N、D、Q、E、およびHから選択される。一部の実施形態では、式(IV)のXは親水性部分であってよく、そのうちの少なくとも85%はR、K、N、D、Q、E、およびHから選択される。一部の実施形態では、式(IV)のXは親水性部分であってよく、そのうちの少なくとも90%はR、K、N、D、Q、E、およびHから選択される。
【0137】
一部の実施形態では、式(IV)のXは、40~65アミノ酸を含み、X中の親水性アミノ酸の総数は10個よりも多い。一部の実施形態では、式(IV)のXは、40~65アミノ酸を含み、X中の親水性アミノ酸の総数は15個よりも多い。一部の実施形態では、式(IV)のXは、40~65アミノ酸を含み、X中の親水性アミノ酸の総数は20個よりも多い。一部の実施形態では、式(IV)のXは、40~65アミノ酸を含み、X中の親水性アミノ酸の総数は25個よりも多い。一部の実施形態では、式(IV)のXは、40~65アミノ酸を含み、X中の親水性アミノ酸の総数は30個よりも多い。一部の実施形態では、式(IV)のXは、40~65アミノ酸を含み、X中の親水性アミノ酸の総数は35個よりも多い。
【0138】
一部の実施形態では、式(IV)のXは、配列番号1に対して最大で50%の同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、式(IV)のXは、配列番号1に対して最大で55%の同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、式(IV)のXは、配列番号1に対して最大で60%の同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、式(IV)のXは、配列番号1に対して最大で65%の同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、式(IV)のXは、配列番号1に対して最大で70%の同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、式(IV)のXは、配列番号1に対して最大で75%の同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、式(IV)のXは、配列番号1に対して最大で80%の同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、式(IV)のXは、配列番号1に対して最大で85%の同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、式(IV)のXは、配列番号1に対して最大で90%の同一性を有する配列を含む。
【0139】
一部の実施形態では、式(IV)のYは、配列番号2に対して少なくとも70%の同一性を有する配列を含む部分である。一部の実施形態では、式(IV)のYは、配列番号2に対して少なくとも75%の同一性を有する配列を含む部分である。一部の実施形態では、式(IV)のYは、配列番号2に対して少なくとも80%の同一性を有する配列を含む部分である。一部の実施形態では、式(IV)のYは、配列番号2に対して少なくとも85%の同一性を有する配列を含む部分である。一部の実施形態では、式(IV)のYは、配列番号2に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む部分である。一部の実施形態では、式(IV)のYは、配列番号2に対して少なくとも95%の同一性を有する配列を含む部分である。一部の実施形態では、式(IV)のYは、配列番号2に対して少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の同一性を有する配列を含む部分である。一部の実施形態では、式(IV)のYは、配列番号2の配列を含む部分である。一部の実施形態では、式(IV)のYは、配列番号2の配列である部分である。
【0140】
一部の実施形態では、式(IV)のYは疎水性部分であり、Yのアミノ酸の少なくとも50%はI、V、L、F、C、M、およびAから選択される。一部の実施形態では、式(IV)のYは疎水性部分であり、Yのアミノ酸の少なくとも55%はI、V、L、F、C、M、およびAから選択される。一部の実施形態では、式(IV)のYは疎水性部分であり、Yのアミノ酸の少なくとも60%はI、V、L、F、C、M、およびAから選択される。一部の実施形態では、式(IV)のYは疎水性部分であり、Yのアミノ酸の少なくとも65%はI、V、L、F、C、M、およびAから選択される。一部の実施形態では、式(IV)のYは疎水性部分であり、Yのアミノ酸の少なくとも70%はI、V、L、F、C、M、およびAから選択される。一部の実施形態では、式(IV)のYは疎水性部分であり、Yのアミノ酸の少なくとも75%はI、V、L、F、C、M、およびAから選択される。一部の実施形態では、式(IV)のYは疎水性部分であり、Yのアミノ酸の少なくとも80%はI、V、L、F、C、M、およびAから選択される。一部の実施形態では、式(IV)のYは疎水性部分であり、Yのアミノ酸の少なくとも85%はI、V、L、F、C、M、およびAから選択される。一部の実施形態では、式(IV)のYは疎水性部分であり、Yのアミノ酸の少なくとも90%はI、V、L、F、C、M、およびAから選択される。
【0141】
一部の実施形態では、式(IV)のXは、配列番号19~22および76~79から選択されるいずれか1つに対して少なくとも70%の同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、式(IV)のXは、配列番号19~22および76~79から選択されるいずれか1つに対して少なくとも75%の同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、式(IV)のXは、配列番号19~22および76~79から選択されるいずれか1つに対して少なくとも80%の同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、式(IV)のXは、配列番号19~22および76~79から選択されるいずれか1つに対して少なくとも85%の同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、式(IV)のXは、配列番号19~22および76~79から選択されるいずれか1つに対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、式(IV)のXは、配列番号19~22および76~79から選択されるいずれか1つに対して少なくとも95%の同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、式(IV)のXは、配列番号19~22および76~79から選択されるいずれか1つに対して少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、式(IV)のXは、配列番号19~22および76~79から選択されるいずれか1つの配列を含む。一部の実施形態では、式(IV)のXは、配列番号19~22および76~79から選択されるいずれか1つの配列である。
【0142】
一部の実施形態では、式(IV)の人工ポリペプチドは、配列番号45~48および86~89から選択されるいずれか1つに対して少なくとも70%の同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、式(IV)の人工ポリペプチドは、配列番号45~48および86~89から選択されるいずれか1つに対して少なくとも75%の同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、式(IV)の人工ポリペプチドは、配列番号45~48および86~89から選択されるいずれか1つに対して少なくとも80%の同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、式(IV)の人工ポリペプチドは、配列番号45~48および86~89から選択されるいずれか1つに対して少なくとも85%の同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、式(IV)の人工ポリペプチドは、配列番号45~48および86~89から選択されるいずれか1つに対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、式(IV)の人工ポリペプチドは、配列番号45~48および86~89から選択されるいずれか1つに対して少なくとも95%の同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、式(IV)の人工ポリペプチドは、配列番号45~48および86~89から選択されるいずれか1つに対して少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、式(IV)の人工ポリペプチドは、配列番号45~48および86~89から選択されるいずれか1つの配列を含む。一部の実施形態では、式(IV)の人工ポリペプチドは、配列番号45~48および86~89から選択されるいずれか1つの配列である。
【0143】
別の態様では、式(V):X-Y(V)の人工ポリペプチド(式中、Xは、配列番号1に対して少なくとも80%の同一性を有する配列を含む部分であり、Yは、10~30アミノ酸を含む部分であり、Yは、配列番号2の少なくとも10個の連続したAAを有する配列を含む)が提供される。
【0144】
一部の実施形態では、式(V)のYは、10~25アミノ酸を含む。一部の実施形態では、Yは、10~20アミノ酸を含む。一部の実施形態では、Yは、10~15アミノ酸を含む。一部の実施形態では、Yは、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29または30アミノ酸を含む。
【0145】
一部の実施形態では、式(V)のXは、配列番号1に対して少なくとも80%の同一性を有する配列を含む部分であってよい。一部の実施形態では、Xは、配列番号1に対して少なくとも85%の同一性を有する配列を含む部分である。一部の実施形態では、Xは、配列番号1に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む部分である。一部の実施形態では、Xは、配列番号1に対して少なくとも95%の同一性を有する配列を含む部分である。一部の実施形態では、Xは、配列番号1に対して少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の同一性を有する配列を含む部分である。一部の実施形態では、Xは、配列番号1の配列を含む部分である。一部の実施形態では、Xは、配列番号1の配列である部分である。
【0146】
式(V)の人工ポリペプチドの一部の実施形態では、Xのアミノ酸の少なくとも50%は、R、K、N、D、Q、E、およびHから選択される。一部の実施形態では、Xのアミノ酸の少なくとも55%は、R、K、N、D、Q、E、およびHから選択される。一部の実施形態では、Xのアミノ酸の少なくとも60%は、R、K、N、D、Q、E、およびHから選択される。一部の実施形態では、Xのアミノ酸の少なくとも65%は、R、K、N、D、Q、E、およびHから選択される。一部の実施形態では、Xのアミノ酸の少なくとも70%は、R、K、N、D、Q、E、およびHから選択される。一部の実施形態では、Xのアミノ酸の少なくとも75%は、R、K、N、D、Q、E、およびHから選択される。一部の実施形態では、Xのアミノ酸の少なくとも80%は、R、K、N、D、Q、E、およびHから選択される。一部の実施形態では、Xのアミノ酸の少なくとも85%は、R、K、N、D、Q、E、およびHから選択される。一部の実施形態では、Xのアミノ酸の少なくとも90%は、R、K、N、D、Q、E、およびHから選択される。
【0147】
式(V)の人工ポリペプチドの一部の実施形態では、Yは、配列番号2に対して最大で50%の同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、Yは、配列番号2に対して最大で55%の同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、Yは、配列番号2に対して最大で60%の同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、Yは、配列番号2に対して最大で65%の同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、Yは、配列番号2に対して最大で70%の同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、Yは、配列番号2に対して最大で75%の同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、Yは、配列番号2に対して最大で80%の同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、Yは、配列番号2に対して最大で85%の同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、Yは、配列番号2に対して最大で90%の同一性を有する配列を含む。
【0148】
一部の実施形態では、式(V)の人工ポリペプチドは、配列番号53~56から選択されるいずれか1つに対して少なくとも70%の同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、式(V)の人工ポリペプチドは、配列番号53~56から選択されるいずれか1つに対して少なくとも75%の同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、式(V)の人工ポリペプチドは、配列番号53~56から選択されるいずれか1つに対して少なくとも80%の同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、式(V)の人工ポリペプチドは、配列番号53~56から選択されるいずれか1つに対して少なくとも85%の同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、式(V)の人工ポリペプチドは、配列番号53~56から選択されるいずれか1つに対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、式(V)の人工ポリペプチドは、配列番号53~56から選択されるいずれか1つに対して少なくとも95%の同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、式(V)の人工ポリペプチドは、配列番号53~56から選択されるいずれか1つに対して少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、式(V)の人工ポリペプチドは、配列番号53~56から選択されるいずれか1つの配列を含む。一部の実施形態では、式(V)の人工ポリペプチドは、配列番号53~56から選択されるいずれか1つの配列である。
【0149】
別の態様では、式X-Y(VI)の人工ポリペプチドが提供される。
【0150】
一部の実施形態では、式(VI)のXは、配列番号1に対して少なくとも70%の同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、式(VI)のXは、配列番号1に対して少なくとも75%の同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、式(VI)のXは、配列番号1に対して少なくとも80%の同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、式(VI)のXは、配列番号1に対して少なくとも85%の同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、式(VI)のXは、配列番号1に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、式(VI)のXは、配列番号1に対して少なくとも95%の同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、式(VI)のXは、配列番号1に対して最大で95%の同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、式(VI)のXは、配列番号1に対して最大で90%の同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、式(VI)のXは、配列番号1に対して最大で85%の同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、式(VI)のXは、配列番号1に対して最大で80%の同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、式(VI)のXは、配列番号1に対して最大で75%の同一性を有する配列を含む。
【0151】
一部の実施形態では、式(VI)のYは、配列番号2に対して少なくとも70%の同一性を有する配列を含む部分である。一部の実施形態では、式(VI)のYは、配列番号2に対して少なくとも75%の同一性を有する配列を含む部分である。一部の実施形態では、式(VI)のYは、配列番号2に対して少なくとも80%の同一性を有する配列を含む部分である。一部の実施形態では、式(VI)のYは、配列番号2に対して少なくとも85%の同一性を有する配列を含む部分である。一部の実施形態では、式(VI)のYは、配列番号2に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む部分である。一部の実施形態では、式(VI)のYは、配列番号2に対して少なくとも95%の同一性を有する配列を含む部分である。一部の実施形態では、式(VI)のYは、配列番号2に対して最大で95%の同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、式(VI)のYは、配列番号2に対して最大で90%の同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、式(VI)のYは、配列番号2に対して最大で85%の同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、式(VI)のYは、配列番号2に対して最大で80%の同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、式(VI)のYは、配列番号2に対して最大で75%の同一性を有する配列を含む。
【0152】
一部の実施形態では、式(VI)のYは疎水性部分であり、Yのアミノ酸の少なくとも50%はI、V、L、F、C、M、およびAから選択される。一部の実施形態では、式(VI)のYは疎水性部分であり、Yのアミノ酸の少なくとも55%はI、V、L、F、C、M、およびAから選択される。一部の実施形態では、式(VI)のYは疎水性部分であり、Yのアミノ酸の少なくとも60%はI、V、L、F、C、M、およびAから選択される。一部の実施形態では、式(VI)のYは疎水性部分であり、Yのアミノ酸の少なくとも65%は、I、V、L、F、C、M、およびAから選択される。一部の実施形態では、式(VI)のYは疎水性部分であり、Yのアミノ酸の少なくとも70%はI、V、L、F、C、M、およびAから選択される。一部の実施形態では、式(VI)のYは疎水性部分であり、Yのアミノ酸の少なくとも75%はI、V、L、F、C、M、およびAから選択される。一部の実施形態では、式(VI)のYは疎水性部分であり、Yのアミノ酸の少なくとも80%はI、V、L、F、C、M、およびAから選択される。一部の実施形態では、式(VI)のYは疎水性部分であり、Yのアミノ酸の少なくとも85%はI、V、L、F、C、M、およびAから選択される。一部の実施形態では、式(VI)のYは疎水性部分であり、Yのアミノ酸の少なくとも90%はI、V、L、F、C、M、およびAから選択される。
【0153】
一部の実施形態では、式(VI)のXは、40~65アミノ酸を含む部分であり、X中のR、K、T、A、N、Q、D、E、S、およびGの総数は30個よりも多い。一部の実施形態では、式(VI)のXは、40~65アミノ酸を含む部分であり、X中のR、K、T、A、N、Q、D、E、S、およびGの総数は31個、32個、33個、34個、35個、36個、37個、38個、39個または40個である。一部の実施形態では、式(VI)のXは、40~65アミノ酸を含む部分であり、X中のW、Y、F、M、L、I、およびVの総数は20個以下である。一部の実施形態では、式(VI)のXは、40~65アミノ酸を含む部分であり、XのW、Y、F、M、L、I、およびVの総数は19個、18個、17個、16個、15個または14個である。
【0154】
一部の実施形態では、式(VI)のYは、10~50アミノ酸を含む部分であり、Y中のR、K、T、A、N、Q、D、E、S、およびGの総数は10個よりも多い。一部の実施形態では、式(VI)のYは、10~50アミノ酸を含む部分であり、Y中のR、K、T、A、N、Q、D、E、S、およびGの総数は11個、12個、13個、14個または15個である。一部の実施形態では、式(VI)のYは、10~50アミノ酸を含む部分であり、X中のW、Y、F、M、L、I、およびVの総数は20個以下である。一部の実施形態では、式(VI)のYは、10~50アミノ酸を含む部分であり、YのW、Y、F、M、L、I、およびVの総数は、19個、18個、17個、16個、15個または14個である。
【0155】
一部の実施形態では、式(VI)のXは、配列番号80~83から選択されるいずれか1つに対して少なくとも70%の同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、式(VI)のXは、配列番号80~83から選択されるいずれか1つに対して少なくとも75%の同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、式(VI)のXは、配列番号80~83から選択されるいずれか1つに対して少なくとも80%の同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、式(VI)のXは、配列番号80~83から選択されるいずれか1つに対して少なくとも85%の同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、式(VI)のXは、配列番号80~83から選択されるいずれか1つに対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、式(VI)のXは、配列番号80~83から選択されるいずれか1つに対して少なくとも95%の同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、式(VI)のXは、配列番号80~83から選択されるいずれか1つに対して少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、式(VI)のXは、配列番号80~83から選択されるいずれか1つの配列を含む。一部の実施形態では、式(VI)のXは、配列番号80~83から選択されるいずれか1つの配列である。
【0156】
一部の実施形態では、式(VI)のYは、配列番号3に対して少なくとも70%の同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、式(VI)のYは、配列番号3に対して少なくとも75%の同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、式(VI)のYは、配列番号3に対して少なくとも80%の同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、式(VI)のYは、配列番号3に対して少なくとも85%の同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、式(VI)のYは、配列番号3に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、式(VI)のYは、配列番号3に対して少なくとも95%の同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、式(VI)のYは、配列番号3に対して少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、式(VI)のYは、配列番号3の配列を含む。一部の実施形態では、式(VI)のYは、配列番号3の配列である。
【0157】
一部の実施形態では、式(VI)の人工ポリペプチドは、配列番号90~93から選択されるいずれか1つに対して少なくとも70%の同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、式(VI)の人工ポリペプチドは、配列番号90~93から選択されるいずれか1つに対して少なくとも75%の同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、式(VI)の人工ポリペプチドは、配列番号90~93から選択されるいずれか1つに対して少なくとも80%の同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、式(VI)の人工ポリペプチドは、配列番号90~93から選択されるいずれか1つに対して少なくとも85%の同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、式(VI)の人工ポリペプチドは、配列番号90~93から選択されるいずれか1つに対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、式(VI)の人工ポリペプチドは、配列番号90~93から選択されるいずれか1つに対して少なくとも95%の同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、式(VI)の人工ポリペプチドは、配列番号90~93から選択されるいずれか1つに対して少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、式(VI)の人工ポリペプチドは、配列番号90~93から選択されるいずれか1つである配列を含む。一部の実施形態では、式(VI)の人工ポリペプチドは、配列番号90~93から選択されるいずれか1つである配列である。
【0158】
別の態様では、式(I)の人工ポリペプチドの変異体が提供される。
【0159】
一部の実施形態では、変異体のXのアミノ酸の少なくとも20%は、R、K、N、D、Q、E、およびHから選択される。一部の実施形態では、変異体のXのアミノ酸の少なくとも25%は、R、K、N、D、Q、E、およびHから選択される。一部の実施形態では、変異体のXのアミノ酸の少なくとも30%は、R、K、N、D、Q、E、およびHから選択される。一部の実施形態では、変異体のXのアミノ酸の少なくとも35%は、R、K、N、D、Q、E、およびHから選択される。一部の実施形態では、変異体のXのアミノ酸の少なくとも40%は、R、K、N、D、Q、E、およびHから選択される。一部の実施形態では、変異体のXのアミノ酸の少なくとも45%は、R、K、N、D、Q、E、およびHから選択される。一部の実施形態では、変異体のXのアミノ酸の少なくとも50%は、R、K、N、D、Q、E、およびHから選択される。一部の実施形態では、変異体のXのアミノ酸の最大で55%は、R、K、N、D、Q、E、およびHから選択される。一部の実施形態では、変異体のXのアミノ酸の最大で60%は、R、K、N、D、Q、E、およびHから選択される。一部の実施形態では、変異体のXのアミノ酸の最大で65%は、R、K、N、D、Q、E、およびHから選択される。一部の実施形態では、変異体のXのアミノ酸の最大で70%は、R、K、N、D、Q、E、およびHから選択される。一部の実施形態では、変異体のXのアミノ酸の最大で75%は、R、K、N、D、Q、E、およびHから選択される。一部の実施形態では、変異体のXのアミノ酸の最大で80%は、R、K、N、D、Q、E、およびHから選択される。一部の実施形態では、変異体のXのアミノ酸の最大で85%は、R、K、N、D、Q、E、およびHから選択される。一部の実施形態では、変異体のXのアミノ酸の最大で90%は、R、K、N、D、Q、E、およびHから選択される。
【0160】
一部の実施形態では、変異体のXは、配列番号1に対して少なくとも70%の同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、変異体のXは、配列番号1に対して少なくとも75%の同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、変異体のXは、配列番号1に対して少なくとも80%の同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、変異体のXは、配列番号1に対して少なくとも85%の同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、変異体のXは、配列番号1に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、変異体のXは、配列番号1に対して少なくとも95%の同一性を有する配列を含む。
【0161】
一部の実施形態では、変異体のYは、10~50アミノ酸を含む部分であってよく、Yのシステイン(C)の総数は5個である。一部の実施形態では、変異体のYは、10~50アミノ酸を含む部分であってよく、Yのシステイン(C)の総数は5個未満である。一部の実施形態では、変異体のYは、10~50アミノ酸を含む部分であってよく、Yのシステイン(C)の総数は4個である。一部の実施形態では、変異体のYは、10~50アミノ酸を含む部分であってよく、Yのシステイン(C)の総数は4個未満である。一部の実施形態では、変異体のYは、10~50アミノ酸を含む部分であってよく、Yのシステイン(C)の総数は3個である。一部の実施形態では、変異体のYは、10~50アミノ酸を含む部分であってよく、Yのシステイン(C)の総数は3個未満である。一部の実施形態では、変異体のYは、10~50アミノ酸を含む部分であってよく、Yのシステイン(C)の総数は2個である。一部の実施形態では、変異体のYは、10~50アミノ酸を含む部分であってよく、Yのシステイン(C)の総数は2個未満である。一部の実施形態では、変異体のYは、10~50アミノ酸を含む部分であってよく、Yのシステイン(C)の総数は1個である。一部の実施形態では、変異体のYは、10~50アミノ酸を含む部分であってよく、Yのシステイン(C)の総数は1個未満である。一部の実施形態では、変異体のYは、10~50アミノ酸を含む部分であってよく、Yのシステイン(C)の総数は0個である。
【0162】
一部の実施形態では、変異体のY中の疎水性アミノ酸の総数は8個よりも多い。一部の実施形態では、変異体のY中の疎水性アミノ酸の総数は9個よりも多い。一部の実施形態では、変異体のY中の疎水性アミノ酸の総数は10個よりも多い。一部の実施形態では、変異体のY中の疎水性アミノ酸の総数は11個よりも多い。一部の実施形態では、変異体のY中の疎水性アミノ酸の総数は12個よりも多い。一部の実施形態では、変異体のY中の疎水性アミノ酸の総数は13個よりも多い。一部の実施形態では、変異体のY中の疎水性アミノ酸の総数は14個よりも多い。一部の実施形態では、変異体のY中の疎水性アミノ酸の総数は15個よりも多い。
【0163】
一部の実施形態では、変異体のY中の親水性アミノ酸の総数は5個である。一部の実施形態では、変異体のY中の親水性アミノ酸の総数は5個以下である。一部の実施形態では、変異体のY中の親水性アミノ酸の総数は4個である。一部の実施形態では、変異体のY中の親水性アミノ酸の総数は4個以下である。一部の実施形態では、変異体のY中の親水性アミノ酸の総数は3個である。一部の実施形態では、変異体のY中の親水性アミノ酸の総数は3個以下である。一部の実施形態では、変異体のY中の親水性アミノ酸の総数は2個である。一部の実施形態では、変異体のY中の親水性アミノ酸の総数は2個以下である。一部の実施形態では、変異体のY中の親水性アミノ酸の総数は1個である。一部の実施形態では、変異体のY中の親水性アミノ酸の総数は1個以下である。
【0164】
一部の実施形態では、変異体のYは、配列番号3~15、58~61および84~85から選択されるいずれか1つに対して少なくとも70%の同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、変異体のYは、配列番号3~15、58~61および84~85から選択されるいずれか1つに対して少なくとも75%の同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、変異体のYは、配列番号3~15、58~61および84~85から選択されるいずれか1つに対して少なくとも80%の同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、変異体のYは、配列番号3~15、58~61および84~85から選択されるいずれか1つに対して少なくとも85%の同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、変異体のYは、配列番号3~15、58~61および84~85から選択されるいずれか1つに対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、変異体のYは、配列番号3~15、58~61および84~85から選択されるいずれか1つに対して少なくとも95%の同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、変異体のYは、配列番号3~15、58~61および84~85から選択されるいずれか1つに対して少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、変異体のYは、配列番号3~15、58~61および84~85から選択されるいずれか1つの配列を含む。一部の実施形態では、変異体のYは、配列番号3~15、58~61および84~85から選択されるいずれか1つの配列である。
【0165】
一部の実施形態では、変異体のYは、配列番号3~18、58~61および84~85から選択されるいずれか1つに対して少なくとも70%の同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、変異体のYは、配列番号3~18、58~61および84~85から選択されるいずれか1つに対して少なくとも75%の同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、変異体のYは、配列番号3~18、58~61および84~85から選択されるいずれか1つに対して少なくとも80%の同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、変異体のYは、配列番号3~18、58~61および84~85から選択されるいずれか1つに対して少なくとも85%の同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、変異体のYは、配列番号3~18、58~61および84~85から選択されるいずれか1つに対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、変異体のYは、配列番号3~18、58~61および84~85から選択されるいずれか1つに対して少なくとも95%の同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、変異体のYは、配列番号3~18、58~61および84~85から選択されるいずれか1つに対して少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、変異体のYは、配列番号3~18、58~61および84~85から選択されるいずれか1つの配列を含む。一部の実施形態では、変異体のYは、配列番号3~18、58~61および84~85から選択されるいずれか1つの配列である。
【0166】
別の態様では、式(II)の人工ポリペプチドの変異体が提供される。
【0167】
一部の実施形態では、変異体のXのアミノ酸の少なくとも20%は、R、K、N、D、Q、E、およびHから選択される。一部の実施形態では、変異体のXのアミノ酸の少なくとも25%は、R、K、N、D、Q、E、およびHから選択される。一部の実施形態では、変異体のXのアミノ酸の少なくとも30%は、R、K、N、D、Q、E、およびHから選択される。一部の実施形態では、変異体のXのアミノ酸の少なくとも35%は、R、K、N、D、Q、E、およびHから選択される。一部の実施形態では、変異体のXのアミノ酸の少なくとも40%は、R、K、N、D、Q、E、およびHから選択される。一部の実施形態では、変異体のXのアミノ酸の少なくとも45%は、R、K、N、D、Q、E、およびHから選択される。一部の実施形態では、変異体のXのアミノ酸の少なくとも50%は、R、K、N、D、Q、E、およびHから選択される。一部の実施形態では、変異体のXのアミノ酸の最大で55%は、R、K、N、D、Q、E、およびHから選択される。一部の実施形態では、変異体のXのアミノ酸の最大で60%は、R、K、N、D、Q、E、およびHから選択される。一部の実施形態では、変異体のXのアミノ酸の最大で65%は、R、K、N、D、Q、E、およびHから選択される。一部の実施形態では、変異体のXのアミノ酸の最大で70%は、R、K、N、D、Q、E、およびHから選択される。一部の実施形態では、変異体のXのアミノ酸の最大で75%は、R、K、N、D、Q、E、およびHから選択される。一部の実施形態では、変異体のXのアミノ酸の最大で80%は、R、K、N、D、Q、E、およびHから選択される。一部の実施形態では、変異体のXのアミノ酸の最大で85%は、R、K、N、D、Q、E、およびHから選択される。一部の実施形態では、変異体のXのアミノ酸の最大で90%は、R、K、N、D、Q、E、およびHから選択される。
【0168】
一部の実施形態では、変異体のXは、配列番号1に対して少なくとも70%の同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、変異体のXは、配列番号1に対して少なくとも75%の同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、変異体のXは、配列番号1に対して少なくとも80%の同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、変異体のXは、配列番号1に対して少なくとも85%の同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、変異体のXは、配列番号1に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、変異体のXは、配列番号1に対して少なくとも95%の同一性を有する配列を含む。
【0169】
一部の実施形態では、変異体のYは、配列番号2に対して最大で50%の同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、変異体のYは、配列番号2に対して最大で55%の同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、変異体のYは、配列番号2に対して最大で60%の同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、変異体のYは、配列番号2に対して最大で65%の同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、変異体のYは、配列番号2に対して最大で70%の同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、変異体のYは、配列番号2に対して最大で75%の同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、変異体のYは、配列番号2に対して最大で80%の同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、変異体のYは、配列番号2に対して最大で85%の同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、変異体のYは、配列番号2に対して最大で90%の同一性を有する配列を含む。
【0170】
一部の実施形態では、変異体のY中の疎水性アミノ酸の総数は8個よりも多い。一部の実施形態では、変異体のY中の疎水性アミノ酸の総数は9個よりも多い。一部の実施形態では、変異体のY中の疎水性アミノ酸の総数は10個よりも多い。一部の実施形態では、変異体のY中の疎水性アミノ酸の総数は11個よりも多い。一部の実施形態では、変異体のY中の疎水性アミノ酸の総数は12個よりも多い。一部の実施形態では、変異体のY中の疎水性アミノ酸の総数は13個よりも多い。一部の実施形態では、変異体のY中の疎水性アミノ酸の総数は14個よりも多い。一部の実施形態では、変異体のY中の疎水性アミノ酸の総数は15個よりも多い。
【0171】
一部の実施形態では、変異体のY中の親水性アミノ酸の総数は5個である。一部の実施形態では、変異体のY中の親水性アミノ酸の総数は5個以下である。一部の実施形態では、変異体のY中の親水性アミノ酸の総数は4個である。一部の実施形態では、変異体のY中の親水性アミノ酸の総数は4個以下である。一部の実施形態では、変異体のY中の親水性アミノ酸の総数は3個である。一部の実施形態では、変異体のY中の親水性アミノ酸の総数は3個以下である。一部の実施形態では、変異体のY中の親水性アミノ酸の総数は2個である。一部の実施形態では、変異体のY中の親水性アミノ酸の総数は2個以下である。一部の実施形態では、変異体のY中の親水性アミノ酸の総数は1個である。一部の実施形態では、変異体のY中の親水性アミノ酸の総数は1個以下である。
【0172】
一部の実施形態では、変異体のYは、配列番号16~18から選択されるいずれか1つに対して少なくとも70%の同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、変異体のYは、配列番号16~18から選択されるいずれか1つに対して少なくとも75%の同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、変異体のYは、配列番号16~18から選択されるいずれか1つに対して少なくとも80%の同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、変異体のYは、配列番号16~18から選択されるいずれか1つに対して少なくとも85%の同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、変異体のYは、配列番号16~18から選択されるいずれか1つに対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、変異体のYは、配列番号16~18から選択されるいずれか1つに対して少なくとも95%の同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、変異体のYは、配列番号16~18から選択されるいずれか1つに対して少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、変異体のYは、配列番号16~18から選択されるいずれか1つの配列を含む。一部の実施形態では、変異体のYは、配列番号16~18から選択されるいずれか1つの配列である。
【0173】
別の態様では、式(III)の人工ポリペプチドの変異体が提供される。
【0174】
一部の実施形態では、変異体のXのアミノ酸の少なくとも20%は、R、K、N、D、Q、E、およびHから選択される。一部の実施形態では、変異体のXのアミノ酸の少なくとも25%は、R、K、N、D、Q、E、およびHから選択される。一部の実施形態では、変異体のXのアミノ酸の少なくとも30%は、R、K、N、D、Q、E、およびHから選択される。一部の実施形態では、変異体のXのアミノ酸の少なくとも35%は、R、K、N、D、Q、E、およびHから選択される。一部の実施形態では、変異体のXのアミノ酸の少なくとも40%は、R、K、N、D、Q、E、およびHから選択される。一部の実施形態では、変異体のXのアミノ酸の少なくとも45%は、R、K、N、D、Q、E、およびHから選択される。一部の実施形態では、変異体のXのアミノ酸の少なくとも50%は、R、K、N、D、Q、E、およびHから選択される。一部の実施形態では、変異体のXのアミノ酸の最大で55%は、R、K、N、D、Q、E、およびHから選択される。一部の実施形態では、変異体のXのアミノ酸の最大で60%は、R、K、N、D、Q、E、およびHから選択される。一部の実施形態では、変異体のXのアミノ酸の最大で65%は、R、K、N、D、Q、E、およびHから選択される。一部の実施形態では、変異体のXのアミノ酸の最大で70%は、R、K、N、D、Q、E、およびHから選択される。一部の実施形態では、変異体のXのアミノ酸の最大で75%は、R、K、N、D、Q、E、およびHから選択される。一部の実施形態では、変異体のXのアミノ酸の最大で80%は、R、K、N、D、Q、E、およびHから選択される。一部の実施形態では、変異体のXのアミノ酸の最大で85%は、R、K、N、D、Q、E、およびHから選択される。一部の実施形態では、変異体のXのアミノ酸の最大で90%は、R、K、N、D、Q、E、およびHから選択される。
【0175】
一部の実施形態では、変異体のXは、40~65アミノ酸を含む部分であり、X中のH、R、K、D、Q、NおよびEの総数は33個未満である。一部の実施形態では、変異体のXは、40~65アミノ酸を含む部分であり、X中のH、R、K、D、Q、NおよびEの総数は32個未満である。一部の実施形態では、変異体のXは、40~65アミノ酸を含む部分であり、X中のH、R、K、D、Q、NおよびEの総数は31個未満である。一部の実施形態では、変異体のXは、40~65アミノ酸を含む部分であり、X中のH、R、K、D、Q、NおよびEの総数は30個未満である。一部の実施形態では、変異体のXは、40~65アミノ酸を含む部分であり、X中のH、R、K、D、Q、NおよびEの総数は29個未満である。一部の実施形態では、変異体のXは、40~65アミノ酸を含む部分であり、X中のH、R、K、D、Q、NおよびEの総数は28個未満である。一部の実施形態では、変異体のXは、40~65アミノ酸を含む部分であり、X中のH、R、K、D、Q、NおよびEの総数は27個未満である。一部の実施形態では、変異体のXは、40~65アミノ酸を含む部分であり、X中のH、R、K、D、Q、NおよびEの総数は26個未満である。一部の実施形態では、変異体のXは、40~65アミノ酸を含む部分であり、X中のH、R、K、D、Q、NおよびEの総数は25個未満である。一部の実施形態では、変異体のXは、40~65アミノ酸を含む部分であり、X中のH、R、K、D、Q、NおよびEの総数は24個未満である。一部の実施形態では、変異体のXは、40~65アミノ酸を含む部分であり、X中のH、R、K、D、Q、NおよびEの総数は23個未満である。一部の実施形態では、変異体のXは、40~65アミノ酸を含む部分であり、X中のH、R、K、D、Q、NおよびEの総数は22個未満である。一部の実施形態では、変異体のXは、40~65アミノ酸を含む部分であり、X中のH、R、K、D、Q、NおよびEの総数は21個未満である。一部の実施形態では、変異体のXは、40~65アミノ酸を含む部分であり、X中のH、R、K、D、Q、NおよびEの総数は20個未満である。
【0176】
一部の実施形態では、変異体のXは、40~65アミノ酸を含む部分であり、X中の親水性アミノ酸の総数は10個よりも多い。一部の実施形態では、変異体のXは、40~65アミノ酸を含む部分であり、X中の親水性アミノ酸の総数は11個よりも多い。一部の実施形態では、変異体のXは、40~65アミノ酸を含む部分であり、X中の親水性アミノ酸の総数は12個よりも多い。一部の実施形態では、変異体のXは、40~65アミノ酸を含む部分であり、X中の親水性アミノ酸の総数は13個よりも多い。一部の実施形態では、変異体のXは、40~65アミノ酸を含む部分であり、X中の親水性アミノ酸の総数は14個よりも多い。一部の実施形態では、変異体のXは、40~65アミノ酸を含む部分であり、X中の親水性アミノ酸の総数は15個よりも多い。一部の実施形態では、変異体のXは、40~65アミノ酸を含む部分であり、X中の親水性アミノ酸の総数は16個よりも多い。一部の実施形態では、変異体のXは、40~65アミノ酸を含む部分であり、X中の親水性アミノ酸の総数は17個よりも多い。一部の実施形態では、変異体のXは、40~65アミノ酸を含む部分であり、X中の親水性アミノ酸の総数は18個よりも多い。一部の実施形態では、変異体のXは、40~65アミノ酸を含む部分であり、X中の親水性アミノ酸の総数は19個よりも多い。一部の実施形態では、変異体のXは、40~65アミノ酸を含む部分であり、X中の親水性アミノ酸の総数は20個よりも多い。一部の実施形態では、変異体のXは、40~65アミノ酸を含む部分であり、X中の親水性アミノ酸の総数は21個よりも多い。一部の実施形態では、変異体のXは、40~65アミノ酸を含む部分であり、X中の親水性アミノ酸の総数は22個よりも多い。一部の実施形態では、変異体のXは、40~65アミノ酸を含む部分であり、X中の親水性アミノ酸の総数は23個よりも多い。一部の実施形態では、変異体のXは、40~65アミノ酸を含む部分であり、X中の親水性アミノ酸の総数は24個よりも多い。一部の実施形態では、変異体のXは、40~65アミノ酸を含む部分であり、X中の親水性アミノ酸の総数は25個よりも多い。
【0177】
一部の実施形態では、変異体のXは、40~65アミノ酸を含む部分であり、X中の疎水性アミノ酸の総数は15個以下である。一部の実施形態では、変異体のXは、40~65アミノ酸を含む部分であり、X中の疎水性アミノ酸の総数は14個以下である。一部の実施形態では、変異体のXは、40~65アミノ酸を含む部分であり、X中の疎水性アミノ酸の総数は13個以下である。一部の実施形態では、変異体のXは、40~65アミノ酸を含む部分であり、X中の疎水性アミノ酸の総数は12個以下である。一部の実施形態では、変異体のXは、40~65アミノ酸を含む部分であり、X中の疎水性アミノ酸の総数は11個以下である。一部の実施形態では、変異体のXは、40~65アミノ酸を含む部分であり、X中の疎水性アミノ酸の総数は10個以下である。一部の実施形態では、変異体のXは、40~65アミノ酸を含む部分であり、X中の疎水性アミノ酸の総数は5個以下である。
【0178】
一部の実施形態では、変異体のXは、配列番号1に対して少なくとも70%の同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、変異体のXは、配列番号1に対して少なくとも75%の同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、変異体のXは、配列番号1に対して少なくとも80%の同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、変異体のXは、配列番号1に対して少なくとも85%の同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、変異体のXは、配列番号1に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、変異体のXは、配列番号1に対して少なくとも95%の同一性を有する配列を含む。
【0179】
一部の実施形態では、変異体のYは、配列番号2に対して少なくとも70%の同一性を有する配列を含む部分である。一部の実施形態では、変異体のYは、配列番号2に対して少なくとも75%の同一性を有する配列を含む部分である。一部の実施形態では、変異体のYは、配列番号2に対して少なくとも80%の同一性を有する配列を含む部分である。一部の実施形態では、変異体のYは、配列番号2に対して少なくとも85%の同一性を有する配列を含む部分である。一部の実施形態では、変異体のYは、配列番号2に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む部分である。一部の実施形態では、変異体のYは、配列番号2に対して少なくとも95%の同一性を有する配列を含む部分である。一部の実施形態では、変異体のYは、配列番号2に対して少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の同一性を有する配列を含む部分である。一部の実施形態では、変異体のYは、配列番号2の配列を含む部分である。一部の実施形態では、変異体のYは、配列番号2の配列である部分である。
【0180】
一部の実施形態では、変異体のYは疎水性部分であり、Yのアミノ酸の少なくとも50%はI、V、L、F、C、M、およびAから選択される。一部の実施形態では、変異体のYは疎水性部分であり、Yのアミノ酸の少なくとも55%はI、V、L、F、C、M、およびAから選択される。一部の実施形態では、変異体のYは疎水性部分であり、Yのアミノ酸の少なくとも60%はI、V、L、F、C、M、およびAから選択される。一部の実施形態では、変異体のYは疎水性部分であり、Yのアミノ酸の少なくとも65%はI、V、L、F、C、M、およびAから選択される。一部の実施形態では、変異体のYは疎水性部分であり、Yのアミノ酸の少なくとも70%はI、V、L、F、C、M、およびAから選択される。一部の実施形態では、変異体のYは疎水性部分であり、Yのアミノ酸の少なくとも75%はI、V、L、F、C、M、およびAから選択される。一部の実施形態では、変異体のYは疎水性部分であり、Yのアミノ酸の少なくとも80%はI、V、L、F、C、M、およびAから選択される。一部の実施形態では、変異体のYは疎水性部分であり、Yのアミノ酸の少なくとも85%はI、V、L、F、C、M、およびAから選択される。一部の実施形態では、変異体のYは疎水性部分であり、Yのアミノ酸の少なくとも90%はI、V、L、F、C、M、およびAから選択される。
【0181】
別の態様では、式(IV)の人工ポリペプチドの変異体が提供される。
【0182】
一部の実施形態では、変異体のXのアミノ酸の少なくとも20%は、R、K、N、D、Q、E、およびHから選択される。一部の実施形態では、変異体のXのアミノ酸の少なくとも25%は、R、K、N、D、Q、E、およびHから選択される。一部の実施形態では、変異体のXのアミノ酸の少なくとも30%は、R、K、N、D、Q、E、およびHから選択される。一部の実施形態では、変異体のXのアミノ酸の少なくとも35%は、R、K、N、D、Q、E、およびHから選択される。一部の実施形態では、変異体のXのアミノ酸の少なくとも40%は、R、K、N、D、Q、E、およびHから選択される。一部の実施形態では、変異体のXのアミノ酸の少なくとも45%は、R、K、N、D、Q、E、およびHから選択される。一部の実施形態では、変異体のXのアミノ酸の少なくとも50%は、R、K、N、D、Q、E、およびHから選択される。一部の実施形態では、変異体のXのアミノ酸の最大で55%は、R、K、N、D、Q、E、およびHから選択される。一部の実施形態では、変異体のXのアミノ酸の最大で60%は、R、K、N、D、Q、E、およびHから選択される。一部の実施形態では、変異体のXのアミノ酸の最大で65%は、R、K、N、D、Q、E、およびHから選択される。一部の実施形態では、変異体のXのアミノ酸の最大で70%は、R、K、N、D、Q、E、およびHから選択される。一部の実施形態では、変異体のXのアミノ酸の最大で75%は、R、K、N、D、Q、E、およびHから選択される。一部の実施形態では、変異体のXのアミノ酸の最大で80%は、R、K、N、D、Q、E、およびHから選択される。一部の実施形態では、変異体のXのアミノ酸の最大で85%は、R、K、N、D、Q、E、およびHから選択される。一部の実施形態では、変異体のXのアミノ酸の最大で90%は、R、K、N、D、Q、E、およびHから選択される。
【0183】
一部の実施形態では、変異体のXは、40~65アミノ酸を含み、X中の親水性アミノ酸の総数は10個よりも多い。一部の実施形態では、変異体のXは、40~65アミノ酸を含み、X中の親水性アミノ酸の総数は15個よりも多い。一部の実施形態では、変異体のXは、40~65アミノ酸を含み、X中の親水性アミノ酸の総数は20個よりも多い。一部の実施形態では、変異体のXは、40~65アミノ酸を含み、X中の親水性アミノ酸の総数は25個よりも多い。一部の実施形態では、変異体のXは、40~65アミノ酸を含み、X中の親水性アミノ酸の総数は30個よりも多い。一部の実施形態では、変異体のXは、40~65アミノ酸を含み、X中の親水性アミノ酸の総数は35個よりも多い。
【0184】
一部の実施形態では、変異体のXは、40~65アミノ酸を含む部分であり、X中の疎水性アミノ酸の総数は15個以下である。一部の実施形態では、変異体のXは、40~65アミノ酸を含む部分であり、X中の疎水性アミノ酸の総数は14個以下である。一部の実施形態では、変異体のXは、40~65アミノ酸を含む部分であり、X中の疎水性アミノ酸の総数は13個以下である。一部の実施形態では、変異体のXは、40~65アミノ酸を含む部分であり、X中の疎水性アミノ酸の総数は12個以下である。一部の実施形態では、変異体のXは、40~65アミノ酸を含む部分であり、X中の疎水性アミノ酸の総数は11個以下である。一部の実施形態では、変異体のXは、40~65アミノ酸を含む部分であり、X中の疎水性アミノ酸の総数は10個以下である。一部の実施形態では、変異体のXは、40~65アミノ酸を含む部分であり、X中の疎水性アミノ酸の総数は5個以下である。
【0185】
一部の実施形態では、変異体のXは、配列番号1に対して少なくとも70%の同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、変異体のXは、配列番号1に対して少なくとも75%の同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、変異体のXは、配列番号1に対して少なくとも80%の同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、変異体のXは、配列番号1に対して少なくとも85%の同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、変異体のXは、配列番号1に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、変異体のXは、配列番号1に対して少なくとも95%の同一性を有する配列を含む。
【0186】
一部の実施形態では、変異体のYは、配列番号2に対して少なくとも70%の同一性を有する配列を含む部分である。一部の実施形態では、変異体のYは、配列番号2に対して少なくとも75%の同一性を有する配列を含む部分である。一部の実施形態では、変異体のYは、配列番号2に対して少なくとも80%の同一性を有する配列を含む部分である。一部の実施形態では、変異体のYは、配列番号2に対して少なくとも85%の同一性を有する配列を含む部分である。一部の実施形態では、変異体のYは、配列番号2に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む部分である。一部の実施形態では、変異体のYは、配列番号2に対して少なくとも95%の同一性を有する配列を含む部分である。一部の実施形態では、変異体のYは、配列番号2に対して少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の同一性を有する配列を含む部分である。一部の実施形態では、変異体のYは、配列番号2の配列を含む部分である。一部の実施形態では、変異体のYは、配列番号2の配列である部分である。
【0187】
一部の実施形態では、変異体のYは疎水性部分であり、Yのアミノ酸の少なくとも50%はI、V、L、F、C、M、およびAから選択される。一部の実施形態では、変異体のYは疎水性部分であり、Yのアミノ酸の少なくとも55%はI、V、L、F、C、M、およびAから選択される。一部の実施形態では、変異体のYは疎水性部分であり、Yのアミノ酸の少なくとも60%はI、V、L、F、C、M、およびAから選択される。一部の実施形態では、変異体のYは疎水性部分であり、Yのアミノ酸の少なくとも65%はI、V、L、F、C、M、およびAから選択される。一部の実施形態では、変異体のYは疎水性部分であり、Yのアミノ酸の少なくとも70%はI、V、L、F、C、M、およびAから選択される。一部の実施形態では、変異体のYは疎水性部分であり、Yのアミノ酸の少なくとも75%はI、V、L、F、C、M、およびAから選択される。一部の実施形態では、変異体のYは疎水性部分であり、Yのアミノ酸の少なくとも80%はI、V、L、F、C、M、およびAから選択される。一部の実施形態では、変異体のYは疎水性部分であり、Yのアミノ酸の少なくとも85%はI、V、L、F、C、M、およびAから選択される。一部の実施形態では、変異体のYは疎水性部分であり、Yのアミノ酸の少なくとも90%はI、V、L、F、C、M、およびAから選択される。
【0188】
別の態様では、式(V)の人工ポリペプチドの変異体が提供される。
【0189】
一部の実施形態では、変異体のXのアミノ酸の少なくとも20%は、R、K、N、D、Q、E、およびHから選択される。一部の実施形態では、変異体のXのアミノ酸の少なくとも25%は、R、K、N、D、Q、E、およびHから選択される。一部の実施形態では、変異体のXのアミノ酸の少なくとも30%は、R、K、N、D、Q、E、およびHから選択される。一部の実施形態では、変異体のXのアミノ酸の少なくとも35%は、R、K、N、D、Q、E、およびHから選択される。一部の実施形態では、変異体のXのアミノ酸の少なくとも40%は、R、K、N、D、Q、E、およびHから選択される。一部の実施形態では、変異体のXのアミノ酸の少なくとも45%は、R、K、N、D、Q、E、およびHから選択される。一部の実施形態では、変異体のXのアミノ酸の少なくとも50%は、R、K、N、D、Q、E、およびHから選択される。一部の実施形態では、変異体のXのアミノ酸の最大で55%は、R、K、N、D、Q、E、およびHから選択される。一部の実施形態では、変異体のXのアミノ酸の最大で60%は、R、K、N、D、Q、E、およびHから選択される。一部の実施形態では、変異体のXのアミノ酸の最大で65%は、R、K、N、D、Q、E、およびHから選択される。一部の実施形態では、変異体のXのアミノ酸の最大で70%は、R、K、N、D、Q、E、およびHから選択される。一部の実施形態では、変異体のXのアミノ酸の最大で75%は、R、K、N、D、Q、E、およびHから選択される。一部の実施形態では、変異体のXのアミノ酸の最大で80%は、R、K、N、D、Q、E、およびHから選択される。一部の実施形態では、変異体のXのアミノ酸の最大で85%は、R、K、N、D、Q、E、およびHから選択される。一部の実施形態では、変異体のXのアミノ酸の最大で90%は、R、K、N、D、Q、E、およびHから選択される。
【0190】
一部の実施形態では、変異体のYは、10~25アミノ酸を含む。一部の実施形態では、変異体のYは、10~20アミノ酸を含む。一部の実施形態では、変異体のYは、10~15アミノ酸を含む。一部の実施形態では、変異体のYは、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29または30アミノ酸を含む。
【0191】
一部の実施形態では、変異体のXは、配列番号1に対して少なくとも70%の同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、変異体のXは、配列番号1に対して少なくとも75%の同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、変異体のXは、配列番号1に対して少なくとも80%の同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、変異体のXは、配列番号1に対して少なくとも85%の同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、変異体のXは、配列番号1に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、変異体のXは、配列番号1に対して少なくとも95%の同一性を有する配列を含む。
【0192】
一部の実施形態では、変異体のYは、配列番号2に対して最大で50%の同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、変異体のYは、配列番号2に対して最大で55%の同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、変異体のYは、配列番号2に対して最大で60%の同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、変異体のYは、配列番号2に対して最大で65%の同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、変異体のYは、配列番号2に対して最大で70%の同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、変異体のYは、配列番号2に対して最大で75%の同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、変異体のYは、配列番号2に対して最大で80%の同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、変異体のYは、配列番号2に対して最大で85%の同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、変異体のYは、配列番号2に対して最大で90%の同一性を有する配列を含む。
【0193】
一部の実施形態では、本開示に記載の人工ポリペプチドまたは変異体は、参照ポリペプチドと比較して増強された安定性を有する。一部の実施形態では、本開示に記載の人工ポリペプチドまたは変異体は、参照ポリペプチドと比較して増強された化学的安定性を有する。一部の実施形態では、参照ポリペプチドは、配列番号28および62~71から選択される任意のポリペプチドであり得る。
【0194】
一部の実施形態では、本開示に記載の人工ポリペプチドまたは変異体は、配列番号28および62~71から選択される任意のポリペプチドと比較して増強された安定性を有する。一部の実施形態では、本開示に記載の人工ポリペプチドまたは変異体の安定性は、配列番号28および62~71から選択される任意のポリペプチドと比較して少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも100%、少なくとも200%、少なくとも300%、少なくとも400%、または少なくとも500%増強されたものである。一部の実施形態では、本開示に記載の人工ポリペプチドまたは変異体は、配列番号28および62~71から選択される任意のポリペプチドと比較して増強された化学的安定性を有する。一部の実施形態では、本開示に記載の人工ポリペプチドまたは変異体の化学的安定性は、配列番号28および62~71から選択される任意のポリペプチドと比較して少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも100%、少なくとも200%、少なくとも300%、少なくとも400%、または少なくとも500%増強されたものである。
【0195】
一部の実施形態では、本開示に記載の人工ポリペプチドまたは変異体は、参照ポリペプチドと比較して貯蔵寿命が長い。一部の実施形態では、参照ポリペプチドは、配列番号28および62~71から選択される任意のポリペプチドであり得る。一部の実施形態では、人工ポリペプチドまたは変異体の貯蔵寿命は、参照ポリペプチドよりも少なくとも1日、少なくとも3日、少なくとも5日、少なくとも1週間、少なくとも2週間、少なくとも3週間、少なくとも1カ月、少なくとも2カ月、少なくとも3カ月、少なくとも4カ月、少なくとも5カ月、少なくとも6カ月、少なくとも1年、少なくとも2年、少なくとも3年長い。一部の実施形態では、人工ポリペプチドまたは変異体の貯蔵寿命は、配列番号28および62~71から選択される任意のポリペプチドよりも少なくとも1日、少なくとも3日、少なくとも5日、少なくとも1週間、少なくとも2週間、少なくとも3週間、少なくとも1カ月、少なくとも2カ月、少なくとも3カ月、少なくとも4カ月、少なくとも5カ月、少なくとも6カ月、少なくとも1年、少なくとも2年、少なくとも3年長い。
【0196】
一部の実施形態では、本開示に記載の人工ポリペプチドまたは変異体は、参照ポリペプチドと比較して同等のまたは優れた活性を有する。一部の実施形態では、本開示に記載の人工ポリペプチドまたは変異体は、配列番号28および62~71から選択される任意のポリペプチドと比較して同等のまたは優れた活性を有する。
【0197】
一部の実施形態では、本開示に記載の人工ポリペプチドまたは変異体は、参照ポリペプチドと比較して同等のまたは優れた細胞活性を有する。一部の実施形態では、本開示に記載の人工ポリペプチドまたは変異体は、配列番号28および62~71から選択される任意のポリペプチドと比較して同等のまたは優れた細胞活性を有する。
【0198】
一部の実施形態では、本開示に記載の人工ポリペプチドまたは変異体は、参照ポリペプチドと比較して同等のまたは優れたin vivo活性を有する。一部の実施形態では、本開示に記載の人工ポリペプチドまたは変異体は、配列番号28および62~71から選択される任意のポリペプチドと比較して同等のまたは優れたin vivo活性を有する。
【0199】
一部の実施形態では、本開示に記載の人工ポリペプチドまたは変異体は、参照ポリペプチドと比較して同等のまたは優れたin vitro活性を有する。一部の実施形態では、本開示に記載の人工ポリペプチドまたは変異体は、配列番号28および62~71から選択される任意のポリペプチドと比較して同等のまたは優れたin vitro活性を有する。
【0200】
一部の実施形態では、本開示に記載の人工ポリペプチドまたは変異体は、DAMP(ダメージ関連分子パターン)の阻害/遮断に関して、参照ポリペプチドと比較して同等のまたは優れた活性を有する。一部の実施形態では、本開示に記載の人工ポリペプチドまたは変異体は、DAMP(ダメージ関連分子パターン)の阻害/遮断に関して、配列番号28および62~71から選択される任意のポリペプチドと比較して同等のまたは優れた活性を有する。
【0201】
一部の実施形態では、本開示に記載の人工ポリペプチドまたは変異体は、ROSの阻害/遮断に関して、参照ポリペプチドと比較して同等のまたは優れた活性を有する。一部の実施形態では、本開示に記載の人工ポリペプチドまたは変異体は、ROSの阻害/遮断に関して、配列番号28および62~71から選択される任意のポリペプチドと比較して同等のまたは優れた活性を有する。
【0202】
一部の実施形態では、本開示に記載の人工ポリペプチドまたは変異体は、BSA熱凝集の阻害に関して、参照ポリペプチドと比較して同等のまたは優れた活性を有する。一部の実施形態では、本開示に記載の人工ポリペプチドまたは変異体は、BSA熱凝集の阻害に関して、配列番号28および62~71から選択される任意のポリペプチドと比較して同等のまたは優れた活性を有する。
【0203】
一部の実施形態では、本開示に記載の人工ポリペプチドまたは変異体は、細胞内ROSレベルの抑止に関して、参照ポリペプチドと比較して同等のまたは優れた活性を有する。一部の実施形態では、本開示に記載の人工ポリペプチドまたは変異体は、細胞内ROSレベルの抑止に関して、配列番号28および62~71から選択される任意のポリペプチドと比較して同等のまたは優れた活性を有する。
【0204】
一部の実施形態では、本開示に記載の人工ポリペプチドまたは変異体は、oxLDL取り込みの阻害に関して、参照ポリペプチドと比較して同等のまたは優れた活性を有する。一部の実施形態では、本開示に記載の人工ポリペプチドまたは変異体は、oxLDL取り込みの阻害に関して、配列番号28および62~71から選択される任意のポリペプチドと比較して同等のまたは優れた活性を有する。
【0205】
一部の実施形態では、本開示に記載の人工ポリペプチドまたは変異体は、酸化タンパク質との結合に関して、参照ポリペプチドと比較して同等のまたは優れた活性を有する。一部の実施形態では、本開示に記載の人工ポリペプチドまたは変異体は、酸化タンパク質との結合に関して、配列番号28および62~71から選択される任意のポリペプチドと比較して同等のまたは優れた活性を有する。
【0206】
一部の実施形態では、本開示に記載の人工ポリペプチドまたは変異体は、細胞との結合に関して、参照ポリペプチドと比較して同等のまたは優れた活性を有する。一部の実施形態では、本開示に記載の人工ポリペプチドまたは変異体は、細胞との結合に関して、配列番号28および62~71から選択される任意のポリペプチドと比較して同等のまたは優れた活性を有する。
【0207】
一部の実施形態では、本開示に記載の人工ポリペプチドまたは変異体は、細胞膜透過を容易にすることに関して、参照ポリペプチドと比較して同等のまたは優れた活性を有する。一部の実施形態では、本開示に記載の人工ポリペプチドまたは変異体は、細胞膜透過を容易にすることに関して、配列番号28および62~71から選択される任意のポリペプチドと比較して同等のまたは優れた活性を有する。
ポリペプチドの調製
【0208】
本開示のポリペプチド、例えば、式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)または(VI)の人工ポリペプチド、式(I)、(II)、(III)、(IV)または(V)の人工ポリペプチドの変異体、または配列番号28、配列番号57および配列番号62~74から選択されるいずれか1つもしくはその断片もしくはバリアントに対して少なくとも70%の同一性(例えば、少なくとも80%の同一性)を有するポリペプチドは、これだけに限定されないが、分子クローニング技法および合成手順を含めた任意の適切な方法によって調製することができる。標準的な分子クローニング技法は当技術分野で周知であり、Sambrook, J., Fritsch, E. F. and Maniatis, T. Molecular Cloning: A Laboratory Manual; Cold Spring Harbor Laboratory Press: Cold Spring Harbor, (1989) (Maniatis)によって、およびT. J. Silhavy, M. L. Bennan. and L. W. Enquist, Experiments with Gene Fusions, Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, N.Y. (1984)によって、およびAusubel, F. M. et al., Current Protocols in Molecular Biology, pub. by Greene Publishing Assoc. and Wiley-Interscience (1987)によって記載されている。
【0209】
一部の実施形態では、本開示のポリペプチドを、その全体が参照により本明細書に組み込まれる中国特許出願第201711320516.4号(公開番号第CN109913483A号)に開示されている発酵に基づく製造方法を参照することにより調製する。一部の実施形態では、本開示のポリペプチドを調製するための方法は、標的遺伝子断片を遺伝子操作によって発現プラスミドに組み込むステップであって、組み込まれる標的遺伝子断片が少なくとも1つの精製タグを含む、ステップと、発現プラスミドを対応する発現宿主に形質転換して、標的ポリペプチドを高度に発現する組換え型の工学的に操作された細胞を構築するステップと、組換え型の工学的に操作された細胞を発酵に供し、発現を誘導し、次いで、粗精製を行って、粗製ポリペプチドを得るステップと、粗製ポリペプチドを厳密な精製に供して、高度に精製されたポリペプチドを得るステップとを含む。
【0210】
一部の実施形態では、標的遺伝子断片は、本開示のポリペプチド、例えば、式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)または(VI)の人工ポリペプチド、式(I)、(II)、(III)、(IV)または(V)の人工ポリペプチドの変異体、または配列番号28、配列番号57および配列番号62~74から選択されるいずれか1つもしくはその断片もしくはバリアントに対して少なくとも70%の同一性(例えば、少なくとも80%の同一性)を有するポリペプチドをコードさせることが可能な遺伝子断片からなる群から選択されるいずれか1つである。一部の実施形態では、標的遺伝子断片は、式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)または(VI)の人工ポリペプチドをコードさせることが可能な遺伝子断片である。一部の実施形態では、標的遺伝子断片は、式(I)、(II)、(III)、(IV)または(V)の人工ポリペプチドの変異体をコードさせることが可能な遺伝子断片である。一部の実施形態では、標的遺伝子断片は、配列番号28、配列番号57および配列番号62~74から選択されるいずれか1つもしくはその断片もしくはバリアントに対して少なくとも70%の同一性(例えば、少なくとも80%の同一性)を有するポリペプチドをコードさせることが可能な遺伝子断片である。標的遺伝子断片は、これだけに限定されないが、酵素的合成、すなわち、RNAを鋳型として使用して、逆転写によってcDNAを合成すること、および化学合成法、すなわち、化学的方法または化学的方法と酵素的方法の組合せを使用して、標的遺伝子を合成することを含めた任意の適切な方法によって調製することができる。標的遺伝子断片の配列が提供される場合には、標的遺伝子断片の調製は開発業務受託機関(CRO)によって商業的に実施されてもよい。
【0211】
一部の実施形態では、精製タグは、ST配列タグ(本開示のポリペプチドが封入体を形成するのを補助するアミノ酸配列)またはHisタグである。
【0212】
一部の実施形態では、発現宿主は、宿主細胞である。宿主細胞は、これだけに限定されないが、個々の細胞、細胞培養物、または細胞株を包含する。一部の実施形態では、宿主細胞は、単一の宿主細胞の後代を包含する。一部の実施形態では、宿主細胞に本開示のポリペプチドをコードするベクターを含む異種配列をトランスフェクトすることができる。一部の実施形態では、前記宿主細胞は、細菌細胞などの原核細胞であってよい。一部の実施形態では、前記宿主細胞は、酵母細胞、動物細胞、昆虫細胞、植物細胞などの真核細胞であってよい。
【0213】
本開示のポリペプチドを作製するために使用することができる細菌宿主細胞の例としては、Escherichia、Serratia、Bacillus、Brevibacterium、Corynebacterium、Microbacterium、Pseudomonasなどの属に属する微生物が挙げられる。例えば、細菌宿主細胞として、これだけに限定されないが、Escherichia coli XL1-Blue、XL2-Blue、DH1、MC1000、KY3276、W1485、JM109、HB101、No. 49、i W3110、NY49、G1698、BL21、またはTB1を挙げることができる。他の細菌宿主細胞として、これだけに限定されないが、Serratia ficaria、Serratia fonticola、Serratia liquefaciens、Serratia marcescens、Bacillus subtilis、Bacillus amyloliquefaciens、Brevibacterium ammoniagenes、Brevibacterium immariophilum ATCC 14068、Brevibacterium saccharolyticum ATCC 14066、Brevibacterium flavum ATCC 14067、Brevibacterium lactofermentum ATCC 13869、Corynebacterium glutamicum ATCC 13032、Corynebacterium glutamicum ATCC 13869、Corynebacterium acetoacidophilum ATCC 13870、Microbacterium ammoniaphilum ATCC 15354、Pseudomonas putida、Pseudomonas sp.D-0110などを挙げることができる。
【0214】
本開示のポリペプチドを作製するために使用することができる酵母細胞の例としては、Kluyveromyces、Trichosporon、Saccharomyces、Schizosaccharomyces、Schwanniomyces、Pichia、Candidaなどの属に属する微生物、例えば、Saccharomyces cerevisiae、Schizosaccharomyces pombe、Kluyveromyces lactis、Trichosporon pullulans、Schwanniomyces alluvius、Candida utilisなどが挙げられる。
【0215】
本開示のポリペプチドを作製するために使用することができる動物細胞の例としては、哺乳動物細胞、例えば、チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO)またはサル細胞、例えば、COS細胞、HepG2細胞、A549細胞、およびATCCまたは他の受託機関を通じて入手可能な任意の他の細胞が挙げられる。
【0216】
一部の実施形態では、発現宿主は、Escherichia coli宿主細胞である。一部の実施形態では、発酵プロセスに使用される発酵培地の処方は以下の通りである:酵母抽出物粉末10~50g/L、ペプトン10~30g/L、硫酸アンモニウム2~10g/L、塩化ナトリウム2~10g/L、リン酸二水素カリウム0~10g/L、リン酸水素二カリウム2~15g/L、消泡剤0.01~0.1%(v/v)、FeSO4・7H2O 0~0.1g/L、ZnSO4・7H2O 0~0.02g/L、CuSO4・5H2O 0~0.1g/L、MnSO4・5H2O 0~0.05g/L、CaCl2・7H2O 0~0.01g/L、CoCl2・6H2O 0~0.01g/L、Na2MoO4・2H2O 0~0.01g/L、H3BO3 0~0.0005g/L、およびビオチン0~0.005g/L。一部の実施形態では、発酵プロセスを37℃で行う。
【0217】
一部の実施形態では、発酵プロセス中にイソプロピル-ベータ-D-チオガラクトピラノシド(IPTG)を添加することによって発現の誘導を実現する。一部の実施形態では、IPTGを発酵プロセスの開始後0.5時間、1時間、2時間、3時間、4時間または5時間の時点で添加する。一部の実施形態では、IPTGを0.25mM、0.5mM、1mM、2mMまたは4mMの最終濃度で添加する。一部の実施形態では、発現の誘導を37℃で行う。
【0218】
本開示の粗精製は、発酵プロセスによって産生された培養物を予備処理するプロセスである。一部の実施形態では、粗精製は、細胞を収集し、細胞を溶解させた後に封入体タンパク質および/または細胞質タンパク質を単離するステップと、封入体タンパク質および/または細胞質タンパク質を変性、再生および酵素的消化に供して、粗製ポリペプチドを含有する粗生成物を得るステップとを含む。一部の実施形態では、粗精製は、培養培地を収集するステップと、細胞および不純物を除去するステップと、上清、すなわち粗製ポリペプチドを含有する粗生成物を得るステップとを含む。
【0219】
本開示の厳密な精製は、粗製ポリペプチドを含有する粗生成物を、クロマトグラフィー法を用いて精製するプロセスである。本開示のポリペプチドを精製するために使用することができるクロマトグラフィー法の例としては、強塩基性陰イオン交換樹脂、弱塩基性陰イオン交換樹脂またはマルチモーダル陰イオン交換樹脂を用いたイオン交換クロマトグラフィー;アフィニティークロマトグラフィー;逆相充填材料を用いた逆相クロマトグラフィー;サイズ排除充填材料を用いた分子ふるいクロマトグラフィー;ならびに疎水性充填材料を用いた疎水性クロマトグラフィーが挙げられる。
【0220】
本開示のポリペプチドの調製に関するより詳細な情報は、CN109913483Aの開示全体を通して、例えば、実施例1~4に見いだすことができる。
製剤
【0221】
別の態様では、本開示のポリペプチド、例えば、式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)または(VI)の人工ポリペプチド、式(I)、(II)、(III)、(IV)または(V)の人工ポリペプチドの変異体、または配列番号28、配列番号57および配列番号62~74から選択されるいずれか1つもしくはその断片もしくはバリアントに対して少なくとも70%の同一性(例えば、少なくとも80%の同一性)を有するポリペプチドと、薬学的に許容される賦形剤とを含む製剤が提供される。製剤の一部の実施形態では、ポリペプチドは、配列番号28、配列番号57および配列番号62~74から選択されるいずれか1つもしくはその断片もしくはバリアントに対して少なくとも80%の同一性を有する。製剤の一部の実施形態では、ポリペプチドは、配列番号28、配列番号57および配列番号62~74から選択されるいずれか1つもしくはその断片もしくはバリアントに対して少なくとも85%の同一性を有する。製剤の一部の実施形態では、ポリペプチドは、配列番号28、配列番号57および配列番号62~74から選択されるいずれか1つもしくはその断片もしくはバリアントに対して少なくとも90%の同一性を有する。製剤の一部の実施形態では、ポリペプチドは、配列番号28、配列番号57および配列番号62~74から選択されるいずれか1つもしくはその断片もしくはバリアントに対して少なくとも95%の同一性を有する。製剤の一部の実施形態では、ポリペプチドは、配列番号28、配列番号57および配列番号62~74から選択されるいずれか1つもしくはその断片もしくはバリアントに対して少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%の同一性を有する。製剤の一部の実施形態では、ポリペプチドは、配列番号28、配列番号57および配列番号62~74から選択されるいずれか1つもしくはその断片もしくはバリアントの配列を含むまたはその配列である。
【0222】
製剤の一部の実施形態では、薬学的に許容される賦形剤として、これだけに限定されないが、不活性な固体希釈剤および充填剤、希釈剤、滅菌水溶液および種々の有機溶媒、透過増強剤、可溶化剤およびアジュバントが挙げられる。
【0223】
製剤の一部の実施形態では、製剤は、例えば、錠剤、カプセル剤、ピル、散剤、持続放出製剤、液剤、懸濁剤として、経口投与に適した形態、滅菌溶液、懸濁剤または乳剤として、非経口注射に適した形態、噴霧剤、軟膏剤またはクリーム剤として、局所投与に適した形態であってよい。製剤は、単回投与に適した単位剤形であってよい。一部の実施形態では、医薬組成物は、他の薬剤または医薬品、担体、アジュバントなどを含み得る。
【0224】
一部の実施形態では、製剤を、ゴマ油、トウモロコシ油、綿実油、またはピーナッツ油、ならびにエリキシル剤、マンニトール、デキストロース、または滅菌水溶液、および同様の医薬ビヒクルを用いて水性もしくは油性懸濁剤、または乳剤として製剤化することができる。
【0225】
一部の実施形態では、製剤を、カプセル剤、カシェ剤、もしくは錠剤などの個別の剤形、または液体もしくはエアロゾール噴霧剤として調製することができ、それぞれが所定量の活性成分を粉末としてまたは顆粒で、水性液もしくは非水性液中の溶液もしくは懸濁液、水中油型エマルション、または油中水型液体エマルション中に含有する。
【0226】
一部の実施形態では、製剤への使用に適した結合剤として、これだけに限定されないが、トウモロコシデンプン、ジャガイモデンプン、または他のデンプン、ゼラチン、天然ゴムおよび合成ゴム、例えば、アラビアゴム、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸、他のアルギン酸塩、トラガント末、グアーガム、セルロースおよびその誘導体(例えば、エチルセルロース、酢酸セルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム)、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、アルファ化デンプン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、微結晶セルロース、およびこれらの混合物が挙げられる。
【0227】
一部の実施形態では、製剤への使用に適した充填剤として、これだけに限定されないが、タルク、炭酸カルシウム(例えば、顆粒剤または粉末)、微結晶セルロース、粉末セルロース、デキストレート、カオリン、マンニトール、ケイ酸、ソルビトール、デンプン、アルファ化デンプン、およびこれらの混合物が挙げられる。
【0228】
一部の実施形態では、製剤に使用することができる崩壊剤として、これだけに限定されないが、寒天、アルギン酸、炭酸カルシウム、微結晶セルロース、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、ポラクリリンカリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、ジャガイモデンプンまたはタピオカデンプン、他のデンプン、アルファ化デンプン、他のデンプン、粘土、他のアルギン、他のセルロース、ゴムまたはこれらの混合物が挙げられる。
【0229】
一部の実施形態では、製剤に使用することができる滑沢剤として、これだけに限定されないが、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、鉱油、軽油、グリセリン、ソルビトール、マンニトール、ポリエチレングリコール、他のグリコール、ステアリン酸、ラウリル硫酸ナトリウム、タルク、硬化植物油(例えば、ピーナッツ油、綿実油、ヒマワリ油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油、およびダイズ油)、ステアリン酸亜鉛、オレイン酸エチル、ラウリン酸エチル(ethyl laureate)、寒天、またはこれらの混合物が挙げられる。追加的な滑沢剤として、例えば、サイロイドシリカゲル、合成シリカの凝固エアロゾール、またはこれらの混合物が挙げられる。滑沢剤は、必要に応じて製剤の約1重量パーセント未満の量で添加することができる。
【0230】
一部の実施形態では、製剤に使用することができる界面活性物質として、これだけに限定されないが、親水性界面活性物質、親油性界面活性物質、およびこれらの混合物が挙げられる。すなわち、親水性界面活性物質の混合物を使用することもでき、親油性界面活性物質の混合物を使用することもでき、少なくとも1種の親水性界面活性物質と少なくとも1種の親油性界面活性物質の混合物を使用することもできる。HLB値が低い界面活性物質ほど親油性または疎水性が高く、油中の溶解性が高い。一方、HLB値が高い界面活性物質ほど親水性が高く、水溶液中の溶解性が高い。親水性界面活性物質は、一般に、HLB値が約10よりも大きい化合物、ならびに、HLB尺度が一般に適用可能でない陰イオン性、陽イオン性、または両性イオン化合物であると考えられる。同様に、親油性(すなわち、疎水性)界面活性物質は、HLB値が約10と等しいまたはそれよりも小さい化合物である。しかし、界面活性物質のHLB値は、ただ単に、工業用、医薬用および化粧品用エマルションの製剤化を可能にするために一般に使用される大まかな指針である。
【0231】
親水性界面活性物質は、イオン性または非イオン性のいずれかであり得る。適切なイオン性界面活性物質としては、これだけに限定されないが、アルキルアンモニウム塩;フシジン酸塩;アミノ酸、オリゴペプチド、およびポリペプチドの脂肪酸誘導体;アミノ酸、オリゴペプチド、およびポリペプチドのグリセリド誘導体;レシチンおよび水素添加レシチン;リゾレシチンおよび水素添加リゾレシチン;リン脂質およびその誘導体;リゾリン脂質およびその誘導体;カルニチン脂肪酸エステル塩;アルキル硫酸塩;脂肪酸塩;ドキュセートナトリウム;アシル乳酸塩;モノグリセリドおよびジグリセリドのモノアセチル化酒石酸エステルおよびジアセチル化酒石酸エステル;サクシニル化モノグリセリドおよびサクシニル化ジグリセリド;モノグリセリドのクエン酸エステルおよびジグリセリドのクエン酸エステル;ならびにこれらの混合物が挙げられる。
【0232】
上述の群の中で、イオン性界面活性物質の例として、レシチン、リゾレシチン、リン脂質、リゾリン脂質およびその誘導体;カルニチン脂肪酸エステル塩;アルキル硫酸塩;脂肪酸塩;ドキュセートナトリウム;アシルアクチレート;モノグリセリドおよびジグリセリドのモノアセチル化酒石酸エステルおよびジアセチル化酒石酸エステル;サクシニル化モノグリセリドおよびサクシニル化ジグリセリド;モノグリセリドのクエン酸エステルおよびジグリセリドのクエン酸エステル;ならびにこれらの混合物が挙げられる。
【0233】
イオン性界面活性物質は、レシチン、リゾレシチン、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジン酸、ホスファチジルセリン、リゾホスファチジルコリン、リゾホスファチジルエタノールアミン、リゾホスファチジルグリセロール、リゾホスファチジン酸、リゾホスファチジルセリン、PEG-ホスファチジルエタノールアミン、PVP-ホスファチジルエタノールアミン、脂肪酸のラクチル酸エステル、ステアロイル-2-ラクチレート、ステアロイルラクチレート、サクシニル化モノグリセリド、モノ/ジグリセリドのモノ/ジアセチル化酒石酸エステル、モノ/ジグリセリドのクエン酸エステル、コリルサルコシン、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、オレイン酸、リシノール酸、リノール酸、リノレン酸、ステアリン酸、ラウリル硫酸、テラセシル硫酸、ドキュセート、ラウロイルカルニチン、パルミトイルカルニチン、ミリストイルカルニチンのイオン化形態、およびこれらの塩および混合物であり得る。
【0234】
親水性非イオン界面活性物質としては、これだけに限定されないが、アルキルグルコシド;アルキルマルトシド;アルキルチオグルコシド;ラウリルマクロゴルグリセリド;ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、例えば、ポリエチレングリコールアルキルエーテル;ポリオキシアルキレンアルキルフェノール、例えば、ポリエチレングリコールアルキルフェノール;ポリオキシアルキレンアルキルフェノール脂肪酸エステル、例えば、ポリエチレングリコール脂肪酸モノエステルおよびポリエチレングリコール脂肪酸ジエステル;ポリエチレングリコールグリセロール脂肪酸エステル;ポリグリセリン脂肪酸エステル;ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル、例えば、ポリエチレングリコールソルビタン脂肪酸エステル;ポリオールと、グリセリド、植物油、硬化植物油、脂肪酸、およびステロールからなる群の少なくとも1つのメンバーとの親水性エステル交換反応生成物;ポリオキシエチレンステロール、その誘導体および類似体;ポリオキシエチル化ビタミンおよびその誘導体;ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンブロック共重合体;およびこれらの混合物;ポリエチレングリコールソルビタン脂肪酸エステル、およびポリオールとトリグリセリド、植物油、および硬化植物油からなる群の少なくとも1つのメンバーとの親水性エステル交換反応生成物を挙げることができる。ポリオールは、グリセロール、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、ソルビトール、プロピレングリコール、ペンタエリスリトール、または糖類であり得る。
【0235】
他の親水性非イオン界面活性物質としては、限定することなく、ラウリン酸PEG-10、ラウリン酸PEG-12、ラウリン酸PEG-20、ラウリン酸PEG-32、ジラウリン酸PEG-32、オレイン酸PEG-12、オレイン酸PEG-15、オレイン酸PEG-20、ジオレイン酸PEG-20、オレイン酸PEG-32、オレイン酸PEG-200、オレイン酸PEG-400、ステアリン酸PEG-15、ジステアリン酸PEG-32、ステアリン酸PEG-40、ステアリン酸PEG-100、ジラウリン酸PEG-20、トリオレイン酸PEG-25グリセリル、ジオレイン酸PEG-32、ラウリン酸PEG-20グリセリル、ラウリン酸PEG-30グリセリル、ステアリン酸PEG-20グリセリル、オレイン酸PEG-20グリセリル、オレイン酸PEG-30グリセリル、ラウリン酸PEG-30グリセリル、ラウリン酸PEG-40グリセリル、PEG-40パーム核油、PEG-50硬化ヒマシ油、PEG-40ヒマシ油、PEG-35ヒマシ油、PEG-60ヒマシ油、PEG-40硬化ヒマシ油、PEG-60硬化ヒマシ油、PEG-60トウモロコシ油、カプリン酸/カプリル酸PEG-6グリセリド、カプリン酸/カプリル酸PEG-8グリセリド、ラウリン酸ポリグリセリル-10、PEG-30コレステロール、PEG-25フィトステロール、PEG-30ダイズステロール、トリオレイン酸PEG-20、オレイン酸PEG-40ソルビタン、ラウリン酸PEG-80ソルビタン、ポリソルベート20、ポリソルベート80、POE-9ラウリルエーテル、POE-23ラウリルエーテル、POE-10オレイルエーテル、POE-20オレイルエーテル、POE-20ステアリルエーテル、コハク酸トコフェリルPEG-100、PEG-24コレステロール、オレイン酸ポリグリセリル-10、Tween(登録商標)40、Tween60、モノステアリン酸スクロース、モノラウリン酸スクロース、モノパルミチン酸スクロース、PEG10-100ノニルフェノールシリーズ、PEG15-100オクチルフェノールシリーズ、およびポロキサマーが挙げられる。
【0236】
適切な親油性界面活性物質としては、単に例として、脂肪アルコール;グリセロール脂肪酸エステル;アセチル化グリセロール脂肪酸エステル;低級アルコール脂肪酸エステル;プロピレングリコール脂肪酸エステル;ソルビタン脂肪酸エステル;ポリエチレングリコールソルビタン脂肪酸エステル;ステロールおよびステロール誘導体;ポリオキシエチル化ステロールおよびステロール誘導体;ポリエチレングリコールアルキルエーテル;糖エステル;糖エーテル;モノグリセリドの乳酸誘導体およびジグリセリドの乳酸誘導体;ポリオールと、グリセリド、植物油、硬化植物油、脂肪酸およびステロールからなる群の少なくとも1つのメンバーとの疎水性エステル交換反応生成物;油溶性ビタミン/ビタミン誘導体;およびこれらの混合物が挙げられる。この群の中で好ましい親油性界面活性物質として、グリセロール脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、およびこれらの混合物が挙げられる、または、好ましい親油性界面活性物質は、ポリオールと、植物油、硬化植物油、およびトリグリセリドからなる群の少なくとも1つのメンバーとの疎水性エステル交換反応生成物である。
【0237】
一実施形態では、本発明の人工ポリペプチドまたは変異体の良好な可溶化および/または溶解を確実にするため、ならびに本発明の人工ポリペプチドまたは変異体の沈殿を最小限にするために、製剤に可溶化剤を含めることができる。これは、非経口使用のための組成物、例えば、注射用の組成物に関して特に重要であり得る。適切な可溶化剤の例としては、これだけに限定されないが、以下が挙げられる:アルコールおよびポリオール、例えば、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、ベンジルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオールおよびその異性体、グリセロール、ペンタエリスリトール、ソルビトール、マンニトール、トランスクトール、ジメチルイソソルビド、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリビニルアルコール、ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよび他のセルロース誘導体、シクロデキストリンおよびシクロデキストリン誘導体;平均分子量が約200~約6000のポリエチレングリコールのエーテル、例えば、テトラヒドロフルフリルアルコールPEGエーテル(グリコフロール)またはメトキシPEG;アミドおよび他の窒素含有化合物、例えば、2-ピロリドン、2-ピペリドン、ε-カプロラクタム、N-アルキルピロリドン、N-ヒドロキシアルキルピロリドン、N-アルキルピペリドン、N-アルキルカプロラクタム、ジメチルアセトアミドおよびポリビニルピロリドン;エステル、例えば、プロピオン酸エチル、クエン酸トリブチル、アセチルクエン酸トリエチル、アセチルクエン酸トリブチル、クエン酸トリエチル、オレイン酸エチル、カプリル酸エチル、酪酸エチル、トリアセチン、プロピレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールジアセテート、ε-カプロラクトンおよびその異性体、δ-バレロラクトンおよびその異性体、β-ブチロラクトンおよびその異性体;ならびに当技術分野で公知の他の可溶化剤、例えば、ジメチルアセトアミド、ジメチルイソソルビド、N-メチルピロリドン、モノオクタノイン、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、および水。
【0238】
可溶化剤の混合物を使用することもできる。例として、これだけに限定されないが、トリアセチン、クエン酸トリエチル、オレイン酸エチル、カプリル酸エチル、ジメチルアセトアミド、n-メチルピロリドン、N-ヒドロキシエチルピロリドン、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルシクロデキストリン、エタノール、ポリエチレングリコール200-100、グリコフロール、トランスクトール、プロピレングリコール、およびジメチルイソソルビドが挙げられる。特に好ましい可溶化剤としては、ソルビトール、グリセロール、トリアセチン、エチルアルコール、PEG-400、グリコフロールおよびプロピレングリコールが挙げられる。
【0239】
さらに、加工を容易にするため、安定性を増強するため、または他の理由で、酸または塩基を製剤に組み入れることができる。薬学的に許容される塩基の例としては、アミノ酸、アミノ酸エステル、水酸化アンモニウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、水酸化マグネシウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、合成ケイ酸アルミニウム、合成ヒドロカルサイト、水酸化マグネシウムアルミニウム、ジイソプロピルエチルアミン、エタノールアミン、エチレンジアミン、トリエタノールアミン、トリエチルアミン、トリイソプロパノールアミン、トリメチルアミン、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(TRIS)などが挙げられる。薬学的に許容される酸、例えば、酢酸、アクリル酸、アジピン酸、アルギン酸、アルカンスルホン酸、アミノ酸、アスコルビン酸、安息香酸、ホウ酸、酪酸、炭酸、クエン酸、脂肪酸、ギ酸、フマル酸、グルコン酸、ヒドロキノンスルホン酸(hydroquinosulfonic acid)、イソアスコルビン酸、乳酸、マレイン酸、シュウ酸、パラ-ブロモフェニルスルホン酸、プロピオン酸、p-トルエンスルホン酸、サリチル酸、ステアリン酸、コハク酸、タンニン酸、酒石酸、チオグリコール酸、トルエンスルホン酸、尿酸などの塩である塩基も適切である。多塩基酸の塩、例えば、リン酸ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、およびリン酸二水素ナトリウムも使用することができる。塩基が塩である場合、カチオンは任意の都合のよい薬学的に許容されるカチオン、例えば、アンモニウム、アルカリ金属、アルカリ土類金属などであってよい。例としては、これだけに限定されないが、ナトリウム、カリウム、リチウム、マグネシウム、カルシウムおよびアンモニウムを挙げることができる。
【0240】
適切な酸は、薬学的に許容される有機または無機酸である。適切な無機酸の例としては、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、硝酸、ホウ酸、リン酸などが挙げられる。適切な有機酸の例としては、酢酸、アクリル酸、アジピン酸、アルギン酸、アルカンスルホン酸、アミノ酸、アスコルビン酸、安息香酸、ホウ酸、酪酸、炭酸、クエン酸、脂肪酸、ギ酸、フマル酸、グルコン酸、ヒドロキノンスルホン酸、イソアスコルビン酸、乳酸、マレイン酸、メタンスルホン酸、シュウ酸、パラ-ブロモフェニルスルホン酸、プロピオン酸、p-トルエンスルホン酸、サリチル酸、ステアリン酸、コハク酸、タンニン酸、酒石酸、チオグリコール酸、トルエンスルホン酸、尿酸などが挙げられる。
眼科用製剤
【0241】
ドライアイ(DE)は、涙液および眼表面の多因子障害であり、眼の不快感、視覚障害、涙膜の不安定性、および眼表面の損傷などの症状をもたらす。
【0242】
眼表面系は、角膜、結膜、涙腺、マイボーム腺、鼻涙管、およびそれらに付随する結合組織マトリックス、ならびに眼瞼および睫毛を含む。DEでは、眼表面上皮が扁平上皮化生を受ける可能性があり、これが杯細胞の減少、ムチン欠乏およびケラチン化によって顕在化し、さらに涙膜の不安定性がもたらされる。眼表面損傷を検出する「角膜フルオレセイン染色」がDEを評価するために使用されている。フルオレセインによって無傷の角膜上皮は染色されないが、角膜実質は染色され、したがって、上皮が喪失した領域を同定するために使用することができる。検査では、フルオレセイン色素を液滴としてまたは紙片を介して眼に滴下する。次いで、フルオレセイン染色スコアによって損傷を評価する。スコアは0から15までにわたり、スコアが5以上だとDEとみなされる。
【0243】
涙膜は、ムコイド基底層、水性構成成分および表面の脂質層を含む3層構造である。涙膜はまばたきによって形成され維持され、涙膜の組成は全身性の状態または眼が侵される状態による影響を受け得る。涙膜の安定性は、「涙液層破壊時間」すなわち「TBUT」などの種々の評価によって評価することができる。TBUTは、個体の最後の完全まばたきから涙膜破壊までの間隔を測定する臨床検査である。この検査をDEまたはDE関連障害を評価するために使用することができる。TBUTを測定するために、フルオレセインを対象の涙膜に滴下し、次いで、対象に、コバルトブルー照明のブロードビームの下で涙膜を観察する間まばたきしないよう求める。TBUTを、最後のまばたきから、涙膜に最初のドライスポットが出現するまでに経過した秒数として記録する。TBUTが10秒未満で涙膜の異常とみなされ、5秒未満でDEが示される。
【0244】
「DEまたはDE関連障害」は、本明細書で使用される場合、これだけに限定されないが、ドライアイ症候群、涙液機能不全症候群、乾燥性角結膜炎(KCS)、流涙角結膜炎、涙液減少型DE、蒸発亢進型DE、シェーグレン症候群におけるDE、非シェーグレン症候群におけるDE、結膜炎関連DE、ウイルス性結膜炎後DE、白内障手術後DE、VDT作業関連DE、コンタクトレンズ装用関連DE、環境性DE、角膜血管新生DE、アレルギー性DE、LASIK誘発性神経上皮症、涙液減少症、眼球乾燥症、スティーブンス・ジョンソン症候群、眼類天疱瘡、眼瞼縁炎、閉瞼不全、角膜潰瘍、眼瞼炎および眼の充血などを含めた、任意の形態のDEおよび付随する症状を指す。
【0245】
別の態様では、本開示は、ドライアイ(DE)またはDE関連障害を処置または防止するための眼科用製剤を提供し、当該眼科用製剤は、本開示のポリペプチド、例えば、式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)または(VI)の人工ポリペプチド、式(I)、(II)、(III)、(IV)または(V)の人工ポリペプチドの変異体、または配列番号28、配列番号57および配列番号62~74から選択されるいずれか1つもしくはその断片もしくはバリアントに対して少なくとも70%の同一性(例えば、少なくとも80%の同一性)を有するポリペプチドを含む。
【0246】
別の態様では、本開示は、ドライアイ(DE)またはDE関連障害を処置または防止するための眼科用製剤を提供し、当該眼科用製剤は、配列番号28、配列番号57および配列番号62~74から選択されるいずれか1つもしくはその断片もしくはバリアントに対して少なくとも70%の同一性を有するポリペプチドを含む。眼科用製剤の一部の実施形態では、ポリペプチドは、配列番号28、配列番号57および配列番号62~74から選択されるいずれか1つもしくはその断片もしくはバリアントに対して少なくとも80%の同一性を有する配列を含む。眼科用製剤の一部の実施形態では、ポリペプチドは、配列番号28、配列番号57および配列番号62~74から選択されるいずれか1つもしくはその断片もしくはバリアントに対して少なくとも85%の同一性を有する配列を含む。眼科用製剤の一部の実施形態では、ポリペプチドは、配列番号28、配列番号57および配列番号62~74から選択されるいずれか1つもしくはその断片もしくはバリアントに対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む。眼科用製剤の一部の実施形態では、ポリペプチドは、配列番号28、配列番号57および配列番号62~74から選択されるいずれか1つもしくはその断片もしくはバリアントに対して少なくとも95%の同一性を有する配列を含む。眼科用製剤の一部の実施形態では、ポリペプチドは、配列番号28、配列番号57および配列番号62~74から選択されるいずれか1つもしくはその断片もしくはバリアントに対して少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%の同一性を有する配列を含む。眼科用製剤の一部の実施形態では、ポリペプチドは、配列番号28、配列番号57および配列番号62~74から選択されるいずれか1つもしくはその断片もしくはバリアントの配列を含む。
【0247】
一部の実施形態では、本開示の眼科用製剤は、液剤として製剤化されている。一部の実施形態では、本開示の眼科用製剤は、点眼液として製剤化されている。一部の実施形態では、本開示の眼科用製剤は、ゲル剤として製剤化されている。一部の実施形態では、本開示の眼科用製剤は、軟膏剤として製剤化されている。一部の実施形態では、本開示の眼科用製剤は、懸濁液、半液状剤、半固形ゲル剤、クリーム剤、発泡ゲル剤、コンタクトレンズ溶液、洗眼液などとして製剤化されている。
【0248】
一部の実施形態では、眼科用製剤を、本開示のポリペプチドを水溶液中に溶解させることによって調製する。眼科用製剤の調製に使用することができる水溶液および希釈剤としては、これだけに限定されないが、蒸留水、生理的食塩水などが挙げられる。
【0249】
一部の実施形態では、眼科用製剤を、本開示のポリペプチドを非水溶液または希釈剤中に溶解させることによって調製する。非水溶液および希釈剤としては、これだけに限定されないが、食用(例えば植物)油、流動パラフィン、鉱油、プロピレングリコール、p-オクチルドデカノール、ポリソルベート、マクロゴール、モノステアリン酸アルミニウムなどが挙げられる。
【0250】
一部の実施形態では、眼科用製剤を、剤形に応じて、従来の方法に従い、従来の様式で、本開示のポリペプチドを、適当な医薬賦形剤、例えば、崩壊剤、結合剤、滑沢剤、希釈剤、緩衝剤、防腐剤、湿潤剤、乳化剤、分散剤、安定化剤および溶解補助剤と混合する、それで希釈するまたはそれに溶解させることによって製剤化することができる。
【0251】
一部の実施形態では、pHを一定に保つために緩衝剤を添加する。緩衝剤としては、ホウ酸緩衝剤、クエン酸緩衝剤、酒石酸緩衝剤、リン酸緩衝剤、酢酸緩衝剤およびTris-HCl緩衝剤(トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンおよびHClを含む)などの薬学的に許容される緩衝剤が挙げられる。例えば、pH7.4のTris-HCl緩衝剤は、3g/lのトリス-(ヒドロキシメチル)-アミノメタンおよび0.76g/lのHClを含む。一部の実施形態では、緩衝剤は、10×リン酸緩衝食塩水(「PBS」)または5×PBS溶液である。緩衝剤は、予測される生理的条件下で十分な緩衝能がもたらされる量で眼科用製剤に添加される。
【0252】
本開示の眼科用製剤に使用することができる他の緩衝剤としては、これだけに限定されないが、25℃におけるpKaが7.5であり、pHが約6.8~8.2の範囲である、HEPES(N-{2-ヒドロキシエチル}ピペラジン-N’-{2-エタンスルホン酸})に基づく緩衝剤;25℃におけるpKaが7.1であり、pHが約6.4~7.8の範囲である、BES(N,N-ビス{2-ヒドロキシエチル}2-アミノエタンスルホン酸)に基づく緩衝剤;25℃におけるpKaが7.2であり、pHが約6.5~7.9の範囲である、MOPS(3-{N-モルホリノ}プロパンスルホン酸)に基づく緩衝剤;25℃におけるpKaが7.4であり、pHが約6.8~8.2の範囲である、TES(N-トリス{ヒドロキシメチル}-メチル-2-アミノエタンスルホン酸)に基づく緩衝剤;25℃におけるpKaが7.6であり、pHが約6.9~8.3の範囲である、MOBS(4-{N-モルホリノ}ブタンスルホン酸);25℃におけるpKaが7.52であり、pHが約7~8.2の範囲である、DIPSO(3-(N,N-ビス{2-ヒドロキシエチル}アミノ)-2-ヒドロキシプロパン))に基づく緩衝剤;25℃におけるpKaが7.61であり、pHが約7~8.2の範囲である、TAPS({(2-ヒドロキシ-3{トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミノ}-1-プロパンスルホン酸))に基づく緩衝剤;25℃におけるpKaが8.4であり、pHが約7.7~9.1の範囲である、TAPS({(2-ヒドロキシ-1,1-ビス(ヒドロキシメチル)エチル)アミノール-1-プロパンスルホン酸))に基づく緩衝剤;25℃におけるpKaが8.9であり、pHが約8.2~9.6の範囲である、TABS(N-トリス(ヒドロキシメチル)メチル-4-アミノブタンスルホン酸)に基づく緩衝剤;25℃におけるpKaが9.0であり、pHが約8.3~9.7の範囲であるAMPSO(N-(1,1-ジメチル-2-ヒドロキシエチル)-3-アミノ-2-ヒドロキシプロパンスルホン酸))に基づく緩衝剤;25℃におけるpKaが9.5であり、pHが約8.6~10.0の範囲である、CHES(2-シクロヘキシルアミノ)エタンスルホン酸)に基づく緩衝剤;25℃におけるpKaが9.6であり、pHが約8.9~10.3の範囲である、CAPSO(3-(シクロヘキシルアミノ)-2-ヒドロキシ-1-プロパンスルホン酸)に基づく緩衝剤;および25℃におけるpKaが10.4であり、pHが約9.7~11.1の範囲である、CAPS(3-(シクロヘキシルアミノ)-1-プロパンスルホン酸)に基づく緩衝剤が挙げられる。
【0253】
一部の実施形態では、製剤を涙液と等張性にするために等張化剤(isotonizer)を添加することができる。等張化剤としては、これだけに限定されないが、糖、例えば、デキストロース、グルコース、スクロースおよびフルクトース;糖アルコール、例えば、マンニトールおよびソルビトール;多価アルコール、例えば、グリセロール、ポリエチレングリコールおよびプロピレングリコール;ならびに、塩、例えば、塩化ナトリウム、クエン酸ナトリウム、塩化ベンザルコニウム、塩化フェドリン(phedrine chloride)、塩化カリウム、塩化プロカイン、クロラムフェニコール、およびコハク酸エステルナトリウムが挙げられる。等張化剤は、眼科用製剤の浸透圧が涙液の浸透圧と等しくなる量で添加される。
【0254】
一部の実施形態では、眼科用製剤は、浸透圧調整剤を含む。本開示の眼科用製剤に適した浸透圧調整剤としては、これだけに限定されないが、塩化ナトリウム、硝酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、硫酸水素ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化亜鉛、酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素カリウム、デキストロース、マンニトール、ソルビトール、デキストロース、スクロース、尿素、プロピレングリコール、グリセリン、およびこれらの組合せが挙げられる。
【0255】
一部の実施形態では、眼科用製剤は、増粘剤を含む。本開示の眼科用製剤に適した増粘剤としては、これだけに限定されないが、単量体ポリオール、例えば、チロキサポール、グリセロール、プロピレングリコール、エチレングリコール;ポリマーポリオール、例えば、ポリエチレングリコール(例えば、PEG300、PEG400);セルロースに基づくポリマー、例えば、セルロースゴム、アルキルセルロース、ヒドロキシル-アルキルセルロース、ヒドロキシル-アルキルアルキルセルロース、カルボキシ-アルキルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒプロメロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシルプロピルセルロース;デキストラン、例えば、デキストラン70;水溶性タンパク質、例えば、ゼラチン;ビニルポリマー、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリジン;他のポリオール、例えば、ポリソルベート80、ポビドン;多糖およびグリコサミノグリカン、例えば、ヒアルロナン、コンドロイチン硫酸;ならびにこれらの組合せが挙げられる。
【0256】
一部の実施形態では、眼科用製剤の完全性を維持するために保存剤を添加することができる。保存剤としては、これだけに限定されないが、ソルビン酸、塩化ベンザルコニウム、ベンゾドデシニウム臭化物、パラベン、クロロブタノール、ベンジルアルコール、フェニルエチルアルコール、エデト酸二ナトリウム(edentate disodium)、ソルビン酸、ポリクオタニウム-1、または当業者に公知の他の作用剤が挙げられる。
【0257】
上記に加えて、一部の実施形態では、これだけに限定されないが、本開示の眼科用製剤に適した、安定剤、例えば、亜硫酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、およびプロピレングリコール;抗酸化剤、例えば、アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、トコフェロール、チオ硫酸ナトリウム;ならびに/またはキレート剤、例えば、エチレン-ジアミン-テトラ-酢酸(EDTA)、エチレングリコール-ビス-(2-アミノエチル)-N,N,N,N-四酢酸(EGTA)およびクエン酸ナトリウムを含めた追加的な作用剤を使用することが望ましい。
【0258】
点眼剤、眼科用ゲル剤および/または眼科用軟膏剤(ophthalmic ointment)を無菌操作によって調製することができる。あるいは、適切な調製段階で組成物の滅菌を実施することができる。一部の実施形態では、滅菌組成物を、滅菌成分を無菌的に混合することによって調製することができる。一部の実施形態では、滅菌組成物を、まず成分を混合し、次いで最終調製物を滅菌することによって調製することができる。滅菌方法としては、これだけに限定されないが、加熱滅菌、放射線照射および濾過を挙げることができる。
【0259】
一部の実施形態では、眼科用軟膏剤(眼軟膏剤(eye ointment))を、本開示のポリペプチドを眼軟膏剤の調製に使用される基剤中に混合し、その後、当技術分野で公知の任意の方法を用いて医薬調製物に製剤化することによって無菌的に調製することができる。眼軟膏剤用の典型的な基剤は、ワセリン、jelene 50、プラスチベースおよびマクロゴールによって例示される。さらに、吸水性を増大させるために界面活性物質を添加することができる。
【0260】
一部の実施形態では、必要に応じて添加剤を点眼剤、眼科用ゲル剤および/または眼科用軟膏剤などの眼科用製剤に添加することができる。一部の実施形態では、添加剤として、これだけに限定されないが、過度の毒性、不適合性、不安定性、刺激、アレルギー反応などを伴わずに眼または眼の周囲に接触させて使用するために適した追加的な成分、添加剤、担体が挙げられる。
【0261】
一部の実施形態では、本開示の眼科用製剤を局所投与用に製剤化する。一部の実施形態では、本開示の眼科用製剤を、眼に局所的に投与すること、例えば、眼に対して結膜下投与、眼球後投与、眼周囲投与、網膜下投与、脈絡膜上投与、または眼内投与するこができる。
【0262】
一部の実施形態では、眼科用製剤を眼表面、相互接続した神経支配領域、結膜、涙腺、またはマイボーム腺に送達することができる。有効な処置は、本発明の治療剤を、他の投与経路の中でも、経口投与によって、局所投与によって、注射によって、鼻腔内に、直腸に、経皮的に、眼科用挿入物もしくは埋め込み物などの含侵もしくはコーティングデバイスによって、またはイオン導入によって投与することを包含し得ることが構想される。
【0263】
一部の実施形態では、本開示の眼科用製剤を注射用に製剤化する。注射による投与に関しては、眼科用製剤を筋肉内、動脈内、皮下、または静脈内に注射することができる。ポンプ機構を使用して、医薬組成物を予め選択した期間にわたって投与することができる。本発明の一部の実施形態に関しては、薬物を局所的に送達することが望ましく、したがって、眼周囲、眼内、結膜下、眼球後、または前房内に(intercamerally)注射することができる。
【0264】
一部の実施形態では、本発明の眼科用製剤を眼表面に、ポンプ-カテーテルシステムによって投与すること、または、連続したまたは選択的な放出デバイス、例えば、これだけに限定されないが、Ocusert(商標)System(Alza Corp、Palo Alto、CA)に使用されているものなどの膜などから放出させることができる。医薬組成物をコンタクトレンズに組み入れる、保持させる、または付着させ、その後で、そのコンタクトレンズを対象が装用することができる。医薬組成物を眼表面に噴霧することができる。
【0265】
一部の実施形態では、本開示の眼科用製剤を全身送達用に製剤化する。全身投与に関しては、眼科用製剤を、経口用に製剤化し、経口投与することができる。治療剤の領域的または全身分布のいずれかがもたらされ得る投与に関しては、本発明の製剤を鼻腔内に、経皮的に、または経口投与の一部の形態によって、例えば、胃腸での吸収性が乏しい本開示のポリペプチドが組み入れられた洗口剤またはロゼンジを使用して投与することができる。本発明の製剤の局部または局所送達がもたらされ得る投与に関しては、イオン導入または局所投与を使用することができる。
【0266】
一部の実施形態では、眼科用製剤は、本開示のポリペプチドを約0.001μMから約100μMまで含む。一部の実施形態では、眼科用製剤は、本開示のポリペプチドを約0.01μMから約20μMまで含む。一部の実施形態では、眼科用製剤は、本開示のポリペプチドを約0.1μMから約5μMまで含む。一部の実施形態では、眼科用製剤は、本開示のポリペプチドを約0.2μMから約3μMまで含む。一部の実施形態では、眼科用製剤は、本開示のポリペプチドを約0.1μMから約10μMまで含む。一部の実施形態では、眼科用製剤は、本開示のポリペプチドを約1μMから約5μMまで含む。一部の実施形態では、眼科用製剤は、本開示のポリペプチドを約1μMから約10μMまで含む。一部の実施形態では、眼科用製剤は、本開示のポリペプチドを約5μMから約10μMまで含む。一部の実施形態では、眼科用製剤は、本開示のポリペプチドを約10μMから約50μMまで含む。一部の実施形態では、眼科用製剤は、本開示のポリペプチドを約20μMから約50μMまで含む。一部の実施形態では、眼科用製剤は、本開示のポリペプチドを約5μMから約50μMまで含む。一部の実施形態では、眼科用製剤は、本開示のポリペプチドを約1μMから約50μMまで含む。一部の実施形態では、眼科用製剤は、本開示のポリペプチドを約1μMから約20μMまで含む。一部の実施形態では、眼科用製剤は、本開示のポリペプチドを約5μMから約20μMまで含む。一部の実施形態では、眼科用製剤は、本開示のポリペプチドを約10μMから約20μMまで含む。一部の実施形態では、眼科用製剤は、本開示のポリペプチドを約0.001μMよりも多く、0.05μMよりも多く、0.1μMよりも多く、0.2μMよりも多く、0.3μMよりも多く、0.4μMよりも多く、0.5μMよりも多く、0.6μMよりも多く、0.7μMよりも多く、0.8μMよりも多く、0.9μMよりも多く、1μMよりも多く、1.1μMよりも多く、1.2μMよりも多く、1.3μMよりも多く、1.4μMよりも多く、1.5μMよりも多く、1.6μMよりも多く、1.7μMよりも多く、1.8μMよりも多く、1.9μMよりも多く、2.0μMよりも多く、2.1μMよりも多く、2.2μMよりも多く、2.3μMよりも多く、2.4μMよりも多く、2.5μMよりも多く、2.6μMよりも多く、2.7μMよりも多く、2,8μMよりも多く、2.9μMよりも多く、または3.0μMよりも多く含む。一部の実施形態では、眼科用製剤は、本開示のポリペプチドを100μM未満、90μM未満、80μM未満、70μM未満、60μM未満、50μM未満、40μM未満、30μM未満、20μM未満、25μM未満、20μM未満、19μM未満、18μM未満、17μM未満、16μM未満、15μM未満、14μM未満、13μM未満、12μM未満、11μM未満、10μM未満、9μM未満、8μM未満、7μM未満、6μM未満、5μM未満、または4μM未満で含む。
【0267】
一部の実施形態では、眼科用製剤を1回または複数回使用のための約0.01mlから約10mlまでの剤形に製剤化することができる。一部の実施形態では、眼科用製剤を、約0.01mlから約2mlまでの1日の総投薬量がもたらされるような単位剤形に製剤化する。一部の実施形態では、眼科用製剤を、約1mlから約5mlまでの1週間の総投薬量がもたらされるような単位剤形に製剤化することができる。一部の実施形態では、眼科用製剤を、約1mlから約20mlまでの1カ月の総投薬量がもたらされるような単位剤形に製剤化することができる。
DEの処置
【0268】
それを必要とする対象におけるDEもしくはDE関連障害を処置もしくは防止するため、涙液を刺激するため、涙膜を安定化するため、またはこれらの任意の組合せのための方法であって、それを必要とする対象に、本開示のポリペプチド、例えば、式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)または(VI)の人工ポリペプチド、式(I)、(II)、(III)、(IV)または(V)の人工ポリペプチドの変異体、または配列番号28、配列番号57および配列番号62~74から選択されるいずれか1つもしくはその断片もしくはバリアントに対して少なくとも70%の同一性(例えば、少なくとも80%の同一性)を有するポリペプチドを治療有効量で投与するステップを含む、方法も本明細書に提示される。一部の実施形態では、ポリペプチドは、配列番号28、配列番号57および配列番号62~74から選択されるいずれか1つもしくはその断片もしくはバリアントに対して少なくとも70%の同一性を有する。一部の実施形態では、ポリペプチドは、配列番号28、配列番号57および配列番号62~74から選択されるいずれか1つもしくはその断片もしくはバリアントに対して少なくとも75%の同一性を有する。一部の実施形態では、ポリペプチドは、配列番号28、配列番号57および配列番号62~74から選択されるいずれか1つもしくはその断片もしくはバリアントに対して少なくとも80%の同一性を有する。一部の実施形態では、ポリペプチドは、配列番号28、配列番号57および配列番号62~74から選択されるいずれか1つもしくはその断片もしくはバリアントに対して少なくとも85%の同一性を有する。一部の実施形態では、ポリペプチドは、配列番号28、配列番号57および配列番号62~74から選択されるいずれか1つもしくはその断片もしくはバリアントに対して少なくとも90%の同一性を有する。一部の実施形態では、ポリペプチドは、配列番号28、配列番号57および配列番号62~74から選択されるいずれか1つもしくはその断片もしくはバリアントに対して少なくとも95%の同一性を有する。一部の実施形態では、ポリペプチドは、配列番号28、配列番号57および配列番号62~74から選択されるいずれか1つもしくはその断片もしくはバリアントに対して少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の同一性を有する。一部の実施形態では、ポリペプチドは、配列番号28、配列番号57および配列番号62~74から選択されるいずれか1つもしくはその断片もしくはバリアントのアミノ酸配列を含むまたはそのアミノ酸配列である。
【0269】
一部の実施形態では、それを必要とする対象におけるDEもしくはDE関連障害を処置もしくは防止するため、涙液を刺激するため、涙膜を安定化するため、またはこれらの任意の組合せのための方法であって、それを必要とする対象に本開示の眼科用製剤を治療有効量で投与するステップを含む、方法が提供される。
【0270】
一部の実施形態では、前記DEまたはDE関連障害は、ドライアイ症候群、涙液機能不全症候群、乾燥性角結膜炎(KCS)、流涙角結膜炎、涙液減少型DE、蒸発亢進型DE、シェーグレン症候群におけるDE、非シェーグレン症候群におけるDE、結膜炎関連DE、ウイルス性結膜炎後DE、白内障手術後DE、VDT作業関連DE、コンタクトレンズ装用関連DE、環境性DE、角膜血管新生DE、アレルギー性DE、LASIK誘発性神経上皮症、涙液減少症、眼球乾燥症、スティーブンス・ジョンソン症候群、眼類天疱瘡、眼瞼縁炎、閉瞼不全、角膜潰瘍、眼瞼炎および眼の充血などからなる群から選択される。
【0271】
年齢は、涙液組成および/または涙膜安定性に影響を及ぼす可能性がある別の因子である。一部の実施形態では、本開示の対象の年齢は40歳よりも上である。一部の実施形態では、本開示の対象の年齢は50歳よりも上である。一部の実施形態では、本開示の対象の年齢は60歳よりも上である。一部の実施形態では、本開示の対象の年齢は70歳よりも上、75歳よりも上、80歳よりも上、85歳よりも上、または90歳よりも上である。
【0272】
一部の実施形態では、涙腺が涙液の水分を多く含んだ構成成分を十分に産生して健康な眼表面を維持することができないものである涙液減少型DEを処置または防止するために本開示の処置を使用することができる。一部の実施形態では、涙液を刺激するため、涙液の体積を増大させるため、涙液組成を調節するため、涙液のクリアランスおよび/もしくは容量オスモル濃度を改善するため、またはこれらの任意の組合せのために、本開示の処置を使用することができる。一部の実施形態では、涙膜安定性または涙膜組成を改善するために本開示の方法を使用することができる。一部の実施形態では、眼表面損傷を改善するために本開示の処置を使用することができる。
【0273】
一部の実施形態では、本開示の処置により、対象のDEまたはDE関連障害、涙液の刺激、涙膜の安定化またはこれらの任意の組合せの部分的または完全な排除がもたらされる。一部の実施形態では、対象に治療有効量の本開示のポリペプチドを投与した後、DEまたはDE関連障害の1つまたは複数の徴候または症状の重症度または持続時間が約2%、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、または約100%低減する。一部の実施形態では、対象に治療有効量の本開示のポリペプチドを投与した後、DEまたはDE関連障害の1つまたは複数の徴候または症状の重症度または持続時間が約2分の1、約5分の1、約10分の1、約15分の1、約20分の1、約25分の1、約30分の1、約35分の1、約40分の1、約45分の1、約50分の1、約55分の1、約60分の1、約65分の1、約70分の1、約75分の1、約80分の1、約85分の1、約90分の1、約95分の1、約100分の1に、またはそれよりも大きく低減する。
【0274】
一部の実施形態では、本開示の対象の片方の眼または両方の眼の処置前のTBUTは10秒と等しいまたはそれ未満である。一部の実施形態では、本開示の対象の片方の眼または両方の眼の処置前のTBUTは9秒と等しいまたはそれ未満である。一部の実施形態では、本開示の対象の片方の眼または両方の眼の処置前のTBUTは8秒と等しいまたはそれ未満である。一部の実施形態では、本開示の対象の片方の眼または両方の眼の処置前のTBUTは7秒と等しいまたはそれ未満である。一部の実施形態では、本開示の対象の片方の眼または両方の眼の処置前のTBUTは6秒と等しいまたはそれ未満である。一部の実施形態では、本開示の対象の片方の眼または両方の眼の処置前のTBUTは5秒と等しいまたはそれ未満である。一部の実施形態では、本開示の対象の片方の眼または両方の眼の処置前のTBUTは4秒と等しいまたはそれ未満である。一部の実施形態では、本開示の対象の片方の眼または両方の眼の処置前のTBUTは3秒と等しいまたはそれ未満である。一部の実施形態では、本開示の対象の片方の眼または両方の眼の処置前のTBUTは2秒と等しいまたはそれ未満である。一部の実施形態では、本開示の対象の片方の眼または両方の眼の処置前のTBUTは1秒と等しいまたはそれ未満である。
【0275】
一部の実施形態では、対象に治療有効量の本開示のポリペプチドを投与した後、対象の片方の眼のTBUTが延長される。一部の実施形態では、対象に治療有効量の本開示のポリペプチドを投与した後、対象の両方の眼のTBUTが延長される。一部の実施形態では、対象に治療有効量の本開示のポリペプチドを投与した後、対象の片方の眼または両方の眼のTBUTが少なくとも0.5秒延長される。一部の実施形態では、対象に治療有効量の本開示のポリペプチドを投与した後、対象の片方の眼または両方の眼のTBUTが少なくとも1秒延長される。一部の実施形態では、対象に治療有効量の本開示のポリペプチドを投与した後、対象の片方の眼または両方の眼のTBUTが少なくとも2秒延長される。一部の実施形態では、対象に治療有効量の本開示のポリペプチドを投与した後、対象の片方の眼または両方の眼のTBUTが少なくとも3秒延長される。一部の実施形態では、対象に治療有効量の本開示のポリペプチドを投与した後、対象の片方の眼または両方の眼のTBUTが少なくとも4秒延長される。一部の実施形態では、対象に治療有効量の本開示のポリペプチドを投与した後、対象の片方の眼または両方の眼のTBUTが少なくとも5秒延長される。一部の実施形態では、対象に治療有効量の本開示のポリペプチドを投与した後、対象の片方の眼または両方の眼のTBUTが少なくとも6秒延長される。一部の実施形態では、対象に治療有効量の本開示のポリペプチドを投与した後、対象の片方の眼または両方の眼のTBUTが少なくとも7秒延長される。一部の実施形態では、対象に治療有効量の本開示のポリペプチドを投与した後、対象の片方の眼または両方の眼のTBUTが少なくとも8秒延長される。一部の実施形態では、対象に治療有効量の本開示のポリペプチドを投与した後、対象の片方の眼または両方の眼のTBUTが少なくとも9秒延長される。一部の実施形態では、対象に治療有効量の本開示のポリペプチドを投与した後、対象の片方の眼または両方の眼のTBUTが少なくとも10秒延長される。一部の実施形態では、対象に治療有効量の本開示のポリペプチドを投与した後、対象の片方の眼または両方の眼のTBUTが少なくとも15秒延長される。一部の実施形態では、対象に治療有効量の本開示のポリペプチドを投与した後、対象の片方の眼または両方の眼のTBUTが少なくとも20秒延長される。一部の実施形態では、対象に治療有効量の本開示のポリペプチドを投与した後、対象の片方の眼または両方の眼のTBUTが少なくとも25秒延長される。一部の実施形態では、対象に治療有効量の本開示のポリペプチドを投与した後、対象の片方の眼または両方の眼のTBUTが少なくとも30秒延長される。
【0276】
一部の実施形態では、本開示の対象の片方の眼または両方の眼の処置前の角膜フルオレセイン染色(CFS)スコアは5と等しいまたはそれよりも高い。一部の実施形態では、本開示の対象の片方の眼または両方の眼の処置前のCFSスコアは6と等しいまたはそれよりも高い。一部の実施形態では、本開示の対象の片方の眼または両方の眼の処置前のCFSスコアは7と等しいまたはそれよりも高い。一部の実施形態では、本開示の対象の片方の眼または両方の眼の処置前のCFSスコアは8と等しいまたはそれよりも高い。一部の実施形態では、本開示の対象の片方の眼または両方の眼の処置前のCFSスコアは9と等しいまたはそれよりも高い。一部の実施形態では、本開示の対象の片方の眼または両方の眼の処置前のCFSスコアは10と等しいまたはそれよりも高い。
【0277】
一部の実施形態では、対象に治療有効量の本開示のポリペプチドを投与した後、対象の片方の眼のCFSスコアが低下する。一部の実施形態では、対象に治療有効量の本開示のポリペプチドを投与した後、対象の両方の眼のCFSスコアが低下する。一部の実施形態では、対象に治療有効量の本開示のポリペプチドを投与した後、対象の片方の眼または両方の眼のCFSスコアが少なくとも0.5低下する。一部の実施形態では、対象に治療有効量の本開示のポリペプチドを投与した後、対象の片方の眼または両方の眼のCFSスコアが少なくとも1低下する。一部の実施形態では、対象に治療有効量の本開示のポリペプチドを投与した後、対象の片方の眼または両方の眼のCFSスコアが少なくとも2低下する。一部の実施形態では、対象に治療有効量の本開示のポリペプチドを投与した後、対象の片方の眼または両方の眼のCFSスコアが少なくとも3低下する。一部の実施形態では、対象に治療有効量の本開示のポリペプチドを投与した後、対象の片方の眼または両方の眼のCFSスコアが少なくとも4低下する。一部の実施形態では、対象に治療有効量の本開示のポリペプチドを投与した後、対象の片方の眼または両方の眼のCFSスコアが少なくとも5低下する。一部の実施形態では、対象に治療有効量の本開示のポリペプチドを投与した後、対象の片方の眼または両方の眼のCFSスコアが少なくとも6低下する。一部の実施形態では、対象に治療有効量の本開示のポリペプチドを投与した後、対象の片方の眼または両方の眼のCFSスコアが少なくとも7低下する。一部の実施形態では、対象に治療有効量の本開示のポリペプチドを投与した後、対象の片方の眼または両方の眼のCFSスコアが少なくとも8低下する。一部の実施形態では、対象に治療有効量の本開示のポリペプチドを投与した後、対象の片方の眼または両方の眼のCFSスコアが少なくとも9低下する。一部の実施形態では、対象に治療有効量の本開示のポリペプチドを投与した後、対象の片方の眼または両方の眼のCFSスコアが少なくとも10低下する。
【0278】
一部の実施形態では、処置は、対象の罹患している片方の眼または眼組織に本開示のポリペプチドを治療有効量で投与することを含む。一部の実施形態では、方法は、対象の両方の眼または眼組織に本開示のポリペプチドを治療有効量で投与することを含む。一部の実施形態では、本開示のポリペプチドの治療有効量は、1眼当たり約0.1μgから約100μgまで、または1眼当たり約0.1μgから約50μgまで、または1眼当たり約0.1μgから約20μgまで、または1眼当たり約0.1μgから約10μgまで、または1眼当たり約0.5μgから約50μgまで、または1眼当たり約0.5μgから約20μgまで、または1眼当たり約0.5μgから約10μgまで、または1眼当たり約1μgから約10μgまでである。
【0279】
一部の実施形態では、対象の片方の眼に対する投薬量は、本開示の眼科用製剤約1~約5滴であり得る。一部の実施形態では、対象の片方の眼に対する投薬量は、本開示の眼科用製剤1滴であり得る。一部の実施形態では、対象の片方の眼に対する投薬量は、本開示の眼科用製剤2滴であり得る。一部の実施形態では、対象の片方の眼に対する投薬量は、本開示の眼科用製剤3滴であり得る。一部の実施形態では、対象の片方の眼に対する投薬量は、本開示の眼科用製剤4滴であり得る。一部の実施形態では、対象の片方の眼に対する投薬量は、本開示の眼科用製剤5滴であり得る。一部の実施形態では、各1滴は約10μL~約150μLに相当する。一部の実施形態では、各1滴は約20μL~約70μLに相当する。
【0280】
一部の実施形態では、方法は、治療有効量の眼科用製剤を対象の各眼に1日1回投与することを含む。一部の実施形態では、方法は、治療有効量の眼科用製剤を対象の各眼に1日2回投与することを含む。一部の実施形態では、方法は、治療有効量の眼科用製剤を対象の各眼に1日3回またはそれよりも多く投与することを含む。一部の実施形態では、方法は、治療有効量の眼科用製剤を対象の各眼に2日に1回投与することを含む。一部の実施形態では、方法は、治療有効量の眼科用製剤を対象の各眼に3日に1回投与することを含む。一部の実施形態では、方法は、治療有効量の眼科用製剤を対象の各眼に週1回投与することを含む。
【0281】
一部の実施形態では、方法は、本開示の眼科用製剤を対象の各眼に毎日1滴または複数滴投与することを含む。一部の実施形態では、方法は、眼科用製剤を対象の各眼に毎日2回、3回、4回、8回、12回、18回または24回、1滴~複数滴投与することを含む。一部の実施形態では、方法は、本開示の眼科用製剤を対象の各眼に2日に1回、1滴または複数滴投与することを含む。
【0282】
一部の実施形態では、本開示のポリペプチドを1種または複数種の追加的な治療薬と組み合わせて投与する。一部の実施形態では、治療有効量の本開示のポリペプチドを追加的な治療薬と同時に投与することができる。一部の実施形態では、治療有効量の本開示のポリペプチドを追加的な治療薬の投与前に投与することができる。一部の実施形態では、治療有効量の本開示のポリペプチドを追加的な治療薬の投与後に投与することができる。一部の実施形態では、追加的な治療薬として、これだけに限定されないが、人工涙液、抗生物質、抗ウイルス剤、抗真菌剤、抗原虫剤、抗炎症薬、抗アレルギー剤、麻酔薬、鎮痛薬、眼圧降下剤、免疫調節薬、抗酸化剤、酵素阻害剤、プロテアーゼ、ペプチダーゼ、サイトカイン阻害剤、ビタミンおよびミネラルが挙げられる。
【0283】
一部の実施形態では、対象が免疫抑制療法、例えば、アザチオプリン、シクロホスファミド(cyclophosphoramide)、メトトレキサート、抗マラリア薬、ミコフェノール酸モフェチル(mycophenolan mofetile)、ダクリズマブ、静脈内免疫グロブリン治療などを受けている処置期間中に治療有効量の本開示のポリペプチドを同時にまたは別々に投与する。一部の実施形態では、対象が他の抗炎症処置、例えば、シクロスポリンA、コルチコステロイド、NSAIDS1アスピリン、ドキシサイクリンなどを受けている処置期間中に治療有効量の本発明の開示のポリペプチドを同時にまたは別々に投与する。一部の実施形態では、対象がホルモン療法などを受けている処置期間中に治療有効量の本発明の開示のポリペプチドを同時にまたは別々に投与する。一部の実施形態では、対象が抗アレルギー治療、人工涙液または人工唾液などのドライアイに対する緩和ケア、水分分泌を増加させるためのムスカリン性M3受容体アゴニスト、自己血清、ヒアルロン酸ナトリウム目薬などを受けている処置期間中に治療有効量の本発明の開示のポリペプチドを同時にまたは別々に投与する。
【0284】
本開示では、治療における使用のための、式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)または(VI)の人工ポリペプチド、または(I)、(II)、(III)、(IV)または(V)の人工ポリペプチドの変異体も意図されている。一部の実施形態では、本開示では、それを必要とする対象におけるドライアイ(DE)もしくはDE関連障害を処置もしくは防止すること、涙液を刺激すること、涙膜を安定化することまたはこれらの任意の組合せにおける使用のための、式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)または(VI)の人工ポリペプチド、または(I)、(II)、(III)、(IV)または(V)の人工ポリペプチドの変異体も意図されている。一部の実施形態では、本開示では、それを必要とする対象におけるドライアイ(DE)もしくはDE関連障害を処置もしくは防止すること、涙液を刺激すること、涙膜を安定化することまたはこれらの任意の組合せにおける使用のための、配列番号28、配列番号57および配列番号62~74から選択されるいずれか1つもしくはその断片もしくはバリアントに対して少なくとも80%の同一性を有するポリペプチドも意図されている。一部の実施形態では、前記DEまたはDE関連障害は、ドライアイ症候群、涙液機能不全症候群、乾燥性角結膜炎(KCS)、流涙角結膜炎、涙液減少型DE、蒸発亢進型DE、シェーグレン症候群におけるDE、非シェーグレン症候群におけるDE、結膜炎関連DE、ウイルス性結膜炎後DE、白内障手術後DE、VDT作業関連DE、コンタクトレンズ装用関連DE、環境性DE、角膜血管新生DE、アレルギー性DE、LASIK誘発性神経上皮症、涙液減少症、眼球乾燥症、スティーブンス・ジョンソン症候群、眼類天疱瘡、眼瞼縁炎、閉瞼不全、角膜潰瘍、眼瞼炎および眼の充血などからなる群から選択される。
【0285】
本開示では、それを必要とする対象におけるドライアイ(DE)もしくはDE関連障害を処置もしくは防止するため、涙液を刺激するため、涙膜を安定化するため、またはこれらの任意の組合せのための医薬を調製するための、式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)または(VI)の人工ポリペプチド、(I)、(II)、(III)、(IV)または(V)の人工ポリペプチドの変異体、または、配列番号28、配列番号57および配列番号62~74から選択されるいずれか1つもしくはその断片もしくはバリアントに対して少なくとも80%の同一性を有するポリペプチドの使用も意図されている。一部の実施形態では、前記DEまたはDE関連障害は、ドライアイ症候群、涙液機能不全症候群、乾燥性角結膜炎(KCS)、流涙角結膜炎、涙液減少型DE、蒸発亢進型DE、シェーグレン症候群におけるDE、非シェーグレン症候群におけるDE、結膜炎関連DE、ウイルス性結膜炎後DE、白内障手術後DE、VDT作業関連DE、コンタクトレンズ装用関連DE、環境性DE、角膜血管新生DE、アレルギー性DE、LASIK誘発性神経上皮症、涙液減少症、眼球乾燥症、スティーブンス・ジョンソン症候群、眼類天疱瘡、眼瞼縁炎、閉瞼不全、角膜潰瘍、眼瞼炎および眼の充血などからなる群から選択される。
キット
【0286】
本開示は、DEもしくはDE関連障害を防止もしくは処置するため、涙液を刺激するため、涙膜を安定化するため、またはこれらの任意の組合せのためのキットも提供する。一部の実施形態では、キットは、1つまたは複数の本開示のポリペプチド、およびキットの使用に関する説明書を含む。一部の実施形態では、キットは、1つまたは複数の本明細書に記載の眼科用製剤、およびキットの使用に関する説明書を含む。
【0287】
キットは、1つまたは複数の本開示の眼科用製剤またはポリペプチドを含有する1つまたは複数の容器を含み得る。本開示のポリペプチドは容器中に調製された医薬組成物として存在してもよく、あるいは、本開示のポリペプチドは製剤化されていなくてもよい。一部の実施形態では、キットは、製剤化されていない本開示のポリペプチドを、薬学的に許容される賦形剤とは別の容器中に含み得る。使用前に、薬学的に許容される賦形剤を用いて本開示のポリペプチドを希釈するまたは他のやり方で混合する。
【0288】
一部の実施形態では、本明細書に提示されるキットは、眼科用製剤を、DEまたはDE関連障害に付随する1つまたは複数の症状が処置または防止されるように投与するための方法が記載された説明書も含む。一部の実施形態では、説明書には、キットに含有される本開示のポリペプチドを薬学的に許容される賦形剤と混合するための手順も記載されている。
【0289】
一部の実施形態では、容器は、本開示のポリペプチドまたは本開示の眼科用製剤が送達されるように構成されたものである。一部の実施形態では、容器は、バイアル、点眼器、ボトル、チューブ、およびシリンジを含む。ある特定の実施形態では、容器は、点眼剤を投与するための点眼器である。他の実施形態では、容器は、眼科用ゲル剤または眼科用軟膏剤を投与するためのチューブである。
コンタクトレンズケア製品
【0290】
ドライアイ(DE)の発症機序によれば、コンタクトレンズの装用をドライアイの原因の1つと考えることができる。具体的には、コンタクトレンズの装用(コンタクトレンズ装用、CL装用)は涙膜の不安定性を引き起こす要因の1つである。涙膜の不安定性を引き起こす他の要因としては、ビタミンA欠乏、眼のアレルギー、保存剤の局部的使用、涙膜脂質層の欠乏または不安定性などが挙げられる。コンタクトレンズの装用により、眼反射が遮断され、その結果、涙液の高張性がもたらされることによって涙液分泌の減少も生じ得る。
【0291】
したがって、別の態様では、コンタクトレンズ装用関連DEの防止または軽減に有用であり得るコンタクトレンズケア製品も本明細書に提示される。一部の実施形態では、コンタクトレンズケア製品は、本開示のポリペプチド、例えば、式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)または(VI)の人工ポリペプチド、式(I)、(II)、(III)、(IV)または(V)の人工ポリペプチドの変異体、または配列番号28、配列番号57および配列番号62~74から選択されるいずれか1つもしくはその断片もしくはバリアントに対して少なくとも70%の同一性(例えば、少なくとも80%の同一性)を有するポリペプチドを含む。一部の実施形態では、コンタクトレンズケア製品は、コンタクトレンズを保存、保護、および/または洗浄するための溶液である。
【0292】
一部の実施形態では、コンタクトレンズケア製品は、コンタクトレンズケア製品用の1種または複数種の許容される成分をさらに含む。一部の実施形態では、コンタクトレンズケア製品用の1種または複数種の許容される成分は、無機塩、ホウ酸、界面活性物質、保湿剤、保存剤、および溶媒からなる群から選択される。一部の実施形態では、コンタクトレンズケア製品は、無機塩をさらに含む。一部の実施形態では、コンタクトレンズケア製品は、ホウ酸をさらに含む。一部の実施形態では、コンタクトレンズケア製品は、界面活性物質をさらに含む。一部の実施形態では、コンタクトレンズケア製品は、保湿剤をさらに含む。一部の実施形態では、コンタクトレンズケア製品は、保存剤をさらに含む。一部の実施形態では、コンタクトレンズケア製品は、溶媒をさらに含む。一部の実施形態では、コンタクトレンズケア製品は、無機塩および溶媒をさらに含む。一部の実施形態では、コンタクトレンズケア製品は、無機塩、ホウ酸および溶媒をさらに含む。一部の実施形態では、コンタクトレンズケア製品は、無機塩、ホウ酸、界面活性物質および溶媒をさらに含む。一部の実施形態では、コンタクトレンズケア製品は、無機塩、ホウ酸、保湿剤および溶媒をさらに含む。一部の実施形態では、コンタクトレンズケア製品は、無機塩、ホウ酸、保存剤および溶媒をさらに含む。一部の実施形態では、コンタクトレンズケア製品は、無機塩、ホウ酸、界面活性物質、保湿剤および溶媒をさらに含む。一部の実施形態では、コンタクトレンズケア製品は、無機塩、ホウ酸、界面活性物質、保存剤および溶媒をさらに含む。一部の実施形態では、コンタクトレンズケア製品は、無機塩、ホウ酸、界面活性物質、保湿剤、保存剤および溶媒をさらに含む。一部の実施形態では、コンタクトレンズケア製品は、本開示のポリペプチド、無機塩、ホウ酸、界面活性物質、保湿剤、保存剤、および溶媒からなる。
【0293】
一部の実施形態では、無機塩は、塩化ナトリウム、塩化カリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、炭酸ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、またはこれらの任意の組合せを含む。一部の実施形態では、無機塩は、塩化ナトリウムを含む。一部の実施形態では、無機塩は、塩化カリウムを含む。一部の実施形態では、無機塩は、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウムまたはこれらの組合せを含む。一部の実施形態では、無機塩は、炭酸ナトリウムを含む。一部の実施形態では、無機塩は、ホウ酸ナトリウムを含む。一部の実施形態では、無機塩は、塩化ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、またはその両方を含む。一部の実施形態では、無機塩は、塩化ナトリウムおよびホウ酸ナトリウムを含む。一部の実施形態では、無機塩は、塩化ナトリウムおよびホウ酸ナトリウムからなる。
【0294】
一部の実施形態では、界面活性物質は、両性イオン界面活性物質、非イオン界面活性物質、またはその両方を含む。一部の実施形態では、界面活性物質は、両性イオン界面活性物質を含む。一部の実施形態では、界面活性物質は、非イオン界面活性物質を含む。一部の実施形態では、界面活性物質は、両性イオン界面活性物質および非イオン界面活性物質を含む。両性イオン界面活性物質の例としては、これだけに限定されないが、レシチンが挙げられる。非イオン界面活性物質の例としては、これだけに限定されないが、ソルビタン脂肪酸エステル(Spans)、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル(Tweens)、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル(Myri)、ポリオキシエチレン脂肪アルコールエーテル(Brij(登録商標))およびポリエチレン-ポリプロピレングリコール(例えば、ポロキサマー)が挙げられる。
【0295】
一部の実施形態では、保湿剤は、ヒアルロン酸またはその塩を含む。一部の実施形態では、保湿剤は、ヒアルロン酸を含む。一部の実施形態では、保湿剤は、ヒアルロン酸ナトリウムなどのヒアルロン酸の塩を含む。一部の実施形態では、保湿剤は、ヒアルロン酸およびヒアルロン酸ナトリウムなどのヒアルロン酸の塩を含む。一部の実施形態では、保湿剤は、ヒアルロン酸およびヒアルロン酸ナトリウムなどのヒアルロン酸の塩からなる。
【0296】
一部の実施形態では、保存剤は、有機水銀化合物、第四級アンモニウム塩、アルコール、エステル、酸、またはこれらの任意の組合せを含む。一部の実施形態では、保存剤は、有機水銀化合物を含む。一部の実施形態では、保存剤は、第四級アンモニウム塩を含む。一部の実施形態では、保存剤は、アルコールを含む。一部の実施形態では、保存剤は、エステルを含む。一部の実施形態では、保存剤は、酸を含む。一部の実施形態では、保存剤は、有機水銀化合物、第四級アンモニウム塩、アルコール、エステル、および酸のうちの少なくとも2つを含む。有機水銀化合物の例としては、これだけに限定されないが、硝酸フェニル水銀、酢酸フェニル水銀、チメロサール、オキシシアン化水銀などが挙げられる。第四級アンモニウム塩の例としては、これだけに限定されないが、塩化ベンザルコニウム、臭化ベンザルコニウム、クロルヘキシジンなどが挙げられる。アルコールの例としては、これだけに限定されないが、トリクロロブタノール、フェネチルアルコールなどが挙げられる。エステルの例としては、これだけに限定されないが、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベンなどが挙げられる。酸の例としては、これだけに限定されないが、ソルビン酸が挙げられる。
【0297】
一部の実施形態では、溶媒は水を含む。一部の実施形態では、溶媒は水からなる。
【0298】
別の態様では、コンタクトレンズケア製品を調製するための方法であって、本開示のポリペプチド、例えば、式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)または(VI)の人工ポリペプチド、式(I)、(II)、(III)、(IV)または(V)の人工ポリペプチドの変異体、または配列番号28、配列番号57および配列番号62~74から選択されるいずれか1つもしくはその断片もしくはバリアントに対して少なくとも70%の同一性(例えば、少なくとも80%の同一性)を有するポリペプチドを、コンタクトレンズケア製品用の1種または複数種の許容される成分と組み合わせるステップを含む、方法も本明細書に提示される。
【0299】
別の態様では、コンタクトレンズケア製品を調製するための、本開示のポリペプチド、例えば、式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)または(VI)の人工ポリペプチド、式(I)、(II)、(III)、(IV)または(V)の人工ポリペプチドの変異体、または配列番号28、配列番号57および配列番号62~74から選択されるいずれか1つもしくはその断片もしくはバリアントに対して少なくとも70%の同一性(例えば、少なくとも80%の同一性)を有するポリペプチドの使用も本明細書に提示される。
【0300】
本発明の好ましい実施形態が本明細書において示され、記載されているが、そのような実施形態が単に例として提供されていることは当業者には明白であろう。本発明は、本明細書の中で提供される特定の実施例によって限定されるものではない。本発明は上記の明細に関連して記載されているが、本明細書の実施形態の説明および例証は限定の意味で解釈されることを意図していない。当業者は、本発明から逸脱することなく多数の変形、変化および置換をすぐに思いつくであろう。さらに、本発明の全ての態様は、種々の条件および変数に依存するものである本明細書に記載の特定の描写、構成または相対的な割合に限定されないことが理解されるべきである。本明細書に記載の発明の実施形態に対する種々の代替を本発明の実施に使用することができることが理解されるべきである。したがって、本発明は、あらゆるそのような代替物、改変物、変形物または均等物も包含することが意図されている。以下の特許請求の範囲により本発明の範囲が定義されること、ならびに、したがって、これらの特許請求の範囲内に入る方法および構造、およびそれらの均等物が包含されることが意図されている。
【実施例】
【0301】
(実施例1)
本開示のポリペプチドの、軽度のDEの処置に対する効果
本開示の例示的なポリペプチド(配列番号29、以下「CF-04」とも称される)の、DEの処置に対する効果をアカゲザル(Rhesus macaque)において下記の通り評価した。簡単に述べると、2つの眼のいずれかでも半年以内に軽度のDEに関する以下の基準を満たした、12~23歳(ヒトの40~70歳と同等)のアカゲザル(rhesus monkey)6匹(雌5匹および雄1匹、体重9~13kg)を試験に組み入れた:
・角膜フルオレセイン染色(CFS)スコア:5~10;または
・涙液層破壊時間(TBUT):<5秒。
【0302】
組入れ後、サルを2つの群に分け、2匹をプラセボ群とし、4匹を処置群とした。処置前に、-13日目および-5日目に動物をベースライン検査に供した。次いで、サルにプラセボ(生理食塩水)またはCF-04(10μM、生理食塩水に溶解させたもの)の点眼剤を0日目から13日目まで、14日間連続して投与し(1眼当たり2滴、1日当たり2回)、その後、18日間の休薬期間を置いた。サルの臨床的所見および食物摂取の観察も-13日目から14日目まで行った。
【0303】
1.角膜フルオレセイン染色スコア
【0304】
角膜フルオレセイン染色(CFS)スコアは、眼の眼表面損傷を示すものであり、DEを評価するために使用されている。CFSスコアを、-5日目および14日目にサルの各眼に関して、2%フルオレセインナトリウム溶液を使用することによって評価した。角膜のC領域、S領域、T領域、I領域、N領域のそれぞれについてスコア付けし、次いで、眼のCFSスコアを5つの領域のスコアの合計として算出した。表1に、プラセボ群のサルと処置群のサルの両方のCFSスコアを示す。
【表1】
【0305】
表1から、CF-04群では、本開示のポリペプチドの投与により、眼のCFSスコアが少なくとも3点低下したことを確認することができる(No.3のOD、No.4のODおよびOS、No.5のOSならびにNo.6のOD)。休薬期間後、CF-04群の眼のCFSスコアが処置前のレベルに増大しており、これにより、処置期間全体にわたるCF-04の有効性が示される。しかし、プラセボ群のDEの眼のCFSスコアに有意な低下は示されなかった(No.1のODおよびNo.2のOD)。
【0306】
図1にも、表1のデータに従ったCFSスコアに対する本開示のポリペプチドの効果が例示されている。
図1に示されている通り、14日目において(赤色の点)、プラセボ群の試験した全ての眼についての平均CFSスコアについて、-5日目に試験したベースライン(青色の点)と比較して有意な変化は示されなかった(p=0.4287)。しかし、CF-04群では、平均CFSスコアが14日目に(赤色の点)-5日目(青色の点)と比較して有意に低下しており(5.00から2.14までの低下、p=0.0016)、これにより、本開示のポリペプチドの投与により、眼表面損傷が改善され、DEの症状が軽減したことが示される。休薬期間後、CF-04群の眼のCFSスコアが処置前のレベルに増大しており、これにより、処置期間全体にわたるCF-04の有効性がさらに示唆される。
【0307】
一方、CF-04の投与は動物の食物摂取および他の臨床的所見には影響を及ぼさなかった(データは示していない)。これにより、本開示のポリペプチドの安全性が示される。
【0308】
2.涙液層破壊時間(TBUT)
【0309】
涙液層破壊時間(TBUT)は、涙膜の安定性を示すものであり、DEを評価するために広範に使用されている。この試験では、TBUTを-13日目、-5日目および14日目にそれぞれ評価した(各日3回の試験)。結果は表2に示す通りである。
【表2】
【0310】
表2から確認することができる通り、CF-04群では、本開示のポリペプチドの投与により、DEの眼のTBUT(No.3のOD、No.5のODおよびOSならびにNo.6のOS)が5秒を超えるまで延長された。しかし、対照群では、プラセボによりDEの眼(No.1のOS、No.2のODおよびOS)のTUBTを延長することはできなかった。
【0311】
図2にも、本開示のポリペプチドのTBUTに対する効果が表2のデータに従って例示されている。
図2に示されている通り、14日目に、プラセボ群では、試験した全ての眼のTBUTについて、ベースライン2(-5日目)からの有意な差異はなかった(p=0.8804)。CF-04群に関しては、14日目には試験した全ての眼のTBUTについてベースライン2と比較して有意な差異はなかったが(p=0.2596)、平均TBUTに1秒を超える延長が認められ(5.143±2.183対6.671±2.630)、これにより、本開示のポリペプチドの投与により、涙膜を安定化し、DEの症状を軽減することができる潜在性があることが示唆される。休薬期間後、CF-04群の眼のCFSスコアが処置前のレベルに増大しており、これにより、処置期間全体にわたるCF-04の有効性が示される。
(実施例2)
本開示のポリペプチドのDEの処置に対する効果
【0312】
本開示の例示的なポリペプチド(配列番号29、以下CF-04とも称される)のDEの処置に対する効果をアカゲザルにおいて下記の通り評価した。簡単に述べると、2つの眼のいずれかでも半年以内にDEに関する以下の基準を満たした12~24歳(ヒトの40~70歳と同等)の22匹のサルを試験に組み入れた:
【0313】
角膜フルオレセイン染色(CFS)スコア:5~10;および
【0314】
涙液層破壊時間(TBUT):<5秒。
【0315】
サルを、プラセボ(生理食塩水、2匹のサル)、陽性対照(Restasis、4匹のサル)、CF-04 0.46μg/ml(4匹のサル)、CF-04 2.3μg/ml(4匹のサル)、CF-04 4.6μg/ml(4匹のサル)、およびCF-04 50μg/ml(4匹のサル)を含む6つの群に分けた。簡単に述べると、動物を、1眼当たり2滴のプラセボまたはCF-04を用いて1日2回、陽性対照群に関しては動物を1眼当たり1滴のRestasisを用いて1日2回、28日間または30日間連続して処置した。サルの臨床的所見および食物摂取もベースライン、14日目および投与終了時(28日目または30日目)に観察した。
【0316】
1.角膜フルオレセイン染色スコア
【0317】
CFSスコアを、ベースライン、14日目および投与終了時(28日目または30日目)にサルの各眼に関して、2%フルオレセインナトリウム溶液を使用することにより評価した。角膜のC領域、S領域、T領域、I領域、N領域のそれぞれについてスコア付けし、次いで、眼のCFSスコアを5つの領域のスコアの合計として算出した。表3に、プラセボ群のサルと処置群のサルの両方のCFSスコアを示す。
【表3-1】
【表3-2】
【表3-3】
【0318】
スコアを収集し、ANOVAによって解析した。
図3A~3Bに、表3のデータに従ったCFSスコアに対する本開示のポリペプチドの効果を例示する。
図3Aに示されている通り、14日目および28日目において、プラセボ群の平均CFSスコアにベースラインと比較して有意な変化は示されなかった。0.46μg/mlのCF-04を用いた処置を受けた動物のCFSスコアについて、14日目(Δ=3.214、p=0.0987)においても28日目(Δ=2.893、p=0.1566)においてもベースラインと比較して有意な変化は示されなかった。2.3μg/mlのCF-04による処置では、ベースラインと比較して、14日目にCFSスコアが有意に低下し(Δ=4.000、p=0.0226)、28日目にはスコアがさらに低下した(Δ=4.750、p=0.0049)。4.6μg/mlのCF-04による処置では、ベースラインと比較して、14日目にはCFSスコアに対して有意な効果は示されなかったが(Δ=3.125、p=0.1012)、28日目にはCFSスコアが有意に低下した(Δ=4.000、p=0.0226)。50μg/mlのCF-04による処置では、ベースラインと比較して、14日目にCFSスコアが有意に低下したが、28日目にCFSスコアのさらなる低下は認められなかった(Δ=4.000、p=0.0226)。
【0319】
図3Bに、種々の群の動物から収集したCFSスコアがさらに例示されている。
図3Bから確認することができるように、14日目および28日目において、2.3μg/mlのCF-04を用いた処置により、動物の眼のCFSスコアがプラセボ群の眼のCFSスコアと比較して有意に低下した。
【0320】
2.涙液層破壊時間(TBUT)
【0321】
表4に示す通り、各群の動物のTBUTをベースライン、14日目および28日目に評価した。
【表4-1】
【表4-2】
【表4-3】
【0322】
図4A~4Bに示されている通り、表4のデータをANOVAによってさらに解析した。
図4A~4Bから確認することができるように、2.3μg/mlのCF-04を用いた処置を受けた動物および4.6μg/mlのCF-04を用いた処置を受けた動物では、TBUTがプラセボと比較して有意に長くなり、陽性対照Restasisと同等であった。これにより、DEの処置における2.3μg/mlのCF-04および4.6μg/mlのCF-04の効果が示される。
(実施例3)
本開示の例示的なポリペプチドの急性DEの処置に対する効果
【0323】
本開示の例示的なポリペプチド(配列番号29、CF-04)のDEの処置に対する効果をアカゲザルにおいて下記の通り評価した。簡単に述べると、健康な成体サルをドライアイチャンバー内に3週間入れて、乾燥した環境によって急性の重度のドライアイ症状を誘導した。21日目にCFSおよびTUBTを検査し、23日目に涙液中の炎症因子IL-17aについてアッセイを行った。次いで、単一の眼のCFSスコアが8~13である動物を試験に組み入れた。
【0324】
組み入れられた動物をプラセボ群(生理食塩水、3匹のサル、6つの眼)およびCF-04群(5μg/mLのCF-04、4匹の動物、8つの眼)にランダムに分けた。動物の両方の眼を、1眼当たり2滴、1日2回の処置に供した。処置後7日目および14日目にCFSスコアおよびTUBTを検査した。処置後16日目にIL-17aについてアッセイを行った。
【0325】
1.角膜フルオレセイン染色スコア
【0326】
CFSスコアをまずベースライン(処置の-2日目)に評価した。対照群およびCF-04群におけるCFSスコアの平均値は、それぞれ9.0±0.6および9.6±0.9であった。2つの群間で平均CFSスコアに有意な差異はなかった(p=0.4719)。処置の7日後の対照群およびCF-04群の動物の平均CFSスコアは、それぞれ8.7±1.4および5.9±1.8であった。CF-04群の平均CFSは対照群よりも有意に低かった(p=0.0194)。処置の14日後の対照群およびCF-04群の動物の平均CFSスコアは、それぞれ9.0±1.3および7.0±2.2であり、有意差はなかった。各動物のCFSスコアを以下の表5に示す。
【表5】
【0327】
2.涙液層破壊時間(TBUT)
【0328】
TUBTをまずベースライン(処置の-2日目)に評価した。対照群およびCF-04群における平均TUBTは、それぞれ4.0±0.8秒および3.8±0.6秒であった。2つの群間で平均TUBTに有意な差異はなかった(p>0.9999)。処置の7日後の対照群およびCF-04群の動物の平均TUBTは、それぞれ3.5±0.6秒および4.9±0.6秒であった。CF-04群の平均TUBTは対照群よりも有意に長くなった(p=0.0042)。処置の14日後に、対照群およびCF-04群の動物の平均TUBTは、それぞれ3.6±0.5秒および4.6±0.9秒であり、有意差はなかった。各動物のTUBTは以下の表6に示す通りである。
【表6】
(実施例4)
本開示の例示的なポリペプチドのBSAの熱凝集の阻害に対する効果。
【0329】
以下の表7に示す本出願の例示的なポリペプチドをPBSに溶解させ、3回にわたって段階的に希釈した。次いで、ポリペプチド150uLを200uMのBSA、150μLと混合し、混合物を98℃のウォーターバス中で30分間インキュベートした。混合物200μLを検出プレートに添加し、600nMの波長における吸光度についてアッセイを行った。阻害率を以下の通り算出した:
100-[(OD
試料-OD
PBS)/(OD
BSA-OD
PBS)]*100
式中、OD
BSAはBSAのみを含有する試料の吸光度であり、OD
PBSはPBSのみを含有する試料の吸光度である。IC
50を算出し、Graphpadにより、対対数濃度を使用することによって解析した。結果は
図5および以下の表7に示す通りである。
【表7】
(実施例5)
本開示のポリペプチドの、DAMPによって誘導される細胞内ROSレベルに対する効果
【0330】
HUVEC細胞90μLを96ウェルプレートに10000個/ウェルで播種し、一晩置いた。検出を行う1時間前に、ROS試薬(Thermo、Cat#88-5930-74)を希釈標準溶液として、90μl/ウェルで細胞培養プレートに添加した。一方、以下の表8に示す本出願の例示的なポリペプチドを細胞培養培地で3回にわたって段階的に希釈した。種々の濃度のポリペプチド60μLを400ug/mlのoxHSA、60μLと混合した。次いで、ポリペプチドとoxHSAの混合物20μlを細胞培養物に移し、細胞と一緒に40分間インキュベートした。490nm/525nmの励起/発光波長で蛍光を検出した。阻害率を以下の通り算出した:
100-[(L
試料-L
PBS/培地)/(L
oxHSA-L
PBS/培地)]*100
結果は以下の表8に示す通りである。
【表8】
(実施例6)
本開示のポリペプチドのoxLDL取り込みの阻害に対する効果。
【0331】
THP-1細胞(ATCC、30-2001)を、100nMのPMA(Sigma-Aldrich、P1585)を含有するRPMI-1640完全培地(10%ウシ胎仔血清、1%二重特異性抗体、0.05mMのβ-メルカプトエタノール)に再懸濁し、計数した。次いで、細胞30000個を96ウェルプレートの各ウェルに播種し、37℃で72時間培養した。次いで、培地を、PMAを伴わないRPMI-1640完全培地で置き換え、細胞をさらに48時間培養して、THP-1により誘導された分化マクロファージを得た。本出願の例示的なポリペプチドをRPMI-1640完全培地で段階的に希釈した。次いで、ポリペプチドそれぞれをoxLDL-Dylight488溶液(Cayman Chemical、601180)と混合した。細胞培養物の培地をポリペプチドとoxLDL-Dylight488の混合物で置き換え、細胞を37℃で5~6時間培養した。インキュベーション後、各ウェル中の細胞をすすぎ、PBSで洗浄し、7-AADを追加したPBS、200μLに再懸濁させ、フィルターを介してFACS管中に収集し、フローサイトメトリー(BD、FACSCelesta)によって分析した。Dylight488チャネルにおける7-AAD
-細胞の幾何平均蛍光強度(gMFI)を解析した。oxLDL取り込み率を以下の通り算出した:
oxLDL取り込み率=(実験群のgMFI-陰性対照群のgMFI)/(陽性対照群のgMFI-陰性対照群のMeanFI)×100%
ここで、陽性群はoxLDLのみを含み、陰性群はoxLDLも本出願のポリペプチドも含有しない。結果は
図6に示す通りである。
(実施例7)
本開示の例示的なポリペプチドの酸化タンパク質に対する結合能。
【0332】
1mg/mlのHSAタンパク質を、8mMのNaClOを用い、暗所で30分にわたって酸化させた。反応物を3KD透析袋に添加し、PBS中、4℃で24時間透析を行い、透析中2~3回、流体を新鮮な透析液で置き換えた。濾過滅菌後、BCA法を使用してタンパク質を数量化した。酸化タンパク質を標的タンパク質と質量比1:2で混合し、4℃で24時間インキュベートした。反応後、試料をSDS-Page電気泳動に供し、クーマシーブリリアントブルー染色後に写真を撮影した。
【表9】
(実施例8)
本開示のポリペプチドの細胞結合能。
【0333】
末梢血単核細胞(PBMC、SAILY BIO)を室温、400gで遠心分離することによって収集し、RPMI-1640完全培地(10%ウシ胎仔血清、1%二重特異性抗体、0.05mMのβ-メルカプトエタノール)に再懸濁し、計数した。1×10
6個の細胞を96ウェルプレートの各ウェルに播種し、それぞれに、FITC(Sigma-Aldrich、FITC1)で標識した本出願のCFポリペプチドを追加した。細胞培養物中のFITCで標識したCFポリペプチドの濃度をそれぞれ0nM、30nM、100nM、300nM、1000nMとした。次いで、細胞を37℃で30分間培養した。インキュベーション後、各ウェル中の細胞をPBSで洗浄し、BV421-CD16蛍光抗体(BD、3G8)およびBV605-CD14(BD、M5E2)蛍光抗体を追加したPBS、100μLに再懸濁した。次いで、細胞を暗所、4℃で30分間インキュベートした。インキュベーション後、細胞をPBSで洗浄し、PBS、200μLに再懸濁し、フィルターを介してFACS管中に収集し、フローサイトメトリー(BD、FACSCelesta)によって分析した。FITCチャネルにおける各PBMC試料中のCD16
-CD14
+単球の蛍光シグナルを解析した。
図7に示されている通り、試料中のCD16
-CD14
+CF
+単球の比を算出した。
(実施例9)
低湿度環境およびスコポラミン臭化水素酸塩によって誘導されたマウスにおけるドライアイに対するポリペプチドの薬力学試験。
【0334】
涙液分泌および角膜フルオレセインナトリウムスコアが同様であるマウス(C57BL/6JShjh)32匹を、陰性対照、ビヒクル対照、処置群1および処置群2の4つの群に分けた(n=8)。全ての動物を湿度10%~30%に供し、1日目(D1)から15日目(D15)まで、1日2回、スコポラミン臭化水素酸塩(Sigma-Aldrich、0.75mg/mL)0.3mLを皮下に与えて、ドライアイを誘導した。陰性群の動物には処置を行わず、他の群には、それぞれビヒクルのみ、配列番号29のポリペプチド、および配列番号75の人工ポリペプチドを3mL/眼の用量で用いた処置を、D6からD15まで、1日2回(約8時間の間隔を空ける)行った。涙液分泌を、D-1、D5、D10およびD15に全ての動物についてフェノールレッド糸を用いた検査で測定し、涙液分泌を、湿った糸の長さ(mm)として測定した(
図8、上の図)。
【0335】
角膜フルオレセインナトリウムスコアを全ての動物についてD-1、D5、D10およびD15において以下のプロトコールに従って評価した。フルオレセインナトリウム溶液(1.5μL、0.5%)を動物の上結膜嚢内に滴下した後、滅菌生理食塩水1.25mLを使用して、動物の結膜嚢を3回連続して、各10秒ずつ洗浄した。約5分間の染色後、細隙灯(+コバルトブルーフィルター)を使用して、眼表面を観察し、写真撮影し、その場でスコアリングを実施した。フルオレセイン染色のグレード付けのための改善されたNEI尺度を使用して、各動物の角膜をスコアリングした。角膜を5つの領域(1-中央部、2-上部、3-側頭部側、4-鼻側、5-下部)に分け、各領域に対して、最高スコアとして8、および全く染色されない場合に最低スコアとして0を付した(グレード1:染色面積が対応する領域の1%~25%である;グレード2:染色面積が対応する領域の26%~50%である;グレード3:染色面積が対応する領域の51%~75%である;グレード4:染色面積が対応する領域の76%~100%である)。高密度/集密的な染色に対しては、そのような高密度/集密的に染色された領域の面積に応じて追加点を付した(1:1%~25%;2:26%~50%;3:51%~75%および4:76%~100%)。各眼についての最大総合スコアは40点になる。フルオレセインナトリウム染色の総合スコアを全ての動物の各眼について算出した(
図8、下の図)。
【0336】
本発明の好ましい実施形態が本明細書において示され、記載されているが、そのような実施形態が単に例として提供されていることは当業者には明白であろう。本発明は、本明細書の中で提供される特定の実施例によって限定されるものではない。本発明は上記の明細に関連して記載されているが、本明細書の実施形態の説明および例証は、限定の意味で解釈されることを意図していない。当業者は、本発明から逸脱することなく多数の変形、変化および置換をすぐに思いつくであろう。さらに、本発明の全ての態様は、種々の条件および変数に依存する本明細書に記載の特定の描写、構成または相対的な割合に限定されないことが理解されるべきである。本明細書に記載の発明の実施形態に対する種々の代替を本発明の実施に使用することができることが理解されるべきである。したがって、本発明は、あらゆるそのような代替物、改変物、変形物または均等物も包含することが意図されている。以下の特許請求の範囲により本発明の範囲が定義されること、ならびに、したがって、これらの特許請求の範囲内に入る方法および構造およびそれらの均等物が包含されることが意図されている。
【表10-1】
【表10-2】
【表10-3】
【手続補正書】
【提出日】2024-05-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】配列表
【補正方法】追加
【補正の内容】
【配列表】
【国際調査報告】