IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ヴァレオ、コンフォート、アンド、ドライビング、アシスタンスの特許一覧

特表2024-535864自動車両内の占有状態を決定するための方法
<>
  • 特表-自動車両内の占有状態を決定するための方法 図1
  • 特表-自動車両内の占有状態を決定するための方法 図2
  • 特表-自動車両内の占有状態を決定するための方法 図3
  • 特表-自動車両内の占有状態を決定するための方法 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-02
(54)【発明の名称】自動車両内の占有状態を決定するための方法
(51)【国際特許分類】
   G08B 25/04 20060101AFI20240925BHJP
   G08B 21/02 20060101ALI20240925BHJP
   B60R 11/04 20060101ALI20240925BHJP
   G08B 21/24 20060101ALN20240925BHJP
【FI】
G08B25/04 C
G08B21/02
B60R11/04
G08B21/24
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024516955
(86)(22)【出願日】2022-09-13
(85)【翻訳文提出日】2024-04-15
(86)【国際出願番号】 EP2022075437
(87)【国際公開番号】W WO2023041536
(87)【国際公開日】2023-03-23
(31)【優先権主張番号】2109755
(32)【優先日】2021-09-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516000549
【氏名又は名称】ヴァレオ、コンフォート、アンド、ドライビング、アシスタンス
【氏名又は名称原語表記】VALEO COMFORT AND DRIVING ASSISTANCE
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100198029
【弁理士】
【氏名又は名称】綿貫 力
(72)【発明者】
【氏名】リャンビン、シアン
(72)【発明者】
【氏名】タレク、カスミエ
【テーマコード(参考)】
3D020
5C086
5C087
【Fターム(参考)】
3D020BA20
3D020BB01
3D020BC04
3D020BD03
3D020BD05
3D020BE03
5C086AA22
5C086BA22
5C086CA10
5C086CA28
5C086FA01
5C087AA31
5C087DD03
5C087DD14
5C087FF01
5C087FF04
5C087GG09
5C087GG66
5C087GG84
(57)【要約】
本発明は、存在センサ(10)を使用して自動車両(40)内の占有状態を決定するための方法であって、占有状態を周期的に決定するステップと、振動センサ(20)を使用して、車両の振動量を表す値を決定するステップとを含む方法に関する。本発明によれば、本方法は、占有状態の周期的な決定を中断するステップを含み、中断は、振動量を表す値に基づいてトリガされる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
存在センサ(10)を使用して自動車両(40)内の占有状態(E)を決定するための方法であって、
前記占有状態(E)を周期的に決定するステップ(e1)と、
前記車両(40)の振動の量を表す値(V)を決定するステップ(e2)と、を含み、
前記方法が、前記占有状態(E)の前記周期的な決定を中断するステップ(e3)を含み、前記中断が、振動の量を表す前記値(V)に基づいてトリガされることを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記中断の間、前記占有状態(E)が、前記中断の前に決定された最後の占有状態(E)に等しいとみなされる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記決定の前記中断が、振動の量を表す前記値(V)が第1の所定の閾値(P)よりも大きくなったとき、または振動の量を表す前記値(V)の変化が第2の所定の閾値よりも大きくなったときにトリガされる、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記占有状態(E)の前記周期的な決定を再開するステップ(e4)をさらに含み、前記再開が、振動の量を表す前記値(V)に基づいてトリガされる、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記再開ステップ(e4)が、前記存在センサ(10)を再初期化するサブステップ(e41)を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記再開ステップ(e4)がトリガされたとき、前記占有状態(E)が最初に、前記中断の前に決定された前記最後の占有状態(E)として決定される、請求項2に従属する場合の請求項4から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記周期的な決定の前記再開が、振動の量を表す前記値(V)が第3の所定の閾値を下回ったとき、または振動の量を表す前記値(V)の変化が第4の所定の閾値を下回ったときにトリガされる、請求項4から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記占有状態(E)の前記周期的な決定が、規則的な時間間隔で前記決定を繰り返すことにある、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記占有状態(E)に基づいて信号を送信するステップ(e5)をさらに含み、前記信号が、乗員(50)が静止したロックされた前記車両(40)に存在すること、または乗員(50)が安全ベルトを装着する必要があること、またはエアバッグを作動停止させる必要があることを示す、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記占有状態(E)が、前記車両(40)の座席(41)の少なくとも1つに対して決定され、前記占有状態(E)が、乗員(50)が前記座席(41)に座っている占有された状態と、前記座席(41)が占有されていない空き状態とを含む、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
振動の量を表す前記値(V)が、第1の軸線(A1,A2,A3)に沿った前記車両(40)の加速度と、前記第1の軸線(A1,A2,A3)とは異なる第2の軸線(A1,A2,A3)に沿った前記車両(40)の加速度との加重和として計算される、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記和の重み付け係数が、前記車両(40)の振動の以下の原因:
空気の流れ;
整備または修理の過程における前記車両(40)の移動;
前記車両(40)を押す外部の人;
洗浄システムを通る前記車両(40)の通過;
前記車両(40)が走行している路面の欠陥;
前記車両(40)内を移動する乗員(50)
の少なくとも1つに基づいて選択される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
自動車両(40)内の占有状態(E)を決定するためのシステムであって、
前記占有状態(E)を周期的に決定するように適合された存在センサ(10)と、
前記車両(40)の振動の量を表す値(V)を決定するように適合された振動センサ(20)と、
前記存在センサ(10)および前記振動センサ(20)に接続されたコンピュータ(30)と、を備え、
前記コンピュータ(30)が、振動の量を表す前記値(V)に基づいて前記占有状態(E)の前記周期的な決定を中断するようにプログラムされていることを特徴とする、システム。
【請求項14】
前記振動センサ(20)が、前記存在センサ(10)も備える電子回路カードに含まれる、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記振動センサ(20)が、前記車両(40)の別のシステムに含まれ、使用される、請求項13に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、車両内の人の検出に関する。
【0002】
より詳細には、本発明は、自動車両内の占有状態を決定するための方法に関する。
【0003】
本発明は、忘れられた子供の存在または安全ベルトの着用に関する警告用途に特に有利な様式で適用することができる。
【0004】
本発明はまた、そのような方法を実施するシステムに関する。
【背景技術】
【0005】
レーダを使用する存在検出システムは、自動車両にますます組み込まれている。レーダの使用は、車両のすべての座席に組み込まれた重量センサに基づく従来の技術よりも実施コストが低いため、有望な代替案である。
【0006】
存在検出は、例えば、ロックされた車両に忘れられた子供の警告を提供するために、または安全ベルトをロックするように乗客に思い出させるために使用することができる。
【0007】
車両は、運転による移動に加えて、外部要因による振動を受ける。これは、自然であろうと、近くを通過する別の車両によって生成されたものであろうと、または修理中もしくは洗浄中であろうと、例えば空気の流れのために、車両が静止しているときに起こり得る。これは、例えば道路の不規則性または車両内の乗客の移動の結果として、運転状況でも起こり得る。
【0008】
これらの振動は、例えば、通常は固定されている座席などの物体の移動を引き起こすことによって、レーダの動作を妨げる可能性がある。これらの振動は、人の誤検出を不適切に引き起こす可能性がある。
【0009】
したがって、レーダ存在検出システムを車両の振動に対してより堅牢にする明らかな必要性がある。
【発明の概要】
【0010】
これに関連して、本発明によれば、存在センサを使用して自動車両内の占有状態を決定するための方法であって、
占有状態を周期的に決定するステップと、
車両の振動の量を表す値を決定するステップと、
振動の量を表す値に基づいてトリガされる、占有状態の周期的な決定を中断するステップと、
を含む方法が提案される。
【0011】
したがって、本発明の結果として、車両が受ける振動は、車両の振動の量を表す値によって定量化される。この定量化に基づいて存在検出を中断することによって、振動による誤検出は、有利には排除され得る。実際には、振動が大きすぎる場合、存在検出は、誤検出を生成する可能性があるため中断される。
【0012】
注目すべきことに、振動中の検出の中断は、例えば忘れられた子供または座席ベルトに関する任意の警告において、わずかな時間の遅延を生じるのみであるため、存在検出システムの機能性にほとんど影響を与えない。一方、振動中の検出の中断により、通常は不快な音声信号を伴う誤検出を回避することができる。
【0013】
個々にまたは任意の技術的に可能な組み合わせで考慮される、本発明による占有状態を決定するための方法の他の有利で非限定的な特徴は、以下の通りである:
-中断の間、占有状態は、中断の前に決定された最後の占有状態と同一であるとみなされる、
-決定の中断は、振動の量を表す値が第1の所定の閾値を超えるとき、または振動の量を表す値の変化が第2の所定の閾値を超えるときにトリガされる、
-本方法は、占有状態の周期的な決定を再開するステップをさらに含み、再開は、振動の量を表す値に基づいてトリガされる、
-再開ステップは、存在センサを再初期化するサブステップを含む、
-再開ステップがトリガされたとき、占有状態は最初に、中断の前に決定された最後の占有状態として決定される、
-振動の量を表す値が第3の所定の閾値を下回ったとき、または振動の量を表す値の変化が第4の所定の閾値を下回ったときに、周期的な決定の再開がトリガされる、
-占有状態の周期的な決定は、規則的な時間間隔で前記決定を繰り返すことにある、
-本方法は、存在の状態に基づいて信号を送信するステップをさらに含み、信号は、乗員が静止したロックされた車両に存在すること、または乗員が安全ベルトを装着する必要があること、またはエアバッグを作動停止させる必要があることを示す、
-占有状態は、車両の座席の少なくとも1つに対して決定され、占有状態は、乗員が前記座席に座っている占有された状態と、前記座席が占有されていない空き状態とを含む、
-振動の量を表す値は、第1の軸線に沿った車両の加速度と、第1の軸線とは異なる第2の軸線に沿った車両の加速度との加重和として計算される、
-前記和の重み付け係数は、車両の振動の以下の原因:空気の流れ;整備または修理中の車両の移動;車両を押す外部の人;洗浄システムを通る車両の通過;車両が走行している道路の欠陥;車両内を移動する乗員の少なくとも1つに基づいて選択される。
【0014】
本発明はまた、自動車両内の占有状態を決定するためのシステムであって、
占有状態を周期的に決定するように適合された存在センサと、
車両の振動の量を表す値を決定するように適合された振動センサと、
存在センサおよび振動センサに接続され、振動の量を表す値に基づいて占有状態の周期的な決定を中断するようにプログラムされたコンピュータと、
を備えるシステムを提案する。
【0015】
個々にまたは任意の技術的に可能な組み合わせで考慮される、本発明による占有状態を決定するためのシステムの他の有利で非限定的な特徴は、以下の通りである:
-振動センサは、存在センサも含む電子カードに含まれる、
-振動センサは、車両の別のシステムに含まれ、使用される。
【0016】
当然のことながら、本発明の異なる特徴、変形形態および実施形態は、それらが互換性がないか、または相互排他的でない限り、様々な組み合わせで互いに関連付けられてもよい。
【発明を実施するための形態】
【0017】
非限定的な例として与えられる添付の図面を参照した以下の説明は、本発明を構成するものおよび本発明を実施することができる方法の良好な理解を与えるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明による占有状態を決定するためのシステムを組み入れた車両の概略断面図である。
図2】本発明による占有状態を決定する方法を実施するための一連のステップのブロック図である。
図3図2の方法を使用して決定された占有状態の時間変化を表すグラフである。
図4図2の方法に従って決定された振動の量を表す値の、図3の占有状態の時間変化に付随する時間変化を表すグラフである。
【0019】
図1は、本発明による、車両40内の、この場合は自動車両内の乗員50の占有状態Eを決定するためのシステム1を示す。システム1は、
存在センサ10と、
振動センサ20と、
存在センサ10および振動センサ20に接続されたコンピュータ30と、
を備える。
【0020】
存在センサ10は、車両40内の乗員50の存在を決定するように適合されている。この場合、存在センサ10は、より一般的には、車両40の各座席41について、人の存在、すなわち運転者または乗客の存在を決定するように適合されている。単一の乗員50、この場合は運転者が図1に示されている。存在センサ10は、座席41上の存在を決定することができるだけでなく、トランク、および座席に隣接する領域、典型的には座席41の下に位置する足空間もカバーする。
【0021】
存在センサ10を車両40の中央領域、この場合、図1に示すように車両40の屋根42の中央に配置することによって、存在センサ10は、有利には、車両40のすべての座席41をカバーすることができる。
【0022】
存在センサ10は、車両4内の乗員50の存在の決定を可能にする任意の機器とすることができる。存在センサ10は、車両40にわたって分散された単一の感知要素または感知要素のネットワークからなることができる。
【0023】
存在センサ10は、例えば、カメラもしくはカメラネットワーク、または超音波センサもしくは超音波センサのネットワークであってもよい。
【0024】
この場合、存在センサ10は、波を送信および受信するためのデバイスである。これらの波は、例えば、音波である。
【0025】
この場合、これらの波は、電磁波11である。この場合の送信機/受信機デバイスは、電磁波11を送信するように設計されたアンテナ(図示せず)と、電磁波11の反射後、特に乗員50からの反射後に反射電磁波12を受信するように設計された少なくとも1つの受信機(図示せず)とを備える。
【0026】
この場合の送信機/受信機デバイスは、より具体的には、ミリ波電磁波を使用したレーダ(radio detection and ranging)である。レーダは、例えば、連続波ドップラーレーダである。レーダは、例えば、運転支援および/または障害物検出のために車両40で使用されるレーダと同じタイプのものである。
【0027】
コンピュータ30は、少なくとも1つのメモリと、少なくとも1つのプロセッサとを備える。コンピュータ30は、例えば、車両40の電子制御ユニット(ECU)であってもよい。コンピュータ30はまた、システム1専用のコンピュータであってもよい。占有状態Eを決定するための命令がメモリに記録され、プロセッサによって実施される。これらの命令が実施されたとき、これらの命令により、以下に説明する方法の実行が可能になる。
【0028】
特に、コンピュータ30は、特に電磁波11の送信を制御するために、送信機/受信機デバイスを制御するようにプログラムされる。
【0029】
コンピュータ30は、送信機/受信機デバイスのセンサによって捕捉された反射電磁波12を分析することによって、この場合、各座席41について、座席41が占有されているかまたは空いているかを示す占有状態Eを決定する。占有状態Eはまた、車両40のトランクに対して決定されてもよく、乗員50がトランク内に存在するかどうかに関する指示が与えられてもよい。
【0030】
各座席41について、およびこの場合はその近傍について、占有状態Eは、乗員50が座席41に座っているか、または座席41にごく近接して、例えば座席41のわずかに上方に位置する占有された状態と、人が座席41に座っていないか、または座席41に近接した位置にいない空き状態とを含む。したがって、空き状態は、座席41が空いている占有状態Eに対応する。
【0031】
振動センサ20は、それに関する限り、少なくとも1つの軸線に沿って車両40の加速度を測定することを可能にする。存在センサ10に関して、振動センサ20はまた、車両内に分散された1つまたは複数の要素を備えることができる。ここで、振動センサ20の1つの要素は、存在センサ10の各感知要素に近接して、好ましくはこの感知要素と同じ電子回路カード上に配置される。
【0032】
振動センサ20は、例えば、光ファイバジャイロスコープであってもよい。
【0033】
ここで、振動センサ20は、より具体的には加速度計である。
【0034】
この場合の加速度計は、微小電気機械システム(MEMSという頭字語でよりよく知られている)である。変形形態では、加速度計は、圧電加速度計とすることができる。
【0035】
この場合の加速度計は、車両40に対して、特にその車体に対して固定されている。したがって、図1に示す例では、加速度計は、車両40の屋根42に配置されている。ここで、図1では送信機/受信機デバイスとは別個に示されているが、加速度計30は、送信機/受信機デバイスも含む電子回路カードに含まれる。変形形態では、加速度計は、車両の別のシステム、例えば車輪アンチロックシステムまたはエアバッグ制御システムに含まれ、それによって使用される。加速度計は、例えば、車両のインストルメントパネルに配置される。
【0036】
ここで、加速度計は、3つの直交する軸線に沿って車両40の加速度を測定することを可能にする。図1に示すように、これらの3つの軸線は、例えば、鉛直方向A1(道路に直交)、車両40の前後方向A2、車両40の左右方向A3である。
【0037】
したがって、加速度計は、車両40の振動量を表す値を決定するように適合される。以下で振動値Vと呼ばれる、車両40の振動量を表すこの値は、例えば、ミリg、すなわちgの1000分の1で表され、gの値は約9.8m/sである。
【0038】
ここで、振動値Vは、車両40が受ける振動の強度を表し、すなわち、例えば、静止した不動の車両40の平衡位置、または一定速度で前進する車両40の平衡位置を中心とした車両40の移動の振幅および/または速度を表す。実際には、その平衡位置を中心とした車両40の移動は、数ミリメートルまたは数センチメートルの移動である。
【0039】
車両40が受け、振動値Vを使用して定量化された振動は、ここでは、車両40を移動させる外部事象によって生成される。この場合、「外部」は、車両40自体に起因しない事象、例えば、そのエンジンによる車両の移動に起因しない事象を意味すると解釈される。振動40を生成する外部事象の例は、以下の通りである:
空気の流れ;
整備または修理の過程における車両の移動;
車両40を押す外部の人;
洗浄システムを通る車両の通過;
車両が走行している路面の欠陥;
車内を移動する乗員。
【0040】
システム1では、コンピュータ30はまた、特に加速度計の出力信号に基づいて振動値Vを決定する目的で、加速度計を制御するようにプログラムされる。
【0041】
実際には、システム1は、呼吸または心拍を含む乗員50のシフトまたは移動を検出することによって占有状態Eを決定する。この検出は、短い電磁波の使用のために正確であるが、車両40の振動に対して感度が高い。
【0042】
誤検出を防止するために、コンピュータ30は、車両40が受ける振動に基づいて、占有状態Eの決定を中断することができる占有状態Eを決定する方法を実施するようにプログラムされる。本発明による方法を図2に示す。
【0043】
図2に示すように、本方法は、以下の主要なステップを含む:
送信/受信デバイスを使用して、占有状態Eを周期的に決定するステップe1と、
振動値Vを決定するステップe2と、
振動値Vに基づいてトリガされる、占有状態Eの周期的な決定を中断するステップe3。
【0044】
ここで、「周期的」とは、「繰り返し」を意味する。また、「自動的に」を意味する。より具体的には、占有状態Eの決定は、ここでは規則的な時間間隔、例えば10秒ごとに繰り返される。規則的な時間間隔は、例えば、1分未満である。好ましくは、規則的な時間間隔は、3~5秒である。規則的な時間間隔は、検出される乗員50の移動に基づいて適合されてもよく、例えば、呼吸運動前は5秒、頭部移動については4秒であってもよい。
【0045】
有利には、コンピュータ30は、占有状態Eで行われる使用、すなわち忘れられた子供の指示または安全ベルトの着用の指示などに基づいて、周期的な決定の繰り返しの頻度を適合させるようにプログラムすることができる。
【0046】
変形形態では、占有状態の周期的な決定は、占有が短いが不規則な時間間隔で決定されることを意味し得るが、他方では、これらの時間間隔は、所定の繰り返しスケジュールに従う場合もある。
【0047】
振動値Vは、加速度計によって決定される。ここで、振動値Vはまた、周期的に決定される。例えば、振動値Vは、占有状態Eと同じ周波数で決定される。振動値Vはまた、占有状態Eに使用される周波数以外の周波数で決定されてもよい。好ましくは、振動値Vの決定は、1分未満の規則的な時間間隔で繰り返される。ここでは、例えば、振動値Vの決定は、50ミリ秒ごとに繰り返される。
【0048】
ここで、中断は、占有状態Eの周期的な決定を一時中止することにある。言い換えれば、中断を開始すると、占有状態Eは再開ステップe4まで決定されなくなる。
【0049】
占有状態Eの周期的な決定の中断は、振動値Vに基づいてトリガされる。したがって、振動値Vが例えば高すぎるかまたは急速に増加しすぎる場合、占有状態Eの周期的な決定は、誤った存在検出を回避するために中断される。ここでの誤った存在検出は、座席41および/またはその近傍(例えば、足の高さの空間)が占有されていないときに占有状態として占有状態Eを決定することを意味する。
【0050】
占有状態Eの決定を中断することは、誤検出を回避する堅牢で容易に実施される手段である。さらに、占有状態Eの決定を中断することにより、コンピュータ30が、振動が測定されるとすぐに非常に短い反応時間で作動することが可能になる。
【0051】
次に、前述の主要なステップが詳細に説明され得る。
【0052】
図2に示すように、占有状態Eの周期的な決定のステップe1は、以下のサブステップを含む:
アンテナを介して電磁波11を送信するサブステップe11と、
センサを介して反射電磁波12を受信するサブステップe12と、
占有状態Eを決定するために、コンピュータ30によって反射電磁波12を分析するサブステップe13。
【0053】
ここで、図2に概略的に示すように、占有状態Eが送信、受信および分析の第1のサイクルによって決定された後、占有状態Eは、送信、受信および分析の新しいサイクルによって再決定され得る。
【0054】
したがって、ここで、占有状態Eの周期的な決定は、特に電磁波11を送信するサブステップe11が周期的に実行されることを意味する。次いで、受信e12および分析e13の他の2つのサブステップは、再び周期的にこの連鎖に含まれる。
【0055】
変形形態では、送信および受信サブステップは、占有状態の決定よりも高い頻度で周期的に繰り返される。例えば、複数の反射電磁波を分析して占有状態を決定する。
【0056】
図3では、占有状態Eを周期的に決定するステップe1は、第1の繰り返し周期T1および第2の繰り返し周期T4にわたって実行される。
【0057】
図3に示すように、占有状態Eは、コンピュータ30が数値1を割り当てる占有された状態と、コンピュータ30が数値0を割り当てる空き状態との間で変化し得る。ここで、占有状態Eは、送信/受信デバイスが、例えば占有状態Eの決定を不可能にするように手で遮られて、コンピュータ30が数値2を割り当てる、遮断状態も含む。
【0058】
占有状態Eの決定の繰り返しは、第1の繰り返し周期T1および第2の繰り返し周期T4の間に占有状態Eに割り当てられた数値の連続的な変化によって図2に示されている。
【0059】
振動値Vは、少なくとも2つの異なる軸線に沿った車両40の加速度の加重和としてコンピュータ30によって計算される。ここで、振動値Vは、車両40の鉛直方向A1、前後方向A2および左右方向A3の加速度の加重和として計算される。次いで、各方向A1、A2、A3は、重み付け係数に関連付けられる。明らかに、振動値Vは、単一軸線の振動の結果であってもよく、周期的な決定を中断するのに十分であり得る。
【0060】
この和の重み付けは、車両40の振動を生成する外部事象に基づいて適合させることができる。そのため、例えば、車両40が道路に沿って並列駐車している場合、他の車両によって生成される空気流によって横方向に振動する場合がある。この場合、他の方向、特に前後方向A2に対する高い重み付け係数が、コンピュータ30によって左右方向A3の加速度に適用され、それによって、そのような外部事象による誤検出を効果的に制限することができる。
【0061】
この和の重み付けは、忘れられた子供の警告、安全ベルトの着用の指示など、占有状態Eで行われる使用に基づいて適合され得る。ここで、和の重み付けは、誤検出を引き起こす可能性がある前述の外部事象に関連する最小の振動を検出するために、予め決定され、すなわち、本方法の実施前に選択される。
【0062】
振動値Vが決定された場合、振動値Vは、コンピュータ30が占有状態Eの決定の中断をトリガすることを可能にする。
【0063】
この目的のため、第1の変形実施形態では、コンピュータ30は、振動値Vを第1の所定の閾値Pと比較する。振動値Vが第1の所定の閾値Pよりも大きい、または例えば第1の所定の閾値Pよりも断然に大きい場合、コンピュータ30は、占有状態Eの周期的な決定を中断する。
【0064】
したがって、図4に示す例では、振動値Vが第1の所定の閾値Pよりも大きくなった瞬間は、占有状態Eの決定が周期的である第1の繰り返し周期T1から占有状態Eの決定が中断される中断周期T2への変化を示す。
【0065】
好ましくは、第2の変形実施形態では、コンピュータ30は、振動値Vの時間変化、すなわち振動値Vの時間微分を第2の所定の閾値と比較する。振動値Vの導関数が第2の所定の閾値よりも大きい場合、例えば断然に大きい場合、コンピュータ30は、占有状態Eの周期的な決定を中断する。ここで、振動値Vの決定の頻度は高く、例えば2秒未満であるため、正確な導関数を計算することができる。振動値Vの決定の頻度は、最初の反復中に著しく高いため、計算ログを作成することができる。
【0066】
第1の所定の閾値Pまたは第2の閾値は、誤検出を多かれ少なかれ制限するように調整することができる。第1の所定の閾値Pは、例えば、0.3~0.5ミリgである。第2の所定の閾値は、例えば、60ミリ秒間隔で2ミリgの変化である。
【0067】
ここで、振動の曲線および振動の時間変化は、前述の様々な外部事象の試験シーケンスで取得される。次いで、第1の閾値Pおよび第2の閾値を、占有状態Eの検出に対する外部事象の影響に基づいて、これらの曲線から決定することができる。
【0068】
中断は、例えば、図2に示すように、電磁波11の送信を一時中止すること、または反射電磁波12の分析を一時中止することにあり得る。
【0069】
注目すべきことに、中断周期T2の間、占有状態Eは中断の前に決定された最後の占有状態Eと等しいとみなされる。言い換えれば、コンピュータ30は、中断の前に決定された最後の占有状態Eをそのメモリに保持する。最後の占有状態Eは、例えば、振動値Vが第1の所定の閾値Pよりも大きくなった瞬間に先行する送信/受信/分析サイクルにおいて決定されたものである。
【0070】
したがって、図3および図4に示す例では、中断がトリガされたとき、占有状態Eは、第1の繰り返し周期T1の間に取得されたその最後の値、すなわち占有状態に関連する数値1を保持する。
【0071】
占有状態Eの最後の値を保持することにより、車両40の機能が、占有状態Eが安定した状態で決定されたときに、占有状態Eに基づいて動作し続けることが可能になる。しかしながら、ここで、車両のドアが開閉動作を受けた場合、車両40の乗員数の変化を示す可能性があるため、占有値は保持されない。
【0072】
変形形態では、中断周期中に、占有状態は、2つの状態のうちの1つ、例えば忘れられた子供の警告機能のための「空き」に自動的に固定することができる。
【0073】
占有状態Eの決定が中断されているときも、振動値Vを決定するステップe2は、周期的に実行され続ける。例えば、振動値Vは、時間間隔T2にわたって決定され続ける。図示の例では、振動値Vは一定のままであり、車両40が一定の強度で振動していることを示している。
【0074】
したがって、中断は、1つの振動の持続時間にわたって占有状態Eの周期的な決定を一時的に停止することにある。
【0075】
図2に示すように、本方法は、ここでは、占有状態Eの周期的な決定を再開する補助ステップe4を含む。中断と同様に、再開は、振動値Vに基づいてトリガされる。再開は、周期的に占有状態Eを決定することを再び始めることにある。
【0076】
したがって、再開は、中断をトリガした振動が止んだときに、占有状態Eを決定することを可能にし、したがって、送信/受信デバイスによって生成された安定した信号に基づいて決定することを可能にする。
【0077】
この目的のため、中断と同様に、例えば、振動値Vが第3の所定の閾値を下回ったときに、周期的な決定の再開がトリガされる。例えば、これは、図4に示す例の場合である。第3の所定の閾値は、例えば、第1の所定の閾値Pと等しい。
【0078】
好ましくは、周期的な決定の再開は、例えば、振動値Vの導関数が、例えば第2の所定の閾値と等しい第4の所定の閾値を下回ったときにトリガされる。
【0079】
図2に示すように、再開ステップe4は、ここでは、送信機/受信機デバイスを再初期化する単一のステップe41を含む。
【0080】
再初期化は、ここでは、占有状態Eの決定のための完全な送信/受信/分析サイクルに対応する待機周期T3を生成する。初期化により、送信/受信/分析サイクル中の振動により乱されたと考えられるレーダ信号に基づいて占有状態Eを決定することを回避することが可能になる。
【0081】
待機周期T3の間、占有状態Eはここでも、中断の前に決定された最後の占有状態Eに等しいとみなされる。したがって、再開ステップe4がトリガされるとき、占有状態Eは最初に、待機周期T3に対応する短時間の間に、中断の前に決定された最後の占有状態Eとして決定される。
【0082】
したがって、図3の例では、待機周期T3の間、コンピュータ30は、占有状態Eを、中断の前に決定された最後の占有状態Eであった占有状態に等しいものとして扱い続ける。
【0083】
待機周期T3の後、コンピュータ30は、占有状態Eの周期的な決定を再開する。ここで、待機周期T3の直後かつ占有状態の最初の決定の前に、占有状態の最初の決定は、最初は不確定(状態は図示せず)であるため、誤検出をトリガしない。
【0084】
図3に示す例では、再初期化の完了に際して、すなわち第2の繰り返し周期T4の開始時に、占有状態Eは、最初は空き状態として決定される。その後、占有状態Eは、占有された状態と決定され、その数値は、0から1に変化する。コンピュータ30は、例えば新たな中断まで、第2の繰り返し周期T4にわたって、占有状態Eの周期的な決定を再開する。
【0085】
最後に、図2に示すように、本方法は、ここでは、占有状態Eに基づいて信号を送信するステップe5を含む。信号は、ここでは、警告信号、例えば乗員50または車両40の鍵の保持者を対象とした可聴信号である。
【0086】
信号は、例えば、静止したロックされた車両に乗員50が存在すること、または乗員50が安全ベルトを装着する必要があることを示す。信号はまた、特定のタイプの乗員50にトリガするエアバッグの作動停止の信号であってもよい。
【0087】
本発明は、記載および図示された実施形態に決して限定されないが、当業者は、本発明による任意の変形形態をこれらに追加する方法を知っているであろう。
図1
図2
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2024-05-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
存在センサ(10)を使用して自動車両(40)内の占有状態(E)を決定するための方法であって、
前記占有状態(E)を周期的に決定するステップ(e1)と、
前記車両(40)の振動の量を表す値(V)を決定するステップ(e2)と、を含み、
前記方法が、前記占有状態(E)の前記周期的な決定を中断するステップ(e3)を含み、前記中断が、振動の量を表す前記値(V)に基づいてトリガされることを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記中断の間、前記占有状態(E)が、前記中断の前に決定された最後の占有状態(E)に等しいとみなされる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記決定の前記中断が、振動の量を表す前記値(V)が第1の所定の閾値(P)よりも大きくなったとき、または振動の量を表す前記値(V)の変化が第2の所定の閾値よりも大きくなったときにトリガされる、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記占有状態(E)の前記周期的な決定を再開するステップ(e4)をさらに含み、前記再開が、振動の量を表す前記値(V)に基づいてトリガされる、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記再開ステップ(e4)が、前記存在センサ(10)を再初期化するサブステップ(e41)を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記再開ステップ(e4)がトリガされたとき、前記占有状態(E)が最初に、前記中断の前に決定された前記最後の占有状態(E)として決定される、請求項2に従属する場合の請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記周期的な決定の前記再開が、振動の量を表す前記値(V)が第3の所定の閾値を下回ったとき、または振動の量を表す前記値(V)の変化が第4の所定の閾値を下回ったときにトリガされる、請求項4に記載の方法。
【請求項8】
前記占有状態(E)の前記周期的な決定が、規則的な時間間隔で前記決定を繰り返すことにある、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記占有状態(E)に基づいて信号を送信するステップ(e5)をさらに含み、前記信号が、乗員(50)が静止したロックされた前記車両(40)に存在すること、または乗員(50)が安全ベルトを装着する必要があること、またはエアバッグを作動停止させる必要があることを示す、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記占有状態(E)が、前記車両(40)の座席(41)の少なくとも1つに対して決定され、前記占有状態(E)が、乗員(50)が前記座席(41)に座っている占有された状態と、前記座席(41)が占有されていない空き状態とを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
振動の量を表す前記値(V)が、第1の軸線(A1,A2,A3)に沿った前記車両(40)の加速度と、前記第1の軸線(A1,A2,A3)とは異なる第2の軸線(A1,A2,A3)に沿った前記車両(40)の加速度との加重和として計算される、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記和の重み付け係数が、前記車両(40)の振動の以下の原因:
空気の流れ;
整備または修理の過程における前記車両(40)の移動;
前記車両(40)を押す外部の人;
洗浄システムを通る前記車両(40)の通過;
前記車両(40)が走行している路面の欠陥;
前記車両(40)内を移動する乗員(50)
の少なくとも1つに基づいて選択される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
自動車両(40)内の占有状態(E)を決定するためのシステムであって、
前記占有状態(E)を周期的に決定するように適合された存在センサ(10)と、
前記車両(40)の振動の量を表す値(V)を決定するように適合された振動センサ(20)と、
前記存在センサ(10)および前記振動センサ(20)に接続されたコンピュータ(30)と、を備え、
前記コンピュータ(30)が、振動の量を表す前記値(V)に基づいて前記占有状態(E)の前記周期的な決定を中断するようにプログラムされていることを特徴とする、システム。
【請求項14】
前記振動センサ(20)が、前記存在センサ(10)も備える電子回路カードに含まれる、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記振動センサ(20)が、前記車両(40)の別のシステムに含まれ、使用される、請求項13に記載のシステム。
【国際調査報告】