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特表2024-535866高信頼性用途向けのポリマーコンデンサの製造プロセス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-02
(54)【発明の名称】高信頼性用途向けのポリマーコンデンサの製造プロセス
(51)【国際特許分類】
   H01G 9/00 20060101AFI20240925BHJP
   H01G 9/028 20060101ALI20240925BHJP
   H01G 9/15 20060101ALI20240925BHJP
【FI】
H01G9/00 290E
H01G9/00 290H
H01G9/028 Z
H01G9/15
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024517024
(86)(22)【出願日】2022-09-28
(85)【翻訳文提出日】2024-03-16
(86)【国際出願番号】 EP2022076948
(87)【国際公開番号】W WO2023052404
(87)【国際公開日】2023-04-06
(31)【優先権主張番号】21199916.4
(32)【優先日】2021-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523471312
【氏名又は名称】ヘレウス エプリオ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100114292
【弁理士】
【氏名又は名称】来間 清志
(72)【発明者】
【氏名】メルカー,ウド
(72)【発明者】
【氏名】インテルマン,マティアス
(72)【発明者】
【氏名】石川 明生
(57)【要約】
【解決手段】 本発明は、コンデンサの製造プロセスであって、プロセス工程:a)電極材料(2)から作製された多孔質電極本体(1)を提供する工程であって、誘電体(3)がこの電極材料(2)の表面を少なくとも部分的に覆う、工程、b)導電性ポリマーと分散剤とを含む液体組成物を、プロセス工程a)で提供された多孔質電極本体(1)の少なくとも一部に導入する工程であって、液体組成物から作製された導電層が、100S/cm未満の導電率を有する、工程、c)誘電体(3)の表面を少なくとも部分的に覆う固体電解質層(4)を形成するために、プロセス工程b)で得られた多孔質電極本体(1)から分散剤を少なくとも部分的に除去する工程、d)プロセス工程c)で得られた多孔質電極本体(1)の細孔(5)の少なくとも一部を、少なくとも1つの含浸溶媒を含む含浸溶液で充填する工程であって、少なくとも1つの含浸溶媒が、少なくとも150℃の沸点(1013hPaで測定)を有する、工程、e)プロセス工程d)で得られた多孔質電極本体(1)から含浸溶媒を少なくとも部分的に除去する工程、f)プロセス工程e)で得られた多孔質電極本体(1)を封入する工程、を含む、プロセスに関する。本発明はまた、このプロセスで製造されたコンデンサ、サージ試験時の相対静電容量のある一定の減少を特徴とするコンデンサ、電解コンデンサの使用、及び電子回路に関する。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンデンサの製造プロセスであって、プロセス工程:
a)電極材料(2)で作製された多孔質電極本体(1)を提供する工程であって、誘電体(3)が、前記電極材料(2)の表面を少なくとも部分的に覆う、工程、
b)導電性ポリマーと分散剤とを含む液体組成物を、プロセス工程a)で提供された前記多孔質電極本体(1)の少なくとも一部に導入する工程であって、前記液体組成物から作製された導電層が、100S/cm未満の導電率を有する、工程、
c)誘電体(3)の表面を少なくとも部分的に覆う固体電解質層(4)を形成するために、プロセス工程b)で得られた前記多孔質電極本体(1)から前記分散剤を少なくとも部分的に除去する工程、
d)プロセス工程c)で得られた前記多孔質電極本体(1)の細孔(5)の少なくとも一部を、少なくとも1つの含浸溶媒を含む含浸溶液で充填する工程であって、前記少なくとも1つの含浸溶媒が、少なくとも150℃の沸点(1013hPaで測定)を有する、工程、
e)プロセス工程d)で得られた前記多孔質電極本体(1)から前記含浸溶媒を少なくとも部分的に除去する工程、
f)プロセス工程e)で得られた前記多孔質電極本体(1)を封入する工程、
を含む、プロセス。
【請求項2】
プロセス工程b)で使用される前記液体組成物中の前記導電性ポリマーが粒子の形態で存在し、前記粒子が1~100nmの範囲の直径d50を有する、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
プロセス工程b)で使用される前記液体組成物中の前記導電性ポリマーが、ポリチオフェン/(ポリ)アニオン複合体の形態で存在し、前記ポリチオフェンがポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)であり、前記ポリアニオンがポリスチレンスルホン酸のアニオンである、請求項1又は2に記載のプロセス。
【請求項4】
プロセス工程b)で適用される前記液体組成物が、3重量%未満の少なくとも150℃の沸点(1013hPaで測定)を有する高沸点溶媒を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項5】
プロセス工程d)で適用される前記含浸溶液中の前記少なくとも1つの含浸溶媒が15℃未満の融点を有する、請求項1~4のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項6】
プロセス工程d)で適用される前記含浸溶液中の含浸溶媒が、少なくとも200℃かつ330℃未満の沸点(1013hPaで測定)を有する、請求項1~5のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項7】
プロセス工程d)で適用される前記含浸溶液中の前記少なくとも1つの含浸溶媒が、2~4個の繰り返し単位を有するポリグリコールである、請求項1~6のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項8】
プロセス工程d)で適用される前記含浸溶液中の前記少なくとも1つの含浸溶媒が、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール及びそれらの少なくとも2つの混合物からなる群から選択される、請求項7に記載のプロセス。
【請求項9】
プロセス工程d)で使用される前記含浸溶液が安定剤を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項10】
プロセス工程e)の後かつプロセス工程f)の前に適用されるプロセス工程e2):
e2)プロセス工程e)で得られた前記多孔質電極本体(1)の前記細孔(5)の少なくとも一部を、少なくとも1つの含浸溶媒を含む含浸溶液(6)で充填する工程であって、前記少なくとも1つの含浸溶媒が、少なくとも150℃の沸点(1013hPaで測定)を有する、工程、
を更に含む、請求項1~9のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項11】
プロセス工程e2)で適用される前記含浸溶液(6)中の前記含浸溶媒が、請求項5~8のいずれか一項において規定されている通りである、請求項10に記載のプロセス。
【請求項12】
i)電極材料(2)で作製された多孔質電極本体(1)であって、誘電体(3)が、前記電極材料(2)の表面を少なくとも部分的に覆う、多孔質電極本体(1)、
ii)導電性ポリマーを含む固体電解質層(4)であって、前記固体電解質層(4)が、前記誘電体(3)の表面を少なくとも部分的に覆う、固体電解質層(4)、
iii)前記多孔質電極本体(1)を封入する封入体、
を、構成要素として含むコンデンサであって、
前記コンデンサは、以下の特性:
(α1)本明細書に開示される試験方法によって決定される相対静電容量ΔCの最大20%の減少を満たし、ΔC=C1-C2であり、C1は相対初期静電容量であり、C2は400サイクルのサージ試験後の相対静電容量である、
コンデンサ。
【請求項13】
前記コンデンサが、以下の特性:
(α2)温度を20℃~-55℃に下げた際の静電容量の最大20%の減少、及び
(α3)前記コンデンサを125℃で1000時間保管した後の静電容量の最大20%の減少
を満たす、請求項12に記載のコンデンサ。
【請求項14】
請求項12若しくは13に記載のコンデンサの、又は請求項1~11のいずれか一項に記載のプロセスによって得ることができるコンデンサの、電子回路における使用。
【請求項15】
請求項12~13のいずれか一項に記載のコンデンサ、又は請求項1~11のいずれか一項に記載のプロセスによって得ることができるコンデンサ、を含む電子回路。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンデンサの製造プロセス、このプロセスを用いて製造されたコンデンサ、サージ試験を実施すると相対静電容量がある一定で減少することを特徴とするコンデンサ、これらのコンデンサの使用、及び電子回路に関する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
標準的な電解コンデンサは、概して、多孔質金属電極、金属表面上に配置された酸化物層、多孔質構造に導入される概ね固体の導電性材料、銀層などの外部電極(接点)、及び他の電気接点並びに封入体からなる。頻繁に使用される電解コンデンサの1つは、陽極電極がバルブ金属タンタルから作製されるタンタル電解コンデンサであり、その上に、五酸化タンタルの均一な誘電体層が陽極酸化によって生成されている(「形成」とも呼ばれる)。液体又は固体電解質は、コンデンサの陰極を形成する。陽極電極がバルブ金属アルミニウムから作製され、その上に均一で電気絶縁性酸化アルミニウム層が、陽極酸化によって誘電体として生成されるアルミニウムコンデンサもまた、頻繁に使用される。ここでも、液体電解質又は固体電解質が、コンデンサの陰極を形成する。アルミニウムコンデンサは、概して、巻回型コンデンサ又はスタック型コンデンサとして具現化される。
【0003】
高い導電率を考慮して、π-共役ポリマーは、上記のコンデンサ中の固体電解質として特に好適である。π-共役ポリマーは、導電性ポリマー又は合成金属とも呼ばれる。金属と比較して、ポリマーは加工、重量、及び化学的改質による特性の選択的調整に関して利点を有するため、共役ポリマーはその商業的重要性が高まりつつある。既知のπ-共役ポリマーの例としては、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアニリン、ポリアセチレン、ポリフェニレン、及びポリ(p-フェニレン-ビニレン)が挙げられ、ポリ(3,4-エチレン-ジオキシチオフェン)(PEDOT)は、酸化形態で非常に高い導電率を有するため、技術的に使用される特に重要なポリチオフェンである。
【0004】
従来技術では、電解コンデンサ中の導電性ポリマーに基づいて固体電解質を製造するための代替的な方法が開発されている。例えば、DE-独国特許公開第102005043828(A)号は、既に重合したチオフェン、例えば先行技術から既知のPEDOT/PSS分散液を含む分散液が酸化物層に適用され、次いで、分散媒体が蒸発によって除去される、コンデンサ中の固体電解質の製造プロセスを記載している。
【0005】
しかしながら、コンデンサの電気特性は、電子回路に使用されると、その寿命の過程で、特に電子回路のスイッチオン及びスイッチオフプロセスによって劣化することが観察されている。これは、特に、固体電解質層がPEDOT/PSSに基づくコンデンサの静電容量に当てはまる。
【0006】
本発明は、コンデンサに関連して、好ましくは固体電解コンデンサに関連して、より好ましくはPEDOTなどのπ-共役ポリマーに基づく固体電解質層を含む従来技術から知られているコンデンサに関連して、更により好ましくはPEDOT/PSSに基づく固体電解質層を含む従来技術から知られているコンデンサに関連して、従来技術から生じる欠点を克服するという目的に基づいていた。
【0007】
特に、本発明は、コンデンサの製造プロセスを提供するという目的に基づいており、このプロセスによって、電子回路において使用される場合に、可能な限り長い期間にわたって可能な限り一定である電気的特性、特に可能な限り変化しない静電容量を示すコンデンサを製造することができる。
【0008】
また、本発明の目的は、特に低温及び高温での静電容量の観点から、低い等価直列抵抗(ESR)及び高い信頼性を有するコンデンサを提供することであった。
【0009】
上述の有利なコンデンサの製造プロセスはまた、可能な限り最も簡単な方法で、特に可能な限り少ないプロセス工程でこれらのコンデンサを製造することを可能にすることを更に特徴とするものである。
【0010】
上記の目的の少なくとも1つ、好ましくは2つ以上を少なくとも部分的に解決することへの貢献は、独立請求項によって行われる。従属請求項は、目的の少なくとも1つを少なくとも部分的に解決することに貢献する好ましい実施形態を提供する。
【0011】
|1a| 本発明による目的の少なくとも1つは、コンデンサ、好ましくは電解コンデンサの製造プロセスであって、以下のプロセス工程:
a)電極材料で作製された多孔質電極本体を提供する工程であって、誘電体が、電極材料の表面を少なくとも部分的に覆う、工程、
b)
i)導電性ポリマー及び分散剤を含む液体組成物A、好ましくは分散液Aであって、液体組成物Aから作製された導電層が100S/cm未満、好ましくは50S/cm未満、より好ましくは20S/cm未満、更により好ましくは10S/cm未満の導電率を有する、液体組成物A、好ましくは分散液A、
又は
ii)導電性ポリマー及び分散剤を含む液体組成物B、好ましくは分散液Bであって、液体組成物Bが、いずれの場合も、液体組成物Bの総重量に基づいて、3重量%未満、好ましくは1重量%未満、より好ましくは0.5重量%未満、更により好ましくは0.1重量%未満、最も好ましくは0.01重量%未満の高沸点溶媒を含み、高沸点溶媒は、少なくとも150℃、好ましくは少なくとも170℃、より好ましくは少なくとも185℃の沸点(1013hPaで測定)を有し、液体組成物Bが高沸点溶媒を本質的に含まないこと、好ましくは含まないことが特に好ましい、液体組成物B、好ましくは分散液B、
又は
iii)導電性ポリマー及び分散剤を含む液体組成物C、好ましくは分散液Cであって、液体組成物Cが、いずれの場合も、液体組成物Cの総重量に基づいて、3重量%未満、好ましくは1重量%未満、より好ましくは0.5重量%未満、更により好ましくは0.1重量%未満、最も好ましくは0.01重量%未満の高沸点溶媒を含み、高沸点溶媒は、少なくとも150℃、好ましくは少なくとも170℃、より好ましくは少なくとも185℃の沸点(1013hPaで測定)を有し、液体組成物Cから作製された導電層が100S/cm未満、好ましくは50S/cm未満、より好ましくは20S/cm未満、更により好ましくは10S/cm未満の導電率を有し、液体組成物Cが高沸点溶媒を本質的に含まないこと、好ましくは含まないことが特に好ましい、液体組成物C、好ましくは分散液Cを、
プロセス工程a)で提供した多孔質電極本体の少なくとも一部に導入する工程、
c)誘電体の表面を少なくとも部分的に覆う固体電解質層を形成するために、プロセス工程b)で得られた多孔質電極本体から分散剤を少なくとも部分的に除去する工程、
d)プロセス工程c)で得られた多孔質電極本体の細孔の少なくとも一部を、少なくとも1つの含浸溶媒を含む含浸溶液で充填する工程であって、少なくとも1つの含浸溶媒が、少なくとも150℃、好ましくは少なくとも170℃、より好ましくは少なくとも190℃の沸点(1013hPaで測定)を有する、工程、
e)プロセス工程d)で得られた多孔質電極本体から含浸溶媒を少なくとも部分的に除去する工程、
f)プロセス工程e)で得られた多孔質電極本体を封入する工程、
を含む、コンデンサ、好ましくは電解コンデンサの製造プロセスの第1の実施形態によって解決される。
【0012】
本明細書で使用される「少なくとも150℃の沸点(1013hPaで測定)を有する高沸点溶媒」という用語は、好ましくは、少なくとも150℃の温度で実際に沸騰する(すなわち、その凝集状態を液体状態から気体状態に変化させる)化合物を指す。この用語は、好ましくは、実際には沸騰しないが、高温で分解した後沸騰する化合物(ポリエチレングリコール400など)を含まない。
【0013】
プロセス工程b)及びc)の組合せは、1回だけ行うことができるか、又は数回、例えば2回、3回、4回、5回、6回、7回、8回、9回又は少なくとも10回繰り返すことができる。
【0014】
プロセス工程b)~e)の組合せは、1回だけ実施することができるか、又は数回繰り返すことができる。例えば、プロセス工程b)、c)、d)、e)、b)、c)、d)及びe)をその順序で含むこと、又は更なる繰り返しを更に含むことを特徴とするプロセスを行うことができる。
【0015】
本発明によるプロセスの第1の最も好ましい変形形態によれば、プロセス工程b)で、液体組成物A、好ましくは分散液Aが、プロセス工程a)で提供された多孔質電極本体の少なくとも一部に導入される。これに関連して、液体組成物Aから作製された導電層は、0.1S/cm以上、好ましくは0.5S/cm以上、更により好ましくは1S/cm以上の導電率を有することも好ましい。最も好ましくは、液体組成物Aから作製された導電層は、1S/cm~10S/cmの範囲の導電率を有する。
【0016】
本発明によるプロセスの第2の変形形態によれば、プロセス工程b)で、液体組成物B、好ましくは分散液Bが、プロセス工程a)で提供された多孔質電極本体の少なくとも一部に導入される。
【0017】
本発明によるプロセスの第3の変形形態によれば、プロセス工程b)で、液体組成物C、好ましくは分散液Cが、プロセス工程a)で提供された多孔質電極本体の少なくとも一部に導入される。これに関連して、液体組成物Cから作製された導電層は、0.1S/cm以上、好ましくは0.5S/cm以上、更により好ましくは1S/cm以上の導電率を有することも好ましい。最も好ましくは、液体組成物Cから作製された導電層は、1S/cm~10S/cmの範囲の導電率を有する。
【0018】
プロセス工程b)で使用される液体組成物A、B又はCは、溶液又は分散液の形態で存在することができる。しかしながら、ここでの変遷は流体であり得る。そのため、以下、「分散される」及び「溶解される」という用語間に区別はない。同様に、「分散液」と「溶液」又は「分散剤」と「溶媒」との間に区別はない。むしろ、これらの用語は、同義に使用される。しかしながら、液体組成物A、B又はCは、好ましくは、導電性ポリマーが分散剤中に分散されている分散液の形態で存在する。
【0019】
|2a| 本発明によるプロセスの好ましい実施形態によれば、電極材料はアルミニウムであり、誘電体は酸化アルミニウム、好ましくはAlである。この好ましい実施形態は、本発明による方法の第2の実施形態であり、好ましくは第1の実施形態に従属する。
【0020】
|3a| 本発明によるプロセスの更に好ましい実施形態によれば、プロセス工程b)で使用される液体組成物A、B又はC、好ましくは液体組成物Aは、導電性ポリマーの粒子を含む。これに関連して、粒子は、1~100nmの範囲、好ましくは1~70nm未満の範囲、好ましくは1~50nmの範囲、特に好ましくは1~40nmの範囲、より特に好ましくは5~30nmの範囲の直径d50を有することが特に好ましい。粒子の直径の判定は、超遠心分離機測定を介して実行される。この好ましい実施形態は、本発明による方法の第3の実施形態であり、好ましくは第1又は第2の実施形態に従属する。
【0021】
|4a| 本発明によるプロセスの更に好ましい実施形態によれば、導電性ポリマーは、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアニリン及びそれらの少なくとも2つの混合物からなる群から選択される少なくとも1つのポリマーを含む。この好ましい実施形態は、本発明によるプロセスの第4の実施形態であり、好ましくは第1~第3の実施形態のいずれか1つに従属する。
【0022】
|5a| 本発明によるプロセスの更に好ましい実施形態によれば、導電性ポリマーは、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)又はその誘導体である。この好ましい実施形態は、本発明によるプロセスの第5の実施形態であり、好ましくは第1~第4の実施形態のいずれか1つに従属する。
【0023】
|6a| 本発明によるプロセスの更に好ましい実施形態によれば、プロセス工程b)で使用される液体組成物A、B又はC、好ましくは液体組成物Aは、少なくとも1つのポリマーアニオンを更に含む。この好ましい実施形態は、本発明によるプロセスの第6の実施形態であり、好ましくは第1~第5の実施形態のいずれか1つに従属する。
【0024】
|7a| 本発明によるプロセスの更に好ましい実施形態によれば、ポリマーアニオンはポリスチレンスルホン酸又はその誘導体である。これに関連して、プロセス工程b)で使用される液体組成物A、B又はC中の、好ましくは液体組成物A中の導電性ポリマーは、ポリチオフェン/(ポリ)アニオン複合体の形態で存在し、ポリチオフェンはポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)であり、ポリアニオンはポリスチレンスルホン酸のアニオンであることが特に好ましい。この好ましい実施形態は、本発明によるプロセスの第7の実施形態であり、好ましくは第6の実施形態に従属する。
【0025】
|8a| 本発明によるプロセスの更に好ましい実施形態によれば、プロセス工程b)で使用される液体組成物A、B又はC、好ましくは液体組成物Aは、2.5~8.0の範囲、好ましくは2.5~7の範囲、より好ましくは3~6の範囲のpH値(25℃で測定)を有する。この好ましい実施形態は、本発明によるプロセスの第8の実施形態であり、好ましくは第1~第7の実施形態のいずれか1つに従属する。
【0026】
|9a| 本発明によるプロセスの更に好ましい実施形態によれば、プロセス工程d)で、プロセス工程c)で得られた多孔質電極本体の開放細孔容積の少なくとも25体積%、より好ましくは少なくとも30体積%、更により好ましくは少なくとも40体積%、更により好ましくは少なくとも50体積%、更により好ましくは少なくとも75体積%、最も好ましくは少なくとも90体積%が、含浸溶液で充填される。この好ましい実施形態は、本発明によるプロセスの第9の実施形態であり、好ましくは第1~第8の実施形態のいずれか1つに従属する。
【0027】
|10a| 本発明によるプロセスの更に好ましい実施形態によれば、プロセス工程d)で使用される含浸溶液は、1000μS/cm未満、好ましくは100μS/cm未満、更により好ましくは10μS/cm未満、最も好ましくは1μS/cm未満のイオン伝導率を有する。この好ましい実施形態は、本発明によるプロセスの第10の実施形態であり、好ましくは第1~第9の実施形態のいずれか1つに従属する。
【0028】
|11a| 本発明によるプロセスの更に好ましい実施形態によれば、プロセス工程d)で使用される含浸溶液は、含浸溶媒の少なくとも2つの混合物を含む。この好ましい実施形態は、本発明によるプロセスの第11の実施形態であり、好ましくは第1~第10の実施形態のいずれか1つに従属する。
【0029】
|12a| 本発明によるプロセスの更に好ましい実施形態によれば、プロセス工程d)で使用される含浸溶液は、いずれの場合においても、含浸溶液の総重量に基づいて、少なくとも50重量%、好ましくは少なくとも75重量%、更により好ましくは少なくとも90重量%、最も好ましくは少なくとも95重量%の量の少なくとも1つの含浸溶媒を含む。2つ以上の含浸溶媒の場合、これらの量は含浸溶媒の総量を表す。この好ましい実施形態は、本発明によるプロセスの第12の実施形態であり、好ましくは第1~第11の実施形態のいずれか1つに従属する。
【0030】
|13a| 本発明によるプロセスの更に好ましい実施形態によれば、プロセス工程d)で使用される含浸溶液中の少なくとも1つの含浸溶媒は、15℃未満、好ましくは5℃未満、更により好ましくは-5℃未満の融点を有する。この好ましい実施形態は、本発明によるプロセスの第13の実施形態であり、好ましくは第1~第12の実施形態のいずれか1つに従属する。
【0031】
|14a| 本発明によるプロセスの更に好ましい実施形態によれば、プロセス工程d)で使用される含浸溶液中の少なくとも1つの含浸溶媒は、少なくとも200℃かつ330℃未満の沸点(1013hPaで測定)を有する。この好ましい実施形態は、本発明によるプロセスの第14の実施形態であり、好ましくは第1~第13の実施形態のいずれか1つに従属する。
【0032】
|15a| 本発明によるプロセスの更に好ましい実施形態によれば、プロセス工程d)で使用される含浸溶液中の少なくとも1つの含浸溶媒は、2個のヒドロキシ基を含む化合物であるか、又は1個のヒドロキシ基及び1個のエーテル基、好ましくは1個のアルキルエーテル基を含む化合物であり、2~4個の繰り返し単位を有するポリグリコールが含浸溶媒として特に好ましい。この好ましい実施形態は、本発明によるプロセスの第15の実施形態であり、好ましくは第1~第14の実施形態のいずれか1つに従属する。
【0033】
|16a| 本発明によるプロセスの更に好ましい実施形態によれば、プロセス工程d)で使用される含浸溶液中の少なくとも1つの含浸溶媒は、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール及びそれらの少なくとも2つの混合物からなる群から選択され、ジエチレングリコール及びトリエチレングリコールが特に好ましい。この好ましい実施形態は、本発明によるプロセスの第16の実施形態であり、好ましくは第1~第15の実施形態のいずれか1つに従属する。
【0034】
|17a| 本発明によるプロセスの更に好ましい実施形態によれば、プロセス工程b)で使用される液体組成物A、B又はC、好ましくは液体組成物A、プロセス工程d)で使用される含浸溶液又はその両方、好ましくはプロセス工程d)で使用される含浸溶液は、安定剤を更に含む。この好ましい実施形態は、本発明によるプロセスの第17の実施形態であり、好ましくは第1~第16の実施形態のいずれか1つに従属する。好ましい安定剤は、国際公開第2012/041507(A1)号で言及されている化合物であり、少なくとも2つのOH基と、炭素とは異なるヘテロ原子を有する1つの更なる官能基とを含有する芳香族化合物が特に好ましい。好適な安定剤の例は、3,4,5-トリヒドロキシ安息香酸、及び3,4,5-トリヒドロキシ安息香酸エステル(没食子酸エステル)のようなその誘導体、特に、アルキルエステル、アルケニルエステル、シクロアルキルエステル、シクロアルケニルエステル、アリールエステルであり、好ましくは各々の場合にエステルのアリール又はアルキル基に1~15個のC原子を有する。特に好ましいのは、没食子酸及び糖でエステル化された没食子酸であり、これらは、しばしばタンニン又はガロタンニンと呼ばれる(Rompp Chemie、第10版(1999)、4391頁を参照)。安定剤としては、欧州特許公開第1798259(A1)号の段落[0049]で言及される「ヒドロキシ基含有芳香族化合物」、欧州特許公開第1043720(A1)号の段落[0025]で言及される「酸化防止剤」、国際公開第2008/055834(A1)号の10及び11頁で言及される「少なくとも2つのヒドロキシ基を含有するスルホ基を除いた芳香族化合物」も好適である。これに関連して、安定剤を、含浸溶液の総重量に基づいて、0.1重量%~60重量%、好ましくは1重量%~25重量%、特に好ましくは2重量%~10重量%の範囲の濃度で使用することも好ましい。プロセス工程b)で使用される液体組成物A、B又はC、好ましくは液体組成物Aが安定剤を含む場合、安定剤を、液体組成物の総重量に基づいて、0.1重量%~20重量%の範囲、好ましくは0.5重量%~10重量%の範囲、特に好ましくは1重量%~5重量%の範囲の濃度で使用することが好ましい。
【0035】
|18a| 本発明によるプロセスの更に好ましい実施形態によれば、プロセス工程e)で、含浸溶媒の総量の少なくとも50重量%、好ましくは少なくとも70重量%、より好ましくは少なくとも80重量%、更により好ましくは少なくとも90重量%、更により好ましくは少なくとも95重量%、最も好ましくは少なくとも99重量%が、プロセス工程d)で得られた多孔質電極本体から除去される。この好ましい実施形態は、本発明によるプロセスの第18の実施形態であり、好ましくは第1~第17の実施形態のいずれか1つに従属する。
【0036】
|19a| 本発明によるプロセスの更なる好ましい実施形態によれば、方法は、プロセス工程e)の後かつプロセス工程f)の前に適用されるプロセス工程e2):
e2) プロセス工程e)で得られた多孔質電極本体の細孔の少なくとも一部を、少なくとも1つの含浸溶媒を含む含浸溶液で充填する工程であって、少なくとも1つの含浸溶媒が、少なくとも150℃、好ましくは少なくとも170℃、より好ましくは少なくとも190℃の沸点(1013hPaで測定)を有する、工程を更に含む。
【0037】
この好ましい実施形態は、本発明によるプロセスの第19の実施形態であり、好ましくは第1~第18の実施形態のいずれか1つに従属する。
【0038】
これに関連して、プロセス工程e2)で使用される含浸溶液が、本発明によるプロセスの第10~第13の実施形態において規定される含浸溶液であり、プロセス工程e2)で使用される含浸溶液中の含浸溶媒が、本発明による方法の第13~第16の実施形態のいずれか1つにおいて規定される含浸溶媒であることが特に好ましい。しかしながら、プロセス工程d)で使用される含浸溶液中の含浸溶媒と、プロセス工程e2)で使用される含浸溶液中の含浸溶媒とは、必ずしも同一である必要はない。
【0039】
これに関連して、プロセス工程f)で多孔質電極本体を封入する前に、50重量%未満、好ましくは25重量%未満、より好ましくは10重量%未満、更により好ましくは1重量%未満、更により好ましくは0.1重量%未満の含浸溶媒が、プロセス工程e2)で得られた多孔質電極本体から除去されることも特に好ましい。これに関連して、プロセス工程e2)を実施した後、かつプロセス工程f)を実施する前に、プロセス工程e2)で得られた多孔質電極本体を乾燥させないこと、特にプロセス工程e2)で使用される含浸溶液中の含浸溶媒の少なくとも一部が除去される条件下で乾燥させないことが特に好ましい。
【0040】
|1b| 本発明による目的のうちの少なくとも1つを解決することへの貢献は、本発明によるプロセスによって、好ましくは第1~第19の実施形態のいずれか1つによるプロセスによって得ることができる、好ましくは得られるコンデンサ1の第1の実施形態によってなされる。
【0041】
|2b|本発明によるコンデンサ1の好ましい実施形態によれば、コンデンサは、以下の特性を満たす:
(α1)本明細書に開示される試験方法によって決定される相対静電容量ΔCの最大20%、好ましくは最大15%、更により好ましくは最大10%、最も好ましくは最大5%の減少であって、ΔC=C1-C2であり、C1は相対初期静電容量であり、C2は400サイクルのサージ試験後の相対静電容量である、減少。
【0042】
この好ましい実施形態は、本発明によるコンデンサ1の第2の実施形態であり、好ましくは第1の実施形態に従属する。
【0043】
|3b| 本発明によるコンデンサ1の更なる好ましい実施形態によれば、コンデンサは、以下の特性を満たす:
(α2) 20℃から~-55℃への温度の低下時に最大20%、好ましくは最大15%、より好ましくは最大10%の静電容量の減少、及び
(α3) 125℃で1000時間のコンデンサの保管後の最大20%、好ましくは最大15%、より好ましくは最大10%の静電容量の減少。
【0044】
この好ましい実施形態は、本発明によるコンデンサ1の第3の実施形態であり、好ましくは第1又は第2の実施形態に従属する。
【0045】
|4b| 本発明によるコンデンサ1の更なる好ましい実施形態によれば、コンデンサは、1~250Vの範囲、好ましくは6~100Vの範囲、より好ましくは10~63Vの範囲の定格電圧を有する。この好ましい実施形態は、本発明によるコンデンサ1の第4の実施形態であり、好ましくは第1~第3の実施形態のいずれか1つに従属する。
【0046】
|1c| 本発明による目的のうちの少なくとも1つを解決することへの貢献は、構成要素として以下:
a)電極材料で作製された多孔質電極本体であって、誘電体が、電極材料の表面を少なくとも部分的に覆う、多孔質電極本体、
ii)導電性ポリマーを含む固体電解質層であって、固体電解質層が、誘電体の表面を少なくとも部分的に覆う、固体電解質、
iii)多孔質電極本体を封入する封入体、
を備えるコンデンサ2の第1の実施形態によってなされ、
コンデンサは、以下の特性:
(α1)本明細書に開示される試験方法によって決定される相対静電容量ΔCの最大20%、好ましくは最大15%、更により好ましくは最大10%、最も好ましくは最大5%の減少であって、ΔC=C1-C2であり、C1は相対初期静電容量であり、C2は400サイクルのサージ試験後の相対静電容量である、減少を満たす。
【0047】
好ましい多孔質本体、電極材料、誘電体、導電性ポリマー、及び封入体は、本発明によるプロセスで使用されるものである。本発明によるコンデンサ2が、本発明によるコンデンサ1と同じ特性を有することも好ましい。
【0048】
|2c| 本発明によるコンデンサ2の好ましい実施形態によれば、電極材料はアルミニウムであり、誘電体は酸化アルミニウム、好ましくはAlである。この好ましい実施形態は、本発明によるコンデンサ2の第2の実施形態であり、好ましくは第1の実施形態に従属する。
【0049】
|3c| 本発明によるコンデンサ2の更に好ましい実施形態によれば、導電性ポリマーは、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアニリン及びそれらの少なくとも2つの混合物からなる群から選択される少なくとも1つのポリマーを含む。この好ましい実施形態は、本発明によるコンデンサ2の第3の実施形態であり、好ましくは第1又は第2の実施形態に従属する。
【0050】
|4c| 本発明によるコンデンサ2の更に好ましい実施形態によれば、導電性ポリマーは、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)又はその誘導体である。この好ましい実施形態は、本発明によるコンデンサ2の第4の実施形態であり、好ましくは第1~第3の実施形態のいずれか1つに従属する。
【0051】
|5c| 本発明によるコンデンサ2の更なる好ましい実施形態によれば、固体電解質層は、少なくとも1つのポリマーアニオンを更に含む。この好ましい実施形態は、本発明によるコンデンサ1の第5の実施形態であり、好ましくは第1~第4の実施形態のいずれか1つに従属する。
【0052】
|6c| 本発明によるコンデンサ2の更に好ましい実施形態によれば、ポリマーアニオンはポリスチレンスルホン酸又はその誘導体である。これに関連して、固体電解質層中の導電性ポリマーがポリチオフェン/(ポリ)アニオン複合体の形態で存在し、ポリチオフェンがポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)であり、ポリアニオンがポリスチレンスルホン酸のアニオンであることが特に好ましい。この好ましい実施形態は、本発明によるコンデンサ2の第6の実施形態であり、好ましくは第5の実施形態に従属する。
【0053】
|7c| 本発明によるコンデンサ2の更なる好ましい実施形態によれば、コンデンサは、以下の特性を満たす:
(α2) 20℃から~-55℃への温度の低下時に最大20%、好ましくは最大15%、より好ましくは最大10%の静電容量の減少、及び
(α3) 125℃で1000時間のコンデンサの保管後の最大20%、好ましくは最大15%、より好ましくは最大10%の静電容量の減少。
【0054】
この好ましい実施形態は、本発明によるコンデンサ2の第7の実施形態であり、好ましくは第1~第6の実施形態のいずれか1つに従属する。
【0055】
|8c| 本発明によるコンデンサ2の更なる好ましい実施形態によれば、コンデンサは、1~250Vの範囲、好ましくは6~100Vの範囲、より好ましくは10~63Vの範囲の定格電圧を有する。この好ましい実施形態は、本発明によるコンデンサ2の第8の実施形態であり、好ましくは第1~第7の実施形態のいずれか1つに従属する。
【0056】
|9c| 本発明によるコンデンサ2の更なる好ましい実施形態によれば、コンデンサ2は、
iv)多孔質電極本体の開放細孔容積の少なくとも一部を充填する含浸溶液であって、含浸溶液は、好ましくは1000μS/cm未満、好ましくは100μS/cm未満、更により好ましくは10μS/cm未満、最も好ましくは1μS/cm未満の導電率を有し、含浸溶液は、少なくとも1つの含浸溶媒を含み、少なくとも1つの含浸溶媒が、少なくとも150℃、好ましくは少なくとも170℃、より好ましくは少なくとも190℃の沸点(1013hPaで決定される)を有する、含浸溶液
を更に含む。
【0057】
この好ましい実施形態は、本発明によるコンデンサ2の第9の実施形態であり、好ましくは第1~第8の実施形態のいずれか1つに従属する。好ましい含浸溶液及び含浸溶媒は、本発明によるプロセスのプロセス工程d)に関連して先に言及した溶液及び溶媒である。
【0058】
|1d| 本発明による目的の少なくとも1つを解決することへの貢献は、第1~第4の実施形態のいずれか1つによるコンデンサ1を使用することによって、又は第1~第9の実施形態のいずれか1つによるコンデンサ2を、例えば平滑コンデンサ(「フィルタコンデンサ」)又は抑制コンデンサ(「デカップリングコンデンサ」)として電子回路に使用することによってなされる。電子回路は、例えば、コンピュータ(デスクトップ、ラップトップ、サーバ)に、コンピュータ周辺デバイス(例えば、PCカード)に、携帯電話、デジタルカメラ、充電器又は消費者電子機器などの携帯電子デバイスに、CD/DVDプレーヤ及びコンピュータゲームコンソールなどの消費者電気機器に、ナビゲーションシステムに、モバイル通信用の基地局などの遠距離通信デバイスに、除細動器などの医療技術における家電機器に、再生可能エネルギーに基づくものなどの電源又はハイブリッド若しくは電気自動車などの自動車電子機器の電源に見出すことができる。
【0059】
|1e| 本発明による目的の少なくとも1つを解決することへの貢献は、第1~第4の実施形態のいずれか1つによるコンデンサ1を備える電子回路によって、又は第1~第9の実施形態のいずれか1つによるコンデンサ2の使用によってなされる。
【0060】
プロセス工程a)
本発明によるプロセスのプロセス工程a)で、電極材料で作製された多孔質電極本体が提供され、誘電体は、この電極材料の表面を少なくとも部分的に覆う。
【0061】
原則として、多孔質電極本体は、大きな表面積を有するバルブ金属粉末が圧縮及び焼結されて、多孔質電極本体を形成することで製造することができる。これに関連して、好ましくはタンタルなどのバルブ金属から作製される電気接触ワイヤが従来、多孔質電極本体に圧縮される。次いで、多孔質電極本体は、例えば、電気化学的酸化によって、誘電体、すなわち酸化物層で被覆される。その代わりに、多孔質領域を有する陽極フィルムを得るために、金属フィルムをエッチングし、電気化学的酸化によって誘電体で被覆することができる。巻回型コンデンサの場合、電極本体を形成する多孔質領域を有する陽極フィルムと陰極フィルムとが、セパレータによって分離され、巻回される。
【0062】
本発明の範囲内で、酸化物被覆が両方向に均一に電流を流すことができない金属は、バルブ金属として理解される。陽極に電圧が印加されると、バルブ金属の酸化物層が電流の流れを遮断する一方、陰極に電圧が印加される場合、多量の電流が発生し、酸化物層を破壊する可能性がある。バルブ金属は、Be、Mg、Al、Ge、Si、Sn、Sb、Bi、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、及びW、並びにこれらの金属のうちの少なくとも1つと他の元素との合金又は化合物を含む。バルブ金属の最も周知の代表例は、Al、Ta及びNbである。バルブ金属と同等の電気的特性の組合せは、金属の導電性を有するものであり、酸化することができ、その酸化物層が上記の特性を提供する。例えば、NbOは、金属の導電性を示すが、概してバルブ金属とみなされない。しかしながら、酸化したNbOの層は、バルブ金属酸化物層の典型的な特性を呈し、その結果、NbO又はNbOの合金若しくは化合物は、バルブ金属と同等の電気的特性を有する化合物の典型的な例である。タンタル、アルミニウムで作製された電極材料、及びニオブ又は酸化ニオブに基づく電極材料が好ましい。アルミニウムが、電極材料として特に好ましい。
【0063】
多孔質領域を有することが多い多孔質電極本体を製造するために、バルブ金属は、例えば、粉末形態で焼結されて、概ね多孔質の電極本体を提供することができ、又はその代わりに、多孔質構造が金属体上に刻印される。後者は、例えば、フィルムをエッチングすることによって実行することができる。
【0064】
以下、簡潔にするために、多孔質領域を有する本体は、多孔質とも称される。例えば、多孔質領域を有する電極本体は、多孔質電極本体とも称される。一方で、多孔質本体は複数のチャネルで貫通することができ、したがってスポンジ状である。このことは、タンタルがコンデンサの構築に使用される場合に当てはまることが多い。一方、細孔は表面にのみ存在することができ、表面細孔の下に配置される領域は固体状に形成することができる。これは、アルミニウムがコンデンサ構造に使用される場合、しばしば観察される。
【0065】
次いで、このように製造された多孔質電極本体は、誘電体を形成するために、電圧を印加することによって、例えば適切な電解質中、例えばリン酸、又はアジピン酸アンモニウムの水溶液中で酸化される。この形成電圧の大きさは、達成されるべき酸化物層の厚さ、又は対応してその後のコンデンサの動作電圧に依存する。好ましい形成電圧は、1~1000Vの範囲、特に好ましくは10~200Vの範囲、より特に好ましくは15~100Vの範囲、より好ましくは20~50Vの範囲内である。
【0066】
使用される多孔質電極本体は、好ましくは10~90%、好ましくは30~80%、特に好ましくは50~80%の有孔率と、10~10000nm、好ましくは50~5000nm、特に好ましくは100~3000nmの平均細孔直径とを有する。
【0067】
本発明によるプロセスの特別な実施形態によれば、製造されるべき電解コンデンサは、アルミニウム巻回型コンデンサである。この場合、プロセス工程a)で、電極材料としての多孔質アルミニウムフィルムが陽極に形成されることによって、酸化アルミニウム被覆が、誘電体として形成される。次いで、このようにして得られたアルミニウムフィルム(陽極フィルム)に接触ワイヤが設けられ巻回されて、更なる多孔質アルミニウムフィルム(陰極フィルム)にも接触ワイヤが設けられることによって、これらの2つのフィルムは、例えば、セルロースに基づく、又は好ましくは合成紙に基づく1つ以上のセパレータ紙によって互いに分離される。巻回した後、このようにして得られた陽極本体は、例えば、接着テープによって固定される。セパレータ紙は、オーブン内で加熱することによって炭化させることができる。このアルミニウム巻回型コンデンサ用の陽極本体を製造する方法は、従来技術から十分に知られており、例えば、米国特許第7,497,879(B2)号に記載されている。
【0068】
プロセス工程b)及びc)
本発明によるプロセスのプロセス工程b)で、本発明によるプロセスの第1の実施形態に関連して記載された液体組成物A、B又はC、好ましくは液体組成物A(以下、単に液体組成物と称する)は、好ましくは導電性ポリマー及び分散剤を含む分散液の形態で、プロセス工程a)で提供された多孔質電極本体の少なくとも一部に導入される。次いで、プロセス工程c)で、分散剤は、誘電体の表面を少なくとも部分的に覆う固体電解質を形成するために少なくとも部分的に除去される。
【0069】
液体組成物は、既知のプロセス、例えば、浸漬、液浸、流込み、滴下、注入、噴霧、拡散、塗装、又はインクジェット印刷、スクリーン印刷、若しくはタンポ印刷などの印刷を使用して、多孔質領域に導入される。導入は、好ましくは、プロセス工程a)で提供された多孔質電極本体を液体組成物に浸漬し、それに応じてこの液体組成物を含浸させることで実行される。液体組成物への浸漬又は含浸は、好ましくは、1秒~120分の範囲、特に好ましくは10秒~60分の範囲、最も好ましくは30秒~15分の範囲の持続時間にわたって実施される。陽極本体への液体組成物の導入は、例えば、圧力、振動、超音波、又は熱を増減させることによって容易にすることができる。
【0070】
多孔質電極本体への液体組成物の導入は、直接、又は接着促進剤、例えば、有機官能性シラン又はそれらの加水分解物などのシラン、例えば、3-グリシドキシ-プロピルトリアルコキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-メルカプトプロピル-トリメトキシシラン、3-メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、若しくはオクチルトリエトキシシラン及び/又は1つ以上の他の機能層を用いて行うことができる。
【0071】
導入によって、液体組成物が、より少ない程度で、多孔質領域の細孔を層で覆う傾向があることが好ましく達成される。正確には、細孔の空洞の表面は、液体組成物で少なくとも部分的に被覆される。このようにして、液体組成物中に存在する粒子が、細孔の開口を覆う層を形成するだけでなく、細孔の表面の少なくとも一部、多くの場合、更に全領域が、液体組成物の粒子の層で覆われる。
【0072】
用語「ポリマー」は、本発明の範囲内で使用されるとき、本発明の認識の範囲内で、全ての化合物が、2つ以上の同一又は異なる繰り返し単位を有することを含む。
【0073】
用語「導電性ポリマー」は、本明細書では、特に、酸化又は還元後に導電性を有するπ-共役ポリマーの化合物のクラスを指す。好ましくは、酸化後に少なくとも0.1S/cm程度の導電率を有するπ-共役ポリマーは、導電性ポリマーとして理解される。
【0074】
液体組成物中の導電性ポリマーは、好ましくは、任意選択的に置換されているポリチオフェン、ポリピロール、及びポリアニリンからなる群から選択される。
【0075】
特に好ましくは、導電性ポリマーは、一般式(I)、一般式(II)、又は一般式(III)、又はそれらの少なくとも2つの組合せからなる群から選択される繰り返し単位を有するポリチオフェンを含む。以下の可能な変形例では、分散液中の導電性ポリマーは、一般式(I)、一般式(II)、若しくは一般式(III)の繰り返し単位、又は式(I)及び(II)の繰り返し単位、又は式(I)及び(III)の繰り返し単位、又は式(II)及び(III)の繰り返し単位、又は式(I)、(II)、及び(III)の繰り返し単位を有する少なくとも1つのポリチオフェンを含む。
【化1】
[式中、
Aは、任意選択的に置換されたC-C-アルキレン残基を示し、
Rは、直鎖又は分岐鎖の任意選択的に置換されたC-C18-アルキル残基、任意選択的に置換されたC-C12-シクロアルキル残基、任意選択的に置換されたC-C14-アリール残基、任意選択的に置換されたC-C18-アラルキル残基、任意選択的に置換されたC-C-ヒドロキシアルキル残基又はヒドロキシル残基を示し、
xは、0~8の整数を示し、
いくつかの残基RがAに結合している場合、これらは同一であってもよく、異なっていてもよい]。
【0076】
一般式(I)及び(II)は、x個の置換基Rがアルキレン残基に結合することができるように理解されるべきである。
【0077】
一般式(I)又は(II)の繰り返し単位又は一般式(I)及び(II)の繰り返し単位を有するポリチオフェン(式中、Aは、任意選択的に置換されたC-C-アルキレン残基を示し、xは0又は1を示す)が特に好ましい。任意選択的に置換されているポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)は、固体電解質の導電性ポリマーとして非常に特に好ましい。
【0078】
本発明の枠組み内で、接頭辞のポリは、2つ以上の同一又は異なる繰り返し単位がポリマー又はポリチオフェンに含有されることを意味すると理解される。ポリチオフェンは、一般式(I)若しくは一般式(II)若しくは一般式(III)、又は一般式(I)及び(II)、又は一般式(I)及び(III)、又は一般式(II)及び(III)、又は一般式(I)、(II)、及び(III)の計n個の繰り返し単位を含み、nは2~2000、好ましくは2~100の整数である。一般式(I)若しくは一般式(II)若しくは一般式(III)の繰り返し単位、又は一般式(I)及び(II)の繰り返し単位、又は一般式(I)及び(III)の繰り返し単位、又は一般式(II)及び(III)の繰り返し単位、又は一般式(I)、(II)、及び(III)の繰り返し単位は、1つのポリチオフェン内の各々の場合において、それぞれ同一であってもよく、異なっていてもよい。一般式(I)若しくは一般式(II)若しくは一般式(III)のそれぞれ同一の繰り返し単位、又は一般式(I)及び(II)のそれぞれ同一の繰り返し単位、又は一般式(I)及び(III)のそれぞれ同一の繰り返し単位、又は一般式(II)及び(III)のそれぞれ同一の繰り返し単位、又は一般式(I)、(II)、及び(III)のそれぞれ同一の繰り返し単位を有するポリチオフェンが好ましい。一般式(I)若しくは一般式(II)のそれぞれ同一の繰り返し単位、又は一般式(I)及び(II)のそれぞれ同一の繰り返し単位を有するポリチオフェンが特に好ましい。
【0079】
ポリチオフェンは、好ましくは、各末端基においてHを有する。
【0080】
本発明の範囲内で、C-C-アルキレン残基Aは、好ましくは、メチレン、エチレン、n-プロピレン、n-ブチレン、又はn-ペンチレンである。C-C18-アルキル残基Rは、好ましくは、メチル、エチル、n-若しくはイソ-プロピル、n-、イソ-、sec-若しくはtert-ブチル、n-ペンチル、1-メチルブチル、2-メチルブチル、3-メチルブチル、1-エチルプロピル、1,1-ジメチルプロピル、1,2-ジメチルプロピル、2,2-ジメチルプロピル、n-ヘキシル、n-ヘプチル、n-オクチル、2-エチルヘキシル、n-ノニル、n-デシル、n-ウンデシル、n-ドデシル、n-トリデシル、n-テトラデシル、n-ヘキサデシル、又はn-オクタデシルなどの直鎖又は分岐鎖のC-C18-アルキル残基を示し、C-C12-シクロアルキル残基Rは、例えば、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、又はシクロデシルを示し、C-C14-アリール残基Rは、例えば、フェニル又はナフチルを示し、及びC-C18-アラルキル残基Rは、例えば、ベンジル、o-、m-、p-トリル、2,3-、2,4-、2,5-、2,6-、3,4-、3,5-キシリル又はメシチルを示す。上記のリストは、本発明の例示的な説明の目的のために提供されており、排他的であるとみなされるべきではない。
【0081】
残基A及び/又は残基Rの任意選択の更なる置換基として、多数の有機基、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基、ハロゲン基、エーテル基、チオエーテル基、ジスルフィド基、スルホキシド基、スルホン基、スルホネート基、アミノ基、アルデヒド基、ケト基、カルボン酸エステル基、カルボン酸基、カーボネート基、カルボキシレート基、シアノ基、アルキルシラン基、及びアルコキシシラン基、並びにカルボキシルアミド基が本発明の範囲内で考慮される。
【0082】
上記に列挙された残基A及びR、並びに/又は残基A及びRの更なる置換基は、例えば、ポリアニリン又はポリピロールの置換基として考慮される。非置換ポリアニリンが好ましい。
【0083】
本発明の範囲は、上記で提示され、また以下に列挙される、又は好ましい範囲で列挙される全般的な残基の定義、パラメータ、及び説明の全てを、互いに一緒に、すなわち、それぞれの範囲と好ましい範囲との間の任意の組合せで含む。
【0084】
固体電解質として好ましいプロセスで使用されるポリチオフェンは、中性又はカチオン性であり得る。好ましい実施形態では、それらはカチオン性であり、「カチオン性」は、主ポリチオフェン鎖に提供される電荷にのみ関連する。残基上の置換基に応じて、ポリチオフェンは、構造単位内に正電荷及び負電荷を担持することができ、正電荷は、主ポリチオフェン鎖上に配置され、負電荷は、任意選択的に、スルホネート基又はカルボキシレート基によって置換された残基R上に配置される。したがって、ポリチオフェン主鎖の正電荷は、残基R上に任意選択的に存在するアニオン性基によって部分的又は完全に補償され得る。概して、これらの場合、ポリチオフェンは、カチオン性、中性、又は更にはアニオン性であり得る。しかしながら、本発明の範囲内では、主ポリチオフェン鎖上の正電荷が明らかに重要であるため、ポリチオフェンは全てカチオン性ポリチオフェンとみなされる。正確な数及び位置を正確に判定することができないため、正電荷は、式に示されていない。しかしながら、正電荷の数は、少なくとも1かつ最大でnであり、nは、ポリチオフェン内の全ての繰り返し単位(同一又は異なる)の総数を示す。
【0085】
正電荷の補償のために、これが、任意選択的にスルホネート置換又はカルボキシレート置換され、したがって負に帯電した残基Rを通じてまだ行われていないという条件で、カチオン性ポリチオフェンは対イオンとしてアニオンを必要とする。
【0086】
対イオンは、モノマー又はポリマーアニオンであり得、後者は以下、ポリアニオンとも称される。ポリマーアニオンは、フィルムの形成に寄与し、それらのサイズにより、熱的により安定した導電性フィルムをもたらすため、モノマーアニオンよりも好ましい。
【0087】
本明細書でのポリマーアニオンは、例えば、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、若しくはポリマレイン酸などのポリマーカルボン酸、又はポリスチレンスルホン酸及びポリビニルスルホン酸などのポリマースルホン酸のアニオンであり得る。これらのポリカルボン酸及びポリスルホン酸はまた、ビニルカルボン酸及びビニルスルホン酸と、アクリルエステル及びスチレンなどの他の重合可能なモノマーとのコポリマーであり得る。
【0088】
言及された粒子中のポリマーカルボン酸又はスルホン酸のアニオンは、ポリマーアニオンとして好ましい。
【0089】
ポリチオフェンの使用で存在するポリスチレンスルホン酸(PSS)、特に先行技術から既知である、好ましくはPEDOT/PSS複合体の形態で複合体結合されたポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)のアニオンが、ポリマーアニオンとして特に好ましい。そのような複合体は、ポリスチレンスルホン酸の存在下での水溶液中のチオフェンモノマー、好ましくは3,4-エチレンジオキシチオフェンの酸化重合を通じて得ることができる。
【0090】
ポリアニオンを提供するポリ酸の分子量は、好ましくは1000~2000000、特に好ましくは2000~500000である。ポリ酸又はそれらのアルカリ塩は、市販されており、例えば、ポリスチレンスルホン酸及びポリアクリル酸であるが、既知のプロセスを使用して製造することもできる(例えば、Houben Weyl、Methoden der organischen Chemie、Vol.E20 Makromolekulare Stoffe、Part 2、(1987)、[Methods of Organic Chemistry,Macromolecular Substances]、1141頁以下参照)。
【0091】
ポリマーアニオン及び導電性ポリマーは、液体組成物中に、特に0.5:1~50:1、好ましくは1:1~30:1、特に好ましくは1.5:1~20:1の重量比で含有され得る。この状況での導電性ポリマーの重量は、重合中に完全な変換が起こるという仮定の下、使用されるモノマーの計量された量に対応する。
【0092】
モノマーアニオンとして、例えば、C-C20-アルカンスルホン酸、例えばメタン-、エタン-、プロパン-、ブタン-、又は高級スルホン酸、例えば、ドデカン酸スルホン酸、脂肪族ペルフルオロスルホン酸、例えばトリフルオロメタンスルホン酸、ペルフルオロブタンスルホン酸、又はペルフルオロオクタンスルホン酸、脂肪族C-C20-カルボン酸、例えば2-エチルヘキシルカルボン酸、脂肪族ペルフルオロカルボン酸、例えば、トリフルオロ酢酸若しくはペルフルオロオクタン酸、及びC-C20-アルキル基で任意選択的に置換された芳香族スルホン酸、例えば、ベンゼンスルホン酸、o-トルエンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、又はドデシルベンゼンスルホン酸及びシクロアルカンスルホン酸、例えばカンファースルホン酸又はテトラフルオロボレート、ヘキサフルオロホスフェート、パークロレート、ヘキサフルオロアンチモネート、ヘキサフルオロアルセネート、又はヘキサクロロアンチモネートのモノマーオニオンを使用することができる。p-トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、又はカンファースルホン酸のアニオンが、モノマーアニオンとして好ましい。
【0093】
カチオン性ポリチオフェンは、電荷補償のための対イオンとしてアニオンを含有するものであり、専門家の世界ではポリチオフェン/(ポリ)-アニオン複合体と称されることが多い。
【0094】
プロセス工程b)及びc)での固体電解質層の形成に使用することができるポリチオフェンとして、好ましくは少なくとも50%の程度まで、更により好ましくは少なくとも75%の程度まで、更により好ましくは少なくとも95%の程度まで、最も好ましくは100%の程度まで式(I)の繰り返し単位を含む、自己ドープポリチオフェンも好適である。
【化2】
[式中、
X、Yは、同一又は異なり、O、S、N-Rを示し、Rは、C-C18-アルキル又は水素を示し、
Zは、少なくともアニオン性置換基、好ましくは-SO 基を有する有機残基を示し、Mはカチオンを示す]。
【0095】
式(I)の繰り返し単位の好ましい実施形態によれば、
Zは、-(CH-CR-(CH-を示し、
式中、
は、水素、-(CH-O-(CR -SO 、又は-(CH-SO Mを示し、
は、-(CH-O-(CR -SO 、又は-(CH-SO を示し、
m、nは、同一又は異なり、0~3の整数を示し、
は、水素又はC-C10アルキル基、好ましくはメチル基を示し、
sは、0~10の整数を示し、
pは、1~18の整数を示し、
上記式中、R、R、R、及びRは、同じであっても異なっていてもよい。
【0096】
上記のパーセンテージ値は、この状況では、自己ドープ導電性ポリマー中のモノマー単位の総数における構造式(I)の単位の数値含有量を表すことを意図している。
【0097】
好適なカチオンMは、例えば、H、Li、Na、K、Rb、Cs、及びNH である。特に好適なカチオンは、Na及びKである。
【0098】
構造式(I)の特に好ましいモノマーでは、
X、YはOを示し、
Zは、-(CH-CR-(CH-を示し、
は、水素、又は-(CH-O-(CH-SO 、-(CH-SO 、若しくは-(CH-O-(CH-CHR-SO を示し、
は、-(CH-O-(CH-SO 、-(CH-SO 、又は-(CH-O-(CH-CHR-SO を示し、
は、カチオンを示し、
m、nは、同一又は異なり、0~3の整数を示し、
は、水素、メチル基又はエチル基を示し、
sは、0~10の整数を示し、
pは、1~18の整数を示す。
【0099】
構造式(I)の非常に好ましいモノマーでは、
X、YはOを示し、
Zは、-(CH)-CR-(CH-を示し、
は水素を示し、
は、-(CH-O-(CH-SO 、-(CH-SO 、-(CH-O-(CH-CH(CH)-SO 、又は-(CH-O-(CH-CH(CHCH)-SO を示し、
は、Na又はKを示し、
nは、0又は1を示し、
sは、0又は1を示し、
pは、2、3、4、又は5を示す。
【0100】
プロセス工程b)及びc)での固体電解質層の形成にも使用することができる自己ドープポリマーの好適な例は、国際公開第2014/048562(A)号及び米国特許出願公開第2015/0337061(A)号に開示されている。非常に特に好ましい自己ドープ導電性ポリマーの具体例としては、ポリ(4-[(2,3-ジヒドロチエノ[3,4-b]-[1,4]ジオキシン-2-イル)メトキシ]プロパン-1-スルホン酸)、ポリ(4-[(2,3-ジヒ-ドロチエノ[3,4-b][1,4]ジオキシン-2-イル)メトキシ]ブタン-1-スルホン酸)(PEDOT-S)、ポリ(4-[(2,3-ジヒドロチエノ[3,4-b][1,4]ジオキシン-2-イル)メトキシ]ブタン-2-スルホン酸)、又はそれらの混合物が挙げられる。
【0101】
好ましくは、プロセス工程b)で使用される液体組成物中の導電性ポリマーは、粒子の形態、特に好ましくは、PEDOT/PSSなどのポリチオフェン/(ポリ)-アニオン複合体の膨潤ゲル粒子の形態で存在する。粒子は、好ましくは、100S/cm未満の比導電率を有する。この状況での粒子の比導電率は、分散液の乾燥時に粒子から形成される乾燥状態のフィルムの比導電率である。好ましくは、液体組成物が使用され、そのうちの粒子は、50S/cm未満、より好ましくは20S/cm未満、更により好ましくは10S/cm未満の比導電率を有する。これに関連して、粒子は、0.1S/cm以上、好ましくは0.5S/cm以上、更により好ましくは1S/cm以上の比導電率を有することも好ましい。最も好ましくは、粒子は、1S/cm~10S/cmの範囲の比導電率を有する。
【0102】
プロセス工程b)で使用される液体組成物中の導電性ポリマーが粒子の形態で存在する場合、粒子は、好ましくは1~100nmの範囲、好ましくは1~70nmの範囲、好ましくは1~50nmの範囲、特に好ましくは1~40nmの範囲、より特に好ましくは5~30nmの範囲の直径d50を有する。粒子の直径の判定は、超遠心分離機測定によって実行される。液体組成物中の導電性ポリマーの粒子が、150nm未満、特に好ましくは100nm未満、より特に好ましくは50nm未満のd90値の直径分布を有することが更に好ましい。更に、液体組成物中の導電性ポリマーの粒子は、好ましくは、1nm超、特に好ましくは3nm超、より特に好ましくは5nm超のd10値の直径分布を有する。
【0103】
プロセス工程b)で使用される液体組成物は、好ましくは、2010/003874(A2)号の6頁の10~29行目の公開文書に記載されているような金属及び遷移金属に関する純度を含む。液体組成物中の低濃度の金属は、固体電解質の形成中及びコンデンサの後続の動作中に誘電体が損傷を受けないという主要な利点を有する。
【0104】
プロセス工程b)で使用される液体組成物は、少なくとも1つの分散剤を更に含み、水、有機溶媒、又は有機溶媒と水との混合物が、分散剤として好ましい。
【0105】
以下の溶媒を、分散剤の例として挙げることができる:メタノール、エタノール、i-プロパノール、及びブタノールなどの脂肪族アルコール;アセトン及びメチルエチルケトンなどの脂肪族ケトン;酢酸エチルエステル及び酢酸ブチルエステルなどの脂肪族カルボン酸エステル;トルエン及びキシレンなどの芳香族炭化水素;ヘキサン、ヘプタン、及びシクロヘキサンなどの脂肪族炭化水素;ジクロロメタン及びジクロロエタンなどの塩素化炭化水素;アセトニトリルなどの脂肪族ニトリル、ジメチルスルホキシド及びスルホランなどの脂肪族スルホキシド及びスルホン;メチルアセトアミド、ジメチルアセトアミド、及びジメチルホルムアミドなどの脂肪族カルボン酸アミド、ジエチルエーテル及びアニソールなどの脂肪族及び芳香脂肪族エーテル。更に、水又は水と上記の有機溶媒との混合物を、分散剤として使用することもできる。
【0106】
好ましい分散剤は、水又はアルコールなどの他のプロトン性溶媒、例えば、メタノール、エタノール、i-プロパノール、及びブタノール、並びに水とこれらのアルコールとの混合物である。特に好ましい分散剤は、水である。
【0107】
更に、プロセス工程b)で使用される液体組成物は、表面活性物質、例えば、有機官能性シラン又はそれらの加水分解物、例えば、3-グリシドキシ-プロピルトリアルコキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-メルカプトプロピル-トリメトキシシラン、3-メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、又はオクチルトリエトキシシランなどのイオン性及び非イオン性界面活性剤又は接着促進剤、メラミン化合物、ブロックイソシアネート、官能性シランなどの架橋剤-例えば、テトエトキシシラン、アルコキシシラン加水分解物、例えば、テトラエトキシシランに基づくもの、3-グリシドキシプロピルトリアルコキシシラン-ポリウレタン、ポリアクリレート又はポリオレフィン分散液などのエポキシシランなどの更なる構成要素を含むことができる。プロセス工程b)で使用される液体組成物はまた、国際公開第2009/141209(A1)号の12頁の16~34行に記載されているような有機溶媒に可溶である1つ以上の有機結合剤を含むことができる。液体組成物は、1~14のpH値を有することができ、1~8のpH値が好ましい。酸化アルミニウム又は酸化ニオブなどの腐食感受性誘電体の場合、誘電体、誘電体の損傷を回避するために、2.5~8、より好ましくは2.5~7、最も好ましくは3~6のpH値を有する液体組成物が好ましい。
【0108】
pH値を調整するために、国際公開第2010/003874(A2)号の4頁の13~32行に記載されている塩基又は酸を、例えば、液体組成物に添加することができる。液体組成物のフィルム形成を損なわず、例えば、はんだ付け温度での比較的高温で揮発性ではないが、これらの条件下で固体電解質内にとどまる添加剤として、例えば塩基、2-ジメチルアミノエタノール、2,2’-イミノジエタノール、又は2,2’,2’’-ニトリロトリエタノール及び酸、ポリスチレンスルホン酸が好ましい。
【0109】
プロセス工程b)で使用される液体組成物の粘度は、適用プロセスに応じて、0.1~1000mPa×sであり得る(20℃及び100s-1の剪断速度でレオメータにより測定)。好ましくは、粘度は1~200mPa×s、特に好ましくは10~150mPa×s、より特に好ましくは10~100mPa×sである。
【0110】
プロセス工程b)で使用される液体組成物の固形分は、いずれの場合も液体組成物の総重量に基づいて、好ましくは1~30重量%の範囲、特に好ましくは1~20重量%の範囲、最も好ましくは1~10重量%の範囲である。固形分は、分散剤を除去するには十分高いが、固体材料を分解しない温度で、分散液を乾燥させることによって判定される。
【0111】
多孔質電極本体に上記液体組成物を含浸させた後、プロセス工程c)で分散剤を少なくとも部分的に除去することにより、誘電体を部分的に又は完全に覆う固体電解質層が形成される。これに関連して、固体電解質層により誘電体を覆うことは、好ましくは少なくとも50%、特に好ましくは少なくとも70%、最も好ましくは少なくとも80%に達することが好ましく、120℃での乾燥条件及び湿潤条件におけるコンデンサの静電容量の測定は、独国特許公開第102005043828(A)号に記載されるような判定を可能にする。
【0112】
分散剤の除去は、好ましくは、多孔質電極本体がプロセス工程b)で使用される液体組成物から除去され、続いて乾燥されることで行われ、乾燥は、好ましくは20℃~200℃の範囲、特に好ましくは50℃~180℃の範囲、より好ましくは80℃~150℃の範囲の温度で行われる。乾燥条件(すなわち乾燥時間、乾燥圧力及び乾燥温度)は、好ましくは、固体電解質層を形成する際に、分散剤の総量の少なくとも50重量%、より好ましくは少なくとも75重量%、更により好ましくは少なくとも90重量%、更により好ましくは少なくとも95重量%、最も好ましくは少なくとも99重量%を除去することを確保する範囲内になるように調整される。本発明によるプロセスの特に好ましい実施形態では、乾燥条件は、固体電解質を形成する際に、分散剤が完全に除去されることを確保する範囲内になるように調整される。
【0113】
プロセス工程d)及びe)
本発明によるプロセスのプロセス工程d)で、プロセス工程c)で得られた多孔質電極本体(すなわち、誘電体が少なくとも部分的に固体電解質層で覆われた多孔質電極本体)の細孔の少なくとも一部は、少なくとも1つの含浸溶媒を含む含浸溶液で充填され、プロセス工程e)で、含浸溶媒の少なくとも一部は、プロセス工程d)で得られた多孔質電極本体(1)から除去される。
【0114】
含浸溶液への浸漬又は対応して含浸溶液での含浸は、好ましくは、1秒~120分の範囲、特に好ましくは10秒~60分の範囲、最も好ましくは30秒~15分の範囲の持続時間にわたって実施される。浸漬は、好ましくは、プロセス工程c)で得られた多孔質電極本体が、含浸溶液中に少なくとも部分的に浸漬されること、又は含浸溶液が多孔質電極本体に注入され、それに応じて、この含浸溶液を含浸させることで実行される。多孔質電極本体への含浸溶液の導入は、例えば、圧力、振動、超音波、又は熱を増減させることによって容易にすることができる。
【0115】
プロセス工程d)で多孔質電極本体の細孔に含浸溶液を含浸させる場合、プロセス工程c)で得られた多孔質電極本体の開孔容積の少なくとも25体積%、好ましくは少なくとも30体積%、より好ましくは少なくとも40体積%、更により好ましくは少なくとも50体積%、更により好ましくは少なくとも75体積%、最も好ましくは少なくとも90体積%が含浸溶液で満たされる程度まで含浸が達成されることを確保することが更に好ましい。
【0116】
本発明によるプロセスで使用される好ましい含浸溶媒は、以下の特性のうちの少なくとも1つを満たし、より好ましくはこれらの特性の両方を満たす:
(β1)それらは、少なくとも200℃かつ330℃未満の沸点(1013hPaで測定)を有する;
(β2)それらは、15℃未満、好ましくは5℃未満、更により好ましくは-5℃未満の融点を有する。
【0117】
これに関連して、少なくとも1つの含浸溶媒は、2つのヒドロキシ基を含む化合物であるか、又は1つのヒドロキシ基及び1つのエーテル基、好ましくは1つのアルキルエーテル基、特に好ましくは2~4個の繰り返し単位を有するポリグリコールを含む化合物であることが特に好ましい。より好ましくは、少なくとも1つの含浸溶媒は、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール及びそれらの少なくとも2つの混合物からなる群から選択され、ジエチレングリコール及びトリエチレングリコールが特に好ましい。
【0118】
含浸溶液は、含浸溶媒に加えて、安定剤(前述のものなど)及び/又は更なる溶媒、特に150℃未満、好ましくは120℃未満の(1013hPaで判定される)沸点を有する低沸点溶媒などの更なる構成要素を含み得る。しかしながら、プロセス工程d)で使用される含浸溶液は、いずれの場合にも含浸溶液の総重量に基づいて、少なくとも50重量%、好ましくは少なくとも75重量%、更により好ましくは少なくとも90重量%の量で少なくとも1つの含浸溶媒を含むことが好ましい。2つ以上の含浸溶媒の場合、これらの量は含浸溶媒の総量を表す。
【0119】
プロセス工程e)で、含浸溶媒は、プロセス工程d)で得られた多孔質電極本体から少なくとも部分的に除去される。含浸溶媒の除去は、好ましくは、多孔質電極本体がプロセス工程d)で使用される含浸溶液組成物から抜き取られ、続いて乾燥されることで行われ、乾燥は、好ましくは80℃~250℃の範囲、特に好ましくは100℃~200℃の範囲、より好ましくは120℃~150℃の範囲の温度で行われる。乾燥条件(すなわち、乾燥時間、乾燥圧力及び乾燥温度)は、好ましくは、含浸溶媒の総量の少なくとも50重量%、好ましくは少なくとも70重量%、より好ましくは少なくとも80重量%、更により好ましくは少なくとも90重量%、更により好ましくは少なくとも95重量%、最も好ましくは少なくとも99重量%が、プロセス工程d)で得られた多孔質電極本体から除去されることを確保する範囲内になるように調整される。本発明によるプロセスの特に好ましい実施形態では、乾燥条件は、プロセス工程e)で、含浸溶媒がプロセス工程d)で得られた多孔質電極本体から完全に除去されることを確保する範囲内になるように調整される。
【0120】
プロセス工程f)での封入
プロセス工程e)の後、含浸溶媒は、上記のような方法でプロセス工程d)で得られた多孔質電極本体から少なくとも部分的に除去され、電解コンデンサは、当業者に公知の方法で完成させることができる。タンタル電解コンデンサの場合、コンデンサ本体は、例えば、独国特許公開第102005043828(A)号から既知であるように、グラファイト層及び銀層で被覆することができ、米国特許第7,497,879(B2)号の教示に対応するアルミニウム巻回型コンデンサの場合、コンデンサ本体は、アルミニウムカップに構築され、封止ゴムが設けられ、フランジングによって機械的に固く閉鎖される。これに続いて、誘電体の欠陥を、「エージング」によるそれ自体既知の方法でコンデンサから除去することができる。
【0121】
封入は、好ましくは、欧州特許公開第0-447-165(A2)号に開示されるもののようなエポキシ樹脂又は熱可塑性樹脂などの樹脂でコンデンサ本体を封止することによって達成される。アルミニウム電解コンデンサの場合、封入は、好ましくは、プロセス工程e)で得られた多孔質電極本体にアルミニウムカップを提供し、封止ゴムで閉鎖することによって達成される。
【0122】
プロセス工程e2)
本発明によるプロセスの好ましい実施形態によれば、プロセスは、プロセス工程e)の後かつプロセス工程f)の前に適用されるプロセス工程e2)を更に含み、プロセス工程e2)で、プロセス工程e)で得られた多孔質電極本体の細孔の少なくとも一部が、少なくとも1つの含浸溶媒を含む含浸溶液で再び充填され、少なくとも1つの含浸溶媒は、少なくとも150℃、好ましくは少なくとも170℃、より好ましくは少なくとも190℃の沸点(1013hPaで測定)を有する。好ましい含浸溶液及び含浸溶媒は、プロセス工程d)に関連して既に言及したものである。多孔質電極本体の細孔の少なくとも一部に含浸溶液を充填する条件についても同じことが当てはまる。プロセス工程e2)で多孔質電極本体の細孔に含浸溶液を含浸させる場合、プロセス工程e)で得られた多孔質電極本体の開放細孔容積の少なくとも50体積%、より好ましくは少なくとも75体積%、更により好ましくは少なくとも90体積%が含浸溶液で満たされる程度まで含浸が達成されることを確保することがやはり好ましく、含浸溶液は、好ましくは、少なくとも1つの含浸溶媒を、いずれの場合も含浸溶液の総重量に基づいて、少なくとも50重量%、好ましくは少なくとも75重量%、更により好ましくは少なくとも90重量%、最も好ましくは少なくとも95重量%の量で含む。プロセス工程e2)で、細孔からの含浸溶媒の更なる蒸発を防止するために、プロセス工程f)を実行する直前に、すなわち、多孔質電極本体を封入する前に、上記の充填量を達成することが特に好ましい。したがって、プロセス工程d)で適用される含浸溶液とは対照的に、プロセス工程e2)で適用された含浸溶液は、封入される前に多孔質電極本体の細孔内に少なくともある程度、好ましくは完全に残る。
【図面の簡単な説明】
【0123】
ここで、非限定的な図面及び実施例を参照して、本発明をより詳細に説明する。
図1図1は、本発明によるコンデンサの一部の概略断面図である。後者は、アルミニウムなどの多孔質電極材料2から主に作製された細孔5を含む、多孔質電極本体1を含む。電極材料2の表面上には、誘電体3が薄層として形成され、それにより、電極材料2及び誘電体3で作製された電極本体1を含む多孔質のままの陽極本体が形成される。誘電体3上には、任意選択で更なる層の後に、固体電解質4の層(例えば、PEDOT/PSS粒子から作製される)が続き、その結果、電極材料2、誘電体3、及び固体電解質4で作製された電極本体1を含む、コンデンサ本体が形成される。
図2図2は、コンデンサ要素8(誘電体3及び固体電解質4で被覆された多孔質電極材料2)と、多孔質陽極箔及び反対側の陰極箔に接触するリード線10とを含む、本発明によるアルミニウムコンデンサを示し、両方の箔は、両箔間の2枚のセパレータ紙と共に巻かれ、巻き終わりテープで固定されている。コンデンサ要素8は、有底円筒の形状のアルミニウムケーシング7内に保持され、ゴムシール9が、ケーシングの開口部に取り付けられている。
図3図3は、本発明によるプロセスの特定の実施形態によって得られたコンデンサの一部を通る概略断面図を示し、追加のプロセス工程e2)で、プロセス工程e)で得られた多孔質電極本体1の細孔5が、含浸溶液(例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、又はそれらの少なくとも2つの混合物)でやはり少なくとも部分的に充填されている。図3中の灰色の陰影を参照されたく、これにより、電極材料2、誘電体3、固体電解質4及び含浸溶液6(図3中の灰色の陰影を参照されたい)から作製された多孔質電極本体1を含む、コンデンサが形成されている。
【0124】
測定方法:
静電容量(CAP)
特性(α1)を決定するために、静電容量をLCRメーター(Agilent 4284A)を用いて20℃、120Hzで決定した。相対初期静電容量C1は、以下によって計算した。
C1=(サージ試験前の静電容量)/(定格静電容量)
定格静電容量は、電極本体がアルミニウム箔、陽極酸化(形成)及びサイズの選択によって設計される静電容量である。
【0125】
サージ試験後の相対静電容量C2を以下の式によって計算した。
C2=(サージ試験後の静電容量)/(定格静電容量)
特性(α2)を決定するために、静電容量を、同じLCRメーターを用いて、20℃及び-55℃で、それぞれ120Hzで決定した。特性(α3)を決定するために、静電容量を、同じLCRメーターを用いて20℃、120Hzで決定した。
【0126】
固形分
固形分を決定するために、プロセス工程b)で使用した液体組成物5gを100℃で15時間乾燥させ、固形分を差次秤量によって決定した。
【0127】
pH値
pH値は、pHメーターを用いて決定する。較正後、pHの読み取り値が一定になるまでゆっくり撹拌した分散液又は溶液にpH電極を入れる。
【0128】
導電率
洗浄したガラス基板をスピンコーター上に置き、プロセス工程b)で使用した液体組成物10mlを基板上に分配した。次いで、残りの溶液をプレートの回転によって振り落とした。その後、こうして被覆した基板を、ホットプレート上で130℃で15分間乾燥させた。次いで、層厚さdを、層厚さ測定装置(Tencor,Alphastep 500)によって決定した。導電率については、長さL2.0cmのAg電極を、シャドーマスクを介して1.0cmの距離aで蒸着することで測定した。Ag電極及びこれらの電極間のポリマーフィルムの得られた構造を、カミソリの刃でポリマーを削り取って長方形のフレームを形成することによって、基板上の周囲のポリマーフィルムから電気的に絶縁した。ポリマーフィルムの表面抵抗Rを、電位計(Keithley 614)を用いて、Ag電極を金接触ピンと接触させることによって決定した。
【0129】
比電気抵抗率ρ(単位「Ωcm」)は、以下の式を使用して計算される。
ρ=R×L×d/a.
【0130】
導電率σ(単位「S/cm」)は、以下の式を用いて計算される。
σ=1/ρ
【0131】
サージ試験
コンデンサは、100ミリオーム抵抗器を介してパワーバンクに直列に接続され、10秒の電圧オン(コンデンサの充電)及び10秒の電圧オフ(コンデンサの放電)のパルス周期で18.4Vの電圧パルスを受ける。各充放電のピーク電流は約80Aである。1つのサージサイクルは充放電からなり、20秒の持続時間を有する。
【0132】
粒径の測定
粒径は、H.G.Muller in Colloid Polym.Sci.267,1113-1116(1989)によって開示されているように決定される。
【実施例
【0133】
プロセス工程a)
16Vの定格電圧及び100μFの定格静電容量を有する円筒状アルミニウムコンデンサ(図2に示す)用の多孔質電極本体を、以下の方法で作製した。
【0134】
アルミニウム箔をエッチングすることによって、アルミニウム箔の表面を粗化した。次いで、アルミニウム箔を、アジピン酸アンモニウム水溶液を用いて陽極酸化に供し、それによってアルミニウム箔の表面上に誘電体層を形成した。こうして、陽極箔を作製した。
【0135】
第2のアルミニウム箔をエッチングすることによって、アルミニウム箔の表面を粗化した。こうして、陰極箔を作製した。
【0136】
陽極リード線及び陰極リード線をそれぞれ陽極及び陰極箔に接続した。陽極及び陰極箔を、両方の箔間で2つのセパレータ紙と一緒に巻いた。箔の巻出しを避けるために、巻回した要素の外側にテープを貼った。次いで、巻回した要素を別の陽極酸化に供して、陽極箔の切断縁上に誘電体層を形成した。
【0137】
こうして、誘電体層を有する電極本体を備える陽極本体を作製した。
【0138】
プロセス工程b)
プロセス工程a)からの多孔質電極本体を、導電性ポリマーを含む液体組成物の浴を有するチャンバ内に配置した。チャンバ内の空気圧を100hPaまで減圧した。陽極本体を300秒間、液体組成物に浸漬した。次いで、陽極本体を液体組成物から抜き取り、チャンバを大気圧に通気した。
【0139】
プロセス工程c)
陽極本体を120℃で30分間、次いで150℃で30分間乾燥させた。
【0140】
プロセス工程b)及びc)をもう一度実施した。こうして、コンデンサ本体を得た。
【0141】
プロセス工程d)
プロセス工程c)のコンデンサ本体を含浸溶液に300秒間浸漬した。
【0142】
プロセス工程e)
プロセス工程d)のコンデンサ本体を含浸溶液から抜き取り、120℃で30分間、次いで150℃で30分間乾燥させた。
【0143】
プロセス工程f)
プロセス工程e)のコンデンサ本体を円筒状アルミニウムハウジングに配置し、ゴムシールで封止して、完成したコンデンサを得た。
【0144】
調製例1
30nmのd50値の粒度分布を有するポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)/ポリスチレンスルホネート水溶液(Clevios PH,Heraeus Deutschland)を固形分2.5%に濃縮し、高圧ホモジナイザーを用いて2500barの圧力下で5回ホモジナイズした。次いで、アンモニアを使用して溶液のpHを3.0に調整した。こうして、導電性ポリマーを含む液体組成物を得た。液体組成物の導電率は1S/cmと決定された。
【0145】
調製例2
ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)/ポリスチレンスルホネート水溶液(Clevios K Nano LV、Heraeus Deutschland)を限外濾過によって固形分2.5%に濃縮し、高圧ホモジナイザーを用いて2500barの圧力下でホモジナイズした。アンモニアを使用して溶液のpHを3.0に調整し、DI水で固形分2%に希釈した。こうして、導電性ポリマーを含む液体組成物を得た。液体組成物の導電率は380S/cmと決定された。
【0146】
調製例3
調製例2の液体組成物を限外濾過によって固形分3%に濃縮し、高圧ホモジナイザーを用いて2500barの圧力で5回ホモジナイズした。得られた液体組成物を、アンモニアを使用してpH3.0に調整し、DI水で固形分2%に希釈した。こうして、導電性ポリマーを含む液体組成物を得た。液体組成物の導電率は260S/cmと決定された。
【0147】
調製例4
調製例3の液体組成物を限外濾過によって固形分4%に濃縮し、高圧ホモジナイザーを用いて2500barの圧力で5回した。得られた液体組成物を、アンモニアを使用してpH3.0に調整し、DI水で固形分2%に希釈した。こうして、導電性ポリマーを含む液体組成物を得た。液体組成物の導電率は90S/cmと決定された。
【0148】
調製例5
調製例4の液体組成物を限外濾過によって固形分4%に濃縮し、高圧ホモジナイザーを用いて2500barの圧力で5回ホモジナイズした。得られた液体組成物を、アンモニアを使用してpH3.0に調整し、DI水で固形分2%に希釈した。こうして、導電性ポリマーを含む液体組成物を得た。液体組成物の導電率は10S/cmと決定された。
【0149】
実施例1
コンデンサを以下の方法で製造した。
【0150】
プロセス工程a)に従って第1の陽極本体を作製した。次いで、陽極本体を、調製例1の導電性ポリマーを含む液体組成物を使用して、プロセス工程b)及びc)に従って処理した。プロセス工程b)及びc)をもう一度実施した。こうして、コンデンサ本体を得た。
【0151】
次に、得られたコンデンサ本体を、プロセス工程d)に従って、含浸溶液としてエチレングリコール(EG)を用いて含浸させ、プロセス工程e)に従って乾燥させた。最後に、コンデンサ本体をプロセス工程f)に従って封入し、コンデンサを得た。
【0152】
コンデンサの静電容量を、400サージサイクルのサージ試験前後に測定した。サージ試験後の相対初期静電容量及び相対静電容量を表1に示す。
【0153】
実施例2
実施例1と同様にコンデンサを製造し、評価し、ただし、プロセス工程d)での含浸溶液としてジエチレングリコール(DEG)を使用した。
【0154】
実施例3
実施例1と同様にコンデンサを製造し、評価し、ただし、プロセス工程d)での含浸溶液として、トリエチレングリコール(TEG)を使用した。
【0155】
実施例4
実施例1と同様にコンデンサを製造し、評価し、ただし、プロセス工程d)での含浸溶液として1,5-ペンタンジオールを使用した。
【0156】
実施例5
実施例1と同様にコンデンサを製造し、評価し、ただし、プロセス工程d)での含浸溶液としてジメチルスルホキシド(DMSO)を使用した。
【0157】
実施例6
実施例1と同じ方法でコンデンサを製造し、評価し、ただし、プロセス工程d)での含浸溶液としてγ-ブチロラクトン(GBL)を使用した。
【表1】
【0158】
比較例1
プロセス工程a)に従って第1の陽極本体を作製した。次いで、陽極本体を、調製例2の導電性ポリマーを含む液体組成物を使用して、プロセス工程b)及びc)に従って処理した。プロセス工程b)及びc)をもう一度実施した。こうして、コンデンサ本体を得た。
【0159】
次に、得られたコンデンサ本体を、プロセス工程d)に従って、含浸溶液としてジエチレングリコールを用いて含浸させ、プロセス工程e)に従って乾燥させた。最後に、コンデンサ本体をプロセス工程f)に従って封入し、コンデンサを得た。
【0160】
コンデンサの静電容量を、1000サージサイクルのサージ試験前後に測定した。サージ試験後の相対初期静電容量及び相対静電容量を表2に示す。
【0161】
比較例2
比較例1と同様にしてコンデンサを製造し、評価し、ただし、プロセス工程b)での導電性ポリマーを含む液体組成物として、調製例3の液体組成物を使用した。
【0162】
実施例7
比較例1と同様にしてコンデンサを製造し、評価し、ただし、プロセス工程b)での導電性ポリマーを含む液体組成物として、調製例4の液体組成物を使用した。
【0163】
実施例8
比較例1と同様にしてコンデンサを製造し、評価し、ただし、プロセス工程b)での導電性ポリマーを含む液体組成物として、調製例5の液体組成物を使用した。
【表2】
【0164】
実施例9
プロセス工程a)に従って第1の陽極本体を作製した。次いで、陽極本体を、調製例1の導電性ポリマーを含む液体組成物を使用して、プロセス工程b)及びc)に従って処理した。プロセス工程b)及びc)をもう一度実施した。こうして、コンデンサ本体を得た。
【0165】
次に、得られたコンデンサ本体を、プロセス工程d)に従って、含浸溶液としてジエチレングリコールを用いて含浸させ、プロセス工程e)に従って乾燥させた。最後に、コンデンサ本体をプロセス工程f)に従って封入し、コンデンサを得た。
【0166】
コンデンサの静電容量を、2000サージサイクルのサージ試験前後に測定した。サージ試験後の相対初期静電容量及び相対静電容量を表3に示す。
【0167】
実施例10
プロセス工程a)に従って第1の陽極本体を作製した。次いで、陽極本体を、調製例1の導電性ポリマーを含む液体組成物を使用して、プロセス工程b)及びc)に従って処理した。プロセス工程b)及びc)をもう一度実施した。こうして、コンデンサ本体を得た。
【0168】
次に、得られたコンデンサ本体を、プロセス工程d)に従って、含浸溶液としてジエチレングリコールを用いて含浸させ、プロセス工程e)に従って乾燥させた。
【0169】
次に、得られたコンデンサ本体を、含浸溶液としてジエチレングリコールを使用して(追加の乾燥工程なしで)、プロセス工程e2)に従って2回目として含浸した。最後に、コンデンサ本体をプロセス工程f)に従って封入し、コンデンサを得た。
【0170】
コンデンサの静電容量を、2000サージサイクルのサージ試験前後に測定した。サージ試験後の相対初期静電容量及び相対静電容量を表3に示す。
【表3】
【0171】
実施例11
実施例9と同様にしてコンデンサを製造した。
【0172】
コンデンサの静電容量を、20℃と-55℃とで測定した。-55℃での相対静電容量を、以下の式に従って計算した。
(-55℃での相対静電容量)=(-55℃での静電容量)/(20℃での静電容量)。
【0173】
結果を表4に示す。
【0174】
比較例3
実施例11と同様にしてコンデンサを製造し、評価し、ただし、プロセス工程b)で導電性ポリマーを含む液体組成物として、調製例2の液体組成物を使用した。結果を表4に示す。
【表4】
【0175】
実施例12
実施例9と同様にしてコンデンサを製造した。
【0176】
コンデンサの静電容量を、125℃の保管温度で1000時間保管した前後に、20℃で測定した。125℃で1000時間保管後の相対静電容量を、以下の式に従って計算した。
(125℃で1000時間後の相対静電容量)=(125℃で1000時間の保管後の20℃での静電容量)/(125℃で1000時間の保管前の20℃での静電容量)
結果を表5に示す。
【0177】
実施例13
コンデンサを実施例12と同じ方法で製造し、評価し、ただし、プロセス工程d)での含浸溶液として、80重量%のジエチレングリコール(DEG)%及び20重量%タンニン酸の混合物を使用した。
【0178】
結果を表5に示す。
【表5】
【0179】
参照番号に対するキー
1 多孔質電極本体
2 電極材料
3 誘電体
4 固体電解質
5 細孔
6 含浸溶液
7 封入体(アルミニウムハウジング)
8 コンデンサ要素(誘電体及び固体電解質で被覆され、含浸溶媒を含む多孔質電極材料)
9 ゴムシール
10 リード線

図1
図2
図3
【手続補正書】
【提出日】2024-03-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンデンサの製造プロセスであって、プロセス工程:
a)電極材料(2)で作製された多孔質電極本体(1)を提供する工程であって、誘電体(3)が、前記電極材料(2)の表面を少なくとも部分的に覆う、工程、
b)導電性ポリマーと分散剤とを含む液体組成物を、プロセス工程a)で提供された前記多孔質電極本体(1)の少なくとも一部に導入する工程であって、前記液体組成物から作製された導電層が、100S/cm未満の導電率を有する、工程、
c)誘電体(3)の表面を少なくとも部分的に覆う固体電解質層(4)を形成するために、プロセス工程b)で得られた前記多孔質電極本体(1)から前記分散剤を少なくとも部分的に除去する工程、
d)プロセス工程c)で得られた前記多孔質電極本体(1)の細孔(5)の少なくとも一部を、少なくとも1つの含浸溶媒を含む含浸溶液で充填する工程であって、前記少なくとも1つの含浸溶媒が、少なくとも150℃の沸点(1013hPaで測定)を有する、工程、
e)プロセス工程d)で得られた前記多孔質電極本体(1)から前記含浸溶媒を少なくとも部分的に除去する工程、
f)プロセス工程e)で得られた前記多孔質電極本体(1)を封入する工程、
を含む、プロセス。
【請求項2】
プロセス工程b)で使用される前記液体組成物中の前記導電性ポリマーが粒子の形態で存在し、前記粒子が1~100nmの範囲の直径d50を有する、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
プロセス工程b)で使用される前記液体組成物中の前記導電性ポリマーが、ポリチオフェン/(ポリ)アニオン複合体の形態で存在し、前記ポリチオフェンがポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)であり、前記ポリアニオンがポリスチレンスルホン酸のアニオンである、請求項1又は2に記載のプロセス。
【請求項4】
プロセス工程b)で適用される前記液体組成物が、3重量%未満の少なくとも150℃の沸点(1013hPaで測定)を有する高沸点溶媒を含む、請求項1又は2に記載のプロセス。
【請求項5】
プロセス工程d)で適用される前記含浸溶液中の前記少なくとも1つの含浸溶媒が15℃未満の融点を有する、請求項1に記載のプロセス。
【請求項6】
プロセス工程d)で適用される前記含浸溶液中の含浸溶媒が、少なくとも200℃かつ330℃未満の沸点(1013hPaで測定)を有する、請求項1又は5に記載のプロセス。
【請求項7】
プロセス工程d)で適用される前記含浸溶液中の前記少なくとも1つの含浸溶媒が、2~4個の繰り返し単位を有するポリグリコールである、請求項6に記載のプロセス。
【請求項8】
プロセス工程d)で適用される前記含浸溶液中の前記少なくとも1つの含浸溶媒が、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール及びそれらの少なくとも2つの混合物からなる群から選択される、請求項7に記載のプロセス。
【請求項9】
プロセス工程d)で使用される前記含浸溶液が安定剤を含む、請求項1又は5に記載のプロセス。
【請求項10】
プロセス工程e)の後かつプロセス工程f)の前に適用されるプロセス工程e2):
e2)プロセス工程e)で得られた前記多孔質電極本体(1)の前記細孔(5)の少なくとも一部を、少なくとも1つの含浸溶媒を含む含浸溶液(6)で充填する工程であって、前記少なくとも1つの含浸溶媒が、少なくとも150℃の沸点(1013hPaで測定)を有する、工程、
を更に含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項11】
プロセス工程e2)で適用される前記含浸溶液(6)中の前記含浸溶媒が、請求項5において規定されている通りである、請求項10に記載のプロセス。
【請求項12】
i)電極材料(2)で作製された多孔質電極本体(1)であって、誘電体(3)が、前記電極材料(2)の表面を少なくとも部分的に覆う、多孔質電極本体(1)、
ii)導電性ポリマーを含む固体電解質層(4)であって、前記固体電解質層(4)が、前記誘電体(3)の表面を少なくとも部分的に覆う、固体電解質層(4)、
iii)前記多孔質電極本体(1)を封入する封入体、
を、構成要素として含むコンデンサであって、
前記コンデンサは、以下の特性:
(α1)本明細書に開示される試験方法によって決定される相対静電容量ΔCの最大20%の減少を満たし、ΔC=C1-C2であり、C1は相対初期静電容量であり、C2は400サイクルのサージ試験後の相対静電容量である、
コンデンサ。
【請求項13】
前記コンデンサが、以下の特性:
(α2)温度を20℃~-55℃に下げた際の静電容量の最大20%の減少、及び
(α3)前記コンデンサを125℃で1000時間保管した後の静電容量の最大20%の減少
を満たす、請求項12に記載のコンデンサ。
【請求項14】
請求項12に記載のコンデンサの、又は請求項1に記載のプロセスによって得ることができるコンデンサの、電子回路における使用。
【請求項15】
請求項12に記載のコンデンサ、又は請求項1に記載のプロセスによって得ることができるコンデンサ、を含む電子回路。

【国際調査報告】