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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-02
(54)【発明の名称】頭蓋装具
(51)【国際特許分類】
   A61F 5/02 20060101AFI20240925BHJP
【FI】
A61F5/02 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024517073
(86)(22)【出願日】2022-09-19
(85)【翻訳文提出日】2024-05-13
(86)【国際出願番号】 IL2022051000
(87)【国際公開番号】W WO2023042206
(87)【国際公開日】2023-03-23
(31)【優先権主張番号】286516
(32)【優先日】2021-09-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IL
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ベルクロ
(71)【出願人】
【識別番号】524102121
【氏名又は名称】オクシポ リミテッド
【氏名又は名称原語表記】OCCIPO Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(74)【代理人】
【識別番号】100105854
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 一
(74)【代理人】
【識別番号】100115679
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 勇毅
(74)【代理人】
【識別番号】100114177
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 龍
(74)【代理人】
【識別番号】100066980
【弁理士】
【氏名又は名称】森 哲也
(72)【発明者】
【氏名】エヤル,シャイ
(72)【発明者】
【氏名】エヤル,ナーマ
(72)【発明者】
【氏名】バー‐オー,ジョナサン
【テーマコード(参考)】
4C098
【Fターム(参考)】
4C098AA02
4C098BB20
4C098BC02
4C098BC18
(57)【要約】
位置的頭蓋変形を患う乳児のために、頭蓋骨の対称性、及び頭部の幅と長さの適切な比率を達成するために頭蓋骨の形成を誘導するように構成された頭蓋装具は、位置的頭蓋変形を患う乳児の頭蓋骨を包囲し、頭蓋骨に固定するように構成され、それによって乳児の後頭部の扁平部位が乳児が横たわる平面上に接触することを防ぎ、後頭部(又は他の部分)の制限されることのない成長を誘導するヘッドピースを備え、ヘッドピースは、乳児の頭蓋の成長を考慮し頭部の成長方向を変えるよう調節することができる。ヘッドピースは、対称性を改善し、適切な比率を得るよう、乳児の頭部の成長を調節することができる。
【選択図】 図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
位置的頭蓋変形を患う乳児のために、頭蓋骨の対称性と望ましい比率を達成するために頭蓋骨の形成を誘導するように構成された頭蓋装具であって、頭位性斜頭症、短頭症、又は舟状頭症を患う乳児の頭蓋骨を包囲し、前記頭蓋骨に固定されるように構成され、それによって前記乳児の後頭部の扁平部位が前記乳児が横たわる平面上に接触することを防ぎ、後頭部に制限されることのない成長を誘導するヘッドピースを備え、前記ヘッドピースは、前記乳児の頭蓋の成長を考慮し前記頭部の成長方向を変えるよう調節することができる、頭蓋装具。
【請求項2】
前記頭蓋変形は、
斜頭症、
短頭症、及び
舟状頭症
からなる群から選択される、請求項1に記載の頭蓋装具。
【請求項3】
前記ヘッドピースが、半剛性/可撓性の剛性を有する後方部と、前記後方部分と結合可能な前方部とを備える、請求項1に記載の頭蓋装具。
【請求項4】
前記後方部は、対称的な頭蓋骨の輪郭に沿った1つ以上の弓状片で構成され、各弓状片は、2つの離間した前後方向部分を有するように構成されている、請求項3に記載の頭蓋装具。
【請求項5】
前記ヘッドピースは、前記1つ以上の弓状片の内面に取り付けられたパディング部材をさらに備え、丸みのある頭蓋構造が達成されるまで、前記乳児の頭部が、前記1つ以上の弓状片と前記パディング部材とによって画定された凹状の空間に静止することを可能にする、請求項4に記載の頭蓋装具。
【請求項6】
前記パディング部材は、2つの離間したこめかみ係合部と、1つのこめかみ係合部からもう一方のこめかみ係合部まで連続して延び、前記2つのこめかみ係合部より広い幅を持つ弓状後頭部部分とを有する、請求項5に記載の頭蓋装具。
【請求項7】
前記前方部はU字形状であり、2つの離間した前後方向部分を有するように構成されている、請求項5に記載の頭蓋装具。
【請求項8】
前記前方部は、額係合可能部材を備えて構成されている、請求項6に記載の頭蓋装具。
【請求項9】
前記前方部は、各々に対応する溝が形成された2つの横方向伸展部分を有し、前記額係合可能部材はインサートと一体的に形成され、前記インサートに連結されたねじが前記横方向伸展部分の各々に形成された対応する溝を通って延び、これによって、第1の前記横方向伸展部分が第2の前記横方向伸展部分に対して変位する際、そして、前記ねじに螺合したナットを固定する際に、前記装具の幅方向の調節を容易にする、請求項8に記載の頭蓋装具。
【請求項10】
前記パディング部材の前記こめかみ係合部の1つが、前記前方部の対応する前後方向部分に取り付けられている、請求項7に記載の頭蓋装具。
【請求項11】
前記前方部の前記前後方向部分の各々には、インサートが挿入される溝が形成され、それにより、前記装具の長さ方向又は幅方向の調節が容易になる、請求項4に記載の頭蓋装具。
【請求項12】
前記ヘッドピースは、対応する弓状片内に挿入されて取り付けられた湾曲ブレースをさらに備え、前記湾曲ブレースは、前記インサートに固定的に取り付けられた付属体の突出部分に横旋回軸によって旋回可能に連結され、前記対応する弓状片の横軸を中心とした角度調節を容易にする、請求項11に記載の頭蓋装具。
【請求項13】
前記ヘッドピースは、前記弓状片の少なくとも1つと前記パディング部材との間、又は、前記ヘッドピースの内面若しくは外面に沿った異なる位置に装着され、前記ヘッドピースと力を伝達する関係にあるセンサモジュールをさらに備え、前記乳児の頭蓋骨がさらされる機械的圧力に関連するデータを連続的に測定する、請求項5に記載の頭蓋装具。
【請求項14】
前記センサモジュールは、対応する頭蓋骨領域に加わる力を検出するための分散センサのアレイと、前記力を測定するために前記センサの各々から得られるデータ信号を受信して処理するためのマイクロコントローラと、前記マイクロコントローラ及び前記センサの各々に電力を供給するためのバッテリとを備える、請求項13に記載の頭蓋装具。
【請求項15】
前記センサモジュールは弓状構成を有する、請求項13に記載の頭蓋装具。
【請求項16】
患者の頭蓋骨領域を包囲し、前記頭蓋骨領域に固定されるように構成されたヘッドピースと、任意の向きにある前記乳児の頭部の瞬間的な向き、及び、前記向きの経時的な変化を測定し、記録することに関連するデータを連続的に測定する方位センサモジュールとを備える、斜頸又は頸部筋肉の不均衡を検出し、治療するための診断及び治療用装置。
【請求項17】
前記センサモジュールは、対応する頭蓋骨領域に加わる力を検出するための分散センサのアレイと、非対称な頸部筋肉の存在を判定するために前記センサの各々から得られるデータ信号を受信して処理するためのマイクロコントローラと、前記マイクロコントローラ及び前記センサの各々に電力を供給するためのバッテリとを備える、請求項16に記載の診断用製品。
【請求項18】
治療用製品でもある、請求項17に記載の診断用製品。
【請求項19】
弱化していることが判明した頸部筋肉の位置に対して反対側にある前記後方部の選択された領域に結合された抵抗適用要素をさらに備え、前記抵抗適用要素は、前記患者の頭部が均衡状態になるまで、前記弱化した筋肉の緊張を誘導するように構成されている、請求項18に記載の診断用製品。
【請求項20】
仰向けに寝ているとき、又は任意の向きにあるときの前記乳児の頭部の瞬間的な向き、及び経時的な前記向きの変化を連続的に測定し記録する、方位センサ、メモリ、及びオペレーティングソフトウェアを備えた電子モジュールをさらに備える、請求項16に記載の診断用製品。
【請求項21】
前記方位センサは、ジャイロスコープ又は3次元加速度センサである、請求項20に記載の診断用製品。
【請求項22】
前記乳児の頭部に加わる圧力を経時的に測定及び記録するアーチ型の圧力計センサ、並びに、
前記加わった圧力に関する前記記録されたデータを処理して表示するためのマイクロコントローラ又はプロセッサ
をさらに備える、請求項16に記載の診断用製品。
【請求項23】
前記幅の調節は、前記後方部の湾曲の調節を伴う、請求項3に記載の頭蓋装具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、変形した骨格部分を治療するための医療機器の分野に関する。より詳細には、本発明は、頭蓋装具及び斜頸をモニタリングするための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
位置的頭蓋変形(フラットヘッド症候群とも呼ばれる)は、左右非対称又は左右対称の後頭部の扁平を特徴とする乳児によくみられる疾患である。生後数ヵ月の乳児の頭部は柔らかく、可鍛性があるため、外的な機械的圧力によって変形しやすい。より重症の症例では、頭蓋の他の部位にも非対称性が現れ、顔面構造にも影響を及ぼす(Gary F. Rogers:'Deformational Plagiocephaly, Brachycephaly, and Scaphocephaly', Part I: Terminology, Diagnosis, and Etiopathogenesis)。最も一般的な頭蓋骨の変形は、斜頭症、短頭症、及び舟状頭症である。
【0003】
先天性筋性斜頸(CMT)は、生後間もなく明らかになる体位変形であり、典型的には、胸鎖乳突筋の片側短縮又は不均衡による、片側への頭部の側方湾曲/側屈と反対側への頸椎回旋/頭部回旋を特徴とする。斜頸はしばしば斜頭症を伴う(Cabrera-Martos et al:"Impact of Torticollis Associated with Plagiocephaly on Infants' Motor Development', the Journal of Craniofacial Surgery:January 2015-Volume 26-Issue 1-p151-156)。
【0004】
米国小児科学会(AAP)は、乳幼児突然死症候群(SIDS)を減らすために、乳児を仰向けの姿勢で寝かせることを推奨しているため、1992年以降、斜頭症の有病率は著しく増加している。近年では、1歳までの乳児の斜頭率は16~48%と報告されている。
【0005】
斜頭症は、統計的にさまざまな発達の遅れ(認知、運動、言語発達など)と関連しており、治療が必要である。また、斜頭症は頭蓋骨の構造や顔の特徴に関して、審美的な影響が大きい。このような影響は、乳児期だけでなく青年期にも及ぶ(Di Rocco et al:"Prevalence and severity of positional plagiocephaly in children and adolescents', Acta Neurochirurgica volume 161, pages 1095-1098 (2019)。乳児期に斜頭症が消失することもあれば、青年期まで残ることもある。
【0006】
本発明の目的は、斜頭症、短頭症、及び舟状頭症の治療に適し、乳児とその家族の不快感を最小限に抑える頭蓋装具を提供することにある。
【0007】
本発明のさらなる目的は、費用効果の高い頭蓋装具を提供することにある。
【0008】
本発明のさらなる目的は、斜頸の診断及び治療に適した頭蓋装具を提供することにある。
【0009】
本発明のその他の目的及び利点は、説明を進めるにつれて明らかになるであろう。
【発明の概要】
【0010】
位置的頭蓋変形を患う乳児のために、頭蓋骨の対称性、及び頭部の幅と長さの適切な比率を達成するために頭蓋骨の形成を誘導するよう構成された頭蓋装具は、位置的頭蓋変形を患う乳児の頭蓋骨を包囲し、頭蓋骨に固定されるように構成され、それによって乳児の後頭部の扁平部位が乳児が横たわる平面上に接触することを防ぎ、後頭部(又は他の場所)に制限されることのない成長を誘導するヘッドピースを備え、ヘッドピースは、乳児の頭蓋の成長を考慮し頭部の成長方向を変えるよう調節することができる。ヘッドピースは、対称性を改善し、適切な比率を得るよう、乳児の頭部の成長を調節することができる。
【0011】
(例えば、仰向け姿勢の間)乳児の頭蓋骨に加わる力の大きさと位置を検出するための診断治療用装置は、患者の頭蓋骨の後方領域を包囲し、後方領域に固定されるように構成された後方部を有するように構成されたヘッドピースと、例えば、後方部(又は、乳児の頭蓋骨に加えられる力をモニタリングできる、調節可能な頭蓋装具の内面に沿ったその他の位置)と力を伝達する関係にあるセンサモジュールとを備え、患者の頭蓋骨がさらされる機械的圧力に関連するデータを連続的に測定する。
【0012】
診断用製品は、斜頸の早期診断及び治療を得るように構成されていてもよく、(例えば、仰向けに寝ている間の)乳児の頭部の瞬間的な向き、及び経時的な向きの変化を連続的に測定及び記録する方位センサ(ジャイロスコープ又は3次元加速度計など)、メモリ、及びオペレーティングソフトウェアを有する電子モジュールをさらに備え得る。
【0013】
診断用製品は、
-乳児の頭部に加わる圧力を経時的に測定及び記録するアーチ型の圧力計センサ、並びに、
-加わった圧力に関する記録されたデータを処理して表示するためのマイクロコントローラ又は他の種類のプロセッサをさらに備え得る。
【0014】
任意で、測定されたデータは、エンドユーザへの表示や他のアプリケーションからのアクセスを可能にするために、計算クラウドに保存され処理されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0015】
以下の図面が含まれる。
【0016】
図1図1は、調節可能な頭蓋装具の一実施形態の組み立て時の斜視図である。
図2図2は、図1の調節可能な頭蓋装具の斜視図であり、後方部の中間弓状片及び前方部の保護シースが取り外されている。
図3図3は、図1の調節可能な頭蓋装具の斜視図であり、後方部の中間弓状片及び前方部の保護シースが取り外され、パディング部材を透過して示している。
図4A図4Aは、図1の頭蓋装具の側面図であり、角度及び長さ方向の調節モードを概略的に示している。
図4B図4Bは、図1の頭蓋装具の前面図であり、幅方向の調節モードを概略的に示している。
図4C図4Cは、図1の頭蓋装具の平面図であり、長さ方向及び幅方向の調節モードを概略的に示している。
図5図5は、頭蓋骨を固定可能な診断用製品の一実施形態の分解図である。
図6図6は、図5の診断用装置とともに使用されるセンサモジュールの概略図である。
図7図7は、調節可能な頭蓋装具の前方部(図1に示す)が方位センサを備える別の実施形態を示す。
図8図8は、乳児の頭蓋骨に固定された頭蓋装具が、最小の長さに調節された場合の別の実施形態の斜視図である。
図9図9は、乳児の頭蓋骨に固定された図8の装具が、最大長に調節された場合の斜視図である。
図10A図10Aは、図8の装具の分解斜視図である。
図10B図10Bは、後方支持フレームを挿入可能な後方保護シースの切込みを示す。
図11図11は、保護シースなしで組み立てられ、乳児の頭蓋骨に固定されていない状態の図8の装具の斜視図である。
図12図12は、図8の装具が最小の長さに調節された場合の水平断面図である。
図13A図13Aは、図8の装具が最大長に調節された場合の水平断面図である。
図13B図13Bは、2つのL字形要素をさらに横方向に変位させ、余分な幅をもたせた後の、図13Aの後方部を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
頭蓋装具は、頭位性斜頭症、短頭症、又は舟状頭症を患う乳児の頭蓋骨を包囲し、乳児の頭部の周囲輪郭に受動的な保護を与えることによって、対称性と適切な比率を達成するために頭蓋骨の形成を誘導するように構成された治療用ヘッドピースである。ヘッドピースは、頭部の成長方向を変えるために、扁平部位に隙間を残しながら、突出した部位に結合される。頭蓋装具は、乳児の成長を考慮して(乳児の様々な形状及び大きさに適合させるために)調節可能であり、一実施形態では、正常な対称的な頭蓋骨の輪郭に沿い、矢状方向に離間した1つ以上の弓状片で構成される後方部(後方部も剛性、可撓性又はバネ状であってもよい)と、後方部分に固定可能で、額係合可能部材で構成される前方部とを有する。
【0018】
一実施形態によれば、ヘッドピースには、頭頂部から頭蓋頂に沿って前方部分と後方部分とを連結する材料が一切ないので、驚くほど軽量であり、重量を大幅に削減することができる。乳児は、ヘッドピースが乳児の頭蓋に固定されたまま腹ばいになっても、快適に活動を行うことができる。別の実施形態によれば、ヘッドピースは、圧迫点を防ぎ、頸部への装具の落下を防止するためのパディングとして、頭頂部に沿った部位に追加された軽量で柔らかい材料を含み得る。
【0019】
図1は、調節可能な頭蓋装具10の実施形態を示す。頭蓋装具10は、前方部5と後方部15とを備える。
【0020】
前方部5は、アルミニウムや硬質プラスチック又は強化プラスチック材料などの構造的に丈夫で比較的軽量な材料から作られた丸みを帯びたU字形の支持フレーム7で構成され、中央部は硬質プラスチック製で側部は織物などの軟質/可撓性材料製のような保護シースで覆われている。支持フレーム7は乳児の額にもこめかみにも接触しないように意図されているため、パディングを備えた額係合可能部材3が支持フレーム7の横方向伸展部分の後側に取り付けられている。これらの軽量部品(使用段階の全てにおいて柔らかい布で覆ってもよい)は調節可能であり、調節可能なように互いに滑動する2つのL字形部品で構成されている。
【0021】
あるいは、U字形前方部5は柔軟なストラップとして構成されてもよい。
【0022】
後方部15は、例えば、ポリプロピレン、高密度ポリエチレン(HDPE)、アセチル、ポリカーボネートなどの硬質で軽量でありながら柔軟なプラスチック材料で作られた3つの硬質弓状片16~18と、頭蓋装具10を装着したときの快適性を高めるために弓状片16~18の内側に取り付けられたパディング部材19とを有する。あるいは、プラスチック材料をばね鋼ストリップと組み合わせてもよい。中間弓状片17は、弓状片16及び18から前方に突出し、弓状片16及び18の間に矢状方向に介在している。パディング部材は、装置の頸部への移動や滑りを防止するための調節を可能にするような構造と形状に設計されていてもよい。パディング部材は、前方部にも取り付けられ、前方部及び後方部と一緒に調節可能であってもよい。パディングは、安定性、フィット感、快適性を向上させるために、スペーサーパッドを取り付けるためのポケットやその他の手段を有していてもよい。
【0023】
中間弓状片17は、各々が支持フレームシースの対応する前後方向部分と結合されかつ平行である、2つの横方向に離間した前後方向部分と、2つの前後方向部分の間に延びる弓状部分とを有する。支持フレーム7と中間弓状片17は、共通の保護ライニングで覆われているのが好ましい。
【0024】
後方部15は、他の数の弓状片を有し得ることが理解されよう。
【0025】
パディング部材19の構造を図2に示す。パディング部材19は、前方部5の支持フレームの対応する前後方向部分8に取り付けられ、そこからわずかに上方に突出する2つの比較的幅の狭いこめかみ係合部21を有する。より幅が広い弓状後頭部部分23は、一方のこめかみ係合部21から他方のこめかみ係合部21まで連続して延びており、後頭部の頭位性斜頭症の存在に応じて頭蓋の形成を誘発するように主に構成されているものの、頭頂部の頂点から頭頂結節に近接するうなじまで後頭部に係合するように構成されている。パディング部材19は、乳児が接触した場合に柔らかく心地よい、低アレルギー性、生体適合性、及び通気性のフォームで作られてもよい。
【0026】
また、前方部5又は後方部15のナット33又は他の適切な締め具を締めるための調節キー31も示されている。キーは、威圧感を与えないように設計され、装具に一体化された小型のものとしてもよい。調節機構は、成形ヘルメットのような内蔵機構とつまみを回すことによって、装置の幅と、場合によっては長さの調節を可能にする一体型機構であってもよい。
【0027】
図3に示すように、インサート26、例えば楕円形かつ平面状のインサートはスチール製、又は、プラスチック構造を有し、場合によっては強化プラスチック製であってもよい。インサート26は、パディング部材19と一体的に形成され、こめかみ係合部21及び後頭部部分23両方の中に前後方向に延び、支持フレーム7の前後方向部分8と実質的に同じ高さである。インサート26に溶接などで接続されたねじは、支持フレーム7の前後方向部分8に設けられた溝9を通り、ねじに螺合したナット33を固定することにより、調節の目的に使用される。他の調節手段を採用し得ることは理解されよう。
【0028】
支持フレーム7は、各々に溝11が形成された2つの横方向伸展部分12及び13を有するよう示されている。2つの横方向伸展部分12及び13は、溝11と連携するねじとナットの配置によって互いに調節可能に連結される。ねじは、額係合可能部材3に一体的に形成された鋼製インサートに接続されてもよい。あるいは、部分12、13の対称的な調節運動を可能にするために、つまみを備えたリニアレール及び歯車機構を使用してもよい。
【0029】
矢状方向に延び、場合によってはインサート26に対しても垂直な薄い支持付属体34が、インサート26の外側に、ねじとナットを配置することなどによって、固定的に取り付けられてもよい。付属体34は、インサート26の上に突出し、弓状片16及び18の角度変位を容易にするために使用される。湾曲ブレース(図示せず)が、ブレースの回転が制限されるように、付属体34の対応する突出端に旋回可能に連結されており、弓状片内に挿入され、取り付けられている。これにより、ブレースを旋回すると、乳児に部位特定の支持を与える位置に弓状片を固定することができる。
【0030】
パディング部材19は、後頭部部分23からわずかに外側に突出し、弓状片16及び18の間に位置する圧縮可能な裏地要素27を備えて構成されることが示されている。パディングは、洗濯したり、厚めのパディングを装着したりするために、簡単に脱着することができる。あるいは、パディングは、選択的にパディングを追加するためのポケットを備えていてもよい。これらのポケットは、不要な隙間を埋めるためにパッドを追加し、洗濯後の再配置のための安定性と再現性/反復性を向上させるために使用することができる。
【0031】
裏地要素27は、中間弓状片を支持するために使用され、後頭部部分23の弓状輪郭に沿う。裏地要素27は、こめかみ係合部21との境界近くで後頭部部分23とともに湾曲しているので、付属体34から突出した略平面の前後方向に延びるインサート26の後方部分29は、湾曲した裏地要素27からわずかに間隔を空けている。後方部分29と結合された場合に、裏地要素27と後方部分29との間には、中空の中間弓状片の壁を挿入するのに充分な空間がある。
【0032】
頭蓋装具10を調節する様々な可能性が、図4A~4Bに概略的に示されている。幅方向の調節機構は、装置の左右両側で対称的な変化を可能にする。装置の幅を調節すると、弓状片の湾曲が変化するが、弓状片は湾曲を可能にするために柔軟であり、頭部の重量を保持するのに充分な強度を有している。
【0033】
弓状片16及び18は、矢印32で示されるように、湾曲ブレースが矢状方向に延びる付属体に旋回可能に連結される横軸を中心に角度調節が可能である。硬質弓状片が丸い後頭部に固定されることによって、後頭部の扁平部位と乳児が横たわる平面との接触を防止する。頭蓋変形の原因が回避されるため、脳の急速な成長に対応した後頭部の制限されることのない成長が可能になる。これによって、乳児の頭部が弓状片16~18とパディング部材によって画定された凹状の空間に静止している間に、正常な丸みを帯びた頭蓋構造になるまで、頭蓋骨が外側に押し出される。
【0034】
装具の長さは、パディング部材のこめかみ係合部21を支持フレームの対応する前後方向部分8に対して相対的に変位させ、矢印34で示すようにナットを固定することによって調節できる。装具の幅は、矢印36で示すように、支持フレームの2つの横方向伸展部分を相対的に変位させ、ナットを固定することによって調節できる。後頭部の成長期には頭蓋の寸法が変化するため、装具の長さ及び幅は、前方部分及び後方部分の適切な固定を確保するために概ね継続的に調節されなければならない。
【0035】
図8~13は、頭蓋装具80の別の実施形態を示しており、この装具は、長さ方向及び幅方向の頭蓋骨の成長に応じて容易に調節ができる。
【0036】
図8に示すように、頭蓋装具80は、取り外し可能に結合され、乳児の頭蓋骨81に固定されるように構成された前方部85及び後方部105を備える。前方部85及び後方部105の各々は、支持フレーム、支持フレームを包む保護シース、及び保護シースが係合するパディング要素を備える。各要素が作られる材料の種類は、図1の頭蓋装具10と同様であってもよいが、後方支持フレームは例外であり、構造的に強く、少なくともある程度柔軟な、例えば、ポリプロピレン、HDPE、アセチル、ポリカーボネートなどのプラスチック材料で作られている。
【0037】
後方部105は、互いに角度方向に離間して配置され、頭蓋骨81の丸みを帯びた輪郭に沿って、連続的に固定されるよう構成された2つの弓状片101及び102を備え、この弓状片101及び102は、現状で左右対称の形状であるか、又は、頭蓋装具80によって誘導することができる制限されることのない後頭部の成長の後、左右対称の形状になるように意図されている。頭蓋骨81の各側面において、2つの弓状片101及び102は、境界部分107で結合してY字形構造を画定する。境界部分107は、対応する前後方向部分108まで連続的に延びている。
【0038】
前後方向部分108には、例えば楕円形の開口が形成され、開口の境界109は、開口を通して見える支持フレームインサート103に連結された突起104の並進変位を制限する役割を果たす。突起104は、装具が最小長の場合に境界109の最前端に位置するように示されている。頭蓋骨81が大きくなるにつれて、突起104及びインサート103は、弓状片101及び102が再び頭蓋骨に固定されるまで、拡大した頭蓋骨の寸法に合わせて後方に変位する。図9では、突起104が境界109の最後端に位置するように示されており、これにより後方部105が頭蓋骨81から離間している。
【0039】
図10Aは、前方支持フレーム93、前方保護シース94、前方パディング要素96、後方支持フレーム112、後方保護シース114、及び、後方パディング要素116を含む装具80の分解図を示す。
【0040】
前方パディング要素96と後方パディング要素116は互いに近接し、頭蓋形成のために乳児の頭蓋骨を配置可能な凹状の空間111を画定していることが示されている。凹状の空間111に面する前方パディング要素96と後方パディング要素116の両方の内面は、乳児の快適性を高めるために完全に滑らかである。凹状の空間111の反対側を向いた前方パディング要素96及び後方パディング要素116の外面には、それぞれ、対応する支持フレーム又は対応する包囲保護シースの好適な位置決めを容易にする上下外向きに突出した部分が形成されている。後方パディング要素116は、パディング要素116を乳児の頭部に固定するための上側ひも87Aと下側ひも87Bを備え得る。各ひもは、各ひも端部をパディング要素116の外面に固定するための固定要素95(フック又はベルクロファスナーストラップなど)で終端されている。
【0041】
図10Bは、後方保護シース114を示している。後方保護シース114は切込み119を有し、後方支持フレーム112を後方パディング要素116に取り付ける前に包み込むように後方保護シース114に挿入することを可能にする。
【0042】
例えば図11に示すように、後方支持フレームの弓状片91及び92は、後方パディング要素116の下側突出部分118の上方及び下方にそれぞれ配置され、下側突出部分118と概ね隣接している。後方パディング要素116の上側突出部分117は後方パディング要素116の周方向長さ全体に亘って延びているが、下側突出部分118は後方支持フレームの境界部分107の位置決めを妨げないように、後方パディング要素116の限定的な長さに沿ってのみ延びている。
【0043】
前方支持フレーム93はU字形であり、前方にセンサモジュール142を突出させる矩形の額係合可能部材88と、幅方向調節のために額係合可能部材88の対応するソケット86A及び86Bにそれぞれ摺動可能かつ調節可能に導入可能な2つの対向するL字形要素89A及び89Bを備えて構成される。2つのL字形要素89A及び89Bの各々の横方向伸展部分は、例えば薄い固定要素123(図12)を用いて額係合可能部材88に固定可能である。各L字形要素89の前後方向部分84には、突起104の変位を可能にする開口83が形成されている。L字形要素89A及び89Bは、歯車89Cによって係合され、対応するソケット内でその一方が変位すると、図12に示すように、(U字形前方部5の対称的な構成を確保するように)他方のL字形要素が反対方向に移動するようになっている。
【0044】
図12に示すように、各前後方向部分84は、対向する壁127及び128を有する薄い中空室を備える。壁127と128の間隔は、後方支持フレームインサート103を受け入れて固定するのに充分な大きさである。後方支持フレームインサート103は、対応する前後方向部分84の後方開口部を介して導入される。インサート103が図示されるように最大限まで前後方向部分84内に挿入されると、乳児の頭蓋骨、特に弓状片92に固定できる後方部105の周方向の長さが制限され、したがって乳児の頭蓋骨の拡大に抵抗する。
【0045】
インサート103が対応する前後方向部分84に導入された後、突起104はインサートに接続され、例えばインサートに形成されたねじ付き開口部を介して螺合して接続され、壁128に形成された内側開口の境界129に係合され、それによって変位が防止される。境界129との係合は、図11に示されるように、前方部85と後方部105とが、乳児の頭蓋骨に固定されていないときでも、係合されたままであることが可能なように充分に強力である。
【0046】
突起104がわずかに緩むと、突起104は、インサート103とともに、境界109と129の間の空間に沿って前後方向に自由に変位できる。
【0047】
突起104は、当業者に周知の他の手段でインサート103に接続されてもよい。
【0048】
前方保護シース94及び後方保護シース114は、前方部85及び後方部105が互いに結合された後に、あるいは、互いに結合される前に、各保護シースに形成された底部スリット及び/又は上部スリットを介して、それぞれ、前方支持フレーム93及び後方支持フレーム112の上に導入されることができる。前方保護シース94と後方保護シース114は、その一方の中空端部材131が他方の中空端部材内に挿入されると、当業者に周知の手段と連動して結合することができる。
【0049】
図13Aは、突起の変位後、図12に示す位置に対して前方部85から後退した場合の後方部105を示す。インサート103の長さのほんの一部だけが前後方向部分84に収容されており、したがって境界部分107とインサート103の残りの長さは制限されていない。乳児の頭蓋骨に固定できる後方部105の周方向の長さは、インサート103に制限がないため、図12に示す長さに比べて大幅に増加し、したがって、乳児の頭蓋骨の長さ方向及び幅方向の両方への拡大を支持する。
【0050】
図13Bは、2つのL字形要素89A及び89Bを互いに対して横方向にさらに変位させ、(図13Aに図示されている余分な長さを得るのに加えて)より大きな乳児の頭部を受け入れるための余分な幅を得るようにした、図13Aの後方部を示す。
【0051】
別の実施形態では、図1図8のヘッドピース又は他の頭蓋骨露出型のヘッドピースは、乳児の頭蓋骨がさらされる頭部の向きと機械的圧力に関連するデータを測定するように構成された診断及び治療用製品(又は装置)として機能する。治療期間全体にわたって頭部の向きをモニタリングする必要はなく、所定の時間(約5~15分)モニタリングするだけでよい。また、必要に応じて、治療用装置から簡単に脱着できるように電子システムが設計される。
【0052】
このようなデータは、斜頸の原因であるSCM筋の不均衡、又は頭部位置の優位傾向を検出するのに役立つ。診断用製品は、同じ装具の中で(頭蓋骨の変形を治療することを目的とする)治療用製品に追加して提供されてもよく、あるいは、治療用製品から独立して提供されてもよい。斜頸の診断が可能な方位センサ(後述)は、追加的装置であっても、独立した装置であってもよい。
【0053】
図5は、例えば、中間弓状片17とパディング部材19との間に装着され、これらと力を伝達する関係にあるセンサモジュール42を備える診断用製品40を概略的に示している(当然のことながら、センサモジュール42は、ヘッドピース10の内面又は外面に沿った異なる位置にあってもよい)。センサアレイを備えるセンサモジュール42は、好ましくは、中間弓状片17及びパディング部材19と同様の弓状構成を有し、弓状片16及び弓状片18のうちの1つ以上と付加的に力を伝達する関係にあるように、中間弓状片17から矢状方向に突出していてもよい。
【0054】
センサモジュール42は、乳児の頭蓋骨と接触する全ての領域に沿って配置される電子センサ又は化学センサを備えていてもよく、例えば弓状片17を含むU字形前方部5と後方部との間に固定された患者の頭蓋骨47の異なる領域に対する機械的負荷を連続的に測定し、これらの頭蓋骨領域の各々における累積した機械的圧力の振幅、分布、及び持続時間に関する情報を検出するのに適している。
【0055】
別の実施形態では、センサモジュール42は、弓状片16~18の1つ以上の中に内蔵されてもよい。
【0056】
図1に示す)弓状片16、17、18及び(図8に示す)103、107の形状及び機械的特性によって、装置の幅を調節することで片の湾曲を変化させることが可能になる。作動片16~18は、その柔軟性により湾曲を変化させると同時に、乳児の頭部の重さがかかってもその形状を維持し、潰れを防止する充分な強度を有しており、したがって、乳児の頭部を滑らかに回転させることができる。
【0057】
また、弓状片の湾曲を調節することで、弓状片16、17、18を乳児の頭部の大きさに正確に合わせることができる。これらの特徴により、扁平部位に面して対称的隙間が保たれ、固定機能を備えた連続的な調節により、成形ヘルメットよりもはるかに汎用性の高い装具を提供する。
【0058】
本発明によって提供される装具は、主に乳児の頭部の外周を支持することによって、フラットヘッド症候群の問題を解決する。
【0059】
弓状は、一方では、内側で頭蓋骨の対称的な成長のための空間を用意することを可能にし、他方では、作動片の外側は、ベッド表面上で乳児の頭部が滑らに回転移動することを阻害することなく可能にする。
【0060】
図6に示すように、センサモジュール42は、対応する頭蓋骨領域に加わる力を検出するための分散センサ44のアレイと、各センサ44から得られるデータ信号を受信して処理するためのマイクロコントローラ又は他の種類のプロセッサ46と、プロセッサ46及び各センサ44に電力を供給するためのバッテリ49とを備える。
【0061】
別の実施形態では、図1のヘッドピース10は、先に説明した診断用製品に加えて、治療用製品となるように変更されてもよい。乳児が斜頸と診断された後、医療従事者は、弓状片16~18のうち2つの間の選択された領域に、硬質パッチなどの抵抗適用要素を結合することができる。パッチが結合される選択された領域は、弱化していることが判明した頸部筋肉に対して概ね反対側に位置している。この弱化した筋肉は、その結果、頭部が均衡のとれた状態になるまで、パッチによって強制的に緊張させられる。
【0062】
図7は、別の実施形態を示しており、この実施形態によれば、調節可能な頭蓋装具10の前方部5(図1に示される)は、嵌合収容部72に挿入可能な方位センサ71を備える。各センサ44から得られるデータ信号を適切に処理することにより、斜頸にしばしば関連する非対称な頸部筋肉の存在を決定することができ、斜頭症が顕著になる前であっても、この状態に対する治療を展開することができる。さらに、治療中の受信信号の分析(所定期間毎に所定時間モニタリングされる)により、診断された斜頸の改善と、頭蓋骨の丸みの変化が顕著になる前であっても、頭部の完全な可動域を促進する対称的な筋系が徐々に達成されていることが示唆され得る。向きをモニタリングすることで、次にとるべき治療ステップの決定や必要な治療期間の決定について改善することができる。
【0063】
収容部72は、バネ付きピン(「ポゴピン」とも呼ばれる)などのコネクタを用いて前方部5の上面に取り付けることができる。方位センサ71は、ジャイロスコープ又は3次元加速度計、メモリ、及びオペレーティングソフトウェアを備えた電子モジュールから構成されてもよく、仰向けに寝ている乳児の頭部の瞬間的な向き、及び経時的な向きの変化を連続的に測定して記録する。記録されたデータは、遠隔地のサーバに送信され、そのサーバに保存されるか、計算クラウドに保存するためにアップロードされてもよい。保存されたデータは、後に臨床や研究の目的で使用され得る。
【0064】
調節可能な頭蓋装具10はまた、乳児の頭部に加えられる圧力を経時的に測定し記録するアーチ型の圧力計センサ35を備えていてもよい。マイクロコントローラ又は他の種類のプロセッサが追加され、加わった圧力に関する記録されたデータを処理し、表示するために使用される。測定されたデータは、有線接続74を介して方位センサ71に送信され、遠隔地のサーバ又は計算クラウドに保存及び送信される。
【0065】
別の実施形態によれば、方位センサ71は、斜頸の早期診断を行い、斜頸の治療を支援するように構成されている。これは、乳児の身体及び周囲の環境に対する乳児の頭部の向きに関するデータをモニタリング及び報告することによって行われる。このようにして、(診断用装置として機能する)調節可能な頭蓋装具装置10を乳児の頭部に所定の(短い)時間(例えば、数分間)装着し、データを収集することが可能になる。そして、収集したデータを保存し、分析することで、親や医療チームに結果を視覚的に示すことができる。
【0066】
別の実施形態によれば、圧力センサを嵌合収容部72に挿入してもよい。圧力センサは、例えば、ひずみゲージ又は圧電変換器を備えてもよく、異なる頭蓋骨領域に加わる力の大きさに関するデータを時間の関数としてモニタリング及び報告するように構成される。そして、収集したデータを保存し、分析することで、医療チームに結果を視覚的に示すことができる。異なる頭蓋骨領域に加わる力の大きさを測定することにより、頭蓋装具10の使用中の安全性が向上し、(保健当局によって定義された)最大許容力を超えることが防止される。
【0067】
本発明のいくつかの実施形態を例示のために説明したが、本発明は、特許請求の範囲を逸脱することなく、当業者の範囲内である多くの変更、変形及び適応、並びに、多数の等価物又は代替的解決策の使用により実施できることは明らかであろう。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図5
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B
図11
図12
図13A
図13B
【国際調査報告】