(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-02
(54)【発明の名称】セパレータ、その製造方法及び二次電池、電池モジュール、電池パックと電力消費装置
(51)【国際特許分類】
H01M 50/451 20210101AFI20240925BHJP
H01M 50/443 20210101ALI20240925BHJP
H01M 50/434 20210101ALI20240925BHJP
H01M 50/446 20210101ALI20240925BHJP
H01M 50/489 20210101ALI20240925BHJP
H01M 50/42 20210101ALI20240925BHJP
H01M 50/414 20210101ALI20240925BHJP
H01M 50/426 20210101ALI20240925BHJP
H01M 50/411 20210101ALI20240925BHJP
H01M 50/491 20210101ALI20240925BHJP
H01M 50/403 20210101ALI20240925BHJP
H01M 50/46 20210101ALI20240925BHJP
【FI】
H01M50/451
H01M50/443 B
H01M50/443 C
H01M50/434
H01M50/443 M
H01M50/446
H01M50/489
H01M50/42
H01M50/414
H01M50/426
H01M50/411
H01M50/491
H01M50/403 D
H01M50/46
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024517174
(86)(22)【出願日】2022-07-11
(85)【翻訳文提出日】2024-03-18
(86)【国際出願番号】 CN2022104916
(87)【国際公開番号】W WO2024011356
(87)【国際公開日】2024-01-18
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513196256
【氏名又は名称】寧徳時代新能源科技股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Contemporary Amperex Technology Co., Limited
【住所又は居所原語表記】No.2,Xingang Road,Zhangwan Town,Jiaocheng District,Ningde City,Fujian Province,P.R.China 352100
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】洪海芸
(72)【発明者】
【氏名】楊建瑞
(72)【発明者】
【氏名】康海楊
(72)【発明者】
【氏名】孫成棟
(72)【発明者】
【氏名】鄭義
(72)【発明者】
【氏名】巣雷
【テーマコード(参考)】
5H021
【Fターム(参考)】
5H021BB12
5H021CC02
5H021CC03
5H021CC04
5H021EE01
5H021EE03
5H021EE05
5H021EE06
5H021EE10
5H021EE15
5H021EE21
5H021HH00
5H021HH01
5H021HH02
5H021HH03
5H021HH06
5H021HH07
(57)【要約】
本出願は、セパレータ、その製造方法、及びこのセパレータを含む二次電池、電池モジュール、電池パックと電力消費装置を提供し、ここで、前記セパレータは、基体と、前記基体の少なくとも一つの表面に塗布されるコーティングとを含み、前記コーティングは、40-90wt%の第一の有機粒子と、2-15wt%の感圧性接着剤と、任意選択的な0-50wt%の第二の有機粒子とを含み、ここで、前記第一の有機粒子は、有機ポリマーと無機物とを含み、前記感圧性接着剤は、有機ポリマーと可塑剤とを含む。本出願によるセパレータは、常温で良好なイオン伝導能力と接着性能を有し、≦1MPaの圧力作用で接着作用が発生しないが、≧2MPaの圧力作用で明らかに接着作用が発生し、電気化学デバイスの構造安定性とイオン伝導を明らかに改善でき、同時に電池コア製造された歩留まり及び動力学性能要求を両立させることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
セパレータであって、
基体と、
前記基体の少なくとも一つの表面に塗布されるコーティングと、
を含み、
前記コーティングは、40-90wt%の第一の有機粒子と、2-15wt%の感圧性接着剤と、任意選択的な0-50wt%の第二の有機粒子と、を含み、
ここで、前記第一の有機粒子は、有機ポリマーと、無機物と、を含み、前記感圧性接着剤は、有機ポリマーと、可塑剤と、を含み、
選択的に、前記第一の有機粒子の体積平均粒径は、(Dv90-Dv10)/Dv50≦2.5、選択的に≦2、さらに選択的に≦1.8を満たし、且つ前記第一の有機粒子のガラス化移転温度は、20-100℃、選択的に30-80℃であり、
選択的に、前記セパレータは、0.1g・m
-2・Ω
-1≦ρ/R≦1.0g・m
-2・Ω
-1、選択的に0.5g・m
-2・Ω
-1≦ρ/R≦0.9g・m
-2・Ω
-1、さらに選択的に0.6g・m
-2・Ω
-1≦ρ/R≦0.8g・m
-2・Ω
-1を満たし、ここで、ρは、前記コーティングの前記基体上の面密度を表し、Rは、前記セパレータの25℃における抵抗を表す、セパレータ。
【請求項2】
前記第一の有機粒子は、
(1)前記第一の有機粒子の体積平均粒径Dv50が3-36μm、選択的に5-20μmであること、
(2)前記第一の有機粒子のガラス化移転温度が20-100℃、選択的に30-80℃であること、
(3)前記第一の有機粒子における有機ポリマーの重量平均分子量が500×10
3g/mol-1000×10
3g/mol、選択的に800×10
3g/mol-1000×10
3g/molであること、
のうちの一つ又は複数の条件を満たす、請求項1に記載のセパレータ。
【請求項3】
前記第一の有機粒子における有機ポリマーは少なくとも、
少なくとも一つのエステル結合を有し、選択的にアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n-プロピル、アクリル酸n-ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸sec-ブチル、アクリル酸tert-ブチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸-2-エチルヘキシル、アクリル酸-2-ヒドロキシエチル、アクリル酸-2-ヒドロキシプロピル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n-ブチル、メタクリル酸-2-エチルヘキシル、メタクリル酸イソボルニル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸-2-ヒドロキシエチル、メタクリル酸-2-ヒドロキシプロピル、酢酸ビニル、メタクリル酸トリフルオロエチル、メタクリル酸グリシジル又はトリメチロールプロパントリアクリレートのうちの一つ又は複数であり、さらに選択的にメタクリル酸メチル、アクリル酸ラウリル、メタクリル酸ラウリル又はトリメチロールプロパントリアクリレートのうちの一つ又は複数である第一の重合性モノマーと、
少なくとも一つのシアン結合を有し、選択的にアクリロニトリル、メタクリロニトリル、エタクリロニトリルのうちの一つ又は複数であり、さらに選択的にアクリロニトリル、メタクリロニトリルのうちの一つ又は複数である第二の重合性モノマーと、
少なくとも一つのアミド結合を有し、選択的にアクリルアミド、N-メチロールアクリルアミド、N-ブトキシメタクリルアミドのうちの一つ又は複数であり、さらに選択的にアクリルアミド、N-メチロールアクリルアミドのうちの一つ又は複数である第三の重合性モノマーとのモノマーにより重合されてなり、
選択的に、前記第一の重合性モノマーと前記第二の重合性モノマーと前記第三の重合性モノマーとの重量比は、1:0-0.8:0.05-0.75であり、選択的に1:0.1-0.6:0.1-0.6である、請求項1から2のいずれか1項に記載のセパレータ。
【請求項4】
前記第一の有機粒子における有機ポリマーの含有量は、前記第一の有機粒子の総乾燥重量を基準として、50-99.9%であり、選択的に60-99%であり、さらに選択的に70-99%であり、
前記第一の有機粒子における無機物の含有量は、前記第一の有機粒子の総乾燥重量を基準として、0.1-50%であり、選択的に1-40%であり、さらに選択的に1-30%である、請求項1から3のいずれか1項に記載のセパレータ。
【請求項5】
前記第一の有機粒子における有機ポリマーと無機物との重量比は、99:1-1:1であり、選択的に70:30-1:1である、請求項1から4のいずれか1項に記載のセパレータ。
【請求項6】
前記第一の有機粒子における有機ポリマーの総重量を基準として、
前記第一の重合性モノマーの含有量は、35-80重量%であり、選択的に45-70重量%であり、
前記第二の重合性モノマーの含有量は、0-30重量%であり、選択的に5-25重量%であり、及び
前記第三の重合性モノマーの含有量は、5-40重量%であり、選択的に8-35重量%である、請求項1から5のいずれか1項に記載のセパレータ。
【請求項7】
前記第一の有機粒子における無機物は、ケイ素、アルミニウム、カルシウム、亜鉛、マグネシウムの酸化物及び硫酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、炭酸カルシウム及びその改質材料のうちの一つ又は複数から選択され、選択的に二酸化ケイ素、シリカゾル、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、安息香酸ナトリウムのうちの一つ又は複数であり、さらに選択的にヒュームド二酸化ケイ素、ケイ素微粉末、酸化アルミニウム、安息香酸ナトリウムのうちの一つ又は複数である、請求項1から6のいずれか1項に記載のセパレータ。
【請求項8】
前記第一の有機粒子の表面は、凹凸状であり、粒径が10-200nmの無機酸化物クラスターが均一に分布している、請求項1から7のいずれか1項に記載のセパレータ。
【請求項9】
前記感圧性接着剤に含まれる前記有機ポリマーと前記可塑剤との質量比は、(4-25):1であり、選択的に(4-11):1である、請求項1から8のいずれか1項に記載のセパレータ。
【請求項10】
前記感圧性接着剤は、コアシェル構造を有し、前記コアシェル構造のコアとハウジングとは、いずれも有機ポリマーと可塑剤とを含み、ここで、コアにおける前記有機ポリマーと可塑剤との質量比は、(3-4):1であり、選択的に(3.2-3.8):1であり、ハウジング構造における前記有機ポリマーと可塑剤との質量比は、(7-9):1であり、選択的に(7.5-8.5):1である、請求項1から9のいずれか1項に記載のセパレータ。
【請求項11】
前記感圧性接着剤において、一部の前記可塑剤は、前記有機ポリマーにグラフトされており、
選択的に、前記感圧性接着剤において、前記可塑剤の重量を基準として、少なくとも5wt%の可塑剤は、前記有機ポリマーにグラフトされている、請求項1から10のいずれか1項に記載のセパレータ。
【請求項12】
前記感圧性接着剤の体積平均粒径Dv50は、0.3-3.5μmであり、選択的に0.8-2.0μmであり、選択的に、前記感圧性接着剤のガラス化移転温度は、-50℃-100℃であり、選択的に-45℃-60℃である、請求項1から11のいずれか1項に記載のセパレータ。
【請求項13】
前記感圧性接着剤において、前記有機ポリマーは、以下の第一のモノマー群のうちの少なくとも一つ、第二のモノマー群のうちの少なくとも一つ、第三のモノマー群のうちの少なくとも一つと反応性分散剤のうちの少なくとも一つの混合物を共重合してなるコポリマーを含み、即ち、
前記第一のモノマー群は、アクリル酸、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸tert-ブチル、メタクリル酸イソボルニル、メチロールアクリルアミド、アクリルアミド、スチレン、アクリロニトリルを含み、
前記第二のモノマー群は、アクリル酸C
4-C
22アルキルエステル、例えばアクリル酸イソブチル、アクリル酸イソオクチル、アクリル酸tert-ブチル、アクリル酸-2-エチルヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸-2-エチルヘキシル、メタクリル酸n-ヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、及びメタクリル酸ベンジル、アクリル酸-2-ヒドロキシエチル、アクリル酸-2-ヒドロキシプロピル、メタクリル酸エチレン尿素エチル、ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート、メタクリル酸テトラヒドロフリル、メタクリル酸トリフルオロエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、メタクリル酸アクリル、ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレートを含み、
前記第三のモノマー群は、メタクリル酸-2-ヒドロキシエチル、メタクリル酸-2-ヒドロキシプロピル、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N-メチロールアクリルアミド、N-ブトキシメタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド(DAAM)、メタクリル酸アセト酢酸エチル(AAEM)、ジビニルベンゼン、エポキシ価0.35-0.50のエポキシ樹脂、ジビニルベンゼンを含み、及び
前記反応性分散剤は、ポリビニルアルコール、ポリプロピレンアルコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコールを含む、請求項1から12のいずれか1項に記載のセパレータ。
【請求項14】
前記可塑剤は、グリセロールC
4-C
10アルキルジエーテル又はモノエーテル、グリセロールC
4-C
10カルボン酸モノエステル又はジエステル、プロピレングリコールC
4-C
10アルキルモノエーテル又はグリセロールのうちの一つ又は複数から選択される、請求項1から13のいずれか1項に記載のセパレータ。
【請求項15】
前記コーティングの平均厚さは、0.8-22μmであり、選択的に2-15μmである、請求項1から14のいずれか1項に記載のセパレータ。
【請求項16】
前記第二の有機粒子は、ハロゲン、フェニル基、エポキシ基、シアノ基、エステル基及びアミド基を含む一つ又は複数のモノマーのポリマーであり、
選択的に、前記第二の有機粒子は、フッ素含有アルケニルモノマー単位のホモポリマー又はコポリマー、オレフィン系モノマー単位のホモポリマー又はコポリマー、不飽和ニトリル系モノマー単位のホモポリマー又はコポリマー、アルキレンオキシド系モノマー単位のホモポリマー又はコポリマー、単糖類モノマー単位のダイポリマー、ホモポリマー又はコポリマー、及び前記各ホモポリマー又はコポリマーの改質化合物のうちの少なくとも一つから選択され、
さらに選択的に、前記第二の有機粒子は、ポリパーフルオロエチレン、ポリビニリデンフルオライド、ポリビニリデンフルオライド-コ-ヘキサフルオロプロピレン、ポリビニリデンフルオライド-コ-トリクロロエチレン、ポリスチレン-コ-メタクリル酸メチル、ポリスチレン-コ-アクリル酸ブチル、スチレン-アクリル酸ブチル-アクリル酸イソオクチル、ポリメタクリル酸メチル、ポリアクリロニトリル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン-コ-酢酸ビニル、ポリイミド、ポリエチレンオキサイド、酢酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、酢酸プロピオン酸セルロース、シアノエチルプルラン、シアノエチルポリビニルアルコール、シアノエチルセルロースとシアノエチルスクロースのうちの少なくとも一つから選択され、
さらに選択的に、前記第二の有機粒子は、ポリビニリデンフルオライド-コ-ヘキサフルオロプロピレン、ポリスチレン-コ-アクリル酸ブチル、スチレン-アクリル酸ブチル-アクリル酸イソオクチル、ポリパーフルオロエチレン、ポリビニリデンフルオライド、ポリビニリデンフルオライド-コ-トリクロロエチレンのうちの少なくとも一つから選択される、請求項1から15のいずれか1項に記載のセパレータ。
【請求項17】
前記第二の有機粒子は、
(1)前記第二の有機粒子の体積平均粒径Dv50が2-20μmであり、選択的に6-15μmであること、
(2)前記第二の有機粒子の融点が130-160℃であり、選択的に138-150℃であること、
(3)前記第二の有機粒子の重量平均分子量が400×10
3g/mol-1000×10
3g/molであり、選択的に450×10
3g/mol-650×10
3g/molであること、
のうちの一つ又は複数の条件を満たす、請求項1から16のいずれか1項に記載のセパレータ。
【請求項18】
前記セパレータは、
(1)前記基体の空隙率が10-95%であること、
(2)前記基体の穴径が20-60nmであること、
(3)前記基体の厚さが3-12μmであり、選択的に5-9μmであること、
(4)前記基体が、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエステル、ポリアセタール、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアリールエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、ポリベンズイミダゾール、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンエーテル、シクロオレフィンコポリマー、ポリフェニレンスルフィドとポリエチレンナフタレンのうちの一つ又は複数から選択されるフィルム又は不織布であること、
のうちの一つ又は複数の条件を満たす、請求項1から17のいずれか1項に記載のセパレータ。
【請求項19】
前記セパレータにおいて、
前記第一の有機粒子と前記第二の有機粒子との質量比は、10-100:0-90、選択的に20-90:0-60であり、
選択的に、前記第一の有機粒子と前記第二の有機粒子との質量の和と前記感圧性接着剤の質量との比は、20-92:8-20、選択的に60-90:10-15である、請求項1から18のいずれか1項に記載のセパレータ。
【請求項20】
請求項1から19のいずれか1項に記載のセパレータの製造方法であって、
第一の有機粒子と分散剤とを溶媒に加えて第一のポリマー溶液を形成するステップS1と、
感圧性接着剤を前記ステップS1で得られた前記第一のポリマー溶液に加え、十分に混合して第二のポリマー溶液を形成するステップS2と、
任意選択的に、前記ステップS2で得られた第二のポリマー溶液に第二の有機粒子を加え、十分に混合して第三のポリマー溶液を形成するステップS3と、
前記ステップS2で得られた第二のポリマー溶液又は前記ステップS3で得られた前記第三のポリマー溶液を基体の少なくとも一つの表面に塗布し、乾燥した後にセパレータを得るステップS4)と、
を含み、
前記セパレータは、基体と、前記基体の少なくとも一つの表面に塗布されるコーティングと、を含み、
前記コーティングは、40-90wt%の第一の有機粒子と、2-15wt%の感圧性接着剤と、任意選択的に0-50wt%の第二の有機粒子と、を含み、
前記第一の有機粒子は、有機ポリマーと、無機物と、を含み、前記感圧性接着剤は、有機ポリマーと、可塑剤と、を含み、選択的に、前記第一の有機粒子の体積平均粒径は、(Dv90-Dv10)/Dv50≦2.5、選択的に≦2、さらに選択的に≦1.8を満たし、且つ前記第一の有機粒子のガラス化移転温度は、20-100℃、選択的に30-80℃であり、選択的に、前記セパレータは、0.1g・m
-2・Ω
-1≦ρ/R≦1.0g・m
-2・Ω
-1、選択的に0.5g・m
-2・Ω
-1≦ρ/R≦0.9g・m
-2・Ω
-1、さらに選択的に0.6g・m
-2・Ω
-1≦ρ/R≦0.8g・m
-2・Ω
-1を満たし、ここで、ρは、前記コーティングの前記基体上の面密度を表し、Rは、前記セパレータの25℃における抵抗を表す、セパレータの製造方法。
【請求項21】
正極極板と、負極極板と、前記正極極板と前記負極極板との間に位置するセパレータと、電解液と、を含む二次電池であって、前記セパレータは、請求項1から19のいずれか1項に記載のセパレータ又は請求項20に記載の方法により製造されたセパレータである、二次電池。
【請求項22】
前記二次電池の前記正極極板と前記セパレータとの間の接着力は、1.2≦F2/F1≦4、選択的に1.5≦F2/F1≦3.8を満たし、
F1は、25℃、≧2MPaにおける前記正極極板と前記セパレータとの間の接着力を表し、F2は、95℃、≧2MPaにおける前記正極極板と前記セパレータとの間の接着力を表す、請求項21に記載の二次電池。
【請求項23】
請求項21又は22に記載の二次電池を含む、電池モジュール。
【請求項24】
請求項21又は22に記載の二次電池又は請求項23に記載の電池モジュールのうちの少なくとも一つを含む、電池パック。
【請求項25】
請求項21又は22に記載の二次電池、請求項23に記載の電池モジュール又は請求項24に記載の電池パックのうちの少なくとも一つを含む、電力消費装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、電池技術分野に関し、特にセパレータ、その製造方法及びこのセパレータを含む二次電池、電池モジュール、電池パックと電力消費装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電気化学デバイスの電池コアの製造過程において、極板とセパレータは、移転中に避けられず、位置ずれが発生し、軽い場合は極板が満充電後にしわになり、動力学性能に深刻な影響を与え、電池コアの安全性能を低下させ、深刻な場合は極板が互いに接触して乾式電池コアを廃棄することになる。そのため、技術者は、セパレータに接着コーティングを塗覆するとともに、一般的には電気化学デバイスの極板とセパレータの第一の複合工程において、適切な圧力作用で予圧を行い、電気化学デバイスの極板とセパレータが次工程に入る前に一定の接着があることを保証するが、生産効率の要求により、第一の工程における圧力及び作用時間は、いずれも電気化学デバイスの極板とセパレータが適切な接着を達成することを満足することができない。他方で、セパレータの輸送中に、セパレータとセパレータとの間にも適切な接着が必要である。接着力が大き過ぎると、セパレータ層同士の接着を引き起こす可能性があり、後続の極板とセパレータの高速複合に不利である。そのため、どのようにセパレータと極板との間に適切な接着作用を持たせて安全性能を向上させるとともに、輸送中に、セパレータとセパレータとの間の接着力が大きすぎてセパレータの後続の使用に影響を与えないようにするかは、技術者の早急な解決が待たれる課題となっている。
【0003】
なお、上記課題を解決すると同時に、さらに接着物質の面密度が高すぎるとセパレータの抵抗が劣化するかどうか、接着物質の高温と室温での接着力が適切であるかどうか、セパレータの穴を塞いで、セパレータの抵抗が増大し、さらに電池コアの動力学性能に影響を与えるかどうかという問題を考慮すべきである。
【0004】
それによってこれで分かるように、上記問題を同時に解決できるセパレータを開発することは、非常に意義がある。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、セパレータ、その製造方法、及びこのセパレータを含む二次電池、電池モジュール、電池パックと電力消費装置を提供することである。
【0006】
上記目的を実現するために、本出願の第一の態様は、セパレータを提供し、このセパレータは、
基体と、
前記基体の少なくとも一つの表面に塗布されるコーティングと、を含み、前記コーティングは、40-90wt%の第一の有機粒子と、2-15wt%の感圧性接着剤と、任意選択的な0-50wt%の第二の有機粒子と、を含み、
前記第一の有機粒子は、有機ポリマーと無機物とを含み、前記感圧性接着剤は、有機ポリマーと可塑剤と、を含み、
選択的に、前記第一の有機粒子の体積平均粒径は、(Dv90-Dv10)/Dv50≦2.5、選択的に≦2、さらに選択的に≦1.8を満たし、且つ第一の有機粒子のガラス化移転温度は、20-100℃、選択的に30-80℃であり、
選択的に、前記セパレータは、0.1g・m-2・Ω-1≦ρ/R≦1.0g・m-2・Ω-1、選択的に0.5g・m-2・Ω-1≦ρ/R≦0.9g・m-2・Ω-1、さらに選択的に0.6g・m-2・Ω-1≦ρ/R≦0.8g・m-2・Ω-1を満たし、ここで、ρは、前記コーティングの前記基体上の面密度を表し、Rは、セパレータの25℃における抵抗を表す。
【0007】
このセパレータは、感圧性接着剤を含み、良好な感圧特性を有し、≦1MPaでの接着力が0.08N/m以下であるため、セパレータの巻き取り及び保管中のセパレータとセパレータとの間の接着を回避することができる。同時に、室温(一般的に20-30℃、例えば25℃)、≧2MPa圧力で極板と明らかな接着作用が発生できるため、このセパレータを用いて電池コアを製造する時に、室温、適切な圧力で極板とセパレータとを密着させることができる。なお、選択的に、前記セパレータは、0.1g・m-2・Ω-1≦ρ/R≦1.0g・m-2・Ω-1を満たし、それによって前記セパレータは、優れた接着性能を備えると同時に、セパレータの抵抗の増加による動力学性能の劣化を招くことがない。
【0008】
いずれの実施の形態では、選択的に、前記第一の有機粒子は、
(1)前記第一の有機粒子の体積平均粒径Dv50が3-36μm、選択的に5-20μmであること、
(2)前記第一の有機粒子のガラス化移転温度が20-100℃、選択的に30-80℃であること、
(3)前記第一の有機粒子における有機ポリマーの重量平均分子量が500×103g/mol-1000×103g/mol、選択的に800×103g/mol-1000×103g/molであること、のうちの一つ又は複数の条件を満たす。
【0009】
いずれの実施の形態では、選択的に、前記第一の有機粒子における有機ポリマーは少なくとも、
少なくとも一つのエステル結合を有し、選択的にアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n-プロピル、アクリル酸n-ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸sec-ブチル、アクリル酸tert-ブチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸-2-エチルヘキシル、アクリル酸-2-ヒドロキシエチル、アクリル酸-2-ヒドロキシプロピル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n-ブチル、メタクリル酸-2-エチルヘキシル、メタクリル酸イソボルニル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸-2-ヒドロキシエチル、メタクリル酸-2-ヒドロキシプロピル、酢酸ビニル、メタクリル酸トリフルオロエチル、メタクリル酸グリシジル又はトリメチロールプロパントリアクリレートのうちの一つ又は複数であり、さらに選択的にメタクリル酸メチル、アクリル酸ラウリル、メタクリル酸ラウリル又はトリメチロールプロパントリアクリレートのうちの一つ又は複数である第一の重合性モノマーと、
少なくとも一つのシアン結合を有し、選択的にアクリロニトリル、メタクリロニトリル、エタクリロニトリルのうちの一つ又は複数であり、さらに選択的にアクリロニトリル、メタクリロニトリルのうちの一つ又は複数である第二の重合性モノマーと、
少なくとも一つのアミド結合を有し、選択的にアクリルアミド、N-メチロールアクリルアミド、N-ブトキシメタクリルアミドのうちの一つ又は複数であり、さらに選択的にアクリルアミド、N-メチロールアクリルアミドのうちの一つ又は複数である第三の重合性モノマーとのモノマーにより重合されてなり、
選択的に、第一の重合性モノマーと第二の重合性モノマーと第三の重合性モノマーとの重量比は、1:0-0.8:0.05-0.75であり、選択的に1:0.1-0.6:0.1-0.6である。
【0010】
有機ポリマーが上記重合性モノマーを重合してなる時、製造された第一の有機粒子は、良好な接着性能を有するとともに、比較的低いガラス化移転温度も有する。なお、セパレータ上の接着物質の噴塗面密度ρとセパレータの抵抗Rが0.1g・m-2・Ω-1≦ρ/R≦1.0g・m-2・Ω-1を満たすことで、セパレータの抵抗を減少させ、このセパレータを採用する電池の動力学性能を改善するのに役立つ。
【0011】
いずれの実施の形態では、選択的に、前記第一の有機粒子における有機ポリマーの含有量は、前記第一の有機粒子の総乾燥重量を基準として、50-99.9%であり、選択的に60-99%であり、さらに選択的に70-99%であり、
前記第一の有機粒子における無機物の含有量は、前記第一の有機粒子の総乾燥重量を基準として、0.1-50%であり、選択的に1-40%であり、さらに選択的に1-30%である。
【0012】
いずれの実施の形態では、選択的に、前記第一の有機粒子における有機ポリマーと無機物との重量比は、99:1-1:1であり、選択的に70:30-1:1である。
【0013】
いずれの実施の形態では、選択的に、前記第一の有機粒子における有機ポリマーの総重量を基準として、
前記第一の重合性モノマーの含有量は、35-80重量%であり、選択的に45-70重量%であり、
前記第二の重合性モノマーの含有量は、0-30重量%であり、選択的に5-25重量%であり、及び
前記第三の重合性モノマーの含有量は、5-40重量%であり、選択的に8-35重量%である。
【0014】
いずれの実施の形態では、選択的に、前記第一の有機粒子における無機物は、ケイ素、アルミニウム、カルシウム、亜鉛、マグネシウムの酸化物及び硫酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、炭酸カルシウム及びその改質材料のうちの一つ又は複数から選択され、選択的に二酸化ケイ素、シリカゾル、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、安息香酸ナトリウムのうちの一つ又は複数であり、さらに選択的にヒュームド二酸化ケイ素、ケイ素微粉末、酸化アルミニウム、安息香酸ナトリウムのうちの一つ又は複数である。
【0015】
いずれの実施の形態では、選択的に、前記第一の有機粒子表面は、凹凸状であり、粒径が10-200nmの無機酸化物クラスターが均一に分布している。
【0016】
いずれの実施の形態では、選択的に、前記感圧性接着剤に含まれる有機ポリマーと可塑剤との質量比は、(4-25):1であり、選択的に(4-11):1である。
【0017】
感圧性接着剤に含まれる有機ポリマーと可塑剤との相対含有量が上記範囲内にあることで、極板とセパレータとの間に比較的大きい接着力が得られることを保証し、セパレータの抵抗が大幅に増加することなく、接着性能とサイクル性能を改善するのに有利である。
【0018】
いずれの実施の形態では、選択的に、前記感圧性接着剤は、コアシェル構造を有し、前記コアシェル構造のコアとハウジングとは、いずれも有機ポリマーと可塑剤とを含み、ここで、コアにおける前記有機ポリマーと可塑剤との質量比は、(3-4):1であり、選択的に(3.2-3.8):1であり、ハウジング構造における前記有機ポリマーと可塑剤との質量比は、(7-9):1であり、選択的に(7.5-8.5):1である。
【0019】
コアシェル構造のコアとハウジングは、主に有機ポリマーと可塑剤で構成されており、感圧性接着剤の感圧性能をさらに向上させることができ、それによってセパレータの異なる圧力モードへの適用性を向上させ、且つセパレータの抵抗の低下に有利であり、それによってセパレータの動力学性能を高める。
【0020】
いずれの実施の形態では、選択的に、前記感圧性接着剤において、一部の前記可塑剤は、前記有機ポリマーにグラフトされており、選択的に、前記感圧性接着剤において、前記可塑剤の重量を基準として、少なくとも5wt%の可塑剤は、前記有機ポリマーにグラフトされている。
【0021】
一部の前記可塑剤が前記有機ポリマーにグラフトされると、サイクル中に可塑剤が電解液に大量に移行することを防止することができ、それによって電解液の様々な機能添加剤を消費し、さらにセパレータの抵抗の増大を招き、電池コアの動力学性能に影響を与えることを回避する。
【0022】
いずれの実施の形態では、選択的に、前記感圧性接着剤の体積平均粒径Dv50は、0.3-3.5μmであり、選択的に0.8-2.0μmである。
【0023】
粒径が適切な感圧性接着剤は、第一の有機粒子又は第一の有機粒子と第二の有機粒子の両方に均一に分布するのに役立ち、一定の圧力でそのコア及びハウジングと極板との接着の発揮、及びセパレータの動力学性能に対する効果的な改善に役立つ。
【0024】
いずれの実施の形態では、選択的に、前記感圧性接着剤のガラス化移転温度は、-50℃-100℃であり、選択的に-45℃-60℃である。
【0025】
前記感圧性接着剤のガラス化移転温度が上記範囲内にある場合、室温での接着力を保証するのに有利であり、1MPaで接着力が0.08N/mよりも大きくてセパレータが保管中に接着し、セパレータ巻き取り・繰り出しが困難になることを回避するとともに、室温、2MPaで接着力が0.1N/mよりも小さくて、セパレータと極板の接着が弱くなり、電池コアの整形に不利であることを回避する。
【0026】
いずれの実施の形態では、選択的に、前記感圧性接着剤において、前記有機ポリマーは、以下の第一のモノマー群のうちの少なくとも一つ、第二のモノマー群のうちの少なくとも一つ、第三のモノマー群のうちの少なくとも一つと反応性分散剤のうちの少なくとも一つの混合物を共重合してなるコポリマーを含み、即ち、
第一のモノマー群は、アクリル酸、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸tert-ブチル、メタクリル酸イソボルニル、メチロールアクリルアミド、アクリルアミド、スチレン、アクリロニトリルを含み、
第二のモノマー群は、アクリル酸C4-C22アルキルエステル、例えばアクリル酸イソブチル、アクリル酸イソオクチル、アクリル酸tert-ブチル、アクリル酸-2-エチルヘキシル(アクリル酸イソオクチル)、アクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸-2-エチルヘキシル、メタクリル酸n-ヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、及びメタクリル酸ベンジル、アクリル酸-2-ヒドロキシエチル、アクリル酸-2-ヒドロキシプロピル、メタクリル酸エチレン尿素エチル、ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート、メタクリル酸テトラヒドロフリル、メタクリル酸トリフルオロエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、メタクリル酸アクリル、ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレートを含み、
第三のモノマー群は、メタクリル酸-2-ヒドロキシエチル、メタクリル酸-2-ヒドロキシプロピル、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N-メチロールアクリルアミド、N-ブトキシメタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド(DAAM)、メタクリル酸アセト酢酸エチル(AAEM)、ジビニルベンゼン、エポキシ価0.35-0.50のエポキシ樹脂、ジビニルベンゼンを含み、及び
反応性分散剤は、ポリビニルアルコール、ポリプロピレンアルコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコールを含む。
【0027】
いずれの実施の形態では、選択的に、前記反応性分散剤のアルコール分解度≧85%であり、数平均重合度は、400-2000であり、好ましくはアルコール分解度≧88%であり、数平均重合度は、500-1600である。
【0028】
いずれの実施の形態では、選択的に、前記可塑剤は、グリセロールC4-C10アルキルジエーテル又はモノエーテル、グリセロールC4-C10カルボン酸モノエステル又はジエステル、プロピレングリコールC4-C10アルキルモノエーテル又はグリセロールのうちの一つ又は複数から選択される。
【0029】
いずれの実施の形態では、選択的に、前記コーティングの平均厚さは、0.8-22μmであり、選択的に2-15μmである。
【0030】
いずれの実施の形態では、選択的に、前記第二の有機粒子は、ハロゲン、フェニル基、エポキシ基、シアノ基、エステル基とアミド基を含む一つ又は複数のモノマーのポリマーであり、
選択的に、前記第二の有機粒子は、フッ素含有アルケニルモノマー単位のホモポリマー又はコポリマー、オレフィン系モノマー単位のホモポリマー又はコポリマー、不飽和ニトリル系モノマー単位のホモポリマー又はコポリマー、アルキレンオキシド系モノマー単位のホモポリマー又はコポリマー、単糖類モノマー単位のダイポリマー、ホモポリマー又はコポリマー、及び上記各ホモポリマー又はコポリマーの改質化合物のうちの少なくとも一つから選択される。
【0031】
いずれの実施の形態では、選択的に、前記フッ素含有アルケニルモノマー単位は、ジフルオロエチレン、ビニリデンフルオライド、トリフルオロエチレン、トリフルオロクロロエチレン、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン又はその誘導体のうちの一つ又は複数から選択される。
【0032】
いずれの実施の形態では、選択的に、前記オレフィン系モノマー単位は、エチレン、プロピレン、ブタジエン、イソプレン、スチレン又はその誘導体のうちの一つ又は複数から選択される。
【0033】
いずれの実施の形態では、選択的に、前記不飽和ニトリル系モノマー単位は、アクリロニトリル、メタクリロニトリル又はその誘導体のうちの一つ又は複数から選択される。
【0034】
いずれの実施の形態では、選択的に、前記アルキレンオキシド系モノマー単位は、エチレンオキシド、プロピレンオキシド又はその誘導体のうちの一つ又は複数から選択される。
【0035】
いずれの実施の形態では、選択的に、前記単糖類モノマー単位は、グルコース又はその誘導体から選択される。
【0036】
いずれの実施の形態では、選択的に、前記第二の有機粒子は、ポリパーフルオロエチレン、ポリビニリデンフルオライド、ポリビニリデンフルオライド-コ-ヘキサフルオロプロピレン、ポリビニリデンフルオライド-コ-トリクロロエチレン、ポリスチレン-コ-メタクリル酸メチル、ポリスチレン-コ-アクリル酸ブチル、スチレン-アクリル酸ブチル-アクリル酸イソオクチル、ポリメタクリル酸メチル、ポリアクリロニトリル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン-コ-酢酸ビニル、ポリイミド、ポリエチレンオキサイド、酢酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、酢酸プロピオン酸セルロース、シアノエチルプルラン、シアノエチルポリビニルアルコール、シアノエチルセルロースとシアノエチルスクロースのうちの少なくとも一つから選択される。
【0037】
いずれの実施の形態では、選択的に、前記第二の有機粒子は、ポリビニリデンフルオライド-コ-ヘキサフルオロプロピレン、ポリスチレン-コ-アクリル酸ブチル、スチレン-アクリル酸ブチル-アクリル酸イソオクチル、ポリパーフルオロエチレン、ポリビニリデンフルオライド、ポリビニリデンフルオライド-コ-トリクロロエチレンのうちの少なくとも一つから選択される。
【0038】
いずれの実施の形態では、選択的に、前記第二の有機粒子は、
(1)前記第二の有機粒子の体積平均粒径Dv50が2-20μmであり、選択的に6-15μmであること、
(2)前記第二の有機粒子の融点が130-160℃であり、選択的に138-150℃であること、
(3)前記第二の有機粒子の重量平均分子量が400×103g/mol-1000×103g/mol、選択的に450×103g/mol-650×103g/molであること、
のうちの一つ又は複数の条件を満たす。
【0039】
前記第二の有機粒子の融点は、上記範囲内にあり、電解液の膨潤に耐えられ、一方で、過剰な電解液を消費することなく、残留モノマーが電解液によって気泡化されてセパレータを塞ぎにくく、セパレータの抵抗の増大を招き、それによって電池コアの動力学性能に影響を与える。他方で、セパレータと極板との接着が大幅に低下しないとともに、極板が第二の有機粒子によって圧損されて安全性能が低下しにくくなる。
【0040】
いずれの実施の形態では、選択的に、前記セパレータは、
(1)前記基体の空隙率が10-95%であること、
(2)前記基体の穴径が20-60nmであること、
(3)前記基体の厚さが3-12μmであり、選択的に5-9μmであること、
(4)前記基体が、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエステル、ポリアセタール、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアリールエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、ポリベンズイミダゾール、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンエーテル、シクロオレフィンコポリマー、ポリフェニレンスルフィドとポリエチレンナフタレンのうちの一つ又は複数から選択されるフィルム又は不織布であること、
のうちの一つ又は複数の条件を満たす。
【0041】
セパレータが上記条件のうちの一つ又は複数を満たしている場合、セパレータの接着性能及び対応する二次電池の動力学性能とサイクル性能をさらに改善するのに有利である。
【0042】
いずれの実施の形態では、選択的に、前記セパレータにおいて、前記第一の有機粒子と前記第二の有機粒子との質量比は、10-100:0-90、選択的に20-90:0-60であり、
選択的に、前記第一の有機粒子と前記第二の有機粒子との質量の和と感圧性接着剤の質量との比は、20-92:8-20、選択的に60-90:10-15である。
【0043】
本出願の第二の態様は、本出願の第一の態様のセパレータの製造方法を提供し、この製造方法は、
第一の有機粒子と分散剤とを溶媒に加えて第一のポリマー溶液を形成するステップS1と、
感圧性接着剤をステップS1で得られた第一のポリマー溶液に加え、十分に混合して第二のポリマー溶液を形成するステップS2と、
任意選択的に、ステップS2で得られた第二のポリマー溶液に第二の有機粒子を加え、十分に混合して第三のポリマー溶液を形成するステップS3と、
ステップS2で得られた第二のポリマー溶液又はステップS3で得られた第三のポリマー溶液を基体の少なくとも一つの表面に塗布し、乾燥した後にセパレータを得るステップS4と、を含み、
前記セパレータは、基体と、前記基体少なくとも一つの表面に塗布されるコーティングと、を含み、前記コーティングは、40-90wt%の第一の有機粒子と、2-15wt%の感圧性接着剤と、任意選択的に0-50wt%の第二の有機粒子と、を含み、前記第一の有機粒子は、有機ポリマーと無機物と、を含み、前記感圧性接着剤は、有機ポリマーと可塑剤と、を含み、選択的に、前記第一の有機粒子の体積平均粒径は、(Dv90-Dv10)/Dv50≦2.5、選択的に≦2、さらに選択的に≦1.8を満たし、且つ第一の有機粒子のガラス化移転温度は、20-100℃、選択的に30-80℃であり、選択的に、前記セパレータは、0.1g・m-2・Ω-1≦ρ/R≦1.0g・m-2・Ω-1、選択的に0.5g・m-2・Ω-1≦ρ/R≦0.9g・m-2・Ω-1、さらに選択的に0.6g・m-2・Ω-1≦ρ/R≦0.8g・m-2・Ω-1を満たし、ここで、ρは、前記コーティングの前記基体上の面密度を表し、Rは、セパレータの25℃における抵抗を表す。
【0044】
本出願の第三の態様は、二次電池を提供し、この二次電池は、正極極板と、負極極板と、正極極板と負極極板との間に位置するセパレータと、電解液と、を含み、前記セパレータは、本出願の第一の態様のセパレータ又は本出願の第二の態様の方法によって製造されたセパレータである。
【0045】
いずれの実施の形態では、選択的に、前記二次電池の正極極板とセパレータとの間の接着力は、1.2≦F2/F1≦4、選択的に1.5≦F2/F1≦3.8を満たし、ここで、F1は、25℃、≧2MPaにおける正極極板と前記セパレータとの間の接着力を表し、F2は、95℃、≧2MPaにおける正極極板とセパレータとの間の接着力を表す。
【0046】
本出願の第四の態様は、電池モジュールを提供し、この電池モジュールは、本出願の第三の態様に記載の二次電池を含む。電池モジュールは、当分野で一般的に使用される方法製造を採用して製造することができる。
【0047】
本出願の第五の態様は、電池パックを提供し、この電池パックは、本出願の第三の態様に記載の二次電池又は本出願の第四の態様に記載の電池パックのうちの少なくとも一つを含む。電池パックは、当分野で一般的に使用される方法製造を採用して製造することができる。
【0048】
本出願の第六の態様は、電力消費装置を提供し、この電力消費装置は、本出願の第三の態様による二次電池、本出願の第四の態様に記載の電池モジュール又は本出願の第五の態様に記載の電池パックのうちの少なくとも一つを含む。電力消費装置は、当分野で一般的に使用される方法製造を採用して製造することができる。
【発明の効果】
【0049】
本出願によるセパレータは、基体と、前記基体の少なくとも一つの表面に塗布されるコーティングと、を含み、前記コーティングは、40-90wt%の第一の有機粒子と、2-15wt%の感圧性接着剤ポリマーと、任意選択的な0-50wt%の第二の有機粒子と、を含む。前記感圧性接着剤は、有機ポリマーと可塑剤とを含み、両方の共同作用によって感圧性接着剤は、良好な感圧特性を有することができ、それによってコーティングは、良好な感圧特徴を有し、さらにセパレータも良好な感圧特性を有する。特に、前記セパレータは、室温(一般的に20-30℃、例えば25℃)、≦1MPaの圧力で極板とわずかな接着作用が発生するが、室温、≧2MPa圧力で、前記セパレータ極板と明らかな接着作用が発生することができ、特に95℃と≧2MPa圧力で、セパレータと極板との接着が顕著に向上する。これによって、一方において、室温で電気化学デバイスの極板とセパレータとを密着させることで、電気化学デバイスの極板とセパレータとが生産移転中に位置ずれが発生することを回避し、セパレータと極板との接着不足による負極のしわを効果的に防止し、さらに電気化学デバイスの構造安定性を保証することができ、シェル入れの歩留まりを高めるのに有利であり、それによって電池コアの整形性能と安全性能を高め、生産コストを削減する。他方において、本出願によるセパレータは、巻き取り及び保管中に過度に接着することがなく、後続の電池コアの製造における使用に便利である。なお、選択的に、前記第一の有機粒子の体積平均粒径が(Dv90-Dv10)/Dv50≦2.5を満たし、且つガラス化移転温度が20℃-100℃であり、それによって接着コーティングの塗布状況を改善し、セパレータ穴を閉塞することを回避することに有利であり、それによってセパレータの内部抵抗の増大を回避する。最後、選択的に、本出願に記載のセパレータは、0.1g・m-2・Ω-1≦ρ/R≦1.0g・m-2・Ω-1を満たすことで、適切なセパレータコーティング面密度を確保し、さらにセパレータの抵抗の過大化を回避するのに有利であり、それによって電池コアの製造歩留まり及び動力学性能要求を両立させる。
【0050】
本出願に記載の電池モジュール、電池パックと電力消費装置は、本出願の第一の態様に記載のセパレータ又は本出願の第二の態様に記載の二次電池を含むため、本出願のセパレータ又は二次電池と同じ優位性を有する。
【図面の簡単な説明】
【0051】
本出願の実施例の技術案をより明瞭に説明するために、以下は、本出願の実施例に使用される必要のある図面を簡単に紹介し、自明なことに、以下に記述された図面は、ただ本出願のいくつかの実施例に過ぎず、当業者にとって、創造的な労力を払わない前提で、図面に基づいて他の図面を得ることもできる。
【
図1】本出願の一実施の形態による二次電池の概略図である。
【
図2】本出願の一実施の形態による電池モジュールの概略図である。
【
図3】本出願の一実施の形態による電池パックの概略図である。
【
図5】本出願の一実施の形態による電力消費装置の概略図である。
【
図6】本出願の一実施の形態で製造されたセパレータの感圧コーティングのトポグラフィ写真を示し、
図6-a、6-b及び6-cは、異なる倍率の走査電子顕微鏡画像である。
【
図7】本出願の一実施の形態で製造されたセパレータの感圧コーティングのトポグラフィ写真を示し、
図7-a、7-b及び7-cは、異なる倍率の走査電子顕微鏡画像である。
【発明を実施するための形態】
【0052】
以下、図面を適当に参照しながら、本出願のセパレータ、その製造方法、二次電池、電池モジュール、電池パックと電力消費装置を具体的に開示した実施の形態を詳細に説明する。しかしながら、必要のない詳細な説明を省略する場合がある。例えば、周知の事項に対する詳細な説明、実際に同じである構造に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に長くなることを回避し、当業者に容易に理解させるためである。なお、図面及び以下の説明は、当業者に本出願を十分に理解させるために提供するものであり、特許請求の範囲に記載されたテーマを限定するものではない。
【0053】
本出願に開示された「範囲」は、下限と上限の形式で限定され、与えられた範囲は、一つの下限と一つの上限を選定することで限定されるものであり、選定された下限と上限は、特定の範囲の境界を限定した。このように限定される範囲は、端値を含むか又は含まないものであってもよく、且つ任意の組み合わせが可能であり、即ち任意の下限は、任意の上限と組み合わせて、一つの範囲を形成することができる。例えば、特定のパラメータに対して60-120と80-110の範囲がリストアップされている場合、60-110と80-120の範囲も想定できると理解される。なお、最小範囲値として1と2がリストアップされており、最大範囲値として3、4及び5がリストアップされている場合1-3、1-4、1-5、2-3、2-4と2-5という範囲がすべて想定できる。本出願では、特に断りのない限り、「a-b」という数値範囲は、a-bの任意の実数の組み合わせの短縮表現を表し、ここで、aとbはいずれも実数である。例えば、数値範囲「0-5」は、本明細書においてすでに「0-5」の間のすべての実数をリストアップしたことを表し、「0-5」は、これらの数値の組み合わせの短縮表現だけである。また、あるパラメータが≧2の整数であると表現すると、このパラメータが例えば整数2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12などであることを開示していることに相当する。
【0054】
特に説明しない場合、本出願のすべての実施の形態及び選択的な実施の形態は、互いに組み合わせて新たな技術案を形成することができる。
【0055】
特に説明しない場合、本出願のすべての技術的特徴及び選択的な技術的特徴は、互いに組み合わせて新たな技術案を形成することができる。
【0056】
特に説明しない場合、本出願のすべてのステップは、順番に行われてもよく、ランダムに行われてもよく、好ましくは、順番に行われる。例えば、前記方法がステップ(a)と(b)とを含むことは、前記方法が、順番に行われるステップ(a)と(b)とを含んでもよく、順番に行われるステップ(b)と(a)とを含んでもよいことを表す。例えば、以上に言及された前記方法がステップ(c)をさらに含んでもよいことは、ステップ(c)が任意の順序で前記方法に追加されてもよいことを表し、例えば前記方法は、ステップ(a)、(b)及び(c)を含んでもよく、ステップ(a)、(c)及び(b)を含んでもよく、ステップ(c)、(a)及び(b)などを含んでもよい。
【0057】
特に説明しない場合、本出願に言及された「含む」と「包含」は、開放型を表し、閉鎖型であってもよい。例えば、前記「含む」と「包含」は、リストアップされていない他の成分をさらに含むか又は包含してもよく、リストアップされている成分のみを含むか又は包含してもよいことを表してもよい。
【0058】
特に説明しない場合、本出願では、用語である「又は」は包括的である。例を挙げると、「A又はB」というフレーズは、「A、B、又はAとBとの両方」を表す。より具体的には、Aが真であり(又は存在し)且つBが偽である(又は存在しない)条件と、Aが偽である(又は存在しない)が、Bが真である(又は存在する)条件と、AとBがいずれも真である(又は存在する)条件とのいずれも「A又はB」を満たしている。
【0059】
本明細書の記述において、説明すべきこととして、特に断りのない限り、「以上」、「以下」は、その数を含み、「一つ又は複数」における「複数」は、二つ又は二つ以上を意味する。
【0060】
説明すべきこととして、本出願では、用語である「平均重合度」とは、ポリマーが重合度の異なる同系ポリマー分子からなることであり、その重合度は、統計的に平均的な意義を有する。最よく使われる平均重合度を表す方法は、二つあり、分子数で平均して得られる重合度は、数平均重合度と呼ばれ、重量で平均して得られる重合度は、重量平均重合度と呼ばれる。本出願では前記「平均重合度」は、数平均重合度である。
【0061】
説明すべきこととして、本出願では、用語である「アルコール分解度」とは、アルコール分解後に得られた製品における水酸基が元の基に占める百分率であり、単位がモル分率%である。例えば、元の基(エステル基)が100個で、アルコール分解後の水酸基が60個であれば、アルコール分解度は、60%である。
【0062】
説明すべきこととして、本出願では、用語である「一次粒子」と「二次粒子」は、当分野で一般的に使用される意味を有する。具体的には、「一次粒子」とは、凝集状態を形成していない粒子であり、「二次粒子」とは、二つ以上の一次粒子が凝集して凝集状態になる粒子である。一次粒子と二次粒子は、走査電子顕微鏡(SEM)画像によって容易に区別されることができる。
【0063】
二次電池は、エネルギー密度が高く、携帯性に優れ、保管効果がなく、環境にやさしい等の優位性を持つため、電力消費装置の電源として好ましくいアイテムとなっている。二次電池においてセパレータは、電池安全性能を保証する重要な部分である。しかしながら、一方で、電気化学デバイスの電池コアの製造過程において、極板とセパレータは、生産移転中に避けられず、位置ずれが発生し、軽い場合は極板が満充電後にしわになり動力学性能に深刻な影響を与え、電池コアの安全性能を低下させ、深刻な場合は極板が互いに接触して乾式電池コアを廃棄することになる。そのため、技術者は、セパレータに接着コーティングを塗覆するとともに、一般的には電気化学デバイスの極板とセパレータの第一の複合工程において、適切な圧力作用で予圧を行い、電気化学デバイスの極板とセパレータが次工程に入る前に一定の接着があることを保証するが、生産効率の要求により、且つ比較的大きい圧力で材料構造が劣化することを考慮して、第一の工程における圧力及び作用時間は、一般的に電気化学デバイスの極板とセパレータが適切な接着効果を達成することを満たすことができない。なお、電池コア群のマージン及びシェル入れの歩留まりを保証するために、一般的には電気化学デバイスの極板とセパレータとを80-100℃のトンネル炉で≧700sまで焼成し、そして圧力を加えることによって、電気化学デバイスの極板とセパレータとを密着させる必要がある。そのため、セパレータと極板との間の室温(25℃)での接着力と、高温(例えば95℃)での接着力とのマッチング関係が良くない場合、電池コアの接着が不足し又は接着力が大きすぎ、さらにセパレータの抵抗が大幅に増加し、電池コアの動力学性能を悪化させ、ひいては安全リスクを引き起こす可能性がある。
【0064】
他方で、セパレータの輸送中に、セパレータとセパレータとの間にも適切な接着が必要である。接着力が大き過ぎると、セパレータ層同士の接着を引き起こす可能性があり、後続の極板とセパレータの高速複合に不利である。なお、発明者らは、研究の過程において、不適切な接着物質と接着物質の不適切な面密度がセパレータ穴の閉塞を招き、電池コアの製作歩留まりの低下及び電池コアの動力学性能の低下をもたらす可能性があることを発見した。
【0065】
上記問題を解決するために、発明者らは、多くの研究を行った結果、セパレータ基体に感圧性接着コーティングを塗覆することで低圧での低粘度と高圧での高粘度を比較的良く実現できるとともに、さらに感圧コーティングの塗覆密度とセパレータの抵抗が0.1g・m-2・Ω-1≦ρ/R≦1.0g・m-2・Ω-1を満たすように調整することにより、セパレータの抵抗をさらに減少し、前記セパレータを採用する二次電池の動力学性能を改善できることを発見した。
【0066】
セパレータ
本出願の第一の態様は、セパレータを提供し、このセパレータは、
基体と、
前記基体の少なくとも一つの表面に塗布されるコーティングと、を含み、前記コーティングは、40-90wt%の第一の有機粒子と、2-15wt%の感圧性接着剤と、任意選択的な0-50wt%の第二の有機粒子とを含み、
前記第一の有機粒子は、有機ポリマーと無機物とを含み、前記感圧性接着剤は、有機ポリマーと可塑剤とを含み、
選択的に、前記第一の有機粒子の体積平均粒径は、(Dv90-Dv10)/Dv50≦2.5、選択的に≦2、さらに選択的に≦1.8を満たし、且つ第一の有機粒子のガラス化移転温度は、20-100℃、選択的に30-80℃であり、
選択的に、前記セパレータは、0.1g・m-2・Ω-1≦ρ/R≦1.0g・m-2・Ω-1、選択的に0.5g・m-2・Ω-1≦ρ/R≦0.9g・m-2・Ω-1、さらに選択的に0.6g・m-2・Ω-1≦ρ/R≦0.8g・m-2・Ω-1を満たし、ここで、ρは、前記コーティングの前記基体上の面密度を表し、Rは、セパレータの25℃における抵抗を表す。
【0067】
本出願は、多孔質のセパレータ基体の少なくとも一つの表面に40-90wt%の第一の有機粒子と、2-15wt%の感圧性接着剤と、任意選択的な0-50wt%の第二の有機粒子と、を含むコーティングを塗布する。前記感圧性接着剤は、接着剤ポリマーと可塑剤とを含み、両方の共同作用によって感圧性接着剤ポリマーは、良好な感圧特性を有することができ、それによって前記コーティングは、良好な感圧特性を有し、さらにセパレータも良好な感圧特性を有する。特に、前記セパレータは、≦1MPaの圧力作用で極板とわずかな接着作用が発生するが、≧2MPaの圧力作用で極板と明らかな接着作用が発生することができ、特に95℃、≧2MPaの圧力で、セパレータと極板との間の接着が顕著に向上する。これによって、一方において、室温で電気化学デバイスの極板とセパレータとを密着させることで、電気化学デバイスの極板とセパレータとが生産移転中に位置ずれが発生することを回避し、セパレータと極板との接着不足による負極のしわを効果的に防止し、さらに電気化学デバイスの構造安定性を保証することができ、シェル入れの歩留まりを高めるのに有利であり、それによって電池コアの整形性能と安全性能を高め、生産コストを削減する。他方では、本出願によるセパレータは、巻き取り及び保管中に接着することがなく、後続の電池コアの製造における使用に便利である。なお、選択的に、前記第一の有機粒子の体積平均粒径が(Dv90-Dv10)/Dv50≦2.5を満たし、且つガラス化移転温度が20℃-100℃であり、それによって接着コーティングの塗布状況を改善し、セパレータ穴を閉塞することを回避することに有利である。最後、選択的に、本出願に記載のセパレータが0.1g・m-2・Ω-1≦ρ/R≦1.0g・m-2・Ω-1を満たすことで、適切なセパレータコーティング面密度を確保し、さらにセパレータの内部抵抗を減少するのに有利であり、それによって電池コアの製造歩留まり及び動力学性能要求を両立させる。
【0068】
いくつかの実施の形態では、選択的に、前記第一の有機粒子と第二の有機粒子と感圧性接着剤との、乾燥重量を基準とする重量比は、20-90:0-60:8-20、選択的に30-80:30-50:10-15である。
【0069】
第一の有機粒子と第二の有機粒子と感圧性接着剤との質量比が上記範囲内にある場合、電解液の浸潤性及び分布の均一性を効果的に向上させ、各成分の協同優位性を十分に発揮し、接着性能、動力学性能とサイクル性能を改善することができる。
【0070】
説明すべきこととして、本出願では、第一の有機粒子は、一般的に一次粒子として設計されるが、第二の有機粒子は、一般的に二次粒子として設計される。第一の有機粒子と第二の有機粒子との共同作用で、セパレータと電極極板との間の接着力を補強すると同時に、さらにセパレータが適度で且つ不均一な穴隙構造を有することを効果的に保証することができ、セパレータ上の前記コーティングの塗覆面密度ρとセパレータの25℃での抵抗Rが0.1g・m-2・Ω-1≦ρ/R≦1.0g・m-2・Ω-1を満たすのに有利である。例として、前記コーティングのρ/Rは、0.52g・m-2・Ω-1、0.65g・m-2・Ω-1、0.8gm-2・Ω-1、0.83g・m-2・Ω-1、0.9g・m-2・Ω-1、0.96g・m-2・Ω-1又は0.98g・m-2・Ω-1及びこれらのうちのいずれか両方からなる範囲である。
【0071】
説明すべきこととして、本出願では、第一の有機粒子と感圧性接着剤とは、いずれも有機ポリマーを含む。区別を容易にするために、第一の有機粒子に含まれる有機ポリマーを「第一の有機ポリマー」と呼び、感圧性接着剤における有機ポリマーを「第三の有機ポリマー」と呼んでもよい。
【0072】
いくつかの実施の形態では、選択的に、前記コーティングのセパレータにおける塗覆面密度は、0.1-1.9g/m2であり、選択的に0.25-1.5g/m2であり、さらに選択的に0.65-1.2g/m2である。
【0073】
なお、電池コアの製造過程において、第一の有機粒子が一次粒子であることにより、均一なコーティング界面を形成するのに役立つことができ、電池コアの製造中のタブの位置ずれ問題を効果的に改善することができる。
【0074】
[第一の有機粒子]
いくつかの実施の形態では、選択的に、前記第一の有機粒子の体積平均粒径Dv50は、3-36μm、選択的に5-20μmである。例として、3μm、5μm、20μm、30μm又は36μm及びこれらのうちのいずれか両方からなる範囲であってもよい。
【0075】
第一の有機粒子の体積平均粒径Dv50が上記範囲内にある場合、第一の有機粒子は、比較的大きい平均粒径を有し、一方では、極板とセパレータとの効果的な接触面積を増加させ、さらに極板とセパレータとの間の接着作用を大幅に高めることができ、他方では、これらの有機粒子がセパレータ基体上に形成された穴に侵入することを回避することができる。同時に大きなサイズに比較的大きな隙間が存在することで、セパレータの通気性が悪いという問題を解決し、小粒子がセパレータ穴を塞ぐ可能性を低減し、内部抵抗が増加するリスクを低減することができる。また、電池コアの製作過程において角部の複合が困難な(特に角型ハウジング電池に対して)ため、ここでのセパレータと極板が接着されておらず、セパレータは、極板に累積された応力を効果的に周囲に移転して解放することができず、そして角型ハウジング電池の電池コアモジュール自体構造の特徴により角部が突かれ、極板が膨張して形成された応力が解放されにくい。そのため、電池の角部に十分なスペースがない場合、ある程度にサイクルし、即ち応力が銅アルミニウム箔の伸び率よりも大きくなると、極板は、破断し、さらにセパレータを突き破って深刻な安全リスクにつながる。一方、本出願では、第一の有機粒子が比較的大きい平均粒径を有し、一定の圧縮能力を有するため、電池コアの角部に存在する場合、角部の応力解放空間を効果的に提供することができる。同時に、第一の有機粒子が(Dv90-Dv10)/Dv50≦2.5を満たすことで、セパレータの厚さの変動が比較的小さく、セパレータの厚さの変化によるタブの位置ずれが増加し、電池コアの製造歩留まりが低下することがないことを保証する。
【0076】
いくつかの実施の形態では、選択的に、前記第一の有機粒子のガラス化移転温度は、20-100℃、選択的に30-80℃である。例として、20℃、30℃、40℃、60℃、80℃又は100℃及びこれらのうちのいずれか両方からなる範囲であってもよい。
【0077】
前記第一の有機粒子のガラス化移転温度が上記範囲内にある場合、電解液の膨潤に耐えられ、一方では、過剰な電解液を消費することなく、残留モノマーが電解液によって気泡化されてセパレータを塞ぐことによって、電池コアの動力学性能に影響を与えにくい。他方では、セパレータと極板との接着が大幅に低下しないとともに、極板が第一の有機粒子によって圧損されて安全性能が低下しにくい。
【0078】
いくつかの実施の形態では、選択的に、前記第一の有機粒子における有機ポリマーの重量平均分子量は、500×103g/mol-1000×103g/molであり、選択的に800×103g/mol-1000×103g/molである。重量平均分子量は、当分野で一般的に使用される方法で測定することができ、例えばGB/T 21863-2008を参照してゲル浸透クロマトグラフィーによって測定することができる。
【0079】
いくつかの実施の形態では、選択的に、本出願のセパレータにおける第一の有機粒子は、有機ポリマーと無機物とを含み、ここで、前記第一の有機粒子における有機ポリマーは少なくとも、
少なくとも一つのエステル結合を有し、選択的にアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n-プロピル、アクリル酸n-ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸sec-ブチル、アクリル酸tert-ブチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸-2-エチルヘキシル、アクリル酸-2-ヒドロキシエチル、アクリル酸-2-ヒドロキシプロピル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n-ブチル、メタクリル酸-2-エチルヘキシル、メタクリル酸イソボルニル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸-2-ヒドロキシエチル、メタクリル酸-2-ヒドロキシプロピル、酢酸ビニル、メタクリル酸トリフルオロエチル、メタクリル酸グリシジル又はトリメチロールプロパントリアクリレートのうちの一つ又は複数であり、さらに選択的にメタクリル酸メチル、アクリル酸ラウリル、メタクリル酸ラウリル又はトリメチロールプロパントリアクリレートのうちの一つ又は複数である第一の重合性モノマーと、
少なくとも一つのシアン結合を有し、選択的にアクリロニトリル、メタクリロニトリル、エタクリロニトリルのうちの一つ又は複数であり、さらに選択的にアクリロニトリル、メタクリロニトリルのうちの一つ又は複数である第二の重合性モノマーと、
少なくとも一つのアミド結合を有し、選択的にアクリルアミド、N-メチロールアクリルアミド、N-ブトキシメタクリルアミドのうちの一つ又は複数であり、さらに選択的にアクリルアミド、N-メチロールアクリルアミドのうちの一つ又は複数である第三の重合性モノマーとのモノマーにより重合されてなり、
選択的に、第一の重合性モノマーと第二の重合性モノマーと第三の重合性モノマーの重量比は、1:0-0.8:0.05-0.75であり、選択的に1:0.1-0.6:0.1-0.6である。
【0080】
有機ポリマーが上記重合性モノマーを重合してなる時、製造された第一の有機粒子は、良好な接着性能を備えるとともに、比較的低いガラス化移転温度も備える。なお、セパレータ上の接着物質の噴塗面密度ρとセパレータの抵抗がR0.1g・m-2・Ω-1≦ρ/R≦1.0g・m-2・Ω-1を満たすことで、セパレータの抵抗を減少し、このセパレータを採用する電池の動力学性能を改善するのに役立つ。
【0081】
いくつかの実施の形態では、選択的に、前記第一の有機粒子における有機ポリマーの含有量は、前記第一の有機粒子の総乾燥重量を基準として、50-99.9%であり、選択的に60-99%であり、さらに選択的に70-99%であり、
前記第一の有機粒子における無機物の含有量は、前記第一の有機粒子の総乾燥重量を基準として、0.1-50%であり、選択的に1-40%であり、さらに選択的に1-30%である。
【0082】
第一の有機粒子における有機ポリマーの含有量が少な過ぎるか又は無機物の含有量が多すぎると、第一の有機粒子全体の接着性能が不足し、ひいては有機ポリマーと無機物とを一体に保持できない可能性がある。第一の有機粒子における無機物の含有量が少なすぎると、第一の有機粒子の難燃性が比較的悪い可能性がある。
【0083】
いくつかの実施の形態では、選択的に、前記第一の有機粒子における有機ポリマーと無機物との重量比は、99:1-1:1であり、選択的に70:30-1:1である。
【0084】
第一の有機粒子における有機ポリマーと無機物との重量比が上記範囲内にある場合、有機ポリマーと無機物の協同機能を十分に発揮し、第一の有機粒子に良好な接着性能と難燃性を持たせるのに有利である。
【0085】
いくつかの実施の形態では、選択的に、前記第一の有機粒子における有機ポリマーの総重量を基準として、前記第一の重合性モノマーの含有量は、35-80重量%であり、選択的に45-70重量%であり、
前記第二の重合性モノマーの含有量は、0-30重量%であり、選択的に5-25重量%であり、及び
前記第三の重合性モノマーの含有量は、5-40重量%であり、選択的に8-35重量%である。
【0086】
第一の重合性モノマー、第二の重合性モノマー及び第三の重合性モノマーの含有量がいずれも上記範囲内にある場合、各モノマーの協同優位性を十分に発揮し、有機ポリマーの接着性能を向上させるのに有利であるとともに、適切なガラス化移転温度を持たせ、さらに第一の有機粒子の接着性能を向上させる。
【0087】
いくつかの実施の形態では、選択的に、前記第一の有機粒子における無機物は、ケイ素、アルミニウム、カルシウム、亜鉛、マグネシウムの酸化物及び硫酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、炭酸カルシウム及びその改質材料のうちの一つ又は複数から選択され、選択的に二酸化ケイ素、シリカゾル、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、安息香酸ナトリウムのうちの一つ又は複数であり、さらに選択的にヒュームド二酸化ケイ素、ケイ素微粉末、酸化アルミニウム、安息香酸ナトリウムのうちの一つ又は複数である。
【0088】
いくつかの実施の形態では、選択的に、前記第一の有機粒子表面は、凹凸状であり、粒径が10-200nmの無機酸化物クラスターが均一に分布している。
【0089】
本出願は、本出願の第一の有機粒子を製造する方法をさらに提供し、この方法は、少なくとも、以下のステップを含む。
【0090】
ステップ1:第一の重合性モノマー、第二の重合性モノマーと第三の重合性モノマーを提供し、第一の重合性モノマーと第二の重合性モノマーと第三の重合性モノマーとの重量比は、1:0-0.8:0.05-0.75であり、選択的に1:0.1-0.6:0.1-0.6であり、
ステップ2:重合性モノマーを重合させ、有機ポリマーを得、
ステップ3:ステップ2の有機ポリマーに有機溶媒と無機物を加え、攪拌後に混合スラリーを得、及び
ステップ4:ステップ3の混合スラリーを乾燥し、研磨、粉砕を経て後に本出願に記載の有機第一の粒子を得る。
【0091】
説明すべきこととして、重合性モノマーの重合は、当分野で一般的に使用される重合方法で行わってもよく、例えば、エマルジョン重合又は懸濁重合によって重合してもよい。
【0092】
いくつかの実施の形態では、選択的に、重合性モノマーの重合系に添加剤、例えば乳化剤、例えばラウリル硫酸ナトリウム、重合開始剤、例えば過硫酸アンモニウムを加えてもよい。
【0093】
[感圧性接着剤]
本出願に記載の感圧性接着剤は、有機ポリマーと可塑剤とを含む。
【0094】
いくつかの実施の形態では、選択的に、前記感圧性接着剤に含まれる有機ポリマーと可塑剤との質量比は、(4-25):1であり、選択的に(4-11):1である。
【0095】
感圧性接着剤に含まれる可塑剤の相対含有量は、上記範囲内にあり、極板とセパレータとの間に比較的大きい接着力が得られることを保証し、セパレータの抵抗が大幅に増加することなく、接着性能とサイクル性能を改善するのに有利である。
【0096】
いくつかの実施の形態では、選択的に、前記感圧性接着剤は、コアシェル構造を有し、前記コアシェル構造のコアとハウジングとは、いずれも有機ポリマーと可塑剤とを含み、ここで、コアにおける前記有機ポリマーと可塑剤との質量比は、(3-4):1であり、選択的に(3.2-3.8):1であり、ハウジング構造における前記有機ポリマーと可塑剤との質量比は、(7-9):1であり、選択的に(7.5-8.5):1である。
【0097】
コアシェル構造のコアとハウジングとは、いずれも有機ポリマーと可塑剤から構成され、感圧性接着剤の感圧性能をさらに向上させることができ、それによってセパレータの異なる圧力モードへの適用性を向上させ、且つセパレータの抵抗の低下に有利であり、それによってセパレータの動力学性能を高める。他方では、感圧性接着剤には、可塑剤が含まれ、一定の圧力作用(例えば1-2MPa)で、可塑剤は、迅速に有機ポリマーとセパレータ主材との間に移行し、接着剤ポリマーを可塑化し、その分子鎖を伸展させ、負極極板における例えばスチレンブタジエンゴム(SBR)系接着剤、カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC)の増粘剤、正極極板における接着剤、例えばポリビニリデンフルオライド(PVDF)と分子間水素結合作用が発生して界面の湿潤を高め、二つの界面間のリベット作用を補強することができる。≧2MPaの作用で核構造が破砕され、核における可塑剤が解放され、以上の作用をさらに向上させることができる。
【0098】
いくつかの実施の形態では、選択的に、前記感圧性接着剤において、一部の前記可塑剤は、前記有機ポリマーにグラフトされており、選択的に、前記感圧性接着剤において、前記可塑剤の重量を基準として、少なくとも5wt%の可塑剤は、前記有機ポリマーにグラフトされている。例として、0wt%、3wt%、5wt%又は8wt%の可塑剤は、前記有機ポリマーにグラフトされており、選択的に8wt%の可塑剤は、前記有機ポリマーにグラフトされてもよい。
【0099】
一部の前記可塑剤が前記有機ポリマーにグラフトされると、サイクル中に可塑剤が電解液に大量に移行することを防止することができ、それによって電解液の様々な機能添加剤を消費し、さらにセパレータの抵抗の増大を招き、電池コアの動力学性能に影響を与えることを回避する。特に少なくとも5wt%の可塑剤が有機ポリマー主鎖にグラフトされている場合、セパレータと極板は、「切れているようでつながっている」作用を形成することができ、さらに室温接着の耐久性を高め、反発を低減させることができるとともに、サイクル中に過剰な可塑剤が電解液に移行して、電池コア性能に影響を与えることがないことをさらに保証することができる。
【0100】
説明すべきこととして、グラフト率は、当分野で周知の方法によって調整することができ、例えば合成時間を調整してグラフト率を変えることができる。詳細は、PCT出願番号がPCT/CN2021/143069である特許文献を参照することができる。
【0101】
前記グラフト率は、当分野で一般的に使用される方法、例えば赤外テスト法でテストされてもよい。例として、以下のステップによって行われてもよい。有機ポリマー、可塑剤、感圧性接着剤の各テストからそのフーリエ赤外スペクトログラムを得、感圧性接着剤1500-1700cm-1の位置に有機ポリマーと単独した可塑剤と異なるピークが現れ、このピークがグラフトされた可塑剤を表し、ピーク下の面積がグラフトされた可塑剤の量を表し、それによって可塑剤のグラフト率を計算して得られる。
【0102】
いくつかの実施の形態では、選択的に、前記感圧性接着剤の体積平均粒径Dv50は、0.3-3.5μmであり、選択的に0.8-2.0μmである。例として、0.3μm、0.5μm、0.8μm、1.0μm、2.0μm、3.0μm又は3.5μm及びこれらのうちのいずれか両方からなる範囲であってもよい。
【0103】
粒径が適切な感圧性接着剤は、第一又は第二の有機粒子上に均一に分布するのに役立ち、一定の圧力でそのコア及びハウジングと極板との接着の発揮、及びセパレータの抵抗値の効果的な改良に役立つ。
【0104】
いくつかの実施の形態では、選択的に、前記感圧性接着剤のガラス化移転温度は、-50℃-100℃であり、選択的に-45℃-60℃である。
【0105】
前記感圧性接着剤ポリマーのガラス化移転温度が上記範囲内にある場合、室温での接着力を保証するのに有利であり、室温、1MPaで接着力が0.08N/mよりも大きくてセパレータの巻き取り接着を引き起こすことを回避するとともに、室温、2MPaで接着力が0.1N/mよりも小さくてセパレータと極板の接着が弱くなり、電池コアの整形に不利であることを回避する。
【0106】
いくつかの実施の形態では、選択的に、前記感圧性接着剤において、前記有機ポリマーは、以下の第一のモノマー群のうちの少なくとも一つ、第二のモノマー群のうちの少なくとも一つ、第三のモノマー群のうちの少なくとも一つと反応性分散剤のうちの少なくとも一つの混合物を共重合してなるコポリマーを含み、即ち、
第一のモノマー群は、融点が、一般的に80℃よりも高く、アクリル酸、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸tert-ブチル、メタクリル酸イソボルニル、メチロールアクリルアミド、アクリルアミド、スチレン、アクリロニトリルを含み、
第二のモノマー群は、融点が、一般的に80℃以下であり、アクリル酸C4-C22アルキルエステル、例えばアクリル酸イソブチル、アクリル酸イソオクチル、アクリル酸tert-ブチル、アクリル酸-2-エチルヘキシル(アクリル酸イソオクチル)、アクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸-2-エチルヘキシル、メタクリル酸n-ヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、及びメタクリル酸ベンジル、アクリル酸-2-ヒドロキシエチル、アクリル酸-2-ヒドロキシプロピル、メタクリル酸エチレン尿素エチル、ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート、メタクリル酸テトラヒドロフリル、メタクリル酸トリフルオロエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、メタクリル酸アクリル、ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレートを含み、
第三のモノマー群は、架橋性モノマーであり、水酸基と、アミノ基と、二重結合とのうちの少なくとも一つを含み、メタクリル酸-2-ヒドロキシエチル、メタクリル酸-2-ヒドロキシプロピル、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N-メチロールアクリルアミド、N-ブトキシメタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド(DAAM)、メタクリル酸アセト酢酸エチル(AAEM)、ジビニルベンゼン、エポキシ価0.35-0.50のエポキシ樹脂、ジビニルベンゼンを含み、及び
反応性分散剤は、ポリビニルアルコール、ポリプロピレンアルコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコールを含む。
【0107】
いくつかの実施の形態では、選択的に、第一のモノマー群モノマーと第二のモノマー群モノマーと第三のモノマー群モノマーと反応性分散剤との質量比は、35-45:45-60:4-8:2-5である。
【0108】
本出願では、前記反応性分散剤は、感圧性接着剤を合成する際に、第一のモノマー、第二のモノマーと第三のモノマーと共重合しながら分散の役割を果たす。選択的に、これらの反応性分散剤のアルコール分解度≧85%であり、数平均重合度は、400-2000であり、選択的にアルコール分解度≧88%であり、数平均重合度は、500-1600である。
【0109】
いくつかの実施の形態では、選択的に、前記可塑剤は、グリセロールC4-C10アルキルジエーテル又はモノエーテル、グリセロールC4-C10カルボン酸モノエステル又はジエステル、プロピレングリコールC4-C10アルキルモノエーテル又はグリセロールのうちの一つ又は複数から選択される。
【0110】
いくつかの実施の形態では、選択的に、前記感圧性接着剤ポリマーは、PCT出願番号がPCT/CN2021/143069である特許文献を参照して製造することができ、その開示内容のすべては、引用の方式で本明細書に取り込まれる。
【0111】
いくつかの実施の形態では、選択的に、前記感圧性接着剤ポリマーは、以下のステップを含む方法に従って合成されてもよい。
【0112】
ステップ1:溶媒に乳化剤とオリゴマーを加え、均一に分散した後に第一の混合溶液を得、
ステップ2:第一の混合溶液に安定剤を加え、均一に分散した後に第二の混合溶液を得、
ステップ3:第二の混合溶液に水性開始剤を加え、均一に混合し、60-80℃で20-60分反応させた後に第三の混合溶液を得、
ステップ4:攪拌しながら第三の混合溶液に反応モノマー混合物を均一に滴下し、80-100分、例えば80分後に第四の混合溶液を得、
ステップ5:第四の混合溶液を80-90℃、例えば84℃まで昇温し、120-240分、例えば180分攪拌し続けた後、第五の混合溶液を得、
ステップ6:第五の混合溶液に可塑剤を加え、80-90℃、例えば84℃で120-240分、例えば180分反応させた後、第六の混合溶液を得、
ステップ7:第六の混合溶液に水性開始剤を添加し、60-80℃、例えば72℃で20-60分、例えば30分反応させた後、第七の混合溶液を得、
ステップ8:攪拌しながら第七の混合溶液に反応モノマー混合物を均一に滴下し、100-160min、例えば120分後に第四の混合溶液を得、
ステップ9:第八の混合溶液に可塑剤を添加し、80-90℃、例えば84℃で120-240分、例えば180分反応させた後、第九の混合溶液を得、
ステップ10:第九の混合溶液を50℃以下まで下げ、濾過を経て感圧性接着剤を得る。
【0113】
いくつかの実施の形態では、選択的に、ステップ1で使用される溶媒は、脱イオン水である。
【0114】
いくつかの実施の形態では、選択的に、ステップ1において0.1-1重量%の乳化剤と2-3重量%のオリゴマーを順に加え、感圧性接着剤を合成する際に加えられた反応モノマー混合物(第一のモノマー群のモノマー、第二のモノマー群のモノマー、第三のモノマー群のモノマーと反応性分散剤を含む)、助剤(乳化剤、安定剤、水性開始剤を含む)と可塑剤の総重量に基づくものであり、以下同じである。
【0115】
いくつかの実施の形態では、選択的に、前記乳化剤は、プロピルスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアリールエーテル、ソルビトールのうちの一つ又は複数から選択される。
【0116】
いくつかの実施の形態では、選択的に、前記安定剤は、ポリエチレンオキシド、アリルポリエーテルサルフェート、メチレンコハク酸(イタコン酸)、スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸ナトリウム、ナノセルロースナトリウムのうちの一つ又は複数から選択される。
【0117】
いくつかの実施の形態では、選択的に、前記水性開始剤は、炭酸水素ナトリウム、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、クメンヒドロペルオキシド、t-ブチルヒドロペルオキシド、ジ-t-ブチルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、t-ブチルペルオキシベンゾエート、t-ブチルペルオキシピバレート、メチルエチルケトンペルオキシド、シクロヘキサノンペルオキシジイソプロピルカーボネート、ジシクロヘキシルペルオキシジカーボネート、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスイソヘプトニトリル、過硫酸アンモニウム-炭酸水素ナトリウムのうちの一つ又は複数から選択される。
【0118】
いくつかの実施の形態では、選択的に、前記オリゴマーの数平均分子量≦1000であり、融点は、0-30℃である。
【0119】
いくつかの実施の形態では、選択的に、前記オリゴマーは、例えばステアリルメタクリレートから選択される。
【0120】
いくつかの実施の形態では、選択的に、ステップ1において8000-12000r/分(回転/分)、例えば10000r/分の回転速度で20-60分、例えば50分分散させることで均一な分散を実現する。
【0121】
いくつかの実施の形態では、選択的に、ステップ1における操作温度は、20-40℃、例えば25℃である。
【0122】
いくつかの実施の形態では、選択的に、ステップ2において第一の混合溶液に1-4重量%の安定剤を加える。
【0123】
いくつかの実施の形態では、選択的に、ステップ2において6000-8000r/分、例えば6500r/分で20-60分、例えば30分混合することで均一な混合を実現する。
【0124】
いくつかの実施の形態では、選択的に、ステップ2における操作温度は、20-60℃、例えば45℃である。
【0125】
いくつかの実施の形態では、選択的に、ステップ3において第二の混合溶液に0.05-0.5重量%の水性開始剤を加える。
【0126】
いくつかの実施の形態では、選択的に、ステップ3において8000-12000r/分、例えば8000r/分で20-60分、例えば30分混合することで均一な混合を実現する。
【0127】
いくつかの実施の形態では、選択的に、ステップ3における操作温度は、60-80℃、例えば72℃である。
【0128】
いくつかの実施の形態では、選択的に、ステップ4において第三の混合溶液に35%-45重量%の反応モノマー混合物を滴下する。
【0129】
いくつかの実施の形態では、選択的に、ステップ4における攪拌速度は、100-1000r/分、例えば400r/分である。
【0130】
いくつかの実施の形態では、選択的に、ステップ4において好ましくは60分でちょうど滴下が完了する。
【0131】
いくつかの実施の形態では、選択的に、ステップ5における攪拌速度は、12000-18000r/分、例えば15000r/分である。
【0132】
いくつかの実施の形態では、選択的に、ステップ6において第五の混合溶液に10-20重量%の可塑剤、例えばグリセロールを添加する。
【0133】
いくつかの実施の形態では、選択的に、ステップ6における攪拌速度は、12000-18000r/分、例えば15000r/分である。
【0134】
いくつかの実施の形態では、選択的に、ステップ7において第六の混合溶液に0.05-0.5%重量の水性開始剤を添加する。
【0135】
いくつかの実施の形態では、選択的に、ステップ7における攪拌速度は、8000-12000r/分、例えば8000r/分である。
【0136】
いくつかの実施の形態では、選択的に、ステップ8において第七の混合溶液に30%-40重量%の反応モノマー混合物を滴下する。
【0137】
いくつかの実施の形態では、選択的に、ステップ8における攪拌速度は、100-1000r/分、例えば400r/分である。
【0138】
いくつかの実施の形態では、選択的に、ステップ8において選択的に60分でちょうど反応モノマー混合物の滴下が完了する。
【0139】
いくつかの実施の形態では、選択的に、ステップ9において第八の混合溶液に5-20重量%の可塑剤、例えばグリセロールを添加する。
【0140】
いくつかの実施の形態では、選択的に、ステップ9における攪拌速度は、12000-18000r/分、例えば15000r/分である。
【0141】
説明すべきこととして、当業者は、上記の方法を参照して(ステップ7-ステップ9を省略し、それに応じて添加する可塑剤と反応モノマー混合物との質量分数を変更する)非コアシェル構造の感圧性接着剤ポリマーを合成して取得することもできる。
【0142】
[第二の有機粒子]
本出願に記載のセパレータのコーティングには、さらに選択的に第二の有機粒子が含まれる。
【0143】
いくつかの実施の形態では、選択的に、前記第二の有機粒子は、ハロゲン、フェニル基、エポキシ基、シアノ基、エステル基とアミド基を含む一つ又は複数のモノマーのポリマーである。
【0144】
いくつかの実施の形態では、選択的に、前記第二の有機粒子は、フッ素含有アルケニルモノマー単位のホモポリマー又はコポリマー、オレフィン系モノマー単位のホモポリマー又はコポリマー、不飽和ニトリル系モノマー単位のホモポリマー又はコポリマー、アルキレンオキシド系モノマー単位のホモポリマー又はコポリマー、単糖類モノマー単位のダイポリマー、ホモポリマー又はコポリマー、及び上記各ホモポリマー又はコポリマーの改質化合物のうちの少なくとも一つから選択される。
【0145】
いくつかの実施の形態では、前記フッ素含有アルケニルモノマー単位は、ジフルオロエチレン、ビニリデンフルオライド、トリフルオロエチレン、トリフルオロクロロエチレン、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン又はその誘導体のうちの一つ又は複数から選択される。
【0146】
いくつかの実施の形態では、前記オレフィン系モノマー単位は、エチレン、プロピレン、ブタジエン、イソプレン、スチレン又はその誘導体のうちの一つ又は複数から選択される。
【0147】
いくつかの実施の形態では、前記不飽和ニトリル系モノマー単位は、アクリロニトリル、メタクリロニトリル又はその誘導体のうちの一つ又は複数から選択される。
【0148】
いくつかの実施の形態では、前記アルキレンオキシド系モノマー単位は、エチレンオキシド、プロピレンオキシド又はその誘導体のうちの一つ又は複数から選択される。
【0149】
いくつかの実施の形態では、前記単糖類モノマー単位は、グルコース又はその誘導体から選択される。
【0150】
いくつかの実施の形態では、前記第二の有機粒子は、ポリパーフルオロエチレン、ポリビニリデンフルオライド、ポリビニリデンフルオライド-コ-ヘキサフルオロプロピレン、ポリビニリデンフルオライド-コ-トリクロロエチレン、ポリスチレン-コ-メタクリル酸メチル、ポリスチレン-コ-アクリル酸ブチル、スチレン-アクリル酸ブチル-アクリル酸イソオクチル、ポリメタクリル酸メチル、ポリアクリロニトリル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン-コ-酢酸ビニル、ポリイミド、ポリエチレンオキサイド、酢酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、酢酸プロピオン酸セルロース、シアノエチルプルラン、シアノエチルポリビニルアルコール、シアノエチルセルロースとシアノエチルスクロースのうちの少なくとも一つから選択される。
【0151】
いくつかの実施の形態では、前記第二の有機粒子は、ポリビニリデンフルオライド-コ-ヘキサフルオロプロピレン、ポリスチレン-コ-アクリル酸ブチル、スチレン-アクリル酸ブチル-アクリル酸イソオクチル、ポリパーフルオロエチレン、ポリビニリデンフルオライド、ポリビニリデンフルオライド-コ-トリクロロエチレンのうちから選択される少なくとも一つであってもよい。
【0152】
第二の有機粒子は、第一の有機粒子に類似し、当分野で一般的に使用される重合方法によって製造されてもよく、例えばエマルジョン重合又は懸濁重合によって製造されてもよい。
【0153】
いくつかの実施の形態では、前記第二の有機粒子は、
(1)前記第二の有機粒子の体積平均粒径Dv50が2-20μmであり、選択的に6-15μmであること、
(2)前記第二の有機粒子の融点が130-160℃であり、選択的に138-150℃であること、
(3)前記第二の有機粒子の重量平均分子量が400×103g/mol-1000×103g/mol、選択的に450×103g/mol-650×103g/molであること、
のうちの一つ又は複数の条件を満たす。
【0154】
以上粒径範囲内の第二の有機粒子を採用することにより、二次電池は、正常作動時に、第一の有機粒子と第二の有機粒子との間に十分であり且つ均一に分布しない隙間をさらに形成し、イオン伝送チャンネルの円滑化を保証することができ、それによって電池は、さらに良好なサイクル性能を有する。第一の有機粒子と第二の有機粒子との共同作用で、セパレータと極板との間の接着力を補強すると同時に、さらにセパレータが適度で且つ不均一な穴隙構造を有することを効果的に保証することができる。
【0155】
前記第二の有機粒子の融点は、上記範囲内にあり、電解液の膨潤に耐えられ、一方で、過剰な電解液を消費することなく、残留モノマーが電解液によって気泡化されてセパレータを塞ぐことによって、電池コアの動力学性能に影響を与えにくい。他方で、セパレータと極板との接着が大幅に低下しないとともに、極板が第二の有機粒子によって圧損されて安全性能が低下しにくくなる。
【0156】
例として、前記第二の有機粒子の体積平均粒径Dv50は、2μm、8μm、10μm又は12μmであってもよい。
【0157】
いくつかの実施の形態では、前記セパレータは、
(1)前記基体の空隙率が10-95%であること、
(2)前記基体の穴径が20-60nmであること、
(3)前記基体の厚さが3-12μmであり、選択的に5-9μmであること、
(4)前記基体がポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエステル、ポリアセタール、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアリールエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、ポリベンズイミダゾール、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンエーテル、シクロオレフィンコポリマー、ポリフェニレンスルフィドとポリエチレンナフタレンのうちの一つ又は複数から選択されるフィルム又は不織布であること、
のうちの一つ又は複数の条件を満たす。
【0158】
セパレータが上記条件のうちの一つ又は複数を満たしている場合、セパレータの接着性能及び対応する二次電池の動力学性能とサイクル性能をさらに改善するのに有利である。
【0159】
いくつかの実施の形態では、選択的に、前記セパレータにおいて、前記第一の有機粒子と前記第二の有機粒子との質量比は、10-100:0-90、選択的に20-90:0-60であり、
選択的に、前記第一の有機粒子と前記第二の有機粒子との質量の和と感圧性接着剤の質量との比は、20-92:8-20、選択的に60-90:10-15である。
【0160】
例として、前記第一の有機粒子と第二の有機粒子との質量比は、100:0、90:10、70:30、50:50、40:60、65:25又は75:10及びこれらの割合のうちのいずれか両方からなる範囲であってもよい。
【0161】
例として、前記第一の有機粒子と前記第二の有機粒子との質量の和と感圧性接着剤の質量との比は、60:10、80:10、85:15、90:10又は110:10及びこれらの割合のうちのいずれか両方からなる範囲であってもよい。
【0162】
いくつかの実施の形態では、前記コーティングの平均厚さは、0.8-22μmであり、選択的に2-15μmである。例として、前記平均厚さは、0.8μm、2μm、3μm、4μm、6μm、10μm、12μm、15μm、20μm又は22μm及びこれらのうちのいずれか両方からなる範囲であってもよい。
【0163】
セパレータの製造方法
本出願の第二の態様は、本出願の第一の態様に記載のセパレータの製造方法を提供し、この方法は、
第一の有機粒子と分散剤とを溶媒に加えて第一のポリマー溶液を形成するステップS1と、
感圧性接着剤をステップS1で得られた第一のポリマー溶液に加え、十分に混合して第二のポリマー溶液を形成するステップS2と、
任意選択的に、ステップS2で得られた第二のポリマー溶液に第二の有機粒子を加え、十分に混合して第三のポリマー溶液を形成するステップS3、
ステップS2)で得られた第二のポリマー溶液又はステップS3で得られた第三のポリマー溶液を基体の少なくとも一つの表面に塗布し、乾燥した後にセパレータを得るステップS4と、
を含み、
前記セパレータは、基体と、前記基体少なくとも一つの表面に塗布されるコーティングと、を含み、前記コーティングは、40-90wt%の第一の有機粒子と、2-15wt%の感圧性接着剤と、任意選択的に0-50wt%の第二の有機粒子と、を含み、前記第一の有機粒子は、有機ポリマーと無機物とを含み、前記感圧性接着剤は、有機ポリマーと可塑剤とを含み、選択的に、前記第一の有機粒子の体積平均粒径は、(Dv90-Dv10)/Dv50≦2.5、選択的に≦2、さらに選択的に≦1.8を満たし、且つ第一の有機粒子のガラス化移転温度は、20-100℃、選択的に30-80℃であり、選択的に、前記セパレータは、0.1g・m-2・Ω-1≦ρ/R≦1.0g・m-2・Ω-1、選択的に0.5g・m-2・Ω-1≦ρ/R≦0.9g・m-2・Ω-1、さらに選択的に0.6g・m-2・Ω-1≦ρ/R≦0.8g・m-2・Ω-1を満たし、ここで、ρは、前記コーティングの前記基体上の面密度を表し、Rは、セパレータの25℃における抵抗を表す。
【0164】
いくつかの実施例では、ステップS1に使用される分散剤の非制限的実例は、アクリレート(例えば、BYK銘柄22136)、分岐状アルコールポリエーテル(例えば、ダウ社銘柄TMN-6)、ポリエチレングリコールトリメチルノニルエーテル又はそれらの混合物を含んでもよい。
【0165】
いくつかの実施例では、ステップS1に使用される溶媒の非制限的実例は、アセトン、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、クロロホルム、ジメチルホルムアミド、N-メチル基-2-ピロリドン、シクロヘキサン、水又はそれらの混合物を含んでもよい。
【0166】
いくつかの実施例では、ステップS4に使用される塗布方法の非制限的実例は、浸漬塗布法、ダイコート法、ローラーコーティング法、コンマコーティング法(comma coating)、スプレーコーティング又はそれらの組み合わせを含んでもよい。乾燥後の両面塗布面密度は、0.32-1.92g/m2であってもよい。
【0167】
[二次電池]
本出願の第三の態様は、二次電池を提供し、この二次電池は、良好な安全性能と動力学性能を有する。
【0168】
一般的には、二次電池は、正極極板と、負極極板と、電解質と、セパレータと、を含む。電池充電中に、活性イオンは、正極極板と負極極板との間で往復して吸蔵と離脱する。電解質は、正極極板と負極極板との間でイオンを伝導する役割を果たす。電解液を採用する二次電池、及び半固体電解質を採用するいくつかの二次電池には、セパレータがさらに含まれる。セパレータは、正極極板と負極極板との間に設置され、主に正極と負極の短絡を防止する役割を果たすとともに、イオンを通過させることができる。
【0169】
本出願による二次電池では、セパレータは、本出願の第一の態様によるセパレータを用いてもよく、このセパレータは、室温条件で良好なイオン伝導能力と接着性能を有し、その室温(一般的に20-30℃、例えば25℃)条件での抵抗は、1.6Ω以下であり、特に1.2Ω以下であり、≦1MPaの作用での接着力は、0.1N/m以下であり、特に0.08N/m以下であり、≧2Mpa、室温で極板との接着力は、0.15N/m以上であり、特に0.4N/m以上であり、≧2MPa、95℃で、極板との接着力は、4.9N/m以下であり、特に1.8N/m以下である。
【0170】
本出願の第一の態様によるセパレータを採用して二次電池を製造する時、室温25℃、≧2MPaで正極極板と前記セパレータとの間の接着力F1と、95℃、≧2MPaで正極極板とセパレータとの間の接着力F2とは、1.2≦F2/F1≦4、選択的に1.5≦F2/F1≦3.8を満たす。同時に基体上にコーティングされる面密度ρとセパレータの25℃での抵抗Rとは、0.1g・m-2・Ω-1≦ρ/R≦1.0g・m-2・Ω-1、選択的に0.5g・m-2・Ω-1≦ρ/R≦0.9g・m-2・Ω-1、さらに選択的に0.6g・m-2・Ω-1≦ρ/R≦0.8g・m-2・Ω-1を満たす。F2/F1>4の場合、電池コア捲回中に予冷間プレスが不足し、電池コアが膨れ、セパレータと極板の位置がずれ、ひいては内周の極板がすべり、極板にラップ短絡の安全リスクが存在する可能性があるとともに、熱圧接着が不適切に過大で、電解液の浸潤困難を招き、電池コアの化成効率に影響を与える可能性があり、さらに容量満充電後に黒斑を形成してひいてはリチウムを析出し、電池コアの動力学及び電池コアの安全性能に厳重に影響する。F2/F1<1.2の場合、予冷間プレスは、プロセス要求を満たすが、トンネル炉を通過して熱圧を行う過程において、電池コアの厚さ及び幅が規格を越え、膨れ、又は一定時間放置した後に電池コアが膨れる可能性があり、電池コアの歩留まりが低下し、生産効率が低下する可能性がある。なお、より大きいリスクは、シェルに入れて電解液を注入した後、電池コア硬度が極端に低下し、極板がセパレータから分離し、電池コアの膨張力が増大する可能性があることである。より深刻なのは、セパレータと極板との接着が低すぎ、負極の反発を束縛できず、しわになり、リチウム析出の問題を引き起こし、電池コアサイクル性能の悪化を招く可能性があることである。
【0171】
[正極極板]
正極極板は、正極集電体及び正極集電体の少なくとも一つの表面上に設置され且つ正極活物質を含む正極膜を含む。例として、正極集電体は、その自体の厚さ方向において対向する二つの表面を有し、正極膜は、正極集電体の対向する二つの表面のうちのいずれか一方又は両方上に設置される。
【0172】
正極集電体は、良好な導電性及び機械強度を持つ材質を採用してもよい。いくつかの実施例では、正極集電体は、アルミニウム箔を採用してもよい。
【0173】
本出願は、正極活物質の具体的な種類に対して具体的に限定せず、当分野において既知の二次電池の正極に使用可能な材料を採用してもよく、当業者は、実際の需要に応じて選択することができる。
【0174】
いくつかの実施の形態では、本出願による二次電池は、リチウムイオン二次電池である。正極活物質は、当分野に公知のリチウムイオン二次電池用の正極活物質を含む。例えば、正極活物質は、オリビン構造のリチウム含有リン酸塩、リチウム遷移金属酸化物及びそれぞれの改質化合物のうちの少なくとも一つの材料を含んでもよい。ただし、本出願は、これらの材料に限定されるものではなく、電池正極活物質として用いることができる他の従来材料を使用してもよい。ここで、リチウム遷移金属酸化物の例は、リチウムコバルト酸化物(例えばLiCoO2)、リチウムニッケル酸化物(例えばLiNiO2)、リチウムマンガン酸化物(例えばLiMnO2、LiMn2O4)、リチウムニッケルコバルト酸化物、リチウムマンガンコバルト酸化物、リチウムニッケルマンガン酸化物、リチウムニッケルコバルトマンガン酸化物(例えばLiNi1/3Co1/3Mn1/3O2(NCM333と略称されてもよい)、LiNi0.5Co0.2Mn0.3O2(NCM523と略称されてもよい)、LiNi0.5Co0.25Mn0.25O2(NCM211と略称されてもよい)、LiNi0.6Co0.2Mn0.2O2(NCM622と略称されてもよい)、LiNi0.8Co0.1Mn0.1O2(NCM811と略称されてもよい)、リチウムニッケルコバルトアルミニウム酸化物(例えばLiNi0.85Co0.15Al0.05O2)及びその改質化合物などのうちの少なくとも一つを含んでもよいが、それらに限らない。オリビン構造のリチウム含有リン酸塩の例は、リン酸鉄リチウム(例えばLiFePO4(LFPと略称されてもよい))、リン酸鉄リチウムと炭素との複合材料、リン酸マンガンリチウム(例えばLiMnPO4)、リン酸マンガンリチウムと炭素との複合材料、リン酸マンガン鉄リチウム、リン酸マンガン鉄リチウムと炭素との複合材料のうちの少なくとも一つを含んでもよいが、それらに限らない。
【0175】
いくつかの実施の形態では、選択的に、前記正極活物質が前記正極膜を占める質量百分率は、75%から99%、選択的に80%から97%である。
【0176】
いくつかの実施の形態では、正極膜には、さらに選択的に接着剤が含まれる。接着剤の種類に対して具体的に限定せず、当業者は、実際の需要に応じて選択することができる。例として、正極膜に用いられる接着剤は、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)とポリテトラフルオロエチレン(PTFE)のうちの一つ又は複数を含んでもよい。
【0177】
いくつかの実施の形態では、選択的に、前記接着剤が前記正極膜を占める質量百分率は、0.1%から3.5%、選択的に0.5%から3%である。
【0178】
いくつかの実施の形態では、正極膜には、さらに選択的に導電剤が含まれる。導電剤の種類に対して具体的に限定せず、当業者は、実際の需要に応じて選択することができる。例として、正極膜に用いられる導電剤は、黒鉛、超伝導カーボン、アセチレンブラック、カーボンブラック、ケッチェンブラック、カーボンドット、カーボンナノチューブ、グラフェン及びカーボンナノファイバーのうちの一つ又は複数を含んでもよい。
【0179】
いくつかの実施の形態では、選択的に、前記導電剤が前記正極膜を占める質量百分率は、0.05%から5%、選択的に0.5%から3%である。
【0180】
いくつかの実施の形態では、正極活物質を採用して正極極板を製造するステップは、以下を含んでもよい。正極活物質、接着剤、及び選択的な導電剤を溶媒に分散させて、溶媒がN-メチルピロリドンであってもよく、真空ミキサーの作用で均一に攪拌して正極スラリーを得、正極スラリーを正極集電体アルミニウム箔に均一に塗覆し、室温で乾燥した後にオーブンに移して乾燥し、そして冷間プレスし、スリットして正極極板を得た。
【0181】
[負極極板]
負極極板は、負極集電体及び負極集電体の少なくとも一つの表面上に設置される負極膜を含む。例として、負極集電体は、その自体の厚さ方向において対向する二つの表面を有し、負極膜層は、負極集電体の対向する二つの表面のうちのいずれか一方又は両方上に設置される。
【0182】
負極集電体は、良好な導電性及び機械強度を持つ材質を採用してもよく、導電と集電の役割を果たす。いくつかの実施の形態では、負極集電体は、銅箔を採用してもよい。
【0183】
負極膜は、負極活物質を含み、負極活物質を採用して負極極板を製造するステップは、負極活物質、接着剤、及び選択的な増粘剤と導電剤を溶媒に分散させて、溶媒が脱イオン水であってもよく、均一な負極スラリーを形成するステップと、負極スラリーを負極集電体に塗覆し、乾燥、冷間プレスなどの工程を経てた後、負極極板を得るステップとを含んでもよい。
【0184】
いくつかの実施の形態では、本出願は、負極活物質の具体的な種類に対して具体的に限定せず、負極極板は、選択的に二次電池負極に使用可能な負極活物質を含む。負極活物質は、黒鉛材料(例えば人造黒鉛、天然黒鉛)、メソカーボンマイクロビーズ(MCMBと略す)、ハードカーボン、ソフトカーボン、シリコン系材料、スズ系材料のうちの一つ又は複数であってもよい。
【0185】
いくつかの実施の形態では、選択的に、前記負極活物質が前記正極膜を占める質量百分率は、75%から99%、選択的に80%から97%である。
【0186】
いくつかの実施の形態では、接着剤は、ポリアクリル酸(PAA)、ポリアクリル酸ナトリウム(PAAS)、ポリアクリルアミド(PAM)、ポリビニルアルコール(PVA)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、アルギン酸ナトリウム(SA)、ポリメタクリル酸(PMAA)及びカルボキシメチルキトサン(CMCS)のうちの一つ又は複数から選択されてもよい。
【0187】
いくつかの実施の形態では、選択的に、前記接着剤が前記負極膜を占める質量百分率は、0.1%から3.5%、選択的に0.5%から2.5%である。
【0188】
いくつかの実施の形態では、増粘剤は、カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC-Na)であってもよい。
【0189】
いくつかの実施の形態では、選択的に、前記増粘剤が前記負極膜を占める質量百分率は、0.04%から5%、選択的に0.5%から3%である。
【0190】
いくつかの実施の形態では、負極極板に用いられる導電剤は、黒鉛、超伝導カーボン、アセチレンブラック、カーボンブラック、ケッチェンブラック、カーボンドット、カーボンナノチューブ、グラフェンとカーボンナノファイバーのうちの一つ又は複数から選択されてもよい。
【0191】
いくつかの実施の形態では、選択的に、前記導電剤が前記負極膜を占める質量百分率は、0.04%から5%、選択的に0.5%から3%である。
【0192】
[電解質]
電解質は、正極極板と負極極板との間でイオンを伝導する作用を果たす。本出願は、電解質の種類に対して具体的に限定せず、需要に応じて選択することができる。例えば、電解質は、液体、ゲル状又は全固体であってもよい。
【0193】
いくつかの実施の形態では、電解質として、電解液を採用する。電解液は、電解質塩と溶媒とを含む。
【0194】
いくつかの実施の形態では、電解質塩は、LiPF6(ヘキサフルオロリン酸リチウム)、LiBF4(テトラフルオロホウ酸リチウム)、LiClO4(過塩素酸リチウム)、LiAsF6(ヘキサフルオロヒ酸リチウム)、LiFSI(リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド)、LiTFSI(リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド)、LiTFS(トリフルオロメタンスルホン酸リチウム)、LiDFOB(ジフルオロ(オキサラト)ホウ酸リチウム)、LiBOB(ビス(オキサラト)ホウ酸リチウム)、LiPO2F2(ジフルオロリン酸リチウム)、LiDFOP(ジフルオロビス(オキサラト)リン酸リチウム)及びLiTFOP(テトラフルオロ(オキサラト)リン酸リチウム)のうちの一つ又は複数から選択されてもよい。
【0195】
いくつかの実施の形態では、電解質塩の非水電解液における濃度は、例えば0.3mol/L(モル/リットル)以上、選択的に0.7mol/L以上、選択的に1.7mol/L以下、さらに選択的に1.2mol/L以下である。
【0196】
いくつかの実施の形態では、溶媒は、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジメチルカーボネート(DMC)、ジプロピルカーボネート(DPC)、メチルプロピルカーボネート(MPC)、エチルプロピルカーボネート(EPC)、ブチレンカーボネート(BC)、フルオロエチレンカーボネート(FEC)、ギ酸メチル(MF)、酢酸メチル(MA)、酢酸エチル(EA)、酢酸プロピル(PA)、プロピオン酸メチル(MP)、プロピオン酸エチル(EP)、プロピオン酸プロピル(PP)、酪酸メチル(MB)、酪酸エチル(EB)、1,4-ブチロラクトン(GBL)、スルホラン(SF)、ジメチルスルホン(MSM)、エチルメチルスルホン(EMS)及びジエチルスルホン(ESE)のうちの一つ又は複数から選択されてもよい。
【0197】
いくつかの実施の形態では、電解液には、さらに選択的に添加剤が含まれる。例えば、添加剤は、負極膜形成添加剤を含んでもよく、正極膜形成添加剤を含んでもよく、はさらに、電池のいくつかの性能を改善できる添加剤、例えば電池の過充電性能を改善する添加剤、電池の高温性能を改善する添加剤、電池の低温性能を改善する添加剤などを含んでもよい。
【0198】
[外装体]
いくつかの実施の形態では、二次電池は、正極極板、負極極板、セパレータ及び電解質をパッケージングするための外装体を含んでもよい。一例として、正極極板、負極極板及びセパレータは、積層又は捲回によって積層構造電池コア又は捲回構造電池コアを形成してもよく、電池コアは、外装体内にパッケージングされ、電解質は、電解液を採用してもよく、電解液は、電池コアに浸潤される。二次電池における電池コアの数は、一つ又は複数であってもよく、需要に応じて調節することができる。
【0199】
いくつかの実施の形態では、二次電池の外装体は、パウチ、例えば袋状パウチであってもよい。パウチの材質は、プラスチックであってもよく、例えば、ポリプロピレンPP、ポリブチレンテレフタレートPBT、ポリブチレンサクシネートPBSなどのうちの一つ又は複数を含んでもよい。二次電池の外装体は、硬質ケース、例えばアルミニウムケースなどであってもよい。
【0200】
いくつかの実施の形態では、正極極板、負極極板及びセパレータは、捲回プロセス又は積層プロセスによって電極アセンブリに製造されることができる。
【0201】
本出願は、二次電池の形状に対して特に限定せず、それは、円筒型、四角形又は他の任意の形状であってもよい。
図1は、一例としての四角形構造の二次電池5である。
【0202】
[電池モジュール、電池パックと電力消費装置]
本出願の第四の態様は、電池モジュールを提供し、この電池モジュールは、本出願の第三の態様に記載の二次電池を含む。
【0203】
いくつかの実施の形態では、本出願による二次電池を電池モジュールとして組み立ててもよく、電池モジュールに含まれる二次電池の数は、複数であってもよく、具体的な数は、電池モジュールの応用と容量に応じて調節することができる。
【0204】
図2は、一例としての電池モジュール4である。
図2を参照すると、電池モジュール4において、複数の二次電池5は、電池モジュール4の長手方向に沿って順に並べて設置されてもよい。無論、他の任意の方式で配列してもよい。さらに締結具でこれらの複数の二次電池5を固定してもよい。
【0205】
選択的に、電池モジュール4は、収容空間を有するケースをさらに含んでもよく、複数の二次電池5は、この収容空間に収容される。
【0206】
本出願の第五の態様は、電池パックを提供し、この電池パックは、本出願の第三の態様に記載の二次電池又は本出願の第四の態様に記載の電池モジュールのうちの少なくとも一つを含む。
【0207】
いくつかの実施の形態では、二次電池により組み立てられる電池モジュールを電池パックとして組み立ててもよく、電池パックに含まれる電池モジュールの数は、電池パックの用途及び容量に応じて調節されてもよい。
【0208】
図3及び
図4は、一例としての電池パック1である。
図3及び
図4を参照すると、電池パック1には、電池ボックスと、電池ボックスに設置される複数の電池モジュール4とが含まれてもよい。電池ボックスは、上部筐体2と下部筐体3とを含み、上部筐体2は、下部筐体3に蓋設されて、電池モジュール4を収容するための密閉空間を形成することができる。複数の電池モジュール4は、任意の方式で電池ボックスに配列されてもよい。
【0209】
本出願の第六の態様は、電力消費装置を提供し、本出願の第三の態様による二次電池、本出願の第四の態様による電池モジュール又は本出願の第五の態様による電池パックのうちの少なくとも一つを含み、前記電力消費装置に電源を提供する。前記電力消費装置は、移動体機器(例えば、携帯電話、ノートパソコンなど)、電動車両(例えば、純電気自動車、ハイブリッド電気自動車、プラグインハイブリッド電気自動車、電動自転車、電動スクータ、電動ゴルフカート、電動トラックなど)、電気列車、船舶及び衛星、エネルギー貯蔵システムなどであってもよいが、これに限定されない。
【0210】
前記電力消費装置は、その使用需要に応じて二次電池、電池モジュール又は電池パックを選択することができる。
【0211】
図5は、一例としての電力消費装置である。この電力消費装置は、純電気自動車、ハイブリッド電気自動車、又はプラグインハイブリッド電気自動車などである。この電力消費装置の二次電池の高パワーと高エネルギー密度に対する需要を満たすために、電池パック又は電池モジュールを採用することができる。
【0212】
別の例の電力消費装置として、携帯電話、タブレットパソコン、ノートパソコンなどであってもよい。この電力消費装置は、一般的には薄型化を要求し、二次電池を電源として採用することができる。
【0213】
実施例
以下では、本出願の実施例を説明する。以下に記述された実施例は、例示的なものであり、本出願を解釈するためにのみ使用され、本出願に対する制限と理解されるべきではない。実施例に具体的な技術又は条件が明記されていない場合、当分野内の文献に記述された技術に従ってあるいは条件又は製品の仕様書に従って行う。使用する試剤又は計器は、生産メーカが明記されていない場合、いずれも市購で入手可能な通常製品である。
【0214】
実施例1
第一の有機粒子(P1)の製造
室温で、アクリル酸-2-ヒドロキシエチル25重量%、アクリル酸n-ブチル20重量%、メタクリル酸メチル5重量%、トリメチロールプロパントリアクリレート5重量%、アクリロニトリル20重量%、アクリルアミド25重量%の重量百分率の割合で必要なモノマーを均一に攪拌して混合した。機械攪拌装置、温度計及び凝縮管が入っている10Lの四口フラスコに混合モノマー2kg、ラウリル硫酸ナトリウム乳化剤60g、過硫酸アンモニウム開始剤20g、脱イオン水2.40kgを加えた。1600rpmの回転速度で30分攪拌乳化した。そして、窒素ガス保護で75℃まで昇温し、4時間反応させた後、1wt%のNaOH水溶液でpH=6.5に調節し、即座に40℃以下に降温して排出すると、エマルジョン状態の有機ポリマーが得られ、その固形分は、約45%である。
【0215】
上記有機ポリマーと二酸化ケイ素とを乾燥重量質量比9:1の割合で適量の脱イオン水に加え、1時間攪拌して十分に混合した後、噴霧乾燥を経て溶媒を除去し、粉末を得た。そして、研磨粉砕を経て、Dv50粒径8μm、粒径分布(Dv90-Dv10)/Dv50 1.76、DSCガラス化移転温度60℃、重量平均分子量約600×103g/molの第一の有機粒子を得た。
【0216】
感圧性接着剤の製造
感圧性接着剤は、有機ポリマーと可塑剤とを含み、ここで、有機ポリマーは、30wt%アクリル酸イソブチル+25wt%アクリル酸イソオクチル+5wt%メタクリル酸-2-ヒドロキシプロピル+15wt%スチレン+22wt%アクリロニトリル+3wt%ポリビニルアルコールコポリマーであり、可塑剤は、グリセロールであり、グラフト率は、8wt%である。PCT出願番号がPCT/CN2021/143069である特許文献を参照して製造することができる。
【0217】
セパレータの製造
1)厚さ約9μm、穴径約50nm且つ空隙率約38%のポリエチレン微細穴膜(上海恩捷股ふん有限公司から購入)をセパレータ基体とし、
2)3.3kgの感圧性接着剤(そのガラス化移転温度が約10℃であり、体積平均粒径Dv50が約1.1μmであり、質量比が5:1である有機ポリマーと可塑剤とを含み(ここで、可塑剤の重量に対して、約8wt%の可塑剤が有機ポリマーにグラフトされており)、ここで、有機ポリマーは、30wt%アクリル酸イソブチル+25wt%アクリル酸イソオクチル+5wt%メタクリル酸-2-ヒドロキシプロピル+15wt%スチレン+22wt%アクリロニトリル+3wt%ポリビニルアルコールのコポリマーであり、可塑剤は、グリセロールである)を23.6kgの脱イオン水に加え、第一のポリマー溶液を得、
3)前記ステップ2)で得られた第一のポリマー溶液に適量の第一の有機粒子(P1、25wt%アクリル酸-2-ヒドロキシエチル+20wt%アクリル酸n-ブチル+5wt%メタクリル酸メチル+5wt%トリメチロールプロパントリアクリレート+20wt%アクリロニトリル+25wt%アクリルアミド、Dv50粒径は、6μmであり(Dv90-Dv10)/Dv50は、1.76であり、ガラス化移転温度は、60℃であり、重量平均分子量は、約600×103g/molである)と18gの分散剤(BYK-22136、比克化学、銘柄22136)を加え、十分に混合して第二のポリマー溶液を形成し、ここで、前記第二のポリマー溶液には、第一の有機粒子と感圧性接着剤との乾燥重量を基準とする質量比は、90:10であり、
4)前記ステップ3)で得られた第二のポリマー溶液を水性コーティングスラリーとし、スピンスプレーの方式でセパレータ基体の二つの表面に塗覆し、乾燥後、32箇所を取り、各箇所に単位面積当たりの前記箇所におけるセパレータのスピンスプレー前後のグラム重量変化を取り、平均値を取り、セパレータコーティングの面密度ρを0.97g/m2として得た。製造されたセパレータは、セパレータ基体と、セパレータ基体の二つの表面に塗布された感圧コーティングとを含み、この感圧コーティングの厚さは、約3μmであり、乾燥重量を基準とする質量比が90:10である第一の有機粒子と感圧性接着剤とを含み、且つこの感圧性接着剤は、質量比が5:1である有機ポリマーと可塑剤とを含む(ここで、可塑剤の重量に対して、約8wt%の可塑剤が有機ポリマーにグラフトされている)。
【0218】
二次電池の製造
活物質であるLiNi1/3Mn1/3Co1/3O2、導電剤であるアセチレンブラック、接着剤であるポリビニリデンフルオライド(PVDF、重量平均分子量120万g/mol)を重量比94:3:3で溶媒N-メチルピロリドンにおいて十分均一に攪拌して混合した後に、正極スラリーを得、このスラリーをアルミニウム(Al)箔に塗覆して乾燥し、冷間プレスし、正極極板を得た。正極極板上の正極活物質の担持量は、0.32g/1540.25mm2であり、密度は、3.45g/cm3である。
【0219】
活物質である人造黒鉛、導電剤であるアセチレンブラック、接着剤であるスチレンブタジエンゴム(SBR)、増粘剤である炭素メチル基セルロースナトリウム(CMC)を重量比95:2:2:1で溶媒脱イオン水において十分均一に攪拌して混合した後に、負極スラリーを得、このスラリーを銅(Cu)箔に塗覆して乾燥し、冷間プレスし、負極極板を得た。負極極板上の黒鉛の担持量は、0.18g/1540.25mm2であり、密度は、1.65g/cm3である。
【0220】
エチレンカーボネート(EC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ジエチルカーボネート(DEC)を体積比3:5:2で混合し、そしてLiPF6を上記溶液に均一に溶解し、電解液を得た。この電解液において、LiPF6の濃度は、1mol/Lである。
【0221】
各実施例又は比較例で製造されたセパレータを二次電池用セパレータとした。
【0222】
セパレータが正負極の中間に位置して隔離の役割を果たすように、正極極板、セパレータ、負極極板を順番に積層し、巻き戻してベア電池コアを得た。ベア電池コアを外装体に置き、電解液を注入してパッケージングすると二次電池が得られた。説明すべきこととして、セパレータコーティングが片面である場合、コーティング面は、陰極(即ち正極極板)側に向く。
【0223】
テスト方法
1.体積平均粒径テスト
規格GB/T 19077-2016/ISO 13320:2009粒度分布レーザー回折法を参照した。レーザー粒度計(マルビン3000、MasterSizer 3000)を用いてテストし、主光源としてヘリウムネオン赤色光源を使用した。クリーンな小ビーカーを1つ取って測定するサンプル1gを加え、表面活性剤を一滴加えてサンプルの分散を促進し、脱イオン水20mlを加え(サンプル濃度は、遮光度8~12%を保証する)、53KHz/120Wで5分、超音波化し、サンプルを完全に分散させたことを確保した。レーザー粒度計をオンにし、光路系を洗浄した後、バックグラウンドを自動的にテストした。すでに超音波化した、測定する溶液を攪拌し、均一に分散させ、要求に応じてサンプルプールに入れ、粒径の測定を開始した。計器から測定結果を読むことができる。
【0224】
2.ガラス化移転温度
当分野で一般的に使用される方法で測定してもよく、例えばGB/T 19466.2を参照して示差走査熱量測定法でテストしてもよい。昇温レート10℃/分、空気雰囲気とした。
【0225】
3.感圧性接着剤における可塑剤のグラフト率テスト
赤外テスト方法で検出してもよく、具体的には、有機ポリマー、可塑剤、感圧性接着剤の各テストからそのフーリエ赤外スペクトログラムを得、感圧性接着剤1500-1700cm-1の位置に有機ポリマーと単独した可塑剤と異なるピークが現れ、このピークは、グラフトされた可塑剤を表し、ピーク下の面積は、グラフトされた可塑剤の量を表し、それによって可塑剤のグラフト率(グラフトされた可塑剤の特徴ピークに対応するピーク面積/可塑剤のピーク面積%100%を表す)を計算して得られる。
【0226】
4.セパレータの接着性能評価
テストプロセスは、以下のとおりである。
【0227】
1.製造された長300mm×幅100mmのセパレータ及び上記で製造された正極極板と負極極板を選択した。
【0228】
2.セパレータの上下面を紙で包み、ナイフダイスとプレス機を用いて54.2mm×72.5mmのサンプルに切り抜いた。
【0229】
3.切り抜いたセパレータサンプルと正極極板又は負極極板とを整然と積層し、セパレータが上になるように注意し(片側塗覆時にコーティングが正極極板に向く)、上下面にそれぞれ大きさ130mm×130mmのテフロン(登録商標:teflon)を敷き、積層したサンプルを200mm×200mmのボール紙の中間に置き、また150mm×160mmのボール紙を1枚被せた。
【0230】
4.積層したサンプルを平板プレスに入れて圧力を調整し、気圧を調整しておき、平板プレス圧力=350KG±10KGであり(接触面積約は、54.2mm×72.5mmであり、換算後の実際の圧力は、約0.87MPaである)、T=25℃に設定し、時間を15秒に設定し、プレスした。
【0231】
5.ナイフダイスとプレス機を用いて熱プレスしたサンプルを72.5mm×15mmの小片に切り抜いた。
【0232】
6.極板の一面を両面テープで鋼板に貼り付けて固定し、別の面にセパレータが接着されており、両面テープを用いて幅15mmのA4紙をセパレータと貼り合わせて、テストサンプルの製作が完了した。
【0233】
7.高鐵(Gotech)引張機をオンにし、パラメータを順に、接着力テスト、速度50mm/分、開始治具ピッチ40mmに設定した。
【0234】
8.テストサンプルを治具の間に置き、鋼板の末端を下コレットに固定し、A4紙を上コレットに固定した。上下端コレットは、それぞれ治具でクランプされた。
【0235】
9.コンピュータデスクトップストレッチする操作界面をクリックし、力、変位などをクリアし、そして「開始」をクリックして、約5mmのプリストレッチを行い、プリストレッチ後、力、変位などを再びクリアし、テストを開始した。テストの際に、極板を固定する鋼板を固定し、引張機は、A4紙を上方に引張り、セパレータと極板とを剥離させた。テストが完了したら、完全なデータをエクスポートして保存した。
【0236】
10.各組は、少なくとも5本のテストサンプルを測定するとともに、5本のテストサンプルの接着力テストの曲線繰り返し性が比較的に良い場合、次の組のテストを行った。そうでなければ、5本のテストサンプルの繰り返し性が比較的に良くなるまで、テストを再実施する必要があった。
【0237】
11.テスト完了後、接着強度(N/m)-変位曲線を作成し、100番目から300番目のデータ点の平均値を接着力とし、測得した接着力をF0とした。
【0238】
12.ステップ1~11を繰り返し、ここで、ステップ4で圧力を850Kg±10KG(換算後の実際の圧力は、約2.24MPaに相当する)に変更し、温度Tを25℃に変更した。得られた接着力をF1とした。
【0239】
13.ステップ1~11を繰り返し、ここで、ステップ4で圧力を850Kg±10KG(換算後の実際の圧力は、約2.24MPaに相当する)に変更し、温度Tを95℃に変更した。得られた接着力をF2とした。
【0240】
5.セパレータの抵抗性能評価
テストプロセスは、以下のとおりである。
【0241】
(1)セパレータの準備:各測定するセパレータを大きさの同じなサンプル(45.3mm*33.7mm)に裁断し、サンプルを60℃の環境に置いて少なくとも4時間焼成し、そして25℃の百級のクリーニンググローブボックスに迅速に転入して予備とする。
(2)対称電池閉じ込め性Pocket袋(対称電池閉じ込め性アルミニウムプラスチック袋(アルミニウムプラスチック袋は、パウチセル用のポリプロピレンとアルミニウム箔を複合した汎用商品である))の製造:Cu Foil対Cu Foil(銅箔対銅箔)を集電体として組み立てた空白対称電池を採用した。このPocket袋の閉じ込め性は、グリーン接着剤中間打ち抜きによって実現された。Pocket袋は、使用する前に60℃の環境で少なくとも4時間焼成し、そして上記(1)に記載の25℃百級のクリーニンググローブボックスに迅速に転入して予備する必要がある。
(3)対称電池の組み立て:負極極板を電極として、上記(1)に記載のグローブボックスにおいてそれぞれ異なるセパレータレイヤ数(1、2、3、4、5層)のある5組の対称電池サンプルを元の位置で組み立て、各組のサンプルは、5つの並行サンプルがあり、簡易パッケージング機でPocket袋をサイドシールし、ピペットガンで注液し(300μL)(電解液、電池電解液と同じ組成)、ボトルシールする。
(4)組み立てられた対称電池への治具の取り付け:電解液がセパレータに十分に浸潤するように、組み立てられた対称電池を上記(1)に記載のグローブボックスに一晩置き、翌日、金属治具を取り付け、治具の圧力を0.7MPaに制御する。
(5)電気化学インピーダンス分光(EIS)の測定:測定する前に、異なるセパレータレイヤ数のある対称電池を高低温箱に入れて25℃の恒温を半時間維持し、設定温度(25℃)でのEISを測定する(低温(例えば-25℃-0℃)の場合、恒温の時間を、例えば2時間程度延長することができ)。
(6)フランスBio-Logic VMP3電気化学作動ステーションを採用し、電圧<5V、電流<400mA、電流精度:0.1%*100μAである。測定時、EISの測定条件を電圧周波数1MHz-1kHzに設定し、外乱電圧を5MVに設定し、治具の圧力を0.7MPaに制御した。
【0242】
(7)EISデータの実部を負虚部に対してスキャッタグラムを作成するとともに、異なるレイヤ数と同じレイヤ数の並行サンプルのデータを1枚のグラフ上に描画して得られたEIS図をEIS生データと比較した。
【0243】
(8)上記(7)で得られたEIS図から第一の象限以外の点を取り除き、新たなEIS図を得た。前記新たなEIS図において第一の象限のプロットを線形フィッティングし、関連式を得、y=0とすると、x値が得られ、必要なセパレータの電解液における抵抗値である。順に類推すると、測定して得られたEISデータを線形フィッティング処理すれば異なるレイヤ数の並行サンプル間の抵抗値が得られる。五つの抵抗値の並行サンプルをRとした。
【0244】
6.二次電池の性能評価
サイクル性能テスト:
製造された二次電池を各組5本ずつ取り出し、以下のステップによって二次電池の充放電を繰り返し行い、二次電池の25℃又は45℃条件でのサイクル容量保持率を計算した。
【0245】
25℃の環境で、1回目の充放電を行い、上限電圧が4.4Vになるまで、0.7C(即ち2時間内に理論容量を完全に解放する電流値)の充電電流で定電流と定電圧充電を行い、そして最終電圧が3Vになるまで、0.5Cの放電電流で定電流放電を行い、1回目のサイクルの放電容量を記録し、その後、1000回の充放電サイクルを行い、1000回目のサイクルの放電容量を記録した。サイクル容量保持率=(1000回目のサイクルの放電容量/1回目のサイクルの放電容量)×100%である。
【0246】
45℃の環境で、1回目の充放電を行い、上限電圧が4.4Vになるまで、0.7C(即ち2時間内に理論容量を完全に解放する電流値)の充電電流で定電流と定電圧充電を行い、そして最終電圧が3Vになるまで、0.5Cの放電電流で定電流放電を行い、1回目のサイクルの放電容量を記録し、その後、1000回の充放電サイクルを行い、1000回目のサイクルの放電容量を記録した。サイクル容量保持率=(1000回目のサイクルの放電容量/1回目のサイクルの放電容量)×100%である。
【0247】
実施例2-3
セパレータコーティングにおける第一の有機粒子(Dv90-Dv10)/Dv50の比が異なること以外は、実施例1と同じである。具体的には、実施例2で製造されたセパレータの第一の有機粒子(Dv90-Dv10)/Dv50は、2である。
【0248】
実施例3で製造されたセパレータの第一の有機粒子(Dv90-Dv10)/Dv50は、2.5である。
【0249】
比較例1
セパレータコーティングにおける第一の有機粒子(Dv90-Dv10)/Dv50が3.5であること以外は、実施例1と同じである。
【0250】
実施例4-8
使用された第一の有機粒子が異なり、異なるガラス化移転温度を有すること以外は、実施例1と同じである。具体的には、実施例4-8に使用される第一の有機粒子のガラス化移転温度は、それぞれ20℃、30℃、40℃、80℃と100℃である。
【0251】
比較例2-3
ガラス化移転温度がそれぞれ10℃と110℃である第一の有機粒子P5とP11を使用したこと以外は、実施例1と同じである。
【0252】
実施例9-13
セパレータコーティングの面密度ρ/Rがそれぞれ0.52g・m-2・Ω-1、0.65g・m-2・Ω-1、0.83g・m-2・Ω-1、0.96g・m-2・Ω-1と0.98g・m-2・Ω-1であること以外は、実施例1と同じである。
【0253】
比較例4-6
セパレータコーティングの面密度ρ/Rがそれぞれ0.26g・m-2・Ω-1、0.29g・m-2・Ω-1と0.41g・m-2・Ω-1であること以外は、実施例1と同じである。
【0254】
実施例14-15
使用された第一の有機粒子がそれぞれP12とP13であること以外は、実施例1と同じである。
【0255】
実施例16
セパレータの製造
1)厚さ約9μm、穴径約50nm且つ空隙率約38%のポリエチレン微細穴膜(上海恩捷股ふん有限公司から購入)をセパレータ基体とし、
2)21kgの第一の有機粒子P1を140kgの脱イオン水に加え、均一に混合した後に第一のポリマー溶液を形成し、
3)23.5kgの感圧性接着剤(そのガラス化移転温度が約10℃であり、体積平均粒径Dv50が約1.1μmであり、質量比が5:1である有機ポリマーと可塑剤とを含み(ここで、可塑剤の重量に対して、約8wt%の可塑剤が有機ポリマーにグラフトされており、ここで、有機ポリマーは、30wt%アクリル酸イソブチル+25wt%アクリル酸イソオクチル+5wt%メタクリル酸-2-ヒドロキシプロピル+15wt%スチレン+22wt%アクリロニトリル+3wt%ポリビニルアルコールコポリマーであり、可塑剤は、グリセロールである)の水性エマルジョンをステップ2)で得られた第一のポリマー溶液に加え、均一に混合し、第二のポリマー溶液を得、
4)第一の有機粒子と第二の有機粒子との乾燥重量を基準とする質量比が90:10となるように、前記ステップ3)で得られた第二のポリマー溶液に適量の第二の有機粒子(ポリビニリデンフルオライド、重量平均分子量50万g/mol)を加え、均一に混合して第三のポリマー溶液を得、ここで、すべての有機粒子(乾燥重量を基準とする質量比が90:10である第一の有機粒子と第二の有機粒子とを含む)と感圧性接着剤との乾燥重量を基準とする質量比は、85:15であり、
5)前記ステップ4)で得られた第三のポリマー溶液を水性コーティングスラリーとし、スピンスプレーの方式でセパレータ基体の一つの表面に塗覆し、乾燥後、セパレータを得た。製造されたセパレータは、セパレータ基体と、セパレータ基体の一つの表面に塗布されたコーティングとを含み、前記コーティングの厚さは、約3μmであり、乾燥重量を基準とする質量比が85:15である有機粒子(ここで、乾燥重量を基準とする質量比が90:10である第一の有機粒子と第二の有機粒子を含む)と感圧性接着剤とを含み、且つこの感圧性接着剤は、質量比が5:1である有機ポリマーと可塑剤(ここで、可塑剤の重量に対して、約8wt%の可塑剤が有機ポリマーにグラフトされている)とを含む。前記コーティングの塗覆面密度は、0.97g/m
2である。
図6に示すように、この実施例で製造されたセパレータのコーティングのトポグラフィを示した。
【0256】
実施例17-19
前記コーティングにおける第一の有機粒子と第二の有機粒子との乾燥重量を基準とする質量比がそれぞれ70:30、50:50と40:60であること以外は、実施例16と同じである。
【0257】
比較例7
第一の有機粒子を使用しないこと以外は、実施例16と同じである。
【0258】
実施例と比較例に使用される第一の有機粒子の組成は、以下の表1に示すとおりである。
【0259】
上記実施例1-19と比較例1-7で製造されたセパレータの接着性能、抵抗及びこのセパレータで製造された二次電池のサイクル性能を評価し、結果は、以下の表2に示すとおりである。
【0260】
【0261】
【0262】
表1及び表2の結果から分かるように、セパレータを製造する時に有機ポリマーと可塑剤から製造された感圧性接着剤を用いて、有機粒子を組み合わせることで、セパレータに室温での高い接着性能とイオン伝導能力を効果的に与えることができる。具体的には、室温条件で、製造されたセパレータの抵抗は、いずれも1.89Ω以下である。室温、≧2MPaの作用で正極電極との接着力は、いずれも0.15N/m以上であり、特に0.4N/m以上であるが、≦1MPaの作用で電極との接着力は、いずれも0.08N/m以下である。そのため、製造されたセパレータは、セパレータの巻き取り及び保管プロセスにおける層間の過度接着を回避でき、同時にこのセパレータを用いて電池コアを製造する時に、室温条件で極板とセパレータとを密着させることができる。一方では、極板とセパレータとの間に位置ずれが発生して電池コアの廃棄につながり、電池コア性能への影響と安全リスクの発生を回避することができ、他方では従来の電池コア生産プロセスにおけるトンネル炉及び第二の複合プロセスを省略することができ、さらに生産空間と生産時間を節約し、エネルギー消費量を低減させ、電池コア生産の生産能力を明らかに高めることができ、同時に電池コアの整形性能、安全性能と動力学性能を高めることができる。なお、本出願のセパレータは、室温と高温での接着力F1とF2のマッチング関係が良好である。
【0263】
実施例20-21
コーティングにおける有機粒子(第一の有機粒子と第二の有機粒子とを含む)と感圧性接着剤との質量比、及び第一の有機粒子と第二の有機粒子との乾燥重量を基準とする質量比が異なること以外は、実施例16と同じである。具体的には、
実施例20で製造されたセパレータのコーティングにおける有機粒子と感圧性接着剤との乾燥重量を基準とする質量比は、85:15であり、ここで、有機粒子における第一の有機粒子と第二の有機粒子の乾燥重量を基準とする質量比は、75:10である。
【0264】
実施例21で製造されたセパレータの感圧コーティングにおける有機粒子と感圧性接着剤との乾燥重量を基準とする質量比は、90:10であり、ここで、有機粒子における第一の有機粒子と第二の有機粒子の乾燥重量を基準とする質量比は、65:25である。
【0265】
実施例20-21の実験結果は、表3に示すとおりである。
【0266】
【0267】
表3から分かるように、第一の有機粒子、第二の有機粒子と感圧性接着剤との質量比を調整することにより、セパレータの抵抗をさらに減少するとともに、二次電池のサイクル性能を著しく劣化させることを回避することができる。
【0268】
実施例22-24
使用された感圧性接着剤における可塑剤のグラフト率が異なること以外は、実施例1と同じである。具体的には、実施例22で使用された感圧性接着剤における可塑剤のグラフト率は、5wt%である。
【0269】
実施例23で使用された感圧性接着剤における可塑剤のグラフト率は、3wt%である。
【0270】
実施例24で使用された感圧性接着剤における可塑剤のグラフト率は、0wt%であり、即ち可塑剤は、グラフトしていない。
【0271】
実施例22-24の実験結果は、表4に示すとおりである。
【0272】
【0273】
表4から分かるように、可塑剤のグラフト率を調整することにより、セパレータの抵抗をさらに減少し、セパレータの接着性能及び対応する電池のサイクル性能を改善することができる。
【0274】
実施例25-29
第一の有機粒子の粒径が異なり、及びコーティングの厚さが異なること以外は、実施例1と同じである。具体的には、実施例25に使用される第一の有機粒子のDv50粒径は、約3μmであり、コーティングの厚さは、約0.8μmである。
【0275】
実施例26に使用される第一の有機粒子のDv50粒径は、約5μmであり、コーティングの厚さは、約2μmである。
【0276】
実施例27に使用される第一の有機粒子のDv50粒径は、約20μmであり、コーティングの厚さは、約15μmである。
【0277】
実施例28に使用される第一の有機粒子のDv50粒径は、約30μmであり、コーティングの厚さは、約20μmである。
【0278】
実施例29に使用される第一の有機粒子のDv50粒径は、約36μmであり、コーティングの厚さは、約22μmである。
【0279】
実施例30-36
感圧性接着剤の粒径が異なること以外は、実施例1と同じである。具体的には、実施例30で使用された感圧性接着剤のDv50粒径は、約0.3μmである。
【0280】
実施例31で使用された感圧性接着剤のDv50粒径は、約0.5μmである。
【0281】
実施例32で使用された感圧性接着剤のDv50粒径は、約0.8μmである。
【0282】
実施例33で使用された感圧性接着剤のDv50粒径は、約1.0μmである。
【0283】
実施例34で使用された感圧性接着剤のDv50粒径は、約2.0μmである。
【0284】
実施例35で使用された感圧性接着剤のDv50粒径は、約3.0μmである。
【0285】
実施例36で使用された感圧性接着剤のDv50粒径は、約3.5μmである。
【0286】
実施例37-40
使用された第二の有機粒子の粒径が異なり、及び製造されたコーティングの厚さが異なること以外は、実施例20と同じである。具体的には、実施例37で使用された第二の有機粒子のDv50粒径は、約2μmであり、コーティングの厚さは、約3μmである。
【0287】
実施例38で使用された第二の有機粒子のDv50粒径は、約8μmであり、コーティングの厚さは、約4μmである。
【0288】
実施例39で使用された第二の有機粒子のDv50粒径は、約10μmであり、コーティングの厚さは、約6μmである。
【0289】
実施例40で使用された第二の有機粒子のDv50粒径は、約12μmであり、コーティングの厚さは、約10μmである。
【0290】
実施例25-40の実験結果は、表5に示すとおりである。
【0291】
【0292】
表5から分かるように、コーティングにおける第一の有機粒子、感圧性接着剤と第二の有機粒子のDv50粒径及びコーティングの厚さを調整することにより、セパレータの抵抗をさらに減少し、セパレータの接着性能及び対応する電池のサイクル性能を改善することができる。
【0293】
説明すべきこととして、本出願は、上記実施の形態に限らない。上記実施の形態は、例示であり、本出願の技術案の範囲内に技術的思想と実質的に同じ構成を有し、同じ作用効果を奏する実施の形態は、いずれも本出願の技術範囲内に含まれる。なお、本出願の趣旨を逸脱しない範囲内で、実施の形態に対して当業者が想到できる様々な変形を加え、実施の形態における一部の構成要素を組み合わせて構成された他の方式も本出願の範囲内に含まれる。
【符号の説明】
【0294】
符号の説明は、以下のとおりである。
1.電池パック、2.上部筐体、3.下部筐体、4.電池モジュール、5.二次電池
【手続補正書】
【提出日】2024-03-18
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
セパレータであって、
基体と、
前記基体の少なくとも一つの表面に塗布されるコーティングと、
を含み、
前記コーティングは、40-90wt%の第一の有機粒子と、2-15wt%の感圧性接着剤と、任意選択的な0-50wt%の第二の有機粒子と、を含み、
ここで、前記第一の有機粒子は、有機ポリマーと、無機物と、を含み、前記感圧性接着剤は、有機ポリマーと、可塑剤と、を含み、
選択的に、前記第一の有機粒子の体積平均粒径は、(Dv90-Dv10)/Dv50≦2.5、選択的に≦2、さらに選択的に≦1.8を満たし、且つ前記第一の有機粒子のガラス化移転温度は、20-100℃、選択的に30-80℃であり、
選択的に、前記セパレータは、0.1g・m
-2・Ω
-1≦ρ/R≦1.0g・m
-2・Ω
-1、選択的に0.5g・m
-2・Ω
-1≦ρ/R≦0.9g・m
-2・Ω
-1、さらに選択的に0.6g・m
-2・Ω
-1≦ρ/R≦0.8g・m
-2・Ω
-1を満たし、ここで、ρは、前記コーティングの前記基体上の面密度を表し、Rは、前記セパレータの25℃における抵抗を表す、セパレータ。
【請求項2】
前記第一の有機粒子は、
(1)前記第一の有機粒子の体積平均粒径Dv50が3-36μm、選択的に5-20μmであること、
(2)前記第一の有機粒子のガラス化移転温度が20-100℃、選択的に30-80℃であること、
(3)前記第一の有機粒子における有機ポリマーの重量平均分子量が500×10
3g/mol-1000×10
3g/mol、選択的に800×10
3g/mol-1000×10
3g/molであること、
のうちの一つ又は複数の条件を満たす、請求項1に記載のセパレータ。
【請求項3】
前記第一の有機粒子における有機ポリマーは少なくとも、
少なくとも一つのエステル結合を有し、選択的にアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n-プロピル、アクリル酸n-ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸sec-ブチル、アクリル酸tert-ブチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸-2-エチルヘキシル、アクリル酸-2-ヒドロキシエチル、アクリル酸-2-ヒドロキシプロピル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n-ブチル、メタクリル酸-2-エチルヘキシル、メタクリル酸イソボルニル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸-2-ヒドロキシエチル、メタクリル酸-2-ヒドロキシプロピル、酢酸ビニル、メタクリル酸トリフルオロエチル、メタクリル酸グリシジル又はトリメチロールプロパントリアクリレートのうちの一つ又は複数であり、さらに選択的にメタクリル酸メチル、アクリル酸ラウリル、メタクリル酸ラウリル又はトリメチロールプロパントリアクリレートのうちの一つ又は複数である第一の重合性モノマーと、
少なくとも一つのシアン結合を有し、選択的にアクリロニトリル、メタクリロニトリル、エタクリロニトリルのうちの一つ又は複数であり、さらに選択的にアクリロニトリル、メタクリロニトリルのうちの一つ又は複数である第二の重合性モノマーと、
少なくとも一つのアミド結合を有し、選択的にアクリルアミド、N-メチロールアクリルアミド、N-ブトキシメタクリルアミドのうちの一つ又は複数であり、さらに選択的にアクリルアミド、N-メチロールアクリルアミドのうちの一つ又は複数である第三の重合性モノマーとのモノマーにより重合されてなり、
選択的に、前記第一の重合性モノマーと前記第二の重合性モノマーと前記第三の重合性モノマーとの重量比は、1:0-0.8:0.05-0.75であり、選択的に1:0.1-0.6:0.1-0.6である、請求項
1に記載のセパレータ。
【請求項4】
前記第一の有機粒子における有機ポリマーの含有量は、前記第一の有機粒子の総乾燥重量を基準として、50-99.9%であり、選択的に60-99%であり、さらに選択的に70-99%であり、
前記第一の有機粒子における無機物の含有量は、前記第一の有機粒子の総乾燥重量を基準として、0.1-50%であり、選択的に1-40%であり、さらに選択的に1-30%である、請求項1から3のいずれか1項に記載のセパレータ。
【請求項5】
前記第一の有機粒子における有機ポリマーと無機物との重量比は、99:1-1:1であり、選択的に70:30-1:1である、請求項1から
3のいずれか1項に記載のセパレータ。
【請求項6】
前記第一の有機粒子における有機ポリマーの総重量を基準として、
前記第一の重合性モノマーの含有量は、35-80重量%であり、選択的に45-70重量%であり、
前記第二の重合性モノマーの含有量は、0-30重量%であり、選択的に5-25重量%であり、及び
前記第三の重合性モノマーの含有量は、5-40重量%であり、選択的に8-35重量%である、請求項
3に記載のセパレータ。
【請求項7】
前記第一の有機粒子における無機物は、ケイ素、アルミニウム、カルシウム、亜鉛、マグネシウムの酸化物及び硫酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、炭酸カルシウム及びその改質材料のうちの一つ又は複数から選択され、選択的に二酸化ケイ素、シリカゾル、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、安息香酸ナトリウムのうちの一つ又は複数であり、さらに選択的にヒュームド二酸化ケイ素、ケイ素微粉末、酸化アルミニウム、安息香酸ナトリウムのうちの一つ又は複数である、請求項1から
3のいずれか1項に記載のセパレータ。
【請求項8】
前記第一の有機粒子の表面は、凹凸状であり、粒径が10-200nmの無機酸化物クラスターが均一に分布している、請求項1から
3のいずれか1項に記載のセパレータ。
【請求項9】
前記感圧性接着剤に含まれる前記有機ポリマーと前記可塑剤との質量比は、(4-25):1であり、選択的に(4-11):1である、請求項1から
3のいずれか1項に記載のセパレータ。
【請求項10】
前記感圧性接着剤は、コアシェル構造を有し、前記コアシェル構造のコアとハウジングとは、いずれも有機ポリマーと可塑剤とを含み、ここで、コアにおける前記有機ポリマーと可塑剤との質量比は、(3-4):1であり、選択的に(3.2-3.8):1であり、ハウジング構造における前記有機ポリマーと可塑剤との質量比は、(7-9):1であり、選択的に(7.5-8.5):1である、請求項1から
3のいずれか1項に記載のセパレータ。
【請求項11】
前記感圧性接着剤において、一部の前記可塑剤は、前記有機ポリマーにグラフトされており、
選択的に、前記感圧性接着剤において、前記可塑剤の重量を基準として、少なくとも5wt%の可塑剤は、前記有機ポリマーにグラフトされている、請求項1から
3のいずれか1項に記載のセパレータ。
【請求項12】
前記感圧性接着剤の体積平均粒径Dv50は、0.3-3.5μmであり、選択的に0.8-2.0μmであり、選択的に、前記感圧性接着剤のガラス化移転温度は、-50℃-100℃であり、選択的に-45℃-60℃である、請求項1から
3のいずれか1項に記載のセパレータ。
【請求項13】
前記感圧性接着剤において、前記有機ポリマーは、以下の第一のモノマー群のうちの少なくとも一つ、第二のモノマー群のうちの少なくとも一つ、第三のモノマー群のうちの少なくとも一つと反応性分散剤のうちの少なくとも一つの混合物を共重合してなるコポリマーを含み、即ち、
前記第一のモノマー群は、アクリル酸、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸tert-ブチル、メタクリル酸イソボルニル、メチロールアクリルアミド、アクリルアミド、スチレン、アクリロニトリルを含み、
前記第二のモノマー群は、アクリル酸C
4-C
22アルキルエステル、例えばアクリル酸イソブチル、アクリル酸イソオクチル、アクリル酸tert-ブチル、アクリル酸-2-エチルヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸-2-エチルヘキシル、メタクリル酸n-ヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、及びメタクリル酸ベンジル、アクリル酸-2-ヒドロキシエチル、アクリル酸-2-ヒドロキシプロピル、メタクリル酸エチレン尿素エチル、ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート、メタクリル酸テトラヒドロフリル、メタクリル酸トリフルオロエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、メタクリル酸アクリル、ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレートを含み、
前記第三のモノマー群は、メタクリル酸-2-ヒドロキシエチル、メタクリル酸-2-ヒドロキシプロピル、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N-メチロールアクリルアミド、N-ブトキシメタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド(DAAM)、メタクリル酸アセト酢酸エチル(AAEM)、ジビニルベンゼン、エポキシ価0.35-0.50のエポキシ樹脂、ジビニルベンゼンを含み、及び
前記反応性分散剤は、ポリビニルアルコール、ポリプロピレンアルコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコールを含む、請求項1から
3のいずれか1項に記載のセパレータ。
【請求項14】
前記可塑剤は、グリセロールC
4-C
10アルキルジエーテル又はモノエーテル、グリセロールC
4-C
10カルボン酸モノエステル又はジエステル、プロピレングリコールC
4-C
10アルキルモノエーテル又はグリセロールのうちの一つ又は複数から選択される、請求項1から
3のいずれか1項に記載のセパレータ。
【請求項15】
前記コーティングの平均厚さは、0.8-22μmであり、選択的に2-15μmである、請求項1から
3のいずれか1項に記載のセパレータ。
【請求項16】
前記第二の有機粒子は、ハロゲン、フェニル基、エポキシ基、シアノ基、エステル基及びアミド基を含む一つ又は複数のモノマーのポリマーであり、
選択的に、前記第二の有機粒子は、フッ素含有アルケニルモノマー単位のホモポリマー又はコポリマー、オレフィン系モノマー単位のホモポリマー又はコポリマー、不飽和ニトリル系モノマー単位のホモポリマー又はコポリマー、アルキレンオキシド系モノマー単位のホモポリマー又はコポリマー、単糖類モノマー単位のダイポリマー、ホモポリマー又はコポリマー、及び前記各ホモポリマー又はコポリマーの改質化合物のうちの少なくとも一つから選択され、
さらに選択的に、前記第二の有機粒子は、ポリパーフルオロエチレン、ポリビニリデンフルオライド、ポリビニリデンフルオライド-コ-ヘキサフルオロプロピレン、ポリビニリデンフルオライド-コ-トリクロロエチレン、ポリスチレン-コ-メタクリル酸メチル、ポリスチレン-コ-アクリル酸ブチル、スチレン-アクリル酸ブチル-アクリル酸イソオクチル、ポリメタクリル酸メチル、ポリアクリロニトリル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン-コ-酢酸ビニル、ポリイミド、ポリエチレンオキサイド、酢酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、酢酸プロピオン酸セルロース、シアノエチルプルラン、シアノエチルポリビニルアルコール、シアノエチルセルロースとシアノエチルスクロースのうちの少なくとも一つから選択され、
さらに選択的に、前記第二の有機粒子は、ポリビニリデンフルオライド-コ-ヘキサフルオロプロピレン、ポリスチレン-コ-アクリル酸ブチル、スチレン-アクリル酸ブチル-アクリル酸イソオクチル、ポリパーフルオロエチレン、ポリビニリデンフルオライド、ポリビニリデンフルオライド-コ-トリクロロエチレンのうちの少なくとも一つから選択される、請求項1から
3のいずれか1項に記載のセパレータ。
【請求項17】
前記第二の有機粒子は、
(1)前記第二の有機粒子の体積平均粒径Dv50が2-20μmであり、選択的に6-15μmであること、
(2)前記第二の有機粒子の融点が130-160℃であり、選択的に138-150℃であること、
(3)前記第二の有機粒子の重量平均分子量が400×10
3g/mol-1000×10
3g/molであり、選択的に450×10
3g/mol-650×10
3g/molであること、
のうちの一つ又は複数の条件を満たす、請求項1から
3のいずれか1項に記載のセパレータ。
【請求項18】
前記セパレータは、
(1)前記基体の空隙率が10-95%であること、
(2)前記基体の穴径が20-60nmであること、
(3)前記基体の厚さが3-12μmであり、選択的に5-9μmであること、
(4)前記基体が、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエステル、ポリアセタール、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアリールエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、ポリベンズイミダゾール、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンエーテル、シクロオレフィンコポリマー、ポリフェニレンスルフィドとポリエチレンナフタレンのうちの一つ又は複数から選択されるフィルム又は不織布であること、
のうちの一つ又は複数の条件を満たす、請求項1から
3のいずれか1項に記載のセパレータ。
【請求項19】
前記セパレータにおいて、
前記第一の有機粒子と前記第二の有機粒子との質量比は、10-100:0-90、選択的に20-90:0-60であり、
選択的に、前記第一の有機粒子と前記第二の有機粒子との質量の和と前記感圧性接着剤の質量との比は、20-92:8-20、選択的に60-90:10-15である、請求項1から
3のいずれか1項に記載のセパレータ。
【請求項20】
請求項1から
3のいずれか1項に記載のセパレータの製造方法であって、
第一の有機粒子と分散剤とを溶媒に加えて第一のポリマー溶液を形成するステップS1と、
感圧性接着剤を前記ステップS1で得られた前記第一のポリマー溶液に加え、十分に混合して第二のポリマー溶液を形成するステップS2と、
任意選択的に、前記ステップS2で得られた第二のポリマー溶液に第二の有機粒子を加え、十分に混合して第三のポリマー溶液を形成するステップS3と、
前記ステップS2で得られた第二のポリマー溶液又は前記ステップS3で得られた前記第三のポリマー溶液を基体の少なくとも一つの表面に塗布し、乾燥した後にセパレータを得るステップS4)と、
を含み、
前記セパレータは、基体と、前記基体の少なくとも一つの表面に塗布されるコーティングと、を含み、
前記コーティングは、40-90wt%の第一の有機粒子と、2-15wt%の感圧性接着剤と、任意選択的に0-50wt%の第二の有機粒子と、を含み、
前記第一の有機粒子は、有機ポリマーと、無機物と、を含み、前記感圧性接着剤は、有機ポリマーと、可塑剤と、を含み、選択的に、前記第一の有機粒子の体積平均粒径は、(Dv90-Dv10)/Dv50≦2.5、選択的に≦2、さらに選択的に≦1.8を満たし、且つ前記第一の有機粒子のガラス化移転温度は、20-100℃、選択的に30-80℃であり、選択的に、前記セパレータは、0.1g・m
-2・Ω
-1≦ρ/R≦1.0g・m
-2・Ω
-1、選択的に0.5g・m
-2・Ω
-1≦ρ/R≦0.9g・m
-2・Ω
-1、さらに選択的に0.6g・m
-2・Ω
-1≦ρ/R≦0.8g・m
-2・Ω
-1を満たし、ここで、ρは、前記コーティングの前記基体上の面密度を表し、Rは、前記セパレータの25℃における抵抗を表す、セパレータの製造方法。
【請求項21】
正極極板と、負極極板と、前記正極極板と前記負極極板との間に位置するセパレータと、電解液と、を含む二次電池であって、前記セパレータは、請求項1から
3のいずれか1項に記載のセパレー
タである、二次電池。
【請求項22】
前記二次電池の前記正極極板と前記セパレータとの間の接着力は、1.2≦F2/F1≦4、選択的に1.5≦F2/F1≦3.8を満たし、
F1は、25℃、≧2MPaにおける前記正極極板と前記セパレータとの間の接着力を表し、F2は、95℃、≧2MPaにおける前記正極極板と前記セパレータとの間の接着力を表す、請求項21に記載の二次電池。
【請求項23】
請求項2
1に記載の二次電池を含む、電池モジュール。
【請求項24】
請求項2
1に記載の二次電
池を含む、電池パック。
【請求項25】
請求項2
1に記載の二次電
池を含む、電力消費装置。
【国際調査報告】