IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アルトリア クライアント サーヴィシーズ リミテッド ライアビリティ カンパニーの特許一覧

特表2024-535878カプセル認証付き加熱式(HEAT-NOT-BURN(HNB))エアロゾル発生装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-02
(54)【発明の名称】カプセル認証付き加熱式(HEAT-NOT-BURN(HNB))エアロゾル発生装置
(51)【国際特許分類】
   A24F 40/53 20200101AFI20240925BHJP
   A24F 40/50 20200101ALI20240925BHJP
【FI】
A24F40/53
A24F40/50
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024517394
(86)(22)【出願日】2022-09-02
(85)【翻訳文提出日】2024-05-01
(86)【国際出願番号】 US2022042476
(87)【国際公開番号】W WO2023043633
(87)【国際公開日】2023-03-23
(31)【優先権主張番号】17/479,260
(32)【優先日】2021-09-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】517453405
【氏名又は名称】アルトリア クライアント サーヴィシーズ リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】110002789
【氏名又は名称】弁理士法人IPX
(72)【発明者】
【氏名】ブラックモン・ザック・ダブリュー
(72)【発明者】
【氏名】ホーズ・エリック
(72)【発明者】
【氏名】キーン・ジャレット
(72)【発明者】
【氏名】サンダー・ランガラージ・エス
(72)【発明者】
【氏名】ラウ・レイモンド・ダブリュー
(72)【発明者】
【氏名】ギャラガー・ナイル
【テーマコード(参考)】
4B162
【Fターム(参考)】
4B162AA03
4B162AA22
4B162AB12
4B162AB22
4B162AB28
4B162AC13
4B162AC34
4B162AD02
4B162AD03
4B162AD06
4B162AD15
4B162AD20
4B162AD23
(57)【要約】
非燃焼エアロゾル発生装置は、カプセルと、メモリと、制御部とを有する。カプセルは、エアロゾル形成基材と、エアロゾル形成基材を加熱するように構成されたヒーターとを有する。制御部は、メモリに記憶された、コンピュータが読み取り可能な命令を実行して、非燃焼エアロゾル発生装置に、予熱期間中に、ヒーターに電力を印加させ、予熱期間の少なくとも一部の間に、ヒーターに対する電力の印加に起因する1つ以上の加熱特性波形を記録させ、加熱特性波形の1つ以上に基づいて、カプセルが有効であるか否かを判定させるように構成されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
非燃焼エアロゾル発生装置であって、
カプセルと、メモリと、制御部とを有し、
前記カプセルは、エアロゾル形成基材と、前記エアロゾル形成基材を加熱するように構成されたヒーターとを有し、
前記メモリは、コンピュータが読み取り可能な命令を記憶し、
前記制御部は、コンピュータが読み取り可能な命令を実行して、前記非燃焼エアロゾル発生装置に、
予熱期間中に、前記ヒーターに電力を印加させ、
前記予熱期間の少なくとも一部の間に、前記予熱期間中の前記ヒーターに対する前記電力の印加に起因する1つ以上の加熱特性波形を記録させ、
前記加熱特性波形の1つ以上に基づいて、前記カプセルが有効であるか否かを判定させる
ように構成されている、
非燃焼エアロゾル発生装置。
【請求項2】
請求項1に記載の非燃焼エアロゾル発生装置において、
前記制御部は、前記コンピュータが読み取り可能な命令を実行して、前記カプセルが有効でないと判定することに応答して、前記ヒーターに対する電力の印加を前記非燃焼エアロゾル発生装置に終了させるように構成されている、
非燃焼エアロゾル発生装置。
【請求項3】
請求項1に記載の非燃焼エアロゾル発生装置において、
前記制御部は、前記コンピュータが読み取り可能な命令を実行して、前記カプセルが有効であると判定することに応答して、前記非燃焼エアロゾル発生装置に、エアロゾル発生を可能にさせるように構成されている、
非燃焼エアロゾル発生装置。
【請求項4】
請求項1に記載の非燃焼エアロゾル発生装置において、
前記1つ以上の加熱特性波形は、抵抗特性波形、印加電力波形、又は温度特性波形のうちの1つ以上を含む、
非燃焼エアロゾル発生装置。
【請求項5】
請求項4に記載の非燃焼エアロゾル発生装置において、
前記抵抗特性波形は、前記ヒーターの抵抗の変化を経時的に示し、
前記印加電力波形は、前記ヒーターに印加される電力のレベルを経時的に示し、
前記温度特性波形は、前記ヒーターの温度を経時的に示す、
非燃焼エアロゾル発生装置。
【請求項6】
請求項1に記載の非燃焼エアロゾル発生装置において、
前記制御部は、前記コンピュータが読み取り可能な命令を実行して、前記加熱特性波形の前記1つ以上と、1つ以上の対応する予想加熱特性包絡線とに基づいて、前記カプセルが有効であるか否かを前記非燃焼エアロゾル発生装置に判定させるように構成されている、
非燃焼エアロゾル発生装置。
【請求項7】
請求項6に記載の非燃焼エアロゾル発生装置において、
前記制御部は、前記コンピュータが読み取り可能な命令を実行して、前記非燃焼エアロゾル発生装置に、
前記加熱特性波形の前記1つ以上のうち、第1加熱特性波形が、前記1つ以上の対応する予想加熱特性包絡線のうち、対応する第1予想加熱特性包絡線の範囲外であると判定させ、
前記第1加熱特性波形が、対応する前記第1予想加熱特性包絡線の範囲外であることに応答して、前記カプセルが有効でないと判定させる
ように構成されている、
非燃焼エアロゾル発生装置。
【請求項8】
請求項6に記載の非燃焼エアロゾル発生装置において、
前記1つ以上の加熱特性波形は、抵抗特性波形を含み、
前記制御部は、前記コンピュータが読み取り可能な命令を実行して、前記非燃焼エアロゾル発生装置に、
前記抵抗特性波形に急勾配が存在するか否かを判定させ、
前記抵抗特性波形に前記急勾配が存在するか否かに基づいて、前記カプセルが有効であるか否かを判定させる
ように構成されている、
非燃焼エアロゾル発生装置。
【請求項9】
請求項8に記載の非燃焼エアロゾル発生装置において、
前記制御部は、前記コンピュータが読み取り可能な命令を実行して、勾配閾値期間(gradient threshold time interval)中の前記ヒーターの抵抗の変化に基づいて、前記急勾配が、前記抵抗特性波形に存在するか否かを前記非燃焼エアロゾル発生装置に判定させるように構成されている、
非燃焼エアロゾル発生装置。
【請求項10】
請求項9に記載の非燃焼エアロゾル発生装置において、
前記制御部は、前記コンピュータが読み取り可能な命令を実行して、前記非燃焼エアロゾル発生装置に、
前記勾配閾値期間(gradient threshold time interval)中の前記ヒーターの抵抗の変化率を計算し、
前記抵抗の変化率と変化率閾値との比較に基づいて、前記急勾配が前記抵抗特性波形に存在するか否かを判定する
ことによって前記急勾配が前記抵抗特性波形に存在するか否かを判定させる
ように構成されている、
非燃焼エアロゾル発生装置。
【請求項11】
請求項10に記載の非燃焼エアロゾル発生装置において、
前記制御部は、前記コンピュータが読み取り可能な命令を実行して、前記抵抗の変化率が前記変化率閾値よりも大きいことに応答して、前記抵抗特性波形に前記急勾配が存在すると前記非燃焼エアロゾル発生装置に判定させるように構成されている、
非燃焼エアロゾル発生装置。
【請求項12】
請求項8に記載の非燃焼エアロゾル発生装置において、
前記制御部は、前記コンピュータが読み取り可能な命令を実行して、前記急勾配が前記抵抗特性波形に存在すると判定することに応答して、前記カプセルが有効でないと前記非燃焼エアロゾル発生装置に判定させるように構成されている、
非燃焼エアロゾル発生装置。
【請求項13】
請求項1に記載の非燃焼エアロゾル発生装置において、
前記1つ以上の加熱特性波形は、抵抗特性波形を含み、
前記制御部は、前記コンピュータが読み取り可能な命令を実行して、前記非燃焼エアロゾル発生装置に、
前記抵抗特性波形に急勾配が存在するか否かを判定させ、
前記抵抗特性波形に前記急勾配が存在するか否かに基づいて、前記カプセルが有効か否かを判定させる
ように構成されている、
非燃焼エアロゾル発生装置。
【請求項14】
請求項13に記載の非燃焼エアロゾル発生装置において、
前記制御部は、前記コンピュータが読み取り可能な命令を実行して、勾配閾値期間(gradient threshold time period)中の前記ヒーターの抵抗の変化に基づいて、前記急勾配が前記抵抗特性波形に存在するか否かを前記非燃焼エアロゾル発生装置に判定させるように構成されている、
非燃焼エアロゾル発生装置。
【請求項15】
請求項14に記載の非燃焼エアロゾル発生装置において、
前記制御部は、前記コンピュータが読み取り可能な命令を実行して、前記非燃焼エアロゾル発生装置に、
前記勾配閾値期間(gradient threshold time period)中の前記ヒーターの抵抗の変化率を計算し、
前記抵抗の変化率と変化率閾値との比較に基づいて、前記急勾配が前記抵抗特性波形に存在するか否かを判定する
ことによって、前記急勾配が前記抵抗特性波形に存在するか否かを判定させる
ように構成されている、
非燃焼エアロゾル発生装置。
【請求項16】
請求項15に記載の非燃焼エアロゾル発生装置において、
前記制御部は、前記コンピュータが読み取り可能な命令を実行して、前記抵抗の変化率が前記変化率閾値よりも大きいことに応答して、前記急勾配が前記抵抗特性波形に存在すると前記非燃焼エアロゾル発生装置に判定させるように構成されている、
非燃焼エアロゾル発生装置。
【請求項17】
請求項13に記載の非燃焼エアロゾル発生装置において、
前記制御部は、前記コンピュータが読み取り可能な命令を実行して、前記急勾配が前記抵抗特性波形に存在すると判定することに応答して、前記カプセルが有効でないと前記非燃焼エアロゾル発生装置に判定させるように構成されている、
非燃焼エアロゾル発生装置。
【請求項18】
請求項1に記載の非燃焼エアロゾル発生装置において、
有効なカプセルは、真正なカプセル、前記非燃焼エアロゾル発生装置への挿入前にダメージを受けていないカプセル、又は消耗していないエアロゾル形成基材を含むカプセルの少なくとも1つである、
非燃焼エアロゾル発生装置。
【請求項19】
請求項1に記載の非燃焼エアロゾル発生装置において、
前記1つ以上の加熱特性波形は、少なくとも、前記ヒーターの抵抗特性波形を含み、
前記制御部は、前記コンピュータが読み取り可能な命令を実行して、(i)前記加熱特性波形の前記1つ以上が、対応する1つ以上の予想加熱特性包絡線の範囲内か否か、及び(ii)急勾配が前記抵抗特性波形に存在するか否かに基づいて、前記カプセルが有効であるか否かを前記非燃焼エアロゾル発生装置に判定させるように構成されている、
非燃焼エアロゾル発生装置。
【請求項20】
請求項19に記載の非燃焼エアロゾル発生装置において、
前記制御部は、前記コンピュータが読み取り可能な命令を実行して、(i)前記1つ以上の加熱特性波形のうちの少なくとも1つが、前記対応する1つ以上の予想加熱特性包絡線の範囲外にあること、又は、(ii)前記急勾配が前記抵抗特性波形に存在することに応答して、前記カプセルが有効でないと前記非燃焼エアロゾル発生装置に判定させるように構成されている、
非燃焼エアロゾル発生装置。
【請求項21】
請求項1に記載の非燃焼エアロゾル発生装置において、
前記1つ以上の加熱特性波形は、印加電力波形を含み、前記印加電力波形は、最大利用可能電力が前記ヒーターに印加される時間の長さを示し、
前記制御部は、前記コンピュータが読み取り可能な命令を実行して、前記時間の長さが閾値範囲内にあるか否かに基づいて、前記非燃焼エアロゾル発生装置内で故障が発生したと前記非燃焼エアロゾル発生装置に判定させるように構成されている、
非燃焼エアロゾル発生装置。
【請求項22】
請求項1に記載の非燃焼エアロゾル発生装置であって、
前記1つ以上の加熱特性波形は、印加電力波形を含み、前記印加電力波形は、最大利用可能電力が前記ヒーターに印加される時間の長さを示し、
前記制御部は、前記コンピュータが読み取り可能な命令を実行して、前記非燃焼エアロゾル発生装置に、
前記印加電力波形に基づいて、前記ヒーターに印加された前記電力が、最大利用可能電力を下回ったと判定させ、
前記ヒーターに印加された前記電力が前記最大利用可能電力を下回ったと判定することに応答して、前記時間の長さが閾値範囲内にあるか否かを判定させ、
前記時間の長さが前記閾値の範囲内にあると判定することに応答して、前記予熱期間が終了したと判定させ、
前記予熱期間が終了したと判定することに応答して、前記カプセルが有効か否かを判定させる
ように構成されている、
非燃焼エアロゾル発生装置。
【請求項23】
請求項1に記載の非燃焼エアロゾル発生装置であって、
前記1つ以上の加熱特性波形は、抵抗特性波形、印加電力波形、及び温度特性波形を含み、
前記制御部は、前記コンピュータが読み取り可能な命令を実行して、前記非燃焼エアロゾル発生装置に、
前記印加電力波形に基づいて、前記ヒーターに印加された前記電力が最大利用可能電力を下回ったと判定させ、
前記ヒーターに印加された前記電力が前記最大利用可能電力を下回ったと判定することに応答して、前記予熱期間が終了したと判定させ、
前記予熱期間が終了したと判定することに応答して、前記カプセルが有効か否かを判定させる
ように構成されている、
非燃焼エアロゾル発生装置。
【請求項24】
請求項1に記載の非燃焼エアロゾル発生装置において、
前記制御部は、前記コンピュータが読み取り可能な命令を実行して、前記非燃焼エアロゾル発生装置に、
前記予熱期間の少なくとも前記一部の間、気流波形を記録させ、
記録された前記気流波形に基づいて、前記1つ以上の加熱特性波形を補正させ、
補正された前記1つ以上の加熱特性波形に基づいて、前記カプセルが有効か否かを判定させる
ように構成されている、
非燃焼エアロゾル発生装置。
【請求項25】
請求項24に記載の非燃焼エアロゾル発生装置において、
前記制御部は、前記コンピュータが読み取り可能な命令を実行して、マスキング又は計算補正の少なくとも1つによって、前記1つ以上の加熱特性波形を前記非燃焼エアロゾル発生装置に補正させるように構成されている、
非燃焼エアロゾル発生装置。
【請求項26】
その中に挿入されたカプセルを有する非燃焼エアロゾル発生装置を制御する方法であって、前記カプセルは、エアロゾル形成基材と、前記エアロゾル形成基材を加熱するように構成されたヒーターとを含み、前記方法は、
前記ヒーターを予熱する予熱期間中、前記ヒーターに電力を印加するステップと、
前記予熱期間の少なくとも一部の間、前記予熱期間中の前記ヒーターに対する前記電力の印加に起因する1つ以上の加熱特性波形を記録するステップと、
前記加熱特性波形の1つ以上に基づいて、前記カプセルが有効であるか否かを判定するステップとを有する、
方法。
【請求項27】
コンピュータが読み取り可能な非一時的な記憶媒体であって、前記記憶媒体は、コンピュータが読み取り可能な命令を記憶し、前記コンピュータが読み取り可能な命令が非燃焼エアロゾル発生装置における制御部によって実行されると、前記非燃焼エアロゾル発生装置を制御する方法を前記制御部に行わせ、前記非燃焼エアロゾル発生装置は、その中に挿入されたカプセルを有し、前記カプセルは、エアロゾル形成基材と、エアロゾル形成基材を加熱するように構成されたヒーターとを含み、前記方法は、
前記ヒーターを予熱する予熱期間中、前記ヒーターに電力を印加するステップと、
前記予熱期間の少なくとも一部の間、前記予熱期間中の前記ヒーターに対する前記電力の印加に起因する1つ以上の加熱特性波形を記録するステップと、
前記加熱特性波形の1つ以上に基づいて、前記カプセルが有効であるか否かを判定するステップとを有する、
記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、加熱式(HNB)エアロゾル発生装置、カプセルを検証する方法、及び/又はHNBエアロゾル発生装置を制御する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一部の電子装置は、植物材料のあらゆる実質的な熱分解を避けるために、植物材料の燃焼点以下の温度を保ちつつ、植物材料の成分を放出するのに十分な温度にまで植物材料を加熱するように構成されている。このような装置は、エアロゾル発生装置(例えば、加熱式エアロゾル発生装置)とも呼ばれ、加熱される植物材料はタバコであり得る。場合によっては、植物材料をエアロゾル発生装置の加熱チャンバに直接導入し得る。他の態様では、エアロゾル発生装置からの挿入及び除去を容易にするために、植物材料を個々の容器に予め包装してもよい。
【発明の概要】
【0003】
少なくとも1つの例示的な実施形態では、カプセル、メモリ、及び制御部を有する非燃焼エアロゾル発生装置を提供する。カプセルは、エアロゾル形成基材と、エアロゾル形成基材を加熱するように構成されたヒーターとを含む。メモリは、コンピュータが読み取り可能な命令を記憶する。制御部は、コンピュータが読み取り可能な命令を実行して、非燃焼エアロゾル発生装置に、予熱期間中に、ヒーターに電力を印加させ、予熱期間の少なくとも一部の間に、予熱期間中のヒーターに対する電力の印加に起因する1つ以上の加熱特性波形を記録させ、加熱特性波形の1つ以上に基づいて、カプセルが有効であるか否かを判定させるように構成されている。
【0004】
少なくとも1つの他の例示的な実施形態は、その中に挿入されたカプセルを有する非燃焼エアロゾル発生装置を制御する方法を提供し、カプセルは、エアロゾル形成基材と、エアロゾル形成基材を加熱するように構成されたヒーターとを含み、方法は、ヒーターを予熱する予熱期間中、ヒーターに電力を印加するステップと、予熱期間の少なくとも一部の間、予熱期間中のヒーターに対する電力の印加に起因する1つ以上の加熱特性波形を記録するステップと、加熱特性波形の1つ以上に基づいて、カプセルが有効であるか否かを判定するステップとを有する。
【0005】
少なくとも1つの他の例示的な実施形態は、コンピュータが読み取り可能な非一時的な記憶媒体を提供し、記憶媒体は、コンピュータが読み取り可能な命令を記憶し、コンピュータが読み取り可能な命令が、非燃焼エアロゾル発生装置における制御部によって実行されると、非燃焼エアロゾル発生装置を制御する方法を制御部に行わせ、非燃焼エアロゾル発生装置は、その中に挿入されたカプセルを有し、カプセルは、エアロゾル形成基材と、エアロゾル形成基材を加熱するように構成されたヒーターとを含み、方法は、ヒーターを予熱する予熱期間中、ヒーターに電力を印加するステップと、予熱期間の少なくとも一部の間、予熱期間中のヒーターに対する電力の印加に起因する1つ以上の加熱特性波形を記録するステップと、加熱特性波形の1つ以上に基づいて、カプセルが有効であるか否かを判定するステップとを有する。
【0006】
1つ以上の例示的な実施形態によると、制御部は、コンピュータが読み取り可能な命令を実行して、カプセルが有効でないと判定することに応答して、ヒーターに対する電力の印加を非燃焼エアロゾル発生装置に終了させるように構成され得る。
【0007】
制御部は、コンピュータが読み取り可能な命令を実行して、カプセルが有効であると判定することに応答して、非燃焼エアロゾル発生装置にエアロゾル発生を可能にさせるように構成され得る。
【0008】
1つ以上の加熱特性波形は、抵抗特性波形、印加電力波形、又は温度特性波形のうちの1つ以上を含み得る。
【0009】
抵抗特性波形は、ヒーターの抵抗の変化を経時的に示し得、印加電力波形は、ヒーターに印加される電力レベルを経時的に示し得、温度特性波形は、ヒーターの温度を経時的に示し得る。
【0010】
制御部は、コンピュータが読み取り可能な命令を実行して、加熱特性波形の1つ以上と、1つ以上の対応する予想加熱特性包絡線とに基づいて、カプセルが有効であるか否かを非燃焼エアロゾル発生装置に判定させるように構成され得る。
【0011】
制御部は、コンピュータが読み取り可能な命令を実行して、非燃焼エアロゾル発生装置に、加熱特性波形の1つ以上のうち、第1加熱特性波形が、1つ以上の対応する予想加熱特性包絡線のうち、対応する第1予想加熱特性包絡線の範囲外にあると判定させ、第1加熱特性波形が、対応する第1予想加熱特性包絡線の範囲外にあることに応答して、カプセルが有効でないと判定させるように構成され得る。
【0012】
1つ以上の加熱特性波形は、抵抗特性波形を含み得、制御部は、コンピュータが読み取り可能な命令を実行して、非燃焼エアロゾル発生装置に、抵抗特性波形に急勾配が存在するか否かを判定させ、抵抗特性波形に急勾配が存在するか否かに基づいて、カプセルが有効か否かを判定させるように構成され得る。
【0013】
制御部は、コンピュータが読み取り可能な命令を実行して、勾配閾値期間(gradient threshold time interval)中のヒーターの抵抗の変化に基づいて、急勾配が、抵抗特性波形に存在するか否かを非燃焼エアロゾル発生装置に判定させるように構成され得る。
【0014】
制御部は、コンピュータが読み取り可能な命令を実行して、非燃焼エアロゾル発生装置に、勾配閾値期間(gradient threshold time interval)中のヒーターの抵抗の変化率を計算すること、及び、抵抗の変化率と変化率閾値との比較に基づいて、急勾配が抵抗特性波形に存在するか否かを判定することによって、急勾配が抵抗特性波形に存在するか否かを判定させるように構成され得る。
【0015】
制御部は、コンピュータが読み取り可能な命令を実行して、急勾配が抵抗特性波形に存在すると判定することに応答して、カプセルが有効でないと非燃焼エアロゾル発生装置に判定させるように構成され得る。
【0016】
制御部は、コンピュータが読み取り可能な命令を実行して、抵抗の変化率が変化率閾値よりも大きいことに応答して、抵抗特性波形に急勾配が存在すると非燃焼エアロゾル発生装置に判定させるように構成され得る。
【0017】
有効なカプセルは、真正なカプセル、非燃焼エアロゾル発生装置への挿入前にダメージを受けていないカプセル、又は消耗していないエアロゾル形成基材を含むカプセルの少なくとも1つであり得る。
【0018】
1つ以上の加熱特性波形は、少なくとも、ヒーターに対する抵抗特性波形を含み得、制御部は、コンピュータが読み取り可能な命令を実行して、(i)加熱特性波形の1つ以上が、対応する1つ以上の予想加熱特性包絡線の範囲内にあるか否か、及び、(ii)急勾配が抵抗特性波形に存在するか否かに基づいて、カプセルが有効であるか否かを非燃焼エアロゾル発生装置に判定させるように構成され得る。
【0019】
制御部は、コンピュータが読み取り可能な命令を実行して、(i)1つ以上の加熱特性波形のうちの少なくとも1つが、対応する1つ以上の予想加熱特性包絡線の範囲外にあること、又は、(ii)急勾配が抵抗特性波形に存在することに応答して、カプセルが有効でないと非燃焼エアロゾル発生装置に判定させるように構成され得る。
【0020】
1つ以上の加熱特性波形は、印加電力波形を含み得、印加電力波形は、最大利用可能電力がヒーターに印加される時間の長さを示し、制御部は、コンピュータが読み取り可能な命令を実行して、当該時間の長さが閾値範囲内にあるか否かに基づいて、非燃焼エアロゾル発生装置内で故障が発生したと非燃焼エアロゾル発生装置に判定させるように構成され得る。
【0021】
1つ以上の加熱特性波形は、抵抗特性波形、印加電力波形、及び温度特性波形を含み得、制御部は、コンピュータが読み取り可能な命令を実行して、非燃焼エアロゾル発生装置に、印加電力波形に基づいて、ヒーターに印加された電力が最大利用可能電力を下回ったと判定させ、ヒーターに印加された電力が最大利用可能電力を下回ったと判定することに応答して、予熱期間が終了したと判定させ、予熱期間が終了したと判定することに応答して、カプセルが有効か否かを判定させるように構成され得る。
【0022】
1つ以上の加熱特性波形は、印加電力波形を含み得、印加電力波形は、最大利用可能電力がヒーターに印加される時間の長さを示す。制御部は、コンピュータが読み取り可能な命令を実行して、非燃焼エアロゾル発生装置に、印加電力波形に基づいて、ヒーターに印加された電力が最大利用可能電力を下回ったと判定させ、ヒーターに印加された電力が最大利用可能電力を下回ったと判定することに応答して、時間の長さが閾値範囲内にあるか否かを判定させ、時間の長さが閾値の範囲内にあると判定することに応答して、予熱期間が終了したと判定させ、予熱期間が終了したと判定することに応答して、カプセルが有効か否かを判定させるように構成され得る。
【0023】
制御部は、コンピュータが読み取り可能な命令を実行して、非燃焼エアロゾル発生装置に、予熱期間の少なくとも一部の間、気流波形を記録させ、記録された気流波形に基づいて、1つ以上の加熱特性波形を補正させ、補正された1つ以上の加熱特性波形に基づいて、カプセルが有効か否かを判定させるように構成され得る。
【0024】
制御部は、コンピュータが読み取り可能な命令を実行して、マスキング又は計算補正の少なくとも1つによって、1つ以上の加熱特性波形を非燃焼エアロゾル発生装置に補正させるように構成され得る。
【図面の簡単な説明】
【0025】
本明細書における非限定的な実施形態の様々な特徴及び利点は、添付図面と併せて詳細な説明を検討することにより、より明らかになるであろう。添付の図面は単に説明のために提供されたものであり、特許請求の範囲を限定するように解釈されるべきではない。添付の図面は、明示的に記載されていない限り、縮尺通りに描かれているとはみなされない。分かりやすくするため、図面の様々な寸法は誇張されている場合がある。
【0026】
図1A図1A~1Cは、1つ以上の例示的な実施形態に係るエアロゾル発生装置の様々な斜視図を示す。
図1B図1A~1Cは、1つ以上の例示的な実施形態に係るエアロゾル発生装置の様々な斜視図を示す。
図1C図1A~1Cは、1つ以上の例示的な実施形態に係るエアロゾル発生装置の様々な斜視図を示す。
【0027】
図2A図2Aは、少なくとも1つの例示的な実施形態に係る、図1A~1Cのエアロゾル発生装置を示す。
【0028】
図2B図2Bは、少なくとも1つの例示的な実施形態に係る、図1A~1Cのエアロゾル発生装置のカプセルを示す。
【0029】
図2C図2Cは、少なくとも1つの例示的な実施形態に係る図1A~1Cのエアロゾル発生装置の部分分解図を示す。
図2D図2Dは、少なくとも1つの例示的な実施形態に係る図1A~1Cのエアロゾル発生装置の部分分解図を示す。
【0030】
図2E図2Eは、少なくとも1つの例示的な実施形態に係る図1A~1Cのエアロゾル発生装置の断面図を示す。
図2F図2Fは、少なくとも1つの例示的な実施形態に係る図1A~1Cのエアロゾル発生装置の断面図を示す。
【0031】
図3図3は、1つ以上の例示的な実施形態に係るエアロゾル発生装置及びカプセルの電気システムを示す。
【0032】
図4図4は、1つ以上の例示的な実施形態に係るヒーター電圧測定回路を示す。
【0033】
図5図5は、1つ以上の例示的な実施形態に係るヒーター電流測定回路を示す。
【0034】
図6A図6A~6Bは、1つ以上の例示的な実施形態に係る補償電圧測定回路及びアルゴリズムを示す図である。
図6B図6A~6Bは、1つ以上の例示的な実施形態に係る補償電圧測定回路及びアルゴリズムを示す図である。
【0035】
図7A図7Aは、1つ以上の例示的な実施形態に係る加熱エンジン制御回路を示す回路図である。
図7B図7Bは、1つ以上の例示的な実施形態に係る加熱エンジン制御回路を示す回路図である。
図7C図7Cは、1つ以上の例示的な実施形態に係る加熱エンジン制御回路を示す回路図である。
【0036】
図8A図8Aは、1つ以上の例示的な実施形態に係る、非燃焼エアロゾル発生装置内のヒーターを制御する方法を示す図である。
図8B図8Bは、1つ以上の例示的な実施形態に係る、非燃焼エアロゾル発生装置内のヒーターを制御する方法を示す図である。
【0037】
図9図9は、少なくとも1つ以上の例示的な実施形態に係る温度加熱エンジン制御アルゴリズムを示すブロック図である。
【0038】
図10図10は、図8A~8Bが示す、1つ以上の例示的な実施形態の方法のタイミング図を示す。
【0039】
図11A図11Aは、例示的な実施形態に係るエアロゾル発生装置を制御する方法を示すフローチャートである。
図11B図11Bは、例示的な実施形態に係るエアロゾル発生装置を制御する方法を示すフローチャートである。
【0040】
図12図12は、例示的な実施形態に係るカプセルを検証する方法を示すフローチャートである。
【0041】
図13図13は、例示的な実施形態に係る有効なカプセルの記録された波形を示すグラフである。
【0042】
図14図14は、図13に示す記録された波形の一部の拡大図である。
【0043】
図15図15は、例示的な実施形態に係る、劣化した無効なカプセルの記録された波形を示すグラフである。
【0044】
図16図16は、図15に示す波形の拡大図である。
【0045】
図17図17は、例示的な実施形態に係る他の例示的な有効なカプセルの記録された波形を示すグラフである。
【0046】
図18図18は、例示的な実施形態に係る他の無効なカプセルの記録された波形を示すグラフである。
【0047】
図19図19は、図18に示す波形の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0048】
いくつかの詳細な例示的な実施形態を本明細書に開示する。しかしながら、本明細書で開示される特定の構造的及び機能的な詳細は、例示的な実施形態を説明するための単なる代表的なものに過ぎない。例示的な実施形態は、しかしながら、多くの代替形態で具体化され得、本明細書に記載された例示的な実施形態のみに限定して解釈されるべきではない。
【0049】
したがって、例示的な実施形態は、様々な変更及び代替形態が可能であるが、その例示的な実施形態を図面において例示的に示し、本明細書において詳細に説明する。ここで、例示的な実施形態を、開示された特定の形態に限定する意図はなく、むしろ、例示的な実施形態は、そのすべての変更、等価物、及び代替物を包含するものであることを理解されたい。同様の番号は、図の説明を通じて同様の要素を指す。
【0050】
ある要素又は層が、他の要素又は層に対し「上にある(on)」、「接続されている(connected to)」、「結合されている(coupled to)」、「取り付られている(attached to)」、「隣接している(adjacent to)」、又は「覆っている(covering)」と言及される場合、他の要素又は層に対し直接、上にある、接続されている、結合されている、取り付けられている、隣接している、又は覆っている場合もあるし、あるいは介在する要素又は層が存在する場合もあることを理解されたい。反対に、ある要素が他の要素又は層に対し「直接載っている(directly on)」、「直接接続されている(directly connected to)」、又は「直接結合されている(directly coupled to)」と言及される場合は、介在する要素又は層は、存在しない。同様の番号は、本明細書全体を通して同様の要素を指す。本明細書で使用される場合、「及び/又は」という用語は、関連する列挙された項目の1つ以上のあらゆる組み合わせ又は下位の組み合わせを含む。
【0051】
本明細書において、第1、第2、第3等の用語は、様々な要素(elements)、領域(regions)、層(layers)、及び/又は部分(sections)を説明するために使用され得るが、これらの要素、領域、層、及び/又は部分は、これらの用語によって限定されるべきではないことを理解されたい。これらの用語は、ある要素、領域、層、又は部分を、別の領域、層、又は部分と区別するためにのみ使用される。したがって、例示的な実施形態の開示から逸脱することなく、後述する第1要素、領域、層、又は部分を、第2要素、領域、層、又は部分と呼ぶことができる。
【0052】
空間的に相対的な用語(例えば、「下に(beneath)」、「下方に(below)」、「低位に(lower)」、「上に(above)」、「上方に(upper)」等)は、本明細書では、説明を容易にするために、図に示されるように、1つの要素又は特徴と他の要素又は特徴との関係を説明するために使用され得る。空間的に相対的な用語は、図に描かれている向きに加えて、使用時又は動作時における装置の異なる向きを包含することを意図していることを理解されたい。例えば、図の装置を上下逆にした場合、他の要又は特徴の「下に(beneath)」又は「下方に(below)」と記載された要素は、他の要素又は特徴の「上方に(above)」位置することになる。したがって、「下方に(below)」という用語は、上方(upper)と下方(below)との両方の方向を包含し得る。装置は、他の向き(90度回転させた向き、又は他の向き)であってもよく、本明細書で使用される空間的に相対的な用語は、それに応じて解釈される。
【0053】
本明細書で使用する用語は、様々な例示的な実施形態を説明するためだけのものであり、例示的な実施形態を限定することを意図するものではない。本明細書において、単数形の「a」、「an」、及び「the」は、文脈から明らかにそうでないことが示されない限り、複数形も含むことを意図している。本明細書中で使用される場合、「含む(includes)」、「含んでいる(including)」、「有する(comprises)」、及び/又は「有している(comprising)」という用語は、記載された特徴、整数、ステップ、操作、及び/又は要素の存在を規定するが、1つ以上の他の特徴、整数、ステップ、操作、要素、及び/又はそれらの群の存在又は追加を排除するものではないことがさらに理解されるであろう。
【0054】
本明細書において、数値に関連して「約(about)」及び「略(substantially)」という語が使用される場合、明示的に定義されない限り、関連する数値は、記載された数値の周囲に±10%の許容誤差を含むことが意図される。
【0055】
特に定義されない限り、本明細書で使用される全ての用語(技術用語及び科学用語を含む)は、例示的な実施形態が属する技術分野における当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。さらに、一般的に使用されている辞書に定義されているものを含む用語は、関連技術の文脈における意味と一致する意味を有するものとして解釈されるべきであり、本明細書で明示的にそのように定義されていない限り、理想化された意味又は過度に形式的な意味で解釈されないことが理解されよう。
【0056】
ハードウェアは、1つ以上のプロセッサ、1つ以上の複数の中央処理装置(CPU)、1つ以上のマイクロコントローラ、1つ以上の算術論理演算装置(ALU)、1つ以上のデジタル信号プロセッサ(DSP)、1つ以上のマイクロコンピュータ、1つ以上のフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、1つ以上のシステムオンチップ(SoC)、1つ以上のプログラマブルロジックユニット(PLU)、1つ以上のマイクロプロセッサ、1つ以上の特定用途向け集積回路(ASIC)、又は定義された方法で命令に応答し、命令を実行可能な任意の他の装置又は装置の組み合わせといった、処理又は制御回路を使用して実装され得るが、これらに限定されない。
【0057】
図1Aは、例示的な実施形態に係るエアロゾル発生装置の正面斜視図である。図1Bは、図1Aのエアロゾル発生装置の背面斜視図である。図1Cは、図1Aのエアロゾル発生装置の上流側斜視図である。図1A~Cを参照すると、エアロゾル発生装置10は、エアロゾル形成基材を受け入れ、加熱してエアロゾルを生成するように構成されている。エアロゾル発生装置10は、特に、フレーム1208(例えば、シャーシ)に結合された、前部筐体1202、後部筐体1204、及び底部筐体1206を有する。扉1210も前部筐体1202に回動自在に接続又は取り付けされている。例えば、扉1210は、ヒンジ1212を中心に動作又はスイングするように構成され、ラッチ1214を介して前部筐体1202と可逆的に係合/係合解除するように構成され、開位置と閉位置との間を移行する。エアロゾル形成基材は、カプセル100(例えば、図2)内に含まれていてもよく、扉1210を介してエアロゾル発生装置10に導入されてもよい。エアロゾル発生装置10の動作中、生成されたエアロゾルは、マウスピース1100(例えば、図2)のマウス端部分1104によって画定されたエアロゾル出口1102を介してエアロゾル発生装置10から吸引され得る。
【0058】
図1Bに示されるように、エアロゾル発生装置10は、第1ボタン1218と第2ボタン1220とを有する。第1ボタン1218は予熱ボタン、第2ボタン1220は電源ボタン(又はその逆)であり得る。さらに、第1ボタン1218及び第2ボタン1220の一方又は双方は、第1ボタン1218及び/又は第2ボタン1220が押下されたときに、可視光を発するように構成された発光ダイオード(LED)を有し得る。第1ボタン1218及び第2ボタン1220の双方がLEDを含む場合、発される光は、同じ色であってもよいし、異なる色であってもよい。また、光は、同じ強さであっても、異なる強さであってもよい。さらに、光は、連続光又は間欠光として構成され得る。例えば、電源ボタン(例えば、第2ボタン1220)に関連する光は、電源(例えば、バッテリ)の残量が少なく、充電が必要であることを示すために点滅/発光(blink/flash)し得る。エアロゾル発生装置10は、2つのボタンを持つとして示されているが、所望のインターフェース及び機能性に応じて、より多くの(例えば3つの)又はより少ないボタンを設け得ることを理解されたい。
【0059】
エアロゾル発生装置10は、前面と、前面に対向する後面と、前面及び後面の間の第1側面と、第1側面に対向する第2側面と、下流側端面と、下流側端面に対向する上流側端面とを有する直方体状の形状を有し得る。本明細書で使用される場合、「上流」(及び、逆に「下流」)は、エアロゾルの流れに関連しており、「近位」(及び、逆に「遠位」)は、エアロゾル発生中におけるエアロゾル発生装置10の成人の操作者に関連している。エアロゾル発生装置10は、多角形の断面を有する直方体状の形状(例えば、丸みを帯びた直方体)を有するとして図示されているが、例示的な実施形態は、これに限定されないことを理解されたい。例えば、いくつかの実施形態において、エアロゾル発生装置10は、円形断面(例えば、円柱状の場合)又は楕円形断面(例えば、楕円柱状の場合)を有する柱状の形状を有し得る。
【0060】
図1Cに示されるように、エアロゾル発生装置10は、周囲の空気の装置本体1200(例えば、図2)への進入を許可するように構成された入口インサート1222を有する。例示的な実施形態において、入口インサート1222は、エアロゾル出口1102と流体的に連通する空気入口としてのオリフィスを規定する。その結果、エアロゾル出口1102に吸引(例えば、ひとふかし、ひと吸い(a puff))又は負圧が加えられると、周囲の空気は、入口インサート1222のオリフィスを介して装置本体1200に引き込まれる。入口インサート1222のオリフィスのサイズ(例えば、直径)は、所望の全体的な吸引抵抗(resistance-to-draw(RTD))を提供するために、流路内の他の変数(例えば、カプセル100)も考慮に入れながら、調整される。他の実施形態では、空気入口が底部筐体1206によって画定されるように、入口インサート1222を完全に省略し得る。
【0061】
エアロゾル発生装置10は、さらに、ジャック1224と、ポート1226とを有し得る。例示的な実施形態において、ジャック1224は、研究開発(R&D)目的のために(例えば、RS232ケーブルを介して)、操作情報のダウンロードを許可する。ポート1226は、エアロゾル発生装置10内の内部電源を充電するために、外部電源から(例えば、USB又はミニUSBケーブルを介して)電流を受け取るように構成されている。さらに、ポート1226はまた、別のエアロゾル発生装置又は他の電子装置(例えば、電話、タブレット、コンピュータ)に(例えば、USB又はミニUSBケーブルを介して)データを送信し、及び/又はデータを受信するように構成され得る。さらに、エアロゾル発生装置10はまた、携帯電話等の他の電子機器と、その電子機器にインストールされたアプリケーションソフトウェア(アプリ)を介して無線通信するように構成され得る。そのような例では、成人の操作者は、アプリを通じてエアロゾル発生装置10を制御するか、又は他の方法でエアロゾル発生装置10に接続する(例えば、エアロゾル発生装置の位置を特定する、使用情報を確認する、動作パラメータを変更する)ことができる。
【0062】
図2Aは、図1A~1Cのエアロゾル発生装置の正面斜視図であり、マウスピース1100及びカプセル100が装置本体から分離されている。図2を参照すると、エアロゾル発生装置10は、カプセル100とマウスピース1100とを受け入れるように構成された装置本体1200を有する。例示的な実施形態において、装置本体1200は、カプセル100を受け入れるように構成された容器1228を画定する。容器1228は、カプセル100の電気端部部分/接点を収容するために、外側に延び、直径方向に対向するサイドスロットを備えた円筒形ソケットの形態をとり得る。しかしながら、容器1228は、カプセル100の形状又は構成に基づく他の形態であってもよいことを理解されたい。
【0063】
前述のように、装置本体1200は、開いてカプセル100及びマウスピース1100の挿入を可能にし、閉じてカプセル100及びマウスピース1100を保持するように構成された扉1210を有する。マウスピース1100は、(例えば、マウス端部分1104の)マウス端と、(例えば、カプセル端部分1106の)対向するカプセル端とを有する。例示的な実施形態において、カプセル端はマウス端よりも大きく、装置本体1200の扉1210が閉じられたときに、マウスピース1100がカプセル100から外れるのを防ぐように構成されている。装置本体1200内に受け入れられて固定され、エアロゾル発生の準備が整うと、マウスピース1100のエアロゾル出口1102を画定するマウス端部分1104が視認可能となり、カプセル100は隠され得る。図に示されるように、マウスピース1100のマウス端部分1104は、装置本体1200の下流側端面から又はそれを貫通して延びていてもよい。さらに、マウスピース1100のマウス端部分1104は、装置本体1200の後面よりも前面に近接していてもよい。
【0064】
いくつかの場合において、エアロゾル発生装置10の装置本体1200は、任意にマウスピースセンサ及び/又は扉センサを有し得る。マウスピースセンサは、(例えば、装置本体1200の前面に隣接する)容器1228の縁に配置され得る。扉センサは、ヒンジ1212に隣接し、扉1210のスイング経路内にある前部筐体1202の一部に配置され得る。例示的な実施形態において、マウスピースセンサ及びドアセンサは、安全スイッチとして構成されたバネ式(例えば、格納式)の突起である。例えば、マウスピースセンサは、マウスピース1100が容器1228内に装填されたカプセル100と完全に係合したときに、格納又は押下され(例えば、作動し)得る。さらに、扉1210が完全に閉じると、扉センサが格納又は押下され(例えば、作動し)得る。このような場合、装置本体1200の制御回路は、カプセル100に電流を供給して、その中のエアロゾル形成基材を加熱する(例えば、第1ボタン1218が押されたときに許可される予熱)ことを許可することができる。逆に、装置本体1200の制御回路(例えば、制御部2105)は、マウスピースセンサ及び/又は扉センサが作動又は非作動(例えば、解除)されていない場合、電流の供給を防止又は停止し得る。したがって、マウスピース1100が完全に挿入されていない場合、及び/又は扉1210が完全に閉じられていない場合、エアロゾル形成基材の加熱は開始されない。同様に、エアロゾル形成基材の加熱中に扉1210が開放されると、カプセル100への電流供給が中断又は停止する。
【0065】
ここで詳細に説明するカプセル100は、一般に、入口開口と、出口開口と、入口開口及び出口開口の間のチャンバとを画定する筐体を有する。エアロゾル形成基材は、筐体のチャンバ内に配置されている。さらに、ヒーターが、筐体の外側からその内部にかけて延びていてもよい。筐体は、本体部と上流部とを有し得る。筐体の本体部は、近位端と遠位端とを有する。筐体の上流部は、本体部の遠位端と係合するように構成され得る。
【0066】
図2Bは、少なくとも1つの例示的な実施形態に係る、図1A~1Cのエアロゾル発生装置のカプセルを示す。
【0067】
カプセル100内に含まれるエアロゾル形成基材は、第1エアロゾル形成基材160a及び第2エアロゾル形成基材160bの形態であり得る。例示的な実施形態において、第1エアロゾル形成基材160aと第2エアロゾル形成基材160bとは、第1カバー110と第2カバー120との間に収容される。エアロゾル発生装置10の動作中、第1エアロゾル形成基材160a及び第2エアロゾル形成基材160bは、ヒーター336によって加熱され、エアロゾルを発生させ得る。本明細書でさらに詳しく説明するように、ヒーター336は、第1端部分142と、中間部分144と、第2端部分146とを有する。また、カプセル100の組み立て前に、製造工程においてヒーター336をベース部130に取り付けてもよい。
【0068】
図示されているように、カプセル100の第1カバー110は、第1上流溝112と、第1凹部114と、第1下流溝116とを画定している。第1上流溝112と第1下流溝116とのそれぞれは、一連の溝の形態であり得る。同様に、カプセル100の第2カバー120は、第2上流溝と、第2凹部と、第2下流溝126とを画定する。例示的な実施形態において、第2カバー120の第2上流溝、第2凹部、及び第2下流溝126は、それぞれ第1カバー110の第1上流溝112、第1凹部114、及び第1下流溝116と同様である。具体的には、いくつかの場合において、第1カバー110と第2カバー120とは、同一且つ相補的な構造である。このような場合、第1カバー110と第2カバー120とを互いに対向させてベース部130と係合させると、相補的な配置となる。その結果、1つの部品を第1カバー110又は第2カバー120として交換可能に用いることができ、製造方法を簡素化することができる。
【0069】
第1カバー110の第1凹部114と、第2カバー120の第2凹部とは、第1カバー110と第2カバー120とがベース部130と結合したときに、ヒーター336の中間部分144を収容するように構成されたチャンバを、ともに形成する。第1エアロゾル形成基材160a及び第2エアロゾル形成基材160bは、カプセル100が組み立てられたときにヒーター336の中間部分144と熱的に接触するように、チャンバ内に収容されてもよい。チャンバは、(例えば、上流側通路162の)入口開口の少なくとも1つから、対応する(例えば、下流側通路166の)出口開口まで延びる最長寸法を有し得る。例示的な実施形態において、カプセル100の筐体は、長手方向軸を有し、チャンバの最長寸法は、筐体の長手方向軸に沿って延びる。
【0070】
第1カバー110の第1下流溝116と、第2カバー120の第2下流溝126とは、ともに下流側通路166を形成する。同様に、第1カバー110の第1上流溝112と第2カバー120の第2上流溝とは、ともに上流側通路162を形成する。下流側通路166及び上流側通路162は、第1エアロゾル形成基材160a及び第2エアロゾル形成基材160bをチャンバ内に保持するのに十分なほど小さく又は狭いが、第1エアロゾル形成基材160a及び第2エアロゾル形成基材160bがヒーター336によって加熱されるときに、空気及び/又はエアロゾルの通過を可能にするのに十分なほど大きく又は広い寸法に設計されている。
【0071】
一例において、第1エアロゾル形成基材160a及び第2エアロゾル形成基材160bのそれぞれは、第1エアロゾル形成基材160a及び第2エアロゾル形成基材160bを、それぞれ第1カバー110の第1凹部114及び第2カバー120の第2凹部内に一体的に配置できるように、その形状を維持するように構成された連結形態(例えば、シート、パレット、錠剤)であり得る。このような例では、第1エアロゾル形成基材160aは、ヒーター336の中間部分144の一方の側(例えば、第1カバー110に面する側)に配置され、第2エアロゾル形成基材160bは、ヒーター336の中間部分144の他方の側(例えば、第2カバー120に面する側)に配置されることによって、第1カバー110の第1凹部114及び第2カバー120の第2凹部をそれぞれ実質的に充填することができ、よってヒーター336の中間部分144を間に挟み込む又は埋め込むことができる。あるいは、第1エアロゾル形成基材160a及び第2エアロゾル形成基材160bの一方又は双方は、決められた形状を持たず、むしろ導入された際に第1カバー110の第1凹部114及び/又は第2カバー120の第2凹部の形状をとるように構成された緩い形態(loose form)(例えば、粒子、繊維、かす、断片、細片)であってもよい。
【0072】
前述のように、カプセル100の筐体は、第1カバー110と、第2カバー120と、ベース部130とを有し得る。カプセル100が組み立てられたとき、筐体は、約30mm~40mm(例えば、35mm)の高さ(又は長さ)を有し得るが、例示的な実施形態はこれに限定されない。さらに、第1カバー110の第1凹部114及び第2カバー120の第2凹部の各々は、約1mm~4mm(例えば、2mm)の深さを有し得る。そのような例において、第1カバー110の第1凹部114と第2カバー120の第2凹部とによって集合的に形成されるチャンバは、約2mm~8mm(例えば、4mm)の全体厚さを有し得る。これらの線に沿って、第1エアロゾル形成基材160a及び第2エアロゾル形成基材160bは、連結形態であれば、それぞれ約1mm~4mm(例えば、2mm)の厚さを有し得る。その結果、ヒーター336の中間部分144によって、第1エアロゾル形成基材160aと第2エアロゾル形成基材160bとが比較的早く均一に加熱され得る。
【0073】
制御回路は、ヒーター336に電流を供給するよう電源に指示し得る。電源からの電流供給は、手動操作(例えば、ボタン作動)又は自動操作(例えば、引き込み又は吸引(draw/puff)作動)に応答して行われる。電流によって、カプセル100が加熱され、エアロゾルが発生し得る。さらに、ヒーターの抵抗の変化は、エアロゾル化温度を監視及び制御するために使用され得る。発生したエアロゾルは、マウスピース1100を経由してエアロゾル発生装置10から吸引され得る。さらに、制御回路(例えば、制御部2105)は、吸引と吸引との間におけるカプセル100の温度を維持するために、ヒーター336に電流を供給するよう、電源に指示し得る。
【0074】
本明細書で議論するように、エアロゾル形成基材は、エアロゾルを生成し得る材料又は材料の組み合わせである。エアロゾルは、開示された装置、特許請求の範囲に記載された装置、及びその等価物によって生成又は出力される物質に関する。材料は、化合物(例えば、ニコチン、カンナビノイド)を含み得、材料が加熱されると、化合物を含むエアロゾルが生成される。加熱は、エアロゾル形成基材の実質的な熱分解又は燃焼副生成物(もしあれば)の実質的な生成を伴わずにエアロゾルを生成するために、燃焼温度未満で行われ得る。したがって、例示的な実施形態において、加熱中及びその結果としてのエアロゾルの生成中に熱分解は起こらない。他の例では、熱分解及び燃焼の副生成物がある場合もあるが、その程度は比較的軽微で、及び/又は単なる付随的なものであり得る。
【0075】
エアロゾル形成基材は、繊維材料であり得る。例えば、繊維材料は、植物材料であり得る。繊維材料は、加熱されると化合物を放出するように構成されている。化合物は、繊維材料の成分であって、天然に存在する成分であり得る。例えば、繊維材料は、タバコのような植物であり、放出される化合物は、ニコチンである。「タバコ」という用語は、あらゆるタバコ植物材料を含み、例えば、マルバタバコ(Nicotiana rustica)やタバコ(Nicotiana tabacum)のような1種以上のタバコ植物由来のタバコの葉、タバコのプラグ、再構成タバコ、圧縮タバコ、成形タバコ、又は粉タバコ、及びそれらの組み合わせが挙げられる。
【0076】
いくつかの例示的な実施形態において、タバコ材料は、タバコ属(genus Nicotiana)の任意のもの由来の材料を含み得る。さらに、タバコ材料は、2種類以上の異なるタバコ品種の混合物を含み得る。使用され得るタバコ材料の好適な種類の例としては、黄色種タバコ(flue-cured tobacco)、バーレータバコ(Burley tobacco)、ダークタバコ(dark tobacco)、メリーランドタバコ(Maryland tobacco)、オリエンタルタバコ(Oriental tobacco)、希少(rare)タバコ、スペシャルティタバコ、それらのブレンド等が挙げられるが、これらに限定されない。タバコ材料は、タバコラミナ、体積膨張もしくは膨化(volume expanded or puffed)タバコなどの加工タバコ材料、裁断圧延又は裁断膨化(cut-rolled or cut-puffed)茎等の加工タバコ茎、再構成タバコ材料、それらの混合等を含むが、これらに限定されない、任意の適切な形態で提供され得る。いくつかの例示的な実施形態において、タバコ材料は、略乾燥したタバコ塊の形態をとる。さらに、いくつかの態様において、タバコ材料は、プロピレングリコール、グリセリン、それらの部分的組合せ、又はそれらの組合せのうちの少なくとも1つと混合及び/又は組合せられ得る。
【0077】
化合物はまた、医学的に治療効果が認められている薬用植物の天然に存在する成分であってもよい。例えば、薬用植物は、大麻植物であってもよく、化合物は、カンナビノイドであってもよい。カンナビノイドは、体内の受容体と相互作用し、さまざまな作用をもたらす。その結果、カンナビノイドは、さまざまな薬用目的(例えば、痛み、吐き気、てんかん、精神疾患等の治療)に使用されてきた。繊維材料は、アサ(Cannabis sativa)、インドアサ(Cannabis indica)、カンナビス・ルデラリス(Cannabis ruderalis)等の1種以上の大麻植物の葉及び/又は花の材料を含み得る。いくつかの態様において、繊維材料は、60~80%(例えば、70%)のアサ(Cannabis sativa)と、20~40%(例えば、30%)のインドアサ(Cannabis indica)との混合物である。
【0078】
カンナビノイドの例としては、テトラヒドロカンナビノール酸(THCA)、テトラヒドロカンナビノール(THC)、カンナビジオール酸(CBDA)、カンナビジオール(CBD)、カンナビノール(CBN)、カンナビシクロール(CBL)、カンナビクロメン(CBC)、及びカンナビゲロール(CBG)が挙げられる。テトラヒドロカンナビノール酸(THCA)は、テトラヒドロカンナビノール(THC)の前駆体であり、カンナビジオール酸(CBDA)は、カンナビジオール(CBD)の前駆体である。テトラヒドロカンナビノール酸(THCA)及びカンナビジオール酸(CBDA)は、加熱によってそれぞれテトラヒドロカンナビノール(THC)及びカンナビジオール(CBD)に変換され得る。例示的な実施形態では、ヒーター(例えば、図2Bに示すヒーター336)からの熱は、カプセル100中のテトラヒドロカンナビノール酸(THCA)をテトラヒドロカンナビノール(THC)に変換するように、及び/又はカプセル100中のカンナビジオール酸(CBDA)をカンナビジオール(CBD)に変換するように、脱炭酸を引き起こし得る。
【0079】
カプセル100中にテトラヒドロカンナビノール酸(THCA)とテトラヒドロカンナビノール(THC)との双方が存在する場合、脱炭酸及びその結果生じる変換により、テトラヒドロカンナビノール酸(THCA)が減少し、テトラヒドロカンナビノール(THC)が増加する。テトラヒドロカンナビノール酸(THCA)の少なくとも50%(例えば、少なくとも87%)は、カプセル100の加熱中にテトラヒドロカンナビノール(THC)に変換され得る。同様に、カンナビジオール酸(CBDA)とカンナビジオール(CBD)との双方がカプセル100中に存在する場合、脱炭酸及びそれに伴う変換により、カンナビジオール酸(CBDA)が減少し、カンナビジオール(CBD)が増加する。カンナビジオール酸(CBDA)の少なくとも50%(例えば、少なくとも87%)は、カプセル100の加熱中にカンナビジオール(CBD)に変換され得る。
【0080】
さらに、化合物は、その後に繊維材料に導入される非天然由来の添加剤を含んでいてもよいし、追加的に含んでいてもよい。一例では、繊維材料は、綿、ポリエチレン、ポリエステル、レーヨン、それらの組み合わせ等のうちの少なくとも1つを(例えば、ガーゼの形態で)含み得る。別の例では、繊維材料は、セルロース材料(例えば、非タバコ及び/又は非大麻材料)であり得る。いずれの例でも、導入される化合物は、ニコチン、カンナビノイド、及び/又は香味剤(flavorants)を含み得る。香味剤は、植物抽出物(例えば、タバコ抽出物、大麻抽出物)のように天然由来であっても、及び/又は人工由来であってもよい。さらに別の例では、繊維材料がタバコ及び/又は大麻を含む場合、化合物は、1つ以上の香味剤(例えば、メントール、ミント、バニラ)であってもよいし、1つ以上の香味剤を追加的に含んでもよい。したがって、エアロゾル形成基材内の化合物は、天然に存在する成分及び/又は天然に存在しない添加物を含み得る。この点に関して、エアロゾル形成基材の天然に存在する成分の存在レベルは、補充によって増加し得ることを理解されたい。例えば、ニコチンを含む抽出物を補充することで、ある量のタバコに含まれるニコチンの存在レベルを増加させ得る。同様に、ある量の大麻に含まれる1つ以上のカンナビノイドの存在レベルは、そのようなカンナビノイドを含む抽出物を補充することによって増加され得る。
【0081】
第1カバー110及び第2カバー120は、それぞれ第1深溝(furrow)118及び第2深溝(furrow)128も画定している。第1深溝118及び第2深溝128はともに、第1環状部材150aを収容するように構成された下流深溝を形成する。同様に、ベース部130は、第2環状部材150bを収容するように構成された上流深溝138を画定する。前述のように、ベース部130は、第1カバー110及び第2カバー120との接続を容易にするように構成された係合部品136を含む。係合部品136は、ベース部130の一体的に形成された一部であってもよい。例示的な実施形態において、ベース部130は、ベース入口132と流体的に連通するベース出口134を画定し、係合部品136は、ベース出口134の両側に突出したリム又はカラーの形態である。さらに、第1カバー110及び第2カバー120の各々は、係合部品136における対応する突出したリム又はカラーを受容するように構成されたスロットを画定し得る。その結果、第1カバー110及び第2カバー120は、(例えば、それらの遠位端を介して)ベース部130の係合部品136とかみ合い(同時に、当接し)、カプセル100の筐体を形成し得る。
【0082】
第1カバー110及び第2カバー120は、例えば液晶ポリマー、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)又はアルミニウム製であってもよい。
【0083】
シート材を切断又はその他の加工(例えば、スタンピング、電気化学エッチング、型抜き、レーザー切断)することによりヒーター336を製造し得る。シート材は、ジュール加熱(オーミック又は抵抗加熱としても知られている)を受けるように構成された1つ以上の導体で形成され得る。シート材に適した導電体としては、鉄系合金(例えば、ステンレス鋼、鉄アルミ合金)、ニッケル系合金(例えば、ニクロム)、及び/又はセラミック(例えば、金属でコーティングされたセラミック)が挙げられる。例えば、ステンレス鋼は、当該技術分野でSS316Lとして知られているタイプであってもよいが、例示的な実施形態はこれに限定されない。シート材は、約0.1~0.3mm(例えば、0.15~0.25mm)の厚さを有し得る。ヒーター336の抵抗は、0.5~2.5オーム(例えば1~2オーム)であり得る。
【0084】
ヒーター336は、第1端部分142と、中間部分144と、第2端部分146とを有する。第1端部分142及び第2端部分146は、ヒーター336の起動中に電源から電流を受け取るように構成されている。ヒーター336が(例えば、ジュール加熱を受けるように)起動されると、第1エアロゾル形成基材160a及び第2エアロゾル形成基材160bの温度が上昇し、エアロゾルが発生し、カプセル100の下流側通路166を通って吸引又は放出され得る。第1端部分142及び第2端部分146はそれぞれ、(例えば接続ボルトを介して)電源との電気的接続を容易にするためのフォーク端子を含み得るが、例示的な実施形態はこれに限定されない。さらに、ヒーター336は、シート材から製造され得るため、第1端部分142と、第2端部分146と、中間部分144とは、同一平面であり得る。さらに、ヒーター336の中間部分144は、複数の平行部分(例えば、8~16の平行部分)を有する、圧縮された繰り返し又はジグザグに似た平面屈曲形状を有し得る。しかしながら、ヒーター336の中間部分144については、他の形態も可能であることを理解されたい(例えば、らせん状の形態、花のような形態)。
【0085】
例示的な実施形態では、ヒーター336は、ベース部130を貫通して延びている。このような例では、第1端部分142及び第2端部分146のそれぞれの終端は、ベース部130の反対側から突出したヒーター336の外部部分とみなし得る。特に、ヒーター336の中間部分144は、ベース部130の下流側にあり、ベース出口134と位置決めされていてもよい。製造中、ヒーター336は、射出成形(例えば、インサート成形、オーバーモールド成形)を介してベース部130内に埋め込まれ得る。例えば、ヒーター336は、中間部分144が係合部品136の一対の突出したリム又はカラーの間に等間隔で配置されるように埋め込まれ得る。
【0086】
ヒーター336の第1端部分142及び第2端部分146は、ベース部130の側面から延びる突起(例えば、フィン)として図面に示されているが、いくつかの例示的な実施形態では、ヒーター336の第1端部分142及び第2端部分146は、カプセル100の側面の一部を構成するように構成されてもよいことを理解されたい。例えば、ヒーター336の第1端部分142及び第2端部分146の露出箇所は、ベース部130の側面に対して位置するか折り畳まれるように(例えば、ベース部130の下側の輪郭にも沿うように)寸法を決め、方向付けられ得る。その結果、第1端部分142及び第2端部分146は、カプセル100の側面の一部と同様に、それぞれ第1電気接点及び第2電気接点を構成し得る。
【0087】
図2Cは、図1A~1Cのエアロゾル発生装置の部分分解図である。図2Dは、図2のエアロゾル発生装置の部分分解図である。図2C~2Dを参照すると、フレーム1208(例えば、金属製シャーシ)は、エアロゾル発生装置10の内部部品の土台として機能し、エアロゾル発生装置10は、それに直接又は間接的に取り付けられ得る。図に示され、既に上述された構造又は構成要素に関しては、そのような関連する開示は本セクションにも適用可能であり、簡潔にするために開示を繰り返さなかったことを理解されたい。例示的な実施形態において、底部筐体1206は、フレーム1208の上流端に固定されている。さらに、(カプセル100を受けるための)容器1228をフレーム1208の前面に取り付け得る。容器1228と底部筐体1206との間には、入口チャネル1230が設けられ、容器1228内のカプセル100に周囲の空気の流入を導くように構成されている。流入した空気が流れ得る入口インサート1222(例えば、図1C)は、入口チャネル1230の遠位端に配置され得る。さらに、容器1228及び/又は入口チャネル1230は、流量センサ(例えば、一体型流量センサ)を含み得る。
【0088】
フレーム1208の背面側には、被覆1232とその内側の電源1234とが取り付けられている(例えば、図2E)。(例えば、容器1228内に位置し、マウスピース1100のカプセル端部分1106に覆われている)カプセル100との電気的接続を確立するために、第1電力端子ブロック1236a及び第2電力端子ブロック1236bを設けて電流の供給を容易にしてもよい。例えば、第1電力端子ブロック1236a及び第2電力端子ブロック1236bは、ヒーター336の第1端部分142及び第2端部分146を介して、電源1234とカプセル100との間に必要な電気的接続を確立し得る。第1電力端子ブロック1236a及び/又は第2電力端子ブロック1236bは、真鍮で形成され得る。
【0089】
エアロゾル発生装置10はまた、その動作を容易にするように構成された複数のプリント基板(PCB)を有し得る。例示的な実施形態において、第1プリント基板1238(例えば、電力及びI2C用のブリッジPCB)が、電源1234用の被覆1232の下流端に取り付けられる。さらに、被覆1232の背面側には、第2プリント基板1240(HMIPCBなど)が取り付けられる。別の例では、第3プリント基板1242(例えば、シリアルポートPCB)がフレーム1208の前面側に固定され、入口チャネル1230の後方に位置する。さらに、フレーム1208の背面側と電源1234用の被覆1232との間には、第4プリント基板1244(例えば、USB-CPCB)が配置されている。しかしながら、プリント基板に関し、本明細書の例示的な実施形態は、エアロゾル発生装置10の所望の特徴に応じてそのサイズ、形状、及び位置が変化し得るため、限定的なものとして解釈されるべきではないことを理解されたい。
【0090】
図2Eは、図1A~1Cのエアロゾル発生装置の断面図である。図2Fは、図1A~1Cのエアロゾル発生装置の別の断面図である。図に示され、既に上述された構造/構成要素に関しては、そのような関連する開示は、本セクションにも適用可能であり、簡潔にするために開示を繰り返さないことを理解されたい。図2E~2Fを参照すると、マウスピース1100のマウス端部分1104は、単一の出口の形態のエアロゾル出口1102を画定するものとして図示されている。しかし、例示的な実施形態は、これに限定されないことを理解されたい。例えば、エアロゾル出口102は、代替的に、複数の小さい出口(例えば、2~6個の出口)の形態であり得る。ある例では、複数の出口は、4つの出口の形態であり得る。出口は、エアロゾルの発散流を放出するように、放射状に配置され、及び/又は外向きに傾斜し得る。
【0091】
例示的な実施形態において、フィルタ又は香味媒体の少なくとも一つが、マウスピース1100のマウス端部分1104内に任意に配置され得る。そのような例では、フィルタ及び/又は香味媒体は、チャンバ164の下流にあり、そこで生成されたエアロゾルは、少なくとも1つのエアロゾル出口1102を通って出る前に、フィルタ又は香味媒体の少なくとも1つを通過する。フィルタは、エアロゾル形成基材(例えば、エアロゾル形成基材160a及び/又はエアロゾル形成基材160b)からの粒子が、カプセル100から意図せず吸引されることを低減又は防止し得る。フィルタはまた、所望の口当たりを提供するために、エアロゾルの温度を下げるのに寄与し得る。香味媒体(例えば、フレーバービーズ)は、エアロゾルがそこを通過するときに香味剤を放出し、エアロゾルに所望の香味を付与し得る。香味剤は、エアロゾル形成基材に関連して上述したものと同じであり得る。さらに、フィルタ及び/又は香味媒体は、エアロゾル形成基材に関連して上述したように、固められた形態又は緩い形態を有し得る。
【0092】
エアロゾル発生装置10は、容器1228内に装着された第3環状部材150cを含み得る。第3環状部材150c(例えば、弾力性のあるOリング)は、カプセル100のベース部130が容器1228に完全に挿入されると、空気シールを確立するように構成されている。その結果、容器1228に引き込まれる空気は、すべてではないにせよ、ほとんどがカプセル100を通過し、カプセル100の周囲を流れる迂回の流れは、あったとしてもごくわずかなものとなる。例示的な実施形態において、第1環状部材150a、第2環状部材150b、及び/又は第3環状部材150cは、透明なシリコーンで形成され得る。
【0093】
既に上述したプリント基板に加えて、エアロゾル発生装置10は、フレーム1208と電源1234との間に配置された第5プリント基板1246(例えば、メインPCB)も有し得る。電源1234は、900mAhのバッテリであってもよいが、例示的な実施形態はこれに限定されない。さらに、エアロゾル発生装置10の動作を向上させるために、カプセル100の上流側にセンサ1248を配置してもよい。例えば、センサ1248は気流センサであり得る。センサ1248だけでなく、第1ボタン1218及び第2ボタン1220についても、エアロゾル発生装置10の操作は、自動操作(例えば、吸入(puff)作動式)であってもよいし、手動操作(例えば、ボタン作動式)であってもよい。少なくとも1つの例示的な実施形態において、センサは、微小な電気機械システム(microelectromechanical system(MEMS))流量センサ又は圧力センサ、あるいは熱線式風速計のような気流を測定するように構成された別のタイプのセンサであり得る。
【0094】
エアロゾル発生装置10を作動させると、エアロゾルを発生するように、装置本体1200内のカプセル100が加熱され得る。例示的な実施形態において、エアロゾル発生装置10は、センサ1248による気流の検出、及び/又は第1ボタン1218及び/又は第2ボタン1220の押下に関連する信号の生成を契機に起動され得る。気流の検出に関して、マウスピース1100のエアロゾル出口1102に対する吸引又は負圧の印加により、周囲の空気が入口チャネル1230を経由して装置本体1200に引き込まれ、空気は最初に入口インサート1222(例えば、図1C)を通過し得る。装置本体1200の内部に入った空気は、入口チャネル1230を通過して容器1228に移動し、センサ1248によって検出される。センサ1248の後、空気は容器1228を通過し、ベース部130を経由してカプセル100に入る。具体的には、空気は、カプセル100のベース入口132を通過してから上流側通路162を通過し、チャンバ164に流れ込む。さらに、制御回路(例えば、制御部2105)は、吸引と吸引との間にカプセル100の温度を維持するために、ヒーター336に電流を供給するように電源に対し指示し得る。
【0095】
センサ1248による気流の検出により、制御回路から電源1234は、ヒーター336の第1端部分142及び第2端部分146を介して、カプセル100に電流を供給し得る。その結果、ヒーター336の中間部分144の温度が上昇し、よってチャンバ164内のエアロゾル形成基材(例えば、エアロゾル形成基材160a及び/又はエアロゾル形成基材160b)の温度が上昇し、エアロゾル形成基材から揮発性物質が放出されてエアロゾルが生成される。生成されたエアロゾルは、チャンバ164を流れる空気に巻き込まれる。特に、チャンバ164で生成されたエアロゾルは、マウスピース1100のエアロゾル出口1102からエアロゾル発生装置10を出る前に、カプセル100の下流側通路166を通過する。
【0096】
図3は、1つ以上の例示的な実施形態に係るエアロゾル発生装置及びカプセルの電気システムを示す。
【0097】
図3を参照すると、電気システムは、エアロゾル発生装置電気システム2100と、カプセル電気システム2200とを有する。エアロゾル発生装置電気システム2100は、エアロゾル発生装置10に含まれてもよく、カプセル電気システム2200は、カプセル100に含まれてもよい。
【0098】
図3に示す例示的な実施形態において、カプセル電気システム2200は、ヒーター336を有する。
【0099】
カプセル電気システム2200は、エアロゾル発生装置10とカプセル100との間で電力及び/又はデータを転送するための本体電気インターフェース又はデータインターフェース(図示せず)をさらに有し得る。少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、例えば図2Bに示す電気接点は、本体電気インターフェースとして機能し得るが、例示的な実施形態はこれに限定されない。
【0100】
エアロゾル発生装置電気システム2100は、制御部2105と、電源1234と、装置センサ又は測定回路2125と、加熱エンジン制御回路2127と、エアロゾルインジケータ2135と、製品上(on-product)操作手段2150(例えば、図1Bに示すボタン1218及び1220)と、メモリ2130と、クロック回路2128とを有する。いくつかの例示的な実施形態において、制御部2105と、電源1234と、装置センサ又は測定回路2125と、加熱エンジン制御回路2127と、メモリ2130と、クロック回路2128とは、同じPCB(例えば、メインPCB1246)上に設けられている。エアロゾル発生装置電気システム2100は、エアロゾル発生装置10とカプセル100との間で電力及び/又はデータを転送するためのカプセル電気又はデータインターフェース(図示せず)をさらに有し得る。
【0101】
電源1234は、エアロゾル発生装置10及びカプセル100に電力を供給するための内部電源であり得る。電源1234からの電源供給は、不図示の電力制御回路を介して制御部2105によって制御され得る。電力制御回路は、電源1234からの電力出力を調整するために、1つ以上のスイッチ又はトランジスタを有し得る。電源1234は、リチウムイオン電池又はその変形(例えば、リチウムイオンポリマー電池)であり得る。
【0102】
制御部2105は、エアロゾル発生装置10の全体的な動作を制御するように構成され得る。少なくともいくつかの例示的な実施形態によれば、制御部2105は、論理回路を含むハードウェア等の処理回路、ソフトウェアを実行するプロセッサのようなハードウェアとソフトウェアとの組み合わせ、又はそれらの組み合わせを有し得る。例えば、より具体的には、処理回路としては、中央処理装置(CPU)、算術論理演算装置(ALU)、デジタル信号プロセッサ、マイクロコンピュータ、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、システムオンチップ(SoC)、プログラマブルロジックユニット、マイクロプロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0103】
図3に示す例示的な実施形態において、制御部2105は、汎用入出力(GPIO)、集積回路間(IC)インターフェース、シリアルペリフェラルインターフェースバス(SPI)インターフェース等のような入出力(I/O)インターフェースと、マルチチャネルアナログデジタルコンバーター(ADC)と、クロック入力端子とを有するマイクロコントローラとして示されている。しかし、例示的な実施形態は、この例に限定されない。少なくとも1つの実装例において、制御部2105は、マイクロプロセッサであり得る。
【0104】
メモリ2130は、制御部2105の外部にあるように図示されているが、いくつかの例示的な実施形態において、メモリ2130は、制御部2105に搭載され得る。
【0105】
制御部2105は、装置センサ2125と、加熱エンジン制御回路2127と、エアロゾルインジケータ2135と、メモリ2130と、製品上操作手段2150と、クロック回路2128と、電源1234とに対し、通信可能に結合されている。
【0106】
加熱エンジン制御回路2127は、GPIO(汎用入出力)ピンを介して制御部2105に接続されている。メモリ2130は。SPI(Serial Peripheral Interface)ピンを介して制御部2105と接続されている。クロック回路2128は、制御部2105のクロック入力ピンに接続されている。エアロゾルインジケータ2135は、I2C(Inter-Integrated Circuit)インターフェースピンと、SPI/GPIOピンとを介して制御部2105に接続されている。装置センサ2125は、マルチチャネルADCのそれぞれのピンを介して制御部2105に接続されている。
【0107】
クロック回路2128は、制御部2105が、エアロゾル発生装置10のアイドル時間、予熱長さ、エアロゾル発生(吸引(draw))長さ、アイドル時間とエアロゾル発生(吸引)長さとの組み合わせ、ホットカプセル警告を判定する電力使用時間(例えば、インスタンス終了後30秒)等を追跡できるようにするための、発振回路のようなタイミング機構であり得る。クロック回路2128は、エアロゾル発生装置10用のシステムクロックを生成するように構成された専用の外部クロック水晶を有し得る。
【0108】
メモリ2130は、制御部2105が本明細書で説明するアルゴリズムを実行するための動作パラメータ及びコンピュータが読み取り可能な命令を記憶する不揮発性メモリであり得る。一例として、メモリ2130は、フラッシュメモリのような電気的に消去可能なプログラマブル読み取り専用メモリ(EEPROM)であり得る。
【0109】
さらに図3を参照すると、装置センサ2125は、センサもしくは測定情報を示す信号を制御部2105に提供するように構成された複数のセンサ又は測定回路を含み得る。図3に示す例では、装置センサ2125は、ヒーター電流測定回路21258と、ヒーター電圧測定回路21252と、補償電圧測定回路21250とを有する。図3の電気システムは、図1A~2Fを参照して説明したセンサをさらに有し得る。
【0110】
ヒーター電流測定回路21258は、ヒーター336を流れる電流を示す信号(例えば、電圧)を出力するように構成され得る。ヒーター電流測定回路21258の例示的な実施形態については、図5を参照して後に詳述する。
【0111】
ヒーター電圧測定回路21252は、ヒーター336にかかる電圧を示す信号(例えば、電圧)を出力するように構成され得る。ヒーター電圧測定回路21252の例示的な実施形態については、図4を参照して後に詳述する。
【0112】
補償電圧測定回路21250は、カプセル100とエアロゾル発生装置10との間の電力インターフェース(例えば、電気コネクタ)の抵抗を示す信号(例えば、電圧)を出力するように構成され得る。いくつかの例示的な実施形態において、補償電圧測定回路21250は、制御部2105に対し補償電圧測定信号を提供し得る。補償電圧測定回路21250の例示的な実施形態については、図6A~6Bを参照して後でさらに詳しく説明する。
【0113】
前述したとおり、補償電圧測定回路21250と、ヒーター電流測定回路21258と、ヒーター電圧測定回路21252とは、マルチチャネルADCのピンを介して制御部2105に接続されている。エアロゾル発生装置10とカプセル100との特性及び/又はパラメータ(例えば、ヒーター336の電圧、電流、抵抗、温度等)を測定するために、制御部2105のマルチチャネルADCは、それぞれの装置センサによって測定される所定の特性及び/又はパラメータに適したサンプリングレートで、装置センサ2125からの出力信号をサンプリングし得る。
【0114】
エアロゾル発生装置電気システム2100は、エアロゾル発生装置10を通る気流を測定するためのセンサ1248を有し得る。少なくとも1つの例示的な実施形態において、センサは、微小な電気機械システム(microelectromechanical system(MEMS))流量もしくは圧力センサ、又は熱線式風速計のような気流を測定するように構成された別のタイプのセンサであり得る。例示的な実施形態において、気流を測定するためのセンサの制御部2105への出力は、デジタルインターフェース又はSPIを介した流量(ml/s又はcm/s)の瞬間的な測定である。他の例示的な実施形態において、センサは、熱線式風速計、デジタルMEMSセンサ、又は他の既知のセンサであり得る。流量センサは、流量値が1mL/s以上のときに吸引(draw)を検出し、その後流量値が0mL/sに低下したときに吸い込みを終了することにより、吸入(puff)センサとして動作し得る。別の例では、流量センサは、流量値が1mL/s以上のときに吸い込みを検出し、その後流量値が1mL/s以下に低下したときに吸い込みを終了することにより、吸入(puff)センサとして動作し得る。例示的な実施形態では、センサ1248は、MEMSフローセンサベースの差圧センサであり、差圧(パスカル単位)はカーブフィッティング校正関数又は(差圧読み取り値ごとの流量値の)ルックアップテーブルを使用して瞬間の流量読み取り値(mL/s)に変換され得る。別の例示的な実施形態では、流量センサは、容量式圧力降下センサであり得る。
【0115】
加熱エンジン制御回路2127は、GPIOピンを介して制御部2105に接続されている。加熱エンジン制御回路2127は、ヒーター336への電力を制御することにより、エアロゾル発生装置10のヒーター336を制御(有効化及び/又は無効化)するように構成されている。
【0116】
制御部2105は、エアロゾル発生装置10の状態及び/又は動作を成人の操作者に対して示すように、エアロゾルインジケータ2135を制御し得る。エアロゾルインジケータ2135は、少なくとも部分的にライトガイドを介して実装されてもよく、制御部2105が成人の操作者によって押されたボタンを感知したときに作動する電力インジケータ(例えば、LED)を含み得る。エアロゾルインジケータ2135はまた、バイブレータ、スピーカー、又は他のフィードバック機構を含んでもよく、成人の操作者が制御するエアロゾル発生パラメータ(例えば、エアロゾル量)の現在の状態を示し得る。
【0117】
さらに図3を参照すると、制御部2105は、加熱プロファイル(例えば、体積、温度、香味等に基づく加熱)に従ってエアロゾル形成基材を加熱するように、ヒーター336への電力を制御し得る。加熱プロファイルは、経験的なデータに基づいて判定されてもよく、エアロゾル発生装置10のメモリ2130に保存され得る。
【0118】
図4は、ヒーター電圧測定回路21252の例示的な実施形態を示す。
【0119】
図4を参照すると、ヒーター電圧測定回路21252は、入力電圧信号COIL_OUTを受け取るように構成された端子とグランドとの間に、分圧構成で接続された抵抗器3702と抵抗器3704とを有する。抵抗器3702の抵抗は、8.2キロオームであってもよく、抵抗器3704の抵抗は、3.3キロオームであってもよい。入力電圧信号COIL_OUTは、ヒーター336に入力される電圧(ヒーター336の入力端子における電圧)である。抵抗器3702と抵抗器3704との間のノードN3716は、演算増幅器(オペアンプ)3708の正入力に結合されている。ノードN3716とグランドとの間にコンデンサ3706が接続され、オペアンプ3708の正入力に入力される電圧を安定化させるローパスフィルタ回路(R/Cフィルタ)を形成する。コンデンサ3706の静電容量は、例えば、18ナノファラッドであってもよい。フィルタ回路はまた、ヒーター336への通電に使用されるPWM信号によって誘発されるスイッチングノイズによる精度不良を低減することができ、電流及び電圧の双方に対して同じ位相応答又は群遅延を有し得る。
【0120】
ヒーター電圧測定回路21252は、さらに、抵抗器3710及び3712と、コンデンサ3714とを有する。抵抗器3712は、ノードN3718と、出力電圧信号COIL_RTNとを受け取るように構成された端子との間に接続され、例えば8.2キロオームの抵抗を有し得る。出力電圧信号COIL_RTNは、ヒーター336から出力される電圧(ヒーター336の出力端子における電圧)である。
【0121】
抵抗器3710とコンデンサ3714とは、ノードN3718とオペアンプ3708の出力との間に並列に接続されている。例えば、抵抗器3710の抵抗値は3.3キロオーム、コンデンサ3714の静電容量は18ナノファラッドであり得る。オペアンプ3708の負入力もノードN3718に接続されている。抵抗器3710及び3712と、コンデンサ3714とは、ローパスフィルタ回路の構成で接続されている。
【0122】
ヒーター電圧測定回路21252は、オペアンプ3708を使用して、入力電圧信号COIL_OUTと出力電圧信号COIL_RTNとの間の電圧差を測定し、スケーリングされたヒーター電圧測定信号COIL_VOLを出力し、ここで、ヒーター電圧測定信号COIL_VOLは、ヒーター336にかかる電圧を示す。制御部2105によるデジタルサンプリング及び測定のために、ヒーター電圧測定回路21252は、スケーリングされたヒーター電圧測定信号COIL_VOLを、制御部2105によるデジタルサンプリング及び測定のために、制御部2105のADCピンに出力する。
【0123】
電圧測定のダイナミックレンジを向上させるために、周囲の受動電気素子(例えば、抵抗器及びコンデンサ)に基づいてオペアンプ3708のゲインが設定され得る。一例では、オペアンプ3708のダイナミックレンジは、最大電圧出力がADCの最大入力レンジ(例えば、約2.5V)に一致するように電圧をスケーリングすることによって達成され得る。少なくとも1つの例示的な実施形態において、スケーリングは1Vあたり約402mVであり、したがってヒーター電圧測定回路21252は、最大で約2.5V/0.402V=6.22Vを測定し得る。
【0124】
電圧信号COIL_OUT及びCOIL_RTNは、それぞれダイオード3720及び3722によってクランプされ、静電気放電(ESD)事象によるダメージのリスクを低減する。
【0125】
いくつかの例示的な実施形態において、4線式/ケルビン測定が使用されてもよく、ヒーター336とエアロゾル発生装置10との間の電力インターフェース(例えば、電気コネクタ)の接触抵抗及びバルク抵抗を考慮するために、電圧信号COIL_OUT及びCOIL_RTNは、測定接点((主電力接点とは対照的に)電圧検出接続とも呼ばれる)において測定され得る。
【0126】
図5は、図3に示したヒーター電流測定回路21258の例示的な実施形態を示す図である。
【0127】
図5を参照すると、出力電流信号COIL_RTN_Iは、グランドに接続された4端子(4T)測定抵抗器3802に入力される。4端子測定抵抗器3802にかかる差動電圧がオペアンプ3806によってスケーリングされることにより、ヒーター336を流れる電流を示すヒーター電流測定信号COIL_CURが出力される。制御部2105における、ヒーター336を流れる電流のデジタルサンプリング及び測定のために、ヒーター電流測定信号COIL_CURは、制御部2105のADCピンに出力される。
【0128】
図5に示す例示的な実施形態において、4線式/ケルビン電流測定技術を使用した電流測定の誤差を低減するために、4端子測定抵抗器3802が使用され得る。この例では、電流測定経路を電圧測定経路から分離することで、電圧測定経路のノイズを低減し得る。
【0129】
オペアンプ3806のゲインは、測定のダイナミックレンジを改善するように設定され得る。この例では、オペアンプ3806のスケーリングは、約0.820V/Aであってもよく、よってヒーター電流測定回路21258は、最大で約2.5V/(.820V/A)=3.5Aを測定し得る。
【0130】
図5をより詳細に参照すると、4端子測定抵抗器3802の第1端子は、出力電流信号COIL_RTN_Iを受信するヒーター336の端子に接続されている。4端子測定抵抗器3802の第2端子は、グランドに接続されている。4端子測定抵抗器3802の第3端子は、抵抗器3804と、コンデンサ3808と、抵抗器3810とを含むローパスフィルタ回路(R/Cフィルタ)に接続されている。抵抗器3804の抵抗は100オーム、抵抗器3810の抵抗は8.2キロオーム、コンデンサ3808の静電容量は3.3ナノファラッドであり得る。
【0131】
ローパスフィルタ回路の出力は、オペアンプ3806の正入力に接続されている。ローパスフィルタ回路は、ヒーター336に通電するために印加されるPWM信号によって誘起されるスイッチングノイズによる不正確さを低減し得、また、電流及び電圧の双方に対して同じ位相応答又は群遅延を有し得る。
【0132】
ヒーター電流測定回路21258はさらに、抵抗器3812及び3814と、コンデンサ3816とを有する。抵抗器3812及び3814とコンデンサ3816とは、4端子測定抵抗器3802の第4端子と、オペアンプ3806の負入力と、オペアンプ3806の出力とに対し、ローパスフィルタ回路の構成で接続されており、ローパスフィルタ回路の出力は、オペアンプ3806の負入力に接続されている。例えば、抵抗器3812及び3814の抵抗はそれぞれ、100オーム及び8.2キロオームであってもよく、コンデンサ3816の静電容量は、3.3ナノファラッドであり得る。
【0133】
制御部2105による、ヒーター336を流れる電流のサンプリング及び測定のために、オペアンプ3806は、ヒーター電流測定信号COIL_CURの差動電圧を制御部2105のADCピンに出力する。
【0134】
少なくともこの例示的な実施形態によれば、ヒーター電流測定回路21258の構成は、抵抗器3804及び3810とコンデンサ3808とを有するローパスフィルタ回路が4端子測定抵抗器3802の端子に接続され、抵抗器3812及び3814とコンデンサ3816とを有するローパスフィルタ回路が4端子測定抵抗器3802の別の端子に接続されることを除いて、ヒーター電圧測定回路21252の構成と同様である。
【0135】
制御部2105は、エアロゾル発生装置10で使用される「刻み」時間('tick' time)(制御ループの反復時間)に対応する時間ウィンドウ(例えば、約1ms)にわたって複数のサンプル(例えば、電圧)を平均化してもよく、スケーリング値の適用を通じて、平均値を、ヒーター336にかかる電圧及びヒーター336を通る電流の数学的表現に変換し得る。スケーリング値は、それぞれのオペアンプに実装されたゲイン設定に基づいて判定されてもよく、これは、エアロゾル発生装置10のハードウェアに固有であり得る。
【0136】
制御部2105は、測定ノイズを減衰させるために、例えば3タップ移動平均フィルタを使用して、変換された電圧及び電流測定値をフィルタリングし得る。そして、制御部2105は、フィルタリングされた測定値を使用して、ヒーター336の抵抗RHEATER(RHEATER=COIL_VOL/COIL_CUR)、ヒーター336に印加される電力PHEATER(PHEATER=COIL_VOL*COIL_CUR)等を計算し得る。
【0137】
1つ以上の例示的な実施形態によれば、図4及び/又は図5に示す回路の受動素子のゲイン設定は、出力信号範囲を制御部2105の入力範囲に一致させるように調整され得る。
【0138】
図6Aは、1つ以上の例示的な実施形態に係る、別体の補償電圧測定回路を有するエアロゾル発生装置の電気システムを示す。
【0139】
図6Aに示すように、ヒーター336とエアロゾル発生装置電気システム2100との間の接点インターフェースは、入力電力接点6100と、入力測定接点6200と、出力測定接点6300と、出力電力接点6400とを有する4線式/ケルビン配線を有する。
【0140】
電圧測定回路21252Aは、入力測定接点6200で測定電圧COIL_OUT_MEASを受け取り、出力測定接点6300で出力測定電圧COIL_RTN_MEASを受け取る。電圧測定回路21252Aは、図4に図示された電圧測定回路21252と同じ回路であり、スケーリングされたヒーター電圧測定信号COIL_VOLを出力する。図4では、COIL_OUT及びCOIL_RTNが図示されているが、別体の補償電圧測定回路が設けられない例示的な実施形態では、電圧測定回路21252は、入力及び出力電力接点6100及び6400の代わりに、入力及び出力測定接点6200及び6300で電圧を受信し得ることを理解されたい。
【0141】
図6Aに示すシステムは、補償電圧測定回路21250をさらに有する。補償電圧測定回路21250は、入力電力接点6100で電圧COIL_OUTを受け、出力電力接点6400で電圧COIL_RTNを受け、補償電圧測定信号VCOMPを出力する以外は、電圧測定回路21252Aと同じである。
【0142】
電流測定回路21258は、出力電流信号COIL_RTN_Iを出力電力接点6400において受け取り、ヒーター電流測定信号COIL_CURに出力する。
【0143】
図6Bは、例示的な実施形態に係る、ヒーターの目標電力を調整するために補償電圧測定信号を使用する方法を示す。
【0144】
制御部2105は、図6Bに示す方法を実行し得る。
【0145】
S6500において、制御部は、ヒーターの電力供給ループを開始する。6505において、制御部は、メモリから動作パラメータ(例えば、加熱エンジン制御回路の閾値電圧、電力損失閾値、ウェッティングタイマー限界値)を引き出す。
【0146】
ステップ6510において、制御部は、接点PCONTACTで損失した電力が、損失閾値を超えたか否かを判定する。制御部は、接点PCONTACTで損失した電力を、以下のように判定し得る。
PCONTACT=abs((VCOMP*COIL_CUR)-(COIL_VOL*COIL_CUR))
【0147】
損失閾値は、絶対値(例えば3W)又はヒーターに印加される電力のうちの割合(例えば25%)であり得る。
【0148】
損失電力PCONTACTが損失閾値以下であると制御部が判定した場合、制御部は、S6515において、ウェッティングフラグをクリアする。制御部は、S6520において補償電圧測定信号VCOMPを監視し、S6525において補償電圧測定信号VCOMPが閾値電圧VMAXを超えたか否かを判定する。閾値電圧VMAXは、加熱エンジン制御回路2127の定格電圧であり得る。
【0149】
補償電圧測定信号VCOMPが閾値電圧VMAXを超えていないと制御部が判定した場合、制御部は、S6530において次の反復(すなわち、次の刻み時間(tick time))に進む。補償電圧測定信号VCOMPが閾値電圧VMAXを上回っていると制御部が判定した場合、制御部は、S6532において次の反復のためにヒーターの電力目標を低減し、6530において次の反復に進む。
【0150】
したがって、電力損失PCONTACTが損失閾値よりも小さい場合、制御部は、接触加熱効果を低減するために印加電力を低減し得る。
【0151】
S6510に戻り、損失電力PCONTACTが損失閾値よりも大きいと制御部が判定した場合、制御部は、6535において、ウェッティングフラグが設定されているか否かを判定する。S6535において、ウェッティングフラグが設定されていると制御部が判定した場合、制御部は、S6550において、加熱を終了する(例えば、ヒーターに電力を供給しない)。
【0152】
S6535において、ウェッティングフラグが設定されていないと制御部が判定した場合、制御部は、S6540において、ウェッティングタイマーが動作中であるか否かを判定する。ウェッティング時間は、所望の又は選択された期間(例えば200ms)の間、電力損失の増加を許容するために使用される。
【0153】
制御部が、ウェッティングタイマーが動作していないと判定した場合、制御部は、S6545において、ウェッティングタイマーを開始し、6520における補償電圧測定信号VCOMPの監視に進む。
【0154】
S6540において、制御部が、ウェッティングタイマーが動作中であると判定した場合、S6555において、制御部は、ウェッティングタイマーが満了したか否かを判定する。制御部が、ウェッティングタイマーが満了していないと判定した場合、制御部は、S6520における補償電圧測定信号VCOMPの監視に進む。従って、接点PCONTACTにおける電力損失が電力損失閾値よりも大きいことは、ウェッティングタイマーが依然動作中であれば許容される。
【0155】
ウェッティングタイマーが満了したと制御部が判定した場合、制御部は、6560においてウェッティングフラグを設定する。次に、制御部は、接点PCONTACTでの電力損失が損失閾値を下回るように、S6565においてヒーターの電力目標を低減し、制御部は6520における補償電圧測定信号VCOMPの監視に進む。より具体的には、制御部は、PIDコントローラによって使用可能な電力の上限を設定する(言い換えると、PIDループが全電力範囲を使用することができるのではなく、12Wではなく6Wのような低い範囲に制限される)。制御部は、引き続き同じ温度誤差入力を使用するが、上限電力が下がるため、応答が遅くなる。
【0156】
他の例示的な実施形態では、制御部が温度目標を変更し得る。
【0157】
接点抵抗は、温度によって変化し(あるいは接点の酸化層を除去する「ウェッティング電流」によって低下し得る)、その結果、電力接点において損失する電力の割合が使用中に変化し得る。接点での電力損失を補償することで、電気システムは、ヒーターへの電力供給を改善する(例えば、ウェッティング効果が発生した後、電力を増加させることでヒーターの温度を達成するまでの待ち時間を短縮することができる)。
【0158】
図6Bに示される電力供給ループのその後の各反復において、制御部2105は、(例えば、接触力の変化に対応するために)「ウェッティング」処理に再び入り得るが、ウェッティングフラグは、制御部が処理を継続的に再起動しないことを保証するために使用される。
【0159】
図7A~7Cは、例示的な実施形態に係る加熱エンジン制御回路を示す回路図である。図7A~7Cに示す加熱エンジン制御回路は、図3に示す加熱エンジン制御回路2127の一例である。
【0160】
加熱エンジン制御回路は、ブーストコンバータ回路7020(図7A)と、第1段(first stage)7040(図7B)と、第2段(second stage)7060(図7C)とを有する。
【0161】
ブーストコンバータ回路7020は、第1電力イネーブル信号PWR_EN_VGATE(シャットダウン信号とも呼ばれる)に基づいて、電圧源BATTから電圧信号VGATE(例えば9Vの供給)(電力信号又は入力電圧信号とも呼ばれる)を生成し、第1段7040に電力を供給するように構成されている。エアロゾル発生装置が使用可能な状態になると、制御部は、第1電力イネーブル信号PWR_EN_VGATEを生成して論理ハイレベルにすることができる。言い換えると、少なくとも、カプセルがエアロゾル発生装置に適切に接続されていることを制御部が検出すると、第1電力イネーブル信号PWR_EN_VGATEが論理ハイレベルになる。他の例示的な実施形態では、カプセルがエアロゾル発生装置に適切に接続されていることを制御部が検出し、ボタンが押される等の動作を制御部が検出すると、第1電力イネーブル信号PWR_EN_VGATEは、論理ハイレベルになる。
【0162】
第1段7040は、ブーストコンバータ回路7020からの入力電圧信号VGATEを利用して加熱エンジン制御回路2127を駆動する。第1段7040及び第2段7060は、バックブーストコンバータ回路を構成する。
【0163】
図7Aに示す例示的な実施形態において、ブーストコンバータ回路7020は、第1イネーブル信号PWR_EN_VGATEがアサートされている(存在する)場合にのみ、入力電圧信号VGATEを生成する。制御部2105は、第1イネーブル信号PWR_EN_VGATEをデアサート(停止又は終了)することにより、第1段7040への電力をVGATEしてカットし得る。第1イネーブル信号PWR_EN_VGATEは、装置1000でエアロゾル発生OFF動作を行うための装置状態電力信号として機能し得る。この例では、制御部2105は、第1イネーブル信号PWR_EN_VGATEをデアサートすることによってエアロゾル発生OFF動作を行い得るが、これにより第1段7040と、第2段7060と、ヒーター336とへの電力を無効にすることができる。その後、制御部2105は、ブーストコンバータ回路7020に再び第1イネーブル信号PWR_EN_VGATEをアサートすることで、装置1000におけるエアロゾル発生を有効にし得る。
【0164】
制御部2105は、装置1000でのエアロゾル発生条件に応答して第1段7040及びヒーター336への電力を有効にするために、ブーストコンバータ回路7020が高レベル(9V又はおよそ9V)の入力電圧信号VGATEを出力するような論理レベルで、第1イネーブル信号PWR_EN_VGATEを生成し得る。制御部2105は、第1段7040及びヒーター336への電力を無効にしてヒーターOFF動作を行うことができるように、ブーストコンバータ回路7020が低レベル(0V又はおよそ0V)の入力電圧信号VGATEを出力するような別の論理レベルで、第1イネーブル信号PWR_EN_VGATEを生成し得る。
【0165】
図7Aのブーストコンバータ回路7020をより詳細に参照すると、コンデンサC36が電圧源BATTとグランドとの間に接続されている。コンデンサC36は、10マイクロファラッドの静電容量を有し得る。
【0166】
インダクタL1006の第1端子は、電圧源BATTとコンデンサC36との間のノードNode1に接続されている。インダクタL1006は、ブーストコンバータ回路7020の主記憶素子として機能する。インダクタL1006のインダクタンスは10マイクロヘンリーであり得る。
【0167】
ノード1は、ブーストコンバータチップU11電圧入力ピンA1に接続されている。いくつかの例示的な実施形態では、ブーストコンバータチップは、TPS61046であり得る。
【0168】
インダクタL1006の第2端子は、ブーストコンバータチップU11のスイッチピンSWに接続されている。ブーストコンバータチップU11のイネーブルピンENは、制御部2105から第1イネーブル信号PWR_EN_VGATEを受け取るように構成されている。
【0169】
図7Aに示す例では、ブーストコンバータチップU11がブーストコンバータ回路7020の主スイッチング素子として機能する。
【0170】
抵抗器R53は、ブーストコンバータチップU11のイネーブルピンENとグランドとの間に接続され、第1イネーブル信号PWR_EN_GATEが不定状態の時にヒーター336の動作を確実に阻止するためのプルダウン抵抗として機能する。いくつかの例示的な実施形態では、抵抗器R53の抵抗は、100キロオームであり得る。
【0171】
ブーストコンバータチップU11の電圧出力ピンVOUTは、抵抗器R49の第1端子とコンデンサC58の第1端子とに接続されている。コンデンサC58の第2端子は、グランドに接続されている。電圧出力ピンVOUTから出力される電圧は、入力電圧信号VGATEである。
【0172】
抵抗器R49の第2端子と抵抗器R51の第1端子とは、第2ノードNode2で接続されている。第2ノードNode2は、ブーストコンバータチップU11のフィードバックピンFBに接続されている。ブーストコンバータチップU11は、抵抗器R51の抵抗に対する抵抗器R49の抵抗の比を用いて、約9Vの入力電圧信号VGATEを生成するように構成されている。いくつかの例示的な実施形態では、抵抗器R49は、680キロオームの抵抗を有していてもよく、抵抗器R51は66.5キロオームの抵抗を有していてもよい。
【0173】
コンデンサC36及びC58は、平滑コンデンサとして動作し、それぞれ10マイクロファラッド及び4.7マイクロファラッドの静電容量を有し得る。インダクタL1006は、所望の出力電圧(例えば、9V)に基づいて選択されたインダクタンスを有し得る。
【0174】
次に図7Bを参照すると、第1段7040は、入力電圧信号VGATEと第2イネーブル信号COIL_Zとを受信する。第2イネーブル信号は、パルス幅変調(PWM)信号であり、第1段7040への入力である。
【0175】
第1段7040は、制御部2105からの低電流信号を、第1段7040のトランジスタのスイッチングを制御するための高電流信号に変換するように構成された集積ゲートドライバU6を、特に有する。集積ゲートドライバU6はまた、制御部2105からの電圧レベルを第1段7040のトランジスタが必要とする電圧レベルに変換するように構成されている。図7Bに示す例示的な実施形態では、集積ゲートドライバU6はハーフブリッジドライバである。しかし、例示的な実施形態は、この例に限定されるべきではない。
【0176】
より詳細には、ブーストコンバータ回路7020からの入力電圧信号VGATEは、抵抗器R22とコンデンサC32とを含むフィルタ回路を介して、第1段7040に入力される。抵抗器R22の抵抗は10オームであってもよく、コンデンサC32の静電容量は1マイクロファラッドであってもよい。
【0177】
抵抗器R22とコンデンサC32とを含むフィルタ回路は、ノードNode3において、集積ゲートドライバU6のVCCピン(ピン4)と、ツェナーダイオードD2のアノードとに接続されている。コンデンサC32の第2端子は、グランドに接続されている。ツェナーダイオードD2のアノードは、ノードNode7において、コンデンサC32の第1端子と、集積ゲートドライバU6のブーストピンBST(ピン1)とに接続されている。コンデンサC31の第2端子は、ノードNode8において、集積ゲートドライバU6のスイッチングノードピンSWN(ピン7)と、トランジスタQ2及びQ3の間とに接続される。図7Bに示す例示的な実施形態では、ツェナーダイオードD2及びコンデンサC31は、入力電圧ピンVCCと集積ゲートドライバU6のブーストピンBSTとの間に接続されたブートストラップチャージポンプ回路の一部を形成している。コンデンサC31は、ブーストコンバータ回路7020から入力電圧信号VGATEに接続されているため、ダイオードD2を介して入力電圧信号VGATEとほぼ等しい電圧まで充電される。コンデンサC31の静電容量は、220ナノファラッドであり得る。
【0178】
さらに図7Bを参照すると、抵抗器R25がハイサイドゲートドライバピンDRVH(ピン8)とスイッチングノードピンSWN(ピン7)との間に接続されている。抵抗器R29の第1端子は、ノードNode9でローサイドゲートドライバピンDRVLに接続されている。抵抗器R29の第2端子は、グランドに接続されている。
【0179】
抵抗器R23及びコンデンサC33は、集積ゲートドライバU6の入力ピンIN(ピン2)に接続されたフィルタ回路を形成する。フィルタ回路は、入力ピンINに入力される第2ヒーターイネーブル信号COIL_Zから高周波ノイズを除去するように構成されている。第2ヒーターイネーブル信号COIL_Zは、制御部2105からのPWM信号である。したがって、フィルタ回路は、PWM方形波パルス列の高周波成分をフィルタリングし、方形波エッジの立ち上がり及び立ち下がりの時間をわずかに短縮し、トランジスタが徐々に起動/終了(ON/OFF)するように設計されている。
【0180】
抵抗器R24は、ノードNode10において、フィルタ回路と入力ピンINとに接続されている。抵抗器R24は、第2ヒーターイネーブル信号COIL_Zがフローティング(又は不定)の場合に、集積ゲートドライバU6の入力ピンINが論理ローレベルに保持され、ヒーター336の起動が防止されるようなプルダウン抵抗として使用される。
【0181】
抵抗器R30及びコンデンサC37は、集積ゲートドライバU6のピンOD(ピン3)に接続されたフィルタ回路を形成する。フィルタ回路は、ピンODに入力される入力電圧信号VGATEから高周波ノイズを除去するように構成されている。
【0182】
抵抗器R31は、ノードNode11において、フィルタ回路とピンODとに接続されている。抵抗器R31は、入力電圧信号VGATEがフローティング(又は不定)の場合に、集積ゲートドライバU6のピンODが論理ローレベルに保持され、ヒーター336の起動が防止されるようなプルダウン抵抗として使用される。抵抗器R30とコンデンサC37とで形成されるフィルタ回路が出力する信号を、フィルタリング信号GATEONと呼ぶ。R30とR31とは分周回路でもあり、信号VGATEは、トランジスタドライバチップ入力用に~2.5Vに分圧される。
【0183】
トランジスタQ2及びQ3は、電圧源BATTとグランドとの間に直列に接続された電界効果トランジスタ(FET)である。さらに、インダクタL3の第1端子は、電圧源BATTに接続されている。インダクタL3の第2端子は、ノードNode12において、コンデンサC30の第1端子と、トランジスタQ2のドレインとに接続されている。コンデンサC30の第2端子は、グランドに接続されている。インダクタL3及びコンデンサC30は、電圧源BATTからの過渡スパイクを低減及び/又は防止するためのフィルタを形成する。
【0184】
トランジスタQ3のゲートは、集積ゲートドライバU6のローサイドゲートドライバピンDRVL(ピン5)に接続され、トランジスタQ3のドレインは、ノードNode8で集積ゲートドライバU6のスイッチングノードピンSWN(ピン7)に接続され、トランジスタQ3のソースは、グランドGNDに接続されている。ローサイドゲートドライバピンDRVLから出力されたローサイドゲート駆動信号がハイのとき、トランジスタQ3は、ローインピーダンス状態(ON)となり、ノードNode8をグランドに接続する。
【0185】
上述したように、コンデンサC31は、ブーストコンバータ回路7020から入力電圧信号VGATEに接続されているため、コンデンサC31はダイオードD2を介して入力電圧信号VGATEと等しいか実質的に等しい電圧に充電される。
【0186】
ローサイドゲートドライバピンDRVLからのローサイドゲート駆動信号出力がローの時、トランジスタQ3は、ハイインピーダンス状態(OFF)に切り替わり、ハイサイドゲートドライバピンDRVH(ピン8)は、集積ゲートドライバU6内のブーストピンBSTに内部接続される。その結果、トランジスタQ2はローインピーダンス状態(ON)となり、スイッチングノードSWNを電圧源BATTに接続して、スイッチングノードSWN(Node8)を電圧源BATTの電圧に引き込む。
【0187】
この場合、ノードNode7は、ブートストラップ電圧V(BST)≒V(VGATE)+V(BATT)に上昇され、これにより、トランジスタQ2のゲートーソース間電圧は、電圧源BATTからの電圧とは無関係に(又は独立に)、入力電圧信号VGATEの電圧(例えば、V(VGATE))と同一又は略同一になる。この回路配置により、電圧源の電圧が低下してもBST電圧が変化しない、すなわち電圧源BATTの電圧が変化してもトランジスタが効率的にスイッチングされる。
【0188】
その結果、スイッチングノードSWN(Node8)は、バッテリ電圧源BATTに等しい最大値を有する第2段7060への電圧出力(及びヒーター336への電圧出力)を生成するために使用され得る大電流スイッチング信号を提供するが、それ以外はバッテリ電圧源BATTからの電圧出力から略独立している。
【0189】
コンデンサC34の第1端子とツェナーダイオードD4のアノードとは、ノードNode13で第2段7060の出力端子に接続されている。コンデンサC34と抵抗器R28とは、直列に接続されている。コンデンサC34の第2端子と、抵抗器R28の第1端子とが接続されている。ツェナーダイオードD4のカソードと抵抗器R28の第2端子とは、グランドに接続されている。
【0190】
コンデンサC34、ツェナーダイオードD4、及び抵抗器R28は、インダクタL4(図7Cに示す)からのエネルギーが第1段7040に逆流するのを防止する逆起電力(電界及び磁界)防止回路を形成する。
【0191】
抵抗器R25は、トランジスタQ2のゲートとトランジスタQ3のドレインとの間に接続されている。抵抗器R25は、トランジスタQ2がより確実にハイインピーダンスに切り替わるようにするためのプルダウン抵抗として機能する。
【0192】
第1段7040の出力は、電圧源の電圧とは略独立であり、電圧源の電圧以下である。第2ヒーターイネーブル信号COIL_Zが100%PWMのとき、トランジスタQ2は常に活性化され、第1段7040の出力は、電圧源の電圧又は略電圧源の電圧となる。
【0193】
図7Cは第2段7060を示す。第2段7060は、第1段7040からの出力信号を昇圧する。より具体的には、第2ヒーターイネーブル信号COIL_Zが一定の論理ハイレベルになると、第3イネーブル信号COIL_Xが活性化され、第1段7040の出力を昇圧し得る。第3イネーブル信号COIL_Xは、制御部2105からのPWM信号である。制御部2105は、第3イネーブル信号COIL_Xのパルス幅を制御して第1段7040の出力を昇圧し、入力電圧信号COIL_OUTを生成する。第3イネーブル信号COIL_Xが一定の論理ローレベルのとき、第2段7060の出力は、第1段7040の出力となる。
【0194】
第2段7060は、入力電圧信号VGATEと、第3イネーブル信号COIL_Xと、フィルタリングされた信号GATEONとを受け取る。
【0195】
第2段7060は、制御部2105からの低電流信号を、第2段7060のトランジスタのスイッチングを制御するための高電流信号に変換するように構成された集積ゲートドライバU7を特に有する。集積ゲートドライバU7は、制御部2105からの電圧レベルを第2段7060のトランジスタが必要とする電圧レベルに変換するようにも構成されている。図7Bに示す例示的な実施形態では、集積ゲートドライバU7は、ハーフブリッジドライバである。ただし、例示的な実施形態は、この例に限定されるべきではない。
【0196】
より詳細には、ブーストコンバータ回路7020からの入力電圧信号VGATEは、抵抗器R18とコンデンサC28とを含むフィルタ回路を介して第2段7060に入力される。抵抗器R18の抵抗は10オームであってもよく、コンデンサC28の静電容量は1マイクロファラッドであってもよい。
【0197】
抵抗器R18及びコンデンサC28を含むフィルタ回路は、ノードNode14において、集積ゲートドライバU7のVCCピン(ピン4)と、ツェナーダイオードD1のアノードとに接続されている。コンデンサC28の第2端子は、グランドに接続されている。ツェナーダイオードD2のアノードは、ノードNode15において、コンデンサC27の第1端子と、集積ゲートドライバU7のブーストピンBST(ピン1)とに接続されている。コンデンサC27の第2端子は、ノードNode16において、集積ゲートドライバU7のスイッチングノードピンSWN(ピン7)と、トランジスタQ1及びQ4の間とに接続される。
【0198】
図7Cに示す例示的な実施形態では、ツェナーダイオードD1及びコンデンサC27は、入力電圧ピンVCCと集積ゲートドライバU7のブーストピンBSTとの間に接続されたブートストラップチャージポンプ回路の一部を形成している。コンデンサC27は、ブーストコンバータ回路7020から入力電圧信号VGATEに接続されているため、ダイオードD1を介して入力電圧信号VGATEと概ね等しい電圧まで充電される。コンデンサC31は、220ナノファラッドの静電容量を有し得る。
【0199】
さらに図7Cを参照すると、抵抗器R21は、ハイサイドゲートドライバピンDRVH(ピン8)とスイッチングノードピンSWN(ピン7)との間に接続されている。トランジスタQ4のゲートは、集積ゲートドライバU7のローサイドゲートドライバピンDRVL(ピン5)に接続されている。
【0200】
インダクタL4の第1端子は、第1段7040の出力に接続され、インダクタL4の第2端子は、ノードNode16に接続される。インダクタL4は、第1段7040の出力の主蓄積素子として機能する。動作例では、集積ゲートドライバU7がローサイドゲートドライバピンDRVL(5番ピン)からローレベルの信号を出力すると、トランジスタQ4がローインピーダンス状態(ON)に切り替わり、インダクタL4及びトランジスタQ4に電流が流れる。これにより、インダクタL4にエネルギーが蓄積され、電流は時間とともに直線的に増加する。インダクタに流れる電流は、トランジスタのスイッチング周波数(これは第3ヒーターイネーブル信号COIL_Xによって制御される)に比例する。
【0201】
抵抗器R10及びコンデンサC29は、集積ゲートドライバU7の入力ピンのIN(ピン2)に接続されたフィルタ回路を形成する。フィルタ回路は、入力ピンINに入力される第3ヒーターイネーブル信号COIL_Xの高周波ノイズを除去するように構成されている。
【0202】
抵抗器R20は、ノードNode17において、フィルタ回路と入力ピンINとに接続されている。抵抗器R20は、プルダウン抵抗として使用され、第3ヒーターイネーブル信号COIL_Xがフローティング(又は不定)の場合、集積ゲートドライバU7の入力ピンINが論理ローレベルに保持され、ヒーター336の起動を防止する。
【0203】
抵抗器R30及びコンデンサC37は、集積ゲートドライバU6のピンOD(ピン3)に接続されたフィルタ回路を形成する。フィルタ回路は、ピンODに入力される入力電圧信号VGATEから高周波ノイズを除去するように構成されている。
【0204】
集積ゲートドライバU7のピンODは、フィルタリングされた信号GATEONを受信する。
【0205】
トランジスタQ1及びQ4は電界効果トランジスタ(FET)である。トランジスタQ1のゲートと、抵抗器R21の第1端子とは、ノードNode18において、集積ゲートドライバU7のハイサイドゲートドライバピンDRVH(ピン8)に接続されている。
【0206】
トランジスタQ1のソースは、ノードNode16において、抵抗器R21の第2端子と、ツェナーダイオードD3のアノードと、トランジスタQ4のドレインと、コンデンサC35の第1端子と、コンデンサC27の第2端子と、集積ゲートドライバU7のスイッチングノードピンSWN(ピン7)とに接続されている。
【0207】
トランジスタQ4のゲートは、ノードNode19において、集積ゲートドライバU7のローサイドゲートドライバピンDRVL(ピン5)と、抵抗器R27の第1端子とに接続されている。トランジスタQ4のソースと抵抗器R27の第2端子とは、グランドに接続されている。
【0208】
コンデンサC35の第2端子は、抵抗器R29の第1端子に接続されている。抵抗器R29の第2端子は、グランドに接続されている。
【0209】
トランジスタQ1のドレインは、ノードNode20において、コンデンサC36の第1端子と、ツェナーダイオードD3のカソードと、ツェナーダイオードD5のカソードとに接続されている。コンデンサC36の第2端子とツェナーダイオードD5のアノードとは、グランドに接続されている。第2段7060の出力端子7065は、ノードNode20に接続され、入力電圧信号COIL_OUTを出力する。出力端子7065は、加熱エンジン制御回路2127の出力として機能する。
【0210】
コンデンサC35は、平滑コンデンサであってもよく、抵抗器は、突入電流を制限する。ツェナーダイオードD3は、ノードNode20の電圧がコンデンサC35に放電するのを阻止するためのブロッキングダイオードである。コンデンサC36は、第2段7060によって充電される出力コンデンサ(COIL_OUTのリップルを低減する)であり、ツェナーダイオードD5は、ESD(静電気放電)保護ダイオードである。
【0211】
ローサイドゲートドライバピンDRVLからのローサイドゲート駆動信号出力がハイのとき、トランジスタQ4は、低インピーダンス状態(ON)であり、これによりノードNode16がグランドに接続され、インダクタL4の磁界に蓄積されるエネルギーが増加する。
【0212】
上述したように、コンデンサC27は、ブーストコンバータ回路7020から入力電圧信号VGATEに接続されているため、コンデンサC27は、ダイオードD1を介して入力電圧信号VGATEと等しいか実質的に等しい電圧まで充電する。
【0213】
ローサイドゲートドライバピンDRVLからのローサイドゲート駆動信号出力がローのとき、トランジスタQ4は、高インピーダンス状態(OFF)に切り替わり、ハイサイドゲートドライバピンDRVH(ピン8)は、集積ゲートドライバU7内のブートストラップピンBSTに内部接続される。その結果、トランジスタQ1は、低インピーダンス状態(ON)になり、スイッチングノードSWNがインダクタL4に接続される。
【0214】
この場合、ノードNode15は、ブートストラップ電圧V(BST)≒V(VGATE)+V(INDUCTOR)に上昇され、これにより、トランジスタQ1のゲートーソース間電圧は、インダクタL4からの電圧とは無関係に(又は独立に)、入力電圧信号VGATEの電圧(例えば、V(VGATE))と同一又は略同一になる。第2段7060は、ブースト回路であるため、ブートストラップ電圧もブースト電圧と呼ばれることがある。
【0215】
スイッチングノードSWN(Node8)がインダクタ電圧に接続され、出力コンデンサC36が充電されることで、第1段7040から出力される電圧とは略独立の電圧出力信号COIL_OUT(ヒーター336に出力される電圧)が生成される。
【0216】
図8A~8Bは、例示的な実施形態に係る、非燃焼エアロゾル発生装置内のヒーターを制御する方法を示す図である。
【0217】
多くの非燃焼性装置は、使用前に有機物質(タバコ等)の予熱を行う。予熱は、成人の操作者によって加えられる最初の負圧に含まれるエアロゾルの量及び組成が適切になるように、対象化合物が揮発し始める段階まで物質の温度を上昇させるために使用される。
【0218】
少なくともいくつかの例示的な実施形態において、予熱中にヒーターを制御するための基礎として印加エネルギーが使用される。ヒーターを制御するために印加エネルギーを使用することで、成人の操作者によって印加される最初の負圧の質と一貫性とを向上させる。対照的に、一般的には、予熱を制御するための基礎として、時間と温度とが使用される。
【0219】
図8A~8Bの方法は、制御部2105で実施され得る。一例では、図8A~8Bの方法は、制御部2105で実行されるデバイスマネージャ有限状態機械(Finite State Machine(FSM))ソフトウェア実装の一部として実装され得る。
【0220】
図8Aに示すように、この方法は、S805において、第1目標予熱温度に基づいて第1電力を適用するステップを有する。S805の例示的な実施形態を図8Bにさらに示す。
【0221】
図8Bに示すように、制御部は、カプセルがエアロゾル発生装置に挿入されたことを検出する。いくつかの例示的な実施形態では、制御部は、図1A~1Cに示されている、扉に連結された開閉スイッチから信号を取得する。他の例示的な実施形態では、エアロゾル発生装置は、カプセル検出スイッチをさらに有する(又は代替的に有する)。カプセル検出スイッチは、カプセルが適切に挿入されているか否かを検出する(例えば、カプセルが適切に挿入されると、カプセル検出スイッチが押し下げられる又は閉じる)。カプセルが正しく挿入されると、制御部は信号PWR_EN_VGATE(図7Aに示す)を論理ハイレベルとして生成し得る。さらに、制御部は、カプセルが挿入され、ヒーターの抵抗が規定範囲内(例えば±20%)であると判定するために、ヒーターの導通チェックを行い得る。
【0222】
カプセルが挿入された(スイッチによって検出された)後、及び/又は、エアロゾル発生装置10が(例えば、ボタンの操作によって)起動されたとき、ヒーター336は、加熱エンジン制御回路からの低電力信号(~1W)で短時間の間(~50ms)電力を供給されてもよく、抵抗は、このエネルギーのインパルスの間の測定電圧及び電流から計算されてもよい。測定された抵抗が規定範囲内(例えば、公称2100mΩ±20%)であれば、カプセルは許容とみなされ、システムは、エアロゾル発生に進み得る。
【0223】
低電力で短時間というのは、カプセルへの加熱を最小限に抑えるためである(エアロゾルの発生を防ぐため)。
【0224】
S825では、制御部は、メモリから動作パラメータを取得する。動作パラメータは、最大電力レベル(Pmax)と、初期予熱温度と、後続予熱温度と、予熱エネルギー閾値とを特定する値を含み得る。例えば、動作パラメータは、経験的データに基づいて事前に判定されてもよく、カプセルから得られた測定値(例えば、電圧や電流)に基づいて調整されてもよい。ただし、例示的な実施形態はこれに限定されない。追加的又は代替的に、動作パラメータは、マルチインスタンスデバイスの後続インスタンスに対する異なる初期予熱温度を含み得る。例えば、制御部は、最初のインスタンス用の動作パラメータと、2回目以降のインスタンス用の動作パラメータとを取得し得る。
【0225】
S830において、制御部は、エアロゾル発生装置に「ON」状態を表示させ得る。制御部は、エアロゾル発生装置に、「ON」状態を表示するための視覚インジケータ及び/又は触覚フィードバックを生成させ得る。
【0226】
S835において、制御部は、予熱が開始されたか否かを判定する。いくつかの例示的な実施形態では、制御部は、消費者が予熱を開始するボタンを押したことを示す製品上操作手段からの入力を受け取ると、予熱を開始し得る。いくつかの例示的な実施形態では、ボタンは、エアロゾル発生装置を起動(電源ON)するボタンとは別であってもよく、他の例示的な実施形態では、ボタンは、エアロゾル発生装置を起動(電源ON)するボタンと同じであってもよい。他の例示的な実施形態では、閾値を超える気流を検知する等の別の入力に基づいて予熱を開始し得る。他の例示的な実施形態では、製品上制御手段は、成人の操作者が1つ以上の温度プロファイル(メモリに記憶された動作パラメータに関連する各温度プロファイル)を選択することを可能にし得る。
【0227】
予熱が開始されていないと制御部が判定した場合、方法はS880に進み、制御部は、OFFタイマーが経過したか否かを判定する。OFFタイマーが経過していない場合、方法はS830に戻り、制御部がOFFタイマーが経過したと判定した場合、制御部は、S885でエアロゾル発生装置に「OFF」状態を表示させ、S890で終了(電源OFF)する。検出された気流が閾値を下回ると、OFFタイマーが開始する。OFFタイマーは、15分等の一定時間の無操作に基づいて「OFF」状態を表示するために使用される。ただし、例示的な実施形態は、15分に限定されない。例えば、OFFタイマーの継続時間は、約5分から約60分の間やそれ以上とすることができる。
【0228】
S835において、予熱が開始されたと制御部が判定した場合(例えば、製品上操作手段からの入力を検出した場合)、制御部は、製品上操作手段からの入力に関連付けられた動作パラメータをメモリから取得する。一例では、エアロゾル発生インスタンスがカプセルの最初のインスタンスでない場合、制御部は、インスタンス番号に関連付けられた動作パラメータを取得し得る。例えば、メモリは、インスタンス番号に基づいて異なる温度目標(例えば、インスタンス番号に対してそれぞれ異なる温度目標)と、インスタンス番号に基づいて予熱に使用する異なる目標エネルギーレベルとを記憶し得る。
【0229】
最初のインスタンスは、カプセルが取り出され、その後、カプセルが挿入されたことを検出した後、制御部が初めて予熱アルゴリズムを開始したときに発生する。さらに、インスタンス番号がインクリメントされるのは、インスタンスがタイムアウトした場合(例えば、8分後)、又はインスタンス中に消費者が装置の電源を切った場合である。
【0230】
S840で動作パラメータを取得すると、S845で、制御部は、エアロゾルインジケータを介して、予熱が開始されたことを示す表示をエアロゾル発生装置に表示させ得る。
【0231】
S850で、制御部は、(加熱エンジン制御回路2127に供給されるVGATE、COIL_Z、及びCOIL_X信号を介して)ヒーターに対して最大利用可能電力までランプアップする(例えば、制御部は、200ms以内に10Wの最大利用可能電力を供給する)。より詳細には、制御部は最大電力を要求するが、電源の瞬間的な負荷を軽減するために最大電力にランプアップする。例示的な実施形態では、最大利用可能電力は、バッテリの能力に基づいて設定され、ヒーターによってエアロゾル形成基材が燃焼しないように、オーバーシュートを最小化するため(すなわち、燃焼させずにエアロゾル形成基材にどれだけのエネルギーを投入できるか)の値である。最大利用可能電力は、経験則に基づいて設定されてもよく、10~15Wの間であり得る。制御部は、S855において、ヒーターの目標初期予熱温度(例えば、320℃)が近づいていると制御部が判定するまで、最大利用可能電力を提供する。目標初期予熱温度の例として320℃が用いられているが、例示的な実施形態はこれに限定されないことを理解されたい。例えば、目標初期予熱温度は350℃のような、400℃未満であり得る。さらに、目標初期予熱温度は、エアロゾル形成基材の材料に基づく。制御部は、ヒーター電圧測定回路(例えば、COIL_VOL)及び補償電圧測定回路からの測定電圧と、ヒーター電流測定回路(例えば、COIL_RTN_I)からの測定電流とを用いて、ヒーターの温度を判定し得る。制御部は、(例えば、ヒーター336の抵抗と温度との間の比較的直線的な関係に基づいて)任意の既知の方法でヒーター336の温度を判定し得る。
【0232】
さらに、制御部は、測定電流COIL_RTN_I及び測定電圧COIL_RTNを使用して、ヒーター336の抵抗であるヒーター抵抗RHeaterを(例えば、オームの法則又は他の既知の方法を用いて)判定し得る。例えば、少なくともいくつかの例示的な実施形態によれば、制御部は、測定電圧COIL_RTN(又は補償電圧VCOMP)を測定電流COIL_RTN_Iで除算して、ヒーター抵抗RHeaterとしてもよい。
【0233】
いくつかの例示的な実施形態では、抵抗計算のために測定接点で測定された測定電圧COIL_RTNを、温度制御に使用し得る。
【0234】
例えば、制御部2105は、以下の式を用いて温度を判定(すなわち推定)することができる。
Heater=R[1+α(T-T)]
ここで、αはヒーターの材料の抵抗温度係数(TCR)値、Rは開始抵抗、Tは開始温度、RHeaterは電流抵抗判定値、Tは推定温度である。
【0235】
開始抵抗Rは、初期予熱中に制御部2105によってメモリ2130に記憶される。より具体的には、制御部2105は、ヒーター336に印加される電力が、測定誤差が温度計算に与える影響が低減される値に達したときに、開始抵抗Rを測定し得る。例えば、制御部2105は、ヒーター336に供給される電力が1Wのとき(抵抗測定誤差が約1%未満である)、開始抵抗Rを測定し得る。
【0236】
開始温度Tは、制御部2105が開始抵抗Rを測定するときの周囲の温度である。制御部2105は、開始温度Tを測定するためのオンボードサーミスタ又は任意の温度測定装置を使用して、開始温度Tを判定し得る。
【0237】
少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、ヒーター電流測定回路21258及びヒーター電圧測定回路21252から取得された測定値には、10ms(ミリ秒)の測定間隔が使用され得る(これが最大サンプルレートである可能性があり得るため)。しかし、他の少なくとも1つの例示的な実施形態では、抵抗に基づくヒーター測定のために、1msの測定間隔(システムの刻みレート(tick rate))を使用し得る。
【0238】
他の例示的な実施形態では、ヒーター温度値の判定は、判定された抵抗に基づいて、ルックアップテーブル(LUT)から、ヒーター温度値を取得するステップを有し得る。いくつかの例示的な実施形態では、開始抵抗に対する抵抗の変化によって、インデックス付けされたLUTが使用され得る。
【0239】
LUTは、複数のヒーター抵抗にそれぞれ対応する複数の温度値を記憶していてもよく、取得されたヒーター温度値は、LUTに記憶された複数の温度値のうち、判定された抵抗に対応する温度値であり得る。
【0240】
さらに、エアロゾル発生装置10は、複数のヒーター抵抗値を、ルックアップテーブル(LUT)に記憶されたそれぞれ対応する複数のヒーター温度値のインデックスとして記憶しているLUTを(例えばメモリ2130に)記憶し得る。その結果、制御部は、LUTに記憶されたヒーター温度の中から対応するヒーター温度Tを特定する(例えば、ルックアップする)ために、先に判定されたヒーター抵抗RHeaterをLUTのインデックスとして使用してヒーター336の現在の温度を推定し得る。
【0241】
目標初期予熱温度が近づいていると制御部が一度判定すると、制御部は、S855で温度のオーバーシュートを回避するためにヒーターへの印加電力を中間電力レベルまで低減し始める。
【0242】
比例-積分-微分(PID)制御部(図9に示す)は、誤差信号(すなわち、目標温度から現在判定されている温度を差し引いた値)に基づいて比例制御を適用するため、誤差信号がゼロに向かって減少するにつれて、制御部2105は印加される電力を後退させ始める(これは、大部分がPIDコントローラの比例項(P)によって制御されるが、積分項(I)及び微分項も寄与する)。
【0243】
P値、I値、D値は、オーバーシュート、レイテンシー、及び定常状態誤差の間のバランスをとり、PIDコントローラの出力調整方法を制御する。P値、I値、D値は経験的に、あるいはシミュレーションによって導き出され得る。
【0244】
図9は、少なくともいくつかの例示的な実施形態に係る、温度加熱エンジン制御アルゴリズムを示すブロック図である。
【0245】
図9を参照すると、温度加熱エンジン制御アルゴリズム900は、PIDコントローラ970を使用して、所望の温度を達成するように加熱エンジン制御回路2127に印加される電力量を制御する。例えば、以下により詳細に説明するように、少なくともいくつかの例示的な実施形態によれば、温度加熱エンジン制御アルゴリズム900は、判定温度値974(例えば、上述のように判定される)を取得するステップと、メモリ2130から目標温度値(例えば目標温度976)を取得するステップと、PIDコントローラ(例えば、PIDコントローラ970)により、判定されたヒーターの温度値と目標温度値とに基づいて、ヒーターに供給される電力レベルを制御するステップとを有する。
【0246】
さらに、少なくともいくつかの例示的な実施形態によれば、目標温度976は、PIDコントローラ970によって制御されるPID制御ループにおける設定値(すなわち、温度設定値)として機能する。
【0247】
その結果、PIDコントローラ970は、目標温度976と判定温度974との間の差(例えば、差の大きさ)が低減されるか、あるいは最小化されるように、電力レベル設定動作944によって加熱エンジン制御回路2127に出力する電力波形930(すなわち、COIL_X及びCOIL_Z)を制御するように、電力制御信号972のレベルを連続的に補正する。目標温度976と判定された温度974との差は、PIDコントローラ970が低減又は最小化するためにはたらく誤差値とみなし得る。
【0248】
例えば、少なくともいくつかの例示的な実施形態によれば、電力レベル設定動作944は、電力波形930のレベルが電力制御信号972によって制御されるような、電力波形930を出力する。加熱エンジン制御回路2127は、加熱エンジン制御回路2127に出力される電力レベル波形の電力レベルの大きさの増減に比例する形で、電源1234からヒーター336に供給される電力量を増減させる。その結果、電力制御信号972を制御することによって、PIDコントローラ970は、目標温度値(例えば、目標温度976)と判定温度値(例えば、判定温度974)との間の差の大きさが低減されるように、又はその代わりに最小化されるように、ヒーター336に(例えば、電源1234によって)供給される電力のレベルを制御する。
【0249】
少なくともいくつかの例示的な実施形態によれば、PIDコントローラ970は、既知のPID制御方法に従って動作し得る。少なくともいくつかの例示的な実施形態によれば、PIDコントローラ970は、比例項(P)、積分項(I)、及び微分項(D)の中から2つ以上の項を生成してもよく、PIDコントローラ970は、当該2つ以上の項を使用して、既知の方法に従って電力制御信号972を調整又は補正し得る。いくつかの例示的な実施形態では、最初の予熱段階と後続予熱段階に同じPID設定を使用することができる。
【0250】
他の例示的な実施形態では、各段階に異なるPID設定が使用され得る(例えば、初期予熱と後続予熱に使用される温度目標が実質的に異なる場合)。
【0251】
図10は、PIDコントローラ970が電力レベル設定動作944に供給された電力制御信号972を連続的に補正するにつれて、電力波形930のレベルが経時的に変化し得る態様の例を示している。図10は、温度閾値及びエネルギー閾値に達するにつれて電力波形930のレベルが変化し得る態様の一例を示している。図10の電力は、COIL_VOL*COIL_CURである。図10において、PIDループは、温度が設定値に近づくにつれて、最大電力Pmaxから印加電力を下げ始め、目標温度のオーバーシュートを低減する。
【0252】
図10については、以下でさらに詳しく説明する。
【0253】
図8Aに戻ると、制御部は、S810において、第1電力を適用する部分としてヒーターに送出された推定エネルギーを判定する。
【0254】
図8Bに示され、先に説明したように、制御部は、S855でヒーターに供給される電力を制御する。S860において、制御部は、ヒーターに加えられた推定エネルギーが予熱エネルギー閾値に達したか否かを判定する。より具体的には、制御部は、予熱を開始してからヒーターに供給された電力を積分して、ヒーターに供給されたエネルギーを推定する。例示的な実施形態では、制御部は、ミリ秒ごとにヒーターに印加される電力(Power=COIL_VOL*COIL_CUR)を判定し、その判定された電力を積分の一部として使用する。
【0255】
制御部が、予熱エネルギー閾値が満たされていないと判定した場合、方法はS855に進み、ヒーターの予熱処理の一部として、ヒーターに電力が供給される。
【0256】
印加エネルギーが予熱エネルギー閾値(例えば75J)に達したと制御部が判定すると、制御部は、S865において、エアロゾルインジケータを介してエアロゾル発生装置に予熱完了表示を出力させる。
【0257】
図8A及び図8Bの双方を参照すると、制御部は、予熱エネルギー閾値が満たされると、S815においてヒーターに第2電力を印加する。第2電力は、第1電力よりも小さくてもよい。
【0258】
制御部は、ヒーターの目標初期予熱温度を後続予熱温度(例えば、300℃)に変更し、制御部は、図9で説明した温度制御アルゴリズムを使用して、第2電力に応じて入力電力を低減する。後続予熱温度は、経験的なデータに基づいていてもよく、目標初期予熱温度よりも小さくてもよい。いくつかの例示的な実施形態では、後続予熱温度は、カプセルが装置内にある状態において装置に負圧が加えられた回数に基づいて得られ得る。
【0259】
図8B及び図10は、後続予熱温度目標までの予熱を示すが、成人の操作者は、初期予熱温度目標に達した後にエアロゾル発生を開始してもよい。より具体的には、制御部2105は、成人の操作者によって印加されている負圧を検出し、初期予熱温度目標に達したときに、エアロゾル発生(すなわち、ヒーターがエアロゾルを生成するのに十分な温度に達するように、ヒーターに電力を供給すること)を開始し得る。
【0260】
予熱エネルギー閾値は、経験的データに基づいて判定されてもよく、圧力閾値以上の負圧が加えられたときに、所望の又は選択された量のエアロゾルを生成するのに十分なエネルギーであると判定され得る。
【0261】
S875で、成人の操作者は、エアロゾル発生装置に負圧を加え得る。これに応答して、エアロゾル発生装置は、カプセル内のプレエアロゾル製剤を加熱してエアロゾルを発生させる。
【0262】
印加エネルギーをヒーターの温度及び/又は加熱中の温度の制御要因として使用することにより、感覚的体験とエネルギー効率とが改善され、その結果、バッテリの電力を節約することができる。
【0263】
図10は、図8A~8Bに示される方法のタイミング図を示す。Tでは、予熱が開始され、制御部は第1電力(この例では最大電力Pmax)をヒーターに印加するために電力をランプアップさせる。Tにおいて、制御部は、(PID制御ループにおける誤差信号の減少によって)ヒーターが初期予熱目標温度Temp1に近づいていると判定し、温度のオーバーシュートを回避するために、印加電力をPmaxから中間電力Pintに減少させ始める。中間電力Pintへの低減は、少なくとも2つの期間Int1及びInt2を含む。制御部は、期間Int2の間よりも速い速度(すなわち、大きな傾き)で電力を減少させる。初期予熱温度Temp1に到達したと制御部が判定するのと略同時に、中間電力Pintに到達できるよう、期間Int2では変化率が小さい。予熱に使用されるPID設定は、期間Int1及びInt2の双方で同じであり得る(例えば、P=100、I=0.25、D=0)。期間Int1及びInt2の間の電力印加の変化は、温度誤差信号の減少の結果である。
【0264】
において、制御部は、初期予熱温度Temp1に達したと判定する。Tで、制御部は、印加エネルギーが予熱エネルギー閾値に達したと判定し、ヒーターの温度を後続予熱温度Temp2に維持するために、電力を第2電力Pに減少させる。
【0265】
中間電力Pintから第2電力Pへの移行には、2つの期間Int3及びInt4が含まれる。期間Int3において、制御部は最初の傾きで電力を減少させる。期間Int4において、制御部は、最初の傾きの大きさよりも小さい傾きで電力を増加させる。制御部は、電力が第2電力Pよりも小さいPdipになると、期間Int4を開始する。
【0266】
1つ以上の例示的な実施形態によれば、(非燃焼)エアロゾル発生装置は、カプセル(例えば、ヒーター及び/又はエアロゾル形成基材)の少なくとも一部について、ヒーター、測定された加熱特性及び/又は加熱特性波形(プロファイルとも呼ばれる)に最大電力が適用される時間の長さに基づいて、挿入されたカプセルの有効性を判定し、判定されたカプセルの有効性に基づいてエアロゾル発生装置を制御し得る。エアロゾル発生装置は、加熱特性及び/又は加熱特性波形をリアルタイムで測定し、記録し得る。
【0267】
1つ以上の例示的な実施形態によれば、エアロゾル発生装置は、カプセルの予熱中にカプセルの有効性を判定し、カプセルが有効なカプセルであるか否かに基づいてさらなる予熱及び/又はエアロゾル発生を有効又は無効にするように構成され得る。
【0268】
とりわけ、エアロゾル発生装置は、制御部と、コンピュータが読み取り可能な命令を記憶するメモリとを有し得る。制御部は、コンピュータが読み取り可能な命令を実行して、エアロゾル発生装置に、予熱期間中にヒーターに電力を印加させ、予熱期間の少なくとも一部の間に、予熱期間中のヒーターに対する電力の印加に起因する1つ以上の加熱特性波形を記録させ、1つ以上の加熱特性波形及び/又は最大電力がヒーターに印加されている時間の長さに基づいて、カプセルが有効であるか否かを判定させるように構成され得る。ヒーターに印加した最大電力は、直接測定され得る。
【0269】
1つ以上の例示的な実施形態によれば、(例えば、初期温度(例えば、室温)から初期予熱温度目標までの初期予熱の少なくとも一部の間の)1つ以上の加熱特性及び/又は特性波形は、カプセルの構造における多数の物理的変数と相関し得る。これらの物理的変数は、例えば、(i)エアロゾル形成基材が消耗するにつれて変化する、エアロゾル形成基材の熱質量、エアロゾル形成基材の質量内の熱伝導率、ヒーターとの熱接触等の観点からのエアロゾル形成基材の組成(例えば、有機植物材料等)、(ii)表面積、熱質量、抵抗温度係数(Temperature Coefficient of Resistance(TCR))、構造的完全性(例えば、ヒーターの個々の要素が互いに接触することによって生じる部分的な短絡)等の観点からのヒーターの構造、及び/又は、(iii)カプセルのシェル又は筐体の部品のような、カプセル本体に使用される材料(例えば、材料の熱質量及び熱伝導率)(シェルに使用される材料及びその(それらの)厚さは、カプセルの加熱特性に比較的強い影響を及ぼし得る)を含み得る。
【0270】
これらの物理的変数は、エアロゾル形成基材及び/又はカプセルの構造の有効性を示し得る。その結果、予想される加熱特性(及び/又は加熱特性波形)からのずれは、エアロゾル発生装置に挿入されたカプセルが有効なカプセルであるか否か(例えば、カプセルが真正(又は偽造品)であるか否か、カプセルが比較的厳しい製造基準を満たしている(十分な品質である)か否か、エアロゾル形成基材が消耗しているか否かもしくは略消耗しているか否か、等)を判定するために利用され得る。
【0271】
本明細書で議論されるように、有効なカプセルとは、例えば、真正で適切に製造されたカプセル(例えば、適切又は十分な品質で、製造公差又は比較的厳しい製造基準の範囲内のカプセル)、エアロゾル発生装置への挿入前にダメージを受けていない又は改ざんされていないカプセル、消耗して(例えば、完全に消耗して)いないカプセル等を意味し得る。
【0272】
1つ以上の加熱特性波形は、記録された抵抗波形(特性抵抗シグネチャとも呼ばれる)、印加電力波形(印加電力シグネチャとも呼ばれる)、及び/又は記録された温度波形(特性温度波形とも呼ばれる)を含み得る。1つ以上の加熱特性波形は、ヒーターを目標予熱温度まで予熱する間に取得され得る。1つ以上の例示的な実施形態によれば、気流波形も記録され得る。気流波形は、他の波形に誘起される外乱を補償(又はマスク)するために利用され得る。1つ以上の加熱特性波形が記録される期間は、有効性判定期間と呼ばれ得る。
【0273】
少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、制御部は、1つ以上の加熱特性波形と、対応する1つ以上の予想加熱特性包絡線(プロファイル、シグネチャ、又は波形とも呼ばれる)との比較に基づいて、カプセルが有効であるか否かを判定し得る。本明細書で説明するように、1つ以上の予想加熱特性包絡線は、より一般的には、カプセル検証(validation)情報、カプセル証明(verification)情報、又はカプセル認証(authentication)情報と呼ばれることがある。カプセル検証情報は、メモリに保存され得る。一例では、カプセル検証情報は、ルックアップテーブル(LUT)に記憶され得る。
【0274】
1つ以上の予想加熱特性包絡線は、予熱中のカプセル内のヒーターに対する電力印加に応答して予想される、予想抵抗プロファイル包絡線、予想電力プロファイル包絡線、及び/又は予想温度プロファイル包絡線のうちの1つ以上を含み得る。制御部は、予熱中に記録された1つ以上の加熱特性波形を、1つ以上の予想加熱特性包絡線のうちの対応するものと比較して、エアロゾル発生装置に挿入されたカプセルが有効であるか否かを判定し得る。
【0275】
予想抵抗プロファイル包絡線は、タイマー期間(例えば、予熱期間の少なくとも一部)の各1msの時間ステップ又は「刻み(tick)」における上限及び下限抵抗範囲として定義し得る。予想電力プロファイル包絡線は、タイマー期間の1ms時間ステップ又は「刻み(tick)」ごとに、上限及び下限電力範囲として定義され得る。予想温度プロファイル包絡線は、タイマー期間の各1msの時間ステップ又は「刻み(tick)」における上限温度範囲及び下限温度範囲として定義し得る。
【0276】
各1ms刻み(1 ms tick)における1つ以上の予想加熱特性包絡線のそれぞれの上限及び下限範囲は、例えば、有効であることが知られているカプセルに基づいて得られた経験的証拠又は試験結果に基づいて、所望に設定され得る。
【0277】
一例として、公称値から約±5%の公差を上限及び下限範囲として使用し得る。しかしながら、例示的な実施形態は、この例に限定されるべきではない。むしろ、別の例では、波形の開始時にはより厳しい公差(例えば、公称値から±約1%)を使用し、波形が進むにつれて公差を大きくし得る。これは、タバコの組成や熱伝導等のより可変的な影響がプロファイルにとって支配的であり得るような波形の終端よりも、波形の始端においては、プロファイルがよりよく制御され得る(例えば、ヒーター構造が支配的)、という実際的な考慮を反映し得る。
【0278】
例示的な加熱特性波形については、図13~19に関して後述する。
【0279】
例示的な実施形態について、先に説明した装置及び電気システム(例えば、図1A図10)に関して、以下により詳細に説明する。しかし、例示的な実施形態は、これらの例に限定されるべきではない。
【0280】
図11A及び図11Bは、例示的な実施形態に係るエアロゾル発生装置を制御する方法を示すフローチャートである。
【0281】
例示の目的のため、図11A及び図11Bに示す例示的な実施形態を、図3の制御部2105によって行われる動作に関して説明する。ただし、例示的な実施形態は、この例に限定されるべきではない。図11A及び図11Bに示される方法は、少なくとも1つのプロセッサと、コンピュータが実行可能な命令を記憶するメモリとを有するエアロゾル発生装置によって行われるものとして説明され得、ここで少なくとも1つのプロセッサは、コンピュータが読み取り可能な命令を実行して、1つ以上の例示的な実施形態の動作をエアロゾル発生装置に行わせるように構成されている。さらに、コンピュータプログラムコードとして符号化されたプロセッサ、メモリ、及び例示的なアルゴリズムは、本明細書で議論される動作を提供させ、又は行わせるための手段として機能し得る。
【0282】
図11A及び図11Bを参照すると、S820において、制御部2105は、図8BのS820に関して上述したのと同一又は略同一の方法で、カプセル100がエアロゾル発生装置10に挿入されたことを検出する。
【0283】
S825において、制御部2105は、図8BのS825に関して上述したのと同一又は略同一の方法で、メモリ2130から動作パラメータを取得する。
【0284】
S830において、制御部2105は、図8BのS830に関して上述したのと同一又は略同一の方法で、エアロゾル発生装置10に「ON」状態を表示させる。
【0285】
S835において、制御部2105は、図8BのS835に関して上述したのと同一又は略同一の方法で、エアロゾル発生装置10の予熱が開始されたか否かを判定する。
【0286】
予熱が開始されていないと制御部2105が判定した場合、S880において、制御部2105は、OFFタイマーが経過したか否かを判定する。OFFタイマーは、15分のような一定時間の無操作に基づいて、「OFF」状態を表示するために使用される。ただし、例示的な実施形態は15分に限定されない。例えば、OFFタイマーの継続時間は、約5分以上約60分以下であり得る。一例では、カプセル100が挿入された(且つエアロゾル発生装置10が起動された(スイッチがONになった))ときに、OFFタイマーが開始し得る。
【0287】
OFFタイマーが経過していない場合、方法は、S830に戻り、本明細書で説明するように継続する。
【0288】
S880に戻り、OFFタイマーが経過したと制御部2105が判定した場合、制御部2105は、図8Bに関して上述したように、S885でエアロゾル発生装置10に「OFF」状態を表示させ、S890で終了(電源OFF)させる。
【0289】
S835に戻り、予熱が開始されたと制御部2105が判定した(例えば、製品上操作手段からの入力を検出した)場合、S1140において、制御部2105は、図8BのS840に関して上述したのと同一又は略同一の方法で、製品上制御装置からの入力に関連付けられた動作パラメータをメモリ2130から取得する。また、S1140では、制御部2105は、クロック回路2128で予熱タイマーを開始する。予熱タイマーは、カプセル100の現在の予熱時間間隔を追跡する。
【0290】
動作パラメータを取得し、S1140で予熱タイマーを開始すると、制御部2105は、S845において、図8BのS845に関して上述したのと同一又は略同一の方法で、エアロゾルインジケータ2135を介して、予熱が開始されたという表示をエアロゾル発生装置10に表示させる。
【0291】
S1156で、制御部2105は、最大電力タイマーと予熱監視タイマーとを開始する。予熱監視タイマーは、後続のカプセル100のカプセル有効性チェック用のサンプルを記録するために使用される、測定ウィンドウの長さを定義するタイマーである。一例では、測定ウィンドウは、約7秒である。最大電力タイマーは、システムが最大電力にある時間の長さを追跡する(例えば、ヒーター336に最大利用可能電力が適用される)。
【0292】
図11Bに移り、S855において、制御部2105は、ヒーター336に電力を印加する(起動する)。一例では、制御部2105は、図8BのS850に関して上述したのと同一又は略同一の方法で、加熱エンジン制御回路2127に、(加熱エンジン制御回路2127に供給されるVGATE、COIL_Z、及びCOIL_X信号を通じて)最大利用可能電力(例えば、約10W)をヒーター336へ供給させる。
【0293】
一例では、制御部2105は、制御部2105がヒーター336の目標初期予熱温度(例えば、320℃)に近づいていると判定するまで、加熱エンジン制御回路2127に、最大利用可能電力を印加させる。制御部2105は、図8Bに関して上述したのと同一又は略同一の方法で、ヒーター336の目標初期予熱温度(例えば、320℃)が近づいていると判定し得る。
【0294】
図11A及び図11Bには示されていないが、予熱中に成人の操作者がエアロゾル発生装置10を吸引する(例えば、十分な負圧を加える)場合(例えば、センサ1248による気流の検出を誘発し、エアロゾル発生装置10を起動させるのに十分な負圧)、制御部2105はエアロゾル発生装置10を通して気流の大きさを測定してもよく、それに応じて加熱特性における誘導された変化を補償し得る。制御部2105は、センサ1248からの情報に基づいて、気流の大きさを既知の方法で測定することができる。
【0295】
制御部2105は、気流の継続時間及びその後の整定時間の間、記録された測定値を無視する(あるいはフィルタリングする)ことで、加熱特性における誘導された変化を補償し得る。一例では、整定時間は、気流事象の長さと同一又は略同一であり得る。この例では、影響を受けた時間の部分は、カプセル100の有効性チェックに用いられない。
【0296】
別の例では、制御部2105は、気流によって引き起こされる波形冷却効果を補正するために、数学的順列を利用し得る。
【0297】
別の例では、制御部2105は、例えばシステムの状態空間モデルに基づいて、気流の推定冷却効果と、冷却効果によって誘導される電力サージ又は抵抗変化とを計算し得る。推定された変化は、制御部2105が必要に応じて加熱特性波形を補正及び/又は補償するために減算又は加算(例えば、電力サージが減算され、抵抗減少が加算される)し得る補正係数のアレイを形成し得る。
【0298】
誘導された変化を補償することにより、予熱中の負圧印加に起因する偽陽性の発生を低減及び/又は防止し得る。
【0299】
図11Bに戻って参照すると、S1160において、制御部2105は、ヒーター336に印加された電力を記録し、測定ウィンドウの間の各1ms刻み(時間ステップ)において、ヒーター336の複数の加熱特性のうちの1つ以上を測定及び記録して、ヒーター336の1つ以上の加熱特性波形(例えば、記録された抵抗波形、印加電力波形及び/又は記録された温度波形)を生成又は取得する。上述したように、制御部2105は、気流波形を記録してもよく、この波形は、例えば、他の波形に誘導される外乱を補償(又はマスクアウト)するために使用され得る。
【0300】
より詳細には、例えば、記録された抵抗波形を生成するために、制御部2105は、周知の式R=V/Iに従って、ヒーター336にかかる測定電圧及びヒーター336を通る測定電流に基づいて、各1msの時間ステップでヒーター336の抵抗を測定し得る。ヒーター336を通る測定電流は、電流測定回路21258から提供されてもよく、又は電流測定回路21258から提供される情報に基づいて判定され得る。ヒーター336にかかる測定電圧は、電圧測定回路21252によって提供されてもよく、又は電圧測定回路21252によって提供される情報に基づいて判定され得る。あるいは、制御部2105は、記録された抵抗波形を生成するために、ヒーター336の抵抗を連続的に計算及び/又は監視し得る。
【0301】
印加電力波形を生成するために、制御部2105は、周知の式P=I×Vに従って、ヒーター336にかかる測定電圧及びヒーター336を通る測定電流に基づいて、各1msの時間ステップでヒーター336にかかる瞬間的な電力を計算し得る。ヒーター336にかかる測定電流及び測定電圧は、抵抗測定に関して上述したのと同一又は略同一の方法で提供され得る。あるいは、制御部2105は、印加電力波形を生成するために、ヒーター336への印加電力を連続的に計算及び/又は監視し得る
【0302】
温度波形を生成するために、制御部2105は、図8BのS855に関して上述したのと同一又は略同一の方法で、各1msの時間ステップにおけるヒーター336の温度を計算し得る。あるいは、制御部2105は、記録された温度波形を生成するために、ヒーター336の温度を継続的に計算及び/又は監視し得る。
【0303】
気流波形を生成するために、制御部2105は、例えばセンサ1248によって提供される測定値を、連続的又は1msの時間ステップごとに、メモリ2130に記録することができる。
【0304】
例示的な加熱特性波形については後で詳しく説明する。
【0305】
さらに図11Bを参照すると、S1162において、制御部2105は、ヒーター336に現在(例えば、次の1msの時間ステップにおいて)印加されている電力(例えば、瞬間の電力)PAPPLIEDが、最大利用可能電力PMAX未満であるか否かを判定する。一例では、ヒーター336の温度が目標初期予熱温度(例えば約320℃)に近づく(又は到達する)と、ヒーター336に印加される電力が最大利用可能電力未満になり得る。例えば、ヒーター336の温度が目標初期予熱温度に近づいていると制御部2105が判定した場合、制御部2105は、温度のオーバーシュートを回避するために、ヒーター336への印加電力を中間電力レベルまで低減し始め得る。1つ以上の例示的な実施形態によれば、最大利用可能電力のヒーター336への継続的な印加は、ヒーター336の温度が目標初期予熱温度に達していないことを示し得る。少なくとも1つの他の例示的な実施形態によれば、制御部2105は、S1162で行われるチェックにおいて、電力PAPPLIEDではなく、ヒーター電力目標を使用し得る。
【0306】
ヒーター336に印加された電力が最大利用可能電力未満ではない(最大利用可能電力が依然としてヒーター336に印加されている)場合、S1168において、制御部2105は、予熱監視タイマーが経過したか(又は、その代わりに、最大予熱測定ウィンドウ閾値に達したか)否かを判定する。上述したように、予熱監視タイマー(又は最大予熱測定ウィンドウ閾値の値)の長さの一例は、約7秒であり得る。
【0307】
予熱監視タイマーが経過していない場合、処理はS855に戻り、本明細書で説明するように継続する。
【0308】
S1168に戻り、制御部2105が、予熱監視タイマーが経過したと判定した場合、S1170において、制御部2105は、メモリ2130に記憶された1つ以上の記録された加熱特性波形及び1つ以上の対応する予想加熱特性包絡線に基づいて、カプセル100が有効な(又は真正な)カプセルであるか否かを判定する。制御部2105は、記録された特性波形の1つ以上と、対応する1つ以上の予想加熱特性包絡線との比較に基づいて、カプセルが有効であるか否かを判定し得る。S1170における有効性判定の例示的な実施形態については、図12に関して後で詳細に説明する。
【0309】
S1170において、カプセル100が有効なカプセルでないと制御部2105が判定した場合、S1176において、制御部2105は、ヒーター336への電力の印加を終了する。一例では、制御部2105は、図6Bの6550に関して上述したのと同一又は略同一の方法で、ヒーター336への電力の印加を終了し得る。
【0310】
S1180で、制御部2105は、エアロゾルインジケータ2135を介して故障表示を出力する。一例では、故障表示は、音、視覚表示、及び/又は触覚フィードバックの形態であり得る。例えば、赤色LEDの点滅、遠隔電子機器上の接続された「アプリ」に(例えばBluetoothを介して)送信されるエラーコードを含むソフトウェアメッセージ、それらの組み合わせ等である。
【0311】
S1170に戻り、カプセル100が有効であると制御部2105が判定した場合、S1174において、制御部2105は、予熱の継続を許可し、エアロゾル発生が許可される。この場合、成人の操作者によるエアロゾル生成装置への負圧の印加に応答して、エアロゾル発生装置10は、エアロゾルを生成するために、カプセル100内のエアロゾル形成基材を加熱し得る。
【0312】
S1162に戻り、印加電力が最大利用可能電力未満であると制御部2105が判定した場合、S1164において、制御部2105は、最大電力タイマーを停止する。
【0313】
S1166では、制御部2105は、最大電力タイマーの値が許容範囲内(例えば、最小値と最大値との間)であるか否かを判定する。一例では、最大タイマー値は約5秒であってもよく、最小タイマー値は約2.5秒であり得る。
【0314】
最大電力タイマーの値が許容範囲内(例えば、最小タイマー値以上且つ最大タイマー値以下)であると制御部2105が判定した場合、処理はS1168に進み、上述したように継続する。
【0315】
S1166に戻り、最大電力タイマーの値が許容範囲外であると制御部2105が判定した場合、処理はS1176に進み、上述したように継続する。
【0316】
図11A及び図11Bについて、成人の操作者による予熱の起動に関して説明したが、例示的な実施形態は、成人の操作者による予熱の起動前(例えば、カプセル100の有効性、真正性、及び/又は完全性の事前チェック中)に利用されてもよい。この例では、認証ルーチンは、カプセル100が有効であることを成人の操作者に示す前に(例えば、カプセルの挿入時に)自律的に実行され、予熱されてもよい。
【0317】
図12は、例示的な実施形態に係る、(例えば、図11BのS1170において)カプセルが有効であるか否かを判定するための方法を示すフローチャートである。
【0318】
図12を参照すると、S1210で、制御部2105は、1つ以上の記録された加熱特性波形が、対応する1つ以上の予想加熱特性包絡線の範囲内にあるか否かを判定する。一例では、制御部2105は、記録された抵抗波形と予想抵抗プロファイル包絡線(各1ms刻みにおける上限及び下限抵抗範囲として定義される)とを比較して、各1ms刻みで記録された抵抗値が、予想抵抗プロファイル包絡線の対応する点において予想抵抗の範囲内にあるか否かを判定し得、制御部2105は、印加電力波形と予想電力プロファイル包絡線(各1ms刻みにおける上限及び下限電力範囲として定義される)とを比較して、各1ms刻みで記録された電力値が、予想電力プロファイル包絡線の対応する点における予想電力の範囲内にあるか否かを判定し得、及び/又は制御部2105は、記録された温度波形と予想温度プロファイル包絡線(各1ms刻みにおける上限及び下限温度範囲として定義される)とを比較して、各1ms刻みにおける記録された温度値が、予想温度プロファイル包絡線の対応する点における予想温度の範囲内にあるか否かを判定し得る。
【0319】
例示的な実施形態によれば、予想加熱特性包絡線のいずれか又は全ての長さは、記録された加熱特性波形の長さに一致するように(例えば、測定ウィンドウの長さに一致するように、及び/又は予熱の実際の長さに依存して)、必要に応じて補間又はデシメートされ得る。
【0320】
さらに図12を参照すると、1つ以上の(例えば、任意の)記録された加熱特性波形の少なくとも一部(例えば、1つ以上のデータポイント)が対応する予想加熱特性包絡線の範囲外にある場合、制御部2105は、S1240において、カプセルが有効でないと判定する。
【0321】
S1210に戻り、1つ以上の記録された加熱特性波形のそれぞれが対応する予想加熱特性包絡線の範囲内にある場合、S1220において、制御部2105は、加熱特性波形の1つ以上に正又は負の急勾配が存在するか否かを判定する。
【0322】
少なくとも1つの例示的な実施形態では、制御部2105は、所与の期間(本明細書では、勾配閾値期間(gradient threshold time period)又は測定ウィンドウと呼ぶ)によって分離された2つの抵抗値を比較することによって、記録された抵抗波形に正又は負の急勾配が存在するか否かを判定する。期間の長さは、1サンプル(例えば約1ms)と小さくてもよいが、複数のサンプルを含み得る。一例では、システムがより低い勾配を検出し得るようにするために、期間は、64サンプル(約64ミリ秒)であり得る(それでも、通常の動作システムで予想され得る勾配を超える勾配は検出される)。一例では、抵抗の最大許容変化率は、64msあたり約3%であり得る。ただし、例示的な実施形態はこの例に限定されるべきではない。むしろ、抵抗の最大許容変化率は、約3%以上とすることができる。さらに、異なる(例えば、より小さい)期間については、抵抗の最大許容変化は、3%未満(例えば、約1%又は2%)であり得る。
【0323】
期間で分けられた2つの抵抗値間の(正又は負の)大きさの変化率(抵抗の変化率)が閾値(変化率閾値)を超える(よりも大きい)場合、記録波形に急勾配が存在すると判定される。変化率閾値は、通常の加熱又は冷却効果によって予想され得る抵抗変化よりも大きくなるように設定され得る(例えば、率閾値は、物理的に不可能な値であってもよい)。一例では、変化率閾値は約3%である。ただし、例示的な実施形態は、この例に限定されるべきではない。
【0324】
さらに図12を参照すると、制御部2105が、記録された抵抗波形に正又は負の急勾配が存在すると判定した場合、制御部2105は、S1240において、カプセルが有効でないと判定する。
【0325】
S1220に戻り、制御部2105が、記録された抵抗波形に正又は負の急勾配が存在しないと判定した場合、制御部2105は、S1230において、カプセルが有効であると判定する。
【0326】
図11A図11B、及び図12に示される例示的な実施形態は、エアロゾル発生装置にカプセルを挿入することに応答して(例えば、S820で)開始されることに関して議論される。これらの例示的な実施形態は、新たに挿入されるカプセルに関連して利用することができる。少なくともいくつかの例示的な実施形態によれば、カプセルは、初期予熱の間に既に検証されており、エアロゾル発生装置は、カプセルが取り外されておらず、新しいカプセルが挿入されたことを検出していないため、検証は、後続予熱(例えば、終了(電源OFF)及び起動(電源ON)後のような動作間の時間の後)のためには省略され得る。ただし、例示的な実施形態はこの例に限定されるべきではない。むしろ、例示的な実施形態は、成人の操作者による後続操作(例えば、終了及び起動後)のためにカプセルを再検証するためにも利用され得る。この場合、ステップS820は処理から省略され、本方法は、例えば電源ON時に開始又は誘発されてもよい。
【0327】
少なくとも1つの例では、再検証のために、波形の許容範囲を(例えば、約±30%に)拡大し、S1166における最大電力タイマーの許容範囲を、例えば、約1sから約5sの間に拡大してもよい。これらの変更は、少なくとも部分的に消耗したカプセルを収容するのにも、動作中に現れた重大な誤動作を検出するにも十分である。
【0328】
あるいは、許容誤差及びタイマーは、より制御された方法(例えば、これまでの累積動作時間や、カプセルが挿入された後の成人の操作者による吸引回数に基づいてカプセルの消耗を推定すること)により解除され得る。
【0329】
さらに、再検証のために、図12のS1220における不連続性チェックは、これらの特性がカプセルの消耗に影響されない可能性があるため、省略されてもよい。
【0330】
図13は、例示的な実施形態に係る有効なカプセルの記録された波形を示すグラフである。
【0331】
図14は、図13に示す記録された波形の一部の拡大図である。図14のグラフは、波形の初期の立ち上がり部分(0秒から約3秒の間)をより詳細に示す。
【0332】
図13及び図14を参照すると、記録された波形は、特性温度波形(単位:℃)と、特性抵抗波形(単位:mΩ)と、印加電力波形(単位:mW)とを含む。既に同様に述べたように、特性温度波形は、特性温度上昇時間を示しており、ヒーター(例えば、ヒーター336)の測定抵抗値から数学的に導出され得る。特性抵抗波形は、ヒーター自体及び/又はヒーター336と接触する有機物塊の影響を受け得る。
【0333】
この例では、有効なカプセルの場合、ヒーターの抵抗は、予熱温度に達すると(例えば、約5秒後)、略安定化する。ヒーター抵抗の安定化は、図14により明確に示されているように、アーチファクトを引き起こし得る。一例では、アーチファクトは、ウェッティング効果の結果であり得る。
【0334】
印加電力波形は、最大電力における時間(「最大電力時間」特性又は「最大電力時間」期間とも呼ばれる)を示しており、この例では約4秒である。示されるように、最大電力は約10Wである。最大電力時間期間が終了すると、ヒーターへの電力が定常状態(例えば、約4W)まで低下する電力ロールオフが発生する。電力ロールオフはシステム特性であってもよく、ヒーターと接触する有機物塊、PID設定、ヒーターの質量等に影響され得る。
【0335】
図15は、例示的な実施形態に係る、劣化した無効なカプセルの記録波形を示すグラフである。
【0336】
図16は、図15に示す波形の拡大図である。図16のグラフは、波形の初期の立ち上がり部分をより詳細に示している。
【0337】
図15及び図16に示す波形は、エアロゾル発生装置の以前の動作によって有機物が消耗し、それによって熱応答が変化して劣化したカプセルに関連する例である。しかしながら、図13及び図14に示された波形からの同様のずれは、他のタイプの無効なカプセル(例えば、不適切な有機物質、不正確なヒーターの質量等)を検出するために使用され得る。
【0338】
図15に示されるように、「最大電力時間」間隔は、図13及び図14に示される例と比較して、約4秒から約2秒に短縮される。さらに、電力ロールオフは、図13に示した例よりも急峻である。印加される電力にはさらにノイズが存在し、これはシステムが熱的に過敏に反応し得ることを示している(例えば、比較的小さな電力変動が比較的大きな温度変化を引き起こす)。ヒーターの抵抗も安定化し、図13に示した例では約5秒であったのに対し、約2秒で予熱温度に到達する。
【0339】
図17は、例示的な実施形態に係る他の例示的な有効なカプセルの記録波形を示すグラフである。図17に示す波形は、気流(又は吸入(puff))事象中に第2予熱が使用された場合に有効なカプセルに関連する。
【0340】
図17に示すように、最大利用可能電力が既にヒーターに印加されているため、初期予熱中の気流事象は印加電力に影響を与えない。しかし、この気流はシステムを冷却し、その結果、抵抗が減少(例えば、比較的小さな減少)する。ヒーターに印加される電力が最大利用可能電力を下回った後(例えば約4秒前後)の後続気流事象は、ヒーターを冷却する。その結果、ヒーターの温度を維持するために、ヒーターへの印加電力が増加する。この電力増加は、気流事象が終了した後も(例えば約1秒後)、システムが失われたエネルギーを回復するにつれて継続する。一例として、システムは、気流事象の約2倍の長さの特徴を無視することにより、気流を補償し得る。
【0341】
図17に示す例では、最大電力時間期間は約2.5sである。最大出力時間期間が約4秒である図13に示される例と比較して、最大出力時間期間の、この長さの減少は、カプセルが以前に加熱されたが、完全には消耗しておらず、したがって有効なカプセルのままであることを示し得る。
【0342】
図18は、例示的な実施形態に係る他の無効なカプセルの記録波形を示すグラフである。
【0343】
図19は、図18に示す波形の拡大図である。図19のグラフは、抵抗の不連続性をより詳細に示している。
【0344】
図18及び図19に示す波形は、カプセル内のヒーター故障(例えば、断続的なヒーター短絡による)に起因する特性抵抗波形の負の急勾配の例を示している。
【0345】
図18及び図19に示すように、「最大電力時間」期間は約4秒であり、電力ロールオフは、図13に示す有効なカプセルの場合と略同一のままである。しかし、特性抵抗波形では、ヒーターの故障により、一定期間、抵抗における測定の不連続性又は負の急勾配(急激な低下)が発生する。少なくともいくつかの場合では、この不連続性は、例えばヒーターの熱衝撃のために、加熱の初期段階で発生しやすい可能性がある。
【0346】
図12のS1220に関して同様に上述したように、不連続性又は負の急勾配は、加熱又は冷却から予想されるよりも大きい特性抵抗波形の勾配シフトを監視することによって検出され得る。一例として、1回の1msサンプル内における、前回の抵抗の約3%を超える勾配シフトは、抵抗波形に不連続性があることを示し得る。別の例では、64ms期間内における前回の抵抗値の約3%を超える勾配シフトは、抵抗波形に不連続性があることを示し得る。
【0347】
1つ以上の例示的な実施形態は、カプセルが劣化した品質であるか否か、又は以前に加熱されたか否かを検出する能力を提供し、これは、成人の操作者が比較的劣悪な感覚的体験を受ける可能性を低減し、及び/又は無許可の偽造品によるエアロゾル発生装置の動作を防止し得る。
【0348】
エアロゾル発生装置の動作開始直後(例えば、初期予熱中)に品質劣化を検出することで、エアロゾル発生装置の運転を終了させつつ、早期に判定を行い、成人の操作者に伝えることができる。
【0349】
カプセルが有効であるか否かを検出するためのカプセルの固有の物理的特性の測定は、1つ以上の例示的な実施形態によれば、有効性を判定するための比較的低コストの方法を提供し得る。測定技術は、カプセルの感覚的体験を正確に制御する目的で、既に実装されている回路を使用するため、エアロゾル発生装置への追加コストも削減し得る。
【0350】
1つ以上の例示的な実施形態によるエアロゾル発生装置は、集積ヒーター素子を有し、カプセルの有効性、真正性、製造品質及び/又は消耗状態を判定するために、特性予熱曲線の測定及び監視を可能にする精密ヒーター制御電子機器を利用する。
【0351】
また、1つ以上の例示的な実施形態は、偽造カプセルを作成するためのカプセルの不正な再利用の検出を可能にし得る。
【0352】
1つ以上の例示的な実施形態はまた、(例えば、記録された加熱特性波形及び対応する予想加熱特性包絡線を介して)予期しない、比較的短い持続時間のアーチファクトを特性予熱曲線内で検出する能力を提供し、それは、許容可能な特性包絡線の範囲内ではあるが、カプセル(例えば、ヒーター)の製造品質の問題可能性を示す。これらのアーチファクトは、ヒーターが、室温からエアロゾルを発生させる温度への急激な上昇に伴う熱衝撃を受けることにより顕れ得る。
【0353】
本明細書に記載される非限定的な実施形態に加えて、本明細書で議論される基材、カプセル、装置、及び方法の追加の詳細はまた、2019年6月25日に出願された米国出願第16/451662号(名称は「CAPSULES,HEAT-NOT-BURN(HNB)AEROSOL-GENERATINGDEVICES,ANDMETHODSOFGENERATINGANAEROSOL」、代理人整理番号は24000NV-000522-US)、2019年1月21日に出願された米国出願第16/252,951号(名称は「CAPSULES,HEAT-NOT-BURN(HNB)AEROSOL-GENERATINGDEVICES,ANDMETHODSOFGENERATINGANAEROSOL」、代理人整理番号は24000NV-000521-US)、2017年12月18日に出願された米国出願第15/845,501号(名称は「VAPORIZING DEVICES AND METHODS FOR DELIVERING A COMPOUND USING THE SAME」、代理人整理番号は24000DM-000012-US)、及び2017年9月18日に出願された米国出願第15/559,308号(名称は「VAPORIZER FOR VAPORIZING AN ACTIVE INGREDIENT」、代理人整理番号は24000DM-000003-US-NP)に記載されており、ここで、これらの各開示は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0354】
多くの例示的な実施形態が本明細書に開示されているが、他の変形も可能であることを理解されたい。このような変形は、本開示の趣旨及び範囲から逸脱するものとはみなされず、当業者にとって自明であろうこのような変更はすべて、以下の特許請求の範囲に含まれることが意図される。
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図2F
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7A
図7B
図7C
図8A
図8B
図9
図10
図11A
図11B
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
【国際調査報告】