(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-02
(54)【発明の名称】矯正するための矯正機ならびに方法
(51)【国際特許分類】
B21D 3/02 20060101AFI20240925BHJP
B21D 3/05 20060101ALI20240925BHJP
【FI】
B21D3/02 D
B21D3/05 H
B21D3/02 E
【審査請求】有
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2024517591
(86)(22)【出願日】2022-08-19
(85)【翻訳文提出日】2024-03-19
(86)【国際出願番号】 EP2022073237
(87)【国際公開番号】W WO2023046383
(87)【国際公開日】2023-03-30
(31)【優先権主張番号】102021210458.4
(32)【優先日】2021-09-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390035426
【氏名又は名称】エス・エム・エス・グループ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】マークス ウィレムス
(72)【発明者】
【氏名】マリー レープリング
(57)【要約】
本発明は、成形材を矯正するための矯正機(1)ならびに方法であって、矯正線の両側に対向するように配置された、矯正区間を形成する複数の矯正ロール(3)を備えており、これらの矯正ロールは、垂直に延在する矯正軸(4)に、矯正区間においてガイドされる成形材に関して水平方向かつ/または軸方向で調節可能であるように、少なくとも部分的に配置されている、矯正機(1)ならびに方法において、矯正軸(4)の少なくともいくつかは、液圧によって水平方向かつ/または軸方向に調節可能であるように形成されていることを特徴とする、矯正機(1)ならびに方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
成形材を矯正するための矯正機(1)であって、矯正線の両側に互いにずらされて対向するように配置された、矯正区間を形成する複数の矯正ロール(3)を備えており、前記矯正ロールは、垂直に延在する矯正軸(4)に、前記矯正区間においてガイドされる成形材に関して水平方向かつ/または軸方向で調節可能であるように、少なくとも部分的に配置されている、矯正機(1)において、
前記矯正軸(4)の少なくともいくつかは、液圧によって水平方向かつ/または軸方向に調節可能であるように形成されていることを特徴とする、矯正機(1)。
【請求項2】
少なくとも1つの矯正軸(4)は、垂直の旋回軸(23)を中心とした、水平方向の円弧区分に沿った、前記矯正線に関する水平方向の調節のために、可動に配置されている、請求項1記載の矯正機(1)。
【請求項3】
少なくとも1つの矯正軸(4)は、前記矯正機(1)の機械フレーム(2)内に旋回可能に支持されている、請求項1または2記載の矯正機(1)。
【請求項4】
前記少なくとも1つの矯正軸(4)は、前記機械フレーム(2)の少なくとも1つの旋回軸受に保持されている、請求項3記載の矯正機(1)。
【請求項5】
旋回可能に支持された前記少なくとも1つの矯正軸(4)は、前記矯正線の対向する側に対向支持部を有している、請求項1から4までのいずれか1項記載の矯正機(1)。
【請求項6】
旋回可能に支持された前記少なくとも1つの矯正軸(4)は、前記矯正線の対向する側に旋回可能に枢着されている少なくとも1つの液圧式のピストンシリンダ装置を介して調節可能である、請求項2から5までのいずれか1項記載の矯正機(1)。
【請求項7】
前記矯正軸(4)の少なくともいくつかは、個別に駆動されている、請求項1から6までのいずれか1項記載の矯正機(1)。
【請求項8】
少なくとも1つの矯正軸(4)の少なくとも1つの調節力制御および/または位置制御が行われる、請求項1から6までのいずれか1項記載の矯正機(1)。
【請求項9】
垂直矯正機として形成されている、請求項1から8までのいずれか1項記載の矯正機(1)。
【請求項10】
矯正機(1)において成形材を矯正するための方法であって、当該方法は、垂直に延在する矯正軸(4)上の複数の矯正ロール(3)によって成形材を矯正するステップを含み、前記矯正軸を、矯正区間において矯正線の両側で、少なくとも部分的に個別にかつ互いに独立的に、液圧によって、水平方向かつ/または軸方向で成形材に向かって矯正力を加えながら調節する、方法。
【請求項11】
少なくともいくつかの矯正ロール(3)を、旋回点支持を介して調節する、請求項10記載の方法。
【請求項12】
前記矯正ロール(3)をそれぞれ個別に駆動する、請求項10または11記載の方法。
【請求項13】
前記矯正線の一方の側に配置された前記矯正ロール(3)は、水平方向で能動的に調節可能であり、これに対して、前記矯正線の反対側に設けられた前記矯正ロール(3)は、水平方向で定置に支持されている、請求項10から12までのいずれか1項記載の方法。
【請求項14】
前記矯正ロール(3)の調節力および/または調節位置を、圧力発信器および/または位置発信器によって検出かつ/または制御する、請求項10から13までのいずれか1項記載の方法。
【請求項15】
請求項1から9までのいずれか1項の特徴を備えた矯正機(1)を使用する、請求項10から14までのいずれか1項記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、成形材を矯正するための矯正機であって、矯正線の両側に対向するように配置された、矯正区間を形成する複数の矯正ロールを備えており、矯正ロールは、垂直に延在する矯正軸に、矯正区間においてガイドされる成形材に関して水平方向かつ/または軸方向で調節可能であるように、少なくとも部分的に配置されている、矯正機に関する。
【背景技術】
【0002】
基本的に、成形材が、例えば圧延工程後の冷却による熱歪みによって後からその形状を変化させる場合には、成形材の矯正が必要である。例えば、H成形材、U成形材、T成形材、I成形材、レール成形材等のような成形材を矯正するために、水平矯正機および垂直矯正機の使用が知られており、この場合、水平および垂直の概念は、矯正工具の向きに関する。水平矯正機は、例えば国際公開第2016/142362号により公知である。この文献は、細長い半製品を矯正するための矯正機であって、この矯正機は、矯正ロールエレメントと、搬送区間として形成されたロール通過線と、矯正ロールエレメントを搬送区間に対して保持するスタンド装置であって、駆動側のスタンド半部および駆動側のスタンド半部の反対側で移動可能な操作側のスタンド半部を含むスタンド装置と、矯正ロールエレメントを交換するための交換装置と、矯正ロールエレメントが交換のために移動可能である交換経路と、を備えており、この交換経路では、矯正ロールエレメントが、一方では、操作側のスタンド半部によって、水平方向の移動平面に延在する、交換経路の第1の部分区分に沿って移動可能であり、他方では、交換装置によって、水平方向の交換平面に延在する、交換経路の別の部分区分に沿って移動可能である、矯正機に関する。水平方向の交換平面は、操作側のスタンド半部の物質的に垂直延在の領域に配置されている。
【0003】
通過ラインの上方と下方において被矯正材料の搬送方向に複数の工具を備えており、これらの工具は、駆動される互いに平行な矯正軸に配置され、これらの矯正軸のうちの上側の矯正軸が矯正隙間を調節するために調節可能である、圧延された形鋼のような成形材を矯正するための矯正機が、例えば欧州特許第1294503号明細書により公知である。この文献は、成形材を矯正するための矯正機を作動させるための方法であって、このような矯正機において、矯正運転の際に、少なくとも駆動側から離れた操作側の調節手段に、矯正力とは逆の力を負荷する方法にも関する。欧州特許第1294503号明細書による矯正機は、水平矯正機として形成されており、この水平矯正機では、各上側および下側の矯正軸が、駆動側に設けられたモータおよび介在された伝動装置を介して、個別に駆動可能である。さらに、矯正軸の軸方向の調節のための駆動装置が設けられている。調節手段としては、液圧シリンダが用いられている。
【0004】
従来の垂直矯正機では、軸方向かつ/または水平方向の調節のために、電気モータによる調節が行われる。さらに、スタンドとも呼ばれる安定的な機械フレームによって力の吸収が行われる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の根底にある課題は、矯正工具の調節運動の実現に関して、特に矯正の際の反力の吸収に関して改善されている、冒頭で述べた形式の矯正機、特にいわゆる垂直矯正機を提供することである。特に、本発明によれば、構造的に簡略化されている矯正機が提供されることが望ましい。さらには、本発明によれば、成形材を矯正するための相応の方法が提供されることが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の根底にある課題は、請求項1の特徴を備えた矯正機、ならびに請求項10の特徴を備えた方法によって解決される。
【0007】
本発明の有利な構成は、従属請求項に記載されている。
【0008】
本発明の観点は、成形材を矯正するための矯正機であって、矯正線の両側に互いにずらされて対向するように配置された、矯正区間を形成する複数の矯正ロールを備えており、これらの矯正ロールは、垂直に延在する矯正軸に、矯正区間においてガイドされる成形材に関して水平方向かつ/または軸方向で調節可能であるように、少なくとも部分的に配置されており、この矯正機は特に、矯正軸の少なくともいくつかは、液圧によって水平方向かつ/または軸方向に調節可能であるように形成されていることを特徴とする、矯正機に関する。本発明による矯正機は、垂直矯正機として形成されており、垂直に延在する複数の矯正軸を備えており、これらの矯正軸はそれぞれ矯正ロールを有している。本発明の意味では、成形材は、例えば、H成形材、I成形材、U成形材、またはT成形材、好適にはレール成形材である。
【0009】
好適には、矯正ロールは、成形材の両側で交番曲げを可能にするように、矯正線に沿って互いにずらされて対向するように配置されている。この場合、好ましくは、それぞれ3つの成形ロールが力の三角形を形成している。
【0010】
本発明による矯正機の好適な態様では、矯正軸の少なくともいくつかが、それぞれ個別に、液圧によって水平方向および軸方向に調節可能であるように形成されていることが想定されている。
【0011】
本発明による矯正機の特に有利な構成では、少なくとも1つの矯正軸は、旋回軸を中心とした、水平方向の円弧区分に沿った、矯正線に関する水平方向の調節のために、可動に配置されていることが想定されている。従来技術における場合とは異なり、本発明によれば、矯正軸の少なくとも一部のために、旋回点支持または揺動調節が想定されている。従来技術で通常行われているような組込み部材の直線状の送りは不要である。本発明によれば、矯正軸は、旋回点支持を介して、およびこれに伴う角度変更によって調節される。そのほか従来技術で通常生じる欠点である、調節可能な矯正軸または矯正軸線の均衡化は、このような構造によって完全に省くことができる。
【0012】
さらに、少なくとも1つの矯正軸が、矯正機の機械フレームに旋回可能に支持されていることが想定されていてよい。機械フレームは、このような構造により、従来技術で使用されるスタンドの軸受組付け部材において垂直に延在する矯正軸の通常の配置よりも簡単に構成することができる。
【0013】
好適には、旋回可能に支持された少なくとも1つの矯正軸は、矯正線の対向する側に対向支持部を有している。
【0014】
矯正軸は、それぞれ、機械フレームの互いに平行に延在する支持体に支持されていてよく、好ましくは、矯正線の一方の側に配置された矯正軸のみが水平方向に能動的に調節可能であり、これに対して、矯正線のそれぞれ反対側に配置された矯正軸は、1つの水平平面に定置に配置されていてよい。
【0015】
好適には、旋回可能に支持された少なくとも1つの矯正軸は、矯正線の対向する側に旋回可能に枢着されている少なくとも1つの液圧式のピストンシリンダ装置を介して調節可能である。
【0016】
本発明の意味では、矯正線とは、矯正すべき成形材が矯正工程後に延在すべき理想的な線を意味する。矯正線の両側に配置された矯正軸は、矯正すべき成形材が搬送される矯正区間を規定する。
【0017】
このために、矯正軸の少なくともいくつかは、好ましくはそれぞれ個別に駆動されている。これにより、とりわけ、1つの駆動装置が故障した場合に、矯正機を引き続き作動させることができるという利点が得られ、これは、ほかで通常使用される総合的な駆動装置では不可能なことである。個々の駆動装置を介して、トルクおよび回転数の分配も、各矯正軸のために個別に制御することができる。このようなデータは、水平方向かつ/または軸方向の調節に関する相応のデータに結び付けることができ、この場合、これらのデータは、液圧式の調節シリンダの相応の経路および/または力センサおよび/または位置センサを介して検出することができる。本発明によれば、少なくとも1つの矯正軸の、好ましくはすべての矯正軸の調節力および/または位置の少なくとも1つの制御装置が個別に設けられている。
【0018】
本発明による矯正機の機構の特別な利点は、機械フレームを著しく剛性的に構成することができるので、矯正の際に、機械フレームの撓みが僅かであり、ひいては矯正の際に効果的な力の流れが生じることである。
【0019】
矯正軸が個別に液圧によって調節可能であることにより、矯正プロセスの力を検出することができる。個々の矯正ロールの不均等な力の分布は、矯正工程、および個々の矯正ロールまたは矯正軸の正確に調節された軸方向の位置に関する直接的な推測を可能にする。
【0020】
本発明の別の観点は、矯正機において成形材を矯正するための方法であって、当該方法は、垂直に延在する矯正軸上の複数の矯正ロールによって成形材を矯正するステップを含み、これらの矯正軸を、矯正区間において矯正線の両側で、少なくとも部分的に個別にかつ互いに独立的に、液圧によって、水平方向かつ/または軸方向で成形材に向かって矯正力を加えながら調節する、方法に関する。
【0021】
本発明による方法では、矯正ロールの一部を能動的に調節し、これに対し、矯正ロールの他の部分は受動的にのみ矯正力を吸収することが想定されている。これらの矯正ロールは、水平方向で調節可能ではないが、軸方向では調節可能に形成されている。
【0022】
好ましくは、矯正線の一方の側に配置された矯正ロールは能動的に調節可能であり、これに対して、矯正線の反対側に設けられた矯正ロールは受動的に調節可能である。
【0023】
本発明の特に好適な態様では、矯正ロールを、旋回点支持を介して調節する、またはいわゆる揺動調節を行うことが想定されている。揺動調節は、矯正ロールまたは矯正軸の剪断状の送り運動であり、これにより、抵抗力は特に良好に機械フレームに導入される。
【0024】
本発明による方法では、さらに好ましくは、矯正ロールおよび/または矯正軸をそれぞれ個別に駆動することが想定されている。
【0025】
矯正ロールの調節力および/または調節位置を、圧力発信器および/または位置発信器によって検出するかつ/または開ループ制御するかつ/または閉ループ制御することができる。
【0026】
本発明による方法は、特に、上述した特徴を備えた矯正機を使用することを特徴とする。
【0027】
以下に、本発明を図示した実施例につき説明する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図3】矯正機の内側に延在するレール成形材と共に示す本発明による矯正機の斜視図である。
【
図5】矯正機を部分的に切断して示す斜視図である。
【
図7】本発明による矯正機の走出側端部における矯正軸と矯正ロールとを拡大して示す断面図である。
【
図8】本発明による矯正機の矯正軸とロールとを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1に示された矯正機1は、矯正ロール3の形態の複数の矯正工具を備える機械フレーム2を有しており、これらの矯正ロールは、垂直に延在する矯正軸4上に配置されている。これらの矯正ロール3は、
図1による図では、矯正装置のロール通過線5に整合するように位置合わせされている矯正区間を形成する。矯正ロール3は、矯正区間において、それぞれ互いにずらされて対向するように配置されている。機械フレーム2は、液圧式のピストンシリンダ装置として形成されている摺動シリンダ10を介して、ロール通過線5に対して横方向に移動可能であり、したがって必要に応じてロール通過線5の外へ移動可能であり、またはロール通過線内に進入可能である。実施例に示された矯正機1は、垂直矯正機として形成されている。ロール通過線5上には、この矯正機の前後に、例えば水平矯正機が配置されていてよい。矯正機1は、レール成形材7のための走入側ガイド6と走出側ガイド8とを備えている。レール成形材7は、例えば
図3に示されている。レール成形材は、
図3に示された位置では、矯正ロール3によって形成された矯正区間内に延在している。理想的には、レール成形材7によって規定される矯正線の両側で、レール成形材7の成形材側面9に矯正ロール3が当て付けられる。
【0030】
本発明による矯正機1は、矯正工具として全部で8つの矯正ロール3を有しており、これらの矯正ロールはそれぞれ相対回動不能に矯正軸4上に配置されている。機械フレーム2は、矯正線に対して平行に延在する軸受キャリア11ならびにそれぞれ軸受キャリア11の片側に配置された支持体12を含み、これらの支持体は、摺動シリンダ10によってレール13に沿って移動可能に配置されている。支持体12は、矯正線に対して平行に延在するビーム14によって結合されている。支持体12はそれぞれ、走入側ガイド6および走出側ガイド8を保持している。
【0031】
図2から明らかであるように、図平面でロール通過線5の下側では、3つの矯正ロール3または矯正軸4が、すなわち
図2でロール通過線5の下側に配置されている矯正ロール3が、垂直の旋回軸23(図平面内に向かって延在する軸)を中心として旋回可能に配置されている。矯正機1の走出側ガイド8の最も近くに配置されている矯正ロール3は、水平方向で矯正線に関して専ら直線的に移動可能であり、旋回可能ではない。
図2の図平面でロール通過線5の上側に配置された4つの矯正ロール3は、水平方向で定置に配置されている。しかしながら、すべての矯正ロール3は、以下でさらに説明するように、軸方向(すなわち、
図1、
図2および
図4の図平面内部に向かって延在する軸における軸方向)では移動可能または液圧によって調節可能である。矯正ロール3は、レール成形材7の両側で交番曲げを可能にするように、矯正線に沿って互いにずらされて対向するように配置されている。この場合、それぞれ3つの矯正ロール3が力の三角形を形成し、図平面でロール通過線5の上方にある互いに間隔を置いて配置された2つの矯正ロール3が、これらの矯正ロールの下方にまたはこれらの矯正ロールの間に配置された対向する矯正ロール3の揺動調節のための定置の対向支持部を形成する。
【0032】
本発明によれば、いくつかの矯正ロール3の水平方向の調節運動、ならびにすべての矯正ロール3の垂直方向または軸方向の調節運動が、両方とも液圧によって行われることが想定されている。既に上述したように、走入側ガイド6に続いている矯正ロール3は、矯正線の一方の側またはロール通過線5の一方の側では、垂直の旋回軸23を中心として水平方向で円弧区分に沿って能動的な調節運動を行うのに対して、それぞれ対向する矯正ロール3は、これに関して定置に軸受キャリア11に支持されている。
【0033】
特に
図5の図から明らかであるように、旋回式に移動可能な矯正ロール3はそれぞれ、相応に移動可能な矯正軸4に相対回動不能に配置されており、当該矯正軸4は、軸受部材15によって旋回可能にタイロッド16に枢着されており、タイロッドの、矯正軸4から離反する側の端部は、液圧シリンダ18のピストン17を形成しており、この液圧シリンダは、ピン19によって旋回可能に、軸受キャリア11の、当該矯正軸4から離反する側で、軸受ケーシング20に取り付けられている。
【0034】
液圧流体を含むシリンダ18の圧力負荷により、レール成形材7に対して横方向へのタイロッド16の移動が行われ、ひいては当該矯正ロール3に面した、レール成形材7の成形材側面9に向かう方向への矯正ロール3の移動が行われる。この場合、円弧区分に沿って動く矯正ロール3によって、矯正ロール3に面した、レール成形材7の成形材側面9に、矯正線に対して横方向またはレール成形材7の長手方向延在に対して横方向の矯正力が加えられる。隣接する対向する矯正ロール3から、対向するレール成形材7の成形材側面9に対して、相応の対抗力が加えられる。
【0035】
レール成形材7に関する2つの矯正軸4または対向する2つの矯正ロール3の相対位置を示す、矯正線またはロール通過線5の方向で見た図が、
図7に示されている。
【0036】
記載した実施例では、矯正ロール3がそれぞれ、レール成形材7の成形材側面9に当て付けられている。しかしながら、本発明は、矯正すべき成形材、この場合レール成形材7を、より大きな抵抗モーメントを有する軸に関しても矯正することができるように、レール成形材7を矯正ロール3によってガイドすることもできるように、矯正機1を構成することができるということを理解されたい。
【0037】
既に上述したように、各矯正軸4は、それぞれ1つの個別のモータ21によってアングルドライブ22を介して駆動可能である。
【0038】
既に上記で注釈したように、上述した実施例のすべての矯正軸4は、軸方向で液圧によって調節可能であるが、本発明の範囲では、一方または他方の矯正軸4が軸方向で固定されているか、または軸方向で調節可能ではないように支持されていることが想定されていてもよい。
【0039】
矯正軸4のそれぞれが、この軸上に相対回動不能に配置された矯正ロール3と共に、個別に軸方向かつ/または半径方向で液圧によって調節可能であるという状況により、相応の位置発信器を介して軸方向および水平方向で矯正ロール3の個々の位置を、ならびに相応の圧力測定装置を介してその調節力を検出し、開ループ制御し、かつ/または閉ループ制御することができる。中央の閉ループ制御装置および開ループ制御装置を介して、調節力を検出することができる。検出された調節力を介して、例えば、すべての矯正ロール3が軸方向で整列していて、レール成形材7に関して正確に位置調整されているか否かの推定を直接行うことができる。
【0040】
特に
図3および
図5を共に参照した場合にわかるように、矯正軸4の一部が旋回可能に配置されていることにより、機械フレーム2において加えるべき対抗力に関して比較的良好である揺動式のまたは剪断式の調節運動が得られる。これにより、機械フレーム2を比較的容易に、かつ同時に高い安定性で構成することができる。
【符号の説明】
【0041】
1 矯正機
2 機械フレーム
3 矯正ロール
4 矯正軸
5 ロール通過線
6 走入側ガイド
7 レール成形材
8 走出側ガイド
9 成形材側面
10 摺動シリンダ
11 軸受キャリア
12 支持体
13 レール
14 ビーム
15 軸受部材
16 タイロッド
17 ピストン
18 シリンダ
19 ピン
20 軸受ケーシング
21 モータ
22 アングルドライブ
23 垂直の旋回軸
【手続補正書】
【提出日】2023-02-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0004
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0004】
従来の垂直矯正機では、軸方向かつ/または水平方向の調節のために、電気モータによる調節が行われる。さらに、スタンドとも呼ばれる安定的な機械フレームによって力の吸収が行われる。
中国特許出願公開第107790519号明細書により、中空成形材を矯正するための矯正機であって、定置のローラアセンブリと、液圧によって調節可能なローラアセンブリとを備えており、ローラアセンブリは、それぞれ成形材の2つの側面において外側から対向するローラを有しており、これらのローラは成形材の側面に水平方向に作用する、矯正機が公知である。成形材の内部には、4節リンク機構を介して互いに接続されているローラを有するローラアセンブリから成る対向支持部が装着されている。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
本発明による矯正機では、矯正軸の少なくともいくつかが、それぞれ個別に、液圧によって水平方向および軸方向に調節可能であるように形成されていることが想定されている。
【手続補正3】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
成形材を矯正するための矯正機(1)であって、矯正線の両側に互いにずらされて対向するように配置された、矯正区間を形成する複数の矯正ロール(3)を備えており、前記矯正ロールは、垂直に延在する矯正軸(4)に、前記矯正区間においてガイドされる成形材に関して水平方向かつ/または軸方向で調節可能であるように、少なくとも部分的に配置されている、矯正機(1)において、
前記矯正軸(4)の少なくともいくつかは
それぞれ個別に、液圧によって水平方向かつ/または軸方向に調節可能であるように形成されていることを特徴とする、矯正機(1)。
【請求項2】
少なくとも1つの矯正軸(4)は、垂直の旋回軸(23)を中心とした、水平方向の円弧区分に沿った、前記矯正線に関する水平方向の調節のために、可動に配置されている、請求項1記載の矯正機(1)。
【請求項3】
少なくとも1つの矯正軸(4)は、前記矯正機(1)の機械フレーム(2)内に旋回可能に支持されている、請求項1または2記載の矯正機(1)。
【請求項4】
前記少なくとも1つの矯正軸(4)は、前記機械フレーム(2)の少なくとも1つの旋回軸受に保持されている、請求項3記載の矯正機(1)。
【請求項5】
旋回可能に支持された前記少なくとも1つの矯正軸(4)は、前記矯正線の対向する側に対向支持部を有している、請求項1から4までのいずれか1項記載の矯正機(1)。
【請求項6】
旋回可能に支持された前記少なくとも1つの矯正軸(4)は、前記矯正線の対向する側に旋回可能に枢着されている少なくとも1つの液圧式のピストンシリンダ装置を介して調節可能である、請求項2から5までのいずれか1項記載の矯正機(1)。
【請求項7】
前記矯正軸(4)の少なくともいくつかは、個別に駆動されている、請求項1から6までのいずれか1項記載の矯正機(1)。
【請求項8】
少なくとも1つの矯正軸(4)の少なくとも1つの調節力制御および/または位置制御が行われる、請求項1から6までのいずれか1項記載の矯正機(1)。
【請求項9】
垂直矯正機として形成されている、請求項1から8までのいずれか1項記載の矯正機(1)。
【請求項10】
矯正機(1)において成形材を矯正するための方法であって、当該方法は、垂直に延在する矯正軸(4)上の複数の矯正ロール(3)によって成形材を矯正するステップを含み、前記矯正軸を、矯正区間において矯正線の両側で、少なくとも部分的に個別にかつ互いに独立的に、液圧によって、水平方向かつ/または軸方向で成形材に向かって矯正力を加えながら調節する、方法。
【請求項11】
少なくともいくつかの矯正ロール(3)を、旋回点支持を介して調節する、請求項10記載の方法。
【請求項12】
前記矯正ロール(3)をそれぞれ個別に駆動する、請求項10または11記載の方法。
【請求項13】
前記矯正線の一方の側に配置された前記矯正ロール(3)は、水平方向で能動的に調節可能であり、これに対して、前記矯正線の反対側に設けられた前記矯正ロール(3)は、水平方向で定置に支持されている、請求項10から12までのいずれか1項記載の方法。
【請求項14】
前記矯正ロール(3)の調節力および/または調節位置を、圧力発信器および/または位置発信器によって検出かつ/または制御する、請求項10から13までのいずれか1項記載の方法。
【請求項15】
請求項1から9までのいずれか1項の特徴を備えた矯正機(1)を使用する、請求項10から14までのいずれか1項記載の方法。
【手続補正書】
【提出日】2024-03-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
成形材を矯正するための矯正機(1)であって、矯正線の両側に互いにずらされて対向するように配置された、矯正区間を形成する複数の矯正ロール(3)を備えており、前記矯正ロールは、垂直に延在する矯正軸(4)に、前記矯正区間においてガイドされる成形材に関して水平方向かつ/または軸方向で調節可能であるように、少なくとも部分的に配置されている、矯正機(1)において、
前記矯正軸(4)の少なくともいくつかはそれぞれ個別に、液圧によって水平方向かつ/または軸方向に調節可能であるように形成されていることを特徴とする、矯正機(1)。
【請求項2】
少なくとも1つの矯正軸(4)は、垂直の旋回軸(23)を中心とした、水平方向の円弧区分に沿った、前記矯正線に関する水平方向の調節のために、可動に配置されている、請求項1記載の矯正機(1)。
【請求項3】
少なくとも1つの矯正軸(4)は、前記矯正機(1)の機械フレーム(2)内に旋回可能に支持されている、請求項
1記載の矯正機(1)。
【請求項4】
前記少なくとも1つの矯正軸(4)は、前記機械フレーム(2)の少なくとも1つの旋回軸受に保持されている、請求項3記載の矯正機(1)。
【請求項5】
旋回可能に支持された前記少なくとも1つの矯正軸(4)は、前記矯正線の対向する側に対向支持部を有している、請求項
1記載の矯正機(1)。
【請求項6】
旋回可能に支持された前記少なくとも1つの矯正軸(4)は、前記矯正線の対向する側に旋回可能に枢着されている少なくとも1つの液圧式のピストンシリンダ装置を介して調節可能である、請求項
2記載の矯正機(1)。
【請求項7】
前記矯正軸(4)の少なくともいくつかは、個別に駆動されている、請求項
1記載の矯正機(1)。
【請求項8】
少なくとも1つの矯正軸(4)の少なくとも1つの調節力制御および/または位置制御が行われる、請求項
1記載の矯正機(1)。
【請求項9】
垂直矯正機として形成されている、請求項
1記載の矯正機(1)。
【請求項10】
矯正機(1)において成形材を矯正するための方法であって、当該方法は、垂直に延在する矯正軸(4)上の複数の矯正ロール(3)によって成形材を矯正するステップを含み、前記矯正軸を、矯正区間において矯正線の両側で、少なくとも部分的に個別にかつ互いに独立的に、液圧によって、水平方向かつ/または軸方向で成形材に向かって矯正力を加えながら調節する、方法。
【請求項11】
少なくともいくつかの矯正ロール(3)を、旋回点支持を介して調節する、請求項10記載の方法。
【請求項12】
前記矯正ロール(3)をそれぞれ個別に駆動する、請求項1
0記載の方法。
【請求項13】
前記矯正線の一方の側に配置された前記矯正ロール(3)は、水平方向で能動的に調節可能であり、これに対して、前記矯正線の反対側に設けられた前記矯正ロール(3)は、水平方向で定置に支持されている、請求項1
0記載の方法。
【請求項14】
前記矯正ロール(3)の調節力および/または調節位置を、圧力発信器および/または位置発信器によって検出かつ/または制御する、請求項1
0記載の方法。
【請求項15】
請求項1から9までのいずれか1項の特徴を備えた矯正機(1)を使用する、請求項10から14までのいずれか1項記載の方法。
【国際調査報告】