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特表2024-535895SOEC/SOFCタイプの固体酸化物セルのスタックと、加熱プレートを備えたクランピングシステムとからなるアッセンブリ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-02
(54)【発明の名称】SOEC/SOFCタイプの固体酸化物セルのスタックと、加熱プレートを備えたクランピングシステムとからなるアッセンブリ
(51)【国際特許分類】
   C25B 9/67 20210101AFI20240925BHJP
   C25B 1/04 20210101ALI20240925BHJP
   C25B 15/021 20210101ALI20240925BHJP
   C25B 1/042 20210101ALI20240925BHJP
   C25B 9/75 20210101ALI20240925BHJP
   C25B 9/77 20210101ALI20240925BHJP
   C25B 9/00 20210101ALI20240925BHJP
   C25B 1/23 20210101ALI20240925BHJP
   C25B 13/04 20210101ALI20240925BHJP
   C25B 9/19 20210101ALI20240925BHJP
   H01M 8/2432 20160101ALI20240925BHJP
   H01M 8/12 20160101ALI20240925BHJP
   H01M 8/247 20160101ALI20240925BHJP
【FI】
C25B9/67
C25B1/04
C25B15/021
C25B1/042
C25B9/75
C25B9/77
C25B9/00 A
C25B1/23
C25B9/00 Z
C25B13/04 301
C25B9/19
H01M8/2432
H01M8/12 101
H01M8/12 102A
H01M8/247
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024518215
(86)(22)【出願日】2022-09-19
(85)【翻訳文提出日】2024-03-21
(86)【国際出願番号】 FR2022051755
(87)【国際公開番号】W WO2023047045
(87)【国際公開日】2023-03-30
(31)【優先権主張番号】2109939
(32)【優先日】2021-09-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502124444
【氏名又は名称】コミッサリア ア レネルジー アトミーク エ オ ゼネルジ ザルタナテイヴ
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ミシェル・プランク
(72)【発明者】
【氏名】ギレム・ルー
【テーマコード(参考)】
4K021
5H126
【Fターム(参考)】
4K021AA01
4K021AA09
4K021BA02
4K021BC05
4K021CA12
4K021DB04
4K021DB15
4K021DB40
4K021DB47
4K021DB53
4K021DC01
4K021DC03
4K021DC15
4K021EA05
5H126AA25
5H126AA28
5H126BB06
5H126DD05
5H126GG02
5H126GG08
5H126GG11
5H126GG12
5H126JJ03
(57)【要約】
本発明の主な目的は、SOEC/SOFCタイプの固体酸化物セルのスタックと、スタックのためのクランピングシステムとを含むアッセンブリ(80)である。さらに、このアッセンブリ(80)は、少なくとも1つの加熱プレート(95)を含み、少なくとも1つの加熱プレート(95)は、取り外し可能および交換可能であり、上部クランピングプレート(45)および底部クランピングプレート(46)のうちの少なくとも一方のハウジング(90)の中に挿入されており、前記ハウジング(90)は、上部クランピングプレート(45)および底部クランピングプレート(46)のうちの前記少なくとも一方の厚さ(ep)の中に形成されており、互いに反対側にある第1および第2の端部を含み、第1および第2の端部のうちの少なくとも1つは、上部クランピングプレート(45)および底部クランピングプレート(46)のうちの前記少なくとも一方の横方向面(FL)の上に現れており、その主要な上部面(FS)および底部面(FI)から所定の距離において、互いに実質的に平行に、内側に位置付けされている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アッセンブリ(80)であって、前記アッセンブリ(80)は、
- 高温で動作するSOEC/SOFCタイプの固体酸化物セルのスタック(20)であって、
- カソード、アノード、および、前記カソードと前記アノードとの間に介在している電解質によってそれぞれ形成されている複数の電気化学的セル(41)、ならびに、2つの隣接する電気化学的セル(41)の間にそれぞれ配置されている複数の中間インターコネクター(42)を含む、SOEC/SOFCタイプの固体酸化物セルのスタック(20)と、
- 前記SOEC/SOFCタイプの固体酸化物セルの前記スタック(20)をクランプするためのシステム(60)であって、前記システム(60)は、上部クランピングプレート(45)および底部クランピングプレート(46)を含み、前記SOEC/SOFCタイプの固体酸化物セルの前記スタック(20)は、前記上部クランピングプレート(45)と前記底部クランピングプレート(46)との間にクランプされており、それぞれのクランピングプレート(45、46)は、少なくとも2つのクランピングオリフィス(54)を含み、前記クランピングシステム(60)は、
- 少なくとも2つのクランピングロッド(55)であって、前記少なくとも2つのクランピングロッド(55)は、前記上部クランピングプレート(45)と前記底部クランピングプレート(46)が一緒に組み立てられることを可能にするために、前記上部クランピングプレート(45)のクランピングオリフィス(54)を通って、および、前記底部クランピングプレート(46)の対応するクランピングオリフィス(54)を通ってそれぞれ延在することを意図されている、少なくとも2つのクランピングロッド(55)、ならびに、
- 前記上部クランピングプレート(45)と前記底部クランピングプレート(46)が一緒に組み立てられることを可能にするために、前記少なくとも2つのクランピングロッド(55)と協働することを意図された、前記上部クランピングプレート(45)および前記底部クランピングプレート(46)のそれぞれのクランピングオリフィス(54)にあるクランピング手段(56、57、58)
をさらに含む、システム(60)と
を含む、アッセンブリ(80)において、
前記上部クランピングプレート(45)および前記底部クランピングプレート(46)のうちの少なくとも一方は、ハウジング(90)を含み、前記ハウジング(90)は、前記上部クランピングプレート(45)および前記底部クランピングプレート(46)のうちの前記少なくとも一方の厚さ(ep)の中に形成されており、前記ハウジング(90)は、互いに反対側にある第1の端部(90a)および第2の端部(90b)を含み、前記第1の端部(90a)および第2の端部(90b)のうちの少なくとも1つは、前記上部クランピングプレート(45)および前記底部クランピングプレート(46)のうちの前記少なくとも一方の横方向面(FL)の上に現れており、前記ハウジング(90)は、前記上部クランピングプレート(45)および前記底部クランピングプレート(46)のうちの前記少なくとも一方の内側に、その主要な上部面(FS)および底部面(FI)から所定の距離において、互いに実質的に平行に位置付けされており、
前記アッセンブリ(80)は、少なくとも1つの加熱プレート(95)を含み、前記少なくとも1つの加熱プレート(95)は、取り外し可能および交換可能であり、前記ハウジング(90)の中に挿入されることを特徴とする、アッセンブリ(80)。
【請求項2】
前記ハウジング(90)および前記少なくとも1つの加熱プレート(95)は、実質的に平行六面体の形状、とりわけ、スラブ形状または立方体形状を有していることを特徴とする、請求項1に記載のアッセンブリ。
【請求項3】
前記ハウジング(90)は、前記上部クランピングプレート(45)および前記底部クランピングプレート(46)のうちの前記少なくとも一方の前記厚さ(ep)の中に、前記主要な上部面(FS)および底部面(FI)から等しい距離に、中央に、また前記クランピングオリフィス(54)の間に前記クランピングオリフィス(54)から等しい距離に形成されていることを特徴とする、請求項1または2に記載のアッセンブリ。
【請求項4】
前記ハウジング(90)の厚さ(el)は、5mmから10mmの間であり、とりわけ、8mmのオーダーであり、前記ハウジング(90)の幅(l)は、20mmから86mmの間であり、とりわけ、86mmのオーダーであることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載のアッセンブリ。
【請求項5】
前記少なくとも1つの加熱プレート(95)は、加熱エレメントを含み、前記加熱エレメントの最大パワーは、少なくとも1200Wであることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載のアッセンブリ。
【請求項6】
前記少なくとも1つの加熱プレート(95)は、セラミックまたは金属合金から、とりわけ、ステンレス鋼またはニッケル基合金から製造され、とりわけ、アルミナイジングコーティングによって処理されていることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載のアッセンブリ。
【請求項7】
間隙(J)が、前記少なくとも1つの加熱プレート(95)の外部表面と前記ハウジング(90)の内部表面との間に存在しており、前記間隙(J)の寸法は、0.2mmから0.5mmの間であることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載のアッセンブリ。
【請求項8】
前記上部クランピングプレート(45)および前記底部クランピングプレート(46)のうちの前記少なくとも一方は、少なくとも1つの内部溝部(100、101)を含み、前記少なくとも1つの内部溝部(100、101)は、前記上部クランピングプレート(45)および前記底部クランピングプレート(46)のうちの前記少なくとも一方の前記厚さ(ep)の中に形成され、その前記上部面(FS)および底部面(FI)に実質的に平行に延在しており、前記少なくとも1つの内部溝部(100、101)の少なくとも1つの端部(100a、101a)は、前記上部クランピングプレート(45)および前記底部クランピングプレート(46)のうちの前記少なくとも一方の前記横方向面(FL)の上に現れており、前記アッセンブリ(80)は、前記少なくとも1つの内部溝部(100、101)の中に挿入された少なくとも1つの熱電対デバイスを含むことを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載のアッセンブリ。
【請求項9】
前記少なくとも1つの内部溝部(100、101)は、第1の安全内部溝部(100)および第2の調整内部溝部(101)を含み、前記少なくとも1つの熱電対デバイスは、前記第1の内部溝部(100)の中に挿入された第1の安全熱電対デバイスと、前記第2の内部溝部(101)の中に挿入された第2の調整熱電対デバイスとを含むことを特徴とする、請求項8に記載のアッセンブリ。
【請求項10】
前記アッセンブリは、上部端部プレート(43)および底部端部プレート(44)を含み、前記複数の電気化学的セル(41)および前記複数の中間インターコネクター(42)は、前記上部端部プレート(43)と前記底部端部プレート(44)との間にクランプされていることを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載のアッセンブリ。
【請求項11】
前記上部クランピングプレート(45)および前記底部クランピングプレート(46)のうちの前記少なくとも一方は、付加製造技法によって製造され、とりわけ、耐火性オーステナイト鋼から製造されていることを特徴とする、請求項1から10のいずれか一項に記載のアッセンブリ。
【請求項12】
前記上部クランピングプレート(45)および前記底部クランピングプレート(46)のうちの前記少なくとも一方は、20mmから30mmの間の厚さ、とりわけ、25mmのオーダーの厚さを有していることを特徴とする、請求項1から11のいずれか一項に記載のアッセンブリ。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか一項に記載のアッセンブリ(80)を製造するための方法であって、前記方法は、前記上部クランピングプレート(45)および前記底部クランピングプレート(46)のうちの前記少なくとも一方の中に前記ハウジング(90)を生成するステップを含むことを特徴とする、方法。
【請求項14】
前記ハウジング(90)を生成する前記ステップは、電食による、ハビングによる、および/または、付加製造による生成を含むことを特徴とする、請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高温電気分解(HTE)、とりわけ、高温蒸気電気分解(HTSE)(それぞれ「高温電気分解」(THE: High Temperature Electrolysis)および「高温蒸気電気分解」(HTSE: High Temperature Steam Electrolysis)という英語の用語によって呼称される)、二酸化炭素(CO2)電気分解、または、さらには、高温蒸気および二酸化炭素(CO2)共電解の一般的な分野に関する。
【0002】
より正確には、本発明は、高温固体酸化物電解槽の分野に関する(通常は、頭字語SOEC(英語では「固体酸化物電気分解セル(Solid Oxide Electrolysis Cell)」の略である)によって呼称される)。
【0003】
また、本発明は、高温固体酸化物燃料電池の分野に関する(通常は、頭字語SOFC(英語では「固体酸化物燃料電池(Solid Oxide Fuel Cells)」の略である)によって呼称される)。
【0004】
したがって、より一般的には、本発明は、高温で動作するSOEC/SOFCタイプの固体酸化物スタックの分野に言及する。
【0005】
より正確には、本発明は、SOEC/SOFCタイプの固体酸化物セルのスタックと、少なくとも1つの除去可能および交換可能な加熱プレートを含むクランピングシステムとを含むアッセンブリ、ならびに、関連の製造方法に関する。
【背景技術】
【0006】
SOECタイプの高温固体酸化物電解槽の文脈において、それは、1つの同じ電気化学的デバイス内で、電流によって、蒸気(H2O)を二水素(H2)および二酸素(O2)に変換するケース、および/または、二酸化炭素(O2)を一酸化炭素(CO)および二酸素(O2)に変換するケースである。SOFCタイプの高温固体酸化物燃料電池の文脈においては、動作は逆であり、二水素(H2)または他の燃料(たとえば、メタン(CH4)、天然ガス、またはバイオガスなど)、および、二酸素(O2)(典型的には、空気)を供給されながら、電流および熱を生成する。簡潔性の理由から、以下の説明は、蒸気の電気分解を実施するSOECタイプの高温固体酸化物電解槽の動作を特に取り上げる。しかし、この動作は、二酸化炭素(CO2)の電気分解に適用可能であり、または、さらには高温蒸気と二酸化炭素(CO2)との共電解にも適用可能である。加えて、この動作は、SOFCタイプの高温固体酸化物燃料電池のケースに転換可能である。
【0007】
水の電気分解を実施するためには、高温(典型的には、600℃から1000℃の間)においてそれを実施することが有利である。その理由は、液体の水よりも蒸気を電気分解する方が有利であるからであり、また、反応に必要なエネルギーのうちのいくらかは、熱によって提供されることが可能であり、熱は、電気よりも安価であるからである。
【0008】
高温蒸気電気分解(HTSE)を実施するために、SOECタイプの高温固体酸化物電解槽は、基本パターンのスタックから構成されており、基本パターンは、固体酸化物電気分解セル(または、電気化学的セル)(互いに重ね合わせられた3つのアノード/電解質/カソード層から構成されている)と、金属合金から作製された相互接続プレート(バイポーラプレートまたはインターコネクターとも称される)とをそれぞれ含む。それぞれの電気化学的セルは、2つの相互接続プレートの間に挟持されている。次いで、SOECタイプの高温固体酸化物電解槽は、電気化学的セルとインターコネクターとの交互のスタックである。SOFCタイプの高温固体酸化物燃料電池は、同じタイプの基本パターンのスタックから構成されている。この高温技術は可逆的であるので、同じスタックが、電気分解モードで動作し、水および電気から水素および酸素を生成することが可能であり、または、燃料電池モードで動作し、水素および酸素から電気を生成することが可能である。
【0009】
それぞれの電気化学的セルは、電解質/電極アッセンブリに対応し、それは、典型的には、セラミックから作製された多層アッセンブリであり、その電解質は、イオン伝導性の中心層によって形成されており、この層は、固体であり、高密度であり、および不浸透性であり、また、電極を形成する2つの多孔性の層の間に挟持されている。追加的な層が存在することが可能であるが、すでに説明された層のうちの1つまたは複数を改善するためだけの役割を果たすということが留意されるべきである。
【0010】
相互接続デバイス(電気的なおよび流体的な相互接続デバイス)は、電子伝導体であり、電子伝導体は、電気的な視点からは、基本パターンのスタックの中の基本パターンのそれぞれの電気化学的セルの接続を提供し、一方の面とセルのカソードとの間の電気的接触、および、他方の面と次のセルのアノードとの間の電気的接触を保証し、流体的な視点からは、セルのそれぞれのための試薬の供給および生成物の放出を提供する。したがって、インターコネクターは、電流を持って来て収集する機能を果たし、また、分配および/または収集のために、ガス循環コンパートメントの境界を定める機能を果たす。
【0011】
より正確には、インターコネクターの主な機能は、電流の通過を提供することであるが、それぞれのセルの付近のガスの循環を提供することでもあり(すなわち、EHT電気分解のために注入された蒸気ならびに抽出された水素および酸素;空気および燃料(SOFCセルのために注入された水素および抽出された水を含む))、また、2つの隣接するセルのアノードコンパートメントおよびカソードコンパートメント(それらは、それぞれ、セルのアノード側およびカソード側におけるガスの循環のためのコンパートメントである)を分離することである。
【0012】
とりわけ、SOECタイプの高温固体酸化物電解槽に関して、カソードコンパートメントは、蒸気および水素(電気化学反応の生成物)を含み、一方では、アノードコンパートメントは、パージガス(存在する場合)および酸素(電気化学反応の別の生成物)を含む。SOFCタイプの高温固体酸化物燃料電池に関して、アノードコンパートメントは、酸化剤を含み、一方では、カソードコンパートメントは、燃料を含む。
【0013】
高温蒸気電気分解(HTSE)を実施するために、蒸気(H2O)が、カソードコンパートメントの中へ注入される。セルに印加される電流の効果の下で、蒸気の形態の水分子の解離が、水素電極(カソード)と電解質との間の界面において実施される。この解離は、二水素ガス(H2)および酸素イオン(O2-)を生成する。二水素(H2)は収集され、水素コンパートメントの出口部において放出される。酸素イオン(O2-)は、電解質を通って泳動し、電解質と酸素電極(アノード)との間の界面において二酸素(O2)として再結合する。パージガス(たとえば、空気など)は、アノードにおいて循環し、したがって、アノードにおいてガス状の形態で発生する酸素を収集することが可能である。
【0014】
固体酸化物燃料電池(SOFC)を動作させるために、空気(酸素)が、セルのカソードコンパートメントの中へ注入され、水素が、アノードコンパートメントの中へ注入される。空気の酸素は、O2-イオンへと解離することとなる。これらのイオンは、カソードの電解質の中をアノードへ泳動し、水素を酸化し、電気の同時生成を伴って水を形成することとなる。SOFCセルでは、ちょうどSOEC電気分解と同様に、蒸気が、二水素(H2)コンパートメントの中にある。極性のみが逆にされる。
【0015】
図示として、図1は、SOECタイプの高温固体酸化物電解槽の動作の原理を示す概略図である。そのような電解槽の機能は、以下の電気化学反応にしたがって、蒸気を水素および酸素へと変換することである。
2H2O → 2H2 + O2
【0016】
この反応は、電解槽のセルの中で電気化学的に実施される。図1に概略的に示されているように、それぞれの基本的な電気分解セル1は、カソード2およびアノード4によって形成されており、カソード2およびアノード4は、固体電解質3のいずれかの側に設置されている。2つの電極(カソードおよびアノード)2および4は、多孔性材料から作製された電子および/またはイオン伝導体であり、電解質3は、気密性であり、電子絶縁性であり、イオン伝導性を有する。電解質3は、とりわけ、陰イオン伝導体であることが可能であり、または、より正確には、O2-イオンの陰イオン伝導体であることが可能であり、電解槽は、次いで、陽子電解質(H+)とは反対に、イオン電解槽と称される。
【0017】
電気化学反応は、電子伝導体のそれぞれと陰イオン伝導体との間の界面において行われる。
【0018】
カソード2において、半反応は、以下の通りである。
2H2O + 4e- → 2H2 + 2O2-
【0019】
アノード4において、半反応は、以下の通りである。
2O2- → O2 + 4e-
【0020】
電解質3(2つの電極2および4の間に介在している)は、アノード4とカソード2との間に課される電位の差によって作り出される電界の影響の下でのO2-イオンの泳動の部位である。
【0021】
図1において括弧の間に図示されているように、カソード入口部における蒸気は、水素H2によって同伴されることが可能であり、出口部において生成および回収される水素は、蒸気によって同伴されることが可能である。同様に、破線で図示されているように、パージガス(たとえば、空気など)が、さらに、アノード側の入口部において注入され、生成された酸素を放出することが可能である。パージガスを注入することの追加的な機能は、温度調整器の役割を果たすことである。
【0022】
基本的な電解槽または電気分解リアクターは、カソード2、電解質3、およびアノード4を備えた、上記に説明されているような基本的なセルと、電気的なおよび流体的な分配の機能を果たす2つのインターコネクターとから構成されている。
【0023】
生成される水素および酸素の流量を増加させるために、複数の基本的な電気分解セルを互いに積み重ね、インターコネクターによってそれらを分離することが知られている。アッセンブリは、電解槽(電気分解リアクター)の電気的な供給およびガス供給を支持する2つの端部相互接続プレートの間に位置決めされている。
【0024】
したがって、SOECタイプの高温固体酸化物電解槽は、互いに積み重ねられた少なくとも1つの、一般的には複数の電気分解セルを含み、それぞれの基本的なセルは、電解質、カソード、およびアノードによって形成されており、電解質は、アノードとカソードとの間に介在している。
【0025】
以前に示されているように、1つまたは複数の電極と電気的接触をしている流体的なおよび電気的な相互接続デバイスは、一般的に、電流を持って来て収集する機能を果たし、1つまたは複数のガス循環コンパートメントの境界を定める。
【0026】
したがって、いわゆるカソードコンパートメントの機能は、接触しているカソードにおける、電流および蒸気の分配、ならびに、水素の回収である。
【0027】
いわゆるアノードコンパートメントの機能は、電流の分配、および、接触しているアノードにおいて生成される酸素の、随意的にパージガスによる、回収である。
【0028】
図2は、先行技術によるSOECタイプの高温固体酸化物電解槽の基本パターンの分解図を示している。この電解槽は、インターコネクター5とともに交互に積み重ねられた固体酸化物セル(SOEC)タイプの複数の基本的な電気分解セルC1、C2を含む。それぞれのセルC1、C2は、カソード2.1、2.2およびアノード(セルC2のアノード4.2のみが示されている)から構成されており、これらの間に、電解質が配設されている(セルC2の電解質3.2のみが示されている)。
【0029】
インターコネクター5は、金属合金から作製されたコンポーネントであり、それは、カソードコンパートメント50とアノードコンパートメント51との間に分離を提供し、カソードコンパートメント50およびアノードコンパートメント51は、インターコネクター5と隣接するカソード2.1との間に含まれる体積、および、インターコネクター5と隣接するアノード4.2との間に含まれる体積によって、それぞれ画定されている。また、それは、セルへのガスの分配を提供する。それぞれの基本パターンの中への蒸気の注入は、カソードコンパートメント50の中で行われる。カソード2.1、2.2において生成された水素および残留蒸気は、セルC1、C2による蒸気の解離の後に、セルC1、C2の下流においてカソードコンパートメント50の中に収集される。アノード4.2において生成された酸素は、セルC1、C2による蒸気の解離の後に、セルC1、C2の下流においてアノードコンパートメント51の中に収集される。インターコネクター5は、隣接する電極との直接的な接触によって、すなわちアノード4.2とカソード2.1との間において、セルC1とセルC2との間の電流の通過を提供する。
【0030】
高温固体酸化物電解槽(SOEC)の動作条件は、固体酸化物燃料電池(SOFC)の動作条件と非常に類似しており、同じ技術的制約が見出される。
【0031】
したがって、高温で動作するSOEC/SOFCタイプのそのような固体酸化物スタックの正しい動作は、主に、下記に述べられる点を満たす必要がある。
【0032】
第1に、2つの連続するインターコネクターの間に電気的な絶縁を有することが必要であるが(そうでなければ、電気化学的セルは短絡することとなる)、セルとインターコネクターとの間に良好な電気的接触および十分な接触表面を有することも必要である。可能な限り低いオーム抵抗が、セルとインターコネクターとの間に求められる。
【0033】
さらに、アノードコンパートメントとカソードコンパートメントとの間に気密性を有することが必要であり、そうでなければ、生成されるガスの再結合が存在することとなり、効率の降下を引き起こし、特に、スタックを損傷させるホットスポットの出現を引き起こす。
【0034】
最後に、生成物の入力と生成物の回収の両方においてガスの良好な分配を有することが必須であり、そうでなければ、効率の損失、さまざまな基本パターンにおける圧力および温度の不均質性、または、さらには電気化学的セルの許容不可能な劣化さえ存在することとなる。
【0035】
従来から、高温で動作する高温電気分解(SOEC)または燃料電池(SOFC)スタックの中の入って来るガスおよび出て行くガスは、たとえば、図3を参照して図示されているものなどのデバイスによって管理されることが可能である。したがって、デバイス13は、低温部PFおよび高温部PCを含み、高温部PCは、炉フロア(furnace floor)11と、炉ベル(furnace bell)10と、ガスの進入および退出を管理するためのループチューブ12と、高温電気分解(SOEC)または燃料電池(SOFC)スタック20とを含む。
【0036】
フランス特許出願FR3045215A1から、SOEC/SOFCタイプのスタックのための自己完結型のクランピングシステムを自己完結型にするための、および、「プラグ&プレイ」(PnP)タイプの特性をそれに付与するための、自己完結型のクランピングシステムの原理が知られている。そのようなスタック概念((たとえば、電気エレメントタイプの)取り外し可能な一体化された加熱エレメントを有する)は、スタックの製造に力を印加すること、高温での動作中を含めて、同じ力を維持すること、および、その動作に必要な熱をスタックの可能な限り近くに供給することの両方を可能にする。一体化された加熱ユニットを備えたこのPnPシステムは、(次いで、コンパクトな絶縁されたチャンバーのみから構成される)いわゆる「ホットボックス」システムの中でのスタックの迅速な据え付けを可能にし、また、さまざまなコンポーネントの膨張差にかかわらず、高温での動作においてそのクランピングを管理する必要なしにその動作を可能にし、システムの熱効率、および、結果的に、その性能の改善を可能にする。また、これは、抵抗炉がもはや必要ないので、加熱ゾーンにおいてコンパクト性を得ることも可能にする。
【0037】
図4を参照すると、したがって、アッセンブリ80の例が図示されており、それは、SOEC/SOFCタイプの固体酸化物スタック20およびクランピングシステム60を含む。このスタック20は、カソード、アノード、および、カソードとアノードとの間に介在している電解質によってそれぞれ形成されている複数の電気化学的セル41と、2つの隣接する電気化学的セル41の間にそれぞれ配置されている複数の中間インターコネクター42とを含む。電気化学的セル41および中間インターコネクター42のこのアッセンブリは、スタックとも称される。
【0038】
加えて、スタック20は、上部端部プレート43および底部端部プレート44を含み、それらは、上部スタック端部プレート43および底部スタック端部プレート44ともそれぞれ称され、複数の電気化学的セル41および複数の中間インターコネクター42は、上部スタック端部プレート43と底部スタック端部プレート44との間にクランプされており、すなわち、スタックがそれらの間に位置付けされている。
【0039】
さらに、アッセンブリ80は、また、SOEC/SOFCタイプの固体酸化物スタック20をクランプするためのシステム60を含み、それは、上部クランピングプレート45および底部クランピングプレート46を含み、SOEC/SOFCタイプの固体酸化物スタック20は、上部クランピングプレート45と底部クランピングプレート46との間にクランプされている。クランピングシステム60のそれぞれのクランピングプレート45、46は、4つのクランピングオリフィス54を含む。
【0040】
加えて、クランピングシステム60は、さらに、4つのクランピングロッド55(または、タイロッド)を含み、4つのクランピングロッド55は、上部クランピングプレート45と底部クランピングプレート46が一緒に組み立てられることを可能にするために、上部クランピングプレート45のクランピングオリフィス54を通って、および、底部クランピングプレート46の対応するクランピングオリフィス54を通って延在している。
【0041】
また、クランピングシステム60は、上部クランピングプレート4と底部クランピングプレート46が一緒に組み立てられることを可能にするためにクランピングロッド55と協働する、上部クランピングプレート45および底部クランピングプレート46のそれぞれのクランピングオリフィス54にあるクランピング手段56、57、58を含む。
【0042】
より正確には、クランピング手段は、上部クランピングプレート45のそれぞれのクランピングオリフィス54において、クランピングオリフィス54を通して挿入された対応するクランピングロッド55と協働する第1のクランピングナット56を含む。加えて、クランピング手段は、上部クランピングプレート46のそれぞれのクランピングオリフィス54において、クランピングワッシャー58と関連付けられる第2のクランピングナット57を含み、クランピングワッシャー58は、クランピングオリフィス54を通して挿入された対応するクランピングロッド55と協働する。クランピングワッシャー58は、第2のクランピングナット57と底部クランピングプレート46との間に位置付けされている。
【0043】
さらに、フランス特許出願FR3087952A1から、とりわけ、上記に説明されているように、PnPタイプのスタックの自己完結型のクランピングシステムの上部プレートおよび底部プレートを備えた加熱エレメントの一体化の原理も知られている。したがって、加熱ワイヤータイプの加熱エレメントは、機械加工およびろう付けによって、2つの上部クランピングプレートおよび底部クランピングプレートの中に一体化されており、2つの上部クランピングプレートおよび底部クランピングプレートは、厚さ30mmのオーダーであり、AISI310タイプの耐火性オーステナイト鋼から作製されている。
【0044】
スタックと直接的に接触している高密度の金属コンポーネントの中に一体化された加熱エレメントは、したがって、熱伝達による損失を大幅に改善し、それは、次いで、乱れのない伝導によって、および、接触ゾーンにわたって均一に行われる。これは、上部プレートと底部プレートとの間の優れた熱的均質性、ひいては、スタックの良好な全体的な均質性、および、電解槽のために固定された温度設定に対する加熱エレメントの反応性の増加を得る。このようにして、システムの全体のより良好な熱管理が得られる。加熱が一体化されているので、絶縁は、スタックの形態に合わせて変調されることが可能であり、さらに、外側への放射を制限することが可能である。そのような加熱エレメントの熱伝達の有効性は、次いで、600℃から1000℃のオーダーの温度で動作するように、システムに供給されることとなるパワーを最小で100W低減させることを可能にする。絶縁されたチャンバー内で測定される温度は、プレートのものとほとんど同一のランプ上昇を辿り、それは、ホットボックスの熱的制御にとって非常に良好な兆候でもある。
【0045】
しかし、この技術に伴う問題の1つは、加熱エレメントが故障した場合に、操縦の余裕がないという事実にある。次いで、スタックの熱管理が、回収の可能性なしに喪失する。さらに、(とりわけ、クランピングプレートの上にろう付けされたエレメントの形態の)これらの加熱エレメントを生成するコストは、非常に高く、したがって、制約的である。
【0046】
したがって、高温(とりわけ、600℃から1000℃の間)での動作を可能にしながら、高温電気分解(SOEC)または燃料電池(SOFC)スタックにおける加熱ユニットの一体化を改善する必要性が、依然として存在している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0047】
【特許文献1】FR3045215A1
【特許文献2】FR3087952A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0048】
本発明の目的は、上述された要件および先行技術の実施形態に関係する欠点を少なくとも部分的に改善することである。
【課題を解決するための手段】
【0049】
本発明の目的は、したがって、その一態様によれば、アッセンブリであって、アッセンブリは、
- 高温で動作するSOEC/SOFCタイプの固体酸化物セルのスタックであって、SOEC/SOFCタイプの固体酸化物セルのスタックは、
- カソード、アノード、および、カソードとアノードとの間に介在している電解質によってそれぞれ形成されている複数の電気化学的セル、ならびに、2つの隣接する電気化学的セルの間にそれぞれ配置されている複数の中間インターコネクターを含む、SOEC/SOFCタイプの固体酸化物セルのスタックと、
- SOEC/SOFCタイプの固体酸化物セルのスタックをクランプするためのシステムであって、システムは、上部クランピングプレートおよび底部クランピングプレートを含み、SOEC/SOFCタイプの固体酸化物セルのスタックは、上部クランピングプレートと底部クランピングプレートとの間にクランプされており、それぞれのクランピングプレートは、少なくとも2つのクランピングオリフィスを含み、クランピングシステムは、
- 少なくとも2つのクランピングロッドであって、少なくとも2つのクランピングロッドは、上部クランピングプレートと底部クランピングプレートが一緒に組み立てられることを可能にするために、上部クランピングプレートのクランピングオリフィスを通って、および、底部クランピングプレートの対応するクランピングオリフィスを通ってそれぞれ延在することを意図されている、少なくとも2つのクランピングロッド、ならびに、
- 上部クランピングプレートと底部クランピングプレートが一緒に組み立てられることを可能にするために、前記少なくとも2つのクランピングロッドと協働することを意図された、上部クランピングプレートおよび底部クランピングプレートのそれぞれのクランピングオリフィスにあるクランピング手段
をさらに含む、システムと
を含む、アッセンブリにおいて、
上部クランピングプレートおよび底部クランピングプレートのうちの少なくとも一方は、ハウジングを含み、ハウジングは、上部クランピングプレートおよび底部クランピングプレートのうちの前記少なくとも一方の中の厚さの中に形成されており、ハウジングは、互いに反対側にある第1の端部および第2の端部を含み、第1の端部および第2の端部のうちの少なくとも一方は、上部クランピングプレートおよび底部クランピングプレートのうちの前記少なくとも一方の横方向面の上に現れており、前記ハウジングは、上部クランピングプレートおよび底部クランピングプレートのうちの前記少なくとも一方の内側に、その主要な上部面および底部面から所定の距離において、互いに実質的に平行に位置付けされており、
アッセンブリは、少なくとも1つの加熱プレートを含み、少なくとも1つの加熱プレートは、取り外し可能なおよび交換可能であり、前記ハウジングの中に挿入されることを特徴とする、アッセンブリである。
【0050】
本発明により、厚いクランピングプレートの中への加熱エレメントの一体化に関連付けられる利益を維持することが可能であり、それは、熱の損失を最小化しながら、および、上記に説明されている自己完結型のクランピングシステムのエレメントの同じサイズ決めを維持しながら、SOEC/SOFCタイプのスタックの熱効率を改善する。加えて、本発明の原理は、1つまたは複数の加熱エレメントを(とりわけ、その故障のケースにおいて)取り外し可能および交換可能にすることを可能にする。
【0051】
本発明によるアッセンブリはさらに、単独で、または、すべての技術的に可能な組み合わせにしたがって、以下の特徴のうちの1つまたは複数を含むことが可能である。
【0052】
前記ハウジングおよび前記少なくとも1つの加熱プレートは、実質的に平行六面体の形状、とりわけ、スラブ形状または立方体形状を有することが可能である。
【0053】
さらに、前記ハウジングは、上部クランピングプレートおよび底部クランピングプレートのうちの前記少なくとも一方の厚さの中に、主要な上部面および底部面から等しい距離に、中央に、またクランピングオリフィスの間にクランピングオリフィスから等しい距離に形成されることが可能である。
【0054】
加えて、前記ハウジングの厚さは、5mmから10mmの間であり、とりわけ、8mmのオーダーであることが可能である。前記ハウジングの幅は、その一部に関して、20mmから86mmの間であり、とりわけ、86mmのオーダーであることが可能である。
【0055】
さらに、前記少なくとも1つの加熱プレートは、加熱エレメントを含み、加熱エレメントの最大パワーは、少なくとも1200Wであることが可能である。
【0056】
前記少なくとも1つの加熱プレートは、セラミックまたは金属合金から、とりわけ、ステンレス鋼またはニッケル基合金から製造されることが可能であり、とりわけ、アルミナイジングコーティングによって処理されている。
【0057】
加えて、間隙が、前記少なくとも1つの加熱プレートの外部表面と前記ハウジングの内部表面との間に存在していることが可能であり、間隙の寸法は、0.2mmから0.5mmの間であることが可能である。
【0058】
さらに、上部クランピングプレートおよび底部クランピングプレートのうちの前記少なくとも一方は、少なくとも1つの内部溝部を含むことが可能であり、少なくとも1つの内部溝部は、上部クランピングプレートおよび底部クランピングプレートのうちの前記少なくとも一方の厚さの中に形成され、その上部面および底部面に実質的に平行に延在しており、少なくとも1つの内部溝部の少なくとも1つの端部は、上部クランピングプレートおよび底部クランピングプレートのうちの前記少なくとも一方の横方向面の上に現れている。次いで、アッセンブリは、前記少なくとも1つの内部溝部の中に挿入された少なくとも1つの熱電対デバイスを含むことが可能である。
【0059】
とりわけ、前記少なくとも1つの内部溝部は、第1の安全内部溝部および第2の調整内部溝部を含むことが可能である。前記少なくとも1つの熱電対デバイスは、第1の内部溝部の中に挿入された第1の安全熱電対デバイスと、第2の内部溝部の中に挿入された第2の調整熱電対デバイスとを含むことが可能である。
【0060】
さらに、アッセンブリは、上部端部プレートおよび底部端部プレートを含むことが可能であり、複数の電気化学的セルおよび複数の中間インターコネクターは、上部端部プレートと底部端部プレートとの間にクランプされている。
【0061】
加えて、上部クランピングプレートおよび底部クランピングプレートのうちの前記少なくとも一方は、有利には付加製造技法によって製造されることが可能であり、とりわけ、(とりわけ、AISI310タイプの)耐火性オーステナイト鋼から製造される。
【0062】
さらに、上部クランピングプレートおよび底部クランピングプレートのうちの前記少なくとも一方は、20mmから30mmの間の厚さを有することが可能であり、とりわけ、25mmのオーダーの厚さを有することが可能である。
【0063】
加えて、本発明の別の目的は、その態様の別のものによれば、システムであって、システムは、
- 上記に定義されているようなアッセンブリと、
- デバイスであって、少なくとも1つのガス入口部および/または出口部チューブが、デバイスに接続されており、高温で動作するSOEC/SOFCタイプの固体酸化物セルのスタックが、ガスの進入および放出のためにデバイスに連結されている、デバイスと
を含むことを特徴とする、システムである。
【0064】
さらに、本発明の別の目的は、その態様の別のものによれば、上記に定義されているようなアッセンブリを製造するための方法であって、方法は、上部クランピングプレートおよび底部クランピングプレートのうちの前記少なくとも一方の中に前記ハウジングを生成するステップを含むことを特徴とする、方法である。
【0065】
前記ハウジングを生成するステップは、たとえば、電食による、ハビング(hubbing)による、および/または、付加製造による生成を含むことが可能である。
【0066】
本発明は、その実装形態の非限定的な例の以下の詳細な説明を読むことから、および、添付の図面の概略的な部分的な図を調査することから、最良に理解されることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0067】
図1】高温固体酸化物電解槽(SOEC)の動作の原理を示す概略図である。
図2】先行技術によるインターコネクターを含む高温固体酸化物電解槽(SOEC)の一部の分解概略図である。
図3】高温で動作する高温電気分解(SOEC)または燃料電池(SOFC)スタックがその上に設置されるデバイスのアーキテクチャーの原理を図示する図である。
図4】SOEC/SOFCタイプの固体酸化物セルのスタックと、スタックのためのクランピングシステムとを含むアッセンブリの例を、斜視的におよび上方からの観察によって示す図である。
図5】SOEC/SOFCタイプの固体酸化物セルのスタックと、スタックのためのクランピングシステムと、クランピングプレートの中に形成された対応するハウジングの中に挿入される2つの加熱プレートとを含む、本発明によるアッセンブリの例を、斜視的におよび上方からの観察によって示す図である。
図6】隔離して示されている本発明によるアッセンブリの上部クランピングプレートを、斜視図で、上方からの観察によって、および透明な状態で示す図である。
図7図6のVIIに沿った横方向の部分図である。
図8図5のものなどのような、本発明によるアッセンブリの底部クランピングプレートを、下方からの観察によって示す図である。
図9図5における本発明によるアッセンブリの斜視での横方向の部分図である。
【発明を実施するための形態】
【0068】
すべてのこれらの図において、同一の参照記号は、同一のまたは類似のエレメントを指定することが可能である。
【0069】
加えて、図に示されているさまざまな部分は、図をより読み取りやすくするために、必ずしも均一な縮尺で示されているわけではない。
【0070】
図1から図4は、先行技術および本発明の技術的文脈に関係する部分において、すでに以前に説明された。図1および図2に関して、蒸気H2Oの供給に関する、また、二水素H2、酸素O2、空気、および電流の分配および回収に関する記号および矢印は、示されるデバイスの動作を図示するために、明確化および正確さの目的のために示されているということが述べられている。
【0071】
さらに、所与の電気化学的セルのすべての構成要素(アノード/電解質/カソード)は、好ましくはセラミックであるということが留意されなければならない。さらに、高温SOEC/SOFCタイプのスタックの動作温度は、典型的には、600℃から1000℃の間である。
【0072】
加えて、「上部」および「底部」という用語は、ここでは、その使用構成にあるときのSOEC/SOFCタイプのスタックの配向の通常の方向において理解されるべきである。
【0073】
図5から図9は、本発明によるアッセンブリ80の例示的な実施形態に関する。とりわけ、図5は、図4を参照して以前に説明されたものと同様の、本発明によるアッセンブリ80の例を示している。したがって、図4から図5に共通のエレメントは、再度説明されない。
【0074】
本発明によれば、それぞれの上部クランピングプレート45および底部クランピングプレート46は、ハウジング90を含む。そのようなハウジング90の特徴は、図6から図8を参照して最良に見ることができる。
【0075】
それぞれのハウジング90は、それぞれの上部クランピングプレート45および底部クランピングプレート46の厚さepの中に形成されている。それは、互いに反対側にある第1の端部90aおよび第2の端部90bを含み、それらは、両方とも、それぞれのクランピングプレート45、46の横方向面FLの上に現れる。
【0076】
ハウジング90は、対応するクランピングプレート45、46の内側に形成されており、プレートの中央を通過しながら長手方向軸線の上でそれを通過している。したがって、それは、クランピングプレート45、46の内側の中央に配置されている。とりわけ、上部クランピングプレート45に関係する図6に見られるように、ハウジング90は、クランピングオリフィス54同士の間に、クランピングオリフィス54から等しい距離に形成されている。同様に、底部クランピングプレート46に関係する図8に見られるように、ハウジング90は、ガスの進入および/または退出のための通路孔97から等しい距離に形成されている。したがって、それぞれのハウジング90は、図5に見られるように、加熱プレート95を受け入れることを意図されている。それぞれの加熱プレート95は、図5に見ることができる供給ワイヤー98によって供給される。ケーブル98の形態のそのような電気的な給送を提供された加熱プレート95の位置決めは、最も少ない干渉を引き起こす側部の外側にそれらが位置付けされるように行われることが可能である。
【0077】
それぞれのハウジング90およびそれぞれの加熱プレート95は、好適には、実質的に平行六面体の形状になっており、とりわけ、ここでは、実質的にスラブ形状になっているが、立方体形状、または、さらに別の形状であることも可能である。
【0078】
有利には、本発明は、したがって、取り外し可能なおよび交換可能な加熱プレートの使用を可能にする。したがって、加熱プレートが損傷した場合、それは容易に取り替えることが可能である。
【0079】
ハウジング90および加熱プレート95の寸法は、さまざまな要件にしたがって、とりわけ、使用される加熱プレートの性質にしたがって変化することが可能である。
【0080】
一般的に、ハウジング90の厚さelは、5mmから10mmの間であり、ここでは、たとえば、8mmのオーダーであり、ハウジング90の幅lは、20mmから86mmの間であり、たとえば、ここでは、86mmのオーダーである。
【0081】
さらに、加熱プレート95の厚さe'は、5mmから10mmの間であり、ここでは、たとえば、5mmのオーダーであり、加熱プレート95の(とりわけ、その加熱表面の)幅l'は、20mmから86mmの間であり、たとえば、ここでは、84mmのオーダーであり、加熱プレート95の(とりわけ、その加熱表面の)長さL'は、210mmから220mmの間であり、たとえば、ここでは、260mmのオーダーである。
【0082】
上部クランピングプレート45および底部クランピングプレート46の中に形成されるハウジング90または開口部は、さまざまな方式で生成されることが可能である。とりわけ、それらは、電食方法によって、ハビング(もしくは、EDM(英語では「放電加工(electrical discharge machining)」の略である))によって、および/または、付加製造方法(とりわけ、3D印刷を含む)によって、得ることが可能である。
【0083】
第1に、ハビングによる電食は、放電を使用してパーツの中の材料を除去することを本質とする機械加工方法である。スパークマシニングとも呼ばれる。この技法は、すべての導電性材料(たとえば、金属、合金、炭化物、グラファイトなど)(その硬度がどのようなものであっても)を機械加工することへのその適性によって特徴付けられる。この機械加工方法は、蒸気またはボイドバブルを発生させるために、誘電体を通して電流を流すことを本質とし、蒸気またはボイドバブルは、イオン化し、爆縮する(imploding)ときに再吸収され、材料の破壊を引き起こす。この破壊(マイクロインプロージョン(microimplosion))が、スパークを引き起こす。高強度電流は、誘電体を通るチャネルをイオン化する。次いで、破壊的な放出が、電極から機械加工されることとなるパーツに向けて起こり、後者を非常に局所的に(数μm2のオーダーで)損傷させる。次いで、誘電体が、損傷を受けた粒子を冷却し、粒子は、スラッジ(材料および誘電体のマイクロ粒子)の形態で機械のトレイの中へ落下する。
【0084】
第2に、付加製造技術は、デジタルファイルモデルを使用して、ならびに、金属、ポリマー、およびポリマースレッド粉末の押し出しまたは凝固などのような方法を使用する機械によって、物体を段階的に作り出すことを可能にする。「Layer by layer」印刷と呼ばれる。3D印刷は、溶融による材料の堆積、物体を組み立てることを可能にするエネルギー供給源(レーザー、加熱エレメント、電子ビーム、または紫外線)による選択的なフィルタリング、および、最後に、冷却期間の間の材料の凝固(光架橋性樹脂のポリマー化の化学的現象が起こるステレオリソグラフィーのケースを除く)に相当する。機械は、それぞれの層を順番に、1つの層を他の層の上にプリントし、それにより機械の構築チャンバーの内側に現実の物体を構築する。3Dプリンターが最後の層を終えると、短い乾燥サイクルが開始する。次いで、現実の物体は、除去されることが可能であり、必要な場合には、擦り落としや硬度のための硬化などの仕上げ処理を受ける場合もある。したがって、製造は、もはや、従来の技法が圧延または機械加工で行っていたような、材料を取り去ることから構成されるのではなく、対照的に、想定される最終的な物体を必要とされる材料で得るために、層ごとに追加することから構成される。
【0085】
さらに、SOFC/COECタイプの固体酸化物セルのスタックに関して予期される温度範囲において動作することができるようにするために、加熱プレート95は、加熱エレメントを含み、加熱エレメントの最大パワーは、少なくとも1200Wである。したがって、それらは、230Vにおいておおよそ1200W±10%のパワーを実現することが可能であり、それは、良好な絶縁および適合された調整によって、1000℃の高温ゾーンの最大温度に対応し、したがって、絶縁されたチャンバーによって消散されるパワーをカバーすることを可能にする。加熱プレート95は、とりわけ高温を専門とする会社を通して、商業的に得ることが可能である。
【0086】
加熱プレートは、好ましくはセラミックから製造されることが可能である。さまざまな寸法およびサイズが製造されることが可能である。そのような加熱プレートは、1000℃までの動作範囲を有する高温ゾーンと、600℃における接触ゾーンにおける低温ゾーンとを有することが可能であり、それは、セラミックウールから作製されたシースによって保護されることが可能である。しかし、大型の加熱プレートが、低温ゾーンを備えずに製造されることも可能である。セラミック材料の特殊な特性および低質量は、急速な加熱速度、温度の均一な分配、および制御の正確さを可能にすることができる。高い放射率および熱放射の幅広い発光スペクトルは、窒化ケイ素から得られるセラミック材料を理想的な放射加熱エレメントにすることが可能である。1000℃における15W/cm2のパワーが実現されることが可能である。
【0087】
加熱プレートは、金属合金から製造されることも可能である。たとえば、それらは、ステンレス鋼から、たとえば、316Lステンレス鋼から、または、ニッケル基合金から、とりわけ、インコネル(登録商標)から、たとえば、インコネル(登録商標)600から製造されることが可能である。この場合、それらは、有利には、それらが接触する可能性のある任意の表面に溶接しないように、それらの表面の上にアルミナイジングコーティングによって処理されている。
【0088】
加えて、加熱プレートは、加熱ケーブルから構成されることが可能であり、それは、とりわけ、加熱コアから構成され、加熱コアは、インコネル(登録商標)600のシースの下に、たとえば、96~99%の酸化マグネシウム(MgO)タイプの鉱物絶縁体を備えており、また、図5における参照番号95tによって図示されている、組み込まれた低温終端部を備えている。加熱コアは、所与の長さにわたって、±0.05mmにおいて1mmから2mmの間の直径を有することが可能である。
【0089】
さらに、図9に見られるように、間隙Jが、加熱プレート95の外部表面とハウジング90の内部表面との間に存在することが留意されるべきである。この間隙Jは、とりわけ、0.2mmから0.5mmの間の寸法を有することが可能である。
【0090】
加熱プレート95がそのハウジング90の中に挿入されるときに、それは、サーマルグリースによってコーティングされることが可能であり、サーマルグリースは、間隙Jの中に充填する効果および良好な熱伝達を実現する効果を有することとなる。
【0091】
それぞれの加熱プレート45、46は、たとえば、ここでは、310sステンレス鋼タイプの耐火性材料から作製されている。850℃におけるその熱膨張係数は、たとえば、18.2(単位:10-6.K-1)であり、それは、ハウジング90の86mmの幅lにおいて0.012mmの移動を与える。窒化ケイ素(セラミック)の膨張は、86mmの幅において無視できるほど小さいということが留意されるべきである。
【0092】
下記のTable 1(表1)は、加熱プレート95を製造するために使用され得るセラミック材料のための関心のデータ(とりわけ、熱膨張係数)を表している。
【0093】
【表1】
【0094】
さらに、それぞれの加熱プレート95を制御できるようにするために、それぞれのクランピングプレート45、46は、内部溝部100、101を含み、それは、たとえば、プレート45、46ごとに2つの熱電対デバイスを挿入するために、穿孔の形態で製造される。
【0095】
正確には、図9に見られるように、第1の安全内部溝部100および第2の調整内部溝部101が、上部クランピングプレート45の中に形成されており、第1の安全熱電対デバイスおよび第2の熱電対デバイスのそれぞれの挿入を可能にする。
【0096】
加熱プレート95の第1の安全熱電対デバイスは、その過熱および損傷を回避するために、制御されることとなるゾーンの可能な限り近くに(すなわち、加熱エレメントの可能な限り近くに)設置されている。加熱プレート95の第2の調整熱電対デバイスは、スタック20への熱の伝達に関する情報を得ることを可能にする関心のゾーンの中に位置付けされている。
【0097】
膨張も考慮されなければならないが、クランピングプレートのボアにおいてクランプ力が生じることから、加熱プレート(好ましくはセラミックから作製される)が破損し得るため、プレートが湾曲しないことを保証する必要があることに留意することが重要である。
【0098】
有限要素法計算を行うことができるようにするために、クランピングプレートの中央において86mm x 8mmのハウジング90が選択された。すると、これは、タイロッド1本当たり500Nのクランプ力の下で、スタック20がクランプされているときに、クランピングプレートの屈曲が加熱プレート95の挿入または除去を可能にすることを確認するというケースになる。計算は、クランピングプレート45、46の材料として310Sスチールを用いて、800℃において行われた。
【0099】
次いで、1ミクロンのオーダーの屈曲が得られ、それは、加熱プレート95を装着および取り外すことを可能にするために特に問題がないということが観察された。
【0100】
当然のことながら、本発明は、上記で説明されてきた例示的な実施形態に限定されない。さまざまな修正が、それに対して当業者によって行われることが可能である。
【符号の説明】
【0101】
1 基本的な電気分解セル
2 カソード
2.1 カソード
2.2 カソード
3 電解質
3.2 電解質
4 アノード
4.2 アノード
5 インターコネクター
10 炉ベル
11 炉フロア
12 ループチューブ
13 デバイス
20 SOEC/SOFCタイプの固体酸化物スタック
41 電気化学的セル
42 中間インターコネクター
43 上部端部プレート
44 底部端部プレート
45 上部クランピングプレート
46 底部クランピングプレート
50 カソードコンパートメント
51 アノードコンパートメント
54 クランピングオリフィス
55 クランピングロッド
56 クランピング手段
57 クランピング手段
58 クランピング手段
60 クランピングシステム
80 アッセンブリ
90 ハウジング
90a 第1の端部
90b 第2の端部
95 加熱プレート
95t 低温終端部
97 通路孔
98 ケーブル
100 第1の安全内部溝部
100a 内部溝部100の端部
101 第2の調整内部溝部
101a 内部溝部101の端部
C1 基本的な電気分解セル
C2 基本的な電気分解セル
el ハウジング90の厚さ
ep 上部クランピングプレート45および底部クランピングプレート46の厚さ
e' 加熱プレート95の厚さ
FI 底部面
FL 横方向面
FS 上部面
J 間隙
l ハウジング90の幅
L' 加熱プレート95の長さ
l' 加熱プレート95の幅
PC 高温部
PF 低温部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【国際調査報告】