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特表2024-535901新規プロバイオティクスおよびその用途
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-02
(54)【発明の名称】新規プロバイオティクスおよびその用途
(51)【国際特許分類】
   C12N 1/20 20060101AFI20240925BHJP
   A23L 33/135 20160101ALI20240925BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20240925BHJP
   A61P 1/04 20060101ALI20240925BHJP
   A61P 19/02 20060101ALI20240925BHJP
   A61P 19/06 20060101ALI20240925BHJP
   A61P 1/16 20060101ALI20240925BHJP
   A61P 11/06 20060101ALI20240925BHJP
   A61P 3/04 20060101ALI20240925BHJP
   A61P 27/02 20060101ALI20240925BHJP
   A61P 13/12 20060101ALI20240925BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20240925BHJP
   A61P 31/06 20060101ALI20240925BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20240925BHJP
   A61P 19/00 20060101ALI20240925BHJP
   A61P 1/18 20060101ALI20240925BHJP
   A61P 13/02 20060101ALI20240925BHJP
   A61P 13/10 20060101ALI20240925BHJP
   A61P 15/00 20060101ALI20240925BHJP
   A61P 9/10 20060101ALI20240925BHJP
   A61P 31/04 20060101ALI20240925BHJP
   A61P 17/02 20060101ALI20240925BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20240925BHJP
   A61P 1/02 20060101ALI20240925BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20240925BHJP
   A61P 25/22 20060101ALI20240925BHJP
   A61P 25/24 20060101ALI20240925BHJP
   A61P 25/06 20060101ALI20240925BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20240925BHJP
   A61P 25/14 20060101ALI20240925BHJP
   A61P 25/16 20060101ALI20240925BHJP
   A61K 35/747 20150101ALI20240925BHJP
   A61K 35/745 20150101ALI20240925BHJP
   A61K 35/744 20150101ALI20240925BHJP
【FI】
C12N1/20 E
A23L33/135 ZNA
A61P29/00
A61P1/04
A61P19/02
A61P19/06
A61P1/16
A61P11/06
A61P3/04
A61P27/02
A61P13/12
A61P3/10
A61P31/06
A61P11/00
A61P19/00
A61P1/18
A61P13/02
A61P13/10
A61P15/00
A61P9/10 101
A61P31/04
A61P17/02
A61P17/00
A61P1/02
A61P25/28
A61P25/22
A61P25/24
A61P25/06
A61P25/00
A61P25/14
A61P25/16
A61K35/747
A61K35/745
A61K35/744
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024518299
(86)(22)【出願日】2022-09-30
(85)【翻訳文提出日】2024-03-19
(86)【国際出願番号】 KR2022014798
(87)【国際公開番号】W WO2023055188
(87)【国際公開日】2023-04-06
(31)【優先権主張番号】10-2021-0130539
(32)【優先日】2021-10-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Witepsol
2.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】524106635
【氏名又は名称】ピービーエルバイオラブ カンパニー リミテッド
(71)【出願人】
【識別番号】523105347
【氏名又は名称】エヌブイピー、ヘルスケア、カンパニー、リミテッド
【氏名又は名称原語表記】NVP HEALTHCARE CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110003007
【氏名又は名称】弁理士法人謝国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】キム、トン、ヒョン
【テーマコード(参考)】
4B018
4B065
4C087
【Fターム(参考)】
4B018MD86
4B018MD87
4B018ME10
4B018ME11
4B018ME14
4B065AA30X
4B065AA30Y
4B065AC20
4B065BA21
4B065CA41
4B065CA43
4B065CA44
4C087AA01
4C087AA02
4C087BC55
4C087BC56
4C087BC59
4C087NA05
4C087ZA02
4C087ZA12
4C087ZA15
4C087ZA16
4C087ZA33
4C087ZA45
4C087ZA59
4C087ZA61
4C087ZA66
4C087ZA67
4C087ZA68
4C087ZA70
4C087ZA75
4C087ZA81
4C087ZA89
4C087ZA96
4C087ZB11
4C087ZB35
4C087ZC35
(57)【要約】
本発明は、新規な乳酸菌であるラクトバチルス・ラムノサス、ビフィドバクテリウム・ロンガム、そしてラクトコッカス・ラクティスに関する。
本発明による菌株は、優れた抗酸化効果、炎症改善効果、神経改善効果、認知改善効果、腸内マイクロバイオータの不均衡改善効果などによって医薬品および食品として活用価値が高く、特に、炎症性疾患および神経系統疾患の予防、治療または改善に利用されてもよい。また、免疫機能改善および免疫増進効果によって免疫体系の活性を高めることで免疫調節および増進に利用されてもよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラクトバチルス・ラムノサスNK210(Lactobacillus rhamnosus NK210)KCCM13049P。
【請求項2】
前記ラクトバチルス・ラムノサスNK210は、配列番号1の16S rDNAの塩基配列を含むものである、請求項1に記載のラクトバチルス・ラムノサスNK210(Lactobacillus rhamnosus NK210)KCCM13049P。
【請求項3】
ビフィドバクテリウム・ロンガムNK219(Bifidobacterium longum NK219)KCCM13050P。
【請求項4】
前記ビフィドバクテリウム・ロンガムNK219は、配列番号2の16S rDNAの塩基配列を含むものである、請求項3に記載のビフィドバクテリウム・ロンガムNK219(Bifidobacterium longum NK219)KCCM13050P。
【請求項5】
ラクトコッカス・ラクティスNK209(Lactococcus lactis NK209)KCCM13048P。
【請求項6】
前記ラクトコッカス・ラクティスNK209は、配列番号3の16S rDNAの塩基配列を含むものである、請求項5に記載のラクトコッカス・ラクティスNK209(Lactococcus lactis NK209)KCCM13048P。
【請求項7】
ラクトバチルス・ラムノサスNK210(Lactobacillus rhamnosus NK210)KCCM13049P、ビフィドバクテリウム・ロンガムNK219(Bifidobacterium longum NK219)KCCM13050P、ラクトコッカス・ラクティスNK209(Lactococcus lactis NK209)KCCM13048P、またはこれらの任意の混合物、および薬学的に許容される担体を含む薬学組成物。
【請求項8】
ラクトバチルス・ラムノサスNK210(Lactobacillus rhamnosus NK210)KCCM13049P、ビフィドバクテリウム・ロンガムNK219(Bifidobacterium longum NK219)KCCM13050P、ラクトコッカス・ラクティスNK209(Lactococcus lactis NK209)KCCM13048P、またはこれらの任意の混合物を含む、炎症性疾患の予防または治療用薬学組成物。
【請求項9】
炎症性疾患は、炎症性腸疾患、関節炎、痛風、肝炎、喘息、肥満、角膜炎、胃炎、腎炎、大腸炎、糖尿、結核、気管支炎、胸膜炎、腹膜炎、脊椎炎、膵炎、尿道炎、膀胱炎、膣炎、動脈硬化症、敗血症、やけど、皮膚炎、歯周炎および歯肉炎を含む群から選択されるいずれか一つ以上である、請求項8に記載の炎症性疾患の予防または治療用薬学組成物。
【請求項10】
炎症性腸疾患は、潰瘍性大腸炎、クローン病、コラーゲン性大腸炎、リンパ球性大腸炎、虚血性大腸炎、空置性大腸炎、ベーチェット病、非定型の大腸炎、抗生剤誘発大腸炎および抗癌剤誘発大腸炎からなる群から選択されるいずれか一つ以上である、請求項9に記載の炎症性疾患の予防または治療用薬学組成物。
【請求項11】
ラクトバチルス・ラムノサスNK210(Lactobacillus rhamnosus NK210)KCCM13049P、ビフィドバクテリウム・ロンガムNK219(Bifidobacterium longum NK219)KCCM13050P、ラクトコッカス・ラクティスNK209(Lactococcus lactis NK209)KCCM13048P、またはこれらの任意の混合物を含む、認知機能障害の予防または治療用薬学組成物。
【請求項12】
認知機能障害は、不安、うつ病、偏頭痛、ストレス、アルツハイマー病、ハンチントン病、血管性認知症、ピック病、パーキンソン病、クロイツフェルト・ヤコブ病、認知症およびこれらの組み合わせで構成された群から選択されるいずれか一つ以上である、請求項11に記載の認知機能障害の予防または治療用薬学組成物。
【請求項13】
ラクトバチルス・ラムノサスNK210(Lactobacillus rhamnosus NK210)KCCM13049P、ビフィドバクテリウム・ロンガムNK219(Bifidobacterium longum NK219)KCCM13050P、ラクトコッカス・ラクティスNK209(Lactococcus lactis NK209)KCCM13048P、またはこれらの任意の混合物を含む、炎症性疾患の予防または改善用食品組成物。
【請求項14】
炎症性疾患は、炎症性腸疾患、関節炎、痛風、肝炎、喘息、肥満、角膜炎、胃炎、腎炎、大腸炎、糖尿、結核、気管支炎、胸膜炎、腹膜炎、脊椎炎、膵炎、尿道炎、膀胱炎、膣炎、動脈硬化症、敗血症、やけど、皮膚炎、歯周炎および歯肉炎を含む群から選択されるいずれか一つ以上である、請求項13に記載の炎症性疾患の予防または改善用食品組成物。
【請求項15】
炎症性腸疾患は、潰瘍性大腸炎、クローン病、コラーゲン性大腸炎、リンパ球性大腸炎、虚血性大腸炎、空置性大腸炎、ベーチェット病、非定型の大腸炎、抗生剤誘発大腸炎および抗癌剤誘発大腸炎からなる群から選択されるいずれか一つ以上である、請求項14に記載の炎症性疾患の予防または改善用食品組成物。
【請求項16】
ラクトバチルス・ラムノサスNK210(Lactobacillus rhamnosus NK210)KCCM13049P、ビフィドバクテリウム・ロンガムNK219(Bifidobacterium longum NK219)KCCM13050P、ラクトコッカス・ラクティスNK209(Lactococcus lactis NK209)KCCM13048P、またはこれらの任意の混合物を含む、認知機能障害の予防または改善用食品組成物。
【請求項17】
認知機能障害は、不安、うつ病、偏頭痛、ストレス、アルツハイマー病、ハンチントン病、血管性認知症、ピック病、パーキンソン病、クロイツフェルト・ヤコブ病、認知症およびこれらの組み合わせで構成された群から選択されるいずれか一つ以上である、請求項16に記載の認知機能障害の予防または改善用食品組成物。
【請求項18】
ラクトバチルス・ラムノサスNK210(Lactobacillus rhamnosus NK210)KCCM13049P、ビフィドバクテリウム・ロンガムNK219(Bifidobacterium longum NK219)KCCM13050P、ラクトコッカス・ラクティスNK209(Lactococcus lactis NK209)KCCM13048P、またはこれらの任意の混合物を含む、免疫調節用組成物。
【請求項19】
ラクトバチルス・ラムノサスNK210(Lactobacillus rhamnosus NK210)KCCM13049P、ビフィドバクテリウム・ロンガムNK219(Bifidobacterium longum NK219)KCCM13050P、ラクトコッカス・ラクティスNK209(Lactococcus lactis NK209)KCCM13048P、またはこれらの任意の混合物を含む、免疫機能改善用組成物。
【請求項20】
ラクトバチルス・ラムノサスNK210(Lactobacillus rhamnosus NK210)KCCM13049P、ビフィドバクテリウム・ロンガムNK219(Bifidobacterium longum NK219)KCCM13050P、ラクトコッカス・ラクティスNK209(Lactococcus lactis NK209)KCCM13048P、またはこれらの任意の混合物を対象体に投与するステップを含む炎症性疾患の予防または治療方法。
【請求項21】
炎症性疾患は、炎症性腸疾患、関節炎、痛風、肝炎、喘息、肥満、角膜炎、胃炎、腎炎、大腸炎、糖尿、結核、気管支炎、胸膜炎、腹膜炎、脊椎炎、膵炎、尿道炎、膀胱炎、膣炎、動脈硬化症、敗血症、やけど、皮膚炎、歯周炎および歯肉炎を含む群から選択されるいずれか一つ以上である、請求項20に記載の炎症性疾患の予防または治療方法。
【請求項22】
炎症性腸疾患は、潰瘍性大腸炎、クローン病、コラーゲン性大腸炎、リンパ球性大腸炎、虚血性大腸炎、空置性大腸炎、ベーチェット病、非定型の大腸炎、抗生剤誘発大腸炎および抗癌剤誘発大腸炎からなる群から選択されるいずれか一つ以上である、請求項21に記載の炎症性疾患の予防または治療方法。
【請求項23】
ラクトバチルス・ラムノサスNK210(Lactobacillus rhamnosus NK210)KCCM13049P、ビフィドバクテリウム・ロンガムNK219(Bifidobacterium longum NK219)KCCM13050P、ラクトコッカス・ラクティスNK209(Lactococcus lactis NK209)KCCM13048P、またはこれらの任意の混合物を対象体に投与するステップを含む、認知機能障害の予防または治療方法。
【請求項24】
認知機能障害は、不安、うつ病、偏頭痛、ストレス、アルツハイマー病、ハンチントン病、血管性認知症、ピック病、パーキンソン病、クロイツフェルト・ヤコブ病、認知症およびこれらの組み合わせで構成された群から選択されるいずれか一つ以上である、請求項23に記載の認知機能障害の予防または治療方法。
【請求項25】
ラクトバチルス・ラムノサスNK210(Lactobacillus rhamnosus NK210)KCCM13049P、ビフィドバクテリウム・ロンガムNK219(Bifidobacterium longum NK219)KCCM13050P、ラクトコッカス・ラクティスNK209(Lactococcus lactis NK209)KCCM13048P、またはこれらの任意の混合物を対象体に投与するステップを含む、免疫調節方法。
【請求項26】
ラクトバチルス・ラムノサスNK210(Lactobacillus rhamnosus NK210)KCCM13049P、ビフィドバクテリウム・ロンガムNK219(Bifidobacterium longum NK219)KCCM13050P、ラクトコッカス・ラクティスNK209(Lactococcus lactis NK209)KCCM13048P、またはこれらの任意の混合物を対象体に投与するステップを含む、免疫機能改善方法。
【請求項27】
炎症性疾患の治療のための薬剤の製造において、ラクトバチルス・ラムノサスNK210(Lactobacillus rhamnosus NK210)KCCM13049P、ビフィドバクテリウム・ロンガムNK219(Bifidobacterium longum NK219)KCCM13050P、ラクトコッカス・ラクティスNK209(Lactococcus lactis NK209)KCCM13048P、またはこれらの任意の混合物の用途。
【請求項28】
炎症性疾患は、炎症性腸疾患、関節炎、痛風、肝炎、喘息、肥満、角膜炎、胃炎、腎炎、大腸炎、糖尿、結核、気管支炎、胸膜炎、腹膜炎、脊椎炎、膵炎、尿道炎、膀胱炎、膣炎、動脈硬化症、敗血症、やけど、皮膚炎、歯周炎および歯肉炎を含む群から選択されるいずれか一つ以上である、請求項27に記載の用途。
【請求項29】
炎症性腸疾患は、潰瘍性大腸炎、クローン病、コラーゲン性大腸炎、リンパ球性大腸炎、虚血性大腸炎、空置性大腸炎、ベーチェット病、非定型の大腸炎、抗生剤誘発大腸炎および抗癌剤誘発大腸炎からなる群から選択されるいずれか一つ以上である、請求項28に記載の用途。
【請求項30】
認知機能障害の治療のための薬剤の製造において、ラクトバチルス・ラムノサスNK210(Lactobacillus rhamnosus NK210)KCCM13049P、ビフィドバクテリウム・ロンガムNK219(Bifidobacterium longum NK219)KCCM13050P、ラクトコッカス・ラクティスNK209(Lactococcus lactis NK209)KCCM13048P、またはこれらの任意の混合物の用途。
【請求項31】
認知機能障害は、不安、うつ病、偏頭痛、ストレス、アルツハイマー病、ハンチントン病、血管性認知症、ピック病、パーキンソン病、クロイツフェルト・ヤコブ病、認知症およびこれらの組み合わせで構成された群から選択されるいずれか一つ以上である、請求項30に記載の用途。
【請求項32】
免疫調節に用いるための薬剤の製造において、ラクトバチルス・ラムノサスNK210(Lactobacillus rhamnosus NK210)KCCM13049P、ビフィドバクテリウム・ロンガムNK219(Bifidobacterium longum NK219)KCCM13050P、ラクトコッカス・ラクティスNK209(Lactococcus lactis NK209)KCCM13048P、またはこれらの任意の混合物の用途。
【請求項33】
免疫機能改善に用いるための薬剤の製造において、ラクトバチルス・ラムノサスNK210(Lactobacillus rhamnosus NK210)KCCM13049P、ビフィドバクテリウム・ロンガムNK219(Bifidobacterium longum NK219)KCCM13050P、ラクトコッカス・ラクティスNK209(Lactococcus lactis NK209)KCCM13048P、またはこれらの任意の混合物の用途。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規なプロバイオティクスであるラクトバチルス・ラムノサス、ビフィドバクテリウム・ロンガム、そしてラクトコッカス・ラクティスに関する。
【背景技術】
【0002】
プロバイオティクス(probiotics)とは、様々な微生物が存在するヒトの腸内に優勢菌として分布しており、体内の有益菌の成長を促す生菌活性剤であって、人体の消化系に共生しつつ繊維質および複合タンパク質を分解して重要な栄養成分に作る役割を果たす。また、大腸菌やClostridium difficileのような有害菌の繁殖を抑制し、下痢と便秘を改善し、ビタミンの合成、血中コレステロールの低下などの役割を果たす。このようなプロバイオティクスのうちの乳酸菌は、糖類を発効してエネルギーを獲得し、多量の乳酸を生成する細菌である。これは、農産物や食品、ヒトや動物の体内などの自然界に広く分布している。チーズ、発酵乳、キムチ、製パンなどの発酵に多く利用される。一般的に、乳酸菌を摂取すれば、腸内微生物中の有害菌が抑制されるだけでなく、食べ物の消化、吸収、分解を助ける有益菌が増加することが知られている。従って、乳酸菌を摂取すれば、血中コレステロールの減少、免疫力の増進、内因性感染の抑制、肝硬変改善、抗癌効果などの多様な効能があるという点が報告されている。それだけではなく、最近、乳酸菌により発効された天然物の効能増大に関する研究も行われている。
マイクロバイオームとは「微生物(microbe)」と「生態系(biome)」を合わせた言葉である。学者はマイクロバイオームを「第2のゲノム(genome・遺伝情報)」と指称することもある。人々は指の指紋のようにそれぞれ異なるマイクロバイオームを持ったためである。この差によってアレルギー、アトピー、肥満から腸炎、心臓疾患に至るまで各種疾患の発病率が左右される。ところで、マイクロバイオームは95%以上が腸に住んでおり、腸内細菌にさらに大きい関心が集まる。
腸内細菌叢内の有益菌と有害菌の健康な割合が割れると、免疫力が大きく落ちる。腸内有益菌が免疫細胞の活性化を誘導するためである。また、有害菌の割合が多くなると、腸内防御壁の機能が弱くなり、腸粘膜が損傷される。これにより、腸管内に存在していた病原菌、毒素などが血流へ流入されて感染性疾患や自己免疫疾患が生じることがある。また、腸内細菌が認知症誘発の危険を高めるという主張もある。
これによって、このような腸内微生物叢に変化を与えて目的とする有益菌の水準を高めることは、複合的な健康機能の改善に非常に重要な事項である。このためには、数えられない多い菌株から適切な菌株を導き出すことが必ず必要であるが、このような特定菌株を探し出すことは非常に難しいことである。
このような背景の下に、本発明者は、炎症性疾患、神経系疾患において、予防、改善、および治療効果を示すことができる新規菌株を確認し、本発明を完成した。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、新規なプロバイオティクスとして、ラクトバチルス・ラムノサス、ビフィドバクテリウム・ロンガム、そしてラクトコッカス・ラクティスを提供することである。
本発明の他の目的は、前記新規なプロバイオティクスの用途を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
前記目的を行うための一つの様態として、本発明は、ラクトバチルス・ラムノサスNK210(Lactobacillus rhamnosus NK210)(寄託機関:韓国微生物保存センター、寄託日:2021年9月15日、受託番号:KCCM13049P)を提供する。
本発明のラクトバチルス・ラムノサスNK210は、ヒトの糞便から分離および同定されたラクトバチルス・ラムノサスの新規なプロバイオティクスであることを特徴とする。
本発明のラクトバチルス・ラムノサスNK210の同定および分類のための16S rDNAの塩基配列は、本明細書に添付された配列番号1の通りである。従って、本発明のラクトバチルス・ラムノサスNK210(Lactobacillus rhamnosus NK210)は、配列番号1の16S rDNAを含んでもよい。
前記配列番号1の16S rDNAの塩基配列の分析の結果、公知のラクトバチルス・ラムノサス菌株と99%の相同性を示し、ラクトバチルス・ラムノサスと最も高い分子系統学的に類縁関係を示した。従って、前記乳酸菌をラクトバチルス・ラムノサス(Lactobacillus rhamnosus)と同定し、ラクトバチルス・ラムノサスNK210と命名しており、韓国微生物保存センターに2021年9月15日付で寄託した(受託番号KCCM13049P)。
本発明のラクトバチルス・ラムノサスNK210は、グラム陽性菌であり、細胞の形態は、桿菌である。より具体的なラクトバチルス・ラムノサスNK210の生理学的特性は、当該技術分野の通常の方法に従って分析してもよく、その結果は、下記表3に示す通りである。具体的に、ラクトバチルス・ラムノサスNK210は、炭素源として、D-ガラクトース、D-グルコース、D-フルクトース、D-マンノース、ズルシトール、マンニトール、ソルビトール、N-アセチル-グルコサミン、アミグダリン、アルブチン、エスクリン、サリシン、セロビオース、マルトース、ラクトース、トレハロース、メレジトース、ゲンチオビオース、D-タガトース、グルコネートおよびL-フコースからなる群から選択されるいずれか一つ以上を利用してもよい。
前記目的を行うための他の一つの様態として、本発明は、ビフィドバクテリウム・ロンガムNK219(Bifidobacterium longum NK219)(寄託機関:韓国微生物保存センター、寄託日:2021年9月15日、受託番号:KCCM13050P)を提供する。
本発明のビフィドバクテリウム・ロンガムNK219は、ヒトの糞便から分離および同定されたビフィドバクテリウム・ロンガムの新規な乳酸菌であることを特徴とする。
本発明のビフィドバクテリウム・ロンガムNK219の同定および分類のための16S rDNAの塩基配列は、本明細書に添付された配列番号2の通りである。従って、本発明のビフィドバクテリウム・ロンガムNK219(Bifidobacterium longum NK219)は、配列番号2の16S rDNAを含んでもよい。
前記配列番号2の16S rDNAの塩基配列の分析の結果、公知のビフィドバクテリウム・ロンガム菌株と99%の相同性を示し、ビフィドバクテリウム・ロンガムと最も高い分子系統学的に類縁関係を示した。従って、前記乳酸菌をビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)と同定し、ビフィドバクテリウム・ロンガムNK219と命名しており、韓国微生物保存センターに2021年9月15日付で寄託した(受託番号KCCM13050P)。
本発明のビフィドバクテリウム・ロンガムNK219は、グラム陽性菌であり、細胞の形態は、桿菌である。より具体的なビフィドバクテリウム・ロンガムNK219の生理学的特性は、当該技術分野の通常の方法に従って分析してもよく、その結果は、下記表4に示す通りである。具体的に、ビフィドバクテリウム・ロンガムNK219は、炭素源として、D-グルコース、D-ラクトース、D-サッカロース、D-マルトース、サリシン、D-キシロース、L-アラビノース、ゼラチン、D-マンノース、D-ラフィノース、およびD-トレハロースからなる群から選択されるいずれか一つ以上を利用してもよい。
前記目的を行うための他の一つの様態として、本発明は、ラクトコッカス・ラクティスNK209(Lactococcus lactis NK209)(寄託機関:韓国微生物保存センター、寄託日:2021年9月15日、受託番号:KCCM13048P)を提供する。
本発明のラクトコッカス・ラクティスNK209は、ヒトの糞便から分離および同定されたラクトコッカス・ラクティスの新規な乳酸菌であることを特徴とする。
本発明のラクトコッカス・ラクティスNK209の同定および分類のための16S rDNAの塩基配列は、本明細書に添付された配列番号3の通りである。従って、本発明のラクトコッカス・ラクティスNK209(Lactococcus lactis NK209)は、配列番号3の16S rDNAを含んでもよい。
前記配列番号3の16S rDNAの塩基配列の分析の結果、公知のラクトコッカス・ラクティス菌株と98%の相同性を示し、ラクトコッカス・ラクティスと最も高い分子系統学的に類縁関係を示した。従って、前記乳酸菌をラクトコッカス・ラクティス(Lactococcus lactis)と同定し、ラクトコッカス・ラクティスNK209と命名しており、韓国微生物保存センターに2021年9月15日付で寄託した(受託番号KCCM13048P)。
本発明のラクトコッカス・ラクティスNK209は、グラム陽性菌であり、細胞の形態は、桿菌である。より具体的なラクトコッカス・ラクティスNK209の生理学的特性は、当該技術分野の通常の方法に従って分析してもよく、その結果は、下記表5に示す通りである。具体的に、ラクトコッカス・ラクティスNK209は、炭素源として、D-リボース、D-ガラクトース、D-グルコース、D-フルクトース、D-マンノース、マンニトール、エスクリン、サリシン、セロビオース、マルトース、メリビオース、スクロース、トレハロース、ラフィノース、デンプン、ゲンチオビオース、N-アセチル-グルコサミン、アミグダリンおよびアルブチンからなる群から選択されるいずれか一つ以上を利用してもよい。
本発明は、ラクトバチルス・ラムノサスNK210 KCCM13049P、ビフィドバクテリウム・ロンガムNK219 KCCM13050P、ラクトコッカス・ラクティスNK209 KCCM13048Pまたはこれらの任意の混合物を含む組成物を提供する。
本発明は、ラクトバチルス・ラムノサスNK210 KCCM13049P、ビフィドバクテリウム・ロンガムNK219 KCCM13050P、ラクトコッカス・ラクティスNK209 KCCM13048Pまたはこれらの任意の混合物を含む免疫調節用組成物を提供する。
本発明は、ラクトバチルス・ラムノサスNK210 KCCM13049P、ビフィドバクテリウム・ロンガムNK219 KCCM13050P、ラクトコッカス・ラクティスNK209 KCCM13048Pまたはこれらの任意の混合物を含む免疫増進用組成物を提供する。
本発明は、ラクトバチルス・ラムノサスNK210 KCCM13049P、ビフィドバクテリウム・ロンガムNK219 KCCM13050P、ラクトコッカス・ラクティスNK209 KCCM13048Pまたはこれらの任意の混合物を含む免疫機能改善用組成物を提供する。
前記目的を行うための他の一つの様態として、本発明は、ラクトバチルス・ラムノサスNK210 KCCM13049P、ビフィドバクテリウム・ロンガムNK219 KCCM13050P、ラクトコッカス・ラクティスNK209 KCCM13048Pまたはこれらの任意の混合物を含む薬学組成物を提供する。
本発明における前記薬学組成物は、上記において言及されたいずれか一つ、二つまたは三つのプロバイオティクスを含む薬学組成物であってもよい。
前記目的を行うための他の一つの様態として、本発明は、ラクトバチルス・ラムノサスNK210 KCCM13049P、ビフィドバクテリウム・ロンガムNK219 KCCM13050P、ラクトコッカス・ラクティスNK209 KCCM13048Pまたはこれらの任意の混合物、および薬学的に許容される担体を含む薬学組成物を提供する。
前記目的を行うための他の一つの様態として、本発明は、ラクトバチルス・ラムノサスNK210 KCCM13049P、ビフィドバクテリウム・ロンガムNK219 KCCM13050P、ラクトコッカス・ラクティスNK209 KCCM13048Pまたはこれらの任意の混合物を含む炎症性疾患の予防または治療用薬学組成物を提供する。
前記目的を行うための他の一つの様態として、本発明は、ラクトバチルス・ラムノサスNK210 KCCM13049P、ビフィドバクテリウム・ロンガムNK219 KCCM13050P、ラクトコッカス・ラクティスNK209 KCCM13048Pまたはこれらの任意の混合物を含む認知機能障害の予防または治療用薬学組成物を提供する。
本発明は、ラクトバチルス・ラムノサスNK210 KCCM13049P、ビフィドバクテリウム・ロンガムNK219 KCCM13050P、ラクトコッカス・ラクティスNK209 KCCM13048Pまたはこれらの任意の混合物を含む免疫調節用薬学組成物を提供する。
本発明は、ラクトバチルス・ラムノサスNK210 KCCM13049P、ビフィドバクテリウム・ロンガムNK219 KCCM13050P、ラクトコッカス・ラクティスNK209 KCCM13048Pまたはこれらの任意の混合物を含む免疫増進用薬学組成物を提供する。
本発明は、ラクトバチルス・ラムノサスNK210 KCCM13049P、ビフィドバクテリウム・ロンガムNK219 KCCM13050P、ラクトコッカス・ラクティスNK209 KCCM13048Pまたはこれらの任意の混合物を含む免疫機能改善用薬学組成物を提供する。
具体的に、免疫増進および/または機能改善用組成物は、人体や動物の健康を増進させるためのものであって、健康な人体や動物に投与されるものであってもよい。
また、免疫増進および/または機能改善用組成物は、免疫力が低下された人体や動物、例えば、放射線露出、抗生剤または抗癌剤の投与によって低下された人体や動物の免疫力の増進および/または改善させるためのものであって、上記において言及された任意の免疫力が低下された人体や動物に投与されるものであってもよい。
本発明における炎症性疾患とは、炎症を主病変とする疾病を総称する意味であって、炎症性腸疾患、関節炎、痛風、肝炎、喘息、肥満、角膜炎、胃炎、腎炎、大腸炎、糖尿、結核、気管支炎、胸膜炎、腹膜炎、脊椎炎、膵炎、尿道炎、膀胱炎、膣炎、動脈硬化症、敗血症、やけど、皮膚炎、歯周炎および歯肉炎を含む群から選択されるいずれか一つ以上であってもよい。
炎症性腸疾患(IBD)という用語は、結腸および消化管の炎症状態の一つの部類を指す。IBDの主な類型は、潰瘍性大腸炎(UC)およびクローン病である。UCとクローン病の主な相違点は、炎症性変化の位置と特性である。クローン病は、口から肛門までの消化管のあらゆる部分に影響を与える可能性があるのに対し、UCは結腸と直腸に制限される。発現(presentation)の特異性により、クローン病またはUCの最終的な診断が得られない。このような場合、非定型の大腸炎の診断を下すことができる。他の形態のIBDは、コラーゲン性大腸炎、リンパ球性大腸炎、虚血性大腸炎、空置性大腸炎、ベーチェット病、非定型の大腸炎、抗生剤誘発大腸炎および抗癌剤誘発大腸炎を含むが、これに制限されるものではない。
すなわち、本発明による炎症性腸疾患は、潰瘍性大腸炎、クローン病、コラーゲン性大腸炎、リンパ球性大腸炎、虚血性大腸炎、空置性大腸炎、ベーチェット病、非定型の大腸炎、抗生剤誘発大腸炎および抗癌剤誘発大腸炎からなる群から選択されるいずれか一つ以上であってもよい。
抗生剤誘発大腸炎は、抗生剤を投与した後に大腸炎が発生するものであって、抗生剤に露出した後に腸内に存在する正常細菌総の破壊によって発生する。正常細菌総は、腸管内で非吸収炭水化物を発酵させて短鎖脂肪酸(short chain fatty acid)を生成し、抗生剤によって正常細菌総が減って炭水化物の発酵に異常が生じれば、腸管内浸透圧と酸度が変わって下痢が誘発されて腸に炎症が発生する。抗生剤誘発大腸炎の約20%はC.difficileの異常増殖によるものであり、少数であるがC.perfringens、S.aureus、E.coli、Candida albicansなども原因菌となり得る。このような抗生剤の例示としては、クリンダマイシン、アンピシリン、アモキシシリン、セファロスポリン、クロラムフェニコール、エリスロマイシンなどが挙げられる。
抗癌剤誘発大腸炎は、抗癌剤の投与によって発生する大腸での副作用により発生する炎症症状である。例えば、5-フルオロウラシル、シクロホスファミド、カペシタビン、オキサリプラチン、イリノデカン、セツキシマブ、ベバシズマブなどの抗癌剤によって誘発され得る。
本発明における認知機能障害とは、認知損傷および行動変化を示す障害であって、記憶力、空間知覚力、判断力、実行機能、言語能力などの機能の低下から発生する疾患を指す。前記認知機能障害は、例えば、不安、うつ病、偏頭痛、ストレス、アルツハイマー病、ハンチントン病、血管性認知症、ピック病、パーキンソン病、クロイツフェルト・ヤコブ病、認知症およびこれらの組み合わせで構成された群から選択されてもよいが、これに制限されるものではない。
本発明における「神経炎症(neuroinflammation)」とは、脳に生じる炎症を意味し、認知機能障害関連疾患を引き起こす重要な要因である。脳内の炎症細胞が過剰に活性化すると、炎症誘発性サイトカインの分泌が多くなり、このような脳の炎症反応の過活性化により、脳細胞の損傷によって認知機能障害が誘発されることが知られている。
本発明における免疫機能改善は、免疫調節作用が活性化することを意味する。
ここで、免疫調節は、人体内の免疫不均衡を解消し、免疫恒常性を維持することを意味する。免疫恒常性の維持は免疫を抑制させる免疫慣用(tolerance)と免疫を上昇させる免疫反応(immunity)との間の均衡をなす状態を指すものである。このような免疫調節は免疫機能を改善するものであってもよく、好ましくは、免疫増進用途に該当してもよい。例えば、宿主の腸内微生物相(gut microflora)に対する補充剤の役割をし、腸の障壁機能を改善して宿主の免疫系を調節することを特徴とすることができる。
より具体的に、本明細書内の免疫機能改善はまた免疫増進を意味するものであってもよく、これは、辞書的意味の他にも免疫調節効果を含むものと解析されてもよい。すなわち、本願発明内で免疫機能改善と免疫増進は同等に使用可能である。
免疫機能改善および/または免疫増進は免疫調節因子の活性を高めるか、または調節して免疫系の活性を高めるものであってもよい。
具体的に、新生血管の生成抑制、病原菌に対する生育抑制力の増加などによって、免疫低下に対する予防および改善、免疫関連機能障害あるいは関連疾病に対する予防、改善および治療効果を示すものであってもよい。
具体的に、抗原に対する生体防御能を増進させることで抗原に対する細胞性および体液性免疫能を上昇させ、免疫低下に対する予防および改善、免疫関連機能障害あるいは関連疾病に対する予防、改善および治療効果を示すものであってもよい。
免疫機能改善および/または免疫増進機序は制限されないが、例えば、マクロファージなどの抗原提供細胞の活性を促すか、リンパ球に対する特異的な活性を促すか、死滅細胞を除去するか、免疫媒介体の分泌能を調節することなどを含んでもよい。
本発明による免疫力増進はこれに限定されるものではないが、例えば、健康を増進させるために、一般的な免疫力を有する対象体から免疫力を増進させるためのものであってもよい。また、放射線治療または露出、抗生剤治療、抗癌剤治療などによって低下された免疫力の増進のためのものであってもよい。
具体的に、抗生剤または抗癌剤の投与によって免疫欠乏、免疫低下または免疫係損傷の発生に対する改善および/または回復を目的とするものであってもよい。
抗癌剤は癌の退行を促すかまたはさらに腫瘍の成長を防止する化合物、タンパク質などの薬物であってもよく、また他の抗癌療法、放射線治療、薬物療法以外のその他の抗癌療法などをすべて含む。前記他の治療剤は免疫チェックポイント阻害剤、化学抗癌剤、標的抗癌剤であってもよいが、これに限定されるものではない。
抗生剤は抗生物質からなった任意の物質を含み、これに限定されるものではないが、例えば、クリンダマイシン、アンピシリン、アモキシシリン、セファロスポリン、クロラムフェニコール、エリスロマイシンなどが挙げられる。
本発明の一実施様態によれば、ラクトバチルス・ラムノサスNK210 KCCM13049P、ビフィドバクテリウム・ロンガムNK219 KCCM13050P、ラクトコッカス・ラクティスNK209 KCCM13048Pまたはこれらの任意の混合物は優れた抗酸化活性を示し、炎症性疾患、認知機能障害、免疫機能改善に優れた効果を示す。
本発明の一実施様態によれば、ラクトバチルス・ラムノサスNK210 KCCM13049P、ビフィドバクテリウム・ロンガムNK219 KCCM13050P、ラクトコッカス・ラクティスNK209 KCCM13048Pまたはこれらの任意の混合物は、サイトカイン、例えば、TNF-α、IL-10発現を調節して炎症改善において優れた効果を示す。
本発明の一実施様態によれば、ラクトバチルス・ラムノサスNK210 KCCM13049P、ビフィドバクテリウム・ロンガムNK219 KCCM13050P、ラクトコッカス・ラクティスNK209 KCCM13048Pまたはこれらの任意の混合物は、炎症性サイトカイン、例えば、TNF-αの発現を調節し、抗炎症性サイトカイン、例えば、IL-10発現を増加させることのようにサイトカインの発現量を調節して炎症改善において優れた効果を示す。
本発明の一実施様態によれば、ラクトバチルス・ラムノサスNK210 KCCM13049P、ビフィドバクテリウム・ロンガムNK219 KCCM13050P、ラクトコッカス・ラクティスNK209 KCCM13048Pまたはこれらの任意の混合物は、脳誘導性神経栄養因子(BDNF)の発現を増進させ、ストレス、不安、うつ病、認知障害能などと関連の高いNeuropeptide Yの発現を増進させることで認知機能障害の予防および治療に優れた効果を示す。
本発明の一実施様態によれば、ラクトバチルス・ラムノサスNK210 KCCM13049P、ビフィドバクテリウム・ロンガムNK219 KCCM13050P、ラクトコッカス・ラクティスNK209 KCCM13048Pまたはこれらの任意の混合物は、腸内マイクロバイオータの調節によって炎症性疾患を抑制し、免疫機能を調節し、神経系および認知機能を調節する。具体的に、腸炎と関連が高く、腸内クロストリジウムディフィシレ(Clostridium difficile)を抑制を含んで腸内マイクロバイオータを調節し、腸でのLPS水準を減少させる。また、腸内有益菌を増進させ、有害菌を減少させて、腸の健康を改善し、これにより、腸脳軸(Gut-Brain Axis)を介して神経、特に、認知機能改善に効果を示す。
本発明の一実施様態によれば、LPS誘導認知能損傷動物に本発明による菌株を投与して、腸の機能を改善し、全身での炎症反応を改善し、認知機能損傷を改善し、神経での炎症水準を減少させた。具体的に、大腸菌起源のLPSによって誘発された炎症性腸疾患に対して腸の長さの減少を回復させ、MPOの活性を減少させ、炎症性サイトカインの水準を減少させて抗炎症性サイトカインの水準を増加させた。また、脾臓によって確認される全身的な炎症反応においては、マクロファージの貪食能、NK細胞の細胞殺傷能を調節して炎症性サイトカインの水準を減少させ、抗炎症性サイトカインの水準を増加させた。また、神経系、特に、認知機能障害に対して記憶力改善に関する行動学的特性を示し、また神経炎症に対する優れた改善効果を示す。
本発明の一実施様態によれば、抗癌剤誘導免疫損傷(抑制)動物モデルに本発明による菌株を投与して、腸の機能を改善し、全身での炎症反応を改善し、免疫機能を改善し、認知機能損傷を改善し、神経での炎症水準を減少させた。具体的に、抗癌剤投与によって免疫機能が損傷された動物モデルで腸の長さの減少を回復させ、MPOの活性を減少させ、炎症性サイトカインおよび抗炎症性サイトカインの発現割合を正常化して調節する。また、脾臓によって確認される全身的な炎症反応においては、マクロファージの貪食能、NK細胞の殺傷能を増加させ、炎症性サイトカインに対比して抗炎症性サイトカインの水準を増加させた。また、神経系、特に、認知機能障害に対して記憶力改善に関する行動学的特性を示し、また、神経炎症に対する優れた改善効果を示す。
本発明の一実施様態によれば、抗生剤によって誘導された腸内マイクロバイオータの不均衡を有する動物モデルに対して、本発明による菌株を投与して、腸の機能を改善し、全身での炎症反応を改善し、免疫機能を改善し、認知機能損傷を改善し、神経での炎症水準を減少させた。具体的に、アンピシリンなどの抗生剤の投与によって腸内マイクロバイオータの不均衡が発生した動物モデルで腸の長さの減少を回復させ、MPOの活性を減少させ、炎症性サイトカインおよび抗炎症性サイトカインの発現割合を正常化して調節する。また、脾臓によって確認される全身的な炎症反応においては、マクロファージの貪食能、NK細胞の殺傷能を調節して炎症性サイトカインの水準を減少させ、抗炎症性サイトカインの水準を増加させた。また、神経系、特に、認知機能障害に対して記憶力改善に関する行動学的特性を示し、また、神経炎症に対する優れた改善効果を示す。
本発明の一実施様態によれば、健康な動物モデルに対して本発明による菌株を投与して、腸の機能を改善し、全身での炎症反応を改善し、免疫機能を改善し、認知機能損傷を改善する、予防、または改善的効果を確認した。
本発明の一実施様態によれば、TNBSによって誘導された腸疾患および認知機能障害疾患を有する動物モデル対して、本発明による菌株を投与して、腸の機能を改善し、全身での炎症反応を改善し、免疫機能を改善し、認知機能損傷を改善し、神経での炎症水準を減少させた。具体的に、TNBSの投与によって腸疾患および認知機能障害を有するようになった動物モデルで腸の長さの減少を回復させ、MPOの活性を減少させ、炎症性サイトカインおよび抗炎症性サイトカインの発現割合を正常化して調節する。また、神経系、特に、認知機能障害に対して記憶力改善に関する行動学的特性を示し、また、神経炎症に対する優れた改善効果を示す。
具体的に、本発明の薬学組成物に含まれる菌株は、その生菌体、その死菌体、その培養物、その破砕物またはその抽出物のように多様な形態で利用されてもよい。
生菌体は、そのまま生きている菌を意味する。
死菌体は一定の条件で培養した生菌を集菌し、熱乾燥、加圧、薬物処理などの方法にて菌の成長がこれ以上起こらないようにした形態である。
培養物は乳酸菌を公知の液体培地または固体培地で培養して得たものを意味し、本発明による菌株を含む概念である。前記産物は、乳酸菌を含んでもよい。前記培地は、公知の液体培地または固体培地から選択されてもよく、例えば、MRS液体培地、GAM液体培地、MRS寒天培地、GAM寒天培地、BL寒天培地であってもよいが、これに制限されるものではない。
破砕物は、生菌体、死菌体またはその培養物を機械的、化学的方法によって分離加工し、破砕された形態を有することを意味する。例えば、ビーズミル(bead mills)、プレス(Presses)、ソニケーター(Sonicator)またはマイクロフルイダイザー(Microfluidizer)、酵素処理などによって破砕形態を製造してもよい。
抽出物は、生菌体、死菌体を含んで通常公知の抽出方式によってその抽出をもう一度進めたこと「水(液体)」の形態を意味する。例えば、生菌体、死菌体および/または破砕物を通常公知の抽出方式(公知の抽出溶媒(例えば、水、C1乃至C4のアルコール(メタノール、エタノールなど)で抽出して得た)ことを意味する。
本発明によれば、前記において言及された菌株は菌株単独で利用されてもよい。
また、菌株の併用によってシナジー効果を示すことができるところ、1以上の菌株の併用された形態で利用されてもよい。
このような併用形態は、例えば、
ラクトバチルス・ラムノサスNK210 KCCM13049Pおよびビフィドバクテリウム・ロンガムNK219 KCCM13050P;
ラクトバチルス・ラムノサスNK210 KCCM13049Pおよびラクトコッカス・ラクティスNK209 KCCM13048P;
ビフィドバクテリウム・ロンガムNK219 KCCM13050Pおよびラクトコッカス・ラクティスNK209 KCCM13048P;または
ラクトバチルス・ラムノサスNK210 KCCM13049P、ビフィドバクテリウム・ロンガムNK219 KCCM13050Pおよびラクトコッカス・ラクティスNK209 KCCM13048Pであってもよい。
好ましくは、ラクトバチルス・ラムノサスNK210 KCCM13049Pおよびビフィドバクテリウム・ロンガムNK219 KCCM13050Pであるか、ビフィドバクテリウム・ロンガムNK219 KCCM13050Pおよびラクトコッカス・ラクティスNK209 KCCM13048Pであるか、ラクトバチルス・ラムノサスNK210 KCCM13049Pビフィドバクテリウム・ロンガムNK219 KCCM13050Pおよびラクトコッカス・ラクティスNK209 KCCM13048Pの併用形態であってもよい。
一例示として、ラクトバチルス・ラムノサスNK210 KCCM13049Pおよびビフィドバクテリウム・ロンガムNK219 KCCM13050P菌株の併用は、例えば、菌の数(CFU)に基づいて、10:1、9:1、8:1、7:1、6:1、5:1、4:1、3:1、2:1、1:1、1:2、1:3、1:4、1:5、1:6、1:7、1:8、1:9または1:10であってもよい。好ましくは、9:1乃至1:1、より好ましくは、4:1乃至1:1、より具体的に、4:1で用いてもよい。
一例示として、ラクトコッカス・ラクティスNK209 KCCM13048Pおよびビフィドバクテリウム・ロンガムNK219 KCCM13050P菌株の併用は、例えば、菌の数(CFU)に基づいて、10:1、9:1、8:1、7:1、6:1、5:1、4:1、3:1、2:1、1:1、1:2、1:3、1:4、1:5、1:6、1:7、1:8、1:9または1:10であってもよい。好ましくは、9:1乃至1:1、より好ましくは、4:1乃至1:1、より具体的に、4:1で用いてもよい。
一例示として、ラクトコッカス・ラクティスNK209 KCCM13048Pおよびラクトバチルス・ラムノサスNK210 KCCM13049P菌株の併用は、例えば、菌の数(CFU)に基づいて、10:1、9:1、8:1、7:1、6:1、5:1、4:1、3:1、2:1、1:1、1:2、1:3、1:4、1:5、1:6、1:7、1:8、1:9または1:10であってもよい。好ましくは、9:1乃至1:1、より好ましくは、4:1乃至1:1で用いてもよい。
一例示として、3種を併用する場合、併用は、例えば、菌の数(CFU)に基づいて、4-8:4-8:1-2、(NK209:NK210:NK219)であってもよい。好ましくは、2:2:1で用いてもよい。
本発明による薬学組成物は哺乳動物に投与された後、活性成分の迅速、持続または遅延された放出を提供することができるように当業界によく知られた方法を用いて薬学的剤形で製造されてもよい。剤形の製造において、本発明による薬学組成物は、新規な乳酸菌の活性を阻害しない範囲内でさらに薬剤学的に許容される担体を含んでもよい。
前記薬剤学的に許容される担体は、通常用いられるもの、例えば、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、エリスリトール、マルチトール、デンプン、アカシアゴム、アルギン酸塩、ゼラチン、リン酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、セルロース、メチルセルロース、微結晶セルロース、ポリビニルピロリドン、水、メチルヒドロキシベンゾエート、プロピルヒドロキシベンゾエート、タルク、ステアリン酸マグネシウムおよび鉱物油などを含むが、これに局限されない。また、本発明の薬学的組成物は、充填剤、増量剤、結合剤、湿潤剤、崩壊剤、界面活性剤などの希釈剤または賦形剤、その他の薬剤学的に許容される添加剤を含んでもよい。
本発明による薬学組成物の投与量は、薬剤学的に有効な量でなければならない。「薬学的に有効な量」は、医学的治療に適用可能な合理的な受益/リスクの比率で前記において言及された疾患または状態の予防または治療するのに十分な量を意味する。有効容量レベルは、製剤化方法、患者の状態および体重、患者の性別、年齢、疾患の程度、薬物形態、投与経路および期間、排泄速度、反応感応性などのような要因に応じて、当業者によって多様に選択されてもよい。有効量は、当業者に認識されているように、処理の経路、賦形剤の使用、および他の薬剤とともに用いることができる可能性に応じて変わってもよい。しかしながら、好ましい効果のために、経口投与剤の場合、一般的に、大人に1日に体重1kg当たり本発明の組成物を1日0.0001乃至100mg/kgであり、好ましくは0.001乃至100mg/kgで投与してもよい。投与は一日一回投与してもよく、数回に分けて投与してもよい。前記投与量は、いかなる面においても本発明の範囲を限定するものではない。
本発明の薬学組成物は、マウス、家畜、ヒトなどの哺乳動物に様々な経路を介して投与されてもよい。具体的に、本発明の薬学組成物は、経口または非経口投与(例えば、塗布または静脈内、皮下、腹腔内注射)してもよいが、経口投与が好ましい。経口投与のための固形製剤としては、散剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤、軟質カプセル剤、丸剤などが含まれてもよい。経口のための液状製剤としては、懸濁剤、内用液剤、乳剤、シロップ剤、エアロゾルなどが該当し、よく用いられる単純希釈剤である水、リキッドパラフィン以外にも様々な賦形剤、例えば、湿潤剤、甘味剤、芳香剤、保存剤などが含まれてもよい。非経口投与のための製剤としては、それぞれ通常の方法に従って滅菌された水溶液、液剤、非水性溶剤、懸濁剤、エマルジョン、点眼剤、眼軟膏剤、シロップ、坐剤、エアロゾルなどの外用剤および滅菌注射剤の形態で製剤化し用いられてもよく、好ましくは、クリーム、ゲル、パッチ、噴霧剤、軟膏剤、硬膏剤、ローション剤、リニメント剤、眼軟膏剤、点眼剤、パスタ剤またはカタプラズマ剤の薬剤学的組成物を製造して用いてもよいが、これに限定されるものではない。局所投与のための製剤は、臨床的処方に従って無水型または水性型であってもよい。非水性溶剤、懸濁剤としては、プロピレングリコール(propylene glycol)、ポリエチレングリコール、オリーブ油のような植物性油、オレイン酸エチルのような注射可能なエステルなどが用いられてもよい。坐剤の基剤としては、ウィテプソール(witepsol)、マクロゴール、ツイン(tween)61、カカオ脂、ラウリン脂、グリセロゼラチンなどが用いられてもよい。
前記目的を行うための他の一つの様態として、本発明は、ラクトバチルス・ラムノサスNK210 KCCM13049P、ビフィドバクテリウム・ロンガムNK219 KCCM13050P、ラクトコッカス・ラクティスNK209 KCCM13048Pまたはこれらの任意の混合物を対象体に投与するステップを含む認知機能障害の予防または治療方法を提供する。
前記目的を行うための他の一つの様態として、本発明は、ラクトバチルス・ラムノサスNK210 KCCM13049P、ビフィドバクテリウム・ロンガムNK219 KCCM13050P、ラクトコッカス・ラクティスNK209 KCCM13048Pまたはこれらの任意の混合物を対象体に投与するステップを含む炎症性疾患の予防または治療方法を提供する。
前記目的を行うための他の一つの様態として、本発明は、ラクトバチルス・ラムノサスNK210 KCCM13049P、ビフィドバクテリウム・ロンガムNK219 KCCM13050P、ラクトコッカス・ラクティスNK209 KCCM13048Pまたはこれらの任意の混合物を対象体に投与するステップを含む免疫調節方法を提供する。
前記目的を行うための他の一つの様態として、本発明は、ラクトバチルス・ラムノサスNK210 KCCM13049P、ビフィドバクテリウム・ロンガムNK219 KCCM13050P、ラクトコッカス・ラクティスNK209 KCCM13048Pまたはこれらの任意の混合物を対象体に投与するステップを含む免疫機能改善方法を提供する。
前記目的を行うための他の一つの様態として、本発明は、ラクトバチルス・ラムノサスNK210 KCCM13049P、ビフィドバクテリウム・ロンガムNK219 KCCM13050P、ラクトコッカス・ラクティスNK209 KCCM13048Pまたはこれらの任意の混合物を対象体に投与するステップを含む免疫増進方法を提供する。
本発明で、前記において言及された菌株、疾患、投与などに対する説明は、上記に言及された内容が適切に反映されてもよい。
前記対象体は動物のことをいい、典型的に、本発明の新規なプロバイオティクスを利用した治療で有益な効果を示すことができる哺乳動物であってもよい。このような対象体の好ましい例として、ヒトのような霊長類が含まれてもよい。
本発明は、炎症性疾患の予防または治療に用いるためのラクトバチルス・ラムノサスNK210 KCCM13049P、ビフィドバクテリウム・ロンガムNK219 KCCM13050P、ラクトコッカス・ラクティスNK209 KCCM13048Pまたはこれらの任意の混合物を提供する。
本発明は、認知機能障害の予防または治療に用いるためのラクトバチルス・ラムノサスNK210 KCCM13049P、ビフィドバクテリウム・ロンガムNK219 KCCM13050P、ラクトコッカス・ラクティスNK209 KCCM13048Pまたはこれらの任意の混合物を提供する。
本発明は、免疫調節に用いるためのラクトバチルス・ラムノサスNK210 KCCM13049P、ビフィドバクテリウム・ロンガムNK219 KCCM13050P、ラクトコッカス・ラクティスNK209 KCCM13048Pまたはこれらの任意の混合物を提供する。
本発明は、免疫機能改善に用いるためのラクトバチルス・ラムノサスNK210 KCCM13049P、ビフィドバクテリウム・ロンガムNK219 KCCM13050P、ラクトコッカス・ラクティスNK209 KCCM13048Pまたはこれらの任意の混合物を提供する。
本発明は、免疫増進に用いるためのラクトバチルス・ラムノサスNK210 KCCM13049P、ビフィドバクテリウム・ロンガムNK219 KCCM13050P、ラクトコッカス・ラクティスNK209 KCCM13048Pまたはこれらの任意の混合物を提供する。
本発明は、炎症性疾患の治療のための薬剤の製造において、ラクトバチルス・ラムノサスNK210 KCCM13049P、ビフィドバクテリウム・ロンガムNK219 KCCM13050P、ラクトコッカス・ラクティスNK209 KCCM13048Pまたはこれらの任意の混合物の用途を提供する。
本発明は、認知機能障害の治療のための薬剤の製造において、ラクトバチルス・ラムノサスNK210 KCCM13049P、ビフィドバクテリウム・ロンガムNK219 KCCM13050P、ラクトコッカス・ラクティスNK209 KCCM13048Pまたはこれらの任意の混合物の用途を提供する。
本発明は、免疫調節に用いるための薬剤の製造において、ラクトバチルス・ラムノサスNK210 KCCM13049P、ビフィドバクテリウム・ロンガムNK219 KCCM13050P、ラクトコッカス・ラクティスNK209 KCCM13048Pまたはこれらの任意の混合物の用途を提供する。
本発明は、免疫機能改善に用いるための薬剤の製造において、ラクトバチルス・ラムノサスNK210 KCCM13049P、ビフィドバクテリウム・ロンガムNK219 KCCM13050P、ラクトコッカス・ラクティスNK209 KCCM13048Pまたはこれらの任意の混合物の用途を提供する。
本発明は、免疫増進に用いるための薬剤の製造において、ラクトバチルス・ラムノサスNK210 KCCM13049P、ビフィドバクテリウム・ロンガムNK219 KCCM13050P、ラクトコッカス・ラクティスNK209 KCCM13048Pまたはこれらの任意の混合物の用途を提供する。
他の一つの様態として、本発明は、ラクトバチルス・ラムノサスNK210 KCCM13049P、ビフィドバクテリウム・ロンガムNK219 KCCM13050P、ラクトコッカス・ラクティスNK209 KCCM13048Pまたはこれらの任意の混合物を含む炎症性疾患の予防または改善用食品組成物を提供する。
他の一つの様態として、本発明は、ラクトバチルス・ラムノサスNK210 KCCM13049P、ビフィドバクテリウム・ロンガムNK219 KCCM13050P、ラクトコッカス・ラクティスNK209 KCCM13048Pまたはこれらの任意の混合物を含む認知機能障害の予防または改善用食品組成物を提供する。
他の一つの様態として、本発明は、ラクトバチルス・ラムノサスNK210 KCCM13049P、ビフィドバクテリウム・ロンガムNK219 KCCM13050P、ラクトコッカス・ラクティスNK209 KCCM13048Pまたはこれらの任意の混合物を含む免疫調節用食品組成物を提供する。
他の一つの様態として、本発明は、ラクトバチルス・ラムノサスNK210 KCCM13049P、ビフィドバクテリウム・ロンガムNK219 KCCM13050P、ラクトコッカス・ラクティスNK209 KCCM13048Pまたはこれらの任意の混合物を含む免疫機能改善用食品組成物を提供する。
本発明は、ラクトバチルス・ラムノサスNK210 KCCM13049P、ビフィドバクテリウム・ロンガムNK219 KCCM13050P、ラクトコッカス・ラクティスNK209 KCCM13048Pまたはこれらの任意の混合物を含む免疫増進用食品組成物を提供する。
健康機能食品は、食品の生体調節機能を強調した食品であって、物理的、生化学的、生物工学的な方法を利用して特定の目的に作用および発現するように付加価値を付与した食品である。本発明の食品組成物は、健康機能食品として利用されてもよい。このような健康機能食品の成分は、生体防御と身体リズムの調節、疾患の防止および回復に関わる身体調節機能を生体に対して十分に発揮するように設計し加工するようになり、食品として許容可能な食品補助添加剤、甘味料または機能性原料を含んでもよい。
本発明の菌株を健康機能食品(または健康機能飲料添加物)として用いる場合、前記新規な菌株をそのまま添加するか、他の食品または食品成分とともに用い、通常の方法に従って適宜用いてもよい。前記菌株の混合量は、その使用目的(予防、健康または改善、治療的処置)によって適宜決定することができる。
好ましくは、本発明による菌株は、単独、2種または3種の混合形態であってもよい。上記において言及された範囲内でシナジー効果を考慮して混合菌株の使用を考慮することができる。
前記食品は様々な栄養剤、ビタミン、鉱物(電解質)、合成風味剤および天然風味剤などの風味剤、着色剤および増進剤(チーズ、チョコレートなど)、ペクチン酸およびその塩、有機酸、保護性コロイド増粘剤、pH調節剤、安定化剤、保存剤、グリセリン、アルコール、炭酸飲料に用いられる炭酸化剤などを含んでもよい。また、本発明の健康機能食品は、果物および野菜飲料の製造のための果肉を含んでもよい。このような成分は単独でまたは組み合わせで用いられてもよく、このような添加剤の割合は、組成物全体重量あたり0.001乃至50重量部の範囲で選択されることが一般的である。
前記食品の種類には、特別な制限はない。前記菌株を添加することができる食品は、ソーセージ、肉類、パン、チョコレート類、スナック類、キャンディー類、菓子類、ラーメン、ピザ、その他の麺類、ガム類、アイスクリーム類を含む酪農製品、各種スープ、飲料水、茶、ドリンク剤、アルコール飲料およびビタミン複合剤などがある。飲料水に製剤化する場合、新規な乳酸菌以外に添加される液体成分としては、これに限定されないが、通常の飲料のように種々の香味剤または天然炭水化物などを追加成分として含んでもよい。上述の天然炭水化物は、単糖類(例、ブドウ糖、果糖など)、二糖類(例、マルトース、スクロースなど)および多糖類(例、デキストリン、シクロデキストリンなどのような通常の糖)、およびキシリトール、ソルビトール、エリスリトールなどの糖アルコールであってもよい。
以上、本明細書に記載の数値は別に明示されていない限り、均等範囲まで含むものと解析されなければならない。
以下、本発明の理解を助けるために好ましい実施例を提示する。しかし、下記の実施例は、本発明をより容易に理解するために提供されるものであるだけであって、実施例によって本発明の内容が限定されるものではない。
【発明の効果】
【0005】
本発明による新規プロバイオティクスは、優れた抗酸化効果、炎症改善効果、神経改善効果、認知改善効果、腸内マイクロバイオータの不均衡改善効果、免疫調節効果などによって医薬品および食品として活用価値が高く、特に、炎症性疾患、免疫機能改善、認知機能障害の予防、治療または改善に利用されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】アンピシリンによって発生した腸内マイクロバイオータの不均衡が本発明による菌株処理によって改善されたことを確認した結果を示す(AP:アンピシリン、LR:ラクトバチルス・ラムノサスNK210(Lactobacillus rhamnosus NK210)、BL:ビフィドバクテリウム・ロンガムNK219(Bifidobacterium longum NK219)、Mx:NK210+NK219)。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明の理解を助けるために好ましい実施例を提示する。しかしながら、下記の実施例は、本発明をより容易に理解するために提供されるものであるだけであって、これにより本発明の内容が限定されるものではない。
実施例1:乳酸菌の分離および同定
(1)ヒトの糞便から乳酸菌の分離
ヒトの糞便をGAM液体培地(GAM broth;Nissui Pharmaceutical、Japan)に入れて懸濁し、10分間4℃に放置し、その上澄み液を取ってMRS寒天培地(BD、USA)に移植し、37℃で約48時間にかけて嫌気的に培養し、育ったコロニー(colony)を分離した。
(2)選別した乳酸菌の同定
分離した菌株の生理学的特性および16S rDNA配列を分析、生理学的特性のうち炭素源利用性をAPI Kit(モデル名:API 50 CHL;製造社:BioMerieuxs、USA)にて分析し、菌株の種を確定し、菌株名を付与した。
上記の手続きを経て、同定された菌株を以下の表1に並べた。


【表1】

実施例2:菌株の特性の分析
前記実施例1において、分離された計50種の菌株に対して、抗酸化活性、マクロファージでのサイトカイン発現変化、BDNF発現変化、NPY発現変化、Gut microbiotaのClostridium difficile(ディフィシル菌)の増殖とLPS生産量に及ぼす効果を確認することで、特性が優れた菌株を選別した。具体的な実験方法および測定結果は、以下のとおりである。
(1)抗酸化活性(in vitro)に及ぼす効果
DPPH(2,2-Diphenyl-1-picrylhydrazyl)をエタノールに0.2mMの濃度となるように溶かしてDPPH溶液を製造した。前記DPPH溶液0.1mlに乳酸菌懸濁液(1×10CFU/ml)またはビタミンC溶液(1g/ml)を入れて20分間37℃で培養した。培養液を3000rpmで5分間遠心分離して上澄み液を得た。そして、上澄み液の吸光度を517nmで測定し、乳酸菌の抗酸化活性を計算した。
(2)マクロファージの分離と炎症指標TNF-αとIL-10発現量に及ぼす効果
C57BL/6マウス(male、6週齢20~23g)の腹腔に滅菌された4%のthioglycolate 2mlを投与し、96時間が経過した後にマウスを麻酔させ、マウスの腹腔にRPMI 1640培地8mlを投与し、5~10分後にマウスの腹腔内のRPMI培地(マクロファージ)を引き抜き、1000gで10分間遠心分離し、再びRPMI 1640培地で2回洗浄した。マクロファージを各well当たり0.5×10の数で24-wellプレートに敷き、乳酸菌と炎症反応誘導物質であるLPSを24時間にかけて処理した。そして、培養上澄み液でTNF-αとIL-10サイトカイン発現量をELISA Kitにて測定した。
(3)SH-SY5Y細胞のBDNF発現に及ぼす効果
韓国細胞株バンクから分譲されたSH-SY5Y細胞を10%FBSおよび1%抗生剤が添加されたDMEM培地で培養し、12-wellプレートに1ウェル当たり2×10の細胞数で分株した。その後、各ウェルに乳酸菌(1×10CFU/ml)とともにLPS(200ng/mlの濃度で添加して24時間培養し、細胞および上澄み液を集めて超音波処理し、遠心分離して上澄み液のBDNF量をELISA kitにて測定した。
(4)PC12 phaeochromocytoma細胞のneuropeptide Y(NPY)発現に及ぼす効果
韓国細胞株バンクから分譲されたPC12細胞を10%FBSおよび1%抗生剤が添加されたDMEM培地で培養し、12-wellプレートに1ウェル当たり1×10の細胞数で分株した。その後、各ウェルに乳酸菌(1×10CFU/ml)とともにLPS(200ng/mlの濃度で添加して24時間培養し、細胞および上澄み液を集めて超音波処理し、遠心分離して上澄み液のNPY量をELISA kitにて測定した。
(5)Gut microbiotaのClostridium difficile(ディフィシル菌)の増殖とLPS生産量に及ぼす効果
新鮮なヒトの糞便を嫌気性培地(GAM、日本日水製薬社)に懸濁し、10分間放置してその上澄み液を10,000倍の嫌気性培地で希釈し、新たに作った嫌気性培地5mLに0.05mL移植し、乳酸菌(1×10CFU/mL)を移植して24時間にかけて嫌気的に培養した。この培養液を2つに分けて、一つは遠心分離(5000rpm、20分間)して沈殿をQIAamp DNA stool mini kit(Qiagen、Germany)にてDNAを分離し、qPCRでClostridium difficile(primer:forward、5′-GGG AGC TTC CCA TAC GGG TTG-3′(配列番号4);reverse、5′-TTG ACT GCC TCA ATG CTT GGG C-3′(配列番号5)を定量した。反応は、先ず95℃で30s処理し、引き続き、95℃で5s、72℃で30sで42回繰り返し反応させて分析した。また、1つの培養液は超音波処理し、遠心分離し、濾過滅菌して得た上澄みでLPS量をELISA kitを用いて測定した。
前記結果を表2に示した。


【表2】
*very strongly(+++;>90%);strongly(++;>60~90%);weakly(+;>20~60%);not or less than 20%(-;<20%)
前記表2から確認できるように、ラクトバチルス・ラムノサスNK210(Lactobacillus rhamnosus NK210)とビフィドバクテリウム・ロンガムNK219(Bifidobacterium longum NK219)が測定された抗酸化活性、炎症抑制活性、神経改善、腸内Clostridium difficile(ディフィシル菌)の増殖およびLPS生産量の側面における改善効果などがすべて優れたものと示されることが確認された。
また、前記菌株以外にもラクトコッカス・ラクティスNK209(Lactococcus lactis NK209)菌株が一定水準以上の活性を示す、特に、腸内Clostridium difficile(ディフィシル菌)の増殖抑制に顕著な効果を示すことを確認した。
これによって、上記の結果に基づいて、ラクトバチルス・ラムノサスNK210(Lactobacillus rhamnosus NK210)とビフィドバクテリウム・ロンガムNK219(Bifidobacterium longum NK219)、そしてラクトコッカス・ラクティスNK209(Lactococcus lactis NK209)菌株を中心として追加的な実験を進めた。
ラクトバチルス・ラムノサスNK210(Lactobacillus rhamnosus NK210)の16s rDNA配列は、配列番号1に具体的に記載しており、ビフィドバクテリウム・ロンガムNK219(Bifidobacterium longum NK219)の16S rDNA配列は、配列番号2に具体的に記載しており、ラクトコッカス・ラクティスNK209(Lactococcus lactis NK209)の16S rDNA配列は、配列番号3に具体的に記載した。また、これらの菌株がすべて新規菌株に該当することをPhylogenetic Treeを作成して再度確認した。
そこで、本発明者は、ラクトバチルス・ラムノサスNK210(Lactobacillus rhamnosus NK210)、ビフィドバクテリウム・ロンガムNK219(Bifidobacterium longum NK219)、そしてラクトコッカス・ラクティスNK209(Lactococcus lactis NK209)を公認寄託機関である韓国微生物保存センター(住所:大韓民国ソウル西大門区洪済内2ガギル45ユリムビル)に特許寄託し、2021年09月15日付でそれぞれKCCM13049P、KCCM13050P、およびKCCM13048Pの受託番号として付与された。
実施例3:菌株の生理学的特性の確認
前記寄託が進められた菌株に対し、その生理学的特性を確認した。
具体的に、生理学的特性のうち炭素源利用性をAPI 50CHLキット(API 50 CHL;製造社:BioMerieux、USA)またはAPI 20Aキット(API 20A、BioMerieux’s、USA))を用いて糖発酵試験にて分析した。その結果は、下記表3(Lactobacillus rhamnosus NK210)、4(Bifidobacterium longum NK219)、5(Lactococcus lactis NK209)の通りである。下記表3~5における「+」は、炭素源利用性が陽性である場合を示し、「-」は、炭素源利用性が陰性である場合を示す。
【表3】

【表4】

【表5】

実施例4:死菌体、破砕物の製造
実施例4-1.死菌体の製造
ラクトバチルス・ラムノサスNK210 KCCM13049P、ビフィドバクテリウム・ロンガムNK219 KCCM13050Pまたはラクトコッカス・ラクティスNK209 KCCM13048Pを熱処理条件で90℃で10分間3回の熱処理を行って死菌体を製造した。
実施例4-2.破砕物(可溶物および不溶物)の製造
ラクトバチルス・ラムノサスNK210 KCCM13049P、ビフィドバクテリウム・ロンガムNK219 KCCM13050Pまたはラクトコッカス・ラクティスNK209 KCCM13048Pを遠心分離して得た生菌を1×10CFU/mLとなるように、滅菌蒸溜に懸濁し、4℃で超音波処理(1分処理し、1分休憩を5回繰り返す)し、遠心分離(10,000g、4℃、15分)し、上澄み液(可溶物)と沈殿物(不溶物)を得た。これを凍結乾燥して用いた。
実施例5.死菌体および破砕物活性の確認
前記実施例4において製造された死菌体および破砕物を利用して実施例2と同様に、マクロファージにおける抗炎症活性を確認した。
その結果、熱処理(90℃、10分、3回処理)によって製造された死菌体および超音波処理(1分処理し、1分休憩を5回繰り返す)し、破砕された破砕物はすべてTNF-α発現に対比してIL-10発現誘導活性が生菌を処理したときと類似に示されることを確認した。
試験例
以下、進められる試験における測定方法は、以下の試験方法の基準の下に行われた。
(1)ミエロペルオキシダーゼ(Myeloperoxidase、MPO)活性の測定
大腸組織100mgに0.5%のhexadecyl trimethyl ammonium bromide含有10mMのpotassium phosphate buffer(pH7.0)200μlを入れ、均質化(homogenization)する。その後、4℃および10,000gの条件で10分間遠心分離し、上澄み液を得た。上澄み液50μlを0.95mlの反応液(1.6mMのtetramethyl benzidineと0.1mMのH含有)に入れ、37℃で反応させながら650nmで経時的に吸光度を測定した。
(2)IFN(intereferon)-γ、TNF-α、IL-10の指標の測定
海馬、大腸組織、脾臓組織をprotease inhibitor cocktailが含有された1mlのRIPA buffer(Gibco社)を添加して均質化し、4℃、13000rpmで15分間遠心分離して上澄み液を得た。この上澄み液の指標をELISA kit(Ebioscience)を用いて測定した。
(3)記憶力実験
1)Y字形迷路実験(Y-maze task)の実験方法:
Y字形迷路測定装置は、3つの通路(arm)を伸びてアルファベットY字状をしており、各枝は長さ25cm、高さ14cm、幅5cmで同じ角度に位置する。Y字形迷路の一通路の端に実験動物の頭部が向かうように置き、8分間自在に通路を動き回るようにした。動物の動きを記録し、動物の後肢まで通路に入ったときを通過したもの(arm entry)と見て、動物の動きを交替回数(alternation)で表されるが、交替回数とは動物が連続して3つの通路を通過したときに一回交差したと定義した。自発的な交差行動量は、実際の交替回数と最大可能な交替回数(すなわち、総交替回数から2を引いた値)の百分比で表示した。
2)物体認知実験:
内部から外部が見えないように製作されたボックス(40×40×40cm)で実施した。二つの形とサイズが同じ物体(A、A′)を箱の中に固定させた後、mouseを箱の中心から出発させた。そして、10分間mouseが二つの物体を触る回数を記録した。24時間が過ぎた後、二つの物体のうち一つを新たな物体に替えた後(A、B)、元々あった物体1つと新たに対置された物体1つを用意しておき、動物が探索する時間を測定した。
(4)qPCR(Quantitative real time polymerase chain reaction)
脾臓組織からRNA Isolation Kit:RNeasy Mini Kit(QIAGEN)にてmRNAを分離し、cDNAに転換して、qPCRを行い、Tbet、Foxp3、glyceraldehyde3-phosphate dehydrogenase(GAPDH)の発現率を測定した。反応は、先ず95℃で30s処理し、引き続き、95℃で5s、72℃で30s間38回繰り返し反応させて分析した。
Primers for qPCR
【表6】

(5)腸内マイクロバイオータの分析
先ず、糞便のDNAは、QIAamp DNA stool mini kit(Qiagen、Germany)を用いて分離し、pyrosequencingは、barcoded primers(V4 region of the bacterial 16S rRNA gene)を増幅させてampliconを製作し、Illumina iSeq 100(San Diego、CA)にて16S rDNAを分析して占有率を分析した。
実施例6:LPS誘導認知能損傷動物における菌株投与の効能の分析
C57BL/6雄マウス(5週齢19~21g)を一群に6匹ずつとし、1週間実験室に適応させた。腸疾患と脳疾患の誘導のために、大腸菌起源LPS(10μg/kg)を毎日1回ずつ5日間腹腔投与した。翌日から乳酸菌を1×10CFU/マウス濃度(NK210単独:1×10CFU/マウス、NK219単独:1×10CFU/マウス、併用(210+219):210、8×10CFU/マウスおよび219、2×10CFU/マウス)、sulfasalazine 50mg/kg(マウス)の濃度でそれぞれ5日間毎日1回ずつ投与した。正常群の実験動物には、乳酸菌を懸濁するために用いた生理食塩水を経口投与した。試料投与が終了された翌日に実験動物を犠牲にさせ、脳の海馬、大腸、脾臓を得た。海馬では炎症指標であるIFN-γ、TNF-α、IL-10をELISAにて測定し、大腸では腸の長さ、炎症指標であるIFN-γ、TNF-α、IL-10を測定し、脾臓ではTh1細胞とTreg細胞をパックスにて測定した。
(1)大腸炎改善効果の確認
【表7】

前記表7から確認できるように、単独菌株および併用菌株の投与により大腸炎を改善する効果を見せることを腸の長さ、炎症因子の発現変化、MPOの活性変化などを通じて確認した。具体的に、腸の長さの減少が改善され、MPO活性が減少され、インターフェロン-ガンマおよびTNF-αの発現水準が減少され、抗炎症性サイトカインであるIL-10発現水準が増加した。すなわち、内毒素によって増加したIFN-γ、TNF-αを抑制し、内毒素によって減少したIL-10発現を増加させ、特に、IFN-γに対比するIL-10、TNF-αに対比するIL-10発現を増加させて大腸炎の症状を大きく改善した。このような作用は、併用菌株でシナジーとして作用することが確認されており、特に、NK210とNK219を4:1の混合比で投与した場合、最も優れた効果を示した。
(2)脾臓における改善効果の確認
【表8】
前記表8から確認できるように、自然免疫細胞であるマクロファージの貪食能、NK細胞の細胞死滅効果が改善されたことを確認した。また、内毒素によって増加したIFN-γ、TNF-αを抑制し、内毒素によって減少したIL-10発現を増加させており、特に、IFN-γに対比するIL-10、TNF-αに対比するIL-10発現を増加させる結果(すなわち、IFN-γ/IL-10、TNF-α/IL-10比の減少を意味する、以下、上同)をともに示した。このような全身的に炎症反応に関与する脾臓での作用は、本発明による菌株の優れた炎症改善効果を示す。さらに、このような作用は、単独だけでなく併用でもシナジー効果を示して大きく優れたものと示されており、特に、NK210とNK219を4:1の混合比で投与した場合、最も優れた効果を示した。
(3)認知能の改善効果の確認
【表9】
前記表9から確認できるように、本発明による菌株の投与は、Y-maze実験およびNOR taskですべて優れた改善効果を示した。特に、このような改善効果は菌株を併用したとき、大きくシナジー効果を示した。また、海馬の炎症指標を改善しており、特に、内毒素によって増加したIFN-γ、TNF-αを下げ、IL-10発現を増加させ、IFN-γに対比するIL-10、TNF-αに対比するIL-10発現を増加させて神経炎に対する改善効果があることをともに確認した。
実施例7:抗癌剤(cyclophosphamide)にて誘導した免疫抑制動物で菌株投与の効能の分析
C57BL/6雄マウス(5週齢19~21g)を一群に6匹ずつとし、1週間実験室に適応させた。腸疾患と脳疾患の誘導のためにcyclophosphamide(CP、150mg/kg、生理食塩水に溶かした)を1日投与し、一日休み、翌日に腹腔投与した。これに対し、正常群には、生理食塩水0.1mlを腹腔投与した。抗癌剤を最終投与し、翌日から毎日1回ずつ5日間試験試料である乳酸菌を生理食塩水に懸濁し、一匹当たり1×10CFU(NK210単独:1×10CFU/マウス、NK219単独:1×10CFU/マウス、併用(210+219):210、8×10CFU/マウスおよび219、2×10CFU/マウス)、sulfasalazine 50mg/kg(マウス)の量で経口投与した。試料投与が終了した翌日に実験動物を犠牲にさせ、脳の海馬、大腸、脾臓を得た。海馬では炎症指標であるIFN-γ、TNF-α、IL-10をELISAにて測定し、大腸では腸の長さ、炎症指標であるIFN-γ、TNF-α、IL-10を測定し、脾臓ではTh1細胞とTreg細胞をパックスにて測定した。
(1)大腸炎改善効果の確認
【表10】
前記表10から確認できるように、単独菌株および併用菌主の投与により大腸炎を改善する効果を示すことを腸の長さ、炎症因子の発現変化、MPOの活性変化などによって確認した。具体的に、腸の長さの減少が改善されており、MPO活性が減少されており、抗癌剤によって抑制されたIFN-γ、TNF-α、IL-10のすべての発現が増加した。特に、IFN-γに対比するIL-10、TNF-αに対比するIL-10発現を増加させて大腸炎を改善した。このような作用は、併用菌株でシナジーとして作用することが確認されており、特に、NK210とNK219を4:1の混合比で投与した場合、最も優れた効果を示した。
(2)脾臓での改善効果の確認
【表11】
前記表11から確認できるように、自然免疫細胞であるマクロファージの貪食能、NK細胞の細胞死滅効果が改善されたことを確認した。抗癌剤によって抑制されたIFN-γ、TNF-α、IL-10のすべての発現が増加した。特に、IFN-γに対比するIL-10、TNF-αに対比するIL-10発現を増加させて優れた治療効果を示した。さらに、このような作用は、単独だけでなく併用でもシナジー効果を示し、大きく優れたものと示され、特に、NK210とNK219を4:1の混合比で投与した場合、最も優れた効果を示した。
(3)認知能の改善効果の確認
【表12】

前記表12から確認できるように、本発明による菌株の投与は、Y-maze実験およびNOR taskですべて優れた改善効果を示した。特に、このような改善効果は、菌株を併用したとき、大きくシナジー効果を示した。また、抗癌剤によって抑制されたIFN-γ、TNF-α、IL-10のすべての発現を増加させており、特に、IFN-γに対比するIL-10、TNF-αに対比するIL-10発現を増加させて治療効果(免疫調節効果)を示した。
実施例8:抗生剤にて誘導した腸内マイクロバイオータの不均衡動物における菌株処理による効能の分析
C57BL/6雄マウス(5週齢19~21g)を一群に6匹ずつとし、1週間実験室に適応させた。腸疾患と脳疾患の誘導のためにアンピシリン(AP、100mg/kg、生理食塩水に溶かした)を3日間経口投与した。一方、正常群には、生理食塩水0.1mlを経口投与した。抗生剤を最終投与した翌日から毎日1回ずつ5日間試験試料である乳酸菌を生理食塩水に懸濁し、一匹当たり1×10CFU(NK210単独:1×10CFU/マウス、NK219単独:1×10CFU/マウス、併用(210+219):210、8×10CFU/マウスおよび219、2×10CFU/マウス)、sulfasalazine 50mg/kg(マウス)の量で経口投与した。試料投与が終了した翌日に実験動物を犠牲にさせ、脳の海馬、大腸、脾臓を得た。海馬では炎症指標であるIFN-γ、TNF-α、IL-10をELISAにて測定し、大腸では腸の長さ、炎症指標であるIFN-γ、TNF-α、IL-10を測定し、脾臓ではTh1細胞とTreg細胞をパックスにて測定し、糞便では内毒素(LPS)と腸内微生物群落を測定した。
(1)大腸炎改善効果の確認
【表13】
前記表13から確認できるように、単独菌株および併用菌株の投与により大腸炎を改善する効果を示すことを腸の長さ、炎症因子の発現変化、MPOの活性変化などによって確認した。具体的に、腸の長さの減少が改善されており、MPO活性が減少され、インターフェロン-ガンマおよびTNF-αの発現水準が減少されており、抗炎症性サイトカインであるIL-10発現水準が増加した。すなわち、内毒素によって増加したIFN-γ、TNF-αを抑制し、内毒素によって減少したIL-10発現を増加させており、特に、IFN-γに対比するIL-10、TNF-αに対比するIL-10発現を増加させて大腸炎の症状を大きく改善した。このような作用は、併用菌株でシナジーとして作用することが確認されており、特に、NK210とNK219を4:1の混合比で投与した場合、最も優れた効果を示した。
(2)脾臓での改善効果の確認
【表14】

前記表14から確認できるように、自然免疫細胞であるマクロファージの貪食能、NK細胞の細胞死滅効果が改善されたことを確認した。また、内毒素によって増加したIFN-γ、TNF-αを抑制し、内毒素によって減少したIL-10発現を増加させており、特に、IFN-γに対比するIL-10、TNF-αに対比するIL-10発現を増加させる結果をともに示した。このような全身的に炎症反応に関与する脾臓での作用は、本発明による菌株の優れた炎症改善効果を示す。さらに、このような作用は、単独だけでなく併用でもシナジー効果を示し、大きく優れたものと示されており、特に、NK210とNK219を4:1の混合比で投与した場合、最も優れた効果を示した。
(3)認知能の改善効果の確認
【表15】

前記表15から確認できるように、本発明による菌株の投与は、Y-maze実験およびNOR taskですべて優れた改善効果を示した。特に、このような改善効果は、菌株を併用したとき、大きくシナジー効果を示した。また、海馬の炎症指標を改善し、特に、内毒素によって増加したIFN-γ、TNF-αを下げ、IL-10発現を増加させており、IFN-γに対比するIL-10、TNF-αに対比するIL-10発現を増加させて神経炎に対する改善効果があることをともに確認した
(4)腸内マイクロバイオータの不均衡の改善
腸内マイクロバイオータの不均衡を改善した結果を図1に示した。図1から確認できるように、抗生剤アンピシリンを投与したことにより腸内マイクロバイオータのベータ多様性、プロテオバクテリア、バクテロイデス門が減少した不均衡がLR(NK210)、BL(NK219)、この混合物(Mx)の投与により腸内マイクロバイオータが均衡を取り揃えた形態で改善されたことを確認した。
実施例9:健康な動物における菌株投与の効能の分析
C57BL/6雄マウス(5週齢19~21g)を一群に6匹ずつとし、1週間実験室に適応させた。毎日1回ずつ5日間試験試料である乳酸菌を生理食塩水に懸濁し、一匹当たり1×10CFU(NK210単独(LR):1×10CFU/マウス、NK219単独(BL):1×10CFU/マウス、併用(MX、210+219):210、8×10CFU/マウスおよび219、2×10CFU/マウス)の量で経口投与した。陽性対照群の実験動物には乳酸菌の代わりに大腸炎治療薬物であるスルファサラジン(sulfasalazine)を50mg/kgで、正常群の実験動物には乳酸菌を懸濁するために用いた生理食塩水を経口投与した。試料投与が終了した翌日に実験動物を犠牲にさせ、脳の海馬、大腸、脾臓を得る。海馬では炎症指標であるIFN-γ、TNF-α、IL-10をELISAにて測定し、大腸では腸の長さ、炎症指標であるIFN-γ、TNF-α、IL-10を測定し、脾臓ではTh1細胞とTreg細胞をパックスにて測定した。
(1)大腸炎改善効果の確認
【表16】
前記表16から確認できるように、健康な動物における単独菌株の投与は、インターフェロンガンマの発現を増加させており、併用時にその発現を非常に顕著に増加させることが確認された。特に、NK210とNK219を4:1の混合比で投与した場合、最も優れた効果を示した。
(2)脾臓での改善効果の確認

【表17】

前記表17から確認できるように、自然免疫細胞であるマクロファージの貪食能、NK細胞の細胞死滅効果が改善されたことを確認した。また、インターフェロンガンマの発現を増加させた。さらに、このような作用は、併用したとき、IFN-γの発現に対してさらに有意に増加した。特に、IFN-γに対比するIL-10、TNF-αに対比するIL-10発現を改善した。前記結果を通じて、本発明による菌株が免疫増進効能が優れていることを確認した。
実施例10:TNBSにて誘導した腸疾患および脳疾患動物の製作とこれに菌株投与による効能の確認
C57BL/6雄マウス(5週齢19~21g)を一群に6匹ずつとし、1週間実験室に適応させた。腸疾患と脳疾患の誘導のために、5%の2,4,6-トリニトロベンゼンスルホン酸(2,4,6-trinitrobenzenesulfonic acid、TNBS、米国Sigma)溶液を50%エタノールで1:1希釈して、先が丸い1ml容量の注射器を利用して肛門を通じて大腸内に0.1mlずつ投与し、垂直に持って30秒間維持した。これに対し、正常群には、生理食塩水0.1mlを経口投与した。翌日から毎日1回ずつ5日間試験試料である乳酸菌を生理食塩水に懸濁し、一匹当たり1×10CFU(NK210単独(LR):1×10CFU/マウス、NK219単独(BL):1×10CFU/マウス、NK209単独(LL):1×10CFU/マウス、併用(MX、210+219):NK210、8×10CFU/マウスおよびNK219、2×10CFU/マウス、併用(MX、209+219):NK209、8×10CFU/マウスおよびNK219、2×10CFU/マウス、LR+BL+LL:NK210、4×10CFU/マウス、およびNK219、2×10CFU/マウスおよびNK209、4×10CFU/マウス、熱処理(H-)それぞれ:1×10CFU/マウス)の量で経口投与した。陽性対照群の実験動物には、乳酸菌の代わりに大腸炎治療薬物であるスルファサラジン(sulfasalazine)を50mg/kgで、正常群の実験動物には、乳酸菌を懸濁するために用いた生理食塩水を経口投与した。試料投与が終了した翌日に実験動物を犠牲にさせ、脳の海馬、大腸、脾臓を得た。海馬では炎症指標であるTNF-α、IL-10をELISAにて測定し、大腸では腸の長さ、炎症指標であるTNF-α、IL-10を測定し、脾臓ではTh1細胞とTreg細胞をパックスにて測定した。
(1)認知機能改善効果の確認
【表18】

前記表18から確認できるように、NK210、NK219はすべてTNBSによって損傷された認知機能損傷を改善した。特に、TNBSによって増加した海馬の炎症指標IFN-gamma、TNF-alphaを抑制し、IL-10を増加させた。また、これは、生菌だけでなく熱処理した死菌でも顕著な効果を示したものであった。また、単独だけでなく、2種の併用(NK210およびNK219)、特に、3種の併用(NK210、NK219とNK209)である場合、そのシナジー効果が最も優れていることが確認された。
上記の効果はいずれも、現在、医薬品として用いるスルファサラジンより優れた結果で確認された。
(2)大腸での改善効果の確認
【表19】
前記表19から確認できるように、TNBSによって損傷された大腸炎の前記表19から確認できるように、TNBSによって損傷された大腸炎の場合、本発明による菌株処理によって改善された効果が示された。特に、TNBSによって増加した海馬の炎症指標myeloperoxidase(MPO)活性、IFN-gamma、TNF-alphaを抑制し、IL-10を増加させる結果をもたらし、このような作用は、生菌だけでなく死菌でも同様に確認された。特に、併用中、NK210、NK219とNK209の3種を併用した効果が最も優れており、それぞれだけでなく、併用はすべて、現在、医薬品として用いるスルファサラジンより優れた結果を示した。
<乳酸菌の受託情報>
本発明の発明者は、ラクトバチルス・ラムノサスNK210(Lactobacillus rhamnosus NK210)を2021年9月15日に公認寄託機関である韓国微生物保存センター(住所:大韓民国ソウル西大門区洪済内2ガギル45ユリムビル)に特許寄託し、KCCM13049Pの受託番号が付与された。
本発明の発明者は、ビフィドバクテリウム・ロンガムNK219(Bifidobacterium longum NK219)を2021年9月15日に公認寄託機関である韓国微生物保存センター(住所:大韓民国ソウル西大門区洪済内2ガギル45ユリムビル)に特許寄託し、KCCM13050Pの受託番号が付与された。
本発明の発明者は、ラクトコッカス・ラクティスNK209(Lactococcus lactis NK209)を2021年9月15日に公認寄託機関である韓国微生物保存センター(住所:大韓民国ソウル西大門区洪済内2ガギル45ユリムビル)に特許寄託し、KCCM13048Pの受託番号が付与された。
[受託番号]
寄託機関名:韓国微生物保存センター(国外)
受託番号:KCCM13048P
受託日付:20210915

寄託機関名:韓国微生物保存センター(国外)
受託番号:KCCM13049P
受託日付:20210915

寄託機関名:韓国微生物保存センター(国外)
受託番号:KCCM13050P
受託日付:20210915
【0008】
【0009】
【0010】
【産業上の利用可能性】
【0011】
本発明による新規プロバイオティクスは優れた抗酸化効果、炎症改善効果、神経改善効果、認知改善効果、腸内マイクロバイオータの不均衡改善効果、免疫調節効果などを通じて医薬品および食品として活用価値が高く、特に、炎症性疾患、免疫機能改善、認知機能障害の予防、治療または改善に利用してもよい。
図1
【配列表】
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【国際調査報告】