(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-02
(54)【発明の名称】時計ケースを通じた磁気制御及び/又は駆動機構
(51)【国際特許分類】
G04D 7/00 20060101AFI20240925BHJP
G04D 7/10 20060101ALI20240925BHJP
G04B 18/04 20060101ALI20240925BHJP
【FI】
G04D7/00 A
G04D7/10
G04B18/04
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024519932
(86)(22)【出願日】2022-06-14
(85)【翻訳文提出日】2024-04-01
(86)【国際出願番号】 EP2022066203
(87)【国際公開番号】W WO2023072437
(87)【国際公開日】2023-05-04
(32)【優先日】2021-10-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506425538
【氏名又は名称】ザ・スウォッチ・グループ・リサーチ・アンド・ディベロップメント・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】パラット,リオネル
(72)【発明者】
【氏名】レショー,ドミニク
(72)【発明者】
【氏名】ボルン,ジャン-ジャック
(57)【要約】
本発明の一態様は、時計(1000)と、時計(1000)のケース全体を通じて、調節及び/又はエネルギー充填のため、時計(1000)内部の第1の可動体(1)を直接接触せずに駆動する調節工具(200)とを含む測時器組立体(2000)に関し、調節工具(200)は、第1の磁気領域(210)を含み、第1の磁気領域(210)は、有効位置と、調節工具(200)のない非有効位置との間で、引力又は反発力により、ケース(10)に締結される弾性戻し手段(5)に対して第1の軸(D1)回りに枢動可能に軸方向に移動可能である第1の可動体(1)と協働し、有効位置において、調節工具(200)は、ケース(10)の内部の第2の可動体(7)との係合位置において、進行終端面(6)に向かって第1の可動体(1)を引っ張り、非有効位置において、弾性戻し手段(5)は、第1の可動体(1)を第2の可動体(7)から分離させたままにする。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの時計(1000)と少なくとも1つの調節工具(200)とを含む測時器組立体(2000)であって、前記少なくとも1つの調節工具(200)は、調節及び/又はエネルギー充填を実行するため、各前記時計(1000)内に含まれるケース(10)全体を通して、前記時計製造組立体(2000)の各前記時計(1000)内に含まれる第1の内部可動体(1)の駆動を直接接触せずに可能にするように構成され、各前記調節工具(200)は、引力又は反発力によって前記第1の強磁性内部可動体(1)と相補的に協働するように構成される第1の磁気領域(210)を含むか、又は第2の磁気領域を含む、測時器組立体(2000)において、前記第1の内部可動体(1)は、第1の軸(D1)回りに枢動移動可能であり、前記ケース(10)の要素(2)に締結される弾性戻し手段(5)に対して、一方の有効位置と、前記調節工具(200)がない他方の非有効位置との間で、前記第1の軸の方向に従って軸方向にも移動可能であり、前記有効位置において、前記調節工具(200)は、前記時計(1000)に接して又は前記時計(1000)の近傍に配置され、前記第1の内部可動体(1)に固着されるか又は前記第1の内部可動体(1)によって形成される第1の駆動要素(3)と前記ケース(10)の内部の第2の内部可動体(7)との間の係合位置において、前記弾性戻し手段(5)若しくは前記要素(2)若しくは前記ケース(10)が含む進行終端面(6)に向かって前記第1の内部可動体(1)を引き付けるか又は押し戻し、前記非有効位置において、前記弾性戻し手段(5)は、前記第1の駆動要素(3)を前記第2の内部可動体(7)から分離させたままであり、前記弾性戻し手段は、前記弾性戻し手段自体で所望のトルクを供給し、調節を保証するように構成されることを特徴とする、測時器組立体(2000)。
【請求項2】
前記第1の磁気領域(210)は、前記有効位置において、前記第1の軸(D1)の方向に平行な引力又は反発力によって前記第1の内部可動体(1)と相補的に協働するように構成されることを特徴とする、請求項1に記載の測時器組立体(2000)。
【請求項3】
前記第1の内部可動体(1)は、前記第1の軸(D1)に直交する平面上に突出して特定の幾何学的形状を画定する複数の径方向腕部(101、102)を含み、前記第1の磁気領域(210)は、前記特定の幾何学的形状に従って第2の軸(D2)の周囲に径方向に配置される複数の磁石(201、202)を含み、前記測時器組立体(2000)だけに固有の暗号化された磁気-機械接続を達成するようにすることを特徴とする、請求項1又は2に記載の測時器組立体(2000)。
【請求項4】
前記第1の磁気領域(210)は、複数の磁石(201、202)を含み、前記複数の磁石(201、202)は、磁界軸が延在する方向に従って前記第2の軸(D2)の周囲に径方向に配置され、交互の極性にあることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の測時器組立体(2000)。
【請求項5】
前記第1の内部可動体(1)は強磁性であることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の測時器組立体(2000)。
【請求項6】
前記第1の強磁性内部可動体(1)は、特定の形状を有し、前記特定の形状は、典型的には1.5テスラの均一な外部磁界の引力、回転又は反発力の影響を最小化し、典型的には1.5テスラの前記均一な外部磁界の作用下、前記第1の強磁性内部可動体(1)が回転しないように構成されることを特徴とする、請求項5に記載の測時器組立体(2000)。
【請求項7】
前記第1の強磁性内部可動体(1)は、複数の径方向腕部(101、102)を含み、前記複数の径方向腕部(101、102)は、前記第1の内部可動体(1)が前記第1の軸(D1)回りに移動可能である最大半径まで径方向に延在することを特徴とする、請求項6に記載の測時器組立体(2000)。
【請求項8】
前記要素(2)は、非磁気材料から作製される構成要素であることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の測時器組立体(2000)。
【請求項9】
前記第1の内部可動体(1)は、少なくとも1つの前記時計(1000)が含むシャフト(4)又は軸受によって第1の軸(D1)回りに枢動可能に案内されることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の測時器組立体(2000)。
【請求項10】
各前記時計(1000)は、非磁気時計であることを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載の測時器組立体(2000)。
【請求項11】
少なくとも1つの前記時計(1000)は、機械式時計であることを特徴とする、請求項1から10のいずれか一項に記載の測時器組立体(2000)。
【請求項12】
少なくとも1つの前記時計(1000)は、電気機械式又は電子式時計であることを特徴とする、請求項1から11のいずれか一項に記載の測時器組立体(2000)。
【請求項13】
前記第2の内部可動体(7)は、少なくとも1つの前記時計(1000)内に含まれる調整部材の速度調節を制御する可動体であることを特徴とする、請求項1から12のいずれか一項に記載の測時器組立体(2000)。
【請求項14】
前記第2の内部可動体(7)は、少なくとも1つの前記時計(1000)の時間設定を制御する可動体であることを特徴とする、請求項1から12のいずれか一項に記載の測時器組立体(2000)。
【請求項15】
前記第2の内部可動体(7)は、少なくとも1つの前記時計(1000)内に含まれる暦機構の設定を制御する可動体であることを特徴とする、請求項1から12のいずれか一項に記載の測時器組立体(2000)。
【請求項16】
前記第2の内部可動体(7)は、少なくとも1つの前記時計(1000)の巻上げを制御する可動体であることを特徴とする、請求項1から12のいずれか一項に記載の測時器組立体(2000)。
【請求項17】
前記第2の内部可動体(7)は、少なくとも1つの前記時計(1000)内に含まれるアラーム及び/又は時打ち作動機構の設定を制御する可動体であることを特徴とする、請求項1から12のいずれか一項に記載の測時器組立体(2000)。
【請求項18】
前記第1の内部可動体(1)は、少なくとも1つの前記時計(1000)のユーザから見えないことを特徴とする、請求項1から17のいずれか一項に記載の測時器組立体(2000)。
【請求項19】
少なくとも1つの前記時計(1000)には、前記時計(1000)のケーシングを通過する外部機械調節部材が一切ないことを特徴とする、請求項1から18のいずれか一項に記載の測時器組立体(2000)。
【請求項20】
少なくとも1つの前記時計(1000)は、気体及び周囲の湿気に対して封止され、前記ケーシングは、この目的で、真空又は中性気体雰囲気中での金属又はセラミック又はガラス封止処理の実行に適している少なくとも1つの封止領域を含むことを特徴とする、請求項1から19のいずれか一項に記載の測時器組立体(2000)。
【請求項21】
少なくとも1つの前記時計(1000)は、温度の変動によって生じる内圧の変動に反応しないように、減圧して封止されることを特徴とする、請求項1から20のいずれか一項に記載の測時器組立体(2000)。
【請求項22】
前記時計(1000)の少なくとも1つは、RFIDチップ又は識別受動手段を備え、前記RFIDチップ又は前記識別受動手段は、販売後、前記時計(1000)が属する前記測時器組立体(2000)の種類、及び使用される前記調節工具(200)の直接的な識別を可能にすることを特徴とする、請求項1から21のいずれか一項に記載の測時器組立体(2000)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測時器組立体に関し、測時器組立体は、少なくとも1つの時計と、調節工具とを含み、調節工具は、調節及び/又はエネルギー充填のため、時計ケース全体を通じて時計の内部の第1の可動体を直接接触せずに駆動する。
【0002】
本発明は、計時器のための調節及び/又は駆動制御機構の分野に関する。
【背景技術】
【0003】
プッシュピース、りゅうず等、ケーシングを通じて腕時計の機能を機械的に調節する多数のシステムがある。しかし、ケーシングを通過するあらゆる機械要素は、例えば、Oリング又は他の封止体の使用によって防水にしなければならず、Oリング又は他の封止体が引き起す問題を伴う。
【0004】
更に、速度等のいくつかのムーブメントの調節は、時計が閉じられている際に最良に行われる。というのは、封入作業は、ムーブメントに行われる調節と完成した時計に行われる調節との間に差をもたらすことが多いためである。
【0005】
これら2つの主な理由のために、封止体を備える機械心棒以外の様式でケーシングを通過し得る、時計の内部機能への機械的結合システムを有することが望ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、時計が完成した(ムーブメントを封入した)後、磁気結合器により時計ケーシングを通じてトルク又は力を伝達する手段を実装し、例えば、速度調節等の機械的調節を実行することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的で、本発明は、請求項1に記載の測時器組立体に関する。
【0008】
目的、利点及び特徴は、添付の図面を参照して以下の詳細な説明を読めばより良好に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明による、測時器組立体の第1の変形形態の図であり、測時器組立体は、この特定の測時器組立体に固有の所与の種類の時計と共に協働するように構成される調節工具を含む。
図1は、そのような時計の概略図を、部分的に、時計の内部の第1の可動体の回転軸を通過する断面で示し、第1の可動体は、軸方向に可動であり、この第1の軸回りに回転可能であり、ここでは、時計の内部機構を含む板に対して分離位置で示される制御かなを保持する。
【
図2】本発明による、測時器組立体の第1の変形形態の図であり、測時器組立体は、この測時器組立体に固有の所与の種類の時計と共に協働するように構成される調節工具を含む。
図2は、この場合は強磁性十字体である、この第1の可動体の概略平面図を示す。
【
図3】本発明による、測時器組立体の第1の変形形態の図であり、測時器組立体は、この測時器組立体に固有の所与の種類の時計と共に協働するように構成される調節工具を含む。
図3は、この場合は渦巻ばねである、弾性戻し手段の概略平面図を示し、弾性戻し手段は、第1の可動体を
図1に見られるような第1の可動体の分離位置に戻す性質がある。
【
図4】本発明による、測時器組立体の第1の変形形態の図であり、測時器組立体は、この測時器組立体に固有の所与の種類の時計と共に協働するように構成される調節工具を含む。
図4は、調節工具の概略平面図を示し、調節工具は、この第1の可動体と対で使用され、第1の可動体は、同じ半径上に、交互の極性の4つの磁石を十字に含み、この場合は強磁性十字体である。
【
図5】本発明による、測時器組立体の第1の変形形態の図であり、測時器組立体は、この測時器組立体に固有の所与の種類の時計と共に協働するように構成される調節工具を含む。
図5は、
図1と同様に、
図4の調節工具と
図2の第1の可動体との協働を示し、協働により、第1の可動体を第1の可動体の係合位置にもたらし、係合位置において、かなは板と嵌合し、第1の可動体は、ここでは時計ケースのクリスタルに対して前停止位置にある。
【
図6】第1の内部可動体がここでは不規則な外形を有する第2の包括的な変形形態の図であり、第1の内部可動体は、非限定例では、角度が等しく分散していない5つの腕部を含み、可変径方向幅広さを有し、対応する調節工具は、5つの磁石を含み、5つの磁石のうち3つは、同じ半径上にあり、他の2つは、他の半径値上にあり、これら5つの磁石のうち、4つの磁石は、第1の内部可動体に面して同じ極性を有する一方で、ただ1つの磁石は、反対の極性を有する。
図6は、5つの腕部が等しくないこの第1の内部可動体を反映させた概略平面図でミラーリングされており、外部調節工具は、この第1の可動体と対をなし、上述したように5つの磁石を含む。
【
図7】第1の内部可動体がここでは不規則な外形を有する第2の包括的な変形形態の図であり、第1の内部可動体は、非限定例では、角度が等しく分散していない5つの腕部を含み、可変径方向幅広さを有し、対応する調節工具は、5つの磁石を含み、5つの磁石のうち3つは、同じ半径上にあり、他の2つは、他の半径値上にあり、これら5つの磁石のうち、4つの磁石は、第1の内部可動体に面して同じ極性を有する一方で、ただ1つの磁石は、反対の極性を有する。
図7は、
図5と同様に、調節工具と
図6の第1の可動体との間の協働を示し、
図6の第1の可動体と調節工具との間の協働(及びかなを破線で示した分離位置への後退)を示し、第1の軸D1及び第2の軸D2は位置合わせされている。第1の内部可動体の強磁性領域及び調節工具の磁石全体にわたる磁束のループは、閉ループによって、一方は実線で、他方は破線で図式化される。
【
図8】単一調節工具を含む測時器組立体を示すブロック図であり、単一調節工具は、組立体において、同じ第1の内部可動体を含む様々な時計と協働可能である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
欧州特許出願公開第3252545号明細書は、ケーシングの内側と外側との間を磁気結合するシステムを記載しており、このシステムは、特殊なてんぷ車の慣性を変更することによって巻真を速度調節システムに係合することを可能にする。特に、永久磁石を備える暗号化外部磁気鍵は、磁気-機械結合によって、強磁性標的を備える内部リングを回転させる。リングは、遮断体に対してリングを軸方向に弾性的に保持することによって、又はシャフトの軸方向移動に対して固定される遮断デバイスによって、回転が係止され、こうして、回転衝撃に対するリングの保持を保証する。
【0011】
この高性能システムは、本質的に、心棒のトルクを中継するように働き、特殊なてんぷの慣性が変化した場合、唯一、内部機構の機能を保証するものである。したがって、この高性能システム単独では、考慮される調節に必要なトルクをもたらすのに適していない、又はエネルギーを充填するのに適していない。磁気貫通システムは、別のエネルギー供給システムと協働しなければならず、磁気の中継にも適合しなければならない。したがって、全体として比較的複雑なシステムを形成する。
【0012】
本発明は、特許文書EP3252545A1に記載のシステムと同様のシステムを提案するが、あらゆるプッシュピース又は心棒から独立しているため、直接的なトルク/力の生成が可能であり、この新たなシステムは、暗号化されており、独自の機械的係止/係止解除機能を有し、システムの実装は、簡略化されている。
【0013】
したがって、本発明は、測時器組立体2000に関し、測時器組立体2000は、少なくとも1つの時計1000と、少なくとも1つの調節工具200とを含み、少なくとも1つの調節工具200は、各時計1000が含むケース10全体を通じて、この測時器組立体2000の各時計1000が含む第1の内部可動体1を直接接触せずに駆動可能であるように構成され、調節及び/又はエネルギー充填を実行するようにする。各調節工具200は、第1の磁気領域210を含み、第1の磁気領域210は、引力又は反発力によって、第1の内部可動体1と相補的に協働するように構成され、第1の内部可動体1は、強磁性であるか又は第2の磁気領域を含む。
【0014】
本発明は、この協働が引力によって生じるいくつかの変形形態により説明する。当然、反発力による協働に基づく代替機構も展開し得る。
【0015】
本発明によれば、第1の内部可動体1は、第1の軸D1回りに枢動移動可能であり、弾性戻し手段5に対して、第1の軸D1の方向に従って軸方向にも移動可能であり、弾性戻し手段5は、ケース10若しくはケース10の要素2に締結されるか、又はケース10若しくは板等の時計1000の内部構造体の固定要素に締結される。第1の内部可動体1のこの軸方向の可動性は、一方の有効位置と、他方の調節工具200のない非有効位置との間で行われ、有効位置において、調節工具200は、時計1000に接して又は時計1000の近傍に配置され、第1の内部可動体1に固着されるか又は第1の内部可動体1によって形成される第1の駆動要素3とケース10の内部の第2の内部可動体7との間の係合位置において、例示の動作代替例では引力によって、進行終端面6に向かって第1の内部可動体1を引き付けるか、又は他の動作代替例では反発力によって、第1の内部可動体1を押し戻し、進行終端面6は、弾性戻し手段5又は要素2又はケース10又は時計1000の内部構造体の固定要素内に含まれ、非有効位置において、弾性戻し手段5は、採用される構成に応じて、第1の駆動要素3又は第1の内部可動体1自体を第2の内部可動体7から分離させたままにする。
【0016】
より詳細には、第1の磁気領域210は、有効位置において、第1の軸D1の方向に平行な軸方向の引力又は反発力によって第1の内部可動体1と相補的に協働するように構成される。
【0017】
より詳細には、第1の内部可動体1は、第1の軸D1に直交する平面上に突出して特定の幾何学的形状を画定する複数の径方向腕部101、102を含み、第1の磁気領域210は、特定の幾何学的形状に従って第2の軸D2の周囲に径方向に配置される複数の磁石201、202を含み、考慮される1つの測時器組立体2000に固有の暗号化された磁気-機械接続を達成するようにする。
【0018】
一変形形態では、第1の磁気領域210は、複数の磁石201、202を含み、複数の磁石201、202は、磁界軸が延在し、極性が交互である方向に従って第2の軸D2の周囲に径方向に配置される。
【0019】
特定の変形形態では、第1の内部可動体1は強磁性である。
【0020】
特定の変形形態では、第1の内部可動体1は少なくとも1つの磁石を含む。
【0021】
より詳細には、第1の強磁性内部可動体1は、特定の形状を有し、特定の形状は、典型的には1.5テスラの均一な外部磁界の引力、回転又は反発力の影響を最小化し、典型的には1.5テスラの均一な外部磁界の作用下、特に強磁性の第1の内部可動体1の回転を最小化するように構成される。
【0022】
ユーザ、又は製造業者ネットワーク外部からの修理者は、任意のサイズ及び強度の1つの磁石で第1の内部可動体1を回転させることができない。これらのユーザ又は修理者は、根本的にはクラッチを係合し得るが、第1の内部可動体1を回転させることはできない。
【0023】
より詳細には、第1の強磁性内部可動体1は、複数の径方向腕部101、102を含み、複数の径方向腕部101、102は、第1の内部可動体1が第1の軸D1回りに移動可能である最大半径まで径方向に延在する。
【0024】
より詳細には、要素2は、ガラス、サファイア、セラミック、アルミニウム合金、チタン合金、ステンレス鋼又はプラスチック等、非磁気材料から作製される構成要素である。またより詳細には、要素2はクリスタルである。
【0025】
より詳細には、第1の内部可動体1は、少なくとも1つの時計1000が含むシャフト4又は軸受によって第1の軸D1回りに枢動可能に案内される。
【0026】
より詳細には、測時器組立体2000の少なくとも1つの時計1000は、非磁気時計である。より一層詳細には、測時器組立体2000内の各時計1000は、非磁気時計である。
【0027】
より詳細には、測時器組立体2000の少なくとも1つの時計1000は、非磁気時計である。より一層詳細には、測時器組立体2000の各時計1000は、機械式時計である。
【0028】
より詳細には、測時器組立体2000の少なくとも1つの時計1000は、非磁気時計である。より一層詳細には、測時器組立体2000の各時計1000は、電気機械式又は電子式時計である。
【0029】
より詳細には、第2の内部可動体7は、少なくとも1つの時計1000内に含まれる調整部材の速度設定を制御する可動体である。
【0030】
より詳細には、第2の内部可動体7は、少なくとも1つの時計1000の時間設定を制御する可動体である。
【0031】
より詳細には、第2の内部可動体7は、少なくとも1つの時計1000内に含まれる暦機構の設定を制御する可動体である。
【0032】
より詳細には、第2の内部可動体7は、少なくとも1つの時計1000のための巻上げ制御可動体である。
【0033】
より詳細には、第2の内部可動体7は、少なくとも1つの時計1000内に含まれるアラーム及び/又は時打ち作動機構の設定を制御する可動体である。
【0034】
より詳細には、第1の内部可動体1は、少なくとも1つの時計1000のユーザには見えない。
【0035】
より詳細には、少なくとも1つの時計1000には、時計1000のケーシングを通過する外部機械的調節部材が一切ない。
【0036】
より詳細には、少なくとも1つの時計1000は、気体及び周囲の湿気に対して封止され、時計1000のケーシングは、この目的で、真空又は中性気体雰囲気中での金属又はセラミック又はガラス封止処理に適している少なくとも1つの封止領域を含む。
【0037】
より詳細には、少なくとも1つの時計1000は、温度の変動によって生じる内圧の変動に反応しないように、減圧して封止される。
【0038】
より詳細には、少なくとも1つの時計1000は、RFIDチップ又は識別受動手段を備え、RFIDチップ又は識別受動手段は、アフターサービス時、時計1000が属する測時器組立体2000の種類、及び使用される調節工具200を直接識別することを可能にする。
【0039】
図1から
図5によって示される非限定的な例は、そのような測時器組立体2000、第1の内部可動体1を含む少なくとも1つの時計1000に関し、第1の内部可動体1は、ここでは、
図2の平面図に見える、ケーシングの内部の強磁性十字体から構成され、ケース10は、ここでは、機構を断面で示す
図1に見える時計裏のクリスタル2を含む。この強磁性十字体1は、第1の軸D1に従ってシャフト4上に枢動可能に組み付けられ、この第1の軸D1に沿って軸方向に摺動可能でもある。この同じ例では、十字体1は、クラッチかなである第1の駆動要素3に固着され、ばねは、
図3の平面図で見え、特定の実施形態では渦巻ばねである弾性戻し手段5を形成し、このクラッチかなを第2の内部可動体7との結合位置から離したままにし、第2の内部可動体7は、ここでは、ムーブメント内で、実施すべき機能に駆動連結される板を含む(図示の場合は、ひげぜんまいの剛性を修正することによって前記ひげぜんまいの速度を調節するのに特に好適である)。
【0040】
図4は、測時器組立体2000の時計1000の一群に固有の調節工具200を平面図で示す。極めて単純な変形形態では、この調節工具200は、第2の軸D2の周囲に同じ半径上に分散された4つの磁石201及び202を備える。ねじ回しと同等のこの調節工具200が接近すると、強磁性十字体1は、ばね5の圧縮下、クリスタル2に向かって引き付けられ、枢動端部でクリスタル2に行き当たる。ここで、駆動板7は、かな3と係合している。調節工具200の回転は、強磁性十字体1の腕部への抵抗作用があり、内部段を回転させる。
【0041】
別の非限定的な例は、
図6から
図8によって示され、少なくとも1つの時計1000は、第1の内部可動体1を含み、第1の内部可動体1は、ここでは、不規則な外形を有し、この例では、角度が等しく分散していない、可変径方向幅広さの5つの腕部を含み、対応する調節工具200は、5つの磁石を含み、5つの磁石のうち3つは、同じ半径上にあり、他の2つは、他の半径値上にあり、これら5つの磁石のうち、4つの磁石は、第1の内部可動体に同じ極性を有する一方で、ただ1つの磁石は、反対の極性を有する。この調節工具は、第1の内部可動体に面するように構成される磁気ヨークを有する。
【0042】
第1の内部可動体1と調節工具200との間の協働は、システムの改ざん防止を改善するため、形状及び特別な極性の組合せの両方に作用し得ることを理解されたい。同様に、第1の内部可動体1は、強磁性点領域及び/又は点磁石を含み得る。調節工具200は、任意の暗号化形状を有し得る。
【0043】
有利には、第1の内部可動体1は、外部の磁界による磁気の位置を決定するトルクを最小化するように、かなり小型の形状を有する。
【0044】
図8は、
図6及び
図7の第1の可動体と調節工具との間の協働(及びかなを破線で示した分離位置への後退)を示し、第1の軸D1及び第2の軸D2は位置合わせされている。第1の内部可動体1の強磁性領域及び調節工具200の磁石全体にわたる磁束のループは、閉ループによって、一方は実線で、他方は破線で図式化される。
【0045】
機構、即ち十字体、可動体の内部要素の残留磁気は、ムーブメント又は時計の任意の他の機能を損なわないように十分に低いものでなければならない。
【0046】
システムの実際のサイズは、時計の主な内部機能と比較して、小型のままでなければならない。
【0047】
本発明による機構の操作は、顧客又は第3者による不本意な破壊といった問題を回避するため、製造業者が承認した製造工場又は専門店又はアフターサービスで留保される。したがって、十字体及び鍵は、従来の磁石による操作を防止するサイズで作製される。十字体の形状は、特殊で複雑であり、不透明層によって隠しても隠さなくてもよく、特殊な構成及び寸法の磁石を有する市場での発見が困難な特別なねじ回しと協働し得る。十字体は、高強度(数テスラ)の同種の外部磁界が加えられた際に適応可能であってはならず、可能な限りわずかにしか軸方向に移動しないはずである。
【0048】
このシステムは、従来のプッシュピース及び心棒に完全に代わり、現在のモデルよりかなり耐水性がある自動式時計又は他の時計の製造を可能にし得る。
【手続補正書】
【提出日】2024-04-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの時計(1000)と少なくとも1つの調節工具(200)とを含む測時器組立体(2000)であって、前記少なくとも1つの調節工具(200)は、調節及び/又はエネルギー充填を実行するため、各前記時計(1000)内に含まれるケース(10)全体を通して、前記時計製造組立体(2000)の各前記時計(1000)内に含まれる第1の内部可動体(1)の駆動を直接接触せずに可能にするように構成され、各前記調節工具(200)は、引力又は反発力によって前記第1の強磁性内部可動体(1)と相補的に協働するように構成される第1の磁気領域(210)を含むか、又は第2の磁気領域を含む、測時器組立体(2000)において、前記第1の内部可動体(1)は、第1の軸(D1)回りに枢動移動可能であり、前記ケース(10)の要素(2)に締結される弾性戻し手段(5)に対して、一方の有効位置と、前記調節工具(200)がない他方の非有効位置との間で、前記第1の軸の方向に従って軸方向にも移動可能であり、前記有効位置において、前記調節工具(200)は、前記時計(1000)に接して又は前記時計(1000)の近傍に配置され、前記第1の内部可動体(1)に固着されるか又は前記第1の内部可動体(1)によって形成される第1の駆動要素(3)と前記ケース(10)の内部の第2の内部可動体(7)との間の係合位置において、前記弾性戻し手段(5)若しくは前記要素(2)若しくは前記ケース(10)が含む進行終端面(6)に向かって前記第1の内部可動体(1)を引き付けるか又は押し戻し、前記非有効位置において、前記弾性戻し手段(5)は、前記第1の駆動要素(3)を前記第2の内部可動体(7)から分離させたままであり、前記弾性戻し手段は、前記弾性戻し手段自体で所望のトルクを供給し、調節を保証するように構成されることを特徴とする、測時器組立体(2000)。
【請求項2】
前記第1の磁気領域(210)は、前記有効位置において、前記第1の軸(D1)の方向に平行な引力又は反発力によって前記第1の内部可動体(1)と相補的に協働するように構成されることを特徴とする、請求項1に記載の測時器組立体(2000)。
【請求項3】
前記第1の内部可動体(1)は、前記第1の軸(D1)に直交する平面上に突出して特定の幾何学的形状を画定する複数の径方向腕部(101、102)を含み、前記第1の磁気領域(210)は、前記特定の幾何学的形状に従って第2の軸(D2)の周囲に径方向に配置される複数の磁石(201、202)を含み、前記測時器組立体(2000)だけに固有の暗号化された磁気-機械接続を達成するようにすることを特徴とする、請求項1に記載の測時器組立体(2000)。
【請求項4】
前記第1の磁気領域(210)は、複数の磁石(201、202)を含み、前記複数の磁石(201、202)は、磁界軸が延在する方向に従って前記第2の軸(D2)の周囲に径方向に配置され、交互の極性にあることを特徴とする、請求項1に記載の測時器組立体(2000)。
【請求項5】
前記第1の内部可動体(1)は強磁性であることを特徴とする、請求項1に記載の測時器組立体(2000)。
【請求項6】
前記第1の強磁性内部可動体(1)は、特定の形状を有し、前記特定の形状は、典型的には1.5テスラの均一な外部磁界の引力、回転又は反発力の影響を最小化し、典型的には1.5テスラの前記均一な外部磁界の作用下、前記第1の強磁性内部可動体(1)が回転しないように構成されることを特徴とする、請求項5に記載の測時器組立体(2000)。
【請求項7】
前記第1の強磁性内部可動体(1)は、複数の径方向腕部(101、102)を含み、前記複数の径方向腕部(101、102)は、前記第1の内部可動体(1)が前記第1の軸(D1)回りに移動可能である最大半径まで径方向に延在することを特徴とする、請求項6に記載の測時器組立体(2000)。
【請求項8】
前記要素(2)は、非磁気材料から作製される構成要素であることを特徴とする、請求項1に記載の測時器組立体(2000)。
【請求項9】
前記第1の内部可動体(1)は、少なくとも1つの前記時計(1000)が含むシャフト(4)又は軸受によって第1の軸(D1)回りに枢動可能に案内されることを特徴とする、請求項1に記載の測時器組立体(2000)。
【請求項10】
各前記時計(1000)は、非磁気時計であることを特徴とする、請求項1に記載の測時器組立体(2000)。
【請求項11】
少なくとも1つの前記時計(1000)は、機械式時計であることを特徴とする、請求項1に記載の測時器組立体(2000)。
【請求項12】
少なくとも1つの前記時計(1000)は、電気機械式又は電子式時計であることを特徴とする、請求項1に記載の測時器組立体(2000)。
【請求項13】
前記第2の内部可動体(7)は、少なくとも1つの前記時計(1000)内に含まれる調整部材の速度調節を制御する可動体であることを特徴とする、請求項1に記載の測時器組立体(2000)。
【請求項14】
前記第2の内部可動体(7)は、少なくとも1つの前記時計(1000)の時間設定を制御する可動体であることを特徴とする、請求項1に記載の測時器組立体(2000)。
【請求項15】
前記第2の内部可動体(7)は、少なくとも1つの前記時計(1000)内に含まれる暦機構の設定を制御する可動体であることを特徴とする、請求項1に記載の測時器組立体(2000)。
【請求項16】
前記第2の内部可動体(7)は、少なくとも1つの前記時計(1000)の巻上げを制御する可動体であることを特徴とする、請求項1に記載の測時器組立体(2000)。
【請求項17】
前記第2の内部可動体(7)は、少なくとも1つの前記時計(1000)内に含まれるアラーム及び/又は時打ち作動機構の設定を制御する可動体であることを特徴とする、請求項1に記載の測時器組立体(2000)。
【請求項18】
前記第1の内部可動体(1)は、少なくとも1つの前記時計(1000)のユーザから見えないことを特徴とする、請求項1に記載の測時器組立体(2000)。
【請求項19】
少なくとも1つの前記時計(1000)には、前記時計(1000)のケーシングを通過する外部機械調節部材が一切ないことを特徴とする、請求項1に記載の測時器組立体(2000)。
【請求項20】
少なくとも1つの前記時計(1000)は、気体及び周囲の湿気に対して封止され、前記ケーシングは、この目的で、真空又は中性気体雰囲気中での金属又はセラミック又はガラス封止処理の実行に適している少なくとも1つの封止領域を含むことを特徴とする、請求項1に記載の測時器組立体(2000)。
【請求項21】
少なくとも1つの前記時計(1000)は、温度の変動によって生じる内圧の変動に反応しないように、減圧して封止されることを特徴とする、請求項1に記載の測時器組立体(2000)。
【請求項22】
前記時計(1000)の少なくとも1つは、RFIDチップ又は識別受動手段を備え、前記RFIDチップ又は前記識別受動手段は、販売後、前記時計(1000)が属する前記測時器組立体(2000)の種類、及び使用される前記調節工具(200)の直接的な識別を可能にすることを特徴とする、請求項1に記載の測時器組立体(2000)。
【国際調査報告】