(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-02
(54)【発明の名称】アンチスペーサベースの自己整合高次パターニング
(51)【国際特許分類】
H01L 21/3065 20060101AFI20240925BHJP
G03F 7/20 20060101ALI20240925BHJP
H01L 21/205 20060101ALI20240925BHJP
【FI】
H01L21/302 105A
G03F7/20 501
G03F7/20 521
H01L21/205
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024537799
(86)(22)【出願日】2022-08-25
(85)【翻訳文提出日】2024-04-25
(86)【国際出願番号】 US2022041550
(87)【国際公開番号】W WO2023028246
(87)【国際公開日】2023-03-02
(32)【優先日】2021-08-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524073142
【氏名又は名称】ジェミナティオ,インク.
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】弁理士法人WisePlus
(72)【発明者】
【氏名】ピーターソン, ブレナン
(72)【発明者】
【氏名】ハスタッド, フィリップ, ディー.
【テーマコード(参考)】
2H197
5F004
5F045
【Fターム(参考)】
2H197CA01
2H197CE01
2H197CE10
2H197HA03
5F004AA04
5F004BD04
5F004DB26
5F004DB30
5F004EA10
5F004EA11
5F004EA27
5F004EA38
5F004EB04
5F045AA06
5F045AA08
5F045AB07
5F045AC07
(57)【要約】
微細加工の方法は、第1のレリーフパターンを基板上に提供することと、炭素含有側壁スペーサを第1のレリーフパターン上に形成することと、第1のレリーフパターンを除去することと、溶解性変更剤を用いて炭素含有側壁スペーサをコーティングすることと、を含む。次いで、本方法は、第1のポリマー充填物を炭素含有側壁スペーサ上に堆積することと、溶解性変更剤を第1のポリマー充填物中に所定の距離だけ拡散させて、第1のポリマー充填物の溶解性が変化した領域を提供することであって、第1のポリマー充填物の溶解性が変化した領域が炭素含有側壁スペーサに隣接する、ことと、第1のポリマー充填物を現像して溶解性が変化した領域が溶解され、炭素含有側壁スペーサと第1のポリマー充填物との間に、基板の一部が露出されているトレンチを提供することと、を含む。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
微細加工の方法であって、
第1のレリーフパターンを基板上に提供することであって、前記第1のレリーフパターンが第1のレジストを含む、ことと、
炭素含有側壁スペーサを前記第1のレリーフパターン上に形成することと、
前記第1のレリーフパターンを除去することと、
前記炭素含有側壁スペーサを溶解性変更剤でコーティングすることと、
第1のポリマー充填物を前記炭素含有側壁スペーサ上に堆積して、前記第1のポリマー充填物が前記第1の炭素含有側壁スペーサと接触した状態になる、ことと、
前記溶解性変更剤を前記第1のポリマー充填物中に所定の距離だけ拡散させて、前記第1のポリマー充填物の溶解性が変化した領域を提供することであって、前記第1のポリマー充填物の溶解性が変化した領域が、前記炭素含有側壁スペーサに隣接する、ことと、
前記第1のポリマー充填物を現像して、前記溶解性が変化した領域が溶解され、前記炭素含有側壁スペーサと前記第1のポリマー充填物との間に、前記基板の一部が露出されているトレンチを提供することと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記炭素含有側壁スペーサが、アモルファスカーボン、水素化アモルファスカーボン、又は炭化水素化合物の窒素含有誘導体、フッ素含有誘導体、酸素含有誘導体、ヒドロキシ基含有誘導体及びホウ素含有誘導体を含む、部分的に、又は完全にドープされた炭化水素化合物の誘導体から形成されたアモルファスカーボンを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
微細加工の方法であって、
アモルファスカーボンの層を基板上に提供することと、
第1のレリーフパターンを前記アモルファスカーボンの層上に提供することであって、前記第1のレリーフパターンが第1のレジストを含む、ことと、
無機スペーサを第1のレリーフパターンに適用する、ことと、
前記第1のレリーフパターン及び前記無機スペーサによって画定されたパターンをアモルファスカーボンの前記下地層へと転写し、アモルファスカーボンのエッチングされた層を提供することと、
前記第1のレリーフパターン及び前記無機スペーサを除去することと、
アモルファスカーボンの前記エッチングされた層を溶解性変更剤でコーティングすることと、
第1のポリマー充填物をアモルファスカーボンの前記エッチングされた層に堆積することと、
前記溶解性変更剤を前記第1のポリマー充填物中に所定の距離だけ拡散させて、前記第1のポリマー充填物の溶解性が変化した領域を提供することであって、前記第1のポリマー充填物の溶解性が変化した領域が、アモルファスカーボンの前記エッチングされた層に隣接する、ことと、
前記第1のポリマー充填物を現像し、前記溶解性が変化した領域が溶解され、アモルファスカーボンの前記エッチングされた層と前記第1のポリマー充填物との間に、前記基板の一部が露出されているトレンチを提供することと、
を含む、方法。
【請求項4】
前記炭素含有側壁スペーサが、最終ターゲット限界寸法の幅xに対して8xのピッチ及び3xの限界寸法を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記第1のレリーフパターンを除去することは、ウェット式剥離プロセスを用いて前記パターンを処理することを含む、請求項1又は3に記載の方法。
【請求項6】
前記第1のポリマー充填物が、アクリレート、メタクリレート、p-ヒドロキシスチレン、スチレン、ノルボルネン及びこれらの組合せからなる群から選択されるモノマー単位を含むポリマーを含む、請求項1又は3に記載の方法。
【請求項7】
前記溶解性変更剤が酸発生剤を含む、請求項1又は3に記載の方法。
【請求項8】
前記酸発生剤がフッ素を含まない、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記酸発生剤が、トリフェニルスルホニウムアンチモネートピリジニウムペルフルオロブタンスルホネート、3-フルオロピリジニウムペルフルオロブタンスルホネート、4-t-ブチルフェニルテトラメチレンスルホニウムペルフルオロ-1-ブタンスルホネート、4-t-ブチルフェニルテトラメチレンスルホニウム2-トリフルオロメチルベンゼンスルホネート、4-t-ブチルフェニルテトラメチレンスルホニウム4,4,5,5,6,6-ヘキサフルオロジヒドロ-4H-1,3,2-ジチアジン1,1,3,3-テトラオキシド及びこれらの組合せからなる群から選択される、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記溶解性変更剤が酸を含む、請求項1又は3に記載の方法。
【請求項11】
前記酸がフッ素を含まない、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記酸が、トリフルオロメタンスルホン酸、ペルフルオロ-1-ブタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、4-ドデシルベンゼンスルホン酸、2,4-ジニトロベンゼンスルホン酸、2-トリフルオロメチルベンゼンスルホン酸及びこれらの組合せからなる群から選択される、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記溶解性変更剤が、(メタ)アクリレートモノマー;(メタ)アクリル酸;スチレン、ヒドロキシスチレン、ビニルナフタレン及びアセナフチレンなどの芳香族ビニルモノマー;ビニルアルコール;塩化ビニル;ビニルピロリドン;ビニルピリジン;ビニルアミン;ビニルアセタール;無水マレイン酸;マレイミド;ノルボルネン;及びこれらの組合せを含む、エチレン性不飽和重合性二重結合を有するモノマーを含むマトリックスポリマーを含む、請求項1又は3に記載の方法。
【請求項14】
前記溶解性変更剤が、ヒドロキシ、カルボキシル、スルホン酸、スルホンアミド、シラノール、フルオロアルコール、無水物、ラクトン、エステル、エーテル、アリルアミン、ピロリドン及びこれらの組合せから選択される1つ以上の官能基を含むモノマーを含むマトリックスポリマーを含む、請求項1又は3に記載の方法。
【請求項15】
前記炭素含有スペーサを前記溶解性変更剤でコーティングした直後に、前記溶解性変更剤を前記炭素含有スペーサ中に拡散させることを更に含む、請求項1又は3に記載の方法。
【請求項16】
前記溶解性変更剤を前記第1のレリーフパターン中に拡散させることが、ベークを実施することによって達成される、請求項16に記載の方法。
【請求項17】
最終パターンが、前記第1のレリーフパターンとしての数の4倍の数のフィーチャを有する、請求項1又は3に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
半導体デバイスの微細加工は、膜形成、パターン形成及びパターン転写などの様々な工程を含む。材料及び膜は、スピンコーティング、蒸着及び他の堆積プロセスによって基板上に堆積される。パターン形成は、典型的には、レジストとしても公知である感光性フィルムを、化学線放射のパターンに暴露し、その後レジストを現像してレリーフパターンを形成することで実施される。次いでレリーフパターンは、1つ以上のエッチングプロセスが基板に施されると、エッチングされない基板の一部を覆うエッチングマスクとして作用する。
【0002】
マルチパターニングは、最終パターンを作成する2つ以上のリソグラフィ工程を使用することを説明する用語である。異なる形態でのマルチパターニングによって、高機能半導体デバイスの製造が可能となる。パターニングは、典型的には2つの基本的な工程を含む。第1の工程は、マスクベースの光への暴露を使用し、続いて可溶性領域を現像してパターンを作成するリソグラフィの使用を含む。第2の工程は、方向性エッチング又は異方性エッチングによって、パターンを下層の材料へと転写することを含む。これらの2つの工程を合わせて、デバイスのパターニングと称され得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本概要は、以下の詳細な説明にて更に説明される概念の選択を紹介するために提供される。本概要は、特許請求される主題の重要又は本質的な特徴を特定することを意図したものではなく、かつ特許請求される主題の範囲を限定する一助として使用されることも意図していない。
【0004】
一態様では、本明細書に開示された実施形態は、微細加工の方法に関し、第1のレリーフパターンを基板上に提供することであって、第1のレリーフパターンが第1のレジストを含む、ことと、炭素含有側壁スペーサを第1のレリーフパターン上に形成することと、第1のレリーフパターンを除去することと、炭素含有側壁スペーサを溶解性変更剤でコーティングすることと、を含む。次いで、本方法は、第1のポリマー充填物を炭素含有側壁スペーサ上に堆積して、第1のポリマー充填物が炭素含有側壁スペーサと接触した状態になる、ことと、溶解性変更剤を第1のポリマー充填物中に所定の距離だけ拡散させて、第1のポリマー充填物の溶解性が変化した領域を提供することであって、第1のポリマー充填物の溶解性が変化した領域が炭素含有側壁スペーサに隣接する、ことと、第1のポリマー充填物を現像して溶解性が変化した領域が溶解され、炭素含有側壁スペーサと第1のポリマー充填物との間に、基板の一部が露出されているトレンチを提供することと、を含む。
【0005】
別の態様では、本明細書の実施形態は、微細加工の方法に関し、アモルファスカーボンの層を基板上に提供することと、第1のレリーフパターンをアモルファスカーボンの層上に提供することであって、第1のレリーフパターンが第1のレジストを含む、ことと、無機スペーサを第1のレリーフパターンに適用することと、第1のレリーフパターン及び無機スペーサによって画定されたパターンをアモルファスカーボンの下地層へと転写し、アモルファスカーボンのエッチングされた層を提供することと、を含む。次いで、本方法は、第1のレリーフパターン及び無機スペーサを除去することと、アモルファスのエッチングされた層を溶解性変更剤でコーティングすることと、第1のポリマー充填物をアモルファスカーボンのエッチングされた層に堆積することと、溶解性変更剤を第1のポリマー充填物中に所定の距離だけ拡散させて、第1のポリマー充填物の溶解性が変化した領域を提供することであって、第1のポリマー充填物の溶解性が変化した領域がアモルファスカーボンのエッチングされた層に隣接する、ことと、第1のポリマー充填物を現像して溶解性が変化した領域が溶解され、アモルファスカーボンのエッチングされた層と第1のポリマー充填物との間に、基板の一部が露出されているトレンチを提供することと、を含む。
【0006】
特許請求される主題のその他の態様及び利点は、以下の説明及び添付の特許請求の範囲から明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本開示の1つ以上の実施形態における、従来のパターニングフローの概略図である。
【0008】
【
図2】本開示の1つ以上の実施形態における、方法のブロックフロー図である。
【0009】
【
図3A】本開示の1つ以上の実施形態における、方法のそれぞれの時点でのコーティングされた基板の概略図である。
【
図3B】本開示の1つ以上の実施形態における、方法のそれぞれの時点でのコーティングされた基板の概略図である。
【
図3C】本開示の1つ以上の実施形態における、方法のそれぞれの時点でのコーティングされた基板の概略図である。
【
図3D】本開示の1つ以上の実施形態における、方法のそれぞれの時点でのコーティングされた基板の概略図である。
【
図3E】本開示の1つ以上の実施形態における、方法のそれぞれの時点でのコーティングされた基板の概略図である。
【
図3F】本開示の1つ以上の実施形態における、方法のそれぞれの時点でのコーティングされた基板の概略図である。
【
図3G】本開示の1つ以上の実施形態における、方法のそれぞれの時点でのコーティングされた基板の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
高密度パターニングは、半導体基板の微細加工のための新規方法及びシステムの開発に長年インスピレーションを与えてきた望ましい目標である。高密度パターニングのための主な技術のうちのいくつかは、ピッチ乗算技術である。これらの技術は、異なるトレードオフを有する。いくつかのピッチ乗算技術によって、一定のライン厚さが提供されるが、それ以外の技術によっては、一貫した間隔が提供され、更にそれ以外のものについては実装に関しては柔軟なものである。
【0011】
高次スペーサパターニングについては、ダブルパターニングの工程が繰り返し可能であることが重要である。従来的には、これは蒸着を使用するマンドレル及びエッチングチャンバ上に形成された側壁スペーサによって行われる。
【0012】
本開示は、一般的に、半導体基板をマルチパターニングする方法に関する。本明細書では、「半導体基板」及び「基板」といった用語は互換的に使用され、半導体ウェハ、半導体材料層及びこれらの組合せを含むがこれらに限定されない任意の半導体材料であり得る。1つ以上の実施形態では、本方法は、スペーサの代わりに、トラックベースのパターニングフローを使用してアンチスペーサ(すなわち、化学的拡散によって画定された狭いトレンチ)を形成することを含む。コータデベロッパツール(例えば、トラックベースのフロー)上でパターニングフローを実施する際には、本明細書に開示された方法に従って、より高いスループット及びコスト減少が達成され得る。更には、方法は、レジスト除去ベースのスペーサ技術を使用して、4倍以上のパターニング性能を拡張し、それによってより低いコストで複合基板を提供することを含み得る。
【0013】
スペーサ形成を使用する従来のパターンの4倍化フローを以下に詳細に記述する。最初に、3単位の幅と8単位のピッチを有する初期パターンが基板上に配置され得る。次いで、スペーサは、ライン又はマンドレルを含み得る初期パターン上に形成され得る。典型的にはコンフォーマル蒸着によるスペーサ堆積は、1単位であり得る。スペーサ開口エッチング後、第1のセットの側壁スペーサは、幅が1単位でマンドレル上に形成され得る。初期パターンは、次いで除去され得る(例えば、マンドレルが掘り出され得る)。次いで、幅が1単位の第2のセットの側壁スペーサは、第1の側壁スペーサ上に形成され得る。そのため、第1のセットの側壁スペーサは、側壁スペーサ形成用の新規マンドレルとなる。得られたパターンは、2倍のピッチ(1/4に減少)及び幅が1倍単位である。かかるパターニングフローは、
図1に示される。
図1では、102は、初期マンドレルを表し、104は、第2のマンドレルとして使用される第1のセットの側壁スペーサであり、106は、下地層に転写するための第2のセットの側壁スペーサである。
【0014】
更には、従来のスペーサ密度4倍化フローでは、限界寸法(critical dimension、CD)又は1/2倍の幅を有する最終パターンは、3/2倍の幅を有する中間パターン及び5/2倍の幅を有する初期パターンから調製され得る。従来の密度4倍化フローでの広範囲の条件によって、様々な異なるパターンが可能となり得る。ネガティブスペーサプロセスに関連して、約20nmの最終ピッチ及び10nmの幅は、一例として、約25nmの初期ターゲット幅及び約80nmのピッチを意味する。
【0015】
1つ以上の実施形態におけるピッチ乗算についての方法200が
図2に示され、
図2に関して論じられる。一般的には、方法200は、レジストフロー上のスペーサ上のアンチスペーサを含む。最初に、基板が受け入れられる。次いで、ブロック202では、第1のレジストの第1のレリーフパターンは、最初のフォトリソグラフィ工程を実行することで基板上に提供される。第1のレリーフパターンは、例えば、8xのターゲットピッチと3xのターゲットCDを有することができる。次いで、ブロック204では、炭素含有スペーサは、第1のレリーフパターンの側壁上に形成されるが、これらのスペーサは、1.5xの幅ターゲットを有する。ブロック206では、第1のレジストが除去される。次いで、ブロック208では、酸などの溶解性変更剤が炭素含有側壁スペーサ上に堆積される。ブロック210では、基板は第1のポリマー充填物でスピンコーティングされ得る。第1のポリマー充填物は、酸溶解性レジスト又はポリマーであり得る。スペーサからの溶解性変更剤は、次いでブロック212で第1のポリマー充填物中に拡散されて活性化され、第1のポリマー充填物の溶解性が変化した領域はブロック214で現像される。
【0016】
上記方法の間の様々な時点でのコーティングされた基板の概略図を、
図3A~
図3Gに示す。本明細書では、「コーティングされた基板」は、第1のレジスト層及び第2のレジスト層などの1つ以上の層でコーティングされている基板を指す。
図3Aは、第1のレリーフパターンを含む基板を示す。
図3Bは、第1のレリーフパターンと、第1のレリーフパターンの側壁上に形成された炭素含有スペーサを含む基板を示す。
図3Cでは、第1のレリーフパターンは、基板から除去される。
図3Dは、溶解性変更剤でコーティングされた炭素含有スペーサを含む基板を示す。
図3Eでは、第1のポリマー充填物は、基板及び炭素含有スペーサ上に積層される。
図3Fは、溶解性変更剤が第1のポリマー充填物中に拡散された後のコーティングされた基板を示す。最終的に、
図3Gは、第2のレジストが現像された後のコーティングされた基板を示し、基板の一部は露出され、エッチング可能である。
図2の方法及び
図3A~
図3Gに示されたコーティングされた基板は、以下に詳細に論じられる。
【0017】
方法200のブロック202では、第1のレリーフパターンが提供される。
図3Aは、基板302上の第1のレリーフパターン304の一例を示す。
図3Aに示されるように、第1のレリーフパターンはギャップによって分離されたフィーチャを含み得る。基板の一部は、第1のレリーフパターンのギャップが存在することで露出され得る。第1のレリーフパターンのフィーチャは、第1のフォトレジスト303から作製され得る。一般的に、フォトレジストは、ポリマー、光酸発生剤及び溶媒を含む、化学増幅感光性組成物である。1つ以上の実施形態では、第1のレジストはポリマーを含む。ポリマーは、レジスト材料に典型的には使用される任意の標準的なポリマーであり得、特に酸不安定基を有するポリマーであり得る。例えば、ポリマーは、スチレン及びp-ヒドロキシスチレン、アクリレート、メタクリレート、ノルボルネン及びこれらの組合せなどの芳香族ビニルモノマーを含むモノマーから作製されたポリマーであり得る。反応性官能基を含むモノマーは、保護された形態でポリマー中に存在し得る。例えば、p-ヒドロキシスチレンの-OH基は、tert-ブチルオキシカルボニル保護基で保護され得る。かかる保護基は、第1のレジストに含まれるポリマーの反応性及び溶解性を変性させ得る。当業者に理解されるように、様々な保護基は、この理由のために使用され得る。
【0018】
酸不安定基としては、例えば、第三級アルキルエステル基、第二級又は第三級アリールエステル基、アルキル基とアリール基との組合せを有する第二級又は第三級エステル基、第三級アルコキシ基、アセタール基又はケタール基が挙げられる。酸不安定基は、当技術分野では一般的に、「酸分解性基」、「酸解離性基」、「酸解離性保護基」、「酸不安定保護基」、「酸脱離基」及び「酸感受性基」としても称される。
【0019】
分解時に、ポリマーにカルボン酸を形成する酸不安定基は、好ましくは、式-C(O)OC(R1)3の第三級エステル基、又は式-C(O)OC(R2)2OR3のアセタール基であり、式中、R1は、それぞれ独立して、直鎖C1-20アルキル、分岐C3-20アルキル、単環式若しくは多環式C3-20シクロアルキル、直鎖C2-20アルケニル、分岐C3-20アルケニル、単環式若しくは多環式C3-20シクロアルケニル、単環式若しくは多環式C6-20アリール、又は単環式若しくは多環式C2-20ヘテロアリールであり、好ましくは、直鎖C1-6アルキル、分岐C3-6アルキル、又は単環式若しくは多環式C3-10シクロアルキルであり、そのそれぞれは、置換又は非置換であり、各R1は、その構造の一部として、任意選択的には-O-、-C(O)-、-C(O)-O-若しくは-S-から選択される1つ以上の基を含み、任意の2つのR1基はともに、任意選択的には環を形成し、R2は、独立して、水素、フッ素、直鎖C1-20アルキル、分岐C3-20アルキル、単環式若しくは多環式C3-20シクロアルキル、直鎖C2-20アルケニル、分岐C3-20アルケニル、単環式若しくは多環式C3-20シクロアルケニル、単環式若しくは多環式C6-20アリール、又は単環式若しくは多環式C2-20ヘテロアリールであり、好ましくは水素、直鎖C1-6アルキル、分岐C3-6アルキル、又は単環式若しくは多環式C3-10シクロアルキルであり、そのそれぞれは、置換又は非置換であり、各R2は、その構造の一部として、任意選択的には-O-、-C(O)-、-C(O)-O-若しくは-S-から選択される1つ以上の基を含み、R2基はともに、任意選択的には環を形成し、R3は、直鎖C1-20アルキル、分岐C3-20アルキル、単環式若しくは多環式C3-20シクロアルキル、直鎖C2-20アルケニル、分岐C3-20アルケニル、単環式若しくは多環式C3-20シクロアルケニル、単環式若しくは多環式C6-20アリール、又は単環式若しくは多環式C2-20ヘテロアリールであり、好ましくは直鎖C1-6アルキル、分岐C3-6アルキル又は単環式若しくは多環式C3-10シクロアルキルであり、そのそれぞれは、置換又は非置換であり、R3は、その構造の一部として、任意選択的には-O-、-C(O)-、-C(O)-O-若しくは-S-から選択される1つ以上の基を含み、1つのR2は、R3とともに任意選択的には環を形成する。かかるモノマーは、典型的には芳香族ビニル、(メタ)アクリレート又はノルボルニルモノマーである。ポリマーにカルボン酸基を形成する酸分解性基を含む重合単位の総含量は、ポリマーの総重合単位に基づいて、典型的には、10~100モル%であり、より典型的には10~90モル%、又は30~70モル%である。
【0020】
ポリマーは、重合時に、酸不安定基を含むモノマーを更に含むことができ、この基の分解は、ポリマーでのアルコール基又はフルオロアルコール基を形成する。好適なかかる基としては、例えば、式-COC(R2)2OR3-のアセタール基、又は式-OC(O)O-の炭酸エステル基が挙げられ、Rは上に定義されている通りである。かかるモノマーは、典型的には芳香族ビニル、(メタ)アクリレート又はノルボルニルモノマーである。ポリマーに存在する場合、分解によりポリマーにアルコール基又はフルオロアルコール基を形成する酸分解性基を含む重合単位の総含量は、ポリマーの総重合単位に基づいて、典型的には、10~90モル%であり、より典型的には30~70モル%である。
【0021】
第1のレジストがフォトレジストである実施形態では、第1のレジストは、光酸発生剤を含む。光酸発生剤は、化学線又は化学線放射を用いた照射時に酸を発生することが可能である化合物である。光酸発生剤は、カチオン光重合用の光重合開始剤、ラジカル光重合用の光重合開始剤、色素用の光脱色剤、光変色剤、マイクロレジストなどに使用される化学線又は放射線を用いた照射時に酸を発生することが可能である公知の化合物から選択されることができ、これらの混合物を使用することができる。光酸発生剤の例としては、ジアゾニウム塩、ホスホニウム塩、スルホニウム塩、ヨードニウム塩、イミドスルホネート、オキシムスルホネート、ジアゾジスルホン、ジスルホン及びo-ニトロベンジルスルホネートが挙げられる。
【0022】
好適な光酸としては、例えば、トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、(p-tert-ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリス(p-tert-ブトキシフェニル)スルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムp-トルエンスルホネート;ジ-t-ブチフェニルヨードニウムペルフルオロブタンスルホネート、及びジ-t-ブチフェニルヨードニウムカンファースルホネートといったオニウム塩が挙げられる。非イオン性スルホネート及びスルホニル化合物は、光酸発生剤(photoacid generator)として機能することも知られており、例えば、2-ニトロベンジル-p-トルエンスルホネート、2,6-ジニトロベンジル-p-トルエンスルホネート及び2,4-ジニトロベンジル-p-トルエンスルホネートといったニトロベンジル誘導体、例えば、1,2,3-トリス(メタンスルホニルオキシ)ベンゼン、1,2,3-トリス(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)ベンゼン及び1,2,3-トリス(p-トルエンスルホニルオキシ)ベンゼンといったスルホン酸エステル、例えば、ビス(ベンゼンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(p-トルエンスルホニル)ジアゾメタンといったジアゾメタン誘導体、例えば、ビス-O-(p-トルエンスルホニル)-α-ジメチルグリオキシム及びビス-O-(n-ブタンスルホニル)-α-ジメチルグリオキシムといったグリオキシム誘導体、例えば、N-ヒドロキシスクシンイミドメタンスルホン酸エステル、N-ヒドロキシスクシンイミドトリフルオロメタンスルホン酸エステルといったN-ヒドロキシイミド化合物のスルホン酸エステル誘導体、並びに例えば、2-(4-メトキシフェニル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジン及び2-(4-メトキシナフチル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジンといったハロゲン含有トリアジン化合物が挙げられる。好適な非重合性光酸発生剤は、Hashimotoらによる米国特許第8,431,325号(欄37、11~47行目及び欄41~91)にて更に説明される。その他の好適なスルホネートPAGとしては、米国特許第4,189,323号及び同8,431,325号に説明されるように、スルホン化エステル及びスルホニルオキシケトン、ニトロベンジルエステル、s-トリアジン誘導体、ベンゾイントシレート、t-ブチルフェニルα-(p-トルエンスルホニルオキシ)-アセテート及びt-ブチルα-(p-トルエンスルホニルオキシ)-アセテートが挙げられる。オニウム塩であるPAGは、典型的には、スルホンアミデート基、スルホンイミデート基、メチド基又はボレート基といった、スルホネート基又は非スルホネート型基を有するアニオンを含む。
【0023】
レジスト組成物は、任意選択的には複数のPAGを含み得る。複数のPAGは、重合性、非重合性であり得、又は重合性PAG及び非重合性PAGの両方を含み得る。好ましくは、複数のPAGのそれぞれは、非重合性である。好ましくは、複数のPAGが使用されると、第1のPAGは、アニオンにスルホネート基を含み、第2のPAGは、スルホネート基を含まないアニオンを含み、かかるアニオンは、例えば、上記のスルホンアミデート基、スルホンイミデート基、メチド基又はボレート基を含有する。
【0024】
第1のレリーフパターンは、第1のレジストを基板上へと積層し、第1のレジストを現像することによって形成され得る。第1のレジストは、例えば、化学線放射への暴露、続いて第1のレジスト現像剤を用いたリンスなどの当技術分野で知られている手順に従って現像される。現像されたレジストに形状又はレリーフパターンを施すために、マスクを使用することで化学線放射からレジストの一部が遮断され得る。化学線放射が照射された後、レジストの暴露されていない部分は、レジストの暴露部分とは異なる溶解性を有し得る。第1のレジスト現像剤を用いたその後のリンスによって、暴露されていない部分又は暴露部分のいずれかが溶解する。レジストの暴露されていない部分が現像剤を用いたリンス後に残存しているとき、提供されたレリーフパターンは、ポジトーン現像レジストである。対照的に、レジストの暴露部分が現像剤を用いたリンス後に残存しているとき、提供されたレリーフパターンは、ネガ型レジスト又はネガトーン現像レジストである。
【0025】
いくつかの実施形態では、第1のレジストは、ポジトーン現像(positive tone developed、PTD)レジストである。かかる実施形態では、第1のレリーフパターンは、上記モノマーから作製されたポリマーを含み得、反応性官能基を含む任意のモノマーが保護される。このように、第1のPTDレジストは、有機可溶であり得、それによってレリーフパターンは、塩基性である第1のレジスト現像剤を用いてリンスすることによって提供され得る。好適な塩基性の第1のレジスト現像剤としては、水酸化テトラメチルアンモニウム(tetramethylammonium hydroxide、TMAH)などの第四級水酸化アンモニウムが挙げられる。
【0026】
他の実施形態では、第1のレジストは、ネガ型レジストである。かかる実施形態では、第1のレリーフパターンは、上記モノマーから作製されたポリマーを含み得、反応性官能基を含む任意のモノマーは保護されない。化学線放射への暴露によって、暴露エリアでのポリマーの架橋が生じ、現像剤に対してポリマーを不溶性にする。次いで、暴露されておらず、その結果架橋されていないエリアは、適切な現像剤を使用して除去され、レリーフパターンを形成することができる。
【0027】
他の実施形態では、第1のレジストは、ネガトーン現像(negative tone developed、NTD)レジストである。PTDレジストと同様に、NTDレジストは、上記モノマーから作製されたポリマーを含み得、反応性官能基を含む任意のモノマーは保護される。このように、第1のNTDレジストは、有機可溶であり得るが、塩基性である第1のレジスト現像剤を用いて暴露エリアを現像する代わりに、第1のレリーフパターンは、有機溶媒を含む第1のレジスト現像剤を用いて第1のレジストをリンスすることで提供され得る。第1のレジスト現像剤として使用され得る好適な有機溶媒としては、n-ブチルアセテート(n-butyl acetate、NBA)及び2-ヘプタノンが挙げられる。レジストのトーン(すなわち、PTD対NTD)は、第1のレリーフパターンに適用されたその後の化学的性質に影響を及ぼし得る。
【0028】
他の実施形態では、第1のレジストは、任意選択的には他の添加剤を含有し、他の添加剤は、フッ素原子又はケイ素原子のいずれかを少なくとも有する樹脂、塩基性化合物、界面活性剤、オニウムカルボキシレート、色素、可塑剤、光増感剤、光吸収剤、アルカリ可溶性樹脂、溶解抑制剤及び現像剤中での溶解を加速させるための化合物のうちの少なくとも1つを含む。
【0029】
前述されるように、第1のレリーフパターンは、ギャップによって分離されるフィーチャを含み得る。1つ以上の実施形態では、第1のレリーフパターンのフィーチャは、約300Å~約3000Åの厚さを有し得る。フィーチャを分離するギャップは、基板の一部を露出状態のままにし得る。
【0030】
いくつかの実施形態では、第1のレリーフパターンは、溶解性変更剤でのコーティング前に安定化される。様々なレジスト安定化技術は、凍結プロセスとしても知られているが、イオン注入、UV硬化、加熱硬化、熱硬化及び化学硬化などのレジスト安定化技術が提案されている。技術は、例えば米国特許出願公開第2008/0063985号、米国特許出願公開第2008/0199814号及び米国特許出願公開第2010/0330503号において説明されている。
【0031】
方法200のブロック204では、炭素含有スペーサは、第1のレリーフパターンの側壁上に形成される。1つ以上の実施形態では、第1のレリーフパターンのすべての側壁は、炭素含有スペーサでコーティングされる。
図3Bは、炭素含有スペーサが第1のレリーフパターンの側壁上でコーティングされるコーティングされた基板を示す。
図3Bでは、基板302は、第1のレリーフパターン304を含む。第1のレリーフパターン304のフィーチャの各側に炭素含有スペーサ306が形成される。炭素含有スペーサは、当技術分野で一般に使用される任意の好適な炭素含有スペーサであり得る。例えば、好適な炭素含有スペーサは、アモルファスカーボン、アモルファスカーボンと水素の組合せ(水素化アモルファスカーボン膜)などの炭素系材料を含み得る。1つの例示的なアモルファスカーボン膜は、Applied Materials,Inc.(Santa Clara,Calif)から市販されている可剥性Advanced Patterning Film(商標)(APF)材料であり得る。アモルファスカーボン層は、化学気相成長(chemical vapor deposition、CVD)、プラズマ化学気相成長(plasma enhanced chemical vapor deposition、PECVD)、原子層堆積法(atomic layer deposition、ALD)、スピンコーティング又はキャスティングなどの任意の好適な堆積技術によって堆積され得る。アモルファスカーボン層は、とりわけ、キャリアガス及びプラズマ開始ガスに含まれた気相炭化水素又は液相炭化水素などの炭化水素源を、PECVDチャンバへと流すことによって堆積され得る。炭化水素源は、1つ以上の炭化水素化合物の混合物であり得る。炭化水素化合物は、炭化水素化合物の窒素含有誘導体、フッ素含有誘導体、酸素含有誘導体、ヒドロキシ基含有誘導体及びホウ素含有誘導体を含む、部分的に、又は完全にドープされた炭化水素化合物の誘導体であり得る。炭化水素化合物又は炭化水素源に含まれ得るその誘導体は、式CxHy[式中、xは1~10の範囲を有し、yは2~30の範囲を有する]によって説明され得る。好適な炭化水素化合物としては、アセチレン(C2H2)、エタン(C2H6)、プロピレン(C3H6)、プロピン(C3H4)、プロパン(C3H8)、ブタン(C4H10)、ブチレン(C4H8)、ブチン(C4H6)、ビニルアセチレン、フェニルアセチレン(C8H6)、ベンゼン、スチレン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、アセトフェノン、安息香酸メチル、酢酸メチル、フェノール、クレゾール、フラン、α-テルピネン、シメン、1,1,3,3-テトラメチルブチルベンゼン、t-ブチルエーテル、t-ブチルエチレン、メチル-メタクリレート及びt-ブチルフルフリルエーテル、式C3H2及びC5H4を有する化合物、モノフルオロベンゼン、ジフルオロベンゼン、テトラフルオロベンゼン、ヘキサフルオロベンゼンなどが挙げられ得るが、これらに限定されない。更なる好適な炭化水素としては、エチレン、ペンテン、ブタジエン、イソプレン、ペンタジエン、ヘキサジエン、モノフルオロエチレン、ジフルオロエチレン、トリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン、モノクロロエチレン、ジクロロエチレン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレンなどが挙げられ得る。プロセスパラメータは、所望の最終寸法に応じて、約10Å~約1,000Åの厚さを有するアモルファスカーボン層を製造するために制御され得る。
【0032】
次いで、ブロック206では、方法200は、第1のレジストを除去することを含む。
図3Cは、第1のレジストが除去されるコーティングされた基板を示し、基板302が炭素含有スペーサ306のみを含む。第1のレジストは、例えば、異方性エッチング、又はその他の好適なウェット式剥離プロセスを使用することなど、当技術分野で公知の方法に従って除去され得る。エッチング剤は、炭素スペーサに対するレジスト材料に選択的であるように選択される。
【0033】
ブロック208では、炭素含有スペーサは、溶解性変更剤でコーティングされる。ブロック208によるコーティングされた基板を
図3Dに示す。溶解性変更剤308は、炭素含有スペーサ306上のコーティングとして示されている。溶解性変更剤コーティングの厚さは、特に限定されておらず、望ましい最終パターンの幅に基づいて変更され得る。溶解性変更剤は、ベークによって炭素含有スペーサに吸収される材料であり得、いくつかの場合では、本明細書では「吸収材料」と称され得る。溶解性変更剤を炭素含有スペーサ中に吸収又は拡散するプロセスは、以下に詳細に説明される。
【0034】
一般的に、溶解性変更剤は、光又は熱を用いて活性化する好適な化学物質であり得る。例えば、第1のポリマー充填物が化学増幅レジストを含むとき、溶解性変更剤は、酸又は酸発生剤を含み得る。酸、又はTAGの場合には発生した酸は、熱によって、塗布される特定の現像剤中の第1のレジストポリマーの溶解性を増大させるために、第1のレジストパターンの表面領域におけるポリマー酸分解性基の結合の分解を生じさせるのに十分でなければならない。酸又はTAGは、典型的には、トリミング組成物の全固形分に基づいて約0.01~20重量%の量で組成物中に存在する。
【0035】
好ましい酸は、非芳香族酸又は芳香族酸を含む有機酸であり、それらのそれぞれは、任意選択的にはフッ素置換を有することができる。好適な有機酸としては、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸、ペルフルオロ酢酸、ペルフルオロオクタン酸、シュウ酸、マロン酸及びコハク酸を含むアルカン酸などのカルボン酸、クエン酸などのヒドロキシアルカン酸、安息香酸、フルオロ安息香酸、ヒドロキシ安息香酸及びナフトエ酸などの芳香族カルボン酸、ジメチルリン酸及びジメチルホスフィン酸などの有機リン酸、並びにメタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、エタンスルホン酸、1-ブタンスルホン酸、1-ペルフルオロブタンスルホン酸、1,1,2,2-テトラフルオロブタン-1-スルホン酸、1,1,2,2-テトラフルオロ-4-ヒドロキシブタン-1-スルホン酸、1-ペンタンスルホン酸、1-ヘキサンスルホン酸及び1-ヘプタンスルホン酸を含む、任意選択的にはフッ素化されたアルキルスルホン酸などのスルホン酸が挙げられる。
【0036】
フッ素を含まない例示的な芳香族酸としては、以下の一般式(I)の芳香族酸が挙げられる。
【0037】
【0038】
[式中、R1は、独立して、置換若しくは非置換C1-C20アルキル基、置換若しくは非置換C5-C20アリール基、又はこれらの組合せを表し、任意選択的には、カルボニル、カルボニルオキシ、スルホンアミド、エーテル、チオエーテル、置換若しくは非置換アルキレン基、又はこれらの組合せから選択される1つ以上の基を含有し、Z1は、独立して、カルボキシル、ヒドロキシ、ニトロ、シアノ、C1-C5アルコキシ、ホルミル及びスルホン酸から選択される基を表し、a及びbは、独立して、0~5の整数であり、a+bが5以下である]
【0039】
例示的な芳香族酸は、以下の一般式(II)であり得る。
【0040】
【0041】
[式中、R2及びR3は、それぞれ独立して、置換若しくは非置換C1-C20アルキル基、置換若しくは非置換C5-C16アリール基、又はこれらの組合せを表し、任意選択的には、カルボニル、カルボニルオキシ、スルホンアミド、エーテル、チオエーテル、置換若しくは非置換アルキレン基、又はこれらの組合せから選択される1つ以上の基を含有し、Z2及びZ3は、それぞれ独立して、カルボキシル、ヒドロキシ、ニトロ、シアノ、C1-C5アルコキシ、ホルミル及びスルホン酸から選択される基を表し、c及びdは、独立して0~4の整数であり、c+dが4以下であり、e及びfは、独立して0~3の整数であり、e+fが3以下である]
【0042】
溶解性変更剤中に含有され得る追加の芳香族酸としては、以下の一般式(III)又は(IV)のものが挙げられる。
【0043】
【0044】
[式中、R4、R5及びR6は、それぞれ独立して、置換若しくは非置換C1-C20アルキル基、置換若しくは非置換C5-C12アリール基、又はこれらの組合せを表し、任意選択的には、カルボニル、カルボニルオキシ、スルホンアミド、エーテル、チオエーテル、置換若しくは非置換アルキレン基、又はこれらの組合せから選択される1つ以上の基を含有し、Z4、Z5及びZ6は、それぞれ独立して、カルボキシル、ヒドロキシ、ニトロ、シアノ、C1-C5アルコキシ、ホルミル及びスルホン酸から選択される基を表し、g及びhは、独立して0~4の整数であり、g+hが4以下であり、i及びjは、独立して0~2の整数であり、i+jが2以下であり、k及び1は、独立して0~3の整数であり、k+lが3以下である]
【0045】
【0046】
[式中、R4、R5及びR6は、それぞれ独立して、置換若しくは非置換C1-C20アルキル基、置換若しくは非置換C5-C12アリール基、又はこれらの組合せを表し、任意選択的には、カルボニル、カルボニルオキシ、スルホンアミド、エーテル、チオエーテル、置換若しくは非置換アルキレン基、又はこれらの組合せから選択される1つ以上の基を含有し、Z4、Z5及びZ6は、それぞれ独立して、カルボキシル、ヒドロキシ、ニトロ、シアノ、C1-C5アルコキシ、ホルミル及びスルホン酸から選択される基を表し、g及びhは、独立して0~4の整数であり、g+hが4以下であり、i及びjは、独立して0~1の整数であり、i+jが1以下であり、k及びlは、独立して0~4の整数であり、k+lが4以下である]
【0047】
好適な芳香族酸は、代替的には、以下の一般式(V)であり得る。
【0048】
【0049】
[式中、R7及びR8は、それぞれ独立して、置換若しくは非置換C1-C20アルキル基、置換若しくは非置換C5-C14アリール基、又はこれらの組合せを表し、任意選択的には、カルボキシル、カルボニル、カルボニルオキシ、スルホンアミド、エーテル、チオエーテル、置換若しくは非置換アルキレン基、又はこれらの組合せから選択される1つ以上の基を含有し、Z7及びZ8は、それぞれ独立して、ヒドロキシ、ニトロ、シアノ、C1-C5アルコキシ、ホルミル及びスルホン酸から選択される基を表し、m及びnは、独立して0~5の整数であり、m+nが5以下であり、o及びpは、独立して0~4の整数であり、o+pが4以下である]
【0050】
更には、例示的な芳香族酸は、以下の一般式(VI)を有し得る。
【0051】
【0052】
[式中、Xは、O又はSであり、R9は、独立して、置換若しくは非置換C1-C20アルキル基、置換若しくは非置換C5-C20アリール基、又はこれらの組合せを表し、任意選択的には、カルボニル、カルボニルオキシ、スルホンアミド、エーテル、チオエーテル、置換若しくは非置換アルキレン基、又はこれらの組合せから選択される1つ以上の基を含有し、Z9は、独立して、カルボキシル、ヒドロキシ、ニトロ、シアノ、C1-C5アルコキシ、ホルミル及びスルホン酸から選択される基を表し、q及びrは、独立して、0~3の整数であり、q+rが3以下である]
【0053】
1つ以上の実施形態では、酸は、フッ素置換を有する遊離酸である。フッ素置換を有する好適な遊離酸は、芳香族又は非芳香族であり得る。例えば、溶解性変更剤として使用され得るフッ素置換を有する遊離酸としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない。
【0054】
【0055】
【0056】
好適なTAGとしては、上記のように非重合性酸を発生可能であるものが挙げられる。TAGは、非イオン性又はイオン性であることができる。好適な非イオン性熱酸発生剤としては、例えば、シクロヘキシルトリフルオロメチルスルホネート、メチルトリフルオロメチルスルホネート、シクロヘキシルp-トルエンスルホネート、メチルpートルエンスルホネート、シクロヘキシル2,4,6-トリイソプロピルベンゼンスルホネート、ニトロベンジルエステル、ベンゾイントシレート、2-ニトロベンジルトシレート、トリス(2,3-ジブロモプロピル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6-トリオン、有機スルホン酸のアルキルエステル、p-トルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、シュウ酸、フタル酸、リン酸、カンファースルホン酸、2,4,6-トリメチルベンゼンスルホン酸、トリイソプロピルナフタレンスルホン酸、5-ニトロ-o-トルエンスルホン酸、5-スルホサリチル酸、2,5-ジメチルベンゼンスルホン酸、2-ニトロベンゼンスルホン酸、3-クロロベンゼンスルホン酸、3-ブロモベンゼンスルホン酸、2-フルオロカプリルナフタレンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、1-ナフトール-5-スルホン酸、2-メトキシ-4-ヒドロキシ-5-ベンゾイル-ベンゼンスルホン酸及びそれらの塩、並びにこれらの組合せが挙げられる。好適なイオン性熱酸発生剤としては、例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸トリエチルアミン塩、ドデシルベンゼンジスルホン酸トリエチルアミン塩、p-トルエンスルホン酸-アンモニウム塩、p-トルエンスルホン酸-ピリジニウム塩、炭素環式アリール及びヘテロアリ―ルスルホン酸塩などのスルホン酸塩、脂肪族スルホン酸塩、並びにベンゼンスルホン酸塩が挙げられる。活性化時にスルホン酸を発生する化合物は、一般的には好適である。好ましい熱酸発生剤としては、p-トルエンスルホン酸アンモニウム塩及びヘテロアリールスルホン酸塩が挙げられる。
【0057】
好ましくは、以下に示されるようなスルホン酸を発生させるための反応スキームではTAGはイオン性である。
【0058】
【0059】
式中、RSO3
-は、TAGアニオンであり、X+は、TAGカチオンであり、好ましくは有機カチオンである。カチオンは、以下の一般式(I)の窒素含有カチオンであることができる。
【0060】
(BH)+ (I)
【0061】
これは窒素含有塩基Bのモノプロトン化形態である。好適な窒素含有塩基Bとしては、例えば、アンモニア、ジフルオロメチルアンモニア、C1-20アルキルアミン及びC3-30アリールアミンなどの任意選択的に置換されたアミン、例えばピリジン又は置換ピリジン(例えば、3-フルオロピリジン)、ピリミジン及びピラジンなどの窒素含有ヘテロ芳香族塩基、例えば、オキサゾール、オキサゾリン又はチアゾリンといった窒素含有複素環基が挙げられる。前述の窒素含有塩基Bは、例えば、アルキル、アリール、ハロゲン原子(好ましくは、フッ素)、シアノ、ニトロ及びアルコキシから選択される1つ以上の基で任意選択的には置換され得る。これらのうち、塩基Bは、好ましくはヘテロ芳香族塩基である。
【0062】
塩基Bは、典型的には、0~5.0、0~4.0、0~3.0又は1.0~3.0のpKaを有する。本明細書で使用される場合、「pKa」といった用語は、当技術分野で認識されている意味に従って使用される。すなわち、pKaは、ほぼ室温の水溶液における塩基性部分(B)の共役酸(BH)+の解離定数の(底10に対する)負の対数である。特定の実施形態では、塩基Bは、約170℃未満、約160℃未満、150℃未満、140℃未満、130℃未満、120℃未満、110℃未満、100℃未満又は90℃未満の沸点を有する。
【0063】
好適な例示的窒素含有カチオン(BH)+としては、NH4
+、CF2HNH2
+、CF3CH2NH3
+、(CH3)3NH+、(C2H5)3NH+、(CH3)2(C2H5)NH+及び以下のものが挙げられる。
【0064】
【0065】
[式中、Yはアルキルであり、好ましくはメチル又はエチルである]
【0066】
特定の実施形態では、溶解性変更剤は、トリフルオロメタンスルホン酸、ペルフルオロ-1-ブタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、4-ドデシルベンゼンスルホン酸、2,4-ジニトロベンゼンスルホン酸及び2-トリフルオロメチルベンゼンスルホン酸などの酸、トリフェニルスルホニウムアンチモネート、ピリジニウムペルフルオロブタンスルホネート、3-フルオロピリジニウムペルフルオロブタンスルホネート、4-t-ブチルフェニルテトラメチレンスルホニウム ペルフルオロ-1-ブタンスルホネート、4-t-ブチルフェニルテトラメチレンスルホニウム 2-トリフルオロメチルベンゼンスルホネート及び4-t-ブチルフェニルテトラメチレンスルホニウム 4,4,5,5,6,6-ヘキサフルオロジヒドロ-4H-1,3,2-ジチアジン 1,1,3,3-テトラオキシドなどの酸発生剤又はこれらの組合せであり得る。化学増幅レジストの暴露により、スペーサに隣接する層中のレジストポリマーの脱保護が生じ、水酸化テトラメチルアンモニウム(tetramethylammonium hydroxide、TMAH)などの塩基性現像剤に可溶な状態にする。
【0067】
代替的には、第1のポリマー充填物は、溶解性変更剤が塩基又は塩基発生剤を含むときには、NTDレジストと同様に処理され得る。この場合、第1のポリマー充填物は、酸又は酸発生剤を含有するように配合されている。溶解性変更剤からの塩基は、スペーサから第1のポリマー充填物中に拡散し、スペーサに隣接する領域の酸をクエンチして、それによってNBAなどの有機溶媒によってその領域が現像されることが可能となる。かかる実施形態では、好適な溶解性変更剤としては、水酸化物、カルボキシレート、アミン、イミン、アミド及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。塩基の具体例としては、炭酸アンモニウム、水酸化アンモニウム、リン酸水素アンモニウム、リン酸アンモニウム、炭酸テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラメチルアンモニウム、リン酸水素テトラメチルアンモニウム、リン酸テトラメチルアンモニウム、炭酸テトラエチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、リン酸水素テトラエチルアンモニウム、リン酸テトラエチルアンモニウム及びこれらの組合せが挙げられる。アミンとしては、脂肪族アミン、脂環式アミン、芳香族アミン及び複素環式アミンが挙げられる。アミンは、第一級アミン、第二級アミン又は第三級アミンであり得る。アミンは、モノアミン、ジアミン又はポリアミンであり得る。好適なアミンとしては、C1-30有機アミン、イミン若しくはアミドが挙げられ得る、又は強塩基(例えば、水酸化物若しくはアルコキシド)若しくは弱塩基(例えば、カルボキシレート)のC1-30の第四級アンモニウム塩であり得る。例示的な塩基としては、トリプロピルアミン、ドデシルアミン、トリス(2-ヒドロキシプロピル)アミン、テトラキス(2-ヒドロキシプロピル)エチレンジアミンなどのアミン、ジフェニルアミン、トリフェニルアミン、アミノフェノール及び2-(4-アミノフェニル)-2-(4-ヒドロキシフェニル)プロパンなどのアリールアミン、トレーガー塩基、ジアザビシクロウンデセン(diazabicycloundecene、DBU)若しくはジアザビシクロノネン(diazabicyclononene、DBN)などのヒンダードアミン、tert-ブチル 1,3-ジヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)プロパン-2-イルカルバメート及びtert-ブチル 4-ヒドロキシピペリジン-1-カルボキシレートなどのアミド、又は水酸化テトラブチルアンモニウム(tetrabutylammonium hydroxide、TBAH)若しくはテトラブチルアンモニウムラクテートなどの第四級アルキルアンモニウム塩を含むイオン性クエンチャ―が挙げられる。別の実施形態では、アミンはヒドロキシアミンである。ヒドロキシアミンの例としては、それぞれ1~約8個の炭素原子、好ましくは、1~約5個の炭素原子を有するヒドロキシアルキル基(例えば、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基及びヒドロキシブチル基)を1つ以上有するヒドロキシアミンが挙げられる。ヒドロキシアミンの具体例としては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、3-アミノ-1-プロパノール、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール、2-アミノ-2-エチル-1,3-プロパンジオール、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、N-メチルエタノールアミン、2-ジエチルアミノ-2-メチル-1-プロパノール及びトリエタノールアミンが挙げられる。
【0068】
好適な塩基発生剤は、熱塩基発生剤であり得る。熱塩基発生剤は、第1の温度超、典型的には約140℃以上で加熱すると塩基を形成する。熱塩基発生剤は、アミド、スルホンアミド、イミド、イミン、O-アシルオキシム、ベンゾイルオキシカルボニル誘導体、第四級アンモニウム塩、ニフェジピン、カルバメート及びこれらの組合せといった官能基を含み得る。例示的な熱塩基発生剤としては、o-{(β-(ジメチルアミノ)エチル)アミノカルボニル}安息香酸、o-{(γ-(ジメチルアミノ)プロピル)アミノカルボニル}安息香酸、2,5-ビス{(β-(ジメチルアミノ)エチル)アミノカルボニル}テレフタル酸、2,5-ビス{(γ-(ジメチルアミノ)プロピル)アミノカルボニル}テレフタル酸、2,4-ビス{(β-(ジメチルアミノ)エチル)アミノカルボニル}イソフタル酸、2,4-ビス{(γ-(ジメチルアミノ)プロピル)アミノカルボニル}イソフタル酸及びこれらの組合せが挙げられる。
【0069】
1つ以上の実施形態では、溶解性変更剤は溶媒を含む。溶媒は、炭素含有スペーサを溶解しない限り、炭素含有スペーサ上への堆積を促進させ得る任意の好適な溶媒であり得る。溶媒は、典型的には、水、有機溶媒及びこれらの混合物から選択される。いくつかの実施形態では、溶媒は、1つ以上の有機溶媒を含む有機系溶媒系を含み得る。「有機系」といった用語は、溶媒系が溶解性変更剤組成物の総溶媒に基づいて50重量%超の有機溶媒を含み、より典型的には、溶解性変更剤組成物の総溶媒に基づいて90重量%超、95重量%超、99重量%超又は100重量%の有機溶媒を含むことを意味している。溶媒成分は、典型的には、溶解性変更剤組成物に基づいて90~99重量%の量で存在する。
【0070】
溶解性変更剤組成物にとって好適な有機溶媒としては、例えば、n-ブチルプロピオネート、n-ペンチルプロピオネート、n-ヘキシルプロピオネート及びn-ヘプチルプロピオネートなどのアルキルプロピオネート、並びにn-ブチルブチレート、イソブチルブチレート及びイソブチルイソブチレートなどのアルキルブチレートなどのアルキルエステル;2,5-ジメチル-4-ヘキサノン及び2,6-ジメチル-4-ヘプタノンなどのケトン;n-ヘプタン、n-ノナン、n-オクタン、n-デカン、2-メチルヘプタン、3-メチルヘプタン、3,3-ジメチルヘキサン及び2,3,4-トリメチルペンタンなどの脂肪族炭化水素;並びにペルフルオロヘプタンなどのフッ素化脂肪族炭化水素、1-ブタノール、2-ブタノール、イソブチルアルコール、tert-ブチルアルコール、3-メチル-1-ブタノール、1-ペンタノール、2-ペンタノール、4-メチル-2-ペンタノール、1-ヘキサノール、1-ヘプタノール、1-オクタノール、2-ヘキサノール、2-ヘプタノール、2-オクタノール、3-ヘキサノール、3-ヘプタノール、3-オクタノール及び4-オクタノールなどの直鎖、分岐又は環状C4-C9一価アルコール、2,2,3,3,4,4-ヘキサフルオロ-1-ブタノール、2,2,3,3,4,4,5,5-オクタフルオロ-1-ペンタノール及び2,2,3,3,4,4,5,5,6,6-デカフルオロ-1-ヘキサノールといったアルコール、並びに2,2,3,3,4,4-ヘキサフルオロ-1,5-ペンタンジオール、2,2,3,3,4,4,5,5-オクタフルオロ-1,6-ヘキサンジオール及び2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7-ドデカフルオロ-1,8-オクタンジオールなどのC5-C9フッ素化ジオール、イソペンチルエーテル及びジプロピレングリコールモノメチルエーテルなどのエーテル、並びにこれらの溶媒のうち、1種以上を含有する混合物が挙げられる。
【0071】
KrF及びEUVフォトレジストには典型的であるように第1のレジストが芳香族ビニル系ポリマーから形成され、レジストがPTDレジストとして現像されると、溶媒系は、好ましくは1つ以上の非極性有機溶媒を含む。「非極性有機系」といった用語は、溶媒系が溶解性変更剤組成物の総溶媒に基づいて50重量%超の総非極性有機溶媒を含み、より典型的には、溶解性変更剤組成物の総溶媒に基づいて70重量%超、85重量%超又は100重量%の総非極性有機溶媒を含むことを意味している。非極性有機溶媒は、典型的には、溶媒系に基づいて70~98重量%、好ましくは80~95重量%、より好ましくは85~98重量%の合計量で溶媒系中に存在する。
【0072】
好適な非極性溶媒としては、例えば、エーテル、炭化水素及びこれらの組合せが挙げられるが、エーテルが好ましい。好適なエーテル溶媒としては、例えば、アルキルモノエーテル及び芳香族モノエーテルが挙げられ、6~16個の総炭素数を有するものが特に好ましい。好適なアルキルモノエーテルとしては、例えば、1,4-シネオール、1,8-シネオール、酸化ピネン、ジ-n-プロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジ-n-ブチルエーテル、ジ-n-ペンチルエーテル、ジイソアミルエーテル、ジヘキシルエーテル、ジヘプチルエーテル及びジオクチルエーテルが挙げられるが、ジイソアミルエーテルが好ましい。好適な芳香族モノエーテルとしては、例えば、アニソール、エチルベンジルエーテル、ジフェニルエーテル、ジベンジルエーテル及びフェネトールが挙げられるが、アニソールが好ましい。好適な脂肪族炭化水素としては、例えば、n-ヘプタン、2-メチルヘプタン、3-メチルヘプタン、3,3-ジメチルヘキサン、2,3,4-トリメチルペンタン、n-オクタン、n-ノナン、n-デカン及びペルフルオロヘプタンなどのフッ素化化合物が挙げられる。好適な芳香族炭化水素としては、例えば、ベンゼン、トルエン及びキシレンが挙げられる。
【0073】
いくつかの実施形態では、溶媒系は、1つ以上のアルコール及び/又はエステル溶媒を更に含む。特定の組成物については、アルコール及び/又はエステル溶媒は、組成物の固形成分に対して向上した溶解性を提供し得る。好適なアルコール溶媒としては、例えば、1-ブタノール、2-ブタノール、イソブチルアルコール、tert-ブチルアルコール、3-メチル-1-ブタノール、1-ペンタノール、2-ペンタノール、4-メチル-2-ペンタノール、1-ヘキサノール、1-ヘプタノール、1-オクタノール、2-ヘキサノール、2-ヘプタノール、2-オクタノール、3-ヘキサノール、3-ヘプタノール、3-オクタノール、4-オクタノール、2,2,3,3,4,4-ヘキサフルオロ-1-ブタノール、2,2,3,3,4,4,5,5-オクタフルオロ-1-ペンタノール及び2,2,3,3,4,4,5,5,6,6-デカフルオロ-1-ヘキサノールなどの直鎖、分岐又は環状C4-9一価アルコール、並びに2,2,3,3,4,4-ヘキサフルオロ-1,5-ペンタンジオール、2,2,3,3,4,4,5,5-オクタフルオロ-1,6-ヘキサンジオール及び2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7-ドデカフルオロ-1,8-オクタンジオールなどのC5-9フッ素化ジオールが挙げられる。アルコール溶媒は、好ましくはC4-9一価アルコールであり、4-メチル-2-ペンタノールが好ましい。好適なエステル溶媒としては、例えば、4~10の総炭素数を有するアルキルエステルが挙げられ、例えば、n-ブチルプロピオネート、n-ペンチルプロピオネート、n-ヘキシルプロピオネート及びn-ヘプチルプロピオネートなどのアルキルプロピオネート、並びにn-ブチルブチレート、イソブチルブチレート及びイソブチルイソブチレートなどのアルキルブチレートが挙げられる。1つ以上のアルコール溶媒及び/又はエステル溶媒は、溶媒系で使用される場合、典型的には、溶媒系に基づいて2~50重量%の合計量、より典型的には2~30重量%の量で存在する。
【0074】
溶媒系はまた、例えば、2,5-ジメチル-4-ヘキサノン及び2,6-ジメチル-4-ヘプタノンなどのケトン、並びにジプロピレングリコールモノメチルエーテル及びトリプロピレングリコールモノメチルエーテルなどのポリエーテルのうちの1つ以上から選択された1つ以上の追加の溶媒を含むことができる。かかる追加の溶媒は、使用される場合、典型的には、溶媒系に基づいて1~20重量%の合計量で存在する。
【0075】
第1のレジストが芳香族ビニル系ポリマーから形成されるときには、特に好ましい有機系溶媒系は、溶媒系に基づいて70~98重量%の合計量の1つ以上のモノエーテル溶媒、並びに溶媒系に基づいて2~30重量%の合計量の1つ以上のアルコール溶媒及び/又はエステル溶媒を含む。溶媒系は、典型的には、上塗り組成物に基づいて、90~99重量%、好ましくは95~99重量%の量で上塗り組成物中に存在する。
【0076】
いくつかの実施形態では、溶解性変更剤は、炭素含有スペーサ上にコーティングされる。適切に炭素含有スペーサをコーティングするためには、溶解性変更剤は、マトリックスポリマーを含み得る。マトリックスポリマーによって、望ましい厚さを有する層の形態で組成物をレジストパターン上にコーティングすることが可能になる。このことは、スペーサ表面と相互作用するのに十分な含量の溶解性変更剤が確実に存在するのに役立つ。当技術分野で一般に使用される任意のマトリックスポリマーは、溶解性変更物質中に含有され得る。マトリックスポリマーは、スペーサを溶解しない溶媒中で良好な溶解性を有しなければならない。マトリックスポリマーは、例えば、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアミン、ポリビニルアセタール、ポリスチレン、ポリ(メタ)アクリレート及びこれらの組合せから選択されることができる。好ましくは、ポリマーは、-OH、-COOH、-SO3H、SiOH、ヒドロキシスチレン、ヒドロキシナフタレン、スルホンアミド、ヘキサフルオロイソプロピルアルコール、無水物、ラクトン、エステル、エーテル、アリルアミン、ピロリドン及びこれらの組合せから選択される1つ以上の官能基を含有する。
【0077】
いくつかの実施形態では、ポリマーは、例えば、ヒドロキシ、カルボキシル、スルホン酸及びスルホンアミドなどの酸基、シラノール、ヘキサフルオロイソプロピルアルコール[-C(CF3)2OH]などのフルオロアルコール、無水物、ラクトン、エステル、エーテル、アリルアミン、ピロリドン及びこれらの組合せから選択される1つ以上の官能基を含有する。ポリマーは、ホモポリマー、又は例えば、2個、3個、4個以上の複数の繰り返し単位といった別個の繰り返し単位を有するコポリマーであり得る。一態様では、ポリマーの繰り返し単位は、(メタ)アクリレートモノマーからすべて形成され、芳香族(ビニル)モノマーからすべて形成され、又は(メタ)アクリレートモノマー及び芳香族(ビニル)モノマーからすべて形成される。ポリマーは1種類より多い繰り返し単位を含むとき、典型的には、ランダムコポリマーの形態をとる。
【0078】
特定の実施形態では、マトリックスポリマーは、t-ブチルアクリレート(t-butyl acrylate、TBA)/p-ヒドロキシスチレン(p-hydroxystyrene、PHS)コポリマー、ブチルアクリレート(butyl acrylate、BA)/PHSコポリマー、TBA/メタクリル酸(methacrylic acid、MAA)コポリマー、BA/MAAコポリマー、PHS/メタクリレート(methacrylate、MA)コポリマー、及びこれらの組合せであり得る。
【0079】
溶解性変更剤組成物は、典型的には、単一ポリマーを含むが、任意選択的には1つ以上の更なるポリマーを含むことができる。組成物中のポリマーの含量は、例えば、層の標的厚さに依存し、より厚い層が望ましいときには、より高いポリマー含量が使用される。ポリマーは、典型的には、溶解性変更剤組成物の全固形分に基づいて、80~99.9重量%、より典型的には90~99重量%、又は95~99重量%の量でパターン溶解性変更剤組成物中に存在する。ポリマーの重量平均分子量(Mw)は、典型的には、ポリスチレン標準試料を基準としてGPCによって測定した場合、400,000未満、好ましくは3000~50,000、より好ましくは3000~25,000である。典型的には、ポリマーは、ポリスチレン標準試料を基準としてGPCによって測定した場合、3以下、好ましくは2以下の多分散性指数(PDI=Mw/Mn)を有する。
【0080】
溶解性変更剤組成物で使用するのに好適なポリマーは、市販されており、かつ/又は当業者によって容易に作製されることができる。例えば、ポリマーは、ポリマーの単位に対応する選択されたモノマーを有機溶媒に溶解させること、ラジカル重合開始剤を添加すること、及び熱重合を行ってポリマーを形成することによって合成され得る。ポリマーの重合に使用されることができる好適な有機溶媒の例としては、例えば、トルエン、ベンゼン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサン、乳酸エチル及びメチルイソブチルカルビノールが挙げられる。好適な重合開始剤としては、例えば、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、ジメチル 2,2-アゾビス(2-メチルプロピオネート)、過酸化ベンゾイル及び過酸化ラウロイルが挙げられる。
【0081】
マトリックスポリマーを含む溶解性変更剤は、当技術分野で知られている方法に従って炭素含有スペーサ上にコーティングされ得る。典型的には、マトリックスポリマーを含む溶解性変更剤は、スピンコーティングによって炭素含有スペーサ上にコーティングされ得る。溶解剤の固形含量は、炭素含有スペーサ上に溶解性変更剤の望ましい厚さの膜を提供するように調整され得る。例えば、溶解性変更剤溶液の固形含量は、利用される特定のコーティング装置、溶液の粘度、コーティングツールの速度及びスピン可能である時間に基づいて所望の膜厚を提供するために調整され得る。溶解性変更剤の典型的な厚さは、約200Å~約1500Åである。
【0082】
1つ以上の実施形態では、溶解性変更剤は、前述されるように、活性物質(すなわち、酸、酸発生剤、塩基又は塩基発生剤)、溶媒及びマトリックスポリマーを含む。かかる溶解性変更剤の典型的な配合物は、溶解性変更剤の総重量に基づいて約1重量%~約10重量%の固形分及び約90重量%~約99重量%の溶媒を含み得、固形分は活性物質及びマトリックスポリマーを含む。固形含量内では、活性物質は、約0.1重量%~約10重量%の範囲の量で含有され得る。
【0083】
溶解性変更剤は、使用される特定の化学反応に応じて、様々な目的を有する添加剤を含み得る。いくつかの実施形態では、界面活性剤は、溶解性変更剤中に含有され得る。界面活性剤は、特に炭素含有スペーサ間の薄ギャップを充填する必要があるときに、コーティング品質の一助となるように溶解性変更剤中に含有され得る。当技術分野で知られている好適な界面活性剤は、溶解性変更剤中に含有され得る。
【0084】
上記のように、1つ以上の実施形態では、溶解性変更剤は、炭素含有スペーサに吸収される。炭素含有スペーサへの溶解性変更剤の吸収は、ベークなどの熱前処理を行うことによって達成され得る。ベークは、ソフトベークであり得る。ソフトベークの温度及び時間は、炭素含有スペーサの組成及び炭素含有スペーサ中への溶解性変更剤の所望の拡散量に応じて変化し得る。典型的には、ソフトベークは、約50℃~約150℃の範囲の温度で約30~約90秒間実施され得る。
【0085】
炭素含有スペーサへの吸収後、コーティングは炭素含有スペーサ上に残存し得る。1つ以上の実施形態では、コーティング層は、リンスによって除去され得る。リンスは、コーティング層を溶解するが、レジスト炭素含有スペーサを溶解しない溶媒でコーティングされた基板をリンスすることによって達成され得る。リンスは、好適な方法を使用して、例えば一定時間にわたって溶媒を充填した浴に基板を浸漬すること(浸漬方法)によって、表面張力の作用により基板表面上に溶媒を上昇させて、一定時間にわたってこれを静置させ、これによってコーティング層を溶解させること(パドル方法)によって、基板表面上に溶媒を噴霧すること(噴霧方法)によって、又は一定速度で溶媒噴出ノズルを走査しながら、一定速度で回転する基板上に溶媒を連続噴出すること(ダイナミックディスペンス方法)によって実施され得る。
【0086】
方法200のブロック210では、第1のポリマー充填物は基板上に堆積される。炭素含有スペーサ306、溶解性変更剤308及び第1のポリマー充填物310で積層されたコーティングされた基板を
図3Eに示す。第1のポリマー充填物は、基板上に堆積され、これが炭素含有スペーサ間のギャップを充填し、炭素含有スペーサ又は溶解性変更剤と接触した状態となり得る。1つ以上の実施形態では、第1のポリマー充填物は、基板、炭素含有スペーサ及び溶解性変更剤を完全に覆う。第1のポリマー充填物は、例えばスピンオン堆積又は気相処理といった当技術分野で知られている任意の好適な方法に従って基板上に堆積され得る。
【0087】
1つ以上の実施形態では、第1のポリマー充填物は、アルカリ現像剤中での溶解性が増加し、かつ有機溶媒中の溶解性が酸の作用下で減少する酸不安定基を有するポリマーを含む、化学増幅組成物を含む。好適な酸溶解性及び溶媒。酸不安定基を有する好適なポリマーは、レジスト組成物中で一般的には使用され、当技術分野で周知である。好ましくは、ポリマーは、芳香族ビニル(例えば、スチレン及びヒドロキシスチレン)、(メタ)アクリレート、ノルボルネン及びこれらの組合せから選択されたモノマーから形成される。好ましい態様では、ポリマーは、芳香族ビニル系であり、ポリマーにおける50モル%超の重合単位、典型的にはポリマーにおける80モル%超の重合単位が芳香族ビニルモノマーから形成される。他の実施形態では、ポリマーは、p-ヒドロキシスチレン、スチレン、t-ブチルアクリレート及びこれらの組合せを含むモノマーから作製され得る。特定の実施形態では、ポリマーは、p-ヒドロキシスチレン、スチレン及びt-ブチルアクリレートのうちの3つすべてから作製され得る。かかるポリマーは、約50~80%のp-ヒドロキシスチレン、約10%~約30%のスチレン、及び約10%~約30%のt-ブチルアクリレートを含む重合反応から調製され得る。例えば、第2のレジスト中に含有されるポリマーを製造するための重合反応は、約50%、約55%、約60%及び約65%のうちの1つの下限から、約65%、約70%、約75%及び約80%のうちの1つの上限までの範囲の量であるp-ヒドロキシスチレンであって、任意の下限は、任意の数学的に適合する上限と対になり得る、p-ヒドロキシスチレンと、約10%、約12%、約14%、約16%、約18%及び約20%のうちの1つの下限から、約20%、約22%、約24%、約26%、約28%及び約30%のうちの1つの上限までの範囲の量である、スチレン及びt-ブチルアクリレートであって、任意の下限は、任意の数学的に適合する上限と対になり得る、スチレン及びt-ブチルアクリレートと、を含み得る。
【0088】
第1のポリマー充填物中に含有されたポリマーは、約1kg/mol~約100kg/molの範囲の重量平均分子量(Mw)を有し得る。例えば、1つ以上の実施形態では、第1のポリマー充填物は、約1kg/mol、約2kg/mol、約5kg/mol、約10kg/mol、約15kg/mol、約20kg/mol及び約25kg/molのうちの1つの下限から、約25kg/mol、約50kg/mol、約75kg/mol、約80kg/mol、約90kg/mol及び約100kg/molのうちの1つの上限までの範囲のMwを有するポリマーを含み得、任意の下限は、数学的に適合する上限と対にされ得る。かかるMwを有するポリマーは、特に溶解速度といった望ましい溶解特性を呈し得る。
【0089】
1つ以上の実施形態では、第1のポリマー充填物は溶媒を含む。溶媒は、溶解性変更剤中に含有された溶媒に関して前述される通りである。特定の実施形態では、第1のポリマー充填物中の溶媒は、溶解性変更剤中の溶媒と同じである。
【0090】
実施形態では、溶解性変更剤が塩基又は塩基発生剤を含むとき、かつ第1のポリマーがNTDレジストと同様に処理され得る場合、第1のポリマー充填物は、酸及び/又は酸発生剤を含む。酸又は酸発生剤は、溶解性変更剤中に含有された酸又は酸発生剤に関して前述される通りである。第2のレジストの保護された官能基は、酸触媒反応によって脱保護され得るが、これは、第2のレジストに酸又は酸発生剤を含むことで促進され得る。
【0091】
第1のポリマー充填物は、使用される特定の化学的性質に応じて、様々な目的を有する添加剤を含み得る。いくつかの実施形態では、クエンチャ―は、第1のポリマー充填物中に含まれる。クエンチャ―は、溶解性変更剤中の活性物質の拡散を制御するのに役立つように、第1のポリマー充填物中に含まれ得る。好適なクエンチャ―は、溶解性変更物質に関して既に列挙された塩基のうちのいずれかを含む。
【0092】
方法200において、ブロック212では、溶解性変更剤は、炭素含有スペーサから第1のポリマー充填物中に拡散される。1つ以上の実施形態では、第1のポリマー充填物中への溶解性変更剤の拡散は、ベークを実施することによって達成される。ベークは、ホットプレート又はオーブンで実施され得る。ベークの温度及び時間は、第2のレジストの特性及び第2のレジスト中への溶解性変更剤の望ましい拡散量に依存し得る。ベークに好適な条件は、約50℃~約160℃の範囲の温度及び約30秒間~約90秒間の範囲の時間を含み得る。
【0093】
1つ以上の実施形態では、ベーク後、溶解性が変化した領域は、第1のポリマー充填物の縁部の周囲に存在し得る。溶解性変更剤の拡散量は、溶解性が変化した領域の厚さに対応し得る。いくつかの実施形態では、溶解性が変化した領域は、第1のポリマー充填物へと延在し、約5nm~約60nmの厚さを有する。例えば、溶解性が変化した領域の厚さは、約5nm、約10nm、約15nm、約20nm及び約25nmのうちの1つの下限から、約40nm、約45nm、約50nm、約55nm及び約60nmのうちの1つの上限までの範囲であり得、任意の下限は、任意の数学的に適合する上限と対にされ得る。1つ以上の実施形態では、溶解性が変化した領域の厚さは、基板へと切断される、望ましいパターンのライン幅に対応し得る。
【0094】
溶解性が変化した領域を含むコーティングされた基板を、
図3Fに示す。
図3Fに示されるように、コーティングされた基板は、基板層302を含む。基板は、前述される通りである。炭素含有スペーサ306は、吸収された溶解性変更剤308の量を含む。第1のポリマー充填物310は、炭素含有スペーサ及び基板上にコーティングされる。1つ以上の実施形態では、第1のポリマー充填物310は、基板302及び炭素含有スペーサ306を完全に覆う。第2のレジストの溶解性が変化した領域312は、炭素含有スペーサに接して示されている。
【0095】
溶解性が変化した領域は、溶解性変更剤に暴露されなかった第1のポリマー充填物の領域とは異なる溶解性を有し得る。このように、第1のポリマー充填物の溶解性が変化した領域及び暴露されていない領域は、異なるレジスト現像剤に可溶であり得る。
【0096】
最終的に、方法200のブロック214では、堆積された第1のポリマー充填物の層は、特定の現像剤を使用して現像され得、第2のレジストの暴露されていない領域は残存する。1つ以上の実施形態では、第1のポリマー充填物の溶解性が変化した領域は、最初に化学線放射に暴露され、次いで特定の現像剤に暴露されることによって現像される。他の実施形態では、第1のポリマー充填物の溶解性が変化した領域は、特定の現像剤にのみ暴露される。特定の現像剤は、第1のポリマー充填物のトーンに依存し得る。例えば、溶解性変更剤が酸又は酸発生剤を含む場合には、特定の現像剤としては、水酸化テトラメチルアンモニウムなどの塩基が挙げられる。一方、溶解性変更剤は、塩基又は塩基発生剤を含む場合には、特定の現像剤は、n-ブチルアセテート又は2-ヘプタノンなどの有機溶媒であり得る。
【0097】
前述されるように、溶解性が変化した領域の厚さは、基板へと切断されるパターンの所望のライン幅に対応し得る。
図3Gは、本開示の実施形態に従って現像されたコーティングされた基板を示す。1つ以上の実施形態では、第1のポリマー充填物310は、溶解性が変化した領域を溶解するように現像されるが、この溶解性が変化した領域は、炭素含有スペーサと第1のポリマー充填物との間にある。したがって、溶解性が変化した領域の溶解によって、基板302が露出される、炭素含有スペーサ306と第1のポリマー充填物310との間にトレンチ314が形成され得る。
【0098】
方法200は、初期ピッチから4倍改善されたのピッチで公知の空間を提供し得る。形成されたトレンチ(例えば、アンチスペーサ)の精密な幅は、使用される特定の方法によって設定され得る。1つ以上の実施形態では、ピッチは、リソグラフィによって設定された値で開始するが、これはスペーサによって2倍となり、次いで更に2倍となる。
【0099】
方法200は、可能である一実施形態を表するが、本発明の発明を限定しようと意図したものではない。当業者によって理解されるように、本発明は、例えば、溶解性変更剤が第1のポリマー充填物ではなく、炭素含有スペーサ中に拡散される方法などの様々な代替的方法を包含し得る。かかる代替的な実施形態では、本方法で使用される構成要素及び技術は、方法200に関して前述された通りであり得る。
【0100】
上述のように、1つ以上の実施形態では、溶解性変更剤は、炭素含有スペーサ中に拡散される。かかる実施形態では、方法は、炭素含有スペーサを最初に形成することと、次いで炭素含有スペーサを溶解性変更剤でコーティングすることと、を含み得る。ここでは、溶解性変更剤は、炭素含有スペーサ中に所定の距離だけ拡散されて溶解性が変化した炭素含有スペーサの領域を提供し得る。溶解性変更剤の拡散は、かかる方法では異なる時点で生じ得、また、異なる成分中に拡散し得るが、溶解性変更剤の拡散は、方法200で上記したように実施され得る。溶解性変更剤が炭素含有スペーサ中に拡散された後、第1のポリマー充填物は、基板上に堆積され得る。次いで、基板は、方法200に関して説明されるように現像され、エッチングされ得るが、この場合、溶解性が変化した炭素含有スペーサの領域は、特定の現像剤に可溶である。
【0101】
方法200が、第1のレリーフパターンを基板上に提供することと、次いで炭素含有側壁を第1のレリーフパターン上に形成することと、を含むが、代替方法は、最初に、第1のレリーフパターンを、アモルファスカーボンを積層した基板上に提供することと、無機スペーサを第1のレリーフパターンに適用することと、その後に無機スペーサ及び第1のレリーフパターンによって画定されたパターンをアモルファスカーボンの下地層へとエッチングすることと、を含み得る。好適な無機スペーサは、当技術分野で公知である低温酸化物を含む。かかる方法は、次いで方法200で論じられるように進められ得る。
【0102】
いくつかの例示的な実施形態のみを上で詳細に説明したが、当業者は、本発明から実質的に逸脱することなく、多くの変更が例示的な実施形態にて可能であることを容易に理解するであろう。したがって、かかるすべての変更は、以下の特許請求の範囲に定義されるように、本開示の範囲内に含まれることが意図されている。
【国際調査報告】