(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-02
(54)【発明の名称】半導体パターニングにおける支援型フィーチャ配置
(51)【国際特許分類】
G03F 7/38 20060101AFI20240925BHJP
G03F 7/20 20060101ALI20240925BHJP
【FI】
G03F7/38
G03F7/20 501
G03F7/20 521
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024537800
(86)(22)【出願日】2022-08-25
(85)【翻訳文提出日】2024-04-25
(86)【国際出願番号】 US2022041554
(87)【国際公開番号】W WO2023028249
(87)【国際公開日】2023-03-02
(32)【優先日】2021-08-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524073142
【氏名又は名称】ジェミナティオ,インク.
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】弁理士法人WisePlus
(72)【発明者】
【氏名】ピーターソン, ブレナン
(72)【発明者】
【氏名】ハスタッド, フィリップ, ディー.
【テーマコード(参考)】
2H196
2H197
【Fターム(参考)】
2H196AA25
2H196CA05
2H196GA01
2H197CA01
2H197CE01
2H197CE10
2H197HA03
(57)【要約】
微細加工方法は、既存のパターンを有する基板を提供することであって、覆われていないフィーチャを上記基板の上面が有し、ベース層が覆われていないように、ベース層内に形成されたフィーチャを上記既存のパターンが含む、ことと、上記基板上に選択的結合剤を堆積することであって、上記選択的結合剤が溶解性変更剤を含む、ことと、上記基板上に第1のレジストを堆積することと、上記第1のレジストの一部が第1の現像剤に不溶となるように上記溶解性変更剤を活性化することと、上記第1の現像剤に不溶である上記第1のレジストの一部が残存するように上記第1の現像剤を使用して上記第1のレジストを現像することとを含む。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
既存のパターンを有する基板を提供することであって、覆われていないフィーチャを上記基板の上面が有し、ベース層が覆われていないように、ベース層内に形成されたフィーチャを上記既存のパターンが含む、ことと、
上記基板上に選択的結合剤を堆積することであって、上記選択的結合剤が溶解性変更剤を含む、ことと、
上記基板上に第1のレジストを堆積することと、
上記第1のレジストの一部が第1の現像剤に不溶となるように上記溶解性変更剤を活性化することと、
上記第1の現像剤に不溶である上記第1のレジストの一部が残存するように上記第1の現像剤を使用して上記第1のレジストを現像することと
を含む微細加工方法。
【請求項2】
上記選択的結合剤が、上記ベース層の表面よりも上記フィーチャの表面に接着しやすい、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
上記選択的結合剤が、ホスホン酸、ホスホン酸エステル、ホスフィン、スルホン酸、スルフィン酸、カルボン酸、トリアゾール、チオール又はこれらの組合せを含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
上記第1の現像剤に不溶となる上記第1のレジストの一部が、上記フィーチャの上にある、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項5】
上記選択的結合剤が、上記フィーチャの表面よりも上記ベース層の表面に接着しやすい、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
上記選択的結合剤が、シラン、アルコール又はこれらの組合せを含む、請求項1又は5に記載の方法。
【請求項7】
上記第1の現像剤に不溶となる上記第1のレジストの一部が、上記ベース層の上にある、請求項1又は5に記載の方法。
【請求項8】
上記溶解性変更剤が酸発生剤を含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項9】
上記酸発生剤がフッ素を含まない、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
上記酸発生剤が、トリフェニルスルホニウムアンチモネート、ピリジニウムペルフルオロブタンスルホネート、3-フルオロピリジニウムペルフルオロブタンスルホネート、4-t-ブチルフェニルテトラメチレンスルホニウムペルフルオロ-1-ブタンスルホネート、4-t-ブチルフェニルテトラメチレンスルホニウム2-トリフルオロメチルベンゼンスルホネート、4-t-ブチルフェニルテトラメチレンスルホニウム4,4,5,5,6,6-ヘキサフルオロジヒドロ-4H-1,3,2-ジチアジン1,1,3,3-テトラオキシド及びこれらの組合せからなる群から選択される、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
上記溶解性変更剤が酸を含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項12】
上記酸がフッ素を含まない、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
上記酸が、トリフルオロメタンスルホン酸、ペルフルオロ-1-ブタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、4-ドデシルベンゼンスルホン酸、2,4-ジニトロベンゼンスルホン酸、2-トリフルオロメチルベンゼンスルホン酸及びこれらの組合せからなる群から選択される、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
上記基板上に上記第1のレジストを堆積する前に、上記基板を前処理することを更に含む請求項1又は2に記載の方法。
【請求項15】
既存のパターンを有する基板を提供することであって、覆われていないフィーチャを上記基板の上面が有し、ベース層が覆われていないように、ベース層内に形成されたフィーチャを上記既存のパターンが含む、ことと、
上記基板上に選択的結合剤を堆積することであって、上記選択的結合剤が溶解性変更剤を含む、ことと、
上記基板上に第1のレジストを堆積することと、
上記第1のレジストの一部が第1の現像剤に可溶となるように上記溶解性変更剤を活性化することと、
上記第1の現像剤に可溶である上記第1のレジストの一部が除去されるように上記第1の現像剤を使用して上記第1のレジストを現像することと
を含む微細加工方法。
【請求項16】
上記選択的結合剤が、上記ベース層の表面よりも上記フィーチャの表面に接着しやすい、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
上記第1の現像剤に不溶となる上記第1のレジストの一部が、上記フィーチャの上にある、請求項15又は16に記載の方法。
【請求項18】
上記選択的結合剤が、ホスホン酸、ホスホン酸エステル、ホスフィン、スルホン酸、スルフィン酸、カルボン酸、トリアゾール、チオール又はこれらの組合せを含む、請求項15又は16に記載の方法。
【請求項19】
上記溶解性変更剤が酸発生剤を含む、請求項15又は16に記載の方法。
【請求項20】
上記酸発生剤がフッ素を含まない、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
上記酸発生剤が、トリフェニルスルホニウムアンチモネート、ピリジニウムペルフルオロブタンスルホネート、3-フルオロピリジニウムペルフルオロブタンスルホネート、4-t-ブチルフェニルテトラメチレンスルホニウムペルフルオロ-1-ブタンスルホネート、4-t-ブチルフェニルテトラメチレンスルホニウム2-トリフルオロメチルベンゼンスルホネート、4-t-ブチルフェニルテトラメチレンスルホニウム4,4,5,5,6,6-ヘキサフルオロジヒドロ-4H-1,3,2-ジチアジン1,1,3,3-テトラオキシド及びこれらの組合せからなる群から選択される、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
上記溶解性変更剤が酸を含む、請求項15又は16に記載の方法。
【請求項23】
上記酸がフッ素を含まない、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
上記酸が、トリフルオロメタンスルホン酸、ペルフルオロ-1-ブタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、4-ドデシルベンゼンスルホン酸、2,4-ジニトロベンゼンスルホン酸、2-トリフルオロメチルベンゼンスルホン酸及びこれらの組合せからなる群から選択される、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
上記基板上に上記第1のレジストを堆積する前に、上記基板を前処理することを更に含む請求項15又は16に記載の方法。
【請求項26】
既存のパターンを有する基板を提供することであって、覆われていないフィーチャを上記基板の上面が有し、ベース層が覆われていないように、ベース層内に形成されたフィーチャを上記既存のパターンが含む、ことと、
上記基板上に第1の選択的結合剤を堆積することであって、上記第1の選択的結合剤が第1の溶解性変更剤を含み、上記第1の選択的結合剤が、上記ベース層の表面よりも上記フィーチャの表面に接着しやすい、ことと、
上記基板上に第2の選択的結合剤を堆積することであって、上記第2の選択的結合剤が第2の溶解性変更剤を含み、上記第2の選択的結合剤が、上記フィーチャの表面よりも上記ベース層の表面に接着しやすい、ことと、
上記基板上に第1のレジストを堆積することと、
上記第1のレジストの一部が第1の現像剤に不溶となるように上記第1の溶解性変更剤及び上記第2の溶解性変更剤を活性化することと、
上記第1の現像剤に不溶である上記第1のレジストの一部が残存するように上記第1の現像剤を使用して上記第1のレジストを現像することと
を含む微細加工方法。
【請求項27】
上記第1の溶解性変更剤が、酸又は酸発生剤を含み、上記第2の溶解性変更剤が、塩基又は塩基発生剤を含む、請求項26に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
半導体デバイスの微細加工は、膜堆積、パターン形成及びパターン転写などの様々な工程を含む。材料及び膜は、スピンコーティング、蒸着及び他の堆積プロセスによって基板上に堆積される。パターン形成は典型的には、フォトレジストとして公知である感光性膜をあるパターンの化学線放射に暴露し、その後フォトレジストを現像してレリーフパターンを形成することで実施される。次いで、レリーフパターンは、1つ以上のエッチングプロセスが基板に施される場合に、基板のエッチングされない部分を覆うエッチングマスクとして作用する。したがって、機能素子(トランジスタ及びダイオードなど)を構成するパターンが、基板上に形成され、これが次いで更に処理される。
【0002】
半導体パターニングは、ルーチンのプロセスフローを含む。基板層が、いくつかのパターンとともに受け入れられる。このパターンは平滑化され、転写層が、パターン形状を改善するために配置される。次に、フォトレジスト及び関連する層が表面上に堆積される。フォトレジスト層は、リソグラフィによってパターンに暴露され、それによって潜在的パターンを生成する。潜在的パターンは次いで現像されて、エッチングマスクとして使用されるエッチング液に耐性があるレリーフパターンを形成する。最後に、このレリーフパターンが転写層に、次いで最終基板にエッチングされる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本概要は、以下の詳細な説明にて更に説明される概念の選択物を紹介するために提供される。本概要は、特許請求される主題の重要又は本質的な特徴を特定することを意図したものではなく、特許請求される主題の範囲を限定する一助として使用されることも意図していない。
【0004】
一態様では、本明細書に開示された実施形態は、既存のパターンを有する基板を提供することであって、覆われていないフィーチャを基板の上面が有し、ベース層が覆われていないように、ベース層内に形成されたフィーチャを既存のパターンが含む、ことと、基板上に選択的結合剤を堆積することであって、選択的結合剤が溶解性変更剤を含む、ことと、基板上に第1のレジストを堆積することと、第1のレジストの一部が第1の現像剤に不溶となるように溶解性変更剤を活性化することと、第1の現像剤に不溶である第1のレジストの一部が残存するように第1の現像剤を使用して第1のレジストを現像することとを含む微細加工方法に関する。
【0005】
別の態様では、本開示の実施形態は、既存のパターンを有する基板を提供することであって、覆われていないフィーチャを基板の上面が有し、ベース層が覆われていないように、ベース層内に形成されたフィーチャを既存のパターンが含む、ことと、基板上に選択的結合剤を堆積することであって、選択的結合剤が溶解性変更剤を含む、ことと、基板上に第1のレジストを堆積することと、第1のレジストの一部が第1の現像剤に可溶となるように溶解性変更剤を活性化することと、第1の現像剤に可溶である第1のレジストの一部が除去されるように第1の現像剤を使用して第1のレジストを現像することとを含む微細加工方法に関する。
【0006】
特許請求される主題の他の態様及び利点は、以下の説明及び添付の特許請求の範囲から明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1A】本開示の1つ以上の実施形態に係る基板上の選択的自己整合パターンの概略図である。
【0008】
【
図1B】本開示の1つ以上の実施形態に係る基板上の反選択的自己整合パターンの概略図である。
【0009】
【
図2】本開示の1つ以上の実施形態に係る方法のブロックフロー図である。
【0010】
【
図3A】本開示の1つ以上の実施形態に係る方法のそれぞれの時点でのコーティングされた基板の概略図である。
【
図3B】本開示の1つ以上の実施形態に係る方法のそれぞれの時点でのコーティングされた基板の概略図である。
【
図3C】本開示の1つ以上の実施形態に係る方法のそれぞれの時点でのコーティングされた基板の概略図である。
【
図3D】本開示の1つ以上の実施形態に係る方法のそれぞれの時点でのコーティングされた基板の概略図である。
【
図3E】本開示の1つ以上の実施形態に係る方法のそれぞれの時点でのコーティングされた基板の概略図である。
【0011】
【
図4】本開示の1つ以上の実施形態に係る方法のブロックフロー図である。
【0012】
【
図5A】本開示の1つ以上の実施形態に係る方法のそれぞれの時点でのコーティングされた基板の概略図である。
【
図5B】本開示の1つ以上の実施形態に係る方法のそれぞれの時点でのコーティングされた基板の概略図である。
【
図5C】本開示の1つ以上の実施形態に係る方法のそれぞれの時点でのコーティングされた基板の概略図である。
【
図5D】本開示の1つ以上の実施形態に係る方法のそれぞれの時点でのコーティングされた基板の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
基板パターニングにおける課題は、設計されたパターンを下にあるフィーチャに対して正確に配置し、それによって最終パターンを正確に成形することである。別の課題は、設計されたように最終パターンを精密にサイズ調整することである。サイズ及び形状の小さな変動によって、短期的及び長期的なデバイス故障の両方が引き起こされ得る。
【0014】
当業者によって理解されるように、所与の基板に付加され、そこから除去される膜及び材料は、形成された材料及び形状の構造に基づいて基板を内部圧縮応力及び内部引張応力にさらし得る。これらの内部応力は、基板を撓ませて曲げる可能性がある。また、所与のフォトリソグラフィツールの解像度以下でパターンを印刷するとは、多くの場合、パターン誤配置の可能性が高いことを意味する。そのため、重要な課題は、配置された(暴露された)パターンが、先のパターンからオフセットされる可能性があることである。この「位置合わせ」誤差又は「オーバーレイ」誤差は、デバイスの微細加工における最も重要な課題のうちの1つである。この課題は、互いの上の各層及び互いに隣接する各層にあてはまる。
【0015】
したがって、所与の後続の層上のパターン配置の改善が非常に望まれる。リソグラフィシステムにおいてパターン配置を改善しようとする従来のパターン配置の試みは、精度の高い測定及び複雑なフィードバックループの使用を含む傾向がある。
【0016】
本開示は、概して、半導体基板上にパターン配置する方法に関する。本明細書では、「半導体基板」及び「基板」という用語は互換的に使用され、半導体ウェハ、半導体材料層及びこれらの組合せを含むが、これらに限定されない任意の半導体材料であり得る。本明細書に開示された方法は、正確な場所(例えば、ターゲット位置又はターゲット領域)でパターンを形成することによって局所的かつ直接的に改善されるパターン配置及びオーバーレイを提供する。自己整合パターン配置を達成するために、本方法は、パターンが形成される場所を指示すること、又は所望しない場所でのパターンの形成を阻止することのいずれかを含み得る。1つ以上の実施形態では、本方法は、ターゲット位置上に補助層を堆積又は形成することを含む。
【0017】
本開示に係る方法は、既存のパターンを有する基板を提供することと、次いで既存のパターンの上に又はそれと交互に、あるパターンの材料を選択的に形成することとを含み得る。1つ以上の実施形態に従って既存のパターンの上に選択的に形成されたあるパターンの材料を
図1Aに示す。1つ以上の実施形態に係る基板上に含まれた既存のパターンと交互に又はそれからオフセットされて選択的に形成されたあるパターンの材料を
図1Bに示す。
【0018】
本開示に係る選択的パターン自己整合(例えば、
図1Aに示されたパターン)の方法200を
図2に示し、
図2を参照して考察する。最初に、ブロック202では、既存のパターンが基板上に提供される。ブロック204では、基板又はその一部が選択的結合剤でコーティングされる。選択的結合剤は、表面と共有結合し得る。選択的結合剤コーティングは、任意選択的には前処理され得る。任意選択の前処理は、熱処理であり得る。熱処理は、選択的結合剤と表面との縮合反応を促進し得る。次いで、ブロック206では、基板が第1のレジストでコーティングされる。溶解性変更剤は、第1のレジスト上に提供され得るが、次いで、ブロック208に示されるように、溶解性変更剤が活性化されて、第1の現像剤に可溶である第1のレジストの領域を提供し得る。最後に、ブロック210では第1のレジストが現像されて、第1のレジストの選択的パターンを提供する。
【0019】
上述した方法中の様々な時点でのコーティングされた基板の概略図を、
図3A~
図3Eに示す。本明細書では、「コーティングされた基板」は、第1のレジスト層及び第2のレジスト層などの1つ以上の層でコーティングされている基板を指す。
図3Aは、既存のパターンを含む基板を示す。
図3Bは、選択的結合剤を含むオーバーコートを含む基板を示す。
図3Cは、第1のレジストで積層された選択的結合剤オーバーコートを含む基板を示す。最後に、
図3Dは、第1のレジストが現像され、その結果、基板の一部が露出された後のコーティングされた基板を示す。
図2の方法及び
図3A~
図3Dに示されたコーティングされた基板は、以下に詳細に考察される。
【0020】
図2において、ブロック202では、既存のパターンが基板上に提供される。
図3Aは、既存のパターンを含む基板を示す。
図3Aにおいて、既存のパターンは、ベース層301に形成されたフィーチャ302を含む。ベース層は、当技術分野で公知である任意の好適な基板であり得る。1つ以上の実施形態では、フィーチャは、金属又は他の導電性構造を含む。本明細書で使用される場合、金属という用語は、複数の金属の合金、積層体及び他の組合せを含む。例えば、金属相互接続ラインは、バリア層、各種の金属又は合金の積層体などを含み得る。フィーチャに存在し得る好適な金属としては、銅、コバルト及びタングステンが挙げられるが、これらに限定されない。1つ以上の実施形態では、ベース層は、層間誘電体である。好適な層間誘電体は、シリコンの酸化物(例えば、二酸化ケイ素(SiO
2))、ドープされたシリコンの酸化物、フッ素化されたシリコンの酸化物、炭素ドープされたシリコンの酸化物、当技術分野で公知の様々なlow-k誘電体材料及びこれらの組合せを含み得る。既存のパターンは、パターニングプロセスにおける最終フィーチャ又は中間フィーチャであり得る。いくつかの実施形態では、既存のパターンが覆われず、アクセス可能となるように平坦化される。
【0021】
次いで、ブロック204では、選択的結合剤が基板又はその一部上にコーティングされる。選択的結合剤は、当技術分野で公知の任意のコーティング方法によって基板上にコーティングされ得る。好適なコーティング方法としては、気相堆積、スピンオンコーティング及びラングミュアブロジェット単層コーティングが挙げられるが、これらに限定されない。1つ以上の実施形態では、選択的結合剤は、ターゲット領域上にコーティングされる。本明細書では、「ターゲット領域」又は「ターゲット位置」は、パターンを受けることになる基板上の領域を指す。
【0022】
選択的結合剤は、既存のパターンの1つの材料に優先的に接着し得る。1つ以上の実施形態では、選択的結合剤は、既存のパターンのフィーチャに接着する。
図3Bは、既存のパターンのフィーチャに接着される選択的結合剤303でコーティングされた基板を示す。選択的結合剤は、1:1を超える比でパターンのフィーチャに接着し得る。限定するものではなく例として、選択的結合剤は、フィーチャとベース層との比が2:1~10:1の範囲であるパターンのフィーチャに接着し得る。
【0023】
1つ以上の実施形態では、選択的結合剤は、更に官能化され得る化学官能基である。例示的な選択的結合剤としては、シラン、アルケン、アルキン、アルコール、シラノール、アミン、ホスフィン、ホスホン酸及びカルボン酸が挙げられるが、これらに限定されない。既存のパターン上にコーティングされた特定の選択的結合剤は、方法200の他の構成要素において使用される特定の化学反応に依存し得る。例えば、様々なホスホン酸及びエステルは、未処理の又は酸化された金属表面と選択的又は少なくとも優先的に反応して、誘電体材料(例えば、シリコンの酸化物)の表面上に優先的又は更には選択的に強結合した金属ホスホネートを形成することが可能であり、それにより、ベース層内のフィーチャ上にコーティングされた選択的結合剤として使用され得る。好適なホスホン酸の具体例は、オクタデシルホスホン酸(octadecylphosphonic acid、ODPA)である。かかる表面コーティングは、一般には、多くの有機溶媒中で安定である傾向があるが、弱酸性及び弱塩基性水溶液を使用して除去され得る。ホスフィン(例えば、有機ホスフィン)も、任意選択的には使用され得る。スルホン酸、スルフィン酸及びカルボン酸などの他の一般的な酸も、任意選択的には使用され得る。
【0024】
誘電体材料又は有機高分子材料又は他の材料と比較して金属材料に対して選択的又は少なくとも優先的である反応の別の例は、例えば相互接続構造を保護するために化学的機械研磨中に使用されるものなど、様々な金属腐食防止剤である。具体例としては、ベンゾトリアゾール、他のトリアゾール官能基、他の好適な複素環基(例えば、複素環系腐食防止剤)及び当技術分野で公知の他の金属腐食防止剤が挙げられる。トリアゾール基に加えて、他の官能基が、金属に対する所望の引力又は反応性を提供するために使用され得る。様々な金属キレート剤もまた、潜在的に好適である。様々なアミン(例えば、有機アミン)もまた、潜在的に好適である。
【0025】
誘電体材料又は有機高分子材料又は他の材料と比較して金属材料に対して選択的又は少なくとも優先的である反応の更に別の例は、様々なチオールである。別の例として、1,2,4-トリアゾール又は同様の芳香族複素環化合物は、誘電体及び特定の他の材料と比較して金属と選択的に反応させるために使用され得る。選択的結合剤はまた、ポリマーを表面に結合させるためにポリマーの官能基と反応可能な官能基を含み得る。当技術分野で公知の様々な他の金属被毒化合物もまた、潜在的に使用され得る。これらは、いくつかの例示的な例に過ぎず、更に他の例が本開示の利益を有する当業者にとって明らかであることを理解されたい。選択的結合剤はまた、選択的結合が可能な上述の官能基のいずれかを含有するポリマーを含み得るが、このポリマーは、主鎖に沿って又は末端基として官能基を有し、ターゲット材料に結合されたポリマー鎖の層を形成する。
【0026】
1つ以上の実施形態では、選択的結合剤は、溶解性変更剤を含む。溶解性変更剤の組成は、選択的結合剤に依存し得る。当業者によって理解されるように、両材料が互いに反応しない限り、任意の好適な溶解性変更剤が選択的結合剤に含まれ得る。一般的に、溶解性変更剤は、光又は熱で活性化する任意の化学物質であり得る。例えば、いくつかの実施形態では、溶解性変更剤は、酸又は熱酸発生剤(thermal acid generator、TAG)を含む。酸、又はTAGの場合には発生した酸は、熱によって、第1のレジストパターンの表面領域におけるポリマーの酸分解性基の結合を分解させて、適用される特定の現像剤中の第1のレジストポリマーの溶解性を増大させるのに十分であるべきである。酸又はTAGは典型的には、トリミング組成物の全固形分に基づいて約0.01~20重量%の量で組成物中に存在する。
【0027】
好ましい酸としては、非芳香族酸及び芳香族酸を含む有機酸が挙げられ、それらのそれぞれは、任意選択的にはフッ素置換を有することができる。好適な有機酸としては、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸、ペルフルオロ酢酸、ペルフルオロオクタン酸、シュウ酸、マロン酸及びコハク酸を含むアルカン酸などのカルボン酸、クエン酸などのヒドロキシアルカン酸、安息香酸、フルオロ安息香酸、ヒドロキシ安息香酸及びナフトエ酸などの芳香族カルボン酸、ジメチルリン酸及びジメチルホスフィン酸などの有機リン酸、並びにメタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、エタンスルホン酸、1-ブタンスルホン酸、1-ペルフルオロブタンスルホン酸、1,1,2,2-テトラフルオロブタン-1-スルホン酸、1,1,2,2-テトラフルオロ-4-ヒドロキシブタン-1-スルホン酸、1-ペンタンスルホン酸、1-ヘキサンスルホン酸及び1-ヘプタンスルホン酸を含む任意選択的にフッ素化されたアルキルスルホン酸などのスルホン酸が挙げられる。
【0028】
フッ素を含まない例示的な芳香族酸としては、以下の一般式(I)の芳香族酸が挙げられる。
【0029】
【0030】
[式中、R1は、独立して、置換若しくは非置換のC1-C20アルキル基、置換若しくは非置換のC5-C20アリール基、又はこれらの組合せを表し、任意選択的には、カルボニル、カルボニルオキシ、スルホンアミド、エーテル、チオエーテル、置換若しくは非置換のアルキレン基、又はこれらの組合せから選択される1つ以上の基を含有し、Z1は、独立して、カルボキシル、ヒドロキシ、ニトロ、シアノ、C1-C5アルコキシ、ホルミル及びスルホン酸から選択される基を表し、a及びbは、独立して、0~5の整数であり、a+bが5以下である]
【0031】
例示的な芳香族酸は、以下の一般式(II)であり得る。
【0032】
【0033】
[式中、R2及びR3は、それぞれ独立して、置換若しくは非置換のC1-C20アルキル基、置換若しくは非置換のC5-C16アリール基、又はこれらの組合せを表し、任意選択的には、カルボニル、カルボニルオキシ、スルホンアミド、エーテル、チオエーテル、置換若しくは非置換のアルキレン基、又はこれらの組合せから選択される1つ以上の基を含有し、Z2及びZ3は、それぞれ独立して、カルボキシル、ヒドロキシ、ニトロ、シアノ、C1-C5アルコキシ、ホルミル及びスルホン酸から選択される基を表し、c及びdは、独立して、0~4の整数であり、c+dが4以下であり、e及びfは、独立して、0~3の整数であり、e+fが3以下である]
【0034】
溶解性変更剤に含まれ得る追加の芳香族酸としては、以下の一般式(III)又は(IV)のものが挙げられる。
【0035】
【0036】
[式中、R4、R5及びR6は、それぞれ独立して、置換若しくは非置換のC1-C20アルキル基、置換若しくは非置換のC5-C12アリール基、又はこれらの組合せを表し、任意選択的には、カルボニル、カルボニルオキシ、スルホンアミド、エーテル、チオエーテル、置換若しくは非置換のアルキレン基、又はこれらの組合せから選択される1つ以上の基を含有し、Z4、Z5及びZ6は、それぞれ独立して、カルボキシル、ヒドロキシ、ニトロ、シアノ、C1-C5アルコキシ、ホルミル及びスルホン酸から選択される基を表し、g及びhは、独立して、0~4の整数であり、g+hが4以下であり、i及びjは、独立して、0~2の整数であり、i+jが2以下であり、k及び1は、独立して、0~3の整数であり、k+lが3以下である]
【0037】
【0038】
[式中、R4、R5及びR6は、それぞれ独立して、置換若しくは非置換のC1-C20アルキル基、置換若しくは非置換のC5-C12アリール基、又はこれらの組合せを表し、任意選択的には、カルボニル、カルボニルオキシ、スルホンアミド、エーテル、チオエーテル、置換若しくは非置換のアルキレン基、又はこれらの組合せから選択される1つ以上の基を含有し、Z4、Z5及びZ6は、それぞれ独立して、カルボキシル、ヒドロキシ、ニトロ、シアノ、C1-C5アルコキシ、ホルミル及びスルホン酸から選択される基を表し、g及びhは、独立して、0~4の整数であり、g+hが4以下であり、i及びjは、独立して、0~1の整数であり、i+jが1以下であり、k及びlは、独立して、0~4の整数であり、k+lが4以下である]
【0039】
好適な芳香族酸は、代替的には、以下の一般式(V)であり得る。
【0040】
【0041】
[式中、R7及びR8は、それぞれ独立して、置換若しくは非置換のC1-C20アルキル基、置換若しくは非置換のC5-C14アリール基、又はこれらの組合せを表し、任意選択的には、カルボキシル、カルボニル、カルボニルオキシ、スルホンアミド、エーテル、チオエーテル、置換若しくは非置換のアルキレン基、又はこれらの組合せから選択される1つ以上の基を含有し、Z7及びZ8は、それぞれ独立して、ヒドロキシ、ニトロ、シアノ、C1-C5アルコキシ、ホルミル及びスルホン酸から選択される基を表し、m及びnは、独立して、0~5の整数であり、m+nが5以下であり、o及びpは、独立して、0~4の整数であり、o+pが4以下である]
【0042】
更には、例示的な芳香族酸は、以下の一般式(VI)を有し得る。
【0043】
【0044】
[式中、Xは、O又はSであり、R9は、独立して、置換若しくは非置換のC1-C20アルキル基、置換若しくは非置換のC5-C20アリール基、又はこれらの組合せを表し、任意選択的には、カルボニル、カルボニルオキシ、スルホンアミド、エーテル、チオエーテル、置換若しくは非置換のアルキレン基、又はこれらの組合せから選択される1つ以上の基を含有し、Z9は、独立して、カルボキシル、ヒドロキシ、ニトロ、シアノ、C1-C5アルコキシ、ホルミル及びスルホン酸から選択される基を表し、q及びrは、独立して、0~3の整数であり、q+rが3以下である]
【0045】
1つ以上の実施形態では、酸は、フッ素置換を有する遊離酸である。好適なフッ素置換を有する遊離酸は芳香族又は非芳香族であり得る。例えば、溶解性変更剤として使用され得るフッ素置換を有する遊離酸としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない。
【0046】
【0047】
【0048】
好適なTAGとしては、上述したように非重合性酸を発生可能であるものが挙げられる。TAGは非イオン性又はイオン性であることができる。好適な非イオン性熱酸発生剤としては、例えば、シクロヘキシルトリフルオロメチルスルホネート、メチルトリフルオロメチルスルホネート、シクロヘキシルp-トルエンスルホネート、メチルpートルエンスルホネート、シクロヘキシル2,4,6-トリイソプロピルベンゼンスルホネート、ニトロベンジルエステル、ベンゾイントシレート、2-ニトロベンジルトシレート、トリス(2,3-ジブロモプロピル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6-トリオン、有機スルホン酸のアルキルエステル、p-トルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、シュウ酸、フタル酸、リン酸、カンファースルホン酸、2,4,6-トリメチルベンゼンスルホン酸、トリイソプロピルナフタレンスルホン酸、5-ニトロ-o-トルエンスルホン酸、5-スルホサリチル酸、2,5-ジメチルベンゼンスルホン酸、2-ニトロベンゼンスルホン酸、3-クロロベンゼンスルホン酸、3-ブロモベンゼンスルホン酸、2-フルオロカプリルナフタレンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、1-ナフトール-5-スルホン酸、2-メトキシ-4-ヒドロキシ-5-ベンゾイル-ベンゼンスルホン酸及びそれらの塩、並びにこれらの組合せが挙げられる。好適なイオン性熱酸発生剤としては、例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸トリエチルアミン塩、ドデシルベンゼンジスルホン酸トリエチルアミン塩、p-トルエンスルホン酸-アンモニウム塩、p-トルエンスルホン酸-ピリジニウム塩、炭素環式アリール及びヘテロアリールスルホン酸塩などのスルホン酸塩、脂肪族スルホン酸塩、並びにベンゼンスルホン酸塩が挙げられる。活性化時にスルホン酸を発生する化合物が、一般的に好適である。好ましい熱酸発生剤としては、p-トルエンスルホン酸アンモニウム塩及びヘテロアリールスルホン酸塩が挙げられる。
【0049】
好ましくは、以下に示されるようなスルホン酸を発生させるための反応スキームではTAGはイオン性である。
【0050】
【0051】
式中、RSO3
-はTAGアニオンであり、X+はTAGカチオンであり、好ましくは有機カチオンである。カチオンは、以下の一般式(I)の窒素含有カチオンであることができる。
【0052】
(BH)+ (I)
【0053】
これは、窒素含有塩基Bのモノプロトン化形態である。好適な窒素含有塩基Bとしては、例えば、アンモニア、ジフルオロメチルアンモニア、C1-20アルキルアミン及びC3-30アリールアミンなどの任意選択的に置換されたアミン、例えば、ピリジン又は置換ピリジン(例えば、3-フルオロピリジン)、ピリミジン及びピラジンなどの窒素含有ヘテロ芳香族塩基、窒素含有複素環基、例えば、オキサゾール、オキサゾリン又はチアゾリンが挙げられる。前述の窒素含有塩基Bは、アルキル、アリール、ハロゲン原子(好ましくはフッ素)、シアノ、ニトロ及びアルコキシから選択される1つ以上の基などで任意選択的に置換され得る。これらのうち、塩基Bは、好ましくはヘテロ芳香族塩基である。
【0054】
塩基Bは典型的には、0~5.0、0~4.0、0~3.0、又は1.0~3.0のpKaを有する。本明細書で使用される場合、「pKa」という用語は、当技術分野で認識されている意味に従って使用される。すなわち、pKaは、ほぼ室温の水溶液における塩基性部分(B)の共役酸(BH)+の解離定数の(底を10とする)負の対数である。特定の実施形態では、塩基Bは、約170℃未満、約160℃未満、150℃、140℃、130℃、120℃、110℃、100℃又は90℃未満の沸点を有する。
【0055】
好適な例示的窒素含有カチオン(BH)+としては、NH4
+、CF2HNH2
+、CF3CH2NH3
+、(CH3)3NH+、(C2H5)3NH+、(CH3)2(C2H5)NH+及び以下のものが挙げられる。
【0056】
【0057】
[式中、Yはアルキルであり、好ましくはメチル又はエチルである]
【0058】
特定の実施形態では、溶解性変更剤は、トリフルオロメタンスルホン酸、ペルフルオロ-1-ブタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、4-ドデシルベンゼンスルホン酸、2,4-ジニトロベンゼンスルホン酸及び2-トリフルオロメチルベンゼンスルホン酸などの酸;トリフェニルスルホニウムアンチモネート、ピリジニウムペルフルオロブタンスルホネート、3-フルオロピリジニウムペルフルオロブタンスルホネート、4-t-ブチルフェニルテトラメチレンスルホニウムペルフルオロ-1-ブタンスルホネート、4-t-ブチルフェニルテトラメチレンスルホニウム2-トリフルオロメチルベンゼンスルホネート及び4-t-ブチルフェニルテトラメチレンスルホニウム4,4,5,5,6,6-ヘキサフルオロジヒドロ-4H-1,3,2-ジチアジン1,1,3,3-テトラオキシドなどの酸発生剤;又はこれらの組合せであり得る。
【0059】
代替的には、溶解性変更剤は、塩基又は塩基発生剤を含み得る。かかる実施形態では、好適な溶解性変更剤としては、水酸化物、カルボキシレート、アミン、イミン、アミド及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。塩基の具体例としては、炭酸アンモニウム、水酸化アンモニウム、リン酸水素アンモニウム、リン酸アンモニウム、炭酸テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラメチルアンモニウム、リン酸水素テトラメチルアンモニウム、リン酸テトラメチルアンモニウム、炭酸テトラエチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、リン酸水素テトラエチルアンモニウム、リン酸テトラエチルアンモニウム及びこれらの組合せが挙げられる。アミンとしては、脂肪族アミン、脂環式アミン、芳香族アミン及び複素環式アミンが挙げられる。アミンは、第一級アミン、第二級アミン又は第三級アミンであり得る。アミンは、モノアミン、ジアミン又はポリアミンであり得る。好適なアミンは、C1-30有機アミン、イミン若しくはアミドを含み得るか、又は強塩基(例えば、水酸化物若しくはアルコキシド)若しくは弱塩基(例えば、カルボキシレート)のC1-30第四級アンモニウム塩であり得る。例示的な塩基としては、トリプロピルアミン、ドデシルアミン、トリス(2-ヒドロキシプロピル)アミン、テトラキス(2-ヒドロキシプロピル)エチレンジアミンなどのアミン;ジフェニルアミン、トリフェニルアミン、アミノフェノール及び2-(4-アミノフェニル)-2-(4-ヒドロキシフェニル)プロパンなどのアリールアミン、トレーガー塩基、ジアザビシクロウンデセン(diazabicycloundecene、DBU)若しくはジアザビシクロノネン(diazabicyclononene、DBN)などのヒンダードアミン、tert-ブチル1,3-ジヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)プロパン-2-イルカルバメート及びtert-ブチル4-ヒドロキシピペリジン-1-カルボキシレートなどのアミド;又は水酸化テトラブチルアンモニウム(tetrabutylammonium hydroxide、TBAH)若しくはテトラブチルアンモニウムラクテートなどの第四級アルキルアンモニウム塩を含むイオン性消光剤が挙げられる。別の実施形態では、アミンはヒドロキシアミンである。ヒドロキシアミンの例としては、1~約8個の炭素原子、好ましくは1~約5個の炭素原子を有するヒドロキシアルキル基(例えば、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基及びヒドロキシブチル基)を1つ以上有するヒドロキシアミンが挙げられる。ヒドロキシアミンの具体例としては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、3-アミノ-1-プロパノール、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール、2-アミノ-2-エチル-1,3-プロパンジオール、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、N-メチルエタノールアミン、2-ジエチルアミノ-2-メチル-1-プロパノール及びトリエタノールアミンが挙げられる。
【0060】
好適な塩基発生剤は熱塩基発生剤であり得る。熱塩基発生剤は、第1の温度超、典型的には約140℃以上で加熱すると塩基を形成する。熱塩基発生剤は、アミド、スルホンアミド、イミド、イミン、O-アシルオキシム、ベンゾイルオキシカルボニル誘導体、第四級アンモニウム塩、ニフェジピン、カルバメート及びこれらの組合せなどの官能基を含み得る。例示的な熱塩基発生剤としては、o-{(β-(ジメチルアミノ)エチル)アミノカルボニル}安息香酸、o-{(γ-(ジメチルアミノ)プロピル)アミノカルボニル}安息香酸、2,5-ビス{(β-(ジメチルアミノ)エチル)アミノカルボニル}テレフタル酸、2,5-ビス{(γ-(ジメチルアミノ)プロピル)アミノカルボニル}テレフタル酸、2,4-ビス{(β-(ジメチルアミノ)エチル)アミノカルボニル}イソフタル酸、2,4-ビス{(γ-(ジメチルアミノ)プロピル)アミノカルボニル}イソフタル酸及びこれらの組合せが挙げられる。
【0061】
代替的には、1つ以上の実施形態では、溶解性変更剤は架橋剤を含む。溶解性変更剤として使用され得る好適な架橋剤としては、ビスフェノールAジグリシジルエーテルなどのビスエポキシドを硬化するために使用される架橋剤、2,5-ビス[(2-オキシラニルメトキシ)-メチル]-フラン、2,5-ビス[(2-オキシラニルメトキシ)メチル]-ベンゼン、メラミン、テトラメトキシメチルグリコールウリル及びテトラブトキシメチルグリコールウリルなどのグリクウリル、ベンゾグアナミン、ヒドロキシメチルベンゾグアナミン、メチル化ヒドロキシメチルベンゾグアナミン、エチル化ヒドロキシメチルベンゾグアナミンなどのベンゾグアナミン系材料、並びに尿素系材料が挙げられるが、これらに限定されない。
【0062】
1つ以上の実施形態では、選択的結合剤は溶媒を含む。溶媒は典型的には、水、有機溶媒及びこれらの混合物から選択される。いくつかの実施形態では、溶媒は、1つ以上の有機溶媒を含む有機系溶媒系を含み得る。「有機系」という用語は、溶媒系が、溶解性変更剤組成物の全溶媒に基づいて50重量%超の有機溶媒を含み、より典型的には、溶解性変更剤組成物の全溶媒に基づいて90重量%超、95重量%超、99重量%超又は100重量%の有機溶媒を含むことを意味している。溶媒成分は典型的には、溶解性変更剤組成物に基づいて90~99重量%の量で存在する。
【0063】
選択的結合剤組成物にとって好適な有機溶媒としては、例えば、n-ブチルプロピオネート、n-ペンチルプロピオネート、n-ヘキシルプロピオネート及びn-ヘプチルプロピオネートなどのアルキルプロピオネート、並びにn-ブチルブチレート、イソブチルブチレート及びイソブチルイソブチレートなどのアルキルブチレートなどのアルキルエステル;2,5-ジメチル-4-ヘキサノン及び2,6-ジメチル-4-ヘプタノンなどのケトン;n-ヘプタン、n-ノナン、n-オクタン、n-デカン、2-メチルヘプタン、3-メチルヘプタン、3,3-ジメチルヘキサン及び2,3,4-トリメチルペンタンなどの脂肪族炭化水素、並びにペルフルオロヘプタンなどのフッ素化脂肪族炭化水素;1-ブタノール、2-ブタノール、イソブチルアルコール、tert-ブチルアルコール、3-メチル-1-ブタノール、1-ペンタノール、2-ペンタノール、4-メチル-2-ペンタノール、1-ヘキサノール、1-ヘプタノール、1-オクタノール、2-ヘキサノール、2-ヘプタノール、2-オクタノール、3-ヘキサノール、3-ヘプタノール、3-オクタノール及び4-オクタノールなどの直鎖、分岐又は環状C4-C9一価アルコールなどのアルコール;2,2,3,3,4,4-ヘキサフルオロ-1-ブタノール、2,2,3,3,4,4,5,5-オクタフルオロ-1-ペンタノール及び2,2,3,3,4,4,5,5,6,6-デカフルオロ-1-ヘキサノール、並びに2,2,3,3,4,4-ヘキサフルオロ-1,5-ペンタンジオール、2,2,3,3,4,4,5,5-オクタフルオロ-1,6-ヘキサンジオール及び2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7-ドデカフルオロ-1,8-オクタンジオールなどのC5-C9フッ素化ジオール;イソペンチルエーテル及びプロピレングリコールモノメチルエーテルなどのエーテル;4~10の総炭素数を有するアルキルエステル、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、n-ブチルプロピオネート、n-ペンチルプロピオネート、n-ヘキシルプロピオネート及びn-ヘプチルプロピオネートなどのアルキルプロピオネート、並びにn-ブチルブチレート、イソブチルブチレート及びイソブチルイソブチレートなどのアルキルブチレートなどのエステル;2,5-ジメチル-4-ヘキサノン及び2,6-ジメチル-4-ヘプタノンなどのケトン;並びにジプロピレングリコールモノメチルエーテル及びトリプロピレングリコールモノメチルエーテルなどのポリエーテル;並びにこれらの溶媒のうち1つ以上を含む混合物が挙げられる。
【0064】
いくつかの実施形態では、選択的結合剤で基板をコーティングした後、基板が前処理される。基板は、フィーチャの表面に選択的結合剤を確実に結合するように前処理され得る。前処理は、50~150℃の範囲の温度で約30~90秒間実施されるソフトベークであり得る。
【0065】
選択的結合材料がフィーチャに結合された後、余分な材料が除去され得る。このように、1つ以上の実施形態では、基板に選択的結合剤を塗布し、任意選択的に前処理した後、基板はリンスされて未使用材料を除去する。
【0066】
次いで、方法200のブロック206では、第1のレジストが、基板上に堆積される。
図3Cは、選択的結合剤303及び第1のレジスト304でコーティングされた基板を示す。第1のレジストは、フォトレジストであり得る。一般的に、フォトレジストは、ポリマー、光酸発生剤及び溶媒を含む化学増幅感光性組成物である。1つ以上の実施形態では、第1のレジストはポリマーを含む。ポリマーは、レジスト材料に典型的に使用される任意の標準的なポリマーであり得るが、特に酸不安定基を有するポリマーであり得る。例えば、ポリマーは、スチレン及びp-ヒドロキシスチレンなどの芳香族ビニルモノマー、アクリレート、メタクリレート、ノルボルネン及びこれらの組合せを含むモノマーから作製されたポリマーであり得る。反応性官能基を含むモノマーは、保護された形態でポリマー中に存在し得る。例えば、p-ヒドロキシスチレンの-OH基は、tert-ブチルオキシカルボニル保護基で保護され得る。かかる保護基は、第1のレジストに含まれるポリマーの反応性及び溶解性を変更し得る。当業者に理解されるように、様々な保護基が、この理由のために使用され得る。酸不安定基としては、例えば、第三級アルキルエステル基、第二級又は第三級アリールエステル基、アルキル基とアリール基との組合せを有する第二級又は第三級エステル基、第三級アルコキシ基、アセタール基又はケタール基が挙げられる。酸不安定基は、当技術分野では一般的に、「酸分解性基」、「酸解離性基」、「酸解離性保護基」、「酸不安定保護基」、「酸脱離基」及び「酸感受性基」とも称される。
【0067】
分解時に、ポリマーにカルボン酸を形成する酸不安定基は、好ましくは、式-C(O)OC(R1)3の第三級エステル基、又は式-C(O)OC(R2)2OR3のアセタール基であり、式中、R1は、それぞれ独立して、直鎖C1-20アルキル、分岐C3-20アルキル、単環式若しくは多環式C3-20シクロアルキル、直鎖C2-20アルケニル、分岐C3-20アルケニル、単環式若しくは多環式C3-20シクロアルケニル、単環式若しくは多環式C6-20アリール、又は単環式若しくは多環式C2-20ヘテロアリールであり、好ましくは直鎖C1-6アルキル、分岐C3-6アルキル、又は単環式若しくは多環式C3-10シクロアルキルであり、それらのそれぞれは置換又は非置換であり、各R1は、任意選択的にはその構造の一部として-O-、-C(O)-、-C(O)-O-若しくは-S-から選択される1つ以上の基を含み、任意の2つのR1基はともに、任意選択的には環を形成し、R2は、独立して、水素、フッ素、直鎖C1-20アルキル、分岐C3-20アルキル、単環式若しくは多環式C3-20シクロアルキル、直鎖C2-20アルケニル、分岐C3-20アルケニル、単環式若しくは多環式C3-20シクロアルケニル、単環式若しくは多環式C6-20アリール、又は単環式若しくは多環式C2-20ヘテロアリールであり、好ましくは水素、直鎖C1-6アルキル、分岐C3-6アルキル、又は単環式若しくは多環式C3-10シクロアルキルであり、それらのそれぞれは置換又は非置換であり、各R2は、任意選択的にはその構造の一部として-O-、-C(O)-、-C(O)-O-若しくは-S-から選択される1つ以上の基を含み、R2基はともに、任意選択的には環を形成し、R3は、直鎖C1-20アルキル、分岐C3-20アルキル、単環式若しくは多環式C3-20シクロアルキル、直鎖C2-20アルケニル、分岐C3-20アルケニル、単環式若しくは多環式C3-20シクロアルケニル、単環式若しくは多環式C6-20アリール、又は単環式若しくは多環式C2-20ヘテロアリールであり、好ましくは直鎖C1-6アルキル、分岐C3-6アルキル、又は単環式若しくは多環式C3-10シクロアルキルであり、それらのそれぞれは置換又は非置換であり、R3は、任意選択的にはその構造の一部として-O-、-C(O)-、-C(O)-O-若しくは-S-から選択される1つ以上の基を含み、1つのR2はR3とともに、任意選択的には環を形成する。かかるモノマーは、典型的には芳香族ビニル、(メタ)アクリレート又はノルボルニルモノマーである。ポリマーにカルボン酸基を形成する酸分解性基を含む重合単位の総含量は、ポリマーの総重合単位に基づいて、典型的には10~100モル%であり、より典型的には10~90モル%又は30~70モル%である。
【0068】
ポリマーは、重合時に、分解によりポリマーにアルコール基又はフルオロアルコール基を形成する酸不安定基を含むモノマーを更に含むことができる。好適なかかる基としては、例えば、式-COC(R2)2OR3-のアセタール基、又は式-OC(O)O-の炭酸エステル基が挙げられ、式中、Rは上に定義されている通りである。かかるモノマーは、典型的には芳香族ビニル、(メタ)アクリレート又はノルボルニルモノマーである。ポリマーに存在する場合、分解によりポリマーにアルコール基又はフルオロアルコール基を形成する酸分解性基を含む重合単位の総含量は、ポリマーの総重合単位に基づいて、典型的には10~90モル%であり、より典型的には30~70モル%である。
【0069】
光酸発生剤は、化学線又は放射線の照射時に酸を発生することが可能な化合物である。光酸発生剤は、カチオン光重合用の光開始剤、ラジカル光重合用の光開始剤、色素用の光脱色剤、光変色剤、マイクロレジストなどに使用される、化学線又は放射線の照射時に酸を発生することが可能な公知の化合物から選択することができ、これらの混合物を使用することができる。光酸発生剤の例としては、ジアゾニウム塩、ホスホニウム塩、スルホニウム塩、ヨードニウム塩、イミドスルホネート、オキシムスルホネート、ジアゾジスルホン、ジスルホン及びo-ニトロベンジルスルホネートが挙げられる。
【0070】
好適な光酸としては、オニウム塩、例えば、トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、(p-tert-ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリス(p-tert-ブトキシフェニル)スルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムp-トルエンスルホネート;ジ-t-ブチフェニルヨードニウムペルフルオロブタンスルホネート、及びジ-t-ブチフェニルヨードニウムカンファースルホネートが挙げられる。非イオン性スルホネート及びスルホニル化合物は、光酸発生剤(photoacid generator)として機能することも知られており、例えば、ニトロベンジル誘導体、例えば、2-ニトロベンジル-p-トルエンスルホネート、2,6-ジニトロベンジル-p-トルエンスルホネート及び2,4-ジニトロベンジル-p-トルエンスルホネート;スルホン酸エステル、例えば、1,2,3-トリス(メタンスルホニルオキシ)ベンゼン、1,2,3-トリス(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)ベンゼン及び1,2,3-トリス(p-トルエンスルホニルオキシ)ベンゼン;ジアゾメタン誘導体、例えば、ビス(ベンゼンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(p-トルエンスルホニル)ジアゾメタン;グリオキシム誘導体、例えば、ビス-O-(p-トルエンスルホニル)-α-ジメチルグリオキシム及びビス-O-(n-ブタンスルホニル)-α-ジメチルグリオキシム;N-ヒドロキシイミド化合物のスルホン酸エステル誘導体、例えば、N-ヒドロキシスクシンイミドメタンスルホン酸エステル、N-ヒドロキシスクシンイミドトリフルオロメタンスルホン酸エステル;並びにハロゲン含有トリアジン化合物、例えば、2-(4-メトキシフェニル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジン及び2-(4-メトキシナフチル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジンが挙げられる。好適な非重合光酸発生剤は、Hashimotoらに対する米国特許第8,431,325号(37欄、11~47行目及び41~91欄)に更に記載される。他の好適なスルホネートPAGとしては、米国特許第4,189,323号及び同8,431,325号に記載されるように、スルホン化エステル及びスルホニルオキシケトン、ニトロベンジルエステル、s-トリアジン誘導体、ベンゾイントシレート、t-ブチルフェニルα-(p-トルエンスルホニルオキシ)-アセテート及びt-ブチルα-(p-トルエンスルホニルオキシ)-アセテートが挙げられる。オニウム塩であるPAGは典型的には、スルホンアミデート基、スルホンイミデート基、メチド基又はボレート基などのスルホネート基又は非スルホネート型基を有するアニオンを含む。
【0071】
レジスト組成物は、任意選択的には複数のPAGを含み得る。複数のPAGは、重合性、非重合性であり得るか、又は重合性PAG及び非重合性PAGの両方を含み得る。好ましくは、複数のPAGのそれぞれは非重合性である。好ましくは、複数のPAGが使用される場合、第1のPAGは、アニオンにスルホネート基を含み、第2のPAGは、スルホネート基を含まないアニオンを含み、かかるアニオンは、例えば、上述したようなスルホンアミデート基、スルホンイミデート基、メチド基又はボレート基を含む。いくつかの実施形態では、第1のレジストは、ポジトーン現像(positive tone developed、PTD)レジストと類似した組成を有する。かかる実施形態では、第1のレジストは、上述したモノマーから作製されたポリマーであって、反応性官能基を含む任意のモノマーが保護されるポリマーを含み得る。このように、PTDの第1のレジストは、有機可溶であり得る。
【0072】
溶解性変更剤が架橋剤である他の実施形態では、第1のレジストはネガ型レジストである。かかる実施形態では、第1のレジストは、上述したモノマーから作製されたポリマーであって、反応性官能基を含む任意のモノマーが保護されないポリマーを含み得る。好適な反応性官能基としては、アルコール、カルボン酸及びアミンが挙げられるが、これらに限定されない。架橋剤への暴露によってポリマーの架橋が生じ、ポリマーが現像剤に対して不溶となる。次いで、未架橋エリアは、適当な現像剤を使用して除去することができる。
【0073】
1つ以上の実施形態では、第1のレジストは、ネガ型レジストである。かかる実施形態では、第1のレリーフパターンは、上述したモノマーから作製されたポリマーであって、反応性官能基を含む任意のモノマーが保護されないポリマーを含み得る。このように、第1のレジストは、有機溶媒又は水性基剤のいずれかに可溶であり得る。レジストのトーン(すなわち、ポジ型又はネガ型)は、最終パターン配置に影響を及ぼし得る。例えば、レジストがPTDフォトレジストに類似しており、かつ選択的結合剤が酸を含有する場合、フィーチャの上のレジストポリマーが脱保護され、それによって水性基剤(例えば、TMAH)に可溶となる一方、基板上のレジストは有機溶媒に可溶のままとなる。レジストがネガ型フォトレジストに類似しており、かつ選択的結合剤が架橋剤を含有する場合、フィーチャの上のレジストポリマーが架橋されて不溶となる一方、基板上のレジストは可溶のままとなる。
【0074】
1つ以上の実施形態では、第1のレジストは、約300Å~約3000Åの厚さを有するように基板上に積層される。
【0075】
次いで、方法200のブロック208では、溶解性変更剤が活性化される。溶解性変更剤が酸、酸発生剤、塩基又は塩基発生剤である実施形態では、溶解性変更剤の活性化は、溶解性変更剤を第1のレジストへと拡散させて、第1のレジストの溶解性が変更された領域を提供することを含む。第1のレジストの溶解性が変更された領域は、選択的結合剤の優先的接着によって決定され得る。例えば、既存のパターンのフィーチャに優先的に接着する選択的結合剤は、方法200などの選択的パターニング自己整合のように、フィーチャの上にある第1のレジストの溶解性が変更された領域を提供し得る。1つ以上の実施形態では、第1のレジストの溶解性が変更された領域は、フィーチャ上にコーティングされた選択的結合剤の表面から第1のレジストの表面へと垂直に延在する。1つ以上の実施形態では、溶解性が変更された領域は、傾斜方向に延在する。溶解性が変更された領域が傾斜方向に延在する場合、各フィーチャが一緒に結合するのを防ぐことが望ましいことがある。これを達成するために、フィーチャの厚さは、十分に薄いものであるように制御され得る。
【0076】
第1のレジストへの溶解性変更剤の拡散は、ベークを実施することによって達成される。ベークは、ホットプレート又はオーブンで実施され得る。ベークの温度及び時間は、第2のレジストの個性及び第2のレジストへの溶解性変更剤の望ましい拡散量に依存し得る。ベークに好適な条件は、約50℃~約160℃の範囲の温度及び約30秒~約90秒の範囲の時間を含み得る。
【0077】
第1のレジストの溶解性が変更された領域は、選択的結合剤の優先的接着によって決定され得る。例えば、方法200などの選択的パターニング自己整合のように、選択的結合剤が既存のパターンのフィーチャに優先的に接着する場合、第1のレジストの溶解性が変更された領域は、フィーチャの上にあり得る。1つ以上の実施形態では、第1のレジストの溶解性が変更された領域は、第1のレジスト層の表面に対して垂直に延在し得る。
【0078】
溶解性変更剤が架橋剤である実施形態では、溶解性変更剤の活性化は、第1のレジストへの架橋剤の重合を開始することを含む。架橋剤の活性化によって、第1のレジストの架橋領域が提供され得る。第1のレジストの架橋領域は、選択的結合剤の優先的接着によって決定され得る。例えば、選択的パターニング自己整合のように、選択的結合剤が既存のパターンのフィーチャに優先的に接着する場合、第1のレジストの架橋領域は、フィーチャの上にあり得る。
【0079】
最後に、方法200のブロック210では、第1のレジストが、第1の現像剤を使用して現像される。第1の現像剤は、当技術分野で一般に使用される任意の現像剤であり得る。第1の現像剤の組成は、第1のレジストの溶解特性に依存し得る。例えば、第1のレジストがポジトーン現像レジストである場合、特定の現像剤は、水酸化テトラメチルアンモニウムなどの塩基であり得る。一方、第1のレジストがネガトーン現像レジストである場合、特定の現像剤は、n-ブチルアセテート又は2-ヘプタノンなどの非極性有機溶媒であり得る。1つ以上の実施形態では、溶解性が変更された領域又は架橋領域は、第1の現像剤に不溶である。したがって、第1のレジストを現像した後、第1のレジストの溶解性が変更された領域又は架橋領域は、基板上に残存し得る。このように、方法200は、
図3Dに示されるように、あるパターンの溶解性が変更された第1のレジスト305を含む基板を提供し得るが、溶解性が変更された第1のレジストは、直接、既存のパターンのフィーチャ302の上にある。
【0080】
代替的には、1つ以上の実施形態では、溶解性が変更された領域は第1の現像剤に可溶となる。かかる実施形態では、第1のレジストを現像した後、第1のレジストの溶解性が変更された領域は、基板から除去される。かかる実施形態に係るコーティングされた基板を
図3Eに示す。
図3Eでは、基板は、選択的結合剤303にコーティングされているフィーチャ302からオフセットされているあるパターンの第1のレジスト306を含む。かかるパターンは、レジストのフィーチャが、選択的結合剤でコーティングされていなかったベース層上に残存することから、反選択的パターンと称され得る。
【0081】
上記のように、1つ以上の実施形態では、方法は、ベース層内のフィーチャと交互に、あるパターンのレジストを選択的に形成することを含む。方法200と同様に、かかる方法は、選択的結合剤の配置に従って第1のレリーフパターンを形成することから、選択的パターン形成と見なされ得る。しかしながら、フィーチャの既存のパターンと交互にパターン又は第1のレリーフを選択的に形成する方法は、2つのパターンが整合しないことから選択的反整合と称され得る。本開示に係る選択的反整合パターン形成(例えば、
図1Bに示されるパターン)の方法400は、
図4に示され、
図4を参照して考察される。上記方法中の様々な時点でのコーティングされた基板の概略図を、
図5A~
図5Dに示す。
【0082】
方法400において、ブロック402では、既存のパターンが基板上に提供される。既存のパターンを有するコーティングされた基板は、
図5Aに示される。
図5Aにおいて、既存のパターンは、ベース層501内のフィーチャ502を含み得る。フィーチャ及びベース層は、方法200を参照して前述した通りである。
【0083】
次いで、方法400のブロック404では、基板は、選択的結合剤でコーティングされる。1つ以上の実施形態では、選択的結合剤は、ターゲット領域を除いて全基板上にコーティングされる(すなわち、選択的結合剤は、フィーチャを除いて全ベース層上にコーティングされる)。上述したように、選択的結合剤は、既存のパターンの1つの材料に優先的に接着し得る。1つ以上の実施形態では、方法400において、選択的結合剤は、既存のパターンのベース層に接着する。
図5Bは、既存のパターンのフィーチャではなく、第1の層をコーティングする選択的結合剤503を含む基板を示す。選択的結合剤は、1:1を超える比でパターンのフィーチャに接着し得る。限定するものではなく例として、選択的結合剤は、フィーチャとベース層との比が1:2~1:10の範囲である既存のパターンのベース層に接着し得る。
【0084】
1つ以上の実施形態では、選択的結合剤は、更に官能化され得る化学官能基である。金属上の誘電体材料に対して選択的である例示的な選択的結合剤としては、シラン及びアルコールが挙げられるが、これらに限定されない。既存のパターン上にコーティングされる特定の選択的結合剤は、方法200の他の構成要素で使用される特定の化学反応に依存し得る。例えば、アミノシラン、ハロシラン(例えば、クロロシラン、フルオロシランなど)及びアルコキシシラン(例えば、メトキシシラン、エトキシシラン及び他のアルコキシシラン)は、金属材料と比較して誘電体材料の表面上のヒドロキシ化基と選択的又は少なくとも優先的に反応することが可能である。好適なシランの具体例としては、トリクロロオクタデシルシラン、オクタデシルクロロシラン、ジエチルアミノトリメチルシラン、ビス(ジメチルアミノ)ジメチルシラン、メトキシシラン、エトキシシラン及び他の類似のシラン、並びにこれらの組合せが挙げられるが、これらに限定されない。これらの反応の反応生成物は、誘電体材料の露出表面を選択的に覆うために使用され得る。ある特定の一般的には少量の反応物が金属材料上で生じる場合、水での洗浄などにより除去され得る。シランは、シランの化学特性を変更し、所望の化学特性を達成するために、例えば直鎖アルカン鎖、分岐アルカン鎖、他の直鎖若しくは分岐有機鎖、ベンジル基又は他の有機基、又は様々な他の既知の官能基などの1つ以上の他の基を含み得る。アルコール及びカテコールなど、ヒドロキシ基を含有する化合物は、誘電体材料のヒドロキシ化基と反応することも知られている。別の例として、二官能性、三官能性、多官能性求電子物質又はこれらの組合せを、材料(例えば、ILD)のヒドロキシ化基と反応させた後、得られた活性化反応生成物とポリマーの官能基とを反応させ得る。選択的結合剤はまた、選択的結合が可能である上述の官能基のいずれかを含むポリマーを含み得るが、この場合、ポリマーは、主鎖に沿って又は末端基として官能基を有し、ターゲット材料に結合したポリマー鎖の層を形成する。当技術分野で公知である様々な他の選択的結合剤も、潜在的に使用され得る。これらはほんの数例の例示的な例に過ぎず、本開示の利益を有する当業者には更に他の例が明らかであることを理解されたい。
【0085】
1つ以上の実施形態では、選択的結合剤は、溶解性変更剤を含む。溶解性変更剤は、方法200を参照して前述したような溶解性変更剤であり得る。
【0086】
いくつかの実施形態では、選択的結合剤で基板をコーティングした後、基板が前処理される。前処理は、50~150℃で約30~90分間実施されるベークであり得る。
【0087】
方法400において、ブロック406では、第1のレジストが、基板上に堆積される。第1のレジスト504でコーティングされた基板を
図5Cに示す。1つ以上の実施形態では、第1のレジストは、方法200を参照して前述した通りである。1つ以上の実施形態では、第1のレジストは、約300Å~約3000Åの厚さを有するように基板上に積層される。
【0088】
方法400のブロック408では、溶解性変更剤が活性化される。溶解性変更剤が酸、酸発生剤、塩基又は塩基発生剤である実施形態では、溶解性変更剤の活性化は、上述したように、溶解性変更剤を第1のレジストへと拡散させて、第1のレジストの溶解性が変更された領域を提供することを含む。
【0089】
第1のレジストの溶解性が変更された領域は、選択的結合剤の優先的接着によって決定され得る。例えば、方法400など、反選択的パターン自己整合のように、選択的結合剤が既存のパターンのベース層に優先的に接着する場合、第1のレジストの溶解性が変更された領域は、ベース層の上にあり得る。1つ以上の実施形態では、第1のレジストの溶解性が変更された領域は、第1のレジスト層の表面に対して垂直に延在し得る。
【0090】
溶解性変更剤が架橋剤である実施形態では、溶解性変更剤の活性化は、第1のレジストへの架橋剤の重合を開始することを含む。架橋剤の活性化によって、第1のレジストの架橋領域が提供され得る。第1のレジストの架橋領域は、選択的結合剤の優先的接着によって決定され得る。例えば、反選択的パターン自己整合のように、選択的結合剤が既存のパターンのベース層に優先的に接着する場合、第1のレジストの架橋領域は、ベース層の上にあり得る。第1のレジストの架橋領域は、ベース層から第1のレジストの表面へ垂直に延在し得る。
【0091】
最後に、方法400において、第1のレジストが、ブロック410で現像される。第1のレジストは、第1の現像剤を使用して現像され得る。第1の現像剤は、第1のレジストの溶解特性に基づいて選択され得る。1つ以上の実施形態では、第1のレジストの溶解性が変更された領域又は架橋領域は、第1の現像剤に不溶である。したがって、第1のレジストを現像した後、第1のレジストの溶解性が変更された領域又は架橋領域は、基板上に残存し得る。このように、方法400は、
図5Dに示されるように、あるパターンの溶解性が変更された第1のレジスト505を含む基板を提供し得るが、この場合、溶解性が変更された第1のレジストは、既存のパターンのフィーチャ502からオフセットされている。
【0092】
1つ以上の実施形態では、反選択的パターン自己整合プロセスは、溶解性が変更された領域が第1の現像剤に可溶となるように変更され得る。かかる代替的な実施形態では、現像後、残存する修飾された第1のレジストが、選択的パターン自己整合などのように、既存のパターンのフィーチャの上に配置される。
【0093】
同様に、1つ以上の実施形態では、選択的パターン自己整合プロセスは、溶解性が変更された領域が第1の現像剤に可溶となるように変更され得る。かかる代替的な実施形態では、現像後、残存する修飾された第1のレジストが、反選択的パターン自己整合などのように、既存のパターンのフィーチャからオフセットされている。
【0094】
1つ以上の実施形態では、本明細書に開示された方法は、既存のパターン上の/既存のパターンに隣接するダブルパターニングフィーチャに使用され得る。かかる方法は、2つの選択的パターン自己整合プロセス、2つの反選択的パターン自己整合プロセス、又は1つの選択的パターン自己整合プロセス及び1つの反選択的パターン自己整合プロセスを実施して、ダブルパターニングを達成し得る。
【0095】
代替的な実施形態では、フィーチャが、第1の溶解性変更剤を含む第1の選択的結合剤でコーティングされ、ベース層が、第2の溶解性変更剤を含む第2の選択的結合剤でコーティングされる。いくつかの実施形態では、第1の溶解性変更剤は、酸又は酸発生剤を含み、第2の溶解性変更剤は、塩基又は塩基発生剤を含む。次いで、レジストが基板上に堆積され、各溶解性変更剤が同時に活性化される。第1の溶解性変更剤は、フィーチャの上から拡散し、第2の溶解性変更剤は、ベース層の上から拡散する。拡散前面の界面では、各溶解性変更剤が互いに相互作用することで、基板に対して垂直であり、かつフィーチャと露出したベース層との界面に位置する垂直面の外側の側面エリアでのレジストの溶解性の変更を防止することができる。このことは、フィーチャの上にあるレジストのエリアに対する溶解性の変更を抑制するのに役立ち、これによって開口の側面成長が制限され、傾斜プロファイルではなくほぼ直線の縁部が作成される。
【0096】
いくつかの例示的な実施形態のみを上で詳細に記載したが、当業者は、本発明から実質的に逸脱することなく、多くの変更が例示的な実施形態にて可能であることを容易に理解するであろう。したがって、かかるすべての変更は、以下の特許請求の範囲に定義されるように本開示の範囲内に含まれることが意図されている。
【国際調査報告】