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特表2024-535958ジャケット曳航作業インテリジェントシミュレーションシステム及びモデリング方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-04
(54)【発明の名称】ジャケット曳航作業インテリジェントシミュレーションシステム及びモデリング方法
(51)【国際特許分類】
   B63B 21/56 20060101AFI20240927BHJP
   B63B 49/00 20060101ALI20240927BHJP
   B63B 79/20 20200101ALI20240927BHJP
   G01C 21/20 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
B63B21/56 Z
B63B49/00 Z
B63B79/20
G01C21/20
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023547134
(86)(22)【出願日】2022-10-17
(85)【翻訳文提出日】2023-08-02
(86)【国際出願番号】 CN2022125616
(87)【国際公開番号】W WO2024040722
(87)【国際公開日】2024-02-29
(31)【優先権主張番号】202211031686.1
(32)【優先日】2022-08-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520409578
【氏名又は名称】哈爾濱工程大学
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】▲ザン▼英飛
(72)【発明者】
【氏名】袁利毫
(72)【発明者】
【氏名】韓端鋒
(72)【発明者】
【氏名】賈輝
【テーマコード(参考)】
2F129
【Fターム(参考)】
2F129AA14
2F129CC35
2F129EE45
2F129EE95
(57)【要約】
本発明は、ジャケット曳航作業インテリジェントシミュレーションシステム及びモデリング方法を開示し、海洋工事及びバーチャルシミュレーション技術分野に適用される。当該システムは、各サブシステムに通信インタフェースを提供する分散型共同シミュレーションサブシステムと、シミュレーション科目を生成して発行する全般的な管理及び評価サブシステムと、操作命令を生成する操作制御シミュレーションサブシステムと、科目のパラメータ及び操作命令を受信し、ジャケット、曳航船及び曳航ケーブルの運動状態に対してリアルタイムシミュレーションを行い、ビジュアルシミュレーションサブシステムに伝送する運動シミュレーションサブシステムと、ジャケット、曳航船及び曳航ケーブルの運動状態のリアルタイムシミュレーションに対して三次元表示を行うビジュアルシミュレーションサブシステムと、を含む。本発明はヒューマンコンピュータインタラクション性を有し、海上曳航作業者向けの共同訓練及びスキルトレーニングに用いられると共に、ジャケット曳航への設置シミュレーションプレビュー及びプログラム検証を実現することもでき、作業者及び装備の安全性を効果的に保障し、海上作業リスクを低減させ、作業効率を向上させることができ、明らかな経済的利益及び社会的利益を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
分散型共同シミュレーションサブシステム、全般的な管理及び評価サブシステム、操作制御シミュレーションサブシステム、ビジュアルシミュレーションサブシステム及び運動シミュレーションサブシステムを含み、
前記分散型共同シミュレーションサブシステムは、各前記サブシステムに通信インタフェースを提供するのに用いられ、
前記全般的な管理及び評価サブシステムは、シミュレーション科目を生成して発行するのに用いられ、
前記操作制御シミュレーションサブシステムは、操作命令を生成するのに用いられ、
前記運動シミュレーションサブシステムは、前記シミュレーション科目のパラメータ及び前記操作命令を受信し、ジャケット、曳航船及び曳航ケーブルの運動状態に対してリアルタイムシミュレーションを行い、前記ビジュアルシミュレーションサブシステムに伝送するのに用いられ、
前記ビジュアルシミュレーションサブシステムは、前記ジャケット、曳航船及び曳航ケーブルの運動状態のリアルタイムシミュレーションに対して三次元表示を行うのに用いられることを特徴とするジャケット曳航作業インテリジェントシミュレーションシステム。
【請求項2】
前記分散型共同シミュレーションサブシステムは具体的には、HLA分散型シミュレーションアーキテクチャに基づいて、RTIインタフェースを介して各フェデレーションメンバーと通信し、フェデレーション運行監視モジュールによって各フェデレーションメンバーの運行状態を監視する、ことを特徴とする請求項1に記載のジャケット曳航作業インテリジェントシミュレーションシステム。
【請求項3】
前記全般的な管理及び評価サブシステムは、トレーナーコンソール及び全般的な管理評価機能を含み、海洋環境パラメータ、ジャケットの初期位置及び曳航船の初期位置、曳航ケーブルの物理属性パラメータを設定し、シミュレーショントレーニング科目を生成して発行し、システムシミュレーションの開始と停止を制御し、同時に前記運動シミュレーションサブシステムにより生成されたシミュレーションデータを記録すると共に視覚的に表示するのに用いられる、ことを特徴とする請求項1に記載のジャケット曳航作業インテリジェントシミュレーションシステム。
【請求項4】
前記操作制御シミュレーションサブシステムは、曳航船コンソール及びウインチコンソールを含み、前記曳航船コンソールにより曳航船の航行方向、航行速度の基本操作パラメータが設定され、前記ウインチコンソールにより曳航ケーブルの回収と放出速度が設定される、ことを特徴とする請求項3に記載のジャケット曳航作業インテリジェントシミュレーションシステム。
【請求項5】
前記運動シミュレーションサブシステムは、ジャケットの6自由度運動シミュレーションモデル、曳航船の6自由度運動シミュレーションモデル及び曳航ケーブルの運動シミュレーションモデルを含み、全般的な管理及び評価サブシステムにより生成された流速、流向、波の方向の海洋環境パラメータ、曳航船の初期位置及びジャケットの初期位置、曳航ケーブルの直径、乾燥重量、湿潤重量の初期パラメータ、並びに操作制御シミュレーションサブシステムにより生成されたターゲット航行方向、航行速度、ウインチの速度の操作命令を受信することによって、ジャケットの6自由度運動データ及び曳航船の6自由度運動データ、曳航ケーブルの形態及び張力をリアルタイム計算し、シミュレーションデータを前記ビジュアルシミュレーションサブシステム及び前記全般的な管理及び評価サブシステムに提供する、ことを特徴とする請求項4に記載のジャケット曳航作業インテリジェントシミュレーションシステム。
【請求項6】
前記ビジュアルシミュレーションサブシステムは、ジャケット曳航作業三次元モデルライブラリ及びビジュアルシミュレーションソフトウェアを含み、モデルシミュレーションデータによって三次元ビジュアルを駆動し、ジャケットの運動状態及び曳航船の運動状態、曳航ケーブルの形態、海洋環境に対してリアルタイムレンダリングを行う、ことを特徴とする請求項5に記載のジャケット曳航作業インテリジェントシミュレーションシステム。
【請求項7】
ジャケット曳航作業インテリジェントシミュレーション方法であって、
分散型共同シミュレーションサブシステムを起動し、各サブシステムのソフトウェアとハードウェアの通信に保障を提供すると共に、各フェデレーションメンバーの運行状態を監視するステップ(1)と、
全般的な管理及び評価サブシステムを応用し、シミュレーション訓練科目を選択して海況条件及びジャケットの初期位置、曳航船の初期位置、曳航ケーブルの初期パラメータを設定し、パラメータ設定が完了した後に運動シミュレーションサブシステムに送信し、ネットワークによってシステムのシミュレーションプロセスの開始と停止を制御するステップ(2)と、
操作制御シミュレーションサブシステムを応用し、シミュレーション需要に基づいて、操作ハンドル及び制御ソフトウェアによってウインチの速度及び曳航船の制御命令を設定し、運動シミュレーションサブシステムに送信するステップ(3)と、
ジャケットの6自由度運動シミュレーションモデル、曳航船の6自由度運動シミュレーションモデル及び曳航ケーブルの運動シミュレーションモデルを含む前記運動シミュレーションサブシステムを応用し、前記全般的な管理及び評価サブシステム並びに前記操作制御シミュレーションサブシステムから送信された制御命令に従って、前記6自由度運動シミュレーションモデルを駆動すると共に、カップリングシステムの運動状態をリアルタイム決算し、同時にシミュレーションデータを前記全般的な管理及び評価サブシステム並びにビジュアルシミュレーションサブシステムに伝送するステップ(4)と、
前記ビジュアルシミュレーションサブシステムを応用し、前記全般的な管理及び評価サブシステムにより発行された海洋環境データ並びに前記運動シミュレーションサブシステムにより計算されたシミュレーションデータに基づいて、訓練シーン及び作業装備に対してリアルタイムレンダリング及び三次元表示を行うステップ(5)を含むことを特徴とする方法。
【請求項8】
ステップ(4)において、ジャケット及び曳航船の運動方程式には、曳航ケーブルのジャケットに対する作用力及び曳航船に対する作用力がそれぞれ含まれ、曳航ケーブルの末端はジャケットに固定するように接続されると見なされ、先端は曳航船に固定するように接続されると見なされ、解析プロセスにおいて曳航ケーブルの末端及び先端のノード速度及び空間位置はそれぞれ、ジャケット及び曳航船のノード速度及び空間位置と一致し、前記ジャケット、曳航船、曳航ケーブルを全体としてカップリング解析を行い、
ジャケットの6自由度運動シミュレーションモデル及び曳航船の6自由度運動シミュレーションモデルは、何れも海洋環境の作用力及び曳航ケーブルの運動シミュレーションモデルにより生成された引張力を考慮することを特徴とする、請求項7に記載のジャケット曳航作業インテリジェントシミュレーション方法。
【請求項9】
ステップ(4)において、前記曳航ケーブルの運動シミュレーションモデルは、前記全般的な管理及び評価サブシステムにより設定された曳航ケーブルの初期パラメータによってモデル計算のために提供される、ことを特徴とする請求項7に記載のジャケット曳航作業インテリジェントシミュレーション方法。
【請求項10】
ステップ(4)において、前記ジャケットの6自由度運動シミュレーションモデルは次の通りである:
[式1]
であり、
前記曳航船の6自由度運動シミュレーションモデルは次の通りである:
[式2]
ここで、Msは、船舶質量マトリックス及び付加質量マトリックスを含む曳航船システム慣性マトリックスであり、Ds(Vs)は曳航船減衰マトリックスであり、gss)は、重力、浮力による力及びトルクのベクトルであり、Cs (Vs)はコリオリ向心力マトリックスであり、τesは曳航船の受けた推力であり、
前記曳航ケーブルの運動シミュレーションモデルは次の通りである:
[式3]
ここで、miはノードiの質量マトリックスであり、aiはノードiの付加質量マトリックスであり、Tはノード張力であり、Cはノード内部減衰力であり、Wiは単位長さの正味浮力であり、Dpiはノードでの横方向減衰力であり、Dqiはノードでの接線方向減衰力である、
ことを特徴とする請求項7に記載のジャケット曳航作業インテリジェントシミュレーション方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、海洋工事及びバーチャルシミュレーション技術分野に関し、特にジャケット曳航作業インテリジェントシミュレーションシステム及びモデリング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ジャケットは典型的な海上プラットフォームの1種として、建設コストが高く、曳航が難しく、輸送リスクが高いなどの特徴があり、大陸棚付近の海域の石油開発に広く適用されている。通常、ジャケットは陸上の埠頭で建造された後、目的の油田まで輸送されるが、湿式曳航とは、ジャケットが入水した後、浮遊タンクの設置又はブイの固縛によってジャケットを浮かせた状態で曳航船により直接に曳航する輸送方法を指し、進水と引き揚げとの間であり、主に短距離の荷送及び所定位置への設置に使用され、リスクが比較的高いが、経済性が高いという特徴がある。海上設置作業において無視できない要因は、複雑且つ変化しやすい自然環境であり、ジャケットの湿式曳航プロセスにおいても、潮流や風向きの変化が避けられないため、如何にして気象変化による影響を克服し、湿式曳航プログラムの安全性と信頼性を確保するかは、ジャケットの湿式曳航が直面する最大の難点である。従って、実際の海上工事作業前に海上湿式曳航の輸送プログラムに対してシミュレーションプレビューを行い、海上作業のリスクを事前に予測して回避し、輸送プログラムの実行可能性を検証することは、海上工事作業の安全性を確保し、工事効率を向上させるのに重要な意味を有する。
【0003】
そのため、如何にして、実際の海上工事作業前に海上湿式曳航の輸送プログラムに対してシミュレーションプレビューを行い、海上作業のリスクを事前に予測して回避し、輸送プログラムの実行可能性を検証し、海上工事作業の安全性を確保し、工事効率を向上させるジャケット曳航作業インテリジェントシミュレーションシステム及びモデリング方法を提供するかの問題の解消は、当業者にとって、急務である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
これらを鑑み、本発明は、ジャケット曳航作業インテリジェントシミュレーションシステム及びモデリング方法を提供する。HLA分散型シミュレーションアーキテクチャを使用することで、ジャケット曳航作業インテリジェントシミュレーションシステムは、それぞれ分散型共同シミュレーションサブシステム、全般的な管理及び評価サブシステム、操作制御シミュレーションサブシステム、ビジュアルシミュレーションサブシステム及び運動シミュレーションサブシステムである5つのサブシステムに分けられている。分散型共同シミュレーションサブシステムは各フェデレーションメンバーに通信インタフェースを提供し、全般的な管理及び制御サブシステムは訓練科目を発行すると共に、シミュレーションプロセスの開始と停止を制御し、運動シミュレーションサブシステムはネットワークを介してトレーナーから送信されたジャケットの初期状態及び曳航船の初期状態、曳航ケーブルの属性パラメータなどを受信し、同時にウインチコンソール及び曳航船コンソールからの制御命令を受信し、ジャケット、曳航船及び曳航ケーブルの運動状態をリアルタイムシミュレーションし、シミュレーションデータをビジュアルシミュレーションサブシステム並びに全般的な管理及び評価サブシステムに送信してビジュアルローミング及びデータ分析を行う。構築された6自由度運動モデルに基づいて、曳航状態で動的海況を考慮したジャケット、曳航船及び曳航ケーブルのリアルタイム運動状態を正確にシミュレーションすることができ、ビジュアルシミュレーションサブシステムに合わせて、ジャケット曳航作業プロセスの衝突干渉及び作業のリスクを直観的にフィードバックすることができる。本発明はヒューマンコンピュータインタラクション性を有し、海上曳航作業者向けの共同訓練及びスキルトレーニングに用いられると共に、ジャケット曳航への設置シミュレーションプレビュー及びプログラム検証を実現することもでき、作業者及び装備の安全性を効果的に保障し、海上作業リスクを低減させ、作業効率を向上させることができ、明らかな経済的利益及び社会的利益を有する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を実現するために、本発明は以下の技術的解決手段を採用する。
【0006】
分散型共同シミュレーションサブシステム、全般的な管理及び評価サブシステム、操作制御シミュレーションサブシステム、ビジュアルシミュレーションサブシステム及び運動シミュレーションサブシステムを含む、ジャケット曳航作業インテリジェントシミュレーションシステムである。
【0007】
分散型共同シミュレーションサブシステムは、各サブシステムに通信インタフェースを提供するのに用いられる。
【0008】
全般的な管理及び評価サブシステムは、シミュレーション科目を生成して発行するのに用いられる。
【0009】
操作制御シミュレーションサブシステムは、操作命令を生成するのに用いられる。
【0010】
運動シミュレーションサブシステムは、シミュレーション科目のパラメータ及び操作命令を受信し、ジャケット、曳航船及び曳航ケーブルの運動状態に対してリアルタイムシミュレーションを行い、ビジュアルシミュレーションサブシステムに伝送するのに用いられる。
【0011】
ビジュアルシミュレーションサブシステムは、ジャケット、曳航船及び曳航ケーブルの運動状態のリアルタイムシミュレーションに対して三次元表示を行うのに用いられる。
【0012】
選択的には、分散型共同シミュレーションサブシステムは具体的には、HLA分散型シミュレーションアーキテクチャに基づいて、RTIインタフェースを介して各フェデレーションメンバーと通信し、フェデレーション運行監視モジュールによって各フェデレーションメンバーの運行状態を監視する。
【0013】
選択的には、全般的な管理及び評価サブシステムは、トレーナーコンソール及び全般的な管理評価機能を含み、海洋環境パラメータ、ジャケットの初期位置及び曳航船の初期位置、曳航ケーブルの物理属性パラメータを設定し、シミュレーショントレーニング科目を生成して発行し、システムシミュレーションの開始と停止を制御し、同時に運動シミュレーションサブシステムにより生成されたシミュレーションデータを記録すると共に視覚的に表示するのに用いられる。
【0014】
選択的には、操作制御シミュレーションサブシステムは、曳航船コンソール及びウインチコンソールを含み、曳航船コンソールにより曳航船の航行方向、航行速度の基本操作パラメータが設定され、ウインチコンソールにより曳航ケーブルの回収と放出速度が設定される。
【0015】
選択的には、運動シミュレーションサブシステムは、ジャケットの6自由度運動シミュレーションモデル、曳航船の6自由度運動シミュレーションモデル及び曳航ケーブルの運動シミュレーションモデルを含み、全般的な管理及び評価サブシステムにより生成された流速、流向、波の方向の海洋環境パラメータ、曳航船の初期位置及びジャケットの初期位置、曳航ケーブルの直径、乾燥重量、湿潤重量の初期パラメータ、並びに操作制御シミュレーションサブシステムにより生成されたターゲット航行方向、航行速度、ウインチの速度の操作命令を受信することによって、ジャケットの6自由度運動データ及び曳航船の6自由度運動データ、曳航ケーブルの形態及び張力をリアルタイム計算し、シミュレーションデータをビジュアルシミュレーションサブシステム及び全般的な管理及び評価サブシステムに提供する。
【0016】
選択的には、ビジュアルシミュレーションサブシステムは、ジャケット曳航作業三次元モデルライブラリ及びビジュアルシミュレーションソフトウェアを含み、モデルシミュレーションデータによって三次元ビジュアルを駆動し、ジャケットの運動状態及び曳航船の運動状態、曳航ケーブルの形態、海洋環境に対してリアルタイムレンダリングを行う。
【0017】
本発明は、ジャケット曳航作業インテリジェントシミュレーション方法を更に提供し、上記方法は、
分散型共同シミュレーションサブシステムを起動し、各サブシステムのソフトウェアとハードウェアの通信に保障を提供すると共に、各フェデレーションメンバーの運行状態を監視するステップ(1)と、
全般的な管理及び評価サブシステムを応用し、シミュレーション訓練科目を選択して海況条件及びジャケットの初期位置、曳航船の初期位置、曳航ケーブルの初期パラメータを設定し、パラメータ設定が完了した後に運動シミュレーションサブシステムに送信し、ネットワークによってシステムのシミュレーションプロセスの開始と停止を制御するステップ(2)と、
操作制御シミュレーションサブシステムを応用し、シミュレーション需要に基づいて、操作ハンドル及び制御ソフトウェアによってウインチの速度及び曳航船の制御命令を設定し、運動シミュレーションサブシステムに送信するステップ(3)と、
ジャケットの6自由度運動シミュレーションモデル、曳航船の6自由度運動シミュレーションモデル及び曳航ケーブルの運動シミュレーションモデルを含む運動シミュレーションサブシステムを応用し、全般的な管理及び評価サブシステム並びに操作制御シミュレーションサブシステムから送信された制御命令に従って、6自由度運動シミュレーションモデルを駆動すると共に、カップリングシステムの運動状態をリアルタイム決算し、同時にシミュレーションデータを全般的な管理及び評価サブシステム並びにビジュアルシミュレーションサブシステムに伝送するステップ(4)と、
ビジュアルシミュレーションサブシステムを応用し、全般的な管理及び評価サブシステムにより発行された海洋環境データ並びに運動シミュレーションサブシステムにより計算されたシミュレーションデータに基づいて、訓練シーン及び作業装備に対してリアルタイムレンダリング及び三次元表示を行うステップ(5)と、を含む。
【0018】
選択的には、ステップ(4)において、ジャケット及び曳航船の運動方程式には、曳航ケーブルのジャケットに対する作用力及び曳航船に対する作用力がそれぞれ含まれ、曳航ケーブルの末端はジャケットに固定するように接続されると見なされ、先端は曳航船に固定するように接続されると見なされ、解析プロセスにおいて曳航ケーブルの末端及び先端のノード速度及び空間位置はそれぞれ、ジャケット及び曳航船のノード速度及び空間位置と一致し、ジャケット、曳航船、曳航ケーブルを全体としてカップリング解析を行う。
【0019】
ジャケットの6自由度運動シミュレーションモデル及び曳航船の6自由度運動シミュレーションモデルは、何れも海洋環境の作用力及び曳航ケーブルの運動シミュレーションモデルにより生成された引張力を考慮する。
【0020】
選択的には、ステップ(4)において、曳航ケーブルの運動シミュレーションモデルは、全般的な管理及び評価サブシステムにより設定された曳航ケーブルの初期パラメータによってモデル計算のために提供される。
【0021】
選択的には、ステップ(4)において、ジャケットの6自由度運動シミュレーションモデルは次の通りである:
【式1】
【0022】
である。
【0023】
曳航船の6自由度運動シミュレーションモデルは次の通りである:
【式2】
【0024】
である。
【0025】
曳航ケーブルの運動シミュレーションモデルは次の通りである:


























【式3】
【0026】
である。
【0027】
上記の技術的解決手段から分かるように、従来技術と比べて、本発明は、ジャケット曳航作業インテリジェントシミュレーションシステム及びモデリング方法を提供する。HLA分散型シミュレーションアーキテクチャを使用することで、ジャケット曳航作業インテリジェントシミュレーションシステムは、それぞれ分散型共同シミュレーションサブシステム、全般的な管理及び評価サブシステム、操作制御シミュレーションサブシステム、ビジュアルシミュレーションサブシステム及び運動シミュレーションサブシステムである5つのサブシステムに分けられている。分散型共同シミュレーションサブシステムは各フェデレーションメンバーに通信インタフェースを提供し、全般的な管理及び制御サブシステムは訓練科目を発行すると共に、シミュレーションプロセスの開始と停止を制御し、運動シミュレーションサブシステムはネットワークを介してトレーナーから送信されたジャケットの初期状態及び曳航船の初期状態、曳航ケーブルの属性パラメータなどを受信し、同時にウインチコンソール及び曳航船コンソールからの制御命令を受信し、ジャケット、曳航船及び曳航ケーブルの運動状態をリアルタイムシミュレーションし、シミュレーションデータをビジュアルシミュレーションサブシステム並びに全般的な管理及び評価サブシステムに送信してビジュアルローミング及びデータ分析を行う。構築された6自由度運動モデルに基づいて、曳航状態で動的海況を考慮したジャケット、曳航船及び曳航ケーブルのリアルタイム運動状態を正確にシミュレーションすることができ、ビジュアルシミュレーションサブシステムに合わせて、ジャケット曳航作業プロセスの衝突干渉及び作業のリスクを直観的にフィードバックすることができる。本発明はヒューマンコンピュータインタラクション性を有し、海上曳航作業者向けの共同訓練及びスキルトレーニングに用いられると共に、ジャケット曳航への設置シミュレーションプレビュー及びプログラム検証を実現することもでき、作業者及び装備の安全性を効果的に保障し、海上作業リスクを低減させ、作業効率を向上させることができ、明らかな経済的利益及び社会的利益を有する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
本発明の実施例又は従来技術における技術的解決手段をより明瞭に説明するために、以下、実施例又は従来技術の記載に使用する図面を簡単に紹介し、無論、以下に記載される図面は本発明の実施例に過ぎず、当業者は、創造的な労力を払うことなく、提供された図面に基づいて他の図面を得ることもできる。
図1】本発明のジャケット曳航作業インテリジェントシミュレーションシステムの構成図である。
図2】本発明のジャケット曳航作業シミュレーションモデル計算のフローチャートである。
図3】本発明のビジュアルシミュレーションソフトウェア設計のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施例における図面と合わせて、本発明の実施例における技術的解決手段を明らかで完全に説明するが、無論、説明される実施例は、単に本発明の実施例の一部であり、全ての実施例ではない。当業者が本発明の実施例に基づいて創造的な労働を払わない前提で得られた他の全ての実施例は、いずれも本発明の請求範囲に属する。
【実施例
【0030】
実施例1
図1に示すように、本発明の実施例1は、分散型共同シミュレーションサブシステム、全般的な管理及び評価サブシステム、操作制御シミュレーションサブシステム、ビジュアルシミュレーションサブシステム及び運動シミュレーションサブシステムを含むジャケット曳航作業インテリジェントシミュレーションシステムを開示した。
【0031】
分散型共同シミュレーションサブシステムは各サブシステムに通信インタフェースを提供するのに用いられ、具体的には、HLA分散型シミュレーションアーキテクチャに基づいて、RTIインタフェースを介して各フェデレーションメンバーと通信し、フェデレーション運行監視モジュールによって各フェデレーションメンバーの運行状態を監視した。
【0032】
全般的な管理及び評価サブシステムはシミュレーション科目を生成して発行するのに用いられ、トレーナーコンソール及び全般的な管理評価機能を含み、海洋環境パラメータ、ジャケットの初期位置及び曳航船の初期位置、曳航ケーブルの物理属性パラメータを設定し、シミュレーショントレーニング科目を生成して発行し、システムシミュレーションの開始と停止を制御し、同時に運動シミュレーションサブシステムにより生成されたシミュレーションデータを記録すると共に視覚的に表示するのに用いられた。
【0033】
操作制御シミュレーションサブシステムは操作命令を生成するのに用いられ、曳航船コンソール及びウインチコンソールを含み、曳航船コンソールにより曳航船の航行方向、航行速度の基本操作パラメータが設定され、ウインチコンソールにより曳航ケーブルの回収と放出速度が設定された。
【0034】
運動シミュレーションサブシステムは、シミュレーション科目のパラメータ及び操作命令を受信し、ジャケット、曳航船及び曳航ケーブルの運動状態に対してリアルタイムシミュレーションを行い、ビジュアルシミュレーションサブシステム並びに全般的な管理及び評価サブシステムに伝送するのに用いられ、ジャケットの6自由度運動シミュレーションモデル、曳航船の6自由度運動シミュレーションモデル及び曳航ケーブルの運動シミュレーションモデルを含み、全般的な管理及び評価サブシステムにより生成された流速、流向、波の方向の海洋環境パラメータ、曳航船の初期位置及びジャケットの初期位置、曳航ケーブルの直径、乾燥重量、湿潤重量の初期パラメータ、並びに操作制御シミュレーションサブシステムにより生成されたターゲット航行方向、航行速度、ウインチの速度の操作命令を受信することによって、ジャケットの6自由度運動データ及び曳航船の6自由度運動データ、曳航ケーブルの形態及び張力をリアルタイム計算し、シミュレーションデータをビジュアルシミュレーションサブシステム及び全般的な管理及び評価サブシステムに提供した。
【0035】
ビジュアルシミュレーションサブシステムは、ジャケット、曳航船及び曳航ケーブルの運動状態のリアルタイムシミュレーションに対して三次元表示を行うのに用いられ、ジャケット曳航作業三次元モデルライブラリ及びビジュアルシミュレーションソフトウェアを含み、モデルシミュレーションデータによって三次元ビジュアルを駆動し、ジャケットの運動状態及び曳航船の運動状態、曳航ケーブルの形態、海洋環境に対してリアルタイムレンダリングを行った。
【0036】
実施例2
本発明の実施例2は、以下のステップを含むジャケット曳航作業インテリジェントシミュレーション方法を提供した。即ち、
ステップ(1):分散型共同シミュレーションサブシステムを起動し、各サブシステムのソフトウェアとハードウェアの通信に保障を提供すると共に、各フェデレーションメンバーの運行状態を監視した。
ステップ(2):全般的な管理及び評価サブシステムを応用し、シミュレーション訓練科目を選択して有義波高、流向、流速を含む海況条件及びジャケットの初期位置、曳航船の初期位置、曳航ケーブルの長さ、直径、乾燥重量、湿潤重量、剛性の初期パラメータを設定し、パラメータ設定が完了した後に運動シミュレーションサブシステムに送信し、ネットワークによってシステムのシミュレーションプロセスの開始と停止を制御した。
ステップ(3):操作制御シミュレーションサブシステムを応用し、トレーニング参加者はシミュレーション需要に基づいて、操作ハンドル及び制御ソフトウェアによってウインチの速度及び舵角、プッシャーパーセンテージ、ターゲット航行方向、ターゲット航行速度を含む曳航船の制御命令を設定し、曳航ケーブルの運動シミュレーションモデル及び曳航船の6自由度運動シミュレーションモデルに送信した。
ステップ(4):図2に示すように、ジャケットの6自由度運動シミュレーションモデル、曳航船の6自由度運動シミュレーションモデル及び曳航ケーブルの運動シミュレーションモデルを含む運動シミュレーションサブシステムを応用し、トレーナーコンソール及びウインチ、曳航船コンソールから送信された制御命令に従って、6自由度運動モデルを駆動すると共に、カップリングシステムの運動状態をリアルタイム決算し、同時にシミュレーションデータを全般的な管理及び評価サブシステム並びにビジュアルシミュレーションサブシステムに伝送した。
【0037】
ジャケットの6自由度運動モデルはモリソン方程式に基づいて、海流力、海風力、慣性力、浮力、引張力、付加質量などを考慮し、曳航船の6自由度運動モデルは6自由度微分方程式に基づいて、曳航船の慣性マトリックス、減衰マトリックス、コリオリ向心力マトリックスなどを考慮し、曳航ケーブルの運動モデルは集中質量法に基づいて曳航ケーブルに対して空間離散を行い、N+1個のノードを介して曳航ケーブル全体をNセグメントに離散し、曳航ケーブルの末端は0番目のノードであり、ジャケットに接続され、先端はN+1番目のノードであり、曳航船に接続され、各ノードの座標及び張力をそれぞれ計算した。
【0038】
ジャケット及び曳航船の運動方程式には、曳航ケーブルのジャケットに対する作用力及び曳航船に対する作用力がそれぞれ含まれ、曳航ケーブルの末端はジャケットに固定するように接続されると見なされ、先端は曳航船に固定するように接続されると見なされ、解析プロセスにおいて曳航ケーブルの末端及び先端のノード速度及び空間位置はそれぞれ、ジャケット及び曳航船のノード速度及び空間位置と一致し、ジャケット、曳航船、曳航ケーブルを全体としてカップリング解析を行った。
【0039】
ジャケットの6自由度運動シミュレーションモデル及び曳航船の6自由度運動シミュレーションモデルは、何れも海洋環境の作用力及び曳航ケーブルの運動シミュレーションモデルにより生成された引張力を考慮した。
【0040】
曳航ケーブルの運動モデルは、トレーナーコンソールが曳航ケーブルの直径、乾燥重量、湿潤重量、長さ、軸方向剛性の基本パラメータを設定することによって、モデル計算のために提供された。
【0041】
湿式曳航プロセスにおいて、ジャケット水動力モデルはモリソン方程式に基づいて、ジャケットの波中で受けた力を考慮し、ジャケットの6自由度運動シミュレーションモデルは次の通りである:
【式4】
【0042】
である。
【0043】
モリソンの慣性力は、加速度に関連し、2つの部分を含み、1番目の部分は流体の圧力に関連し、2番目の部分は流体に対する構造の破壊に関連する。
【式5】
【0044】
モリソンの引張力は主に粘性抵抗であり、粘性抵抗は構造部品間の流体の相対速度の平方に正比例する:
【式6】
【0045】
モリソンの浮力は排水の質量によって計算される:















【式7】
【0046】
モリソンによる水中での構造部品の付加質量の計算:
【式8】
【0047】
【0048】
曳航船の動力学は6自由度微分方程式によって説明することができ、曳航船の6自由度運動シミュレーションモデルは次の通りである:
【式9】
【0049】
である。
【0050】
曳航ケーブルは集中質量法を動力学基本モデルとして使用し、集中質量法の計算モデルは内部軸方向の張力と減衰力、重力、浮力、モリソン方程式によって計算された水動力に合わせて、曳航ケーブルの単位長さの作用力の計算式は次の通りである:
【式10】
【0051】
である。
【0052】
曳航ケーブルの運動シミュレーションモデル、即ち各ノードの完全な運動計算式は次の通りである:
【式11】
【0053】
である。
【0054】
上記の式における2階常微分方程式は、1階常微分方程式に置き換えて、連続した時間ステッピングの2階runge-kutta法によって積分計算を行うことができる。
【0055】
ステップ(5):図3に示すように、全般的な管理及び評価サブシステムにより発行された海洋環境データ並びに運動シミュレーションサブシステムにより計算されたジャケットの6自由度運動データ、曳航船の6自由度運動データ及び曳航ケーブルノード座標に基づいて、三次元ビジュアルシミュレーションを駆動し、訓練シーン及び作業装備に対してリアルタイムレンダリング及び三次元表示を行った。
【0056】
実施例3
本発明の実施例3は、以下の幾つかの段階を含む。
【0057】
段階1:実施例の選択及び作業条件の設定
指揮官A、トレーナーB、ウィンドラス操縦者C及び4人の曳航船運転手D1~D4を含む合計7人がある時の複数人による共同曳航作業に参加した。訓練ケース:ジャケットを水中に滑り込ませた後、設置位置から1400m離れ、設置船により2本の主曳航用アンカーケーブルが提供され、補助曳航用の曳航船が4隻装備され、アンカーケーブルは曳航プロセスにおいて回収することで主な引張力を提供し、4本の曳航ケーブルが共同でジャケットの航行方向を制御し、ヨーを避けた。
【0058】
【表1】
【0059】
【表2】
【0060】
段階2:タスクターゲットの明確化及び初期パラメータの設定
ジャケットの曳航プログラム及び選択された曳航ケーブル属性に基づいて、海洋環境パラメータ、ジャケットの物理属性パラメータ及び曳航船の物理属性パラメータ、初期位置及び船首方位、曳航ケーブルとジャケット及び曳航船との接続位置、曳航ケーブルの物理属性パラメータ、ケーブルノードの数などを設定した。
【0061】
ジャケットの曳航プログラムに従って、実例タスクは5つのタスクターゲットに分けられた。
タスクターゲット1:各ステーションのトレーニング参加者が所定の位置に到着し、トレーナーは作業プログラムに基づいて作業海況及びシミュレーション科目情報を正常に発行した。
タスクターゲット2:ジャケットの曳航ケーブルが正常に吊り下げられた後、4隻の曳航船が待機状態に保持し、ウインチ操縦者は命令に従って、曳航ケーブルが引っ張られているとトレーナーが確認するまでケーブルを回収した。
タスクターゲット3:各曳航船の運転手は、指揮官の操作命令に従って曳航船の船首方位を調整してターゲット位置へ曳航し初め、曳航プロセスにおいて航行速度を保持してジャケットの航行方向を共同で制御した。
タスクターゲット4:ジャケットが所定の設置位置に到着する直前、ウインチ操縦者は指揮官の命令に従ってケーブルの回収を停止し、各曳航船は航行方向を調整してジャケットの減速を補助した。
タスクターゲット5:ジャケットが所定の位置に到着した後、ジャケットの運動状態が安定するように保持し、各操作ステーションが待機状態を解除し、訓練が終了した。
【0062】
段階3:ジャケット曳航の実戦訓練
確立されたタスクターゲットに基づいて、各トレーニング参加者は、属するステーションに到着してシミュレーション訓練を行った。
【0063】
まず、指揮官は分散型シミュレーションソフトウェアを起動し、各フェデレーションメンバーの運行状態を確認し、各サブシステムのスムーズな通信を確保し、トレーナーは全般的な管理及び評価ソフトウェアによってシミュレーション初期パラメータを設定し、シミュレーション科目を各シミュレーションステーションに発行し、ステーション監視によってトレーニング参加者が所定の位置に到着したか否か、ビジュアルシミュレーションソフトウェアが正常に起動したか否かを確認し、準備ができた後、指揮官はシミュレーション命令を発行し、訓練が開始した。
【0064】
ウィンドラス操縦者は、指揮官の命令に従ってウインチ制御ソフトウェアによって主曳航ケーブルを回収し、指揮官は、三次元ビジュアル画面によって曳航ケーブルの状態を観察し、トレーナーは、シミュレーションデータを監視し、曳航ケーブルが引っ張られていると確認した後、曳航船の操縦者は、命令に従ってハンドル及び操作ソフトウェアによって順に曳航船の船首のステアリングを制御して船を移動させ初め、船の移動プロセスにおいて、指揮官及びトレーナーは、それぞれのステーションで各作業装備の運動状態及び衝突干渉の状況を観察し、ジャケットの航行状態に基づいて操作命令を発行した。
【0065】
ジャケットが所定の位置に到着する直前、指揮官は命令を発行し、ウインチ操縦者はケーブルの回収を停止し、ジャケット頂部に位置する1番、4番の曳航船の運転手が減速して船を停止し、ジャケット底部に位置する2番、3番の曳航船が減速して航行方向を調整し、ジャケットが所定の位置に到着するまで減速するように補助した。
【0066】
シミュレーションプロセスにおいて、シミュレーションの終了には2つの場合が含まれた。1つ目は、訓練タスクがスムーズに実行され、ジャケットがターゲット位置まで正常に曳航された場合である。2つ目は、訓練プロセスにおいて、曳航船とジャケットとの間に重大な衝突干渉が発生したか、又は複数のケーブルが破断したため、曳航作業を継続することができず、訓練タスクの終了を自ら決定した場合である。
【0067】
本発明の実施例は、ジャケット曳航作業インテリジェントシミュレーションシステム及びモデリング方法を開示した。HLA分散型シミュレーションアーキテクチャを使用することで、ジャケット曳航作業インテリジェントシミュレーションシステムは、それぞれ分散型共同シミュレーションサブシステム、全般的な管理及び評価サブシステム、操作制御シミュレーションサブシステム、ビジュアルシミュレーションサブシステム及び運動シミュレーションサブシステムである5つのサブシステムに分けられている。分散型共同シミュレーションサブシステムは各フェデレーションメンバーに通信インタフェースを提供し、全般的な管理及び制御サブシステムは訓練科目を発行すると共に、シミュレーションプロセスの開始と停止を制御し、運動シミュレーションサブシステムはネットワークを介してトレーナーから送信されたジャケットの初期状態及び曳航船の初期状態、曳航ケーブルの属性パラメータなどを受信し、同時にウインチコンソール及び曳航船コンソールからの制御命令を受信し、ジャケット、曳航船及び曳航ケーブルの運動状態をリアルタイムシミュレーションし、シミュレーションデータをビジュアルシミュレーションサブシステム並びに全般的な管理及び評価サブシステムに送信してビジュアルローミング及びデータ分析を行う。構築された6自由度運動モデルに基づいて、曳航状態で動的海況を考慮したジャケット、曳航船及び曳航ケーブルのリアルタイム運動状態を正確にシミュレーションすることができ、ビジュアルシミュレーションサブシステムに合わせて、ジャケット曳航作業プロセスの衝突干渉及び作業のリスクを直観的にフィードバックすることができる。本発明はヒューマンコンピュータインタラクション性を有し、海上曳航作業者向けの共同訓練及びスキルトレーニングに用いられると共に、ジャケット曳航への設置シミュレーションプレビュー及びプログラム検証を実現することもでき、作業者及び装備の安全性を効果的に保障し、海上作業リスクを低減させ、作業効率を向上させることができ、明らかな経済的利益及び社会的利益を有する。
【0068】
本明細書における各実施例は、漸進的な方法で説明され、各実施例について他の実施例との相違点を重点として説明し、各実施例間の同じ又は類似する部分は互いに参照すればよい。実施例で開示された装置については、実施例で開示された方法に対応するため、その説明は比較的簡単であり、関連する部分は方法部分の説明を参照すればよい。
【0069】
開示された実施例の上記説明により、当業者は本発明を実現又は使用することができる。これらの実施例に対する複数の修正は、当業者にとって明らかであり、本明細書で定義された一般原則は、本発明の精神又は範囲から逸脱することなく、他の実施例において実現することができる。従って、本発明は、本明細書に示されているこれらの実施例に限定されるものではなく、本明細書で開示された原則及び新規性の特徴と一致する最も広い範囲に適合される。
図1
図2
図3
【国際調査報告】