(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-04
(54)【発明の名称】ミルク飲料又はフォーム・ミルク飲料を製造するための装置、並びにミルク又はフォーム・ミルクを加熱するための方法
(51)【国際特許分類】
A47J 31/44 20060101AFI20240927BHJP
A47J 31/56 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
A47J31/44 410
A47J31/56
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023557011
(86)(22)【出願日】2022-10-05
(85)【翻訳文提出日】2024-02-08
(86)【国際出願番号】 EP2022077623
(87)【国際公開番号】W WO2023066659
(87)【国際公開日】2023-04-27
(31)【優先権主張番号】202021105696.7
(32)【優先日】2021-10-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523198431
【氏名又は名称】エバシス ソシエテ アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ベッセ、ジョナサン
(72)【発明者】
【氏名】ルイラー、ポール
(72)【発明者】
【氏名】ロビル、セバスチャン
【テーマコード(参考)】
4B104
【Fターム(参考)】
4B104AA27
4B104BA15
4B104BA17
4B104BA18
4B104BA20
4B104BA21
4B104BA23
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4B104DA23
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4B104EA17
4B104EA24
(57)【要約】
本発明は、ミルク飲料又はフォーム・ミルク飲料を製造するための装置であって、ポンプ1と、ポンプ1に接続されており、ミルク貯蔵槽Mに接続可能であるミルク吸入ライン2と、ポンプ1に接続されている出口ライン3と、加熱要素4とを備える装置に関する。ミルク又はフォーム・ミルクを加熱するために使用される加熱要素の許容できない負荷変動が発生することなく、ミルクとフォーム・ミルクとの両方を簡易的且つ急速に加熱するための装置を使用することができるように、及び加熱要素内でのミルクの堆積物又は付着物を回避するために、加熱要素4は、少なくとも2つの直列に接続されたフロー・ヒータ4a、4bを含む。本発明はさらに、ミルク又はフォーム・ミルクを加熱するための方法であって、冷たいミルク又は冷たいフォーム・ミルクが、ミルク貯蔵槽Mに接続されているミルク吸入ライン2からポンプ1によって吸い出され、ポンプ1に接続されている出口ライン3に運ばれ、加熱要素4によって加熱され、ミルク又はフォーム・ミルクが、加熱要素4の少なくとも2つの直列に接続されたフロー・ヒータ4a、4bを相次いで通って伝わる方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ミルク又はフォーム・ミルク飲料を製造するための装置であって、ポンプ(1)と、前記ポンプ(1)に接続されており、ミルク貯蔵槽(M)に接続可能であるミルク吸込ライン(2)と、前記ポンプ(1)に接続されている出口ライン(3)と、加熱要素(4)とを備える装置において、前記加熱要素(4)が、直列に接続されている少なくとも2つのフロー・ヒータ(4a、4b)を含むことを特徴とする装置。
【請求項2】
加熱された前記ミルク又は加熱された前記フォーム・ミルクの温度を検出するための、前記加熱要素(4)の下流側で前記出口ライン(3)に配置されている少なくとも1つの温度センサ(8a、8b)を特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
少なくとも1つのスロットル弁(7)が、前記出口ライン(3)に配置されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記加熱要素(4)が、前記スロットル弁(7)の下流側で前記出口ライン(3)に配置されていることを特徴とする、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
各フロー・ヒータ(4a、4b)が、厚膜ヒータとして設計されていることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記加熱要素(4)が、少なくとも第1のフロー・ヒータ(4a)と、第2のフロー・ヒータ(4b)とを含み、各フロー・ヒータ(4a、4b)が、他方のフロー・ヒータ(4a、4b)から少なくとも熱的に分離されている筐体(10)を有し、前記フロー・ヒータ(4a、4b)の前記筐体(10)が、好ましくは、熱的且つ局所的に互いに分離されていることを特徴とする、請求項1から5までのいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
一方が他方の後に配置されている前記加熱要素(4)の2つのフロー・ヒータ(4a、4b)が、前記ミルク吸込ライン(2)又は前記出口ライン(3)の一部である接続ライン(3’)を介して、流体を伝えるように互いに接続されていることを特徴とする、請求項1から6までのいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
各フロー・ヒータ(4a、4b)が、基板(11)と、前記基板(11)に接続されているカバー板(12)とを含み、導管(13)が、前記基板(11)と前記カバー板(12)との間に、前記ミルク又は前記フォーム・ミルクの通過用に形成されており、前記基板(11)及び/又は前記カバー板(12)が、前記導管を通って流れる前記ミルク又は前記フォーム・ミルクを伝導加熱するために電流接続部(17)を介して電流が印加され得る抵抗加熱器を包含することを特徴とする、請求項1から7までのいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
各フロー・ヒータ(4a、4b)の前記導管(13)が、蛇行形状又は螺旋形状を有することを特徴とする、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
各フロー・ヒータ(4a、4b)の加熱出力が、他方又は他のフロー・ヒータ(4a、4b)の前記加熱出力から独立して制御可能又は調整可能であることを特徴とする、請求項1から9までのいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
各フロー・ヒータ(4a、4b)の加熱力が、供給される電流によって制御可能又は調整可能であることを特徴とする、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
温度センサ(8a、8b)が各フロー・ヒータ(4a、4b)の下流側に配置されており、各フロー・ヒータ(4a、4b)の加熱力が、前記温度センサ(8a、8b)によって検出された前記ミルク又は前記フォーム・ミルクの温度に応じて制御又は調節されることを特徴とする、請求項10又は11に記載の装置。
【請求項13】
前記加熱要素(4)の各フロー・ヒータ(4a、4b)の最大加熱力が、1800Wよりも小さく、好ましくは450Wから1400Wの間であることを特徴とする、請求項10から12までのいずれか一項に記載の装置。
【請求項14】
各フロー・ヒータ(4a、4b)によって生成される加熱力を制御するように構成されている制御装置であって、前記フロー・ヒータ(4a、4b)の前記加熱力が、前記制御装置によって互いに独立して制御又は調節され得る、制御装置を特徴とする、請求項1から13までのいずれか一項に記載の装置。
【請求項15】
加熱サイクル中に、少なくとも1つの第1のフロー・ヒータ(4a)が、一定の加熱力(p1、p0)、特に前記第1のフロー・ヒータ(4a)の最大加熱力で作動し、少なくとも1つの第2のフロー・ヒータ(4b)が、時間可変の加熱力分布(p2(t))で作動するように、前記制御装置が設定されている、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記第2のフロー・ヒータ(4b)の前記時間可変の加熱力分布(p2(t))の最大振幅(p2)が、最大で、前記第1のフロー・ヒータ(4a)の前記一定の加熱力(p1、p0)と同じ大きさである、請求項15に記載の装置。
【請求項17】
ミルクを加熱する場合には、前記第1のフロー・ヒータ(4a)の前記一定の加熱力(p1、p0)が、前記第2のフロー・ヒータ(4b)の前記時間可変の加熱力分布(p2(t))の最大振幅(p2)よりも、好ましくは2倍超、特に3倍大きい、請求項15に記載の装置。
【請求項18】
フォーム・ミルクを加熱する場合には、前記第2のフロー・ヒータ(4b)の前記時間可変の加熱力分布(p2(t))の最大振幅(p2)が、前記第1のフロー・ヒータ(4a)の前記一定の加熱力(p1、p0)に少なくともおおよそ対応する、請求項15に記載の装置。
【請求項19】
前記第2のフロー・ヒータ(4b)の前記時間可変の加熱力分布(p2(t))が、パルス状であることを特徴とする、請求項15から18までのいずれか一項に記載の装置。
【請求項20】
前記第2のフロー・ヒータ(4b)の前記時間可変の加熱力分布(p2(t))が、特に矩形信号、三角信号、若しくは鋸歯信号の形で複数のパルスを持つ時間分布、又は周期的な時間分布、特に正弦波形状を有し、好ましくは、前記パルスの振幅、パルス継続時間及び/若しくはパルス周波数、又は前記デューティ・サイクル、或いは前記周期的な時間分布が、加熱サイクル中に可変であることを特徴とする、請求項15から19までのいずれか一項に記載の装置。
【請求項21】
前記加熱要素(4)内で加熱される前記ミルク又はフォーム・ミルクが所定の設定温度まで加熱されるように、前記第2のフロー・ヒータ(4b)の前記時間可変の加熱力分布(p2(t))が加熱サイクル中に調節されるように、前記制御装置が構成されている、請求項16から20までのいずれか一項に記載の装置。
【請求項22】
前記第1のフロー・ヒータ(4a)の前記一定の加熱力(p1)が、1800Wよりも小さく、好ましくは1400Wよりも小さい、請求項15から21までのいずれか一項に記載の装置。
【請求項23】
各フロー・ヒータ(4a、4b)が、異なる加熱力(p0、p1)及び/又は連続的に調整可能な加熱力を各々有するいくつかの異なる動作段階で作動することができる、請求項1から22までのいずれか一項に記載の装置。
【請求項24】
ミルク又はフォーム・ミルクを加熱するための方法であって、冷たいミルク又は冷たいフォーム・ミルクが、ミルク貯蔵槽(M)に接続されているミルク吸込ライン(2)からポンプ(1)によって吸い込まれ、前記ポンプ(1)に接続されている出口ライン(3)に運ばれ、加熱要素(4)によって加熱される方法において、前記ミルク又はフォーム・ミルクが、直列に接続されている前記加熱要素(4)の少なくとも2つのフロー・ヒータ(4a、4b)を相次いで通過することを特徴とする方法。
【請求項25】
フォーム・ミルクを生成する場合には、圧縮ガス、特に圧縮空気が、前記ミルク吸込ライン(2)及び/又は前記出口ライン(3)に接続されているガス供給ライン(5)を通って、前記ミルク吸込ライン(2)及び/又は前記出口ライン(3)に運ばれる、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
各フロー・ヒータ(4a、4b)の加熱出力が、他のフロー・ヒータ(4a、4b)の加熱出力から独立して制御又は調節される、請求項24又は25に記載の方法。
【請求項27】
各瞬間式水ヒータ(4a、4b)の前記加熱出力が、それぞれの前記瞬間式水ヒータ(4a、4b)に供給される電流によって制御又は調節される、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
温度センサ(8a、8b)が、各フロー・ヒータ(4a、4b)に関連付けられており、各フロー・ヒータ(4a、4b)の前記加熱力の前記制御又は調節が、前記温度センサ(8a、8b)によって検出された前記ミルク又はフォーム・ミルクの温度の関数として行われることを特徴とする、請求項24から27までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
各フロー・ヒータ(4a、4b)の前記加熱力が、特に加熱された前記ミルク又は加熱された前記フォーム・ミルクの温度を所定の設定温度に適合させるために、制御装置によって制御又は調節されることを特徴とする、請求項24から28までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
加熱サイクル中に、少なくとも1つの第1のフロー・ヒータ(4a)が、一定の加熱力(p1、p0)で作動し、少なくとも1つの第2のフロー・ヒータ(4b)が、時間可変の加熱力分布(p2(t))で作動する、請求項24から29までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
加熱サイクル中の前記第2のフロー・ヒータ(4b)の前記時間可変の加熱力分布(p2(t))の最大振幅(p2)が、最大で、前記第1のフロー・ヒータ(4a)の前記一定の加熱力(p1)と同じ大きさである、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
ミルクを加熱する場合には、加熱サイクル中の前記第1のフロー・ヒータ(4a)の前記一定の加熱力(p1)が、前記第2のフロー・ヒータ(4b)の前記時間可変の加熱力分布(p2(t))の前記最大振幅(p2)よりも、好ましくは2倍超、特に3倍大きい、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
フォーム・ミルクを加熱する場合には、加熱サイクル中の前記第2のフロー・ヒータ(4b)の前記時間可変の加熱力分布(p2(t))の前記最大振幅(p2)が、前記第1のフロー・ヒータ(4a)の前記一定の加熱力(p1、p0)に少なくともおおよそ対応する、請求項31に記載の方法。
【請求項34】
前記第2のフロー・ヒータ(4b)の前記時間可変の加熱力分布(p2(t))が、パルス状であり、及び/又は周期的な時間特性、特に正弦波形状を有する、請求項31から33までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
前記第2のフロー・ヒータ(4b)の前記時間可変の加熱力分布(p2(t))が、方形波信号、若しくは三角信号、若しくは鋸歯信号に対応するか、又は周期的な時間特性を有し、好ましくは、加熱サイクル中に可変の振幅、パルス継続時間及び/若しくはパルス周波数、又は可変のデューティ・サイクルを持つ、請求項31から34までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
前記加熱要素(4)内で加熱される前記ミルク又はフォーム・ミルクが所定の設定温度まで加熱されるように、前記第2のフロー・ヒータ(4b)の前記時間可変の加熱力分布(p2(t))が加熱サイクル中に制御される、請求項24から35までのいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前文によるミルク又はフォーム・ミルク飲料を製造するための装置、並びに請求項24の前文によるミルク又はフォーム・ミルクを加熱するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1により、フォーム・ミルク又は温かいミルク飲料を製造するための方法、及びその方法を行うための装置が既知であり、ミルクは、容器からポンプを用いて吸い込まれ、出口まで運ばれ、フォーム・ミルクの製造の場合には、空気又は別のガスを制御可能な分量でミルクに混ぜることができる。ミルク又は製造されたフォーム・ミルクは、ミルク又はフォーム・ミルクを加熱するために、吸込み中に連続フロー・ヒータを通過し、次いで加熱されたミルク又は加熱されたフォーム・ミルクは、スロットル点を介して出口に運ばれる。これに関連して、ミルク又はフォーム・ミルクを加熱するために連続フロー・ヒータを使用することにより、冷たいミルクは、加熱のための特殊な容器に移される必要なく、任意の容器から直接取り出されることができる。さらに、ミルク又はフォーム・ミルクを加熱するための加熱要素として連続フロー・ヒータを使用することにより、加熱されたミルク又は加熱されたフォーム・ミルクが、スロットル点を介して出口に直接運ばれることができるため、高価でメンテナンスを多く要する抵抗通過要素が必要ではなくなる。さらに、連続フロー・ヒータを使用すると、迅速にミルク又はフォーム・ミルクを加熱することが可能になり、加熱要素として使用される連続フロー・ヒータにより、加熱要素を含む装置を迅速且つ簡単に洗浄することが可能になる。冷たいフォーム・ミルクを所望の設定温度に加熱することができるフロー・ヒータの使用によって、熱い水蒸気をミルクに散在させて温かいフォーム・ミルクを製造する複雑な混合装置の使用が無くされる。
【0003】
しかしながら、ミルク又はフォーム・ミルクを加熱するための加熱要素として装置内でフロー・ヒータを使用することは、不利な点ももたらす。例えば、フロー・ヒータ内の局所的に非常に高い表面温度により、フロー・ヒータを通過するミルクが局所的に焦げ、フロー・ヒータの瞬間式導管内の付着物又はミルクの堆積物につながる場合がある。そのような付着物又はミルクの堆積物は、攻撃的な特に酸性の洗浄溶液を使用することによってのみ除去されることができるので、フロー・ヒータから付着物又はミルクの堆積物を除去するためには、高価な洗浄剤から洗浄溶液を準備して行う洗浄が、定期的に必要になる。このことは、装置の洗浄コストを悪化させ増加させる。
【0004】
さらに、冷たいミルクとフォーム・ミルクとの両方が加熱されるべきである装置内でフロー・ヒータを使用する場合、ミルク又はフォーム・ミルクを加熱するには異なる加熱力が必要であり、フロー・ヒータの関係する負荷変動があるため、フロー・ヒータに電力を供給する電源ネットワーク内で、電流レベルが変動するという問題が生じ得る。電源ネットワークでの作動電圧の変動を防ぐためには、より大きな需要部は、DIN EN 61000-3-3で規定されているフリッカ(電源ネットワークでの電圧変動)を回避するための特定の要件を満たさなければならない。特に、より大きな負荷は、10分間隔にわたって決定される短期のフリッカ強度の1.0を超えるべきではない。このことは、フロー・ヒータを使用してミルク又はフォーム・ミルクを加熱するときの加熱負荷変動のため、容易には保証されることができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】欧州特許出願公開第1593330号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この背景に対して、本発明は、ミルク又はフォーム・ミルクを加熱するために使用される加熱要素の容認できない負荷変動を引き起こすことなく、ミルクとフォーム・ミルクとの両方を簡易的に素早く加熱することができる装置及び方法を提供する課題、並びに加熱要素内のミルクの堆積物及び付着物を回避することによって加熱要素の簡易的な洗浄を可能にする課題に基づいている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
これらの課題は、請求項1の特徴を有する装置、及び請求項24の特徴を有する方法で解決される。装置及び方法の好ましい実施例は、従属請求項から選ばれるべきであり、装置に関する請求項で定義された特徴は、方法にも移譲することができ、逆もまた同様である。
【0008】
本発明によれば、課題は、ミルク又はフォーム・ミルク飲料を製造するための装置であって、ポンプと、特にポンプ入口においてポンプに接続されており、ミルク貯蔵槽に接続可能であるミルク吸込ラインと、特にポンプ出口においてポンプに接続されている出口ラインと、加熱要素とを備える装置において、加熱要素が、直列に接続されている少なくとも2つのフロー・ヒータを含む、装置によって解決される。
【0009】
本発明によるミルク又はフォーム・ミルクを加熱するための方法では、冷たいミルク又は冷たいフォーム・ミルクが、ミルク貯蔵槽に接続されているミルク吸込ラインからポンプによって吸い込まれ、ポンプに接続されている出口ラインに運ばれ、加熱要素によって加熱され、ミルク又はフォーム・ミルクが、加熱のために、加熱要素の少なくとも2つの直列に接続されているフロー・ヒータを相次いで通過する。
【0010】
直列に接続されている(少なくとも)2つのフロー・ヒータを使用することによって、単一のフロー・ヒータのみを包含する加熱要素の使用と比較して、フロー・ヒータ内でミルク又はフォーム・ミルクを加熱するために、加熱サイクル中に生成されるフロー・ヒータ内の(最大)温度をより低く保つことができるので、加熱要素内の付着物及びミルクの堆積物を回避することができる。例えば70℃以上の温度までミルクを加熱するために単一のフロー・ヒータを使用する場合、加熱サイクル中には、局所的に、特にフロー・ヒータの中心において100℃を超える温度が生成される。特にフロー・ヒータのフロー導管の壁面で発生するこれらの高温において、通過するミルクの局所的な焦げが発生し得、ミルクの堆積物及び付着物をもたらす。このミルクの堆積物及び付着物は、フロー・ヒータのフロー導管の導管壁面に蓄積し得、それによって導管の断面積を低減する。或いは、このミルクの堆積物及び付着物は、フロー・ヒータのフロー導管から加熱されたミルクと共に粒子として排出され、それによって加熱されたミルク飲料の製品品質に悪影響を及ぼし得、特に味が望ましくなく変わることにつながり得る。
【0011】
直列に接続されている少なくとも2つの連続フロー・ヒータを伴う加熱要素を使用することによって、フロー・ヒータ内で生成される最大温度を特に100℃未満の温度まで下げることができ、これにより、通過するミルクが焦げることを確実に防ぐことができる。したがって、直列に接続されている2つ以上のフロー・ヒータを使用すると、個別のフロー・ヒータのフロー導管内での付着物の形成を防ぐことができるので、本発明による装置及び方法は、ミルクを加熱するために使用された加熱要素の洗浄を容易にする。さらに、直列に接続されている少なくとも2つのフロー・ヒータを使用すると、ミルク又はフォーム・ミルクが加熱されるときに、ミルク飲料の味及び濃度に悪影響を及ぼし得る粒状のミルク粒子が製造されないので、加熱されたミルク又はフォーム・ミルクから製造されるミルク飲料の製品品質が向上する。
【0012】
さらに、少なくとも2つの直列に接続されたフロー・ヒータを使用することによって、個別のフロー・ヒータの加熱力を、単一のフロー・ヒータの使用と比較して低く保つことができるので、単一のフロー・ヒータの使用と比較して、電力システムでの電圧変動に関する仕様を満たすことができる。特に、少なくとも2つの直列接続されたフロー・ヒータを含む本発明による装置の加熱要素の短期のフリッカ強度は、1.0以下に保たれる。
【0013】
直列に接続されている少なくとも2つのフロー・ヒータの使用から得られる上述の利点を達成するためには、各フロー・ヒータの加熱出力が加熱要素の1つ又は複数の他のフロー・ヒータの加熱出力から独立して設定され得るように、加熱要素のフロー・ヒータが制御又は調節されることが好ましい。
【0014】
本発明による装置の好ましい実施例では、加熱要素は出口ラインに配置されている。これにより、加熱後、出口ラインに接続されている装置の出口の下方に置かれているカップなどの器へ、加熱されたミルク又は加熱されたフォーム・ミルクを分配するためには、加熱されたミルク又は加熱されたフォーム・ミルクは、出口まで出口ライン内の短い距離のみを運ばれればよいため、確実に熱損失が低くなる。さらにこの配置により、ミルクをガス特に圧縮空気と混合することによって出口ラインの上流側若しくは出口ラインの上流領域で製造され、及び/又は出口ラインに導入されるフォーム・ミルクと、ミルクとの両方を加熱することができる。
【0015】
好ましい実施例では、加熱要素は、(少なくとも)第1のフロー・ヒータと、第2のフロー・ヒータとを備え、各フロー・ヒータは、他のフロー・ヒータとは別個の筐体と、入口と、出口とを有する。出口ライン又はミルク吸込ラインにおいて流れの方向で一方が他方の後に配置されている2つのフロー・ヒータは、出口ライン又はミルク吸込ラインの一部である接続ラインによって、互いに流体を伝える直列回路で接続されている。すなわち、例えば上流側の第1のフロー・ヒータの出口は、流れの方向で下流側に配置されている第2のフロー・ヒータの入口に接続されている。それに対応するように、さらなるフロー・ヒータが、直列回路で配置されることができる。
【0016】
フォーム・ミルクの製造のために、ガス供給ラインが設けられていることが好ましい。このガス供給ラインは、ミルク吸込ライン及び/又は出口ラインに接続されており、圧縮ガス(以下加圧ガスとも呼ぶ)、特に圧縮空気をミルク吸込ライン及び/又は出口ラインに運ぶために、ガス源、特に圧縮ガス源に連結され得る。その結果として、フォーム・ミルクは、既にミルク吸込ライン内又は出口ラインの上流領域(加熱要素の上流側)内のいずれかで生成されることができ、出口ラインに接続されている加熱用の少なくとも2つのフロー・ヒータを伴う加熱要素まで、出口ラインを介して供給されることができる。加圧ガスが圧力パルスの形でミルクに導入される場合、振幅、周波数、パルス継続時間、及び/又は圧力パルスのデューティ・サイクルを変化させることができ、それにより異なる性質のフォーム・ミルクを製造することができるので、この場合には、製造されるフォーム・ミルクの性質に関して可変性が高くなる。フォーム・ミルクの性質はさらに、加圧ガス及び/又はミルクの体積流量に影響され得る。
【0017】
ガス供給ラインは、出口ラインに好都合に接続されており、その結果、圧縮ガス(加圧ガス)を供給することによって、ガス供給ラインを介して出口ラインに供給される圧縮ガスがミルクと混合することができるという点で、出口ライン内、特に加熱要素の前の出口ラインの上流領域内で、均質なフォーム・ミルクを製造することができる。ミルクの圧縮ガスとの混合は、ポンピング装置の下流側で行われる。出口ラインに圧縮ガスを送給することは、導入の点の上流側に配置されているポンプの機能が、導入される圧縮ガスによる悪影響を受けないという利点を有する。ポンプの下流側に位置付けられた導入点においてミルクに圧縮ガスを導入することにより、特にポンプの滑り又は緩みが防止されて、フォーム・ミルクを均一な体積流量で出口ラインを通して分配することができる。さらに、ポンプの送達流量、したがってミルクの送達速度は、体積流量又は導入される加圧ガスの量から独立して調整されることができる。その結果、ポンプの送達流量が異なっていても、異なる送給圧力、したがって異なる分量で加圧ガスを供給することができる。これが理由で、微細な孔のフォーム・ミルク又は粗い孔のフォーム・ミルクなど、製造されるフォーム・ミルクの異なるフォーム性質を、調整可能な送達体積で設定することができる。
【0018】
装置の洗浄を容易にするために、ミルク吸込ラインに接続された洗浄ラインが設けられていることが好ましい。この洗浄ラインは、すすぎ液及び/又は洗浄剤、特に水及び/又は水性の洗浄溶液をミルク吸込ラインに供給するため、洗浄剤貯蔵槽(R)、特に水接続部に接続され得る。本発明による装置においては、加熱要素内の付着物及びミルク堆積物の形成が回避され得るため、通常、装置、特にミルク吸込ラインと、ポンプと、出口ラインと、加熱要素とを、水のみですすぐことが十分である。これにより、高価な洗浄剤、例えば洗浄錠剤又は洗浄溶液の使用が不必要になる。
【0019】
出口ラインには、少なくとも1つのスロットル点が好都合に設けられていることが好ましい。このスロットル点は、例えばスロットル弁によって形成されることができる。これにより確実に、ミルクと、ガス供給ラインを通して供給される圧縮ガスとが均質に混合する。調整可能なスロットル弁は、出口ラインに好都合に配置されている。これにより、スロットル点の適切な断面積、したがって特定のスロットル抵抗を設定することが可能になり、それによって、出口ラインから出口ラインに接続されている装置の出口まで出力されるミルク又はフォーム・ミルクの所望の流量を設定することができる。スロットル点、例えばスロットル弁は、加熱要素の上流側、特にガス供給ラインの入口点と加熱要素との間に、好都合に配置されている。
【0020】
加熱要素の加熱力を制御するため、及び加熱されるミルク又はフォーム・ミルクの所定の目標温度を維持するために、出口ラインの加熱要素の下流側には、加熱されるミルク又はフォーム・ミルクの温度を検出するための少なくとも1つの温度センサが好都合に配置されている。
【0021】
温度センサは、加熱要素の各フロー・ヒータの下流側に配置されており、流れの方向でその温度センサに先行するフロー・ヒータに割り当てられており、各フロー・ヒータの加熱出力は、その温度センサによって検出されたミルク又はフォーム・ミルクの温度の関数として制御されていることが好ましい。このようにして、個別のフロー・ヒータの加熱出力は、ミルク又はフォーム・ミルクの設定温度をできるだけ正確に達成するために、それぞれのフロー・ヒータに割り当てられた温度センサの測定値の関数として、互いに独立して制御されることができる。
【0022】
フロー・ヒータ内での加熱中にミルクが焦げることを確実に防ぐために、各フロー・ヒータ内では最大加熱力を超過せず、この最大加熱力は、1800Wよりも小さく、特に450Wから1400Wの間であることが好ましい。正確なフロー・ヒータの加熱力は、製造されるべき飲料の要件、特にミルク又はフォーム・ミルクの分量に適合されることができる。正確なフロー・ヒータの加熱力は、製造されるべき飲料の要件、特にミルク又はフォーム・ミルクの分量に適合されることができる。
【0023】
各フロー・ヒータによって生成される加熱力を制御するために、制御装置が好都合に設けられている。この制御装置は、フロー・ヒータの加熱力が互いに独立して制御又は調節され得るように構成されていることが好ましい。
【0024】
加熱サイクル中に、加熱要素の少なくとも1つの第1のフロー・ヒータが、一定の加熱力p0、特に最大加熱力p1で作動し、少なくとも1つの第2のフロー・ヒータが、時間可変の加熱力分布p2(t)で作動するように、制御装置が設定されていることが好ましい。ミルクが焦げることを防ぐためには、第1のフロー・ヒータが作動する最大加熱力p1、及び第2のフロー・ヒータが作動する時間可変の加熱力分布p2(t)の最大振幅p2が、各々1400Wよりも小さいことが好ましく、(最大)加熱力は、通って流れるミルクの分量に適合可能である。
【0025】
加熱要素内で加熱されるミルク又はフォーム・ミルクが、諸段階で既定の設定温度まで加熱されるように、第1のフロー・ヒータの一定の加熱力p0、p1及び第2のフロー・ヒータの時間可変の加熱力分布p2(t)が、加熱サイクル中に調節されるよう、制御装置が配置されていることが好ましい。このようにして、既定の設定温度は、ミルク又はフォーム・ミルクの組成及び熱的性質にかかわらず、標的を定めた正確なやり方で達成されることができる。このことがさらに改善され得るのは、第3のフロー・ヒータ及び必要に応じてさらなるフロー・ヒータが、第1及び第2のフロー・ヒータと直列に接続され、適宜制御され、それによって、好ましくは流れの方向で見て前方のフロー・ヒータが一定の加熱力で作動し、後続のフロー・ヒータのうちの少なくとも1つが、時間と共に可変である加熱力で作動する場合である。
【0026】
第2のフロー・ヒータ(又はさらなるフロー・ヒータ)の時間可変の加熱力分布p2(t)の最大振幅p2は、最大で、第1のフロー・ヒータの一定の加熱力p0、p1と同じ大きさであることが好ましい。これにより、ミルク又はフォーム・ミルクは、諸段階で加熱されることができ、温度は、標的を定めたやり方で指定された設定温度に近づくことができる。
【0027】
ミルクを加熱する場合には、第1のフロー・ヒータの一定の加熱力p1を、第2のフロー・ヒータの時間可変の加熱力分布p2(t)の最大振幅p2よりも、好ましくは2倍超、好ましくは1倍から4倍の間、特に3倍高く設定することが有利である。フォーム・ミルクと比較してミルクの熱容量がより高いため、冷たいミルクを加熱する場合には、冷たいフォーム・ミルクの加熱と比較して(各場合、同じ初期温度及び同じ設定温度において)、より高い加熱力が必要になる。これが理由で、ミルクを加熱する場合には、第1のフロー・ヒータの一定の加熱力p1が、第2のフロー・ヒータの時間可変の加熱力分布p2(t)の最大振幅p2よりも大きくなるように選択される。
【0028】
一方で、フォーム・ミルクを加熱する場合には、第2のフロー・ヒータの時間可変の加熱力分布p2(t)の最大振幅(p2)は、第1のフロー・ヒータの一定の加熱力p0に少なくともおおよそ対応するように好都合に設定される。第2のフロー・ヒータの時間可変の加熱力分布p2(t)の最大振幅p2は、第1のフロー・ヒータの一定の加熱力の±20%の範囲にあることが好ましい。これにより、個別のフロー・ヒータの加熱出力のエネルギー効率を、加熱されるべき製品(ミルク又はフォーム・ミルク)の特性に適合させることが可能になる。
【0029】
ミルク又はフォーム・ミルクを低い温度、例えば20℃から40℃までの範囲に加熱する場合には、第2の連続フロー・ヒータの時間可変の加熱力分布p2(t)の最大振幅p2は、第1のフロー・ヒータの一定の加熱力p0よりも小さくてもよく、この場合には、最大加熱力p1よりも小さい低いレベルの加熱力p0に設定される。
【0030】
第2のフロー・ヒータの時間可変の加熱力分布p2(t)は、パルス状であることが好ましく、その結果、加熱サイクル中に、少なくとも1つ又は複数の相次ぐパルスを包含する可変の加熱力分布p2(t)の時間推移が得られる。例えば、方形若しくは三角形のパルス又は鋸歯状パルスを包含するパルスは、電圧パルスでの第2のフロー・ヒータのパルス状の制御によって生成され得る。次いで、得られる第2のフロー・ヒータの時間可変の加熱力分布p2(t)は、例えば方形波信号、三角信号、又は鋸歯信号に対応し得る。第2のフロー・ヒータの時間可変の加熱力分布p2(t)はまた、周期的な時間特性、特に正弦波形状を有してもよい。
【0031】
加熱サイクル中に、振幅、パルス継続時間及び/若しくはパルス周波数、特にパルスのパルス周波数とパルス継続時間との積(デューティ・サイクル)、又は周期的な時間推移を変化させることが可能であることが有利である。このことは、順応性の増加を表しており、加熱されたミルク又はフォーム・ミルクの最終的な温度をできるだけ正確に維持するため、及びそれを指定された設定温度に適合させるために、例えば、加熱サイクル中に、加熱要素の1つ又は複数のフロー・ヒータの加熱力に対する調整を行うことが可能になる。
【0032】
加熱要素のフロー・ヒータは、厚膜ヒータとして設計されていることが好ましい。これにより、早い反応時間が可能になり、したがって、ミルク又はフォーム・ミルクを包含する飲料の製造に必要となる分量のミルク又はフォーム・ミルクを急速に加熱することが可能になり、この分量は、1回の加熱サイクルで加熱される。これに関して、厚膜ヒータとして構成されている各フロー・ヒータは、他方又は他のフロー・ヒータから、少なくとも熱的に切り離されている筐体、又は熱的且つ局所的に分離されている筐体を含む。フロー・ヒータは、共通の板の上又は共通の骨組みの中に配置されてもよいが、互いに熱的に切り離されていることが好ましく、別個に制御されることができ、その結果、各フロー・ヒータは、他のフロー・ヒータから独立して、異なる加熱能力で作動することができる。加熱要素の個別のフロー・ヒータの筐体を好ましく(熱的に)切り離すことにより、各フロー・ヒータの加熱力は、各場合に供給される電流によって、他方又は他のフロー・ヒータの加熱力から独立して制御又は調節され得る。これにより、全体として選択的且つ独立に加熱要素の個別のフロー・ヒータを制御すること、並びに加熱サイクル中の個別のフロー・ヒータの加熱出力を急速に制御及び調整することが確実になる。
【0033】
好ましい実施例では、厚膜ヒータとして設計されている各フロー・ヒータは、金属の基板と、基板に接続されているカバー板とを備える。導管が、基板とカバー板との間にミルク又はフォーム・ミルクの通過用に形成されており、基板及び/又はカバー板は、導管を通って流れるミルク又はフォーム・ミルクを伝導加熱するために電流が印加され得る抵抗加熱器を包含する。これにより、熱質量が低く、反応時間が早い小型の設計のフロー・ヒータが可能になる。各フロー・ヒータの導管が蛇行形状又は螺旋形状を有する場合に、特に小型で省スペースの設計が実現される。
【0034】
本発明は、ミルク又はフォーム・ミルクを加熱するための方法であって、冷たいミルク又は冷たいフォーム・ミルクが、ミルク貯蔵槽に接続されているミルク吸込ラインからポンプによって吸い込まれ、ポンプに接続されている出口ラインに運ばれ、加熱要素によって加熱される方法において、ミルク又はフォーム・ミルクが、直列に接続されている加熱要素の少なくとも2つのフロー・ヒータを相次いで通過する方法をさらに備える。
【0035】
工程において、各フロー・ヒータの加熱力は、ミルク又はフォーム・ミルクの所定の設定温度を得るために、例えばそれぞれのフロー・ヒータに供給される電流によって、他方又は他のフロー・ヒータの加熱力から独立して制御又は調節されることが好ましい。
【0036】
個別のフロー・ヒータの加熱力を制御するために、工程において、各フロー・ヒータに温度センサを割り当てることが好都合であり、それによって、各フロー・ヒータの加熱力の制御は、温度センサによって検出されたミルク又はフォーム・ミルクの温度の関数として実行される。
【0037】
工程において、加熱サイクル中に、少なくとも1つの第1のフロー・ヒータが、一定の加熱力p0、p1で作動し、少なくとも1つの第2のフロー・ヒータが、時間可変の加熱力分布p2(t)で作動することが好ましく、第2のフロー・ヒータの時間可変の加熱力分布p2(t)の最大振幅p2が、最大で、第1のフロー・ヒータの一定の加熱力p0、p1と同じ大きさであることが特に好ましい。
【0038】
ミルクを加熱する場合には、第1のフロー・ヒータの一定の加熱力p1が、第2のフロー・ヒータの時間可変の加熱力分布p2(t)の最大振幅p2よりも、好ましくは2倍超、好ましくは1倍から4倍の間、特に3倍大きくなるように選択されることが好ましい。2より大きい係数には、フリッカを回避するための仕様を満たすという利点がある。しかしながら、係数が4より大きい場合には、調節の自由度が下がることになるので、係数は4よりも小さくなるように選ばれることが好ましい。
【0039】
フォーム・ミルクを加熱する場合には、工程において、第2のフロー・ヒータの時間可変の加熱力分布p2(t)の最大振幅p2は、第1の連続フロー・ヒータの一定の加熱力に少なくともおおよそ対応するように、設定されることが好ましい。このようにして、第1のフロー・ヒータと比較した第2のフロー・ヒータの電力のジャンプ、したがってフリッカを回避することができる。
【0040】
それにより、第2のフロー・ヒータの時間可変の加熱力分布p2(t)は、パルス状であることが特に好ましい。第2の連続フロー・ヒータの加熱力分布p2(t)の時間特性は、少なくとも1つのパルス、好ましくは互いに続くいくつかのパルスを包含し、これらのパルスは、方形波信号、三角信号、又は鋸歯信号などの異なる形を有してもよい。第2のフロー・ヒータの加熱力分布p2(t)の時間推移はまた、例えば正弦波信号として、周期的であってもよい。ミルク又はフォーム・ミルクの温度が、徐々に目標を定めてできるだけ正確に所定の設定温度に接近することを達成するためには、加熱サイクル中に、パルスの振幅、パルス継続時間及び/若しくはパルス周波数、又はデューティ・サイクルを変化させられることが好ましい。
【0041】
これら及び他の利点、並びに本発明による装置及び方法の好ましい特徴及び特性は、添付図面を参照して、以下でより詳細に説明される実施例の実例から明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【
図1】本発明によるミルク若しくはフォーム・ミルクを加熱するための装置又は工程の概略回路図である。
【
図2A】ミルクを加熱する場合のフロー・チャートである。
【
図2B】フォーム・ミルクを加熱する場合のフロー・チャートである。
【
図3A】加熱サイクル中の本発明による第1のフロー・ヒータの時間依存の加熱出力を示す図である。
【
図3B】加熱サイクル中の本発明による第2のフロー・ヒータの時間依存の加熱出力を示す図である。
【
図3C】加熱サイクル中の時間の関数として、本発明による第1のフロー・ヒータ及び第2のフロー・ヒータの総加熱出力を示す図である。
【
図4】本発明による装置内で使用されるフロー・ヒータの好ましい実施例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
図1は、ミルク又はフォーム・ミルクを加熱するための本発明による装置の好ましい実施例を示している。この装置は、ポンプ入口1a及びポンプ出口1bを伴うポンプ1と、ポンプ入口1aにおいてポンプに接続されているミルク吸込ライン2と、ポンプ出口1bにおいてポンプに接続されている出口ライン3と、出口ラインに配置されている加熱要素4とを備える。ミルク吸込ライン2は、ミルク貯蔵槽Mに接続されており、このミルク貯蔵槽は例えば、冷蔵庫内に置かれたミルクの容器であってもよい。出口ライン3は、その下流端部において出口に接続されているが、ここには図示していない。
【0044】
さらに、装置は、進入点Eにおいて出口ライン3に開口しているガス供給ライン5を備える。ガス供給ライン5は、圧縮ガス(加圧ガス)を提供するガス源Qに連結している。図示の実施例の実例では、ガス源Qは、圧縮機21を含み、この圧縮機は、例えば周囲空気を引き入れることによって空気を供給する空気供給部20を有する。それにより、供給された空気は、圧縮機21によって所定の圧力まで圧縮される。ガス源Qからガス供給ライン5への単位時間あたりに導入される圧縮ガスの量(圧縮ガスの体積流量)を制御するために、環境に接続された制御弁V3が、制御ライン5’を介してガス供給ライン5に接続されている。したがって、ガス源Qからガス供給ライン5への単位時間あたりに導入される圧縮ガスの分量は、一方では圧縮ガスの所定の圧力によって制御され、他方では制御弁V3の位置によって制御される。弁位置の微調整を制御することができ、それによってガス供給ライン5に運ばれる圧縮ガスの体積流量を制御することができるように、制御弁V3の制御は、パルス幅変調によって電気的に実施されることが好ましい。液体がガス供給ライン5に進入することを防ぐために、逆止弁9が、ガス供給ライン5の下流端部において特に入口点Eの直前で、ガス供給ライン5に配置されている。
【0045】
装置を洗浄するために、洗浄剤貯蔵槽Rに接続された洗浄ライン6がミルク吸込ライン2に接続されている。洗浄ライン6は、第1の分路6’と第2の分路6’’とを備え、その各々には、遮断弁V1、V2が配置されている。洗浄ライン6の2つの分路6’、6’’は、互いに離れた入口点E’、E’’においてミルク吸込ライン2に各々開口しており、2つの入口点E’、E’’間には、逆止弁9が配置されている。
【0046】
ポンプ1は、
図1に概略的に示されるように歯車ポンプとして設計されていることが好ましく、2つの逆回転し噛み合う歯車を備える。ポンプ1は、ミルク貯蔵槽からミルクMをポンプ入口1aに引き込み、引き込まれたミルクを出口ライン3に接続されているポンプ出口1bまで運ぶ。
【0047】
出口ライン3には、ガス供給ライン5の入口点と加熱要素4と間に、スロットル弁7によって形成されているスロットル点が配置されている。スロットル弁7は、出口ライン3に適切な流れの断面積を設定することができるように調整可能であることが好ましい。
【0048】
図1に示されている実施例において、スロットル弁7の下流側で出口ライン3に配置されている加熱要素4は、直列に接続された2つのフロー・ヒータ4a、4bを備える。第1のフロー・ヒータ4aの下流側には、第1のフロー・ヒータ4aに割り当てられた第1の温度センサ8aが配置されており、第2のフロー・ヒータ4bの下流側には、第2のフロー・ヒータ4bに割り当てられた第2の温度センサ8bが配置されている。
【0049】
2つのフロー・ヒータ4a、4bは、各々厚膜ヒータとして設計されている。そのような厚膜ヒータの好ましい実施例は、
図4に示されている。厚膜ヒータとして設計されている各フロー・ヒータ4a、4bは、平坦な金属の基板11と、基板11に接続されており、基板11に面している側に起伏のある構造を有するカバー板12とを含む。基板11及びカバー板12は、互いに液密に接続されており、筐体10を形成する。カバー板12の起伏のある構造により、基板11とカバー板12との間には、流体を通すための一続きの導管13が形成されている。
図4に示されている実例において、導管13は、螺旋形状に形成されている。平坦な基板11の外側には、断熱層が配置されており、この断熱層には、電気的な接続部17を伴う加熱線の形で電気的な抵抗加熱器が配置されている。この場合、電気抵抗加熱器を形成する加熱線は、基板11とカバー板12との間で、導管13の螺旋形状に従う。電気接続部17に電流が印加されたときに、フロー・ヒータと導管13を通って流れる流体とが加熱される。導管13は、加熱されるべき流体を導入し排出するために、入口15と出口16とを有する。入口15及び出口16は、ここには図示されていない接続部品に接続されており、接続部品の各々には、流体の供給及び排出のためのラインが接続され得る。
【0050】
加熱要素4の2つのフロー・ヒータ4a、4bは、出口ライン3に直列接続で配置されている。この場合、2つのフロー・ヒータ4a、4bの筐体10は、2つのフロー・ヒータ4a、4bの筐体10間の断熱距離を維持することによって、互いに熱的に分離されていることが好ましい。2つのフロー・ヒータ4a、4bの筐体10の断熱は、2つの筐体10間の断熱層を用いて実現されることもでき、その結果、2つのフロー・ヒータ4a、4bは、小型の構造を達成するために、加熱要素4の周囲筐体の中又は共通の板の上に互いに近くに配置されることもできる。ミルク又はフォーム・ミルクの通過のために、(
図1に示されているように)第1のフロー・ヒータ4aの入口15が出口ライン3に接続されており、第1のフロー・ヒータ4aの出口16が、接続ライン3’を介して第2のフロー・ヒータ4bの入口15に接続されている。第2のフロー・ヒータ4bの出口16は、出口ライン3に接続されている。
【0051】
図1の装置内でのフォーム・ミルクの製造のために、ミルクは、ミルク貯蔵槽Mからミルク吸込ライン2を通ってポンプ1によって吸い込まれ、出口ライン3に運ばれる。それと同時に、圧縮ガス(加圧ガス)、特に圧縮空気は、ガス供給ライン5を介して出口ライン3に所定の圧力で運ばれる。ミルク及び圧縮ガスは、出口ライン3の中で混合して、ミルク-ガス混合物、特にミルク-空気混合物を形成する。ミルクと圧縮ガスとの均質な混合は、圧縮ガスの圧力及びスロットル弁7の適切な調整によって達成されることができる。
【0052】
図1の装置によって、ミルク又はフォーム・ミルクのいずれも加熱されることができ、ここでは図示されていない装置の出口を通って、出口の下方に置かれているカップなどの器Gに分配されることができる。ミルク貯蔵槽Mからの冷たいミルクが泡立てられることなく装置によって加熱されるべきである場合、ガス供給ライン5が閉止され、又はガス源Qが遮断される。ミルク貯蔵槽Mからポンプ1によって引き出された冷たいミルクは、出口ライン3に運ばれ、加熱要素4の2つのフロー・ヒータ4a、4bを相次いで通過する。加熱要素4の2つのフロー・ヒータ4a、4bは、通過するミルクを加熱するために、互いに独立して電流を供給されることができる。そうすることで、2つのフロー・ヒータ4a、4bに異なる加熱力が設定される。
【0053】
図2Aは、
図1の装置内で冷たいミルクを加熱する場合の好ましいフロー図の一実例を示している。第1のフロー・ヒータ4aは、2つの異なる動作段階で制御されることができる。第1の動作段階では、第1のフロー・ヒータ4aは最大加熱力p1で作動し得る。最大加熱力は、ミルクの焦げを防ぐように選択され、例えば1400ワットである。第2の動作段階では、第1のフロー・ヒータ4aはより低い加熱力p0<p1で作動してもよい。ミルクが通過する流れの方向に続く第2のフロー・ヒータ4bもまた、2つの動作段階で制御されることができる。第1の動作段階では、第2のフロー・ヒータ4bは、第1のフロー・ヒータ4aと同じ最大加熱力p1で、又は最大加熱力p1よりも低い一定の加熱力p0で作動し得る。第2の動作段階では、第2のフロー・ヒータ4bは時間可変の加熱力分布p2(t)で作動し得、時間可変の加熱力分布p2(t)の(最大)振幅p2は、最大加熱力よりも小さく、したがって第1のフロー・ヒータ4aの第1の動作段階の加熱力p1よりも小さい。ミルクを加熱する場合には、時間可変の加熱力分布p2(t)の(最大)振幅p2は、0.1・p1から0.5・p1の範囲であることが好ましい。フリッカを回避するために、一定の加熱力p0又は第2のフロー・ヒータ4bの最大振幅p2は、600W未満、特に450W未満であることが好ましい。
【0054】
図3には、
図2Aの例示的なフロー・チャートより、第1のフロー・ヒータ4a及び第2のフロー・ヒータ4bの諸動作段階での加熱出力の時間的な推移が、図式的に示されている。
図3Aは、第1のフロー・ヒータ4aの加熱出力の時間的な推移を示しており、
図3Bは、第2のフロー・ヒータ4bの加熱出力の時間的な推移を示している。
図3Aからわかるように、第1のフロー・ヒータ4aは、第1の動作段階と第2の動作段階との両方において、時間的に一定の加熱力p1又はp0を有する。第1の動作段階での加熱力p1は、例えば1400ワットの最大加熱力に対応し、第2の動作段階は、より低いが加熱サイクル中に同様に時間的に一定である加熱力p0を有する。例えば40mlの分量のミルクが2つのフロー・ヒータ4a、4bを通過して所定の設定温度まで加熱される加熱サイクルは、開始t1及び終了t2によって定義され、加熱サイクルの総加熱時間Δtは、時間t2とt1との差:Δt=t2-t1から得られる。
【0055】
図3Bからわかるように、第2のフロー・ヒータ4bの第2の動作段階は、異なるパルス継続時間及びパルス周波数を持ついくつかのパルスを有し、これらのパルスが加熱サイクル内で互いに続いている。加熱サイクル中に、パルスの振幅p2とパルス継続時間との両方、及び/又はパルス周波数、並びに特にパルス周波数とパルス継続時間との積から得られるデューティ・サイクルを変化させられることが好ましい。
【0056】
図3Cは、開始t1と終了t2との間の加熱サイクル中の時間の関数としてヒータ4の総加熱力を示している。加熱要素4の総加熱力は、
図3Cに示すように、直列に接続された2つのフロー・ヒータ4a、4bの時間依存の加熱力の和から得られる。
【0057】
図1の装置内で冷たいミルクを加熱する場合には、冷たいミルクMは、例えば0℃から20℃の間、特に4℃から10℃の間にある場合がある初期温度で、
図2Aのフロー図に従って加熱装置4を通って運ばれる。加熱装置4の第1のフロー・ヒータ4aは、例えば第1の動作段階において最大加熱力p1で作動し、第2のフロー・ヒータ4bは、第2の動作段階において時間と共に可変である加熱力p2(t)で作動する。2つのフロー・ヒータ4a、4bの対応する制御のために、ここには図示していない制御装置が設けられている。この制御装置は、2つのフロー・ヒータ4a、4bの加熱出力が、互いに独立して設定されることができ、事前に決定され得る設定点温度までミルクを加熱するように制御されることができるよう設定されている。
【0058】
加熱されるべきミルクの流量は、熱いミルクの所望の量に調整されることができ、例えば10から500ml/分の間である。第1のフロー・ヒータ4a内でミルクが加熱される中間の温度は、このフロー・ヒータ4aが作動する出力レベル(p1、p0)に依存しており、冷たいミルクの初期温度よりも高く、特に最大80℃であり得る。第2のフロー・ヒータ4aを通過した後のミルクが加熱される最終的な温度は、設定温度に対応し、特に20℃から80℃までの範囲である。
【0059】
2つのフロー・ヒータ4a、4bの加熱力を制御するために、2つのフロー・ヒータ4a、4bに関連付けられている温度センサ8a、8bによって、通過したミルクの温度が検出される。
図2Aに示されているように、第1のフロー・ヒータ4aを通過したミルクの温度は、第1の温度センサ8aによって検出され、45℃から65℃の間であることが好ましい。第2のフロー・ヒータ4bを出た後の加熱装置4内で加熱されたミルクの最終的な温度は、例えば65℃から75℃の範囲である。例えば65℃から75℃の範囲にある加熱されたミルクの所定の目標温度を設定するために、制御装置は、加熱サイクル中に、可能な限り正確に所定の目標温度に到達するように第2のフロー・ヒータ4bを制御する。このために、第2の連続フロー・ヒータ4bの加熱力の分布は、進行中の加熱サイクル中に、振幅p2、パルス継続時間、及び/又はパルス周波数、或いは加熱力パルスのデューティ・サイクルを変えることによって、調整されることができる。特に、第2のフロー・ヒータ4bの加熱力の時間分布p2(t)のパラメータは、先行する第1の温度センサ8aによって検出されたミルクの温度に適合されることができる。さらに、第2のフロー・ヒータ4bの加熱力の時間的な分布p2(t)のパラメータは、以前の加熱サイクルで検出されたパラメータ、特に2つの温度センサ8a、8bによって検出されたミルクの温度に応じて、以前の加熱サイクルに調整されることができる。
【0060】
制御装置は、2つのフロー・ヒータ4a、4bの起動又は制御に対して、他のパラメータも考慮することができる。それは例えば、ミルク吸込ライン2に配置されていることが好ましいさらなる第3の温度センサによって、必要に応じて検出されることができるミルクの入力温度などである。さらに、フォーム・ミルクを加熱する場合には、2つのフロー・ヒータ4a、4bの制御において、フォーム・ミルクの組成と、特にフォーム・ミルク中のガス含有量を考慮したパラメータとが考慮され得る。これらのパラメータは、ガス供給ライン5の流量計及び/又は圧力センサなどのさらなるセンサによって検出されることができ、制御装置に送給される。
【0061】
図2Bは、
図1の装置内でミルク-ガス混合物(フォーム・ミルクM+G)を加熱する場合の手順を概略的に示している。このために、(例えば、0℃から20℃、特に4から10℃の範囲にある初期温度を有する場合がある)冷たいミルクを加圧ガスと混合することによって、フォーム・ミルクM+Gが製造され、加熱要素4の2つのフロー・ヒータ4a、4bを相次いで通過する。ミルクの加熱とは対照的に、フォーム・ミルクを加熱する場合の第1のフロー・ヒータ4aは、第2の動作段階においてより低い加熱力p0で作動する。より低い加熱力にもかかわらず、液体のミルクと比較してフォーム・ミルクの熱容量がより低いため、第1のフロー・ヒータ4a中のフォーム・ミルクは、
図2Aによるフロー図において第1のフロー・ヒータ4a内で加熱されたミルクの温度と同じ範囲である温度まで、少なくともおおよそ加熱される。第1のフロー・ヒータのより低い加熱力p0がそれに応じて選択され、その結果、通過したフォーム・ミルクは、
図2Bのフロー図において45から65℃の好ましい範囲にある温度まで加熱される。第2のフロー・ヒータ4bは、
図2Bのフロー図でフォーム・ミルクを再び加熱する間に、第2の動作段階において時間的に可変の加熱力分布p2(t)で作動する。これにより、
図2Aのフロー図によるミルクの加熱の場合と同様に、ここでも、進行中の加熱サイクル中に、振幅p2とパルス継続時間との両方、並びに/又はパルス周波数、或いはパルスのデューティ・サイクルを適合させることができ、変えることもできる。加熱されたフォーム・ミルクM+Gの最終的な温度は、65から75℃の範囲であることが好ましい指定された設定温度にできるだけ近いものである。したがって、2つのフロー・ヒータ4a、4bは、制御装置によって、加熱されたフォーム・ミルクM+Gの最終的な温度が指定された設定温度にできるだけ近く対応するように制御される。第2のフロー・ヒータ4bの時間可変の加熱力分布p2(t)の(最大)振幅p2は、第1のフロー・ヒータ4aが作動する加熱力p0に少なくともおおよそ対応することが好ましい。フォーム・ミルクを加熱する場合には、時間可変の加熱力分布p2(t)の(最大)振幅p2は、0.8・p0から1.2・p0の範囲にあることが好ましい。
【0062】
図2の実例で与えられるミルク又はフォーム・ミルクの温度は、単に事例として理解されるべきであり、要件に適合されることができる。
【0063】
装置を洗浄するために、ミルク吸込ライン2がミルク貯蔵槽Mから取り外され、例えば水などの洗浄剤が、洗浄ライン6を通してミルク吸込ライン2に運ばれる。それにより、洗浄ライン6の2つの分路6’、6’’を介して、液体の洗浄剤が通ることによってミルク吸込ライン2の上流領域と、ポンプ1のポンプ入口1aに接続されている下流領域との両方を洗浄することができる。したがって、洗浄剤は、ポンプ1によって中に吸い込まれ、出口ライン3に運ばれることができ、洗浄剤はまた、2つのフロー・ヒータ4a、4bのそれぞれ入口15から導管13を通って出口16まで流れ、それによって、2つのフロー・ヒータからミルク成分を取り除く。
【0064】
本発明による装置及び方法は、図面にここで示されている実施例に限定されない。例えば、加熱要素4は、出口ライン3の代わりにミルク吸込ライン2に配置されてもよい。ガス供給ライン5はまた、加熱要素4の下流側で出口ライン3に接続される場合がある。さらに、ガス供給ライン5はまた、出口ライン3の代わりにミルク吸込ライン2に接続される場合がある。出口ライン3とミルク吸込ライン2との両方に、加圧ガスを導入することも可能である。また、加熱要素4は、出口ライン3の代わりにミルク吸込ライン2に配置されてもよい。
【0065】
さらに洗浄ライン6には、例えば粉末又は錠剤の形の洗浄剤を水に溶かして、水性の洗浄溶液を製造する混合容器が配置されてもよい。歯車ポンプとして設計されているポンプ1の代わりに、蠕動ポンプなどの他のポンピング装置が装置内で使用されてもよい。
図1に示されている、環境から供給された空気を所定の圧力まで圧縮する圧縮機21を備えるガス源Qの代わりに、圧縮ガスを包含するカートリッジなどの別のガス源が使用されてもよい。空気に加えて、二酸化炭素又は窒素などの別の食品用ガスが、圧縮ガスとして使用されてもよい。
【0066】
さらに、直列に接続されている加熱要素4のフロー・ヒータの数を増やしてもよい。加熱サイクル中に、フロー・ヒータのうちのいくつか又はすべてを時間的に一定の加熱力で各々動作させることも可能である。しかしながら、加熱要素4の1つ又は複数のフロー・ヒータを時間的に一定の加熱力で動作させ、さらなる1つ又は複数のフロー・ヒータを時間的に可変の加熱力分布、すなわち制御可能な加熱力分布で動作させることも可能である。
【国際調査報告】