IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシーの特許一覧

特表2024-535991床張り材用の液体塗布消音マット及びそれを作製するための組成物
<>
  • 特表-床張り材用の液体塗布消音マット及びそれを作製するための組成物 図1
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-04
(54)【発明の名称】床張り材用の液体塗布消音マット及びそれを作製するための組成物
(51)【国際特許分類】
   E04F 15/10 20060101AFI20240927BHJP
   C08L 21/00 20060101ALI20240927BHJP
   C08L 33/00 20060101ALI20240927BHJP
   C08K 3/013 20180101ALI20240927BHJP
   C08K 5/098 20060101ALI20240927BHJP
   C08J 9/30 20060101ALI20240927BHJP
   C09D 133/00 20060101ALI20240927BHJP
   C09D 5/02 20060101ALI20240927BHJP
   C09D 7/63 20180101ALI20240927BHJP
   C09D 7/61 20180101ALI20240927BHJP
   C09D 7/65 20180101ALI20240927BHJP
   C09D 7/43 20180101ALI20240927BHJP
【FI】
E04F15/10 103A
C08L21/00
C08L33/00
C08K3/013
C08K5/098
C08J9/30 CEY
C09D133/00
C09D5/02
C09D7/63
C09D7/61
C09D7/65
C09D7/43
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024510717
(86)(22)【出願日】2021-09-15
(85)【翻訳文提出日】2024-02-21
(86)【国際出願番号】 CN2021118445
(87)【国際公開番号】W WO2023039740
(87)【国際公開日】2023-03-23
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100156476
【弁理士】
【氏名又は名称】潮 太朗
(72)【発明者】
【氏名】チャン、リャン
(72)【発明者】
【氏名】リー、ウェイ
【テーマコード(参考)】
2E220
4F074
4J002
4J038
【Fターム(参考)】
2E220AA19
2E220AA60
2E220AC05
2E220FA05
2E220GA02X
2E220GA07X
2E220GA08X
2E220GA09X
2E220GB32X
2E220GB39X
4F074AA05N
4F074AA46
4F074AB02
4F074AC32
4F074AD10
4F074BC02
4F074CB51
4F074DA58
4J002AC00Y
4J002AC00Z
4J002AC03Y
4J002AC03Z
4J002AC06Y
4J002AC06Z
4J002AC07Y
4J002AC07Z
4J002AC08Y
4J002AC08Z
4J002AC09Y
4J002AC09Z
4J002AC11Y
4J002AC11Z
4J002AC12Y
4J002AC12Z
4J002AC13Y
4J002AC13Z
4J002BB15Y
4J002BB15Z
4J002BC03W
4J002BG04W
4J002BG04X
4J002BG04Y
4J002BG04Z
4J002BG05W
4J002BG05X
4J002BG06W
4J002BG10W
4J002DM008
4J002EF056
4J002EG026
4J002EG036
4J002EL087
4J002FD018
4J002FD01Y
4J002FD01Z
4J002FD316
4J002FD327
4J002GH01
4J002GL00
4J038CA002
4J038CA032
4J038CG001
4J038HA446
4J038HA526
4J038JA26
4J038JA46
4J038KA07
4J038KA08
4J038MA08
4J038MA10
4J038MA13
4J038NA09
4J038NA26
4J038NA27
4J038PA01
4J038PB05
(57)【要約】
本発明は、A)1つ以上の硬質ビニル又はアクリル水性エマルジョンポリマー、好ましくはアクリル又はスチレンアクリレート水性エマルジョンポリマー及びB)1つ以上の軟質ビニル又はアクリル水性エマルジョンポリマー、好ましくはアクリル又はスチレンアクリレート水性エマルジョンポリマーの水性ポリマー発泡体形成成分と、ゴム状複合材成分としての、C)(i)0.18~0.4g/cmの密度を有する軽量無機骨材並びにC)(ii)(a)架橋ゴム粒及び(b)微粉状架橋ゴム微粒子の組み合わせのうちの1つ又は組み合わせと、を含む、床張り材及び下張り材用のゴム状複合材マットを作製するためのこて塗り可能な水性組成物に関する。本発明のこて塗り可能な水性組成物は、粒状及び微粉状の架橋ゴム粒子の分散体を含む発泡体中にエマルジョンポリマーA)及びB)を含むシームレスな消音マットを提供する。こて塗り可能な水性組成物は、増粘剤及び有機発泡剤を更に含んでいてもよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水性ポリマー発泡体形成成分及びゴム状複合材成分のこて塗り可能な水性組成物であって、
前記水性ポリマー発泡体形成成分としての、
A)10~60重量%の、160℃まで加熱し、10℃/分で-80℃まで急速に冷却し、次いで10℃/分で160℃まで温度を上昇させながらDSC曲線データを収集し、得られたDSC曲線の変曲の中点をTghとして記録することを含む示差走査熱量測定(DSC)によって測定したときに、5~40℃のガラス転移温度測定値(測定Tgh)を有する1つ以上の硬質ビニル又はアクリル水性エマルジョンポリマー、
B)5~50重量%の、160℃まで加熱し、10℃/分で-80℃まで急速に冷却し、次いで10℃/分で160℃まで温度を上昇させながらDSC曲線データを収集し、得られたDSC曲線の変曲の中点をTgsとして記録することを含む示差走査熱量測定(DSC)によって測定したときに、0~-35℃の測定Tg(測定Tgs)を有する1つ以上の軟質ビニル又はアクリル水性エマルジョンポリマー、
C)(i)0.5~3重量%の炭素数12~24の有機酸塩の発泡体安定剤、及び(ii)0.05~0.75重量%の有機発泡剤と、
前記ゴム状複合材成分としての、
D)(i)20~60重量%の、0.3~4mmの篩粒径を有し、0.18~0.4g/cmの密度を有する軽量無機骨材、及び
D)(ii)20~60重量%の、0.5~4mmの篩粒度を有する架橋ゴム(a)粒、又は0.1~0.5mm未満の篩粒度を有する架橋ゴム(b)粒子、又は(a):(b)の重量比が99:1~20:80である(a)粒状架橋ゴム粒子と(b)微粉状架橋ゴム粒子との混合物と、
を含み、
前記こて塗り可能な水性組成物における全ての重量%が、合計して100%となり、前記こて塗り可能な水性組成物を形成するために使用される全ての材料の総重量に基づく、こて塗り可能な水性組成物。
【請求項2】
前記A)硬質ビニル又はアクリル水性エマルジョンポリマーの測定Tg(測定Tgh)と前記B)軟質ビニル又はアクリル水性エマルジョンポリマーの測定Tg(測定Tgs)とが、15℃~75℃異なる、請求項1に記載のこて塗り可能な水性組成物。
【請求項3】
前記測定Tghが10~35℃の範囲であり、前記測定Tgsが-8~-35℃の範囲である、請求項1に記載のこて塗り可能な水性組成物。
【請求項4】
前記水性ポリマー発泡体形成成分中の前記B)軟質ビニル又はアクリル水性エマルジョンポリマーが、前記こて塗り可能な水性組成物を形成するために使用される全ての材料の総重量に基づいて7~40重量%を構成する、請求項1に記載のこて塗り可能な水性組成物。
【請求項5】
全前記A)硬質ビニル又はアクリル水性エマルジョンポリマーの全前記B)軟質ビニル又はアクリル水性エマルジョンポリマーに対する固形分重量比が、2:3~6:1の範囲である、請求項1に記載のこて塗り可能な水性組成物。
【請求項6】
前記C)(i)発泡体安定剤としてステアリン酸カルシウムを含む、請求項1に記載のこて塗り可能な水性組成物。
【請求項7】
前記C)(ii)有機発泡剤としてアルキルポリグルコシドを含む、請求項1に記載のこて塗り可能な水性組成物。
【請求項8】
前記D)(i)軽量無機骨材が、多孔質軽砂、メソ多孔質シリカ、メソ構造シリカ、又は膨張粘土骨材から選択される、請求項1に記載のこて塗り可能な水性組成物。
【請求項9】
前記D)(ii)(a)架橋ゴム粒が、エチレンプロピレンジエン(EPDM)ゴム粒若しくはエチレンプロピレン(EPM)ゴム粒を含むか、あるいは前記D)(ii)(b)架橋ゴム粒子が、エチレンプロピレンジエン(EPDM)ゴム粉末若しくはエチレンプロピレン(EPM)ゴム粉末、又はその両方を含む、請求項1に記載のこて塗り可能な水性組成物。
【請求項10】
前記水性ポリマー発泡体形成成分中に、
0.1~1.5重量%の1つ以上の疎水変性アニオン性増粘剤と、
0.1~1.5重量%の1つ以上の分散剤と、
を更に含む、請求項1に記載のこて塗り可能な水性組成物。
【請求項11】
請求項1に記載のこて塗り可能な水性組成物を使用する方法であって、
前記D)(i)軽量無機骨材、及びD)(ii)架橋ゴム(a)粒若しくは(b)微粉状架橋ゴム粒子、又は(a)架橋ゴムの粒及び(b)微粉状架橋ゴム粒子の混合物を混合して、ゴム状複合材成分を形成することと、
前記ビニル又はアクリル水性エマルジョンポリマーポリマーA)及びB)、前記C)(i)発泡体安定剤、並びにC)(ii)有機発泡剤を混合して、水性ポリマー発泡体形成成分を形成することと、
前記ゴム状複合材成分及び前記水性ポリマー発泡体形成成分を組み合わせて、こて塗り可能な混合物を作製することと、
前記こて塗り可能な混合物を基材に塗布して、マット層を形成することと、
前記マット層を乾燥又は硬化させることと、
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、A)1つ以上の硬質ビニル又はアクリル水性エマルジョンポリマー、好ましくはアクリル又はスチレンアクリレート水性エマルジョンポリマー、及びB)1つ以上の軟質ビニル又はアクリル水性エマルジョンポリマー、好ましくはアクリル又はスチレンアクリレート水性エマルジョンポリマーのポリマー発泡体マトリックスと、当該マトリックス中に分散している、C)(i)粒状無機骨材並びに(ii)粒状及び微粉状の架橋ゴム粒子の組み合わせと、を含む、床張り材及び下張り材用のゴム状複合材マット、並びに発泡体中の水性エマルジョンポリマーA)及びB)と、粒状及び微粉状のゴム粒子と、を含む、こて塗り可能な水性組成物に関する。より具体的には、本発明は、A)1つ以上の硬質アクリル又はスチレンアクリレート水性エマルジョンポリマー、及びB)1つ以上の軟質アクリル又はスチレンアクリレート水性エマルジョンポリマーのポリマー発泡体マトリックスであって、(i)炭素数12~24の有機酸塩、例えばカルシウム脂肪酸塩の発泡体安定剤及び(ii)有機発泡剤、例えばアルキルポリグルコシドを更に含むポリマー発泡体マトリックスと、当該マトリックス中に分散している、C)(i)0.3~4mmの篩粒度及び0.18~0.4g/cmの密度を有する軽量無機骨材、例えば、多孔質軽砂又はシリケート、並びに(ii)粒状及び微粉状の架橋ゴム粒子の組み合わせと、を含むゴム状複合材マット、並びに当該ポリマー発泡体と、当該粒状及び微粉状のゴム粒子と、を含む、こて塗り可能な水性組成物に関する。本発明は更に、一成分として、C)(i)無機骨材、及び(ii)粒状若しくは微粉状の架橋ゴム粒子又はこれらの組み合わせを、水性エマルジョンポリマーA)及びB)の発泡体を含む別の水性成分と混合して、こて塗り可能な混合物又はモルタルを作製することと、当該モルタルをコンクリート又は下張り材等の基材に塗布することと、を含む、こて塗り可能な水性組成物の使用方法に関する。
【0002】
序論
防音は、多世帯住宅建築構造等の構造におけるニーズの高まりに対応している。騒音公害は、ストレス関連疾患、高血圧、難聴、睡眠障害、及び生産性の損失を含む病気の一因となり得る。特に、複数の階を有する建物の上階からの騒音、特にハイヒール、椅子、落下物等によって引き起こされる音は、騒音公害の主な発生源であることが証明されている。現在、騒音公害は、世界中の何百万人もの生活に悪影響を及ぼしているので、次第に規制を受けるようになっている。中国の一部では、近年、住宅建築における関連する法典の規格を達成するために、浮張り床には1層の消音材料が必要とされている。更に、様々なポリスチレン発泡体、例えば、EPS発泡体又はXPS発泡体材料、グラスファイバーウール、及びプレキャストポリウレタンフォームマット等の市場で使用される従来の遮音材料は、レベリング、亀裂、臭気及び有毒ガス、並びに揮発性有機化合物(VOC)放出に関する問題、並びにプレキャストマットのための追加の接合処理の必要性、サウンドブリッジの存在等を含む多くの課題を提起する。
【0003】
Dow Global Technologies LLCの国際公開第2015051526(A1)号には、ランニング用トラックの表面仕上げに使用するための多層物品であって、最上層及び基層のそれぞれが、-5℃以下のガラス転移温度測定値(測定Tg)を有するアクリルエマルジョンポリマーの層と、15℃以上の測定Tgを有する第2のより硬質のアクリルエマルジョンポリマーと、架橋剤と、0.1~6mmの篩粒度を有する加硫又は架橋ゴム粒子とを含む多層物品が開示されている。多層物品の層を形成するために使用される組成物は、貯蔵安定性ではなく、許容可能な屋内消音をもたらすための多孔性を欠き、屋内で使用することができる低毒性かつ無臭の組成物を実現することは不可能である。
【0004】
本発明者らは、住宅用床材において使用するのに好適なシームレスで臭いの少ない消音マットを提供すること、及び消音マットを作製するための、現場で安全に混合し、塗布し、使用することができる二成分水性組成物等の貯蔵安定性でVOCの少ない水系又は水性組成物を提供することを探求してきた。
【発明の概要】
【0005】
本発明によれば、水性ポリマー発泡体形成成分及びゴム状複合材成分のこて塗り可能な水性組成物は、
当該水性ポリマー発泡体形成成分としての、
A)10~60重量%、好ましくは15~50重量%の、160℃まで加熱し、10℃/分で-80℃まで急速に冷却し、次いで10℃/分で160℃まで温度を上昇させながらDSC曲線データを収集し、得られたDSC曲線の変曲の中点をTghとして記録することを含む示差走査熱量測定(DSC)によって測定したときに、5~40℃、又は好ましくは10~35℃、又は好ましくは15~30℃のガラス転移温度測定値(測定Tgh)を有する1つ以上の硬質ビニル又はアクリル水性エマルジョンポリマー、好ましくはアクリル又はスチレンアクリレート水性エマルジョンポリマーと、
B)5~50重量%、好ましくは7~40重量%の、160℃まで加熱し、10℃/分で-80℃まで急速に冷却し、次いで10℃/分で160℃まで温度を上昇させながらDSC曲線データを収集し、得られたDSC曲線の変曲の中点をTgsとして記録することを含む示差走査熱量測定(DSC)によって測定したときに、5~-35℃、又は好ましくは-8~-35℃、又は好ましくは-10~-25℃、又は好ましくは-10~-17℃のガラス転移温度測定値(測定Tgs)を有する1つ以上の軟質ビニル又はアクリル水性エマルジョンポリマー、好ましくはアクリル又はスチレンアクリレート水性エマルジョンポリマーと、
C)(i)0.5~3重量%の炭素数12~24の有機酸塩の発泡体安定剤、例えばカルシウム脂肪酸塩、好ましくはステアリン酸カルシウムと、(ii)0.05~0.75重量%又は好ましくは0.1~0.5重量%の有機発泡剤、好ましくはアルキルポリグルコシドと、
当該ゴム状複合材成分としての、
D)(i)20~60重量%又は好ましくは20~48重量%の、0.3~4mm、又は0.3~3mm、又は好ましくは0.5~2.5mmの篩粒度を有し、0.18~0.4g/cm又は好ましくは0.24~0.37g/cmの密度を有する軽量無機骨材、例えば、多孔質軽砂、メソ多孔質シリカ、メソ構造シリカ、又は膨張粘土骨材と、
D)(ii)20~60重量%又は20~48重量%の、(a)0.5~4mm、若しくは0.5~3mm、若しくは例えば0.5~2.5mmの篩粒度を有する架橋ゴム粒、好ましくはエチレンプロピレンジエン(EPDM)ゴム若しくはエチレンプロピレン(EPM)ゴム粒、又は(b)0.1~0.5mm未満の篩粒度を有する架橋ゴム粒子、好ましくはEPDM又はEPMゴム粉末、又は好ましくは、例えば(a):(b)の重量比が99:1~20:80である(a)粒状架橋ゴム粒子と(b)微粉状架橋ゴム粒子との混合物と、
を含み、
当該こて塗り可能な水性組成物における全ての重量%は、合計して100%となり、当該こて塗り可能な水性組成物を形成するために使用される全ての材料の総重量に基づく。更に、ゴム状複合材成分の水性ポリマー発泡体形成成分に対する重量比は、1:3~2:1、又は例えば1:2~2:1の範囲であってよい。なお更に、全A)硬質ビニル又はアクリル水性エマルジョンポリマーの全B)軟質ビニル又はアクリル水性エマルジョンポリマーに対する固形分重量比は、2:3~6:1、又は好ましくは3:2~5:1の範囲であってよい。好ましくは、こて塗り可能な水性組成物におけるD)(i)軽量無機骨材の水性エマルジョンポリマーA)及びB)の総重量に対する重量比は、1:1以下、例えば1:4~1:1の範囲である。
【0006】
本発明によるこて塗り可能な水性組成物は、水性ポリマー発泡体形成成分中に、0.1~1.5重量%の1つ以上の増粘剤、例えばアニオン性増粘剤若しくは好ましくは疎水変性アニオン性増粘剤;又は0.1~1.5重量%の1つ以上の分散剤、例えばポリカルボン酸ナトリウム分散剤;又はこれらの組み合わせのいずれかを更に含み得る。なお更に、こて塗り可能な水性組成物は、例えば、こて塗り可能な水性組成物を形成するために使用される全ての材料の総重量に基づいて、10~50重量%、又は20~50重量%の量の添加水を含み得る。その加工性を改善するために、水性ポリマー発泡体形成成分に水を添加してもよい。
【0007】
好ましくは、A)硬質ビニル又はアクリル水性エマルジョンポリマーの測定Tg(測定Tgh)及びB)軟質ビニル又はアクリル水性エマルジョンポリマーの測定Tg(測定Tgs)は、15℃以上、例えば15~75℃、又は好ましくは20℃以上異なる。本発明によるこて塗り可能な水性組成物は、ゴム状複合材成分中に、0~10重量%の木材繊維若しくはヤシ繊維又はこれらの組み合わせ、例えば12mm未満の平均長さを有する木材繊維及び/又はヤシ繊維のいずれか1つ以上を更に含み得る。
【0008】
本発明による別の態様では、床張り材及び下張り材用のゴム状複合消音マットは、
A)10~60重量%又は好ましくは15~50重量%の、160℃まで加熱し、10℃/分で-80℃まで急速に冷却し、次いで10℃/分で160℃まで温度を上昇させながらDSC曲線データを収集し、得られたDSC曲線の変曲の中点をTghとして記録することを含む示差走査熱量測定(DSC)によって測定したときに、5~40℃、又は好ましくは10~35℃、又は好ましくは15~30℃のガラス転移温度測定値(測定Tgh)を有する1つ以上の硬質ビニル又はアクリル水性エマルジョンポリマー、好ましくはアクリル又はスチレンアクリレート水性エマルジョンポリマー、及びB)3~35重量%又は好ましくは5~32重量%の、160℃まで加熱し、10℃/分で-80℃まで急速に冷却し、次いで10℃/分で160℃まで温度を上昇させながらDSC曲線データを収集し、得られたDSC曲線の変曲の中点をTgとして記録することを含む示差走査熱量測定(DSC)によって測定したときに、5~-35℃、又は好ましくは-8~-35℃、又は好ましくは-10~-25℃、又は好ましくは-10~-17℃のガラス転移温度測定値(測定Tgs)を有する1つ以上の軟質ビニル又はアクリル水性エマルジョンポリマー、好ましくはアクリル又はスチレンアクリレート水性エマルジョンポリマー
のポリマー発泡体マトリックスであって、
C)(i)0.5~5重量%の炭素数12~24の有機酸塩、例えばカルシウム脂肪酸塩の発泡体安定剤、及び(ii)0.05~1重量%又は好ましくは0.1~0.75重量%の有機発泡剤、例えばアルキルポリグルコシド
を更に含む、ポリマー発泡体マトリックスと、
当該ポリマー発泡体マトリックス中に分散している、30~70又は好ましくは35~60重量%の、D)(i)25~75重量%又は25~65重量%の、0.3~4mm、又は0.3~3mm、又は好ましくは0.5~2.5mmの篩粒度を有し、0.18~0.4g/cm、又は好ましくは0.24~0.37g/cmの密度を有する軽量無機骨材、例えば、多孔質軽砂、メソ多孔質シリカ、メソ構造シリカ、又は膨張粘土骨材と、D)(ii)25~75重量%又は25~65重量%の、(a)0.5~4mm、若しくは0.5~3mm、若しくは好ましくは0.5~2.5mmの篩粒度を有する架橋ゴム粒、好ましくはエチレンプロピレンジエン(EPDM)ゴム若しくはエチレンプロピレン(EPM)ゴム粒、又は(b)0.1~0.5mm未満の篩粒度を有する微粉状架橋ゴム粒子、好ましくはEPDMゴム若しくはEPMゴム粉末、又は例えば重量比(a):(b)が99:1~20:80の(a)である(a)粒状架橋ゴム粒子と(b)微粉状架橋ゴム粒子との混合物と、
を含み、
当該ポリマー発泡体マトリックスにおける全ての重量%は、合計して100%となり、当該ポリマー発泡体マトリックスを形成するために使用される材料の総重量に基づき、
更に、当該ゴム状複合材における全ての重量%は、合計して100%となり、当該ゴム状複合材を形成するために使用される材料の総重量に基づく。
【0009】
好ましくは、こて塗り可能な水性組成物又は消音マットのゴム状複合材成分は、D)(ii)架橋ゴム(a)粒及び(b)微粉状架橋ゴム粒子の混合物を含む場合、D)(ii)(a)粒状架橋ゴム粒子及びD)(ii)(b)微粉状架橋ゴム粒子の重量比は、12:1~1:2、又は好ましくは4:1~1:1.2の範囲であり得る。
【0010】
更に別の態様では、本発明は更に、
D)(i)無機骨材と、D)(ii)(a)粒状架橋ゴム及び(b)微粉状架橋ゴム粒子の混合物とを混合して、ゴム状複合材成分を形成することと、
水性エマルジョンポリマーA)及びB)、C)(i)発泡体安定剤、並びにC)(ii)有機発泡剤を混合するか、又は好ましくは混合及び剪断するか、混合及び撹拌するか、又は混合、剪断、及び撹拌を組み合わせて行って、水性ポリマー発泡体形成成分を形成することと、
当該ゴム状複合材成分及び当該水性ポリマー発泡体形成成分を組み合わせて、こて塗り可能な混合物を作製することと、
当該こて塗り可能な混合物を、コンクリート又は下張り材等の基材に塗布して、マット層を形成することと、
を含む、こて塗り可能な水性組成物を使用する方法に関する。方法は、マット層を20~60時間、好ましくは加熱せずに静置すること等によって、マット層を乾燥又は硬化させることを更に含んでいてもよい。
【0011】
本発明による方法において、ゴム状複合材成分の水性ポリマー発泡体形成成分に対する重量比は、固形分含有量にかかわらず、1:3~2:1、又は例えば1:2~2:1の範囲であってよい。したがって、材料は、混合され、注入又は塗布され、次いで乾燥又は硬化される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明に従って作製された消音マットを試験するために使用した音響インピーダンス管試験セットアップの例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明によれば、床張り材用途において使用するのに適切な圧縮耐性を提供する消音マットは、水性アクリル又はビニルポリマー発泡体形成マトリックス成分と、軽量骨材、並びに架橋ゴム粒及び架橋ゴム粉末のうちの少なくとも1つ又は混合物の分散複合材と、を含む。消音マットは、衝撃音及び音響インピーダンス試験において良好な消音を示し、圧縮率が低く、ある程度の断熱性を提供し、臭いが少なく、毒性の低い材料から作製される。マット自体は連続しており、モルタル層と同様に形成され、任意の所望の形状に作製することができる。したがって、マットはシームレスであり、全ての表面、境界、及び縁部が完全に封止され、サウンドブリッジが全く残らない又は生じない。これらの材料は水性であるので、使用中に可燃性ではない。しかしながら、消音マット自体は完全に乾燥しており、撥水性であるので、比較的低い吸水率をもたらし、成形及び腐朽の問題のリスクが低い。
【0014】
特に指示しない限り、温度及び圧力の条件は、室温(23±2℃)及び標準圧力(101.3kPaであり、「周囲条件」とも称される。加えて、特に指示しない限り、全ての条件には50±10%の相対湿度(RH)が含まれる。
【0015】
特に指示しない限り、括弧を含む任意の用語は、代替的に、括弧が存在しないかのような用語全体、及び括弧内を有しない用語、及び各選択肢の組み合わせを指す。したがって、「(メタ)アクリレート」という用語は、独立して、アクリレート、メタクリレート、これらの混合物、又は組み合わせ、又はこれらのうちの2つ以上の組み合わせを指す。
【0016】
単数形の「a」、「an」、及び「the」という用語は、文脈により明白に別段の指示がない限り、複数形の指示対象を含む。特に規定しない限り、本明細書で使用する用語は、当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。
【0017】
全ての範囲は、包括的かつ組み合わせ可能である。例えば、「5~40℃、又は好ましくは10~35℃、又は好ましくは15~30℃の測定Tgという用語は、5~40℃、又は10~40℃、又は5~35℃、又は5~30℃、又は5~15℃、又は5~10℃、又は好ましくは10~35℃、又は好ましくは10~30℃、又は好ましくは10~15℃、又は好ましくは15~40℃、又は好ましくは15~30℃、又は好ましくは15~35℃、又は好ましくは30~40℃、又は好ましくは30~35℃、又は好ましくは35~40℃のそれぞれを含むであろう。
【0018】
本明細書で使用するとき、「水性」という用語は、水と、全溶媒又は担体の最大10重量%のアルキルエーテル等の1つ以上の水混和性有機溶媒とを含む担体又は溶媒を指す。
【0019】
本明細書で使用するとき、「ASTM」という用語は、ASTM International、West Conshohocken、PAの刊行物を指す。
【0020】
本明細書で使用するとき、番号及び公開日を含む「BS EN」という用語は、BSI Standards Limited(389 Chiswick High Road,London,W4 4AL,U.K.)によって公開されている工学標準を指す。
【0021】
本明細書で使用するとき、番号及び公開日を含む用語「GB」又は「GB/Z」又は「GB/T」は、China Standards Press,No.2A(West Heping Street,Chaoyang District,Beijing 100029,China)によって公開されている様々な中国国家規格を指す。
【0022】
本明細書で使用するとき、「ガラス転移温度計算値」又は「計算Tg」という用語は、下記のFox式(Fox,Bull.Am.Physics Soc.,Volume 1,Issue No.3,page 123(1956))を使用して計算される値を意味する:
1/Tg(計算)=Σ w(M)/Tg(M)+w(M)/Tg(M)+...w(M)/Tg(M
(式中、Tg(計算)は、コポリマーについて計算されたガラス転移温度であり、
w(M)は、コポリマー中のモノマーM1の重量分率であり、
w(M)は、コポリマー中のモノマーM2の重量分率であり、
w(M)は、コポリマー中のモノマーMnの重量分率であり、
Tg(M)は、M1のホモポリマーのガラス転移温度であり、
Tg(M)は、M2のホモポリマーのガラス転移温度であり、
Tg(M)は、Mnのホモポリマーのガラス転移温度であり、
全ての温度は、°Kである。
【0023】
ホモポリマーのガラス転移温度は、例えば、Polymer Handbook,edited by J.Brandrup and E.H.Immergut,Wiley Interscience Publishers,New York,1999 at pages VI/193-277に見出すことができる。
【0024】
本明細書で使用するとき、用語「測定Tg」は、例えば、ポリマー組成物の試料を160℃に加熱し、10℃/分で-80℃まで急速に冷却し、次いで、温度を10℃/分で160℃まで上昇させながらデータを収集し、得られたDSC曲線の変曲の中点をTgとして記録した、TA Instruments Q2000(TA Instruments,New Castle,DE)熱量計を使用した示差走査熱量測定(DSC)によって測定したときの、所与のポリマー組成物のガラス転移温度又はTgを意味する。
【0025】
本明細書で使用するとき、用語「ポリマー」は、同じ又は異なるタイプのモノマーを反応(すなわち、重合)することにより調製される高分子化合物を意味し、全ての種類のホモポリマー及びインターポリマーの両方を含む。用語「コポリマー」は、反応物質として少なくとも2つの異なるモノマーの重合によって調製されるポリマーを意味し、2つの異なるモノマーから調製されるコポリマー、並びに2つを超える異なるモノマーから調製されるポリマー、例えば、ターポリマー、テトラポリマー(4つの異なるモノマー)等を含む。本明細書で使用するとき、用語「ホモポリマー」は、単一のモノマーに由来する反復単位を含むポリマーを意味するが、連鎖移動剤等のホモポリマーの調製に使用される他の成分の残留量は除外しない。
【0026】
本明細書で使用するとき、用語「固形分」又は「全固形分」は、その物質の状態にかかわらず、本発明による組成物の硬化時又は塗布中に揮発しない任意の材料を指す。水、アンモニア、非反応性揮発物質、液体単体、及び揮発性溶媒は、固形分であるとはみなされない。更に、特に明記しない限り、用語「固形分」は、個々の物質を指す場合、適度な応力下で知覚できるほど流動せず、それを変形させる傾向のある力に抵抗するための明確な能力を有し、通常の条件下で明確なサイズ及び形状を保持する結晶質又は非晶質の物質を指す。
【0027】
本明細書で使用するとき、用語「揮発性有機化合物を実質的に含まない」は、組成物が、組成物の総重量に基づいて100g/L若しくは100g/kg未満、又は好ましくは50g/L若しくは50g/kg未満の総量の、アミン、エーテル、グリコール、及び所与の組成物中の全ての他の有機溶媒を含む有機溶媒しか含有しないことを意味する。
【0028】
水性ポリマー発泡体形成成分は、A)1つ以上の硬質ビニル又はアクリル水性エマルジョンポリマーと硬質ビニル又はアクリル水性エマルジョンポリマーとのブレンドを含む。硬質ポリマーと軟質ポリマーの組み合わせにより、床張り材用途において崩壊しない発泡体を提供するのに十分な弾性を有する発泡体の迅速な形成が可能になる。
【0029】
本発明において有用なビニル又はアクリルエマルジョンポリマーは、1つ以上の共重合したエチレン性不飽和非イオン性ビニル又はアクリルモノマーを含み得る。本明細書で使用するとき、用語「非イオン性モノマー」は、pH=1~14のイオン電荷を持たない重合性モノマーを指す。好適なエチレン性不飽和非イオン性モノマーの例としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2-エチルヘキシル、アクリル酸ノニル、アクリル酸デシル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロピル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ノニル、メタクリル酸イソデシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸ヒドロキシエチル、ジメタクリル酸1,3-ブタンジオール、及びメタクリル酸ヒドロキシプロピル等の(メタ)アクリル酸エステルモノマー及びアリーレンモノマー;スチレン及びアルキル置換スチレン;(メタ)アクリルアミド;(メタ)アクリロニトリル;又はこれらの混合物からなる群から選択される。エチレン性不飽和非イオン性モノマーは、好ましくは、(メタ)アクリル酸エステルモノマー、又はそのスチレンとの組み合わせを含む。
【0030】
本発明において有用な硬質ビニル又はアクリルエマルジョンポリマーA)は、エマルジョンポリマーA)の固形分重量に基づいて、合計で70重量%以上、又は75重量%以上、又は80重量%以上、又は99.5重量%以下、95重量%以下、又は90重量%以下の任意の1つ以上の共重合した非イオン性モノマーを重合形態で含み得る。本発明において有用な軟質ビニル又はアクリルエマルジョンポリマーB)は、エマルジョンポリマーB)の固形分重量に基づいて、合計で70重量%以上、又は75重量%以上、又は80重量%以上、又は99.5重量%以下、95重量%以下、又は90重量%以下の任意の1つ以上の共重合した非イオン性モノマーを重合形態で含み得る。
【0031】
本発明において有用な硬質及び軟質のビニル又はアクリルエマルジョンポリマーA)及びB)はそれぞれ、1つ以上の官能基を有する1つ以上の共重合したエチレン性不飽和モノマーを含み得る。官能基は、カルボキシル、カルボキシレート、カルボニル、アセトアセテート、アルコキシシラン、カルボキシル、ウレイド、アミド、イミド、アミノ基、又はこれらの混合物から選択され得る。好ましくは、カルボキシル又はカルボキシレート基を有するエチレン性不飽和モノマー、例えばメタクリル酸又はその塩が使用される。好適な官能基含有エチレン性不飽和モノマーの例としては、アクリル酸若しくはメタクリル酸、イタコン酸、及びマレイン酸などのエチレン性不飽和カルボン酸又はジカルボン酸;アミド、好ましくは、アクリルアミド、メタクリルアミド、N-メチロールアクリルアミド、N-メチロールメタクリルアミド、2-ヒドロキシエチルアクリルアミド、2-ヒドロキシエチルメタクリルアミド、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、及びヒドロキシプロピルメタクリレートなどの上記カルボン酸のアミド、好ましくはN-アルキルアミド又はヒドロキシアルキルエステル;又はこれらの混合物が挙げられる。接着促進官能基は、例えば、アセトアセテート、アルコキシシラン、カルボキシル、ウレイド、又はアミノ基を含み得る。
【0032】
本発明において有用な硬質ビニル又はアクリルエマルジョンポリマーA)は、エマルジョンポリマーA)の固形分重量に基づいて、合計で0.01重量%以上、又は0.05重量%以上、又は0.1重量%以上、又は20重量%以下、10重量%以下、又は5重量%以下の任意の1つ以上の共重合した官能基含有エチレン性不飽和モノマーを重合形態で含み得る。
【0033】
本発明において有用な軟質ビニル又はアクリルエマルジョンポリマーB)は、エマルジョンポリマーB)の固形分重量に基づいて、合計で0.01重量%以上、又は0.05重量%以上、又は0.1重量%以上、又は20重量%以下、10重量%以下、又は5重量%以下の任意の1つ以上の共重合した官能基含有エチレン性不飽和モノマーを重合形態で含み得る。
【0034】
好ましくは、硬質ビニル又はアクリルエマルジョンポリマーA)及び軟質ビニル又はアクリルエマルジョンポリマーB)のそれぞれは、それぞれポリマーA)又はB)の固形分重量に基づいて、合計70~99.5重量%の1つ以上の共重合されたエチレン性不飽和非イオン性モノマー及び合計0.5~10重量%の1つ以上の官能基を有する1つ以上の共重合されたエチレン性不飽和モノマーを重合形態で含む。
【0035】
本発明において有用な水性エマルジョンポリマーA)及びB)は、当該技術分野において周知の重合技術によって、好ましくは水性フリーラジカル乳化重合によって調製され得る。好適な水性乳化重合技術は、ポリマー技術分野において周知であり、多段階重合プロセスを含む。所与のモノマーについて、アクリル(コ)ポリマーの水性分散体の調製において使用されるモノマーの総重量に基づくモノマーの割合は、アクリル(コ)ポリマーの固形分重量に基づく共重合したこのようなモノマーの割合と実質的に同じである。1つの好適な水性乳化重合法は、界面活性剤の使用を含む。好適な界面活性剤としては、例えば、ラウレス硫酸ナトリウム、アルキルスルホコハク酸ナトリウム、又はアルキルアルコールアルコキシレートを挙げることができる。使用される界面活性剤の量は、所与のポリマーを作製するために使用されるモノマーの総重量に基づいて、0.01重量%以上、0.3重量%以上、又は更には0.5重量%以上であり、同時に、10重量%以下、5重量%以下、又は更に2重量%以下の範囲である。
【0036】
得られるエマルジョンポリマーの分子量を制御するために、連鎖移動剤の存在下で乳化重合を実施してもよい。好適な連鎖移動剤の例としては、3-メルカプトプロピオン酸、ドデシルメルカプタン、3-メルカプトプロピオン酸メチル、ベンゼンチオール、アゼライン酸アルキルメルカプタン、又はこれらの混合物が挙げられる。連鎖移動剤の濃度は、合計で、エマルジョンポリマーを作製するために使用されるモノマーの総重量に基づいて、0.01重量%以上、0.05重量%以上、又は更には0.1重量%以上、又は5重量%以下、3重量%以下、又は2重量%以下の範囲であってもよい。
【0037】
水性エマルジョンポリマーA)及びB)は、エマルジョンの総重量に基づいて、30重量%以上、35重量%以上、又は40重量%以上で、又は70重量%以下、68重量%以下、又は65重量%以下の範囲の固形分含有量を有し得る。
【0038】
本発明において有用な硬質ビニル又はアクリルエマルジョンポリマーA)は、5℃以上、10℃以上、15℃以上、又は50℃以下、35℃以下、又は30℃以下の測定Tghを有し得る。好適な市販の硬質ビニル又はアクリルエマルジョンポリマーA)としては、例えば、The Dow Chemical Companyから入手可能なRHOPLEX(商標)2500アクリルエマルジョンを挙げることができる。
【0039】
本発明において有用な軟質ビニル又はアクリルエマルジョンポリマーB)は、-5℃以下、又は-8℃以下、又は-10℃以下、同時に、-50℃以上、-35℃以上、又は-17℃以上の測定Tgsを有し得る。好適な市販の軟質ビニル又はアクリルエマルジョンポリマーB)としては、例えば、いずれもThe Dow Chemical Companyから入手可能なELASTENE(商標)2848NG、RHOPLEX(商標)EC-1791、及びPHOPLEX(商標)EC-2540アクリルエマルジョン(ELASTENE及びPHOPLEXは、The Dow Chemical Companyの商標である)を挙げることができる。
【0040】
塗布時のモルタルにおける発泡体の耐久性を改善するために、水性ポリマー発泡体形成成分は、C)(i)ステアリン酸カルシウム水エマルジョン、又は炭素数12~18の脂肪酸の塩、又は炭素数約16~20の脂肪族カルボン酸の混合物(特に酸が飽和している場合、例えば、ステアリン酸Na又はK)、並びにオレイン酸、獣脂脂肪酸、及びトール油脂肪酸等の炭素数12~24の脂肪酸の塩等の1つ以上の発泡安定剤を更に含む。C)(i)1つ以上の発泡体安定剤の総量は、こて塗り可能な水性組成物を形成するために使用される全ての材料の総重量に基づいて、0.5~3重量%の範囲であり得る。
【0041】
空気連行マトリックス又は発泡体を形成するために、水性ポリマー発泡体形成成分は、C)(ii)1つ以上の有機発泡剤、例えばアルキルポリグルコシド発泡剤、アルキルスルホネート、例えばアルキルスルホン酸ナトリウム若しくはアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、又はこれらの混合物を更に含む。C)(ii)有機発泡剤は、組成物の剪断及び/又は撹拌時に水性エマルジョンポリマー組成物の発泡体を形成する。C)(ii)有機発泡剤の総量は、こて塗り可能な水性組成物を形成するために使用される全ての材料の総重量に基づいて、0.05~0.75重量%、例えば0.05~0.5重量%、又は好ましくは0.1~0.5重量%の範囲であってよい。
【0042】
本発明のこて塗り可能な水性組成物における稠度及び均質性を保持するために、1つ以上の増粘剤、例えば疎水変性アニオン性増粘剤、疎水変性アルカリ膨潤性エマルジョン(HASE)、例えばACRYSOL(商標)TT935(Dow)等の疎水変性アクリル酸コポリマーを含めてもよい。疎水変性アクリル酸コポリマーは、アリール若しくはフェニル基、又はC以上のアルキル基等の2つ以上の疎水性基を含む。1つ以上の増粘剤の総量は、こて塗り可能な水性組成物を形成するために使用される全ての材料の総重量に基づいて、0.05~1.5重量%、例えば0.1~1.5重量%の範囲であり得る。
【0043】
こて塗り可能な水性組成物の均質性を改善するために、水性ポリマー発泡体形成成分は、1つ以上の分散剤、例えばアルカリ金属ポリカルボキシレート、例えばポリアクリル酸ナトリウムを更に含んでいてもよい。好適なポリメタクリル酸ナトリウム分散剤は、OROTAN(商標)1850E(Dow)として販売されている。1つ以上の分散剤の総量は、こて塗り可能な水性組成物を形成するために使用される全ての材料の総重量に基づいて、0.05~1.5重量%、例えば0.1~1.5重量%の範囲であり得る。
【0044】
本発明のこて塗り可能な水性組成物の全体的な作業性を改善するために、ゴム状複合材成分と混合するときに、少量の水を水性ポリマー発泡体形成成分に添加してもよい。添加される水の量は、こて塗り可能な水性組成物を形成するために使用される全ての材料の総重量に基づいて、0~50重量%の範囲であり得る。
【0045】
本発明によるこて塗り可能な水性組成物のゴム状複合材成分は、それから作製される消音マットにおいて耐久性のある多孔性を可能にするD)(i)軽量無機骨材を含む。好適な多孔質軽量骨材としては、例えば、軽砂、又は焼結シリケート若しくは粘土を挙げることができる。D)(i)軽量無機骨材は、180~400kg/m(0.18~0.4g/cm)又は240~370kg/m(0.24~0.37g/cm)の密度を有し得る。好適な軽量無機骨材は、0.3~4mm、又は0.3~3mm、又は0.3~2.5mm、又は0.7~2mm、又は好ましくは0.5~2.5mmの篩粒度を有し得る。D)(i)軽量無機骨材の総量は、こて塗り可能な水性組成物を形成するために使用される全ての材料の総重量に基づいて、15~60重量%、又は20~60重量%、又は好ましくは25~55重量%、又は好ましくは25~50重量%未満の範囲であってよい。
【0046】
ゴム状複合材成分は、粒子若しくは微粉、粒、又はこれらの混合物としてD)(ii)微粉状架橋ゴム粒子を更に含む。(a)架橋ゴム粒は、(b)微粉状架橋ゴム微粒子よりも大きい。(a)架橋ゴム粒は、0.5~4mm、又は例えば0.5~2.5mmの篩粒度を有し得る。(a)架橋ゴム粒子は、0.5mm未満の篩粒度を有する。架橋ゴムは遮音性を向上させる。好ましくは、臭気及び毒性を低減するために、D)(ii)a)架橋ゴム粒又は粒子は、エチレンプロピレンジエン(EPDM)ゴムを含む。
【0047】
D)(i)軽量無機骨材の総量は、こて塗り可能な水性組成物を形成するために使用される全ての材料の総重量に基づいて、20~60重量%又は好ましくは25~55重量%の範囲であり得る。
【0048】
D)(i)軽量無機骨材の量に対するD)(ii)架橋ゴム(a)粒及び/又は(b)微粉粒子の量を増加させて、消音マットの耐亀裂性、消音、及び弾力性を改善することができる。好ましくは、こて塗り可能な水性組成物中のゴム状複合材成分の全量は、こて塗り可能な水性組成物が乾燥又は硬化されて消音マットを形成するときに、ゴム状複合材成分固形分の水性ポリマー発泡体形成成分固形分に対する総重量比が1:3~2:1、例えば1:3~2.5:1、又は例えば1:2~2:1、又は例えば1:1.6~2:1の範囲になるように選択され得る。
【0049】
例えば、天然ゴム、合成ゴム、及びこれらの誘導体等の任意の種類の架橋又は加硫ゴムを、本発明のゴム状複合材成分におけるD)(ii)(a)粒及び/又は(b)粒子として使用してよい。好適なゴムとしては、例えば、ジエン系ポリマー、例えば、ポリイソプレン、シス-1,4-ポリイソプレン、EPDM、エチレンプロピレンゴム(EPM)、ブタジエンゴム、ニトリルゴム(ニトリルジエンゴムを含む)、例えば、アクリロニトリルブタジエンスチレンゴム(ABS)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、アクリロニトリル-ブタジエン、シス-1,4-ポリブタジエン、架橋アクリルゴム、水素化ニトリル、ニトリルゴム、ネオプレンゴム、クロロプレンゴム、ハロゲン化ブチルゴム、及び再生ゴム、例えば、再生タイヤゴム又は粉砕タイヤゴム(GTR)を挙げることができる。架橋ゴムは、加硫(架橋)又は過酸化ゴムであってよく、架橋剤、硫黄、又は加硫促進剤のうちの1つ以上を含有し得る。好ましくは、本発明の架橋ゴム(a)粒及び/又は(b)粒子は、臭いが少なく、硫黄を含まず、重金属等の毒性物質を含まない。好ましい架橋ゴム(a)粒及び/又は(b)粒子の例は、EPDM、EPM、及びSBRである。
【0050】
本発明のD)(ii)(b)架橋ゴム粒子は、微粉状架橋ゴムを含んでいてよく、0.5mm未満、0.3mm未満、0.1mm未満、又は更には0.05mm未満の篩粒度を有し得る。あるいは、0.5~4mm、又は0.5~3mm、又は好ましくは0.5~2.5mmの篩粒度を有する粒を含んでいてもよい。あるいは、微粉状架橋ゴムと架橋ゴム粒との混合物を含んでいてもよい。
【0051】
本発明による床マット、下張り、及び下敷用途における消音マットとして又は消音マットを作製するための組成物として使用する場合、こて塗り可能な水性組成物は、例えば、消音マット又は消音マットを構成する乾燥又は硬化した材料の層の元の厚さの5%未満、例えば約0.05%、例えば好ましくは3%未満、又はより好ましくは2%以下のわずかな収縮を超えることなく、圧縮力に耐えなければならない。好ましくは、こて塗り可能な水性組成物におけるD)(i)軽量無機骨材の水性エマルジョンポリマーA)及びB)の総重量に対する重量比は、1:1以下、例えば1:4~1:1の範囲である。したがって、D)(i)軽量無機骨材固形分の水性エマルジョンポリマーA)及びB)の総固形分重量に対する重量比は、好ましくは3:1以下、例えば1:8~2.5:1の範囲であり得る。
【0052】
更なる遮音性及び引張強度の改善のために、本発明のゴム状複合材成分及び分散しているゴム状複合材部分は、12mm未満又は10mm未満の平均長さを有する任意のもの等の木材繊維又はヤシ繊維を更に含み得る。このような木材又はヤシ繊維の総量は、こて塗り可能な水性組成物を形成するために使用される全ての材料の総重量に基づいて、0~10重量%の範囲であり得る。
【0053】
本発明は、D)(ii)微粉状架橋ゴム(a)粒及び/又は(b)粒子の形状によって限定されない。架橋ゴムは、例えば、細断形態、ゴムペレット、ゴムストランド、又はクラムラバー等の粒子、又はゴム粉末であってもよく、これらの粒子形態は、市販されており、当業者に既知の方法によって生産される。
【0054】
本発明のこて塗り可能な水性組成物を使用する方法によれば、水性ポリマー発泡体形成成分及びゴム状複合材成分の各々を別々にかつ独立して混合することは、モルタルを形成するための任意の従来の手段又は単純な混合によって行うことができる。例えば、各成分は、手で、又はセメントミキサー等の低剪断ミキサーを用いて、混合することができる。ゴム状複合材成分と混合する前に、静的ミキサー又は中若しくは高剪断ミキサー、例えばホモジナイザー又は他の従来の発泡体混合装置を用いて水性ポリマー発泡体形成成分を発泡させてもよい。水性ポリマー発泡体形成成分と混合する前に、本発明のゴム状複合材成分を乾式混合する。更に、水性ポリマー発泡体形成成分及びこて塗り可能な水性組成物は、水性ポリマー発泡体形成成分又はゴム状複合材成分自体のいずれかを混合したのと同じミキサーで混合してよい。
【0055】
本発明の方法において、本発明のこて塗り可能な水性組成物を塗布して消音マットを形成することは、組成物をコンクリートスラブに、すなわちその上に塗布して、従来の様式で、例えば、漆喰、下塗り、又はスキム塗等の様式で、こて、スキージー、ローラー、スクリー及び/又はフロートを使用することによって、層を形成することを含み得る。
【0056】
こて塗り可能な水性組成物の乾燥又は硬化の後、本発明の方法は、セメント、漆喰、又は石膏スキム層を塗布して、下張り材の設置を完了することを更に含んでもよい。
【実施例
【0057】
以下の実施例により、本発明を例示する。別段の指示がない限り、全ての部及び百分率は重量によるものであり、全ての温度は℃であり、全ての調製及び試験手順は、室温23℃及び圧力(1atm)の周囲条件で実施される。以下の実施例並びに表1、表2、及び表3では、以下の略語を使用した。AA:アクリル酸、AM:アクリルアミド、BA:n-ブチルアクリレート、HEMA:2-ヒドロキシエチルメタクリレート、MAA:メタクリル酸、MMA:メチルメタクリレート、Sty:スチレン、。
【0058】
以下の材料を以下の実施例で使用した(全ての市販成分は受け取ったままの状態で使用した)。
【0059】
硬質スチレンアクリルエマルジョンポリマー:1.0氷アクリル酸(GAA)/2.0 AM/0.2接着促進剤モノマー/47.8 Sty/49 BAの段階的付加乳化重合によって作製され、21℃の測定Tg(DSC TA Instruments Q2000(TA Instruments,New Castle,DE);試料を160℃に加熱し、次いで3分間で-80℃に急速冷却し(10℃/分)、次いで10℃/分で160℃まで上昇させる)を有する一段階スチレンアクリルエマルジョンポリマー;
軟質スチレンアクリルエマルジョンポリマー:0.5 HEMA/1.9 AM/28 Sty/69.6 BAの段階的付加乳化重合によって作製され、-11℃の測定Tgを有する一段階スチレンアクリルエマルジョンポリマー;
水:水道水;
発泡安定剤:Xianbang C-405ステアリン酸カルシウム塩水性エマルジョン、Shanghai Xianbang Chemicals Co.Ltd,Shanghai,PRC;
発泡剤:TRITON(商標)CG-110アルキルポリグルコシド発泡剤、The Dow Chemical Company(Dow),Midland,MI;
増粘剤:Acrysol(商標)TT935疎水変性アニオン性増粘剤、Dow;
分散剤:Orotan(商標)1850Eポリアクリル酸ナトリウム、Dow
軽砂:SiOを主成分とし、0.27g/cmの密度を有する砂。(Suzhou Lvcheng Lightweight Green Materials Co.Ltd.Suzhou,PRC);
EPDM粒:エチレンプロピレンジエン(EPDM)ゴム、製造業者の報告によると0.2~2mmの篩(粒度、Guangzhou Chuanao Sports Facilities Co.Ltd.,Guangzhou PRC);
EPDMゴム粉末:篩粒度177μm、<80メッシュ(製造業者の報告による、Guangzhou Chuanao Sports);
再生タイヤゴム粉末:サイズ:<0.5mm(製造業者の報告による、Fujian Aoxiang,Fuzhou,PRC);
ラテックスマットレスに由来する再生発泡ゴム粉末(Jiangxi Wandao New Materials Co.Ltd.,Nanchang,PRC);
SBR再生ゴム粉末(製造業者の報告によると篩粒度<0.5mm、Fujian Aoxiang);
木粉A:サイズ1.18mm又は<16メッシュ(製造業者の報告による、SDC lab,Shanghai);
木粉B:サイズ0.5~1.18mm又は16~30メッシュ(製造業者の報告による、SDC lab);
ヤシ繊維:長さ:<12mm(製造業者の報告による、KNAAP(Thailand)Co.Ltd.);
プレキャストPU発泡体マット:ジオール又はポリオール、及びジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、及び水の塩基性付加重合反応によって作製され、700kg/mの密度を有する、ポリウレタン発泡体Guangzhou Baolai Acoustic Material Co.,Ltd,Guangzhou)。
【0060】
【表1】

-比較例を示す。
【0061】
消音マット:特に指示しない限り、実施例のための消音マットを作製するために、液体成分及び粉末成分のそれぞれにおける指定の材料を、上記の表1並びに下記の表3及び表4に示す処方に従って別々に混合し、次いで一緒に均一に混合してモルタルを形成した。モルタルを、300×300×5mmのステンレススチール製フレームに敷いた剥離紙片上に流し込み、このように流し込んだモルタルをステンレススチール製こてを用いて平らにすることによって層に成形した。より薄いマットの場合は、より低い割合のモルタルをフレームに流し込んだ。24時間硬化させた後、マットを試験のために所望のサイズに切断した。
【0062】
試験した消音マットの厚さは、BS EN 12431:2013 Thermal insulating products for building applications-Determination of thickness for floating floor insulating productsに従って決定した。
【0063】
試験方法:以下の実施例では以下の試験方法を使用した:衝撃音遮断:使用した消音マットは、厚さ5mmであり、22cm L×30cm Wのサイズの矩形表面を有していた。実施例1におけるマットの厚さは3mmであり、実施例2におけるマットの厚さは5mmであった。異なる消音マット材料の衝撃音遮断性能を評価するために、上部が開いた発泡ポリスチレン板(厚さ5cm)の直角柱(箱)を組み立てた。箱は、60cmの高さ及び30cm W×20cm Lの内部空洞サイズを有し、底部から正確に15cmの高さにおいて背部及び前部の矩形の穴(30cm W×5cm L)がそれぞれ水平に配置されていた。それぞれ長さが30cmであり、消音マットの各側部を受け入れるために長さ方向に延在する1cm×1cmのチャネル又は溝を有する5cm×5cmの正方形断面を有する2枚の発泡ポリスチレン板「C」パネルの間の所定の位置に消音マットを保持し、箱の底部に対して平行に位置するように箱の穴に滑り込ませた。鋼球(1000g、直径6.35cm)を箱の最上部の高さで保持し、箱の最上部から各消音マット上に落下させて、衝撃音を発生させた。消音マットの下の騒音を受信するために、箱内の試料ホルダーの下にノイズ測定装置を配置した。各消音マットを5回測定し、平均を報告した。それぞれ3mm及び5mmの厚さを有するプレキャストPU発泡体マット試料を比較のために使用した。衝撃音遮断試験の結果を以下の表5に示す。
【0064】
遮音インピーダンス管試験:遮音インピーダンス管試験は、GB/Z 27764-2011 Acoustics-Determination of sound transmission loss in impedance tubes-Transfer matrix method(China Standards Press,Beijing,China)に従って実施した。各消音マットを形成するために、以下の表3から各指定のモルタルを室温で48時間硬化させ、次いで、各マットをそれぞれ100mm及び30mmの直径を有する2つの円形片に切断した。以下の実施例又は比較例1~11のいずれかにおいて独立して使用した消音マットの厚さは全て5mmであった。5mmの厚さを有するプレキャストPU発泡体マットを、遮音インピーダンス試験における比較例12として用いた。試験において、使用した装置は、一連の2本のインピーダンス管(SW series Shengwang Technology Company)を含む。装置の構成部品は、図1の試験において配置されているように図示され、試験される消音マット(16)と、漸減直径を有する、異なる最大内径(30mm及び100mm)の一組の2本のインピーダンス管(18)(個々の管は図示せず)のうちの一方と、マイクロフォン(22)を含む4つの音圧センサと、音声信号出力(8)を介して4チャネルデータ取得機器(6)に連結され、また、ソフトウェア解析システム(VA-LAB Basic and IMP Module、Beijing Shengwang Acoustics Technology Corporation,Beijing)を実行するPCU(2)にUSB接続(4)を介して連結された電力増幅器(10)と、を含む。インピーダンス管(14)は、音源管(14)と、延長消音管(18)又は受信管と、インピーダンス管端部(20)と、を備える。この装置は、インピーダンス管(14)の上端又は開放端に接続されたラウドスピーカ(12)を備える。材料の遮音性能を測定するとき、4マイクロフォン音伝達方法は、各マイクロフォン(22)について異なる音源管(14)及び受信管(18)を記録又は感知することを含んでいた。試験中の基本パラメータを以下の表2に示す。試験におけるいかなる負担誤差も排除するために、報告する結果は、各消音マットについての3回の独立した実験の平均である。結果を以下の表7に示す。データは、広範囲の異なる周波数にわたって有効な遮音を表す。
【0065】
【表2】
【0066】
圧縮率:液体部分及び粉末部分のそれぞれにおける指定の材料を、以下の表4に示す処方に従って別々に混合し、これを使用してモルタルを作製し、次いでこれを消音マットに成形した。マットを室温で48時間硬化させた後、各マットを20mm×20mm角に切断した。全てのマットの出発厚さは、およそ5mmであった。5mmの厚さを有するプレキャストPU発泡体マットを比較例12として使用した。消音マットの厚さを異なる荷重下で測定した:dL、250Paの荷重下での試料の厚さ;dF:2kPaの荷重下での試料の厚さ;d50K:50kPaの荷重下での試料の厚さ;dB、短時間追加荷重(48kPa)を印加した後の2kPa荷重下での試料の厚さ。厚さdL、dF、d50K、及びdBは、それらの初期厚さを決定した後、同じ消音マット上で順番に逐次決定した。圧縮率は[(dF-d50K)/dF]×100%として計算される。結果を以下の表6に示す。圧縮試験後の厚さを測定した方法は以下の通りであった。
【0067】
任意の上塗り又はコーティングがベースプレートの反対側にある状態で、各消音マットの全マット表面積が確実にベースプレートと接触するように、各消音マットを、剛性の平坦で水平なベースプレート上に置いた。dLを測定するために、試験した各消音マットを、120±5秒の期間にわたって250Paの圧力を及ぼす装置に装填し、次いで、圧力を印加した後の厚さを0.1mm単位まで測定した。dFを測定するために、試験した各消音マットを、120±5秒の期間にわたって2kPaの圧力を及ぼす装置に装填し、次いで、圧力を印加した後の厚さを0.1mm単位まで測定した。d50kを測定するために、試験した各消音マットを、120±5秒の期間にわたって(2kPaに加えて)48kPaの追加の圧力を及ぼす装置に装填し、次いで、圧力を印加した後の厚さを0.1mm単位まで測定した。最後に、厚さdBを測定するために、試験した各消音マットを、120±5秒の期間にわたって(48kPaの圧力を除去した後に)2kPaの圧力を及ぼす装置にのみ装填し、次いで、圧力を印加した後の厚さを0.1mm単位まで測定した。厚さは、試験片を載せた剛性の平坦なベースプレートと、試験片の上面に異なる指定の圧力を及ぼす剛性の平坦な圧力プレートとの間で測定される距離として決定した。
【0068】
加工性:液体部分と粉末部分とを高速ミキサーで3分間均一に混合して、コテ塗り可能な混合物及び吹付け可能な材料を調製することによって、各指定の材料を形成した。コンクリート基材表面を試験前に湿らせた。指定の材料の新たな混合物の表面を鋼製こてで平らにし、材料の滑らかさ及び塗布したときの材料表面の平坦さを目視評価し、以下のスコアに従って、当業者が加工性を評価した。
【0069】
加工性評価スコア:0、加工不能、1、非常に悪い、2、悪い、3、許容可能、4、良い、5、非常に良い。
【0070】
【表3】

-比較例を示す。
【0071】
【表4】

-比較例を示す。
【0072】
【表5】

-比較例を示す。1.厚さは、特に指定しない限り5mmである。2.比較例12と同じ材料。3.実施例9と同様の処方。
【0073】
【表6】

-比較例を示す。1.比較例12と同じ処方。
【0074】
上記の表5に示すように、実施例9B及び9Cの本発明の消音マットを使用した場合に得られる騒音レベルは、比較例12B及び12CのプレキャストPU発泡体マットから得られるものと同等であり、繊維セメントよりもはるかに優れていた。
【0075】
上記の表6に示すように、重量比1:1のゴム状複合材成分と水性ポリマー発泡体形成成分とを含むこて塗り可能な水性組成物を用いて作製した実施例13の本発明の消音マットの試験から得られた圧縮率は、比較例12DのプレキャストPU発泡体マットから得られた圧縮率と同等であり、比較例14(硬質ポリマーのみ)及び15(軟質ポリマーのみ)から作製されたパッドから得られた結果よりもはるかに優れていた。
【0076】
以下の表7に示すように、本発明の実施例6~7及び9は、良好な加工性及び低周波数から高周波数まで一貫した消音を提供した。本発明の実施例6は、比較例12のPU発泡体マットと同等の低周波数における消音を提供した。比較例4及び5に示すように、軽砂又は架橋ゴムが多すぎると、加工性が損なわれる。比較例5では、重量比1:1.5のゴム状複合材成分と水性ポリマー発泡体形成成分とを含むこて塗り可能な水性組成物を使用してパッドを作製したにもかかわらず、加工性には問題が残った。比較例5に示すように、水性ポリマー発泡体形成成分が好ましい量よりも多いと、低周波数において一貫性のない消音をもたらす。比較例10の組成物は、加工性及び消音を提供するが、軽砂が多すぎるので、適切な耐久性のために過度の圧縮を有する組成物が生じる。
【0077】
【表7】

-比較例を示す。
図1
【国際調査報告】