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特表2024-535996車輪に内臓モータを備え、ハンドルにボタン制御を備えた、手動式で車輪付きの自動カート
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-04
(54)【発明の名称】車輪に内臓モータを備え、ハンドルにボタン制御を備えた、手動式で車輪付きの自動カート
(51)【国際特許分類】
   A45C 5/14 20060101AFI20240927BHJP
   B62B 1/02 20060101ALI20240927BHJP
   A45C 5/03 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
A45C5/14 A
B62B1/02
A45C5/03
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024513297
(86)(22)【出願日】2022-08-24
(85)【翻訳文提出日】2024-04-22
(86)【国際出願番号】 IB2022057932
(87)【国際公開番号】W WO2023026210
(87)【国際公開日】2023-03-02
(31)【優先権主張番号】63/236,242
(32)【優先日】2021-08-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524069477
【氏名又は名称】ゾール,ニール
(71)【出願人】
【識別番号】524069488
【氏名又は名称】ゾール,サピール
(74)【代理人】
【識別番号】110003797
【氏名又は名称】弁理士法人清原国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ゾール,ニール
(72)【発明者】
【氏名】ゾール,サピール
【テーマコード(参考)】
3B045
3D050
【Fターム(参考)】
3B045AA02
3B045AA53
3B045CE07
3B045CE08
3B045FB02
3B045GC01
3B045GD03
3B045LA10
3D050AA01
3D050AA02
3D050BB10
3D050DD01
3D050EE04
3D050EE13
3D050GG04
3D050GG06
3D050HH07
3D050JJ07
3D050JJ09
3D050KK14
(57)【要約】
手動式で車輪付きのカートまたはスーツケースであって、背部側、上部側、底部側、および前部側を備えるカートまたはスーツケースの本体部分と、本体部分に連結されたハンドルと、本体部分の底部側に連結され、かつ本体部分の背部側に隣接した2つの車輪と、2つの車輪のうちの1つに収容され、ハンドルのボタンによって作動するモータとを備える、カートまたはスーツケース。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
手動式で車輪付きのカートまたはスーツケースであって、
背部側、上部側、底部側、もしくは前部側を備える、前記カートまたはスーツケースの本体部分と、
前記本体部分に連結されたハンドルと、
前記本体部分の前記底部側に連結され、前記本体部分の前記背部側に隣接した、2つの車輪と、
前記2つの車輪のうちの1つに収容され、前記ハンドルのボタンによって起動するモータと
を備える、カートまたはスーツケース。
【請求項2】
前記ボタンが、前記モータに有線接続される、請求項1に記載のカートまたはスーツケース。
【請求項3】
前記ボタンが、前記モータに無線接続される、請求項1に記載のカートまたはスーツケース。
【請求項4】
前記ボタンが、前記ハンドルの上面に配置され、前記上面が、前記本体部分から最も遠い面である、請求項1に記載のカートまたはスーツケース。
【請求項5】
前記ボタンが、前記ハンドルの底面に配置され、前記底面が、前記本体部分に最も近い、請求項1に記載のカートまたはスーツケース。
【請求項6】
前記ボタンが、前記ハンドルの背面に配置され、前記背面が、前記本体部分の前記背部側に最も近い、請求項1に記載のカートまたはスーツケース。
【請求項7】
前記ボタンが、前記ハンドルの前面に配置され、前記前面が、前記本体部分の前記前部側に最も近い、請求項1に記載のカートまたはスーツケース。
【請求項8】
前記2つの車輪のうちの第2の車輪の内部に配置された追加のモータをさらに備える、請求項1に記載のカートまたはスーツケース。
【請求項9】
前記モータに給電するための充電式バッテリをさらに備える、請求項1に記載のカートまたはスーツケース。
【請求項10】
前記本体部分の前記上部側または前記背部側および前記ハンドルのうちの1か所に配置されたディスプレイであって、バッテリのバッテリ残量を示すように構成されたディスプレイをさらに備える、請求項9に記載のカートまたはスーツケース。
【請求項11】
前記充電式バッテリが、様々なポータブル電子デバイスを充電するように適合された、可逆的に取外し可能または分離可能なバッテリパックである、請求項9に記載のカートまたはスーツケース。
【請求項12】
前記バッテリパックが、前記バッテリパックのバッテリ残量と、様々な前記ポータブル電子デバイスに充電されたバッテリ量とのうちの少なくとも1つを表示するように構成されたディスプレイを備える、請求項11に記載のカートまたはスーツケース。
【請求項13】
前記バッテリパックが、取外し可能な前記バッテリパックの状態を表示するための音声インジケータを備える、請求項11に記載のカートまたはスーツケース。
【請求項14】
モバイルデバイスを充電するためのUSBポートをさらに備える、請求項1に記載のカートまたはスーツケース。
【請求項15】
モバイルデバイスを無線で充電するための無線充電器をさらに備える、請求項1に記載のカートまたはスーツケース。
【請求項16】
前記ボタンが、電気機械式プッシュボタンまたはタッチセンサ式ボタンである、請求項1に記載のカートまたはスーツケース。
【請求項17】
前記タッチセンサ式ボタンが無線であり、前記カートまたはスーツケースが、無線の前記タッチセンサ式ボタンを無線で充電するように構成されたバッテリをさらに備える、請求項16に記載のカートまたはスーツケース。
【請求項18】
前記モータを制御するためのコントローラをさらに備える、請求項1に記載のカートまたはスーツケース。
【請求項19】
前記2つの車輪のうちの第2の車輪内の第2のモータを制御するための追加のコントローラをさらに備える、請求項18に記載のカートまたはスーツケース。
【請求項20】
前記2つの車輪のうちの第2の車輪内に第2のモータをさらに備え、前記コントローラが、両方のモータを制御するためのデュアルコントローラである、請求項18に記載のカートまたはスーツケース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動の手動式(hand-driven)車両、より具体的には、車輪に1つまたは複数の内蔵モータを備えた電動車輪を有し、かつ、ハンドルの上面、底面、または側面にプッシュボタンまたはタッチボタン制御を備えたスーツケース、カート、トロリーなどに関する。
【背景技術】
【0002】
電動のカートおよびスーツケースの多くは、ベルトとギアとを備えたトランスミッションエンジンを搭載する。ギアと車輪には、注油する必要がある。エンジンが故障すると、それは、6歳にも90歳にも、訓練を受けた専門家でないその中間の年齢の誰にも対処できないことである。対処しようとするなら、それは、その者達が何をしているのかを知らない人にとっては、時間がかかり、危険なことである。さらに、ベルトに注油する必要があり、ベルトは、裂けたりその他の損傷を引き起こしたりする可能性がある。また、常にメンテナンスが必要である。
【0003】
一般的な手動式車両/ロードムーバ(load-movers)は、外部モータであるDCモータで作動する。これらのモータは、オーバーヒートして、爆発する可能性がある。これらのモータは、非常に騒々しい音を伴い、かつ安全でない。多くの人が高温のモータで火傷を負っている。また、これらのモータは、非常に扱いにくい。
【0004】
モーションセンサおよび/または操作レバー(joysticks)を備え、無線、半自動、または自動で制御される、様々なカートおよびスーツケースがある。人を追跡する無線のスーツケースについて言えば、これらの無線のスーツケースは、近くにいる人、およびその付近の他の物に損傷を与える可能性がある。また、無線のスーツケースは、非常に扱いにくい。タッチセンサにも問題が多く、すぐに故障する上に、接触子が頻繁に損傷する。タッチシステムが故障すると、専門家による修理作業が必要となるが、修理のコストが非常に高く、ユーザに多くの手間がかかるため、望ましくない。これらの複雑なシステムは、多くのボタン/命令で非常に複雑であることが多く、扱いにくくて不快なユーザ体験をもたらす。センサの機能不全がよく起きる。
【0005】
操作レバーで移動するスーツケースおよびカートがある。これらのシステムおよびそのユーザインターフェイスは、非常に扱いにくく、快適なユーザ体験を提供せず、かつ多くの不具合が発生する。システムが故障した場合、専門家が修理を行う必要がある。また、これらのシステムが機能不全を起こすと、多くの場合、ユーザは、カートまたはスーツケースを全く動かすことができなくなる。
【発明の概要】
【0006】
本発明によると、手動式で車輪付きのカートまたはスーツケースであって、背部側、上部側、底部側、および前部側を備える、カートまたはスーツケースの本体部分と、本体部分に連結されたハンドルと、本体部分の底部側に連結され、かつ本体部分の背部側に隣接する2つの車輪と、2つの車輪のうちの1つに収容され、ハンドル上のボタンによって起動するモータとを備える、カートまたはスーツケースが提供される。
【0007】
本発明の好ましい実施形態におけるさらなる特徴によると、ボタンは、モータに有線または無線で接続される。
【0008】
説明された好ましい実施形態における他のさらなる特徴によると、ボタンは、ハンドルの上面に配置され、この上面は、本体部分から最も遠い面である。
【0009】
さらなる特徴によると、ボタンは、ハンドルの底面に配置され、この底面は、本体部分に最も近い。さらなる特徴によると、ボタンは、ハンドルの背面に配置され、この背面は、本体部分の背部側に最も近い。さらなる特徴によると、ボタンは、ハンドルの前面に配置され、この前面は、本体部分の前部側に最も近い。
【0010】
さらなる特徴によると、カートまたはスーツケースは、2つの車輪のうちの第2の車輪の内部に配置された追加のモータをさらに備える。さらなる特徴によると、カートまたはスーツケースは、モータに給電するための充電式バッテリをさらに備える。
【0011】
さらなる特徴によると、カートまたはスーツケースは、本体部分の上部側または背部側およびハンドルのうちの1か所に配置されたディスプレイであって、バッテリのバッテリ残量を表示するように構成されたディスプレイをさらに備える。さらなる特徴によると、充電式バッテリは、様々なポータブル電子デバイスを充電するように適合された可逆的に取外し可能または分離可能なバッテリパックである。さらなる特徴によると、バッテリパックは、取外し可能なバッテリパックの状態を表示するための音声インジケータを備える。
【0012】
さらなる特徴によると、カートまたはスーツケースは、モバイルデバイスを充電するためのUSBポートをさらに備える。さらなる特徴によると、カートまたはスーツケースは、モバイルデバイスを無線で充電するための無線充電器をさらに備える。
【0013】
さらなる特徴によると、ボタンは、電気機械式プッシュボタンまたはタッチセンサ式ボタンである。
【0014】
さらなる特徴によると、タッチセンサ式ボタンは無線であり、カートまたはスーツケースは、無線のタッチセンサ式ボタンを無線で充電するように構成されたバッテリをさらに備える。
【0015】
さらなる特徴によると、カートまたはスーツケースは、モータを制御するためのコントローラをさらに備える。さらなる特徴によると、カートまたはスーツケースは、2つの車輪のうちの第2の車輪内の第2のモータを制御するための追加のコントローラをさらに備える。さらなる特徴によると、カートまたはスーツケースは、2つの車輪のうちの第2の車輪内に第2のモータをさらに備え、コントローラは、両方のモータを制御するためのデュアルコントローラである。
【図面の簡単な説明】
【0016】
本明細書では、以下の添付の図面を参照しながら、単なる例として様々な実施形態を説明する。
図1A】本発明による、例示的な手動式のスーツケース(100)の正面斜視図である。
図1B】本発明による、例示的な手動式のスーツケース(100)の側面図である。
図1C】本発明による、例示的な手動式のスーツケース(100)の背面図である。
図2A】ハンドル(120)上の1つ(または複数)のボタン(150)の構成例である。
図2B】ハンドル(120)上の1つ(または複数)のボタン(150)の構成例である。
図2C】ハンドル(120)上の1つ(または複数)のボタン(150)の構成例である。
図3A】本発明による、例示的な手動式のスーツケース(100)の正面斜視図である。
図3B】本発明による、例示的な手動式のスーツケース(100)の側面図である。
図3C】本発明による、例示的な手動式のスーツケース(100)の背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明による、1つまたは複数の電動車輪を備えた手動式のカートまたはスーツケースの原理および動作は、図面およびそれに付随する説明を参照することで、よりよく理解することができる。
【0018】
電動であるとともに、ハンドル(ハンドルの上部、下部または側部)に配置されたボタン(例えば、プッシュボタンまたはタッチセンサ式ボタン)によって起動する、手動式で車輪付きのカート、スーツケース、トロリー、台車、貨物カートなどが開示される。重い荷物(約80kgなど)を運ぶときでも、子ども(例えば、6歳以下)や高齢者(例えば、90歳以上)でさえ、力をかけずにカートなどを押したり引いたりすることができるように、ボタンは、簡単に、かつボタンに軽く触れる(または押下する)ことでカートなどを押したり引いたりする動作を強化、かつ/または自動化する。
【0019】
カートまたはスーツケースという用語は、本明細書で代表的に使用されるが、前述の車輪付きの車両、および本説明に適合する任意の他の手動式の車両のそれぞれを同等に指し、準用する(mutatis mutandis)ことが意図される。カートまたはスーツケース(など)は、カートまたはスーツケースのハンドルのボタンによって作動/起動される少なくとも1つの電動車輪を備える。
【0020】
図1A、1B、および1Cは、本発明による例示的な手動式のスーツケース(100)の正面斜視図、側面図、および背面図をそれぞれ示す。正面斜視図と背面図では、スーツケースの内部コンポーネントを表示するために、スーツケースの前面パネルおよび背面パネルが取り外されている(見えない状態になっている)。側面図は、バッテリパックを想像線(fantom line)で示す。
【0021】
各図におけるスーツケース(100)を参照すると、示された実施形態(および本明細書に詳述された他の実施形態)は、単に例示的であり、決して限定的であることを意図するものではないことが明らかになる。
【0022】
カートまたはスーツケースは、少なくとも背部側、上部側、底部側、および前部側を有する本本体部分を備える。例えば、スーツケース(100)は、運ばれる物品を収容または保持するように適合された本体部分(110)を備える。本体部分は、背部側(112)、上部側(114)、前部側(116)、および底部側(118)を備える。
【0023】
カートまたはスーツケースは、カートまたはスーツケースの本体部分の上部に連結されたハンドルを備える。例えば、スーツケース(100)は、本体部分(110)の上部側(114)に連結されたハンドル(120)を備える。ハンドルは、カートまたはスーツケースを方向付けるために機能的に役立つ任意の構成であってもよい。図中に描写された例示的な実施形態では、ハンドル(120)は、必要に応じて伸縮可能な伸長可能ロッド(102)上に配置される。使用中、スーツケースは、[後部]車輪上に傾けられ、ユーザの後ろ手に引かれる。カートもしくはスーツケースのハンドルは、カートもしくはスーツケースを引くか、または押す(または別の方法で方向付ける)ように構成されてもよい。カートまたはスーツケースのハンドルは、上面、底面、前面、および背面を有する。例えば、ハンドル(120)は、背面(122)、上面(124)、前面(126)、および底面(128)を有する。
【0024】
カートまたはスーツケースは、少なくとも2つの車輪を有する。2つの車輪は、本体部分の底部側に連結され、本体部分の背部側に隣接する。例えば、スーツケース(100)は、本体部分(110)の底部側(118)に連結され、本体部分(118)の背部側(112)に隣接した、2つの車輪(130)、(132)を備える。他の実施形態では、カートまたはスーツケースは、3つ以上の車輪を有してもよい。例えば、カートまたはスーツケースは、4つの車輪を有してもよい。トロリーは、6つ以上の車輪を有する場合さえある。前述の実施形態のいずれにおいても、少なくとも1つの車輪は、以下に詳述するように電動化される。
【0025】
本発明によるカートまたはスーツケースは、2つの車輪のうちの1つに収容されたモータ(本明細書ではエンジンとも称される)をさらに備える。例えば、スーツケース(100)は、モータ(140)が収容された1つの車輪(130)を備える。車輪内に収容されるように適合されたあらゆる種類の関連するモータが、本発明の範囲内であると考慮されるべきである。場合によっては、単一のモータで、カートまたはスーツケース(例えば、スーツケース(100))を、80~100kgの間の、平均的な人の荷物を運びながら、約20kmの距離にわたり、最大約10~15km/hの速度で進ませることが可能である。小さな子どもや高齢者は、大きな力をかけずに、カートまたはスーツケースを簡単に引いたり押したりすることができる。
【0026】
内蔵のモータ/エンジンは、機密に密閉され、覆い隠されている。モータは、トランスミッション、ベルト、および/またはギアを有さない。注油が必要なギア、または裂けたときに交換の必要なベルトがない。モータは、車輪に内蔵されており、非常に安全である。メンテナンスの必要がない。機能しなくなった車輪は、簡単に交換できる。内臓モータを備えた車輪を交換する所用時間の目安は、約5分である。内蔵エンジンで火傷を負う危険がなく、モータは外部DCモータよりもはるかに静かである。
【0027】
いくつかの実施形態例では、別の(すなわち、第2の)モータが、2つの車輪のうちの第2の車輪の内部に配置される。2つの内蔵車輪駆動(built-in wheel-drives)を有することが望ましい場合がある。しかしながら、モータは十分に強力であるため、モータの一方が故障した場合も、依然としてもう一方のモータがカート/スーツケース/トロリー、台車、貨物カートなどを動かすことができる。
【0028】
モータは、ハンドル上のボタンによって起動/制御される。例えば、モータ(140)は、ボタン(150)によって制御(作動/起動/作動停止/第1の方向への前進、第1の方向とは反対の第2の方向への前進など)される(図2A~Cを参照)。ボタンは、ハンドル(120)上に配置される。
【0029】
図2A、2B、および2Cは、ハンドル(120)上の1つ(または複数)のボタン(150)の構成例をそれぞれ描写する。図2Aでは、ボタン(150a)は、ハンドル(120)の上面(124)に位置する。上面(124)は、スーツケース(100)の本体部分(110)から最も遠いハンドル(120)の面である(または本体部分の上部側の平面に対応する平面上に配置される)。このボタン(150a)は、ユーザがハンドルを保持または把持しているときに、ユーザの手のひらによって押下(または別の方法で起動)されてもよい。
【0030】
図2Bでは、ボタン(150b)は、ハンドル(120)の底面(128)に位置する。底面(128)は、スーツケース(100)の本体部分(110)に最も近いハンドル(120)の面である(または本体部分の底部側の平面に対応する平面上に配置される)。ハンドルの底面にあるボタン(150b)は、ハンドルを把持するときに、ユーザの手の1本または複数本の指によって起動または作動されてもよい。
【0031】
いくつかの実施形態によると、第2のボタンが、カートまたはスーツケースのハンドルに見出されてもよい。図2Bでは、第1のボタン(150b)の隣に配置される第2のボタン(150c)を備える構成例が描写される。このような場合、第1のボタン(150b)が第1の方向に車輪を進ませるように適合され、一方、第2のボタン(150c)が第2の方向に車輪を進ませるように適合されてもよく、ここで、第1の方向(例えば、車輪は時計回り方向に回転する)は、第2の方向(例えば、車輪は反時計回り方向に回転する)とは反対である。
【0032】
いくつかの実施形態によると、1つのボタンのみがカートまたはスーツケースのハンドルの底面に位置する。図2Cでは、単一のボタン(150d)の構成例が描写される。ボタンは、特定の方向(例えば、後方)にモータを駆動するように適合されてもよい。別の実施形態では、ボタンは、スーツケースまたはカートがユーザによって動かされている方向にモータを駆動するように適合されてもよい。例えば、2つの後輪のみを備えたスーツケースの実施形態では、ユーザは、スーツケースを後輪の上に後ろに傾けて、スーツケースを後ろ手に後方に引く。本実施形態によると、ボタン(150d)を押すことで、ユーザの力を増強し、ユーザがスーツケースを引いている方向にモータを駆動する。ユーザがスーツケースを前方に押すことにした場合、モータは方向を反転させ、スーツケースを前方に動かすことでユーザの力を増強する。(本明細書では、前方(forwards)および後方(backwards)の方向は、スーツケースの前部(front)または背部(back)に対して相対的に使用される。
【0033】
いくつかの実施形態では、ボタン(150d)は、回転可能なスイッチまたはローラ(152)(これが任意の特徴であることを示すために想像線で示される)をさらに備えてもよい。ローラまたはスイッチは、移動方向を示すように適合される。どの指の部分がローラ/ボタン上にあっても、ボタンをハンドルに向かって引いたり、またローラを回したり、スイッチを所望の方向に動かしたりすることができる。
【0034】
別の構成(図示せず)によると、ボタンは、ハンドルの背面に配置され、背面は、本体部分の背部側に最も近いハンドルの面である(または、本体部分の背部側の平面に対応する平面上にある)。このようなボタンは、ハンドルを把持するときにユーザの親指によって起動され得る。さらに別の構成(図示せず)によると、ボタンは、ハンドルの前面に配置され、前面は、本体部分の前部側に最も近いハンドルの面である(または、本体部分の前部側の平面に対応する平面上にある)。このようなボタンは、ハンドルを把持するときに、ユーザの指(例えば、近位および/または中間の指節骨を押し下げること)によって起動され得る。
【0035】
いくつかの実施形態では、1つ(または複数)のボタンは、押しボタン/プッシュボタン、すなわち、物理的に押す(押し込む、プッシュする、押下する)ことのできる電気機械式ボタンである。他の実施形態では、1つ(または複数)のボタンは、タッチセンサ式ボタンである。実施形態では、ボタンを押下するか、または起動させることで、カートまたはスーツケースを斜めに、または任意の他の角度で引く(または押す)。ボタンを軽く押下するだけで十分である。このような構成および機能は、はるかに優れたユーザ体験を提供する。さらに、カートまたはスーツケースは、幼い子どもや高齢者でも扱えるように十分ゆるやかに引いたり押したりされる。ユーザは、扱いにくいインターフェースを用いずに、スーツケースを簡単に引いたり押したりすることができ、優れたユーザ体験を提供する。
【0036】
カートまたはスーツケースは、モータに給電するための充電式バッテリをさらに備える。例えば、図1A~1Cに描写されるスーツケース(100)は、モータ(140)に給電するための充電式バッテリ(160)を備える。図1A~1Cに示されるような実施形態例では、バッテリ(160)は、車輪(130)、(132)に近接して収容される。
【0037】
充電式バッテリの一例は、36V/4000AHバッテリであり、10~15km/hの速度を20kmの距離(スーツケースまたはカートでの移動としては相当な距離である)にわたり維持することができ、かつスマートフォンを3回繰返し充電することができる(以下参照)。そのため、毎日バッテリを充電する必要がない。実際、バッテリは、スーツケース、カート、トロリーなど、手動式の積載車両の寿命に十中八九は耐え得る。
【0038】
いくつかの実施形態では、充電式バッテリ(160)は、カートまたはスーツケースから分離されたときでさえ、様々なポータブル電子デバイスを充電するようにさらに適合された、可逆的に取外し可能または分離可能なバッテリパックである。
【0039】
いくつかの実施形態では、カートまたはスーツケースは、どれだけのバッテリ電力が残っているかを少なくとも示すディスプレイ(例えば、デジタルスクリーン)を備える。例えば、スーツケース(100)は、本体部分の背部側に配置されたデジタルディスプレイスクリーン(170)をさらに備える。他の構成例(図示せず)では、ディスプレイは、本体部分の上面およびハンドルのうちの1か所に位置付けられる。ディスプレイは、特に、バッテリのバッテリ残量を表示するように構成される。このようなディスプレイは、バッテリを充電する必要があるかどうかを実用的に表示するだけでなく、バッテリが移動中持続するという確信を提供するという付加価値を有する。
【0040】
バッテリパックが可逆的に分離可能であり、かつ分離された状態で使用可能であるいくつかの実施形態では、バッテリパックは、バッテリパックのバッテリ残量と、バッテリから充電を得ている様々なポータブル電子デバイスに充電されたバッテリの量とのうちの少なくとも1つを表示するように構成されたディスプレイを備える。
【0041】
いくつかの実施形態では、バッテリパックは、取外し可能なバッテリパックの状態を表示するためのオーディオコンポーネントを備える。いくつかの実施形態では、カートまたはスーツケースは、モバイルデバイスを充電するための1つまたは複数のUSBポートを備える。いくつかの実施形態では、カートまたはスーツケースは、ポータブルデバイスを無線で充電するための無線充電器を備える。いくつかの実施形態では、バッテリは、無線のタッチセンサ式ボタン(例えば、ボタン(150))を無線で充電するように構成される。
【0042】
カートまたはスーツケースは、少なくともモータ、およびディスプレイなどの他のすべての電子機能を制御するためのコントローラをさらに備える。例えば、スーツケース(100)は、電動車輪を制御するための少なくとも1つのコントローラ(180)を備える。電動車輪が2つの場合、単一のコントローラ(例えば、デュアルモータコントローラ)(180)が、両方のモータを制御することができる。他の実施形態では、カートまたはスーツケースの少なくとも2つの車輪のうちの第2の車輪内の第2のモータを少なくとも制御するために、第2のコントローラが用いられる。
【0043】
カートまたはスーツケースは、ハンドルのボタン(複数可)と車輪内のモータとの間を含む、様々なコンポーネント間を接続する配線を備える。例えば、スーツケース(100)は、車輪(複数可)内のモータ(複数可)をハンドルのボタン(複数可)、およびバッテリ(160)に電気的に接続する配線(190)を備える。追加の配線(192)は、バッテリ(160)をディスプレイ(170)に接続する。任意選択で、ディスプレイに近接して(または容易に連絡可能な別の場所にある)、ポータブルデバイスを充電するための充電ポート(例えば、USBポート)(172)が設けられる。また、充電ポートは、バッテリ(160)からその電力を得る。
【0044】
別の可能な構成が、本発明の実施形態による例示的な手動式のスーツケース(300)の正面斜視図、側面図、および背面図をそれぞれ表す、図3A、3B、および3Cに示される。図3A~3Cは、スーツケース(300)の構成例を描写し、該構成例は、本体部分(310)の底部側に配置された車輪(330)に収容されたモータ(340)が、ハンドル(320)のボタン(350)と(有線または無線通信のいずれかであることとは対照的に)無線通信しており、ハンドル(320)のボタン(350)は、ハンドルが収縮状態にあるときにのみ充電されるという事実を除いて、あらゆる点において、スーツケース(100)に類似している。したがって、スーツケース(100)に関する上述のすべての詳細は、各コンポーネントの参照番号の最初の数字を「1」ではなく「3」とすることで、あたかも本明細書中に完全に繰り返され、準用されるかのように見なされるべきである。図2A~2Cに描写された1つまたは複数のボタンの構成は、スーツケース(300)、およびハンドル(320)の実施形態に等しく適用され、準用される。
【0045】
スーツケース(300)は、ボタン(複数可)またはアクチュエータ(複数可)(350)が有線で充電されるが、無線で動作する(すなわち、モータなどを起動する)という点でスーツケース(100)と異なる。配線(390)は、バッテリから延在し(また、コントローラおよびモータに接続され)、磁気接点(バッテリ側)(394)で終端する。ハンドル内の配線(396)は、磁気接点(398)で始まり、1つまたは複数のボタン(350)で終端する。ハンドルは、ハンドル配線(396)が本体内の配線(390)から接続解除された伸長位置に示されている。ハンドルが非伸長位置にあるとき、磁気接点(ハンドル側)(398)は、接点(394)と磁気的に接続し、ボタンを充電するための電力をバッテリ(360)から得る。
【0046】
図2A~2Cに関して上記で論じたすべての構成は、本明細書中に完全に記載され、本明細書に示されるハンドル内の配線は、単なる一例として、例えば、図2Bの構成に適用可能であり、他の配線が他の構成に使用されることが理解されるべきである。
【0047】
完全を期すために、以下の参照リストが提供される。
300-スーツケース
302-伸張可能ロッド
310-スーツケースの本体部分
312-本体部分の背部側
314-本体部分の上部側
316-本体部分の前部側
318-本体部分の底部側
320-ハンドル
322-ハンドルの背面
324-ハンドルの上面
326-ハンドルの前面
328-ハンドルの底面
330-車輪
323-第2の車輪
340-モータ
350-ボタン
360-バッテリ
370-ディスプレイ
372-充電ポート
380-コントローラ(複数可)
390-配線
392-追加の配線
394-磁気接点(バッテリ側)
396-ハンドル配線
398-磁気接点(ハンドル側)
【0048】
追加機能/バリエーション
移動速度は、歩行の平均速度に設定される。速度は、ユーザの移動速度に適合可能である。速度は、カートまたはスーツケース内の荷物の重量にも影響を受ける。
【0049】
それに代えて、もしくはそれに加えて、ユーザが速度を選択できるプリセット速度、および/またはユーザが手動で速度を設定するインターフェース(たとば、ダイヤルを回すか、もしくは電子インターフェースを介して番号を入力する)があってもよい。
【0050】
プッシュ式ハンドル、プル式ハンドル、伸縮式、折畳み式など、様々な種類のハンドル。
【0051】
様々なサイズの車輪、モータ、バッテリ。
【0052】
所定の時間使用しない場合の自動シャットオフ。
【0053】
ボタンを離すことで、モータの動作を停止する。いくつかの実施形態では、ボタンを離すことでカートまたはスーツケースの動きを停止し、慣性に逆らってブレーキをかけることもできるように、ボタンが離されたときに作動する自動ブレーキ機能がある。
【0054】
コンポーネントのそれぞれは、迅速な分解および/または交換のために適合される。これらのコンポーネントは、少なくともバッテリおよび電動車輪を備える。分解および交換は両方とも、電子および/または電気機械の分野の専門知識がなくても実行できる。
【0055】
本システムは、スーツケースまたはカートとは別に購入し、その後既存のカートまたはスーツケースに後付けすることができる。
【0056】
本システムは、製造中に、あるいは後付けセットとして、スーツケースもしくはカートのあらゆるサイズまたは形状に調整可能である。
【0057】
機械部品(モータ、バッテリ、ワイヤなど)は、絶縁され、かつ十分に保護されている。
【0058】
多くの高齢者(および食料品店で買い物をするために歩くか、または公共交通機関を利用する人)は、個人用のショッピングカートを使用して、食料品を店から自宅に運ぶ。食料品を載せると、傾斜、特に急な傾斜で、これらのカートとともに移動し、かつ/またはこれらのカートを操縦し、かつ/または引きずり上げることは、困難な場合がある。特に困難な作業の1つは、カートを階段で運び上げる作業である。本システムは、特に高齢者(およびすべての人)にとって有用であり、強力なモータがほとんどの作業を行うため、階段でカートを押し上げる作業が容易になる。本システムは、本明細書中に記載されるすべての理由により、ベビーカーに実装することさえ可能である。
【0059】
非常に優れたショッピングカート(または、重い工具を大量に持ち運ぶ作業員のための工具カート、または食料品の配達など、重い物の移動および/もしくは配達に使用される台車用の工具カート)の好例は、階段の昇降に有用な、3つの車輪(三角形)を両側に有する。本システムのモータは、階段の昇降(および荷物の運搬と操縦)をさらに容易にし、重い荷物を載せたカートを引きずったり引いたりすることによる背中や手首/腕の痛みの原因を解消する。
【0060】
本システムは、電動油圧リフトがエネルギーおよび人的資源を費やすことなく重い荷物を移動させ、かつ配置する作業員の能力を変えたのと同じように、カートおよびスーツケースを21世紀にもたらす。
【0061】
本システムは、休暇中の重い荷物、ならびに道路/歩道/小道の貧弱なインフラによく見られるような、平坦でない路面(未舗装の道路、平坦でない舗道、および歩道)に対する非常に優れた解決策として機能する。
【0062】
医学的考察
運ばれるカートおよびケース(例えば、子どものスクールケース(school cases)を含む)は、子どもおよび成人の整形外科的問題の主な原因の1つとして医学界に認識されている。カートおよびケースに重い荷物を入れると、身体に非対称の負荷がかかり、経時的に背中や筋肉の障害を引き起こす可能性がある。片手で動かす(例えば、ユーザが後ろ手に引く)カートおよびケースにより、負担ならびにかかる力が身体全体に不均等に分配されることになる。これはまた、ほとんどの人が同じ側の手を使用してトロリー、カート、またはスーツケースを引いたり押したりするため、繰り返されることが多い。不均等な動作を繰り返すことは、前述の問題の多くを引き起こす。
【0063】
[軽く]触れることで作動する電動車輪(複数可)を備えることで、荷物を載せたカートまたはスーツケースであっても力をかけずに操作できるようになる、本システムは、医療専門家によって検証され、負荷の不均等な分配や繰返しの動作による悪影響を軽減するように、身体にかかる緊張および負担を大幅に低減することで、前述の課題を解決すると判断された。
【0064】
本発明は、限られた数の実施形態に関して説明されてきたが、本発明の多くの変形形態、修正形態、および他の応用形態が可能であることが理解されるであろう。したがって、以下の特許請求の範囲に記載される発明は、本明細書中に記載された実施形態に限定されるものではない。
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図3C
【国際調査報告】