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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-04
(54)【発明の名称】抗菌組成物及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08L 83/05 20060101AFI20240927BHJP
   C08L 71/02 20060101ALI20240927BHJP
   C08L 83/07 20060101ALI20240927BHJP
   C09J 11/04 20060101ALI20240927BHJP
   C09J 183/05 20060101ALI20240927BHJP
   C09J 201/00 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
C08L83/05
C08L71/02
C08L83/07
C09J11/04
C09J183/05
C09J201/00
【審査請求】有
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2024513741
(86)(22)【出願日】2021-10-13
(85)【翻訳文提出日】2024-04-26
(86)【国際出願番号】 EP2021078368
(87)【国際公開番号】W WO2023061585
(87)【国際公開日】2023-04-20
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390008969
【氏名又は名称】ワッカー ケミー アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Wacker Chemie AG
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】カラビイク,ウフク
(72)【発明者】
【氏名】ホワイト,ニコラス
(72)【発明者】
【氏名】ブッシュ,アーロン
(72)【発明者】
【氏名】マクスウェル,リンジー
【テーマコード(参考)】
4J002
4J040
【Fターム(参考)】
4J002CH02X
4J002CP04W
4J002CP14Y
4J002DG046
4J002DJ017
4J002FD017
4J002FD186
4J002GJ01
4J040EE011
4J040EK031
4J040EK041
4J040EK081
4J040HA196
4J040HA206
4J040HA256
4J040HA286
4J040KA10
4J040KA39
4J040LA11
4J040MA14
4J040NA02
4J040PA30
(57)【要約】
抗菌組成物は、成分(A)を含む。成分(A)は、水素原子に結合したケイ素原子を含む1つ以上の基を有するオルガノポリシロキサンを含む。抗菌組成物は、銀含有抗菌剤及び賦形剤を含む。抗菌組成物は不連続相を有し、抗菌剤及び賦形剤は不連続相に存在する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水素原子に結合したケイ素原子を含む1つ以上の基を有するオルガノポリシロキサンを含む成分(A)、
銀含有抗菌剤、及び
賦形剤
を含む抗菌組成物であって、
該抗菌組成物が不連続相を有し、前記抗菌剤及び前記賦形剤が前記不連続相に存在する、
抗菌組成物。
【請求項2】
前記銀含有抗菌剤が銀塩である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記賦形剤が、アルコール、グリコール、ポリエーテル、又はオルガノポリシロキサンポリオキシアルキレンである、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記賦形剤が、300g/mol以上の平均分子量を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
親水性添加化合物をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記賦形剤が、20℃で50%の相対湿度を有する空気の存在下で、前記銀含有抗菌剤が元素銀又は酸化銀を形成するのを阻害する、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
相対湿度50%の空気に20℃で24時間曝露した後に観察可能な色の変化を示さない、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
炭素-炭素多重結合を含む1つ以上の末端基を有するオルガノポリシロキサン化合物を含む成分(B)をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
前記組成物の総重量に基づいて、前記賦形剤の重量パーセントが前記銀含有抗菌剤の重量パーセントより大きい、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
前記組成物の総重量に基づいて0.5重量%以上の前記賦形剤を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
前記賦形剤が、300~2,000g/molの平均分子量を有するポリエーテルである、請求項3に記載の組成物。
【請求項12】
前記賦形剤の平均分子量が300~2,000g/molである、請求項4に記載の組成物。
【請求項13】
前記成分(A)及び前記成分(B)を組み合わせた生成物によって形成されるポリシロキサンネットワークを含む連続相を有する、請求項8に記載の組成物。
【請求項14】
前記成分(A)又は前記成分(B)の一部として提供されるヒドロシリル化触媒をさらに含む、請求項8に記載の組成物。
【請求項15】
成分(C)をさらに含み、該成分(C)が、オルガノポリシロキサン及び充填剤を含む、請求項8に記載の組成物。
【請求項16】
前記組成物中の前記賦形剤の重量パーセントが、前記銀含有抗菌剤の重量パーセントの2倍以上である、請求項9に記載の組成物。
【請求項17】
前記組成物の総重量に基づいて、0.5~15重量%の前記賦形剤を含む、請求項10に記載の組成物。
【請求項18】
前記賦形剤の平均分子量が300~1000g/molである、請求項11に記載の組成物。
【請求項19】
前記賦形剤の重量パーセントが、前記銀含有抗菌剤の重量パーセントよりも2~10倍大きい、請求項16に記載の組成物。
【請求項20】
請求項1に記載の組成物を含むゲル接着剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗菌組成物、そのような組成物を作製する方法、及びその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
創傷ケアドレッシングは、感染の防止及び創傷治癒の促進を助けるために、銀含有化合物及び他の抗菌剤を含む接着層を含有することが多い。しかし、経時的に、そのような銀含有化合物は解離する。結果として生じる解離は銀イオンを生成し、銀イオンは還元及び酸化され、ドレッシングの変色をもたらし得る。このような変色は、特に病院では望ましくない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、前述の欠点を克服することができる組成物を提供することが望ましいであろう。そのような組成物を作製するための方法も有益であろう。
【課題を解決するための手段】
【0004】
抗菌組成物の実施形態が提供される。
【0005】
ある実施形態では、抗菌組成物は、成分(A)を含む。成分(A)は、水素原子に結合したケイ素原子を含む1つ以上の基を有するオルガノポリシロキサンを含む。抗菌組成物はまた、銀含有抗菌剤及び賦形剤を含む。抗菌組成物は不連続相を有し、抗菌剤及び賦形剤は不連続相に存在する。
【0006】
好ましくは、銀含有抗菌剤は銀塩である。
【0007】
いくつかの実施形態では、賦形剤は、300g/mol以上の平均分子量を有する。ある実施形態では、賦形剤の平均分子量は300~2,000g/molである。ある特定の実施形態において、賦形剤は、アルコール、グリコール、ポリエーテル、又はオルガノポリシロキサンポリオキシアルキレンである。そのような一実施形態では、賦形剤は、300~2,000g/molの平均分子量を有するポリエーテルである。別の実施形態では、賦形剤の平均分子量は300~1000g/molである。
【0008】
ある特定の実施形態では、賦形剤は、20℃で50%の相対湿度を有する空気の存在下で銀含有抗菌剤が元素銀又は酸化銀を形成するのを阻害する。
【0009】
いくつかの実施形態では、組成物の総重量に基づいて、賦形剤の重量パーセントは、銀含有抗菌剤の重量パーセントより大きい。ある実施形態では、組成物中の賦形剤の重量パーセントは、銀含有抗菌剤の重量パーセントの2倍以上である。好ましくは、賦形剤の重量パーセントは、銀含有抗菌剤の重量パーセントよりも2~10倍大きい。
【0010】
他の実施形態では、組成物の総重量に基づいて、抗菌組成物は、0.5重量%以上の賦形剤を含む。そのような一実施形態では、組成物の総重量に基づいて、抗菌組成物は、0.5~15重量%の賦形剤を含む。
【0011】
いくつかの実施形態では、抗菌組成物は、親水性添加化合物をさらに含む。
【0012】
他の実施形態では、抗菌組成物は、相対湿度50%の空気に20℃で24時間曝露した後に観察可能な色の変化を示さない。
【0013】
他の実施形態では、抗菌組成物は、炭素-炭素多重結合を含む1つ以上の末端基を有するオルガノポリシロキサン化合物を含む成分(B)をさらに含む。
【0014】
いくつかの実施形態では、抗菌組成物は、成分(A)及び成分(B)を組み合わせた生成物によって形成されるポリシロキサンネットワークを含む連続相を有する。これらの実施形態のいくつかにおいて、賦形剤の平均分子量は300~1000g/molである。
【0015】
他の実施形態では、抗菌組成物は、成分(A)又は成分(B)の一部として提供されるヒドロシリル化触媒をさらに含む。
【0016】
いくつかの実施形態では、抗菌組成物は、成分(C)をさらに含む。ある実施形態では、成分(C)は、オルガノポリシロキサン及び充填剤を含む。
【0017】
いくつかの実施形態では、ゲル接着剤は、前記抗菌組成物を含むことができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明は、反対のことが明示的に指定されている場合を除き、様々な代替の適応及びステップ順序を想定し得ることを理解されるべきである。以下の明細書に記載された特定の材料、組成物、物品、及び方法は、単に本発明の概念の例示的な実施形態であることも理解すべきである。したがって、開示された実施形態に関する特定の特性、条件、又は他の物理的特性は、別段の明示がない限り、限定的であると見なされるべきではない。
【0019】
ある特定の実施形態では、抗菌組成物が提供される。抗菌組成物は、創傷ケアドレッシングに使用するのに適している。例えば、組成物は、創傷ケアドレッシングのための接着部分を提供するために利用され得る。しかし、抗菌組成物は創傷ケア用途に限定されず、微生物の増殖を阻害することが望まれる他の用途に利用することができる。そのような用途は、医学的又は非医学的種類であり得る。
【0020】
抗菌組成物は、成分(A)を含む。成分(A)としては、水素原子に結合したケイ素原子を含む1つ以上の基を有するオルガノポリシロキサンが挙げられる。水素原子に結合したケイ素原子は、本明細書において、Si結合水素と呼ばれてもよく、又は「SiH」という名称を使用することによって言及されることがある。いくつかの実施形態では、水素原子に結合したケイ素原子を含む1つ以上の基の少なくとも1つは、末端基である。他の実施形態では、水素原子に結合したケイ素原子を含む1つ以上の基の少なくとも1つは、ペンダント基である。さらに他の実施形態では、成分(A)のオルガノポリシロキサンは、水素原子に結合したケイ素原子を含む2つ以上の基を有し、2つ以上の基のうちの少なくとも1つの基は末端基であり、2つ以上の基のうちの少なくとも1つの基はペンダント基である。いくつかの実施形態において、成分(A)は、上記のオルガノポリシロキサンの混合物を含み得る。例えば、ある実施形態では、成分(A)は、オルガノポリシロキサンの混合物を含んでもよく、混合物は、水素原子に結合したケイ素原子を含む少なくとも1つの末端基を有するオルガノポリシロキサンと、水素原子に結合したケイ素原子を含む少なくとも1つのペンダント基を有するオルガノポリシロキサンとを含んでもよい。追加のオルガノポリシロキサンもまた、成分(A)に使用するのに好適であり得る。
【0021】
好ましくは、成分(A)のオルガノポリシロキサンは、Si結合水素原子を2個以上有し、直鎖状、環状又は分岐状であり、一般式(I)の単位から構成される。
SiO(4-c-d)/2 (I)
[式中、
は、各出現において独立して、脂肪族炭素-炭素多重結合を含まない基であり、
cは、0、1、2、又は3であり、
dは、0、1、又は2であり、
ただし、c+dの合計は3以下であり、1分子当たり少なくとも2個のSi結合水素原子が存在する。]
【0022】
いくつかの実施形態において、Rは、1つ以上の一価又は多価の基を含み得、その場合、多価基、例えば二価、三価、及び四価基が、例えば2つ以上、例えば2つ、3つ、又は4つの式(I)のシロキシ単位を互いに結合する。
【0023】
他の実施形態では、Rは、-F、-Cl、-Br、OR、-CN、-SCN、-NCO、及び酸素原子又は基-C(O)-及び式(I)に従って両側にSi結合した二価の基によって割り込まれてもよいSiC結合した置換又は非置換の炭化水素基を含む群の一価の基であってもよい。RがSiC結合した置換炭化水素基を含む場合、好ましい置換基としては、ハロゲン原子、リン含有基、シアノ基、-OR、-NR-、-NR 、-NR-C(O)-NR 、-C(O)-NR 、-C(O)R、-C(O)OR、-SO-Ph、及び-Cが挙げられる。このような実施形態において、Rは、各出現において独立して、同一であるか又は異なり、水素原子又は1~20個の炭素原子を有する一価炭化水素基を表し、Phはフェニル基である。
【0024】
のさらなる実施形態は、アルキル基、例えばメチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、tert-ペンチル基、n-ヘキシル基などのヘキシル基、n-ヘプチル基などのヘプチル基、n-オクチル基及び2,2,4-トリメチルペンチル基のようなイソオクチル基などのオクチル基、n-ノニル基などのノニル基、n-デシル基などのデシル基、n-ドデシル基などのドデシル基、及びn-オクタデシル基などのオクタデシル基、シクロアルキル基、例えばシクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、及びメチルシクロヘキシル基、アリール基、例えば、フェニル、ナフチル、アントリル、及びフェナントリル基、アルカリル基、例えばo-、m-、p-トリル基、キシリル基、及びエチルフェニル基、並びにアラルキル基、例えば、ベンジル基、α-、及びβ-フェニルエチル基を含む。
【0025】
が置換された基である場合、適切な例には、ハロアルキル基、例えば3,3,3-トリフルオロ-n-プロピル基、2,2,2,2’,2’,2’-ヘキサフルオロイソプロピル基、ヘプタフルオロイソプロピル基、ハロアリール基、例えばo-、m-、及びp-クロロフェニル基、-(CH)-N(R)C(O)NR 、-(CH-C(O)NR 、-(CH-C(O)R、-(CH-C(O)OR、(CH-C(O)NR 、-(CH)-C(O)-(CHC(O)CH、-(CH)-O-CO-R、-(CH)-NR-(CH-NR 、-(CH-O-(CHCH(OH)CHOH、-(CH(OCHCHOR、(CH-SO-Ph、及び(CH-O-Cを含み、R及びPhは、上で示された定義に対応し、o及びpは、0~10の間の同一の又は異なる整数である。
【0026】
式(I)に従って両側でSi結合している二価の基としてのRの例は、水素原子の置換によって起こる追加の結合によるRについての上記一価の例に由来する基であり、そのような基の例は、-(CH)-、-CH(CH)-、-C(CH-、-CH(CH)-CH-、-C-、-CH(Ph)-CH-、-C(CF-、(CH-C-(CH-、-(CH-C-C-(CH-、-(CHO)、(CHCHO)、-(CH-O-C-SO-C-O-(CH-であり、式中、xは0又は1であり、Ph、o及びpは上記の定義を有する。
【0027】
好ましくは、Rは、1~18個の炭素原子を有し、脂肪族炭素-炭素多重結合を含まない一価のSiC結合した置換されてもよい炭化水素基、より好ましくは1~6個の炭素原子を有し、脂肪族炭素-炭素多重結合を含まない一価のSiC結合した炭化水素基、より具体的にはメチル基又はフェニル基を含む。
【0028】
ある特定の実施形態では、オルガノポリシロキサンの総重量に基づいて、成分(A)のオルガノポリシロキサンは、好ましくは、0.04~1.7重量パーセント(重量%)の範囲でSi結合水素を含有する。
【0029】
成分(A)のオルガノポリシロキサンの分子量は、同様に、広い範囲内で、例えば10~10g/molの間で様々であり得る。したがって、成分(A)のオルガノポリシロキサンは、例えば、テトラメチルジシロキサンなどの比較的低分子量のSiH官能性オリゴシロキサンであってもよく、又は鎖内又は末端にSiH基を有するSiH基を有するシリコーン樹脂又は高分子ポリジメチルシロキサンであってもよい。
【0030】
成分(A)に含まれる分子の構造も一定のものではなく、特に、比較的高分子量のSiH含有オルガノポリシロキサン、換言すればオリゴマー又はポリマーの構造は、直鎖状、環状、分枝状、又は樹脂状、網状であり得る。直鎖状及び環状オルガノポリシロキサンは、好ましくは、式R SiO1/2、HR SiO1/2、HRSiO2/2、及びR SiO2/2の単位から構成され、Rは、上に示した定義を有する。分枝状及び網状オルガノポリシロキサンは、三官能性単位及び/又は四官能性単位をさらに含み、式RSiO3/2、HSiO3/2及びSiO4/2のものが好ましく、Rは上に示した定義を有する。
【0031】
いくつかの実施形態では、成分(A)は、2つ以上の異なるオルガノポリシロキサンを含む分子の混合物を含有し得る。特に好ましいのは、低分子量のSiH官能性化合物、例えばテトラキス(ジメチルシロキシ)シラン及びテトラメチルシクロテトラシロキサン、さらには高分子量のSiH含有シロキサン、例えば25℃での粘度が10~20000mPa・sのポリ(ハイドロジェンメチル)シロキサン及びポリ(ジメチルハイドロジェンメチル)シロキサン、又はメチル基の一部が3,3,3-トリフルオロプロピル基又はフェニル基によって置換された類似のSiH含有化合物の使用である。
【0032】
抗菌組成物中の成分(A)の量は、好ましくは、組成物中のSiH基対脂肪族不飽和基のモル比が0.1~20、より好ましくは0.3~2.0の間であるようなものである。
【0033】
いくつかの実施形態では、抗菌組成物は、一成分の種類のものであってもよい。他の実施形態では、抗菌組成物は、2成分の種類のものであってもよい。これらの実施形態において、抗菌組成物は、成分(B)を提供することによって形成され得る。
【0034】
成分(B)は、オルガノポリシロキサン化合物又は別の化合物を含んでもよい。いくつかの実施形態では、成分(B)は、直鎖状オルガノポリシロキサン化合物又は別の直鎖状化合物を含み得る。これらの実施形態では、オルガノポリシロキサン化合物は、本明細書では脂肪族多重結合とも呼ばれ得る炭素-炭素多重結合を含む1つ以上の末端基を有し得る。そのような一実施形態では、オルガノポリシロキサン化合物は、本明細書では脂肪族不飽和基と呼ぶことができる、脂肪族炭素-炭素多重結合を有するSiC結合基を含むことができる。成分(B)が別の直鎖状化合物を含む場合、そのような化合物は脂肪族炭素-炭素多重結合を含むことができる。
【0035】
上述のように、成分(B)は、オルガノポリシロキサン化合物又は別の化合物を含んでもよい。成分(B)がケイ素を含まない有機化合物を含む実施形態では、このような化合物は、少なくとも2つの脂肪族不飽和基を含み得る。さらに、成分(B)は、少なくとも2つの脂肪族不飽和基を有するオルガノポリシロキサンを含み得ることに留意されたい。ある特定の実施形態では、成分(B)は、化合物の混合物を含み得る。そのような一実施形態では、成分(B)は、少なくとも2つの脂肪族不飽和基を有するオルガノポリシロキサン化合物と、少なくとも2つの脂肪族不飽和基を有するケイ素を含まない有機化合物とを含み得る。さらに他の実施形態では、成分(B)は、異なるオルガノポリシロキサン化合物の混合物を含んでもよく、これらの化合物はそれぞれ脂肪族炭素-炭素多重結合を含んでもよい。これらの実施形態において、脂肪族炭素-炭素多重結合は、オルガノポリシロキサン化合物の末端基に含まれてもよく、又は別の基に位置してもよい。
【0036】
成分(B)に使用するのに好適なケイ素を含まない有機化合物の例は、1,3,5-トリビニルシクロヘキサン、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン、7-メチル-3-メチレン-1,6-オクタジエン、2-メチル-1,3-ブタジエン、1,5-ヘキサジエン、1,7-オクタジエン、4,7-メチレン-4,7,8,9-テトラヒドロインデン、メチルシクロペンタジエン、5-ビニル-2-ノルボルネン、ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2,5-ジエン、1,3-ジイソプロペニルベンゼン、ビニル基を含有するポリブタジエン、1,4-ジビニルシクロヘキサン、1,3,5-トリアリルベンゼン、1,3,5-トリビニルベンゼン、1,2,4-トリビニルシクロヘキサン、1,3,5-トリイソプロペニルベンゼン、1,4-ジビニルベンゼン、3-メチルヘプタ-1,5-ジエン、3-フェニルヘキサ-1,5-ジエン、3-ビニルヘキサ-1,5-ジエン、及び4,5-ジメチル-4,5-ジエチルオクタ-1,7-ジエン、N,N’-メチレンビスアクリルアミド、1,1,1-トリス(ヒドロキシメチル)プロパントリアクリレート、1,1,1-トリス(ヒドロキシメチル)プロパントリメタクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ジアリルエーテル、ジアリルアミン、ジアリルカーボネート、N,N’-ジアリル尿素、トリアリルアミン、トリス(2-メチルアリル)アミン、2,4,6-トリアリルオキシ-1,3,5-トリアジン、トリアリル-s-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオン、ジアリルマロネート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ポリ(プロピレングリコール)メタクリレートである。
【0037】
当該分野において既知のオルガノポリシロキサン化合物は、成分(B)に使用するのに適している。このようなオルガノポリシロキサンの例としては、例えば、尿素セグメントを有するシリコーンブロックコポリマー、アミドセグメント及び/又はイミドセグメント及び/又はエステル-アミドセグメント及び/又はポリスチレンセグメント及び/又はシラリーレン(silarylene)セグメント及び/又はカルボランセグメントを有するシリコーンブロックコポリマー、並びにエーテル基を有するシリコーングラフトコポリマーが挙げられる。
【0038】
成分(B)に使用するのに好適なオルガノポリシロキサン化合物は、好ましくは、一般式(II)の単位を含む直鎖状又は分岐状オルガノポリシロキサンである。
SiO(4-a-b)/2 (II)
[式中、
は、各出現において独立して、脂肪族炭素-炭素多重結合を含まない基であり、
は、各出現において独立して、同一であるか又は異なり、少なくとも1つの脂肪族炭素-炭素多重結合を有する一価の置換又は非置換のSiC結合した炭化水素基であり、
aは、0、1、2、又は3であり、
bは、0、1、又は2であり、
ただし、a+bの合計は3以下であり、1分子当たり少なくとも2つの基Rが存在する。]
【0039】
は上に示した定義を有する。いくつかの実施形態では、Rは、SiH官能性化合物との付加反応(ヒドロシリル化)に適した任意の所望の基を含む。
【0040】
がSiC結合した置換炭化水素基を含む場合、好ましい置換基は、ハロゲン原子、シアノ基、及び-ORであって、Rは上記の定義を有する。
【0041】
好ましくは、Rは、2~16個の炭素原子を有するアルケニル基及びアルキニル基、例えばビニル基、アリル基、メタリル基、1-プロペニル基、5-ヘキセニル基、エチニル基、ブタジエニル基、ヘキサジエニル基、シクロペンテニル基、シクロペンタジエニル基、シクロヘキセニル基、ビニルシクロヘキシルエチル基、ジビニルシクロヘキシルエチル基、ノルボルネニル基、ビニルフェニル基及びスチリル基を含み、ビニル基、アリル基及びヘキセニル基が使用するのに特に好ましい。
【0042】
成分(B)のオルガノポリシロキサン化合物(複数可)の分子量は、広い範囲内で、例えば10~10g/molの間で様々であり得る。したがって、例えば、成分(B)は、例えば1,2-ジビニルテトラメチルジシロキサンなどの比較的低分子量のアルケニル官能性オリゴシロキサンであるオルガノポリシロキサン、又は鎖内若しくは末端Si結合ビニル基を有する10g/molの分子量(NMRによって測定される数平均)を有するポリジメチルシロキサンを含み得る。成分(B)のオルガノポリシロキサンの構造も一定ではなく、特に、比較的高分子量のシロキサン、換言すればオリゴマー又はポリマーシロキサンの構造は、直鎖状、環状、分枝状、又は樹脂状、網状であり得る。直鎖及び環状ポリシロキサンは、好ましくは、式R SiO1/2、R SiO1/2、RSiO1/2、及びR SiO2/2の単位から構成され、式中、R及びRは、上に示される定義を有する。分枝状及び網状ポリシロキサンは、三官能性単位及び/又は四官能性単位をさらに含み、式RSiO3/2、RSiO3/2及びSiO4/2のものが好ましい。また、上述のように、これらの異なるオルガノポリシロキサンの混合物を成分(B)に利用してもよい。
【0043】
成分(B)に使用するのに好ましいオルガノポリシロキサン化合物は、0.01~500000Pa・s、より好ましくは0.1~100000Pa・sの粘度を有するビニル官能性の実質的に直鎖状のポリジオルガノシロキサンであり、いずれの場合も粘度は25℃で測定される。
【0044】
いくつかの実施形態では、抗菌組成物は、30~95重量%、好ましくは30~80重量%、より好ましくは40~70重量%の成分(B)のオルガノポリシロキサン化合物(複数可)を含有し得る。他の実施形態においては、抗菌組成物は、0.1~60重量%、好ましくは0.5~50重量%、より好ましくは1~30重量%の成分(A)のオルガノポリシロキサン(複数可)を含有してもよい。抗菌組成物が成分(A)及び(B)のオルガノポリシロキサンの代替物を含む場合、それは抗菌組成物中に30~95重量%、好ましくは30~80重量%、より好ましくは40~70重量%で存在し得る。
【0045】
特定の実施形態では、抗菌組成物は、連続相及び不連続相を有する。これらの実施形態では、抗菌組成物はエマルジョンであり得る。一実施形態では、連続相はポリシロキサンネットワークを含み、不連続相は連続相中に分散している。いくつかの実施形態では、不連続相は連続相中に均一に分散している。ある特定の実施形態では、ポリシロキサンネットワークは、例えば成分(A)などの単一成分を利用することによって形成され得る。他の実施形態では、ポリシロキサンネットワークは、成分(A)からのオルガノポリシロキサンと成分(B)からのオルガノポリシロキサンとを組み合わせた生成物によって形成される。ある特定の実施形態では、連続相はまた、成分(C)を利用することによって形成されてもよい。
【0046】
成分(C)は、オルガノポリシロキサンを含み得る。いくつかの実施形態では、オルガノポリシロキサンは、水素原子に結合したケイ素原子を含む1つ以上の末端基を有し得る。他の実施形態において、オルガノポリシロキサンは、炭素-炭素多重結合を含む1つ以上の末端基を有し得る。さらに他の実施形態において、成分(C)は、オルガノポリシロキサンの混合物を含み得る。例えば、ある実施形態では、成分Cは、水素原子に結合したケイ素原子を含む1つ以上の末端基を有するオルガノポリシロキサン化合物、炭素-炭素多重結合を含む1つ以上の末端基を有するオルガノポリシロキサン化合物、及び/又は反応性基を含まないオルガノポリシロキサン化合物を含み得る。成分(C)はまた、補強充填剤を含んでもよい。他の実施形態では、成分(C)は、非シリコーンオリゴマー化合物、例えばポリエーテル、又はポリマー化合物、例えばアクリレート、ウレタン、ポリエステル、及びこれらとシロキサンとのコポリマーを含んでもよい。
【0047】
あるいは、成分(A)及び(B)において異なるオルガノポリシロキサンを利用する代わりに、ポリシロキサンネットワークは、脂肪族炭素-炭素多重結合及びSi結合水素原子を同時に有するオルガノポリシロキサンを含む単一成分を提供することによって形成され得る。
【0048】
脂肪族炭素-炭素多重結合とSi結合水素原子を同時に有するオルガノポリシロキサンを使用する場合、好適な例は、好ましくは、一般式(III)、(IV)及び(V)の単位から構成される。
SiO4/2 (III)
SiO3-g/2 (IV)
HSiO3-h/2 (V)
[式中、
及びRは、上でそれらに対し示された定義を有し、
fは、0、1、2、又は3であり、
gは、0、1、又は2であり、
hは、0、1、又は2であり、
ただし、1分子当たり少なくとも2つの基R及び少なくとも2個のSi結合水素原子が存在する。]
【0049】
好適なオルガノポリシロキサンの例としては、MQ樹脂として知られるSiO4/2単位、R SiO1/2単位、R SiO1/2単位、及びR HSiO1/2単位を含むものが挙げられ、これらの樹脂はRSiO3/2単位及びR SiO単位をさらに含み、及びR SiO1/2単位、R SiO単位、及びRHSiO単位から実質的になる直鎖状オルガノポリシロキサンも挙げられ、R及びRは前述の定義を満たす。脂肪族炭素-炭素多重結合及びSi結合水素原子を同時に有するオルガノポリシロキサンは、いずれの場合も25℃で、好ましくは0.01~500000Pa・s、より好ましくは0.1~100000Pa・sの平均粘度を有する。このようなオルガノポリシロキサンは、当該分野において既知の技術によって調製可能である。また、Si結合水素原子と脂肪族炭素-炭素多重結合とを単一の化合物中に提供することもできる。
【0050】
好ましくは、抗菌組成物は架橋性である。いくつかの実施形態では、抗菌組成物は付加架橋によって形成される。架橋は、抗菌組成物が硬化すると起こる。抗菌組成物中に提供されるオルガノポリシロキサンを架橋するために、ヒドロシリル化触媒が提供され得る。ヒドロシリル化触媒は、抗菌組成物を形成するために利用される成分の1つの一部として提供されてもよい。
【0051】
二成分シリコーン組成物の場合、2つの成分は、一般に、1つの成分が、脂肪族多重結合を有するオルガノポリシロキサン化合物、Si結合水素原子を有するオルガノポリシロキサン化合物、及びヒドロシリル化触媒を同時に含まないという条件で、任意の所望の組み合わせで上で言及した全ての成分を含み得る。したがって、二成分組成物の場合、ヒドロシリル化触媒は、成分(A)又は成分(B)の一部として提供され得る。
【0052】
当該分野において既知のヒドロシリル化触媒は、抗菌組成物に使用するのに適している。ヒドロシリル化触媒は、例えば、白金、ロジウム、ルテニウム、パラジウム、オスミウム、若しくはイリジウムなどの白金族金属を含んでもよく、若しくは有機金属化合物、又はこれらの組み合わせであってもよい。ヒドロシリル化触媒の好適な例は、ヘキサクロロ白金(IV)酸、二塩化白金、白金アセチルアセトネートなどの化合物、及びマトリックス又はコア/シェル様構造に封入された前記化合物の錯体である。低分子量のオルガノポリシロキサンを有する他の好適な白金錯体としては、白金との1,3-ジエテニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン錯体が挙げられる。好適なヒドロシリル化触媒の他の例は、白金-ホスファイト錯体、白金-ホスフィン錯体、又はアルキル白金錯体、例えばシクロペンタジエニルトリメチル白金(IV)、シクロオクタジエニルジメチル白金(II)の誘導体、又はジケトナト錯体、例えばビスアセチルアセトナト白金(II)である。ある特定の実施形態において、白金含有化合物は、樹脂マトリックス内に封入され得る。
【0053】
ヒドロシリル化架橋反応を触媒するための触媒の濃度は、抗菌組成物の総重量に応じて、0.1~1000百万分の1(ppm)の間、0.5~100ppmの間、又は1~25ppmの間の白金族金属の量であり得る。
【0054】
上述の実施形態では、抗菌組成物は、ゲルとして提供され得る。これらの実施形態では、ゲルは架橋構造を有する。架橋構造は、反応基の総数が4より大きい場合に形成することができる。したがって、白金に触媒されたヒドロシリル化反応によって形成されるゲルの場合、架橋は、例えば、2個を超えるSi結合水素原子を含有する第1のオルガノポリシロキサンと少なくとも2個の反応性脂肪族不飽和基を有する第2のオルガノポリシロキサンとの間で、あるいは2個のSi結合水素原子を含有する第1のオルガノポリシロキサンと2個を超える脂肪族不飽和基を有する第2のオルガノポリシロキサンとの間で起こり得る。好ましくは、これらの実施形態では、第1のオルガノポリシロキサン及び第2のオルガノポリシロキサンは、混合物のゲル化点まで架橋される。このような実施形態では、硬化前に、抗菌組成物は50~100,000センチポアズの粘度を示し得る。
【0055】
抗菌組成物は、銀含有抗菌剤を含む。ある特定の実施形態では、銀含有抗菌剤は、抗菌特性を有する銀塩である。銀含有抗菌剤は、AgSO、AgSO、AgNO、AgCO、AgPO、銀ジルコニウム、及び/又はクエン酸銀、酢酸銀、乳酸銀などの有機銀塩、及び/又はそれらの組み合わせ若しくは混合物を含む群から選択することができる。所望により銀イオンを提供するのに適した他の化合物も、銀含有抗菌剤として適している。全ての場合において組成物の総重量に基づいて、銀含有抗菌剤は、約1重量パーセント(重量%)~約30重量%、好ましくは約2~20重量%で抗菌組成物中に提供され得る。銀含有抗菌剤は、成分(A)、成分(B)、成分(C)の一部として、これらの成分のうちの2つ以上において、又は組成物への別個の添加物として提供され得る。
【0056】
抗菌組成物は賦形剤を含む。組成物の総重量に基づいて、抗菌組成物は、0.5重量%以上の賦形剤を含み得る。好ましくは、組成物の総重量に基づいて、抗菌組成物は、0.5~15重量%の賦形剤を含む。より好ましくは、組成物の総重量に基づいて、抗菌組成物は、0.5~10重量%の賦形剤を含む。賦形剤は、成分(A)、成分(B)、成分(C)の一部として、又はこれらの成分のうちの2つ以上で提供され得る。
【0057】
好ましくは、組成物の総重量に基づいて、抗菌組成物中の賦形剤の重量パーセントは、抗菌組成物中の銀含有抗菌剤の重量パーセントより大きい。例えば、抗菌組成物中に存在する賦形剤の重量パーセントは、銀含有抗菌剤の重量パーセントの2倍以上であり得る。ある実施形態では、抗菌組成物中に存在する賦形剤の重量パーセントは、銀含有抗菌剤の重量パーセントよりも2~10倍大きい。
【0058】
いくつかの実施形態では、賦形剤はアルコールであり、1つ以上のヒドロキシル基を含む。他の実施形態では、賦形剤はグリコールであり得る。これらの実施形態において、賦形剤は、2つ以上のヒドロキシル基を有し、2つ以上のヒドロキシル基のうちの2つのヒドロキシル基は、異なる炭素原子に連結され得る。そのような一実施形態において、2つ以上のヒドロキシル基の2つのヒドロキシル基は末端基である。いくつかの実施形態では、賦形剤はポリエーテルである。
【0059】
ある実施形態では、賦形剤は、100g/mol以上の数平均分子量を有する。他の実施形態において、賦形剤は、300g/mol以上の数平均分子量を有し得る。好ましくは、賦形剤は、比較的低い数平均分子量を有する。そのような一実施形態では、賦形剤は、300~2,000g/molの数平均分子量を有する。別の実施形態では、賦形剤の数平均分子量は300~1000g/molである。好ましくは、これらの実施形態では、賦形剤の数平均分子量は300~600g/molである。
【0060】
いくつかの実施形態では、賦形剤は、400~2000g/molの数平均分子量を有するポリ(プロピレングリコール)、1,2-プロパンジオール、ジ(プロピレングリコール)、ジ(プロピレングリコール)モノメチルエーテル、ジ(プロピレングリコール)ジメチルエーテル、オルガノポリシロキサンポリオキシアルキレン、これらのコポリマー及び混合物からなる群から選択され得る。ある特定の実施形態において、賦形剤は、400~2000g/molの数平均分子量を有するポリ(プロピレングリコール)であることが好ましい場合がある。好ましくは、これらの実施形態において、賦形剤は、400g/molの数平均分子量を有するポリ(プロピレングリコール)である。他の実施形態では、賦形剤がオルガノポリシロキサンポリオキシアルキレンであることが好ましい場合がある。好ましくは、これらの実施形態では、賦形剤は以下の一般式のオルガノポリシロキサンポリオキシアルキレンである。
【化1】
【0061】
ある特定の実施形態では、オルガノポリシロキサンポリオキシアルキレンは、共有結合(covelantly)してもよい。賦形剤として好適な市販のオルガノポリシロキサンポリオキシアルキレンの例は、Belsil(登録商標)OW1500の名称でWacker Chemie AGによって販売されている。
【0062】
上述のように、抗菌組成物は不連続相を有する。抗菌剤及び賦形剤は、不連続相中に存在する。特定の理論に拘束されることを望まないが、従来の抗菌組成物中の銀含有化合物は、空気の存在下で銀の酸化物又は元素銀を解離及び形成すると考えられる。結果として生じる解離は銀イオンを生成し、銀イオンは還元及び/又は酸化され得、組成物の望ましくない変色をもたらす。典型的には、変色は黒色又は褐色などの暗色である。本抗菌組成物において、賦形剤は、銀含有抗菌剤が空気の存在下で元素銀又は酸化銀を形成するのを阻害する。好ましくは、賦形剤は、銀含有抗菌剤が元素銀又は酸化銀を形成するのを、抗菌組成物が25℃で24時間、50%の相対湿度を有する空気に曝露した後に観察可能な色の変化を示さない程度まで阻害する。ある特定の実施形態では、抗菌組成物は、25℃で168時間、相対湿度50%の空気に曝露した後に観察可能な色の変化を示さない。また、抗菌組成物がゲルとして提供される場合、組成物は、25℃で12ヶ月間、50%の相対湿度を有する空気に曝露した後に、観察可能な色の変化を示さない場合がある。さらに、抗菌組成物が観察可能な色の変化を示す実施形態において、色の変化は、既知の組成物において観察される色の変化よりも有意に低減される。さらに、色の変化は、視覚的に心地よい抗菌組成物によって示される色をもたらす。
【0063】
抗菌組成物は、成分(A)、成分(B)、又は成分(C)の一部として提供され得る1つ以上の添加剤を含み得る。例えば、上述のように、抗菌組成物は補強充填剤を含んでもよい。好適な補強充填剤としては、少なくとも50m/gのBET比表面積を有するヒュームドシリカ又は沈降シリカ、カーボンブラック、活性炭、例えばファーネスブラック及びアセチレンブラック、又はこれらの混合物が挙げられる。記載されたシリカ充填剤は、親水性を有し得るか、又は既知の方法によって疎水性にされ得る。抗菌組成物の総重量に基づいて、抗菌組成物中の補強充填剤の量は、0~70重量%、好ましくは0~50重量%の範囲内であり得る。
【0064】
ある特定の実施形態では、利用される充填剤は表面処理されていることが好ましい。表面処理は、微細に分割された充填剤を疎水化するための当該分野において既知の方法によって得られる。表面処理の結果として、利用される充填剤は、少なくとも0.01~最大20重量%、好ましくは0.1~10重量%の間、より好ましくは0.5~5重量%の間の炭素含有率を有し得る。好ましくは、これらの実施形態において、充填剤は、0.01~2重量%のSi結合脂肪族不飽和基を有する表面処理シリカである。これらの基は、例えば、Si結合ビニル基である。抗菌組成物において、充填剤は、単一種として、又は2種以上の微細に分割された充填剤の混合物として提供される。
【0065】
組成物の総重量に基づいて、さらなる添加剤は、70重量%まで、好ましくは0.0001~40重量%の割合で抗菌組成物中に提供され得る。これらの添加剤は、例えば、不活性充填剤、上述のシロキサンとは異なる樹脂性ポリオルガノシロキサン、補強及び非補強充填剤、殺真菌剤、芳香剤、レオロジー添加剤、腐食防止剤、酸化防止剤、光安定剤、難燃剤、及び電気的特性に影響を及ぼすための薬剤、分散助剤、溶媒、接着促進剤、顔料、染料、可塑剤、有機ポリマー、熱安定剤などであり得る。これらには、微粉砕石英、珪藻土、粘土、チョーク、リトポン、カーボンブラック、グラファイト、金属酸化物、金属炭酸塩、金属硫酸塩、カルボン酸の金属塩、金属粉塵、ガラス繊維、ポリマー繊維などの繊維、ポリマー粉末、金属粉塵、染料、顔料などの添加剤である。さらなる充填剤は、熱伝導性又は導電性であり得る。異なる粒径及び異なる粒径分布を有する充填剤の組み合わせも利用することができる。
【0066】
さらに、抗菌組成物は、さらなる添加剤を含んでもよい。例えば、抗菌組成物は、1つ以上の溶媒及び/又は1つ以上の阻害剤を含み得る。他の実施形態において、抗菌組成物は、組成物からの銀放出を高め得る親水性添加化合物を含み得る。当該分野において既知の親水性添加剤化合物は、抗菌組成物に使用するのに適している。これらの親水性添加剤化合物は、架橋されると、自由膨潤吸収法によって測定されるように、8.298g/Lの塩化ナトリウム及び0.368g/Lの塩化カルシウム二水和物を含有する水溶液中で24時間後に少なくとも5%膨潤する抗菌組成物を作製することが知られている。
【0067】
ゲルとして提供される場合、抗菌組成物は、接着剤としても機能し得る。これらの実施形態では、抗菌組成物は、創傷ケアドレッシングの接着部分として利用され得る。この実施形態では、ゲルによって示される粘着性は、50グラムの力(gf)を超え得る。好ましくは、ゲルが示す粘着性は100gfより大きい。しかし、粘着性は、ドレッシングが除去されるときに使用者の皮膚が損傷を受けるほど強くてはならない。したがって、いくつかの実施形態では、ゲルが示す粘着性は800gf未満である。これらの実施形態では、ゲルが示す粘着性は50~800gfであり得る。ゲルが示す粘着性は、既知の方法によって測定することができる。例えば、ゲルの粘着性は、TA-57Rプローブ及びTA-303装置を使用するTA.XT Plus Texture Analyzerで測定することができる。
【0068】
好適な粘着性に加えて、ゲルは凝集性であることが好ましい。凝集性ゲルは、それが接着した表面から取り除かれたときに粉々にならない。いくつかの実施形態では、ゲルは、120℃で60分間硬化した後、62.5グラムの中空円錐体を使用して60秒間DIN ISO2137に従って測定して25~500 1/10mmの硬化後浸透硬度を示し得る。
【0069】
ゲルは、ドレッシングを使用者に適用する前に創傷ケアドレッシングと組み合わせるか、又はそれに組み込むことができ、又は使用者に直接適用することができる。このような用途では、ある特定の実施形態では、ゲルは、長期間にわたって観察可能な色の変化を示さない。例えば、ゲルは、相対湿度50%の空気に25℃で24時間曝露した後に観察可能な色の変化を示さない場合がある。実際、ゲル形態では、抗菌組成物は、相対湿度50%の空気に25℃で365日間曝露した後に観察可能な色の変化を示さない場合がある。しかし、他の実施形態では、抗菌組成物はゲル形態である場合、組成物は観察可能な色の変化を示し得る。これらの実施形態において、色の変化は、既知の組成物において観察される色の変化よりも有意に低減される。さらに、色の変化は、視覚的に心地よい抗菌組成物によって示される色をもたらす。
【0070】
抗菌組成物は、基材に塗布された後にゲルとして形成され得る。いくつかの実施形態では、抗菌組成物は、例えば、ドレッシングなどの基材をコーティングしてもよい。これらの実施形態では、抗菌組成物を基材上に流延し、硬化させてゲルを形成することができる。抗菌組成物を基材に塗布して、任意の所望の厚さ、パターン、又は形態を提供することができる。好適な基材は、当該分野において知られている。
【0071】
ゲルを形成する前に、成分(A)を調製することによって抗菌組成物を作製してもよい。好ましくは、成分(A)は、成分(A)について上述したオルガノポリシロキサン(複数可)を含む。さらに、成分(A)は、銀含有抗菌剤、賦形剤、ヒドロシリル化触媒、及び/又は1つ以上の添加剤を含み得る。成分(A)に含まれる場合、銀含有抗菌剤、賦形剤、ヒドロシリル化触媒、及び1つ以上の添加剤はオルガノポリシロキサン(複数可)と混合されて、混合物を形成し得る。混合は、所定の速度で、所定の期間にわたって、例えば、溶解機ブレードを装着したSpeedmixer(登録商標)又はDispermat(登録商標)などの市販の混合装置を利用して行うことができる。銀含有抗菌剤、賦形剤、ヒドロシリル化触媒、及び1つ以上の添加剤は、上記の通りであり得る。
【0072】
ある特定の実施形態では、抗菌組成物は、成分(B)を調製することによって作製することができる。好ましくは、成分(B)は、成分(B)について上述したオルガノポリシロキサンを含む。さらに、成分(B)は、銀含有抗菌剤、賦形剤、ヒドロシリル化触媒、及び/又は1つ以上の添加剤を含み得る。成分(B)に含まれる場合、銀含有抗菌剤、賦形剤、ヒドロシリル化触媒、及び1つ以上の添加剤は、オルガノポリシロキサンと混合されて混合物を形成し得る。混合は、所定の速度で、所定の期間にわたって、例えば上述の混合装置などの市販の混合装置を利用して行うことができる。銀含有抗菌剤、賦形剤、ヒドロシリル化触媒、及び1つ以上の添加剤は、上記の通りであり得る。
【0073】
抗菌組成物が成分(C)を含む実施形態では、抗菌組成物は、成分(C)を調製することによって作製される。これらの実施形態において、抗菌組成物は、3つの混合物を調製し、これらの混合物を組み合わせることによって作製され得る。好ましくは、成分(C)は、成分(C)について上記のもののようなオルガノポリシロキサンを含む。さらに、成分(C)は、銀含有抗菌剤、賦形剤、ヒドロシリル化触媒、及び/又は1つ以上の添加剤を含み得る。成分(C)に含まれる場合、銀含有抗菌剤、賦形剤、ヒドロシリル化触媒、及び1つ以上の添加剤は、オルガノポリシロキサンと混合されて混合物を形成し得る。したがって、これらの実施形態では、抗菌組成物は、最初に3つの混合物を調製することによって作製することができる。混合は、所定の速度で、所定の期間にわたって、上記の市販の混合装置を利用して行うことができる。銀含有抗菌剤、賦形剤、ヒドロシリル化触媒、及び1つ以上の添加剤は、上記の通りであり得る。
【0074】
ある特定の実施形態では、基材をコーティングする前に、成分(A)及び成分(B)を混合して混合物を形成することができる。混合は、所定の速度で、所定の期間にわたって、例えば上述の混合装置などの市販の混合装置を利用して行うことができる。いくつかの実施形態では、混合物はまた、成分(C)を含んでもよい。成分(A)、(B)又は(C)に含まれない場合、又は抗菌組成物にさらなる量を含めることが望ましい場合、銀含有抗菌剤、賦形剤、ヒドロシリル化触媒、及び/又は1つ以上の添加剤を混合物に添加することができる。銀含有抗菌剤、賦形剤、ヒドロシリル化触媒、及び/又は1つ以上の添加剤の混合物への添加は、成分(A)、成分(B)、成分(C)の混合時に達成することができ、又はさらなる混合によって同時に若しくは連続して行うことができる。混合後、基材の1つ以上の部分を抗菌組成物でコーティングすることができ、組成物を所定の温度で所定の時間硬化させることができる。例えば、混合物は、40~140℃、好ましくは60~130℃の温度で、5秒~2時間、好ましくは10秒~30分間硬化させることができる。
【0075】
ある特定の実施形態では、成分(A)は、水素原子に結合したケイ素原子を含む1つ以上の基を有するオルガノポリシロキサンを含むように調製される。この実施形態では、抗菌組成物は、銀含有抗菌剤を、水素原子に結合したケイ素原子を含む1つ以上の基を有するオルガノポリシロキサン及び賦形剤と混合することによって作製される。好ましくは、賦形剤は、300~2,000g/molの平均分子量を有するポリエーテル又はオルガノポリシロキサンポリオキシアルキレンを含む。一実施形態では、成分(B)は、1つ以上の基を有するオルガノポリシロキサン、炭素-炭素多重結合を含む1つ以上の末端基を有するオルガノポリシロキサンを含むように調製される。好ましくは、成分(B)は、例えば補強充填剤などの1つ以上の添加剤も含む。この実施形態では、混合物が形成される。混合物は、成分(A)、成分(B)、銀含有抗菌剤、賦形剤、及びヒドロシリル化触媒を含む。抗菌ゲルは、前記混合物を硬化させることによって形成される。
【実施例
【0076】
以下の実施例は、抗菌組成物の実施形態をさらに例示及び開示する目的のためだけに提示される。抗菌組成物の例としては、実施例1~16が挙げられ、以下に記載する。以下、本発明の一部ではない比較例1及び2についても説明する。
【0077】
[比較例1]
約1000g/molの分子量を有するオルガノポリシロキサン及び水素原子に結合したケイ素原子を含む1つ以上の基を含む成分(A)3グラムを、硫酸銀及び焼成シリカの混合物0.5グラムと、SpeedMixer(登録商標)を用いて2350rpmで5分間混合することによって、組成物を形成した。混合物の総重量に基づいて、硫酸銀及び焼成シリカの混合物は、99%の硫酸銀及び1%の焼成シリカであった。組成物は、最初(initally)は白色であったが、約25℃の温度で空気に曝露されると急速に色が変化することが観察された。25℃で空気に60秒曝露した後、組成物は暗褐色から黒色であった。
【0078】
[実施例1]
約1000g/molの分子量を有するオルガノポリシロキサン及び水素原子に結合したケイ素原子を含む1つ以上の基を含む成分(A)3グラムを、約400g/molの数平均分子量を有するポリ(プロピレングリコール)と硫酸銀及び焼成シリカの混合物0.5グラムと、SpeedMixer(登録商標)を用いて2350rpmで5分間混合することによって、抗菌組成物を形成した。硫酸銀と焼成シリカの混合物は、比較例1において上記した通りであった。得られた抗菌組成物は、連続相及び不連続相を含んでいた。連続相はオルガノポリシロキサンを含み、不連続相は硫酸銀及びポリ(プロピレングリコール)を含んでいた。不連続相中の硫酸銀及びポリ(プロピレングリコール)の存在を光学顕微鏡によって確認し、組成物の光散乱及び白色によって明らかであった。抗菌組成物の色は、25℃の温度で60秒間空気に曝露した後に観察可能な変化を受けなかった。
【0079】
[比較例2]
硫酸銀及び焼成シリカの混合物を、炭素-炭素多重結合を含む1つ以上の末端基を有するオルガノポリシロキサンを含む成分(B)と、SpeedMixer(登録商標)を用いて2350rpmで5分間混合した。硫酸銀及び焼成シリカの混合物は、比較例1において上記した通りであった。次に、水素原子に結合したケイ素原子を含む1つ以上の基を有するオルガノポリシロキサンを含む成分(A)を、SpeedMixer(登録商標)を用いて2350rpmで30秒間添加した。得られた組成物は、2重量%の硫酸銀及び焼成シリカの混合物を含み、組成物の残りの部分は、等しい部の成分(A)及び成分(B)から形成された。硬化前、組成物は白色であった。組成物の一部を二軸配向PET基材上に流延して15ミルの湿潤フィルム厚さを達成し、次いで120℃で12分間硬化させた。組成物の残りの部分を、約25℃の温度で24時間空気に曝露することによって硬化させた。硬化後、組成物は、褐色に見えるゲルであった。
【0080】
[実施例2]
約400g/molの数平均分子量を有するポリ(プロピレングリコール)と、硫酸銀及び焼成シリカの混合物と、炭素-炭素多重結合を含む1つ以上の末端基を有するオルガノポリシロキサンを含む成分(B)とを、SpeedMixer(登録商標)を用いて2350rpmで5分間混合して、第1の混合物を形成した。硫酸銀及び焼成シリカの混合物は、比較例1において上記した通りであった。次いで、水素原子に結合したケイ素原子を含む1つ以上の基を有するオルガノポリシロキサンを含む成分(A)を、SpeedMixer(登録商標)を用いて2350rpmで30秒間、第1の混合物に添加した。得られた抗菌組成物は、2重量%の硫酸銀及び焼成シリカの混合物と5重量%のポリ(プロピレングリコール)とを含み、抗菌組成物の残りの部分は、等しい部の成分(A)及び成分(B)から形成された。硬化前、抗菌組成物は白色であった。抗菌組成物の一部を二軸配向PET基材上に流延して15ミルの湿潤フィルム厚さを達成し、次いで120℃で12分間硬化させた。組成物の残りの部分を、約20℃の温度で24時間空気に曝露することによって硬化させた。硬化後、抗菌組成物は、観察可能な色の変化を示さないゲルであった。
【0081】
[実施例3]
約725g/molの数平均分子量を有するポリ(プロピレングリコール)と、硫酸銀及び焼成シリカの混合物と、炭素-炭素多重結合を含む1つ以上の末端基を有するオルガノポリシロキサンを含む成分(B)とを、SpeedMixer(登録商標)を用いて2350rpmで5分間混合して、第1の混合物を形成した。硫酸銀及び焼成シリカの混合物は、比較例1において上記した通りであった。次いで、水素原子に結合したケイ素原子を含む1つ以上の基を有するオルガノポリシロキサンを含む成分(A)を、SpeedMixer(登録商標)を用いて2350rpmで30秒間、第1の混合物に添加した。得られた抗菌組成物は、2重量%の硫酸銀及び焼成シリカの混合物と5重量%のポリ(プロピレングリコール)とを含み、抗菌組成物の残りの部分は、等しい部の成分(A)及び成分(B)から形成された。硬化前、抗菌組成物は白色であった。抗菌組成物の一部を二軸配向PET基材上に流延して15ミルの湿潤フィルム厚さを達成し、次いで120℃で12分間硬化させた。組成物の残りの部分を、約20℃の温度で24時間空気に曝露することによって硬化させた。硬化後、抗菌組成物は、わずかに黄色の色合いを示すゲルであった。
【0082】
[実施例4]
約1000g/molの数平均分子量を有するポリ(プロピレングリコール)と、硫酸銀及び焼成シリカの混合物と、炭素-炭素多重結合を含む1つ以上の末端基を有するオルガノポリシロキサンを含む成分(B)とを、SpeedMixer(登録商標)を用いて2350rpmで5分間混合して、第1の混合物を形成した。硫酸銀及び焼成シリカの混合物は、比較例1において上記した通りであった。次いで、水素原子に結合したケイ素原子を含む1つ以上の基を有するオルガノポリシロキサンを含む成分(A)を、SpeedMixer(登録商標)を用いて2350rpmで30秒間、第1の混合物に添加した。得られた抗菌組成物は、2重量%の硫酸銀及び焼成シリカの混合物と5重量%のポリ(プロピレングリコール)とを含み、抗菌組成物の残りの部分は、等しい部の成分(A)及び成分(B)から形成された。硬化前、抗菌組成物は白色であった。抗菌組成物の一部を二軸配向PET基材上に流延して15ミルの湿潤フィルム厚さを達成し、次いで120℃で12分間硬化させた。組成物の残りの部分を、約20℃の温度で24時間空気に曝露することによって硬化させた。硬化後、抗菌組成物は、わずかに黄色の色合いを示すゲルであった。
【0083】
[実施例5]
約2000g/molの数平均分子量を有するポリ(プロピレングリコール)と、硫酸銀及び焼成シリカの混合物と、炭素-炭素多重結合を含む1つ以上の末端基を有するオルガノポリシロキサンを含む成分(B)とを、SpeedMixer(登録商標)を用いて2350rpmで5分間混合して、第1の混合物を形成した。硫酸銀及び焼成シリカの混合物は、比較例1において上記した通りであった。次いで、水素原子に結合したケイ素原子を含む1つ以上の基を有するオルガノポリシロキサンを含む成分(A)を、SpeedMixer(登録商標)を用いて2350rpmで30秒間、第1の混合物に添加した。得られた抗菌組成物は、2重量%の硫酸銀及び焼成シリカの混合物と5重量%のポリ(プロピレングリコール)とを含み、抗菌組成物の残りの部分は、等しい部の成分(A)及び成分(B)から形成された。硬化前、抗菌組成物は白色であった。抗菌組成物の一部を二軸配向PET基材上に流延して15ミルの湿潤フィルム厚さを達成し、次いで120℃で12分間硬化させた。組成物の残りの部分を、約20℃の温度で24時間空気に曝露することによって硬化させた。硬化後、抗菌組成物は、わずかに黄色の色合いを示すゲルであった。
【0084】
[実施例6]
約400g/molの数平均分子量を有するポリ(エチレングリコール)と、硫酸銀及び焼成シリカの混合物と、炭素-炭素多重結合を含む1つ以上の末端基を有するオルガノポリシロキサンを含む成分(B)とを、SpeedMixer(登録商標)を用いて2350rpmで5分間混合して、第1の混合物を形成した。硫酸銀及び焼成シリカの混合物は、比較例1において上記した通りであった。次いで、水素原子に結合したケイ素原子を含む1つ以上の基を有するオルガノポリシロキサンを含む成分(A)を、SpeedMixer(登録商標)を用いて2350rpmで30秒間、第1の混合物に添加した。得られた抗菌組成物は、2重量%の硫酸銀及び焼成シリカの混合物と5重量%のポリ(エチレングリコール)とを含み、抗菌組成物の残りの部分は、等しい部の成分(A)及び成分(B)から形成された。硬化前、抗菌組成物は白色であった。抗菌組成物の一部を二軸配向PET基材上に流延して15ミルの湿潤フィルム厚さを達成し、次いで120℃で12分間硬化させた。組成物の残りの部分を、約20℃の温度で24時間空気に曝露することによって硬化させた。硬化後、抗菌組成物は、わずかにピンク色の色合いを示すゲルであった。
【0085】
[実施例7]
1,2-プロパンジオールと、硫酸銀及び焼成シリカの混合物と、炭素-炭素多重結合を含む1つ以上の末端基を有するオルガノポリシロキサンを含む成分(B)とを、SpeedMixer(登録商標)を用いて2350rpmで5分間混合して、第1の混合物を形成した。硫酸銀及び焼成シリカの混合物は、比較例1において上記した通りであった。次いで、水素原子に結合したケイ素原子を含む1つ以上の基を有するオルガノポリシロキサンを含む成分(A)を、SpeedMixer(登録商標)を用いて2350rpmで30秒間、第1の混合物に添加した。得られた抗菌組成物は、2重量%の硫酸銀及び焼成シリカの混合物と5重量%の1,2-プロパンジオールとを含み、抗菌組成物の残りの部分は、等しい部の成分(A)及び成分(B)から形成された。硬化前、抗菌組成物は白色であった。抗菌組成物の一部を二軸配向PET基材上に流延して15ミルの湿潤フィルム厚さを達成し、次いで120℃で12分間硬化させた。組成物の残りの部分を、約20℃の温度で24時間空気に曝露することによって硬化させた。硬化後、抗菌組成物は、わずかに黄色の色合いを示すゲルであった。
【0086】
[実施例8]
ジ(プロピレングリコール)と、硫酸銀及び焼成シリカの混合物と、炭素-炭素多重結合を含む1つ以上の末端基を有するオルガノポリシロキサンを含む成分(B)とを、SpeedMixer(登録商標)を用いて2350rpmで5分間混合して、第1の混合物を形成した。硫酸銀及び焼成シリカの混合物は、比較例1において上記した通りであった。次いで、水素原子に結合したケイ素原子を含む1つ以上の基を有するオルガノポリシロキサンを含む成分(A)を、SpeedMixer(登録商標)を用いて2350rpmで30秒間、第1の混合物に添加した。得られた抗菌組成物は、2重量%の硫酸銀及び焼成シリカの混合物と5重量%のジ(プロピレングリコール)とを含み、抗菌組成物の残りの部分は、等しい部の成分(A)及び成分(B)から形成された。硬化前、抗菌組成物は白色であった。抗菌組成物の一部を二軸配向PET基材上に流延して15ミルの湿潤フィルム厚さを達成し、次いで120℃で12分間硬化させた。組成物の残りの部分を、約20℃の温度で24時間空気に曝露することによって硬化させた。硬化後、抗菌組成物は、無色であることが観察されたゲルであった。
【0087】
[実施例9]
ジ(プロピレングリコール)モノメチルエーテルと、硫酸銀及び焼成シリカの混合物と、炭素-炭素多重結合を含む1つ以上の末端基を有するオルガノポリシロキサンを含む成分(B)とを、SpeedMixer(登録商標)を用いて2350rpmで5分間混合して、第1の混合物を形成した。硫酸銀及び焼成シリカの混合物は、比較例1において上記した通りであった。次いで、水素原子に結合したケイ素原子を含む1つ以上の基を有するオルガノポリシロキサンを含む成分(A)を、SpeedMixer(登録商標)を用いて2350rpmで30秒間、第1の混合物に添加した。得られた抗菌組成物は、2重量%の硫酸銀及び焼成シリカの混合物と5重量%のジ(プロピレングリコール)モノメチルエーテルとを含み、抗菌組成物の残りの部分は、等しい部の成分(A)及び成分(B)から形成された。硬化前、抗菌組成物は白色であった。抗菌組成物の一部を二軸配向PET基材上に流延して15ミルの湿潤フィルム厚さを達成し、次いで120℃で12分間硬化させた。組成物の残りの部分を、約25℃の温度で24時間空気に曝露することによって硬化させた。硬化後、抗菌組成物は黄色がかった色合いを示すゲルであった。
【0088】
[実施例10]
ジ(プロピレングリコール)ジメチルエーテルと、硫酸銀及び焼成シリカの混合物と、炭素-炭素多重結合を含む1つ以上の末端基を有するオルガノポリシロキサンを含む成分(B)とを、SpeedMixer(登録商標)を用いて2350rpmで5分間混合して、第1の混合物を形成した。硫酸銀及び焼成シリカの混合物は、比較例1において上記した通りであった。次いで、水素原子に結合したケイ素原子を含む1つ以上の基を有するオルガノポリシロキサンを含む成分(A)を、SpeedMixer(登録商標)を用いて2350rpmで30秒間、第1の混合物に添加した。得られた抗菌組成物は、2重量%の硫酸銀及び焼成シリカの混合物と5重量%のジ(プロピレングリコール)ジメチルエーテルとを含み、抗菌組成物の残りの部分は、等しい部の成分(A)及び成分(B)から形成された。硬化前、抗菌組成物は白色であった。抗菌組成物の一部を二軸配向PET基材上に流延して15ミルの湿潤フィルム厚さを達成し、次いで120℃で12分間硬化させた。組成物の残りの部分を、約20℃の温度で24時間空気に曝露することによって硬化させた。硬化後、抗菌組成物は、実施例7で観察された色合いよりも強い黄色がかった色合いを示すゲルであった。
【0089】
[実施例11]
約400g/molの数平均分子量を有するポリ(プロピレングリコール)と、硫酸銀及び焼成シリカとの混合物と、炭素-炭素多重結合を含む1つ以上の末端基を有するオルガノポリシロキサンを含む成分(B)とを、SpeedMixer(登録商標)を用いて2350rpmで5分間混合して、第1の混合物を形成した。硫酸銀及び焼成シリカの混合物は、比較例1において上記した通りであった。次いで、水素原子に結合したケイ素原子を含む1つ以上の基を有するオルガノポリシロキサンを含む成分(A)を、SpeedMixer(登録商標)を用いて2350rpmで30秒間、第1の混合物に添加した。得られた抗菌組成物は、2重量%の硫酸銀及び焼成シリカの混合物と2.5重量%のポリ(プロピレングリコール)とを含み、抗菌組成物の残りの部分は、等しい部の成分(A)及び成分(B)から形成された。硬化前、抗菌組成物は白色であった。抗菌組成物の一部を二軸配向PET基材上に流延して15ミルの湿潤フィルム厚さを達成し、次いで120℃で12分間硬化させた。組成物の残りの部分を、約20℃の温度で24時間空気に曝露することによって硬化させた。硬化後、抗菌組成物は、観察可能な色の変化を示さないゲルであった。
【0090】
[実施例12]
約400g/molの数平均分子量を有するポリ(プロピレングリコール)と、硫酸銀及び焼成シリカの混合物と、炭素-炭素多重結合を含む1つ以上の末端基を有するオルガノポリシロキサンを含む成分(B)とを、SpeedMixer(登録商標)を用いて2350rpmで5分間混合して、第1の混合物を形成した。硫酸銀及び焼成シリカの混合物は、比較例1において上記した通りであった。次いで、水素原子に結合したケイ素原子を含む1つ以上の基を有するオルガノポリシロキサンを含む成分(A)を、SpeedMixer(登録商標)を用いて2350rpmで30秒間、第1の混合物に添加した。得られた抗菌組成物は、2重量%の硫酸銀及び焼成シリカの混合物と1.0重量%のポリ(プロピレングリコール)とを含み、抗菌組成物の残りの部分は、等しい部の成分(A)及び成分(B)から形成された。硬化前、抗菌組成物は白色であった。抗菌組成物の一部を二軸配向PET基材上に流延して15ミルの湿潤フィルム厚さを達成し、次いで120℃で12分間硬化させた。組成物の残りの部分を、約20℃の温度で24時間空気に曝露することによって硬化させた。硬化後、抗菌組成物は、観察可能な色の変化を示さないゲルであった。
【0091】
[実施例13]
約400g/molの数平均分子量を有するポリ(プロピレングリコール)と、硫酸銀及び焼成シリカの混合物と、炭素-炭素多重結合を含む1つ以上の末端基を有するオルガノポリシロキサンを含む成分(B)とを、SpeedMixer(登録商標)を用いて2350rpmで5分間混合して、第1の混合物を形成した。硫酸銀及び焼成シリカの混合物は、比較例1において上記した通りであった。次いで、水素原子に結合したケイ素原子を含む1つ以上の基を有するオルガノポリシロキサンを含む成分(A)を、SpeedMixer(登録商標)を用いて2350rpmで30秒間、第1の混合物に添加した。得られた抗菌組成物は、2重量%の硫酸銀及び焼成シリカの混合物と0.5重量%のポリ(プロピレングリコール)とを含み、抗菌組成物の残りの部分は、等しい部の成分(A)及び成分(B)から形成された。硬化前、抗菌組成物は白色であった。抗菌組成物の一部を二軸配向PET基材上に流延して15ミルの湿潤フィルム厚さを達成し、次いで120℃で12分間硬化させた。組成物の残りの部分を、約20℃の温度で24時間空気に曝露することによって硬化させた。硬化後、抗菌組成物は、わずかにピンク色の色合いを示すゲルであった。
【0092】
[実施例14]
約400g/molの数平均分子量を有するポリ(プロピレングリコール)と、硫酸銀及び焼成シリカの混合物と、炭素-炭素多重結合を含む1つ以上の末端基を有するオルガノポリシロキサンを含む成分(B)とを、SpeedMixer(登録商標)を用いて2350rpmで5分間混合して、第1の混合物を形成した。硫酸銀及び焼成シリカの混合物は、比較例1において上記した通りであった。次いで、水素原子に結合したケイ素原子を含む1つ以上の基を有するオルガノポリシロキサンを含む成分(A)を、SpeedMixer(登録商標)を用いて2350rpmで30秒間、第1の混合物に添加した。得られた抗菌組成物は、5重量%の硫酸銀及び焼成シリカの混合物と0.5重量%のポリ(プロピレングリコール)とを含み、抗菌組成物の残りの部分は、等しい部の成分(A)及び成分(B)から形成された。硬化前、抗菌組成物は白色であった。抗菌組成物の一部を二軸配向PET基材上に流延して15ミルの湿潤フィルム厚さを達成し、次いで120℃で12分間硬化させた。組成物の残りの部分を、約20℃の温度で24時間空気に曝露することによって硬化させた。硬化後、抗菌組成物は、わずかにピンク色の色合いを示すゲルであった。
【0093】
[実施例15]
約400g/molの数平均分子量を有するポリ(プロピレングリコール)と、硫酸銀及び焼成シリカの混合物と、炭素-炭素多重結合を含む1つ以上の末端基を有するオルガノポリシロキサンを含む成分(B)とを、SpeedMixer(登録商標)を用いて2350rpmで5分間混合して、第1の混合物を形成した。硫酸銀及び焼成シリカの混合物は、比較例1において上記した通りであった。次いで、水素原子に結合したケイ素原子を含む1つ以上の基を有するオルガノポリシロキサンを含む成分(A)を、SpeedMixer(登録商標)を用いて2350rpmで30秒間、第1の混合物に添加した。得られた抗菌組成物は、10重量%の硫酸銀及び焼成シリカ混合物と1.0重量%のポリ(プロピレングリコール)とを含み、抗菌組成物の残りの部分は、等しい部の成分(A)及び成分(B)から形成された。硬化前、抗菌組成物は白色であった。抗菌組成物の一部を二軸配向PET基材上に流延して15ミルの湿潤フィルム厚さを達成し、次いで120℃で12分間硬化させた。組成物の残りの部分を、約20℃の温度で24時間空気に曝露することによって硬化させた。硬化後、抗菌組成物は、わずかにピンク色の色合いを示すゲルであった。
【0094】
[実施例16]
第1の混合物を形成した。第1の混合物は、Wacker Chemie AGによってBelsil(登録商標)OW1500として販売されているオルガノポリシロキサンポリオキシアルキレンと、炭素-炭素多重結合を含む1つ以上の末端基を有するオルガノポリシロキサンを含む成分(B)とを含んでいた。第1の混合物を、SpeedMixer(登録商標)を使用して2350rpmで形成した。硫酸銀、焼成シリカ、及び成分(B)の第2の混合物を、SpeedMixer(登録商標)を用いて2350rpmで形成した。抗菌組成物を、SpeedMixer(登録商標)を用いて2350rpmで30秒間、第1の混合物、第2の混合物、及び水素原子に結合したケイ素原子を含む1つ以上の基を有するオルガノポリシロキサンを含む成分(A)を混合することによって形成した。得られた抗菌組成物は、3.1部の硫酸銀、0.6部の焼成シリカ、14.3部のBelsil(登録商標)OW1500を含み、抗菌組成物の残りの部分は、等しい部の成分(A)及び成分(B)から形成された。硬化前、抗菌組成物は白色であった。抗菌組成物の一部を流延し、引き下ろし、次いで120℃で12分間硬化させた。硬化後、抗菌組成物の各部分は、8~9ミルの間の厚さを有するゲルであった。ゲル部分は、観察可能な色の変化を示さなかった。
【0095】
前述の詳細な説明から、真の範囲及び精神から逸脱することなく、種々の修正、追加、及び他の代替実施形態が可能であることが明白となる。本明細書で議論された実施形態及び実施例は、本発明の原理及びその実際的用途の最良の例示を提供し、それによって、当業者が、種々の実施形態で、及び企図される特定の使用に適するように種々の修正を伴って、本発明を使用することを可能にするように選択及び説明された。理解されるべきであるように、全てのそのような修正及び変形は、本発明の範囲内である。
【手続補正書】
【提出日】2024-04-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0002
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0002】
創傷ケアドレッシングは、感染の防止及び創傷治癒の促進を助けるために、銀含有化合物及び他の抗菌剤を含む接着層を含有することが多い。しかし、経時的に、そのような銀含有化合物は解離する。結果として生じる解離は銀イオンを生成し、銀イオンは還元及び酸化され、ドレッシングの変色をもたらし得る。このような変色は、特に病院では望ましくない。米国特許第10111959号明細書は、特に、少なくとも1つのアルケニル置換及び/又はアルキニル置換ポリシロキサン、シリコンに結合した水素原子を含む少なくとも1つのポリシロキサン、及び少なくとも1つのヒドロシリル化触媒を含む抗菌性組成物、並びに、抗菌性シリコーンゲル、創傷被覆材、及びこれらを調製する方法について記載する。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0085
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0085】
比較例7]
1,2-プロパンジオールと、硫酸銀及び焼成シリカの混合物と、炭素-炭素多重結合を含む1つ以上の末端基を有するオルガノポリシロキサンを含む成分(B)とを、SpeedMixer(登録商標)を用いて2350rpmで5分間混合して、第1の混合物を形成した。硫酸銀及び焼成シリカの混合物は、比較例1において上記した通りであった。次いで、水素原子に結合したケイ素原子を含む1つ以上の基を有するオルガノポリシロキサンを含む成分(A)を、SpeedMixer(登録商標)を用いて2350rpmで30秒間、第1の混合物に添加した。得られた抗菌組成物は、2重量%の硫酸銀及び焼成シリカの混合物と5重量%の1,2-プロパンジオールとを含み、抗菌組成物の残りの部分は、等しい部の成分(A)及び成分(B)から形成された。硬化前、抗菌組成物は白色であった。抗菌組成物の一部を二軸配向PET基材上に流延して15ミルの湿潤フィルム厚さを達成し、次いで120℃で12分間硬化させた。組成物の残りの部分を、約20℃の温度で24時間空気に曝露することによって硬化させた。硬化後、抗菌組成物は、わずかに黄色の色合いを示すゲルであった。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0086
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0086】
比較例8]
ジ(プロピレングリコール)と、硫酸銀及び焼成シリカの混合物と、炭素-炭素多重結合を含む1つ以上の末端基を有するオルガノポリシロキサンを含む成分(B)とを、SpeedMixer(登録商標)を用いて2350rpmで5分間混合して、第1の混合物を形成した。硫酸銀及び焼成シリカの混合物は、比較例1において上記した通りであった。次いで、水素原子に結合したケイ素原子を含む1つ以上の基を有するオルガノポリシロキサンを含む成分(A)を、SpeedMixer(登録商標)を用いて2350rpmで30秒間、第1の混合物に添加した。得られた抗菌組成物は、2重量%の硫酸銀及び焼成シリカの混合物と5重量%のジ(プロピレングリコール)とを含み、抗菌組成物の残りの部分は、等しい部の成分(A)及び成分(B)から形成された。硬化前、抗菌組成物は白色であった。抗菌組成物の一部を二軸配向PET基材上に流延して15ミルの湿潤フィルム厚さを達成し、次いで120℃で12分間硬化させた。組成物の残りの部分を、約20℃の温度で24時間空気に曝露することによって硬化させた。硬化後、抗菌組成物は、無色であることが観察されたゲルであった。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0087
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0087】
比較例9]
ジ(プロピレングリコール)モノメチルエーテルと、硫酸銀及び焼成シリカの混合物と、炭素-炭素多重結合を含む1つ以上の末端基を有するオルガノポリシロキサンを含む成分(B)とを、SpeedMixer(登録商標)を用いて2350rpmで5分間混合して、第1の混合物を形成した。硫酸銀及び焼成シリカの混合物は、比較例1において上記した通りであった。次いで、水素原子に結合したケイ素原子を含む1つ以上の基を有するオルガノポリシロキサンを含む成分(A)を、SpeedMixer(登録商標)を用いて2350rpmで30秒間、第1の混合物に添加した。得られた抗菌組成物は、2重量%の硫酸銀及び焼成シリカの混合物と5重量%のジ(プロピレングリコール)モノメチルエーテルとを含み、抗菌組成物の残りの部分は、等しい部の成分(A)及び成分(B)から形成された。硬化前、抗菌組成物は白色であった。抗菌組成物の一部を二軸配向PET基材上に流延して15ミルの湿潤フィルム厚さを達成し、次いで120℃で12分間硬化させた。組成物の残りの部分を、約25℃の温度で24時間空気に曝露することによって硬化させた。硬化後、抗菌組成物は黄色がかった色合いを示すゲルであった。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0088
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0088】
比較例10]
ジ(プロピレングリコール)ジメチルエーテルと、硫酸銀及び焼成シリカの混合物と、炭素-炭素多重結合を含む1つ以上の末端基を有するオルガノポリシロキサンを含む成分(B)とを、SpeedMixer(登録商標)を用いて2350rpmで5分間混合して、第1の混合物を形成した。硫酸銀及び焼成シリカの混合物は、比較例1において上記した通りであった。次いで、水素原子に結合したケイ素原子を含む1つ以上の基を有するオルガノポリシロキサンを含む成分(A)を、SpeedMixer(登録商標)を用いて2350rpmで30秒間、第1の混合物に添加した。得られた抗菌組成物は、2重量%の硫酸銀及び焼成シリカの混合物と5重量%のジ(プロピレングリコール)ジメチルエーテルとを含み、抗菌組成物の残りの部分は、等しい部の成分(A)及び成分(B)から形成された。硬化前、抗菌組成物は白色であった。抗菌組成物の一部を二軸配向PET基材上に流延して15ミルの湿潤フィルム厚さを達成し、次いで120℃で12分間硬化させた。組成物の残りの部分を、約20℃の温度で24時間空気に曝露することによって硬化させた。硬化後、抗菌組成物は、実施例7で観察された色合いよりも強い黄色がかった色合いを示すゲルであった。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0095
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0095】
前述の詳細な説明から、真の範囲から逸脱することなく、種々の修正、追加、及び他の代替実施形態が可能であることが明白となる。本明細書で議論された実施形態及び実施例は、本発明の原理及びその実際的用途の最良の例示を提供し、それによって、当業者が、種々の実施形態で、及び企図される特定の使用に適するように種々の修正を伴って、本発明を使用することを可能にするように選択及び説明された。理解されるべきであるように、全てのそのような修正及び変形は、本発明の範囲内である。
【手続補正7】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水素原子に結合したケイ素原子を含む1つ以上の基を有するオルガノポリシロキサンを含む成分(A)、
銀含有抗菌剤、及び
300~2,000g/molの平均分子量を有するポリエーテルから選択される賦形剤
を含む抗菌組成物であって、
該抗菌組成物が不連続相を有し、前記抗菌剤及び前記賦形剤が前記不連続相に存在
相対湿度50%の空気に20℃で24時間曝露した後に観察可能な色の変化を示さない、
抗菌組成物。
【請求項2】
前記銀含有抗菌剤が銀塩である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
記ポリエーテルが、ポリ(プロピレングリコール)である、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
親水性添加化合物をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記賦形剤が、20℃で50%の相対湿度を有する空気の存在下で、前記銀含有抗菌剤が元素銀又は酸化銀を形成するのを阻害する、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
炭素-炭素多重結合を含む1つ以上の末端基を有するオルガノポリシロキサン化合物を含む成分(B)をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記組成物の総重量に基づいて、前記賦形剤の重量パーセントが前記銀含有抗菌剤の重量パーセントより大きい、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記組成物の総重量に基づいて0.5重量%以上の前記賦形剤を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
前記成分(A)及び前記成分(B)を組み合わせた生成物によって形成されるポリシロキサンネットワークを含む連続相を有する、請求項に記載の組成物。
【請求項10】
前記成分(A)又は前記成分(B)の一部として提供されるヒドロシリル化触媒をさらに含む、請求項に記載の組成物。
【請求項11】
成分(C)をさらに含み、該成分(C)が、オルガノポリシロキサン及び充填剤を含む、請求項に記載の組成物。
【請求項12】
前記組成物中の前記賦形剤の重量パーセントが、前記銀含有抗菌剤の重量パーセントの2倍以上である、請求項に記載の組成物。
【請求項13】
前記組成物の総重量に基づいて、0.5~15重量%の前記賦形剤を含む、請求項に記載の組成物。
【請求項14】
前記賦形剤の平均分子量が300~1000g/molである、請求項に記載の組成物。
【請求項15】
前記賦形剤の重量パーセントが、前記銀含有抗菌剤の重量パーセントよりも2~10倍大きい、請求項12に記載の組成物。
【請求項16】
請求項1に記載の組成物を含むゲル接着剤。
【国際調査報告】