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特表2024-536003空間的に変動する層を有するフィルム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-04
(54)【発明の名称】空間的に変動する層を有するフィルム
(51)【国際特許分類】
   B32B 3/02 20060101AFI20240927BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20240927BHJP
   G02B 5/00 20060101ALI20240927BHJP
   G02B 5/08 20060101ALI20240927BHJP
   G02B 1/111 20150101ALI20240927BHJP
【FI】
B32B3/02
B32B27/00 B
G02B5/00 A
G02B5/00 Z
G02B5/08 A
G02B1/111
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024513914
(86)(22)【出願日】2022-08-12
(85)【翻訳文提出日】2024-03-01
(86)【国際出願番号】 IB2022057574
(87)【国際公開番号】W WO2023031713
(87)【国際公開日】2023-03-09
(31)【優先権主張番号】63/240,558
(32)【優先日】2021-09-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505005049
【氏名又は名称】スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100130339
【弁理士】
【氏名又は名称】藤井 憲
(74)【代理人】
【識別番号】100135909
【弁理士】
【氏名又は名称】野村 和歌子
(74)【代理人】
【識別番号】100133042
【弁理士】
【氏名又は名称】佃 誠玄
(74)【代理人】
【識別番号】100171701
【弁理士】
【氏名又は名称】浅村 敬一
(72)【発明者】
【氏名】ジョンソン,スティーブン エー.
(72)【発明者】
【氏名】フェイ,ウィリアム ティー.
(72)【発明者】
【氏名】フリー,マイケル ベントン
(72)【発明者】
【氏名】ジョンソン,アシーン アール.
(72)【発明者】
【氏名】パツマン,デレク ダブリュ.
【テーマコード(参考)】
2H042
2K009
4F100
【Fターム(参考)】
2H042AA11
2H042AA26
2K009AA09
2K009BB11
2K009CC21
4F100AK01A
4F100AK01B
4F100AK42A
4F100AK42B
4F100BA02
4F100BA42
4F100EH20
4F100EJ37
4F100JK06
4F100JN01
4F100YY00A
4F100YY00B
(57)【要約】
あるフィルムが、実質的に一定の厚さを有する第1の層を含む。第1の層は、第1の層の長さ方向に沿って実質的に一様に延び、長さ方向に沿って延びる隣接する連続した第1の部分及び第2の部分を含む。第1の部分及び第2の部分の各々は、第1の層の幅方向に沿って第1の層の縁部まで延びる実質的に厚さが一定の部分と、実質的に厚さが一定の部分に隣接し、実質的に厚さが一定の部分の反対側にある、テーパ部分の端部における最小厚さまで幅方向にテーパリングする厚さを有するテーパ部分と、を含む。最小厚さは、実質的に厚さが一定の部分の厚さの20%未満であり得る。第1の部分のテーパ部分及び第2の部分のテーパ部分は、互いに実質的に合致する第1の主表面及び第2の主表面をそれぞれ有し得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
実質的に一定の厚さを有する第1の層を含むフィルムであって、前記第1の層が、前記第1の層の長さ方向に沿って実質的に一様に延び、前記長さ方向に沿って延びる隣接する連続した第1の部分及び第2の部分を含み、前記第1の部分及び前記第2の部分の各々が、
前記第1の層の前記長さ方向及び厚さ方向に直交する前記第1の層の幅方向に沿って前記第1の層の縁部まで延びる、実質的に厚さが一定の部分と、
前記実質的に厚さが一定の部分に隣接するテーパ部分であって、前記実質的に厚さが一定の部分の反対側にある、前記テーパ部分の端部における最小厚さまで前記幅方向にテーパリングする厚さを有し、前記最小厚さが、前記実質的に厚さが一定の部分の厚さの20%未満である、テーパ部分と、
を含み、
前記第1の部分の前記テーパ部分及び前記第2の部分の前記テーパ部分が、互いに実質的に合致する第1の主表面及び第2の主表面をそれぞれ有する、フィルム。
【請求項2】
前記第1の部分及び前記第2の部分のそれぞれの前記実質的に厚さが一定の部分において、所定の波長範囲内の実質的に垂直な入射光について、前記幅方向に沿って第1の値と第2の値との間で実質的に連続的に変動する平均光透過率を有し、前記光透過率の前記第1の値と前記第2の値とが少なくとも10%だけ異なる、請求項1に記載のフィルム。
【請求項3】
前記第1の部分及び前記第2の部分のそれぞれの前記実質的に一定の厚さの部分において、前記幅方向に沿って第1の値と第2の値との間で実質的に連続的に変動する光学ヘイズを有し、前記光学ヘイズの前記第1の値と前記第2の値とが少なくとも10%だけ異なる、請求項1又は2に記載のフィルム。
【請求項4】
前記第1の層上に配置された複数の交互の光学層を更に含み、前記光学層の各々が約500nm未満の平均厚さを有し、前記第1の層が約1.5マイクロメートル超の平均厚さを有する、請求項1~3のいずれか一項に記載のフィルム。
【請求項5】
実質的に一定の厚さを有する第1の層を含むフィルムであって、前記第1の層が、前記第1の層の長さ方向に沿って実質的に一様に延び、前記長さ方向に沿って延びる隣接する第1の部分及び第2の部分を含み、前記第1の部分及び前記第2の部分が各々、実質的に同じ厚さTを有する実質的に厚さが一定の部分と、テーパ部分であって、前記実質的に厚さが一定の部分の反対側にある、前記テーパ部分の端部において厚さゼロまでテーパリングする厚さを有するテーパ部分と、を含み、前記第1の部分の前記テーパ部分及び前記第2の部分の前記テーパ部分が互いに実質的に合致する第1の主表面及び第2の主表面をそれぞれ有し、前記第1の主表面及び前記第2の主表面が、前記長さ方向に直交する前記第1の層の幅方向に幅Wにわたって延びており、W≧2Tである、フィルム。
【請求項6】
実質的に一定の厚さを有する第1の層を含むフィルムであって、前記第1の層が、前記第1の層の長さ方向に沿って実質的に一様に延び、前記長さ方向に沿って延びる隣接する連続した第1の部分及び第2の部分を含み、前記第1の部分及び前記第2の部分の各々が、前記第1の層の幅方向にテーパリングする厚さを有するテーパ部分を含み、前記幅方向が前記第1の層の前記長さ方向及び厚さ方向の各々に直交し、各々の前記テーパ部分が、当該テーパ部分の最大厚さから、当該テーパ部分の前記最大厚さの90%未満である当該テーパ部分の最小厚さまでテーパリングし、各々のテーパ部分が、前記幅方向に沿う前記第1の層の幅の半分より長い距離にわたって、前記幅方向に沿って実質的に連続的にテーパリングし、前記第1の部分の前記テーパ部分及び前記第2の部分の前記テーパ部分が、互いに実質的に合致する第1の主表面及び第2の主表面をそれぞれ有する、フィルム。
【請求項7】
実質的に一定の厚さを有する第1の層を備えるフィルムであって、前記第1の層が、前記第1の層の長さ方向に沿って実質的に一様に延び、前記長さ方向に沿って延びかつ前記第1の層の幅方向に沿って離間した第1の縁部領域及び第2の縁部領域と、それらの間に配置された遷移領域とを含み、前記第1の縁部領域及び前記第2の縁部領域が、前記第1の層の対向する第1の縁部及び第2の縁部にそれぞれ隣接して配置され、前記遷移領域が、前記長さ方向及び前記幅方向に直交する厚さ方向に沿った前記第1の層の平均厚さよりも大きい幅方向に沿った幅を有し、前記第1の層が第1の物理特性を有し、前記第1の物理特性が、前記第1の縁部領域と前記第2の縁部領域とのそれぞれで異なる実質的に一定の第1の値V1及び第2の値V2を有し、前記第1の物理特性が、前記遷移領域の幅にわたって、前記第1の値V1から前記第2の値V2まで実質的に単調かつ実質的に連続的に変動する、フィルム。
【請求項8】
前記第1の物理特性が、光学特性、機械特性、物理化学特性、熱特性、又は電気特性のうちの少なくとも1つである、請求項7に記載のフィルム。
【請求項9】
隣接する第1の層及び第2の層を含むフィルムであって、前記第1の層及び前記第2の層が前記フィルムの長さ方向に沿って実質的に一様に延び、互いに実質的に同一の外延を持っており、前記第1の層及び前記第2の層の各々が、前記長さ方向に直交する幅方向に沿って変動する厚さを有し、前記第1の層と前記第2の層との合計厚さが前記幅方向に沿って実質的に一定であり、前記第1の層及び前記第2の層の各々が、当該層の最小厚さの少なくとも1.2倍の最大厚さを有し、前記第1の層及び前記第2の層が異なる組成物を有し、互いに実質的に永久に結合している、フィルム。
【請求項10】
前記第1の層及び前記第2の層上に配置された複数の交互の光学層を更に含み、前記光学層の各々が約500nm未満の平均厚さを有し、前記第1の層と前記第2の層との合計厚さが約1.5マイクロメートル超である、請求項9に記載のフィルム。
【請求項11】
第1の層から第4の層を含むフィルムであって、前記第1の層から前記第4の層が、前記フィルムの長さ方向に沿って実質的に一様に延び、互いに実質的に同一の外延を持っており、前記第1の層から前記第4の層の各々が、前記長さ方向に直交する幅方向に沿って変動する厚さを有し、前記第1の層と前記第2の層との合計厚さ及び前記第3の層と前記第4の層との合計厚さの各々が前記幅方向に沿って実質的に一定であり、前記第1の層から前記第4の層の各々が、当該層の最小厚さの少なくとも1.2倍の最大厚さを有し、前記第1の層及び前記第2の層が互いに隣接し、異なる組成物を有し、前記第3の層及び前記第4の層が互いに隣接し、異なる組成物を有する、フィルム。
【請求項12】
第1の層を含むフィルムであって、前記第1の層が前記フィルムの厚さ方向に沿って分離した対向する第1の主表面及び第2の主表面を有し、前記第1の層が、前記第1の主表面と前記第2の主表面との間に延び、前記フィルムの長さ方向に沿って前記第1の層と実質的に同一の外延を持つ、第1の部分、第2の部分及び第3の部分を含み、前記第1の部分及び前記第3の部分が、前記フィルムの幅方向に沿って分離し、前記第1の層の対向する第1の側縁部及び第2の側縁部のそれぞれに隣接して配置されており、前記幅方向が前記長さ方向及び前記厚さ方向に直交しており、前記第2の部分が、前記第1の部分と前記第3の部分との間に配置されて前記第1の部分及び前記第3の部分と接触しており、前記第2の部分が、前記フィルムの前記幅方向に沿って幅W0にわたって実質的に一様に延びており、前記第1の層が平均厚さTを有し、前記第1の部分、前記第2の部分及び前記第3の部分がそれぞれ第1の組成物、第2の組成物及び第3の組成物を含み、前記第2の組成物が前記第1の組成物及び前記第3の組成物の各々と異なり、W0/T>100である、フィルム。
【請求項13】
共押出しされた複数のポリマー層を含むフィルムであって、前記複数のポリマー層が前記フィルムの長さ方向に沿って延びており、前記複数のポリマー層が、複屈折性の第1の層と、前記第1の層上に配置された第2の層とを含み、前記第2の層が、前記フィルムの厚さ方向に沿って分離した対向する第1の主表面及び第2の主表面を有し、前記第1の主表面と前記第2の主表面との間に延びかつ前記長さ方向に沿って前記第2の層と実質的に同一の外延を持つ隣接する第1の部分及び第2の部分を含み、前記第1の部分及び前記第2の部分が異なる組成物を有する、フィルム。
【請求項14】
実質的に同一の外延を持つ第1の層、第2の層及び第3の層を含むフィルムであって、前記第1の層、前記第2の層及び前記第3の層が前記フィルムの長さ方向に沿って実質的に一様に延びており、前記第3の層が前記第1の層と前記第2の層の間に配置され、前記第3の層が、前記長さ方向に沿って前記第3の層と実質的に同一の外延を持ちかつ前記長さ方向に直交する幅方向に沿って配列された第1の部分及び第2の部分を含み、前記第1の部分が有する前記第1の層との結合強度と前記第2の部分が有する前記第1の層との結合強度とが異なり、前記第1の部分及び前記第2の部分の各々が有する前記第2の層との結合強度が、前記第1の層との異なる前記結合強度の各々よりも大きい、フィルム。
【請求項15】
多層フィルムであって、前記多層フィルムの厚さ方向に沿って繰り返される複数の第1の繰り返し単位を含み、各第1の繰り返し単位が請求項14に記載のフィルムを含む、多層フィルム。
【発明の詳細な説明】
【発明の概要】
【0001】
いくつかの態様では、本記載は、実質的に一定の厚さを有する第1の層を含むフィルムを提供する。第1の層は、第1の層の長さ方向に沿って実質的に一様に延び、長さ方向に沿って延びる隣接する連続した第1の部分及び第2の部分を含む。第1の部分及び第2の部分の各々は、第1の層の長さ方向及び厚さ方向に実質的に直交する第1の層の幅方向に沿って第1の層の縁部まで延びる、実質的に厚さが一定の部分と、実質的に厚さが一定の部分に隣接するテーパ部分であって、実質的に厚さが一定の部分の反対側にある、テーパ部分の端部における最小厚さまで幅方向にテーパリングする厚さを有する、テーパ部分と、を含む。最小厚さは、実質的に厚さが一定の部分の厚さの20%未満であり得る。第1の部分のテーパ部分及び第2の部分のテーパ部分は、互いに実質的に合致する第1の主表面及び第2の主表面をそれぞれ有し得る。
【0002】
いくつかの態様では、本記載は、実質的に一定の厚さを有する第1の層を含むフィルムを提供する。第1の層は、第1の層の長さ方向に沿って実質的に一様に延び、長さ方向に沿って延びる隣接する第1の部分及び第2の部分を含む。第1の部分及び第2の部分は各々、実質的に同じ厚さTを有する実質的に厚さが一定の部分と、テーパ部分であって、実質的に厚さが一定の部分の反対側にある、テーパ部分の端部において厚さゼロになるまでテーパリングする厚さを有するテーパ部分と、を含む。第1の部分のテーパ部分及び第2の部分のテーパ部分は、互いに実質的に合致する第1の主表面及び第2の主表面をそれぞれ有する。第1の主表面及び第2の主表面は、長さ方向に直交する第1の層の幅方向に幅Wにわたって延びる。Wは2T以上であり得る。
【0003】
いくつかの態様では、本記載は、実質的に一定の厚さを有する第1の層を含むフィルムを提供する。第1の層は、第1の層の長さ方向に沿って実質的に一様に延び、長さ方向に沿って延びる隣接する連続した第1の部分及び第2の部分を含む。第1の部分及び第2の部分の各々は、第1の層の幅方向にテーパリングする厚さを有するテーパ部分を含む。幅方向は、第1の層の長さ方向及び厚さ方向の各々に直交する。各々のテーパ部分は、テーパ部分の最大厚さから、テーパ部分の最大厚さの90%未満であるテーパ部分の最小厚さまでテーパリングする。各々のテーパ部分は、幅方向に沿う第1の層の幅の半分より長い距離にわたって、幅方向に沿って実質的に連続的にテーパリングしていてもよい。第1の部分のテーパ部分及び第2の部分のテーパ部分は、互いに実質的に合致する第1の主表面及び第2の主表面をそれぞれ有する。
【0004】
いくつかの態様では、本記載は、実質的に一定の厚さを有する第1の層を含むフィルムであって、第1の層が、第1の層の長さ方向に沿って実質的に一様に延びている、フィルムを提供する。第1の層は、長さ方向に沿って延びかつ第1の層の幅方向に沿って離間した第1の縁部領域及び第2の縁部領域と、それらの間に配置された遷移領域とを含む。第1の縁部領域及び第2の縁部領域は、第1の層の対向する第1の縁部及び第2の縁部にそれぞれ隣接して配置される。遷移領域は、長さ方向及び幅方向に直交する厚さ方向に沿った第1の層の平均厚さよりも大きい幅方向に沿った幅を有する。第1の層は第1の物理特性を有し、第1の物理特性は、第1の縁部領域と第2の縁部領域とのそれぞれで異なる実質的に一定の第1の値V1及び第2の値V2を有する。第1の物理特性は、遷移領域の幅にわたって、第1の値V1から第2の値V2まで実質的に単調かつ実質的に連続的に変動してもよい。
【0005】
いくつかの態様では、本記載は、隣接する第1の層及び第2の層を含むフィルムであって、第1の層及び第2の層がフィルムの長さ方向に沿って実質的に一様に延び、互いに実質的に同一の外延を持つ、フィルムを提供する。第1の層及び第2の層の各々は、長さ方向に直交する幅方向に沿って変動する厚さを有し、第1の層と第2の層との合計厚さが幅方向に沿って実質的に一定であるようになっている。第1の層及び第2の層の各々は、その層の最小厚さの少なくとも1.2倍の最大厚さを有する。第1の層及び第2の層は異なる組成物を有し、互いに実質的に永久に結合していてもよい。
【0006】
いくつかの態様では、本記載は、第1の層から第4の層を含むフィルムであって、第1の層から第4の層が、フィルムの長さ方向に沿って実質的に一様に延び、互いに実質的に同一の外延を持つ、フィルムを提供する。第1の層から第4の層の各々は、長さ方向に直交する幅方向に沿って変動する厚さを有し、第1の層と第2の層との合計厚さ及び第3の層と第4の層との合計厚さの各々が、幅方向に沿って実質的に一定であるようになっている。第1の層から第4の層の各々は、その層の最小厚さの少なくとも1.2倍の最大厚さを有し得る。第1の層及び第2の層は互いに隣接し、異なる組成物を有し、第3の層及び第4の層は互いに隣接し、異なる組成物を有する。
【0007】
いくつかの態様では、本記載は、第1の層を含むフィルムであって、第1の層が、フィルムの厚さ方向に沿って分離した対向する第1の主表面及び第2の主表面を有する、フィルムを提供する。第1の層は、第1の主表面と第2の主表面との間に延び、フィルムの長さ方向に沿って第1の層と実質的に同一の外延を持つ、第1の部分、第2の部分及び第3の部分を含む。第1の部分及び第3の部分は、フィルムの幅方向に沿って分離し、第1の層の対向する第1の側縁部及び第2の側縁部のそれぞれに隣接して配置されている。幅方向は、長さ方向及び厚さ方向に直交する。第2の部分は、第1の部分と第3の部分の間に配置されて第1の部分及び第3の部分と接触する。第2の部分は、フィルムの幅方向に沿って幅W0にわたり実質的に一様に延びている。第1の層は、平均厚さTを有する。W0/Tは、100より大きくあり得る。第1の部分、第2の部分、及び第3の部分は、第1の組成物、第2の組成物、及び第3の組成物をそれぞれ含み、第2の組成物は、第1の組成物及び第3の組成物の各々とは異なる。
【0008】
いくつかの態様では、本記載は、共押出しされた複数のポリマー層を含むフィルムであって、複数のポリマー層がフィルムの長さ方向に沿って延びているフィルムを提供する。複数のポリマー層は、複屈折性の第1の層と、第1の層上に配置された第2の層とを含む。第2の層は、フィルムの厚さ方向に沿って分離した対向する第1の主表面及び第2の主表面を有し、第1の主表面と第2の主表面との間に延びかつ長さ方向に沿って第2の層と実質的に同一の外延を持つ隣接する第1の部分及び第2の部分を含む。第1の部分及び第2の部分は、異なる組成物を有する。
【0009】
いくつかの態様では、本記載は、実質的に同一の外延を持つ第1の層、第2の層、及び第3の層を含むフィルムであって、第1の層、第2の層、及び第3の層がフィルムの長さ方向に沿って実質的に一様に延びている、フィルムを提供する。第3の層は、第1の層と第2の層の間に配置されている。第3の層は、長さ方向に沿って第3の層と実質的に同一の外延を持ちかつ長さ方向に直交する幅方向に沿って配列されている第1の部分及び第2の部分を含む。第1の部分が有する第1の層との結合強度と第2の部分が有する第1の層との結合強度とは、異なり得る。第1の部分及び第2の部分の各々が有する第2の層との結合強度は、第1の層との異なる結合強度の各々よりも大きい、第2の層との結合強度を有し得る。
【0010】
いくつかの態様では、本記載はフィルムの製造方法を提供する。本方法は、第1の熱可塑性ポリマー組成物及び第2の熱可塑性ポリマー組成物を、ダイスを通して長さ方向に沿って押し出して、フィルムの層を形成することを含む。ダイスは、層の第1の部分及び第2の部分をそれぞれ画定する、隣接する第1のプロファイル付き間隙及び第2のプロファイル付き間隙を含む。第1の部分及び第2の部分の各々は、厚さ方向に直交する幅方向において厚さがテーパリングする、テーパ部分を含む。第1の部分のテーパ部分及び第2の部分のテーパ部分は、互いに実質的に合致する第1の主表面及び第2の主表面をそれぞれ有し得る。
【0011】
いくつかの態様では、本記載はフィルムの製造方法を提供する。本方法は、第1の溶融ポリマー組成物及び第2の溶融ポリマー組成物を、成形されたスペーサ要素の第1の部分の対向する第1の主表面及び第2の主表面のそれぞれにわたるように方向付けて、第1の溶融ポリマー組成物と第2の溶融ポリマー組成物との間に成形された界面を有する第1の溶融ストリームを画定することと、第1の溶融ストリームを押し出して、フィルムの少なくとも1つの第1の層を形成することと、を含む。
【0012】
いくつかの態様では、本記載はフィルムの製造方法を提供する。フィルムは、少なくとも第1の層、第2の層、及び第3の層を含み、第3の層は、第1の層と第2の層の間に配置され、第3の層は第1の部分及び第2の部分を含む。この方法は、少なくとも第1の層、第2の層、及び第3の層を共押出しすることを含む。少なくとも第1の層、第2の層、及び第3の層を共押出しすることは、少なくとも第1の部分及び第2の部分を共押出しして第3の層を形成することを含む。第1の部分が有する第1の層との結合強度と第2の部分が有する第1の層との結合強度とは、異なり得る。第1の部分及び第2の部分の各々が有する第2の層との結合強度は、第1の層との異なる結合強度の各々よりも大きくあり得る。
【0013】
これら及び他の態様は、以下の詳細な記載から明らかになるであろう。しかしながら、いかなる場合も、この簡潔な概要は、特許請求の範囲の主題を限定するものと解釈されるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】いくつかの実施形態による、フィルムの概略断面図である。
図2】いくつかの実施形態による、フィルムの概略断面図である。
図3】いくつかの実施形態による、フィルムの概略断面図である。
図4】いくつかの実施形態による、フィルムの概略断面図である。
図5】いくつかの実施形態による、フィルムの概略断面図である。
図6】いくつかの実施形態による、組成物の概略図である。
図7】いくつかの実施形態による、フィルム又は層の幅に沿った位置の関数としての、フィルム又は層の物理特性の概略プロットである。
図8】いくつかの実施形態による、層又はフィルムに実質的に垂直入射する光の概略図である。
図9】例示的なフィルムの、透過率と、幅方向に沿った位置との関係を示すプロットである。
図10】いくつかの実施形態による、隣接する第1の層及び第2の層を含むフィルムの概略断面図である。
図11】いくつかの実施形態による、少なくとも第1の層から第4の層を含むフィルムの概略断面図である。
図12】いくつかの実施形態による、交互の層を含むフィルムの概略断面図である。
図13】いくつかの実施形態による、フィルムの長さ方向に沿って延びる複数の部分を各々が含むフィルムの概略断面図である。
図14】いくつかの実施形態による、フィルムの長さ方向に沿って延びる複数の部分を各々が含むフィルムの概略断面図である。
図15】いくつかの実施形態による、図12の層と追加の層とを含むフィルムの概略断面図である。
図16】いくつかの実施形態による、図12の層と2つの追加の層とを含むフィルムの概略断面図である。
図17】いくつかの実施形態による、図16の層を複数含む多層フィルムの概略断面図である。
図18A】いくつかの実施形態による、層の対向する側部上の部分の間に漸進的な遷移を有する層を形成するためのプロファイル付き間隙を含む、フィードブロックの一部の概略斜視図である。
図18B図18Aのフィードブロックの一部の概略端面図である。
図19A】いくつかの実施形態による、スキンダイスの概略分解図である。
図19B図19Aのスキンダイスのプレートの一部の拡大概略斜視図である。
図19C図19Aのスキンダイス内に形成された流体流路の概略斜視図である。
図19D】いくつかの実施形態による、図19Aのスキンダイス内プレートの代わりに使用され得るプレートの一部の概略斜視図である。
図20A】いくつかの実施形態による、フィードブロック内に作成された流体流路の概略斜視図である。
図20B図20Aの流体流路の一部の概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下の説明では、本記載の一部を構成し、様々な実施形態が実例として示される、添付図面が参照される。図面は、必ずしも正確な比率の縮尺ではない。本記載の範囲又は趣旨から逸脱することなく、他の実施形態が想到され、実施可能である点を理解されたい。したがって、以下の発明を実施するための形態は、限定的な意味では解釈されない。
【0016】
本記載のいくつかの実施形態によれば、フィルム、又はフィルム内の少なくとも1つの層が、そのフィルム又は層の幅にわたって変動する1つ以上の物理特性を有する。フィルムの1つ以上の特性は、例えば、光学特性(例えば屈折率、ヘイズ、色など)、機械特性(例えば伸展性、剛性、弾性率など)、化学特性若しくは物理化学特性(例えば接着性、剥離性、透湿性など)、電気特性(例えばシート抵抗、誘電率など)、又は熱特性(例えば熱伝導率、熱拡散率など)のうちの1つ以上を含み得る。例えば、フィルム又は層は、透明から有色に、又は透明から半透明若しくは不透明に遷移し得る。そのようなフィルムは、例えばグレイジング用途、プライバシー用途、又は他の調光用途において有用であり得る。別の例として、フィルムが層を含み、その層の隣接層との剥離強度が層の幅にわたって変動し得る。いくつかの実施形態では、層は、層のある特定の部分(単数又は複数)では隣接層と非常に低い(例えば剥離ライナーと同様の)剥離力を呈し、層の他の部分(単数又は複数)では、それよりも相当に高い剥離力を呈し得る。フィルムは、複数のそのような層を含んでフィルムから連続的に層(単数又は複数)を剥離できるようにすることができ、このことは、様々な適用例で所望されることがある。
【0017】
本記載のいくつかの実施形態によれば、フィルム、又はフィルム内の少なくとも1つの層が、そのフィルム又は層の幅にわたって1つの組成物から別の組成物への遷移を含む。フィルムは、フィルムの長さ方向に沿って押出成形され得、ここで幅方向は、長さ方向に直交するクロスウェブ方向である。いくつかの実施形態では、この遷移によって、幅方向に沿って、フィルムの一方の側から反対側へのフィルムの1つ以上の特性の連続的な変動がもたらされる。遷移は、1つ以上の特性において所望され得る漸進的な遷移をもたらすために、フィルム又は層の厚さよりも実質的に大きい幅にわたって生じてもよい。あるいは、いくつかの実施形態では、1つ以上の特性に、1つ以上の急激な又は不連続な遷移があってもよい。
【0018】
図1図5は、いくつかの実施形態による、それぞれの第1の層110、110’、110’’、110’’’、100’’’’を含む含むフィルム100、100’、100’’、100’’’、100’’’’の概略断面図である。いくつかの実施形態では、第1の層110、110’、110’’、110’’’、100’’’’は、第1の層の長さ方向(y方向)に沿って実質的に一様に延び、長さ方向に沿って延びる隣接する連続した第1の部分121及び第2の部分122を含む。長さ方向に沿って実質的に一様に延びる層は、例えば、長さ方向に沿って約20%未満、又は約10%未満、又は約5%未満だけ変動する幅と、幅の少なくとも約80%又は少なくとも約90%にわたり、各々の場所について長さ方向に沿って約20%未満、又は約10%未満、又は約5%未満だけ変動する厚さと、層の幅及び厚さの各々の少なくとも約80%又は少なくとも約90%にわたり、各々の場所について長さ方向に沿って実質的に一様な組成物を有し得る。第1の部分121及び第2の部分122は各々、テーパ部分141、142を含み、各々、実質的に厚さが一定の部分131、132を含んでもよい。いくつかの実施形態では、第1の層110、110’、110’’、110’’’、100’’’’は、実質的に一定の厚さを有する。実質的に一定の厚さの部分又は層又はフィルムは、長さ方向に直交する断面において、又はフィルムの長さ及び幅にわたって、約15%未満、又は約10%未満、又は約5%未満だけ変動する厚さを有してもよく、あるいは、例えば、厚さは名目上一定の厚さであってもよい。
【0019】
いくつかの実施形態では、実質的に厚さが一定の部分131、132は、第1の層の長さ方向及び厚さ方向(z方向)に直交する第1の層の幅方向(x方向)に沿って、第1の層の縁部まで延びる。いくつかの実施形態では、実質的に厚さが一定の部分131、132の各々は、幅方向に沿った第1の層の幅W1の少なくとも約5%、又は約10%、又は約15%にわたって、幅方向に沿って延びる。実質的に厚さが一定の部分131、132の各々は、最大で、第1の層の幅W1の約45%、又は約40%、又は約35%、又は約30%、又は約25%にまで、幅方向に沿って延びてもよい。いくつかの実施形態では、実質的に厚さが一定の部分131、132の各々は、第1の層の幅W1の少なくとも約3%、又は少なくとも約5%、又は少なくとも約7%、又は少なくとも約10%にわたって、幅方向に沿って延びる。いくつかの実施形態では、テーパ部分141、142は、実質的に厚さが一定の部分131、132にそれぞれ隣接し、実質的に厚さが一定の部分の反対側にある、テーパ部分の端部における最小厚さまで幅方向にテーパリングする厚さを有し、最小厚さは、実質的に厚さが一定の部分の厚さの20%未満、又は10%未満、又は5%未満であり得る。テーパ部分は、実質的に厚さが一定の部分からテーパ部分の最小厚さまで、テーパリングし得る。厚さにおけるテーパリングとは、概して、厚さが徐々に単調に減少することを指す。テーパリングは、線形又は非線形であり得、遷移領域125又は225(例えば図4を参照)にわたって生じ得る。いくつかの実施形態では、第1の部分121及び第2の部分122のうちの少なくとも1つの最小厚さはゼロである。いくつかの実施形態では、第1の部分121及び第2の部分122の各々の最小厚さはゼロである。いくつかの実施形態では、第1の部分121及び第2の部分122のうちの少なくとも1つの最小厚さはゼロではない。いくつかの実施形態では、第1の部分121及び第2の部分122の各々の最小厚さはゼロではない。例えば、図1では、テーパ部分141及びテーパ部分142は厚さゼロまでテーパリングする。図2では、テーパ部分141及び142は、それぞれ最小厚さゼロ及びTm2までテーパリングし、Tm2は厚さT2の20%未満であり得、図3では、テーパ部分141及び142は、それぞれ最小厚さTm1及びTm2までテーパリングし、Tm1及びTm2は、それぞれの厚さT1及びT2の20%未満であり得る。第1の部分121及び第2の部分122のテーパ部分141及び142は、第1の主表面143及び第2の主表面144をそれぞれ有する。いくつかの実施形態では、第1の主表面143と第2の主表面144とは互いに実質的に合致する(例えば、長さスケールでの最大偏差が厚さTに比べて小さくなるように合致する(例えば長さスケールがTの10%未満)か、又は、最大偏差が通常の製造ばらつきから生じる偏差になるように合致する)。
【0020】
典型的には、第1の主表面143と第2の主表面144とは互いに接触し、互いに(例えば直接)結合してもよい。例えば、第1の主表面143と第2の主表面144とは、第1の部分121と第2の部分122とが一緒に共押出しされることによって付着されてもよい。結合の強度は特に限定されず、第1の部分121及び第2の部分122に使用される材料に応じて弱い結合から強い結合まで多様であり得る(例えば、類似したモノマー単位を有するポリマーは互いに良好に結合する傾向があり、一方で、表面エネルギーの低いポリマーは類似したモノマー単位を有さない他のポリマーと弱く結合する傾向がある)。例えば、第1の主表面143と第2の主表面144とは互いに剥離可能に結合していてもよく、又は互いに実質的に永久に結合していてもよい(例えば、それらの表面を分離すると、部分121、122のうちの少なくとも1つが損傷する)。いくつかの事例では、第1の部分と第2の部分を互いから引き離して、テーパ形状を(例えばフィルムの縁部付近に)有するフィルムを得られるように、表面が互いに剥離可能に結合することが望ましいこともあり、ここで、テーパは、フィルムの実質的に厚さが一定の部分の厚さTよりも実質的に広い幅Wにわたり得る(例えば、W又はTは本明細書の他の箇所に記載されるいずれかの範囲内にあり得る)。他の実施形態では、部分121及び122の両方を含む層110が無傷で維持されるように、表面が互いに実質的に永久に結合していることが望ましい。
【0021】
いくつかの実施形態では、第1の部分121及び第2の部分122の各々は、第1の層の全幅の一部のみにわたって幅方向に延びている(例えば図1及び図4を参照)。いくつかの実施形態では、第1の部分121及び第2の部分122の各々は、第1の層の全幅にわたって幅方向に延びている(例えば図3及び図5を参照)。いくつかの実施形態では、第1の部分121及び第2の部分122のうちの一方は、第1の層の全幅にわたって幅方向に延びているが、他方はそうではない(例えば図2を参照)。第1の部分121及び第2の部分122の各々は、第1の層の全長に沿って実質的に一様に延び得る。
【0022】
いくつかの実施形態では、第1の部分121及び第2の部分122の各々の実質的に厚さが一定の部分131、132は、第1の層の厚さ全体にわたって厚さ方向に延びている(例えば図1及び図4を参照)。いくつかの実施形態では、第1の部分121及び第2の部分122のうちの一方の、実質的に厚さが一定の部分は、第1の層の厚さ全体にわたって厚さ方向に延びているが、他方はそうではない(例えば図2を参照)。いくつかの実施形態では、第1の部分121及び第2の部分122の各々の、実質的に厚さが一定の部分131、132は、第1の層の厚さ全体の一部のみにわたって厚さ方向に延びている(例えば図3を参照)。
【0023】
いくつかの実施形態では、第1の部分121及び第2の部分122のうちの少なくとも1つは、実質的に厚さが一定の部分の反対側にある、テーパ部分から第1の層の縁部まで幅方向に延びる延長部分151及び/又は152を含む(例えば図2図3を参照)。いくつかの実施形態では、第1の部分121及び第2の部分122の各々は、実質的に厚さが一定の部分の反対側にある、テーパ部分から第1の層の縁部まで幅方向に延びる延長部分151及び152を含む(例えば図3を参照)。延長部分151及び/又は152は、実質的に一定の厚さを有し得る。
【0024】
いくつかの実施形態では、実質的に厚さが一定の部分131及び132は、実質的に同じ(例えば約10%以内、又は約5%以内、又は約3%以内の誤差で等しい)厚さTを有する(例えば、図1及び図4、並びにT1とT2が実質的に同じであり得る図3を参照)。いくつかの実施形態では、テーパ部分141、142の各々は、実質的に厚さが一定の部分の反対側にある、テーパ部分の端部において厚さゼロまでテーパリングする厚さを有する(例えば図1及び図4を参照)。第1の部分121及び第2の部分122のテーパ部分141及び142は、互いに実質的に合致する第1の主表面143及び第2の主表面144をそれぞれ有し得る。第1の主表面143と第2の主表面144とは、互いに(剥離可能に又は永久に)結合していてもよい。いくつかの実施形態では、第1の主表面143及び第2の主表面144は、長さ方向に直交する第1の層の幅方向に幅Wにわたって延び、W≧2Tである。いくつかの実施形態では、Wは、Tの3、5、10、20、50、80、100、200、又は300倍以上である。Wは、例えば最大1000T、又は最大10,000T、又は更に最大100,000Tであり得る。
【0025】
いくつかの実施形態では、第1の層110’’’は、長さ方向に沿って延びる隣接する第3の部分221及び第4の部分222を更に含み、第3の部分221及び第4の部分222は各々、厚さTに実質的に等しい実質的に同じ厚さを有する、実質的に厚さが一定の部分231及び232をそれぞれ、並びに、実質的に厚さが一定の部分の反対側にある、テーパ部分の端部における、厚さTの20%未満である最小厚さまでテーパリングする厚さを有する、テーパ部分241及び242をそれぞれ有する。第3の部分221及び第4の部分222のテーパ部分は、互いに実質的に合致する第3の主表面243及び第4の主表面244をそれぞれ有する。第3の主表面243と第4の主表面244とは、互いに(例えば実質的に永久に、又は剥離可能に)結合していてもよい。いくつかの実施形態では、フィルム100’’’は、幅方向に直交してフィルムを二等分する平面333に関する鏡映において、実質的に対称である(例えば、長さスケールでの最大偏差が厚さTに比べて小さくなるように対称である(例えば長さスケールがTの10%未満)、又は、最大偏差が通常の製造ばらつきから生じる偏差になるように対称である)。
【0026】
いくつかの実施形態では、第1の部分121及び第2の部分122の各々は、第1の層の幅方向(x方向)にテーパリングする厚さを有するテーパ部分141、142を含み、幅方向は、第1の層の長さ方向(y方向)及び厚さ方向(z方向)の各々に直交し、各テーパ部分141、142は、テーパ部分の最大厚さから、テーパ部分の最大厚さの90%未満、又は80%未満、又は70%未満であるテーパ部分の最小厚さまでテーパリングする。例えば図5では、テーパ部分141は最大厚さであるT1から最小厚さであるTm1までテーパリングし、テーパ部分142は最大厚さT2から最小厚さであるゼロまでテーパリングしている。いくつかの実施形態では、図5に概略的に示すように、例えば第1の部分及び第2の部分のうちの一方のテーパ部分の最小厚さはゼロであるが、他方はそうではない。いくつかの実施形態では、各テーパ部分は、幅方向に沿う第1の層の幅W1の半分より長い距離にわたって、幅方向に沿って実質的に連続的にテーパリングする。例えば、部分125は第1の層の幅W1の半分よりも広い幅Wを有し得る(例えば図1を参照)。いくつかの実施形態では、各テーパ部分141、142は、第1の層の幅の60、70、80、又は90%よりも長い距離にわたって延びている。図5では、例えば、各テーパ部分142、143は、実質的に第1の層110’’’’の全幅W1にわたって延びている。いくつかの実施形態では、第1の部分121及び第2の部分122は、それぞれテーパ部分141及び142から本質的に成る。他の実施形態では、第1の部分121及び第2の部分122の一方又は両方は、本明細書の他の場所で更に説明されるように、テーパ部分に隣接する実質的に厚さが一定の部分を含む。いくつかの実施形態では、各テーパ部分は、第1の層の実質的に一定の厚さの少なくとも2、3、5、10、20、50、80、又は100倍の距離にわたって延びる。各テーパ部分は、例えば第1の層の厚さの最大100,000倍、又は最大50000倍、又は最大30000倍、又は最大10,000倍の距離にわたって延びてもよい。
【0027】
いくつかの実施形態では、第1の部分121及び第2の部分122のテーパ部分141、142は、互いに実質的に合致する第1の主表面143及び第2の主表面144をそれぞれ有する。第1の主表面143と第2の主表面144とは、互いに結合していてもよい。例えば、第1の主表面143と第2の主表面144とは、互いに剥離可能に結合していてもよく、又は互いに実質的に永久に結合していてもよい。いくつかの実施形態では、第1の部分121は接着剤であり、第2の部分122は剥離層(例えば、接着剤に対する結合が弱い、表面エネルギーの低い層)である。例えば、フィルム100’’’’は、複数のガラス層を共に積層してフロントガラスを形成するためのテープであり得、第1の部分121は、例えばフロントガラスから投影されるヘッドアップディスプレイでゴーストを低減するために使用され得るガラス層の所定の傾きが得られるように構成された、接着剤層である。
【0028】
いくつかの実施形態では、第1の部分121及び第2の部分122のうちの少なくとも1つ(並びに/又は、第3の部分231及び第4の部分232のうちの少なくとも1つ)は、実質的に一様に複屈折性である。例えば、その部分の複屈折の大きさは、その部分の少なくとも80%又は90%にわたって10%未満又は5%未満だけ変動し得、複屈折の同じ主軸(遅軸又は速軸)の配向は、その部分の少なくとも80%又は90%にわたって20度未満又は10度未満だけ変動し得る。実質的に一様な複屈折部分は、少なくとも0.05の平均複屈折を有してもよく、又は平均複屈折は、本明細書の他の箇所に記載されるいずれの範囲にあってもよい。複屈折は、本明細書の他の箇所で更に記載されるように、好適なポリマー(例えば半結晶性ポリマー)及び好適な加工条件(例えば延伸)を選択することによって選択され得る。
【0029】
いくつかの実施形態では、第1の部分121及び第2の部分122は、それぞれ第1の熱可塑性ポリマー及び第2の熱可塑性ポリマーを含む。第1の熱可塑性ポリマー及び第2の熱可塑性ポリマーは、容易に押出可能かつ加工可能であるように選択され得る。例えば、熱可塑性ポリマーは、押出性に好適な範囲の分子量及び/又は固有粘度及び/又はメルトフローインデックス(MFI)を有するように選択され得る。いくつかの実施形態では、第1の熱可塑性ポリマー及び第2の熱可塑性ポリマーの各々は、20,000ダルトン超、又は35,000ダルトン超、又は50,000ダルトン超の重量平均分子量Mwを有する。例えば、重量平均分子量Mwは、最大1,000,000ダルトン、最大600,000ダルトン、最大400,000ダルトン、最大200,000ダルトン、又は最大150,000ダルトンであり得る。いくつかのそのような実施形態では、又は他の実施形態では、第1の熱可塑性ポリマー及び第2の熱可塑性ポリマーの各々は、60重量パーセントのo-クロロベンゼン及び40重量パーセントのフェノールを含む溶媒ブレンド中で測定したとき、0.3dl/g~1.2dl/g又は0.4dl/g~1.0dl/gの範囲内の固有粘度を有する。いくつかのそのような実施形態では、又は他の実施形態では、熱可塑性ポリマーは、例えば5g/10分超、又は10g/10分超、又は20g/10分超のメルトフローインデックスを有する。メルトフローインデックスは、例えば最大300g/10分、又は最大200g/10分、又は最大100g/10分であってもよい。同様に、第3の部分221及び第4の部分222は、第3の熱可塑性ポリマー及び第4の熱可塑性ポリマーをそれぞれ含み得、これらの熱可塑性ポリマーは各々、これらの分子量範囲のいずれかにある重量平均分子量、及び/又はこれらの固有粘度範囲のいずれかにある固有粘度、及び/又はこれらのMFI範囲のいずれかにあるMFIを有し得る。第3の部分221は、第1の部分121と同じ、又は異なる組成物を有してもよい。第1の部分121と第3の部分221とが同じ組成物を有する実施形態では、第1の部分と第3の部分とが単一の連続した部分を画定してもよい。第4の部分222は、第2の部分122と同じ、又は異なる組成物を有してもよい。重量平均分子量Mwは、例えばゲル浸透クロマトグラフィー(gel permeation chromatography)を使用して測定され得る。固有粘度は、例えば毛細管粘度計を用いて測定され得る。メルトフローインデックスはメルトフローレートとも呼ばれ、例えばASTM D1238-20に従って押出プラストメータを使用して測定され得る。
【0030】
本記載の様々な部分又は層又はフィルムに好適な材料としては、例えば、ポリエチレンナフタレート(PEN)、coPEN(コポリエチレンナフタレートテレフタレートコポリマー)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリヘキシルエチレンナフタレートコポリマー(PHEN)、グリコール変性PET(PETG)、グリコール変性PEN(PENG)、シンジオタクチックポリスチレン(sPS)、THV(テトラフルオロエチレンとヘキサフルオロプロピレンとフッ化ビニリデンとのターポリマー)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、coPMMA(メチルメタクリレートとエチルアクリレートとのコポリマー)、スチレンブロックコポリマー(スチレンブロックを含むブロックコポリマー)、例えばスチレン及びエチレン/ブチレンに基づく直鎖状トリブロックコポリマー(例えばスチレン-エチレン-ブチレン-スチレン(SEBS)コポリマー)、アクリルブロックコポリマー(アクリレート又はメタクリレートブロックを含むブロックコポリマー)、例えばメチルメタクリレート及びn-ブチルアクリレートに基づく直鎖状トリブロックコポリマー、無水物変性エチレンビニルアセテートポリマー、ケトンエチレンエステルターポリマー、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー、ポリプロピレン(PP)、ポリプロピレンとエチレンのコポリマーなどのコポリプロピレン(coPP)、熱可塑性ポリウレタン(TPU)などのウレタン、又はこれらのブレンドが挙げられる。
【0031】
アタクチックポリスチレン(aPS)は、任意選択的に、得られる層の屈折率を調整するために、及び/又は層のヘイズを低減するために(例えば、層の結晶化度を低減することによって)、sPSと(例えば、約5~約30重量パーセントのaPSで)ブレンドすることができる。好適なTHVポリマーは、例えば、米国特許出願公開第2019/0369314号(Hebrinkら)に記載されており、3M Company(St.Paul,MN)からDYNEON THVの商品名で入手可能なものが挙げられる。いくつかの実施形態では、THVは、約35~約75モルパーセントのテトラフルオロエチレン、約5~約20モルパーセントのヘキサフルオロプロピレン、及び約15~約55モルパーセントのフッ化ビニリデンを含有することができる。好適なスチレンブロックコポリマーとしては、KRATON Polymers(Houston,TX)から入手可能なKRATON G1645及びKRATON G1657が挙げられる。好適なアクリルブロックコポリマーとしては、Kuraray Co.,Ltd.(Tokyo,JP)からKURARITYの商品名で入手可能なものが挙げられる。PETGは、ポリマーのグリコール単位の一部が異なるモノマー単位、典型的にはシクロヘキサンジメタノールから誘導されるモノマー単位で置換されたPETとして説明することができる。PETGは、例えば、ポリエステルを製造するエステル交換反応において使用されるエチレングリコールの一部分をシクロヘキサンジメタノールで置き換えることによって製造することができる。好適なPETGコポリエステルとしては、Eastman Chemical Company(Kingsport,TN)から入手可能なGN071が挙げられる。PEN及びcoPENは、例えば、米国特許第10,001,587号(Liu)に記載されているように製造することができる。低融点PENは、総カルボキシレート基に基づいて約90モルパーセントのナフタレンジカルボキシレート基を含むcoPENであり、coPEN 90/10としても知られている。別の有用なcoPENは、総カルボキシレート基に基づいて約70モルパーセントのナフタレンジカルボキシレート基及び約30モルパーセントのテレフタレートジカルボキシレート基を含むcoPEN 70/30である。より一般的には、coPEN Z/100-Zが総カルボキシレート基に基づいてZモルパーセントのナフタレンジカルボキシレート基(典型的には、50モルパーセントを超え、かつ約90モルパーセント以下)及び100-Zモルパーセントのテレフタレートジカルボキシレート基を含む場合、coPEN Z/100-Zが使用されてもよい。グリコール変性ポリエチレンナフタレート(PENG)は、ポリマーのグリコール単位の一部が異なるモノマー単位で置換されたPENとして説明することができ、例えば、ポリエステルを製造するエステル交換反応で使用されるエチレングリコールの一部分をシクロヘキサンジメタノールで置き換えることによって製造することができる。PHENは、エステル交換反応において使用されるエチレングリコールの一部分(例えば、約40モルパーセント)がヘキサンジオールで置き換えられることを除いて、例えば、米国特許第10,001,587号(Liu)にPENについて記載されているように製造することができる。好適なPETは、例えば、Nan Ya Plastics Corporation,America(Lake City,SC)から入手することができる。好適なsPSは、例えば、Idemitsu Kosan Co.,Ltd.(Tokyo,Japan)から入手することができる。好適なPMMAは、例えば、Arkema Inc.(Philadelphia,PA)から入手することができる。好適な無水物変性エチレンビニルアセテートポリマーとしては、例えば、Dow Chemical(Midland,MI)からBYNELの商品名で入手可能なものが挙げられる。好適なケトンエチレンエステルターポリマーとしては、例えば、Dow Chemical(Midland,MI)からBYNELの商品名で入手可能なものが挙げられる。好適なポリオレフィン系熱可塑性エラストマーとしては、Mitsui Chemicals(Tokyo,Japan)からADMERの商品名で入手可能なものが挙げられる。好適なcoPPとしては、Total Petrochemicals,Inc.(Huston,TX)から入手可能なPP8650(プロピレンとエチレンとのランダムコポリマー)が挙げられる。
【0032】
図6は、いくつかの実施形態による、例えば、第1の部分121及び/若しくは第2の部分122、並びに/又は、第3の部分221及び/若しくは第4の部分222に使用し得る、組成物の概略図である。いくつかの実施形態では、第1の部分121及び第2の部分122(並びに/又は第3の部分221及び第4の部分222)の各々は、実質的に一様な組成物を有する。いくつかの実施形態では、第1の部分121及び第2の部分122(並びに/又は第3の部分221及び第4の部分222)は、異なる組成物を有する。いくつかの実施形態では、異なる組成物の各々は、同じ第1のポリマーを含む。例えば、各々の組成物は同じポリマー又はポリマーブレンドを有するポリマーマトリックスを含み得、複数の組成物の間では、例えば染料、顔料、ビーズ、及び/又はナノ粒子の濃度が異なり得る。いくつかの実施形態では、異なる組成物では、染料472(図6では陰影によって概略的に表される)、顔料473、ビーズ474、又はナノ粒子475のうちの少なくとも1つの濃度が異なる。部分121、122、221、222の各々における組成物は、実質的に一様であってもよい(例えば名目上一様であるか、又は、いずれかの平均粒子(例えば顔料、ビーズ、ナノ粒子)間隔に比べて大きいがその部分の寸法(例えば厚さ、幅)に比べて小さい長さスケールにわたって測定したときに、組成物濃度が約20、10、又は5パーセント未満だけ変動する)。
【0033】
組成物は、本明細書の他の箇所に記載されるいずれかのポリマーと、任意選択で、染料、顔料、ビーズ(例えば光拡散のため)、ナノ粒子(例えば屈折率を増加させるため、又は例えば剥離強度を変更し得る機械特性を変更するため)、又は他の充填剤粒子と、を含み得る。組成物は、ヘイズ又は他の光学現象を作り出すために相分離ポリマーを含んでもよい。組成物は、例えば、電気及び/又は熱伝導性の改善のために、又は他の電気及び/又は熱特性のために、例えば金属粒子(例えば銅、銀など)を含んでもよい。好適なビーズとしては、ガラスビーズ又はポリスチレンビーズなどのポリマービーズが挙げられる。好適なナノ粒子としては、チタニア又はアルミナナノ粒子が挙げられる。好適な染料又は顔料としては、例えば、カーボンブラック、Disperse Blue 60(C2017;CAS番号12217-80-0);Pigment Yellow 147(C3721;CAS番号4118-16-5);赤色アゾ染料、例えばRed Dye 40(C1814Na;CAS番号25956-17-6);アントラキノン染料又は顔料、例えばSolvent Yellow 163(C2616;CAS番号13676-91-0)、Pigment Red 177(C2816;CAS番号4059-63-2)、及びDisperse Red 60(C2013NO;CAS番号12223-37-9);ペリレン染料又は顔料、例えばPigment Black 31(C4026;CAS番号67075-37-0)、Pigment Black 32(C4026;CAS番号83524-75-8)、及びPigment Red 149(C4026;CAS番号4948-15-6);並びにMitsui Fine Chemicals(Tokyo Japan)から入手可能な、青色、黄色、赤色、及びシアン染料それぞれPD-325H、PD-335H、PD-104、及びPD-318H、並びに、Lanxess(Cologne,German)から入手可能なCERES Blue XR-RF染料のうちの1つ以上が挙げられる。いくつかの事例では、所望の波長範囲(例えば少なくとも420nm~680nmに及ぶ可視波長範囲)全体にわたって光吸収を達成するために、このような染料又は顔料の混合物を使用してもよい。
【0034】
図7は、いくつかの実施形態による、フィルム又は層の幅に沿った位置の関数としての、フィルム又は層の物理特性301、302、303の概略プロットである。物理特性には、幅方向に沿って実質的に連続的に変動する少なくとも1つの特性が含まれてもよい。物理特性には、光学特性(例えば屈折率、光学ヘイズ、色、光透過率)、機械特性(例えばヤング率、伸展性、剛性)、物理化学特性(例えば、フィルム又は層の様々な部分のために選択されたポリマーに依存し得る透湿性、例えば、フィルムの一部にナノ粒子を含むことに起因して変動する弾性率に依存し得る剥離強度)、電気特性(例えば、シート抵抗、厚さ方向の電気抵抗、誘電率)、又は熱特性(例えば熱伝導率、熱容量、熱拡散率)のうちの1つ以上が含まれ得る。幅方向に沿ったフィルムの様々な物理特性は、フィルムをストリップに切断し、ストリップの物理特性を測定することにより測定され得る。様々な他の物理特性(例えば、圧縮ヤング率、様々な光学特性)は、無傷のフィルムの幅に沿った場所で(すなわち、フィルムをストリップに切断することなく)測定され得る。フィルムの複数の異なる部分が異なる物理特性を有するためにフィルムの物理特性は変動し得、そのことで、異なる部分間のテーパは、テーパリングした領域にわたって物理特性が変動する。
【0035】
いくつかの実施形態では、フィルム(例えば100~100’’’のいずれか)は、幅方向に沿って第1の値と第2の値(例えばV1とV2)の間で実質的に連続的に変動する第1の物理特性(例えば301)を、第1の部分121及び第2の部分122のそれぞれの実質的に厚さが一定の部分に有する。いくつかの実施形態では、フィルム(例えば100~100’’’のいずれか)はまた、幅方向に沿って第1の値と第2の値(例えばV1’とV2’)の間で実質的に連続的に変動する第2の物理特性(例えば302)を、第1の部分121及び第2の部分122のそれぞれの実質的に厚さが一定の部分に有する。いくつかの実施形態では、フィルム(例えば100~100’’’のいずれか)はまた、幅方向に沿って第1の値と第2の値(例えばV1’’とV2’’)の間で実質的に連続的に変動する少なくとも第3の物理特性(例えば303)を、第1の部分121及び第2の部分122のそれぞれの実質的に厚さが一定の部分に有する。第1の値と第2の値とは、例えば、少なくとも10%だけ異なる(例えば、|V2-V1|/V1×100%は少なくとも10%であり得る)か、又は少なくとも20%、又は少なくとも30%だけ異なってもよい。第1の値と第2の値は、例えば最大10,000%、1000%、500%、又は200%だけ異なってもよい。
【0036】
いくつかの実施形態では、フィルム(例えば100~100’’のいずれか)は第1の層(例えば110~110’’のいずれか)を含み、第1の層は、第1の層の長さ方向(y方向)に沿って実質的に一様に延び、長さ方向に沿って延びかつ第1の層の幅方向(x方向)に沿って離間した第1の縁部領域131及び第2の縁部領域132と、それらの間に配置された遷移領域125とを含み、第1の縁部領域及び第2の縁部領域は、第1の層の対向する第1の縁部及び第2の縁部にそれぞれ隣接して配置される。第1の縁部領域131及び第2の縁部領域132並びに遷移領域125は、第1の層の全長に沿って実質的に一様に延び得る。第1の縁部領域131及び第2の縁部領域132は各々、実質的に一定の厚さを有してもよい。遷移領域125は、長さ方向及び幅方向に直交する厚さ方向に沿った第1の層の平均厚さTよりも大きい、幅方向に沿った幅Wを有する。第1の縁部領域及び第2の縁部領域は、第1の層の対向するそれぞれの縁部まで延びてもよく、各々、第1の層の平均厚さTよりも大きい、幅方向に沿った幅を有してもよい。第1の層は、第1の縁部領域及び第2の縁部領域のそれぞれで異なる実質的に一定の第1の値V1及び第2の値V2を有する、第1の物理特性を有する。いくつかの実施形態では、第1の物理特性は、遷移領域125の幅にわたって第1の値V1から第2の値V2まで実質的に連続的に(例えば名目上連続的に、又は、全体的変化に比べて小さく、かつ例えば通常の製造ばらつきから生じ得る局所的な変動まで連続的に)変動し得る。いくつかのそのような実施形態又は他の実施形態では、第1の物理特性は、遷移領域125の幅にわたって第1の値V1から第2の値V2まで実質的に単調に(例えば名目上単調に、又は、全体的変化に比べて小さく、かつ例えば通常の製造ばらつきから生じ得る局所的な変動まで単調に)変動し得る。
【0037】
1つ又は複数の物理特性は、第1の層の厚さTよりも広くあり得る幅W’にわたって、α×Va+(1-α)×Vbから(1ーα)×Vbからα×V2まで変化し得、ここで、αは、例えば0.75~0.95又は0.8~0.9の範囲内の数であり得、VaはV1、V1’、及びV1’’のうちの1つを指し(図7ではV1に対して示されている)、VbはV2、V2’、及びV2’’のうちの対応する1つを指す(図7ではV2に対して示されている)。例えばいくつかの実施形態では、第1の物理特性は、第1の層の平均厚さよりも広い幅W’にわたって、0.9×V1+0.1×V2から0.9×V2+0.1×V1まで、又は、0.8×V1+0.2×V2から0.8×V2+0.2×V1まで変動する。
【0038】
いくつかの実施形態では、第1の物理特性は、光学特性、機械特性、物理化学特性(化学特性及び物理特性の両方として説明し得る特性)、熱特性、又は電気特性のうちの少なくとも1つである。いくつかの実施形態では、第1の物理特性は、所定の波長範囲(例えば400nm~700nm又は420nm~680nm)の実質的に垂直に入射する光についての平均光透過率である。平均光透過率は、所定の波長範囲における透過率の非加重平均である。いくつかの実施形態では、第1の物理特性は視感透過率である。いくつかの実施形態では、第1の物理特性は光学ヘイズである。いくつかの実施形態では、第1の層は、第1の物理特性とは異なる第2の物理特性を有し、第2の物理特性は、第1の縁部領域及び第2の縁部領域のそれぞれで異なる実質的に一定の第1の値V1’及び第2の値V2’を有し、第2の物理特性は、遷移領域の幅にわたって第1の値V1’から第2の値V2’まで実質的に単調かつ実質的に連続的に変動する。いくつかの実施形態では、第1の物理特性及び第2の物理特性は、第1の光学特性及び第2の光学特性である。いくつかの実施形態では、第1の光学特性は、所定の波長範囲内の実質的に垂直に入射する光についての平均光透過率であり、第2の光学特性は光学ヘイズである。
【0039】
図8は、層又はフィルム305に実質的に垂直入射する(例えば垂直入射から20度以内、又は10度以内、又は5度以内の)光155の概略図である。層又はフィルム305は、本明細書の他の箇所に記載されるいずれかの層又はフィルム(例えば層又はフィルム110~110’’’’又は100~100’’’’のいずれか)に相当し得る。光155は、λ1(例えば400nm又は420nm)~λ2(例えば700nm又は680nm)の範囲内の波長λを有する。光155の少なくとも一部は、散乱光157を含み得る光156として透過される。層又はフィルム305の有用な光学特性としては、所定の波長範囲(λ1~λ2)内の実質的に垂直な入射光155についての光透過率(例えば透過光156を参照)、及び/又は実質的に垂直に入射する光に対する視感透過率、及び/又は光学ヘイズ(例えば散乱光157を参照)が挙げられ得る。光学ヘイズ及び/又は視感透過率は、例えばASTM D1003-13試験規格に従って決定され得る。
【0040】
図9は、例示的なフィルムの、視感透過率と幅方向に沿った位置との関係のプロットである。いくつかの実施形態では、フィルムは、所定の波長範囲内の実質的に垂直に入射する光について、幅方向に沿って第1の値と第2の値(例えばV1とV2)との間で実質的に連続的に変動する平均光透過率を、第1の部分及び第2の部分のそれぞれの実質的に厚さが一定の部分に有し、光透過率の第1の値と第2の値とは、少なくとも10%だけ(又は、異なる値について本明細書の他の箇所に記載されるいずれかの範囲で)異なる。いくつかのそのような実施形態では、又は他の実施形態では、フィルムは、幅方向に沿って第1の値と第2の値(例えばV1’とV2’)との間で実質的に連続的に変動する光学ヘイズを、第1の部分及び第2の部分のそれぞれの実質的に厚さが一定の部分に有し、光学ヘイズの第1の値と及び第2の値とは、少なくとも10%だけ(又は、異なる値について本明細書の他の箇所に記載されるいずれかの範囲で)異なる。いくつかの実施形態では、高い方の透過率を有する実質的に一定の厚さの部分はまた、高い方の光学ヘイズを有する(例えば、透過率の高い方の部分は、光を散乱させるためのビーズを含み得、一方、他方の部分は、透過率を低減するための染料及び/又は顔料を含み得る)。いくつかの実施形態では、高い方の透過率を有する実質的に一定の厚さの部分はまた、低い方の光学ヘイズを有する(例えば、透過率の高い方の部分はビーズ、染料、及び顔料を実質的に含まず、他方の部分は透過率を低減するための染料及び/又は顔料、並びに散乱のためのビーズを含み得る)。
【0041】
図10は、いくつかの実施形態によるフィルム200の概略断面図である。フィルム200は、フィルムの長さ方向(y方向)に沿って実質的に一様に延び、互いに実質的に同一の外延を持つ、隣接する第1の層210及び第2の層220を含む。第1の層210及び第2の層220の各々は、第1の層210と第2の層220との合計厚さTcが幅方向に沿って実質的に一定である(例えば15%未満、又は10%未満、又は5%未満だけ変動する)ように、長さ方向に直交する幅方向(x方向)に沿って変動する厚さを有する。いくつかの実施形態では、第1の層210及び第2の層220の各々は、層の最小厚さ(Tmin1、Tmin2)の少なくとも1.2倍の最大厚さ(Tmax1、Tmax2)を有する。いくつかの実施形態では、第1の層と第2の層とは異なる組成物を有しており、互いに実質的に永久に結合していてもよい。いくつかの実施形態では、第1の層210及び第2の層220の各々について、層の最大厚さは、層の最小厚さの少なくとも1.5、2、2.5、3、4、5、6、又は7倍である。いくつかの実施形態では、第1の層及び第2の層の各々について、層の最大厚さは、層の最小厚さの50、30、20、又は15倍以下である。
【0042】
いくつかの実施形態では、例えば図3のフィルム100’’は、フィルムの長さ方向(y方向)に沿って実質的に一様に延び、互いに実質的に同一の外延を持つ隣接する第1の層及び第2の層(それぞれ部分121及び122)を含み、第1の層及び第2の層の各々は、第1の層と第2の層との合計厚さが実質的に一定であるように、長さ方向に直交する幅方向(x方向)に沿って変動する厚さを有するとして、同様に説明されてもよい。
【0043】
フィルム200は、フィルムの幅にわたって変動する1つ以上の物理特性を有し得る。これは、層210、220が異なる物理特性を有し、その結果、層210、220の厚さ変動に起因して、フィルムの幅にわたって変動する物理特性をフィルム200が有することから生じ得る。例えば層210は層を通した光透過率を低減するために染料及び/又は顔料を含み得、一方、層220は染料及び顔料を実質的に含まなくてもよい。これにより、フィルム200は、層210が最も薄いフィルムの縁部付近では透過率が高くなり、層210が最も厚い幅に沿った中央の場所付近では透過率が低くなる。別の例として、層210、220の一方が散乱用ビーズを含み、他方はそうではなく、その結果、フィルムの幅にわたって変動するフィルム200の光学ヘイズがもたらされてもよい。
【0044】
層又は要素は、各々の層又は要素の面積の少なくとも約60%が、他方の各々の層又は要素の面積の少なくとも約60%と同一の外延を持つ場合に、互いに実質的に同一の外延を持つとして記載され得る。互いに実質的に同一の外延を持つ層又は要素のいくつかの実施形態では、各々の層又は要素の少なくとも約80%又は少なくとも約90%が、他方の各々の層又は要素の少なくとも約80%又は少なくとも約90%と同一の外延を持つ。層又は要素は、各々の層又は要素の長さ及び/又は幅の少なくとも約60%が他方の各々の層又は要素の長さ及び/又は幅の少なくとも約60%と同一の外延を持つ場合に、長さ及び/又は幅において互いに実質的に同一の外延を持つとして記載され得る。長さ及び/又は幅において互いに実質的に同一の外延を持つ層又は要素のいくつかの実施形態では、各々の層又は要素の少なくとも約80%又は少なくとも約90%が、長さ及び/又は幅において、他方の各々の層又は要素の長さ及び/又は幅の少なくとも約80%又は少なくとも約90%と同一の外延を持つ。
【0045】
図11は、いくつかの実施形態による、第1~第4の層210、220、230、及び240を含むフィルム500の概略断面図である。層210及び220は、他の場所で説明したとおりであってもよく、層230及び240は、層210及び220について説明したとおりであってもよい。いくつかの実施形態では、第1~第4の層210、220、230、及び240は、フィルムの長さ方向(y方向)に沿って実質的に一様に延び、互いに実質的に同一の外延を持つ。第1~第4の層の各々は、第1の層と第2の層との合計厚さTc1及び第3の層と第4の層との合計厚さTc2の各々が、幅方向に沿って実質的に一定であるように、長さ方向に直交する幅方向(x方向)に沿って変動する厚さを有し得る。いくつかの実施形態では、第1~第4の層の各々は、層の最小厚さの少なくとも1.2倍の最大厚さを有する(又は、最小厚さに対する最大厚さの比は、本明細書の他の箇所に記載されるいずれかの範囲内にあり得る(例えば図10を参照))。いくつかの実施形態では、第1の層210と第2の層220とは互いに隣接して異なる組成物を有し、第3の層230と第4の層240とは互いに隣接して異なる組成物を有する。第1の層210と第2の層220とは、実質的に永久に、又は剥離可能に互いに結合していてもよい。同様に、第3の層230と第4の層240とは、実質的に永久に、又は剥離可能に互いに結合していてもよい。フィルム500は、フィルムの幅にわたって実質的に連続的に変動する1つ以上の物理特性を有し得る。
【0046】
様々な層及びフィルムの厚さは、意図される適用例(例えば多層光学フィルムのスキン層として、又は自立型光学フィルムとして)に依存し得るどのような好適な範囲内にあることもできる。合計厚さTc、Tc1、Tc2のいずれか若しくは全て、又は層110~110’’’’のいずれかの厚さは、約1、1.5、2、2.5、3、4、5、10、又は15マイクロメートル超であり得る。合計厚さ又は層110~110’’’’の厚さは、例えば最大約2,000、1,000、500、200、100、50、40、又は30マイクロメートルであり得る。
【0047】
いくつかの実施形態では、第1の層210及び第2の層220の各々は、平面ではない第1の主表面211、291と、実質的に平面である対向する第2の主表面212、292とを有し、第1の層210の平面ではない第1の主表面と第2の層220の平面ではない第1の主表面とは、互いに面し、実質的に合致する(例えば図10を参照)。同様に、いくつかの実施形態では、第3の層230及び第4の層240の各々は、平面ではない第1の主表面と、実質的に平面である対向する第2の主表面とを有し、第3の層230の平面ではない第1の主表面と第4の層240の平面ではない第1の主表面とは、互いに面し、実質的に合致する。
【0048】
いくつかの実施形態では、第1の層210及び第2の層220は第1の層ペアを画定し、第3の層230及び第4の層240は第2の層ペアを画定し、フィルム500は、第1の層ペアと第2の層ペアの間に配置された層又はフィルム250を更に含む。層又はフィルム250は、単一の層又は複数の層を含み得、あるいは層又はフィルム250は、任意選択として省略され得る。図示した実施形態では、第2の層220は層の縁部よりも層の中心付近の方が薄く、図11に示すように第1の層210と層又はフィルム250の間に配置され得るが、あるいは層の順序を逆にし、第1の層210が第2の層220と層又はフィルム250の間に配置されてもよい。同様に、図示した実施形態では、第4の層240は層の縁部よりも層の中心付近の方が薄く、図11に概略的に示すように第3の層230と層又はフィルム250の間に配置され得るが、あるいは層の順序を逆にし、第3の層230が第4の層240と層又はフィルム250の間に配置されてもよい。
【0049】
図12は、いくつかの実施形態によるフィルム150の概略断面図である。フィルム150は、本明細書の他の箇所に記載されるいずれかのフィルム、層又は層ペアに相当し得る、スキン20、20’を含む。例えばスキン20、20’は別々に、フィルム100、100’、100’’、100’’’又は200のいずれかに相当し得る。スキン20、20’間の層は、図11のフィルム250であってもよい。スキン20、20’のうち1つは、任意選択として省略されてもよい。フィルム150は、スキン20、20’の間に配置された複数の交互の層21、22を含む。交互の層21、22は、光学層であってもよい。光学層は概して、主に光学干渉によって光を反射及び透過する層である。光学層は、その光学層の反射率及び透過率を光干渉によって合理的に説明することができる場合、又は、光干渉に起因するとして合理的に正確にモデル化することができる場合、主として光干渉によって光を反射又は透過するとして説明されてもよい。当該技術分野で知られているように、複数の交互のポリマー層を含むフィルムは、層厚さ及び屈折率差を適切に選択することによって、所望の波長範囲で所望の反射率及び透過率を提供し得る。そのような多層光学フィルム及び多層光学フィルムを作製する方法は、例えば米国特許第5,882,774号(Jonzaら)、同第6,179,948号(Merrillら)、同第6,783,349号(Neavinら)、同第6,967,778号(Wheatleyら)、及び同第9,162,406号(Neavinら)に記載されている。
【0050】
いくつかの実施形態では、フィルム150は、あるフィルム(例えば第1の層210及び第2の層220を含むフィルム200に相当し得るスキン20)上に配置された複数の交互の光学層21、22を含み、光学層の各々は、約500nm未満の平均厚さを有する。いくつかのそのような実施形態では、フィルムは、第1の層210及び第2の層220を含み、第1の層と第2の層との合計厚さTcは、約1.5マイクロメートル超である。スキン20、20’は、層ペア210、220及び230、240のそれぞれに相当し得る。いくつかの実施形態では、フィルム150は、第1の層ペア(210、220)及び第2の層ペア(230、240)、並びに、第1の層ペアと第2の層ペアとの間に配置された複数の交互の光学層21、22を含み、光学層の各々は約500nm未満の平均厚さを有する。第1の層と第2の層との合計厚さTc1は、約1.5マイクロメートルより大きくてもよく、第3の層と第4の層との合計厚さTc2は、約1.5マイクロメートルより大きくてもよい。スキン20、20’の両方のうちの一方は、例えば第1の層110、110’、110’’、110’’’、100’’’’のいずれかに相当してもよい。いくつかの実施形態では、フィルム150は、第1の層上に配置された複数の交互の光学層21、22を含み、光学層の各々は約500nm未満の平均厚さを有し、第1の層は約1.5マイクロメートルを超える平均厚さTを有する。
【0051】
いくつかの実施形態では、光学層21、22の各々は、約400nm未満、又は約300nm未満、又は約250nm未満の平均厚さを有する。例えば、光学層21、22の各々は、約30nm超、又は約50nm超の平均厚さを有してもよい。いくつかの実施形態では、スキン20、20’のうちの少なくとも1つは、例えば約2マイクロメートル超、又は約3マイクロメートル超、又は約4マイクロメートル超の平均厚さ(Tc、Tc1、又はTc2)を有する。スキン20、20’のうちの少なくとも1つは、例えば最大100マイクロメートル、又は最大50マイクロメートル、又は最大30マイクロメートルの平均厚さを有してもよい。いくつかの実施形態では、フィルム150は、交互の光学層21、22からなる隣接したパケットの間に配置された保護境界層(単数又は複数)などの追加の層(単数又は複数)を含む。図12の実施形態において、追加の層25を示す。追加の層(単数又は複数)は各々、スキン20、20’について記載した範囲のいずれかの平均厚さを有し得る。
【0052】
いくつかの実施形態では、フィルム150は、合計で少なくとも10、20、30、50、又は50となる複数の交互の光学層21、22を含む。光学層21、22は、例えば合計で最大1500又は1000となり得る。
【0053】
図13図14は、いくつかの実施形態による、フィルム300及び300’の概略断面図を示す。フィルム300、300’は、フィルムの厚さ方向(z方向)に沿って分離した対向する第1の主表面361及び第2の主表面362を有する第1の層313を含む。第1の層313、313’は、第1の主表面と第2の主表面との間に延びる、フィルムの長さ方向(y方向)に沿って第1の層と実質的に同一の外延を持つ、第1の部分(321)、第2の部分(322)、及び第3の部分(323)を含む。第1の部分321及び第3の部分323は、フィルムの長さ方向及び厚さ方向に直交する幅方向(x方向)に沿って分離し、第1の層の対向する第1の側縁部371及び第2の側縁部372のそれぞれに隣接して配置されている。例えば、第1の部分321及び第3の部分323は、それぞれ第1の側縁部371及び第2の側縁部372を含み得る。第2の部分322は、第1の部分321と第3の部分323との間に配置され、それらに接触している。第2の部分322は、第1の部分321及び第3の部分323に(例えば永久に)結合していてもよい。いくつかの実施形態では、第2の部分は、フィルムの幅方向に沿って幅W0にわたって実質的に一様に延び(例えば幅にわたって実質的に一定の厚さ、及び実質的に一様な組成物)、第1の層は平均厚さTを有し、W0/T>100である。W0/Tは、例えば200超、500超、1000超、2000超、4000超、又は5000超であってもよい。W0/Tは、例えば最大100,000、又は最大50,000、又は最大30,000であってもよい。第1の部分321、第2の部分322、及び第3の部分323は、それぞれ第1の組成物、第2の組成物、及び第3の組成物を含み得、第2の組成物は、第1の組成物及び第3の組成物の各々とは異なる。第1の組成物と第3の組成物は、同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0054】
いくつかの実施形態では、幅W0は、フィルムの幅方向に沿った幅W1の半分超、又は約0.6倍超、又は0.7倍超、又は0.8倍超である。幅W0は、幅W1の最大約0.995倍、又は最大約0.99倍、又は最大約0.98倍、又は最大約0.97倍であってもよい。
【0055】
いくつかの実施形態では、第1の部分321及び第3の部分323は、図13に概略的に示すように、第2の部分322に隣接する実質的に垂直な側壁を有する。いくつかの実施形態では、第1の部分321及び第3の部分323の一方又は両方は、図14に概略的に示すように、第2の部分322に隣接するテーパ状側壁を有する。テーパリングは、本明細書の他の箇所に記載されているとおりであり得る(例えば図1図5を参照)。テーパ部分を含む第2の部分322の幅は、図14ではW0’で示され、第2の部分322の実質的に厚さが一定の部分の幅は、図14ではW0で示される。
【0056】
フィルム300、300’は、1つの追加の層又は複数の追加の層を更に含み得、かつ/又は追加の第1の層313を含み得る。例えばフィルム300、300’は、第1の層313上に配置された複数の交互のポリマー層(例えば図12を参照)を更に含み得る。図15図17は、いくつかの実施形態による、フィルム350、400、及び450それぞれの概略断面図を示す。これらの図に概略的に示された層313は、図13の層313に相当する。他の実施形態では、図13の層313の少なくともいくつかの代わりに図14の層が含まれる。いくつかの実施形態では、フィルムは、第1の層313と共押出し及び共延伸され得る、(例えば複屈折の)第2の層311を更に含む。いくつかの実施形態では、フィルムは、長さ方向及び幅方向に沿って第1の層313と実質的に同一の外延を持ち得る第2の層311及び第3の層312を更に含み、第1の層313は、第2の層311と第3の層312との間に配置される。
【0057】
層313の複数の部分は、隣接する層との、適宜調整された結合(例えば剥離力によって定量化される)を提供するように選択され得る。例えば、いくつかの実施形態では、第1の部分321が有する第2の層311との結合強度と第2の部分322が有する第2の層311との結合強度とは異なり、第1の部分321及び第2の部分322の各々が有する第3の層312との結合強度は、第2の層311との異なる結合強度の各々よりも大きい。結合強度は、様々な層及び層部分のポリマーを適切に選択することによって調整され得る。例えば、類似したモノマー単位を有するポリマーは、互いに良好に結合する傾向があり、一方で、表面エネルギーの低いポリマーは、類似したモノマー単位を有さない他のポリマーと弱く結合する傾向がある。結合を調整するために、異なるモノマー単位を有するポリマー又はコポリマーのブレンドを使用してもよい。例えば層311はPET層であり得、層312はPETG層であり得る。層313の部分321、及び任意選択として部分323は、例えばPETG又はPETGとPPとのブレンドから形成され得、一方、部分322は、例えばPPとSEBSコポリマーとのブレンドから形成され得る。すると、層311及び312は、互いに対して(例えば図17を参照)、並びに部分321及び323の各々に対して良好な結合を有し得る。部分322は、例えば、層312に対しては良好な結合を有し得るが、層311に対しては弱い結合を有し得る。例えば、(例えば縁部)部分321及び323は、隣接する層に対して良好な結合を有するが、縁部(単数又は複数)からの剥離が開始されると層313が層311から容易に除去され得るように、縁部(単数又は複数)で剥離が開始された後は、部分322は層311に対して低い剥離強度を有することが望ましい場合がある。
【0058】
いくつかの実施形態では、フィルム350は、フィルムの長さ方向(y方向)に沿って延びる、共押出しされた複数のポリマー層を含む。複数のポリマー層は、複屈折性の第1の層311と、第1の層311上に配置された第2の層313とを含む。第2の層313は、フィルムの厚さ方向に沿って分離した対向する第1の主表面361及び第2の主表面362を有する。フィルム350は、図15に概略的に示すように2つの層のみを含んでもよく、又はより多くの層(例えば図12に概略的に示す交互の層)が含まれていてもよい。第2の層313は、第1の主表面と第2の主表面との間に延び、長さ方向に沿って第2の層と実質的に同一の外延を持つ、隣接する第1の部分321及び第2の部分322を含む。第1の部分321と第2の部分322は、異なる組成物を有し得る。第2の層313はまた、第3の部分323を含んでもよく、第2の部分322は、第1の部分321と第3の部分323との間に配置される。第2の部分322と第3の部分323は、異なる組成物を有し得る。第1の部分321と第3の部分323は、同じ組成物を有し得、又は異なる組成物を有し得る。複屈折性の第1の層311は、例えば少なくとも0.05、又は少なくとも0.1、又は少なくとも0.15の平均複屈折を有してもよい。平均複屈折は、例えば最大0.4、又は最大0.35、又は最大0.3、又は最大0.26であってもよい。平均複屈折は、層の複数の場所にわたる平均の(重み付けなしの平均)複屈折である。ある場所における複屈折は、その場所における最大屈折率と最小屈折率との差である。別段の指示のない限り、屈折率は550nmの波長で評価されると理解され得る。複屈折性の第1の層311は、実質的に一様に複屈折性であってもよい。
【0059】
図16は、いくつかの実施形態による、フィルムの長さ方向(y方向)に沿って実質的に一様に延びる、実質的に同一の外延を持つ第1の層(311)、第2の層(312)、及び第3の層(313)を含むフィルム400の概略断面図である。様々な層が、代替的に異なってラベル付けされている場合があることに留意されたい(例えば、図14図15の実施形態のように)。第3の層313は、第1の層311と第2の層312との間に配置される。第3の層313は、長さ方向に沿って第3の層と実質的に同一の外延を持ち、長さ方向に直交する幅方向(x方向)に沿って配列された、第1の部分321及び第2の部分322を含む。いくつかの実施形態では、第1の部分321が有する第1の層311との結合強度と第2の部分322が有する第1の層311との結合強度とは異なり、第1の部分321及び第2の部分322の各々が有する第2の層312との結合強度は、第1の層311との異なる結合強度の各々よりも大きい。第3の層313はまた、長さ方向に沿って第3の層と実質的に同一の外延を持つ第3の部分323を含んでもよく、第2の部分322は、第1の部分321と第3の部分323との間に配置される。第1の部分321及び第3の部分323は、層313の対向する側縁部に沿って配置されてもよい。いくつかの実施形態では、第1の層311は、本明細書の他の箇所で更に説明されるように、複屈折性である。
【0060】
フィルムは、自立フィルムであってもよく、又は多層フィルム若しくは積層体の一部であってもよい。例えばフィルム400は、自立フィルムであってもよく、又は追加の層を含む多層フィルムの3層部分であってもよい。
【0061】
図17は、いくつかの実施形態による、複数の第1の繰り返し単位330を含む、多層フィルム450の概略断面図である。各々の第1の繰り返し単位330は、フィルム400であってもよく、又はそれを含んでもよい。いくつかの実施形態では、多層フィルム450は、複数の第2の繰り返し単位を含む。例えば多層フィルム450は、複数の第2の繰り返し単位の上に配置された複数の第1の繰り返し単位330を含んでもよく、各々の第2の繰り返し単位は、光学層のペア21、22を含む(例えば図12のスキン20、20’の一方又は両方が多層フィルム450であってもよい)。複数の第1の繰り返し単位は、合計で少なくとも2、3、4、又は5個であってもよい。第1の繰り返し単位の総数は特に限定されないが、いくつかの実施形態では、100、50、又は40以下であってもよい。
【0062】
空間的に変動する剥離特性を有するフィルムが、剥離強度の管理が望まれる様々な適用例において有用であり得る。例えば、いくつかの適用例では、構成要素の交換が必要になるまではデバイスと一緒に層が留まり、その後、デバイスから構成要素を(例えばフィルムの層とともに)除去することをフィルムが許容するようになることが望ましい。例示的な適用分野として、電子部品交換(例えば携帯電話画面)及び車両部品交換(例えば電子車両バッテリセル)が挙げられる。
【0063】
本記載の様々なフィルム及び層は、溶融ポリマー材料を、ダイスを通して押し出すことによって作製され得る。フィルムを作製するこのような方法は、例えば米国特許出願公開第2007/0154683号(Ausenら)及び同第2020/0189164号(Freeら)、並びに例えば米国特許第9162406号(Neavinら)に概して記載されている。フィルムは、任意選択として、フィルムの様々な層に複屈折を付与するために延伸され得る(例えば、標準テンター又はパラボリックテンターで)。例えば、半結晶性ポリマーから形成された層は、当該技術分野において知られているように、延伸(例えば一軸又は二軸)時及びヒートセット時に複屈折性になり得る。多層フィルムの延伸に続く共押出しについては、例えば米国特許第5,882,774号(Jonzaら)、第6,179,948号(Merrillら)、第6,783,349号(Neavinら)、第6,967,778号(Wheatleyら)、及び第9,162,406号(Neavinら)に記載されている。
【0064】
いくつかの実施形態では、フィルム又は層は、層の幅にわたる遷移を画定するためのプロファイル付き間隙を有するダイスを含むフィードブロックを使用して作製される。このようなダイスは、例えば標準的な機械加工技術を使用して作製され得る。プロファイル付き空隙を有するダイスについては、例えば米国特許出願公開第2020/0189164号(Freeら)に概して記載されている。図18Aは、いくつかの実施形態による、層(例えば図1図3を参照)の対向する側部上の部分の間に漸進的な遷移を有する層を形成するためのプロファイル付き間隙792、792’を含む、フィードブロックの一部の概略斜視図である。図18Bは、図18Aのフィードブロックの一部の概略端面図である。対応する追加のプロファイル付き間隙を含むダイスを使用して、フィルム内に追加の遷移領域を形成し得る。より一般的には、隣接する出力セクション間に所望のテーパを有する、対応する複数の出力セクションを含むダイスを使用することによって、複数の部分又はセクションを有する層を形成し得る。
【0065】
フィードブロックは、単一の層又は複数の層を作り得る。例えば、図18A図18Bのダイスを、単層フィルムを作製するために使用することができ、又は、少なくとも1つの漸進的に遷移する層を含む多層フィルムを作製するために、他のフィードブロック構成要素と共に使用することもできる。
【0066】
いくつかの実施形態では、フィルムを作製する方法が提供される。方法は、第1の熱可塑性ポリマー組成物及び第2の熱可塑性ポリマー組成物を長さ方向に沿ってダイス(例えば図18A図18Bを参照)を通して押し出してフィルムの層を形成することを含み得、ダイスは、それぞれ層の第1の部分及び第2の部分を画定する、隣接する第1のプロファイル付き間隙792及び第2のプロファイル付き間隙792’を含む。プロファイル付き間隙792及び792’の幾何形状は、得られる層が本明細書の他の箇所に記載される幾何形状のいずれかを有するようなものであり得る。例えば、第1の部分及び第2の部分の各々は、厚さ方向に直交する幅方向にテーパリングする厚さを有するテーパ部分を含み得、第1の部分のテーパ部分及び第2の部分のテーパ部分は、互いに実質的に合致する第1の主表面及び第2の主表面をそれぞれ有し得る。例えば、この方法によって形成される層は、層110~110’’’’のいずれかであり得る。
【0067】
図19Aは、いくつかの実施形態による、ある層又は多層積層体の両側にプロファイル付きスキン層を形成するためのプレート810を含む、スキンダイス800の概略分解図である。プレート810は、シム又はスペーサ要素であってもよい。シムは概して、シムの厚さによって決まる固定距離をおいて、隣接する要素を離して保持するように適応されたスペーサ要素である。プレート810は、スキンブロック820とダイスアダプタ830との間に配置される。図19Bは、プレート810の一部の拡大概略斜視図である。図19Cは、スキンダイス800内に樹脂801及び802のために形成された流体流路の概略斜視図である。プレート810は、パターンがプレートの上部及び底部に刻まれており、図示された流れプロファイルをプレートの上部及び底部に提供する。図示された流れパターンは、例えば、スキンダイス800を含むフィードブロックによって領域803内に形成された層又は層の積層体の両側に、図1に概略的に示すような層を形成する。図19Dは、いくつかの実施形態による、プレート811の一部の概略斜視図であり、このプレートを、スキンダイス800でプレート810の代わりに使用して、厚さプロファイルは変動するが合計の総厚さは一定である層を有するスキンを作製してもよい(例えば、各々のスキンはフィルム200に相当し得、よって最終的なフィルムはフィルム500に相当し得る)。例えばプレート811は、プレート811の上面に提供された樹脂(例えば樹脂801に相当する)に、より厚い中央領域805とより薄い縁部領域806及び807とを与え、プレート811の底面に提供された樹脂(例えば樹脂802に相当する)に、より薄い中央領域815とより厚い縁部領域816及び817とを与える。
【0068】
いくつかの実施形態では、フィルムを製造するaが提供される。この方法は、第1の溶融ポリマー組成物及び第2の溶融ポリマー組成物(例えば、樹脂801及び802に相当する)を、成形されたスペーサ要素(例えば、プレート810又は811に相当する)の第1の部分(例えば、プレート810の部分841又はプレート811の部分861)の対向する主表面(例えば、プレート810の部分841の主表面831及び832、又は、領域805、806、807を画定するプレート811の部分861の上主表面及び領域815、816、817を画定するプレート811の部分861の下主表面)にわたるように方向付けて、第1の溶融ポリマー組成物と第2の溶融ポリマー組成物との間に成形された界面を有する第1の溶融ストリーム821を画定することと、第1の溶融ストリーム821を押し出して、フィルムの少なくとも1つの第1の層を形成することと、を含む。少なくとも1つの第1の層は、例えば、層110~110’’’’のいずれかに相当し得、又は層210及び220に相当し得る。この方法は、第1の溶融ポリマー組成物及び第2の溶融ポリマー組成物、又は第3のポリマー組成物及び第4のポリマー組成物を、成形されたスペーサ要素の第2の部分(例えばプレート810の部分842又はプレート811の部分862)の対向する両主表面にわたるように方向付けて、第2の溶融ストリーム822を画定することを含み得、このストリームは、フィルムの少なくとも1つの第2の層を形成するために押出成形され得る。フィルムの少なくとも1つの第1の層は、例えば層210及び220に相当し得、フィルムの少なくとも1つの第2の層は、例えば層230及び240に相当し得る。方法は、少なくとも1つの第1の層と少なくとも1つの第2の層との間に少なくとも1つの第3の層を形成することを更に含み得る。例えば、少なくとも1つの第3の層は、図11又は図12の層又はフィルム250に相当し得る。成形されたそれぞれのスペーサ要素810、811は、成形されたスペーサ要素のそれぞれの第1の部分841、861とそれぞれの第2の部分842、862の間に、それぞれの開口部880、882を画定してもよい。この方法は、開口部880、882を通して、少なくとも1つの第3の層に対応する少なくとも1つの溶融ストリームを提供することを含んでもよい。成形されたスペーサ要素は、第1の部分及び第2の部分並びに開口部を取り囲む実質的に平坦な部分(例えば、実質的に平坦な部分が一定厚さのスペーサとして有用である程度に十分に平坦な部分)を含み得る。成形されたスペーサ要素は、第1のダイス要素と第2のダイス要素(例えば、スキンブロック820とダイスアダプタ830)との間に配置されて、成形されたスペーサ要素の実質的に平坦な部分の厚さに相当し得る所定の距離をおいて要素部品を保持し得る。成形されたスペーサ要素は、成形シム又は成形プレート又は単にプレートと呼ばれてもよい。溶融ポリマー組成物は、樹脂と称されてもよい。溶融ポリマー組成物の各々は、溶融ポリマー又は溶融ポリマーブレンドであり得る。
【0069】
フィードブロックは、追加の層及び/又は層の部分を提供するように設計され得る。図20Aは、いくつかの実施形態による、例えば、フィルム450に相当し得るフィルムを作製するためのフィードブロック内に作成された流体流路の概略斜視図である。図20Bは、図20Aの流体流路の一部の概略斜視図である。層又は部分311、312、321、322、323にそれぞれ対応し得る樹脂流911、912、921、922、923が示されている。フィードブロックは、当業者には理解されるように、従来のフィードブロック設計技術を使用して樹脂流911、912、921、922、923を提供するように構築され得る。図示の実施形態では、フィードブロックは、得られる多層フィルムの層の厚さを低減するために、任意選択として、圧縮セクション941を含む。フィードブロックからの出力は、従来の単一マニホールドフィルムダイス(例えば、Nordson、Cloerenなどから入手)に供給されてもよく、そこで、層は幅方向に広げられ、更に薄くされる。
【0070】
いくつかの実施形態では、フィルムを製造するaが提供される。フィルムは、少なくとも第1の層(311)、第2の層(312)、及び第3の層(313)を含み、第3の層は第1の層と第2の層との間に配置され、第3の層は第1の部分(321)及び第2の部分(322)を含む。この方法は、少なくとも第1の層(311)、第2の層(312)、及び第3の層(313)を共押出しすることを含む。少なくとも第1の層、第2の層、及び第3の層を共押出しすることは、少なくとも第1の部分321及び第2の部分322を共押出しして第3の層313を形成することを含む。第1の部分が有する第1の層との結合強度と第2の部分が有する第1の層との結合強度とは、異なり得る。第1の部分及び第2の部分の各々は、第1の層との異なる結合強度の各々よりも大きい、第2の層との結合強度を有し得る。少なくとも第1の層、第2の層、及び第3の層を共押出しすることは、フィルムの第1の層、第2の層、及び第3の層に対応する第1の溶融層、第2の溶融層、及び第3の溶融層を含む、溶融ストリームを提供することを含み得る。この方法は、溶融ストリームを(例えば圧縮セクション941において)少なくとも溶融ストリームの厚さ方向に圧縮することを含み得る。
【実施例
【0071】
幅及び/又は厚さにわたって様々な構成成分を有するフィルムを調製し、試験した。光学特性を測定し、それを以下の実施例に示している。
【0072】
これらの実施例は、単に説明する目的のためのものに過ぎず、添付の特許請求の範囲を限定することを意図するものではない。本明細書の実施例及び他の箇所における全ての部、百分率、比などは、別途指示がない限り、重量に基づくものである。本明細書では、以下の略語を使用する。ミル=千分の1インチ、um=マイクロメートル、mm=ミリメートル、m=メートル、min=分、℃=摂氏、sec=秒、%=パーセント、in=インチ、H%=ヘイズ百分率、C%=透明度百分率、T%=透過率百分率、IV=固有粘度、V=ボルト、N=ニュートン、g/in=グラム/インチ、g=グラム。
【0073】
【表1】
【0074】
試験方法
光学
透過率、透明度、及びヘイズの百分率の測定は、BYK haze-gard plus(BYK Instruments USA(BYK Instruments USA,Columbia,MD)で行った。
【0075】
剥離
剥離試験は、IMASS SP-2100(IMASS,Inc.Accord,PA)を90°構成で使用して、10ポンド(44N)のロードセル、12インチ/分の速度で行った。
【0076】
実施例E1~E6及び比較例C1
8インチ(203.2mm)幅の2マニホールドダイスへの供給を2つの二軸押出機(TSE)を使用して行って、その幅にわたって構成成分が左から右に遷移する多成分フィルム(例えばフィルム100と類似)を調製した。ダイスは、2つのマニホールドが合流する交換可能な合流点を有した。ダイスの左縁部では、層Aチャネル(図18A図18Bの左側のチャネル供給間隙792)が幅2.5インチ(63.5mm)にわたって0.100インチ(2.5mm)の間隙を有し、層Bチャネルの間隙はゼロであった(封鎖)。ダイスの右縁部では、Aチャネルは封鎖され、Bチャネル(図18A図18Bの右側のチャネル供給間隙792’)は、幅2.5インチ(63.5mm)にわたって0.100インチ(2.5mm)の間隙を有した。図18A図18Bに示すように、2つの縁部の間の3インチ(76mm)の領域において、Aチャネルは0.100インチ(2.5mm)の間隙から狭まりはじめ、Bチャネルは広がりはじめた。間隙を通る質量流量は、間隙寸法の3乗に比例した。図18A図18Bに示す設計は、2つの材料の間に線形勾配を与えるように設計された。
【0077】
ダイスの左(層Aチャネル)側への供給は、25mmのBerstorff製TSEを真空下で運転して、271℃の8/0温度を有する漸進的温度プロファイルを利用して行った。関連するギアポンプ及びネックチューブも271℃に加熱した。供給速度は10ポンド/時であった。ダイスの右(層Bチャネル)側への供給は、27mmのLeistritz製TSEを真空下で運転して、同じく271℃で8/0温度を有する漸進的温度プロファイルを利用して行った。関連するギアポンプ及びネックチューブも271℃に加熱した。供給速度は10ポンド/時であった。8インチ(203.2mm)フィードブロック/ダイスも271℃に加熱した。多成分の共押出成果物をダイスから流し出し、27℃に保持した冷却キャスティングホイール上に、静電ピンニングワイヤを9Vで動作させてキャストした。フィルム厚さの範囲は12~36ミルであった。
【0078】
次に、フィルムを、KARO IV(Bruckner Maschinenbua GmbH and Co.,Siegsdorf Germany)バッチ延伸機上で、ヒートソーク45秒、延伸温度100℃、及び延伸比350%×350%、並びに50%/秒の延伸速度の延伸プロファイルを使用して延伸した。フィルムを更に、225℃のオーブン内で15秒間アニーリングした。以下の表2は、多成分フィルムの樹脂組成物、及び、延伸された多成分フィルムの両側の間の光学特性の差の結果を示す。
【0079】
【表2】
【0080】
E2の延伸/アニーリングされたフィルムのストリップを、Microtek ArtixScan F2(Microtek Hsinchu,Taiwan)にかけた。このフィルムストリップから、解像度レベルが300データポイント/インチのグレースケールファイルを作成し、更なる評価のためにExcelファイルに変換した。これを利用して、更に、高%Tフィルムから低%Tフィルムへのフィルムの遷移の特徴を図9に示すように示した。
【0081】
実施例E7
米国特許出願公開第2020/0189164(A1)号(Freeら)の実施例1に記載されているフィードブロック/ダイスを使用して、構成成分層の厚さがダイスの一方の側から中心に遷移してから再び戻る多層フィルム(例えば、フィルム200と類似)を調製した。ダイスの、中央が盛り上がる側(層210に相当する層A)への供給を、25mmのBerstorff製TSEを真空下で運転して、271℃の8/0温度を有する漸進的温度プロファイルを利用して行った。関連するギアポンプ及びネックチューブも271℃に加熱した。この押出機に、PETを14.5ポンド/時、MB-1を0.5ポンド/時で供給した。フィードブロック/ダイスの、中央が薄くなる側(層220に相当する層B)への供給は、27mmのTSEを真空下で運転して、同じく271℃の8/0温度を有する漸進的温度プロファイルを利用して行った。関連するギアポンプ及びネックチューブも271℃に加熱した。この押出機に、4ポンド/時のPETG、及び1ポンド/時のSBX-8を供給した。8インチ幅(203.2mm)のフィードブロック/ダイスも271℃に加熱した。多層の共押出成果物をダイスから流し出し、27℃に保持した冷却キャスティングホイール上に、静電ピンニングワイヤを9Vで動作させてキャストした。フィルム厚さの範囲は12~24ミルであった。
【0082】
次に、フィルムを、KARO IV(Bruckner Maschinenbua GmbH and Co.,Siegsdorf Germany)バッチ延伸機上で、ヒートソーク45秒、延伸温度100℃、及び延伸比350%×350%の、並びに50%/秒の延伸速度の延伸プロファイルを使用して延伸した。このフィルムの両縁部が示した%T/%H/%Cの組み合わせは、60.9%/98.0%/62%であった。このフィルムの中央部が示した%T/%H/%Cの組み合わせは、71.5%/76.7%/24.5%であった。
【0083】
実施例E8~E11
図17のフィルムと類似する一連のフィルムを、図20A図20Bの流れパターンを作り出す16層フィードブロックを使用して製造した。表3は、フィルムの製造に使用した樹脂のまとめである。表3では、図17及び図20A図20Bに照らして、「A」層は層311及び樹脂911に対応し、「B」層は層312及び樹脂912に対応し、「C」ドメインは層313の部分322及び樹脂922に対応し、「D」ドメインは層313の部分321及び323並びに樹脂921及び923に対応する。
【0084】
【表3】
【0085】
以下のプロセスと装置の組み合せによって、表3に記載の材料の組み合せを組み合わせてフィルムにした。16層積層体の「A」層の供給は、27mmのTSEを真空下で運転し、277℃の8/0温度を有する漸進的温度プロファイルを利用し、PET AA48樹脂を20ポンド/時の速度で使用して行った。関連するギアポンプ及びネックチューブも277℃に加熱した。16層積層体の「B」層の供給は、32mmの単軸押出機(SSE)を260℃の8/0温度を有する漸進的温度プロファイルを使用して運転し、乾燥したPETG GN071樹脂を7ポンド/時の速度で供給して行った。関連するネックチューブも260℃に加熱した。16層フィードブロック内の剥離層の「C」ドメインの供給は、27mmのTSEによって、271℃の8/0温度を有する漸進的温度プロファイルを利用して、PP8650とKRATON G1657との80/20重量%ブレンドを供給して行った。全体的な供給速度は、条件に応じて5~6ポンド/時の間で変動した(表3を参照)。関連するギアポンプ及びネックチューブも271℃に加熱した。16層フィードブロック中の剥離層の「D」ドメインの供給は、25mmのTSEによって、260℃の8/0温度を有する漸進的温度プロファイルを利用して、PP8650とPETGとのブレンドを様々なブレンド比で供給して行った。全体的な供給速度は、条件に応じて4~5ポンド/時の間で変動した(表3を参照)。関連するギアポンプ及びネックチューブも260℃に加熱した。
【0086】
フィードブロック/ダイスを277℃に加熱した。20cmのダイスを、ウェブ急速冷却のために、関連する静電ピンニングを使用して27℃の回転する冷却ロールの真上に配置した。これらの16層フィルムは、記載の材料の組み合わせの各々について、17、34、及び51ミルのキャストウェブ厚さで、この装置で作り出した。
【0087】
いくつかのキャストウェブを、KARO IV(Bruckner Maschinenbua GmbH and Co.,Siegsdorf Germany)バッチ延伸機上で、ヒートソーク90秒、延伸温度100℃、及び延伸比350%X 350%、並びに延伸速度50%/秒の延伸プロファイルを使用して延伸した。いくつかの事例では、フィルムを更に、225℃のオーブン内で15秒間アニーリングした。
【0088】
次に、フィルムを、層間剥離力/剥離力について、フィルムのCドメインとDドメインの領域を比較して評価した。フィルムが剥離すると、A層と剥離層(Cドメイン又はDドメインのいずれか)との間で剥離が生じた。表4に、CドメインとDドメインについての層間剥離力の比較を記載する。
【0089】
【表4】
【0090】
表4から分かるように、フィルムの、剥離層の「C」ドメインを含む部分で剥離を行うと、15~18g/インチの剥離力が記録された。フィルムの、剥離層の「D」ドメインを含有する部分で剥離を行うと、69g、104g、及び剥離不能(undelamable)な(n/a表示はundelamableを表す)の剥離力が得られた。
【0091】
「約(about)」などの用語は、これらが本記載に使用及び記載されている文脈において、当業者によって理解されよう。特徴部のサイズ、量、及び物理的特性を表す量に適用される「約」の使用が、本記載に使用及び記載されている文脈において、当業者にとって別途明らかではない場合、「約」とは、特定の値の10パーセント以内を意味すると理解されよう。特定の値の約として与えられる量は、正確に特定の値であり得る。例えば、それが本記載で使用及び記載されている文脈において当業者にとって別途明らかではない場合には、約1の値を有する量とは、その量が0.9~1.1の値を有すること、及び、その値が1である場合もあることを意味する。
【0092】
「実質的に(substantially)」などの用語は、これらが本記載に使用及び記載されている文脈において、当業者によって理解されよう。特性又は特徴に関して「実質的に」の使用が、それが本記載で使用され説明される文脈において当業者に明らかでない場合、及びその特性又は特徴の反対によって何が意味されるかが当業者に明らかである場合、用語「実質的に」は、その特性又は特徴が、その特性又は特徴の反対が示されるよりも大きい程度に示されることを意味すると理解される。
【0093】
上記において参照された参照文献、特許、又は特許出願の全ては、それらの全体が参照により本明細書に一貫して組み込まれている。組み込まれた参照文献の一部と本出願との間に不一致又は矛盾がある場合、前述の記載における情報が優先するものとする。
【0094】
図面中の要素の説明は、別段の指示がない限り、他の図面中の対応する要素に等しく適用されるものと理解されたい。特定の実施形態が本明細書において図示及び記載されているが、図示及び記載されている特定の実施形態は、本開示の範囲を逸脱することなく、様々な代替的実施態様及び/又は等価の実施態様によって置き換えられ得ることが、当業者には理解されよう。本出願は、本明細書で論じられた特定の実施形態のあらゆる適応例、又は変形例、又は組み合わせを包含することが意図されている。したがって、本開示は、特許請求の範囲及びその均等物によってのみ限定されることが意図されている。
図1
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図20B
【国際調査報告】