(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-04
(54)【発明の名称】厨房換気用火災検知および警報システム、装置、および方法
(51)【国際特許分類】
G08B 17/00 20060101AFI20240927BHJP
A62C 3/00 20060101ALI20240927BHJP
G08B 17/06 20060101ALI20240927BHJP
G08B 25/00 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
G08B17/00 C
A62C3/00 A
G08B17/00 J
G08B17/06 E
G08B25/00 510D
G08B25/00 510F
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024515660
(86)(22)【出願日】2022-08-31
(85)【翻訳文提出日】2024-05-07
(86)【国際出願番号】 US2022075754
(87)【国際公開番号】W WO2023056154
(87)【国際公開日】2023-04-06
(32)【優先日】2021-10-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508058169
【氏名又は名称】オーワイ ハルトン グループ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100134636
【氏名又は名称】金高 寿裕
(74)【代理人】
【識別番号】100114904
【氏名又は名称】小磯 貴子
(72)【発明者】
【氏名】リブチャック,アンドレイ,ヴイ.
(72)【発明者】
【氏名】サンダスキー,ジミー
(72)【発明者】
【氏名】レイサム,ジェイコブ
【テーマコード(参考)】
5C085
5C087
5G405
【Fターム(参考)】
5C085AA01
5C085AC03
5C085CA05
5C085CA20
5C087AA02
5C087AA03
5C087DD04
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5C087FF01
5C087FF04
5C087GG08
5C087GG19
5C087GG40
5C087GG63
5G405AA01
5G405AB01
5G405AC01
5G405CA07
5G405CA29
5G405CA60
(57)【要約】
火災検知および警報システムは、排気ファンに接続し、プレナム部を有する厨房用排気フードであって、排気ファンが、厨房用排気フードの下に設置した一以上の調理器具から放出される対流熱および調理煙を換気するように構成した、厨房用排気フードを備える。消火システムは、フードに作動的に接続し、一以上の調理器具の上方に配置した消火システムであり、所定の溶融温度を有する一以上の可溶性リンクによって作動するよう構成する。厨房用排気フードのプレナム部内に少なくとも1つの温度センサを設置し、制御モジュールに温度の測定値を提供する。煙の温度が一定の時間Tdurに渡って特定の温度しきい値Tsetに到達した場合に、火災警告信号を生成するよう制御モジュールを構成する。Tsetおよび時間Tdurは、可溶性リンクのうちの溶融温度定格に基づいて選択する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
火災検知および警報システムであって、
排気ファンに接続し、プレナム部を有する厨房用排気フードであって、前記排気ファンは、前記厨房用排気フードの下に設置した一以上の調理器具から放出される対流熱および調理煙を換気するように構成した、厨房用排気フードと、
前記フードに作動的に接続し、前記一以上の調理器具の上方に配置した消火システムであって、所定の溶融温度を有する一以上の可溶性リンクによって作動して消火剤を放出するよう構成した消火システムと、
前記厨房用排気フードの前記プレナム部内に設置した、少なくとも1つの温度センサと、
前記少なくとも1つの温度センサに作動的に接続し、前記少なくとも1つの温度センサによる温度測定値を示す信号を受信する、制御モジュールと、を備え、
煙の温度が一定の時間T
durに渡って特定の温度しきい値T
setに到達した場合に、火災警告信号を生成するよう前記制御モジュールを構成し、
前記温度しきい値T
setおよび前記時間T
durは、前記一以上の可溶性リンクのうちの少なくとも1つの溶融温度定格に基づいて選択される、火災検知および警報システム。
【請求項2】
前記厨房用排気フードの下に設置した前記一以上の調理器具をさらに備える、請求項1に記載の火災検知および警報システム。
【請求項3】
前記厨房用排気フードの前記プレナム部の相対する端部であって、排気環状部の両側に配置した2つの温度センサを備える、請求項1に記載の火災検知および警報システム。
【請求項4】
最も高い熱特性または火災の危険性を有する調理器具の真上に前記少なくとも1つの温度センサを配置する、請求項1に記載の火災検知および警報システム。
【請求項5】
前記所定の温度設定点は、所定の可溶性リンク温度よりも低い、請求項1に記載の火災検知および警報システム。
【請求項6】
前記制御モジュールは、前記温度センサの読み取り出力を長期間にわたって記録するよう構成する、請求項1に記載の火災検知および警報システム。
【請求項7】
前記長期間は、5日間、1週間、2週間、4週間、1か月、2か月、3か月、4か月、5か月、または6か月である、請求項6に記載の火災検知および警報システム。
【請求項8】
前記制御モジュールは、前記長期間中に前記所定の可溶性リンク温度T
setを超えたかどうかを判定し、前記長期間中に測定した最高温度値を表したより低い値に前記温度T
setを更新するよう構成する、請求項7に記載の火災検知および警報システム。
【請求項9】
前記制御モジュールは、前記温度T
setをT
max-dTに更新するよう構成し、T
maxは記録した最大温度であり、dTは所定の温度範囲制限値である、請求項6に記載の火災検知および警報システム。
【請求項10】
dTは華氏10度以下である、請求項9に記載の火災検知および警報システム。
【請求項11】
前記厨房用排気フードの下に配置され、前記フードの下の前記調理器具の表面温度を監視し、前記制御モジュールに出力信号を提供するよう構成した一以上のサーマル画像センサをさらに備える、請求項1に記載の火災検知および警報システム。
【請求項12】
前記制御モジュールは、前記温度センサからの温度信号と、前記一以上のサーマル画像センサによって提供される出力信号とに基づいて、火災警告を出力するかどうかを決定する、請求項11に記載の火災検知および警報システム。
【請求項13】
器具の熱特性HS(表面温度と画素面積)を長期間(少なくとも30日間)記録し、典型的なHSパターン(ベースライン)を確立する、請求項11に記載のシステム。
【請求項14】
HSパターンを使用して、履歴ベースラインを確立し、潜在的な火災を引き起こす可能性のある異常を検出する、請求項8に記載のシステム。
【請求項15】
画像認識アルゴリズムを使用してベースライン特性と異常とを確立する、請求項8に記載のシステム。
【請求項16】
TおよびHSは火災発生時に記録され、火災特性は時間内に記録したTおよびHSの組み合わせとして確立する、請求項1~15のいずれかに記載のシステム。
【請求項17】
TおよびHSの現在値と火災特性を表す値との偏差を用いて火災危険度を計算する、請求項1~16に記載のシステム。
【請求項18】
空間温度センサTrを使用する、請求項1に記載のシステム。
【請求項19】
Trを使用して、Trの年間変動が華氏5度を超える場合、T読取値を相殺する、請求項13に記載のシステム。
【請求項20】
単一または複数の温度センサを使用して前記消火システムを作動させる、請求項1~19に記載のシステム。
【請求項21】
プレナム部と、前記プレナム部に接続する排気ダクトとを備える厨房用排気フードであって、可溶性リンクが設置された消火システムを有する厨房用排気フードを提供する工程と、
前記プレナム部内に少なくとも1つの温度センサを設置する工程と、
前記少なくとも1つの温度センサに作動的に接続する制御モジュールを提供する工程と、
前記制御モジュールで、前記少なくとも1つの温度センサから前記プレナム部内の温度を表す信号を受信する工程と、
前記プレナム部内の温度を、前記可溶性リンクの溶融温度を表す温度と比較する工程と、
前記比較の結果に応じて前記制御モジュールから警告信号を出力する工程と、を備える方法。
【請求項22】
モバイルユーザデバイスと通信する通信モジュールに前記警告信号を提供する、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
少なくとも1つの前記可溶性リンクの溶融温度はTmであり、
前記温度センサは、溶融温度がTmである少なくとも1つの前記可溶性リンクから距離D以内に配置され、測定温度がTmの5度以内であり、距離Dが5cm以下である場合に、前記比較の結果は火災危険状態を示す、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
少なくとも1つの前記可溶性リンクの溶融温度はTmであり、
前記温度センサは、溶融温度がTmである少なくとも1つの前記可溶性リンクから距離D以内に配置され、距離Dが5cm以下であって、時間Tdの間に測定温度がTmの5度以内である場合に、前記比較の結果は火災危険状態を示す、請求項21に記載の方法。
【請求項25】
ウィンドウ期間Tw中の合計組み合わせ持続時間が時間Tmaxを超えるまで、サンプリング間隔にわたって前記時間Tdを合計する、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
Tdは30秒、1分、2分、3分、または5分であり、Tmaxは1分、2分、3分、5分、または10分である、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
換気フード内または換気フード下の火災危険状態に対処する方法であって、
前記換気フード内または前記換気フードの下に、可溶性リンク作動機構を有する第1消火システムを設ける工程と、
前記換気フード内または前記換気フードの下に、前記第1消火システムとは別の作動機構を有する第2消火システムを設ける工程と、
前記火災危険状態を特定する工程と、
前記特定に応答して、前記換気フードのユーザが知覚できる警告を出力する工程と、
火災状態が存在するかどうかを判断する工程と、
前記判断に応じて、前記第2消火システムを標的として作動させ、火災状態にある前記換気フードの下の領域のみを消火する工程と、を備える方法。
【請求項28】
前記火災危険状態を特定するために、請求項21~26のいずれかに記載の方法を実施する、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記方法はさらに、前記可溶性リンク作動機構の可溶性リンクが溶解したことに応答して、または前記第2消火システムの制御装置からの制御信号に応答して、前記第1消火システムを作動させる工程を備える、請求項27~28のいずれかに記載の方法。
【請求項30】
消火システムを備えた厨房用排気フードに火災検知および警報システムを追加する方法であって、
排気ダクトに接続したプレナム部と、前記排気ダクトを通る排気流量を少なくとも制御するように構成した制御装置と、火災状態の検出に応じて前記厨房用排気フードの下に消火剤を放出するよう構成した消火システムと、を備える厨房用排気フードを提供する工程と、
前記消火システムの火災センサ近傍の温度を測定し、Tdurを超える期間にわたって測定温度が所定の温度Tsetを超えた場合に火災危険警告を出力するよう前記制御装置を構成する工程と、を備える方法。
【請求項31】
前記消火システムは、指定された温度で溶融して、前記消火システムを作動させるよう構成した可溶性リンクを備える、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記近傍は、50cmより近く、40cmより近く、30cmより近く、20cmより近く、10cmより近く、または5cmより近い、請求項30に記載の方法。
【請求項33】
Tsetは、前記消火システムの可溶性リンクの特定の溶融温度以下である、請求項30に記載の方法。
【請求項34】
Tsetは、前記消火システムの可溶性リンクの特定の溶融温度に等しい、請求項30に記載の方法。
【請求項35】
Tsetは、前記消火システムの可溶性リンクの前記特定の溶融温度からTdeltaを差し引いた温度に等しい、請求項33に記載の方法。
【請求項36】
Tdeltaは、華氏1度である、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
Tdeltaは、華氏2度である、請求項35に記載の方法。
【請求項38】
Tdeltaは、華氏3度である、請求項35に記載の方法。
【請求項39】
Tdeltaは、華氏4度である、請求項35に記載の方法。
【請求項40】
少なくとも1つの前記火災センサの近傍に少なくとも1つの温度センサを設置する工程をさらに備える、請求項30に記載の方法。
【請求項41】
2つの温度センサを前記プレナム部の対向する端部に設置する、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記消火システムの前記火災センサを直接見通せる(a direct line of sight view)状態で、前記排気フードの下に少なくとも1つの放射温度センサを設置する工程をさらに備え、
前記少なくとも1つの放射温度センサは、前記火災センサのうちの少なくとも1つの放射温度を測定するような向きである、請求項30に記載の方法。
【請求項43】
消火システムの動作を確認する方法であって、
火災の検知に応じて消火剤を放出するよう構成した消火システムであって、一以上の火災検知器を備える消火システムを提供する工程と、
前記一以上の火災検知器を一以上の温度センサで監視し、前記一以上の温度センサからの信号を制御装置に出力する工程と、
前記温度センサによって測定した温度がしきい値温度Tsetを時間Tdurにわたって超えたことに応答して、前記制御装置によって火災警報信号を生成する工程と、を備える方法。
【請求項44】
前記一以上の火災検知器は、所定の溶融温度を有する可溶性リンクを備える、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記消火システムが前記消火剤を放出することなく、前記温度センサによって測定した温度が前記所定の溶融温度を超えたことに応答して、前記消火システムの故障を示す警告を生成する工程をさらに備える、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記請求項のいずれかに記載の一次消火システムおよび二次消火システムを備えた厨房用換気システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願との相互参照)
何もない。本出願は、2021年10月1日出願の米国仮特許出願第63/251,274号の優先権およびその利益を主張するものであり、参照によりこの仮特許出願の全体が本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
調理用コンロやレンジの上に設置されたフード内で消火システムが使用されるが、フードのプレナム部またはダクト内で火災を示す温度が測定された際に、調理面に難燃剤を供給して油脂による火災を止めるすることを主に目的としている。既存の消火システムは、可溶性リンク付近が高温になってこの可溶性リンクが溶融すると、機械式バルブが開き、加圧貯蔵容器と貫通流路から難燃剤が放出されることで作動する。
【0003】
可溶性リンクは、温度に敏感な防火装置であり、防火システムの一部として設計される。このシステムは、可溶性リンクが「破損」する温度に周囲温度が上昇すると作動する。通常、リンクの化学組成により、リンクまたはその一部が溶ける。破損した時点で、弁が機械的に作動するか又はケーブルが切断され、遠隔弁が作動してあらかじめ装填された防火装置が解放され、延焼が抑制される。
【0004】
様々な構成において、可溶性リンクは、張力がかかった2つの機械的部材同士を保持する。通常これらの機械部材は、換気フードの内周に延びるケーブルに接続され、複数の機械部材は、可溶性リンクによって張力下で保持される。ケーブルは、消火剤を貯蔵する分配機構に接続される。可溶性リンクが受ける温度に応じて可溶性リンクのいずれかが溶けると、その可溶性リンクによって保持されていた2つの機械的部材が解放され、ケーブルの張力が解放される。これがきっかけとなって分配機構が作動し、消火剤が放出される。
【0005】
可溶性リンクは最も単純な火災検知装置の一つであり、そのため信頼性が高いとされ、さまざまな建築基準法で義務付けられているが、すべての設置場所に正しい可溶性リンクを選択することは難しく、誤った可溶性リンクを選択した場合、消火剤が早期に放出されてしまう可能性がある。
【0006】
可溶性リンクには多くの種類があり、溶融温度も様々である。可溶性リンクを選択する場合、設置者は、フードの下にあるすべての器具を加熱し、フード内の温度を測定し、測定温度に基づいて一以上の可溶性リンクを選択することになっている。しかしながら実際には、この作業はほとんど行われない。その代わりに、設置者は、入手可能な最高温度の可溶性リンクを単に設置して、消火システムが作動する可能性を減らせるようにするかもしれない。このように設置すると、建築基準法を満たすかもしれないが、安全性は向上しない。従って、可溶性リンクの温度を選択する際のより良い方法が必要である。
【0007】
さらに、可溶性リンク消火システムが作動すると、厨房に大きな混乱が生じる。可溶性リンク消火システムが作動する前に警告を発し、火災の発生を軽減または回避する機会を提供し、消火システムの破壊的な作動を回避することが望ましい。
【発明の概要】
【0008】
開示される主題の一以上の実施形態は、適切な可溶性リンクを選択するためのシステム、装置、および方法を提供するものであり、可溶性リンクによる消火システムを展開(deployment)する前に事前警告を提供するためのものであって、さらに、可溶性リンクによる消火システムが作動する前に火災の可能性を警告する警告システムを備えた排気フードを後付けするためのものである。
【0009】
開示された主題の実施形態の目的および利点は、以下の記載を添付の図面と併せて考慮すると明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳細に説明する。図面において、同様の参照番号は同様の要素を表す。添付の図面は必ずしも縮尺通りに描かれていない。一部の図は、下部にある他の特徴をより明確に示す目的で、特定の特徴を省略して簡略化されている場合がある。一部の図において構成要素をこのように省略しているが、対応する説明に明示的に開示されている場合を除き、例示的な実施形態のいずれかにおける特定の要素の有無を必ずしも示すものではない。
【0011】
【
図1】
図1は、開示した主題の実施形態に係る、火災検知および抑制要素を備えた厨房を示す図である。
【0012】
【
図2】
図2は、本開示の主題の様々な実施形態に係る、調理器具の上方に配置され、火災警報および消火制御システムを備えた排気フードシステムを概略的に示す斜視図である。
【0013】
【
図3】
図3は、開示した主題の様々な実施形態に係る、厨房用排気フードを上方に向かって見た図である。
【0014】
【
図4】
図4は、開示した主題の実施形態に係る、可溶性リンクアセンブリの例を示す図である。
【0015】
【
図5】
図5は、開示した主題の様々な実施形態に係る、例示的な火災検知および警報システムのブロック図である。
【0016】
【
図6】
図6は、開示した主題の実施形態において使用する、制御装置の実装例を示す図である。
【0017】
【
図7】
図7は、開示した主題の様々な実施形態に係る、方法の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、本開示の実施形態に係る、システムおよび装置を備えた厨房空間128を示す図である。排気ファン116は、排気プレナム部124に接続するダクト127から空気と煙とを吸い込む。排気プレナム部124の入口にはフィルタ126が取り付けられ、排気フード121の凹部122から煙を吸い込む。複数のプレナム部124、フィルタ126、およびダクト127が様々な異なる配置で存在してもよく、本実施形態は単なる例示である。後述する様々なセンサが示されている。
【0019】
調理器具は、グリル、フライヤ、オーブン、ピザオーブンなど、様々な種類のうちの一つであり、参照符号120で示す。調理器具により調理煙165が発生することがあり、この調理煙は排気フード121によって排出する。各器具120は通常、隣接する器具との間に隙間を空けて互いに隣接して配置される。機器間のこれらの隙間には、ほこり、油、古い食べ物、その他多くの残骸が溜まりやすく、火災の原因となり危険を引き起こす可能性がある。
【0020】
化学抑制剤などの消火剤が、加圧容器180または他の適切なサブシステムに保管されている。分配装置107は、例えば、スプレーノズル107Aを備えてもよい。散水スプリンクラー(water sprinkler)による抑制剤、乾燥抑制剤、ガス抑制剤をさらに供給してもよい。
【0021】
業務用厨房スペース128には、スプリンクラーヘッド117Aを備えた消火スプリンクラーシステム117も設置され、消火スプリンクラーシステム117からスプレーノズル(または複数のノズル)107Aを介して消火剤が供給されるように、消火スプリンクラーシステム117を分配装置107と組み合わせてもよい。
【0022】
消火システムは、加圧容器180からであれ、および/または、スプリンクラーシステム117からであれ、可溶性リンクアセンブリ217により作動するよう構成してもよく、所定の温度を超えて所定の期間加熱されると、消火剤がノズルから放出されるようにする。
図3に示すように、システムが、可溶性リンクアセンブリ217によって張力をかけて保持されたケーブル218を備えてもよい。
【0023】
図3を参照すると、地面から天井に向かって、排気フード121の内部を示す図が示されている。排気ダクト127が、排気プレナム部124の端に見えている。この例では、ケーブル218が排気フード121の周囲に延びているのがわかる。この例では4つの可溶性リンクアセンブリ217を示している。可溶性リンクアセンブリの数は、排気フード121下に配置する厨房器具に応じて選択してもよく、各可溶性リンクアセンブリ217が、火災状態となった場合に高温に達すると予想され得る厨房機器と垂直に並ぶようにする。
【0024】
上述したように、可溶性リンクアセンブリは、特定の厨房構成に基づいて選択されているはずの可溶性リンク413を備える。ただし、そうではないことも多い。
図3に示すように、温度センサ104が、各可溶性リンクアセンブリ217から5cm以内、10cm以内、15cm以内、または20cm以内など、近接して配置される。
図3には示していないが、各温度センサ104は制御装置100に接続される。したがって、各可溶性リンクアセンブリ217の近くからの温度を連続的にまたは一定の間隔で読み取ることができる。
【0025】
制御装置100は、様々なセンサから最終的に得られる一以上の入力を連続的または断続的に監視してもよく、その例を
図1および
図2にまとめて示す。センサは、温度センサ104、125、および129を備えてもよい。本出願全体で開示される各実施形態において、様々な他の種類の温度センサを採用してもよい。例えば、熱電対、抵抗温度センサ、抵抗温度センサ(RTD)、水晶振動子温度計、サーミスタ、またはその他の種類の温度センサが含まれる。排気フード121の凹部122に、一以上の温度センサ104を設けてもよい。温度センサ(または複数の温度センサ)125は、ダクト127の外側の周囲温度、および/またはダクト127の材料の表面温度を測定できる場所に配置してもよい。温度センサ127(または複数の温度センサ)は、ダクト127内の空気温度を測定するように配置してもよい。各実施形態において、各種温度センサは、温度に応じて電気抵抗が変化するアナログサーミスタである。
【0026】
複数の温度センサ104は、排気フード121の凹部122内の二次元場上に長方形または六角形の配列で分布させてもよい。
図1に示した位置はあくまでイメージである。上述したように、温度センサ104は、ゆっくりと変化する温度または変動する温度を示すために使用してもよく、そこから統計を導き出して、火災を示す分類に使用することができる。熱慣性の低い温度センサの例としては、サーミスタのほか、RTD、熱電対などがある。
【0027】
放射放出、つまり熱領域の光エネルギーを、火災検知および/または指示された非火災状態を判別するために検出して使用してもよく、他のセンサによって検出する。これらのセンサが、領域(視野すなわちFOV)の平均温度を検出するように位置決めされ、そのように向けた132または消火システムの可溶性リンクの方に向けた放射センサのような、一以上の放射温度センサをさらに備えてもよい。複数の領域またはFOVを対象とした複数の放射温度センサが存在してもよい。例えば、132で示した放射センサは、器具120の調理面の一部に向け、別の放射センサ110は、排気フード121の凹部122内の炎を検出するように配置する。FOVは狭くても広くてもよい。各実施形態において、FOVは選択可能である。放射温度センサ110によって提供される信号は、リアルタイムの瞬間信号であり、制御装置はそこからの不安定な信号から情報を取得してもよい。
【0028】
領域の放射温度は、一以上の赤外線カメラ113によって空間的に分解され、制御装置によって合成され、火災やその他の危険な状況を検出する。
【0029】
光学または赤外線ビデオ撮像装置199(例えば、ビデオカメラ、CCDセンサ、FLIRセンサなど)を、フードの平面からの火災または高温の水蒸気を含む煙の出現を検出するように取り付けてもよい。このビデオカメラ199を、広範囲の光周波数および近赤外線周波数に基づいて選択してもよい。制御装置100が実装する認識アルゴリズムによって、フードからの火または煙の漏れを認識してもよい。通常であれば、フード121の上からは煙や、もちろん火は見えないはずである。フードの下で可燃性蒸気が膨張し、規制された排気から強制的に逃れるため、火災や高温の煙を容易に検知することができる。さらに、この目的のためにカメラ199のような画像または動画撮像装置を採用することにより、放射噴煙(plume)の投影部の放射温度および面積を画像処理の助けを借りて定量化することができるという点で、逃げる気体の量を極端でないにしてもある程度定量化することができる。
【0030】
ある方法において、制御装置は、オペレータの手動による制御機能(override)を入力するための時間を確保するために、火災表示の出力、または警報装置や消火システムなどの出力エフェクタの制御を遅らせてもよい。プロセッサ実行可能命令によって符号化された方法実施形態によれば、制御装置は、暫定的な火災検出が発生したことを示す警告信号を提供し、それによって、警報または抑制出力を防止するための制御機能入力の必要性をオペレータに警告することができる。
【0031】
人工知能(教師あり学習等)を活用した動画情景分類技術を、実際に火災が発生する前に危険な状況を認識するために適用可能である。このシステムは、様々なセンサや可溶性リンク消火システムを監視可能である。消火システムが作動した場合、制御装置が事後分析のために作動に至った状況を保存し、火災の発生を認識して予測できる教師あり学習のデータセットの一部とする。
【0032】
危険性を分類することにより、制御装置は、必ずしもまたは直ちに消火システムを作動させることなく、開示した機構のいずれかを使用して警告を生成することができる。例えば、ある情景内の塊状の物体(blob)の赤外線画像で、この高温の塊があらかじめ定義された油の引火点に向かって上昇している温度であると判断され、この情景の動き分析によって活動が示されない場合、この画像は、明示的なルールによって分類器(classifier)内で定義されるか、教師あり学習を使用して実装される単純な分類問題とされる。このような情景は、火災が発生する可能性があることを示唆するものと考えられる。
【0033】
制御装置100は、通信モジュール167によって、スマートフォン等の遠隔またはモバイルUI(ユーザインタフェース)に接続されてもよい。通信モジュール167は、モデムのようなネットワークまたはインターネットインタフェースであってもよく、ルータまたはスイッチを備えてもよい。通信モジュール167はトランシーバーであってもよく、モバイルUIは無線端末であってもよい。
【0034】
緊急事態として、近隣で火災が発生したことを検知することがある。これらの信号を、警告の意味と種類、および実行すべき行動を説明するユーザインタフェース103上のテキスト出力と組み合わせてもよい。ストロボライト158等の視覚信号発生器を、信号を同時または交互に出力するために設けてもよい。アラーム、サイレン、またはスピーカなどの可聴信号発生器をさらに提供してもよく、制御装置100によって命令されたときに警告を出力するようにこれらをシステムに動作可能に接続してもよい。
【0035】
図2は例示的な排気換気システムを示す図であり、複数の調理器具120の上方に配置され、排気ダクト127を介して排気アセンブリ(図示せず)と連通するように設けた排気フード121を備える。排気フード121の底部開口部は、通常長方形であるが、他の所望の形状を有してもよい。フード121の壁によって、プレナム部とも呼ばれる内部容積285が画定され、この内部容積は、複数の調理器具120の上に配置するフード121の端部にある下向きの底部開口190と連通する。内部容積285は更に、排気ダクト127を通じて排気アセンブリと連通してもよい。排気ダクト127は、排気アセンブリを通じて外部の排気環境に向かって上方に延びてもよい。
【0036】
排気アセンブリは、電動排気ファン(図示せず)を備えてもよく、これにより、調理器具120が生成した排気が排気ダクト127に引き込まれ、外部の排気環境に排出される。排気ファンのモータが作動すると、調理機器120と外部の排気環境との間に排気流路が確立される。調理台の領域から空気が引き離されるにつれて、煙、空気汚染物質、その他の空気粒子が排気ダクト127と排気アセンブリを通して外部の換気環境へと排気される。排気換気システム150には、主排気ダクト内の静圧を測定するための一以上の圧力センサ208がさらに備えられていてもよく、排気フード121の底部開口部190には、複数の油脂除去フィルタ(図示せず)が備えられてよく、フード排気ダクト127に入る油脂や煙粒子を除去する。
【0037】
排気換気システム150はさらに制御モジュール200を備えてもよく、この制御モジュール200は、好ましくは、温度センサ104を含む複数のセンサに動作可能に結合され、そこからデータを受信し、火災状態を検出し、警告を出力し、任意選択で消火システムの一部を起動するように構成されたプログラム可能なプロセッサを備える。制御装置がさらに、電動排気ファンの速度を制御してもよく、システム内の排気流量を調整することになる。制御モジュール200は、モータ速度を制御するための可変周波数ドライブ(VFD)などの速度制御モジュール、および排気ダクト127の近傍に配置した一以上の電動調整ダンパ(balancing damper)(図示せず)を備えた電動排気ファンと通信する。
【0038】
制御モジュール200は更に、可溶性リンク消火システム(例えば、
図1に示す117および180)に加えて、またはその代わりに、フード121内の温度に基づいて消火機構400の作動および作動停止を制御するよう構成する。すなわち、2つの消火手法を組み合わせることができ、可溶性リンク消火システムは、ある一定の高温で必ず溶融する可溶性リンク413の物理的性質により、フェイルセーフな消火機能を提供する。一方、消火システム400は、制御モジュール200によって制御可能であり、特定の場所、例えば単一の器具のみ、または調理面の単一の場所のみでの消火を開始する。この方法により、局所的かつより微調整された消火が可能になり、可溶性リンクシステムによるフェイルセーフ機能も同時に提供される。この手法により、可溶性リンク消火装置の作動によって引き起こされる混乱を軽減可能である。可溶性リンク消火装置の作動により、厨房を閉鎖して大規模な清掃をし、および厨房を再開する前に可溶性リンク消火システムの検査と再稼働が必要になることが多いからである。
【0039】
消火制御に加えて、または消火制御の代わりに、制御モジュール200は、火災状態を検出し、排気フード121に取り付けたユーザインタフェースを介して、または遠隔装置を介して(例えば、ユーザが携帯する装置へのネットワークインタフェースを介して)、可溶性リンク消火システムが起動する前にその火災状態を警告する警告を発生してもよい。
【0040】
制御モジュール200はさらに、排気ダクト127上またはその内部に配置したセンサ314の出力と、各調理器具120の上面に対向するよう配置した赤外線(IR)放射温度センサ312の出力とに基づいて、排気ファン速度と、消火機構400の起動とを制御することができる。少なくとも1つの実施形態では、3つのIRセンサ312が設けられ、各IRセンサ312が対応する調理器具120の調理面に対向するように、IRセンサ312が調理器具120の上方に配置される。ただし、各調理面の放射温度が検出される限り、任意の数および任意の種類のIRセンサ312および任意の数の調理器具120を使用してもよい。制御モジュール200は、センサ314および312と通信し、センサの読み取り値に基づいて調理器具の状態を特定する。これら複数の検出器を用いて検知した排気温度および放射温度に基づいて調理器具120の状態が判定される。
【0041】
なお、放射温度センサが、一以上のIRカメラと一以上の光学カメラを備えてもよく、放射温度センサにこれらが追加されてもよい。1台のカメラでビデオ信号の「カラー」チャンネルを生成してもよく、1つのビデオストリームで多数の場所の温度と輝度とをリアルタイムに示すことができる。実際には、赤外線カラーおよび光帯域を検出する単一のビデオカメラによって、放射温度センサ312すべてを置き換えてもよい。光信号と赤外線信号の組み合わせは特に有効である。例えば、光信号が同時に発生しない持続性の高い赤外線信号は、制御装置によって熱いグリルとして分類されることがある一方、同じ赤外線信号が強い光信号または変動する光信号と結合したものは、火災として分類されることがある。カメラによって提供される空間情報は、合成信号の曖昧性の解消をさらに助けるかもしれない。
【0042】
画像、光学、赤外線、またはその両方を画像処理して、火災や調理事象を訓練し認識するための入力として、次元を削減した状態ベクトルを生成することができる。通常の調理および火災の状態の多くの例を使用して、教師あり学習アルゴリズムをトレーニングし、その後、通常の調理および火災の状態をそれぞれ認識および分類するために使用してもよい。
【0043】
なお、いずれの実施形態も、可溶性リンクを有する火災制御ノズルを含めることによって変更してもよい。このような実施形態では、可溶性リンクのスプリンクラーヘッドには、消火システムの制御弁によって制御される並列供給部を備えてもよい。制御システムが故障した場合、可溶性リンクが並列供給部の水を開放し、おそらく火である熱源に水を噴射させる。
【0044】
消火機構400は、火災を消火することができる任意の公知の難燃性材料源を含む火災抑制部を備え、貯蔵し、および/またはその流れを調整することができる。消火機構400は、換気扇、フィルタ、照明、ダクト、調理器具、食品の注文受付、請求書発行、在庫、拡声(public address)、および/またはその他の構成要素に関する状況の情報を制御および/または表示する他のシステム同士を相互接続するデジタルネットワークと通信する部門をさらに備えてもよい。たとえば、消火プロセスの起動に加えて、検出した火災状態を居住者および/または消防機関に通知するための信号が、このようなネットワーク上で生成されてもよい。
【0045】
ノズル107Aは別個の要素として示されているが、消火機構400と一体化されていてもよい。図示の構造は、一以上の別個のノズルが流体流路によって消火機構400に接続された構造であってもよい。ノズル107Aは、発生源に関係なく消火ができるように、換気システム150内に戦略的に配置されてもよい。例えば、一以上のノズル107Aを油脂収集領域に配置し、一以上のノズル107Aを調理器具120の真上に配置してもよい。各ノズル107Aは消火機構400の消火制御部と直接通信し、制御モジュール200によって機構400が起動されると、ノズル107Aから難燃剤が排出される。難燃剤は、水、液体カリウム塩溶液などであるが、これらに限定されず、既知の消火剤であれば任意のものでよい。
【0046】
制御モジュール200は、排気温度センサ314およびIR放射温度センサ312の出力に基づいて調理器具の状態(AS)を判定し、判定した調理器具の状態(AS)に応じて排気ファンの速度および電動調整ダンパの位置を変更してもよい。制御モジュール200はさらに、検出した機器の状態に基づいて消火機構400を起動してもよい。
【0047】
再び
図3を参照すると、化学抑制剤などの消火剤は、加圧容器180または他の適切なサブシステムに保管されている。分配装置107は、例えば、スプレーノズル107Aを備えてもよい。散水スプリンクラー(water sprinkler)による抑制剤、乾燥抑制剤、ガス抑制剤をさらに供給してもよい。
【0048】
業務用厨房スペース128には、スプリンクラーヘッド117Aを備えた消火スプリンクラーシステム117も設置され、消火スプリンクラーシステム117からスプレーノズル(または複数のノズル)107Aを介して消火剤が供給されるように、消火スプリンクラーシステム117を分配装置107と組み合わせてもよい。
【0049】
特定の実施形態では、火災の危険性が最も高い熱特性を持つ厨房器具の上または真上に、単一の温度センサが配置される。例えば、ガスバーナーを動力源とするハードオイルフライヤー(hard oil fryer)などである。別の例として、この機器は、石炭や薪を燃料とするオーブンなどの固形燃料を動力源とする器具である。最も高い熱特性を持つこのような器具の上に温度センサを配置することで、消火システムが作動するので最終的に可溶性敷設物(fusible laying)を溶かす可能性のある温度上昇を検出することができる。つまり、温度センサを戦略的に配置することで、この危険な温度状態を早期に検出することができる。
【0050】
特定の実施形態では、複数の調理器具の上にある排気フードのプレナム部(内部容積)の2つの反対側の端部に2つの温度センサが配置される。上述のように間隔を空けてプレナム部の反対側の端部に配置した2つの温度センサを使用すると、調理エリア全体を感知し、すべての器具によって引き起こされる温度上昇を測定できる。上述したように、温度センサが温度の上昇を測定し、最終的に可溶性リンクが溶けて消火剤が放出される可能性のある状況を検知することができる。温度上昇を早期に検知することで、警報を発したり、局所的な小規模な火災を鎮火する局所消火装置を起動したり、調理器具の電源をオン/オフしたりするなどの措置を講じることができる。
【0051】
制御モジュールは、厨房用排気フード平面内の温度センサまたは複数の温度センサが測定した温度を示す信号を受信する。制御モジュールは特別に構成され、プログラムされており、以下でより詳細に説明する方法を実行する。一般的に言えば、制御モジュールは温度の測定値を監視し、プレナム部内で測定された煙の温度が一定の時間(Tdur)に渡って特定の温度しきい値(Tset)を超えた場合に火災警告信号を生成する。これにより、制御モジュールは、生成される熱エネルギーの測定値を効果的に積分し、消火システムで使用される可溶性リンクまたは複数の可溶性リンクの溶融温度と比較することができる。理解されるように、可溶性リンクには多くの種類があり、溶融温度と溶融するまでの耐熱時間とによって区別される。可溶性リンクに十分な強度の熱が十分な時間加わると、リンクは溶融し、消火システムが作動する。制御モジュールは、リンクが溶ける前にリンクが溶ける危険性があることを予測できるように、可溶性リンク定格に基づいて構成され、特別にプログラムされている。これは、前述のように、一以上の温度測定値を監視し、温度測定値が特定のしきい値温度を超えた時点としきい値を超えた期間に留意することによって実現可能である。
【0052】
一実施形態では、可溶性リンクの温度定格、大きさ、および材質を使用して、可溶性リンクが故障(すなわち、溶解)するまでに耐えることができる最大熱負荷を定義する。制御モジュールは、一以上の温度センサによって提供される温度信号と、様々な温度の読み取り値の期間とを監視して、流れた電流(current)と累積負荷を計算する。このようにして、制御モジュールは、実際の故障が発生する前に、可溶性リンクが故障しそうであることを予測することができる。
【0053】
図4を参照すると、例示的な可溶性リンクアセンブリ217の詳細が示されている。図示のように、2つの関節アーム411が回転軸412で結合されており、ケーブル218によって引き離される。可溶性リンク部材413が、2つの関節アームをその位置に保持する。可溶性リンク部材413に近い温度で可溶性リンク部材413が溶けるか構造的に破損すると、ケーブル218の張力によって連結部材が引き離され、ケーブル全体の張力が低下する。これにより消火システムが作動し、ノズル107Aから消火剤が噴射される。いくつかの実施形態では、作動は機械的に行われ、ケーブル218の張力が解放された結果、弁が開く。
【0054】
図4に示すように、温度センサ104は、可溶性リンク部材413の近傍に設けられ、これにより、システムは可溶性リンク部材413の近傍の周囲温度を測定し、消火システムが実際に作動する前に、消火システムを作動させる直前の温度を検出することができる。いくつかの実施形態では、温度センサ104はアナログ温度センサである。いくつかの実施形態では、センサ104の可溶性リンク部材413からの距離は、5cm未満である。いくつかの実施形態では、この距離は30cm未満である。いくつかの実施形態では、温度センサ104と、排気フードの下で最も多くの熱を発生すると予想される調理器具との間の距離は、リンク部材413とその調理器具との間の距離と実質的に同じである。これにより、ほぼ同じ量の熱エネルギーがリンク413とセンサ104に到達し、可溶性リンク413の温度をより正確に近似できるようになる。
【0055】
一実施形態では、排気フード121の両端に2つの温度センサ104が設けられる。これら2つの温度センサ104により、差し迫った消火剤の放出を警告できる熱を検出可能である。
【0056】
図5は、本開示に係る、例示的な火災検知および警報システムのブロック図である。いくつかの実施形態では、システムは、火災検知および警告に使用されるものと同じ制御装置およびセンサを使用して排気流量を制御することもできる。特に、システム1500は、センサ1504および制御出力1506に接続する制御モジュール100(または200)を備える。この制御モジュール100または200は、前述のように、警報インタフェース1508、消火インタフェース1512、および器具通信インタフェース1516にも結合される。警報インタフェース1508は、警報システム1510に結合される。消火インタフェース1512は、消火システム1514に結合される。器具通信インタフェース1516は、一以上の器具1518、1520に結合される。器具通信インタフェースは、火災警報に応じて器具の電源をオフにしたり、器具をオフにしたり、出力を下げたりすることができる。いくつかの実施形態では、火災警報条件に達すると、制御モジュールは、警報インタフェースを介して警告を出力し、さらに、または代替的に、一以上の器具に電源をオフにするかまたは電力出力を下げるように指令を出すことができる。この指令により、継電器が作動して電気を動力とする器具の電源をオフにし、ガスを動力とする器具のガス供給のガス弁をオフにしてもよい。
【0057】
さらに制御モジュール100は、消火システム1514を起動して、排気フードの下の特定の領域に消火剤を局所的に塗布し、フードの下の他の領域への混乱を最小限に抑えることができる。これは、フェイルセーフシステムとしても存在する可溶性リンク消火システムであって、通常複数のノズルから消火剤を放出し、特定の火災の実際の発生源を対象としないノズルからも消火剤を放出するような可溶性リンク消火システムとは対照的である。
【0058】
動作中、制御モジュール100/200は、警報システム1510、消火システム1514、および器具1518~1520と通信して情報を交換することで、火災状況をより適切に監視できる。また、制御モジュール100/200は、様々なシステム(1510~1520)に情報を提供して、より効果的な動作環境のために機能を調整できるようにしてもよい。例えば、制御モジュール100/200は、そのセンサ1504を介して、可溶性リンク消火システムが作動する直前の火または条件を検出し、オペレータによってこの条件を終了させて可溶性消火システムが作動しないようにするための手順を実行できるようにする通知を発行してもよい。
【0059】
制御モジュール100/200は、この情報を警報システム1510、消火システム1514、および器具1518、1520に伝達して、各装置またはシステムが適切なアクションを講じることができるようにすることもできる。いくつかの実施形態では、器具の電源がオフになる(電力および/またはガスやプロパンなどの燃料源を遮断する)。
【0060】
図6を参照すると、本開示の実施形態に係る処理が示される。この処理は、可溶性リンクが作動する可能性のある火災状態が存在するか、または発生しそうかどうかを判定するために使用してもよい。しきい値温度Tmaxは、可溶性リンクの定格温度に基づいて選択する。いくつかの実施形態では、Tmaxは定格温度に等しい。他の実施形態では、Tmaxは定格温度より華氏1、2、3、4、または5度低い。温度センサ104を可溶性リンク部材413の近くに配置した場合、測定温度は可溶性リンクの温度を反映し、可溶性リンクが溶けそうであるかまたは壊れそうであるかを予測するために使用することができる。
【0061】
S701では、センサ104によって温度が測定され、S703で保存される。測定温度を保存することで、温度の傾向を示す履歴記録を作成可能である。温度は、測定時間、日付、器具の状態、換気フードの状態(排気流量を含む)などのメタデータとともに保存される。このデータは人工知能システムに提供され、保存データに基づいて教師あり学習を実行し、そこから警告やその他のアラートを必要とする条件を導き出すことができる。
【0062】
S705では、測定温度を上記のTmaxと比較する。測定温度TがTmaxを超えると、S707で火災警告を生成してもよい。いくつかの実施形態では、熱エネルギーの量を効果的に積分するために、一定期間にわたってTmaxとTとを複数回比較し、特定の期間の熱エネルギーの量が閾値を超えた場合にのみ、警告を生成する。この手法では、可溶性リンク413の物理的特性が考慮され、様々な条件によってリンクが溶ける可能性があることを認識している。短時間の高温でリンクが溶ける可能性があるが、温度がわずかに低下すると、リンクが溶けるのにより長い時間がかかることになるであろう。したがって、制御装置は温度測定値を保存し、これらの様々な状態を認識して、リンクが溶ける前に警告を生成できるようにする。
【0063】
温度がTmaxを超えない場合には、S709で、測定が行われた合計経過時間を期間Pと比較する。いくつかの実施形態では、Pは60日、45日、30日、14日、7日、または1日である。たとえば、期間Pが30日で、TがTmaxを超えていない場合は、Tmaxの設定が高すぎると判断される。したがって、S711では、Tmaxの値を低い値に更新し、プロセスを続行する。実際には、これにより、時間の経過とともに排気フード内の正常な温度と見なされるものをシステムが学習し、それに応じてTmaxを設定することができる。その後、Tmaxを超えると、火災が発生する可能性が強く示されるので、S707で警告が表示される。
【0064】
排気流量を制御するための方法、システム、およびコンピュータプログラム製品の実施形態は、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、プログラムされたマイクロプロセッサまたはマイクロコントローラおよび周辺集積回路要素、ASICまたはその他の集積回路、デジタル信号プロセッサ、個別要素回路などの配線で接続された(hardwired)電子回路または論理回路、PLD、PLA、FPGA、PALなどのプログラムされた論理デバイス上に実装してもよい。一般に、本明細書に記載の機能またはステップを実装できる任意の処理を使用して、排気流量を制御するための方法、システム、またはコンピュータプログラム製品の実施形態を実装することができる。
【0065】
さらに、排気流量を制御するための開示した方法、システム、およびコンピュータプログラム製品の実施形態は、様々なコンピュータプラットフォームで使用できる移植可能なソースコードを提供するオブジェクトまたはオブジェクト指向のソフトウェア開発環境などを使用して、ソフトウェアで完全にまたは部分的に容易に実装してもよい。あるいは、排気流量を制御するための開示した方法、システム、およびコンピュータプログラム製品の実施形態は、たとえば標準の論理回路またはVLSI設計を使用して、ハードウェアで部分的または完全に実装することもできる。システムの速度および/または効率の要件、特定の機能、および/または利用される特定のソフトウェアまたはハードウェアシステム、マイクロプロセッサ、またはマイクロコンピュータシステムに応じて、他のハードウェアまたはソフトウェアを使用して実施形態を実装できる。排気流量を制御するための方法、システム、およびコンピュータプログラム製品の実施形態は、本明細書で提供する機能説明から、およびコンピュータ、排気流量、および/または調理器具技術の一般的な基礎知識を有する適用分野の当業者によって、既知または後日開発されたシステムまたは構造、デバイス、および/またはソフトウェアを使用して、ハードウェアおよび/またはソフトウェアで実装できる。
【0066】
さらに、排気流量を制御するための開示した方法、システム、およびコンピュータプログラム製品の実施形態は、プログラムされた汎用コンピュータ、特殊用途コンピュータ、マイクロプロセッサなどで実行されるソフトウェアで実施することができる。また、本発明の排気流量制御方法は、JAVA(登録商標)やCGIスクリプトなどのパーソナルコンピュータに埋め込まれたプログラムとして、サーバやグラフィックワークステーション上に存在するリソースとして、専用処理システムに埋め込まれたルーチンなどとして実装することができる。この方法およびシステムは、排気流量を制御する方法を、排気口フードおよび/または器具のハードウェアおよびソフトウェアシステムなどのソフトウェアおよび/またはハードウェアシステムに物理的に組み込むことによっても実装できる。
【0067】
図7は、演算装置(computing device)800として具現化した、上述の様々な制御装置100および200の例示的な実施形態を示す図である。
図7は、本開示に従ってデュアルモード照明器具、殺菌リターングリル、および/またはHVACシステムを制御するように配置した演算装置800の例を示すブロック図である。非常に基本的な構成801では、演算装置800は通常、一以上のプロセッサ810とシステムメモリ820とを備える。プロセッサ810とシステムメモリ820との間の通信には、メモリバス830を使用することができる。
【0068】
所望の構成に応じて、プロセッサ810は、マイクロプロセッサ(μP)、マイクロコントローラ(μC)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、またはそれらの任意の組合せを含むがこれらに限定されない任意のタイプのものとすることができる。プロセッサ810は、レベル1キャッシュ811およびレベル2キャッシュ812などの一以上のレベルのキャッシュ、プロセッサコア813、およびレジスタ814を備えることができる。プロセッサコア813は、算術論理演算ユニット(ALU)、浮動小数点ユニット(FPU)、デジタル信号処理コア(DSPコア)、またはそれらの任意の組み合わせを含むことができる。メモリコントローラ815もプロセッサ810と共に使用することができ、あるいは、いくつかの実装では、メモリコントローラ815はプロセッサ810の内部部品とすることができる。
【0069】
所望の構成に応じて、システムメモリ820は、揮発性メモリ(RAM等)、不揮発性メモリ(ROM、フラッシュメモリ等)、またはそれらの任意の組合せを含むがこれらに限定されない任意のタイプのものとすることができる。システムメモリ820は通常、オペレーティングシステム821、一以上のアプリケーション822、およびプログラムデータ824を備える。アプリケーション822は、開示された実施形態に従って照明器具およびシステム全体を制御するように配置したマルチパス処理アルゴリズム823を備える。プログラムデータ824は、以下にさらに説明するように、デュアルモード照明器具、殺菌リターングリル、および/またはHVACシステムを制御するのに有用なデータ825を備える。いくつかの実施形態では、アプリケーション822は、オペレーティングシステム821上でプログラムデータ824と協働するよう配置することができる。この基本構成は、
図7において、破線で囲んだ番号801内の構成要素で示される。
【0070】
演算装置800は、基本構成801と必要な任意の装置およびインタフェースとの間の通信を容易にするために、追加の特徴または機能、および追加のインタフェースを有することができる。例えば、バス/インタフェースコントローラ840を使用して、記憶装置インタフェースバス841を介して、基本構成801と一以上のデータ記憶装置850との間の通信を容易にすることができる。データ記憶装置850は、取り外し可能な記憶装置851、取り外し不可能な記憶装置852、またはそれらの組み合わせとすることができる。取り外し可能な記憶装置および取り外し不可能な記憶装置の例としては、フレキシブルディスクドライブやハードディスクドライブ(HDD)などの磁気ディスクデバイス、コンパクトディスク(CD)ドライブやデジタル多用途ディスク(DVD)ドライブなどの光ディスクドライブ、ソリッドステートドライブ(SSD)、テープドライブなどが挙げられる。コンピュータ記憶媒体の例としては、コンピュータ可読命令、データ構造、プログラムモジュール、または他のデータなどの情報を記憶するための任意の方法または技術で実装された、揮発性および不揮発性、取り外し可能および取り外し不可能な媒体を挙げることができる。
【0071】
システムメモリ820、取り外し可能な記憶装置851、および取り外し不可能な記憶装置852はすべて、コンピュータ記憶媒体の例である。コンピュータ記憶媒体には、RAM、ROM、EEPROM、フラッシュメモリまたは他のメモリ技術、CD-ROM、デジタル多用途ディスク(DVD)または他の光学記憶装置、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスク記憶装置または他の磁気記憶装置、または所望の情報を記憶するために使用することができ、演算装置800によってアクセスすることができる任意の他の媒体が含まれるが、これらに限定されない。このようなコンピュータ記憶媒体は、装置800の一部とすることができる。
【0072】
演算装置800はまた、様々なインタフェース装置(例えば、出力インタフェース、周辺インタフェース、および通信インタフェース)からバス/インタフェースコントローラ840を介して基本構成801への通信を容易にするためのインタフェースバス842を備えることができる。出力デバイス860の例としては、グラフィック処理ユニット861とオーディオ処理ユニット862があり、これらは、一以上のA/Vポート863を介して、ディスプレイやスピーカなどの様々な外部デバイスと通信するように構成することができる。周辺インタフェース870の例としては、シリアルインタフェースコントローラ871またはパラレルインタフェースコントローラ872があり、これらは、一以上のI/Oポート873を介して、入力デバイス(例えば、キーボード、マウス、ペン、音声入力デバイス、タッチ入力デバイスなど)または他の周辺デバイス(例えば、センサ104など)などの外部デバイスと通信するように構成することができる。通信デバイス880の例としては、ネットワークコントローラ881があり、このネットワークコントローラ881は、一以上の通信ポート882を介してネットワーク通信により一以上の他の演算装置890との通信を容易にするよう配置することができる。通信接続は、通信媒体の一例である。通信媒体は通常、コンピュータ可読命令、データ構造、プログラムモジュール、または搬送波や他の転送メカニズムなどの変調データ信号内の他のデータによって具現化してもよく、任意の情報配信媒体を含む。変調データ信号は、信号内の情報をエンコードするように一以上の特性が設定または変更された信号である。限定するものではないが、一例として、通信媒体には、有線ネットワークや直接有線接続などの有線媒体、音響、無線周波数(RF)、赤外線(IR)、その他の無線媒体を含めることができる。本明細書で使用するコンピュータ可読媒体という用語は、記憶媒体と通信媒体の両方を含むことができる。
【0073】
演算装置800は、携帯電話、パーソナルデータアシスタント(PDA)、パーソナルメディアプレーヤデバイス、無線ウェブウォッチデバイス、パーソナルヘッドセットデバイス、特定アプリケーションデバイス、または上記の機能のいずれかを備えるハイブリッドデバイスなどの省スペース型(small-form factor)のポータブル(またはモバイル)電子デバイスの一部として実装することができる。演算装置800は、ラップトップコンピュータおよびラップトップコンピュータ以外の構成を備えるパーソナルコンピュータとして実装することもできる。
【0074】
システムの側面におけるハードウェア実装とソフトウェア実装の間にはほとんど区別はなく、ハードウェアまたはソフトウェアの使用は、一般的には(ただし、特定の状況ではハードウェアとソフトウェアの選択が重要になる可能性があるため、常にそうとは限らない)、コストと効率のトレードオフを表す設計上の選択となる。本明細書に記載のプロセスおよび/またはシステムおよび/またはその他の技術を実行するための手段は様々であり(ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェアなど)、プロセスおよび/またはシステムおよび/またはその他の技術が展開されるコンテキストに応じて、好ましい手段が異なる。たとえば、実装者が速度と精度とが最重要であると判断した場合、主にハードウェアおよび/またはファームウェアの手段を選択してもよい。柔軟性が最重要である場合、主にソフトウェアの実装を選択してもよい。さらに代わりに、ハードウェア、ソフトウェア、および/またはファームウェアの組み合わせを選択してもよい。
【0075】
前述の詳細な説明では、ブロック図、フローチャート、および/または実施例を用いて、装置および/またはプロセスの様々な実施形態を示した。このようなブロック図、フローチャート、および/または実施例に一以上の機能および/または操作が含まれている限り、当業者であれば、このようなブロック図、フローチャート、または実施例内の各機能および/または操作は、広範囲のハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはそれらの事実上任意の組み合わせによって、個別におよび/または集合的に実装できることが理解されるであろう。一実施形態では、本明細書で説明する主題のいくつかの部分は、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、または他の集積形式を介して実装してもよい。ただし、本明細書に開示した実施形態のいくつかの態様は、その全部または一部が、集積回路において、一以上のコンピュータ上で実行される一以上のコンピュータプログラムとして(例えば、一以上のコンピュータシステム上で実行される一以上のプログラムとして)、一以上のプロセッサ上で実行される一以上のプログラムとして(例えば、一以上のマイクロプロセッサ上で実行される一以上のプログラムとして)、ファームウェアとして、または実質的にそれらの任意の組み合わせとして、同等に実装できること、および本開示に照らして、回路の設計および/またはソフトウェアおよび/またはファームウェアのコードの作成が当業者の技術範囲内であることは、当業者であれば認識されるであろう。さらに、当業者であれば、本明細書に記載した主題のメカニズムは、様々な形式でプログラム製品として配布できること、および本明細書に記載した主題の例示的な実施形態は、実際に配布を実行するために使用する特定の種類の信号伝達媒体に関係なく適用されることを理解されるであろう。信号伝達媒体の例としては、フロッピーディスク、ハードディスクドライブ、コンパクトディスク(CD)、デジタルビデオディスク(DVD)、デジタルテープ、コンピュータメモリなどの記録型媒体、およびデジタルおよび/またはアナログ通信媒体(例えば、光ファイバーケーブル、導波管、有線通信リンク、無線通信リンクなど)などの伝送型媒体が挙げられるが、これらに限定されない。
【0076】
本明細書における実質的にあらゆる複数形および/または単数形の用語の使用に関しては、当業者は、文脈および/または用途に応じて、複数形から単数形へ、および/または単数形から複数形へと読み換えることができる。明瞭化のため、本明細書では様々な単数形/複数形の置き換えを明示的に説明することがある。
【0077】
開示した主題の第1の態様によれば、火災検知および警報システムは、排気ファンに接続し、プレナム部を有する厨房用排気フードであって、前記排気ファンは、前記厨房用排気フードの下に設置した一以上の調理器具から放出される対流熱および調理煙を換気するように構成した、厨房用排気フードと、前記フードに作動的に接続し、前記一以上の調理器具の上方に配置した消火システムであって、所定の溶融温度を有する一以上の可溶性リンクによって作動して消火剤を放出するよう構成した消火システムと、前記厨房用排気フードの前記プレナム部内に設置した、少なくとも1つの温度センサと、前記少なくとも1つの温度センサに作動的に接続し、前記少なくとも1つの温度センサによる温度測定値を示す信号を受信する、制御モジュールと、を備え、煙の温度が一定の時間Tdurに渡って特定の温度しきい値Tsetに到達した場合に、火災警告信号を生成するよう前記制御モジュールを構成し、前記温度しきい値Tsetおよび前記時間Tdurは、前記一以上の可溶性リンクのうちの少なくとも1つの溶融温度定格に基づいて選択される。
【0078】
変形例によれば、前記火災検知および警報システムは、前記厨房用排気フードの下に設置した前記一以上の調理器具をさらに備える。さらなる変形例によれば、前記火災検知および警報システムは、前記厨房用排気フードの前記プレナム部の相対する端部であって、排気環状部(collar)の両側に配置した2つの温度センサを備える。
【0079】
さらなる変形例によれば、最も高い熱特性または火災の危険性を有する調理器具の真上に前記少なくとも1つの温度センサを配置する。
【0080】
さらなる変形例によれば、前記所定の温度設定点は、所定の可溶性リンク温度よりも低い。
【0081】
さらなる変形例によれば、前記制御モジュールは、前記温度センサの読み取り出力を長期間にわたって記録するように構成する。
【0082】
さらなる変形例によれば、前記長期間は、5日間、1週間、2週間、4週間、1か月、2か月、3か月、4か月、5か月、または6か月である。
【0083】
さらなる変形例によれば、前記制御モジュールは、前記長期間中に前記所定の可溶性リンク温度Tsetを超えたかどうかを判定し、前記長期間中に測定した最高温度値を表したより低い値に前記温度Tsetを更新するよう構成する。
【0084】
さらなる変形例によれば、前記制御モジュールは、前記温度TsetをTmax-dTに更新するよう構成し、Tmaxは記録した最大温度であり、dTは所定の温度範囲制限値である。
【0085】
さらなる変形例によれば、dTは華氏10度以下である。
【0086】
さらなる変形例によれば、前記火災検知および警報システムは、前記厨房用排気フードの下に配置され、前記フードの下の前記調理器具の表面温度を監視し、前記制御モジュールに出力信号を提供するよう構成した一以上のサーマル画像センサを備える。
【0087】
さらなる変形例によれば、前記制御モジュールは、前記温度センサからの温度信号と、前記一以上のサーマル画像センサによって提供される出力信号とに基づいて、火災警告を出力するかどうかを決定する。
【0088】
さらなる変形例によれば、器具の熱特性HS(表面温度と画素面積(pixel area))を長期間(少なくとも30日間)記録し、典型的なHSパターン(ベースライン)を確立する。
【0089】
さらなる変形例によれば、HSパターンを使用して、履歴ベースラインを確立し、潜在的な火災を引き起こす可能性のある異常を検出する。
【0090】
さらなる変形例によれば、画像認識アルゴリズムを使用してベースライン特性と異常とを確立する。
【0091】
上記の態様および変形例のいずれかのさらなる変形例によれば、TおよびHSは火災発生時に記録され、火災特性は時間内に記録したTおよびHSの組み合わせとして確立する。
【0092】
上記の態様および変形例のいずれかのさらなる変形例によれば、TおよびHSの現在値と火災特性を表す値との偏差を用いて火災危険度を計算する。
【0093】
上記の態様および変形例のいずれかのさらなる変形例によれば、空間温度センサTrを使用する。
【0094】
上記の態様および変形例のいずれかのさらなる変形例によれば、Trを使用して、Trの年間変動が5°Fを超える場合、T読取値を相殺する。
【0095】
上記の態様および変形例のいずれかのさらなる変形例によれば、複数の温度センサを使用して前記消火システムを作動させる(engage)。
【0096】
開示した主題の第2の態様によれば、火災の危険状態を特定する方法は、プレナム部と、前記プレナム部に接続する排気ダクトとを備える厨房用排気フードであって、可溶性リンクが設置された消火システムを有する厨房用排気フードを提供する工程と、前記プレナム部内に少なくとも1つの温度センサを設置する工程と、前記少なくとも1つの温度センサに作動的に接続する制御モジュールを提供する工程と、前記制御モジュールで、前記少なくとも1つの温度センサから前記プレナム部内の温度を表す信号を受信する工程と、前記プレナム部内の温度を、前記可溶性リンクの溶融温度を表す温度と比較する工程と、前記比較の結果に応じて前記制御モジュールから警告信号を出力する工程と、を備える。
【0097】
変形例によれば、モバイルユーザデバイスと通信する通信モジュールに前記警告信号を提供する。
【0098】
さらなる変形例によれば、少なくとも1つの前記可溶性リンクの溶融温度はTmであり、前記温度センサは、溶融温度がTmである少なくとも1つの前記可溶性リンクから距離D以内に配置され、測定温度がTmの5度以内であり、距離Dが5cm以下である場合に、前記比較の結果は火災危険状態を示す。
【0099】
さらなる変形例によれば、少なくとも1つの前記可溶性リンクの溶融温度はTmであり、前記温度センサは、溶融温度がTmである少なくとも1つの前記可溶性リンクから距離D以内に配置され、距離Dが5cm以下であって、時間Tdの間に測定温度がTmの5度以内である場合に、前記比較の結果は火災危険状態を示す。
【0100】
さらなる変形例によれば、ウィンドウ期間Tw中の合計組み合わせ持続時間が時間Tmaxを超えるまで、サンプリング間隔にわたって前記時間Tdを合計する。
【0101】
さらなる変形例によれば、Tdは30秒、1分、2分、3分、または5分であり、Tmaxは1分、2分、3分、5分、または10分である。
【0102】
開示した主題の第3の態様によれば、換気フード内または換気フード下の火災危険状態に対処する方法は、前記換気フード内または前記換気フードの下に、可溶性リンク作動機構を有する第1消火システムを設ける工程と、前記換気フード内または前記換気フードの下に、前記第1消火システムとは別の作動機構を有する第2消火システムを設ける工程と、前記火災危険状態を特定する工程と、前記特定に応答して、前記換気フードのユーザが知覚できる警告を出力する工程と、火災状態が存在するかどうかを判断する工程と、前記判断に応じて、前記第2消火システムを標的として作動させ、火災状態にある前記換気フードの下の領域のみを消火する工程と、を備える。
【0103】
第3の態様の変形例によれば、前記火災危険状態を特定するために、第1態様の変形例のいずれかに係る方法を実施する。
【0104】
上記の態様およびその変形例のいずれかのさらなる変形例によれば、前記方法はさらに、前記可溶性リンク作動機構の可溶性リンクが溶解したことに応答して、または前記第2消火システムの制御装置からの制御信号に応答して、前記第1消火システムを作動させる工程を備える。
【0105】
開示した主題の第4の態様によれば、消火システムを備えた厨房用排気フードに火災検知および警報システムを追加する方法であって、排気ダクトに接続したプレナム部と、前記排気ダクトを通る排気流量を少なくとも制御するように構成した制御装置と、火災状態の検出に応じて前記厨房用排気フードの下に消火剤を放出するよう構成した消火システムと、を備える厨房用排気フードを提供する工程と、前記消火システムの火災センサ近傍の温度を測定し、Tdurを超える期間にわたって測定温度が所定の温度Tsetを超えた場合に火災危険警告を出力するよう前記制御装置を構成する工程と、を備える。
【0106】
変形例によれば、前記消火システムは、指定された温度で溶融して、前記消火システムを作動させるよう構成した可溶性リンクを備える。
【0107】
さらなる変形例によれば、前記近傍は、50cmより近く、40cmより近く、30cmより近く、20cmより近く、10cmより近く、または5cmより近い。
【0108】
さらなる変形例によれば、Tsetは、前記消火システムの可溶性リンクの特定の溶融温度以下である。
【0109】
さらなる変形例によれば、Tsetは、前記消火システムの可溶性リンクの特定の溶融温度に等しい。
【0110】
さらなる変形例によれば、Tsetは、前記消火システムの可溶性リンクの前記特定の溶融温度からTdeltaを差し引いた温度に等しい。
【0111】
さらなる変形によれば、Tdeltaは華氏1度、華氏2度、華氏3度、または華氏4度である。
【0112】
さらなる変形例によれば、前記方法は、少なくとも1つの前記火災センサの近傍に少なくとも1つの温度センサを設置する工程を備える。
【0113】
さらなる変形例によれば、2つの温度センサを前記プレナム部の対向する端部に設置する。
【0114】
さらなる変形例によれば、前記方法は、前記消火システムの前記火災センサを直接見通せる(a direct line of sight view)状態で、前記排気フードの下に少なくとも1つの放射温度センサを設置する工程を備え、前記少なくとも1つの放射温度センサは、前記火災センサのうちの少なくとも1つの放射温度を測定するような向きである。
【0115】
開示した主題の第5の態様によれば、消火システムの動作を確認する方法は、火災の検知に応じて消火剤を放出するよう構成した消火システムであって、一以上の火災検知器を備える消火システムを提供する工程と、前記一以上の火災検知器を一以上の温度センサで監視し、前記一以上の温度センサからの信号を制御装置に出力する工程と、前記温度センサによって測定した温度がしきい値温度Tsetを時間Tdurにわたって超えたことに応答して、前記制御装置によって火災警報信号を生成する工程と、を備える。
【0116】
変形例によれば、前記一以上の火災検知器は、所定の溶融温度を有する可溶性リンクを備える。
【0117】
さらなる変形例によれば、前記方法は、前記消火システムが前記消火剤を放出することなく、前記温度センサによって測定した温度が前記所定の溶融温度を超えたことに応答して、前記消火システムの故障を示す警告を生成する工程をさらに備える。
【0118】
開示した主題の第6の態様によれば、一次消火システムおよび二次消火システムを備えた厨房用換気システムが提供され、測定温度に基づいて厨房用換気システムを制御する。
【0119】
明示的に記載したすべての態様およびその変形例を組み合わせて、さらなる実施形態を作成できることは明らかである。本開示による、多くの代替案、修正、変形が可能となる。開示した各実施形態の特徴は、開示の範囲内で組み合わせたり、再配置したり、省略したりして、追加の実施形態を作成することができる。さらに、特定の機能は、他の機能と対応して使用せずとも、好適に使用してよい場合がある。したがって、出願人は、本開示の精神および範囲内にあるそのようなすべての代替物、修正物、同等物、および変形を包含することを意図している。
【国際調査報告】