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特表2024-536019再生可能生成物ストリームを生成するためのプロセス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-04
(54)【発明の名称】再生可能生成物ストリームを生成するためのプロセス
(51)【国際特許分類】
   C10G 3/00 20060101AFI20240927BHJP
   C10G 45/02 20060101ALI20240927BHJP
   C10G 35/04 20060101ALI20240927BHJP
   C10G 50/00 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
C10G3/00 Z
C10G45/02
C10G35/04
C10G50/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024515675
(86)(22)【出願日】2022-10-21
(85)【翻訳文提出日】2024-04-01
(86)【国際出願番号】 US2022078507
(87)【国際公開番号】W WO2023076839
(87)【国際公開日】2023-05-04
(31)【優先権主張番号】17/513,651
(32)【優先日】2021-10-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】598055242
【氏名又は名称】ユーオーピー エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100133765
【弁理士】
【氏名又は名称】中田 尚志
(72)【発明者】
【氏名】ジャダウン、クリシャン プラタープ
(72)【発明者】
【氏名】ボッツァーノ、アンドレア ジー.
(72)【発明者】
【氏名】マニ、クリシュナ
(72)【発明者】
【氏名】フレイ、スタンリー ジョセフ
【テーマコード(参考)】
4H129
【Fターム(参考)】
4H129AA03
4H129BA11
4H129BB04
4H129BC13
4H129CA06
4H129DA12
4H129DA13
4H129DA15
4H129DA17
4H129NA22
4H129NA23
(57)【要約】
10~13個の炭素原子を有する遊離脂肪酸が濃縮されたバイオ再生可能供給原料を、植物油又は更には鉱物供給原料などの従来のバイオ再生可能供給原料に利用される水素化脱酸素の比よりも低い中程度の水素化脱酸素比で水素化脱酸素することによって、洗浄剤産業によって所望される範囲のノルマルパラフィンを生成することができる。水素異性化又はイソノルマル分離のいずれかを実行して、グリーン燃料ストリームを提供することができる。2つの反応器が提案されており、一方は、10~13個の炭素原子を有する遊離脂肪酸が濃縮されたバイオ再生可能供給原料の水素化脱酸素のためのものであり、他方は、従来のバイオ再生可能供給原料又は更にはより高い脱酸素比で操作される鉱物供給原料のためのものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの供給原料ストリームを水素化処理するためのプロセスであって、
水素及び水素化脱酸素触媒の存在下でバイオ再生可能供給原料ストリームを水素化脱酸素して、水素化脱酸素ストリームを生成することと、
水素及び水素化処理触媒の存在下で第2の供給原料ストリームを水素化処理して、水素化処理ストリームを提供することと、
前記水素化脱酸素ストリームを分留して、軽質ノルマルパラフィンストリーム及び重質ノルマルパラフィンストリームを提供することと、
前記水素化処理ストリームの一部を、前記軽質ノルマルパラフィンストリーム又は前記重質ノルマルパラフィンストリームと混合することとを含む、プロセス。
【請求項2】
前記重質ノルマルパラフィンストリームを液体水素化処理ストリームと混合して、異性化供給原料ストリームを提供し、水素及び水素異性化触媒の存在下で前記異性化供給原料ストリームを水素異性化して、異性化物ストリームを生成する、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記軽質ノルマルパラフィンストリームを脱水素化して、軽質ノルマルオレフィンストリームを生成し、前記軽質ノルマルオレフィンストリームをベンゼンストリームでアルキル化して、アルキルベンゼンストリームを生成することを更に含む、請求項2に記載のプロセス。
【請求項4】
前記バイオ再生可能供給原料ストリームに、10~13個の炭素原子を有する遊離脂肪酸が濃縮されている、請求項3に記載のプロセス。
【請求項5】
更に、前記第2の供給原料ストリームが、従来のバイオ再生可能油を含むバイオ再生可能供給原料ストリームである、請求項4に記載のプロセス。
【請求項6】
ノルマルパラフィンリッチストリームを液体水素化処理ストリームから分離することと、前記ノルマルパラフィンリッチストリームを前記軽質ノルマルパラフィンストリームと混合することと、前記軽質ノルマルパラフィンストリームを脱水素化して、軽質ノルマルオレフィンストリームを生成し、前記軽質ノルマルオレフィンストリームをベンゼンストリームでアルキル化して、アルキルベンゼンストリームを生成することとを更に含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項7】
前記第2の供給原料ストリームが、灯油供給原料ストリームである、請求項6に記載のプロセス。
【請求項8】
水素化脱酸素工程を35~60%の水素化脱酸素比で操作することを更に含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項9】
水素化脱酸素工程におけるよりも高い水素化脱酸素比で前記水素化処理工程を操作することを更に含む、請求項6に記載のプロセス。
【請求項10】
前記異性化物ストリームをナフサ及びジェット燃料に分離することを更に含む、請求項2に記載のプロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(優先権の記載)
本出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれている、2021年10月28日出願の米国特許出願第17/513,651号への優先権を主張する。
【0002】
(発明の分野)
本分野は、再生可能供給原料ストリームから生成物ストリームを生成するためのプロセスである。具体的には、本分野は、再生可能供給原料ストリームから洗浄剤ストリーム及び燃料ストリームを生成するためのプロセスである。
【背景技術】
【0003】
直鎖アルキルベンゼンは、式C2n+1を有する有機化合物である。アルキル炭素数「n」は任意の実用的な値を有することができるが、洗浄剤製造業者は、アルキルベンゼンが、9~16の範囲内、好ましくは10~13の範囲内のアルキル炭素数を有することを望んでいる。これらの特定の範囲は、アルキルベンゼンが洗剤用界面活性剤の製造における中間体として使用される場合に、しばしば必要とされる。10~13の範囲内のアルキル炭素数は、洗浄剤産業の規格に合致する。
【0004】
アルキルベンゼンから生成される界面活性剤は生分解性であるので、アルキルベンゼンの製造は、1960年代の洗剤製造におけるそれらの最初の使用以来、急速に成長してきた。アルキルベンゼン中のパラフィン鎖の直鎖性は、材料の生分解性及び洗浄剤としての有効性にとって重要である。アルキルベンゼンの最終的な直鎖性における主要な因子は、パラフィン成分の直鎖性である。
【0005】
アルキルベンゼンベースの界面活性剤を利用して作製された洗浄剤は生分解性であるが、アルキルベンゼンを作製するためのプロセスは、再生可能資源に基づいてはいない。特に、アルキルベンゼンは、現在、地球から採掘された原油を精製した灯油から製造されている。化石燃料の採掘に対する環境的偏見の増大及び化石燃料鉱床の枯渇に対する経済的懸念の増大により、洗剤及び他の産業において生分解性界面活性剤の代替源を使用することが支持され得る。
【0006】
したがって、地球から採掘されるのではなく、バイオ再生可能源から生成される高度の直鎖性を有する直鎖アルキルベンゼンを提供することが望ましい。更に、容易に加工されるトリグリセリドからの再生可能な直鎖アルキルベンゼンと、植物油、動物油、ナッツ油、及び/又は種子油からの脂肪酸とを提供することが望ましい。パーム核油、ヤシ油、及びババス油は、洗浄剤産業において望ましいアルキル炭素数範囲と一致する組成を有する。
【0007】
バイオ燃料は、直鎖アルキルベンゼンと同時に生成され得る。本発明の他の望ましい特徴及び特性は、添付図面、及びこの背景技術と併せて考慮される、後続する本発明の詳細な説明、及び添付の特許請求の範囲から、明らかになるであろう。
【発明の概要】
【0008】
本発明者らは、10~13個の炭素原子を有する遊離脂肪酸が濃縮されたバイオ再生可能供給原料が、植物油などの従来のバイオ再生可能供給原料に利用される水素化脱酸素比よりも小さい中程度の水素化脱酸素比によって、洗浄剤アルキル化に有利なパラフィン組成物に変換されることを発見した。本開示は、2つの反応器を提案し、一方は、12個及び14個の炭素原子を有する遊離脂肪酸が濃縮されたバイオ再生可能供給原料の水素化脱酸素のためのものであり、他方は、従来のバイオ再生可能供給原料又は更にはより高い脱酸素比で操作される鉱物供給原料のためのものである。
【0009】
本開示の更なる詳細及び実施形態は、本開示の以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本開示の変換ユニットの概略図である。
図2図1の別の変換ユニットの概略図である。
図3図1又は図2のいずれかの変換ユニットと共に有用なベンゼンアルキル化ユニットの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示は、再生可能資源から、洗浄剤製造並びにジェット燃料及び/又はディーゼルのためのアルキルベンゼンを製造しようとするものである。多くの植物油は、水素化脱酸素されたときに、洗浄剤製造業者によって望まれるよりも長い16~18個の炭素を有するノルマルパラフィンを生成する脂肪酸を有する。しかしながら、パーム核油(PKO)、ヤシ油、及びババス油などのいくつかの再生可能資源は、脱酸素化されたときに10~13個の炭素を有するノルマルパラフィンを生成する脂肪酸を有する。10~13個の炭素を有するノルマルパラフィンは、洗浄剤製造業者が洗浄剤に使用されるアルキルベンゼン上のアルキル基に対して望む所望の数の炭素である。
【0012】
水素化脱酸素の程度は、10~13個の炭素範囲のノルマルパラフィンのそれぞれへの選択性に影響を及ぼし得ることを見出した。12個及び14個の炭素原子を有する脂肪酸を有するバイオ再生可能供給原料について、水素化脱酸素は、それぞれ、対応する数の12個及び14個の炭素原子を有するノルマルパラフィンに変換する。例えば、14個の炭素原子の脂肪酸による中性脂肪の水素化脱酸素は、テトラデカンを生成する。
【0013】
【化1】
【0014】
しかし、脱炭酸又は脱カルボニルにより、1個2及び14個の炭素原子を有する脂肪酸は、11個及び13個の炭素原子を有する脂肪酸よりも炭素原子が1個少ないノルマルパラフィンに変換される。例えば、14個の炭素原子の脂肪酸を用いたトリグリセリドの脱炭酸は、トリデカンと炭酸ガスを生成する。
【0015】
【化2】
【0016】
水素化脱酸素の程度が大きいと、水素化脱酸素された組成物が、ノルマルテトラデカン及びノルマルドデカンに大きく偏って、ノルマルトリデカン及びノルマルウンデカンが損なわれる可能性がある。水素化脱酸素の程度が小さいと、水素化脱酸素された組成物が、ノルマルトリデカン及びノルマルウンデカンに偏って、ノルマルテトラデカン及びノルマルドデカンが損なわれる可能性がある。水素化脱酸素比は、次式によって決定される。
【0017】
【数1】
【0018】
本発明者らは、35~60%、好ましくは40~55%の百分率での水素化脱酸素が、少なくともn-パラフィンについて洗浄剤仕様によって所望される範囲のノルマルウンデカン、ノルマルドデカン、及びノルマルトリデカンを有する水素化脱酸素組成物を提供することを見出した。ノルマルデカンは場合によっては少なく、洗浄剤仕様を満たすために補充する必要があり得る。
【0019】
15~20個の炭素の範囲の炭素数を有する脂肪酸を有する他の植物油は、典型的には、ジェット燃料又はディーゼル範囲のパラフィンを得るために高度の水素化脱酸素にかけられる。高度の水素化脱酸素は、洗浄剤製造に最良のPKO、ココナッツ油、及びババス油の中程度の水素化脱酸素と同等ではない。したがって、本発明者らは、他の供給原料ストリームの水素化脱酸素を、PKO、ヤシ油、及びババス油などの10~13個の炭素、特に11~13個の炭素のノルマルパラフィンを生成するバイオ再生可能ストリームの水素化脱酸素から切り離して、洗浄剤製造において所望される水素化脱酸素組成物のより高い収率を達成することを提案する。
【0020】
図1において、本発明者らは、2つの水素化脱酸素反応器を利用することによって、12個及び14個の炭素を有する大量の脂肪酸を有するバイオ再生可能供給原料ストリームの水素化脱酸素を、14~20個の炭素を有する大量の脂肪酸を有する別のバイオ再生可能供給原料ストリームの水素化脱酸素から切り離すことを提案する。
【0021】
例示的な一実施形態による、バイオ再生可能供給原料ストリームを処理するためのプロセス10が示されている。第1の供給原料ライン12は、第1のバイオ再生可能供給原料ストリームを輸送し得る。用語「バイオ再生可能供給原料ストリーム」は、原油から得られるもの以外の供給原料を含むことを意味する。バイオ再生可能供給原料ストリームは、グリセリド及び遊離脂肪酸のうちの少なくとも一方を含むそれらの供給原料のいずれかを含み得る。グリセリドのほとんどは、トリグリセリドであろうが、モノグリセリド及びジグリセリドが、存在し、同様に処理されてもよい。遊離脂肪酸は、供給原料中のリン源であり得るリン脂質から得ることができる。ライン12内の第1のバイオ再生可能供給原料ストリームは、12個及び14個の炭素原子を有する遊離脂肪酸が実質的に濃縮された生物油を含み得る。遊離脂肪酸は、グリセリン架橋に由来し得る。本明細書で使用される場合、用語「実質的な」、「実質的に」、又は「実質的」は、30%超、好適には40%超、好ましくは50%超を意味する。
【0022】
このようなバイオ再生可能油の例としては、PKO、ヤシ油、及びババス油が挙げられる。バイオ再生可能供給原料は、汚染物質を除去するために前処理され、固形物を除去するために濾過され得る。ライン12のバイオ再生可能供給原料ストリームは、ライン14からの水素と混合され、加熱され、第1の水素化脱酸素反応器16に供給されてもよい。
【0023】
第2の供給原料ライン18は、第2の供給原料ストリームを輸送する。ライン18内の第2の供給原料ストリームは、グリセリン架橋に由来する10~20個の炭素原子を有する遊離脂肪酸を含む生物油の第2のバイオ再生可能供給原料ストリームを含んでもよい。第2の供給原料ストリームは、12又は14個の炭素原子を有する遊離脂肪酸が濃縮されていない植物油などの従来のバイオ再生可能油であってもよい。ライン18内の第2の供給原料ストリームは、12又は14個の炭素原子を有していない遊離脂肪酸が実質的に濃縮された生物油を含み得る。様々な異なるバイオ再生可能供給原料が、第2の供給原料ライン18内の第2のバイオ再生可能供給原料ストリームに好適であり得る。これらのバイオ再生可能供給原料の例としては、以下に限定されないが、カメリナ油、キャノーラ油、トウモロコシ油、ダイズ油(soy oil)、ナタネ油、ダイズ油(soybean oil,)、セイヨウアブラナ油、トール油、ヒマワリ油、麻実油、オリーブ油、アマニ油、ヒマシ油、ピーナッツ油、からし油、獣脂、黄色及び褐色グリース、ラード、鯨油、乳中の脂肪、魚油、藻類油、下水汚泥などが挙げられる。バイオ再生可能供給原料の更なる例としては、Jatropha curcas(ラタンジョ、ワイルドキャスター、ジャングリエランディ)、Madhuca indica(モウワ)、Pongamia pinnata(カランジ、ホンジー)、calophyllum inophyllum、moringa oleifera、及びAzadirachta indica(ニーム)を含む群からの非食用植物油が挙げられる。典型的な植物性又は動物性脂肪のトリグリセリド及びFFAは、それらの構造中に、8~30個の炭素原子を有する脂肪族炭化水素鎖を含有する。理解されるように、バイオ再生可能供給原料は、前述の例のうちの1つ以上の混合物を含み得る。ライン18内の第2の供給原料ストリームは、ライン20からの水素と混合され、加熱され、水素化処理反応器22に供給され得る。
【0024】
第1の水素化脱酸素反応器16は、水素の存在下で第1のバイオ供給原料ストリームを水素化脱酸素して、第1のバイオ再生可能供給原料ストリームを水素化脱酸素して第1の水素化脱酸素ストリームを提供するための水素化脱酸素触媒の床を含んでもよい。水素化処理反応器22は、水素の存在下で第2の供給原料ストリームを水素化処理して、第2の供給原料ストリームを水素化処理して水素化処理ストリームを提供するための水素化処理触媒の床を含んでもよい。図1の実施形態では、水素化処理反応器は、水素の存在下で第2のバイオ再生可能供給原料ストリームを水素化脱酸素して、第2のバイオ再生可能供給原料ストリームを水素化脱酸素して第2の水素化脱酸素ストリームを提供するための水素化脱酸素触媒の床を含む第2の水素化脱酸素反応器22を含んでもよい。
【0025】
水素化脱酸素反応器16、22内で起こる水素化脱酸素反応は、水素化脱カルボニル反応及び水素化脱炭酸反応を含む。更に、オレフィン飽和、リンを除去する水素化脱金属、水素化脱硫、及び水素化脱窒素を含む他の水素化処理反応が、水素化脱酸素反応器16、22内で起こる。
【0026】
第1の水素化脱酸素反応器16内の条件は、250℃(482°F)~400℃(752°F)の温度700kPa(絶対圧)(100psig)~21MPa(絶対圧)(3000psig)の圧力を含み得る。水素化脱酸素反応器の温度は、低く保たれ、典型的なバイオ再生可能供給原料については343℃(650°F)未満、より高い遊離脂肪酸(free fatty acid、FFA)濃度を有する供給原料については、FFA中に見出されるオレフィンの重合を回避するために、304℃(580°F)未満であってもよい。一般に、1.9MPa(絶対圧)(285psia)~14.7MPa(絶対圧)(2133psia)の水素化脱酸素反応器の圧力が好適である。
【0027】
第1の水素化脱酸素反応器16及び第2の水素化処理反応器22は、担体上に卑金属を含む保護床触媒を含み得る。このプロセスで使用可能な卑金属としては、ニッケル、クロム、モリブデン、及びタングステンが挙げられる。使用され得る他の卑金属としては、スズ、インジウム、ゲルマニウム、鉛、コバルト、ガリウム、及び亜鉛が挙げられる。卑金属は、硫化物の形態で活性である。更なる実施形態では、保護床触媒は、第2の金属を含み得、第2の金属は、スズ、インジウム、ルテニウム、ロジウム、レニウム、オスミウム、イリジウム、ゲルマニウム、鉛、コバルト、ガリウム、亜鉛、及びタリウムの金属のうちの1つ以上を含む。アルミナ担持ニッケルモリブデン触媒は、保護床内の好適な触媒であり得る。水素クエンチストリームは、温度発熱を制御するために、間隔を空けた位置又は床間の位置で注入され得る。
【0028】
第1の水素化脱酸素反応器16及び第2の水素化処理反応器22はまた、それぞれの供給原料ストリームに、更に水素化脱金属、水素化脱酸素(水素化脱カルボニル及び水素化脱炭酸を含む)、水素化脱窒素、及び水素化脱硫を行うために、水素化脱酸素触媒の床を有し得る。除去される金属としては、アルカリ金属及びアルカリ土類金属並びにリンが挙げられる。バイオ再生可能供給原料中のn-パラフィン鎖のオレフィン部分又は不飽和部分も飽和されている。水素化脱炭酸反応及び水素化脱カルボニル反応を含む水素化脱酸素反応は、バイオ再生可能供給原料分子から酸素化官能基を除去し、除去された酸素化官能基は、水及び酸化炭素に変換される。水素化脱酸素触媒はまた、バイオ再生可能供給原料ストリーム中の有機硫黄の脱硫及び有機窒素の脱窒素を触媒する。
【0029】
水素化脱酸素触媒は、アルミナなどの高表面積担体上に分散されたニッケル、ニッケル/モリブデン、又はコバルト/モリブデンを含み得る。好適な水素化処理触媒としては、UOP LLC(Des Plaines,Illinois)から入手可能なBDO 200又はBDO 300が挙げられる。水素化脱酸素触媒は、硫化形態であるべきである。ライン24中の再循環ストリームからの硫化水素は、触媒硫化のための硫黄を提供し得る。
【0030】
第1の水素化脱酸素反応器16は、ライン26内で水素化脱酸素ストリームを生成する。水素化脱酸素ストリームは、10~13個の炭素原子範囲、好ましくは11~13個の炭素原子範囲の実質的なn-パラフィン濃度を有する炭化水素留分を含む。炭化水素留分中の酸素化物濃度は、本質的にゼロである一方で、オレフィン濃度は、第1のバイオ再生可能供給原料ストリームに対して実質的に低減される。炭化水素留分中の有機硫黄濃度は、500wppm以下であり得、炭化水素留分中の有機窒素濃度は、10wppm以下であり得る。第1の水素化脱酸素反応器16における条件は、35~60%、好ましくは40~55%の水素化脱酸素比を達成するように操作される。
【0031】
第2の水素化処理反応器22は、ライン28内で水素化処理ストリームを生成する。水素化処理ストリームは、ライン28中の第2の水素化脱酸素ストリームであってもよく、この場合、ライン26中の水素化脱酸素ストリームは、第1の水素化脱酸素ストリームである。水素化処理ストリームは、14~20個の炭素原子範囲の実質的なn-パラフィン濃度を有する炭化水素留分を含む。炭化水素留分中の酸素化物濃度は、本質的にゼロである一方で、オレフィン濃度は、第1のバイオ再生可能供給原料ストリームに対して実質的に低減される。炭化水素留分中の有機硫黄濃度は、500wppm以下であり得、炭化水素留分中の有機窒素濃度は、10wppm以下であり得る。水素化処理反応器22内の条件は、250℃(482°F)~400℃(752°F)の温度及び700kPa(絶対圧)(100psig)~21MPa(絶対圧)(3000psig)、好ましくは1.9MPa(絶対圧)(285psia)~14.7MPa(絶対圧)(2133psia)の圧力を含み得る。第2の水素化処理反応器22における条件は、第1の水素化脱酸素反応器16における水素化脱酸素比よりも高い水素化脱酸素比を達成するように、及び/又は55%超、好適には60%超、好ましくは少なくとも90%の水素化脱酸素比を達成するように操作される。
【0032】
ライン26中の水素化脱酸素ストリームを冷却し、第1の分離器30中で分離して、塔頂ライン18中の水素ガスストリーム及び塔底ライン32中の液体水素化脱酸素ストリームを提供することができる。水性ストリームは、分離器30から下がるブートから除去され得る。第1の分離器30は、水素化脱酸素反応器16及び図示されていない上流高温分離器と下流連通していてもよい。第1の分離器30は、30℃(116°F)~70℃(158°F)で動作され得る。第1の分離器30は、介在する機器による圧力低下を考慮して、水素化脱酸素反応器32よりもわずかに低い圧力で動作され得る。第1の分離器30は、1.9MPa(絶対圧)(285psig)~14.7MPa(絶対圧)(2133psia)の圧力で動作され得る。
【0033】
ライン28中の水素化処理ストリームを冷却し、第2の分離器34中で分離して、塔頂ライン18中の水素ガスストリーム及び塔底ライン36中の液体水素化脱酸素ストリームを提供し得る。水性ストリームは、分離器34から下がるブートから除去され得る。第2の分離器34は、水素化処理反応器28及び図示されていない上流高温分離器と下流連通していてもよい。第2の分離器34は、30℃(116°F)~70℃(158°F)で動作され得る。第2の分離器34は、介在する機器による圧力低下を考慮して、水素化処理反応器22よりもわずかに低い圧力で動作され得る。第2の分離器34は、1.9MPa(絶対圧)(285psig)~14.7MPa(絶対圧)(2133psia)の圧力で動作され得る。
【0034】
一実施形態では、第1の分離器30及び第2の分離器34は、第1の分離器内の液体を第2の分離器34内の液体から隔離するバッフルを有する同じ容器内にあってもよい。バッフルは、容器の底部に封止された底縁部を有してもよいが、容器の上部から離間した上縁部を有してもよい。したがって、第1の分離器30及び第2の分離器34は、同じ塔頂出口24を共有し得るが、分離された塔底出口32及び36並びに分離されたブート出口を有し得る。
【0035】
本明細書で使用される場合、用語「分離器」は、入口と、少なくとも塔頂蒸気出口及び塔底液体出口とを有し、ブートからの水性ストリーム出口も有し得る容器を意味する。フラッシュドラムとは、より高い圧力で動作され得る分離器と下流連通し得る、あるタイプの分離器である。「連通」という用語は、列挙された構成要素間で流体の流れが動作可能に許容されることを意味し、これは「流体連通」として特徴付けることができる。「下流連通」という用語は、下流連通している対象に流れる流体の少なくとも一部が、流体連通している物体から動作可能に流れることができることを意味する。
【0036】
ライン32内の液体水素化脱酸素ストリームは、スプリッタカラム40内で分留されて、3つのストリームを生成し得る。あるいは、複数のカラムが使用されてもよい。スプリッタ塔頂ストリームは、塔頂ラインにおいてスプリッタカラム40から抜き出され、冷却器において凝縮され、分離器に供給される。凝縮された塔頂ストリームは、還流ラインを通って還流としてスプリッタカラム40に再循環され、グリーンLPG及びナフサを含むC9-炭化水素を含む正味の蒸気ストリームは、正味塔頂ライン42において抜き出される。グリーンLPG及びナフサは下流で分離することができる。C10~C13炭素範囲の軽質ノルマルパラフィンストリームを含む液体側部ストリームは、スプリッタカラム40の側部41からライン44で取り出される。軽質ノルマルパラフィンストリームの組成は、少なくともC11~C13ノルマルパラフィンについて適用可能な洗浄剤アルキル化仕様を満たす。用語「Cx」は、下付き文字「x」によって表される炭素原子数を有する分子を指すと理解されるべきである。同様に、用語「Cx-」は、x個以下(less than or equal to x)、好ましくはx個以下(x and less)の炭素原子を含有する分子を指す。用語「Cx+」は、x個以上(more than or equal to x)、好ましくはx個以上(x and more)の炭素原子を有する分子を指す。ライン44中の軽質ノルマルパラフィンストリームは、図3の洗浄剤アルキル化ユニット200に輸送され得る。
【0037】
スプリッタ塔底ストリームは、塔底ラインを通ってスプリッタカラム40から抜き出され、そこからスプリッタ塔底ストリームの一部がリボイララインを通って流れ、リボイラ加熱器で加熱され、スプリッタ分留カラム40に戻る。スプリッタ塔底ストリームの残りの部分は、C14~C20炭素範囲の重質ノルマルパラフィンストリームを含む正味塔底ストリームライン46を通って流れる。スプリッタ分留カラム40は、230~270℃の底部温度範囲、及び20kPa~400mmHg(絶対圧)のわずかな真空までの塔頂圧力で動作する。側ストリームを生成する単一のカラムの代わりに、2つの分留カラムを使用して3つのストリームを提供することができることが想定される。
【0038】
「カラム」という用語は、異なる揮発性の1つ以上の成分を分離するための蒸留カラム(複数可)を意味する。別途記載のない限り、各カラムは、カラムの頂部に戻る塔頂ストリームの一部を凝縮かつ還流させるためにカラムの塔頂に凝縮器と、底部ストリームの一部を、気化させ、カラムの底部へと返送するためにカラムの底部に再沸器と、を含む。カラムへの供給原料は、予熱され得る。頂部圧力は、カラムの蒸気出口における塔頂蒸気の圧力である。底部温度は、液体底部出口温度である。別途記載のない限り、塔頂ライン及び塔底ラインは、任意の還流又は再沸騰の下流のカラムからカラムまでの正味のラインを指す。ストリッパカラムは、カラムの底部にあるリボイラを省略し、代わりに、水蒸気などの流動化不活性媒体から所要熱量及び分離の推進力を提供し得る。
【0039】
水素化処理ストリームの一部は、正味塔底ライン46中の重質ノルマルパラフィンストリームと混合される。具体的には、第2の塔底ライン36中の液体水素化処理ストリームは、図1の実施形態において重質ノルマルパラフィンストリームと混合されて、ライン48中の水素異性化供給原料ストリームを提供する。ライン48中の水素異性化供給原料ストリームは、ライン56中の再循環ストリーム及びライン52中の水素異性化水素ストリームと合わせて、水素異性化反応器50に供給することができる。低温流動性を改善するために、水素化処理ストリームを水素異性化反応器50内で、水素異性化条件下で水素異性化触媒と接触させて、ノルマルパラフィンを分岐パラフィンに水素異性化することができる。
【0040】
水素異性化反応器50内のノルマル炭化水素の、水素脱ろう化として知られる水素異性化は、水素異性化触媒の1つ以上の床上で達成され得、水素異性化は、並流動作モードで操作され得る。
【0041】
好適な水素異性化触媒は、周期表の第VIII族(IUPACの8~10)の金属及び担持材料を含み得る。好適な第VIII族の金属としては、プラチナ及びパラジウムが挙げられ、それぞれが単独で又は組み合わせて使用され得る。担持材料は、非晶質又は結晶質であり得る。好適な担体材料としては、非晶質アルミナ、非晶質シリカ-アルミナ、フェリエライト、ALPO-31、SAPO-11、SAPO-31、SAPO-37、SAPO-41、SM-3、MgAPSO-31、FU-9、NU-10、NU-23、ZSM-12、ZSM-22、ZSM-23、ZSM-35、ZSM-48、ZSM-50、ZSM-57、MeAPO-11、MeAPO-31、MeAPO-41、MgAPSO-11、MgAPSO-31、MgAPSO-41、MgAPSO-46、ELAPO-11、ELAPO-31、ELAPO-41、ELAPSO-11、ELAPSO-31、ELAPSO-41、ラウモンタイト、カンクリナイト、オフレタイト、水素型のスティルバイト、マグネシウム又はカルシウム型のモルデナイト、及びマグネシウム又はカルシウム型のパーセイトが挙げられ、これらの各々は、単独で又は組み合わせて使用され得る。ALPO-31は、米国特許第4,310,440号に記載されている。SAPO-11、SAPO-31、SAPO-37、及びSAPO-41は、米国特許第4,440,871号に記載されている。SM-3は、米国特許第4,943,424号、米国特許第5,087,347号、米国特許第5,158,665号、及び米国特許第5,208,005号に記載されている。MgAPSOは、MeAPSOであり、これは、アルミニウムケイリン酸金属(metal aluminumsilicophosphate)モレキュラシーブの頭字語であり、金属Meは、マグネシウム(Mg)である。好適なMgAPSO-31触媒は、MgAPSO-31を含む。MeAPSOは、米国特許第4,793,984号に記載されており、MgAPSOは、米国特許第4,758,419号に記載されている。MgAPSO-31は、好ましいMgAPSOであり、31は、構造タイプ31を有するMgAPSOを意味する。米国特許第4,795,623号及び米国特許第4,924,027号に教示されているように、当初に減少した細孔径を有するフェリエライトなどの多くの天然ゼオライトは、アンモニウムイオン交換及びか焼によって、会合しているアルカリ金属又はアルカリ土類金属を除去して実質的に水素形態を生成することによって、オレフィン骨格水素異性化に適した形態に変換され得る。骨格水素異性化のための更なる触媒及び条件は、米国特許第5,510,306号、同第5,082,956号、及び同第5,741,759号に開示されている。水素異性化触媒はまた、米国特許第5,716,897号及び米国特許第5,851,949号に記載されているように、ランタン、セリウム、プラセオジミウム、ネオジム、サマリウム、ガドリニウム、テルビウム、及びそれらの混合物からなる群から選択される改質剤も含み得る。他の好適な担体材料としては、ZSM-22、ZSM-23、及びZSM-35が挙げられ、これらは、米国特許第5,246,566号、及びS.J.Miller,「New Molecular Sieve Process for Lube Dewaxing by Wax Isomerization,」2 Microporous Materials 439-449(1994)と題する論文において、脱ろう化での使用について記載されている。米国特許第5,444,032号及び同第5,608,968号は、非晶質シリカ-アルミナゲル及び第VIIIA族に属する1つ又は2つ以上の金属によって構成され、15個を超える炭素原子を含有する長鎖ノルマルパラフィンの水素異性化において有効である好適な二官能性触媒を教示している。米国特許第5,981,419号及び米国特許第5,908,134号は、(a)ボロシリケート(BOR-B)及びSiO:Al比が300:1より高いボロアルミノシリケート(Al-BOR-B)から選択されるベータゼオライトと同型構造の多孔質結晶性物質、(b)0.05~5重量%の範囲内に含まれる量の、白金及びパラジウムから選択されるVIIIA族に属する1つ以上の金属を含む好適な二官能性触媒を教示している。V.Calemmaら、App.Catal.A:Gen.,190(2000),207は、更に別の好適な触媒を教示している。UOP LLC(イリノイ州デスプレーンズ)から入手可能なDI-100は、好適な触媒であり得る。
【0042】
水素異性化条件は、一般に、250℃(482°F)~400℃(752°F)の温度、及び1.9MPa(絶対圧)(285psia)~14.7MPa(絶対圧)(2133psia)の圧力を含む。別の実施形態では、水素異性化条件は、300℃(572°F)~360℃(680°F)の温度、及び3102kPa(絶対圧)(450psia)~6895kPa(絶対圧)(1000psia)の圧力を含む。
【0043】
水素異性化反応器50からの水素異性化ライン54中の水素異性化ストリームは、分岐パラフィンリッチストリームである。「リッチ」という用語は、流出物ストリームが、水素異性化反応器84に入るストリームよりも高い濃度の分岐パラフィンを有し、好ましくは、全パラフィン含有量の50質量%を超える分岐パラフィンを含むことを意味する。水素異性化流出物は、全パラフィン含有量の70、80、又は90質量%の分岐パラフィンを含有し得ることが想定される。
【0044】
ライン54内の水素異性化物ストリームは、図示されていない分離器内で分離され、水素異性化ストリッパ60内で軽質分がストリッピングされて、塔頂ライン62内に軽質ガスストリームを、塔底ライン64内にグリーン燃料ストリームを提供し得る。水素異性化ストリッパ60は、ライン66からの水蒸気で水素異性化物ストリームをストリッピングし、149℃(300°F)~288℃(550°F)の底部温度、及び0.35MPa(ゲージ圧)(50psig)~2.0MPa(ゲージ圧)(290psig)以下の、介在する機器の圧力低下を説明する水素異性化反応器50の圧力のすぐ下の塔頂圧力で動作され得る。
【0045】
ライン64内の液体グリーン燃料ストリームを乾燥させ、生成物カラム70内で分留して、3つのストリームを生成し得る。生成物塔頂ストリームは、塔頂ラインにおいて生成物カラム70から抜き出され、冷却器において完全に凝縮され、分離器内に送られる。凝縮された塔頂ストリームの一部は、還流ラインを通って還流として生成物分留カラム70に再循環され、グリーンナフサを含む正味液体ストリームは、正味塔頂液体ライン72に抜き出される。液体側部ストリームは、80℃~120℃の初留点及び290℃~310℃の終点のジェット燃料範囲のパラフィンストリームを含むライン74で生成物カラム70の側部71から取り出される。本明細書で使用される場合、用語「初留点」(initial boiling point、IBP)は、場合に応じて、ASTM D-86を使用して、試料が沸騰し始める温度を意味する。本明細書で使用される場合、用語「終点」(end point、EP)は、ASTM D-86を使用して、試料が全て蒸発した温度を意味する。
【0046】
生成物塔底ストリームは、塔底ラインを通って生成物カラム70から抜き出され、そこからスプリッタ塔底ストリームの一部がリボイラライン、リボイラ加熱器を通って流れ、生成物分留カラム70に戻る。生成物塔底ストリームの残りの部分は、C17~C20炭素範囲のグリーンディーゼルを含む正味塔底ライン76を通って流れる。グリーンディーゼルストリームの一部又は全部をライン56で再循環させて、ライン48の水素異性化供給原料ストリームと混合し、水素異性化反応器50で水素異性化され得る。グリーンディーゼルの一部又は全部は、ライン78で回収され得る。生成物分留カラム70は、250℃(482°F)~350℃(662°F)の底部温度範囲及び200mmHg(0℃での絶対圧)(3.9psia)~1.0MPa(絶対圧)(145psia)以下の塔頂圧力で動作する。
【0047】
図2は、ライン18’内の第2の供給原料ストリームが灯油などの鉱油ストリームであり、第2の水素化処理反応器22’が水素化処理触媒を含有する実施形態を示す。図2の要素の多くは、図1と同じ構成を有し、同じ参照番号を有する。図1の要素に対応するが、異なる構成を有する図2の要素は、図1と同じ参照番号を有するが、プライム記号(’)が付けられている。
【0048】
ライン18’中の第2の供給原料ストリームは、鉱油ストリームのような、地球から抽出される従来の炭化水素供給原料ストリームであってもよい。一実施形態において、ライン18’内の炭化水素供給原料ストリームは、好ましくは灯油ストリームである。第2の供給原料ストリームは、70℃~120℃のIBP及び280℃~320℃のEPの範囲で沸騰する炭化水素を含み得る。第1の供給原料ストリームは水素化脱酸素され、水素化脱酸素ストリームは第1の実施形態について記載したように回収され、処理されるが、第2の供給原料ストリームは水素化処理されて、鉱油供給原料ストリーム中に存在し得るヘテロ原子及び飽和オレフィンが除去される。ライン28中の水素化処理ストリームは、第1の分離器30と同じ容器中にあってもよい第2の分離器34に供給されるが、ライン36’中の液体水素化処理ストリームは、イソパラフィンからノルマルパラフィンを分離するために吸着分離ユニット80に供給されてもよい。洗浄剤アルキル化にはノルマルパラフィンが望ましく、燃料ストリームにはイソパラフィンが望ましい。
【0049】
好適な水素化処理触媒は、任意の公知の従来の水素化処理触媒であり、高表面積担体材料、好ましくはアルミナ上の、少なくとも1種の第VIII族金属、好ましくは鉄、コバルト及びニッケル、より好ましくはコバルト及び/又はニッケルと、少なくとも1種の第VI族金属、好ましくはモリブデン及びタングステンとからなるものが挙げられる。他の好適な水素化処理触媒としては、ゼオライト触媒、並びに貴金属がパラジウム及び白金から選択される貴金属触媒が挙げられる。水素化処理反応器22’において2種類以上の水素化処理触媒を使用することは、本発明の範囲内である。第VIII族金属は、典型的には2~20重量%、好ましくは4~12重量%の範囲の量で存在する。第VI族金属は、典型的には1~25重量%、好ましくは2~25重量%の範囲の量で存在する。
【0050】
好ましい水素化処理反応条件は、水素化処理触媒又は水素化処理触媒の組み合わせを用いて、290℃(550°F)~455℃(850°F)、適切には316℃(600°F)~427℃(800°F)、好ましくは343℃(650°F)~399℃(750°F)の温度、2.8MPa(ゲージ)(400psig)~17.5MPa(ゲージ圧)(2500psig)の圧、0.1hr-1、適切には0.5hr-1~5hr-1、好ましくは1.5~4hr-1の新鮮炭化水素供給原料の液空間速度、及び84Nm/m(500scf/bbl)~1011Nm/m油(6,000scf/bbl)、好ましくは168Nm/m油(1,000scf/bbl)~1250Nm/m油(7,500scf/bbl)の水素速度を含む。
【0051】
ライン36’の液体水素化処理ストリームは、吸着剤分離ユニット80に送られる。供給原料ライン36’内の供給原料ストリームは、吸着剤分離ユニット80内の弁101を通過し、吸着剤分離ユニット80は、供給原料を吸着剤容器86内の適切な床に送る。
【0052】
ライン32中の液体水素化脱酸素ストリームは、図1の実施形態におけるようにスプリッタカラム40中で分留される。正味塔底ライン46’中の重質ノルマルパラフィンストリームは、正味塔底ライン128中のラフィネート塔底ストリームと共に生成物カラムに供給されて、燃料ストリームに分留される。
【0053】
本明細書で使用される場合、用語「成分リッチストリーム」又は「成分ストリーム」は、容器から出てくるストリームが、容器への供給原料よりも高い濃度の当該成分を有することを意味する。本明細書で使用される場合、用語「成分希薄ストリーム」は、容器から出てくる希薄ストリームが、容器への供給原料よりも低い濃度の成分を有することを意味する。
【0054】
吸着剤分離ユニット80において、ライン36’の液体水素化処理ストリームは、ノルマルパラフィンストリームとイソパラフィンストリームとに分離される。液体水素化処理ストリーム中のノルマルパラフィンは、吸着剤成分の多孔質構造に選択的に入る又は吸蔵されるが、分岐炭化水素は、典型的には細孔に入らない。イソパラフィンは、ラフィネートストリームとしてプロセスを出る。ノルマルパラフィンをイソパラフィンから分離する有用な方法を提供するためには、吸蔵されたノルマルパラフィンを脱着することが必要である。開示されたプロセスにおいて、イソ又はノルマルペンタン、ヘキサン、ヘプタン、又はオクタン及びそれらの混合物は、抽出物-脱着剤ストリーム中のノルマルパラフィンを脱着するための脱着剤として適切に使用することができる。
【0055】
吸着剤容器に使用される吸着剤は、5オングストロームの比較的均一な孔径を有するアルミノシリケートモレキュラシーブを含むことが好ましい。好ましい吸着剤は、UOP LLC(イリノイ州デスプレーンズ)によって製造販売されている市販の5A型モレキュラシーブによって提供される。
【0056】
吸着剤容器86は、1つの床の底部とその下流の隣接する床の頂部との間でパイプ115によって相互接続された一連の垂直方向に間隔を置いて配置された別々の床を含むことができる。弁101は、それぞれのストリームの入口及び出口の点を下流方向に前進させるためのマニホールド構成又は回転弁を備えてもよい。吸着剤容器86は、下降流モードで動作するが、上昇流が適している場合もある。吸着剤容器86は、簡略化のために4つの主ゾーンI~IVを有するように示されているが、これらのゾーンは、異なるフラッシングスキームを考慮するときに更に細分されてもよい。プロセス全体は、4つの主ゾーンI~IVに分割された他の数の床、例えば8、12、又は24個の床を有してもよい。
【0057】
水素化処理ストリームは、供給原料ストリームをライン47を通ってゾーンIとIIとの間の吸着剤容器86に送るように配置された弁101を通ってライン36’を通って導入される。抽出物は、ライン33でゾーンIIとIIIとの間で抜き出され、弁101を通って抽出物ライン88で抽出物分留カラム90に輸送され、抽出物から脱着剤を分離する。脱着剤は、脱着剤ライン92をゾーンIIIとIVとの間のプロセスに脱着剤ライン94を通って脱着剤を送るように配置された弁101を通って脱着剤ライン92を通って導入される。ラフィネートは、ゾーンIVとゾーンIとの間で、ラフィネートライン21を通り、弁101を通り、ライン23を通ってラフィネート分留カラム110に抜き出される。
【0058】
シミュレートされた対向流は、供給原料ストリーム及び脱着剤ストリームの導入点を下流に周期的に前進させる一方で、ラフィネートストリーム及び抽出物ストリームの回収点を下流に同時にかつ等しく前進させることによって達成される。ゾーンIは、供給原料ストリーム入口とラフィネート出口との間に境界付けられたゾーンとして定義される。ゾーンIIは、抽出物ストリーム出口と脱着剤入口との間に境界付けられたゾーンとして定義される。ゾーンIIIは、脱着剤入口と抽出物出口との間に境界付けられたゾーンとして定義され、ゾーンIVは、ラフィネートストリーム出口と脱着剤ストリーム入口との間に境界付けられたゾーンとして定義される。典型的な液相動作は、例えば、50℃~300℃、より具体的には260℃以下の温度、及びわずかに超大気圧~30気圧の圧力が好ましい。
【0059】
吸着剤容器86に吸着された分子が少ないことを特徴とするラフィネートは、弁101を通ってラフィネートライン21の吸着剤容器から抜き出され、ライン23を通ってラフィネート分留カラム110に入る。ノルマルパラフィン生成物を得ることが望ましいので、ラフィネート分留カラム24は、2つの留分、すなわち、イソパラフィンに富んだ、一実施形態ではC10~C14イソパラフィンに富んだラフィネート塔底ストリームと、軽質パラフィン脱着剤に富んだ、一実施形態ではC5又はC6ノルマルパラフィンに富んだ脱着剤塔底ストリームとを分離するように動作される。脱着剤塔頂塔底ストリームは、塔頂ライン112中のラフィネート分留カラム110から抜き出され、冷却器113で凝縮され、分離器114に供給される。凝縮ラフィネート塔頂の一部は、還流ライン115を通って還流としてラフィネート分留カラム110に再循環され、凝縮ラフィネート塔頂の残りの部分は、正味ラフィネート塔頂ライン116を通って抜き出される。正味ラフィネート塔頂ストリームはノルマルペンタン又はヘキサン脱着剤に富んでおり、これはライン98中の抽出脱着剤ストリームと合流することができる。両方とも、脱着剤ライン92において弁101を介して脱着剤ライン94中の吸着剤容器86に再循環させることができる。
【0060】
ラフィネート塔底ストリームは、塔底ライン125を通ってラフィネート分留カラム110から抜き出され、そこからラフィネート塔底ストリームの一部分がリボイラライン126を通って流れ、リボイラ加熱器127で加熱され、ラフィネート分留カラム110に戻る。ラフィネート塔底ストリームの残りの部分は、イソパラフィンリッチストリーム、特にC10~C14イソパラフィンリッチストリームとして、正味塔底ライン128を通って流れる。ラフィネート塔底ストリームはイソパラフィンに富むので、優れた燃料供給原料となり、生成物カラム70に供給される。ラフィネート分留カラム110は、200~280℃の底部温度範囲及びほぼ大気圧の塔頂圧力で動作する。
【0061】
抽出ストリームは、吸着剤容器86内の吸着剤により選択的に吸着された分子を含む。脱着剤は、吸着剤容器86の脱着剤床III内の固体吸着剤から選択的に吸着されたノルマルパラフィンを置換する。抽出物及び脱着剤はライン33で抜き出され、弁101はライン33をライン88と接続する。弁101を介して接続された抽出物ライン33において吸着剤容器から抜き出された抽出物及び脱着剤は、ライン88において抽出物分留カラム90に送られる。ノルマルパラフィン生成物を得ることが望ましいので、抽出物分留カラム90は、2つの留分、すなわち、ノルマルパラフィンに富む、一実施形態ではノルマルペンタン又はヘキサン脱着剤に富む抽出物塔頂ストリームと、ノルマルパラフィン抽出物に富む、一実施形態ではC10~C14ノルマルパラフィンに富む塔底ストリームとを分離するように動作される。脱着剤塔頂ストリームは、塔頂ライン94において抽出物分留カラム90から抜き出され、冷却器95において凝縮され、分離器96に供給される。凝縮された脱着剤塔頂ストリームの一部分は還流ライン97を通って還流として抽出物分留カラム90に再循環され、凝縮された脱着剤塔頂ストリームの残りの部分は、正味脱着剤抽出物塔頂ライン98を通じて抜き出される。脱着剤塔頂ストリームはノルマルペンタン又はヘキサン脱着剤に富んでおり、ラフィネート脱着剤ストリームを含むライン116中のラフィネート脱着剤ストリームと合流することができる。両方とも、脱着剤ライン92において弁101を介して脱着剤ライン94中の吸着剤容器86に再循環させることができる。
【0062】
抽出物塔底ストリームは、塔底ライン104を通じて抽出物分留カラム90から抜き出され、そこから抽出物塔底ストリームの一部がリボイラライン106を通って流れ、リボイラ加熱器105で加熱され、抽出物分留カラム90に戻る。抽出物塔底ストリームの残りの部分は、ノルマルパラフィンリッチストリーム、特にノルマルC10~C14パラフィンリッチとしてライン108を通って流れる。抽出物分留カラム90は、200~280℃の底部温度範囲及び大気圧の塔頂圧力で動作する。
【0063】
抽出物塔底ライン108中の抽出物塔底ストリームは、実質的な濃度のノルマルパラフィンを含み、これは、スプリッタカラム40からの側部ライン44中の軽質ノルマルパラフィンストリームと共に、図3の洗浄剤アルキル化ユニットに輸送することができる。
【0064】
図3は、図1及び2からのC10~C13炭素範囲の軽質ノルマルパラフィンストリームを含むライン44内のスプリッタカラム40の側部41からの液体側部ストリーム、及び/又は図2からの抽出物塔底ライン108内の実質的な濃度のノルマルパラフィンを含む抽出物塔底ストリームが、ライン130内で供給され得るアルキルベンゼンユニット200を示す。
【0065】
図3に示すように、ライン44及びおそらくライン108からのC10~C13炭素範囲の軽質ノルマルパラフィンストリームは、ライン282の再循環パラフィンストリームと混合した後、アルキルベンゼンユニット200に導入される。ライン44及び108中の軽質ノルマルパラフィンストリームはまた、洗浄剤アルキル化仕様を満たすためにライン132中のノルマルデカンストリームで補充されてもよく、ライン130中の合わせた軽質ノルマルパラフィンストリームは、アルキルベンゼンユニット200中の脱水素化反応器210に供給されてもよい。脱水素化反応器210において、ライン130中の軽質パラフィンは、軽質ノルマルパラフィンストリームの場合と同じ炭素数のモノオレフィンに脱水素化される。典型的には、脱水素化は、UOP LLC(イリノイ州デスプレーンズ)から入手可能な商業的に普及しているPacol Processなどの公知の触媒プロセスによって行われる。ジオレフィン(すなわち、ジエン)及び芳香族化合物も、以下の式で表される脱水素化反応の望ましくない結果として生成される:
モノオレフィン形成:C2X+2→C2X+H
ジオレフィン形成:C2X→C2X-3+H
芳香族形成:C2X-2→C2X-6+2H
【0066】
脱水素化反応器210の動作条件は、5~50LHSV及び20~32LHSVの空間速度と、35kPa(5psig)~350kPa(50psig)及び105kPa(15psig)~175kPa(25psig)の圧力と、400℃~500℃及び440℃~490℃の温度と、1~12及び3~7の水素対炭化水素のモル比とを含む。適切な触媒の一例は、白金がアテニュエータ金属でアテニュエートされている、アルミナ上の白金である。別の好適な触媒は、米国特許第6,177,381号に記載されている。ユニットは、乾燥した状態で、又は2000質量ppmまでの水を注入した状態で動作させ得る。
【0067】
図3において、脱水素化軽質ノルマルオレフィンストリーム212は、モノオレフィン及び水素、並びにいくらかのジオレフィン及び芳香族を含む脱水素化反応器210を出る。ライン212中の脱水素化ストリームは、ライン212中の脱水素化軽質ノルマルオレフィンストリームから水素を除去するために分離器220に送られる。図示されるように、水素は、上流の水素化脱酸素又は水素化処理プロセスを支援するために、図1又は図2のライン20に再循環され得る水素の再循環ストリーム222として分離器220を出る。
【0068】
分離器220は、脱水素化中に形成されたモノオレフィン及び任意のジオレフィン及び芳香族を含む塔底ライン224中の脱水素化液体軽質ノルマルオレフィンストリームを生成する。脱水素化液体軽質ノルマルオレフィンストリーム224は、分離器220を出て、UOP,LLCから入手可能なDeFine反応器などの選択的水素化反応器230に入る。選択的水素化反応器230は、脱水素化液体軽質ノルマルオレフィンストリーム224中のジオレフィンの少なくとも一部を選択的に水素化して、追加のモノオレフィンを形成する。結果として、選択的脱水素化軽質ノルマルオレフィンストリーム232は、増加したモノオレフィン濃度で形成される。
【0069】
図示されるように、選択的脱水素化ストリーム232は、選択的水素化反応器230からストリッパカラムなどの軽質物分離器240へと通過し、これは、上流処理中のクラッキング又は他の反応から生じたブタン、プロパン、エタン、及びメタンなどの任意の軽質物を含有する塔頂ライン242中の軽質最終ストリームを除去する。軽質留分が除去された状態で、塔底ライン244内の脱軽質軽質ノルマルオレフィンストリームは、UOP,LLCから入手可能なPacol Enhancement Processなどの芳香族除去ユニット250に送ってもよい。芳香族除去ユニット250は、おそらく溶媒と接触させることによって、塔底ライン244中の脱軽質軽質ノルマルオレフィンストリームからライン252中の芳香族を除去して、ライン254中のC10~C13範囲の脱芳香族化軽質ノルマルオレフィンストリームを生成する。
【0070】
ライン254中の軽質ノルマルオレフィンストリーム及びベンゼン256のストリームはアルキル化ユニット260に供給される。アルキル化ユニット260は、ベンゼンをモノオレフィンでアルキル化するのを支持する、固体酸触媒などの触媒を含む。フッ素化シリカ-アルミナ触媒、フッ化水素(HF)触媒、塩化アルミニウム(AlCl3)触媒、及びゼオライト触媒は、直鎖モノオレフィンによるベンゼンのアルキル化のための商業的使用における主要な触媒の例であり、アルキル化ユニット260において使用され得る。アルキル化の結果として、典型的には直鎖アルキルベンゼン(LAB)と呼ばれるアルキルベンゼンが、以下の反応に従って形成される:
+C2X→C2X+1
ライン262のアルキル化流出物中に存在する。
【0071】
アルキル化ユニットに適した動作条件には、1~10LHSVの空間速度、2.1MPa(300psig)~4.2MPa(600psig)などの液相動作を維持する圧力、80℃~180℃及び好ましくは120℃~170℃の範囲内の温度、3対40及び好ましくは8対35のベンゼン対オレフィンのモル比が含まれる。
【0072】
ライン256中の過剰量のベンゼンがアルキル化ユニット260に供給されて、高度の所望のアルキル化を達成する。したがって、アルキル化ユニット260を出るアルキル化流出物262は、アルキルベンゼン及び未反応ベンゼンを含有する。更に、アルキル化流出物262はまた、いくらかの未反応パラフィンを含み得る。ライン262中のアルキル化流出物は、アルキル化流出物から未反応ベンゼンを分離するために、分留カラムなどのベンゼン分離ユニット270に送られる。未反応ベンゼンは、ベンゼン分離ユニット270を出てベンゼン再循環ストリーム272となり、これをベンゼンライン256内のアルキル化ユニット260に戻して、その中の新鮮なベンゼンの体積を減少させる。
【0073】
示されるように、ベンゼンストリッピングストリームは、ライン274でベンゼン分離ユニット270を出て、分留カラムなどのパラフィン分離ユニット280に入る。パラフィン分離ユニット280において、未反応パラフィンは、ライン282中の再循環パラフィンストリーム中のベンゼンストリッピングストリーム274から除去され、ライン44中の軽質ノルマルパラフィンストリーム及び抽出塔底ストリームライン108中の抽出物塔底ストリームに送られて混合され、上述の脱水素化のためにライン130中の軽質ノルマルパラフィンストリームを提供する。更に、アルキルベンゼンストリーム284は、パラフィン分離ユニット280によって分離され、アルキル化物分離ユニット290に供給される。アルキル化物分離ユニット290は、例えば、マルチカラム分留ユニットであってもよく、重質アルキル化物塔底ストリーム294をライン292のアルキルベンゼン生成物ストリームから分離する。
【0074】
アルキル化後分離プロセスの結果として、ライン292中の直鎖アルキルベンゼン生成物が単離され、アルキルベンゼンユニット200から出る。
【0075】
12個及び14個の炭素原子を有する遊離脂肪酸が濃縮されたバイオ再生可能供給原料を、植物油又は更には鉱物供給原料などの従来のバイオ再生可能供給原料に利用される水素化脱酸素の比よりも低い中程度の水素化脱酸素比で水素化脱酸素することによって、洗浄剤産業によって所望される範囲のノルマルパラフィンを生成することができる。水素異性化又はイソノルマル分離のいずれかを行って、グリーン燃料ストリームを生成することができる。
【実施例
【0076】
本発明者らは、PKOの供給原料を、表1に示す水素化脱酸素比で運転される水素化脱酸素パイロットプラントに充填した。水素化脱酸素比は、触媒を調整し、反応温度を選択することによって調整した。
【0077】
【表1】
【0078】
パイロットプラントにおける40、50、及び55%の水素化脱酸素比は、表2において例示的な洗浄剤製造業者によって指定された範囲内のnC11~13選択性及び分子量を提供した。
【0079】
【表2】
【0080】
例示的な洗浄剤製造業者の仕様を満たすために、表3に示されるように、表2の指定された重量範囲でノルマルC10を添加してnC10~13を生成した。
【0081】
【表3】
【0082】
イソパラフィンは最大1.5重量%未満で生成され、得られた平均分子量は表2の洗浄剤仕様を満たした。所望の水素化脱酸素比を達成するように水素化脱酸素反応を操作することによって、適切なバイオ再生可能供給原料を、特に洗浄剤製造仕様を満たすように、所望の選択性まで水素化脱酸素することができる。
【0083】
特定の実施形態
以下を特定の実施形態と併せて説明するが、この説明は、前述の説明及び添付の特許請求の範囲の範囲を例解するものであり、限定することを意図するものではないことが理解されよう。
【0084】
本発明の第1の実施形態は、2つの供給原料ストリームを水素化処理するためのプロセスであって、水素及び水素化脱酸素触媒の存在下でバイオ再生可能供給原料ストリームを水素化脱酸素して、水素化脱酸素ストリームを生成することと、水素及び水素化処理触媒の存在下で第2の供給原料ストリームを水素化処理して、水素化処理ストリームを提供することと、水素化脱酸素ストリームを分留して、軽質ノルマルパラフィンストリーム及び重質ノルマルパラフィンストリームを提供することと、水素化処理ストリームの一部を軽質ノルマルパラフィンストリーム又は重質ノルマルパラフィンストリームと混合することとを含む、プロセスである。本発明の一実施形態は、重質ノルマルパラフィンストリームが液体水素化処理ストリームと混合されて、異性化供給原料ストリームを提供することと、水素及び水素異性化触媒の存在下で水素異性化供給原料ストリームを水素異性化して、水素異性化物ストリームを生成することとを含む、本段落の先の実施形態から本段落の第1の実施形態までのうちの1つ、いずれか、又は全てである。本発明の一実施形態は、軽質ノルマルパラフィンストリームを脱水素化して、軽質ノルマルオレフィンストリームを生成することと、軽質ノルマルオレフィンストリームをベンゼンストリームでアルキル化して、アルキルベンゼンストリームを生成することとを更に含む、本段落の先の実施形態から本段落の第1の実施形態までのうちの1つ、いずれか、又は全てである。本発明の一実施形態は、バイオ再生可能供給原料ストリームに、12及び14個の炭素原子を有する遊離脂肪酸が濃縮されている、本段落の先の実施形態から本段落の第1の実施形態までのうちの1つ、いずれか、又は全てである。本発明の一実施形態は、第2の供給原料ストリームが、従来のバイオ再生可能油を含むバイオ再生可能供給原料ストリームである、本段落の先の実施形態から本段落の第1の実施形態までのうちの1つ、いずれか、又は全てである。本発明の一実施形態は、液体水素化処理ストリームからノルマルパラフィンリッチストリームを分離することと、ノルマルパラフィンリッチストリームを軽質ノルマルパラフィンストリームと混合することと、軽質ノルマルパラフィンストリームを脱水素化して、軽質ノルマルオレフィンストリームを生成し、軽質ノルマルオレフィンストリームをベンゼンストリームでアルキル化して、アルキルベンゼンストリームを生成することとを更に含む、本段落の先の実施形態から本段落の第1の実施形態までのうちの1つ、いずれか、又は全てである。本発明の一実施形態は、第2の供給原料ストリームが、灯油供給原料ストリームである、本段落の先の実施形態から本段落の第1の実施形態までのうちの1つ、いずれか、又は全てである。本発明の一実施形態は、35~60%の水素化脱酸素比での水素化脱酸素工程を操作することを更に含む、本段落の先の実施形態から本段落の第1の実施形態までのうちの1つ、いずれか、又は全てである。本発明の一実施形態は、水素化脱酸素工程よりも高い水素化脱酸素比で水素化処理工程を操作することを更に含む、本段落の先の実施形態から本段落の第1の実施形態までのうちの1つ、いずれか、又は全てである。本開示の一実施形態は、水素異性化ストリームをナフサ及びジェット燃料に分離することを更に含む、本段落の先の実施形態から本段落の第1の実施形態までのうちの1つ、いずれか、又は全てである。
【0085】
本発明の第2の実施形態は、2つの供給原料ストリームを水素化脱酸素するためのプロセスであって、水素及び第1の水素化脱酸素触媒の存在下でバイオ再生可能供給原料ストリームを水素化脱酸素して、第1の水素化脱酸素ストリームを生成することと、水素及び第2の水素化脱酸素触媒の存在下で第2の供給原料ストリームを水素化脱酸素して、第2の水素化脱酸素ストリームを提供することと、第1の水素化脱酸素ストリームを分留して、軽質ノルマルパラフィンストリーム及び重質ノルマルパラフィンストリームを提供することと、第2の水素化脱酸素ストリームの一部を軽質ノルマルパラフィンストリーム又は重質ノルマルパラフィンストリームと混合することとを含む、プロセスである。本発明の一実施形態は、第1の水素化脱酸素工程が、第2の水素化脱酸素工程とは異なる水素化脱酸素比で実行される、本段落の先の実施形態から本段落の第2の実施形態までのうちの1つ、いずれか、又は全てである。本発明の一実施形態は、重質ノルマルパラフィンストリームを液体の第2の水素化脱酸素ストリームと混合して、水素異性化供給原料ストリームを提供することと、水素及び水素異性化触媒の存在下で水素異性化供給原料ストリームを水素異性化して、水素異性化物ストリームを生成することとを更に含む、本段落の先の実施形態から本段落の第2の実施形態までのうちの1つ、いずれか、又は全てである。本発明の一実施形態は、軽質ノルマルパラフィンストリームを脱水素化して、軽質ノルマルオレフィンストリームを生成し、軽質ノルマルオレフィンストリームをベンゼンストリームでアルキル化して、アルキルベンゼンストリームを生成することを更に含む、本段落の先の実施形態から本段落の第2の実施形態までのうちの1つ、いずれか、又は全てである。本発明の一実施形態は、バイオ再生可能供給原料ストリームに、12及び14個の炭化原子が濃縮されている、本段落の先の実施形態から本段落の第2の実施形態までのうちの1つ、いずれか、又は全てである。本発明の一実施形態は、第2の供給原料ストリームが、従来の植物油を含むバイオ再生可能供給原料ストリームである、本段落の先の実施形態から本段落の第2の実施形態までのうちの1つ、いずれか、又は全てである。
【0086】
本発明の第3の実施形態は、再生可能供給原料からアルキルベンゼンを生成するためのプロセスであって、水素及び第1の水素化脱酸素触媒の存在下で第1の水素化脱酸素比でバイオ再生可能供給原料ストリームを水素化脱酸素して、第1の水素化脱酸素ストリームを生成することと、水素及び第2の水素化脱酸素触媒の存在下で第2の水素化脱酸素比で第2の供給原料ストリームを水素化脱酸素して、第2の水素化脱酸素ストリームを生成することと、第1の水素化脱酸素ストリームの少なくとも一部を第2の水素化脱酸素ストリームの少なくとも一部と混合することとを含む、プロセスである。本発明の一実施形態は、第1の水素化脱酸素ストリームを分留して、軽質ノルマルパラフィンストリーム及び重質ノルマルパラフィンストリームを提供することと、軽質ノルマルパラフィンストリームを脱水素化して、軽質ノルマルオレフィンストリーム流を生成することと、軽質ノルマルオレフィンストリームをベンゼンストリームでアルキル化して、アルキルベンゼンストリームを生成することとを更に含む、本段落の先の実施形態から本段落の第3の実施形態までのうちの1つ、いずれか、又は全てである。本発明の一実施形態は、第2の水素化脱酸素ストリームから取り出された液体の第2の水素化脱酸素ストリームを重質ノルマルパラフィンストリームと混合して、水素異性化供給原料ストリームを提供することと、水素及び水素異性化触媒の存在下で水素異性化供給原料ストリームを水素異性化して、水素異性化物ストリームを生成することと、水素異性化物ストリームをナフサ及びジェット燃料又はディーゼルに分離することとを更に含む、本段落の先の実施形態から本段落の第3の実施形態までのうちの1つ、いずれか、又は全てである。本発明の一実施形態は、35~60%の水素化脱酸素比での第1の水素化脱酸素工程を操作することを更に含む、本段落の先の実施形態から本段落の第3の実施形態までのうちの1つ、いずれか、又は全てである。
【0087】
更に詳述することなく、前述の説明を使用して、当業者が、本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく本開示を最大限まで利用し、かつ本開示の本質的な特性を容易に確認することができ、本開示の様々な変更及び修正を行い、様々な使用及び条件に適合させることができると考えられる。したがって、先行する好ましい特定の実施形態は、単なる例示として解釈されるべきであり、いかなるようにも本開示の残りを限定するものではなく、添付の特許請求の範囲の範囲内に含まれる様々な修正及び同等の構成を網羅することを意図するものである。
【0088】
上記では、全ての温度は摂氏度で記載され、全ての部及び百分率は、別途記載のない限り、重量基準である。
図1
図2
図3
【手続補正書】
【提出日】2024-04-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの供給原料ストリームを水素化処理するためのプロセスであって、
水素及び水素化脱酸素触媒の存在下でバイオ再生可能供給原料ストリームを水素化脱酸素して、水素化脱酸素ストリームを生成することと、
水素及び水素化処理触媒の存在下で第2の供給原料ストリームを水素化処理して、水素化処理ストリームを提供することと、
前記水素化脱酸素工程よりも大きい水素化脱酸素比で前記水素化処理工程を操作することであって、前記水素化脱酸素比が、水素化脱酸素反応生成物中のノルマルパラフィンの質量流量に対する偶数の炭素数を有するノルマルパラフィンの質量流量の割合である、ことと、
前記水素化脱酸素ストリームを分留して、軽質ノルマルパラフィンストリーム及び重質ノルマルパラフィンストリームを提供することと、
前記軽質ノルマルパラフィンストリームを脱水素化して、軽質ノルマルオレフィンストリームを生成することと、
前記軽質ノルマルオレフィンストリームをベンゼンストリームでアルキル化して、アルキルベンゼンストリームを生成することとを含む、プロセス。
【請求項2】
2つの供給原料ストリームを水素化処理するためのプロセスであって、
水素及び水素化脱酸素触媒の存在下で12~14個の炭素原子を含む遊離脂肪酸が濃縮されたバイオ再生可能供給原料ストリームを水素化脱酸素して、水素化脱酸素ストリームを生成することと、
水素及び水素化処理触媒の存在下で第2の供給原料ストリームを水素化処理して、水素化処理ストリームを提供することと、
前記水素化脱酸素ストリームを分留して、軽質ノルマルパラフィンストリーム及び重質ノルマルパラフィンストリームを提供することと、
前記水素化処理ストリームの一部を、前記軽質ノルマルパラフィンストリーム又は前記重質ノルマルパラフィンストリームと混合することとを含む、プロセス。
【請求項3】
水素化脱酸素ストリームと水素化処理ストリームとを含むパラフィン供給原料組成物であって、
前記水素化脱酸素ストリームが、35~60重量%の偶数の炭素数を有するノルマルパラフィンを含み、前記水素化処理ストリームが、少なくとも30重量%の14~20個の炭素原子を有するノルマルパラフィンを含む、パラフィン供給原料組成物。
【国際調査報告】