(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-04
(54)【発明の名称】穀粒固体きのこ菌糸体種菌に培養された醗酵コーヒーの製造方法
(51)【国際特許分類】
A23F 5/02 20060101AFI20240927BHJP
C12P 1/02 20060101ALI20240927BHJP
A23L 5/00 20160101ALI20240927BHJP
C12N 1/14 20060101ALN20240927BHJP
【FI】
A23F5/02
C12P1/02 Z
A23L5/00 J
C12N1/14 F
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024516374
(86)(22)【出願日】2022-08-26
(85)【翻訳文提出日】2024-05-10
(86)【国際出願番号】 KR2022012833
(87)【国際公開番号】W WO2023068529
(87)【国際公開日】2023-04-27
(31)【優先権主張番号】10-2021-0139598
(32)【優先日】2021-10-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524094550
【氏名又は名称】ウェル コーヒー カンパニー,リミテッド
(71)【出願人】
【識別番号】524094561
【氏名又は名称】ドルサン マッシュルーム ファーミング アソシエイション
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】キム,サン ヨン
(72)【発明者】
【氏名】キム,フン フィ
(72)【発明者】
【氏名】チェ,クァン ジュン
(72)【発明者】
【氏名】チョ,ムン チャン
【テーマコード(参考)】
4B027
4B035
4B064
4B065
【Fターム(参考)】
4B027FB21
4B027FC01
4B027FC02
4B027FC06
4B027FQ01
4B027FQ20
4B035LG33
4B035LG34
4B035LG37
4B035LG39
4B035LP01
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4B035LP24
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4B035LP44
4B064AH19
4B064CA05
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4B065AA57X
4B065AC14
4B065CA42
(57)【要約】
【課題】
醗酵コーヒーの製造方法及び前記方法で製造された醗酵コーヒーを提供する。
【解決手段】
このために本発明は、コーヒー生豆を抽出液に浸漬する段階と、前記浸漬したコーヒー生豆を滅菌した後冷却する段階と、前記冷却したコーヒー生豆に穀物穀粒固体種菌を塗布し、培養する段階と、及び前記培養したコーヒー生豆醗酵物から穀物穀粒固体種菌を分離した後、乾燥する段階を含んで製造することを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(1)水180~220mLに蕃杏草4.5~5.5g及びナガバギシギシ4.5~5.5gを添加して90~110℃で2~4時間の間抽出した後濾過して抽出液を製造する段階と、
(2)コーヒー生豆を前記(1)段階の製造した抽出液に18~22℃で5~10時間の間浸漬する段階と、
(3)滅菌器のかごにつた葉を敷いて、つた葉の上に前記(2)段階の浸漬したコーヒー生豆を載せた後110~130℃で50~70分間滅菌して冷却する段階と、
(4)前記(3)段階の冷却したコーヒー生豆に穀物穀粒固体種菌を塗布し、18~22℃で20~25日間培養する段階と、及び
(5)前記(4)段階の培養したコーヒー生豆醗酵物から穀物穀粒固体種菌を分離した後、水分含量が10~13%(v/w)ができるように乾燥する段階を含んで製造することを特徴とする醗酵コーヒーの製造方法。
【請求項2】
前記穀物は玄米、白米、黒米、赤米、緑米、紅米、麦、黒麦、燕麦、小麦、きび、とうもろこし、豆、ライ麦、緑豆、鳩麦、栗、きび、小豆及び蕎麦でなされた群から選択される一つ以上の穀物であることを特徴とする請求項1に記載の醗酵コーヒーの製造方法。
【請求項3】
請求項1または請求項2の方法で製造された醗酵コーヒー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、滅菌したコーヒー生豆に穀物穀粒固体種菌を塗布して培養する段階と、及び前記培養したコーヒー生豆醗酵物から穀物穀粒固体種菌を分離した後乾燥する段階を含んで製造することを特徴とする醗酵コーヒーの製造方法及び前記方法で製造された醗酵コーヒーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
コーヒーはあかね科(Rubiaceae)コーヒーノキ属(Coffee)に属して、商業的に栽培する品種は大きくアラビカ(Arabica)とロブスタ(Robusta-canephora)、そして、リベリカ(Liberica)三つの品種で分けられる。コーヒーは苦味、渋味、酸味、甘口などが調和されて作られる代表的な飲み物として全世界的に一番広く飲用されている嗜好食品として大韓民国でもコーヒー専門店の拡散と自家消費増加などコーヒー市場が持続的に成長している。コーヒーには他の食品に比べてポリフェノールなどの抗酸化成分含量が高くて細胞損傷を誘発する自由ラジカル消去能が高いと知られているし、最近には神経細胞保護効果を有する親油性抗酸化物質(lipophilic antioxidant)とクロロゲン酸などがコーヒー生豆よりロースティングしたコーヒー豆に高い含量を示すという結果も報告されている。また、コーヒーはアルツハイマー、パーキンソン病、第2型糖尿病、コレステロール、心臓疾患及び肝硬変などにも優秀な保護効果を有するものとして知られながら嗜好食品を越えてコーヒーの薬理的な効果にも多くの研究がなされている趨勢である。
【0003】
発酵食品とは、乳酸菌や酵母など微生物の醗酵作用を利用して作った食品であり、微生物の種類、食品の材料によって発酵食品は多様であり、発酵食品の種類によって独特の特徴と風味を有して、醗酵を通じて食品原料の機能性を向上させることができる。
【0004】
既存の技術は液体種菌に培養したきのこ菌糸体を滅菌したコーヒー生豆に液体噴射して接種することで、過湿現象によって汚染率が高くて全体が均一に培養されなくて生産収率が低く色相も黒い炭模様で官能美が落ちるだけでなく、特有の異臭によってコーヒーの豊かで多様な味と香を阻害することで、生産性と品質競争力が著しく低くなる。
【0005】
韓国公開特許第2021-0101506号公報にはコーヒー熟成過程が必要ない酵母を活用した醗酵コーヒーの製造方法が開示されていて、韓国登録特許第1894295号公報には梅醗酵抽出物を利用したコーヒーの加工方法が開示されているが、本発明の穀粒固体きのこ菌糸体種菌で培養された醗酵コーヒーの製造方法とは相異である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】韓国公開特許第2021-0101506号公報
【特許文献2】韓国登録特許第1894295号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、前記のような要求によって案出されたものであり、コーヒー特有の苦味は低減させながら機能性及び風味が増進されるようにコーヒー生豆前処理、滅菌、醗酵などを最適化してコーヒーの有用な薬理的特性と嗜好度が優秀な醗酵コーヒーの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するため、本発明は、(1)水に蕃杏草及びナガバギシギシを添加して抽出した後濾過して抽出液を製造する段階と、(2)コーヒー生豆を前記(1)段階の製造した抽出液に浸漬する段階と、(3)滅菌器のかごにつた葉を敷いて、つた葉の上に前記(2)段階の浸漬したコーヒー生豆を載せた後滅菌して冷却する段階と、(4)前記(3)段階の冷却したコーヒー生豆に穀物穀粒固体種菌を塗布し、培養する段階と、及び(5)前記(4)段階の培養したコーヒー生豆醗酵物から穀物穀粒固体種菌を分離した後、乾燥する段階を含んで製造することを特徴とする醗酵コーヒーの製造方法を提供する。
【0009】
また、本発明は前記方法で製造された醗酵コーヒーを提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の醗酵コーヒーは、滅菌したコーヒー生豆に穀物穀粒固体種菌で培養することで汚染率が低く生産収率の高い利点がある。また、コーヒーの風味及び味をさらに豊かにさせて機能性も向上させて高品質の醗酵コーヒーを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】コーヒー生豆を穀物穀粒固体種菌で培養した後種菌を分離した写真である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の目的を達成するために、本発明は、
(1)水に蕃杏草及びナガバギシギシを添加して抽出した後濾過して抽出液を製造する段階と、
(2)コーヒー生豆を前記(1)段階の製造した抽出液に浸漬する段階と、
(3)滅菌器のかごにつた葉を敷いて、つた葉の上に前記(2)段階の浸漬したコーヒー生豆を載せた後滅菌して冷却する段階と、
(4)前記(3)段階の冷却したコーヒー生豆に穀物穀粒固体種菌を塗布し、培養する段階と、及び
(5)前記(4)段階の培養したコーヒー生豆醗酵物から穀物穀粒固体種菌を分離した後、乾燥する段階を含んで製造することを特徴とする醗酵コーヒーの製造方法を提供する。
【0013】
本発明の醗酵コーヒーの製造方法で、前記(1)段階の抽出液は望ましくは、水180~220mLに蕃杏草4.5~5.5g及びナガバギシギシ4.5~5.5gを添加して90~110℃で2~4時間の間抽出した後濾過して製造することができるし、さらに望ましくは、水200mLに蕃杏草5g及びナガバギシギシ5gを添加して100℃で3時間の間抽出した後濾過して製造することができる。
【0014】
また、本発明の醗酵コーヒーの製造方法で、前記(2)段階の浸漬は望ましくは、コーヒー生豆を抽出液に18~22℃で5~10時間の間浸漬することができるし、さらに望ましくは、コーヒー生豆を抽出液に20℃で8時間の間浸漬することができる。
【0015】
また、本発明の醗酵コーヒーの製造方法で、前記(3)段階の滅菌は望ましくは、滅菌器のかごにつた葉を敷いて、つた葉の上にコーヒー生豆を載せた後110~130℃で50~70分間滅菌して冷却することができるし、さらに望ましくは、滅菌器のかごにつた葉を敷いて、つた葉の上にコーヒー生豆を載せた後121℃で60分間滅菌して冷却することができる。
【0016】
コーヒー生豆の醗酵のためには前記のようにコーヒー生豆を浸漬及び滅菌してこそ生豆に水分を供給して膨潤させながら組織を軟化させて培養がよくなされる利点がある。
【0017】
また、本発明の醗酵コーヒーの製造方法で、前記(4)段階は望ましくは、冷却したコーヒー生豆に穀物穀粒固体種菌を塗布し、18~22℃で20~25日間培養することができる。コーヒー生豆を前記のような条件で培養することがコーヒーに含有された人体に有用な成分含量を高めて、コーヒーの味と香味を増進させながらコーヒーの苦味は節減させることができたが、培養条件が前記範囲を脱する場合培養する効果が微細であるか、または過発酵による異臭が発生して望ましくない。
【0018】
前記穀物穀粒固体種菌は望ましくは、水に浸漬した後滅菌した穀物にきのこ菌糸体を接種した後培養したことを意味する。
【0019】
前記きのこ菌糸体は、シイタケ、メシマコブ、マンネンタケ、ブクリョウタケ、アがリクスきのこ、ヤマブシタケ、冬虫夏草、雲芝、猪苓、ひらたけ、エノキダケ、エリンギ、花びら茸、マイタケ、カバノアナタケ、カブトムシきのこ、キクラゲ、ヤナギマツタケ、鹿角マンネンタケ、松茸、マツタケ及びトリュフでなされた群から選択される一つ以上のきのこ菌糸体であることができるが、これに制限されない。
【0020】
また、前記穀物は玄米、白米、黒米、赤米、緑米、紅米、麦、黒麦、燕麦、小麦、きび、とうもろこし、豆、ライ麦、緑豆、鳩麦、栗、きび、小豆及び蕎麦でなされた群から選択される一つ以上の穀物であることができるが、これに制限されない。
【0021】
また、本発明の醗酵コーヒーの製造方法で、前記(5)段階は望ましくは、培養したコーヒー生豆醗酵物から穀物穀粒固体種菌を分離した後、水分含量が10~13%(v/w)となるように乾燥することができる。コーヒー生豆の追加的な醗酵を阻むために前記のような条件で乾燥することが望ましい。
【0022】
本発明の醗酵コーヒーの製造方法は、より具体的には、
(1)水180~220mLに蕃杏草4.5~5.5g及びナガバギシギシ4.5~5.5gを添加して90~110℃で2~4時間の間抽出した後濾過して抽出液を製造する段階と、
(2)コーヒー生豆を前記(1)段階の製造した抽出液に18~22℃で5~10時間の間浸漬する段階と、
(3)滅菌器のかごにつた葉を敷いて、つた葉の上に前記(2)段階の浸漬したコーヒー生豆を載せた後110~130℃で50~70分間滅菌して冷却する段階と、
(4)前記(3)段階の冷却したコーヒー生豆に穀物穀粒固体種菌を塗布し、18~22℃で20~25日間培養する段階と、及び
(5)前記(4)段階の培養したコーヒー生豆醗酵物から穀物穀粒固体種菌を分離した後、水分含量が10~13%(v/w)となるように乾燥する段階を含むことができるし、
さらに具体的には、
(1)水200mLに蕃杏草5g及びナガバギシギシ5gを添加して100℃で3時間の間抽出した後濾過して抽出液を製造する段階と、
(2)コーヒー生豆を前記(1)段階の製造した抽出液に20℃で8時間の間浸漬する段階と、
(3)滅菌器のかごにつた葉を敷いて、つた葉の上に前記(2)段階の浸漬したコーヒー生豆を載せた後121℃で60分間滅菌して冷却する段階と、
(4)前記(3)段階の冷却したコーヒー生豆に穀物穀粒固体種菌を塗布し、18~22℃で20~25日間培養する段階と、及び
(5)前記(4)段階の培養したコーヒー生豆醗酵物から穀物穀粒固体種菌を分離した後、水分含量が10~13%(v/w)となるように乾燥する段階を含むことができる。
本発明はまた、前記方法で製造された醗酵コーヒーを提供する。
以下、本発明の実施例を挙げて詳しく説明する。但し、下記実施例は本発明を例示することであるだけで、本発明の内容が下記実施例に限定されるものではない。
【0023】
製造例1.醗酵コーヒー
(1)精製水200mLに蕃杏草5g及びナガバギシギシ5gを添加した後100℃で3時間の間抽出した後濾過して抽出液を製造した。
(2)コーヒー生豆100gを前記(1)段階の製造した抽出液200mLに20℃で8時間の間浸漬した。
(3)滅菌器のかごにつた葉を敷いて、つた葉の上に前記(2)段階の浸漬したコーヒー生豆を載せた後121℃で60分間滅菌して冷却室で20℃で冷却した。
(4)前記(3)段階の冷却したコーヒー生豆の最上端部に玄米穀粒固体種菌を15mLをまんべんなく塗布し、18~22℃で20~25日間培養室で培養した。前記培養時接種10日後容器部下側と全体培養がまんべんなくよくできるように容器を振って空隙を発生させた。前記玄米穀粒固体種菌は水に浸漬した後滅菌した玄米にシイタケ菌糸体を接種した後25℃で20日間培養したことを意味する。
(5)前記(4)段階の培養したコーヒー生豆醗酵物から玄米穀粒固体種菌を分離した後、コーヒー生豆醗酵物を10~13%(v/w)の水分含量になるように乾燥した。
【0024】
比較例1.コーヒー
(1)コーヒー生豆100gを精製水200mLに20℃で8時間の間浸漬した。
(2)滅菌器のかごに前記(1)段階の浸漬したコーヒー生豆を載せた後121℃で60分間滅菌して冷却室で20℃に冷却した。
(3)前記(2)段階の冷却したコーヒー生豆を10~13%(v/w)の水分含量になるように乾燥した。
【0025】
比較例2.醗酵コーヒー
(1)コーヒー生豆100gを精製水200mLに20℃で8時間の間浸漬した。
(2)滅菌器のかごに前記(1)段階の浸漬したコーヒー生豆を載せた後121℃で60分間滅菌して冷却室で20℃に冷却した。
(3)前記(2)段階の冷却したコーヒー生豆の最上端部に玄米穀粒固体種菌を15mLをまんべんなく塗布し、18~22℃で20~25日間培養室で培養した。前記培養時接種10日後容器部下側と全体培養がまんべんなくよくできるように容器を振って空隙を発生させた。
前記玄米穀粒固体種菌は水に浸漬した後滅菌した玄米にシイタケ菌糸体を接種した後25℃で20日間培養したことを意味する。
(4)前記(3)段階の培養したコーヒー生豆醗酵物から玄米穀粒固体種菌を分離した後、コーヒー生豆醗酵物を10~13%(v/w)の水分含量になるように乾燥した。
【0026】
比較例3.醗酵コーヒー
(1)精製水200mLに蕃杏草10gを添加した後100℃で3時間の間抽出した後濾過して抽出液を製造した。
(2)前記(1)段階の製造した抽出液を利用して製造例1の(2)乃至(5)段階と等しい方法で、醗酵コーヒーを製造した。
【0027】
比較例4.醗酵コーヒー
(1)精製水200mLにナガバギシギシ10gを添加した後100℃で3時間の間抽出した後濾過して抽出液を製造した。
(2)前記(1)段階の製造した抽出液を利用して製造例1の(2)乃至(5)段階と等しい方法で、醗酵コーヒーを製造した。
【0028】
比較例5.醗酵コーヒー
(1)精製水200mLに蕃杏草5g及びナガバギシギシ5gを添加した後100℃で3時間の間抽出した後濾過して抽出液を製造した。
(2)コーヒー生豆100gを前記(1)段階の製造した抽出液200mLに20℃で8時間の間浸漬した。
(3)滅菌器のかごに前記(2)段階の浸漬したコーヒー生豆を載せた後121℃で60分間滅菌して冷却室で20℃に冷却した。
(4)前記(3)段階の冷却したコーヒー生豆を利用して製造例1の(4)乃至(5)段階と等しい方法で、醗酵コーヒーを製造した。
【実施例】
【0029】
実施例1.ベータグルカン分析
試料のベータグルカンは、Megazyme kit(Mushroom and Yeast β-glucan Assay Procedure K-YBGL、Megazyme、Ireland)を利用して測定した。
【0030】
先ず、総グルカンは、100mesh篩にかけた粉砕試料100mgをチューブに入れて37%HCl 1.5mLを入れて45分間30℃恒温水槽に入れて分解した。その後、蒸溜水10mLを入れてボルテックス(vortex)し、100℃で2時間の間培養させた。その後、室温で冷やしながら2N KOHを10mLずつ入れて200mM酢酸ナトリウムバッファーで100mLに整容した後充分に混合した。その後、上澄液0.1mLに200mM酢酸バッファー(sodium acetate buffer)にとかしたエックソ-1、3-β-グルカナーゼプラスβ-グルコシダーゼ(exo-1、3-β-glucanase plusβ-glucosidase)0.1mLを入れて、reagent blankはアセテートバッファー(acetate buffer)0.2mLを入れて、D-グルコーススタンダードはD-グルコーススタンダード(D-glucose standard)0.1mLとアセテートバッファー0.1mLを入れて混合した後40℃で60分間培養した。その次、GOPOD(Glucose oxidase/peroxidase mixture)3mLを入れて40℃で20分間培養した後、510nmで吸光度を測定した。
【0031】
α-グルカン(α-Glucan)は、100mesh篩で掛けた粉砕試料100mgをチューブに入れて2M KOH 2mLずつ入れて20分間混合した。1.2M酢酸ナトリウムバッファー8mLを入れて交ぜた後、アミログルコシダーゼプラスインベルターゼ(amyloglucosidase plus invertase)0.2mLを入れて、よく交ぜて40℃恒温水槽で30分間培養した。上澄液0.1mLに200mM酢酸ナトリウムバッファー0.1mL、GOPOD3mLを入れて40℃で20分間培養した後、510nm吸光度で測定した。計算は総グルカン含量でα-グルカン含量を抜いてβ-グルカン含量を定量した。
【0032】
【0033】
その結果、比較例1のコーヒーではβ-グルカンは検出されなかったし、比較例2の醗酵コーヒーに比べて製造例1の醗酵コーヒーでβ-グルカン含量がさらに高く現れた。
【0034】
実施例2.DPPHラジカル消去能
それぞれのコーヒーの抗酸化能を調べるために水素電子供与能によって抗酸化活性を測定した。試料を蒸溜水で希釈し、900μLのDPPH溶液(100μM)と各試料10μLを混合して撹拌した。この混合試料を暗所で30分間反応させた後517nmで吸光度を測定した。水素電子供与能は各実験を3回繰り返して平均を出した後、対照口に対する吸光度の減少程度を次の式によって計算した。
【0035】
DPPHラジカル消去能(%)=(A-B)/A×100
A:試料が添加されないDPPH溶液の吸光度
B:反応溶液中のDPPHと試料の反応した吸光度
【0036】
【0037】
醗酵コーヒーを希釈してDPPHラジカル消去能を測定した結果は、前記表2に示した。その結果、製造例1の醗酵コーヒーがDPPHラジカル消去能が一番高いことが分かった。
【0038】
実施例3.官能検査
製造例1と比較例のコーヒーについて50人の官能検査要員を対象に官能検査を実施した。それぞれのコーヒーを中煎りでロースティングした後粉碎してハンドドリップで熱水抽出したコーヒー抽出液をそれぞれ取るようにした。香、味、柔らかさ及び全般的な嗜好度を区分して1点:非常に悪い、2点:悪い、3点:普通である、4点:良い、5点:非常に良い、とする5点記号尺度法で3回繰り返した後平均を計算して示した。
【0039】
【0040】
それぞれのコーヒーを抽出した抽出液の官能検査を実施した結果は、前記表3のようである。その結果、製造例1の醗酵コーヒーが比較例らのコーヒーに比べてすべての項目で高い点数を示して、製造例1の醗酵コーヒーはβ-グルカン含量が高くて抗酸化活性が優秀で消費者らの嗜好にも好適であることが分かった。
【国際調査報告】