(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-04
(54)【発明の名称】シュープレートおよびグローサを含むトラックシュー組立品および関連する製造方法
(51)【国際特許分類】
B62D 55/20 20060101AFI20240927BHJP
【FI】
B62D55/20 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024516467
(86)(22)【出願日】2022-09-27
(85)【翻訳文提出日】2024-04-11
(86)【国際出願番号】 US2022044871
(87)【国際公開番号】W WO2023059479
(87)【国際公開日】2023-04-13
(32)【優先日】2021-10-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391020193
【氏名又は名称】キャタピラー インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】CATERPILLAR INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】110002848
【氏名又は名称】弁理士法人NIP&SBPJ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヨハンセン、エリック ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】シュタイナー、ケヴィン エル.
(72)【発明者】
【氏名】セブライト、ジェイソン エル.
(72)【発明者】
【氏名】クラーク、ドノヴァン エス.
(57)【要約】
少なくとも一つの態様では、トラックシュー組立品は、シュープレート本体であって、シュープレート本体の幅に沿って延在する溝を画定する少なくとも一つのシュープレート取付表面を含むシュープレート本体を有する、シュープレートと、少なくとも一つのグローサ取付表面を有するグローサ本体を有し、少なくとも一つのグローサ取付表面の断面形状が、少なくとも一つのシュープレート取付表面によって画定される溝の断面形状と同一である、グローサと、を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トラックシュー組立品(120)であって、
シュープレート本体(220)であって、前記シュープレート本体の幅(W
220)に沿って延在する溝(244)を画定する少なくとも一つのシュープレート取付表面(246、248)を含むシュープレート本体(220)を有する、シュープレート(202)と、
少なくとも一つのグローサ取付表面(216、218)を有するグローサ本体(204)を有し、前記少なくとも一つのグローサ取付表面の断面形状が、前記少なくとも一つのシュープレート取付表面によって画定される前記溝の断面形状と同一である、グローサ(200)と、を備える、トラックシュー組立品(120)。
【請求項2】
前記少なくとも一つのグローサ取付表面は、溶接によって前記シュープレート本体内の前記溝に取り付けられる、請求項1に記載のトラックシュー組立品。
【請求項3】
前記少なくとも一つのグローサ取付表面を前記シュープレート本体内の前記溝に取り付けるために使用される前記溶接は、アーク溶接および摩擦溶接のうちの一つである、請求項2に記載のトラックシュー組立品。
【請求項4】
前記シュープレート本体内の前記溝の全長および前記少なくとも一つのグローサ取付表面の全長は、共に溶接される、請求項2に記載のトラックシュー組立品。
【請求項5】
前記シュープレート本体の前記少なくとも一つの取付表面および前記グローサ本体の前記少なくとも一つの取付表面の各々は、平面(216、246)および前記平面に隣接する少なくとも二つの角度付き表面(218、248)を含む、請求項1に記載のトラックシュー組立品。
【請求項6】
各平面と前記二つの角度付き表面の各々との間の縁部(219、249)は、面取りされた縁部である、請求項5に記載のトラックシュー組立品。
【請求項7】
各平面と前記二つの角度付き表面の各々との間の縁部(219、249)は、丸みのある縁部である、請求項5に記載のトラックシュー組立品。
【請求項8】
前記シュープレート本体および前記グローサ本体は、異なる材料で形成される、請求項1に記載のトラックシュー組立品。
【請求項9】
前記グローサ本体の材料は、前記シュープレート本体の材料よりも大きい硬度を有する、請求項8に記載のトラックシュー組立品。
【請求項10】
前記グローサ本体の端面(212)の断面積(A
212)の前記シュープレート本体の長さ(L
220)に対する比率は、[A]~[B]の範囲内である、請求項1に記載のトラックシュー組立品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の様々な実施形態は、一般的に、軌道型車両用のシュープレートおよびグローサを含むトラックシュー組立品、ならびに関連する製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
クローラ型トラクタなどの軌道型機械または車両は、材料または機器を、地形にわたって移動させる一方、車両重量を比較的均一に分布させるために、比較的軟質な地形上で使用され得る。これらの機械または車両は、所与の機械または車両の対向側に形成された一つ以上の連続ループまたは軌道組立品を含む。軌道組立品は、少なくとも一つの駆動ギアまたはスプロケットを介して、機械エンジンまたは他のポート源などの駆動機構によって駆動される。軌道組立品は、複数のリンクおよび複数のトラックプレート、または複数のリンク上に装着されたトラックシュー組立品を含み、これらは、次に、例えば、スプロケット、少なくとも一つのアイドラ、複数のローラを含み得る足回り組立品、および当技術分野で示される足回り組立品の他の任意の構成要素に装着される。ローラが車両のエンジンによる出力を使用して回転する際に、ベルトは回転し、トラックプレートは地面に接触し、各トラックプレートのグローサが地形内に延在する。ローラからの回転力が、ベルトおよびトラックシュー組立品を介してグローサに伝達される際に、車両は、前方に進行または徐行する。
【0003】
一部のトラックシュー組立品は、現在、材料を10メートルのセクションに、約13mmの厚さに圧延し、圧延材料をサイズに切断することによって製造されている。すなわち、トラックシュー組立品の全幅は10メートルであり、各トラックシュー組立品は、必要なサイズに応じて、所定の高さに切断される。圧延セクションが比較的大きいサイズのため、トラックシュー組立品、ひいてはグローサの製造が困難になる理由の一つとして、材料をこのような大型サイズに圧延できる施設の数が限られることで、製造を実施可能な場所が限定されることがあげられる。限られた数の施設および問題点が、このような大型の材料片を用いる作業において存在する結果、トラックシュー組立品の製造は、比較的高価となり得る。しかしながら、製造および組立をより多くの場所で実施でき、かつ製造コストが比較的低いトラックシュー組立品に対するニーズは存在する。
【0004】
さらに、トラックシュー組立品のグローサは、経時的に、および使用時に、グローサが地形内に延在し、そこから法線力を維持するため、地形からの力によって亀裂が発生し得る。グローサの亀裂は、グローサの近位表面と遠位表面との間の縁部または隅部、およびトラックシュー組立品のシュープレートの外側平面に発生し得る。さらに、グローサの外表面、ならびにグローサの近位表面および遠位表面は、摩耗され得、場合によっては、グローサの端部が、グローサの中央部分と比較して、より大きい程度まで摩耗し得るように、不均一な様式で、摩耗され得る。本出願の
図2および
図3に示す軸および平面を参照すると、現在利用可能なトラックシュー組立品は、X-Z平面に対するグローサの断面積のX軸に沿って測定される約205mmのシュープレートの長さに対する最大比率を有する。この比率が最大値205mmにおけるものであっても、シューグローサの摩耗寿命が、他のトラック構成要素、特にリンクの摩耗寿命よりも短い特定の用途がある。さらに、一体的に形成されたグローサおよびシュープレート、または組み立てられたグローサおよびシュープレートを含む、現在利用可能なトラックシュー組立品は、典型的には、同一材料で形成される。
【0005】
グローサバーは、グローサシューとも称され、例えば、Rasmussenによる米国特許第4,434,642号に記載されるような、摩耗したグローサに取り付けられ得る。具体的には、Rasmussenの特許は、摩耗したグローサバーの上に嵌合され得、逆鍛造法を使用して、摩耗したグローサバーに溶接され得る、交換用グローサバーを記載する。しかしながら、Rasmussenの特許に記載される装置および方法はまた、使用するトラックシュー組立品による地形からの法線力により、摩耗したグローサと交換用グローサバーとの間の接合部に亀裂発生の問題を経験し得る。さらに、交換用グローサバーはまた、元のグローサと同一の不均一な摩耗を受け、その時点で、トラックシュー組立品全体を新品のトラックシュー組立品と交換する必要性が高い。
【0006】
本開示のトラックシュー組立品および関連する製造方法は、これらの上述の課題のうちの一つ以上、または当技術分野における他の問題を克服することを対象とする。
【発明の概要】
【0007】
一つの態様では、トラックシュー組立品は、シュープレート本体であって、シュープレート本体の幅に沿って延在する溝を画定する少なくとも一つのシュープレート取付表面を含むシュープレート本体を有する、シュープレートと、少なくとも一つのグローサ取付表面を有するグローサ本体を有し、少なくとも一つのグローサ取付表面の断面形状が、少なくとも一つのシュープレート取付表面によって画定される溝の断面形状と同一である、グローサと、を含み得る。
【0008】
別の態様では、トラックシュー組立品は、シュープレート本体であって、シュープレート本体の幅に沿って延在する少なくとも一つのシュープレート取付表面を含むシュープレート本体を有する、シュープレートと、シュープレート取付表面に取り付けられるように構成された少なくとも一つのグローサ取付表面を有するグローサ本体を有し、グローサ本体の端面の断面積のシュープレート本体の長さに対する比率が、25mm~210mmの範囲内である、グローサと、を含み得る。
【0009】
さらに別の態様では、トラックシュー組立品を製造する方法は、シュープレート本体であって、シュープレート本体の幅に沿って延在する少なくとも一つのシュープレート取付表面を含むシュープレート本体を有する、シュープレートを形成すること、シュープレート取付表面に取り付けられるように構成された少なくとも一つのグローサ取付表面を有するグローサ本体を形成することであって、グローサ本体の端面の断面積のシュープレート本体の長さに対する比率が、25mm~210mmの範囲内である、形成すること、およびトラックシュー組立品を形成するために、グローサをシュープレートに取り付けること、を含み得る。
【0010】
さらに別の態様では、トラックシュー組立品は、シュープレート本体であって、シュープレート本体の幅に沿って延在する少なくとも一つのシュープレート取付表面を含み、シュープレート材料で形成される、シュープレート本体を有する、シュープレートと、少なくとも一つのグローサ取付表面を有するグローサ本体を有し、グローサ本体が、グローサ材料で形成され、グローサ材料が、シュープレート材料とは異なる、グローサと、を含み得る。
【0011】
さらに別の態様では、トラックシュー組立品は、シュープレート本体であって、シュープレート本体の幅に沿って延在する少なくとも一つのシュープレート取付表面を含み、シュープレート材料で形成される、シュープレート本体を有する、シュープレートと、少なくとも一つのシュープレート取付表面に取り付けられるように構成された、少なくとも一つのグローサ取付表面を有するグローサ本体を有し、グローサ本体が、グローサ材料で形成され、グローサ材料の硬度は、シュープレート材料の硬度よりも大きい、グローサと、を含み得る。
【0012】
前述の一般的な説明および以下の詳細な説明はどちらも、単に例示的および説明的なものにすぎず、特許請求される本開示の実施形態を限定しない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成する添付の図面は、様々な例示的な実施形態を示し、説明とともに、本開示の実施形態の原理を説明するのに役立つ。
【0014】
【
図1A】
図1Aは、本明細書に記載のトラックシュー組立品の実施形態に係り形成されたトラックシュー組立品が取り付けられる、例示的な軌道型車両の概略図を示す。
【
図1B】
図1Bは、本明細書記載の軌道チェーン組立品の実施形態に係る、
図1Aに示すような軌道チェーン組立品の部分の概略詳細図を示す。
【
図2】
図2は、一つ以上の実施形態に係る、トラックシュー組立品のグローサおよびシュープレートの概略図を示す。
【
図3】
図3は、断面線3-3に沿って切り取られた、
図2に示すトラックシュー組立品のグローサおよびシュープレートの断面側面図を示す。
【
図4】
図4は、代替的な実施形態に係る、トラックシュー組立品のグローサおよびシュープレートの断面側面図を示す。
【
図5】
図5は、一つ以上の実施形態に係る、トラックシュー組立品を形成する方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
前述の一般的な説明および以下の詳細な説明はどちらも、単に例示的および説明的なものにすぎず、特許請求する特徴を限定しない。本明細書で使用する用語「備える(comprising)」、「有する(having)」、「含む(including)」、およびそれらの任意の変形は、非排他的な包含をカバーすることを意図し、その結果、要素のリストを備える工程、方法、物品、または装置は、単にそれらの要素のみを含むのではなく、そのような工程、方法、物品、または装置に明示的に列挙されていない、または内在していない他の要素を含み得る。さらに、本開示において、例えば、「約」、「略」、「実質的に」、および「ほぼ」などの相対的な用語は、言及された値が±10%変動する可能性を示すために使用される。さらに、本開示では、様々な部分および/または表面に関して提供される幅、奥行き、および長さへの言及は一貫し、すなわち、すべての幅はY軸に沿って画定され、すべての奥行きはZ軸に沿って画定され、すべての長さはX軸に沿って画定される。
【0016】
図1Aは、土壌、石、破片などの地盤材料を動かすためのブレード102を備えた、軌道型機械または車両100、特に一例として、軌道型トラクタの概略図を示す。車両100は、車両100の動作に必要な機械エンジンおよびその他の構成要素を含むエンジンハウジング106、および車両100の運転者が車両100の制御および動作を行うことができる運転者ステーション108が装着される、シャーシ104を含む。車両100は、一つ以上の軌道組立品110を含み、
図1Aの例示的な車両100が、二つの軌道組立品110(シャーシ104のそれぞれの側面に一つのトラック)を含む。各軌道組立品110は、エンジンによる出力を介して回転する駆動ギアまたはスプロケット112、アイドラ114、およびローラ116を含む。スプロケット112は、動力をエンジンからローラ116に伝達する。軌道チェーン118は、ローラ116の周りに装着され、複数のトラックシュー組立品120は、軌道チェーン118に装着される。軌道チェーン118は、複数の軌道リンク122および複数のピン124を含む。複数の軌道リンク122は、
図1Aに示すように、無限ループを形成するために、共に結合され得る。各リンク122は、
図1Bに示すピン孔126を含み、それは、複数のピン124のうちの一つを受容するように構成され、それによって、リンク122を複数のトラックシュー組立品120のうちの一つに取り付ける。
図2を参照して以下で論じるように、各トラックシュー組立品120は、複数のリンク122に取り付けるために、複数のピン124のうちの一つを受容するようにも構成される、一つ以上の貫通孔242を含み得る。軌道チェーン118およびそれに装着されたトラックシュー組立品は、
図1Aに示す軌道チェーン組立品128と総称され得る。
【0017】
図2は、一つ以上の実施形態に係る、グローサ200およびシュープレート202を含むトラックシュー組立品120を示す。グローサ200が、略台形プリズムとして形成されたグローサ本体204を有するが、グローサ本体204の形状は、この形状に限定されない。グローサ本体204は、車両100が移動するにつれて地形に接触するように構成された少なくとも遠位表面206と、前面208と、裏面210と、端面212と、別の端面214と、を含む、複数の表面を有する。グローサ本体204はまた、平面216と、平面216に隣接する一つ以上の角度付き表面218と、を含む、複数の取付表面を含む。グローサ本体204の取付表面の角度付き表面218は、平面216に対して角度θであってもよい。平面216は、遠位表面206に平行である。
図2および
図3に示す、平面216と角度付き表面218の各々との間の縁部219は、面取りされた縁部または丸みのある縁部であってもよい。代替的な実施形態では、グローサ本体204は、
図4に示し、以下に記載する曲面などの弓状または湾曲した取付表面を含み得る。
【0018】
前面208および裏面210が、交差面上にある一方、端面212および他方の端面214は、互いに対向する。言い換えれば、遠位表面206および平面216は、互いにかつZ-Y平面に平行であり、端面212および他方の端面214は、互いにかつX-Z平面に平行である。さらに、端面212および他方の端面214が台形形状を有するが、これらの表面の形状は台形に限定されず、任意の多角形、または一つ以上の湾曲した、曲線状の、および/もしくは平坦な縁部を有する形状であってもよい。
【0019】
図2を参照すると、グローサ本体204は、Y軸に沿って測定した場合、約300mm~約1000mm(端点含む)の全幅W
204を有し得る。
図3を参照すると、グローサ本体204は、Z軸に沿って測定した場合、約19mm~約57mm(端点含む)の全奥行きD
204、およびX軸に沿って測定した場合、約15mm~約112mm(端点含む)の全長L
204を有し得る。グローサ本体204の幅、奥行き、および長さの範囲は、上記に列挙された値の範囲とは異なり得る。
【0020】
図2に示すように、トラックシュー組立品120のシュープレート202が、略長方形プリズムとして形成されたシュープレート本体220を有するが、シュープレート本体220の形状は、この形状に限定されない。シュープレート本体220は、少なくとも遠位表面222と、前面224と、裏面226と、近位表面228と、端面230と、別の端面232と、を含む、複数の表面を有する。遠位表面222および近位表面228は、互いに対向し、端面230および他方の端面232は、互いに対向する。言い換えれば、
図2で識別された軸を参照すると、遠位表面222および近位表面228は、互いにかつZ-Y平面に平行であり、端面230および他方の端面232は、互いにかつX-Z平面に平行である。
【0021】
シュープレート本体220はまた、前面224に隣接する一つの湾曲部分234と、裏面226に隣接する別の湾曲部分236と、を含み得る。湾曲部分234および236は、
図2に示すように、それぞれ遠位表面222および近位表面228上の曲線により画定される。前面224および裏面226は、湾曲部分234および236の端であるため、
図2に示す実施形態では互いに平行ではない。裏面226に隣接するその他の湾曲部分236はまた、少なくとも二つのタブ240によって画定される少なくとも一つの凹部238を有し得る。
図2に示す実施形態では、湾曲部分236が、三つのタブ240によって画定される二つの凹部238を含むものの、シュープレート本体220は、二つを超過するまたは二つ未満の凹部238およびタブ240を有し得る。シュープレート本体220はまた、
図2に示すように、遠位表面222および近位表面228を通って延在する一つ以上の貫通孔242を含み得る。
図2に示す実施形態では、四つの貫通孔242が提供されているが、シュープレート本体220は、四つを超過するまたは四つ未満の貫通孔242を有し得る。貫通孔242は、例えば、軌道組立品110を形成するため、トラックシュー組立品120を軌道チェーン118に取り付けるために使用され得る。シュープレート本体220は、
図2に示す形状に限定されないが、遠位表面222および近位表面228は、平坦な表面または直線状の縁部であり得、このような代替的な実施形態では、裏面226は、前面224に対向し得、両方は、X-Y平面に平行であり得る。
【0022】
シュープレート本体220はまた、遠位表面222内の凹部として、
図2および
図3に示し、平面246および少なくとも二つの角度付き表面248を含む、シュープレート本体220の複数の取付表面によって画定される、溝244を含み得る。シュープレート本体220の取付表面の角度付き表面248は、平面246に対して角度Δであってもよい。平面246は、遠位表面222に平行である。平面246と角度付き表面248の各々との間の縁部249は、面取りされた縁部または丸みのある縁部であり得る。
【0023】
図2を参照すると、シュープレート本体220は、Y軸に沿って測定した場合、約300mm~約1000mm(端点含む)の全幅W
220を有し得る。さらに、
図3を参照すると、シュープレート本体220は、Z軸に沿って測定した場合、約165mm~約370mm(端点含む)の全奥行きD
220、およびX軸に沿って測定した場合、約8mm~約28mm(端点含む)の全長L
220を有し得る。シュープレート本体220の幅、奥行き、および長さの範囲は、上記に列挙された値の範囲とは異なり得る。
【0024】
グローサ本体204の取付表面の寸法およびシュープレート本体220の溝244の取付表面の寸法は、互いにほぼ等しくてもよい。より具体的には、グローサ本体204の平面216の幅および奥行きは、シュープレート本体220の平面246の幅および奥行きにほぼ等しくてもよい。さらに、グローサ本体204の角度付き表面218のX-Z平面内の幅および測定された距離は、シュープレート本体220の角度付き表面248の対応する寸法にほぼ等しくてもよい。これらの取付表面のほぼ等しい寸法のおかげで、特に、線形摩擦溶接を含む溶接を実施し得、グローサ本体204を、取付表面でシュープレート本体220に取り付ける。
【0025】
代替的な実施形態では、グローサ本体204の複数の取付表面は、溝をグローサ本体204内に形成し得、シュープレート本体220の複数の取付表面は、
図2に示す溝244の代わりに、突出部を形成し得る。他のすべての点において、代替的な実施形態のグローサ本体204およびシュープレート本体220は、
図2に示す実施形態のものと同一であり得る。
【0026】
断面線3-3に沿って切り取られた、トラックシュー組立品120のグローサ200およびシュープレート202の断面図を示す
図3を参照すると、グローサ本体204の端面212の断面積A
212のシュープレート本体220の長さL
220(すなわち、X軸に沿って測定され、
図3に示すように、シュープレート本体220の端面230の長さ)に対する比率は、25mm~205mmの範囲であってもよく、あるいは、205mm超であってもよい。特に、該比率は、ほぼ210mmであり得る。言い換えれば、該比率は、25mm~210mmの範囲内であってもよい。
【0027】
グローサ200を形成するために使用される材料は、シュープレート202を形成するために使用される材料と同一であり得、または異なり得る。グローサ200およびシュープレート202を形成するために使用される材料が同一材料である実施形態では、該材料は、グローサ200を形成する材料の硬度が、ロックウェル硬度(RKW)によって測定されるように、シュープレート202を形成する材料の硬度よりも大きいように、異なる硬度を有し得る。あるいは、
図3に示すように、グローサ200およびシュープレート202を形成するために使用される材料が異なる実施形態では、グローサ200を形成するために使用される材料は、RKWによって測定されるように、シュープレート202を形成するために使用される材料の硬度よりも大きい硬度を有し得る。いずれの実施形態においても、グローサ200を形成する材料の硬度は、RKW C45~RKW C55の範囲内であり得、シュープレート202を形成する材料の硬度は、RKW C35~RKW45の範囲内であり得る。材料が異なる実施形態では、グローサ200は、白鋳鉄で形成され得、シュープレート202は、普通鋼で形成され得る。あるいは、材料のうちの一つは、Liuらによる米国特許第9,440,693号に記載の材料などの空気焼入れ鋼であり得る。しかしながら、グローサ200およびシュープレート202を形成するために使用される材料は、上述の材料に限定されず、他の材料も使用され得る。
【0028】
グローサ200およびシュープレート202は、例えば、以下で
図5を参照してより詳細に論じるように、溶接によって互いにしっかりと取り付けられるように構成される。あるいは、グローサ200およびシュープレート202は、ろう付けによって互いにしっかりと取り付けられ得る。溶接が、特に、
図2および
図3に示す実施形態を参照して使用される場合、一例として、平面216および角度付き表面218を含むグローサ本体204の取付表面は、平面246および角度付き表面248を含むシュープレート本体220の取付表面に接触し、それに溶接されるように構成される。また、溝がグローサ本体204上に形成され、突出部がシュープレート本体220上に形成される実施形態では、グローサ本体204の取付表面は、シュープレート本体220の取付表面に接触および溶接される。摩擦溶接、より具体的には、線形摩擦溶接を使用し得、グローサ本体204をシュープレート本体220に取り付ける。あるいは、金属不活性ガス(MIG)アーク溶接、タングステン不活性ガス(TIG)溶接、および被覆金属アーク溶接(SMAW)を含むアーク溶接が使用されてもよい。グローサ本体204およびシュープレート本体220が互いに取り付けられる場合、グローサ本体204の平面216は、シュープレート本体220の平面246に溶接され、グローサ本体204の角度付き表面218は、シュープレート本体220の角度付き表面248に溶接される。あるいは、接触および/または溶接は、これらの表面のサブセット間で行われ得る。
【0029】
図4を参照すると、代替的な実施形態では、グローサ本体204は、グローサ本体204の長さ、幅、または高さに基づいて、少なくとも部分的に画定される、曲率半径R
250を有する、湾曲した取付表面250を含み得る。シュープレート本体220はまた、グローサ本体204の湾曲した取付表面250の曲率半径R
250にほぼ等しいまたはそれを超過する曲率半径R
252を有する、対応する湾曲した取付表面252を有し得る。本実施形態では、グローサ本体204およびシュープレート本体220が互いに取り付けられる場合、グローサ本体204の湾曲した取付表面250の全体は、シュープレート本体220の湾曲した取付表面252の全体に溶接される。あるいは、これらの表面の部分の間に接触および/または溶接を実施し得る。
【0030】
グローサ200は、シュープレート本体220の遠位表面222から外側に延在し、その結果、トラックシュー組立品120が、
図1Aに示す軌道組立品110の軌道チェーン118に装着される場合、グローサ200は、トラックシュー組立品120が取り付けられる軌道チェーン118上の点で、軌道チェーン118の平面に垂直な方向に延在する。すなわち、グローサ200は、トラックシュー組立品120が取り付けられる軌道チェーン118に沿ったすべての位置で、軌道チェーン118から外側に延在する。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本開示のグローサ200およびシュープレート202は、
図1Aに示す軌道型トラクタなどの軌道型車両100の軌道組立品110の比較的より強く、より長持ちする(すなわち、より長い使用寿命の)トラックシュー組立品120を提供し得る。具体的には、グローサ200が、シュープレート202を形成する材料と比較して、より大きな硬度を有する材料で形成され得るため、本開示のトラックシュー組立品120は、より長い使用寿命を有し、亀裂発生がしにくい場合がある。さらに、相対的寸法、特に、グローサ本体204の端面212の断面積A
212のシュープレート本体220の長さL
220に対する比率が、205mm超であるため、およびそれぞれグローサ200およびシュープレート202の取付表面の構成により、比較的長い使用寿命を有する組み立てられたトラックシュー組立品120、より高強度のグローサ、グローサ200とシュープレート202との間の溶接接続、および亀裂発生がしにくいトラックシュー組立品120が、提供され得る。さらに、グローサ200およびシュープレート202が、別々に形成され、その後、グローサ200とシュープレート202との間の確実な接続を形成するために、取付表面を溶接またはろう付けすることによって接合され得るため、トラックシュー組立品120に関連付けられた製造および流通コストは、比較的低くなり得、別個の構成要素は、大型機器を必要とせず、より多くの施設で形成され得る。また、結果として、本発明に係り形成される別個の構成要素として、または組み立てられたトラックシュー組立品120としてのいずれかでのグローサ200およびシュープレート202の製造および流通に関連するコストは、低減された移動距離および時間のために、比較的低い場合がある。
【0032】
図5は、一つ以上の実施形態に係る、
図1~3に示すトラックシュー組立品120などのトラックシュー組立品を形成する方法500のフローチャートを示す。方法500は、例えば、溝244をシュープレート本体220の遠位表面222上に含むシュープレート本体230を有するシュープレート202を形成するステップ502を含み得る。シュープレート本体220および溝244は、
図2および
図3に示すように、シュープレート本体220および溝244の前述の説明に従って形成され得る。特に、例えば、シュープレート本体220は、RKW C37~RKW C45の範囲で硬化された低合金鋼などの材料から圧延され得る。次に、溝244は、材料を、圧延されたシュープレート本体220から除去することによって形成され得る。溝244の形成は、平面246および角度付き表面248を形成するために、材料を除去することを含む。溝の形状が
図2および
図3に示す台形形状とは異なる場合で、取付表面は、相対的なサイズおよび形状で変化し得る。例えば、取付表面は、湾曲したまたは弓状、曲線、および/または平坦な表面、ならびにより大きいまたはより少ない数の平面または角度付き表面を含み得る。特に、溝244は、
図4に示すように、シュープレート本体220の湾曲した取付表面252として形成され得る。
【0033】
さらに、方法500は、シュープレート本体220の溝244内に嵌合するように構成された平面216および少なくとも二つの角度付き表面218を含む、取付表面を有するグローサ本体204を有するグローサ200を形成するステップ504を含み得る。グローサ200を形成することは、例えば、RKW C45~RKW C55の範囲に硬化された高合金鋼などの材料を圧延することを含み得る。もちろん、グローサ本体204の取付表面の形状が、
図2および
図3に示す台形形状とは異なる場合で、取付表面は、相対的なサイズおよび形状で変化し得る。例えば、取付表面は、湾曲した、曲線状の、および/または平坦な表面、ならびにより大きいまたはより少ない数の平面または角度付き表面を含み得る。特に、グローサ本体204上に形成された取付表面は、
図4に示すように、湾曲または弓状であり得る。代替的な形状および/または数の取付表面を有する任意の実施形態では、グローサ本体204上の取付表面の形状および数はそれぞれ、シュープレート本体220の溝244の取付表面の形状および数に対応する。このようにして、グローサ200は、シュープレート本体220の溝244内に配置されると、自己整列し得る。
【0034】
最後に、方法500は、グローサ200をシュープレート202に取り付けるステップ506を含み得る。具体的には、ステップ506は、グローサ本体204の取付表面をシュープレート本体220の取付表面に溶接またはろう付けすることを含み得、グローサ本体204の平面218が、シュープレート本体220の平面248に溶接され、グローサ本体204の角度付き表面218が、シュープレート本体220の角度付き表面248に溶接される。溶接は、金属不活性ガス(MIG)アーク溶接、タングステン不活性ガス(TIG)溶接、および被覆金属アーク溶接(SMAW)などのアーク溶接、ならびに線形摩擦溶接などの摩擦溶接のうちの一つを含み得る。溶接またはろう付けは、その幅全体に沿って表面を取り付けるために使用され得、または溶接は、表面の一部分(すなわち、表面の幅全体ではない)に使用され得る。特定の種類の溶接の一部の実施例が上述されているが、他の種類の溶接は、方法500の取り付けステップの一部として実施され得る。方法500が、上述のステップ502~506を含むものとして説明されているが、方法500は、これらのステップに限定されない。
【0035】
また、方法500が、シュープレート本体220内に溝244を形成するステップと、シュープレート本体220の溝244内に嵌合するため、複数の取付表面を含むためにグローサ本体204を形成するステップと、を含むが、該方法は、代替的に、溝をグローサ本体204内に形成するステップと、グローサ本体204内に形成された溝内に嵌合するため、複数の取付表面を含むためにシュープレート本体220を形成するステップと、を含み得る。
【0036】
本開示のその他の実施形態は、本明細書で開示された本発明の仕様および実践を考慮することで、当業者には明らかであろう。仕様および実施例が、例としてのみ考慮されることが意図され、本発明の真の範囲および趣旨が、以下の特許請求の範囲によって示される。
【国際調査報告】