(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-04
(54)【発明の名称】スクロール圧縮機
(51)【国際特許分類】
F04C 29/12 20060101AFI20240927BHJP
F04C 18/02 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
F04C29/12 F
F04C18/02 311P
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024516503
(86)(22)【出願日】2023-04-20
(85)【翻訳文提出日】2024-03-13
(86)【国際出願番号】 KR2023005344
(87)【国際公開番号】W WO2024058333
(87)【国際公開日】2024-03-21
(31)【優先権主張番号】10-2022-0115087
(32)【優先日】2022-09-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516011246
【氏名又は名称】ハンオン システムズ
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】弁理士法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キム, クァン ジン
(72)【発明者】
【氏名】イ, キョン ジェ
(72)【発明者】
【氏名】ジョン, ジョン ヒョン
(72)【発明者】
【氏名】ジョン, ス チョル
【テーマコード(参考)】
3H039
3H129
【Fターム(参考)】
3H039AA12
3H039BB02
3H039BB03
3H039BB15
3H039BB28
3H039CC28
3H039CC30
3H039CC31
3H129AA02
3H129AA16
3H129AA33
3H129AB03
3H129BB16
3H129BB21
3H129BB44
3H129CC15
3H129CC19
(57)【要約】
【課題】注入バルブ組立体においてバルブプレートの変形を最小化することができ、ガスケットリテーナーのビード部が押さえられても注入バルブを支持する内側部まで変形が伝達されず平らな形状を維持できるスクロール圧縮機を提供する
【解決手段】スクロール圧縮機は、ハウジング、前記ハウジング内に備えられるモーター、前記モーターにより回転される回転軸、前記回転軸に連動されて旋回運動される旋回スクロール、及び、前記旋回スクロールと共に圧縮室を形成する固定スクロールを含み、前記ハウジングは、前記圧縮室から吐出される冷媒を収容する吐出室を形成するリアハウジングを含み、前記固定スクロールと前記リアハウジングの間には、前記リアハウジング内に前記ハウジングの外部から冷媒が流入する導入室を区画して前記導入室の冷媒を前記圧縮室に案内する注入バルブ組立体が備えられ、前記注入バルブ組立体は、前記リアハウジングに結合されて、前記導入室の冷媒が流入する流入口を有するカバープレート、
前記カバープレートに結合されて、前記流入口を通じて流入した冷媒が流出する流出口を有するバルブプレート、前記カバープレートと前記バルブプレートの間に介在されて冷媒の漏洩を防止するガスケットリテーナー、及び、前記カバープレートと前記ガスケットリテーナーの間に介在されて前記流入口を開閉する注入バルブを含み、
前記ガスケットリテーナーは、前記注入バルブが開かれる方向に傾斜加工されるリテーナー部、締結ボルトが挿入されるように前記リテーナー部の半径方向外側に貫通形成される複数の締結ホール、一面から突出形成されて前記リテーナー部を囲んで前記複数の締結ホールの半径方向内側に延長される第1ハーフ-ビード(half-bead)、及び、一面から突出形成されて前記第1ハーフ-ビードを囲んで前記複数の締結ホールの半径方向外側に延長される第2ハーフ-ビード(half-bead)を含むことを特徴とする。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジング、
前記ハウジング内に備えられるモーター、
前記モーターにより回転される回転軸、
前記回転軸に連動されて旋回運動される旋回スクロール、及び、
前記旋回スクロールと共に圧縮室を形成する固定スクロールを含み、
前記ハウジングは、前記圧縮室から吐出される冷媒を収容する吐出室を形成するリアハウジングを含み、
前記固定スクロールと前記リアハウジングの間には、前記リアハウジング内に前記ハウジングの外部から冷媒が流入する導入室を区画して前記導入室の冷媒を前記圧縮室に案内する注入バルブ組立体が備えられ、
前記注入バルブ組立体は、
前記リアハウジングに結合されて、前記導入室の冷媒が流入する流入口を有するカバープレート、
前記カバープレートに結合されて、前記流入口を通じて流入した冷媒が流出する流出口を有するバルブプレート、
前記カバープレートと前記バルブプレートの間に介在されて冷媒の漏洩を防止するガスケットリテーナー、及び、
前記カバープレートと前記ガスケットリテーナーの間に介在されて前記流入口を開閉する注入バルブを含み、
前記ガスケットリテーナーは、
前記注入バルブが開かれる方向に傾斜加工されるリテーナー部、
締結ボルトが挿入されるように前記リテーナー部の半径方向外側に貫通形成される複数の締結ホール、
一面から突出形成されて前記リテーナー部を囲んで前記複数の締結ホールの半径方向内側に延長される第1ハーフ-ビード(half-bead)、及び、
一面から突出形成されて前記第1ハーフ-ビードを囲んで前記複数の締結ホールの半径方向外側に延長される第2ハーフ-ビード(half-bead)を含むことを特徴とするスクロール圧縮機。
【請求項2】
前記複数の締結ホールと離隔される部分では前記第1ハーフ-ビードは前記第2ハーフ-ビードが互いに接触して膨らんだ形状のプール-ビード(full-bead)をなすことを特徴とする請求項1に記載のスクロール圧縮機。
【請求項3】
前記第1ハーフ-ビードと前記第2ハーフ-ビードはそれぞれ四分円の断面形状を有し、
前記複数の締結ホールと離隔される部分では前記第1ハーフ-ビードは前記第2ハーフ-ビードが互いに接触して半円の断面形状をなすことを特徴とする請求項2に記載のスクロール圧縮機。
【請求項4】
前記第1ハーフ-ビード及び前記第2ハーフ-ビードは前記バルブプレートに対向するガスケットリテーナー下面から突出形成されることを特徴とする請求項1に記載のスクロール圧縮機。
【請求項5】
前記リテーナー部で傾斜が始まる一端部と隣接する前記第1ハーフ-ビードが直接連結されないように、前記ガスケットリテーナーには前記リテーナー部の一端部外側を囲むように延長されるホールが形成されることを特徴とする請求項1に記載のスクロール圧縮機。
【請求項6】
前記リテーナー部は前記ガスケットリテーナーの本体で切開により傾斜加工されて、
前記ガスケットリテーナーは前記リテーナー部の傾斜角度を維持するために前記リテーナー部の両側とこれとそれぞれ向き合う前記ガスケットリテーナーの本体を連結する一対の翼部をさらに含み、
前記一対の翼部の一側にはメーン流動ホールが形成されて、他側には一対の補助流動ホールが形成され、前記一対の補助流動ホールの中、外側に位置する第1補助流動ホールは内側に位置する第2補助流動ホールより長く延長されて前記リテーナー部の一端部外側を囲むことを特徴とする請求項5に記載のスクロール圧縮機。
【請求項7】
前記第1補助流動ホールは前記第2補助流動ホールと同じ線上に位置するか越える時まで延長されることを特徴とする請求項6に記載のスクロール圧縮機。
【請求項8】
前記一対の翼部は前記リテーナー部の傾斜が始まる一端部と反対である他端部の両側に連結されることを特徴とする請求項6に記載のスクロール圧縮機。
【請求項9】
前記リテーナー部は複数個からなり、前記リテーナー部は、第1リテーナー部、及び前記第1リテーナー部と離隔されて形成される第2リテーナー部を含み、
前記第1リテーナー部の第1補助流動ホールは前記第2リテーナー部のメーン流動ホールに向かって延長されて、前記第2リテーナー部の第1補助流動ホールは前記第1リテーナー部のメーン流動ホールに向かって延長されることを特徴とする請求項6に記載のスクロール圧縮機。
【請求項10】
前記メーン流動ホールは前記リテーナー部の傾斜が始まる一端部と反対である他端部を囲んで少なくとも前記ガスケットリテーナーの周り方向に沿って一部延長されることを特徴とする請求項6に記載のスクロール圧縮機。
【請求項11】
前記バルブプレートが前記ガスケットリテーナーを対向する面の周りには段差が形成され、前記段差は前記バルブプレートの周りで前記ガスケットリテーナーに向かって突出形成される段差形成面により形成されて、
前記第1ハーフ-ビードは前記第2ハーフ-ビードは前記段差形成面に対向することを特徴とする請求項1に記載のスクロール圧縮機。
【請求項12】
ハウジング、
前記ハウジング内に備えられるモーター、
前記モーターにより回転される回転軸、
前記回転軸に連動されて旋回運動される旋回スクロール、及び、
前記旋回スクロールと共に圧縮室を形成する固定スクロールを含み、
前記ハウジングは、前記圧縮室から吐出される冷媒を収容する吐出室を形成するリアハウジングを含み、
前記固定スクロールと前記リアハウジングの間には、前記リアハウジング内に前記ハウジングの外部から冷媒が流入する導入室を区画して前記導入室の冷媒を前記圧縮室に案内する注入バルブ組立体が備えられ、
前記注入バルブ組立体は、
前記リアハウジングに結合されて、前記導入室の冷媒が流入する流入口を有するカバープレート、
前記カバープレートに結合されて、前記流入口を通じて流入した冷媒が流出する流出口を有するバルブプレート、
前記カバープレートと前記バルブプレートの間に介在されて冷媒の漏洩を防止するガスケットリテーナー、及び、
前記カバープレートと前記ガスケットリテーナーの間に介在されて前記流入口を開閉する注入バルブ、を含み、
前記ガスケットリテーナーは、
前記注入バルブが開かれる方向に傾斜加工されるリテーナー部、及び、
一面から突出形成されて前記リテーナー部を囲むビード部を含み、
前記リテーナー部で傾斜が始まる一端部と隣接する前記ビード部が直接連結されないように、前記ガスケットリテーナーには前記リテーナー部の一端部外側を囲むように延長されるホールが形成されることを特徴とするスクロール圧縮機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はスクロール圧縮機に係り、より詳しくは、注入バルブ組立体においてバルブプレートの変形を最小化することができ、ガスケットリテーナーのビード部が押さえられても注入バルブを支持する内側部まで変形が伝達されず平らな形状を維持できるスクロール圧縮機に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、自動車には室内の冷暖房のための空調装置(Air Conditioning;A/C)が設置される。このような空調装置は冷房システムの構成で、蒸発器から引き込まれた低温低圧の気相冷媒を高温高圧の気相冷媒に圧縮させて凝縮機に送る圧縮機を含む。
圧縮機にはピストンの往復運動によって冷媒を圧縮する往復式と、回転運動をしながら圧縮を行う回転式がある。往復式には駆動源の伝達方式によってクランクを使用して複数個のピストンに伝達するクランク式、斜板が設置されるシャフトに伝達する斜板式などがあり、回転式には回転するロータリー軸とベインを使用するベインロータリー式、旋回スクロールと固定スクロールを使用するスクロール式がある。
スクロール圧縮機は他の種類の圧縮機に比べて相対的に高い圧縮比を得ることができ、冷媒の吸入、圧縮、吐出行程がスムーズにつながり安定したトルクを得ることができる長所があるので、空調装置などで冷媒圧縮用に広く使われている。
特許文献1に開示される従来のスクロール圧縮機は吸入圧の冷媒だけが圧縮室に吸入されて圧縮された後、外部に吐出される一連の過程を経る。しかし、このような従来のスクロール圧縮機においては、圧縮室から吐出される冷媒吐出量が決まっており、圧縮機の性能及び効率向上に限界があるという問題点がある。
【0003】
これを解決するために、特許文献2には
図1及び2に図示されるように、圧縮機の外部から流入する中間圧の冷媒を圧縮室(C)に導入する注入流路を開閉するための注入バルブ及び漏洩防止手段を含む注入バルブ組立体(700)が備えられるスクロール圧縮機が開示される。
具体的には、注入バルブ組立体(700)はカバープレート(710)、注入バルブ(720)、バルブプレート(730)及び漏洩防止手段としてガスケットリテーナー(790)を含む。ガスケットリテーナー(790)はカバープレート(710)とバルブプレート(730)の間で圧搾されてその間を密封して、それにより注入バルブ(720)がカバープレート(710)とガスケットリテーナー(790)の間で共に圧搾されて固定される。そのために、ガスケットリテーナー(790)はガスケットリテーナー上面でカバープレート(710)に向かって突出するビード部(792)を含む。
しかし、ガスケットリテーナー(790)で締結ボルトが貫通する第3締結ホール(796)周辺にはビード部(792)が形成されないため、締結ボルト(770)により注入バルブ組立体(700)がリアハウジング(130)に締結される時、ボルト締結力を第3締結ホール(796)周辺では支持する部分がなくバルブプレート(730)が曲がるという問題がある。すなわち、バルブプレート(730)がガスケットリテーナー(790)に向かう方向と反対方向に膨らむように変形されることができる。
また、ガスケットリテーナー(790)でビード部(792)とリテーナー部(794)はメーン流動ホール(790c)と一対の補助流動ホール(790d)を除いて何れもが連結されているので、ビード部(792)が押さえられて発生する変形が注入バルブを支持する内側部まで、すなわちリテーナー部(794)まで伝達されるという問題がある。
このように、バルブプレート(730)とガスケットリテーナー(790)が変形することによって注入バルブ(720)の支持が堅固になれず、不安定になり騷音が発生し得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】韓国公開特許第2018-0094483号公報
【特許文献2】韓国公開特許第2021-0118743号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、注入バルブ組立体においてバルブプレートの変形を最小化することができ、ガスケットリテーナーのビード部が押さえられても注入バルブを支持する内側部まで変形が伝達されず平らな形状を維持できるスクロール圧縮機を提供することをその目的とする。
本発明が実現しようとする技術的課題は以上で言及した技術的課題に制限されず、言及されていない他の技術的課題は下記から本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者に明確に分かるだろう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため本発明は、ハウジングと、前記ハウジング内に備えられるモーターと、前記モーターにより回転される回転軸と、前記回転軸に連動されて旋回運動される旋回スクロール及び前記旋回スクロールと共に圧縮室を形成する固定スクロールとを含み、前記ハウジングは、前記圧縮室から吐出される冷媒を収容する吐出室を形成するリアハウジングを含み、前記固定スクロールと前記リアハウジングの間には、前記リアハウジング内に前記ハウジングの外部から冷媒が流入する導入室を区画して前記導入室の冷媒を前記圧縮室に案内する注入バルブ組立体が備えられ、前記注入バルブ組立体は、前記リアハウジングに結合されて、前記導入室の冷媒が流入する流入口を有するカバープレートと、前記カバープレートに結合されて、前記流入口を通じて流入した冷媒が流出する流出口を有するバルブプレートと、前記カバープレートと前記バルブプレートの間に介在されて冷媒の漏洩を防止するガスケットリテーナー及び前記カバープレートと前記ガスケットリテーナーの間に介在されて前記流入口を開閉する注入バルブとを含み、前記ガスケットリテーナーは、前記注入バルブが開かれる方向に傾斜加工されるリテーナー部と、締結ボルトが挿入されるように前記リテーナー部の半径方向外側に貫通形成される複数の締結ホールと、一面から突出形成されて前記リテーナー部を囲み、前記複数の締結ホールの半径方向内側に延長される第1ハーフ-ビード(half-bead)、及び一面から突出形成されて前記第1ハーフ-ビードを囲み、前記複数の締結ホールの半径方向外側に延長される第2ハーフ-ビード(half-bead)とを含むことを特徴とする。
【0007】
前記複数の締結ホールと離隔される部分では前記第1ハーフ-ビードは、前記第2ハーフ-ビードが互いに接触して膨らんだ形状のプール-ビード(full-bead)をなすことができる。
【0008】
前記第1ハーフ-ビードと前記第2ハーフ-ビードとがそれぞれ四分円の断面形状を有し、前記複数の締結ホールと離隔される部分では前記第1ハーフ-ビードと前記第2ハーフ-ビードが互いに接触して半円の断面形状をなすことができる。
【0009】
前記第1ハーフ-ビード及び前記第2ハーフ-ビードは前記バルブプレートを対向するガスケットリテーナー下面から突出形成されることができる。
前記リテーナー部で傾斜が始まる一端部と隣接する前記第1ハーフ-ビードとが直接連結されないように、前記ガスケットリテーナーには前記リテーナー部の一端部外側を囲むように延長されるホールが形成されることができる。
【0010】
実施前記リテーナー部は、前記ガスケットリテーナーの本体で切開により傾斜加工され、前記ガスケットリテーナーは、前記リテーナー部の傾斜角度を維持するために前記リテーナー部の両側とそれぞれ向き合う前記ガスケットリテーナーの本体とを連結する一対の翼部をさらに含み、前記一対の翼部の一側にはメーン流動ホールが形成されて、他側には一対の補助流動ホールが形成され、前記一対の補助流動ホールの中、外側に位置する第1補助流動ホールは、内側に位置する第2補助流動ホールより長く延長されて前記リテーナー部の一端部外側を囲むことができる。
【0011】
前記第1補助流動ホールは、前記第2補助流動ホールと同じ線上に位置するか越えるまで延長されることができる。
【0012】
前記一対の翼部は、前記リテーナー部の傾斜が始まる一端部と反対にある他端部の両側に連結されることができる。
【0013】
前記リテーナー部は、複数個からなり、前記リテーナー部は、第1リテーナー部及び前記第1リテーナー部と離隔されて形成される第2リテーナー部を含み、前記第1リテーナー部の第1補助流動ホールは、前記第2リテーナー部のメーン流動ホールに向かって延長されて、前記第2リテーナー部の第1補助流動ホールは、前記第1リテーナー部のメーン流動ホールに向かって延長されることができる。
【0014】
前記メーン流動ホールは、前記リテーナー部の傾斜が始まる一端部と反対にある他端部を囲み、少なくとも前記ガスケットリテーナーの周り方向に沿って一部延長されることができる。
【0015】
前記バルブプレートが前記ガスケットリテーナーを対向する面の周りには段差が形成され、前記段差は、前記バルブプレートの周りで前記ガスケットリテーナーに向かって突出形成される段差形成面により形成されて、前記第1ハーフ-ビードは、前記第2ハーフ-ビードとは前記段差形成面を対向することができる。
【0016】
前記課題を解決するために本発明は、ハウジングと、前記ハウジング内に備えられるモーターと、前記モーターにより回転される回転軸と、前記回転軸に連動されて旋回運動される旋回スクロール及び前記旋回スクロールと共に圧縮室を形成する固定スクロールとを含み、前記ハウジングは、前記圧縮室から吐出される冷媒を収容する吐出室を形成するリアハウジングを含み、前記固定スクロールと前記リアハウジングとの間には、前記リアハウジング内に前記ハウジングの外部から冷媒が流入する導入室を区画して前記導入室の冷媒を前記圧縮室に導入する注入バルブ組立体が備えられ、前記注入バルブ組立体は、前記リアハウジングに結合されて、前記導入室の冷媒が流入する流入口を有するカバープレートと、前記カバープレートに結合されて、前記流入口を通じて流入した冷媒が流出する流出口を有するバルブプレートと、前記カバープレートと前記バルブプレートの間に介在されて冷媒の漏洩を防止するガスケットリテーナー及び前記カバープレートと前記ガスケットリテーナーの間に介在されて前記流入口を開閉する注入バルブとを含み、前記ガスケットリテーナーは、前記注入バルブが開かれる方向に傾斜加工されるリテーナー部及び一面から突出形成されて前記リテーナー部を囲むビード部を含み、前記リテーナー部で傾斜が始まる一端部と隣接する前記ビード部が直接連結されないように、前記ガスケットリテーナーには前記リテーナー部の一端部外側を囲むように延長されるホールが形成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、スクロール圧縮機の圧縮室に吸入圧の冷媒だけではなく中間圧の冷媒が導入されることによって圧縮室から吐出される冷媒吐出量を増加させることができ、圧縮機の性能及び効率を向上させることができる。
また、ガスケットリテーナーがリテーナー部を囲み、複数の締結ホールの半径方向内側に延長される第1ハーフ-ビード(half-bead)と、リテーナー部を囲んで複数の締結ホールの半径方向外側に延長される第2ハーフ-ビード(half-bead)とを含むことによって、締結ボルトにより注入バルブ組立体がリアハウジングに締結される時、ボルト締結力がガスケットリテーナーの締結ホール周辺でも支持されることができ、バルブプレートの変形が最小化できる。
特に、面圧の強い締結ホール周辺では締結ボルトを支持することができるように第1ハーフ-ビードとは第2ハーフ-ビードとがそれぞれ構成されて、面圧の弱い締結ホールと離隔される部分(隣接する締結ホール間の空間)では第1ハーフ-ビードとは第2ハーフ-ビードとが互いに接触されてプール-ビードを形成することができるので、均等な面圧を通じてバルブプレートの変形を防止できる。
【0018】
また、リテーナー部で傾斜が始まる一端部と隣接するビード部(第1ハーフ-ビード)とが直接連結されないように、ガスケットリテーナーにはリテーナー部の一端部外側を囲むように延長されるホールが形成されることによって、ビード部が押さえられながら発生する変形は注入バルブを支持する内側部まで伝達されない。
特に、注入バルブの開閉動作が行われる開始部(基準点)を支持するリテーナー部の一端部でビード部が直接連結されないので変形が伝達されず、最小限の連結として一対の翼部がリテーナー部の他端部に連結されることによって注入バルブはしっかりと支持されることができる。
このように、バルブプレートとガスケットリテーナーの変形が最小化し、注入バルブの支持がしっかりすることができ、安定した動作がなされることができる。
本発明の効果は前述した効果に限定されず、本発明の詳細な説明または特許請求範囲に記載される発明の構成から推論可能な全ての効果を含むと理解すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】従来のスクロール圧縮機を図示する断面図である。
【
図2】
図1の注入バルブ組立体を分離して図示する分解斜視図である。
【
図3】本発明の一実施例によるスクロール圧縮機の注入バルブ組立体を図示する分解斜視図である。
【
図4】
図3からバルブプレートを分離して図示する背面斜視図である。
【
図5】
図3からガスケットリテーナーを分離して図示する背面斜視図である。
【
図7】
図3の注入バルブ組立体がリアハウジングに締結された状態を図示する平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明のスクロール圧縮機について添付図面を参照して説明する。
また、後述する用語は本発明での機能を考慮して定義された用語で、これは使用者、運用者の意図または慣例によって変わることができ、下の実施例は本発明の権利範囲を限定するものではなく、本発明の請求範囲に提示される構成要素の例示的な事項に過ぎない。
本発明を明確に説明するために説明と関係ない部分は省略し、明細書全体を通して同一または類似の構成要素に対しては同じ参照符号を付ける。明細書全体で、ある部分がある構成要素を「含む」とするとする時、これは特別に反対の記載がない限り、他の構成要素を除外するのではなく、他の構成要素をさらに備えることができることを意味する。
【0021】
本発明のスクロール圧縮機は、ハウジング(100)、ハウジング(100)内に備えられるモーター(200)、モーター(200)により回転される回転軸(300)、回転軸(300)に連動されて旋回運動される旋回スクロール(400)、旋回スクロール(400)と共に圧縮室(C)を形成する固定スクロール(500)、及び固定スクロール(500)の一面上に配置されて圧縮室(C)で圧縮された冷媒が吐出される固定スクロールの吐出口(512)を開閉する吐出バルブ(600)を含む。ここで、
図1及び2に図示する先行文献2のスクロール圧縮機の構成と同じ構成に対しては同じ図面符号を使用し、同じ構成に対しては詳細な説明を省略する。
そして、本スクロール圧縮機はハウジング(100)の外部(スクロール圧縮機、凝縮機、膨脹バルブ及び蒸発器を含む蒸気圧縮式冷凍サイクルで、例えば凝縮機の下流)から中間圧の冷媒を圧縮室(C)に案内する注入流路を形成して注入流路を開閉するための注入バルブ組立体(2700)をさらに含む。
【0022】
ハウジング(100)は、回転軸(300)が貫通するセンターハウジング(110)、モーター(200)が収容されるモーター収容空間を形成するフロントハウジング(120)、及び圧縮室(C)から吐出される冷媒を収容する吐出室(D)を形成するリアハウジング(130)を含み、注入バルブ組立体(2700)は、固定スクロール(500)とリアハウジング(130)の間に介在できる。注入バルブ組立体(2700)はリアハウジング(130)内にハウジングの外部から冷媒が流入する導入室(I)を区画して、導入室(I)の冷媒を圧縮室(C)に案内する。
【0023】
具体的に、注入バルブ組立体(2700)は、
図3に図示すように、リアハウジング(130)に結合されて導入室(I)の冷媒が流入する流入口(712)を有するカバープレート(710)、カバープレート(710)に結合されて流入口(712)を通じて流入した冷媒が流出する流出口(736)を有するバルブプレート(2730)、カバープレート(710)とバルブプレート(2730)の間に介在されて冷媒の漏洩を防止するガスケットリテーナー(2790)、及びカバープレート(710)とガスケットリテーナー(2790)の間に介在されて流入口(712)を開閉する注入バルブ(720)を含む。ここで、先行文献2のスクロール圧縮機の構成と同じ構成に対しては同じ図面符号を使用し、同じ構成に対しては詳細な説明を省略する。すなわち、カバープレート(710)及び注入バルブ(720)の構成は先行文献2のスクロール圧縮機の構成と同一である。
【0024】
バルブプレート(2730)は、
図3及び4に図示すように、先行文献2のバルブプレート(730)と比較して突出部(732)、傾斜空間(734)、流出口(736)、第1締結ホール(739a)、及び第2位置決定溝(739b)は同一に適用されることができるが、バルブプレート(2730)がガスケットリテーナー(2790)を対向する面に面圧増大部(2738)と段差(2739)が形成されるという差異点がある。すなわち、先行文献2のバルブプレート(730)が、ガスケットリテーナー(790)に対向する面は傾斜空間(734)を除いて平面に形成されているが、本実施例のバルブプレート(2730)がガスケットリテーナー(2790)に対向する面には傾斜空間(734)を除いても高さが互いに異なる3個の面が存在する。
具体的に、面圧増大部(2738)は、注入バルブ(720)の少なくとも一部を支持するように突出形成される。すなわち、傾斜空間(734)が窪むように形成されるベース面(2737)から面圧増大部(2738)がガスケットリテーナー(2790)に向かって突出形成される。逆に言えば、ベース面(2737)の高さが面圧増大部(2738)より低く形成される。
この時、面圧増大部(2738)は注入バルブ(720)でバルブの開閉動作が行われる開始部、すなわちバルブが開いて閉められる動作をする時、基準点の役割を果たす部分を支持することが好ましい。それにより、注入バルブ(720)の支持が必要な位置で面圧を増大させて注入バルブをはっきりと支持することができる。
具体的に、注入バルブ(720)が流入口を開閉する頭部(722)と、頭部(722)から延長されて開閉動作を行う脚部(724)を含む時、面圧増大部(2738)は、頭部(722)と反対側に配置される脚部(724)の端部を対向する位置に備えられることができる。
【0025】
流入口(712)は、先行文献2と同様に複数個からなり、それぞれ独立的に導入室(I)と連通される第1流入口(712a)と第2流入口(712b)を含む。また、本実施例で注入バルブ(720)も先行文献2と同様に第1流入口(712a)を開閉する第1頭部(722a)、第1頭部(722a)から延長されて開閉動作を行う第1脚部(724a)、第2流入口(712b)を開閉する第2頭部(722b)、第2頭部(722b)から延長されて開閉動作を行う第2脚部(724b)、及び第1脚部(724a)と第2脚部(724b)を連結する連結部(726)を含む。
ここで、注入バルブ(720)の支持が必要な位置は、
図3に図示するように第1脚部(724a)で連結部(726)が連結される端部(a部分)、及び第2脚部(724b)で連結部(726)が連結される端部(b部分)である。第1頭部(722a)がa部分を基準点としてベンディング(bending)しながら第1流入口(712a)を開閉して、第2頭部(722b)がb部分を基準点としてベンディングしながら第2流入口(712b)を開閉するためである。したがって、面圧増大部(2738)は、前記a部分及びb部分を対向する位置に備えられて注入バルブ(720)のa部分とb部分を支持することができる。
【0026】
面圧増大部(2738)は注入バルブ(720)の安定した支持のために、連結部(726)の少なくとも一部を対向する位置に備えられることができる。すなわち、面圧増大部(2738)は前記a部分及びb部分に対向する位置に備えると同時に注入バルブを横切る位置にも備えることができる。この時、面圧増大部(2738)は同じ高さに形成するために一体につながる面に形成されることが好ましい。
場合によっては、面圧増大部(2738)には第2位置決定溝(739b)を回避するために窪むように形成される回避部(2738c)が備えられることができる。
前記のようにバルブプレート(2730)がガスケットリテーナー(2790)に対向する面には面圧増大部(2738)が形成されると同時に周りに段差が形成されることができる。この時、段差は面圧増大部(2738)の半径方向外側で面圧増大部(2738)の面より突出形成される段差形成面(2739)により形成されることができる。
それによって、バルブプレート(2730)がガスケットリテーナー(2790)に対向する面は段差形成面(2739)、次に面圧増大部(2738)、その次にベース面(2737)の順に高さが低くなる。
【0027】
ここで、段差形成面(2739)は、後述するガスケットリテーナー(2790)のビード部(2792)に対向する。それにより、締結ボルト(770)により注入バルブ組立体(2700)がリアハウジング(130)に締結される時、段差形成面(2739)がビード部(2792)を押さえて変形させて面圧を形成してバルブプレート(2730)とカバープレート(710)の間を密封することができる。
それと共に、段差形成面(2739)の内側に形成されるキャビティにはガスケットリテーナー(2790)の内側部分と注入バルブ(720)が装着されることができる。このようにガスケットリテーナー(2790)の内側部分と注入バルブ(720)がキャビティに装着されることによって、ビード部(792)の突出する高さ(h)が注入バルブ(720)の厚さ(t)より大きいか同じであるべきとする先行文献2に比べてビード部(2792)の高さを低くすることができる。したがって、ガスケットリテーナー(2790)の変形を防止することができ、ガスケットリテーナー成形とボルト締結力維持にも有利である。これは下記でガスケットリテーナー(2790)の説明と共にさらに詳細に説明する。
バルブプレート(2730)は、先行文献2のバルブプレート(730)と相違する構造であると説明説明したが、これに限定されるのではなく、先行文献2のバルブプレート(730)が適用できることは言うまでもない。
【0028】
図5及び6に示す通り、ガスケットリテーナー(2790)は、先行文献2と同様に注入バルブ(720)が開かれる方向に傾斜加工されるリテーナー部(794)と、締結ボルト(770)が挿入されるようにリテーナー部(794)の半径方向外側に貫通形成される複数の第3締結ホール(796)を含む。ただし、ビード部(2792)が第1ハーフ-ビード(2792a)と第2ハーフ-ビード(2792b)を含むという点で差異点があり、メーン流動ホール(2790c)と一対の補助流動ホール(2790d、2790e)の形状が相違する。
具体的に、ビード部(2792)は、一面から突出形成されてリテーナー部(794)を囲んで複数の第3締結ホール(796)の半径方向内側に延長される第1ハーフ-ビード(half-bead)(2792a)と、一面から突出形成されて第1ハーフ-ビード(2792a)を囲んで複数の第3締結ホール(796)の半径方向外側に延長される第2ハーフ-ビード(half-bead)(2792b)を含む。
ここで、先行文献2とは違って第1ハーフ-ビード(2792a)と第2ハーフ-ビード(2792b)はバルブプレート(2730)に対向するガスケットリテーナー下面(790b)から突出形成されているが、これに限定されるのではない。
【0029】
この時、複数の第3締結ホール(796)と離隔される部分、すなわち隣接する第3締結ホール(796)間の空間では第1ハーフ-ビード(2792a)と第2ハーフ-ビード(2792b)が互いに接触して膨らんだ形状のプール-ビード(full-bead)をなす。
図5及び6に図示すように、膨らんだ形状のプール-ビードが延長されて第3締結ホール(796)に隣接すれば第1及び第2ハーフ-ビード(2792a、2792b)にそれぞれ分れて第3締結ホール(796)の内側と外側に延長されて、以後また合ってプール-ビードに延長される。
一例として、第1ハーフ-ビード(2792a)と第2ハーフ-ビード(2792b)はそれぞれ四分円の断面形状を有し、複数の第3締結ホール(796)と離隔される部分では第1ハーフ-ビード(2792a)と第2ハーフ-ビード(2792b)が互いに接触して半円の断面形状をなすことができる。
【0030】
このように複数の第3締結ホール(796)周囲にもビード部が形成されることによって、締結ボルト(770)により注入バルブ組立体(2700)がリアハウジング(130)に締結される時、ボルト締結力が第3締結ホール(796)周辺でも支持されることができ、バルブプレート(2730)の変形が最小化できる。
特に、面圧の強い第3締結ホール(796)周辺では締結ボルト(770)を支持できるように第1ハーフ-ビード(2792a)と第2ハーフ-ビード(2792b)がそれぞれ構成されて、面圧の弱い第3締結ホール(796)と離隔される部分では第1ハーフ-ビード(2792a)と第2ハーフ-ビード(2792b)が互いに接触されてプール-ビードを形成できるので、均等な面圧を通じてバルブプレート(2730)の変形を防止できる。
また、リテーナー部(794)で傾斜が始まる一端部と隣接する第1ハーフ-ビード(2792a)が直接連結されないように、ガスケットリテーナー(2790)にはリテーナー部(794)の一端部外側を囲むように延長されるホールが形成される。本実施例では後述する第1補助流動ホール(2790d)がリテーナー部(794)の一端部外側を囲むように延長されるホールの役割を果たす。それにより、ビード部(2792)が押さえられて発生する変形が注入バルブ(720)を支持する内側部まで伝達されない。
【0031】
具体的に、リテーナー部(794)は、先行文献2と同様にガスケットリテーナー(2790)の本体で切開により傾斜加工され、ガスケットリテーナー(2790)はリテーナー部(794)の傾斜角度を維持するためにリテーナー部(794)の両側とこれとそれぞれ向き合うガスケットリテーナー(2790)の本体を連結する一対の翼部(795)をさらに含む。この時、一対の翼部(795)はリテーナー部(794)の傾斜が始まる一端部と反対である他端部の両側に連結されることが好ましい。
このように、注入バルブ(720)の開閉動作が行われる開始部(基準点)を支持するリテーナー部(794)の一端部でビード部(2792)が直接連結されず変形が伝達されないので、最小限の連結として一対の翼部(795)がリテーナー部(794)の他端部に連結されることによって注入バルブ(720)がしっかりと支持されることができる。
一対の翼部(795)の一側にはリテーナー部(794)の他端部を囲んで略U字状を有するメーン流動ホール(2790c)が形成されて、他側にはリテーナー部(794)の長さ方向に沿って延長される一対の補助流動ホール(2790d、2790e)が形成される。この時、一対の補助流動ホールの中、外側に位置する第1補助流動ホール(2790d)は内側に位置する第2補助流動ホール(2790e)より長く延長されてリテーナー部(794)の一端部外側を囲む。すなわち、
図6に図示するように、第2補助流動ホール(2790e)はリテーナー部(794)の長さ方向に沿って一字状に延長され、第1補助流動ホール(2790d)は、リテーナー部(794)の長さ方向に沿って一字状に延長された後、折れてさらに延長されることができる。第1補助流動ホール(2790d)は第2補助流動ホール(2790e)と同じ線上に位置するか越える時まで延長されることができる。
【0032】
具体的に、リテーナー部(794)は、複数個からなり、第1リテーナー部(794a)及び第1リテーナー部と離隔されて形成される第2リテーナー部(794b)を含む。この場合、第1リテーナー部(794a)の第1補助流動ホール(2790d)は第1リテーナー部(794a)の長さ方向に沿って一字状に延長された後、第2リテーナー部(794b)のメーン流動ホール(2790c)に向かって折れて延長されて、第2リテーナー部(794b)の第1補助流動ホール(2790d)は第2リテーナー部(794b)の長さ方向に沿って一字状に延長された後、第1リテーナー部(794a)のメーン流動ホール(2790c)に向かって折れて延長されることができる。
場合によっては、
図6を基準に下方に位置するメーン流動ホール(2790c)のように、メーン流動ホール(2790c)は少なくともガスケットリテーナー(2790)の周り方向に沿って一部延長されることができる。
【0033】
最後に、
図7ないし9を参考して注入バルブ組立体(2700)がリアハウジング(130)に結合される状態を説明する。
図8は締結ボルト(770)と離隔される部分の断面図であり、
図9は締結ボルト(770)が締結される部分の断面図である。
図8に示す通り、締結ボルト(770)と離隔される部分ではガスケットリテーナー(2790)の第1ハーフ-ビード(2792a)と第2ハーフ-ビード(2792b)が合ってプールビードをなす。また、第1補助流動ホール(2790d)によりリテーナー部(794)がビード部(2792)に直接的に連結されなくてビード部(2792)の変形がリテーナー部(794)まで伝達されず、結果的にリテーナー部(794)が平らな状態を維持することが分かる。また、バルブプレート(2730)の段差形成面(2739)内側に形成されるキャビティにガスケットリテーナー(2790)の内側部分と注入バルブ(720)が装着されている。
【0034】
図9に示す通り、締結ボルト(770)が締結される部分ではガスケットリテーナー(2790)の第1ハーフ-ビード(2792a)と第2ハーフ-ビード(2792b)が締結ボルト(770)の内側と外側でそれぞれ形成されていることが分かり、それによりバルブプレート(2730)が支持されて変形が最小化することが分かる。このように、バルブプレート(2730)とガスケットリテーナー(2790)の変形が最小化して注入バルブ(720)の支持がしっかりとなされることができ、安定した動作が行われることができる。
本発明は前述した特定の実施例及び説明に限定されず、請求範囲で請求する本発明の要旨を逸することなく本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者であれば誰でも多様な変形実施が可能であり、そのような変形は本発明の保護範囲内にある。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明は、スクロール圧縮機に係り、さらに詳しくは、注入バルブ組立体においてバルブプレートの変形を最小化することができ、ガスケットリテーナーのビード部が押さえられても注入バルブを支持する内側部まで変形が伝達されず平らな形状を維持できるスクロール圧縮機に関する。
【符号の説明】
【0036】
100 ハウジング
110 センターハウジング
120 フロントハウジング
130 リアハウジング
200 モーター
300 回転軸
400 旋回スクロール
500 固定スクロール
512 吐出口
600 吐出バルブ
710 カバープレート
712 流入口
712a 第1流入口
712b 第2流入口
720 注入バルブ
722 頭部
722a 第1頭部
722b 第2頭部
724 脚部
724a 第1脚部
724b 第2脚部
726 連結部
730 バルブプレート
732 突出部
734 傾斜空間
736 流出口
739a 第1締結ホール
739b 第2位置決定溝
770 締結ボルト
790 ガスケットリテーナー
792 ビード部
794 リテーナー部
795 翼部
796 第3締結ホール
2700 注入バルブ組立体
2730 バルブプレート
2737 ベース面
2738 面圧増大部
2738c 回避部
2739 段差
2790 ガスケットリテーナー
2790c メーン流動ホール
2790d 第1補助流動ホール
2790e 第2補助流動ホール
2792 ビード部
2792a 第1ハーフ-ビード
2792b 第2ハーフ-ビード
【国際調査報告】