(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-04
(54)【発明の名称】自動焦点
(51)【国際特許分類】
A61B 6/58 20240101AFI20240927BHJP
【FI】
A61B6/58 500
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024517111
(86)(22)【出願日】2021-09-29
(85)【翻訳文提出日】2024-03-18
(86)【国際出願番号】 EP2021076851
(87)【国際公開番号】W WO2023051907
(87)【国際公開日】2023-04-06
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514130426
【氏名又は名称】ブレインラボ アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】バイザー,マンフレート
(72)【発明者】
【氏名】ウーデ,イェルク
【テーマコード(参考)】
4C093
【Fターム(参考)】
4C093AA01
4C093AA08
4C093CA36
4C093EC16
4C093FC27
4C093FF22
4C093GA05
(57)【要約】
本発明は、X線システムで撮像された被写体の医用画像を評価するためのコンピュータ実装方法を提案する。方法は、少なくとも1つの位置決めパラメータにおいて異なる1つまたは複数の位置決めデータセットを生成することを提案する。X線システムは、1つまたは複数の位置決めデータセットを用いて被写体の医用画像を撮像する。取得された医用画像は、医用画像の品質尺度を測定し、測定された品質尺度を評価基準と比較することによって評価された。次いで、対応する位置決めデータを有する肯定的に評価された医用画像がさらなる処理のために提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医用画像(16、20、26)の撮像品質尺度を評価する医療コンピュータ実装方法であって、
撮像される被写体(15、19、23、209)に対して医用撮像X線システムの撮像源(14、18、22、203、205)および撮像検出器(13、17、21、204)を第1の撮像位置に位置決めするように構成された第1の位置決めデータセットを受信することと、
前記第1の撮像位置から前記被写体(15、19、23、209)の第1の医用画像(16、20、26)を取得することと、
撮像される前記被写体(15、19、23、209)に対して前記医用撮像X線システムの前記撮像源(14、18、22、203、205)および前記撮像検出器(13、17、21、204)を第2の撮像位置に位置決めするように構成された少なくとも第2の位置決めデータセットを生成することであって、前記第2の位置決めデータセットが少なくとも1つの位置決めパラメータにおいて前記第1の位置決めデータセットとは異なる、生成することと、
前記第2の撮像位置から前記被写体(15、19、23、209)の少なくとも第2の医用画像(16、20、26)を取得することと、
前記第1の医用画像(16、20、26)および前記少なくとも第2の医用画像(16、20、26)における少なくとも1つの撮像品質尺度を決定し、前記決定された少なくとも1つの撮像品質尺度を前記少なくとも1つの撮像品質尺度の評価基準と比較し、評価結果を導出することと、
A)前記第1の医用画像(16、20、26)または前記少なくとも第2の医用画像(16、20、26)の肯定的な評価結果の場合、前記肯定的な評価結果を有する前記それぞれの医用画像(16、20、26)を選択し、前記選択された医用画像(16、20、26)および前記対応する位置決めデータセットをさらなる処理のために提供することと、
B)前記第1の医用画像(16、20、26)または前記少なくとも第2の医用画像(16、20、26)の否定的な評価結果の場合、撮像される前記被写体(15、19、23、209)に対して前記医用撮像X線システムの前記撮像源(14、18、22、203、205)および前記撮像検出器(13、17、21、204)をさらなる撮像位置に位置決めするように構成された少なくとも1つのさらなる位置決めデータセットを生成し、前記さらなる撮像位置決めから少なくとも1つのさらなる医用画像(16、20、26)を取得し、前記少なくとも1つのさらなる位置決めデータセットが、少なくとも1つの位置決めパラメータにおいて前記第1の位置決めデータセットおよび前記第2の位置決めデータセットとは異なり、前記少なくとも1つのさらなる医用画像(16、20、26)の評価結果を導出することと
を含む、方法。
【請求項2】
前記少なくとも1つの撮像品質尺度が前記被写体(15、19、23、209)の最大描写長である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記少なくとも1つの撮像品質尺度が前記被写体(15、19、23、209)の最小面積である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記少なくとも1つの撮像品質尺度が前記被写体(15、19、23、209)のアスペクト比である、先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記少なくとも1つの撮像品質尺度が前記被写体(15、19、23、209)の輪郭である、先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記少なくとも1つの撮像品質尺度が前記被写体(15、19、23、209)のデジタル復元X線写真である、先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記少なくとも1つの撮像品質尺度が前記被写体(15、19、23、209)の内側輪郭である、先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記少なくとも1つの撮像品質尺度が強度または色の方向変化のパラメータである、先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記第1の、前記第2の、および前記さらなる位置決めデータセットが、各々、前記被写体(15、19、23、209)に対する前記撮像源(14、18、22、203、205)および/または撮像検出器(13、17、21、204)の第1の角度(すなわち、軌道)および/または第2の角度を含む、先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記撮像源(14、18、22、203、205)の前記第1の角度および前記撮像検出器(13、17、21、204)の前記第1の角度が、互いに独立して位置決めされる、先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記少なくとも第2の位置決めデータセットの前記生成が、前記第1の位置決めデータセットの前記少なくとも1つの位置決めパラメータに漸進的変化を加えることを含む、先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記漸進的変化が、前記評価結果に依存して一定または可変であり、前記評価結果が、複数のエントリ、好ましくは5を超えるエントリ、最も好ましくは10エントリを有する範囲を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記被写体(15、19、23、209)が、人体内に配置された医療要素であり、詳細には、前記被写体(15、19、23、209)が、以下のねじ、ねじ頭、髄内釘、インプラント、医療機器、医療機器ホルダ、ロボット医療機器ホルダのうちの1つである、先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記被写体(15、19、23、209)が、人体の解剖学的構造の領域である、先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
少なくとも第2の医用画像(16、20、26)を取得することが、複数の医用画像(16、20、26)、詳細には5~10個の医用画像(16、20、26)および対応する位置決めデータを取得することを含む、先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記少なくとも第2の医用画像(16、20、26)における前記少なくとも1つの撮像品質尺度の前記決定が、前記少なくとも第2の医用画像(16、20、26)が取得された直後、および第3のまたは前記さらなる医用画像(16、20、26)が取得される前に実行される、先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記それぞれの第1の医用画像(16、20、26)および第2の医用画像(16、20、26)における前記少なくとも1つの撮像品質尺度の前記決定が、画像処理アルゴリズムを使用することを含む、先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記評価基準が所定の閾値である、先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記評価基準が、前記第1の医用画像(16、20、26)および前記少なくとも第2の医用画像(16、20、26)における前記少なくとも1つの撮像品質尺度から導出される、先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
医用画像(16、20、26)の品質尺度を評価するためのデバイス(100、201)であって、
撮像される被写体(15、19、23、209)に対して前記医用撮像X線システムの撮像源(14、18、22、203、205)および撮像検出器(13、17、21、204)を第1の撮像位置に位置決めするように構成された第1の位置決めデータセットを受信するように構成された受信ユニット(101)と、
前記第1の撮像位置から前記被写体(15、19、23、209)の第1の医用画像(16、20、26)を取得するように構成された第1の取得ユニット(112)と、
撮像される前記被写体(15、19、23、209)に対して前記医用撮像X線システムの前記撮像源(14、18、22、203、205)および前記撮像検出器(13、17、21、204)を第2の撮像位置に位置決めするように構成された少なくとも第2の位置決めデータセットを生成するように構成された生成ユニット(103)であって、前記第2の位置決めデータセットが少なくとも1つの位置決めパラメータにおいて前記第1の位置決めデータセットとは異なる、生成ユニット(103)と、
前記第2の撮像位置から前記被写体(15、19、23、209)の少なくとも第2の医用画像(16、20、26)を取得するように構成された第2の取得ユニット(104)と、
前記第1の医用画像(16、20、26)および前記少なくとも第2の医用画像(16、20、26)における前記少なくとも1つの撮像品質尺度を決定し、前記決定された少なくとも1つの撮像品質尺度を前記少なくとも1つの撮像品質尺度の評価基準と比較し、評価結果を導出して、
前記第1の医用画像(16、20、26)または前記少なくとも第2の医用画像(16、20、26)の肯定的な評価結果の場合、前記肯定的な評価結果を有する前記それぞれの医用画像(16、20、26)を選択し、前記選択された医用画像(16、20、26)および対応する位置決めデータセットをさらなる処理のために提供し、
前記第1の医用画像(16、20、26)または前記少なくとも第2の医用画像(16、20、26)の否定的な評価結果の場合、少なくとも1つのさらなる位置決めデータセットを生成し、少なくとも1つのさらなる医用画像(16、20、26)を取得し、前記少なくとも1つのさらなる位置決めデータセットが、少なくとも1つの位置決めパラメータにおいて前記第1の位置決めデータセットおよび前記第2の位置決めデータセットとは異なり、前記少なくとも1つのさらなる医用画像(16、20、26)の評価結果を導出する
ように構成された決定ユニット105と
を備える、デバイス(100、201)。
【請求項21】
請求項18に記載のデバイス(100、201)と、
前記撮像源(14、18、22、203、205)および前記撮像検出器(13、17、21、204)を備える医用X線撮像システム(202)と
を備える、被写体(15、19、23、209)の医用画像(16、20、26)を取得するためのシステム(200)。
【請求項22】
医用X線撮像システムの前記撮像源(14、18、22、203、205)および撮像検出器(13、17、21、204)が、互いに独立して位置決めされるように構成される、請求項21に記載のシステム。
【請求項23】
プロセッサによって実行されると、請求項1~19のいずれか1項に方法の前記工程を実行するように適合された、コンピュータプログラム要素。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本開示は、医用画像の撮像品質尺度を評価する医用コンピュータ実装方法、医用画像の品質尺度を評価するためのデバイス、被写体の医用画像を取得するためのシステム、およびコンピュータプログラム要素に関する。
【背景技術】
【0002】
技術的な背景
医用撮像は診断に重要な影響を及ぼす。X線撮像またはCT撮像などの放射線ベースの医用撮像は、最新技術で知られており、広く使用されている。したがって、医用撮像は、患者の医療処置において重要な問題である。医用画像が適切な品質を有するかどうかの評価は、技術者にとって困難な仕事であり、患者の診断およびその後の治療にとって重要である。医用画像の画像品質を評価するために技術者を支援するさらなる必要性が存在することが分かっている。
【0003】
発明の例示的な短い説明
本発明は、X線システムで撮像された被写体の医用画像を評価するためのコンピュータ実装方法を提案する。方法は、少なくとも1つの位置決めパラメータにおいて異なる1つまたは複数の位置決めデータセットを生成することを提案する。X線システムは、1つまたは複数の位置決めデータセットを用いて被写体の医用画像を撮像する。取得された医用画像は、医用画像の品質尺度を測定し、測定された品質尺度を所定の閾値と比較することによって評価される。次いで、対応する位置決めデータを有する肯定的に評価された医用画像がさらなる処理のために提供される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
発明の概要
本発明の目的は、医用画像の画像品質を評価する可能性を提供することである。以下の説明を読むと明らかになるこのおよび他の目的は、独立請求項の主題によって解決される。従属請求項は本発明の好ましい実施形態に言及する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の第1の態様によれば、医用画像の撮像品質尺度を評価する医療コンピュータ実装方法が提供され、方法は、撮像される被写体に対して医用撮像X線システムの撮像源および撮像検出器を第1の撮像位置に位置決めするように構成された第1の位置決めデータセットを受信することと、第1の撮像位置から被写体の第1の医用画像を取得することと、撮像される被写体に対して医用撮像X線システムの撮像源および撮像検出器を第2の撮像位置に位置決めするように構成された少なくとも第2の位置決めデータセットを生成することであって、第2の位置決めデータセットが少なくとも1つの位置決めパラメータにおいて第1の位置決めデータセットとは異なる、生成することと、第2の撮像位置から被写体の少なくとも第2の医用画像を取得することと、第1の医用画像および少なくとも第2の医用画像における少なくとも1つの撮像品質尺度を決定し、決定された少なくとも1つの撮像品質尺度を少なくとも1つの撮像品質尺度の所定の閾値と比較し、評価結果を導出することと、A)第1の医用画像または少なくとも第2の医用画像の肯定的な評価結果の場合、肯定的な評価結果を有するそれぞれの医用画像を選択し、選択された医用画像および対応する位置決めデータセットをさらなる処理のために提供することと、B)第1の医用画像または少なくとも第2の医用画像の否定的な評価結果の場合、撮像される被写体に対して医用撮像X線システムの撮像源および撮像検出器をさらなる撮像位置に位置決めするように構成された少なくとも1つのさらなる位置決めデータセットを生成し、さらなる撮像位置決めから少なくとも1つのさらなる医用画像を取得し、少なくとも1つのさらなる位置決めデータセットが、少なくとも1つの位置決めパラメータにおいて第1の位置決めデータセットおよび第2の位置決めデータセットとは異なり、少なくとも1つのさらなる医用画像の評価結果を導出することとを含む。
【0006】
本明細書で使用される撮像品質尺度は、広く理解されるべきであり、医用画像の品質を評価するように構成された任意の尺度に関する。撮像品質尺度は、医用画像内の幾何学的特性(例えば、インプラントの辺長の比、スケーリング処理後に一致する特定の輪郭形状など)、色、または医用画像内の強度値もしくは値分布(例えば、医用画像内の1つもしくは複数の領域の明度、または色もしくは強度勾配)、シミュレートされた画像データ(例えば、デジタル復元X線写真)を含む場合がある。本明細書で使用される医用画像という用語は、広く理解されるべきであり、X線システムからの医用撮像から導出された任意の画像データに関する。本明細書で使用される位置決めデータという用語は、広く理解されるべきであり、X線源および/またはX線検出器を位置決めするように構成された任意のデータに関する。位置決めデータセットは、1つまたは複数の並進値、1つまたは複数の回転値を含む場合がある。位置決めデータは、相対値(例えば、X線源+x方向に10mm)および/または絶対値(例えば、X線座標系の値)で記述される場合がある。本明細書で使用される被写体という用語は、広く理解されるべきであり、人間もしくは動物(例えば、シェパード犬)の解剖学的部位(例えば、脚もしくは脊椎骨)に配置された医療機器(例えば、ねじ)または解剖学的部位(例えば、骨)に関する。本明細書で使用される位置決めパラメータという用語は、広く理解されるべきであり、X線源および/またはX線検出器を位置決めするように構成された任意のパラメータに関する。位置決めパラメータは、位置決めデータセットのパラメータであり得る。位置決めパラメータは、並進値(例えば、X線源もしくはX線検出器のx位置)または回転値(例えば、X線源もしくはX線検出器のアルファ角)または両方の組合せであり得る。本明細書で使用される評価基準という用語は、広く理解されるべきであり、詳細には医用画像を評価するように構成された基準に関する。評価基準は、特定の実施形態の文脈でこれ以降に説明されるように、絶対的または相対的であり得る。評価基準は所定の閾値であり得る。所定の閾値は、1つの非限定的な例では、被写体の描写の1つまたは複数の長さ(例えば、ねじの長さ、例えば、検出器上の100ピクセルならびに上限閾値100.1ピクセルおよび下限閾値99.9ピクセル)を含む場合がある。評価結果は肯定的な場合がある(例えば、測定されたねじの長さが上限閾値と下限閾値との間、例えば100.05ピクセルである)。品質基準は、第1の医用画像および少なくとも第2の医用画像における決定された少なくとも1つの撮像品質尺度から導出される場合がある。例えば、品質尺度が被写体の描写の長さまたは直径である場合、評価基準は、(少なくとも3つの医用画像の場合)測定された直径または長さの最大値または最小値であり得る。2つの医用画像しか存在しない場合、評価基準は、比較(例えば、より大きい長さが望まれるか、またはより小さい長さが望まれる)によって算出される場合がある。
【0007】
したがって、本開示から当業者によって理解されるように、本明細書に開示された評価基準は、事前に定義されなければならない評価基準として(すなわち、評価基準は所定の閾値に対応する)、または方法の間に定義されるかもしくは定義されなければならない評価基準として(すなわち、評価基準は、少なくとも第1の医用画像および第2の医用画像から導出され、任意選択でさらなる医用画像から導出される)具現化することができる。所定の閾値の一例は、医用画像内の被写体が楕円形ではなく円形であるべきことである。そのような閾値は事前に定義することができ、所定の閾値は撮影された医用画像の数とは無関係である。方法の間に定義されるかまたは定義されなければならない評価基準は、特に、撮像によるスケーリングの影響を受ける品質尺度(例えば、長さ、直径など)に適合する。X線の円錐投影に起因して、被写体の描写された長さは投影の下で不変ではない。そのような品質尺度は、医用画像自体から導出される評価基準を評価することを必要とする。評価基準は、複数の医用画像の品質尺度の最小値または最大値を計算することによって導出される場合がある。評価基準は、サイズ比較を含む場合がある(例えば、第2の画像内の被写体の長さが第1の医用画像よりも大きい場合、終了基準が達成される)。方法の間に定義されるべき評価基準は、スケーリングによって影響されない他の品質尺度とともに使用される場合もある。例えば、評価基準は、以下の形状、色、グレースケール、勾配、後者の分布のうちの1つから導出される場合がある。
【0008】
言い換えれば、本発明は、X線撮像で取得された医用画像の品質が、撮像される被写体に対するX線システムのX線源および/またはX線検出器の適切な位置決めに依存するという知識に基づく。例えば、患者の骨折した脚にねじが挿入された場合、この場合の解剖学的撮像のためのガイドラインから第1の位置決めデータが受け取られる場合がある。この場合の解剖学的撮像のためのガイドラインは、脚のねじの特定の側面図をもたらす位置決めデータを含む場合がある。しかしながら、第1の位置決めデータは、(例えば、撮像プロセス中のねじを有する脚の回転に起因して)医用画像の適切な品質をもたらさない可能性がある初期位置決めデータセットとしてのみ機能する。X線システムを操作するオペレータは、医用画像の品質が十分ではないこと、および/またはこの問題を体系的に解決する方法を認識していない場合がある。一般に、オペレータは、効率的でなくかつ/または成功しない可能性がある試行錯誤の手法を実行する。本発明は、少なくとも第2の位置決めデータセットを生成し、第2の医用画像を取得することによってそのような問題を解決することを提案する。本発明は、第1の医用画像および第2の医用画像の撮像品質尺度を決定し評価することによって問題を解決することをさらに提案する。第1の医用画像または第2の医用画像の適切な撮像品質尺度の場合、本発明は、撮像プロセスを停止し、さらなる処理のために肯定的に評価された医用画像を提供する。第1の医用画像または第2の医用画像の不適切な撮像品質尺度の場合、本発明は、さらなる位置決めデータセットを生成し、さらなる医用画像を取得し、さらなる医用画像の画像品質尺度を決定し、評価結果を導出することを繰り返す。要するに、これは、有利なことに、医用画像の品質の向上、被写体の撮像のためのより少ない試行が必要な放射線被曝の低減、効率の向上、および複雑さの低減をもたらすことができる。
【0009】
一実施形態では、少なくとも1つの撮像品質尺度は、被写体の最大描写長である。例えば、被写体は脚に挿入されたピンであり、所望の医用画像は脚のピンの側面図を含むものとする。X線検出器およびX線源は、所望の側面図を取得するために、ピンを含む脚の前後にそれに応じて位置決めされなければならない。次いで、撮像品質尺度は、ねじの長さを(例えば、画像分割などの画像処理アルゴリズムを用いて)測定することによって決定される場合がある。これは、有利なことに、撮像プロセスの効率および医用画像の品質を向上させることができる。
【0010】
一実施形態では、少なくとも1つの撮像品質尺度は、被写体の最小面積であり得る。例えば、被写体は人間の腕に挿入されたねじであり、所望の医用画像は腕のねじの上面図を含むものとする。X線検出器およびX線源は、所望の側面図を取得するために、ねじを含む腕の前後にそれに応じて位置決めされなければならない。次いで、撮像品質尺度は、ねじ頭の表面を測定することによって決定される場合がある。これは、有利なことに、撮像プロセスの効率および医用画像の品質を向上させることができる。
【0011】
一実施形態では、少なくとも1つの撮像品質尺度は、被写体のアスペクト比であり得る。本明細書で使用されるアスペクト比は、被写体の幅に対する被写体の長さの比によって定義される。画像処理アルゴリズムによって、アスペクト比が決定される場合がある。例えば、被写体は人間の腕に挿入されたねじであり、所望の医用画像は腕のねじに対して特定の角度の図を含むものとする。特定の角度の図は、ねじの特定のアスペクト比によって記述される場合がある。次いで、アスペクト比は、画像処理アルゴリズムによってねじの長さおよび幅を測定することによって決定される場合がある。これは、有利なことに、撮像プロセスの効率および医用画像の品質を向上させることができる。
【0012】
一実施形態では、少なくとも1つの撮像品質尺度は、被写体の輪郭であり得る。本明細書で使用される輪郭という用語は、医用画像内の被写体の形状または外形を意味する。輪郭は、画像処理アルゴリズムを用いて測定される場合がある。例えば、被写体は、5mmの幅および20mmの長さのプレートであり、プレートは患者の腕に配置される場合がある。次いで、長さと幅の比を測定することによって輪郭が測定される場合がある。これは、有利なことに、撮像プロセスの効率および医用画像の品質を向上させることができる。
【0013】
一実施形態では、少なくとも1つの撮像品質尺度は、被写体のデジタル復元X線写真であり得る。被写体のデジタル復元X線写真は、被写体(例えば、患者の腕の中のねじ)を含む3Dモデルの2次元画像平面への透視投影によるシミュレーションから導出される場合がある。取得された医用画像のデジタル復元X線写真との(例えば、画像処理アルゴリズムによる)比較によって、差が決定される場合がある。比較は、相互情報のような類似性尺度または勾配ベースのアルゴリズムに基づく場合がある。類似性尺度の最大値は、最適な位置および/または画像を示すことができる。これは、有利なことに、撮像プロセスの効率および医用画像の品質を向上させることができる。
【0014】
一実施形態では、少なくとも1つの撮像品質尺度は、被写体の内側輪郭であり得る。内側輪郭(例えば、穴の形状)は、撮像された穴の形状の理想的な円との類似性を判定することによって測定される場合がある。最適でない投影の下では、内側輪郭は楕円に近いか、または全く見えない。内側輪郭は、患者の骨の穴の内側輪郭であり得る。内側輪郭は、患者に配置された髄質釘の係止孔の内側輪郭であり得る。内側輪郭は、患者に配置されたインプラントの内側輪郭であり得る。これは、有利なことに、撮像プロセスの効率および医用画像の品質を向上させることができる。
【0015】
一実施形態では、少なくとも1つの撮像品質尺度は、強度または色の方向変化のパラメータであり得る。骨、組織、インプラントなどは、X線画像(すなわち、X線写真およびここでは医用画像)において異なる色または強度をもたらす。視点(すなわち、ビュー方向)に応じて、骨、組織、インプラントなどは、X線源とX線検出器との間で異なるように配置される場合がある。視点に応じて、異なる色または強度がX線画像に提示される場合がある。したがって、画像処理アルゴリズムによって測定可能な強度または色の方向変化も存在する。次いで、強度または色の方向変化は、特定の場合(例えば、手根骨のねじ)の基準値と比較される場合がある。例えば、インプラントは、広さおよび/または厚さが異なる場合があり、すなわち、撮像の視点に応じて、異なる不透明層が放射線によって横断される。
【0016】
一実施形態では、第1の、第2の、およびさらなる位置決めデータセットは、各々、被写体に対する撮像源および/または撮像検出器の第1の角度(すなわち、軌道)および/または第2の角度を含む。X線システムは、少なくとも2つの自由度、第1の角度(すなわち、軌道角)および第2の角度を有するCアームX線システムを含む場合がある。被写体は支持構造(例えば、テーブル)上に置かれてもよく、CアームX線システムは支持構造の周りに配置されてもよい。第1の角度は、被写体に関連するCアームX線システム内のX線源およびX線検出器の位置を記述することができ、第2の角度は、X線システムおよび被写体に関連するCアームの位置を記述することができる。あるいは、位置決めデータセットはまた、X線システムに対する被写体の1つまたは複数の位置を含む場合がある。
【0017】
一実施形態では、撮像源の第1の角度および撮像検出器の第1の角度は、互いに独立して位置決めされてもよい。言い換えれば、X線源およびX線検出器は一列に配置されなくてもよい。これは、人間の解剖学的部位(例えば、骨)が被写体(例えば、別の骨のねじ)を隠すときに有利であり得る。これは、被写体(例えばインプラント、詳細にはインプラントの向き)をX線源とX線検出器との間の線の中心に配置することができない場合に有利であり得る。これにより、医用画像の品質を向上させることができる。
【0018】
一実施形態では、少なくとも第2の位置決めデータセットの生成は、第1の位置決めデータセットの少なくとも1つの位置決めパラメータに漸進的変化を加えることを含む場合がある。漸進的変化は、例えば、少なくとも1つの位置決めパラメータ(例えば、CアームX線システムの軌道角)に対して1°の一定の値であり得る。変更される2つ以上の位置決めパラメータの場合、例えば、最初に、漸進的変化を加えることによって第1の位置決めパラメータが変更され、対応する位置決めデータセットを有する最良評価医用画像が、第2の位置決めパラメータの漸進的変化のための初期位置決めセットとして使用される。言い換えれば、2つ以上の位置決めパラメータが考慮される場合、2つ以上の位置決めパラメータの連続的な検査が実行される場合がある。代替として、2つ以上の位置決めパラメータの組合せ検査が実行される場合がある。組合せ検査は、必要な撮像試行を減らすために実験の設計に基づく場合がある。要するに、これは、撮像プロセスの効率、品質、および信頼性の観点から有利であり得る。
【0019】
一実施形態では、漸進的変化は、評価結果に依存して一定または可変の場合があり、評価結果は、複数のエントリ、好ましくは5を超えるエントリ、最も好ましくは10エントリを有する範囲を含む場合がある。漸進的変化が一定である(例えば、軌道角に1°を加える)場合、少なくとも第2のパラメータデータセットの生成は評価結果から独立しており、オープン制御が存在する。これは、実施されるべき非常に簡単な方法であり、したがって非常に効率的な手法であり得る。漸進的変化が評価結果に依存して可変である場合、フィードバック制御が存在する(例えば、比例フィードバック制御)。評価結果が評価基準(例えば、所定の閾値、例えば、エントリ3(正しい角度)の代わりにエントリ1(小さすぎる角度)またはエントリ5(高すぎる角度))から大きく外れている場合、漸進的変化はそれに応じて高くなり得る。これは、より少ない医用画像が必要となり得るので、投薬減量をもたらす場合がある。これは、漸進的変化が可変なので、医用画像の品質を向上させることができる。
【0020】
一実施形態では、被写体は、人体内に配置された医療要素であり得、詳細には、被写体は、以下のねじ、ねじ頭、髄内釘、インプラント、医療機器、医療機器ホルダ、ロボット医療機器ホルダのうちの1つである。
【0021】
一実施形態では、被写体は、人体の解剖学的構造の領域であり得る。領域は、骨からの終板、椎骨の終板、肋骨、細片、手根骨であり得る。被写体は、人体または動被写体の解剖学的構造の任意の部位であり得る。
【0022】
一実施形態では、少なくとも第2の医用画像を取得することは、複数の医用画像、詳細には5~10個の医用画像および対応する位置決めデータを取得することを含む。言い換えれば、第2の医用画像が取得されるだけでなく、代わりに、医用画像の行が取得され、最良の評価がさらなる処理のために提供される。例えば、複数の画像が最初に取得され、その後に評価される場合がある。これにより、機械の占有時間に関する効率を向上させることができる。
【0023】
一実施形態では、少なくとも第2の医用画像における少なくとも1つの撮像品質尺度の決定は、少なくとも第2の医用画像が取得された直後、および第3のまたはさらなる医用画像が取得される前に実行される場合がある。これは、第2または第3の医用画像がすでに肯定的な評価結果をもたらしている場合には、その後にさらなる画像が取得される必要がなくてもよいので、必要な医用画像の総数が減少する可能性があるため、有利であり得る。
【0024】
一実施形態では、それぞれの第1の医用画像および第2の医用画像における少なくとも1つの撮像品質尺度の決定は、画像処理アルゴリズムを使用することを含む場合がある。画像処理アルゴリズムは、キャニーエッジアルゴリズムまたはセグメンテーションアルゴリズムであり得る。
【0025】
本開示のさらなる態様は、医用画像の品質尺度を評価するためのデバイスに関し、デバイスは、撮像される被写体に対して医用撮像X線システムの撮像源および撮像検出器を第1の撮像位置に位置決めするように構成された第1の位置決めデータセットを受信するように構成された受信ユニットと、第1の撮像位置から被写体の第1の医用画像を取得するように構成された第1の取得ユニットと、撮像される被写体に対して医用撮像X線システムの撮像源および撮像検出器を第2の撮像位置に位置決めするように構成された少なくとも第2の位置決めデータセットを生成するように構成された生成ユニットであって、第2の位置決めデータセットが少なくとも1つの位置決めパラメータにおいて第1の位置決めデータセットとは異なる、生成ユニットと、第2の撮像位置から被写体の少なくとも第2の医用画像を取得するように構成された第2の取得ユニットと、第1の医用画像および少なくとも第2の医用画像における少なくとも1つの撮像品質尺度を決定し、決定された少なくとも1つの撮像品質尺度を少なくとも1つの撮像品質尺度の所定の閾値と比較し、評価結果を導出して、第1の医用画像または少なくとも第2の医用画像の肯定的な評価結果の場合、肯定的な評価結果を有するそれぞれの医用画像を選択し、選択された医用画像および対応する位置決めデータセットをさらなる処理のために提供し、第1の医用画像または少なくとも第2の医用画像の否定的な評価結果の場合、少なくとも1つのさらなる位置決めデータセットを生成し、少なくとも1つのさらなる医用画像を取得し、少なくとも1つのさらなる位置決めデータセットが、少なくとも1つの位置決めパラメータにおいて第1の位置決めデータセットおよび第2の位置決めデータセットとは異なり、少なくとも1つのさらなる医用画像の評価結果を導出するように構成された決定ユニットとを備える。受信ユニット、第1の取得ユニット、生成ユニット、第2の取得ユニット、および決定ユニットは、機能ユニットとして記載される。機能ユニットは、ハードウェア、ソフトウェア、および/またはそれらの組合せを使用して実装される場合がある。ハードウェアは、限定はしないが、プロセッサ、中央処理装置(CPU)、コントローラ、算術論理演算装置(ALU)、デジタル信号プロセッサ、マイクロコンピュータ、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、システムオンチップ、プログラマブル論理演算装置、マイクロプロセッサ、または定義された方法で命令に応答し命令を実行することが可能な任意の他のデバイスなどの処理回路を使用して実装される場合がある。機能ユニットは、1つまたは複数のインターフェース回路を含む場合がある。いくつかの例では、インターフェース回路は、ローカルエリアネットワーク(LAN)、インターネット、ワイドエリアネットワーク(WAN)、またはそれらの組合せに接続された有線またはワイヤレスのインターフェースを含む場合がある。任意の所与の機能ユニットの機能は、インターフェース回路を介して接続された複数のハードウェアおよび/またはソフトウェアの間で分散される場合がある。機能ユニットはまた、1つまたは複数のストレージデバイスを含む場合がある。1つまたは複数のストレージデバイスは、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読取り専用メモリ(ROM)、(ディスクドライブなどの)永久マスストレージデバイス、ソリッドステート(例えば、NANDフラッシュ)デバイス、ならびに/またはデータを記憶および記録することが可能な任意の他の同様のデータ記憶機構などの有形または非一時的コンピュータ可読記憶媒体であり得る。1つまたは複数のストレージデバイスは、コンピュータプログラム、プログラムコード、命令、またはそれらの何らかの組合せを記憶するように構成される場合がある。
【0026】
さらなる態様は、上述されたデバイスと、撮像源および撮像検出器を備える医用X線撮像システムとを備える、被写体の医用画像を取得するためのシステムに関する。
【0027】
一実施形態では、医用X線撮像システムの撮像源および撮像検出器は、互いに独立して位置決めされるように構成される場合がある。
【0028】
本開示の最後の態様は、プロセッサによって実行されると、上述された方法の工程を実行するように適合されたコンピュータプログラム要素に関する。
【0029】
図面の簡単な説明
以下では、添付の図を参照して本開示が例示的に記載される。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図2】本開示の好ましい実施形態による方法の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
実施形態の説明
図1は、様々な画像品質の図である。
図1は、撮像される被写体および対応する結果として得られる画像に関連するX線撮像システムの3つの異なる概略位置合わせ10、11、および12を含む。撮像される被写体は、この例ではねじ15、19、および19である。X線システムは、撮像源14、18、および22と、撮像検出器14、18、および22とを備える。ねじ14、18、および22は、撮像源14、18、および22と撮像検出器13、17、および21との間に配置される。所望の画像は、この例ではねじ頭の上部であるべきである。第1の概略位置合わせ10は、対応する結果として得られる画像16においてねじ頭の歪みをもたらす。第2の位置合わせ11は、第1の方向24における撮像源18および撮像検出器17の角度シフトによって第1の位置合わせ10とは異なる。結果として得られる対応する画像20は、より大きい歪みを示す。第3の位置合わせ12は、第1の方向24とは反対の第2の方向25における撮像源22および撮像検出器21の角度シフトによって第1の位置合わせ10とは異なる。結果として得られる対応する画像26は、この場合歪みを示さない。
【0032】
図2は、本開示の好ましい実施形態による方法の概略図である。コンピュータ実装方法は、医用画像の撮像品質尺度を評価するために使用される。方法は5つの工程を含む。
【0033】
工程S10は、撮像される被写体に対して医用撮像X線システムの撮像源および撮像検出器を第1の撮像位置に位置決めするように構成された第1の位置決めデータセットを受信することを含む。被写体は、この例ではインプラント、例えば患者の腕に配置されたねじである。あるいは、被写体は、ねじ頭、髄内釘、インプラント、医療機器、医療機器ホルダ、ロボット医療機器ホルダであり得る。あるいは、被写体は、人体の解剖学的構造の領域であり得る。領域は、骨からの終板、肋骨、細片、手根骨であり得る。被写体は、人体または動被写体の解剖学的構造の任意の部位であり得る。第1の位置決めデータは、腕の中のねじの解剖学的撮像のためのガイドラインから受け取られる場合がある。あるいは、第1の位置決めデータは、ヒューマンインターフェースによって(例えば、技術者によって)入力される場合がある。第1の位置決めデータは、1つもしくは複数の並進値、および/または1つもしくは複数の回転値を含む場合がある。この例では、第1の位置決めデータは、撮像源および撮像検出器の第1の角度(すなわち)を含む。あるいは、第1の位置決めデータは、撮像源および/または撮像検出器の第2の角度をさらに含む場合がある。医用撮像X線システムは、この例では、撮像検出器および撮像源を備えるCアームX線システムである。撮像検出器および撮像は、互いに独立して位置決めされる場合がある。
【0034】
工程S20は、第1の撮像位置から被写体の第1の医用画像を取得することを含む。第1の医用画像は、この例では、医用撮像X線システムのインターフェースから工程S20を実行する取得ユニットに送信される。あるいは、医用撮像X線システムは、第1の医用画像を取得することができる。
【0035】
工程S30は、撮像される被写体に対して医用撮像X線システムの撮像源および撮像検出器を第2の撮像位置に位置決めするように構成された少なくとも第2の位置決めデータセットを生成することを含み、第2の位置決めデータセットは、少なくとも1つの位置決めパラメータにおいて第1の位置決めデータセットとは異なる。少なくとも1つの位置決めパラメータは、この例では、撮像源および撮像検出器の第1の角度(すなわち、軌道角)である。工程S30は、生成ユニット、例えばインターフェースを有するCPUによって実行される。少なくとも第2の位置決めデータの生成は、第1の位置決めデータセットの少なくとも1つの位置決めパラメータに漸進的変化を加えることを含む場合がある。漸進的変化は、一定または可変の評価結果であってもよく、評価結果は、複数のエントリ、好ましくは5を超えるエントリ、最も好ましくは10エントリを有する範囲を含む場合がある。この例では、漸進的変化は一定であり、医用撮像X線システムの撮像源および撮像検出器の第1の角度について1°を含む。生成ユニットは、少なくとも第2の位置決めデータを医用撮像X線システムの制御装置に送信することができる。
【0036】
工程S40は、第2の撮像位置から被写体の少なくとも第2の医用画像を取得することを含む。工程S40は、この例では、第2の取得ユニットによって実行される。第2の取得ユニットは、第1の取得ユニットと同じであってもよい。医用撮像X線システムは、少なくとも第2の位置決めデータに従って撮像源および撮像検出器を位置決めし、第2の位置決めで第2の画像を撮像することができる。医用撮像X線システムは、インターフェースによって少なくとも第2の画像を第2の取得ユニットに送信することができる。あるいは、複数の画像が取得される場合があり、工程S20においても、複数のさらなる位置決めデータが生成される場合がある。
【0037】
工程S50は、第1の医用画像および少なくとも第2の医用画像における少なくとも1つの撮像品質尺度(例えば、穴の真円度)を決定することと、決定された少なくとも1つの撮像品質尺度を少なくとも1つの撮像品質尺度の評価基準、この例では所定の閾値(例えば、穴の真円度=98%)と比較することと、評価結果を導出すること、すなわち、A)第1の医用画像または少なくとも第2の医用画像の肯定的な評価結果の場合、肯定的な評価結果を有するそれぞれの医用画像を選択し、選択された医用画像および対応する位置決めデータセットをさらなる処理のために提供することと、B)第1の医用画像または少なくとも第2の医用画像の否定的な評価結果の場合、撮像される被写体に対して医用撮像X線システムの撮像源および撮像検出器をさらなる撮像位置に位置決めするように構成された少なくとも1つのさらなる位置決めデータセットを生成し、さらなる撮像位置決めから少なくとも1つのさらなる医用画像を取得し、少なくとも1つのさらなる位置決めデータセットが、少なくとも1つの位置決めパラメータにおいて第1の位置決めデータセットおよび第2の位置決めデータセットとは異なり、少なくとも1つのさらなる医用画像の評価結果を導出することとを含む。あるいは、少なくとも第2の画像における少なくとも1つの品質尺度の決定は、少なくとも第2の医用画像が取得された直後、およびさらなる医用画像が取得される前に実行される場合がある。それぞれの第1の医用画像および第2の医用画像における少なくとも1つの撮像品質尺度の決定は、画像処理アルゴリズム、例えばキャニーエッジアルゴリズムを使用することを含む場合がある。少なくとも1つの撮像品質尺度は、この例ではねじ頭の最小面積である。あるいは、撮像品質尺度は、以下の被写体の最大長、被写体のアスペクト比、被写体の輪郭、被写体のデジタル復元X線写真、被写体の内側輪郭、強度または色の方向変化のうちの1つまたは複数であり得る。
【0038】
図3は、医用画像の品質尺度を評価するためのデバイス100を示し、デバイス100は、撮像される被写体に対して医用撮像X線システムの撮像源および撮像検出器を第1の撮像位置に位置決めするように構成された第1の位置決めデータセットを受信するように構成された受信ユニット101と、第1の撮像位置から被写体の第1の医用画像を取得するように構成された第1の取得ユニット102と、撮像される被写体に対して医用撮像X線システムの撮像源および撮像検出器を第2の撮像位置に位置決めするように構成された少なくとも第2の位置決めデータセットを生成するように構成された生成ユニット103であって、第2の位置決めデータセットが少なくとも1つの位置決めパラメータにおいて第1の位置決めデータセットとは異なる、生成ユニット103と、第2の撮像位置から被写体の少なくとも第2の医用画像を取得するように構成された第2の取得ユニット104と、第1の医用画像および少なくとも第2の医用画像における少なくとも1つの撮像品質尺度を決定し、決定された少なくとも1つの撮像品質尺度を少なくとも1つの撮像品質尺度の所定の閾値と比較し、評価結果を導出して、第1の医用画像または少なくとも第2の医用画像の肯定的な評価結果の場合、肯定的な評価結果を有するそれぞれの医用画像を選択し、選択された医用画像および対応する位置決めデータセットをさらなる処理のために提供し、第1の医用画像または少なくとも第2の医用画像の否定的な評価結果の場合、少なくとも1つのさらなる位置決めデータセットを生成し、少なくとも1つのさらなる医用画像を取得し、少なくとも1つのさらなる位置決めデータセットが、少なくとも1つの位置決めパラメータにおいて第1の位置決めデータセットおよび第2の位置決めデータセットとは異なり、少なくとも1つのさらなる医用画像の評価結果を導出するように構成された決定ユニット105とを備える。受信ユニット101、第1の取得ユニット102、生成ユニット103、第2の取得ユニット104、および決定ユニット105は、機能ユニットとして記載される。これらの機能ユニットは、この例では、ハードウェア、詳細には医用撮像X線システムと通信するための1つまたは複数のインターフェースを有するCPUに実装される。
【0039】
図4は、被写体の医用画像を取得するためのシステム200を示す。システムは、上述されたように医用画像の品質尺度を評価するためのデバイス201を備える。システム200は、可動フレームワーク206上に配置された撮像源203および撮像検出器204を備える医用撮像X線システム202をさらに備える。医用撮像X線システムは、この例ではCアームX線システムである。撮像源203および撮像検出器204は、互いに独立して位置決めされる場合がある。例えば、撮像源203は位置205に位置決めされる場合があり、撮像検出器204はその位置に留まる場合がある。人207は支持構造208上に位置決めされる場合がある。被写体209は、人207の領域内に配置されたねじであり得る。CアームX線システムは、被写体209の医用画像を取得するために、人207の周りに配置される場合がある。デバイス201は、少なくとも1つのインターフェースによってCアームX線システムと通信している。
【0040】
本開示は、例としても好ましい実施形態とともに記載されている。しかしながら、他の変形形態は、図面、本開示、および特許請求の範囲の研究から、特許請求される発明を実践する当業者によって理解および達成され得る。特に、工程S10~S50は任意の順序で実行することができ、すなわち、本発明はこれらの工程の特定の順序に限定されない。その上、異なる工程が特定の場所または1つの場所で実行されることも必要とされず、すなわち、工程の各々は、異なる機器/データ処理ユニットを使用して異なる場所で実行されてもよい。特許請求の範囲において、ならびに説明において、「備える」という語は他の要素または工程を排除せず、不定冠詞「a」または「an」は複数を排除しない。単一の要素または他のユニットは、特許請求の範囲に列挙されたいくつかのエンティティまたはアイテムの機能を満たすことができる。特定の尺度が相互に異なる従属請求項に列挙されているという単なる事実は、これらの尺度の組合せを有利な実装形態で使用することができないことを示すものではない。
【0041】
参照符号
10,11,12 被写体に対するX線撮像システムの位置合わせ
13,17,21,204 撮像検出器
14,18,22,203,205 撮像源
15,19,23,209 被写体
16,20,26 画像
24,25 方向
100,201 デバイス
101 受信ユニット
102 第1の取得ユニット
103 生成ユニット
104 第2の取得ユニット
105 決定ユニット
200 システム
202 X線システム
206 X線システムフレームワーク
207 人間
208 支持構造
S10 第1の位置決めデータセットを受信すること
S20 第1の医用画像を取得すること
S30 第2の位置決めデータセットを生成すること
S40 第2の医用画像を取得すること
S50 撮像品質尺度を決定すること
【国際調査報告】