IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ユーオーピー エルエルシーの特許一覧 ▶ チャイナ・ペトロリアム・アンド・ケミカル・コーポレーションの特許一覧

特表2024-536036クレゾールおよびキシレンを生成するための方法
<>
  • 特表-クレゾールおよびキシレンを生成するための方法 図1
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-04
(54)【発明の名称】クレゾールおよびキシレンを生成するための方法
(51)【国際特許分類】
   C07C 37/48 20060101AFI20240927BHJP
   C07C 39/07 20060101ALI20240927BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20240927BHJP
【FI】
C07C37/48
C07C39/07
C07B61/00 300
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024517503
(86)(22)【出願日】2021-10-14
(85)【翻訳文提出日】2024-03-19
(86)【国際出願番号】 US2021071872
(87)【国際公開番号】W WO2023063973
(87)【国際公開日】2023-04-20
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】598055242
【氏名又は名称】ユーオーピー エルエルシー
(71)【出願人】
【識別番号】502212040
【氏名又は名称】チャイナ・ペトロリアム・アンド・ケミカル・コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100120754
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 豊治
(72)【発明者】
【氏名】フィビレイ,ソムフォン・ピーター
(72)【発明者】
【氏名】レーン,ニーレシュ
(72)【発明者】
【氏名】ジョウ,ジェンホワ
【テーマコード(参考)】
4H006
4H039
【Fターム(参考)】
4H006AA02
4H006AC29
4H006BA71
4H006BC10
4H006BC11
4H006BC18
4H006BD33
4H006BD36
4H006DA12
4H039CA11
4H039CL60
(57)【要約】
アルキルフェノールストリームからクレゾールを生成するための方法は、より長鎖のアルキルフェノール(すなわち2つ以上の炭素原子を有するアルキル鎖を有する)を、第1のトランスアルキル化反応ゾーン内で、ベンゼンおよび/またはトルエン等の芳香族溶媒とトランスアルキル化して、フェノール、クレゾール、キシレノール、トリメチルフェノール、およびアルキルベンゼンを得るステップを含む。キシレノールおよびトリメチルフェノールは、第2のトランスアルキル化反応器内でフェノールと反応され、所望のクレゾールが得られる。キシレンもまた生成され得る。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
クレゾールを生成するための方法であって、
アルキルフェノールを含むアルキルフェノールストリームを提供するステップと;
アルキルフェノールストリーム、ならびにベンゼンおよびトルエンのうちの1つまたは複数を含む反応物質ストリームを、第1のトランスアルキル化反応ゾーン内で、第1のトランスアルキル化触媒の存在下、第1のトランスアルキル化反応条件でトランスアルキル化して、フェノール、クレゾール、キシレノール、トリメチルフェノール、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、重質アルキルベンゼン、および2つ以上の炭素原子のアルキル鎖を有するアルキルフェノールのうちの少なくとも1つを含む第1のトランスアルキル化流出物ストリームを生成するステップと;
第1のトランスアルキル化流出物ストリームを、第1のトランスアルキル化分離ゾーン内で、フェノール、クレゾール、キシレノール、トリメチルフェノール、および2つ以上の炭素原子のアルキル鎖を有するアルキルフェノールのうちの少なくとも1つを含むトランスアルキル化アルキルフェノールストリーム、ならびにベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、および重質アルキルベンゼンを含む芳香族ストリームに分離するステップと;
トランスアルキル化アルキルフェノールストリームの少なくとも一部を、第2のトランスアルキル化反応ゾーン内で、第2のトランスアルキル化触媒の存在下、第2のトランスアルキル化反応条件でフェノールとトランスアルキル化して、クレゾール、ならびに未変換フェノール、キシレノールおよびトリメチルフェノールのうちの少なくとも1つを含む第2のトランスアルキル化流出物ストリームを生成するステップと;
クレゾールを含むクレゾールストリームを回収するステップと
を含む方法。
【請求項2】
トランスアルキル化アルキルフェノールストリームを、フェノール分離ゾーン内で、フェノール、クレゾール、キシレノールおよびトリメチルフェノールを含む第1のフェノールストリーム、ならびに2つ以上の炭素原子のアルキル鎖を有するアルキルフェノールを含む第2のストリームに分離するステップと;
第2のストリームを第1のトランスアルキル化反応ゾーンにリサイクルするステップと
をさらに含み、トランスアルキル化アルキルフェノールストリームの少なくとも一部は、第1のフェノールストリームを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
クレゾールストリームを回収するステップが、
第2のトランスアルキル化流出物ストリームを、第2のトランスアルキル化分離ゾーン内で、クレゾールストリーム、ならびにフェノール、キシレノールおよびトリメチルフェノールを含むリサイクルフェノールストリームに分離するステップと;
リサイクルフェノールストリームを、第1のトランスアルキル化反応ゾーンと第2のトランスアルキル化反応ゾーンとの間に位置するフェノール分離ゾーンにリサイクルするステップと
を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
芳香族ストリームを、芳香族分離ゾーン内で、少なくとも、ベンゼンおよびトルエンのうちの1つまたは複数を含むリサイクルストリーム、重質アルキルベンゼンを含む重質アルキルベンゼンストリーム、ならびにキシレンおよびエチルベンゼンを含む混合キシレンストリームに分離するステップと;
混合キシレンストリームを、キシレン分離ゾーン内で、エチルベンゼン、o-キシレンおよびm-キシレンを含む第2のキシレンストリーム、ならびにp-キシレンを含むp-キシレンストリームに分離するステップと;
第2のキシレンストリームを、キシレン異性化反応ゾーン内で、キシレン異性化触媒の存在下、キシレン異性化反応条件で異性化して、混合キシレンを含むキシレン異性化流出物ストリームを形成するステップと;
キシレン異性化流出物ストリームを、芳香族分離ゾーンにリサイクルするステップと;
p-キシレンストリームを回収するステップと
を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
重質アルキルベンゼンストリームを、脱アルキル化反応ゾーン内で、脱アルキル化触媒の存在下、脱アルキル化条件で脱アルキル化するステップ;ならびに重質アルキルベンゼンストリームを、トランスアルキル化反応ゾーン内で、トランスアルキル化触媒の存在下、トランスアルキル化条件でトランスアルキル化して、処理された重質アルキルベンゼン流出物ストリームを形成するステップのうちの少なくとも1つをさらに含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
処理された重質アルキルベンゼン流出物ストリームを芳香族分離ゾーンにリサイクルするステップと;
リサイクルストリームを芳香族分離ゾーンから第1のトランスアルキル化反応ゾーンにリサイクルするステップと
をさらに含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
クレゾールストリームを、クレゾール異性化反応ゾーン内で、クレゾール異性化触媒の存在下、クレゾール異性化反応条件で異性化して、混合クレゾールを含むクレゾール異性化流出物ストリームを形成するステップと;
混合クレゾール異性化流出物ストリームからm-クレゾールストリームを回収するステップと
をさらに含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
混合クレゾールストリームをクレゾール異性化反応ゾーンにリサイクルするステップ
をさらに含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
アルキルフェノールを含む供給物ストリームを、少なくとも、アルキルフェノールを含むアルキルフェノールストリームおよびクレゾールを含むクレゾールストリームに分離するステップと;
クレゾールストリームをクレゾール異性化ゾーンに導入するステップと
をさらに含む、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
アルキルフェノールストリームを第1のトランスアルキル化ゾーンに導入する前に、汚染物質の除去のためにアルキルフェノールストリームを処理するステップをさらに含む、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
アルキルフェノールストリームを提供するステップが、
石炭由来供給物ストリームを第1の分離ゾーンに提供するステップと;
石炭由来供給物ストリームを、第1の分離ゾーン内で、アルキルフェノールストリーム、ならびにフェノールを含む第1のフェノールストリームおよびクレゾールを含む第1のクレゾールストリームのうちの少なくとも1つに分離するステップと
を含む、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
石炭由来供給物ストリームを分離するステップが、蒸留、抽出、溶媒抽出、酸および塩基抽出、吸着、抽出蒸留、結晶化、超臨界流体抽出、キレート化、共晶反応、または膜分離のうちの1つまたは複数によって石炭由来供給物ストリームを分離するステップを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
石炭由来供給物ストリームが、低温コールタールストリーム、中温コールタールストリーム、高温コールタールストリーム、クレゾール酸ストリーム、または粗フェノール混合物の一部を含む、請求項11または12に記載の方法。
【請求項14】
第1のトランスアルキル化反応条件または第2のトランスアルキル化反応条件またはその両方が、50℃~600℃の範囲内の温度、0MPa(g)~15MPa(g)の範囲内の圧力、および0.1~300hr-1の範囲内のWHSVのうちの1つまたは複数を含む、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
フェノールを含むフェノールストリームを第2のトランスアルキル化反応ゾーンに導入するステップをさらに含む、請求項1から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
アルキルフェノールストリームおよび反応物質ストリームをトランスアルキル化するステップが、第1のトランスアルキル化反応ゾーン内で、水素、窒素、またはそれらの組合せの存在下で行われる、請求項1から15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
トランスアルキル化アルキルフェノールストリームの少なくとも一部をフェノールとトランスアルキル化するステップが、第2のトランスアルキル化反応ゾーン内で、水素、窒素、蒸気、またはそれらの組合せの存在下で行われる、請求項1から16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
第1のトランスアルキル化触媒が不均一酸触媒を含む、第2のトランスアルキル化触媒が不均一酸触媒を含む、またはその両方である、請求項1から17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
第1のトランスアルキル化反応ゾーンおよび第2のトランスアルキル化反応ゾーンの少なくとも1つが、固定床反応器、移動床反応器、沸騰床反応器、流動床反応器、連続触媒再生(CCR)反応器、半再生反応器、バッチ反応器、連続撹拌槽(CSTR)反応器、スラリー反応器、またはそれらの組合せを含む、請求項1から18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
アルキルフェノールを含む供給物ストリームを、少なくとも、アルキルフェノールを含むアルキルフェノールストリームおよびフェノールを含むフェノールストリームに分離するステップと;
フェノールストリームを第2のトランスアルキル化ゾーンに導入するステップと
をさらに含む、請求項1から19のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クレゾールおよびキシレンを生成するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
[0001]低および中温コールタールは、典型的には、より望ましくないより長鎖のアルキルフェノール(すなわち、2つ以上の炭素原子を有するアルキル鎖を有するアルキルフェノール)と共に、大量の有益な含酸素化合物、例えばフェノール、クレゾール、キシレノールおよびトリメチルフェノールを含有する。時にその含量は、コールタールストリームの約40wt%近くになり得る。これらのフェノールは、様々な方法、例えば水酸化ナトリウム水溶液での洗浄に続く硫酸または二酸化炭素での中和、溶媒抽出、加圧結晶化等を使用してコールタールから抽出され得る。
【0003】
[0002]コールタールから得られた粗フェノールの組成は、非常に複雑である。例えば、Wangら、「Extraction and GC/MS analysis of phenolic compounds in low temperature coal tar from Northern Shaanxi」、J.of China Coal Society、36(4)(2011)、664~669に開示されているように、1種の重質コールタールの170~240℃の沸点範囲を有する留分から抽出されたフェノール混合物は、60種類のフェノールを含有していたが、そのほとんどはコールタール全体の1wt%未満の濃度を有する。これらのフェノールのいくつかはまた、非常に類似した沸点を有する。このため、その分離および精製は極めて困難である。さらに、ある特定のフェノール、例えばフェノール、クレゾール、キシレノール、ナフトールおよびおそらくはメチルナフトールのみが多量であり、広く使用されており、したがって経済的関心の対象となる。US10,723,675およびWO2020162877は、石炭由来フェノール含有ストリームからフェノールおよびキシレンを製造するための方法を説明している。アルキルフェノールのベンゼン/トルエンとのトランスアルキル化が、フェノールおよびアルキルベンゼンの製造に使用されている。ストリーム中のクレゾールおよびキシレノールがフェノールに変換され、アルキルベンゼンがキシレンに変換される。
【0004】
[0003]HZSM-5、HBetaおよびHMORを含む様々なゼオライトを使用した、プロピルフェノールおよびベンゼン/トルエンからフェノールおよびアルキルベンゼンへのトランスアルキル化が、「Conversion of alkylphenol to phenol via transalkylation using zeolite catalysts」、Yoshikawaら、Catalysis Today、347、110~114(2018)において説明された。
【0005】
[0004]HZSM-5、HBetaおよびHMORを含む様々なゼオライト触媒を使用して行われた、クレゾールを製造するための2,5-キシレノールおよびフェノールのトランスアルキル化反応が、「Transalkylation of higher methylphenols with phenol to produce cresols and xylenols」、Kopano Moeketsi、Doctoral Dissertation、Univ.of Cape Town、2007において説明された。したがって、低温および中温コールタール中のより価値の低いより長鎖のアルキルフェノールからクレゾールおよび任意選択でキシレンを生成する方法が必要とされている。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】[0005]本発明による方法の一実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
[0006]本発明の方法は、クレゾールおよび任意選択でキシレンを生成する方法を提供する。
[0007]石炭由来供給物ストリーム中の望ましくないより長鎖のアルキルフェノールは、トランスアルキル化によって、フェノール、クレゾールおよびキシレンを含むがそれらに限定されない有益な生成物に変換され得る。石炭由来供給物ストリーム中のアルキルフェノールは、反応物質(例えばベンゼンおよび/またはトルエン)とトランスアルキル化してより長鎖のアルキル基(例えばエチル、プロピル、ブチル等)を移動させ、フェノールおよびアルキルベンゼン(エチルベンゼン、プロピルベンゼン、エチルトルエン等)を生成物として得ることができる。しかしながら、いくつかの場合において、メチル基を有するアルキルフェノール(例えばクレゾール、キシレノールおよびトリメチルフェノール)もまた芳香族化合物とトランスアルキル化され得るが、より長鎖のアルキル基ほど容易ではないことが究明されている。
【0008】
[0008]したがって、2つ以上の炭素原子を有するより長鎖のアルキルフェノール、およびメチル基を有するアルキルフェノールをクレゾールに変換する新たな方法が開発された。いくつかの方法において、キシレンもまた生成され得る。
【0009】
[0009]方法は、より長鎖のアルキルフェノール(すなわち2つ以上の炭素原子を有するアルキル鎖を有する)を、第1のトランスアルキル化反応ゾーン内で、ベンゼンおよび/またはトルエン等の芳香族溶媒とトランスアルキル化して、フェノール、クレゾール、キシレノール、トリメチルフェノール、およびアルキルベンゼンを含む反応混合物を得るステップを含む。一部のキシレノールおよびトリメチルフェノールもまた、第1のトランスアルキル化反応ゾーン内でトランスアルキル化において変換されてクレゾール/フェノールを形成し得る。残りのキシレノールおよびトリメチルフェノールは、第2のトランスアルキル化反応器内でフェノールと反応され、所望のクレゾールが得られる。第1のトランスアルキル化反応器からの芳香族溶媒およびアルキルベンゼン生成物は、芳香族処理セクションに送られてp-キシレンを生成し得る。未使用の芳香族溶媒は、第1のトランスアルキル化反応器にリサイクルされ得る。
【0010】
[0010]連続トランスアルキル化反応器を使用することによって、コールタール供給物中に含有されるアルキルフェノールは、より有益なクレゾールおよび任意選択でキシレンに変換され得る。
【0011】
[0011]アルキルフェノールストリームの源は、石炭由来供給物ストリーム、例えば低温コールタール、中温コールタール、高温コールタール、クレゾール酸、またはフェノール、アルキルフェノール(メチルフェノール(クレゾール)、エチルフェノール、ジメチルフェノール(キシレノール)、プロピルフェノール、ブチルフェノール、メチルエチルフェノール、トリメチルフェノール等)ならびにより重質のアルキルフェノール(例えばインダノールおよびナフトール)を含有する粗フェノール混合物であってもよい。コールタールは、石炭の乾留およびガス化のプロセスから得られ、このプロセスに使用される温度に基づいて分類される(400~600℃(低温)、600~1000℃(中温)、および1000℃超(高温))。クレゾール酸は、フェノールおよびアルキルフェノールの組合せを指す総称であり、例えば石炭または石油処理から得ることができる。粗フェノール混合物は、例えばコールタール油の処理、ならびにコークス炉、低温炭素化および水素化プラントからのフェノール含有廃棄物の精製によって得ることができる。供給物ストリームの組成は、その源に応じて変動する。
【0012】
[0012]石炭由来供給物ストリームは、様々なストリームに分離され得る。好適な分離プロセスは、これらに限定されないが、蒸留、抽出、溶媒抽出、酸および塩基抽出、吸着、抽出蒸留、結晶化、超臨界流体抽出、キレート化、共晶反応または膜分離を含む。粗アルキルフェノールストリームは、約300℃以下の沸点を有し得る。例えば、粗アルキルフェノールストリームは、約300℃以下の沸点を有する低温または中温コールタール蒸留物ストリームの一部を含み得る。
【0013】
[0013]分離流出物は、任意選択で、窒素、硫黄、および他の元素等の汚染物質を除去するために処理され得る。流出物の処理された留分は、本発明のプロセスの出発アルキルフェノールストリームとして使用され得る。アルキルフェノールストリームを提供する他の方法もまた使用され得る。任意選択で、フェノールおよびクレゾールは、このステップでアルキルフェノールストリームから分離されてもよい。
【0014】
[0014]石炭由来供給物ストリームからのアルキルフェノールストリームは、1種または複数種のメチルフェノール(クレゾール)、エチルフェノール、ジメチルフェノール(キシレノール)、トリメチルフェノール、プロピルフェノール、ブチルフェノール、メチルエチルフェノール等)およびより重質のアルキルフェノール(例えばインダノールおよびナフトール)を含むアルキルフェノールの複雑な混合物を含む。
【0015】
[0015]アルキルフェノールストリームは、ベンゼンまたはトルエンとトランスアルキル化される。トランスアルキル化は、1種の有機化合物から別の有機化合物へのアルキル基の移動をもたらす化学反応である。第1のトランスアルキル化プロセスにおいて、アルキルフェノールストリーム、ならびにベンゼンおよびトルエンのうちの1つまたは複数を含む芳香族反応物質ストリームが、第1のトランスアルキル化反応ゾーンに提供される。アルキルフェノールは、ベンゼンおよび/またはトルエンとトランスアルキル化されて、フェノールおよび/またはクレゾールならびにアルキルベンゼンおよび/またはアルキルトルエンを形成する。触媒、特にゼオライト触媒が、反応を実現するためにしばしば使用される。所望により、トランスアルキル化触媒は、貴金属または卑金属を使用して安定化された金属であってもよく、また好適な結合剤またはマトリックス材料、例えば無機酸化物および他の好適な材料を含有してもよい。供給物は通常、反応温度まで加熱され、次いで反応ゾーンに通され、反応ゾーンは、1つもしくは複数の個別の反応器、または単一反応器内の複数の触媒床を備えてもよい。合わされた供給物の反応ゾーンへの通過により、未変換供給物および生成物モノアルキル化炭化水素を含む流出物ストリームが生成される。
【0016】
[0016]トランスアルキル化反応は、任意の従来の、または別様の好都合な様式で行われてもよく、バッチ型または連続型の操作を含み得るが、連続操作が好ましい。トランスアルキル化触媒は、垂直管状反応器の反応ゾーン内に固定床として有益に配置され、アルキル芳香族供給物原料は、上昇流または下降流の様式で床を通して投入される。
【0017】
[0017]任意の好適なトランスアルキル化反応条件が使用され得る。トランスアルキル化反応条件は、当技術分野において知られているように、特定の反応器型の使用に依存する。アルキルフェノールのベンゼンおよび/またはトルエンとのトランスアルキル化の場合、温度は、典型的には、50~600℃、または100~500℃の範囲内である。トランスアルキル化ゾーンは、典型的には、約0MPa(g)~15MPa(g)、または2MPa(g)~11MPa(g)の範囲の圧力で操作される。WHSVは一般に、0.1~300hr-1、または1~250hr-1の範囲内である。
【0018】
[0018]触媒は、典型的には、高活性レベルで比較的高い安定性を有するように選択される。好適なトランスアルキル化触媒は、当技術分野において知られているように、これらに限定されないが、ゼオライト、酸性粘土、シリカアルミナ、酸性樹脂、混合金属酸化物等を含む。
【0019】
[0019]ベンゼンおよびトルエンのアルキルフェノールに対するモル比は、1~20の範囲内であってもよい。
[0020]第1のトランスアルキル化流出物ストリームは、クレゾール、フェノール、キシレノール、トリメチルフェノール、アルキルベンゼン(例えば、キシレン、エチルベンゼン、および重質アルキルベンゼン(9つ以上の炭素原子を含有するアルキルベンゼンとして定義される))、ならびに2つ以上の炭素原子のアルキル鎖を有するアルキルフェノールのうちの1つまたは複数を含んでもよい。
【0020】
[0021]第1のトランスアルキル化流出物ストリームは、第1のトランスアルキル化分離ゾーンに送られて、クレゾール、フェノール、キシレノール、トリメチルフェノール、および2つ以上の炭素原子のアルキル鎖を有するアルキルフェノールを含むトランスアルキル化アルキルフェノールストリーム、ならびにベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、および重質アルキルベンゼンを含む芳香族ストリームに分離される。
【0021】
[0022]トランスアルキル化アルキルフェノールストリームは、第2のトランスアルキル化反応ゾーンに送られ、キシレノールおよびトリメチルフェノールがフェノールとトランスアルキル化されてクレゾールを生成する。
【0022】
[0023]任意の好適な第2のトランスアルキル化反応条件が使用され得る。第2のトランスアルキル化反応条件は、当技術分野において知られているように、特定の反応器型の使用に依存する。アルキルフェノールのフェノールとのトランスアルキル化の場合、温度は、典型的には50~600℃、または100~500℃の範囲内である。トランスアルキル化ゾーンは、典型的には、約0MPa(g)~15MPa(g)、または0.01MPa(g)~10MPa(g)の範囲の圧力で操作される。WHSVは一般に、0.1~300hr-1、または1~200hr-1の範囲内である。
【0023】
[0024]触媒は、典型的には、高活性レベルで比較的高い安定性を有するように選択される。好適なトランスアルキル化触媒は、当技術分野において知られているように、これらに限定されないが、ゼオライト、酸性粘土、シリカアルミナ、酸性樹脂、混合金属酸化物等を含む。
【0024】
[0025]フェノールのキシレノール/トリメチルフェノールに対するモル比は、1~15の範囲内であってもよい。
[0026]第2のトランスアルキル化流出物ストリームは、クレゾール、キシレノール、トリメチルフェノール、および未変換フェノールを含む。第2のトランスアルキル化流出物ストリームは、クレゾールを含むクレゾールストリーム、ならびにキシレノール、トリメチルフェノール、および未変換フェノールを含むリサイクルフェノールストリームに分離され得る。クレゾールの混合物であるクレゾールストリームは回収され得る。
【0025】
[0027]第1および/または第2のトランスアルキル化プロセスは、これらに限定されないが、固定床反応器、移動床反応器、沸騰床反応器、流動床反応器、連続触媒再生(CCR)反応器、半再生反応器、バッチ反応器、連続撹拌槽(CSTR)反応器、およびスラリー床反応器、またはそれらの組合せを含む、任意の好適な反応器型で実行され得る。
【0026】
[0028]クレゾールストリームは、クレゾール異性化反応ゾーン内で異性化されて、混合クレゾールストリームを形成し得る。混合クレゾールストリームは、m-クレゾール等の特定のクレゾール、ならびにo-クレゾールおよびp-クレゾールを含む第2の混合クレゾールストリームを回収するために分離され得る。次いで、第2の混合クレゾールストリームは、クレゾール異性化反応ゾーンにリサイクルされ得る。
【0027】
[0029]クレゾール異性化反応条件は、典型的には、50℃~600℃、または100℃~500℃の範囲内の温度を含む。クレゾール異性化ゾーンは、典型的には、約0MPa(g)~15MPa(g)、または0.01MPa(g)~10MPa(g)の範囲の圧力で操作される。WHSVは一般に、0.1~200hr-1、または0.2~100hr-1の範囲内である。
【0028】
[0030]任意の好適なクレゾール異性化触媒が使用され得る。クレゾール異性化触媒は、典型的には、高活性レベルで比較的高い安定性を有するように選択される。好適なクレゾール異性化触媒は、当技術分野において知られているように、これらに限定されないが、ゼオライト、酸性粘土、シリカアルミナ、酸性樹脂、混合金属酸化物等を含む。
【0029】
[0031]トランスアルキル化アルキルフェノールストリームは、任意選択で、第2のトランスアルキル化反応ゾーンに送られる前にフェノール分離ゾーンに送られてもよい。2つ以上の炭素原子のアルキル鎖を有する未変換アルキルフェノールは、リサイクルストリームに分離され、第1のトランスアルキル化反応ゾーンにリサイクルされ得る。
【0030】
[0032]第1のトランスアルキル化反応ゾーンからの芳香族ストリームは、芳香族分離ゾーンに送られてもよく、そこで芳香族ストリームは、ベンゼンおよびトルエンのうちの1つまたは複数を含むリサイクルストリーム、重質アルキルベンゼンを含む重質アルキルベンゼンストリーム、ならびにキシレンおよびエチルベンゼンを含む混合キシレンストリームのうちの1つまたは複数に分離される。芳香族分離ゾーンからのリサイクルストリームは、第1のトランスアルキル化反応ゾーンにリサイクルされ得る。
【0031】
[0033]混合キシレンストリームは、キシレン分離ゾーンに送られて、エチルベンゼン、o-キシレンおよびm-キシレンを含む第2のキシレンストリーム、ならびにp-キシレンを含むp-キシレンストリームに分離され得る。p-キシレンストリームは回収され得る。第2のキシレンストリームは、キシレン異性化反応ゾーン内で異性化されて、異性化キシレンストリームを形成し得る。異性化キシレンストリームは、芳香族分離ゾーンにリサイクルされ得る。
【0032】
[0034]キシレン異性化反応条件は、典型的には、50℃~600℃、または100℃~500℃の範囲内である温度を含む。キシレン異性化ゾーンは、典型的には、約0MPa(g)~7.6MPa(g)、または0.01MPa(g)~5MPa(g)の範囲の圧力で操作される。WHSVは一般に、0.1~200hr-1、または0.2~100hr-1の範囲内である。
【0033】
[0035]任意の好適なキシレン異性化触媒が使用され得る。好適なキシレン異性化触媒は、これらに限定されないが、BF3-HF等の均一触媒、および非晶質シリカアルミナ、ゼオライトまたは金属促進ゼオライト(metal promoted zeolite)等の不均一触媒を含む。触媒は、典型的には、高活性レベルで比較的高い安定性を有するように選択される。
【0034】
[0036]重質アルキルベンゼンストリームは、重質アルキルベンゼン脱アルキル化反応ゾーンおよび/または重質アルキルベンゼントランスアルキル化反応ゾーンに送られて、ベンゼン、トルエン、およびキシレンを主生成物として形成し得る。処理された重質アルキルベンゼンストリームは、芳香族分離ゾーンに送られ得る。
【0035】
[0037]重質アルキルベンゼン脱アルキル化反応条件は、典型的には、0℃~600℃、または100℃~500℃の範囲内である温度を含む。重質アルキルベンゼン脱アルキル化ゾーンは、典型的には、約0MPa(g)~7.6MPa(g)、または0.01MPa(g)~5MPa(g)の範囲の圧力で操作される。WHSVは一般に、0.01~200hr-1、または0.1~100hr-1の範囲内である。任意の好適な重質アルキルベンゼン脱アルキル化触媒が使用され得る。触媒は、典型的には、高活性レベルで比較的高い安定性を有するように選択される。好適な重質アルキルベンゼン脱アルキル化触媒は、当技術分野において知られているように、これらに限定されないが、ゼオライト、酸性粘土、シリカアルミナ、酸性樹脂、混合金属酸化物等を含む。
【0036】
[0038]重質アルキルベンゼントランスアルキル化反応条件は、典型的には、0℃~600℃、または100℃~500℃の範囲内である温度を含む。重質アルキルベンゼントランスアルキル化は、典型的には、約_0MPa(g)~15MPa(g)、または1MPa(g)~11MPa(g)の範囲の圧力で操作される。WHSVは一般に、0.1~300hr-1、または0.2~200hr-1の範囲内である。任意の好適な重質アルキルベンゼントランスアルキル化触媒が使用され得る。触媒は、典型的には、高活性レベルで比較的高い安定性を有するように選択される。好適な重質アルキルベンゼントランスアルキル化触媒は、当技術分野において知られているように、これらに限定されないが、ゼオライト、酸性粘土、シリカアルミナ、酸性樹脂、混合金属酸化物等を含む。
【0037】
[0039]本発明の一態様は、クレゾールを生成するための方法である。一実施形態において、この方法は、アルキルフェノールを含むアルキルフェノールストリームを提供するステップと;アルキルフェノールストリーム、ならびにベンゼンおよびトルエンのうちの1つまたは複数を含む反応物質ストリームを、第1のトランスアルキル化反応ゾーン内で、第1のトランスアルキル化触媒の存在下、第1のトランスアルキル化反応条件でトランスアルキル化して、フェノール、クレゾール、キシレノール、トリメチルフェノール、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、重質アルキルベンゼン、および2つ以上の炭素原子のアルキル鎖を有するアルキルフェノールのうちの少なくとも1つを含む第1のトランスアルキル化流出物ストリームを生成するステップと;第1のトランスアルキル化流出物ストリームを、第1のトランスアルキル化分離ゾーン内で、フェノール、クレゾール、キシレノール、トリメチルフェノール、および2つ以上の炭素原子のアルキル鎖を有するアルキルフェノールのうちの少なくとも1つを含むトランスアルキル化アルキルフェノールストリーム、ならびにベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、および重質アルキルベンゼンを含む芳香族ストリームに分離するステップと;トランスアルキル化アルキルフェノールストリームの少なくとも一部を、第2のトランスアルキル化反応ゾーン内で、第2のトランスアルキル化触媒の存在下、第2のトランスアルキル化反応条件でフェノールとトランスアルキル化して、クレゾール、ならびに未変換フェノール、キシレノールおよびトリメチルフェノールのうちの少なくとも1つを含む第2のトランスアルキル化流出物ストリームを生成するステップと;クレゾールを含むクレゾールストリームを回収するステップとを含む。
【0038】
[0040]いくつかの実施形態において、請求項1に記載の方法は、トランスアルキル化アルキルフェノールストリームを、フェノール分離ゾーン内で、フェノール、クレゾール、キシレノールおよびトリメチルフェノールを含む第1のフェノールストリーム、ならびに2つ以上の炭素原子のアルキル鎖を有するアルキルフェノールを含む第2のストリームに分離するステップと;第2のストリームを第1のトランスアルキル化反応ゾーンにリサイクルするステップとをさらに含み、トランスアルキル化アルキルフェノールストリームの少なくとも一部は、第1のフェノールストリームを含む。
【0039】
[0041]いくつかの実施形態において、クレゾールストリームを回収するステップは、第2のトランスアルキル化流出物ストリームを、第2のトランスアルキル化分離ゾーン内で、クレゾールストリーム、ならびにフェノール、キシレノールおよびトリメチルフェノールを含むリサイクルフェノールストリームに分離するステップと;リサイクルフェノールストリームを、第1のトランスアルキル化反応ゾーンと第2のトランスアルキル化反応ゾーンとの間に位置するフェノール分離ゾーンにリサイクルするステップとを含む。
【0040】
[0042]いくつかの実施形態において、方法は、芳香族ストリームを、芳香族分離ゾーン内で、少なくとも、ベンゼンおよびトルエンのうちの1つまたは複数を含むリサイクルストリーム、重質アルキルベンゼンを含む重質アルキルベンゼンストリーム、ならびにキシレンおよびエチルベンゼンを含む混合キシレンストリームに分離するステップと;混合キシレンストリームを、キシレン分離ゾーン内で、エチルベンゼン、o-キシレンおよびm-キシレンを含む第2のキシレンストリーム、ならびにp-キシレンを含むp-キシレンストリームに分離するステップと;第2のキシレンストリームを、キシレン異性化反応ゾーン内で、キシレン異性化触媒の存在下、キシレン異性化反応条件で異性化して、混合キシレンを含むキシレン異性化流出物ストリームを形成するステップと;キシレン異性化流出物ストリームを、芳香族分離ゾーンにリサイクルするステップと;p-キシレンストリームを回収するステップとをさらに含む。
【0041】
[0043]いくつかの実施形態において、方法は、重質アルキルベンゼンストリームを、脱アルキル化反応ゾーン内で、脱アルキル化触媒の存在下、脱アルキル化条件で脱アルキル化するステップ;ならびに重質アルキルベンゼンストリームを、トランスアルキル化反応ゾーン内で、トランスアルキル化触媒の存在下、トランスアルキル化条件でトランスアルキル化して、処理された重質アルキルベンゼン流出物ストリームを形成するステップのうちの少なくとも1つをさらに含む。
【0042】
[0044]いくつかの実施形態において、方法は、処理された重質アルキルベンゼン流出物ストリームを芳香族分離ゾーンにリサイクルするステップと;リサイクルストリームを芳香族分離ゾーンから第1のトランスアルキル化反応ゾーンにリサイクルするステップとをさらに含む。
【0043】
[0045]いくつかの実施形態において、方法は、クレゾールストリームを、クレゾール異性化反応ゾーン内で、クレゾール異性化触媒の存在下、クレゾール異性化反応条件で異性化して、混合クレゾールを含むクレゾール異性化流出物ストリームを形成するステップと;混合クレゾール異性化流出物ストリームからm-クレゾールストリームを回収するステップとをさらに含む。
【0044】
[0046]いくつかの実施形態において、方法は、混合クレゾールストリームをクレゾール異性化反応ゾーンにリサイクルするステップをさらに含む。
[0047]いくつかの実施形態において、方法は、アルキルフェノールを含む供給物ストリームを、少なくとも、アルキルフェノールを含むアルキルフェノールストリームおよびクレゾールを含むクレゾールストリームに分離するステップと;クレゾールストリームをクレゾール異性化ゾーンに導入するステップとをさらに含む。
【0045】
[0048]いくつかの実施形態において、方法は、アルキルフェノールストリームを第1のトランスアルキル化ゾーンに導入する前に、窒素、硫黄および他の元素等の汚染物質の除去のためにアルキルフェノールストリームを処理するステップをさらに含む。
【0046】
[0049]いくつかの実施形態において、アルキルフェノールストリームを提供するステップは、石炭由来供給物ストリームを第1の分離ゾーンに提供するステップと;石炭由来供給物ストリームを、第1の分離ゾーン内で、アルキルフェノールストリーム、ならびにフェノールを含む第1のフェノールストリームおよびクレゾールを含む第1のクレゾールストリームのうちの少なくとも1つに分離するステップとを含む。
【0047】
[0050]いくつかの実施形態において、石炭由来供給物ストリームを分離するステップは、蒸留、抽出、溶媒抽出、酸および塩基抽出、吸着、抽出蒸留、結晶化、超臨界流体抽出、キレート化、共晶反応、または膜分離のうちの1つまたは複数によって石炭由来供給物ストリームを分離するステップを含む。
【0048】
[0051]いくつかの実施形態において、石炭由来供給物ストリームは、低温コールタールストリーム、中温コールタールストリーム、高温コールタールストリーム、クレゾール酸ストリーム、または粗フェノール混合物の一部を含む。
【0049】
[0052]いくつかの実施形態において、第1のトランスアルキル化反応条件または第2のトランスアルキル化反応条件またはその両方は、50℃~600℃の範囲内の温度、0MPa(g)~15MPa(g)の範囲内の圧力、および0.1~300hr-1の範囲内のWHSVのうちの1つまたは複数を含む。
【0050】
[0053]いくつかの実施形態において、方法は、フェノールを含むフェノールストリームを第2のトランスアルキル化反応ゾーンに導入するステップをさらに含む。
[0054]いくつかの実施形態において、アルキルフェノールストリームおよび反応物質ストリームをトランスアルキル化するステップは、第1のトランスアルキル化反応ゾーン内で、水素、窒素、またはそれらの組合せの存在下で行われる。
【0051】
[0055]いくつかの実施形態において、トランスアルキル化アルキルフェノールストリームの少なくとも一部をフェノールとトランスアルキル化するステップは、第2のトランスアルキル化反応ゾーン内で、水素、窒素、蒸気、またはそれらの組合せの存在下で行われる。
【0052】
[0056]いくつかの実施形態において、第1のトランスアルキル化触媒が不均一酸触媒を含む、第2のトランスアルキル化触媒が不均一酸触媒を含む、またはその両方である。
[0057]いくつかの実施形態において、第1のトランスアルキル化反応ゾーンおよび第2のトランスアルキル化反応ゾーンの少なくとも1つは、固定床反応器、移動床反応器、沸騰床反応器、流動床反応器、連続触媒再生(CCR)反応器、半再生反応器、バッチ反応器、連続撹拌槽(CSTR)反応器、スラリー反応器、またはそれらの組合せを含む。
【0053】
[0058]いくつかの実施形態において、方法は、アルキルフェノールを含む供給物ストリームを、少なくとも、アルキルフェノールを含むアルキルフェノールストリームおよびフェノールを含むフェノールストリームに分離するステップと;フェノールストリームを第2のトランスアルキル化ゾーンに導入するステップとをさらに含む。
【0054】
[0059]図は、本発明による方法100の一実施形態の図である。
[0060]石炭由来供給物ストリーム105は、蒸留塔等の第1の分離ゾーン110に送られる。石炭由来供給物ストリーム105は、第1の分離ゾーン110に送られる前に濾過され、また水が除去されてもよい(図示せず)。石炭由来供給物ストリームは、約300℃未満の沸点を有する炭化水素のストリーム115および約300℃超の沸点を有する炭化水素のストリーム120に分離される。
【0055】
[0061]フェノール化合物は、ストリーム115中に見られる。ストリーム115は、抽出ゾーン等の第2の分離ゾーン125に送られ、そこでアルキルフェノール化合物を含有する留分130、ならびに非フェノール化合物および重質フェノール化合物を含有するストリーム135に分離される。
【0056】
[0062]留分130は、処理ゾーン140に送られて汚染物質が除去され、アルキルフェノールを含むアルキルフェノールストリーム145を形成する。任意選択で、この時点でフェノールおよびクレゾールが第3の分離ゾーン146内で分離されて、それぞれ第2のトランスアルキル化反応ゾーン(フェノールを含むストリーム147)およびクレゾール分離ゾーン(クレゾールを含むストリーム148)に送られてもよい。
【0057】
[0063]アルキルフェノールストリーム149は、ベンゼンおよび/またはトルエンを含む反応物質ストリーム155と共に第1のトランスアルキル化反応ゾーン150に送られる。第1のトランスアルキル化反応ゾーン150は、第1のトランスアルキル化触媒を含有する。第1のトランスアルキル化流出物ストリーム160は、フェノール、クレゾール、キシレノール、トリメチルフェノール、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、重質アルキルベンゼン、および2つ以上の炭素原子のアルキル鎖を有する未変換アルキルフェノールを含む。
【0058】
[0064]第1のトランスアルキル化流出物ストリーム160は、第1のトランスアルキル化分離ゾーン165に送られ、トランスアルキル化アルキルフェノールストリーム170および芳香族ストリーム175に分離される。トランスアルキル化アルキルフェノールストリーム170は、フェノール、クレゾール、キシレノール、トリメチルフェノール、および2つ以上の炭素原子を有するアルキル鎖を有する未変換アルキルフェノールを含む。芳香族ストリーム175は、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、および重質アルキルベンゼンを含む。
【0059】
[0065]トランスアルキル化アルキルフェノールストリーム170はフェノール分離ゾーン180に送られ、第1のフェノールストリーム185および第2のストリーム190に分離される。第1のフェノールストリーム185は、フェノール、クレゾール、キシレノール、およびトリメチルフェノールを含む。
【0060】
[0066]第2のストリーム190は、2つ以上の炭素原子を有するアルキル鎖を有する未変換アルキルフェノール、例えばエチルフェノール、プロピルフェノール、およびブチルフェノールを含む。第2のストリーム190は、第1のトランスアルキル化反応ゾーン150にリサイクルされる。
【0061】
[0067]第1のフェノールストリーム185は、任意選択のフェノールストリーム195および任意選択でストリーム147からのフェノールと共に第2のトランスアルキル化反応ゾーン196に送られる。第2のトランスアルキル化反応ゾーン196は、第2のトランスアルキル化触媒を含む。第2のトランスアルキル化流出物ストリーム200は、クレゾール、ならびに未変換フェノール、キシレノール、およびトリメチルフェノールを含む。
【0062】
[0068]第2のトランスアルキル化流出物ストリーム200は、第2のトランスアルキル化分離ゾーン205に送られ、クレゾールを含むクレゾールストリーム210、ならびに未変換フェノール、キシレノール、トリメチルフェノールを含むリサイクルフェノールストリーム215に分離される。リサイクルフェノールストリーム215は、フェノール分離ゾーン180にリサイクルされる。
【0063】
[0069]クレゾールストリーム210は回収され得る。任意選択で、クレゾールストリーム210は、クレゾール異性化反応ゾーン220に送られて、クレゾール生成物ストリーム225が得られ得る。クレゾール生成物ストリーム225および任意選択でクレゾールストリーム148は、クレゾール分離ゾーン230内で分離されて、m-クレゾール等の特定のクレゾールを含むストリーム235、および残りのクレゾールを含む混合クレゾールストリーム240が得られ得る。任意選択で、混合クレゾールストリーム240は、クレゾール異性化反応ゾーン220にリサイクルされ得る。
【0064】
[0070]ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、および重質アルキルベンゼンを含む第1のトランスアルキル化分離ゾーン165からの芳香族ストリーム175は、芳香族分離ゾーン250に送られる。芳香族ストリーム175は、リサイクルストリーム255、重質アルキルベンゼンストリーム260、および混合キシレンストリーム265に分離される。
【0065】
[0071]ベンゼンおよび/またはトルエンを含むリサイクルストリーム255は、第1のトランスアルキル化反応ゾーン150にリサイクルされ得る。
[0072]重質アルキルベンゼンを含む重質アルキルベンゼンストリーム260は、脱アルキル化および/またはトランスアルキル化反応ゾーン270に送られ得る。処理された重質アルキルベンゼンストリーム275は、芳香族分離ゾーン250に送られる。
【0066】
[0073]キシレンの混合物を含む混合キシレンストリーム265は、キシレン異性化ゾーン280に送られ得る。キシレン異性化流出物285は、キシレン分離ゾーン290に送られ、p-キシレンストリーム295および第2の混合キシレンストリーム300に分離される。o-キシレン、m-キシレン、およびエチルベンゼンを含む第2の混合キシレンストリーム300は、芳香族分離ゾーン250に送られる。p-キシレンストリーム295は回収され得る。
【0067】
[0074]本明細書において使用される場合、「ゾーン」という用語は、1つもしくは複数の機器アイテムおよび/または1つもしくは複数のサブゾーンを含むエリアを指し得る。機器アイテムは、1つまたは複数の反応器または反応容器、加熱器、交換器、パイプ、ポンプ、コンプレッサ、およびコントローラ、カラム等を含み得る。さらに、機器アイテム、例えば反応器、乾燥器、または容器は、1つまたは複数のゾーンまたはサブゾーンをさらに含み得る。
【0068】
[0075]描写されたように、図中のプロセスフローラインは、交換可能に、例えばライン、パイプ、分岐、分配器、ストリーム、流出物、供給物、生成物、部分、触媒、引出し、リサイクル、吸引、排出、および腐食剤を指し得る。
【0069】
[0076]上記の本発明の詳細な説明において少なくとも1つの例示的実施形態が示されたが、多数の変形例が存在することが理解されるべきである。また、1つまたは複数の例示的実施形態は、単なる例であり、いかなる形式でも本発明の範囲、利用可能性または構成を限定することを意図しないことが理解されるべきである。むしろ、上記の詳細な説明は、当業者に、本発明の例示的実施形態を実践するための好都合な指針を提供する。添付の特許請求の範囲に記載される本発明の範囲から逸脱せずに、例示的実施形態において説明される要素の機能および配置に様々な変更がなされてもよいことが理解される。
図1
【国際調査報告】