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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-04
(54)【発明の名称】可動機械部品の状態監視方法
(51)【国際特許分類】
   G01M 99/00 20110101AFI20240927BHJP
   B65B 57/00 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
G01M99/00 A
B65B57/00 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024518101
(86)(22)【出願日】2022-09-19
(85)【翻訳文提出日】2024-03-21
(86)【国際出願番号】 EP2022075922
(87)【国際公開番号】W WO2023046623
(87)【国際公開日】2023-03-30
(31)【優先権主張番号】21198923.1
(32)【優先日】2021-09-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391053799
【氏名又は名称】テトラ ラバル ホールディングス アンド ファイナンス エス エイ
【住所又は居所原語表記】70 Avenue General Guisan,CH-1009 Pully,Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100151105
【弁理士】
【氏名又は名称】井戸川 義信
(72)【発明者】
【氏名】リンドバーグ、ペーター
【テーマコード(参考)】
2G024
【Fターム(参考)】
2G024AD08
2G024BA02
2G024BA27
2G024CA04
2G024CA26
2G024FA03
2G024FA06
(57)【要約】
状態監視方法(1000)であって、定義された運動プロファイル(PF)のサイクルに従って機械部品を移動させること(1010)、定義された運動プロファイルに従って機械部品を移動させる際に、加速を引き起こす力(T)の測定値及び/又は測定された運動パラメータ(p)の第1分布(T、p)を生成すること(1040)、第1の分布を第1の負荷応答(L)に関連付けること(1050)を含む方法(1000)が開示され、後続の時点においてサイクルに従って機械部品を移動させるときに、その後に測定された前記力及び/又は運動パラメータの関連する登録値(1070)の第2分布(T、p)を生成すること(1060)、第2の分布を第2の負荷応答(L)に関連付けること(1080)、第1の負荷応答と第2の負荷応答との間の差に基づいて、機械部品にかかる機械的負荷の負荷成分の変動量を決定すること(1100)、を備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体食品加工用途の包装機又は充填機(300)における可動機械部品の状態監視の方法(1000)であって、
定義された動作プロファイル(PF)のサイクルに従って機械部品を移動させるステップ(1010)と、
前記定義された運動プロファイルの速度(v)及び位置に応じて、機械的負荷を克服するために前記機械部品を加速するステップ(1020)と、前記機械的負荷は、寄与する負荷成分(C、C、C)の合計を含み、
前記負荷成分は、前記機械部品にかかる外部機械力と、前記機械部品が示す慣性、及び/又は慣性モーメントと、を含み、
当該方法は、さらに、
前記加速を引き起こす力(T)の測定値、及び/又は、前記定義された運動プロファイルに従った前記機械部品の運動に関連する運動パラメータ(p)の測定値を登録するステップ(1030)と、
登録された値の第1の分布(T、p)を生成するステップ(1040)と、
機械的負荷モデル(VM)において、前記第1の分布を第1の負荷応答(L)に関連付けるステップ(1050)と、
後続の時点において、前記サイクルに従って前記機械部品を移動させる際に測定された前記力及び/又は前記運動パラメータの関連する登録値(1070)の第2の分布(T、p)を生成するステップ(1060)と、
前記機械的負荷モデルにおいて、前記第2の分布を第2の負荷応答(L)に関連付けるステップ(1080)と、
前記後続の時点における機械的負荷の負荷成分の変化を決定するステップ(1090)と、
前記状態監視のために、前記第1の負荷応答と前記第2の負荷応答との差に基づいて、前記機械的負荷の負荷成分の変動量を決定するステップ(1100)と、
前記可変負荷パラメータに依存して仮想負荷応答出力(VL)を生成するため、前記負荷成分を機械的負荷モデルのそれぞれの可変負荷パラメータ(VC、VC、VC)として割り当てるステップ(1110)と、
動作継続時間の後に、前記機械部品のメンテナンス作業を決定するステップ(1200)と、
前記継続時間の後、前記サイクルに従って前記機械部品を移動させる際に、その後に測定される関連する登録値の分布を生成するステップ(1210)と、
前記測定された負荷応答(ML)と前記分布を関連付けるステップ(1220)と、
前記測定された負荷応答(ML)と前記仮想負荷応答出力(VL)との間の最小化された差をもたらす機械的負荷モデルにおけるそれぞれの可変負荷パラメータ(VC、VC、VC)の変化を決定するステップ(1230)と、
それぞれの可変負荷パラメータ(VC、VC、VC)の変化に基づいて前記メンテナンス動作を決定するステップ(1240)と、
を備える方法。
【請求項2】
前記負荷成分の変動量を決定するステップは、
それぞれの第1及び第2の負荷応答の第1及び第2の分布と間の導関数の変化を決定するステップ(1101)を含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記機械的負荷に対する外部機械力として寄与する粘性摩擦の変化として、前記導関数の変化を決定するステップ(1102)と、
前記負荷成分を前記粘性摩擦に関連付けるステップ(1103)と、を備える、
請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記機械的負荷モデルにおいて、第1の負荷成分(C)として前記負荷成分を決定するステップ(1103')を含む、
請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記負荷成分の変動量を決定するステップは、
それぞれの第1及び第2の負荷応答の第1及び第2の分布における最大値(max、max)及び/又は最小値(min、min)の変化を決定するステップ(1104)、を備える、
請求項1に記載。
【請求項6】
前記機械的負荷に対する外部機械力として寄与する静止摩擦の変化として、それぞれの最大値及び最小値に関して、前記第1の負荷応答と前記第2の負荷応答との間のオフセット(o)を決定するステップ(1105)と、
前記負荷成分と静止摩擦を関連付けるステップ(1106)と、を備える、
請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記機械的負荷モデルの第2の負荷成分(C)として前記負荷成分を決定するステップ(1106')を備える、
請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記機械的負荷に寄与する慣性、及び/又は慣性モーメントの変化として、それぞれの第1及び第2の負荷応答における最小値と最大値との間の範囲の大きさの差(dy1、dy2)を決定するステップ(1107)と、
前記負荷成分を慣性、及び/又は慣性モーメントと関連付けるステップ(1108)と、を備える、
請求項5に記載の方法。
【請求項9】
前記機械的負荷モデルの第3の負荷成分(C)として前記負荷成分を決定するステップ(1108')を備える、
請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記第1の負荷応答と前記第2の負荷応答との間の前記差に基づいて、前記機械的負荷モデルにおける前記第1、第2及び第3の負荷成分の変動量を決定するステップ(1109)を備える、
請求項4、7又は9に記載の方法。
【請求項11】
前記可変負荷パラメータに応じて前記仮想負荷応答出力(VL)を生成するため、前記機械的負荷モデルのそれぞれの可変負荷パラメータ(VC、VC、VC)として前記第1、第2及び第3の負荷成分を割り当てるステップ(1110)を備える、
請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記機械的負荷モデルの前記第1の可変負荷パラメータ(VC)として第1の負荷成分を割り当てるステップ(1231)と、
粘性摩擦を制御するためのメンテナンス作業が決定されるように、仮想負荷応答出力と測定負荷応答における導関数の差を最小化するように、前記第1の負荷成分に関連する前記第1の可変負荷パラメータ(VC)を変更するステップ(1231')を備える、
請求項1又は4に記載の方法。
【請求項13】
前記機械的負荷モデルの第2の可変負荷パラメータ(VC)として第2の負荷成分を割り当てるステップ(1232)と、
静止摩擦を制御するためのメンテナンス作業が決定されるように、それぞれの最大値と最小値との間のオフセットに関して、仮想負荷応答出力と測定負荷応答との間の差を最小にするように、前記第2の負荷成分に関連する前記第2の可変負荷パラメータ(VC)を変更するステップ(1232')を備える、
請求項1又は7に記載の方法。
【請求項14】
前記機械的負荷モデルの第3の可変負荷パラメータ(VC)として第3の負荷成分を割り当てるステップ(1233)と、
慣性、及び/又は慣性モーメントを制御するためのメンテナンス作業が決定されるように、それぞれの最大値と最小値との間の範囲の大きさに関して、仮想負荷応答出力と測定された負荷応答との間の差を最小にするように、前記第3の負荷成分に関連する前記第3の可変負荷パラメータ(VC)を変更するステップ(1233')を備える、
請求項1又は9に記載の方法。
【請求項15】
プログラムがコンピュータによって実行されると、請求項1~14のいずれかに記載の方法のステップをコンピュータに実行させる命令を含むコンピュータプログラム。
【請求項16】
液体食品加工アプリケーションにおける包装機又は充填機(300)の可動機械部品の状態監視のシステム(200)であって、処理ユニット(201)を含み、
前記処理ユニットは、
定義された動作プロファイル(PF)のサイクルに従って機械部品を移動させるステップ(1010)と、
前記定義された運動プロファイルの速度(v)及び位置に応じて、機械的負荷を克服するために前記機械部品を加速するステップ(1020)と、前記機械的負荷は、寄与する負荷成分(C、C、C)の合計を含み、
前記負荷成分は、前記機械部品にかかる外部機械力と、前記機械部品が示す慣性、及び/又は慣性モーメントと、を含み、
当該方法は、さらに、
前記加速を引き起こす力(T)の測定値、及び/又は、前記定義された運動プロファイルに従った前記機械部品の運動に関連する運動パラメータ(p)の測定値を登録するステップ(1030)と、
登録された値の第1の分布(T、p)を生成するステップ(1040)と、
機械的負荷モデル(VM)において、前記第1の分布を第1の負荷応答(L)に関連付けるステップ(1050)と、
後続の時点において、前記サイクルに従って前記機械部品を移動させる際に測定された前記力及び/又は前記運動パラメータの関連する登録値(1070)の第2の分布(T、p)を生成するステップ(1060)と、
前記機械的負荷モデルにおいて、前記第2の分布を第2の負荷応答(L)に関連付けるステップ(1080)と、
前記後続の時点における機械的負荷の負荷成分の変化を決定するステップ(1090)と、
前記状態監視のために、前記第1の負荷応答と前記第2の負荷応答との差に基づいて、前記機械的負荷の負荷成分の変動量を決定するステップ(1100)と、
前記可変負荷パラメータに依存して仮想負荷応答出力(VL)を生成するため、前記負荷成分を機械的負荷モデルのそれぞれの可変負荷パラメータ(VC、VC、VC)として割り当てるステップ(1110)と、
動作継続時間の後に、前記機械部品のメンテナンス作業を決定するステップ(1200)と、
前記継続時間の後、前記サイクルに従って前記機械部品を移動させる際に、その後に測定される関連する登録値の分布を生成するステップ(1210)と、
前記測定された負荷応答(ML)と前記分布を関連付けるステップ(1220)と、
前記測定された負荷応答(ML)と前記仮想負荷応答出力(VL)との間の最小化された差をもたらす機械的負荷モデルにおけるそれぞれの可変負荷パラメータ(VC、VC、VC)の変化を決定するステップ(1230)と、
それぞれの可変負荷パラメータ(VC、VC、VC)の変化に基づいて前記メンテナンス動作を決定するステップ(1240)と、
を備える、
システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体食品加工用途の包装機又は充填機に採用されている、モーター、ピストン、その他のアクチュエータなどの可動機械部品の状態監視方法、関連するコンピュータプログラム製品、及び状態監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
液体又は半液体食品用の密封された包装容器を製造するための包装機又は充填機及び関連システムにおける機械部品の状態監視は、最適な動作設定を構成し、一定期間にわたって所望の性能を確保するために重要である。製造された包装容器に欠陥があると、無菌性能が最適でなくなる可能性がある。従って、製造された包装容器に様々な種類の欠陥をもたらす可能性のある、このようなシステムにおける構成部品の欠陥動作を特定するための効率的なツールと手順を開発することが望ましい。密封された包装容器の製造に採用される最新世代の充填機又は関連装置は、生産ラインのスループットをさらに向上させるために非常に高速で動作するため、生産ラインを中断することなく包装容器製造の性能のあらゆる側面を正確に特徴付けることが困難である。このため、性能が最適化されず、スループットが低下する可能性がある。従って、必要なリソースを最小限に抑えつつ、生産への影響を最小限に抑え、信頼性の高い制御ツールと制御戦略を導入する方法が問題となる。
【0003】
さらに、高スループット生産ラインの包装機や充填機の公差がさらに減少しているため、機械構成部品の挙動における逸脱傾向を検出し、故障予測を行う必要性が高まっている。現在の監視ルーチンでは、製造された食品容器に逸脱が顕在化する前に無菌性能が損なわれる可能性がある。高スループットの生産ラインと組み合わされた場合、その結果は重大である。このような生産ラインから生成される大量のデータから、どのようにして逸脱傾向を拾い上げるか、また、生産への影響を最小限に抑えるために、どのようにして正しいメンテナンス活動を効果的に特定するか、さらなる問題もある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、従来技術の1つ以上の限界を少なくとも部分的に克服することである。特に、液体食品加工用途の包装機又は充填機における機械部品の改良された状態監視を提供すること、特に、生産に影響を与えることなく関連部品のメンテナンス作業を特定し、計画するための効果的なツールをオペレータに提供するため、逸脱した動作又は差し迫った故障を確実かつタイムリーに検出する方法を提供することが目的である。
【0005】
本発明の第1の態様において、液体食品加工用途の包装機又は充填機における可動機械部品の状態監視のための方法であって、定義された運動プロファイルの速度及び位置に応じて、機械部品を加速して機械的負荷を克服するために定義された運動プロファイルのサイクルに従って機械部品を移動させることを含み、機械的負荷は、機械部品上の外部機械力と、慣性、及び/又は慣性モーメントを含む寄与された負荷成分の合計を含む方法によって達成され、この方法はさらに、前記加速を引き起こす力の測定値、及び/又は、定義された運動プロファイルに従った機械部品の運動に関連する運動パラメータの測定値を登録すること、登録された値の第1の分布を生成すること、第1の分布を機械負荷モデルにおける第1の負荷応答と関連付けること、後続の時点でサイクルに従って機械部品を移動させるときに続いて、前記測定された力及び/又は前記運動パラメータの関連する登録された値の第2の分布を生成すること、を含み、前記状態監視のために、前記第2の分布と前記機械負荷モデルにおける第2の負荷応答とを関連付けることと、前記第1の負荷応答と前記第2の負荷応答との差に基づいて前記機械負荷の負荷成分の変動量を決定することを含む、前記後続時点における前記機械負荷の負荷成分の変化を決定すること、を含む。この方法は、前記負荷成分を機械負荷モデルにおけるそれぞれの可変負荷パラメータとして割り当てて、前記可変負荷パラメータに応じて仮想負荷応答出力を生成すること、前記持続時間の後に前記サイクルに従って前記機械部品を動かしたときにその後に測定された関連する登録値の分布を生成すること、前記分布を測定された負荷応答と関連付けること、前記測定された負荷応答と前記仮想負荷応答出力との間の最小化された差をもたらす前記機械負荷モデルにおけるそれぞれの可変負荷パラメータの変化を決定すること、前記それぞれの可変負荷パラメータの変化に基づいて前記メンテナンス動作を決定すること、を含む、動作の持続時間の後の前記機械部品のメンテナンス動作を決定する。
【0006】
本発明の第2の態様において、液体食品加工用途における包装機又は充填機における可動機械部品の状態監視のためのシステムであって、定義された運動プロファイルの速度及び位置が追従するように、機械部品を加速して機械的負荷に打ち勝つことからなる定義された運動プロファイルのサイクルに従って機械部品を移動させるように構成された処理ユニットを備え、機械的負荷は、機械部品上の外部機械力と、慣性、及び/又は慣性モーメントとからなる寄与負荷成分の合計を含む、システムによって達成され、本方法は、さらに、前記加速度を引き起こす測定された力、及び/又は、定義された動作プロファイルに従った機械部品の移動に関連する測定された動作パラメータの値を登録し、登録された値の第1の分布を生成し、第1の分布を機械負荷モデルの第1の負荷応答と関連付け、後続の時点でサイクルに従って機械部品を移動させるときに続いて測定された力の値及び/又は動作パラメータの関連する登録された値の第2の分布を生成することを含み、前記状態監視のために、前記第2の分布と前記機械負荷モデルにおける第2の負荷応答とを関連付け、前記第1の負荷応答と前記第2の負荷応答との差に基づいて前記機械負荷の負荷成分の変動量を決定することを含む前記後続時点における前記機械負荷の負荷成分の変化を決定する。前記処理ユニットは、前記機械的負荷モデルにおけるそれぞれの可変負荷パラメータとして前記負荷成分を割り当てて、前記可変負荷パラメータに応じて仮想負荷応答出力を生成し、前記持続時間の後に前記サイクルに従って前記機械的負荷を移動させたときにその後に測定された関連する登録値の分布を生成し、前記分布を測定された負荷応答に関連付け、前記測定された負荷応答と前記仮想負荷応答出力との間の最小化された差をもたらす前記機械的負荷モデルにおけるそれぞれの可変負荷パラメータの変化を決定し、前記それぞれの可変負荷パラメータの変化に基づいて前記メンテナンス動作を決定することを含み、前記持続時間の後の前記機械的負荷のメンテナンス動作を決定するように構成される。
【0007】
本発明の第3の態様では、これは、プログラムがコンピュータによって実行されると、コンピュータに第1の態様による方法のステップを実行させる命令を含むコンピュータプログラム製品によって達成される。
【0008】
本発明のさらなる実施例は、従属請求項に定義されており、第1の態様に関する特徴は、第2の態様及びそれ以降の態様にも実施することができ、逆もまた同様である。
【0009】
可動機械部品の第1及び第2の負荷応答を決定し、第1の負荷応答と第2の負荷応答との差に基づいて機械部品にかかる機械的負荷の寄与する負荷成分の変動量を決定することにより、正確で信頼性の高い機械部品の状態を分類することが提供される。このようにして、可動機械部品の状態監視が容易になり、オペレータが必要とする最小限のデータ分析で、逸脱した動作や故障の切迫を確実かつタイムリーに検出することができる。
【0010】
本発明のさらに他の目的、特徴、態様及び利点は、以下の詳細な説明及び図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0011】
以下、本発明の実施形態について、添付の図面を参照しながら例示的に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】液体食品加工アプリケーションにおける包装機又は充填機の可動機械部品の状態監視システムの概略図である。
図2】可動機械部品の設定速度で定義された動作プロファイルを示す図である。
図3a】定義された運動プロファイルに従った機械部品の加速を引き起こす測定された力(T)と、定義された運動プロファイルに従った機械部品の運動に関連する測定された運動パラメータ(p)の第1の分布の例を示す図である。
図3b】定義された運動プロファイルに従った機械部品の加速を引き起こす測定された力(T)と、定義された運動プロファイルに従った機械部品の運動に関連する測定された運動パラメータ(p)の第2の分布の例を示す図である。
図4a図3aの図に対応する。
図4b】定義された動作プロファイルに従った機械部品の動作に関連する、測定された力(T)と動作パラメータ(p)の第2の分布のさらなる例を示す図である。
図5a図3aの図に対応する。
図5b】定義された動作プロファイルに従った機械部品の動作に関連する、測定された力(T)と動作パラメータ(p)の第2の分布のさらなる例を示す図である。
図6a図3aの図に対応する。
図6b】定義された動作プロファイルに従った機械部品の動作に関連する、測定された力(T)と動作パラメータ(p)の第2の分布のさらなる例を示す図である。
図7a図3aの図に対応する。
図7b】定義された動作プロファイルに従った機械部品の動作に関連する、測定された力(T)と動作パラメータ(p)の第2の分布のさらなる例を示す図である。
図8a】液体食品加工アプリケーションにおける包装機又は充填機の可動機械部品の状態監視方法のフローチャートである。
図8b】液体食品加工アプリケーションにおける包装機又は充填機の可動機械部品の状態監視方法の別のフローチャートである。
図8c】液体食品加工アプリケーションにおける包装機又は充填機の可動機械部品の状態監視方法の別のフローチャートである。
図8d】液体食品加工用途における包装機又は充填機の可動機械部品の状態監視システムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付の図面を参照して、本発明の実施の形態をより詳細に説明するが、図面には、本発明の全てではなく、実施の形態の一部が示されている。本発明は、多くの異なる形態で具体化してもよく、本明細書に記載の実施形態に限定して解釈されるべきではない。
【0014】
図8aは、液体食品加工用途の包装機又は充填機300における可動機械部品(図示せず)の状態監視のための方法1000のフローチャートを示す。方法1000のステップが説明され図示される順序は、限定的なものとして解釈されるべきではなく、様々な順序でステップが実行され得る。図1は、以下に説明する方法1000を実行するように構成されたシステム200の概略図である。可動機械部品は、サーボモータ、リニアアクチュエータ、又は包装機もしくは充填機300の動作軸を駆動する任意の作動部品を備え得る。
【0015】
方法1000は、定義された運動プロファイル(PF)のサイクルに従って機械部品を移動させるステップ1010を含む。図2は、時間(t)にわたって定義された運動プロファイル(PF)の例を示しており、設定速度(v)は、定義された値まで加速した後、運動が反転する前に減速する台形形状となる。一実施例では、可動機械部品は、ベルトを2方向に駆動するサーボモータである。方法1000は、定義された運動プロファイル(PF)の速度(v)と位置(図2の例では速度v)に従うように、機械的負荷に打ち勝つために機械部品を加速するステップ1020を含む。図2の値(v)は、時間(t)の関数としての速度(v)の振幅を表している。したがって、サーボモータは、機械的負荷を克服し、定義された運動プロファイル(PF)に従ってベルトを加速するために、トルクを加える必要がある。機械的負荷は、寄与する負荷成分(C)の合計を含み、以下の例ではさらにC、C、Cとも呼ばれるが、本開示では簡潔にするために一般に負荷成分(C)と表記する。負荷構成要素(C)は、機械構成要素にかかる外部機械力と、機械構成要素が示す慣性、及び/又は慣性モーメントを備える。外部の機械的負荷は、後述するように異なるタイプの摩擦、又は機械構成部品に加えられるその他の外力を備えてもよい。慣性モーメントは、回転する質量、すなわちサーボモータなどの回転する機械部品に関係し、慣性は一般的に他の運動、たとえばリニアアクチュエータに関係する。
【0016】
この方法はさらに、定義された運動プロファイル(PF)に従って前述の加速を引き起こす力(T)の測定値、及び/又は定義された運動プロファイル(PF)に従った機械部品の運動に関連する運動パラメータ(p)の測定値1030を登録することを含む。サーボモータのような回転機械部品の場合、力(T)は、定義された動作プロファイル(PF)に従って機械負荷を駆動するために必要なトルクとして解釈されるべきである。同様に、機械成分がリニアアクチュエータ、例えば油圧ピストンなどのアクチュエータである場合の例では、力(T)は、定義されたモーションプロファイル(PF)に従って機械負荷を駆動するために、そのようなリニアアクチュエータによって加えられることが要求される力として解釈されるべきである。いずれの場合も、力(T)はセンサ(図示せず)によって測定され、測定値は記録される。図3aは、定義された動作プロファイル(PF)の設定速度(v)が実際の速度(v)に追従するように、機械成分によって加えられるトルク(T)の第1分配の例を示している。図3aの値(T)は、時間(t)の関数としてのトルクの振幅(T)を表している。
【0017】
代替的に、又は追加的に、運動パラメータ(P)、例えば、定義された運動プロファイル(PF)に従った機械部品の運動に関連する位置が測定され、登録され得る。前述の位置は、いくつかの例では、図3aに例示されるような位置誤差(p)、すなわち、定義された動作プロファイル(PF)に従って設定された位置と、結果の/実際の位置との間の差に対応し得る。図3aの値(p)は、時間(t)の関数としての位置誤差(p)の振幅を表している。変位、トルク、又は定義された動作プロファイル(PF)中の被測定動作を記述する他の力、速度、又は加速度の値など、現在の機械部品の動作に結合された様々な他の測定可能な動作特性を、方法1000を実施する目的で決定できることが考えられる。
【0018】
方法1000は、例えば前述の図3aに示されるように、登録された値の第1の分布(T、p)を生成するステップ1040を備える。方法1000は、機械的負荷モデル(VM)において、第1の分布(T、p)を第1の負荷応答(L)に関連付けるステップ1050を備える。したがって、包装機又は充填機300において、動作軸を駆動する各機械構成要素は、運動プロファイル(PF)によって定義される運動に応答して検索され、時間に依存する関連する負荷応答を有することになる。機械的負荷モデル(VM)は、このように、包装機又は充填機300の異なる動作軸のためのそれぞれの負荷応答で連続的に入力され、機械の動作の定義された時点で、前述の機械の仮想表現が構築される。
【0019】
方法1000は、運動プロファイル(PF)によって定義されるサイクルに従って機械構成要素を移動させるときに、後続の時点において、その後測定された前記力(T)及び/又は運動パラメータ(p)の関連する登録された値1070の第2の分布(T、p)を生成するステップ1060を備える。後続の時点は、包装機又は充填機300の動作の数時間後、例えば、生産ラインにおける動作の数週間後、数ヶ月後、又は数年後であってもよい。図3bは、そのような後続時点で得られた第2の分布(T、p)の例である。方法1000は、第2の分布(T、p)を、包装機又は充填機300における現在の動作軸の機械的負荷モデル(VM)における第2の負荷応答(L)と関連付けるステップ1080を備える。
【0020】
方法1000は、その後の時点における機械的負荷の負荷成分(C)の変化量を決定するステップ1090を備える。負荷成分(C)の変化を決定することは、状態監視のために、第1の負荷応答(L)と第2の負荷応答(L)との間の差に基づいて、機械的負荷の負荷成分C、C、Cなどの負荷成分の変動量を決定するステップ1100を備える。可動機械部品の第1及び第2の負荷応答(L、L)を決定し、第1の負荷応答(L)と第2の負荷応答(L)との差に基づいて機械部品にかかる機械的負荷の寄与負荷成分(C)の変動量を決定することにより、機械部品の状態の正確で信頼性の高い分類が可能になる。したがって、第1及び第2の負荷応答(L、L)の間の変動は、負荷成分(C)の変化を判断するために利用される。例えば、変動の原因となる負荷成分が、機械部品にかかる摩擦やインパルスなどの機械部品の外力の種類、及び/又は機械部品が示す慣性の変化に関連しているかどうか判断される。選択されたメンテナンス作業は、負荷応答(L、L)の変動の原因として特定された負荷構成要素(C)の組み合わせに関連付けてもよい。このようにして、オペレータが必要とする最小限のデータ分析で、逸脱した挙動や差し迫った故障を確実かつタイムリーに検出するための、可動機械部品の容易な状態監視が提供される。
【0021】
ある測定可能な特性が、状態監視のために定義されたしきい値レベル内にあるかどうかを検出することに一般的に焦点を当てた従来の解決策は、偏差の初期段階における変化する傾向を解決するという点で限界がある。例えば、サーボモータは、そのピークトルクが近づいたり超えたりするときに位置の遅延を生じることがある。このような遅延が発生したときのわずかな偏差でさえも、高スループットの生産ラインでは有害である可能性があり、上述のように、すでに無菌性能が損なわれている可能性がある。他の状況では、サーボモータは、実効トルク限界に近い、又はそれを超える動作のために冷却を必要とすることがあり、その結果、生産ラインのダウンタイムが発生する。方法1000は、包装機又は充填機300における動作軸に結合された有害な偏差の発生を捕捉すること、特に、上述したように、第1及び第2の負荷応答(L、L)の間の検出された差異に基づいて、どの負荷構成要素(C)が偏差の原因であるかを決定することを提供する。こうして、特定された負荷部品(C)に関連する特定のメンテナンス作業を、オペレータが容易に実行することができる。
【0022】
第1の負荷応答(L)と第2の負荷応答(L)の間の関係を決定するために、平均値又は分散値、あるいは分布の傾向(T、p、T、p)の間の関係を決定するなど、さまざまな統計的尺度を利用してもよい。統計的に有意な関係は、そのような比較から得られる偏差が、定義された統計的限界又は基準内にある場合に特定される。このように、異なる時点で得られた負荷応答(L、L)から、そのような分布のセットを比較することによって、機械部品の経時的な変動を特定してもよい。
【0023】
負荷成分(C)の変動量を決定することは、それぞれの第1及び第2の負荷応答(L、L)の第1の分布(T、p)と第2の分布(T、p)との間の導関数の変化を決定するステップ1101を備えてもよい。図4aの例について説明すると、定義された運動プロファイル(PF)と関連する負荷応答(L)は、3つの時間期間(t、t、t)に分割されており、それぞれ加速、定速、減速の期間に対応している。加速期間(t)における第2の負荷応答(L)におけるトルクの微分(T)の変化は,第1の負荷応答(L)における対応する期間と比較して決定される。導関数は、第1の負荷応答(L)におけるトルクTと比較して、トルクTについてtの間に増加する。同様に、Tの導関数は、Tと比較して、減速の期間tの間に増加する。このように、第1及び第2の負荷応答(L、L)における分布の導関数の変動は、現在の動作軸上の全機械的負荷に寄与する負荷成分(C)の変動量を特定するために利用してもよい。図4a~bの例は、加速度に依存する負荷成分(C)を示す。
【0024】
方法1000は、機械的負荷に対する外的機械力として寄与する粘性摩擦の変化として導関数の変化を決定するステップ1102と、負荷成分(C)を粘性摩擦に1103関連付けるステップ1103を備えてもよい。このように、粘性摩擦は速度に比例し、移動方向に「逆らって」作用するとみなすことができる。粘性摩擦は、ウォームギヤやグリースを塗布した摺動面では特に大きくなる。グリースが乾燥すると、粘性摩擦は増加する。第 1の負荷応答LのTと比較して、第2の負荷応答Lのtとtの間のTの導関数の増加は、したがって、図4a~bの例では粘性摩擦の増加に関連している。
【0025】
方法1000は、機械的荷重モデル(VM)における第1の負荷成分Cとして負荷成分(C)を決定するステップ1103'を備えてもよい。したがって、粘性摩擦は、機械的荷重モデル(VM)内の第1の負荷成分Cに関連付けられ得る。したがって、包装機又は充填機300の異なる動作軸について機械的負荷モデル(VM)に格納された負荷応答(L、L)は、運動プロファイル(PF)によって定義された運動における加速及び減速の期間中のそれぞれの分布の導関数(T、p、T、p)の変化を決定するために比較されてもよい。したがって、関連する負荷成分、例えば第1の負荷成分Cは、現在の動作軸に対する粘性摩擦の変化として、機械的荷重モデル(VM)の負荷応答(L、L)から決定してもよい。
【0026】
図1を参照して以下にさらに説明するように、負荷応答(L、L)に対する第1の負荷成分C、例えば粘性摩擦の影響を決定した後、機械的荷重モデル(VM)を利用して、第1の負荷成分Cを可変パラメータ(VC)として、定義された運動プロファイル(PF)を入力として、以下では仮想負荷応答出力(VL)と呼ばれる、シミュレートされた負荷応答を生成できる。シミュレートされた負荷応答は、同じく定義された運動プロファイル(PF)を入力として、現在の動作軸についてその後の時点で測定された値の分布(たとえば図4bのT)を有する測定された負荷応答(ML)と比較されてもよい。測定された負荷応答(ML)とシミュレートされた負荷応答(VL)との間の差は、可変パラメータとして第1の負荷成分Cを調整することによって最小化され、後続の時点における機械的負荷に対する第1の負荷成分C、例えば粘性摩擦の影響を特徴付けることができる。測定された負荷応答(ML)とシミュレートされた負荷応答(VL)との差を最小化する際に、機械的荷重モデル(VM)におけるVCの調整量に依存するメンテナンスルーチンが特定され得る。VCの調整は、機械成分の所望の運転状態を表す機会負荷モデル(VM)内の意前に決定された基準に対して決定され得る。
【0027】
図4a~bの例に再び目を向けると、異なる負荷応答(L、L)間のトルクT、T、の差が第1の負荷成分C、第1の負荷成分Cの変動を決定するために位置誤差p、p、の間で同様の比較がなされることが考えられることを理解されたい。例えば、図4bのpの導関数は、図4aのpと比較して、tとtの間にわずかに増加している。
【0028】
負荷成分(C)の変動量を決定するステップは、それぞれの第1及び第2の負荷応答(L、L)の第1及び第2の分布(T、p、T、p)における最大値(max、max)及び/又は最小値(min、min)の変化量を決定するステップ1104を備えてもよい。すなわち、第1の分布(T、p)が第2の分布(T、p)と比較され、前述の変化が決定される。図3a-bは、第2の負荷応答(L)におけるトルク曲線(T)の最大値(max)が、第1の負荷応答(L)におけるトルク曲線(T)の最大値(max)に対して増加している例を示している。さらに,Tの最小値(min)は,第1の負荷応答(L)におけるTの最小値(min)に比べて変化している。すなわち、minの絶対値が減少している。したがって、第1及び第2の負荷応答(L、L)における分布の最大値及び/又は最小値の変動は、現在の動作軸に対する機械構成要素上の全荷重に寄与する荷重構成要素(C)の変動量を特定するために利用されてもよい。
【0029】
図3a~bの例は、定義された運動プロファイル(PF)の速度がゼロより大きい場合に、Tと比較して、トルク曲線Tが全体的に正の方向にシフトすることを示している。この変化は、図3bにmax及びmaxに関して概略的に示されているように、Tに対してオフセット(o)を生じさせる、Tの正方向へのシフトとして見られる。Tの同様のシフト及びオフセット(o)は、速度が一定である中間区間だけでなく、min、minに関しても実現され得る。方法1000は、それぞれの最大値(max、max)及び最小値(min、min)に関して、第1及び第2の負荷応答(L、L)間のオフセット(o)を、機械的負荷に対する外的機械力として寄与する静止摩擦の変化として決定するステップ1105を備えてもよい。方法1000は、負荷成分(C)を静止摩擦に関連付けるステップ1106をさらに備えてもよい。静止摩擦は、値が一定であり、移動方向に「逆らって」作用すると見なすことができる。したがって、図3a~bの例では、正方向の第2の負荷応答LにおけるTのオフセット(o)は、静止摩擦の増加に関連付けられる。
【0030】
方法1000は、機械的荷重モデル(VM)における第2の負荷成分Cとして負荷成分(C)を決定するステップ1106'を備えてもよい。従って、静摩擦は、機械的荷重モデル(VM)内の第2の負荷成分Cに関連付けられてもよい。包装機又は充填機の異なる動作軸について機械的負荷モデル(VM)に記憶された負荷応答(L、L)は、運動プロファイル(PF)により定義された運動において速度がゼロより大きい期間中、それぞれの分布(T、p、T、p)間のオフセット(o)を特定するために比較される。したがって、関連する負荷成分、すなわち第2の負荷成分Cは、機械的荷重モデル(VM)の負荷応答(L、L)から、現在の動作軸に対する静止摩擦の変化として決定されてもよい。
【0031】
図5a~bの例は、加速度がゼロと異なる場合に、トルク曲線Tの対応する範囲(dy1)と比較して、トルク曲線Tの最小値(min)と最大値(max)との間の範囲(dy2)の増加を示している。方法1000は、機械的負荷に寄与する慣性、及び/又は慣性モーメントの変化として、それぞれの第1及び第2の負荷応答(L、L)における最小値と最大値(min、max)、(min、max)との間の範囲(dy1、dy2)の大きさの差を決定するステップ1107を備えてもよい。上述したように、慣性モーメントは回転質量に関連する。方法1000は、負荷成分(C)を慣性、及び/又は慣性モーメントに関連付けるステップ1108をさらに備えてもよい。慣性モーメントの増大は、関連する質量を設定速度まで加速させるためにより大きなトルクを必要とし、また質量の移動を停止させるためにより大きなトルクを必要とする。従って、第2の負荷応答Lの増加範囲dy2は、慣性モーメントの増加に関連する。質量の増加は、例えば、アルミニウムの代わりに鋼鉄などの異なる材料で製造された交換部品が使用された場合に見られる。
【0032】
方法1000は、機械的荷重モデル(VM)における第3の負荷成分Cを負荷成分(C)として決定するステップ1108'を備えてもよい。したがって、慣性、又は慣性モーメントは、機械的荷重モデル(VM)内の第3の負荷成分Cに関連付けられてもよい。したがって、包装機又は充填機300の異なる動作軸について機械的負荷モデル(VM)に格納された負荷応答(L、L)は、運動プロファイル(PF)によって定義された運動において速度がゼロより大きい期間中のそれぞれの分布(T、p、T、p)間の範囲(dy1、dy2)の変動を特定するために比較されてもよい。したがって、関連する負荷成分、例えば第3の負荷成分Cは、機械的負荷モデル(VM)の負荷応答(L、L)から、現在の動作軸の慣性又は慣性モーメントの変化として決定されてもよい。
【0033】
図6a~bは、2つの外部負荷過渡(F)が第2の負荷応答Lに示されているさらなる例を示している。例えば、可動機械部品は、外部負荷が瞬間的に増大する障害物との衝突事象を2回受ける可能性がある。図7a~bは、上述した負荷成分C、C、Cの合計による負荷応答(T)への影響が示されている別の例を示している。
【0034】
方法1000は、第1の負荷応答(L)と第2の負荷応答(L)との間の前述の差異に基づいて、機械的負荷モデル(VM)における第1、第2及び第3の負荷成分(C、C、C)の変動量を決定すするステップ1109を備えてもよい。第1の負荷応答(L)は、包装機又は充填機300の各関連動作軸について既知の基準状態について決定されてもよく、これは所望の、例えば健全な動作状態を示してもよい。定義された運動プロファイル(PF)は、それぞれの動作軸について特定の機械構成要素に合わせて調整されてもよい。第2の負荷応答(L)は、動作軸とそれぞれ関連する定義された運動プロファイル(PF)のそれぞれについて、その後の時点で決定される。第1、第2及び第3の負荷成分(C、C、C)の変動は、上述のように第1及び第2の負荷応答(L、L)から決定され得る。その後、負荷成分(C、C、C)の変動に依存して、メンテナンス動作がトリガされ得る。
【0035】
方法1000は、可変負荷パラメータ(VC、VC、VC)に依存して仮想負荷応答出力(VL)を生成するために、機械的負荷モデル(VM)において負荷成分(C、C、C)をそれぞれの可変負荷パラメータ(VC、VC、VC)として割り当てるステップ1110を備えてもよい。例えば、方法1000は、可変負荷パラメータ(VC、VC、VC)に依存して仮想負荷応答出力(VL)を生成するために、機械的負荷モデル(VM)内のそれぞれの可変負荷パラメータ(VC、VC、VC)として第1、第2及び第3の負荷成分(C、C、C)を割り当てるステップ1110を備えてもよい。機械的負荷モデル(VM)は、特定の可動機械成分の機械的負荷を表し、機械的負荷の成分(C、C、C)は、可変負荷パラメータ(VC、VC、VC)によって制御されてもよい。定義された運動プロファイル(PF)は、図1に概略的に示すように、機械的負荷モデル(VM)に入力されてもよい。定義された運動プロファイル(PF)は、設定入力値、例えば設定速度(v)を定義する。設定入力値に従って機械負荷モデル内の機械負荷を駆動するのに必要な力(T)、例えばトルク(T、T)が計算され、ここでは仮想負荷応答出力(VL)と呼ばれる。機械的負荷モデルにおける機械的負荷は、上記の例では負荷パラメータ(VC、VC、VC)によって表される。機械負荷モデル(VM)は、仮想負荷応答出力(VL)の実際の速度(v)及び実際の位置とともに、設定速度(v)などの定義された運動プロファイル(PF)の設定値を入力とするPIDレギュレータなどの制御アルゴリズムと通信してもよい。PIDはトルク(T、T)と位置誤差(p、p)を出力し、決定されたトルク(T、T)は機械負荷モデル(VM)への入力としてフィードバックされる。
【0036】
仮想負荷応答出力(VL)は、負荷パラメータ(VC、VC、VC)によって制御され得る。したがって、仮想負荷応答出力(VL)は、負荷パラメータ(VC、VC、VC)を制御することによって、包装機又は充填機300における特定の動作軸をモデル化するように調整してもよい。すなわち、荷重パラメータ(VC、VC、VC)は、機械的荷重モデル(VM)への入力として定義された運動プロファイル(PF)を実行することにより、図1に概略的に示すように、同じく入力として定義された運動プロファイル(PF)を有する包装機又は充填機300における測定負荷応答(ML)に対して最適化された仮想負荷応答出力(VL)を生成するように最適化され得る。最適化は、仮想負荷応答出力(VL)と、測定されたトルク曲線のような現在の動作軸の機械構成要素の測定された負荷応答(ML)との差を最小化することから構成され得る。
【0037】
機械的負荷モデル(VM)は、このように、それぞれの動作軸上の機械的負荷が、図1図7に関連して上述したように決定される負荷パラメータ(VC、VC、VC)によって関連付けられた表現を有する、定義された時点における包装機又は充填機300の画像として確立され得る。すなわち、機械的負荷モデル(VM)における異なる負荷成分(C、C、C)、及び関連する負荷パラメータ(VC、VC、VC)は、負荷応答(L、L)の特性から決定され得る。
【0038】
仮想負荷応答出力(VL)に対する負荷パラメータ(VC、VC、VC)の決定された影響を考慮すると、負荷パラメータ(VC、VC、VC)は、仮想負荷応答出力(VL)を、その後の時点、例えば、可動機械成分の数週間、数か月又は数年の運転後の測定負荷応答(ML)に対して最適化するように変化させてもよい。生成された仮想負荷応答出力(VL)とその後に測定された負荷応答(ML)の差(例えば、図3bのT)を最小化するために、異なる負荷パラメータ(VC、VC、VC)をどの程度変化させる必要があるかに応じて、メンテナンスルーチンを決定してもよい。
【0039】
したがって、方法1000は、動作の継続時間後に機械構成要素のメンテナンス動作を決定するステップ1200を備えてもよい。方法1000は、前記継続時間後に、定義された動作プロファイル(PF)に従って機械構成要素を動かしたときに、その後に測定された関連する登録値(T、p)の分布(例えば、T、p)を生成するステップ1210を備えてもよい。方法1000は、分布を測定された負荷応答(ML)に関連付けるステップ1220を備えてもよい。方法1000は、測定された負荷応答(ML)と仮想負荷応答出力(VL)との間の最小化された差をもたらす機械負荷モデル(VM)におけるそれぞれの負荷パラメータ(VC、VC、VC)の変化を決定するステップ1230を備えてもよい。方法1000は、それぞれの負荷パラメータ(VC、VC、VC)の変化に基づいてメンテナンス作業を決定するステップ1240を備えてもよい。
【0040】
一実施例では、図4a~bの議論に関連し、方法1000は、機械的負荷モデル(VM)内の第1の可変負荷パラメータ(VC)として第1の負荷成分(C)を割り当てるステップ1231と、仮想負荷応答出力(VL)と測定負荷応答(ML)における導関数の差を最小化するように、第1の負荷成分(C)に関連付けられた第1の可変負荷パラメータ(VC)を変更するステップ1231'とを備え、粘性摩擦を制御するためのメンテナンス作業が決定される。
【0041】
さらなる例では、図3a~bの議論に関連し、方法1000は、機械的負荷モデル(VM)において第2の可変負荷パラメータ(VC)として第2の負荷成分(C)を割り当てるステップ1232と、第2の負荷成分(C)に関連する第2の可変負荷パラメータ(VC)を変更するステップ1232'とを備え、仮想負荷応答出力(VL)と測定負荷応答(ML)との差を、それぞれの最大値と最小値(min、max)、(min、max)との間のオフセット(o)に関して最小化することにより、静摩擦を制御するためのメンテナンス作業を決定する。
【0042】
さらなる例では、図5a~bの議論に関連し、方法1000は、機械的負荷モデル(VM)の第3の可変負荷パラメータ(VC)として第3の負荷成分(C)を割り当てるステップ1233と、第3の負荷成分(C)に関連する第3の可変負荷パラメータ(VC)を変更するステップ1233'とを備え、仮想負荷応答出力(VL)と測定負荷応答(ML)との差を、それぞれの最大値と最小値(min、max)、(min、max)の間の範囲(dy1、dy2)の大きさに関して最小化することにより、慣性、及び/又は慣性モーメントを制御するためのメンテナンス作業を決定する。
【0043】
負荷応答の変化、例えば Tの経時的な変化に寄与するものとして特定された負荷成分(C、C、C)は、従って、メンテナンスルーチンを選択するための基礎となり得る。仮想負荷応答出力(VL)は、結果として得られる仮想負荷応答出力(VL)と測定された負荷応答(ML)との差が最小になるように、それぞれの負荷パラメータ(VC、VC、VC)を繰り返し調整することによって、任意の時点で測定された負荷応答(ML)に対して自動的に最適化し得る。従って、正しいメンテナンスルーチンは、負荷パラメータ(VC、VC、VC)の決定された調整に基づいて、方法1000によって自動的に決定され得る。提案されたメンテナンスルーチンは、オペレータ又は技術者に直接通知されてもよい。
【0044】
包装機又は充填機300のそれぞれの動作軸について、複数の可動機械部品が機械的負荷モデル(VM)に表されることが考えられる。したがって、測定された負荷応答(ML)は、特定の時点における、動作軸のための複数のそれぞれの負荷応答を備えてもよい。方法1000及び関連システム200は、動作軸の以前の基準状態として確立されている可能性のある機械的負荷モデル(VM)からの対応する仮想負荷応答出力(VL)に対する複数のそれぞれの負荷応答の連続的及び/又は自動的な評価を提供する。評価は、複数の動作軸にわたってバッチ処理として実行され、それぞれの負荷応答を順次又は並行して取得してもよい。上記のように、負荷パラメータ(VC、VC、VC)の決定された調整に基づいて、逸脱が早期に検出され、提案されたメンテナンス作業がオペレータに直接通知されてもよい。それぞれの動作軸に対応する複数の可動機械成分は、複数の負荷パラメータセット(VC、VC、VC)を有する機械負荷モデル(VM)内の集合体にグループ化されてもよい。負荷パラメータ(VC、VC、VC)が全体としてどのように調整されるかに基づいて、例えば機械構成要素の集合体全体のメンテナンスサービスを決定するために、メンテナンス作業が決定されてもよい。
【0045】
このようにして、方法1000は、生産に影響を与えることなく、関連する成分のメンテナンス活動を特定し、計画するための効果的なツールをオペレータに与えるために、逸脱した動作又は差し迫った故障を確実かつタイムリーに検出することを提供する。
【0046】
液体食品加工アプリケーションにおける包装機又は充填機300の可動機械部品の状態監視のためのシステム200も提供される。システム200は、図1において8dと組み合わせて概略的に示されている処理ユニット201を備える。
【0047】
処理ユニット201は、定義された動作プロファイルの速度(v)及び位置に従うように、機械的負荷に打ち勝つように機械部品を加速するステップ1020を備え、定義された動作プロファイル(MP)のサイクルに従って機械部品1010を移動させるように構成され、機械的負荷は、機械部品にかかる外部機械力と、機械部品が示す慣性、及び/又は慣性モーメントとからなる寄与負荷成分(C)の合計を備える。処理ユニット201は、前記加速度を引き起こす測定された力(T)、及び/又は、定義された運動プロファイルに従った機械部品の運動に関連する測定された運動パラメータ(p)の値を登録するステップ1030と、登録された値の第1分布(T、p)を生成するステップ1040と、第1の分布を機械負荷モデル(VM)における第1の負荷応答(L)に関連付けるステップ1050と、後続の時点でサイクルに従って機械部品を移動させるときに続いて測定された前記力(T)及び/又は運動パラメータ(p)の関連する登録された値1070の第2の分布(T、p)を生成するステップ1060と、前記第2の分布を、前記機械負荷モデルにおける第2の負荷応答(L2)と関連付けるステップ1080と、状態監視のために、前記第1の負荷応答(L)と前記第2の負荷応答(L)との間の差に基づいて、前記機械負荷の負荷成分(C)の変動量を決定するステップ1100を備える、前記後続時点における前記機械負荷の負荷成分(C)の変化を決定するステップ1090と、を備える。
【0048】
このようにして、システム200は、図1図7に関連して上述したような有利な利点を提供する。システム200は、正確で信頼性の高い機械部品の状態を分類する。このようにして、可動機械部品の状態監視が容易になり、オペレータが必要とする最小限のデータ分析で、逸脱した動作や故障の切迫を確実かつタイムリーに検出できる。
【0049】
処理ユニット201は、負荷成分(C、C、C)を機械負荷モデル(VM)内のそれぞれの可変負荷パラメータ(VC、VC、VC)として割り当て、可変負荷パラメータ(VC、VC、VC)に依存して仮想負荷応答出力(VL)を生成するように構成されてもよい。処理ユニット201は、前記継続時間後に、サイクル、すなわち定義された運動プロファイル(PF)に従って機械構成要素を動かしたときにその後に測定された関連する登録値(T,p)の分布(例えば、T,p)を生成するステップ1210を含む継続時間後の機械構成要素のメンテナンス動作を決定するステップ1200を備えてもよい。処理ユニット201は、分布を測定された負荷応答(ML)と関連付けるステップ1220と、測定された負荷応答(ML)と仮想負荷応答出力(VL)との間の最小化された差をもたらす機械負荷モデル(VM)におけるそれぞれの可変負荷パラメータ(VC、VC、VC)の変化を決定するステップ1230を備えてもよい。処理ユニット201は、それぞれの可変負荷パラメータ(VC、VC、VC)の変化に基づいてメンテナンス作業1240を決定するように構成されてもよい。
【0050】
プログラムがコンピュータによって実行されるとき、図1図7に関連して上述した方法1000のステップをコンピュータに実行させる命令を含むコンピュータプログラム製品が提供される。
【0051】
以上の説明から、本発明の様々な実施形態を説明し示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、以下の特許請求の範囲に定義される主題の範囲内で他の方法で具体化してもよい。
図1
図2
図3a
図3b
図4a-4b】
図5a
図5b
図6a
図6b
図7a
図7b
図8a
図8b
図8c
図8d
【国際調査報告】