(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-04
(54)【発明の名称】GABAA α5受容体モジュレーターとしての二環式アミン誘導体
(51)【国際特許分類】
C07D 471/04 20060101AFI20240927BHJP
A61K 31/444 20060101ALI20240927BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240927BHJP
A61P 25/02 20060101ALI20240927BHJP
A61P 25/04 20060101ALI20240927BHJP
A61P 25/08 20060101ALI20240927BHJP
A61P 25/18 20060101ALI20240927BHJP
A61P 25/28 20060101ALI20240927BHJP
A61P 21/00 20060101ALI20240927BHJP
A61K 31/5025 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
C07D471/04 113
C07D471/04 CSP
A61K31/444
A61P43/00 111
A61P25/02
A61P25/04
A61P25/08
A61P25/18
A61P25/28
A61P21/00
C07D471/04 116
A61K31/5025
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024518133
(86)(22)【出願日】2022-09-28
(85)【翻訳文提出日】2024-05-20
(86)【国際出願番号】 IB2022059214
(87)【国際公開番号】W WO2023053015
(87)【国際公開日】2023-04-06
(32)【優先日】2021-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】HU
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】310008859
【氏名又は名称】リヒター ゲデオン ニュイルヴァーノシャン ミューコェデー レースヴェーニュタールシャシャーグ
【氏名又は名称原語表記】Richter Gedeon Nyrt.
(74)【代理人】
【識別番号】100094640
【氏名又は名称】紺野 昭男
(74)【代理人】
【識別番号】100103447
【氏名又は名称】井波 実
(74)【代理人】
【識別番号】100111730
【氏名又は名称】伊藤 武泰
(74)【代理人】
【識別番号】100180873
【氏名又は名称】田村 慶政
(72)【発明者】
【氏名】ザボー、ジェルジュ
(72)【発明者】
【氏名】ポトル、アッティラ
(72)【発明者】
【氏名】エルデーイ、ペーテル
(72)【発明者】
【氏名】バタ、イムレ
(72)【発明者】
【氏名】トゥーローシュ ジェルジュ、イシュトバーン
(72)【発明者】
【氏名】カプシュ、ガーボル ラースロー
(72)【発明者】
【氏名】エーリアーシュ、オリヴィエ
【テーマコード(参考)】
4C086
【Fターム(参考)】
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086CB09
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZA01
4C086ZA02
4C086ZA06
4C086ZA08
4C086ZA15
4C086ZA16
4C086ZA18
4C086ZA94
4C086ZC41
(57)【要約】
本発明は、ガンマ-アミノ酪酸A受容体サブユニットアルファ5に対する親和性および選択性を有し、GABA
A α5の正のアロステリックモジュレーターとして作用し、それによって、GABA
A α5受容体に関連する疾患の治療または予防において有用な、式(I)の化合物、および/またはその塩、および/またはその立体異性体、および/またはそのエナンチオマー、および/またはそのラセミ体、および/またはそのジアステレオマー、および/またはその生物学的に活性な代謝産物、および/またはそのプロドラッグ、および/またはその溶媒和物、および/またはその水和物、および/またはその多形体、調製のための方法およびその調製方法の中間体、それらを単独でまたは1つ以上の他の活性成分と組み合わせて含む医薬組成物、ならびに医薬としてのそれらの使用を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物:
【化1】
[式中、
Aは、
【化2】
によって表され;
R
1は、アルキル基、アルコキシ基、またはハロアルキル基であり;
R
2は、水素;-S(O)
2-アルキル、シクロアルキルもしくは複素環で場合により置換されていてもよいアルキル基;シクロアルキル基;アルキルで場合により置換されていてもよい複素環基;またはヘテロアリール基であり;
Xは、CH、またはNである]、
および/またはその塩、および/またはその立体異性体、および/またはそのエナンチオマー、および/またはそのラセミ体もしくはそのジアステレオマー、および/またはその生物学的に活性な代謝産物もしくはそのプロドラッグもしくはその溶媒和物もしくはその水和物、および/またはその多形体。
【請求項2】
下記式:
【化3】
[式中、
R
1は、アルキル基、アルコキシ基、またはハロアルキル基であり;
R
2は、水素;-S(O)
2-アルキル、シクロアルキルもしくは複素環で場合により置換されていてもよいアルキル基;シクロアルキル基;アルキルで場合により置換されていてもよい複素環基;またはヘテロアリール基であり;
Xは、CH、またはNである]
で表される、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
下記式:
【化4】
[式中、
R
1は、アルキル基、アルコキシ基、またはハロアルキル基であり;
R
2は、水素;-S(O)
2-アルキル、シクロアルキルもしくは複素環で場合により置換されていてもよいアルキル基;シクロアルキル基;アルキルで場合により置換されていてもよい複素環基;またはヘテロアリール基であり;
Xは、CH、またはNである]
で表される、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
R
1が、C
1-6アルキル基、C
1-6アルコキシ基、またはハロ-C
1-6アルキル基であり;
R
2が、水素;-S(O)
2-C
1-6アルキル、C
3-7シクロアルキル、またはN、OおよびSから独立して選択される1、2、3もしくは4個の環ヘテロ原子を含み、残りの環原子が炭素である、3~10個の環原子の一価の飽和もしくは部分的に不飽和の単環式、二環式、縮合、架橋もしくはスピロ環系で場合に置換されていてもよいC
1-6アルキル基;C
3-7シクロアルキル基;C
1-6アルキルで場合により置換されていてもよい、N、OおよびSから独立して選択される1、2、3もしくは4個の環ヘテロ原子を含み、残りの環原子が炭素である、3~10個の環原子の一価の飽和もしくは部分的に不飽和の単環式、二環式、縮合、架橋もしくはスピロ環系;あるいはN、OおよびSから独立して選択される1、2もしくは3個のヘテロ原子を含み、残りの環原子が炭素である、5~10個の環原子の一価の複素環式芳香族の単環式もしくは二環式環系であり;
Xが、CHまたはNである、
請求項1~3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項5】
R
1が、C
1-4アルキル基、C
1-4アルコキシ基、またはハロ-C
1-4アルキル基である、請求項1~4のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項6】
R
1が、C
1-2アルキル基、C
1-2アルコキシ基、またはハロ-C
1-2アルキル基である、請求項1~5のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項7】
R
2が、水素;-S(O)
2-C
1-4アルキル、C
4-6シクロアルキル、またはN、OおよびSから独立して選択される1もしくは2個の環ヘテロ原子を含み、残りの環原子が炭素である、3~7個の環原子の一価の飽和単環式環で場合に置換されていてもよいC
1-4アルキル基;C
4-6シクロアルキル基;C
1-4アルキルで場合により置換されていてもよい、N、OおよびSから独立して選択される1もしくは2個の環ヘテロ原子を含み、残りの環原子が炭素である、3~7個の環原子の一価の飽和単環式環;あるいはN、OおよびSから独立して選択される1もしくは2個のヘテロ原子を含み、残りの環原子が炭素である、5~6個の環原子の一価の複素環式芳香族の単環式環系である、請求項1~6のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項8】
R
2が、水素;-S(O)
2-C
1-2アルキル、C
4-6シクロアルキル、もしくはOおよびSから選択される1個の環ヘテロ原子を含み、残りの環原子が炭素である、3~7個の環原子の一価の飽和単環式環で場合に置換されていてもよいC
1-4アルキル基;C
4-6シクロアルキル基;C
1-4アルキルで場合により置換されていてもよい、OおよびSから選択される1個の環ヘテロ原子を含み、残りの環原子が炭素である、3~7個の環原子の一価の飽和単環式環;またはN、OおよびSから独立して選択される1もしくは2個のヘテロ原子を含み、残りの環原子が炭素である、6個の環原子の一価の複素環式芳香族の単環式環系である、請求項1~7のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項9】
R
2が、水素である、請求項1~8のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項10】
Xが、CHである、請求項1~9のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項11】
Xが、Nである、請求項1~9のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項12】
6-{[5-メチル-3-(6-メチルピリジン-3-イル)-1,2-オキサゾール-4-イル]メトキシ}-1,2,3,4-テトラヒドロ-2,7-ナフチリジン、
6-({5-メチル-3-[6-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル]-1,2-オキサゾール-4-イル}メトキシ)-1,2,3,4-テトラヒドロ-2,7-ナフチリジン、
2-メチル-6-{[5-メチル-3-(6-メチルピリジン-3-イル)-1,2-オキサゾール-4-イル]メトキシ}-1,2,3,4-テトラヒドロ-2,7-ナフチリジン、
2-シクロブチル-6-{[5-メチル-3-(6-メチルピリジン-3-イル)-1,2-オキサゾール-4-イル]メトキシ}-1,2,3,4-テトラヒドロ-2,7-ナフチリジン、
2-(シクロブチルメチル)-6-{[5-メチル-3-(6-メチルピリジン-3-イル)-1,2-オキサゾール-4-イル]メトキシ}-1,2,3,4-テトラヒドロ-2,7-ナフチリジン、
2-シクロペンチル-6-{[5-メチル-3-(6-メチルピリジン-3-イル)-1,2-オキサゾール-4-イル]メトキシ}-1,2,3,4-テトラヒドロ-2,7-ナフチリジン、
6-({5-メチル-3-[6-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル]-1,2-オキサゾール-4-イル}メトキシ)-2-(オキサン-4-イル)-1,2,3,4-テトラヒドロ-2,7-ナフチリジン、
6-({5-メチル-3-[6-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル]-1,2-オキサゾール-4-イル}メトキシ)-2-(オキソラン-3-イル)-1,2,3,4-テトラヒドロ-2,7-ナフチリジン、
6-{[5-メチル-3-(6-メチルピリジン-3-イル)-1,2-オキサゾール-4-イル]メトキシ}-2-(オキソラン-3-イル)-1,2,3,4-テトラヒドロ-2,7-ナフチリジン、
6-{[5-メチル-3-(6-メチルピリジン-3-イル)-1,2-オキサゾール-4-イル]メトキシ}-2-(オキセタン-3-イル)-1,2,3,4-テトラヒドロ-2,7-ナフチリジン、
6-{[5-メチル-3-(6-メチルピリジン-3-イル)-1,2-オキサゾール-4-イル]メトキシ}-2-(オキサン-4-イル)-1,2,3,4-テトラヒドロ-2,7-ナフチリジン、
2-(1-メタンスルホニルプロパン-2-イル)-6-({5-メチル-3-[6-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル]-1,2-オキサゾール-4-イル}メトキシ)-1,2,3,4-テトラヒドロ-2,7-ナフチリジン、
6-{[5-メチル-3-(6-メチルピリジン-3-イル)-1,2-オキサゾール-4-イル]メトキシ}-2-(ピリジン-2-イル)-1,2,3,4-テトラヒドロ-2,7-ナフチリジン、
2-メチル-5-[5-メチル-4-({5H,6H,7H,8H-ピリド[3,4-c]ピリダジン-3-イルオキシ}メチル)-1,2-オキサゾール-3-イル]ピリジン、
5-[5-メチル-4-({5H,6H,7H,8H-ピリド[3,4-c]ピリダジン-3-イルオキシ}メチル)-1,2-オキサゾール-3-イル]-2-(トリフルオロメチル)ピリジン、
2-メチル-5-{5-メチル-4-[({7-メチル-5H,6H,7H,8H-ピリド[3,4-c]ピリダジン-3-イル}オキシ)メチル]-1,2-オキサゾール-3-イル}ピリジン、
5-[5-メチル-4-({5H,6H,7H,8H-ピリド[3,4-c]ピリダジン-3-イルオキシ}メチル)-1,2-オキサゾール-3-イル]-2-(トリフルオロメチル)ピリジン、
5-[5-メチル-4-({[7-(オキソラン-3-イル)-5H,6H,7H,8H-ピリド[3,4-c]ピリダジン-3-イル]オキシ}メチル)-1,2-オキサゾール-3-イル]-2-(トリフルオロメチル)ピリジン、
3-{[3-({5-メチル-3-[6-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル]-1,2-オキサゾール-4-イル}メトキシ)-5H,6H,7H,8H-ピリド[3,4-c]ピリダジン-7-イル]メチル}-1ラムダ6-チオラン-1,1-ジオン、
6-{[4-メチル-1-(6-メチルピリジン-3-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-5-イル]メトキシ}-1,2,3,4-テトラヒドロ-2,7-ナフチリジン、
2-メチル-6-{[4-メチル-1-(6-メチルピリジン-3-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-5-イル]メトキシ}-1,2,3,4-テトラヒドロ-2,7-ナフチリジン、
6-{[4-メチル-1-(6-メチルピリジン-3-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-5-イル]メトキシ}-2-(プロパン-2-イル)-1,2,3,4-テトラヒドロ-2,7-ナフチリジン、
6-({1-[6-(ジフルオロメチル)ピリジン-3-イル]-4-メチル-1H-1,2,3-トリアゾール-5-イル}メトキシ)-2-メチル-1,2,3,4-テトラヒドロ-2,7-ナフチリジン、
6-({4-メチル-1-[6-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル]-1H-1,2,3-トリアゾール-5-イル}メトキシ)-1,2,3,4-テトラヒドロ-2,7-ナフチリジン、
6-({1-[6-(ジフルオロメチル)ピリジン-3-イル]-4-メチル-1H-1,2,3-トリアゾール-5-イル}メトキシ)-1,2,3,4-テトラヒドロ-2,7-ナフチリジン、
6-({4-メチル-1-[6-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル]-1H-1,2,3-トリアゾール-5-イル}メトキシ)-2-(プロパン-2-イル)-1,2,3,4-テトラヒドロ-2,7-ナフチリジン、
2-メチル-6-({4-メチル-1-[6-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル]-1H-1,2,3-トリアゾール-5-イル}メトキシ)-1,2,3,4-テトラヒドロ-2,7-ナフチリジン、
6-({1-[6-(ジフルオロメチル)ピリジン-3-イル]-4-メチル-1H-1,2,3-トリアゾール-5-イル}メトキシ)-2-(プロパン-2-イル)-1,2,3,4-テトラヒドロ-2,7-ナフチリジン、
6-{[4-メチル-1-(6-メチルピリジン-3-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-5-イル]メトキシ}-2-(オキソラン-3-イル)-1,2,3,4-テトラヒドロ-2,7-ナフチリジン、
6-({1-[6-(ジフルオロメチル)ピリジン-3-イル]-4-メチル-1H-1,2,3-トリアゾール-5-イル}メトキシ)-2-(オキソラン-3-イル)-1,2,3,4-テトラヒドロ-2,7-ナフチリジン、
6-{[4-メチル-1-(6-メチルピリジン-3-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-5-イル]メトキシ}-2-(オキセタン-3-イル)-1,2,3,4-テトラヒドロ-2,7-ナフチリジン、
6-({4-メチル-1-[6-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル]-1H-1,2,3-トリアゾール-5-イル}メトキシ)-2-(オキソラン-3-イル)-1,2,3,4-テトラヒドロ-2,7-ナフチリジン、
6-{[4-メチル-1-(6-メチルピリジン-3-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-5-イル]メトキシ}-2-(オキサン-4-イル)-1,2,3,4-テトラヒドロ-2,7-ナフチリジン、
6-{[1-(6-メトキシピリジン-3-イル)-4-メチル-1H-1,2,3-トリアゾール-5-イル]メトキシ}-1,2,3,4-テトラヒドロ-2,7-ナフチリジン、
6-({4-メチル-1-[6-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル]-1H-1,2,3-トリアゾール-5-イル}メトキシ)-2-(オキサン-4-イル)-1,2,3,4-テトラヒドロ-2,7-ナフチリジン、
3-{[6-({4-メチル-1-[6-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル]-1H-1,2,3-トリアゾール-5-イル}メトキシ)-1,2,3,4-テトラヒドロ-2,7-ナフチリジン-2-イル]メチル}-1ラムダ6-チオラン-1,1-ジオン、
6-({4-メチル-1-[6-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル]-1H-1,2,3-トリアゾール-5-イル}メトキシ)-2-(ピリジン-3-イル)-1,2,3,4-テトラヒドロ-2,7-ナフチリジン、
6-{[4-メチル-1-(6-メチルピリジン-3-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-5-イル]メトキシ}-2-[(3S)-オキソラン-3-イル]-1,2,3,4-テトラヒドロ-2,7-ナフチリジン、
6-{[4-メチル-1-(6-メチルピリジン-3-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-5-イル]メトキシ}-2-[(3R)-オキソラン-3-イル]-1,2,3,4-テトラヒドロ-2,7-ナフチリジン、
6-{[1-(6-メトキシピリジン-3-イル)-4-メチル-1H-1,2,3-トリアゾール-5-イル]メトキシ}-2-(オキサン-4-イル)-1,2,3,4-テトラヒドロ-2,7-ナフチリジン、
6-{[4-メチル-1-(6-メチルピリジン-3-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-5-イル]メトキシ}-2-(2-メチルプロピル)-1,2,3,4-テトラヒドロ-2,7-ナフチリジン、
6-{[4-メチル-1-(6-メチルピリジン-3-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-5-イル]メトキシ}-2-[3-(プロパン-2-イル)オキセタン-3-イル]-1,2,3,4-テトラヒドロ-2,7-ナフチリジン、
2-(3-エチルオキセタン-3-イル)-6-{[4-メチル-1-(6-メチルピリジン-3-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-5-イル]メトキシ}-1,2,3,4-テトラヒドロ-2,7-ナフチリジン、
2-メチル-5-[4-メチル-5-({5H,6H,7H,8H-ピリド[3,4-c]ピリダジン-3-イルオキシ}メチル)-1H-1,2,3-トリアゾール-1-イル]ピリジン、
5-[5-({[7-(シクロブチルメチル)-5H,6H,7H,8H-ピリド[3,4-c]ピリダジン-3-イル]オキシ}メチル)-4-メチル-1H-1,2,3-トリアゾール-1-イル]-2-メチルピリジン、および
5-{5-[({7-シクロブチル-5H,6H,7H,8H-ピリド[3,4-c]ピリダジン-3-イル}オキシ)メチル]-4-メチル-1H-1,2,3-トリアゾール-1-イル}-2-メチルピリジン
からなる群から選択される、請求項1~11のいずれか一項に記載の化合物、
および/またはその塩、および/またはその立体異性体、および/またはそのエナンチオマー、および/またはそのラセミ体もしくはそのジアステレオマー、および/またはその生物学的に活性な代謝産物もしくはそのプロドラッグもしくはその溶媒和物もしくはその水和物、および/またはその多形体。
【請求項13】
医薬としての使用のための、請求項1~12のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項14】
GABA
A α5受容体に関連する疾患の治療または予防における使用のための、請求項1~12のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項15】
前記GABA
A α5受容体に関連する疾患が、神経発達障害、神経変性障害、神経認知障害、統合失調症、気分障害、疼痛性障害、物質関連障害および嗜癖性障害、ならびに他の疾患からなる群から選択される、使用のための請求項14に記載の化合物。
【請求項16】
前記GABA
A α5受容体に関連する疾患が、自閉症スペクトラム障害(ASD)、アンジェルマン症候群、脆弱X障害、プラダー-ウィリー症候群、レット症候群、アルツハイマー病(AD)、認知欠陥障害、記憶欠損、加齢に関連する記憶障害または認知機能低下、認知症、軽度認知機能障害(MCI)、双極性障害、統合失調症に関連する陰性症状および/または認知的症状、てんかん、心的外傷後ストレス障害、筋萎縮性側索硬化症からなる群から選択される、使用のための請求項15に記載の化合物。
【請求項17】
GABA
A α5受容体に関連する疾患の治療または予防における使用のための、1つ以上の他の活性成分と組み合わされた、請求項1~12のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項18】
GABA
A α5受容体に関連する疾患の治療または予防のための医薬の製造のための、請求項1~12のいずれか一項に記載の化合物の使用。
【請求項19】
前記GABA
A α5受容体に関連する疾患が、神経発達障害、神経変性障害、神経認知障害、統合失調症、気分障害、疼痛性障害、物質関連障害および嗜癖性障害、ならびに他の疾患からなる群から選択される、請求項18に記載の使用。
【請求項20】
前記GABA
A α5受容体に関連する疾患が、自閉症スペクトラム障害(ASD)、アンジェルマン症候群、脆弱X障害、プラダー-ウィリー症候群、レット症候群、アルツハイマー病(AD)、認知欠陥障害、記憶欠損、加齢に関連する記憶障害または認知機能低下、認知症、軽度認知機能障害(MCI)、双極性障害、統合失調症に関連する陰性症状および/または認知的症状、てんかん、心的外傷後ストレス障害、筋萎縮性側索硬化症からなる群から選択される、請求項19に記載の使用。
【請求項21】
GABA
A α5受容体に関連する疾患の治療または予防のための医薬の製造のための、1つ以上の他の活性成分と組み合わされた、請求項1~12のいずれか一項に記載の化合物の使用。
【請求項22】
GABA
A α5受容体に関連する疾患を治療または予防する方法であって、有効量の請求項1~12のいずれか一項に記載の少なくとも1つの化合物をその治療または予防を必要とする対象に投与することを含む、方法。
【請求項23】
前記GABA
A α5受容体に関連する疾患が、神経発達障害、神経変性障害、神経認知障害、統合失調症、気分障害、疼痛性障害、物質関連障害および嗜癖性障害、ならびに他の疾患からなる群から選択される、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記GABA
A α5受容体に関連する疾患が、自閉症スペクトラム障害(ASD)、アンジェルマン症候群、脆弱X障害、プラダー-ウィリー症候群、レット症候群、アルツハイマー病(AD)、認知欠陥障害、記憶欠損、加齢に関連する記憶障害または認知機能低下、認知症、軽度認知機能障害(MCI)、双極性障害、統合失調症に関連する陰性症状および/または認知的症状、てんかん、心的外傷後ストレス障害、筋萎縮性側索硬化症からなる群から選択される、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
GABA
A α5受容体に関連する疾患を治療または予防する方法であって、1つ以上の他の活性成分と組み合わせて、有効量の請求項1~12のいずれか一項に記載の少なくとも1つの化合物をその治療または予防を必要とする対象に投与することを含む、方法。
【請求項26】
活性成分として、請求項1~12のいずれか一項に記載の少なくとも1つの化合物、および少なくとも1つの生理学的にまたは薬学的に許容される賦形剤を含む、医薬組成物。
【請求項27】
前記組成物が、1つ以上の他の活性成分をさらに含む、請求項26に記載の医薬組成物。
【請求項28】
GABA
A α5受容体に関連する疾患の治療または予防における使用のための、請求項26または27に記載の医薬組成物。
【請求項29】
前記GABA
A α5受容体に関連する疾患が、神経発達障害、神経変性障害、神経認知障害、統合失調症、気分障害、疼痛性障害、物質関連障害および嗜癖性障害、ならびに他の疾患からなる群から選択される、使用のための請求項28に記載の医薬組成物。
【請求項30】
前記GABA
A α5受容体に関連する疾患が、自閉症スペクトラム障害(ASD)、アンジェルマン症候群、脆弱X障害、プラダー-ウィリー症候群、レット症候群、アルツハイマー病(AD)、認知欠陥障害、記憶欠損、加齢に関連する記憶障害または認知機能低下、認知症、軽度認知機能障害(MCI)、双極性障害、統合失調症に関連する陰性症状および/または認知的症状、てんかん、心的外傷後ストレス障害、筋萎縮性側索硬化症からなる群から選択される、使用のための請求項29に記載の医薬組成物。
【請求項31】
式(I’’)の化合物:
【化5】
[式中、
Aは、
【化6】
によって表され;
R
1は、アルキル基、アルコキシ基、またはハロアルキル基であり;
R
2は、アミノ保護基であり;
Xは、CHまたはNである]
(但し、
tert-ブチル6-{[5-メチル-3-(6-メチルピリジン-3-イル)-1,2-オキサゾール-4-イル]メトキシ}-1,2,3,4-テトラヒドロ-2,7-ナフチリジン-2-カルボキシレート、または
tert-ブチル6-({5-メチル-3-[6-(トリフルオロメチル)ピリジン-5 3-イル]-1,2-オキサゾール-4-イル}メトキシ)-1,2,3,4-テトラヒドロ-2,7-ナフチリジン-2-カルボキシレート
は除く)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、ガンマ-アミノ酪酸A受容体サブユニットアルファ5(GABAA α5)に対する親和性および選択性を有し、GABAA α5の正のアロステリックモジュレーター(GABAA α5 PAM)として作用し、それによりGABAA α5受容体に関連する疾患の治療または予防において有用な式(I)の化合物、その調製方法およびその調製方法の中間体、それらを含む医薬組成物、ならびに医薬としてのそれらの使用を提供する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
ガンマ-アミノ酪酸(GABA)は、中枢神経系における主要な阻害性神経伝達物質である。GABAに感受性の受容体は、リガンド開口型GABAA受容体およびGタンパク質共役GABAB受容体の2つの主なファミリーに分けられる。
【0003】
リガンド開口型GABAA受容体は、成体の哺乳動物の脳において、阻害性神経伝達の大部分を媒介する。受容体は、リガンド開口型クロライドチャネルを形成する複数のサブユニット(α1-6、β1-3、γ1-3、δ、ε、π、θ、ρ1-3)(OlsenおよびSieghart,Pharmacol Rev 2008,60:243-260)の五量体アセンブリーによって構成される。サブユニットの分布は、脳において、発生的および局部的に変わる。この高い変動性は、阻害性神経機構、およびある特定の条件における興奮性神経機構において広いバリエーションをもたらし、特異的な治療介入のための可能性を提供する(FritschyおよびMoehler,J Comp Neurol 1995,359:154-194;Jacob,Front Mol Neurosci 2019,12:Art 179)。GABAA受容体の生理学的役割および薬理学的プロファイルは、サブユニットの構成に強く依存する。遺伝子改変マウスにおける研究は、受容体サブユニットの組成が、特に、αサブタイプに関して、ベンゾジアゼピン感受性のアロステリックモジュレート性部位(BDZ部位)において作用する化合物の薬理学を大いに決定することを実証した(RudolphおよびKnoflach,Nat Rev Drug Discov 2011,10:685-697)。広く分布するα1含有受容体は、鎮静効果および健忘効果を媒介する一方で、α2およびα3含有受容体は、抗不安効果、抗けいれん効果および筋弛緩効果の主な要因である(SieghartおよびSperk,Curr Top Med Chem 2002,2:795-816;Whitingら,Drug Discov Today 2003,8:445-450)。α5サブユニットを含有する受容体(α5GABAAR)は、海馬、前頭前野、扁桃体および側坐核において優先的に発現され(OlsenおよびSieghart,Neuropharmacology 2009,56:141-148;Surら,Brain Res 1999,822:265-270;Martinら,Biochem Soc Trans 2009,37:1334-1337)、各種のCNS障害に関与していると考えられる。
【0004】
α5含有受容体は、大部分はシナプス外にあり、持続性阻害を媒介する(Caraiscosら,Proc Natl Acad Sci USA 2004,101:3662-3667)。成熟神経系におけるそれらの阻害性の役割とは対照的に、α5GABAARは、初期の海馬回路発達において興奮を引き起こし得る(Marchionniら,J Physiol.2007,581:515-528)。海馬および皮質の主ニューロンの興奮に対するそれらのモジュレート効果は、神経発達、認知、学習および記憶におけるα5GABAARの重要な効果、ならびに脳卒中、軽度認知機能障害、統合失調症、うつ病、認知症関連状態もしくは損なわれた社会的認知に関連する疾患、または神経発達障害、例えば、ダウン症もしくは自閉症スペクトラム障害(ASD)を含む、さまざまな障害におけるそれらの潜在的な治療有効性を説明することができる(Jacob,Front Mol Neurosci 2019,12:Art 179;MohamadおよびTarmizi Che Has,J Mol Neurosci 2019,67:343-351;SohおよびLynch,Curr Drug Targets 2015,16:735-746)。
【0005】
α5が媒介する持続性阻害の遺伝学的および薬理学的低減は、神経可塑性(Martinら,J Neurosci 2010,30:5269-5282)およびネットワーク振動活動(Towersら,J Physiol 2004,559:721-728;GlykisおよびMody,Neurophysiol 2008,95:2796-2807)の増強により学習および記憶を改善し得る(MoehlerおよびRudolph,F1000Res 2017年2月3日;6.pii:F1000 Faculty Rev-101)。しかしながら、α5GABAAR機能の低減から生じる海馬および皮質の活動亢進は、各種のCNS障害における特徴的な行動の変化である、自発運動亢進および損なわれた感覚運動(Hauserら,Mol Psychiatry 2005,10:201-207)、損なわれた社会的行動(Zurekら,Ann Clin Transl Neurol 2016,3:392-398)およびげっ歯動物における認知欠損(Enginら,J Neurosci 2015,35:13698-13712;Martinら,J Neurosci 2010,30:5269-5282;Prutら,Genes Brain Behav 2010,9:478-488)をもたらす可能性もある。そのような病態において、α5GABAAR機能の遮断よりもむしろ促進は、そのような疾患に関連する陽性症状、陰性症状および認知的症状のための有望な治療であり得る。この着想を支持して、腹側海馬におけるGABAA受容体のα5サブユニットのウイルス誘発過剰発現は、統合失調症のラットモデルにおいて生理学的および行動的欠損を正常化した(Doneganら,Nature Communications 2019,10:2819)。
【0006】
ウィスコンシン大学ミルウォーキー校は、α5を好むPAM化合物として、ある特定の4H-ベンゾ[f]イミダゾ[1,5-a][1,4]ジアゼピン誘導体(WO2017/161370A1)、例えば、SH-053-2’F-R-CH3、MP-III-022またはGL-II-73(Stamenicら Eur J Pharmacol 2016,791:433-433;Savicら,Neuropsychopharmacology 2008,33:332-339;Prevotら,ACS Chem.Neurosci.2019,10:2088-2090)を記載し、これは、マウスストレスモデルおよび高齢マウスにおいて、認知促進効果、抗不安効果および抗うつ効果を示した(Prevotら,Mol Neuropsychiatry 2019、5:84-97)。MP-III-022および6,7-ジヒドロ-2-ベンゾチオフェン-4(5H)-オンのα5 PAM化合物44(Chambersら,J Med Chem 2003,46:2227-2240)は、それぞれ、若齢および高齢ラットの認知能力を改善した(Poe,Michael M.,Theses and Dissertations.1301(2016) https://dc.uwm.edu/etd/1301;Kohら Neuropharmacology 2013,64:145:152)。GL-II-73による急性治療は、うつ病のマウスモデルにおいて化学遺伝学的に誘導された行動的欠損を低減したが(Feeら,Int J Neuropsychopharmacol 2021,24:505-518)、GL-II-73による慢性治療は、加齢関連の神経萎縮、および成体マウスにおける作業記憶の機能障害を反転させた(Sibilleら,Biol Psychiatry 2020,87:Suppl1,S85頁)。加えて、SH-053-2’F-R-CH3およびMP-III-022は、統合失調症の発達モデルにおいてラットの自発運動活性の病理学的変化を弱めた(Gillら,Neuropsychopharmacology 2011,36:1903-1911;Batinicら Int J Dev Neurosci 2017,61:31-39)。
【0007】
AgeneBio Inc.は、GABAA α5 PAMとしてイミダゾ[1,5-a][1,2,4]-トリアゾロ[1,5-d][1,4]ベンゾジアゼピン誘導体(WO2015/095783A1)を記載し、それらのリードシリーズが加齢による機能障害があるラットにおける良好なインビボ有効性を有する強力で選択的な化合物を有するので(https://grantome.com/grant/NIH/R44-AG063607-01)、加齢関連の認知機能障害の生物学的研究の前臨床の証拠において、そのような化合物が、海馬の活動亢進の条件下で海馬におけるGABAA α5受容体を占有することを見出した(プレスリリース、AgeneBio、2019年9月11日;https://www.agenebio.com/agenebio-announces-additional-funding-to-advance-novel-gaba-a-therapeutic-program-to-address-alzheimers-and-other-cns-conditions/)。
【0008】
本発明における最も好ましい適応症は、自閉症スペクトラム障害(ASD)である。ASDは、社会的関係の劣化、コミュニケーションの減少、典型的な反復性行動、および実行機能における機能障害によって特徴付けられる複雑な異種性神経発達障害である(Anagnostouら,CMAJ 2014,186:509-519;Diagnostic and statistical manual of mental disorders.第5版 Arlington,VA:American Psychiatric Association;2013-Diagnostic Criteria for 299.00 Autism Spectrum Disorder)。ASDの中核症状の治療のための承認された医薬はない。現在の薬理学的治療は、ASD関連攻撃性および易刺激性の治療のために承認されている非定型抗精神病薬のリスペリドンおよびアリピプラゾールに限定されている(Anagnostouら,Curr Opin Neurol 2018,31:119-125)。抗うつ薬は、ASDにおける妄想/脅迫症状を軽減するために適応外で使用されており、これらの治療の有効性および耐容性は中程度であり(Carrascoら,Pediatrics 2012,129:e1301-e1310)、そのため、前述の状態のより選択的な病態生理学に基づく治療についての満たされていない必要性が存在する。
【0009】
ASDは、GABAARサブユニットと組み合わされたゲノム変化に関連し得る。染色体異常、すなわち、第15染色体上のq11.2-13領域におけるコピー数多型の重複が、ASD患者において報告された。ヒトにおいて、この領域は、GABAA受容体のα5、β3およびγ3サブユニットをコードする遺伝子を含有する(Coghlanら,Neurosci Biobehav Rev 2012,36:2044-2055)。自閉症患者のエクソーム研究は、α5GABAARおよびそのアンカリングタンパク質のラディキシンについての遺伝子であるGabra5-/-およびRDXにおけるミスセンス変異を特定し、ASDにおけるα5GABAAR欠損をさらにサポートした(Zurekら,Ann Clin Transl Neurol 2016,3:392-398)。ASDにおける劣化したGABA作動性機能から生じる興奮/阻害(E/I)の不均衡についての証拠が増加している。GABA合成酵素であるGAD65およびGAD67の低減された発現、ならびにGABAA受容体密度の低減は、死後ASD脳において報告されている(Fatemiら,Biol Psychiatry 2002 52:805-810;Oblakら,Autism Res 2009,2:205-219)。陽電子放射断層撮影(PET)および磁気共鳴分光法(MRS)を使用するイメージング研究において、GABA濃度およびGABAA受容体利用能の低減が、ASDを有する患者において報告されている(Moriら,Brain Dev 2011,34:648-654;Putsら,Autism Res 2016,10:608-619;Robertsonら,Curr Biol 2016,26:80-85)。パイロットPET研究は、複数の脳領域にわたってα5GABAAR選択的トレーサー[11C]Ro154513の低減された結合を示し、ASDにおけるα5GABAARの低減されたレベルを示唆した(Mendezら,Neuropharmacology 2013,68:195-201)。別の研究は、ASD患者におけるGABA感受性知覚タスクの変化を示した(Horderら,Sci Transl Med 2018,pii:eaam8434)。これらの観察と一致して、死後分析は、α5GABAARの低減された発現を明らかにした(Blattら,J Autism Dev Disord 2001,31:537-54;Fatemiら J Autism Dev Disord,2010、40:743-750)。ASD患者における損なわれたGABA作動性機能が考慮され得、そのため、α5 PAMによって皮質阻害を促進し、E/I均衡を回復することは、疾患の治療における実行可能な治療戦略であり得る。
【0010】
皮質におけるニューロン興奮性の増加は、げっ歯動物において、自閉症様行動的欠損をもたらし得る(Yizharら,Nature 2011,477:171-178)。臨床知見をサポートして、α5GABAARの遺伝学的低減は、Gabra5-/-マウスにおいて、持続性電流の低減および主要な海馬ニューロンの興奮性の増加を示した(Boninら,J Neurophysiol 2007,98:2244-2254)。実行機能における機能障害に加えて、強い自閉症様行動および病態が、Gabra5-/-マウスにおいて観察された(Zurekら,Ann Clin Transl Neurol 2016,3:392-398;Mesbah-Oskuiら,Neurotoxicol Teratol 2017,61:115-122)。同様に、脆弱X症候群モデル(Fmr1-/-)マウスは、ASDの行動的特質を伴う(BakkerおよびOostra、Cytogenet Genome Res 2003、100:111-123)、α5GABAARの下方調節および持続性阻害の欠損を示した(Curiaら,Cereb Cortex 2009,19:1515-1520)。
【0011】
出生前バルプロエートモデルは、優れた構成概念および表面的妥当性を有し、したがって、ASDの広く許容される疾患モデルである(Christensenら,JAMA 2013,309:1696-1703;Roulletら,Neurotox Teratol.2013、36:45-56)。この方法において、時間交配した雌ウィスターラットは、妊娠12.5日目に、単回用量のバルプロ酸を投与される。治験薬治療後、出生仔は、生後59日目に、社会的嗜好アッセイにおいて、行動的に調べられる。社会的嗜好試験は、げっ歯動物における自閉症行動を評価するために高く許容されるアッセイである(Nadlerら,Genes Brain Behav 2007,3:303-314;Bambini-Juniorら,Brain Res 2011,1408:8-16)。簡潔には、このアッセイにおいて、試験動物は、分割する孔あき壁によって分離された同種を、または類似の領域を、しかしながら標的同種なしで、調べることを可能にする。自閉症動物(出生前バルプロエート曝露ラットなど)は、試験セッションの間、社会的調査にわずかな時間しか費やさない。VPA処置動物の社会的行動の低減は、α5GABAA受容体媒介阻害性シナプス伝達の回復によって正常レベルに戻り得ると考えられる(Wangら,Front Neurol 2018,9:Article 1052)。そのため、本発明の例は、ASDの中核症状を再現するこの前臨床疾患モデルにおける大きな行動的利益のものであり得る。したがって、本発明の化合物、具体的には、GABAA α5 PAMは、ヒトにおける自閉症スペクトラム障害の中核症状に対する治療可能性を有し得ることが提示され得る。
【0012】
GABA-A受容体の正のモジュレーター、例えば、低用量での非選択的クロナゼパムが、ASDの前臨床モデルにおいて症状を回復させることも証明されており(Hanら,Nature 2012,489:385-390;Okamotoら,J Neuroimmunol 2018,321:92-96)、臨床的に使用されるベンゾジアゼピンを、疾患の治療のために極めて低用量で使用できるという期待を増加させる。この戦略に加えて、サブユニット選択的化合物、例えば、α2/3モジュレーター(AZD7325;https://www.clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT03678129)またはα5の正のアロステリックモジュレーターは、おそらく改善された治療ウィンドウを有するASDの治療のための代替アプローチを提供し得る。したがって、α5選択的PAM化合物RG7816(RO7017773)は、ASDの治療のためのフェーズII臨床開発中である(https://www.clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT04299464)。
【0013】
したがって、それぞれ、α5GABAARに対する高い親和性および選択性を有する化合物であるGABAA α5 PAMは、疾患の1つの症状および/または複数の症状の1つがGABAA α5受容体に関連し得る中枢神経系の障害の治療または予防のために、単独で、または1つ以上の他の活性成分と組み合わせて使用することができる。これらとしては,限定されるものではないが、神経発達障害、例えば、自閉症スペクトラム障害(ASD)(Mendezら,Neuropharmacology 2013,68:195-201)、脆弱X障害(Curiaら,Cereb.Cortex 2009,19:1515-1520)、プラダー-ウィリー症候群(Bittelら,J Med Genet 2003,40:568-574)、またはダウン症(Braudeauら,J Psychopharmacology 2011,25:1030-1042;Martinez-Cueら,J Neurosci 2013,33:953-966)、神経認知障害(Collinsonら,J Neurosci 2002,22:5572-5580)、例えば、アルツハイマー病(AD)(Kwakowskyら,J Neurochem 2018,145:374-392;Solasら,Curr Pharm Des 2015;21:4960-4971;Wuら,Nat Commun 2014,4159)、前駆ADおよび軽度認知機能障害(Maubach,Curr Drug Targets CNS Neurol Disord 2003,2:233-239)、血管性認知機能障害および血管性認知症(Gacsalyiら,Eur J Pharmacol 2018,834:118-125)、前頭側頭型認知症、進行性核上性麻痺および大脳皮質基底核症候群を含む前頭側頭葉変性症(MurleyおよびRowe,Brain 2018,5:1263-1285)、レビー小体型認知症(Khundakarら,Acta Neuropathol Commun 2016,4:66)、加齢に関連する記憶障害および認知機能低下(Kohら,Neuropharmacology 2013,64:142-152)、限定されるものではないが、髄芽腫を含む脳がんに関連する認知機能障害(Senguptaら,CNS Oncol 2014,3:245-247)、術後認知症(Chengら,J Neurosci 2006,26:3713-3720)、炎症誘発性認知症(Wangら,Cell Rep 2012,2:488-496)、HIV関連神経認知障害(GreenおよびThayer,Neuropharmacology 2019,149:161-168)、限定されるものではないが片頭痛および緊張型頭痛を含む疾患に関連する認知機能障害(Russoら,Am J Hum Genet 2005,76:327-333)、多発性硬化症(Kammelら,Neuroscience 2018,395:89-100)、パーキンソン病(Blaszczyk,Front Neurosci 2016,10:269-277)、てんかん(McGinnityら,Brain Commun 2021,3(1):fcaa190;Schipperら,Mol Neurobiol 2016,53:5252-5265)、注意欠陥多動障害および成人の注意欠陥(Bollmannら,Transl Psychiatry 2015,8:e589;Eddenら,Arch Gen Psychiatry 2014,69:750-753)、または限定されるものではないが、心的外傷後ストレス障害(Luら,Neuronal Plast 2017,2017:5715816)、統合失調症(Guidottiら,Psychopharmacology 2005,180:191-205)、統合失調症に関連する陽性症状、陰性症状および/もしくは認知的症状(Asaiら,Schizophrenia Res 2008,99:333-340;Doneganら,Nature Communications 2019,10:Article number 2819;Gillら,Neuropsychopharmacology 2011,36:1903-1911;Hauserら,Mol Psychiatry 2005,10:201-207;Marquesら,Mol Psychiatry 2021,26:2616-2625;Redrobeら,Psychopharmacology 2012,221:451-468)、双極性障害(Otaniら,Neurosci Lett 2005,381:108-113)、ハンチントン病(Duら,Front Mol Neurosci.2017,10:198)、I型神経線維腫症I(Ribeiroら,Cortex 2015,64:194-208)、睡眠障害(Mesbah-Oskuiら,Neurotoxicol Teratol 2017,61:115-122)、限定されるものではないが、アルコール使用障害もしくはギャンブル障害を含む物質関連障害および嗜癖性障害(Mickら,Addict Biol 2017,22:1601-1609;Stephensら,Eur J Pharmacol 2005,526:240-250)、胎児アルコールスペクトラム障害(Tosoら,Am J Obstet Gynecol 2006,195:522-527)、気分障害(Bugayら,Neuropsychopharmacology 2020,45:2289-2298;Carrenoら,Int J Neuropsychopharmacology 2017,20:504-509;Choudaryら,Proc Natl Acad Sci USA 2005,102:15653-15658;Fischellら,Neuropsychopharmacology 2015;40:2499-2509)、精神障害(Wearneら,Neuropharmacology 2016,111:107-118)、物質誘発性精神障害(Neugebauerら,Behav Brain Res 2018,342:11-18)、不安障害(Behlkeら,Neuropsychopharmacology 2016,41:2492-2501;Bottaら,Nat Neuroscience 2015,18:1493-1500)、恐怖関連障害(Bottaら,Nat Neuroscience 2015,18:1493-1500;Crestaniら,Proc Natl Acad Sci USA 2002,99:8980-8985)、ストレス障害(Fischellら,Neuropsychopharmacology 2015;40:2499-2509)、アルツハイマー病関連神経精神症状(Xuら,Psychopharmacology 2018,235:1151-1161)、脳卒中(Clarksonら,Nature 2010,468:305-309;Lakeら,J Cereb Blood Flow Metab 2015,35:1601-1609)、外傷性脳損傷(Khodaeiら,Crit Care Med 2020,48:533-544)、神経障害性疼痛(Hernandez-Reyesら,Pain 2019,160:1448-1458)、ならびに炎症性疼痛(Bravo-Hernandezら,Eur J Pharmacol.2014,734:91-97;Munroら,Neuropharmacology 2011,61:121-132)を含む他のCNS疾患が挙げられる。α5GABAARをモジュレートすることは、限定されるものではないが、気管支収縮性疾患、例えば、限定されるものではないが、喘息、慢性閉塞性肺疾患、および気管支肺異形成症(Gallosら,Am J Physiol Lung Cell Mol Physiol 2015,308:L931-942;Mizutaら,Am J Physiol Lung Cell Mol Physiol 2008,294:L1206-1216)、ならびに肥満(Xiaら,Mol Psychiatry 2021,doi:10.1038/s41380-021-01053-w)を含む疾患および状態の治療においても有用であり得る。α5GABAARをモジュレートすることができる化合物は、特に、神経発達障害、神経認知障害、気分障害および統合失調症の治療のための有用な候補であると予想される。
【0014】
イソキサゾール(例えば、WO2009/071477A1、WO2018/104419A1、WO2019/238633A1)およびトリアゾール誘導体(例えば、WO2012/062687A1、WO2014/001278A1、WO2014/001279A1、WO2014/001282A1、WO2020/016443A1)を含む、GABAA受容体のα5サブユニットに対して活性な多くの構造的に異なる化合物が当技術分野において公知である(Guerriniら,Expert Opin Ther Patents 2013,23(7):843-866)。
【0015】
GABAA α5受容体のおよびモジュレーターに関する研究は数多くなされているが、GABAA α5受容体に関連する疾患の治療または予防において有用な化合物への希求が依然として存在している。
【発明の概要】
【0016】
本発明は、式(I)の化合物
【化1】
[式中、
Aは、
【化2】
によって表され;
R
1は、アルキル基、アルコキシ基、またはハロアルキル基であり;
R
2は、水素;-S(O)
2-アルキル、シクロアルキルもしくは複素環で場合により置換されていてもよいアルキル基;シクロアルキル基;アルキルで場合により置換されていてもよい複素環基;またはヘテロアリール基であり;
Xは、CH、またはNである]、
および/またはその塩、および/またはその立体異性体、および/またはそのエナンチオマー、および/またはそのラセミ体もしくはそのジアステレオマー、および/またはその生物学的に活性な代謝産物もしくはそのプロドラッグもしくはその溶媒和物もしくはその水和物、および/またはその多形体に関する。
【0017】
本発明は、医薬としての使用のための上記に定義される式(I)の化合物を提供する。
【0018】
本発明は、GABAA α5受容体に関連する疾患の治療または予防における使用のための上記に定義される式(I)の化合物を提供する。
【0019】
本発明は、GABAA α5受容体に関連する疾患の治療または予防のための医薬の製造のための上記に定義される式(I)の化合物の使用を提供する。
【0020】
本発明は、GABAA α5受容体に関連する疾患を治療または予防する方法であって、有効量の上記に定義される少なくとも1つの式(I)の化合物をその治療または予防を必要とする、ヒトを含む対象に投与することを含む、方法を提供する。
【0021】
本発明は、上記に定義される式(I)の化合物と、GABAA α5受容体に関連する疾患の治療または予防のための1つ以上の他の活性成分との併用を提供する。
【0022】
本発明は、活性成分として上記に定義される式(I)の化合物を含有する医薬組成物を提供する。
【0023】
本発明は、上記に定義される式(I)の化合物と1つ以上の他の活性成分の組み合わせを含む医薬(組み合わせ医薬組成物)を提供する。
【0024】
本発明は、活性成分として上記に定義される式(I)の化合物を、単独で、またはGABAA α5受容体に関連する疾患の治療または予防における使用のための1つ以上の他の活性成分と組み合わせて含有する医薬組成物を提供する。
【0025】
本発明は、上記に定義される式(I)の化合物の製造のための方法、および同様に調製方法の中間体を提供する。
【0026】
本発明は、上記に定義される式(I)の化合物を単独で、または1つ以上の他の活性成分と組み合わせて含有する医薬組成物の調製も提供する。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明は、アルファ5サブユニット含有ガンマ-アミノ酪酸A受容体(GABAA α5受容体)に対する親和性および選択性を有し、GABAA α5受容体の正のアロステリックモジュレーターとして作用し、それによって、GABAA α5受容体に関連する疾患の治療または予防において有用な式(I)の化合物、その調製のための方法、それらを単独でまたは1つ以上の他の活性成分と組み合わせて含む医薬組成物、ならびに医薬としてのそれらの使用を提供する。
【0028】
本発明は、式(I)の化合物
【化3】
[式中、
Aは、
【化4】
によって表され;
R
1は、アルキル基、アルコキシ基、またはハロアルキル基であり;
R
2は、水素;-S(O)
2-アルキル、シクロアルキルもしくは複素環で場合により置換されていてもよいアルキル基;シクロアルキル基;アルキルで場合により置換されていてもよい複素環基;またはヘテロアリール基であり;
Xは、CH、またはNである]、
および/またはその塩、および/またはその立体異性体、および/またはそのエナンチオマー、および/またはそのラセミ体もしくはそのジアステレオマー、および/またはその生物学的に活性な代謝産物もしくはそのプロドラッグもしくはその溶媒和物もしくはその水和物、および/またはその多形体に関する。
【0029】
他に定義されない限り、本明細書において使用されるすべての技術用語および科学用語は、この発明が属する技術分野における当業者によって通常理解されるものと同じ意味を有する。本明細書に記載されるものと類似または等価な方法および材料を、本発明の実施または試験において使用することができるが、好適な方法および材料を、下記に記載する。
【0030】
使用される命名法は、他に別段の指示がない限り、IUPACの体系的命名法に基づく。
【0031】
本明細書における構造中の炭素、酸素、硫黄または窒素原子上に現れる任意の開放原子価は、他に別段の指示がない限り、水素の存在を示す。
【0032】
本明細書において使用される一般用語の定義は、その用語が個別に又はまたは他の群と組み合わせて示されるかにかかわらず、下記のとおりである。
【0033】
「場合による(optional)」または「場合により(optionally)」は、その後に記載される事象または状況が、発生してもしなくてもよいこと、ならびに記載が、事象または状況が発生する実例、およびそれが発生しない実例を含むことを意味する。
【0034】
「置換基」という用語は、親分子上の水素原子を置き換える原子または原子の基を表す。
【0035】
「置換された」という用語は、規定される基が1個以上の置換基を持つことを表す。
【0036】
任意の基が、複数の置換基を持っていてもよく、各種の可能な置換基が提供される場合、置換基は、独立して選択され、同じである必要はない。
【0037】
「無置換の」という用語は、規定される基が置換基を持たないことを意味する。
【0038】
「場合により置換されていてもよい」という用語は、規定される基の任意の原子が、無置換であるか、または可能な置換基の群から独立して選択される1個以上の置換基によって置換されることを意味する。置換基の数が示される場合、「1個以上」という用語は、1個の置換基から可能な最大数の置換基、すなわち、置換基による1個の水素の置き換えから最大ですべての水素の置き換えを意味する。可能な置換基としては、限定されるものではないが、C1-4アルキル、オキソなどが挙げられる。
【0039】
「アルキル」という用語は、単独でまたは他の基と組み合わせて、直鎖または分枝鎖の、単一または多重分枝鎖の炭化水素ラジカルを指し、1~6個の炭素原子からなる。好ましくは、アルキル基は、1~4個の炭素原子からなる。例としては、これらに限定されるものではないが、メチル基、エチル基、プロピル基、i-プロピル(イソプロピル)基、n-ブチル基、2-ブチル(sec-ブチル)基またはt-ブチル(tert-ブチル)基が挙げられる。C1-2アルキル基がより好ましい。メチル基が最も好ましい。
【0040】
「アルコキシ」という用語は、単独でまたは他の基と組み合わせて、-O-アルキル基を指し、ここで、アルキルは、上記に定義された通りである。好ましくは、アルコキシ基は、アルキル基が1~4個の炭素原子からなる-O-アルキル基である。例としては、これらに限定されるものではないが、メトキシ、エトキシ、i-プロポキシ、n-プロポキシまたはt-ブトキシが挙げられる。C1-2アルコキシ基がより好ましい。メトキシ基が最も好ましい。
【0041】
「ハロゲン」、「ハロ」または「ハライド」という用語は、単独でまたは他の基と組み合わせて、フルオロ(フッ素)、クロロ(塩素)、ブロモ(臭素)またはヨード(ヨウ素)を指す。好ましくは、ハロゲンはフッ素である。
【0042】
「ハロアルキル」という用語は、単独でまたは他の基と組み合わせて、前記アルキルの任意の炭素原子上で、1個以上の同一または異なるハロゲンで置換された上記に定義されるアルキルを指し、同様にビシナルおよび/またはジェミナルのハロ置換、例えば、パーハロアルキル基を含む。「パーハロアルキル」という用語は、すべての水素原子が同じまたは異なるハロゲン原子によって置き換えられているアルキルを指す。例としては、これらに限定されるものではないが、トリハロ、ジハロまたはモノハロアルキル基、例えば、3,3,3-トリフルオロプロピル、2-フルオロエチル、2,2,2-トリフルオロエチル、フルオロメチル、ジフルオロメチルまたはトリフルオロメチルが挙げられる。好ましくは、ハロアルキル基は、ハロ-C1-2アルキル基、より好ましくは、ジフルオロメチルまたはトリフルオロメチル、最も好ましくは、トリフルオロメチルである。
【0043】
「シクロアルキル」という用語は、3~7個の炭素環原子を含む、一価の単環式飽和炭素環基を指す。例としては、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタンが挙げられる。好ましくは、シクロアルキル基は、4~6個の炭素環原子を含む。最も好ましくは、シクロアルキルは、シクロブタンまたはシクロペンタンである。
【0044】
「複素環」という用語は、単独でまたは他の基と組み合わせて、N、OおよびSから独立して選択される1、2、3または4個の環ヘテロ原子を含み、残りの環原子が炭素である、3~10個の環原子の一価の飽和または部分的に不飽和の単環式、二環式、縮合、架橋またはスピロ環系を指す。単環式複素環の例は、アジリジン、2H-アジリン、オキシラン、チイラン、アゼチジン、オキセタン、チエタン、アゼチジン-2-オン、ピロリジン、ピロリジノン、ピロリン、ピラゾリジン、イミダゾリン、ピラゾリン、テトラヒドロフラン、ジヒドロフラン、ジオキソラン、テトラヒドロチオフェン、オキサゾリジン、ジヒドロオキサゾール、イソキサゾリジン、オキサチオラン、スルホラン、チアゾリジン、チアゾリジンジオン、スクシンイミド、オキサゾリドン、ヒダントイン、ピペリジン、ピペリジノン、ピペラジン、テトラヒドロピラン、テトラヒドロチオピラン、ジヒドロピラン、テトラヒドロピリジン、ジオキサン、チアン、ジチアン、1,1-ジオキソ-チアン、モルホリン、チオモルホリン、1,1-ジオキソ-チオモルホリン、アゼパン、ジアゼパン、ホモピペラジン、オキサゼパニル(oxazepnayl)などである。好ましくは、複素環は、単独でまたは他の基と組み合わせて、N、OおよびSから独立して選択される1または2個の環ヘテロ原子を含み、残りの環原子が炭素である、3~7個の環原子の一価の飽和単環式環を指す。より好ましくは、複素環は、単独でまたは他の基と組み合わせて、OおよびSから選択される1個の環ヘテロ原子を含み、残りの環原子が炭素である、3~7個の環原子の一価の飽和単環式環を指す。最も好ましくは、複素環は、単独でまたは他の基と組み合わせて、OおよびSから選択される1個の環ヘテロ原子を含み、残りの環原子が炭素である、3~6個の環原子の一価の飽和単環式環、例えば、オキセタン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロチオフェン、テトラヒドロピランを指す。
【0045】
「ヘテロアリール」という用語は、単独でまたは他の基と組み合わせて、N、OおよびSから独立して選択される1、2または3個のヘテロ原子を含み、残りの環原子が炭素である、5~10個の環原子の一価の複素環式芳香族の単環式または二環式環系を指す。ヘテロアリールについての例は、ピロール、フラン、チオフェン、イミダゾール、オキサゾール、イソキサゾール、チアゾール、イソチアゾール、トリアゾール、テトラゾール、オキサジアゾール、チアジアゾール、テトラゾール、ピリジン、ピラジン、ピラゾール、ピリダジン、ピリミジン、トリアジン、アゼピン、ジアゼピン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、インドール、イソインドール、イソベンゾフラン、ベンズイミダゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾイソキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾイソチアゾール、ベンゾオキサジアゾール、ベンゾチアジアゾール、ベンゾトリアゾール、プリン、キノリン、イソキノリン、キナゾリン、キノキサリン、カルバゾール、またはアクリジンである。好ましくは、ヘテロアリールは、単独でまたは他の基と組み合わせて、N、OおよびSから独立して選択される1または2個のヘテロ原子を含み、残りの環原子が炭素である、5~6個の環原子の一価の複素環式芳香族の単環式環系を指す。より好ましくは、ヘテロアリールは、単独でまたは他の基と組み合わせて、N、OおよびSから独立して選択される1または2個のヘテロ原子を含み、残りの環原子が炭素である、6個の環原子の一価の複素環式芳香族の単環式環系を指す。最も好ましくは、ヘテロアリールは、単独でまたは他の基と組み合わせて、Nである1または2個のヘテロ原子を含み、残りの環原子が炭素である、6個の環原子の一価の複素環式芳香族の単環式環系、例えば、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジンを指す。
【0046】
「この発明の化合物」「本発明の化合物」、「上記に定義される式(I)の化合物」という用語は、式(I)の化合物、および/またはその塩、および/またはその立体異性体、および/またはそのエナンチオマー、および/またはそのラセミ体もしくはそのジアステレオマー、および/またはその生物学的に活性な代謝産物もしくはそのプロドラッグもしくはその溶媒和物もしくはその水和物、および/またはその多形体を指す。
【0047】
「塩」という用語は、薬学的に許容される塩または薬学的に許容されない塩を指す。
【0048】
「薬学的に許容される塩」という用語は、式(I)の化合物の生物学的有効性および特性を保存し、好適な非毒性の有機酸もしくは無機酸または有機塩基もしくは無機塩基と形成され得る、従来の酸付加塩または塩基付加塩を指す。酸付加塩の例としては、無機酸、例えば、これらに限定されるものではないが、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、スルファミン酸、リン酸、硝酸および過塩素酸に由来する塩、ならびにさまざまな有機酸、例えば、限定されるものではないが、酢酸、プロピオン酸、安息香酸、グリコール酸、フェニル酢酸、サリチル酸、マロン酸、マレイン酸、オレイン酸、パモ酸、パルミチン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、シュウ酸、酒石酸、ナフタレンジスルホン酸、コハク酸、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、グルタミン酸、フマル酸などに由来する塩が挙げられる。塩基付加塩の例は、アンモニウム、カリウム、ナトリウム、および第四級水酸化アンモニウム、例えば、水酸化テトラメチルアンモニウムに由来する塩である。
【0049】
「薬学的に許容されない塩」は、式(I)の化合物の精製または単離のために好ましいことがあり、したがって、本発明の範囲内でもある。
【0050】
「プロドラッグ」という用語は、それら自身は治療効果を有さないが、インビボでの化学分解または代謝分解(生体内変化)後に治療効果の原因となる「生物学的に活性な代謝産物」になるそのような基を含有する、本発明による式(I)の化合物の誘導体を指す。
【0051】
光学異性体は、公知の方法により、例えば、光学活性な酸もしくは塩基を使用して、ジアステレオマー塩を形成することにより、または共有結合性のジアステレオマーを形成することにより、ラセミ混合物を分割することによって、調製することができる。好適な酸としては、例えば、酒石酸、ジアセチル酒石酸、ジベンゾイル酒石酸、ジトルオイル酒石酸およびカンファースルホン酸が挙げられる。ジアステレオマー混合物は、クロマトグラフィーまたは分別結晶化などの当業者に公知に方法によって、それらの物理的および/または化学的相違に基づいて、個々のジアステレオマーに分離することができる。その後、光学活性な塩基または酸は、分離されたジアステレオマー塩から遊離される。光学異性体を分離するさまざまな方法としては、エナンチオマーの分離を最大化する目的で誘導体化によって場合により使用されてもよいキラルクロマトグラフィー(例えば、キラルHPLCカラム)が挙げられる。適切なキラルHPLCカラムは、所望により、日常的に選択することができる。適用可能である場合、誘導体化によって行われる酵素分離も使用され得る。光学活性な一般式(I)の化合物は、ラセミ化反応条件なしのキラル合成を使用して、光学活性な出発物質を使用して、調製することもできる。
【0052】
キラル化合物の絶対配置は、例えば、旋光、VCD(振動円二色性分光法)および/もしくは単結晶X線回折分析、またはキラル化合物から合成された化合物のジアステレオマー対の1H NMR分光学的アッセイによって決定することができる。
【0053】
式(I)の化合物は、さまざまな多形形態で存在していてもよい。当技術分野において公知であるように、多形は、2つ以上の結晶形態、すなわち、多形形態で結晶化する化合物の能力である。特定の化合物の多形形態は、同一の化学式または組成によって定義することができ、2つの異なる化学化合物の結晶構造として、それらの化学構造において相違し得る。
【0054】
式(I)の化合物およびその塩はまた、溶媒和物または水和物として存在していてもよく、これも本発明の範囲内である。「溶媒和物」という用語は、溶媒および溶質の非共有結合性の化学量論または非化学量論の組み合わせを指す。「水和物」という用語は、水および溶質の非共有結合性の化学量論または非化学量論の組み合わせを指す。
【0055】
本発明は、活性成分として上記に定義される少なくとも1つの式(I)の化合物を含む医薬組成物を提供する。
【0056】
本発明は、上記に定義される式(I)の化合物と1つ以上の他の活性成分の組み合わせを含む医薬組成物を提供する。医薬組成物は、単一の剤形にまたは別々に、少なくとも1つの本発明の化合物を1つ以上の他の活性成分と一緒に含んでいてもよい。組み合わせ組成物は、同時に、別々にまたは連続して投与されてもよい。
【0057】
「医薬組成物」(または「組成物」)という用語は、治療有効量の活性成分を、それを必要とする対象、例えばヒトに投与される薬学的に許容される賦形剤と一緒に含む、混合物または溶液を指す。
【0058】
本発明は、医薬組成物の調製にも関する。
【0059】
本発明の医薬組成物は、さまざまな医薬製剤、例えば、限定されるものではないが、錠剤(例えば、頬側、舌下、発泡性、チュアブル、経口分散性)、カプセル剤、丸剤、経口分散性フィルム、顆粒剤、散剤などの固形経口剤形;液剤、乳剤、懸濁剤、シロップ剤、エリキシル剤、点滴剤などの液体製剤;静脈内注射剤、筋肉内注射剤、皮下注射剤などの非経口剤形;点眼薬、半固形眼科用調製物、半固形皮膚用調製物(軟膏、クリーム、ペーストなど)、経皮治療システム、坐剤、直腸カプセル剤、直腸液剤、乳剤および懸濁剤などの他の形態の医薬などに製剤化されてもよい。
【0060】
本発明の医薬組成物は、さまざまな方法、例えば、限定されるものではないが、経口、直腸、粘膜、経皮または腸投与;筋肉内、皮下、静脈内、髄内注射、ならびに関節内、くも膜下腔内、直接脳室内、腹腔内、鼻腔内または眼内注射および点眼薬を含む非経口投与で投与されてもよい。
【0061】
あるいは、化合物は、例えば、多くの場合に、放出調整製剤で、腎臓または心臓への化合物の直接注射によって、全身的ではなく局所的に投与されてもよい。加えて、薬物は、標的化キャリアシステム、例えば、組織特異的抗体封入リポソームで投与されてもよい。
【0062】
医薬組成物は、さまざまな方法およびさまざまな薬学的形態で投与されてもよい。本発明の化合物は、単回投与または複数回投与で、単独でまたは薬学的に許容される賦形剤と組み合わせて投与されてもよい。
【0063】
単純な投与のために、医薬組成物が、1回、または少数の複数回、または半分、3分の1、4分の1投与される活性成分の量を含有する投薬単位からなることが好ましい。そのような投薬単位は、例えば、活性成分の必要量を秤量するために、錠剤の半分または4分の1分割を容易にするように、半分または4分の1の溝が付けられ得る錠剤である。
【0064】
本発明による活性成分を含有する医薬組成物は、一般に、投薬単位あたり0.001~500mgの活性成分を含有する。当然ながら、それぞれの製剤中の活性成分の量が、上記の制限を上または下のいずれかで超えることも可能である。
【0065】
本発明は、限定されるものではないが、液剤、シロップ剤、エリキシル剤、懸濁剤、懸濁剤の調製のための散剤、分散可能または発泡性錠剤、チュアブル錠剤、口内崩壊錠剤または顆粒剤、錠剤またはコーティング錠剤、発泡性散剤または顆粒剤、カプセル剤などの小児使用における使用のための医薬組成物にも関する。
【0066】
本発明の医薬組成物は、従来の混合、溶解、乳化、懸濁、マイクロカプセル化、凍結乾燥、押出および球形化、積層、フィルムコーティング、造粒、封入、ペレット化または圧縮などの自体公知の方法によって調製されてもよい。
【0067】
本発明の医薬組成物は、薬学的に許容される医薬形態への活性成分の組込みを促進する1つ以上の生理学的にまたは薬学的に許容される賦形剤を使用する通常の方法で製剤化されてもよい。「生理学的にまたは薬学的に許容される賦形剤」という用語は、治療活性を有さず、非毒性の医薬製品の製剤化において使用される任意の成分を表す。適した製剤は、選択される投与の様式に依存する。当技術分野において周知の技法および賦形剤のいずれかを使用することができる。
【0068】
調製において適用可能な賦形剤は、以下のカテゴリー、例えば、これらに限定されるものではないが、錠剤およびカプセル剤の増量剤、錠剤およびカプセル剤の結合剤、薬物放出調整剤、崩壊剤、流動促進剤、滑沢剤、甘味剤、矯味剤、香料、コーティング材料、界面活性剤、安定剤、保存剤または抗酸化剤、緩衝剤、錯化剤、湿潤剤または乳化剤、浸透圧を調整するための塩、凍結乾燥賦形剤、マイクロカプセル化剤、軟膏材料、浸透増強剤、可溶化剤、溶媒、坐剤材料、懸濁化剤から選択され得る。
【0069】
上記に記載の賦形剤、およびさまざまな調製の方法は、代表例にすぎない。当技術分野において公知の他の材料および加工技法も使用され得る。
【0070】
「他の活性成分」という用語は、限定されるものではないが、5-HT1Aアンタゴニストまたはアゴニスト(レコゾタン、NLX 101、サリゾタンなど);5-HT1Bおよび5-HT1Dアゴニスト(リザトリプタン、ゾルミトリプタン、ナラトリプタンおよびスマトリプタンなど);5-HT2アンタゴニスト;5-HT4アゴニスト(PRX-03140など);5-HT6アンタゴニスト(GSK 742467、SGS-518、FK-962、SL-65.0155、SRA-333およびキサリプロデンなど);A2aアデノシン受容体アンタゴニスト;アセチルコリンエステラーゼ阻害剤(ガランタミン、リバスチグミン、ドネペジル、タクリン、フェンセリン、ラドスチギルおよびABT-089など);ADAM-10リガンド;アルファアドレナリン受容体アゴニスト;AMPAアゴニストまたはモジュレーター(CX-717、LY 451395、LY404187およびS-18986など);アンドロゲン受容体モジュレーター(SFX 01など);抗アミロイドヒト化モノクローナル抗体を含む抗アミロイド抗体(バピネオズマブ、ACCOOl、CAD 106、AZD3102、H12A11V1など);抗コリン薬(ビペリデンなど);抗けいれん薬(アセタゾラミド、カルバマゼピン、エスリカルバゼピン酢酸塩、エトスクシミド、ラコサミド、ニトラゼパム、オクスカルバゼピン、ペランパネル、フェノバルビタール、フェニトイン、プリミドン、ルフィナミド、スチリペントール、トピラマート、バルプロエートなど);抗炎症性化合物((R)-フルルビプロフェン、ニトロフルルビプロフェン、ND-1251、VP-025、HT-0712、およびEHT-202など);ApoE4コンフォメーションモジュレーター;非定型抗精神病薬(アリピプラゾール、アセナピン、ブレクスピプラゾール、ブリラロキサジン、カリプラジン、イロペリドン、ロキサピン、ルマテペロントシル酸塩、ルラシドン塩酸塩、モリンドン、オランザピン、パリペリドン、クエチアピン、リスペリドン、スルピリドおよびジプラシドンなど);バルビツレート;ベータ-セクレターゼ阻害剤(ベルベセスタット、およびAZD3293など)およびガンマ-セクレターゼ阻害剤(LY450139およびTAK 070など)またはモジュレーター;Aβオリゴマー形成の遮断剤;ブラジキニンB1受容体アンタゴニスト(SSR240612、NVPSAA164、またはWO2007/072092A2、WO2008/068540A1、WO2008/050167A1、WO2008/050168 A1に記載される化合物のいずれかなど);ブチロフェノン(ハロペリドールなど);カルシウムチャネル遮断剤(ジコノチドおよびNMED160など);CB-1受容体アンタゴニストまたはインバースアゴニスト(ドリナバント、カンナビジオールなど);CB-2アゴニスト(GW-842166XおよびSAB378など)またはCBモジュレーター(カンナビジバリン、T1/C20、テトラヒドロカンナビノールコンジュゲート、ZYN-002);コリン作動剤;フェノチアジン(クロルプロマジン、フルフェナジン、メソリダジン、ペルフェナジン、チオリダジン、トリフルオペラジンなど);チオキサンテン(クロルプロチキセンおよびチオチキセンなど);COMT阻害剤(エンタカポンなど);シクロピロロン;ジフェニルブチルピペリジン(ピモジドなど)およびインドロン(モリンドロンなど)クラスの神経遮断剤;DNA指向性DNAポリメラーゼ阻害剤(スラミンナトリウムなど);ドーパミンアゴニストおよびパーシャルアゴニスト(プラミペキソール、ロピニロールなど);ドーパミン前駆体(カルビドパ、レボドパなど);ドーパミン輸送阻害剤;酵素モジュレーターまたは補充剤(CM-AT、CM-4612およびCM-182など);脂肪酸アミドヒドロラーゼ阻害剤(JNJ 42165279など);脂肪酸またはトリグリセリド補充剤(トリヘプタノインなど);フェナメート化合物(ASD-002など);GABAA遮断剤(S44819、NGD 97-1、α5IA、α5IA-II、MRK-016、バスミサニル、またはPCT/IB2019/058208に記載の任意の化合物など);GABAA受容体アゴニスト(アカンプロサートなど);GABAAシグナル伝達増強剤(AZD-7325、PF-06372865、L-838,417、TPA-023、ブレキサノロン、ズラノロン、アルファキサロン、ガナキソロン、ガボキサドール、チアガビン、ビガバトリン、ブメタニドなど);GABAB受容体アゴニスト(アルバクロフェン、またはWO2018/167629A1もしくはWO2018/167630A1に記載される化合物のいずれかなど);ガバペンチノイド(プレガバリン、ガバペンチンなど);グルタミン酸モジュレーター(AMO 04など);グリシン輸送阻害剤;グリコーゲン合成酵素キナーゼ3β阻害剤(チデグルシブ、AZD1080、SAR502250およびCEP16805など);成長ホルモン分泌促進剤(イブタモレン、メシル酸イブタモレンおよびカプロモレリンなど);HDAC阻害剤;複素環式ジベンザゼピン(クロザピンなど);ヒスタミンH3受容体アンタゴニストおよびインバースアゴニスト(S38093、ABT-834、ABT 829、GSK 189254、CEP16795またはWO2014/136075A1に記載される化合物のいずれかなど);HMG-CoA還元酵素阻害剤;イミダゾピリジン(ゾルピデムなど);免疫モジュレーター(IMM-124Eなど);KCNQアンタゴニスト;リチウム;LRRK2阻害剤;LXR βアゴニスト;リジン特異的デメチラーゼ1阻害剤(バフィデムスタットなど);M1またはM4 mAChRアゴニストまたはPAM;MARKリガンド;メラトニン作動剤;メラトニンアゴニストおよびアンタゴニスト;メチル-CpG結合タンパク質2(MECP2)遺伝子補充療法(AVXS 201など);mGluR2アンタゴニストまたはモジュレーター;mGluR4の正のアロステリックモジュレーター(ADX-88178、フォリラックスなど);mGluR5アンタゴニスト(HTL-14242、AZD9272、マボグルラントなど);マイクロバイオームモジュレーター(AB-2004、CP-101、SB-121など);マイナートランキライザー;MMP阻害剤;α7 nAChRアゴニストまたは正のアロステリックモジュレーター(ABT-126、AZD0328、EVP-6124、AVL-3288、PNU-120596、またはWO2020/012422A1、WO2020/012423A1もしくはWO2020/012424A1に記載される化合物のいずれかなど)またはアンタゴニスト(メカミルアミン塩酸塩など);神経ペプチド受容体モジュレーター(トロフィネチド、ダブネチド、NNZ-2591など);好中球阻害因子;NK1/NK3受容体アンタゴニスト;NMDA受容体アゴニストまたはアンタゴニスト(メマンチン、ネラメキサン、EVT101、AZD4282、BHV 5000など);ノルアドレナリン輸送阻害剤;ノルエピネフリンモジュレーター;NOS阻害剤(SD6010および274150など);NQO1モジュレーター(バチキノンなど);NR2Bアンタゴニスト(ラジプロジルなど);NSAID(イブプロフェンなど);オピオイド鎮痛薬(コデイン、フェンタニル、ヒドロモルフォン、レボルファノール、メペリジン、メタドン、モルヒネ、オキシコドン、オキシモルフォン、ペンタゾシン、プロポキシフェンなど);オレキシンアンタゴニストおよびアゴニスト;オキシトシン;p25/CDK5阻害剤;PDE10阻害剤;PDE4阻害剤(HT0712など);PDE9阻害剤(BI40936など);PI3KB阻害剤(BBP-472など);カリウムチャネル開口薬;PPARガンマアゴニスト(ピオグリタゾンおよびロシグリタゾンなど);プロキネチシンアゴニストおよびアンタゴニスト;ピラゾロピリミジン;コリン作動性/代謝調節型グルタミン酸受容体をモジュレートするピロリドン化合物(ファソラセタム、レベチラセタム、ブリバラセタム、ピラセタムなど);シグマ-1受容体アゴニスト(ブラルカメシンなど);ナトリウムチャネル遮断剤およびアンタゴニスト(ラモトリジン、VX409およびSPI860など);スフィンゴシン1リン酸受容体モジュレーター(フィンゴリモド、オザニモド、シポニモド、ポネシモドなど);SSRIまたはSNRI(フルオキセチン、シタロプラム、エスシタロプラム、フルボキサミン、パロキセチン、セルトラリン;またはデスベンラファキシン、デュロキセチン、ベンラファキシンなど);スルホンアミド(ゾニサミドなど);タウリン酸化阻害剤;血栓溶解剤;トリアゾロピリジン;ベンゾジアゼピン;三環式抗うつ薬;T型カルシウムチャネルアンタゴニスト;チロシン水酸化酵素阻害剤(L1-79など);バソプレシン;V1a受容体アンタゴニスト(バロバプタン、BTRX-323511、またはWO2019/116324A1もしくはWO2019/116325A1に記載される化合物のいずれかなど);ビタミンE;VR-1アンタゴニスト(AMG517、705498、782443、PAC20030、VI 14380およびA425619など)、あるいは本発明の化合物の有効性、安全性、利便性を増加させるか、または望まれない副作用もしくは毒性を低減する、受容体または酵素に影響を及ぼす他の薬物を含む治療剤を指す。
【0071】
一つの実施形態において、他の活性成分は、5-HT1Aアンタゴニストまたはアゴニスト(レコゾタン、NLX 101、サリゾタンなど);非定型抗精神病薬(アリピプラゾール、アセナピン、ブレクスピプラゾール、ブリラロキサジン、カリプラジン、イロペリドン、ロキサピン、ルマテペロントシル酸塩、ルラシドン塩酸塩、モリンドン、オランザピン、パリペリドン、クエチアピン、リスペリドン、スルピリドおよびジプラシドンなど);CB-1受容体アンタゴニストまたはインバースアゴニスト(ドリナバント、カンナビジオールなど);CB-2アゴニスト(GW-842166XおよびSAB378など)またはCBモジュレーター(カンナビジバリン、T1/C20、テトラヒドロカンナビノールコンジュゲート、ZYN-002);DNA指向性DNAポリメラーゼ阻害剤(スラミンナトリウムなど);脂肪酸アミドヒドロラーゼ阻害剤(JNJ 42165279など);脂肪酸またはトリグリセリド補充剤(トリヘプタノインなど);GABAA受容体アゴニスト(アカンプロサートなど);GABAAシグナル伝達増強剤(AZD-7325、PF-06372865、L-838,417、TPA-023、ブレキサノロン、ズラノロン、アルファキサロン、ガナキソロン、ガボキサドール、チアガビン、ビガバトリン、ブメタニドなど);GABAB受容体アゴニスト(アルバクロフェン、またはWO2018/167629A1もしくはWO2018/167630A1に記載される化合物のいずれかなど);グルタミン酸モジュレーター(AMO 04など);グリコーゲン合成酵素キナーゼ3β阻害剤(チデグルシブ、AZD1080、SAR502250およびCEP16805など);リジン特異的デメチラーゼ1阻害剤(バフィデムスタットなど);メチル-CpG結合タンパク質2(MECP2)遺伝子補充療法(AVXS 201など);マイクロバイオームモジュレーター(AB-2004、CP-101、SB-121など);神経ペプチド受容体モジュレーター(トロフィネチド、ダブネチド、NNZ-2591など);NMDA受容体アゴニストまたはアンタゴニスト(メマンチン、ネラメキサン、EVT101、AZD4282、BHV 5000など);NQO1モジュレーター(バチキノンなど);オキシトシン;コリン作動性/代謝調節型グルタミン酸受容体をモジュレートするピロリドン化合物(ファソラセタム、レベチラセタム、ブリバラセタム、ピラセタムなど);シグマ-1受容体アゴニスト(ブラルカメシンなど);スフィンゴシン1リン酸受容体モジュレーター(フィンゴリモド、オザニモド、シポニモド、ポネシモドなど);SSRIまたはSNRI(フルオキセチン、シタロプラム、エスシタロプラム、フルボキサミン、パロキセチン、セルトラリン;またはデスベンラファキシン、デュロキセチン、ベンラファキシンなど);チロシン水酸化酵素阻害剤(L1-79など);バソプレシン;またはV1a受容体アンタゴニスト(バロバプタン、BTRX-323511、またはWO2019/116324A1もしくはWO2019/116325A1に記載される化合物のいずれかなど)を指す。
【0072】
「モジュレーター」という用語は、標的受容体と相互作用する分子を指し、ここで、相互作用は、例えば、アゴニスト性、アンタゴニスト性またはインバースアゴニスト性であり得る。
【0073】
「阻害剤」という用語は、特定の受容体に対する特定のリガンドの結合と競合、低減もしくは予防するか、または特定のタンパク質の機能の阻害を低減もしくは予防する、分子を指す。
【0074】
「アゴニスト」という用語は、受容体の結合部位に対する親和性を有し、受容体が媒介する応答の活性を増強する化合物を指す。「フルアゴニスト」は、完全な応答をもたらし、「パーシャルアゴニスト」は、全受容体集団を占有する場合でさえ完全未満の活性化をもたらす。
【0075】
「インバースアゴニスト」という用語は、同じアゴニスト結合部位に結合することによってアゴニストの効果と反対の効果を生じるか、または異なるアロステリック結合部位での結合によってアゴニストの効果を低減する、化合物を指す。
【0076】
「アンタゴニスト」という用語は、別の化合物もしくは受容体部位の作用を減退または防止するか、あるいはアゴニストの効果を弱める化合物を指す。「競合的アンタゴニスト」は、アゴニストと同じ部位に結合するが、それを活性化せず、このようにしてアゴニストの作用を遮断する。「非競合的アンタゴニスト」は、受容体上のアロステリック部位に結合して、受容体の活性化を防止する。「可逆的アンタゴニスト」の受容体への結合は、非共有結合性であるが(ウォッシュアウトできる)、「不可逆的アンタゴニスト」の結合は、共有結合性である(ウォッシュアウトできない)。
【0077】
「アロステリックモジュレーター」という用語は、アゴニスト結合部位とは異なる部位、すなわち、アロステリック部位で、受容体に結合する化合物を指し、ここで、受容体におけるコンフォメーション変化を誘導することによって、内因性リガンドまたはアゴニストに対する受容体の親和性および/または活性が変わる。「正のアロステリックモジュレーター」または「PAM」は、親和性および/または活性を増加させる一方で、「負のアロステリックモジュレーター」または「NAM」は、受容体の親和性および/または活性を減少させる。上記に定義される式(I)の化合物は、正のアロステリックモジュレーターである。
【0078】
「阻害定数」(Ki)という用語は、特定の阻害剤の受容体に対する絶対結合親和性を指す。これは、競合的結合アッセイを使用して測定され、チェン・プルソフの関係:Ki=IC50/[1+([L]/KD)](式中、[L]は、放射性リガンドの濃度であり、KDは、受容体結合部位に対する標識リガンドの親和性である)を使用して、競合するリガンドが存在しない場合に特定の阻害剤が受容体の半分を占有するであろう濃度(IC50)から計算される。Ki値は、pKi値に対数変換することができ(-logKi)、ここで、より高い値は、指数関数的により高い効力を示す。
【0079】
「最大下有効濃度」という用語は、最大の特定の効果の10%を得るために必要な特定の化合物の濃度を指す。
【0080】
「状態」、「欠陥」、「欠損」、「身体障害」、「障害」、「疾患」または「疾患状態」という用語は、任意の疾患、状態、症状、症候群、障害または兆候を表すために互換的に使用される。
【0081】
「GABAA α5受容体に関連する疾患」という用語は、疾患の1つの症状および/または複数の症状の1つがGABAA α5受容体に関連し得る中枢神経系の疾患、状態または障害を指す。そのような疾患としては、限定されるものではないが、神経発達障害、神経変性障害、神経認知障害、統合失調症、気分障害、疼痛性障害、物質関連障害および嗜癖性障害、または他の疾患が挙げられる。
【0082】
GABAA α5受容体に関連する疾患は、互いに併存疾患を示してもよい。併存疾患は、患者における別の状態と同時であるが独立して存在する病状、または同じ患者において別の状態を引き起こす、それによって引き起こされる、もしくはそうでなければそれに関連する患者における病状を示す。しかしながら、精神医学的、心理学的またはメンタルヘルス疾患において、併存疾患は、必ずしも複数の疾患の存在を意味しないが、代わりに、すべての症状の主な原因となる単一の診断を我々が現在提供することができないことを反映し得る。
【0083】
「神経発達障害」という用語は、限定されるものではないが、自閉症スペクトラム障害(ASD)、アンジェルマン症候群、脆弱X障害、プラダー-ウィリー症候群、レット症候群またはダウン症を含む。
【0084】
「神経変性障害」という用語は、限定されるものではないが、アルツハイマー病(AD)、ハンチントン病(HD)、パーキンソン病(PD)、または筋萎縮性側索硬化症(ALS)を含む。
【0085】
「神経認知障害」という用語は、限定されるものではないが、認知欠陥障害、記憶欠損、加齢に関連する記憶障害または認知機能低下、認知症(またはアルツハイマー病、ニーマン・ピック病、パーキンソン病もしくはハンチントン病における認知症、レビー小体型認知症(DLB)、前頭側頭型認知症、血管性認知症(VaD)、皮質下認知症、血管性および皮質下の混合型認知症、多発梗塞性認知症、術後認知症、または炎症誘発性認知症などのそれらの異なる形態)、アルツハイマー病関連神経精神症状、軽度認知機能障害(MCI)、血管性認知機能障害(VCI)、脳卒中後に生じるCNS状態、脳がん(限定されるものではないが、髄芽腫を含む)に関連する認知機能障害、ダウン症(DS)における認知機能低下、大うつ病性障害(MDD)における認知機能不全、またはHIV関連神経認知障害を含む。「統合失調症」という用語は、限定されるものではないが、異なる形態の統合失調症、統合失調症に関連する陽性症状、陰性症状および/または認知的症状、統合失調型障害および妄想性障害を含む。
【0086】
「疼痛性障害」という用語は、限定されるものではないが、侵害受容性疼痛、神経障害性疼痛または炎症性疼痛を含む。
【0087】
「気分障害」という用語は、限定されるものではないが、うつ病関連障害(大うつ病性障害(MDD)など)、気分変調、気分循環性障害、季節性情動障害/季節性うつ病、外傷性脳損傷(TBI)後のうつ病、産後うつ病、月経前不快気分障害、閉経期に関連するうつ症状、薬物乱用/離脱後のうつ病、双極性障害(寛解期の双極性障害、または双極性障害のうつ病エピソード)、物質(アルコールまたは薬物)誘発性または特定不能な気分障害(MD-NOS)を含む。
【0088】
「他の疾患」という用語は、限定されるものではないが、注意欠陥多動障害および成人の注意欠陥、他のストレス関連状態、脳卒中、I型神経線維腫症、多発性硬化症、急性髄膜炎、アルコール使用障害、胎児アルコールスペクトラム障害、気管支収縮性疾患(喘息、慢性閉塞性肺疾患、および気管支肺異形成症など)または肥満を含む。
【0089】
一つの実施形態において、GABAA α5受容体に関連する疾患は、自閉症スペクトラム障害(ASD);アンジェルマン症候群、脆弱X障害、プラダー-ウィリー症候群、レット症候群、ダウン症、アルツハイマー病(AD)、ハンチントン病(HD)、パーキンソン病(PD)、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、認知欠陥障害、記憶欠損、加齢に関連する記憶障害または認知機能低下、認知症またはその異なる形態、例えば、アルツハイマー病、ニーマン・ピック病、パーキンソン病もしくはハンチントン病における認知症、レビー小体型認知症(DLB)、前頭側頭型認知症、血管性認知症(VaD)、皮質下認知症、血管性および皮質下の混合型認知症、多発梗塞性認知症、術後認知症、または炎症誘発性認知症、アルツハイマー病関連神経精神症状、軽度認知機能障害(MCI)、血管性認知機能障害(VCI)、脳卒中後に生じるCNS状態、脳がん(限定されるものではないが、髄芽腫を含む)に関連する認知機能障害、ダウン症(DS)における認知機能低下、大うつ病性障害(MDD)における認知機能不全、HIV関連神経認知障害;異なる形態の統合失調症、統合失調症に関連する陽性症状、陰性症状および/または認知的症状、統合失調型障害および妄想性障害;侵害受容性疼痛、神経障害性疼痛または炎症性疼痛;うつ病関連障害(大うつ病性障害(MDD)など)、気分変調、気分循環性障害、季節性情動障害/季節性うつ病、外傷性脳損傷(TBI)後のうつ病、産後うつ病、月経前不快気分障害、閉経期に関連するうつ症状、薬物乱用/離脱後のうつ病、双極性障害(寛解期の双極性障害、または双極性障害のうつ病エピソード)、物質(アルコールまたは薬物)誘発性、特定不能な気分障害(MD-NOS);注意欠陥多動障害および成人の注意欠陥、他のストレス関連状態、脳卒中、I型神経線維腫症、多発性硬化症、急性髄膜炎、アルコール使用障害、胎児アルコールスペクトラム障害、気管支収縮性疾患(喘息、慢性閉塞性肺疾患、および気管支肺異形成症など)または肥満を指す。
【0090】
好ましい実施形態において、GABAA α5受容体に関連する疾患は、自閉症スペクトラム障害(ASD)、アンジェルマン症候群、脆弱X障害、プラダー-ウィリー症候群、レット症候群、アルツハイマー病(AD)、認知欠陥障害、記憶欠損、加齢に関連する記憶障害または認知機能低下、認知症、軽度認知機能障害(MCI)、双極性障害、統合失調症に関連する陰性症状および/または認知的症状、てんかん、心的外傷後ストレス障害、筋萎縮性側索硬化症を指す。
【0091】
本発明は、GABAA α5受容体に関連する疾患を治療または予防する方法であって、治療有効量の上記に定義される式(I)の化合物を単独で、または医薬製剤の形態で少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤とともに、その治療または予防を必要とする対象、好ましくは、哺乳動物、より好ましくは、人間に投与することを含む、方法を提供する。
【0092】
本発明は、GABAA α5受容体に関連する疾患を治療または予防する方法であって、治療有効量の上記に定義される式(I)の化合物を、1つ以上の他の活性成分と組み合わせて、その治療または予防を必要とする対象、好ましくは、哺乳動物、より好ましくは、人間に投与することを含む、方法を提供する。
【0093】
本発明は、神経発達障害、神経変性障害、神経認知障害、統合失調症、気分障害、疼痛性障害、物質関連障害および嗜癖性障害、もしくは他の疾患、またはそれらの1つの症状および/もしくは複数の症状の少なくとも1つを治療または予防する方法であって、疾患の1つの症状および/もしくは複数の症状の1つが、それらを患っている対象、好ましくは、哺乳動物、より好ましくは、人間において、GABAA α5受容体に関連し得る、方法を提供する。この治療の方法は、治療有効量の上記に定義される式(I)の化合物を、その治療または予防を必要とする対象、好ましくは、哺乳動物、より好ましくは、人間に投与することを含む。治療の方法は、治療有効量の上記に定義される式(I)の化合物を含む医薬組成物を、その治療を必要とする対象、好ましくは、哺乳動物、より好ましくは、人間に投与することを含んでいてもよい。
【0094】
本発明は、それらを患っている対象、好ましくは、哺乳動物、より好ましくは、人間における、自閉症スペクトラム障害(ASD)、アンジェルマン症候群、脆弱X障害、プラダー-ウィリー症候群、レット症候群、アルツハイマー病(AD)、認知欠陥障害、記憶欠損、加齢に関連する記憶障害もしくは認知機能低下、認知症、軽度認知機能障害(MCI)、双極性障害、統合失調症に関連する陰性症状および/もしくは認知的症状、てんかん、心的外傷後ストレス障害、筋萎縮性側索硬化症、またはそれらの1つの症状および/もしくは複数の症状の少なくとも1つを治療または予防する方法であって、治療有効量の上記に定義される式(I)の化合物を投与することを含む、方法を提供する。
【0095】
本発明は、GABAA α5受容体に関連する疾患の治療または予防における使用のための上記に定義される式(I)の化合物を提供する。
【0096】
本発明は、GABAA α5受容体に関連する疾患の治療または予防における使用のための1つ以上の他の活性成分と組み合わされた上記に定義される式(I)の化合物を提供する。
【0097】
本発明は、神経発達障害、神経変性障害、神経認知障害、統合失調症、気分障害、疼痛性障害、物質関連障害および嗜癖性障害、もしくは他の疾患、またはそれらの1つの症状および/もしくは複数の症状の少なくとも1つの治療または予防における使用のための上記に定義される式(I)の化合物を提供する。
【0098】
本発明は、自閉症スペクトラム障害(ASD)、アンジェルマン症候群、脆弱X障害、プラダー-ウィリー症候群、レット症候群、アルツハイマー病(AD)、認知欠陥障害、記憶欠損、加齢に関連する記憶障害もしくは認知機能低下、認知症、軽度認知機能障害(MCI)、双極性障害、統合失調症に関連する陰性症状および/もしくは認知的症状、てんかん、心的外傷後ストレス障害、筋萎縮性側索硬化症、またはそれらの1つの症状および/もしくは複数の症状の少なくとも1つの治療または予防における使用のための上記に定義される式(I)の化合物を提供する。
【0099】
本発明は、GABAA α5受容体に関連する疾患の治療または予防のための医薬の製造のための上記に定義される式(I)の化合物の使用を提供する。
【0100】
本発明は、GABAA α5受容体に関連する疾患の治療または予防のための医薬の製造のための、1つ以上の他の活性成分と組み合わされた上記に定義される式(I)の化合物の使用を提供する。
【0101】
本発明は、神経発達障害、神経変性障害、神経認知障害、統合失調症、気分障害、疼痛性障害、物質関連障害および嗜癖性障害、もしくは他の疾患、またはそれらの1つの症状および/もしくは複数の症状の少なくとも1つの治療または予防のための医薬の製造のための上記に定義される式(I)の化合物の使用を提供する。
【0102】
本発明は、自閉症スペクトラム障害(ASD)、アンジェルマン症候群、脆弱X障害、プラダー-ウィリー症候群、レット症候群、アルツハイマー病(AD)、認知欠陥障害、記憶欠損、加齢に関連する記憶障害もしくは認知機能低下、認知症、軽度認知機能障害(MCI)、双極性障害、統合失調症に関連する陰性症状および/もしくは認知的症状、てんかん、心的外傷後ストレス障害、筋萎縮性側索硬化症、またはそれらの1つの症状および/もしくは複数の症状の少なくとも1つの治療または予防のための医薬の製造のための上記に定義される式(I)の化合物の使用を提供する。
【0103】
本発明は、GABAA α5受容体に関連する疾患の治療または予防における使用のための上記に定義される式(I)の化合物を含む医薬組成物にも関する。
【0104】
本発明は、GABAA α5受容体に関連する疾患の治療または予防における使用のための上記に定義される式(I)の化合物を1つ以上の他の活性成分とともに含む医薬組成物にも関する。
【0105】
「治療」という用語は、特定の病態の軽減、状態の1つ以上の症状の排除または低減、疾患状態の進行の遅延または排除、およびすでに疾患を患っているか、または疾患と診断されている患者または対象の病態の再発の予防または遅延を指す。「予防」(または疾患の作用の予防または遅延)は、典型的には、すでに発生した疾患または状態を有する患者に与えられたかのように、同じまたは類似の方法で薬物を投与することによって行われる。
【0106】
「治療有効量」という用語は、そのような量を受けなかった対応する対象と比較して、疾患もしくは疾患状態もしくは副作用の治療、治癒、予防または改善をもたらし、疾患または病態の進行を低減する、活性成分の量を指す。この用語は、正常な生理学的機能を増強する有効量も含む。治療における使用のために、上記に定義される式(I)の化合物、ならびにその任意の塩、および/またはその塩、および/またはその立体異性体、および/またはそのエナンチオマー、および/またはそのラセミ体もしくはそのジアステレオマー、および/またはその生物学的に活性な代謝産物もしくはそのプロドラッグもしくはその溶媒和物もしくはその水和物、および/またはその多形体は、原料の化学物質として治療有効量で投与されてもよい。加えて、活性成分は、医薬製剤として利用可能である。
【0107】
「対象」という用語は、脊椎動物を指す。ある特定の実施形態において、脊椎動物は、哺乳動物である。哺乳動物としては、ヒト、チンパンジーおよび他の類人猿ならびにサル種などの非ヒト霊長類、ウシ、ウマ、ヒツジ、ヤギおよびブタなどの家畜、ウサギ、イヌおよびネコなどの飼育動物、ラット、マウスおよびモルモットなどのげっ歯動物を含む実験動物が挙げられる。ある特定の実施形態において、哺乳動物は、ヒトである。対象という用語は、特定の年齢または性別を表すものではない。
【0108】
一つの実施形態において、本発明は、式(I’)の化合物
【化5】
[式中、
Aは、
【化6】
によって表され;
ここで、任意の環Aの部位「a1」は部位「a2」に結合し、任意の環Aの部位「b1」は部位「b2」に結合し;R
1、R
2およびXは、式(I)の化合物について上記に定義された通りである]、
および/またはその塩、および/またはその立体異性体、および/またはそのエナンチオマー、および/またはそのラセミ体もしくはそのジアステレオマー、および/またはその生物学的に活性な代謝産物もしくはそのプロドラッグもしくはその溶媒和物もしくはその水和物、および/またはその多形体に関する。
【0109】
一つの実施形態において、本発明は、式(I-a)の化合物
【化7】
[式中、R
1、R
2およびXは、式(I)の化合物について上記で定義された通りである]、
および/またはその塩、および/またはその立体異性体、および/またはそのエナンチオマー、および/またはそのラセミ体もしくはそのジアステレオマー、および/またはその生物学的に活性な代謝産物もしくはそのプロドラッグもしくはその溶媒和物もしくはその水和物、および/またはその多形体に関する。
【0110】
一つの実施形態において、本発明は、式(I-b)の化合物
【化8】
[式中、R
1、R
2およびXは、式(I)の化合物について上記で定義された通りである]、
および/またはその塩、および/またはその立体異性体、および/またはそのエナンチオマー、および/またはそのラセミ体もしくはそのジアステレオマー、および/またはその生物学的に活性な代謝産物もしくはそのプロドラッグもしくはその溶媒和物もしくはその水和物、および/またはその多形体に関する。
【0111】
一つの実施形態において、本発明は、R1が、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、またはハロ-C1-6アルキル基である、式(I)の化合物に関する。
【0112】
一つの実施形態において、本発明は、R2が、水素;-S(O)2-C1-6アルキル、C3-7シクロアルキル、またはN、OおよびSから独立して選択される1、2、3もしくは4個の環ヘテロ原子を含み、残りの環原子が炭素である、3~10個の環原子の一価の飽和もしくは部分的に不飽和の単環式、二環式、縮合、架橋もしくはスピロ環系で場合に置換されていてもよいC1-6アルキル基;C3-7シクロアルキル基;C1-6アルキルで場合により置換されていてもよい、N、OおよびSから独立して選択される1、2、3もしくは4個の環ヘテロ原子を含み、残りの環原子が炭素である、3~10個の環原子の一価の飽和もしくは部分的に不飽和の単環式、二環式、縮合、架橋もしくはスピロ環系;あるいはN、OおよびSから独立して選択される1、2もしくは3個のヘテロ原子を含み、残りの環原子が炭素である、5~10個の環原子の一価の複素環式芳香族の単環式もしくは二環式環系である、式(I)の化合物に関する。
【0113】
一つの実施形態において、本発明は、
R1が、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、またはハロ-C1-6アルキル基であり;
R2が、水素;-S(O)2-C1-6アルキル、C3-7シクロアルキル、またはN、OおよびSから独立して選択される1、2、3もしくは4個の環ヘテロ原子を含み、残りの環原子が炭素である、3~10個の環原子の一価の飽和もしくは部分的に不飽和の単環式、二環式、縮合、架橋もしくはスピロ環系で場合に置換されていてもよいC1-6アルキル基;C3-7シクロアルキル基;C1-6アルキルで場合により置換されていてもよい、N、OおよびSから独立して選択される1、2、3もしくは4個の環ヘテロ原子を含み、残りの環原子が炭素である、3~10個の環原子の一価の飽和もしくは部分的に不飽和の単環式、二環式、縮合、架橋もしくはスピロ環系;あるいはN、OおよびSから独立して選択される1、2もしくは3個のヘテロ原子を含み、残りの環原子が炭素である、5~10個の環原子の一価の複素環式芳香族の単環式もしくは二環式環系である、
式(I)の化合物に関する。
【0114】
一つの実施形態において、本発明は、R1が、C1-4アルキル基、C1-4アルコキシ基、またはハロ-C1-4アルキル基である、式(I)の化合物に関する。
【0115】
一つの実施形態において、本発明は、R2が、水素;-S(O)2-C1-4アルキル、C4-6シクロアルキル、またはN、OおよびSから独立して選択される1もしくは2個の環ヘテロ原子を含み、残りの環原子が炭素である、3~7個の環原子の一価の飽和単環式環で場合に置換されていてもよいC1-4アルキル基;C4-6シクロアルキル基;C1-4アルキルで場合により置換されていてもよい、N、OおよびSから独立して選択される1もしくは2個の環ヘテロ原子を含み、残りの環原子が炭素である、3~7個の環原子の一価の飽和単環式環;あるいはN、OおよびSから独立して選択される1もしくは2個のヘテロ原子を含み、残りの環原子が炭素である、5~6個の環原子の一価の複素環式芳香族の単環式環系である、式(I)の化合物に関する。
【0116】
一つの実施形態において、本発明は、
R1が、C1-4アルキル基、C1-4アルコキシ基、またはハロ-C1-4アルキル基であり;
R2が、水素;-S(O)2-C1-4アルキル、C4-6シクロアルキル、またはN、OおよびSから独立して選択される1もしくは2個の環ヘテロ原子を含み、残りの環原子が炭素である、3~7個の環原子の一価の飽和単環式環で場合に置換されていてもよいC1-4アルキル基;C4-6シクロアルキル基;C1-4アルキルで場合により置換されていてもよい、N、OおよびSから独立して選択される1もしくは2個の環ヘテロ原子を含み、残りの環原子が炭素である、3~7個の環原子の一価の飽和単環式環;あるいはN、OおよびSから独立して選択される1もしくは2個のヘテロ原子を含み、残りの環原子が炭素である、5~6個の環原子の一価の複素環式芳香族の単環式環系である、
式(I)の化合物に関する。
【0117】
一つの実施形態において、本発明は、R1が、C1-2アルキル基、C1-2アルコキシ基、またはハロ-C1-2アルキル基である、式(I)の化合物に関する。
【0118】
一つの実施形態において、R2が、水素;-S(O)2-C1-2アルキル、C4-6シクロアルキル、もしくはOおよびSから選択される1個の環ヘテロ原子を含み、残りの環原子が炭素である、3~7個の環原子の一価の飽和単環式環で場合に置換されていてもよいC1-4アルキル基;C4-6シクロアルキル基;C1-4アルキルで場合により置換されていてもよい、OおよびSから選択される1個の環ヘテロ原子を含み、残りの環原子が炭素である、3~7個の環原子の一価の飽和単環式環;またはN、OおよびSから独立して選択される1もしくは2個のヘテロ原子を含み、残りの環原子が炭素である、6個の環原子の一価の複素環式芳香族の単環式環系である、式(I)の化合物に関する。
【0119】
一つの実施形態において、本発明は、
R1が、C1-2アルキル基、C1-2アルコキシ基、またはハロ-C1-2アルキル基であり;
R2が、水素;-S(O)2-C1-2アルキル、C4-6シクロアルキル、もしくはOおよびSから選択される1個の環ヘテロ原子を含み、残りの環原子が炭素である、3~7個の環原子の一価の飽和単環式環で場合に置換されていてもよいC1-4アルキル基;C4-6シクロアルキル基;C1-4アルキルで場合により置換されていてもよい、OおよびSから選択される1個の環ヘテロ原子を含み、残りの環原子が炭素である、3~7個の環原子の一価の飽和単環式環;またはN、OおよびSから独立して選択される1もしくは2個のヘテロ原子を含み、残りの環原子が炭素である、6個の環原子の一価の複素環式芳香族の単環式環系である、
式(I)の化合物の化合物に関する。
【0120】
一つの実施形態において、本発明は、Xが、CHである、式(I)の化合物の化合物に関する。
【0121】
一つの実施形態において、本発明は、Xが、Nである、式(I)の化合物の化合物に関する。
【0122】
一つの実施形態において、本発明は、R2が、水素である、式(I)の化合物の化合物に関する。
【0123】
一つの実施形態において、本発明は、R1が、アルキル基、アルコキシ基、またはハロアルキル基であり;R2が、水素であり;Xが、CHまたはNである、式(I)の化合物の化合物に関する。
【0124】
一つの実施形態において、本発明は、R1が、C1-4アルキル基、C1-4アルコキシ基、またはハロ-C1-4アルキル基であり;R2が、水素であり;Xが、CHまたはNである、式(I)の化合物の化合物に関する。
【0125】
一つの実施形態において、本発明は、R1が、C1-2アルキル基、またはハロ-C1-2アルキル基であり;R2が、水素であり;Xが、CHまたはNである、式(I-a)の化合物に関する。
【0126】
一つの実施形態において、本発明は、
6-{[5-メチル-3-(6-メチルピリジン-3-イル)-1,2-オキサゾール-4-イル]メトキシ}-1,2,3,4-テトラヒドロ-2,7-ナフチリジン、
6-({5-メチル-3-[6-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル]-1,2-オキサゾール-4-イル}メトキシ)-1,2,3,4-テトラヒドロ-2,7-ナフチリジン、
2-メチル-6-{[5-メチル-3-(6-メチルピリジン-3-イル)-1,2-オキサゾール-4-イル]メトキシ}-1,2,3,4-テトラヒドロ-2,7-ナフチリジン、
2-シクロブチル-6-{[5-メチル-3-(6-メチルピリジン-3-イル)-1,2-オキサゾール-4-イル]メトキシ}-1,2,3,4-テトラヒドロ-2,7-ナフチリジン、
2-(シクロブチルメチル)-6-{[5-メチル-3-(6-メチルピリジン-3-イル)-1,2-オキサゾール-4-イル]メトキシ}-1,2,3,4-テトラヒドロ-2,7-ナフチリジン、
2-シクロペンチル-6-{[5-メチル-3-(6-メチルピリジン-3-イル)-1,2-オキサゾール-4-イル]メトキシ}-1,2,3,4-テトラヒドロ-2,7-ナフチリジン、
6-({5-メチル-3-[6-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル]-1,2-オキサゾール-4-イル}メトキシ)-2-(オキサン-4-イル)-1,2,3,4-テトラヒドロ-2,7-ナフチリジン、
6-({5-メチル-3-[6-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル]-1,2-オキサゾール-4-イル}メトキシ)-2-(オキソラン-3-イル)-1,2,3,4-テトラヒドロ-2,7-ナフチリジン、
6-{[5-メチル-3-(6-メチルピリジン-3-イル)-1,2-オキサゾール-4-イル]メトキシ}-2-(オキソラン-3-イル)-1,2,3,4-テトラヒドロ-2,7-ナフチリジン、
6-{[5-メチル-3-(6-メチルピリジン-3-イル)-1,2-オキサゾール-4-イル]メトキシ}-2-(オキセタン-3-イル)-1,2,3,4-テトラヒドロ-2,7-ナフチリジン、
6-{[5-メチル-3-(6-メチルピリジン-3-イル)-1,2-オキサゾール-4-イル]メトキシ}-2-(オキサン-4-イル)-1,2,3,4-テトラヒドロ-2,7-ナフチリジン、
2-(1-メタンスルホニルプロパン-2-イル)-6-({5-メチル-3-[6-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル]-1,2-オキサゾール-4-イル}メトキシ)-1,2,3,4-テトラヒドロ-2,7-ナフチリジン、
6-{[5-メチル-3-(6-メチルピリジン-3-イル)-1,2-オキサゾール-4-イル]メトキシ}-2-(ピリジン-2-イル)-1,2,3,4-テトラヒドロ-2,7-ナフチリジン、
2-メチル-5-[5-メチル-4-({5H,6H,7H,8H-ピリド[3,4-c]ピリダジン-3-イルオキシ}メチル)-1,2-オキサゾール-3-イル]ピリジン、
5-[5-メチル-4-({5H,6H,7H,8H-ピリド[3,4-c]ピリダジン-3-イルオキシ}メチル)-1,2-オキサゾール-3-イル]-2-(トリフルオロメチル)ピリジン、
2-メチル-5-{5-メチル-4-[({7-メチル-5H,6H,7H,8H-ピリド[3,4-c]ピリダジン-3-イル}オキシ)メチル]-1,2-オキサゾール-3-イル}ピリジン、
5-[5-メチル-4-({5H,6H,7H,8H-ピリド[3,4-c]ピリダジン-3-イルオキシ}メチル)-1,2-オキサゾール-3-イル]-2-(トリフルオロメチル)ピリジン、
5-[5-メチル-4-({[7-(オキソラン-3-イル)-5H,6H,7H,8H-ピリド[3,4-c]ピリダジン-3-イル]オキシ}メチル)-1,2-オキサゾール-3-イル]-2-(トリフルオロメチル)ピリジン、
3-{[3-({5-メチル-3-[6-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル]-1,2-オキサゾール-4-イル}メトキシ)-5H,6H,7H,8H-ピリド[3,4-c]ピリダジン-7-イル]メチル}-1ラムダ6-チオラン-1,1-ジオン、
6-{[4-メチル-1-(6-メチルピリジン-3-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-5-イル]メトキシ}-1,2,3,4-テトラヒドロ-2,7-ナフチリジン、
2-メチル-6-{[4-メチル-1-(6-メチルピリジン-3-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-5-イル]メトキシ}-1,2,3,4-テトラヒドロ-2,7-ナフチリジン、
6-{[4-メチル-1-(6-メチルピリジン-3-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-5-イル]メトキシ}-2-(プロパン-2-イル)-1,2,3,4-テトラヒドロ-2,7-ナフチリジン、
6-({1-[6-(ジフルオロメチル)ピリジン-3-イル]-4-メチル-1H-1,2,3-トリアゾール-5-イル}メトキシ)-2-メチル-1,2,3,4-テトラヒドロ-2,7-ナフチリジン、
6-({4-メチル-1-[6-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル]-1H-1,2,3-トリアゾール-5-イル}メトキシ)-1,2,3,4-テトラヒドロ-2,7-ナフチリジン、
6-({1-[6-(ジフルオロメチル)ピリジン-3-イル]-4-メチル-1H-1,2,3-トリアゾール-5-イル}メトキシ)-1,2,3,4-テトラヒドロ-2,7-ナフチリジン、
6-({4-メチル-1-[6-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル]-1H-1,2,3-トリアゾール-5-イル}メトキシ)-2-(プロパン-2-イル)-1,2,3,4-テトラヒドロ-2,7-ナフチリジン、
2-メチル-6-({4-メチル-1-[6-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル]-1H-1,2,3-トリアゾール-5-イル}メトキシ)-1,2,3,4-テトラヒドロ-2,7-ナフチリジン、
6-({1-[6-(ジフルオロメチル)ピリジン-3-イル]-4-メチル-1H-1,2,3-トリアゾール-5-イル}メトキシ)-2-(プロパン-2-イル)-1,2,3,4-テトラヒドロ-2,7-ナフチリジン、
6-{[4-メチル-1-(6-メチルピリジン-3-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-5-イル]メトキシ}-2-(オキソラン-3-イル)-1,2,3,4-テトラヒドロ-2,7-ナフチリジン、
6-({1-[6-(ジフルオロメチル)ピリジン-3-イル]-4-メチル-1H-1,2,3-トリアゾール-5-イル}メトキシ)-2-(オキソラン-3-イル)-1,2,3,4-テトラヒドロ-2,7-ナフチリジン、
6-{[4-メチル-1-(6-メチルピリジン-3-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-5-イル]メトキシ}-2-(オキセタン-3-イル)-1,2,3,4-テトラヒドロ-2,7-ナフチリジン、
6-({4-メチル-1-[6-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル]-1H-1,2,3-トリアゾール-5-イル}メトキシ)-2-(オキソラン-3-イル)-1,2,3,4-テトラヒドロ-2,7-ナフチリジン、
6-{[4-メチル-1-(6-メチルピリジン-3-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-5-イル]メトキシ}-2-(オキサン-4-イル)-1,2,3,4-テトラヒドロ-2,7-ナフチリジン、
6-{[1-(6-メトキシピリジン-3-イル)-4-メチル-1H-1,2,3-トリアゾール-5-イル]メトキシ}-1,2,3,4-テトラヒドロ-2,7-ナフチリジン、
6-({4-メチル-1-[6-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル]-1H-1,2,3-トリアゾール-5-イル}メトキシ)-2-(オキサン-4-イル)-1,2,3,4-テトラヒドロ-2,7-ナフチリジン、
3-{[6-({4-メチル-1-[6-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル]-1H-1,2,3-トリアゾール-5-イル}メトキシ)-1,2,3,4-テトラヒドロ-2,7-ナフチリジン-2-イル]メチル}-1ラムダ6-チオラン-1,1-ジオン、
6-({4-メチル-1-[6-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル]-1H-1,2,3-トリアゾール-5-イル}メトキシ)-2-(ピリジン-3-イル)-1,2,3,4-テトラヒドロ-2,7-ナフチリジン、
6-{[4-メチル-1-(6-メチルピリジン-3-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-5-イル]メトキシ}-2-[(3S)-オキソラン-3-イル]-1,2,3,4-テトラヒドロ-2,7-ナフチリジン、
6-{[4-メチル-1-(6-メチルピリジン-3-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-5-イル]メトキシ}-2-[(3R)-オキソラン-3-イル]-1,2,3,4-テトラヒドロ-2,7-ナフチリジン、
6-{[1-(6-メトキシピリジン-3-イル)-4-メチル-1H-1,2,3-トリアゾール-5-イル]メトキシ}-2-(オキサン-4-イル)-1,2,3,4-テトラヒドロ-2,7-ナフチリジン、
6-{[4-メチル-1-(6-メチルピリジン-3-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-5-イル]メトキシ}-2-(2-メチルプロピル)-1,2,3,4-テトラヒドロ-2,7-ナフチリジン、
6-{[4-メチル-1-(6-メチルピリジン-3-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-5-イル]メトキシ}-2-[3-(プロパン-2-イル)オキセタン-3-イル]-1,2,3,4-テトラヒドロ-2,7-ナフチリジン、
2-(3-エチルオキセタン-3-イル)-6-{[4-メチル-1-(6-メチルピリジン-3-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-5-イル]メトキシ}-1,2,3,4-テトラヒドロ-2,7-ナフチリジン、
2-メチル-5-[4-メチル-5-({5H,6H,7H,8H-ピリド[3,4-c]ピリダジン-3-イルオキシ}メチル)-1H-1,2,3-トリアゾール-1-イル]ピリジン、
5-[5-({[7-(シクロブチルメチル)-5H,6H,7H,8H-ピリド[3,4-c]ピリダジン-3-イル]オキシ}メチル)-4-メチル-1H-1,2,3-トリアゾール-1-イル]-2-メチルピリジン、および
5-{5-[({7-シクロブチル-5H,6H,7H,8H-ピリド[3,4-c]ピリダジン-3-イル}オキシ)メチル]-4-メチル-1H-1,2,3-トリアゾール-1-イル}-2-メチルピリジン
からなる群から選択される上記に定義される式(I)の化合物、
および/またはその塩、および/またはその立体異性体、および/またはそのエナンチオマー、および/またはそのラセミ体もしくはそのジアステレオマー、および/またはその生物学的に活性な代謝産物もしくはそのプロドラッグもしくはその溶媒和物もしくはその水和物、および/またはその多形体に関する。
【0127】
式(I)の化合物の一般的な合成、生物学的アッセイ、中間体および実施例の記載において、以下の略語を使用した。
【0128】
式(I)の化合物の調製方法
本発明の式(I)の化合物は、スキーム1、2、3、4および5に表される反応式に従って合成することができる。
【0129】
X=CHであり、R
1およびR
2が上記に記載される実施形態のいずれかに定義される通りである、式(I-a)の化合物は、スキーム1および2に従って調製することができる。
【化9】
【0130】
スキーム1に従って、式(II)の化合物を塩素化剤、例えば、POCl
3と反応させることにより、式(III)の中間体を得る。式(II)のヒドロキシ誘導体は、当技術分野において公知であるか(WO2018/104419A1)、または従来の方法によって合成することができる。
【化10】
【0131】
スキーム2に従って、式(IV)のアルコールと式(III)の中間体との間のエステル化は、好適な溶媒、例えば、アセトニトリル中、好適な塩基、例えば、K2CO3の存在下で達成して、式(V)の化合物を形成することができる。R2=Hである一般式(I-a)の化合物は、酸、例えば、塩化水素で飽和された酢酸エチルまたはジクロロメタン中のTFAを使用する式(V)の保護基の除去後に得られた。R2=-S(O)2-アルキル、シクロアルキルまたは複素環で場合により置換されていてもよいアルキル;シクロアルキル;複素環である一般式(I-a)の化合物は、アルキル化によって、R2=Hである一般式(I-a)の化合物から得られた。R2=ヘテロアリールである一般式(I-a)の化合物は、アリール化によって、R2=Hである一般式(I-a)の化合物から得られた。R2=アルキルで場合により置換されていてもよい複素環である一般式(I-a)の化合物は、ベンゾトリアゾールおよびカルボニル化合物を用いる縮合とそれに続くグリニャール試薬を使用する求核反応によって、R2=Hである一般式(I-a)の化合物から得られた。式(IV)のアルコールは、購入することができるか、または従来の方法によって調製することができる。
【0132】
X=Nであり、R
1およびR
2が上記に記載される実施形態のいずれかに定義される通りである、式(I-a)の化合物は、スキーム3に従って調製することができる。
【化11】
【0133】
スキーム3に従って、式(VI)のクロロ誘導体と式(II)のヒドロキシ誘導体との間のエステル化は、好適な塩基、例えば、Cs2CO3の存在下でのパラジウム媒介プロセスによって行って、式(VII)の化合物を得ることができる。R2=Hである一般式(I-a)の化合物は、酸、例えば、塩化水素で飽和された酢酸エチルまたはジクロロメタン中のTFAを使用する式(VII)の保護基の除去後に得られた。R2=-S(O)2-アルキル、シクロアルキルまたは複素環で場合により置換されていてもよいアルキル;シクロアルキル;複素環である一般式(I-a)の化合物は、アルキル化によって、R2=Hである一般式(I-a)の化合物から得られた。R2=ヘテロアリールである一般式(I-a)の化合物は、アリール化によって、R2=Hである一般式(I-a)の化合物から得られた。R2=アルキルで場合により置換されていてもよい複素環である一般式(I-a)の化合物は、ベンゾトリアゾールおよびカルボニル化合物を用いる縮合とそれに続くグリニャール試薬を使用する求核反応によって、R2=Hである一般式(I-a)の化合物から得られた。式(VI)のクロロ誘導体は、購入することができるか、または従来の方法によって調製することができる。
【0134】
X、R
1およびR
2が上記に記載される実施形態のいずれかに定義される通りである、式(I-b)の化合物は、スキーム4および5に従って調製することができる。
【化12】
【0135】
第1工程において、式(1)の化合物を、好適な溶媒、例えば、DMSO中、エチルアセトアセテートと反応させることにより、式(2)の化合物を得て、これを、KIおよびTBHPの存在下、N-トシルヒドラジンとカップリングさせて、式(3)の化合物を得る(Huangら Adv.Synth.Catal.2018,360:3117-3123)。好適な溶媒、例えば、トルエン中での式(3)の化合物の還元剤、例えば、DIBAL-Hによる処理により、式(VIII)の化合物を得る。あるいは、式(1)の化合物は、ジアゾニウム塩に変換され、これを、トリメチルシリルアジドとさらに反応させ、式(4)の化合物を得る。式(4)の化合物を2-ブチン-1-オールと反応させて、式(VIII)の化合物を得る。
【化13】
【0136】
スキーム5に従って、式(VI)のクロロ誘導体と式(VIII)のヒドロキシ誘導体との間のエステル化を、好適な塩基、例えば、Cs2CO3の存在下でのパラジウム媒介プロセスによって行って、式(IX)の化合物を得ることができる。R2=Hである一般式(I-b)の化合物は、酸、例えば、塩化水素で飽和された酢酸エチルまたはジクロロメタン中のTFAを使用する式(IX)の保護基の除去後に得られた。R2=-S(O)2-アルキル、シクロアルキルまたは複素環で場合により置換されていてもよいアルキル;シクロアルキル;複素環である一般式(I-b)の化合物は、アルキル化によって、R2=Hである一般式(I-b)の化合物から得られた。R2=ヘテロアリールである一般式(I-b)の化合物は、アリール化によって、R2=Hである一般式(I-b)の化合物から得られた。R2=アルキルで場合により置換されていてもよい複素環である一般式(I-b)の化合物は、ベンゾトリアゾールおよびカルボニル化合物を用いる縮合とそれに続くグリニャール試薬を使用する求核反応によって、R2=Hである一般式(I-b)の化合物から得られた。式(VI)のクロロ誘導体は、購入することができるか、または従来の方法によって調製することができる。
【0137】
上記の反応に必要な試薬および詳細なプロセスの工程を、中間体および実施例に示す。
【0138】
そのため、本発明は、
工程(i)以下からなる群から選択されるカップリング反応
(a-1)式(IV)の化合物を式(III)の化合物と反応させて、式(V)の化合物を得ること(式中、X=CHであり、R1およびR2は、上記に定義される通りである);
(a-2)式(VI)の化合物を式(II)の化合物と反応させて、式(VII)の化合物を得ること(式中、X=Nであり、R1およびR2は、上記に定義される通りである);ならびに
(b)式(VI)の化合物を式(VIII)の化合物と反応させて、式(IX)の化合物を得ること(式中、X、R1およびR2は、上記に定義される通りである)
工程(ii)式(I)の化合物を得るための式(V)、(VII)または(IX)の化合物の脱保護(式中、A、X、およびR1は、上記に定義される通りであり、R2は、水素である)、ならびに
工程(iii)場合により、式(I)の化合物(式中、R2は、水素である)を、式(I)の化合物(式中、A、XおよびR1は、上記に定義される通りであり、R2は、-S(O)2-アルキル、シクロアルキルもしくは複素環で場合に置換されていてもよいアルキル基;シクロアルキル基;アルキルで場合により置換されていてもよい複素環基;またはヘテロアリール基である)に変換すること
を含む、上記に定義される式(I)の化合物の調製のための方法に関する。
【0139】
ある態様において、本発明は、A、X、およびR
1が上記に定義される通りであり、R
2が、アミノ保護基(Peter G.M.Wuts:Greene’s Protective Groups in Organic Synthesis:第5版,第7章.Protection for the Amino Group,895-1193頁)、例えば、カルバメート(メチル、9-フルオレニルメチル、2,2,2-トリクロロエチル、tert-ブチル、2-(トリメチルシリル)エチル、アリル、ベンジル)、トリフルオロアセトアミド、ベンジルアミン、アリルアミン、またはトリチルアミン、好ましくは、カルバメート、最も好ましくは、tert-ブチルオキシカルボニル保護基である、一般式(I)の化合物を調製するためのプロセスにおいて合成される式(I’’)の新規中間体を提供する。
【化14】
【0140】
さらなる態様において、本発明は、XがCHであり、R1およびR2が上記に定義される通りである、一般式(I)の化合物を調製するためのプロセスにおいて合成される式(V)の新規中間体を提供するが、但し、化合物は、tert-ブチル6-{[5-メチル-3-(6-メチルピリジン-3-イル)-1,2-オキサゾール-4-イル]メトキシ}-1,2,3,4-テトラヒドロ-2,7-ナフチリジン-2-カルボキシレート、またはtert-ブチル6-({5-メチル-3-[6-(トリフルオロメチル)ピリジン-5 3-イル]-1,2-オキサゾール-4-イル}メトキシ)-1,2,3,4-テトラヒドロ-2,7-ナフチリジン-2-カルボキシレートではない。
【0141】
別のさらなる態様において、本発明は、XがNであり、R1およびR2が上記に定義される通りである、一般式(I)の化合物を調製するためのプロセスにおいて合成される式(VII)の新規中間体を提供する。
【0142】
一つの実施形態において、本発明は、
tert-ブチル2-メチル-5-[5-メチル-4-({5H,6H,7H,8H-ピリド[3,4-c]ピリダジン-3-イルオキシ}メチル)-1,2-オキサゾール-3-イル]ピリジン-2-カルボキシレート、および
tert-ブチル5-[5-メチル-4-({5H,6H,7H,8H-ピリド[3,4-c]ピリダジン-3-イルオキシ}メチル)-1,2-オキサゾール-3-イル]-2-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-カルボキシレート
からなる群から選択される式(VII)の中間体に関する。
【0143】
さらに別の態様において、本発明は、X、R1およびR2が上記に定義される通りである一般式(I)の化合物を調製するためのプロセスにおいて合成される式(IX)の新規中間体を提供する。
【0144】
一つの実施形態において、本発明は、
tert-ブチル6-{[4-メチル-1-(6-メチルピリジン-3-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-5-イル]メトキシ}-1,2,3,4-テトラヒドロ-2,7-ナフチリジン-2-カルボキシレート、
tert-ブチル6-({4-メチル-1-[6-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル]-1H-1,2,3-トリアゾール-5-イル}メトキシ)-1,2,3,4-テトラヒドロ-2,7-ナフチリジン-2-カルボキシレート、
tert-ブチル6-({1-[6-(ジフルオロメチル)ピリジン-3-イル]-4-メチル-1H-1,2,3-トリアゾール-5-イル}メトキシ)-1,2,3,4-テトラヒドロ-2,7-ナフチリジン-2-カルボキシレート、
tert-ブチル6-{[1-(6-メトキシピリジン-3-イル)-4-メチル-1H-1,2,3-トリアゾール-5-イル]メトキシ}-1,2,3,4-テトラヒドロ-2,7-ナフチリジン-2-カルボキシレート、および
tert-ブチル2-メチル-5-[4-メチル-5-({5H,6H,7H,8H-ピリド[3,4-c]ピリダジン-3-イルオキシ}メチル)-1H-1,2,3-トリアゾール-1-イル]ピリジン-2-カルボキシレート
からなる群から選択される式(IX)の中間体に関する。
【実施例】
【0145】
本発明の式(I)の化合物のそれぞれの活性データは、下記に記載される方法によってインビトロで決定される。
【0146】
生物学的例1:結合アッセイ
受容体結合アッセイのために使用されるGABAA α5β3γ2タンパク質は、ヒト組換えGABAA α5β3γ2受容体を発現するHEK細胞(Millipore CYL3073)から生成した膜に由来した。細胞は、供給業者(Millipor)によって提供された指示に従って、保管およびインハウスで培養した。細胞ペレットを、10倍の改変クレブスヘンゼライト緩衝液(膜調製緩衝液):20mMのTris、120mMのNaCl、100mMのKCl、25mMのCaCl2および25mMのMgCl2 pH=7.4中、4℃で、Ultra Turrax(Janke&Kunkel)を使用して、最大スピードで15秒間ホモジネートした。ホモジネートを、40,000gで30分間、4℃で遠心分離した。上清を廃棄し、得られたペレットを、膜調製緩衝液中で洗浄した。ペレットを、膜調製緩衝液に再懸濁させ、アリコートの1.4mLアンプルを、使用まで-70℃で保管した。
【0147】
受容体結合アッセイを、ディープウェルプレート中、96ウェルフォーマットで行った。それぞれの96ウェルプレートについて、1アンプルの膜ホモジネートを解凍し、結合緩衝液(50mMのTris pH=7.4、100mMのKCl)に希釈し、200μLをそれぞれのウェルに分注した。放射性リガンド[3H]Ro151788(Perkin Elmer:NET757250UC)を、結合緩衝液中で調製し、50μLの体積でそれぞれのウェルに添加して、0.5nMの最終濃度を得た。適切な濃度の試験化合物を、追加の50μL中で添加した。最終アッセイ体積は300μLであった。インキュベーションを、4℃で60分間行った。非特異的結合のために、10μMの非標識化ジアゼパムを使用した。インキュベーション後、試料を、Filtermate Harvester(Perkin Elmer)を使用して、UniFilter(登録商標)GF/B(商標)上で濾過し、5×1mLの結合緩衝液で洗浄した。プレートを、40℃で1時間乾燥させ、40μLのMicroscint(Perkin Elmer)シンチレーションカクテルを、それぞれのウェルに添加した。プレートを、Microbeta(Perkin Elmer)において読み取った。
【0148】
特異的放射性リガンド結合(SB)を、総結合(Tot)と非特異的結合(NSB)との間の差として定義した。結果を、目的の化合物の存在下で得られた特異的結合の阻害パーセントとして表す。
【0149】
IC50およびKiの決定のために、最低6つの薬物濃度を三反復で使用した。IC50値(すなわち、特異的結合を50%阻害する化合物の濃度)は、Origin 7.5ソフトウェアを使用して、シグモイドフィッティングによる濃度-変位曲線から計算した。Ki値(すなわち、阻害定数)は、チェン-プルソフの式Ki=IC50/[1+(L/KD)](式中、[L]は、放射性リガンドの濃度であり、KDは、受容体に対する標識リガンドの親和性である)を使用して、計算した。KDは、飽和分析から決定した。
【0150】
本発明の化合物を、上記に記載されるアッセイにおいて試験し、すべて、GABAA α5受容体に対する高い親和性を有することが見出された(Ki<150nM)。
【0151】
【0152】
生物学的例2:機能性アッセイ
GABAA α5β3γ2受容体を発現するヒトHEK293細胞株を、QPatch自動パッチクランプシステムを使用する機能性アッセイにおいて使用した。
【0153】
ヒト組換えGABAA α5β3γ2受容体サブユニットを安定に発現するHEK293細胞株(Millipore、CYL3053)を、10%のFBS(Gibco)が補充されたDMEM中で培養し、週に2回継代し、ポリ-d-リジンで事前にコーティングされたペトリ皿にプレーティングした。
【0154】
自動ホールセルパッチクランプの記録を、プレーティング2~4日後、細胞から行った。細胞を、トリプシン/EDTA(Sigma)処理(37℃で0.25%トリプシン中2分)を使用して、剥離させ、次いで、遠心分離(125g、3分、2回)後、12.5mMのHEPES、1×ペニシリン-ストレプトマイシン-アンフォテリシン(SigmaMix)およびダイズトリプシン阻害剤(Sigma、0.04mg/ml)を含有する無血清ベースの培地(Gibco、CHO-S-SFM-II)に再懸濁させた。
【0155】
細胞懸濁液、ならびに細胞外溶液(130mMのNaCl、5mMのKCl、5.1mMのHEPES、4.9mMのHEPES-Na、10mMのCaCl2、2mMのMgCl2、10mMのグルコースおよび0.1%のDMSO、pH=7.35~7.4)および細胞内溶液(80mMのKCl、50mMのKF、36mMのKOH、10mMのEGTA、10mMのHEPES、1.75mMのMgCl2、0.5mMのCaCl2、4mMのNa2ATP、14mMのクレアチンリン酸、50U/mlのクレアチン-ホスホキナーゼ、0.3mMのGTP、pH=7.25~7.3)を、単細胞モードで、室温でQPatch-HTX自動パッチクランプシステム(Sophion)に添加した。内向き電流を、-80mVの保持電位で、最初に濃度が一致したDMSO(0.1または0.3%)対照溶液中で5回、2~4分の間隔で、1μMでの対照アゴニストGABAの3秒の長い適用によって、次いで、試験化合物の存在下で4回、最後に再び対照溶液中で3回(ウォッシュアウト)、誘発した。実験の最後に、100μMのGABAを適用して、GABA応答を飽和させ、対照GABA適用の有効性を評価した。電流シグナルを、100Hzでローパスフィルター処理し、1kHzのサンプリングレートで記録した。
【0156】
モジュレーションのパーセンテージを、試験化合物の存在下および非存在下でのGABA誘発ピーク電流の振幅の比較から計算した。
【0157】
本発明の化合物は、上記に記載されるアッセイにおいて、1μMで試験し、すべて、GABAA α5の正のアロステリックモジュレーター活性を持つことが見出された。
【0158】
【0159】
本発明を、本発明の範囲を以下の中間体および実施例に限定することなく、以下の中間体および実施例によってさらに説明する。上記の記載から、ならびに中間体および実施例から、当業者は、本発明の本質的な特色を確認してもよく、その本質および範囲から逸脱することなく、本発明をさまざまな適用および条件に適合させるために、ある特定の変更および改変を行ってもよい。結果として、本発明は、以下の実例に限定されないが、添付の特許請求の範囲によって決定される範囲に限定される。
【0160】
一般に、式(I)の化合物は、当業者の通常の一般的な知識、ならびに/または作業実施例および/もしくは中間体について記載される方法に従って、調製することができる。溶媒、温度、圧力および他の反応条件は、当業者によって容易に選択され得る。出発物質は、市販されているか、および/または文献の手順に従って当業者によって容易に調製され得る。化合物の調製の間に、コンビナトリアル技法を、例えば、中間体がこれらの方法の使用のために好適である場合、使用することができる。
【0161】
中間体1
5-[4-(クロロメチル)-5-メチル-1,2-オキサゾール-3-イル]-2-メチルピリジン
【化15】
1.00g(4.89mmol)の[5-メチル-3-(6-メチルピリジン-3-イル)-1,2-オキサゾール-4-イル]メタノール(WO2018/104419A1、Hoffmann-La Roche)を、30mLのオキシ塩化リンに溶解した。反応混合物を115℃で2時間撹拌し、次いで、蒸発乾固させた。酢酸エチルを添加し、飽和炭酸水素ナトリウム溶液および水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、蒸発させて、0.95g(87%)の表題化合物を得た。MS(ESI)m/z:223.1[M+H]
+。
【0162】
中間体2
5-[4-(クロロメチル)-5-メチル-1,2-オキサゾール-3-イル]-2-(トリフルオロメチル)ピリジン
【化16】
中間体1と同様に、{5-メチル-3-[6-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル]-1,2-オキサゾール-4-イル}メタノール(WO2018/104419A1、Hoffmann-La Roche)を、表題化合物に変換した。MS(ESI)m/z:277.1[M+H]
+。
【0163】
中間体3
[4-メチル-1-(6-メチルピリジン-3-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-5-イル]メタノール
【化17】
方法A
a:メチル(2E)-3-[(6-メチルピリジン-3-イル)アミノ]ブタ-2-エノエート
30mLのエタノール中の1.00g(9.20mmol)の市販の6-メチルピリジン-3-アミンおよび1.40mL(1.11mmol)のエチルアセトアセテートの混合物に、1.67g(13.9mmol)の無水硫酸マグネシウムおよび0.10mL(1.85mmol)の酢酸を添加した。反応混合物を10時間還流した。冷却後、無機物の濾過および濾液の減圧下での濃縮により、残渣を得て、これを、さらなる精製なしで次の工程において使用した。MS(ESI)m/z:207.1[M+H]
+。
【0164】
b:エチル4-メチル-1-(6-メチルピリジン-3-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-5-カルボキシレート
70mLのDMSO中の8.31g(37.7mmol)のメチル(2E)-3-[(6-メチルピリジン-3-イル)アミノ]ブタ-2-エノエート、8.43g(45.3mmol)のメチルベンゼンスルホンヒドラジド、6.26g(37.7mmol)のヨウ化カリウムの混合物に、7.31mL(75.5mmol)のTBHP(水中の70%溶液)をゆっくりと添加した。次いで、混合物を70℃で24時間撹拌した。反応が完了した後(TLCによってモニター)、300mLの水に溶解された140gの亜ジチオン酸ナトリウムを反応混合物に添加し、得られた混合物を酢酸エチルで抽出した。次いで、合わせた有機層を、MgSO4で乾燥し、濾過し、次いで真空中で濃縮した。フラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、溶離液:DCM:MeOH、0~10%のグラジエント)による残渣の精製により、所望の生成物を得た。収率:6.35g(68%)、MS(ESI)m/z:247.1[M+H]+。
【0165】
c:[4-メチル-1-(6-メチルピリジン-3-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-5-イル]メタノール
6.35g(25.8mmol)のエチル4-メチル-1-(6-メチルピリジン-3-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-5-カルボキシレートを、80mLの無水THFに溶解し、0℃に冷却した。103mLのDIBAL-H(トルエン中の1M溶液)をアルゴン下で滴下添加し、反応混合物を室温で1時間撹拌した。冷却後、それを、71mLの水でクエンチし、135mLの1MのHClを用いて酸性化した。合わせた有機層を、ブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥し、濾過し、真空中で蒸発させた。粗生成物をイソプロパノールから結晶化させて、表題化合物を白色固体として得た。収率:3.42g、(65%)、MS(ESI)m/z:205.1[M+H]+。
【0166】
方法B
a:5-アジド-2-メチルピリジン
5.0g(46mmol)の市販の6-メチルピリジン-3-アミンを、14mLの濃HClおよび14mLの水の混合物に溶解し、0℃に冷却した。12mLの水に溶解された3.19g(46.2mmol)のNaNO2を滴下添加した。反応混合物を0℃で20分間撹拌し、次いで、10.6mL(80mmol)のトリメチルシリルアジド(trimethylsylil azide)をゆっくりと滴下添加し、反応混合物を室温で1.5時間撹拌した。終了後、70mLの酢酸エチルを添加し、30mLの飽和炭酸ナトリウム溶液および水で3回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、蒸発させた。粗生成物を、さらなる精製なしで次の工程において使用した。
【0167】
b:[4-メチル-1-(6-メチルピリジン-3-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-5-イル]メタノール
5.81g(43.3mmol)の5-アジド-2-メチルピリジンを3.24mL(43.3mmol)の2-ブチン-1-オールに溶解し、反応混合物を100℃で10時間撹拌した。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、溶離液:シクロヘキサン:EtOAc 40~80%のグラジエント)によって精製した。収率:2.30g(26%)、白色固体。MS(ESI)m/z:205.1[M+H]+。
【0168】
中間体4
{4-メチル-1-[6-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル]-1H-1,2,3-トリアゾール-5-イル}メタノール
【化18】
化合物を、工程aにおいて市販の6-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-アミンを使用して、中間体3について記載された手順に従って合成した。MS(ESI)m/z:259.1[M+H]+。
【0169】
中間体5
{1-[6-(ジフルオロメチル)ピリジン-3-イル]-4-メチル-1H-1,2,3-トリアゾール-5-イル}メタノール
【化19】
化合物を、工程aにおいて市販の6-(ジフルオロメチル)ピリジン-3-アミンを使用して、中間体3について記載された手順に従って合成した。MS(ESI)m/z:241.1[M+H]+。
【0170】
中間体6
[1-(6-メトキシピリジン-3-イル)-4-メチル-1H-1,2,3-トリアゾール-5-イル]メタノール
【化20】
化合物を、工程aにおいて市販の6-メトキシピリジン-3-アミンを使用して、中間体3について記載された手順に従って合成した。MS(ESI)m/z:221.1[M+H]+。
【0171】
実施例1
6-{[5-メチル-3-(6-メチルピリジン-3-イル)-1,2-オキサゾール-4-イル]メトキシ}-1,2,3,4-テトラヒドロ-2,7-ナフチリジントリフルオロ酢酸塩
【化21】
A:tert-ブチル6-{[5-メチル-3-(6-メチルピリジン-3-イル)-1,2-オキサゾール-4-イル]メトキシ}-1,2,3,4-テトラヒドロ-2,7-ナフチリジン-2-カルボキシレート
1.96g(8.80mmol)の5-[4-(クロロメチル)-5-メチル-1,2-オキサゾール-3-イル]-2-メチルピリジン(中間体1)、および2.20mg(8.80mmol)の市販のtert-ブチル6-ヒドロキシ-3,4-ジヒドロ-2,7-ナフチリジン-2(1H)-カルボキシレートを、120mLの無水アセトニトリルに溶解した。次いで、3.65mg(26.40mmol)の無水炭酸カリウムを溶液に添加し、懸濁液を還流下で12時間撹拌した。変換をTLC(溶離液としてEtOAc:シクロヘキサン=1:1、シリカプレート)によって追跡した。反応が完了した後、混合物を濾過し、蒸発させて、油状の粗生成物を得、これを、フラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、溶離液:EtOAc:シクロヘキサン=1:1)によって精製した。収率:640mg(16.6%) 白色固体。MS(ESI)m/z:437.3[M+H]
+。
【0172】
B:6-{[5-メチル-3-(6-メチルピリジン-3-イル)-1,2-オキサゾール-4-イル]メトキシ}-1,2,3,4-テトラヒドロ-2,7-ナフチリジントリフルオロ酢酸塩
97.97mg(0.22mmol)のtert-ブチル6-{[5-メチル-3-(6-メチルピリジン-3-イル)-1,2-オキサゾール-4-イル]メトキシ}-1,2,3,4-テトラヒドロ-2,7-ナフチリジン-2-カルボキシレートを、10mLのDCMに溶解した。次いで、1489mg(13.06mmol)のトリフルオロ酢酸を溶液に添加し、懸濁液を室温で6時間撹拌した。反応が完了した後、混合物を蒸発させて、表題化合物を得た。収率:90mg(91%) 黄色固体。MS(ESI)m/z:337.1[M+H]+。1H NMR(DMSO-d6、400MHz) δ(ppm):8.96-9.07(br m、2H)、8.81(br d、J=2.0Hz、1H)、8.12(dd、J=8.1、2.3Hz、1H)、8.06(s、1H)、7.49(d、J=8.1Hz、1H)、6.73(s、1H)、5.27(s、2H)、4.25(br t、J=4.5Hz、2H)、3.31-3.39(m、2H)、2.95(t、J=6.3Hz、2H)、2.57(s、3H)、2.56(s、3H)。
【0173】
実施例2
6-({5-メチル-3-[6-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル]-1,2-オキサゾール-4-イル}メトキシ)-1,2,3,4-テトラヒドロ-2,7-ナフチリジントリフルオロ酢酸塩
【化22】
表題化合物を、工程aにおいて5-[4-(クロロメチル)-5-メチル-1,2-オキサゾール-3-イル]-2-(トリフルオロメチル)ピリジン(中間体2)を使用して、実施例1について記載された手順に従って調製した。MS(ESI)m/z:391.2[M+H]
+。
1H NMR(DMSO-d
6、400MHz) δ(ppm):9.11(d、J=1.9Hz、1H)、8.82-9.03(br m、2H)、8.48(dd、J=8.1、1.7Hz、1H)、8.11(d、J=8.1、1H)、8.04(s、1H)、6.73(s、1H)、5.33(s、2H)、4.24(br t、2H)、3.31-3.38(br m、2H)、2.94(t、J=6.3Hz、2H)、2.61(s、3H)。
【0174】
実施例3
2-メチル-6-{[5-メチル-3-(6-メチルピリジン-3-イル)-1,2-オキサゾール-4-イル]メトキシ}-1,2,3,4-テトラヒドロ-2,7-ナフチリジン
【化23】
450mg(1.0mmol)の6-{[5-メチル-3-(6-メチルピリジン-3-イル)-1,2-オキサゾール-4-イル]メトキシ}-1,2,3,4-テトラヒドロ-2,7-ナフチリジントリフルオロ酢酸塩(実施例1)を飽和NaHCO
3の溶液に添加し、EtOAcで抽出した。有機層を、分離し、MgSO
4で乾燥し、濾過し、真空中で蒸発させた。得られた塩基を2mLの水および240mg(4.0mmol)の酢酸に溶解し、122mg(1.5mmol)のホルムアルデヒド溶液(水中37%)および131mg(2.0mmol)の亜鉛粉末を添加した。反応混合物を30℃で48時間撹拌した。反応が完了した後(TLCによってモニター)、反応混合物をアンモニア溶液を用いて中和し、得られた混合物をDCMで抽出した。次いで、合わせた有機層を、MgSO
4で乾燥し、濾過し、次いで真空中で濃縮した。フラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、溶離液:DCM:MeOH=10:1)による残渣の精製により、所望の生成物を得た。収率:59.3mg(16.9%)、MS(ESI)m/z:351.2[M+H]
+。
【0175】
実施例4
2-シクロブチル-6-{[5-メチル-3-(6-メチルピリジン-3-イル)-1,2-オキサゾール-4-イル]メトキシ}-1,2,3,4-テトラヒドロ-2,7-ナフチリジン
【化24】
4mLの2,2,2-トリフルオロエタノール中の200mg(0.44mmol)の6-{[5-メチル-3-(6-メチルピリジン-3-イル)-1,2-オキサゾール-4-イル]メトキシ}-1,2,3,4-テトラヒドロ-2,7-ナフチリジントリフルオロ酢酸塩(実施例1)の溶液に、112mg(1.33mmol)のNaHCO
3を添加し、30分間撹拌し、次いで、32mg(0.44mmol)のシクロブタノンを一度に添加し、反応混合物を45℃まで温めた。そのようにして得られた溶液を5分間撹拌し、次いで、16.8mg(0.44mmol)の水素化ホウ素ナトリウムを添加した。反応混合物を45℃で3時間撹拌した。完了後、溶媒を蒸発させ、残渣をDCMに溶解し、ブラインで洗浄した。有機層を、分離し、MgSO
4で乾燥し、濾過し、真空中で蒸発させた。フラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、溶離液:EtOAc:MeOH=10:1)による残渣の精製により、所望の生成物を得た。収率:28.1mg(16.1%)、MS(ESI)m/z:393.2[M+H]
+。
【0176】
実施例5
2-(シクロブチルメチル)-6-{[5-メチル-3-(6-メチルピリジン-3-イル)-1,2-オキサゾール-4-イル]メトキシ}-1,2,3,4-テトラヒドロ-2,7-ナフチリジン
【化25】
表題化合物を、市販のシクロブタンカルボアルデヒドを使用して、実施例4について記載された手順に従って調製した。MS(ESI)m/z:405.2[M+H]
+。
【0177】
実施例6
2-シクロペンチル-6-{[5-メチル-3-(6-メチルピリジン-3-イル)-1,2-オキサゾール-4-イル]メトキシ}-1,2,3,4-テトラヒドロ-2,7-ナフチリジン
【化26】
表題化合物を、市販のシクロペンタノンを使用して、実施例4について記載された手順に従って調製した。MS(ESI)m/z:405.2[M+H]
+。
【0178】
実施例7
6-({5-メチル-3-[6-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル]-1,2-オキサゾール-4-イル}メトキシ)-2-(オキサン-4-イル)-1,2,3,4-テトラヒドロ-2,7-ナフチリジン
【化27】
表題化合物を、6-({5-メチル-3-[6-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル]-1,2-オキサゾール-4-イル}メトキシ)-1,2,3,4-テトラヒドロ-2,7-ナフチリジントリフルオロ酢酸塩(実施例2)および市販のテトラヒドロピラン-4-オンを使用して、実施例4について記載された手順に従って調製した。MS(ESI)m/z:475.2[M+H]
+。
【0179】
実施例8
6-({5-メチル-3-[6-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル]-1,2-オキサゾール-4-イル}メトキシ)-2-(オキソラン-3-イル)-1,2,3,4-テトラヒドロ-2,7-ナフチリジン
【化28】
表題化合物を、6-({5-メチル-3-[6-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル]-1,2-オキサゾール-4-イル}メトキシ)-1,2,3,4-テトラヒドロ-2,7-ナフチリジントリフルオロ酢酸塩(実施例2)および市販の3-オキソテトラヒドロフランを使用して、実施例4について記載された手順に従って調製した。MS(ESI)m/z:461.2[M+H]
+。
【0180】
実施例9
6-{[5-メチル-3-(6-メチルピリジン-3-イル)-1,2-オキサゾール-4-イル]メトキシ}-2-(オキソラン-3-イル)-1,2,3,4-テトラヒドロ-2,7-ナフチリジン
【化29】
表題化合物を、市販の3-オキソテトラヒドロフランを使用して、実施例4について記載された手順に従って調製した。MS(ESI)m/z:407.2[M+H]
+。
【0181】
実施例10
6-{[5-メチル-3-(6-メチルピリジン-3-イル)-1,2-オキサゾール-4-イル]メトキシ}-2-(オキセタン-3-イル)-1,2,3,4-テトラヒドロ-2,7-ナフチリジン
【化30】
表題化合物を、市販の3-オキセタノンを使用して、実施例4について記載された手順に従って調製した。MS(ESI)m/z:393.2[M+H]
+。
【0182】
実施例11
6-{[5-メチル-3-(6-メチルピリジン-3-イル)-1,2-オキサゾール-4-イル]メトキシ}-2-(オキサン-4-イル)-1,2,3,4-テトラヒドロ-2,7-ナフチリジン
【化31】
表題化合物を、市販の4-オキソテトラヒドロピランを使用して、実施例4について記載された手順に従って調製した。MS(ESI)m/z:421.2[M+H]
+。
【0183】
実施例12
2-(1-メタンスルホニルプロパン-2-イル)-6-({5-メチル-3-[6-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル]-1,2-オキサゾール-4-イル}メトキシ)-1,2,3,4-テトラヒドロ-2,7-ナフチリジン
【化32】
183.6mg(0.36mmol)の6-({5-メチル-3-[6-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル]-1,2-オキサゾール-4-イル}メトキシ)-1,2,3,4-テトラヒドロ-2,7-ナフチリジントリフルオロ酢酸塩(実施例2)を、飽和Na
2CO
3の溶液に添加し、DCMで抽出した。有機層を、分離し、MgSO
4で乾燥し、濾過し、真空中で蒸発させた。得られた塩基を、1mLのメタノールおよび1mLの2,2,2-トリフルオロエタノール(triluoroethanol)中の49mg(0.36mmol)のメタンスルホニルアセトンの撹拌溶液に、室温で添加した。混合物を1時間撹拌した。84mg(0.72mmol)のトリエチルシリコンをシリンジによって添加し、それに続いて57mg(0.26mmol)の塩化インジウム(III)を添加した(Leeら,J.Org.Chem.2008,73,22,8829-8837)。反応物を室温で撹拌し、TLCによってモニターした。反応が完了したら、混合物を1mLの飽和K
2CO
3溶液によってクエンチした。混合物をEtOAcで抽出した。合わせた有機層を、ブラインで洗浄し、最後にNa
2SO
4で乾燥した。粗生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、溶離液:シクロヘキサン:EtAOc=1:1)によって精製した。収率:21mg(11%)、MS(ESI)m/z:511.1[M+H]
+。
【0184】
実施例13
6-{[5-メチル-3-(6-メチルピリジン-3-イル)-1,2-オキサゾール-4-イル]メトキシ}-2-(ピリジン-2-イル)-1,2,3,4-テトラヒドロ-2,7-ナフチリジン
【化33】
283mg(0.63mmol)の6-{[5-メチル-3-(6-メチルピリジン-3-イル)-1,2-オキサゾール-4-イル]メトキシ}-1,2,3,4-テトラヒドロ-2,7-ナフチリジントリフルオロ酢酸塩(実施例1)を2mLの2-フルオロピリジンに溶解し、反応混合物を120℃で3時間撹拌した。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、溶離液:DCM:MeOH=10:1)によって精製した。収率:50mg(19.2%)。MS(ESI)m/z:414.2[M+H]
+。
【0185】
実施例14
2-メチル-5-[5-メチル-4-({5H,6H,7H,8H-ピリド[3,4-c]ピリダジン-3-イルオキシ}メチル)-1,2-オキサゾール-3-イル]ピリジン
【化34】
A:tert-ブチル2-メチル-5-[5-メチル-4-({5H,6H,7H,8H-ピリド[3,4-c]ピリダジン-3-イルオキシ}メチル)-1,2-オキサゾール-3-イル]ピリジン-2-カルボキシレート
アルゴン雰囲気下、フラスコに、660mg(2.45mmol)の市販のtert-ブチル3-クロロ-5,8-ジヒドロピリド[3,4-c]ピリダジン-7(6H)-カルボキシレート、500mg(2.45mmol)の{5-メチル-3-[6-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル]-1,2-オキサゾール-4-イル}メタノール(WO2018/104419A1、Hoffmann-La Roche)、1595mg(4.89mmol)のCs
2CO
3、98mg(0.25mmol)のrac-2-(ジ-tert-ブチルホスフィノ)-1,11-ビナフチル、55mg(0.24mmol)のPd(OAc)
2および20mLの無水トルエンを投入した。混合物を100℃で12時間撹拌した。変換をTLC(溶離液としてシクロヘキサン:EtOAc=1:1、シリカプレート)によってチェックした。反応混合物を、セライトパッドを通して濾過し、アセトンで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、蒸発させた。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、溶離液:シクロヘキサン:EtAOc=1:1)によって精製した。収率:342mg(32%)、白色、アモルファス固体。MS(ESI)m/z:438.2[M+H]
+。
【0186】
B:2-メチル-5-[5-メチル-4-({5H,6H,7H,8H-ピリド[3,4-c]ピリダジン-3-イルオキシ}メチル)-1,2-オキサゾール-3-イル]ピリジン
342mg(0.78mmol)のtert-ブチル2-メチル-5-[5-メチル-4-({5H,6H,7H,8H-ピリド[3,4-c]ピリダジン-3-イルオキシ}メチル)-1,2-オキサゾール-3-イル]ピリジン-2-カルボキシレートを50mLのDCMに溶解した。次いで、1782mg(15.63mmol)のトリフルオロ酢酸を溶液に添加し、懸濁液を室温で24時間撹拌した。完了後、混合物を蒸発させ、残渣をDCMに溶解し、飽和Na2CO3溶液および水で洗浄した。有機層を、分離し、MgSO4で乾燥し、濾過し、真空中で蒸発させた。フラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、溶離液:EtOAc:MeOH=10:1)による残渣の精製により、所望の生成物を得た。収率:132mg(50%)、MS(ESI)m/z:338.2[M+H]+。
【0187】
実施例15
5-[5-メチル-4-({5H,6H,7H,8H-ピリド[3,4-c]ピリダジン-3-イルオキシ}メチル)-1,2-オキサゾール-3-イル]-2-(トリフルオロメチル)ピリジン
【化35】
A:tert-ブチル5-[5-メチル-4-({5H,6H,7H,8H-ピリド[3,4-c]ピリダジン-3-イルオキシ}メチル)-1,2-オキサゾール-3-イル]-2-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-カルボキシレート
アルゴン雰囲気下、フラスコに、668mg(2.48mmol)の市販のtert-ブチル3-クロロ-5,8-ジヒドロピリド[3,4-c]ピリダジン-7(6H)-カルボキシレート、639mg(2.48mmol)の5-メチル-3-[6-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル]-1,2-オキサゾール-4-イル}メタノール(WO2018/104419A1、Hoffmann-La Roche)、1614mg(4.95mmol)のCs
2CO
3、99mg(0.25mmol)のrac-2-(ジ-tert-ブチルホスフィノ)-1,11-ビナフチル、56mg(0.25mmol)のPd(OAc)
2および20mLの無水トルエンを投入した。混合物を100℃で12時間撹拌した。変換をTLC(溶離液としてシクロヘキサン:EtOAc=1:1、シリカプレート)によってチェックした。反応混合物を、セライトパッドを通して濾過し、アセトンで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、蒸発させた。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、溶離液:シクロヘキサン:EtAOc=1:1)によって精製した。収率:395mg(32.5%)。MS(ESI)m/z:492.2[M+H]
+。
【0188】
B:5-[5-メチル-4-({5H,6H,7H,8H-ピリド[3,4-c]ピリダジン-3-イルオキシ}メチル)-1,2-オキサゾール-3-イル]-2-(トリフルオロメチル)ピリジン
395mg(0.80mmol)のtert-ブチル5-[5-メチル-4-({5H,6H,7H,8H-ピリド[3,4-c]ピリダジン-3-イルオキシ}メチル)-1,2-オキサゾール-3-イル]-2-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-カルボキシレートを20mLのDCMに溶解した。次いで、916mg(8.03mmol)のトリフルオロ酢酸を溶液に添加し、懸濁液を室温で24時間撹拌した。完了後、混合物を蒸発させ、残渣をDCMに溶解し、飽和Na2CO3溶液および水で洗浄した。有機層を、分離し、MgSO4で乾燥し、濾過し、真空中で蒸発させた。フラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、溶離液:EtOAc:MeOH=10:1)による残渣の精製により、所望の生成物を得た。収率:175mg(56%)、MS(ESI)m/z:392.1[M+H]+。
【0189】
実施例16
2-メチル-5-{5-メチル-4-[({7-メチル-5H,6H,7H,8H-ピリド[3,4-c]ピリダジン-3-イル}オキシ)メチル]-1,2-オキサゾール-3-イル}ピリジン
【化36】
5mLのメタノール中の74mg(0.22mmol)の2-メチル-5-[5-メチル-4-({5H,6H,7H,8H-ピリド[3,4-c]ピリダジン-3-イルオキシ}メチル)-1,2-オキサゾール-3-イル]ピリジン(実施例14)の溶液に、27mg(0.33mmol)のホルムアルデヒド溶液(水中37%)を添加し、反応混合物を50℃まで温め、次いで、93mg(0.44mmol)のトリアセトキシホウ水素化ナトリウムを一度に添加した。反応混合物を50℃で5時間撹拌した。完了後、溶媒を蒸発させ、残渣をEtOAcに溶解し、飽和NaHCO
3溶液で洗浄した。有機層を、分離し、MgSO
4で乾燥し、濾過し、真空中で蒸発させた。フラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、溶離液:EtOAc:MeOH=10:1)による残渣の精製により、所望の生成物を得た。収率:40mg(52%)、MS(ESI)m/z:352.2[M+H]
+。
【0190】
実施例17
5-[5-メチル-4-({5H,6H,7H,8H-ピリド[3,4-c]ピリダジン-3-イルオキシ}メチル)-1,2-オキサゾール-3-イル]-2-(トリフルオロメチル)ピリジン
【化37】
表題化合物を、5-[5-メチル-4-({5H,6H,7H,8H-ピリド[3,4-c]ピリダジン-3-イルオキシ}メチル)-1,2-オキサゾール-3-イル]-2-(トリフルオロメチル)ピリジン(実施例15)を使用して、実施例16について記載された手順に従って調製した。MS(ESI)m/z:406.1[M+H]
+。
【0191】
実施例18
5-[5-メチル-4-({[7-(オキソラン-3-イル)-5H,6H,7H,8H-ピリド[3,4-c]ピリダジン-3-イル]オキシ}メチル)-1,2-オキサゾール-3-イル]-2-(トリフルオロメチル)ピリジンヘミナパジシル酸塩
【化38】
A:遊離塩基の合成
5mLの2,2,2-トリフルオロエタノール中の130mg(0.33mmol)の5-[5-メチル-4-({5H,6H,7H,8H-ピリド[3,4-c]ピリダジン-3-イルオキシ}メチル)-1,2-オキサゾール-3-イル]-2-(トリフルオロメチル)ピリジン(実施例15)の溶液に、29mg(0.34mmol)の3-オキソテトラヒドロフランおよび13mg(0.34mmol)の水素化ホウ素ナトリウムを添加した。反応混合物を45℃で12時間撹拌した。完了後、溶媒を蒸発させ、残渣をDCMに溶解し、水で洗浄した。有機層を、分離し、MgSO
4で乾燥し、濾過し、真空中で蒸発させた。フラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、溶離液:DCM:MeOH=10:1)による残渣の精製により、遊離塩基を油状物として得た。収率:23mg(15%)、MS(ESI)m/z:462.2[M+H]
+
【0192】
B:ヘミナパジシル酸塩の合成
23mg(0.05mmol)の5-[5-メチル-4-({[7-(オキソラン-3-イル)-5H,6H,7H,8H-ピリド[3,4-c]ピリダジン-3-イル]オキシ}メチル)-1,2-オキサゾール-3-イル]-2-(トリフルオロメチル)ピリジンを2mLのエタノールに溶解し、18mg(0.05mmol)の1,5-ナフタレンジスルホン酸四水和物を添加し、60℃で10分間撹拌し、次いで、室温に冷却した。沈殿した生成物を濾過によって収集し、冷エタノールで洗浄し、真空中で乾燥させて、表題化合物を白色固体として得た。収率:17mg(56%)、MS(ESI)m/z:462.2[M+H]+。1H NMR(DMSO-d6、400MHz) δ(ppm):10.05-10.50(br m、1H)、9.12(d、J=1.7Hz、1H)、8.49(dd、J=8.1、1.7Hz、1H)、8.10(br d、J=8.2Hz、1H)、7.21(br s、1H)、4.40-4.85(br m、2H)、4.07-4.34(br m、2H)、3.91-4.06(br m、1H)、3.76-3.89(m、1H)、3.30-3.74(br m、5H)、3.00-3.18(br m、2H)、2.64(s、3H)、2.12-2.43(br m、2H);ナパジシル酸塩(酸/塩基モル比1:2)シグナル:8.85(dd、J=8.5、約1Hz、2H)、7.91(dd、J=7.0Hz、1.1Hz、2H)、7.38(dd、J=8.5、7.1Hz、2H)。
【0193】
実施例19
3-{[3-({5-メチル-3-[6-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル]-1,2-オキサゾール-4-イル}メトキシ)-5H,6H,7H,8H-ピリド[3,4-c]ピリダジン-7-イル]メチル}-1ラムダ6-チオラン-1,1-ジオン酒石酸塩
【化39】
A:遊離塩基の合成
マイクロ波管中、100mg(0.256mmol)の5-[5-メチル-4-({5H,6H,7H,8H-ピリド[3,4-c]ピリダジン-3-イルオキシ}メチル)-1,2-オキサゾール-3-イル]-2-(トリフルオロメチル)ピリジン(実施例15)を3mLのアセトニトリルに溶解し、次いで、66mg(0.51mmol)のN,N-ジイソプロピルエチルアミンおよび54.6mg(0.256mmol)の3-ブロモメチルテトラヒドロチオフェン1,1-ジオキシドを添加した。管をマイクロ波反応器に設置し、撹拌しながら、3時間、100℃に加熱した。反応が完了した後、混合物を蒸発させ、フラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、溶離液:DCM:MeOH=10:1)によって精製して、34mgの生成物を油状物として得た。収率:38mg(28.4%)、MS(ESI)m/z:524.1[M+H]
+。
【0194】
B:酒石酸塩の合成
11.2mg(0.021mmol)の3-{[3-({5-メチル-3-[6-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル]-1,2-オキサゾール-4-イル}メトキシ)-5H,6H,7H,8H-ピリド[3,4-c]ピリダジン-7-イル]メチル}-1ラムダ6-チオラン-1,1-ジオンを1mLのエタノールに溶解し、3.2mg(0.021mmol)のL-(+)-酒石酸を添加し、60℃で10分間撹拌し、次いで、室温に冷却した。沈殿した生成物を濾過によって収集し、冷エタノールで洗浄し、真空中で乾燥させて、表題化合物を白色固体として得た。収率:12.5mg(86.7%)、MS(ESI)m/z:524.1[M+H]+。1H NMR(DMSO-d6、400MHz) δ(ppm):11.40-13.60(br m、1H)、9.12(d、J=1.7Hz、1H)、8.46(dd、J=8.0Hz、1.8Hz、1H)、8.09(d、J=8.0Hz、1H)、7.00(s、1H)、5.48(s、2H)、3.75(s、2H)、3.14-3.26(m、2H)、3.00-3.09(m、1H)、2.82(t、J=5.4Hz、2H)、2.74-2.81(m、2H)、2.54-2.73(m、4H)、2.63(s、3H)、2.20-2.29(m、1H)、1.73-1.83(m、1H);酒石酸塩(酸/塩基比1:1)シグナル:4.28(s、2H)。
【0195】
実施例20
6-{[4-メチル-1-(6-メチルピリジン-3-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-5-イル]メトキシ}-1,2,3,4-テトラヒドロ-2,7-ナフチリジン
【化40】
A:tert-ブチル6-{[4-メチル-1-(6-メチルピリジン-3-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-5-イル]メトキシ}-1,2,3,4-テトラヒドロ-2,7-ナフチリジン-2-カルボキシレート
アルゴン雰囲気下、フラスコに、504mg(1.88mmol)の市販のtert-ブチル6-クロロ-3,4-ジヒドロ-2,7-ナフチリジン-2(1H)-カルボキシレート、383mg(1.88mmol)の[4-メチル-1-(6-メチルピリジン-3-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-5-イル]メタノール(中間体3)、1220mg(3.75mmol)のCs
2CO
3、74.7mg(0.18mmol)のrac-2-(ジ-tert-ブチルホスフィノ)-1,11-ビナフチル、42mg(0.18mmol)のPd(OAc)
2および20mLの無水トルエンを投入した。混合物を100℃で12時間撹拌した。変換をTLC(溶離液としてシクロヘキサン:EtOAc=1:1、シリカプレート)によってチェックした。反応混合物を、セライトパッドを通して濾過し、アセトンで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、蒸発させた。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、溶離液:シクロヘキサン:EtAOc 30~70%のグラジエント)によって精製した。収率:287mg(35%)。MS(ESI)m/z:437.2[M+H]
+。
【0196】
B:6-{[4-メチル-1-(6-メチルピリジン-3-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-5-イル]メトキシ}-1,2,3,4-テトラヒドロ-2,7-ナフチリジン
287mg(0.65mmol)のtert-ブチル6-{[4-メチル-1-(6-メチルピリジン-3-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-5-イル]メトキシ}-1,2,3,4-テトラヒドロ-2,7-ナフチリジン-2-カルボキシレートを12mLの酢酸エチルに溶解した。12mLの塩化水素で飽和された酢酸エチルを溶液に滴下添加した。反応混合物を室温で30分間撹拌した。形成した白色沈殿を濾別し、少量の酢酸エチルで洗浄した。塩酸塩を飽和NaHCO3の溶液に添加し、EtOAcで抽出した。有機層を、分離し、MgSO4で乾燥し、濾過し、真空中で蒸発させた。フラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、溶離液:DCM:MeOH=10:1)による残渣の精製により、所望の生成物を得た。収率:78mg(35%)、MS(ESI)m/z:337.2[M+H]+。
【0197】
実施例21
2-メチル-6-{[4-メチル-1-(6-メチルピリジン-3-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-5-イル]メトキシ}-1,2,3,4-テトラヒドロ-2,7-ナフチリジン
【化41】
表題化合物を、6-{[4-メチル-1-(6-メチルピリジン-3-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-5-イル]メトキシ}-1,2,3,4-テトラヒドロ-2,7-ナフチリジン(実施例20)を使用して、実施例16について記載された手順に従って調製した。MS(ESI)m/z:351.1[M+H]
+。
【0198】
実施例22
6-{[4-メチル-1-(6-メチルピリジン-3-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-5-イル]メトキシ}-2-(プロパン-2-イル)-1,2,3,4-テトラヒドロ-2,7-ナフチリジン
【化42】
表題化合物を、6-{[4-メチル-1-(6-メチルピリジン-3-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-5-イル]メトキシ}-1,2,3,4-テトラヒドロ-2,7-ナフチリジン(実施例20)および市販のアセトンを使用して、実施例18、工程Aについて記載された手順に従って調製した。MS(ESI)m/z:379.2[M+H]
+。
【0199】
実施例23
6-({1-[6-(ジフルオロメチル)ピリジン-3-イル]-4-メチル-1H-1,2,3-トリアゾール-5-イル}メトキシ)-1,2,3,4-テトラヒドロ-2,7-ナフチリジン
【化43】
A:tert-ブチル6-({1-[6-(ジフルオロメチル)ピリジン-3-イル]-4-メチル-1H-1,2,3-トリアゾール-5-イル}メトキシ)-1,2,3,4-テトラヒドロ-2,7-ナフチリジン-2-カルボキシレート
アルゴン雰囲気下、フラスコに、91.3mg(0.34mmol)の市販のtert-ブチル6-クロロ-3,4-ジヒドロ-2,7-ナフチリジン-2(1H)-カルボキシレート、81.6mg(0.34mmol)の{1-[6-(ジフルオロメチル)ピリジン-3-イル]-4-メチル-1H-1,2,3-トリアゾール-5-イル}メタノール(中間体5)、226mg(0.69mmol)のCs
2CO
3、13.8mg(0.034mmol)のrac-2-(ジ-tert-ブチルホスフィノ)-1,11-ビナフチル、7.8mg(0.034mmol)のPd(OAc)
2および10mLの無水トルエンを投入した。混合物を100℃で12時間撹拌した。変換をTLC(溶離液としてシクロヘキサン:EtOAc=1:2、シリカプレート)によってチェックした。反応混合物を、セライトパッドを通して濾過し、アセトンで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、蒸発させた。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、溶離液:シクロヘキサン:EtAOc=1:2)によって精製した。収率:90mg(56%)。MS(ESI)m/z:473.2[M+H]
+。
【0200】
B:6-({1-[6-(ジフルオロメチル)ピリジン-3-イル]-4-メチル-1H-1,2,3-トリアゾール-5-イル}メトキシ)-1,2,3,4-テトラヒドロ-2,7-ナフチリジン
90mg(0.19mmol)のtert-ブチル6-({1-[6-(ジフルオロメチル)ピリジン-3-イル]-4-メチル-1H-1,2,3-トリアゾール-5-イル}メトキシ)-1,2,3,4-テトラヒドロ-2,7-ナフチリジン-2-カルボキシレートを10mLのDCMに溶解した。次いで、652mg(5.71mmol)のトリフルオロ酢酸を溶液に添加し、懸濁液を室温で3時間撹拌した。完了後、混合物を蒸発させ、残渣をDCMに溶解し、飽和Na2CO3溶液および水で洗浄した。有機層を、分離し、MgSO4で乾燥し、濾過し、真空中で蒸発させた。フラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、溶離液:DCM:MeOH=10:1)による残渣の精製により、所望の生成物を得た。収率:28.4mg(40%)、MS(ESI)m/z:373.2 [M+H]+。
【0201】
実施例24
6-({1-[6-(ジフルオロメチル)ピリジン-3-イル]-4-メチル-1H-1,2,3-トリアゾール-5-イル}メトキシ)-2-メチル-1,2,3,4-テトラヒドロ-2,7-ナフチリジン
【化44】
表題化合物を、6-({1-[6-(ジフルオロメチル)ピリジン-3-イル]-4-メチル-1H-1,2,3-トリアゾール-5-イル}メトキシ)-1,2,3,4-テトラヒドロ-2,7-ナフチリジン(実施例23)を使用して、実施例16について記載された手順に従って調製した。MS(ESI)m/z:387.2[M+H]
+。
【0202】
実施例25
6-({4-メチル-1-[6-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル]-1H-1,2,3-トリアゾール-5-イル}メトキシ)-1,2,3,4-テトラヒドロ-2,7-ナフチリジン
【化45】
A:tert-ブチル6-({4-メチル-1-[6-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル]-1H-1,2,3-トリアゾール-5-イル}メトキシ)-1,2,3,4-テトラヒドロ-2,7-ナフチリジン-2-カルボキシレート
アルゴン雰囲気下、フラスコに、521mg(1.94mmol)の市販のtert-ブチル6-クロロ-3,4-ジヒドロ-2,7-ナフチリジン-2(1H)-カルボキシレート、500mg(1.94mmol)の4-メチル-1-[6-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル]-1H-1,2,3-トリアゾール-5-イル}メタノール(中間体4)、1260mg(3.87mmol)のCs
2CO
3、77.2mg(0.194mmol)のrac-2-(ジ-tert-ブチルホスフィノ)-1,11-ビナフチル、43.5mg(0.194mmol)のPd(OAc)
2および30mLの無水トルエンを投入した。混合物を100℃で12時間撹拌した。変換をTLC(溶離液としてDCM:MeOH=9:1、シリカプレート)によってチェックした。反応混合物を、セライトパッドを通して濾過し、アセトンで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、蒸発させた。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、溶離液:DCM:MeOH=9:1)によって精製した。収率:710mg(74.8%)、アモルファス固体。MS(ESI)m/z:491.2[M+H]
+。
【0203】
B:6-({4-メチル-1-[6-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル]-1H-1,2,3-トリアゾール-5-イル}メトキシ)-1,2,3,4-テトラヒドロ-2,7-ナフチリジン
710mg(1.45mmol)のtert-ブチル6-({4-メチル-1-[6-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル]-1H-1,2,3-トリアゾール-5-イル}メトキシ)-1,2,3,4-テトラヒドロ-2,7-ナフチリジン-2-カルボキシレートを15mLのDCMに溶解した。次いで、3300mg(29mmol)のトリフルオロ酢酸を溶液に添加し、懸濁液を室温で24時間撹拌した。完了後、混合物を蒸発させ、残渣をDCMに溶解し、飽和Na2CO3溶液および水で洗浄した。有機層を、分離し、MgSO4で乾燥し、濾過し、真空中で蒸発させた。フラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、溶離液:DCM:MeOH=9:1)による残渣の精製により、所望の生成物を得た。収率:320mg(56.6%)、MS(ESI)m/z:391.2[M+H]+。
【0204】
実施例26
6-({4-メチル-1-[6-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル]-1H-1,2,3-トリアゾール-5-イル}メトキシ)-2-(プロパン-2-イル)-1,2,3,4-テトラヒドロ-2,7-ナフチリジン
【化46】
5mLの2,2,2-トリフルオロエタノール中の160mg(0.41mmol)の6-({4-メチル-1-[6-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル]-1H-1,2,3-トリアゾール-5-イル}メトキシ)-1,2,3,4-テトラヒドロ-2,7-ナフチリジン(実施例25)の溶液に、23.8mg(0.41mmol)のアセトンおよび15.5mg(0.41mmol)の水素化ホウ素ナトリウムを添加した。反応混合物を45℃で12時間撹拌した。完了後、溶媒を蒸発させ、残渣をDCMに溶解し、水で洗浄した。有機層を、分離し、MgSO
4で乾燥し、濾過し、真空中で蒸発させた。フラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、溶離液:DCM:MeOH=9:1)による残渣の精製により、表題化合物を得た。収率:61mg(34%)、MS(ESI)m/z:433.2[M+H]
+。
【0205】
実施例27
2-メチル-6-({4-メチル-1-[6-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル]-1H-1,2,3-トリアゾール-5-イル}メトキシ)-1,2,3,4-テトラヒドロ-2,7-ナフチリジン
【化47】
表題化合物を、6-({4-メチル-1-[6-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル]-1H-1,2,3-トリアゾール-5-イル}メトキシ)-1,2,3,4-テトラヒドロ-2,7-ナフチリジン(実施例25、工程B)を使用して、実施例16について記載された手順に従って調製した。MS(ESI)m/z:405.1[M+H]
+。
【0206】
実施例28
6-({1-[6-(ジフルオロメチル)ピリジン-3-イル]-4-メチル-1H-1,2,3-トリアゾール-5-イル}メトキシ)-2-(プロパン-2-イル)-1,2,3,4-テトラヒドロ-2,7-ナフチリジン
【化48】
表題化合物を、6-({1-[6-(ジフルオロメチル)ピリジン-3-イル]-4-メチル-1H-1,2,3-トリアゾール-5-イル}メトキシ)-1,2,3,4-テトラヒドロ-2,7-ナフチリジン(実施例23)および市販のアセトンを使用して、実施例18、工程Aについて記載された手順に従って調製した。MS(ESI)m/z:415.2[M+H]
+。
【0207】
実施例29
6-{[4-メチル-1-(6-メチルピリジン-3-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-5-イル]メトキシ}-2-(オキソラン-3-イル)-1,2,3,4-テトラヒドロ-2,7-ナフチリジン
【化49】
表題化合物を、6-{[4-メチル-1-(6-メチルピリジン-3-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-5-イル]メトキシ}-1,2,3,4-テトラヒドロ-2,7-ナフチリジン(実施例20)および市販の3-オキソテトラヒドロフランを使用して、実施例18、工程Aについて記載された手順に従って調製した。MS(ESI)m/z:407.2[M+H]
+。
【0208】
実施例30
6-({1-[6-(ジフルオロメチル)ピリジン-3-イル]-4-メチル-1H-1,2,3-トリアゾール-5-イル}メトキシ)-2-(オキソラン-3-イル)-1,2,3,4-テトラヒドロ-2,7-ナフチリジン
【化50】
表題化合物を、6-({1-[6-(ジフルオロメチル)ピリジン-3-イル]-4-メチル-1H-1,2,3-トリアゾール-5-イル}メトキシ)-1,2,3,4-テトラヒドロ-2,7-ナフチリジン(実施例23)および市販の3-オキソテトラヒドロフランを使用して、実施例18、工程Aについて記載された手順に従って調製した。MS(ESI)m/z:443.2[M+H]
+。
【0209】
実施例31
6-{[4-メチル-1-(6-メチルピリジン-3-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-5-イル]メトキシ}-2-(オキセタン-3-イル)-1,2,3,4-テトラヒドロ-2,7-ナフチリジン
【化51】
表題化合物を、6-{[4-メチル-1-(6-メチルピリジン-3-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-5-イル]メトキシ}-1,2,3,4-テトラヒドロ-2,7-ナフチリジン(実施例20)および市販の3-オキセタノンを使用して、実施例18、工程Aについて記載された手順に従って調製した。MS(ESI)m/z:393.2[M+H]
+。
【0210】
実施例32
6-({4-メチル-1-[6-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル]-1H-1,2,3-トリアゾール-5-イル}メトキシ)-2-(オキソラン-3-イル)-1,2,3,4-テトラヒドロ-2,7-ナフチリジン
【化52】
表題化合物を、市販の3-オキソテトラヒドロフランを使用して、実施例26について記載された手順に従って調製した。MS(ESI)m/z:461.2[M+H]
+。
【0211】
実施例33
6-{[4-メチル-1-(6-メチルピリジン-3-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-5-イル]メトキシ}-2-(オキサン-4-イル)-1,2,3,4-テトラヒドロ-2,7-ナフチリジン
【化53】
表題化合物を、6-{[4-メチル-1-(6-メチルピリジン-3-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-5-イル]メトキシ}-1,2,3,4-テトラヒドロ-2,7-ナフチリジン(実施例20)および市販の4-オキソテトラヒドロピランを使用して、実施例18、工程Aについて記載された手順に従って調製した。MS(ESI)m/z:421.2[M+H]
+。
【0212】
実施例34
6-{[1-(6-メトキシピリジン-3-イル)-4-メチル-1H-1,2,3-トリアゾール-5-イル]メトキシ}-1,2,3,4-テトラヒドロ-2,7-ナフチリジン
【化54】
A:tert-ブチル6-{[1-(6-メトキシピリジン-3-イル)-4-メチル-1H-1,2,3-トリアゾール-5-イル]メトキシ}-1,2,3,4-テトラヒドロ-2,7-ナフチリジン-2-カルボキシレート
アルゴン雰囲気下、フラスコに、300mg(1.12mmol)の市販のtert-ブチル6-クロロ-3,4-ジヒドロ-2,7-ナフチリジン-2(1H)-カルボキシレート、246mg(1.12mmol)の[1-(6-メトキシピリジン-3-イル)-4-メチル-1H-1,2,3-トリアゾール-5-イル]メタノール(中間体6)、727mg(2.23mmol)のCs
2CO
3、44.5mg(0.11mmol)のrac-2-(ジ-tert-ブチルホスフィノ)-1,11-ビナフチル、25mg(0.11mmol)のPd(OAc)
2および20mLの無水トルエンを投入した。混合物を100℃で12時間撹拌した。変換をTLC(溶離液としてシクロヘキサン:EtOAc=1:1、シリカプレート)によってチェックした。反応混合物を、セライトパッドを通して濾過し、アセトンで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、蒸発させた。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、溶離液:シクロヘキサン:EtAOc=1:1)によって精製した。収率:200mg(39.5%)。MS(ESI)m/z:453.2[M+H]
+。
【0213】
B:6-{[1-(6-メトキシピリジン-3-イル)-4-メチル-1H-1,2,3-トリアゾール-5-イル]メトキシ}-1,2,3,4-テトラヒドロ-2,7-ナフチリジン
200mg(0.44mmol)のtert-ブチル6-{[1-(6-メトキシピリジン-3-イル)-4-メチル-1H-1,2,3-トリアゾール-5-イル]メトキシ}-1,2,3,4-テトラヒドロ-2,7-ナフチリジン-2-カルボキシレートを7mLの酢酸エチルに溶解した。7mLの塩化水素で飽和された酢酸エチルを溶液に滴下添加した。反応混合物を室温で30分間撹拌した。形成した白色沈殿を濾別し、少量の酢酸エチルで洗浄した。塩酸塩を飽和NaHCO3の溶液に添加し、EtOAcで抽出した。有機層を、分離し、MgSO4で乾燥し、濾過し、真空中で蒸発させた。フラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、溶離液:DCM:MeOH=10:1)による残渣の精製により、所望の生成物を得た。収率:115mg(74%)、MS(ESI)m/z:353.2[M+H]+。
【0214】
実施例35
6-({4-メチル-1-[6-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル]-1H-1,2,3-トリアゾール-5-イル}メトキシ)-2-(オキサン-4-イル)-1,2,3,4-テトラヒドロ-2,7-ナフチリジン
【化55】
表題化合物を、市販の4-オキソテトラヒドロピランを使用して、実施例26について記載された手順に従って調製した。MS(ESI)m/z:475.3[M+H]
+。
【0215】
実施例36
3-{[6-({4-メチル-1-[6-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル]-1H-1,2,3-トリアゾール-5-イル}メトキシ)-1,2,3,4-テトラヒドロ-2,7-ナフチリジン-2-イル]メチル}-1ラムダ6-チオラン-1,1-ジオンヘミナパジシル酸塩
【化56】
表題化合物の遊離塩基を、6-({4-メチル-1-[6-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル]-1H-1,2,3-トリアゾール-5-イル}メトキシ)-1,2,3,4-テトラヒドロ-2,7-ナフチリジン(実施例25)を使用して、実施例19、工程Aについて記載された手順に従って調製した。ヘミナパジシル酸塩を、実施例18の工程Bについて記載された手順に従って調製した。MS(ESI)m/z:523.2[M+H]
+。
1H NMR(DMSO-d
6、400MHz) δ(ppm):9.45-9.70(br m、1H)、9.09(d、J=2.4Hz、1H)、8.47(dd、J=8.3Hz、2.2Hz、1H)、8.23(d、J=8.3Hz、1H)、7.93-7.99(br m、1H)、6.72(br s、1H)、5.51(s、2H)、4.50-4.68(m、1H)、4.14-4.29(br m、1H)、3.60-3.76(br m、1H)、3.21-3.54(br m、5H)、3.00-3.12(m、3H)、2.84-3.00(br m、2H)、2.43(s、3H)、2.29-2.40(br m、1H)、1.77-1.91(br m、1H);ナパジシル酸塩(酸/塩基モル比1:2)シグナル:8.85(dd、J=8.5、約1Hz、2H)、7.91(dd、J=7.0Hz、1.1Hz、2H)、7.39(dd、J=8.5、7.1Hz、2H)。
【0216】
実施例37
6-({4-メチル-1-[6-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル]-1H-1,2,3-トリアゾール-5-イル}メトキシ)-2-(ピリジン-3-イル)-1,2,3,4-テトラヒドロ-2,7-ナフチリジンナパジシル酸塩(napadysilate)
【化57】
A:遊離塩基の合成
マイクロ波管中、アルゴン雰囲気下で、239mg(0.612mmol)の6-({4-メチル-1-[6-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル]-1H-1,2,3-トリアゾール-5-イル}メトキシ)-1,2,3,4-テトラヒドロ-2,7-ナフチリジン(実施例25)、117mg(0.741mmol)の3-ブロモピリジン、141mg(1.26mmol)のカリウムtert-ブトキシド、38mg(0.061mmol)の2,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)-1,1’-ビナフタレン、13.7mg(0.061mmol)のPd(OAc)
2および5mLの無水トルエンを添加した。管をマイクロ波反応器に設置し、撹拌しながら、1時間、120℃に加熱した。反応が完了した後、混合物を蒸発させ、フラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、溶離液:DCM:MeOH=10:1)によって精製して、19mgの生成物を油状物として得た。収率:19mg(6.6%)、MS(ESI)m/z:468.2[M+H]
+。
【0217】
B:ナパジシル酸塩の合成
19mg(0.041mmol)の6-({4-メチル-1-[6-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル]-1H-1,2,3-トリアゾール-5-イル}メトキシ)-2-(ピリジン-3-イル)-1,2,3,4-テトラヒドロ-2,7-ナフチリジンを2mLのメタノールに溶解し、14.7mg(0.041mmol)の1,5-ナフタレンジスルホン酸四水和物を添加し、60℃で10分間撹拌し、次いで、室温に冷却した。沈殿した生成物を濾過によって収集し、冷メタノールで洗浄し、真空中で乾燥させて、表題化合物を黄色固体として得た。収率:11mg(36%)、MS(ESI)m/z:468.2[M+H]+。1H NMR(DMSO-d6、400MHz) δ(ppm):9.09(d、J=2.4Hz、1H)、8.46(dd、J=8.4Hz、2.2Hz、1H)、8.43(d、J=2.8Hz、1H)、8.21(d、J=8.4Hz、1H)、8.17(d、J=5.3Hz、1H)、8.06(dd、J=8.8Hz、2.7Hz、1H)、7.96(s、1H)、7.85(dd、J=8.9Hz、5.4Hz、1H)、6.69(s、1H)、5.49(s、2H)、4.55(s、2H)、3.65(t、J=6.0Hz、2H)、2.92(t、J=6.0Hz、2H)、2.43(s、3H);ナパジシル酸塩(酸/塩基モル比1:1)シグナル:8.86(dd、J=8.5Hz、約1Hz、2H)、7.92(dd、J=7.0Hz、1.1Hz、2H)、7.40(dd、J=8.5Hz、7.1Hz、2H)。
【0218】
実施例38
6-{[4-メチル-1-(6-メチルピリジン-3-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-5-イル]メトキシ}-2-[(3S)-オキソラン-3-イル]-1,2,3,4-テトラヒドロ-2,7-ナフチリジンまたはエナンチオマー、酒石酸塩(tartarate)
【化58】
キラルHPLC(カラム:Lux i-Amylose-1 5μm 150×21,2mm)によるラセミ体6-{[4-メチル-1-(6-メチルピリジン-3-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-5-イル]メトキシ}-2-(オキソラン-3-イル)-1,2,3,4-テトラヒドロ-2,7-ナフチリジン(実施例29)のエナンチオマーの分離により、エナンチオピュアな表題化合物を得た。MS(ESI)m/z:407.2[M+H]
+。酒石酸塩を、実施例19の工程Bについて記載された手順に従って調製した。MS(ESI)m/z:407.2[M+H]
+。
【0219】
実施例39
6-{[4-メチル-1-(6-メチルピリジン-3-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-5-イル]メトキシ}-2-[(3R)-オキソラン-3-イル]-1,2,3,4-テトラヒドロ-2,7-ナフチリジンまたはエナンチオマー、酒石酸塩(tartarate)
【化59】
キラルHPLC(カラム:Lux i-Amylose-1 5μm 150×21,2mm)によるラセミ体6-{[4-メチル-1-(6-メチルピリジン-3-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-5-イル]メトキシ}-2-(オキソラン-3-イル)-1,2,3,4-テトラヒドロ-2,7-ナフチリジン(実施例29)のエナンチオマーの分離により、エナンチオピュアな表題化合物を得た。MS(ESI)m/z:407.2[M+H]
+。酒石酸塩を、実施例19の工程Bについて記載された手順に従って調製した。MS(ESI)m/z:407.2[M+H]
+。
【0220】
実施例40
6-{[1-(6-メトキシピリジン-3-イル)-4-メチル-1H-1,2,3-トリアゾール-5-イル]メトキシ}-2-(オキサン-4-イル)-1,2,3,4-テトラヒドロ-2,7-ナフチリジンヘミナパジシル酸塩
【化60】
表題化合物の遊離塩基を、6-{[1-(6-メトキシピリジン-3-イル)-4-メチル-1H-1,2,3-トリアゾール-5-イル]メトキシ}-1,2,3,4-テトラヒドロ-2,7-ナフチリジン(実施例34)および市販の4-オキソテトラヒドロピランを使用して、実施例18、工程Aについて記載された手順に従って調製した。MS(ESI)m/z:437.2[M+H]
+。ヘミナパジシル酸塩を、実施例18の工程Bについて記載された手順に従って調製した。MS(ESI)m/z:437.2[M+H]
+。
1H NMR(DMSO-d
6、800MHz) δ(ppm):9.70-9.77(br m、1H)、8.41(d、J=2.8Hz、1H)、8.01(s、1H)、7.97(dd、J=8.8、2.7Hz、1H)、7.06(d、J=8.8Hz、1H)、6.74(s、1H)、5.35-5.41(AB d、J=13.5Hz、2H)、4.52(d、J=14.6、1H)、4.31(dd、J=15.0、8.3Hz、1H)、3.98(br d、J=11.1Hz、2H)、3.94(s、3H)、3.70-3.74(m、1H)、3.49-3.55(m、1H)、3.26-3.35(m、3H)、3.01-3.10(m、2H)、2.39(s、3H)、2.04(br d、J=12.0Hz、1H)、1.99(br d、J=12.2Hz、1H)、1.63-1.73(m、2H);ナパジシル酸塩(酸/塩基モル比1:2)シグナル:8.85(dd、J=8.4、1.0Hz、2H)、7.91(dd、J=7.0、1.0Hz、2H)、7.38(dd、J=8.4、7.0Hz、2H)。
【0221】
実施例41
6-{[4-メチル-1-(6-メチルピリジン-3-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-5-イル]メトキシ}-2-(2-メチルプロピル)-1,2,3,4-テトラヒドロ-2,7-ナフチリジンヘミナパジシル酸塩
【化61】
表題化合物の遊離塩基を、6-{[4-メチル-1-(6-メチルピリジン-3-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-5-イル]メトキシ}-1,2,3,4-テトラヒドロ-2,7-ナフチリジン(実施例20)および市販のイソブチルアルデヒドを使用して、実施例18、工程Aについて記載された手順に従って調製した。MS(ESI)m/z:393.3[M+H]
+。ヘミナパジシル酸塩を、実施例18の工程Bについて記載された手順に従って調製した。MS(ESI)m/z:393.3[M+H]
+。
1H NMR(DMSO-d
6、400MHz) δ(ppm):9.22-9.40(br m、1H)、8.67(d、J=2.4Hz、1H)、7.99(s、1H)、7.98(dd、J=8.3、2.6Hz、1H)、7.52(d、J=8.3Hz、1H)、6.72(s、1H)、5.39(s、2H)、4.56(br d、J=14.43Hz、1H)、4.19(dd、J=15.1、7.7Hz、1H)、3.62-3.71(m、1H)、3.22-3.36(m、1H)、2.97-3.15(m、4H)、2.58(s、3H)、2.39(s、3H)、2.15(sep、J=6.7、1H)、0.98(t、J=6.1Hz、6H);ナパジシル酸塩(酸/塩基モル比1:2)シグナル:8.85(dd、J=8.4、1.2Hz、2H)、7.91(dd、J=7.0、1.2Hz、2H)、7.38(dd、J=8.4、7.0Hz、2H)。
【0222】
実施例42
6-{[4-メチル-1-(6-メチルピリジン-3-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-5-イル]メトキシ}-2-[3-(プロパン-2-イル)オキセタン-3-イル]-1,2,3,4-テトラヒドロ-2,7-ナフチリジンナパジシル酸塩
【化62】
A:2-[3-(1H-1,2,3-ベンゾトリアゾール-1-イル)オキセタン-3-イル]-6-{[4-メチル-1-(6-メチルピリジン-3-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-5-イル]メトキシ}-1,2,3,4-テトラヒドロ-2,7-ナフチリジン
30mLのDCM中の1030mg(3.06mmol)の6-{[4-メチル-1-(6-メチルピリジン-3-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-5-イル]メトキシ}-1,2,3,4-テトラヒドロ-2,7-ナフチリジン(実施例20)の溶液に、243mg(3.37mmol)の3-オキセタノンおよび383mg(3.21mmol)の1H-ベンゾトリアゾールを添加した。反応混合物を室温で12時間撹拌した。完了後、溶媒を蒸発乾固させて、表題化合物を白色固体として得た。収率:1540mg(98.7%)、MS(ESI)m/z:510.2[M+H]
+。
【0223】
B:6-{[4-メチル-1-(6-メチルピリジン-3-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-5-イル]メトキシ}-2-[3-(プロパン-2-イル)オキセタン-3-イル]-1,2,3,4-テトラヒドロ-2,7-ナフチリジン
アルゴン雰囲気下、10mLのTHF中の520mg(1.02mmol)の2-[3-(1H-1,2,3-ベンゾトリアゾール-1-イル)オキセタン-3-イル]-6-{[4-メチル-1-(6-メチルピリジン-3-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-5-イル]メトキシ}-1,2,3,4-テトラヒドロ-2,7-ナフチリジンの溶液を、593mg(4.08mmol)のイソプロピルマグネシウムクロリド塩化リチウム錯体溶液に一度に添加した。反応混合物を室温で10分間撹拌した。反応が完了した後、混合物を水でクエンチし、EtOAcで抽出した。有機層を、分離し、MgSO4で乾燥し、濾過し、真空中で蒸発させた。フラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、溶離液:ヘキサン:EtOAc:2%のEt3N、30~60%のグラジエント)による残渣の精製により、表題化合物を得た。収率:177mg(40%)、MS(ESI)m/z:435.2[M+H]+。
【0224】
C:6-{[4-メチル-1-(6-メチルピリジン-3-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-5-イル]メトキシ}-2-[3-(プロパン-2-イル)オキセタン-3-イル]-1,2,3,4-テトラヒドロ-2,7-ナフチリジンナパジシル酸塩
ヘミナパジシル酸塩を、実施例36の工程Bについて記載された手順に従って調製した。MS(ESI)m/z:435.2[M+H]+。1H NMR(DMSO-d6、500MHz) δ(ppm):9.60-10.50(br m、1H)、8.71(d、J=2.4Hz、1H)、8.04(dd、J=8.3Hz、2.4Hz、1H)、7.99(s、1H)、7.57(d、J=8.3Hz、1H)、6.75(s、1H)、5.41(s、2H)、4.69(AB d、J=8.8Hz、2H)、4.66(AB d、J=8.8Hz、2H)、4.35-4.61(br m、2H)、3.44-3.83(br m、2H)、3.04-3.17(br m、2H)、2.60(s、3H)、2.40(s、3H)、2.34-2.44(m、1H)、1.13(d、J=6.7Hz、6H);ナパジシル酸塩(酸/塩基モル比1:1)シグナル:8.85(br d、J=8.6Hz、2H)、7.91(d、J=7.0Hz、2H)、7.40(dd、J=8.4Hz、7.3Hz、2H)。
【0225】
実施例43
2-(3-エチルオキセタン-3-イル)-6-{[4-メチル-1-(6-メチルピリジン-3-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-5-イル]メトキシ}-1,2,3,4-テトラヒドロ-2,7-ナフチリジンナパジシル酸塩
【化63】
表題化合物を、工程Bにおいてエチルマグネシウムブロミド溶液を使用して、実施例42について記載された手順に従って調製した。MS(ESI)m/z:421.2[M+H]
+。
1H NMR(DMSO-d
6、500MHz) δ(ppm):10.54-10.96(br m、1H)、8.70(d、J=2.4Hz、1H)、8.02(dd、J=8.3Hz、2.6Hz、1H)、7.95(s、1H)、7.56(d、J=8.3Hz、1H)、6.75(s、1H)、5.41(s、2H)、4.80(br d、2H)、4.57(d、J=8.1Hz、2H)、4.24-4.44(br m、2H)、3.26-3.52(br m、2H)、3.02-3.18(br m、2H)、2.60(s、3H)、2.40(s、3H)、1.78-1.96(br m、2H)、1.23(t、J=7.3Hz、3H);ナパジシル酸塩(酸/塩基モル比1:1)シグナル:8.85(br d、J=8.5Hz、2H)、7.91(dd、J=7.0Hz、0.9Hz、2H)、7.39(dd、J=8.5Hz、7.1Hz、2H)。
【0226】
実施例44
2-メチル-5-[4-メチル-5-({5H,6H,7H,8H-ピリド[3,4-c]ピリダジン-3-イルオキシ}メチル)-1H-1,2,3-トリアゾール-1-イル]ピリジン
【化64】
A:tert-ブチル2-メチル-5-[4-メチル-5-({5H,6H,7H,8H-ピリド[3,4-c]ピリダジン-3-イルオキシ}メチル)-1H-1,2,3-トリアゾール-1-イル]ピリジン-2-カルボキシレート
マイクロ波管中、アルゴン雰囲気下で、135mg(0.50mmol)の市販のtert-ブチル3-クロロ-5,8-ジヒドロピリド[3,4-c]ピリダジン-7(6H)-カルボキシレート、102mg(0.50mmol)の[4-メチル-1-(6-メチルピリジン-3-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-5-イル]メタノール(中間体3)、112mg(1.00mmol)のカリウムtert-ブトキシド、20mg(0.05mmol)のrac-2-(ジ-tert-ブチルホスフィノ)-1,11-ビナフチル、11.2mg(0.05mmol)のPd(OAc)
2および10mLの無水トルエンを添加した。管をマイクロ波反応器に設置し、撹拌しながら、3時間、120℃に加熱した。反応が完了した後、混合物を、セライトパッドを通して濾過し、アセトンで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、蒸発させた。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、溶離液:シクロヘキサン:EtAOc=1:1)によって精製した。収率:57mg(26%)。MS(ESI)m/z:438.2[M+H]
+。
【0227】
B:2-メチル-5-[4-メチル-5-({5H,6H,7H,8H-ピリド[3,4-c]ピリダジン-3-イルオキシ}メチル)-1H-1,2,3-トリアゾール-1-イル]ピリジン
138mg(0.31mmol)のtert-ブチル2-メチル-5-[4-メチル-5-({5H,6H,7H,8H-ピリド[3,4-c]ピリダジン-3-イルオキシ}メチル)-1H-1,2,3-トリアゾール-1-イル]ピリジン-2-カルボキシレートを10mLのDCMに溶解した。次いで、360mg(3.16mmol)のトリフルオロ酢酸を溶液に添加し、懸濁液を室温で48時間撹拌した。完了後、混合物を蒸発させ、残渣をDCMに溶解し、飽和Na2CO3溶液および水で洗浄した。有機層を、分離し、MgSO4で乾燥し、濾過し、真空中で蒸発させた。フラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、溶離液:DCM:MeOH=10:1)による残渣の精製により、所望の生成物を得た。収率:77mg(72%)、MS(ESI)m/z:338.1[M+H]+。
【0228】
実施例45
5-[5-({[7-(シクロブチルメチル)-5H,6H,7H,8H-ピリド[3,4-c]ピリダジン-3-イル]オキシ}メチル)-4-メチル-1H-1,2,3-トリアゾール-1-イル]-2-メチルピリジン酒石酸塩
【化65】
表題化合物の遊離塩基を、2-メチル-5-[4-メチル-5-({5H,6H,7H,8H-ピリド[3,4-c]ピリダジン-3-イルオキシ}メチル)-1H-1,2,3-トリアゾール-1-イル]ピリジン(実施例44)および市販のシクロブタンカルボキシアルデヒドを使用して、実施例18、工程Aについて記載された手順に従って調製した。MS(ESI)m/z:406.3[M+H]
+。酒石酸塩を、実施例19の工程Bについて記載された手順に従って調製した。MS(ESI)m/z:406.3[M+H]
+。
1H NMR(DMSO-d
6、500MHz) δ(ppm):8.67(d、J=2.5Hz、1H)、7.97(dd、J=8.3Hz、2.6Hz、1H)、7.49(d、J=8.3Hz、1H)、6.96(s、1H)、5.53(s、2H)、3.68(s、2H)、2.80(t、J=5.8Hz、2H)、2.64(t、J=5.9Hz、2H)、2.55-2.62(m、1H)、2.57(d、J=7.0Hz、2H)、2.56(s、3H)、2.41(s、3H)、2.00-2.08(m、2H)、1.75-1.93(m、2H)、1.64-1.73(m、2H);酒石酸塩(酸/塩基比1:1)シグナル:4.28(s、2H)。
【0229】
実施例46
5-{5-[({7-シクロブチル-5H,6H,7H,8H-ピリド[3,4-c]ピリダジン-3-イル}オキシ)メチル]-4-メチル-1H-1,2,3-トリアゾール-1-イル}-2-メチルピリジン酒石酸塩
【化66】
表題化合物の遊離塩基を、2-メチル-5-[4-メチル-5-({5H,6H,7H,8H-ピリド[3,4-c]ピリダジン-3-イルオキシ}メチル)-1H-1,2,3-トリアゾール-1-イル]ピリジン(実施例44)および市販のシクロブタノンを使用して、実施例18、工程Aについて記載された手順に従って調製した。MS(ESI)m/z:392.2[M+H]
+。酒石酸塩を、実施例19の工程Bについて記載された手順に従って調製した。MS(ESI)m/z:392.2[M+H]
+。
1H NMR(DMSO-d
6、500MHz) δ(ppm):8.67(d、J=2.5Hz、1H)、7.98(dd、J=8.3Hz、2.6Hz、1H)、7.50(d、J=8.3Hz、1H)、6.97(s、1H)、5.53(s、2H)、3.58(s、2H)、2.95(qui、J=7.6Hz、1H)、2.81(br t、J=5.8Hz、2H)、2.57(s、3H)、2.52(br t、J=5.8Hz、2H)、2.41(s、3H)、2.03-2.11(m、2H)、1.82-1.91(m、2H)、1.63-1.71(m、2H);酒石酸塩(酸/塩基比1:1)シグナル:4.28(s、2H)。
【0230】
医薬調製物例
以下の製剤例は、この発明の代表的な医薬組成物を説明する。しかしながら、本発明は、以下の医薬組成物に限定されるものではない。
【0231】
A)固形経口剤形
I.錠剤
活性成分 0.01~90%
増量剤 1~99.9%
結合剤 0~20%
崩壊剤 0~20%
滑沢剤 0~10%
他の特定の賦形剤 0~50%
II.口内分散性フィルム
活性成分 0.01~90%
フィルム形成剤 1~99.9%
可塑剤 0~40%
他の特定の賦形剤 0~50%
【0232】
B)液体経口剤形
III.経口懸濁剤
活性成分 0.01~50%
液体媒体 10~99.9%
湿潤剤 0~50%
増粘剤 0~50%
緩衝剤 適量
浸透圧性薬剤 0~50%
保存剤 適量
IV.シロップ剤
活性成分 0.01~50%
溶媒 10~99.9%
糖成分 1~20%
香味剤 0~10%
【0233】
C)非経口剤形
V.静脈内注射剤
活性成分 0.01~50%
溶媒 10~99.9%
共溶媒 0~99.9%
浸透圧性薬剤 0~50%
緩衝剤 適量
【0234】
D)他の剤形
VI.坐剤
活性成分 0.01~50%
坐剤基剤 1~99.9%
表面活性剤 0~20%
潤滑剤 0~20%
保存剤 適量
【0235】
VII.点眼薬
活性成分 0.01~50%
水 0~99.9%
溶媒 0~99.9%
浸透圧性薬剤 0~20%
粘度増強剤 0~20%
緩衝剤 適量
保存剤 適量
【0236】
VIII.点鼻薬またはスプレー
活性成分 0.01~50%
水 0~99.9%
溶媒 0~99.9%
浸透圧性薬剤 0~20%
粘度増強剤 0~20%
共溶媒 適量
緩衝剤 適量
保存剤 適量
【国際調査報告】