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  • 特表-再生可能ポリマー発泡体 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-04
(54)【発明の名称】再生可能ポリマー発泡体
(51)【国際特許分類】
   C08J 9/04 20060101AFI20240927BHJP
【FI】
C08J9/04 101
C08J9/04 CES
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024518349
(86)(22)【出願日】2022-09-29
(85)【翻訳文提出日】2024-03-27
(86)【国際出願番号】 US2022077236
(87)【国際公開番号】W WO2023056339
(87)【国際公開日】2023-04-06
(31)【優先権主張番号】63/250,256
(32)【優先日】2021-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(71)【出願人】
【識別番号】590001418
【氏名又は名称】ダウ シリコーンズ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(72)【発明者】
【氏名】ウォン、シルン
(72)【発明者】
【氏名】チェン、ホンユ
(72)【発明者】
【氏名】ヤン、ジンリャン
(72)【発明者】
【氏名】オーヤン、ウーイェ
(72)【発明者】
【氏名】リュー、ボー
(72)【発明者】
【氏名】ジャン、カイナン
(72)【発明者】
【氏名】ホー、チャオ
【テーマコード(参考)】
4F074
【Fターム(参考)】
4F074AA17B
4F074AA17D
4F074AA20
4F074AA22
4F074AA98
4F074AB05
4F074BA32
4F074CA29
4F074DA02
4F074DA08
4F074DA17
4F074DA22
(57)【要約】
本開示の実施形態は、無水マレイン酸グラフトオレフィンブロックコポリマー(MAH-g-OBC)と第二級アルコールとの架橋反応生成物を含み得る発泡体に関する。発泡体は、0.2g/cc以下の密度を有し得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発泡体であって、
無水マレイン酸グラフトオレフィンブロックコポリマー(MAH-g-OBC)と、
第二級アルコールと、
の架橋反応生成物を含み、
0.2g/cc以下の密度を有する、発泡体。
【請求項2】
MAH-g-OBCと、ポリオレフィンエラストマー、エチレン酢酸ビニルコポリマー、及び低密度ポリエチレンのうちの1つ以上とのブレンドを含む、請求項1に記載の発泡体。
【請求項3】
前記第二級アルコールが、以下の式:
【化1】

(式中、R1及びR4は、それぞれ独立して、1~20個の炭素原子を有する鎖状もしくは環状のアルキル基、アルコキシ基、又は芳香族基を表し、R2及びR3は、それぞれ独立して、1~20個の炭素原子を有する直鎖状もしくは環状のアルキレン基、カルボニル基、芳香族基、又はオキシ基を表し、d及びeは、0以上の整数であり、fは、1以上の整数である)
によって定義される、請求項1又は2に記載の発泡体。
【請求項4】
前記第二級アルコールが、2,5-ヘキサンジオールを含む、請求項1~3のいずれかに記載の発泡体。
【請求項5】
60以上の反発%を有する、請求項1~4のいずれかに記載の発泡体。
【請求項6】
前記発泡体の密度が0.1g/cc以下である、請求項1~5のいずれかに記載の発泡体。
【請求項7】
前記MAH-g-OBCが、0.1~2.0重量%の無水マレイン酸のグラフト化レベルを有する、請求項1~6のいずれかに記載の発泡体。
【請求項8】
前記OBCが、エチレン/アルファ-オレフィンブロックコポリマーである、請求項1~7のいずれかに記載の発泡体。
【請求項9】
前記アルファ-オレフィンがオクテンである、請求項8に記載の発泡体。
【請求項10】
前記エチレン/アルファ-オレフィンブロックコポリマーが、50モル%超のエチレンモノマーを含む、請求項8又は9に記載の発泡体。
【請求項11】
98~99.999重量%のMAH-g-OBC及び0.001~2重量%の第二級アルコールを含む、請求項1~10のいずれかに記載の発泡体。
【請求項12】
熱可逆性架橋性組成物を物理的に発泡させて、請求項1~11のいずれかに記載の発泡体を形成する発泡プロセスであって、前記熱可逆性架橋性組成物が、前記MAH-g-OBC及び前記第二級アルコールを含む、プロセス。
【請求項13】
請求項12に記載の発泡プロセスであって、
前記発泡体をホットプレスして空気を除去し、固体フィルム片を形成し、
前記固体フィルム片を1枚以上のプレートに圧縮成形し、
前記プレートを物理的に発泡させて、再生発泡体を生成する、プロセス。
【請求項14】
前記再生発泡体が、再生発泡体材料と未使用発泡体材料とのブレンドを含む、請求項12又は13に記載の発泡プロセス。
【請求項15】
前記物理的発泡が物理的発泡剤を使用し、前記物理的発泡剤がCO又はNを含む、請求項12~14のいずれかに記載の発泡プロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、その開示全体が参照により本明細書に組み込まれる、2021年9月30日に出願された米国仮出願第63/250,256号の利益を主張する。
【0002】
本開示の実施形態は、概してポリマー、より具体的には、ポリマー発泡体に関する。
【背景技術】
【0003】
ポリマー発泡体は、様々な用途において、例えば履物の中敷の材料として広く使用されている。中敷用途において、発泡体は、高い反発弾性、加熱時の最小収縮、低密度、及び高い引裂強度を有していなければならない。これらの特性を実現するために、高い溶融強度が要求される。高い溶融強度がなければ、ポリマーの融点付近で起こる物理的発泡中に発泡体の気泡が破裂する恐れがある。従来、この強度は架橋によって達成されているが、架橋した材料は、発泡プロセス中の熱安定性の問題を有する場合がある。
【0004】
したがって、物理的発泡プロセス中及びその後に溶融強度及び熱安定性を維持する改善された材料が必要とされている。
【0005】
本材料は、熱可逆性架橋ポリマー発泡体を提供する。
【発明の概要】
【0006】
本開示の実施形態は、熱可逆性架橋ポリマー発泡体を提供することによって、このニーズに対処する。熱可逆性架橋とは、架橋が高温で解離し、室温で再会合することを意味する。したがって、熱可逆性架橋は、不可逆的に架橋されたポリマー発泡体と比較して、高い溶融強度、容易な加工性、良好な機械的特性、及び均一な発泡体構造を提供することができる。
【0007】
一実施形態において、発泡体は、無水マレイン酸グラフトオレフィンブロックコポリマー(MAH-g-OBC)と第ニ級アルコールとの架橋反応生成物を含み得る。発泡体は、0.2g/cc以下の密度を有し得る。
【0008】
別の実施形態によれば、発泡体は、熱可逆性架橋性組成物を物理的に発泡させることによって形成され得る。そのような実施形態において、熱可逆性架橋性組成物は、MAH-g-OBC及び第二級アルコールを含み得る。
【0009】
実施形態の追加の特徴及び利点は、後に続く詳細な説明で述べられ、一部はその説明から当業者にとって容易に明らかになるか、又は後に続く「発明を実施するための形態」を含む本明細書に記載される実施形態、特許請求の範囲、並びに添付図面を実施することによって認識されるであろう。
【0010】
以上及び以下の説明の両方が、様々な実施形態を説明し、特許請求される主題の性質及び特徴を理解するための概要又は枠組みの提供を意図していることを理解されたい。添付の図は、様々な実施形態の更なる理解を提供するために含まれ、かつ本明細書に組み込まれ、その一部を構成する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
本開示の特定の実施形態の以下の「発明を実施するための形態」は、以下の図面と併せて読むと最も良く理解され得るが、そこでは、同様の構造が同様の参照数字で示されている。
図1】様々な温度における本発明の実施例1のFTIRスペクトルを示す。
図2】様々な温度における本発明の実施例1の複素粘度を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本開示は、ポリマー発泡体及びポリマー発泡体の作製方法を含む。ポリマー発泡体は、MAH-g-OBC及び第二級アルコールなどの熱可逆性架橋性ポリマー組成物に由来し得る。これらのポリマー発泡体は、従来の発泡体と比較して、優れた溶融強度、収縮、密度、及び加工性を有し得る。
【0013】
定義
本明細書で使用される場合、「含む(comprising)」、「含む(including)」、「有する(having)」という用語及びそれらの派生語は、それらが具体的に開示されているか否かにかかわらず、任意の追加の成分、工程、又は手順の存在を排除することを意図するものではない。いかなる疑念も避けるために、「含む(comprising)」という用語の使用を通して特許請求される全ての組成物は、別段矛盾する記述がない限り、ポリマー性か又は別のものであるかにかかわらず、任意の追加の添加剤、アジュバント、又は化合物を含み得る。対照的に、「から本質的になる(consisting essentially of)」という用語は、操作性に必須ではないものを除き、あらゆる以降の記述の範囲から任意の他の成分、工程、又は手順を排除する。「からなる(consisting of)」という用語は、具体的に描写又は列記されていないあらゆる構成成分、工程、又は手順を排除する。
【0014】
本明細書で使用される場合、「ポリマー」という用語は、同じ種類又は異なる種類にかかわらず、モノマーを重合することによって調製されたポリマー化合物を指す。したがって、ポリマーという用語は、ホモポリマーという用語(微量の不純物がポリマー構造に組み込まれる場合もあるという理解の下に、1種のモノマーのみから調製されるポリマーを指すために用いられる)、及びコポリマー又はインターポリマーという用語を包含する。微量の不純物(例えば、触媒残渣)は、ポリマー中及び/又はポリマー内に組み込まれてもよい。ポリマーは、単一のポリマー又はポリマーブレンドであってもよい。
【0015】
「ポリエチレン」又は「エチレン系ポリマー」は、50モル%を超えるエチレンモノマーに由来する単位を含むポリマーを意味するものとする。これには、エチレン系ホモポリマー又はコポリマー(単位が2つ以上のコモノマーに由来することを意味する)が含まれる。当該技術分野で既知の一般的な形態のエチレン系ポリマーとしては、低密度ポリエチレン(Low Density Polyethylene、LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(Linear Low Density Polyethylene、LLDPE)、極低密度ポリエチレン(Ultra Low Density Polyethylene、ULDPE)、超低密度ポリエチレン(Very Low Density Polyethylene、VLDPE)、直鎖状低密度樹脂及び実質的に直鎖状の低密度樹脂の両方を含む、シングルサイト触媒による直鎖状低密度ポリエチレン(m-LLDPE)、中密度ポリエチレン(Medium Density Polyethylene、MDPE)、並びに高密度ポリエチレン(High Density Polyethylene、HDPE)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0016】
本明細書で使用される場合、「LDPE」又は「低密度ポリエチレン」という用語は、フリーラジカル高圧(100MPa以上(例えば、100~400MPa))重合を使用して調製されたエチレンホモポリマーを指す。LDPE樹脂は、典型的には、0.916~0.935g/cmの範囲内の密度を有する。
【0017】
「LLDPE」又は「直鎖状低密度ポリエチレンという用語には、チーグラー・ナッタ触媒系を使用して作製された樹脂、及びビス-メタロセン触媒(「m-LLDPE」と称されることもある)、ホスフィンイミン、及び幾何拘束型触媒が含まれるが、これらに限定されないシングルサイト触媒を使用して作製された樹脂、並びにビス(ビフェニルフェノキシ)触媒(多価アリールオキシエーテル触媒とも称される)が含まれるが、これらに限定されないポストメタロセン分子触媒を使用して作製された樹脂が含まれ得る。LLDPEは、直鎖状の、実質的に直鎖状の、又は不均質なエチレン系コポリマー又はホモポリマーを含む。LLDPEは、LDPEよりも少ない長鎖分岐を含有し、米国特許第5,272,236号、米国特許第5,278,272号、米国特許第5,582,923号、及び米国特許第5,733,155号に更に定義されている実質的に鎖状のエチレンポリマー、米国特許第3,645,992号のものなどの、均質に分岐した線状エチレンポリマー組成物、米国特許第4,076,698号に開示されているプロセスに従って調製されたものなどの不均質分岐状エチレンポリマー、及びそれらのブレンド(米国特許第3,914,342号又は米国特許第5,854,045号に開示されているものなど)を含む。LLDPE樹脂は、当該技術分野において既知の任意の種類の反応器又は反応器構成を使用して、気相重合、溶液相重合、若しくはスラリー重合、又はそれらの任意の組み合わせによって作製され得る。
【0018】
本明細書で使用される場合、「PP」という用語は、ポリプロピレンを指す。ポリプロピレン樹脂は、少なくとも50重量%のプロピレンモノマーを含み得る。例えば、ポリプロピレン樹脂は、少なくとも60重量%、少なくとも70重量%、少なくとも80重量%、少なくとも90重量%、少なくとも95重量%、少なくとも99重量%、又は更には少なくとも100重量%のプロピレンモノマーを含み得る。
【0019】
本明細書で使用される場合、「EVA」という略語は、エチレン-酢酸ビニルを指す。エチレン-酢酸ビニル樹脂は、少なくとも50重量%のエチレンモノマーを含み得る。例えば、エチレン-酢酸ビニル樹脂は、少なくとも60重量%、少なくとも70重量%重量%重量%重量%重量%重量%のエチレンモノマーを含み得る。逆に、エチレン-酢酸ビニル樹脂は、少なくとも5重量%、少なくとも10重量%、少なくとも15重量%、少なくとも20重量%、又は少なくとも25重量%の酢酸ビニルモノマーを含み得る。重量%重量%
【0020】
本明細書で使用される場合、「POE」という略語は、POE化合物が、一般式C2n(式中、nは2~12である)の単純オレフィンを含むホモポリマー又はコポリマーであるポリオレフィンエラストマーを指す。ポリオレフィンエラストマーは、少なくとも50重量%、少なくとも60重量%、少なくとも70重量%、少なくとも80重量%、少なくとも90重量%、少なくとも95重量%、少なくとも99重量%、又はさらには100重量%の量の単純オレフィンを含み得る。
【0021】
本明細書中で使用される場合、「MAH」という用語は、無水マレイン酸を指す。
【0022】
本明細書で使用される場合、「ASTM」という用語は、以前は米国材料試験協会(American Society for Testing and Materials)として知られていた標準機構ASTM Internationalを指す。
【0023】
本明細書で使用される場合、「min.」及び「mins.」は分を意味し、「hr.」/「hrs.」は時を意味し、「sec.」は秒を意味し、「mol.」はモルを意味し、「mol.「%」はモルパーセントを意味し、「cm」はセンチメートルを意味し、「cm-1」は1/センチメートルを意味し、「mm」はミリメートルを意味し、「kV」はキロボルトを意味し、「mA」はミリアンペアを意味し、「℃」は摂氏度を意味し、「rad/s」はラジアン毎秒を意味し、「MPA」はメガパスカルを意味し、「g」はグラムを意味し、「cc」は立方センチメートルを意味する。
【0024】
実施形態
本開示の実施形態は、可逆的に架橋されたポリマー発泡体に関する。これらの発泡体は、従来の発泡体と比べて、優れた機械的性能及び加工性を提供すると考えられる。さらに、これらの発泡体は、ホットプレスし、圧縮成形し、発泡体を再び物理的に発泡させることによって再生することができ、化学的工程を必要としない。
【0025】
本開示の発泡体は、MAHグラフトオレフィンブロックコポリマー(「MAH-g-OBC」)と第二級アルコールとの架橋反応生成物を含む。発泡体は、0.2g/cc以下の密度を有し得る。
【0026】
MAH-g-OBCは、無水マレイン酸がグラフトされたオレフィンブロックコポリマー(「olefin block copolymer、OBC」)を含み得る。MAHは、オレフィンブロックコポリマーに共有結合され得る。
【0027】
MAH-g-OBCは、0.1~2.0重量%の無水マレイン酸グラフト化レベルを有し得る。例えば、MAH-g-OBCは、0.1~2.0重量%、0.5~2.0重量%、1.0~2.0重量%、1.5~2.0重量%、0.1~1.5重量%、0.1~1.0重量%、0.1~0.5重量%、0.2~1.8重量%、0.4~1.6重量%、0.6~1.4重量%、0.8~1.2重量%、0.3~0.7重量%、0.4~0.5重量%、又はそれらの任意のサブセットのMAHであり得る。
【0028】
様々な実施形態では、OBCは、例えば、エチレン/アルファ-オレフィンブロックコポリマーである。エチレン/アルファ-オレフィンブロックコポリマーの市販品の例としては、The Dow Chemical Company(Midland,MI)から入手可能な商品名INFUSE(商標)で入手可能な樹脂が挙げられる。
【0029】
様々な実施形態では、エチレン/アルファ-オレフィンコポリマーは、化学的又は物理的特性が異なる2つ以上の重合モノマー単位の複数のブロック又はセグメントを特徴とする、重合形態のエチレン及び1つ以上の共重合可能なアルファ-オレフィンモノマーを含み得る。1つ以上の実施形態では、OBCは、式(AB)n(式中、nは、少なくとも1、好ましくは1超の整数、例えば2、3、4、5、10、15、20、30、40、50、60、70、80、90、100、又はそれ以上であり、「A」は、ハードブロックを表し、「B」は、ソフトブロックを表す)によって表すことができる。実施形態では、A及びBは、実質的に分枝状又は実質的に星形状の様式とは対照的に、実質的に直線状の様式で連結される。1つ以上の実施形態では、Aブロック及びBブロックは、ポリマー鎖に沿ってランダムに分布し、AAA-AA-BBB-BBのような構造を有しない。いくつかの実施形態では、ブロックコポリマーは、異なるコモノマーを含む第3の種類のブロックを有しない。実施形態では、ブロックA及びブロックBの各々は、ブロックAとブロックBのどちらも、ブロックの残りとは実質的に異なる組成を有する、先端セグメントなどの別個の組成の2つ以上のサブセグメントを含まないように、ブロック内に実質的にランダムに分布するモノマー又はコモノマーを有する。
【0030】
OBCは、様々な量の「ハード」及び「ソフト」ブロックを含み得る。「ハード」ブロックは、ポリマーの重量に基づいて約95重量%超、好ましくは約98重量%超の量でエチレンが存在する重合単位のブロックを指す。言い換えれば、ハードブロック中のコモノマー含有量、すなわち、エチレン以外のモノマーの含有量は、ポリマーの重量に基づいて約5重量%未満、好ましくは約2重量%未満である。1つ以上の実施形態では、ハードブロックは、全ての又は実質的に全てのエチレンを含む。他方、「ソフト」ブロックは、コモノマー含有量、すなわち、エチレン以外のモノマーの含有量が約5重量%超である重合単位のブロックを指す。例えば、コモノマー含有量は、ポリマーの重量に基づいて約5重量%超、約8重量%超、約10重量%超、又は約15重量%超であり得る。様々な実施形態では、ソフトブロック中のコモノマー含有量は、ポリマーの重量に基づいて約20重量%超、約25重量%超、約30重量%超、約35重量%超、約40重量%超、約45重量%超、約50重量%超、又は約60重量%超であり得る。
【0031】
様々な実施形態では、ソフトブロックは、ポリオレフィンエラストマーの総重量の約1重量%~約99重量%の量でOBC中に存在する。例えば、ソフトブロックは、OBCの総重量の約5重量%~約95重量%、約10重量%~約90重量%、約15重量%~約85重量%、約20重量%~約80重量%、約25重量%~約75重量%、約30重量%~約70重量%、約35重量%~約65重量%、約40重量%~約60重量%、又は約45重量%~約55重量%で存在し得る。逆に、ハードフロックは、同様の範囲で存在することができる。ソフトブロック及びハードブロックの重量パーセントは、DSC又はNMRから取得したデータに基づいて計算することができる。そのような方法及び計算は、米国特許出願公開第2006/0199930号に開示されている。
【0032】
エチレン/アルファ-オレフィンブロックコポリマーを形成するために使用することができるアルファ-オレフィンコモノマーの例としては、例としてであって限定ではなく、プロピレン、イソブチレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-ノネン、1-デセン、及び1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-オクタデセント(1-octadecent)、1-エイコセン、3-メチル-1-ブテン、3-メチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、4,6-ジメチレ-1-ヘプテン(4,6-dimethyle-1-heptene)、4-ビニルシクロヘキセン、ビニルシクロヘキサン、ノルボルナジエン、エチリデンノルボルネン、シクロペンテン、シクロヘキセン、ジシクロペンタジエン、シクロオクテン、C-C40ジエン、他のC-C40アルファ-オレフィンなどが挙げられる。さらなる実施形態では、アルファ-オレフィンコモノマーは、C-Cコモノマーを含み得る。コモノマー含有量は、核磁気共鳴(nuclear magnetic resonance、「NMR」)スペクトル法に基づく技術などの任意の好適な技術を使用して、例えば、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第7,498,282号に記載の13C NMR分析によって測定され得る。
【0033】
様々な実施形態では、OBCは、ASTM D1238(190℃、2.16kg)に従って求めたときに約0.5~約30.0g/10分のメルトインデックス(I)を有する。例えば、エチレン/アルファ-オレフィンブロックコポリマーは、0.5~30.0g/10分、0.5~12g/10分、0.5g/10分~5.0g/10分、又は3.0g/10分~7.0g/10分のメルトインデックス(I)を有し得る。
【0034】
様々な実施形態では、OBCは、0.850g/cc~0.890g/ccの密度を有する。0.850g/cc~0.890g/ccの全ての個々の値及び部分範囲が本明細書に含まれ、本明細書に開示され、例えば、エチレン/アルファ-オレフィンブロックコポリマーの密度は、0.850g/cc、0.855g/cc、0.860g/cc、0.865g/cc、又は0.870g/ccの下限から0.890g/cc、0.885g/cc、0.880g/cc、又は0.875g/ccの上限までであり得る。実施形態では、エチレン/アルファ-オレフィンブロックコポリマーは、0.860g/cc~0.890g/ccの密度を有する。
【0035】
OBCは、115℃~125℃の溶融温度(T)(DSC)を有する。115℃~125℃の全ての個々の値及び部分範囲が本明細書に含まれ、本明細書に開示され、例えば、エチレン/アルファ-オレフィンブロックコポリマーの融点は、115℃、116℃、117℃、118℃、119℃、又は120℃の下限から125℃、124℃、123℃、122℃、又は121℃の上限までであり得る。
【0036】
いくつかの実施形態では、OBCは、3.5以下の分子量分布(molecular weight distribution、MWD)を有する。分子量分布(MWD)は、重量平均分子量(weight average molecular weight、Mw)を数平均分子量(number average molecular weight、Mn)で除算したものとして定義される。例えば、いくつかの実施形態のOBCは、2~3のMWDを有する。分子量(Mn及びMw)及びMWDを求めるための技術は、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第4,540,753号に見出すことができる。
【0037】
OBCは、これらの各々が参照により本明細書に組み込まれる、国際出願PCT/US2005/008915号、国際出願第PCT/US2005/008916号、及び国際出願第PCT/US2005/008917号に記載されているものなどの既知の重合プロセスを利用して形成することができる。
【0038】
重量%重量%重量%重量%重量%重量%重量%発泡体は、MAH-g-OBCと第二級アルコールとの架橋反応生成物を含み得る。本明細書で使用される場合、「第二級アルコール」は、炭素原子に結合した水酸化物基を有する化合物であり、当該炭素原子は、2個の他の炭素原子及びそれに結合している水素を有する。第二級アルコールは、炭素、酸素、及び水素からなり得る。
【0039】
第二級アルコールは、式1によって定義され得る。
【0040】
【化1】
【0041】
式1を参照すると、R1及びR4は、それぞれ独立して、1~20個の炭素原子を有する鎖状もしくは環状のアルキル基、アルコキシ基、又は芳香族基を表し得る。例えば、R1は、1~20個、5~20個、10~20個、15~20個、1~15個、1~10個、1~5個、5~15個、又はそれらの任意のサブセットの炭素原子を有する鎖状もしくは環状アルキル基;アルコキシ基;又は芳香族基を表し得る。R4は、1~20個、5~20個、10~20個、15~20個、1~15個、1~10個、1~5個、5~15個、又はそれらの任意のサブセットの炭素原子を有する鎖状もしくは環状アルキル基;アルコキシ基;又は芳香族基を表し得る。
【0042】
さらに式1を参照すると、R2及びR3は、それぞれ独立して、1~20個の炭素原子を有する直鎖状もしくは環状のアルキレン基、カルボニル基、芳香族基、又はオキシ基を表し得る。例えば、R2は、1~20個、5~20個、10~20個、15~20個、1~15個、1~10個、1~5個、5~15個の炭素原子を有する直鎖状もしくは環状のアルキレン基;カルボニル基;芳香族基;又はオキシ基を表し得る。R3は、1~20個、5~20個、10~20個、15~20個、1~15個、1~10個、1~5個、5~15個の炭素原子を有する直鎖状もしくは環状のアルキレン基;カルボニル基;芳香族基;又はオキシ基を表し得る。
【0043】
さらに式1を参照すると、dは、0以上の整数であってよい。例えば、dは、0、1、2、3、4、5、又は5超であってよい。eは、0以上の整数であってよい。例えば、eは、0、1、2、3、4、5、又は5超であってよい。fは、1以上の整数であってよい。例えば、fは、1、2、3、4、5、又は5超であってよい。
【0044】
いくつかの実施形態によれば、第二級アルコールは、2,5-ヘキサンジオールを含み得る。例えば、第二級アルコールは、少なくとも50重量%、少なくとも75重量%、少なくとも90重量%、少なくとも95重量%、少なくとも99重量%、又は更には少なくとも99.9重量%の2,5-ヘキサンジオールを含み得る。2,5-ヘキサンジオールは、式2によって表され得る。
【0045】
【化2】
【0046】
発泡体は、98重量%~99.999重量%のMAH-g-OBCを含み得る。例えば、発泡体は、98~99.99重量%、98~99.9重量%、98~99重量%、98.5~99.999重量%、98.5~99.99重量%、98.5~99.9重量%、98.5~99.0重量%、99~99.999重量%、99~99.99重量%、99~99.9重量%、99.9~99.999重量%、又はそれらの任意のサブセットのMAH-g-OBCを含み得る。
【0047】
発泡体は、0.001~2.0重量%の第二級アルコールを含み得る。例えば、発泡体は、0.001~1.5重量%、0.001~1.0重量%、0.001~0.5重量%、0.001~0.25重量%、0.001~0.2重量%、0.001~0.1重量%、0.001~0.01重量%、0.01~2重量%、0.01~1.5重量%、0.01~1.0重量%、0.01~0.5重量%、0.01~0.25重量%、0.01~0.2重量%、0.01~0.1重量%、0.1~2.0重量%、0.1~1.5重量%、0.1~1.0重量%、0.1~0.5重量%、0.1~0.25重量%、0.1~0.2重量%、0.5~2.0重量%、0.5~1.5重量%、0.5~1.0重量%、0.5~0.5重量%、1.0~2.0重量%、1~1.5重量%、又はそれらの任意のサブセットの第ニ級アルコールを含み得る。
【0048】
発泡体は、98~99.999重量%のMAH-g-OBC及び0.001~2重量%の第二級アルコールを含み得る。したがって、発泡体の少なくとも98.001重量%が、MAH-g-OBC及び第二級アルコールの合計重量であり得る。例えば、発泡体の少なくとも98.01重量%、少なくとも98.1重量%、少なくとも98.5重量%、少なくとも99.0重量%、少なくとも99.5重量%、少なくとも99.9重量%、少なくとも99.99重量%、少なくとも99.999重量%、又はさらには100重量%が、MAH-g-OBC及び第二級アルコールの合計重量であり得る。
【0049】
発泡体に含まれる熱可逆性ポリマー組成物及び当該熱可逆性ポリマー組成物を作製する反応は、式3によって表され得る。
【0050】
【化3】
【0051】
ここで式3を参照すると、熱可逆性ポリマー組成物は、右側の構造によって表され得るが、左側の構造がMAH-g-OBCであり、線の上方の構造が第二級アルコールである。式1と同様に、R1及びR4は、それぞれ独立して、1~20個の炭素原子を有する鎖状もしくは環状のアルキル基、アルコキシ基、又は芳香族基を表す。R2及びR3は、それぞれ独立して、1~20個の炭素原子を有する直鎖状もしくは環状のアルキレン基、カルボニル基、芳香族基、又はオキシ基を表す。d及びeは、0以上の整数である。fは、1以上の整数である。
【0052】
発泡体は、MAH-g-OBCと、ポリオレフィンエラストマー(「polyolefin elastomer、POE」)、エチレン酢酸ビニルコポリマー(「ethylene vinyl acetate copolymer、EVA」)、及び低密度ポリエチレン(「LDPE」)のうちの1つ以上とのブレンドを含み得る。POE、EVA、及びLDPEのうちの1つ以上は、MAH-g-OBCに化学的に結合していてもよく、又はMAH-g-OBCとブレンドされていてもよい。いくつかの実施形態によれば、第二級アルコールとの架橋反応の前に、MAH-g-OBCをPOE、EVA、及びLDPEのうちの1つ以上と混合してよい。別の実施形態によれば、第二級アルコールとの架橋反応の後に、MAH-g-OBCをPOE、EVA、及びLDPEのうちの1つ以上と混合してよい。
【0053】
発泡体がPOE、EVA、及びLDPEのうちの1つ以上をさらに含む実施形態によれば、発泡体は、少なくとも0.01重量%、少なくとも0.1重量%、少なくとも0.5重量%、少なくとも1.0重量%、少なくとも5.0重量%、少なくとも10重量%、少なくとも20重量%、又はさらには少なくとも30重量%のPOE、EVA、及びLDPEを含み得る。
【0054】
発泡体がPOE、EVA、及びLDPEのうちの1つ以上をさらに含む実施形態によれば、発泡体は、少なくとも70重量%のMAH-g-OBC及び第二級アルコールの合計重量を含み得る。例えば、発泡体は、少なくとも80重量%、少なくとも90重量%、少なくとも95重量%、少なくとも99重量%、又は更には少なくとも99.9重量%のMAH-g-OBC及び第二級アルコールの合計重量を含み得る。
【0055】
発泡体がPOE、EVA、及びLDPEのうちの1つ以上をさらに含む実施形態によれば、発泡体の少なくとも99重量%が、POE、EVA、LDPE、MAH-g-OBC、及び第二級アルコールの合計重量であり得る。例えば、発泡体の少なくとも99.5重量%、少なくとも99.9重量%、少なくとも99.99重量%、又は更には少なくとも99.999重量%が、POE、EVA、LDPE、MAH-g-OBC及び第二級アルコールの合計重量であり得る。
【0056】
発泡体は、MAH-g-OBC及び第二級アルコールなどの熱可逆性架橋性ポリマー組成物を含み得る。本明細書で使用される場合、熱可逆性架橋性ポリマー組成物は、低温では単位間に架橋が存在し、高温でこれらの架橋が分解し、温度が低下すると再び再形成されるポリマーである。例えば、温度が25℃から200℃に上昇した場合、ポリマー単位間の架橋の少なくとも50%が溶解し得る。200℃で分解した架橋の少なくとも90%は、温度が25℃に低下したときに再形成され得る。
【0057】
発泡体は、60%以上の反発%を有し得る。例えば、発泡体は、62%、64%、66%、68%、70%、又は71%以上の反発%を有し得る。反発%又は反発弾性は、ポリマーにおける貯蔵弾性率と損失弾性率との間の関係の尺度である。反発%は、ASTM D7121に従って測定され得る。
【0058】
発泡体は、0.2g/cc以下の密度を有し得る。例えば、発泡体は、0.18g/cc未満、0.16g/cc未満、0.14g/cc、0.12g/cc、0.10g/cc、0.08g/cc、又はさらには0.06g/ccの密度を有し得る。発泡体の密度は、ASTM D 792方法Aに従って測定することができる。
【0059】
発泡体は、熱可逆性架橋性組成物を物理的に発泡させて発泡体を形成することによって形成され得る。本明細書で使用される場合、「物理的発泡」は、化学反応を使用せずにポリマー組成物を発泡体に変換することができるプロセスである。熱可逆性架橋性組成物は、少なくとも50重量%、少なくとも75重量%、少なくとも90重量%、少なくとも95重量%、少なくとも99重量%、又は更には少なくとも99.9重量%のMAH-g-OBC及び第二級アルコールを含み得る。
【0060】
熱可逆性架橋性組成物は、未使用材料であってもよいし、再生材料であってもよい。本明細書で使用される場合、「未使用材料」とは、一度として発泡したことのないポリマー組成物を指す。本明細書で使用される場合、「再生材料」は、以前少なくとも1回発泡したことのあるポリマー組成物を指す。
【0061】
発泡体は、再生することができる。発泡体の再生は、発泡体をホットプレスして空気を除去し、固体フィルム片を形成することと、当該固体フィルム片を1枚以上のプレートに圧縮成形することと、当該プレートを物理的に発泡させて再生発泡体を生成することとを含み得る。
【0062】
物理的発泡は、物理的発泡剤を使用してもよい。物理的発泡剤は、CO又はNを含み得る。本明細書で使用される場合、「物理的発泡剤」は、材料中に気泡構造を生成することができる物質であり得る。物理的発泡剤は、拡散又は機械的混合によってポリマーに組み込むことができる。
【0063】
ポリマーは、少なくとも1MPA、少なくとも2MPA、少なくとも4MPA、少なくとも6MPA、少なくとも8MPA、少なくとも10MPA、又は少なくとも12MPAの物理的発泡剤圧力で高圧チャンバ内に配置することによって発泡し得る。チャンバが高い発泡剤圧力である間、高圧チャンバを、60℃~180℃、80℃~160℃、100℃~140℃、110℃~130℃、又はそれらの任意のサブセットに加熱してもよい。
【0064】
再生発泡体は、再生発泡体材料と未使用発泡体材料とのブレンドを含み得る。例えば、再生発泡体は、少なくとも10重量%、少なくとも20重量%、少なくとも30重量%、少なくとも40重量%、少なくとも50重量%、少なくとも60重量%、少なくとも70重量%、少なくとも80重量%、又は少なくとも90重量%が再生発泡体材料であってよい。さらに、再生発泡体は、少なくとも10重量%、少なくとも20重量%、少なくとも30重量%、少なくとも40重量%、少なくとも50重量%、少なくとも60重量%、少なくとも70重量%、少なくとも80重量%、又は少なくとも90重量%が未使用発泡体材料であってよい。
【0065】
試験方法
密度
空気及び水中で発泡体を秤量することによって、ASTM D 792方法Aに従って発泡体(両面スキン付き)の密度を測定した。
【0066】
反発
ASTM D7121に従って発泡体(スキン付き)の反発を測定した。衝撃ヘッドを発泡体で繰り返し跳ね返らせた。最初の打撃後の衝撃ヘッドの4回目、5回目、及び6回目の跳ね返りについて得られた最大反発高さを記録し、それらの平均を取って試験片の反発とした。各発泡体サンプルにつき3つの試験片を試験し、それらの平均を発泡体の反発として報告した。本明細書で使用される場合、反発試験は、「弾性」又は「反発弾性」と呼ばれることもある。
【0067】
圧縮永久歪(「Compression Set、C-set」)
発泡体(片面スキン付き)のC-setを、ASTM D395方法Bに従って測定した。各サンプルは、直径2.54mm及び厚さ10mmの発泡体シリンダーであった。各サンプルをその元のサイズの50%に圧縮し、50℃で6時間保持した。圧縮を解除し、各サンプルを室温で30分間回復させて、30分とラベル付けしたサンプルを生成した。追加のサンプルを24時間静置して、「24時間」サンプルを生成した。最終的な試験片の厚さを測定し、次式を用いて圧縮永久歪を計算した。圧縮永久歪(%)=((T-T))/((T-T))×100。Toは元のサンプル厚さであり、Tは最終的なサンプル厚さであり、Tはスペーサ厚さである。
【0068】
引裂強度
ASTM D3574に従って発泡体(片面スキン付き)の引裂強度を測定した。25mm(幅)×100mm(長さ)×10mm(厚さ)の発泡体ストリップを切り取った。発泡体ストリップを50mm/分の速度で引き裂いた。記録された最大荷重をサンプル幅で除した値が分割引裂強度である。
【0069】
分割引裂強度
ASTM D3574に従って発泡体(片面スキン付き)の分割引裂強度を測定した。25mm(幅)×100mm(長さ)×10mm(厚さ)の発泡体ストリップを切り取り、カミソリで15mmの深さまで切れ目を入れた。カミソリの切れ目によって形成された2つの発泡体ストリップ(それぞれ厚さ5mm)を50mm/分の速度で引き裂いた。記録された最大荷重をサンプル幅で除した値が分割引裂強度である。
【0070】
収縮
発泡体サンプルに印を付け、長さ及び幅を測定した。それを70℃のオーブンに40分間入れ、次いでオーブンから取り出し、一晩冷却させた。印をつけた長さ及び幅を再度測定し、下記式により収縮率を算出した。熱収縮=(1-(L+W)/(L+W))×100。Lは元の長さであり、Wは元の幅であり、Lは最終的な長さであり、Wは最終的な幅である。
【0071】
フーリエ変換赤外分光法(「Fourier-Transform Infrared Spectroscopy、FTIR」)特性評価
Smart DurasampLR Diamond減衰全反射(Attenuated Total Reflectance、「ATR」)を備えたPerkin Elmer Spectrum Spotlight 200をATR-FTIR分析に使用した。分析されるサンプルをダイヤモンド/ZnSe結晶上に置いた。最適に接触させるために適切な圧力を印加し、次いで、4000cm-1~650cm-1でATR-FTIRスペクトルを収集した。各サンプルを8回走査した。
【0072】
走査電子顕微鏡(SEM)
サンプルの小片を切り取り、サンプルホルダーに載せ、Emitech K575Xコーターを用いてIrでコーティングした。電流を45mAに設定し、コーティング時間を15秒に設定した。コーティングされたサンプルを、レンズ通過検出器(「through the lens detector、TLD」)を使用して、加速電圧2kV、スポットサイズ2.5、及び作動距離4mmで、浸漬モードで動作するNova 630 NanoSEMにおいて直ちに撮像した。
【0073】
せん断レオロジーによる熱感受性評価
平行板回転レオメーターを利用して、振動周波数掃引試験を行った。応力制御レオメーターで特性評価を行った。ポリマーの薄いディスク(直径25mm、厚さ2mm)に対してアルミニウム平行板(直径25mm)を使用した。温度は、それぞれ130℃、150℃、及び180℃に設定した。角振動数は、歪み2%で0.1~100rad/sに設定した。
【0074】
引張弾性率
動的機械分析器を利用して、振動昇温試験を行った。RSA-G2(TA Instruments)で特性評価を行った。張力固定具を使用して、サンプルの矩形形状を確保した(幅:約5mm、厚さ:約0.5mm)。試験温度は、3℃/分の昇温速度で80℃~200℃に設定した。角振動数を6.28rad/sに設定し、全温度範囲にわたって自動歪みモードを有効にした。
【0075】
硬度
硬度は、ASTM D 2240に従って測定した。
【実施例
【0076】
様々なMAHグラフトポリマーを架橋剤と合わせることによって、サンプル発泡体を調製した。ポリマーは、表1に指定されている。比較例(CE1)では、0.9重量%のLuperox 101(2,5-ビス(tert-ブチルペルオキシ)-2,5-ジメチルヘキサン(ペルオキシド)を架橋剤として使用した。本発明の実施例(IE1~IE2)及び他の比較例(CE2~CE5)では、0.1重量%の2,5-ヘキサンジオールを第二級アルコール架橋剤として使用した。
【0077】
【表1】
【0078】
MAH-g-OBC樹脂の調製
IE1~IE2及びCE1~CE5のMAHグラフトオレフィンポリマーを、反応押出プロセスで調製した。具体的には、ポリマーペレットを窒素雰囲気下で二軸押出機に供給した。ポリマー注入点の下流で、MAH、過酸化物、2-ブタノン、及びメチルエチルケトン(「methyl ethyl ketone、MEK」)の混合物を押出機に添加した。さらに下流において、MEK、未反応MAH、及び過酸化物副生成物を、真空ライントラップシステムを介して除去した。次いで、得られたポリマー溶融物をストランドダイを通して押し出し、水浴中で急冷し、Conairストランドペレタイザーを使用してペレット化した。
【0079】
ペレットの調製
本発明の実施例を調製するために、400gのMAHグラフトポリマー樹脂を0.1重量%の2,5-ヘキサンジオールのボトルに入れ、60℃で一晩撹拌した。
【0080】
比較例を調製するために、400gのMAHグラフトポリマー樹脂を0.9重量%のLuperox 101(2,5-ビス(tert-ブチルペルオキシ)-2,5-ジメチルヘキサンのボトルに入れ、60℃で一晩撹拌した。
【0081】
次いで、アルコールに浸した樹脂ペレットを圧縮成形してプレートを形成した。150℃で20分間、6mm×70mm×150mmのサイズになるように10MPA~12MPAの圧力で圧縮成形を行い、190℃で30分間仕上げた。
【0082】
物理的発泡
次いで、架橋され圧縮成形されたプレートを高圧チャンバ内に入れることによって物理的に発泡させた。サンプルを、121℃及び12MPAのCOチャンバ内で180分間保持した。
【0083】
サンプルを、密度、反発、C-set、収縮、分割引裂、最大荷重での引張弾性率、引裂最大荷重、及びアスカー硬度について試験した。結果を表2に示す。N/Aと記されたサンプルは試験しなかった。サンプルCE2は発泡体を形成しなかったので、試験しなかった。
【0084】
【表2】
【0085】
表2に示すように、本発明の実施例IE1~IE2は、対照と比べて改善された収縮及び分割引裂性能を有する。
【0086】
模擬再生
FTIR:エステルピークの高さが複数の温度で観察され得るように、サンプルIE1をFTIRに入れた。図1に示すように、サンプルを室温で開始させ(110)、次いでサンプルを110℃に上昇させ(120)、次いでサンプルを150℃に上昇させ(130)、最後にサンプルを室温に戻した(140)。図から分かるように、1735cm-及び1710cm-1でのエステルのピークは、温度が徐々に上昇するにつれて減少する。次いで、サンプルが冷却されるにつれてピークが戻る。これは、最初にエステルが存在し、温度が上昇するにつれてエステルが破壊され、サンプルが再び冷却されるにつれて新たなエステルが形成されることを示す。
【0087】
複素粘度:IE1のプラークを圧縮成形によって調製し、130℃(210)、150℃(220)、及び180℃(230)で振動周波数掃引を行った。図2に示すように、サンプルは、180℃で最も低い複素粘度を有し、130℃で最も高い複素粘度を有する。これは、サンプルが高度に熱可塑性であることを示す。
【0088】
実際の再生
未使用サンプルIE1を細断し、ホットプレスして空気を除去し、固体フィルムサンプルを得た。固体フィルムサンプルを圧縮成形して厚さ6mmのプレートを得、次いで、新たなサンプルと同じ物理的発泡プロセスに供した。このサンプルを表2ではRE3と呼ぶ。
【0089】
表3において、IE1とRE3との混合物のメルトインデックスを比較する。
【0090】
【表3】
【0091】
再発泡後、発泡体密度は新品時とほぼ同じであった。新たな発泡体は0.075g/cmの密度を有していたが、再生発泡体は0.078g/cmの密度を有していた。
【0092】
存在する場合、あらゆる相互参照されるか又は関連する特許又は出願、及び本出願が優先権又はその利益を主張するあらゆる特許出願又は特許を含む、本明細書に引用される全ての文献は、明示的に除外されるか、又は別段限定されない限り、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。あらゆる文献の引用は、それが本明細書に開示若しくは特許請求されたあらゆる発明に関する先行技術であること、又はそれ単独で、若しくはあらゆる他の参考文献とのあらゆる組み合わせで、そのような発明を教示、示唆、若しくは開示することを認めるものではない。更に、本文書における任意の用語の意味又は定義が、参照により組み込まれた文書における同じ用語の任意の意味又は定義と矛盾する場合は、本文書においてその用語に割り当てられた意味又は定義が適用されるものとする。
【0093】
本発明の特定の実施形態を例示し、説明したが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく様々な他の変更及び修正を行い得ることは当業者には明らかであろう。そのため、添付の特許請求の範囲において、本発明の範囲内にあるそのような変更及び修正を全て網羅することが意図されている。
図1
図2
【手続補正書】
【提出日】2024-05-23
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発泡体であって、
無水マレイン酸グラフトオレフィンブロックコポリマー(MAH-g-OBC)と、
第二級アルコールと、
の架橋反応生成物を含み、
0.2g/cc以下の密度を有する、発泡体。
【請求項2】
MAH-g-OBCと、ポリオレフィンエラストマー、エチレン酢酸ビニルコポリマー、及び低密度ポリエチレンのうちの1つ以上とのブレンドを含む、請求項1に記載の発泡体。
【請求項3】
前記第二級アルコールが、以下の式:
【化1】

(式中、R1及びR4は、それぞれ独立して、1~20個の炭素原子を有する鎖状もしくは環状のアルキル基、アルコキシ基、又は芳香族基を表し、R2及びR3は、それぞれ独立して、1~20個の炭素原子を有する直鎖状もしくは環状のアルキレン基、カルボニル基、芳香族基、又はオキシ基を表し、d及びeは、0以上の整数であり、fは、1以上の整数である)
によって定義される、請求項1に記載の発泡体。
【請求項4】
前記第二級アルコールが、2,5-ヘキサンジオールを含む、請求項1に記載の発泡体。
【請求項5】
60以上の反発%を有する、請求項1に記載の発泡体。
【請求項6】
前記発泡体の密度が0.1g/cc以下である、請求項1に記載の発泡体。
【請求項7】
前記MAH-g-OBCが、0.1~2.0重量%の無水マレイン酸のグラフト化レベルを有する、請求項1に記載の発泡体。
【請求項8】
前記OBCが、エチレン/アルファ-オレフィンブロックコポリマーである、請求項1に記載の発泡体。
【請求項9】
前記アルファ-オレフィンがオクテンである、請求項8に記載の発泡体。
【請求項10】
前記エチレン/アルファ-オレフィンブロックコポリマーが、50モル%超のエチレンモノマーを含む、請求項8に記載の発泡体。
【請求項11】
98~99.999重量%のMAH-g-OBC及び0.001~2重量%の第二級アルコールを含む、請求項1に記載の発泡体。
【請求項12】
熱可逆性架橋性組成物を物理的に発泡させて、請求項1に記載の発泡体を形成する発泡プロセスであって、前記熱可逆性架橋性組成物が、前記MAH-g-OBC及び前記第二級アルコールを含む、プロセス。
【請求項13】
請求項12に記載の発泡プロセスであって、
前記発泡体をホットプレスして空気を除去し、固体フィルム片を形成し、
前記固体フィルム片を1枚以上のプレートに圧縮成形し、
前記プレートを物理的に発泡させて、再生発泡体を生成する、プロセス。
【請求項14】
前記再生発泡体が、再生発泡体材料と未使用発泡体材料とのブレンドを含む、請求項12に記載の発泡プロセス。
【請求項15】
前記物理的発泡が物理的発泡剤を使用し、前記物理的発泡剤がCO又はNを含む、請求項12に記載の発泡プロセス。
【国際調査報告】