(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-04
(54)【発明の名称】磁気結合バルブ
(51)【国際特許分類】
F16K 31/04 20060101AFI20240927BHJP
G01N 21/73 20060101ALN20240927BHJP
【FI】
F16K31/04 Z
F16K31/04 A
G01N21/73
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024518356
(86)(22)【出願日】2022-09-21
(85)【翻訳文提出日】2024-05-16
(86)【国際出願番号】 US2022044241
(87)【国際公開番号】W WO2023049173
(87)【国際公開日】2023-03-30
(32)【優先日】2021-09-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516257707
【氏名又は名称】エレメンタル・サイエンティフィック・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】ELEMENTAL SCIENTIFIC, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【氏名又は名称】岡部 博史
(74)【代理人】
【識別番号】100113170
【氏名又は名称】稲葉 和久
(72)【発明者】
【氏名】ギルモア,ケイレブ
(72)【発明者】
【氏名】ヨスト,タイラ―
【テーマコード(参考)】
2G043
3H062
【Fターム(参考)】
2G043EA08
2G043JA01
3H062BB30
3H062BB31
3H062CC02
3H062FF38
3H062GG06
3H062HH10
(57)【要約】
バルブアクチュエータと、バルブロータ及びステータを収容するバルブ本体との間の磁気結合をもたらすバルブアセンブリが記載される。バルブアセンブリの実施形態は、バルブ本体であって、少なくとも1つの磁石と、複数の流体流路を画定するように構成されるロータ及びステータとを含む、バルブ本体と、駆動シャフトを介してロータを駆動するように構成されるバルブアクチュエータと、バルブアクチュエータに結合されるとともに、バルブ本体とバルブアクチュエータとを磁気的に結合するためにバルブ本体の少なくとも1つの磁石と磁気的に結合するように構成されるアクチュエータマウントとを含むが、これらに限定されない。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バルブ本体であって、
少なくとも1つの磁石と、
複数の流体流路を画定するように構成されるロータ及びステータと、
を含む、バルブ本体と、
駆動シャフトを介して前記ロータを駆動するように構成されるバルブアクチュエータと、
前記バルブアクチュエータに結合されるとともに、前記バルブ本体と前記バルブアクチュエータとを磁気的に結合するために前記バルブ本体の前記少なくとも1つの磁石と磁気的に結合するように構成されるアクチュエータマウントと、
を備えるバルブアセンブリ。
【請求項2】
前記バルブ本体及び前記アクチュエータマウントはそれぞれ、前記バルブ本体が前記アクチュエータマウントと磁気的に結合されるときに前記バルブアクチュエータに対する前記バルブ本体の回転を防止するための1つ以上の対応する嵌合機構を含む、請求項1に記載のバルブアセンブリ。
【請求項3】
前記対応する嵌合機構は、開口と、前記開口に少なくとも部分的に挿入するように構成される突出部とを含む、請求項2に記載のバルブアセンブリ。
【請求項4】
前記バルブ本体は、前記バルブ本体内に前記少なくとも1つの磁石を収容するための内部領域を画定する、請求項1に記載のバルブアセンブリ。
【請求項5】
前記少なくとも1つの磁石が前記バルブ本体内に完全に収容される、請求項1に記載のバルブアセンブリ。
【請求項6】
前記バルブ本体がテーパ状の外面を含む、請求項1に記載のバルブアセンブリ。
【請求項7】
前記バルブ本体は、前記バルブ本体内に前記少なくとも1つの磁石を収容するための環状領域を画定する、請求項1に記載のバルブアセンブリ。
【請求項8】
前記駆動シャフトは、前記ロータに結合されるとともに、前記バルブアクチュエータと結合するために前記バルブ本体における前記環状領域を通過するように構成される、請求項7に記載のバルブアセンブリ。
【請求項9】
前記アクチュエータマウントが開口を画定し、前記駆動シャフトが前記開口を通過して前記バルブアクチュエータと結合する、請求項8に記載のバルブアセンブリ。
【請求項10】
前記バルブ本体は、前記アクチュエータマウントの開口に挿入するように構成される突出部、又は前記アクチュエータマウントの突出部を受けるように構成される開口のうちの少なくとも一方を含む、請求項8に記載のバルブアセンブリ。
【請求項11】
前記突出部又は前記開口の前記少なくとも一方は、前記駆動シャフトの回転軸に対して前記バルブ本体の前記環状領域から径方向内側に位置する、請求項10に記載のバルブアセンブリ。
【請求項12】
前記突出部又は前記開口の前記少なくとも一方は、前記駆動シャフトの回転軸に対して前記バルブ本体の前記環状領域から径方向外側に位置する、請求項10に記載のバルブアセンブリ。
【請求項13】
前記突出部又は前記開口の前記少なくとも一方は、前記環状領域と前記バルブ本体の外縁との間に位置する、請求項10に記載のバルブアセンブリ。
【請求項14】
バルブアセンブリであって、
磁気相互作用を介してバルブアクチュエータに着脱可能に結合するように構成されるバルブ本体を備え、前記バルブ本体は、
前記バルブアセンブリを貫く複数の流体流路を画定するように構成されるロータ及びステータと、
前記バルブ本体に形成されるシャフト開口を通じて延在する駆動シャフトであって、前記ロータと前記バルブアクチュエータとの間に結合して前記ロータを駆動するように構成される駆動シャフトと、
前記バルブ本体によって画定される内部領域内に収容される少なくとも1つの磁石であって、前記バルブアクチュエータと磁気的に結合するように構成される少なくとも1つの磁石と、
前記バルブアクチュエータの開口に挿入するように構成される突出部、又は磁気的に結合されたときに前記バルブアクチュエータに対する前記バルブ本体の回転を防止するために前記バルブアクチュエータの突出部を受けるように構成される開口のうちの少なくとも一方と
を含む
バルブアセンブリ。
【請求項15】
前記少なくとも1つの磁石が前記バルブ本体内に完全に収容される、請求項14に記載のバルブアセンブリ。
【請求項16】
前記バルブ本体がテーパ状の外面を含む、請求項14に記載のバルブアセンブリ。
【請求項17】
前記少なくとも1つの磁石がリング状であり、前記内部領域が前記バルブ本体内の環状領域である、請求項14に記載のバルブアセンブリ。
【請求項18】
前記突出部又は前記開口の前記少なくとも一方は、前記駆動シャフトの回転軸に対して前記バルブ本体の前記内部領域から径方向内側に位置する、請求項14に記載のバルブアセンブリ。
【請求項19】
前記突出部又は前記開口の前記少なくとも一方は、前記駆動シャフトの回転軸に対して前記バルブ本体の前記内部領域から径方向外側に位置する、請求項14に記載のバルブアセンブリ。
【請求項20】
前記突出部又は前記開口の前記少なくとも一方は、前記内部領域と前記バルブ本体の外縁との間に位置する、請求項14に記載のバルブアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
誘導結合プラズマ(ICP)分光分析は、液体サンプル中の微量元素濃度及び同位体比の決定のために一般的に使用される分析技術である。ICP分光分析は、約7000Kの温度に達する電磁的に生成された部分的にイオン化されるアルゴンプラズマを使用する。サンプルがプラズマに導入されると、高温によりサンプル原子がイオン化され又は発光するようになる。各化学元素は特徴的な質量又は発光スペクトルをもたらすため、放出された質量又は光のスペクトルを測定することにより、元のサンプルの元素組成を決定することができる。
【0002】
サンプル導入システムを使用して、分析のために液体サンプルをICP分光分析機器(例えば、誘導結合プラズマ質量分析装置(ICP/ICP-MS)、誘導結合プラズマ原子発光分析装置(ICP-AES)など)に導入することができる。例えば、サンプル導入システムは、液体サンプルのアリコート(aliquot)を容器から取り出し、その後、バルブ構成によって制御される1つ以上の流体経路を介してアリコートをネブライザ(nebulizer)に輸送することができ、ネブライザは、アリコートを、ICP分光分析機器によるプラズマ中のイオン化に適した多分散エアロゾルに変換する。その後、エアロゾルは、より大きなエアロゾル粒子を除去するために噴射チャンバ内で選別される。エアロゾルは、噴射チャンバを出ると、分析のためにICP-MS機器又はICP-AES機器のプラズマトーチアセンブリによってプラズマに導入される。
【発明の概要】
【0003】
バルブアクチュエータと、バルブロータ及びステータを収容するバルブ本体との間の磁気結合をもたらすバルブアセンブリが記載される。バルブアセンブリの実施態様は、バルブ本体であって、少なくとも1つの磁石と、複数の流体流路を画定するように構成されるロータ及びステータとを含む、バルブ本体と、駆動シャフトを介してロータを駆動するように構成されるバルブアクチュエータと、バルブアクチュエータに結合されるとともに、バルブ本体とバルブアクチュエータとを磁気的に結合するためにバルブ本体の少なくとも1つの磁石と磁気的に結合するように構成されるアクチュエータマウントとを含むが、これらに限定されない。
【0004】
一態様において、バルブアセンブリの実施態様は、磁気相互作用を介してバルブアクチュエータに着脱可能に結合するように構成されるバルブ本体を含み、バルブ本体は、バルブアセンブリを貫く複数の流体流路を画定するように構成されるロータ及びステータと、バルブ本体に形成されるシャフト開口を通じて延在する駆動シャフトであって、ロータとバルブアクチュエータとの間に結合してロータを駆動するように構成される駆動シャフトと、バルブ本体によって画定される内部領域内に収容される少なくとも1つの磁石であって、バルブアクチュエータと磁気的に結合するように構成される少なくとも1つの磁石と、バルブアクチュエータの開口に挿入するように構成される突出部、又は磁気的に結合されたときにバルブアクチュエータに対するバルブ本体の回転を防止するためにバルブアクチュエータの突出部を受けるように構成される開口のうちの少なくとも一方とを含むが、これらに限定されない。
【0005】
この概要は、以下の詳細な説明に更に記載される概念の選択を簡略化した形で紹介するために提供される。この概要は、特許請求の範囲に記載される主題の重要な特徴又は本質的な特徴を特定することを意図しておらず、特許請求の範囲に記載される主題の範囲を決定する際の補助として使用されることも意図していない。
【0006】
詳細な説明は、添付図面に関連して説明される。説明及び図の異なる例における同じ参照番号の使用は、類似又は同一の項目を示し得る。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本開示の実施形態に係る、バルブアクチュエータとバルブ本体との間の磁気結合を有するバルブアセンブリの等角図である。
【
図2】本開示の実施形態に係る、バルブアクチュエータのアクチュエータマウントから安定突出部を受けるためのスロット付き開口を有するバルブ本体の後側を示す、
図1のバルブアセンブリの部分分解図である。
【
図3】本開示の実施形態に係る、磁石を収容するための環状領域を有するとともに、バルブ本体をバルブアクチュエータに磁気的に結合するためにバルブ本体内で磁石を封止するためのバルブ本体カバーを有するバルブ本体の部分分解図である。
【
図4】本開示の実施形態に係る、アクチュエータマウントに結合するためのバルブ本体内の磁石を有するとともに、バルブアクチュエータによる制御下でバルブロータを回転させるためのバルブ本体内の駆動シャフトを有する、
図3のバルブ本体の断面図である。
【
図5】本開示の実施形態に係るテーパ状の本体構造を有するバルブ本体の側面図である。
【
図6A】本開示の実施形態に係る、アクチュエータマウントから安定突出部を受けるためにバルブ本体スカートに隣接して位置するスロット付き開口を有するバルブ本体の後部の上面図である。
【
図7A】本開示の実施形態に係る、1つ以上の磁石を保持するように構成されるキャビティから径方向内側に位置するスロット付き開口を有するバルブ本体の後部の上面平面図であり、スロット付き開口は、アクチュエータマウントから安定突出部を受けるように位置する。
【
図7C】
図7Aのバルブ本体のスロット付き開口と接続する安定突出部を有するアクチュエータマウントの等角図である。
【
図8A】本開示の実施形態に係る、バルブ本体の外縁に位置するスロット付き開口を有するバルブ本体の後部の平面図であり、スロット付き開口は、アクチュエータマウントから安定突出部を受けるように位置する。
【
図8C】
図8Aのバルブ本体のスロット付き開口と接続する安定突出部を有するアクチュエータマウントの等角図である。
【
図9A】本開示の実施形態に係る、1つ以上の流体センサを支持するハウジングを有するとともに、バルブアクチュエータとバルブ本体との間の磁気結合を有するバルブアセンブリの正面図である。
【
図9B】本開示の実施形態に係る、
図9Aのバルブアセンブリの後部の分解図であり、バルブ本体が、磁石を収容するための環状領域を有するとともに、バルブ本体をバルブ本体のスロット付き開口と接続するための安定突出部を有するバルブアクチュエータマウントに磁気的に結合するためにバルブ本体内の磁石を封止するバルブ本体カバーを有する。
【発明を実施するための形態】
【0008】
概要
マルチポートバルブは、実験室設備による分析のために流体サンプルを輸送及び調製するために使用される。例えば、マルチポートバルブを使用して、バルブのポートに結合されたチューブを介した流体接続によって分析のために液体サンプルをICP分析機器に導入することができる。マルチポートバルブを使用して、液体及び/又はガスクロマトグラフィ用のカラムにサンプルを装填することもできる。これらの用途で使用されるバルブは、6ポート(6-port)、2位置(2-position)ロータリーバルブを含むことができるが、より少ない数又はより多くの数のポートを有する及び/又は3つ以上の位置を有するバルブを使用することもできる。一般に、ロータリーバルブの2つのポートは外部(サンプル)ループ又は流体保持ラインに接続され、1つのポートがサンプル源に接続され、他のポートがキャリア源に接続され、更なるポートがベント(廃棄)に接続され、別のポートがネブライザ/カラムに接続される。バルブが第1の向きにあるとき、サンプル源からのサンプルがサンプルループに流入し、サンプルループを通って流れるが、キャリア源からのキャリアはネブライザ/カラムに直接に流れる。バルブが第2の向きに回転されると、キャリア源は、サンプルループに収容されるサンプルをネブライザ又はカラムに注入するためにサンプルループに接続される。幾つかのマルチポートバルブ構成では、2つの流体をマルチポートバルブの別々のポート又はチャネルに注入することによって、1つの流体が別の流体と混合される。これらの構成では、2つの流体が合流して、一方の流路から流れる流体を他方の流路から流れる流体に導入し、流体流を混合する。
【0009】
バルブの向きの切り替えを容易にするために、バルブアセンブリは、バルブ本体内のバルブステータに対してバルブロータを回転させるためのモータ又は駆動部を有するバルブアクチュエータを含むことができる。ロータは、ステータによって形成されるポートを選択的に結合するチャネルを含み、ロータの回転は、バルブアクチュエータの動作に応じてチャネルをポート間で移動させる。バルブアクチュエータ及びバルブ本体のそれぞれは、モータ及びロータなどの可動部品を収容するため、バルブアセンブリは、アクチュエータに対してバルブ本体を静止状態に保持するバルブカラーを含むことができる。例えば、バルブカラーは、(例えば、摩擦嵌合によって)バルブ本体及びアクチュエータ上に存在する構造に対してカラーを物理的に付勢するボルトなどの締結具又は取付具を含むことができ、これにより、アクチュエータがバルブ本体内のロータを回転させるときにアクチュエータに対するバルブ本体の回転を防止することができる。
【0010】
バルブカラーに依存するそのようなバルブ構成は、多くの実験室作業に欠点をもたらし得る。例えば、バルブカラー上の締結具又は取付具は、バルブの使用中に緩む可能性があり、これにより、カラーがバルブ本体及びアクチュエータに加える力が減少され得る。バルブカラーが緩むと、バルブ本体の一部が回転し、バルブがもはや較正されなくなるか、或いはバルブの動作又は位置決めに不具合が生じるリスクをもたらす可能性がある。更に、締結具又は取付具は、実験室環境における高温と低温との間の頻繁な変化に応じて又はバルブを通じて流れる流体の温度に基づいて緩むなどして、環境又はバルブシステムの温度変動に基づいて緩む可能性がある。別の例として、バルブカラーは、アクチュエータからバルブ本体を延出させることによってバルブにバルク(bulk)を加えることができ、これにより、バルブアセンブリを設置及び維持するために実験室設備の周りにより多くの物理的空間が必要となる。別の例として、バルブカラーは、設置のために更なる工具及びハードウェアを必要とする可能性があり、これにより、設置プロセスが複雑になるか、又は設置中にバルブ本体の不適切な位置合わせのリスクが生じる可能性がある。
【0011】
したがって、本開示は、少なくとも部分的に、バルブアクチュエータと、バルブロータ及びステータを収容するバルブ本体との間の磁気結合をもたらすバルブアセンブリに関する。バルブアセンブリは、バルブカラーを使用せずにバルブアクチュエータに固定されるアクチュエータマウントと磁気的に結合するために、バルブ本体内に1つ以上の磁石を収容する。バルブ本体及びアクチュエータマウントは、バルブアクチュエータに対するバルブ本体の回転を防止するための1つ以上の嵌合機構を含む。一態様において、バルブ本体は、バルブアクチュエータに対するバルブ本体の回転移動に抵抗を与えるべく、バルブアクチュエータに固定されるアクチュエータマウントから安定突出部を受けるための1つ以上のスロット付き開口を含む。一態様において、バルブ本体内の1つ以上の磁石は、バルブロータとバルブアクチュエータのモータとの間に結合される駆動シャフトの回転軸から径方向外側に変位される。1つ以上の磁石は、バルブ本体を介してアクチュエータマウントを通じてアクチュエータに対して磁気結合をもたらす。一態様において、バルブ本体とバルブアクチュエータとの間の磁気結合は、バルブカラーを使用せずにバルブ本体とバルブアクチュエータとを安定して結合するのに十分な力を与え、これにより、バルブ本体とバルブアクチュエータとの間の結合が緩む(例えば、締結具の緩み、温度変動などに起因する)リスクを伴うことなくバルブアセンブリによりコンパクトなサイズをもたらす。更に、バルブカラー結合を緩めるためのハードウェア又は工具を伴うことなくバルブ本体を取り外すことができ、これは、ステータに導入される流体ラインを再結合する又は異なるバルブ本体(例えば、異なる流体接続、異なる流体流れ要件などを有する)に交換するための便利な方法を提供する。
【0012】
例示的な実施形態
図1~
図9Bは、バルブ本体と、バルブ本体(「バルブ100」)の動作を駆動するように構成されるバルブアクチュエータの部分との間の磁気結合をもたらすバルブアセンブリの態様を示す。バルブ100は、一般に、バルブ本体102と、バルブアクチュエータ104と、バルブ本体102とバルブアクチュエータ104との間に結合されるアクチュエータマウント106とを含む。バルブ本体102は、ロータ及びステータを収容して流体流路を形成し、該流体流路を通じて、流体は、ロータのチャネル及びステータのポートによって形成されるバルブ構成に基づき、1つ以上のポートを介してバルブに入ることができるとともに、他のポートを介してバルブから外に導かれる。流体流路は、液体、気体、蒸気、溶解した固体を含む流体、同伴液体、固体、又は気体を運ぶ流体、及びそれらの組み合わせを含むがこれらに限定されない流体を通過させるように構成される。例えば、
図1は、9つの流体ラインと結合するためのバルブ面108上の9つのポートを示すが、バルブ100は、9つのポートに限定されず、9つよりも多いポート又は9つよりも少ないポートを含むことができる。更に、バルブ100は、取り外し可能に結合される流体ラインを有するポートに限定されず、1つ以上のステータポートに取り外し不能に結合される流体ラインを含むことができる。バルブアクチュエータ104は、一般に、本明細書で更に説明するように、バルブ本体102とアクチュエータマウント106との間の磁気結合を介してバルブ本体102がバルブアクチュエータ104に結合されるときにバルブ本体102内のバルブステータに対してバルブロータを回転させるためのモータ又はドライブを含む。ロータは、ステータによって形成されるポートを選択的に結合するチャネルを含み、ロータの回転は、バルブアクチュエータ104の動作に応じてチャネルをポート間で移動させる。幾つかの実施形態において、バルブ本体102は、(例えば、
図1~
図3に示されるように)ほぼ円筒形の形状を有するが、バルブ本体102は、そのような形状に限定されず、例えば、(例えば、
図5に示されるような)テーパ形状、長方形、不規則な形状、又は別の形状を含むことができる。
【0013】
バルブ本体102は、バルブ本体102とバルブアクチュエータ104に固定されるアクチュエータマウント106との間の磁気相互作用を介してバルブアクチュエータ104に着脱可能に結合する。例えば、バルブ100のユーザは、バルブ本体102を把持してバルブアクチュエータ104から引き離し、磁気結合の力に打ち勝ってバルブ本体102を取り外し、その後、バルブ本体102をアクチュエータマウント106に近接して配置することによって同じ又は異なるバルブ本体102をバルブアクチュエータ104に再導入することができる。
【0014】
幾つかの実施形態では、アクチュエータマウント106が開口200を画定し、(例えば、1つ以上の内部軸受を介して)バルブ本体102に回転可能に結合される駆動シャフト202が、開口200を通過して、バルブアクチュエータ104のモータ又はドライブと結合する。アクチュエータマウント106は、開口200を通じてバルブ本体102の駆動シャフトを受けるためにバルブアクチュエータ104の端部204に結合固定される。例えば、アクチュエータマウント106をバルブアクチュエータ104の端部204に固定するための締結具を受けるための複数の締結具開口206を有するアクチュエータマウント106が示される。幾つかの実施形態において、アクチュエータマウント106は、アクチュエータマウント106が磁石によって引き付けられる又はバルブ本体102の1つ以上の磁石に引き付けられる磁性材料を含むように、磁気的に引き付けられる材料から構成される。
【0015】
バルブ本体102は、アクチュエータマウント106との磁気結合をもたらすために、バルブ本体102の内部で、バルブ本体102の外部で、又はそれらの組み合わせで、1つ以上の磁石を支持することができる。例えば、
図3及び
図4を参照すると、バルブ本体102の内部にリング状磁石302を収容するための環状領域300を有するバルブ本体102が示される。リング状磁石302は、バルブ本体102によって形成されるシャフト開口304を取り囲み、駆動シャフト202は、シャフト開口304を通過して、バルブロータ306とバルブアクチュエータ104との間に結合することができる。例えば、磁石302(又は複数の磁石302)は、駆動シャフト202の回転軸308から径方向外側に位置され得る。また、バルブ本体102は、バルブ本体102内の磁石302を結合するためにアクチュエータマウント106に面するように構成されるバルブ本体102の端部312に結合するべく構成されるバルブ本体カバー310も伴って示される。
【0016】
幾つかの実施形態では、磁石302をバルブ本体102の環状領域300内に封止するために、バルブ本体カバー310がバルブ本体102の所定の位置に超音波溶接される。磁石302を内部に位置させることにより、磁石302をバルブ100の外部環境から分離することができ、これにより、磁石302の金属成分が近くのサンプル容器(例えば、試験を待っているサンプルバイアル)に対して露出するのを防ぐことができ、磁石302の断片とサンプル容器に保持されるサンプルとの間の相互作用を防いで潜在的な汚染リスクを回避することができる(例えば、バルブ100が腐食性サンプル環境で使用される場合)。磁石302はリング形状の構成を有するように示されるが、バルブ100はそのような磁石構成に限定されず、1つ以上の矩形磁石、1つ以上の正方形磁石、1つ以上の不規則な形状の磁石、個々の磁石のパターン、単一の磁石など、又はそれらの組み合わせを含むがこれらに限定されない他の磁石構成を含むことができる。
【0017】
幾つかの実施形態において、バルブ本体102及びアクチュエータマウント106は、バルブアクチュエータ104に対するバルブ本体102の回転を防止するための1つ以上の嵌合機構を含む。例えば、
図2及び
図3を参照すると、バルブ本体102は、アクチュエータマウント106から延在する安定突出部210を受けるように位置するスロット付き開口208を伴って示される。安定突出部は、バルブ本体102のアクチュエータマウント106への磁気結合中にスロット付き開口208に導入され、スロット付き開口208に挿入されるときに安定突出部210とバルブ本体102との間の相互作用に起因するバルブアクチュエータ104に対するバルブ本体102の回転移動に対して抵抗を与える。スロット付き開口208は、(例えば、
図3に示されるように)バルブ本体カバー310及びバルブ本体102の端部312のそれぞれを貫通して設けることができ、バルブ本体カバー310のみを貫通して設けることができ、又はバルブ本体カバー310及びバルブ本体102の端部312のそれぞれを貫通する1つ以上の開口とバルブ本体カバー310のみを貫通する1つ以上の開口との組み合わせを有することができる。
【0018】
バルブ100は、複数のスロット付き開口208及び複数の対応する安定突出部210を伴って示されるが、バルブ100は、嵌合機構の特定の数又は配置に限定されない。例えば、バルブ100は、単一の開口208及び単一の対応する安定突出部210を含むことができ、バルブ100は、4つ未満の開口208及び対応する安定突出部210を含むことができ、バルブ100は、4つよりも多くの開口208及び対応する安定突出部210などを含むことができる。更に、バルブ100は、開口208及び突出部210のスロット形状に限定されず、任意の形状の開口208及び対応する形状の突出部210を含むことができる。幾つかの実施形態において、開口208及び突出部210の位置決めは、バルブ本体102がバルブアクチュエータ104に対して特定の方向に向けられるように、バルブアクチュエータ104に対するバルブ本体102のキー付き配置をもたらし、それにより、流体流構成のためのバルブ100の適切な向き及びバルブアクチュエータ104によるロータ306の回転を介したバルブの向きの変更を確保することができる。これに代えて又は加えて、磁石302及びアクチュエータマウント106は、例えば、アクチュエータマウント106の選択領域に磁気的に引き付けられる材料を設けることによって、及び、アクチュエータマウント106の残りの領域が磁気的に引き付けられない状態で、特定の向きで磁気的に結合するべくバルブ本体102及びアクチュエータマウント106のそれぞれで反対の磁極を磁石に設けるなどすることによって、バルブアクチュエータ104に対するバルブ本体102のキー付き配置をもたらすことができる。
【0019】
バルブ本体102上の開口208及びアクチュエータマウント106上の突出部210の位置決めは、複数の結合構成をもたらすとともにバルブ本体102及びアクチュエータマウント106の異なるサイズに対応するように変更することができる(アクチュエータマウント106が複数の異なるタイプ又はサイズのバルブ本体102と接続することができるときなど)。例えば、開口208は、
図3及び
図4に示されるように、環状領域300から径方向外側に及びバルブ本体102の外縁314から径方向内側に位置させることができ、この場合、アクチュエータマウント106は突出部210のための対応する位置を有する。これに代えて又は加えて、開口208は、
図7A及び
図7Bに示されるように、バルブ本体102の環状領域300から径方向内側に位置させることができ、この場合、アクチュエータマウント106は、突出部210のための対応する位置(例えば、
図7Cに示されるように、開口200を形成する内縁700に隣接する位置)を有する。これに代えて又は加えて、開口208は、
図8A及び
図8Bに示されるように、バルブ本体102の外縁314の環状領域300から径方向外側に位置させることができ、この場合、アクチュエータマウント106は、突出部210のための対応する位置(例えば、
図8Cに示されるように、アクチュエータマウント106の外縁800上の位置)を有する。幾つかの実施形態において、バルブ本体102は、端部312からアクチュエータマウント106に向かう方向に延在するスカート600を含み、この場合、開口208は、(例えば、
図6A及び
図6Bに示されるように)スカート600から径方向内側に位置する。
【0020】
実施形態において、バルブ100は、1つ以上の流体センサを、該流体センサによりバルブをバルブアクチュエータ104に磁気的に結合するために含むことができる。例えば、
図9A及び
図9Bを参照すると、バルブ100は、センサハウジング900内に1つ以上のセンサ902を収容するように構成されるセンサハウジング900を伴って示される。バルブ100は、センサハウジング900内のセンサ902を封止するためのハウジングカバー904を含むことができる。幾つかの実施形態では、バルブ本体102がアクチュエータマウント106を介してバルブアクチュエータ104と磁気的に結合されるときにハウジングカバー904がアクチュエータマウント106に隣接して位置する。
【0021】
「ステータ」及び「ロータ」という用語は、本明細書では流体流路を画定するバルブ100の部分を説明するためにこれらの用語は例としてのみ与えられ(例えば、これらの構成要素が互いに対してどのように接続(例えば、回転)するかを示すために)使用されるが、バルブ部材を外部基準(例えば、バルブ取り付けハードウェアなど)に対してどのように作動させることができるかを限定することを意味するものではないことに留意すべきである。したがって、1つの特定の例では、「ステータ」として説明される構成要素は、(例えば、バルブ取り付けハードウェアなどの外部基準に対して)実質的に静止したままであってもよく、「ロータ」として説明される構成要素は、ステータに対して回転してもよい。しかしながら、別の特定の例では、「ステータ」として説明される構成要素は、ロータに対して回転することができ、「ロータ」として説明される構成要素は、(例えば、バルブ取り付けハードウェアに対して)実質的に静止したままであり得る。更に、幾つかの実施形態では、「ステータ」として説明される構成要素と「ロータ」として説明される構成要素との両方が外部基準に対して回転することができる。
【0022】
更に、バルブ100は、バルブ本体102が1つ以上の開口208を有し且つアクチュエータマウント106が1つ以上の対応する突出部210を有する状態で説明されているが、開口208をバルブ本体102及びアクチュエータマウント106の一方又は両方に位置させることができ、対応する突出部210がバルブ本体102及びアクチュエータマウントの他方に位置することに留意されたい。例えば、幾つかの実施形態では、バルブ本体102から延びる1つ以上の突出部210を伴うアクチュエータマウント106によって1つ以上の開口208を形成することができる。
【0023】
結論
主題は、構造的特徴及び/又はプロセス動作に特有の言語で説明されるが、添付の特許請求の範囲で規定される主題は、前述の特定の特徴又は動作に必ずしも限定されないことを理解すべきである。むしろ、上記の特定の特徴及び動作は、特許請求の範囲を実施する例示的な形態として開示されている。
【国際調査報告】