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特表2024-536061車両の機能を自動的にテストしてイネーブルするためのコンピュータ実装方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-04
(54)【発明の名称】車両の機能を自動的にテストしてイネーブルするためのコンピュータ実装方法
(51)【国際特許分類】
   B60W 30/08 20120101AFI20240927BHJP
   G01M 17/007 20060101ALI20240927BHJP
   B60W 40/10 20120101ALI20240927BHJP
   B60W 50/06 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
B60W30/08
G01M17/007 Z
G01M17/007 B
B60W40/10
B60W50/06
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024518386
(86)(22)【出願日】2022-08-29
(85)【翻訳文提出日】2024-03-22
(86)【国際出願番号】 EP2022073880
(87)【国際公開番号】W WO2023046414
(87)【国際公開日】2023-03-30
(31)【優先権主張番号】102021124634.2
(32)【優先日】2021-09-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506012213
【氏名又は名称】ディスペース ゲー・エム・ベー・ハー
【氏名又は名称原語表記】dSPACE GmbH
【住所又は居所原語表記】Rathenaustr.26,D-33102 Paderborn, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ローベアト ティマーマン
(72)【発明者】
【氏名】ヤン-イヴ シュターフェザント
(72)【発明者】
【氏名】ヤン ヘンドリク ハマー
【テーマコード(参考)】
3D241
【Fターム(参考)】
3D241BA31
3D241BA62
3D241BB31
3D241BC01
3D241CC08
3D241CD09
3D241CD10
3D241CD12
3D241DB02Z
3D241DC01Z
3D241DC20Z
3D241DC25Z
(57)【要約】
開示されているのは、車両におけるデータ収集から、この車両に戻して運転機能を更新するまでのエンドツーエンドプロセスに組み込まれ、かつ/または、少なくとも半自律式の、テスト対象の運転機能の仮想的なホモロゲーションに組み込まれる機能、特に安全機能を自動的にテストするためのコンピュータ実装方法である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
機能、特に安全機能を自動的にテストしてイネーブルするための、および/または、少なくとも半自律式の、テスト対象の運転機能を仮想的にホモロゲーションするためのコンピュータ実装方法であって、
前記機能は、車両におけるデータ収集から、前記車両に戻して運転機能を更新するまでのエンドツーエンドプロセスに組み込まれ、前記コンピュータ実装方法は、次のステップ、すなわち、
a)実走行動作において取得した少なくとも1つの実車両の車両データを取得するステップであって、前記車両データは、前記車両の測定したセンサ値を含んでいるステップと、
b)前記車両データから少なくとも1つのパラメータを抽出するステップと、
c)少なくとも1つの抽出した前記パラメータによってパラメータ設定したシミュレーションを構成するステップと、
d)構成した前記シミュレーションによって少なくとも1つのテストを実行するステップと、
e)手動でかつ/または自動で選択した少なくとも1つの重要業績評価指標(KPI)を用いてシミュレーション結果を評価するステップと、
f)KPIが、定めた閾値を下回りかつ/または上回る場合、テスト対象の機能を最適化しかつ/または変更し、ステップd)およびe)に基づいて機能をテストするステップと、
g)変更した前記機能をイネーブルし、かつ/または、少なくとも1つの前記実車両に、変更した前記機能を伝送するステップと、
を有するコンピュータ実装方法。
【請求項2】
車両の機能には、特定の走行状況および/また交通状況において前記車両の運転者を支援するための機能が含まれており、前記機能により、安全性および/またはエネルギ効率および/または走行快適性を高めることができる、
請求項1記載のコンピュータ実装方法。
【請求項3】
テストおよび/またはシミュレーションは、仮想的にかつ/または部分的に仮想的に実行可能である、
請求項1記載のコンピュータ実装方法。
【請求項4】
少なくとも1つのテストおよび/またはシミュレーションは、車両データから抽出した少なくとも1つのパラメータにより決定され、前記パラメータは、シミュレーション実行時および/またはシミュレーション終了時に取り出され、前記パラメータは、特に、次のパラメータ特性の1つ、すなわち、
a)少なくとも1つの車両設定および/または車両特性を示すセンサ値を有する車両パラメータと、
b)特徴、すなわち、レーンマークの数および/もしくは幅および/またはカーブおよび/または道路規制および/または周囲温度の少なくとも1つを有する周囲パラメータと、
c)可動の対象体の数および特性を記述する走行状況パラメータであって、次の特徴、すなわち道路利用者の数および/または交通状況におけるレーンチェンジの回数および/または前記道路利用者の速度および/または交通手段、特に車両の特徴の少なくとも1つを有する走行状況パラメータと、
を含む、
請求項1記載のコンピュータ実装方法。
【請求項5】
KPI値は、KPIによって決定され、前記KPI値により、目下の前記シミュレーションおよび/または少なくとも1つのシミュレーションステップの評価を行い、閾値は、KPIに対して定められる、
請求項1から4までのいずれか1項記載のコンピュータ実装方法。
【請求項6】
前記シミュレーションおよび/または少なくとも1つのシミュレーションステップを評価するための前記KPIの定めた前記閾値により、前記仮想的なホモロゲーションおよび/または前記機能のイネーブルのための要件の充足度を示す、
請求項1から5までのいずれか1項記載のコンピュータ実装方法。
【請求項7】
前記仮想的なホモロゲーション/前記機能の前記イネーブルのための要件の充足度をリスクバランスによって示し、前記リスクバランスは、人間の運転者よりもより高い安全性、走行快適性および/またはエネルギ効率が前記運転機能によって形成される場合、結果的にプラスになり、人間の運転者により、前記運転機能の介入なしにより高い安全性、走行快適性および/またはエネルギ効率が達成される場合、結果的にマイナスになる、
請求項1から6までのいずれか1項記載のコンピュータ実装方法。
【請求項8】
仮想のかつ/または部分的に仮想のシミュレーションを構成するために、シミュレーション環境により、走行状況および/または交通状況に対応し、抽出した前記パラメータに基づいて、前記実車両および/または運転機能のデジタル行動ツインを生成し、これにより、前記機能の実テストおよび最適化を時間効率的に行う、
請求項1から7までのいずれか1項記載のコンピュータ実装方法。
【請求項9】
テストタスクに対応して、すなわち少なくとも1つのソフトウェア機能および/または電子機能から成る前記テスト対象の運転機能と、少なくとも1つのソフトウェア機能および/または電子機能から成るテスト対象の前記運転機能についての認可判定基準から生ずる必要なイネーブル関連の前記テストに対応して、前記デジタル行動ツインを自動的に作成してパラメータ設定する、
請求項1から8までのいずれか1項記載のコンピュータ実装方法。
【請求項10】
前記最適化の間、前記機能の少なくとも1つの設定および/または前記機能の少なくとも1つの行動基準を繰り返して適合化する、
請求項1から9までのいずれか1項記載のコンピュータ実装方法。
【請求項11】
機能、特に安全機能を自動的にテストしてイネーブルするための、および/または、少なくとも半自律式の、テスト対象の運転機能を仮想的にホモロゲーションするためのテストユニットであって、
前記機能は、車両におけるデータ収集から、前記車両に戻して運転機能を更新するまでのエンドツーエンドプロセスに組み込まれ、前記テストユニットは、次のステップ、すなわち、
a)実走行動作において取得した少なくとも1つの実車両の車両データを取得するステップであって、前記車両データは、前記車両の測定したセンサ値を含んでいるステップと、
b)前記車両データから少なくとも1つのパラメータを抽出するステップと、
c)少なくとも1つの抽出した前記パラメータによってパラメータ設定したシミュレーションを構成するステップと、
d)構成した前記シミュレーションによって少なくとも1つのテストを実行するステップと、
e)手動でかつ/または自動で選択した少なくとも1つの重要業績評価指標(KPI)を用いてシミュレーション結果を評価するステップと、
f)前記KPIが、定めた閾値を下回り、かつ/または上回る場合、テスト対象の前記機能を最適化しかつ/または変更し、ステップd)およびe)に基づいて前記機能をテストするステップと、
g)変更した前記機能をイネーブルし、かつ/または、少なくとも1つの前記実車両に、変更した前記機能を伝送するステップと、
を有するテストユニット。
【請求項12】
前記テストユニットは、車両の少なくとも1つの機能が仮想テストおよび/または実テストによって検査される制御ユニットによって構成されている、
請求項11記載のテストユニット。
【請求項13】
コンピュータプログラムがコンピュータ上で実行される場合に、請求項1から10までのいずれか1項記載の方法を実施するために、プログラムコードを有するコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機能、特に安全機能を自動的にテストしてイネーブルするための、および/または、少なくとも半自律式の、テスト対象の運転機能を仮想的にホモロゲーションするためのコンピュータ実装方法に関するものであり、機能は、車両におけるデータ収集から、この車両に戻して運転機能を更新するまでのエンドツーエンドプロセスに組み込まれる。
【0002】
本発明はさらに、車両の機能、特に安全機能を自動的にテストしてイネーブルするための、および/または、少なくとも半自律式の、テスト対象の運転機能を仮想的にホモロゲーションするためのテストユニットと、コンピュータプログラムと、コンピュータ読出し可能データ担体と、に関する。
【背景技術】
【0003】
現在、車両は、ハードウェアおよびソフトウェアコンポーネントから成るユニットとして検査され、認可される。運転支援システム、例えばアダプティブクルーズコントロールおよび/または高度に自動化されたもしくは自律式走行用の機能は、さまざまな検査手法を用いて実証もしくは検証可能である。この際には特に、HIL(Hardware-in-the-Loop)法、MIL(Model-in-the-Loop)法、SIL(Software-in-the-Loop)法、シミュレーションおよび/またはテスト走行が使用可能である。ここではXIL(X-in-the-Loop)法が望ましく、Xは、テストにおける開ループ制御および閉ループ制御のモデル、ソフトウェアまたはハードウェアを表す。XILが達成しようとしているのは、モデル、テスト、データおよびツールを再利用することにより、MIL環境、SIL環境、HIL環境および物理的な環境間でシームレスに移行することである。
【0004】
車両ソフトウェア、すなわち運転機能の後からの変更には、ホモロゲーション関連性の評価が必要であり、このような評価の場合には認可の補足が必要である。同時に、後からの変更により、安全性に関連する車両コンポーネント/運転機能の変更について安全性の懸念が生じる。その結果、安全性についてクリティカルなコンポーネントについてのこのような変更は一般に、リコールおよび工場訪問の枠内だけで行われる。これを除けば、開発の進展は、新しい車両世代だけに組み込まれ、これらの新しい車両世代それ自体は、平均して10年間市場にとどまる。実走行動作における車両から得られる既存のデータにより、さらなる最適化およびホモロゲーション、特に仮想的なホモロゲーションにこれらのデータを使用するという大きな可能性がある。
【0005】
上述した検査法を使用して、このような車両機能をテストするためのコスト、特に時間的および/または金銭的なコストは、潜在的に考えられる多数の走行状況をテストしなければならないため、一般に極めて高い。
【0006】
数10億キロメートルを上回る走行区間の道路だけで、最適化のために後から少なくとも半自律式の交通手段/車両をテストすることは、時間およびコスト上の理由から不可能である。さらに、多くの冗長的なテストキロメートルが生じ得るが、少なくとも半自律式の車両の能力に関係するクリティカルな状況および異常な状況は生じない。
【0007】
これは特に、テスト走行に対してもシミュレーションに対しても大きなコストを生じさせてしまい得る。独国特許出願公開第102017200180号明細書には、長手方向および/または横方向において車両を自律式に誘導するために構成されている車両機能を実証および/または検証する方法が示されている。
【0008】
この方法には、車両の周囲についての周囲データに基づいて、車両のアクチュエータへの車両機能のテスト制御指示を求めることが含まれているが、このテスト制御指示は、アクチュエータによって実行されない。
【0009】
上記の方法にはさらに、周囲データに基づき、また車両の周囲における少なくとも1つの道路利用者についての道路利用者モデルを使用して、テスト制御指示が実行される場合に発生し得る仮想的な交通状況をシミュレーションすることが含まれる。
【0010】
上記の方法にはさらに、仮想的な交通状況についてのテストデータを供給することが含まれている。車両機能は、ここではテスト制御指示を求めるために車両において受動的に作動される。
【0011】
この方法の欠点は、車両機能を実証および/または検証することを目的として、必要なデータを求めるために車両を実際に作動させる必要があり、また運転機能のイネーブルがこの方法の一部ではないことである。
【0012】
本発明は、車両に対して最初のイネーブルが行われ、車両の通常の動作を介して最初の車両データが収集可能となった後に開始される。しかしながら、変更された運転機能の新たなイネーブルのプロセスは、効率的かつリソースを節約して行われるべきである。したがって、本発明により、車両の前の動作から収集したデータが利用され、また完全に仮想的なかつ/または部分的に仮想的なテストおよび/または実テストによる最適化された運転機能の十分なホモロゲーションが定められる。
【0013】
著しい変化と高い開発速度とにより、元来の車両の販売にこれまでよりも強く含意されているのは、既に供給された車両システムの作動、メンテナンスおよびさらなる発展のために継続的にサービスを同時に提供することである。今日の車両の機能範囲が広がりとこれに伴う複雑さとにより、作動中の車両に対する後からの変更の数はさらに増大し続ける。さまざまなフェーズの増大するこの絡み合いと製品ライフサイクルのそれらのさらなる発展とは、自動車メーカーにとって重要な課題である。この課題を克服するためには、高度に複雑なデジタルシステムを継続して発展させるための革新的なアプローチが必要である。
【0014】
データ収集、運転機能の開発および運転機能の供給のための多岐にわたる実践的なアプローチが、革新の大きな障壁であることが予見可能である。専用のテスト走行は、その限られた能力および高いコストに起因して、関連する交通状況の比較的わずかな割合しか表すことができない。その結果、これらは、データドリブンの運転機能の開発にとって十分なベースではない。シミュレーションおよび合成によって生成されたデータセットはこれらの不足を補償することができるが、表現可能性および原型忠実性についてある程度の不確実性を伴う。効果的かつ効率的な解決手段には、生産性が成長し続ける車両フリートを用いることが不可欠である。これらは、このポテンシャルを良好に構造化して中長期的に利用することは、明らかな競争上の優位につながるはずであるが、既成の自動車メーカーの大部分にとって、まだ十分に利用されていないリソースである。
【0015】
このためには、実走行動作からの走行データを利用できるようにし、テストプロセスに移行させ、例えばシミュレーション結果の評価と、必要に応じてテスト/シミュレーションの変更されたパラメータ設定と、を行うインテリジェントなテスト作成およびテスト再調整が必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
したがって、本発明の課題は、実車両データに基づいて機能の自動化されたテストのために、適したテスト環境およびテスト/シミュレーションを作成する方法、テストユニット、コンピュータプログラムおよびコンピュータ可読データ担体を提供することである。(半)自動化された運転機能を有する車両フリートの作動と並行するこのテスト実行の高度の自動化と、シミュレートされた環境(デジタルツイン/デジタル行動ツイン)におけるこれらのフリートの安全性判定基準の連続的なチェックと、により、本発明では、XILのようなシミュレーション法と、リプロセッシング、すなわち既存のデータセットの再処理と、に基づいて、運転機能のイネーブルおよび仮想的なホモロゲーションがはじめて可能になる。デジタル行動ツインは、シミュレーション環境と同様に、運転機能(ソフトウェア機能または電子装置機能)のテストタスクと、イネーブルに関連する必要なテスト(例えば、公的および/または法的な認可判定基準に従った認可のためのテストシナリオ)と、に対応して、自動的に作成されてパラメータ設定される。同時に、テスト実行が、さまざまなXILおよびリプロセッシング環境において開始され、必要な情報がテストデータ管理部に供給され、これにより、これらの情報に基づいてイネーブルが可能になる。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の課題は、機能、特に安全機能を自動的にテストしてイネーブルするための、および/または、少なくとも半自律式の、テスト対象の運転機能を仮想的にホモロゲーションするためのコンピュータ実装方法であって、機能は、車両におけるデータ収集から、この車両に戻して運転機能を更新するまでのエンドツーエンドプロセスに組み込まれる、請求項1記載のコンピュータ実装方法と、請求項11記載のテストユニットと、請求項12記載のコンピュータプログラムと、請求項13記載のコンピュータ読み取り可能データ担体と、によって解決される。
【0018】
自律式および/または半自律式の車両には、複数の制御装置が含まれている。それぞれの個々の制御装置およびこれらの複合体は、開発の際に、またホモロゲーションのために、あらゆる交通状況、特にクリティカルな交通状況において、誤りのない機能が十分にテストされなければならない。
【0019】
しかしながら、今日の交通環境は、非常に複雑かつ動的であるだけでなく、(例えば、新たな交通様式、開発の変化もしくは交通規則の変更により)変化もし易いため、運転機能開発用の持続的に有効な入力パラメータを見つけることも目的として、関連する全てのデータを収集することができる固定の時点は存在しない。むしろ、既存の運転機能は、新たなまた変更される機能要件に基づき、継続的に再調整されなければならないことが想定されるべきである。同様に、既存の運転機能の質的な発展も考慮しなければならない。
【0020】
したがって、本発明によると、新たに収集した実データセットと過去の実データセットとの組み合わせに基づいて、トレーニングデータベースの拡張に役立つ合成データセットを生成する。これは、後で必要とされる運転機能テストを背景にして行われる。対応する検証のために十分な実データセットを利用できるようにするために、これらの実データが、モデルトレーニングに使用できるのは限られた範囲だけである。したがって、さらなる開発プロセスのために、実データは、(例えば、雨または光と影とを有するシーンを重ね合わせることにより)合成データセットによって強化される。この際に、重要な役割が果たすのは、これらのデータが作成される合成方法である。
【0021】
走行状況テストには、さまざまなテスト方法、例えばは特にステップベーステスト、要求ベーステストおよび/またはシナリオベーステスト等が使用可能である。
【0022】
シナリオベーステストでは、車両の運転モードは、可能な限りにリアルな交通状況において分析される。交通状況の分析対象の側面およびその評価は、テスト対象のシステムに依存している。このためには、自動車を自律的にガイドするためにシステムおよびシステムコンポーネントをシナリオベースでテストする際に、交通状況の抽象化とも称することができるシナリオが定義される。次いで、それぞれのシナリオについてここでもテストケースが実行可能である。ここで、論理的なシナリオとは、具体的なパラメータ値を決定することのなく、道路、運転挙動および周囲の交通によって交通状況を抽象化することである。具体的なパラメータ値を選択することにより、この論理的なシナリオから具体的なシナリオが選択される。このような具体的なシナリオは、それぞれの個別の交通状況に対応する。
【0023】
シナリオベースのテストにおける複数の交通シナリオもしくはシナリオを区別するために、静的なパラメータ、例えば環境、建物または道路幅だけが使用されるのではなく、特に個々の道路利用者の運転挙動も使用される。道路利用者の運動ひいては運転挙動は、軌跡によって表される。軌跡により、空間方向にも時間方向にもパスが表される。例えば速度等のパラメータにより、道路利用者の運動を区別することができる。
【0024】
選択したテスト方法とは無関係に、シミュレーションによって十分に良好に運転機能を検査して適合させるために、走行データは極めて重要であり、また合成データも極めて重要である。この際には、さまざまな走行状況/シナリオ/適用事例を、対応する安全標準によってカバーしなければならない。これらは、例えばSOTIF(ISO/PAS 21448)によって示される。
【0025】
1つの適用例は、対象体識別であり、したがって車両における対象体識別コンポーネントである。このようなコンポーネントおよび/または運転機能は、種々のシナリオにおいて歩行者が正しく識別されるか否かについて検査可能である。これが行われる場合、目下のモデルコンフィギュレーションが維持可能である。偏差が生じる場合、定式化された最小性能に達するまで、モデルがさらに適合化される。
【0026】
別の例は、いわゆるカットインシナリオである。このようなシナリオでは、他の道路利用者との所要の安全間隔を保つ運転機能および運転者支援システムをテストすることができる。カットインシナリオは、高度に自動化された車両または自律式車両があらかじめ定められた車線において走行し、他の車両が、自車に比べて低い速度で別の車線から自車の車線に、所定の間隔で車線に進入する交通状況と表すことができる。本明細書では自車は、テスト対象車両(SUT)を表す。
【0027】
自車の速度と、フェロー車両とも称される別の車両の速度と、は一定である。自車の速度は、フェローの速度よりも高いため、2台の車両の衝突を回避するためには、自車を制動させなければならない。
【0028】
上述したこれらの実施例を有意義に測定できるようにするためには、テスト対象体を既知のシミュレーション環境に組み込み、いわゆるXILテスト、すなわちモデルテスト、ソフトウェアテスト(SIL)とハードウェアインザループ(HIL)テストとから成る混合テストを行わなければならない。HILテストには比較的高い手間がかかることにより、これは、プロセスの選択されたポイントだけに使用可能である。しかしながら、HILテストは、車両システムのサイバーフィジカルな性質を勘案すると、製品車両システムにおいて後々に使用するための有意義な結果を得るために必須である。ここでは特に、ハイブリッドシミュレーションシナリオにおいて、著しく制限されたテストハードウェアを所期のようにかつ一貫して利用することを保証するために、コシミュレーションアプローチが役に立つ。複数のテストシナリオへのこの分割をより効率的に構成できるほど、製品ライフサイクル全体をより強く加速することができる。
【0029】
すなわち、仮想的な検証プロセスは、シミュレーションと、モデルトレーニングと、モデル性能を評価するための重要業績評価指標(KPI)の生成と、の繰り返しのシーケンスとして構成され、これは、個々の運転機能コンポーネントと、異なるXILテストカテゴリと、に分けられる。
【0030】
ここで重要であるのは、関連するフリートシステムと、その他の必要なデータソース(例えばインフラストラクチャ要素)と、に対し、行動ツイン/デジタルツインを提供することを介して保証することができる、実データの既存のベースについて継続的に理解することである。こうすることによってのみ、運転機能およびその行動基準の適合化/設定および/またはさらなる開発を可能にし、また論理的に矛盾なくテストを行うことができ、これにより、仮想的なホモロゲーションを介して機能のイネーブルが行われる。
【0031】
本発明による方法において、重要業績評価指標(KPI)または性能指標という用語は、値(KPI値)であって、この値に基づき、少なくとも半自律式の車両のシミュレーション後またはシミュレーション中に、重要な目標設定またはクリティカルな成功要因についての進捗または達成度を測定および/または求めることができる値のことをいう。KPIおよび/またはKPI値により、テスト再調整のためのシミュレーションおよび/またはシミュレーションステップの評価が可能になり、これにより、より目標が定めて、よりリソースを節約し、かつ時間的により効率的にテストを行うことができる。
【0032】
すなわち、具体的な顧客ニーズまたは具体的な要件を充足するために必要であり、時間的論理的に相前後して続く全てのサブプロセスから成るエンドツーエンドプロセス全体をカバーできるようにするために、また対応して自動化できるようにするために,ホモロゲーションに対する解決手段が必要である。ここでは特に、仮想的なホモロゲーションの導入、すなわち仮想のシミュレーション結果および/または部分的に仮想のシミュレーション結果に基づくイネーブルとその評価との導入が重要である。この際には基本的に、ホモロゲーション中立機能とホモロゲーション関連機能とを区別することができる。
【0033】
特に車両メーカーは、運転機能変化のこのようなホモロゲーション関連性を保証しなければならない。ホモロゲーション関連機能として決定および分類を行う場合、目下のところ補充方法を導入することが必要である。明らかであるのは、必要とされるプロセス速度は、全体プロセスの枠において検査インスタンスを一定程度、組み込むことによってのみ実現できることである。このためには、技術サービスの独立した検査者が、検査に関連するサブシステムに直接にアクセスできるように、開発システムおよび検査システムとホモロゲーションプロセスとの間の対応するインターフェースを作成しなければならない。
【0034】
少なくとも半自動化された運転機能は、さまざまな規定、例えば、自動車線維持システム(ALKS:Automated lane keeping system)用の規定に従って、車両内の車両乗員および他の道路利用者の安全性についてのリスクを最小化しなければならない。これは少なくとも、有能かつ慎重で、注意深い人間の運転者がリスクを最小化し得るレベルにおいて保証されなければならない。このようなリスクバランスは評価され、検証されなければならない。このようなリスクを論理的に矛盾なく推定するためには、特にメーカーはリスク限界値を決定しなければならない。
【0035】
一般に、リスク監視の2つの可能性、すなわち、絶対値におけるリスク監視と、特定の基準システムまたは挙動に対して相対的なリスク監視と、が存在する。絶対値の形態のリスク評価の第1のケースでは、想定されるシナリオの確率と、後に続く損傷を引き起こす原因の確率と、これらの2つの要因の間の考えられる依存性と、を評価しなければならない。後者のケースでは、代表的なシナリオが、検査対象のシステムについてのその結果を含めて、損傷確率および重度に関して基準システムと比較される。2つのアプローチ(絶対的なリスク評価および相対的なリスク評価)では、目標とするリスク閾値が大域的な閾値であるか否か、または個々のシナリオもしくはシナリオグループに対して個々のサブ閾値があるか否かが考慮されなければならない。
【0036】
現在では、公道での事故の発生は、人間によって制御される車両が優勢である。すなわち、今日では、-0.85Gの強い減速度を可能にする道路条件下で、例えば、先進緊急ブレーキングシステム(AEB:Advanced Emergency Braking System)を装備した車両において、検査対象のシステムが、人間の運転者を上回ることが実証されることによってのみ、ポジティブなリスクバランスを論証することができる。AEBSの主要な課題は、(運転者が関与することなく)速度を自律的に下げることにより、長手方向に配向された交通における追突事故を防止するか、もしくは事故の重大さ低減することである。これにより、人間の運転者だけによる運転機能のホモロゲーションのための要件の充足度と、人間の運転者なしにアクティブ化される運転機能のホモロゲーションのための要件の充足度と、の比較からリスクバランスを計算する必要がある。
【0037】
この際に、リスクバランスは、運転機能が、人間の運転者よりも高い安全性、走行快適性および/またはエネルギ効率をもたらす場合には結果的にボジティブになり、人間の運転者により、運転機能の介入なしにより高い安全性、走行快適性および/またはエネルギ効率が達成される場合には結果的にマイナスになる。
【0038】
これにより、本発明の必要性および課題が明らかになり、したがって、実走行データを利用できるようにすることと、適切なテストシステムおよび/またはシミュレーションに移行させることと、テストプロセスに検査インスタンスを組み込みことと、により、後からの最適化および新たなイネーブル、すなわち運転機能の仮想的なホモロゲーションが可能になる。
【0039】
本発明ではさらに、車両の機能、特に安全機能を自動的にテストしてイネーブルし、および/または、テスト対象の少なくとも半自律式の運転機能を仮想的にホモロゲーションするための、コンピュータ実装方法が構成される。
【0040】
本発明の別の実施形態は、別の従属請求項、および図を参照する以下の説明の対象である。
【0041】
テストユニットには車両の機能、特に安全機能を自動的にテストし、および/または、少なくとも半自律式の、テスト対象の運転機能をホモロゲーションするための手段が含まれている。
【0042】
本発明の別の態様によるとさらに、コンピュータプログラムがコンピュータ上で実行される場合に本発明による方法を実施するために、プログラムコードを有するコンピュータプログラムが構成される。本発明のさらに別の態様によるとさらに、コンピュータプログラムがコンピュータ上で実行される場合に本発明による方法を実施するために、コンピュータプログラムのプログラムコードを有するデータ担体が構成される。
【0043】
本明細書において説明した、コンピュータ実装方法の特徴的構成は、車両の機能、特に安全機能を自動的にテストしてイネーブルするために、かつ/または、少なくとも半自律式の、テスト対象の運転機能を仮想的なホモロゲーションするために使用可能である。同様に、本発明によるテストユニットは、例えば、自動車、輸送用車両および/もしくは商用車、船舶または航空機の多くの異なる装置または制御装置のテスト再調整を行うのに適している。
【0044】
本発明およびその利点をよりよく理解するために、所属の図面に関連した以下の説明を参照されたい。以下では、図面の概略図に示されている例示的な実施形態に基づいて本発明を詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0045】
図1】本発明に従って走行状況を区別するための概略図である。
図2】本発明に従って走行状況を区別するための別の概略図である。
図3】クリティカルなテスト結果とクリティカルでないテスト結果との間の境界を示す概略図である。
図4】重要業績評価指標(KPI:Key Performance Indicator)の本発明による図解を示す図である。
図5】KPIを用いた最適化プロセスを本発明に従って説明するための概略図である。
図6】行動ツインの使用を本発明に従って説明するための概略図である。
図7】自動的なイネーブルのために考えられる、本発明による方法の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
図1には、2つの異なるシナリオS1およびS2が説明されている。ここではそれぞれ1つの交差点領域が示されている。2つのシナリオS1およびS2には、自車(Ego)が示されている。S1では、自車(Ego)は、旋回操作を行う。自車は、テスト対象システム(SUT:Subject under Test)でもある。ここでは4台のフェロー車両(F1~F4)が道路を利用している。S2では、自車は、フェロー車両が道路を利用することなくまっすぐ軌跡を追従している。したがって、周囲パラメータにも、走行状況パラメータにも違いがある。これらのシナリオにおける目標は、例えば、自動車間制御のテストおよびシミュレーションであってよい。
【0047】
このような自動車間制御のテストおよびシミュレーションには場合によっては、有効なテスト結果を得るために、多くのテスト再調整が必要である。実走行(フリート動作/通常の走行動作)からの走行データを利用して、シナリオに対する適切な選択を行い、充分に良好なパラメータ設定を見つけることができ、これによって、有意義なテストを行うことができる。少なくとも1回のテスト実行にわたり、かつ/または複数のテスト実行にもわたり、自動でかつ/または手動で選択されるKPIによって自動的に評価することができる多くのテスト結果が得られる。KPIを介する評価により、ホモロゲーションプロセスを加速し、そもそもこれをはじめて可能にすることができ、これにより、変更された運転機能を実走行動作においてさらに使用するために適時のイネーブルが実現される。KPIによる分析の一例は、衝突率における関係性の評価であり、例えば、
●少なくとも10回(N)のテスト走行が行われる場合、模擬的に走行したテストキロメートルについて衝突率を検査する。
○1,000kmで平均2回(X)の(危うい衝突も含めた)衝突の場合、運転機能の制限されたイネーブルだけが許容される。
○1,000kmにわたって3回(Y)の(危うい衝突も含めた)衝突の場合、付帯条件の下でのみ運転機能のイネーブルが許容される。
○1,000kmにわたって4回(Z)の(危うい衝突も含めた)衝突の場合、目下のテストプロセスが中断され、運転機能のさらなる最適化が必要になる。
●第1のシナリオでの全てのテスト走行が模擬的に行われ、衝突が発生しなかった場合(0,A)、イネーブルを考慮することができる。これにより、KPIによる評価を用いて、テスト対象の機能と、機能のイネーブルと、についての要件の充足度を示すことができる。
【0048】
図2には、本発明に従って走行状況/シナリオ(S1~Sn)を区別するための概略図が示されている。図2によると、シナリオS1とS2とは、特に車両パラメータおよび/もしくは走行状況パラメータおよび/もしくは周囲パラメータについて完全に異なっていてよいか、重なっている車両パラメータおよび/もしくは走行状況パラメータおよび/もしくは周囲パラメータを有していてよいか、またはそれぞれのパラメータについて同じであってもよい。まさに、十分なホモロゲーションを表すために、ひいては運転機能をイネーブルするために、適切な走行状況/シナリオの選択は、また同様にシナリオのパラメータ設定の選択も、重要な役割を果たす。このためには、実データから関連する状況を抽出することが重要であり、これにより、ここからテスト対象のパラメータ設定を取り出すことができる。
【0049】
図3には、クリティカルなテスト結果とクリティカルでないテスト結果との間の境界を示す関数が示されている。図示した点は、シミュレートされたテスト結果である。択一的には、これらは、近似化されたテスト結果であってもよい。
【0050】
図示した関数は、安全性・目標関数であり、この安全性・目標関数は数値を有し、この数値は、自車(Ego)と別の自動車、すなわちフェロー車両との間の、VFELLOW×0.55以上の安全間隔の場合に最小値を有し、自車(Ego)と別の自動車との間の衝突の際に最大値を有し、自動車と別の自動車との間の、VFELLOW×0.55以下の安全間隔の場合には、最小値よりも大きな数値を有する。安全性・目標関数を介する結果は、KPIにより、少なくとも1回の、かつ/または複数回のテスト実行にわたって監視可能である。評価の結果は、変更された運転機能のイネーブルについて判断するために使用可能である。
【0051】
安全性・目標関数とは択一的に、例えば、快適・目標関数または効率・目標関数をシミュレートし、かつ/または近似することができ、この目標関数は、数値を有し、この数値は、自動車の加速度の変化がない場合には最小値を有し、自車(Ego)と別の自動車との間の衝突の際に最大値を有し、自車(Ego)の加速度が変化した際には、加速度の変化の絶対値に依存して、最小値と最大値との間の数値を有する。複数の走行状況パラメータ、特に自車(Ego)の速度VEGOと、別の自動車、すなわちフェロー車両の速度VFELLOWと、はあらかじめ定めた定義範囲内で、例えばシミュレーションによって生成される。
【0052】
図4には、重要業績評価指標(KPI:Key Performance Indicator)の本発明による図解が示されている。シナリオ/走行状況に、またこれらにおいてテスト対象システム(SUT)に、衝突(V-C)の発生が関係する場合、このために走行状況の安全性を評価する(セーフティKPI)のようなKPI(KPI)を選択すべきである。KPI(KPI)は特に、衝突(V-C)の際の衝突速度(I-V)を決定することができるか、または衝突(V-C)が発生しない場合には、自車(Ego)およびフェロー車両の最小間隔(Min D)を示すことができる。特に、例えば自動車間制御が検査されるべきカットインシナリオでは、これらの結果は、シナリオの評価に関連する。このために、求めた結果からKPI値を決定することができる。KPI値が、定めた閾値を下回る場合、求めたKPI評価を用いて、シミュレーションの別のパラメータ設定を見つけることができる。しかしながら、KPI値についての閾値を上回る場合、運転機能のイネーブルを確定することができる。
【0053】
図5には、KPIを用いた最適化プロセスを本発明にしたかって説明するための概略図が示されている。このために、運転機能が変更/最適化される(C-F)。次いで、この運転機能が、シミュレーション環境(Sim)においてシミュレートされる。引き続いて、シミュレーションの結果(T-R)は、少なくとも1つのKPIによって評価(KPI-Eval)され、KPI値が特定される。評価の結果に対応して、さらなる最適化プロセスが開始されるか、またはテストプロセスが終了したと見なされる。シミュレーションフェーズ中には、さまざまなパラメータを使用することができ、かつ/またはテストは、さまざまな走行状況/シナリオに基づくことが可能である。
【0054】
図6には、本発明に従って行動ツイン(D_T,Digital Twin)の使用を説明するための概略図が描かれている。行動ツイン(D_T)は、車両および/または車両コンポーネントおよび/または運転機能を表しており、これによって適切なテストが可能になる。車両データ(1)が、実走行動作において、少なくとも1つの実車両(R_V)から取得され、車両データは、車両の測定したセンサを含み、行動ツイン(D_T)に伝送される。少なくとも1つの運転機能が適合化され(C-F)、行動ツイン(D_T)によってテストされ(2~n)、この際にはXIL、SILおよび/またはHILテストが使用可能である。デジタル行動ツインを介するテストには少なくとも1回の反復が含まれる。それぞれのテスト/シミュレーション(Sim)により、テスト結果(T-R)が生成され、これらが引き続いてさらに分析される。重要業績評価指標(KPI-Eval)において、テスト/シミュレーションおよび/または少なくとも1つのシミュレーションステップを評価するためのKPIの閾値が、機能のホモロゲーションのための要件の充足度を上回り、かつ/または下回る場合、イネーブルプロセスを開始することができる。これにより、関数の変更および/または最適化の反復が終了される。イネーブル(m)の後、変更された運転機能が再び実車両(R_V)にわたされ、実走行動作において使用される。
【0055】
図7には、運転機能を自動的にイネーブルするために考えられる、本発明による方法の概略図が示されている。このために、好ましい1つの実施形態ではリスクバランスが計算される。リスクバランスを決定するためのベースとして、既存のデータ(A_D)と、KPI評価(KPI-Eval)からの結果と、が使用される。KPI評価(KPI-Eval)には、シミュレーション(Sim)の結果(T-R)と、KPIの閾値ついての対応する評価と、が含まれている。ここではKPIは、ユーザによって手動で/テストシステムによって自動で、かつ/または危険評価/リスク評価のための規定の設定値として設定可能である。
【0056】
仮想的なホモロゲーション(H-DF)の枠内では、上述のデータのベースがまとめられ、リスクバランスが決定される。リスクバランスにより、要件の充足度が示される。リスクバランスは、運転機能が、人間の運転者よりもより高い安全性、走行快適性および/またはエネルギ効率をもたらす場合には結果的にプラスになり、人間の運転者により、運転機能の介入なしにより高い安全性、走行快適性および/またはエネルギ効率が達成される場合には結果的にマイナスになる。リスクバランスがプラスの場合、テスト対象の運転機能は、実車両(R_V)に戻される。
【0057】
運転機能をイネーブルするという説明した実施形態の他に、本発明による別の実施形態も含まれる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】