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  • 特表-浮体式プラットフォーム用の係留索 図1
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  • 特表-浮体式プラットフォーム用の係留索 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-04
(54)【発明の名称】浮体式プラットフォーム用の係留索
(51)【国際特許分類】
   B63B 21/20 20060101AFI20240927BHJP
   B63B 35/00 20200101ALI20240927BHJP
   F03D 13/25 20160101ALI20240927BHJP
【FI】
B63B21/20 Z
B63B35/00 T
F03D13/25
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024518568
(86)(22)【出願日】2022-09-23
(85)【翻訳文提出日】2024-05-13
(86)【国際出願番号】 EP2022076549
(87)【国際公開番号】W WO2023046912
(87)【国際公開日】2023-03-30
(31)【優先権主張番号】21306324.1
(32)【優先日】2021-09-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524110241
【氏名又は名称】テクラム
【氏名又は名称原語表記】TECHLAM
(71)【出願人】
【識別番号】522232558
【氏名又は名称】トタルエナジーズ ワンテク
【氏名又は名称原語表記】TOTALENERGIES ONETECH
(74)【代理人】
【識別番号】100080447
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 恵一
(72)【発明者】
【氏名】ル-ゲネック,ステファヌ
(72)【発明者】
【氏名】リボル,ジョエル
(72)【発明者】
【氏名】スクラベール,アラン
【テーマコード(参考)】
3H178
【Fターム(参考)】
3H178AA03
3H178AA26
3H178BB77
3H178BB90
3H178DD61Z
3H178DD67Z
(57)【要約】
【課題】減少した係留索長さおよび減少した極度の張力を有する係留索を、満足のゆく耐用年数および有意な係留コスト削減を可能にしつつ提供する。
【解決手段】 本発明は、浮体式プラットフォーム、好ましくは浮体式風力タービンプラットフォーム(10)用の係留索(20)に関しており、該係留索は、プラットフォームに取り付けることができる第1セグメント(22)、海底に取り付けることができる第2セグメント(24)、第1セグメントと第2セグメントとの間に配置される、エラストマー材料で形成される少なくとも1つの中間セグメント(26)を備える。中間セグメントは、中間セグメントの静止時の長さの100%を超える最大延長、有利には300%を超える最大延長を提供することができる。中間セグメントは、18MPaを超える、有利には25MPaを超える最小破断強度を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
浮体式プラットフォーム、好ましくは浮体式風力タービンプラットフォーム(10)用の係留索(20)であって、該係留索(20)が以下、
- プラットフォーム(10)に取り付けることができる第1セグメント(22)、
- 海底(14)に取り付けることができる第2セグメント(24)、
- 第1セグメント(22)と第2セグメント(24)との間に配置される、エラストマー材料で形成される少なくとも1つの中間セグメント(26)を備え、
中間セグメント(26)が、中間セグメント(26)の静止時の長さの100%を超える最大延長、有利には250%を超える最大延長、好ましくは300%を超える最大延長を提供することができ、
中間セグメント(26)が、15MPaを超える、好ましくは18MPaを超える、有利には25MPaを超える最小破断強度を有する係留索であって、
中間セグメント(26)が、単一の要請形態に応えることができるだけであり、前記形態が、第1セグメント(22)および第2セグメント(24))によって加えられる牽引であり、
中間セグメント(26)が、単一材料で作られる係留索。
【請求項2】
中間セグメント(26)が、400tを超える、有利には1200tを超える最小破断荷重を有する、請求項1に記載の係留索(20)。
【請求項3】
中間セグメント(26)が、20%未満、有利には10%未満のクリープを有する、請求項1または2に記載の係留索(20)。
【請求項4】
中間セグメント(26)が、40m未満、有利には15m未満の累積長さを有する、請求項1から3のいずれか一つに記載の係留索(20)。
【請求項5】
中間セグメント(26)が、30cmと250cmとの間、例えば30cmと150cmとの間、好ましくは30cmと120cmとの間に含まれる直径を有する、
請求項1から4のいずれか一つに記載の係留索(20)。
【請求項6】
単一材料が、
- 天然ゴム、
- 熱可塑性エラストマー、
- ポリクロロプレン、および
- 水素化ニトリルブタジエンゴム、
の中から選択される、請求項1から5のいずれか一つに記載の係留索(20)。
【請求項7】
中間セグメント(26)が、マルチストランド索である、請求項1から6のいずれか一つに記載の係留索(20)。
【請求項8】
第1セグメント(22)および第2セグメント(24)が、以下の材料、
- 金属製セグメント、とりわけ金属製チェーンもしくは鋼製ワイヤ、
- 合成繊維ロープ、とりわけ合成ポリエステル索もしくはナイロンロープ、
のうちの1つまたはそれらの組み合わせで構成される、請求項1から7のいずれか一つに記載の係留索(20)。
【請求項9】
第2セグメント(24)に配置される少なくとも1つのクランプウェイト(40)を備える、請求項1から8のいずれか一つに記載の係留索(20)。
【請求項10】
係留索(20)が、防汚処理を施されていない、請求項1から9のいずれか一つに記載の係留索(20)。
【請求項11】
第1セグメント(22)と第2セグメント(24)との間に配置される、エラストマー材料で形成される追加の中間セグメント(26B)を備える、請求項1から10のいずれか一つに記載の係留索(20)。
【請求項12】
水域(12)に設置可能な浮体式プラットフォーム、好ましくは浮体式風力タービンプラットフォーム(10)と、プラットフォーム(10)に取り付けられた少なくとも1つの係留索、有利には3つまたはそれ以上の係留索とを備え、そのうちの少なくとも1つの係留索(20)が、請求項1から11のいずれか一つに記載されているものである組立品。
【請求項13】
前記少なくとも1つの係留索(20)が、水域(12)の高さの6倍未満の長さ、有利には水域(12)の高さの1.5倍未満の長さを有する、請求項12に記載の組立品。
【請求項14】
前記少なくとも1つの係留索(20)が、海底(14)から離れた上昇部分(32)を有し、前記少なくとも1つの係留索(20)の中間セグメント(26)が、上昇部分(32)に配置される、請求項12または13に記載の組立品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浮体式プラットフォーム用の係留索に関する。
【0002】
本発明はまた、そのような係留索を備える浮体式プラットフォームにも関する。
【0003】
詳細には、浮体式プラットフォームは、浮体式風力タービンプラットフォームである。
【背景技術】
【0004】
浮体式風力タービンプラットフォームは、海底に係留する必要がある。
浮体式風力タービンプラットフォームの係留は、浅海と過酷な環境条件との組み合わせにより、このシステム全体が大きい張力ピークを伴う非常に動的なものになるため、難易度が高い。
【0005】
このことは、線張力を許容範囲内に維持するのに必要な柔軟性をシステム内に提供するために、係留索が水深に対してかなり長くなければならないことを意味している。
典型的な係留システムを用いると、浅海および厳しい条件下では、索が水深の10倍以上の長さになることもあり、このことは高い係留コストにつながる。
【0006】
これらのコストを削減するために、したがって、索の長さが減少した係留索を、この索に加えられる極度の張力を維持またはさらには減らしつつ提供する必要がある。
【0007】
いくつかの既知のシステムが、係留索内に弾性を提供することによってこの問題に対処するよう提案されているが、しかし、それらのうちのいずれも、満足のゆくものとは見なされていない。
【0008】
例えば、ステンレス鋼を使用する機械的構成要素が提案されているが、しかし、海水中で20年の耐用年数にわたるシステムの完全な状態およびその費用対効果について疑問が提起されている。
【0009】
米国特許第9308969号明細書および欧州特許第3419890号明細書は、例えば、浮体式プラットフォーム用係留索を記述している。
【0010】
例えば欧州特許第3129277号明細書または欧州特許第2526014号明細書中に記述されているような他のシステムは、複雑すぎる、費用対効果が十分ではない、または海水中かつ非常に動的なシステムにおける20年の耐用年数にわたる完全な状態を保証するのに十分な耐久性がない、と見なされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許第9308969号明細書
【特許文献2】欧州特許第3419890号明細書
【特許文献3】欧州特許第3129277号明細書
【特許文献4】欧州特許第2526014号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的のうちの一つはしたがって、減少した係留索長さおよび減少した極度の張力を有する係留索を、満足のゆく耐用年数および有意な係留コスト削減を可能にしつつ提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この目的のために、本発明は、浮体式風力タービンプラットフォーム用の係留索に関しており、該係留索は、プラットフォームに取り付けることができる第1セグメントと、海底に取り付けることができる第2セグメントと、第1セグメントと第2セグメントとの間に配置される、エラストマー材料で形成される少なくとも1つの中間セグメントとを備える。
中間セグメントは、中間セグメントの静止時の長さの100%を超える最大延長、有利には250%を超える最大延長、好ましくは300%を超える最大延長を提供することができる。
中間セグメントは、15MPaを超える、好ましくは18MPaを超える、有利には25MPaを超える最小破断強度を有する。
【発明の効果】
【0014】
これらの特徴を利用して、本発明による係留索により、係留コストを有意に削減することが可能となる。
実際に、ウォーターカラムに位置する係留索に沿った中間セグメントの使用は、浅海および過酷な環境条件におけるセミトートまたはさらにはトート係留システムを設計するのに十分な弾性を提供するであろう。
この弾性は、引張応力を受けると伸びるエラストマー材料によって提供される。
それは、係留索が耐える最大張力を、その長さを有意に短くしつつ、制限することを可能にする。
具体的には、本発明により、浅海で水深の6倍未満の長さ、浅海におけるトート係留構成の場合、さらに有利には水深の1.5倍未満の長さを有する係留索を提供することが可能となり、ほぼ40%の係留コスト削減が期待される。
【0015】
本発明による係留索は、単独で、もしくは技術的に実現可能な任意の組み合わせにしたがって選ばれる、以下の特徴のうちの1つまたは複数を有する。
- 中間セグメントは、400Tを超える、有利には1200Tを超える最小破断荷重を有する、
- 中間セグメントは、20%未満、有利には10%未満のクリープを有する、
- 中間セグメントは、40m未満、有利には15m未満の累積長さを有する、
- 中間セグメントは、30cmと250cmとの間、例えば30cmと150cmとの間、好ましくは30cmと120cmとの間に含まれる直径を有する、
- 中間セグメントは、単一材料で作られる、
- 単一材料は、天然ゴム、熱可塑性エラストマー、ポリクロロプレンおよび水素化ニトリルブタジエンゴムの中から選択される、
- 中間セグメントは、マルチストランド索である、
- 第1セグメントおよび第2セグメントは、以下の材料:金属製セグメント、とりわけ金属製チェーンもしくは鋼製ワイヤ;合成繊維ロープ、とりわけ合成ポリエステル索もしくはナイロンロープのうちの1つまたはそれらの組み合わせで構成される、
- 係留索は、第2セグメントに配置される少なくとも1つのクランプウェイトを備える、
- 係留索は、防汚処理を施されていない、
- 係留索は、第1セグメントと第2セグメントとの間に配置される、エラストマー材料で形成される追加の中間セグメントを備える。
【0016】
本発明はさらに、水域に設置可能な浮体式風力タービンプラットフォームと、プラットフォームに取り付けられた少なくとも1つの係留索、有利には3つの係留索とを備える組立品に関しており、少なくとも1つの係留索は、上述の通りである。
【0017】
本発明による浮体式プラットフォームは、以下の特徴のうちの1つまたは複数を有する。
- 前記少なくとも1つの係留索は、水域の高さの6倍未満の長さを有する、
- 前記少なくとも1つの係留索は、海底に置かれている着底部分と、海底から離れた上昇部分とを有しており、前記少なくとも1つの係留索の中間セグメントは、上昇部分に配置される。
【0018】
本発明は、以下のような添付の図面を参照して成される、単に一例として与えられる続く説明を読むことによってより良く理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明による係留索によって海底に係留された浮体式風力タービンプラットフォームの概略図である。
図2図1の係留索の部分図である。
図3】本発明による係留索の別の実施形態によって海底に係留された浮体式風力タービンプラットフォームの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
浮体式プラットフォームが、図1に示されている。
【0021】
浮体式プラットフォームはここでは、浮体式風力タービンプラットフォーム10である。
【0022】
以下の説明は、浮体式風力タービン10に関して成されるが、しかしながら、当業者は、本発明が任意の浮体式プラットフォームに適用できることを理解するであろう。
【0023】
浮体式風力タービンプラットフォーム10は、水域12に設置されることができる。
【0024】
具体的には、水域12は、例えば海である。
水域12は、海底14上にある。
当業者は、水域12が湖であるならば、海底14がそのとき、湖の底となることを理解するであろう。
【0025】
図1で見ることができるように、水域12は、垂直方向に従って、50mと600mとの間、有利には50mと200mとの間(本発明の目的)に含まれる水深Hを有する。
【0026】
浮体式風力タービンプラットフォーム10は、風力タービン16を支持することができる。
【0027】
浮体式風力タービンプラットフォーム10が、稼働拠点の海底14に係留されているとき、風力タービン16は、電力を生み出すために回転するように設定されている。
【0028】
図面で示されている例において、プラットフォーム10は、ここでは、ビームで相互に連結した3本の安定カラム18を備えている。
しかしながら、浮体式風力タービンプラットフォーム10は、3本の安定カラム18を備えていてもよいが、3本より多い安定カラム18を備えていてもよい。
浮体式風力タービンプラットフォーム10は、また、水域12に浮遊して風力タービン16を支持することができる任意の浮体式システムであってもよい。
【0029】
浮体式風力タービンプラットフォーム10は、少なくとも1つの係留索に取り付けられている。
【0030】
有利には、浮体式風力タービンプラットフォーム10は、3本の係留索に取り付けられている。
例えば、係留索は、各安定カラム18に取り付けられている。
【0031】
係留索のうちの少なくとも1つは、本発明による係留索20である。
【0032】
有利には、すべての係留索が、本発明による係留索20である。
【0033】
各係留索20は、浅海における水域12の水位Hの6倍未満の長さを有する。
浅海とは、50~150mの水深を有すると理解される。
【0034】
本発明による係留索20は、したがって、浅海において海が荒れているとき係留索20における十分な弾性を提供するために水位Hの10倍を超える長さを典型的に有する従来の係留索、特に従来のオールチェーン構成の場合に、より短い。
この減少した長さにより、大きな係留コスト削減が可能となる。
【0035】
例えば、水位Hが約70mの高さである場合、従来の係留索であれば、厳しい海洋条件下でおよそ700mの長さを有するであろうが、一方、本発明による係留索20は、400m未満の長さを有し、その場合に伴う極度の張力は、同等であるかまたはより低くさえもある。
【0036】
図面を参照すると、係留索20は、第1セグメント22、第2セグメント24および少なくとも1つの中間セグメント26を備えている。
【0037】
図1で見ることができるように、第1セグメント22は、プラットフォーム10に取り付けることができる。
【0038】
第2セグメント24は、例えばアンカー28によって、海底14に取り付けることができる。
【0039】
第1セグメント22および/または第2セグメント24は、金属製セグメント、とりわけ鋼製ワイヤまたは図2で示されているような金属製チェーンで作られる。
【0040】
一変形例において、第1セグメント22および/または第2セグメント24は、合成繊維ロープ、とりわけ合成ポリエステル索またはナイロンロープで作られる。
【0041】
別の変形例において、第1セグメント22および/または第2セグメント24は、複数のサブセグメントで構成されていてもよく、各サブセグメントは、例えば鋼やポリエステルのような、異なる材料で作られているかもしれない。
【0042】
第1セグメント22および第2セグメント24は、したがって、有意な剛性、とりわけ中間セグメント26よりも高い剛性を有する。
【0043】
図面で示されている例において、各係留索20は、海底14に載っている着底部分30と、海底14から離れた上昇部分32とを有している。
【0044】
しかしながら、一変形例において、係留索20は、特にトート係留の場合、海底14上の着底部分を有しない。
【0045】
各中間セグメント26は、上昇部分32の中に配置される。
【0046】
各中間セグメント26は、したがって、海底14から離れており、海底14との接触による中間セグメント26の摩耗を回避する。
【0047】
中間セグメント26の性能は、上昇部分32内のその位置の影響を受けない。
しかしながら、中間セグメント26は、好ましくは十分に深く、とりわけ20mより低く配置されて、UV暴露を回避しかつ海洋生物の成長を制限する。
【0048】
図1で示されている例において、係留索20は、ただ1つだけの中間セグメント26を備えている。
【0049】
中間セグメント26は、2つの端部間で長手方向に沿って延びている。
【0050】
中間セグメント26は、第1の端部で、接続部分34によって第1セグメント22に連結している。
【0051】
中間セグメント26は、第1の端部に対向する第2の端部で、別の接続部分34によって第2セグメント24に連結している。
【0052】
図3で示されている例において、係留索20は、2つの中間セグメント26A、中間セグメント26Bを備えている。
【0053】
第1の中間セグメント26Aは、第1セグメント22に連結しており、第2の中間セグメント26Bは、第2セグメント24に連結している。
【0054】
連結セグメント36は、第1の中間セグメント26Aと第2の中間セグメント26Bとの間に配置されている。
【0055】
一変形例において、第1の中間セグメント26Aおよび第2の中間セグメント26Bは、連結セグメント36の存在なしで、直接連結している。
【0056】
連結セグメント36は、第1セグメント22と第2セグメント24とに類似した構造を有している。
具体的には、連結セグメント36は、例えば、金属製セグメントまたは合成繊維ロープである。
【0057】
当業者は、一変形例において、係留索20が、2つより多い中間セグメント26、例えば3つまたは4つの中間セグメント26を備えていてもよいことを理解するであろう。
連結セグメント36は、2つの中間セグメント26の間に配置される。
【0058】
各中間セグメント26は、エラストマー材料で形成される。
【0059】
特に、中間セグメント26は、単一材料で作られる。
【0060】
したがって、中間セグメント26は、エラストマー材料に追加する他の材料または機械的部品がない。
中間セグメント26は、ただ、2つの接続部分34間に配置されるエラストマー材料を有するだけである。
【0061】
中間セグメント26は、単一の要請形態、ここでは第1セグメント22および第2セグメント24によって加えられる牽引に応えることができるだけである。
【0062】
中間セグメント26は、このように、そこにかかる牽引力が増大するときに中間セグメント26の剛性が増大する牽引下での強い非線形弾性挙動を有することを回避する。
そのような強い非線形挙動は、極端な気象条件下で高張力ピークをもたらし、索それ自体の完全な状態を損なう虞がある。
【0063】
中間セグメント26を構成する単一材料は、天然ゴム、熱可塑性エラストマー、ポリクロロプレンおよび水素化ニトリルブタジエンゴムの中から選択される。
【0064】
有利には、各中間セグメント26は、マルチストランド索であり、2つの接続部分34の間に延びている複数のストランドを備えている。
【0065】
好ましくは、中間セグメント26は、30~350本、例えば30~150本、特に40~130本のストランドを備えている。
【0066】
特に、中間セグメント26は、約100本の、エラストマー材料のストランドを備えている。
【0067】
好ましい一実施形態において、中間セグメント26のストランドは、互いに平行に走っている。
好ましくは、ストランドは、中間セグメント26の中心軸の周りに対称的に分配されている。
【0068】
あるいは、中間セグメント26のストランドは、編み連ねられている。
【0069】
ストランドは、単一材料で作られている。
好ましくは、ストランドは、どんな金属も有していない。
【0070】
有利には、中間セグメント26のすべてのストランドは、実質的に同じ長さおよび/または厚みを有している。
好ましくは、中間セグメント26のすべてのストランドは、互いに同一である。
ストランドは、このように実質的に同じ機械的特性、とりわけ同じ最大延長および最小破断強度を有する。
【0071】
例えば、各ストランドは、40mmと150mmとの間、好ましくは60mmと120mmとの間、より顕著には80mmと100mmとの間に含まれる直径を持つ、実質的に円筒形の形状を有する。
【0072】
例えば、ストランドは、例えば汚れに対する、保護組成物によって少なくとも部分的にコーティングされている。
【0073】
各中間セグメント26は、有利には、第1セグメント22と第2セグメント24との間に延びている円筒形の形状を有する。
【0074】
例えば、各中間セグメント26は、実質的に円形、卵形または矩形の横断面を持つ。
他の横断面形状が検討されてもよい。
【0075】
有利には、各中間セグメント26は、実質的に円形の円筒形形状を有する。
【0076】
各中間セグメント26は、40m未満、有利には15m未満の累積長さを有する。
【0077】
各中間セグメント26は、30cmと250cmとの間、例えば30cmと150cmとの間、好ましくは30cmと120cmとの間に含まれる直径を有する。
【0078】
中間セグメント26が実質的に円形の横断面を有しない場合、直径は、中間セグメント26を取り囲む架空の円筒の直径として理解されるべきである。
【0079】
各中間セグメント26は、中間セグメント26の静止時の長さの100%を超える最大延長、有利には300%を超える、さらにより有利には500%を超える最大延長を提供することができる。
【0080】
典型的には、各中間セグメント26は、10mを超える最大伸び長さを有する。
【0081】
中間セグメント26の弾性は、係留索20が引張応力を受けるときに伸びるエラストマー材料によって提供される。
それは、係留索20が耐える最大張力を制限することを可能にする。
【0082】
各中間セグメント26は、15MPaを超える、好ましくは18MPaを超える、有利には25MPaを超える最小破断強度を有する。
【0083】
各中間セグメント26は、400Tを超える、有利には1200Tを超える最小破断荷重を有する。
【0084】
中間セグメント26は、20%未満、有利には10%未満のクリープを有する。
【0085】
クリープは、ポリマーの引き伸ばしによるその最初の長さからの永久伸びである。
最初の長さとは、荷重なしの、耐用年数の開始時長さと理解される。
【0086】
本発明による係留索20は、したがって、過酷な環境条件により係留索20に加えられる過酷な張力に耐えることができる。
中間セグメント26は、有意な伸びを有することを可能にする。
このことは、係留索20のより剛性が高い部分の区分、すなわち第1セグメント22と第2セグメント24とを減らすこと、それらの長さもまた減らすこと、そしてこのように有意な係留コスト削減を提供することを可能にする。
【0087】
図1で見ることができるように、各係留索20は、有利には、第2セグメント24に配置される少なくとも1つのクランプウェイト40を備える。
【0088】
一変形例において、係留索20は、特にトート係留の場合、クランプウェイト40がない。
【0089】
クランプウェイト40により、第2セグメント24にいくらかの重量を加えて索のカテナリー効果を増大させることが可能となる。
これにより、クランプウェイトがすべて持ち上がるまで索の復原力を増すことによって浮体構造物10の平均オフセットを低減することが可能となる。
クランプウェイトの他の利点は、ドラッグエンベドメントアンカーを使用する場合の、アンカー位置での垂直荷重の低減である。
【0090】
係留索20は、有利には、防汚処理を施されていない。
【0091】
従来の係留索において、海洋生物の成長は処理されない。
深海において、ポリエステルロープは、従来、海洋生物の成長を回避するために索に沿ってより深く、例えば150mの深さよりも低く位置している。
【0092】
本発明による係留索20は、中間セグメント26の大きな変形により、かつ中間セグメント26用に使用される材料により防汚処理の必要性を排除することができ、水生生物それら自体が係留索20に付着しないようにする。
【0093】
本発明が多くの利点を有することは、明白であるように見受けられる。
【0094】
具体的には、本発明により、係留索20が耐える最大張力を、その長さを減らしつつ、制限することが可能となる。
実際に、エラストマー材料の中間セグメント26は、過酷な環境条件により係留索20に加えられる過酷な張力に係留索20が耐えることを可能にする弾性を提供する。
【0095】
具体的には、本発明により、水深の6倍未満の長さを有する係留索を提供することが可能となり、またほぼ40%の係留コスト削減が期待される。
【0096】
そのうえ、本発明により、係留索20のための防汚処理の必要性を排除することが可能となり、コストをさらに削減しまた係留索20の製造を簡素化することが可能となる。
【0097】
最後に、係留索20の長さが短くなるので、海底14に載っている係留索20の着底部分30もまた減少し、取り囲んでいる海洋環境における係留システムの占有面積を減少させることが可能となる。
【符号の説明】
【0098】
10 浮体式風力タービンプラットフォーム
12 水域
14 海底
16 風力タービン
18 安定カラム
20 係留索
22 第1セグメント
24 第2セグメント
26 中間セグメント
26A 中間セグメント
26B 中間セグメント
28 アンカー
30 着底部分
32 上昇部分
34 接続部分
36 連結セグメント
40 クランプウェイト
図1
図2
図3
【手続補正書】
【提出日】2024-05-31
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
浮体式プラットフォーム、好ましくは浮体式風力タービンプラットフォーム(10)用の係留索(20)であって、該係留索(20)が以下、
- プラットフォーム(10)に取り付けることができる第1セグメント(22)、
- 海底(14)に取り付けることができる第2セグメント(24)、
- 第1セグメント(22)と第2セグメント(24)との間に配置される、エラストマー材料で形成される少なくとも1つの中間セグメント(26)を備え、
中間セグメント(26)が、中間セグメント(26)の静止時の長さの100%を超える最大延長、有利には250%を超える最大延長、好ましくは300%を超える最大延長を提供することができ、
中間セグメント(26)が、15MPaを超える、好ましくは18MPaを超える、有利には25MPaを超える最小破断強度を有する係留索であって、
中間セグメント(26)が、単一の要請形態に応えることができるだけであり、前記形態が、第1セグメント(22)および第2セグメント(24))によって加えられる牽引であり、
中間セグメント(26)が、単一材料で作られる係留索。
【請求項2】
中間セグメント(26)が、400tを超える、有利には1200tを超える最小破断荷重を有する、請求項1に記載の係留索(20)。
【請求項3】
中間セグメント(26)が、20%未満、有利には10%未満のクリープを有する、請求項1または2に記載の係留索(20)。
【請求項4】
中間セグメント(26)が、40m未満、有利には15m未満の累積長さを有する、請求項1または2に記載の係留索(20)。
【請求項5】
中間セグメント(26)が、30cmと250cmとの間、例えば30cmと150cmとの間、好ましくは30cmと120cmとの間に含まれる直径を有する、請求項1または2に記載の係留索(20)。
【請求項6】
単一材料が、
- 天然ゴム、
- 熱可塑性エラストマー、
- ポリクロロプレン、および
- 水素化ニトリルブタジエンゴム、
の中から選択される、請求項1または2に記載の係留索(20)。
【請求項7】
中間セグメント(26)が、マルチストランド索である、請求項1または2に記載の係留索(20)。
【請求項8】
第1セグメント(22)および第2セグメント(24)が、以下の材料、
- 金属製セグメント、とりわけ金属製チェーンもしくは鋼製ワイヤ、
- 合成繊維ロープ、とりわけ合成ポリエステル索もしくはナイロンロープ、
のうちの1つまたはそれらの組み合わせで構成される、請求項1または2に記載の係留索(20)。
【請求項9】
第2セグメント(24)に配置される少なくとも1つのクランプウェイト(40)を備える、請求項1または2に記載の係留索(20)。
【請求項10】
係留索(20)が、防汚処理を施されていない、請求項1または2に記載の係留索(20)。
【請求項11】
第1セグメント(22)と第2セグメント(24)との間に配置される、エラストマー材料で形成される追加の中間セグメント(26B)を備える、請求項1または2に記載の係留索(20)。
【請求項12】
水域(12)に設置可能な浮体式プラットフォーム、好ましくは浮体式風力タービンプラットフォーム(10)と、プラットフォーム(10)に取り付けられた少なくとも1つの係留索、有利には3つまたはそれ以上の係留索とを備え、そのうちの少なくとも1つの係留索(20)が、請求項1または2に記載されているものである組立品。
【請求項13】
前記少なくとも1つの係留索(20)が、水域(12)の高さの6倍未満の長さ、有利には水域(12)の高さの1.5倍未満の長さを有する、請求項12に記載の組立品。
【請求項14】
前記少なくとも1つの係留索(20)が、海底(14)から離れた上昇部分(32)を有し、前記少なくとも1つの係留索(20)の中間セグメント(26)が、上昇部分(32)に配置される、請求項12に記載の組立品。
【国際調査報告】