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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-04
(54)【発明の名称】工作機械装置を操作する方法
(51)【国際特許分類】
   B23Q 17/09 20060101AFI20240927BHJP
   B23Q 17/20 20060101ALI20240927BHJP
   B23Q 17/22 20060101ALI20240927BHJP
   B23Q 17/24 20060101ALI20240927BHJP
   B24B 49/10 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
B23Q17/09 B
B23Q17/20 B
B23Q17/22 B
B23Q17/24 C
B24B49/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024518678
(86)(22)【出願日】2022-09-16
(85)【翻訳文提出日】2024-05-20
(86)【国際出願番号】 GB2022052345
(87)【国際公開番号】W WO2023047087
(87)【国際公開日】2023-03-30
(31)【優先権主張番号】21275133.3
(32)【優先日】2021-09-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391002306
【氏名又は名称】レニショウ パブリック リミテッド カンパニー
【氏名又は名称原語表記】RENISHAW PUBLIC LIMITED COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】サミュエル デイビッド ホイル
(72)【発明者】
【氏名】ベンジャミン ジェイソン メリフィールド
(72)【発明者】
【氏名】ケネス チャン-ホエ ナイ
【テーマコード(参考)】
3C029
3C034
【Fターム(参考)】
3C029AA06
3C029AA25
3C029AA40
3C029BB02
3C029BB10
3C029DD02
3C029DD16
3C029DD20
3C034BB92
3C034BB93
3C034CA30
3C034CB03
(57)【要約】
工作機械装置を操作する方法は、前記工作機械装置に取り付けられた工具にワークピースを処理させることと、前記工具による前記ワークピースの処理中に、前記工具の状態を示す1つまたは複数の信号について、少なくとも1つのセンサが、前記工具、前記工作機械装置および/または前記ワークピースを監視することと、前記1つまたは複数のセンサの出力を使用して、前記工具および/または前記ワークピースが少なくとも1つの検査デバイスによって、いつおよび/またはどのように検査されるかを自動的に構成することであって、前記出力は、前記工具を使用し続けるかどうかを決定するために使用される、ことと、を備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
工作機械装置を操作する方法であって、
前記工作機械装置に取り付けられた工具にワークピースを処理させることと、
前記工具による前記ワークピースの処理中に、前記工具の状態を示す1つまたは複数の信号について、少なくとも1つのセンサが、前記工具、前記工作機械装置および/または前記ワークピースを監視することと、
前記1つまたは複数のセンサの出力を使用して、前記工具および/または前記ワークピースが少なくとも1つの検査デバイスによって、いつおよび/またはどのように検査されるかを自動的に構成することであって、前記出力は、前記工具を使用し続けるかどうかを決定するために使用される、ことと、
を備える方法。
【請求項2】
前記工具および/または前記ワークピースをいつ検査するかを構成することは、前記検査デバイスを介して、前記工具および/または前記ワークピースの検査を開始することを含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記工具および/または前記ワークピースの検査を開始することは、前記工具および/または前記ワークピースが、所定の時間ベースおよび/または処理ベースの期限内に前記検査デバイスによって検査されることを含む、
請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記工具および/または前記ワークピースをいつ検査するかを構成することは、特定の頻度で前記ワークピースおよび/または前記工具の定期的な検査のルーチンを開始することを含む、
請求項1から3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記工具および/または前記ワークピースをいつ検査するかを構成することは、前記工具および/または前記ワークピースが前記検査デバイスによって定期的に検査されるように構成される頻度を変更することを含む、
請求項1から4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記工具および/または前記ワークピースをどのように検査するかを構成することは、前記工具および/または前記ワークピースが検査される期間、前記工具および/または前記ワークピースが検査される程度、前記工具および/または前記ワークピースが検査される解像度、のうちの少なくとも1つを構成することを含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項7】
所定の基準を使用して、前記工具および/または前記ワークピースが前記検査デバイスによってどのようにおよび/またはいつ検査されるかを自動的に構成し、前記方法は、前記検査デバイスの出力に基づいて前記所定の基準を更新することをさらに含む、
請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記少なくとも1つのセンサは、少なくとも1つの音響エネルギーセンサを含む、
請求項1から7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記音響エネルギーセンサの出力を使用することは、前記音響エネルギーセンサによって検出された信号の尖度を分析することを含む、
請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記検査デバイスを介した前記工具および/または前記ワークピースの検査は、前記工具による前記ワークピースの前記処理を中断することを含む、
請求項1から9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記検査デバイスを介した前記工具および/または前記ワークピースの検査は、前記工具および/または前記ワークピースを、前記ワークピースの処理位置から離れた検査位置に移動させることを含む、
請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記検査デバイスは、非接触検査デバイス、例えば、光学検査デバイス、を含む、
請求項1から11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記検査デバイスは、例えば、前記工具の代わりに前記工作機械に取り付けられた、前記ワークピースを検査するためのプローブを含む、
請求項1から12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
処理される前記ワークピースの材料は、セラミック材料またはガラス材料を含む、
請求項1から13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記工具は、バリ、例えば、ダイヤモンドコーティングされたバリ、を含む、
請求項1から14のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工作機械装置を操作する方法、ならびに関連する方法および装置に関し、特に、工作機械装置上のワークピースを機械加工するために使用される工具の状態を監視およびチェックするための方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ワークピースを機械加工するために使用される工具の状態を工具検査デバイスに取り付けることによってチェックできるように、工作機械の操作空間内に工具検査デバイスを提供することが知られている。そのようなチェックは、機械加工操作の途中で、前、後、および/または間隔をおいて行うことができ、検査時に工具がワークピースを処理していないことを必要とする。既知の工具検査デバイスには、Renishaw plcから入手可能なTRS2非接触工具破損システムなどの工具破損/損傷(例えば、工具がそこにあるかどうか/損傷している)をチェックするデバイス、およびRenishaw plcから入手可能なNC4非接触工具セッターおよびOTS接触工具セッターなどの工具の1つまたは複数の特性(そのサイズ、例えば、直径、長さ/先端位置など)を決定するために工具を分析できるデバイスが含まれる。
【0003】
A. Papacharalampopoulos, et alによる「Acoustic emission signal through turning tools: A computational study」14th CIRP Conference on Modeling of Machining Operationsおよび欧州特許出願公開第0165482号など、様々な文書が、工具がワークピースを処理することに使用される間の工具の摩耗/故障を識別するための音響エネルギー(AE)の使用を提案している。
【0004】
本発明は、工作機械装置を操作するための改善された方法、特に、工作機械装置上のワークピースを機械加工するために使用される工具の状態を監視およびチェックするための改善された方法に関する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】欧州特許出願公開第0165482号明細書
【特許文献2】国際出願公開第2006/027577号
【特許文献3】旧東ドイツ国経済特許第239369号明細書
【特許文献4】国際出願公開第2019/053432号
【特許文献5】国際出願公開第2019/048832号
【特許文献6】国際出願公開第2020/074886号
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】A. Papacharalampopoulos, et al, “Acoustic emission signal through turning tools: A computational study” 14th CIRP Conference on Modeling of Machining Operations
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様によれば、工作機械に取り付けられた工具にワークピースを処理させることと、前記工具による前記ワークピースの処理中に、前記工具の状態を示す1つまたは複数の信号について、少なくとも1つのセンサが、前記工具、前記工作機械装置および/または前記ワークピースを監視することと、前記1つまたは複数のセンサの出力を使用して、前記工具および/または前記ワークピースが少なくとも1つの検査デバイスによって、いつおよび/またはどのように検査(チェック)されるかを自動的に構成することであって、前記出力は、前記工具を使用し続けるかどうかを決定するために使用される、ことと、を備える工作機械を操作する方法が提供される。
【0008】
発明者らは、ワークピースを機械加工するために使用されている間の工具の状態を評価するための技術は、(少なくともそれらの目的のために)工具を継続して使用すべきかどうかを決定することに十分な精度および/または信頼性がない可能性があることを見出した。技術に依存すると、適切な状態の工具が拒否され、早期に交換される可能性があり(それによって不必要な廃棄物およびコストにつながる)、または不適切な状態の工具が識別されず、それによって工具が破損および/またはワークピースへの損傷が発生する時点を超えて故障する可能性がある(それによって不必要な廃棄物およびコストにつながる)という懸念があった。
【0009】
したがって、本発明は、廃棄物/スクラップ/コストを削減することおよび/または操作効率を改善すること(例えば、工具および/またはワークピースが少なくとも1つの工具検査デバイスによって検査される必要がある回数を減らすこと)などの利点を提供することを目的とする。
【0010】
工具によるワークピースの処理中に工具、工作機械装置および/またはワークピースを監視するための少なくとも1つのセンサは、工具が摩耗していることおよび/または潜在的な工具損傷イベントが発生したという兆候を早期に警告することを提供するために使用することが可能である。したがって、本発明では、少なくとも1つの検査デバイスによる工具またはワークピースの検査/チェックなしに、または比較的非常にまれにのみ、新しい工具が最初にワークピースを処理するために使用される戦略を採用することが可能である。この場合、少なくとも1つのセンサの出力は、工具が閾値量を超えて摩耗していることおよび/または工具摩耗/損傷イベントが発生したことを示すために(例えば、連続的に、例えば、リアルタイムで)監視することが可能であり、これに応答して、工具および/またはワークピースを(例えば、直ちに/期限内に)検査させることが可能であり、および/または工具および/またはワークピースの検査の頻度を変更すること、例えば、増加させることが可能である。このような戦略は、ワークピースおよび/または工具が少なくとも1つの検査デバイスによって検査されるために、工具によるワークピースの処理を中断する必要がある場合に特に有用であり得る。
【0011】
本発明は、ワークピースが硬い材料(セラミックスおよびガラスなど)から作られる場合に特に有用であることが分かっている。これは、そのような場合には、工具が適切であることから不十分であることへと迅速かつ/または予測不可能に遷移し得、ワークピースおよび/または工作機械の損傷を引き起こす破滅的な故障の状態に突然遷移することさえあることが分かっているためである。同様に、本発明は、研削工具、例えば、研削バリまたは単なる「バリ」(例えば、ダイヤモンドコーティングされたバリ)、および、突然および/または予測不可能に故障しやすい面研削用の研削ホイールを使用して機械加工する場合に特に有用である。本発明は、少なくとも1つの検査デバイスによる過度のチェックを必要とせずに、損傷が発生する前にそのような突然のおよび/または予測不可能な工具の遷移を掴むことを助けることができ、それによって動作効率を維持またはさらに改善することが可能である。それにもかかわらず、最も重要な利益は、硬い材料および/または研削工具に関連付けることが可能であるが、本発明はまた、より柔らかい材料を機械加工するとき、および/またはフルートを有する切断工具などの他の工具が使用されるときに同様の利点を提供することが可能である。
【0012】
工具の状態を示す1つまたは複数の信号について、工具によるワークピースの処理中に工具、工作機械装置および/またはワークピースを監視するための適切なセンサは、超音波を含む音(例えば、工具および/またはワークピースに存在する)を含む振動(例えば、レーザー振動計を介して)、トルク(例えば、工具および/またはワークピース上)などの荷重/力、偏向(例えば、工具および/またはワークピースの偏向)、温度(例えば、工具および/またはワークピースの温度)のうちの少なくとも1つを感知/測定するように構成されたセンサを含む。特に好ましい実施形態では、特に、工具が研削工具、特に研削バリを含む場合、センサは、音響エネルギー(AE)センサを含む。理解されるように、AEセンサは、高周波音波、特に超音波を感知するように構成されたセンサである。少なくとも1つのAEセンサは、20kHz(キロヘルツ)を超える周波数を有する音波を感知するように構成され得る。AEセンサは、超音波スペクトル内の超音波の特定のバンドに特に敏感であるように構成され得る。理解されるように、他のタイプのAEセンサが可能であるが、典型的には、AEセンサは、圧電材料/トランスデューサを備える。
【0013】
工具によるワークピースの処理中に、工具の状態を示す1つまたは複数の信号について、工具、工作機械装置、および/またはワークピースを監視するために、複数のセンサを提供し、出力を監視することが好ましい場合がある。これは、センサの性能が位置に依存しているため、複数のセンサを異なる位置に、例えば、ワークピース上の異なる位置に、または異なる部品上、例えば、工具、ワークピース、および/または工作機械装置上に、センサが存在するように配置することが好ましい場合がある。追加的/代替的に、工具の状態を示す異なる信号を監視するように構成された複数の異なるタイプのセンサを使用することが有益であり得る(例えば、振動センサおよび力、例えば、トルク、センサを使用することが有益であり得る)。追加的/代替的に、異なるバンド信号に対して特にチューニングされた同じタイプの複数のセンサ(例えば、複数の振動センサ)、例えば、超音波の異なるバンドに特に敏感であるように構成された複数のAEセンサを使用することは有益であり得る。
【0014】
少なくとも1つのセンサの出力の監視は、ワークピースの処理中に連続的に実行され得る。しかしながら、これは必ずしもそうである必要はない。例えば、ワークピースの処理の1つまたは複数の特定の期間中(例えば、非常に最初および/または最後、および/または特徴/機械加工技術間の遷移など多くのノイズが予想される時点で)、少なくとも1つのセンサの出力を監視しないことが好ましい場合がある。理解されるように、少なくとも1つのセンサは、信号を連続的に感知する(およびそれに応答して任意選択で信号を出力する)ように連続的に作動され、その場合、所望される場合、ワークピースの処理の特定の期間にそこからの出力を無視することが可能であり得る。代替的に、センサは、前記特定の期間で非アクティブ化され得る。
【0015】
工具および/またはワークピースをいつ検査/チェックするかを構成することは、検査デバイスを介して工具および/またはワークピースの検査を開始することを含むことが可能である。これは、少なくとも1つの検査デバイスによる工具および/またはワークピースの検査が、所定の時間ベースおよび/または処理ベースの期限内に行われるようなものであり得る。これは、1回限りの検査になる可能性もある。これは、例えば、1つまたは複数のセンサによって拾われた信号が、重大な一過性の工具損傷イベントの発生を示すためであり得る。
【0016】
任意選択で、工具および/またはワークピースをいつ検査/チェックするかを構成することは、特定の頻度/間隔(時間ベースおよび/または処理ベースの頻度/間隔であり得る)で工具および/またはワークピースの定期的な検査を開始することを含む。任意選択で、工具および/またはワークピースをいつ検査/チェックするかを構成することは、工具および/またはワークピースが少なくとも1つの検査デバイスによって定期的に検査される所定の頻度/間隔(時間ベースおよび/または処理ベースの頻度/間隔とすることができる)を変更することを含む。これは、例えば、機械加工中に(音響エネルギー)センサによって拾われた(例えば音響エネルギー)信号が、少なくとも1つの所定の閾値を超える工具の漸進的な摩耗(例えば平滑化)を示すためであり得る。
【0017】
工具および/またはワークピースをどのように検査するかを構成することは、工具および/またはワークピースが検査される期間、工具および/またはワークピースが検査される程度(例えば、工具および/またはワークピースのどの部分が検査されるか)、工具および/またはワークピースが検査される解像度および/または精度(例えば、検査中に収集されるデータの量)のうちの少なくとも1つを構成することを含み得る。工具をどのように検査するかを構成することは、工具および/またはワークピースを検査するために使用される複数の検査デバイスのうちのどれを構成することを含み得る。
【0018】
所定の基準を使用して、工具および/またはワークピースが検査デバイスによってどのようにおよび/またはいつ検査されるかを自動的に構成することが可能である。したがって、方法は、少なくとも1つの検査デバイスの出力に基づいて、前記所定の基準を更新することをさらに含むことが可能である。したがって、前記基準は、工具検査デバイスが見るものに応じて動的に適合させることが可能である。
【0019】
少なくとも1つのセンサの出力を使用することは、例えば所定の期間(時間ベースおよび/または処理ベースの期間であり得る)にわたって、少なくとも1つのセンサによって検出された信号を処理/分析/監視することを含むことが可能である。例えば、少なくとも1つのセンサの出力を使用することは、機械加工プロセスの少なくとも一部(例えば、切断、穴あけ、フライス加工、研削ステップ)にわたって、すなわち、工具がワークピースと相互作用するプロセスの少なくとも一部にわたって、少なくとも1つのセンサによって検出された信号を処理/分析/監視することを含むことが可能である。機械加工プロセスのそのような部分は、機械加工プロセスの開始および/または終了部分が無視/廃棄されるように、中間部分であり得る。
【0020】
少なくとも1つのセンサの出力を使用することは、少なくとも1つのセンサによって検出された信号(例えば、AE信号)の尖度を処理/分析/監視することを含むことが可能である。例えば、方法は、検査デバイスを介して(例えば、所定の時間ベースおよび/または処理ベースの期限内で)工具および/またはワークピースの検査をいつ開始するかを決定するために、少なくとも1つのセンサによって検出された信号の尖度を分析することを含み得る。例えば、尖度データの急上昇は、一過性の重大な工具損傷イベントを示すことが可能であることが分かっている。少なくとも1つのセンサによって検出された信号の尖度のレベル/値は、工具および/またはワークピースがいつおよび/またはどのようにして少なくとも1つの検査デバイスによって検査されるかの変更がいつ行われるべきかを識別するために使用され得る。例えば、1つまたは複数の尖度閾値を提供することができ、これは、通過すると、工具および/またはワークピースがいつおよび/またはどのようにして少なくとも1つの検査デバイスによって検査されるかの変更を開始する。任意選択で、少なくとも1つのセンサによって検出された信号の勾配(すなわち、経時的な信号の変化率(部品の切断数にわたる))、またはそれから導出された信号は、工具および/またはワークピースがいつおよび/またはどのようにして少なくとも1つの検査デバイスによって検査されるかの変更がいつ起こるべきかを識別するために使用され得る。例えば、1つまたは複数の尖度曲線勾配閾値を提供することができ、これは、通過すると、工具および/またはワークピースがいつおよび/またはどのようにして少なくとも1つの検査デバイスによって検査されるかの変更を開始する。
【0021】
少なくとも1つのセンサの出力を使用することは、(例えば、音響エネルギー)信号データの、少なくとも1つ、任意選択で少なくとも2つ、例えば3つの標準偏差の外側にあるデータポイントの割合を処理/分析/監視することを含むことが可能である。例えば、方法は、少なくとも1つの信号データの、少なくとも1つ、任意選択で少なくとも2つ、例えば、3つの標準偏差の外側にあるデータポイントの割合を分析して、ワークピースおよび/または工具の定期的な検査をいつ開始するか、および/または頻度を変更するかを決定することを含み得る。
【0022】
少なくとも1つのセンサの出力を使用することは、少なくとも1つのセンサによって検出された信号の複数の異なる態様/特性を処理/分析/監視することを含むことが可能である。これは、工具の様々な態様(例えば、重大な一過性の工具損傷イベント、および工具のより漸進的な摩耗)を監視する場合に役立ち得る。例えば、尖度および、少なくとも1つの信号データの、少なくとも1つ、任意選択で少なくとも2つ、例えば、3つの標準偏差の外側にあるデータポイントの割合、の両方を処理し得る。
【0023】
少なくとも1つのセンサは、工具によるワークピースの処理によって生成された信号を拾うための任意の適切な場所に取り付けられることが可能である。例えば、AEセンサの場合、工具および/またはワークピースに音響的に結合されている任意の適切な場所に取り付けられることが可能である。いくつかの好ましい実施形態では(例えば、AEセンサが使用される場合)、少なくとも1つのセンサは、ワークピース自体に直接取り付けられることが可能である。しかしながら、少なくとも1つのセンサは、例えば、ワークピースチャック/固定具(例えば、AEセンサの場合、それは、ワークピースついての音響結合媒体を取り付ける真空チャックに取り付けられることができる)上のどこかに取り付けることができ、または例えば、工作機械テーブルに取り付けることが可能である。任意選択で、少なくとも1つのセンサは、少なくとも1つの検査デバイスに取り付けられる(同様に、工作機械、例えば工作機械テーブルに取り付けることが可能である)。したがって、この場合、少なくとも1つのセンサおよび少なくとも1つの検査装置を、1つのユニットとして提供することが可能である。理解されるように、AEセンサの場合、好ましくは、AEセンサは、音響伝導性媒体、例えば、室温硬化性(RTV)シリコンなどのゴム状材料を介して取り付けられる。
【0024】
少なくとも1つの検査デバイスを介したワークピースおよび/または工具の検査は、検査時に工具がワークピースを処理していないことを必要とする場合がある。したがって、少なくとも1つの検査デバイスを介したワークピースおよび/または工具の検査は、工具によるワークピースの処理を中断することを含み得る。少なくとも1つの検査デバイスを介したワークピースおよび/または工具の検査は、工具およびワークピースを互いに離れるように移動させることを含み得る。例えば、少なくとも1つの検査デバイスを介した工具および/またはワークピースの検査は、工具および/またはワークピースを、ワークピースの処理位置から離れた検査位置に移動させることを含むことが可能である。ワークピースの検査は、検査デバイスのために工具を交換することを含み得る。したがって、少なくとも1つのセンサは、工具の摩耗および/または損傷を間接的に監視するために機械加工中に使用され(工具によるワークピースの処理を中断する必要がないように)、工具検査デバイスは、工具および/またはワークピースを直接検査して、工具の状態について決定を下すために使用される(工具によるワークピースの処理を中断する必要がある)。
【0025】
少なくとも1つの検査デバイスは、接触または非接触検査デバイス、例えば、光学検査デバイスを含むことが可能である。そのような光学検査デバイスは、例えば、カメラベースの検査デバイス(例えば、カメラプローブ)、および/または例えば、レーザーベースの検査デバイス(例えば、レーザーツールセッター)であり得る。理解されるように、本明細書における「光」および「光学」への言及は、赤外線から紫外線範囲の任意の場所における電磁放射(EMR)を包含する。接触検査デバイスの例としては、タッチトリガープローブ(Renishaw plcから入手可能なプローブのOMP範囲など)または走査/アナログプローブ(Renishaw plcから入手可能なSPRINT(登録商標)プローブなど)などの接触プローブが挙げられる。そのような検査デバイスは、工作機械のスピンドルに(例えば、ワークピースを加工するために使用された/使用される工具の代わりに)取り付けられ得る。
【0026】
少なくとも1つの検査デバイスは、その状態を検査するために、工具および/またはワークピースと直接相互作用するように構成され得る。これは、工具および/またはワークピースと物理的に相互作用することによって(接触プローブなどの接触手段を介して)、または非接触手段を介して、例えば、工具またはワークピースと光学的に相互作用することによって(例えば、レーザービームを破壊および/または反射することによって)可能である。例えば、工具が検査されるこれらの実施形態では、少なくとも1つの検査デバイスは、例えば、形状(例えば、円形)、寸法、(例えば、直径、長さ)、工具の1つまたは複数の特徴(例えば、工具またはその一部が破損している)の存在/状態、工具の表面仕上げ、のうちの少なくとも1つの、工具の状態/ありさま/特性を決定するように工具と直接相互作用するように構成され得る。
【0027】
理解されるように、ワークピースが検査されるそれらの実施形態では、工具の状態は、例えば、形状(例えば、円形)、寸法(例えば、直径、長さ)、ワークピースの1つまたは複数の特徴の存在/状態(例えば、ワークピースまたはその一部が破損している)、ワークピースの表面仕上げ、の少なくとも1つの、ワークピースの状態/ありさま/特性から推測され得る。
【0028】
本発明の別の態様によれば、ワークピースを処理するためにその上に取り付けられた工具と、工具によるワークピースの処理中に、工具の状態を示す1つまたは複数の信号について、工具、工作機械装置、および/またはワークピースを監視するように構成された少なくとも1つのセンサと、工具の状態をチェックするための少なくとも1つの検査デバイスと、少なくとも1つのセンサの出力を使用して、少なくとも1つの検査デバイスによって、工具および/またはワークピースがいつおよび/どのように検査(チェック)されるかを自動的に構成するように構成された少なくとも1つの処理デバイスと、を備える工作機械装置が提供される。少なくとも1つの検査デバイスの出力は、工具を使用し続けるかどうかを(自動的にまたは手動で)決定するために使用することが可能である。したがって、少なくとも1つの処理デバイスは、少なくとも1つの検査デバイスの出力に基づいて、工具を使用し続けるかどうかに関する決定を受信または決定するように構成され得る。理解されるように、上述した本発明の第1の態様の特徴は、本発明のこの態様に等しく適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0029】
ここで、本発明の実施形態は、以下の図面を参照して、一例としてのみ説明される。
図1図1は、本発明の方法を使用することが可能な工作機械装置を概略的に示す。
図2図2は、本発明による図1の工作機械を操作するための例示的なワークフローを示す。
図3図3は、図1の工作機械に取り付けられた工具によるワークピースの複数の切断のために5秒間の期間中に記録されたAE信号の尖度を示すグラフである。
図4図4は、2回の切断のために収集された5秒のデータの各半秒スライスについてのAE信号の尖度を示すグラフである。
図5図5は、2回の切断のために収集された5秒のデータの各半秒スライスについてのAE信号の尖度を示すグラフである。
図6図6は、複数の切断の各々についてのAE信号データの分布を示す。
図7】複数の切断の各々について、AE信号データの3つの標準偏差の外側にあるAE信号データポイントの割合をプロットするグラフである。
図8】複数の切断の各々についてのAE信号データの経路平均二乗(RMS)を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図を参照すると、図1は、工作機械101、数値コントローラ130(NC)(例えば、コンピュータ数値コントローラまたは「CNC」)、PC140、およびインターフェース150を含む工作機械装置100を概略的に示す。
【0031】
工具102、この例では、ダイヤモンドコーティングされた研削工具/バリは、工作機械101のスピンドル104に取り付けられる。ワークピース106、この例ではガラスまたはセラミックワークピースは、工作機械のテーブル110上の真空チャック108を介して取り付けられる。工具/スピンドルおよびワークピース/テーブルは、電動移動システム/フレーム(図示せず)を介して少なくとも1つの自由度で互いに対して移動可能であり、この実施形態では、それらは、3つの直交自由度(x、y、z)で互いに対して移動可能である。そのような相対運動は、テーブル110の運動、スピンドル104の運動、またはそれらの組み合わせによって影響を受け得る。工具/スピンドルがその軸を中心に回転可能である(それによって回転する)のと同様に、工作機械101は、工具102およびその周りのワークピース106の相対回転を容易にするための1つまたは複数の追加の回転軸を提供し得る(例えば、真空チャック108を回転テーブルに取り付けることができる)。NC130は、工具102にワークピース106を処理させるために、モータ(図示せず)を介してスピンドル104およびテーブル110の相対位置を制御する。NC130は、例えばPC140を介して、機械加工操作のプログラムをすることが可能である。
【0032】
説明される実施形態では、工具検査デバイス112は、工作機械101のテーブル110に取り付けられる。説明した実施形態では、工具検査デバイスは、Renishaw plcから入手可能なNC4システムなどのブレークビーム非接触ツールセッタデバイスである。しかしながら、理解されるように、これは場合によって必ずしも必要ではなく、例えば、Conoptica ASから入手可能なCu2 Toolなどのビジョンベースの工具検査デバイス、またはRenishaw plcから入手可能なOTS接触ツールセッターなどの接触工具検査デバイスなどの他のタイプの検査デバイスを使用することが可能である。
【0033】
さらに、この実施形態では、音響エネルギー(AE)センサであるセンサ114は、工具102によるワークピース106の処理によって生成される信号、この実施形態では音響エネルギーを感知するように提供される。説明される実施形態では、AEセンサ114は、真空チャック108に取り付けられているが、ワークピース106が真空チャック108に取り付けられたときにワークピース106と直接接触するように構成され、ワークピース106の機械加工中にワークピース106からのAEエネルギーを直接感知する。説明される実施形態では、AEセンサは、最大1MHz(メガヘルツ)の超音波周波数を感知することが可能な広帯域AEセンサである。AEセンサは、ワークピースに音響的に結合される必要があるが、AEセンサ114がワークピース106と直接接触して取り付けられることは必須ではない。例えば、AEセンサは、ワークピースチャック/固定具108上、テーブル110上、または工作機械101の別の部分、例えば工具検査デバイス112上に取り付けられ、その中のAEエネルギーのみを感知するように構成され得る。しかしながら、AEセンサは、ワークピース自体と直接接触して取り付けられるときに最も有用なデータを提供することが分かっている。
【0034】
工具検査デバイス112およびAEセンサ114は、例えば、有線および/または無線接続を介してインターフェース150と通信し、次に、有線および/または無線接続を介してNC130および/またはPC140と通信する。代替的に、工具検査デバイス112およびAEセンサ114は、NC130および/またはPC140と直接通信し得る。
【0035】
図2は、本発明による工作機械を操作するための例示的なワークフロー200を示す。方法は、ワークピース106を工作機械に取り付けること(この場合は真空チャック108を介して)、ワークピース106と直接接触するようにAEセンサ114を取り付けること(説明される実施形態では、これは、ワークピースがAEセンサ114の位置および構成により真空チャック108に取り付けられるときに自動的に発生する)、工具102を工作機械101のスピンドル104にロードすること、および工具検査デバイス112を介して工具102を定期的にチェックするための初期頻度/期間を設定すること(これは、最初はヌルに設定され得る、すなわち、最初はシステムが工具を定期的にチェックするように設定されないようにすること)を含む、いくつかの初期化アクションが行われるステップ202で開始する。理解されるように、頻度/期間は、時間ベースであってもよく、および/または処理ベースであってもよい(すなわち、工具が使用された処理の量、例えば、工具が実行した切断の数、または各ワークピースの処理が完了した後に基づいて)。初期化ステップ202はまた、スピンドル内の工具102を工具検査デバイス112に持ち込み、工具の存在をチェックし、任意選択でその長さおよび/または直径などの工具の1つまたは複数の特性を決定するための初期工具設定操作を実行することを含むことが可能な、初期工具検査アクションを含み得る。
【0036】
初期化ステップ202が完了すると、制御は、機械加工操作が行われるステップ203に進む。機械加工操作は、工具102にワークピース106を処理させるステップ204を含む。これは、スピンドル104を操作して工具102を回転させ、工具102/スピンドル104およびワークピース106/テーブル110の相対位置を制御して、工具がワークピース106と相互作用するようにする(例えば、それによって、ワークピースを切断、穴あけ、フライス加工、研磨などする)NC130を備える。
【0037】
決定プロセス206によって示されるように、機械加工操作中には、所定の工具チェック頻度/期間(上記のように、時間ベースまたは処理ベースであり得る)に基づいて工具をチェックする時間であるかどうかの継続的な監視がある。その場合、工具102は、工具検査デバイス112に持ち込まれ、ステップ208で検査される。
【0038】
ステップ210では、工具検査デバイス112からの信号が(例えば、工具検査デバイス112自体、インターフェース150、NC130および/またはPC140によって、および/または人間のオペレータによって)分析され、工具102の状態が依然として使用に適しているかどうかを決定する。そのような分析および/または最終決定は、自動的にまたは手動で、または2つの組み合わせを介して実行することが可能である。そのような分析は、例えば、以下のうちの少なくとも1つを確立することなど、工具の状態/ありさま/特性を確立することを含み得る:形状(例えば、円形)、寸法、(例えば、直径、長さ)、工具の1つまたは複数の特徴(例えば、工具またはその一部が破損している)の存在/状態、工具の表面仕上げ。工具の状態が依然として適切であると決定された場合、次いで(または後続の)ワークピースの処理が再開される(追加のステップ220は、以下でより詳細に説明される)。工具の状態がもはや適切ではないと決定された場合、同じ(または後続の)ワークピースの処理が再開される前に、ステップ212で工具が交換される。
【0039】
理解されるように、工具102の状態が依然として使用に適しているかどうかを決定するプロセスは、本発明および文書の範囲外であり、したがって詳細に説明されない。それにもかかわらず、理解されるように、工具102の状態が依然として使用に適しているかどうかを決定するための適切なプロセスは、以下のうちの少なくとも1つまたは複数をチェックすることを含み得る:工具が破損しているかどうか、工具の直径、工具の長さ、工具の摩耗の兆候、および/または工具の形状。好適な装置およびプロセスは、例えば、特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5および特許文献6に記載されている。さらに、ステップ210では、工具を交換する必要があるかどうかを決定するために、工具と同様に、または工具の代わりにワークピースを検査し得る。例えば、工具のありさま/状態を推測するために、切断されたワークピースの寸法、形状、および/または表面仕上げを測定し得る。
【0040】
上述したように、システムは、最初に工具を定期的にチェックするための所定の頻度/期間がないように設定することができ、その場合、決定プロセス206は、所定の頻度/期間がステップ218で設定されるまで非アクティブになる(以下でより詳細に説明する)。
【0041】
決定プロセス206によって行われる工具102の定期的/ルーチンチェックと同様に、決定プロセス214によって示されるように、工具102によるワークピース106の処理中にAEセンサ114によって拾われた音響エネルギー(AE)信号は、連続的かつリアルタイムで監視される。特に、AE信号は、処理/分析/監視され(以下により詳細に説明される方法で)、「摩耗」の兆候を監視し、また、工具への重大かつ突然の損傷を示す可能性のある「イベント」の兆候を監視する。したがって、AEセンサは、工具の状態を間接的に監視するために使用される。そのような「イベント」の例には、例えば、接着破断(例えば、バリ工具102から破損するダイヤモンドチップ)、工具内に形成される亀裂、工具破損、フルートドリルビット内のフルートチッピングが含まれ得る。工具の「摩耗」が疑われる場合、ステップ218で工具が定期的に検査される頻度/期間を更新することが可能である。この時点まで、工具のルーチン検査が行われていなかった場合、ステップ218は、工具を定期的にチェックするための初期頻度/期間を設定することが可能である。選択された頻度/期間は、例えば、ワークピース106の材料、工具102のタイプ、工具が実行するために使用されている処理のタイプ、AEセンサ114によって受信されたAE信号(例えば、AE信号が軽い摩耗または著しい摩耗のみを示すかどうかに基づく)、工具検査デバイスによる工具の1つまたは複数の以前の検査の結果、および/または必要なワークピース公差を含むいくつかの要因に基づくことが可能である。任意選択で、ステップ218と208との間の破線によって示されるように、方法は、AE信号が閾値を超える工具の「摩耗」を示す場合、所定の時間ベースまたは処理ベースの期限内に工具102を工具検査デバイス112によって検査させることを含むことが可能である。
【0042】
AE信号が「イベント」が発生したことを示す場合、方法は、所定の時間ベースまたは処理ベースの期限内に工具102を工具検査デバイス112によって検査させることを含む。例えば、方法は、工具とワークピースとの間の現在の相互作用を直ちに中断させ、工具を工具検査デバイス112に持ち込んで直接チェックし得る。任意選択で、方法は、ワークピース106との現在の相互作用(例えば、現在の切断の終了時)が終了するのを待ってから、チェックのために工具102を工具検査デバイス112に持っていくことを含み得る。加えて、または代替として、工具102をチェックするためのこれらの処理ベースの期限に、方法は、チェックのために工具102を工具検査デバイス112に運ぶための時間ベースの期限を設定することを含むことが可能である。例えば、方法は、「イベント」に続いて、工具102が、時間ベースの期限(例えば、30秒以内)および処理ベースの期限(例えば、現在の切断の終了時)のいずれか早い方までに、チェックのために工具検査デバイス112に運ばれることを要求し得る。
【0043】
ここで、許容できない工具「摩耗」または工具「イベント」が発生したことを示すAE信号を分析するための例示的なプロセスを説明する。AEセンサ114によって検出されたAE信号の尖度を分析することが特に有益であり得ることが分かっている。図3は、グリットダイヤモンドバリ工具102による炭化ケイ素ワークピース106の複数の切断にわたる信号によって検出されたAE信号の尖度を示す。説明される例では、AE信号は、30秒の切断操作にわたって連続的に収集される。本実施形態では、切断の開始時(例えば、工具がワークピースと接触した後の最初の秒)のAE信号は、そのような期間に、AE信号が、工具がワークピースに係合することによるかなりの量のノイズを含み、これがAE信号分析に悪影響を及ぼす可能性があるため、破棄/無視される。
【0044】
図3に示されるように、切断操作中に記録されたAE信号の尖度は、工具の初期の「寝付け」のために(例えば、予想されるように、多くの弱結合ダイヤモンドチップが工具から破損するとき)、いくつかの初期切断の間に最初増加するが、その後、工具102の状態の漸進的な劣化のために、さらなる切断の間に徐々に減少することが分かる。そのような劣化は、過剰な数のダイヤモンドグリットパーツが脱落し、工具が滑らかになり、切断効率が低下し、および/または工具の不均一な摩耗のために片側にすり減ったスポットが形成されることによって引き起こされる可能性がある(例えば、例えば、スピンドル104 /工具102の振れのために、片側が平坦になる可能性がある)。
【0045】
したがって、1つまたは複数の「尖度摩耗閾値」を設定することができ、その結果、尖度がそのような閾値を下回ると、工具検査デバイス112による工具102の検査の頻度の変更(特に、増加)が行われる。図3の例では、第1および第2の摩耗閾値が設定されていることが示されている。したがって、図2を参照すると、プロセス200は、工具検査デバイス112による工具102のルーチン検査が最初に行われないように構成されるが、プロセス200のステップ214が、AE信号の尖度が第1の摩耗閾値(例えば、6.5ボルト未満)を下回ったことを識別した場合、ステップ218は、工具102の状態をチェックするために、定期的に(例えば、5回の切断ごとに)工具102のルーチン検査を開始するように構成される。さらに、プロセス200のステップ214が、AE信号の尖度が第2の摩耗閾値(例えば、5.5ボルト未満)を下回ったことを識別した場合、ステップ218は、工具102の状態を確認するために、工具102の定期的な検査の割合を一定の間隔(例えば、2回の切断ごと)で増加させるように構成される。このように、2回の切削後に常に工具を点検するシステムと比較して、機械加工操作の効率が大幅に向上し、工具の状態を十分に監視しながら、ワークピースの機械加工に不適切な状態の工具が使用されるリスクを低減する。図2のステップ218をトリガするためのそのような尖度閾値に加えて、またはそのような尖度閾値の代替として、尖度曲線の勾配(すなわち、経時的な尖度値の変化率(部品の切断数にわたる))を監視して、工具の摩耗状態の表示を提供し得る。例えば、ゼロに近い勾配は、実質的に摩耗した工具を示し得、したがって、これが事実であるかどうかをチェックするために検査する必要がある。したがって、図2のステップ218を開始するために、図のステップ214中に1つまたは複数の尖度曲線勾配閾値を使用することが可能である。
【0046】
図2のステップ214を参照して、上述したように、AEセンサはまた、(またはその代わりに)発生した可能性のある重大な一過性の工具損傷「イベント」を示すAE信号を監視するために使用することが可能である(それによって、工具の非ルーチンチェックを促す)。AE信号データのスパイクは、そのような重大な一過性の工具損傷「イベント」を示すことが可能であることが分かっている。例えば、図3は、AE信号の尖度におけるいくつかのスパイクを強調し、尖度におけるそのようなスパイクは、例えば、バリ工具102から離れるダイヤモンドチップ破損などの結合破壊などの重大な一過性の工具損傷「イベント」を示すと考えられる。データのスパイクを識別するための任意の適切なスパイク識別アルゴリズムは、尖度データのスパイクを識別するために使用することが可能である。図4および図5は、連続した切断のためのAE信号の尖度、および重大な一過性の工具損傷「イベントがAE信号の尖度に及ぼす影響をより細かい解像度で示すのに役立つ。特に、これらの図は、切断ごとに収集された5秒のデータの各半秒スライスについてのAE信号の尖度を示す。図4(切断7)はノーマル切断の尖度を示し、図5(切断8)は重大な一過性の工具損傷「イベント」が発生したと疑われる切断の尖度を示す。過度の「摩耗」、または特に「イベント」が発生したかどうかを決定するのではなく、完全な切断のためのAE信号の尖度に基づいて、そのような決定は、切断操作のサブ部分のためのAE信号の分析に基づいて行われ得る。例えば、半秒スライスの1つまたはそれに近い連続のAE信号の尖度が著しく増加する場合、ステップ208が直ちに(または所定の時間枠内で)開始され得るように、これは「イベント」を示し得、ステップ214でそのように識別され得る。
【0047】
工具の摩耗および重大な工具損傷「イベント」の兆候についてAE信号を分析するための別の方法は、図6および7に関連して説明される。この方法では、AE信号の尖度を見るのではなく、各切断のAE信号データの分布を分析して、AE信号の3つの標準偏差の外側にあるデータポイントの割合を識別する。図4は、各切断についてのAE信号データの分布を示し、図6は、AE信号データの3つの標準偏差の外側にあるデータポイントの割合をプロットするグラフである。工具が摩耗するにつれて、AE信号データの3つの標準偏差の外側にあるデータポイントの割合が減少することが見出されており、したがって、これはまた、工具摩耗の徴候についてAE信号を分析するための特に有益な方法であり得る。(すなわち、図3による)尖度を分析する方法と同様に、工具102が工具検査デバイス112によってチェックされるときの調整をトリガする1つまたは複数の閾値を設定することが可能である。外れ値データポイントの割合を監視することは、工具の摩耗についてよりスムーズな傾向データを提供することがわかっているが、上記の一時的な工具損傷「イベント」にはあまり敏感でない。したがって、重大な一過性の工具損傷「イベント」の監視のために図3の上述の尖度分析方法、および工具の全体的な摩耗を監視するために図6および図7の外れ値データポイント法を同時に使用することが有益であり得る。
【0048】
ここで、図8に関連して、AE信号を分析するためのさらに別の方法を簡単に説明する。ここで、各切断についてのAE信号の二乗平均平方根(root-mean-square)(RMS)が決定される。図8からわかるように、工具が摩耗するにつれてデータの全体的な傾向が見られるが、傾向は図3および図7の方法よりもはるかに見えにくい。したがって、AE信号のRMSを使用して、上記の「イベント」および「摩耗」を識別し得るが、このアプローチは、信頼性の低い検出および測定を提供することが分かっている。
【0049】
図2のステップ220によって示されるように、本発明の任意選択の実施形態は、工具チェックステップ210の結果を使用して、「イベント」または「摩耗」が閾値を超えて発生した可能性があるかどうかをフラグ付けするために使用される基準を更新することを含む。例えば、上記のテキストは、第1および第2の摩耗閾値が設定される実施形態を説明する。そのような場合、第1の摩耗閾値を下回る尖度によって促された検査デバイスを介した工具の検査に続いて、工具がそうでなければ予想されるよりも多く摩耗したと決定される可能性がある。したがって、そうである場合、これは、工具が予想よりも速く摩耗していることを示し得るため、ステップ220で、第2の摩耗閾値をそれに応じて適合させ(例えば、増加させることができる)、これを補償し得る。追加的/代替的に、後続の工具の第1の摩耗閾値は、後続の工具に適合された第1の摩耗閾値が使用されるように、それに応じて適合させることができる(例えば、増加させることができる)。その逆も当てはまり得る。例えば、工具の摩耗が予想よりも少ない場合、例えば、工具の摩耗が予想よりも少ない場合、工具のオーバーチェックを回避し、次いで操作効率を向上させるために、摩耗尖度摩耗閾値を低下させ得る。したがって、方法は、操作効率を改善するために自己学習を実装し得る。
【0050】
上記実施形態では、第1および第2の摩耗閾値が設定される。しかしながら、理解されるように、これは必ずしもそうである必要はない。任意選択で、1つの摩耗閾値のみが設定される。任意選択で、2つ以上の摩耗閾値が設定される。
【0051】
上記の実施形態では、工具102は、工具検査デバイス112によってステップ210で直接検査され、工具の状態が決定する。しかしながら、理解されるように、工具の状態を決定するために、ワークピース106が(工具の代わりに/工具と同様に)検査され得る。例えば、接触プローブ(Renishaw plcのOMP400プローブなど)は、ワークピース106を検査するために、例えば、以下のうちの少なくとも1つを確立するために、工具102の代わりにスピンドル104にロードされ得る:形状(例えば、円形);寸法(例えば、直径、長さ);ワークピースの1つまたは複数の特徴の存在/状態(例えば、ワークピースまたはその一部が破損している);ワークピースの表面仕上げ。ワークピースの検査から、工具の状態を推測することができ、したがって、工具を継続して使用するかどうかの決定は、ワークピースの検査から行うことが可能である。
【0052】
上述の実施形態では、セラミック(特に、炭化ケイ素)ワークピース106を使用して、本発明を実装するために使用することが可能なAE信号データ処理技術を例示することに役立つAE信号データを生成した。上述のように、本発明は、セラミック(例えば、イットリア安定化ジルコニアワークピースが別の例である)およびガラス(理解されるように、セラミックとして分類されることがある)などの比較的硬い材料から作られたワークピースに特に有用であることがわかっているが、それにもかかわらず、本発明は、例えば金属などの他の材料から作られたワークピースと関連して使用することが可能である。
【0053】
上述の実施形態は、工具および/またはワークピースが少なくとも1つの検査装置によって検査されるときに、工具の状態を示す1つまたは複数の信号について、工具、工作機械装置および/またはワークピースを機械加工中に監視する1つまたは複数のセンサの出力を使用して、自動的に構成することを含む。追加的または代替的に、機械加工中に、工具の状態を示す1つまたは複数の信号について、工具、工作機械装置、および/またはワークピースを監視する1つまたは複数のセンサの出力は、少なくとも1つの検査デバイスによって工具および/またはワークピースがどのように検査されるかを自動的に構成するために使用され得る。例えば、装置は、少なくとも1つの検査デバイスを介して工具および/またはワークピースの定期的な検査を実行するように構成され、そのような定期的な検査がどのように実行されるかは、工具の状態を示す1つまたは複数の信号について機械加工中に工具、工作機械装置、および/またはワークピースを監視する前記センサの出力に応答して変化する可能性がある。例えば、以下のうちの少なくとも1つを変更し得る:工具および/またはワークピースが検査される期間;工具および/またはワークピースが検査される程度(例えば、工具および/またはワークピースのどの部分が検査されるか);工具および/またはワークピースが検査される解像度および/または精度(例えば、検査中に収集されるデータの量);複数の検査デバイスのうちのどれが工具および/またはワークピースを検査するために使用されるか。特定の例として、図3に関連して上述した第1の摩耗閾値を通過するとき、ならびに(またはその代わりに)検査デバイスを介して査の頻度を変更するとき、工具および/またはワークピースが検査される程度が変更され得る。別の例として、「イベント」が発生したことを示す機械加工中の工具、工作機械装置および/またはワークピースを監視するセンサからの信号に応答して、工具および/またはワークピースが検査される解像度および/または精度は、「イベント」に応答して配置されないそれらの検査と比較して変更され得る。
【0054】
上述の実施形態では、工具の状態を示す1つまたは複数の信号について、工具、工作機械装置および/またはワークピースを監視するセンサは、音響エネルギーセンサを含む。しかしながら、音響エネルギーセンサの使用は、特に好ましい/最適な技術であることがわかっているが、これは必ずしもそうである必要はなく、例えば、他のタイプのセンサを使用し得る。例えば、工具および/またはワークピースの温度を監視する温度センサを提供し得る(センサは、工具から分離することができ、または工具の不可欠な部分として提供し得る)。工具が摩耗するにつれて、工具は、例えば、ワークピースの表面を切断するのではなく、ますますこすれ、それによって温度の上昇を引き起こす。したがって、上記の実施形態と同様に、1つまたは複数の温度閾値を設定することができ、これは、超えた場合、検査デバイスによる工具の検査をトリガし、および/または検査の頻度を増加させ得る。別の実施形態では、1つまたは複数のセンサは、機械加工中に工具によってワークピースに加えられる力(例えば、トルク)を監視するワークピースチャック/固定具上に提供され得る。そのようなセンサは、ひずみゲージおよび/またはピエゾセンサを含むことが可能である。例えば、そのようなセンサは、ダイナモメータ(Kistler Instruments Ltdによって販売されるものなど)であり得る。工具が磨耗するにつれて、切削効率が低下するにつれて、ワークピースに加えられる接線研削力が増加する。したがって、上記の実施形態と同様に、1つまたは複数の力閾値を設定することができ、これは、超えた場合、検査デバイスによる工具の検査をトリガし、および/または検査の頻度を増加させ得る。別の実施形態では、スピンドルトルクは、直接(例えば、スピンドルに取り付けられたトルクセンサを介して)または間接(例えば、スピンドルサーボ電流を監視することを介して)のいずれかで測定することができ、トルク閾値を設定することができ、これは、通過すると、検査デバイスによる工具の検査をトリガし、および/または検査の頻度を増加させ得る。さらに別の実施形態では、工具が回転しているときに工具先端のX/Y偏向を感知することができ、工具が摩耗するにつれて変化するそのようなX/Y偏向データを監視して、検査デバイスによる工具の検査をトリガし、および/または検査の頻度を増加させ得る。例えば、工具先端の任意の振れ/偏心は、X/Yデータで1回転あたり1回の信号を提供し、その振幅は工具が摩耗するにつれて変化する。所定の閾値を超える振幅の変化を使用して、検査デバイスによる工具の検査をトリガし、および/または検査の頻度を増加させ得る。工作機械スピンドル内の工具のトルクおよび/またはX/Y偏向を監視するためのセンサ(Xおよび/またはY曲げモーメントを監視することによって)は、Pro-Micron GmbHにより登録商標SPIKEの下で販売されている。必要に応じて、センサの組み合わせ(例えば、異なるタイプのセンサ)は、機械加工中の工具の状態を監視するために使用され得る。実際、異なるタイプのセンサは、工具を検査する必要があるかどうか/検査の頻度を変更する必要があるかどうかを評価するために異なる方法で使用可能な異なる情報を提供する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【手続補正書】
【提出日】2024-06-18
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
工作機械装置を操作する方法であって、
前記工作機械装置に取り付けられた工具にワークピースを処理させることと、
前記工具による前記ワークピースの処理中に、前記工具の状態を示す1つまたは複数の信号について、少なくとも1つのセンサが、前記工具、前記工作機械装置および/または前記ワークピースを監視することと、
前記1つまたは複数のセンサの出力を使用して、前記工具および/または前記ワークピースが少なくとも1つの検査デバイスによって、いつおよび/またはどのように検査されるかを自動的に構成することであって、前記出力は、前記工具を使用し続けるかどうかを決定するために使用される、ことと、
を備える方法。
【請求項2】
前記工具および/または前記ワークピースをいつ検査するかを構成することは、前記検査デバイスを介して、前記工具および/または前記ワークピースの検査を開始することを含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記工具および/または前記ワークピースの検査を開始することは、前記工具および/または前記ワークピースが、所定の時間ベースおよび/または処理ベースの期限内に前記検査デバイスによって検査されることを含む、
請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記工具および/または前記ワークピースをいつ検査するかを構成することは、特定の頻度で前記ワークピースおよび/または前記工具の定期的な検査のルーチンを開始することを含む、
請求項1から3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記工具および/または前記ワークピースをいつ検査するかを構成することは、前記工具および/または前記ワークピースが前記検査デバイスによって定期的に検査されるように構成される頻度を変更することを含む、
請求項1記載の方法。
【請求項6】
前記工具および/または前記ワークピースをどのように検査するかを構成することは、前記工具および/または前記ワークピースが検査される期間、前記工具および/または前記ワークピースが検査される程度、前記工具および/または前記ワークピースが検査される解像度、のうちの少なくとも1つを構成することを含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項7】
所定の基準を使用して、前記工具および/または前記ワークピースが前記検査デバイスによってどのようにおよび/またはいつ検査されるかを自動的に構成し、前記方法は、前記検査デバイスの出力に基づいて前記所定の基準を更新することをさらに含む、
請求項1記載の方法。
【請求項8】
前記少なくとも1つのセンサは、少なくとも1つの音響エネルギーセンサを含む、
請求項1記載の方法。
【請求項9】
前記音響エネルギーセンサの出力を使用することは、前記音響エネルギーセンサによって検出された信号の尖度を分析することを含む、
請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記検査デバイスを介した前記工具および/または前記ワークピースの検査は、前記工具による前記ワークピースの前記処理を中断することを含む、
請求項1記載の方法。
【請求項11】
前記検査デバイスを介した前記工具および/または前記ワークピースの検査は、前記工具および/または前記ワークピースを、前記ワークピースの処理位置から離れた検査位置に移動させることを含む、
請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記検査デバイスは、非接触検査デバイスを含む、
請求項1記載の方法。
【請求項13】
前記検査デバイスは、前記ワークピースを検査するためのプローブを含む、
請求項1記載の方法。
【請求項14】
処理される前記ワークピースの材料は、セラミック材料またはガラス材料を含む、
請求項1記載の方法。
【請求項15】
前記工具は、バリを含む、
請求項1記載の方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0029
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0029】
ここで、本発明の実施形態は、以下の図面を参照して、一例としてのみ説明される。
図1図1は、本発明の方法を使用することが可能な工作機械装置を概略的に示す。
図2図2は、本発明による図1の工作機械を操作するための例示的なワークフローを示す。
図3図3は、図1の工作機械に取り付けられた工具によるワークピースの複数の切断のために5秒間の期間中に記録されたAE信号の尖度を示すグラフである。
図4図4は、2回の切断のために収集された5秒のデータの各半秒スライスについてのAE信号の尖度を示すグラフである。
図5図5は、2回の切断のために収集された5秒のデータの各半秒スライスについてのAE信号の尖度を示すグラフである。
図6図6は、複数の切断の各々についてのAE信号データの分布を示す。
図7】複数の切断の各々について、AE信号データの3つの標準偏差の外側にあるAE信号データポイントの割合をプロットするグラフである。
図8】複数の切断の各々についてのAE信号データの二乗平均平方根(RMS)を示すグラフである。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0047
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0047】
工具の摩耗および重大な工具損傷「イベント」の兆候についてAE信号を分析するための別の方法は、図6および7に関連して説明される。この方法では、AE信号の尖度を見るのではなく、各切断のAE信号データの分布を分析して、AE信号の3つの標準偏差の外側にあるデータポイントの割合を識別する。図は、各切断についてのAE信号データの分布を示し、図は、AE信号データの3つの標準偏差の外側にあるデータポイントの割合をプロットするグラフである。工具が摩耗するにつれて、AE信号データの3つの標準偏差の外側にあるデータポイントの割合が減少することが見出されており、したがって、これはまた、工具摩耗の徴候についてAE信号を分析するための特に有益な方法であり得る。(すなわち、図3による)尖度を分析する方法と同様に、工具102が工具検査デバイス112によってチェックされるときの調整をトリガする1つまたは複数の閾値を設定することが可能である。外れ値データポイントの割合を監視することは、工具の摩耗についてよりスムーズな傾向データを提供することがわかっているが、上記の一時的な工具損傷「イベント」にはあまり敏感でない。したがって、重大な一過性の工具損傷「イベント」の監視のために図3の上述の尖度分析方法、および工具の全体的な摩耗を監視するために図6および図7の外れ値データポイント法を同時に使用することが有益であり得る。

【国際調査報告】