(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-04
(54)【発明の名称】自動製造システムにおける位置参照のための方法および装置
(51)【国際特許分類】
B29C 64/393 20170101AFI20240927BHJP
B33Y 50/02 20150101ALI20240927BHJP
B33Y 30/00 20150101ALI20240927BHJP
B29C 64/118 20170101ALI20240927BHJP
B29C 64/209 20170101ALI20240927BHJP
B33Y 10/00 20150101ALI20240927BHJP
【FI】
B29C64/393
B33Y50/02
B33Y30/00
B29C64/118
B29C64/209
B33Y10/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024518836
(86)(22)【出願日】2022-09-30
(85)【翻訳文提出日】2024-05-24
(86)【国際出願番号】 US2022045325
(87)【国際公開番号】W WO2023055986
(87)【国際公開日】2023-04-06
(32)【優先日】2021-10-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】597013711
【氏名又は名称】スリーディー システムズ インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100139723
【氏名又は名称】樋口 洋
(72)【発明者】
【氏名】メイシー,ウィリアム ディー
(72)【発明者】
【氏名】アレホ,ライアン ルーク
(72)【発明者】
【氏名】エヴァーソール,ネイサン ディー
【テーマコード(参考)】
4F213
【Fターム(参考)】
4F213AP06
4F213AP19
4F213AQ04
4F213AR07
4F213AR12
4F213WA25
4F213WB01
4F213WL02
4F213WL73
4F213WL85
(57)【要約】
アディティブマニュファクチャリング能力を含む自動ロボット製造システム内で適用される、固体物体の協調造形に関与する複数の様々なツール間で正確な多次元位置アラインメントを達成するための方法およびイネーブル装置が開示される。様々な実施形態によるイネーブル装置は、自動的に展開される接触検出プローブと、複数の軸でツールとの接触を検出するツール中心点センサとを含む。少なくとも1つの開示される方法は、有利には、両方の感知装置を補完的に使用する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
造形空間内に配置された造形面上に固体物体を形成するための自動アディティブマニュファクチャリングシステムであって、該システムは、
少なくとも1つのツールヘッドと前記造形面との間で制御された相対運動を実行するように結合された多軸モーションコントロールシステム;
前記固体物体を形成するように作用するための少なくとも1つのツールを備え、指定されたツール先端を有する、前記モーションコントロールシステムに連結された少なくとも1つのツールヘッドであって、前記ツール先端は、前記ツールが係合されたときに該ツールが前記固体物体上に作用する位置に対応する、少なくとも1つのツールヘッド;
第1の接触感知素子を備え、前記第1のツールヘッドと前記造形面との間の距離を変化させる移動に対応する少なくとも1つの方向に前記ツールヘッドと共に移動するように連結された接触プローブ;
前記少なくとも1つの方向に前記ツールヘッドと共に移動するように連結されていない前記造形空間内に配置された第2の接触感知素子;
前記モーションコントロールシステムの移動を制御し、前記第1の接触感知素子からおよび前記第2の接触感知素子から接触状態情報を受信するように構成される、コントローラ;
を備え、
前記コントローラは、前記モーションコントロールシステムに、第1の移動を実行するように指示し、前記ツールヘッドを前記造形面に向かって移動させることによって、前記第1の接触感知素子を作動させるように構成され;
前記コントローラは、前記モーションコントロールシステムに、第2の移動を実行するように指示し、前記接触プローブを前記第2の接触感知素子に向かって移動させることによって、前記第1の接触センサおよび前記第2の接触センサを備えるセンサのグループのうちの少なくとも1つを作動させるように構成され;
前記コントローラは、前記モーションコントロールシステムに、第3の移動を実行するように指示し、前記ツール先端を前記第2の接触感知素子に向かって移動させることによって、前記第2の接触センサを作動させるように構成される
ことを特徴とする、システム。
【請求項2】
前記コントローラによって制御され、前記ツールヘッドに対して前記接触プローブを移動させるように構成された、少なくとも1つのモーションアクチュエータをさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記アクチュエータは、前記接触プローブと前記造形面との間の距離を変化させることを特徴とする、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記アクチュエータは、前記接触プローブの少なくとも一部を、前記ツール先端位置よりも前記造形面の近くに制御可能に伸長させることを特徴とする、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記アクチュエータは、前記接触プローブが前記ツール先端よりも前記造形面から離れている第1の位置と、前記接触プローブが前記ツール先端よりも前記造形面の近くに伸長する第2の位置との間で、前記接触プローブを移動させることを特徴とする、請求項3に記載のシステム。
【請求項6】
前記コントローラは、前記モーションコントロールシステムに、前記前記コントローラが前記接触プローブと前記造形面との間の接触を示す信号を前記第1の接触感知素子から受信し、前記コントローラが接触の検出に対応する前記モーションコントロールシステムに適用可能な少なくとも1つの第1の位置座標を記録するまで、第1の移動を実行するように指示するよう構成されることを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記コントローラは、
前記モーションコントロールシステムに、前記第1の接触感知素子が前記造形面との接触を検出するまで、第2の移動を実行するように指示し;
前記接触の検出に対応する、前記モーションコントロールシステムを制御する状況において適用可能な少なくとも1つの第2の位置座標を記録し;
前記モーションコントロールシステムに、前記第2の接触感知素子が前記ツール先端による接触を検出するまで、第3の移動を実行するように指示し;
前記接触の検出に対応する、前記モーションコントロールシステムを制御する状況において、少なくとも1つの第3の位置座標を記録する
ように構成されることを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記コントローラは、前記ツール先端と前記造形面との間のオフセット値を、前記第1、第2および第3の位置座標の関数として計算するように構成されることを特徴とする、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記コントローラは、
前記モーションコントロールシステムに、前記第2の接触感知素子が接触を検出し、前記コントローラが、前記接触の検出に対応する、前記モーションコントロールシステムを制御する状況において適用可能な少なくとも1つの第2の位置座標を記録するまで、第2の移動を実行するように指示し;
前記モーションコントロールシステムに、前記第2の接触感知素子が前記ツール先端による接触を検出し、前記コントローラが、前記接触の検出に対応する、前記モーションコントロールシステムを制御する状況において適用可能な少なくとも1つの第3の位置座標を記録するまで、第3の移動を実行するように指示する
ように構成されることを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記コントローラは、前記ツール先端と前記造形面との間のオフセット値を、前記第1、第2および第3の位置座標の関数として計算するように構成されることを特徴とする、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記コントローラは、前記第1の移動および第2の移動のうちの少なくとも1つを実行することと併せて、前記接触プローブを前記第1の位置から前記第2の位置に移動させるように前記アクチュエータを制御することを特徴とする、請求項5に記載のシステム。
【請求項12】
前記システムは、第1のツール先端を有する第1のツールヘッドと、第2のツール先端を有する第2のツールヘッドとを備え、前記コントローラは、前記第3の移動の第1のインスタンスを、前記第1のツール先端に対して前記モーションコントロールシステムによって実行されるよう指示し、第1の位置座標を記録し、前記第3の移動の第2のインスタンスにおいて前記第2のツールに対して第2の位置座標を記録し、前記コントローラは、前記第1および第2の位置座標の関数として、前記第1のツール先端と前記第2のツール先端との間の差分オフセット値を計算することを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
前記第1のツールヘッドは、ツール先端としてノズルを有する押出機であり、前記第2のツールヘッドは、回転可能なチャックを含み、前記ツール先端は、前記チャック内に取り付けられた切削ビットであることを特徴とする、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記第1のツールヘッドは、形成される固体物体上に材料を堆積させるためのツールを含み、前記第2のツールヘッドは、形成される固体物体から材料を除去するためのツールを含むことを特徴とする、請求項12に記載のシステム。
【請求項15】
造形面に対して少なくとも1つのツールヘッドの運動を生成するように構成されたモーションコントロール機構を備える自動製造システムにおいて、前記造形面に対する前記ツールヘッドのツール先端部の位置を較正する方法であって、
前記ツールヘッドと共に移動する、第1の接触感知素子を備える第1の接触プローブを提供する工程;
前記ツールヘッドと共に移動しない第2の接触感知素子を提供する工程;
前記モーションコントロール機構を使用し、前記ツールヘッドを前記造形面のより近くに移動させて、前記第1の接触プローブと前記造形面との間に接触を生じさせる工程;
前記第1の感知素子が前記第1の接触プローブと前記造形面との間の接触を検出する、前記ツールヘッドと前記造形面との間の相対運動を生成するための前記モーションコントロール機構による位置決めを示す、第1の座標の値を決定する工程;
前記第1の接触プローブと前記第2の接触感知素子とが接触する、前記ツールヘッドと前記第2の接触感知素子との間の相対運動を生成するための前記モーションコントロール機構による位置決めを示す、第2の座標の値を決定する工程;
前記第2の接触感知素子が前記ツールヘッドのツール先端部との接触を検出する、前記ツールヘッドと前記第2の接触感知素子との間の相対運動を生成するための前記モーションコントロール機構による位置決めを示す、第3の座標の値を決定する工程;および
前記造形面と前記ツールヘッドのツール先端部との間のオフセット値を、前記第1、第2および第3の座標の値の関数として計算する工程
を含む、方法。
【請求項16】
前記第1の接触プローブと前記第2の接触感知素子との間の接触は、前記第2の接触感知素子ではなく前記第1の接触感知素子によって検出されることを特徴とする、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記第1の接触プローブと前記第2の接触感知素子との間の接触は、前記第1の接触感知素子ではなく前記第2の接触感知素子によって検出されることを特徴とする、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記第2の接触感知素子を提供する工程は、前記造形面の平面に垂直な軸に沿った固定座標で前記第2の接触感知素子を提供する工程を含むことを特徴とする、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
コントローラ、造形面、少なくとも1つの第1のツールヘッド、およびモーションコントロールシステムを備え、前記コントローラからの信号によって制御され、有限造形空間内の位置座標に従って、少なくとも前記造形面と前記ツールヘッドとの間で相対運動を引き起こすように作用する、自動製造システムにおいて、前記造形面と前記ツールヘッドのツール先端部との間のオフセットを間接的に確立するための方法であって、
モーションコントロールシステムを用いて、前記ツールヘッドと前記造形面との間の距離を減少させる第1の動作を開始する工程;
前記ツールヘッドに取り付けられた第1の接触感知プローブから、前記第1の動作が前記接触感知プローブを前記造形面と接触させたことを示す、第1の信号を受信する工程;
前記第1の信号を受信する工程に対応する前記モーションコントロールシステムの位置を記述する第1の位置座標値を記憶する工程;
前記モーションコントロールシステムを用いて、前記ツールヘッドに取り付けられていない第2の接触感知プローブに向かう前記ツールヘッドの第2の動作を開始する工程;
前記第1の接触感知プローブおよび前記第2の接触感知プローブからなる群のうちの少なくとも1つのセンサから、前記第2の動作が前記第1の接触感知プローブを前記第2の接触感知プローブと接触させたことを示す、第2の信号を受信する工程;
前記第2の信号を受信する工程に対応する前記モーションコントロールシステムの位置を記述する第2の位置座標値を記憶する工程;
前記モーションコントロールシステムを用いて、前記第2の接触感知プローブに向かう前記ツールヘッドのツール先端部の第3の動作を開始する工程;
前記第3の動作中に前記第2の接触感知プローブから、前記ツール先端部が前記第2の接触感知プローブに接触したことを示す、第3の信号を受信する工程;
前記第3の信号に対応する前記モーションコントロールシステムの位置を記述する少なくとも1つの第3の位置座標の値を記憶する工程;および
前記造形面に対する前記ツール先端のオフセット値を、前記第1の位置座標値、第2の座標値、および第3の位置座標値の関数として計算および記憶する工程
を含む、方法。
【請求項20】
前記造形空間内で、少なくとも1つの軸に沿って、固定座標で位置決めされる前記第2の接触センサを提供する工程をさらに含むことを特徴とする、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記第1の接触感知素子は、前記コントローラの制御下で、アクチュエータによって移動され得る可動プローブ部材に連結され、該プローブ部材が前記造形面から離れている第1の状態と前記プローブ部材が前記造形プレートに近づく第2の状態との間で選択的に移動することを特徴とする、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
前記第1および第2の動作が実行されると、前記プローブ部材を前記第2の状態に移動させるように前記アクチュエータを制御する工程をさらに含むことを特徴とする、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記アクチュエータが前記第2の状態にあるとき、前記プローブ部材は、前記ツール先端部分よりも前記造形面の平面の近くに伸長することを特徴とする、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
自動製造システムのコントローラ上で実行されると、造形面とツールヘッドのツール先端部との間のオフセットを間接的に確立する方法を実行する命令を含む非一時的コンピュータ可読媒体であって、前記方法は実行される際に、
モーションコントロールシステムに信号を送信し、前記ツールヘッドと前記造形面との間の距離を減少させる第1の動作を引き起こす工程;
前記ツールヘッドに取り付けられた第1の接触感知プローブから、前記第1の動作が前記接触感知プローブを前記造形面と接触させたことを示す、第1の入力信号を検出する工程;
前記第1の信号を検出する工程に応答して、前記第1の入力信号の検出時の前記モーションコントロールシステムの位置決めを記述する第1の位置座標値を記憶する工程;
前記モーションコントロールシステムに信号を送信し、前記ツールヘッドに取り付けられていない第2の接触感知プローブに向かう前記ツールヘッドの第2の動作を引き起こす工程;
前記第1の接触感知プローブおよび前記第2の接触感知プローブからなる群のうちの少なくとも1つから、前記第2の動作が前記第1の接触感知プローブを前記第2の接触感知プローブと接触させたことを示す、第2の入力信号を検出する工程;
前記第2の信号を検出する工程に応答して、前記第2の入力信号の検出時の前記モーションコントロールシステムの位置決めを記述する第2の位置座標値を記憶する工程;
前記モーションコントロールシステムに信号を送信し、前記第2の接触感知プローブに向かう前記ツールヘッドのツール先端部の第3の動作を引き起こす工程;
前記第3の動作中に前記第2の接触感知プローブから、前記ツール先端部が前記第2の接触感知プローブに接触したことを示す、第3の入力信号を検出する工程;
前記第3の信号を検出する工程に応答して、前記第3の入力信号の検出時の前記モーションコントロールシステムの位置決めを記述する少なくとも1つの第3の位置座標の値を記憶する工程;
前記造形面に対する前記ツール先端のオフセット値を、前記第1の位置座標値、第2の座標値、および第3の位置座標値の関数として計算および記憶する工程
を含む、記憶媒体。
【請求項25】
ロボット製造システムにおいて、少なくとも2つの方向から接近する可動部品との接触を検出することによって、前記システム内の複数の可動部品間の位置関係を確立するための感知装置であって、
第1の接近方向から接近する可動ツールが第1の接触感知面に接触すると、前記感知装置の出力信号に状態変化させるように構成される、第1の接触感知面;および
前記第1の方向と直交する第2の接近方向から接近する可動ツールが第2の接触感知面に接触すると、前記感知装置の出力信号に状態変化させるように構成される、第2の接触感知面
を含む、感知装置。
【請求項26】
前記第1の接触感知面は、可動ツールによって前記第1の接触感知面に印加された力によって作動するように構成された電気スイッチを備えることを特徴とする、請求項25に記載の感知装置。
【請求項27】
前記第1の接近方向は、重力に対して実質的に垂直な軸に沿っており、前記第1の接触感知面の質量は、前記第1の接触感知面の質量だけで前記出力信号が前記第1の接触感知面との接触を示すことがないように、十分に重力に対抗する力印加部材によって支持されることを特徴とする、請求項25に記載の感知装置。
【請求項28】
前記第2の接触感知面は、前記可動ツールとの接触を通じて電気回路を完成するように接続された導電性表面を含むことを特徴とする、請求項25に記載の感知装置。
【請求項29】
前記第1の接触感知面および前記第2の接触感知面は、単一の構造に統合されることを特徴とする、請求項25に記載の感知装置。
【請求項30】
前記単一の構造は、シリンダとして形成され、前記感知装置は、前記第1の接近方向が前記シリンダに対して実質的に軸方向であり、前記第2の接近方向が前記シリンダに対して実質的に半径方向であるように、構成および配向されることを特徴とする、請求項29に記載の感知装置。
【請求項31】
複数の相互に直交する軸に沿った座標値の組合せによって記述されるような特定の位置にツール先端を移動させるためのモーションコントロールシステムを備えるシステムにおいて、少なくとも1つのツール先端と接触センサに関連付けられた基準位置との間のオフセットを決定するための、モーションコントロールシステムに命令するコントローラによって少なくとも部分的に実行される方法であって、
(a)前記ツール先端が前記接触センサに接触していない第1の初期位置へ、および第1の軸の特定の座標へ、前記ツール先端を移動させ、前記ツール先端と前記接触センサとの間の接触が、前記第1の軸以外の少なくとも1つの軸におけるさらなる動作によって達成される、工程;
(b)少なくとも1つの第2の軸における動作によって、前記接触センサが前記ツール先端との接触を検出するまで、前記ツール先端を前記第1の初期位置から前記接触センサに向かって第1の方向に移動させる工程;
(c)前記少なくとも1つの第2の軸に沿った、前記接触センサとの接触時の前記ツール先端の位置に対応する少なくとも1つの第2の座標値を記録する工程;
(d)前記ツール先端が前記接触センサに接触していない第2の初期位置へ、および前記第1の軸の特定の座標へ、前記第1のツール先端を移動させ、前記ツール先端と前記接触センサとの間の接触が、前記第1の軸以外の少なくとも1つの軸におけるさらなる動作によって達成され得る工程であって、前記第2の位置は、前記接触センサに対して、前記第1の初期位置から実質的に反対の方向である、工程;
(e)前記接触センサが前記ツール先端との接触を検出するまで、前記第1のツール先端を前記接触センサに向かって第2の方向に移動させる工程;
(f)前記少なくとも1つの第2の軸に沿った、前記第2の初期位置から移動している間に前記接触センサとの接触時の前記ツール先端の位置に対応する少なくとも1つの第3の座標値を記録する工程;
(g)前記第2の座標値と前記第3の座標値との間の平均を計算することによって、前記接触センサに対する前記ツール先端のオフセット値を決定する工程
を含む、方法。
【請求項32】
前記接触センサの既知の物理的寸法に関するデータを取得する工程;および
前記接触センサの既知の物理的寸法を、前記第2の座標と前記第3の座標との間の距離から減算することによって、前記ツール先端の少なくとも1つの物理的寸法を計算する工程
をさらに含むことを特徴とする、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記第1のツール先端で工程(a)~(g)を実行して、前記センサと前記第1のツール先端との間の第1のオフセットを決定する工程;
前記第2のツール先端で工程(a)~(g)を実行して、前記センサと前記第2のツール先端との間の第2のオフセットを決定する工程;および
前記第1のオフセットと前記第2のオフセットとの差に基づいて、前記第1のツール先端と前記第2のツール先端との間の差分オフセットを計算する工程
をさらに含むことを特徴とする、請求項31に記載の方法。
【請求項34】
コンピュータによって制御されるシステムの複数の部品間の相対運動を生成するように構成されたモーションコントロールシステムにおいて、第2の部品への近接性を検出するために第1の部品に連結される装置であって、
接触検知素子;
前記接触感知素子に連結された可動接触プローブ;
コンピュータによって制御され、前記接触プローブをアイドル位置から展開位置に移動させるように展開力を印加するよう機械的に連結される、アクチュエータ;
を備え、
前記接触感知素子は、前記第2の部品との接触による接触力によって、前記展開力を超えることにより前記接触プローブの変位が引き起こされるときを検出するように構成され、前記アクチュエータは、可変展開力を提供するように構成される
ことを特徴とする、装置。
【請求項35】
前記アクチュエータは、外側ハウジングと、圧力下で前記外側ハウジング内への流体の流入によって移動する内側部材とを備え、前記流体に加えられる圧力の量は、前記展開力に影響を及ぼすことを特徴とする、請求項34に記載の装置。
【請求項36】
前記コンピュータは、前記外側ハウジングへ圧力下で流体を進入させるバルブを制御することを特徴とする、請求項35に記載の装置。
【請求項37】
前記コンピュータは、前記アクチュエータに進入する前記流体に加えられる圧力の量を制御して、前記接触プローブを展開位置に押し込むことを特徴とする、請求項35に記載の装置。
【請求項38】
前記コンピュータは、前記アクチュエータに進入する前記流体に加えられる圧力の量を監視して、前記接触プローブを展開位置に押し込むことを特徴とする、請求項35に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、2021年10月2日出願の米国仮特許出願第63/251,630号に対する米国特許法第119条(e)による優先権を主張し、その出願全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
本開示は、自動製造システムの共通の造形空間内を移動する複数のロボットツールの位置の正確な較正を達成することに関する。
【背景技術】
【0003】
アディティブマニュファクチャリングの分野では、一般的な技術は、固体物体を造形することを含み、加熱された熱可塑性物質などの材料が、出発表面または「造形プレート」上に連続層でノズルから押し出される。ノズルと造形プレートとの間の相対位置および運動速度は、モーションコントロールコンピュータによって正確に制御される電気モータによって制御される。概して、固体物体を造形するプロセスは、ノズルを造形プレートに近接するように移動させることから始まり、次いで、材料がノズルから押し出されるにつれて、ノズルを造形プレートと平行に移動させる。平らな造形と平行なこの運動は、典型的には、デカルト座標系による「X」方向および「Y」方向であると見なされる。理想的には、移動するにつれてノズル先端から押し出される軟化プラスチックは、造形プレートに付着し、固化して、ノズルが移動した場所に正確に対応する固体材料の2Dパターンを形成する。造形物の第1の層に対応する材料堆積のすべてを完了した後、ノズルおよび造形プレートはさらに離れて(いわゆる「Z」方向に)移動され、材料の第2の層が同様に第1の層の上に堆積される。このプロセスを何度も繰り返すことにより(ただし、各連続層は、形成される物体の外形に応じていくらか異なるパターンを示し得る)、最終的にX、YおよびZの3方向すべてにおいて実質的な寸法を有する物体が形成される。連続層は、均一な層高さを用いて堆積されることが最も多く、この層高さはZ軸距離に対応し、これによってノズルおよび造形プレートが各層の完成に伴ってさらに離間する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このようなプロセスにおいて、押し出された材料の第1の層の適切な接着および形成は、文字通り、物体造形の成功のための基礎である。第1の層の成功を確保することは、造形プレートおよび押出機の温度、押出速度、およびノズルと造形プレートとの間の初期距離などの要因を注意深く制御することを必要とする。最適なパラメータは、部品を形成するために押し出される材料、および、造形用の基板となる造形プレート表面材料に応じて大きく異なる。
【0005】
造形プレートの平坦度およびX-Y運動の範囲にわたるノズルから造形プレートまでの距離(平行度)の一貫性は、いずれも重要である。ノズルが造形面を横切って移動するときの距離のわずかな変化(例えば、数分の1ミリメートル)でさえ、押し出された材料が所々で不正確に形成される原因となり得る。ノズルが遠すぎる場合、押し出された材料は完全に接着せず、ノズルの周りを移動するだけで、何の特徴もない材料の塊および糸を形成する。他の極端な場合には、ノズルが造形プレートの近くに押し付けられ、押し出された材料がノズル先端を離れるときに外側に飛び散ったり、ノズルが造形面と強制的に接触される(またはその中に入り込む)場合、押出しが妨げられることさえあり得る。したがって、ノズルと造形プレートとの間の良好に制御された距離を維持することは、安全な動作および造形の成功を確保するために不可欠である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
重要な第1の層の接着を促進するために、第1の層を、他のすべての層に使用される増分Z軸変位とは異なる、ノズルと造形プレート表面との間の特定の距離で開始することが一般的である。造形プレート表面に起こり得る凹凸の影響を軽減するために、X-Y移動の単位当たりの材料押出速度を増加させながら、より大きい距離(例えば50%超)を採用してもよい。このアプローチによって、初期層上に、より大きく、しばしば一貫性が低く形成された押出材料のビードが生じるが、物体の残りの部分を造形するための強固な第1の層を確保するための長い道のりを歩むことになる。
【0007】
表面の均一性が主要な問題ではなく、代わりに、第1の層が、押出材料と造形プレート材料との間の化学的または分子的接着が本質的に乏しいことに悩まされる場合にも、代替的なアプローチが適用される。接着促進表面処理はいくらかの改善をもたらすが、ノズルを第1の層のために造形プレートのより近くを移動させ、押出材を造形面とより密接に接触するように「駆動」するのを助けるか、または相対運動によって押出材をノズルから引き出すのを助けることによって、わずかな接着の状況も改善することができる。
【0008】
上述の全ての場合において、造形プレートに対するノズルの垂直(Z軸)位置決めは、モーションコントロールがどのように設計され動作されるかにかかわらず、モーションコントロール機構の初期化中に正確に確立されなければならない。ほとんどの多軸モーションコントロールシステム(絶対位置エンコーダを備えたものを除く)と同様に、ほとんどの3Dプリンタは、電源投入のたびに初期化プロセスを受け、押出開始前に、最初に「ホーミング」手順を行い、システムの可動部品の開始位置を確実にかつ一貫して確立する。いわゆる「ゼロ位置」が検出されると、ステッピングモータ(開ループ)または位置エンコーダを備えたサーボ(閉ループ)へのインパルスシーケンスなどの任意のモーションコントロール信号により、コントローラがその後、モーションコントロール論理プログラムが実行し続ける限り、制御された運動軸の瞬間ごとの絶対位置を追跡することが可能になる。
【0009】
これは、ステッピングモータを開ループ実装において使用するシステムにとって特に必要であり、このシステムでは、造形全体の相対位置が、造形の開始時に基準開始位置が確立された後、パルスのカウントを維持することに基づいて追跡される。このようなシステムでは、造形中に位置の継続的な確認は行われない。
【0010】
平均的な3Dプリンタのモーションコントロール機構において、Z軸のホーミングは、ノズルと造形面との間の初期距離関係を確立し、その後、ノズル距離は、特に第1の層に対して正確に制御され得る。このホーミングは、典型的には、導電性屈曲ばねを使用する「マイクロスイッチ」を利用して、最小限の電気的バウンス(機械的ヒステリシス)および単一軸に沿った非常に一貫した位置検出を伴う「スナップアクション」作動を保証する。
【0011】
これは多くの用途において十分であるが、産業用プリンタにおける高度な技術は、この一般的な技術では満たされていない新たな課題を引き起こす。
【0012】
特に、より新しい包括的な製造システムは、共通の造形空間内で移動し、固体物体の造形において協働して作用する材料添加および材料除去ツールヘッドの両方を使用することができる。材料添加ツールヘッドの例は、上述の熱可塑性物質押出ノズルである。所与の製造システムは、複数の押出ヘッドを使用することができ、各押出ヘッドは、ペレット供給型またはフィラメント供給型のいずれかであってもよい。材料除去ツールヘッドの例は、鋭い回転ビットを有するフライス加工または穿孔ヘッド、または製造される固体物体から材料を分離する他のそのようなツールヘッドである。
【0013】
材料添加ツールヘッドは、物体を粗い形状でかついくらかの余分な材料と共に堆積させ得るが、材料除去ツールは、その後に機械加工を実行して、例えば、粗く形成された部品を最終的な正確な寸法に切断するか、または、完成部品が使用時に別の部品に対して滑らかで密なシールを形成しなければならないガスケット表面などの部品の仕上げを精緻化することができる。材料除去能力はまた、付加プロセスによって最初に構築されたが、付加造形が十分に進行して一旦支持された部材が自己支持するようになった後に、造形において後に最早必要とされない支持ウェブを除去することによって、材料付加能力を補完し得る。さらに、その場の材料除去は、造形中の適時の態様で介入することができ、添加造形が完了した後に閉塞されるであろういくつかの表面に到達することができる。ドリル加工、フライス加工、研磨、または他のプロセスを使用して、付加プロセスのみによって達成可能であるよりも正確な穴位置および外面仕上げを作成することもできる。
【0014】
単一の造形プロセスの過程で材料添加器具と材料除去器具とを組み合わせることにより、製造システムの造形空間内のすべての移動構成要素の間の3次元位置を非常に正確に較正する極めて重要な必要性が生じる。「アディティブマニュファクチャリング」押出しおよび「サブトラクティブ」ツールヘッドの両方は、造形空間内で形成される同じ物体に作用しなければならないので、これらの異なるタイプのツールヘッド間の正確なアラインメントを達成し、互いに協調して、それぞれが予想される正確な位置でワークピース(造形される物体)に作用することを確保しなければならない。そのようなシステムによって造形される完成物体では、理想的には、押出機で堆積された表面が、材料添加器具と材料除去器具との間に明らかな位置ずれの証拠なしに、かつ複数の添加器具または複数の除去器具が存在し得る任意の組合せのために、加工された表面にシームレスに隣接することが理想可能である。
【0015】
様々な例示的な実施形態が、限定としてではなく例として、添付の図面の図に示されており、同様の参照番号は同様の要素を指す。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】エンクロージャ内に封入されたペレット型押出機ヘッドを用いる自動製造システムの全体図
【
図2】共通の造形空間内で動作する複数の多様なツールヘッドを示す自動製造システムの簡略図
【
図3】
図2に類似しているが、本教示の例示的な実施形態による追加の器具を有する簡略図
【
図4A】本教示の例示的実施形態による、アクチュエータ配置型接触プローブのアセンブリを示す図
【
図4B】本教示の例示的実施形態による、ツールヘッドと並べてアクチュエータ配置型接触プローブを取り付ける態様を示す図
【
図5】本教示の例示的実施形態による、接触感知プローブの1つの例示的構造を断面図として示す図
【
図6】本教示の例示的な実施形態に従って利用されるアクチュエータ配置型接触プローブを含む4つの異なる状況を示す概念図
【
図7】本教示の例示的な実施形態による、センサおよびアクチュエータへのコントローラの電気的接続を示す概略図
【
図8A】本教示の例示的実施形態による、共通の造形空間内で動作する複数のツール器具の位置を自動的に較正するプロセスのフローチャート
【
図8B】本教示の例示的実施形態による、共通の造形空間内で動作する複数のツール器具の位置を自動的に較正するプロセスのフローチャート
【
図8C】本教示の例示的実施形態による、共通の造形空間内で動作する複数のツール器具の位置を自動的に較正するプロセスのフローチャート
【
図9】本教示の例示的実施形態による、ツールを横方向に移動させ、基準センサとの接触を検出する態様を示す概念図
【
図10A】本教示の例示的実施形態による、基準センサに向かうツールの横方向アプローチの俯瞰図
【
図10B】本教示の例示的実施形態による、基準センサに向かうツールの横方向アプローチの俯瞰図
【
図11A】本教示の例示的実施形態による、測定値および計算されたオフセットを後続の動作に適用する態様を説明するための概念図
【
図11B】本教示の例示的実施形態による、測定値および計算されたオフセットを後続の動作に適用する態様を説明するための概念図
【
図11C】本教示の例示的実施形態による、測定値および計算されたオフセットを後続の動作に適用する態様を説明するための概念図
【
図11D】本教示の例示的実施形態による、測定値および計算されたオフセットを後続の動作に適用する態様を説明するための概念図
【
図11E】本教示の例示的実施形態による、測定値および計算されたオフセットを後続の動作に適用する態様を説明するための概念図
【
図12】本教示の例示的実施形態による、自動化手順を実行するために適用され得るデータ処理領域を示す図
【発明を実施するための形態】
【0017】
本開示の様々な非限定的な実施形態が、本明細書に開示される装置、システム、方法、およびプロセスの構造、機能、および使用の原理の全体的な理解を提供するために説明される。これらの非限定的な実施形態の1つまたは複数の例を添付の図面に示す。1つの非限定的実施形態に関連して図示または説明される特徴は、他の非限定的実施形態の特徴と組み合わせられてもよい。そのような修正および変形は、本開示の範囲内に含まれることが意図される。
【0018】
本明細書を通して、「様々な実施形態」、「いくつかの実施形態」、「1つの実施形態」、「いくつかの例示的な実施形態」、「1つの例示的な実施形態」、または「実施形態」への言及は、任意の実施形態に関連して記載される特定の特徴、構造、または特性が少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、明細書全体を通して、「様々な実施形態において」、「いくつかの実施形態において」、「1つの実施形態において」、「いくつかの例示的な実施形態」、「1つの例示的な実施形態」、または「ある実施形態において」という語句が出現することは、必ずしもすべてが同じ実施形態を指すとは限らない。さらに、特定の特徴、構造、または特性は、1つまたは複数の実施形態において任意の適切な方法で組み合わせることができる。
【0019】
本明細書で論じられる実施例は、単なる例であり、本明細書で説明される例示的な装置、デバイス、システム、および方法による本教示の原理の説明を補助するために提供される。図面に示され、または以下で論じられる特徴または構成要素のいずれも、必須として具体的に指定されない限り、装置、デバイス、システム、または方法のいずれかの任意の特定の実装のために必須と見なされるべきではない。読みやすく明瞭にするために、特定の構成要素、モジュール、または方法は、特定の図に関連してのみ説明され得る。構成要素の組合せまたはサブコンビネーションを具体的に説明しないことは、任意の組合せまたはサブコンビネーションが不可能であることを示すものとして理解されるべきではない。また、説明される任意の方法に関して、本方法がフロー図と併せて説明されるかどうかにかかわらず、文脈によって別様に指定または要求されない限り、方法の実行において行われる工程の任意の明示的または暗黙的順序付けは、それらの工程が提示された順序で行われなければならないことを意味するものではなく、代わりに、異なる順序で、または並行して行われてもよいことを理解されたい。
【0020】
概して、本明細書で説明される実施形態のうちの少なくともいくつかは、ソフトウェア、ファームウェア、および/またはハードウェアの多くの異なる実施形態で実装され得ることが明らかであろう。ソフトウェアおよびファームウェアコードは、プロセッサまたは任意の他の同様のコンピューティングデバイスによって実行され得る。実施形態を実装するために使用され得るソフトウェアコードまたは専用制御ハードウェアは、限定的ではない。例えば、本明細書で説明される実施形態は、例えば、従来の技法またはオブジェクト指向技法を使用して、任意の好適なコンピュータソフトウェア言語タイプを使用して、コンピュータソフトウェアで実装することができる。そのようなソフトウェアは、例えば、磁気または光学記憶媒体などの任意のタイプの好適なコンピュータ可読媒体上に記憶することができる。実施形態の動作および挙動は、特定のソフトウェアコードまたは専用ハードウェア構成要素を特に参照することなく説明することができる。必要に応じて、本明細書に基づく実施形態を実装するためのソフトウェアおよびハードウェアは、合理的な労力だけで、過度の実験を要することなく容易に開発され得る。
【0021】
さらに、本明細書で説明されるプロセスは、コンピュータまたはコンピュータシステムおよび/またはプロセッサなどのプログラマブル機器によって実行することができる。プログラマブル機器にプロセスを実行させることができるソフトウェアは、例えば、コンピュータシステム(不揮発性)メモリ、光ディスク、磁気テープ、または磁気ディスクなどの任意のストレージに記憶することができる。さらに、プロセスの少なくとも一部は、コンピュータシステムが製造されるかまたは様々なタイプのコンピュータ可読媒体上に記憶されるときにプログラムされ得る。
【0022】
本明細書で説明されるプロセスの特定の部分は、プロセスステップを行うようにコンピュータシステムに指示する、コンピュータ可読媒体上に記憶された命令を使用して行われることができる。コンピュータ可読媒体は、例えば、ディスケット、コンパクトディスク(CD)、デジタル多用途ディスク(DVD)、光ディスクドライブ、USBフラッシュドライブ、またはハードディスクドライブなどのメモリデバイスを含むことができる。コンピュータ可読媒体はまた、物理的、仮想的、永久的、一時的、半永久的および/または半一時的であるメモリストレージを含むことができる。
【0023】
「コンピュータ」、「コンピュータシステム」、「ホスト」、「サーバ」、または「プロセッサ」は、限定ではなく例として、プロセッサ、マイクロコンピュータ、マイクロコントローラ、プログラマブルロジックコントローラ、ミニコンピュータ、サーバ、メインフレーム、ラップトップ、または任意の他のプログラマブルデバイスであり得る。本明細書に開示されるコンピュータシステムおよびコンピュータベースのデバイスは、情報を取得、処理、および通信する際に使用される、特定のソフトウェアモジュールを記憶するためのメモリを含むことができる。そのようなメモリは、開示される実施形態の動作に関して内部または外部であり得ることを理解されたい。メモリはまた、ハードディスク、光ディスク、フロッピー(登録商標)ディスク、ROM(読み取り専用メモリ)、RAM(ランダムアクセスメモリ)、PROM(プログラマブルROM)、EEPROM(電気的消去可能PROM)、および/または他のコンピュータ可読媒体を含む、ソフトウェアを記憶するための任意の手段を含むことができる。非一時的コンピュータ可読媒体は、本明細書で使用するとき、一時的伝搬信号を除くすべてのコンピュータ可読媒体を含む。
【0024】
コントローラまたはプログラマブルロジックコントローラ(PLC)は、本明細書では単数で言及されることがあるが、プログラマブルロジックコントローラ(PLC)などの検討中の機能は、他のタスクを実行しているか、または他の役割を果たしているコンピューティングプラットフォーム内の1つのプロセスとしてホストされ得ることを理解されたい。PLCは、例えば、仮想マシン環境内でホストされてもよい。さらに、本明細書で説明されるコントローラまたはPLCの任意の役割はまた、論理的または物理的に分散されてもよい。プロセスの一部として呼び出されるアクションは、動きの持続的なリアルタイム制御専用の組込みプロセッサと通信する応答性ユーザインターフェースを提供する「高レベル」コンピュータなど、複数のプロセッサ間の協働アクションを伴い得る。処理ステップの一部またはすべては、アプリケーションのポイントから離れた1つまたは複数のプロセッサの間で行われてもよく、これは、それらがモーションコントロールシステムまたは以下で説明する他の構成要素と通信しているが、物理的に一緒に配置または統合されていないことを意味する。明確にするために、以下で説明される多くの態様は「PLC」を参照するが、実装されるロジックは、国際電気標準会議によって公表されるIEC 61131規格のスタイルでプログラムされることに限定されない。さらに、典型的なPLC実装に関連する電気信号レベルは、他のタイプのコンピューティングプラットフォームとインターフェース接続するか、または他のタイプのコンピューティングプラットフォームによってエミュレートされるように比較的容易に適合され得る。
【0025】
内部(メモリへの情報の記憶または計算の実行など)または外部(例えば、モーションコントロールシステムの特定の動作を引き起こす信号の送信による)のプロセスのステップを実行するプログラムされた命令に基づいて動作する「コンピュータ」または「プロセッサ」は、それに提供されるプログラミング命令を実行することによって、プロセスにおいて要求されるアクションを実行するように「構成される」または「適合される」と言うことができる。
【0026】
図1は、閉鎖型アディティブマニュファクチャリングシステム100を示す。システム100は、押出機ヘッド150を造形プレート130に対して制御可能に移動させるモータ駆動多軸モーションコントロールシステム120を備えるように示されている。造形プレート130は、付加造形を開始するための直接的な表面を指すか、または材料の中間シートもしくは化学コーティングで覆われてもよい。したがって、造形プレート130は、特に造形プレートの最上面とその上に配置される任意の中間材料とに関して、本明細書では「造形面」と呼ぶこともできる。押出機ヘッド150と組み合わされたモーションコントロール構成要素は、アディティブマニュファクチャリングシステム、すなわち3Dプリンタの一形態を構成する。図示の多軸モーションコントロールシステム120は、デカルト座標系として知られる配置において3つの直交軸に沿った運動を生成し、造形空間内の任意の点は、3つの相互に直交する軸に沿った変位に対応するスカラー値の固有の三重項によって参照される。
【0027】
押出機ヘッド150は、X軸モータ124のシャフトの回転によって横方向ビーム125の長軸に沿って制御可能に動かされるキャリッジ151に取り付けられるように示されている。典型的には、ビーム125は、ビーム125の長軸に平行なキャリッジ151の滑らかな移動を容易にする1つまたは複数のリニアベアリングを備える。さらに、ビーム125は、精密ナットによってキャリッジ151に連結され、回転およびスラストベアリングによってビーム125内に固定され、X軸モータ124のシャフトに連結される親ねじ(図では明確に見えない)を収容することができる。X軸モータ124のシャフトの回転は、親ねじを回転させることができ、それにより、キャリッジ151は、制御された方法でモータ124に近づいたり遠ざかったりする。X軸モータ124はしばしばステッピングモータであるが、非常に正確な位置への移動を容易にするために、閉ループ制御モードで動作するシャフト位置エンコーダおよび/またはタコメータを備えたACまたはDCサーボモータであってもよい。モータ、親ねじ、ベアリング、および関連する構成要素の多くのそのような配置が可能であり、広く実施される。
【0028】
モータ124およびビーム125の配置は、印刷空間座標系において水平X軸と称され得るものにおいて押出機ヘッド150の制御された移動を達成するが、モータ122A、122Bおよびそれらのそれぞれのカラム123A、123Bは、Z軸モータ122A、122Bが押出機ヘッド150を垂直方向に、すなわち、造形プレート130に近づいたり遠ざかったりするように、制御可能に移動させるように、リニアガイド、ベアリング、および親ねじの同様の配置を使用することができる。より具体的には、ビーム125は、カラム123Aおよび123B内の親ねじに結合するキャリッジ(隠れている)に取り付けられ得る。Z軸モータ122Aおよび122Bがそれぞれの親ねじを同期して回転させると、ビーム125、X軸モータ124および押出機ヘッド150の全体が上方または下方に移動させられる。
【0029】
押出ヘッド150に対する造形プレート130のさらに別の運動を達成するために、Y軸モータ126と称され得る第3のモータが、造形プレート130が結合される親ねじ127に作用してもよい。モータ126のシャフトの回転は、造形プレート130の位置を制御する。造形プレート130は、レール128などのリニアベアリングレールによって支持することができ、リニアベアリングレールに沿って摺動または転がることができる。
【0030】
図1に描写されるモータ、ベアリングなどの配置は、ノズル158を通した材料の押出によって物体が形成され得るように、押出機ヘッド150と造形プレート130との間の制御された相対運動を達成する一例にすぎないことを理解されたい。本教示が適用され得る実施形態として、様々な他の配置が多く見られ、等しく適している。例えば、いくつかの配置では、造形プレートは2つの水平軸で移動してもよく、押出機ヘッドは垂直にのみ移動してもよい。あるいは、造形プレートは垂直にのみ移動し、押出機ヘッドは2つの水平軸で移動してもよい。さらに他の配置では、造形プレートが静止している間に、3つ(またはそれ以上)の軸における押出機ヘッドの運動を達成するモータ駆動ガントリに押出機ヘッドを連結することができる。本教示は、前述のもの、ならびにいわゆる「コアXY」、「H-bot」、および「デルタ」配置を含む、多種多様なモーションコントロール配置に等しく適用可能である。
【0031】
さらに、簡略化ために、
図1は、そのようなシステムの製造において採用され得るが、本発明の原理を説明するためまたはその最良の形態を説明するために必須ではない、多くの締結具、ブラケット、ケーブル、ケーブルガイド、センサ、および無数の他の構成要素を除外することを理解されたい。リニアガイドおよび親ねじが説明されている場合、本教示は、そのような機構を使用する機械に適用されることに限定されず、例えば、ベルト駆動システムおよび歯車駆動システムは、使用に等しく適しており、本教示が対処する課題の影響を受けやすいことを理解されたい。
【0032】
押出ヘッド150は、以下でさらに詳細に説明される。要約すると、押出ヘッド150の役割は、供給管152を通る空気のバーストによって駆動されるペレット形態のプラスチックを受け取り、プラスチックを溶融し、連続流でノズル158の端部から送り出すことである。典型的には、プラスチックペレットは、大きな外部ペレットリザーバ102に貯蔵され、必要に応じて少しずつ押出機ヘッド150に供給される。押出機ヘッド150に含まれる検出器(図示され、以下で説明される)は、追加のペレットがいつ必要とされるかを特定し、圧縮空気入口155によって提供される圧縮空気の瞬間的バーストをオンに切り替え、ペレットをリザーバ102から押出機ヘッド150に向かって駆動する、空気バルブ154の作動を電気的に制御する。
【0033】
ノズル158の先端から噴出する押出材料から造形プレート130上に三次元で固体物体を形成するために、制御ボックス160は、マイクロプロセッサおよびモータ駆動回路などの電子機器を備え、これらの電子機器は、上述のようにX、Y、およびZモータに、ならびにシステム120内の多数のセンサおよび加熱要素に結合され、その一部は、
図2に関連して以下でさらに説明される。制御ボックス160内の電子機器はまた、以下で説明されるように、押出機モータを制御する。制御ボックス160内で動作し得る好適な制御電子機器のいくつかの例は、Marlinファームウェアを実行するUltiMachine社製のRAMBo(TM)制御ボード、およびオープンソースのSmoothiewareファームウェアを実行するいわゆる「Smoothieボード」である。
【0034】
多種多様な3Dプリンタ制御ボードを使用することができる。そのようなコントローラボードの主な役割は、いわゆるGコードファイルなどの位置コマンドの連続リストを解釈し、モータを駆動して命令された動きを実行する信号を出力することである。特定のオブジェクトを形成するために必要な座標移動を記述するGコードデータファイルなどは、例えば、イーサネット(登録商標)接続を介したTCP/IP通信を介して、または「WiFi」またはIEEE 802.11接続などの無線ネットワーク接続を介して、有線データ通信ネットワークへのコントローラの接続を介して、コントローラに供給され得る。Gコードファイル(または、Gコードファイルが準備され得るSTLフォーマットのファイルなどのデータファイル)はまた、制御ボックス160上のSDカードスロット165に挿入され得る、SDカードなどのリムーバブルフラッシュメモリカード上に供給され得る。
【0035】
ヒューマンアクセス可能な制御インターフェースを提供するために、利用可能な制御ボードの本質的に全てが、
図1の制御ボックス160の一部として示されるように、LCDディスプレイおよびユーザインターフェース164を支持する。制御ボックス160およびシステム120のモータ、センサおよび加熱要素を駆動するための電力は、電力線162への接続から得られる。
【0036】
造形プレート130は、好ましくは、制御された温度に加熱され、最も一般的には、ベッドの下に取り付けられ、ベッドに熱的に結合され得る電気抵抗加熱要素(図では見えない)を使用して加熱される。この目的のために、導電経路が内部に埋め込まれ、造形プレートの底部に接着された、高温定格シリコーンゴム製の加熱マットを使用することが一般的である。サーミスタなどの温度センサが典型的には含まれ、加熱マットへの加熱電流の印加を制御することによって設定された造形プレート温度を維持する比例積分微分(PID)コントローラにフィードバックを提供する。造形プレートを加熱するためのそのような要素は一般的であり、ここではさらに説明する必要はない。
【0037】
エンクロージャ110内の温度は、さらに他の加熱要素(図示せず)の追加によって、または単に造形プレート130から偶発的に放散される熱によって、典型的な室内周囲温度を超えて上昇され得る。適切に断熱されたエンクロージャ110では、造形プレート130からの熱は、対流のみによってエンクロージャの内部を有益なレベルまで加熱するのに十分であり得る。
【0038】
図2は、本教示が有利に適用され得る例示的な文脈の説明を容易にするために、エンクロージャおよび他の構成要素を視界から除去することによって
図1と比較して簡略化された製造システムの図を提示する。便宜上、上記で「アディティブマニュファクチャリングシステム」と称されたシステム100は、
図2においてそのように保持されるが、システム100は、本質的に少なくとも「アディティブ(付加的)」であるシステムを構成するように他のツールヘッドで補強されているが、任意選択的に他の、場合によっては非付加的なプロセスも同様に適用し得ることを指摘しなければならない。以後、システム100は、より一般的な「自動製造システム」の例または「自動アディティブマニュファクチャリングシステム」のバリエーションと称することができる
【0039】
より新しいシステムを表すと、
図2は、
図1で紹介したように、キャリッジ151への取り付けによって、横方向ビーム125に連結された3つのツールヘッドアセンブリを示し、そのうちの1つはペレット押出機ヘッド150である。さらに、
図2は、別の材料付加機構としてキャリッジ251に取り付けられたフィラメント押出ヘッド261を示す。さらに別のツールヘッドである多軸機械加工ヘッド262は、キャリッジ252を介して結合され、2つの付加ツールヘッド150および261と同じ造形空間内で動作可能であり、同じ造形物体に作用することができる材料除去ヘッドとして機能する。機械加工ヘッド262は、多くの運動軸を有してもよく、その遠位端に、ドリルビット、ルータビット、またはエンドミルなどの切削工具を保持する回転スピンドルまたはチャックを提供してもよい。この文脈では、例示的な実装形態および動作の説明が以下に記載されるが、製造システムの構成において多くのバリエーションが可能であり、これは、マルチヘッドおよび混合アディティブ/サブトラクティブシステムにおける前述の課題を呈するか、または悪化させることが理解されなければならない。例えば、
図2では3つのツールヘッドがたまたま示され、2つのアディティブおよび1つのサブトラクティブであるが、モーションシステムおよび利用可能な空間の実用的な制限のみにしたがって、任意の数および組合せのツールヘッドが実現されてもよい。さらに、図示の3つのツールヘッドは、3つのキャリッジ151、251、252のすべてが、モータ124によって駆動されると一緒に移動するか、または単一のキャリッジに組み合わされるように構成することができる。各キャリッジが異なる機構によって独立して移動するか、または共有機構によって別々の時間に移動するシステムを構築することが可能である。機械式または磁気式のラッチ(図示せず)を介して、キャリッジ151、251、252の各々は、様々な時点で親ねじまたは横方向ビーム125の内部のベルトに選択的に連結および分離されてもよく、横方向ビーム125に沿って駆動されるか、または移動範囲のいずれかの端部で「停止」されたままとなり、モータ124が任意の所与の時点でキャリッジのうちの1つのみを選択的に駆動することを可能にする。別の代替的な配置は、ツールヘッドを別個の横方向ビームに沿って移動させるか、または複数の独立したロボットアームの遠位端においてペイロードとして運ぶことを含み得る。単一のロボットアームは、典型的には、関節連結によって接続され、造形空間内の特定の座標へのプログラム制御された移動が可能である複数のリンク機構を有しており、特定のツールヘッドにラッチし、その動作を造形物体に適用するように装備され得る。これらの可能な変形形態のすべてにわたって、本教示は、多彩かつ多様なツールヘッドの間で正確なアラインメントを達成および維持するという課題に対処する。
【0040】
図3は、
図2に類似しているが、本教示のいくつかの例示的な実装形態による、追加の構成要素の可能な位置を引き続きさらに示す。特に、各キャリッジ151、251、252は、それぞれの押出または機械加工装置と並んで、以下に説明されるように「オートZプローブ(オートZプローブ)」を含むように示されている。要約すると、各オートZプローブは、プログラム制御下で作動され、ペアリングされるツールを越えて下向きに延在することができる。説明されるように、各オートZプローブは、別の表面からの力がその垂直シャフトに沿って作用するとき、接触を検出するように配置されることができる。
【0041】
オートZプローブとは別に、
図3は、「ツール中心点センサ」(「TCPセンサ」)310を示し、これは、好ましくは、設置されたツールヘッドの各々によってアクセス可能である(または、位置較正に使用される場合に少なくともそのような位置に配置できる)ように位置決めされる。TCPセンサ310は、
図3では、X軸(横方向ビーム125と平行な運動軸)のほぼ中心に位置し、Y軸の移動の一極端にあるように見え、この具体例では、センサ310が造形プレートと共に移動すると仮定される。明確にするために、
図3は、以下の説明を容易にするための参照概要を提供するにすぎず、オートZおよびツール中心点センサ構成要素が有用に配置され得る数量、態様、または場所を限定することを意図するものではない。造形空間内にセンサ310を結合するための他の取り付け手段および配置が可能である。
【0042】
図4A~4Bは、本教示の好ましい実施形態による、オートZプローブの例示的構造および配置を示す。
【0043】
より具体的には、
図4Aは、例示的な空気圧配備オートZプローブアセンブリ400の個々の部品を示す分解図である。電気的手段と比較して、空気圧実装は、加熱されたエンクロージャ内および加熱された構成要素付近の高温での信頼性に関する懸念を軽減する。それにもかかわらず、本教示は、空気圧作動を採用すること、または直線運動のみを提供することに関して限定されると解釈されるべきではない。
【0044】
オートZプローブは、7インチの全体ストロークを示す、Bimba Ltd.製のModel M-027-NRなどの空気圧アクチュエータ401を備える。空気または他のガスが圧力下でアクチュエータ401の上端のポート404を通して供給されると、シャフト406はアクチュエータシリンダ402から下方に突き出される。空気圧シリンダ401は、典型的には、内部ボアと、ボア内で摺動し、ボアの壁と本質的に気密シールを形成する可動ピストンとを備える。シャフト406はピストンに接続され、加圧流体またはガスがシリンダの反対側の端部に入ると外側に駆動される。より一般的には、アクチュエータシリンダ402は、外側ハウジングと見なされ得るのに対し、内側のピストンは、圧力下で外側ハウジングへの流体の流入によって動かされる内側部材と見なされ得る。空気圧アクチュエータ401の慣例的な設計によれば、シャフト406は、加圧されていないときでさえ、シリンダ402からいくらか突出する。シャフト406のこのスタブ端部は、ねじ切りされ、犠牲延長管408に取り付けられ、犠牲延長管は、シャフト406の雄ねじと嵌合するように雌ねじ切りされている。管408は、ナット409と共にシャフト406にねじ込まれ、ナット409は管408の頂部に対して締め付けられ、シャフト406の下端の固定位置に管408を固定する。その後、加圧ガスがアクチュエータシリンダ402に入るたびに、シャフト406および管408は、単一の一体型アセンブリとして上下に移動する。
【0045】
管408の下端は、他の表面と接触するための交換可能な先端を提供するつまみねじ410でキャップされる。つまみねじ410は、例えば、金属および/またはプラスチックで形成されてもよく、以下に説明されるように、他の表面に接近するときに一貫した接触領域を確保するように、わずかに湾曲または凸状形状を提供してもよい。
【0046】
アセンブリ400の残りの部分は、アクチュエータ401をツールヘッドキャリッジに取り付け、アクチュエータ401と管408とのアラインメントを維持し、取り付けられたキャリッジの高い振動発生率および突然の激しい動きに耐えるための様々な取付けハードウェアを含む。図示されるように、取付けハードウェアは、取付けブラケット422(Bimba Model D-775)を含み、それを通して、シリンダ402のねじ付き端部が挿入され、ナット424を使用して固定される。本出願において経験される横方向の慣性力により、追加のブラケット420が作製され、アクチュエータシリンダ402の上端を固定するために使用される。最後に、別のブラケット426が追加され、管408の下端をアラインメント状態に保ち、プローブ先端が下方に展開されたときにプローブ先端の一貫した位置決めを確保する。ブラケット426は、任意選択的に、管408に接触を伝達するように、ブッシングまたはリニアベアリングを取り付けられてもよい。
【0047】
図4Bは、ペレット押出機アセンブリ150を担持する例示的キャリッジ151が、非限定的な例示的実施形態に従って、どのようにオートZプローブアセンブリ400と嵌合され得るかを示す。取付けブラケット410、422、426は、通常はねじまたはボルトを用いて、キャリッジ151に固定され、アセンブリ400が、実質的に垂直に配置され、キャリッジによって担持されるそれぞれのツールまたは押出機機構と並んで、かつそれと平行に位置する。オートZプローブアセンブリ400を設計および位置決めする際のさらなる考慮事項として、管408のつまみねじキャップでキャップされた下側先端は、プロービングのために下方に展開されるとき、それぞれのツール、この場合はノズル158の先端、の下方およびそれを越えて延在するべきである。したがって、取付けブラケットの垂直位置は、キャリッジ151内に正しく配置された取付け穴によって調整または収容される必要があり得る。
【0048】
多軸機械加工ヘッドの場合のように、キャリッジに取り付けられたツールがそれ自体の運動を示す場合、オートZプローブの配置は、機械加工ヘッドの「ホーム」位置などのツール先端の名目上既知の基準位置に対してであるべきである。いずれにせよ、キャリッジの下の表面との接触を検出するためにプローブが配置されるとき、機械加工ヘッドのモーションシステムは、ツール先端および機械加工ヘッドの他の機構がプローブ先端のレベルより上にあることを確保すべきである。
【0049】
図3に示されるように、複数のツールヘッドが同時に配置される場合、キャリッジのうちの1つに取り付けられた各オートZプローブは、プローブ位置まで下げられたときに、適用可能なツール先端のすべての下方に延在するように位置決めされることが好ましい。好ましい実施形態によれば、オートZプローブのうちの選択された1つが下降すると、そのプローブ管は、横方向ビーム125に沿って走行するキャリッジおよび器具の集合体から最も低く突出する部材に瞬間的になる。この見解は、後述する較正の全体的なプロセスを容易にする。
【0050】
図4Bは、
図4Aにおいて説明されなかった1つの追加のアイテム、すなわちリードスイッチ450を導入することに留意する価値がある。リードスイッチ450は、アクチュエータシリンダ402の側面に取り付けられ、アクチュエータ401内のピストンの位置を検知する。リードスイッチ450は、シリンダ内のピストン(したがって、アクチュエータシャフト406)が特定の位置にあるかどうかの関数として、ワイヤ451間の電気的導通の変化などの信号を提供する。リードスイッチ450は、好ましくは、管408が下降すると、表面に接触することによる管408およびつまみねじ410の任意の上方変位が、ワイヤ451にわたる電気的導通の変化をもたらすように調整される。リードスイッチ450は、例えば、Bimba Ltd.製のModel RHTであってもよく、これはエンクロージャ110の内部に通常存在する高温での使用に適している。
【0051】
概して、プローブアセンブリ400、またはその部分のサブセットは、
図4Bに示されるように、同じキャリッジ151に取り付けられることによって、関連付けられたツールヘッドと共に移動するように連結される、接触感知素子(スイッチ450など)を備える、接触プローブを構成すると言うことができる。
【0052】
図5は、位置参照センサアセンブリ500の例示的な構成を示し、その形態は先にTCPセンサ310として紹介された。以下で説明される1つの使用モードのため、センサアセンブリ500は、便宜上、本明細書では、「ツール中心点」または「TCP」センサと称され得る。要約すると、図示されるようなセンサアセンブリ500は、2つの方法で他の物体との接触を検出するように設計および構成される。センサアセンブリ500の上方から接近する外部物体との接触は、軽いばね圧力を克服し、小型電気スイッチを作動させることによって検出される。センサアセンブリ500の側面から接近する外部物体との接触は、物体とセンサアセンブリの外側シェルとの間の電気的導通によって検出される。ここで、これら両方の技術が説明される。部品の構造および選択の多くは、エンクロージャ110内部の高温で確実に動作する必要があることによって後押しされる。
【0053】
図5では、センサアセンブリ500は、全体構造の観点から、取付けアーム510と、好ましくは円筒形である直立ポスト512とを備えるように(断面で)示されている。これらは、単一の部品として形成されてもよく、または取付けアーム510の穴に螺入する直立ポスト512を備えてもよい。直立ポスト512は、何らかの方法で取付けアーム510にクランプまたは固定され得る。直立ポスト512は、ほとんどが中空または実質的に中実であってもよく、取付けアーム510への取付けを容易にするフランジを備えていてもよく、備えていなくてもよい。同等に効果的な結果を依然として達成しながら、多くの変形例が可能であり、
図5に示される実施例は、本明細書で教示される動作原理を適切に可能にする多くの可能な設計を限定すると解釈されるべきではない。
【0054】
電気スイッチ530は、好ましくはポスト512の長軸を中心として、直立ポスト512の上端に設置されるように示される。高温でnお使用に適したスイッチの1つは、メトロール株式会社製のSTM82A-HT2である。また、ポスト512の上部に配置され、突出スイッチ530を取り囲むように位置決めされるのは、ウェハばね531である。ばね531は、例えば、McMaster-Carr Supply Companyから入手可能な部品番号1561T49と同様のものであり得る。中空シェル520は、反転され、直立ポスト512の上に配置されるように示されている。シェル520は、好ましくは円筒形であり、好ましくは正確に既知の直径であり、電気を伝導するために、好ましくはアルミニウムなどの金属製であり、その重要性は以下に説明される。金属めっきポリマーまたは金属コーティング絶縁体などの他の導電性材料または複合アセンブリも使用され得る。シェル520は、既知の寸法を有する他の形状で作製され得るが、円筒形状の回転対称性は、本明細書の他の箇所で説明される手順のいくつかにおいてプロセスを単純化するか、またはエラーの可能性を低減することが企図される。
【0055】
シェル520は、好ましくは軽量であり、主に、静止しているときにスイッチ530を作動させることなくばね531の上に載る。ばね531の剛性、シェル520の質量、およびスイッチ530の位置は、シェル520の重量が静止時にばねによって十分に対抗され、シェルの上部に下向きに印加される小さい外力によって、スイッチが作動し、スイッチ530に接続されたワイヤ532を通して測定可能な電気的導通を変化させることを確保するように、協働して選択および調節され得る。このように、これまで説明してきたアセンブリは、センサアセンブリ500の頂部への、またはより具体的にはシェル520上への任意の物体による比較的小さい力の接触を遠隔感知する。ばね531は、シェル520の重量に対抗し、その重量のみでスイッチ530を作動させるのを防止するための力印加部材として機能する。エラストマーなどの他の圧縮可能な構成要素、代替的に成形されたばね、またはリニアモータ、磁石、または電磁石などの他の力印加デバイスが、この能力で使用するために適合され得る。いずれにせよ、スイッチ530などは接触感知素子として作用し、拡大解釈すれば、センサ500は、上方から方向付けられた接触を検出するこの能力により「接触感知素子」であるとも言える。
【0056】
シェル520は、エラストマーO-リング515の使用によって直立ポスト512の中心に位置し、直立ポスト512と電気的に接触しないように維持され、これらは、シェル520が上下に自由に動くことを可能にする一方で、左右にごくわずかに移動することを可能にするように選択され、配置される。代替の実施形態では、従来の金属リニアベアリングなどの他のデバイスを使用して、電気絶縁構成要素がどこかに存在してシステム100の接地された金属フレームワークからシェルを電気的に絶縁する限り、シェルをアラインメントさせ、垂直運動を可能にすることができる。センサシェル520の電気的絶縁を維持するためのいくつかの代替案は、フレームワークの残りの部分から取付けアーム510を絶縁すること、ポスト512を絶縁材料から作製するか、または絶縁材料でコーティングするように構成することを含む。絶縁スリーブまたはブッシングは、スイッチ530が機能することを可能にするある程度の垂直移動を可能にしながら、シェル520をポスト512から分離して保つのに十分であり得る。別の技術は、複数のファスナの各々の周りに絶縁された(「誘電体」)スタンドオフおよびワッシャを使用することによって、取付けアーム510に取り付ける場所で直立ポスト215を絶縁することを含むことができる。信号線536は、シェル520に接続して、押出ノズルおよびエンドミルなどの他の物体との電気的接触の遠隔感知を提供する。
【0057】
図6は、オートZプローブ400およびTCPセンサ500が動作するいくつかの条件を示す。状態(a)では、オートZプローブ400(ペレット供給押出機ヘッド150も担持するキャリッジプレート151に取り付けられた状態で示されている)は、ホース610によって、ソレノイドバルブ615を介して加圧ガス源(図示せず)に接続されるように示される。デジタル圧力ゲージ617もまた、オートZプローブ400を展開するために印加された作動圧力を監視するために、ホース610に沿って連結されて示されている。同じ圧力源が、他のそのようなソレノイドバルブによって個別に展開される複数のオートZプローブアクチュエータに送られ得るため、ゲージ617は、所与のシステム100内の全てのプローブアクチュエータにわたって共通であるマニホールド圧力を監視するように、ソレノイドバルブ615の前に接続され得ることに留意されたい。圧力ゲージ617は、好ましくは、以下に説明するように、データプロセッサによる使用のために、検出された圧力状態を示す電気信号を提供する。
【0058】
状態(a)は、「通常」の状況を表し、較正活動が行われず、それぞれのツールヘッド(押出ヘッド150)がアイドリング状態であるか、または積極的に材料を押し出して部品を形成しており、オートZプローブは、造形プロセスを妨害せず、ノズルまたはワークピースに向けられる冷却空気またはカバーガスの流れを妨げないように、引き込まれている。
【0059】
状態(b)は、オートZプローブが下方に伸長または「展開」された状態を示す。前述のように、プローブの先端は、近くのツールまたはノズル先端の下に延在する。この位置へのプローブ先端の下降は、ソレノイドバルブ615を開くことによって(言い換えると、コンピュータなどからの電気信号の印加によって)達成され、その結果、加圧ガスは、アクチュエータシリンダに入り、プローブ管と共にその内部ピストンを下方に押し下げる。この状態は、「プロービング」、すなわち、何らかの性質の接触を監視しながらツールヘッドをZ方向にゆっくりと下降させることに備えて存在してもよい。
【0060】
状態(c)は、プロセス800に関連して概説される手順に従って、下降されたプローブをTCPセンサの上部と接触させることを表す。
【0061】
状態(d)は、プロセス800に関連して概説される手順に従って、下降されたプローブがベッドまたは造形面と接触することを示す。
【0062】
図7は、コンピュータまたはプログラマブルロジックコントローラ(PLC)710などのコントローラに入力および出力を提供するために、様々なスイッチおよびアクチュエータがどのように接続され得るかを示すための概略
図700を提示する。PLC710内では、I/O接続がデジタル入力730およびデジタル出力740のバンクとして示されている。いくつかの実装形態では、これらの入力および出力は、DC24Vと直接互換性があり得る。他の実装形態では、PLC710の役割を果たすコントローラは、TTLまたはCMOS信号レベルをサポートし得るが、これらは、他の入力信号電圧を受け入れ、示される状況で動作するために必要に応じてより高い出力電流を適切にソースおよびシンクするように、他のインターフェース回路(明示的には図示されない)によって適合され得ることを理解されたい。電気供給ライン702は、共通(COM)または接地ライン704に対してDC24Vの電位で示されているが、次に説明する概略
図700内の他の構成要素ととの互換性に応じて、他の供給電圧を使用することもできる。リレーに関して以下で説明する機能のいずれも、汎用コンピューティングデバイスによって仮想化またはエミュレートされ得る。
【0063】
本開示を通して、多数のスイッチ(スイッチ530およびリードスイッチ450)が、例として電気スイッチとして示されているが、本教示は、電気接触スイッチ自体に限定されない。必要に応じて、これらのタイプのスイッチは、代替的に、単純な光学センサによって検出され、電気信号としてコントローラ710に提示される光路の中断または確立を使用する、本質的に光学的であってもよい。極めて高い感度および精度を達成するために、干渉計またはエタロンを使用してもよい。あるいは、スイッチ230は、ホール効果スイッチまたはリードスイッチと同様に、磁気ベースの原理を採用してもよい。単純な電気接点のさらに他の代替案は、増幅および信号調整回路に接続されたひずみゲージ、または容量または電界感知変換器を含む。そのようなデバイスが特定の例において高温と適合するかという条件で、本教示は、これらまたは他の代替案を厳密に排除しない。
【0064】
さらに、PLC710への入力が
図7に示されている場合、コントローラは、どのような形態でも、割り込み駆動型であろうと、ポーリング入力であろうと、プロセッサ内の命令の実行に対応して、そのような信号を「受信」または「処理」または「検出」して、(a)ソフトウェアプロセスへの入力状態を表すメモリ位置の値を更新する、または(b)プロセスを開始する、または(c)プロセッサ内の実行フローに分岐を生じさせる、ことが適切に言える。。
【0065】
最上部の「回路」を参照すると、「SENSOR SHELL」とラベル付けされたブロック719は、前述のTCPセンサの導電性シェル520に対応する。信号線536は、電気機械式リレー710の1つのコイル端子に接続する。リレー710の他方のコイル端子は供給ライン70に接続され、過渡抑制ダイオード712がコイルを横切って接続され、カソードはDC24V接続端子上にある。このように接続されると、シェル520と「共通」または接地ライン704(シャーシまたはアース接地と同等であり得る)に接続される任意の導電体との間の接触により、リレーコイル711に通電する。接地へのそのような経路の1つは、接地されたキャリッジ、押出機本体、ドリルチャック、または他の器具との接触を介して接地に接続される押出機ノズルまたは機械加工ビットの先端であり得る。これらは、明示的な接地接続721によって示される「ツール先端」としてラベル付けされた720によって表される。システム100のほとんどの部分は、本質的に接地される可能性が高いが、明示的な接地接続もまた、可動アセンブリ上の接地を確保し(特に、一部の可動電子機器に供給される著しいDC電流の戻り経路として)、一定の電気的導通が保証されない潤滑ベアリングなどをバイパスするために配置される。ツールヘッドの接地は、ノズル先端または機械加工ツール先端の電気的絶縁を提供するよりも安全かつ実現がはるかに容易である。介在リレー710の使用によって、潜在的な静電放電、誘導電流、およびエンクロージャ110内で使用され得る他の電圧伝達器具との偶発的接触に「長時間アンテナ」露出することから入力706を保護することが可能になる。さらに、リレー710は、検出の感覚を反転させ、その結果、肯定的な連続性が、入力706に正方向信号として反映される。リレー710はまた、他のリレーベースのロジックがその分岐と直列に接続される必要がある場合、その接点を介して著しい電流処理能力を確保する。リレー710は、好ましくは、高速作動電気機械式リレーである。あるいは、いくつかの例を挙げると、ソリッドステートリレー、オプトカプラ、またはPNPトランジスタ回路などの別のタイプのコンポーネントが使用され得る。
【0066】
ブロック719とブロック720との間のギャップは、電気スイッチと事実上同じであるように描かれている。接地されたツール先端(ブロック720)がセンサシェル(ブロック719)に接触すると、DC24Vから接地への電流経路がリレーコイル711を介して設定される。リレー710の動作によって、24VをPLC710の入力706に接続する接点713が閉じ、接地への電気的導通がシェル520で検出されたことが示される。PLC710の処理環境内で、入力706に提供される入力状態は、例えば、「TCP_CONTINUITY」として知られ得る。
【0067】
供給ライン702から分岐する別の回路として、リミットスイッチ530(先に紹介された)が、供給ライン702とPLC入力バンク730の入力709との間に接続されることが示される。PLC710の処理環境内で、この信号は、例えば、「TCP_LIMIT」とラベル付けすることができる。
【0068】
その下には、おそらくは複数のオートZリードスイッチ450のうちの1つを表す別のスイッチが示されており、PLCバンク730の入力708に信号を提供する。そのような入力が複数あり得るので、この信号はPLCロジック環境内で「AZ_REED_1」として指定され得る。オートZプローブからの他のリードスイッチは、同様に、他の専用入力に接続し、「AZ_REED_2」、「AZ_REED_3」などの固有に割り当てられた名前によって参照され得る。
【0069】
図7をさらに下に移動すると、デジタル圧力ゲージ760が示され、供給ライン702および接地または共通ライン704への接続によって電力供給される。ゲージ760は、1つまたは複数のオートZプローブアクチュエータ401を加圧するために使用される空気圧供給ライン762に接続される。ライン762内の圧力に応答してゲージ760によって生成された電気信号は、入力709としてPLC710に提供され、そこで「AZ_PRESSURE」などとして参照される。
【0070】
PLC710は、1つまたは複数の別個の出力信号を提供して(デジタル出力バンク740を介して)、外部の電気的に作動されるコンポーネントを制御するように示される。図示のように、ソレノイドバルブ750(前述のソレノイドバルブ615に類似する)は、PLC710の出力ポート742に接続されるように示されている。この接続は、バルブ721を開いてバルブを通る空気の流れを可能にするように作用する、電磁石コイル、モータまたはソレノイドバルブ150内の手段への2つの接続のうちの1つである。他方の接続は、供給ライン702に接続するように示される。このように接続されると、出力ポート742が接地への経路を提供する状態にあるとき、通電電流がソレノイドコイルを通過し、これは多くの慣例において、論理的な「低」または「0」状態に相当する。加圧源とオートZプローブアクチュエータとの間に介在する場合、バルブ721は、オートZプローブが
図6の状態(b)のように下降するか(ソレノイド「オン」)、状態(a)のように後退するか(ソレノイド「オフ」)を制御する。したがって、出力ポート742の電気的状態は、オートZプローブの展開を制御し、それぞれが特定の出力ポートによって制御される複数のプローブ(
図3と同様に:302、304、306)が存在し得る。
【0071】
明示的には示されていないが、ソレノイドバルブ721は、所与のアクチュエータに印加された加圧空気が、ソレノイドバルブがオフになると解放および通気され、したがって、アクチュエータシャフトが後退することを可能にすることができる、排出ポートを提供してもよい。
図8A-8Cを参照すると、例示的プロセス800は、高温で動作され、熱膨張係数が大きく変動する構成要素を伴う造形空間であっても、高度に精密なツール間アラインメントを達成するように、これまで説明された様々の構成要素が協調して採用され得る、1つの可能な態様を説明する。完全に自動化されたプロセスもまた、高温エンクロージャの「封じ込め解除」の必要性を回避するため、非常に望ましい。プロセス800は、単に非限定的な例であり、説明されるいくつかのステップまたは動作は、任意選択的であってもよく、(統計的分析などのために)繰り返されてもよく、または多少異なる順序で実行されてもよいが、依然として本明細書で教示される重要な動作原理を遵守し、現在特許請求されている発明の範囲内にあることは、依然として明らかであるべきである。
【0072】
プロセス800は、先に示されたPLC710によって象徴されるように、またはPLC710とインターフェースする、またはPLCの機能を包含するシステムにおいて、コンピュータ、データプロセッサ、マイクロコントローラ、または他のコントローラ内で実行され得るか、またはこれらによって調整され得る。
【0073】
プロセス800は、ある意味では、造形空間内の押出機および機械加工ヘッドなどの移動デバイスの位置を「較正する」必要性が識別されると、ステップ802において開始する。ほとんどの3Dプリンタにおいて普及している従来の軸ごとの「ホーミング」スイッチ(
図2に示すスイッチ280、281に代表される)は、複数のツールヘッド、特に様々なアディティブおよびサブトラクティブツールヘッドが共通のワークピース上で動作する必要がある場合に導入されるいくつかの課題に対処していないことは、再確認する価値がある。これらのホーミングスイッチは、サーボモータおよびステッパ型モータのためのいくつかの非常に一般的な初期化および配向を可能にするが、特にいくつかの他の構成要素が独自の独立した運動を示すとき、他の構成要素間の近接性またはアラインメントを感知する役割を有さない。
【0074】
ステップ802は、システム100の初期電源投入に対応し得、その時点で、全ての移動構成要素は、全ての後続の座標指定された移動が基づく基準を確立する必要がある。ステップ802はまた、システム100のオペレータによって要求されるか、または造形プロセス中にプログラム的に、較正の開始を信号伝達して、造形が進行し、進行中のワークピースからの質量または反り力の増加が、例えば、造形面またはシステムフレームワークのたわみに影響を及ぼし得る場合でも、継続的な精密較正を確保し得る。
【0075】
ステップ802は、最初に実行されてもよく、または内部エンクロージャ110が所望の温度に達すると行われ、場合によっては繰り返されてもよい。ステップ802は、例えば、造形が中断され、オペレータがシステム100にアクセスできるようにエンクロージャ110が開かれたときに実行され得る。エンクロージャを復元し、内部温度を回復させた後、プロセス800を実行して、温度スイング後の再較正を確実にすることができる。ノズル変更、ツール変更、または不注意による衝突などの様々な他の事象はすべて、非常に正確なツール内アラインメント(理想的には0.001インチ以内)が、すべての3次元において一貫して達成され得るように、プロセス800を繰り返す理由であり得る。
【0076】
以下のプロセス800の説明を通して、クリアランスを達成するか、または1つの構成要素を別の構成要素とアラインメントさせるかにかかわらず、「移動」を実施することへのいかなる言及も、システム100を通して多くの軸が指定される相対的空間関係を達成するどのような運動も含むものとして解釈されるべきである。機械構成に応じて、ノズルまたはツールを特定の場所に移動させることを要求することは、実際には、ベッドをY方向に移動させ、ツールヘッドをXZ方向に移動させることを伴い得る。代替的に設計されたモーションシステムでは、この同じ要求は、ベッドが静止したままでツールヘッドをXYZに移動させることに対応し得る。仮にTCPセンサが何らかの形態の移動プラットフォームまたは関節アーム上に配置される場合、例えば、TCPセンサとのアラインメントを達成するためのモーションの任意の要求は、TCPセンサ自体を移動させることを必要とする場合も必要としない場合もある。モーションパスは、実装および状況に著しく依存する。したがって、ある部品を別の部品に対して動かすという言及は、過度に文字通りまたは限定的な意味で解釈されるべきではない。
【0077】
ステップ802でプロセス800が開始されると、実行は直ちにステップ804に進み、そこで、ステッピングモータを使用する開ループシステムでは、任意の時点における運動軸に沿った変位が、それぞれのモータに発せられた運動パルスの数のカウントを維持することによって決定されるように、すべてのモータ駆動軸の粗ホーミングが実行される。一般的に言えば、「ホーミング」の動作はしばしば、リミットスイッチが、移動ステージがその移動範囲の終わりにほぼ到達したことを検出するまで、所与の方向にゆっくりと移動し、次いで、その位置を「ゼロ」点であると宣言して、そこから他のすべての位置オフセットが測定されることを含む。これは、従来、デカルト座標タイプのモーションシステムにおいて3つの軸のみで行われてきたが、現在では、自己完結型モーションアクチュエータを有するいずれのツールヘッドも独自の初期化またはホーミング手順を実行しなければならないことがさらに重要になっている。一部の設計では、任意の下位ツールヘッドモーションシステム(5軸ロボットアームなど)が、最初にそれ自体の初期化を実行し(または少なくとも低プロファイル構成を採用する)、それにより、より広範なモーションシステム120がその初期化を実行するときに、予期せぬ干渉または衝突が発生しないことを確保することが重要であり得る。
【0078】
これまで、典型的なホーミングリミットスイッチは、1つまたは2つの押出ノズルのみが使用される場合に大部分は適切であった。ほとんどのレガシーデュアル押出プリンタでは、1対の同様の押出機駆動部およびノズルが共通のキャリッジ上に乗り、ベッドの上方に同じ高さを有するように丹念に調整される。典型的には、Z軸ホーミング点は、Z軸ホーミングスイッチが切れると、両方のノズルが印刷ベッドの頂部に正しい位置にあるように選択される。この単純なアプローチは、押出機の種類のバリエーションおよびいくつかのヘッド上の独立して移動可能なツール先端の追加に対処するには不十分である。従来の慣行とは対照的に、本教示は、モーションシステム内のモータ駆動軸の初期ホーミングとは別個の慣行として、ノズルおよびツールを配向する方法を強調する。
【0079】
ステップ804の粗ホーミング動作の後、ステップ806は、ベッドまたは造形面が「平坦」かつ本質的に水平であることを確保するために行われる。「平坦」は、通常、ベッドが反らず、許容可能な程度に平らであることを意味する。水平度は、重力に対してより大きく、実際には、ベッドの平面が、モーションシステムが一定のZ座標を維持しながらXYに移動するときに画定される平面と平行であることを意味する。特に、より小さい3Dプリンタの場合、ベッドの平坦度を試験し、ベッドの「自動レベリング」を実施するための様々な技術が知られている。
図3によって例示される本文脈では、ステップ806は、オートZプローブを伸長する工程と、様々なXY位置でZ方向測定を行う手段としてベッド接触を検出するその能力(
図6-状態(d)参照)を利用する工程とを含み得る。ベッドが平坦度または水平度を達成するように調整される必要がある場合(あるいは、ベッドの凹凸をチャート化し、運動計算に適用する必要がある場合)、ステップ806は、機械およびオペレータに依存し、本開示の焦点外である方法によって手動でまたは自動的に行われるかどうかにかかわらず、これらの行為を含む。
【0080】
ステップ806において、ベッド平坦度が評価され、処理された後、実行はステップ808に進み、後続のステップ810~824のコンテキストとして、おそらく使用中の複数のツールヘッドから特定のツールヘッドを選択する。当然ながら、所与のインスタンスにおいて、システム100内にペレット押出機などの単一のツールヘッドのみが設置される場合、ステップ808は単に、1つのツールヘッドで進行することを含み、ステップ826は、ステップ808に戻らない。そうでない場合、ステップ808は、ステップ810~824をまだ受けていないツールヘッドを選択することを指す。ステップ808において特定のツールヘッドが選択されると、ステップ810が実行されて、対象ツールヘッドを概してプリントベッドの上方の位置に移動させる。許容可能な位置は、プログラム的に決定されてもよく、またはオペレータに影響されてもよい。これは、ベッドと接触するようにオートZプローブを展開するための準備であり、したがって、許容可能な位置は、キャリッジのいかなる部分も、ベッド上に載っている部分的に構築されたワークピースなどの他の物体と衝突することなく、プローブがベッドに到達できることを確保するものである可能性が高い。次いでステップ812において、オートZプローブは、コントローラ(PLC710)が出力ポート742を低ロジック状態に駆動させることなどによって展開される。これによって、今度は、ソレノイドバルブ750が「オン」になり、
図6に示されるように、加圧ガスが、キャリッジに取り付けられた対応するアクチュエータ401に流入する。
【0081】
ステップ814は、
図6の状態(d)に描写されるように、プローブ先端とベッドとの間の接触を示す状態の変化についてアクチュエータのリードスイッチ450の状態を監視しながら、選択されたツールヘッドをベッドに向かってゆっくりと移動させる工程を含む。接触すると、Z軸運動が停止され、Z軸位置座標が、ここではラベル「AZBED」によって表される変数として(PLC710のメモリ内などに)記録される。PLC710は、モーションコントロールシステムに位置命令を発行する責任がある他のプロセッサまたは実行中のプロセスによってホストされるか、またはそれらと通信することに留意されたい。したがって、後続の様々な同様のステップにおいて、プロセス800が接触が生じる位置を決定することに言及するときはいつでも、モーションコントロールシステムに移動コマンドを発行した同じ「コントローラ」(単一または集合的)に接触が通知され、アプローチの方向におけるさらなる移動コマンドを中止し、直近に発行された移動コマンドに基づいて位置座標を記録する。
【0082】
次に、ステップ816において、ツールヘッドをZ軸に後退または上昇させ、次いで、他の運動軸を作動させて、適切な運動が行われるときに、造形空間内のどこかに位置し、ツールヘッドにアクセス可能なTCPセンサ500のほぼ中心の上方に同じプローブ先端をアラインメントさせることができる。別のところで説明されるように、TCPセンサ500は、位置基準を確立するために、造形空間内の複数の構成要素間の中間または相互接触点として作用する。
【0083】
ステップ818において、ツールヘッドは、そのオートZプローブが伸長された状態でZ軸に沿ってゆっくりと再び下降され、これは、対応するソレノイドバルブ750が通電されることを意味する。しかしながら、ステップ814とは異なり、ステップ818は、接触の最も早い兆候についてリミットスイッチ530を監視することを必要とする。好ましい実施形態によれば、アクチュエータ401に加えられる空気圧は、管408に沿って十分な力を加え、プローブアクチュエータ上のリードスイッチ450がシャフトの変位を検出する前に、ばね531からの上向きの力が克服され、リミットスイッチ530が作動される。このステップの間、作動圧力は監視され、信号ポート708などによるリードスイッチの状態と共に、信号入力ポート709を介してゲージ760によってプロセッサ/コントローラ(PLC710)に報告される。リミットスイッチ530が接触を検出する前に、これらのいずれかが予想外に逸脱する場合、エラーが発生し、プロセッサは、較正プロセスを中止し、機械オペレータに信号を送ることができる。正常な状況を仮定すると、リミットスイッチ530が移動するプローブ先端との接触を検出する瞬間、Z軸運動が停止され、Z軸位置座標が、例えば「AZTCP」と呼ばれるデータ変数に記録される。この点に到達すると、ステップ820が実行され、オートZプローブを後退させ、任意選択的に、ツールヘッドを上昇させる。プローブを後退させるために、PLC710は、デジタル出力742を高ロジックレベル(DC24V)または高インピーダンス状態に変化させて、ソレノイドバルブ750を非通電状態にすることができる。
【0084】
単に1つの操作態様を提示するステップ818に関して余談として、ステップ818の全体的な目標を達成しながら、すなわち、オートZプローブとTCPセンサとが接触する位置を決定しながら、いくつかのバリエーションが可能であると考えられる。オートZプローブを拡張するために使用されるアクチュエータ圧力およびTCPセンサ500内のばね531の剛性などの要因に応じて、
図8Aおよび
図6の状態(C)に描写されるものとは対照的に、リードスイッチ450の作動が、スイッチ530を作動させることなく生じることを選択的に確保することが可能であり得る。これは、いくつかのインスタンスでは望ましくあり得、システム100を実装する際の設計の静的問題であり得るか、または異なるツールヘッドのために、または特定の造形に応じて動的に変更され得る。後者では、コントローラ710は、アクチュエータシリンダ402に印加される圧力に対する制御を行ない、これは、ばね531と連動して、スイッチ530またはスイッチ450のどちらが最初に「トリガ」されるかに影響を及ぼす。別の可能性は、おそらく直列/並列ハードワイヤリングによって、またはコントローラ710内で動作するロジックによって実装され、論理「OR」または論理「AND」関数に従って両方のスイッチ入力を処理することである。明確にするために、本教示は、スイッチ530を使用して、オートZプローブとTCPセンサとの間の接触を検出することのみに限定されない。むしろ、これらのバリエーションのいずれかによる検出は、概して、第1の接触感知プローブ(リードスイッチ450を介する)および第2の接触感知プローブ(スイッチ530を介する)から成るグループの少なくとも1つのセンサから、信号を受信することに関して述べられてもよい。
【0085】
これまでに取得された2つの測定値AZBEDおよびAZTCPから、差異が計算され、ベッド表面とTCPセンサの上部との間のZオフセットを確立することができる。温度および他の要因の変化を考慮すると、このオフセットは(従来のホーミング方法とは対照的に)、固定されたままであると仮定されるのではなく、必要に応じて測定される。
【0086】
このデータに基づいて造形するために、ステップ822を次に実行して、実際のノズル、ツール先端、または他の器具(代用プローブではなく)をTCPセンサの上方に配置させ、TCPセンサに接触してリミットスイッチ530を始動させるまでツール先端を下降させる。(アクチュエータ圧力およびリードスイッチ状態は、この測定中にもはや問題ではないことに留意されたい。)前述のように、Z軸運動は、ツール先端とTCPセンサとの間の第1の接触時に停止され、Z軸位置座標は、処理環境(PLC710)内で、例えば、「TTCP」と呼ばれる変数に記録されてもよい。その後、対象ツールヘッドは、他の動作命令が発行されるまで、TCPセンサの上方にクリアランスを提供するように上昇されてもよい。この時点で、ツール先端をTCPセンサに接触させるプロセスによって、ツール先端が高い動作温度の押出機ノズルである場合に潜在的に有害となる、ツール先端を造形面と直接接触させる必要性が回避されることを強調することは価値がある。さらに、有意な作動力に基づいて接触を感知することにより、押出機ノズルが押出材料を滲み出している場合であっても、押出機ノズルが正確に位置付けられることが可能になる。
【0087】
ステップ824は、ツール先端とベッドとの間のZオフセットを計算することに対応し、特に、ツール先端をベッドと接触させることなく、かつベッドまたはツール先端のいずれかに接触感知手段を備える必要がない。ここで、ツール先端(またはノズル)Zオフセットは、AZBED-(AZTCP-TTCP)またはAZBED+TTCP-AZTCPによって計算することができ、これは、ツール先端がベッドとちょうど接触するZ軸座標となるであろう。(Z軸座標の増加は、ツールヘッドをベッドから離すことを意味すると仮定する。この意味が逆転される場合でも、非常に類似した計算によって依然としてオフセット値が提供される。)1つの選択されたツールヘッドに対するZ軸オフセット較正を完了した後、ステップ826を実行して、Z軸方向に同様に較正されるべき他のツールヘッドが残っているどうかを判定する。全てのツールヘッドが「Z」で較正されていない場合、実行はステップ808に戻り、未較正のままのツールヘッドのうちの別の1つを選択し、次いで、その選択されたツールヘッドを使用してステップ810~824が繰り返される。あるいは、ステップ826において、全てのツールヘッドが「Z」で較正されたと判定された場合、実行は、コネクタ「A」によって示されるように、
図8Bに示されるステップ830に進む。それぞれのツール先端を有する2つ以上のツールヘッドが上述のようにZ軸較正を受けると、差分オフセットが計算され適用されて、ワークピース上の所与の精密点が1つのツールヘッドによってアドレス指定され、次いで別のツールヘッドによってアドレス指定される場合に、均一性を保証することに留意されたい。例えば、ツール先端「A」が2.00mmのZオフセットを有し、「A」と同じガントリ上を移動するツール先端「B」が1.20mmのZオフセットを有すると仮定する。したがって、ツール先端「B」は、ツール先端「A」より0.80mm「低い」。その後、造形中に、ツール先端「A」がZ=52.00mmにある点においてワークピース上で動作しており、プログラムがツール先端「B」にその点に作用することを要求する場合、モーションコントロールシステムは、作用点がツール先端「A」の作用点と一致するように、Z軸においてさらに0.80mmだけ上昇するべきである。
【0088】
ステップ830は、
図1に示されるようなデカルト型モーションシステム内で適用可能であるように、「X」方向および「Y」方向におけるツール中心点の較正の開始を表す。異なる設計のシステム(コッセルデルタ設計など)は、モータ駆動運動の異なる組合せを使用して横方向運動を達成することができるが、それにもかかわらず、同様の平面内で較正を達成するために同様の手段を必要とする。さらに、そのようなシステムが到達し得る位置は、そのようなシステムをプログラムするために典型的に使用されるGコードコマンドファイルにあるように、常に直交デカルト軸に沿ったXおよびY座標に変換され得るか、または表現され得る。以下のステップにおける「XY」モーションへの言及は、厳密にX軸駆動対Y軸駆動を使用するシステムのみにプロセスを限定すると解釈されるべきではない。
【0089】
ステップ830において較正のために特定のツールヘッドが選択されると、ステップ832~840は、そのツールヘッドとの関連で実行され、具体的にはTCPセンサシェル520の中心に対して、したがって互いに対して、複数のノズルまたはツール先端の各々を較正する。これにより、ツールが、造形されているオブジェクト上の特定の作用点に交換可能にインデックス付けされることが可能になる。ステップ832は、対象ツール先端を、TCPセンサシェルから正のX方向に沿って、Y方向にTCPセンサの略中心と一致して、およびツール先端をTCPセンサシェルの頂部の下方のある距離に配置するZ軸座標まで加工させる、位置まで移動させることを含む。下降は、TCPセンサに向かうツール先端のその後の動きが最終的にツール先端をTCPセンサシェルと接触させるように行われる。
【0090】
この動作は、
図9を簡単に参照することによって最もよく説明することができる。ここでは、ツール先端(またはノズル)901は、最初に、TCPセンサシェルの真上にあるかもしれない位置から離れて(矢印910によって示される)移動し、次いで、一旦その下をクリアすると、ツールの底部がセンサシェル520の頂部より特定の距離「d」だけいくらか下にあるように、下向きの動き(矢印911によって示される)で移動するように示される。(この操作は、
図8Aに示すように、Z軸較正中に実行されるオフセット計算によって部分的に可能となる。)
図9では、ツール先端901は、少なくともシャーシ接地902に接続されるように示されている。導通検出を実証するために、ランプ905およびバッテリ906が、直列に、TCPセンサシェル520とシャーシ接地との間に接続されることが示されている。ツール先端901が左端のスケッチに示されるように配置される状態では、回路は完成しておらず、ランプ905は点灯されないままである。
図9の中央のスケッチは、ツール先端がTCPセンサシェルのレベルより下であるが、TCPセンサシェルから離れて置かれると、電気的導通を監視しながらツール先端をシェルに向かって動かすために横方向の動き(矢印903によって示される)が開始され得ることを説明している。右端のスケッチは、この横方向の運動中に、ツール先端がTCPセンサシェルと実際に接触し、シャーシ接地を通る回路を完成させ、電流が流れ、ランプ905を点灯させるインスタンスを示す。システム100内で適用されるように、当然ながら、電源は、バッテリ906の代わりに供給ライン702であり、負荷は、ランプ905の代わりにリレーコイル711である。特にデカルト座標で表されるような横方向アプローチの条件を示す別の方法として、ツール先端を他の2つの軸XおよびYに動かすことによって画定される平行平面がシェル520と交差するように、ツール先端を最初に造形面の平面の上方のZの距離にしなければならない。これは、
図9に示すように、ツール先端がシェル520の頂部のすぐ下に位置するZ座標に設定されるときに満たされ、その後、他の2つの軸における適切な動きが、ツール先端とシェル520との間の接触を達成するために確保される。
【0091】
図8Bに戻ると、ステップ832は、矢印911および912によって描写された動作に対応し、ツール先端が、正のX方向にTCPセンサから変位して静止されるが、「Y」方向にTCセンサとほぼアラインメントされるというさらなる制約を伴う。これは、
図10Aを参照することによってよりよく理解される。
【0092】
図10Aは、TCPセンサシェル520と、プロセス800における様々な以降のステップで要求される、様々な方向から来るツール先端の接近方向および最終的な接触とを示す概念的俯瞰図(縮尺通りではない)である。ステップ832に関して、
図10Aは、初期位置1010におけるツール先端を示し、ここで、Y方向においてTCPセンサと略アラインメントされ(すなわち、Y_TOOL_TIP=Y_TCPから始まる)、ツール先端がTCPセンサからある距離-TCPセンサシェルの上部に衝突することなく下降されるのに十分な距離-だけ離れて変位される。ツール先端がこの初期位置1010になると、ステップ834において、ツール先端は、負のX方向に移動することによってTCPセンサシェルに向かって移動される。この動作は、導通が検出されるまで継続し、これは、
図7を再び参照すると、リレー710が通電され、PLC710の入力706における状態を変化させることを意味する。先端-シェル導通が検出されると、X軸運動は瞬時に停止され、ツール先端は最終位置1012で停止する。これが発生するX軸座標は、X1とラベル付けされた値として記録され、これは、PLC710によって表されるコントローラ内のメモリ位置または記憶された変数などを指し得る。この測定値が取得されると、ステップ836が実行されて、ツール先端をTCPセンサシェルから安全に引き離し、今度はシェルから負のX方向に変位された別の開始位置1020にツール先端を再配置する。
【0093】
ステップ834と同様に、ステップ838は、導通が検出されるまで、ツール先端をTCPセンサシェルに向かって、今回は正のX方向に動かすことを含む。連続性が確認されるとすぐに、X軸運動は直ちに停止されるので、ツール先端は位置1022で終了する。これが起こるときのX軸座標は、X2の値として記録される。
【0094】
X1およびX2測定値の両方が取得されると、ステップ840が実行され、ツール先端がTCPセンサシェルのX軸中心と正確にアラインメントする仮想X軸座標である、いわゆる「中心点オフセットX」が計算される。このオフセットは、他の全てのツール先端がTCPセンサに同様にアラインメントされた後に主に使用されるが、その理由は、精密なツール間または「差分」オフセットの全てが、押出機およびスピンドルに取り付けられたツール先端の混合体にわたっても計算され得るからである。
【0095】
シェルの対称性により、ツール先端の接近経路がTCPセンサシェルのY軸中心線と完全にアラインメントされていない場合であっても、X1測定値およびX2測定値がTCPセンサシェルのX軸中心線を正確に見つけ得ることを強調することが重要である。ステップ844に示されるように、任意選択的なさらなる手順が実行されてもよく、
図10Aに示される両方のX方向からのアプローチは、X1とX2との間の絶対差が最大化されるまで、わずかに変化するY軸座標で繰り返されてもよい。この最大値を求めることによって、「中心点オフセットX」をある程度精密化することができる。この最大化が見いだされると、最終位置1012および1022は、互いに正反対にあり、TCPシェル直径とツール先端直径との合計である距離だけ離れている可能性が高い。これに基づいて、ステップ846として提示される別の任意選択の手順を実行して、ツールの有効半径を計算することができ、これは、ワークピースとの係合点がしばしばビットの側面からであるので、スピンドルに取り付けられた切削ビットにとって大部分が重要である。
【0096】
任意選択的なステップ844および846が、ツール半径の測定が重要でない場合など所与の用途において不要であるとみなされる場合、決定ステップ842は、実行を
図8Cに示すステップ850に移行させる。そうでなければ、ツール半径を評価する価値がある場合、またはステップ870~874の簡略化されたYオフセット測定プロセスがステップ850~858のものよりも好ましい場合、ステップ842は肯定的に決定され、ステップ844および846に進み、それによってステップ870~874が利用可能になる。ステップ844および846が実行され、ツール半径が分かると、ツール半径データをそのまま使用し、ステップ850~858のより複雑な双方向Y軸較正を依然として選択することが依然として可能である。したがって、別の決定ステップ848は、コネクタ「C」を介した双方向アプローチまたはコネクタ「D」を介した単純化された単方向アプローチのいずれかの選択を表す。決定ブロック848はまた、「オンザフライ」ランタイム決定ではなく、設計上の決定を表し得ることに留意されたい。システム100の所与の実装、特にコントローラ(PLC710)内のソフトウェアまたはファームウェアは、ステップ870~874の規定を含まない場合もある。システム100の代替的な実装形態は、常にステップ870~874を実行し、ステップ850~858の規定を有さなくてもよい。これらの選択は、設計者、プログラマ、またはユーザに委ねられ、本教示が、何らかの形で1つまたは他の選択に限定されること、両方の選択が利用可能にされなければならないこと、またはステップ848に示される選択が、システムが動作しているか、または造形に従事している間に動的に実行されなければならないか、または実行されてはならないことを示唆するように提示されない。
【0097】
図8Cを参照すると、「中心点オフセットY」を求めるための測定のための2つの手法が示されている。ステップ850~858は、ステップ832~840においてX軸について説明された手順に類似し、
図10Aにおいてツール位置1030→1032および1040→1042によって図式的に表されている。ステップ850~858は、ツール半径を必要とすることなく、またはステップ844および846の実行によって選択的に計算された場合であってもツール半径を利用することなく、Yオフセットを決定する。対照的に、ステップ870~874は、ツール半径がステップ844~846で計算された場合に可能になるYオフセットの決定をいくらか単純にする。これは、
図10Bにおいて図式的に説明される。
【0098】
図10Bでは、1020~1022および1030~1032によって描写される位置および接近経路は、
図10Aに関連して提示および説明されるものと同じである。
図10Bはまた、
図10Aと同様に、位置1030~1032からのY軸アプローチを示す(ステップ870参照)。導通を検出し、位置1032で移動を停止すると(ステップ872参照)、ツール半径およびTCPセンサシェル半径の両方が正確に知られているので、「中心点オフセットY」が計算可能である。ステップ874に示すように、「中心点オフセットY」は、最終ツール位置1032のY軸座標にツール半径およびTCPシェルの既知の半径を加えたものである。あるいは、アプローチが正のY方向から行われた場合、「中心点オフセットY」は、最終ツール位置1032のY軸座標からツール半径を減算し、TCPシェルの既知の半径を減算したものとなる。
【0099】
図8、9、および10Aを巡る上記説明全体を通して、最初に正のX方向から、次いで負のX方向からのアプローチによる中心Xオフセットの確立は、非限定的実施例にすぎない。ノズルまたはツール先端がTCPセンサシェルの中心とアラインメントするであろうXおよびY座標を決定するという最終結果を依然として達成しながら、XおよびYの感覚は逆転されてもよい。Y軸測定は、最初に、ステップ832~840を使用して行われ、その後、ツール半径を決定し、後者の軸のための省略された決定を利用するオプションを含む、後のステップのX軸決定が続いてもよい。さらに、厳密に一方の軸または他方の軸に従うものとして示される接近の方向は、説明を簡単にするために例として示されており、実際には、実用的な理由から好ましい場合がある。TCPセンサに向かうアプローチは、任意の方位角に沿ったものであってもよく、両方の横軸における運動の線形結合であってもよく、またはいくつかのシステムでは、複数の非直交軸のうちの1つに沿って駆動されてもよい。ステップ834と同様に、ただし軸外アプローチ方位角を使用して第1の測定が行われた後、ステップ838で呼び出される相補的アプローチは、理想的には、正確に逆方向、すなわち第1のアプローチ方位角と180度異なる方向から行われるべきである。正方向からアプローチし、次いで負方向からアプローチする順序もまた、逆にされてもよく、正-負-負アプローチの例示的順序は、本教示によって企図される範囲または可能性の範囲を限定すると見なされるべきではない。
【0100】
単一のTCPセンサ構成が例として示されているが、複雑な複数のヘッドシステムでは、全てのツールヘッドが同じTCPセンサに到達することは困難または非実用的であり得ると考えられる。それにもかかわらず、本明細書に記載される原理は、較正測定を「連鎖」することによって、複数のTCPセンサを使用して高精度の位置較正を提供するように拡張され得る。さらに、TCP1はヘッドA、B、Cによって到達可能であり、TCP2はヘッドC、D、Eによって到達可能であると仮定する。本開示の技法を使用して、ヘッドCがTCP1とTCP2の両方に較正できることにより、XYZにおける相互オフセットに関してヘッドA、BをヘッドD、Eに正確にアラインメントすることができる。
【0101】
これまでに提供された説明は、TCPシェルに接触するツールまたはノズルが半径方向に対称であると仮定している。所与のノズルが、その先端において円筒形または円錐形であるが、例えば、レンチによって回されるために六角形形状に移行する場合、
図9に示される特定の深さ「d」は、ノズルの円形部分との接触を確実にするように注意深く選択される。ノズル形状および押出機バレルへの挿入深さは変化し得るので、ステップ810~824において所与のノズルについて測定されたZ軸オフセットを考慮して深さ「d」を(コントローラ内で)動的に計算することが望ましい場合がある。
【0102】
溝付きエンドミルおよびルータビットなどのスピンドルに取り付けられたツールの場合、それらが行う切削は完全に対称的であり得るが、これらのツールはランダムな位置で静止し、判断を誤らせるかまたは著しく変動する位置データを与えることがある。これらは、TCPセンサシェルが最も外側の最先端よりもむしろ溝の中に入れ子になるように静止し得る。スピンドルを回転させ、都度静止させた後、TCPシェルに接近するサイクルを繰り返す手順を採用してもよい。複数の測定サイクルにわたって、公称TCP中心から最も遠くに生じるタッチは、ツールの有効半径を示すと考えられる。
【0103】
図11A~11Eは、本明細書で説明するように取得された較正済みオフセットを適用する方法の「ウォークスルー」実施例の一部として概念的スケッチのシーケンスを示す。これらのスケッチの全ては、X軸およびY軸に沿ったツール先端およびTCPセンサの位置を表す重畳された特徴と共に、造形面130の俯瞰図である。これらの図における位置は、左下隅を基準として、より正のX座標値は、示される造形面に対して左から右へのノズルまたはツールの移動に対応する。より正のY座標値は、この図内のノズルまたはツールの下から上への移動に対応する。これらのスケッチは、例示的な座標を示すが、縮尺通りに描かれていない。
図11Aは、システムの設計および構造によって決定されるいくつかの構成要素のおおよその公称位置を示す。造形面130の上に重ねて示されているが、ノズルまたはツール先端の集合体は、造形X方向および造形Y方向の両方においてホーミング手順が完了した後の静止状態で示されている。この実施例の目的のために、集合体は、
図3に最初に示されたように、ペレット押出機ノズル150、フィラメント押出機ノズル261、およびスピンドル取付けツール先端263を含む。任意の他の補完ツールを同様に使用することができる。さらに、
図3に描写されるように、これらのツールは、モーションシステムの共通部分に取り付けられ、すべてが横方向ビーム125に沿って移動するため、XおよびZ軸において一緒に移動すると仮定される。
図3に例によって示されるシステムの特定の設計は、造形面を移動させることによってY軸移動を達成する。したがって、Yにおける任意の移動は、3つのツールすべてについて、造形面に対して同じ移動として等しく適用される。簡単にするために、この実施例では、3つのツールのすべてがクラスタ1102として一緒に移動される。代替システムでは、ツール先端は、1つまたは複数の軸において独立して移動するように分断されてもよいが、本教示は、それにもかかわらず、依然として適用可能かつ有利であろう。
【0104】
図11Aは、ノズルが約150mm離れており、ホーム位置(ノズル150がX=0、Y=0にあると考えられる)と比較して、基準接触センサであるTCPセンサ500が、その中心がおよそXで520mm、Yで900mmオフセットされて位置するように示されていることを描写している。言い換えれば、座標[X520.0、Y900.0]に移動するようにモーションコントロールシステムに指示すると、クラスタ1102は、造形面130に対して移動し、ノズル150をTCPセンサ500の略中心に直接位置合わせさせる(十分なクリアランスがZ方向に提供されると仮定する)。これらのおおよそのオフセットは、プロセス800のステップを実行するために必要とされる粗い位置決めに十分であるが、これらのオフセットは、製造される物体上の特定の点に対処する複数のツール間のアラインメントを達成するために、特に所与の動作温度において、はるかに正確に知られている必要がある。
【0105】
図11Bは、3つのツール先端のそれぞれについてプロセス800を完了した状況を示す。各ツール先端150、261、263についてそれぞれXYオフセット1115、1117、1119を計算し、それぞれはTCPセンサ500の推定中心座標に相対的である(ステップ840参照)。
【0106】
図11Cは、TCPセンサ500に関して表されるオフセットの「先端間」差分オフセットへの変換を表す。示されるように、XYオフセットの第1のセット1120がTCPオフセットから計算され、ツール261のオフセットがツール150に対して決定される。同様に、XYオフセット1122は、ツール150に対するツール263に関する。このアプローチの価値は、
図11Dおよび
図11Eに照らしてより明らかになるであろう。
図11Dは、モーションコントロールシステムがツール150(押出ノズル150)を座標[X=500、Y=500]によって参照される位置にもたらす状況を示す。ツール150はこの時点で、およびおそらく連続した一連の他の時点で材料を押し出し得る。ツール150が必要なアクションを実行した後、次に別のツール261を呼び出して、特定の位置または近くの位置に作用させ、ツール150が特定の点で適用した処理に対して非常に正確な登録をすることができる。
【0107】
したがって、
図11Eは、異なるツールであるツール261が、ツール間オフセット1120を追加する以外は前と同じ座標に単純に移動することによって、ツール150によって以前にカバーされた全く同じ位置に移動し得る方法を示す。したがって、より高いレベルのプランが、特定のXY点において付加的プロセスなどの動作を実行し、次いで同じXY点において穿孔などの異なる動作を実行することを要求する場合、ツールスイッチは、モーションコントロールシステムに送信されるXY座標をシフトすることによって(システムに関連付けられたコントローラなどによって)効果的に実行される。実際、位置コマンド参照のシーケンスは、代替ツール選択が有効である限り、所与のオフセットベクトルだけシフトされ得る。
図11Eでは、アンサンブルクラスタ1102の移動をシフトさせることによって、ツール261を対象点[X=500、Y=500]上に担持させ、おそらく非アクティブであるが、第1のツール先端が、X=353.06、Y=497.47上にホバリングする。これらは、ツール150ではなく、ツール261が動作の目標位置([X=500、Y=500])にあることを実装するためにモーションコントロールシステムに発行される座標である。
【0108】
図12は、本教示の態様を実装するために集合的におよび様々な組合せで適用され得る様々なコンピューティングコンテキストを示すコンピューティング「エコシステム」1202の一般化されたダイアグラム1200を示す。ダイアグラム1200の右側はまた、本教示の実施形態による、プロセス800などの較正プロセスを含む、システム100の自動製造の役割を行うことに関与する、任意のコンピューティングエンティティからの信号に作用する、またはそれに信号を供給する、周辺コンポーネントを示す。
【0109】
図12の説明全体を通して、本明細書に描写される任意の論理処理エンティティによって行われる役割は、実際には、示されるプロセッサのうちの別のプロセッサ内に包含されるか、またはそれによってホストされ得ると考えられるべきである。逆に、所与の論理処理コンテキスト内に包含されるように描写される、特定のアクティビティは、実際には、示されるプロセッサと通信し、その拡張として作用する、別個の下位プロセッサ内で実行するプロセスとして実装されてもよい。例えば、コンピューティングエコシステム1202は、X軸駆動部1221、Y軸駆動部1222、およびZ軸駆動部1123によって表されるモータ駆動電子機器に信号を送るように主に機能する、リアルタイムモーションコントローラ1220を備えるように示される。駆動電子機器のこれらのインスタンスは、リアルタイムコントローラからの信号に応答して、モータを制御された様式で移動させる。これらのドライバは、ある意味では、コントローラからの比較的弱い信号を増幅および調整し、ステッピングモータおよびサーボなどのモータを駆動するための実質的な電力を提供し得る。駆動電子機器はまた、コントローラからの単一方向パルスを、増分運動を達成するために必要とされる特定のより複雑な出力信号に解釈してもよい。ステッピングモータの場合、駆動電子機器は、モータ巻線の複数のセットについてオン-オフまたは極性状態を維持し、どの出力ラインが単一の増分を提供するために状態を変化させなければならないかを決定しなければならない。サーボドライバは、コントローラからのパルスによって要求される運動を達成するために、フィードバックループ内に良好に形成された電流パルスまたは位相調整を適用しなければならない。
【0110】
押出機が材料を堆積させるために使用され、押出が駆動部1221、1222のうちの1つまたは複数によって移動させられるノズルの運動と密接に同期しなければならない場合、押出機モータもまた、コントローラ1220から運動信号を受信するように連結される。これまで説明した構成は、多くの3Dプリンタに典型的である。
【0111】
コントローラ1220はまた、前述のホーミング初期化中に基準を提供する働きをする収集リミットスイッチ1226(スイッチ280、281参照)から入力を受信するように示される。リミットスイッチはまた、モータが不注意に構成要素をそれらの許容された運動範囲を越えて駆動し、機械に損傷を引き起こすことを防止するために、許容される移動の極点に配置され得る。
【0112】
リアルタイムコントローラ1220は、正確に計時された信号を分配して、複数の軸間の協調運動を保証し、制御された加速および減速も行う。「リアルタイム」の態様は、複数の軸「チャネル」に対して非常に安定した速度で運動信号を放出しなければならないことに関する。そのようなコントローラが、ユーザインターフェースのサービス提供などの何らかのタスクを伴って瞬間的に側方追跡される場合、これは、運動の瞬間的中断を引き起こし得、1つまたは複数の軸にパルスをスキップさせ、位置の完全性を失わせ得る。リアルタイムコントローラは、他のすべての活動よりも適時かつ同期された出力信号の生成を優先するように特別に設計およびプログラムされる。
【0113】
リアルタイムモーションコントローラ1220と、駆動電子機器、モータ、およびモータに応答して移動するシステム100の動力部品との組合せは、「モーションコントロールシステム」と称され得る。多くの場合、リアルタイムモーションコントローラ1220は、通信接続1229によって示されるような何らかの性質の上位コントローラまたはプロセスから位置コマンドを受信する。位置コマンドは、本質的に、どの座標に移動するべきかをコントローラ1220に指示するが、要求された位置決めを達成するために、どの時間的信号シーケンスが生成されなければならないかを決定するタスクをコントローラに委ねる。当然ながら、通信接続1229は、実際には有線接続、シリアルバスまたはパラレルバスまたはデータネットワークを介した通信であってもよく、あるいはリアルタイムコントローラ機能がエコシステム1202内の他の役割も果たしている同じプロセッサ上でホストされる場合、単に関数呼び出しまたはプロセス間通信に相当してもよい。リアルタイムモーションコントローラ1220は、移動を成功裏に完了し、次の要求を処理する準備ができているとき、要求プロセスに「アップストリーム」を通信しなければならない。コントローラ1220は、いくつかの「先読み」処理および加速計画を提供するために、一連のその後のコマンドをバッファリングするように設計されることが多い。
【0114】
リアルタイムモーションコントローラ1220は、その後に要求される座標に到達する方法を計算することの一部として、各動力軸に沿った最後の既知の位置座標を維持することに留意されたい。コントローラ1220はまた、1つまたは複数の軸に沿ったモーションコントロールシステムの現在の位置座標について、別のエンティティ(リンク1229に沿ったコントローラ1230など)によって問い合わせられてもよい。この能力は、プロセス800のステップ818、822および他の場所で要求されるように、その時点での位置座標の記録を可能にする。コントローラ1220から取り出されたこれらの値は、例えば、メモリ1234内にデータ値1235として記憶され得る。
【0115】
パーソナルコンピュータ(PC)1210は、ディスプレイまたはモニタ、キーボード、タッチスクリーン、マウスなどのユーザインターフェースデバイス1215をサポートする、典型的なデスクトップまたはラップトップを表す。PCとインターフェース装置との間に示される通信接続1212は、無線、有線ケーブルまたは内部バス接続の混合であってもよい。PC1210は、多くの場合、本質的に、ダイアグラム1200の右側の様々の構成要素の機能を呼び出すことによって、人間のユーザが、システム100を使用して製造されるべきオブジェクトのモデルを作成または操作する環境である。PC1210は、そのような3D設計を達成するアプリケーション、ならびに、オブジェクトモデルを「スライス」してリアルタイムコントローラ1220を介して運動軸を制御するためのGコードの層ごとのシーケンスを生成する他のソフトウェアを実行することができる。いくつかの実装形態では、PC1210は、リアルタイムコントローラ1220と直接通信し、PC1210から発せられる命令に応答して動作を発生させることが可能であり得る。
【0116】
PC1210はまた、ソフトウェア開発者が、モデル、Gコード命令、またはさらにはエコシステム1202内の他のプロセッサによってロードおよび実行されるソフトウェアまたはファームウェアを生成するように、ソフトウェアを作成するためのホストであってもよい。PC1210は、データメモリ、不揮発性データストレージ、中央処理ユニット(CPU)、算術論理演算ユニット(ALU)、ディスプレイサブシステム、入出力インターフェースなどの典型的な補完物を含むと理解されるべきである。
【0117】
PC1210は、「接続」1211を介して、さらに別の処理コンテキストである組込みコントローラ1230に通信可能に結合されるように示される。ダイアグラム1200に描写される類似接続のうちのいずれかと同様に、接続1211は、無線リンク、共有バスまたはポイントツーポイントデータ通信リンクを介した通信、データネットワークを介した伝送、あるデバイスから別のデバイスへのリムーバブルデータ記憶媒体の物理的通過、またはさらには、接続されて示されるエンティティが実際には同じ物理プロセッサまたは論理処理環境上でホストされる場合、プロセス間通信またはAPI呼び出しであってもよい。組込みコントローラ1230は、先に紹介した制御ボックス160などの所与のシステム100と統合される小型コントローラのタイプ(ArduinoまたはRaspberry Piシステムなど)を表す。コントローラ1230は、典型的には、小型LCDスクリーンおよび小型ダイヤルまたは限られた量の押しボタンなどの限られたユーザインターフェースをサポートする。いくつかの実装形態では、リアルタイムコントローラ1220の機能は、組込みコントローラ1230に統合されてもよく、リアルタイム制御の要求を満たすためにファームウェアの注意深い設計が必要とされる。
【0118】
組込みコントローラ1230は、コアCPU/ALU1233およびユーザインターフェース周辺アダプタ1232など、共有バス1239を介して通信可能に結合された共通のコンピューティング構成要素を備えるように示されている。アダプタ1232は、CPU1230が、LCDスクリーンなどを通して表示を提供し、ユーザからの入力を受信することを可能にする。CPU1230は、ディスプレイを介してメニューオプションを提示し、そのユーザ選択を受信することができる。
【0119】
コントローラ1230は、USBポート、イーサネット(登録商標)接続などに対応し得る通信インターフェース1231を備えるように示される。不揮発性ストレージ1236により類似する「搭載可能ドライブ」と見なされるにもかかわらず、SDカードリーダはまた、PC1210のような外部ソースからGコード、ソフトウェア、設定、または他のデータを搬送することなどによって、データを組込みコントローラ1230に搬送する形態としてサポートされ得ることに留意されたい。
【0120】
コントローラ1230は、メモリ1234を備え、これは典型的には、ランタイム変数データを記憶し、ソフトウェア命令を「ロード」して実行するためのCPUによる高速アクセスを提供する揮発性RAMとして特徴付けられ得る。さらに優れた性能のために、いくつかのキャッシュメモリがCPU1233内に存在し得る。揮発性RAMは、電力がコントローラ1230に維持される限りでのみデータ内容を保存するので、そのように名付けられる。メモリ1234は、例えば、プロセス800の動作から生じ、
図11A~11Eに記載されるように、記録された座標および計算されたオフセットデータなどのデータ値を保持することができる。
【0121】
各電源投入後にロードおよび実行されなければならない実行可能命令などの長期データを保存するために、コントローラ1230はまた、ストレージまたは不揮発性メモリ1236を備える。PC1210などのより大型のコンピュータでは、このタイプのストレージは、典型的には、いわゆるハードディスクドライブによって、より最近ではソリッドステートドライブによって実現される。しかしながら、コントローラ1230のようなより小型の組込みシステムでは、不揮発性ストレージは、SDカードおよびUSBスティックまたは「サムドライブ」で現在使用されている技術と同様に、オンボードフラッシュメモリを使用してしばしば実装される。
【0122】
ストレージ1236内には、実行可能プログラムの2つの「画像」が示されており、一方は較正ルーチン1240であり、他方はPLCエミュレータ1242である。これらのデータ画像のいずれかは、例えば、SDカード、サムドライブ、または他の取外し可能なコンピュータ可読媒体から、あるいはPC1210から、またはインターネットを介してアクセス可能なサーバなどのデータネットワークを介してリモートコンピュータからダウンロードすることによって、ストレージにコピーされてもよい。較正ルーチン1240は、画像1244としてランタイムメモリにロードされ、CPU1233によって実行されると、必要に応じてコントローラ1220および1250を含むプロセス800のステップを実行する命令を含む。PLCエミュレータ1242は、従来のプログラマブルロジックコントローラ(PLC)に典型的な挙動およびインターフェースをエミュレートするためのプロセスまたはアプリケーションに対応し、IEC61131規格に従ってプログラムされることを特徴とする。実行に備えて、呼び出される場合、この記憶されたプログラムはランタイムプロセス1246としてメモリ1234に「ロード」され、これは、例えば、実行可能命令がストレージからより高速の揮発性メモリの領域にコピーされ、関数エントリポイントが特定のメモリ位置にマッピングされ、変数などを記憶するためにメモリ空間が割り振られることを意味する。ロードされ実行されると、プロセス1246は、前述のPLC710の役割を部分的または完全に果たし得る。
【0123】
別個のPLC1250が、エコシステム1202内に示され、
図7に関連して説明されるように、入力および出力時にいくつかの内部ロジックで動作する別個のPLC自体を有するオプションを表す。PLCのためのロジックは、接続1251を介してコントローラ1230などの別のエンティティからダウンロードされ得る。あるいは、PLC1250は、コントローラ1230と、様々のセンサ1252、1254、1256およびアクチュエータ1256との間の信号調整インターフェースを表してもよい。オートZ圧力ゲージ1252は、ゲージ760のうちの1つまたは複数に対応する。オートZプローブセンサ1254は、リードスイッチ450などの接触感知素子に対応し、これは複数であってもよい。オートZプローブアクチュエータ1256は、1つまたは複数のソレノイドバルブ750を指す。TCPセンサ1256は、軸方向または上向き接触センサであるTCPセンサ500、スイッチ530から来る2つの信号、および信号線536に沿って提示される電気的導通によって決定される半径方向接触を明らかにする。
【0124】
PLC1250が信号調整アダプタに過ぎない場合、接続1251は、コントローラ1230内で実行されるPLCエミュレータプロセス1246などの他の場所で実行されるプロセスとのこれらのI/O信号へのインターフェースを意味する。PLCをエミュレートするようにプログラムされるかどうかにかかわらず、エコシステム1202内の任意の場所でホストされる任意のプロセスが十分であり、本明細書で説明される感知および作動ステップを成功裏に実行し得る。本教示は、物理的エンティティまたは論理的エンティティとしてPLCを含むこと、または除外することに何ら限定されない。
【0125】
ダイアグラム1200で説明される物理的および論理的処理コンテキストのいずれかまたはすべては、制御ボックス160の内容に対応するか、またはボックス160内のコントローラとホストされるか、共同配置されるか、または通信することができる。従来の3Dプリンタの多くの実装では、コントローラ160は、一体型LCDディスプレイおよび制御(
図1のディスプレイ164参照)を有する組込みコントローラ1230を含み、また、モータを駆動する関連RTC1220を収容するか、またはそれに配線されてもよい。さらに、RTC1220またはコントローラ1230はまた、典型的には、システム内の温度を制御する。より小型の実装形態では、RTC1220は、オンボードモータドライバがある場合、すでに高い電流レベルを処理するので、加熱素子への電流のサーモスタット制御もまた、しばしば強制空気冷却が提供される同じ物理的回路基板上で処理され得る。より大型のシステムでは、温度制御は、下位PIDコントローラ(それ自体の内部CPUを有する)に委ねられ、ヒータをオンおよびオフにして目標温度を維持する。コントローラ1220または1230は、目標温度信号を温度コントローラに送信することができる。さらに、多くの構成では、コントローラ1220または1230はまた、ユーザへの表示のために現在の温度を監視し、造形を進めようとする前に、押出機およびベッド温度の達成をプログラム的に保証する。
【0126】
電気的接続による温度制御は、押出機温度1260およびベッド/チャンバ温度1262によって表され、後者は、造形面(別名「ベッド」)の温度であり、
図1に示されるエンクロージャ110全体の温度である。
【0127】
さらに他の周辺機器1264は、冷却ファン、ペレット撹拌機、ライト、インターロックなどのエコシステム1202内の処理エンティティによって制御され得る。
【0128】
示される1つまたは複数のプロセッサの制御を受ける別のクラスの構成要素は、ツールヘッドコントローラ1270および従動軸ドライバ、シータ1駆動部1272、シータ2駆動部1274、およびスピンドルモータ駆動部1276によって表される。この描写は仮想的なものである。自己完結型モーションシステムを有する所与のツールヘッドに適用可能な軸の実際の数および名称は、設計に応じて異なり得る。そのようなサブシステムツールヘッドの例は、
図3にツールヘッド262として示されている。
【0129】
接続1277は、所与の座標セットに作用するようにツールヘッドに命令することができる、エコシステム1202内のプロセスのいずれかへの接続を表す。ツールヘッドコントローラ1270は、コントローラ1220が前述のようにXYZ軸駆動の動作を調整する際に果たす役割に類似し得る。ツールヘッドコントローラ1270は、ドライバ1272、1274および1276と互換性があり、ツールヘッド構成要素の幾何学的形状および物理的特性を考慮してプログラムされ、自己完結型パッケージツールヘッド1275として動作する独自仕様のタイプであってもよい。コントローラ1270は、キャリッジ252に取り付けられるツールヘッドハードウェアと共に「オンボード」に配置されてもよい。いったんシステム100内に設置されると、コントローラ1270は、ツールヘッドアームを移動させるように指示される他のエンティティからのコマンドのためのゲートウェイインターフェースおよび仲介器の役割を果たす。コントローラ1270は、特にツールヘッドのいくつかの動きがXYZの動きと「ロックステップで」実行される場合、コントローラ1220によって命令されてもよい。ツールヘッド1275は、それ自体のリミットスイッチまたは位置エンコーダ、ならびにそれ自体の軸初期化およびホーミング手順を有し得る。コントローラ1270は、外部コントローラから、そのオンボードホーミングを実行し、完了時に通信を戻すように命令され得る。
【0130】
前述の説明では、添付の図面を参照して様々な例示的な実施形態について説明してきた。しかしながら、添付の特許請求の範囲に記載される本発明の範囲から逸脱することなく、様々な修正および変更がなされてもよく、さらなる実施形態が実装されてもよいことは明らかであろう。例えば、本明細書に記載されるある実施形態の特定の特徴は、本明細書に記載される別の実施形態の特徴と組み合わされてもよく、または置き換えられてもよい。したがって、説明および図面は、限定的な意味ではなく例示的な意味で考慮されるべきである。
【国際調査報告】