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特表2024-536101水素を輸送するための抽出物低含有量を有する多層管状構造
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-04
(54)【発明の名称】水素を輸送するための抽出物低含有量を有する多層管状構造
(51)【国際特許分類】
   F16L 11/06 20060101AFI20240927BHJP
   B32B 1/08 20060101ALI20240927BHJP
   B32B 27/34 20060101ALI20240927BHJP
   B32B 27/28 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
F16L11/06
B32B1/08 B
B32B27/34
B32B27/28 102
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024518881
(86)(22)【出願日】2022-09-22
(85)【翻訳文提出日】2024-05-10
(86)【国際出願番号】 FR2022051783
(87)【国際公開番号】W WO2023047057
(87)【国際公開日】2023-03-30
(31)【優先権主張番号】2110144
(32)【優先日】2021-09-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505005522
【氏名又は名称】アルケマ フランス
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ニゼイマナ, フィデル
(72)【発明者】
【氏名】デュフォール, ニコラス
(72)【発明者】
【氏名】グピル, アントワーヌ
(72)【発明者】
【氏名】プレンヴィール, トマ
【テーマコード(参考)】
3H111
4F100
【Fターム(参考)】
3H111AA02
3H111BA15
3H111CB01
3H111CB14
3H111CB29
3H111DA14
3H111DB11
3H111DB27
3H111EA04
4F100AK17C
4F100AK19A
4F100AK48B
4F100AK48D
4F100AK69A
4F100AL05B
4F100BA02
4F100BA03
4F100BA04
4F100BA05
4F100BA07
4F100BA10A
4F100BA10B
4F100CA04B
4F100CA05B
4F100DA11A
4F100DA11B
4F100DA11C
4F100GB32
4F100JA04
4F100JA07
4F100JD02A
4F100JD02C
4F100JG01B
4F100JK10A
4F100YY00B
(57)【要約】
本発明は、外側から内側に向かって、少なくとも1つのバリア層(1)と、該バリア層の下に位置する少なくとも1つの内層(2)とを含む、水素の輸送を目的とした多層管状構造(MLT)に関し、
前記内層(2)、又は層(2)とバリア層の下に位置する他の任意選択的な層との組合せが、それぞれ、層(2)の組成物の全重量に対して、又は層(2)の組成物とバリア層の下に位置する他の任意選択的な層との組合せの全重量に対して、平均して0重量%~1.5重量%の可塑剤を含み、
前記内層(2)が、前記組成物の成分の合計の3重量%以下、特に2重量%未満の抽出物含有量を示し、前記内層(2)が、主に、少なくとも1つの脂肪族タイプのポリアミドを含むか、又は75%を超える脂肪族単位からなり、前記脂肪族ポリアミドが
- Aで示されるポリアミドであって、Cで示される窒素原子あたりの平均炭素原子数が4~8.5、有利には4~7であるもの;
- Bで示されるポリアミドであって、Cで示される窒素原子あたりの平均炭素原子数が7~10、有利には7.5~9.5であるもの;
- Cで示されるポリアミドであって、Cで示される窒素原子あたりの平均炭素原子数が9~18、有利には10~18であるもの;から選択され、ただし、前記内層(2)が少なくとも3つのポリアミドを含む場合、前記ポリアミドA、B、及びCのうちの少なくとも1つは除外される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外側から内側に向かって、少なくとも1つのバリア層(1)と、該バリア層の下に位置する少なくとも1つの内層(2)とを含む、水素の輸送を目的とした多層管状構造(MLT)であって、
前記内層(2)、又は層(2)とバリア層の下に位置する他の任意選択的な層との組合せが、それぞれ、層(2)の組成物の全重量に対して、又は層(2)の組成物とバリア層の下に位置する他の任意選択的な層との組合せの全重量に対して、平均して0重量%~1.5重量%の可塑剤を含み、
前記内層(2)が、規格CSA/ANSI CHMC 2:19に従って決定して、前記組成物の成分の合計の3重量%以下、特に2重量%未満の抽出物含有量を示し、
前記内層(2)が、主に、少なくとも1つの脂肪族タイプのポリアミドを含むか、又は75%を超える脂肪族単位からなり、前記脂肪族ポリアミドは、
- Aで示されるポリアミドであって、Cで示される窒素原子あたりの平均炭素原子数が4~8.5、有利には4~7であるもの;
- Bで示されるポリアミドであって、Cで示される窒素原子あたりの平均炭素原子数が7~10、有利には7.5~9.5であるもの;
- Cで示されるポリアミドであって、Cで示される窒素原子あたりの平均炭素原子数が9~18、有利には10~18であるもの;
から選択され、
ただし、前記内層(2)が少なくとも3つのポリアミドを含む場合、前記ポリアミドA、B、及びCのうちの少なくとも1つは除外される、
多層管状構造(MLT)。
【請求項2】
前記バリア層が、EVOH層、フルオロポリマー層、特にPVDF層、及びPPA層から選択される、請求項1に記載の多層管状構造(MLT)。
【請求項3】
前記内層(2)、又は該層(2)とバリア層の下に位置する他の任意選択的な層との各々が可塑剤を含まない、請求項1及び2のいずれか一項に記載の多層管状構造(MLT)。
【請求項4】
バリア層の上に位置する少なくとも1つのさらなる外層(3)が存在し、前記外層(3)が、主に、少なくとも1つの脂肪族タイプのポリアミドを含むか、又は75%を超える脂肪族単位からなり、特に、前記脂肪族ポリアミドが、窒素原子あたり9.5~18、有利には11~18の平均炭素原子数を示す、
請求項1から3のいずれか一項に記載の多層管状構造(MLT)。
【請求項5】
前記外層(3)が、該層(3)の組成物の全重量に対して0%~15%の可塑剤を含むか、又は組み合わされた外層が平均して0%~5%の可塑剤を含む、請求項4に記載の多層管状構造(MLT)。
【請求項6】
バリア層の上に位置する少なくとも1つの第2の外層(3’)が存在し、好ましくは層(3)の上に位置し、前記層(3’)が可塑化されており、前記可塑剤が、特に、前記層の組成物の全重量に対して1.5重量%~15重量%の割合で存在し;好ましくは、前記層(3’)の厚さが、管状構造の全厚の最大20%、特に最大200μmに相当する、請求項4又は5に記載の多層管状構造(MLT)。
【請求項7】
層(3’)が最外層であり、可塑化されている唯一の層であり、(一又は複数の)層(3)が可塑剤を含まない、請求項6に記載の多層管状構造(MLT)。
【請求項8】
少なくとも1つの層(4)が存在し、該層(4)の構成成分の全重量に対して、前記層(4)が15重量%を超える可塑剤を含まず、好ましくは1.5重量%以下の可塑剤を含み;有利には、層(4)は可塑剤を含まず、
前記層(4)が、主に、少なくとも1つの脂肪族タイプのポリアミドを含むか、又は75%を超える脂肪族単位からなり、前記脂肪族ポリアミドが、
- Aで示されるポリアミドであって、Cで示される窒素原子あたりの平均炭素原子数が4~8.5、有利には4~7であるもの;
- Bで示されるポリアミドであって、Cで示される窒素原子あたりの平均炭素原子数が7~10、有利には7.5~9.5であるもの;
- Cで示されるポリアミドであって、Cで示される窒素原子あたりの平均炭素原子数が9~18、有利には10~18であるもの;
から選択され、
ただし、前記層(4)が少なくとも3つのポリアミドを含む場合、前記ポリアミドA、B、及びCのうちの少なくとも1つは除外されるか、又は
前記層(4)が結合層であり、その厚さが(MLT)構造の最大15%に相当し、
前記層(4)が、バリア層(1)と内層(2)との間、及び/又は外層(3)とバリア層(1)との間に位置する、
請求項1から7のいずれか一項に記載の多層管状構造(MLT)。
【請求項9】
層(4’)が存在し、前記層(4’)が、主に、少なくとも1つの脂肪族タイプのポリアミドを含むか、又は75%を超える脂肪族単位からなり、前記脂肪族ポリアミドが、
- Aで示されるポリアミドであって、Cで示される窒素原子あたりの平均炭素原子数が4~8.5、有利には4~7であるもの;
- Bで示されるポリアミドであって、Cで示される窒素原子あたりの平均炭素原子数が7~10、有利には7.5~9.5であるもの;
- Cで示されるポリアミドであって、Cで示される窒素原子あたりの平均炭素原子数が9~18、有利には10~18であるもの;
から選択され、
ただし、前記層(4’)が少なくとも3つのポリアミドを含む場合、前記ポリアミドA、B、及びCのうちの少なくとも1つは除外されるか、又は
前記層(4’)が結合層であり、その厚さが(MLT)構造の最大15%に相当し、
前記層(4’)の前記少なくとも1つのポリアミドが、層(4)の前記ポリアミドと同一であることも、異なることも可能であり;
前記層(4’)が外層(3)とバリア層(1)との間に位置し、前記結合層(4)がバリア層(1)と内層(2)との間に位置する、
請求項8に記載の多層管状構造(MLT)。
【請求項10】
内層(2)のポリアミド又は外層(3)のポリアミドが完全に脂肪族ポリアミドであり;好ましくは、内層(2)のポリアミド及び外層(3)のポリアミドが完全に脂肪族ポリアミドである、請求項4から9のいずれか一項に記載の多層管状構造(MLT)。
【請求項11】
第2のバリア層(5)が存在し、前記第2のバリア層(5)が、第1のバリア層(1)に隣接するか又は隣接せずに前記バリア層(1)の下に位置する、請求項1から10のいずれか一項に記載の多層管状構造(MLT)。
【請求項12】
前記バリア層が、最大27%のエチレンを含むEVOH層である、請求項2から11のいずれか一項に記載の多層管状構造(MLT)。
【請求項13】
前記バリア層が、耐衝撃性改良剤を含むEVOH層である、請求項2から11のいずれか一項に記載の多層管状構造(MLT)。
【請求項14】
バリア層(1)がEVOH層であり、第2のバリア層(5)がPPA又はフルオロポリマー層であり、フルオロポリマーが、特に、ETFE、EFEP、又はCPTタイプのものである、請求項11及び12のいずれか一項に記載の多層管状構造(MLT)。
【請求項15】
内層(2)のポリアミドが、請求項1に記載のA、B、又はCから選択されるポリアミドをベースとした組成物、特にPA6、PA66、PA6/66、PA11、PA610、PA612、又はPA1012、対応するコポリアミド、及び前記ポリアミド又はコポリアミドのブレンドであり、ラクタムから得られるポリアミドが有利には洗浄される、請求項1から14のいずれか一項に記載の多層管状構造(MLT)。
【請求項16】
外層(3)のポリアミドが、請求項1に記載のB又はCから選択されるポリアミド、特にPA11、PA12、PA610、PA612、又はPA1012、対応するコポリアミド、及び前記ポリアミド又はコポリアミドのブレンドであり、ラクタムから得られるポリアミドが有利には洗浄される、請求項4から15のいずれか一項に記載の多層管状構造(MLT)。
【請求項17】
内層(2)のポリアミドが、請求項1に記載のA、B、又はCから選択されるポリアミドをベースとした組成物、特にPA6、PA66、PA6/66、PA11、PA610、PA612、又はPA1012、対応するコポリアミド、及び前記ポリアミド又はコポリアミドのブレンドであり、ラクタムから得られるポリアミドが有利には洗浄され、外層(3)のポリアミドが、請求項1に記載のB又はCから選択されるポリアミド、特にPA11、PA12、PA610、PA612、又はPA1012、対応するコポリアミド、及び前記ポリアミド又はコポリアミドのブレンドであり、ラクタムから得られるポリアミドが有利には洗浄される、請求項1から16のいずれか一項に記載の多層管状構造(MLT)。
【請求項18】
内層(2)のポリアミド、又は他の層(2)の少なくとも1つのポリアミドが導電性ポリアミドである、請求項1から17のいずれか一項に記載の多層管状構造(MLT)。
【請求項19】
層(4)及び/又は(4’)のポリアミドが、次の二成分ブレンド:PA6とPA12、PA6とPA612、PA6とPA610、PA12とPA612、PA12とPA610、PA1010とPA612、PA1010とPA610、PA1012とPA612、PA1012とPA610、並びに次の三成分ブレンド:PA6、PA610、及びPA12;PA6、PA612、及びPA12;PA6、PA614、及びPA12から選択される、請求項9から18のいずれか一項に記載の多層管状構造(MLT)。
【請求項20】
層(2)、(3)、(4)、及び(4’)のうちの少なくとも1層が、少なくとも1つの耐衝撃性改良剤、及び/又は少なくとも1つの添加剤を含む、請求項9から19のいずれか一項に記載の多層管状構造(MLT)。
【請求項21】
構造が、3つの層を、(3)//(1)//(2)の順序で含み、各層の組成物の全重量に対して、層(3)及び/又は(2)が1.5重量%を超える可塑剤を含まず;特に、層(3)及び/又は(2)が可塑剤を含まない、請求項4から20のいずれか一項に記載の多層管状構造(MLT)。
【請求項22】
構造が、4つの層を、(3’)//(3)//(1)//(2)の順序で含み、層(3’)が請求項6に定義された通りであり、各層の組成物の全重量に対して、層(2)及び/又は(3)が1.5重量%を超える可塑剤を含まず;特に、層(2)及び/又は(3)が可塑剤を含まない、請求項6から20のいずれか一項に記載の多層管状構造(MLT)。
【請求項23】
構造が、5つの層を、
(3’)//(3)//(1)//(5)//(2)の順序で含み、層(1)がEVOH層であり、層(5)がPPA層であり、各層の組成物の全重量に対して、層(2)が1.5重量%を超える可塑剤を含まず;特に、層(2)が可塑剤を含まず、層(3)及び(3’)が可塑剤を含むか、あるいは
(3’)//(3)//(1)//(2)//(5)の順序で含み、層(1)がEVOH層であり、層(5)がPPA層であり、各層の組成物の全重量に対して、層(2)が1.5重量%を超える可塑剤を含まず;特に、層(2)が可塑剤を含まず、層(3)及び(3’)が可塑剤を含むか、あるいは
(3)//(4’)//(1)//(4)//(2)の順序で含み、層(3)が請求項4に記載される通りであり、各層の組成物の全重量に対して、層(2)及び(4)が1.5重量%を超える可塑剤を含まず;特に、層(2)及び/又は(4)が可塑剤を含まず、層(4’)が可塑剤を含む、
請求項11から20のいずれか一項に記載の多層管状構造(MLT)。
【請求項24】
構造が、層を、
(3’)//(3)//(4’)//(1)//(4)//(2)の順序で含み、層(3)及び(3’)が請求項4及び6に記載される通りであり、各層の組成物の全重量に対して、層(2)及び(4)が1.5重量%を超える可塑剤を含まず;特に、層(2)及び/又は(4)が可塑剤を含まず、層(4’)が可塑剤を含む、請求項8から20のいずれか一項に記載の多層管状構造(MLT)。
【請求項25】
端部の一方及び/又は他方にポリアミドコネクタを含み、前記コネクタが前記構造に溶接されていることを特徴とする、請求項1から24のいずれか一項に記載の多層構造。
【請求項26】
前記コネクタのポリアミドが、PA6、PA66、PA6/66、PA11、PA610、PA612、又はPA1012から選択されることを特徴とする、請求項25に記載の構造。
【請求項27】
水素を輸送するための、請求項1から26のいずれか一項に記載の多層管状構造(MLT)の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抽出物低含有量を示す多層管状構造、及び水素を輸送するためのその使用に関する。
【0002】
本発明は、より詳細には、自動車内に存在するチューブに関する。これらのチューブは、例えば、燃料電池に供給するための水素の輸送を目的としうる。
【背景技術】
【0003】
水素は、現在、特に自動車の分野において、多くの製造業者の大きい関心を集めている主題である。追求される目的の1つは、ますます汚染の少ない車両を提供することである。したがって、電池を備えた電気自動車又はハイブリッド自動車は、ガソリン自動車又はディーゼル自動車などの熱自動車を徐々に置き換えることを目的としている。実際のところ、電池は車両の比較的複雑な構成要素であることがわかる。車両内の電池の位置に応じて、衝撃から、並びに極端な温度及び変動する湿度などでありうる外部環境から保護することが必要となる場合がある。火災の危険性も回避する必要がある。
【0004】
さらには、電池のセルを損傷することなく、耐用年数を守るために、動作温度が55℃を超えないようにすることが重要である。逆に、例えば冬などには、電池の動作を最適化するために電池の温度を上げる必要がある場合がある。
【0005】
さらには、電気自動車は今日でも、電池の航続距離、資源が無尽蔵ではない希土類金属の電池での使用、タンクを満たす時間よりもはるかに長い再充電時間、及び電池を充電できるようにするためのさまざまな国における発電の問題など、幾つかの問題を抱えている。
【0006】
したがって、水素は燃料電池によって電気に変換することができ、電気自動車に動力を供給することができることから、電池の代替品となる。
【0007】
よって、燃料電池への水素の供給には、車両内の水素貯蔵タンクと、タンクから燃料電池へと水素を輸送するためのパイプの両方が必要となる。
【0008】
水素を輸送するための水素タンク又はパイプは、概して、水素の透過を防止する必要がある金属又は熱可塑性のライナ(又は気密層)からなる。
【0009】
基本原理は、互いに独立して管理するために、気密性と機械的強度という2つの重要な機能を分離することである。このタイプのタンクでは、熱可塑性樹脂で作られたライナ(又は気密性のシース)が、強化シース又は層とも呼ばれる繊維(ガラス、アラミド、炭素)で構成される補強構造と組み合わされており、これにより、重量を軽減し、激しい外部攻撃が発生した場合の爆発破裂のリスクを回避しつつ、はるかに高い圧力での動作が可能となる。
【0010】
水素輸送パイプは、水素の透過を可能な限り制限する必要がある。
【0011】
それらは低い水素透過性を示す必要がある;これは、パイプの透過性がパイプの水素損失を制限する重要な要素であるためである;
低温(-40~-60℃)での良好な機械的(疲労)特性;
85℃での耐熱性。
【0012】
それにもかかわらず、燃料電池は、その性能品質と耐久性を低下させるさまざまな汚染物質に非常に敏感である。
【0013】
これらの汚染物質は、次の幾つかの起源:
その製造プロセスに起因する水素自体、
水素輸送用のタンク及び/又はパイプの製造(ここで、例えば揮発性有機化合物又は水などのさまざまな天然成分が、特に気密層の熱可塑性ポリマーに捕捉され、その後、前記気密層と接触する水素によって抽出される)、
その後に前記気密層と接触する水素によって抽出することが可能である、熱可塑性ポリマー中の成分の存在
に由来する可能性がある。
【0014】
Chenら(A Review of PEM Hydrogen Fuel Cell Contamination: Impact, Mechanisms and Mitigation, Journal of Power Sources, 165 (2007), 739-756)によれば、研究、開発、及び実証において燃料電池の燃料として用いられる水素は、主に、市販される供給源から得られる。水素の製造プロセスは、主に、天然ガスからのメタン及びバイオマスからのメタノールを含めた、炭化水素又は酸素化炭化水素から出発する改質によって行われるが、電気分解、小さい有機分子の部分酸化、及び水素化ホウ素ナトリウムの加水分解によっても行われる。
【0015】
したがって、燃料電池とともに用いられる水素輸送パイプは、上に挙げた基本特性を示すだけでなく、水素には、前記タンク及び/又はパイプの気密層と接触した後に、前記気密層から抽出される汚染物質が最小限しか含まれていない必要がある。
【発明の概要】
【0016】
この二重の問題は、水素の輸送を目的とした本発明の多層構造を提供することによって解決される。
【0017】
本発明は、外側から内側に向かって、少なくとも1つのバリア層(1)と、該バリア層の下に位置する少なくとも1つの内層(2)とを含む、水素の輸送を目的とした多層管状構造(MLT)であって、
前記内層(2)、又は層(2)とバリア層の下に位置する他の任意選択的な層との組合せが、それぞれ、層(2)の組成物の全重量に対して、又は層(2)の組成物とバリア層の下に位置する他の任意選択的な層との組合せの全重量に対して、平均して0重量%~1.5重量%の可塑剤を含み、
前記内層(2)が、前記組成物の成分の合計の3重量%以下、特に2重量%未満の抽出物含有量を示し、
前記内層(2)が、主に、少なくとも1つの脂肪族タイプのポリアミドを含むか、又は75%を超える脂肪族単位からなり、前記脂肪族ポリアミドが、
- Aで示されるポリアミドであって、Cで示される窒素原子あたりの平均炭素原子数が4~8.5、有利には4~7であるもの;
- Bで示されるポリアミドであって、Cで示される窒素原子あたりの平均炭素原子数が7~10、有利には7.5~9.5であるもの;
- Cで示されるポリアミドであって、Cで示される窒素原子あたりの平均炭素原子数が9~18、有利には10~18であるもの;
から選択され、
ただし、前記内層(2)が少なくとも3つのポリアミドを含む場合、前記ポリアミドA、B、及びCのうちの少なくとも1つが除外される、
多層管状構造(MLT)に関する。
【0018】
水素の輸送を目的とした物体が水素の貯蔵にも用いられる場合であっても、本発明の範囲から逸脱するものではない。
【0019】
「層(2)とバリア層の下に位置する他の任意選択的な層との組合せ」という表現は、バリア層の下に位置するすべての層を意味する。
【0020】
したがって、本発明者らは、(一又は複数の)内層に可塑剤が存在しないか、又は少なくとも非常に低い割合で存在すること、すなわち、バリア層の下に位置する(一又は複数の)層により、水素中に存在し、水素と前記内層(2)との接触後に前記内層(2)から抽出される汚染物質の割合を大幅に低減することが可能となり、水素中で抽出される前記汚染物質の割合の合計が前記組成物の成分の合計の3重量%以下、特に2重量%未満になることを見出した。
【0021】
一実施形態では、抽出物の含有量は、規格CSA/ANSI CHMC 2:19に従って決定される。
【0022】
別の実施形態では、抽出物の含有量は、前記管状構造にFAM-Bタイプのアルコール含有ガソリンを60℃で96時間充填し、その後、前記管状構造の内容物を空にし、前記内容物をビーカー内に濾過し、エバポレートし、次にエバポレーション残留物の重量を量ることによって決定され、これが抽出物の含有量に相当する。
【0023】
さらに別の実施形態では、抽出物の含有量は、規格CSA/ANSI CHMC 2:19に従って決定されるか、又は前記管状構造にFAM-Bタイプのアルコール含有ガソリンを60℃で96時間充填し、その後、前記管状構造の内容物を空にし、前記内容物をビーカー内に濾過し、エバポレートし、次にエバポレーション残留物の重量を量ることによって決定され、これが抽出物の含有量に相当する。
【0024】
したがって、本発明の多層構造は、水素に対して良好な透過性を示し、揮発性有機化合物(VOC)の抽出量が低い。
【0025】
「前記内層(2)は、水素中に存在し、水素によって前記内層(2)から抽出される汚染物質の試験を満たす」という表現は、タンクであろうとパイプであろうと、水素中に存在し、水素との接触後に内層(2)から生じる汚染物質の割合が、燃料電池の適切な機能を妨げる制限値を超えないことを意味する。
【0026】
規格CSA/ANSI CHMC 2:19には、使用中、水素への曝露中にポリマーのヘッドスペース内の揮発性成分を決定するために用いられる手順の詳細が記載されている。
【0027】
「水素と後者との接触後」という表現は、上と同様に、使用中の水素への曝露を意味する。
【発明を実施するための形態】
【0028】
装置
試験装置は次の要素を備えている必要がある:
(a)ガス試料を予濃縮するためのクライオフォーカス;
(b)適切な選択質量検出器と直列に接続された、適切なカラムを使用するガスクロマトグラフ;
(c)ヘッドスペースバイアル(40ml)、セプタム、閉環部、及びバイアルシーラント;
(d)最大60.0001gまで計量することができる分析天秤;及び
(e)70±5℃の温度を維持することができる対流式オーブン。
【0029】
試験環境
水素ガスの純度
以下に説明するように、調整用水素ガスは既知の組成及び既知の純度のものでなければならない。
【0030】
試験電池の充填に用いられる水素ガスの純度は、少なくとも、ISO規格14687:2019のパート1~3、又はSAE J2719(2015)に準拠している必要がある。ISO 14687-2は、これらのISO規格の中で各不純物の閾値が最も低く、最も厳格な水素品質仕様を規定している(表1を参照)。SAE J2719は、陽子交換膜(PEM)燃料電池車両にも適用され、ISO 14687-2と調和している。
【0031】
測定と計装
水素透過率の測定を行う温度は±1℃以内に制御する必要がある。試験圧力は試験値の1%以内で一定に保つ必要がある。
【0032】
試験手順
試験手順は、ISO規格14687:2019のセクション5.6に記載されている。
【0033】
汚染物質について
「汚染物質」という用語は、前記汚染物質が、水素によって前記気密層から抽出される瞬間、及び、例えば水素が得られるプロセスによって、車両の燃料電池を動作させるために前記多層構造に導入される水素中にまだ存在していない瞬間から始まる、用語の広い意味で理解される。
【0034】
例えば、「汚染物質」という用語には、ポリアミドに用いられる安定剤によって生成されうる、例えばK、Cu2+、Ni2+、及びFe3+などの金属カチオン、有機安定剤又は金属安定剤そのもの、可塑剤、オリゴマー、特に、カプロラクタム及びその環状二量体1.8-ジアザシクロテトラデカン-2,7-ジオン(DCDD)、例えばNH、NO、SOx、N、安息香酸化合物、Oなどの揮発性有機化合物、気密層の製造後にポリアミドに吸収された水、例えば油などの脂肪物質が含まれる。
【0035】
したがって、揮発性有機化合物は、上のリストに記載されている他のすべての物質を排除する。
【0036】
水素中における前記抽出された汚染物質の割合の合計は、前記組成物の成分の合計の3重量%以下、特に2重量%未満である。したがって、前記抽出された汚染物質のこの割合の合計は、水素の製造プロセス又は任意の他の供給源に由来する汚染物質の割合を考慮していない。
【0037】
有利には、水素中における前記抽出された汚染物質の割合の合計は、0.01重量%~3重量%、特に0.01重量%~2重量%、より具体的には0.01重量%~1重量%、特に0.01重量%~0.5重量%である。
【0038】
第1の代替形式では、抽出された汚染物質は、可塑剤、安定剤、オリゴマー、水、脂肪物質、揮発性有機化合物、及びこれらの混合物から選択される。
【0039】
有利には、この第1の代替形式では、各個々の抽出された汚染物質の重量割合は1%以下である。
【0040】
この第1の代替形式の一実施形態では、抽出された汚染物質の構成は次の通りである:
最大1%の可塑剤、
最大0.5%の安定剤、
最大1%のオリゴマー、
最大0.5%の水、
最大0.5%の脂肪物質、及び
最大0.5%の揮発性有機化合物、
抽出された汚染物質の合計は、前記組成物の成分の合計の3%以下、特に2重量%未満である。
【0041】
有利には、この第1の代替形式のこの実施形態では、水素中における前記抽出された汚染物質の割合の合計は、0.01重量%~3重量%、特に0.01重量%~2重量%、より具体的には0.01重量%~1重量%、特に0.01重量%~0.5重量%である。
【0042】
さらに有利には、この第1の代替形式のこの実施形態では、各個々の抽出された汚染物質の重量割合は1%以下である。
【0043】
第2の代替形式では、抽出された汚染物質は、安定剤、水、油、揮発性有機化合物、及びこれらの混合物から選択される。
【0044】
有利には、この第2の代替形式では、各個々の抽出された汚染物質の重量割合は0.5%以下である。
【0045】
この第2の代替形式の一実施形態では、抽出された汚染物質の構成は次の通りである:
最大0.5%の安定剤、
最大0.5%の水、
最大0.5%の脂肪物質、及び
最大0.5%の揮発性有機化合物、
汚染物質の合計は、前記組成物の成分の合計の2重量%以下である。
【0046】
有利には、この第2の代替形式のこの実施形態では、水素中における前記抽出された汚染物質の割合の合計は、0.01重量%~2重量%、より具体的には0.01重量%~1重量%、特に0.01重量%~0.5重量%である。
【0047】
さらに有利には、この第2の代替形式のこの実施形態では、各個々の抽出された汚染物質の重量割合は0.5%以下である。
【0048】
バリア層について
「バリア層」という表現は、透過性が低く、水素に対する耐性が良好であるという特性を有する層を意味し、すなわち、バリア層は、構造の他の層又は構造の外側への水素の通過を遅くする。
【0049】
したがって、バリア層とは、何よりもまず、拡散によって大気中に過剰な水素が失われないようにすることを可能にし、それによって爆発及び発火の問題を回避することを可能にする層である。
【0050】
有利には、バリア層(1)は、23℃で水素に対して漏洩しない、すなわち23℃での水素に対する透過率は、23℃、相対湿度(RH)0%で100cc.mm/m.24時間.atm未満である。
【0051】
透過率はまた、(cc.mm/m.24時間.Pa)で表すこともできる。
【0052】
次に、透過率を101,325倍する必要がある。
【0053】
これらのバリア材料は、炭素含有量が低いポリアミド、すなわち窒素原子(N)に対する炭素原子(C)の平均数が9未満であるポリアミドとすることができ、好ましくは半結晶性で高融点のポリフタルアミド(PPA)であるか、及び/又は、例えば高結晶性ポリマー、例えばエチレンとビニルアルコールとのコポリマー(以下、EVOHと示す)などの非ポリアミドバリア材料であってもよく、実際には、例えば官能化ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、エチレンとテトラフルオロエチレンとの官能化コポリマー(ETFE)、エチレンとテトラフルオロエチレンとヘキサフルオロプロピレンとの官能化コポリマー(EFEP)、官能化ポリフェニレンスルフィド(PPS)、又は官能化ポリブチレンナフタレート(PBN)などの官能化フッ素化材料であってもよい。これらのポリマーが官能化されていない場合には、MLT構造内で良好な接着を確保するために中間結合層を追加することが可能である。
【0054】
一実施形態では、前記バリア層(1)は、EVOH層、フルオロポリマー層、特にPVDF層、及びPPA層から選択される。
【0055】
これらのバリア材料の中でもとりわけ、EVOH、特にビニルアルコールコモノマーが最も豊富なEVOH、及び耐衝撃性が改良されたEVOHは、より強力な構造を生成することが可能であるため、特に有利である。
【0056】
別の実施形態では、本発明は、バリア層(1)がEVOH層である、上で定義された多層管状構造(MLT)に関する。
【0057】
別の実施形態では、本発明は、EVOHが、最大27%のエチレンを含むEVOHである、上で定義された多層管状構造(MLT)に関する。
【0058】
別の実施形態では、本発明は、EVOHが、耐衝撃性改良剤を含むEVOHである、上で定義された多層管状構造(MLT)に関する。
【0059】
別の実施形態では、本発明は、バリア層(1)がポリフタルアミド(PPA)層である、上で定義された多層管状構造(MLT)に関する。
【0060】
「PPA」という用語は、少なくとも1つの芳香族モノマーを含む単位の大部分を含むポリアミドを主成分とする組成物、特にコポリアミド6.T/x(式中、xは1つ以上のコモノマーを示す)タイプのポリフタルアミド、例えば、DuPont社のZytel HTN製品、例えばEMS社のGrivory HT製品、例えばSolvay社のAmodel製品、例えばKuraray社のGenestar製品、例えばcoPA6T/6I、coPA6T/66、coPA6T/6、coPA6T/6I/66、PPA9T、coPPA9T/x、PPA10T、coPPA10T/xをベースとしたPPA組成物を意味する。
【0061】
ポリアミドについて
本特許出願によれば、「PA」とも呼ばれる「ポリアミド」という用語は、次を対象としている:
- ホモポリマー、
- 異なるアミド単位に基づくコポリマー又はコポリアミド、例えば、ラクタム-6及びラクタム-12に由来するアミド単位を有するコポリアミド6/12、
- ポリアミド合金、ただし、ポリアミドが主成分である場合に限る。
【0062】
また、広義のコポリアミドのカテゴリーも存在し、これらは好ましくはないが、本発明の範囲内に含まれる。それらは、アミド単位だけでなく、非アミド性質の単位、例えばエーテル単位も含む、コポリアミドである(アミド単位が優勢であるため、広義のコポリアミドとみなされる)。最もよく知られている例は、PEBA又はポリエーテル-ブロック-アミド、及びそれらのコポリアミド-エステル-エーテル、コポリアミド-エーテル、又はコポリアミド-エステルの変形である。これらの中でもとりわけ、ポリアミド単位がPA12のものと同じであるPEBA-12、及びポリアミド単位がPA6.12のものと同じであるPEBA-6.12を挙げることができる。
【0063】
ホモポリアミド、コポリアミド、及び合金は、窒素原子あたりの炭素原子の数によっても区別され、アミド(-CO-NH-)基と同じ数の窒素原子が存在することが知られている。
【0064】
高炭素含有量のポリアミドとは、窒素(N)原子に対して炭素(C)原子の含有量が高いポリアミドである。これらは、窒素原子あたり少なくとも9個の炭素原子を有するポリアミド、例えば、ポリアミド-9、ポリアミド-12、ポリアミド-11、ポリアミド-10.10(PA10.10)、コポリアミド12/10.T、コポリアミド11/10.T、ポリアミド-12.T、又はポリアミド-6.12(PA6.12)などである。Tはテレフタル酸を表す。
【0065】
ポリアミドの定義に用いられる命名法は、ISO規格1874-1:1992の“Plastics - Polyamide (PA) moulding and extrusion materials - Part 1: Designation”、特に、3ページ(表1及び2)に記載されており、当業者にはよく知られている。
【0066】
低炭素含有量のポリアミドとは、窒素(N)原子に対して炭素(C)原子の含有量が低いポリアミドである。これらは、窒素原子あたり約9個未満の炭素原子を有するポリアミド、例えば、ポリアミド-6、ポリアミド-6.6、ポリアミド-4.6、コポリアミド-6.T/6.6、コポリアミド6.I/6.6、コポリアミド6.T/6.I/6.6、又はポリアミド9.Tなどである。Iはイソフタル酸を表す。
【0067】
PA-X.Yタイプのホモポリアミドの場合(Xはジアミンから得られる単位を示し、Yは二酸から得られる単位を示す)、窒素原子あたりの炭素原子の数は、ジアミンXから生じる単位と二酸Yから生じる単位中に存在する炭素原子の数の平均である。したがって、PA6.12は、窒素原子あたり9個の炭素原子を有するPAであり、言い換えれば、CPAである。PA6.13はC9.5である。
【0068】
コポリアミドの場合、窒素原子あたりの炭素原子数は同じ原理に従って計算される。計算は、さまざまなアミド単位からモル比例ベースで行われる。非アミドタイプの単位を有するコポリアミドの場合、計算はアミド単位の部分のみで行われる。したがって、例えば、アミド-12単位とエーテル単位とのブロック共重合体であるPEBA-12の場合、窒素原子あたりの平均炭素原子数は、PA12では12になり;PEBA-6.12の場合、PA6.12と同様に9になる。
【0069】
したがって、例えばポリアミドPA12又は11などの炭素含有量の高いポリアミドは、EVOHポリマー、例えばポリアミドPA6などの炭素含有量の低いポリアミド、又はポリアミドPA6とポリオレフィンとの合金(例えば、Arkema社から販売されているOrgalloy(登録商標))に接着するのが困難である。
【0070】
層(2)について
ただ1つの層(2)が存在する場合、それは水素と接触する。
【0071】
幾つかの層(2)が存在する場合、内層の1つが1.5重量%を超える可塑剤の割合を示す可能性があるが、この場合、1.5%を超える可塑剤の割合は、層の厚さが非常に薄くなることよって補われ、組み合わされた内層に存在する可塑剤の平均値は1.5%を超えなくなる。この層内の可塑剤の割合は最大15%になりうるが、その厚さはチューブの総厚の10%を超えない;好ましくは、厚さは100μmを超えない。
【0072】
この非常に薄い層は、バリア層と直接接触することも、最内層となって水素と接触することもできる。
【0073】
「前記内層(2)が、主に、少なくとも1つの脂肪族タイプのポリアミドを含む」という表現は、前記脂肪族タイプのポリアミドが層(2)中に50重量%を超える割合で存在することを意味する。脂肪族タイプのポリアミドは直鎖状であり、脂環式タイプではない。
【0074】
有利には、(一又は複数の)層(2)の前記主な脂肪族タイプのポリアミドは、主に、脂肪族単位、すなわち50%を超える脂肪族単位も含む。
【0075】
有利には、(一又は複数の)層(2)の前記主な脂肪族タイプのポリアミドは、75%を超える脂肪族単位からなり;好ましくは、(一又は複数の)層(2)の前記主な脂肪族タイプのポリアミドは、完全に脂肪族である。
【0076】
有利な実施形態では、前記内層(2)、又は該層(2)とバリア層の下に位置する他の任意選択的な層との各々は、それぞれ、層(2)の組成物の全重量に対して、又は層(2)及びバリア層の下に位置する他の任意選択的な層の各組成物の全重量に対して、0重量%~1.5重量%の可塑剤を含む。
【0077】
有利な実施形態では、上で定義された多層管状構造(MLT)では、前記内層(2)、又は該層(2)とバリア層の下に位置する他の任意選択的な層との各々は、可塑剤を含まない。
【0078】
この実施形態では、バリア層の下に位置するすべての層には可塑剤が完全に含まれず、本発明の好ましい構造の1つを構成する。
【0079】
一実施形態では、PA12は、層(2)又は存在する層(2)のポリアミドCの定義から除外される。
【0080】
有利には、上で定義された多層管状構造(MLT)では、内層(2)のポリアミドは、上で定義されたA、B、又はCから選択されるポリアミドをベースとした組成物、特にPA6、PA66、PA6/66、PA11、PA610、PA612、又はPA1012、対応するコポリアミド、及び前記ポリアミド又はコポリアミドのブレンドであり、ラクタムから得られるポリアミドは有利には洗浄され、外層(3)のポリアミドは、上で定義されたB又はCから選択されるポリアミド、特にPA11、PA12、PA610、PA612、又はPA1012、対応するコポリアミド、及び前記ポリアミド又はコポリアミドのブレンドであり、ラクタムから得られるポリアミドは有利には洗浄される。
【0081】
別の実施形態では、本発明は、内層(2)又は他の層(2)の少なくとも1つのポリアミドが導電性ポリアミドである、以下に定義される多層管状構造(MLT)に関する。
【0082】
本発明の管状構造が幾つかの層(2)を含む場合、導電層は最も内側の層、すなわち水素と接触する層である。
【0083】
有利には、上で定義された多層管状構造(MLT)では、内層(2)のポリアミドは、上で定義されたA、B、又はCから選択されるポリアミドをベースとした組成物、特にPA6、PA66、PA6/66、PA11、PA610、PA612、又はPA1012、対応するコポリアミド、及び前記ポリアミド又はコポリアミドのブレンドであり、ラクタムから得られるポリアミドは、有利には洗浄される。
【0084】
層(3)について
有利な実施形態では、本発明は、バリア層の上に位置する少なくとも1つのさらなる外層(3)が存在し、前記外層(3)が、主に、少なくとも1つの脂肪族タイプのポリアミドを含むか、又は75%を超える脂肪族単位からなり、特に、前記脂肪族ポリアミドが、窒素原子あたり、9.5~18、有利には11~18の平均炭素原子数を示す、上で定義された多層管状構造(MLT)に関する。
【0085】
「前記外層(3)が、主に、少なくとも1つの脂肪族タイプのポリアミドを含む」という表現は、前記脂肪族タイプのポリアミドが層(3)中に50重量%を超える割合で存在することを意味する。脂肪族タイプのポリアミドは直鎖状であり、脂環式タイプではない。
【0086】
有利には、(一又は複数の)層(3)の前記主な脂肪族タイプのポリアミドは、主に、脂肪族単位、すなわち50%を超える脂肪族単位も含む。
【0087】
有利には、(一又は複数の)層(3)の前記主な脂肪族タイプのポリアミドは、75%を超える脂肪族単位からなり;好ましくは、(一又は複数の)層(3)の前記主な脂肪族タイプのポリアミドは、完全に脂肪族である。
【0088】
有利には、(一又は複数の)層(2)及び(一又は複数の)層(3)の前記主な脂肪族タイプのポリアミドは、主に、脂肪族単位、すなわち50%を超える脂肪族単位も含む。
【0089】
有利には、(一又は複数の)層(2)及び(一又は複数の)層(3)の前記主な脂肪族タイプのポリアミドは、75%を超える脂肪族単位からなり;好ましくは、(一又は複数の)層(2)及び(一又は複数の)層(3)の前記主な脂肪族タイプのポリアミドは、完全に脂肪族である。
【0090】
有利には、本発明は、前記外層(3)が、層(3)の組成物の全重量に対して0%~15%の可塑剤を含む、又は合わせた外層が、平均して0%~5%の可塑剤を含む、上で定義された多層管状構造(MLT)に関する。
【0091】
抽出物の割合を大幅に増加させることなく、外層、すなわちバリア層の上に位置する(一又は複数の)層に、より大きい割合の可塑剤を含めることが可能である。
【0092】
層(2)について既に示したように、幾つかの層(3)が存在する場合には、外層の1つが、例えば15重量%など、より大きい割合の可塑剤を示すことも可能であるが、この場合、可塑剤の割合は層の厚さがはるかに薄くなることによって補われ、組み合わされた内層に存在する可塑剤の平均値は5%を超えなくなる。この層内の可塑剤の割合は最大15%まででありうるが、その厚さはチューブの総厚の20%を超えず;好ましくは、厚さは200μmを超えない。
【0093】
層(3’)について
有利には、本発明は、バリア層の上に位置する少なくとも1つの第2の外層(3’)が存在し、好ましくは層(3)の上に位置し、前記層(3’)は可塑化されており、前記可塑剤が、特に、前記層の組成物の全重量に対して1.5重量%~15重量%の割合で存在し;好ましくは、前記層(3′)の厚さは、管状構造の全厚の最大20%まで、特に最大200μmまでに相当する、上で定義された層(3)を含む多層管状構造(MLT)に関する。
【0094】
層(3’)は、層(3)と同様に、主に脂肪族タイプのポリアミドを含み、すなわち、前記脂肪族タイプのポリアミドは、層(3’)中に50重量%超える割合で存在する。脂肪族タイプのポリアミドは直鎖状であり、脂環式タイプではない。
【0095】
有利には、(一又は複数の)層(3’)の前記主な脂肪族タイプのポリアミドは、主に、脂肪族単位、すなわち50%を超える脂肪族単位も含む。
【0096】
有利には、(一又は複数の)層(3’)の前記主な脂肪族タイプのポリアミドは、75%を超える脂肪族単位からなり;好ましくは、(一又は複数の)層(3’)の前記主な脂肪族タイプのポリアミドは、完全に脂肪族である。
【0097】
別の実施形態では、本発明は、(一又は複数の)層(3)が、前記層の組成物又は層(3)の組合せ組成物の全重量に対して、最大1.5重量%の可塑剤を含む、多層管状構造(MLT)に関する。
【0098】
有利には、多層管状構造(MLT)は、ただ1つの層(3)を含み、可塑剤を含まない。
【0099】
有利には、多層管状構造(MLT)は、ただ1つの層(3)及びただ1つの層(2)を含み、層(2)及び(3)は可塑剤を含まない。
【0100】
別の実施形態では、本発明は、バリア層の上に位置するすべての層の可塑剤の含有量が、バリア層の上に位置するすべての層の組成物の全重量に対して、最大でも5重量%である、多層管状構造(MLT)に関する。
【0101】
別の実施形態では、本発明は、層(3’)が、最外層であり、可塑化される唯一の層であり、(一又は複数の)層(3)は可塑剤を含まない、多層管状構造(MLT)に関する。
【0102】
可塑剤の割合は、層(3’)の組成物の全重量の最大15重量%に相当しうる。可塑剤の割合が多いほど、層(3’)は薄くなり、前記層(3’)の厚さは、好ましくは、管状構造の全厚の最大20%まで、特に最大200μmまでに相当する。
【0103】
有利には、多層管状構造(MLT)は、外側から内側に向かって(3’)//(3)//(1)//(2)の4つの層からなり、層(3’)は上で定義した比率で可塑化された唯一の層であり、層(3)及び層(2)は可塑剤を含まない。
【0104】
外側から内側に向かって(3’)//(3)//(1)//(2)の4つの層からなる多層管状構造(MLT)は、該構造が相対湿度0%~30%の非常に低い含水量で非常に乾燥している場合、t=0での破断伸びを有するという利点を示し、これは非常に優れており、特に、可塑剤を含まない層(3’)、(3)、及び(2)の構造よりも優れている。
【0105】
有利には、この後者の実施形態では、層(3’)は最外層であり、後者のポリアミドは長鎖ポリアミドであり、すなわちCcで示される窒素原子あたりの平均炭素原子数が9.5~18であり、層(3)は、バリア層と層(3’)との間に位置し、この層(3)のポリアミドは短鎖ポリアミドであり、すなわちCで示される窒素原子あたりの平均炭素原子数が4~9である。
【0106】
有利には、この後者の実施形態では、層(3’)は100~200μmの厚さを有し、層(3)は少なくとも200μmの厚さを示し、層(1)は100~200μmの厚さを示す。
【0107】
有利には、この後者の実施形態では、層(3’)は最外層であり、後者のポリアミドは長鎖ポリアミドであり、すなわちCcで示される窒素原子あたりの平均炭素原子数が9.5~18であり、層(3)は、バリア層と層(3’)との間に位置し、この層(3)のポリアミドは短鎖ポリアミドであり、すなわちCAで示される窒素原子あたりの平均炭素原子数が4~9、層(3’)は100~200μmの厚さを有し、層(3)は少なくとも200μmの厚さを示し、層(1)は100~200μmの厚さを示す。
【0108】
有利には、多層管状構造(MLT)は、外側から内側に向かって、(3’)//(3)//(1)//(2)//(2’)の5つの層からなり、層(3’)は上で定義した比率で可塑化された唯一の層であり、層(3)及び層(2)及び(2’)は可塑剤を含まず、層(2’)は層(2)について定義されたポリアミドであるが、層(2)のポリアミドとは異なる。このタイプの構造は、該構造を過度に硬化させることなく、非常に低い湿度条件下で破断点伸びを増加させることができる。
【0109】
層の数が3層、4層、5層、又はそれ以上であっても、好ましい管状構造は可塑剤をできるだけ少なく含む構造であり、最も内側の層、すなわち流体に最も近い層に含まれる可塑剤の量が最も少ないことが好ましい。これらの構造は次の通りでありうる:
- 水素と接触する内面から厚さの最初の50%に1.5%を超える可塑剤を含まない多層管状構造(MLT)
- 水素と接触する内面から厚さの最初の75パーセントに1.5%を超える可塑剤を含まない多層管状構造(MLT)
- 水素と接触する内面から厚さの最初の85パーセントに1.5%を超える可塑剤を含まない多層管状構造(MLT)
- 水素と接触する内面から厚さの最初の50%に可塑剤を含まない多層管状構造(MLT)
- 水素と接触する内面から厚さの最初の75パーセントに可塑剤を含まない多層管状構造(MLT)
- 水素と接触する内面から厚さの最初の85パーセントに可塑剤を含まない多層管状構造(MLT)
【0110】
層(4)及び層(4’)について
別の実施形態では、本発明は、少なくとも1つの層(4)が存在し、前記層(4)が、層(4)の構成成分の全重量に対して15重量%を超える可塑剤を含まず、好ましくは1.5重量%以下の可塑剤を含み;有利には、層(4)は可塑剤を含まず、前記層(4)が、主に、少なくとも1つの脂肪族タイプのポリアミドを含むか、又は75%を超える脂肪族単位からなる、上で定義された多層管状構造(MLT)に関し、ここで、前記脂肪族ポリアミドは、
- Aで示されるポリアミドであって、CAで示される窒素原子あたりの平均炭素原子数が4~8.5、有利には4~7であるもの;
- Bで示されるポリアミドであって、CBで示される窒素原子あたりの平均炭素原子数が7~10、有利には7.5~9.5であるもの;
- Cで示されるポリアミドであって、CCで示される窒素原子あたりの平均炭素原子数が9~18、有利には10~18であるもの;
から選択され、
ただし、前記層(4)が少なくとも3つのポリアミドを含む場合、前記ポリアミドA、B、及びCのうちの少なくとも1つは除外され、
前記層(4)が、バリア層(1)と内層(2)との間、及び/又は外層(3)とバリア層(1)との間に位置するか、又は
前記層(4)が結合層であり、その厚さは(MLT)構造の最大15%に相当する。
【0111】
層(4)は、結合層ではない場合には、層(2)、(3)、及び(3’)について定義された脂肪族タイプのポリアミドである。
【0112】
有利には、本発明の管状構造は、外側から内側に向かって、(3)//(4)//(1)//(2)からなる4層構造であり、層(3)は上記のように最大15%まで可塑化されており、薄く、層(4)は、上で定義された結合層とは異なる場合、可塑剤を含まず、層(2)も含まない。
【0113】
有利には、本発明の管状構造は、外側から内側に向かって以下の層からなる、4層構造である:(3)//(1)//(4)//(2)、層(3)は上記のように最大15重量%まで可塑化されており、好ましくは薄く、層(4)は、上で定義された結合層とは異なる場合、可塑剤を含まず、層(2)も含まない。
【0114】
それにもかかわらず、最大15重量%まで可塑化されたこの層(3)は薄すぎてはならず、そうでなければ、バリア層が十分に中心に位置せず、MLT構造が衝撃の点で十分に優れていないリスクがある。一方、層(3)と層(1)との間に追加の厚い(非可塑化)層が存在する場合、層(1)が中心から過度に偏らないように、層を非常に薄くすることができる。
【0115】
これら2つのタイプの4層構造には、別の層(2’)及び/又は層(3’)が存在することもできる。
【0116】
前記層(4)は、特に欧州特許第1452307号及び同第1162061号、同第1216826号及び同第0428833号に記載されているように、結合層であってもよい。
【0117】
層(3)と(1)、又は(1)と(2)が互いに接着していることが暗黙的に示されている。結合層は、互いに接着しないか、又は接着が困難な2つの層の間に介在することが意図されている。
【0118】
結合層は、例えば、Mnが16,000のコポリアミド6/12(重量比70/30)50%及びMnが16,000のコポリアミド6/12(重量比30/70)50%をベースとした組成物、Admer QF551A(Mitsui社)の名称で知られる、無水マレイン酸でグラフトされたPP(ポリプロピレン)をベースとした組成物;PA610(Mn30,000、他で定義されている)、PA6(Mn28,000)36%、並びに有機安定剤1.2%(フェノールLowinox 44B25(Great Lakes社製)0.8%、亜リン酸Irgafos 168(Ciba社製)0.2%、及びUV安定剤Tinuvin 312(Ciba社製)0.2%からなる)をベースとした組成物;PA612(Mn29,000、他で定義されている)、PA6(Mn28,000、他で定義されている)36%、並びに有機安定剤1.2%(フェノールLowinox 44B25(Great Lakes社製)0.8%、亜リン酸Irgafos 168(Ciba社製)0.2%、及びUV安定剤Tinuvin 312(Ciba社製)0.2%からなる)をベースとした組成物;PA610(Mn30,000、他で定義されている)、PA12(Mn35,000、他で定義されている)36%、並びに有機安定剤1.2%(フェノールLowinox 44B25(Great Lakes社製)0.8%、亜リン酸Irgafos 168(Ciba社製)0.2%、及びUV安定剤Tinuvin 312(Ciba社製)0.2%からなる)をベースとした組成物;PA6(Mn28,000、他で定義されている)40%、PA12(Mn35,000、他で定義されている)40%、官能化EPR Exxelor VA1801(Exxon社製)20%、並びに有機安定剤1.2%(フェノールLowinox 44B25(Great Lakes社製)0.8%、亜リン酸Irgafos 168(Ciba社製)0.2%、及びUV安定剤Tinuvin 312(Ciba社製)0.2%からなる)をベースとした組成物;又はPA6.10(Mn30,000、他で定義されている)40%、PA6(Mn28,000、他で定義されている)40%、及び重量比68.5/30/1.5のエチレン/アクリル酸エチル/無水物タイプの耐衝撃性改良剤(190℃、2.16kgでMFI6)20%、並びに有機安定剤1.2%(フェノールLowinox 44B25(Great Lakes社製)0.8%、亜リン酸Irgafos 168(Ciba社製)0.2%、及びUV安定剤Tinuvin 312(Ciba社製)0.2%からなる)をベースとした組成物でありうるが、これらに限定されない。
【0119】
別の実施形態では、本発明は、層(4’)が存在し、前記層(4’)が、主に、少なくとも1つの脂肪族タイプのポリアミドを含むか、又は75%を超える脂肪族単位からなる、上で定義された多層管状構造(MLT)に関し、ここで、前記脂肪族ポリアミドは、
- Aで示されるポリアミドであって、CAで示される窒素原子あたりの平均炭素原子数が4~8.5、有利には4~7であるもの;
- Bで示されるポリアミドであって、CBで示される窒素原子あたりの平均炭素原子数が7~10、有利には7.5~9.5であるもの;
- Cで示されるポリアミドであって、CCで示される窒素原子あたりの平均炭素原子数が9~18、有利には10~18であるもの;
から選択され、
ただし、前記層(4’)が少なくとも3つのポリアミドを含む場合、前記ポリアミドA、B、及びCのうちの少なくとも1つは除外されるか、又は
前記層(4’)が結合層であり、その厚さは(MLT)構造の最大15%に相当し、
前記層(4’)の前記少なくとも1つのポリアミドが、層(4)の前記ポリアミドと同一であることも、異なることも可能であり;
前記層(4’)は外層(3)とバリア層(1)との間に位置し、前記結合層(4)はバリア層(1)と内層(2)との間に位置する。
【0120】
層(4’)は、可塑剤を含んでも含まなくてもよい。有利には、層(2)及び層(4)と同様に、可塑剤を欠いており、層(3)は、上で定義されたように、可塑化されているが薄い。
【0121】
別の実施形態では、本発明は、内層(2)のポリアミド又は外層(3)のポリアミドが完全に脂肪族ポリアミドであり;好ましくは、内層(2)のポリアミド及び外層(3)のポリアミドが完全に脂肪族ポリアミドである、上で定義された多層管状構造(MLT)に関する。
【0122】
有利には、上で定義された多層管状構造(MLT)では、層(4)及び/又は(4’)のポリアミドは、窒素原子あたりの平均炭素原子数が10以上のポリアミドと、窒素原子あたりの平均炭素原子数が6以下のポリアミドとのブレンドであり、例えば、PA12及びPA6、並びに無水物官能化(コ)ポリオレフィンである。
【0123】
有利には、上で定義された多層管状構造(MLT)では、層(4)及び/又は(4’)のポリアミドは、次の二成分ブレンド:PA6とPA12、PA6とPA612、PA6とPA610、PA12とPA612、PA12とPA610、PA1010とPA612、PA1010とPA610、PA1012とPA612、PA1012とPA610、並びに三成分ブレンド:PA6、PA610、及びPA12;PA6、PA612、及びPA12;PA6、PA614、及びPA12から選択される。
【0124】
層(5)について
別の実施形態では、本発明は、第2のバリア層(5)が存在し、前記第2のバリア層(5)が、第1のバリア層(1)に隣接するか又は隣接せず、前記バリア層(1)の下に位置する、上で定義された多層管状構造(MLT)に関する。
【0125】
特にアルコール含有ガソリン、とりわけメタノール含有ガソリンの場合には、大気中へのガソリンの拡散をさらに制限するため、及び/又は抽出物の含有量を低減するために、第2のバリア層を配置することが有利となりうる。
【0126】
この第2のバリア層は、第1のバリア層(1)とは異なる。
【0127】
第2のバリア層について
別の実施形態では、本発明は、バリア層(1)がEVOH層であり、第2のバリア層(5)はPPA層又はフルオロポリマー層であり、フルオロポリマーが、特に、ETFE、EFEP、又はCPTタイプのものである、上で定義された多層管状構造(MLT)に関する。
【0128】
有利には、バリア層(1)はEVOH層であり、第2のバリア層(5)はPPA層である。
【0129】
別の実施形態では、本発明は、バリア層(1)がEVOH層であり、第2のバリア層(5)がPPA層である、上で定義された多層管状構造(MLT)に関する。
【0130】
別の実施形態では、本発明は、バリア層(1)がEVOH層であり、第2のバリア層(5)はフルオロポリマー層であり、フルオロポリマーが、特に、ETFE、EFEP、又はCPTタイプのものである、上で定義された多層管状構造(MLT)に関する。
【0131】
有利には、上で定義された多層管状構造(MLT)では、外層(3)のポリアミドは、上で定義されたB又はCから選択されるポリアミド、特にPA11、PA12、PA610、PA612、又はPA1012、対応するコポリアミド、及び前記ポリアミド又はコポリアミドのブレンドであり、ラクタムから得られるポリアミドは、有利には洗浄される。
【0132】
さまざまな構造的実施形態
別の実施形態では、本発明は、層(2)、(3)、(3’)、(4)、及び(4’)のうちの少なくとも1層が、少なくとも1つの耐衝撃性改良剤、及び/又は少なくとも1つの添加剤を含む、上で定義された多層管状構造(MLT)に関する。
【0133】
耐衝撃性改良剤又は添加剤が可塑剤ではないことは、非常に明白である。
【0134】
有利には、層(2)及び(3)は、少なくとも1つの耐衝撃性改良剤、及び/又は少なくとも1つの添加剤を含む。
【0135】
有利には、層(2)、(3)、及び(3’)は、少なくとも1つの耐衝撃性改良剤、及び/又は少なくとも1つの添加剤を含む。
【0136】
有利には、層(2)、(3)、(3’)及び(4’)は、少なくとも1つの耐衝撃性改良剤、及び/又は少なくとも1つの添加剤を含む。
【0137】
有利には、層(2)、(3)、(3’)、(4)、及び(4’)は、少なくとも1つの耐衝撃性改良剤、及び/又は少なくとも1つの添加剤を含む。
【0138】
別の実施形態では、本発明は、構造が3つの層を(3)//(1)//(2)の順序で含み、各層の組成物の全重量に対して、層(3)及び/又は(2)が1.5重量%を超える可塑剤を含まず;特に、層(3)及び/又は(2)が可塑剤を含まない、上で定義された多層管状構造(MLT)に関する。
【0139】
別の実施形態では、本発明は、構造が、4つの層を(3’)//(3)//(1)//(2)の順序で含み、層(3’)が上で定義された通りであり、各層の組成物の全重量に対して、層(2)及び/又は(3)が1.5重量%を超える可塑剤を含まず;特に、層(2)及び/又は(3)が可塑剤を含まない、上で定義された多層管状構造(MLT)に関する。
【0140】
別の実施形態では、本発明は、構造が、5つの層を次の順序で含む、上で定義された多層管状構造(MLT)に関する:
(3’)//(3)//(1)//(5)//(2)、ここで、層(1)はEVOH層であり、層(5)はPPA層であり、各層の組成物の全重量に対して、層(2)は1.5重量%を超える可塑剤を含まず;特に、層(2)は可塑剤を含まず、層(3)及び(3’)は可塑剤を含む;あるいは
(3’)//(3)//(1)//(2)//(5)、ここで、層(1)はEVOH層であり、層(5)はPPA層であり、各層の組成物の全重量に対して、層(2)は1.5重量%を超える可塑剤を含まず;特に、層(2)は可塑剤を含まず「、層(3)及び(3’)は可塑剤を含み;あるいは
(3)//(4’)//(1)//(4)//(2)、ここで、層(3)は請求項3に定義された通りであり、各層の組成物の全重量に対して、層(2)及び(4)は1.5重量%を超える可塑剤を含まず;特に、層(2)及び/又は(4)は可塑剤を含まず;層(4’)は可塑剤を含み;特に、層(4’)は可塑剤を含まない。
【0141】
別の実施形態によれば、本発明は、構造が、層を次の順序で含む、上で定義された多層管状構造(MLT)に関する:
(3’)//(3)//(4’)//(1)//(4)//(2)、ここで、層(3)及び(3’)は上で定義された通りであり、各層の組成物の全重量に対して、層(2)及び(4)は1.5重量%を超える可塑剤を含まず;特に、層(2)及び/又は(4)は可塑剤を含まず;層(4’)は可塑剤を含み;特に、層(4’)は可塑剤を含まない。
【0142】
特に、上記6層構造の前記層(3’)は可塑化されており、前記可塑剤は、特に、前記層の組成物の全重量に対して1.5重量%~15重量%の割合で存在し;好ましくは、前記層(3’)の厚さは、管状構造の全厚の最大20%まで、特に最大200μmまでに相当し;特に、層(3’)は最外層であり、可塑化される唯一の層であり、(一又は複数の)層(3)は可塑剤を含まない。
【0143】
別の態様によれば、本発明は、端部の一方及び/又は他方にポリアミドコネクタを含み、前記コネクタが前記構造に溶接されていることを特徴とする、上で定義された多層構造に関する。
【0144】
溶接は、例えばレーザを用いて行うことができる。
【0145】
ポリアミドは、上で定義された脂肪族ポリアミド、及び半芳香族ポリアミド、特に、欧州特許出願公開第1505099号明細書に記載されている式X/YArの半芳香族ポリアミド、特に、式A/XTの半芳香族ポリアミドから選択され、式中、Aは、アミノ酸から得られる単位、ラクタムから得られる単位、及び式(Caジアミン).(Cb 二酸)に対応する単位(ここで、aはジアミンの炭素原子の数を表しており、bは二酸の炭素原子の数を表しており、a及びbは各々が4~36の間、有利には9~18の間である)、直鎖又は分岐鎖の脂肪族ジアミン、脂環式ジアミン、及びアルキル芳香族ジアミンから選択される(Caジアミン)単位、並びに直鎖又は分岐鎖の脂肪族二酸、脂環式二酸及び芳香族二酸から選択される(Cb二酸)単位から選択される;
XTは、Cxジアミンとテレフタル酸との重縮合から得られる単位を表し、xはCxジアミンの炭素原子の数を表しており、xは5~36の間、有利には9~18の間であり、特に、式A/5T、A/6T、A/9T、A/10T、又はA/11Tのポリアミドであり、Aは上で定義された通りであり、特に、PA MPMDT/6T、PA11/10T、PA 5T/10T、PA 11/BACT、PA 11/6T/10T、PA MXDT/10T、PA MPMDT/10T、PA BACT/10T、PA BACT/6T、PA BACT/10T/6T、PA 11/BACT/6T、PA 11/MPMDT/6T、PA 11/MPMDT/10T、PA 11/BACT/10T、PA 11/MXDT/10T、又はPA 11/5T/10Tから選択されるポリアミドである。
【0146】
Tは、テレフタル酸に対応し、MXDはm-キシリレンジアミンに対応し、MPMDはメチルペンタメチレンジアミンに対応し、BACは、ビス(アミノメチル)シクロヘキサンに対応する。
【0147】
一実施形態では、PA12は、前記コネクタを構成する脂肪族ポリアミドから除外される。
【0148】
別の実施形態では、前記コネクタの脂肪族ポリアミドは、PA6、PA66、PA6/66、PA11、PA610、PA612、又はPA1012から選択され、特にPA11である。
【0149】
一実施形態では、前記コネクタは、上で定義されたポリアミド組成物からなし、該組成物は繊維充填組成物である。
【0150】
一実施形態では、繊維は、無機、有機、又は植物由来のものである。
【0151】
無機物質起源の繊維の中では、例えば、炭素繊維、ガラス繊維、玄武岩若しくは玄武岩ベースの繊維、シリカ繊維、又は炭化ケイ素繊維を挙げることができる。有機物質起源の繊維の中では、例えば半芳香族ポリアミド繊維、アラミド繊維、又はポリオレフィン繊維などの熱可塑性又は熱硬化性ポリマーをベースとする繊維を挙げることができる。
【0152】
有利には、繊維は、ガラス及び/又は炭素繊維である。
【0153】
別の態様によれば、本発明は、水素を輸送するための、上で定義された多層管状構造(MLT)の使用に関する。
【実施例
【0154】
次に、本発明を以下の実施例によってさらに詳細に説明するが、これらは限定するものではない。
次の組成物を、本発明の構造の内部層(2)を形成するための当業者によく知られている技術に従って調製した(表1)。
【0155】
I1~I2:本発明の組成物
C1~C2:比較組成物
PA11:PA11は、Mn(数平均分子量)が45,000のポリアミド11である。融点190℃、融解エンタルピー56J/g。
PA11/10T:Rilsan HT(Arkema社)
可塑剤:BBSA(n-ブチルベンゼンスルホンアミド)
耐衝撃性改良剤:Lotader(登録商標)4700(50%)+Lotader(登録商標)AX8900(25%)+Lucalene(登録商標)3110(25%)
添加剤:安定剤
【0156】
次の構造を押出成形により製造した:
多層チューブを共押出によって製造する。スパイラルマンドレルを有する多層押出ヘッドに接続された5台の押出機を備えた、McNeil社の多層押出工業ラインを使用する。
【0157】
使用したスクリューは、ポリアミドに適したスクリュープロファイルを有する単押出スクリューである。5台の押出機及び多層押出ヘッドに加えて、押出ラインは次を含む:
・共押出ヘッドの端部に位置したダイパンチアセンブリ;ダイの内径とパンチの外径は、製造される構造及びそれを構成する材料、並びにチューブの寸法及びライン速度の関数として選択される;
・真空レベルを調整可能な真空タンク。通常20℃に保たれた水がこのタンク内を循環しており、この水にゲージを浸し、チューブを最終寸法に成形可能にする。ゲージの直径は製造するチューブの寸法に適しており、通常、外径8mm、厚さ1mmのチューブの場合は8.5~10mmである;
・水が約20℃に維持され、ヘッドからドローベンチまでの経路に沿ってチューブを冷却可能にする、一連の冷却タンク;
・直径測定器;
・ドローベンチ。
【0158】
5台の押出機を有する構成を使用して、2層~5層の範囲のチューブを製造する。層数が5層未満の構造の場合は、幾つかの押出機に同じ材料が供給される。
【0159】
6層を含む構造の場合、水素と接触する内層を製造する目的で、追加の押出機が接続され、スパイラルマンドレルが既存のヘッドに追加される。
【0160】
試験前に、チューブに最高の特性と良好な押出品質を提供するために、押出材料の押出される前の残留水分含有量が0.08%未満であることを確認する。そうでない場合には、試験を行う前に、通常は真空乾燥機内で80℃で一晩、材料を乾燥させる、追加段階を行う。
【0161】
本特許出願に記載されている特性を満たすチューブは、押出パラメータの安定化後に取り出し、したがって該チューブの目標寸法が時間の経過とともに変化しなくなる。直径はラインの端部に設置されたレーザ直径測定器で監視する。
【0162】
概して、ライン速度は通常20m/分である。これは、概して、5~100m/分の間で変化する。
【0163】
当業者には知られているように、押出機のスクリュー速度は層の厚さとスクリューの直径に応じて決まる。
【0164】
概して、押出機及び機器(ヘッド及びコネクタ)の温度は、検討中の組成物の融点より十分に高くなるように調整する必要があり、これにより、組成物は溶融状態に留まり、固化して機械をブロックするのを防ぐ。
【0165】
さまざまなパラメータに関して管状構造を試験した(表2)。
【0166】
抽出物の量を決定し、バリア特性を評価した。
【0167】
アルコール含有ガソリンとの接触(「強力洗浄」)によって測定される抽出物の含有量により、数年間にわたるH輸送パイプの使用をシミュレートすることが可能となる。用いる手順が表3に記載されている。
【0168】
表3は、使用した試験と結果の分類を示している。
【0169】
ガソリンに対する透過性(バイオガソリンバリア)の測定は、CE10:イソオクタン/トルエン/エタノール=45/45/10体積%を使用した重量法に従って0℃で決定される。
【0170】
誘導期間中の瞬時透過率はゼロであり、その後、連続動作条件下での透過率値に対応する平衡値まで徐々に増加する。連続動作条件下で得られたこの値は、材料の透過性と見なされる。
【0171】
上記の組成物から製造された多層構造のさまざまな内層から水素中に抽出された汚染物質を、規格CSA/ANSI CHMC 2:19に準拠して定量化した:
組成物I1に基づいた気密層を備えた多層構造:<0.5%
組成物I2に基づいた気密層を備えた多層構造:<0.5%
組成物I3に基づいた気密層を備えた多層構造:<0.5%
組成物I4に基づいた気密層を備えた多層構造:<0.5%
組成物I5に基づいた気密層を備えた多層構造:<0.5%
組成物C1に基づいた気密層を備えた多層構造:>3%
組成物C2に基づいた気密層を備えた多層構造:>3%
【0172】
組成物
PA12-TL:可塑剤BBSA(ベンジルブチルスルホンアミド)6%、無水物官能化EPR Exxelor VA1801(Exxon)6%、並びに有機安定剤1.2%(フェノールLowinox 44B25(Great Lakes社製)0.8%、亜リン酸Irgafos 168(Ciba社製)0.2%、及びUV安定剤Tinuvin 312(Ciba社製)0.2%からなる)を含む、Mn(数平均分子量)35,000のポリアミド12をベースとした組成物を表す。この組成物の融点は175℃である。
【0173】
PA12-NoPlast=PA12-可塑剤を含まないTL(後者は同じ%のPA12に置き換えられる)。
【0174】
PA11-TL:可塑剤BBSA(ベンジルブチルスルホンアミド)5%、重量比68.5/30/1.5(190℃、2.16kgでのMFI 6)のエチレン/アクリル酸エチル/無水物タイプの耐衝撃性改良剤6%、並びに有機安定剤1.2%(フェノールLowinox 44B25(Great Lakes社製)0.8%、亜リン酸Irgafos 168(Ciba社製)0.2%、及びUV安定剤Tinuvin 312(Ciba社製)0.2%からなる)を含む、Mn(数平均分子量)29,000のポリアミド11をベースとした組成物を表す。この組成物の融点は185℃である。
【0175】
PA11-NoPlast=PA11-可塑剤を含まないTL(後者はPA11に置き換えられる)
PA610-TL=PA610+12%の耐衝撃性改良剤EPR1+有機安定剤+10%の可塑剤
PA610-NoPlast=PA610-可塑剤を含まないTL(後者はPA610に置き換えられる)
PA612-TL=PA612+12%の耐衝撃性改良剤EPR1+有機安定剤9パーセントの可塑剤
PA612-NoPlast=PA612-可塑剤を含まないTL(後者はPA612に置き換えられる)
PA6-TL=PA6+12%の耐衝撃性改良剤EPR1+有機安定剤12パーセントの可塑剤
PA6-NoPlast=PA6-可塑剤を含まないTL (後者はPA6に置き換えられる)
・PA12:Mn(数平均分子量)35,000のポリアミド12。融点は178℃であり、その融解エンタルピーは54kJ/mである。
・PA11:Mn(数平均分子量)29,000のポリアミド11。融点は190℃であり、その融解エンタルピーは56kJ/mである。
・PA610:Mn(数平均分子量)30,000のポリアミド6.10。融点は223℃であり、その融解エンタルピーは61kJ/mである。
・PA612:Mn(数平均分子量)29,000のポリアミド6.12。融点は218℃であり、その融解エンタルピーは67kJ/mである。
・PA6:Mn(数平均分子量)28,000のポリアミド6。融点は220℃であり、その融解エンタルピーは68kJ/mである。
・EPR1:Exxon社のExxellor VA1801タイプの、MFI(230℃、10kg)が9の、無水物官能反応性基(0.5重量%~1重量%)によって官能化されたEPRを示す。
【0176】
有機安定剤=0.8%のフェノール(Lowinox 44B25(Great Lakes社製))、0.2%の亜リン酸(Irgafos 168(Ciba社製))、及び0.2%のUV安定剤(Tinuvin 312(Ciba社製))からなる、1.2%の有機安定剤。
【0177】
可塑剤=BBSA(ベンジルブチルスルホンアミド)
【0178】
coPA612-6T-NoPlast=20モル%の6.T(したがって80モル%の6.12)(このcoPAは、MFI 235℃、5kg=(融点=200℃)を有する)+20%のEPR1+有機安定剤を有する、coPA6.12/6.T
【0179】
PPA10T=モル比60/40、融点280℃+18%のEPR1+有機安定剤を有する、coPA10.T/6T
【0180】
PA11cond-NoPlast=Mn15,000+9%のEPR1+Ensaco 200タイプのカーボンブラック22%を有するPA11
【0181】
Tie=PA612(他の箇所で定義されている)43.8%、PA6(他の箇所で定義されている)25%、EPR1タイプの耐衝撃性改良剤20%、有機安定剤1.2%(フェノールLowinox 44B25(Great Lakes社製)0.8%、亜リン酸Irgafos 168(Ciba社製)0.2%、及びUV安定剤Tinuvin 312(Ciba社製)0.2%からなる)、並びに可塑剤BBSA(ベンジルブチルスルホンアミド)10%をベースとした組成物。
【0182】
Tie-NoPlast=PA612(他の箇所で定義されている)48.8%、PA6(他の箇所で定義されている)30%、EPR1タイプの耐衝撃性改良剤20%、並びに有機安定剤1.2%(フェノールLowinox 44B25(Great Lakes社製)0.8%、亜リン酸Irgafos 168(Ciba社製)0.2%、及びUV安定剤Tinuvin 312(Ciba社製)0.2%からなる)をベースとした組成物。
【0183】
Tie2=PA610(他の箇所で定義されている)43.8%、PA6(他の箇所で定義されている)25%、EPR1タイプの耐衝撃性改良剤20%、有機安定剤1.2%(フェノールLowinox 44B25(Great Lakes社製)0.8%、亜リン酸Irgafos 168(Ciba社製)0.2%、及びUV安定剤Tinuvin 312(Ciba社製)0.2%からなる)、並びに可塑剤BBSA(ベンジルブチルスルホンアミド)10%をベースとした組成物。
【0184】
Tie2-NoPlast=PA610(他の箇所で定義されている)48.8%、PA6(他で定義されている)30%、及びEPR1タイプの耐衝撃性改良剤20%、並びに有機安定剤1.2%(フェノールLowinox 44B25(Great Lakes社製)0.8%、亜リン酸Irgafos 168(Ciba社製)0.2%、及びUV安定剤Tinuvin 312(Ciba社製)0.2%からなる)をベースとした組成物。
【0185】
EVOH=32%のエチレンを有するEVOH、EVAL FP101B型(Eval)
【0186】
EVOH24=24%のエチレンを有するEVOH、EVAL M100B型(Eval)
【0187】
EVOHhi=27%のエチレンを有するEVOH及び耐衝撃性改良剤EVAL LA170B型(Eval)
【0188】
PPA10T/6T=40モル%の6.T(300℃、5kgでのMFI=8、融点280℃) +15%のEPR1+有機安定剤を有する、coPA10.T/6.T
【0189】
EFEPc=Neoflon RP5000ASタイプ(Daikin社製)の官能化された導電性EFEP
【0190】
Tie PA610+PA6。PA612(Mn29,000、他で定義されている)、PA6(Mn28,000、他で定義されている)36%、並びに有機安定剤1.2%(フェノールLowinox 44B25(Great Lakes社製)0.8%、亜リン酸Irgafos 168(Ciba社製)0.2%、及びUV安定剤Tinuvin 312(Ciba社製)0.2%からなる)をベースとした組成物を示す。
【0191】
バリアの下に位置し、特に水素と接触している可塑剤を含まない層を示す構造は、抽出物の試験に関して優れた結果を示し、その結果は、水素と接触している層が可塑化されている反例よりもはるかに優れている。
【国際調査報告】