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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-04
(54)【発明の名称】光結合デバイスおよびその調節方法
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/31 20060101AFI20240927BHJP
【FI】
G02F1/31
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024518968
(86)(22)【出願日】2022-09-26
(85)【翻訳文提出日】2024-05-16
(86)【国際出願番号】 IT2022050258
(87)【国際公開番号】W WO2023053154
(87)【国際公開日】2023-04-06
(31)【優先権主張番号】102021000025166
(32)【優先日】2021-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524112876
【氏名又は名称】フォトンパス エッセ.エレ.エーレ
【氏名又は名称原語表記】PHOTONPATH S.R.L
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ペリーノ,アレッサンドロ
(72)【発明者】
【氏名】ダミアーニ,エレナ
(72)【発明者】
【氏名】オリベイラ モライス デ アグイアーラ,ダグラス
(72)【発明者】
【氏名】グリエルミ,エマヌエーレ
【テーマコード(参考)】
2K102
【Fターム(参考)】
2K102AA17
2K102BA08
2K102BC04
2K102BC05
2K102CA21
2K102DA05
2K102DB00
2K102EA02
2K102EA17
2K102EA21
(57)【要約】
光結合デバイス(99)と、該デバイスを調節するための方法。当該デバイスは、それぞれ第1の光結合トラクト(3)および第2の光結合トラクト(7)において相互に光学的に結合された一対の光導波路(1、2)を備え、第1の光導波路(1)は、互いに異なるタイプのドーピングを有する第1の領域(4)および第2の領域(5)と、少なくとも部分的に第1の光結合トラクト(3)に配置された相互の界面(6)とを備える。更に当該デバイス(99)は、界面の両側で第1の光導波路(1)に電気的に接続された第1の電極(8)および第2の電極(9)を備える。当該方法は、界面(6)に電界を印加するために第1の電極(8)と第2の電極(9)との間に電圧差を印加するステップと、入力光信号を導入するステップと、1対の出力光信号の間の光パワーの比を変化させるように電圧差の値を調整するステップとを含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の入力(10)および第1の出力(11)を有する半導体で作られた第1の光導波路(1)と、
第2の入力(20)および第2の出力(21)を有する第2の光導波路(2)と、
を備えた光結合デバイス(99)であって、
前記第1の光導波路(1)および前記第2の光導波路(2)は、前記第1の入力(10)と第1の出力(11)との間および前記第2の入力(20)と第2の出力(21)との間にそれぞれ介在する第1の光結合トラクト(3)および第2の光結合トラクト(7)でそれぞれ相互に光学的に結合されており、
前記第1の光導波路(1)は、互いに異なるそれぞれのタイプのドーピングを有すると共に相互の界面(6)を有する第1の領域(4)および第2の領域(5)を備え、
当該デバイス(99)は、前記界面(6)の両側で前記第1の光導波路(1)に電気的に接続された第1の電極(8)および第2の電極(9)を備え、
前記界面(6)は、前記第1の光結合トラクト(3)に少なくとも部分的に配置されている、ことを特徴とする光結合デバイス(99)。
【請求項2】
前記第1の電極(8)および第2の電極(9)は、前記第1の光結合トラクト(3)の長手方向両側に、且つその外側に配置され、前記第1の光結合トラクト(3)および第2の光結合トラクト(7)は長手方向(100)に沿って主展開している、請求項1に記載のデバイス(99)。
【請求項3】
前記界面(6)は、前記長手方向(100)に実質的に直交して、且つ前記第1の光結合トラクト(3)の実質的に全てに沿って展開しており、
前記第1の光導波路(1)は、少なくとも前記第1の電極(8)および第2の電極(9)においてリブ型導波路であり、前記リブ型導波路は、前記第1の光導波路の主展開ラインに実質的に直交する平面上において、中央部分(70)、並びに、前記中央部分(70)の両側にこれと連続して配置され、前記中央部分(70)に対してより低い高さを有する第1の側方部分(71)および第2の側方部分(72)を有してなるセクションを有し、
前記第1の電極(8)および第2の電極(9)の各々は、前記第1の側方部分(71)および第2の側方部分(72)のうちの少なくとも1つと電気的に接触しており、
前記第1の光導波路(1)および第2の光導波路(2)は、相互に電気的に絶縁されており、前記第1の光導波路(1)は、前記第1の光結合トラクト(3)においてチャネル型導波路である、請求項2に記載のデバイス(99)。
【請求項4】
前記第2の光導波路(2)は、互いに異なるそれぞれのタイプのドーピングを有すると共に、前記第2の光結合トラクト(7)に少なくとも部分的に配置されたそれぞれ相互の界面(6)を有してなる第1の領域(4)および第2の領域(5)を備え、
当該デバイス(99)は、前記第2の光導波路(2)の界面(6)の両側で前記第2の光導波路(2)に電気的に接続された第3の電極(12)および第4の電極(13)を備え、前記第3の電極(12)および第4の電極(13)は、前記第2の光結合トラクト(7)の長手方向両側に、且つその外側に配置されており、
前記第2の光導波路の界面(6)は、前記長手方向(100)に実質的に直交して展開する、請求項2または3に記載のデバイス(99)。
【請求項5】
前記第1の光導波路(1)は、前記第1の光結合トラクト(3)においてリブ型導波路であり、前記リブ型導波路は、前記第1の光導波路の主展開ラインに実質的に直交する平面上において、中央部分(70)、並びに、前記中央部分(70)の両側にこれと連続して配置され、前記中央部分(70)に対してより低い高さを有してなる第1の側方部分(71)および第2の側方部分(72)とを備えるセクションを有し、
前記第1の電極(8)は、前記第1の光結合トラクト(3)の外側で前記第1の側方部分(71)と電気的接触しており、前記第1の側方部分(71)は、前記第2の光導波路(2)に対向しており、
前記第2の電極(9)は、前記第1の光結合トラクト(3)において前記第2の側方部分(72)と電気的に接触している、請求項1に記載のデバイス(99)。
【請求項6】
前記界面(6)は、前記第1の光結合トラクト(3)および第2の光結合トラクト(7)の主展開の長手方向(100)と実質的に平行に、且つ前記第1の光結合トラクト(3)の実質的に全てに沿って展開し、前記界面(6)は、前記中央部分(70)の近傍に、または前記中央部分(70)に配置され、
前記第1の電極(8)は、前記第1の光結合トラクト(3)の長手方向両側にそれぞれ配置された少なくとも2つのサブ電極を備え、
前記第2の電極(9)は、互いに異なると共に、前記第1の光結合トラクト(3)の少なくとも一部に沿って長手方向に分布した複数のサブ電極を備える、請求項5に記載のデバイス(99)。
【請求項7】
前記第2の光導波路(2)は、互いに異なるそれぞれのタイプのドーピングを有し、且つ前記第2の光結合トラクト(7)に少なくとも部分的に配置されたそれぞれ相互の界面(6)を有してなる第1の領域(4)および第2の領域(5)を備え、前記第2の光導波路(2)もまた、前記第2の光結合トラクト(7)においてリブ型導波路であり、
前記第1の光導波路(1)は、少なくとも前記第1の光結合トラクト(3)および第2の光結合トラクト(7)それぞれにおいて、前記第2の光導波路(2)の第1の側方部分(71)と共通の前記第1の側方部分(71)を有し、
前記第1の電極(8)は、前記第1の光結合トラクト(3)および第2の光結合トラクト(7)の近傍で、且つその外側に、共通の前記第1の側方部分(71)と電気的接触しており、
当該デバイス(99)は、前記第1の電極(8)に対して前記第2の光導波路の界面(6)の反対側で前記第2の光導波路(2)に電気的に接続された更なる電極(14)を備えており、前記更なる電極(14)は、前記第2の光結合トラクト(7)において前記第2の光導波路(2)の第2の側方部分(72)と電気的接触しており、
前記第2の光導波路(2)の界面(6)もまた、前記長手方向(100)と実質的に平行に展開する、請求項5または6に記載のデバイス(99)。
【請求項8】
長手方向対称面および横方向対称面を備え、それぞれの電極(8、9、12、13、14)とのそれぞれの接触エリアにおける前記第1の光導波路(1)および第2の光導波路(2)の少なくとも一方の前記第1の領域(4)および第2の領域(5)の少なくとも一方のドーピング濃度は、前記それぞれの領域の残部のドーピング濃度よりも高く、
前記それぞれの接触エリアにおける前記第1の領域(4)および/または第2の領域(5)のドーピング濃度は、1015atoms/cm以上、および1021atoms/cm以下であり、
前記第1の領域および/または第2の領域の残部のドーピング濃度は、1014atoms/cm以上、および1018atoms/cm以下である、請求項1から7のいずれか一項に記載のデバイス(99)。
【請求項9】
光結合デバイス(99)を調節するための方法であって、当該方法は、
請求項1から8のいずれか一項に記載の前記光結合デバイス(99)を提供するステップと、
前記第1の光導波路(1)の界面(6)に電界を印加するために、前記第1の電極(8)および第2の電極(9)間に電圧差を印加するステップと、
前記第1の入力(10)への入力として光信号を導入するステップと、
前記第1の出力(11)から出る第1の光信号と、前記第2の出力(21)から出る第2の光信号との間の光パワーの比を変化させるべく前記電圧差の値を調整するステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項9に記載の方法であって、
前記第2の光導波路(2)の界面(6)に電界を印加するために、前記第3の電極(12)と第4の電極(13)との間、または前記第1の電極(8)と更なる電極(14)との間にそれぞれの電圧差を印加するステップと、
前記光パワーの比を変化させるように、前記第3の電極(12)と第4の電極(13)との間、または前記第1の電極(8)と更なる電極(14)との間のそれぞれの電圧差の値を調整するステップと、
を含み、
当該方法は更に、前記第3の電極(12)と第4の電極(13)との間、または前記第1の電極(8)と更なる電極(14)との間に印加されたそれぞれの電圧差に対して逆の符号で前記第1の電極(8)と第2の電極(9)との間に前記電圧差を印加するステップを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光結合デバイス、および当該デバイスを調節するためのそれぞれの方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、光工学の分野、すなわち光信号の生成、伝送、処理、および受信のための技術および方法のセットに関する。
【0003】
「光(optical)」という用語は、可視光帯域の拡張された近傍に含まれるが、必ずしも厳密に可視広帯域(すなわち、暗示的に400~700nm)に収まらない電磁放射線を指し、例えば、可視光帯域のこの拡張された近傍は、典型的には近赤外線(例えば、約700nmから約2μmの波長)を含む。
【0004】
光工学の分野では、入力ポートに入る光信号が2つの別個の光信号に分割され、各々がそれぞれの出力ポートから出る、光結合デバイスが知られている。
【0005】
一実施形態では、光結合デバイスは、結合領域で光学的に互いに結合された1対の光導波路を含み得る。
【0006】
所与の波長で、2つの出力光信号の光パワー間の比(分割比)を動的に変化させることができる(最高で0-100から100-0までの比の場合を含む)、および/または光パワー間の所与の比が得られる波長を変化させることができる、調節可能光結合デバイスも知られている。
【0007】
「ドーピング」という用語は、半導体の分野において、純半導体を構成する材料の物理的特性を修正するために、純半導体(例えば、ケイ素、炭化ケイ素)に対する異なる元素の原子の可変パーセンテージの純半導体(「真性」とも呼ばれる)への添加を意味する。典型的には、ドーピングは、純半導体の導電性を向上させる。ドーピングのタイプは、一般に2つあり、それぞれ「n」タイプおよび「p」タイプとして定義される。ドーピングのタイプ、およびこのようなタイプのドーピングが純半導体に与える動作特性は、それ自体が知られており、これ以上は説明しない。本発明の文脈において、「ドーピングのタイプ」という表現は、合計3つのドーピングのタイプについて、半導体が純粋である(すなわち、ドーピングが存在しない)場合も含む。
【0008】
特許文献1は、2つの光結合デバイス(例えば、3dBスプリッタ/カプラ)と、2つの光結合デバイスを互いに接続する2つの光路とを備えるマッハツェンダ干渉計
(Mach-Zehnder interferometer, MZI)の形態の光スイッチを開示している。このMZIは、2つの光路の一方における電流の注入によって調節され、屈折率の変化を引き起こす。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2014-182185A号公報
【発明の概要】
【0010】
本出願人は、マッハツェンダ干渉計に基づく調節可能光結合デバイスがいくつかの欠点を有することを見出した。
【0011】
第一に、2つの光結合デバイスおよび2つの光接続経路を備えなければならないため、MZIの構造自体が複雑である。前述の部分の必要な存在はまた、MZIによる大きな空間的負担(フットプリント)を伴う。
【0012】
したがって、本出願人は、効率的な方法で(即ちわずかな消費電力で)調節することができ、同時に構造的に単純であり、および/または安価であり、および/または限られた空間的負担を有する光結合デバイスを実現するという問題(課題)に直面している。
【0013】
本出願人によれば、上記の問題(課題)は、添付の請求項に従う、および/または以下の特徴のうちの1つ以上を有する、光結合デバイス、および当該デバイスを調節するための方法によって解決される。
【0014】
一態様によれば、本発明は、光結合デバイスに関する。
当該デバイスは、
第1の入力および第1の出力を有する半導体で作られた第1の光導波路と、
第2の入力および第2の出力を有する第2の光導波路と、
を備え、
前記第1および第2の光導波路は、第1の入力と第1の出力との間および第2の入力と第2の出力との間にそれぞれ介在する第1および第2の光結合トラクトでそれぞれ相互に光学的に結合されており、
前記第1の光導波路は、互いに異なるそれぞれのタイプのドーピングを有すると共に相互界面を有する第1および第2の領域を備え、
当該デバイスは、第1の電極と、前記界面の両側で第1の光導波路に電気的に接続された第2の電極とを備え、
前記界面は、前記第1の光結合トラクトに少なくとも部分的に配置されている。
【0015】
一態様によれば、本発明は、光結合デバイスを調節するための方法に関する。そして、当該方法は、
本発明に従う前記光結合デバイスを提供するステップと、
前記界面に電界を印加するために、前記第1および第2の電極間に電圧差を印加するステップと、
前記第1の入力への入力として光信号を導入するステップと、
前記第1の出力から出る第1の光信号と前記第2の出力から出る第2の光信号との間の光パワーの比を変化させるように前記電圧差の値を調整するステップと、
を含む。
【0016】
本出願人によれば、(第1および第2の領域の一方にドーピングがない、すなわち真性である場合を含む)互いの間で異なるタイプのドーピングを有し、少なくとも部分的に第1の光結合トラクトに相互界面を有する第1の光導波路の第1および第2の領域は、このような界面、すなわち第1の光結合トラクトに接合を有するダイオードを実質的に実現することを可能にする。
【0017】
このようにして、第1および第2の領域間の界面に印加された電界のおかげで、電極に印加された電圧の符号および/または値が変化する際に、例えばダイオードの空乏領域の空間的拡張を変化させることによって、および/または(例えば電流の注入によって)新しい電荷キャリアを注入することによって、第1および第2の領域内の自由電荷キャリア(例えば、電子および/または正孔)の密度を調整することが可能である。そして自由電荷キャリアの密度を調整することにより、(クラマース・クローニッヒの関係式およびSoref方程式から知られるように)2つの領域間の界面に配置された第1の光導波路の光結合トラクトの少なくとも一部の光屈折率を動的に変化させることが可能となり、こうして(1対の光導波路の形態の)結合デバイスの調節が可能になる。このようにして、調節可能光結合デバイスは、MZIの構造に対して簡素化された構造で実現され、結果的にコストが低下し、および/または空間的負担が小さくなる。
【0018】
本出願人は、この場合にのみ、2つのそれぞれの光路の一方(すなわち、2つの典型的には3dBの固定光結合デバイスから離れている)で利用可能な空間を利用することによって電極を配置することが可能であったため、調節可能光結合デバイスを作成するためにMZI構造が必要であった光工学の分野における一般的な先入観をこうして克服した。反対に、本発明は、第1の光結合トラクトにダイオードを作成する、1対の光結合された光導波路の形態の単一の光結合デバイスの調節を企図する。
【0019】
幾何学的要素(直線、平面、表面など)に関して「実質的に直交する」とは、これらの要素が90°+/-15°、好ましくは90°+/-10°の角度を形成することを意味する。
前述の幾何学的要素に関して「実質的に平行」とは、これらの要素が0°+/-15°、好ましくは0°+/-10°の角度を形成することを意味する。
【0020】
上記の態様の1つ以上における本発明は、以下の好適な特徴のうちの1つ以上を呈することができる。
【0021】
典型的には、各光結合トラクトは、長手方向に沿った主展開を有する(主として展開する)。
【0022】
好ましくは、前記界面は、前記第1の光結合トラクトにほぼ全体的に配置される。このようにして、界面は、調節目的のために効果的に配置される。
【0023】
好ましくは、前記第2の光導波路は半導体で作られている。このようにして、光導波路は、デバイスの単純さに有利になるように、同じ技術を用いて作ることができる。
【0024】
好ましくは、当該第1および第2の光導波路は、それぞれの主展開ライン(例えば、光信号の経路のライン)を各々備える。
【0025】
好ましくは、当該第1および第2の電極は、それぞれ当該第1および第2の領域と(直接)電気的接触している。このようにして、界面への電界の印加が効果的になる。
【0026】
好ましくは、それぞれ前記第1および第2の電極とのそれぞれの接触エリアにおける前記第1および第2の領域の少なくとも一方、より好ましくは両方、のドーピング濃度は、それぞれの領域の残部のドーピング濃度よりも高い。このようにして、電荷キャリアのためのリザーバが作成され、および/または電極と光導波路との間の電気的接触が改善される。
【0027】
好ましくは、それぞれの接触エリアにおける第1および/または第2の領域の当該ドーピング濃度は、1015atoms/cm以上、より好ましくは1017atoms/cm以上、および/または1021atoms/cm以下、より好ましくは1020atoms/cm以下である。好ましくは、第1および/または第2の領域の残部の当該ドーピング濃度は、1014atoms/cm以上、より好ましくは1016atoms/cm以上、および/または1018atoms/cm以下、より好ましくは1017atoms/cm以下である。このようなドーピング濃度は、製造コストおよび/または光信号の伝搬に対する潜在的な外乱を制限しながら、電流の伝送に特に適している。
【0028】
好ましくは、前記第1の光導波路は、少なくとも前記第1および第2の電極においてリブ(型)導波路である。好ましくは、当該リブ(型)導波路は、前記主展開ラインに(実質的に)直交する平面上に、中央部分と、当該中央部分の両側に連続して配置され、中央部分に対してより低い高さを有する、第1および第2の側方部分とを備えるセクションを有する。好ましくは、前記第1および第2の電極の各々は、前記第1および第2の側方部分のうちの少なくとも1つと(直接)電気的接触している。このようにして、側方部分は、光信号との干渉を制限しながら、電極を配置するのに十分な空間を提供する。
【0029】
好ましくは、前記第2の光導波路は、互いに異なるそれぞれのタイプのドーピングを有し且つ少なくとも部分的に第2の光結合トラクトに配置されたそれぞれの相互界面を有するそれぞれの第1および第2の領域を備える。このようにして、第2の光導波路についても、(後述のように、第1の光導波路に加えて)第2の光導波路によってもデバイスを調節することができるようにするために、光結合トラクトに接合を有するダイオードが作成される。
【0030】
第1の実施形態では、前記第1および第2の電極は、前記第1の光結合トラクトの長手方向両側に、およびその外側に配置される(すなわち、これらは第1の光導波路に直接接触する)。このようにして、デバイスの構造的複雑さを(例えば、界面の他の位置決めに対して)制限しながら、光結合トラクトにおける自由電荷キャリアの濃度を調整することが可能である。さらに、接点におけるガイドの形状は、電極のための十分な空間を残す。
【0031】
好ましくは、第1の光導波路の前記界面は、前記長手方向に(実質的に)直交して展開する(すなわち、界面は-実質的に-横方向である)。このようにして、これは電極の位置決めに従って合理的に配置される。「横方向」などの用語は、長手方向に実質的に直交する方向を意味する。
【0032】
好ましくは、前記第1および第2の電極の各々は、当該第1および第2の側方部分の両方と(直接)電気的接触している。このようにして、電界の強度および/または均一性が改善される。
【0033】
好ましくは、前記第1および第2の光導波路は、相互に電気的に絶縁されている。このようにして、第2の光導波路は、調節中に2つの電極による影響を受けることが防止される。
【0034】
好ましくは、前記第1の光導波路(より好ましくは各光導波路)は、(全体的に)当該第1の(およびそれぞれの第2の)光結合トラクトにおいてチャネル(型)導波路である。このようにして、前述の電気的絶縁は、構造的に簡単な方法で達成される。
【0035】
好ましくは、第1の光導波路の前記セクションの当該側方部分は、前記接触エリアから前記第1の光結合トラクトに向かって前記主展開ラインに沿って移動する中央部分に向かって先細(テーパ)になる。このようにして、「リブ(型)導波路」から「チャネル(型)導波路」への移行ゾーンが効果的に実現される。
【0036】
好ましくは、当該デバイスは、第2の光導波路の前記界面の両側で当該第2の光導波路に電気的に接続された第3の電極および第4の電極を備える。
【0037】
好ましくは、前記第3および第4の電極は、当該第2の光結合トラクトの長手方向両側に、およびその外側に配置される(すなわち、これらは当該第2の光導波路に直接接触する)。好ましくは、第2の光導波路の前記界面もまた、長手方向に(実質的に)直交して展開する。
【0038】
好ましくは、当該方法は、第2の光導波路の前記界面をそれぞれの電界に適用するために、前記第3および第4の電極の間にそれぞれの電圧差を印加するステップを含む。好ましくは、当該方法は、光パワー間の比を変化させるように、当該第3および第4の電極の間の当該それぞれの電圧差の値を調整するステップを含む。このようにして、第2の導波路の屈折率も変化させることが可能である。
【0039】
好ましくは、当該方法は、前記第3および第4の電極の間に印加されたそれぞれの電圧差に対して逆の符号で前記第1および第2の電極の間に電圧差を印加するステップを含む。このようにして、キャリアの密度の2つの値の所望の差を得るために、第2の光導波路の自由電荷キャリアの密度の変化に対して逆の傾向で第1の光導波路内の自由電荷キャリアの密度を変化させることが可能である。このようにして、(例えば、単一の光導波路に印加された電圧による変化に対して)全体的に大きいキャリアの密度(したがって屈折率)の2つの値の差を得ることができる。さらに、キャリアの密度の所与の差について、自由電荷キャリアの各密度は、より低い絶対値を想定することができ、電力消費を削減する。
【0040】
第2の実施形態では、前記第1の光導波路は、前記第1の光結合トラクトにおいてリブ(型)導波路であり、前記第1の電極は、第1の光結合トラクトの外側の前記第1の側方部分と(直接)電気的接触しており、当該第1の側方部分は第2の光導波路に面しており、前記第2の電極は、第1の光結合トラクトにおいて前記第2の側方部分と(直接)電気的接触している。このようにして、(例えば、電極と界面との間の距離を制限することができるため)電極に印加される電圧差を制限しながら、自由電荷キャリアの密度を調整することが可能である。さらに、導波路の形状は、電極のための空間を提供する。
【0041】
好ましくは、第1の光導波路の前記界面は、前記長手方向と(実質的に)平行に展開する。このようにして、これは合理的に位置決めされる。
【0042】
好ましくは、前記界面は、実質的に全ての前記第1の光結合トラクトに沿って展開する。このようにして、屈折率の変化は、調節効率に有利なように、第1の光結合トラクト全体に影響を及ぼす。
【0043】
好ましくは、前記第1の光導波路は、全体的にリブ(型)導波路である。このようにして、デバイスは簡素化される。
【0044】
好ましくは、前記界面は、第1の光導波路のセクションの中央部分の近傍に、または当該中央部分に配置される。このようにして、屈折率の変化効率がさらに改善される(例えば、電極に印加される所与の電圧について、光信号が実質的に完全に伝送される光導波路の部分に空間的に広い方法で影響を及ぼすことができる、空乏領域の空間的拡張の変化によって)。
【0045】
好ましくは、前記第1の電極は、第1の光結合トラクトの長手方向両側にそれぞれ配置された(少なくとも)2つのサブ電極を備える。このようにして、界面の長手方向両端に同じ電圧を印加すると、例えば界面の長手方向中央において、電界の均一性および/または強度が改善される。
【0046】
好ましくは、前記第2の電極は、互いに異なると共に、第1の光結合トラクトの少なくとも一部、より好ましくは実質的に全てに沿って(好ましくは等距離で)長手方向に分布した複数のサブ電極を備える。このようにして、電気的接触がさらに改善される。
【0047】
好ましくは、前記第2の光導波路もまた、前記第2の光結合トラクトにおいてリブ(型)導波路である(より好ましくは、各第1および第2の光導波路は全体的にリブ(型)導波路である)。このようにして、デバイスは簡素化される。
【0048】
好ましくは、前記第1の光(リブ型)導波路は、少なくともそれぞれの第1および第2の光結合トラクトにおいて前記第2の光導波路の第1の側方部分と共通の第1の側方部分を有する(第1の側方部分は互いに向かい合っている)。このようにして、デバイスはコンパクトである。
【0049】
好ましくは、前記第1の電極は、前記第1および第2の光結合トラクトの近傍(かつ外側)で共通の第1の側方部分と(直接)電気的接触している。このようにして、第1の電極は、第2の光導波路とも電気的接触している。
【0050】
好ましくは、第1および第2の光導波路の第1の領域は、それぞれ互いに連続しており(例えば、これらは単一の第1の領域を構成する)、より好ましくは、共通の当該第1の側方部分を(全体的に)備える。好ましくは、第1および第2の光導波路の第1の領域は、同じタイプのドーピング、より好ましくは同じドーピング濃度を有する。このようにして、第1の領域の実現が簡素化される。
【0051】
好ましくは、第2の光導波路は、第1の光導波路の特徴のうちの1つ以上を有する。このように、デバイスは合理的である。
【0052】
好ましくは、当該デバイスは、前記第1の電極に対して第2の光導波路の界面の両側で当該第2の光導波路に電気的に接続されたさらなる電極を備える。好ましくは、当該方法は、第2の光導波路の前記界面をそれぞれの電界に適用するために、第1の電極とさらなる電極との間にそれぞれの電圧差を印加するステップを含む。好ましくは、当該方法は、光パワー間の比を変化させるように、前記第1の電極とさらなる電極との間のそれぞれの電圧差の値を調整するステップを含む。このようにして、第2の光導波路上でも動作することによってデバイスを調節することができ、調節効率を向上させる。
【0053】
好ましくは、当該方法は、前記第1の電極とさらなる電極との間に印加されたそれぞれの電圧差に対して逆の符号で当該第1および第2の電極の間に電圧差を印加するステップを含む。このようにして、2つの光導波路内の自由電荷キャリアの密度の変化は互いに対向(反対向き)し、上記と同じ効果を有する。
【0054】
好ましくは、前記さらなる電極は、第2の光結合トラクトにおける第2の光導波路の第2の側方部分と(直接)電気的接触している。このようにして、これは合理的に配置される。
【0055】
好ましくは、第2の光導波路の界面もまた、長手方向に(実質的に)平行に展開する。このようにして、調節は簡素化される。
【0056】
好ましくは、各電極は、それぞれ第1または第2の光導波路に向かって移動する(につれて)先細となるセクションを有する。このように、電気的接触が有利である。
【0057】
好ましくは、当該デバイスは、長手方向対称面を含む。このようにして、デバイスは汎用性があり、光学的に対称である。
【0058】
好ましくは、当該デバイスは、前記長手方向対称面に(実質的に)直交する横方向対称面を含む。このようにして、デバイスの機能が改善される。
【0059】
好ましくは、当該デバイスは、電気絶縁材料(例えば、酸化ケイ素)の層を備える。好ましくは、当該層は、前記第1および第2の光導波路を(電極エリアを除いて)ほぼ全体的に取り囲む。このようにして、デバイスは堅牢であり、(少なくとも第1の実施形態において)光導波路間の電気的分離が達成される。
【図面の簡単な説明】
【0060】
図1】本発明によるデバイスの第1の実施形態の上面図を概略的に示す図である。
図2図1のAA面に沿った断面を概略的に示す図である。
図3図1のBB面に沿った断面を概略的に示す図である。
図4】本発明によるデバイスの第2の実施形態の上面図を概略的に示す図である。
図5図4のCC面に沿った断面を概略的に示す図である。
図6図4のDD面に沿った断面を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0061】
本発明の特徴および利点は、添付の図面(縮尺通りではない)を参照して、本発明の非限定的な例として提示される、いくつかの実施形態の以下の詳細な説明によってさらに明確になるだろう。
【0062】
図中、99という番号は、光結合デバイスを全体的に示す。
デバイス99は、例示的に、第1の入力10および第1の出力11を有する半導体(例えば、ケイ素、炭化ケイ素など)で作られた第1の光導波路1と、第2の入力20および第2の出力21を有する半導体で作られた第2の光導波路2とを備える。
【0063】
例示的には、第1の光導波路1および第2の光導波路2は、第1の入力10と第1の出力11との間および第2の入力20と第2の出力21との間にそれぞれ介在する第1の光結合トラクト3および第2の光結合トラクト7においてそれぞれ相互に光学的に結合される。例示的には、光結合トラクト3、7は、長手方向100に沿って主展開を有する(主として展開する)。
【0064】
例示的には、デバイス99は、長手方向対称面(それは、長手方向100に沿って図1および図4の平面と交差する)、及び、その長手方向対称面に直交する横方向対称面(それは図1および図4において切断面BBおよびDDとそれぞれ一致する)を含む。
【0065】
例示的には、各光導波路1、2は、互いに異なるそれぞれのタイプのドーピング(n、p、または真性)を有し且つ、第1の光結合トラクト3および第2の光結合トラクト7にそれぞれほぼ全体的に配置されたそれぞれの界面6を有する第1の領域4および第2の領域5を備える。
【0066】
例示的には、デバイス99は、第1の光導波路の界面6の両側で第1の光導波路1の第1の領域4および第2の領域5にそれぞれ直接電気的接触して配置された第1の電極8および第2の電極9を備える。
【0067】
図1図3に示される第1の実施形態では、第1の電極8および第2の電極9は、例示的に、第1の光結合トラクト3の両側に、且つその外側に配置される。例示的には、各界面6は、それぞれの第1および第2の領域が完全に長手方向で互いに対向するように、長手方向100に直交して展開する。
【0068】
一実施形態(図示せず)では、各界面6は、長手方向に対して任意の角度(例えば、45°)を画定することができ、および/または図に示される平面状のものとは異なる形状を有することができる。
【0069】
第1の実施形態では、第1の光導波路1は、例示的に、第1の電極8および第2の電極9との接触エリアのみにおいてリブ(型)導波路である。リブ導波路(図2)は、例示的に、光導波路の主展開ラインに直交する平面(例えば、平面AA)において、中央部分70と、中央部分70の両側に、これと連続して配置され、中央部分70に対してより低い高さを有する第1の側方部分71および第2の側方部分72とを備えるセクションを有する(すなわち当該セクションは、反転したT(字型の)プロファイルを有する)。
【0070】
例示的には、第1の電極8および第2の電極9の両方は、第1の光導波路の第1の側方部分71および第2の側方部分72の両方と直接電気的接触して配置される。
【0071】
第1の実施形態(図1)では、デバイス99は、例示的に、第2の光導波路2の界面6の両側で、第2の光導波路2の第1の領域4および第2の領域5にそれぞれ直接電気的接触している第3の電極12および第4の電極13を備える。
【0072】
例示的には、第3の電極12および第4の電極13は、第2の光結合トラクト7の長手方向両側に、且つその外側に配置される。
【0073】
例示的には、第2の光導波路もまた第3の電極12および第4の電極13とのそれぞれの接触エリアでのみリブ(型)導波路であり、第3の電極12および第4の電極13は、第2の光導波路の第1の側方部分71および第2の側方部分72の両方と直接電気的接触している。
【0074】
第1の実施形態では、第1の光導波路1および第2の光導波路2は、相互に電気的に絶縁されており、この目的のために、これらは両方とも、少なくともそれぞれの光結合トラクト3、7全体において、図3の断面図に示される例示的なチャネル(型)導波路である。
【0075】
例示的には、図1に示されるように、両方の光導波路の側方部分71、72は、電極とのそれぞれの接触エリアからそれぞれの光結合トラクト3、7に向かって、それぞれの光導波路の主展開ラインに沿って進むにつれてそれぞれの中央部分70に向かって先細になっている。
【0076】
有利には、光結合トラクト3、7において、各光導波路1、2は、それぞれの中央部分70と同じ断面形状(図3)を有する。
【0077】
[第2の実施形態]
図4図6に示される第2の実施形態では、各界面6は、それぞれの光結合トラクト3、7のほぼ全てについて長手方向100と平行に展開する。言い換えると、それぞれの第1および第2の領域は、完全に横方向に対向している。
【0078】
第2の実施形態では、各光導波路1、2は、全体が、他の光導波路に対向するそれぞれの第1の側方部分71を有するリブ(型)導波路である。
【0079】
第2の実施形態では、第1の光導波路1は、例示的に、それぞれの光結合トラクト3、7に、またこのような光結合トラクトを越えてその近傍に、第2の光導波路2の第1の側方部分71と共通の第1の側方部分71を有する。
【0080】
例示的には、第1の光導波路1および第2の光導波路2の第1の領域4はそれぞれ、単一のタイプおよび濃度のドーピングを有し且つ、共通の第1の側方部分71を部分的に有する単一の連続する第1の領域4を構成する(図1および図6)。
【0081】
例示的には、各界面6は、共通の第1の側方部分の外側(すなわち、それぞれの光導波路の第2の側方部分72)で、それぞれの光導波路の中央部分70の近傍に配置される。
【0082】
(図示しない)一実施形態では、界面は、共通の第1の側方部分の内側で、それぞれの中央部分の近傍に配置することができる。
【0083】
(図示しない)更なる実施形態では、界面は、それぞれの中央部分(の内側)に配置することができる。
【0084】
例示的には、第1の電極8は、第1および第2の光結合トラクトの近傍で且つその外側に、2つの光導波路の共通の第1の側方部分71と直接電気的接触している。したがって、例示的には、第2の実施形態では、第1の電極は、第2の光導波路2の第1の領域4とも直接電気的接触している。例示的には、第1の電極8は、第1の光結合トラクト3および第2の光結合トラクト7の長手方向両側に、および第1の光導波路1および第2の光導波路2の中央部分70から実質的に等距離の位置にそれぞれ配置された2つのサブ電極を備える。
【0085】
図4の第2の実施形態では、第1の光導波路1および第2の光導波路2の第2の領域5は、例示的に、それぞれの光結合トラクト3、7の実質的に全てにおいて、それぞれの光導波路の第2の側方部分72に展開する。このようにして、第2の領域はnドープまたはpドープされ、コストを削減するために、ドーピングの範囲は制限される。
【0086】
第2の実施形態では、第2の電極9は、例示的に、第1の光導波路1の第2の側方部分72と直接電気的接触しており、第2の電極9は例示的に、互いに異なると共に、第1の光結合トラクト3の全てに沿って相互に等距離で長手方向に分布した、複数のサブ電極を備える。
【0087】
第2の実施形態では、デバイス99は、第1の電極8に対して第2の光導波路2の界面6の反対側で第2の光導波路2の第2の側方部分72と直接電気的接触しているさらなる電極14を備える。第2の実施形態では、さらなる電極14は、例示的に、長手方向対称面に対して第2の電極9の鏡面である(鏡面的関係にある)。
【0088】
[**]
両方の実施形態において、それぞれの電極との各それぞれの接触エリアにおける両方の光導波路の第1の領域4および第2の領域5のドーピング濃度(図では+記号で概略的に示されている)は、例示的には、それぞれの領域の残部のドーピング濃度よりも高い。
【0089】
例示的には、電極とのそれぞれの接触エリアにおける第1の領域4および第2の領域5のドーピング濃度は、約1019atoms/cmに等しく、残部のドーピング濃度は約1016atoms/cmである。
【0090】
例示的には、各電極8、9、12~14は、導電性材料(例えば、金属)で作られ、第1の光導波路1および/または第2の光導波路2に向かってそれぞれ移動するにつれて先細(テーパ)となるセクションを有する。
【0091】
例示的には、デバイス99は、第1の光導波路1および第2の光導波路2をほぼ完全に取り囲む、電気絶縁材料(例えば、酸化ケイ素)の層30を備える。
【0092】
例示的には、層30は、各電極8、9、12~14について、それぞれの電極を収容し、それぞれの光導波路との電気的接触を可能にする開口部31を備える。例示的には、各開口部は、それぞれの電極の反対形状(カウンター形状)である(すなわち、電極と開口部の壁との間に空間がない)。例えば、製造中、(例えば既知のマイクロおよび/またはナノ加工技術によって)層30は穿孔され、金属で完全に充填される。
【0093】
任意選択的に、デバイス99は、光導波路の光結合トラクトで第1の光導波路1および第2の光導波路2に対向する面を有する導電性のプレート90(図6の第2の実施形態と共に例示的に示される)を備え、光導波路とプレート90との間には自由距離が維持される(プレートは、例示的には層30上に載置されている)。
【0094】
例示的には、プレート90は、一定の電位で配置される。プレートは、例示的に、光導波路のドーピング濃度、したがってそれらの導電率を変化させるために、プレートにおいて光導波路1、2の部分での、またはその部分からのさらなる自由電荷キャリアを引き付けることおよび/または拒絶することを可能にする。
【0095】
使用時に、デバイス99は、例示的には、第1の入力10に入る光信号を、第1の出力11および第2の出力21からそれぞれ出る1対の光信号に分割することを可能にする(図中、光信号は方向矢印で表されている)。
【0096】
(図示しないが)任意選択的には、光信号を第2の入力に供給して、出力間で分割することができる。
【0097】
例示的には、デバイス99は、第1の出力11および第2の出力21をそれぞれ出る信号間の光パワーの比を動的に変化させるように調節することができる。
【0098】
例示的には、両方の実施形態において、デバイス99を調節するために、第1の光導波路1の界面6に電界を印加するために第1の電極8と第2の電極9との間に電圧差を印加するステップと、光パワー間の前述の比を変化させるように電圧差の値を調整するステップと、が提供される。例示的には、図1および図4は、前述の電圧差を印加するために第1の電極8および第2の電極9に電気的に接続された電圧発生器91を概略的に示している。
【0099】
第1の実施形態では、例示的に、第2の光導波路2の界面6にそれぞれの電界を印加するために、第3の電極12と第4の電極13との間にそれぞれの電圧差を印加するステップも提供することができる(任意選択、図示せず)。
【0100】
好ましくは、第3の電極12と第4の電極13との間に印加されたそれぞれの電圧差に対して逆の符号で第1の電極8と第2の電極9との間の電圧差を印加するステップが提供される。例えば、両方の光導波路について第1の領域4がpドープされ、第2の領域5がnドープされると、(ダイオードのように動作可能に挙動する)第1の光導波路は、直流電圧で動作することができ(すなわち、第1の電極8は正電位、第2の電極9は負電位)、(やはり動作的にダイオードに匹敵する)第2の光導波路は、逆電圧で動作することができる(すなわち、第3の電極12は負電位、第4の電極13も負電位)。このような接続では、電圧を印加することにより、第1の光導波路の自由電荷キャリアの密度は電流の注入によって増加するが、第2の光導波路の自由電荷キャリアの密度は、ダイオードの空乏領域の空間的拡張を広げることによって減少し、第2の光導波路全体を含むようにさえなる。このようにして、2つの光導波路の自由電荷キャリアの密度は、相互に逆の方向に変化し、調節効率を改善する。あるいは、上記とは逆の接続も可能である。
【0101】
第2の実施形態では、例示的に、第2の光導波路2の界面6にそれぞれの電界を印加するために第1の電極8と更なる電極14との間にそれぞれの電圧差を印加するステップと、光パワー間の前述の比を変化させるように第1の電極と更なる電極との間のそれぞれの電圧差の値を調整するステップと、を提供することができる(任意選択、図示せず)。
【0102】
好ましくは、第2の実施形態でも、(上記と同じ結果を得るために)第1の電極と更なる電極との間に印加されたそれぞれの電圧差に対して逆の符号で第1および第2の電極の間に電圧差を印加するステップが提供される。
【符号の説明】
【0103】
1 第1の光導波路
10 第1の入力
11 第1の出力
2 第2の光導波路
20 第2の入力
21 第2の出力
3 第1の光結合トラクト
4 第1の領域
5 第2の領域
6 界面
7 第2の光結合トラクト
8 第1の電極
9 第2の電極
12 第3の電極
13 第4の電極
14 更なる電極
70 中央部分
71 第1の側方部分
72 第2の側方部分
99 光結合デバイス
100 長手方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】