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特表2024-536112ロボット型のスニッファー式リークディテクタを用いた自動リーク検知方法
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  • 特表-ロボット型のスニッファー式リークディテクタを用いた自動リーク検知方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-04
(54)【発明の名称】ロボット型のスニッファー式リークディテクタを用いた自動リーク検知方法
(51)【国際特許分類】
   G01M 3/20 20060101AFI20240927BHJP
【FI】
G01M3/20 K
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024519005
(86)(22)【出願日】2022-07-25
(85)【翻訳文提出日】2024-05-23
(86)【国際出願番号】 EP2022070813
(87)【国際公開番号】W WO2023057107
(87)【国際公開日】2023-04-13
(31)【優先権主張番号】102021126030.2
(32)【優先日】2021-10-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500469855
【氏名又は名称】インフィコン ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Inficon GmbH
【住所又は居所原語表記】Bonner Strasse 498, D-50968 Koeln, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100087941
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 修司
(74)【代理人】
【識別番号】100112829
【弁理士】
【氏名又は名称】堤 健郎
(74)【代理人】
【識別番号】100155963
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】100150566
【弁理士】
【氏名又は名称】谷口 洋樹
(74)【代理人】
【識別番号】100213470
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100220489
【弁理士】
【氏名又は名称】笹沼 崇
(74)【代理人】
【識別番号】100225026
【弁理士】
【氏名又は名称】古後 亜紀
(74)【代理人】
【識別番号】100230248
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 圭二
(72)【発明者】
【氏名】ヴェツィヒ・ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】デッカー・シルヴィオ
(72)【発明者】
【氏名】ピュシャラ-ケーニヒ・ヨッヘン
(72)【発明者】
【氏名】ロルフ・エリク
(72)【発明者】
【氏名】トリープ・フォルカー
【テーマコード(参考)】
2G067
【Fターム(参考)】
2G067AA34
2G067BB12
2G067BB26
2G067BB36
2G067CC04
2G067CC12
2G067DD17
2G067EE08
(57)【要約】
【課題】熱交換装置の流体搬送体のリークをより確実に且つより迅速に検知する方法を提供する。
【解決手段】本発明は、ロボット32により案内されるプローブ22のプローブチップ25を、調査対象の被検箇所20へと動かす過程と、b)ガス検出器24を用いて、採取されたガスから、測定信号を記録する過程と、c)第1の測定時点の、測定信号の第1の測定値を検出する過程と、d)第1の測定時点を検出し、第1の測定時点を第1の測定値に振り当てる過程と、e)第1の測定時点に対応するプローブの第1の測定位置を検出して振り当てる過程と、f)過程a)~過程e)を、第2の測定時点について繰り返す過程と、g)被検体のリークの可能性を示唆する極端な値がどの測定位置で検出されたのかを、測定値を用いて判断することが可能となるように、測定値をプローブ22のそれぞれの測定位置と関連付ける過程と、を備えることを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロボット型のガスリークディテクタ(56)を用いた自動リーク検知方法において、
a)ロボット(32)により案内されるプローブ(22)のプローブチップ(25)を、調査対象の被検箇所(20)へとロボット(32)によって動かす過程と、
b)ガス検出器(24)を用いて、前記プローブチップ(25)で採取されたガスから、測定信号を記録する過程と、
c)1つ以上の第1の測定時点の、前記測定信号の1つ以上の第1の測定値を検出する過程と、
d)前記第1の測定時点を検出し、該第1の測定時点を前記第1の測定値に振り当てる過程と、
e)前記第1の測定時点に対応する前記プローブ(22)の第1の測定位置を検出して振り当てる過程と、
f)過程a)~過程e)を、以降の1つ以上の第2の測定時点について繰り返す過程と、
g)前記被検体のリークの可能性を示唆し得る前記測定信号の極端な値がどの測定位置で検出されたのかを、前記測定値を用いて評価することが可能となるように、前記測定値を前記プローブ(22)のそれぞれの前記測定位置と関連付ける過程と、
を備えることを特徴とする、リーク検知方法。
【請求項2】
請求項1に記載のリーク検知方法において、過程e)が実行されてから過程f)が実行されるまでに、前記ロボット(32)が前記プローブチップ(25)を別の被検箇所(20)に動かすことを特徴とする、リーク検知方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載のリーク検知方法において、前記ロボット(32)が前記プローブチップ(25)を別の被検箇所(20)に動かした後で、過程b)~過程g)の繰返しが行われることを特徴とする、リーク検知方法。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載のリーク検知方法において、過程e)では、前記プローブ(22)の前記測定位置が、3Dセンサを用いて検出されることを特徴とする、リーク検知方法。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載のリーク検知方法において、過程e)では、前記プローブ(22)の前記測定位置が、前記ロボット(32)のうちの、該プローブを保持するアーム(30)についての既知の位置から推定されることを特徴とする、リーク検知方法。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載のリーク検知方法において、前記測定信号の取得時に、前記プローブ(22)が前記ロボット(32)によって動かされていることで、該プローブ(22)が異なる測定位置を連続的に取るようにすることを特徴とする、リーク検知方法。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載のリーク検知方法において、前記測定値が、前記プローブ(22)の前記測定位置および/または前記プローブ(22)の移動速度の関数として取得されることを特徴とする、リーク検知方法。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載のリーク検知方法において、前記測定信号の評価が、前記プローブチップ(25)の前記測定位置に応じて行われることを特徴とする、リーク検知方法。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載のリーク検知方法において、2つ以上の測定が同じ前記測定位置で行われ、取得された測定値が互いに比較されることを特徴とする、リーク検知方法。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一項に記載のリーク検知方法において、前記測定信号の評価が、測定時の前記プローブ(22)の移動速度を考慮して行われることを特徴とする、リーク検知方法。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか一項に記載のリーク検知方法において、過程a)の最中で過程b)の前に、ゼロ調整による前記プローブ(22)のキャリブレーションが、前記ガス検出器(24)で測定信号を取得してこれをバックグラウンド信号として記憶することによって行われることを特徴とする、リーク検知方法。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか一項に記載のリーク検知方法において、リークと判定された測定位置に前記プローブ(22)が動かされて該測定位置でコントロール測定を行うことを特徴とする、リーク検知方法。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか一項に記載のリーク検知方法において、それまでの測定からリークが想定されている測定位置がマーキングされることを特徴とする、リーク検知方法。
【請求項14】
請求項1から13のいずれか一項に記載のリーク検知方法において、前記プローブ(22)によって吸い込まれたガス流の供給量が、前記プローブ(22)の移動速度に応じて調節されることを特徴とする、リーク検知方法。
【請求項15】
請求項1から14のいずれか一項に記載のリーク検知方法において、前記ガスリークディテクタがスニッファー式リークディテクタであり、前記プローブがスニッファープローブであり、前記プローブチップがスニッファーチップであることを特徴とする、リーク検知方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検体のリークの検知に用いられるリークディテクタに関する。
【背景技術】
【0002】
リークディテクタは、例えばDE 10 2005 022 156 A1(特許文献1)(インフィコン社)に記載されている。このリークディテクタはプローブを具備しており、該プローブのスニッファーチップ(先端部材)が、被検体のうちの所定の被検領域に配置される。被検体には、例えばヘリウム等の被検ガスが充填されている。被検ガスが漏出すると、これがスニッファーチップからベースユニットに吸い込まれて、例えば質量分析計として構成され得る被検ガス検出器へと供給される。
【0003】
リークディテクタの使用時には、例えば空調システムや、冷凍機の冷凍ユニット等の被検体に被検ガスが充填され、被検体から被検ガスが漏出しているか否かの検知が、スニファープローブを用いて行われ得る。産業製品の品質検査時には、スニッファーチップが、被検体のうちの、リークが存在している可能性がある特定の被検領域に配置される。このとき、プローブは、手動でその被検領域まで動かされる。この方法では、被検体の全ての対象被検領域に対してスニッファーチップを動かし終えたかのか否かの確認が難しい。作業者は、一部の被検領域をうっかり見落としたり、作業者が自身の主観的評価に従って重要でないと判断し得る別の被検領域を飛ばしたりする可能性がある。
【0004】
米国特許第4,945,305号(特許文献2)(Ascension社)には、パルス状の直流磁場を生成する送信器と、対象に設けられた受信器と、を備える測位システムが記載されている。この方法は、現在の位置を求めて、これを所望の位置と比較し、フィードバックを行うのに極めて有用である。送信器と受信器との間の見通し線上では、非磁性物体による干渉が起こらない。検査対象の配置は静的であるため、圧縮機ブロックや冷凍機械のような大型の磁化可能な材質による残留干渉は、キャリブレーションで除去することができる。この方法は、本開示の実施に極めて有用であることが分かっている。
【0005】
WO2009/016160A1(特許文献3)には、管部を介してプローブと接続されてなるベースユニットを備えるリークディテクタが記載されている。被検体の被検ゾーン又は被検領域に、スニッファーチップが位置決めされる。被検体から被検ガスが漏出した場合、これがベースユニット内の被検ガス検出器によって検出される。送信器、プローブに設けられた受信器、および給電評価部を備える測位システムが設けられている。これにより、各被検領域内でのスニッファープローブの有無の監視や確認が行われる。
【0006】
オートメーションの分野では、3Dセンサを用いて物理的対象のデジタルデータを取得することにより、該物理的対象の外表面の表面点をそれぞれ表す点群である、三次元仮想空間内の点群を取得することが知られている。例えば車などの製品の自動製造といったオートメーション産業で使用されるロボットの制御は、取得したデジタルデータを利用したソフトウェアアルゴリズムによって行われる。一般的に、これは、物理的対象全体の外周または外表面を検知して該物理的対象の位置特定、把持、移動又は再配置を行ったり、例えば車両製造産業であれば、スプレー塗装ロボットアームで該物理的対象の外表面を塗装したりするのに行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】独国特許出願公開第102005022156号明細書
【特許文献2】米国特許第4945305号明細書
【特許文献3】国際公開第2009/016160号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
冷凍機、空調システム、ヒートポンプなどの熱交換装置では、熱交換装置の品質検査の一環として、スニッファー法によるリーク検知が行われる。作業者は、熱交換器における液体輸送管などの対象となる被検領域を目視で特定し、プローブを各被検領域に対して次々と手動で移動させる必要がある。熱交換装置に対するこの種のスニッファー式リーク検知は、時間を要するだけでなく、被検領域を飛ばす、スニッファープローブが被検領域に十分近付けられていない等といった人的要因による過誤が起こりやすい。
【0009】
本発明は、熱交換装置の流体搬送体のリークをより確実に且つより迅速に検知するという目的に基づく。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る方法は、独立請求項1の特徴により定まる。
【0011】
つまり、ロボットにより案内されるプローブのプローブチップが、調査対象の被検箇所へとロボットによって動かされる(過程a)。該被検箇所への到達後、ガスまたは空気が前記プローブチップから吸い込まれてガス検出器へと供給され、吸い込まれたガスの測定信号が該ガス検出器によって記録される(過程b)。1つ以上の第1の時点の、前記測定信号の1つ以上の第1の測定値が取得される(過程c)。一般的に、前記プローブチップは、前記被検箇所に近付くにつれてガスまたは周囲の空気を吸い込むものであり、前記被検箇所に到達した時点で作動するわけではない。さらに、前記第1の測定時点が取得されて、前記第1の測定値に振り当てられる(過程d)。最後に、前記第1の測定時点に対応する前記プローブの第1の測定位置も取得される(過程e)。これにより、前記プローブの構成要素(例えば、前記プローブチップ等)の位置を示す、前記構成要素が前記第1の測定時点に取っていた位置を示す位置データが得られる。これにより、ガス測定の各信号値Iに対し、測定の時点tおよび空間(x,y,z)内の箇所又は位置が、I(t,x,y,z)として振り当てられる。必要に応じて、デカルト座標系の空間座標に加えて又はデカルト座標系の空間座標に代えて、2種類の空間角度Φ,θと軸の距離rの形態の空間角度座標(r,Φ,θ)が、前記プローブに沿って取得されてもよい。これらの過程は、以降の1つ以上の第2の測定時点について繰り返される(過程f)。本発明では、前記被検体のリークの可能性を示唆し得る前記測定信号の極端な値がどの測定位置で検出されたのかを、前記測定値を用いて評価することが可能となるように、前記測定値がそれぞれの前記測定位置と関連付けられる(過程g)。このようにして、人間の使用者が評価及び/又は、操作及び/又はリーク検知やそれらの各過程を実施することなく、ロボットを用いた完全自動のリーク検知が行われる。
【0012】
過程e)が実行されてから過程f)が実行されるまでに、前記プローブチップが前記ロボットによって別の被検箇所に動かされて別の被検箇所についての測定が繰り返され得る。これに代えて又はこれに加えて、前記プローブチップが前記ロボットから別の被検箇所に動かされた後で、過程b)~過程g)の繰返しが行われてもよい。好ましくは、前記プローブチップの前記測定位置は、例えば3Dセンサを用いて検出される。該3Dセンサは、少なくとも1つの光学カメラ及び好ましくは少なくとも1つの照明装置も含む撮像系統であり得る。
【0013】
前記測定信号の記録時に、前記プローブが前記ロボットによって動かされていることで、測定時に該プローブが異なる測定位置を連続的に取るようにしてもよい。前記測定値は、前記プローブの前記測定位置および/または前記プローブの移動速度の関数として取得されてもよい。好ましくは、前記測定信号の評価は、前記プローブチップの前記測定位置に応じて行われる。
【0014】
有利には、2つ以上の測定が同じ前記測定位置で行われ、取得された測定値が互いに比較される。
【0015】
前記測定信号の評価は、測定時の前記プローブの移動速度を考慮して行われ得る。
【0016】
前記プローブが被検箇所に動かされている途中であって、測定が行われる前に、トレーサーガスがないことが分かっている箇所および/または一定値のバックグラウンド濃度の箇所の測定信号を、前記ガス検出器を使用して取得することにより、前記プローブの信号のゼロ調整が行われてもよい。
【0017】
あるいは、信号のゼロ調整は、被検箇所から十分離れた距離で、バックグラウンド信号を求める(ゼロ調整を定める)ことが可能な、被検箇所までの前記プローブチップの経路上で行われる。
【0018】
既知の所定のリーク量が発生している箇所(例えば、テストリーク等)に前記プローブを動かすことにより、リーク検知システムのキャリブレーションが行われてもよい。
【0019】
前記プローブは、それまでの測定の間、リークが検出されたか又は疑われた測定位置に動かされて、該測定位置でコントロール測定を行うようにしてもよい。
【0020】
好ましくは、それまでの測定からリークが想定されているそれらの測定位置がマーキングされる。
【0021】
前記プローブによって取り込まれたガス流の供給量は、前記プローブの移動速度に基づいて調節され得る。
【0022】
前記ガスリークディテクタは、例えば、ガスが吸い込まれるスニッファーチップを有するスニッファープローブを具備したスニッファー式リークディテクタであり得る。一変形例として、前記ガスリークディテクタは、被検ガスプローブを具備するものであってもよく、検出器チップは、被検ガス用のガス検出器を含むものであってもよい。
【0023】
以下では、本発明の例示的な一実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】リーク検知システムおよび熱交換装置の形態の被検体を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図示の実施形態では、スニッファー式リークディテクタの形態のガスリークディテクタを記載している。該スニッファー式リークディテクタのプローブは、スニッファープローブである。該スニッファープローブのスニッファーチップを介して、分析対象のガスが吸い込まれる。
【0026】
図1には、冷凍機の形態の熱交換装置12が描かれている。本開示で用いる「熱交換装置」という用語は、冷凍機、空調機、ヒートポンプなどの、熱交換器を備えたシステムや装置のことを指す。前記熱交換装置は、製造過程で冷凍機の裏側に溶着または半田付けされた配管の形態で複数の流体搬送体16,18を、その後部下側14に有する。完全自動の品質管理の一環として、特定の被検領域20を特定し、該被検領域20においてリーク検知を行う必要がある。被検領域20としては、前記熱交換装置のうちの、配管同士が取り付けられたか若しくは溶着されたか若しくは半田付けられた領域、配管が終端する領域、配管が別の配管に接続されている領域、または配管同士が合わさるか若しくは交差している領域が考えられる。図1に示す実施形態では、第1の流体搬送体16が縦方向に配置されており、第2の流体搬送体18の一端が第1の流体搬送体16に接続されている。図1では、配管16,18同士の接続領域を被検領域20とし、破線の円で図示している。
【0027】
本発明は、スニッファー式リークディテクタ24のスニッファープローブ22を被検領域20に自動的に移動させ、スニッファープローブ22のスニッファープローブ25を、被検領域20の配管16,18の一つのリークから漏出するガスを吸い込むのに十分近くに配置するという点を背景としている。従来どおり、スニッファープローブ22は、接続管または接続キャピラリー26を介してガスリーク検出器24に接続されている。目的は、スニッファープローブの移動とそれに伴う測定信号の信号反応とを関連付けることである。
【0028】
スニッファープローブ22は、ロボット32のロボットアーム30の遠位端28に取り付けられている。
【0029】
2つの光学カメラ38,40とLEDライトの形態の照明装置42とを含む、撮像系統36の形態の3Dセンサ34が、熱交換装置12の後部下側14からデジタル画像データを取得する。照明装置42は、それ自体既知の方法で、熱交換装置12、特には、熱交換装置12の後部下側14を照明する。カメラ38,40が反射光を撮像し、撮像系統36がデジタル画像データを生成して、該デジタル画像データから三次元仮想空間48内の点群44が取得される。一変形例として、前記ロボットアームについての既知の位置から測定プローブの位置を推定することも可能である。前記ロボットアームは、既知の測定位置まで案内される。前記ロボットアームに対する測定プローブの相対的な大きさや向きが分かっていれば、該測定プローブの位置を求めることが可能である。
【0030】
本発明では、スニッファーチップ25から吸い込まれたガス流の測定信号の測定値の取得、それぞれの測定値に係る測定時点の検出、および該測定時点の測定値への振当てが、ガス検出器24を用いて行われる。さらに、スニッファーチップ25の位置、すなわち、被検体12または測定箇所20に対するスニッファーチップ25の相対的な位置を3Dセンサ34のカメラ38,40で撮像することにより、該スニッファーチップのそれぞれの測定位置が各測定時点で検出される。
【0031】
測定値の評価時には、測定値がそれぞれの測定位置と比較される。これにより、それぞれの測定値の測定位置から及び測定値の振幅から、リークの可能性がある箇所についての結論を下すことが可能となる。
【0032】
スニッファーライン26を通るガスの移動時間による信号応答の遅延は、信号の補正が必要となる典型的な一例の原因である。被検ガス雲がスニッファーチップ25内に吸い込まれた後、このガスは、ライン26を通ってガス検出器24の本体装置へと移動する。デッドタイムとも称されるこの移動時間は、数秒間にもなり得る。つまり、任意の測定箇所で吸引された漏洩ガス雲により起こるガス検出器24の信号応答時には、スニッファープローブ22がロボットアーム30によって次の測定箇所にまで既に動かされている可能性がある。測定信号を測定箇所に適切に割り当てる際には、この時間の遅れを考慮に入れる必要がある。
【0033】
ガスの流通時間は、予め測定しておく必要がある。これは、例えば、システムのキャリブレーションの際に行うことが可能である。この目的のために、ロボットアーム30が、スニッファープローブ22のチップ25を、テストリークの前方に配置する。この際に、テストリーク接近から信号応答までの遅延時間が測定される。そして、ガス検出器24の信号応答を読み取って漏洩箇所を被検体に割り当てる際にこの遅延時間が考慮される。
図1
【国際調査報告】