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特表2024-536114膵のう胞の自動分類のための方法及びコンピュータプログラム
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  • 特表-膵のう胞の自動分類のための方法及びコンピュータプログラム 図1
  • 特表-膵のう胞の自動分類のための方法及びコンピュータプログラム 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-04
(54)【発明の名称】膵のう胞の自動分類のための方法及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06V 10/764 20220101AFI20240927BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20240927BHJP
   G06T 7/60 20170101ALI20240927BHJP
   G06V 10/36 20220101ALI20240927BHJP
   G06V 10/82 20220101ALI20240927BHJP
   A61B 6/03 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
G06V10/764
G06T7/00 350C
G06T7/00 614
G06T7/60 150S
G06V10/36
G06V10/82
A61B6/03 560J
A61B6/03 560T
A61B6/03 560G
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024519012
(86)(22)【出願日】2022-07-14
(85)【翻訳文提出日】2024-03-26
(86)【国際出願番号】 EP2022069725
(87)【国際公開番号】W WO2023030734
(87)【国際公開日】2023-03-09
(31)【優先権主張番号】21382787.6
(32)【優先日】2021-08-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524115774
【氏名又は名称】エスワイシーエーアイ テクノロジーズ,エスエル
【氏名又は名称原語表記】SYCAI TECHNOLOGIES,SL
【住所又は居所原語表記】C/Viladomat,226,1-3 08029 Barcelona (ES)
(74)【代理人】
【識別番号】100105131
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 満
(74)【代理人】
【識別番号】100105795
【弁理士】
【氏名又は名称】名塚 聡
(72)【発明者】
【氏名】リエラ マリン,メリチェル
(72)【発明者】
【氏名】ロドリゲス コマス,ジュリア
(72)【発明者】
【氏名】トレダノ サエス,サラ
(72)【発明者】
【氏名】ガルシア ロペス,ハビエル
【テーマコード(参考)】
4C093
5L096
【Fターム(参考)】
4C093AA22
4C093FF21
4C093FF23
4C093FF28
4C093FF42
5L096AA13
5L096BA06
5L096EA35
5L096EA45
5L096FA02
5L096FA70
5L096HA11
5L096JA22
(57)【要約】
CT画像を用いた膵のう胞の自動分類のための方法及びコンピュータプログラムプロダクトを提案する。本方法は、患者のCT画像のセットにアクセスするステップと、CT画像のセットに対してフィルタリング操作を実行するステップと、CT画像のフィルタリングされたセット内のROIを定義するステップと、ニューラルネットワークを使用して定義されたROIのセグメンテーション操作を実行して、膵のう胞によって占有されているピクセルについての第一値及び膵のう胞によって占有されていないピクセルのための少なくとも第二値の値を表すセグメント化画像を取得するステップと、第一値を有するピクセルを処理する画像処理アルゴリズムを使用することによって膵のう胞の形態学的分析を実行するステップと、患者の形態学的分析、及び、患者の性別及び年齢を含む人口統計学的データに基づいて膵のう胞を分類するステップとを含む。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータ断層撮影、CT、画像を使用して膵のう胞を自動的に分類するためのコンピュータで実施される方法であって、前記方法は、
コンピュータによって、患者のCT画像のセットにアクセスするステップであって、CT画像の前記セットの各画像が異なるスライスを表す該ステップと、
前記コンピュータによって、CT画像の前記セットに対してフィルタリング操作を実行し、前記フィルタリングされたCT画像のセット内に膵のう胞を含む関心領域、ROI、候補を定義するステップと、
前記コンピュータによって、ニューラルネットワークを使用して、前記定義されたROIのセグメンテーション操作を実行し、結果として、セグメント化された画像を取得するステップであって、前記セグメント化された画像は膵のう胞によって占有されているピクセルについての第一値の値と、膵のう胞によって占有されていないピクセルについての少なくとも第二値の値とを表す、該ステップと、
前記コンピュータによって、
前記第一値を有する前記ピクセルを処理することにより、前記膵のう胞の偏心率及び凸性の値を算出し、
3D空間において第二値を有する前記ピクセルを3つの三分の一に分割し、前記分割された3つの三分の一内の前記膵のう胞の3D位置をチェックすることにより、前記膵のう胞の相対位置の値を算出する画像処理アルゴリズムを用いて、前記膵のう胞の形態学的分析を実行するステップと、
前記コンピュータによって、前のステップで実行された前記形態学的分析と、前記患者の人口統計学的データとに基づいて、前記膵のう胞を分類するステップであって、前記人口統計学的データは、少なくとも、前記患者の性別及び年齢を含む、該ステップと、を含む方法。
【請求項2】
前記患者の人口統計学的データが、前記患者の民族集団、病歴、及び/又は薬物摂取をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記セグメント化された画像は、3つの異なる値、すなわち、前記膵のう胞によって占有されているピクセルについての第一値、前記膵臓によって占有されているピクセルについての第二値、及び前記ピクセルの残りについての第三値を表す、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記膵のう胞の偏心率の値が、前記膵のう胞の中央部分の長軸及び短軸を計算することによって計算される、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記膵のう胞の凸性の値が、前記膵のう胞の体積とそれぞれの凸包の体積との間の比率として計算される、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記膵のう胞の形態学的解析が、
前記膵のう胞が多のう胞性であるかどうか、
それが石灰化を有するかどうか、及びそれらの位置、
それが空気球を有するかどうか、及びそれらの位置、
前記のう胞の内部に瘢痕があるかどうか、
前記のう胞が平坦、小葉状、円形又は卵形であるかどうか、
前記のう胞の外観、及び/又は、
前記のう胞が膵管にアクセスするか否か、
の前記膵のう胞の特徴のうちの1つ又は複数を計算することをさらに含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記フィルタリング操作は、メディアンフィルタを含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記メディアンフィルタは、3×3フィルタウィンドウを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記ニューラルネットワークは、セマンティックセグメンテーションアルゴリズムを含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記ニューラルネットワークは、ディープラーニング、U-Netに基づく、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記分類するステップが、前記膵のう胞を4つの異なるグループ、すなわち膵管内乳頭粘液性腫瘍、IPMNと、粘液のう胞性腫瘍、MCNと、膵漿液性のう胞腺腫、SCAと、偽のう胞、PCYSTと、に分類することを含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
プログラム命令を有する非一時的なコンピュータ可読記憶媒体を含むコンピュータプログラム製品であって、前記プログラム命令は、少なくとも1つのハードウエアプロセッサによって、
患者のCT画像のセットにアクセスするステップであって、CT画像の前記セットの各画像は異なるスライスを表す、該ステップと、
CT画像の前記セットに対してフィルタリング操作を実行し、前記フィルタリングされたCT画像のセット内に膵のう胞を含む関心領域、ROI、候補を定義するステップと、
ニューラルネットワークを使用して、前記定義されたROIのセグメンテーション操作を実行し、結果として、セグメント化された画像を取得するステップであって、前記セグメント化された画像は、膵のう胞によって占有されているピクセルについての第一値の値と、膵のう胞によって占有されていないピクセルについての少なくとも第二値の値とを表す、該ステップと、
前記第一値を有する前記ピクセルを処理することにより、前記膵のう胞の偏心率及び凸性の値を算出し、
3D空間において前記第二値を有する前記ピクセルを3つの三分の一に分割し、前記分割された3つの三分の一内の前記膵のう胞の3D位置をチェックすることにより、前記膵のう胞の相対位置の値を算出する画像処理アルゴリズムを用いて、前記膵のう胞の形態学的解析を行うステップと、
前のステップで実行された前記形態学的分析と、前記患者の人口統計学的データとに基づいて、前記膵のう胞を分類するステップであって、前記人口統計学的データは、少なくとも前記患者の性別及び年齢を含む、該ステップと、を実行可能である、コンピュータプログラム製品。
【請求項13】
前記セグメント化された画像は、3つの異なる値、すなわち、前記膵のう胞に占有されているピクセルについての第一値と、前記膵臓によって占有されているピクセルについての第二値と、前記ピクセルの残りについての第三値を表す、請求項12に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項14】
前記膵のう胞の形態学的解析が、
前記のう胞が多のう胞性であるかどうか、
それが石灰化を有するかどうか及びそれらの位置、
それが空気球を有するかどうか及びそれらの位置、
前記のう胞の内部に瘢痕があるかどうか、
前記のう胞が平坦、小葉状、円形又は卵形であるか、
前記のう胞の外観、及び/又は
前記のう胞が膵管にアクセスするか否か、
の前記膵のう胞の特徴のうちの1つ又は複数を計算することをさらに含む、請求項12又は13に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項15】
前記分類するステップが、前記膵のう胞を4つの異なるグループ、すなわち膵管内乳頭粘液性腫瘍、IPMNと、粘液のう胞性腫瘍、MCNと、膵漿液性のう胞腺腫、SCAと、偽のう胞、PCYSTと、に分類することを含む、請求項12~14のいずれか一項に記載のコンピュータプログラム製品。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、膵のう胞(pancreatic cysts)の自動分類のための方法及びコンピュータプログラム製品に関する。本発明は、特にコンピュータ断層撮影(CT)画像上で、その切片(又は、断面/section)において5mmを超える直径を有する膵のう胞の正確な位置及び体積を得ることを可能にする。
【背景技術】
【0002】
膵のう胞性病変の検出は、この種の病変が膵臓癌に進展し得るため、重要である。実際には、膵のう胞のタイプは異なる臨床ガイドラインにおいて定義される。一般に、これらのガイドラインは各タイプののう胞(cysts)について以下の命名法を定義し、これはまた、膵臓癌に至るその確率を統計的に決定する:
-膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)は、通常主膵管又はウィルサム(Wirsum)に影響を及ぼす腫瘍性のう胞の一種である。症例の40%において、それは多のう胞性であり、これは、悪性腫瘍の確率に証明された影響を有することはない。IPMNは、典型的には多形クラスタ形状(pleomorphic cluster shape)を有する。
-粘液のう胞性腫瘍(MCN)は、典型的には膵臓の体部又は尾部に見出されるのう胞の一種である。このタイプののう胞は、通常、主膵管へのアクセスを有さない。
-漿液性のう胞腺腫(SCA)は、良性型の膵のう胞である。SCAは低い内部粘度を有し、典型的には小葉状の(lobular)形態からなる。
-偽のう胞(PCYST)は、円形又は楕円形の非悪性及び非腫瘍性のう胞の一種である。
【0003】
膵のう胞及びその分類は、目視分析によって評価することが困難であることが多い。患者の健康におけるその重要性を考慮すると、それが膵臓癌になる確率の早期予測を行うことができるようにするために、可能な限り正確な早期分類が非常に重要である。
【0004】
この分野では、いくつかの特許及び特許出願が知られている。
【0005】
EP3646240-A1は、のう胞性病変をスクリーニングするために医用画像データを使用するためのシステム、方法、及びコンピュータアクセス可能媒体を開示する。本方法は例えば、1人の患者の臓器についての第一撮像情報を受信することと、のう胞性病変を示す組織タイプを含む複数の組織タイプを識別するために、第一撮像情報に対してセグメンテーション動作を実行することによって、第二撮像情報を生成することと、第二撮像情報内ののう胞性病変を識別することと、第一分類器及び第二分類器をのう胞性病変に適用して、のう胞性病変を複数ののう胞性病変タイプのうちの1つ又は複数に分類することとを含み得る。第一分類器はランダムフォレスト分類器とすることができ、第二分類器は畳み込みニューラルネットワーク分類器とし得る。畳み込みニューラルネットワークは少なくとも6つの畳み込み層を含むことができ、少なくとも6つの畳み込み層は、最大プーリング層、ドロップアウト層、及び全結合層を含み得る。
【0006】
WO2021096991-A1は、膵腫瘍を検出するためのコンピュータプログラムを含む方法、システム、及び装置を開示している。方法は、画像を入力として第一モデルに提供するステップと、画像の第一モデルの処理に基づいて第一モデルによって生成された第一出力データを取得するステップであって、第一出力データが膵臓を描写する画像の一部分を表す該ステップと、第一出力データを入力として第二モデルに提供するステップと、第二入力データの第二モデルの処理に基づいて第二モデルによって生成された第二出力データを取得するステップであって、第二出力が描写された膵臓が正常であるか異常であるかを示す該ステップと、第一出力データ及び第二出力データを入力として第三モデルに提供するステップと、第三モデルによって生成された第三出力データを取得するステップであって、第三出力データが、膵臓が正常であることを示すデータ又は膵腫瘍の可能性のある位置を示すデータを含む該ステップと、を含む。
【0007】
US20210012505-A1は、膵管腺癌を検出するように訓練された複数のニューラルネットワークを介して画像を処理するための方法、システム、装置、及びコンピュータプログラムに関する。一態様では、方法が、ボクセルの第一ボリュームを示す第一画像を取得する動作と、(i)ボクセルの第一ボリュームを有する画像を処理するために、及び(ii)第一出力データを生成するために、訓練された第一ニューラルネットワークを使用して第一画像の粗セグメンテーションを実行する動作と、粗セグメンテーションに基づいて第一画像の関心領域を決定する動作と、第一画像の関心領域にそれぞれ基づいている複数の他の画像に対して多段精細セグメンテーションを実行して多段精細セグメンテーションの各ステージの出力データを生成する動作と、第一出力データと多段精細セグメンテーションの各ステージの出力データとに基づいて、第一画像が腫瘍を描写するかどうかを決定する動作とを含む。
【0008】
EP1421544-A1は、デジタル画像処理技術及びアダプティブコンピューティング方法を使用して、胸部コンピュータ断層撮影(CT)画像において、肺結節のような異常を検出及び分析する方法を提供する。この技術は、候補異常を検出するための自動検出プロセスと、2つの異なるCTスキャンからのCTスライスをマッチングするための画像マッチングプロセスと、候補異常のパラメータを決定する測定プロセスとを含む。最終結果及び処理されたCT画像は、ユーザインターフェース上に表示される。
【0009】
WO2020240455-A1は、のう胞などの臓器の塊を特徴付けるため、及びのう胞中の血清及び固体の存在を示すクラス、ならびにのう胞中の1つ又は複数の漿液性又は固体の小胞の存在を示すサブクラスを提供するためのコンピュータベースの方法を記載している。本方法は、(a)解剖学的塊を含む検査された解剖学的エンティティの少なくとも超音波画像を取得するステップと、(b)のう胞としての特徴及び/又はクラスを生成するための画像を処理するニューラルネットワークに基づく第一アルゴリズムを使用するステップと、(c)画像の内部領域を識別し、内部領域の少なくとも1つの形態学的定量パラメータに基づいて内部領域を漿液又は固体として分類し、流体領域の数を計数するために、コンピュータグラフィックス(computational graphics)の第二アルゴリズムを使用するステップと、(d)第一及び第二アルゴリズムの出力の組み合わせに基づいてクラス及びサブクラスを含む分類を提供するステップとを含む。
【0010】
CN108898152-Bは、マルチチャネル多重分類器に基づく膵のう胞性腫瘍画像分類方法を開示している。方法は、1)元の画像に対してウィンドウ幅及びウィンドウレベル調整を実行し、エッジ特徴を強化するためにCannyエッジ検出及び勾配振幅計算を実行することと、2)ResNetを採用して、マルチチャンネルグラフにエンドツーエンド学習を実行し、抽出された特徴としてプール5層の出力を使用し、ベイジアン分類器(Bayesian classifier)及びKNN分類器を使用して分類を実行し、分類確率を取得することと、3)ランダムフォレスト分類器を使用して、取得された3つの異なる確率を分類して、最終結果を得ることと、を含み、ランダムフォレストは、複数の決定木から構成される。マルチチャンネル多重分類器に基づく膵のう胞性腫瘍画像分類法は、自動的にエッジ強調を行い、分類精度を向上させ得る。
【0011】
さらに、Dmitriev et al. “Classification of Pancreatic Cysts in Computed Tomography Images Using a Random Forest and Convolutional Neural Network Ensemble”は、コンピュータ断層撮影画像を用いて膵のう胞の4つの最も一般的なタイプを分類する自動分類アルゴリズムを記載している。この提案されたアプローチは、患者に関する一般的な人口統計学的情報ならびにのう胞の画像化外観を利用する。これは、サブクラス固有の人口統計学的特徴、強度特徴、及び形状特徴を学習するランダムフォレスト分類器のベイズ結合(Bayesian combination)、及び微細テクスチャ情報に依存する新しい畳み込みニューラルネットワークに基づいている。
【0012】
Attiyeh et al. “CT radiomics associations with genotype and stromal content in pancreatic ductal adenocarcinoma”は、膵管腺癌(PDAC)におけるCTイメージング表現型と遺伝的及び生物学的特徴との関係を調査している。この研究は、PDAC SMAD4状態及び腫瘍間質内容物(tumor stromal content)が術前CTイメージングの放射線分析を使用して予測され得ることを実証する。これらのデータは、切除可能なPDACイメージング特徴と、根底にある腫瘍生物学と、将来の精密医療の可能性との間の関連を示す。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の目的は医用画像、特にCT画像上の膵のう胞の位置を特定し、特徴付けることができる自動セグメンテーション方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
この目的は、請求項1の特徴を有する方法によって、及び請求項11の特徴を有するコンピュータプログラム製品によって達成される。
【0015】
本発明は、医学の分野、特に膵のう胞の診断及び早期分類における支援、ならびにそれらの時間的進化の研究において特別な用途を見出す。
【0016】
本発明の実施形態は、第一態様によれば、CT画像を使用して膵のう胞を自動的に分類するためのコンピュータで実施される方法を提供し、本方法は、患者のCT画像のセットにアクセスするステップであって、CT画像のセットの各画像は異なるスライス(又は、断面/slice)を表す該ステップと、CT画像のセットに対してフィルタリング操作を実行し、CT画像のフィルタリングされたセット内に膵のう胞を含む関心領域(ROI)候補を定義する(又は、画定する/define)ステップと、ニューラルネットワークを使用して前記定義された(又は、画定された/defined)ROIのセグメンテーション操作を実行し、結果としてセグメント化された画像を取得するステップであって、セグメント化された画像が、膵のう胞によって占有されているピクセルについての第一値の値(又は、ピクセルに対する第一値の値)と、膵のう胞によって占有されていないピクセルについての少なくとも第二値の値とを表す該ステップと、画像処理アルゴリズムを使用することによって膵のう胞の形態学的分析(morphological analysis)を実行するステップと、前の工程で実行された形態学的分析と患者の人口統計学的データ(demographic data)とに基づいて膵のう胞を分類するステップであって、人工統計学的データは患者の性別及び年齢を含む該ステップと、を含む。
【0017】
特に、本発明によれば、膵のう胞の特徴付けは、3つの主要な指標:形状因子(偏心率、凸性(convexity))、膵臓における相対位置、及びサイズによって得られる。
【0018】
したがって、形態学的分析は特に、第一値を有するピクセルを処理する画像処理アルゴリズムによって、膵のう胞の偏心率及び凸性の値を計算することを含む。
【0019】
一実施形態では、膵のう胞の偏心率の値が膵のう胞の中央部分の長軸及び短軸を計算することによって計算される。凸性の値(value of convexity)は、膵のう胞の体積とそれぞれの凸包(又は、凸閉包/convex hull)の体積との間の比率として計算し得る。
【0020】
上記形態学的分析は、第二値を有するピクセルを3D空間において3つの三分の一(three thirds)に分割し、分割された3つの三分の一内での膵のう胞の3D位置をチェックする画像処理アルゴリズムによって、膵のう胞の相対位置の値を計算することをさらに含み得る。
【0021】
さらに、いくつかの実施形態では、膵のう胞の形態学的分析が、膵のう胞の以下の特徴、すなわち、のう胞が多のう胞性(multicystic)であるかどうか、のう胞が石灰化を有するかどうか、及びそうであればその位置、のう胞が空気球(又は、エアボール/air ball)を有するかどうか、及びそうであればその位置、のう胞の内部に瘢痕(scar)があるかどうか、のう胞が平坦(又は、フラット/flat)、小葉状(lobulated)、円形又は卵形であるかどうか、のう胞の外観(又は、アスペクト/aspect)、及び/又はのう胞が膵管にアクセスするかどうか、のうちの1つ又は複数を計算することをさらに含み得る。
【0022】
前記分類するステップは4つの異なるグループ、すなわち、膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)、粘液のう胞性腫瘍(MCN)、漿液性のう胞腺腫(SCA)、及び偽のう胞(PCYST)に膵のう胞を分類することを含み得る。
【0023】
いくつかの実施形態では、セグメント化された画像が3つの異なる値、すなわち、膵のう胞によって占有されているピクセルについての第一値、膵臓によって占有されているピクセルについての第二値、及びピクセルの残りの部分についての第三値を表す。セグメンテーションの目的は、フィルタ処理された画像の表現を、他のより重要でより分析が容易に、単純化及び/又は変更することであり、オブジェクトの位置特定及び任意の画像内でのこれらの限界(又は、範囲/limits)の発見の両方に使用される。
【0024】
一実施形態では、フィルタリング操作がメディアンフィルタ、例えば、3×3フィルタウィンドウを含む。メディアンフィルタの適用によって追求される主な目的は、画像を平滑化し、隣接するピクセル間の強度変動の量を低減することである。
【0025】
一実施形態では、ニューラルネットワークがセマンティックセグメンテーションアルゴリズムを含む。特に、ニューラルネットワークは、ディープラーニング、U-Netに基づく。
【0026】
いくつかの実施形態では、患者の人口統計学的データはまた、患者の民族集団、病歴、及び/又は薬物摂取を含み得る。
【0027】
本明細書に開示される本発明の他の実施形態はまた、上記に要約され、以下に詳細に開示される方法の実施形態、ステップ、及び操作を実行するためのソフトウェアプログラムを含む。より詳細には、コンピュータプログラム製品がコンピュータシステム内の少なくとも1つのプロセッサ上で実行されると、プロセッサに、本発明の実施形態として本明細書に示される操作を実行させる、コード化されたコンピュータプログラム命令を含む、コンピュータ可読媒体を有する一実施形態である。
【0028】
本発明は、以下の特徴、すなわち、
1.膵のう胞のCT画像内の位置を高精度に得ることができる
2.その適用は、臨床ガイドラインで定義されたタイプのうちの1つの中でその有望な自動分類を決定する、膵のう胞の三次元特徴付けを得ることを可能にする
を考慮すると、現在の技術水準では解決されなかった問題を解決する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
前述及び他の利点及び特徴は添付の図面を参照して、以下の実施形態の詳細な説明からより完全に理解されるであろうが、図面は例示的かつ非限定的な方法で考慮されなければならない:
図1図1は、提案された方法の一実施形態を示すフローチャートである。
図2図2は、一実施形態による、検出された膵のう胞の特徴付け及び分類を示す別のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本明細書で議論される様々な実施形態は、特にコンピュータ断層撮影(CT)画像を使用して、膵のう胞を自動的に特徴付け、分類するための方法を構築及び/又は使用し得る。
【0031】
本発明は、腹部画像検査における膵のう胞の位置及びタイプの正確かつ信頼できる測定を可能にし、より具体的には、こののう胞が膵臓癌に至る確率の尺度として使用できるように、軸上の表示からの膵のう胞の位置及びタイプの測定を可能にする。
【0032】
画像の取得のために、臨床使用のためにCT装置上で取得された任意の画像を使用し得る。
【0033】
図1を参照すると、提案された方法の実施形態が示されている。この実施形態によれば、ステップ101において、患者の画像のセットが、1つ又は複数のプロセッサ及び少なくとも1つのメモリを含むコンピュータによってアクセス(又は受信)される。
【0034】
いくつかの実施形態では、コンピュータは、サーバコンピュータ、PC、タブレット、又はスマートフォンであってもよい。コンピュータは、単一又はいくつかのハードウェアモジュール、又は1つ又は複数のソフトウェアモジュールと1つ又は複数のハードウェアモジュールとの組合せを含み得る。
【0035】
いくつかの実施形態では、画像のセットがコンピュータによってアクセス(又は受信)される前に、CT画像の各シーケンスのDICOM情報に基づいて、事前に編成され、ディレクトリに記憶される。
【0036】
ステップ102において、画像のセットに対するフィルタリング操作が、例えば、メディアンフィルタを適用することによって実行され、したがって、取得された画像からのノイズが低減される。フィルタの特性は、画像の空間解像度に依存することに留意されたい。ステップ103において、膵のう胞を含む関心領域(ROI)候補が、フィルタリングされた画像のセット内で定義される。
【0037】
一旦ROIが定義されると、ステップ104で、セグメンテーション操作が、U-Net(しかしながらこれに限定されない)のようなニューラルネットワークを実行することによってさらに実行される。
【0038】
U-Netアルゴリズムは、「エンコーダ」及び「デコーダ」として知られる2つのブランチ(又は、分岐/branch)からなる。第一は、3×3次元フィルタを通した8回の畳み込み演算と、2回の畳み込みのシーケンスを用いて各々1つずつインターリーブされた4つの最大プーリング演算の達成である。この第一ブランチの目的は、入力画像のサイズを32×32ピクセルの解像度に縮小することである。この縮小の間、目的は、画像のコンテキスト(のう胞が発見される可能性が高い領域)から最もよく抽出される畳み込みカーネル及びそれらの重みの値を学習することである。このアルゴリズムの第二ブランチは32×32ピクセルから初期解像度への再スケーリングを実行し、第一ブランチに類似する数及びタイプから構成される。アーキテクチャのこの第二部分は、第一部分によって実行される検出を改良しようとする。
【0039】
結果として、少なくとも、膵のう胞によって占有されているピクセルについての第一値の値と、少なくとも膵のう胞によって占有されていないピクセルについての第二値の値とを表すセグメント化された画像が得られる。例えば、セグメント化された画像は膵のう胞によって占有されているピクセルを「1」で表し、膵のう胞によって占有されていないピクセルを「0」で表すバイナリマスクを表すことができる。代替的に、セグメント化された画像は、膵のう胞によって占有されているピクセルについて「2」の値、膵臓によって占有されているピクセルについて「1」の値、及びピクセルの残りについて「0」の値を提示するマスクを表すことができる。
【0040】
ステップ105において、コンピュータは、特に画像処理アルゴリズムを使用して、膵のう胞の形態学的分析を実行し、画像処理アルゴリズムは第一値を有するピクセルを少なくとも処理し、膵のう胞の以下の特徴、すなわち、偏心率及び凸性の値を少なくとも計算する。最後に、ステップ106において、膵のう胞は、形態学的分析、ならびに患者の性別及び年齢を含むがこれらに限定されない患者の人口統計学的データも考慮して分類される。
【0041】
特定の実施形態では、偏心率は以下のように計算される。検出された膵のう胞を全て一緒に形成する3D空間内のピクセルのセットであるU-netによって生成された3Dボリュームから、3Dのう胞を形成するスライスが識別される。このスライスの各々について、のう胞の2Dセクション(又は、断面/section)が計算され、次いで、最大セクションを有するスライスが選択される。画像座標系(左上隅の原点、「x」軸は水平、「y」軸は垂直)を使用して、最小の「x」と最大の「x」を有する区間(又は、部分/section)の点間の距離が計算され(「A」と呼ぶ)、並びに最小の「y」と最大の「y」を有する区間の点間の距離が計算される(「B」と呼ぶ)。次いで、偏心率は、以下のように計算される:
この値に応じて、決定関数(decision function)のこの部分は、より可能性の高い何らかのタイプとして出力される。例えば、統計的には、偽のう胞が他のタイプよりも球体により類似している。これは、軸間の比が1に近い場合、最も可能性の高いのう胞型は偽のう胞であることを意味する。
【0042】
同様に、特定の実施形態では、凸性はコンベックスハル技法(Convex hull technique)を使用して計算し得る。この方法はニューラルネットワークによって生成された3Dボリュームの表面を形成する3D点を識別し、その方程式を計算する。このアプローチにより、まず、ニューラルネットワークによって生成された2に等しい全てのピクセルを含む最小の凸多角形の方程式が定義される。次に、ニューラルネットワークによって計算された3Dボリュームに含まれるピクセルと、コンベックスハルによって得られた表面に含まれるピクセルとの間の比が計算される。これらが類似しているほど、この比は1に近くなり、膵のう胞は小葉がより少なくなる。偽のう胞(例えば)は小葉がより少ないので、この影響は膵のう胞分類に及ぼす。よって、この比が1に近い場合、決定関数のこの部分は、のう胞が偽のう胞であることを決定する。
【0043】
なお、上述の方法に代えて、偏心率及び凸性の値を算出するための他のアプローチを、画像処理アルゴリズムによって代替的に実施し得る。
【0044】
いくつかの実施形態では、偏心率及び凸性の値が得られると、膵のう胞の体積も計算し得る。相補的又は代替的に、検出された膵のう胞の相対位置値も計算し得る。ニューラルネットワークは膵臓及び膵のう胞の両方を検出し得るので、検出された膵のう胞が膵臓の頭部、尾部又は体部に位置するかどうかを決定するために、検出された膵臓が、3D空間において3つの三分の一(3 thirds)に分割される。次いで、膵のう胞の3D位置が、それがどの三分の一に属するかを見るためにチェックされる。この膵のう胞の空間的局在は、表2によるのう胞分類に影響を及ぼす。
【0045】
ここで図2を参照すると、膵のう胞の特徴付け及び分類の実施形態が示されている。特に、膵のう胞を分類するための提案された方法は、以下の式1に基づく:
Ci=Πi+θi (式1)
ここで、Ciは、i番目ののう胞のクラスを表し、のう胞が人口統計学的データ(又はメタデータ)に従ったタイプに属する確率(又は、可能性/probability)はΠiであり、その形態に従ったタイプに属する確率はθiである。
【0046】
実施形態において、膵のう胞のメンバーシップクラスを予測するために考慮され得る患者のメタデータは、表1に従って、年齢及び性別である:
【0047】
他の実施形態では、例えば、とりわけ、患者の民族集団、病歴、及び/又は薬物摂取など、追加のメタデータが考慮され得ることに留意されたい。
【0048】
さらに、形態学的項(θi)は、膵のう胞の形態及び物理的特徴を考慮し得る。膵のう胞の形態を取得し、調査するために、セグメント化された画像から得られたラベルを抽出する必要があり、この特定の実施形態では、膵のう胞によって占有されているピクセルについて「2」の値を、膵臓によって占有されているピクセルについて「1」の値を、ピクセルの残りについて「0」の値を示すマスクによって表される。これらの結果のおかげで、膵のう胞及び膵臓のそれぞれのピクセル情報を得ることができる。
【0049】
第一に、画像は、膵臓及び膵のう胞が現れる領域においてクロップされ(又は、切り出され/cropped)、処理される画像のサイズを縮小して、膵のう胞の調査をより速くする。画像がクロップされ、ピクセルからの情報が以前に得られたラベル(膵臓及びのう胞)によって抽出されると、膵のう胞の調査を開始し得る。
【0050】
まず、患者のメタデータに基づいて、膵のう胞の種類ごとに確率が確立される。この値は、式(1)のΠiとなる。
【0051】
θiの値を決定するために分類するために用いられる形態(形状及び位置特性)は、以下のうちの1つ又は複数であってよい:膵のう胞の輪郭が平坦であるか分葉状であるか、より円形又は卵形であるかを調べる;均一性、平均、標準偏差などののう胞のピクセル特性を調べる;膵のう胞の膵臓に対する位置(頭部、体部、尾部)を調べる;膵のう胞が多のう胞性であるかどうかを調べ、多のう胞性である場合は異なるのう胞とそれらの膵のう胞全体との関連性を調べる;のう胞と膵臓の両方が石灰化を有するかどうかとその位置;周辺か中央か、頭部か、体部か、尾部かを決定する;のう胞に空気球があるかどうか、及びその位置;周辺か中央かを調べる;膵のう胞の内部に瘢痕があるかどうかを調べる;膵臓のラベルから膵管を分け、膵のう胞が接触しているかどうかを調べる。
【0052】
医用画像における膵のう胞の特徴付けに関する利用可能な文献により、いくつかの実施形態では、表2の基準に従い、のう胞のクラスを決定した。
【0053】
さらに、ニューラルネットワークによって生成された3Dボリューム内のピクセルと計算された凸包内のピクセルとの間の比に応じて、以下ののう胞分類を行うことができる。
【0054】
各特徴に対して、各膵のう胞の確率を割り当てることができ、各特徴に対してそれぞれの重みが割り当てられると、それは、メタデータ分類の重みと比較される。
【0055】
図2の実施形態では、まず、膵のう胞が多のう胞であるかどうかがチェックされる。多のう胞の場合、各膵のう胞の重要性を評価する。最大の膵のう胞が総ピクセル数の70%を超える場合、最大の膵のう胞を特異(又は、ユニーク/unique)であると考えて調査を行う。そうでなければ、全ての膵のう胞が考慮されるが、別個の小葉(lobe)がピクセルの総数の20%未満である場合、それは十分に関連するとは考えられないので、無視される。
【0056】
複数の膵のう胞分類(multiple pancreatic cyst classification)については、最初に、セグメント化された画像のマスクが単一の領域に対応するか、又は複数の未接続の領域に対応するかが検証される。生成されたマスクが一意の領域に対応するかどうかをチェックするために、隣接するピクセルのうちの少なくとも1つが同じ値を有するかどうかが、マスクの各ピクセルについてチェックされる。隣接するピクセルのいずれも、調査中のマスクのピクセルと同じ値を有さない場合、膵のう胞は多のう胞性であると考えられ、マスクの各関連領域が独立して分析される。
【0057】
複数の膵のう胞(<70%且つ>20%ののう胞が2つを超える)の分類が必要な場合、各膵のう胞の調査を行う。まず、十分に重要と考えられる各膵のう胞の凸包を算出する。次に、それを含む凸包のピクセル数と小葉のピクセル数との間の比を使用して、表面が平坦であるか小葉状であるかを調べる。続いて、長軸と短軸との間の比率を使用して、長円形であるか球形であるかを調べる。次に、膵のう胞内のハウンスフィールド単位(HU)勾配の調査から、中隔(septum)又は中心瘢痕があるかどうかを計算する。膵のう胞の中心又は半連続線に含まれる最大HUが存在する場合、膵のう胞は、中隔又は中心瘢痕を有するとみなされる。
【0058】
単一の膵のう胞の分類のために、そのピクセル数とそれぞれの凸状ヘルメット(convex helmet)(又は、コンベックスハル(Convex hull))のピクセル数との間の比が決定される。その後、標準偏差も考慮され、それぞれの重みがそれぞれの場合に割り当てられる。
【0059】
本明細書で説明されるように、提案される方法の様々な態様は、プログラミングにおいて具現化され得る。本技術のプログラム態様は、典型的には機械可読媒体のタイプで搬送又は具現化される実行可能コード及び/又は関連データの形態の「製品」又は「製造品」と考えることができる。有形の非一時的「記憶」タイプの媒体は様々な半導体メモリ、テープドライブ、ディスクドライブなどの、コンピュータ、プロセッサなどのためのメモリ又は他の記憶装置のいずれか又はすべて、又はその関連モジュールを含み、これらは、ソフトウェアプログラミングのためにいつでも記憶装置を提供し得る。
【0060】
ソフトウェアのすべて又は一部は、時にはインターネット又は様々な他の電気通信ネットワークなどのネットワークを通して通信され得る。そのような通信は例えば、1つのコンピュータ又はプロセッサから別のコンピュータ又はプロセッサへのソフトウェアのロードを可能にすることができ、例えば、スケジューリングシステムの管理サーバ又はホストコンピュータから、コンピューティング環境のハードウェアプラットフォーム、又はコンピューティング環境を実装する他のシステム、又は画像処理に関連する同様の機能へのロードを可能にし得る。したがって、ソフトウェア要素を担持し得る別のタイプの媒体は、ローカルデバイス間の物理的インターフェースにわたって、有線及び光地上回線ネットワークを通して、ならびに様々なエアリンクを介して使用されるような、光波、電波、及び電磁波を含む。有線又は無線リンク、光リンクなどのような、そのような波を搬送する物理的要素はまた、ソフトウェアを担持する媒体と見なされ得る。本明細書で使用される場合、有形の「記憶」媒体に限定されない限り、コンピュータ又は機械「可読媒体」などの用語は、実行のためにプロセッサに命令を提供することに関与する任意の媒体を指す。
【0061】
機械可読媒体は有形記憶媒体、搬送波媒体、又は物理的伝送媒体を含むが、これらに限定されない、多くの形態をとり得る。不揮発性記憶媒体は例えば、任意のコンピュータ(単数又は複数)内の記憶デバイスのいずれかなどの光ディスク又は磁気ディスクを含み、これらは、システム又は図面に示されるその構成要素のいずれかを実装するために使用され得る。揮発性記憶媒体は、そのようなコンピュータプラットフォームのメインメモリなどのダイナミックメモリを含み得る。有形伝送媒体は、コンピュータシステム内でバスを形成するワイヤを含む、同軸ケーブル、銅線及び光ファイバを含み得る。搬送波伝送媒体は、無線周波数(RF)及び赤外線(IR)データ通信中に生成されるような、電気信号又は電磁信号、又は音波又は光波の形態をとり得る。コンピュータ読み取り可能媒体の一般的な形態は例えば、フロッピーディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク、磁気テープ、他の磁気媒体、CD-ROM、DVD又はDVD-ROM、他の光学媒体、パンチカードペーパーテープ、穴のパターンを有する他の任意の物理的記憶媒体、RAM、PROM及びEPROM、FLASH-EPROM、他の任意のメモリチップ又はカートリッジ、搬送波データ又は命令、かかる搬送波を搬送するケーブル又はリンク、又はコンピュータがプログラミングコード及び/又はデータを読み取ることができる他の任意の媒体を含み得る。コンピュータ可読媒体のこれらの形態の多くは、実行のために1つ又は複数の命令の1つ又は複数のシーケンスを物理プロセッサに搬送することに関与し得る。
【0062】
当業者は、本教示が様々な修正及び/又は強化に従うことを認識するであろう。例えば、本明細書で説明される様々な構成要素の実装はハードウェアデバイスにおいて実施され得るが、ソフトウェアのみのソリューション、例えば、既存のサーバ上のインストールとして実装されてもよい。加えて、本明細書に開示される画像処理は、ファームウェア、ファームウェア/ソフトウェアの組合せ、ファームウェア/ハードウェアの組合せ、又はハードウェア/ファームウェア/ソフトウェアの組合せとして実装され得る。
【0063】
本開示及び/又はいくつかの他の例を上記で説明した。上記の説明によれば、様々な変更を行うことができる。本開示のトピックは様々な形態及び実施形態において達成されることができ、本開示は様々なアプリケーションプログラムにおいてさらに使用され得る。特許請求の範囲において保護されることが必要とされるすべての適用、修正、及び変更は、本開示の保護範囲内であり得る。
【0064】
本発明の範囲は、以下の請求項のセットにおいて定義される。
図1
図2
【手続補正書】
【提出日】2024-03-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータ断層撮影、CT、画像を使用して膵のう胞を自動的に分類するためのコンピュータで実施される方法であって、前記方法は、
コンピュータによって、患者のCT画像のセットにアクセスするステップであって、CT画像の前記セットの各画像が異なるスライスを表す該ステップと、
前記コンピュータによって、CT画像の前記セットに対してフィルタリング操作を実行し、前記フィルタリングされたCT画像のセット内に膵のう胞を含む関心領域、ROI、候補を定義するステップと、
前記コンピュータによって、ニューラルネットワークを使用して、前記定義されたROIのセグメンテーション操作を実行し、結果として、セグメント化された画像を取得するステップであって、前記セグメント化された画像は膵のう胞によって占有されているピクセルについての第一値の値と、膵のう胞によって占有されていないピクセルについての少なくとも第二値の値とを表す、該ステップと、
前記コンピュータによって、
前記第一値を有する前記ピクセルを処理することにより、前記膵のう胞の偏心率及び凸性の値を算出し、
3D空間において第二値を有する前記ピクセルを3つの三分の一に分割し、前記分割された3つの三分の一内の前記膵のう胞の3D位置をチェックすることにより、前記膵のう胞の相対位置の値を算出する画像処理アルゴリズムを用いて、前記膵のう胞の形態学的分析を実行するステップと、
前記コンピュータによって、前のステップで実行された前記形態学的分析と、前記患者の人口統計学的データとに基づいて、前記膵のう胞を分類するステップであって、前記人口統計学的データは、少なくとも、前記患者の性別及び年齢を含む、該ステップと、を含む方法。
【請求項2】
前記患者の人口統計学的データが、前記患者の民族集団、病歴、及び/又は薬物摂取をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記セグメント化された画像は、3つの異なる値、すなわち、前記膵のう胞によって占有されているピクセルについての第一値、前記膵臓によって占有されているピクセルについての第二値、及び前記ピクセルの残りについての第三値を表す、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記膵のう胞の偏心率の値が、前記膵のう胞の中央部分の長軸及び短軸を計算することによって計算される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記膵のう胞の凸性の値が、前記膵のう胞の体積とそれぞれの凸包の体積との間の比率として計算される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記膵のう胞の形態学的解析が、
前記膵のう胞が多のう胞性であるかどうか、
それが石灰化を有するかどうか、及びそれらの位置、
それが空気球を有するかどうか、及びそれらの位置、
前記のう胞の内部に瘢痕があるかどうか、
前記のう胞が平坦、小葉状、円形又は卵形であるかどうか、
前記のう胞の外観、及び/又は、
前記のう胞が膵管にアクセスするか否か、
の前記膵のう胞の特徴のうちの1つ又は複数を計算することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記フィルタリング操作は、メディアンフィルタを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記メディアンフィルタは、3×3フィルタウィンドウを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記ニューラルネットワークは、セマンティックセグメンテーションアルゴリズムを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記ニューラルネットワークは、ディープラーニング、U-Netに基づく、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記分類するステップが、前記膵のう胞を4つの異なるグループ、すなわち膵管内乳頭粘液性腫瘍、IPMNと、粘液のう胞性腫瘍、MCNと、膵漿液性のう胞腺腫、SCAと、偽のう胞、PCYSTと、に分類することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
プログラム命令を有する非一時的なコンピュータ可読記憶媒体を含むコンピュータプログラム製品であって、前記プログラム命令は、少なくとも1つのハードウエアプロセッサによって、
患者のCT画像のセットにアクセスするステップであって、CT画像の前記セットの各画像は異なるスライスを表す、該ステップと、
CT画像の前記セットに対してフィルタリング操作を実行し、前記フィルタリングされたCT画像のセット内に膵のう胞を含む関心領域、ROI、候補を定義するステップと、
ニューラルネットワークを使用して、前記定義されたROIのセグメンテーション操作を実行し、結果として、セグメント化された画像を取得するステップであって、前記セグメント化された画像は、膵のう胞によって占有されているピクセルについての第一値の値と、膵のう胞によって占有されていないピクセルについての少なくとも第二値の値とを表す、該ステップと、
前記第一値を有する前記ピクセルを処理することにより、前記膵のう胞の偏心率及び凸性の値を算出し、
3D空間において前記第二値を有する前記ピクセルを3つの三分の一に分割し、前記分割された3つの三分の一内の前記膵のう胞の3D位置をチェックすることにより、前記膵のう胞の相対位置の値を算出する画像処理アルゴリズムを用いて、前記膵のう胞の形態学的解析を行うステップと、
前のステップで実行された前記形態学的分析と、前記患者の人口統計学的データとに基づいて、前記膵のう胞を分類するステップであって、前記人口統計学的データは、少なくとも前記患者の性別及び年齢を含む、該ステップと、を実行可能である、コンピュータプログラム製品。
【請求項13】
前記セグメント化された画像は、3つの異なる値、すなわち、前記膵のう胞に占有されているピクセルについての第一値と、前記膵臓によって占有されているピクセルについての第二値と、前記ピクセルの残りについての第三値を表す、請求項12に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項14】
前記膵のう胞の形態学的解析が、
前記のう胞が多のう胞性であるかどうか、
それが石灰化を有するかどうか及びそれらの位置、
それが空気球を有するかどうか及びそれらの位置、
前記のう胞の内部に瘢痕があるかどうか、
前記のう胞が平坦、小葉状、円形又は卵形であるか、
前記のう胞の外観、及び/又は
前記のう胞が膵管にアクセスするか否か、
の前記膵のう胞の特徴のうちの1つ又は複数を計算することをさらに含む、請求項12又は13に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項15】
前記分類するステップが、前記膵のう胞を4つの異なるグループ、すなわち膵管内乳頭粘液性腫瘍、IPMNと、粘液のう胞性腫瘍、MCNと、膵漿液性のう胞腺腫、SCAと、偽のう胞、PCYSTと、に分類することを含む、請求項12又は13に記載のコンピュータプログラム製品。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0064
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0064】
本発明の範囲は、以下の請求項のセットにおいて定義される。
下記は、本願の出願当初に記載の発明である。
<請求項1>
コンピュータ断層撮影、CT、画像を使用して膵のう胞を自動的に分類するためのコンピュータで実施される方法であって、前記方法は、
コンピュータによって、患者のCT画像のセットにアクセスするステップであって、CT画像の前記セットの各画像が異なるスライスを表す該ステップと、
前記コンピュータによって、CT画像の前記セットに対してフィルタリング操作を実行し、前記フィルタリングされたCT画像のセット内に膵のう胞を含む関心領域、ROI、候補を定義するステップと、
前記コンピュータによって、ニューラルネットワークを使用して、前記定義されたROIのセグメンテーション操作を実行し、結果として、セグメント化された画像を取得するステップであって、前記セグメント化された画像は膵のう胞によって占有されているピクセルについての第一値の値と、膵のう胞によって占有されていないピクセルについての少なくとも第二値の値とを表す、該ステップと、
前記コンピュータによって、
前記第一値を有する前記ピクセルを処理することにより、前記膵のう胞の偏心率及び凸性の値を算出し、
3D空間において第二値を有する前記ピクセルを3つの三分の一に分割し、前記分割された3つの三分の一内の前記膵のう胞の3D位置をチェックすることにより、前記膵のう胞の相対位置の値を算出する画像処理アルゴリズムを用いて、前記膵のう胞の形態学的分析を実行するステップと、
前記コンピュータによって、前のステップで実行された前記形態学的分析と、前記患者の人口統計学的データとに基づいて、前記膵のう胞を分類するステップであって、前記人口統計学的データは、少なくとも、前記患者の性別及び年齢を含む、該ステップと、を含む方法。
<請求項2>
前記患者の人口統計学的データが、前記患者の民族集団、病歴、及び/又は薬物摂取をさらに含む、請求項1に記載の方法。
<請求項3>
前記セグメント化された画像は、3つの異なる値、すなわち、前記膵のう胞によって占有されているピクセルについての第一値、前記膵臓によって占有されているピクセルについての第二値、及び前記ピクセルの残りについての第三値を表す、請求項1又は2に記載の方法。
<請求項4>
前記膵のう胞の偏心率の値が、前記膵のう胞の中央部分の長軸及び短軸を計算することによって計算される、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
<請求項5>
前記膵のう胞の凸性の値が、前記膵のう胞の体積とそれぞれの凸包の体積との間の比率として計算される、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
<請求項6>
前記膵のう胞の形態学的解析が、
前記膵のう胞が多のう胞性であるかどうか、
それが石灰化を有するかどうか、及びそれらの位置、
それが空気球を有するかどうか、及びそれらの位置、
前記のう胞の内部に瘢痕があるかどうか、
前記のう胞が平坦、小葉状、円形又は卵形であるかどうか、
前記のう胞の外観、及び/又は、
前記のう胞が膵管にアクセスするか否か、
の前記膵のう胞の特徴のうちの1つ又は複数を計算することをさらに含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
<請求項7>
前記フィルタリング操作は、メディアンフィルタを含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
<請求項8>
前記メディアンフィルタは、3×3フィルタウィンドウを含む、請求項7に記載の方法。
<請求項9>
前記ニューラルネットワークは、セマンティックセグメンテーションアルゴリズムを含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
<請求項10>
前記ニューラルネットワークは、ディープラーニング、U-Netに基づく、請求項9に記載の方法。
<請求項11>
前記分類するステップが、前記膵のう胞を4つの異なるグループ、すなわち膵管内乳頭粘液性腫瘍、IPMNと、粘液のう胞性腫瘍、MCNと、膵漿液性のう胞腺腫、SCAと、偽のう胞、PCYSTと、に分類することを含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
<請求項12>
プログラム命令を有する非一時的なコンピュータ可読記憶媒体を含むコンピュータプログラム製品であって、前記プログラム命令は、少なくとも1つのハードウエアプロセッサによって、
患者のCT画像のセットにアクセスするステップであって、CT画像の前記セットの各画像は異なるスライスを表す、該ステップと、
CT画像の前記セットに対してフィルタリング操作を実行し、前記フィルタリングされたCT画像のセット内に膵のう胞を含む関心領域、ROI、候補を定義するステップと、
ニューラルネットワークを使用して、前記定義されたROIのセグメンテーション操作を実行し、結果として、セグメント化された画像を取得するステップであって、前記セグメント化された画像は、膵のう胞によって占有されているピクセルについての第一値の値と、膵のう胞によって占有されていないピクセルについての少なくとも第二値の値とを表す、該ステップと、
前記第一値を有する前記ピクセルを処理することにより、前記膵のう胞の偏心率及び凸性の値を算出し、
3D空間において前記第二値を有する前記ピクセルを3つの三分の一に分割し、前記分割された3つの三分の一内の前記膵のう胞の3D位置をチェックすることにより、前記膵のう胞の相対位置の値を算出する画像処理アルゴリズムを用いて、前記膵のう胞の形態学的解析を行うステップと、
前のステップで実行された前記形態学的分析と、前記患者の人口統計学的データとに基づいて、前記膵のう胞を分類するステップであって、前記人口統計学的データは、少なくとも前記患者の性別及び年齢を含む、該ステップと、を実行可能である、コンピュータプログラム製品。
<請求項13>
前記セグメント化された画像は、3つの異なる値、すなわち、前記膵のう胞に占有されているピクセルについての第一値と、前記膵臓によって占有されているピクセルについての第二値と、前記ピクセルの残りについての第三値を表す、請求項12に記載のコンピュータプログラム製品。
<請求項14>
前記膵のう胞の形態学的解析が、
前記のう胞が多のう胞性であるかどうか、
それが石灰化を有するかどうか及びそれらの位置、
それが空気球を有するかどうか及びそれらの位置、
前記のう胞の内部に瘢痕があるかどうか、
前記のう胞が平坦、小葉状、円形又は卵形であるか、
前記のう胞の外観、及び/又は
前記のう胞が膵管にアクセスするか否か、
の前記膵のう胞の特徴のうちの1つ又は複数を計算することをさらに含む、請求項12又は13に記載のコンピュータプログラム製品。
<請求項15>
前記分類するステップが、前記膵のう胞を4つの異なるグループ、すなわち膵管内乳頭粘液性腫瘍、IPMNと、粘液のう胞性腫瘍、MCNと、膵漿液性のう胞腺腫、SCAと、偽のう胞、PCYSTと、に分類することを含む、請求項12~14のいずれか一項に記載のコンピュータプログラム製品。
【国際調査報告】