(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-04
(54)【発明の名称】肝体積を減少させるためのレスメチロム
(51)【国際特許分類】
A61K 31/53 20060101AFI20240927BHJP
A61P 1/16 20060101ALI20240927BHJP
A61P 9/12 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
A61K31/53
A61P1/16
A61P9/12
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024519112
(86)(22)【出願日】2022-09-27
(85)【翻訳文提出日】2024-05-27
(86)【国際出願番号】 US2022044826
(87)【国際公開番号】W WO2023049491
(87)【国際公開日】2023-03-30
(32)【優先日】2021-09-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503271718
【氏名又は名称】マドリガル ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Madrigal Pharmaceuticals,Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100107386
【氏名又は名称】泉谷 玲子
(74)【代理人】
【識別番号】100220098
【氏名又は名称】宮脇 薫
(72)【発明者】
【氏名】タウプ,レベッカ
【テーマコード(参考)】
4C086
【Fターム(参考)】
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC64
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZA42
4C086ZA75
(57)【要約】
本開示は、レスメチロム、そのプロドラッグ、またはレスメチロムもしくはレスメチロムプロドラッグの薬学的に許容される塩を投与するステップを含む、硬変性または非硬変性の対象において肝体積を減少させる方法を記載する。本開示はまた、NASHの処置を必要とする硬変性の対象に、レスメチロム、そのプロドラッグ、またはレスメチロムもしくはレスメチロムプロドラッグの薬学的に許容される塩を投与するステップを含む、当該対象においてNASHを処置する方法も記載する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象に、レスメチロム:
【化1】
そのプロドラッグ、または前記レスメチロムもしくは前記レスメチロムプロドラッグの薬学的に許容される塩を投与するステップを含む、前記対象において肝体積を減少させる方法。
【請求項2】
対象において肝体積を減少させるために使用するための、レスメチロム、そのプロドラッグ、または前記レスメチロムもしくは前記レスメチロムプロドラッグの薬学的に許容される塩。
【請求項3】
対象において肝体積を減少させるための医薬の製造における、レスメチロム、そのプロドラッグ、または前記レスメチロムもしくは前記レスメチロムプロドラッグの薬学的に許容される塩の使用。
【請求項4】
対象に、レスメチロム、そのプロドラッグ、または前記レスメチロムもしくは前記レスメチロムプロドラッグの薬学的に許容される塩を投与するステップを含む、前記対象において疾患、障害または状態を処置または予防する方法。
【請求項5】
対象における疾患、障害または状態の処置または予防に使用するための、レスメチロム、そのプロドラッグ、または前記レスメチロムもしくは前記レスメチロムプロドラッグの薬学的に許容される塩。
【請求項6】
対象において疾患、障害または状態を処置または予防するための医薬の製造における、レスメチロム、そのプロドラッグ、または前記レスメチロムもしくは前記レスメチロムプロドラッグの薬学的に許容される塩の使用。
【請求項7】
前記疾患、障害または状態がNASHである、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法、使用するためのレスメチロム、または使用。
【請求項8】
前記疾患、障害または状態が硬変性のNASHである、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法、使用するためのレスメチロム、または使用。
【請求項9】
前記疾患、障害または状態が肝臓炎である、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法、使用するためのレスメチロム、または使用。
【請求項10】
前記疾患、障害または状態が、増加した肝体積に関連する、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法、使用するためのレスメチロム、または使用。
【請求項11】
前記疾患、障害または状態が門脈圧亢進症である、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法、使用するためのレスメチロム、または使用。
【請求項12】
前記対象が、前記疾患、障害または状態を有していない比較可能な対象と比較して、少なくとも約5%大きい、少なくとも約10%大きい、少なくとも約20%大きい、少なくとも約30%大きい、少なくとも約40%大きい、少なくとも約50%大きい、少なくとも約60%大きい、少なくとも約70%大きい、少なくとも約80%大きい、少なくとも約90%大きい、少なくとも約100%大きい、少なくとも約150%大きい、または少なくとも約200%大きい肝体積を有する、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法、使用するためのレスメチロム、または使用。
【請求項13】
前記対象が、約50%以下、約40%以下、約30%以下、約25%以下、約20%以下、約15%以下、約10%以下、約5%以下、約4%以下、約3%以下、約2%以下、または約1%以下である肝臓脂肪量を有する、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法、使用するためのレスメチロム、または使用。
【請求項14】
前記投与が、前記肝体積を、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、または少なくとも約60%減少させる、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法、使用するためのレスメチロム、または使用。
【請求項15】
前記投与が、前記肝臓脂肪量を、投与前の前記対象の肝体積と比較して、約20%以下、約15%以下、約10%以下、約5%以下、約4%以下、約3%以下、約2%以下、または約1%以下、減少させる、請求項1から14のいずれか一項に記載の方法、使用するためのレスメチロム、または使用。
【請求項16】
前記肝体積の減少が前記肝臓脂肪量の減少より大きい、請求項1から15のいずれか一項に記載の方法、使用するためのレスメチロム、または使用。
【請求項17】
前記肝体積の減少が、前記肝臓脂肪量の減少と比較して、少なくとも約5%大きいか、少なくとも約10%大きいか、少なくとも約20%大きいか、少なくとも約30%大きいか、少なくとも約40%大きいか、少なくとも約50%大きいか、少なくとも約60%大きいか、少なくとも約70%大きいか、少なくとも約80%大きいか、少なくとも約90%大きいか、少なくとも約100%大きいか、少なくとも約150%大きいか、少なくとも約200%大きいか、少なくとも約300%大きいか、少なくとも約400%大きいか、少なくとも約500%大きいか、少なくとも約600%大きいか、少なくとも約700%大きいか、少なくとも約800%大きいか、少なくとも約900%大きいか、少なくとも約1000%である、請求項1から16のいずれか一項に記載の方法、使用するためのレスメチロム、または使用。
【請求項18】
前記投与が、前記疾患、障害または状態を排除するか、または前記疾患、障害または状態の重症度を低下させる、請求項1から17のいずれか一項に記載の方法、使用するためのレスメチロム、または使用。
【請求項19】
前記投与が、肝臓炎を排除するか、または肝臓炎の重症度を低下させる、請求項1から18のいずれか一項に記載の方法、使用するためのレスメチロム、または使用。
【請求項20】
前記投与が、門脈圧亢進症を排除するか、または門脈圧亢進症の重症度を低下させる、請求項1から19のいずれか一項に記載の方法、使用するためのレスメチロム、または使用。
【請求項21】
前記投与が、前記対象の脾臓体積を減少させる、請求項1から20のいずれか一項に記載の方法、使用するためのレスメチロム、または使用。
【請求項22】
前記投与が、前記脾臓体積を、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、または少なくとも約60%減少させる、請求項1から21のいずれか一項に記載の方法、使用するためのレスメチロム、または使用。
【請求項23】
前記レスメチロム、そのプロドラッグ、または前記レスメチロムもしくは前記レスメチロムプロドラッグの薬学的に許容される塩が、前記対象に、約5mg、約10mg、約15mg、約20mg、約25mg、約30mg、約35mg、約40mg、約45mg、約50mg、約60mg、約70mg、約80mg、約90mg、約100mg、約110mg、約120mg、約130mg、約140mg、約150mg、約160mg、約170mg、約180mg、約190mg、約200mg、約250mg、約500mg、または約1000mgの1日投与量で投与される、請求項1から22のいずれか一項に記載の方法、使用するためのレスメチロム、または使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
[001]本願は、2021年9月27日に出願された米国仮特許出願第63/248,634号に基づく優先権および利益を主張し、その内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
[002]甲状腺ホルモンは、正常な発育および発達に、ならびに代謝恒常性の維持にきわめて重要である。甲状腺ホルモンの循環レベルは、視床下部/下垂体/甲状腺(HPT)軸におけるフィードバック機序によって厳密に制御される。甲状腺機能低下症または甲状腺機能亢進症に至る甲状腺機能障害は、甲状腺ホルモンが、心機能、体重、代謝、代謝率、体温、コレステロール、骨、筋肉および行動に大きな影響を及ぼすことを明確に示す。
【0003】
[003]甲状腺ホルモンの有益な作用を維持しながら甲状腺機能亢進症および甲状腺機能低下症の望ましくない作用を回避する甲状腺ホルモン類似体の開発は、代謝性疾患、例えば肥満症、高脂血症、高コレステロール血症、糖尿病など、ならびに他の障害および疾患、例えば脂肪肝および非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、アテローム性動脈硬化症、心血管疾患、甲状腺機能低下症、甲状腺がん、甲状腺疾患、甲状腺ホルモン不応症など、ならびに関連する障害および疾患の患者に、新たな処置の道を開くことになる。
【0004】
[004]NASHを有する対象は、肝体積の増大も経験する場合があり、これは、NASHにおける炎症過程を原因とする肝臓脂肪および体液貯留の増加に起因する可能性がある。NASHが進行して肝硬変になるにつれ、肝臓が次第に線維化するため、肝臓脂肪は減少する。硬変性の対象では、進行中の炎症および門脈圧亢進症に関連する静脈性うっ血が原因で、肝体積は増大したままとなる。硬変性の対象において肝体積を減少させることは、罹患した肝臓の潅流を維持するため、および疾患進行を抑制するために重要である。NASHおよび肝硬変における肝体積の減少は、肝臓の病理組織学的改善に関連する。
【0005】
[005]肥満症は、食事および生活習慣の改善による体重減少が不十分なことを原因とする、NASHおよび肝硬変の両方に共通の特徴であり、この患者集団は、外科的介入処置(例えば肥満外科手術)を指示されることが多い。手術直前の肝体積の減少は、胃への外科的アクセスを改善するために、積極的に推し進められる。
【0006】
[006]上記のおよびさらなる特徴は、添付の図面と併せると、以下の詳細な説明から、より明確に理解されるであろう。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
[013]一部の態様において、本開示は、対象に、レスメチロム、そのプロドラッグ、またはレスメチロムもしくはレスメチロムプロドラッグの薬学的に許容される塩を(例えば治療有効量で)投与するステップを含む、当該対象において肝体積を減少させる方法を提供する。
【0008】
[014]一部の態様において、本開示は、対象において肝体積を減少させるために使用するための、レスメチロム、そのプロドラッグ、またはレスメチロムもしくはレスメチロムプロドラッグの薬学的に許容される塩を提供する。
【0009】
[015]一部の態様において、本開示は、対象において肝体積を減少させるための医薬の製造における、レスメチロム、そのプロドラッグ、またはレスメチロムもしくはレスメチロムプロドラッグの薬学的に許容される塩の使用を提供する。
【0010】
[016]一部の態様において、本開示は、対象に、レスメチロム、そのプロドラッグ、またはレスメチロムもしくはレスメチロムプロドラッグの薬学的に許容される塩を(例えば治療有効量で)投与するステップを含む、当該対象において疾患、障害または状態を処置または予防する方法を提供する。
【0011】
[017]一部の態様において、本開示は、対象における疾患、障害または状態の処置または予防に使用するための、レスメチロム、そのプロドラッグ、またはレスメチロムもしくはレスメチロムプロドラッグの薬学的に許容される塩を提供する。
【0012】
[018]一部の態様において、本開示は、対象において疾患、障害または状態を処置または予防するための医薬の製造における、レスメチロム、そのプロドラッグ、またはレスメチロムもしくはレスメチロムプロドラッグの薬学的に許容される塩の使用を提供する。
【0013】
[019]一部の実施形態では、疾患、障害または状態は、肥満症、高脂血症、高コレステロール血症、糖尿病、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、脂肪肝、骨疾患、甲状腺軸の変化、アテローム性動脈硬化症、心血管障害、頻脈、多動的行動、甲状腺機能低下症、甲状腺腫、注意欠如・多動症、学習障害、精神遅滞、聴力損失、遅延骨年齢、神経疾患もしくは精神疾患または甲状腺がんである。
【0014】
[020]一部の態様において、本開示は、対象に、レスメチロム、そのプロドラッグ、またはレスメチロムもしくはレスメチロムプロドラッグの薬学的に許容される塩を(例えば治療有効量で)投与するステップを含む、当該対象においてNASH(例えば硬変性のNASH)を処置または予防する方法を提供する。
【0015】
[021]一部の態様において、本開示は、対象におけるNASH(例えば硬変性のNASH)の処置または予防に使用するための、レスメチロム、そのプロドラッグ、またはレスメチロムもしくはレスメチロムプロドラッグの薬学的に許容される塩を提供する。
【0016】
[022]一部の態様において、本開示は、対象においてNASH(例えば硬変性のNASH)を処置または予防するための医薬の製造における、レスメチロム、そのプロドラッグ、またはレスメチロムもしくはレスメチロムプロドラッグの薬学的に許容される塩の使用を提供する。
【0017】
[023]一部の態様において、本開示は、対象に、レスメチロム、そのプロドラッグ、またはレスメチロムもしくはレスメチロムプロドラッグの薬学的に許容される塩を(例えば治療有効量で)投与するステップを含む、当該対象において門脈圧亢進症を処置または予防する方法を提供する。
【0018】
[024]一部の態様において、本開示は、対象における門脈圧亢進症の処置または予防に使用するための、レスメチロム、そのプロドラッグ、またはレスメチロムもしくはレスメチロムプロドラッグの薬学的に許容される塩を提供する。
【0019】
[025]一部の態様において、本開示は、対象において門脈圧亢進症を処置または予防するための医薬の製造における、レスメチロム、そのプロドラッグ、またはレスメチロムもしくはレスメチロムプロドラッグの薬学的に許容される塩の使用を提供する。
【0020】
[026]一部の態様において、本開示は、疾患、障害または状態を有する対象に、レスメチロム、そのプロドラッグ、またはレスメチロムもしくはレスメチロムプロドラッグの薬学的に許容される塩を(例えば治療有効量で)投与するステップを含む、当該対象を手術(例えば肥満外科手術)のために前処置する方法を提供する。
【0021】
[027]一部の態様において、本開示は、疾患、障害または状態を有する対象の手術(例えば肥満外科手術)のための前処置に使用するための、レスメチロム、そのプロドラッグ、またはレスメチロムもしくはレスメチロムプロドラッグの薬学的に許容される塩を提供する。
【0022】
[028]一部の態様において、本開示は、疾患、障害または状態を有する対象を、手術(例えば肥満外科手術)のために前処置するための医薬の製造における、レスメチロム、そのプロドラッグ、またはレスメチロムもしくはレスメチロムプロドラッグの薬学的に許容される塩の使用を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】[007]プラセボおよびレスメチロムで処置された患者における12週間時点での肝体積の減少とプロトン密度脂肪分画(PDFF)の減少との相関を示すグラフである。「PBO」はプラセボ患者を表し、「RES」はレスメチロムで処置された患者を表す。
【
図2】[008]100mgレスメチロムで、1日1回、52週間処置された患者のいくつかの部分群におけるMRI-PDFFの変化を示すグラフである。「高SHBG」は、レスメチロムの肝臓曝露のバイオマーカーである性ホルモン結合グロブリン(SHBG)のベースラインからの増加が最も高い2/3の試験対象患者に相当する。
【
図3】[009]100mgレスメチロムで、1日1回、52週間処置された患者のいくつかの部分群における肝体積の変化を示すグラフである。「高SHBG」は、レスメチロムの肝臓曝露のバイオマーカーであるSHBGのベースラインからの増加が最も高い2/3の試験対象患者に相当する。
【
図4】[010]52週目時点でMRI-PDFFおよび肝体積(LV)に対してレスメチロムが媒介した変化を示すグラフである。
【
図5】[011]52週目時点で脾臓体積(SV)の≧10%減少または≧10%増加を有する患者のパーセンテージを示すグラフである。
【
図6】[012]ベースラインPDFF<8%で試験に参加した患者における52週間の肝体積の変化と脾臓体積の変化との相関を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
方法およびレスメチロムの使用
[029]一部の態様において、本開示は、対象に、レスメチロム、そのプロドラッグ、またはレスメチロムもしくはレスメチロムプロドラッグの薬学的に許容される塩を(例えば治療有効量で)投与するステップを含む、当該対象において肝体積を減少させる方法を提供する。
【0025】
[030]一部の態様において、本開示は、対象において肝体積を減少させるために使用するための、レスメチロム、そのプロドラッグ、またはレスメチロムもしくはレスメチロムプロドラッグの薬学的に許容される塩を提供する。
【0026】
[031]一部の態様において、本開示は、対象において肝体積を減少させるための医薬の製造における、レスメチロム、そのプロドラッグ、またはレスメチロムもしくはレスメチロムプロドラッグの薬学的に許容される塩の使用を提供する。
【0027】
[032]一部の態様において、本開示は、対象に、レスメチロム、そのプロドラッグ、またはレスメチロムもしくはレスメチロムプロドラッグの薬学的に許容される塩を(例えば治療有効量で)投与するステップを含む、当該対象において疾患、障害または状態を処置または予防する方法を提供する。
【0028】
[033]一部の態様において、本開示は、対象における疾患、障害または状態の処置または予防に使用するための、レスメチロム、そのプロドラッグ、またはレスメチロムもしくはレスメチロムプロドラッグの薬学的に許容される塩を提供する。
【0029】
[034]一部の態様において、本開示は、対象において疾患、障害または状態を処置または予防するための医薬の製造における、レスメチロム、そのプロドラッグ、またはレスメチロムもしくはレスメチロムプロドラッグの薬学的に許容される塩の使用を提供する。
【0030】
[035]一部の実施形態では、疾患、障害または状態は、肥満症、高脂血症、高コレステロール血症、糖尿病、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、脂肪肝、骨疾患、甲状腺軸の変化、アテローム性動脈硬化症、心血管障害、頻脈、多動的行動、甲状腺機能低下症、甲状腺腫、注意欠如・多動症、学習障害、精神遅滞、聴力損失、遅延骨年齢、神経疾患もしくは精神疾患または甲状腺がんである。
【0031】
[036]一部の態様において、本開示は、対象に、レスメチロム、そのプロドラッグ、またはレスメチロムもしくはレスメチロムプロドラッグの薬学的に許容される塩を(例えば治療有効量で)投与するステップを含む、当該対象においてNASH(例えば硬変性のNASH)を処置または予防する方法を提供する。
【0032】
[037]一部の態様において、本開示は、対象におけるNASH(例えば硬変性のNASH)の処置または予防に使用するための、レスメチロム、そのプロドラッグ、またはレスメチロムもしくはレスメチロムプロドラッグの薬学的に許容される塩を提供する。
【0033】
[038]一部の態様において、本開示は、対象においてNASH(例えば硬変性のNASH)を処置または予防するための医薬の製造における、レスメチロム、そのプロドラッグ、またはレスメチロムもしくはレスメチロムプロドラッグの薬学的に許容される塩の使用を提供する。
【0034】
[039]一部の態様において、本開示は、対象に、レスメチロム、そのプロドラッグ、またはレスメチロムもしくはレスメチロムプロドラッグの薬学的に許容される塩を(例えば治療有効量で)投与するステップを含む、当該対象において門脈圧亢進症を処置または予防する方法を提供する。
【0035】
[040]一部の態様において、本開示は、対象における門脈圧亢進症の処置または予防に使用するための、レスメチロム、そのプロドラッグ、またはレスメチロムもしくはレスメチロムプロドラッグの薬学的に許容される塩を提供する。
【0036】
[041]一部の態様において、本開示は、対象において門脈圧亢進症を処置または予防するための医薬の製造における、レスメチロム、そのプロドラッグ、またはレスメチロムもしくはレスメチロムプロドラッグの薬学的に許容される塩の使用を提供する。
【0037】
[042]一部の態様において、本開示は、疾患、障害または状態を有する対象に、レスメチロム、そのプロドラッグ、またはレスメチロムもしくはレスメチロムプロドラッグの薬学的に許容される塩を(例えば治療有効量で)投与するステップを含む、当該対象を手術(例えば肥満外科手術)のために前処置する方法を提供する。
【0038】
[043]一部の態様において、本開示は、疾患、障害または状態を有する対象の手術(例えば肥満外科手術)のための前処置に使用するための、レスメチロム、そのプロドラッグ、またはレスメチロムもしくはレスメチロムプロドラッグの薬学的に許容される塩を提供する。
【0039】
[044]一部の態様において、本開示は、疾患、障害または状態を有する対象を手術(例えば肥満外科手術)のために前処置するための医薬の製造における、レスメチロム、そのプロドラッグ、またはレスメチロムもしくはレスメチロムプロドラッグの薬学的に許容される塩の使用を提供する。
対象の疾患、障害および状態
[045]一部の実施形態では、対象はヒトである。
【0040】
[046]一部の実施形態では、対象は硬変性である(例えば、対象は肝硬変を有する)。
【0041】
[047]一部の実施形態では、対象は非硬変性である(例えば、対象は肝硬変を有していない)。
【0042】
[048]一部の実施形態では、対象は、5%以下のPDFFを特徴とする肝臓脂肪の量を有する。
【0043】
[049]一部の実施形態では、対象は、5%を超えるPDFFを特徴とする肝臓脂肪の量を有する。
【0044】
[050]一部の実施形態では、疾患、障害または状態はNASHである。
【0045】
[051]一部の実施形態では、疾患、障害または状態は、硬変性または非硬変性のNASHである。
【0046】
[052]一部の実施形態では、疾患、障害または状態は、硬変性のNASH(例えば肝硬変に関連するNASH)である。
【0047】
[053]一部の実施形態では、疾患、障害または状態は、肝臓炎である。
【0048】
[054]一部の実施形態では、疾患、障害または状態は、増加した肝体積に関連する。
【0049】
[055]一部の実施形態では、疾患、障害または状態は、門脈圧亢進症である。
【0050】
[056]一部の実施形態では、対象は、疾患、障害または状態を有していない(例えばNASHを有していない(例えば硬変性のNASHを有していない))比較可能な対象と比較して、少なくとも約5%大きい、少なくとも約10%大きい、少なくとも約20%大きい、少なくとも約30%大きい、少なくとも約40%大きい、少なくとも約50%大きい、少なくとも約60%大きい、少なくとも約70%大きい、少なくとも約80%大きい、少なくとも約90%大きい、少なくとも約100%大きい、少なくとも約150%大きい、または少なくとも約200%大きい肝体積を有する。
【0051】
[057]一部の実施形態では、対象は、疾患、障害または状態を有していない(例えばNASHを有していない(例えば硬変性のNASHを有していない))比較可能な対象と比較して、少なくとも約5%大きい、少なくとも約10%大きい、少なくとも約20%大きい、少なくとも約30%大きい、少なくとも約40%大きい、少なくとも約50%大きい、少なくとも約60%大きい、少なくとも約70%大きい、少なくとも約80%大きい、少なくとも約90%大きい、少なくとも約100%大きい、少なくとも約150%大きい、または少なくとも約200%大きい肝臓脂肪量(例えば、プロトン密度脂肪分画(PDFF)によって測定される)を有する。
【0052】
[058]一部の実施形態では、対象は、疾患、障害または状態を有していない(例えばNASHを有していない(例えば硬変性のNASHを有していない))比較可能な対象と比較して、最大で約200%大きい、最大で約150%大きい、最大で約100%大きい、最大で約90%大きい、最大で約80%大きい、最大で約70%大きい、最大で約60%大きい、最大で約50%大きい、最大で約40%大きい、最大で約30%大きい、最大で約20%大きい、最大で約10%大きい、または最大で約5%大きい肝臓脂肪量(例えば、プロトン密度脂肪分画(PDFF)によって測定される)を有する。
【0053】
[059]一部の実施形態では、対象は、約50%以下、約40%以下、約30%以下、約25%以下、約20%以下、約15%以下、約10%以下、約5%以下、約4%以下、約3%以下、約2%以下、または約1%以下である肝臓脂肪量(例えば、プロトン密度脂肪分画(PDFF)によって測定される)を有する。
【0054】
[060]一部の実施形態では、対象は、約5%以下である肝臓脂肪量(例えば、プロトン密度脂肪分画(PDFF)によって測定される)を有する。
【0055】
[061]一部の実施形態では、対象は、約5%より大きい、約10%より大きい、約15%より大きい、約20%より大きい、約25%より大きい、約30%より大きい、約40%より大きい、約50%より大きい、または約60%より大きい肝臓脂肪量(例えば、プロトン密度脂肪分画(PDFF)によって測定される)を有する。
【0056】
[062]一部の実施形態では、対象は、約5%より大きい肝臓脂肪量(例えば、プロトン密度脂肪分画(PDFF)によって測定される)を有する。
【0057】
[063]一部の実施形態では、対象は、疾患、障害または状態を有していない(例えば門脈圧亢進症を有していない)比較可能な対象と比較して、少なくとも約5%大きい、少なくとも約10%大きい、少なくとも約20%大きい、少なくとも約30%大きい、少なくとも約40%大きい、少なくとも約50%大きい、少なくとも約60%大きい、少なくとも約70%大きい、少なくとも約80%大きい、少なくとも約90%大きい、少なくとも約100%大きい、少なくとも約150%大きい、または少なくとも約200%大きい脾臓体積を有する。
レスメチロムの投与
[064]一部の実施形態では、レスメチロム、そのプロドラッグ、またはレスメチロムもしくはレスメチロムプロドラッグの薬学的に許容される塩は、対象に投与される。
【0058】
[065]一部の実施形態では、レスメチロム、そのプロドラッグ、またはレスメチロムもしくはレスメチロムプロドラッグの薬学的に許容される塩を含む医薬組成物は、対象に投与される。
【0059】
[066]一部の実施形態では、レスメチロム、そのプロドラッグ、またはレスメチロムもしくはレスメチロムプロドラッグの薬学的に許容される塩は、対象に経口投与によって投与される。
【0060】
[067]一部の実施形態では、レスメチロム、そのプロドラッグ、またはレスメチロムもしくはレスメチロムプロドラッグの薬学的に許容される塩は、毎日投与される。
【0061】
[068]一部の実施形態では、レスメチロム、そのプロドラッグ、またはレスメチロムもしくはレスメチロムプロドラッグの薬学的に許容される塩は、1日1回または2回投与される。
【0062】
[069]一部の実施形態では、レスメチロム、そのプロドラッグ、またはレスメチロムもしくはレスメチロムプロドラッグの薬学的に許容される塩は、1日1回投与される。
【0063】
[070]一部の実施形態では、レスメチロム、そのプロドラッグ、またはレスメチロムもしくはレスメチロムプロドラッグの薬学的に許容される塩は、対象に、約10~約250mg、約20~約200mg、約20~約150mg、約20~約100mg、約50~約200mg、または約50~約150mgの1日投与量で投与される。
【0064】
[071]一部の実施形態では、レスメチロム、そのプロドラッグ、またはレスメチロムもしくはレスメチロムプロドラッグの薬学的に許容される塩は、対象に、約5mg、約10mg、約15mg、約20mg、約25mg、約30mg、約35mg、約40mg、約45mg、約50mg、約60mg、約70mg、約80mg、約90mg、約100mg、約110mg、約120mg、約130mg、約140mg、約150mg、約160mg、約170mg、約180mg、約190mg、約200mg、約250mg、約500mg、または約1000mgの1日投与量で投与される。
【0065】
[072]一部の実施形態では、レスメチロム、そのプロドラッグ、またはレスメチロムもしくはレスメチロムプロドラッグの薬学的に許容される塩は、対象に、約60±20mg、約60±15mg、約60±10mg、約60±5mg、約60±4mg、約60±3mg、約60±2mg、または約60±lmg(例えば約60mg)の1日投与量で投与される。
【0066】
[073]一部の実施形態では、レスメチロム、そのプロドラッグ、またはレスメチロムもしくはレスメチロムプロドラッグの薬学的に許容される塩は、対象に、約60mgの1日投与量で投与される。
【0067】
[074]一部の実施形態では、レスメチロム、そのプロドラッグ、またはレスメチロムもしくはレスメチロムプロドラッグの薬学的に許容される塩は、対象に、約80±20mg、約80±15mg、約80±10mg、約80±5mg、約80±4mg、約80±3mg、約80±2mg、または約80±lmg(例えば約80mg)の1日投与量で投与される。
【0068】
[075]一部の実施形態では、レスメチロム、そのプロドラッグ、またはレスメチロムもしくはレスメチロムプロドラッグの薬学的に許容される塩は、対象に、約80mgの1日投与量で投与される。
【0069】
[076]一部の実施形態では、レスメチロム、そのプロドラッグ、またはレスメチロムもしくはレスメチロムプロドラッグの薬学的に許容される塩は、対象に、約100±20mg、約100±15mg、約100±10mg、約100±5mg、約100±4mg、約100±3mg、約100±2mg、または約100±lmg(例えば約100mg)の1日投与量で投与される。
【0070】
[077]一部の実施形態では、レスメチロム、そのプロドラッグ、またはレスメチロムもしくはレスメチロムプロドラッグの薬学的に許容される塩は、対象に、約100mgの1日投与量で投与される。
【0071】
[078]一部の実施形態では、レスメチロム、そのプロドラッグ、またはレスメチロムもしくはレスメチロムプロドラッグの薬学的に許容される塩は、休薬日なしに投与される。
【0072】
[079]一部の実施形態では、レスメチロム、そのプロドラッグ、またはレスメチロムもしくはレスメチロムプロドラッグの薬学的に許容される塩は、1日以上の休薬日を設けて投与される。
【0073】
[080]一部の実施形態では、レスメチロム、そのプロドラッグ、またはレスメチロムもしくはレスメチロムプロドラッグの薬学的に許容される塩は、約1週間、約2週間、約3週間、約4週間、約5週間、約6週間、約7週間、約8週間、約9週間、約10週間、約11週間、約12週間、約13週間、約14週間、約15週間、約16週間、約17週間、約18週間、約19週間、約20週間、約21週間、約22週間、約23週間、約24週間、約25週間、約26週間、約27週間、約28週間、約29週間、約30週間、約31週間、約32週間、約33週間、約34週間、約35週間、約36週間、約37週間、約38週間、約39週間、約40週間、約41週間、約42週間、約43週間、約44週間、約45週間、約46週間、約47週間、約48週間、約49週間、約50週間、約51週間、または約52週間投与される。
【0074】
[081]一部の実施形態では、レスメチロム、そのプロドラッグ、またはレスメチロムもしくはレスメチロムプロドラッグの薬学的に許容される塩は、約52週間より長く投与される。
投与によって可能な結果
[082]一部の実施形態では、投与は、疾患、障害もしくは状態を排除するか、または疾患、障害もしくは状態の重症度を低下させる。
【0075】
[083]一部の実施形態では、投与は、肝体積を、(例えば、12週間または52週間にわたって)少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、または少なくとも約60%減少させる。
【0076】
[084]一部の実施形態では、投与は、肝体積を、12週間にわたって、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、または少なくとも約60%減少させる。
【0077】
[085]一部の実施形態では、投与は、肝体積を、12週間にわたって少なくとも約10%減少させる。
【0078】
[086]一部の実施形態では、投与は、肝体積を、12週間にわたって少なくとも約15%減少させる。
【0079】
[087]一部の実施形態では、投与は、肝体積を、12週間にわたって少なくとも約20%減少させる。
【0080】
[088]一部の実施形態では、投与は、肝体積を、12週間にわたって少なくとも約25%減少させる。
【0081】
[089]一部の実施形態では、投与は、肝体積を、52週間にわたって、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、または少なくとも約60%減少させる。
【0082】
[090]一部の実施形態では、投与は、肝体積を、52週間にわたって少なくとも約10%減少させる。
【0083】
[091]一部の実施形態では、投与は、肝体積を、52週間にわたって少なくとも約15%減少させる。
【0084】
[092]一部の実施形態では、投与は、肝体積を、52週間にわたって少なくとも約20%減少させる。
【0085】
[093]一部の実施形態では、投与前に、対象は、約5%以下である肝臓脂肪量(例えば、MRI-PDFFによって測定される)を有し、投与は、肝体積を、(例えば、12週間または52週間にわたって)少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、または少なくとも約60%減少させる。
【0086】
[094]一部の実施形態では、投与前に、対象は、約5%以下である肝臓脂肪量(例えば、MRI-PDFFによって測定される)を有し、投与は、肝体積を、12週間にわたって、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、または少なくとも約60%減少させる。
【0087】
[095]一部の実施形態では、投与前に、対象は、約5%以下である肝臓脂肪量(例えば、MRI-PDFFによって測定される)を有し、投与は、肝体積を、12週間にわたって少なくとも約10%減少させる。
【0088】
[096]一部の実施形態では、投与前に、対象は、約5%以下である肝臓脂肪量(例えば、MRI-PDFFによって測定される)を有し、投与は、肝体積を、12週間にわたって少なくとも約15%減少させる。
【0089】
[097]一部の実施形態では、投与前に、対象は、約5%以下である肝臓脂肪量(例えば、MRI-PDFFによって測定される)を有し、投与は、肝体積を、12週間にわたって少なくとも約20%減少させる。
【0090】
[098]一部の実施形態では、投与前に、対象は、約5%以下である肝臓脂肪量(例えば、MRI-PDFFによって測定される)を有し、投与は、肝体積を、12週間にわたって少なくとも約25%減少させる。
【0091】
[099]一部の実施形態では、投与前に、対象は、約5%以下である肝臓脂肪量(例えば、MRI-PDFFによって測定される)を有し、投与は、肝体積を、52週間にわたって、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、または少なくとも約60%減少させる。
【0092】
[0100]一部の実施形態では、投与前に、対象は、約5%以下である肝臓脂肪量(例えば、MRI-PDFFによって測定される)を有し、投与は、肝体積を、52週間にわたって少なくとも約10%減少させる。
【0093】
[0101]一部の実施形態では、投与前に、対象は、約5%以下である肝臓脂肪量(例えば、MRI-PDFFによって測定される)を有し、投与は、肝体積を、52週間にわたって少なくとも約15%減少させる。
【0094】
[0102]一部の実施形態では、投与前に、対象は、約5%以下である肝臓脂肪量(例えば、MRI-PDFFによって測定される)を有し、投与は、肝体積を、52週間にわたって少なくとも約20%減少させる。
【0095】
[0103]一部の実施形態では、投与は、肝臓脂肪量(例えば、MRI-PDFFによって測定される)を、投与前の対象の肝臓脂肪量と比較して、約60%以下、約50%以下、約45%以下、約40%以下、約35%以下、約30%以下、約25%以下、約20%以下、約15%以下、約10%以下、または約5%以下、減少させる。
【0096】
[0104]一部の実施形態では、投与前に、対象は、約5%以下である肝臓脂肪量(例えば、MRI-PDFFによって測定される)を有し、投与は、肝臓脂肪量(例えば、MRI-PDFFによって測定される)を、投与前の対象の肝臓脂肪量と比較して、約60%以下、約50%以下、約45%以下、約40%以下、約35%以下、約30%以下、約25%以下、約20%以下、約15%以下、約10%以下、または約5%以下、減少させる。
【0097】
[0105]一部の実施形態では、投与は、肝臓脂肪量(例えば、MRI-PDFFによって測定される)を、投与前の対象の肝体積と比較して、約20%以下、約15%以下、約10%以下、約5%以下、約4%以下、約3%以下、約2%以下、または約1%以下、減少させる。
【0098】
[0106]一部の実施形態では、投与前に、対象は、約5%以下である肝臓脂肪量(例えば、MRI-PDFFによって測定される)を有し、投与は、肝臓脂肪量(例えば、MRI-PDFFによって測定される)を、投与前の対象の肝臓脂肪量と比較して、約60%以下、約50%以下、約45%以下、約40%以下、約35%以下、約30%以下、約25%以下、約20%以下、約15%以下、約10%以下、または約5%以下、減少させ、投与は、肝体積を、(例えば、12週間または52週間にわたって)少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、または少なくとも約60%減少させる。
【0099】
[0107]一部の実施形態では、投与前に、対象は、約5%以下である肝臓脂肪量(例えば、MRI-PDFFによって測定される)を有し、投与は、肝臓脂肪量(例えば、MRI-PDFFによって測定される)を、投与前の対象の肝臓脂肪量と比較して約40%以下、減少させ、投与は、肝体積を、(例えば、12週間または52週間にわたって)少なくとも約10%減少させる。
【0100】
[0108]一部の実施形態では、投与前に、対象は、約5%以下である肝臓脂肪量(例えば、MRI-PDFFによって測定される)を有し、投与は、肝臓脂肪量(例えば、MRI-PDFFによって測定される)を、投与前の対象の肝臓脂肪量と比較して約35%以下、減少させ、投与は、肝体積を、(例えば、12週間または52週間にわたって)少なくとも約10%減少させる。
【0101】
[0109]一部の実施形態では、投与前に、対象は、約5%以下である肝臓脂肪量(例えば、MRI-PDFFによって測定される)を有し、投与は、肝臓脂肪量(例えば、MRI-PDFFによって測定される)を、投与前の対象の肝臓脂肪量と比較して約30%以下、減少させ、投与は、肝体積を、(例えば、12週間または52週間にわたって)少なくとも約10%減少させる。
【0102】
[0110]一部の実施形態では、投与前に、対象は、約5%以下である肝臓脂肪量(例えば、MRI-PDFFによって測定される)を有し、投与は、肝臓脂肪量(例えば、MRI-PDFFによって測定される)を、投与前の対象の肝臓脂肪量と比較して約40%以下、減少させ、投与は、肝体積を、(例えば、12週間または52週間にわたって)少なくとも約15%減少させる。
【0103】
[0111]一部の実施形態では、投与前に、対象は、約5%以下である肝臓脂肪量(例えば、MRI-PDFFによって測定される)を有し、投与は、肝臓脂肪量(例えば、MRI-PDFFによって測定される)を、投与前の対象の肝臓脂肪量と比較して約35%以下、減少させ、投与は、肝体積を、(例えば、12週間または52週間にわたって)少なくとも約15%減少させる。
【0104】
[0112]一部の実施形態では、投与前に、対象は、約5%以下である肝臓脂肪量(例えば、MRI-PDFFによって測定される)を有し、投与は、肝臓脂肪量(例えば、MRI-PDFFによって測定される)を、投与前の対象の肝臓脂肪量と比較して約30%以下、減少させ、投与は、肝体積を、(例えば、12週間または52週間にわたって)少なくとも約15%減少させる。
【0105】
[0113]一部の実施形態では、投与前に、対象は、約5%以下である肝臓脂肪量(例えば、MRI-PDFFによって測定される)を有し、投与は、肝臓脂肪量(例えば、MRI-PDFFによって測定される)を、投与前の対象の肝臓脂肪量と比較して約40%以下、減少させ、投与は、肝体積を、(例えば、12週間または52週間にわたって)少なくとも約20%減少させる。
【0106】
[0114]一部の実施形態では、投与前に、対象は、約5%以下である肝臓脂肪量(例えば、MRI-PDFFによって測定される)を有し、投与は、肝臓脂肪量(例えば、MRI-PDFFによって測定される)を、投与前の対象の肝臓脂肪量と比較して約35%以下、減少させ、投与は、肝体積を、(例えば、12週間または52週間にわたって)少なくとも約20%減少させる。
【0107】
[0115]一部の実施形態では、投与前に、対象は、約5%以下である肝臓脂肪量(例えば、MRI-PDFFによって測定される)を有し、投与は、肝臓脂肪量(例えば、MRI-PDFFによって測定される)を、投与前の対象の肝臓脂肪量と比較して約30%以下、減少させ、投与は、肝体積を、(例えば、12週間または52週間にわたって)少なくとも約20%減少させる。
【0108】
[0116]一部の実施形態では、肝体積の減少は、肝臓脂肪量(例えば投与前の肝臓脂肪量)に依存する。
【0109】
[0117]一部の実施形態では、肝体積の減少は、肝臓脂肪量(例えば投与前の肝臓脂肪量)とは無関係である。
【0110】
[0118]一部の実施形態では、肝体積の減少は、肝臓脂肪量の減少に依存する。
【0111】
[0119]一部の実施形態では、肝体積の減少は、肝臓脂肪量の減少とは無関係である。
【0112】
[0120]一部の実施形態では、肝体積の減少は、肝臓脂肪量の減少より大きい。
【0113】
[0121]一部の実施形態では、肝体積の減少は、肝臓脂肪量の減少と比較して、少なくとも約5%大きいか、少なくとも約10%大きいか、少なくとも約20%大きいか、少なくとも約30%大きいか、少なくとも約40%大きいか、少なくとも約50%大きいか、少なくとも約60%大きいか、少なくとも約70%大きいか、少なくとも約80%大きいか、少なくとも約90%大きいか、少なくとも約100%大きいか、少なくとも約150%大きいか、少なくとも約200%大きいか、少なくとも約300%大きいか、少なくとも約400%大きいか、少なくとも約500%大きいか、少なくとも約600%大きいか、少なくとも約700%大きいか、少なくとも約800%大きいか、少なくとも約900%大きいか、少なくとも約1000%である。
【0114】
[0122]一部の実施形態では、投与は、肝臓炎を排除するか、または肝臓炎の重症度を低下させる。
【0115】
[0123]一部の実施形態では、投与は、門脈圧亢進症を排除するか、または門脈圧亢進症の重症度を低下させる。
【0116】
[0124]一部の実施形態では、投与は、対象の門脈の血圧を低下させる。
【0117】
[0125]一部の実施形態では、投与は、対象の門脈の血圧を、(例えば、12週間または52週間にわたって)少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、または少なくとも約60%低下させる。
【0118】
[0126]一部の実施形態では、投与は、対象の脾臓体積を減少させる。
【0119】
[0127]一部の実施形態では、投与は、脾臓体積を、(例えば、12週間または52週間にわたって)少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、または少なくとも約60%減少させる。
【0120】
[0128]一部の実施形態では、投与は、脾臓体積を、(例えば、12週間または52週間にわたって)少なくとも約10%または少なくとも約15%減少させる。
【0121】
[0129]一部の実施形態では、投与は、脾臓体積を、12週間にわたって少なくとも約10%または少なくとも約15%減少させる。
【0122】
[0130]一部の実施形態では、投与は、脾臓体積を、52週間にわたって少なくとも約10%または少なくとも約15%減少させる。
他の態様
[0131]一部の実施形態では、本開示の方法によって処置される肝疾患または肝障害は、脂肪肝疾患である。
【0123】
[0132]一部の実施形態では、本開示の方法によって処置される肝疾患または肝障害は、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)である。NAFLDの2つの型は、単純性脂肪肝およびNASHである。NAFLDは、単純性脂肪肝(脂肪症)からNASHへ、肝硬変へと及ぶ広範な肝疾患を指す。NAFLDのステージのすべてが共通に、肝細胞中に脂肪の蓄積を有する。NASHは、対象が肝炎も有するNAFLDの一形態である。NASHにおいてより特定すると、脂肪蓄積は、肝臓の様々な程度の炎症(肝炎)および瘢痕化(線維症)に関連する。NAFLDおよびNASHは、過剰な量のアルコールを摂取しない個体に発生する。しかしながら、多くの点で、NAFLDの生検の組織像は、アルコール乱用を原因とする肝疾患に見られ得るものに類似する。NAFLDおよびNASHは、一次脂肪肝疾患と考えられる。二次脂肪肝疾患は、他の型の肝疾患において発生するものを含む。したがって、アルコール性肝疾患(ALD)は、最も多い二次脂肪肝疾患である。二次脂肪肝はまた、慢性ウイルス性C型肝炎(HCV)、慢性ウイルス性B型肝炎(HBV)、慢性自己免疫性肝炎(AIH)、およびウィルソン病においても発生し得る。
【0124】
[0133]一部の実施形態では、本開示の方法によって処置される肝疾患または肝障害は、NASHである。
【0125】
[0134]一部の実施形態では、本開示の方法によって処置される脂質疾患または脂質障害は、脂質異常症、高脂血症、高トリグリセリド血症、高コレステロール血症、低HDL、または高LDLである。一部の実施形態では、高コレステロール血症は、ヘテロ接合性家族性高コレステロール血症(HeFH)またはホモ接合性家族性高コレステロール血症(HoFH)である。
【0126】
[0135]一部の実施形態では、対象は哺乳動物である。
【0127】
[0136]一部の実施形態では、対象はヒトである。
【0128】
[0137]レスメチロム、そのプロドラッグ、またはレスメチロムもしくはレスメチロムプロドラッグの薬学的に許容される塩は、投与のために製剤化されて医薬組成物にすることができる。医薬組成物は、薬学的に許容される担体または賦形剤をさらに含むことができる。
【0129】
[0138]医薬組成物は、経口使用用に(例えば、錠剤、トローチ剤、硬カプセル剤もしくは軟カプセル剤、水性もしくは油性の懸濁剤、乳剤、分散性の粉末剤もしくは顆粒剤、シロップ剤またはエリキシル剤として)、局所使用用に(例えば、クリーム剤、軟膏剤、ゲル剤、または水性もしくは油性の溶液剤もしくは懸濁剤として)、吸入による投与用に(例えば、微粉末剤または液体エアゾール剤として)、送気による投与用に(例えば微粉末剤として)または非経口投与用に(例えば、静脈内、皮下、筋肉内、腹腔内もしくは筋肉内投与用の、水性もしくは油性の滅菌溶液剤として、または直腸投与用の坐剤として)適切な形態にすることができる。
【0130】
[0139]一部の実施形態では、医薬組成物は、ゲル剤に製剤化される。
【0131】
[0140]一部の実施形態では、医薬組成物は、錠剤に製剤化される。
【0132】
[0141]一部の実施形態では、医薬組成物は、丸剤に製剤化される。
【0133】
[0142]一部の実施形態では、医薬組成物は、カプセル剤に製剤化される。
【0134】
[0143]一部の実施形態では、医薬組成物は、溶液剤に製剤化される。
例示的実施形態
[0144]例示的実施形態第1。非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)を有する硬変性または非硬変性の対象に、治療有効量のレスメチロムを投与するステップを含む、当該対象において肝体積を減少させる方法。
【0135】
[0145]例示的実施形態第2。対象が非硬変性である、例示的実施形態1の方法。
【0136】
[0146]例示的実施形態第3。対象が硬変性である、例示的実施形態1の方法。
【0137】
[0147]例示的実施形態第4。肝体積が、12週間の処置期間内に少なくとも約10%減少させられる、例示的実施形態1から3のいずれか1つに記載の方法。
【0138】
[0148]例示的実施形態第5。肝体積が、12週間の処置期間内に少なくとも約15%減少させられる、例示的実施形態1から4のいずれか1つに記載の方法。
【0139】
[0149]例示的実施形態第6。治療有効量のレスメチロムが約5~300mgである、例示的実施形態1から5のいずれか1つに記載の方法。
【0140】
[0150]例示的実施形態第7。治療有効量のレスメチロムが約60mgである、例示的実施形態1から6のいずれか1つに記載の方法。
【0141】
[0151]例示的実施形態第8。治療有効量のレスメチロムが約80mgである、例示的実施形態1から6のいずれか1つに記載の方法。
【0142】
[0152]例示的実施形態第9。治療有効量のレスメチロムが約100mgである、例示的実施形態1から6のいずれか1つに記載の方法。
【0143】
[0153]例示的実施形態第10。レスメチロムが毎日投与される、例示的実施形態1から9のいずれか1つに記載の方法。
【0144】
[0154]例示的実施形態第11。レスメチロムが1日1回投与される、例示的実施形態1から10のいずれか1つに記載の方法。
【0145】
[0155]例示的実施形態第12。対象が、5%以下のPDFFを特徴とする肝臓脂肪の量を有する、例示的実施形態1から11のいずれか1つに記載の方法。
【0146】
[0156]例示的実施形態第13。NASHの処置を必要とする硬変性の対象に治療有効量のレスメチロムを投与するステップを含む、当該対象においてNASHを処置する方法。
【0147】
[0157]例示的実施形態第14。治療有効量のレスメチロムが約5~300mgである、例示的実施形態13に記載の方法。
【0148】
[0158]例示的実施形態第15。治療有効量のレスメチロムが約60mgである、例示的実施形態13に記載の方法。
【0149】
[0159]例示的実施形態第16。治療有効量のレスメチロムが約80mgである、例示的実施形態13に記載の方法。
【0150】
[0160]例示的実施形態第17。治療有効量のレスメチロムが約100mgである、例示的実施形態13に記載の方法。
【0151】
[0161]例示的実施形態第18。レスメチロムが毎日投与される、例示的実施形態13に記載の方法。
【0152】
[0162]例示的実施形態第19。レスメチロムが1日1回投与される、例示的実施形態13に記載の方法。
【0153】
[0163]例示的実施形態第20。対象が、5%以下のPDFFを特徴とする肝臓脂肪の量を有する、例示的実施形態13から19のいずれか1つに記載の方法。
定義
[0164]別段の定義がされていない限り、本明細書で使用されるすべての専門用語および科学用語は、本開示が属する技術分野の当業者に共通に理解されるものと同じ意味を有する。説明において使用される用語は、特定の実施形態のみを説明するものであり、本発明の範囲を限定する意図はない。
【0154】
[0165]値の範囲が記載されている場合、当然のことながら、その範囲は、間にあるすべての値と同様に、その範囲の両端点を含む。
【0155】
[0166]本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される冠詞「1つの(a)」および「1つの(an)」は、文脈が明らかに他の意味を指定しない限り、その冠詞の文法的目的語の1つまたは1つより多くを(すなわち少なくとも1つを)指すためにここで使用される。例として、「超高純度の形態(an ultrapure form)」は、1つの超高純度の形態または1つより多い超高純度の形態を意味する。
【0156】
[0167]「および/または」という熟語は、本明細書および特許請求の範囲においてここで使用される場合、「いずれかまたは両方」を意味すると理解されるべきである。「および/または」の節によって特に指定される要素以外の他の要素が、任意選択により存在する場合がある。したがって、非限定的な例として、「Aおよび/またはB」という言及が、「含む(comprising)」などのオープンエンドの言語とともに使用される場合、一実施形態ではAのみを指すことができ(任意選択によりB以外の要素を含む)、別の実施形態ではBのみを指すことができ(任意選択によりA以外の要素を含む)、さらに別の実施形態ではAとBとの両方を指すことができる(任意選択により他の要素を含む)。
【0157】
[0168]他の意味が明示的に指定されていない限り、「およそ」および「約」という用語は同義である。一部の実施形態では、「およそ」および「約」は、列挙された量、値、用量または持続時間±10%、±8%、±6%、±5%、±4%、±2%、±1%または±0.5%を指す。一部の実施形態では、「およそ」および「約」は、挙げられた量、値、用量または持続時間±5%を指す。一部の実施形態では、「およそ」および「約」は、挙げられた量、値、用量または持続時間±2%を指す。一部の実施形態では、「およそ」および「約」は、挙げられた量、値、用量または持続時間±1%を指す。
【0158】
[0169]本明細書および特許請求の範囲においてここで使用される場合、「または」は、上に定義されたとおりの「および/または」と同じ意味を有すると理解されるべきである。例えば、リストの中の項目を分離する場合、「または」または「および/または」は、包括的であると解釈されるべきである。すなわち、要素の数またはリストのうち少なくとも1つを含むが、1つより多いも含み、任意選択により、リストにはない追加の項目を含む。その反対の意味が明確に示された用語についてのみ、例えば「~のうちの1つのみ」もしくは「~のうちの厳密に1つ」、または特許請求の範囲で使用される場合の「~からなる」などについてのみ、要素の数またはリストのうち厳密に1つの要素の包含を指すことになる。概して、本明細書で使用される「または」という用語は、「いずれか」「~の1つ」「~の1つのみ」または「~の厳密に1つ」などの排他性の用語に先行される場合に、排他的選択肢を指す(すなわち「一方または他方であるが両方ではない」)ものと解釈されることになるべきである。
【0159】
[0170]本明細書で使用される場合、「MRI-PDFF」という用語は、磁気共鳴画像法(MRI)をベースとする定量によって決定されるプロトン-密度-脂肪-分画を表す。MRI-PDFFは、NASHの臨床試験の患者の募集を、強化することによって促進するために開発された、MRIをベースとする肝臓の画像診断バイオマーカーである。MRI-PDFFは、肝臓脂肪含量を評価するための尺度であり、非侵襲的方法として使用されて、脂肪肝の可能性が低い患者の生検を回避することによって、不必要な肝臓生検を制限するように提唱されている。非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)を示唆する臨床徴候または危険因子を有する成人の集団において、プレスクリーニング戦略として使用されることが意図される。MRI-PDFFは、正確で定量的な画像化バイオマーカーであり、反復性および再現性が高く、肝組織像と比較されたMRI-PDFFの試験および検証データセットから結果を提供して、最適なMRI-PDFFのカットオフを示してきたので、臨床試験への登録前の不必要な生検の数を減らし、NASHの臨床試験の登録の基準を満たす可能性が最も高い候補者を識別する。
【0160】
[0171]本明細書で使用される場合、「門脈圧亢進症」という用語は、門脈(消化器官(大腸および小腸、胃、膵臓、脾臓)から肝臓へ血液を運ぶ静脈)内の圧力の上昇を指す。圧力の上昇は、肝臓を通る血流の閉塞を原因とする。
【0161】
[0172]本明細書で使用される場合、「肝硬変」という用語は、肝炎および慢性アルコール依存症など、多くの形態の肝疾患および肝臓状態を原因とする肝臓の後期の瘢痕化(線維症)を指す。肝硬変の対象の肝臓脂肪(例えば、MRI-PDFFによって測定される)は、5%以下である。
【0162】
[0173]本明細書で使用される場合、「予防すること(preventing)」または「予防する(prevent)」という用語は、そのような疾患、状態もしくは障害の症状もしくは合併症の発症を減少させるか、または排除することを表す。
【0163】
[0174]本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される」という用語は、健全な医学的判断の範囲内で、ヒトおよび動物の組織との接触において使用するのに適し、過剰な毒性、刺激、アレルギー反応または他の問題もしくは合併症がなく、合理的なリスク・ベネフィット比に見合う、化合物、陰イオン、陽イオン、材料、組成物、担体および/または剤形を指す。
【0164】
[0175]本明細書で使用される場合、「投与量」または「1日投与量」という用語は、レスメチロム、そのプロドラッグ、またはレスメチロムもしくはレスメチロムプロドラッグの薬学的に許容される塩の重量を指す。
【0165】
[0176]本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される賦形剤」という用語は、一般に安全で無毒性であり、生物学的にもその他においても望ましくないものではない製剤の調製において有用な賦形剤を意味し、ヒトの医薬的使用と同様に獣医学的使用に許容される賦形剤を含む。「薬学的に許容される賦形剤」は、本明細書および特許請求の範囲で使用される場合、1つのそのような賦形剤、および1つより多いそのような賦形剤の両方を含む。
【0166】
[0177]本明細書で使用される場合、「対象」という用語は、ヒトおよび非ヒト哺乳動物、ならびに細胞株、細胞培養物、組織および器官を含む。一部の実施形態では、対象は哺乳動物である。哺乳動物は、例えば、ヒトまたは適切な非ヒト哺乳動物、例えば、霊長類、マウス、ラット、イヌ、ネコ、ウシ、ウマ、ヤギ、ラクダ、ヒツジまたはブタなどとすることができる。一部の実施形態では、対象はヒトである。
【0167】
[0178]本明細書で使用される場合、「それを必要とする対象」という用語は、(処置されるべき)疾患を有するか、または(予防されるべき)疾患の発症のリスクが高まっている対象を指す。それを必要とする対象は、以前に、本明細書に開示された疾患または障害を有すると診断されたか、または以前にそれらを有すると特定された者とすることができる。それを必要とする対象は、本明細書に開示された疾患または障害を有する(例えば罹患している)者とすることもできる。あるいは、それを必要とする対象は、全集団と比較してそのような疾患または障害を発症するリスクが高まっている者(すなわち、全集団と比較してそのような障害を発症しやすい対象)とすることができる。それを必要とする対象は、難治性または抵抗性の、本明細書に開示された疾患または障害(すなわち、処置に反応しないか、または未だ反応していない、本明細書に開示された疾患または障害)を有する可能性がある。その対象は、処置の開始時に抵抗性であり得るか、または処置中に抵抗性になり得る。一部の実施形態では、それを必要とする対象は、本明細書に開示された疾患または障害の、既知の有効な治療をすべて受け、失敗した。一部の実施形態では、それを必要とする対象は、以前の治療を少なくとも1つ受けた。
【0168】
[0179]当然のことながら、レスメチロム、そのプロドラッグ、またはレスメチロムもしくはレスメチロムプロドラッグの薬学的に許容される塩は、相異なる互変異性体として表される場合がある。以下も当然のことながら、化合物が互変異性型を有するとき、すべての互変異性型は本開示の範囲に含まれるものとし、化合物の命名は、いずれの互変異性体の形態も除外しない。当然のことながら、ある特定の互変異性体は、他よりも高レベルの活性を有する場合がある。
【0169】
[0180]本明細書で使用される場合、「処置すること(treating)」または「処置する(treat)」という用語は、疾患、状態または障害と闘う目的での患者の管理および世話を表し、疾患、状態もしくは障害の症状もしくは合併症を軽減するため、または疾患、状態もしくは障害を排除するための、本開示の化合物、またはその薬学的に許容される塩、多形もしくは溶媒和物の投与を含む。「処置する(treat)」という用語は、in vitroの細胞または動物モデルの処置も含むことができる。
【0170】
[0181]本明細書で使用される場合、「塩」または「薬学的に許容される塩」という用語は、親化合物が、その酸性塩または塩基性塩を作製することによって修飾される、本開示の化合物の誘導体を指す。薬学的に許容される塩の例は、以下に限定されないが、アミンなどの塩基性残基の無機酸塩または有機酸塩、カルボン酸などの酸性残基のアルカリ塩または有機塩などを含む。薬学的に許容される塩は、例えば無毒性の無機酸または有機酸から形成される、従来の、親化合物の無毒性塩または第四級アンモニウム塩を含む。例えば、そのような従来の無毒性塩は、以下に限定されないが、2-アセトキシ安息香酸、2-ヒドロキシエタンスルホン酸、酢酸、アスコルビン酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、重炭酸、炭酸、クエン酸、エデト酸、エタンジスルホン酸、1,2-エタンスルホン酸、フマル酸、グルコヘプトン酸、グルコン酸、グルタミン酸、グリコール酸、グリコリアルサニル(glycollyarsanilic)酸、ヘキシルレゾルシン酸、ヒドラバム(hydrabamic)酸、臭化水素酸、塩酸、ヨウ化水素酸、ヒドロキシマレイン酸、ヒドロキシナフトエ酸、イセチオン酸、乳酸、ラクトビオン酸、ラウリルスルホン酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、ナプシル酸、硝酸、シュウ酸、パモ酸、パントテン酸、フェニル酢酸、リン酸、ポリガラクツロン酸、プロピオン酸、サリチル酸、ステアリン酸、塩基性酢酸、コハク酸、スルファミン酸、スルファニル酸、硫酸、タンニン酸、酒石酸、トルエンスルホン酸から選択される無機酸および有機酸、および普通に存在するアミン酸、例えば、グリシン、アラニン、フェニルアラニン、アルギニンなどから誘導されるものを含む。薬学的に許容される塩の他の例は、ヘキサン酸、シクロペンタンプロピオン酸、ピルビン酸、マロン酸、3-(4-ヒドロキシベンゾイル)安息香酸、ケイ皮酸、4-クロロベンゼンスルホン酸、2-ナフタレンスルホン酸、4-トルエンスルホン酸、カンファースルホン酸、4-メチルビシクロ-[2.2.2]-オクタ-2-エン-l-カルボン酸、3-フェニルプロピオン酸、トリメチル酢酸、第三級ブチル酢酸、ムコン酸などを含む。本開示はまた、親化合物中に存在する酸性プロトンが、金属イオン、例えばアルカリ金属イオン、アルカリ土類イオンまたはアルミニウムイオンに置換されるか、または有機塩基、例えばエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トロメタミン、N-メチルグルカミンなどと結合する(coordinates)かのいずれかの場合に形成される塩も包含する。塩形態において、当然のことながら、化合物と塩の陽イオンもしくは陰イオンとの比は、1:1、または1:1以外の任意の比、例えば、3:1、2:1、1:2、または1:3とすることができる。当然のことながら、薬学的に許容される塩についての言及はすべて、その同じ塩の、本明細書に定義されるとおりの溶媒付加形態(溶媒和物)または結晶形(多形)を含む。
【0171】
[0182]本明細書で使用される場合、「MGL-3196」とは、「レスメチロム」と等しく、これは、2-(3,5-ジクロロ-4-((5-イソプロピル-6-オキソ-l,6-ジヒドロピリダジン-3-イル)オキシ)フェニル)-3,5-ジオキソ-2,3,4,5-テトラヒドロ-l,2,4-トリアジン-6-カルボニトリル(すなわち、
【0172】
【化1】
)、またはその薬学的に許容される塩もしくは固体形態のいずれかと等しく、これらは、例えば米国特許第9,266,861号および米国特許出願第17/257,070号に開示されているものであり、その文献の各々の内容は、参照により、本明細書に組み込まれる。
【0173】
[0183]本明細書で使用されるすべてのパーセンテージおよび比は、別段の指定がない限り、重量による。本開示の他の特徴および利点は、様々な例から明らかである。提供される例は、本開示を実行するのに有用な様々な構成要素および方法を説明する。これらの例は、特許請求された本開示を限定するものではない。本開示に基づいて、当業者は、本開示を実行するのに有用な他の構成要素および方法を特定し、使用することができる。
【0174】
[0184]本明細書に引用されるすべての刊行物および特許文献は、そのような刊行物または文献の各々が、具体的かつ個別に参照により本明細書に組み込まれるように指定されているかのように、参照により本明細書に組み込まれる。刊行物および特許文献の引用は、いずれかが関連の従来技術であるという承認を意図するものではなく、その内容または日付に関して承認を与えるものでもない。本発明は、今般、明細書として記載されてきたが、当業者は、本発明が様々な実施形態で実行され得ること、および上記の記載および下記の例が、説明を目的とするものであり、続く特許請求の範囲の限定ではないことを理解するであろう。
【実施例】
【0175】
実施例1.レスメチロムで処置された非硬変性および硬変性のNASH患者における肝体積の減少
[0185]肝腫大は、NASH患者において症状(例えば疼痛)を引き起こす場合があり、主に高肝臓脂肪含量によって誘導されると考えられる。レスメチロム(MGL-3196)は、著しい(ステージ2~3の)線維症を伴うNASHの処置のための第3相開発における、肝臓を対象とした、経口にて活性で高選択的なTHR-βアゴニストである。生検で確認されたNASH(NAS≧4、F1~F3)および肝臓脂肪分画≧10%を有する成人における、36週間の第2相連続MRI-PDFFおよび肝臓生検試験において、レスメチロムで処置された患者は、プラセボと比較して、肝臓生検でのNASHの消散に関連する統計的に有意な肝臓脂肪の減少を示した。この試験の目的は、プラセボおよびレスメチロムで処置された患者において、MRI-PDFFによって測定された肝臓トリグリセリドと肝体積(LV)との間の関係を評価することであった。
【0176】
[0186]MRI-PDFFおよび肝体積(LV)を、少なくともベースラインおよび1つの追加の連続PDFFを有する患者において、(n=117)およびMAESTRO-NAFLD-1のNASH-硬変性活動性のレスメチロム治療群(n=73)で評価した。標準MR画像で肝臓をセグメンテーションするための検証済みの人工知能モデルを使用してLVを評価した。
【0177】
[0187]ベースライン時のLVは、非硬変性および硬変性のNASHの患者では、健常な対照の文献の値と比較して増大しており、性別および体重を考慮した後でさえ、予測より大きかった。PDFFは、非硬変性ではベースライン時のLVと相関し(r2=0.19、p<0.001)、硬変性のNASHではそれより相関が弱かった(r2=0.079、p=0.01)。LVの減少(CFB)は、プラセボ(r2=0.25、p=0.001)およびレスメチロム(r2=0.38、p<0.0001)で処置された患者において、12(および36(示さず))週間時点でPDFFの減少と相関した(例えば、
図1を参照)。LVの減少は、レスメチロム(-18.6%(1.1)、-20.5%(1.2))の方が、プラセボ(-0.4%(1.5)、0.1%(1.9))と比較して、それぞれ、12週間および36週間処置された場合に大きかった(p<0.0001)。プラセボ患者(5.3%)より高いパーセンテージのレスメチロム患者(69.2%)において、12週目に肝体積が≧15%減少し(p<0.0001)、36週目も同様であった。LVの減少とPDFFの減少との関係は、レスメチロムで処置された非硬変性のNASH患者と比較して、プラセボでは比例的に弱かった。レスメチロムで処置された硬変性のNASH患者では(
図1を参照)、LVの減少は、特にベースライン時にPDFF<5%を有する患者において、PDFFのわずかな減少を基に予測された減少よりも大幅に大きかった(16週目に、LV平均%CFB、-16.3%、対してPDFF平均%CFB、-2.5%)。36週目に生検でNASHの消散および/または線維症の減少が認められた、レスメチロムで処置された患者は、全員、12週目にPDFFの減少が≧30%および/またはLVの減少が≧15%であった。
【0178】
[0188]理論に縛られることを望むものではないが、レスメチロムで処置された患者における肝体積の減少は、一部は肝臓トリグリセリドの減少(MRI-PDFFにより測定される)によって説明され得るが、その作用機序に関連する他の変化によっても推進され得る。LVの減少は、第3相MAESTRO-NASH試験のデータによってさらに評価され得るNASHの病理組織学的改善に関連し得る。
【0179】
実施例2.レスメチロム52週間の非硬変性NASH第3相臨床試験、MAESTRO-NAFLD-1の完了した非盲検群におけるバイオマーカー、画像化および安全性
[0189]MAESTRO-NASH NCT03900429およびMAESTRO-NAFLD-1 NCT04197479は、2,000名を超えるNASH患者においてレスメチロムの効果を試験するための52週間の第3相登録制二重盲検プラセボ対照臨床試験である。MAESTRO-NAFLD-1、すなわち1,200名の患者の「実生活の」NASH試験の目標は、レスメチロム処置に対する患者の反応と相関する非侵襲的マーカーを同定することである。169名の患者、100mgの非盲検(OL)群は、52週間の試験を2021年7月に完了した。
【0180】
[0190]適格性として、少なくとも3つの代謝リスク因子(メタボリックシンドローム)、≧F1の線維症ステージと一致するフィブロスキャンのキロパスカル(kPa)、および≧8%のMRI-PDFFを要件とした。安全性、MRI-PDFF(16週目)、LDLコレステロール(LDL-C)(24週目)、アポリポタンパク質Bおよびトリグリセリドの相対的パーセント減少、フィブロスキャンならびに52週間の評価項目を含むMAESTRO-NAFLD-1の主要評価項目および主要副次的評価項目を、OL群において分析した。
【0181】
[0191]平均年齢は55.7(11.5(SD))であり、女性69%、BMI35.8(6.0)、糖尿病43%、高血圧症62%、脂質異常症>70%、ASCVDスコア11.5%、フィブロスキャン(7.7kPa(3.6))、およびMRI-PDFF17%(7%)であった。全体で、およびいくつかの部分群において、MRI-PDFFの-53%(3.3%(SE))の統計的に有意な(p<0.0001)減少が、52週目に観察された(例えば、
図2を参照)。肝体積(LV)は、ベースライン時に、正常な対照と比較して約50%増大しており(2202cm
3(535))、BMIについて補正した後に約15%増大していた(Euro J of Radiol 106、2018、32~37頁)。レスメチロムは、すべての患者背景のグループにおいて、16週目および52週目にそれぞれ、LVを-21%(1.0%)、-23%(1.0%)減少させた(p<0.0001)(例えば、
図3を参照)。LVの減少は、肝臓脂肪含量の尺度であるMRI-PDFFにおける%減少によって予測されたものよりも2~3倍大きかった(Clin Gastroenterol Hepatol.2015 13:561~568頁)。LVにより補正された平均MRI-PDFF減少は、-63%(2.4%)であった。≧5%の体重減少は、約25%の患者に生じ、レスメチロム曝露(SHBG)に関連していた。52週目に、ベースラインと比較して、MRE(-0.34、p=0.03);フィブロスキャンCAP(-39(4.6))およびVCTE(-1.87;-20%)(p<0.0001)が減少した。LDL-C(-22%(1.9%))、アポリポタンパク質B(-24%(1.6%))、トリグリセリド(-24%(2.6))は、統計的に減少した(p<0.0001)。肝臓酵素のベースラインからの低下は、ALT -20IU、AST -11IU、GGT -25IUであった(p<0.0001).炎症性および線維症のバイオマーカーである、リバースT3、ELFおよびM30の有意な減少、ならびにアディポネクチンの増加が観察された。52週間時点で、安全性の衰え(safety flags)は確認されず、血圧(収縮期、拡張期)は約2mmHg減少し(p=0.02)、骨密度(DEXA)は変化がなかった。
【0182】
[0192]この52週間の第3相OL試験において、非侵襲的に同定され、1日100mgのレスメチロムで52週間までの間処置されたNASH患者は、(1)肝臓脂肪および肝体積、(2)バイオマーカー、MREおよびフィブロスキャンにより評価される線維症(3)LDLおよびアテローム生成脂質、ならびに(4)肝臓酵素炎症性バイオマーカーにおいて、迅速かつ持続性の減少を示し、非侵襲的試験を使用して、個々のNASH患者のレスメチロム処置に対する反応をモニターすることへの支持が得られた。
【0183】
実施例3.レスメチロム、すなわち甲状腺ホルモン受容体ベータアゴニストで52週間処置された、十分に補償を受けたNASH硬変性コホートにおける、バイオマーカー、画像化および安全性
[0193]MAESTRO-NAFLD-1は、非侵襲的バイオマーカーおよび画像化を使用して同定されたF1~F4線維症を有するNASH患者において、レスメチロム、すなわち選択的甲状腺ホルモン受容体ベータアゴニストの安全性およびバイオマーカー作用を試験するための、52週間の>1200名の患者の第3相無作為化二重盲検プラセボ対照NASH臨床試験である(NCT04197479)。この「実生活の」NASH試験の目標は、レスメチロム処置に対する個々の患者の反応と相関する非侵襲的マーカーを同定することである。この研究は、十分に補償を受けたNASH硬変性の患者における非盲検の活性なレスメチロム治療群を含む。
【0184】
[0194]適格性として、少なくとも3つの代謝リスク因子(メタボリックシンドローム)、および肝臓生検で、または認められた基準に従って診断されたNASH肝硬変を要件とした。硬変性群の主要評価項目および主要副次的評価項目は、安全性、MRI-PDFF(16週目)、LDLコレステロール(LDL-C)(24週目)、アポリポタンパク質Bおよびトリグリセリドならびに線維症のマーカーの相対的パーセント減少を含む。患者は、80~100mgの1日用量のレスメチロムを52週間投与された。
【0185】
[0195]105名の十分に補償を受けたNASH硬変性患者を非盲検群に登録し、2/3が肝臓生検により確認された。患者背景は、平均年齢62.7(9.0(SD))、女性64%、BMI35.4(7.4)、糖尿病70%、高血圧症77%、脂質異常症>70%、平均ASCVDスコア16.1%、甲状腺機能低下32.4%、スタチン投与51%を含む。MRE、5.7kPa(2.1)、フィブロスキャン、24.6kPa(14.9)、CAP、318(59)および平均MRI-PDFF、8.1%(5)。肝硬変のステージは、ベースラインのPDFFと逆相関していた。52週目に、レスメチロムは、フィブロスキャンCAP(-42単位、p<0.0001)およびkPa(-7.6kPa、p=0.02)を低下させた。
【0186】
[0196]ベースラインのPDFFが>5%(5%=UL正常)の患者において、レスメチロムは、PDFFを37%低下させた(p<0.0057)。レスメチロムは、52週目にMREを0.68kPa低下させ、34%の患者は、MREが≧15%低下した。GGT、-27%、p=0.04およびALP、-18%、p=0.04が減少した。肝体積(LV)は、ベースライン時にNASH肝硬変の患者において増大していたが、16週目に、ベースラインのPDFFとは無関係に-15.9%(7.7%)減少した(p<0.0001)。患者の73%が、ベースラインの肝硬変の重症度とは無関係に、52週目にLVが≧15%減少した(例えば、
図4を参照)。PDFFの減少は、BLのPDFFが≧5%の患者においてのみ、LVの減少と関連していた。脾臓体積(SV)の変化は、PDFFおよびLVの減少よりも変動があり、したがって、レスポンダー分析(SVの≧10%減少または≧10%増加を有する患者のパーセンテージに基づく)として評価した。レスメチロムへの曝露は、LVおよびSVの変化と強く相関した。
【0187】
[0197]LVの減少は、MRE、MRI-PDFF、TIMP、P3NPの減少およびレスメチロムに対するSHBGの反応と相関した(例えば、表1を参照)。レスメチロムは、肝硬変のステージとは無関係に、LDL-C(20%)、トリグリセリド(21%)、ApoB(20%)、Lp(a)(30%)を減少させた。BPは4~5mm減少した。レスメチロムは、安全で、耐容性が良好であった。
【0188】
【0189】
[0198]NASH肝硬変を有する患者のレスメチロムでの52週間までの処置は、安全で、CVのリスクおよびNASH線維症のマーカーを低下させることに有効であった。
【0190】
均等物
[0199]本発明は、その趣旨またはその本質的特徴から逸脱することなく、他の特定の形態で具体化されることが可能である。したがって、上記の実施形態は、本明細書に記載される本発明を限定するのではなく、あらゆる点で説明するものと考えられるべきである。したがって、本発明の範囲は、上記の説明ではなく、添付の特許請求の範囲によって指定され、特許請求の範囲の意味および均等範囲内にある変更はすべて、特許請求の範囲に包含されるものとする。
【国際調査報告】