(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-04
(54)【発明の名称】サバイビンおよびMAGE-A9二重標的化免疫療法
(51)【国際特許分類】
A61K 39/00 20060101AFI20240927BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20240927BHJP
A61P 37/04 20060101ALI20240927BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20240927BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20240927BHJP
A61P 7/00 20060101ALI20240927BHJP
A61P 13/10 20060101ALI20240927BHJP
A61P 15/00 20060101ALI20240927BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240927BHJP
A61K 39/39 20060101ALI20240927BHJP
A61K 31/7088 20060101ALI20240927BHJP
A61K 47/44 20170101ALI20240927BHJP
A61K 47/14 20170101ALI20240927BHJP
A61K 31/675 20060101ALI20240927BHJP
A61K 31/704 20060101ALI20240927BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20240927BHJP
A61K 31/403 20060101ALI20240927BHJP
A61K 31/44 20060101ALI20240927BHJP
A61K 9/107 20060101ALI20240927BHJP
A61K 9/51 20060101ALI20240927BHJP
C07K 7/06 20060101ALI20240927BHJP
C12N 15/11 20060101ALI20240927BHJP
C07K 7/08 20060101ALI20240927BHJP
C07K 14/47 20060101ALN20240927BHJP
C12N 15/12 20060101ALN20240927BHJP
【FI】
A61K39/00 H
A61K45/00
A61P37/04
A61P35/00
A61P17/00
A61P7/00
A61P13/10
A61P15/00
A61P43/00 121
A61K39/39
A61K31/7088
A61K47/44
A61K47/14
A61K31/675
A61K31/704
A61K39/395 N
A61K39/395 T
A61K31/403
A61K31/44
A61K39/395 U
A61K9/107
A61K9/51
A61P43/00 107
C07K7/06 ZNA
C12N15/11 Z
C07K7/08
C07K14/47
C12N15/12
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024519343
(86)(22)【出願日】2022-09-29
(85)【翻訳文提出日】2024-05-28
(86)【国際出願番号】 IB2022000557
(87)【国際公開番号】W WO2023052842
(87)【国際公開日】2023-04-06
(32)【優先日】2021-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521121709
【氏名又は名称】バイオヴァクシーズ インコーポレイテッド
(71)【出願人】
【識別番号】509346221
【氏名又は名称】ユニバーシテ ラバル
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【氏名又は名称】大森 規雄
(72)【発明者】
【氏名】ピカール,ヴァレリー
(72)【発明者】
【氏名】ベルジュロン,アライン
(72)【発明者】
【氏名】フラデ,イヴ
(72)【発明者】
【氏名】フィセ,ステファン
(72)【発明者】
【氏名】ブラメチャ,ヨゲシュ
(72)【発明者】
【氏名】マクドナルド,リサ
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C085
4C086
4H045
【Fターム(参考)】
4C076AA19
4C076AA65
4C076CC07
4C076CC14
4C076CC17
4C076CC18
4C076CC26
4C076CC27
4C076DD46
4C076EE52
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4C076FF70
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4C084NA05
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4C084ZA89
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4C084ZC75
4C085AA02
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4C085BB01
4C085BB07
4C085BB23
4C085BB31
4C085CC23
4C085CC32
4C085EE03
4C085FF11
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC10
4C086BC17
4C086DA35
4C086EA10
4C086EA16
4C086GA07
4C086MA02
4C086MA03
4C086MA04
4C086MA05
4C086NA05
4C086ZA51
4C086ZA81
4C086ZA89
4C086ZB09
4C086ZB22
4C086ZB26
4C086ZC75
4H045AA10
4H045AA11
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA15
4H045CA40
4H045DA86
4H045EA28
4H045FA20
(57)【要約】
本出願は、一般的に、腫瘍を処置するための方法、特に、サバイビンおよびMAGE-A9の2つの腫瘍抗原に対して標的化されたT細胞応答を生じる二重標的化免疫療法においてサバイビンおよびMAGE-A9の両方のペプチドを使用するための方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
i)少なくとも2つのT細胞活性化治療薬、ii)1つまたは複数の脂質ベースの構造、およびiii)担体を含む、少なくとも2つのT細胞活性化治療薬を対象に送達するための医薬組成物であって、前記少なくとも2つのT細胞活性化治療薬が、少なくとも1つのサバイビン抗原および少なくとも1つのメラノーマ関連抗原9(MAGE-A9)抗原を含む、医薬組成物。
【請求項2】
前記少なくとも1つのサバイビン抗原が、アミノ酸配列FEELTLGEF(配列番号1);FTELTLGEF(配列番号2);LTLGEFLKL(配列番号3);LMLGEFLKL(配列番号4);RISTFKNWPF(配列番号5);RISTFKNWPK(配列番号6);STFKNWPFL(配列番号7);またはLPPAWQPFL(配列番号8)、またはそれらのあらゆる組合せを含むサバイビンペプチド抗原であるか、または前記サバイビンペプチド抗原をコードする核酸分子である、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
前記少なくとも1つのサバイビン抗原が、アミノ酸配列LMLGEFLKL(配列番号4)もしくはSTFKNWPFL(配列番号7)、またはその両方を含むサバイビンペプチド抗原であるか、または前記サバイビンペプチド抗原をコードする核酸分子である、請求項1または請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項4】
前記少なくとも1つのMAGE-A9抗原が、アミノ酸配列KVAELVHFL(配列番号9);GLMGAQEPT(配列番号10);ALSVMGVYV(配列番号11);FLWGSKAHA(配列番号12)、FMFQEALKL(配列番号26);EVDPAGHSY(配列番号27);NYKRYFPVI(配列番号28);VYYTLWSQF(配列番号29);SYILVTALG(配列番号30);MPKAALLII(配列番号31); SVMGVYVGK(配列番号32);ALLIIVLGV(配列番号33);FLLHKYRVK(配列番号34);またはIVLGVILTK(配列番号35)、またはそれらのあらゆる組合せを含むMAGE-A9ペプチド抗原であるか、または前記MAGE-A9ペプチド抗原をコードする核酸分子である、請求項1から3のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項5】
前記少なくとも1つのMAGE-A9抗原が、アミノ酸配列KVAELVHFL(配列番号9);FMFQEALKL(配列番号26);EVDPAGHSY(配列番号27);NYKRYFPVI(配列番号28);VYYTLWSQF(配列番号29);SYILVTALG(配列番号30);MPKAALLII(配列番号31); SVMGVYVGK(配列番号32);ALLIIVLGV(配列番号33);FLLHKYRVK(配列番号34);またはIVLGVILTK(配列番号35)、またはそれらのあらゆる組合せを含むMAGE-A9ペプチド抗原であるか、または前記MAGE-A9ペプチド抗原をコードする核酸分子である、請求項1から4のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項6】
前記少なくとも1つのMAGE-A9抗原が、アミノ酸配列KVAELVHFL(配列番号9);GLMGAQEPT(配列番号10);ALSVMGVYV(配列番号11);FLWGSKAHA(配列番号12)、FMFQEALKL(配列番号26);EVDPAGHSY(配列番号27);NYKRYFPVI(配列番号28);MPKAALLII(配列番号31);orSVMGVYVGK(配列番号32)、またはそれらのあらゆる組合せを含むMAGE-A9ペプチド抗原であるか、または前記MAGE-A9ペプチド抗原をコードする核酸分子である、請求項1から4のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項7】
前記少なくとも1つのMAGE-A9抗原が、アミノ酸配列KVAELVHFL(配列番号9);FMFQEALKL(配列番号26);EVDPAGHSY(配列番号27);NYKRYFPVI(配列番号28);MPKAALLII(配列番号31);またはSVMGVYVGK(配列番号32)、またはそれらのあらゆる組合せを含むMAGE-A9ペプチド抗原であるか、または前記MAGE-A9ペプチド抗原をコードする核酸分子である、請求項1から4のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項8】
前記少なくとも1つのMAGE-A9抗原が、アミノ酸配列KVAELVHFL(配列番号9);FMFQEALKL(配列番号26);EVDPAGHSY(配列番号27);NYKRYFPVI(配列番号28);SYILVTALG(配列番号30);MPKAALLII(配列番号31);またはSVMGVYVGK(配列番号32)、またはそれらのあらゆる組合せを含むMAGE-A9ペプチド抗原であるか、または前記MAGE-A9ペプチド抗原をコードする核酸分子である、請求項1から4のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項9】
前記少なくとも1つのMAGE-A9抗原が、アミノ酸配列KVAELVHFL(配列番号9);GLMGAQEPT(配列番号10);ALSVMGVYV(配列番号11);もしくはFLWGSKAHA(配列番号12)、またはそれらのあらゆる組合せを含むMAGE-A9ペプチド抗原であるか、または前記MAGE-A9ペプチド抗原をコードする核酸分子である、請求項1から4のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項10】
前記少なくとも1つのMAGE-A9抗原が、アミノ酸配列KVAELVHFL(配列番号9);GLMGAQEPT(配列番号10);もしくはFLWGSKAHA(配列番号12)、またはそれらのあらゆる組合せを含むMAGE-A9ペプチド抗原であるか、または前記MAGE-A9ペプチド抗原をコードする核酸分子である、請求項1から4のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項11】
前記少なくとも1つのサバイビン抗原が、アミノ酸配列LMLGEFLKL(配列番号4)もしくはSTFKNWPFL(配列番号7)、またはそれらのあらゆる組合せを含むサバイビンペプチド抗原であるか、または前記サバイビンペプチド抗原をコードする核酸分子であり、前記少なくとも1つのMAGE-A9抗原が、アミノ酸配列KVAELVHFL(配列番号9);GLMGAQEPT(配列番号10);ALSVMGVYV(配列番号11);もしくはFLWGSKAHA(配列番号12)、またはそれらのあらゆる組合せを含むMAGE-A9ペプチド抗原であるか、または前記MAGE-A9ペプチド抗原をコードする核酸分子である、請求項1から4のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項12】
前記少なくとも1つのサバイビン抗原が、アミノ酸配列LMLGEFLKL(配列番号4)およびSTFKNWPFL(配列番号7)を含む2つのサバイビンペプチド抗原であるか、または前記サバイビンペプチド抗原をコードする核酸分子であり、前記少なくとも1つのMAGE-A9抗原が、アミノ酸配列KVAELVHFL(配列番号9);GLMGAQEPT(配列番号10);ALSVMGVYV(配列番号11);およびFLWGSKAHA(配列番号12)を含む4つのMAGE-A9ペプチド抗原であるか、または前記MAGE-A9ペプチド抗原をコードする核酸分子である、請求項11に記載の医薬組成物。
【請求項13】
前記少なくとも1つのサバイビン抗原が、アミノ酸配列LMLGEFLKL(配列番号4)もしくはSTFKNWPFL(配列番号7)、またはそれらのあらゆる組合せを含むサバイビンペプチド抗原であるか、または前記サバイビンペプチド抗原をコードする核酸分子であり、前記少なくとも1つのMAGE-A9抗原が、アミノ酸配列KVAELVHFL(配列番号9);GLMGAQEPT(配列番号10);もしくはFLWGSKAHA(配列番号12)、またはそれらのあらゆる組合せを含むMAGE-A9ペプチド抗原であるか、または前記MAGE-A9ペプチド抗原をコードする核酸分子である、請求項1から4のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項14】
前記少なくとも1つのサバイビン抗原が、アミノ酸配列LMLGEFLKL(配列番号4)およびSTFKNWPFL(配列番号7)を含む2つのサバイビンペプチド抗原であるか、または前記サバイビンペプチド抗原をコードする核酸分子であり、前記少なくとも1つのMAGE-A9抗原が、アミノ酸配列KVAELVHFL(配列番号9);GLMGAQEPT(配列番号10);およびFLWGSKAHA(配列番号12)を含む3つのMAGE-A9ペプチド抗原であるか、または前記MAGE-A9ペプチド抗原をコードする核酸分子である、請求項13に記載の医薬組成物。
【請求項15】
前記少なくとも1つのサバイビン抗原が、アミノ酸配列(配列番号2);LMLGEFLKL(配列番号4);RISTFKNWPK(配列番号6);STFKNWPFL(配列番号7);もしくはLPPAWQPFL(配列番号8)、またはそれらのあらゆる組合せを含むサバイビンペプチド抗原であるか、または前記サバイビンペプチド抗原をコードする核酸分子であり、前記少なくとも1つのMAGE-A9抗原が、アミノ酸配列KVAELVHFL(配列番号9);GLMGAQEPT(配列番号10);ALSVMGVYV(配列番号11);FLWGSKAHA(配列番号12)、FMFQEALKL(配列番号26);EVDPAGHSY(配列番号27);NYKRYFPVI(配列番号28);VYYTLWSQF(配列番号29);SYILVTALG(配列番号30);MPKAALLII(配列番号31); SVMGVYVGK(配列番号32);ALLIIVLGV(配列番号33);FLLHKYRVK(配列番号34);またはIVLGVILTK(配列番号35)、またはそれらのあらゆる組合せを含むMAGE-A9ペプチド抗原であるか、または前記MAGE-A9ペプチド抗原をコードする核酸分子である、請求項1から4のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項16】
前記少なくとも1つのサバイビン抗原が、アミノ酸配列(配列番号2);LMLGEFLKL(配列番号4);RISTFKNWPK(配列番号6);STFKNWPFL(配列番号7);もしくはLPPAWQPFL(配列番号8)、またはそれらのあらゆる組合せを含むサバイビンペプチド抗原であるか、または前記サバイビンペプチド抗原をコードする核酸分子であり、前記少なくとも1つのMAGE-A9抗原が、アミノ酸配列KVAELVHFL(配列番号9);FMFQEALKL(配列番号26);EVDPAGHSY(配列番号27);NYKRYFPVI(配列番号28);VYYTLWSQF(配列番号29);SYILVTALG(配列番号30);MPKAALLII(配列番号31); SVMGVYVGK(配列番号32);ALLIIVLGV(配列番号33);FLLHKYRVK(配列番号34);またはIVLGVILTK(配列番号35)、またはそれらのあらゆる組合せを含むMAGE-A9ペプチド抗原であるか、または前記MAGE-A9ペプチド抗原をコードする核酸分子である、請求項1から4のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項17】
前記少なくとも1つのサバイビン抗原が、アミノ酸配列(配列番号2);LMLGEFLKL(配列番号4);RISTFKNWPK(配列番号6);STFKNWPFL(配列番号7);もしくはLPPAWQPFL(配列番号8)、またはそれらのあらゆる組合せを含むサバイビンペプチド抗原であるか、または前記サバイビンペプチド抗原をコードする核酸分子であり、前記少なくとも1つのMAGE-A9抗原が、アミノ酸配列KVAELVHFL(配列番号9);GLMGAQEPT(配列番号10);ALSVMGVYV(配列番号11);FLWGSKAHA(配列番号12)、FMFQEALKL(配列番号26);EVDPAGHSY(配列番号27);NYKRYFPVI(配列番号28);MPKAALLII(配列番号31);またはSVMGVYVGK(配列番号32)、またはそれらのあらゆる組合せを含むMAGE-A9ペプチド抗原であるか、または前記MAGE-A9ペプチド抗原をコードする核酸分子である、請求項1から4のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項18】
前記少なくとも1つのサバイビン抗原が、アミノ酸配列(配列番号2);LMLGEFLKL(配列番号4);RISTFKNWPK(配列番号6);STFKNWPFL(配列番号7);もしくはLPPAWQPFL(配列番号8)、またはそれらのあらゆる組合せを含むサバイビンペプチド抗原であるか、または前記サバイビンペプチド抗原をコードする核酸分子であり、前記少なくとも1つのMAGE-A9抗原が、アミノ酸配列KVAELVHFL(配列番号9);FMFQEALKL(配列番号26);EVDPAGHSY(配列番号27);NYKRYFPVI(配列番号28);MPKAALLII(配列番号31);またはSVMGVYVGK(配列番号32)、またはそれらのあらゆる組合せを含むMAGE-A9ペプチド抗原であるか、または前記MAGE-A9ペプチド抗原をコードする核酸分子である、請求項1から4のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項19】
前記少なくとも1つのサバイビン抗原が、アミノ酸配列(配列番号2);LMLGEFLKL(配列番号4);RISTFKNWPK(配列番号6);STFKNWPFL(配列番号7);もしくはLPPAWQPFL(配列番号8)、またはそれらのあらゆる組合せを含むサバイビンペプチド抗原であるか、または前記サバイビンペプチド抗原をコードする核酸分子であり、前記少なくとも1つのMAGE-A9抗原が、アミノ酸配列KVAELVHFL(配列番号9);FMFQEALKL(配列番号26);EVDPAGHSY(配列番号27);NYKRYFPVI(配列番号28);SYILVTALG(配列番号30);MPKAALLII(配列番号31);またはSVMGVYVGK(配列番号32)、またはそれらのあらゆる組合せを含むMAGE-A9ペプチド抗原であるか、または前記MAGE-A9ペプチド抗原をコードする核酸分子である、請求項1から4のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項20】
前記サバイビンおよびMAGE-A9ペプチド抗原のそれぞれが独立に、約0.1μg/μlから約5.0μg/μlの濃度である、請求項1から19のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項21】
前記サバイビンおよびMAGE-A9ペプチド抗原のそれぞれが、それぞれ少なくとも約1.0μg/μlの濃度である、請求項1から20のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項22】
前記サバイビンおよびMAGE-A9ペプチド抗原のそれぞれが、それぞれ約1.0μg/μlの濃度である、請求項1から21のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項23】
Tヘルパーエピトープをさらに含む、請求項1から22のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項24】
前記Tヘルパーエピトープが、アミノ酸配列AQYIKANSKFIGITEL(配列番号13)を含むペプチドである、請求項23に記載の医薬組成物。
【請求項25】
アジュバントをさらに含む、請求項1から24のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項26】
前記アジュバントがポリI.Cポリヌクレオチドである、請求項25に記載の医薬組成物。
【請求項27】
前記ポリI.CポリヌクレオチドがDNAまたはRNAベースである、請求項26に記載の医薬組成物。
【請求項28】
前記担体が疎水性担体を含む、請求項1から27のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項29】
前記疎水性担体が植物油、堅果油、鉱油、またはそれらの組合せである、請求項28に記載の医薬組成物。
【請求項30】
前記疎水性担体が、鉱油であるか、または鉱油溶液中のマンニドオレエートである、請求項29に記載の医薬組成物。
【請求項31】
前記疎水性担体がMontanide(登録商標)ISA51である、請求項30に記載の医薬組成物。
【請求項32】
前記1つまたは複数の脂質ベースの構造が単層脂質集合体を含む、請求項1から31のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項33】
単層脂質集合体を有する前記1つまたは複数の脂質ベースの構造が、前記脂質の疎水性部分が前記疎水性担体に向かって外側に配向され、前記脂質の親水性部分がコアとして凝集している脂質の凝集体を含む、請求項32に記載の医薬組成物。
【請求項34】
単層脂質集合体を有する前記1つまたは複数の脂質ベースの構造が逆ミセルを含む、請求項32または請求項33に記載の医薬組成物。
【請求項35】
前記脂質ベースの構造のサイズが、直径約2nmから約20nmである、請求項1から34のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項36】
前記脂質ベースの構造のサイズが、直径約5nmから約10nmである、請求項35に記載の医薬組成物。
【請求項37】
前記T細胞活性化治療薬の1つまたは複数が前記脂質ベースの構造の内側にある、請求項1から36のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項38】
前記T細胞活性化治療薬の1つまたは複数が前記脂質ベースの構造の外側にある、請求項1から37のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項39】
対象における腫瘍を処置する方法であって、少なくとも2つのT細胞活性化治療薬を送達するための組成物を前記対象に投与することを含み、前記組成物が、i)少なくとも2つのT細胞活性化治療薬;ii)1つまたは複数の脂質ベースの構造;およびiii)担体を含み、前記少なくとも2つのT細胞活性化治療薬が、少なくとも1つのサバイビン抗原および少なくとも1つのメラノーマ関連抗原9(MAGE-A9)抗原を含む、方法。
【請求項40】
少なくとも1つの活性薬剤の有効量を投与することをさらに含む、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記活性薬剤の前記有効量が、免疫をモジュレートする作用を提供するのに十分な量である、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記活性薬剤が、前記T細胞活性化治療薬の前に投与される、請求項40から41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
前記T細胞活性化治療薬の投与の少なくとも2日前に、前記活性薬剤の第1の用量を投与することを含む、請求項40から42のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
前記T細胞活性化治療薬の投与の約1週間前に、前記活性薬剤の第1の用量を投与することを含む、請求項40から43のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
前記活性薬剤の第1の用量を投与し、それに続いて、前記活性薬剤の1つまたは複数の維持用量を投与することを含む、請求項40から44のいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
前記活性薬剤が、約1週間の期間にわたり1日2回投与される、請求項40から45のいずれか一項に記載の方法。
【請求項47】
前記活性薬剤が低用量のメトロノミックレジメンで投与される、請求項40から46のいずれか一項に記載の方法。
【請求項48】
前記メトロノミックレジメンが、隔週で約1週間の期間にわたり毎日、前記活性薬剤を投与することを含む、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記活性薬剤が、1日2回投与される、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記メトロノミックレジメンが、2週のサイクルにわたり前記活性薬剤を投与することを含み、前記活性薬剤が、前記サイクルの第1の週の間に投与され、前記活性薬剤が、前記サイクルの第2の週の間に投与されず、前記メトロノミックレジメンは、少なくとも2サイクルを含む、請求項47から49のいずれか一項に記載の方法。
【請求項51】
前記T細胞活性化治療薬が、前記対象に約3週毎に1回投与される、請求項39から50のいずれか一項に記載の方法。
【請求項52】
前記活性薬剤を投与することが、T細胞活性化治療薬の第1の用量を投与する約1週間前から開始され、前記T細胞活性化治療薬が約3週毎に1回投与される、請求項40から51のいずれか一項に記載の方法。
【請求項53】
前記活性薬剤がDNA複製に干渉する薬剤である、請求項40から52のいずれか一項に記載の方法。
【請求項54】
前記活性薬剤が、アルキル化剤である、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
前記アルキル化剤が、ナイトロジェンマスタードアルキル化剤であり、任意選択で、シクロホスファミドである、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
前記活性薬剤が、
a)ゲムシタビン、5-FU、シスプラチン、オキサリプラチン、テモゾロミド、パクリタキセル、カペシタビン、メトトレキセート、エピルビシン、イダルビシン、ミトキサントロン、ブレオマイシン、デシタビン、もしくはドセタキセルの少なくとも1つ;
b)サリドマイド、ボルテゾミブ、IL-2、IL-12、IL-15、IFN-ガンマ、IFN-アルファ、もしくはTNF-アルファ、メトホルミン、もしくはレナリドマイドの少なくとも1つ;および/または
c)VEGF、VEGFR、もしくはCD40の少なくとも1つの阻害剤
である、請求項54に記載の方法。
【請求項57】
前記活性薬剤が、前記抗原に対する免疫応答を直接強化することによって、例えば、抗原特異的なCD8+T細胞の活性または数を増加させることによって、前記T細胞活性化治療薬の効能を改善する、請求項40から56のいずれか一項に記載の方法。
【請求項58】
抗原特異的なCD8+T細胞の活性または数を増加させることが、総CD8+T細胞の相対的な減少による抗原特異的なCD8+T細胞の富化を含む、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
前記活性薬剤が、抑制性免疫細胞、例えばCD4+FoxP3+調節性T細胞(Treg)、骨髄由来サプレッサー細胞(MDSC)、および/またはCD19+CD1d+CD5+B細胞(Breg)の数または活性を低減させることによって前記T細胞活性化治療薬の効能を改善する、請求項40から58のいずれか一項に記載の方法。
【請求項60】
少なくとも1つの追加の治療剤を投与することをさらに含む、請求項39から59のいずれか一項に記載の方法。
【請求項61】
前記少なくとも1つの追加の治療剤が、
a)1つもしくは複数のチェックポイント剤;
b)ラパログ、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤、parp阻害剤、もしくはインドールアミン2,3-ジオキシゲナーゼ酵素阻害剤の1つまたは複数;および/または
c)ドキソルビシン、トラスツズマブ、ベバシズマブ、スニチニブ、ソラフェニブ、もしくはそれらの組合せ
である、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
前記チェックポイント剤が、免疫チェックポイントタンパク質の阻害剤であり、前記免疫チェックポイントタンパク質は、プログラム死-リガンド1(PD-L1、またB7-H1、CD274としても公知)、プログラム死1(PD-1、CD279)、CTLA-4(CD154)、LAG3(CD223)、TIM3(HAVCR2、CD366)、41BB(CD137)、ICOS(誘導性T細胞共刺激分子)、キラー阻害性受容体(KIR)、CD27、OX-40、GITR、またはホスファチジルセリン(PS)である、請求項61に記載の方法。
【請求項63】
前記PD-1の阻害剤が、抗体であり、任意選択でペンブロリズマブである、請求項62に記載の方法。
【請求項64】
前記追加の治療剤の第1の用量を投与し、それに続いて、前記追加の治療剤の1つまたは複数の維持用量を投与することを含む、請求項60から63のいずれか一項に記載の方法。
【請求項65】
前記追加の治療剤が、約1から4週間毎に投与される、請求項60から64のいずれか一項に記載の方法。
【請求項66】
前記追加の治療剤が、3週間毎に投与される、請求項65に記載の方法。
【請求項67】
前記少なくとも1つのサバイビン抗原が、アミノ酸配列FEELTLGEF(配列番号1);FTELTLGEF(配列番号2);LTLGEFLKL(配列番号3);LMLGEFLKL(配列番号4);RISTFKNWPF(配列番号5);RISTFKNWPK(配列番号6);STFKNWPFL(配列番号7);またはLPPAWQPFL(配列番号8)、またはそれらのあらゆる組合せを含むサバイビンペプチド抗原であるか、または前記サバイビンペプチド抗原をコードする核酸分子である、請求項39から66のいずれか一項に記載の方法。
【請求項68】
前記少なくとも1つのサバイビン抗原が、アミノ酸配列LMLGEFLKL(配列番号4)もしくはSTFKNWPFL(配列番号7)、またはそれらのあらゆる組合せを含むサバイビンペプチド抗原であるか、または前記サバイビンペプチド抗原をコードする核酸分子である、請求項39から67のいずれか一項に記載の方法。
【請求項69】
前記少なくとも1つのMAGE-A9抗原が、アミノ酸配列KVAELVHFL(配列番号9);GLMGAQEPT(配列番号10);ALSVMGVYV(配列番号11);FLWGSKAHA(配列番号12)、FMFQEALKL(配列番号26);EVDPAGHSY(配列番号27);NYKRYFPVI(配列番号28);VYYTLWSQF(配列番号29);SYILVTALG(配列番号30);MPKAALLII(配列番号31);SVMGVYVGK(配列番号32);ALLIIVLGV(配列番号33);FLLHKYRVK(配列番号34);またはIVLGVILTK(配列番号35)、またはそれらのあらゆる組合せを含むMAGE-A9ペプチド抗原であるか、または前記MAGE-A9ペプチド抗原をコードする核酸分子である、請求項39から67のいずれか一項に記載の方法。
【請求項70】
前記少なくとも1つのMAGE-A9抗原が、アミノ酸配列KVAELVHFL(配列番号9);FMFQEALKL(配列番号26);EVDPAGHSY(配列番号27);NYKRYFPVI(配列番号28);VYYTLWSQF(配列番号29);SYILVTALG(配列番号30);MPKAALLII(配列番号31); SVMGVYVGK(配列番号32);ALLIIVLGV(配列番号33);FLLHKYRVK(配列番号34);またはIVLGVILTK(配列番号35)、またはそれらのあらゆる組合せを含むMAGE-A9ペプチド抗原であるか、または前記MAGE-A9ペプチド抗原をコードする核酸分子である、請求項39から67のいずれか一項に記載の方法。
【請求項71】
前記少なくとも1つのMAGE-A9抗原が、アミノ酸配列KVAELVHFL(配列番号9);GLMGAQEPT(配列番号10);ALSVMGVYV(配列番号11);FLWGSKAHA(配列番号12)、FMFQEALKL(配列番号26);EVDPAGHSY(配列番号27);NYKRYFPVI(配列番号28);MPKAALLII(配列番号31);またはSVMGVYVGK(配列番号32)、またはそれらのあらゆる組合せを含むMAGE-A9ペプチド抗原であるか、または前記MAGE-A9ペプチド抗原をコードする核酸分子である、請求項39から67のいずれか一項に記載の方法。
【請求項72】
前記少なくとも1つのMAGE-A9抗原が、アミノ酸配列KVAELVHFL(配列番号9);FMFQEALKL(配列番号26);EVDPAGHSY(配列番号27);NYKRYFPVI(配列番号28);MPKAALLII(配列番号31);またはSVMGVYVGK(配列番号32)、またはそれらのあらゆる組合せを含むMAGE-A9ペプチド抗原であるか、または前記MAGE-A9ペプチド抗原をコードする核酸分子である、請求項39から67のいずれか一項に記載の方法。
【請求項73】
前記少なくとも1つのMAGE-A9抗原が、アミノ酸配列KVAELVHFL(配列番号9);FMFQEALKL(配列番号26);EVDPAGHSY(配列番号27);NYKRYFPVI(配列番号28);SYILVTALG(配列番号30);MPKAALLII(配列番号31);またはSVMGVYVGK(配列番号32)、またはそれらのあらゆる組合せを含むMAGE-A9ペプチド抗原であるか、または前記MAGE-A9ペプチド抗原をコードする核酸分子である、請求項39から67のいずれか一項に記載の方法。
【請求項74】
前記少なくとも1つのMAGE-A9抗原が、アミノ酸配列KVAELVHFL(配列番号9);GLMGAQEPT(配列番号10);ALSVMGVYV(配列番号11);もしくはFLWGSKAHA(配列番号12)、またはそれらのあらゆる組合せを含むMAGE-A9ペプチド抗原であるか、または前記MAGE-A9ペプチド抗原をコードする核酸分子である、請求項39から67のいずれか一項に記載の方法。
【請求項75】
前記少なくとも1つのMAGE-A9抗原が、アミノ酸配列KVAELVHFL(配列番号9);GLMGAQEPT(配列番号10);もしくはFLWGSKAHA(配列番号12)、またはそれらのあらゆる組合せを含むMAGE-A9ペプチド抗原であるか、または前記MAGE-A9ペプチド抗原をコードする核酸分子である、請求項39から67のいずれか一項に記載の方法。
【請求項76】
前記少なくとも1つのサバイビン抗原が、アミノ酸配列(配列番号2);LMLGEFLKL(配列番号4);RISTFKNWPK(配列番号6);STFKNWPFL(配列番号7);もしくはLPPAWQPFL(配列番号8)、またはそれらのあらゆる組合せを含むアミノ酸配列であるか、または前記サバイビンペプチド抗原をコードする核酸分子であり、前記少なくとも1つのMAGE-A9抗原が、アミノ酸配列KVAELVHFL(配列番号9);GLMGAQEPT(配列番号10);ALSVMGVYV(配列番号11);FLWGSKAHA(配列番号12)、FMFQEALKL(配列番号26);EVDPAGHSY(配列番号27);NYKRYFPVI(配列番号28);VYYTLWSQF(配列番号29);SYILVTALG(配列番号30);MPKAALLII(配列番号31);SVMGVYVGK(配列番号32);ALLIIVLGV(配列番号33);FLLHKYRVK(配列番号34);またはIVLGVILTK(配列番号35)、またはそれらのあらゆる組合せを含むMAGE-A9ペプチド抗原であるか、または前記MAGE-A9ペプチド抗原をコードする核酸分子である、請求項39から67のいずれか一項に記載の方法。
【請求項77】
前記少なくとも1つのサバイビン抗原が、アミノ酸配列(配列番号2);LMLGEFLKL(配列番号4);RISTFKNWPK(配列番号6);STFKNWPFL(配列番号7);もしくはLPPAWQPFL(配列番号8)、またはそれらのあらゆる組合せを含むサバイビンペプチド抗原であるか、または前記サバイビンペプチド抗原をコードする核酸分子であり、前記少なくとも1つのMAGE-A9抗原が、アミノ酸配列KVAELVHFL(配列番号9);FMFQEALKL(配列番号26);EVDPAGHSY(配列番号27);NYKRYFPVI(配列番号28);VYYTLWSQF(配列番号29);SYILVTALG(配列番号30);MPKAALLII(配列番号31); SVMGVYVGK(配列番号32);ALLIIVLGV(配列番号33);FLLHKYRVK(配列番号34);またはIVLGVILTK(配列番号35)、またはそれらのあらゆる組合せを含むMAGE-A9ペプチド抗原であるか、または前記MAGE-A9ペプチド抗原をコードする核酸分子である、請求項39から67のいずれか一項に記載の方法。
【請求項78】
前記少なくとも1つのサバイビン抗原が、アミノ酸配列(配列番号2);LMLGEFLKL(配列番号4);RISTFKNWPK(配列番号6);STFKNWPFL(配列番号7);もしくはLPPAWQPFL(配列番号8)、またはそれらのあらゆる組合せを含むサバイビンペプチド抗原であるか、または前記サバイビンペプチド抗原をコードする核酸分子であり、前記少なくとも1つのMAGE-A9抗原が、アミノ酸配列KVAELVHFL(配列番号9);GLMGAQEPT(配列番号10);ALSVMGVYV(配列番号11);FLWGSKAHA(配列番号12)、FMFQEALKL(配列番号26);EVDPAGHSY(配列番号27);NYKRYFPVI(配列番号28);MPKAALLII(配列番号31);またはSVMGVYVGK(配列番号32)、またはそれらのあらゆる組合せを含むMAGE-A9ペプチド抗原であるか、または前記MAGE-A9ペプチド抗原をコードする核酸分子である、請求項39から67のいずれか一項に記載の方法。
【請求項79】
前記少なくとも1つのサバイビン抗原が、アミノ酸配列(配列番号2);LMLGEFLKL(配列番号4);RISTFKNWPK(配列番号6);STFKNWPFL(配列番号7);もしくはLPPAWQPFL(配列番号8)、またはそれらのあらゆる組合せを含むサバイビンペプチド抗原であるか、または前記サバイビンペプチド抗原をコードする核酸分子であり、前記少なくとも1つのMAGE-A9抗原が、アミノ酸配列KVAELVHFL(配列番号9);FMFQEALKL(配列番号26);EVDPAGHSY(配列番号27);NYKRYFPVI(配列番号28);MPKAALLII(配列番号31);またはSVMGVYVGK(配列番号32)、またはそれらのあらゆる組合せを含むMAGE-A9ペプチド抗原であるか、または前記MAGE-A9ペプチド抗原をコードする核酸分子である、請求項39から67のいずれか一項に記載の方法。
【請求項80】
前記少なくとも1つのサバイビン抗原が、アミノ酸配列(配列番号2);LMLGEFLKL(配列番号4);RISTFKNWPK(配列番号6);STFKNWPFL(配列番号7);もしくはLPPAWQPFL(配列番号8)、またはそれらのあらゆる組合せを含むサバイビンペプチド抗原であるか、または前記サバイビンペプチド抗原をコードする核酸分子であり、前記少なくとも1つのMAGE-A9抗原が、アミノ酸配列KVAELVHFL(配列番号9);FMFQEALKL(配列番号26);EVDPAGHSY(配列番号27);NYKRYFPVI(配列番号28);SYILVTALG(配列番号30);MPKAALLII(配列番号31);またはSVMGVYVGK(配列番号32)、またはそれらのあらゆる組合せを含むMAGE-A9ペプチド抗原であるか、または前記MAGE-A9ペプチド抗原をコードする核酸分子である、請求項39から67のいずれか一項に記載の方法。
【請求項81】
前記少なくとも1つのサバイビン抗原が、アミノ酸配列LMLGEFLKL(配列番号4)もしくはSTFKNWPFL(配列番号7)、またはそれらのあらゆる組合せを含むサバイビンペプチド抗原であるか、または前記サバイビンペプチド抗原をコードする核酸分子であり、前記少なくとも1つのMAGE-A9抗原が、アミノ酸配列KVAELVHFL(配列番号9);GLMGAQEPT(配列番号10);ALSVMGVYV(配列番号11);もしくはFLWGSKAHA(配列番号12)、またはそれらのあらゆる組合せを含むMAGE-A9ペプチド抗原であるか、または前記MAGE-A9ペプチド抗原をコードする核酸分子である、請求項39から67のいずれか一項に記載の方法。
【請求項82】
前記少なくとも1つのサバイビン抗原が、アミノ酸配列LMLGEFLKL(配列番号4)およびSTFKNWPFL(配列番号7)を含む2つのサバイビンペプチド抗原であるか、または前記サバイビンペプチド抗原をコードする核酸分子であり、前記少なくとも1つのMAGE-A9抗原が、アミノ酸配列KVAELVHFL(配列番号9);GLMGAQEPT(配列番号10);ALSVMGVYV(配列番号11);およびFLWGSKAHA(配列番号12)を含む4つのMAGE-A9ペプチド抗原であるか、または前記MAGE-A9ペプチド抗原をコードする核酸分子である、請求項81に記載の方法。
【請求項83】
前記少なくとも1つのサバイビン抗原が、アミノ酸配列LMLGEFLKL(配列番号4)もしくはSTFKNWPFL(配列番号7)、またはそれらのあらゆる組合せを含むサバイビンペプチド抗原であるか、または前記サバイビンペプチド抗原をコードする核酸分子であり、前記少なくとも1つのMAGE-A9抗原が、アミノ酸配列KVAELVHFL(配列番号9);GLMGAQEPT(配列番号10);もしくはFLWGSKAHA(配列番号12)、またはそれらのあらゆる組合せを含むMAGE-A9ペプチド抗原であるか、または前記MAGE-A9ペプチド抗原をコードする核酸分子である、請求項39から67のいずれか一項に記載の方法。
【請求項84】
前記少なくとも1つのサバイビン抗原が、アミノ酸配列LMLGEFLKL(配列番号4)およびSTFKNWPFL(配列番号7)を含む2つのサバイビンペプチド抗原であるか、または前記サバイビンペプチド抗原をコードする核酸分子であり、前記少なくとも1つのMAGE-A9抗原が、アミノ酸配列KVAELVHFL(配列番号9);GLMGAQEPT(配列番号10);およびFLWGSKAHA(配列番号12)を含む3つのMAGE-A9ペプチド抗原であるか、または前記MAGE-A9ペプチド抗原をコードする核酸分子である、請求項83に記載の方法。
【請求項85】
前記サバイビンおよびMAGE-A9ペプチド抗原のそれぞれが独立に、約0.1μg/μlから約5.0μg/μlの濃度である、請求項39から84のいずれか一項に記載の方法。
【請求項86】
前記サバイビンおよびMAGE-A9ペプチド抗原のそれぞれが、それぞれ少なくとも約1.0μg/μlの濃度である、請求項39から85のいずれか一項に記載の方法。
【請求項87】
前記サバイビンおよびMAGE-A9ペプチド抗原のそれぞれが、それぞれ約1.0μg/μlの濃度である、請求項39から86のいずれか一項に記載の方法。
【請求項88】
前記腫瘍が、固形腫瘍である、請求項39から87のいずれか一項に記載の方法。
【請求項89】
前記腫瘍が、血液悪性腫瘍である、請求項39から88のいずれか一項に記載の方法。
【請求項90】
前記腫瘍が、乳腫瘍/がん、卵巣腫瘍/がん、卵管腫瘍/がん、精巣腫瘍/がん、腹膜腫瘍/がん、膀胱腫瘍/がん、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、神経膠腫、非小細胞肺腫瘍/がん、または肝細胞癌である、請求項39から89のいずれか一項に記載の方法。
【請求項91】
前記腫瘍が膀胱がんである、請求項90に記載の方法。
【請求項92】
前記腫瘍が乳がんである、請求項90に記載の方法。
【請求項93】
前記腫瘍が卵巣がんである、請求項90に記載の方法。
【請求項94】
前記組成物がTヘルパーエピトープをさらに含む、請求項39から93のいずれか一項に記載の方法。
【請求項95】
前記Tヘルパーエピトープが、アミノ酸配列AQYIKANSKFIGITEL(配列番号13)を含むペプチドである、請求項94に記載の方法。
【請求項96】
前記組成物がアジュバントをさらに含む、請求項39から95のいずれか一項に記載の方法。
【請求項97】
前記アジュバントがポリI.Cポリヌクレオチドである、請求項96に記載の方法。
【請求項98】
前記ポリI.CポリヌクレオチドがDNAまたはRNAベースである、請求項97に記載の方法。
【請求項99】
前記担体が疎水性担体を含む、請求項39から98のいずれか一項に記載の方法。
【請求項100】
前記疎水性担体が植物油、堅果油、鉱油、またはそれらの組合せである、請求項99に記載の方法。
【請求項101】
前記疎水性担体が、鉱油であるか、または鉱油溶液中のマンニドオレエートである、請求項99に記載の方法。
【請求項102】
前記疎水性担体がMontanide(登録商標)ISA51である、請求項101に記載の方法。
【請求項103】
前記1つまたは複数の脂質ベースの構造が単層脂質集合体を含む、請求項39から102のいずれか一項に記載の方法。
【請求項104】
単層脂質集合体を有する前記1つまたは複数の脂質ベースの構造が、前記脂質の疎水性部分が前記疎水性担体に向かって外側に配向され、前記脂質の親水性部分がコアとして凝集している脂質の凝集体を含む、請求項103に記載の方法。
【請求項105】
単層脂質集合体を有する前記1つまたは複数の脂質ベースの構造が逆ミセルを含む、請求項103または請求項104に記載の方法。
【請求項106】
前記脂質ベースの構造のサイズが、直径約2nmから約20nmである、請求項39から105のいずれか一項に記載の方法。
【請求項107】
前記脂質ベースの構造のサイズが、直径約5nmから約10nmである、請求項106に記載の方法。
【請求項108】
前記T細胞活性化治療薬の1つまたは複数が前記脂質ベースの構造の内側にある、請求項39から107のいずれか一項に記載の方法。
【請求項109】
前記T細胞活性化治療薬の1つまたは複数が前記脂質ベースの構造の外側にある、請求項39から108のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年9月29日に出願された米国仮出願第63/250,130号の優先権を主張し、その開示は、参照によりその全体が本明細書に組み入れられる。
【0002】
本出願は、一般的に、腫瘍を処置するための医薬組成物および方法、特に、二重標的化免疫療法のためのサバイビンおよびMAGE-A9治療用抗原を送達するための組成物および方法に関する。
【背景技術】
【0003】
膀胱がんは、カナダで罹患率が5番目のがんである。男性はこの疾患に対して女性より3倍罹患しやすい(Brenner et al., 2020)。大部分の患者(70~75%)は非筋肉浸潤性膀胱がん(NMIBC)(ステージTa、T1、Tis)を有し、これらは一般に経尿道的切除術(TUR)によって処置される;TURの後、10~20%の症例において60%を超える頻度で腫瘍が再発し、筋肉浸潤性膀胱がん(MIBC)(ステージT2~T4)に進行する(Kamat et al., 2016)。TURの後のNMIBCの再発は、化学療法または免疫療法を用いる膀胱内療法によって防止される。1970年代の後期以来、カルメット・ゲラン結核菌(BCG)(生存している弱毒化した結核菌(mycobacteria tuberculosis))の膀胱内点滴を使用する非特異的免疫療法が、高リスクのNMIBCを有する患者において再発を防止するために利用可能な最良の処置であった(Gandhi et al., 2013)。しかし、患者の生活の質に影響するBCGに伴う有害な副作用がしばしば存在する。具体的には、数多くのグレード3の毒性ならびに健康に関連する生活の質の泌尿器および生殖器のドメインが、膀胱がん患者にとって最大の関心事である(Botteman et al., 2003)。この療法は患者の30~40%において失敗し、重要な副作用が付随するが、この非特異的免疫療法の成功は、膀胱がんが免疫療法に適していることを示している(Gandhi et al., 2013)。さらにBCGは、BCGコンノートおよびBCGタイスの製品の間で実証された臨床的有効性の変動のため、信頼できる製造が困難である(Rentsch et al., 2014)。BCGコンノートのメーカーはその製造を中止し、その結果、有効性が低いBCGタイスの需要が高まり、過去数年間にわたって製品の品不足が繰り返された。膀胱内BCGが失敗した高グレードのNMIBCを有する患者については、根治的膀胱切除術が現在のところ主要な代替案である。しかし、これは高い死亡率を伴う大手術である。したがって、NMIBCのためのより効果的な免疫療法アプローチの開発およびこれらの療法から最も恩恵を受ける患者の選定を助け、これらの処置に対する応答を予測することができるバイオマーカーの特定に対する重要なニーズがある。
【0004】
がん免疫療法の最近の進歩により、研究者が免疫環境の複雑さへのさらなる洞察を獲得することが可能になり、腫瘍細胞が免疫系を回避する機構のより良い理解がもたらされた。しかし、有望な結果が示されたにも関わらず、現在の処置オプションから恩恵を受けない患者がまだいくらか存在する。一部の患者におけるこれらのアプローチの成功が限定的である理由の1つは、がんを標的とした免疫細胞、特にTリンパ球のレベルが不十分であることである。したがって、腫瘍を指向するT細胞の数の増加をもたらし、腫瘍をより良く制御し、結果的に臨床転帰の改善をもたすことができる新規で効果的な療法または療法の組合せに対する当技術におけるニーズが存在する。
【発明の概要】
【0005】
本開示は、とりわけ、少なくとも2つのT細胞活性化治療薬の対象への送達に適した脂質組成物および少なくとも2つのT細胞活性化治療薬を送達するための組成物を対象に投与することによる対象における腫瘍を処置する方法を提供する。
【0006】
一態様では、本発明は、i)少なくとも2つのT細胞活性化治療薬、ii)1つまたは複数の脂質ベースの構造、およびiii)担体を含む、少なくとも2つのT細胞活性化治療薬を対象に送達するための医薬組成物に関し、少なくとも2つのT細胞活性化治療薬は、少なくとも1つのサバイビン抗原および少なくとも1つのメラノーマ関連抗原9(MAGE-A9)抗原を含む。
【0007】
本明細書で開示される医薬組成物のある特定の実施形態において、サバイビン抗原は、アミノ酸配列FEELTLGEF(配列番号1);FTELTLGEF(配列番号2);LTLGEFLKL(配列番号3);LMLGEFLKL(配列番号4);RISTFKNWPF(配列番号5);RISTFKNWPK(配列番号6);STFKNWPFL(配列番号7);またはLPPAWQPFL(配列番号8)、またはそれらのあらゆる組合せを含むサバイビンペプチド抗原であるか、または前記サバイビンペプチド抗原をコードする核酸分子である。
【0008】
本明細書で開示される医薬組成物のある特定の実施形態において、MAGE-A9抗原は、配列番号9~12、26~44、46~52、54~62、64~75、もしくは79~93のアミノ酸配列またはそれらのあらゆる組合せを含むMAGE-A9ペプチド抗原であるか、または前記MAGE-A9ペプチド抗原をコードする核酸分子である。本明細書で開示される医薬組成物のある特定の実施形態において、MAGE-A9抗原は、表17の少なくとも1つのアミノ酸配列を含むMAGE-A9ペプチド抗原であるか、または前記MAGE-A9ペプチド抗原をコードする核酸分子である。
【0009】
本明細書で開示される医薬組成物のある特定の実施形態において、MAGE-A9抗原は、アミノ酸配列KVAELVHFL(配列番号9);GLMGAQEPT(配列番号10);ALSVMGVYV(配列番号11);FLWGSKAHA(配列番号12);FMFQEALKL(配列番号26);EVDPAGHSY(配列番号27);NYKRYFPVI(配列番号28);VYYTLWSQF(配列番号29);SYILVTALG(配列番号30);MPKAALLII(配列番号31);SVMGVYVGK(配列番号32);ALLIIVLGV(配列番号33);FLLHKYRVK(配列番号34);またはIVLGVILTK(配列番号35)、またはそれらのあらゆる組合せを含むMAGE-A9ペプチド抗原であるか、または前記MAGE-A9ペプチド抗原をコードする核酸分子である。
【0010】
本明細書で開示される医薬組成物のある特定の実施形態において、医薬組成物は、HLA-A1、HLA-A2、HLA-A3、HLA-A24、および/またはHLA-B7に結合する少なくとも1つのMAGE-A9抗原を含む。本明細書で開示される医薬組成物のある特定の実施形態において、医薬組成物は、HLA-A1、HLA-A2、HLA-A3、HLA-A24、およびHLA-B7のそれぞれに個別に結合する少なくとも1つのMAGE-A9抗原を含む。
【0011】
本明細書で開示される医薬組成物のある特定の実施形態において、サバイビン抗原は、アミノ酸配列FEELTLGEF(配列番号1);FTELTLGEF(配列番号2);LTLGEFLKL(配列番号3);LMLGEFLKL(配列番号4);RISTFKNWPF(配列番号5);RISTFKNWPK(配列番号6);STFKNWPFL(配列番号7);および/またはLPPAWQPFL(配列番号8)を含むサバイビンペプチド抗原であるか、または前記サバイビンペプチド抗原をコードする核酸分子であり、MAGE-A9抗原は、アミノ酸配列KVAELVHFL(配列番号9);GLMGAQEPT(配列番号10);ALSVMGVYV(配列番号11);FLWGSKAHA(配列番号12);FMFQEALKL(配列番号26);EVDPAGHSY(配列番号27);NYKRYFPVI(配列番号28);VYYTLWSQF(配列番号29);SYILVTALG(配列番号30);MPKAALLII(配列番号31);SVMGVYVGK(配列番号32);ALLIIVLGV(配列番号33);FLLHKYRVK(配列番号34);および/またはIVLGVILTK(配列番号35)を含むMAGE-A9ペプチド抗原であるか、または前記MAGE-A9ペプチド抗原をコードする核酸分子である。
【0012】
本明細書で開示される医薬組成物のある特定の実施形態において、サバイビン抗原は、アミノ酸配列LMLGEFLKL(配列番号4)および/またはSTFKNWPFL(配列番号7)を含むサバイビンペプチド抗原であるか、または前記サバイビンペプチド抗原をコードする核酸分子であり、MAGE-A9抗原は、アミノ酸配列KVAELVHFL(配列番号9);GLMGAQEPT(配列番号10);ALSVMGVYV(配列番号11);もしくはFLWGSKAHA(配列番号12)、またはそれらのあらゆる組合せを含むMAGE-A9抗原ペプチド抗原であるか、または前記MAGE-A9ペプチド抗原をコードする核酸分子である。
【0013】
本明細書で開示される医薬組成物のある特定の実施形態において、サバイビン抗原は、アミノ酸配列LMLGEFLKL(配列番号4)および/またはSTFKNWPFL(配列番号7)を含むサバイビンペプチド抗原であるか、または前記サバイビンペプチド抗原をコードする核酸分子であり、MAGE-A9抗原は、アミノ酸配列KVAELVHFL(配列番号9);GLMGAQEPT(配列番号10);もしくはFLWGSKAHA(配列番号12)、またはそれらのあらゆる組合せを含むMAGE-A9ペプチド抗原であるか、または前記MAGE-A9ペプチド抗原をコードする核酸分子である。
【0014】
本明細書で開示される医薬組成物のある特定の実施形態において、サバイビン抗原は、アミノ酸配列LMLGEFLKL(配列番号4)およびSTFKNWPFL(配列番号7)を含む2つのサバイビン抗原であるか、または前記サバイビンペプチド抗原をコードする核酸分子であり、MAGE-A9抗原は、アミノ酸配列KVAELVHFL(配列番号9);GLMGAQEPT(配列番号10);ALSVMGVYV(配列番号11);およびFLWGSKAHA(配列番号12)を含む4つのMAGE-A9抗原であるか、または前記MAGE-A9ペプチド抗原をコードする核酸分子である。
【0015】
本明細書で開示される医薬組成物のある特定の実施形態において、サバイビン抗原は、アミノ酸配列LMLGEFLKL(配列番号4)およびSTFKNWPFL(配列番号7)を含む2つのサバイビン抗原であるか、または前記サバイビンペプチド抗原をコードする核酸分子であり、MAGE-A9抗原は、アミノ酸配列KVAELVHFL(配列番号9);GLMGAQEPT(配列番号10);およびFLWGSKAHA(配列番号12)を含む3つのMAGE-A9抗原であるか、または前記ペプチド抗原をコードする核酸分子である。
【0016】
本明細書で開示される医薬組成物のある特定の実施形態において、サバイビンおよびMAGE-A9ペプチド抗原のそれぞれは独立に、約0.1μg/μlから約5.0μg/μlの濃度である。ある特定の実施形態において、サバイビンおよびMAGE-A9ペプチド抗原のそれぞれは、それぞれ少なくとも約1.0μg/mlの濃度である。ある特定の実施形態では、サバイビンおよびMAGE-A9ペプチド抗原のそれぞれは、それぞれ約1.0μg/mlの濃度である。
【0017】
本明細書で開示される医薬組成物のある特定の実施形態において、組成物はTヘルパーエピトープをさらに含む。ある特定の実施形態において、Tヘルパーエピトープは、アミノ酸配列AQYIKANSKFIGITEL(配列番号13)を含むペプチドである。
【0018】
本明細書で開示される医薬組成物のある特定の実施形態において、組成物はアジュバントをさらに含む。ある特定の実施形態において、アジュバントはポリI.Cポリヌクレオチドである。ある特定の実施形態において、ポリI.CポリヌクレオチドはDNA(例えば配列番号22)またはRNAベースである。
【0019】
本明細書で開示される医薬組成物のある特定の実施形態において、担体は疎水性担体を含む。ある特定の実施形態において、疎水性担体は植物油、堅果油、または鉱油である。ある特定の実施形態において、疎水性担体は、鉱油であるか、または鉱油溶液中のマンニドオレエートである。ある特定の実施形態において、疎水性担体はMontanide(登録商標)ISA51である。
【0020】
本明細書で開示される医薬組成物のある特定の実施形態において、1つまたは複数の脂質ベースの構造は単層脂質集合体を含む。ある特定の実施形態において、単層脂質集合体を有する1つまたは複数の脂質ベースの構造は、脂質の疎水性部分が疎水性担体に向かって外側に配向され、脂質の親水性部分がコアとして凝集している脂質の凝集体を含む。ある特定の実施形態において、単層脂質集合体を有する1つまたは複数の脂質ベースの構造は逆ミセルを含む。ある特定の実施形態において、脂質ベースの構造のサイズは、直径が約2nmから約20nmである。ある特定の実施形態において、脂質ベースの構造のサイズは、直径が約5nmから約10nmである。
【0021】
本明細書で開示される医薬組成物のある特定の実施形態において、T細胞活性化治療薬の1つまたは複数は、脂質ベースの構造の内側にある。ある特定の実施形態において、T細胞活性化治療薬の1つまたは複数は、脂質ベースの構造の外側にある。
【0022】
一態様において、本発明は、対象における腫瘍を処置する方法に関し、前記方法は、少なくとも2つのT細胞活性化治療薬を送達するための組成物を対象に投与することを含み、組成物は、i)少なくとも2つのT細胞活性化治療薬;ii)1つまたは複数の脂質ベースの構造;およびiii)担体を含み、少なくとも2つのT細胞活性化治療薬は、少なくとも1つのサバイビン抗原および少なくとも1つのメラノーマ関連抗原9(MAGE-A9)抗原を含む。
【0023】
本明細書で開示される方法のある特定の実施形態において、本方法は、少なくとも1つの活性薬剤の有効量を投与することをさらに含む。ある特定の実施形態において、活性薬剤の有効量は、免疫をモジュレートする作用を提供するのに十分な量である。
【0024】
本明細書で開示される方法のある特定の実施形態において、活性薬剤は、T細胞活性化治療薬の前に投与される。ある特定の実施形態において、本方法は、T細胞活性化治療薬の投与の少なくとも2日前に、活性薬剤の第1の用量を投与することを含む。ある特定の実施形態において、本方法は、T細胞活性化治療薬の投与の約1週間前に、活性薬剤の第1の用量を投与することを含む。ある特定の実施形態において、本方法は、活性薬剤の第1の用量を投与し、それに続いて、活性薬剤の1つまたは複数の維持用量を投与することを含む。ある特定の実施形態において、活性薬剤は、約1週間の期間にわたり1日2回投与される。ある特定の実施形態において、活性薬剤は、低用量のメトロノミックレジメンで投与される。ある特定の実施形態において、メトロノミックレジメンは、隔週で約1週間の期間にわたり毎日、活性薬剤を投与することを含む。ある特定の実施形態において、活性薬剤は1日2回投与される。ある特定の実施形態において、メトロノミックレジメンは、2週のサイクルにわたり活性薬剤を投与することを含み、活性薬剤はサイクルの第1の週の間に投与され、活性薬剤はサイクルの第2の週の間に投与されず、メトロノミックレジメンは、少なくとも2サイクルを含む。
【0025】
本明細書で開示される方法のある特定の実施形態において、T細胞活性化治療薬は、対象に約3週毎に1回投与される。ある特定の実施形態において、活性薬剤を投与することが、T細胞活性化治療薬の第1の用量を投与する約1週間前から開始され、T細胞活性化治療薬は約3週毎に1回投与される。
【0026】
本明細書で開示される方法のある特定の実施形態において、活性薬剤はDNA複製に干渉する薬剤である。ある特定の実施形態において、活性薬剤はアルキル化剤である。ある特定の実施形態において、アルキル化剤はナイトロジェンマスタードアルキル化剤であり、任意選択でシクロホスファミドである。ある特定の実施形態において、活性薬剤は、a)ゲムシタビン、5-FU、シスプラチン、オキサリプラチン、テモゾロミド、パクリタキセル、カペシタビン、メトトレキセート、エピルビシン、イダルビシン、ミトキサントロン、ブレオマイシン、デシタビン、もしくはドセタキセルの少なくとも1つ;b)サリドマイド、ボルテゾミブ、IL-2、IL-12、IL-15、IFN-ガンマ、IFN-アルファ、もしくはTNF-アルファ、メトホルミン、もしくはレナリドマイドの少なくとも1つ;および/またはc)VEGF、VEGFR、もしくはCD40の少なくとも1つの阻害剤である。
【0027】
本明細書で開示される方法のある特定の実施形態において、活性薬剤は、抗原に対する免疫応答を直接強化することによって、例えば、抗原特異的なCD8+T細胞の活性または数を増加させることによって、T細胞活性化治療薬の効能を改善する。ある特定の実施形態において、抗原特異的なCD8+T細胞の活性または数を増加させることは、総CD8+T細胞の相対的な減少による抗原特異的なCD8+T細胞の富化を含む。ある特定の実施形態において、活性薬剤は、抑制性免疫細胞、例えばCD4+FoxP3+調節性T細胞(Treg)、骨髄由来サプレッサー細胞(MDSC)、および/またはCD19+CD1d+CD5+B細胞(Breg)の数または活性を低減させることによってT細胞活性化治療薬の効能を改善する。
【0028】
本明細書で開示される方法のある特定の実施形態において、本方法は、少なくとも1つの追加の治療剤を投与するステップをさらに含む。ある特定の実施形態において、少なくとも1つの追加の治療剤は、a)1つもしくは複数のチェックポイント剤;b)ラパログ、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤、parp阻害剤、もしくはインドールアミン2,3-ジオキシゲナーゼ酵素阻害剤の1つまたは複数;および/またはc)ドキソルビシン、トラスツズマブ、ベバシズマブ、スニチニブ、ソラフェニブ、もしくはそれらの組合せである。ある特定の実施形態において、チェックポイント剤は、免疫チェックポイントタンパク質の阻害剤であり、前記免疫チェックポイントタンパク質は、プログラム死-リガンド1(PD-L1、またB7-H1、CD274としても公知)、プログラム死1(PD-1、CD279)、CTLA-4(CD154)、LAG3(CD223)、TIM3(HAVCR2、CD366)、41BB(CD137)、ICOS(誘導性T細胞共刺激分子)、キラー阻害性受容体(KIR)、CD27、OX-40、GITR、またはホスファチジルセリン(PS)である。本明細書で開示される方法のある特定の実施形態において、PD-1の阻害剤は抗体であり、任意選択でペンブロリズマブである。
【0029】
本明細書で開示される方法のある特定の実施形態において、本方法は、追加の治療剤の第1の用量を投与し、それに続いて、追加の治療剤の1つまたは複数の維持用量を投与することを含む。ある特定の実施形態において、追加の治療剤は約1から4週毎に投与される。ある特定の実施形態において、追加の治療剤は3週毎に投与される。
【0030】
本明細書で開示される方法のある特定の実施形態において、サバイビン抗原は、アミノ酸配列FEELTLGEF(配列番号1);FTELTLGEF(配列番号2);LTLGEFLKL(配列番号3);LMLGEFLKL(配列番号4);RISTFKNWPF(配列番号5);RISTFKNWPK(配列番号6);STFKNWPFL(配列番号7);またはLPPAWQPFL(配列番号8)、またはそれらのあらゆる組合せを含むサバイビンペプチド抗原であるか、または前記サバイビンペプチド抗原をコードする核酸分子である。
【0031】
本明細書で開示される方法のある特定の実施形態において、MAGE-A9抗原は、配列番号9~12、26~44、46~52、54~62、64~75、もしくは79~93のアミノ酸配列、またはそれらのあらゆる組合せを含むMAGE-A9ペプチド抗原であるか、または前記MAGE-A9ペプチド抗原をコードする核酸分子である。本明細書で開示される方法のある特定の実施形態において、MAGE-A9抗原は、表17の少なくとも1つのアミノ酸配列を含むMAGE-A9ペプチド抗原であるか、または前記MAGE-A9ペプチド抗原をコードする核酸分子である。
【0032】
本明細書で開示される方法のある特定の実施形態において、MAGE-A9抗原は、アミノ酸配列KVAELVHFL(配列番号9);GLMGAQEPT(配列番号10);ALSVMGVYV(配列番号11);FLWGSKAHA(配列番号12)、FMFQEALKL(配列番号26);EVDPAGHSY(配列番号27);NYKRYFPVI(配列番号28);VYYTLWSQF(配列番号29);SYILVTALG(配列番号30);MPKAALLII(配列番号31);SVMGVYVGK(配列番号32);ALLIIVLGV(配列番号33);FLLHKYRVK(配列番号34);またはIVLGVILTK(配列番号35)、またはそれらのあらゆる組合せを含むMAGE-A9ペプチド抗原であるか、または前記MAGE-A9ペプチド抗原をコードする核酸分子である。
【0033】
本明細書で開示される方法のある特定の実施形態において、少なくとも1つのMAGE-A9抗原は、HLA-A1、HLA-A2、HLA-A3、HLA-A24、および/またはHLA-B7に結合する。本明細書で開示される方法のある特定の実施形態において、少なくとも1つのMAGE-A9抗原は、HLA-A1、HLA-A2、HLA-A3、HLA-A24、およびHLA-B7のそれぞれに個別に結合する。
【0034】
本明細書で開示される方法のある特定の実施形態において、サバイビン抗原は、アミノ酸配列FEELTLGEF(配列番号1);FTELTLGEF(配列番号2);LTLGEFLKL(配列番号3);LMLGEFLKL(配列番号4);RISTFKNWPF(配列番号5);RISTFKNWPK(配列番号6);STFKNWPFL(配列番号7);および/またはLPPAWQPFL(配列番号8)を含むサバイビンペプチド抗原であるか、または前記サバイビンペプチド抗原をコードする核酸分子であり、MAGE-A9抗原は、アミノ酸配列KVAELVHFL(配列番号9);GLMGAQEPT(配列番号10);ALSVMGVYV(配列番号11);FLWGSKAHA(配列番号12);FMFQEALKL(配列番号26);EVDPAGHSY(配列番号27);NYKRYFPVI(配列番号28);VYYTLWSQF(配列番号29);SYILVTALG(配列番号30);MPKAALLII(配列番号31);SVMGVYVGK(配列番号32);ALLIIVLGV(配列番号33);FLLHKYRVK(配列番号34);および/またはIVLGVILTK(配列番号35)またはそれらのあらゆる組合せを含むMAGE-A9ペプチド抗原であるか、または前記MAGE-A9ペプチド抗原をコードする核酸分子である。
【0035】
本明細書で開示される方法のある特定の実施形態において、サバイビン抗原は、アミノ酸配列LMLGEFLKL(配列番号4)および/またはSTFKNWPFL(配列番号7)を含むサバイビンペプチド抗原であるか、または前記サバイビンペプチド抗原をコードする核酸分子であり、MAGE-A9抗原は、アミノ酸配列KVAELVHFL(配列番号9);GLMGAQEPT(配列番号10);ALSVMGVYV(配列番号11);もしくはFLWGSKAHA(配列番号12)、またはそれらのあらゆる組合せを含むMAGE-A9抗原ペプチド抗原であるか、または前記MAGE-A9ペプチド抗原をコードする核酸分子である。
【0036】
本明細書で開示される方法のある特定の実施形態において、サバイビン抗原は、アミノ酸配列LMLGEFLKL(配列番号4)および/またはSTFKNWPFL(配列番号7)を含むサバイビンペプチド抗原であるか、または前記サバイビンペプチド抗原をコードする核酸分子であり、MAGE-A9抗原は、アミノ酸配列KVAELVHFL(配列番号9);GLMGAQEPT(配列番号10);もしくはFLWGSKAHA(配列番号12)、またはそれらのあらゆる組合せを含むMAGE-A9ペプチド抗原であるか、または前記MAGE-A9ペプチド抗原をコードする核酸分子である。
【0037】
本明細書で開示される方法のある特定の実施形態において、サバイビン抗原は、アミノ酸配列LMLGEFLKL(配列番号4)およびSTFKNWPFL(配列番号7)を含む2つのサバイビン抗原であるか、または前記サバイビンペプチド抗原をコードする核酸分子であり、MAGE-A9抗原は、アミノ酸配列KVAELVHFL(配列番号9);GLMGAQEPT(配列番号10);ALSVMGVYV(配列番号11);およびFLWGSKAHA(配列番号12)を含む4つのMAGE-A9抗原であるか、または前記MAGE-A9ペプチド抗原をコードする核酸分子である。
【0038】
本明細書で開示される方法のある特定の実施形態において、サバイビン抗原は、アミノ酸配列LMLGEFLKL(配列番号4)およびSTFKNWPFL(配列番号7)を含む2つのサバイビン抗原であるか、または前記サバイビンペプチド抗原をコードする核酸分子であり、MAGE-A9抗原は、アミノ酸配列KVAELVHFL(配列番号9);GLMGAQEPT(配列番号10);およびFLWGSKAHA(配列番号12)を含む3つのMAGE-A9抗原であるか、または前記ペプチド抗原をコードする核酸分子である。
【0039】
本明細書で開示される方法のある特定の実施形態において、サバイビンおよびMAGE-A9ペプチド抗原のそれぞれは独立に、約0.1μg/μlから約5.0μg/μlの濃度である。ある特定の実施形態において、サバイビンおよびMAGE-A9ペプチド抗原のそれぞれは、それぞれ少なくとも約1.0μg/mlの濃度である。ある特定の実施形態では、サバイビンおよびMAGE-A9ペプチド抗原のそれぞれは、それぞれ約1.0μg/mlの濃度である。
【0040】
本明細書で開示される方法のある特定の実施形態において、腫瘍は固形腫瘍である。ある特定の実施形態において、腫瘍は、血液悪性腫瘍である。ある特定の実施形態において、腫瘍は、乳がん、卵巣腫瘍、卵管腫瘍、腹膜腫瘍、膀胱腫瘍、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、神経膠腫、非小細胞肺腫瘍、または肝細胞癌である。ある特定の実施形態において、腫瘍は膀胱がんである。ある特定の実施形態において、腫瘍は乳がんである。ある特定の実施形態において、腫瘍は卵巣がんである。
【0041】
本明細書で開示される方法のある特定の実施形態において、組成物はTヘルパーエピトープをさらに含む。ある特定の実施形態において、Tヘルパーエピトープは、アミノ酸配列AQYIKANSKFIGITEL(配列番号13)を含むペプチドである。
【0042】
本明細書で開示される方法のある特定の実施形態において、組成物はアジュバントをさらに含む。ある特定の実施形態において、アジュバントはポリI.Cポリヌクレオチドである。ある特定の実施形態において、ポリI.CポリヌクレオチドはDNAまたはRNAベースである、
【0043】
本明細書で開示される方法のある特定の実施形態において、担体は疎水性担体を含む。ある特定の実施形態において、疎水性担体は植物油、堅果油、または鉱油である。本明細書で開示される方法のある特定の実施形態において、疎水性担体は鉱油であるか、または鉱油溶液中のマンニドオレエートである。本明細書で開示される方法のある特定の実施形態において、疎水性担体はMontanide(登録商標)ISA51である。
【0044】
本明細書で開示される方法のある特定の実施形態において、1つまたは複数の脂質ベースの構造は単層脂質集合体を含む。ある特定の実施形態において、単層脂質集合体を有する1つまたは複数の脂質ベースの構造は、脂質の疎水性部分が疎水性担体に向かって外側に配向され、脂質の親水性部分がコアとして凝集している脂質の凝集体を含む。ある特定の実施形態において、単層脂質集合体を有する1つまたは複数の脂質ベースの構造は逆ミセルを含む。ある特定の実施形態において、脂質ベースの構造のサイズは、直径約2nmから約20nmである。ある特定の実施形態において、脂質ベースの構造のサイズは、直径約5nmから約10nmである。
【0045】
本明細書で開示される方法のある特定の実施形態において、T細胞活性化治療薬の1つまたは複数は脂質ベースの構造の内側にある。本明細書で開示される方法のある特定の実施形態において、T細胞活性化治療薬の1つまたは複数は脂質ベースの構造の外側にある。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【
図1】
図1は、Flex-T HLA結合アッセイの概略を示す。
【
図2】
図2は、ペプチドのそれぞれのHLA-A2への結合を評価するインビトロアッセイの結果を示し、全てのペプチドがHLA-A2との結合を実証したことを示している。
【
図3-1】
図3A~3Cは、サバイビンを標的とするT細胞活性化治療薬と、サバイビンとMAGE-A9の両方を標的とする二重T細胞活性化治療薬が、共通のサバイビンに対して同程度の免疫応答を惹起したことを示している。
図3A:ヒトHLA-A2およびHLA-DR1分子を発現し、マウスMHCクラスIおよびIIの分子の発現を欠くA2/DR1トランスジェニックマウスの処置スケジュール。
図3B:ELISPOTアッセイで決定した、サバイビンを標的とするT細胞活性化治療薬またはサバイビンとMAGE-A9の両方を標的とする二重T細胞活性化治療薬で免疫化したA2/DR1マウスの脾細胞のインビトロペプチド刺激に対するIFN-γ応答。
【
図3-2】
図3A~3Cは、サバイビンを標的とするT細胞活性化治療薬と、サバイビンとMAGE-A9の両方を標的とする二重T細胞活性化治療薬が、共通のサバイビンに対して同程度の免疫応答を惹起したことを示している。
図3C:ELISPOTアッセイで決定した、サバイビンを標的とするT細胞活性化治療薬またはサバイビンとMAGE-A9の両方を標的とする二重T細胞活性化治療薬で免疫化したA2/DR1マウスのリンパ節細胞のインビトロペプチド刺激に対するIFN-γ応答。
【
図4】
図4は、本発明の投与様式の非限定的な概略図を提供する。研究は2つの同等のアームとして実行した。それぞれのアームにおいて、6匹のA2/DR1マウスの群を、サバイビンとMAGE-A9の両方を標的とする二重T細胞活性化治療薬、または空の脂質小胞粒子もしくは対照としてのPBSで3回処置した。サバイビンとMAGE-A9の両方を標的とする二重T細胞活性化治療薬で処置したマウスの1群も、1週間のオンおよび1週間のオフの間欠的な低用量のシクロホスファミド(CPA)の対象とした。最後の処置の8日後に第1のアーム(主要/急性相)からのマウスを屠殺し、最後の処置の3週後に第2のアーム(回復/慢性相)からのマウスを屠殺して、免疫原性および毒性を評価した。研究の間、毎週の詳細な臨床検査(DCE)、体重、および注射部位の反応を含む安全性シグナルについてマウスをモニターした。
【
図5-1】
図5Aおよび5Bは、サバイビンとMAGE-A9の両方を標的とする二重T細胞活性化治療薬が、ロバストなペプチド特異的T細胞応答を誘導することを示している。
図5A:主要(急性)相においてELISPOTアッセイによって決定したそれぞれの処置群からの脾細胞のインビトロペプチド刺激に対するIFN-γ応答。
【
図5-2】
図5Aおよび5Bは、サバイビンとMAGE-A9の両方を標的とする二重T細胞活性化治療薬が、ロバストなペプチド特異的T細胞応答を誘導することを示している。
図5B:回復(慢性)相においてELISPOTアッセイによって決定したそれぞれの処置群からの脾細胞のインビトロペプチド刺激に対するIFN-γ応答。
【
図6】
図6は、間欠的な低用量CPAを伴うおよび伴わない、サバイビンとMAGE-A9の両方を標的とする二重T細胞活性化治療薬の予備的な安全性プロファイルが毒性の兆候を示さないことを示している。
【
図7】
図7は、間欠的な低用量CPAを伴いまたは伴わない、サバイビンとMAGE-A9の両方を標的とする二重T細胞活性化治療薬で処置した雄および雌のマウス(主要および回復の相の組合せ)のA2/DR1、ならびに対照群の体重の毎週の変化を示す。
【
図8】
図8は、臨床試験のマスタープロトコールデザインの概略図を提供する。
【
図9】
図9は、臨床試験研究の概観の非限定的な概略図を提供する。
【
図10】
図10は、低用量CPA研究を伴いまたは伴わない、DPX-SurMAGEのための研究処置の非限定的な概略ダイアグラムを提供する。
【
図11】
図11Aおよび11Bは、MAGE-A9免疫原性HLA-A2ペプチドについての第1の実験のIFN-γ ELISPOTの結果を示す。IFN-γ ELISPOTアッセイによって検出された、MAGE-A9によるHLA-A2ペプチドに対して誘導されたIFN-γ応答の誘導。10匹のマウスの群を、ポリ(dI:dC)と混合したMAGE-A9完全長組換えタンパク質で免疫化した。第1の免疫化の34日後にマウスを屠殺し、個別の候補もしくは対照ペプチドを負荷した樹状細胞による刺激の後に(
図11A)、または個別の候補もしくは対照ペプチドによる直接刺激の後に(
図11B)、脾細胞をIFN-γ ELISPOTで試験した。DCE:空の樹状細胞;NS:刺激なし;INF、gp100およびEBV:無関係なHLA-A2対照ペプチド。Student T検定
*p<0.05;
**p<0.005;
***p<0.0005;
****p<0.00005。
【
図12】
図12Aおよび12Bは、MAGE-A9免疫原性HLA-A2ペプチドについての第2の実験のIFN-γ ELISPOTの結果を示す。IFN-γ ELISPOTアッセイによって検出された、MAGE-A9によるHLA-A2ペプチドに対して誘導されたIFN-γ応答の誘導。10匹のマウスの群を、ポリ(dI:dC)と混合したMAGE-A9完全長組換えタンパク質で免疫化した。第1の免疫化の34日後にマウスを屠殺し、個別の候補もしくは対照ペプチドを負荷した樹状細胞による刺激の後に(
図12A)、または個別の候補もしくは対照ペプチドによる直接刺激の後に(
図12B)、脾細胞をIFN-γ ELISPOTで試験した。DCE:空の樹状細胞;NS:刺激なし;INF、gp100およびEBV:無関係なHLA-A2対照ペプチド。Student T検定
*p<0.05;
**p<0.005;
***p<0.0005;
****p<0.00005。
【
図13】
図13Aおよび13Bは、MAGE-A9免疫原性HLA-A2ペプチドについての第3の実験のIFN-γ ELISPOTの結果を示す。IFN-γ ELISPOTアッセイによって検出された、MAGE-A9によるHLA-A2ペプチドに対して誘導されたIFN-γ応答の誘導。10匹のマウスの群を、ポリ(dI:dC)と混合したMAGE-A9完全長組換えタンパク質で免疫化した。第1の免疫化の34日後にマウスを屠殺し、個別の候補もしくは対照ペプチドを負荷した樹状細胞による刺激の後に(
図13A)、または個別の候補もしくは対照ペプチドによる直接刺激の後に(
図13B)、脾細胞をIFN-γ ELISPOTで試験した。DCE:空の樹状細胞;NS:刺激なし;INF、gp100およびEBV:無関係なHLA-A2対照ペプチド。Student T検定
*p<0.05;
**p<0.005;
***p<0.0005;
****p<0.00005。
【
図14】
図14Aおよび14Bは、MAGE-A9免疫原性HLA-A1ペプチドについての第1の実験のIFN-γ ELISPOTの結果を示す。IFN-γ ELISPOTアッセイによって検出された、MAGE-A9によるHLA-A1候補ペプチドに対して誘導されたIFN-γ応答。3匹および5匹のマウスの2つの群をそれぞれ、ポリ(dI:dC)単独(対照として:左のバー)およびポリ(dI:dC)と混合したMAGE-A9完全長組換えタンパク質(右のバー)によって免疫化した。第1の免疫化の34日後にマウスを屠殺し、個別の候補もしくは対照ペプチドを負荷した樹状細胞による刺激の後に(
図14A)、または個別の候補もしくは対照ペプチドによる直接刺激の後に(
図14B)、脾細胞をIFN-γ ELISPOTで試験した。DCE:空の樹状細胞;NS:刺激なし;Ctrl HLA-A1:無関係なHLA-A1ペプチド。Student T検定
*p<0.05;
**p<0.005;
***p<0.0005;
****p<0.00005。
【
図15】
図15Aおよび15Bは、MAGE-A9免疫原性HLA-A1ペプチドについての第2の実験のIFN-γ ELISPOTの結果を示す。IFN-γ ELISPOTアッセイによって検出された、MAGE-A9によるHLA-A1候補ペプチドに対して誘導されたIFN-γ応答。3匹および5匹のマウスの2つの群をそれぞれ、ポリ(dI:dC)単独(対照として:左のバー)およびポリ(dI:dC)と混合したMAGE-A9完全長組換えタンパク質(右のバー)によって免疫化した。第1の免疫化の34日後にマウスを屠殺し、個別の候補もしくは対照ペプチドを負荷した樹状細胞による刺激の後に(
図15A)、または個別の候補もしくは対照ペプチドによる直接刺激の後に(
図15B)、脾細胞をIFN-γ ELISPOTで試験した。DCE:空の樹状細胞;NS:刺激なし;Ctrl HLA-A1:無関係なHLA-A1ペプチド。Student T検定
*p<0.05;
**p<0.005;
***p<0.0005;
****p<0.00005。
【
図16】
図16Aおよび16Bは、MAGE-A9免疫原性HLA-A24ペプチドについての第1の実験のIFN-γ ELISPOTの結果を示す。IFN-γ ELISPOTアッセイによって検出された、MAGE-A9によるHLA-A24候補ペプチドに対して誘導されたIFN-γ応答。3匹および5匹のマウスの2つの群をそれぞれ、ポリ(dI:dC)単独(対照として:左のバー)およびポリ(dI:dC)と混合したMAGE-A9完全長組換えタンパク質(右のバー)によって免疫化した。第1の免疫化の34日後にマウスを屠殺し、個別の候補もしくは対照ペプチドを負荷した樹状細胞による刺激の後に(
図16A)、または個別の候補もしくは対照ペプチドによる直接刺激の後に(
図16B)、脾細胞をIFN-γ ELISPOTで試験した。DCE:空の樹状細胞;NS:刺激なし;A24-Ctrl:無関係な対照HLA-A24ペプチド。Student T検定
*p<0.05;
**p<0.005;
***p<0.0005;
****p<0.00005。
【
図17】
図17Aおよび17Bは、MAGE-A9免疫原性HLA-A24ペプチドについての第2の実験のIFN-γ ELISPOTの結果を示す。IFN-γ ELISPOTアッセイによって検出された、MAGE-A9によるHLA-A24候補ペプチドに対して誘導されたIFN-γ応答。3匹および5匹のマウスの2つの群をそれぞれ、ポリ(dI:dC)単独(対照として:左のバー)およびポリ(dI:dC)と混合したMAGE-A9完全長組換えタンパク質(右のバー)によって免疫化した。第1の免疫化の34日後にマウスを屠殺し、個別の候補もしくは対照ペプチドを負荷した樹状細胞による刺激の後に(
図17A)、または個別の候補もしくは対照ペプチドによる直接刺激の後に(
図17B)、脾細胞をIFN-γ ELISPOTで試験した。DCE:空の樹状細胞;NS:刺激なし;A24-Ctrl:無関係な対照HLA-A24ペプチド。Student T検定
*p<0.05;
**p<0.005;
***p<0.0005;
****p<0.00005。
【
図18】
図18Aおよび18Bは、MAGE-A9免疫原性HLA-A24ペプチドについての第3の実験のIFN-γ ELISPOTの結果を示す。IFN-γ ELISPOTアッセイによって検出された、MAGE-A9によるHLA-A24候補ペプチドに対して誘導されたIFN-γ応答。3匹および5匹のマウスの2つの群をそれぞれ、ポリ(dI:dC)単独(対照として:左のバー)およびポリ(dI:dC)と混合したMAGE-A9完全長組換えタンパク質(右のバー)によって免疫化した。第1の免疫化の34日後にマウスを屠殺し、個別の候補もしくは対照ペプチドを負荷した樹状細胞による刺激の後に(
図18A)、または個別の候補もしくは対照ペプチドによる直接刺激の後に(
図18B)、脾細胞をIFN-γ ELISPOTで試験した。DCE:空の樹状細胞;NS:刺激なし;A24-Ctrl:無関係な対照HLA-A24ペプチド。Student T検定
*p<0.05;
**p<0.005;
***p<0.0005;
****p<0.00005。
【
図19】
図19Aおよび19Bは、MAGE-A9免疫原性HLA-B7ペプチドについての第1の実験のIFN-γ ELISPOTの結果を示す。IFN-γ ELISPOTアッセイによって検出された、MAGE-A9によるHLA-B7候補ペプチドに対して誘導されたIFN-γ応答。3匹および5匹のマウスの2つの群をそれぞれ、ポリ(dI:dC)単独(対照として:左のバー)およびポリ(dI:dC)と混合したMAGE-A9完全長組換えタンパク質(右のバー)によって免疫化した。第1の免疫化の34日後にマウスを屠殺し、個別の候補もしくは対照ペプチドを負荷した樹状細胞による刺激の後に(
図19A)、または個別の候補もしくは対照ペプチドによる直接刺激の後に(
図19B)、脾細胞をIFN-γ ELISPOTで試験した。DCE:空の樹状細胞;NS:刺激なし;B7-Ctrl:無関係な対照HLA-B7ペプチド。Student T検定
*p<0.05;
**p<0.005;
***p<0.0005;
****p<0.00005。
【
図20】
図20Aおよび20Bは、MAGE-A9免疫原性HLA-B7ペプチドについての第2の実験のIFN-γ ELISPOTの結果を示す。IFN-γ ELISPOTアッセイによって検出された、MAGE-A9によるHLA-B7候補ペプチドに対して誘導されたIFN-γ応答。3匹および5匹のマウスの2つの群をそれぞれ、ポリ(dI:dC)単独(対照として:左のバー)およびポリ(dI:dC)と混合したMAGE-A9完全長組換えタンパク質(右のバー)によって免疫化した。第1の免疫化の34日後にマウスを屠殺し、個別の候補もしくは対照ペプチドを負荷した樹状細胞による刺激の後に(
図20A)、または個別の候補もしくは対照ペプチドによる直接刺激の後に(
図20B)、脾細胞をIFN-γ ELISPOTで試験した。DCE:空の樹状細胞;NS:刺激なし;B7-Ctrl:無関係な対照HLA-B7ペプチド。Student T検定
*p<0.05;
**p<0.005;
***p<0.0005;
****p<0.00005。
【
図21】
図21Aおよび21Bは、MAGE-A9免疫原性HLA-B7ペプチドについての第3の実験のIFN-γ ELISPOTの結果を示す。IFN-γ ELISPOTアッセイによって検出された、MAGE-A9によるHLA-B7候補ペプチドに対して誘導されたIFN-γ応答。3匹および5匹のマウスの2つの群をそれぞれ、ポリ(dI:dC)単独(対照として:左のバー)およびポリ(dI:dC)と混合したMAGE-A9完全長組換えタンパク質(右のバー)によって免疫化した。第1の免疫化の34日後にマウスを屠殺し、個別の候補もしくは対照ペプチドを負荷した樹状細胞による刺激の後に(
図21A)、または個別の候補もしくは対照ペプチドによる直接刺激の後に(
図21B)、脾細胞をIFN-γ ELISPOTで試験した。DCE:空の樹状細胞;NS:刺激なし;B7-Ctrl:無関係な対照HLA-B7ペプチド。Student T検定
*p<0.05;
**p<0.005;
***p<0.0005;
****p<0.00005。
【
図22】
図22Aおよび22Bは、MAGE-A9免疫原性HLA-B7ペプチドについての第4の実験のIFN-γ ELISPOTの結果を示す。IFN-γ ELISPOTアッセイによって検出された、MAGE-A9によるHLA-B7候補ペプチドに対して誘導されたIFN-γ応答。3匹および5匹のマウスの2つの群をそれぞれ、ポリ(dI:dC)単独(対照として:左のバー)およびポリ(dI:dC)と混合したMAGE-A9完全長組換えタンパク質(右のバー)によって免疫化した。第1の免疫化の34日後にマウスを屠殺し、個別の候補もしくは対照ペプチドを負荷した樹状細胞による刺激の後に(
図22A)、または個別の候補もしくは対照ペプチドによる直接刺激の後に(
図22B)、脾細胞をIFN-γ ELISPOTで試験した。DCE:空の樹状細胞、NS:刺激なし;B7-Ctrl:無関係な対照HLA-B7ペプチド。Student T検定
*p<0.05;
**p<0.005;
***p<0.0005;
****p<0.00005。
【
図23】
図23Aおよび23Bは、MAGE-A9免疫原性HLA-A3/A11ペプチドについての実験のIFN-γ ELISPOTの結果を示す。IFN-γ ELISPOTアッセイによって検出された、MAGE-A9によるHLA-A3候補ペプチドに対して誘導されたIFN-γ応答。3匹および10匹のHLA-A11トランスジェニックマウスの2つの群をそれぞれ、DPX-Empty単独(対照として:左のバー)およびポリ(dI:dC)と混合したMAGE-A9の完全長の組換えタンパク質(右のバー)によって免疫化した。第1の免疫化の36日後にマウスを屠殺し、個別の候補もしくは対照ペプチドを負荷した樹状細胞による刺激の後に(
図23A)、または個別の候補もしくは対照ペプチドによる直接刺激の後に(
図23B)、脾細胞をIFN-γ ELISPOTで試験した。DCE:空の樹状細胞、NS:刺激なし;A3-Ctrl:無関係な対照HLA-A3ペプチド。
【
図24】
図24は、CTLアッセイにおけるHLA-A2候補ペプチドの反応性を示す。完全長の組換えMAGE-A9タンパク質で2回免疫化したA2/DR1マウスの脾細胞を、HLA-A2候補ペプチドまたは対照として無関係なHLA-A2 HA-58ペプチドを負荷した照射済み脾細胞によって3日間、再刺激した。刺激に際してのCTL活性を、標的細胞として様々なペプチドを負荷した照射済みRMA-S HHD細胞を使用する標準的な
51Cr放出によって決定した。3つの異なるエフェクター:標的細胞比を試験した(75:1、50:1、および25:1)。それぞれの条件について、細胞傷害性の%(=(CPM-STR)/(MTR-STR)×100)を提示する。CPM:1分当たりカウント;STR:自発的標的放出;MTR:最大標的放出。実験は少なくとも3回繰り返した。提示した結果は、代表的な1つの実験によるものである。バーは三回測定の平均プラスまたはマイナス標準偏差(SD)を表す。Tukeyの多重比較検定を使用して、調整済みp値を決定した。
*=p<0.05、
**=p<0.01、
***=p<0.001、
****=p<0.0001。
【
図25】
図25は、反応性HLA-A2 MAGE-A9ペプチドによる刺激に際してのサイトカイン応答を示す。3匹のA2/DR1マウスの群を、免疫化せず(ナイーブマウス)、またはCTLアッセイで反応性の4種のペプチド(M9-A2-24;、M9-A2-111;M9-A2-223;M9-A2-270)のプールで2回免疫化、または対照としてアジュバントのみで免疫化した。28日後にマウスを屠殺し、脾細胞を単離するために脾を収集した。脾細胞は、個別のペプチドまたはペプチドのプールで72時間、再刺激した。上清を収集し、マウスIFN-γの分泌についてELISAによってアッセイした。バーは三回測定の平均プラスまたはマイナス標準偏差(SD)を表す。Tukeyの多重比較検定を使用して、調整済みp値を決定した。
*=p<0.05、
**=p<0.01、
***=p<0.001、
****=p<0.0001。
【発明を実施するための形態】
【0047】
本発明を説明する前に、この発明は記載された特定の方法および実験条件に限定されないことが理解されると予想され、したがって方法および条件は変更が可能である。また本明細書において使用される用語は、単に特定の実施形態を記載する目的のためであり、限定することを意図しないことも理解されるものとする。
【0048】
一態様において、本発明は、i)少なくとも2つのT細胞活性化治療薬およびii)担体を含む、少なくとも2つのT細胞活性化治療薬を対象に送達するための医薬組成物に関し、少なくとも2つのT細胞活性化治療薬は、少なくとも1つのサバイビン抗原および少なくとも1つのメラノーマ抗原遺伝子(MAGE)抗原(例えば、MAGE-A9、MAGE-A1、MAGE-A2、MAGE-A2B、MAGE-A3、MAGE-A4、MAGE-A5、MAGE-A6、MAGE-A7、MAGE-A8、MAGE-A10、MAGE-A11、MAGE-A12、MAGE-A13P、MAGE-B1、MAGE-B2、MAGE-B3、MAGE-B4、MAGE-B5、MAGE-B6、MAGE-B10、MAGE-B16、MAGE-B17、MAGE-B18、MAGE-C1、MAGE-C2、MAGE-C3、MAGE-D1、MAGE-D2、MAGE-D3、MAGE-D4、MAGE-D4B、MAGE-E1、MAGE-E2、MAGE-F1、MAGE-G1、MAGE-H1、MAGE-L2、およびNDN)抗原を含む。ある特定の実施形態において、少なくとも1つのMAGEはMAGE-A9である。MAGE-A9は本開示においてMAGE抗原の例として使用されるが、これは限定することを意味しない。
【0049】
別の態様において、本発明は、対象における腫瘍を処置する方法に関し、前記方法は、少なくとも2つのT細胞活性化治療薬を送達するための組成物を対象に投与することを含み、組成物は、i)少なくとも2つのT細胞活性化治療薬;ii)担体を含み、少なくとも2つのT細胞活性化治療薬は、少なくとも1つのサバイビン抗原および少なくとも1つのメラノーマ抗原遺伝子(MAGE)抗原(例えばMAGE-A9、MAGE-A1、MAGE-A2、MAGE-A2B、MAGE-A3、MAGE-A4、MAGE-A5、MAGE-A6、MAGE-A7、MAGE-A8、MAGE-A9、MAGE-A10、MAGE-A11、MAGE-A12、MAGE-A13P、MAGE-B1、MAGE-B2、MAGE-B3、MAGE-B4、MAGE-B5、MAGE-B6、MAGE-B10、MAGE-B16、MAGE-B17、MAGE-B18、MAGE-C1、MAGE-C2、MAGE-C3、MAGE-D1、MAGE-D2、MAGE-D3、MAGE-D4、MAGE-D4B、MAGE-E1、MAGE-E2、MAGE-F1、MAGE-G1、MAGE-H1、MAGE-L2、およびNDN)抗原を含む。ある特定の実施形態において、少なくとも1つのMAGEはMAGE-A9である。MAGE-A9は本開示においてMAGE抗原の例として使用されるが、これは限定することを意味しない。
【0050】
定義
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」は、文脈上明らかに別段の指示がない限り複数形の指示対象を含むことに留意しなければならない。別段の指定がない限り、本明細書において使用される全ての専門用語や科学用語は、本発明が属する分野の当業者に一般的に理解されるものと同じ意味を有する。
【0051】
語句「および/または」は、本明細書および特許請求の範囲で使用される場合、それにより連結された要素、すなわち一部のケースでは接続的に存在する要素、他のケースでは離接的に存在する要素の「いずれかまたは両方」、を意味すると理解されるべきである。「および/または」と共に列挙された複数の要素は、同じ様式で、すなわちそれにより連結された要素の「1つまたは複数」と解釈されるべきである。他の要素が、任意選択で、「および/または」の節によって具体的に特定された要素以外に、具体的に特定されたそのような要素に関連するかまたは関連しないかに関わらず存在する可能性がある。したがって、非限定的な例として、「Aおよび/またはB」への言及は、「含む」などのオープンエンドの言葉と共に使用される場合、一実施形態において、Aのみ(任意選択でB以外の要素を含む);別の実施形態において、Bのみ(任意選択でA以外の要素を含む);さらに別の実施形態において、AとBの両方(任意選択で他の要素を含む)などを指す可能性がある。
【0052】
用語「約」は、本明細書にわたり使用される場合、合理的に近いことを意味する。例えば、「約」は、当業者によって決定された特定の値に関して、許容できる標準偏差および/または許容できるエラーの範囲内であることを意味し得るものであり、これは、どのように特定の値が測定されるかに依存すると予想される。さらに、整数が表される場合、約は、整数のどちらかの側の小数値を指し得る。範囲の文脈で使用される場合、用語「約」は、範囲の一方の末端における一方の特定の値と、範囲の他方の末端における他方の特定の値との間の例示的な値の全て、加えて、各末端を超える合理的に近い値を包含する。
【0053】
本明細書で使用される場合、本明細書または添付の特許請求の範囲での記載かどうかに関わらず、移行の用語「含む(comprising)」、「含む(including)」、「有する(carrying)」、「有する(having)」、「含有する」、「含む(involving)」などは、包括的またはオープンエンドである(すなわち、これらに限定されないが、~が挙げられるを意味する)と理解されるものとし、それらは、記載されていない要素、材料または方法のステップを除外しない。移行句「からなる」および「から本質的になる」のみは、それぞれ、特許請求の範囲および本明細書の例示的な実施形態の段落に関して排他的または一部排他的な移行句である。
【0054】
「~を処置する」または「~の処置」、または「~を防止する」または「~の防止」は、本明細書で使用される場合、有益な、または所望の結果を得るためのアプローチを指す。有益な、または所望の結果としては、これらに限定されないが、1つまたは複数の症状または状態の軽減または緩和、疾患の程度の縮小、疾患の状態の安定化、疾患の発達の防止、疾患の拡がりの防止、疾患進行の遅延または減速(例えば、抑制)、疾患発症の遅延または減速、疾患を引き起こす因子に対する防御免疫の付与、および疾患の状態の緩和または一時的緩和を挙げることができる。「処置する」または「防止する」はまた、処置の非存在下で予測されるものより患者の生存を長くすることを意味する場合もあり、例えば対象における感染を防止することによって、一時的に疾患の進行を阻害すること、または疾患の出現を防止することを意味する場合もある。「処置する」または「防止する」はまた、腫瘤のサイズにおける低減、腫瘍負荷量における低減、標的腫瘍負荷量における低減、腫瘍の攻撃性における低減などを指す場合もある。
【0055】
「処置する」は、典型的には、すでに疾患または障害を有する対象で行われるが、それに対して「防止する」は、典型的には、疾患または障害を有さないか、またはがんを引き起こす因子に曝露されたことがわかっている対象で行われるという点で、「処置する」は、「防止する」と区別することができる。理解されると予想されるように、処置および防止において重複が存在し得る。例えば、対象における疾患を「処置する」ことが可能であり、一方で、同時に疾患の症状または進行を「防止する」ことが可能である。さらに、「処置する」および「防止する」は、免疫応答を誘発させるための対象の処置(例えば、ワクチン接種)が、病原体による感染を防止する、または病原体での感染によって引き起こされる基礎疾患もしくは症状を防止する後続の作用を有する可能性があるという点で、重複する場合がある。これらの防止的な態様は、「腫瘍の処置」または「がんの処置」などの表現によって本明細書に包含される。
【0056】
本明細書で使用される場合、用語「がん」、「がん細胞」、「腫瘍」、および「腫瘍細胞」(同義的に使用される)は、細胞増殖の制御の著しい喪失を特徴とする異常な成長を示す細胞、または不死化した細胞を指す。用語「がん」または「腫瘍」は、転移性のがんまたは腫瘍、加えて非転移性のがんまたは腫瘍を含む。がんは、悪性腫瘍の存在を含む当業界において一般的に容認された基準を使用して診断することができる。
【0057】
本明細書で使用される場合、「治療有効量」は、対象に治療的、予防的、または診断的な利益を提供するのに有効な、T細胞活性化治療薬、活性薬剤、および/もしくはあらゆる追加の治療剤の量、ならびに/または対象における免疫応答および/もしくは体液性応答をモジュレートするのに十分な量を意味する。本明細書で使用される場合、免疫および/または体液性応答を「モジュレートする」は、免疫および/または体液性応答を活性化することとは区別され、これらとは異なる。「モジュレートする」は、本明細書に記載の活性薬剤および/または追加の治療剤が、他のメカニズムまたは化合物によって(例えば、抗原または免疫原によって)活性化される免疫および/または体液性応答を強化することを意味する。一実施形態において、本明細書に記載の有効な活性薬剤、T細胞活性化治療薬、および/またはあらゆる追加の治療剤を投与する前に、免疫および/または体液性応答が活性化された。別の実施形態において、免疫および/または体液性応答は、本明細書に記載の有効な活性薬剤の投与、T細胞活性化治療薬、および/またはあらゆる追加の治療剤に応じて、活性化してもよい。別の実施形態において、免疫および/または体液性応答は、本明細書に記載される有効な活性薬剤の投与、T細胞活性化治療薬、および/またはあらゆる追加の治療剤に続いて、活性化してもよい。
【0058】
一部の実施形態において、組成物の治療有効量は、特定の疾患または障害の処置において対象に臨床応答を誘導することができる量である。組成物の治療有効量の決定は、特に本明細書で提供される開示に照らして、十分に当業者の能力の範囲内である。治療有効量は、対象の状態、体重、性別および年齢などの様々な要因に従って変更することができる。
【0059】
本発明の方法において、薬剤は、T細胞活性化治療薬中のサバイビン抗原および/またはMAGE-A9抗原に対する免疫応答を直接または間接に強化することによって、「T細胞活性化治療薬(例えばサバイビンおよび/またはMAGE-A9治療薬)の効能を改善する」ことができる。これは、例えば、抑制性免疫細胞の数および/または活性を低減させること達成することができる。腫瘍微小環境は、例えば、抑制性免疫細胞、例えばCD4+FoxP3+調節性T細胞(Treg)(Curiel et al., Nat Med 10(9): 942-949, 2004)、骨髄由来サプレッサー細胞(MDSC)(Nagaraj and Gabrilovich, Cancer Res 68(8): 2561-3, 2008)、およびCD19+CD5+CD1dhiIL-10+B細胞(Breg)(Balkwill et al., Trends Immunol, 3 Dec. 2012, 10.1016/j.it.2012.10.007(出版前の電子出版))の発達を促進する多くの因子を上方調節することが報告されている。それゆえに、これらの抑制性免疫細胞の数または活性を低減させる能力は、T細胞活性化の治療効能を改善するための実施形態を表す。
【0060】
「T細胞活性化治療薬の効能を改善すること」(例えばサバイビン治療薬および/またはMAGE-A9)は、例えば抗原特異的なCD8+T細胞の数および/または活性を増大させることによって達成することもできる。これに関して、腫瘍微小環境は、例えば、免疫抑制性サイトカイン、例えばTNF-αおよびTGF-βを放出することによる活性化CD8+T細胞の直接的な抑制に寄与することが報告されている(Yang et al., Trends Immunol 31(6): 220-227, 2010)。それゆえに、抗原特異的なCD8+T細胞の活性を増加させる能力は、T細胞活性化の治療効能を改善する可能性があるメカニズムを表す。抗原特異的なCD8+T細胞における増加は、このような細胞の数の増加、このような細胞の活性の増加、および/または総CD8+T細胞に対して抗原特異的なCD8+T細胞の富化された集団の生成、例えば、総CD8+T細胞の相対的な減少によるそのような生成の結果であってもよい。
【0061】
より一般的には、「T細胞活性化治療薬の効能を改善すること」は、サバイビン治療薬により誘発された細胞媒介性免疫応答および/または体液性免疫応答を強化することによって、サバイビンおよび/またはMAGE-A9治療薬の免疫原性を強化する;注射部位または腫瘍部位における免疫細胞および/または抗体の数を増加させる;または例えばがんの予防および/もしくは治療的処置を強化すること、ならびに/または疾患の症状を軽減する、その進行を遅延させる、もしくは阻害することによって、本発明のサバイビンおよび/またはMAGE-A9治療薬によって提供される治療作用を改善する本発明の方法の能力を指す。サバイビンおよび/またはMAGE-A9治療薬の効能を改善することはまた、単独療法処置と比較して、生活の質の改善または罹患率の減少にも関連し得る。
【0062】
また「T細胞活性化治療薬の効能を改善すること」は、所望の結果をもたらすのに、より低い用量の本発明の組合せの活性成分を必要とすることを意味する場合もある。これは、投薬量それ自体がより少ない実施形態と、サバイビンおよび/またはMAGE-A9治療薬、活性薬剤および/または追加の治療剤(例えば、DNA複製に干渉するものおよび/または免疫調節剤)がより低い頻度で適用される実施形態の両方を包含する。
【0063】
用語「対象」、「患者」、「個体」、および「動物」は、本明細書において同義的に使用され、これらに限定されないが、ヒトおよび家畜動物(例えば、霊長類、ネコ、イヌ、ウシ、ウマ、ヒツジ、ブタ、ウサギ、マウス、ラットなど)ならびに実験動物モデルなどの哺乳動物を指す。好ましい実施形態において、対象は、ヒトである。
【0064】
T細胞活性化治療用組成物
一態様において、本発明は、i)少なくとも2つのT細胞活性化治療薬およびii)担体を含む、少なくとも2つのT細胞活性化治療薬を対象に送達するための医薬組成物に関し、少なくとも2つのT細胞活性化治療薬は、少なくとも1つのサバイビン抗原および少なくとも1つのメラノーマ関連抗原9(MAGE-A9)抗原を含む。
【0065】
用語「抗原」は、対象に投与することが意図されるあらゆる物質、薬物、分子、エレメント、化合物、またはそれらの組合せを含む。抗原は、それが組成物の疎水性相に含まれる場合は疎水性相抗原として、またはそれが組成物の親水性相に含まれる場合には親水性相抗原として、本発明の組成物中に組み込まれる。抗原は天然品、合成化合物、または2つ以上の物質の組合せであってよい。抗原は、ペプチド抗原、抗原をコードするDNAポリヌクレオチド、もしくは抗原をコードするRNAポリヌクレオチド、またはそれらの任意の1つの機能的な等価体もしくは機能的なフラグメントであってよい。一部の実施形態において、抗原は、抗原をコードするDNAポリヌクレオチドまたはRNAポリヌクレオチドである。一部の実施形態において、抗原はペプチド抗原である。一部の実施形態において、ペプチド抗原はグリコシル化されている。
【0066】
本発明のT細胞活性化治療組成物は、サバイビンおよびMAGE-A9抗原の対象への送達に好適なあらゆる形態を有していてもよい。本発明によるT細胞活性化治療組成物は、公知の方法に従って、例えば1つまたは複数のサバイビン抗原および1つまたは複数のMAGE-A9抗原を、1つまたは複数の医薬的に許容される賦形剤または担体、好ましくはヒトへの投与に許容できるものと混合することによって、製剤化することができる。このような賦形剤、担体および製剤化方法の例は、例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences(Maack Publishing Co、Easton、PA)に見出すことができる。有効な投与に好適な医薬的に許容されるT細胞活性化治療組成物を製剤化するために、このような組成物は、典型的には、サバイビン抗原、例えば、本明細書に記載されるサバイビンポリペプチド、サバイビンペプチド、もしくはサバイビンペプチドバリアント、またはこのようなサバイビン抗原をコードする核酸分子もしくはベクターの治療有効量、およびMAGE-A9抗原、例えば、本明細書に記載されるMAGE-A9ポリペプチド、MAGE-A9ペプチド、もしくはMAGE-A9ペプチドバリアント、またはこのようなMAGE-A9抗原をコードする核酸分子もしくはベクターを含有すると予想される。
【0067】
本発明によるT細胞活性化治療組成物中に含めるための1つまたは複数の適切なサバイビン抗原および1つまたは複数の適切なMAGE-A9抗原が選択されたら、薬剤は、当業界において公知の様々な好適な手段によって送達することができる。本明細書に記載される方法での使用のためのT細胞活性化治療組成物としては、例えば、これらに限定されないが、リポペプチド(例えば、Vitiello, A. et al., J. Clin. Invest. 95:341, 1995)、ポリ(DL-ラクチド-co-グリコリド)(「PLG」)マイクロスフェアに封入されたペプチド組成物(例えば、Eldridge, et al., Molec. Immunol. 28:287-294, 1991;Alonso et al., Vaccine 12:299-306, 1994;Jones et al., Vaccine 13:675-681, 1995を参照)、免疫刺激複合体(ISCOMS)に含有されるペプチド組成物(例えば、Takahashi et al., Nature 344:873-875, 1990;Hu et al., Clin Exp Immunol. 113:235-243, 1998を参照)、複数の抗原ペプチド系(MAP)(例えば、Tarn, J. P., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 85:5409-5413, 1988;Tarn, J. P., J. Immunol. Methods 196:17-32, 1996を参照)、多価ペプチドとして製剤化されたペプチド;バリスティック送達系(ballistic delivery system)、典型的には結晶化ペプチド、ウイルス送達ベクターでの使用のためのペプチド(Perkus, M. E. et al., In: Concepts in vaccine development, Kaufmann, S. H. E., ed., p. 379, 1996;Chakrabarti, S. et al., Nature 320:535, 1986;Hu, S. L. et al., Nature 320:537, 1986;Kieny, M.-P. et al., AIDS Bio/Technology 4:790, 1986;Top, F. H. et al., J. Infect. Dis. 124:148, 1971;Chanda, P. K. et al., Virology 175:535, 1990)、ウイルスまたは合成起点の粒子(例えば、Kofler, N. et al., J. Immunol. Methods. 192:25, 1996;Eldridge, J. H. et al., Sem. Hematol. 30:16, 1993;Falo, L. D., Jr. et al., Nature Med. 7:649, 1995)、アジュバント(Warren, H. S., Vogel, F. R., and Chedid, L. A. Annu. Rev. Immunol. 4:369,1986;Gupta, R. K. et al., Vaccine 1 1 :293, 1993)、リポソーム(Reddy, R. et al, J. Immunol. 148:1585, 1992;Rock, K. L, Immunol. Today 17:131, 1996)、または裸の、もしくは粒子に吸収されたcDNA(Ulmer, J. B. et al., Science 259:1745, 1993;Robinson, H. L, Hunt, L. A., and Webster, R. G., Vaccine 1 1 :957, 1993;Shiver, J. W. et al., In: Concepts in vaccine development, Kaufmann, S. H. E., ed., p. 423, 1996;Cease, K. B., and Berzofsky, J. A., Annu. Rev. Immunol. 12:923, 1994およびEldridge, J. H. et al., Sem. Hematol. 30:16, 1993)を挙げることができる。この段落で開示された各参考文献は、全ての意図する目的に関して参照により本明細書に組み入れられる。
【0068】
本発明のT細胞活性化治療組成物はまた、核酸によって媒介される様式も包含する。例えば、本明細書に記載されるサバイビン抗原の1つまたは複数をコードするDNAまたはRNAおよびMAGE-A9抗原の1つまたは複数をコードするDNAまたはRNAが対象に投与されてもよい。このようなアプローチは、例えば、Wolff et al., Science 247:1465 (1990)、加えて米国特許第5,580,859号;5,589,466号;5,804,566号;5,739,118号;5,736,524号;5,679,647号;およびWO98/04720に記載される。DNAベースの送達技術の例としては、「裸のDNA」、促進された(ブピバカイン(bupivicaine)、ポリマー、ペプチド媒介)送達、カチオン脂質複合体、および粒子媒介(「遺伝子銃」)または圧力媒介送達(例えば、米国特許第5,922,687号を参照)が挙げられる。この段落で開示された各参考文献は、全ての意図する目的に関して参照により本明細書に組み入れられる。
【0069】
T細胞活性化治療組成物のさらなる実施形態において、サバイビンおよびMAGE-A9抗原(例えば、サバイビンおよびMAGE-A9ペプチド)はまた、ウイルスまたは細菌ベクターによっても発現させることができる。発現ベクターの例としては、弱毒化ウイルス宿主、例えばワクシニアまたは鶏痘が挙げられる。このアプローチは、例えば本明細書に記載されるサバイビンペプチドおよびMAGE-A9ペプチドをコードするヌクレオチド配列を発現させるためのベクターとしての、ワクシニアウイルスの使用を含む。急性的もしくは慢性的に感染した宿主に、または非感染宿主に導入されると、組換えワクシニアウイルスは抗原性ペプチドを発現し、それによって宿主免疫応答を惹起する。免疫化プロトコールにおいて有用なワクシニアベクターおよび方法は、例えば、米国特許第4,722,848号に記載されている。別のベクターは、BCG(カルメット・ゲラン桿菌(Bacille Calmette Guerin))である。BCGベクターは、Stover et al., Nature 351 :456-460 (1991)に記載されている。本発明のペプチドの治療のための投与または免疫化に有用な多種多様な他のベクター、例えば、アデノおよびアデノ随伴ウイルスベクター、レトロウイルスベクター、チフス菌(Salmonella typhi)のベクター、解毒した炭疽毒素のベクターなどは、当業者には明らかと予想され、本明細書に記載されるT細胞活性化治療組成物に包含される。この段落で開示された各参考文献は、全ての意図する目的に関して参照により本明細書に組み入れられる。
【0070】
本発明によるT細胞活性化治療薬はまた、サバイビン抗原の1つまたは複数およびMAGE-A9抗原の1つまたは複数を含有する組成物も包含し、その場合、抗原は、個々に、または同じもしくは異なるサバイビンおよびMAGE-A9抗原の複数のコピーを含有するコンストラクトとして存在していてもよい。例えば、サバイビン抗原は、同一または異なるサバイビン抗原の数種をコードする単一の核酸分子(例えば、ベクター)として存在していてもよく、MAGE-A9抗原は、同一または異なるMAGE-A9抗原の数種をコードする単一の核酸分子(例えば、ベクター)として存在していてもよい。または他の実施形態において、同じサバイビン抗原の複数のコピーを含むホモポリマー、または様々な異なるサバイビン抗原のヘテロポリマー、および同じMAGE-A9抗原の複数のコピーを含むホモポリマー、または様々な異なるMAGE-19抗原のヘテロポリマーを使用してもよい。このようなポリマーは、生じる作用がサバイビンおよびMAGE-A9の1つまたは複数の抗原決定基との免疫応答を誘導する能力の強化になり得るように、それらがサバイビンおよびMAGE-A9抗原の複数のコピーを含むために増加した免疫反応を提供する利点を有していてもよい。組成物は、1つまたは複数のサバイビン抗原および/または1つまたは複数のMAGE-A9抗原の天然に存在する領域を含んでいてもよいし、または調製された抗原、例えば、組換えによって、または化学合成によって調製された抗原を含んでいてもよい。
【0071】
本発明のT細胞活性化治療薬は、1つまたは複数のサバイビン抗原(例えば、サバイビンペプチド)および1つまたは複数のMAGE-A9抗原(例えば、MAGE-A9ペプチド)を提示させるための媒体として、抗原提示細胞(APC)、例えば樹状細胞(DC)を含んでいてもよい。このようなT細胞活性化治療組成物は、樹状細胞の動員および回収後、インビトロで作り出してもよく、それによってインビトロで樹状細胞の負荷が起こる。例えば、樹状細胞は、1つまたは複数のサバイビン抗原をコードするDNAまたはRNAおよび1つまたは複数のMAGE-A9抗原をコードするDNAまたはRNAでトランスフェクトされるか、またはサバイビンおよびMAGE-A9ペプチド抗原でパルスされる。次いで樹状細胞は、インビボで免疫応答を惹起させるために、対象に投与することができる。
【0072】
本発明によるT細胞活性化治療薬は、あらゆる好適な手段、例えば、注射(例えば、筋肉内、皮内、皮下、静脈内または腹膜内)、エアロゾル、経口、経鼻、局所、膣内、経皮、経粘膜、または他のあらゆる好適な経路などによって投与することができる。T細胞活性化治療薬は、対象の体内において、全身または局所的な分布のために製剤化されてもよい。全身投与用の製剤としては、注射による投与のために設計されたもの、加えて、経皮、経粘膜または経口投与のために設計されたものが挙げられる。
【0073】
注射の場合、T細胞活性化治療薬は、本明細書に記載される疎水性物質の連続相を含む担体中で、例えば油中水型エマルジョンまたは油性の担体中で製剤化されてもよい。一部の実施形態において、リポソームまたは脂質小胞粒子は、担体と共に使用することができる。またT細胞活性化治療薬はまた、水溶液としても、例えばハンクス溶液、リンゲル液または生理的緩衝食塩水中でも製剤化することができる。
【0074】
上記から明らかと予想されるように、本発明のT細胞活性化治療組成物は、対象における免疫応答の刺激、例えば、投与されたときの特異的な細胞傷害性T細胞応答が可能な組成物を含む、がんの処置において有用なあらゆる組成物または抗原送達手段(例えば、ウイルスベクター、ウイルス様粒子、脂質小胞粒子、その他)を包含することを意味する。一部の実施形態において、使用される脂質小胞粒子は、例えばリポソーム等の二重層小胞構造である。脂質小胞粒子は、閉じ込められた水性体積を含む完全に閉じた脂質二重層膜である。脂質小胞粒子は、単層小胞(単一の二重層膜を有する)または多層小胞(多重膜の二重層を特徴とし、それによって各二重層が水性層によって次と分離していてもよいし、または分離していなくてもよい)であってよい。リポソームの一般的な議論は、Gregoriadis 1990; およびFrezard 1999に見出すことができる。脂質小胞粒子は、実質的にあらゆる種類の細胞に吸着し、次いで組み込まれた薬剤(例えばサバイビンおよびMAGE-A9抗原)を放出することができる。その代わりに、脂質小胞粒子は標的細胞と融合することができ、それにより、脂質小胞粒子の内容物は標的細胞中に放出される。その代わりに、脂質小胞粒子は、食作用を有する細胞によって取り込まれてもよい。脂質小胞粒子は、抗原をカプセル化するための小胞として、ならびに製剤を安定化するための乳化剤として、疎水性担体を含む組成物の調製において使用されてきた(例えば全ての意図する目的に関してそれぞれが参照により本明細書に組み入れられるWO2002/038175、WO2007/041832、WO2009/039628、WO2009/146523、およびWO2013/049941を参照されたい)。親水性抗原は典型的には親水性の内部に閉じ込められ、一方疎水性抗原は脂質二重層内にインターカレートされるか、または油相内に分散することができる。別の実施形態において、本明細書で開示したワクチン組成物において既製の脂質小胞粒子を使用してもよい。組成物が水非含有である実施形態において、組成物の成分の1つまたは複数(例えばサバイビンおよびMAGE-A9抗原、アジュバント、および/またはTヘルパーエピトープ)は、親水性相の中の脂質小胞粒子の中にカプセル化またはこれと混合もしくは懸濁し、凍結乾燥し、次いで疎水性担体中で再構成してよい。そのような実施形態において、脂質小胞粒子を再組織化して、疎水性担体中の代替の構造を形成してもよい。
【0075】
本発明のT細胞活性化治療薬組成物を得るため、比較的小さなサバイビンまたはMAGE-A9ペプチドであってよいサバイビン抗原およびMAGE-A9抗原を、アジュバント、賦形剤、界面活性剤、免疫刺激成分、および/または担体等の種々の材料と組み合わせることが好適であり得る。ある特定の実施形態において、ペプチドは長さ約8から約24アミノ酸であってよい。ある特定の実施形態において、ペプチドは長さ約8から約11アミノ酸であってよい。ある特定の実施形態において、ペプチドは長さ約15から約24アミノ酸であってよい。ある特定の実施形態において、ペプチドは長さ5から120アミノ酸、長さ5から100アミノ酸、長さ5から75アミノ酸、長さ5から50アミノ酸、長さ5から40アミノ酸、長さ5から30アミノ酸、長さ5から20アミノ酸、または長さ5から10アミノ酸であってよい。ある特定の実施形態において、ペプチド抗原は長さ5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、または50アミノ酸であってよい。特異的な免疫応答を強化するために、T細胞活性化治療組成物中に、アジュバントが含まれていてもよい。所望の投与経路または対象における所望の分布、例えば、全身または局所的な分布に応じて、様々な担体を使用することができる。
【0076】
特定の実施形態において、本発明の方法での使用のためのT細胞活性化治療薬組成物は、少なくとも1つのサバイビン抗原および少なくとも1つのMAGE-A9抗原、脂質小胞粒子、および疎水性担体中で再組織化して代替の構造(逆ミセル)を形成するための疎水性物質(例えば鉱油、不完全フロイントアジュバント(IFA)、Montanide(登録商標)ISA51、VG)の連続相を含む担体を含む組成物である。さらなる実施形態において、組成物は、加えて、アジュバントを含んでいてもよい。さらなる実施形態において、組成物は、加えて、Tヘルパーエピトープまたは抗原を含んでいてもよい。
【0077】
すなわち、一実施形態において、T細胞活性化治療薬組成物は、1つまたは複数のサバイビン抗原および1つまたは複数のMAGE-A9抗原;Tヘルパーエピトープ;アジュバント;脂質小胞粒子;および疎水性物質の連続相を含む担体を含む。Tヘルパーエピトープは、例えばアミノ酸配列AQYIKANSKFIGITEL(配列番号13)を含むペプチドであり得る。アジュバントは、一例として、これらに限定されないが、ポリI:CまたはポリdIdCポリヌクレオチド(例えば配列番号22)であってもよい。
【0078】
さらなる実施形態において、本発明の方法での使用のためのT細胞活性化治療薬組成物は、脂質小胞粒子ベースおよび/または両親媒性化合物ベースのワクチン補助プラットフォーム、例えば、これらに限定されないが、VacciMax(登録商標)、DepoVax(商標)、およびDPX(商標)プラットフォーム技術と共に、少なくとも1つのサバイビン抗原および少なくとも1つのMAGE-A9抗原を含む組成物である(例えば、それぞれが全ての意図する目的に関して参照によりそれらの全体が本明細書に組み入れられる、米国特許第6,793,923号および第7,824,686号;米国特許公報第20160067335号、WO2002/038175;WO2007/041832;WO2009/039628;WO2009/043165;WO2009/146523、WO2013049941、WO2014/153636、WO2016/176761、WO2016/109880、WO2017/190242、WO2017/083963、WO2018/058230、WO2019/010560、WO2019/090411、またはWO2021/072535を参照)。DepoVax(商標)/DPX(商標)プラットフォームは、抗原に加えてアジュバントの免疫系への制御および長期化された曝露を提供するT細胞活性化治療薬送達製剤である。このプラットフォームは、強い、特異的な、持続的な免疫応答を提供することができ、単回用量の有効性をもたらすことができる。
【0079】
ある特定の実施形態において、本発明のT細胞活性化治療薬は、少なくとも1つのサバイビン抗原を含み、各サバイビン抗原は、約0.01mg/mlから約10mg/ml、約0.025mg/mlから約9mg/ml、約0.05mg/mlから約8mg/ml、約0.75mg/mlから約7mg/ml、約0.1mg/mlから約6mg/ml、約0.25mg/mlから約5mg/ml、約0.5mg/mlから約4mg/ml、約0.75mg/mlから約3mg/ml、または約1mg/mlから約2mg/mlの濃度である。ある特定の実施形態において、本発明のT細胞活性化治療薬は、少なくとも1つのサバイビン抗原を含み、各サバイビン抗原は、約0.1mg/mlから約5mg/ml、約0.5mg/mlから約3mg/ml、または約0.5mg/mlから約2mg/mlの濃度である。ある特定の実施形態において、本発明のT細胞活性化治療薬は、少なくとも1つのサバイビン抗原を含み、各サバイビン抗原は、約0.01mg/ml、約0.02mg/ml、約0.03mg/ml、約0.04mg/ml、約0.05mg/ml、約0.06mg/ml、約0.07mg/ml、約0.08mg/ml、約0.09mg/ml、約0.1mg/ml、約0.2mg/ml、約0.3mg/ml、約0.4mg/ml、約0.5mg/ml、約0.6mg/ml、約0.7mg/ml、約0.8mg/ml、約0.9mg/ml、約1mg/ml、約2mg/ml、約3mg/ml、約4mg/ml、約5mg/ml、約6mg/ml、約7mg/ml、約8mg/ml、約9mg/ml、または約10mg/mlの濃度である。ある特定の実施形態において、本発明のT細胞活性化治療薬は、少なくとも1つのサバイビン抗原を含み、各サバイビン抗原は、約1mg/mlの濃度である。
【0080】
ある特定の実施形態において、本発明のT細胞活性化治療薬は、少なくとも1つのMAGE-A9抗原を含み、各MAGE-A9抗原は、約0.01mg/mlから約10mg/ml、約0.025mg/mlから約9mg/ml、約0.05mg/mlから約8mg/ml、約0.75mg/mlから約7mg/ml、約0.1mg/mlから約6mg/ml、約0.25mg/mlから約5mg/ml、約0.5mg/mlから約4mg/ml、約0.75mg/mlから約3mg/ml、または約1mg/mlから約2mg/mlの濃度である。ある特定の実施形態において、本発明のT細胞活性化治療薬は、少なくとも1つのMAGE-A9抗原を含み、各MAGE-A9抗原は、約0.1mg/mlから約5mg/ml、約0.5mg/mlから約3mg/ml、または約0.5mg/mlから約2mg/mlの濃度である。ある特定の実施形態において、本発明のT細胞活性化治療薬は、少なくとも1つのMAGE-A9抗原を含み、各MAGE-A9抗原は、約0.01mg/ml、約0.02mg/ml、約0.03mg/ml、約0.04mg/ml、約0.05mg/ml、約0.06mg/ml、約0.07mg/ml、約0.08mg/ml、約0.09mg/ml、約0.1mg/ml、約0.2mg/ml、約0.3mg/ml、約0.4mg/ml、約0.5mg/ml、約0.6mg/ml、約0.7mg/ml、約0.8mg/ml、約0.9mg/ml、約1mg/ml、約2mg/ml、約3mg/ml、約4mg/ml、約5mg/ml、約6mg/ml、約7mg/ml、約8mg/ml、約9mg/ml、または約10mg/mlの濃度である。ある特定の実施形態において、本発明のT細胞活性化治療薬は、少なくとも1つのMAGE-A9抗原を含み、各MAGE-A9抗原は、約1mg/mlの濃度である。
【0081】
ある特定の実施形態において、本発明のT細胞活性化治療薬は、少なくとも1つのサバイビン抗原を含み、T細胞活性化治療薬は、約0.01から約3ml、約0.05mlから約2ml、約0.075mlから約1.75ml、約0.1mlから約1.5ml、約0.125mlから約1.25ml、約0.15mlから約1ml、約0.175mlから約0.75ml、約0.2mlから約0.5ml、または約0.25mlから約0.5mlの用量で投与される。ある特定の実施形態において、本発明のT細胞活性化治療薬は、少なくとも1つのサバイビン抗原を含み、T細胞活性化治療薬は、約0.01mlから約1ml、約0.5mlから約0.75、または約0.25mlから約0.5mlの用量で投与される。ある特定の実施形態において、本発明のT細胞活性化治療薬は、少なくとも1つのサバイビン抗原を含み、T細胞活性化治療薬は、約0.05ml、約0.06ml、約0.07ml、約0.08ml、約0.09ml、約0.1ml、約0.125ml、約0.15ml、約0.175ml、約0.2ml、約0.225ml、約0.25ml、約0.275ml、約0.3ml、約0.325ml、約0.35ml、約0.375ml、約0.4ml、約0.425ml、約0.45ml、約0.475ml、約0.5ml、約0.525ml、約0.55ml、約0.575ml、約0.6ml、約0.625ml、約0.65ml、約0.675ml、約0.7ml、約0.725ml、約0.75ml、約0.775ml、約0.8ml、約0.825ml、約0.85ml、約0.875ml、約0.9ml、約0.925ml、約0.95ml、約0.975ml、約1ml、約1.25ml、約1.5ml、約1.75ml、または約2mlの用量で投与される。ある特定の実施形態において、本発明のT細胞活性化治療薬は、少なくとも1つのサバイビン抗原を含み、T細胞活性化治療薬は、約0.25mlまたは約0.5mlの用量で投与される。ある特定の実施形態において、本発明のT細胞活性化治療薬は、少なくとも1つのサバイビン抗原を含み、T細胞活性化治療薬は、約0.1mlの用量で投与される。ある特定の実施形態において、用量は、プライミング用量である。ある特定の実施形態において、用量は、ブースター用量である。
【0082】
ある特定の実施形態において、本発明のT細胞活性化治療薬は、少なくとも1つのMAGE-A9抗原を含み、T細胞活性化治療薬は、約0.01から約3ml、約0.05mlから約2ml、約0.075mlから約1.75ml、約0.1mlから約1.5ml、約0.125mlから約1.25ml、約0.15mlから約1ml、約0.175mlから約0.75ml、約0.2mlから約0.5ml、または約0.25mlから約0.5mlの用量で投与される。ある特定の実施形態において、本発明のT細胞活性化治療薬は、少なくとも1つのMAGE-A9抗原を含み、T細胞活性化治療薬は、約0.01mlから約1ml、約0.5mlから約0.75、または約0.25mlから約0.5mlの用量で投与される。ある特定の実施形態において、本発明のT細胞活性化治療薬は、少なくとも1つのMAGE-A9抗原を含み、T細胞活性化治療薬は、約0.05ml、約0.06ml、約0.07ml、約0.08ml、約0.09ml、約0.1ml、約0.125ml、約0.15ml、約0.175ml、約0.2ml、約0.225ml、約0.25ml、約0.275ml、約0.3ml、約0.325ml、約0.35ml、約0.375ml、約0.4ml、約0.425ml、約0.45ml、約0.475ml、約0.5ml、約0.525ml、約0.55ml、約0.575ml、約0.6ml、約0.625ml、約0.65ml、約0.675ml、約0.7ml、約0.725ml、約0.75ml、約0.775ml、約0.8ml、約0.825ml、約0.85ml、約0.875ml、約0.9ml、約0.925ml、約0.95ml、約0.975ml、約1ml、約1.25ml、約1.5ml、約1.75ml、または約2mlの用量で投与される。ある特定の実施形態において、本発明のT細胞活性化治療薬は、少なくとも1つのMAGE-A9抗原を含み、T細胞活性化治療薬は、約0.25mlまたは約0.5mlの用量で投与される。ある特定の実施形態において、本発明のT細胞活性化治療薬は、少なくとも1つのMAGE-A9抗原を含み、T細胞活性化治療薬は、約0.1mlの用量で投与される。ある特定の実施形態において、用量は、プライミング用量である。ある特定の実施形態において、用量は、ブースター用量である。
【0083】
(i)サバイビン抗原
本発明のT細胞活性化治療組成物は、少なくとも1つのサバイビン抗原を含む。表現「少なくとも1つの」は、本明細書において、表現「1つまたは複数の」と同義的に使用される。これらの表現は、本明細書においてそうではないことが明示的に述べられない限り、T細胞活性化治療薬における異なるサバイビン抗原の数を指し、いずれか特定のサバイビン抗原の量を指さない。「少なくとも1つの」または「1つまたは複数の」の通常の意味に従って、本発明のT細胞活性化治療組成物は、最低限で1つのサバイビン抗原を含有する。
【0084】
サバイビンは、アポトーシスリピート含有5(BIRC5)のバキュロウイルス阻害剤とも呼ばれ、これは、アポトーシスの負の調節に関与するタンパク質である。これは、アポトーシスタンパク質(IAP)の阻害剤のファミリーのメンバーとして分類されている。サバイビンは、RINGフィンガーの代わりに、単一のBIRモチーフおよび高度に電荷を有するカルボキシ末端のコイル状領域を含有する16.5kDaの細胞質内タンパク質である。サバイビンをコードする遺伝子は、エフェクター細胞プロテアーゼ受容体-1(EPR-1)の配列とほぼ同一であるが、逆方向に配向されている。サバイビン(ヒト)のコード配列は、停止コドンを含む429ヌクレオチドの長さ(配列番号14)である。コードされたタンパク質であるサバイビン(ヒト)は、142アミノ酸の長さ(配列番号15)である。
【0085】
【0086】
サバイビンタンパク質はカスパーゼ活性化を阻害するように機能し、それによってアポトーシスまたはプログラム細胞死の負の調節がもたらされると仮定される。この機能と一致して、サバイビンは、正常な組織においてではなく多くのタイプのがんにおいて常に上方調節される上位の遺伝子の1つとして同定されている(例えば、Altieri et al., Lab Invest, 79: 1327- 1333, 1999;および米国特許第6,245,523号を参照)。それゆえに、この事実は、サバイビンを、がん細胞は標的化されるが正常細胞は標的化されないため、がん療法のための理想的な標的としている。実際に、サバイビンは、ヒトのがんの大部分を含む多くの腫瘍タイプで高度に発現され、予後予測に有用であることが報告されている。
【0087】
本発明のT細胞活性化治療薬は、1つまたは複数のサバイビン抗原を含む。用語「サバイビン抗原」は、本明細書で使用される場合、サバイビンタンパク質由来のあらゆるペプチド、ポリペプチド、またはそのバリアント(例えば、サバイビンペプチドバリアント)もしくはそれらのフラグメントを包含する。用語「サバイビン抗原」はまた、本明細書に記載されるサバイビンペプチド、サバイビンペプチドバリアントまたはサバイビンペプチドの機能的な等価体をコードするポリヌクレオチドも包含する。
【0088】
ポリヌクレオチドは、DNA(例えば、ゲノムDNAまたはcDNA)もしくはRNA(例えば、mRNA)またはそれらの組合せであってもよい。これらは、天然に存在していてもよいし、または合成であってもよい(例えば、化学的に合成される)。ポリヌクレオチドは、ヌクレオチド鎖中に1つまたは複数の窒素塩基、ペントース糖またはリン酸基の改変を含有していてもよいことが企図される。このような改変は当業界において周知であり、例えばポリヌクレオチドの安定性を改善する目的のためであってもよい。
【0089】
一実施形態において、サバイビン抗原は、全長サバイビンポリペプチドまたは全長サバイビンポリペプチドをコードする核酸を含んでいてもよい。代替として、サバイビン抗原は、あらゆる長さのサバイビンタンパク質のフラグメントを含むサバイビンペプチドであってもよい。例示的な実施形態としては、少なくとも5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24または25個のアミノ酸残基を含むサバイビンペプチドが挙げられる。具体的な実施形態において、サバイビンペプチドは、それぞれサバイビンタンパク質(例えば、配列番号15)の7、8、9、10、11個の連続したアミノ酸残基からなる、ヘプタペプチド、オクタペプチド、ナノペプチド、デカペプチドまたはウンデカペプチドからなる。サバイビン抗原の特定の実施形態としては、約9または10アミノ酸のサバイビンペプチドが挙げられる。
【0090】
本発明のサバイビン抗原はまた、サバイビンペプチドのバリアントおよび機能的な等価体も包含する。サバイビンペプチドのバリアントまたは機能的な等価体は、サバイビンタンパク質の特異的な配列と比較した差、例えば、1つまたは複数のアミノ酸置換、欠失もしくは付加、またはそれらのあらゆる組合せを含むアミノ酸配列を示すペプチドを包含する。この差は、サバイビンタンパク質配列とサバイビンペプチドバリアントまたはサバイビンペプチドの機能的な等価体との間の同一性の低減として測定することができる。
【0091】
アミノ酸配列間の同一性は、当業界において周知のアルゴリズムを使用して計算することができる。サバイビンペプチドバリアントまたは機能的な等価体は、それらが、好ましくは、その全長にわたり、サバイビンタンパク質のペプチド配列に、少なくとも50%同一、例えば少なくとも60%同一、少なくとも70%同一、少なくとも75%同一、少なくとも80%同一、少なくとも85%同一、少なくとも90%同一、または少なくとも95%同一である場合、サバイビンタンパク質のペプチド配列と96%、97%、98%または99%同一である場合も含めて、本発明の「サバイビン抗原」の意味のうちに含まれるとみなされるものとする。特定の実施形態において、サバイビンペプチドバリアントは、配列番号15の連続したアミノ酸配列に少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%同一な配列を有する。
【0092】
サバイビン抗原の由来であり得るサバイビンタンパク質は、このタンパク質が発現されるあらゆる動物種由来のサバイビンタンパク質である。特定の実施形態は、ヒト由来のサバイビンタンパク質である(配列番号15)。選択されたサバイビンタンパク質の配列に基づいて、サバイビン抗原は、サバイビンタンパク質またはコードする核酸のあらゆる適切な化学的または酵素的処置によって得てもよい。代替として、サバイビン抗原は、当業者によく知られたあらゆる従来のペプチドまたは核酸合成手順によって合成することもできる。
【0093】
本発明のサバイビン抗原(ペプチドまたは核酸)は、サバイビンの天然配列である配列を有していてもよい。代替として、サバイビン抗原は、例えば、本明細書に記載されるサバイビンペプチドバリアントまたは機能的な等価体などの、1つまたは複数の置換、欠失または付加によって改変されたペプチドまたは核酸配列であってもよい。ペプチドの免疫原性を増加させるサバイビンペプチドの例示的な手順および改変としては、例えば、HLAクラスI分子へのペプチドの結合を増加させる、アンカー位置に導入されるアミノ酸置換を含むWO2004/067023に記載されるもの(全ての意図する目的に関して参照によりその全体が本明細書に組み入れられる)が挙げられる。
【0094】
一実施形態において、サバイビン抗原は、MHCクラスI HLA分子と結合することが可能な、サバイビンタンパク質由来のあらゆるペプチド、またはそれらのあらゆるサバイビンペプチドバリアントである。これらの系統に沿って、サバイビン抗原は、対象における免疫応答を誘導または増強することが可能な、あらゆるサバイビンペプチド、またはそれらのサバイビンペプチドバリアントであってもよい。
【0095】
一実施形態において、サバイビン抗原は、対象において細胞傷害性Tリンパ球(CTL)応答を惹起することが可能なサバイビンタンパク質(配列番号15)由来のアミノ酸配列を含むペプチド抗原であるか、または前記ペプチドをコードする核酸分子である。
【0096】
一実施形態において、T細胞活性化治療薬は、配列番号15に記載のアミノ酸配列などのサバイビンタンパク質のアミノ酸配列に基づく、1つまたは複数の合成サバイビンペプチド、またはそのバリアントを含む。
【0097】
診断および療法的な目的のための、具体的にはがんにおけるそのような目的のための、サバイビンペプチド、サバイビンペプチドバリアントおよびサバイビンの機能的な等価体、ならびにそれらの使用は、例えば、WO2004/067023およびWO2006/081826に記載されており、これらのそれぞれは、全ての意図する目的に関してそれらの全体が本明細書に組み入れられる。これらの公報で開示された新規のペプチドは、がん患者において細胞傷害性Tリンパ球(CTL)応答を惹起することが可能であることが見出された。特に、WO2004/067023において、MHCクラスI拘束ペプチドは、サバイビンタンパク質由来であってもよく、これらは、MHCクラスI HLA分子に結合し、それにより様々ながん疾患に罹っている患者においてエクスビボおよびインサイチュの両方のCTL免疫応答を惹起することが可能であることが見出された。
【0098】
一実施形態において、本発明のT細胞活性化治療薬は、WO2004/067023およびWO2006/081826で開示された、サバイビンペプチド、サバイビンペプチドバリアントまたはサバイビンペプチドの機能的な等価体のいずれか1つまたは複数を含んでいてもよい。
【0099】
別の実施形態において、本発明のT細胞活性化治療薬は、HLA-A、HLA-BまたはHLA-C分子から選択されるMHCクラスI分子のいずれかと結合する能力を有する、サバイビンペプチド、サバイビンペプチドバリアントまたはサバイビンペプチドの機能的な等価体の1つまたは複数を含んでいてもよい。
【0100】
サバイビンペプチド、サバイビンペプチドバリアント、またはサバイビンペプチドの機能的な等価体が結合し得る例示的なMHCクラスI HLA-A分子としては、これらに限定されないが、HLA-A1、HLA-A2、HLA-A3、HLA-A9、HLA-A10、HLA-A11、HLA-A19、HLA-A23、HLA-A24、HLA-A25、HLA-A26、HLA-A28、HLA-A29、HLA-A30、HLA-A31、HLA-A32、HLA-A33、HLA-A34、HLA-A36、HLA-A43、HLA-A66、HLA-A68、およびHLA-A69が挙げられる。
【0101】
サバイビンペプチド、サバイビンペプチドバリアント、またはサバイビンペプチドの機能的な等価体が結合し得る例示的なMHCクラスI HLA-B分子としては、これらに限定されないが、HLA-B5、HLA-B7、HLA-B8、HLA-B12、HLA-B13、HLA-B14、HLA-B15、HLA-B16、HLA-B17、HLA-B18、HLA-B21、HLA-B22、HLA-B27、HLA-B35、HLA-B37、HLA-B38、HLA-B39、HLA-B40、HLA-B41、HLA-B42、HLA-B44、HLA-B45、HLA-B46およびHLA-B47が挙げられる。
【0102】
サバイビンペプチド、サバイビンペプチドバリアント、またはサバイビンペプチドの機能的な等価体が結合し得る例示的なMHCクラスI HLA-C分子としては、これらに限定されないが、HLA-C1、HLA-C2、HLA-C3、HLA-C4、HLA-C5、HLA-C6、HLA-C7およびHLA-C16が挙げられる。
【0103】
一部の実施形態において、T細胞活性化治療薬は、i)FEELTLGEF(配列番号1)[HLA-A1];ii)FTELTLGEF(配列番号2)[HLA-A1];iii)LTLGEFLKL(配列番号3)[HLA-A2];iv)LMLGEFLKL(配列番号4)[HLA-A2];v)RISTFKNWPF(配列番号5)[HLA-A3];vi)RISTFKNWPK(配列番号6)[HLA-A3];vii)STFKNWPFL(配列番号7)[HLA-A24];またはviii)LPPAWQPFL(配列番号8)[HLA-B7]から選択されるサバイビンペプチド抗原の1つもしくは複数、またはサバイビンペプチド抗原をコードする核酸分子を含んでよい。
【0104】
一部の実施形態において、T細胞活性化治療薬は、i)FTELTLGEF(配列番号2)[HLA-A1];ii)LMLGEFLKL(配列番号4)[HLA-A2];iii)RISTFKNWPK(配列番号6)[HLA-A3];iv)STFKNWPFL(配列番号7)[HLA-A24];またはv)LPPAWQPFL(配列番号8)[HLA-B7]から選択されるサバイビンペプチド抗原の1つもしくは複数、またはサバイビンペプチド抗原をコードする核酸分子を含んでよい。
【0105】
一部の実施形態において、T細胞活性化治療薬は、以下の5種のサバイビンペプチド抗原:i)FTELTLGEF(配列番号2)[HLA-A1];ii)LMLGEFLKL(配列番号4)[HLA-A2];iii)RISTFKNWPK(配列番号6)[HLA-A3];iv)STFKNWPFL(配列番号7)[HLA-A24];およびv)LPPAWQPFL(配列番号8)[HLA-B7]またはサバイビンペプチド抗原をコードする核酸分子を含んでよい。
【0106】
一部の実施形態において、T細胞活性化治療薬は、i)LMLGEFLKL(配列番号4)[HLA-A2]またはii)STFKNWPFL(配列番号7)[HLA-A24]から選択されるサバイビンペプチド抗原の1つもしくは複数、またはサバイビンペプチド抗原をコードする核酸分子を含んでよい。
【0107】
一部の実施形態において、T細胞活性化治療薬は、以下の2つのサバイビンペプチド抗原:i)LMLGEFLKL(配列番号4)[HLA-A2]およびii)STFKNWPFL(配列番号7)[HLA-A24]またはサバイビンペプチド抗原をコードする核酸分子を含んでよい。
【0108】
さらなる実施形態において、T細胞活性化治療薬は、2つのサバイビンペプチド:i)LMLGEFLKL(配列番号4)[HLA-A2]およびii)STFKNWPFL(配列番号7)[HLA-A24]を含む。
【0109】
上記で列挙したサバイビンペプチドは、これらに限定されないが、本発明に包含される例示的なMHCクラスI拘束ペプチドを表す。サバイビンペプチドのそれぞれが結合すると考えられる具体的なMHCクラスI HLA分子は、角括弧中の右側に示される。本発明のT細胞活性化治療薬は、これらのサバイビンペプチドの1つまたは複数をあらゆる好適な組合せで含んでいてもよい。
【0110】
(ii)MAGE-A9抗原
本発明のT細胞活性化治療薬組成物は、少なくとも1つのMAGE-A9抗原を含む。表現「少なくとも1つの」は、本明細書において、表現「1つまたは複数の」と同義的に使用される。これらの表現は、本明細書においてそうではないことが明示的に述べられない限り、T細胞活性化治療薬における異なるMAGE-A9抗原の数を指し、いずれか特定のMAGE-A9抗原の量を指さない。「少なくとも1つの」または「1つまたは複数の」の通常の意味に従って、本発明のT細胞活性化治療組成物は、最低限で1つのMAGE-A9抗原を含有する。
【0111】
MAGE-A9は、多種多様な悪性腫瘍において発現されるタンパク質のメラノーマ関連抗原(MAGE)グループに属するタンパク質である。MAGE-A9(ホモ・サピエンス(homo sapiens))のコーディング配列は1814ヌクレオチドの長さ(配列番号16)である。コードされるタンパク質MAGE-A9(ホモ・サピエンス(homo sapiens))は315アミノ酸の長さ(配列番号17)である。
【0112】
【0113】
MAGE-A9は、肺、膀胱、肝臓、卵巣、結腸、乳房、腎臓、および肝臓のがんを含む様々なヒトがんにおいて高い発現が報告されてきた、よく特徴付けられたがん/精巣抗原(CTA)である(Wei et al., 2018)。例えば比較研究において、MAGE-A9は、膀胱腫瘍においてNY-ESO-1またはMAGE-A3よりも強く、かつ高い頻度で発現した(Fradet et al., 2006; Picard et al., 2007)。したがって、がん細胞が標的化されるが正常細胞は標的化されないため、この事実により、MAGE-A9はがん療法のための理想的な標的となっている。さらに、MAGE-A9の発現には予後判定の価値があることが報告されている。
【0114】
MAGE-A9は、メラノーマ抗原遺伝子(MAGE)タンパク質ファミリーの一員である。ヒトMAGEファミリーのメンバーは2つのカテゴリー、すなわちi)X染色体上でクラスターを形成するMAGE-A、-B、および-Cサブファミリーメンバーを含むと考えられるI型MAGE、およびii)II型MAGE(MAGE-D、-E、-F、-G、-H、-Lサブファミリーおよびネクジン)に分けることができる。I型およびII型のMAGEのいずれも、ほぼ170アミノ酸で平均して全てのヒトMAGEの中で46%が保存されているMAGEホモロジードメイン(MHD)を含む。
【0115】
ある特定の実施形態において、本発明のT細胞活性化治療薬は、少なくとも1つのMAGE抗原を含む。以下のMAGE遺伝子は、これらに限定されないが、本発明のT細胞活性化治療薬中に抗原として取り込むことができるペプチド配列を有するMAGEタンパク質をコードする:MAGE-A1、MAGE-A2、MAGE-A2B、MAGE-A3、MAGE-A4、MAGE-A5、MAGE-A6、MAGE-A7、MAGE-A8、MAGE-A9、MAGE-A10、MAGE-A11、MAGE-A12、MAGE-A13P、MAGE-B1、MAGE-B2、MAGE-B3、MAGE-B4、MAGE-B5、MAGE-B6、MAGE-B10、MAGE-B16、MAGE-B17、MAGE-B18、MAGE-C1、MAGE-C2、MAGE-C3、MAGE-D1、MAGE-D2、MAGE-D3、MAGE-D4、MAGE-D4B、MAGE-E1、MAGE-E2、MAGE-F1、MAGE-G1、MAGE-H1、MAGE-L2、およびNDN。ある特定の実施形態において、MAGEタンパク質はMAGE-A9である。
【0116】
ある特定の実施形態において、本発明のT細胞活性化治療薬は、1つまたは複数のMAGE-A9抗原を含む。用語「MAGE-A9抗原」は、本明細書で使用される場合、MAGE-A9タンパク質由来のあらゆるペプチド、ポリペプチド、またはそのバリアント(例えば、MAGE-A9ペプチドバリアント)またはそれらのフラグメントを包含する。用語「MAGE-A9抗原」はまた、本明細書に記載されるMAGE-A9ペプチド、MAGE-A9ペプチドバリアント、またはMAGE-A9ペプチドの機能的な等価体をコードするポリヌクレオチドも包含する。
【0117】
ポリヌクレオチドは、DNA(例えば、ゲノムDNAまたはcDNA)もしくはRNA(例えば、mRNA)またはそれらの組合せであってもよい。これらは、天然に存在していてもよいし、または合成であってもよい(例えば、化学的に合成される)。ポリヌクレオチドは、ヌクレオチド鎖中に1つまたは複数の窒素塩基、ペントース糖またはリン酸基の改変を含有していてもよいことが企図される。このような改変は当業界において周知であり、例えばポリヌクレオチドの安定性を改善する目的のためであってもよい。
【0118】
一実施形態において、MAGE-A9抗原は、完全長のMAGE-A9ポリペプチドまたは完全長のMAGE-A9ポリペプチドをコードする核酸を含んでいてもよい。代替として、MAGE-A9抗原は、あらゆる長さのMAGE-A9タンパク質のフラグメントを含むMAGE-A9ペプチドであってもよい。例示的な実施形態としては、少なくとも5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24または25個のアミノ酸残基を含むMAGE-A9ペプチドが挙げられる。具体的な実施形態において、サバイビンペプチドは、それぞれMAGE-A9タンパク質(例えば、配列番号17)の7、8、9、10、11個の連続したアミノ酸残基からなる、ヘプタペプチド、オクタペプチド、ナノペプチド、デカペプチドまたはウンデカペプチドからなる。MAGE-A9抗原の特定の実施形態としては、約9または10アミノ酸のMAGE-A9ペプチドが挙げられる。
【0119】
本発明のMAGE-A9抗原はまた、MAGE-A9ペプチドのバリアントおよび機能的な等価体も包含する。MAGE-A9ペプチドのバリアントまたは機能的な等価体は、MAGE-A9タンパク質の特異的な配列と比較した差、例えば、1つまたは複数のアミノ酸置換、欠失もしくは付加、またはそれらのあらゆる組合せを含むアミノ酸配列を示すペプチドを包含する。この差は、MAGE-A9タンパク質配列とMAGE-A9ペプチドバリアントまたはMAGE-A9ペプチドの機能的な等価体との間の同一性の低減として測定することができる。
【0120】
アミノ酸配列間の同一性は、当業界において周知のアルゴリズムを使用して計算することができる。MAGE-A9ペプチドバリアントまたは機能的な等価体は、それらが、好ましくは、その全長にわたり、MAGE-A9タンパク質のペプチド配列に、少なくとも50%同一、例えば少なくとも60%同一、例えば少なくとも70%同一、例えば少なくとも75%同一、少なくとも80%同一、少なくとも85%同一、少なくとも90%同一、または少なくとも95%同一である場合、MAGE-A9タンパク質のペプチド配列と96%、97%、98%または99%同一である場合も含めて、本発明の「MAGE-A9抗原」の意味のうちに含まれるとみなされるものとする。特定の実施形態において、MAGE-A9ペプチドバリアントは、配列番号17の連続したアミノ酸配列と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%同一な配列を有する。
【0121】
MAGE-A9抗原の由来であり得るMAGE-A9タンパク質は、このタンパク質が発現されるあらゆる動物種由来のMAGE-A9タンパク質である。特定の実施形態は、ヒト由来のMAGE-A9タンパク質である(配列番号17)。選択されたMAGE-A9タンパク質の配列に基づいて、MAGE-A9抗原は、MAGE-A9タンパク質またはコードする核酸のあらゆる適切な化学的または酵素的処置によって得てもよい。代替として、MAGE-A9抗原は、当業者によく知られたあらゆる従来のペプチドまたは核酸合成手順によって合成することもできる。
【0122】
本発明のMAGE-A9抗原(ペプチドまたは核酸)は、MAGE-A9の天然配列である配列を有していてもよい。代替として、MAGE-A9抗原は、例えば、本明細書に記載されるMAGE-A9ペプチドバリアントまたは機能的な等価体などの、1つまたは複数の置換、欠失または付加によって改変されたペプチドまたは核酸配列であってもよい。
【0123】
一実施形態において、MAGE-A9抗原は、MHCクラスI HLA分子と結合することが可能な、MAGE-A9タンパク質由来のあらゆるペプチド、またはそれらのあらゆるMAGE-A9ペプチドバリアントである。これらの系統に沿って、MAGE-A9抗原は、対象における免疫応答を誘導または増強することが可能な、あらゆるMAGE-A9ペプチド、またはそれらのMAGE-A9ペプチドバリアントであってもよい。
【0124】
一実施形態において、MAGE-A9抗原は、対象において細胞傷害性Tリンパ球(CTL)応答を惹起することが可能なMAGE-A9タンパク質(配列番号17)由来のアミノ酸配列を含むペプチド抗原であるか、または前記ペプチドをコードする核酸分子である。
【0125】
一実施形態において、T細胞活性化治療薬は、配列番号17に記載のアミノ酸配列などのMAGE-A9タンパク質のアミノ酸配列に基づく、1つまたは複数の合成MAGE-A9ペプチド、またはそのバリアントを含む。
【0126】
別の実施形態において、本発明のT細胞活性化治療薬は、HLA-A、HLA-BまたはHLA-C分子から選択されるMHCクラスI分子のいずれかと結合する能力を有する、MAGE-A9ペプチド、MAGE-A9ペプチドバリアントまたはMAGE-A9ペプチドの機能的な等価体の1つまたは複数を含んでいてもよい。
【0127】
MAGE-A9ペプチド、MAGE-A9ペプチドバリアント、またはMAGE-A9ペプチドの機能的な等価体が結合し得る例示的なMHCクラスI HLA-A分子としては、これらに限定されないが、HLA-A1、HLA-A2、HLA-A3、HLA-A9、HLA-A10、HLA-A11、HLA-A19、HLA-A23、HLA-A24、HLA-A25、HLA-A26、HLA-A28、HLA-A29、HLA-A30、HLA-A31、HLA-A32、HLA-A33、HLA-A34、HLA-A36、HLA-A43、HLA-A66、HLA-A68、およびHLA-A69が挙げられる。
【0128】
MAGE-A9ペプチド、MAGE-A9ペプチドバリアント、またはMAGE-A9ペプチドの機能的な等価体が結合し得る例示的なMHCクラスI HLA-B分子としては、これらに限定されないが、HLA-B5、HLA-B7、HLA-B8、HLA-B12、HLA-B13、HLA-B14、HLA-B15、HLA-B16、HLA-B17、HLA-B18、HLA-B21、HLA-B22、HLA-B27、HLA-B35、HLA-B37、HLA-B38、HLA-B39、HLA-B40、HLA-B41、HLA-B42、HLA-B44、HLA-B45、HLA-B46およびHLA-B47が挙げられる。
【0129】
MAGE-A9ペプチド、MAGE-A9ペプチドバリアント、またはMAGE-A9ペプチドの機能的な等価体が結合し得る例示的なMHCクラスI HLA-C分子としては、これらに限定されないが、HLA-C1、HLA-C2、HLA-C3、HLA-C4、HLA-C5、HLA-C6、HLA-C7およびHLA-C16が挙げられる。
【0130】
特定の実施形態において、T細胞活性化治療薬は、HLA-A1、HLA-A2、HLA-A3、HLA-A24、および/またはHLA-B7のいずれか1つと結合する1つまたは複数のMAGE-A9ペプチド抗原を含んでよい。特定の実施形態において、T細胞活性化治療薬は、HLA-A2と結合する1つまたは複数のMAGE-A9ペプチド抗原を含んでよい。特定の実施形態において、T細胞活性化治療薬は、HLA-A1、HLA-A2、HLA-A3、HLA-A24、およびHLA-B7のそれぞれと結合する少なくとも5つのMAGE-A9ペプチド抗原を含んでよい。
【0131】
特定の実施形態において、T細胞活性化治療薬は、それぞれHLA-A1、HLA-A2、HLA-A3、HLA-A24、またはHLA-B7の1つまたは複数と結合する少なくとも1つのMAGE-A9ペプチド抗原を含んでよい。特定の実施形態において、T細胞活性化治療薬は、HLA-A1、HLA-A2、HLA-A3、HLA-A24、またはHLA-Bのただ1つと集合的に結合する少なくとも1つのMAGE-A9ペプチド抗原を含んでよい。特定の実施形態において、T細胞活性化治療薬は、HLA-A1、HLA-A2、HLA-A3、HLA-A24、またはHLA-B7の2つと集合的に結合する少なくとも2つのMAGE-A9ペプチド抗原を含んでよい。特定の実施形態において、T細胞活性化治療薬は、HLA-A1、HLA-A2、HLA-A3、HLA-A24、またはHLA-B7の3つと集合的に結合する少なくとも3つのMAGE-A9ペプチド抗原を含んでよい。特定の実施形態において、T細胞活性化治療薬は、HLA-A1、HLA-A2、HLA-A3、HLA-A24、またはHLA-B7の4つと集合的に結合する少なくとも4つのMAGE-A9ペプチド抗原を含んでよい。特定の実施形態において、T細胞活性化治療薬は、HLA-A1、HLA-A2、HLA-A3、HLA-A24、およびHLA-B7のそれぞれと集合的に結合する少なくとも5つのMAGE-A9ペプチド抗原を含んでよい。
【0132】
特定の実施形態において、T細胞活性化治療薬は、配列番号9~12、26~44、46~52、54~62、64~75、もしくは79~93から選択されるMAGE-A9ペプチド抗原の1つまたは複数、またはそれらのあらゆる組合せ、または前記MAGE-A9ペプチド抗原をコードする核酸分子を含んでよい。ある特定の実施形態において、T細胞活性化治療薬は、表17に引用したMAGE-A9抗原から選択されるMAGE-A9ペプチド抗原の1つまたは複数を含んでよい。
【0133】
一実施形態において、T細胞活性化治療薬は、i)KVAELVHFL(配列番号9)[MAGE-A9 111];ii)GLMGAQEPT(配列番号10)[MAGE-A9 24];iii)ALSVMGVYV(配列番号11)[MAGE-A9 223];iv)FLWGSKAHA(配列番号12)[MAGE-A9 270] v)FMFQEALKL(配列番号26)[MAGE-A9 102];vi)EVDPAGHSY(配列番号27)[MAGE-A9 167];vii)NYKRYFPVI(配列番号28)[MAGE-A9 141];viii)VYYTLWSQF(配列番号29)[MAGE-A9 71];ix)SYILVTALG(配列番号30)[MAGE-A9 174];x)MPKAALLII(配列番号31)[MAGE-A9 195];xi)SVMGVYVGK(配列番号32)[MAGE-A9 225];xii)ALLIIVLGV(配列番号33)[MAGE-A9 199];xiii)FLLHKYRVK(配列番号34)[MAGE-A9 118];またはxiv)IVLGVILTK(配列番号35)[MAGE-A9 203]から選択されるMAGE-A9ペプチド抗原の1つまたは複数、またはサバイビンペプチド抗原をコードする核酸分子を含んでよい。
【0134】
一実施形態において、T細胞活性化治療薬は、i)KVAELVHFL(配列番号9)[MAGE-A9 111];ii)GLMGAQEPT(配列番号10)[MAGE-A9 24];iii)ALSVMGVYV(配列番号11)[MAGE-A9 223];iv)FLWGSKAHA(配列番号12)[MAGE-A9 270] v)FMFQEALKL(配列番号26)[MAGE-A9 102];vi)EVDPAGHSY(配列番号27)[MAGE-A9 167];vii)NYKRYFPVI(配列番号28)[MAGE-A9 141];viii)MPKAALLII(配列番号31)[MAGE-A9 195];またはix)SVMGVYVGK(配列番号32)[MAGE-A9 225]から選択されるMAGE-A9ペプチド抗原の1つまたは複数、またはサバイビンペプチド抗原をコードする核酸分子を含んでよい。
【0135】
一実施形態において、T細胞活性化治療薬は、i)KVAELVHFL(配列番号9)[MAGE-A9 111];ii)FMFQEALKL(配列番号26)[MAGE-A9 102];iii)EVDPAGHSY(配列番号27)[MAGE-A9 167];iv)NYKRYFPVI(配列番号28)[MAGE-A9 141];v)VYYTLWSQF(配列番号29)[MAGE-A9 71];vi)SYILVTALG(配列番号30)[MAGE-A9 174];vii)MPKAALLII(配列番号31)[MAGE-A9 195];viii)SVMGVYVGK(配列番号32)[MAGE-A9 225];ix)ALLIIVLGV(配列番号33)[MAGE-A9 199];x)FLLHKYRVK(配列番号34)[MAGE-A9 118];またはxi)IVLGVILTK(配列番号35)[MAGE-A9 203]から選択されるMAGE-A9ペプチド抗原の1つまたは複数、またはサバイビンペプチド抗原をコードする核酸分子を含んでよい。
【0136】
一実施形態において、T細胞活性化治療薬は、i)KVAELVHFL(配列番号9)[MAGE-A9 111];ii)GLMGAQEPT(配列番号10)[MAGE-A9 24];iii)ALSVMGVYV(配列番号11)[MAGE-A9 223];iv)FLWGSKAHA(配列番号12)[MAGE-A9 270] v)FMFQEALKL(配列番号26)[MAGE-A9 102];vi)EVDPAGHSY(配列番号27)[MAGE-A9 167];vii)NYKRYFPVI(配列番号28)[MAGE-A9 141];viii)MPKAALLII(配列番号31)[MAGE-A9 195];またはix)SVMGVYVGK(配列番号32)[MAGE-A9 225]から選択されるMAGE-A9ペプチド抗原の1つまたは複数、またはサバイビンペプチド抗原をコードする核酸分子を含んでよい。
【0137】
一実施形態において、T細胞活性化治療薬は、i)KVAELVHFL(配列番号9)[MAGE-A9 111];ii)FMFQEALKL(配列番号26)[MAGE-A9 102];iii)EVDPAGHSY(配列番号27)[MAGE-A9 167];iv)NYKRYFPVI(配列番号28)[MAGE-A9 141];v)MPKAALLII(配列番号31)[MAGE-A9 195];またはvi)SVMGVYVGK(配列番号32)[MAGE-A9 225]から選択されるMAGE-A9ペプチド抗原の1つまたは複数、またはサバイビンペプチド抗原をコードする核酸分子を含んでよい。
【0138】
一実施形態において、T細胞活性化治療薬は、i)KVAELVHFL(配列番号9)[MAGE-A9 111];ii)FMFQEALKL(配列番号26)[MAGE-A9 102];iii)EVDPAGHSY(配列番号27)[MAGE-A9 167];iv)NYKRYFPVI(配列番号28)[MAGE-A9 141];v)SYILVTALG(配列番号30)[MAGE-A9 174];vi)MPKAALLII(配列番号31)[MAGE-A9 195];またはvii)SVMGVYVGK(配列番号32)[MAGE-A9 225]から選択されるMAGE-A9ペプチド抗原の1つまたは複数、またはサバイビンペプチド抗原をコードする核酸分子を含んでよい。
【0139】
さらなる実施形態において、T細胞活性化治療薬は、以下の4つのMAGE-A9ペプチド抗原:i)KVAELVHFL(配列番号9)[MAGE-A9 111];ii)GLMGAQEPT(配列番号10)[MAGE-A9 24];iii)ALSVMGVYV(配列番号11)[MAGE-A9 223];およびiv)FLWGSKAHA(配列番号12)[MAGE-A9 270]、またはサバイビンペプチド抗原をコードする核酸分子を含む。
【0140】
さらなる実施形態において、T細胞活性化治療薬は、以下の3つのMAGE-A9ペプチド抗原:i)KVAELVHFL(配列番号9)[MAGE-A9 111];ii)GLMGAQEPT(配列番号10)[MAGE-A9 24];およびiii)FLWGSKAHA(配列番号12)[MAGE-A9 270]、またはサバイビンペプチド抗原をコードする核酸分子を含む。
【0141】
さらなる実施形態において、T細胞活性化治療薬は、以下の4つのMAGE-A9ペプチド抗原:i)KVAELVHFL(配列番号9)[MAGE-A9 111];ii)GLMGAQEPT(配列番号10)[MAGE-A9 24];iii)ALSVMGVYV(配列番号11)[MAGE-A9 223];およびiv)FLWGSKAHA(配列番号12)[MAGE-A9 270]を含む。
【0142】
さらなる実施形態において、T細胞活性化治療薬は、以下の3つのMAGE-A9ペプチド抗原i)KVAELVHFL(配列番号9)[MAGE-A9 111];ii)GLMGAQEPT(配列番号10)[MAGE-A9 24];およびiii)FLWGSKAHA(配列番号12)[MAGE-A9 270]を含む。
【0143】
上記で列挙したMAGE-A9ペプチドは、これらに限定されないが、本発明に包含される例示的なMHCクラスI拘束ペプチドを表す。MAGE-A9ペプチドのそれぞれが結合すると考えられる具体的なMHCクラスI HLA分子は、角括弧中の右側に示される。本発明のT細胞活性化治療薬は、これらのMAGE-A9ペプチドの1つまたは複数をあらゆる好適な組合せで含んでいてもよい。
【0144】
(iii)サバイビンとMAGE-A9抗原の両方を標的とする二重T細胞活性化治療薬の非限定的な例
ある特定の実施形態において、T細胞活性化治療薬は、配列番号1~8のアミノ酸を含むいずれか1つまたは複数のサバイビンペプチド、またはサバイビンペプチド抗原をコードする核酸分子、および配列番号9~12、26~44、46~52、54~62、64~75、もしくは79~93のアミノ酸を含む1つまたは複数のMAGE-A9ペプチド、またはサバイビンペプチド抗原をコードする核酸分子を含む。ある特定の実施形態において、T細胞活性化治療薬は、表17のいずれか1つまたは複数のサバイビンペプチドおよび1つまたは複数のMAGE-A9ペプチドを含む。
【0145】
さらなる実施形態において、T細胞活性化治療薬は、以下に列挙した8つのサバイビンペプチド:i)FEELTLGEF(配列番号1)[HLA-A1];ii)FTELTLGEF(配列番号2)[HLA-A1];iii)LTLGEFLKL(配列番号3)[HLA-A2];iv)LMLGEFLKL(配列番号4)[HLA-A2];v)RISTFKNWPF(配列番号5)[HLA-A3];vi)RISTFKNWPK(配列番号6)[HLA-A3];vii)STFKNWPFL(配列番号7)[HLA-A24];またはviii)LPPAWQPFL(配列番号8)[HLA-B7]のいずれか1つまたは複数をあらゆる好適な組合せで、またはサバイビンペプチド抗原をコードする核酸分子、および以下に列挙した9つのMAGE-A9ペプチド:i)KVAELVHFL(配列番号9)[MAGE-A9 111];ii)GLMGAQEPT(配列番号10)[MAGE-A9 24];iii)ALSVMGVYV(配列番号11)[MAGE-A9 223];iv)FLWGSKAHA(配列番号12)[MAGE-A9 270] v)FMFQEALKL(配列番号26);vi)EVDPAGHSY(配列番号27);vii)NYKRYFPVI(配列番号28);viii)VYYTLWSQF(配列番号29);またはix)SYILVTALG(配列番号30)のいずれか1つをあらゆる好適な組合せで、またはサバイビンペプチド抗原をコードする核酸分子を含む。
【0146】
さらなる実施形態において、T細胞活性化治療薬は、以下に列挙した5つのサバイビンペプチド:i)FTELTLGEF(配列番号2)[HLA-A1];ii)LMLGEFLKL(配列番号4)[HLA-A2];iii)RISTFKNWPK(配列番号6)[HLA-A3];iv)STFKNWPFL(配列番号7)[HLA-A24];またはv)LPPAWQPFL(配列番号8)[HLA-B7]のいずれか1つまたは複数をあらゆる好適な組合せで、またはサバイビンペプチド抗原をコードする核酸分子、および以下に列挙した14個のMAGE-A9ペプチド:i)KVAELVHFL(配列番号9)[MAGE-A9 111];ii)GLMGAQEPT(配列番号10)[MAGE-A9 24];iii)ALSVMGVYV(配列番号11)[MAGE-A9 223];iv)FLWGSKAHA(配列番号12)[MAGE-A9 270] v)FMFQEALKL(配列番号26)[MAGE-A9 102];vi)EVDPAGHSY(配列番号27)[MAGE-A9 167];vii)NYKRYFPVI(配列番号28)[MAGE-A9 141];viii)VYYTLWSQF(配列番号29)[MAGE-A9 71];もしくはix)SYILVTALG(配列番号30)[MAGE-A9 174];x)MPKAALLII(配列番号31)[MAGE-A9 195];xi)SVMGVYVGK(配列番号32)[MAGE-A9 225];xii)ALLIIVLGV(配列番号33)[MAGE-A9 199];xiii)FLLHKYRVK(配列番号34)[MAGE-A9 118];またはxiv)IVLGVILTK(配列番号35)[MAGE-A9 203]のいずれか1つをあらゆる好適な組合せで、またはサバイビンペプチド抗原をコードする核酸分子を含む。
【0147】
さらなる実施形態において、T細胞活性化治療薬は、以下に列挙した5つのサバイビンペプチド:i)FTELTLGEF(配列番号2)[HLA-A1];ii)LMLGEFLKL(配列番号4)[HLA-A2];iii)RISTFKNWPK(配列番号6)[HLA-A3];iv)STFKNWPFL(配列番号7)[HLA-A24];またはv)LPPAWQPFL(配列番号8)[HLA-B7]のいずれか1つまたは複数をあらゆる好適な組合せで、またはサバイビンペプチド抗原をコードする核酸分子、および以下に列挙した11個のMAGE-A9ペプチド:i)KVAELVHFL(配列番号9)[MAGE-A9 111];ii)FMFQEALKL(配列番号26)[MAGE-A9 102];iii)EVDPAGHSY(配列番号27)[MAGE-A9 167];iv)NYKRYFPVI(配列番号28)[MAGE-A9 141];v)VYYTLWSQF(配列番号29)[MAGE-A9 71];vi)SYILVTALG(配列番号30)[MAGE-A9 174];vii)MPKAALLII(配列番号31)[MAGE-A9 195];viii)SVMGVYVGK(配列番号32)[MAGE-A9 225];ix)ALLIIVLGV(配列番号33)[MAGE-A9 199];x)FLLHKYRVK(配列番号34)[MAGE-A9 118];またはxi)IVLGVILTK(配列番号35)[MAGE-A9 203]のいずれか1つをあらゆる好適な組合せで、またはサバイビンペプチド抗原をコードする核酸分子を含む。
【0148】
さらなる実施形態において、T細胞活性化治療薬は、以下に列挙した5つのサバイビンペプチド:i)FTELTLGEF(配列番号2)[HLA-A1];ii)LMLGEFLKL(配列番号4)[HLA-A2];iii)RISTFKNWPK(配列番号6)[HLA-A3];iv)STFKNWPFL(配列番号7)[HLA-A24];またはv)LPPAWQPFL(配列番号8)[HLA-B7]のいずれか1つまたは複数をあらゆる好適な組合せで、またはサバイビンペプチド抗原をコードする核酸分子、および以下に列挙した9つのMAGE-A9ペプチド:i)KVAELVHFL(配列番号9)[MAGE-A9 111];ii)GLMGAQEPT(配列番号10)[MAGE-A9 24];iii)ALSVMGVYV(配列番号11)[MAGE-A9 223];iv)FLWGSKAHA(配列番号12)[MAGE-A9 270] v)FMFQEALKL(配列番号26)[MAGE-A9 102];vi)EVDPAGHSY(配列番号27)[MAGE-A9 167];vii)NYKRYFPVI(配列番号28)[MAGE-A9 141];viii)MPKAALLII(配列番号31)[MAGE-A9 195];またはix)SVMGVYVGK(配列番号32)[MAGE-A9 225]のいずれか1つをあらゆる好適な組合せで、またはサバイビンペプチド抗原をコードする核酸分子を含む。
【0149】
さらなる実施形態において、T細胞活性化治療薬は、以下に列挙した5つのサバイビンペプチド:i)FTELTLGEF(配列番号2)[HLA-A1];ii)LMLGEFLKL(配列番号4)[HLA-A2];iii)RISTFKNWPK(配列番号6)[HLA-A3];iv)STFKNWPFL(配列番号7)[HLA-A24];またはv)LPPAWQPFL(配列番号8)[HLA-B7]のいずれか1つまたは複数をあらゆる好適な組合せで、またはサバイビンペプチド抗原をコードする核酸分子、および以下に列挙した6つのMAGE-A9ペプチド:i)KVAELVHFL(配列番号9)[MAGE-A9 111];ii)FMFQEALKL(配列番号26)[MAGE-A9 102];iii)EVDPAGHSY(配列番号27)[MAGE-A9 167];iv)NYKRYFPVI(配列番号28)[MAGE-A9 141];v)MPKAALLII(配列番号31)[MAGE-A9 195];またはvi)SVMGVYVGK(配列番号32)[MAGE-A9 225]のいずれか1つをあらゆる好適な組合せで、またはサバイビンペプチド抗原をコードする核酸分子を含む。
【0150】
さらなる実施形態において、T細胞活性化治療薬は、以下に列挙した5つのサバイビンペプチド:i)FTELTLGEF(配列番号2)[HLA-A1];ii)LMLGEFLKL(配列番号4)[HLA-A2];iii)RISTFKNWPK(配列番号6)[HLA-A3];iv)STFKNWPFL(配列番号7)[HLA-A24];またはv)LPPAWQPFL(配列番号8)[HLA-B7]のいずれか1つまたは複数をあらゆる好適な組合せで、またはサバイビンペプチド抗原をコードする核酸分子、および以下に列挙した7つのMAGE-A9ペプチド:i)KVAELVHFL(配列番号9)[MAGE-A9 111];ii)FMFQEALKL(配列番号26)[MAGE-A9 102];iii)EVDPAGHSY(配列番号27)[MAGE-A9 167];iv)NYKRYFPVI(配列番号28)[MAGE-A9 141];v)SYILVTALG(配列番号30)[MAGE-A9 174];vi)MPKAALLII(配列番号31)[MAGE-A9 195];またはvii)SVMGVYVGK(配列番号32)[MAGE-A9 225]のいずれか1つをあらゆる好適な組合せで、またはサバイビンペプチド抗原をコードする核酸分子を含む。
【0151】
さらなる実施形態において、T細胞活性化治療薬は、以下に列挙した2つのサバイビンペプチド:i)LMLGEFLKL(配列番号4)[HLA-A2]またはii)STFKNWPFL(配列番号7)[HLA-A24]のいずれか1つまたは複数をあらゆる好適な組合せで、またはサバイビンペプチド抗原をコードする核酸分子、および以下に列挙した4つのMAGE-A9ペプチド:i)KVAELVHFL(配列番号9)[MAGE-A9 111];ii)GLMGAQEPT(配列番号10)[MAGE-A9 24];iii)ALSVMGVYV(配列番号11)[MAGE-A9 223];またはiv)FLWGSKAHA(配列番号12)[MAGE-A9 270]のいずれか1つをあらゆる好適な組合せで、またはサバイビンペプチド抗原をコードする核酸分子を含む。
【0152】
さらなる実施形態において、T細胞活性化治療薬は、以下に列挙した2つのサバイビンペプチド:i)LMLGEFLKL(配列番号4)[HLA-A2]またはii)STFKNWPFL(配列番号7)[HLA-A24]のいずれか1つまたは複数をあらゆる好適な組合せで、またはサバイビンペプチド抗原をコードする核酸分子、および以下に列挙した3つのMAGE-A9ペプチド:i)KVAELVHFL(配列番号9)[MAGE-A9 111];ii)GLMGAQEPT(配列番号10)[MAGE-A9 24];またはiii)FLWGSKAHA(配列番号12)[MAGE-A9 270]のいずれか1つをあらゆる好適な組合せで、またはサバイビンペプチド抗原をコードする核酸分子を含む。
【0153】
特定の実施形態において、T細胞活性化治療薬は、以下に列挙した2つのサバイビンペプチド:i)LMLGEFLKL(配列番号4)[HLA-A2]およびii)STFKNWPFL(配列番号7)[HLA-A24]、またはサバイビンペプチド抗原をコードする核酸分子、および以下に列挙した4つのMAGE-A9ペプチド:i)KVAELVHFL(配列番号9)[MAGE-A9 111];ii)GLMGAQEPT(配列番号10)[MAGE-A9 24];iii)ALSVMGVYV(配列番号11)[MAGE-A9 223];およびiv)FLWGSKAHA(配列番号12)[MAGE-A9 270]またはサバイビンペプチド抗原をコードする核酸分子を含む。
【0154】
特定の実施形態において、T細胞活性化治療薬は、以下に列挙した2つのサバイビンペプチド:i)LMLGEFLKL(配列番号4)[HLA-A2]およびii)STFKNWPFL(配列番号7)[HLA-A24]、またはサバイビンペプチド抗原をコードする核酸分子、および以下に列挙した3つのMAGE-A9ペプチド:i)KVAELVHFL(配列番号9)[MAGE-A9 111];ii)GLMGAQEPT(配列番号10)[MAGE-A9 24];およびiii)FLWGSKAHA(配列番号12)[MAGE-A9 270]、またはサバイビンペプチド抗原をコードする核酸分子を含む。
【0155】
特定の実施形態において、T細胞活性化治療薬は、以下に列挙した2つのサバイビンペプチド:i)LMLGEFLKL(配列番号4)[HLA-A2]およびii)STFKNWPFL(配列番号7)[HLA-A24]、および以下に列挙した4つのMAGE-A9ペプチド:i)KVAELVHFL(配列番号9)[MAGE-A9 111];ii)GLMGAQEPT(配列番号10)[MAGE-A9 24];iii)ALSVMGVYV(配列番号11)[MAGE-A9 223];およびiv)FLWGSKAHA(配列番号12)[MAGE-A9 270]を含む。
【0156】
特定の実施形態において、T細胞活性化治療薬は、以下に列挙した2つのサバイビンペプチド:i)LMLGEFLKL(配列番号4)[HLA-A2]およびii)STFKNWPFL(配列番号7)[HLA-A24]、ならびに以下に列挙した3つのMAGE-A9ペプチド:i)KVAELVHFL(配列番号9)[MAGE-A9 111];ii)GLMGAQEPT(配列番号10)[MAGE-A9 24];およびiii)FLWGSKAHA(配列番号12)[MAGE-A9 270]を含む。
【0157】
少なくとも1つのサバイビン抗原および少なくとも1つのMAGE-A9抗原に加えて、本発明のT細胞活性化治療薬のさらなる実施形態は、がんの処置において有用な、またはがんに対する免疫応答を誘導もしくは増強することにおいて有用な1つまたは複数の追加の抗原を含んでいてもよい。
【0158】
さらなる実施形態において、サバイビンとMAGE-A9の両方を標的とする二重T細胞活性化治療薬組成物は、Tヘルパーエピトープ;アジュバント;脂質小胞粒子;および疎水性物質の連続相を含む担体をさらに含んでいてもよい。Tヘルパーエピトープは、例えば、アミノ酸配列AQYIKANSKFIGITEL(配列番号13)を含むペプチドであり得る。アジュバントは、例えば、RNAまたはDNAベースのポリヌクレオチドアジュバント(例えばポリI:C、ポリdIdC、配列番号22など)であり得る。脂質小胞粒子は、例えば、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DOPC;合成リン脂質)およびコレステロールで構成されていてもよい。疎水性担体は、例えばMontanide(登録商標)ISA51VGであり得る。
【0159】
ある特定の実施形態において、T細胞活性化治療薬は、少なくとも1つのサバイビン抗原を含み、各サバイビン抗原は、約0.01mg/mlから約10mg/ml、約0.025mg/mlから約9mg/ml、約0.05mg/mlから約8mg/ml、約0.075mg/mlから約7mg/ml、約0.1mg/mlから約6mg/ml、約0.25mg/mlから約5mg/ml、約0.5mg/mlから約4mg/ml、約0.75mg/mlから約3mg/ml、約1mg/mlから約2mg/mlの濃度である。ある特定の実施形態において、T細胞活性化治療薬は、少なくとも1つのサバイビン抗原を含み、各サバイビン抗原は、約0.1mg/mlから約5mg/ml、約0.5mg/mlから約3mg/ml、または約0.5mg/mlから約2mg/mlの濃度である。ある特定の実施形態において、本発明のT細胞活性化治療薬は、少なくとも1つのサバイビン抗原を含み、各サバイビン抗原は、約0.01mg/ml、約0.02mg/ml、約0.03mg/ml、約0.04mg/ml、約0.05mg/ml、約0.06mg/ml、約0.07mg/ml、約0.08mg/ml、約0.09mg/ml、約0.1mg/ml、約0.2mg/ml、約0.3mg/ml、約0.4mg/ml、約0.5mg/ml、約0.6mg/ml、約0.7mg/ml、約0.8mg/ml、約0.9mg/ml、約1mg/ml、約2mg/ml、約3mg/ml、約4mg/ml、約5mg/ml、約6mg/ml、約7mg/ml、約8mg/ml、約9mg/ml、または約10mg/mlの濃度である。ある特定の実施形態において、T細胞活性化治療薬は、少なくとも1つのサバイビン抗原を含み、各サバイビン抗原は、約1mg/mlの濃度である。
【0160】
ある特定の実施形態において、T細胞活性化治療薬は、少なくとも1つのMAGE抗原を含み、各MAGE抗原は、約0.01mg/mlから約10mg/ml、約0.025mg/mlから約9mg/ml、約0.05mg/mlから約8mg/ml、約0.075mg/mlから約7mg/ml、約0.1mg/mlから約6mg/ml、約0.25mg/mlから約5mg/ml、約0.5mg/mlから約4mg/ml、約0.75mg/mlから約3mg/ml、約1mg/mlから約2mg/mlの濃度である。ある特定の実施形態において、T細胞活性化治療薬は、少なくとも1つのMAGE抗原を含み、各MAGE抗原は、約0.1mg/mlから約5mg/ml、約0.5mg/mlから約3mg/ml、または約0.5mg/mlから約2mg/mlの濃度である。ある特定の実施形態において、T細胞活性化治療薬は、少なくとも1つのMAGE抗原を含み、各MAGE抗原は、約0.01mg/ml、約0.02mg/ml、約0.03mg/ml、約0.04mg/ml、約0.05mg/ml、約0.06mg/ml、約0.07mg/ml、約0.08mg/ml、約0.09mg/ml、約0.1mg/ml、約0.2mg/ml、約0.3mg/ml、約0.4mg/ml、約0.5mg/ml、約0.6mg/ml、約0.7mg/ml、約0.8mg/ml、約0.9mg/ml、約1mg/ml、約2mg/ml、約3mg/ml、約4mg/ml、約5mg/ml、約6mg/ml、約7mg/ml、約8mg/ml、約9mg/ml、または約10mg/mlの濃度である。ある特定の実施形態において、T細胞活性化治療薬は、少なくとも1つのMAGE抗原を含み、各MAGE抗原は、約1mg/mlの濃度である。
【0161】
ある特定の実施形態において、組成物は少なくとも1つのTヘルパーエピトープを含み、Tヘルパーエピトープは、約0.01mg/mlから約5mg/ml、約0.01mg/mlから約10mg/ml、約0.025mg/mlから約9mg/ml、約0.05mg/mlから約8mg/ml、約0.075mg/mlから約7mg/ml、約0.1mg/mlから約6mg/ml、約0.25mg/mlから約5mg/ml、約0.5mg/mlから約4mg/ml、約0.75mg/mlから約3mg/ml、約1mg/mlから約2mg/mlの濃度である。ある特定の実施形態において、組成物は少なくとも1つのTヘルパーエピトープを含み、Tヘルパーエピトープは、約0.1mg/mlから約5mg/ml、約0.5mg/mlから約3mg/ml、または約0.5mg/mlから約2mg/mlの濃度である。ある特定の実施形態において、組成物は少なくとも1つのTヘルパーエピトープを含み、Tヘルパーエピトープは、約0.01mg/ml、約0.02mg/ml、約0.03mg/ml、約0.04mg/ml、約0.05mg/ml、約0.06mg/ml、約0.07mg/ml、約0.08mg/ml、約0.09mg/ml、約0.1mg/ml、約0.2mg/ml、約0.3mg/ml、約0.4mg/ml、約0.5mg/ml、約0.6mg/ml、約0.7mg/ml、約0.8mg/ml、約0.9mg/ml、約1mg/ml、約2mg/ml、約3mg/ml、約4mg/ml、約5mg/ml、約6mg/ml、約7mg/ml、約8mg/ml、約9mg/ml、または約10mg/mlの濃度である。
【0162】
ある特定の実施形態において、組成物は少なくとも1つのアジュバントを含み、アジュバントは、約0.01mg/mlから約4mg/ml、約0.01mg/mlから約10mg/ml、約0.025mg/mlから約9mg/ml、約0.05mg/mlから約8mg/ml、約0.075mg/mlから約7mg/ml、約0.1mg/mlから約6mg/ml、約0.25mg/mlから約5mg/ml、約0.5mg/mlから約4mg/ml、約0.75mg/mlから約3mg/ml、約1mg/mlから約2mg/mlの濃度である。ある特定の実施形態において、組成物は少なくとも1つのアジュバントを含み、アジュバントは、約0.1mg/mlから約5mg/ml、約0.5mg/mlから約3mg/ml、または約0.5mg/mlから約2mg/mlの濃度である。ある特定の実施形態において、組成物は少なくとも1つのアジュバントを含み、アジュバントは、約0.01mg/ml、約0.02mg/ml、約0.03mg/ml、約0.04mg/ml、約0.05mg/ml、約0.06mg/ml、約0.07mg/ml、約0.08mg/ml、約0.09mg/ml、約0.1mg/ml、約0.2mg/ml、約0.3mg/ml、約0.4mg/ml、約0.5mg/ml、約0.6mg/ml、約0.7mg/ml、約0.8mg/ml、約0.9mg/ml、約1mg/ml、約2mg/ml、約3mg/ml、約4mg/ml、約5mg/ml、約6mg/ml、約7mg/ml、約8mg/ml、約9mg/ml、または約10mg/mlの濃度である。
【0163】
ある特定の実施形態において、組成物は少なくとも1つの脂質を含み、脂質は、約30mg/mlから約240mg/ml、約0.01mg/mlから約10mg/ml、約0.025mg/mlから約9mg/ml、約0.05mg/mlから約8mg/ml、約0.075mg/mlから約7mg/ml、約0.1mg/mlから約6mg/ml、約0.25mg/mlから約5mg/ml、約0.5mg/mlから約4mg/ml、約0.75mg/mlから約3mg/ml、約1mg/mlから約2mg/mlの濃度である。ある特定の実施形態において、組成物は少なくとも1つの脂質を含み、脂質は、約0.1mg/mlから約5mg/ml、約0.5mg/mlから約3mg/ml、または約0.5mg/mlから約2mg/mlの濃度である。ある特定の実施形態において、組成物は少なくとも1つの脂質を含み、脂質は、約0.01mg/ml、約0.02mg/ml、約0.03mg/ml、約0.04mg/ml、約0.05mg/ml、約0.06mg/ml、約0.07mg/ml、約0.08mg/ml、約0.09mg/ml、約0.1mg/ml、約0.2mg/ml、約0.3mg/ml、約0.4mg/ml、約0.5mg/ml、約0.6mg/ml、約0.7mg/ml、約0.8mg/ml、約0.9mg/ml、約1mg/ml、約2mg/ml、約3mg/ml、約4mg/ml、約5mg/ml、約6mg/ml、約7mg/ml、約8mg/ml、約9mg/ml、約10mg/ml、約20mg/ml、約30mg/ml、約40mg/ml、約50mg/ml、約60mg/ml、約70mg/ml、約80mg/ml、約90mg/ml、約100mg/ml、約150mg/ml、約200mg/ml、約240mg/ml、約250mg/ml、または約300mg/mlの濃度である。ある特定の実施形態において、脂質は合成のDOPCリン脂質である。
【0164】
ある特定の実施形態において、組成物はコレステロールを含み、コレステロールは約3mg/mlから約24mg/ml、約0.01mg/mlから約10mg/ml、約0.025mg/mlから約9mg/ml、約0.05mg/mlから約8mg/ml、約0.075mg/mlから約7mg/ml、約0.1mg/mlから約6mg/ml、約0.25mg/mlから約5mg/ml、約0.5mg/mlから約4mg/ml、約0.75mg/mlから約3mg/ml、約1mg/mlから約2mg/mlの濃度である。ある特定の実施形態において、組成物はコレステロールを含み、コレステロールは、約0.1mg/mlから約5mg/ml、約0.5mg/mlから約3mg/ml、または約0.5mg/mlから約2mg/mlの濃度である。ある特定の実施形態において、組成物はコレステロールを含み、コレステロールは約0.01mg/ml、約0.02mg/ml、約0.03mg/ml、約0.04mg/ml、約0.05mg/ml、約0.06mg/ml、約0.07mg/ml、約0.08mg/ml、約0.09mg/ml、約0.1mg/ml、約0.2mg/ml、約0.3mg/ml、約0.4mg/ml、約0.5mg/ml、約0.6mg/ml、約0.7mg/ml、約0.8mg/ml、約0.9mg/ml、約1mg/ml、約2mg/ml、約3mg/ml、約4mg/ml、約5mg/ml、約6mg/ml、約7mg/ml、約8mg/ml、約9mg/ml、約10mg/ml、約20mg/ml、約30mg/ml、約40mg/ml、約50mg/ml、約60mg/ml、約70mg/ml、約80mg/ml、約90mg/ml、約100mg/ml、約150mg/ml、約200mg/ml、約240mg/ml、約250mg/ml、または約300mg/mlの濃度である。
【0165】
ある特定の実施形態において、組成物は油を含み、治療薬は、約0.01ml、約0.02ml、約0.03ml、約0.04ml、約0.05ml、約0.06ml、約0.07ml、約0.08ml、約0.09ml、約0.1ml、約0.2ml、約0.3ml、約0.4ml、約0.5ml、約0.6ml、約0.7ml、約0.8ml、約0.9ml、約1ml、約2ml、約3ml、約4ml、約5ml、約6ml、約7ml、約8ml、約9ml、約10ml、約20ml、約30ml、約40ml、約50ml、約60ml、約70ml、約80ml、または約90ml、約100ml、約150ml、約200ml、約240ml、約250ml、または約300mlの油を含む。
【0166】
ある特定の実施形態において、組成物は酢酸ナトリウムを含み、酢酸ナトリウムは、約0.025Mから約10M、約0.025Mから約9M、約0.05Mから約8M、約0.075Mから約7M、約0.1Mから約6M、約0.25Mから約5M、約0.5Mから約4M、約0.75Mから約3M、約1Mから約2Mの濃度である。ある特定の実施形態において、組成物は酢酸ナトリウムを含み、酢酸ナトリウムは、約0.01M、約0.02M、約0.03M、約0.04M、約0.05M、約0.06M、約0.07M、約0.08M、約0.09M、約0.1M、約0.2M、約0.3M、約0.4M、約0.5M、約0.6M、約0.7M、約0.8M、約0.9M、約1M、約2M、約3M、約4M、約5M、約6M、約7M、約8M、約9M、または約10Mの濃度である。
【0167】
各成分の例示的な量(T細胞活性化治療薬組成物のml当たり)は、これらに限定されないが、各サバイビンおよびMAGE-A9抗原の約0.01mg/mlから約10mg/ml;Tヘルパーエピトープ(例えば、配列番号13)の約0.01mg/mlから約5mg/ml;アジュバント(例えばポリI:Cポリヌクレオチド(例えば配列番号22))の約0.01mgから約4mg/ml;合成DOPCリン脂質の約30mgから約240mg/ml;コレステロールの約3mg/mlから約24mg/ml;疎水性担体(例えば鉱油、鉱油溶液中のマンニドオレエート、Montanide(登録商標)ISA51 VG)の約0.5から約0.9mlを含む。ある特定の実施形態において、組成物は、約0.025Mから約0.1Mの酢酸ナトリウムをさらに含む。
【0168】
各成分の例示的な量(T細胞活性化治療薬組成物のml当たり)は、これらに限定されないが、各サバイビンおよびMAGE-A9抗原の約0.05mg/mlから約5mg/ml;Tヘルパーエピトープ(例えば、配列番号13)の約0.05mg/mlから約2mg/ml;アジュバント(例えばポリI:Cポリヌクレオチド(例えば配列番号22))の約0.04mgから約2mg/ml;合成DOPCリン脂質の約45mgから約210mg/ml;コレステロールの約4.5mg/mlから約21mg/ml;疎水性担体(例えば鉱油、鉱油溶液中のマンニドオレエート、Montanide(登録商標)ISA51 VG)の約0.5から約0.9mlを含む。ある特定の実施形態において、組成物は、約0.025Mから約0.1Mの酢酸ナトリウムをさらに含む。
【0169】
各成分の例示的な量(T細胞活性化治療薬組成物のml当たり)は、これらに限定されないが、各サバイビンおよびMAGE-A9抗原の約0.1mg/mlから約2mg/ml;Tヘルパーエピトープ(例えば、配列番号13)の約0.1mg/mlから約1mg/ml;アジュバント(例えばポリI:Cポリヌクレオチド(例えば配列番号22))の約0.05mgから約1mg/ml;合成DOPCリン脂質の約60mgから約180mg/ml;コレステロールの約6mg/mlから約18mg/ml;疎水性担体(例えば鉱油、鉱油溶液中のマンニドオレエート、Montanide(登録商標)ISA51 VG)の約0.5から約0.9mlを含む。ある特定の実施形態において、組成物は、約0.025Mから約0.1Mの酢酸ナトリウムをさらに含む。
【0170】
各成分の例示的な量(T細胞活性化治療薬組成物のml当たり)は、これらに限定されないが、各サバイビンおよびMAGE-A9抗原の約1.0mg;Tヘルパーエピトープ(例えば、配列番号13)の約0.5mg;アジュバント(例えばポリI:Cポリヌクレオチド(例えば配列番号22))の約0.4mg;合成DOPCリン脂質の約120.0mg;コレステロールの約12.0mg;疎水性担体(例えば鉱油、鉱油溶液中のマンニドオレエート、Montanide(登録商標)ISA51 VG)の約0.7mlを含む。ある特定の実施形態において、疎水性担体は、約0.9mlである。
【0171】
各成分のさらなる例示的な量(T細胞活性化治療薬組成物のml当たり)は、これらに限定されないが、各サバイビンおよびMAGE-A9抗原の約1.0mg;Tヘルパーエピトープ(例えば、配列番号13)の約0.5mg;アジュバント(例えばポリI:Cポリヌクレオチド(例えば配列番号22))の約0.4mg;合成DOPCリン脂質の約120.0mg;コレステロールの約12.0mg;および酢酸ナトリウムの約0.1M、および疎水性担体(例えば鉱油、鉱油溶液中のマンニドオレエート、Montanide(登録商標)ISA51 VG)の約0.7mlを含む。ある特定の実施形態において、疎水性担体は、約0.9mlである。
【0172】
組成物は、任意選択で、例えば乳化剤などの追加の成分をさらに含んでいてもよい。組成物およびその成分の例示的な実施形態のより詳細な開示は、以下のように記載される。
【0173】
(iv)追加の抗原
本発明の組成物において有用な可能性がある他の抗原としては、これらに限定されないが、腫瘍またはがんの処置において有益であると予想される対象における免疫応答、例えば、細胞媒介性または体液媒介性免疫応答を誘導または増強することが可能な抗原が挙げられる。
【0174】
細胞媒介性免疫は、抗体を含まないが、マクロファージおよびナチュラルキラー細胞の活性化、抗原に応答して抗原特異的な細胞傷害性Tリンパ球の産生および様々なサイトカインの放出を含む免疫応答である。細胞傷害性Tリンパ球は、感染した体細胞または腫瘍細胞の死を誘導することが可能なTリンパ球(白血球の一種)のサブグループであり、それらは、ウイルス(または他の病原体)に感染している細胞、またはそれ以外でダメージを受けているかもしくは機能不全の細胞を死滅させる。
【0175】
ほとんどの細胞傷害性T細胞は、クラスI MHC分子に結合した特異的なペプチド抗原を認識することができるT細胞受容体を発現する。これらのCTLはまた、クラスI MHC分子の一部に引き付けられるCD8(CD8+T細胞)も発現する。この親和性が、抗原特異的な活性化の間に緊密に結合したCTLおよび標的細胞を維持する。
【0176】
細胞性免疫は、例えば、それらの表面上に外来抗原のエピトープを提示する体細胞、例えばウイルス感染細胞、細胞内に細菌を有する細胞、および腫瘍抗原を提示するがん細胞を溶解させることができる抗原特異的な細胞傷害性Tリンパ球を活性化すること;マクロファージおよびナチュラルキラー細胞を活性化して、それらが細胞内の病原体を破壊できるようにすること;および適応免疫応答および自然免疫応答に関与する他の細胞の機能に影響を与える様々なサイトカインを分泌するように細胞を刺激することによって、体を保護する。
【0177】
したがって、さらなる実施形態において、本発明のT細胞活性化治療組成物は、1つまたは複数のサバイビン抗原に、追加の抗原を含んでいてもよい。例えば、追加の抗原は、これらに限定されないが、対象においてCTL免疫応答を誘導または増強することが可能なペプチド、好適な天然の、非天然の、組換えもしくは変性タンパク質もしくはポリペプチド、またはそれらのフラグメント、もしくはエピトープであってもよい。
【0178】
追加の抗原はまた、抗原として機能するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドであってもよい。核酸ベースのワクチン接種戦略が公知であり、その場合、ポリヌクレオチドを含有するT細胞活性化治療組成物が、対象に投与される。ポリヌクレオチドによってコードされた抗原性ポリペプチドは、最終的にT細胞活性化治療組成物それ自体がポリペプチドを含有しているかのように、対象中に抗原性ポリペプチドが存在するように対象中で発現される。本発明の目的のために、追加の抗原は、文脈が示す場合、抗原として機能するポリペプチドをコードするこのようなポリヌクレオチドを包含する。
【0179】
用語「ポリペプチド」は、長さ(例えば、少なくとも6、8、10、12、14、16、18、または20アミノ酸)または翻訳後修飾(例えば、グリコシル化またはリン酸化)に関係なく、アミノ酸のあらゆる鎖を包含し、例えば、天然タンパク質、合成または組換えポリペプチドおよびペプチド、エピトープ、ハイブリッド分子、バリアント、ホモログ、アナログ、ペプトイド、ペプチド模倣体などを含む。それゆえにバリアントまたは誘導体は、欠失を含み、例えば短縮化およびフラグメントなどであり;挿入および付加を含み、例えば保存的置換、部位特異的突然変異体および対立遺伝子バリアントであり;改変を含み、例えば、ペプチドに共有結合で連結された1つまたは複数の非アミノアシル基(例えば、糖、脂質など)および翻訳後修飾を有するペプトイドである。用語「保存されたアミノ酸置換」または「保存的置換」は、本明細書で使用される場合、ペプチド中の所与の配置におけるあるアミノ酸の別のアミノ酸での置換を指し、この場合、置換は、関連する機能を実質的に喪失させずになすことができる。このような変化をなすことにおいて、似たアミノ酸残基の置換は、例えば、そのサイズ、電荷、疎水性、親水性などの側鎖置換基の相対的な類似性に基づきなすことができ、このような置換は、日常的な試験によってペプチドの機能に対するそれらの作用に関してアッセイしてもよい。保存的置換の具体的な非限定的な例としては、以下の例が挙げられる。
【0180】
【0181】
好ましい抗原配列に実質的な同一性を有するポリペプチドまたはペプチドを使用してもよい。2つの配列は、最適にアライメントしたとき(ギャップが許容される)、それらが少なくともおよそ50%の配列同一性を有する場合、または配列が規定の機能的なモチーフを有する場合、実質的な同一性を有するとみなされる。代替の実施形態において、最適にアライメントされた配列が、特定された領域にわたり、少なくとも60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%の同一性を有する場合、それらは実質的に同一である(すなわち、実質的な同一性を有する)とみなすことができる。用語「同一性」は、2つのポリペプチド分子間の配列類似性を指す。同一性は、アライメントされた配列中の各位置を比較することによって決定することができる。アミノ酸配列間の同一性の程度は、例えば特定された領域にわたり、配列が共有する位置における同一な、または一致するアミノ酸の数の関数である。同一性の比較のための配列の最適なアライメントは、様々なアルゴリズムを使用して実行することができ、このようなアルゴリズムは当業界において公知であり、その例としては、http://clustalw.qenome.ad.jpで入手可能なClustalWプログラム、Smith and Waterman, 1981, Adv. Appl. Math 2: 482のローカルホモロジーアルゴリズム、Needleman and Wunsch, 1970, J. Mol. Biol. 48:443の相同性アライメントアルゴリズム、Pearson and Lipman, 1988, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85:2444の類似性の方法のサーチ、およびこれらのアルゴリズムのコンピューター化された実行(例えばWisconsin Genetics Software Package、Genetics Computer Group、Madison、Wl、U.S.A.におけるGAP、BESTFIT、FASTAおよびTFASTA)が挙げられる。また配列同一性も、Altschul et al., 1990, J. Mol. Biol. 215:403-10に記載されているBLASTアルゴリズム(公開されたデフォルト設定を使用)を使用して決定することができる。例えば、国立バイオテクノロジー情報センター(National Center for Biotechnology Information)を介して入手可能な「BLAST2配列」ツール(インターネットを通じて、http://www.ncbi.nlm.nih.gov/ BLAST/bl2seq/wblast2.cqiで)を、「blastp」プログラムを以下のデフォルト設定:期待閾値10;文字サイズ3;マトリックスBLOSUM62;ギャップコスト存在11、伸長1で選択して使用することができる。別の実施形態において、当業者は、いずれか所与の配列を容易かつ適切にアライメントし、単なる目視での観察によって配列同一性および/または相同性を推測することができる。
【0182】
本発明のT細胞活性化治療組成物において追加の抗原として使用されるポリペプチドおよびペプチドは、自然源から単離してもよいし、合成でもよいし、または組換えによって生成したポリペプチドでもよい。ペプチドおよびタンパク質は、インビトロまたはインビボで組換え発現されてもよい。本発明を実施するのに使用されるペプチドおよびポリペプチドは、当業界において公知のあらゆる方法を使用して作製および単離することができる。本発明を実施するのに使用されるポリペプチドおよびペプチドはまた、当業界において周知の化学的方法を使用して、全体を合成してもよいし、または部分的に合成してもよい。例えば、Caruthers (1980) Nucleic Acids Res. Symp. Ser. 215-223;Horn (1980) Nucleic Acids Res. Symp. Ser. 225-232;Banga, A. K, Therapeutic Peptides and Proteins, Formulationを参照されたい。
【0183】
Processing and Delivery Systems (1995) Technomic Publishing Co., Lancaster, Pa。例えば、ペプチド合成は、様々な固相技術(例えば、Roberge (1995) Science 269:202;Merrifield (1997) Methods Enzymol.289:3-13を参照)を使用して実行することができ、自動化合成は、例えば、ABI 431Aペプチドシンセサイザー(Perkin Elmer)を製造元によって提供される説明書に従って使用して達成してもよい。
【0184】
一部の実施形態において、追加の抗原は、精製された抗原であってもよく、例えば、約25%から50%純粋、約50%から約75%純粋、約75%から約85%純粋、約85%から約90%純粋、約90%から約95%純粋、約95%から約98%純粋、約98%から約99%純粋、または99%より高く純粋であってもよい。
【0185】
上述したように、追加の抗原としては、抗原として機能するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドが挙げられる。用語「ポリヌクレオチド」は、本明細書で使用される場合、あらゆる長さ(例えば、9、12、18、24、30、60、150、300、600、1500またはそれより多くのヌクレオチド)または鎖の数(例えば、一本鎖または二本鎖)のヌクレオチドの鎖を包含する。ポリヌクレオチドは、DNA(例えば、ゲノムDNAまたはcDNA)もしくはRNA(例えば、mRNA)またはそれらの組合せであってもよい。これらは、天然に存在していてもよいし、または合成であってもよい(例えば、化学的に合成される)。ポリヌクレオチドは、ヌクレオチド鎖中に1つまたは複数の窒素塩基、ペントース糖またはリン酸基の改変を含有していてもよいことが企図される。このような改変は当業界において周知であり、例えばポリヌクレオチドの安定性を改善する目的のためであってもよい。
【0186】
ポリヌクレオチドは、様々な形態で送達することができる。一部の実施形態において、裸のポリヌクレオチドは、直鎖状の形態かまたは発現プラスミドなどのプラスミドに挿入されるかのいずれかで使用することができる。他の実施形態において、生きたベクター、例えばウイルスまたは細菌ベクターを使用してもよい。
【0187】
DNAのRNAへの転写および/またはRNAのポリペプチドへの翻訳に役立つ1つまたは複数の調節配列が存在してもよい。一部の場合において、例えばメッセンジャーRNA(mRNA)分子であるポリヌクレオチドのケースにおいて、転写プロセスに関する調節配列(例えば、プロモーター)は必要ではなく、タンパク質発現は、プロモーターの非存在下で影響を受ける可能性がある。当業者は、環境が必要とする場合、好適な調節配列を含めることができる。
【0188】
一部の実施形態において、ポリヌクレオチドは、本発明の組成物が投与される対象においてポリヌクレオチドの発現を許容すると予想される調節配列に作動可能に連結されている発現カセット中に存在する。発現カセットの選択は、組成物が投与される対象、加えて発現されるポリペプチドにとって望ましい特徴に依存する。
【0189】
典型的には、発現カセットは、対象において機能性であり、構成的または誘導性であってもよいプロモーター;リボソーム結合部位;必要に応じて開始コドン(ATG);目的のポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;停止コドン;および任意選択で3’末端領域(翻訳および/または転写ターミネーター)を含む。追加の配列、例えばシグナルペプチドをコードする領域が含まれていてもよい。目的のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、発現カセット中の他の調節配列のいずれかに対して相同であってもよいし、または異種であってもよい。目的のポリペプチドと共に発現させようとする配列、例えばシグナルペプチドをコードする領域は、典型的には発現させようとするタンパク質をコードするポリヌクレオチドに隣接して配置され、適したリーディングフレーム中に設置される。単独で、または発現させようとする他のあらゆる配列(例えば、シグナルペプチド)と共に発現させようとするタンパク質をコードするポリヌクレオチドによって構成されるオープンリーディングフレームは、組成物が投与される対象において転写および翻訳が起こるように、プロモーターの制御下に設置される。
【0190】
本明細書に記載されるT細胞活性化治療組成物での単回処置で使用される追加の抗原の量は、抗原のタイプおよび対象のサイズに応じて変更することができる。当業者は、余計な実験を行うことなく、特定の適用で使用する追加の抗原の有効量を決定することができるであろう。
【0191】
一部の実施形態において、追加の抗原は、CTL応答を誘導することが可能な少なくとも1つのCTLエピトープであってもよい。例えば、追加の抗原は、がん細胞で上方調節されるとして同定されたタンパク質由来のCTLエピトープであってもよい。
【0192】
一実施形態において、CTLエピトープは、腫瘍関連タンパク質のエピトープ、例えば、黒色腫関連タンパク質などのエピトープであってもよい。一部の実施形態において、黒色腫関連タンパク質は、チロシン関連タンパク質-2(TRP-2)またはp53であり、これらは、組換え技術または化学合成を含む様々な方法により得ることができる。
【0193】
以下の遺伝子は、これらに限定されないが、本発明のT細胞活性化治療組成物に追加の抗原として取り込むことができるペプチド配列を有する腫瘍関連タンパク質をコードする:p53、HPVE6およびE7、ART-4、CAMEL、CEA、Cyp-B、HER2/neu、hTERT、hTRT、iCE、MUC1、MUC2、PRAME、P15、RUI、RU2、SART-1、SART-3、WT1、PSA、チロシナーゼ、TRP-1、TRP-2、gp100、MART-1/Melan A、MAGE-A1.MAGE-A2、MAGE-A3、MAGE-A6、MAGE-A10、MAGE-A12、BAGE、DAM-6、DAM-10、GAGE-1、GAGE-2、GAGE-3、GAGE-4、GAGE-5、GAGE-6、GAGE-7B、GAGE-8、NA88-A、NY-ESO-1、NY-ESO-1a(CAG-3)、AFP、β-カテニン/m、カスパーゼ-8/m、CDK-4/m、ELF2M、GnT-V、G250、Ras、HSP70-2M、HST-2、KIAA0205、MUM-1、MUM-2、MUM-3、ミオシン/m、RAGE、SART-2、サバイビン、TRP-2/INT2、および707-AP。
【0194】
一実施形態において、T細胞活性化治療組成物は、CTL応答を誘導するための抗原として、がんに関連するCTLエピトープの混合物を含んでいてもよい。例えば、抗原は、腫瘍関連タンパク質の少なくとも1つの追加の抗原と共に、本明細書に記載されるサバイビン抗原の少なくとも1つまたは複数、例えば、これらに限定されないが、以下のアミノ酸配列:FEELTLGEF(配列番号1);FTELTLGEF(配列番号2);LTLGEFLKL(配列番号3);LMLGEFLKL(配列番号4);RISTFKNWPF(配列番号5);RISTFKNWPK(配列番号6);STFKNWPFL(配列番号7);およびLPPAWQPFL(配列番号8);を有するサバイビンペプチド抗原など;本明細書に記載されるMAGE-A9抗原の少なくとも1つまたは複数、例えば、これらに限定されないが、以下のアミノ酸配列:KVAELVHFL(配列番号9);GLMGAQEPT(配列番号10);ALSVMGVYV(配列番号11);FLWGSKAHA(配列番号12)を有するMAGE-A9ペプチド抗原などを含んでいてもよい。
【0195】
(v)Tヘルパーエピトープ
一部の実施形態において、本発明のT細胞活性化治療組成物は、少なくとも1つのTヘルパーエピトープまたはTヘルパー抗原を含む。
【0196】
Tヘルパーエピトープは、Tヘルパー活性を有するアミノ酸(天然または非天然アミノ酸)の配列である。Tヘルパーエピトープは、Tヘルパーリンパ球によって認識され、これは、免疫系の性能を確立および最大化することにおいて重要な役割を果たし、例えば細胞傷害性Tリンパ球などの他の免疫細胞を活性化および方向付けることに関与する。
【0197】
Tヘルパーエピトープは、連続的な、または不連続のエピトープからなっていてもよい。したがって、全てではないがTヘルパーのアミノ酸は必然的にエピトープの一部である。したがって、Tヘルパーエピトープは、Tヘルパーエピトープのアナログおよびセグメントを含めて、免疫応答を強化または刺激することが可能である。免疫優性Tヘルパーエピトープは、動物およびヒト集団において、広範に多様化したMHCタイプとの広い反応性を有する(Celis et al., (1988) J. Immunol. 140:1808-1815;Demotz et al., (1989) J. Immunol. 142:394- 402;Chong et al., (1992) Infect. Immun. 60:4640-4647)。対象ペプチドのTヘルパードメインは、約10から約50アミノ酸を有し、好ましくは約10から約30アミノ酸を有する。複数のTヘルパーエピトープが存在する場合、各Tヘルパーエピトープは、独立して作用する。
【0198】
一部の実施形態において、Tヘルパーエピトープは、本明細書に記載される抗原の一部を構成する。特に、抗原は、十分なサイズを有する場合、Tヘルパーエピトープとして機能するエピトープを含有していてもよい。他の実施形態において、Tヘルパーエピトープは、抗原から離れた分子である。
【0199】
別の実施形態において、Tヘルパーエピトープアナログは、Tヘルパーエピトープに1から約10個のアミノ酸残基の置換、欠失および挿入を含んでいてもよい。Tヘルパーセグメントは、免疫応答を強化または刺激するのに十分なTヘルパーエピトープの連続する部分である。Tヘルパーセグメントの例は、単一のそれより長いペプチド由来の一連の重複するペプチドである。
【0200】
特定の実施形態において、本発明の組成物は、Tヘルパーエピトープまたは抗原として、安定性を強化するためにアラニン残基がそのアミノ末端に付加されている改変された破傷風毒素ペプチドA16L(830~844;AQYIKANSKFIGITEL(配列番号13)を含んでいてもよい(Slingluff et al, Clin Cancer Res., 7: 3012-3024, 2001)。
【0201】
本発明の組成物で使用することができるTヘルパーエピトープの他の源としては、例えば、B型肝炎表面抗原ヘルパーT細胞エピトープ、百日咳毒素ヘルパーT細胞エピトープ、麻疹ウイルスFタンパク質ヘルパーT細胞エピトープ、トラコーマクラミジア(Chlamydia trachomitis)主要外膜タンパク質ヘルパーT細胞(helper! cell)エピトープ、ジフテリア毒素ヘルパーT細胞エピトープ、熱帯熱マラリア原虫(Plasmodium falciparum)スポロゾイト周囲ヘルパーT細胞エピトープ、マンソン住血吸虫(Schistosoma mansoni)トリオースリン酸イソメラーゼヘルパーT細胞エピトープ、大腸菌(Escherichia coli)TraTヘルパーT細胞エピトープ、およびこれらのTヘルパーエピトープのいずれかの免疫増強アナログおよびセグメントが挙げられる。
【0202】
一部の実施形態において、Tヘルパーエピトープは、ユニバーサルTヘルパーエピトープであってもよい。ユニバーサルTヘルパーエピトープは、本明細書で使用される場合、クラスII(CD4+T細胞)拘束方式でT細胞の機能を活性化する方式で多数のMHCクラスII分子に結合するペプチドもしくは他の免疫原性分子、またはそれらのフラグメントを指す。ユニバーサルTヘルパーエピトープの例は、ペプチド配列AKXVAAWTLKAAA(配列番号18)を含むPADRE(pan-DRエピトープ)であり、式中Xは、シクロヘキシルアラニルであってもよい。PADREは、特異的にCD4+Tヘルパーエピトープを有し、すなわち、PADRE特異的なCD4+Tヘルパー応答の誘導を刺激する。
【0203】
前述した改変された破傷風毒素ペプチドA16Lに加えて、破傷風トキソイドは、PADREと類似の方式で作用する他のTヘルパーエピトープを有する。破傷風およびジフテリア毒素は、ヒトCD4+細胞に関するユニバーサルエピトープを有する(Diethelm- Okita, B.M. et al., J. Infect. Diseases, 181 :1001-1009, 2000)。別の実施形態において、Tヘルパーエピトープは、ペプチド配列FNNFTVSFWLRVPKVSASHLE(アミノ酸947~967;配列番号19)を含むF21Eなどの破傷風トキソイドペプチドであってもよい。
【0204】
ある特定の実施形態において、Tヘルパーエピトープは、本発明のT細胞活性化治療組成物における1つまたは複数のサバイビン抗原の少なくとも1つに融合されているか、またはT細胞活性化治療組成物に含まれていてもよい追加の抗原に融合されている(例えば、融合ペプチド)。
【0205】
(vi)アジュバント
一部の実施形態において、本発明のT細胞活性化治療組成物は、1種または複数の医薬的に許容されるアジュバントを含む。多数のアジュバントが記載されており、当業者に公知である。例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences (Remington’s Pharmaceutical Sciences, Mack Publishing Company, Easton, Pa., USA 1985)および1999年に公開された米国薬局方:国民医薬品集(USP24NF19)を参照されたい。
【0206】
例示的なアジュバントとしては、これらに限定されないが、アラム、他のアルミニウム化合物、カルメット・ゲラン結核菌(Bacillus of Calmette and Guerin;BCG)、TiterMax(商標)、Ribi(商標)、フロイント完全アジュバント(FCA)、CpG含有オリゴデオキシヌクレオチド(CpG ODN)、リポペプチドおよびポリヌクレオチド(例えば、ポリI:C、ポリdIdCなど)が挙げられる。例示的なCpG ODNは、5’-TCCATGACGTTCCTGACGTT-3’(配列番号20)である。当業者は、標的の種および効能に基づき、他の適切なCpG ODNを容易に選択できる。例示的なリポペプチドとしては、これらに限定されないが、Pam3Cys-SKKK(配列番号21)(EMC Microcollections、Germany)、またはそれらのバリアント、ホモログおよびアナログが挙げられる。リポペプチドのPam2ファミリーは、リポペプチドのPam3ファミリーの有効な代替物であることが示されている。
【0207】
「ポリI:C」または「ポリI:Cポリヌクレオチド」は、本明細書で使用される場合、イノシン酸残基(I)およびシチジル酸残基(C)を含有するポリヌクレオチド分子(RNAまたはDNAまたはDNAおよびRNAの組合せ)であり、これは、哺乳類対象において少なくとも1種の炎症性サイトカイン、例えばインターフェロンの産生を誘導または強化することが可能である。
【0208】
ポリI:Cポリヌクレオチドは、約8、10、12、14、16、18、20、22、24、25、28、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、150、200、250、300、500、1000またはそれより多くの残基の長さを有していてもよい。上限は、必須ではないと考えられる。好ましいポリI:Cポリヌクレオチドは、約6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、または30ヌクレオチドの最低限の長さ、および約1000、500、300、200、100、90、80、70、60、50、45または40ヌクレオチドの最大限の長さを有していてもよい。ある特定の実施形態において、ポリI:Cポリヌクレオチドは、長さが約20またはそれより多くの残基(一般的に、長さが22、24、26、28または30個の残基)である。半合成的に作製される場合(例えば、酵素を使用して)、鎖の長さは、500、1000またはそれより多くの残基であってもよい。
【0209】
一部の実施形態において、ポリI:Cポリヌクレオチドは、二本鎖である。このような実施形態において、これは、全体的にシトシンを含有するヌクレオチドからなる1つの鎖および全体的にイノシンを含有するヌクレオチドからなる1つの鎖で構成されていてもよいが、他の構造もあり得る。例えば、各鎖は、シトシンを含有するヌクレオチドとイノシンを含有するヌクレオチドの両方を含有していてもよい。非限定的な例としては、各鎖が、少なくとも6個の連続するイノシン酸またはシチジル酸残基、またはあらゆる順番でのイノシン酸およびシチジル酸から選択される6個の連続する残基(例えば、IICIIC、ICICICまたはIIICCC)を含有するものが挙げられる。一部の場合において、いずれかまたは両方の鎖は、加えて、1つまたは複数の非シトシンまたは非イノシンヌクレオチドを含有していてもよい。
【0210】
他の実施形態において、ポリI:Cポリヌクレオチドは、イノシン酸残基(I)およびシチジル酸残基(C)を含有する一本鎖分子であってもよい。一例として、これに限定されないが、一本鎖ポリI:Cは、dIdCの繰り返しの配列であってもよい。特定の実施形態において、一本鎖ポリI:Cの配列は、(IC)が13の、すなわちICICICICICICICICICICICICIC(配列番号22)の26merの配列であってもよい。当業者であれば理解していると予想されるように、これらのdIdCの繰り返しの一本鎖分子は、それらの性質(例えば、相補性)のために、天然にホモ二量体を形成すると予想され、したがってそれらは、概念的にはポリI/ポリC二量体に類似していると予期される。
【0211】
ある特定の実施形態において、ポリI:Cポリヌクレオチドの各鎖は、イノシン酸またはシチジル酸残基のホモポリマーであってもよいし、または各鎖が、イノシン酸残基とシチジル酸残基の両方を含有するヘテロポリマーであってもよい。いずれかのケースにおいても、ポリマーは、上述したように6つのI、6つのCまたは6つのI/C残基の少なくとも1つの連続する領域が存在するという条件で、1つまたは複数の非イノシン酸または非シチジル酸残基(例えば、ウリジン)が途中に存在していてもよい。典型的には、ポリI:Cポリヌクレオチドの各鎖は、6つのI/C残基当たり1個以下の非I/C残基を含有すると予想され、より好ましくは、それぞれ8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28または30個のI/C残基当たり、1つ以下の非l/C残基を含有すると予想される。
【0212】
ポリI:Cポリヌクレオチド中のイノシン酸またはシチジル酸(または他の)残基は、炎症性サイトカイン、例えばインターフェロンの産生を促進するポリI:Cポリヌクレオチドの能力が保持される条件で、当業界において公知のように誘導体化または改変されてもよい。誘導体または改変の非限定的な例としては、例えば、アジド改変、フルオロ改変、またはインビボにおける安定性を強化するために天然のホスホジエステル結合の代わりにチオエステル(または類似の)連結を使用することが挙げられる。またポリI:Cポリヌクレオチドは、例えば正電荷を有するポリリシンおよびカルボキシメチルセルロース、または正電荷を有する合成ペプチドと分子を複合体化することによって、例えば、インビボにおける分解に対するその耐性を強化するように改変されてもよい。
【0213】
ある特定の実施形態において、T細胞活性化治療組成物は、アジュバントとしてポリI:Cポリヌクレオチドを含み、例えば、これに限定されないが、26merのデオキシイノシン/シトシン合成ポリヌクレオチドなどを含む。ある特定の実施形態において、T細胞活性化治療組成物は、アジュバントとしてdIdC DNAポリヌクレオチドを含む。
【0214】
ポリI:Cポリヌクレオチドは、典型的には、組成物の単位用量当たり約0.001mgから1mgの量で本発明の組成物中に含まれると予想される。ある特定の実施形態において、ポリI:Cポリヌクレオチドの量は、約0.04mg/mLのT細胞活性化治療組成物と予想される。
【0215】
T細胞活性化治療組成物の他の好適なアジュバントは、TLR2を活性化するかまたはその活性を増加させるものである。本明細書で使用される場合、TLRを「活性化する」またはTLRの「活性を増加させる」アジュバントとしては、あらゆるアジュバントが挙げられ、一部の実施形態においてTLRアゴニストとして作用する脂質ベースのアジュバントが挙げられる。さらに、TLR2を活性化するかまたはその活性を増加させることは、あらゆる単量体、ホモ二量体またはヘテロ二量体の形態でのその活性化を包含し、特に、TLR1またはTLR6とのヘテロ二量体(すなわち、TLR1/2またはTLR2/6)としてのTLR2の活性化を含む。
【0216】
TLR2を活性化するかまたはその活性を増加させるアジュバントの例示的な実施形態は、少なくとも1つの脂質部分または脂質成分を含む脂質ベースのアジュバントである。
【0217】
表現「脂質部分」または「脂質成分」は、本明細書で使用される場合、あらゆる脂肪酸(例えば、脂肪アシル)またはその誘導体、例えばトリグリセリド、ジグリセリド、およびモノグリセリドなどを指す。例示的な脂肪酸としては、これらに限定されないが、パルミトイル、ミリストイル、ステアロイル、およびデカノイル基、またはあらゆるC2~C30飽和もしくは不飽和脂肪アシル基、好ましくはあらゆるC14~C22飽和もしくは不飽和脂肪アシル基、より好ましくはC16飽和もしくは不飽和脂肪アシル基が挙げられる。したがって、本明細書で言及されるように、表現「脂質ベースのアジュバント」は、脂肪アシル基またはその誘導体を含むあらゆるアジュバントを包含する。
【0218】
脂質ベースのアジュバントは、最低限で少なくとも1つの脂質部分、または合成/半合成の脂質部分アナログを含有し、これらは、アミノ酸、オリゴペプチドまたは他の分子(例えば、炭水化物、グリカン、多糖類、ビオチン、ローダミンなど)上にカップリングされていてもよい。したがって、これらに限定されないが、脂質ベースのアジュバントは、例えば、リポアミノ酸、リポペプチド、リポグリカン、リポ多糖またはリポタイコ酸であってもよい。
【0219】
さらに、脂質部分または脂質部分を含有する構造を共有結合または非共有結合によって抗原にカップリングさせて、埋め込み型の補助特性を有する抗原性化合物を生成することもできる。例えば、これらに限定されないが、脂質ベースの部分は、非共有結合カップリングのための正電荷を提供するために、カチオン(例えば、ニッケル)を含んでいてもよい。
【0220】
一部の実施形態において、脂質部分または脂質成分は、天然に存在していてもよく、例えばグラム陽性もしくはグラム陰性細菌、ロドシュードモナス・ビリディス(Rhodopseudomonas viridis)、またはマイコプラズマ由来の細胞壁の成分(例えば、リポタンパク質)などである。他の実施形態において、脂質部分または脂質成分は、合成または半合成であってもよい。
【0221】
脂質ベースのアジュバントは、アジュバントの脂質部分または成分の少なくとも1つとしてパルミチン酸(PAM)を含んでいてもよい。このような脂質ベースのアジュバントは、本明細書では、「パルミチン酸アジュバント」と称される。パルミチン酸は、大腸菌(Escherichia coli)の免疫学的に反応性のブラウン(Braun)のリポタンパク質に見出される低分子量脂質である。パルミチン酸の他の一般的な化学名としては、例えば、IUPAC学術名でヘキサデカン酸、および1-ペンタデカンカルボン酸が挙げられる。パルミチン酸の分子式は、CH3(CH2)14CO2Hである。当業者には理解されると予想されるように、パルミチン酸の脂質鎖は変更され得ることが考えられる。パルミチン酸アジュバントとして本明細書で使用することができる例示的な化合物、およびそれらの合成方法は、例えば米国特許公報US2008/0233143;US2010/0129385;およびUS2011/0200632に記載されており、これらのそれぞれは、全ての意図する目的に関してそれらの全体が本明細書に組み入れられる。
【0222】
脂質部分について一般的に上述したように、パルミチン酸アジュバントは、最低限で少なくとも1つのパルミチン酸部分を含有し、これは、アミノ酸、オリゴペプチドまたは他の分子上にカップリングされていてもよい。パルミチン酸部分またはパルミチン酸を含有する構造を共有結合または非共有結合によって抗原にカップリングさせて、埋め込み型の補助特性を有する抗原性化合物を生成することもできる。パルミチン酸部分またはパルミチン酸を含有する化学構造は、システインペプチド(Cys)にコンジュゲートしていてもよく、直鎖状および分岐した構造を含むアジュバントの様々な構造的な配置が可能になる。通常、システイン残基は、C末端でセリン(Ser)および/またはリシン(Lys)などの極性残基によって伸長されて、溶解性が改善されたアジュバント化合物が生じる。パルミチン酸を含有するアジュバント化合物は、強化された免疫応答を生じさせるために、抗原と混合されていてもよいし、非共有結合の相互作用を介して抗原と会合していてもよいし、または代替として、直接的かまたはリンカー/スペーサーを使用するかのいずれかで抗原に共有結合で連結されていてもよい。最も一般的には、2つのパルミチン酸部分が、グリセリル主鎖およびシステイン残基に付着されて、ジパルミトイル-S-グリセリル-システイン(PAM2Cys)またはトリパルミトイル-S-グリセリル-システイン(PAM3Cys)を生じさせ、これも、上述したような複数の配置に使用することができる。
【0223】
それゆえに、一実施形態において、組成物のアジュバントは、パルミチン酸部分または成分を含んでいてもよい。パルミチン酸部分を改変または操作して、インビトロまたはインビボでのその安定性を改善する、受容体(例えば後述するような例えばToll様受容体など)へのその結合を強化する、またはその生物学的活性を強化することができる。
【0224】
特定の実施形態において、パルミチン酸アジュバントは、PAM2CysまたはPAM3Cysを含んでいてもよい。他の特定の実施形態において、パルミチン酸アジュバントは、Pam-2-Cys-Ser-(Lys)4(配列番号23)またはPam-3-Cys-Ser-(Lys)4(配列番号24)であってもよい。このようなパルミチン酸アジュバントは、例えば調査試薬として、EMC Microcollections GmbH(Germany)およびInvivoGen(San Diego、California、USA)から入手可能である。また標識されたアナログを含むPam-2-Cys-Ser-(Lys)4(配列番号23)およびPam-3-Cys-Ser-(Lys)4(配列番号34)の様々なアナログもEMC Microcollectionsより入手可能である。
【0225】
本発明の組成物は、上述したようなアジュバントを、少なくとも1つの他の好適なアジュバントと組み合わせて含んでいてもよい。少なくとも1つの他のアジュバントの例示的な実施形態としては、これらに限定されないが、合成、非生物学的または生物学的な源由来の、有機および無機化合物、ポリマー、タンパク質、ペプチド、糖(その例としては、これらに限定されないが、ビロソーム、ウイルス様粒子、ウイルスおよび細菌またはそれらの成分が挙げられる)が挙げられる。
【0226】
適合性アジュバントのさらなる例としては、これらに限定されないが、ケモカイン、Toll様受容体アゴニスト、コロニー刺激因子、サイトカイン、1018ISS、アルミニウム塩、Amplivax、AS04、AS15、ABM2、Adjumer、Algammulin、AS01B、AS02(SBASA)、AS02A、BCG、カルシトリオール、キトサン、コレラ毒素、CP-870,893、CpG、ポリIC、CyaA、ジメチルジオクタデシルアンモニウムブロミド(DDA)、フタル酸ジブチル(DBP)、dSLIM、ガンマイヌリン、GLA-SE、GM-CSF、GMDP、グリセロール、IC30、IC31、イミキモド、ImuFact IMP321、は、IS Patch、ISCOM、ISCOMATRIX、Juvlmmune、LipoVac、LPS、脂質コアタンパク質、MF59、モノホスホリル脂質A、Montanide(登録商標)IMS1312、Montanide(登録商標)ベースのアジュバント、OK-432、OM-174、OM-197-MP-EC、ONTAK、PepTelベクター系、他のパルミトイルベースの分子、PLGマイクロパーティクル、レシキモド、スクアレン、SLR172、YF-17DBCG、QS21、QuilA、P1005、ポロキサマー、サポニン、合成ポリヌクレオチド、ザイモサン、百日咳毒素を挙げることができる。
【0227】
したがって、組成物は、1種または複数の医薬的に許容されるアジュバントを含んでいてもよい。一部の実施形態において、1つまたは複数のサバイビン抗原または追加の抗原の少なくとも1つは、アジュバントの少なくとも1つにカップリングされていてもよい。
【0228】
使用されるアジュバントの量は、抗原の量およびアジュバントのタイプに依存する。当業者は、実験的な試験によって、特定の適用に必要なアジュバントの量を容易に決定することができる。
【0229】
(vii)脂質
本明細書に記載した組成物における使用において、いずれの脂質も、それが膜形成性脂質である限り、使用してよい。
【0230】
上で定義したあらゆる脂質を使用してよいが、特に好適な脂質には、少なくとも4つの炭素、典型的には約4から28個の炭素を含む少なくとも1つの脂肪酸鎖を有するものが含まれる。脂肪酸鎖は、任意の数の飽和および/または不飽和の結合を含んでよい。脂質は天然の脂質または合成の脂質であってよい。脂質の非限定的な例には、リン脂質、スフィンゴ脂質、スフィンゴミエリン、セロブロサイド、ガングリオシド、エーテル脂質、ステロール、カルジオリピン、カチオン脂質、ならびにポリ(エチレングリコール)および他のポリマーで改変された脂質が含まれる。合成脂質は、これらに限定されないが、以下の脂肪酸構成成分:ラウロイル、ミリストイル、パルミトイル、ステアロイル、アラキドイル、オレオイル、リノレオイル、エルコイル、またはこれらの脂肪酸の組合せを含んでいてもよい。一部の実施形態において、脂質または脂質小胞粒子の脂質は両性脂質であり、これらは親水性および疎水性(親油性)の両方の特性を有することを意味している。
【0231】
本開示の組成物における使用に適した脂質は、これらに限定されないが、リン脂質、カチオン脂質、コレステロール、および/またはコレステロール誘導体、またはそれらの組合せを含む。用語「リン脂質」、「カチオン脂質」、または「コレステロール誘導体」は、互いに排他的であることを必ずしも意味しないことを理解されたい。
【0232】
広範に定義すれば、「リン脂質」は、加水分解によってリン酸、アルコール、脂肪酸、および窒素塩基を生じる脂質化合物の群のメンバーである。本開示の組成物の調製において好ましく使用されるリン脂質は、ホスホグリセロール、ホスホエタノールアミン、ホスホセリン、ホスホコリン、およびホスホイノシトールからなる群から選択される少なくとも1つの頭部基を有するものである。より好ましいものは、約94~100%がホスファチジルコリンである脂質である。このような脂質は、レシチンPhospholipon(登録商標)90G(Phospholipid GmBH,Germany)またはレシチンS100(Lipoid GmBH,Germany)で商業的に入手可能である。一部の実施形態において、本開示の組成物の調製において使用されるリン脂質は、ジオレオイルホスファチジルコリン(DOPC)、1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DPPC)、ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE)、1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-スクシネート(DGS)、またはそれらの組合せである。一実施形態において、本開示の組成物の調製において使用されるリン脂質は、ジオレオイルホスファチジルコリン(DOPC)である。一部の実施形態において、DOPCと非エステル化コレステロールの混合物を使用してよい。他の実施形態において、Lipoid S 100レシチンと非エステル化コレステロールの混合物を使用してよい。
【0233】
一実施形態において、脂質小胞粒子は合成脂質を含む。一実施形態において、脂質小胞粒子は合成DOPCを含む。別の実施形態において、脂質小胞粒子は、合成DOPCおよびコレステロールを含む。
【0234】
別の一般的なリン脂質は、スフィンゴミエリンである。スフィンゴミエリンは、長い不飽和炭化水素鎖を有するアミノアルコールであるスフィンゴシンを含有する。脂肪アシル側鎖は、アミド結合によってスフィンゴシンのアミノ基に連結されて、セラミドを形成する。スフィンゴシンのヒドロキシル基は、ホスホコリンにエステル化される。ホスホグリセリドのように、スフィンゴミエリンは、両親媒性である。
【0235】
レシチンも使用することができ、リン脂質の天然混合物であり、典型的にはニワトリの卵、ヒツジのウール、ダイズおよび他の野菜源由来である。
【0236】
これらのおよび他のリン脂質の全ては、本発明の実施において使用することができる。リン脂質は、例えば、様々な他の供給元のなかでも、Avanti lipids(Alabastar、AL、USA)、Lipoid LLC(Newark、NJ、USA)およびLipoid GmbH(Germany)から購入することもできる。
【0237】
コレステロールおよび/またはコレステロール誘導体は、本開示の組成物において使用することができる。組成物において非エステル化コレステロールが使用される場合、コレステロールは通常、リン脂質の量の約10%と同等の量で使用される。組成物を安定化させるためにコレステロール以外の化合物が使用される場合、当業者は、組成物に必要な量を容易に決定することができる。本開示における使用に適したコレステロール誘導体には、コレステロールβ-D-グルコシド、コレステロール3-サルフェートナトリウム塩、DC-コレステロール等の正荷電コレステロール、ならびにカンペステロール、エルゴステロール、ベツリン、ルペオール、β-シトステロール、α,β-アミリン、および胆汁酸等の他のコレステロール様分子が含まれる。
【0238】
一部の実施形態において、脂質小胞粒子は、DOPCおよびコレステロールをDOPC:コレステロール比約10:1(w/w)で含む。一部の実施形態において、脂質小胞粒子は、DOPCおよびコレステロールをDOPC:コレステロール比約8:1(w/w)、約9:1(w/w)、約11:1、または約12:1(w/w)で含む。
【0239】
一実施形態において、本明細書で開示される組成物は、約66mg/mlのDOPCおよびコレステロールを含む。他の実施形態において、本明細書で開示される組成物は、約55mg/ml、56mg/ml、57mg/ml、58mg/ml、59mg/ml、60mg/ml、61mg/ml、62mg/ml、63mg/ml、64mg/ml、65mg/ml、67mg/ml、68mg/ml、69mg/ml、70mg/ml、71mg/ml、72mg/ml、73mg/ml、74mg/ml、または75mg/mlのDOPCおよびコレステロールを含む。
【0240】
一態様において、本明細書で開示される組成物は、約60mg/mlのDOPCおよび約6mg/mlのコレステロールを含む。
【0241】
一部の実施形態において、正荷電脂質(すなわちカチオン脂質)は、本開示の組成物において使用される。本開示の組成物における使用に適した例示的なカチオン脂質には、これらに限定されないが、1,2-ジオレオイル-3-トリメチルアンモニウム-プロパン(DOTAP)、1-[2-(オレオイルオキシ)エチル]-2-オレイル-3-(2-ヒドロキシエチル)イミダゾリウムクロリド(DOTIM)、N-[1-(2,3-ジオレイルオキシ)プロピル]-N,N,N-トリメチルアンモニウムクロリド(DOTMA)、ジオクタデシルアミドグリシルスペルミン-4トリフルオロ酢酸(DOGS)、ジオレイルジメチルアンモニウムクロリド(DODAC)、ジメチルジオクタデシルアンモニウムブロミド(DDAB)、1,2-ジステアロイル-3-ジメチルアンモニウム-プロパン(DAP)、N-(4-カルボキシベンジル)-N,N-ジメチル-2,3-ビス(オレオイルオキシ)プロパン-1-アミニウム(DOBAQ)、1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-スクシネート(DGS)、N-パルミトイルホモシステインアンモニウム塩(PHC)、1,2-ジオレイルオキシ-3-ジメチルアミノプロパン(DODMA)、ジメチルジオクタデシルアンモニウムブロミド塩(DDAB)、1,2-ジラウロイル-sn-グリセロ-3-エチルホスホコリンクロリド塩(EPC)、N4-コレステリル-スペルミンHCl塩(GL67)、1,2-ジオレオイルオキシプロピル-3-ジメチル-ヒドロキシエチルアンモニウムブロミド(DORI)、N-(3-アミノプロピル)-N,N-ジメチル-2,3-ビス(ドデシルオキシ)-1-プロパンアンモニウムブロミド(GAP-DLRIE)、2,3-ジオレイルオキシ-N-[2[スペルミンカルボキサミニノ]エチル]-N,N-ジメチル-1-プロパンアミニウムトリフルオロアセテート(DOSPA)、1,2-ジミリスチルオキシプロピル-3-ジメチル-ヒドロキシエチルアンモニウムブロミド(DMRIE)、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(DSPE)、およびSAINT 2が含まれる。カチオン脂質のさらなる例には、例えばAudouy and Hoekstra, Mol Membr Biol, Apr-Jun 2001;18(2):129-43; Shim et al., Asian Journal of Pharmaceutical Sciences 8(2):72-80, April 2013; およびFaneca et al (2013) Cationic Liposome-Based Systems for Nucleic Acid Delivery: From the Formulation Development to Therapeutic Applications. In: Coelho J. (eds) Drug Delivery Systems: Advanced Technologies Potentially Applicable in Personalised Treatment. Advances in Predictive, Preventive and Personalised Medicine, vol 4. Springer, Dordrechtに記載されたものが含まれ、これらは参照によりそれら全体が本明細書に組み入れられる。
【0242】
脂質小胞粒子は、閉じた小胞構造を有してよい。これらは典型的には球状の形状であるが、他の形状およびコンフォメーションも形成でき、除外されない。脂質小胞粒子の例示的な実施形態には、これらに限定されないが、単層小胞構造(例えば、ミセル)および二重層小胞構造(例えば単層または多層小胞)、または様々なそれらの組合せが含まれる。
【0243】
「単層」は、脂質が、二重層を形成せずに層中に残り、疎水性部分が一方の側に配向し、親水性部分が逆側に配向しているものを意味する。「二重層」は、脂質が2層のシートを形成し、典型的には各層の疎水性部分が二重層の中心に向かって内側に配向し、親水性部分が外側に配向しているものを意味する。しかし逆の配置も可能である。用語「多層」は、単層および二重層構造のあらゆる組合せを包含することを意味する。採用される形態は、使用される具体的な脂質に依存し得る。
【0244】
一実施形態において、脂質小胞粒子は二重層小胞構造であり、例えばリポソームなどである。リポソームは、完全に閉じた脂質二重層膜である。リポソームは、単層小胞(単一の二重層膜を有する)、多層小胞(多重膜の二重層を特徴とし、それによって各二重層が、水性層によって次と分離していてもよいし、または分離していなくてもよい)または多胞小胞(小胞内に1つまたは複数の小胞を有する)であってもよい。リポソームの一般的な議論は、Gregoriadis 1990およびFrezard 1999に見出すことができ、これらは、参照によりそれらの全体が本明細書に組み入れられる。
【0245】
すなわち、一実施形態において、脂質小胞粒子はリポソームである。一実施形態において、リポソームは、単層、多層、多小胞、またはそれらの混合物である。
【0246】
(viii)担体
一部の実施形態において、本発明のT細胞活性化治療組成物は、医薬的に許容される担体、賦形剤または希釈剤を含む。医薬的に許容される担体は、本明細書で使用される場合、本発明のT細胞活性化治療組成物を送達するのに好適であり、本発明の方法において有用なあらゆる物質を指す。
【0247】
本発明のT細胞活性化治療薬と共に使用することができる担体は当業界において周知であり、その例としては、これらに限定されないが、例えば、水、リン酸緩衝食塩水、リンゲル液、デキストロース溶液、血清を含有する溶液、ハンクス溶液、他の水性の生理学的に平衡化された溶液、水中油型エマルジョン、油、油中水型エマルジョン、エステル、ポリ(エチレン-酢酸ビニル)、乳酸とグリコール酸のコポリマー、ポリ(乳酸)、ゼラチン、コラーゲンマトリックス、多糖類、ポリ(D,Lラクチド)、ポリ(リンゴ酸)、ポリ(カプロラクトン)、セルロース、アルブミン、デンプン、カゼイン、デキストラン、ポリエステル、エタノール、メタクリレート(mathacrylate)、ポリウレタン、ポリエチレン、ビニルポリマー、グリコール、チログロブリン、アルブミン、例えばヒト血清アルブミン、破傷風トキソイド、ポリアミノ酸、例えばポリL-リシン、ポリL-グルタミン酸、インフルエンザ、B型肝炎ウイルスコアタンパク質、それらの混合物などが挙げられる。例えば、Remington: The Science and Practice of Pharmacy, 2000, Gennaro, A R ed., Eaton, Pa.: Mack Publishing Coを参照されたい。
【0248】
特定の実施形態において、T細胞活性化治療組成物の担体は、疎水性物質の連続相、好ましくは液体疎水性物質を含む担体である。連続相は、本質的に純粋な疎水性物質、または疎水性物質の混合物であってもよい。加えて、担体は、疎水性物質が連続相を構成するという条件で、疎水性物質中の水のエマルジョン、または疎水性物質の混合物中の水のエマルジョンであってもよい。さらに、別の実施形態において、担体は、アジュバントとして機能する場合もある。
【0249】
本明細書に記載される組成物において有用な疎水性物質は、医薬的および/または免疫学的に許容できるものである。好ましくは、担体は液体であるが、大気温度で液体ではないある特定の疎水性物質を、例えば温めることによって液化してもよく、この発明においても有用である。一実施形態において、疎水性担体は、リン酸緩衝食塩水/フロイント不完全アジュバント(PBS/FIA)エマルジョンであってもよい。
【0250】
油エマルジョンまたは油中水型エマルジョンは、本発明のT細胞活性化治療組成物での使用のために特に好適な担体である。油は、医薬的および/または免疫学的に許容できると予想される。好適な油としては、例えば、鉱油(特に軽粘度または低粘度の鉱油、例えばDrakeol(登録商標)6VR)、植物油(例えば、ダイズ油)、堅果油(例えば、落花生油)、またはそれらの混合物が挙げられる。したがって、特定の実施形態において、担体は、植物油、堅果油または鉱油などの疎水性物質である。動物性脂肪および人工疎水性高分子材料、特に、大気温度で液体であるもの、または比較的容易に液化できるものも使用することができる。
【0251】
がんT細胞活性化治療薬の免疫原性を強化するために、補助的なT細胞活性化治療薬組成物プラットフォームが、ペプチド抗原への強くロバストな免疫応答を容易にするように設計された。DepoVax(商標)またはDPX(商標)は、水非含有脂質ベースで、TLR-アジュバントおよびユニバーサルTヘルパーペプチドを含み、細胞傷害性Tリンパ球媒介免疫応答(Karkada et al., J Immunother 33(3):2050-261, 2010)および/または体液性免疫応答を誘導するために、あらゆるエピトープまたはエピトープの混合物と共に製剤化することができる。免疫系への抗原の曝露を延長させるDPX(商標)は、食作用を有する抗原提示細胞によって注射部位から除去される。
【0252】
DPX(商標)中のペプチドの単回の注射が、第一世代のエマルジョンベースのT細胞活性化治療薬組成物プラットフォームであるVacciMaxに類似したMontanide ISA51VGエマルジョンなどの他の従来の製剤中にペプチドを有する複数回の注射と等価なまたはそれより優れた免疫応答をもたらすことが示されている(Daftarian et al., J Transl Med 5:26, 2007; Mansour et al., J Transl Med 5:20, 2007)。DPX-0907と呼ばれるDPX(商標)ベースのペプチド-T細胞活性化治療組成物は、乳がん、卵巣がんおよび前立腺がん患者におけるフェースI臨床治験を完了しており、これらの進行中の患者における安全性および免疫原性が実証された(Berinstein et al., J Transl Med 10(1): 156, 2012)。
【0253】
したがって、特定の実施形態において、本発明のT細胞活性化治療薬組成物の担体は、リポソームベースの補助系であってもよい。抗原およびアジュバントを含む水滴を閉じ込めた油に依拠する油中水型エマルジョンベースのT細胞活性化治療薬とは異なり、DepoVax(商標)/DPX(商標)ベースの製剤は、乳化を必要とすることなく油中への直接的な抗原およびアジュバントの取り込みを容易にするために、脂質および脂質混合物に依拠する。このアプローチの利点としては、(1)別の状況では通常、親水性ベースの希釈剤中で最大の溶解性を有するであろう油性希釈剤中への親水性抗原/アジュバントの溶解性を強化すること、および(2)T細胞活性化治療薬組成物の投与の前に、煩わしい乳化手順をなくすことが挙げられる。
【0254】
好ましい実施形態において、担体は、鉱油であるか、または鉱油溶液中のマンニドオレエート、例えば、Montanide(登録商標)ISA51(SEPPIC、France)のような商業的に入手可能であるものである。
【0255】
ある特定の実施形態において、組成物は、実質的に水を含んでいなくてもよい(例えば、「水非含有」)。これらの「水非含有」組成物の疎水性担体は、担体の非連続相中に水が存在する限り、それでもなお少量の水を含有する可能性があると考えられる。例えば、組成物の個々の成分が、凍結乾燥または蒸発などのプロセスによって完全に除去できない水と結合している可能性があり、ある特定の疎水性担体は、そこに溶解した少量の水を含有する可能性がある。一般的に、本発明の「水非含有」の組成物は、例えば、組成物の担体成分の総重量の重量/重量に基づき、約10%未満、9%未満、8%未満、7%未満、6%未満、5%未満、4%未満、3%未満、2%未満、1%未満、0.5%未満、0.1%未満、0.05%未満または0.01%未満の水を含有する。
【0256】
活性薬剤および追加の治療剤
本明細書で開示される方法は、少なくとも1つのサバイビン抗原および少なくとも1つのMAGE-A9抗原を含むT細胞活性化治療薬組成物を、がんを有する対象に投与することを含む。ある特定の実施形態において、本発明は、少なくとも1つの活性薬剤を投与することをさらに含む。ある特定の実施形態において、本発明は、追加の治療剤を投与することをさらに含む。ある特定の実施形態において、活性薬剤および追加の治療剤は、同じレジメンで投与される。ある特定の実施形態において、活性薬剤および追加の治療剤は、異なるレジメンで投与される。
【0257】
本明細書で開示される活性薬剤および/または追加の治療剤は、治療有効量で対象に投与されてもよい。ある特定の実施形態において、活性薬剤および/または追加の治療剤の有効量は、免疫をモジュレートする作用を提供するのに十分な量である。
【0258】
「活性薬剤」または「追加の治療剤」は、本明細書で使用される場合、医薬的または治療的な薬剤を指す。活性薬剤および/または追加の治療剤は、それぞれ個々に、小分子薬物、抗体、抗体模倣体、またはそれらのいずれか1つの機能的な等価体もしくは機能的なフラグメントであってもよい。
【0259】
本明細書で開示される方法において、いずれかの具体的な活性薬剤および/または追加の治療剤の量は、薬剤のタイプ、処置しようとする疾患または障害、および/または対象の特定の特徴(例えば、年齢、体重、性別、免疫の状態など)に依存し得る。当業者は、実験的な試験によって、特定の適用に必要な活性薬剤および/または追加の治療剤の量を容易に決定することができる。
【0260】
ある特定の実施形態において、活性薬剤および/または追加の治療剤は、小分子薬物である。用語「小分子薬物」は、疾患、障害、または状態を処置する、治癒する、防止する、または診断するのに使用することができる有機または無機化合物を指す。
【0261】
用語「小分子」は、本明細書で使用される場合、低分子量の化合物を指し、これは、合成的に産生してもよいし、または自然源から得てもよく、2000ダルトン(Da)未満、1500Da未満、1000Da未満、900Da未満、800Da未満、700Da未満、600Da未満または500Da未満の分子量を有する。一実施形態において、小分子薬物は、約900Daまたは900Da未満の分子量を有する。より詳細には、一実施形態において、小分子薬物は、600Da未満の分子量、さらにより詳細には500Da未満の分子量を有する。
【0262】
一実施形態において、小分子薬物は、約100Daから約2000Da;約100Daから約1500Da;約100Daから約1000Da;約100Daから約900Da;約100Daから約800Da;約100Daから約700Da;約100Daから約600Da;または約100Daから約500Daの間の分子量を有する。一実施形態において、小分子薬物は、約100Da、約150Da、約200Da、約250Da、約300Da、約350Da、約400Da、約450Da、約500Da、約550Da、約600Da、約650Da、約700Da、約750Da、約800Da、約850Da、約900Da、約950Daまたは約1000Daの分子量を有する。一実施形態において、小分子薬物は、およそ1nmのサイズを有していてもよい。
【0263】
一実施形態において、小分子薬物は、化学的に製造された活性物質または化合物である(すなわち、それは、生物学的なプロセスによって産生されたものではない)。一般的に、これらの化合物は、異なる有機および/または無機化合物間の化学反応による古典的な方法で合成される。用語「小分子薬物」は、本明細書で使用される場合、より大きい構造、例えば、生物学的なプロセスによって生成するポリヌクレオチド、タンパク質、および多糖類を包含しない。
【0264】
小分子薬物は、それが投与される形態でその活性を作用させることができ、または小分子薬物は、プロドラッグであってもよい。これに関して、用語「小分子薬物」は、本明細書で使用される場合、活性形態とプロドラッグの両方を包含する。
【0265】
用語「プロドラッグ」は、生理学的条件下で治療活性を有する薬剤に変換される化合物または物質を指す。一実施形態において、プロドラッグは、投与後に、対象の体内で医薬活性を有する形態に代謝される(例えば、対象の体内で酵素活性によって)化合物または物質である。プロドラッグを作製するための一般的な方法は、医薬活性を有する形態が現れるように生理学的条件下で加水分解される選択された成分を含むものである。
【0266】
一実施形態において、活性薬剤および/または追加の治療剤は、抗体、抗体の機能的な等価体または抗体の機能的なフラグメントである。
【0267】
「抗体」は、広義に、リンカー配列を含むまたは含まない、免疫グロブリンの重鎖および/または軽鎖の定常および/または可変ドメインとして理解される抗体ドメインからなるかまたはそれを含むポリペプチドまたはタンパク質を指す。一実施形態において、ポリペプチドは、それがループ配列によって接続された抗体ドメイン構造の少なくとも2つのベータ鎖からなるベータバレル配列を含む場合、抗体ドメインとして理解される。抗体ドメインは、天然構造であってもよいし、または例えば結合特異性または他のあらゆる特性を改変するために、変異誘発または誘導体化によって改変されていてもよい。
【0268】
用語「抗体」は、無傷の抗体を指す。一実施形態において、「抗体」は、完全(すなわち、全長)免疫グロブリン分子、例えば、全長重鎖および/または軽鎖を有する、ポリクローナル、モノクローナル、キメラ、ヒト化および/またはヒトバージョンなどを含んでいてもよい。用語「抗体」は、ありとあらゆるアイソタイプおよびサブクラス、例えば、これらに限定されないが、IgA、IgD、IgE、IgGおよびIgMの主要なクラス、ならびにサブクラスIgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1およびIgA2などを包含する。一実施形態において、抗体は、IgGである。抗体は、天然に存在するものであってもよいし、または当業者に利用可能なあらゆる手段によって、例えば、動物またはハイブリドーマを使用することによって、および/または免疫グロブリン遺伝子フラグメントリコンビナトリアルプロセスによって調製されるものであってもよい。抗体は、例えばGreenfield, 2014に概説される。
【0269】
一実施形態において、抗体は、単離された形態であり、これは、抗体が、異なる標的抗原に対する他の抗体を実質的に含まないか、および/または抗体ドメインの異なる構造的な並びを含むことを意味する。一実施形態において、抗体は、哺乳動物の血清サンプルから単離された抗体であってもよい。一実施形態において、抗体は、精製された形態であり、例えば、活性薬剤として単離および精製された抗体のみを含む調製物の形態で提供される。この調製物は、本発明の組成物の調製において使用することができる。一実施形態において、抗体は、親和性によって精製された抗体である。
【0270】
抗体は、天然、組換えおよび/または合成源を含むあらゆる起源のものでもよい。一実施形態において、抗体は、動物起源のものでもよい。一実施形態において、抗体は、これらに限定されないが、ヒト、マウス、ウサギおよびヤギなどの哺乳類起源のものでもよい。一実施形態において、抗体は、組換え抗体であってもよい。
【0271】
一実施形態において、抗体は、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、ヒト抗体または完全ヒト抗体であってもよい。これらの用語に適用される意味およびそれに包含される抗体のタイプは、当業者によってよく理解されているであろう。
【0272】
簡単に言えば、これらに限定されないが、用語「キメラ抗体」は、本明細書で使用される場合、例えばげっ歯類などの1つの種由来の抗体の可変ドメイン(相補性決定領域(CDR)を含む)を含有するが、抗体の定常ドメインはヒトなどの異なる種由来である組換えタンパク質を指す。獣医学的な用途の場合、キメラ抗体の定常ドメインは、例えばネコまたはイヌなどの動物のもの由来であってもよい。
【0273】
これらに限定されないが、「ヒト化抗体」は、本明細書で使用される場合、1つの種、例えばげっ歯類由来の抗体由来のCDRが、げっ歯類抗体の可変重鎖および軽鎖から、ヒトフレームワーク領域(FR)配列を含むヒト重鎖および軽鎖可変ドメインに移行した組換えタンパク質を指す。ヒト化抗体の定常ドメインは、同様にヒト抗体由来である。
【0274】
これらに限定されないが、「ヒト抗体」は、本明細書で使用される場合、抗原性の攻撃に応答して特異的なヒト抗体を産生するように遺伝子操作されたトランスジェニック動物(例えば、マウス)から得られる抗体を指す。この技術において、ヒト重鎖および軽鎖遺伝子座のエレメントは、内因性重鎖および軽鎖遺伝子座の標的化された崩壊を含有する胚性幹細胞株から得られたマウス株に導入される。トランスジェニック動物は、ヒト抗原に特異的なヒト抗体を合成することができ、この動物は、ヒト抗体を分泌するハイブリドーマを産生するのに使用することができる。トランスジェニックマウスからヒト抗体を得るための方法は、例えば、Green, 1994; Lonberg, 1994;およびTaylor, 1994によって説明されている。完全ヒト抗体はまた、遺伝学的な、または染色体のトランスフェクション方法、加えてファージディスプレイ技術によって構築してもよく、これらは全て当業界において公知である。(例えば、免疫されていないドナー由来の免疫グロブリン可変ドメイン遺伝子レパートリーからのインビトロにおけるヒト抗体およびそのフラグメントの産生について、McCafferty, 1990を参照)。この技術において、抗体可変ドメインの遺伝子は、糸状バクテリオファージのメジャーまたはマイナーコートタンパク質遺伝子のいずれかにフレーム内でクローニングされ、ファージ粒子の表面上に機能的な抗体フラグメントとして提示される。糸状粒子はファージゲノムの一本鎖DNAコピーを含有するため、抗体の機能特性に基づく選択もまたそのような特性を示す抗体をコードする遺伝子の選択をもたらす。この方法で、ファージは、B細胞の特性の一部を模倣する。ファージディスプレイを実行してもよく、それらの総論については、例えば、Johnson and Chiswell, 1993を参照されたい。ヒト抗体はまた、インビトロでの活性化B細胞によって生成することもできる(例えば、米国特許第5,567,610号および5,229,275号を参照)。
【0275】
用語「機能的なフラグメント」は、抗体に関して、本明細書で使用される場合、抗体の抗原結合部位を指す。この文脈において、「機能的な」は、フラグメントが、標的抗原に結合するその能力を維持することを意味する。一実施形態において、結合親和性は、親抗体の結合親和性と同等かまたはそれより大きくてもよい。一実施形態において、結合親和性は、親抗体未満であってもよいが、それにもかかわらず機能的なフラグメントは、標的抗原に対する特異性および/または選択性を維持する。
【0276】
一実施形態において、機能的なフラグメントが親抗体の標的抗原に結合するその能力を維持することに加えて、機能的なフラグメントはまた、適切な場合、抗体のエフェクター機能(例えば、古典的補体経路;抗体依存性細胞傷害(ADCC);他の下流シグナル伝達プロセスの活性化)も維持する。
【0277】
抗体の機能的なフラグメントとしては、これらに限定されないが、F(ab’)2、F(ab)2、Fab’、Fab、Fab2、Fab3などの抗体、単一ドメイン抗体(例えば、DabまたはVHH)などの部分が挙げられ、例えばIgG4の半分子が挙げられる(van der Neut Kolfschoten, 2007)。構造に関係なく、抗体の機能的なフラグメントは、無傷の抗体によって認識される同じ抗原と結合する。用語「機能的なフラグメント」はまた、抗体に関して、可変領域からなる単離されたフラグメント、例えば、重鎖および軽鎖の可変領域からなる「Fv」フラグメント、および軽鎖および重鎖可変領域がペプチドリンカーによって接続されている組換え単鎖ポリペプチド分子(「scFvタンパク質」)も含む。用語「機能的なフラグメント」は、本明細書で使用される場合、抗原結合部位を含有しないFcフラグメントなどのフラグメントを含まない。
【0278】
抗体フラグメント、例えば本明細書に記載されるものは、単一ドメイン抗体(例えば、ナノボディ)、単鎖抗体、マキシボディ(maxibody)、エビボディ(evibody)、ミニボディ(minibody)、イントラボディ(intrabody)、ダイアボディ(diabody)、トリアボディ(triabody)、テトラボディ(tetrabody)、vNAR、ビス-scFvおよび他の類似の構造に組み込まれていてもよい(例えば、Hollinger and Hudson, 2005を参照)。またフィブロネクチンポリペプチドモノボディを含む抗体ポリペプチドは、米国特許第6,703,199号にも開示されている。他の抗体ポリペプチドは、米国特許公開第20050238646号に開示されている。本明細書において引用される各参考文献は、あらゆる目的のために参照によりそれら全体が本明細書に組み入れられる。
【0279】
機能的なフラグメントの別の形態は、生じるペプチドが標的抗原と結合する能力を保持するという条件で、抗体の1つもしくは複数のCDRまたはCDRの1つもしくは複数の部分を含むペプチドである。
【0280】
機能的なフラグメントは、合成または遺伝子操作されたタンパク質であってもよい。例えば、機能的なフラグメントとしては、軽鎖可変領域からなる単離されたフラグメント、重鎖および軽鎖の可変領域からなる「Fv」フラグメント、および軽鎖および重鎖領域がペプチドリンカーによって接続されている組換え単鎖ポリペプチド分子(scFvタンパク質)が挙げられる。
【0281】
抗体の「抗体」および「機能的なフラグメント」という用語は、本明細書で使用される場合、それらのあらゆる誘導体を包含する。「誘導体」は、抗体または機能的なフラグメントに対するあらゆる改変を意味し、天然に存在する(例えば、インビボ)改変、または人工的に導入される(例えば、実験的な設計によって)改変の両方を含む。このような改変の非限定的な例としては、例えば、配列の改変(例えば、アミノ酸の置換、挿入または欠失)、翻訳後修飾(例えば、リン酸化、N結合型グリコシル化、O結合型グリコシル化、アセチル化、水酸化、メチル化、ユビキチン化、アミド化など)、または他のあらゆる共有結合、またはそれ以外の方法による異種分子(例えば、ポリペプチド、局在化シグナル、標識、標的化分子など)の取り込みが挙げられる。一実施形態において、抗体またはその機能的なフラグメントの改変は、二重特異性抗体またはフラグメント(すなわち、1種より多くの抗原に対する結合特異性を有する)または二価抗体もしくはフラグメント(すなわち、1つより多くのエフェクター機能を有する)が生成するようになされてもよい。
【0282】
「機能的な等価体」は、抗体の文脈において、本明細書で使用される場合、特定の標的に対して抗体と類似の結合特徴を有するポリペプチドまたは他の化合物もしくは分子を指すが、必ずしも抗体の認識可能な「フラグメント」ではない。一実施形態において、機能的な等価体は、特定の標的に対して、10-7から10-12の範囲で平衡解離定数(KD)を有するポリペプチドである。一実施形態において、機能的な等価体は、特定の標的に対して、10-8またはそれより低いKDを有する。一実施形態において、機能的な等価体は、特定の標的に対して、10-10またはそれより低いKDを有する。一実施形態において、機能的な等価体は、特定の標的に対して、10-11またはそれより低いKDを有する。一実施形態において、機能的な等価体は、特定の標的に対して、10-12またはそれより低いKDを有する。本明細書において定義される平衡定数(KD)は、化合物のその標的に対する解離速度(K-off)および会合速度(K-on)の比率である。
【0283】
一実施形態において、抗体、その機能的なフラグメントまたはその機能的な等価体は、免疫細胞上の標的と結合するもの、免疫細胞によって産生されたタンパク質またはポリペプチドと結合するもの、または免疫細胞と相互作用するか、または免疫細胞上の機能(例えば、リガンド)を働かせるタンパク質またはポリペプチドと結合するものである。
【0284】
一実施形態において、抗体、その機能的なフラグメントまたはその機能的な等価体は、免疫調節活性または機能を有するものである。「免疫調節活性または機能」は、抗体、その機能的なフラグメントまたはその機能的な等価体が、免疫応答を、強化する(上方調節する)、抑制する(下方調節する)、指示する、再び指示する、または再プログラムできることを意味する。
【0285】
一実施形態において、抗体、その機能的なフラグメントまたはその機能的な等価体は、刺激性チェックポイント分子および/または阻害性チェックポイント分子に結合するものであり、例えば、これらに限定されないが、本明細書に記載されるものなどである。一実施形態において、抗体、その機能的なフラグメントまたはその機能的な等価体は、刺激性チェックポイント分子および/または阻害性チェックポイント分子のアゴニストまたはアンタゴニストである。一実施形態において、抗体、その機能的なフラグメントまたはその機能的な等価体は、阻害性チェックポイント分子のアンタゴニストである。一実施形態において、抗体、その機能的なフラグメントまたはその機能的な等価体は、刺激性チェックポイント分子のアゴニストまたはスーパーアゴニストである。
【0286】
一実施形態において、活性薬剤は、抗体模倣体、抗体模倣体の機能的な等価体、または抗体模倣体の機能的なフラグメントである。
【0287】
用語「抗体模倣体」は、本明細書で使用される場合、抗体のように抗原または他の標的と特異的および/または選択的に結合することができるが、構造的に抗体とは関連してない化合物を指す。抗体模倣体は通常、人工ペプチドまたはタンパク質であるが、このような実施形態に限定されない。典型的には、抗体模倣体は、抗体より小さく、約3~20kDaのモル質量を有する(それに対して抗体は、一般的に約150kDaである)。抗体模倣体の非限定的な例としては、ペプチドアプタマー、アフィマー、アフィリン(affilin)、アフィボディ、アフィチン(affitin)、アルファボディ(alphabody)、アンチカリン(anticalin)、アビマー、DARPins(商標)、フィノマー(fynomer)、クニッツドメインペプチド、nanoCLAMPs(商標)、親和性試薬および足場タンパク質が挙げられる。また核酸および小分子が抗体模倣体であり得る。
【0288】
用語「ペプチドアプタマー」は、本明細書で使用される場合、細胞内部の他のタンパク質の相互作用に干渉するように設計されるペプチドまたはタンパク質を指す。これらは、両方の末端でタンパク質足場に付着した可変ペプチドループからなる。この二重の構造的な拘束が、ペプチドアプタマーの結合親和性を抗体の親和性(ナノモル濃度の範囲)に匹敵するレベルに大きく増加させる。可変ペプチドループは、典型的には10から20アミノ酸を含み、足場は、優れた溶解特性を有するあらゆるタンパク質であり得る。現在、細菌タンパク質のチオレドキシン-Aが一般的に使用される足場タンパク質であり、可変ペプチドループは、野生型タンパク質では-Cys-Gly-Pro-Cys-ループ(配列番号25)である酸化還元活性部位内に挿入され、2つのシステイン側鎖は、ジスルフィド架橋を形成することができる。ペプチドアプタマーの選択は、様々なシステムを使用してなすことができるが、現在、最も広く使用されるものは酵母2ハイブリッドシステムである。
【0289】
用語「アフィマー」は、本明細書で使用される場合、ペプチドアプタマーの進化形を表す。アフィマーは、特異的な標的タンパク質または抗原のための高親和性結合表面を提供するペプチドループを提示するように操作された、小さい、高度に安定なタンパク質である。アフィマーは、抗体の同じ特異性の利点を有し得るが、より小さく、化学的に合成したり、または化学的に改変したりすることができ、細胞培養の汚染物質を含まないという利点を有する。アフィマーは、シスタチンのシステインプロテアーゼ阻害剤ファミリー由来の、低分子量の、典型的には12から14kDaのタンパク質である。アフィマー足場は、シスタチンタンパク質フォールドをベースとする安定なタンパク質である。これは、2つのペプチドループと、高い親和性と特異性で異なる標的タンパク質と結合するようにランダム化されていてもよいN末端配列とを提示する。
【0290】
用語「アフィリン」は、本明細書で使用される場合、足場としてガンマBクリスタリンまたはユビキチンのいずれかを使用すること、およびランダム変異誘発によってこれらのタンパク質の表面上のアミノ酸を改変することにより開発された抗体模倣体を指す。所望の標的特異性を有するアフィリンの選択は、例えば、ファージディスプレイまたはリボソームディスプレイ技術によって実行される。足場に応じて、アフィリンは、およそ10kDa(ユビキチン)または20kDa(ガンマBクリスタリン)の分子量を有する。アフィリンという用語はまた、本明細書で使用される場合、アフィリンの二量体化または多量体化された形態も指す(Weidle, 2013)。
【0291】
用語「アフィボディ」は、本明細書で使用される場合、ブドウ球菌のプロテインAのZドメイン由来の抗体模倣体のファミリーを指す。構造的に、アフィボディ分子は、3つのヘリックスバンドルドメインをベースとし、これらは融合タンパク質に組み込まれている場合もある。アフィボディそれ自体は、約6kDaの分子量を有し、高温で、酸性またはアルカリ性条件下で安定である。標的特異性は、親タンパク質ドメインの結合活性に関与する2つのアルファヘリックスに配置された13アミノ酸のランダム化により得られる(Feldwisch and Tolmachev, 2012、これは、全ての意図する目的に関してその全体が参照により本明細書に組み入れられる)。一実施形態において、これは、Affibody AB、Stockholm、Swedenから供給されるAffibody(商標)である。
【0292】
「アフィチン」(ナノフィチン(nanofitin)としても公知)は、スルホロブス・アシドカルダリウス(Sulfolobus acidocaldarius)のDNA結合タンパク質Sac7d由来の抗体模倣体タンパク質である。アフィチンは、通常、約7kDaの分子量を有し、結合表面上のアミノ酸をランダム化することによって標的分子に特異的に結合するように設計される(Mouratou, 2012)。一実施形態において、アフィチンは、WO2012/085861に記載される通りであり、これは、全ての意図する目的に関してその全体が参照により本明細書に組み入れられる。
【0293】
用語「アルファボディ」は、本明細書で使用される場合、様々な抗原に結合するように操作された小さい10kDaのタンパク質を指す。アルファボディは、正しいフォールディングと熱安定性を維持しながらタンパク質標的と結合するように改変され得る一連のアミノ酸残基を有する足場として開発されたものである。アルファボディ足場は、コイルドコイル構造に基づいてコンピューターにより設計されているが、自然界で公知の対応物はない。最初に、足場は、平行なコイルドコイル三量体を形成するように非共有結合によって会合した3つのペプチドで作製されたが(米国特許公報第20100305304号)、後に、リンカー領域によって接続された3つのαヘリックスを含有する単一のペプチド鎖として再設計された(Desmet, 2014)。
【0294】
用語「アンチカリン」は、本明細書で使用される場合、リポカリン由来の操作されたタンパク質を指す(Beste, 1999);Gebauer and Skerra, 2009)。アンチカリンは、リポカリンのなかでも高度に保存されたコア単位を形成する8本鎖のβバレルを有し、開放端における4つの構造的に可変のループによってリガンドのための結合部位を天然に形成する。アンチカリンは、IgGスーパーファミリーに相同ではないが、これまでに抗体の結合部位に典型的であるとみなされてきた特徴:(i)配列バリエーションの結果としての高い構造的な可塑性、および(ii)異なる形状での標的への適応の誘導をもたらす高められた立体構造のフレキシビリティーを示す。
【0295】
用語「アビマー」(結合活性多量体)は、本明細書で使用される場合、様々な膜受容体のAドメイン由来であり、リンカーペプチドによって接続されるそれぞれ30から35アミノ酸の2つまたはそれより多くのペプチド配列からなる抗体模倣体のクラスを指す。標的分子の結合は、Aドメインを介して起こり、所望の結合特異性を有するドメインは、例えばファージディスプレイ技術によって選択することができる。アビマーに含有される異なるAドメインの結合特異性は、同一であってもよいが、必ずしもそうでなくてもよい(Weidle, 2013)。
【0296】
用語「DARPin(商標)」は、本明細書で使用される場合、典型的には3つの繰り返しのβターンから生じるリジッドの境界を提供する設計されたアンキリンリピートドメイン(166残基)を指す。DARPinは通常、人工コンセンサス配列に相当する3つの反復を有しており、反復1つ当たり6つの位置がランダム化されている。結果として、DARPinは、構造的なフレキシビリティーがない(Gebauer and Skerra, 2009)。
【0297】
用語「Fynomer(商標)」は、本明細書で使用される場合、ヒトFyn SH3ドメイン由来の、非免疫グロブリン由来結合ポリペプチドを指す。Fyn SH3由来のポリペプチドは、当業界において周知であり、例えば、Grabulovski, 2007;WO2008/022759;Bertschinger, 2007;Gebauer and Skerra, 2009;およびSchlatter, 2012)で説明されている。
【0298】
「クニッツドメインペプチド」は、クニッツ型プロテアーゼ阻害剤のクニッツドメイン、例えばウシ膵臓トリプシン阻害剤(BPTI)、アミロイド前駆タンパク質(APP)または組織因子経路阻害剤(TFPI)のクニッツドメイン由来である。クニッツドメインは、およそ6kDAの分子量を有し、必要な標的特異性を有するドメインは、ディスプレイ技術、例えばファージディスプレイによって選択することができる(Weidle, 2013)。
【0299】
用語「モノボディ」(「アドネクチン」とも称される)は、本明細書で使用される場合、ヒトフィブロネクチンIIIの10番目の細胞外ドメイン(10Fn3)をベースとする分子を指し、これは、2から3つの露出したループを有する94残基のIg様βサンドイッチフォールドを採用しているが、中央のジスルフィド架橋がない(Gebauer and Skerra, 2009)。所望の標的特異性を有するモノボディは、タンパク質の特定のループに改変を導入することによって遺伝子操作されていてもよい。一実施形態において、モノボディは、ADNECTIN(商標)(Bristol-Myers Squibb、New York、New York)である。
【0300】
用語「nanoCLAMP」(CLostridal Antibody Mimetic Proteins)は、本明細書で使用される場合、標的分子に対して、固く、選択的に、穏やかに可逆的に結合する15kDaのタンパク質である親和性試薬を指す。nanoCLAMP足場は、ウェルシュ菌(Clostridium perfringens)ヒアルロニダーゼ(ミュー毒素)由来の、IgG様の熱安定性炭水化物結合モジュールファミリー32(CBM32)をベースとする。nanoCLAMPの形状は、長さおよそ4nmおよび直径2.5nmの円柱に近く、ナノボディとおよそ同じサイズである。特異的な標的に対するnanoCLAMPは、アミノ酸配列と、時にはベータ-サンドイッチフォールドを構成するベータ鎖を接続する3つの溶媒に晒された隣接するループの長さを変化させて、結合親和性および標的特異性を付与することによって生成される(Suderman, 2017)。
【0301】
用語「親和性試薬」は、本明細書で使用される場合、より大きい標的分子に結合して、その活性を同定する、追跡する、捕獲する、またはそれに影響を与えるあらゆる化合物または物質を指す。抗体およびペプチドアプタマーが一般的な例であるが、多くの様々なタイプの親和性試薬が当業者に利用可能である。一実施形態において、親和性試薬は、標的に特異的に結合するように操作することができる見込みのある足場を提供するものである(例えば、Top7は、CD4と特異的に結合するように操作された足場である;Boschek, 2009)。
【0302】
用語「足場タンパク質」は、本明細書で使用される場合、シグナル伝達経路の複数のメンバーと相互作用する、および/またはそれと結合するポリペプチドまたはタンパク質を指す。これらは、多くの主要なシグナル伝達経路のレギュレーターである。このような経路において、それらはシグナル伝達を調節し、経路の構成要素を局在化する。本明細書において、それらは、抗体と同様に標的タンパク質と特異的および/または選択的に結合するそれらの能力のために、用語「抗体模倣体」に包含される。足場タンパク質はまた、それらの結合の機能および特異性に加えて、酵素活性を有する場合もある。例示的な足場タンパク質としては、これらに限定されないが、Ras1のキナーゼサプレッサー(KNS)、MEKキナーゼ1(MEKK1)、B細胞リンパ腫/白血病10(BCL-10)、Aキナーゼ固定タンパク質(AKAP)、神経芽細胞分化関連タンパク質AHNAK、HOMER1、ペリノ(pellino)タンパク質、NLRPファミリー、ディスクラージホモログ1(DLG1)およびスピノフィリン(spinophillin)(PPP1R9B)が挙げられる。
【0303】
抗体模倣体の他の実施形態としては、これらに限定されないが、プロテインAのZドメイン、ガンマBクリスタリン、ユビキチン、シスタチン、スルホロブス・アシドカルダリウス(Sulfolobus acidocaldarius)由来のSac7D、リポカリン、膜受容体のドメイン、アンキリンリピートモチーフ、FynのSH3ドメイン、プロテアーゼ阻害剤のクニッツドメイン、フィブロネクチンの10番目のIII型ドメイン、3または4ヘリックスバンドルタンパク質、アルマジロリピートドメイン、ロイシンリッチリピートドメイン、PDZドメイン、SUMOまたはSUMO様ドメイン、免疫グロブリン様ドメイン、リン酸化チロシン結合ドメイン、プレクストリン相同性ドメイン、またはsrc相同性2ドメインが挙げられる。
【0304】
用語「機能的なフラグメント」は、本明細書で使用される場合、抗体模倣体に関して、その標的分子に結合する能力を維持する抗体模倣体のあらゆる部分またはフラグメントを指す。抗体模倣体の機能的なフラグメントは、例えば、本明細書に記載される抗体模倣体のいずれかの一部であってもよい。一実施形態において、結合親和性は、親抗体模倣体の結合親和性と同等であるか、またはそれより大きくてもよい。一実施形態において、結合親和性は、親抗体模倣体より低くてもよいが、それでも機能的なフラグメントは、標的抗原への特異性および/または選択性を維持する。
【0305】
一実施形態において、親抗体模倣体の標的分子に結合するその能力を維持する抗体模倣体の機能的なフラグメントに加えて、機能的なフラグメントはまた、適切な場合、抗体模倣体のエフェクター機能(例えば、下流シグナル伝達)も維持する。
【0306】
「機能的な等価体」は、本明細書で使用される場合、抗体模倣体の文脈において、抗体模倣体への類似の結合特徴を有するポリペプチドまたは他の化合物もしくは分子を指すが、必ずしも抗体模倣体の認識可能な「フラグメント」でなくてもよい。一実施形態において、機能的な等価体は、特定の標的に対して、10-7から10-12の範囲の平衡解離定数(KD)を有するポリペプチドである。一実施形態において、機能的な等価体は、特定の標的に対して、10-8またはそれより低いKDを有する。一実施形態において、機能的な等価体は、特定の標的に対して、10-10またはそれより低いKDを有する。一実施形態において、機能的な等価体は、特定の標的に対して、10-11またはそれより低いKDを有する。一実施形態において、機能的な等価体は、特定の標的に対して、10-12またはそれより低いKDを有する。本明細書において定義される平衡定数(KD)は、化合物のその標的に対する解離速度(K-off)および会合速度(K-on)の比率である。
【0307】
一実施形態において、抗体模倣体、その機能的なフラグメントまたはその機能的な等価体は、免疫細胞上の標的と結合するもの、免疫細胞によって産生されたタンパク質またはポリペプチドと結合するもの、または免疫細胞上の機能(例えば、リガンド)と相互作用するまたはそれを働かせるタンパク質またはポリペプチドと結合するものである。
【0308】
非限定的な例
一実施形態において、これらに限定されないが、小分子薬物は、細胞傷害性物質、抗がん剤、抗腫瘍剤、化学療法剤、抗新生物剤、免疫調節剤(例えば、免疫エンハンサー)、免疫応答チェックポイント阻害剤、抗血管新生剤、破骨細胞抑制剤(anti-osteoclastogenic)、酵素モジュレーター、生体応答調整物質、プロドラッグ、サイトカイン、ケモカイン、ビタミン、ステロイド、リガンド、標的化薬剤、放射性医薬品、または放射線同位体である。
【0309】
小分子薬物は、本明細書で使用される場合、それらの医薬的に許容される塩であってもよい。用語「医薬的に許容される塩」は、本明細書で使用される場合、目的の対象への投与にとって安全で有効であり、所望の生物学的、医薬的および/または治療的な活性を有する、本明細書に記載される活性薬剤および/または免疫調節剤のあらゆる塩の形態を指す。医薬的に許容される塩としては、酸性または塩基性基の塩が挙げられる。医薬的に許容される酸付加塩としては、これらに限定されないが、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硝酸塩、硫酸塩、重硫酸塩、リン酸塩、酸性リン酸塩、イソニコチン酸塩、酢酸塩、乳酸塩、サリチル酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、パントテン酸塩、酒石酸水素塩、アスコルビン酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、ゲンチシン酸塩(gentisinate)、フマル酸塩、グルコン酸塩、グルクロン酸塩(glucaronate)、サッカリン酸塩、ギ酸塩、安息香酸塩、グルタミン酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩およびパモ酸塩(すなわち、1,1’-メチレン-ビス-(2-ヒドロキシ-3-ナフトエ酸塩))が挙げられる。好適な塩基塩としては、これらに限定されないが、アルミニウム塩、カルシウム塩、リチウム塩、マグネシウム塩、カリウム塩、ナトリウム塩、亜鉛塩、およびジエタノールアミン塩が挙げられる。医薬的に許容される塩の総論は、例えば、Berge, 1977で見出すことができ、これは、全ての意図する目的に関してその全体が参照により本明細書に組み入れられる。
【0310】
一実施形態において、小分子薬物は、DNA複製に干渉する薬剤である。表現「DNA複製に干渉する」は、本明細書で使用される場合、細胞のDNAをコピーする(すなわち、複製する)生物学的なプロセスを防止する、阻害する、または遅延させるあらゆる作用を包含することが意図される。当業者は、DNA複製、例えばDNA架橋、DNAのメチル化、塩基置換などを防止する、阻害する、または遅延させる様々なメカニズムが存在することを理解しているであろう。本発明の開示は、あらゆるDNA複製に干渉する薬剤の使用を包含する。使用することができるこのような薬剤の例示的な、非限定的な実施形態は、例えば、WO2014/153636およびWO2017/190242に記載され、これらのそれぞれは、あらゆる目的のためにそれらの全体が本明細書に組み入れられる。一実施形態において、DNA複製に干渉する薬剤は、アルキル化剤であり、例えば、ナイトロジェンマスタードアルキル化剤(例えば、シクロホスファミド、ベンダムスチン、クロラムブシル、イフォスファミド、メクロレタミン、メルファラン)、ニトロソウレアアルキル化剤(例えば、カルムスチン、ロムスチン、ストレプトゾシン)、スルホン酸アルキルアルキル化剤(例えば、ブスルファン)、トリアジンアルキル化剤(例えば、ダカルバジン、テモゾロミド)、またはエチレンイミンアルキル化剤(例えば、アルトレタミン、チオテパ)などである。ある特定の実施形態において、DNA複製に干渉する薬剤は、シクロホスファミドである。
【0311】
一実施形態において、小分子薬物は、シクロホスファミドまたはその医薬的に許容される塩である。シクロホスファミド(N,N-ビス(2-クロロエチル)-1,3,2-オキサザホスフィナン-2-アミン2-酸化物)。シクロホスファミドの化学構造は、
【0312】
【0313】
シクロホスファミドはまた、Endoxan(登録商標)、Cytoxan(登録商標)、Neosar(登録商標)、Procytox(登録商標)およびRevimmune(登録商標)という商標でも公知であり、そのように称される。シクロホスファミド(CPA)は、P450酵素による酸化によってその活性代謝産物である4-ヒドロキシ-シクロホスファミドおよびアルドホスファミドに変換されるプロドラッグである。細胞内の4-ヒドロキシ-シクロホスファミドは、自発的に、最終的な活性代謝産物であるホスホルアミドマスタードに分解する。
【0314】
CPAの活性代謝産物は、脂溶性であり、受動拡散を介して細胞に進入する。細胞内4-OH-CPAは、自発的に最終的な活性代謝産物であるホスホルアミドマスタードに分解する。ホスホルアミドマスタードは、DNA複製を阻害して細胞死を引き起こす、鎖内および鎖間のDNA架橋、加えてDNA-タンパク質架橋を触媒する(de Jonge, Huitema et al. 2005)。ホスホルアミドマスタードは、酵素での変換によって排除され、細胞質内のアルデヒドデヒドロゲナーゼ(ALDH)によってカルボキシホスファミド(carboxyphoshphamide)になる(Emmenegger, Shaked et al., 2007; 2011)。低いレベルのALDHを有する細胞は、CPA代謝産物を累積する傾向があり、その作用に対してより高い感受性を有し、実際にALDHの腫瘍の上方調節は、CPA耐性の1つのメカニズムである(Zhang, Tian et al. 2005)。ALDHの他にも、低い細胞内ATPレベルも、特定の細胞型に対するCPAの選択性との関連を示した(Zhao, Cao et al. 2010)。高用量で、典型的には1~5g/im2の範囲で、CPAの作用は、細胞型に関係なく急速に分裂する細胞に対して最も高い細胞傷害性を示し、CPAは、ほとんどの造血性細胞が急速に分割するため、骨髄抑制性である(Bruce, Meeker et al. 1966; Smith and Sladek 1985)。
【0315】
シクロホスファミドと同じクラスの他のナイトロジェンマスタードアルキル化剤としては、これらに限定されないが、パリフォスファミド、ベンダムスチンおよびイフォスファミドが挙げられる。
【0316】
一実施形態において、小分子薬物は、これらに限定されないが、ゲムシタビン、5-フルオロウラシル、シスプラチン、オキサリプラチン、テモゾロミド、パクリタキセル、サリドマイド、カペシタビン、メトトレキセート、エピルビシン、イダルビシン、ミトキサントロン、ブレオマイシン、ボルテゾミブ、デシタビン、ドセタキセル、イフォスファミド、アフォスファミド、メルファラン、ベンダムスチン、ウラムスチン、パリフォスファミド、クロラムブシル、ブスルファン、4-ヒドロキシシクロホスファミド、ビス-クロロエチルニトロソウレア(BCNU)、マイトマイシンC、ヨンデリス、プロカルバジン、ダカルバジン、カルボプラチン、アシクロビル、シトシンアラビノシド、ガンシクロビル、カンプトテシン、トポテカン、イリノテカン、ドキソルビシン、ダウノルビシン、エトポシド、テニポシド、もしくはピクサントロン、またはそれらのいずれか1つの医薬的に許容される塩であってもよい。
【0317】
一実施形態において、小分子薬物は、シクロホスファミド、ゲムシタビン、5-フルオロウラシル、シスプラチン、オキサリプラチン、テモゾロミド、パクリタキセル、サリドマイド、カペシタビン、メトトレキセート、エピルビシン、イダルビシン、ミトキサントロン、ブレオマイシン、ボルテゾミブ、デシタビン、またはドセタキセルであってもよい。
【0318】
一実施形態において、活性薬剤または追加の治療剤は、免疫応答チェックポイント阻害剤であってもよい。「免疫応答チェックポイント阻害剤」は、本明細書で使用される場合、1つまたは複数のチェックポイント分子(例えば、タンパク質)の活性または機能を完全または部分的にモジュレートする(例えば、阻害または活性化する)あらゆる化合物または分子を指す。チェックポイント分子は、T細胞応答の共刺激または阻害性相互作用に関与する。チェックポイント分子は、生理学的な免疫応答の自己寛容ならびに持続時間および幅を調節し、維持する。一般的に、2つのタイプのチェックポイント分子:刺激性チェックポイント分子および阻害性チェックポイント分子がある。
【0319】
刺激性チェックポイント分子は、免疫応答を強化することにおいて役割を果たす。多数の刺激性チェックポイント分子が公知であり、例えば、これらに限定されないが、CD27、CD28、CD40、CD122、CD137、CD137/4-1BB、ICOS、IL-10、OX40 TGF-ベータ、TOR受容体、およびグルココルチコイド誘発性TNFR関連タンパク質GITRなどがある。一実施形態において、チェックポイント分子は、1つまたは複数の刺激性チェックポイント分子のアゴニストまたはスーパーアゴニストである。当業者は、刺激性チェックポイント分子をモジュレートするのに使用することができるチェックポイント分子をよく認識しているであろう。
【0320】
阻害性チェックポイント分子は、免疫応答を低減またはブロックすること(例えば、負のフィードバックループ)において役割を果たす。多数の阻害性チェックポイントタンパク質が公知であり、例えばCTLA-4ならびにそのリガンドCD80およびCD86;ならびにPD-1ならびにそのリガンドPD-L1およびPD-L2などがある。他の阻害性チェックポイント分子としては、これらに限定されないが、アデノシンA2A受容体(A2AR);B7-H3(CD276);B7-H4(VTCN1);BTLA(CD272);キラー細胞免疫グロブリン様受容体(KIR);リンパ球活性化遺伝子-3(LAG3);T細胞活性化のV-ドメインIgサプレッサー(VISTA);およびT細胞免疫グロブリンドメインおよびムチンドメイン3(TIM-3);加えて、それらのリガンドおよび/または受容体が挙げられる。一実施形態において、チェックポイント分子は、1つまたは複数の阻害性チェックポイント分子のアンタゴニスト(すなわち、阻害剤)である。当業者は、阻害性チェックポイント分子をモジュレートするのに使用することができるチェックポイント分子をよく認識しているであろう。
【0321】
一実施形態において、チェックポイント分子は、免疫応答チェックポイント阻害剤であり、これは、プログラム死-リガンド1(PD-L1、またB7-H1、CD274としても公知)、プログラム死1(PD-1、CD279)、CTLA-4(CD154)、PD-L2(B7-DC、CD273)、LAG3(CD223)、TIM3(HAVCR2、CD366)、41BB(CD137)、2B4、A2aR、B7H1、B7H3、B7H4、BおよびTリンパ球アテニュエーター(BTLA)、CD2、CD27、CD28、CD30、CD33、CD40、CD70、CD80、CD86、CD160、CD226、CD276、DR3、GAL9、GITR、HVEM、ICOS(誘導性T細胞共刺激分子)、キラー阻害性受容体(KIR)、LAG-3、LAIR1、LIGHT、MARCO(コラーゲン様の構造を有するマクロファージ受容体)、ホスファチジルセリン(PS)、OX-40、シグレック-5、シグレック-7、シグレック-9、シグレック-11、SLAM、TIGIT、TIM3、TNF-α、VISTA、VTCN1、またはそれらのあらゆる組合せの阻害剤である。
【0322】
一実施形態において、チェックポイント分子は、PD-L1、PD-1、CTLA-4、LAG3、TIM3、41BB、ICOS、KIR、CD27、OX-40、GITR、もしくはPS、またはそれらのあらゆる組合せの阻害剤である免疫応答チェックポイント剤である。
【0323】
一実施形態において、チェックポイント分子は、インドールアミン2,3-ジオキシゲナーゼ酵素(例えば、IDO1および/またはIDO2)の1つまたは複数の阻害剤であってもよい。ある特定の実施形態において、インドールアミン2,3-ジオキシゲナーゼ阻害剤は、エパカドスタットである。
【0324】
一実施形態において、チェックポイント分子は、エパカドスタット、ラパマイシン、ドキソルビシン、バルプロ酸、ミトキサントロン、ボリノスタット、イリノテカン、シスプラチン、メトトレキセート、タクロリムスまたはそれらのいずれか1つの医薬的に許容される塩であってもよい。
【0325】
一実施形態において、チェックポイント分子は、エパカドスタット:
【0326】
【0327】
当業者は、本発明の実施において使用することができる他の活性薬剤および追加の治療剤をよく認識しているであろう。一例として、これらに限定されないが、DrugBank(商標)(Wishart, 2017)が挙げられる。2017年12月20日にリリースされたDrugBank(商標)のバージョン5.0.11は、2,500種を超える承認された活性薬剤および追加の治療剤を含む10,990種の薬物エントリーを含有し、これは、あらゆる目的のために参照によりその全体が本明細書に組み入れられる。別の例として、これらに限定されないが、国立癌研究所(National Cancer Institute)(www.cancer.gov/about-cancer/treatment/drugs)に提供されるがん薬物のAからZのリストが挙げられ、これは、あらゆる目的のために参照によりその全体が本明細書に組み入れられる。
【0328】
一実施形態において、活性薬剤および/または追加の治療剤は、食品医薬品局(FDA)によって膀胱がんのために承認されたがん薬物である。一実施形態において、がん薬物は、これらに限定されないが、アテゾリズマブ、アベルマブ、Balversa(登録商標)(エルダフィチニブ)、Bavencio(登録商標)(アベルマブ)、シスプラチン、ドキソルビシン塩酸、エンフォルツマブベドチン-ejfv、エルダフィチニブ、Jelmyto(登録商標)(マイトマイシン)、Keytruda(登録商標)(ペムブロリズマブ)、マイトマイシン、ニボルマブ、Opdivo(登録商標)(ニボルマブ)、Padcev(登録商標)(エンフォルツマブベドチン-ejfv)、ペムブロリズマブ、サシツズマブ、ゴビテカン-hziy、Tecentriq(登録商標)(アテゾリズマブ)、Tepadina(登録商標)(チオテパ)、チオテパ、Trodelvy(登録商標)(サシツズマブゴベテカン-hziy)、バルルビシン、Valstar(登録商標)(バルルビシン)、またはそれらのいずれ1つの医薬的に許容される塩であってもよい。
【0329】
一実施形態において、活性薬剤および/または追加の治療剤は、抗体薬物コンジュゲート(ADC)であってもよい。ADCは、これらに限定されないが、治療用化合物または細胞傷害性薬剤等の薬物に化学的に連結された抗体である。一実施形態において、ADCは、これらに限定されないが、サシツズマブゴビテカン、エンフォルツマブベドチン、ASG-15ME、オポルツズマブモナトクス(VB4-845)、またはそれらのいずれか1つの医薬的に許容される塩であってもよい。
【0330】
一実施形態において、抗体は、抗PD-1抗体、その機能的なフラグメントもしくはその機能的な等価体、またはそれらのあらゆる組合せであってもよい。PD-1(CD279)は、免疫チェックポイントとして機能化して免疫応答を下方調節し、自己寛容を促進する細胞表面受容体である。一実施形態において、PD-1抗体は、これらに限定されないが、ニボルマブ(Opdivo(商標);Bristol-Myers Squibb)、ペンブロリズマブ(Keytruda(商標);Merck)、ピディリズマブ(Cure Tech)、AMP-224(MedImmune & GSK)、またはRMP1-4もしくはJ43(BioXCell)もしくはそれらのヒトもしくはヒト化カウンターパートであってもよい。ある特定の実施形態において、PD-1抗体は、ペンブロリズマブであってもよい。
【0331】
一実施形態において、抗体は、抗PD-L1抗体、その機能的なフラグメントもしくはその機能的な等価体、またはそれらのあらゆる組合せであってもよい。PD-L1は、PD-1受容体のリガンドであり、その受容体への結合は、CD8+T細胞の増殖を低減させる阻害シグナルを透過させ、アポトーシスを誘導することもできる。一実施形態において、PD-L1抗体は、これらに限定されないが、BMS-936559(Bristol Myers Squibb)、アテゾリズマブ(MPDL3280A;Roche)、アベルマブ(Merck & Pfizer)、またはデュルバルマブ(MEDI4736;MedImmune/AstraZeneca)であってもよい。
【0332】
他の実施形態において、これらに限定されないが、抗体、その機能的なフラグメントまたは機能的な等価体は、抗PD-1または抗PD-L1抗体であってもよく、例えば、全ての意図する目的に関してその全体が参照により本明細書に組み入れられるWO2015/103602で開示されたものなどである。
【0333】
一実施形態において、抗体は、抗CTLA-4抗体、その機能的なフラグメントもしくはその機能的な等価体、またはそれらのあらゆる組合せであってもよい。CTLA-4(CD152)は、免疫チェックポイントとして機能化して免疫応答を下方調節するタンパク質受容体である。一実施形態において、抗CTLA-4抗体は、CTLA-4活性または機能を阻害し、それによって免疫応答を強化する。一実施形態において、抗CTLA-4抗体は、これらに限定されないが、イピリムマブ(Bristol-Myers Squibb)、トレメリムマブ(Pfizer;AstraZeneca)またはBN-13(BioXCell)であってもよい。別の実施形態において、抗CTLA-4抗体は、UC10-4F10-11、9D9もしくは9H10(BioXCell)、またはそれらのヒトもしくはヒト化カウンターパートであってもよい。
【0334】
一実施形態において、抗体模倣体、その機能的なフラグメントまたはその機能的な等価体は、免疫調節活性または機能を有するものである。一実施形態において、抗体模倣体、その機能的なフラグメントまたはその機能的な等価体は、刺激性チェックポイント分子および/または阻害性チェックポイント分子に結合するものであり、例えば、これらに限定されないが、本明細書に記載されるものなどである。一実施形態において、抗体模倣体、その機能的なフラグメントまたはその機能的な等価体は、刺激性チェックポイント分子および/または阻害性チェックポイント分子のアゴニストまたはアンタゴニストである。一実施形態において、抗体模倣体、その機能的なフラグメントまたはその機能的な等価体は、阻害性チェックポイント分子(例えば、CTLA-4、PD-1またはPD-L1)のアンタゴニストである。一実施形態において、抗体模倣体、その機能的なフラグメントまたはその機能的な等価体は、刺激性チェックポイント分子のアゴニストまたはスーパーアゴニストである。
【0335】
本明細書に記載されるいずれかの具体的な活性薬剤の量は、薬剤(例えば、小分子薬物、抗体、機能的なフラグメントなど)のタイプに依存し得る。当業者は、実験的な試験によって、特定の適用に必要な活性薬剤の量を容易に決定することができる。
【0336】
免疫調節剤
ある特定の実施形態において、活性薬剤および/または追加の治療剤は、免疫調節剤である。「免疫調節剤」は、本明細書で使用される場合、免疫応答の活性および/または有効性をモジュレートする化合物または分子である。「モジュレートする」は、本明細書で使用される場合、免疫応答を、強化する(上方調節する)、指示する、再び指示する、または再プログラムすることを意味する。用語「モジュレートする」は、活性化または誘導を意味することは意図されない。これは、免疫調節剤が、特定の物質(例えば、抗原)によって活性化される、開始させる、または誘導される免疫応答をモジュレートするが(強化または指示する)、免疫調節剤は、それ自体がそれに対する免疫応答を指示する物質ではないし、その物質由来の免疫調節剤でもないことを意味する。
【0337】
一実施形態において、免疫調節剤は、骨髄性細胞(単球、マクロファージ、樹状細胞、巨核球および顆粒球)またはリンパ系細胞(T細胞、B細胞およびナチュラルキラー(NK)細胞)をモジュレートするものである。特定の実施形態において、免疫調節剤は、リンパ系細胞のみをモジュレートするものである。一実施形態において、免疫調節剤は、投与されると、免疫細胞を刺激して増殖するかまたは活性化された状態になる治療剤である。
【0338】
一実施形態において、免疫調節剤は、免疫応答を強化するものである。免疫応答は、事前に活性化または開始されているが、適切な、または所望の治療的利益を提供するには不十分な効能を有するものであってもよい。代替として、免疫調節剤は、免疫系をプライミングするために事前に提供されてもよく、それによってその後の活性化された免疫応答が強化される。
【0339】
一実施形態において、免疫応答を強化する免疫調節剤は、サイトカイン(例えば、ある特定のインターロイキンおよびインターフェロン)、幹細胞増殖因子、リンホトキシン、共刺激分子、造血因子、コロニー刺激因子、エリスロポエチン、トロンボポエチンなど、およびこれらの分子の合成アナログから選択することができる。
【0340】
一実施形態において、免疫応答を強化する免疫調節剤は、以下の非限定的な例:リンホトキシン、例えば腫瘍壊死因子(TNF);造血因子、例えばインターロイキン(IL);コロニー刺激因子、例えば顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)または顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF);インターフェロン、例えばインターフェロンアルファ、ベータまたはラムダ;および幹細胞増殖因子、例えば「SI因子」と名付けられたものから選択してもよい。
【0341】
サイトカインのなかでも特に、成長ホルモン、例えば、これらに限定されないが、ヒト成長ホルモン、ヒトN-メチオニル成長ホルモン、およびウシ成長ホルモン;副甲状腺ホルモン;チロキシン;インスリン;プロインスリン;リラキシン;プロリラキシン;糖タンパク質ホルモン、例えば、これらに限定されないが、胞刺激ホルモン(FSH)、甲状腺刺激ホルモン(TSH)、および黄体形成ホルモン(LH);肝臓の増殖因子;プロスタグランジン、線維芽細胞増殖因子;プロラクチン;胎盤ラクトゲン、OBタンパク質;腫瘍壊死因子アルファおよびベータ;ミュラー管抑制因子;マウスゴナドトロピン関連ペプチド;インヒビン;アクチビン;血管内皮増殖因子(VEGF);インテグリン;トロンボポエチン(TPO);神経成長因子、例えば、これに限定されないが、NGF-ベータ;血小板増殖因子;トランスフォーミング増殖因子(TGF)、例えば、これらに限定されないが、TGFアルファおよびTGFP;インスリン様増殖因子IおよびII;エリスロポエチン(EPO);骨誘導因子;インターフェロン、例えば、これらに限定されないが、インターフェロンアルファ、ベータ、およびガンマ;コロニー刺激因子(CSF)、例えば、これに限定されないが、マクロファージ-CSF(M-CSF);インターロイキン(IL)、例えば、これらに限定されないが、IL-1、IL-lアルファ、IL-2、IL-3、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-8、IL-9、IL-10、IL-11、IL-12;IL-13、IL-14、IL-15、IL-16、IL-17、IL-18、IL-21、IL-25、LIF、kit-リガンドまたはFLT-3、アンジオスタチン、トロンボスポンジン、エンドスタチンならびに腫瘍壊死因子が挙げられる。
【0342】
一実施形態において、免疫調節剤は、チェックポイント分子をモジュレートする薬剤であってもよい。チェックポイント分子は、上記でより詳細に論じられている。
【0343】
一実施形態において、免疫調節剤は、免疫チェックポイント阻害剤であるあらゆる化合物、分子、または物質であり、その例としては、これらに限定されないが、プログラム死-リガンド1(PD-L1、またB7-H1、CD274としても公知)、プログラム死1(PD-1、CD279)、CTLA-4(CD154)、PD-L2(B7-DC、CD273)、LAG3(CD223)、TIM3(HAVCR2、CD366)、41BB(CD137)、2B4、A2aR、B7H1、B7H3、B7H4、BおよびTリンパ球アテニュエーター(BTLA)、CD2、CD27、CD28、CD30、CD33、CD40、CD70、CD80、CD86、CD160、CD226、CD276、DR3、GAL9、GITR、HVEM、ICOS(誘導性T細胞共刺激分子)、キラー阻害性受容体(KIR)、LAG-3、LAIR1、LIGHT、MARCO(コラーゲン様の構造を有するマクロファージ受容体)、ホスファチジルセリン(PS)、OX-40、シグレック-5、シグレック-7、シグレック-9、シグレック-11、SLAM、TIGIT、TIM3、TNF-α、VISTA、VTCN1、またはそれらのあらゆる組合せから選択される免疫チェックポイントタンパク質の阻害剤が挙げられる。
【0344】
一実施形態において、免疫調節剤は、CTLA-4を阻害またはブロックするあらゆる化合物、分子、または物質である。CTLA-4シグナル伝達は、特定には強いT細胞応答の間に、T細胞活性化を阻害する。CTLA-4阻害剤、例えば抗CTLA-4モノクローナル抗体を使用するCTLA-4の妨害は、阻害シグナルの抑制は抗腫瘍T細胞応答の生成をもたらすため、大きな魅力がある。臨床データと前臨床データの両方は、CTLA-4の妨害がCD4+およびCD8+エフェクター細胞の直接の活性化をもたらすことを示し、抗CTLA-4モノクローナル抗体療法は、多数のがんにおいて将来性を示している。
【0345】
一実施形態において、免疫調節剤は、PD-1を阻害またはブロックするあらゆる化合物、分子、または物質である。CTLA-4シグナル伝達のように、PD-1/PD-L1は、T細胞応答をモジュレートする。健康な状態で活性化されたT細胞の細胞表面で発現されるPD-1の正常な機能は、自己免疫反応を含む不要または過剰な免疫応答を下方にモジュレートする。PD-1経路は、活性なT細胞の免疫監視に打ち勝つように腫瘍細胞に組み入れることができる主要な免疫制御スイッチを代表するものであり、これが通常、腫瘍によって乗っ取られて免疫制御を抑制する。PD-1を発現するTregは、免疫阻害剤応答を有することが示されており、したがってPD-1/PD-L1発現は、自己寛容において役割を果たすと考えられる。がんの文脈において、腫瘍細胞は、免疫系による認識を逃れるためにPD-1およびPD-L1を過剰発現する。PD-L1/PD-1をブロックする抗がん療法は、エフェクターT細胞活性を増加させ、抑制性Treg活性を減少させ、それにより個体の免疫系による腫瘍の認識および破壊が可能になる。
【0346】
様々なチェックポイント阻害剤を使用することができる。例えば、チェックポイント阻害剤は、阻害性チェックポイントタンパク質に結合し、拮抗する抗体であってもよい。例示的な抗体としては、抗PD-1抗体(ペンブロリズマブ、ニボルマブ、ピディリズマブ、AMP-224、RMP1-4またはJ43)、抗PD-L1抗体(アテゾリズマブ、アベルマブ、BMS-936559またはデュルバルマブ)、抗CTLA-4抗体(イピリムマブ、トレメリムマブ、BN-13、UC10-4F10-11、9D9または9H10)などが挙げられる。一部の実施形態において、チェックポイント阻害剤は、阻害性チェックポイントタンパク質を標的化する小分子またはRNAiであってもよい。一部の実施形態において、チェックポイント阻害剤は、ペプチド模倣体またはポリペプチドであってもよい。
【0347】
一実施形態において、免疫調節剤は、免疫共刺激分子アゴニストであってもよい。免疫共刺激分子は、免疫応答を調節することにおいて役割を果たすシグナル伝達タンパク質である。一部の免疫共刺激分子は、細胞外シグナル伝達に応答する細胞の表面に配置された受容体である。免疫共刺激分子は、活性化されると、調節性T細胞の抑制および細胞傷害性またはキラーT細胞の活性化を含み得る炎症促進性応答を生じる。したがって、免疫共刺激分子アゴニストは、個体において免疫系を活性化してがん細胞を死滅させるのに使用することができる。
【0348】
例示的な免疫共刺激分子としては、CD27、CD28、CD40、CD122、CD137、CD137/4-1BB、ICOS、IL-10、OX40TGF-ベータ、TOR受容体、およびグルココルチコイド誘発性TNFR関連タンパク質GITRのいずれかが挙げられる。例えば、OX40刺激は、エフェクターT細胞の生存および活性を強化しながらTreg細胞の機能を抑制し、それによって抗腫瘍免疫を増加させる。
【0349】
一実施形態において、免疫調節剤は、共刺激免疫分子のアゴニストであるあらゆる化合物、分子または物質であり、その例としては、これらに限定されないが、CD27、CD28、CD40、CD122、CD137、CD137/4-1BB、ICOS、IL-10、OX40TGF-ベータ、TOR受容体、およびグルココルチコイド誘発性TNFR関連タンパク質GITRから選択される共刺激免疫分子などが挙げられる。
【0350】
様々な免疫共刺激分子アゴニストを使用することができる。例えば、免疫共刺激分子アゴニストは、免疫共刺激分子に結合し、活性化する抗体であってもよい。さらなる実施形態において、免疫共刺激分子アゴニストは、免疫共刺激分子を標的化し、活性化する小分子であってもよい。
【0351】
一実施形態において、免疫調節剤は、免疫抑制性の細胞傷害性薬であるあらゆる化合物、分子または物質であってもよい。一実施形態において、免疫抑制性の細胞傷害性薬は、グルココルチコイド、細胞増殖抑制剤(例えば、アルキル化剤、代謝拮抗物質)、抗体、イムノフィリンに作用する薬物、インターフェロン、オピオイド、またはTNF結合タンパク質である。免疫抑制性の細胞傷害性薬としては、これらに限定されないが、ナイトロジェンマスタード(例えば、シクロホスファミド)、ニトロソウレア、白金化合物、葉酸アナログ(例えば、メトトレキセート)、プリンアナログ(例えば、アザチオプリンおよびメルカプトプリン)、ピリミジンアナログ(例えば、フルオロウラシル)、タンパク質合成阻害剤、細胞傷害性抗生物質(例えば、ダクチノマイシン、アントラサイクリン、マイトマイシンC、ブレオマイシンおよびミトラマイシン)、シクロスポリン、タクロリムス、シロリムス/ラパマイシン、エベロリムス、プレドニゾン、デキサメタゾン、ヒドロコルチゾン、メクロレタミン、クロラムブシル(clorambucil)、ミコフェノール酸(mycopholic acid)、フィンゴリモド、ミリオシン、インフリキシマブ、エタネルセプト、またはアダリムマブが挙げられる。
【0352】
一実施形態において、免疫調節剤は、抗炎症剤であってもよい。一実施形態において、抗炎症剤は、非ステロイド性抗炎症剤であってもよい。一実施形態において、非ステロイド性抗炎症剤は、Cox-1および/またはCox-2阻害剤であってもよい。一実施形態において、抗炎症剤としては、これらに限定されないが、アスピリン、サルサレート、ジフルニサル、イブプロフェン、フェノプロフェン、フルルビプロフェン(flubiprofen)、フェナメート、ケトプロフェン、ナブメトン、ピロキシカム、ナプロキセン、ジクロフェナク、インドメタシン、スリンダク、トルメチン、エトドラク、ケトロラック、オキサプロジン、またはセレコキシブが挙げられる。一実施形態において、抗炎症剤は、ステロイド系抗炎症剤であってもよい。一実施形態において、ステロイド系抗炎症剤は、コルチコステロイドであってもよい。
【0353】
一実施形態において、免疫調節剤は、本明細書に記載される活性薬剤(例えば、小分子薬物、抗体、抗体模倣体またはそれらの機能的な等価体もしくはフラグメント)のいずれか1つまたは複数であり、それにより、活性薬剤が免疫調節機能を有する。
【0354】
一実施形態において、免疫調節剤は、本明細書に記載される追加の治療剤(例えば、小分子薬物、抗体、抗体模倣体、またはそれらの機能的な等価体もしくはフラグメント)であり、それにより、活性薬剤が免疫調節機能を有する。ある特定の実施形態において、追加の治療剤は、エパカドスタット、ラパマイシン、ドキソルビシン、バルプロ酸、ミトキサントロン、ボリノスタット、シクロホスファミド、イリノテカン、シスプラチン、メトトレキセート、タクロリムス、抗CTLA-4抗体または抗PD-1抗体(例えば、ペンブロリズマブ)のいずれか1つまたは複数である。
【0355】
当業者は、上記のものに包含される他の免疫調節剤をよく認識しているであろう。とりわけ用語「免疫調節剤」は、本明細書で使用される場合、免疫細胞への抗原の曝露を長くすることによって(すなわち、送達プラットフォーム、例えばFreund’s(商標)完全または不完全アジュバント、Montanide(商標)ISA、または他の油性の担体によって)抗原の免疫原性を強化するように機能する化合物または組成物を包含しない。
【0356】
本明細書に記載されるいずれかの具体的な免疫調節剤の量は、薬剤のタイプ(例えば、小分子薬物、抗体など)に依存し得る。当業者は、実験的な試験によって、特定の適用に必要な免疫調節剤の量を容易に決定することができる。
【0357】
例示的なT細胞活性化治療組成物を調製する方法
T細胞活性化治療組成物は、本発明の開示を考慮して、当業界において公知の方法によって調製することができる。本明細書で開示される組成物を調製するための例示的な実施形態は後述されるが、それらに限定されない。
【0358】
ある特定の実施形態において、本発明のT細胞活性化治療組成物は、少なくとも1つのサバイビン抗原および少なくとも1つのMAGE-A9抗原、脂質小胞粒子、ならびに疎水性物質の連続相を含む担体を含むものである。
【0359】
脂質小胞粒子、例えばリポソームを作製するための方法は当業界において周知である。例えば、どちらもこれまでに引用されたGregoriadis(1990)およびFrezard(1999)を参照されたい。本発明の実施において脂質小胞粒子を作製するためのあらゆる好適な方法を使用してもよいし、または商業的供給源から脂質小胞粒子を得てもよい。脂質小胞粒子は、典型的には、脂質二重層(例えば、リン脂質およびコレステロール)を形成すると予想される脂質小胞粒子成分を水溶液で水和することによって調製され、このような水溶液は、純水、または1つもしくは複数の成分を水中に溶解した溶液、例えば、リン酸緩衝食塩水(PBS)、リン酸非含有の食塩水、もしくは他のあらゆる生理学的に適合する水溶液であってもよい。
【0360】
一実施形態において、脂質小胞粒子成分または脂質小胞粒子成分の混合物、例えばリン脂質(例えば、Phospholipon(登録商標)90G)またはDOPCおよびコレステロールを、有機溶媒、例えばクロロホルムおよびメタノールの混合物中に可溶性にし、続いてろ過し(例えば、PTFE0.2μmフィルター)、例えばロータリーエバポレーションによって乾燥させて、溶媒を除去することができる。得られた脂質混合物の水和は、例えば、水溶液に脂質混合物を注入すること、または脂質混合物および水溶液を音波処理することによって実行することができる。脂質小胞粒子の形成中に、脂質小胞粒子成分は、脂質小胞粒子成分を水和する水溶液の体積を取り囲む単一の二重層(単層)または複数の二重層(多層)を形成する。
【0361】
一部の実施形態において、次いで脂質小胞粒子を、例えばフリーズドライまたは凍結乾燥によって脱水させる。
【0362】
一部の実施形態において、脂質小胞粒子は、適切な担体、例えば連続疎水性相を含む担体と合わされる。これは、様々な方法でなされ得る。
【0363】
担体が、単に疎水性物質または疎水性物質の混合物で構成される場合(例えば、100%の鉱油担体の使用)、脂質小胞粒子は、単に疎水性物質と混合することができ、または複数の疎水性物質が存在する場合、いずれか1つまたはそれらの組合せと混合することができる。
【0364】
その代わりに、疎水性物質の連続相を含む担体が不連続の水性相を含有する場合、担体は、典型的には、疎水性相中の水性相のエマルジョン、例えば油中水型エマルジョンの形態をとると予想される。このような組成物は、エマルジョンを安定化させ、脂質小胞粒子の均等な分布を促進するための、乳化剤を含有していてもよい。これに関して、水非含有担体が使用される場合でも、担体中の脂質小胞粒子の均等な分布を促進する目的のために、乳化剤が有用であり得る。典型的な乳化剤としては、マンニドオレエート(Arlacel(商標)A)、レシチン(例えば、S100レシチン)、リン脂質、Tween(商標)80、ならびにSpans(商標)20、80、83および85が挙げられる。典型的には、疎水性物質と乳化剤との体積比(v/v)は、約5:1から約15:1の範囲であり、約10:1の比率が好ましい。
【0365】
一部の実施形態において、脂質小胞粒子は、完成したエマルジョンに添加してもよいし、または脂質小胞粒子は、乳化の前に水性相または疎水性相のいずれかに存在してもよい。
【0366】
本明細書に記載されるサバイビン抗原、MAGE-A9抗原、または追加の抗原は、製剤プロセスの様々な異なる段階で導入されてもよい。1つより多くのタイプの抗原が、組成物に取り込まれていてもよい。このセクションで使用される場合、用語「抗原」は、一般的に使用され、本明細書に記載されるサバイビンもしくはMAGE-A9抗原、1つもしくは複数のサバイビン抗原または1つもしくは複数のMAGE-A9抗原、本明細書に記載される追加の抗原、もしくは1つもしくは複数の追加の抗原、またはそれらのあらゆる組合せを指し得る。この用語は、いずれかの抗原がどのように本発明のT細胞活性化治療組成物に製剤化できるのかを記載するのに一般的に使用される。用語「抗原」は、単数形の「抗原」と複数形の「抗原」の両方を包含する。全ての抗原が同じ方法でT細胞活性化治療組成物に導入されることは必ずしも必要ではない。
【0367】
一部の実施形態において、抗原は、脂質小胞粒子の脂質二重層を形成するのに使用される成分(例えば、リン脂質およびコレステロール)を水和するのに使用される水溶液中に存在する。このケースにおいて、抗原は、その水性の内部に存在する小胞粒子またはリポソームに封入されることになる。得られた脂質小胞粒子が洗浄または乾燥されない場合、したがって最終的に疎水性物質の連続相を含む担体と混合される残留した水溶液が存在する場合、最終生成物において脂質小胞粒子の外側に追加の抗原が存在し得ることが考えられる。関連の技術において、抗原は、水溶液での水和の前に、脂質小胞粒子の脂質二重層を形成するのに使用される成分と混合してもよい。また抗原は予備形成された脂質小胞粒子に添加されてもよく、このケースにおいて、抗原は、能動的に脂質小胞粒子に負荷されるか、もしくは脂質小胞粒子の表面に結合することができ、または抗原は、脂質小胞粒子の外部に残る可能性がある。このような実施形態において、抗原の添加の前に、予備形成された脂質小胞粒子は、空の脂質小胞粒子であってもよいし(例えば、封入された抗原または脂質ベースのアジュバントを含有しない)、または予備形成された脂質小胞粒子は、脂質小胞粒子に組み込まれた、またはそれに会合した脂質ベースのアジュバントを含有していてもよい。これらのステップは、好ましくは、疎水性物質の連続相を含む担体と混合する前に行ってもよい。
【0368】
代替のアプローチにおいて、その代わりに、抗原は、担体を脂質小胞粒子と合わせる前に、その間に、またはその後に、疎水性物質の連続相を含む担体と混合されていてもよい。担体がエマルジョンである場合、抗原は、乳化の前に、水性相または疎水性相のいずれかまたはその両方と混合されていてもよい。代替として、抗原は、乳化の後に担体と混合されていてもよい。
【0369】
抗原を担体と合わせる技術は、抗原が脂質小胞粒子内と疎水性物質の連続相を含む担体中の両方に存在するように、上述したような脂質小胞粒子への抗原の封入と共に使用することができる。
【0370】
上述した組成物に抗原を導入するための手順はまた、本明細書に記載される組成物のTヘルパーエピトープおよび/またはアジュバントにも、それらが含まれる実施形態において適用される。すなわち、Tヘルパーエピトープおよび/またはアジュバントは、例えば、(1)脂質小胞粒子の脂質二重層を形成するのに使用される成分を水和するのに使用される水溶液;(2)脂質小胞粒子の脂質二重層の形成後の水溶液;(3)脂質小胞粒子の脂質二重層を形成するのに使用される成分;または(4)担体を脂質小胞粒子と合わせる前、その間、またはその後の疎水性物質の連続相を含む担体の1つまたは複数に導入されてもよい。担体がエマルジョンである場合、Tヘルパーエピトープおよび/またはアジュバントは、乳化の前に、その間に、またはその後に、水性相または疎水性相のいずれかまたはその両方と混合されていてもよい。
【0371】
Tヘルパーエピトープおよび/またはアジュバントを担体と合わせる技術は、Tヘルパーエピトープおよび/またはアジュバントが、脂質小胞粒子の内側および/または外側に、および疎水性物質の連続相を含む担体中に存在するように、脂質小胞粒子中のこれらの成分の封入、または脂質小胞粒子へのこれらの成分の添加と共に使用することができる。
【0372】
Tヘルパーエピトープおよび/またはアジュバントは、同じ処理ステップで抗原と共に、または異なる処理ステップで抗原と別々に組成物中に取り込まれていてもよい。例えば、抗原、Tヘルパーエピトープおよびアジュバントが全て、3つ全ての成分が脂質小胞粒子に封入された状態になるように、脂質二重層を形成する脂質小胞粒子成分を水和するのに使用される水溶液中に存在していてもよい。代替として、抗原およびTヘルパーエピトープは、脂質小胞粒子に封入されていてもよく、アジュバントは、疎水性物質の連続相を含む担体と混合されていてもよい。さらなる実施形態において、Tヘルパーエピトープおよび/またはアジュバントは、脂質小胞粒子-抗原調製物を手動の小型押出機に通過させ、次いで得られた脂質小胞粒子-抗原調製物を、例えばリン酸緩衝液中の脂質ベースのアジュバントと混合することによって、抗原封入ステップの後に組成物に取り込まれてもよい。Tヘルパーエピトープおよび/またはアジュバントはまた、Tヘルパーエピトープおよびアジュバントが脂質小胞粒子と会合できるように、またはその外部に残存できるように、脂質小胞粒子が形成された後に、単独で、または抗原と共にのいずれかで組成物に取り込まれていてもよい。Tヘルパーエピトープおよび/またはアジュバントはまた、抗原の添加の前に、脂質小胞粒子に取り込まれていてもよいし、またはそれと会合していてもよく、抗原は、さらなる処理によって、予備形成された脂質小胞粒子の外側に残存するか、または脂質小胞粒子に負荷/会合していてもよい。このような実施形態において、得られた調製物は、凍結乾燥してもよく、次いで疎水性物質の連続相を含む担体で再構成してもよい。多くのこのような組合せが可能であることが理解されると予想される。
【0373】
組成物が1つまたは複数のさらなるアジュバントを含有する場合、このような追加のアジュバントは、アジュバントについて上述したのと類似の様式で、または追加のアジュバントに適している可能性がある方法のいくつかを組み合わせることによって組成物中に取り込まれてもよい。
【0374】
抗原、アジュバント、脂質小胞粒子または連続的な疎水性担体の貯蔵寿命を延長するために生物学的活性を維持するかまたは化学的安定性を改善する安定剤、例えば糖、抗酸化剤、または保存剤が、このような組成物に添加されてもよい。
【0375】
一部の実施形態において、抗原/アジュバント混合物は、抗原およびアジュバントが同時に組成物に取り込まれるケースで使用することができる。「抗原/アジュバント混合物」は、少なくとも組成物への取り込みの前に抗原およびアジュバントが同じ希釈剤中にある実施形態を指す。抗原/アジュバント混合物中の抗原およびアジュバントは、必ずしも必須ではないが、例えば共有結合によって化学的に連結されていてもよい。
【0376】
組成物を調製するための一実施形態において、脂質調製物は、好適な溶媒に、脂質、または脂質混合物を、穏やかに振盪することで溶解させることによって調製される。次いでT細胞活性化治療薬は、直接的(例えば、乾燥した活性薬剤および/または免疫調節剤を添加すること)、またはまず好適な溶媒中に溶解させたT細胞活性化治療薬のストックを調製することのいずれかによって、脂質調製物に添加することができる。ある特定の実施形態において、T細胞活性化治療薬は、穏やかに振盪することで、脂質調製物に添加されるか、またはそれと合わされる。次いでT細胞活性化治療薬調製物を乾燥させて、乾燥ケークを形成し、乾燥ケークを疎水性担体に再懸濁する。乾燥のステップは、当業界において公知の様々な手段によって、例えばフリーズドライ、凍結乾燥、ロータリーエバポレーション、加圧下での蒸発などによって実行することができる。成分の完全性を損なわない低い熱での乾燥も使用することができる。
【0377】
「好適な溶媒」は、それぞれの成分(例えば、脂質、薬剤、またはその両方)を溶解させることが可能なものであり、当業者によって決定することができる。
【0378】
脂質に関して、一実施形態では、好適な溶媒は、極性プロトン性溶媒、例えばアルコール(例えば、tertブタノール、n-ブタノール、イソプロパノール、n-プロパノール、エタノールまたはメタノール)、水、酢酸緩衝液、ギ酸またはクロロホルムである。一実施形態において、好適な溶媒は、40%の第3ブタノールである。当業者は、使用される脂質に応じて他の好適な溶媒を決定することができる。
【0379】
組成物を調製するための特定の実施形態において、DOPCおよびコレステロールを10:1の比率(w:w)で含有する脂質混合物(Lipoid GmBH、Germany)は、40%の第3ブタノールに、300RPM、室温で溶解するまで振盪することによって、溶解させることができる。活性薬剤/免疫調節剤ストックは、DMSOで調製してもよく、溶解した脂質混合物との混合の前に40%の第3ブタノールで希釈してもよい。次いでT細胞活性化治療薬ストックは、300RPMで約5分振盪しながら、溶解した脂質混合物に添加することができる。次いで調製物はフリーズドライさせることができる。次いでフリーズドライさせたケークを、Montanide(登録商標)ISA51VG(SEPPIC、France)で再構成して、透明な溶液を得る。典型的には、フリーズドライさせたケークは、フリーズドライさせたケークを疎水性担体で再構成する投与のときまで貯蔵される(例えば、20℃で)。
【0380】
組成物を調製するための別の実施形態において、T細胞活性化治療薬は、S100脂質およびコレステロール(Lipoid、Germany)と共に、リン酸ナトリウムまたは酢酸ナトリウム緩衝液に溶解される。次いでこれらの成分を凍結乾燥させて、乾燥ケークを形成する。注射の直前に、乾燥ケークをISA51VG油(SEPPIC、France)に再懸濁して、水非含有の油性組成物を調製する。
【0381】
組成物を調製するための別の実施形態において、活性薬剤および/または免疫調節剤は、DOPCおよびコレステロール(Lipoid、Germany)と共に、リン酸ナトリウムまたは酢酸ナトリウム緩衝液に溶解される。次いでこれらの成分を凍結乾燥させて、乾燥ケークを形成する。注射の直前に、乾燥ケークをISA51VG油(SEPPIC、France)に再懸濁して、水非含有の油性組成物を調製する。
【0382】
組成物を調製するための別の実施形態において、乾燥ケークは、リン酸ナトリウムまたは酢酸ナトリウム緩衝液(100mM、pH5.5から10.0の範囲)中で脂質小胞粒子(例えば粒子サイズ≦110nm、PDI≦0.1)と混合される。脂質は、DOPC、DOPC/コレステロールであってもよい。次いでこれらの成分を凍結乾燥させて、乾燥ケークを形成する。注射の直前に、乾燥ケークをISA51VG油(SEPPIC、France)に再懸濁して、水非含有の油性組成物を調製する。
【0383】
一部の実施形態において、乾燥ケークの成分が疎水性担体に再懸濁されるときにそれらの安定化を助けるために、疎水性担体中に乳化剤を含むことが適切な場合がある。乳化剤は、疎水性担体に活性薬剤および/または免疫調節剤ならびに脂質の乾燥混合物を再懸濁し、活性薬剤および/または免疫調節剤ならびに脂質を疎水性担体に溶解した状態で維持するのに十分な量で提供される。例えば、乳化剤は、疎水性担体の重量当たり約5%から約15%重量で、または疎水性担体の体積当たりの重量で約5%から約15%で存在してもよい。
【0384】
成分のいずれかの貯蔵寿命を延長するために生物学的活性を維持するかまたは化学的安定性を改善する安定剤、例えば糖、抗酸化剤、または保存剤が組成物に添加されてもよい。
【0385】
一実施形態において、本明細書に記載の組成物を調製するための方法としては、本発明の開示の文脈において必要に応じて、WO2009/043165で開示されたものを挙げることができる。このような例において、本明細書に記載される活性薬剤および/または免疫調節剤は、WO2009/043165において抗原に関して記載されるのと類似の様式で組成物に組み込まれると予想される。
【0386】
一実施形態において、本明細書に記載の組成物を調製するための方法としては、サイズ調整された脂質小胞粒子の使用を含むWO2019090411およびWO2019010560の公報で開示されたものを挙げることができる。このような例において、本明細書に記載される活性薬剤および/または免疫調節剤は、WO2019090411およびWO2019010560の公報において治療剤に関して記載されるのと類似の様式で組成物に組み込まれると予想され、これらは両方、全ての意図する目的に関して参照によりそれらの全体が本明細書に組み入れられる。
【0387】
サバイビンとMAGE-A9の両方を標的とするT細胞活性化治療薬を調製するための例示的な方法を以下に示す。しかしながら、代替の実施形態も本明細書に包含されることが理解されると予想され、例えば、抗原、アジュバントおよびTヘルパーエピトープが、T細胞活性化治療薬の配合におけるあらゆるステージで、あらゆる順番で導入することができ、最終的に脂質小胞粒子の内側、外側、または内側と外側の両方に見出すことができる上述した実施形態も本明細書に包含される。
【0388】
ある特定の実施形態において、サバイビンとMAGE-A9の両方を標的とするT細胞活性化治療薬を調製するために、サバイビンおよびMAGE-A9抗原、ならびにアジュバントの存在下で脂質成分を混合および水和するプロセスによって、水性緩衝液(酢酸ナトリウム、100mM、pH9.5)中に、2つのサバイビン抗原(配列番号4および7)、3つもしくは4つのMAGE-A9抗原(配列番号9、10、および12、または配列番号9、10、11、および12);アジュバント(例えば、ポリI:CまたはポリdIdCポリヌクレオチド)、および脂質もしくは脂質混合物(DOPCおよびコレステロール)を用いて複合体を形成し、押出して粒子サイズを達成し、これを滅菌濾過し、次いでバイアルに充填し、凍結乾燥して乾燥ケークにする。次いで乾燥ケークを、注射の前に疎水性担体Montanide ISA51VGに再懸濁する。この例示的な調製方法は、サバイビンおよびMAGE-A9抗原、あらゆる好適なアジュバントおよびあらゆる好適なTヘルパーエピトープのあらゆる組合せと共に使用することができる。
【0389】
ある特定の実施形態において、サバイビンとMAGE-A9の両方を標的とするT細胞活性化治療薬を調製するために、2つのサバイビン抗原(配列番号4および7)、3つもしくは4つのMAGE-A9抗原(配列番号9、10、11、および12、または配列番号9、10、および12)、およびアジュバント(例えば、ポリI:CまたはポリdIdCポリヌクレオチド)を、事前に調製した脂質小胞粒子(酢酸ナトリウム50mM、pH7.5またはpH9.0中、DOPC/Chol 132mg/mL、粒子サイズ<100nm、pdi<0.1)に添加し、滅菌濾過し、フリーズドライする。次いで乾燥ケークは、注射の前に疎水性担体Montanide ISA51VGに再懸濁される。この例示的な調製方法は、サバイビンおよびMAGE-A9抗原、あらゆる好適なアジュバントおよびあらゆる好適なTヘルパーエピトープのあらゆる組合せと共に使用することができる。
【0390】
ペプチドのストック溶液は、調製した脂質小胞粒子と任意の順序およびあらゆる組合せで添加し混合してよい。一部の実施形態において、MAGE-A9ペプチド(例えばMAGE-A9 111、MAGE-A9 24、MAGE-A9 270、および/またはMAGE-A9 223)を、サバイビン由来のペプチド(例えば、SurA24および/またはSurA2M)を添加する前に添加してもよい。一部の実施形態において、サバイビン由来のペプチド(例えば、SurA24および/またはSurA2M)を、MAGE-A9ペプチド(例えば、MAGE-A9 111、MAGE-A9 24、MAGE-A9 270、および/またはMAGE-A9 223)を添加する前に添加してもよい。一部の実施形態において、MAGE-A9ペプチド(例えば、MAGE-A9 111、MAGE-A9 24、MAGE-A9 270、および/またはMAGE-A9 223)およびサバイビン由来のペプチド(例えば、SurA24および/またはSurA2M)を同時に添加してもよい。
【0391】
Tヘルパーエピトープは、製剤におけるあらゆるステージで導入することができる。一部の実施形態において、Tヘルパーエピトープは、MAGE-A9ペプチド(例えば、MAGE-A9 111、MAGE-A9 24、MAGE-A9 270、および/またはMAGE-A9 223)と同時に添加される。一部の実施形態において、Tヘルパーエピトープは、サバイビン由来のペプチド(例えば、SurA24および/またはSurA2M)と同時に添加される。一部の実施形態において、Tヘルパーエピトープは、MAGE-A9ペプチド(例えば、MAGE-A9 111、MAGE-A9 24、MAGE-A9 270、および/またはMAGE-A9 223)およびサバイビン由来のペプチド(例えば、SurA24および/またはSurA2M)と同時に添加される。一部の実施形態において、Tヘルパーエピトープは、MAGE-A9またはサバイビン由来のペプチドのいずれかの添加の前に添加される。一部の実施形態において、Tヘルパーエピトープは、MAGE-A9またはサバイビン由来のペプチドのいずれかの添加の後で添加される。
【0392】
一実施形態において、製剤は、DNAベースのポリI:Cポリヌクレオチドアジュバント(dIdC)(例えば配列番号22)のそれぞれのストック溶液;水溶液(例えば無菌水)中のMAGE-A9 24、MAGE-A9 111、およびMAGE-A9 270;塩基性溶液(例えば0.1Mの水酸化ナトリウム)中のMAGE-A9 223、SurA2M、およびSurA24のそれぞれのストック溶液;および酸性溶液(例えば、0.125%の酢酸)中のTヘルパー(例えば、A16L(配列番号13))を個別に調製することによって調製することができる。ある特定の実施形態において、MAGE-A9 111、MAGE-A9 24、MAGE-A9 270、および/またはMAGE-A9 223、ならびにTヘルパーペプチドA16Lの調製されたペプチドストック溶液を、緩衝溶液(例えば、酢酸ナトリウム緩衝液、0.5M、pH9.75)に添加してよい。ある特定の実施形態において、予め調製した脂質小胞粒子(例えば、酢酸ナトリウム(50mM、pH7.5)中、132mg/mLのDOPC/Chol、粒子サイズ<100nm、PDI<0.1)を上記の希釈したペプチドストック溶液に添加し、(例えば手もしくはボルテックスによって30秒、またはバッチ体積によっては磁気撹拌プレートを使用して)穏やかによく混合してよい。ある特定の実施形態において、ペプチドを負荷した脂質小胞粒子を、SurA24およびSurA2Mの残存するペプチドストック溶液に添加して、上で開示したようによく混合してもよい。ある特定の実施形態において、製剤のpHを(例えば、pH7.0に)調整してよい。ある特定の実施形態において、DNAベースのポリI:Cポリヌクレオチドアジュバント(dIdC)を添加してもよい。ある特定の実施形態において、無菌水を添加することによって最終の製剤体積を1.0mLに満たし、例えば30秒ボルテックスすることによってよく混合し、単一または連続の0.22μmの無菌フィルター膜(例えば、PVDF、PES、PTFE)を使用して無菌濾過してよい。ある特定の実施形態において、次にバイアルを部分的にふさいで凍結乾燥してよい。ある特定の実施形態において、凍結乾燥したケークを、水非含有連続疎水性相を含む担体、例えば0.45mLのMontanide(登録商標)ISA 51油希釈剤によって再構成して、DOPC/Chol 132mg/mL、サバイビンおよびMAGE-A9ペプチドそれぞれ1mg/mL、dIdCアジュバント0.4mg/mL、TヘルパーペプチドA16L 0.5mg/mL、および酢酸ナトリウム0.1Mの最終濃度を得ることができる。
【0393】
ある特定の実施形態において、製造の順序は、MAGE-A9ペプチドストック(例えば、10mg/mlストック)の添加、Tヘルパーストック(例えば、10mg/mlストック)の添加、リポソーム(例えば、DOPC:Chol 10:1、66mg/バイアル <110nm)の添加、サバイビンペプチド(例えば、10mg/mlストックまたは5mg/mlストック)の添加、pHの調整、アジュバント(例えば、ポリdIdC(10mg/mlストック))の添加、および凍結乾燥であってよい。ある特定の実施形態において、pHは約6から約10、約7.5から約9.5、または約8から約9に調整される。ある特定の実施形態において、pHをアルカリ性のpH範囲である約8.0から約10または約9.0に調整することが、沈殿を避けるために必要である。
【0394】
投与の様式
本明細書で開示される方法は、がんを有する対象に、少なくとも1つのサバイビンおよび少なくとも1つのMAGE-A9抗原を含むT細胞活性化治療薬組成物を投与することを含む。ある特定の実施形態において、本発明は、追加の治療剤を投与することをさらに含む。ある特定の実施形態において、本発明は、活性薬剤を投与することをさらに含む。ある特定の実施形態において、活性薬剤および追加の治療剤は、同じレジメンで投与される。ある特定の実施形態において、活性薬剤および追加の治療剤は、異なるレジメンで投与される。
【0395】
用語「組合せ」、「共投与」、または「組み合わされた投与」などは、本明細書で使用される場合、単一の患者への活性薬剤およびT細胞活性化治療薬の投与を包含することを意味し、必ずしも薬剤およびT細胞活性化治療薬が同じ投与経路によって、または同時に投与されない例を含むことが意図される。例えば、活性薬剤およびT細胞活性化治療薬は、別々に、逐次的に、または交互の投与を使用して投与されてもよい。
【0396】
ある特定の実施形態において、活性薬剤は、T細胞活性化治療薬の投与の前に、それと同時に、および/またはその後に投与される。
【0397】
活性薬剤は、典型的には、免疫をモジュレートする作用を提供するのに十分な量で投与される。
【0398】
ある特定の実施形態において、活性薬剤は、約5mgから約5g、約10mgから約4.5g、約15mgから約4g、約20mgから約3.5g、約25mgから約3g、約30mgから約2.5g、約35mgから約2g、約40mgから約1.5g、約45mgから約1g、約50mgから約900mg、約55mgから約850mg、約60mgから約800mg、約65mgから約750mg、約70mgから約700mg、約75mgから約650mg、約80mgから約600mg、約85mgから約550mg、約90mgから約500mg、約95mgから約450mg、約100mgから約400mg、約110mgから約350mg、約120mgから約300mg、約130mgから約290mg、約140mgから約280mg、約150mgから約270mg、約160mgから約260mg、約170mgから約250mg、約180mgから約240mg、約190mgから約230mg、または約200mgから約220mgの用量で投与される。ある特定の実施形態において、活性薬剤は、少なくとも約5mg、少なくとも約10mg、少なくとも約15mg、少なくとも約20mg、少なくとも約25mg、少なくとも約30mg、少なくとも約40mg、少なくとも約50mg、少なくとも約60mg、少なくとも約70mg、少なくとも約75mg、少なくとも約80mg、少なくとも約90mg、少なくとも約100mg、少なくとも約125mg、少なくとも約150mg、少なくとも約175mg、少なくとも約200mg、少なくとも約225mg、少なくとも約250mg、少なくとも約275mg、少なくとも約300mg、少なくとも約325mg、少なくとも約350mg、少なくとも約375mg、少なくとも約400mg、少なくとも約425mg、少なくとも約450mg、少なくとも約475mg、少なくとも約500mg、少なくとも約525mg、少なくとも約550mg、少なくとも約575mg、少なくとも約600mg、少なくとも約625mg、少なくとも約650mg、少なくとも約675mg、少なくとも約700mg、少なくとも約725mg、少なくとも約750mg、少なくとも約775mg、少なくとも約800mg、少なくとも約825mg、少なくとも約850mg、少なくとも約875mg、少なくとも約900mg、少なくとも約925mg、少なくとも約950mg、少なくとも約975mg、少なくとも約1g、少なくとも約2g、少なくとも約3g、少なくとも約4g、または少なくとも約5gの用量で投与される。
【0399】
ある特定の実施形態において、「免疫をモジュレートする作用を提供するのに十分な量」は、「低用量」の量であってもよい。したがって、ある特定の実施形態において、本発明の方法は、T細胞活性化治療薬と組み合わせた低用量の活性薬剤の使用を含む。
【0400】
本発明のある特定の実施形態に関する場合、「低用量」は、約300mg/m2未満、例えば約100~300mg/m2の活性薬剤の用量を指す場合もある。毎日の投与に関して、活性薬剤の「低用量」は、約25~300mg/日または約50~150mg/日である。ある特定の実施形態において、1日投薬量は、約100mgの活性薬剤である。ある特定の実施形態において、1日投薬量は、1用量当たり約50mgの活性薬剤である。
【0401】
活性薬剤がアルキル化剤のシクロホスファミドである本発明のある特定の実施形態に関する場合、表現「低用量」は、典型的には、約300mg/m2未満、例えば約100~300mg/m2であるシクロホスファミドの用量を指す。毎日の投与に関して、シクロホスファミドの「低用量」は、約25~300mg/日または約50~150mg/日である。ある特定の実施形態において、1日投薬量は、約100mgのシクロホスファミドである。ある特定の実施形態において、1日投薬量は、1用量当たり約50mgのシクロホスファミドである。一部の実施形態において、シクロホスファミドは、サバイビンベースのT細胞応答を増強する。
【0402】
他の活性薬剤の「低用量」の量は、本明細書に包含される場合、当業者公知と予想されるか、または日常的な技術によって決定することができる。
【0403】
ある特定の実施形態において、本発明の方法は、T細胞活性化治療薬の第1の投与の前に、活性薬剤の少なくとも2つの用量の投与を含む。これらの実施形態に関連して、T細胞活性化治療薬の第1の投与の前に少なくとも2つの用量が投与される限り、T細胞活性化治療薬での処置経過の前、その間、またはその後の他のあらゆる時点で、活性薬剤を追加で対象に投与してもよい。
【0404】
表現「少なくとも2つの用量」は、本明細書で使用される場合、単回用量より多くのあらゆる数の用量を包含することが意図される。一実施形態において、少なくとも2つの用量としては、2~50用量、より詳細には2~28用量、より詳細には2~14用量が挙げられる。一実施形態において、少なくとも2つの用量は、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13または14用量である。少なくとも2つの用量は、あらゆる好適な時間で隔てられていてもよい。特定の実施形態において、少なくとも2つの用量は、1週間の期間にわたり1日2用量、合計で14用量を含む。
【0405】
ある特定の実施形態において、本発明の方法は、活性薬剤の少なくとも2つの用量を投与すること、次いでその後、本発明のT細胞活性化治療薬を投与することを含む。「その後、投与すること」は、T細胞活性化治療薬の第1の投与の前に、活性薬剤を投与することを意味する(例えば、T細胞活性化治療薬の前に、薬剤の少なくとも1つまたは少なくとも2つの用量が対象に与えられる)。しかしながら、本明細書に記載される通り、対象への活性薬剤の投与は、T細胞活性化治療薬での投与が始まった後に継続することができる。代替の実施形態において、活性薬剤の投与は、T細胞活性化治療薬の第1の投与の前に止める。
【0406】
ある特定の実施形態において、本発明の方法は、活性薬剤の第1の用量がT細胞活性化治療薬での対象のいずれかの処置の前に行われるようになされる。一実施形態において、第1の活性薬剤の投与とT細胞活性化治療薬の第1の投与とを隔てる最小限の時間は、免疫をモジュレートする作用を提供するのに十分なあらゆる時間であってもよい。当業者は、活性薬剤および対象に基づいて免疫のモジュレートを提供するのに十分な時間を理解しており、それを考慮に入れるであろう。
【0407】
一部の実施形態において、活性薬剤の第1の用量は、T細胞活性化治療薬の第1の投与の少なくとも12時間前に投与され、好ましくはT細胞活性化治療薬の第1の投与の少なくとも2、4または6日前に投与される。さらなる実施形態において、活性薬剤の第1の用量は、T細胞活性化治療薬の第1の投与の約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、1、12、13もしくは14日前、またはそれより前に提供されてもよい。特定の実施形態において、第1の活性薬剤の投与は、T細胞活性化治療薬の第1の投与の1~4日前に行われる。ある特定の実施形態において、第1の活性薬剤の投与は、T細胞活性化治療薬の第1の投与の約1週間前に行われる。
【0408】
活性薬剤の第1の用量の後、後続の用量は、薬剤の少なくとも2つの用量がT細胞活性化治療薬の第1の投与の前に投与される限り、あらゆる所望の用量間の時間間隔で投与されてもよい。活性薬剤での投与は、T細胞活性化治療薬での処置経過の前、その間またはその後に止めてもよい。
【0409】
一実施形態において、活性薬剤の第1の用量の後に、1つまたは複数の維持用量が続いてもよい。用語「維持用量」は、本明細書で使用される場合、対象の体内において薬剤および/またはその活性代謝産物の十分な量を維持する(例えば、薬剤および/またはその活性代謝産物のそれらの総全身クリアランスを回避する)ような間隔および/または量で与えられる活性薬剤の用量を包含することを意味する。維持用量を提供することは、T細胞活性化治療薬での投与の経過の前に、その間に、および/またはその後に、長期間にわたり活性薬剤の免疫をモジュレートする作用を延長および/または維持することを可能にし得る。
【0410】
ある特定の実施形態において、免疫をモジュレートする作用を維持するために、活性薬剤は、1日1、2、3、4もしくは5回、またはそれより多く投与されてもよい。ある特定の実施形態において、免疫をモジュレートする作用を維持するために、活性薬剤は、低用量の投与が維持される限り、1日1、2、3、4もしくは5回、またはそれより多く投与されてもよい(例えば、複数のより少ない用量が所望の1日の低用量まで添加される)。活性薬剤の単回用量(すなわち、投与)は、例えば嚥下される丸剤のように、単一の時点で与えられてもよい。代替として、活性薬剤の単回用量は、例えば静脈内点滴によって、短い連続する期間にわたり与えられてもよい。
【0411】
活性薬剤がシクロホスファミドである本発明の実施形態に関して、維持用量を、例えば6~18時間毎に提供することが適切であり得る。当業者は、シクロホスファミドの維持用量、加えて本明細書に包含される他の活性薬剤の適切な間隔を認識していると予想され、またはそれを慣例的な技術によって決定することができる。
【0412】
特定の実施形態において、活性薬剤は、T細胞活性化治療薬の第1の投与の前に、連続する少なくとも2日の期間にわたり投与される。これらの日に、活性薬剤は、1日少なくとも1、2、3もしくは4回、またはあらゆる所望の回数、対象に投与されてもよい。ある特定の実施形態において、活性薬剤は、1日の低用量の薬剤の量を提供するために、1日少なくとも1、2、3もしくは4回、またはあらゆる所望の回数、対象に投与される。
【0413】
別の実施形態において、活性薬剤は、T細胞活性化治療薬の第1の投与の約1週間前の期間にわたり投与される。この1週間の期間の間に、複数回の用量が提供されてもよい。例示的な実施形態において、活性薬剤は、1日1回、2日に1回、または記載された維持用量を提供するためのあらゆる好適な間隔で投与されてもよい。例えば、特定の実施形態において、本発明の方法は、T細胞活性化治療薬の投与の約1週間前の期間にわたり1日2回、活性薬剤を投与することを含む。
【0414】
本発明の方法において、T細胞活性化治療薬の第1の投与の前に、活性薬剤での処置の中断があってもよい。このような実施形態において、活性薬剤の投与は、T細胞活性化治療薬の第1の投与の前に永久的または一時的に止めてもよい。最後の活性薬剤の用量とT細胞活性化治療薬の第1の用量との間の期間は、対象がそれでもなお薬剤から免疫をモジュレートする利益を得る限り、あらゆる好適な期間であってもよい。例えば、これらに限定されないが、活性薬剤の投与は、T細胞活性化治療薬の第1の用量が投与されるのと同時に、またはT細胞活性化治療薬の第1の用量の最大約1週間前のどこかの時点で止めてもよい。例えば、これらに限定されないが、活性薬剤の投与は、T細胞活性化治療薬の第1の用量の、約6、12、18、24、36、48、60または72時間前、またはそれより前に止めてもよい。ある特定の実施形態において、活性薬剤の投与は、T細胞活性化治療薬の第1の用量の約2、4または7日前に止められる。
【0415】
代替の実施形態において、活性薬剤での対象の処置は、T細胞活性化治療薬での処置経過にわたり、薬剤の投与を間欠的に中断して、または中断しないで続けられる。さらなる実施形態において、活性薬剤での処置は、T細胞活性化治療薬での処置を中止した後に継続することができる。したがって、一実施形態において、活性薬剤は、それぞれのT細胞活性化治療薬の投与の前の期間の間に投与されてもよい。代替として、活性薬剤は、T細胞活性化治療薬の第1の投与の前の期間の間のみ投与されてもよい。
【0416】
本明細書に記載される通り、活性薬剤での処置は、T細胞活性化治療薬での第1の投与の後に続けてもよい。一実施形態において、活性薬剤の投与は、T細胞活性化治療薬での処置経過にわたり、間欠的に中断して、または中断しないで、毎日続けられる。それゆえに、一部の実施形態において、薬剤は、T細胞活性化治療薬での処置の前に、およびその間に投与されると予想される。このような例において、T細胞活性化治療薬の投与が一旦始まったら、活性薬剤を、T細胞活性化治療薬と同時に、それに続いてすぐに、またはその日の異なるときに投与することが可能である。活性薬剤がT細胞活性化治療薬と同時に投与される場合、それは、単一の組成物として本発明のT細胞活性化治療組成物中に含まれていてもよいし、または別々の組成物で投与されてもよい。
【0417】
代替として、活性薬剤の投与は、T細胞活性化治療薬が投与される日の間、停止してもよい。それゆえに、本発明のレジメンは、T細胞活性化治療薬の投与の期間中に、T細胞活性化治療薬の投与を中断することを含んでいてもよい。
【0418】
T細胞活性化治療薬の第1の投与の前に活性薬剤を投与するための本明細書に記載される実施形態は、T細胞活性化治療薬の第1の投与の後(例えば、T細胞活性化治療薬のそれぞれの後続の投与の前)の薬剤の投与にも適用される。
【0419】
ある特定の実施形態において、本発明の方法は、活性薬剤での対象のメトロノミック処置を含む。本発明の目的のために、「メトロノミック処置」、「メトロノミックレジメン」、または「メトロノミック投与」、または「低用量間欠」などは、通常の用量より低い量のDNA複製に干渉する薬剤を周期的に投与することを指すことを意味する。用語「通常の用量の量」は、本明細書で使用される場合、例えば、これらに限定されないが、(i)従来の投与スケジュールによる、確立された最大耐量(MTD)もしくは標準用量、または(ii)特定の活性薬剤について低用量の単回ボーラス量が確立されている例において、その低用量の量のいずれかを指す場合がある。
【0420】
メトロノミック投与において、ある特定の期間にわたり、従来の投与スケジュールを介して投与されると予想される用量と同じ、それより低い、またはそれより高い累積的な用量が、最終的に投与されてもよい。特に好適な実施形態において、これは、通常の用量の量と比較して投与される量を減少させながら、投与が実行される時間枠を延長する、および/または投与頻度を増加させることによって達成される。例えば、活性薬剤の300mg/m2の低用量の量が典型的に投与される(例えば、単回ボーラス注射によって)場合、メトロノミックレジメンは、周期的な低用量を投与することによって数日の期間にわたり同じ量を投与することを含んでいてもよい。このアプローチにより、メトロノミック投与は、例えば、本明細書に記載される維持用量を提供するのに使用することができる。
【0421】
本発明の方法の一実施形態において、メトロノミックの活性薬剤での処置は、ある特定の期間にわたり、例えば2、3、4、5、6もしくは7日の連続した日、またはそれより長い連続した日の期間にわたる、1日の低用量の薬剤投与を包含することが意図される。メトロノミック投与のこれらの日の間、活性薬剤は、周期的な規則的な間隔で、または可変の間隔で提供されてもよい。例えば、一実施形態において、活性薬剤の用量は、1、2、3、4、6、8、12または24時間毎に投与されてもよい。別の実施形態において、活性薬剤の用量は、2、3、または4日毎に投与されてもよい。
【0422】
本発明の方法の一部の実施形態において、活性薬剤でのメトロノミック処置の期間において中断または間隙があってもよい。この方式で、活性薬剤でのメトロノミック処置は、投与のオン期間とオフ期間とが交互の周期的な様式で行ってもよい。特に好適には、活性薬剤が、週単位の間隔で交互に毎日対象に投与される間隔である。例えば、活性薬剤の投与の1週間の期間に続いて、1週間処置が停止され、サイクルが繰り返される。
【0423】
一実施形態において、本発明の方法は、隔週で1週間の期間にわたり毎日、活性薬剤を対象に投与することを含む。この実施形態の特定の態様において、活性薬剤の投与は、T細胞活性化治療薬の第1の投与の約1週間前に始まる。
【0424】
本発明のT細胞活性化治療薬に関する場合、一部の実施形態において、週1回、2週間毎、3週間毎、4週間毎、5週間毎、6週間毎、7週間毎、8週間毎、9週間毎、10週間毎、11週間毎、12週間毎、13週間毎、14週間毎、または15週毎に1回の間隔でT細胞活性化治療薬組成物を対象に投与することが好適であり得る。ある特定の実施形態において、T細胞活性化治療薬組成物は、3週毎に1回投与される。ある特定の実施形態において、T細胞活性化治療薬組成物は、6週毎に1回から12週毎に1回投与される。しかしながら、T細胞活性化治療薬の投与の頻度および期間は、いずれか所与の対象ごとに要求に応じて調整することができ、週1回、2週毎に1回または3週毎に1回より多い頻度またはそれより少ない頻度であってもよい。また投与間の間隔も、T細胞活性化治療薬での処置期間中、一定でなくてもよい。本発明の方法において、T細胞活性化治療薬は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10回またはそれより多くの回数で対象に投与されてもよい。T細胞活性化治療薬での処置は、対象における腫瘍の処置がどの程度進行しているかに応じて、不定の期間にわたり続けてもよいことが理解されると予想される。本発明のT細胞活性化治療薬に関する場合、一部の実施形態において、T細胞活性化治療薬をアジュバントまたはネオアジュバント処置として対象に投与することが好適であり得る。本発明のT細胞活性化治療薬に関する場合、一部の実施形態において、T細胞活性化治療薬をアジュバントおよびネオアジュバント処置として対象に投与することが好適であり得る。
【0425】
一部の実施形態において、本開示の方法は、アジュバント処置として使用することができる。本明細書において使用される場合、「アジュバント処置」は、一次処置の後に施されるあらゆる追加のがん処置を指す。一部の実施形態において、アジュバント処置は、がんが再発するリスクを低減するために施される。アジュバント療法は、これらに限定されないが、化学療法、放射線療法、ホルモン療法、標的化療法、生物学的療法、またはそれらの組合せを含む。
【0426】
一部の実施形態において、本開示の方法は、ネオアジュバント処置として使用することができる。本明細書において使用される場合、「ネオアジュバント処置」は、通常は手術である主要な処置が施される前に腫瘍を縮小させるための第1のステップとして施されるあらゆる処置を指す。ネオアジュバント療法は、これらに限定されないが、化学療法、放射線療法、ホルモン療法、またはそれらの組合せを含む。
【0427】
一部の実施形態において、本開示の方法は、地固め療法として使用することができる。本明細書において使用される場合、「地固め療法」は、最初の治療の後、がんが消失した後で施されるあらゆる処置を指す。一部の実施形態において、地固め療法は、体内の残っている可能性のあるあらゆるがん細胞を殺滅するために使用される。一部の実施形態において、地固め療法は、これらに限定されないが、放射線療法、幹細胞移植、がん細胞を殺滅する薬物による処置、またはそれらの組合せを含み得る。強化療法および寛解後療法とも称される。
【0428】
一部の実施形態において、本開示の方法は、維持療法として使用することができる。本明細書において使用される場合、「維持療法」は、最初の治療の後、がんが消失した後で、がんの再発の防止を助けるために施されるあらゆる療法を指す。一部の実施形態において、維持療法は、これらに限定されないが、薬物、ワクチン、もしくはがん細胞を殺滅する抗体、またはそれらの組合せによる処置を含んでよく、長期にわたって施され得る。
【0429】
ある特定の実施形態において、T細胞活性化治療薬は、ネオアジュバント相において毎週1回、2週間毎、3週間毎、4週間毎、5週間毎、6週間毎、7週間毎、8週間毎、9週間毎、10週間毎、11週間毎、12週間毎、13週間毎、14週間毎、または15週毎に1回の間隔で、対象に投与することが好適であり得る。ある特定の実施形態において、T細胞活性化治療薬は、ネオアジュバント相において毎週1回、2週毎に1回、3週毎に1回、4週毎に1回、5週毎に1回、または6週毎に1回の間隔で、対象に投与することが好適であり得る。ある特定の実施形態において、T細胞活性化治療薬は、ネオアジュバント相において3週毎に1回の間隔で、対象に投与することが好適であり得る。
【0430】
ある特定の実施形態において、T細胞活性化治療薬は、アジュバント相において毎週1回、2週間毎、3週間毎、4週間毎、5週間毎、6週間毎、7週間毎、8週間毎、9週間毎、10週間毎、11週間毎、12週間毎、13週間毎、14週間毎、または15週毎に1回の間隔で、対象に投与することが好適であり得る。ある特定の実施形態において、T細胞活性化治療薬は、アジュバント相において4週毎に1回、5週間毎、6週間毎、7週間毎、8週間毎、9週間毎、10週間毎、11週間毎、12週間毎、13週間毎、14週間毎、または15週毎に1回の間隔で、対象に投与することが好適であり得る。ある特定の実施形態において、T細胞活性化治療薬は、アジュバント相において6週毎に1回、7週毎に1回、8週毎に1回、9週毎に1回、10週毎に1回、11週毎に1回、または12週毎に1回の間隔で、対象に投与することが好適であり得る。
【0431】
ある特定の実施形態において、T細胞活性化治療薬は、ネオアジュバント相において毎週1回、2週毎に1回、3週毎に1回、4週毎に1回、5週毎に1回、6週毎に1回の間隔で、対象に投与することが好適であり得る。ある特定の実施形態において、T細胞活性化治療薬は、ネオアジュバント相において3週毎に1回の間隔で、対象に投与することが好適であり得る。ある特定の実施形態において、T細胞活性化治療薬は、アジュバント相において4週毎に1回、5週間毎、6週間毎、7週間毎、8週間毎、9週間毎、10週間毎、11週間毎、12週間毎、13週間毎、14週間毎、または15週毎に1回の間隔で、対象に投与することが好適であり得る。ある特定の実施形態において、T細胞活性化治療薬は、アジュバント相において6週毎に1回、7週毎に1回、8週毎に1回、9週毎に1回、10週毎に1回、11週毎に1回、または12週毎に1回の間隔で、対象に投与することが好適であり得る。
【0432】
ある特定の実施形態において、T細胞活性化治療薬は、ネオアジュバント相において毎週1回、2週毎に1回、3週毎に1回、4週毎に1回、5週毎に1回、6週毎に1回の間隔で、かつアジュバント相において4週毎に1回、5週間毎、6週間毎、7週間毎、8週間毎、9週間毎、10週間毎、11週間毎、12週間毎、13週間毎、14週間毎、または15週毎に1回の間隔で、対象に投与することが好適であり得る。
【0433】
ある特定の実施形態において、T細胞活性化治療薬は、ネオアジュバント相において3週毎に1回の間隔、かつアジュバント相において6週毎に1回、7週毎に1回、8週毎に1回、9週毎に1回、10週毎に1回、11週毎に1回、または12週毎に1回の間隔で、対象に投与することが好適であり得る。
【0434】
ある特定の実施形態において、T細胞活性化治療薬は、約5μgから約1000μg、約10μgから約950μg、約15μgから約900μg、約20μgから約850μg、約25μgから約800μg、約30μgから約750μg、約35μgから約700μg、約40μgから約650μg、約45μgから約600μg、約50μgから約550μg、約55μgから約500μg、約60μgから約450μg、約65μgから約400μg、約65μgから約350μg、約70μgから約300μg、約75μgから約275μg、約80μgから約250μg、約85μgから約225μg、約90μgから約200μg、約95μgから約175μg、または約100μgから約150μgの用量で投与される。ある特定の実施形態において、T細胞活性化治療薬は、約50μgから約500μg、約50μgから約 100μg、約60μgから約90μg、70μgから約80μg、約100μgから約500μg、約120μgから約480μg、約140μgから約460μg、約160μgから約440μg、約180μgから約420μg、約200μgから約400μg、約220μgから約380μg、約240μgから約360μg、約260μgから約340μg、約280μgから約320μg、または約300μgから約310μgの用量で投与される。
【0435】
本発明の方法の一実施形態において、活性薬剤は、T細胞活性化治療薬の各投与の前に、間欠的な期間の間にプライミング剤として投与されてもよい。
【0436】
特定の実施形態において、活性薬剤およびT細胞活性化治療薬の組合せを含む本発明の方法は、T細胞活性化治療薬が、3週毎に1回の間隔で(例えば、0日目、21日目、42日目、63日目、84日目などに)対象に投与され、活性薬剤の第1の投与は、第1のT細胞活性化治療薬の投与の約1週間前に(例えば、-7日目に)開始し、週単位の間隔で交互に毎日継続する(例えば、メトロノミックで)ことを含むと予想される。このような処置計画は、
図1Aに示される。
【0437】
当業者は理解していると予想されるように、活性薬剤およびT細胞活性化治療薬の投与の頻度および持続期間は、いずれか所与の対象ごとに要求に応じて調整することができる。考慮に入れられる可能性がある要因としては、例えば、T細胞活性化治療薬における1つまたは複数のT細胞活性化抗原の性質、がんのタイプ、対象の年齢、身体的な状態、体重、性別および食事;ならびに他の臨床的要因が挙げられる。
【0438】
活性薬剤は、あらゆる好適な送達手段およびあらゆる好適な投与経路によって投与することができる。一実施形態において、活性薬剤は、経口的に投与され、例えば丸剤、錠剤またはカプセルの形態で経口的に投与される。代替の実施形態において、薬剤は、注射によって投与される(例えば、静脈内)。本発明の方法の特定の実施形態において、薬剤は、シクロホスファミドであり、これは、経口的に投与される。
【0439】
本明細書に記載される本発明のT細胞活性化治療薬は、経口、経鼻、直腸または非経口投与に好適な形態で製剤化することができる。非経口投与としては、静脈内、腹膜内、皮内、皮下、筋肉内、経上皮、肺内、髄腔内、および局所の投与様式が挙げられる。実施形態において、T細胞活性化治療薬は、上述したように注射部位でデポー作用を達成するように組成物として製剤化される。T細胞活性化治療薬および活性薬剤は、必ずしも同じ投与経路で、または同時に投与されなくてもよい。
【0440】
本発明の方法の特定の実施形態において、活性薬剤は、アルキル化剤であり、例えばシクロホスファミドなどである。
【0441】
ある特定の実施形態において、追加の治療剤が投与される。
【0442】
ある特定の実施形態において、追加の治療剤およびT細胞活性化治療薬の単一の患者への投与は、薬剤およびT細胞活性化治療薬が、必ずしも同じ投与経路で、または同時に投与されなくてもよい例を含むことが意図される。例えば、追加の治療剤およびT細胞活性化治療薬は、別々に、逐次的に、または交互の投与を使用して投与されてもよい。
【0443】
ある特定の実施形態において、活性薬剤は、T細胞活性化治療薬の投与の前に、それと同時に、またはその後に投与される。
【0444】
追加の治療剤は、典型的には、免疫をモジュレートする作用を提供するのに十分な量で投与される。
【0445】
ある特定の実施形態において、追加の治療剤は、約10mgから約1g、約5mgから約5g、約10mgから約4.5g、約15mgから約4g、約20mgから約3.5g、約25mgから約3g、約30mgから約2.5g、約35mgから約2g、約40mgから約1.5g、約45mgから約1g、約50mgから約900mg、約55mgから約850mg、約60mgから約800mg、約65mgから約750mg、約70mgから約700mg、約75mgから約650mg、約80mgから約600mg、約85mgから約550mg、約90mgから約500mg、約95mgから約450mg、約100mgから約400mg、約110mgから約350mg、約120mgから約300mg、約130mgから約290mg、約140mgから約280mg、約150mgから約270mg、約160mgから約260mg、約170mgから約250mg、約180mgから約240mg、約190mgから約230mg、または約200mgから約220mgの用量で投与される。ある特定の実施形態において、追加の治療剤は、約50mgから約350mg、約100mgから約300mg、または約150mgから約250mgの用量で投与される。ある特定の実施形態において、追加の治療剤は、約5mgの用量で、または少なくとも約5mgの用量で、少なくとも約10mg、少なくとも約15mg、少なくとも約20mg、少なくとも約25mg、少なくとも約30mg、少なくとも約40mg、少なくとも約50mg、少なくとも約60mg、少なくとも約70mg、少なくとも約75mg、少なくとも約80mg、少なくとも約90mg、少なくとも約100mg、少なくとも約125mg、少なくとも約150mg、少なくとも約175mg、少なくとも約200mg、少なくとも約225mg、少なくとも約250mg、少なくとも約275mg、少なくとも約300mg、少なくとも約325mg、少なくとも約350mg、少なくとも約375mg、少なくとも約400mg、少なくとも約425mg、少なくとも約450mg、少なくとも約475mg、少なくとも約500mg、少なくとも約525mg、少なくとも約550mg、少なくとも約575mg、少なくとも約600mg、少なくとも約625mg、少なくとも約650mg、少なくとも約675mg、少なくとも約700mg、少なくとも約725mg、少なくとも約750mg、少なくとも約775mg、少なくとも約800mg、少なくとも約825mg、少なくとも約850mg、少なくとも約875mg、少なくとも約900mg、少なくとも約925mg、少なくとも約950mg、少なくとも約975mg、少なくとも約1g、少なくとも約2g、少なくとも約3g、少なくとも約4g、または少なくとも約5gの用量で投与される。ある特定の実施形態において、追加の治療剤は、約100mg/用量の用量で投与される。ある特定の実施形態において、追加の治療剤は、約200mg/用量で投与される。ある特定の実施形態において、追加の治療剤は、約200mgの用量で投与される。本明細書で開示される方法のある特定の実施形態において、追加の治療剤は、チェックポイント剤である。ある特定の実施形態において、追加の治療剤は、PD-1の阻害剤である。ある特定の実施形態において、PD-1の阻害剤は、抗体である。ある特定の実施形態において、抗体は、ペンブロリズマブである。
【0446】
ある特定の実施形態において、追加の治療剤は、約300mg/用量未満、約275mg/用量未満、約250mg/用量未満、約225mg/用量未満、約200mg/用量未満、約175mg/用量未満、約150mg/用量未満、約125mg/用量未満、または約100mg/用量未満の用量で投与される。本明細書で開示される方法のある特定の実施形態において、追加の治療剤は、チェックポイント剤である。ある特定の実施形態において、追加の治療剤は、PD-1の阻害剤である。ある特定の実施形態において、PD-1の阻害剤は、抗体である。ある特定の実施形態において、抗体は、ペンブロリズマブである。
【0447】
ある特定の実施形態において、追加の治療剤は、約600mg/日未満、約575mg/日未満、約550mg/日未満、約525mg/日未満、約500mg/日未満、約475mg/日未満、約450mg/日未満、約450mg/日未満、約425mg/日未満、約400mg/日未満、約375mg/日未満、約350mg/日未満、約325mg/日未満、約300mg/日未満、約275mg/日未満、約250mg/日未満、または約225mg/日未満で投与される。本明細書で開示される方法のある特定の実施形態において、追加の治療剤は、チェックポイント剤である。ある特定の実施形態において、追加の治療剤は、PD-1の阻害剤である。ある特定の実施形態において、PD-1の阻害剤は、抗体である。ある特定の実施形態において、抗体は、ペンブロリズマブである。
【0448】
本明細書で開示される方法のある特定の実施形態において、追加の治療剤は、約1から24週間毎、約1から20週間毎、約1から19週間、約1から18週間、約1から17週間、約1から16週間、約1から15週間、約1から14週間、約1から13週間、約1から12週間、約1から10週間、約1から9週間、約1から8週間、約1から7週間、約1から6週間、約1から5週間、約1から4週間、約1から3週間、または約1から2週間毎に投与される。ある特定の実施形態において、追加の治療剤は、毎週投与される。ある特定の実施形態において、追加の治療剤は、2週間毎、3週間毎、4週間毎、5週間毎、6週間毎、7週間毎、8週間毎、9週間毎、10週間毎、11週間毎、12週間毎、13週間毎、14週間毎、15週間毎、16週間毎、17週間毎、18週間毎、19週間毎、20週間毎、21週間毎、22週間毎、23週間毎、または24週間毎に投与される。ある特定の実施形態において、追加の治療剤は、3週間毎に投与される。本明細書で開示される方法のある特定の実施形態において、追加の治療剤は、チェックポイント剤である。ある特定の実施形態において、追加の治療剤は、PD-1の阻害剤である。ある特定の実施形態において、PD-1の阻害剤は、抗体である。ある特定の実施形態において、抗体は、ペンブロリズマブである。
【0449】
ある特定の実施形態において、本発明の方法は、T細胞活性化治療薬の第1の投与の前の、追加の治療剤の少なくとも2つの用量の投与を含む。これらの実施形態に関連して、T細胞活性化治療薬の第1の投与の前に少なくとも2つの用量が投与される限り、T細胞活性化治療薬での処置経過の前、その間、またはその後の他のあらゆる時点で、薬剤を追加で対象に投与してもよい。
【0450】
ある特定の実施形態において、本発明の方法は、T細胞活性化治療薬の第1の投与の後に、追加の治療剤の少なくとも2つの用量の投与を含む。これらの実施形態に関連して、薬剤は、加えて、T細胞活性化治療薬の第1の投与の後に少なくとも2つの用量が投与される限り、T細胞活性化治療薬での処置経過の間またはその後の他のあらゆる時点で対象に投与してもよい。
【0451】
一実施形態において、少なくとも2つの用量は、2~50用量、より詳細には2~28用量、より詳細には2~14用量を含む。一実施形態において、少なくとも2つの用量は、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13または14用量である。少なくとも2つの用量は、あらゆる好適な時間によって隔てられていてもよい。ある特定の実施形態において、少なくとも2つの用量は、1日用量を含む。ある特定の実施形態において、1日用量は、対象が腫瘍について処置される時間中に毎日与えられる。
【0452】
ある特定の実施形態において、「免疫をモジュレートする作用を提供するのに十分な量」は、「低用量」の量であってもよい。したがって、ある特定の実施形態において、本発明の方法は、T細胞活性化治療薬と組み合わせた追加の治療剤の低用量の使用を含む。
【0453】
追加の治療剤の「低用量」の量は、本明細書に包含される場合、当業者に公知と予想されるか、または慣例的な技術によって決定することができる。
【0454】
本発明のある特定の実施形態に関する場合、「低用量」は、典型的には、約300mg/m2未満、例えば、例えば約100~300mg/m2である追加の治療剤の用量を指す。毎日の投与に関して、活性薬剤の「低用量」は、約25~300mg/日または約50~150mg/日である。ある特定の実施形態において、1日投薬量は、約100mgの追加の治療剤である。ある特定の実施形態において、1日投薬量は、1用量当たり約50mgの追加の治療剤である。
【0455】
ある特定の実施形態において、本発明の方法は、追加の治療剤の少なくとも2つの用量を投与すること、次いでその後、本発明のT細胞活性化治療薬を投与すること(すなわち、T細胞活性化治療薬の第1の投与の前に、追加の治療剤の投与が始まることを含む(例えば、T細胞活性化治療薬の前に、薬剤の少なくとも2つの用量が対象に与えられる))。しかしながら、本明細書に記載される通り、対象への追加の治療剤の投与は、T細胞活性化治療薬での投与が始まった後に継続することができる。代替の実施形態において、追加の治療剤の投与をT細胞活性化治療薬の第1の投与の前に止める。
【0456】
本発明のある特定の方法において、追加の治療剤の第1の用量は、T細胞活性化治療薬での対象のいずれかの処置の前に行われる。一実施形態において、第1の追加の治療剤の投与とT細胞活性化治療薬の第1の投与とを隔てる最小限の時間は、免疫をモジュレートする作用を提供するのに十分なあらゆる時間であってもよい。当業者は、追加の治療剤および対象に基づいて免疫のモジュレートを提供するのに十分な時間を理解しており、それを考慮に入れるであろう。
【0457】
一部の実施形態において、追加の治療剤の第1の用量は、T細胞活性化治療薬の第1の投与の少なくとも12時間前に投与され、好ましくはT細胞活性化治療薬の第1の投与の少なくとも2、4または6日前に投与される。さらなる実施形態において、追加の治療剤の第1の用量は、T細胞活性化治療薬の第1の投与の約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13もしくは14日前、またはそれより前に提供されてもよい。特定の実施形態において、第1の追加の治療剤の投与は、T細胞活性化治療薬の第1の投与の1~4日前に行われる。ある特定の実施形態において、第1の追加の治療剤の投与は、T細胞活性化治療薬の第1の投与の約1週間前に行われる。
【0458】
ある特定の実施形態において、本発明の方法は、本発明のT細胞活性化治療薬の投与が行われた後に、追加の治療剤の少なくとも2つの用量を投与することを含む(すなわち、追加の治療剤の第1の投与の前に、T細胞活性化治療薬の投与が始まる)。
【0459】
本発明のある特定の方法において、T細胞活性化治療薬の第1の用量は、追加の治療剤での対象のいずれの処置の前に行われる。一実施形態において、T細胞活性化治療薬の第1の投与と第1の追加の治療剤の投与とを隔てる最小限の時間は、免疫をモジュレートする作用を提供するのに十分なあらゆる時間であってもよい。当業者は、追加の治療剤および対象に基づいて免疫のモジュレートを提供するのに十分な時間を理解しており、それを考慮に入れるであろう。
【0460】
一部の実施形態において、追加の治療剤の第1の用量は、T細胞活性化治療薬の第1の投与の少なくとも12時間または24時間後に投与される。さらなる実施形態において、追加の治療剤の第1の用量は、T細胞活性化治療薬の第1の投与の約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13もしくは14日後、またはそれより後に提供されてもよい。特定の実施形態において、第1の追加の治療剤の投与は、T細胞活性化治療薬の第1の投与の1~4日後に行われる。
【0461】
追加の治療剤での第1の用量の後、後続の用量は、あらゆる所望の用量間の時間間隔で投与されてもよい。ある特定の実施形態において、追加の治療剤での投与は、T細胞活性化治療薬での処置経過の前、その間、またはその後に止めてもよい。ある特定の実施形態において、追加の治療剤での投与は、T細胞活性化治療薬での処置の期間中に継続することができる。
【0462】
一実施形態において、第1の用量は、追加の治療剤であり、1つまたは複数の維持用量(すなわち、対象の体内において薬剤および/またはその活性代謝産物の十分な量を維持する(例えば、薬剤および/またはその活性代謝産物のそれらの総全身クリアランスを回避する)ような間隔および/または量で与えられる追加の治療剤の用量)が続く。維持用量を提供することは、T細胞活性化治療薬での投与の経過の前に、その間に、および/またはその後に、長期間にわたり薬剤の免疫をモジュレートする作用を延長および/または維持することを可能にし得る。
【0463】
ある特定の実施形態において、免疫をモジュレートする作用を維持するために、追加の治療剤は、1日1、2、3、4、もしくは5回、またはそれより多く投与されてもよい。ある特定の実施形態において、免疫をモジュレートする作用を維持するために、追加の治療剤は、低用量の投与が維持される限り、1日1、2、3、4、もしくは5回、またはそれより多く投与されてもよい(例えば、複数のより少ない用量が所望の1日の低用量まで添加される)。追加の治療剤の単回用量(すなわち、投与)は、例えば嚥下される丸剤のように、単一の時点で与えられてもよい。代替として、追加の治療剤の単回用量は、例えば静脈内点滴によって、短い連続する期間にわたり与えられてもよい。当業者は、追加の治療剤の維持用量の適切な間隔を認識していると予想され、またはそれを日常的な技術によって決定することができる。
【0464】
特定の実施形態において、追加の治療剤は、T細胞活性化治療薬の第1の投与の前またはその後に、連続する少なくとも2日の期間にわたり投与される。これらの日に、追加の治療剤は、1日の低用量の薬剤の量を提供するために、1日少なくとも1、2、3もしくは4回、またはあらゆる所望の回数、対象に投与されてもよい。
【0465】
別の実施形態において、追加の治療剤は、T細胞活性化治療薬の第1の投与の約1週間前の期間にわたり投与される。別の実施形態において、追加の治療剤は、T細胞活性化治療薬での処置の持続期間の間に投与される。処置期間の間に、複数回の用量が提供されてもよい。例示的な実施形態において、追加の治療剤は、1日1回、2日に1回、または記載された投与量を提供するためのあらゆる好適な間隔で投与されてもよい。
【0466】
本発明の方法において、T細胞活性化治療薬の第1の投与の前に、追加の治療剤での処置の中断があってもよい。このような実施形態において、追加の治療剤の投与は、T細胞活性化治療薬の第1の投与の前または後に永久的または一時的に止めてもよい。追加の治療剤の最後の用量とT細胞活性化治療薬の第1の用量との間の期間は、対象がそれでもなお薬剤から免疫をモジュレートする利益を得る限り、あらゆる好適な期間であってもよい。
【0467】
代替の実施形態において、追加の治療剤での対象の処置は、T細胞活性化治療薬での処置経過にわたり、薬剤の投与を間欠的に中断して、または中断しないで続けられる。さらなる実施形態において、追加の治療剤での処置は、T細胞活性化治療薬での処置を中止した後に継続することができる。
【0468】
本明細書に記載される通り、追加の治療剤での処置は、T細胞活性化治療薬での第1の投与の後に続けてもよい。一実施形態において、追加の治療剤の投与は、T細胞活性化治療薬での処置経過にわたり、間欠的に中断して、または中断しないで、毎日続けられる。それゆえに、一部の実施形態において、薬剤は、T細胞活性化治療薬での処置の前に、およびその間に投与されると予想される。このような例において、T細胞活性化治療薬の投与が一旦始まったら、追加の治療剤を、T細胞活性化治療薬と同時に、それに続いてすぐに、またはその日の異なるときに投与することが可能である。追加の治療剤がT細胞活性化治療薬と同時に投与される場合、それは、単一の組成物として本発明のT細胞活性化治療組成物中に含まれていてもよいし、または別々の組成物で投与されてもよい。
【0469】
代替として、追加の治療剤の投与は、T細胞活性化治療薬が投与される日の間、停止してもよい。それゆえに、本発明のレジメンは、T細胞活性化治療薬の投与の期間中に、T細胞活性化治療薬の投与を中断することを含んでいてもよい。
【0470】
ある特定の実施形態において、T細胞活性化治療薬の第1の投与の前に追加の治療剤を投与することは、T細胞活性化治療薬の第1の投与の後(例えば、T細胞活性化治療薬のそれぞれの後続の投与の前)の薬剤の投与にも適用される。
【0471】
ある特定の実施形態において、本発明の方法は、追加の治療剤での対象のメトロノミック処置を含む。本発明の方法の一実施形態において、追加の治療剤でのメトロノミック処置は、ある特定の期間にわたり、例えば2、3、4、5、6もしくは7日の連続した日、またはそれより長い連続した日の期間にわたる、1日の低用量の薬剤投与を包含することが意図される。メトロノミック投与のこれらの日の間、追加の治療剤は、周期的な規則的な間隔で、または可変の間隔で提供されてもよい。例えば、一実施形態において、追加の治療剤の用量は、1、2、3、4、6、8、12または24時間毎に投与されてもよい。別の実施形態において、追加の治療剤の用量は、2、3、または4日毎に投与されてもよい。
【0472】
本発明の方法の一部の実施形態において、追加の治療剤でのメトロノミック処置の期間において中断または間隙があってもよい。この方式で、追加の治療剤でのメトロノミック処置は、投与のオン期間とオフ期間とが交互の周期的な様式で行ってもよい。特に好適には、追加の治療剤が週単位の間隔で交互に、毎日対象に投与される間隔である。例えば、追加の治療剤の投与の1週間の期間に続いて、1週間処置が停止され、サイクルが繰り返される。
【0473】
それゆえに、一実施形態において、本発明の方法は、追加の治療剤を、腫瘍処置の期間中に毎日対象に投与することを含む。ある特定の実施形態において、追加の治療剤の投与は、T細胞活性化治療薬の第1の投与の約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、または14日後に始まる。この実施形態の特定の態様において、追加の治療剤の投与は、T細胞活性化治療薬の第1の投与の約1日後に始まる。
【0474】
当業者は理解していると予想されるように、追加の治療剤およびT細胞活性化治療薬の投与の頻度および持続期間は、いずれか所与の対象ごとに要求に応じて調整することができる。考慮に入れられる可能性がある要因としては、例えば、T細胞活性化治療薬における1つまたは複数のT細胞活性化抗原の性質;がんのタイプ;対象の年齢、身体的な状態、体重、性別および食事;ならびに他の臨床的要因が挙げられる。
【0475】
処置の適応
本明細書に記載される通り、本発明の方法は、がんを含む腫瘍の処置に関する。本発明の方法によって処置および/または防止することが可能な腫瘍としては、例えば、サバイビンおよび/もしくはMAGE-A9を発現する、または正常細胞と比較してサバイビンおよび/もしくはMAGE-A9を過剰発現する、あらゆる腫瘍またはがんが挙げられる。
【0476】
ある特定の実施形態において、腫瘍は、固形腫瘍である。ある特定の実施形態において、腫瘍は、皮下の腫瘍である。ある特定の実施形態において、腫瘍は、血液悪性腫瘍である。ある特定の実施形態において、腫瘍は、膀胱腫瘍である。ある特定の実施形態において、腫瘍は、乳腺腫瘍である。ある特定の実施形態において、腫瘍は、卵巣腫瘍である。
【0477】
本明細書に記載される方法によって処置可能な腫瘍の非限定的な例としては、例えば、癌腫、リンパ腫、肉腫、芽細胞腫、および白血病が挙げられる。非限定的な具体的な例としては、例えば、乳房腫瘍、膵臓腫瘍、肝臓腫瘍、肺腫瘍、前立腺腫瘍、結腸腫瘍、腎臓腫瘍、膀胱腫瘍、頭頸部癌、甲状腺癌、軟部組織肉腫、卵巣腫瘍、原発性または転移性黒色腫、扁平上皮癌、基底細胞癌、全ての組織病理学タイプの脳腫瘍、血管肉腫(angiosarcoma)、血管肉腫(hemangiosarcoma)、骨肉腫、線維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、骨原性肉腫、脊索腫、血管肉腫(angiosarcoma)、内皮肉腫、リンパ管肉腫、リンパ管内皮肉腫、滑膜腫、精巣腫瘍、子宮腫瘍、頸部腫瘍、胃腸腫瘍、中皮腫、ウイルス感染に関連する腫瘍(例えば、これらに限定されないが、ヒトパピローマウイルス(HPV)関連腫瘍(例えば、子宮頸、膣、陰門、頭頸部、肛門のがん、および陰茎癌))、ユーイング腫瘍、平滑筋肉腫、ユーイング肉腫、横紋筋肉腫、原発不明癌(CUP)、扁平上皮癌、基底細胞癌、腺癌、汗腺癌、脂腺癌、乳頭癌、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症(Waldenstroom’s macroglobulinemia)、乳頭腺癌、嚢胞腺癌、気管支原性癌、胆管癌、絨毛癌、精上皮腫、胎児性癌、ウィルムス腫瘍、肺癌、上皮癌、子宮頸がん、精巣腫瘍、神経膠腫、膠芽腫、星状細胞腫、髄芽細胞腫、頭蓋咽頭腫、上衣細胞腫、松果体腫、血管芽腫、聴神経腫、乏突起細胞腫、髄膜腫、網膜芽細胞腫、白血病、神経芽細胞腫、小細胞肺癌、膀胱癌、リンパ腫、多発性骨髄腫、髄様癌、B細胞リンパ腫、T細胞リンパ腫、芽球型NK細胞リンパ腫、大顆粒リンパ球性リンパ腫または白血病、ガンマ-デルタT細胞リンパ腫またはガンマ-デルタT細胞性白血病、マントル細胞リンパ腫、骨髄腫、白血病、慢性骨髄性白血病、急性骨髄性白血病、慢性リンパ球性白血病、急性リンパ性白血病、ヘアリーセル白血病、造血性新生物、胸腺腫、肉腫、非ホジキンリンパ腫、ホジキンリンパ腫、全てのタイプのエプスタイン-バーウイルス(EBV)誘発性悪性腫瘍、例えば、これに限定されないが、EBV関連ホジキンおよび非ホジキンリンパ腫など、移植後リンパ腫の全ての形態、例えば移植後リンパ増殖性障害(PTLD)など、子宮がん、腎細胞癌、肝癌、肝芽腫が挙げられる。本明細書に記載される方法および組成物によって処置され得る腫瘍としては、これらに限定されないが、膀胱、血液、骨、骨髄、脳、乳房、結腸、食道、腸、歯肉、頭、腎臓、肝臓、肺、上咽頭、頸部、卵巣、前立腺、皮膚、胃、精巣、舌、または子宮由来の腫瘍細胞が挙げられる。加えて、がんは、具体的には、これらに限定されないが、以下の組織型:新生物、悪性;癌腫;癌腫、未分化;巨細胞および紡錘細胞の癌腫;小細胞癌;乳頭癌;扁平上皮癌;リンパ上皮癌;基底細胞癌;毛質性上皮腫(pilomatrix carcinoma);移行上皮癌;乳頭状移行上皮癌;腺癌;ガストリノーマ、悪性;胆管細胞癌;肝細胞癌;混合型肝細胞癌および胆管細胞癌;肉柱腺癌(trabecular adenocarcinoma);腺様嚢胞癌;腺腫様ポリープの腺癌;腺癌、家族性大腸ポリポーシス;固形癌;カルチノイド腫瘍、悪性;細気管支肺胞腺癌(branchiolo-alveolar adenocarcinoma);乳頭腺癌;色素嫌性癌;好酸性癌;好酸性腺癌;塩基好性癌;明細胞腺癌;顆粒細胞癌;濾胞状腺癌;乳頭および濾胞腺癌;非被包性硬化性癌(nonencapsulating sclerosing carcinoma);副腎皮質癌;類内膜癌(endometroid carcinoma);皮膚付属器癌;アポクリン腺癌;皮脂腺癌;耳垢腺癌;粘表皮癌;嚢胞腺癌;乳頭状嚢胞腺癌;乳頭状漿液嚢胞腺癌;粘液性嚢胞腺癌;粘液性腺癌;印環細胞癌;浸潤性導管癌;髄様癌;小葉癌;炎症性癌;ページェット病、乳房;腺房細胞癌;腺扁平上皮癌;扁平上皮化生随伴腺癌;胸腺腫、悪性;卵巣間質腫、悪性;莢膜細胞腫、悪性;顆粒膜細胞腫、悪性;および神経芽細胞腫(roblastoma)、悪性;セルトリ細胞腫;ライディッヒ細胞腫、悪性;脂質細胞腫、悪性;パラガングリオーマ、悪性;乳房外パラガングリオーマ、悪性;クロム親和性細胞腫;血管球血管肉腫;悪性黒色腫;欠乏性黒色腫;表在拡大型黒色腫;巨大色素性母斑における悪性黒色腫(malig melanoma);類上皮細胞黒色腫;青色母斑、悪性;肉腫;線維肉腫;線維性組織球腫、悪性;粘液肉腫;脂肪肉腫;平滑筋肉腫;横紋筋肉腫;胎児性横紋筋肉腫;胞巣状横紋筋肉腫;間質性肉腫;混合腫瘍、悪性;ミュラー管混合腫瘍;腎芽腫;肝芽腫;癌肉腫;間葉腫、悪性;ブレンナー腫瘍、悪性;葉状腫瘍、悪性;滑膜肉腫;中皮腫、悪性;未分化胚細胞腫;胎児性癌;奇形腫、悪性;卵巣甲状腺腫、悪性;絨毛癌;中腎腫、悪性;血管肉腫;血管内皮腫、悪性;カポジ肉腫;血管外皮腫、悪性;リンパ管肉腫;骨肉腫;傍骨性骨肉腫;軟骨肉腫;軟骨芽細胞腫、悪性;間葉性軟骨肉腫;骨巨細胞腫;ユーイング肉腫;歯原性腫瘍、悪性;エナメル上皮歯牙肉腫;エナメル上皮腫、悪性;エナメル上皮線維肉腫;松果体腫、悪性;脊索腫;神経膠腫、悪性;上衣細胞腫;星細胞腫;原形質性星状細胞腫;原線維性星状細胞腫;星芽細胞腫;膠芽腫;乏突起細胞腫;乏突起膠芽細胞腫;原始神経外胚葉性腫瘍(primitive neuroectodermal);小脳肉腫;神経節細胞芽腫;神経芽細胞腫;網膜芽細胞腫;嗅神経腫瘍;髄膜腫、悪性;神経線維肉腫;神経鞘腫、悪性;顆粒細胞腫、悪性;悪性リンパ腫;ホジキン病;ホジキンリンパ腫;側肉芽腫;悪性リンパ腫、小リンパ球性;悪性リンパ腫、大細胞型、びまん性;悪性リンパ腫、濾胞性;菌状息肉腫;他の特定された非ホジキンリンパ腫;悪性組織球症;多発性骨髄腫;肥満細胞肉腫;免疫増殖性小腸疾患;白血病;リンパ性白血病;形質細胞性白血病;赤白血病;リンパ肉腫細胞性白血病;骨髄性白血病;好塩基球性白血病;好酸球性白血病;単球性白血病;肥満細胞性白血病;巨核芽球性白血病;骨髄肉腫;およびヘアリーセル白血病を有していてもよい。
【0478】
ある特定の実施形態において、本発明の方法によって処置できる可能性があるがんとしては、これらに限定されないが、癌腫、腺癌、リンパ腫、白血病、肉腫、芽細胞腫、骨髄腫、および胚細胞腫瘍が挙げられる。一実施形態において、腫瘍は、固形腫瘍の形態である。特に好適な実施形態としては、これらに限定されないが、膠芽腫、多発性骨髄腫、卵巣がん、卵管がん、腹膜がん、膀胱がん、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、神経膠腫、非小細胞肺がん、肝細胞癌が挙げられる。
【0479】
一部の実施形態において、対象は、腫瘍の大部分を除去するための外科手術を受けていてもよく、本発明の方法は、腫瘍の大部分の切り出しの前および/またはその後に適用することができる。他の実施形態において、対象は、がん性または悪性細胞を制御する、または死滅させるための放射線療法、化学療法またはいくつかの他の非外科的処置を受けていてもよく、本発明の方法は、これらの療法の前に、またはそれに続き適用することができる。ある特定の実施形態において、がんは、進行期にある。
【0480】
上記で論じられたように、がんを処置および/または防止することにおいて、本発明の方法は、この発現が本明細書で記載されている通り、「T細胞活性化治療薬の効能を改善する」のに使用することができる。これは、細胞媒介性免疫応答または体液性免疫応答のいずれかまたはその両方を誘導することにおいて、T細胞活性化治療薬の効能を改善することを含んでいてもよい。これもまた、腫瘍によって誘導された免疫抑制を低減させることを含んでいてもよい。
【0481】
細胞媒介性免疫は、様々な細胞型の関与を含み、様々なメカニズムによって媒介されるため、本発明の方法の適用後の免疫性の誘導または改善した効能を実証するために、いくつかの方法を使用することができる。これらは、概して、i)特異的な抗原提示細胞;ii)特異的なエフェクター細胞およびそれらの機能、およびiii)サイトカインなどの可溶性メディエーターの放出の検出に分類することができる。
【0482】
i)抗原提示細胞:樹状細胞およびB細胞(ならびに低い程度ではあるがマクロファージ)は、T細胞の活性化の強化を可能にする特殊な免疫促進性の受容体を備えており、プロフェッショナル抗原提示細胞(APC)と呼ばれる。これらの免疫促進性分子(共刺激分子とも呼ばれる)は、感染またはワクチン接種後、CD4+およびCD8+細胞傷害性T細胞などのエフェクター細胞への抗原提示プロセスの間に、これらの細胞で上方調節される。このような共刺激分子(例えばCD80、CD86、MHCクラスIまたはMHCクラスII)は、APC(例えば、樹状細胞の場合、CD11c)を特異的に同定する抗体と共に、これらの分子に対して向けられた蛍光色素コンジュゲート抗体を用いたフローサイトメトリーを使用することによって検出することができる。
【0483】
ii)細胞傷害性T細胞:(Tc、キラーT細胞、または細胞傷害性Tリンパ球(CTL)としても公知)は、ウイルス(および他の病原体)に感染している細胞または腫瘍抗原を発現する細胞の死を誘導するCD8+T細胞のサブグループである。これらのCTLは、それらの表面上にある特定の外来分子または異常な分子を有する他の細胞を直接攻撃する。このような細胞傷害性の能力は、インビトロの細胞溶解性アッセイ(クロム放出アッセイ)を使用して検出することができる。したがって、適応性細胞性免疫の誘導は、このような細胞傷害性T細胞の存在によって実証することができ、その場合、抗原が負荷された標的細胞は、ワクチン接種または感染後にインビボで生成した特異的なCTLによって溶解される。
【0484】
ナイーブ細胞傷害性T細胞は、それらのT細胞受容体(TCR)がペプチドと結合したMHCクラスI分子と強く相互作用すると活性化される。この親和性は、抗原/MHC複合体のタイプおよび方向に依存し、一緒に結合したCTLおよび感染細胞を維持するものである。一旦活性化されたら、CTLは、クローン拡張と呼ばれるプロセスを受け、そこでCTLは官能性を獲得し、急速に分裂して、「武装した(armed)」エフェクター細胞の大群を産生する。
【0485】
次いで活性化されたCTLは、その固有なMHCクラスI+ペプチドと結合している細胞を探して体中を駆け巡ることになる。これは、フローサイトメトリーアッセイでペプチド-MHCクラスI四量体を使用することによってインビトロでこのようなCTLを同定するのに使用することができる。
【0486】
エフェクターCTLは、これらの感染した、または機能不全性の体細胞に曝露されると、標的細胞の原形質膜に穴を形成して、感染細胞にイオンや水を流動させることを可能にし、そのバーストまたは溶解を引き起こす細胞毒素であるパーフォリンおよびグラニュライシンを放出する。CTLは、穴を介して細胞に侵入してアポトーシス(細胞死)を誘導するセリンプロテアーゼであるグランザイム放出する。CTLからのこれらの分子の放出は、ワクチン接種後の細胞性免疫応答の誘導の成功の尺度として使用することができる。これは、CTLを定量的に測定することができる酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)または酵素免疫スポットアッセイ(ELISPOT)によって行うことができる。CTLはIFN-γなどの重要なサイトカインを産生することも可能であるため、IFN-ガンマ産生CD8+ T細胞の定量的な測定は、ELISPOTによって、さらに、これらの細胞における細胞内IFN-γのフローサイトメトリー測定によって達成することができる。
【0487】
CD4+「ヘルパー」T細胞:CD4+リンパ球、またはヘルパーT細胞は、免疫応答メディエーターであり、適応免疫応答の性能を確立し、それを最大化することにおいて重要な役割を果たす。ヘルパーT細胞は、APCによる活性化によってプログラムされ、個別のサイトカインの分泌によって異なる型の病原体を排除するように免疫応答の型を指令することができる。例えば、Th1ヘルパーT細胞はIFN-ガンマ、IL-2、およびIL-12を分泌して細胞傷害性T細胞の活性を強化し、Th2ヘルパーT細胞はIL-4、IL-5、およびIL-10を分泌してB細胞の活性を強化する。
【0488】
ヘルパーT細胞は、クラスII MHC分子に結合した抗原を認識するT細胞受容体(TCR)を発現する。ナイーブヘルパーT細胞が活性化されると、それはサイトカインを放出させ、それを活性化したAPCを含む多くの細胞型の活性に影響を与える。活性化されたTヘルパー細胞集団の型は、産生されたエフェクタータンパク質(サイトカイン)のパターンによって定義することができる。例えば、Th1細胞は、マクロファージおよび細胞傷害性T細胞の活性化によって細胞性免疫応答を助け、それに対してTh2細胞は、形質細胞への変換のためにB細胞の刺激によって、さらに抗体の形成によって体液性免疫応答を促進する。例えば、Th1細胞によって調節された応答は、マウスにおいてIgG2aおよびIgG2b(ヒトにおいてIgG1およびIgG3)を誘導し、抗原に対する細胞媒介性免疫応答を支持することができる。抗原に対するIgG応答がTh2タイプの細胞によって調節される場合、それは、マウスにおけるIgG1(ヒトにおけるIgG2)の産生を優勢に強化することができる。Th1またはTh2応答に関連するサイトカインの尺度は、ワクチン接種成功の尺度をもたらすことになる。これは、なかでも、Th1-サイトカイン、例えばIFN-Y、IL-2、IL-12、TNF-aなど、またはTh2-サイトカイン、例えばIL-4、IL-5、IL10のために設計された具体的なELISAによって達成することができる。
【0489】
iii)サイトカインの測定:所属リンパ節から放出され、免疫化の成功の優れた指標を付与する。APCおよび免疫エフェクター細胞、例えばCD4+およびCD8+T細胞の抗原提示および成熟の結果として、いくつかのサイトカインは、リンパ節細胞によって放出される。インビトロで抗原の存在下でこれらのLNCを培養することによって、ある特定の重要なサイトカイン、例えばIFN-γ、IL-2、IL-12、TNF-aおよびGM-CSFの場合、放出を測定することによって、抗原特異的な免疫応答を検出することができる。これは、培養上清および標準として組換えサイトカインを使用するELISAによって行うことができる。
【0490】
免疫化の成功は、当業者公知の多数の方法で決定することができ、これらに限定されないが、血球凝集阻害(機能的な抗体を検出するためのHAIJおよび血清中和阻害アッセイ;ワクチン接種の効能を決定するために、ワクチン接種した対象を関連する病原体で攻撃する攻撃研究;および例えば、活性化された、またはメモリーリンパ球の同定における特異的な細胞表面マーカーを発現する細胞の集団を決定するための、蛍光活性化セルソーティング(FACS)の使用などで決定することができる。当業者はまた、他の公知の方法を使用しても、本発明の方法が細胞媒介性免疫応答の効能を改善したかどうかを決定することもできる。例えば、Current Protocols in Immunology Coligan et al., ed.(Wiley Interscience, 2007)を参照されたい。
【0491】
一部の実施形態において、本発明の方法は、体液性免疫応答を誘導することによって、または体液性免疫応答の誘導においてT細胞活性化治療薬の効能を改善することによってがんを処置するのにも使用することができる。このような実施形態は、本発明のT細胞活性化治療薬が、サバイビンおよびMAGE-A9抗原以外に本明細書に記載される追加の抗原を含む例において、特定の適用を有する場合がある。これらの方法は、細胞媒介性免疫応答と体液性免疫応答の両方を誘導することによってがんの処置を含んでいてもよい。
【0492】
体液性免疫応答は、細胞媒介性免疫とは対照的に、Bリンパ球系統(B細胞)の細胞中で産生される分泌された抗体によって媒介される。このような分泌された抗体は、抗原、例えば外来物質および/または病原体(例えば、ウイルス、細菌など)の表面上のものなどに結合し、破壊のためにそれらにフラグを付ける。
【0493】
抗体は、Bリンパ球(B細胞)と呼ばれる白血球のサブセットの抗原特異的な糖タンパク生成物である。抗原とB細胞の表面上で発現される抗体との結合は、活性化した状態になる、有糸分裂を受ける、および最終的に抗原特異的な抗体の合成および分泌のために特殊化された形質細胞に分化するために、B細胞の刺激を含む抗体応答を誘導することができる。
【0494】
B細胞は、免疫応答中の抗体の唯一のプロデューサーであり、したがって有効な体液性免疫にとって主要な要素である。B細胞はまた、大量の抗体を産生することに加えて、抗原提示細胞としても作用し、T細胞、例えばTヘルパーCD4または細胞傷害性CD8に抗原を提示することができ、したがって免疫応答を増殖させる。B細胞、加えてT細胞は、T細胞活性化の治療効能を助けることができる適応免疫応答の一部である。ワクチン接種または天然感染のいずれかによって誘導された活性な免疫応答の間、抗原特異的なB細胞が活性化され、クローン拡張する。拡張の間、B細胞は、エピトープに対してより高い親和性を有するように進化する。B細胞の増殖は、活性化されたヘルパーT細胞によって間接的に誘導することができ、またToll様受容体(TLR)などの受容体の刺激を介して直接的にも誘導することができる。
【0495】
抗原提示細胞、例えば樹状細胞およびB細胞は、注射部位に引き寄せられ、T細胞活性化治療薬に含有される抗原およびアジュバントと相互作用することができる。アジュバントは、細胞を刺激して活性化した状態にし、抗原は、標的のために青写真を提供する。異なるタイプのアジュバントが、細胞に異なる刺激シグナルを提供する。例えば、ポリI:Cポリヌクレオチド(TLR3アゴニスト)は、樹状細胞を活性化できるが、B細胞を活性化できない。Pam3Cys、Pam2CysおよびFSL-1などのアジュバントは、特にB細胞の活性化およびその増殖の開始が巧みであり、これは、抗体応答の産生を容易にすることが期待される(Moyle et al., Curr Med Chem, 2008; So., J Immunol, 2012)。
【0496】
用語「抗体応答」は、本明細書で使用される場合、対象の体への抗原の導入に応答して、対象の体内における抗原特異的な抗体の量が増加することを指す。
【0497】
抗体応答を評価する1つの方法は、特定の抗原との抗体反応性のタイターを測定することである。これは、動物から得られた抗体を含有する物質の酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)などの当業界において公知の様々な方法を使用して実行することができる。例えば、特定の抗原に結合する血清抗体のタイターは、抗原への曝露の前およびその後の両方で対象において決定することができる。抗原への曝露後の抗原特異的な抗体のタイターにおける統計学的に有意な増加は、対象が抗原に対する抗体応答を開始していたことを示すと予想される。
【0498】
抗原特異的な抗体の存在を検出するのに使用することができる他のアッセイとしては、これらに限定されないが、免疫学的なアッセイ(例えば、ラジオイムノアッセイ(RIA))、免疫沈降アッセイ、およびタンパク質ブロット(例えば、ウェスタンブロット)アッセイ;ならびに中和アッセイ(例えば、インビトロまたはインビボでのアッセイにおけるウイルス感染力の中和)が挙げられる。
【0499】
本発明の方法は、体液性免疫応答を誘導することにおけるT細胞活性化治療薬の効能を改善することによって、がんを処置および/または防止することを可能にすることができる。
【0500】
体液性免疫応答は、有効な感染性疾患のT細胞活性化治療薬のための主要なメカニズムである。しかしながら、体液性免疫応答はまた、がんと闘うためにも有用である可能性がある。がん細胞を認識して破壊することができる細胞傷害性CD8+T細胞応答を生じさせるように設計されたがんT細胞活性化治療薬を補完するために、B細胞媒介応答は、最大限の利益のために一部の場合において細胞傷害性CD8+T細胞と協力する可能性がある他のメカニズムを介してがん細胞標的化することができる。B細胞媒介(例えば、体液性免疫応答媒介)抗腫瘍応答のメカニズムの例としては、これに限定されないが、以下が挙げられる:1)腫瘍細胞または腫瘍形成に影響を与える他の細胞上に見出される表面抗原に結合するB細胞によって産生された抗体。このような抗体は、例えば、抗体依存性細胞媒介性細胞傷害性(ADCC)または補体結合を介して標的細胞の死滅を誘導することができ、結果として潜在的に免疫系によって認識される可能性がある追加の抗原の放出が生じる可能性がある;2)腫瘍細胞上の受容体に結合して、その刺激をブロックし、実質的にその作用を中和する抗体;3)腫瘍または腫瘍関連細胞によって放出されるかまたはそれに関連する因子に結合して、がんを支持するシグナル伝達または細胞経路をモジュレートする抗体;および4)細胞内標的に結合し、現在未知のメカニズムを介して抗腫瘍活性を媒介する抗体。
【0501】
キットおよび試薬
本発明の方法を実施するために、本明細書に記載される組成物は、任意選択で、キットとして使用者に提供されてもよい。例えば、本発明のキットは、本発明の組成物の1つまたは複数の成分を含有する。キットは、1つまたは複数の追加の試薬、パッケージング材料、キットの成分を保持するための容器、およびキット成分を使用する好ましい方法を詳述する説明書のセットまたは使用者マニュアルをさらに含んでいてもよい。
【0502】
特定の実施形態において、T細胞活性化治療薬は、2つの容器を含有するキットとして供給される。容器1は、例えば、凍結乾燥したアジュバント系(例えば、脂質小胞粒子)、サバイビンおよびMAGE-A9抗原、ならびにアジュバントを含んでいてもよい。容器2は、例えば、油成分(Montanide(登録商標)ISA51VG)を単独で含有していてもよい。再構成されるT細胞活性化治療薬の適切な体積(0.1、0.25または0.5ml)は、皮下注射することができる。
【0503】
ある特定の実施形態において、キットは、加えて、活性薬剤を含有していてもよい。活性薬剤は、第3の容器でキットに含まれていてもよいし、または薬剤は、上述したように容器1または容器2に含まれていてもよい。特定の実施形態において、キットに含まれる活性薬剤は、アルキル化剤であり、例えばシクロホスファミドなどである。
【0504】
他の実施形態において、キットは、加えて、追加の治療剤を含有していてもよい。追加の治療剤は、第4の容器でキットに含まれていてもよし、または薬剤は、上述したように容器1、容器2、または容器3に含まれていてもよい。特定の実施形態において、キットに含まれる追加の治療剤は、アルキル化剤であり、例えばIDO1阻害剤などである。特定の実施形態において、キットに含まれる追加の治療剤は、アルキル化剤であり、例えばエパカドスタットなどである。特定の実施形態において、キットに含まれる追加の治療剤は、抗PD-1抗体であり、例えばペンブロリズマブなどである。
【実施例】
【0505】
本発明はまた、以下の実施例によっても記載および実証される。しかしながら、明細書のどこかに記載されるこれらおよび他の例の使用は単なる例示にすぎず、本発明の、またはいずれの例示された用語の範囲および意味を決して限定するものではない。同様に、本発明は、ここに記載されるいずれの特定の好ましい実施形態に限定されない。実際に、本発明の多くの改変およびバリエーションは、本明細書を読めば当業者には明らかである可能性があり、このようなバリエーションは、本質または範囲において本発明から逸脱することなくなすことができる。したがって本発明は、それらの特許請求の範囲の権利が及ぶ均等物の全範囲と共に添付の特許請求の範囲の用語によってのみ限定される。
【0506】
[実施例1]
サバイビンとMAGE-A9の両方を標的とするT細胞活性化治療薬における可能な使用のためのHLA-A2結合ペプチドを試験した。表4に示すように、ペプチドの大部分は、MHCクラスI対立遺伝子A*02:01への高い結合(ペプチド:SurA2.M(配列番号4)およびSurA24(配列番号7)、ならびにMAGE-A9 111(配列番号9)、Mage-A9 270(配列番号12)、およびMAGE-A9 223(配列番号11)についてより高いREVEAL(登録商標)スコア)を有していた。
【0507】
【0508】
効力アッセイ開発の一部としてのそれぞれのペプチドのHLA-A2への結合を評価する施設内インビトロアッセイを、Flex-Tインビトロ結合アッセイを使用して実施した。
図2に示すデータは、全てのペプチドがHLA-A2への結合を実証することを示している。
【0509】
Flex-T技術(Biolegend、USA)は、そのそれぞれのMHCクラスI受容体(この場合にはHLA-A2)へのペプチドの結合親和性を定量的に測定する機会を提供する。Flex-Tは、UV光源を使用して分解することができるペプチドを負荷したMHCモノマーから作製された。これにより、UVに不安定でない目的のペプチドの存在下でUV照射が行われた場合に、ペプチドの交換が可能になった。
【0510】
目的のペプチドのFlex-Tモノマーへの結合は、コンジュゲートしたビオチンによってHLAクラスI複合体を捕捉した後で、複合体のβ2-ミクログロブリンサブユニットの検出に基づくHLAクラスI ELISA法を使用して定量した。この目的のため、ビオチン化HLAクラスIモノマーとペプチドの複合体を最初にストレプトアビジンコートしたマイクロタイターウェルに捕捉した。続いて、元のHLAクラスI複合体を検出するために、HRPコンジュゲートした抗ヒトβ2-ミクログロブリンを添加した。元のHLAクラスI複合体のみが認識された。SurA2.M. MAGEA9-111等の高親和性結合を有するペプチドがこのELISA手法によって明瞭に検出された一方、HLAクラスIに対して中程度から低い結合親和性を有するペプチドは中程度から非検出のシグナルを生じた。
【0511】
次いで、USP<1034>に従い、パラレルライン解析を使用して、参照ロットと比較した相対的な効力を計算した。
【0512】
[実施例2]
DPXは、注射の部位における抗原提示細胞による標的ペプチドの活性かつ持続する取り込みを容易にする固有の送達プラットフォームである。腫瘍抗原サバイビンの5 HLA拘束ペプチドとともに製剤化された免疫療法であるMaveropepimut-S(またはMVP-S)は、様々な腫瘍の型において臨床応答および恩恵をもたらす、ロバストで持続するサバイビン特異的T細胞応答を生じる能力を実証した。さらなる腫瘍関連抗原を標的とすることにより、多様な腫瘍抗原発現を有するより広範囲の腫瘍の組合せにおける潜在的使用が可能になる。
【0513】
本明細書に記載した製剤は、以下のように調製した。簡単に言えば、DNAベースのポリI:Cポリヌクレオチドアジュバント(dIdC)(配列番号22)のストック溶液、MAGE-A9 24、MAGE-A9 111、およびMAGE-A9 270のペプチドストック溶液を無菌水中で個別に調製した。MAGE-A9 223、SurA2M、およびSurA24のペプチドストックは、それぞれ0.1Mの水酸化ナトリウム中で調製し、TヘルパーA16Lペプチドストックは、0.125%の酢酸中で調製した。次いで調製したMAGE-A9 111、MAGE-A9 24、MAGE-A9 270、MAGE-A9 223、およびTヘルパーペプチドA16Lのペプチドストック溶液を、酢酸ナトリウム緩衝液(0.5M、pH9.75)に逐次的に添加した。希釈したペプチドストック溶液に、予め調製した脂質小胞粒子(酢酸ナトリウム(50mM、pH7.5)中、132mg/mLのDOPC/Chol、粒子サイズ<100nm、pdi<0.1)を添加し、例えば手もしくはボルテックスによって30秒、またはバッチ体積によっては磁気撹拌プレートを使用して、穏やかによく混合した。ペプチドを負荷した脂質小胞粒子に、SurA24およびSurA2Mの残りのペプチドストック溶液を添加し、上記のようによく混合した。製剤のpHを7.0に調整し、次いでDNAベースのポリI:Cポリヌクレオチド(dIdC)を添加した。無菌水を添加することによって最終の製剤体積を1.0mLに満たし、30秒ボルテックスすることによってよく混合した。次いでバイアルを部分的にふさいで凍結乾燥した。次いで凍結乾燥したケークを、0.45mLのMontanide(登録商標)ISA 51油希釈剤によって再構成して、DOPC/Chol 132 mg/mL、サバイビンおよびMAGE-A9ペプチドそれぞれ1mg/mL、dIdCアジュバント0.4mg/mL、TヘルパーペプチドA16L 0.5mg/mL、および酢酸ナトリウム0.1Mの最終濃度を得た。この製剤50μLをマウスに皮下(SC)注射した。
【0514】
前臨床研究では、膀胱がんにおける使用のための二重標的化免疫療法を評価した。具体的には、本研究によって、サバイビンとMAGE-A9の両方を標的とするT細胞活性化治療薬、すなわち、MAGE-A9とサバイビン腫瘍抗原の両方に対して標的化されたT細胞応答を生じる水非含有脂質ベースの製剤中で調製した新規な二重標的化T細胞免疫療法の非限定的な例を特徴付けた。
【0515】
水非含有脂質ベースの製剤中における2つの異なる腫瘍関連抗原(TAA)を標的とするパッケージングペプチドの実現可能性を、ヒトHLA-A2およびHLA-DR1分子を発現し、マウスMHCクラスIおよびII分子の発現を欠くA2/DR1トランスジェニックマウスにおいて、サバイビンを標的とするT細胞活性化治療薬と、サバイビンとMAGE-A9の両方を標的とする二重T細胞活性化治療薬を評価することによって判定した。
【0516】
サバイビンとMAGE-A9の両方を標的とする二重T細胞活性化治療薬の非限定的な例は、2つのサバイビン由来のペプチド(1つのHLA-A2、すなわちSurA2.M(配列番号4)および1つのHLA-A24、すなわちSurA24(配列番号7)、および追加の4つのHLA-A2拘束MAGE-A9ペプチド(p24、p111、p223、およびp270、それぞれMAGE-A9 24(配列番号10)、MAGE-A9 111(配列番号9)、MAGE-A9 223(配列番号11)、およびMAGE-A9 270(配列番号12)とも称される);破傷風トキソイド由来のユニバーサルTヘルパーエピトープ(AQYIKANSKFIGITEL;配列番号13);DNAベースのポリI:Cポリヌクレオチド(dIdC);DOPCおよびコレステロールからなる脂質小胞粒子;ならびに疎水性担体Montanide(登録商標)ISA 51 VGを含んでいた。
【0517】
サバイビンを標的とするT細胞活性化治療薬は、5つのサバイビン由来ペプチド:FTELTLGEF(配列番号2);LMLGEFLKL(配列番号4);RISTFKNWPK(配列番号6);STFKNWPFL(配列番号7);およびLPPAWQPFL(配列番号8)の混合物;破傷風トキソイド由来のユニバーサルTヘルパーエピトープ(AQYIKANSKFIGITEL;配列番号13);DNAベースのポリl:Cポリヌクレオチドアジュバント(dIdC)(配列番号22);DOPCおよびコレステロールからなる脂質小胞粒子;ならびに疎水性担体Montanide(登録商標)ISA 51 VGを含んでいた。
【0518】
図3Bおよび3Cに示すように、驚くべきことに、共有されたHLA-A2サバイビンペプチド(Sur-A2.MおよびSur-A24)について、サバイビンとMAGE-A9の両方を標的とする二重T細胞活性化治療薬と、サバイビンを標的とするT細胞活性化治療薬とで、測定した応答を比較して、相違は観察されなかった。すなわち、これは有利なことにMAGE-A9ペプチドの添加による不利な影響はないことを実証しており、水非含有脂質ベースの製剤中でこれら2つのTAAを組み合わせることを支持している。
【0519】
[実施例3]
間欠的な低用量のシクロホスファミド(CPA)を伴うおよび伴わない、サバイビンとMAGE-A9の両方を標的とする二重T細胞活性化治療薬の非限定的な例の前臨床の免疫原性および安全性をA2/DR1マウスで評価した一方、この設定におけるCPAの潜在的な免疫調節効果または毒性を評価した。本研究は、サバイビンとMAGE-A9の両方を標的とする二重T細胞活性化治療薬単独、または間欠的な低用量のCPAを伴う、サバイビンとMAGE-A9の両方を標的とする二重T細胞活性化治療薬によって評価した2つの群を含んでいた(
図4)。主要な急性相の群は、最後の処置の8日後に屠殺し、慢性回復相は最後の処置の3週後に屠殺した。研究全体にわたって、全てのマウスを、毎週の詳細な臨床検査(DCE)、体重、および注射部位の反応を含む安全性についてモニターした。T細胞応答は、脾細胞におけるIFN-ガンマのELISPOTアッセイを使用して評価した。
図5Aおよび5Bに示すように、IFN-ガンマのELISPOTデータは、サバイビンとMAGE-A9の両方を標的とする二重T細胞活性化治療薬が、評価した全ての条件においてペプチド特異的なT細胞応答を誘導することを示した。
【0520】
安全性データの予備的な解析(
図6)は、サバイビンとMAGE-A9の両方を標的とする二重T細胞活性化治療薬が十分許容されることを示唆し、処置に関連する罹患、死亡、または有害な臨床的観察は記録されなかった。体重および臓器重量の有害な変化は観察されなかった。注射部位における反応性もモニターし、サバイビンとMAGE-A9の両方を標的とする二重T細胞活性化治療薬(CPAありおよびなし)群と空の脂質小胞粒子対照群との間で有意差は示されなかった。
図7に、間欠的低用量CPAを伴いまたは伴わない、サバイビンとMAGE-A9の両方を標的とする二重T細胞活性化治療薬で処置した雄および雌のA2/DR1マウス(主要相と回復相を併せた)および対照群の体重の週毎の変動を示す。マウスの体重は毎週記録し、雄および雌のマウスの異なる処置群で全体の体重変化には有意な差異は観察されず、サバイビンとMAGE-A9の両方を標的とする二重T細胞活性化治療薬処置による毒性の兆候は示されなかった(Tukeyの多重比較検定による二元ANOVA)。
【0521】
本研究は、新規な多重標的免疫療法を開発するために、水非含有脂質ベースの送達プラットフォームが活用できることを示した。本研究において、サバイビンとMAGE-A9の両方を標的とする二重T細胞活性化治療薬が、サバイビンおよびMAGE-A9ペプチドのプールまたは個別のペプチドに対するロバストなペプチド特異的T細胞応答を惹起し、これが間欠的低用量CPAを伴うおよび伴わない、サバイビンとMAGE-A9の両方を標的とする二重T細胞活性化治療薬の回復相において同様のレベルで維持されたことが示された(Tukeyの多重比較検定による二元ANOVA)。これらのデータは、CPAを伴うおよび伴わない、サバイビンとMAGE-A9の両方を標的とする二重T細胞活性化治療薬(例えば、高リスクの非筋肉浸潤性膀胱がんの経尿道前処置として)の臨床開発を支持している。
【0522】
[実施例4]
非筋肉浸潤性膀胱がんを有する患者における、間欠的な低用量のシクロホスファミドを伴いまたは伴わない、DPXベースの製品の安全性および免疫原性を評価する、多施設、オープンラベルのプラットフォーム研究
【0523】
プラットフォーム研究
これは、単一のマスタープロトコールの中で多重の介入を評価する新しい型の臨床試験である。プラットフォーム研究の設計は、適応試験設計の延長である。これにより、標準化された試験手順と同じ下部構造を共有する単一のプロトコールの下での試験中に、多重の介入および新たな介入を追加することの融通性を評価することが可能になった。
【0524】
プラットフォーム研究:マスタープロトコール
マスタープロトコール設計を
図8に示す。本研究において、間欠的な低用量のシクロホスファミド(CPA)を伴いまたは伴わないDPXベースの製品の組合せを試験して、再発NMIBCを有し、膀胱内療法に失敗した対象における製品の安全性および免疫原性を評価し、経尿道的切除術(TUR)手順を受けることを計画する。
【0525】
マスタープロトコール研究設計
オープンラベル多施設プラットフォーム研究
CPAを伴いまたは伴わないDPXベースの製品の安全性および免疫原性を評価するために患者を登録する。
【0526】
研究の概説を
図9に示す。代替として、研究は1:1よりむしろ1:2の比で実施する。
【0527】
目的およびエンドポイント
一次的な目的/エンドポイント:
・安全性:DLTおよび処置に関連する有害事象の頻度。
・T細胞応答:抗原特異的T細胞応答を有する対象の数およびPBMCを使用するIFN-γ ELISPOTによって測定した応答のレベル。
二次的な目的/エンドポイント:
・T細胞の浸潤の変化:IHCを使用する腫瘍前から腫瘍後までの組織試料。
・TURの際のpT0の数の測定:病理的完全寛解(pCR)を呈した対象。
探索的な目的/エンドポイント:
・マルチチャネル免疫蛍光/免疫組織化学、蛍光活性化細胞選別、RNAシーケンシングを含む多数の方法などの手法を用いて処置前および処置後の腫瘍組織の免疫および臨床的な応答の潜在的なバイオマーカーの評価。
・抗原特異的T細胞応答の性質の特徴付け。
・DPXベースの処置±CPAの有効性の推定:無再発比(例えば、1年における)。
【0528】
患者集団
再発した低グレードまたは高グレードの再発性非筋肉浸潤性膀胱がん(NMIBC)を有し、膀胱内療法に失敗した患者。
【0529】
適格性-組み入れ基準
1.膀胱内療法(低グレード)またはBCG療法(高グレード)に失敗した再発性の低グレードまたは高グレードの乳頭ステージTaもしくはT1の腫瘍またはCIS NMIBC。
2.同意に署名した日において年齢が少なくとも18歳の成人。
3.米国東海岸癌臨床試験グループ(ECOG)パフォーマンスステータス0~1で歩行可能。
4.期待寿命≧6カ月。
5.適切な臓器機能を有していた。
6.0日目の72時間以内にPCRまたは抗原検査でSARS-COV-2陰性。
7.女性対象は、妊娠しておらず、授乳しておらず、かつ以下の条件、すなわち、a)子供をもうける可能性がある女性(WOCBP)でないこと;b)処置期間の間、および研究処置の最後の用量の後、少なくとも30日の間、避妊ガイダンスに従うことに同意したWOCBPであることの少なくとも1つが適用される場合、参加資格あり。
8.プロトコールの必要条件に従う能力。
【0530】
適格性-除外基準
がん処置の除外
1.0日目の28日以内の化学療法または免疫療法処置(膀胱内および/または全身療法)
・以前の治療によるAEは、グレード≦1またはベースラインにまで解消していなければならない。
・グレード2のニューロパチーを有する対象は、メディカルモニターとの議論の後で適格としてよい。
2.重大な手術手技:0日目の14日未満、軽微な手術手技:0日目の7日未満、またはそのような介入による傷害および/または合併症から適切に回復していない。ポート/カテーテル設置の後の待機は必要でない。
3.除外基準#6で許可されたもの以外の、以前の骨盤部照射。
4.抗PD-1、抗PD-L1、もしくは抗PD-L2剤、または別の刺激的もしくは共阻害的なT細胞受容体(例えばCTLA-4、OX40、CD137)を指向する薬剤による以前の療法を受け、対象がグレード3またはそれ以上の免疫関連傷害(irAE)によってその処置を終了した。
5.適用可能な標的ベースのワクチンおよび/または免疫療法を以前に受けた。適用可能な標的抗原の詳細は試験プロトコールで提供する。
共存する病的状態による除外
6.以下を除く同時の悪性疾患または登録3年以内の悪性疾患:
・適切に処置された皮膚の基底細胞癌もしくは扁平上皮癌またはインサイチュの頸癌、または
・前立腺がんの局所照射療法または小線源療法以外の処置が必要でない場合の早期ステージ(例えば、TMNステージングシステムを使用してT1aまたはT1b)の前立腺がん。
7.これまでの2年間に全身性処置を必要とした(すなわち免疫修飾剤、コルチコステロイドまたは免疫抑制薬の使用を伴う)活動性自己免疫疾患。
・補充療法(例えば、副腎または下垂体機能不全などのための、チロキシン、インスリン、または生理学的コルチコステロイド補充療法)は、全身性処置の形態とみなされず、許可される。
8.0日目の28日以内の全身療法を必要とする活動性感染の存在。抗生剤処置は0日目の14日前に終了していなければならない。
9.HIV、B型肝炎、またはC型肝炎の既知の感染またはその疑い。
10.骨盤リンパ節以外の既知の転移。
11.CTCAEがグレード1を超えるあらゆる未解決の/制御されない吐き気、嘔吐、または下痢を含む、経口薬剤の吸収を制限する可能性のある胃腸(GI)機能の障害またはGI疾患(例えば、潰瘍性疾患、吸収不良症候群、または小腸切除)。
12.重篤な介入性の慢性または急性疾患、例えば心疾患(ニューヨーク心臓協会のクラスIIIまたはIV、試験薬物を開始する前6カ月以内の急性心筋梗塞または狭心症、管理不良の高血圧、動揺性高血圧の病歴、または抗高血圧レジメンに対する低いコンプライアンスの病歴を含むが、それらに限定されない)、または治験責任医師によって治験製品にとって不当な高いリスクとみなされる他の疾患。
13.治験責任医師の意見において、試験の結果を混乱させ、試験の全継続期間への参加を妨害し、または参加することが対象にとって最善の利益ではない可能性がある、あらゆる状態(例えば、肺疾患、臨床的に顕著な神経障害)、または治療、または検査データの異常の病歴または現在の証拠。
14.同種組織/固形臓器の移植を受けた。
共薬剤除外基準
15.試験薬物の最初の用量の前28日以内に生ワクチンを受けた。生ワクチンの例は、これらに限定されないが以下を含む:はしか、おたふく風邪、風疹、水痘帯状疱疹(水疱瘡)、黄熱病、狂犬病、チフスのワクチン。注射用の季節性インフルエンザワクチンは一般に死滅ウイルスワクチンであり、許容される。しかし、鼻腔内インフルエンザワクチン(例えば、FluMist(登録商標))は弱毒生ワクチンであり、許容されない。
16.DPXベースの製品の7日(すなわち、注射の±7日)以内に承認済みCOVID-19ワクチンを受けた。
17.治療用量の全身性ステロイドまたは他の免疫抑制剤、例えばアザチオプリンもしくはシクロスポリンAの長期使用。免疫不全の診断を有するか、または試験薬物の第1の用量前の21日以内に、慢性全身性ステロイド療法(プレドニゾン等価で1日10mgを超える投薬量で)または他のあらゆる形態の免疫抑制療法を受けている。
・化学療法または造影研究のための事前の薬物療法として使用されるステロイドは許容される。
・喘息または慢性閉塞性肺疾患(COPD)の再燃のためのステロイドの短期使用および局所的ステロイドは許容される。
患者安全性の除外基準
18.治験薬の研究に現在参加しているか、もしくは参加したことがあるか、または研究処置の第1の用量の前、28日以内に治験デバイスを使用したことがある。
・治験研究のフォローアップ相に入った対象は、それが以前の治験薬剤の最後の用量の後、28日を超えれば、参加してよい。
19.DPXベースの製品の皮下注射または引き続く潜在的な皮膚反応の評価を妨害する可能性のある急性または慢性の皮膚および/または微小血管の障害。
20.グレード2以上の下肢の浮腫またはリンパ水腫。
21.処置薬物の成分に対する既知のアレルギーまたはその疑い。
22.研究の要求に協力する対象の能力を妨害する可能性のある既知の医学的、精神医学的、または薬物乱用障害を有している。
【0531】
低用量CPA研究を伴いまたは伴わないDPX-SurMAGE
ランダム化
本研究は、2つのアームで登録されたオープンラベルの試験である。
【0532】
各対象は、0日目にランダム化リストを使用してランダム化される。
・アーム1:DPX-SurMAGE
・アーム2:間欠的低用量CPAを伴うDPX-SurMAGE
【0533】
研究処置
DPX-SurMAGEは、教育された細胞傷害性T細胞による排除のためのサバイビンおよびMAGE-A9発現細胞を標的とするDPXベースの免疫療法である。
【0534】
DPX-SurMAGEは、サバイビンHLA-A2およびHLA-A24ペプチドを有するDPXプラットフォームと、MAGE-A9由来の3つのHLA-A2拘束ペプチドとを組み合わせたものである。
【0535】
【0536】
ある特定の実施形態において、試験のための治療用組成物は、配列番号1~8の1つまたは複数のサバイビンエピトープおよび配列番号9~12、26~44、46~52、54~62、64~75、もしくは79~93の1つまたは複数のMAGE-A9エピトープを含む。ある特定の実施形態において、試験のための治療用組成物は、表17の1つまたは複数のサバイビンエピトープおよび1つまたは複数のMAGE-A9エピトープを含む。
【0537】
MVP-Sに間欠的な低用量のシクロホスファミド(CPA)を追加することにより、サバイビン特異的な細胞傷害性T細胞活性が増強される。
【0538】
低用量CPAを伴いまたは伴わないDPX-SurMAGEの研究の概略図を
図10に示す。
【0539】
DPX-SurMAGE処置は、膀胱がん細胞を特異的に殺滅し、無再発生存(RFS)の延長に寄与するT細胞応答を誘導する。
【0540】
[実施例5]
膀胱がん(BCa)は、カナダで5番目に頻度が高いがんである。進行したBCaの処置は、抗PD-1/PD-L1等の免疫チェックポイント(IC)ベースの免疫療法の臨床的成功によって変革された。しかし、全ての患者でこの療法が奏功するわけではなく、奏効率を増大させる戦略が必要である。本実施例の目的は、HLA-A2、HLA-A1、HLA-A24、HLA-A3、およびHLA-B7対立遺伝子に拘束される免疫原性MAGE-A9ペプチドを同定することであった。
【0541】
これらの実験において、HLA-A1、HLA-A2/DR1、HLA-A24、HLA-A11(HLA-A3対立遺伝子のサロゲートとして)およびHLA-B7トランスジェニックマウスを、アジュバントとして低分子量(LMW)のポリ(I:C)と混合したMAGE-A9完全長組換えタンパク質(305a.a.)で免疫化した。想定されるエピトープを含むペプチドによる刺激の際の抗原特異的T細胞活性化を測定するために、IFN-γ ELISPOTを実施した。候補ペプチドによって脾細胞を刺激した後のIFN-γ応答の誘導は、ペプチドがT細胞によって天然に処理され認識されたことを示し、ペプチドは免疫原性であってエピトープを含んでいるということを意味している。これらの実験の結果を以下に提供する。
【0542】
材料
候補エピトープに対応するGenScript由来のペプチド
【0543】
【0544】
【0545】
【0546】
【0547】
【0548】
方法
MAGE-A9免疫原性ペプチドの発見
10匹の6~12週齢のHLA-A1、HLA-A2/DR1、HLA-A24、HLA-A11(HLA-A3対立遺伝子のサロゲートとして)、およびHLA-B7の雄/雌マウスの群を、最終体積100μlで50μg(s.c.)または200μg(i.p.)のポリ(I:C)と混合した30μgのMAGE-A9 hisタグ完全長組換えタンパク質により、s.c.およびi.p.で14日の間隔で3回免疫化した。34日目にマウスを屠殺した。脾臓から脾細胞を分離し、ACK溶解緩衝液で処理して、夾雑している赤血球を溶解した。脾細胞を、候補ペプチド単独または候補ペプチドを負荷した樹状細胞で刺激した。免疫応答は、IFN-γ ELISPOTアッセイ(BD)を使用して測定した。次いでELISPOTカウンター(CTLアナライザー)を使用してスポットを計数し、1ウェル当たりのスポット形成単位(SFU)の数として列挙した。それぞれの実験は2~3回繰り返した(1回だけ行ったHLA-A11(HLA-A3対立遺伝子のサロゲートとしての)マウスについての実験を除く)。
【0549】
統計解析
2つの群(非刺激および試験ペプチドによる刺激)を比較するためにStudentのt検定を実施した。有意性を表示するため、図において*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001、および****p=0.0001によってp値を表す。全てのデータは、平均および平均の標準誤差(SEM)として提示する。
【0550】
結果
候補ペプチドの選択
各対立遺伝子についての候補ペプチドの選択は、5つの異なるアルゴリズム、すなわちRANQ PEP、BIMAS、SYPEITHI、IEDB、およびNetMHCpanアナリシスリソース(表8)を使用して行った。予測のためにMAGE-A9の全タンパク質配列(受託番号BC002351)を使用した。少なくとも2つのアルゴリズムの上位のスコアリングリストで見出されたペプチドを解析のために選択した。対立遺伝子HLA-A1、A2、およびA24について10種のペプチドの選択を行った。HLA-B7およびHLA-A3についてそれぞれ20種および34種のペプチドの選択を行った。
【0551】
【0552】
MAGE-A9免疫原性HLA-A2ペプチドの同定
【0553】
【0554】
4つの異なるエピトープ予測アルゴリズムを使用して、MAGE-A9から強いHLA-A2バインダーである可能性がある全部で10種のペプチド(ペプチド102、107、187、199、219、307、24、111、223、および270)を同定した。実験は全数30匹のマウスについて3回繰り返した(
図11、12、および13)。クロム51(
51Cr)放出アッセイ(CTLアッセイ)によるペプチド111、24、223、および270についての免疫応答も実施例6で提示する。MAGE-A9完全長組換えタンパク質によって誘導される免疫応答はペプチド111について持続的に高く、このエピトープが優勢なHLA-A2エピトープであることを示している。ペプチドが他のアッセイに反応するにも関わらず、これらの試験は極めて高い感度を提供し、これらのペプチドについてのINF-γ応答が弱く見える理由を説明している(実施例6を参照)。102、107、187、199、219、および307のペプチドの中ではペプチド102および199が最も高いINF-γ応答を誘導した。ペプチド102に対する応答は持続的に観察されたが、強度の変動があった。ペプチドを負荷したDCで脾細胞を刺激した場合、このペプチドに対する応答は3回の実験のうち2回で統計的に有意であった。
【0555】
MAGE-A9免疫原性HLA-A1ペプチドの同定
【0556】
【0557】
この解析の本質は、MAGE-A9のHLA-A1拘束されたエピトープの同定にあった。強力なHLA-A1バインダーを同定するための4つの異なる予測アルゴリズムを使用して、10種の最良のMAGE-A9ペプチドを選択した。この実験は、全数12匹のマウスについて2回繰り返した(
図14および15)。MAGE-A9完全長組換えタンパク質によって誘導される免疫応答は両方の実験でペプチド167について極めて強く、EVDPAGHSY(配列番号27)が優勢なHLA-A1エピトープであることを示唆している。ペプチドを負荷したDCで脾細胞を再刺激した場合、1回目の実験ではペプチド111で中程度の応答があった(
図14A)が、これは2回目の実験では観察されなかった。他の候補ペプチドは何ら反応性を示さなかった。ペプチド167の反応性は2回の実験で同様であった。さらに、発現の最初の数分間で極めて早くスポットが出現し、極めて強力な応答を示した。
【0558】
MAGE-A9免疫原性HLA-A24ペプチドの同定
【0559】
【0560】
この解析の本質は、MAGE-A9のHLA-A24拘束されたエピトープの同定にあった。強力なHLA-A24バインダーを同定するための4つの異なる予測アルゴリズムを使用して、10種の最良のMAGE-A9ペプチドを選択した。この実験は、全数12匹のマウスについて3回繰り返した(
図16、17、および18)。3回の実験の結果をまとめて、3つのペプチド、すなわちペプチド71、141、および174に興味があり、ペプチド141が最も高いレスポンダーであった。
【0561】
MAGE-A9免疫原性HLA-B7エピトープの発見
【0562】
【0563】
この解析の本質は、MAGE-A9のHLA-B7拘束されたエピトープの同定にあった。強力なHLA-B7バインダーを同定するための4つの異なる予測アルゴリズムを使用して、20種の最良のMAGE-A9ペプチドを選択した。この実験は、全数27匹のマウスについて4回繰り返した(
図19~21)。最初の3回の実験の間に最初の10種のペプチドを試験した。次の10種のペプチドは4回目の実験で試験した(
図22)。マウス当たりの個別の応答を検討して(データは示していない)、195種で最大の活性が得られた。
【0564】
MAGE-A9免疫原性HLA-A3/A11ペプチドの同定
【0565】
【0566】
これらの実験の目的は、MAGE-A9のHLA-A3拘束エピトープを同定することであった。それは、この対立遺伝子が集団中で高頻度であるからである。しかしHLA-A3トランスジェニックマウスは入手不可能であり、HLA-A3とHLA-A11は結合モチーフを共有しているので、HLA-A11トランスジェニックマウスを使用することを決定した。HLA-A
*03:01バインダーを同定するための5つの異なる予測アルゴリズムを使用して、34種のMAGE-A9ペプチドを選択した。予測アルゴリズムによれば、これらのペプチドの大部分はHLA-A
*11:01にも結合することが予想された。MAGE-A9完全長組換えタンパク質によって誘導される免疫応答はペプチド225について極めて強く、SVMGVYVGK(配列番号32)が優勢なHLA-A11エピトープであることを示唆している。ペプチドを負荷したDCまたはペプチド単独で脾細胞を再刺激した場合、強い応答があった(
図23)。ペプチドを負荷したDCで脾細胞を再刺激した場合にのみ良好な反応性を示したペプチド118およびペプチド単独で脾細胞を再刺激した場合に弱いが有意な反応性を示したペプチド203以外の他の候補ペプチドは有意な反応性を示さなかった。NetMHCpan 4.1aによれば、ペプチド225はHLA-A
*11:01およびHLA-A
*03:01についてそれぞれ最高および2番目に高い結合スコアを有し、これがHLA-A3にも強く結合する可能性を示唆している。
【0567】
結論
HLA-A1、HLA-A24、HLA-B7、およびHLA-A3/A11 MAGE-A9ペプチドを組み合わせることによって、より大きな患者集団を処置できると考えられる。これらの結果は、ペプチド167が高度に免疫原性のHLA-A1エピトープを含むことを実証している。HLA-A24拘束ペプチドである141および174は良好な免疫応答を呈し、ペプチド141がより強く、より一貫性のある結果を提供する。HLA-B7拘束ペプチド195も免疫応答を生じた。ペプチド225は免疫原性が極めて高いHLA-A11エピトープを含み、これはHLA-A3と交差反応するはずである。最後に、ペプチド102、111、24、223、および270はHLA-A2エピトープとして有用である。しかし、脾細胞の研究は、223を除外しても最終製剤の免疫原としての潜在力に顕著には影響しないことを示唆している。表17に、治療用途のためのサバイビンおよびMAGE-A9エピトープの例示的な選択を提供する。
【0568】
【0569】
[実施例6]
CTLエピトープKVAELVHFL(配列番号9;M9-A2-111)、GLMGAQEPT(配列番号10;M9-A2-24)、ALSVMGVYV(配列番号11;M9-A2-223)、およびFLWGSKAHA(配列番号12;M9-A2-270)の反応性を細胞傷害性アッセイによって試験し、これを少なくとも3回繰り返した。ポリクローナルエフェクターTリンパ球は、TLR3アゴニストポリ(I:C)と混合した組換えMAGE-A9により、14日の間隔でマウスを2回免疫化することによって生成した。28日目に動物を屠殺し、その脾細胞をAPCとしての照射したペプチド負荷同系脾細胞で3日間、再刺激した。刺激した細胞を使用して、標準的な
51Cr放出アッセイにより、ペプチド負荷RMS-S-HHD細胞の認識および溶解を試験した(
図24)。これらの実験では、例えばインフルエンザ(HA)またはエプスタインバーウイルス(EBV)由来の無関係なHLA-A2拘束ペプチドを対照とした。HAペプチドがEBVペプチドより高いCTL活性をもたらしたので、HAで得られたデータのみを対照として提示する。4つのエピトープ全てが応答を惹起した。ペプチドM9-A2-111はM9-A2-270より高い特異的溶解を示したが、M9-A2-270と比較して低い結合親和性を有している。これら4つの反応性ペプチドを再び数回試験して、反応性を確認した。マウスは全MAGE-A9タンパク質で免疫化しており、T細胞応答を誘導するために完全長のタンパク質をペプチドに処理する必要があるので、スクリーニングで同定された反応性ペプチドは天然に処理されている。しかし、脾細胞の研究は、223を除外しても最終製剤の免疫原としての潜在力に顕著には影響しないことを示唆している。
【0570】
脾細胞を4つのペプチドで刺激した後で分泌されるINF-γをELISAによって試験した。
図25に示すように、それぞれのペプチドまたはペプチドの混合物による刺激は、それぞれの条件においてINF-γの分泌を誘導した。INF-γの分泌は、組換えMAGE-A9で免疫化した後に誘導されるT細胞はTh1サブタイプであることを示唆している。
【0571】
方法
マウス
A2/DR1マウスはHLA-A*02:01およびHLA-DRB1*01:01についてトランスジェニックであり、H-2クラスIとII分子の両方が欠失している(β2m-/- H-2Db-/- IAβ-/- IAα-/- IEβ-/-)。これらのマウスはPasteur Institute(Paris、France)で作製され、ここから入手した。マウスは、Centre de recherche du CHU de Quebec-Universite Laval (CR-CHUQc-UL)の動物施設において標準的な飼育条件下で飼育し、維持した。全ての手順は、CR-CHUQc-UL Animal Care and Use CommitteeまたはAnimal Protection Committee of Laval Universityの承認を受けた。
【0572】
免疫化
4匹のA2/DR1雄マウス(6~8週齢)の群を細胞傷害性アッセイに使用した。それぞれのマウスを、最終体積100μlで50μg(s.c.)または200μg(i.p.)の低分子量(LMW)ポリ(I:C)(Cedarlane、Invivogen)と混合した20μgのhis-タグMAGE-A9組換えタンパク質により、s.c.およびi.p.で14日の間隔で2回免疫化した。28日目に心臓内放血によってマウスを屠殺し、その脾臓および血清を無菌的に収集した。脾臓から脾細胞を単離し、ACK溶解緩衝液で処理して夾雑している赤血球を溶解し、次いで同じマウスの群からの脾細胞をプールした。
【0573】
クロム51(51Cr)放出アッセイ(CTLアッセイ)
細胞傷害活性は、標準的な4時間51Cr放出アッセイ(Rohrlich PS, Cardinaud S, Firat H, Lamari M, Briand P, Escriou N, et al. HLA-B*0702 transgenic, H-2KbDb double-knockout mice: phenotypical and functional characterization in response to influenza virus. Int Immunol. 2003;15(6):765-72)によって試験した。簡単に言えば、個別の試験ペプチドおよび対照ペプチドを最終濃度40μg/mlで負荷し、51Cr放射性同位元素で標識したRMA/s標的細胞を、試験ペプチドおよび対照ペプチドを負荷した照射済み(50Gy)脾細胞で予め5日間刺激した脾細胞と、3つの異なるエフェクター対標的比(25:1、50:1、および75:1)で共培養した。細胞は、10%の不活化ウシ胎児血清、50μMのβ-メルカプトエタノール、2mMのL-グルタミン、1mMのピルビン酸ナトリウム、20U/mlのマウスrIL-2を含むRPMI1640培地中、最終体積200μl、96ウェルプレート中、37℃で4時間、共培養した。全ての刺激条件からの上清液をCostarクラスターチューブ(Fisher、USA)中に収穫した。翌日、1470自動ガンマカウンター(Wallac、Finland)によって放射活性を測定した。特異的細胞傷害活性は、式:特異的放出の%=[(実験放出-自発的放出)/(全放出-自発的放出)]×100を使用して決定した。標的細胞における自発的放出は、T細胞を含まない培地中で標的細胞をインキュベートすることによって決定した。全てのアッセイは三重測定で行い、結果は三重測定の平均で提示する。
【0574】
ELISA
ペプチドを負荷した照射済み脾細胞で刺激した全脾細胞の培養からの上清を72時間の刺激の後に収集し、マウスIFN-γ ELISA Max set Deluxeキット(BioLegend、San Diego、CA)を使用するサンドイッチELISAによってIFN-γの量を推定した。
【0575】
本明細書で引用された全ての公報および特許出願は、それぞれ個々の公報または特許出願が具体的かつ個々に参照により組み入れられることが示されたかのように、参照により本明細書に組み入れられる。いずれの公報の引用も、出願日前のその開示に関してであり、本発明が先行発明に基づいてこのような公報に先立つ権利を有さないことの承認として解釈されるべきではない。
【0576】
前述の発明を、理解しやすくするために例証および例示として多少詳細に記載したが、本発明の教示に照らして、添付の特許請求の範囲の本質または範囲から逸脱することなく、それに一定の変更および改変をなすことができることが当業者には容易に理解される。
配列表
【0577】
【0578】
【0579】
【0580】
【0581】
【0582】
【0583】
【配列表】
【国際調査報告】