(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-04
(54)【発明の名称】イミン官能性有機ケイ素化合物及び一級アミノ官能性有機ケイ素化合物の調製
(51)【国際特許分類】
C07F 7/10 20060101AFI20240927BHJP
C08G 77/388 20060101ALI20240927BHJP
C07B 61/00 20060101ALN20240927BHJP
【FI】
C07F7/10 W
C08G77/388
C07B61/00 300
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024519371
(86)(22)【出願日】2022-10-06
(85)【翻訳文提出日】2024-04-10
(86)【国際出願番号】 US2022077642
(87)【国際公開番号】W WO2023060154
(87)【国際公開日】2023-04-13
(32)【優先日】2021-10-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(71)【出願人】
【識別番号】590001418
【氏名又は名称】ダウ シリコーンズ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【氏名又は名称】大森 規雄
(72)【発明者】
【氏名】モリトール、エーリヒ
(72)【発明者】
【氏名】ノイマン、ジョセフ
(72)【発明者】
【氏名】トゥルチンスキー、マイケル
(72)【発明者】
【氏名】フィゲロア、ルース
(72)【発明者】
【氏名】デヴォア、デイビッド
(72)【発明者】
【氏名】クンバルカール、ムランマイ
(72)【発明者】
【氏名】フェリット、マイケル
(72)【発明者】
【氏名】テルゲンホフ、マイケル
(72)【発明者】
【氏名】レッケン、ブライアン
【テーマコード(参考)】
4H039
4H049
4J246
【Fターム(参考)】
4H039CA71
4H049VN01
4H049VP02
4H049VP03
4H049VQ78
4H049VR21
4H049VR23
4H049VR41
4H049VR43
4H049VS78
4H049VT16
4J246AA03
4J246AB01
4J246BA02X
4J246BB021
4J246BB02X
4J246CA24X
4J246CA349
4J246CA34U
4J246CA34X
4J246CA57E
4J246CA57M
4J246CA57U
4J246CA57X
4J246CA76E
4J246CA76M
4J246CA76X
4J246FB213
4J246FC152
(57)【要約】
一級アミノ官能基を有する有機ケイ素化合物が調製される。二級イミン官能性有機ケイ素化合物をアンモニア及び水素と化合させるための触媒還元的アミノ化プロセスは、一級アミノ官能性有機ケイ素化合物を生成する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
イミン官能性有機ケイ素化合物を調製するためのプロセスであって、前記プロセスが、
I)脱水イミン生成反応をもたらす条件下で、出発材料を化合させることであって、出発材料が、
アルデヒド官能性有機ケイ素化合物と、
一級アミン源と、
任意選択的に、溶媒と、
任意選択的に、水素化触媒と、を含み、
それによって、イミン官能性有機ケイ素化合物及び水を含む反応生成物を形成し、
ただし、工程I)で前記水素化触媒が存在する場合、工程I)が水素の非存在下で実施されることを条件とする、化合させることと、
任意選択的に、II)工程I)における前記脱水イミン生成反応によって生成された水を除去することと、
任意選択的に、前記イミン官能性有機ケイ素化合物を単離することと、を含む、プロセス。
【請求項2】
アミノ官能性有機ケイ素化合物を調製するためのプロセスであって、前記プロセスが、
請求項1に記載のプロセスを実施することによって、前記イミン官能性有機ケイ素化合物を調製することと、
III)還元的アミノ化反応に触媒作用を及ぼす条件下で、出発材料を化合させることであって、出発材料が、
前記イミン官能性有機ケイ素化合物と、
アンモニアと、
水素と、
任意選択的に、前記水素化触媒と、
任意選択的に、前記溶媒と、を含み、
ただし、前記水素化触媒が、工程I)及び工程III)のうちの少なくとも1つに存在することを条件とし、
それによって、前記アミノ官能性有機ケイ素化合物を含む反応生成物を形成する、化合させることと、を含む、プロセス。
【請求項3】
工程I)の前に、ヒドロホルミル化反応に触媒作用を及ぼす条件下で、出発材料を化合させることを含むプロセスによって、前記アルデヒド官能性有機ケイ素化合物を形成することを更に含み、出発材料が、
(A)水素及び一酸化炭素を含むガスと、
(B)アルケニル官能性有機ケイ素化合物と、
(C)ロジウム/ビスホスファイト配位子錯体触媒と、を含み、前記ビスホスファイト配位子が、式
【化1】
を有し、式中、
R
6及びR
6’が、各々独立して、水素、1~20個の炭素原子のアルキル基、シアノ基、ハロゲン基、及び1~20個の炭素原子のアルコキシ基からなる群から選択され、
R
7及びR
7’が、各々独立して、3~20個の炭素原子のアルキル基、及び式-SiR
17
3の基からなる群から選択され、式中、各R
17が、独立して選択される1~20個の炭素原子の一価の炭化水素基であり、
R
8、R
8’、R
9、及びR
9’が、各々独立して、水素、アルキル基、シアノ基、ハロゲン基、及びアルコキシ基からなる群から選択され、
R
10、R
10’、R
11、及びR
11’が、各々独立して、水素又は及びアルキル基からなる群から選択され、それによって、前記アルデヒド官能性有機ケイ素化合物を含むヒドロホルミル化反応生成物を形成する、請求項1又は2に記載のプロセス。
【請求項4】
工程I)の前に、前記アルデヒド官能性有機ケイ素化合物を回収することを更に含む、請求項1~3のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項5】
前記一級アミン源が、
式:R
18NH
2(式中、R
18は、1~18個の炭素原子のアルキル基又は6~18個の炭素原子のアリール基である)の有機一級アミン、及び
一級アミノ官能性有機ケイ素化合物、からなる群から選択される、請求項1~4のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項6】
前記水素化触媒が、Co、Cu、Fe、Ni、Ir、Pd、Pt、Rh、Ru、及びこれらのうちの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される金属を含む、不均一系水素化触媒である、請求項1~5のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項7】
前記水素化触媒の量が、前記アルデヒド官能性有機ケイ素化合物の重量に基づいて、1重量%未満~50重量%である、請求項1~6のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項8】
工程III)で、条件(i)及び(ii)のうちの一方又は両方が満たされ、条件(i)が、H
2圧力が10psig(68.9kPa)~1500psig(10,342kPa)であることであり、条件(ii)が、温度が0℃~200℃であることである、請求項2に記載のプロセス。
【請求項9】
工程III)の前に、前記水素化触媒を前処理することを更に含む、請求項2又は8に記載のプロセス。
【請求項10】
IV)工程III)の最中及び/又は後に、前記反応生成物から前記アミノ官能性有機ケイ素化合物を回収することを更に含む、請求項2、8、又は9のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項11】
V)工程III)で生成された前記一級アミン源を回収し、任意選択的に、工程I)で前記一級アミン源を再利用することを更に含む、請求項2又は8~10のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項12】
工程III)が、連続モードで、任意選択的にトリクルベッド反応器において実施される、請求項2及び8~11のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項13】
工程II)が存在し、工程II)が、工程I)の前及び/又は最中に実施される、請求項1~12のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項14】
前記アルデヒド官能性有機ケイ素化合物が、120℃未満の温度で水と反応する、請求項13に記載のプロセス。
【請求項15】
請求項2及び8~12のいずれか一項に記載のプロセスによって調製されたアミノ官能性有機ケイ素化合物であって、前記アミノ官能性有機ケイ素化合物が、式:R
N
xSiR
4
(4-x)のアミノ官能性シランを含み、式中、各R
Nは、独立して選択される式
【化2】
のアミノ官能基であり、式中、Gは、2~8個の炭素原子を有する脂肪族不飽和を含まない二価炭化水素基である、アミノ官能性有機ケイ素化合物。
【請求項16】
請求項2及び8~12のいずれか一項に記載のプロセスによって調製されたアミノ官能性有機ケイ素化合物であって、前記アミノ官能性有機ケイ素化合物が、単位式:(R
4
3SiO
1/2)
a(R
4
2R
NSiO
1/2)
b(R
4
2SiO
2/2)
c(R
4R
NSiO
2/2)
d(R
4SiO
3/2)
e(R
NSiO
3/2)
f(SiO
4/2)
g(ZO
1/2)
hのアミノ官能性ポリオルガノシロキサンを含み、式中、各R
Nは、独立して選択される式
【化3】
のアミノ官能基であり、式中、Gは、2~8個の炭素原子を有する脂肪族不飽和を含まない二価炭化水素基である、アミノ官能性有機ケイ素化合物。
【請求項17】
前記アミノ官能性ポリオルガノシロキサンが、
(R
4R
NSiO
2/2)
d(式中、下付き文字dは、3~12である)、(R
4
2SiO
2/2)
c(R
4R
NSiO
2/2)
d(式中、cは、0~6であり、dは、3~12である)からなる群から選択される単位式を有する、環状アミノ官能性ポリオルガノシロキサン、
単位式:(R
4
3SiO
1/2)
a(R
4
2R
NSiO
1/2)
b(R
4
2SiO
2/2)
c(R
4R
NSiO
2/2)
dを含む直鎖状アミノ官能性ポリオルガノシロキサンであって、式中、数量(a+b)=2、数量(b+d)≧1、かつ数量(a+b+c+d)≧2である、直鎖状アミノ官能性ポリオルガノシロキサン、
単位式:(R
4
3SiO
1/2)
mm(R
4
2R
NSiO
1/2)
nn(SiO
4/2)
oo(ZO
1/2)
hを含むアミノ官能性ポリオルガノシリケート樹脂であって、式中、下付き文字mm、nn、及びooは、前記ポリオルガノシリケート樹脂中の各単位のモル百分率を表し、下付き文字mm、nn、及びooは、mm≧0、nn≧0、oo>0、かつ0.5≦(mm+nn)/oo≦4であるような平均値を有する、アミノ官能性ポリオルガノシリケート樹脂、
単位式:(R
4
3SiO
1/2)
a(R
4
2R
NSiO
1/2)
b(R
4
2SiO
2/2)
c(R
4R
NSiO
2/2)
d(R
4SiO
3/2)
e(R
NSiO
3/2)
f(ZO
1/2)
hを含むアミノ官能性シルセスキオキサン樹脂であって、式中、f>1、2<(e+f)<10,000、0<(a+b)/(e+f)<3、0<(c+d)/(e+f)<3、かつ0<h/(e+f)<1.5である、アミノ官能性シルセスキオキサン樹脂、並びに
単位式:R
NSiR
12
3を含む分岐状アミノ官能性ポリオルガノシロキサンであって、式中、各R
12は、R
13及び-OSi(R
14)
3から選択され、各R
13は、一価の炭化水素基であり、各R
14は、R
13、-OSi(R
15)
3、及び-[OSiR
13
2]
iiOSiR
13
3から選択され、各R
15は、R
13、-OSi(R
16)
3、及び-[OSiR
13
2]
iiOSiR
13
3から選択され、各R
16は、R
13及び-[OSiR
13
2]
iiOSiR
13
3から選択され、下付き文字iiは、0≦ii≦100であるような値を有し、ただし、R
12のうちの少なくとも2つが、-OSi(R
14)
3であることを条件とする、分岐状アミノ官能性ポリオルガノシロキサン、からなる群から選択される、請求項16に記載のアミノ官能性有機ケイ素化合物。
【請求項18】
前記アミノ官能性有機ケイ素化合物が、式
【化4】
を有し、式中、各R
4は、独立して、1~18個の炭素原子のアルキル基及び6~18個の炭素原子のアリール基からなる群から選択され、各R
Nは、独立して選択される式
【化5】
の一級アミノ基であり、式中、Gは、2~8個の炭素原子を有する脂肪族不飽和を含まない二価炭化水素基である、請求項17に記載のアミノ官能性有機ケイ素化合物。
【請求項19】
前記アミノ官能性有機ケイ素化合物が、式
【化6】
を有し、式中、各R
13は、独立して、1~18個の炭素原子のアルキル基及び6~18個の炭素原子のアリール基からなる群から選択され、R
Nは、式
【化7】
の一級アミノ基であり、式中、Gは、2~8個の炭素原子を有する脂肪族不飽和を含まない二価炭化水素基である、請求項17に記載のアミノ官能性有機ケイ素化合物。
【請求項20】
前記アミノ官能性有機ケイ素化合物が、式:[(R
1
(3-gg)R
N
ggSi)
ffNH
(3-ff)]
hhのアミノ官能性シラザンを含み、式中、式中、各R
Nは、独立して選択される式
【化8】
のアミノ官能基であり、式中、Gは、2~8個の炭素原子を有する脂肪族不飽和を含まない二価炭化水素基であり、各R
1は、独立して、アルキル基及びアリール基からなる群から選択され、各下付き文字ffは、独立して、1又は2であり、下付き文字ggは、独立して、0、1、又は2であり、下付き文字hhは、1<hh<10であるような値を有する、請求項2及び8~12のいずれか一項に記載のプロセスによって調製された、アミノ官能性有機ケイ素化合物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、米国特許法第119条(e)の下、2021年10月6日に出願された米国仮特許出願第63/252,639号の利益を主張するものである。米国仮特許出願第63/252,639号は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
一級アミノ官能性有機ケイ素化合物を調製するためのプロセスが開示される。より具体的には、一級アミノ官能性有機ケイ素化合物を調製するためのプロセスは、アルデヒド基からのイミン基の形成によるアルデヒド官能性有機ケイ素化合物の保護、及びその後のアンモニアを用いたイミン官能性有機ケイ素化合物の還元的アミノ化を含む。
【背景技術】
【0003】
序論
ある特定のアミノ官能性ポリオルガノシロキサンは、例えば、織物及び皮革処理用途において有用である。アミン末端ポリジオルガノシロキサンなどの他のアミノ官能性ポリオルガノシロキサンは、ヘアケアなどのパーソナルケア用途において有用である。アミン末端ポリジオルガノシロキサンは、例えば、ヘアコンディショニング用途において有用であり得る。縮合によって作製されたアミノ官能性ポリオルガノシロキサンは、経年劣化後の粘度変化及び/又はアンモニア臭の発生によって示されるような不安定性という欠点を抱えている場合があり、これはパーソナルケア用途には望ましくない。伝統的に、アミノ官能性ポリオルガノシロキサンは、高価な出発材料及び触媒を必要とし、完了するために複数のプロセス工程を必要とするので、平衡化によって作製するには費用がかかる。
【0004】
アミノ官能性ポリオルガノシロキサンを作製するための別の方法は、アリルアミン又はアリルアミンに加水分解する誘導体を使用する。これらは、SiH官能性ポリマーを用いてヒドロシリル化化学作用を行って、アミノ官能性ポリオルガノシロキサンを形成するために使用されるが、しかしながら、この方法は、アミノ官能性ポリオルガノシロキサン生成物が少なくとも微量のSiH又はアリルアミンのいずれかを含有する場合があり、アリルアミンの毒性及びSiHの反応性に起因して、生成物を任意のパーソナルケア用途に使用することができるようになる前にそのいずれかを除去しなければならないという欠点を抱えている。
【0005】
アミノ官能性ポリオルガノシロキサンを作製する別の方法は、クロロプロピル末端シロキサンのアンモノリシスによるものである。この高価な多段階方法は、除去するのに大規模な洗浄を必要とし得る残留塩(すなわち、塩化アンモニウム)をアミン末端ポリオルガノシロキサン生成物中に残すという欠点を抱えている場合があり、これは費用効果が低く、持続可能性が低い。また、任意の残留塩化アンモニウムは、悪臭を生成する場合があり、これは、パーソナルケア用途には望ましくない。
【0006】
したがって、有機ケイ素産業において、比較的高い純度、高い選択性、及び/又は低い費用で広範囲のアミノ官能性有機ケイ素化合物を調製するための合成方法に対する満たされていない必要性がある。
【発明の概要】
【0007】
一級アミノ官能性有機ケイ素化合物を調製するためのプロセスは、脱水イミン生成反応をもたらす条件下で、アルデヒド官能性有機ケイ素化合物と一級アミン源とを含む出発材料を化合させ、それによって、イミン官能性有機ケイ素化合物と水とを含む反応生成物を形成することを含む。プロセスは、還元的アミノ化によってイミン官能性有機ケイ素化合物から一級アミノ官能性有機ケイ素化合物を形成することを更に含む。
【発明を実施するための形態】
【0008】
上で紹介した一級アミノ官能性有機ケイ素化合物を調製するためのプロセスにおいて、アルデヒド官能性有機ケイ素化合物は、既知であるアルデヒド官能性有機ケイ素化合物であり得、Pettyの米国特許第4,424,392号、Francesらの米国特許第5,021,601号、Graiverらの米国特許第5,739,246号、Asirvathamの米国特許第7,696,294号、及びSuttonらの米国特許第7,999,053号、Francesの欧州特許出願公開第0392948(A1)号、及びKuhnleらのPCT特許出願公開第2006027074号に記載されているような既知の方法によって作製され得る。
【0009】
ヒドロホルミル化
代替的に、アルデヒド官能性有機ケイ素化合物は、FiskらのPCT特許出願公開第2022081444号に従ったヒドロホルミル化プロセスによって調製され得る。このヒドロホルミル化プロセスは、1)ヒドロホルミル化反応に触媒作用を及ぼす条件下で、出発材料を化合させることであって、出発材料が、(A)水素及び一酸化炭素を含むガスと、(B)アルケニル官能性有機ケイ素化合物と、(C)ロジウム/ビスホスファイト配位子錯体触媒などのヒドロホルミル化反応触媒と、を含み、それによって、アルデヒド官能性有機ケイ素化合物を含むヒドロホルミル化反応生成物を形成する、化合させることを含む。
【0010】
本明細書に記載されるヒドロホルミル化プロセスは、(A)水素及び一酸化炭素を含むガスと、(B)アルケニル官能性有機ケイ素化合物と、(C)ロジウム/ビスホスファイト配位子触媒と、を含む、出発材料を用いる。出発材料は、任意選択的に、(D)溶媒を更に含み得る。
【0011】
(A)合成ガス
ヒドロホルミル化プロセスにおいて使用されるガスである出発材料(A)は、一酸化炭素(CO)及び水素ガス(H2)を含む。例えば、ガスは、合成ガスであり得る。本発明で使用される場合、「合成ガス(syngas)」(合成ガス(synthesis gas)から)は、様々な量のCO及びH2を含有するガス混合物を指す。生成方法は、周知されており、例えば、(1)天然ガス又は液体炭化水素の水蒸気改質及び部分酸化、並びに(2)石炭及び/又はバイオマスのガス化を含む。CO及びH2は、典型的には、合成ガスの主要構成成分であるが、合成ガスは、二酸化炭素、並びにCH4、N2、及びArなどの不活性ガスを含有し得る。H2とCOとのモル比(H2:COモル比)は、大きく変化するが、1:100~100:1、代替的に1:10~10:1の範囲であり得る。合成ガスは市販されており、多くの場合燃料源として又は他の化学物質を生成するための中間体として使用される。代替的に、他の供給源(すなわち、合成ガス以外)からのCO及びH2は、本明細書において出発材料(A)として使用され得る。代替的に、本明細書で使用するための出発材料(A)中のH2:COモル比は、3:1~1:3、代替的に2:1~1:2、代替的に1:1であり得る。
【0012】
(B)アルケニル官能性有機ケイ素化合物
アルケニル官能性有機ケイ素化合物は、1分子当たり、ケイ素に共有結合した少なくとも1つのアルケニル基を有する。代替的に、アルケニル官能性有機ケイ素化合物は、1分子当たり、ケイ素に共有結合した2つ以上のアルケニル基を有し得る。出発材料(B)は、1つのアルケニル官能性有機ケイ素化合物であり得る。代替的に、出発材料(B)は、互いに異なる2つ以上のアルケニル官能性有機ケイ素化合物を含み得る。例えば、アルケニル官能性有機ケイ素化合物は、(B1)シラン及び(B2)ポリオルガノシロキサンのうちの一方又は両方を含み得る。
【0013】
出発材料(B1)、アルケニル官能性シランは、式(B1-1):RA
xSiR4
(4-x)を有し得、式中、各RAは、独立して選択される2~8個の炭素原子のアルケニル基であり、各R4は、独立して、1~18個の炭素原子のアルキル基、6~18個の炭素原子のアリール基、2~18個の炭素原子のアシルオキシ基、及び1~18個の炭素原子の炭化水素オキシ官能基からなる群から選択され、下付き文字xは、1~4である。代替的に、下付き文字xは、1又は2、代替的に2、代替的に1であり得る。代替的に、各R4は、独立して、1~18個の炭素原子のアルキル基、6~18個の炭素原子のアリール基、2~18個の炭素原子のアセトキシ基、及び1~18個の炭素原子のアルコキシ官能基からなる群から選択され得る。代替的に、各R4は、独立して、1~18個の炭素原子のアルキル基、6~18個の炭素原子のアリール基、及び1~18個の炭素原子の炭化水素オキシ官能基からなる群から選択され得る。代替的に、各R4は、独立して、1~12個の炭素原子のアルキル基、及び6~12個の炭素原子のアリール基からなる群から選択され得る。代替的に、各R4は、独立して、1~8個の炭素原子のアルキル基、及び6~8個の炭素原子のアリール基からなる群から選択され得る。代替的に、式(B1-1)中の各R4は、独立して、メチル及びフェニルからなる群から選択され得る。
【0014】
RAのアルケニル基は、末端アルケニル官能基を有し得、例えば、RAは、式
【0015】
【化1】
を有し得、式中、下付き文字yは、0~6である。代替的に、各R
Aは、独立して、ビニル、アリル、及びヘキセニルからなる群から選択され得る。代替的に、各R
Aは、独立して、ビニル及びアリルからなる群から選択され得る。代替的に、各R
Aは、ビニルであり得る。代替的に、各R
Aは、アリルであり得る。
【0016】
R4に好適なアルキル基は、直鎖状、分岐状、環状、又はこれらのうちの2つ以上の組み合わせであり得る。アルキル基は、メチル、エチル、プロピル(n-プロピル及び/又はイソプロピルを含む)、ブチル(n-ブチル、tert-ブチル、sec-ブチル、及び/又はイソブチルを含む)、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、デシル、ドデシル、ウンデシル、及びオクタデシル(及び5~18個の炭素原子を有する分岐状異性体)によって例示され、アルキル基は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、及びシクロヘキシルなどのシクロアルキル基によって更に例示される。代替的に、R4のアルキル基は、メチル、エチル、プロピル、及びブチル、代替的に、メチル、エチル、及びプロピル、代替的に、メチル又はエチルからなる群から選択され得る。代替的に、R4のアルキル基は、メチルであり得る。
【0017】
R4に好適なアリール基は、単環式又は多環式であり得、ペンダントヒドロカルビル基を有し得る。例えば、R4のアリール基としては、フェニル、トリル、キシリル、及びナフチルが挙げられ、更に、ベンジル、1-フェニルエチル、及び2-フェニルエチルなどのアラルキル基が挙げられる。代替的に、R4のアリール基は、フェニル、トリル、又はベンジルなどの単環式であり得、代替的に、R4のアリール基は、フェニルであり得る。
【0018】
R4に好適な炭化水素オキシ官能基は、式-OR5又は式-OR3-OR5を有し得、式中、各R3は、独立して選択される1~18個の炭素原子の二価のヒドロカルビル基であり、各R5は、独立して、1~18個の炭素原子のアルキル基及び6~18個の炭素原子のアリール基からなる群から選択され、これらは、R4について上記に記載及び例示されているとおりである。R3についての二価のヒドロカルビル基の例としては、実験式-CrH2r-のアルカン-ジイル基が挙げられ、式中、下付き文字rは、2~8である。アルカン-ジイル基は、直鎖状アルカン-ジイル、例えば、-CH2-CH2-、-CH2-CH2-CH2-、-CH2-CH2-CH2-CH2-、若しくは-CH2-CH2-CH2-CH2-CH2-CH2-、又は分岐状アルカン-ジイル、例えば、
【0019】
【化2】
であり得る。代替的に、R
3は、フェニレンなどのアリーレン基、又は
【0020】
【化3】
などのアルキルアリーレン基であり得る。代替的に、R
3は、エチレンなどの直鎖状アルカン-ジイル基であり得る。代替的に、炭化水素オキシ官能基は、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、又はブトキシなどのアルコキシ官能基、代替的にメトキシ又はエトキシ、代替的にメトキシであり得る。
【0021】
R4に好適なアシルオキシ基は、式
【0022】
【化4】
を有し得、式中、R
5は、上記のとおりである。好適なアシルオキシ基の例としては、アセトキシが挙げられる。アルケニル官能性アシルオキシシラン及びそれらの調製方法は、当該技術分野、例えば、Rasmussenらの米国特許第5,387,706号、及びLarsonらの米国特許第5,902,892号において既知である。
【0023】
好適なアルケニル官能性シランは、ビニルトリメチルシラン、ビニルトリエチルシラン、及びアリルトリメチルシランなどのアルケニル官能性トリアルキルシラン、アリルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、及びビニルトリス(メトキシエトキシ)シランなどのアルケニル官能性トリアルコキシシラン、ビニルフェニルジエトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、及びビニルメチルジエトキシシランなどのアルケニル官能性ジアルコキシシラン、トリビニルメトキシシランなどのアルケニル官能性モノアルコキシシラン、ビニルトリアセトキシシランなどのアルケニル官能性トリアシルオキシシラン、並びにビニルメチルジアセトキシシランなどのアルケニル官能性ジアシルオキシシランによって例示される。これらのアルケニル官能性シランは全て、Gelest Inc.(Morrisville,Pennsylvania,USA)から市販されている。更に、アルケニル官能性シランは、Baileらの米国特許第4,898,961号及びDavernらの米国特許第5,756,796号に開示されているものなどの既知の方法によって調製され得る。
【0024】
代替的に、(B)アルケニル官能性有機ケイ素化合物は、(B2)アルケニル官能性ポリオルガノシロキサンを含み得る。当該ポリオルガノシロキサンは、環状、直鎖状、分岐状、樹脂状、又はこれらのうちの2つ以上の組み合わせであり得る。当該ポリオルガノシロキサンは、単位式(B2-1):(R4
3SiO1/2)a(R4
2RASiO1/2)b(R4
2SiO2/2)c(R4RASiO2/2)d(R4SiO3/2)e(RASiO3/2)f(SiO4/2)g(ZO1/2)hを含み得、式中、RA及びR4は、上記のとおりであり、各Zは、独立して、水素原子及びR5(式中、R5は、上記のとおりである)からなる群から選択され、下付き文字a、b、c、d、e、f、及びgは、式(B2-1)中の各単位の数を表し、下付き文字a≧0、下付き文字b≧0、下付き文字c≧0、下付き文字d≧0、下付き文字e≧0、下付き文字f≧0、かつ下付き文字g≧0、数量(a+b+c+d+e+f+g)≧2、かつ数量(b+d+f)≧1であるような値を有し、下付き文字hは、0≦h/(e+f+g)≦1.5であるような値を有する。同時に、数量(a+b+c+d+e+f+g)は、≦10,000であり得る。代替的に、e=f=g=0である場合、h≧0である。代替的に、式(B-2-1)中、各R4は、独立して、水素原子、1~18個の炭素原子のアルキル基、及び6~18個の炭素原子のアリール基からなる群から選択され得る。代替的に、各R4は、独立して、1~12個の炭素原子のアルキル基、及び6~12個の炭素原子のアリール基からなる群から選択され得る。代替的に、各R4は、独立して、1~8個の炭素原子のアルキル基、及び6~8個の炭素原子のアリール基からなる群から選択され得る。代替的に、各R4は、独立して、メチル及びフェニルからなる群から選択され得る。代替的に、各Zは、水素又は1~6個の炭素原子のアルキル基であり得る。代替的に、各Zは、水素であり得る。
【0025】
代替的に、(B2)アルケニル官能性ポリオルガノシロキサンは、1分子当たり少なくとも1つのアルケニル基、代替的に、少なくとも2個のアルケニル基(例えば、上記の式(B2-1)中、下付き文字e=f=g=0の場合)を有する(B2-2)直鎖状ポリジオルガノシロキサンを含み得る。例えば、当該ポリジオルガノシロキサンは、単位式(B2-3):(R4
3SiO1/2)a(RAR4
2SiO1/2)b(R4
2SiO2/2)c(RAR4SiO2/2)dを含み得、式中、RA及びR4は、上記のとおりであり、下付き文字aは、0、1、又は2であり、下付き文字bは、0、1、又は2であり、下付き文字c≧0であり、下付き文字d≧0であり、ただし、数量(b+d)≧1、数量(a+b)=2、かつ数量(a+b+c+d)≧2である。代替的に、単位式(B2-3)中、数量(a+b+c+d)は、少なくとも3、代替的に少なくとも4、代替的に>50であり得る。同時に、単位式(B2-3)中、数量(a+b+c+d)は、10,000以下、代替的に、4,000以下、代替的に、2,000以下、代替的に、1,000以下、代替的に、500以下、代替的に、250以下であり得る。代替的に、単位式(B2-3)中、各R4は、独立して、アルキル及びアリール、代替的に、メチル及びフェニルからなる群から選択され得る。代替的に、単位式(B2-3)中の各R4は、アルキル基であり得、代替的に、各R4は、メチルであり得る。
【0026】
代替的に、単位式(B2-3)のポリジオルガノシロキサンは、単位式(B2-4):(R4
2RASiO1/2)2(R4
2SiO2/2)m(R4RASiO2/2)n、単位式(B2-5):(R4
3SiO1/2)2(R4
2SiO2/2)o(R4RASiO2/2)p、又は(B2-4)と(B2-5)との両方の組み合わせからなる群から選択され得る。
【0027】
式(B2-4)及び(B2-5)中、各R4及びRAは、上記のとおりである。下付き文字mは、0又は正の数であり得る。代替的に、下付き文字mは、少なくとも2であり得る。代替的に、下付き文字mは、2~2,000であり得る。下付き文字nは、0又は正の数であり得る。代替的に、下付き文字nは、0~2000であり得る。下付き文字oは、0又は正の数であり得る。代替的に、下付き文字oは、0~2000であり得る。下付き文字pは、少なくとも2である。代替的に、下付き文字pは、2~2000であり得る。
【0028】
出発材料(B2)は、i)ビス-ジメチルビニルシロキシ末端ポリジメチルシロキサン、ii)ビス-ジメチルビニルシロキシ末端ポリ(ジメチルシロキサン/メチルビニルシロキサン)、iii)ビス-ジメチルビニルシロキシ末端ポリメチルビニルシロキサン、iv)ビス-トリメチルシロキシ末端ポリ(ジメチルシロキサン/メチルビニルシロキサン)、v)ビス-トリメチルシロキシ末端ポリメチルビニルシロキサン、vi)ビス-ジメチルビニルシロキシ末端ポリ(ジメチルシロキサン/メチルフェニルシロキサン/メチルビニルシロキサン)、vii)ビス-ジメチルビニルシロキシ末端ポリ(ジメチルシロキサン/メチルフェニルシロキサン)、viii)ビス-ジメチルビニルシロキシ末端ポリ(ジメチルシロキサン/ジフェニルシロキサン)、ix)ビス-フェニル、メチル、ビニル-シロキシ末端ポリジメチルシロキサン、x)ビス-ジメチルヘキセニルシロキシ末端ポリジメチルシロキサン、xi)ビス-ジメチルヘキセニルシロキシ末端ポリ(ジメチルシロキサン/メチルヘキセニルシロキサン)、xii)ビス-ジメチルヘキセニルシロキシ末端ポリメチルヘキセニルシロキサン、xiii)ビス-トリメチルシロキシ末端ポリ(ジメチルシロキサン/メチルヘキセニルシロキサン)、xiv)ビス-トリメチルシロキシ末端ポリメチルヘキセニルシロキサン、xv)ビス-ジメチルヘキセニル-シロキシ末端ポリ(ジメチルシロキサン/メチルフェニルシロキサン/メチルヘキセニルシロキサン)、xvi)ビス-ジメチルビニルシロキシ末端ポリ(ジメチルシロキサン/メチルヘキセニルシロキサン)、xvii)ビス-ジメチルヘキセニル-シロキシ末端ポリ(ジメチルシロキサン/メチルフェニルシロキサン)、xviii)ジメチルヘキセニル-シロキシ末端ポリ(ジメチルシロキサン/ジフェニルシロキサン)、及びxix)i)~xviii)のうちの2つ以上の組み合わせなどのアルケニル官能性ポリジオルガノシロキサンを含み得る。
【0029】
出発材料(B2)のための上記の直鎖状アルケニル官能性ポリジオルガノシロキサンの調製方法、例えば、対応するオルガノハロシラン及びオリゴマーの加水分解及び縮合、又は環状ポリジオルガノシロキサンの平衡化は、当該技術分野において既知であり、例えば、米国特許第3,284,406号、同第4,772,515号、同第5,169,920号、同第5,317,072号、及び同第6,956,087号を参照されたく、これらは、アルケニル基を有する直鎖状ポリジオルガノシロキサンの調製について開示している。アルケニル基を有する直鎖状ポリジオルガノシロキサンの例は、例えば、商品名DMS-V00、DMS-V03、DMS-V05、DMS-V21、DMS-V22、DMS-V25、DMS-V-31、DMS-V33、DMS-V34、DMS-V35、DMS-V41、DMS-V42、DMS-V43、DMS-V46、DMS-V51、DMS-V52でGelest Inc.(Morrisville,Pennsylvania,USA)から市販されている。
【0030】
代替的に、(B2)アルケニル官能性ポリオルガノシロキサンは、環状、例えば、単位式(B2-1)中、下付き文字a=b=c=e=f=g=h=0の場合であり得る。環状アルケニル官能性ポリジオルガノシロキサンは、単位式(B2-7):(R4RASiO2/2)dを有し得、式中、RA及びR4は、上記のとおりであり、下付き文字dは、3~12、代替的に3~6、代替的に4~5であり得る。環状アルケニル官能性ポリジオルガノシロキサンの例としては、2,4,6-トリメチル-2,4,6-トリビニル-シクロトリシロキサン、2,4,6,8-テトラメチル-2,4,6,8-テトラビニル-シクロテトラシロキサン、2,4,6,8,10-ペンタメチル-2,4,6,8,10-ペンタビニル-シクロペンタシロキサン、及び2,4,6,8,10,12-ヘキサメチル-2,4,6,8,10,12-ヘキサビニル-シクロヘキサシロキサンが挙げられる。これらの環状アルケニル官能性ポリジオルガノシロキサンは、当該技術分野において既知であり、例えば、Sigma-Aldrich(St.Louis,Missouri,USA)、Milliken(Spartanburg,South Carolina,USA)、及び他の業者から市販されている。
【0031】
代替的に、環状アルケニル官能性ポリジオルガノシロキサンは、単位式(B2-8):(R4
2SiO2/2)c(R4RASiO2/2)dを有し得、式中、R4及びRAは、上記のとおりであり、下付き文字cは、>0~6であり、下付き文字dは、3~12である。代替的に、式(B2-8)中、cは、3~6であり得、dは、3~6であり得る。
【0032】
代替的に、(B2)アルケニル官能性ポリオルガノシロキサンは、オリゴマー、例えば、上記単位式(B2-1)中、数量(a+b+c+d+e+f+g)≦50、代替的に≦40、代替的に≦30、代替的に≦25、代替的に≦20、代替的に≦10、代替的に≦5、代替的に≦4、代替的に≦3である場合であり得る。オリゴマーは、環状、直鎖状、分岐状、又はこれらの組み合わせであり得る。環状オリゴマーは、出発材料(B2-6)として上記のとおりである。
【0033】
直鎖状アルケニル官能性ポリオルガノシロキサンオリゴマーの例は、式(B2-10):
【0034】
【化5】
を有し得、式中、R
4は、上記のとおりであり、各R
2は、独立して、R
4及びR
Aからなる群から選択されるが、ただし、1分子当たり少なくとも1つのR
2は、R
Aであり、下付き文字zは、0~48である。代替的に、下付き文字zは、0~4、代替的に0又は1、代替的に0であり得る。代替的に、式(B2-10)中、z=0である場合、アルケニル官能性ポリオルガノシロキサンオリゴマーは、式(B2-10a):
【0035】
【化6】
を有し得る。直鎖状アルケニル官能性ポリオルガノシロキサンオリゴマーの例としては、1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン、1,1,1,3,3-ペンタメチル-3-ビニル-ジシロキサン、1,1,1,3,5,5,5-ヘプタメチル-3-ビニル-トリシロキサン(それらの全ては、例えば、Gelest,Inc.(Morrisville,Pennsylvania,USA)又はSigma-Aldrich(St.Louis,Missouri,USA)から市販されている)が挙げられ得る。
【0036】
代替的に、アルケニル官能性ポリオルガノシロキサンオリゴマーは、分岐状であり得る。分岐状オリゴマーは、一般式(B2-11):RASiR12
3を有し得、式中、RAは、上記のとおりであり、各R12は、R13及び-OSi(R14)3から選択され、式中、各R13は、一価炭化水素基(例えば、R4について上で例示したように、1~18個の炭素原子のアルキル基又は6~18個の炭素原子のアリール基であり得る)であり、各R14は、R13、-OSi(R15)3、及び-[OSiR13
2]iiOSiR13
3から選択され、各R15は、R13、-OSi(R16)3、及び-[OSiR13
2]iiOSiR13
3から選択され、各R16は、R13及び-[OSiR13
2]iiOSiR13
3から選択され、下付き文字iiは、0≦ii≦100であるような値を有する。R12のうちの少なくとも2つは、-OSi(R14)3であり得る。代替的に、R12のうちの3つ全ては、-OSi(R14)3であり得る。
【0037】
代替的に、式(B2-11)中、各R12がR13である場合、分岐状ポリオルガノシロキサンオリゴマーは、以下の構造(B2-11a)を有し、
【0038】
【化7】
式中、R
A及びR
13は、上記のとおりである。代替的に、式(B2-11a)中、各R
Aは、ビニル、アリル、又はヘキセニルであり得、各R
13は、メチルであり得る。
【0039】
代替的に、式(B2-11)中、各R12が-OSi(R14)3である場合、各R14は、分岐状ポリオルガノシロキサンオリゴマーが以下の構造(B2-11b)を有するような-OSi(R15)3部分であり得、
【0040】
【化8】
式中、R
A及びR
15は、上記のとおりである。代替的に、各R
15は、上記のようにR
13であり得、各R
13は、メチルであり得る。
【0041】
代替的に、式(B2-11)中、各R12が-OSi(R14)3である場合、1つのR14は、各R12が-OSiR13(R14)2であるような各-OSi(R14)3においてR13であり得る。代替的に、-OSiR13(R14)2中の2つのR14は、各々、分岐状ポリオルガノシロキサンオリゴマーが以下の構造(B2-11c):
【0042】
【化9】
(式中、R
A、R
13、及びR
15は、上記のとおりである)を有するような-OSi(R
15)
3部分であり得る。代替的に、各R
15は、R
13であり得、各R
13は、メチルであり得る。
【0043】
代替的に、式(B2-11)中、1つのR12は、R13であり得、R12のうちの2つは、-OSi(R14)3であり得る。R12のうちの2つが-OSi(R14)3である場合、1つのR14は、各-OSi(R14)3中のR13であり、R12のうちの2つは、-OSiR13(R14)2である。代替的に、-OSiR13(R14)2中の各R14は、分岐状ポリオルガノシロキサンオリゴマーが以下の構造(B2-11d):
【0044】
【化10】
(式中、R
A、R
13、及びR
15は、上記のとおりである)を有するような-OSi(R
15)
3であり得る。代替的に、各R
15は、R
13であり得、各R
13は、メチルであり得る。代替的に、アルケニル官能性分岐状ポリオルガノシロキサンは、1分子当たり3~16個のケイ素原子、代替的に1分子当たり4~16個のケイ素原子、代替的に1分子当たり4~10個のケイ素原子を有し得る。アルケニル官能性分岐状ポリオルガノシロキサンオリゴマーの例としては、式:
【0045】
【化11】
を有する1,1,1,5,5,5-ヘキサメチル-3-((トリメチルシリル)オキシ)-3-ビニルトリシロキサン、式:
【0046】
【化12】
を有するビニル-トリス(トリメチル)シロキシ)シラン、
式
【0047】
【化13】
を有するメチル-ビニル-ジ(1,1,1,3,5,5,5-ヘプタメチルトリシロキサン-3-イル)オキシ)-シラン、式
【0048】
【化14】
を有するビニル-トリス((1,1,1,3,5,5,5-ヘプタメチルトリシロキサン-3-イル)オキシ)-シラン、及び式
【0049】
【化15】
(Si10Hex)を有する(ヘキサ-5-エン-1-イル)-トリス((1,1,1,3,5,5,5-ヘプタメチルトリシロキサン-3-イル)オキシ)-シランが挙げられる。上記の分岐状アルケニル官能性ポリオルガノシロキサンオリゴマーは、Grandeらによる「Testing the Functional Tolerance of the Piers-Rubinsztajn Reaction:A new Strategy for Functional Silicones」Supplementary Material(ESI)for Chemical Communications、著作権The Royal Society of Chemistry 2010に開示されているものなどの既知の方法によって調製され得る。
【0050】
代替的に、(B2)アルケニル官能性ポリオルガノシロキサンは、上記の分岐状オリゴマー、及び/又は上記の分岐状オリゴマーよりも、例えば、1分子当たりより多くのアルケニル基及び/又はより多くのポリマー単位を有し得る分岐状アルケニル官能性ポリオルガノシロキサン(例えば、式(B2-1)中、数量(a+b+c+d+e+f+g)>50の場合)などの分岐状であり得る。分岐状アルケニル官能性ポリオルガノシロキサンは、(式(B2-1)中)分岐状アルケニル官能性ポリオルガノシロキサンに、>0~5mol%の三官能性単位及び/又は四官能性単位を提供するに十分な数量(e+f+g)を有し得る。
【0051】
例えば、分岐状アルケニル官能性ポリオルガノシロキサンは、単位式(B2-13):(R4
3SiO1/2)q(R4
2RASiO1/2)r(R4
2SiO2/2)s(SiO4/2)tのQ型分岐状ポリオルガノシロキサンを含み得、式中、R4及びRAは、上記のとおりであり、下付き文字q、r、s、及びtは、2≧q≧0、4≧r≧0、995≧s≧4、t=1、(q+r)=4であるような平均値を有し、(q+r+s+t)は、回転粘度計(試験方法とともに以下に記載される)によって測定される粘度>170mPa・sを、分岐状ポリオルガノシロキサンに付与するのに十分な値を有する。代替的に、粘度は、>170mPa・s~1000mPa・s、代替的に>170mPa・s~500mPa・s、代替的に180mPa・s~450mPa・s、代替的に190mPa・s~420mPa・sであってもよい。出発材料(B2-12)に好適なQ型分岐状ポリオルガノシロキサンは、当該技術分野において既知であり、Crayらの米国特許第6,806,339号及びCrayらの米国特許出願公開第2007/0289495号に開示されているものによって例示される、既知の方法によって作製され得る。
【0052】
代替的に、分岐状アルケニル官能性ポリオルガノシロキサンは、式(B2-14):[RAR4
2Si-(O-SiR4
2)x-O](4-w)-Si-[O-(R4
2SiO)vSiR4
3]wを含み得、式中、RA及びR4は、上記のとおりであり、下付き文字v、w、及びxは、200≧v≧1、2≧w≧0、及び200≧x≧1であるような値を有する。代替的に、この式(B2-14)中、各R4は、独立して、メチル及びフェニルからなる群から選択され、各RAは、独立して、ビニル、アリル、及びヘキセニルからなる群から選択される。出発材料(B2-14)に好適な分岐状ポリオルガノシロキサンは、ポリオルガノシリケート樹脂と、環状ポリジオルガノシロキサン又は直鎖状ポリジオルガノシロキサンとを含む混合物を、酸又はホスファゼン塩基などの触媒の存在下で加熱し、その後触媒を中和するなどの既知の方法によって調製され得る。
【0053】
代替的に、出発材料(B2-11)のための分岐状アルケニル官能性ポリオルガノシロキサンは、単位式(B2-15):(R4
3SiO1/2)aa(RAR4
2SiO1/2)bb(R4
2SiO2/2)cc(RAR4SiO2/2)ee(R4SiO3/2)ddのT型分岐状ポリオルガノシロキサン(シルセスキオキサン)を含み得、式中、R4及びRAは、上記のとおりであり、下付き文字aa≧0、下付き文字bb>0であり、下付き文字ccは、15~995であり、下付き文字dd>0、かつ下付き文字ee≧0である。下付き文字aaは、0~10であり得る。代替的に、下付き文字aaは、12≧aa≧0、代替的に、10≧aa≧0、代替的に、7≧aa≧0、代替的に、5≧aa≧0、代替的に、3≧aa≧0であるような値を有し得る。代替的に、下付き文字bb≧1である。代替的に、下付き文字bb≧3である。代替的に、下付き文字bbは、12≧bb>0、代替的に、12≧bb≧3、代替的に、10≧bb>0、代替的に、7≧bb>1、代替的に、5≧bb≧2、代替的に、7≧bb≧3であるような値を有し得る。代替的に、下付き文字ccは、800≧cc≧15、代替的に400≧cc≧15であるような値を有し得る。代替的に、下付き文字eeは、800≧ee≧0、800≧ee≧15、代替的に、400≧ee≧15であるような値を有し得る。代替的に、下付き文字eeは、0であり得る。代替的に、数量(cc+ee)は、995≧(cc+ee)≧15であるような値を有し得る。代替的に、下付き文字dd≧1である。代替的に、下付き文字ddは、1~10であり得る。代替的に、下付き文字ddは、10≧dd>0、代替的に、5≧dd>0、代替的に、dd=1であるような値を有し得る。代替的に、下付き文字ddは、1~10であり得、代替的に、下付き文字ddは、1又は2であり得る。代替的に、下付き文字dd=1の場合、下付き文字bbは、3であり得、下付き文字ccは、0であり得る。下付き文字bbの値は、シルセスキオキサンの重量に基づいて、0.1%~1%、代替的に0.2%~0.6%のアルケニル含有量を有する単位式(B2-15)のシルセスキオキサンを提供するのに十分であり得る。出発材料(B2-15)のための好適なT型分岐状ポリオルガノシロキサン(シルセスキオキサン)は、Brownらの米国特許第4,374,967号、Enamiらの米国特許第6,001,943号、Nabetaらの米国特許第8,546,508号、及びEnamiの米国特許第10,155,852号において開示されているものによって例示される。
【0054】
代替的に、(B2)アルケニル官能性ポリオルガノシロキサンは、式RM
3SiO1/2の単官能性単位(「M」単位)及び式SiO4/2の四官能性シリケート単位(「Q」単位)を含む、アルケニル官能性ポリオルガノシリケート樹脂を含み得、式中、各RMは、独立して選択される一価の炭化水素基であり、各RMは、独立して、上記のようなR4及びRAからなる群から選択され得る。代替的に、各RMは、アルキル、アルケニル、及びアリールからなる群から選択され得る。代替的に、各RMは、メチル、ビニル、及びフェニルから選択され得る。代替的に、RM基の少なくとも3分の1、代替的に少なくとも3分の2は、メチル基である。代替的に、M単位は、(Me3SiO1/2)、(Me2PhSiO1/2)、及び(Me2ViSiO1/2)によって例示され得る。ポリオルガノシリケート樹脂は、ベンゼン、エチルベンゼン、トルエン、キシレン、及びヘプタン等の液体炭化水素によって例示される、出発材料(D)として本明細書に記載されるものなどの溶媒中、又は低粘度直鎖状及び環状ポリジオルガノシロキサンなどの液体非官能性有機ケイ素化合物中で可溶性である。
【0055】
調製される場合、ポリオルガノシリケート樹脂は、上記のM単位及びQ単位を含み、ポリオルガノシロキサンは、ケイ素結合ヒドロキシル基、及び/又は上記の部分(ZO1/2)によって記載される加水分解性基を有する単位を更に含み、式Si(OSiRM
3)4のネオペンタマーを含み得、式中、RMは、上記のとおりであり、例えば、ネオペンタマーは、テトラキス(トリメチルシロキシ)シランであり得る。29Si NMR及び13C NMRスペクトル法を用いて、ヒドロキシル及びアルコキシ含有量、並びにM単位及びQ単位のモル比を測定し得、当該比は、M単位及びQ単位をネオペンタマーから排除した{M(樹脂)}/{Q(樹脂)}として表される。M/Q比は、ポリオルガノシリケート樹脂の樹脂性部分のトリオルガノシロキシ基(M単位)の総数と、樹脂性部分中のシリケート基(Q単位)の総数とのモル比を表す。M:Q比は、0.5/1~1.5/1、代替的に0.6/1~0.9/1であり得る。
【0056】
ポリオルガノシリケート樹脂のMnは、存在するRMによって表される炭化水素基の種類などの様々な要因によって異なる。ポリオルガノシリケート樹脂のMnは、ネオペンタマーを表すピークが測定値から除外されるとき、GPCを使用して測定される数平均分子量を指す。ポリオルガノシリケート樹脂のMnは、1,500Da~30,000Da、代替的に、1,500Da~15,000Da、代替的に、>3,000Da~8,000Daであり得る。代替的に、ポリオルガノシリケート樹脂のMnは、3,500Da~8,000Daであってもよい。
【0057】
米国特許第8,580,073号の第3欄の5行目~第4欄の31行目、及び米国特許出願公開第2016/0376482号の段落[0023]~[0026]は、MQ樹脂を開示するために参照により本明細書に組み込まれ、このMQ樹脂は、出発材料(B2)としての使用に好適なポリオルガノシリケート樹脂である。ポリオルガノシリケート樹脂は、対応するシランの共加水分解又はシリカヒドロゾルキャッピング法などの任意の好適な方法によって調製することができる。ポリオルガノシリケート樹脂は、Daudtらの米国特許第2,676,182号、Rivers-Farrellらの米国特許第4,611,042号、及びButlerらの米国特許第4,774,310号に開示されているものなどのシリカヒドロゲルキャッピングプロセスによって調製され得る。上記のDaudtらの方法は、酸性条件下でシリカヒドロゾルと、トリメチルクロロシランなどの加水分解性トリオルガノシラン、ヘキサメチルジシロキサンなどのシロキサン又はこれらの混合物とを反応させることと、M単位及びQ単位を有するコポリマーを回収することと、を伴う。得られたコポリマーは概ね、2~5重量パーセントのヒドロキシル基を含有する。
【0058】
ポリオルガノシリケート樹脂を調製するために使用される中間体は、トリオルガノシラン及び4つの加水分解性置換基を含むシラン又はアルカリ金属シリケートであることができる。トリオルガノシランは、式RM
3SiXを有し得、式中、RMは、上記のとおりであり、Xは、ヒドロキシル基、又は例えば、上記の式OZの加水分解性置換基を表す。4つの加水分解性置換基を有するシランは、式SiX’
4を有し得、式中、各X’は、独立して、ハロゲン、アルコキシ、及びヒドロキシルからなる群から選択される。好適なアルカリ金属シリケートとしては、ナトリウムシリケートが挙げられる。
【0059】
上記のように調製されたポリオルガノシリケート樹脂は、典型的には、例えば、式HOSiO3/2のケイ素結合ヒドロキシル基を含有する。ポリオルガノシリケート樹脂は、上記のようなFTIR分光法及び/又はNMR分光法による測定で、最大3.5%のケイ素結合ヒドロキシル基を含み得る。特定の用途では、ケイ素結合ヒドロキシル基の量は、0.7%未満、代替的に0.3%未満、代替的に1%未満、代替的に0.3%~0.8%であることが望ましい場合がある。ポリオルガノシリケート樹脂の調製中に形成されるケイ素結合ヒドロキシル基は、シリコーン樹脂を、適切な末端基を含有するシラン、ジシロキサン又はジシラザンと反応させることによってトリ炭化水素シロキサン基又は異なる加水分解性基に変換することができる。加水分解性基を含有するシランは、ポリオルガノシリケート樹脂におけるケイ素結合ヒドロキシル基と反応するのに必要な量よりもモル過剰で添加され得る。
【0060】
代替的に、ポリオルガノシリケート樹脂は、2%以下、代替的に、0.7%以下、代替的に、0.3%以下、代替的に、0.3%~0.8%のヒドロキシル基、例えば、式XSiO3/2によって表されるものを含有する単位を更に含み得、式中、RMは上記のとおりであり、Xは、加水分解性置換基、例えば、OHを表す。ポリオルガノシリケート樹脂中に存在するシラノール基(式中、X=OH)の濃度は、上記のようにFTIR分光法及び/又はNMRを使用して決定され得る。
【0061】
本明細書で使用するために、ポリオルガノシリケート樹脂は、1分子当たり1つ以上の末端アルケニル基を更に含む。末端アルケニル基を有するポリオルガノシリケート樹脂は、Daudtらの生成物を、最終生成物中に3~30モルパーセントのアルケニル基を提供するのに十分な量の、アルケニル基含有末端封鎖剤及び脂肪族不飽和を含まない末端封鎖剤と反応させることによって調製され得る。末端封止剤の例としては、限定されないが、シラザン、シロキサン、及びシランが挙げられる。好適な末端封鎖剤は、当該技術分野において既知であり、Blizzardらの米国特許第4,584,355号、Blizzardらの同第4,591,622号、及びHomanらの同第4,585,836号において例示されている。単一の末端封鎖剤又はこのような薬剤の混合物を使用して、このような樹脂を調製し得る。
【0062】
代替的に、ポリオルガノシリケート樹脂は、単位式(B2-17):(R4
3SiO1/2)mm(R4
2RASiO1/2)nn(SiO4/2)oo(ZO1/2)hを含み得、式中、Z、R4、及びRA、及び下付き文字hは、上記のとおりであり、下付き文字mm、nn、及びooは、mm≧0、nn>0、oo>0、かつ0.5≦(mm+nn)/oo≦4であるような平均値を有する。代替的に、0.6≦(mm+nn)/oo≦4、代替的に、0.7≦(mm+nn)/oo≦4、代替的に、0.8≦(mm+nn)/oo≦4である。
【0063】
代替的に、(B2)アルケニル官能性ポリオルガノシロキサンは、(B2-18)アルケニル官能性シルセスキオキサン樹脂、すなわち、単位式:(R4
3SiO1/2)a(R4
2RASiO1/2)b(R4
2SiO2/2)c(R4RASiO2/2)d(R4SiO3/2)e(RASiO3/2)f(ZO1/2)hの三官能性(T)単位を含有する樹脂を含み得、式中、R4及びRAは、上記のとおりであり、下付き文字f>1、2<(e+f)<10,000、0<(a+b)/(e+f)<3、0<(c+d)/(e+f)<3、かつ0<h/(e+f)<1.5である。代替的に、アルケニル官能性シルセスキオキサン樹脂は、単位式(B2-19):(R4SiO3/2)e(RASiO3/2)f(ZO1/2)hを含み得、式中、R4、RA、Z、並びに下付き文字h、e、及びfは、上記のとおりである。代替的に、アルケニル官能性シルセスキオキサン樹脂は、上記のT単位に加えて、式R4
2SiO2/2)c(R4RASiO2/2)dの二官能性(D)単位、すなわち、DT樹脂を更に含み得、式中、下付き文字c及びdは、上記のとおりである。代替的に、アルケニル官能性シルセスキオキサン樹脂は、式(R4
3SiO1/2)a(R4
2RASiO1/2)bの単官能性(M)単位、すなわち、MDT樹脂を更に含み得、式中、下付き文字a及びbは、単位式(B2-1)について上記のとおりである。
【0064】
アルケニル官能性シルセスキオキサン樹脂は、例えば、市販されている。トルエン中に溶解された単位式(B2-20):(Me2ViSiO1/2)25(PhSiO3/2)75を含むRMS-310は、DSCから市販されている。アルケニル官能性シルセスキオキサン樹脂は、Nollによる「Chemistry and Technology of Silicone」Academic Press(1968)、第5章、190~245頁に記載されているような方法を使用して、トリアルコキシシランの加水分解及び縮合又は混合物によって生成され得る。代替的に、アルケニル官能性シルセスキオキサン樹脂は、Beckerらの米国特許第6,281,285号出発材料Bankらの米国特許第5,010,159号に記載される方法を使用して、トリクロロシランの加水分解及び縮合によって生成され得る。D単位を含むアルケニル官能性シルセスキオキサン樹脂は、米国特許出願第2020/0140619号及びSwierらの国際公開第2018/204068号に開示されている方法などの既知の方法によって調製され得る。
【0065】
代替的に、アルケニル官能性有機ケイ素化合物である出発材料(B)は、(B3)アルケニル官能性シラザンを含み得る。アルケニル官能性シラザンは、式(B3-1):[(R1
(3-gg)RA
ggSi)ffNH(3-ff)]hhを有し得、式中、RAは、上記のとおりであり、各R1は、独立して、アルキル基及びアリール基からなる群から選択され、各下付き文字ffは、独立して、1又は2であり、下付き文字ggは、独立して、0、1、又は2であり、1<hh<10である。R1について、アルキル基及びアリール基は、R4について上記のようなアルキル基及びアリール基であり得る。代替的に、下付き文字hhは、1<hh6であるような値を有し得る。アルケニル官能性シラザンの例としては、MePhViSiNH2、Me2ViSiNH2、(ViMe2Si)2NH、(MePhViSi)2NHが挙げられる。アルケニル官能性シラザンは、既知の方法、例えば、無水又は実質的に無水の条件下でアルケニル官能性ハロシランをアンモニアと反応させ、その後、得られた反応混合物を蒸留して、環状アルケニル官能性シラザンと直鎖状アルケニル官能性シラザンとを分離することによって調製され得、それらは、例えば、Haberの米国特許第2,462,635号、Martellockの米国特許第3,243,404号、及びDziarkの国際公開第83/02948号に開示されているものである。好適なアルケニル官能性シラザンは、市販されており、例えば、2,4,6-トリメチル-2,4,6-トリビニルシクロトリシラザン(MeViSiNH)3は、Sigma-Aldrich(St.Louis,MO,USA)から入手可能であり、sym-テトラメチルジビニルジシラザン(ViMe2Si)2NHは、Alfa Aesarから入手可能であり、1,3-ジビニル-1,3-ジフェニル-1,3-ジメチルジシラザン(MePhViSi)2NHは、Gelest,Inc.(Morrisville,Pennsylvania,USA)から入手可能である。
【0066】
出発材料(B)は、上記のアルケニル官能性有機ケイ素化合物のうちのいずれか1つであり得る。代替的に、出発材料(B)は、アルケニル官能性有機ケイ素化合物のうちの2つ以上の混合物を含み得る。
【0067】
(C)ヒドロホルミル化反応触媒
本明細書で使用するためのヒドロホルミル化反応触媒である出発材料(C)は、ロジウムと閉鎖末端ビスホスファイト配位子との活性錯体を含む。ビスホスファイト配位子は、対称的であり得るか、又は非対称的であり得る。代替的に、ビスホスファイト配位子は、対称的であり得る。ビスホスファイト配位子は、式(C1):
【0068】
【化16】
を有し得、
式中、R
6及びR
6’は、各々独立して、水素、少なくとも1個の炭素原子のアルキル基、シアノ基、ハロゲン基、及び少なくとも1個の炭素原子のアルコキシ基からなる群から選択され、R
7及びR
7’は、各々独立して、少なくとも3個の炭素原子のアルキル基、及び式-SiR
17
3の基からなる群から選択され、式中、各R
17は、独立して選択される1~20個の炭素原子の一価の炭化水素基であり、R
8、R
8’、R
9、及びR
9’は、それぞれ独立して、水素、アルキル基、シアノ基、ハロゲン基、及びアルコキシ基からなる群から選択され、R
10、R
10’、R
11、及びR
11’は、それぞれ独立して、水素及びアルキル基からなる群から選択される。代替的に、各R
7及びR
7’のうちの1つは、水素であり得る。
【0069】
式(C1)中、R6及びR6’は、少なくとも1個の炭素原子、代替的に1~20個の炭素原子のアルキル基であり得る。R6及びR6’に好適なアルキル基は、直鎖状、分岐状、環状、又はこれらのうちの2つ以上の組み合わせであり得る。アルキル基は、メチル、エチル、プロピル(n-プロピル及び/又はイソプロピルを含む)、ブチル(n-ブチル、tert-ブチル、sec-ブチル、及び/又はイソブチルを含む)、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、デシル、ドデシル、ウンデシル、及びオクタデシル(及び5~20個の炭素原子を有する分岐状異性体)によって例示され、アルキル基は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、及びシクロヘキシルなどのシクロアルキル基によって更に例示される。代替的に、R6及びR6’のアルキル基は、エチル、プロピル、及びブチル、代替的に、プロピル及びブチルからなる群から選択され得る。代替的に、R6及びR6’のアルキル基は、ブチルであり得る。代替的に、R6及びR6’は、アルコキシ基であり得、アルコキシ基は、式-OR6’’を有し得、式中、R6’’は、R6及びR6について上記のようなアルキル基である。
【0070】
代替的に、式(C1)中、R6及びR6’は、独立して、1~6個の炭素原子のアルキル基及び1~6個の炭素原子のアルコキシ基から選択され得る。代替的に、R6及びR6’は、2~4個の炭素原子のアルキル基であり得る。代替的に、R6及びR6’は、1~4個の炭素原子のアルコキシ基であり得る。代替的に、R6及びR6’は、ブチル基、代替的にtert-ブチル基であり得る。代替的に、R6及びR6’は、メトキシ基であり得る。
【0071】
式(C1)中、R7及びR7’は、少なくとも3個の炭素原子、代替的に3~20個の炭素原子のアルキル基であり得る。R7及びR7’に好適なアルキル基は、直鎖状、分岐状、環状、又はこれらのうちの2つ以上の組み合わせであり得る。アルキル基は、プロピル(n-プロピル及び/又はイソプロピルを含む)、ブチル(n-ブチル、tert-ブチル、sec-ブチル、及び/又はイソブチルを含む)、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、デシル、ドデシル、ウンデシル、及びオクタデシル(及び5~20個の炭素原子を有する分岐状異性体)によって例示され、アルキル基は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、及びシクロヘキシルなどのシクロアルキル基によって更に例示される。代替的に、R7及びR7’のアルキル基は、プロピル及びブチルからなる群から選択され得る。代替的に、R7及びR7’のアルキル基は、ブチルであり得る。
【0072】
代替的に、式(C1)中、R7及びR7’は、式-SiR17
3のシリル基であり得、式中、各R17は、独立して選択される1~20個の炭素原子の一価の炭化水素基である。一価の炭化水素基は、R6及びR6について、上記のような1~20個の炭素原子のアルキル基であり得る。
【0073】
代替的に、式(C1)中、R7及びR7’は、各々、独立して選択されるアルキル基、代替的に3~6個の炭素原子のアルキル基であり得る。代替的に、R7及びR7’は、3~4個の炭素原子のアルキル基であり得る。代替的に、R7及びR7’は、ブチル基、代替的にtert-ブチル基であり得る。
【0074】
式(C1)中、R8、R8’、R9、R9’は、R6及びR6’について、上記のような少なくとも1個の炭素原子のアルキル基であり得る。代替的に、R8及びR8’は、独立して、水素及び1~6個の炭素原子のアルキル基からなる群から選択され得る。代替的に、各R8及びR8’は、水素であり得る。代替的に、式(C1)中、R9’及びR9’は、独立して、水素及び1~6個の炭素原子のアルキル基からなる群から選択され得る。代替的に、各R9及びR9’は、水素であり得る。
【0075】
式(C1)中、R10及びR10’は、水素原子、又は少なくとも1個の炭素原子、代替的に1~20個の炭素原子のアルキル基であり得る。R10及びR10’のアルキル基は、R6及びR6’について、上記のとおりであり得る。代替的に、各R10及びR10’は、メチルであり得る。代替的に、各R10及びR10’は、水素であり得る。
【0076】
式(C1)中、R11及びR11’は、水素原子、又は少なくとも1個の炭素原子、代替的に1~20個の炭素原子のアルキル基であり得る。R11及びR11’のアルキル基は、R6及びR6’について、上記のとおりであり得る。代替的に、各R11及びR11’は、水素であり得る。
【0077】
代替的に、式(C1)の配位子は、(C1-1)6,6’-[[3,3’,5,5’-テトラキス(1,1-ジメチルエチル)-1,1’-ビフェニル]-2,2’-ジイル]ビス(オキシ)]ビス-ジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン、(C1-2)6,6’-[(3,3’-ジ-tert-ブチル-5,5’-ジメトキシ-1,1’-ビフェニル-2,2’-ジイル)ビス(オキシ)]ビス(ジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン)、及び(C1-1)と(C1-2)との両方の組み合わせからなる群から選択され得る。
【0078】
代替的に、配位子は、米国特許第10,023,516号の第11欄に開示されているような、6,6’-[[3,3’,5,5’-テトラキス(1,1-ジメチルエチル)-1,1’-ビフェニル]-2,2’-ジイル]ビス(オキシ)]ビス-ジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピンを含み得る(この化合物を配位子Dとして第22欄に開示している米国特許第7,446,231号、及び配位子Fとして第20欄の第40~60行目に開示している米国特許第5,727,893号も参照されたい)。
【0079】
代替的に、配位子は、Sigma Aldrichから市販されているビフェホスを含み得、米国特許第9,127,030号に記載されているように調製され得る。(配位子Bとして、米国特許第7,446,231号の第21欄、及び配位子Dとして、米国特許第5,727,893号の第20欄の第5~18行も参照されたい)。
【0080】
ロジウム/ビスホスファイト配位子錯体触媒である、出発材料(C)は、Billigらの米国特許第4,769,498号の第20欄の50行目~第21欄の40行目、及びBrammerらの米国特許第10,023,516号の第11欄の35行目~第12欄の12行目に開示されているものなどの当該技術分野で既知の方法によって、適切な出発材料を変えることによって調製され得る。例えば、ロジウム/ビスホスファイト配位子錯体は、錯体を形成する条件下でロジウム前駆体と上記のビスホスファイト配位子(C1)とを化合させることを含むプロセスによって調製され得、次いで、この錯体は、上記の出発材料(A)及び/又は(B)のうちの一方又は両方を含むヒドロホルミル化反応媒体中に導入され得る。代替的に、ロジウム/ビスホスファイト配位子錯体のその場での形成のために、ロジウム触媒前駆体を反応媒体に導入し、(C1)ビスホスファイト配位子を反応媒体に導入する(例えば、ロジウム触媒前駆体の導入の前、導入中、及び/又は導入後)ことによって、ロジウム/ビスホスファイト配位子錯体は、その場で形成され得る。ロジウム/ビスホスファイト配位子錯体を、加熱及び/又は出発材料(A)への曝露によって活性化して、(C)ロジウム/ビスホスファイト配位子錯体触媒を形成し得る。ロジウム触媒前駆体は、ロジウムジカルボニルアセチルアセトネート、Rh2O3,Rh4(CO)12、Rh6(CO)16、及びRh(NO3)3によって例示される。
【0081】
例えば、ロジウムジカルボニルアセチルアセトネートなどのロジウム前駆体、任意選択的に出発材料(D)、溶媒、及び(C1)ビスホスファイト配位子は、例えば、混合などの任意の好都合な手段によって化合され得る。得られたロジウム/ビスホスファイト配位子錯体は、任意選択的に過剰のビスホスファイト配位子とともに反応器に導入され得る。代替的に、ロジウム前駆体、(D)溶媒、及びビスホスファイト配位子は、反応器中で出発材料(A)及び/又は(B)、アルケニル官能性有機ケイ素化合物と化合され得、ロジウム/ビスホスファイト配位子錯体が、その場で形成され得る。ビスホスファイト配位子及びロジウム前駆体の相対量は、10/1~1/1、代替的に5/1~1/1、代替的に3/1~1/1、代替的に2.5/1~1.5/1のビスホスファイト配位子/Rhのモル比を提供するのに十分である。ロジウム/ビスホスファイト配位子錯体に加えて、過剰の(例えば、錯化されていない)ビスホスファイト配位子が反応混合物中に存在し得る。過剰のビスホスファイト配位子は、錯体中のビスホスファイト配位子と同じであり得るか、又は異なり得る。
【0082】
(C)ロジウム/ビスホスファイト配位子錯体触媒(触媒)の量は、(B)アルケニル官能性有機ケイ素化合物のヒドロホルミル化に触媒作用を及ぼすのに十分である。触媒の正確な量は、出発材料(B)のために選択されるアルケニル官能性有機ケイ素化合物の種類、その正確なアルケニル含有量、並びに出発材料(A)の温度及び圧力などの反応条件を含む様々な要因に依存する。しかしながら、(C)触媒の量は、(B)アルケニル官能性有機ケイ素化合物の重量に基づいて、少なくとも0.1ppm、代替的に0.15ppm、代替的に0.2ppm、代替的に0.25ppm、代替的に0.5ppmのロジウム金属濃度を提供するのに十分であり得る。同時に、(C)触媒の量は、同じ基準で、最大300ppm、代替的に最大100ppm、代替的に最大20ppm、代替的に最大5ppmのロジウム金属濃度を提供するのに十分であり得る。代替的に、(C)触媒の量は、(B)アルケニル官能性有機ケイ素化合物の重量に基づいて、0.1ppm~300ppm、代替的に0.2ppm~100ppm、代替的に0.25ppm~20ppm、代替的に0.5ppm~5ppmを提供するのに十分であり得る。
【0083】
溶媒
ヒドロホルミル化反応は、追加の溶媒なしで実行され得る。代替的に、ヒドロホルミル化反応は、例えば、アルケニル官能性ポリオルガノシリケート樹脂が出発材料(B)のために選択される場合、(C)触媒及び/又は出発材料(B)などの上記の出発材料のうちの1つ以上の混合及び/又は供給を促進するために、溶媒を用いて実施され得る。溶媒は、出発材料を溶解し得る脂肪族又は芳香族炭化水素、例えば、トルエン、キシレン、ベンゼン、ヘキサン、ヘプタン、デカン、シクロヘキサン、又はこれらのうちの2つ以上の組み合わせによって例示される。追加の溶媒としては、THF、ジブチルエーテル、ジグリム、及びテキサノールが挙げられる。理論によって束縛されることを望むものではないが、溶媒は、出発材料の粘度を低減するために使用され得ると考えられる。溶媒の量は重要ではないが、存在する場合、溶媒の量は、アルケニル官能性有機ケイ素化合物である出発材料(B)の重量に基づいて、5%~70%であり得る。
【0084】
ヒドロホルミル化反応条件
本明細書に記載されるプロセスでは、工程1)は、比較的低温で実施される。例えば、工程1)は、少なくとも30℃、代替的に少なくとも50℃、代替的に少なくとも70℃の温度で実施され得る。同時に、工程1)における温度は、最大150℃、代替的に最大100℃、代替的に最大90℃、代替的に最大80℃であり得る。理論によって束縛されることを望むものではないが、より低い温度、例えば、30℃~90℃、代替的に40℃~90℃、代替的に50℃~90℃、代替的に60℃~90℃、代替的に70℃~90℃、代替的に80℃~90℃、代替的に30℃~60℃、代替的に50℃~60℃が、高い選択性及び配位子安定性を得るために望ましい場合があると考えられる。
【0085】
本明細書に記載されるプロセスでは、工程1)は、少なくとも101kPa(周囲圧力)、代替的に少なくとも206kPa(30psi)、代替的に少なくとも344kPa(50psi)の圧力で実施され得る。同時に、工程1)における圧力は、最大6,895kPa(1,000psi)、代替的に最大1,379kPa(200psi)、代替的に最大1000kPa(145psi)、代替的に最大689kPa(100psi)であり得る。代替的に、工程1)は、101kPa~6,895kPa、代替的に344kPa~1,379kPa、代替的に101kPa~1000kPa、代替的に344kPa~689kPaで実施され得る。理論によって束縛されることを望むものではないが、本明細書のプロセスにおいて比較的低い圧力、例えば、<~6,895kPaを使用することが有益であり得ると考えられ、本明細書に記載される配位子は、低圧ヒドロホルミル化プロセスを可能にし、高圧ヒドロホルミル化プロセスよりもコストが低く、安全性が良好であるという有益性を有する。
【0086】
ヒドロホルミル化プロセスは、固定床反応器、流動床反応器、連続撹拌タンク反応器(continuous stirred tank reactor、CSTR)、又はスラリー反応器などの1つ以上の好適な反応器を使用して、バッチ、セミバッチ、連続様式で実施され得る。(B)アルケニル官能性有機ケイ素化合物、及び(C)触媒の選択、並びに(D)溶媒が使用されるかどうかは、使用される反応器の大きさ及び種類に影響を及ぼし得る。1つの反応器、又は2つ以上の異なる反応器が使用され得る。ヒドロホルミル化プロセスは、1つ以上の工程で実行され得、その工程は、資本コストのバランスをとること、高い触媒選択性、活性、寿命、及び操作性の容易さを達成すること、並びに特定の出発材料の反応性及び選択される反応条件、並びに所望の生成物によって影響を受け得る。
【0087】
代替的に、ヒドロホルミル化プロセスは、連続様式で実施され得る。例えば、使用されるプロセスは、米国特許第10,023,516号に記載されているようなものであり得るが、ただし、そこに記載されているオレフィン供給流及び触媒は、各々本明細書に記載される(B)アルケニル官能性有機ケイ素化合物及び(C)ロジウム/ビスホスファイト配位子錯体触媒に置き換えられる。
【0088】
ヒドロホルミル化プロセスの工程1)は、アルデヒド官能性有機ケイ素化合物を含む反応流体を形成する。反応流体は、プロセスの工程1)の最中に意図的に用いられるもの、又はその場で形成されるものなどの追加の材料を更に含み得る。同様に存在し得るこのような材料の例としては、未反応の(B)アルケニル官能性有機ケイ素化合物、未反応の(A)一酸化炭素及び水素ガス、並びに/又はその場で形成された副生成物、例えば配位子分解生成物及びその付加物、並びに高沸点液体アルデヒド縮合副生成物、並びに用いられる場合、(D)溶媒が挙げられる。「配位子分解生成物」という用語は、プロセスに使用される配位子分子のうちの少なくとも1つの1つ以上の化学変換から得られる任意及び全ての化合物を含むが、これらに限定されない。
【0089】
ヒドロホルミル化プロセスは、2)アルデヒド官能性有機ケイ素化合物を含むヒドロホルミル化反応生成物から(C)ロジウム/ビスホスファイト配位子錯体触媒を回収することなどの1つ以上の追加の工程を更に含み得る。(C)ロジウム/ビスホスファイト配位子錯体触媒を回収することは、吸着及び/又は膜分離(例えば、ナノ濾過)を含むがこれらに限定されない、当該技術分野において既知の方法によって実施され得る。好適な回収方法は、例えば、Millerらの米国特許第5,681,473号、Priskeらの同第8,748,643号、及びGeilenらの同第10,155,200号に記載されている。
【0090】
しかしながら、本明細書に記載されるプロセスの1つの有益性は、(C)触媒の除去及び再利用の必要性がないことである。必要とされるRhのレベルが低いことに起因して、(C)触媒を回収し再利用しないことが費用効率をより高くする可能性があり、プロセスによって生成されるアルデヒド官能性有機ケイ素化合物は、触媒が除去されない場合でも安定である可能性がある。したがって、代替的に、上記のプロセスは、工程2)なしで実施され得る。
【0091】
代替的に、ヒドロホルミル化プロセスは、3)反応生成物の精製を更に含み得る。例えば、アルデヒド官能性有機ケイ素化合物は、ストリッピング及び/又は蒸留などの任意の好都合な手段によって、任意選択的に減圧を用いて、上記の追加の材料から単離され得る。
【0092】
アルデヒド官能性有機ケイ素化合物
アルデヒド官能性有機ケイ素化合物は、アミノ官能性有機ケイ素化合物を調製するためのプロセスにおいて出発材料として有用である。出発材料(E)は、1分子当たり、ケイ素に共有結合した少なくとも1つのアルデヒド官能基を有するアルデヒド官能性有機ケイ素化合物である。代替的に、アルデヒド官能性有機ケイ素化合物は、1分子当たり、ケイ素に共有結合した2つ以上のアルデヒド官能基を有し得る。ケイ素に共有結合したアルデヒド官能基は、式:
【0093】
【化17】
を有し得、式中、Gは、2~8個の炭素原子を有する脂肪族不飽和を含まない二価の炭化水素基である。Gは、直鎖状又は分岐状であり得る。Gについての二価のヒドロカルビル基の例としては、実験式-C
rH
2r-のアルカン-ジイル基が挙げられ、式中、下付き文字rは、2~8である。アルカン-ジイル基は、直鎖状アルカン-ジイル、例えば、-CH
2-CH
2-、-CH
2-CH
2-CH
2-、-CH
2-CH
2-CH
2-CH
2-、若しくは-CH
2-CH
2-CH
2-CH
2-CH
2-CH
2-、又は分岐状アルカン-ジイル、例えば、
【0094】
【化18】
であり得る。代替的に、各Gは、2~6個の炭素原子、代替的に2、3、又は6個の炭素原子のアルカン-ジイル基であり得る。アルデヒド官能性有機ケイ素化合物は、1つのアルデヒド官能性有機ケイ素化合物であり得る。代替的に、互いに異なる2つ以上のアルデヒド官能性有機ケイ素化合物が、本明細書に記載されるプロセスにおいて使用され得る。例えば、アルデヒド官能性有機ケイ素化合物は、アルデヒド官能性シラン及びアルデヒド官能性ポリオルガノシロキサンのうちの一方又は両方を含み得る。
【0095】
アルデヒド官能性有機ケイ素化合物は、(E1)式(E1-1):RAld
xSiR4
(4-x)のアルデヒド官能性シランを含み得、式中、各RAldは、上記のとおり、独立して選択される式
【0096】
【化19】
の基であり、R
4及び下付き文字xは、上記のとおりである。代替的に、各R
4は、独立して、1~18個の炭素原子のアルキル基、及び6~18個の炭素原子のアリール基からなる群から選択され得る。代替的に、下付き文字xは、1~4であり得る。
【0097】
好適なアルデヒド官能性シランは、(プロピル-アルデヒド)-トリメチルシラン、(プロピル-アルデヒド)-トリエチルシラン、及び(ブチル-アルデヒド)トリメチルシランなどのアルデヒド官能性トリアルキルシランによって例示される。
【0098】
代替的に、アルデヒド官能性有機ケイ素化合物は、(E2)アルデヒド官能性ポリオルガノシロキサンを含み得る。当該アルデヒド官能性ポリオルガノシロキサンは、環状、直鎖状、分岐状、樹脂状、又はこれらのうちの2つ以上の組み合わせであり得る。当該アルデヒド官能性ポリオルガノシロキサンは、単位式(E2-1):(R4
3SiO1/2)a(R4
2RAldSiO1/2)b(R4
2SiO2/2)c(R4RAldSiO2/2)d(R4SiO3/2)e(RAldSiO3/2)f(SiO4/2)g(ZO1/2)hを含み得、式中、各RAldは、上記のような式
【0099】
【化20】
の独立して選択されるアルデヒド基であり、G、R
4、Z、及び下付き文字a、b、c、d、e、f、g、及びhは、上記のとおりである。
【0100】
代替的に、(E2)アルデヒド官能性ポリオルガノシロキサンは、1分子当たり、少なくとも1つのアルデヒド官能基、代替的に、少なくとも2つのアルデヒド官能基を有する(E2-2)直鎖状ポリジオルガノシロキサン(例えば、上記のアルデヒド官能性ポリオルガノシロキサンについての式(E2-1)中、下付き文字e=f=g=0である場合)を含み得る。例えば、当該ポリジオルガノシロキサンは、単位式(E2-3):(R4
3SiO1/2)a(RAldR4
2SiO1/2)b(R4
2SiO2/2)c(RAldR4SiO2/2)dを含み得、式中、RAld及びR4は、上記のとおりであり、下付き文字aは、0、1、又は2であり、下付き文字bは、0、1、又は2であり、下付き文字c≧0であり、下付き文字d≧0であり、ただし、数量(b+d)≧1、数量(a+b)=2、かつ数量(a+b+c+d)≧2である。代替的に、上記の直鎖状アルデヒド官能性ポリオルガノシロキサンについての単位式(E2-3)中、数量(a+b+c+d)は、少なくとも3、代替的に少なくとも4、代替的に>50であり得る。同時に、当該式中、数量(a+b+c+d)は、10,000以下、代替的に、4,000以下、代替的に、2,000以下、代替的に、1,000以下、代替的に、500以下、代替的に、250以下であり得る。代替的に、直鎖状アルデヒド官能性ポリオルガノシロキサンについての単位式中、各R4は、独立して、アルキル及びアリール、代替的に、メチル及びフェニルからなる群から選択され得る。代替的に、当該式中の各R4は、アルキル基であり得、代替的に、各R4は、メチルであり得る。
【0101】
代替的に、単位式(E2-3)の直鎖状アルデヒド官能性ポリジオルガノシロキサンは、単位式(E2-4):(R4
2RAldSiO1/2)2(R4
2SiO2/2)m(R4RAldSiO2/2)n、単位式(E2-5):(R4
3SiO1/2)2(R4
2SiO2/2)o(R4RAldSiO2/2)p、又は(E2-4)と(E2-5)との両方の組み合わせからなる群から選択され得る。
【0102】
式(E2-4)及び(E2-5)中、各R4及びRAldは、上記のとおりである。下付き文字mは、0又は正の数であり得る。代替的に、下付き文字mは、少なくとも2であり得る。代替的に、下付き文字mは、2~2,000であり得る。下付き文字nは、0又は正の数であり得る。代替的に、下付き文字nは、0~2000であり得る。下付き文字oは、0又は正の数であり得る。代替的に、下付き文字oは、0~2000であり得る。下付き文字pは、少なくとも2である。代替的に、下付き文字pは、2~2000であり得る。
【0103】
出発材料(E2)は、i)ビス-ジメチル(プロピル-アルデヒド)シロキシ末端ポリジメチルシロキサン、ii)ビス-ジメチル(プロピル-アルデヒド)シロキシ末端ポリ(ジメチルシロキサン/メチル(プロピル-アルデヒド)シロキサン)、iii)ビス-ジメチル(プロピル-アルデヒド)シロキシ末端ポリメチル(プロピル-アルデヒド)シロキサン、iv)ビス-トリメチルシロキシ末端ポリ(ジメチルシロキサン/メチル(プロピル-アルデヒド)シロキサン)、v)ビス-トリメチルシロキシ末端ポリメチル(プロピル-アルデヒド)シロキサン、vi)ビス-ジメチル(プロピル-アルデヒド)シロキシ末端ポリ(ジメチルシロキサン/メチルフェニルシロキサン/メチル(プロピル-アルデヒド)シロキサン)、vii)ビス-ジメチル(プロピル-アルデヒド)シロキシ末端ポリ(ジメチルシロキサン/メチルフェニルシロキサン)、viii)ビス-ジメチル(プロピル-アルデヒド)シロキシ末端ポリ(ジメチルシロキサン/ジフェニルシロキサン)、ix)ビス-フェニル、メチル、(プロピル-アルデヒド)シロキシ末端ポリジメチルシロキサン、x)ビス-ジメチル(ヘプチル-アルデヒド)シロキシ末端ポリジメチルシロキサン、xi)ビス-ジメチル(ヘプチル-アルデヒド)シロキシ末端ポリ(ジメチルシロキサン/メチル(ヘプチル-アルデヒド)シロキサン)、xii)ビス-ジメチル(ヘプチル-アルデヒド)シロキシ末端ポリメチル(ヘプチル-アルデヒド)シロキサン)、xiii)ビス-トリメチルシロキシ末端ポリ(ジメチルシロキサン/メチル(ヘプチル-アルデヒド)シロキサン)、xiv)ビス-トリメチルシロキシ末端ポリメチル(ヘプチル-アルデヒド)シロキサン、xv)ビス-ジメチル(ヘプチル-アルデヒド)-シロキシ末端ポリ(ジメチルシロキサン/メチルフェニルシロキサン/メチル(ヘプチル-アルデヒド)シロキサン)、xvi)ビス-ジメチル(プロピル-アルデヒド)シロキ末端ポリ(ジメチルシロキサン/メチル(ヘプチル-アルデヒド)シロキサン)、xvii)ビス-ジメチル(ヘプチル-アルデヒド)-シロキシ末端ポリ(ジメチルシロキサン/メチルフェニルシロキサン)、xviii)ジメチル(ヘプチル-アルデヒド)-シロキシ末端ポリ(ジメチルシロキサン/ジフェニルシロキサン)、及びxix)i)~xviii)のうちの2つ以上の組み合わせなどのアルデヒド官能性ポリジオルガノシロキサンを含み得る。
【0104】
代替的に、(E2)アルデヒド官能性ポリオルガノシロキサンは、環状であり得、例えば、単位式(E2-1)中の場合、下付き文字a=b=c=e=f=g=h=0である。(E2-6)環状アルデヒド官能性ポリジオルガノシロキサンは、単位式(E2-7):(R4RAldSiO2/2)dを有し得、式中、RAld及びR4は、上記のとおりであり、下付き文字dは、3~12、代替的に3~6、代替的に4~5であり得る。環状アルデヒド官能性ポリジオルガノシロキサンの例としては、2,4,6-トリメチル-2,4,6-トリ(プロピル-アルデヒド)-シクロトリシロキサン、2,4,6,8-テトラメチル-2,4,6,8-テトラ(プロピル-アルデヒド)-シクロテトラシロキサン、2,4,6,8,10-ペンタメチル-2,4,6,8,10-ペンタ(プロピル-アルデヒド)-シクロペンタシロキサン、及び2,4,6,8,10,12-ヘキサメチル-2,4,6,8,10,12-ヘキサ(プロピル-アルデヒド)-シクロヘキサシロキサンが挙げられる。
【0105】
代替的に、(E2-6)環状アルデヒド官能性ポリジオルガノシロキサンは、単位式(E2-8):(R4
2SiO2/2)c(R4RAldSiO2/2)dを有し得、式中、R4及びRAldは、上記のとおりであり、下付き文字cは、>0~6であり、下付き文字dは、3~12である。代替的に、式(E2-8)中、数量(c+d)は、3~12であり得る。代替的に、式(E2-8)中、cは、3~6であり得、dは、3~6であり得る。
【0106】
代替的に、(E2)アルデヒド官能性ポリオルガノシロキサンは、例えば、上記単位式(E2-1)中、数量(a+b+c+d+e+f+g)≦50、代替的に≦40、代替的に≦30、代替的に≦25、代替的に≦20、代替的に≦10、代替的に≦5、代替的に≦4、代替的に≦3である場合、(E2-9)オリゴマーであり得る。オリゴマーは、環状、直鎖状、分岐状、又はこれらの組み合わせであり得る。環状オリゴマーは、出発材料(E2-6)として上記のとおりである。
【0107】
直鎖状アルデヒド官能性ポリオルガノシロキサンオリゴマーの例は、式(E2-10):
【0108】
【化21】
を有し得、式中、R
4は、上記のとおりであり、各R
2’は、独立して、R
4及びR
Aldからなる群から選択され、ただし、1分子当たり、少なくとも1つのR
2が、R
Aldであり、下付き文字zは、0~48であることを条件とする。代替的に、下付き文字zは、0~4、代替的に0~1、代替的に0であり得る。代替的に、式(E2-10)中、z=0である場合、アルデヒド官能性ポリオルガノシロキサンオリゴマーは、式(E2-10a):
【0109】
【化22】
を有し得、式中、R
4及びR
Aldは、上記のとおりである。直鎖状アルデヒド官能性ポリオルガノシロキサンオリゴマーの例としては、1,3-ジ(プロピル-アルデヒド)-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン、1,1,1,3,3-ペンタメチル-3-(プロピル-アルデヒド)-ジシロキサン、及び1,1,1,3,5,5,5-ヘプタメチル-3-(プロピル-アルデヒド)-トリシロキサンが挙げられる。
【0110】
代替的に、アルデヒド官能性ポリオルガノシロキサンオリゴマーは、分岐状であり得る。分岐状オリゴマーは、一般式(E2-11):RAldSiR12
3を有し得、式中、RAldは、上記のとおりであり、各R12は、R13及び-OSi(R14)3から選択され、各R13は、一価の炭化水素基であり、各R14は、R13、-OSi(R15)3、及び-[OSiR13
2]iiOSiR13
3から選択され、各R15は、R13、-OSi(R16)3、及び-[OSiR13
2]iiOSiR13
3から選択され、各R16は、R13及び-[OSiR13
2]iiOSiR13
3から選択され、下付き文字iiは、0≦ii≦100であるような値を有する。R12のうちの少なくとも2つは、-OSi(R14)3であり得る。代替的に、R12のうちの3つ全ては、-OSi(R14)3であり得る。
【0111】
代替的に、式(E2-11)中、各R12がR13である場合、分岐状ポリオルガノシロキサンオリゴマーは、以下の構造(E2-11a)を有し、
【0112】
【化23】
式中、R
Ald及びR
13は、上記のとおりである。代替的に、式(E2-11a)中、各R
Aldは、プロピルアルデヒド、ブチルアルデヒド、又はヘプチルアルデヒドであり得、各R
13は、メチルであり得る。
【0113】
代替的に、式(E2-11)中、各R12が-OSi(R14)3である場合、各R14は、分岐状ポリオルガノシロキサンオリゴマーが以下の構造(E2-11b)を有するような-OSi(R15)3部分であり得、
【0114】
【化24】
式中、R
Ald及びR
15は、上記のとおりである。代替的に、各R
15は、上記のようにR
13であり得、各R
13は、メチルであり得る。
【0115】
代替的に、式(E2-11)中、各R12が-OSi(R14)3である場合、1つのR14は、各R12が-OSiR13(R14)2であるような各-OSi(R14)3においてR13であり得る。代替的に、-OSiR13(R14)2中の2つのR14は、各々、分岐状アルデヒド官能性ポリオルガノシロキサンオリゴマーが以下の構造(E2-11c):
【0116】
【化25】
を有するような-OSi(R
15)
3部分であり得、
式中、R
Ald、R
13、及びR
15は、上記のとおりである。代替的に、各R
15は、R
13であり得、各R
13は、メチルであり得る。
【0117】
代替的に、式(E2-11)中、1つのR12は、R13であり得、R12のうちの2つは、-OSi(R14)3であり得る。R12のうちの2つが-OSi(R14)3である場合、1つのR14は、各-OSi(R14)3中のR13であり、R12のうちの2つは、-OSiR13(R14)2である。代替的に、-OSiR13(R14)2中の各R14は、分岐状ポリオルガノシロキサンオリゴマーが以下の構造(E2-11d):
【0118】
【化26】
(式中、R
Ald、R
13、及びR
15は、上記のとおりである)を有するような-OSi(R
15)
3であり得る。代替的に、各R
15は、R
13であり得、各R
13は、メチルであり得る。代替的に、アルデヒド官能性分岐状ポリオルガノシロキサンは、1分子当たり3~16個のケイ素原子、代替的に1分子当たり4~16個のケイ素原子、代替的に1分子当たり4~10個のケイ素原子を有し得る。アルデヒド官能性分岐状ポリオルガノシロキサンオリゴマーの例としては、式:
【0119】
【化27】
を有する、3-(3,3,3-トリメチル-1-λ
2-ジシロキサンイル)プロパナール(プロピル-アルデヒド-トリス(トリメチル)シロキシ)シランとも称され得る)、式
【0120】
【化28】
を有する、3-(1,3,5,5,5-ペンタメチル-1λ
3,3λ
3-トリシロキサンイル)プロパナール(メチル-(プロピル-アルデヒド)-ジ((1,1,1,3,5,5,5-ヘプタメチルトリシロキサン-3-イル)オキシ)-シランとも称され得る)、式
【0121】
【化29】
を有する、3-(3,5,5,5-テトラメチル-1λ
2,3λ
3-トリシロキサンイル)プロパナール((プロピル-アルデヒド)-トリス((1,1,1,3,5,5,5-ヘプタメチルトリシロキサン-3-イル)オキシ)-シランとも称され得る)、式
【0122】
【化30】
を有する、7-(3,5,5,5-テトラメチル-1λ
2,3λ
3-トリシロキサンイル)ヘプタナール((ヘプチル-アルデヒド)-トリス((1,1,1,3,5,5,5-ヘプタメチルトリシロキサン-3-イル)オキシ)-シランとも称され得る)が挙げられる。
【0123】
代替的に、(E2)アルデヒド官能性ポリオルガノシロキサンは、上記の分岐状オリゴマー、及び/又は上記の分岐状オリゴマーよりも、例えば、1分子当たりより多くのアルデヒド基及び/又はより多くのポリマー単位を有し得る分岐状アルデヒド官能性ポリオルガノシロキサン(例えば、式(E2-1)中、数量(a+b+c+d+e+f+g)>50の場合)などの分岐状であり得る。分岐状アルデヒド官能性ポリオルガノシロキサンは、(式(E2-1)中)分岐状アルデヒド官能性ポリオルガノシロキサンに、>0~5mol%の三官能性単位及び/又は四官能性単位を提供するに十分な数量(e+f+g)を有し得る。
【0124】
例えば、分岐状アルデヒド官能性ポリオルガノシロキサンは、単位式(E2-13):(R4
3SiO1/2)q(R4
2RAldSiO1/2)r(R4
2SiO2/2)s(SiO4/2)tのQ型分岐状ポリオルガノシロキサンを含み得、式中、R4及びRAldは、上記のとおりであり、下付き文字q、r、s、及びtは、2≧q≧0、4≧r≧0、995≧s≧4、t=1、(q+r)=4であるような平均値を有し、(q+r+s+t)は、回転粘度計(試験方法とともに以下に記載される)によって測定される粘度>170mPa・sを、分岐状ポリオルガノシロキサンに付与するのに十分な値を有する。代替的に、粘度は、>170mPa・s~1000mPa・s、代替的に>170mPa・s~500mPa・s、代替的に180mPa・s~450mPa・s、代替的に190mPa・s~420mPa・sであってもよい。
【0125】
代替的に、分岐状アルデヒド官能性ポリオルガノシロキサンは、式(E2-14):[RAldR4
2Si-(O-SiR4
2)x-O](4-w)-Si-[O-(R4
2SiO)vSiR4
3]wを含み得、式中、RAld及びR4は、上記のとおりであり、下付き文字v、w、及びxは、200≧v≧1、2≧w≧0、及び200≧x≧1であるような値を有する。代替的に、この式(E2-14)中、各R4は、独立して、メチル及びフェニルからなる群から選択され、各RAldは、上記の式を有し、式中、Gは、2、3、又は6個の炭素原子を有する。
【0126】
代替的に、出発材料(E2-11)のための分岐状アルデヒド官能性ポリオルガノシロキサンは、単位式(E2-15):(R4
3SiO1/2)aa(RAldR4
2SiO1/2)bb(R4
2SiO2/2)cc(RAldR4SiO2/2)ee(R4SiO3/2)ddのT型分岐状ポリオルガノシロキサン(シルセスキオキサン)を含み得、式中、R4及びRAldは、上記のとおりであり、下付き文字aa≧0、下付き文字bb>0であり、下付き文字ccは、15~995であり、下付き文字dd>0、かつ下付き文字ee≧0である。下付き文字aaは、0~10であり得る。代替的に、下付き文字aaは、12≧aa≧0、代替的に、10≧aa≧0、代替的に、7≧aa≧0、代替的に、5≧aa≧0、代替的に、3≧aa≧0であるような値を有し得る。代替的に、下付き文字bb≧1である。代替的に、下付き文字bb≧3である。代替的に、下付き文字bbは、12≧bb>0、代替的に、12≧bb≧3、代替的に、10≧bb>0、代替的に、7≧bb>1、代替的に、5≧bb≧2、代替的に、7≧bb≧3であるような値を有し得る。代替的に、下付き文字ccは、800≧cc≧15、代替的に400≧cc≧15であるような値を有し得る。代替的に、下付き文字eeは、800≧ee≧0、800≧ee≧15、代替的に、400≧ee≧15であるような値を有し得る。代替的に、下付き文字eeは、0であり得る。代替的に、数量(cc+ee)は、995≧(cc+ee)≧15であるような値を有し得る。代替的に、下付き文字dd≧1である。代替的に、下付き文字ddは、1~10であり得る。代替的に、下付き文字ddは、10≧dd>0、代替的に、5≧dd>0、代替的に、dd=1であるような値を有し得る。代替的に、下付き文字ddは、1~10であり得、代替的に、下付き文字ddは、1又は2であり得る。代替的に、下付き文字dd=1の場合、下付き文字bbは、3であり得、下付き文字ccは、0であり得る。下付き文字bbの値は、シルセスキオキサンの重量に基づいて、0.1%~1%、代替的に0.2%~0.6%のアルデヒド含有量を有する単位式(E2-15)のシルセスキオキサンを提供するのに十分であり得る。
【0127】
代替的に、(E2)アルデヒド官能性ポリオルガノシロキサンは、アルデヒド官能性ポリオルガノシリケート樹脂及び/又はアルデヒド官能性シルセスキオキサン樹脂などのアルデヒド官能性ポリオルガノシロキサン樹脂を含み得る。このような樹脂は、例えば、上記のようにアルケニル官能性ポリオルガノシロキサン樹脂をヒドロホルミル化することによって調製され得る。アルデヒド官能性ポリオルガノシリケート樹脂は、式RM’
3SiO1/2の単官能性単位(「M」単位)及び式SiO4/2の四官能性シリケート単位(「Q」単位)」を含み、式中、各RM’は、独立して、上記のようなR4及びRAldからなる群から選択され得る。代替的に、各RM’は、アルキル基、上に示される式のアルデヒド官能基、及びアリール基からなる群から選択され得る。代替的に、各RM’は、メチル、(プロピル-アルデヒド)、及びフェニルから選択され得る。代替的に、RM’基の少なくとも3分の1、代替的に少なくとも3分の2は、メチル基である。代替的に、M’単位は、(Me3SiO1/2)、(Me2PhSiO1/2)、及び(Me2RAldSiO1/2)によって例示され得る。ポリオルガノシリケート樹脂は、ベンゼン、エチルベンゼン、トルエン、キシレン、及びヘプタン等の液体炭化水素によって例示される、出発材料(D)として本明細書に記載されるものなどの溶媒中、又は低粘度直鎖状及び環状ポリジオルガノシロキサンなどの液体非官能性有機ケイ素化合物中で可溶性である。
【0128】
調製される場合、ポリオルガノシリケート樹脂は、上記のM’単位及びQ単位を含み、ポリオルガノシロキサンは、ケイ素結合ヒドロキシル基、及び/又は上記の部分(ZO1/2)によって記載される加水分解性基を有する単位を更に含み、式Si(OSiRM’
3)4のネオペンタマーを含み得、式中、RM’は、上記のとおりであり、例えば、ネオペンタマーは、テトラキス(トリメチルシロキシ)シランであり得る。29Si NMR及び13C NMRスペクトル法を使用して、ヒドロキシル及びアルコキシ含有量、並びにM’単位及びQ単位のモル比を測定し得、当該比は、M’単位及びQ単位をネオペンタマーから排除した{M’(樹脂)}/{Q(樹脂)}として表される。M’/Q比は、ポリオルガノシリケート樹脂の樹脂性部分のトリオルガノシロキシ基(M’単位)の総数の、樹脂性部分中のシリケート基(Q単位)の総数に対するモル比を表す。M’/Q比は、0.5/1~1.5/1、代替的に0.6/1~0.9/1であり得る。
【0129】
ポリオルガノシリケート樹脂のMnは、存在するRM’によって表される炭化水素基の種類を含む様々な要因によって異なる。ポリオルガノシリケート樹脂のMnは、ネオペンタマーを表すピークが測定値から除外されるとき、GPCを使用して測定される数平均分子量を指す。ポリオルガノシリケート樹脂のMnは、1,500Da~30,000Da、代替的に1,500Da~15,000Da、代替的に、>3,000Da~8,000Daであり得る。代替的に、ポリオルガノシリケート樹脂のMnは、3,500Da~8,000Daであってもよい。
【0130】
代替的に、ポリオルガノシリケート樹脂は、単位式(E2-17):(R4
3SiO1/2)mm(R4
2RAldSiO1/2)nn(SiO4/2)oo(ZO1/2)hを含み得、式中、Z、R4、及びRAld、並びに下付き文字hは、上記のとおりであり、下付き文字mm、nn、及びooは、mm≧0、nn>0、oo>0、かつ0.5≦(mm+nn)/oo≦4であるような平均値を有する。代替的に、0.6≦(mm+nn)/oo≦4、代替的に、0.7≦(mm+nn)/oo≦4、代替的に、0.8≦(mm+nn)/oo≦4である。
【0131】
代替的に、(E2)アルデヒド官能性ポリオルガノシロキサンは、(E2-18)アルデヒド官能性シルセスキオキサン樹脂、すなわち、単位式:(R4
3SiO1/2)a(R4
2RAldSiO1/2)b(R4
2SiO2/2)c(R4RAldSiO2/2)d(R4SiO3/2)e(RAldSiO3/2)f(ZO1/2)hの三官能性(T’)単位を含有する樹脂を含み得、式中、R4及びRAldは、上記のとおりであり、下付き文字f>1、2<(e+f)<10,000、0<(a+b)/(e+f)<3、0<(c+d)/(e+f)<3、かつ0<h/(e+f)<1.5である。代替的に、アルデヒド官能性シルセスキオキサン樹脂は、単位式(E2-19):(R4SiO3/2)e(RAldSiO3/2)f(ZO1/2)hを含み得、式中、R4、RAld、Z、並びに下付き文字h、e、及びfは、上記のとおりである。代替的に、アルデヒド官能性シルセスキオキサン樹脂は、上記のT単位に加えて、式(R4
2SiO2/2)c(R4RAldSiO2/2)dの二官能性(D’)単位、すなわち、D’T’樹脂を更に含み得、式中、下付き文字c及びdは、上記のとおりである。代替的に、アルデヒド官能性シルセスキオキサン樹脂は、式(R4
3SiO1/2)a(R4
2RAldSiO1/2)bの単官能性(M’)単位、すなわち、M’D’T’樹脂を更に含み得、式中、下付き文字a及びbは、単位式(E2-1)についての上記のとおりである。
【0132】
代替的に、出発材料(E)アルデヒド官能性有機ケイ素化合物は、単位式(E3-1):[(R1
(3-gg)RAld
ggSi)ffNH(3-ff)]hhを含み得、式中、RAldは、上記のようにアルデヒド基であり、各R1は、独立して、上記のようにアルキル基及びアリール基からなる群から選択され、各下付き文字ffは、独立して、上記のように1又は2であり、下付き文字ggは、独立して、上記のように0、1、又は2であり、下付き文字hは、上記のように1<hh<10であるような値を有する。
【0133】
出発材料(E)は、上記のアルデヒド官能性有機ケイ素化合物のうちのいずれか1つであり得る(本明細書に記載されるヒドロホルミル化反応プロセスを介して作製、又は何らかの他の方法を介して作製にかかわらず)。代替的に、出発材料(E)は、アルデヒド官能性有機ケイ素化合物のうちの2つ以上の混合物を含み得る。
【0134】
代替的に、本明細書に記載されるプロセスにおいて、出発材料(E)は、加水分解に不安定な(hydrolytically unstable)アルデヒド官能性有機ケイ素化合物であり得る。加水分解に不安定なアルデヒド官能性有機ケイ素化合物は、例えば、少なくとも1つのR4が炭化水素オキシ基若しくはアシルオキシ基である、上に示される式のうちのいずれかの(E1)アルデヒド官能性シラン及び/若しくは(E2)アルデヒド官能性ポリオルガノシロキサンのうちのいずれか1つ、任意の(E3)アルデヒド官能性シラザン、又は上に示される式(E2-10a)、例えば、1,3-ジ(プロピル-アルデヒド)-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン、若しくは(E2-11a)、例えば、1,1,1,5,5,5-ヘキサメチル-3-((トリメチルシリル)オキシ)-3-ビニルトリシロキサンの任意のアルデヒド官能性ポリオルガノシロキサンオリゴマーであり得る。
【0135】
アミノ官能性有機ケイ素化合物の調製
アミノ官能性有機ケイ素化合物を調製するためのプロセスは、
I)脱水イミン生成反応をもたらす条件下で、出発材料を化合させることであって、出発材料が、
(E)上記のアルデヒド官能性有機ケイ素化合物と、
(F1)一級アミン源と、
任意選択的に、(G)水素化触媒と、
任意選択的に、(J)溶媒と、を含み、
ただし、工程I)で(G)水素化触媒が存在する場合、工程I)が水素の非存在下で実施されることを条件とし、
それによって、(L)イミン官能性有機ケイ素化合物及び水を含む反応生成物を形成する、化合させることと、
任意選択的に、II)工程I)における脱水イミン生成反応によって生成された水を除去することと、
任意選択的に、(L)プロピルイミン官能性有機ケイ素化合物を単離することと、を含み得る。プロピルイミン官能性有機ケイ素化合物は、反応生成物のストリッピング及び/又は蒸留などの任意の好都合な手段によって単離され得、プロピルイミン官能性有機ケイ素化合物は、以下に記載されるもの以外の目的で使用され得る。代替的に、(L)プロピルイミン官能性有機ケイ素化合物は、プロセスが以下を更に含む場合、アミノプロピル官能性有機ケイ素化合物を調製するために使用され得る:
III)還元的アミノ化反応に触媒作用を及ぼす条件下で、出発材料を化合させることであって、出発材料が、
(L)上記のイミン官能性有機ケイ素化合物と、
(F2)アンモニアと、
任意選択的に、(G)水素化触媒と、
(H)水素と、
任意選択的に、(J)溶媒と、を含み、それによって、アミノ官能性有機ケイ素化合物を含む反応生成物を形成する。
ただし、(G)水素化触媒が、工程I)及び工程III)のうちの少なくとも1つで添加されることを条件とする、化合させること。
【0136】
プロセスは、任意選択的に、工程I)の前に、1)ヒドロホルミル化反応に触媒作用を及ぼす条件下で、出発材料を化合させることであって、出発材料が、(A)水素及び一酸化炭素を含むガスと、(B)アルケニル官能性有機ケイ素化合物と、(C)ロジウム/ビスホスファイト配位子錯体触媒と、を含み、それによって、上記のようなアルデヒド官能性有機ケイ素化合物を含むヒドロホルミル化反応生成物を形成する、化合させることを更に含み得る。方法は、任意選択的に、工程I)の前及び工程1)の後に、アルデヒド官能性有機ケイ素化合物を含む反応生成物から(C)ロジウム/ビスホスファイト配位子錯体触媒を回収する工程2)を更に含み得る。しかしながら、工程2)は任意選択的あり、不要である場合もある。例えば、ヒドロホルミル化が(E)アルデヒド官能性有機ケイ素化合物を調製するために使用される場合、理論によって束縛されることを望むものではないが、触媒の量が、除去するのに費用効率が高くなく、かつ/又は触媒の選択及び量が、脱水イミン生成反応又は還元的アミノ化反応に悪影響を及ぼさないと考えられるため、ヒドロホルミル化反応触媒は除去する必要がない場合がある。プロセスは、任意選択的に、工程I)の前及び工程1)又は工程2)(存在する場合)の後に、ヒドロホルミル化反応生成物を精製し、それによって、上記のように、追加の材料から(E)アルデヒド官能性有機ケイ素化合物を単離する工程3)を更に含み得る。しかしながら、この工程3)は、任意選択的であり、例えば、(E)アルデヒド官能性有機ケイ素化合物を調製するためのヒドロホルミル化反応に溶媒が使用され、同じ溶媒がプロセスの後の工程で使用される場合、不要である場合がある。
【0137】
工程I)アルデヒドの保護
上記のプロセスの工程I)では、脱水イミン生成反応が生じて、アルデヒド基を保護し、イミン基を形成する。工程I)では、(E)アルデヒド官能性有機ケイ素化合物と(F1)一級アミン源とを含む出発材料は、混合などの任意の好都合な手段によって化合し得る。混合は、任意の好都合な手段によって、例えば、RT並びに周囲圧力及び雰囲気で実施され得る。混合時間は、選択された条件下でアルデヒド基からイミン基が形成されるのに十分である。工程I)は、バッチモード又は連続モードで実施され得る。時間は重要ではなく、イミン基が形成されるのに十分、例えば1秒間~1時間である。
【0138】
(F)アミン源
本明細書に記載されるプロセスでは、(F1)一級アミン源が工程I)で使用される。一級アミン源は、安価であり、プロセスによって調製されるアミノ官能性有機ケイ素化合物から分離可能である任意の一級アミン源であり得る。一級アミン源は、有機一級アミンであり得る。有機一級アミンは、式:R18NH2を有し得、式中、R18は、1~18個の炭素原子のアルキル基又は6~18個の炭素原子のアリール基である。R18に好適なアルキル基は、直鎖状、分岐状、環状、又はこれらのうちの2つ以上の組み合わせであり得る。アルキル基は、メチル、エチル、プロピル(n-プロピル及び/又はイソプロピルを含む)、ブチル(n-ブチル、tert-ブチル、sec-ブチル、及び/又はイソブチルを含む)、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、デシル、ドデシル、ウンデシル、及びオクタデシル(及び5~18個の炭素原子を有する分岐状異性体)によって例示され、アルキル基は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、及びシクロヘキシルなどのシクロアルキル基によって更に例示される。R18に好適なアリール基は、例えば、フェニル、トリル、キシリル、フェニルエチル、及びベンジルであり得る。代替的に、R18のアルキル基は、エチル、プロピル、及びブチル、代替的に、エチル又はプロピル、代替的に、プロピル及びブチルからなる群から選択され得る。代替的に、R18のアルキル基は、プロピルであり得る。代替的に、R18は、アリール基であり得、代替的に、R18は、ベンジルであり得る。代替的に、有機一級アミンは、1分子当たり2つ以上の一級アミン基を有し得る。有機一級アミンは、当該技術分野において既知であり、市販されている。例えば、エチルアミン、プロピルアミン、n-ブチルアミン、イソブチルアミン、及びベンジルアミンは、Acros Organics又はSigma Aldrich,Inc.(St.Louis,Missouri,USA)などの様々な供給元から入手可能である。代替的に、一級アミン源は、一級アミノ官能性有機ケイ素化合物を含み得る。工程I)で一級アミン源として使用される一級アミノ官能性有機ケイ素化合物は、任意の一級アミノ官能性有機ケイ素化合物であり得、例えば、一級アミン源は、このプロセスによって調製される一級アミノ官能性有機ケイ素化合物と同じ式を有し得る。例えば、一級アミン源は、2-アミノプロピルトリメチルシラン、3,3’-(1,1,3,3,-テトラメチルジシロキサン-1,3-ジイル)プロパン-ジアミンであり得る。一級アミン源として一級アミノ官能性有機ケイ素化合物を使用するイミン官能性有機ケイ素化合物の形成は、以下のスキーム1に示される。
【0139】
【0140】
工程I)で使用される一級アミン源は、(E)アルデヒド官能性有機ケイ素化合物のアルデヒド官能性に対して超化学量論量のアミン官能性で使用され得る。例えば、一級アミン源は、アミン基:アルデヒド基の10:1~1:1のモル比を提供するのに十分な量で使用され得る。
【0141】
イミン官能性有機ケイ素化合物
上記のプロセスの工程I)で調製されたイミン官能性有機ケイ素化合物は、1分子当たり、ケイ素に共有結合した少なくとも1つのイミン官能基を有する。代替的に、イミン官能性有機ケイ素化合物は、1分子当たり、ケイ素に共有結合した2つ以上のイミン官能基を有し得る。このイミン官能基、RIは、式:
【0142】
【化32】
を有し得、式中、Gは、上記に記載及び例示されているような2~8個の炭素原子を有する脂肪族不飽和を含まない二価炭化水素基であり、R
19は、R
18(有機一級アミンが一級アミン源として使用される場合、上記のようなアルキル基又はアリール基)及び有機ケイ素部分(アミノ官能性有機ケイ素化合物が一級アミン源として使用される場合)から選択される。イミン官能性有機ケイ素化合物は、(E)アルデヒド官能性有機ケイ素化合物についての上記式のうちのいずれかを有し得、ただし、1分子当たり少なくとも1つのR
AldがR
Iで置き換えられていることを条件とする。代替的に、R
Aldの全て又は実質的に全ての事例が、R
Iで置き換えられ得る。
【0143】
イミン官能性有機ケイ素化合物は、(L1)式(L1-1):RI
xSiR4
(4-x)のイミン官能性シランを含み得、式中、RI、R4、及び下付き文字xは、上記のとおりである。
【0144】
代替的に、イミン官能性有機ケイ素化合物は、(L2)イミン官能性ポリオルガノシロキサンを含み得る。当該イミン官能性ポリオルガノシロキサンは、環状、直鎖状、分岐状、樹脂状、又はこれらのうちの2つ以上の組み合わせであり得る。当該イミン官能性ポリオルガノシロキサンは、単位式(L2-1):(R4
3SiO1/2)a(R4
2RISiO1/2)b(R4
2SiO2/2)c(R4RISiO2/2)d(R4SiO3/2)e(RISiO3/2)f(SiO4/2)g(ZO1/2)hを含み得、式中、各RIは、独立して選択される上記式のイミン基であり、R4、Z、並びに下付き文字a、b、c、d、e、f、g、及びhは、式(B2-1)についての上記のとおりである。
【0145】
代替的に、(L2)イミン官能性ポリオルガノシロキサンは、1分子当たり、少なくとも1つのイミン官能基、代替的に、少なくとも2つのイミン官能基を有する(L2-2)直鎖状ポリジオルガノシロキサンを含み得る(例えば、上記のイミン官能性ポリオルガノシロキサンについての式(L2-1)中、下付き文字e=f=g=0である場合)。例えば、当該ポリジオルガノシロキサンは、単位式(L2-3):(R4
3SiO1/2)a(RIR4
2SiO1/2)b(R4
2SiO2/2)c(RIR4SiO2/2)dを含み得、式中、RIは、上記のとおりであり、R4並びに下付き文字a、b、c、及びdは、式(E2-3)についての上記のとおりである。
【0146】
代替的に、単位式(L2-3)の直鎖状イミン官能性ポリジオルガノシロキサンは、単位式(L2-4):
(R4
2RISiO1/2)2(R4
2SiO2/2)m(R4RISiO2/2)n、単位式(L2-5):
(R4
3SiO1/2)2(R4
2SiO2/2)o(R4RISiO2/2)p、又は(L2-4)及び(L2-5)の両方の組み合わせからなる群から選択され得る。
【0147】
式(L2-4)及び(L2-5)中、RIは、上記のとおりであり、R4並びに下付き文字m、n、o、及びpは、式(E2-4)及び(E2-5)についての上記のとおりである。
【0148】
代替的に、(L2)イミン官能性ポリオルガノシロキサンは、例えば、単位式(L2-1)中、下付き文字a=b=c=e=f=g=h=0である場合、環状であり得る。(L2-6)環状イミン官能性ポリジオルガノシロキサンは、単位式(L2-7):(R4RISiO2/2)dを有し得、式中、RI及びR4は、上記のとおりであり、下付き文字dは、3~12、代替的に3~6、代替的に4~5であり得る。
【0149】
代替的に、(L2-6)環状イミン官能性ポリジオルガノシロキサンは、単位式(L2-8):(R4
2SiO2/2)c(R4RISiO2/2)dを有し得、式中、R4及びRIは、上記のとおりであり、下付き文字cは、>0~6であり、下付き文字dは、3~12である。代替的に、式(L2-8)中、数量(c+d)は、3~12であり得る。代替的に、式(L2-8)中、cは、3~6であり得、dは、3~6であり得る。
【0150】
代替的に、(L2)イミン官能性ポリオルガノシロキサンは、例えば、上記単位式(L2-1)中、数量(a+b+c+d+e+f+g)≦50、代替的に≦40、代替的に≦30、代替的に≦25、代替的に≦20、代替的に≦10、代替的に≦5、代替的に≦4、代替的に≦3である場合、(L2-9)オリゴマーであり得る。オリゴマーは、環状、直鎖状、分岐状、又はこれらの組み合わせであり得る。環状オリゴマーは、出発材料(L2-6)として上記のとおりである。
【0151】
直鎖状イミン官能性ポリオルガノシロキサンオリゴマーの例は、式(L2-10):
【0152】
【化33】
を有し得、式中、R
4は、上記のとおりであり、各R
2’’’は、独立して、R
4及びR
Iからなる群から選択され、ただし、1分子当たり、少なくとも1つのR
2’’’が、R
Iであり、下付き文字zは、0~48であることを条件とする。代替的に、下付き文字zは、0~4、代替的に0~1、代替的に0であり得る。代替的に、式(L2-10)中、z=0である場合、イミン官能性ポリオルガノシロキサンオリゴマーは、式(L2-10a):
【0153】
【化34】
を有し得、式中、R
4及びR
Iは、上記のとおりである。
【0154】
代替的に、イミン官能性ポリオルガノシロキサンオリゴマーは、分岐状であり得る。分岐状オリゴマーは、一般式(L2-11):RISiR12
3を有し得、式中、RIは、上記のとおりであり、各R12は、R13及び-OSi(R14)3から選択され、各R13は、一価の炭化水素基であり、各R14は、R13、-OSi(R15)3、及び-[OSiR13
2]iiOSiR13
3から選択され、各R15は、R13、-OSi(R16)3、及び-[OSiR13
2]iiOSiR13
3から選択され、各R16は、R13及び-[OSiR13
2]iiOSiR13
3から選択され、下付き文字iiは、0≦ii≦100であるような値を有する。R12のうちの少なくとも2つは、-OSi(R14)3であり得る。代替的に、R12のうちの3つ全ては、-OSi(R14)3であり得る。
【0155】
代替的に、式(L2-11)中、各R12がR13である場合、分岐状ポリオルガノシロキサンオリゴマーは、以下の構造(L2-11a)を有し、
【0156】
【化35】
式中、R
I及びR
13は、上記のとおりである。代替的に、式(L2-11a)中、各R
13は、メチルであり得る。
【0157】
代替的に、式(L2-11)中、各R12が-OSi(R14)3である場合、各R14は、分岐状ポリオルガノシロキサンオリゴマーが以下の構造(L2-11b)を有するような-OSi(R15)3部分であり得、
【0158】
【化36】
式中、R
I及びR
15は、上記のとおりである。代替的に、各R
15は、上記のようにR
13であり得、各R
13は、メチルであり得る。
【0159】
代替的に、式(L2-11)中、各R12が-OSi(R14)3である場合、1つのR14は、各R12が-OSiR13(R14)2であるような各-OSi(R14)3においてR13であり得る。代替的に、-OSiR13(R14)2中の2つのR14は、各々、分岐状アルデヒド官能性ポリオルガノシロキサンオリゴマーが以下の構造(L2-11c):
【0160】
【化37】
を有するような-OSi(R
15)
3部分であり得、
式中、R
I、R
13、及びR
15は、上記のとおりである。代替的に、各R
15は、R
13であり得、各R
13は、メチルであり得る。
【0161】
代替的に、式(L2-11)中、1つのR12は、R13であり得、R12のうちの2つは、-OSi(R14)3であり得る。R12のうちの2つが-OSi(R14)3である場合、1つのR14は、各-OSi(R14)3中のR13であり、R12のうちの2つは、-OSiR13(R14)2である。代替的に、-OSiR13(R14)2中の各R14は、分岐状ポリオルガノシロキサンオリゴマーが以下の構造(L2-11d):
【0162】
【化38】
を有するような-OSi(R
15)
3であり得、式中、R
I、R
13、及びR
15は、上記のとおりである。代替的に、各R
15は、R
13であり得、各R
13は、メチルであり得る。代替的に、分岐状ポリオルガノシロキサンは、1分子当たり3~16個のケイ素原子、代替的に1分子当たり4~16個のケイ素原子、代替的に1分子当たり4~10個のケイ素原子を有し得る。イミン官能性分岐状ポリオルガノシロキサンオリゴマーの例としては、式:
【0163】
【化39】
を有する(E)-N-ブチル-3-(1,1,1,5,5,5-ヘキサメチル-3-((トリメチルシリル)オキシ)トリシロキサン-3-イル)プロパン-1-イミン、及び式
【0164】
【化40】
を有する(E)-3-(1,1,1,5,5,5-ヘキサメチル-3-((トリメチルシリル)オキシ)トリシロキサン-3-イル)-N-プロピルプロパン-1-イミンが挙げられる。
【0165】
代替的に、(L2)イミン官能性ポリオルガノシロキサンは、上記の分岐状オリゴマー、並びに/又は例えば、上記の分岐状オリゴマーよりも1分子当たりより多くのイミン基及び/若しくはより多くのポリマー単位を有し得る分岐状イミン官能性ポリオルガノシロキサン(例えば、式(L2-1)中、数量(a+b+c+d+e+f+g)>50である場合)など、分岐状であり得る。分岐状イミン官能性ポリオルガノシロキサンは、(式(L2-1)中)分岐状イミン官能性ポリオルガノシロキサンに、>0~5mol%の三官能性単位及び/又は四官能性単位を提供するに十分な数量(e+f+g)を有し得る。
【0166】
例えば、分岐状イミン官能性ポリオルガノシロキサンは、単位式(L2-13):(R4
3SiO1/2)q(R4
2RISiO1/2)r(R4
2SiO2/2)s(SiO4/2)tのQ型分岐状ポリオルガノシロキサンを含み得、式中、RIは、上記のとおりであり、R4並びに下付き文字q、r、s、及びtは、(E2-13)についての上記のとおりである。
【0167】
代替的に、分岐状イミン官能性ポリオルガノシロキサンは、式(L2-14):[RIR4
2Si-(O-SiR4
2)x-O](4-w)-Si-[O-(R4
2SiO)vSiR4
3]wを含み得、式中、RIは、上記のとおりであり、R4並びに下付き文字v、w、及びxは、式(E2-14)に関する上記のとおりである。代替的に、この式(L2-14)中、各R4は、独立して、メチル及びフェニルからなる群から選択され、各RIは、上記の式を有し、式中、Gは、2、3、又は6個の炭素原子を有する。
【0168】
代替的に、(L2-11)のための分岐状イミン官能性ポリオルガノシロキサンは、単位式(L2-15):(R4
3SiO1/2)aa(RIR4
2SiO1/2)bb(R4
2SiO2/2)cc(RIR4SiO2/2)ee(R4SiO3/2)ddのT型分岐状ポリオルガノシロキサン(シルセスキオキサン)を含み得、式中、RIは、上記のとおりであり、R4並びに下付き文字aa、bb、cc、dd、及びeeは、単位式(E2-15)のついての上記のとおりである。
【0169】
代替的に、(L2)イミン官能性ポリオルガノシロキサンは、イミン官能性ポリオルガノシリケート樹脂及び/又はイミン官能性シルセスキオキサン樹脂などのイミン官能性ポリオルガノシロキサン樹脂を含み得る。イミン官能性ポリオルガノシリケート樹脂は、式RM’’’
3SiO1/2の単官能性単位(「M’’’」単位)及び式SiO4/2の四官能性シリケート単位(「Q」単位)」を含み、式中、各RM’’’は、独立して、上記のようなR4及びRIからなる群から選択され得る。代替的に、各RM’’’は、アルキル基、上に示されるRIについての式のイミン官能基、及びアリール基からなる群から選択され得る。代替的に、M’’’単位は、(Me3SiO1/2)、(Me2PhSiO1/2)、及び(Me2RISiO1/2)によって例示され得る。ポリオルガノシリケート樹脂は、ベンゼン、エチルベンゼン、トルエン、キシレン、及びヘプタン等の液体炭化水素によって例示される、出発材料(D)として本明細書に記載されるものなどの溶媒中、又は低粘度直鎖状及び環状ポリジオルガノシロキサンなどの液体非官能性有機ケイ素化合物中で可溶性である。
【0170】
イミン官能性ポリオルガノシリケート樹脂は、上記のM’’’単位及びQ単位を含み、ポリオルガノシリケート樹脂は、ケイ素結合ヒドロキシル基、及び/又は上記の部分(ZO1/2)によって記載される加水分解性基を有する単位を更に含み、式Si(OSiRM’’’
3)4のネオペンタマーを含み得、式中、RM’’’は、上記のとおりであり、例えば、ネオペンタマーは、テトラキス(トリメチルシロキシ)シランであり得る。29Si NMR及び13C NMRスペクトル法を使用して、ヒドロキシル及びアルコキシ含有量、並びにM’’’単位及びQ単位のモル比を測定し得、当該比は、M’’’単位及びQ単位をネオペンタマーから排除した{M’’’(樹脂)}/{Q(樹脂)}として表される。M’’’/Q比は、ポリオルガノシリケート樹脂の樹脂性部分のトリオルガノシロキシ基(M’’’単位)の総数の、樹脂性部分中のシリケート基(Q単位)の総数に対するモル比を表す。M’’’/Q比は、0.5/1~1.5/1、代替的に0.6/1~0.9/1であり得る。
【0171】
ポリオルガノシリケート樹脂のMnは、存在するRM’’’によって表される炭化水素基の種類を含む様々な要因によって異なる。ポリオルガノシリケート樹脂のMnは、ネオペンタマーを表すピークが測定値から除外されるとき、GPCを使用して測定される数平均分子量を指す。ポリオルガノシリケート樹脂のMnは、1,500Da~30,000Da、代替的に1,500Da~15,000Da、代替的に、>3,000Da~8,000Daであり得る。代替的に、ポリオルガノシリケート樹脂のMnは、3,500Da~8,000Daであってもよい。
【0172】
代替的に、ポリオルガノシリケート樹脂は、単位式(L2-17):(R4
3SiO1/2)mm(R4
2RISiO1/2)nn(SiO4/2)oo(ZO1/2)hを含み得、式中、Z、R4、及びRI、並びに下付き文字hは、上記のとおりであり、下付き文字mm、nn、及びooは、mm≧0、nn>0、oo>0、かつ0.5≦(mm+nn)/oo≦4であるような平均値を有する。代替的に、0.6≦(mm+nn)/oo≦4、代替的に、0.7≦(mm+nn)/oo≦4、代替的に、0.8≦(mm+nn)/oo≦4である。
【0173】
代替的に、(L2)イミン官能性ポリオルガノシロキサンは、(L2-18)イミン官能性シルセスキオキサン樹脂、すなわち、単位式:(R4
3SiO1/2)a(R4
2RISiO1/2)b(R4
2SiO2/2)c(R4RISiO2/2)d(R4SiO3/2)e(RISiO3/2)f(ZO1/2)hの三官能性(T’’’)単位を含有する樹脂を含み得、式中、R4及びRIは、上記のとおりであり、下付き文字f>1、2<(e+f)<10,000、0<(a+b)/(e+f)<3、0<(c+d)/(e+f)<3、かつ0<h/(e+f)<1.5である。代替的に、イミン官能性シルセスキオキサン樹脂は、単位式(L2-19):(R4SiO3/2)e(RISiO3/2)f(ZO1/2)hを含み得、式中、R4、RI、Z、並びに下付き文字h、e、及びfは、上記のとおりである。代替的に、イミン官能性シルセスキオキサン樹脂は、二官能性(D’’’)単位を更に含み得、当該イミン官能性シルセスキオキサン樹脂は、上記のT単位に加えて、式(R4
2SiO2/2)c(R4RISiO2/2)dの単位、すなわち、D’’’T’’’樹脂を含み得、式中、下付き文字c及びdは、上記のとおりである。代替的に、イミン官能性シルセスキオキサン樹脂は、式(R4
3SiO1/2)a(R4
2RISiO1/2)bの単官能性(M’’’)単位、すなわち、M’’’D’’’T’’’樹脂を更に含み得、式中、下付き文字a及びbは、単位式(E2-1)についての上記のとおりである。
【0174】
代替的に、(L)イミン官能性有機ケイ素化合物は、単位式(L3-1):[(R1
(3-gg)RI
ggSi)ffNH(3-ff)]hhを含み得、式中、RIは、上記のようにイミン基であり、各R1は、独立して、上記のようにアルキル基及びアリール基からなる群から選択され、各下付き文字ffは、独立して、上記のように1又は2であり、下付き文字ggは、独立して、上記のように0、1、又は2であり、下付き文字hは、上記のように1<hh<10であるような値を有する。
【0175】
工程I)で調製され、本明細書に記載されるプロセスの工程III)で使用され得るイミン官能性有機ケイ素化合物(L)は、上記のイミン官能性有機ケイ素化合物のうちのいずれか1つであり得る。代替的に、(L)イミン官能性有機ケイ素化合物は、イミン官能性有機ケイ素化合物のうちの2つ以上の混合物を含み得る。
【0176】
代替的に、本明細書に記載されるプロセスでは、(L)イミン官能性有機ケイ素化合物は、加水分解に不安定なイミン官能性有機ケイ素化合物であり得る。加水分解に不安定なイミン官能性有機ケイ素化合物は、例えば、少なくとも1つのR4が炭化水素オキシ基若しくはアシルオキシ基である、上に示される式のうちのいずれかの(L1)イミン官能性シラン及び/若しくは(L2)イミン官能性ポリオルガノシロキサンのうちのいずれか1つ、任意の(L3)イミン官能性シラザン、又は上に示される式(L2-10a)若しくは(L2-11a)の任意のイミン官能性ポリオルガノシロキサンオリゴマー、例えば、(E)-N-ブチル-3-(1,1,1,5,5,5-ヘキサメチル-3-((トリメチルシリル)オキシ)トリシロキサン-3-イル)プロパン-1-イミン若しくは(E)-3-(1,1,1,5,5,5-ヘキサメチル-3-((トリメチルシリル)オキシ)トリシロキサン-3-イル)-N-プロピルプロパン-1-イミンであり得る。
【0177】
工程II)乾燥
上記のプロセスは、任意選択的に、工程I)での脱水イミン生成反応によって生成された水を除去する工程II)を更に含み得る。工程II)は、工程I)の最中及び/若しくは後、工程III)の最中及び/若しくは後、又はこれらの組み合わせで実施され得る。代替的に、工程II)は、工程I)の最中及び/又は後、例えば、加水分解に不安定なアルデヒド官能性有機ケイ素化合物が使用される場合、及び/又は加水分解に不安定なイミン官能性有機ケイ素化合物若しくは加水分解に不安定なアミノ官能性有機ケイ素化合物がプロセス中に形成される場合、存在し、実施され得る。
【0178】
工程II)では、水は、ストリッピング、蒸留、並びに/又は工程I)での反応混合物及び/若しくは工程I)の反応生成物の(K)乾燥剤との接触などの任意の好都合な手段によって除去され得る。乾燥剤は、無機微粒子を含み得る吸着剤を含み得る。吸着剤は、10マイクロメートル以下、代替的に5マイクロメートル以下の粒径を有し得る。吸着剤は、水を吸着するのに十分な、例えば、10Å(オングストローム)以下、代替的に5Å以下、代替的に3Å以下の平均孔径を有し得る。吸着剤の例としては、菱沸石、モルデン沸石及び方沸石などの沸石、アルカリ金属のアルミノシリケート、シリカゲル、シリカマグネシアゲル、活性炭、活性アルミナ、酸化カルシウム及びこれらの組み合わせなどのモレキュラーシーブが挙げられる。
【0179】
市販の吸着剤の例としては、乾燥モレキュラーシーブ、例えば、Grace Davidsonから商品名SYLOSIV(商標)で、及びZeochem(Louisville,Kentucky,U.S.A.)から商品名PURMOLで市販されている3Å(オングストローム)のモレキュラーシーブ、並びにIneos Silicas(Warrington,England)から入手可能なDoucil zeolite 4Aなどの4Åのモレキュラーシーブが挙げられる。他の有用なモレキュラーシーブとしては、MOLSIV ADSORBENT TYPE 13X、3A、4A及び5A(これらは全て、UOP(Illinois,U.S.A.)から市販されている)、SILIPORITE NK 30AP及び65xP(Atofina(Philadelphia,Pennsylvania,U.S.A.))、並びにW.R.Grace(Maryland,U.S.A.)から入手可能なモレキュラーシーブが挙げられる。
【0180】
代替的に、乾燥剤は、塩化カルシウム(CaCl2)、硫酸ナトリウム(Na2SO4)、硫酸カルシウム(CaSO4)、又は硫酸マグネシウム(MgSO4)など、水と錯体を形成する化学物質を含み得、これらの全ては、市販されている。
【0181】
乾燥剤の量は、特に制限されず、選択される乾燥剤の種類を含む様々な要因によって異なる。当業者は、工程II)で水を除去するための適切な乾燥剤及び条件を選択することができるであろう。乾燥剤が使用される場合、本明細書に記載されるプロセスは、工程III)の前に乾燥剤を除去することを更に含み得る。次いで、乾燥剤は、濾過などの任意の好都合な手段によって除去され得る。代替的に、乾燥剤は、工程III)の最中及び/又は後に使用され得る。次いで、乾燥剤は、工程III)の後に除去され得る。
【0182】
アミノ官能性有機ケイ素化合物を作製するためのプロセスは、任意選択的に、工程III)の前に、水素化触媒を前処理する追加の工程(G)を更に含み得る。前処理は、触媒を活性化するため、及び/又は触媒の活性を高めるために実施され得る。前処理は、工程III)での還元的アミノ化反応を開始する前に水素化触媒を水素に曝露することなどの任意の好都合な手段によって実施され得る。例えば、水素化触媒の充填床は、(L)イミン官能性有機ケイ素化合物及び(F2)アンモニアを導入する前に水素でパージされ得る。
【0183】
プロセスの工程III)では、式NH3を有する(F2)アンモニア、例えば、無水アンモニアが使用される。アンモニアは、当該技術分野において既知であり、Air Products(Allentown,Pennsylvania,USA)を含む様々な供給元から市販されている。工程III)で使用される(F2)アンモニアの量は、1:1超、代替的に5:1以上、代替的に10:1~40:1のモル比のアンモニア:イミン基を提供するのに十分であり得る。
【0184】
(G)水素化触媒
アミノ官能性有機ケイ素化合物を調製するためのプロセスの工程III)で使用される水素化触媒は、不均一系水素化触媒、均一系水素化触媒、又はこれらの組み合わせであり得る。代替的に、水素化触媒は、不均一系水素化触媒であり得る。好適な不均一系水素化触媒は、コバルト(cobalt、Co)、銅(copper、Cu)、鉄(iron、Fe)、ニッケル(nickel、Ni)、イリジウム(iridium、Ir)、パラジウム(palladium、Pd)、白金(platinum、Pt)、ロジウム(rhodium、Rh)、ルテニウム(ruthenium、Ru)、及びこれらのうちの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される金属を含む。代替的に、水素化触媒は、Co、Cu、Ni、Pd、Pt、Ru、又はこれらのうちの2つ以上の組み合わせを含み得る。代替的に、水素化触媒は、Co、Cu、Ni、Pd、又はこれらのうちの2つ以上の組み合わせを含み得る。代替的に、水素化触媒は、Co、Cu、Ni、又はこれらの2つ以上の組み合わせを含み得る。水素化触媒は、アルミナ(alumina、Al2O3)、シリカ(silica、SiO2)、炭化ケイ素(silicon carbide、SiC)、又は炭素(carbon、C)などの担体を含み得る。代替的に、水素化触媒は、Rh/C、ラネーニッケル、ラネー銅、ラネーコバルト、Ru/C、Ru/Al2O3、Pd/C、Pd/Al2O3、Pd/CaCO3、Cu/C、Cu/Al2O3、Cu/SiO2、Cu/SiC、Cu/C、上記の担体上のニッケル触媒、及びこれらのうちの2つ以上の組み合わせからなる群から選択され得る。
【0185】
代替的に、(L)イミン官能性有機ケイ素化合物のイミン基の還元的アミノ化のための不均一系水素化触媒は、銅、クロム、ニッケル、ロジウム、又はこれらのうちの2つ以上が活性構成成分として適用される担体材料を含み得る。例示的な触媒は、0.3~15%の銅、0.3%~15%のニッケル、及び0.05%~3.5%のクロムを含む。担体材料は、例えば、多孔質二酸化ケイ素又は酸化アルミニウムであり得る。バリウムが任意選択的に、担体材料に添加され得る。代替的に、クロムフリー水素化触媒が使用され得る。例えば、Ni/Al2O3若しくはCo/Al2O3、又は酸化銅/酸化亜鉛含有触媒(これはカリウム、ニッケル、及び/又はコバルトを更に含む)、加えて、アルカリ金属が使用され得る。好適な水素化触媒は、例えば、米国特許第7,524,997号又は米国特許第9,567,276号及びそれらに引用されている参考文献に開示されている。代替的に、不均一系水素化触媒は、Sigma-Aldrichから入手可能なRh/C触媒、BASFから入手可能なNi-5256P、及び同様に市販されているCo-179など、市販され得る。
【0186】
本明細書で使用するのに好適な不均一系水素化触媒の他の例としては、ラネーニッケル、例えば、ラネーニッケル2400、Ni-3288、ラネー銅、Hysat 401塩(Cu)、炭素上ルテニウム(ruthenium on carbon、Ru/C)、炭素上ロジウム(rhodium on carbon、Rh/C)、炭素上白金(platinum on carbon、Pt/C)、炭化ケイ素上銅(copper on silicon carbide、Cu/SiC)が挙げられる。
【0187】
代替的に、均一系水素化反応触媒が本明細書で使用され得る。均一系水素化触媒は、金属錯体であり得、金属は、Co、Fe、Ir、Rh、及びRuからなる群から選択され得る。好適な均一系水素化触媒の例は、[RhCl(PPh3)3](ウィルキンソン触媒)、[Rh(NBD)(PR’3)2]+ClO4-(式中、R’は、アルキル基、例えば、Etである)、[RuCl2(ジホスフィン)(1,2-ジアミン)](ノヨリ触媒)、RuCl2(TRIPHOS)(式中、TRIPHOS=PhP[(CH2CH2PPh2)2]、Ru(II)(dppp)(グリシン)錯体(式中、dppp=1,3-ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン)、RuCl2(PPh3)3、RuCl2(CO)2(PPh3)2、IrH3(PPh3)3、[Ir(H2)(CH3COO)(PPh3)3]、シス-[Ru-Cl2(ampy)(PP)][式中、ampy=2-(アミノメチル)ピリジン、かつPP=1,4-ビス-(ジフェニルホスフィノ)ブタン、1,1’-フェロセンジイル-ビス(ジフェニルホスフィン)]、ピンサーRuCl(CNNR)(PP)錯体[式中、PP=1,3-ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン、1,4-ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン、1,1’-フェロセンジイル-ビス(ジフェニルホスフィン)]、かつHCNNR=4-置換アミノメチル-ベンゾ[h]キノリン、R=Me、Ph]、[RuCl2(dppb)(ampy)](式中、dppb=1,4-ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン、ampy=2-アミノメチルピリジン)、[Fe(PNPMeiPr)(CO)(H)(Br)]、[Fe(PNPMe-iPr)(H)2(CO)]、及びこれらの組み合わせによって例示される。
【0188】
プロセスで使用される水素化触媒の量は、プロセスがバッチモードで実行されるか連続モードで実行されるか、イミン官能性有機ケイ素化合物の種類、不均一系水素化触媒が選択されるか均一系水素化触媒が選択されるか、並びに温度及び圧力などの還元的アミノ化反応条件を含む様々な要因によって異なる。しかしながら、プロセスがバッチモードで実行される場合、触媒の量は、イミン官能性有機ケイ素化合物の重量に基づいて、1重量%未満~50重量%、代替的に5重量%~30重量%であり得る。代替的に、触媒の量は、少なくとも1、代替的に少なくとも4、代替的に少なくとも6.5、代替的に少なくとも8重量%であり得、同時に、触媒の量は、同じ基準で、最大50、代替的に最大20、代替的に最大14、代替的に最大13、代替的に最大10、代替的に最大9重量%であり得る。代替的に、例えば、反応器に不均一系水素化触媒を充填することによって、プロセスが連続モードで実行される場合、不均一系水素化触媒の量は、10時間-1の空間時間を達成するための反応器容積(水素化触媒で充填される)、又は触媒1m2当たり10kg/時間の基質を達成するのに十分な触媒表面積を提供するのに十分であり得る。
【0189】
(H)水素
水素は、当該技術分野で既知であり、様々な供給元、例えばAir Productsから市販されている。水素は、完全な反応を可能にするために、(L)イミン官能性有機ケイ素化合物のイミン基に対して超化学量論量で使用され得る。
【0190】
(J)溶媒
イミン官能性有機ケイ素化合物及び/又はアミノ官能性有機ケイ素化合物を調製するためのプロセスで任意選択的に使用され得る溶媒(J)は、上記の工程I)で使用される場合には脱水イミン生成反応に対して、及び/又はプロセスの工程III)で使用される場合には還元的アミノ化反応に対して中性である溶媒から選択され得る。以下は、このような溶媒の具体的な例である:メタノール、エタノール、及びイソプロピルアルコールなどの一価アルコール;ジオキサン、THFなどのエーテル;ヘキサン、ヘプタン、及びパラフィン系溶媒などの脂肪族炭化水素;ベンゼン、トルエン、及びキシレンなどの芳香族炭化水素;並びに塩素化炭化水素。これらの溶媒は、個々に、又は2つ以上の組み合わせで使用され得る。溶媒の量は重要ではなく、使用される各出発材料の種類及び量などの様々な要因によって異なり得る。例えば、アルデヒド官能性有機ケイ素化合物及び/又はイミン官能性有機ケイ素がオリゴマーではなく樹脂性である場合、より多くの溶媒が使用され得る。しかしながら、溶媒の量は、プロセスで使用される全ての出発材料の合計重量に基づいて0~99%であり得る。
【0191】
プロセスの工程III)の最中又は後に、工程II)についての上記のように水を除去することが実施され得る。例えば、(K)吸着剤又は水錯化剤などの乾燥剤は、任意選択的に、副生成物として生成された水を除去するために使用され得る。好適な乾燥剤及びそれらの使用条件は、上記のとおりである。工程III)の最中又は後に使用するために選択される乾燥剤は、工程I)の最中又は後に使用するために選択される乾燥剤と同じであっても異なっていてもよい。代替的に、乾燥剤が工程I)の最中又は後に使用される場合、乾燥剤は、工程III)の最中又は後に省略され得る。
【0192】
工程III)還元的アミノ化反応
工程III)での還元的アミノ化反応は、加圧水素を使用して実施され得る。水素(ゲージ)圧力は、10psig(68.9kPa)~3000psig(20,685kPa)、代替的に10psig~2000psig(13,790kPa)、代替的に10psig~1500psig(10,342kPa)、代替的に200psig(1379kPa)~1200psig(8274kPa)であり得る。反応は、0~200℃の温度で行われ得る。代替的に、反応時間を短縮するために、50~150℃の温度が好適であり得る。代替的に、使用される水素(ゲージ)圧力は、少なくとも25psig、代替的に少なくとも50psig、代替的に少なくとも100psig、代替的に少なくとも150psig、代替的に少なくとも164psigであり得、同時に、水素ゲージ圧力は、最大800psig、代替的に最大400psig、代替的に最大300psig、代替的に最大200psig、代替的に最大194psigであり得る。反応のための温度は、少なくとも40℃、代替的に少なくとも50℃、代替的に少なくとも65℃、代替的に少なくとも80℃であり得、同時に、温度は、最大200℃、代替的に最大150℃、代替的に最大120℃であり得る。
【0193】
還元的アミノ化反応は、バッチモード又は連続モードで行われ得る。バッチモードでは、還元的アミノ化反応時間は、触媒の量及び還元的アミノ化反応温度を含む様々な要因によって異なるが、アミノ官能性有機ケイ素化合物を調製するためのプロセスの工程III)は、1分間~24時間実施され得る。代替的に、還元的アミノ化反応は、少なくとも1分間、代替的に少なくとも2分間、代替的に少なくとも1時間、代替的に少なくとも2時間、代替的に少なくとも3時間、代替的に少なくとも3.3時間、代替的に少なくとも3.7時間、代替的に少なくとも4時間、代替的に少なくとも4.5時間、代替的に少なくとも5.5時間、代替的に少なくとも6時間実施され得、同時に、還元的アミノ化反応は、最大24時間、代替的に最大23時間、代替的に最大22.5時間、代替的に最大22時間、代替的に最大17.5時間、代替的に最大17時間、代替的に最大16.5時間実施され得る。
【0194】
代替的に、バッチモードでは、還元的アミノ化反応の終点は、反応を更に1~2時間継続した後に反応器圧力の減少がもはや観察されない時間であると考えられ得る。反応の過程で反応器圧力が減少する場合、水素及びアンモニアの導入を繰り返すこと、及び反応時間を短縮するためにそれを高圧下で維持することが望ましい場合がある。代替的に、反応器は、水素及びアンモニアで1回以上再加圧して、妥当な反応器圧力を維持しながら、イミン官能基の反応のための水素及びアミン源の十分な供給を達成することができる。
【0195】
連続モードでは、還元的アミノ化反応は、トリクルベッド反応器で実施され得る。トリクルベッド反応器は、プロセスの工程III)での設備投資の低減及び/若しくは収率の増加、並びに/又はプロセスの工程III)の後の触媒からのアミノ官能性有機ケイ素化合物の分離のためのより容易な処理を提供し得る。代替的に、高圧反応器(例えば、上記のように、最大3000psig(20,685kPa)の圧力に耐えることができる反応器)が、バッチモード又は連続モードのいずれかで、工程III)における還元的アミノ化反応のために使用され得る。
【0196】
還元的アミノ化反応の完了後、(G)水素化触媒は、加圧された不活性(例えば、窒素)雰囲気中で、例えば、珪藻土若しくは活性炭を用いた濾過若しくは吸着、沈降、遠心分離などの任意の好都合な手段によって、構造化パッキング若しくは他の固定構造中に水素化触媒を維持することによって、又はこれらの組み合わせによって分離され得る。
【0197】
工程III)での還元的アミノ化反応はまた、一級アミン源を含む副生成物を生成し得る((工程I)における使用についての上記のように)。一級アミン源は、工程III)で生成された還元的アミノ化反応生成物から、ストリッピング及び/又は蒸留などの任意の好都合な手段によって回収され得る。このようにして回収された得られた一級アミン源は、工程I)のプロセスに再利用され得る。上記のプロセスを示す例示的な反応スキームを、以下に記載し、示す。
【0198】
例示的な反応スキーム
任意選択的な第1の工程では、アルケニル官能性有機ケイ素化合物(例えば、1,1,1,5,5,5-ヘキサメチル-3-((トリメチルシリル)オキシ)-3-ビニルトリシロキサン)は、ヒドロホルミル化反応を受けて、アルデヒド官能性有機ケイ素化合物(例えば、3-(1,1,1,5,5,5-ヘキサメチル-3-((トリメチルシリル)オキシ)トリシロキサン-3-イル)プロパナール)を形成する。工程I)では、アルデヒド官能性有機ケイ素化合物(例えば、3-(1,1,1,5,5,5-ヘキサメチル-3-((トリメチルシリル)オキシ)トリシロキサン-3-イル)プロパナール)は、有機一級アミン(例えば、N-ブチルアミン)と化合して、イミン官能性有機ケイ素化合物(例えば、N-ブチル-3-(1,1,1,5,5,5-ヘキサメチル-3-((トリメチルシリル)オキシ)トリシロキサン-3-イル)プロパン-1-イミン)及び副生成物としての水を形成する。工程II)では、水は除去され得、工程III)では、イミン官能性有機ケイ素化合物(例えば、N-ブチル-3-(1,1,1,5,5,5,-ヘキサメチル-3-((トリメチルシリル)オキシ)トリシロキサン-3-イル)プロパン-1-イミン)は、還元的アミノ化反応に触媒作用を及ぼす条件下で、水素、アンモニア、及び水素化触媒と化合し得る。還元的アミノ化反応の副生成物としてN-ブチルアミンが形成され、N-ブチルアミンは、任意選択的に、工程I)に戻って再利用され得る。所望の生成物、例えば、3-(1,1,1,5,5,5,-ヘキサメチル-3-((トリメチルシリル)オキシ)トリシロキサン-3-イル)プロパン-1-アミン)もまた、工程III)で形成される。
【0199】
任意選択的な工程-アルデヒド官能性有機ケイ素化合物を形成するためのヒドロホルミル化の例。
【0200】
【0201】
工程I)-脱水イミン生成反応例
【0202】
【0203】
工程II)水を除去し、任意選択的に、N-ブチル-3-(1,1,1,5,5,5,-ヘキサメチル-3-((トリメチルシリル)オキシ)トリシロキサン-3-イル)プロパン-1-イミンを単離する。
工程III)還元的アミノ化反応の例
【0204】
【0205】
アミノ官能性有機ケイ素化合物
上記のように調製されたアミノ官能性有機ケイ素化合物は、1分子当たり、ケイ素に共有結合した少なくとも1つの一級アミノ官能基を有する。代替的に、アミノ官能性有機ケイ素化合物は、1分子当たり、ケイ素に共有結合した2つ以上の一級アミノ官能基を有し得る。一級アミノ官能基、RNは、式:
【0206】
【化44】
を有し得、式中、Gは、上記に記載及び例示されているような、2~8個の炭素原子を有する脂肪族不飽和を含まない二価炭化水素基である。アミノ官能性有機ケイ素化合物は、少なくとも1つのR
IがR
Nでプリプレイスされている(preplaced)、(L)イミン官能性有機ケイ素化合物についての上記式のうちのいずれか1つを有し得る。
【0207】
上記のように調製されたアミノ官能性有機ケイ素化合物は、(N1)式(N1-1):RN
xSiR4
(4-x)のアミノ官能性シランを含み得、式中、RN、R4、及び下付き文字xは、上記のとおりである。アミノ官能性シランは、(アミノプロピル)-トリメチルシラン、(アミノプロピル)-トリエチルシラン、及び(ブチルアミノ)-トリメチルシランなどのアミノ官能性トリアルキルシランによって例示される。
【0208】
代替的に、アミノ官能性有機ケイ素化合物は、(N2)アミノ官能性ポリオルガノシロキサンを含み得る。当該アミノ官能性ポリオルガノシロキサンは、環状、直鎖状、分岐状、樹脂状、又はこれらのうちの2つ以上の組み合わせであり得る。当該アミノ官能性ポリオルガノシロキサンは、単位式(N2-1):(R4
3SiO1/2)a(R4
2RNSiO1/2)b(R4
2SiO2/2)c(R4RNSiO2/2)d(R4SiO3/2)e(RNSiO3/2)f(SiO4/2)g(ZO1/2)hを含み得、式中、各RNは、独立して選択される上記式の一級アミノ官能基であり、R4、Z、並びに下付き文字a、b、c、d、e、f、g、及びhは、式(B2-1)についての上記のとおりである。
【0209】
代替的に、(N2)アミノ官能性ポリオルガノシロキサンは、1分子当たり、少なくとも1つの一級アミノ官能基、代替的に、少なくとも2つの一級アミノ官能基を有する(N2-2)直鎖状ポリジオルガノシロキサンを含み得る(例えば、上記のアミノ官能性ポリオルガノシロキサンについての式(N2-1)中、下付き文字e=f=g=0である場合)。例えば、当該ポリジオルガノシロキサンは、単位式(N2-3):(R4
3SiO1/2)a(RNR4
2SiO1/2)b(R4
2SiO2/2)c(RIR4SiO2/2)dを含み得、式中、RNは、上記のとおりであり、R4並びに下付き文字a、b、c、及びdは、式(E2-3)についての上記のとおりである。
【0210】
代替的に、単位式(N2-3)の直鎖状アミノ官能性ポリジオルガノシロキサンは、単位式(N2-4):(R4
2RNSiO1/2)2(R4
2SiO2/2)m(R4RNSiO2/2)n、単位式(N2-5):(R4
3SiO1/2)2(R4
2SiO2/2)o(R4RNSiO2/2)p、又は(N2-4)と(N2-5)との両方の組み合わせからなる群から選択され得る。
【0211】
式(N2-4)及び(N2-5)中、RNは、上記のとおりであり、R4並びに下付き文字m、n、o、及びpは、式(E2-4)及び(E2-5)についての上記のとおりである。
【0212】
アミノ官能性ポリオルガノシロキサン(N2)は、i)ビス-ジメチル(アミノプロピル)シロキシ末端ポリジメチルシロキサン、ii)ビス-ジメチル(アミノプロピル)シロキシ末端ポリ(ジメチルシロキサン/メチル(アミノプロピル)シロキサン)、iii)ビス-ジメチル(アミノプロピル)シロキシ末端ポリメチル(アミノプロピル)シロキサン、iv)ビス-トリメチルシロキシ末端ポリ(ジメチルシロキサン/メチル(アミノプロピル)シロキサン)、v)ビス-トリメチルシロキシ末端ポリメチル(アミノプロピル)シロキサン、vi)ビス-ジメチル(アミノプロピル)シロキシ末端ポリ(ジメチルシロキサン/メチルフェニルシロキサン/メチル(アミノプロピル)シロキサン)、vii)ビス-ジメチル(アミノプロピル)シロキシ末端ポリ(ジメチルシロキサン/メチルフェニルシロキサン)、viii)ビス-ジメチル(アミノプロピル)シロキシ末端ポリ(ジメチルシロキサン/ジフェニルシロキサン)、ix)ビス-フェニル、メチル、(アミノプロピル)シロキシ末端ポリジメチルシロキサン、x)ビス-ジメチル(アミノヘプチル)シロキシ末端ポリジメチルシロキサン、xi)ビス-ジメチル(アミノヘプチル)シロキシ末端ポリ(ジメチルシロキサン/メチル(アミノヘプチルシロキサン)、xii)ビス-ジメチル(アミノヘプチル)シロキシ末端ポリメチル(アミノヘプチル)シロキサン)、xiii)ビス-トリメチルシロキシ末端ポリ(ジメチルシロキサン/メチル(アミノヘプチル)シロキサン)、xiv)ビス-トリメチルシロキシ末端ポリメチル(アミノヘプチル)シロキサン、xv)ビス-ジメチル(アミノヘプチル)-シロキシ末端ポリ(ジメチルシロキサン/メチルフェニルシロキサン/メチル(アミノヘプチル)シロキサン)、xvi)ビス-ジメチル(アミノプロピル)シロキ末端ポリ(ジメチルシロキサン/メチル(アミノヘプチル)シロキサン)、xvii)ビス-ジメチル(アミノヘプチル)-シロキシ末端ポリ(ジメチルシロキサン/メチルフェニルシロキサン)、xviii)ジメチル(アミノヘプチル)-シロキシ末端ポリ(ジメチルシロキサン/ジフェニルシロキサン)、及びxix)i)~xviii)のうちの2つ以上の組み合わせなどのアミノ官能性ポリジオルガノシロキサンを含み得る。
【0213】
代替的に、(N2)アミノ官能性ポリオルガノシロキサンは、例えば、単位式(N2-1)中、下付き文字a=b=c=e=f=g=h=0である場合、環状であり得る。(N2-6)環状アミノ官能性ポリジオルガノシロキサンは、単位式(N2-7):(R4RNSiO2/2)dを有し得、式中、RN及びR4は、上記のとおりであり、下付き文字dは、3~12、代替的に3~6、代替的に4~5であり得る。環状アミノ官能性ポリジオルガノシロキサンの例としては、2,4,6-トリメチル-2,4,6-トリ(アミノプロピル)-シクロトリシロキサン、2,4,6,8-テトラメチル-2,4,6,8-テトラ(アミノプロピル)-シクロテトラシロキサン、2,4,6,8,10-ペンタメチル-2,4,6,8,10-ペンタ(アミノプロピル)-シクロペンタシロキサン、及び2,4,6,8,10,12-ヘキサメチル-2,4,6,8,10,12-ヘキサ(アミノプロピル)-シクロヘキサシロキサンが挙げられる。
【0214】
代替的に、(N2-6)環状アミノ官能性ポリジオルガノシロキサンは、単位式(N2-8):(R4
2SiO2/2)c(R4RNSiO2/2)dを有し得、式中、R4及びRNは、上記のとおりであり、下付き文字cは、>0~6であり、下付き文字dは、3~12である。代替的に、式(N2-8)中、数量(c+d)は、3~12であり得る。代替的に、式(N2-8)中、cは、3~6であり得、dは、3~6であり得る。
【0215】
代替的に、(N2)アミノ官能性ポリオルガノシロキサンは、例えば、上記単位式(N2-1)中、数量(a+b+c+d+e+f+g)≦50、代替的に≦40、代替的に≦30、代替的に≦25、代替的に≦20、代替的に≦10、代替的に≦5、代替的に≦4、代替的に≦3である場合、(N2-9)オリゴマーであり得る。オリゴマーは、環状、直鎖状、分岐状、又はこれらの組み合わせであり得る。環状オリゴマーは、(N2-6)として上記のとおりである。
【0216】
直鎖状アミノ官能性ポリオルガノシロキサンオリゴマーの例は、式(N2-10):
【0217】
【化45】
を有し得、式中、R
4は、上記のとおりであり、各R
2’’は、独立して、R
4及びR
Nからなる群から選択され、ただし、1分子当たり、少なくとも1つのR
2’’が、R
Nであり、下付き文字zは、0~48であることを条件とする。代替的に、下付き文字zは、0~4、代替的に0~1、代替的に0であり得る。代替的に、式(N2-10)中、z=0である場合、アミノ官能性ポリオルガノシロキサンオリゴマーは、式(N2-10a):
【0218】
【化46】
を有し得、式中、R
4及びR
Nは、上記のとおりである。直鎖状アミノ官能性ポリオルガノシロキサンオリゴマーの例としては、1,3-ジ(アミノプロピル)-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン、1,1,1,3,3-ペンタメチル-3-(アミノプロピル)-ジシロキサン、及び1,1,1,3,5,5,5-ヘプタメチル-3-(アミノプロピル)-トリシロキサンが挙げられる。
【0219】
代替的に、アミノ官能性ポリオルガノシロキサンオリゴマーは、分岐状であり得る。分岐状オリゴマーは、一般式(N2-11):RNSiR12
3を有し得、式中、RNは、上記のとおりであり、各R12は、R13及び-OSi(R14)3から選択され、各R13は、一価の炭化水素基であり、各R14は、R13、-OSi(R15)3、及び-[OSiR13
2]iiOSiR13
3から選択され、各R15は、R13、-OSi(R16)3、及び-[OSiR13
2]iiOSiR13
3から選択され、各R16は、R13及び-[OSiR13
2]iiOSiR13
3から選択され、下付き文字iiは、0≦ii≦100であるような値を有する。R12のうちの少なくとも2つは、-OSi(R14)3であり得る。代替的に、R12のうちの3つ全ては、-OSi(R14)3であり得る。
【0220】
代替的に、式(L2-11)中、各R12がR13である場合、分岐状ポリオルガノシロキサンオリゴマーは、以下の構造(N2-11a)を有し、
【0221】
【化47】
式中、R
N及びR
13は、上記のとおりである。代替的に、式(N2-11a)中、各R
Nは、アミノプロピル、アミノブチル、又はアミノヘプチルであり得、各R
13は、メチルであり得る。
【0222】
代替的に、式(N2-11)中、各R12が-OSi(R14)3である場合、各R14は、分岐状ポリオルガノシロキサンオリゴマーが以下の構造(B2-11b)を有するような-OSi(R15)3部分であり得、
【0223】
【化48】
式中、R
N及びR
15は、上記のとおりである。代替的に、各R
15は、上記のようにR
13であり得、各R
13は、メチルであり得る。
【0224】
代替的に、式(N2-11)中、各R12が-OSi(R14)3である場合、1つのR14は、各R12が-OSiR13(R14)2であるような各-OSi(R14)3においてR13であり得る。代替的に、-OSiR13(R14)2中の2つのR14は、各々、分岐状アルデヒド官能性ポリオルガノシロキサンオリゴマーが以下の構造(N2-11c):
【0225】
【化49】
を有するような-OSi(R
15)
3部分であり得、
式中、R
N、R
13、及びR
15は、上記のとおりである。代替的に、各R
15は、R
13であり得、各R
13は、メチルであり得る。
【0226】
代替的に、式(N2-11)中、1つのR12は、R13であり得、R12のうちの2つは、-OSi(R14)3であり得る。R12のうちの2つが-OSi(R14)3である場合、1つのR14は、各-OSi(R14)3中のR13であり、R12のうちの2つは、-OSiR13(R14)2である。代替的に、-OSiR13(R14)2中の各R14は、分岐状ポリオルガノシロキサンオリゴマーが以下の構造(N2-11d):
【0227】
【化50】
を有するような-OSi(R
15)
3であり得、式中、R
N、R
13、及びR
15は、上記のとおりである。代替的に、各R
15は、R
13であり得、各R
13は、メチルであり得る。代替的に、分岐状ポリオルガノシロキサンは、1分子当たり3~16個のケイ素原子、代替的に1分子当たり4~16個のケイ素原子、代替的に1分子当たり4~10個のケイ素原子を有し得る。アミノ官能性分岐状ポリオルガノシロキサンオリゴマーの例としては、3-(3,3,3-トリメチル-1l2-ジシロキサンイル)プロパン-1-アミンが挙げられ、これは、式
【0228】
【0229】
代替的に、(N2)アミノ官能性ポリオルガノシロキサンは、上記の分岐状オリゴマー、並びに/又は例えば、上記の分岐状オリゴマーよりも1分子当たりより多くのアミノ基及び/若しくはより多くのポリマー単位を有し得る分岐状アミノ官能性ポリオルガノシロキサン(例えば、式(N2-1)中、数量(a+b+c+d+e+f+g)>50である場合)など、分岐状であり得る。分岐状アミノ官能性ポリオルガノシロキサンは、(式(N2-1)中)分岐状アミノ官能性ポリオルガノシロキサンに、>0~5mol%の三官能性単位及び/又は四官能性単位を提供するに十分な数量(e+f+g)を有し得る。
【0230】
例えば、分岐状アミノ官能性ポリオルガノシロキサンは、単位式(N2-13):(R4
3SiO1/2)q(R4
2RNSiO1/2)r(R4
2SiO2/2)s(SiO4/2)tのQ型分岐状ポリオルガノシロキサンを含み得、式中、RNは、上記のとおりであり、R4並びに下付き文字q、r、s、及びtは、(E2-13)についての上記のとおりである。
【0231】
代替的に、分岐状アミノ官能性ポリオルガノシロキサンは、式(N2-14):[RNR4
2Si-(O-SiR4
2)x-O](4-w)-Si-[O-(R4
2SiO)vSiR4
3]wを含み得、式中、RNは、上記のとおりであり、R4並びに下付き文字v、w、及びxは、式(E2-14)に関する上記のとおりである。代替的に、この式(N2-14)中、各R4は、独立して、メチル及びフェニルからなる群から選択され、各RNは、上記の式を有し、式中、Gは、2、3、又は6個の炭素原子を有する。
【0232】
代替的に、(N2-11)のための分岐状アミノ官能性ポリオルガノシロキサンは、単位式(N2-15):(R4
3SiO1/2)aa(RNR4
2SiO1/2)bb(R4
2SiO2/2)cc(RNR4SiO2/2)ee(R4SiO3/2)ddのT型分岐状ポリオルガノシロキサン(シルセスキオキサン)を含み得、式中、RNは、上記のとおりであり、R4並びに下付き文字aa、bb、cc、dd、及びeeは、単位式(E2-15)のついての上記のとおりである。
【0233】
代替的に、(N2)アミノ官能性ポリオルガノシロキサンは、アミノ官能性ポリオルガノシリケート樹脂及び/又はアミノ官能性シルセスキオキサン樹脂などのアミノ官能性ポリオルガノシロキサン樹脂を含み得る。アミノ官能性ポリオルガノシリケート樹脂は、式RM’’
3SiO1/2の単官能性単位(「M’’」単位)及び式SiO4/2の四官能性シリケート単位(「Q」単位)」を含み、式中、各RM’’は、独立して、上記のようなR4及びRNからなる群から選択され得る。代替的に、各RM’’は、アルキル基、上に示されるRNについての式のアミノ官能基、及びアリール基からなる群から選択され得る。代替的に、各RM’’は、メチル、(アミノプロピル)、(アミノブチル)、及びフェニルから選択され得る。代替的に、RM’’基の少なくとも3分の1、代替的に少なくとも3分の2は、メチル基である。代替的に、M’’単位は、(Me3SiO1/2)、(Me2PhSiO1/2)、及び(Me2RNSiO1/2)によって例示され得る。ポリオルガノシリケート樹脂は、ベンゼン、エチルベンゼン、トルエン、キシレン、及びヘプタン等の液体炭化水素によって例示される、出発材料(D)として本明細書に記載されるものなどの溶媒中、又は低粘度直鎖状及び環状ポリジオルガノシロキサンなどの液体非官能性有機ケイ素化合物中で可溶性である。
【0234】
アミノ官能性ポリオルガノシリケート樹脂は、上記のM’’単位及びQ単位を含み、ポリオルガノシリケート樹脂は、ケイ素結合ヒドロキシル基、及び/又は上記の部分(ZO1/2)によって記載される加水分解性基を有する単位を更に含み、式Si(OSiRM’’
3)4のネオペンタマーを含み得、式中、RM’’は、上記のとおりであり、例えば、ネオペンタマーは、テトラキス(トリメチルシロキシ)シランであり得る。29Si NMR及び13C NMRスペクトル法を使用して、ヒドロキシル及びアルコキシ含有量、並びにM’’単位及びQ単位のモル比を測定し得、当該比は、M’’単位及びQ単位をネオペンタマーから排除した{M’’(樹脂)}/{Q(樹脂)}として表される。M’’/Q比は、ポリオルガノシリケート樹脂の樹脂性部分のトリオルガノシロキシ基(M’’単位)の総数の、樹脂性部分中のシリケート基(Q単位)の総数に対するモル比を表す。M’’/Q比は、0.5/1~1.5/1、代替的に0.6/1~0.9/1であり得る。
【0235】
アミノ官能性ポリオルガノシリケート樹脂のMnは、存在するRM’’によって表される炭化水素基の種類などの様々な要因によって異なる。ポリオルガノシリケート樹脂のMnは、ネオペンタマーを表すピークが測定値から除外されるとき、GPCを使用して測定される数平均分子量を指す。ポリオルガノシリケート樹脂のMnは、1,500Da~30,000Da、代替的に1,500Da~15,000Da、代替的に、>3,000Da~8,000Daであり得る。代替的に、ポリオルガノシリケート樹脂のMnは、3,500Da~8,000Daであってもよい。
【0236】
代替的に、ポリオルガノシリケート樹脂は、単位式(N2-17):(R4
3SiO1/2)mm(R4
2RNSiO1/2)nn(SiO4/2)oo(ZO1/2)hを含み得、式中、Z、R4、及びRN、及び下付き文字hは、上記のとおりであり、下付き文字mm、nn、及びooは、mm≧0、nn>0、oo>0、かつ0.5≦(mm+nn)/oo≦4であるような平均値を有する。代替的に、0.6≦(mm+nn)/oo≦4、代替的に、0.7≦(mm+nn)/oo≦4、代替的に、0.8≦(mm+nn)/oo≦4である。
【0237】
代替的に、(N2)アミノ官能性ポリオルガノシロキサンは、(N2-18)アミノ官能性シルセスキオキサン樹脂、すなわち、単位式:(R4
3SiO1/2)a(R4
2RNSiO1/2)b(R4
2SiO2/2)c(R4RNSiO2/2)d(R4SiO3/2)e(RNSiO3/2)f(ZO1/2)hの三官能性(T’’)単位を含有する樹脂を含み得、式中、R4及びRNは、上記のとおりであり、下付き文字f>1、2<(e+f)<10,000、0<(a+b)/(e+f)<3、0<(c+d)/(e+f)<3、かつ0<h/(e+f)<1.5である。代替的に、アミノ官能性シルセスキオキサン樹脂は、単位式(N2-19):(R4SiO3/2)e(RNSiO3/2)f(ZO1/2)hを含み得、式中、R4、RN、Z、並びに下付き文字h、e、及びfは、上記のとおりである。代替的に、アミノ官能性シルセスキオキサン樹脂は、二官能性(D’’)単位を更に含み得、当該アミノ官能性シルセスキオキサン樹脂は、上記のT単位に加えて、式(R4
2SiO2/2)c(R4RNSiO2/2)dの単位、すなわち、D’’T’’樹脂を含み得、式中、下付き文字c及びdは、上記のとおりである。代替的に、アミノ官能性シルセスキオキサン樹脂は、式(R4
3SiO1/2)a(R4
2RNSiO1/2)bの単官能性(M’’)単位、すなわち、M’’D’’T’’樹脂を更に含み得、式中、下付き文字a及びbは、単位式(E2-1)についての上記のとおりである。
【0238】
代替的に、(N)アミノ官能性有機ケイ素化合物は、単位式(N3-1):[(R1
(3-gg)RN
ggSi)ffNH(3-ff)]hhを含み得、式中、RNは、上記のとおりであり、各R1は、独立して、上記のようにアルキル基及びアリール基からなる群から選択され、各下付き文字ffは、独立して、上記のように1又は2であり、下付き文字ggは、独立して、上記のように0、1、又は2であり、下付き文字hは、上記のように1<hh<10であるような値を有する。
【0239】
本明細書に記載されるプロセスの工程III)で調製されたアミノ官能性有機ケイ素化合物は、上記のアミノ官能性有機ケイ素化合物のうちのいずれか1つであり得る。代替的に、還元的アミノ化反応生成物は、アミノ官能性有機ケイ素化合物のうちの2つ以上の混合物を含み得る。
【0240】
代替的に、本明細書に記載されるプロセスは、加水分解に不安定なアミノ官能性有機ケイ素化合物を生成するために使用され得る。加水分解に不安定なアミノ官能性有機ケイ素化合物は、例えば、少なくとも1つのR4が炭化水素オキシ基若しくはアシルオキシ基である、上に示される式のうちのいずれかの(N1)アミノ官能性シラン及び/若しくは(N2)アミノ官能性ポリオルガノシロキサンのうちのいずれか1つ、任意の(N3)アミノ官能性シラザン、又は上記に記載及び例示されているような、式(N2-10a)若しくは(N2-11a)の任意のアミノ官能性ポリオルガノシロキサンオリゴマーである。
【実施例】
【0241】
これらの実施例は、当業者に本発明を例示するために提供され、請求項に記載される本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。実施例で使用した出発材料を、以下の表1に記載する。
【0242】
【0243】
この参考例1では、式
【0244】
【化52】
の3,3’-(1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン-1,3-ジイル)ジプロパナールを以下のように合成した。窒素充填グローブボックス内で、Rh(acac)(CO)2(25.2mg)、配位子1(150.5mg)、及びトルエン(17.07g)を、磁気撹拌子を用いて30mLのガラスバイアルに添加した。均質な溶液が形成されるまで、混合物を撹拌プレート上で撹拌した。この触媒溶液を、金属バルブを備えた気密シリンジに移し、続いてグローブボックスから取り出した。換気したドラフト内で、1,3-ジビニルテトラメチルジシロキサン(1000g)を2Lのオートクレーブ反応器に充填した。反応器を密封し、ホルダに装着した。反応器を、浸漬管を介して窒素で100psig(689.5kPa)まで加圧し、ヘッドスペースに接続されたバルブを通して注意深く放圧した。反応器ヘッドスペースの不活性化のために、この工程を3回繰り返した。次いで、反応器を窒素で300psig(2068.4kPa)に加圧することによって圧力試験した。圧力を解放した後、触媒溶液を試料充填ポートを介して反応器に添加した。反応器を合成ガスで100psig(689.5kPa)に加圧し、次いで3回放圧した後、浸漬管を介して80psig(551.6kPa)に加圧した。ガス取り込みが遅くなるまで反応温度を50℃に設定し、次いで温度を80℃に設定した。撹拌速度を800RPMに設定した。所望の温度に到達したら、合成ガスを含有する中間シリンダーと反応器とを接続した。圧力を100psig(689.5kPa)に設定した。反応の進行を、減圧調整器を介して反応器に合成ガスを供給する際に、300mLの中間シリンダー内の圧力を測定したデータロガーによって監視した。98%超の変換率が22.5時間後に観察された。n/i比を、最終生成物の
1H NMR分析によって決定した。
【0245】
この比較例2では、実施例1に記載したように調製された18gの3,3’-(1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン-1,3-ジイル)ジプロパナールを、トルエン溶媒(18g)及びNi-5256P触媒(4.1g)とともに、300mLのオートクレーブ反応器に充填した。反応器を密封し、ヘッドスペースを窒素で不活性化した。アンモニア(74.6g、30当量)を添加し、反応器を水素で550psig(3792.1kPa)に加圧した。反応器を90℃に加熱し、圧力が反応温度における反応器圧力よりも100psig(689.5kPa)高くなるまで水素を添加した。反応圧力は、940psig(6481.1kPa)であることが観察された。還元的アミノ化を90℃、825RPMで4時間行った。反応器を冷却し、排気した。反応生成物を収集し、濾過して触媒を除去し、ロータリーエバポレーターを使用して溶媒を除去して、17.0gの濃縮生成物を収集した。濃縮生成物は、GC-FIDを使用して分析した場合、59.7重量%の3,3’-(1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン-1,3-ジイル)ビス(プロパン-1-アミン)であった。
【0246】
この参考例3では、560のDP及び式
【0247】
【化53】
を有するビス(プロピルアルデヒド末端)ポリジメチルシロキサン(式中、下付き文字ppは、1分子当たりの二官能性シロキサン単位の平均数を表し、558の値を有する)を、以下のように調製した。窒素充填グローブボックス内で、Rh(acac)(CO)
2(90.6mg、0.350mmol)、配位子1(550mg、0.656mmol)、及びトルエン(51.43g、558mmol)を、磁気撹拌子を用いて120mLのガラスボトルに添加した。均質な溶液が形成されるまで、混合物を撹拌プレート上で撹拌した。この溶液の一部分(1.45g)を、金属バルブを備えた気密シリンジに移し、続いてグローブボックスから取り出した。換気したドラフト内で、1分子当たり平均558のジメチルシロキシ(D)単位(M
Vi
2D
558)を有するビス-ジメチルビニルシロキシ末端ポリジメチルシロキサン(195.3g、4.68mmol)を、300mLのParr反応器に充填した。反応器を密封し、ホルダに装着した。反応器を、浸漬管を介して窒素で100psi(689.5kPa)まで加圧し、ヘッドスペースに接続されたバルブを通して注意深く3回放圧した。次いで、反応器を窒素で300psi(2068.4kPa)に加圧することによって圧力試験した。圧力を解放した後、触媒溶液を試料充填ポートを介して反応器に添加した。反応器を合成ガスで100psi(689.5kPa)に加圧し、次いで3回放圧した後、浸漬管を介して80psi(551.6kPa)に加圧した。反応温度を90℃に設定した。撹拌速度を600RPMに設定した。所望の温度に到達したら、合成ガスを含有する中間シリンダーと反応器とを接続した。圧力を100psi(689.5kPa)に設定した。反応の進行を、減圧調整器を介して反応器に合成ガスを供給する際に、300mlの中間シリンダー内の圧力を測定したデータロガーによって監視した。反応を4時間実行した。得られた生成物は、560のDPを有するビス(プロピルアルデヒド末端)ポリジメチルシロキサンを含有した。生成物を
1H及び
29Si NMRによって特性評価した。
【0248】
この比較例4では、式:
【0249】
【化54】
の、560のDPを有するビス(3-アミノプロピル)末端ポリ(ジメチルシロキサン))(式中、下付き文字qqは、558であった)を以下のように調製した。2Lのオートクレーブ反応器に、参考例3に記載したように調製された末端ジプロピオンシロキサン、(ポリ[オキシ(ジメチルシリレン)]、α-[ジメチル(3-オキソプロピル)シリル]-ω-[[ジメチル(3-オキソプロピル)シリル]オキシ]、又は(C
2H
6OSi)
nC
10H
22O
3Si
2(式中、n=560))(595g)、トルエン(399g)、及び5重量%のRh/C(36.5g)を充填した。反応器を密封し、ヘッドスペースを窒素で不活性化した。混合物を820rpmで撹拌し、アンモニア(44g)を添加し、混合物を18分間撹拌した。反応器を水素で615psig(4240.3kPa)に加圧し、60℃に加熱した。反応器圧力は、683psig(4709.1kPa)であった。反応器の圧力を水素で795psig(5481.3kPa)に上昇させ、水素を連続的に添加しながら反応を4時間実行した。反応器を冷却し、排気した。反応生成物を収集し、濾過して触媒を除去し、ロータリーエバポレーターによって溶媒を除去して、595.8gの生成物を収集した。生成物を
29Si分析、GPC、及び粘度によって特性評価した。オクタメチルシクロテトラシロキサン含有量を、GC分析によって測定した。
29Si NMR分析は、78%の-プロピル-NH
2末端キャップポリジメチルシロキサンを示した。
【0250】
この参考例5では、3-1,1,1,3,5,5,5-ヘプタメチルトリシロキサン-3-イル)プロパナールを以下のように調製した。窒素充填グローブボックス内で、Rh(acac)(CO)2(13.6mg、0.0525mmol)、配位子1(84.5mg、0.101mmol)、及びトルエン(10.0g、108.5mmol)を、磁気撹拌子を用いて30mLのガラスバイアルに添加した。均質な溶液が形成されるまで、混合物を撹拌プレート上で撹拌した。この溶液を金属バルブを備えた気密シリンジに移し、続いてグローブボックスから取り出した。換気したドラフト内で、ビニルメチルビス(トリメチルシロキシ)シラン(MDViM)(1000g、4.02mol)を2Lのオートクレーブ反応器に充填した。反応器を密封し、ホルダに装着した。反応器を、浸漬管を介して窒素で100psi(689.5kPa)まで加圧し、ヘッドスペースに接続されたバルブを通して注意深く3回放圧した。次いで、反応器を窒素で300psi(2068.4kPa)に加圧することによって圧力試験した。圧力を解放した後、触媒溶液を試料充填ポートを介して反応器に添加した。反応器を合成ガスで100psi(689.5kPa)に加圧し、次いで3回放圧した後、浸漬管を介して80psi(551.6kPa)に加圧した。反応温度を75℃に設定した。撹拌速度を800RPMに設定した所望の温度に到達したら、合成ガスを含有する中間シリンダーと反応器とを接続した。圧力を100psi(689.5kPa)に設定した。反応の進行を、減圧調整器を介して反応器に合成ガスを供給する際に、中間シリンダー内の圧力を測定したデータロガーによって監視した。得られた生成物は、3-(1,1,1,3,5,5,5-ヘプタメチルトリシロキサン-3-イル)プロパナール(MDPr-aldM)を含有した。粗製3-(1,1,1,3,5,5,5-ヘプタメチルトリシロキサン-3-イル)プロパナール(MDPr-aldM)の一部分を真空蒸留によって精製した。真空蒸留装置は、PTFEコーティング磁気撹拌子を備えた500三口丸底フラスコ、サーモプローブで測定される内部温度をJ-CHEM(商標)によって制御される電気加熱マントル、及び250mLの予め風袋計量した収集フラスコに接続された12インチ(30.48cm)のVigreuxカラムを備えていた。真空マニホールドを、圧力を調節し真空を破壊するために、真空計及び窒素ラインを含んだシステムに接続した。蒸留物凝縮器上で水冷を使用し、より低沸点の構成成分を捕捉するために、蒸留システムとダイアフラム真空ポンプとの間にドライアイストラップを配置した。オーバーヘッド蒸気の温度を測定するために温度計を設置した。粗製の3-(1,1,1,3,5,5,5-ヘプタメチルトリシロキサン-3-イル)プロパナール(MDPr-aldM)(341.5g)を500mLのリボイラーに充填することによって、蒸留を実行した。蒸留を2トール(266.6Pa)の圧力で実行した。軽質カット(13g)を、76℃のポット温度及び66℃のオーバーヘッド温度で収集した。精製された3-(1,1,1,3,5,5,5-ヘプタメチルトリシロキサン-3-イル)プロパナール(MDPr-aldM)(243g)を含有する主留分を、80~85℃のポット温度及び67~69℃のオーバーヘッド温度で収集した。55gの底部材料も回収した。
【0251】
この比較例6では、N-(3-(1,1,1,3,5,5,5-ヘプタメチルトリシロキサン-3-イル)プロピル)ブタン-1-アミンを以下のように合成した。300mLのオートクレーブ反応器に、参考例5に記載したように調製された12.0gの3-(1,1,1,3,5,5,5-ヘプタメチルトリシロキサン-3-イル)プロパナール、トルエン(48.5g)、n-ブチルアミン(3.8g)、及び5重量%のRh/C(1.4g)を充填した。反応器を密封し、ヘッドスペースを窒素で不活性化した。混合物を、800rpmで5分間撹拌した。反応器を水素で463psig(3192.3kPa)に加圧し、60℃に加熱した。反応器圧力は、452psig(3116.4kPa)であった。反応器の圧力を水素で651psig(4488.5kPa)に上昇させ、水素を連続的に添加しながら反応を4時間実行した。反応器を冷却し、排気した。反応生成物を収集し、反応器をトルエンですすいで、75.2gの材料を収集した。材料の一部分を、シリンジフィルタを通して濾過し、溶媒をストリッピングし、ガスクロマトグラフィ並びに1H及び13C NMR分析によって特性評価し、これにより、N-(3-(1,1,1,3,5,5,5-ヘプタメチルトリシロキサン-3-イル)プロピル)ブタン-1-アミンの存在を確認した。GC分析は、N-(3-(1,1,1,3,5,5,5-ヘプタメチルトリシロキサン-3-イル)プロピル)ブタン-1-アミン生成物が86面積%で存在することを示した。
【0252】
この実施例7では、3-(1,1,1,3,5,5,5-ヘプタメチルトリシロキサン-3-イル)プロパン-1-アミン及びN-(3-(1,1,1,3,5,5,5-ヘプタメチルトリシロキサン-3-イル)プロピル)ブタン-1-アミンを以下のように合成した。300mLのオートクレーブ反応器に、参考例5に記載したように調製された11.7gの3-(1,1,1,3,5,5,5-ヘプタメチルトリシロキサン-3-イル)プロパナール、トルエン(48.4g)、n-ブチルアミン(3.9g、1.25当量)、及び5重量%のRh/C(1.2g)を充填した。反応器を密封し、ヘッドスペースを窒素で不活性化した。混合物にアンモニア(18.3g、25当量)を添加し、反応器圧力は、114psig(786kPa)であった。混合物を、800rpmで7分間撹拌した。反応器に水素を480psig(3309.5kPa)まで充填し、水素添加を停止した。反応器を60℃に加熱し、この時点で、反応圧力は、580psig(3999kPa)であった。反応器の圧力を水素で798psig(5502kPa)に上昇させ、水素を連続的に添加しながら反応を4時間実行した。反応器を冷却し、排気した。反応生成物を収集し、反応器をトルエンですすいで、109.6gの液体を収集した。液体の一部分を、シリンジフィルタを通して濾過し、溶媒をストリッピングし、ガスクロマトグラフィ並びに1H及び13C NMR分析によって特性評価し、これにより、
67.4GC/FID面積%の3-(1,1,1,3,5,5,5-ヘプタメチルトリシロキサン-3-イル)プロパン-1-アミン
18.6GC/FID面積%のN-(3-(1,1,1,3,5,5,5-ヘプタメチルトリシロキサン-3-イル)プロピル)ブタン-1-アミンが示され、これらは合わせて、GCによる86面積%の生成物である。
【0253】
この比較例8では、3-(1,1,1,3,5,5,5-ヘプタメチルトリシロキサン-3-イル)プロパン-1-アミンを以下のように合成した。300mLのオートクレーブ反応器に、参考例30に記載されるように調製された12.1gの3-(1,1,1,3,5,5,5-ヘプタメチルトリシロキサン-3-イル)プロパナール、トルエン(48.4g)、及び5重量%のRh/C(1.3g)を充填した。反応器を密封し、ヘッドスペースを窒素で不活性化した。800rpmの撹拌を開始し、混合物にアンモニア(19.9g、26.9当量)を添加し、反応器圧力は、117psig(806.7kPa)であった。反応物に水素を444psig(3061.3kPa)まで充填し、水素添加バルブを閉じた。反応器を60℃に加熱し、この時点で、反応圧力は、610psig(4205.8kPa)であった。反応器を水素で463psig(3192.3kPa)に加圧し、60℃に加熱した。反応器の圧力を水素で816psig(5626.1kPa)に上昇させ、水素を連続的に添加しながら反応を4.5時間実行した。反応器を冷却し、排気した。所望の生成物を収集して、60.6gの液体を得た。液体の一部分を、シリンジフィルタを通して濾過し、溶媒をストリッピングし、ガスクロマトグラフィ並びに1H及び13C NMR及びGC/FID分析によって特性評価し、反応生成物中の3-(1,1,1,3,5,5,5-ヘプタメチルトリシロキサン-3-イル)プロパン-1-アミンの存在を確認した。GC分析は、79面積%の3-(1,1,1,3,5,5,5-ヘプタメチルトリシロキサン-3-イル)プロパン-1-アミン生成物を示した。
【0254】
実施例7は、本発明のプロセスを使用して、比較例8よりも改善された収率を示した。
【0255】
この実施例9では、式:
【0256】
【化55】
の、560のDPを有するビス(3-アミノプロピル)末端ポリ(ジメチルシロキサン))(式中、下付き文字qqは、558であった)を以下のように調製した。ガラス容器に、参考例3に記載したように調製された末端ジプロピオンシロキサン、(ポリ[オキシ(ジメチルシリレン)]、α-[ジメチル(3-オキソプロピル)シリル]-ω-[[ジメチル(3-オキソプロピル)シリル]オキシ]、又は(C
2H
6OSi)
nC
10H
22O
3Si
2(式中、n=558))(70.0g)及びトルエン(71.0g)を充填して、溶液を形成した。この溶液に、n-ブチルアミン(0.51g、2.1当量)を充填し、十分に混合した。混合物は濁った。MgSO
4(3.0g)を添加し、混合し、混合物を16時間保持した。混合物を濾過してMgSO
4を除去し、140gの透明な液体を得た。液体を
1H NMRによって分析して、ブチルイミンの存在を確認した。
【0257】
300mLのオートクレーブ反応器に、この実施例9で調製した末端ジイミンシロキサン、(ポリ[オキシ(ジメチルシリレン)]、α-[ジメチル(3-(ブチルイミノ)プロピルシリル]-ω-[[ジメチル(3-(ブチルイミノ)プロピルシリル]オキシ]、又は(C2H6OSi)nC18H40O3N2Si2(式中、n=558))溶液(140g)、及び5重量%のRh/C(3.5g)を充填した。反応器を密封し、ヘッドスペースを窒素で不活性化した。混合物を800rpmで撹拌し、アンモニア(7.1g)を添加し、混合物を13分間撹拌した。反応器を水素で259psig(1785.7kPa)に加圧し、60℃に加熱した。反応器圧力は、290psig(1999.5kPa)であった。反応器の圧力を水素で790psig(5446.9kPa)に上昇させ、水素を連続的に添加しながら反応を4時間実行した。反応器を冷却し、排気した。反応生成物を収集し、濾過して触媒を除去し、ロータリーエバポレーターによって溶媒を除去して、70.7gの生成物を収集した。生成物を29Si及び1H NMR分析によって特性評価した。29Si NMR分析は、91%の一級アミノ官能性末端キャップポリジメチルシロキサンを示した。
【0258】
この実施例10では、実施例1に記載したように調製された50.33gの3,3’-(1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン-1,3-ジイル)ジプロパナールを、メタノール(15.1g)及びNi-5256P(6.01g)及びn-ブチルアミン(29.7g)とともに、300mLのオートクレーブ反応器に充填した。反応器を密封し、撹拌を400RPMで開始し、ヘッドスペースを窒素で不活性化した。撹拌速度を800RPMに上昇させ、アンモニア(35.3g、10当量)を添加した。反応器を水素で505psigに加圧した。反応器を90℃に加熱し、圧力が805psigになるまで水素を添加した。還元的アミノ化を90℃で約16時間行った。反応器を冷却し、排気した。反応生成物を収集し、濾過して触媒を除去し、ロータリーエバポレーターを使用して溶媒を除去して、49.8gの濃縮生成物を収集した。濃縮生成物は、GC-FIDを使用して分析した場合、72.4重量%の3,3’-(1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン-1,3-ジイル)ビス(プロパン-1-アミン)であった。
【0259】
この実施例11では、実施例1に記載したように調製された50.07gの3,3’-(1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン-1,3-ジイル)ジプロパナールを、メタノール(15.05g)及びNi-5256P(6.02g)及びイソ-ブチルアミン(29.72g)とともに、300mLのオートクレーブ反応器に充填した。反応器を密封し、撹拌を400RPMで開始し、ヘッドスペースを窒素で不活性化した。撹拌速度を820RPMに上昇させ、アンモニア(35.3g、10当量)を添加した。反応器を水素で506psigに加圧した。反応器を90℃に加熱し、圧力が802psigになるまで水素を添加した。還元的アミノ化を90℃で約16時間行った。反応器を冷却し、排気した。反応生成物を収集し、濾過して触媒を除去し、ロータリーエバポレーターを使用して溶媒を除去して、48.7gの濃縮生成物を収集した。濃縮生成物は、GC-FIDを使用して分析した場合、79.2重量%の3,3’-(1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン-1,3-ジイル)ビス(プロパン-1-アミン)であった。
【0260】
この実施例12では、実施例1に記載したように調製された25.1gの3,3’-(1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン-1,3-ジイル)ジプロパナールを、メタノール(25.1g)及び3,3’-(1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン-1,3-ジイル)ビス(プロパン-1-アミン)(30.0g)とともに、ガラス容器に充填して、イミン溶液を形成した。この溶液を300mLのオートクレーブ反応器に充填し、Ni-5256P(2.76g)を添加した。反応器を密封し、撹拌を820RPMで開始し、ヘッドスペースを窒素で不活性化した。撹拌速度を820RPMで継続し、アンモニア(37.3g)を添加した。反応器を水素で519psigに加圧した。反応器を90℃に加熱し、圧力が773psigになるまで水素を添加した。還元的アミノ化を90℃で約16時間行った。反応器を冷却し、排気した。反応生成物を収集し、濾過して触媒を除去し、ロータリーエバポレーターを使用して溶媒を除去して、48.7gの濃縮生成物を収集した。濃縮生成物は、GC-FIDを使用して分析した場合、79.2重量%の3,3’-(1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン-1,3-ジイル)ビス(プロパン-1-アミン)であった。
【0261】
分岐状有機ケイ素オリゴマーのアルデヒドを生成するためのヒドロホルミル化
【0262】
【0263】
この参考例13では、式(上記)の3-(1,1,1,5,5,5-ヘキサメチル-3-((トリメチルシリル)オキシ)トリシロキサン-3-イル)プロパナールを以下のように合成した。窒素充填グローブボックス内で、Rh(acac)(CO)2(47.5mg)、配位子1(294mg)、及びトルエン(60.2g)を、磁気撹拌子を用いてガラスボトルに添加した。均質な溶液が形成されるまで、混合物を撹拌プレート上で撹拌した。この触媒溶液の一部分(2.88g)を、金属バルブを備えた気密シリンジに移し、続いてグローブボックスから取り出した。換気したドラフト内で、1,1,1,5,5,5-ヘキサメチル-3-((トリメチルシリル)オキシ)-3-ビニルトリシロキサン(180g)を、300mLの圧力反応器に充填した。反応器を密封した。600RPMで撹拌しながら、反応器を、浸漬管を介して窒素で100psigまで加圧し、ヘッドスペースに接続されたバルブを通して注意深く放圧した。反応器ヘッドスペースの不活性化のために、この工程を3回繰り返した。次いで、反応器を窒素で300psigに加圧することによって圧力試験した。圧力を解放した後、触媒溶液を試料充填ポートを介して反応器に添加した。反応器を合成ガスで100psigに加圧し、次いで3回放圧した後、浸漬管を介して100psigに加圧した。反応温度を80℃に設定した。撹拌速度を600RPMに設定した。所望の温度に到達したら、合成ガスを含有する中間シリンダーと反応器とを接続した。圧力を100psigに設定した。反応の進行を、減圧調整器を介して反応器に合成ガスを供給する際に、300mLの中間シリンダー内の圧力を測定したデータロガーによって監視した。99%超の変換率が16時間後に観察された。n/i比は、最終生成物の1H NMR分析によって7.5対1であると決定された。
【0264】
【0265】
この比較例14では、実施例13に記載したように調製された40gの3-(1,1,1,5,5,5-ヘキサメチル-3-((トリメチルシリル)オキシ)トリシロキサン-3-イル)プロパナールを、THF(40.03g)及びNi-5256P(3.99g)とともに、300mLのオートクレーブ反応器に充填した。反応器を密封し、ヘッドスペースを窒素で不活性化した。アンモニア(29.0g、15当量)を添加し、反応器を水素で530psigに加圧した。反応器を100℃に加熱し、圧力が反応温度における反応器圧力よりも100psig高くなるまで水素を添加した。還元的アミノ化を100℃、920psig、800RPMで16時間行った。反応器を冷却し、排気した。反応生成物を収集し、濾過して触媒を除去し、ロータリーエバポレーターを使用して溶媒を除去して、33.8gの濃縮生成物を収集した。濃縮生成物は、GC-FIDを使用して分析した場合、44.1重量%の3-(1,1,1,5,5,5-ヘキサメチル-3-((トリメチルシリル)オキシ)トリシロキサン-3-イル)プロパン-1-アミンであった。
【0266】
【0267】
この実施例15では、実施例13に記載したように調製された30gの3-(1,1,1,5,5,5-ヘキサメチル-3-((トリメチルシリル)オキシ)トリシロキサン-3-イル)プロパナールをガラス丸底フラスコに充填した。THF溶媒(60g)を添加して、溶液を形成した。PTFEコーティング磁気撹拌子で撹拌しながら、N-ブチルアミン(6.53g、1.05当量)を溶液に添加した。穏やかな発熱が認められた。MgSO4を添加して、溶液から水を吸着させた。MgSO4を濾過によって除去して、N-ブチル-3-(1,1,1,5,5,5-ヘキサメチル-3-((トリメチルシリル)オキシ)トリシロキサン-3-イル)プロパン-1-イミンを含有する95gの溶液を得た。イミン含有溶液を、Ni-5256P触媒(3.01g)とともに、300mLのオートクレーブ反応器に充填した。反応器を密封し、ヘッドスペースを窒素で不活性化した。アンモニア(21.7g、15当量)を添加し、反応器を水素で520psigに加圧した。反応器を100℃に加熱し、圧力が反応温度における反応器圧力よりも100psig高くなるまで水素を添加した。還元的アミノ化を100℃、925psig、800RPMで20時間行った。反応器を冷却し、排気した。反応生成物を収集し、濾過して触媒を除去し、ロータリーエバポレーターを使用して溶媒を除去して、25.0gの濃縮生成物を収集した。濃縮生成物は、GC-FIDを使用して分析した場合、75.9重量%の3-(1,1,1,5,5,5-ヘキサメチル-3-((トリメチルシリル)オキシ)トリシロキサン-3-イル)プロパン-1-アミンであった。この実施例及びその直前の比較例は、アンモニアを用いて対応するアルデヒド官能性有機ケイ素化合物から直接一級アミノ官能性有機ケイ素化合物を形成しようと試みる代わりに、本発明のプロセスを使用して収率が劇的に増加することを示す。
【0268】
この参考例16では、式、M0.24Mプロパナールアルデヒド
0.139TPh
0.62のT-フェニル樹脂プロパナールを以下のように合成した。窒素充填グローブボックス内で、Rh(acac)(CO)2(48.0mg)、配位子1(311.9mg)、及びトルエン(59.9g)を化合させて、均一系触媒溶液を形成した。この触媒溶液の一部分(5.8g)を、金属バルブを備えた気密シリンジに移し、続いてグローブボックスから取り出した。換気したドラフト内で、トルエン(90g)中に溶解したM0.24MVi
0.139TPh
0.62(90g)を、300mLの圧力反応器に充填した。反応器を密封した。600RPMで撹拌しながら、反応器を、浸漬管を介して窒素で100psigまで加圧し、ヘッドスペースに接続されたバルブを通して注意深く放圧した。反応器ヘッドスペースの不活性化のために、この工程を3回繰り返した。次いで、反応器を窒素で300psigに加圧することによって圧力試験した。圧力を解放した後、触媒溶液を試料充填ポートを介して反応器に添加した。反応器を合成ガスで100psigに加圧し、次いで3回放圧した後、浸漬管を介して100psigに加圧した。反応温度を70℃に設定した。撹拌速度を600RPMに設定した。所望の温度に到達したら、合成ガスを含有する中間シリンダーと反応器とを接続した。圧力を100psigに設定した。反応の進行を、減圧調整器を介して反応器に合成ガスを供給する際に、300mLの中間シリンダー内の圧力を測定したデータロガーによって監視した。最終生成物の1H NMR分析によって決定された99%超の変換率が、16時間後に観察された。トルエンを除去して、粘性液体として生成物を残した。
【0269】
この実施例17では、実施例16に記載されたような25.8gのM0.24Mプロパナールアルデヒド
0.14TPh
0.62をガラス丸底フラスコに充填した。THF溶媒(51.6g)を添加して、溶液を形成した。PTFEコーティング磁気撹拌子で撹拌しながら、N-ブチルアミン(2.55g、1.1当量)を溶液に添加した。MgSO4を添加して、溶液から水を吸着させた。MgSO4を濾過によって除去して、対応するN-ブチルイミンを含有する溶液を得た。イミン含有溶液を、5%Ru/C触媒(2.6g)とともに、300mLのオートクレーブ反応器に充填した。反応器を密封し、ヘッドスペースを窒素で不活性化した。アンモニア(8.3g、約15当量)を添加し、反応器を水素で530psigに加圧した。反応器を80℃に加熱し、圧力が880psigになるまで水素を添加した。還元的アミノ化を80℃、880psig、800RPMで18.5時間行った。反応器を冷却し、排気した。反応生成物を収集し、濾過して触媒を除去し、ロータリーエバポレーターを使用して溶媒を除去して、27.2gの濃縮生成物を収集した。濃縮生成物は、1H及び13C NMRによって決定した場合、M0.24Mプロピルアミン
0.139TPh
0.52を含有した。この実施例17は、本発明のプロセスを使用して、一級アミノ官能性ポリオルガノシロキサン樹脂を作製することができることを示す。
【0270】
この実施例18では、実施例1に記載したように調製された299.1gの3,3’-(1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン-1,3-ジイル)ジプロパナールをガラス丸底フラスコに充填した。イソプロパノール溶媒(898.1g)を添加して、溶液を形成した。機械式スターラーで撹拌しながら、イソ-ブチルアミン(196.1g、2.1当量)を溶液に添加した。イソプロパノール溶液中の得られたイミン官能性有機ケイ素化合物並びにアンモニア及び水素を、それぞれ0.18mL/分、0.036mL/分、及び8.6sccmの流量で、連続管状(トリクルベッド)反応器に通した。管状反応器の内径は、3mmであり、6.03gのNi-5256E触媒を含有した。反応器を100℃で制御した。反応器の流出液を収集し、揮発性物質を真空下で除去して、液体を残した。液体は、GC-FIDを使用して分析した場合、50%超の3,3’-(1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン-1,3-ジイル)ビス(プロパン-1-アミン)を含有した。この実施例は、本発明の還元的アミノ化反応が閉塞することなく連続モードで実施され得ることを示した。
【0271】
この比較例19では、実施例1に記載したように調製された300.0gの3,3’-(1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン-1,3-ジイル)ジプロパナールをガラス丸底フラスコに充填した。イソプロパノール溶媒(1200g)を添加して、溶液を形成した。イソプロパノール溶液中の得られたアルデヒド官能性有機ケイ素化合物並びにアンモニア及び水素を、それぞれ0.30mL/分、0.056mL/分、及び14sccmの流量で、連続管状(トリクルベッド)反応器に通した。管状反応器の内径は、3mmであり、6.0gのNi-5256E触媒を含有した。反応器を100℃で制御した。反応器内に固体が形成されたために供給流を開始した直後に反応器が閉塞し、反応器の流出液は収集されなかった。
【0272】
実施例18は、本発明のプロセスを使用した場合、比較例19よりも改善された処理性の利点を示す。
【0273】
この予想実施例20では、メタノール(30g)及びNi-5256P(6.0g)を、300mLのオートクレーブ反応器に充填し、反応器を窒素で不活性化する。アンモニア(35g、10当量)を添加する。混合物を110℃に加熱し、次いで、圧力が1000psigに達するまで水素を添加する。撹拌した反応混合物(800RPM)に、実施例1に記載したように調製された50gの3,3’-(1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン-1,3-ジイル)ジプロパナールを、60分間にわたってポンプ注入する。この時間中、水素を1000psigで連続的に供給する。3,3’-(1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン-1,3-ジイル)ジプロパナールの添加が完了した後、反応を110℃及び1000psigで2時間継続する。反応器を冷却し、排気する。反応生成物を収集し、濾過して触媒を除去し、ロータリーエバポレーターを使用して溶媒を除去して、濃縮生成物を収集する。
【0274】
産業上の利用可能性
アンモニアを用いたアルデヒド官能性有機ケイ素化合物の還元的アミノ化を実施する場合、一級イミン官能性有機ケイ素化合物が最初に生成され、これは、還元的アミノ化を介して所望の一級アミノ官能性有機ケイ素化合物に変換される。しかしながら、一級イミン基は、比較的不安定であり、また、イミン官能性有機ケイ素化合物の自己縮合を引き起こして、トリアジン及び二級アミンなどのより高分子量の副生成物を形成する可能性があり、多くの場合、著しい収率損失をもたらす。更に、これらの副生成物の形成は、多くの場合、生成物の粘度を高め、かつ/又は固体の形成をもたらし、これは、触媒分離を困難にし、連続反応器装置を使用して還元的アミノ化反応を実施する機会を制限する。これらの副生成物の形成を最小限に抑えるための方法は、アミノ官能性有機ケイ素化合物を生成するための還元的アミノ化反応の収率及びプロセスの頑健性を改善するために望ましい。本明細書に記載されるプロセスは、一級アミン源を使用して二級イミン官能性有機ケイ素化合物を生成することによって、この問題に対処する。次いで、二級イミンを過剰のアンモニア、水素、及び水素化反応触媒で処理して、一級アミノ官能性有機ケイ素化合物を得て、一級アミン源を再生し、これを再利用して、その後の脱水イミン生成反応で使用し得る。
【0275】
更に、アルデヒド官能性有機ケイ素化合物のアンモニアとの還元的アミノ化反応中に、アルデヒド官能性1モル当たり1モル当量の水が、一級イミン基形成の副生成物として生成される。ある特定のアミノ官能性有機ケイ素化合物は、加水分解に不安定であり、この還元的アミノ化反応に用いられる条件下で水と反応し、この不安定性は、更なる望ましくない副生成物を生成する可能性がある副反応をもたらす。アルコキシ基又はアシルオキシ基で官能化されたシラン、シラザン、並びに分岐状及び直鎖状オリゴマーシロキサン、例えば、上記の分岐状アルデヒド官能性シロキサンオリゴマー(E2-10)又は(E2-11)由来のオリゴマーアミノ官能性シロキサンは、他のアミノ官能性ポリオルガノシロキサンよりも水の存在下で副反応を起こしやすい。
【0276】
理論によって束縛されることを望むものではないが、本明細書に記載されるプロセスの工程II)(すなわち、脱水イミン生成反応を介した二級イミン基及び水形成が工程I)で開始した後、及び本明細書に記載されるプロセスの工程III)での還元的アミノ化反応の前)で水を除去する能力は、加水分解に不安定なアルデヒド官能性有機ケイ素化合物を出発材料として使用する場合、並びに/又は加水分解に不安定なイミン官能性有機ケイ素化合物及び加水分解に不安定なアミノ官能性有機ケイ素化合物を生成する場合でさえ、生成物としての一級アミノ官能性有機ケイ素化合物の収率を改善することができると考えられる。更に、一級イミン基よりも二級イミン基の安定性が改善されるため、本発明は、上記の問題に対処するための選択肢を提供することによって、還元的アミノ化反応の収率及び頑健性を改善する機会を提供する。二級イミン基は、自己縮合を介して分解する傾向がより少なく、これは、プロセスの収率を高めると同時に、連続反応器の使用などの代替の処理選択肢も可能にする。加えて、二級イミン官能性有機ケイ素化合物中間体の高まった安定性は、二級イミン基形成中に生成された水が、蒸留又は乾燥剤の使用を含む様々な技術を使用して任意選択的に除去されることを可能にする。プロセスの初期段階中に水を除去する能力は、プロセスにおいて加水分解安定性がより低い有機ケイ素化合物を使用する場合に、ある特定の副生成物の形成を最小限に抑えるか又は排除する。最後に、中間体としての二級イミン官能性有機ケイ素化合物の生成は、(アルデヒド官能性有機ケイ素化合物の出発材料の)アルデヒド基を酸化分解から保護する。
【0277】
理論によって束縛されることを望むものではないが、プロセスはまた、従来の縮合反応プロセスよりも少ない若しくは全くなく塩副生成物ストリーム、短い反応時間、及び/又は低い環状シロキサン副生成物の生成を提供し得ると考えられる。更に、ヒドロホルミル化及び還元的アミノ化は、中間体を単離する必要なく1つの単一反応器で行われ得、最小限のプロセス工程を有し得る。
【0278】
理論によって束縛されることを望むものではないが、本発明の別の利点は、生成されたアミノ官能性有機ケイ素化合物が高い割合の直鎖状アミノ官能基を有すること、並びにこれが、分岐状アルデヒド部分を有するアルデヒド官能性有機ケイ素化合物が本明細書に記載されるプロセス中に反応及び分解し、これによりそれらが容易に除去され得るためであることであると考えられる。更に、生成されたアミノ官能性有機ケイ素化合物は、カルボン酸触媒を使用する縮合化学又は塩基触媒を使用する平衡化化学を介して生成されたアミノ官能性有機ケイ素化合物と比較して、低減された環状シロキサン(例えば、オクタメチルシクロテトラシロキサン、D4)含有量を有し得る。
【0279】
用語の定義及び使用
全ての量、比率、及び百分率は、別途指定がない限り、重量に基づく。組成物中の全ての出発材料の量は、総計100重量%である。「発明の概要」及び「要約書」は、参照により本明細書に組み込まれる。冠詞「a」、「an」、及び「the」は各々、明細書の文脈によって特に指示されない限り、1つ以上を指す。単数形は、別途記載のない限り、複数形を含む。「~を含む(comprising)」、「~から本質的になる(consisting essentially of)」、及び「~からなる(consisting of)」という移行句は、Manual of Patent Examining Procedure Ninth Edition,Revision 08.2017,Last Revised January 2018のセクション§2111.03 I.、II.、及びIIIに記載されているように使用される。「加水分解に不安定」という用語は、120℃未満の温度で水と反応する任意の有機ケイ素化合物を指す。本明細書の加水分解に不安定な有機ケイ素化合物は、120℃未満の温度で水と反応する、使用又は生成される任意の有機ケイ素化合物を含む。例としては、任意の(B)アルケニル官能性有機ケイ素化合物、任意の(E)アルデヒド官能性有機ケイ素化合物、任意の(L)イミン官能性有機ケイ素化合物、及び以下の基準のうちの1つ以上を満たす、本明細書に記載されるように調製された任意の一級アミノ官能性有機ケイ素化合物が挙げられる:i)1分子当たり1つ以上のR4が、アシルオキシ又は炭化水素オキシである、ii)有機ケイ素化合物がシラザンである、及び/又はii)上に示されるような、式(B2-10a)、(E2-10a)、(L2-10a)、(N2-10a)の任意のオリゴマーポリオルガノシロキサン、例えば、1,3-ジ(アミノプロピル)-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン、(B2-11a)、(E2-11a)、(L2-11a)、若しくは(N2-11a)、例えば、3-(3,3,3-トリメチル-1l2-ジシロキサンイル)プロパン-1-アミン。本明細書で使用される略語は、表Zにおける定義を有する。
【0280】
【0281】
本明細書では、以下の試験方法を使用した。FTIR:ポリオルガノシロキサン樹脂(例えば、ポリオルガノシリケート樹脂及び/又はシルセスキオキサン樹脂)中に存在するシラノール基の濃度を、ASTM規格E-168-16に従ってFTIR分光法を使用して決定した。GPC:ポリオルガノシロキサンの分子量分布を、Agilent Technologies 1260 Infinityクロマトグラフ及び溶媒としてトルエンを使用してGPCによって決定した。装置は、3つのカラム、PLゲル5μm、7.5×50mmガードカラム、及び2つのPLゲル5μm、Mixed-C 7.5×300mmカラムを備えていた。較正をポリスチレン標準物を使用して行った。試料を、ポリオルガノシロキサンをトルエン(約1mg/mL)中に溶解させることによって作製し、次いで、直ちに溶液をGPC(1mL/分の流量、35℃のカラム温度、25分の実行時間)によって分析した。29Si NMR:出発材料(B)のアルケニル含有量は、「The Analytical Chemistry of Silicones」A.Lee Smith編、Chemical Analysisの112巻、John Wiley&Sons,Inc.(1991)に記載されている技術によって測定され得る。粘度:粘度は、例えば、120mPa・s~250,000mPa・sの粘度を有するポリマー(例えば、ある特定の(B2)アルケニル官能性ポリオルガノシロキサン及び(E2)アルデヒド官能性ポリオルガノシロキサン)について、#CP-52スピンドルを備えたBrookfield DV-IIIコーンアンドプレート(cone & plate)粘度計で、25℃、0.1~50RPMで測定され得る。当業者は、粘度が増加するにつれて回転速度が減少し、適切なスピンドル及び回転速度を選択することができることを認識するであろう。
【0282】
上記の実施例におけるアルデヒド官能性有機ケイ素化合物及び還元的アミノ化反応生成物の混合物を、1H、13C NMR及び29Si NMR、GC/MS、GPC、並びに粘度によって分析した。上記の実施例における転換率及び収率は、主に1H NMRデータに基づいていた。
【0283】
本発明の実施形態
第1の実施形態では、イミン官能性有機ケイ素化合物を調製するためのプロセスは、
I)脱水イミン生成反応をもたらす条件下で、出発材料を化合させることであって、出発材料が、
(E)アルデヒド官能性有機ケイ素化合物と、
(F1)一級アミン源と、
任意選択的に、(G)水素化触媒と、
任意選択的に、(J)溶媒と、
任意選択的に、(K)乾燥剤と、を含み、
それによって、(L)イミン官能性有機ケイ素化合物及び水を含む脱水イミン生成反応生成物を形成する、化合させることと、
任意選択的に、II)水を除去することと、
任意選択的に、(L)イミン官能性有機ケイ素化合物を単離することと、を含む。
【0284】
第2の実施形態では、アミノ官能性有機ケイ素化合物を作製するためのプロセスは、第1の実施形態のプロセスを実施することと、
III)還元的アミノ化反応に触媒作用を及ぼす条件下で、出発材料を化合させることであって、出発材料が、
(L)イミン官能性有機ケイ素化合物と、
(F2)アンモニアと、
任意選択的に、(G)水素化触媒と、
(H)水素と、
任意選択的に、(J)溶媒と、
任意選択的に、(K)乾燥剤と、を含み、
ただし、(G)水素化触媒が、工程I)及び工程III)のうちの少なくとも1つで化合することを条件とし、
それによって、アミノ官能性有機ケイ素化合物及び一級アミン源を含む還元的アミノ化反応生成物を形成する、化合させることと、を含む。
【0285】
第3の実施形態では、第1の実施形態又は第2の実施形態のプロセスは、ヒドロホルミル化プロセスによって(E)アルデヒド官能性有機ケイ素化合物を調製することを更に含み、ヒドロホルミル化プロセスは、
1)ヒドロホルミル化反応に触媒作用を及ぼす条件下で、出発材料を化合させることであって、出発材料が、
(A)水素及び一酸化炭素を含むガスと、
(B)アルケニル官能性有機ケイ素化合物と、
(C)ロジウム/ビスホスファイト配位子錯体触媒と、を含み、ビスホスファイト配位子が、式
【0286】
【化59】
を有し、式中、
R
6及びR
6’が、各々独立して、水素、1~20個の炭素原子のアルキル基、シアノ基、ハロゲン基、及び1~20個の炭素原子のアルコキシ基からなる群から選択され、
R
7及びR
7’が、各々独立して、3~20個の炭素原子のアルキル基、及び式-SiR
17
3の基からなる群から選択され、式中、各R
17が、独立して選択される1~20個の炭素原子の一価の炭化水素基であり、
R
8、R
8’、R
9、及びR
9’が、各々独立して、水素、アルキル基、シアノ基、ハロゲン基、及びアルコキシ基からなる群から選択され、
R
10、R
10’、R
11、及びR
11’が、各々独立して、水素又は及びアルキル基からなる群から選択され、それによって、(E)アルデヒド官能性有機ケイ素化合物を含むヒドロホルミル化反応生成物を形成する、化合させることと、
任意選択的に、2)(E)アルデヒド官能性有機ケイ素化合物を含むヒドロホルミル化反応生成物から、(C)ロジウム/ビスホスファイト配位子錯体触媒を回収することと、
任意選択的に、3)アルデヒド官能性有機ケイ素化合物を単離することと、を含む。
【0287】
第4の実施形態では、第1~第3の実施形態のうちのいずれか1つのプロセスにおいて、アルデヒド官能性有機ケイ素化合物は、例えば、上で定義したように、加水分解に不安定である。
【0288】
第5の実施形態では、第4の実施形態のプロセスにおいて、アルデヒド官能性有機ケイ素化合物は、式
【0289】
【化60】
を有し、式中、各R
4は、独立して、1~18個の炭素原子のアルキル基及び6~18個の炭素原子のアリール基からなる群から選択され、各R
Aldは、独立して選択される式
【0290】
【化61】
の基であり、式中、Gは、2~8個の炭素原子を有する脂肪族不飽和を含まない二価炭化水素基である。
【0291】
第6の実施形態では、第5の実施形態のプロセスにおいて、各R4は、メチルであり、RAldは、プロピルアルデヒド、ブチルアルデヒド、及びヘプチルアルデヒドからなる群から選択される。
【0292】
第7の実施形態では、第1~第4の実施形態のうちのいずれか1つのプロセスにおいて、アルデヒド官能性有機ケイ素化合物は、式
【0293】
【化62】
を有し、式中、各R
13は、独立して、1~18個の炭素原子のアルキル基及び6~18個の炭素原子のアリール基からなる群から選択され、各R
Aldは、独立して選択される式
【0294】
【化63】
の基であり、式中、Gは、2~8個の炭素原子を有する脂肪族不飽和を含まない二価炭化水素基である。
【0295】
第8の実施形態では、第7の実施形態のプロセスにおいて、各R13は、メチルであり、RAldは、プロピルアルデヒド、ブチルアルデヒド、及びヘプチルアルデヒドからなる群から選択される。
【0296】
第9の実施形態では、第1~第3の実施形態のうちのいずれか1つのプロセスにおいて、イミン官能性有機ケイ素化合物は、例えば、上で定義したように、加水分解に不安定である。
【0297】
第10の実施形態では、第9の実施形態のプロセスにおいて、イミン官能性有機ケイ素化合物は、式
【0298】
【化64】
を有し、式中、各R
4は、独立して、1~18個の炭素原子のアルキル基及び6~18個の炭素原子のアリール基からなる群から選択され、各R
Iは、独立して選択される式
【0299】
【化65】
の基であり、式中、Gは、2~8個の炭素原子を有する脂肪族不飽和を含まない二価炭化水素基であり、R
19は、1~18個の炭素原子のアルキル基、6~18個の炭素原子のアリール基、及び有機ケイ素部分から選択される。
【0300】
第11の実施形態では、第10の実施形態のプロセスにおいて、各R4は、メチルであり、Gは、2、3、又は6個の炭素原子の二価炭化水素基であり、各R19は、1~4個の炭素原子のアルキル基である。
【0301】
第12の実施形態では、第11の実施形態のプロセスにおいて、イミン官能性有機ケイ素化合物は、式
【0302】
【化66】
を有し、式中、各R
13は、独立して、1~18個の炭素原子のアルキル基及び6~18個の炭素原子のアリール基からなる群から選択され、R
Iは、式
【0303】
【化67】
の基であり、式中、Gは、2~8個の炭素原子を有する脂肪族不飽和を含まない二価炭化水素基であり、R
19は、1~18個の炭素原子のアルキル基、6~18個の炭素原子のアリール基、及び有機ケイ素部分からなる群から選択される。
【0304】
第13の実施形態では、第12の実施形態のプロセスにおいて、各R13は、メチルであり、Gは、2、3、又は6個の炭素原子の二価炭化水素基であり、各R19は、1~4個の炭素原子のアルキル基である。
【0305】
第14の実施形態では、第2の実施形態のプロセスにおいて、アミノ官能性有機ケイ素化合物は、例えば、上で定義したように、加水分解に不安定である。
【0306】
第15の実施形態では、第14の実施形態のプロセスにおいて、アミノ官能性有機ケイ素化合物は、式
【0307】
【化68】
を有し、式中、各R
4は、独立して、1~18個の炭素原子のアルキル基及び6~18個の炭素原子のアリール基からなる群から選択され、各R
Nは、独立して選択される式
【0308】
【化69】
の一級アミノ基であり、式中、Gは、2~8個の炭素原子を有する脂肪族不飽和を含まない二価炭化水素基である。
【0309】
第16の実施形態では、第15の実施形態のプロセスにおいて、各R4は、メチルであり、RNは、アミノプロピル、アミノブチル、及びアミノヘプチルからなる群から選択される。
【0310】
第17の実施形態では、第14の実施形態のプロセスにおいて、アミノ官能性有機ケイ素化合物は、式
【0311】
【化70】
を有し、式中、各R
13は、独立して、1~18個の炭素原子のアルキル基及び6~18個の炭素原子のアリール基からなる群から選択され、R
Nは、式
【0312】
【化71】
の一級アミノ基であり、式中、Gは、2~8個の炭素原子を有する脂肪族不飽和を含まない二価炭化水素基である。
【0313】
第18の実施形態では、第17の実施形態のプロセスにおいて、各R13は、メチルであり、RNは、アミノプロピル、アミノブチル、及びアミノヘプチルからなる群から選択される。
【手続補正書】
【提出日】2024-06-03
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
イミン官能性有機ケイ素化合物を調製するためのプロセスであって、前記プロセスが、
I)脱水イミン生成反応をもたらす条件下で、出発材料を化合させることであって、出発材料が、
1分子当たり、ケイ素に共有結合した少なくとも1つのアルデヒド官能基を有するアルデヒド官能性有機ケイ素化合物であって、ケイ素に共有結合した前記アルデヒド官能基が、式
【化1】
を有し、式中、Gは、2~8個の炭素原子を有する脂肪族不飽和を含まない二価炭化水素基である、アルデヒド官能性有機ケイ素化合物と、
一級アミン源と、
任意選択的に、溶媒と、
任意選択的に、水素化触媒と、を含み、
それによって、イミン官能性有機ケイ素化合物及び水を含む反応生成物を形成し、
ただし、工程I)で前記水素化触媒が存在する場合、工程I)が水素の非存在下で実施されることを条件とする、化合させることと、
任意選択的に、II)工程I)における前記脱水イミン生成反応によって生成された水を除去することと、
任意選択的に、前記イミン官能性有機ケイ素化合物を単離することと、を含む、プロセス。
【請求項2】
アミノ官能性有機ケイ素化合物を調製するためのプロセスであって、前記プロセスが、
請求項1に記載のプロセスを実施することによって、前記イミン官能性有機ケイ素化合物を調製することと、
III)還元的アミノ化反応に触媒作用を及ぼす条件下で、出発材料を化合させることであって、出発材料が、
前記イミン官能性有機ケイ素化合物と、
アンモニアと、
水素と、
任意選択的に、前記水素化触媒と、
任意選択的に、前記溶媒と、を含み、
ただし、前記水素化触媒が、工程I)及び工程III)のうちの少なくとも1つに存在することを条件とし、
それによって、前記アミノ官能性有機ケイ素化合物を含む反応生成物を形成する、化合させることと、を含む、プロセス。
【請求項3】
工程I)の前に、ヒドロホルミル化反応に触媒作用を及ぼす条件下で、出発材料を化合させることを含むプロセスによって、前記アルデヒド官能性有機ケイ素化合物を形成することを更に含み、出発材料が、
(A)水素及び一酸化炭素を含むガスと、
(B)アルケニル官能性有機ケイ素化合物と、
(C)ロジウム/ビスホスファイト配位子錯体触媒と、を含み、前記ビスホスファイト配位子が、式
【化2】
を有し、式中、
R
6及びR
6’が、各々独立して、水素、1~20個の炭素原子のアルキル基、シアノ基、ハロゲン基、及び1~20個の炭素原子のアルコキシ基からなる群から選択され、
R
7及びR
7’が、各々独立して、3~20個の炭素原子のアルキル基、及び式-SiR
17
3の基からなる群から選択され、式中、各R
17が、独立して選択される1~20個の炭素原子の一価の炭化水素基であり、
R
8、R
8’、R
9、及びR
9’が、各々独立して、水素、アルキル基、シアノ基、ハロゲン基、及びアルコキシ基からなる群から選択され、
R
10、R
10’、R
11、及びR
11’が、各々独立して、水素又は及びアルキル基からなる群から選択され、それによって、前記アルデヒド官能性有機ケイ素化合物を含むヒドロホルミル化反応生成物を形成する、請求項1又は2に記載のプロセス。
【請求項4】
工程I)の前に、前記アルデヒド官能性有機ケイ素化合物を回収することを更に含む、請求項1又は2に記載のプロセス。
【請求項5】
前記一級アミン源が、
式:R
18NH
2(式中、R
18は、1~18個の炭素原子のアルキル基又は6~18個の炭素原子のアリール基である)の有機一級アミン、及び
一級アミノ官能性有機ケイ素化合物、からなる群から選択される、請求項1又は2に記載のプロセス。
【請求項6】
前記水素化触媒が、Co、Cu、Fe、Ni、Ir、Pd、Pt、Rh、Ru、及びこれらのうちの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される金属を含む、不均一系水素化触媒である、請求項1又は2に記載のプロセス。
【請求項7】
前記水素化触媒の量が、前記アルデヒド官能性有機ケイ素化合物の重量に基づいて、1重量%未満~50重量%である、請求項1又は2に記載のプロセス。
【請求項8】
工程III)で、条件(i)及び(ii)のうちの一方又は両方が満たされ、条件(i)が、H
2圧力が10psig(68.9kPa)~1500psig(10,342kPa)であることであり、条件(ii)が、温度が0℃~200℃であることである、請求項2に記載のプロセス。
【請求項9】
工程III)の前に、前記水素化触媒を前処理することを更に含む、請求項2又は8に記載のプロセス。
【請求項10】
IV)工程III)の最中及び/又は後に、前記反応生成物から前記アミノ官能性有機ケイ素化合物を回収することを更に含む、請求項2又は8に記載のプロセス。
【請求項11】
V)工程III)で生成された前記一級アミン源を回収し、任意選択的に、工程I)で前記一級アミン源を再利用することを更に含む、請求項2又は8に記載のプロセス。
【請求項12】
工程III)が、連続モードで、任意選択的にトリクルベッド反応器において実施される、請求項2又は8に記載のプロセス。
【請求項13】
工程II)が存在し、工程II)が、工程I)の前及び/又は最中に実施される、請求項1又は2に記載のプロセス。
【請求項14】
前記アルデヒド官能性有機ケイ素化合物が、120℃未満の温度で水と反応する、請求項13に記載のプロセス。
【請求項15】
請求項5に記載のプロセスによって調製されたイミン官能性有機ケイ素化合物であって、前記イミン官能性有機ケイ素化合物が、1分子当たり、ケイ素に共有結合した少なくとも1つのイミン官能基を有し、前記ケイ素に共有結合したイミン官能基が、式
【化3】
を有し、式中、Gは、2~8個の炭素原子を有する脂肪族不飽和を含まない前記二価炭化水素基であり、R
19は、有機一級アミンが前記一級アミン源として使用される場合、アルキル基又はアリール基から選択され、R
19は、前記アミノ官能性有機ケイ素化合物が前記一級アミン源として使用される場合、有機ケイ素部分である、イミン官能性有機ケイ素化合物。
【国際調査報告】