(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-04
(54)【発明の名称】医用撮像及び分析方法
(51)【国際特許分類】
A61B 6/03 20060101AFI20240927BHJP
A61B 6/46 20240101ALI20240927BHJP
【FI】
A61B6/03 560Z
A61B6/46 536
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024519375
(86)(22)【出願日】2022-09-29
(85)【翻訳文提出日】2024-04-11
(86)【国際出願番号】 EP2022077123
(87)【国際公開番号】W WO2023052509
(87)【国際公開日】2023-04-06
(32)【優先日】2021-10-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】110001690
【氏名又は名称】弁理士法人M&Sパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】デシュパンデ リシケーシュ ナーラーヤンラーオ
(72)【発明者】
【氏名】ビューロウ トーマス
(72)【発明者】
【氏名】ザールバッハ アクセル
(72)【発明者】
【氏名】ハーダー ティム フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】ゴトマン ショロモ
(72)【発明者】
【氏名】コーツェル エドナ
【テーマコード(参考)】
4C093
【Fターム(参考)】
4C093AA22
4C093CA17
4C093FF16
4C093FF21
4C093FF28
(57)【要約】
調査撮像データを分析するための方法が提供される。方法は、第1のFOVをカバーする第1の撮像プロトコルを用いて第1の画像データを取得するステップと、標的の解剖学的構造の少なくとも一部を検出するために解剖学的分析プログラム又はルーチンを用いてデータを処理するステップと、標的の解剖学的構造が第1のFOV内で完全にカバーされているかどうかを判定するように適合されたカバレッジチェックを実行するステップとを有する。続いて、第2の画像が、第2のFOVを定義する第2の撮像プロトコルに従って取得される。第2の撮像プロトコルは、第1の撮像プロトコルと同じであるが、カバレッジチェックの結果が後に使用するために記憶され、第2の画像データにリンクされるか、第1の撮像プロトコルと異なり、カバレッジチェックの結果がユーザインターフェースに出力され、それに応答するユーザ入力が第2のスキャンプロトコルを決定するために使用されるか、又は第1の撮像プロトコルと異なり、調整された第2のスキャンプロトコルが自動的に決定される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医用撮像装置から患者の解剖学的構造の第1の画像データを受信するステップであって、前記第1の画像データが2D又は3D画像データであり、前記第1の画像データが前記医用撮像装置のスキャンパラメータの第1のセットを含む第1のスキャンプロトコルに従って取得されたデータであり、前記第1のスキャンプロトコルが第1のFOVをカバーする画像データの取得のためのものである、ステップと、
前記画像データ内の定義された標的の解剖学的構造の少なくとも一部を検出するために解剖学的画像分析を前記第1の画像データに適用するステップと、
前記定義された標的の解剖学的構造が前記第1の画像データ内に完全に含まれているかどうかを前記画像分析から判定することを有するカバレッジチェックを実行するステップと、
前記カバレッジチェックの結果のデータ表現を生成するステップと、
前記撮像装置のスキャンパラメータの第2のセットを定義する第2のスキャンプロトコルを決定するステップであって、前記第2のスキャンプロトコルが第2のFOVをカバーする画像データを取得するためのものであり、前記第2のFOVが前記第1のFOVと同じであるか又は異なる、ステップと、
前記カバレッジチェックの結果の指示を表示するようにユーザインターフェースを制御するステップと、
前記カバレッジチェックの表示に続いて前記ユーザインターフェースからユーザ入力を受信するステップであって、前記第2のスキャンプロトコルの前記第2のFOVが前記ユーザ入力に依存して決定される、ステップと、
前記第2のスキャンプロトコルに従って前記患者の解剖学的構造の第2の画像データを取得するステップであって、前記第2の画像データが前記第2のFOVをカバーし、前記第2の画像データが2D又は3D画像データである、ステップと
を有する、コンピュータ実施方法。
【請求項2】
前記カバレッジチェックの前記結果の前記データ表現が、前記カバレッジチェックの前記結果を記憶するためのデータストアに通信され、前記第2の画像データが、前記カバレッジチェックの前記結果に関連付けられて、同じ又は異なるデータストアに記憶される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記方法が、
前記カバレッジチェックの否定的な結果に応答して、拡張されたFOVを取得するために前記第1のスキャンプロトコルに対する提案された調整を決定するステップであって、前記提案された調整が前記解剖学的画像分析に基づく、ステップと、
前記第2のFOVが前記拡張されたFOVとして設定されるように、前記提案された調整された第1のスキャンプロトコルに従って前記第2のスキャンプロトコルを設定するステップか、又は
前記第1のスキャンプロトコルに対する前記提案された調整、及び/若しくは前記提案された拡張されたFOVを、前記ユーザインターフェースに通信するステップ
のいずれかのステップと
をさらに有する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記FOVの少なくとも1つの境界を越える前記標的の解剖学的構造の空間的拡張を推定するために前記解剖学的画像分析を適用するステップをさらに有し、オプションで、前記空間的拡張の視覚的表現を表示するためにユーザインターフェースを制御するステップをさらに有する、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記カバレッジチェックが、前記FOVを越える前記標的の解剖学的構造の前記空間的拡張に基づいて、前記標的の解剖学的構造を完全にカバーする拡張されたFOVを取得するための前記第1のスキャンプロトコルに対する提案された調整を決定することを有し、
オプションで、前記第2のスキャンプロトコルは、前記第2のFOVが前記拡張されたFOVとして設定されるよう決定される、
請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記第1のスキャンプロトコルに対する前記提案された調整及び/又は前記提案された拡張されたFOVの表現を表示するためにユーザインターフェースを制御するステップと、
ユーザの承認を要求するプロンプトを前記ユーザインターフェース上に生成するステップと、
承認又は非承認を示すユーザ入力を前記ユーザインターフェースから受信するステップと、
承認を示すユーザ入力の受信にのみ応答して、前記拡張されたFOVにわたって、前記提案された調整されたスキャンプロトコルに従って第2の画像データを取得するステップと
を有する、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記第1の画像データのレンダリングされたビューに対して前記提案された拡張されたFOVの視覚的表現を表示するようにユーザインターフェースを制御するステップと、
ユーザ制御の動作を介して、前記提案された拡張されたFOVの承認を示すユーザ入力のプロンプト、又は前記提案された拡張されたFOVへの修正を示すユーザ入力のプロンプトを生成するように前記ユーザインターフェースを制御するステップと、
前記ユーザインターフェースからのユーザ承認の受信に応答して、前記第2のFOVが前記拡張されたFOVとして設定されるように前記第2のスキャンプロトコルを決定するステップか、又は
前記第2のFOVがユーザ修正されたFOVとして設定されるように前記第2のスキャンプロトコルを決定するステップであって、前記ユーザ修正されたFOVが前記拡張されたFOVへの修正を示す受信されたユーザ入力に基づいて定義される、ステップと
をさらに有する、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記FOVの外側の前記標的の解剖学的構造の前記空間的拡張を推定するステップが、前記FOVの外側にある前記標的の解剖学的構造の少なくとも一部の境界の輪郭を推定するステップを有し、前記方法が、ユーザインターフェースのディスプレイ上に前記第1の画像データに対する前記輪郭の視覚的描写を生成するステップをさらに有する、請求項5から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記第1及び第2のスキャンプロトコルの前記スキャンパラメータが、前記医用撮像装置の少なくとも1つのスキャン軸に沿ったスキャン範囲の境界を含み、前記第1のFOV及び前記第2のFOVが、各々、前記スキャン範囲の前記境界によって少なくとも部分的に定義される、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記データ表現が、前記カバレッジチェックの前記結果を記憶するためのデータストアに通信され、
前記方法が、前記画像データに関連付けられた前記カバレッジチェックの前記結果に基づいて、取得された前記第2の画像データの品質指標を導出するステップを有する品質評価を実行するステップをさらに有する、
請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記カバレッジチェックを実行することが、機械学習モデルの適用を含み、前記機械学習モデルが、
解剖学的物体の一部のみを表す画像データを入力として受信し、
前記画像データのフィールドの外側の前記解剖学的物体の残りの部分の少なくとも寸法範囲の推定値を出力として生成する、及び/又は
前記画像データのフィールドの外側の前記解剖学的物体の前記残りの部分の境界の推定値を出力として生成する、
請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記機械学習モデルは、
画像が前記解剖学的物体の一部のみを示すように前記画像の一部が除去された解剖学的構造のクロップされた画像を含む、前記モデルのための第1のデータ入力と、
前記解剖学的物体の全体を示す前記画像の第2のクロップされていないバージョンのボクセルに対する少なくともボクセルごとの解剖学的ラベリングを含む、前記モデルのためのグラウンドトゥルースと
を各々が含むトレーニングデータエントリを使用してトレーニングされる、
請求項11に記載の方法。
【請求項13】
プロセッサによって実行されると、前記プロセッサが医用撮像装置に動作可能に結合され、前記プロセッサに請求項1から12のいずれか一項に記載の方法を実行させるように構成されたコード手段を備えるコンピュータプログラム。
【請求項14】
使用時に医用撮像装置に接続するための入力/出力と、
1つ又は複数のプロセッサとを備え、前記1つ又は複数のプロセッサが、
前記入力/出力において、前記医用撮像装置から患者の解剖学的構造の第1の画像データを受信することであって、前記第1の画像データが2D又は3D画像データであり、前記第1の画像データが前記撮像装置のスキャンパラメータの第1のセットを含む第1のスキャンプロトコルに従って取得されたデータであり、前記第1のスキャンプロトコルが第1のFOVをカバーする画像データの取得のためのものである、ことと、
前記画像データ内の定義された標的の解剖学的構造の少なくとも一部を検出するために解剖学的画像分析を前記第1の画像データに適用することと、
前記定義された標的の解剖学的構造が前記第1の画像データ内に完全に含まれているかどうかを前記画像分析から判定することを含む、カバレッジチェックを実行することと、
前記カバレッジチェックの結果のデータ表現を生成することと、
前記撮像装置のスキャンパラメータの第2のセットを定義する第2のスキャンプロトコルを決定することであって、前記第2のスキャンプロトコルが第2のFOVをカバーする画像データを取得するためのものであり、前記第2のFOVが前記第1のFOVと同じであるか又は異なる、ことと、
前記カバレッジチェックの前記結果の指示を表示するようにユーザインターフェースを制御することと、
前記カバレッジチェックの表示に続いて前記ユーザインターフェースからユーザ入力を受信することであって、前記第2のスキャンプロトコルの前記第2のFOVが前記ユーザ入力に依存して決定される、ことと、
前記入力/出力において、前記第2のスキャンプロトコルに従って前記患者の解剖学的構造の第2の画像データを取得するように前記撮像装置を制御するための制御信号を出力することであって、前記第2の画像データが前記第2のFOVをカバーし、前記第2の画像データが2D又は3D画像データである、出力することと
を行うように適合される、
処理機器。
【請求項15】
医用撮像装置と、
請求項14に記載の処理機器と
を備えるシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医用撮像手順内で調査画像データを分析するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
医用撮像では、臨床スキャンの計画が、最初のSurview(「調査ビュー」)スキャンに部分的に基づいてルーチン的に実行される。調査スキャンは、典型的には、フルスキャンよりも低い解像度であり、したがって、比較的迅速にキャプチャすることができ、(照射モダリティの場合)患者に対して、より低い放射線量を適用する。次いで、調査スキャンは、例えば、使用されるスキャン範囲の境界を含む、後続の診断スキャンで従うスキャンプロトコルのパラメータを設定するために使用することができる。
【0003】
調査スキャンがルーチン的に使用される医用撮像モダリティの1つは、コンピュータ断層撮影(CT)撮像(例えば、X線CT撮像)である。
【0004】
CT撮像では、デュアル2D調査撮像(正面及び側面)に加えて、最新技術では、典型的なフル3Dスキャンよりも大幅に低い線量で3D調査画像を取得することも可能である。検討中の解剖学的構造に応じて、標的の解剖学的構造が取得した視野(FOV)内で完全にカバーされていることを保証するために、調査画像内の特定の解剖学的ランドマークを基準としてスキャンを計画する必要がある。
【0005】
患者の位置決め及びFOV構成は、画質に直接影響し、したがって取得された画像の診断的価値に影響する。標的の解剖学的構造を正しく画像化するためにスキャンパラメータを正確に計画することは、依然として困難で時間のかかる作業であり、資格のある技術者を必要とする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
2D又は3D調査画像が所与のFOV内で標的の解剖学的構造を完全にカバーしていない場合、スキャンの開始位置及び終了位置は、後続の診断スキャンにおいて完全な解剖学的構造をキャプチャしようとするために、頭の中での推定に基づいて、技術者によって手動で調整される必要がある。これは、本質的にエラーを起こしやすい。推定のエラー、又は取得ガイドラインからの逸脱は、解剖学的構造の一部が欠落した標的の解剖学的構造の不完全な画像など、重大な品質不足につながる可能性がある。標的の解剖学的構造が画像化されたFOV内で完全にカバーされていない場合、診断画像スキャンは、例えば、解剖学的構造の欠落したエリアが病変を含む場合、誤った診断を引き起こす可能性がある。さらに、非効率的で患者の線量を増加させる再検査が必要になる。
【0007】
説明のために、
図1は、標的の解剖学的構造の一部が画像化された視野の外側にあるCT画像のいくつかの例を示す。
図1(a)は、頭部の部分的に画像化したビューを示し、
図1(b)は、肺の上部領域がFOVから除外された胸部の画像を示し、
図1(c)は、画像FOVの外側に下部骨盤エリアがある骨盤の画像を示す。
【0008】
Zhang Leら:「Semi-supervised Assessment of Incomplete LV Coverage in Cardiac MRI Using Generative Adversarial Nets」[2017年9月26日、Advances in Biometrcis:International Conference、ICB 2007、ソウル、韓国、2007年8月27~29日;Proceedings;Lecture Notes in Computer Science;Springer、ベルリン、ハイデルベルク、61~68頁、XP047449037、ISBN:978-3-540-74549-5]は、敵対的生成ネットワークを使用することによって心臓磁気共鳴画像から左心室のカバレッジをチェックする半教師あり方法について説明している。
【0009】
上記で特定した問題のうちの1つ又は複数に対処することができる技術的解決策は、価値がある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、特許請求の範囲によって定義される。
【0011】
本発明の一態様による例によれば、
医用撮像装置から患者の解剖学的構造の第1の画像データを受信するステップであって、第1の画像データが2D又は3D画像データであり、第1の画像データが撮像装置のスキャンパラメータの第1のセットを含む第1のスキャンプロトコルに従って取得されたデータであり、第1のスキャンプロトコルが第1のFOVをカバーする画像データの取得のためのものである、ステップと、
第1の画像データ内の定義された標的の解剖学的構造の少なくとも一部を検出するために解剖学的画像分析を第1の画像データに適用するステップと、
定義された標的の解剖学的構造が第1の画像データ内に完全に含まれているかどうかを画像分析から判定するステップを有するカバレッジチェックを実行するステップと、
カバレッジチェックの結果のデータ表現を生成するステップと、
撮像装置のスキャンパラメータの第2のセットを定義する第2のスキャンプロトコルを決定するステップであって、第2のスキャンプロトコルが第2のFOVをカバーする画像データを取得するためのものであり、第2のFOVが第1のFOVと同じであるか又は異なる、ステップと、
カバレッジチェックの結果の指示を表示するようにユーザインターフェースを制御するステップであって、方法が、カバレッジチェックの表示に続いてユーザインターフェースからユーザ入力を受信するステップをさらに含み、第2のスキャンプロトコルの第2のFOVがユーザ入力に依存して決定される、ステップと、
第2のスキャンプロトコルに従って患者の解剖学的構造の第2の画像データを取得するステップであって、第2の画像データが第2のFOVをカバーし、第2の画像データが2D又は3D画像データである、ステップと
を有するコンピュータ実施方法が提供される。
【0012】
したがって、本発明の実施形態は、調査スキャンデータであり得る第1の撮像データを取得し、標的の解剖学的構造を識別するためにデータを解剖学的分析手順で処理することに基づく。このことから、事前定義された標的の解剖学的構造が画像データ内で完全にカバーされているかどうか(すなわち、第1のFOVが標的の解剖学的構造の全体を完全にカバーしているかどうか、又は一部が欠落しているかどうか)についてチェックを実行することができる。次いで、カバレッジチェックの結果は、以下でさらに概説するように、様々な態様で使用することができる。次いで、カバレッジチェックの結果に応じて調整される場合もあれば調整されない場合もある第2のスキャンプロトコルを有する第2の画像データがその後に適用される。ユーザ入力は、第1のスキャンプロトコルと同一の第2のスキャンプロトコルを継続するという指示とすることができ、又は例えばスキャンプロトコルを調整するための指示とすることができる。
【0013】
方法は、2D画像データと3D画像データの両方に適用可能である。いくつかの例において、第1及び第2の画像データは、両方とも3D(すなわちボリューム測定)画像データ、例えば断層撮影画像データ、例えばCT又はMRI画像データとすることができる。いくつかの例において、第1及び第2の画像データは、両方とも2D画像データ、例えばX線又は超音波画像データとすることができる。いくつかの例において、第1の画像データは、2D画像データとすることができ、第2画像データは、3D画像データとすることができ、例えば、第1の画像データは、3D又はボリューム測定撮像装置を使用して取得された2Dスライスである。
【0014】
標的の解剖学的構造は、単一の解剖学的物体(臓器など)、解剖学的物体の一部、又は複数の解剖学的物体を包含する解剖学的領域とすることができる。
【0015】
第1の画像データは、例えば調査スキャンからの画像データである。第2の画像データは、臨床/診断スキャンからのデータである。第1の画像データは、第2画像データよりも低い空間解像度を有し得る。第1の画像データは、第2の画像データよりも少ない量のデータを含み得る。
【0016】
方法がカバレッジチェックの実行後に進む少なくとも3つの態様が存在し、これらについて簡単に概説する。
【0017】
第2の態様によれば、カバレッジチェックの結果のデータ表現は、カバレッジチェックの結果を記憶するためのデータストアに通信され、第2の画像データは、カバレッジチェックの結果に関連付けられて、同じ又は異なるデータストアに記憶される。
【0018】
第3の態様によれば、方法は、カバレッジチェックの否定的な結果に応答して、拡張されたFOVを取得するために第1のスキャンプロトコルに対する提案された調整を決定するステップであって、提案された調整が解剖学的画像分析に基づく、ステップと、次いで、
第2のFOVが拡張されたFOVとして設定されるように、提案された調整された第1のスキャンプロトコルに従って第2のスキャンプロトコルを設定するステップか、又は
第1のスキャンプロトコルに対する提案された調整及び/若しくは提案された拡張されたFOVをユーザインターフェースに通信するステップ
とをさらに有する。
【0019】
カバレッジチェック後の方法の流れに関するこれらの異なるオプションは、必ずしも相互に排他的ではなく、2つ以上の特徴を組み合わせることができることに留意されたい。例えば、カバレッジチェックの結果は、結果をユーザインターフェースに出力すること及び/又は調整されたスキャンプロトコルを決定することに加えて、記憶することができる。
【0020】
少なくとも1つのセットの実施形態によれば、方法は、解剖学的構造の少なくとも一部の空間的拡張、又は解剖学的構造の少なくとも一部の境界を識別するために、解剖学的画像分析を適用するステップを有する。
【0021】
空間的拡張は、標的の解剖学的構造のボリュームの寸法、又は画像の第1の画像データ内にキャプチャされた解剖学的構造の断面平面の寸法を意味する。
【0022】
解剖学的画像分析は、画像セグメンテーションを含む場合があり、これは、事前定義された解剖学的物体又は特徴の境界を識別する動作、又は解剖学的物体又は特徴の少なくとも一部によって占められる画像データの領域(2D/3D領域)を識別する動作を意味する。
【0023】
いくつかの実施形態において、方法は、FOVの少なくとも1つの境界を越える標的の解剖学的構造の空間的拡張を推定するために解剖学的画像分析を適用するステップをさらに有する。いくつかの例において、方法は、前記空間的拡張の視覚的表現を表示するためにユーザインターフェースを制御するステップをさらに有する。例えば、方法は、空間的拡張、例えば、FOV又は標的の解剖学的構造に対する1つ又は複数の方向若しくは寸法における長さ、例えば、画像化された解剖学的構造に対して上位方向及び/又は下位方向における長さを推定するステップを有する。
【0024】
いくつかの実施形態において、カバレッジチェックは、FOVを越える標的の解剖学的構造の空間的拡張に基づいて、標的の解剖学的構造を完全にカバーする拡張されたFOVを取得するための第1のスキャンプロトコルに対する提案された調整を決定することを含む。
【0025】
いくつかの実施形態において、第2のスキャンプロトコルは、第2のFOVが拡張されたFOVとして設定されるよう決定される。
【0026】
いくつかの実施形態において、方法は、第1のスキャンプロトコルに対する提案された調整及び/又は提案された拡張されたFOVの表現を表示するためにユーザインターフェースを制御するステップと、ユーザの承認を要求するプロンプトをユーザインターフェース上に生成するステップと、承認又は非承認を示すユーザ入力をユーザインターフェースから受信するステップと、承認を示すユーザ入力の受信にのみ応答して、拡張されたFOVにまたがり、提案された調整されたスキャンプロトコルに従って第2の画像データを取得するステップとを有する。
【0027】
言い換えれば、提案された調整は、ユーザによる確認のためにユーザインターフェースに送信され、その後、ユーザが承認を示す場合にのみ第2のスキャンに利用される。
【0028】
いくつかの実施形態において、方法は、第1の画像データのレンダリングされたビューに対して提案された拡張されたFOVの視覚的表現(例えば、第1の画像データの上に重ねられた拡張されたFOVの境界の輪郭)を表示するようにユーザインターフェースを制御するステップと、ユーザ制御の動作を介して、提案された拡張されたFOVの承認を示すユーザ入力のプロンプト、又は提案された拡張されたFOVへの修正を示すユーザ入力のプロンプトを生成するようにユーザインターフェースを制御するステップとを有する。次いで、方法は、ユーザインターフェースからのユーザ承認の受信に応答して、第2のFOVが拡張されたFOVとして設定されるように第2のスキャンプロトコルを決定するステップか、又は第2のFOVがユーザ修正されたFOVとして設定されるように第2のスキャンプロトコルを決定するステップであって、ユーザ修正されたFOVが拡張されたFOVへの修正を示す受信されたユーザ入力に基づいて定義される、ステップをさらに有する。
【0029】
スキャンパラメータは、医用撮像装置の少なくとも1つのスキャン軸に沿ったスキャン範囲の境界を含み、FOVは、前記スキャン範囲の境界によって少なくとも部分的に定義される。言い換えれば、FOVの調整は、スキャン範囲を調整することによって達成することができる。特定の実施形態による方法によって生成される第1のスキャンプロトコルに対する提案された調整は、1つ又は複数のスキャン軸に沿ったスキャン範囲の境界に対する提案された調整を含む。
【0030】
FOVの外側の標的の解剖学的構造の空間的拡張を推定する上述したステップは、FOVの外側にある標的の解剖学的構造の少なくとも一部の境界の輪郭を推定するステップを有する。方法は、ユーザインターフェースのディスプレイ上に第1の画像データに対する前記輪郭の視覚的描写を生成するステップをさらに有する。
【0031】
本発明の任意の実施形態によれば、第1及び第2のスキャンプロトコルのスキャンパラメータは、医用撮像装置の少なくとも1つのスキャン軸に沿ったスキャン範囲の境界を含み、第1のFOV及び第2のFOVは、各々、前記スキャン範囲の境界によって少なくとも部分的に定義される。
【0032】
第1及び第2のスキャンプロトコルのスキャンパラメータは、医用撮像装置に対する対象者/患者の解剖学的構造の物理的配置をさらに含む。例えば、これは、(例えば、MRI又はCTイメージングの場合)撮像装置に対する対象者支持体、テーブル、又はカウチの物理的位置決めを含む。他の場合、例えば、X線又は超音波イメージングの場合、患者に対する撮像装置又はプローブの物理的配置を含むことができる。
【0033】
第1のスキャンプロトコルに対する提案された調整は、少なくとも1つのスキャン軸に沿ったスキャン範囲の前記境界に対する提案された調整を含む。言い換えれば、スキャン範囲の開始及び/又は終了に対する調整を含む。スキャン範囲は、医用撮像装置の回転軸の周りの角度範囲を含む。スキャン範囲は、医用撮像装置の軸方向に沿った軸範囲を含む。
【0034】
いくつかの実施形態において、データ表現は、カバレッジチェックの結果を記憶するためのデータストアに通信され、方法は、画像データに関連付けられたカバレッジチェックの結果に基づいて、取得された第2の画像データの品質指標を導出するステップを有する品質評価を実行するステップをさらに有する。
【0035】
画像分析動作には様々なオプションが存在する。いくつかの実施形態において、画像分析動作は、解剖学的画像セグメンテーションを適用する。
【0036】
いくつかの例において、画像分析動作及び/又はカバレッジチェックを実行することは、機械学習モデルの適用を含む。
【0037】
いくつかの実施形態において、機械学習モデルは、解剖学的物体の一部のみを表す画像データを入力として受信し、
画像データのフィールドの外側の解剖学的物体の残りの部分の少なくとも寸法範囲の推定値を出力として生成する、及び/又は
画像データのフィールドの外側の解剖学的物体の残りの部分の境界の推定値を出力として生成する
ように構成される。
【0038】
モデルは、解剖学的物体のクロップされた画像を含むトレーニングデータを用いてトレーニングされる。例えば、機械学習モデルは、
画像が解剖学的物体の一部のみを示すように画像の一部が除去された解剖学的構造の第1のクロップされた画像を含む、モデルのための第1のデータ入力と、
解剖学的物体の全体を示す前記画像の第2のクロップされていないバージョンのボクセルに対する少なくともボクセルごとの解剖学的ラベリングを含む、モデルのためのグラウンドトゥルースと
を各々が含むトレーニングデータエントリを使用してトレーニングされる。
【0039】
言い換えれば、モデルのためのグラウンドトゥルースは、第1の画像のシミュレート/クロップされた視野の外側であっても、ラベル付けされた解剖学的ボクセルを含む。
【0040】
言い換えれば、トレーニングデータエントリは、各々、対象の解剖学的構造の全体をカバーする画像のバージョン、並びに対象の解剖学的構造の一部のみをカバーする同じ画像のバージョンと、視野の外側のラベル付けされた解剖学的ボクセルを有する画像のボクセルごとの注釈とを含む。
【0041】
標的の解剖学的構造の一部がFOVの外側にあるようにシミュレートされている場合であっても、グラウンドトゥルースは、解剖学的構造全体のボクセルごとの注釈を依然として含む。
【0042】
ボクセルについて上記で言及したが、画像は、2Dである場合もあり、その場合、画像は、ボクセルの代わりにピクセルを含む。
【0043】
クロップされた画像は、不完全な画像又は部分的な画像を意味する。
【0044】
本発明の別の態様は、使用時に医用撮像装置に接続するための入力/出力と、1つ又は複数のプロセッサとを備える処理機器を提供する。1つ又は複数のプロセッサは、
入力/出力において、医用撮像装置から患者の解剖学的構造の第1の画像データを受信することであって、第1の画像データが2D又は3D画像データであり、第1の画像データが撮像装置のスキャンパラメータの第1のセットを含む第1のスキャンプロトコルに従って取得されたデータであり、第1のスキャンプロトコルが第1のFOVをカバーする画像データの取得のためのものである、第1の画像データを受信することと、
第1の画像データ内の定義された標的の解剖学的構造の少なくとも一部を検出するために解剖学的画像分析を第1の画像データに適用することと、
定義された標的の解剖学的構造が第1の画像データ内に完全に含まれているかどうかを画像分析から判定することを含む、カバレッジチェックを実行することと、
カバレッジチェックの結果のデータ表現を生成することと、
撮像装置のスキャンパラメータの第2のセットを定義する第2のスキャンプロトコルを決定することであって、第2のスキャンプロトコルが第2のFOVをカバーする画像データを取得するためのものであり、第2のFOVが第1のFOVと同じであるか又は異なる、第2のスキャンプロトコルを決定することと、
カバレッジチェックの結果の指示を表示するようにユーザインターフェースを制御することと、
カバレッジチェックの表示に続いてユーザインターフェースからユーザ入力を受信することであって、第2のスキャンプロトコルの第2のFOVがユーザ入力に依存して決定される、ユーザ入力を受信することと、
入力/出力において、第2のスキャンプロトコルに従って患者の解剖学的構造の第2の画像データを取得するように撮像装置を制御するための制御信号を出力することであって、第2の画像データが第2のFOVをカバーし、第2の画像データが2D又は3D画像データである、制御信号を出力することと
を行うように適合される。
【0045】
本発明のさらなる態様は、医用撮像装置と、上記で概説した任意の例若しくは実施形態による、又は本出願の任意の請求項による処理機器とを備えるシステムを提供する。
【0046】
いくつかの実施形態によれば、医用撮像装置は、X線CT撮像装置又はMRI撮像装置などの断層撮影撮像装置である。
【0047】
本発明のこれら及び他の態様は、以下に説明する実施形態を参照して明らかとなり、説明される。
【0048】
本発明のよりよい理解のために、また本発明がどのように実施されるかをより明確に示すために、ここで、例としてのみ、添付図面を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【
図1】標的の解剖学的構造の不完全な画像化につながる、誤って配置されたFOVを用いて取得された医用画像の例を示す図である。
【
図3】本発明の1つ又は複数の実施形態による例示的なシステム及び処理機器を示す図である。
【
図4】解剖学的カバレッジチェックの結果を、否定的な(非カバレッジ)結果を示すメッセージの形で表示する例示的なグラフィカルユーザインターフェース表示画面を示す図である。
【
図5】否定的な解剖学的カバレッジチェックに応答して、提案された調整されたFOVを表示する例示的なグラフィカルユーザインターフェース表示画面を示す図であって、提案された調整されたFOVが、初期画像データに対する拡張されたFOVの境界のグラフィカルに表示された輪郭の形態である、図である。
【
図6】第1のFOVの外側にある標的の解剖学的構造の境界の一部のセグメンテーションされた輪郭を追加で示すことを除いて、
図5と同じグラフィカルユーザインターフェース表示画面を示す図である。
【
図7】テキスト形式でリストされたFOV内に存在する様々な臓器の追加表示を伴う、
図5及び
図6と同じグラフィカルユーザインターフェース表示画面を示す図である。
【
図8】解剖学的カバレッジチェックを実行するために機械学習モデルをトレーニングするためのトレーニングデータの作成を示す図であって、トレーニングデータが、グラウンドトゥルース画像のクリップされたバージョンを含み、クリップされたバージョンが、描写された解剖学的構造の少なくとも一部を画像フィールドから除外するようにクリップされている、図である。
【
図9】解剖学的カバレッジチェックを実行するようにトレーニングされた機械学習アルゴリズムを適用した結果を示す図である。
【
図10】解剖学的カバレッジチェックを実行するようにトレーニングされた機械学習アルゴリズムを適用したさらなる結果を示す図であって、トレーニングが特にCTイメージングのためのものであった、図である。
【
図11】解剖学的カバレッジチェックを実行するようにトレーニングされた機械学習アルゴリズムを適用したさらなる結果を示す図であって、トレーニングが特にCTイメージングのためのものであった、図である。
【発明を実施するための形態】
【0050】
本発明について、図を参照して説明する。
【0051】
詳細な説明及び具体例は、装置、システム、及び方法の例示的な実施形態を示すが、例示のみを目的とするものであり、本発明の範囲を限定することを意図するものではないことが理解されるべきである。本発明の装置、システム、及び方法のこれら及び他の特徴、態様、及び利点は、以下の説明、添付の特許請求の範囲、及び添付図面からよりよく理解される。図は、単なる概略図であり、一定の縮尺で描かれていないことが理解されるべきである。同じ参照番号は、図全体を通じて同じ又は類似の部分を示すために使用されていることも理解されるべきである。
【0052】
本発明は、調査撮像データを分析するための方法を提供する。方法は、第1のFOVをカバーする第1のイメージングプロトコルを用いて第1の画像データを取得するステップと、標的の解剖学的構造の少なくとも一部を検出するために解剖学的分析プログラム又はルーチンを用いてデータを処理するステップと、標的の解剖学的構造が第1のFOV内で完全にカバーされているかどうかを判定するように適合されたカバレッジチェックを実行するステップとを有する。続いて、第2の画像が、第2のFOVを定義する第2の画像プロトコルに従って取得される。第2のイメージングプロトコルは、第1のイメージングプロトコルと同じであるが、カバレッジチェックの結果が後に使用するために記憶され、第2の画像データにリンクされるか、第1のイメージングプロトコルと異なり、カバレッジチェックの結果がユーザインターフェースに出力され、それに応答するユーザ入力が第2のスキャンプロトコルを決定するために使用されるか、又は第1のイメージングプロトコルと異なり、調整された第2のスキャンプロトコルが自動的に決定される。
【0053】
以下でさらに詳細に説明する本発明の様々な実施形態は、必須ではないが、以下の特徴のうちの1つ又は複数を含む。
【0054】
いくつかの実施形態において、提供されるシステム又は方法は、標的の解剖学的構造(標的の臓器など)がキャプチャ又は計画されたFOV内に完全にない場合に、ユーザに警告することを目的とする。これは、例えば深層学習人工ニューラルネットワークなどの機械学習アルゴリズムを使用して、画像分類手法を用いることによって達成することができる。分析は、2D又は3D調査ビュー画像に適用される。
【0055】
いくつかの実施形態において、提供されるシステム又は方法は、取得された画像データの境界を越えていたとしても、調査画像内にキャプチャされたFOVの外側の部分的に欠落した解剖学的構造の範囲を決定することを目的とする。システム又は方法は、診断画像データセットの取得前に解剖学的カバレッジを改善するように、撮像装置に対する推奨される患者の位置決め及び/又は推奨される画像取得パラメータ(1つ又は複数のスキャン次元におけるスキャン範囲の開始位置及び終了位置など)を生成する。
【0056】
いくつかの実施形態において、入力調査画像データに基づいて、画像セグメンテーション又は物体検出に基づく深層学習方法が臓器範囲の推定に使用される。
【0057】
本発明の実施形態は、複数の異なるイメージングモダリティに適用され、遡及的な画質評価などの追加の用途にも適用される。
【0058】
本発明の方法の実施形態は、医用撮像装置から画像データを受信するステップを有し、調整可能なFOVをカバーする画像データを取得するためのスキャンプロトコルを決定するステップを有する。
【0059】
本発明の概念の原理は、任意の特定のタイプの医用撮像装置での使用に限定されない。しかしながら、それらは、X線コンピュータ断層撮影(CT)スキャン及びMRIスキャンなどの断層撮影撮像に最も有利に適用可能である。本発明の実施形態は、2D画像データ及び/又は3D画像データに適用することができる。
【0060】
本発明の原理を説明するのを助けるために、例示的な医用撮像装置を
図2に示す。この図における撮像装置10は、X線コンピュータ断層撮影(CT)スキャナである。
【0061】
撮像装置10は、一般に固定ガントリ102と回転ガントリ104とを含む。回転ガントリ104は、固定ガントリ102によって回転可能に支持され、長手方向軸、アキシャル軸、又はZ軸を中心として検査領域の周りを回転する。
【0062】
カウチなどの患者支持体120は、検査領域内の人間の患者などの物体又は対象者を支持する。支持体120は、物体又は対象者をロード、スキャン、及び/又はアンロードするために、物体又は対象者を移動させるように構成される。支持体120は、軸方向に沿って移動可能であり、すなわち、Z軸又は長手方向軸の方向に沿って移動可能である。支持体を移動させることは、支持体に対する(したがって、支持体によって支持されている対象者に対する)回転ガントリの軸方向の位置を変化させる。
【0063】
X線管などの放射線源108は、回転ガントリ104によって回転可能に支持される。放射線源108は、回転ガントリ104と共に回転し、検査領域106を横切る放射線を放出する。
【0064】
放射線感知検出器アレイ110は、検査領域106を横切って放射線源108の反対側に角度円弧(angular arc)を描く。検出器アレイ110は、Z軸方向に沿って延在する検出器の1つ又は複数の行を含み、検査領域106を横切る放射線を検出し、それを示す投影データを生成する。
【0065】
ガントリ104の回転は、対象者に対するスキャナの角度又は回転位置を変化させ、Z軸に沿った支持体の移動は、対象者に対するスキャナの軸方向の位置を変化させる。
【0066】
典型的なスキャンは、スキャンプロトコルを用いて事前に構成される。スキャンプロトコルは、複数のスキャンパラメータを含む。スキャンパラメータは、とりわけ、スキャナのアキシャル軸及び回転軸に対するスキャンの空間範囲を定義する。例えば、スキャンパラメータは、撮像装置の軸のうちの1つ又は複数、例えば、回転軸とアキシャル軸の一方又は両方に沿ったスキャン範囲の境界(すなわち、開始点及び終了点)を含む。スキャン範囲は、スキャン中にイメージングデータが取得される視野(FOV)を定義する。スキャンパラメータは、典型的には、例えば、管電流、管電圧、スキャン空間解像度、スキャン時間解像度、ファン角度を含む多数の他のパラメータも含む。解像度パラメータは、ガントリ104の回転速度と、ガントリを通る支持体120の軸方向の移動速度とによって定義される。
【0067】
汎用コンピューティングシステム又はコンピュータは、オペレータコンソール112として機能し、マウス、キーボードなどの入力デバイス114と、ディスプレイモニタ、フィルマーなどの出力デバイス116とを含む。コンソール、入力デバイス、及び出力デバイスは、ユーザインターフェース10を形成する。コンソール112は、オペレータがシステム100の動作を制御することを可能にする。
【0068】
再構成装置118は、投影データを処理し、ボリューム画像データを再構成する。データは、出力デバイス116の1つ又は複数のディスプレイモニタを通して表示することができる。
【0069】
再構成装置118は、フィルタ補正逆投影(FBP)再構成、(画像領域及び/又は投影領域)低ノイズ再構成アルゴリズム(例えば、反復再構成)、及び/又は他のアルゴリズムを用いる。再構成装置118は、物理メモリ及び他の非一時的媒体などのコンピュータ可読記憶媒体上に符号化された又は埋め込まれたコンピュータ可読命令を実行するマイクロプロセッサを介して実施されることが理解されるべきである。追加的又は代替的に、マイクロプロセッサは、搬送波、信号、又は他の一時的(又は非一時的)媒体によって搬送されるコンピュータ可読命令を実行することができる。
【0070】
図3は、本発明の1つ又は複数の実施形態による例示的なシステム8のブロック図を示す。システムは、医用撮像装置10を使用する際に接続するための入力/出力(I/O)22又は通信モジュールを備える処理機器20を備え、以下で説明するコンピュータ実施方法のステップを実行するように適合された1つ又は複数のプロセッサ(「proc」)24をさらに備える。システムは、医用撮像装置を備え、又は医用撮像装置は、システムの外部にあり、システムと通信可能に結合される。
【0071】
システムは、処理装置20と通信可能に結合されたユーザインターフェース(UI)32をさらに備える。ユーザインターフェースは、ユーザに視覚的出力を表示するためのスクリーンを有するディスプレイを備える。ユーザインターフェースは、グラフィカルユーザインターフェースを提供する。ユーザインターフェースは、音響出力などの他の感覚出力を生成するための手段も含む。ユーザインターフェースは、表示画面と、ユーザ入力デバイスと、プロセッサとを備えるコンピュータコンソールである。表示画面は、タッチスクリーンディスプレイであり得、それによってユーザ入力デバイスを統合し得る。代替的には、ユーザ入力デバイスは、キーボード及び/又はポインタデバイス(例えば、マウスポインタ)を備える。
【0072】
図2を参照して上述したように、場合によっては、撮像装置10は、それ自体のユーザインターフェース30を備える。いくつかの例において、撮像装置のユーザインターフェースは、システムのユーザインターフェース32の役割を実行するために使用される。他の例において、システムは、それ自体のユーザインターフェースを備える。
【0073】
処理装置20は、それ自体によって本発明の一態様を形成する。処理装置が実施するように構成された前述のコンピュータ実施方法も、本発明の別の独立した態様を形成する。
【0074】
本発明の実施形態の少なくとも1つのセットによる例示的なコンピュータ実施方法について、その方法の特徴及び異なる可能な実施形態をさらに説明する前に、要約して概説する。
【0075】
方法は、医用撮像装置10から患者の解剖学的構造の第1の画像データを受信するステップを有し、第1の画像データは、2D又は3D画像データである。第1の画像データは、撮像装置のスキャンパラメータの第1のセットを含む第1のスキャンプロトコルに従って取得されたデータである。第1のスキャンプロトコルは、第1の視野(FOV)をカバーする画像データの取得をもたらすように適合される。言い換えれば、第1のスキャンプロトコルのスキャンパラメータの第1のセットは、撮像装置に第1のFOVにわたる画像データを取得させる。このコンテキストにおけるFOVは、画像データが取得されるエリアを意味する。したがって、受信される第1の画像データは、この例では第1のFOVのみの画像データから構成される。典型的には、スキャンプロトコルのスキャンパラメータは、医用撮像装置の少なくとも1つのスキャン軸に沿った、例えば、
図2を参照して前述したアキシャル軸若しくは長手方向軸、及び/又は回転軸に沿ったスキャン範囲の定義された境界を含む。スキャン範囲は、典型的には、データが取得されるFOVを少なくとも部分的に定義する。FOVは、一般に、撮像装置に対して、例えば、撮像装置の座標系に対して定義されるFOVを意味する。
【0076】
方法は、画像データ内の定義された標的の解剖学的構造の少なくとも一部を検出するために、解剖学的画像分析を第1の画像データに適用するステップをさらに有する。例えば、解剖学的画像分析は、スキャンされたエリア内の解剖学的物体若しくは領域の境界を検出するため、及び/又はスキャンされたエリア内の解剖学的物体若しくは領域によって占められるボリュームを検出するための解剖学的画像セグメンテーションを含む。
【0077】
方法は、定義された標的の解剖学的構造が第1の画像データ内に完全に含まれているかどうかを画像分析から決定するステップを有するカバレッジチェックを実行するステップをさらに有する。標的の解剖学的構造は、単一の解剖学的物体若しくは特徴(臓器など)、解剖学的物体の一部(例えば、心臓の室又は弁)とすることができ、又は複数の解剖学的物体を包含する解剖学的領域(例えば、複数の臓器を含む特定の上半身領域)とすることができる。
【0078】
方法は、カバレッジチェックの結果のデータ表現を生成するステップをさらに有する。データ表現は、入力/出力を介して処理機器からエクスポートするためのものであり、及び/又は方法に従って実行されるさらなる処理においてさらに使用するためのものである。
【0079】
方法は、撮像装置のスキャンパラメータの第2のセットを定義する第2のスキャンプロトコルを決定するステップをさらに有し、第2のスキャンプロトコルは、第2のFOVをカバーする画像データの取得をもたらすように適合され、第2のFOVは、第1のFOVと同じであるか又は異なる。
【0080】
方法は、第2のスキャンプロトコルに従って患者の解剖学的構造の第2の画像データを取得するステップをさらに有し、第2の画像データは、第2のFOVをカバーし、第2の画像データは、2D又は3D画像データである。
【0081】
第1の画像データは、2D画像データを取得するか、又は3D画像データを取得する初期調査スキャンにおいて取得されたデータである。方法は、計画されたスキャンパラメータが標的の解剖学的構造を完全にキャプチャするFOVを結果として生じるかどうかをチェックするためのものである。調査スキャンは、典型的には調査スキャンよりも高い画像解像度を有し、実行するのに時間がかかる完全な診断スキャンの実行をトリガする前に、(必要ならば)スキャンパラメータを調整するために使用される。前述の第2の画像データは、完全な診断スキャンのために取得されたデータである。第2の画像データは、3D(ボリューム)画像データであり、又は2D画像データである。
【0082】
第1の画像データの取得とカバレッジチェックの実行とに続いて、本方法が進行する少なくとも3つの主な態様が存在し、それらについて以下に要約する。
【0083】
第1の態様は、ユーザインターフェース32がカバレッジチェックの結果の指示を表示するように制御されることであり、方法は、カバレッジチェックの表示に続いてユーザインターフェースからのユーザ入力を受信するステップをさらに有し、第2のスキャンプロトコルの第2のFOVは、受信されたユーザ入力に応じて決定される。ユーザインターフェースは、後続の第2の画像データを取得するために第1のFOVを有する第1のスキャンプロトコルを継続するオプションをユーザに提示するように制御される。この場合、第2のスキャンプロトコル及び第2のFOVは、第1のものと同じである。ユーザインターフェースは、FOVを調整するようにスキャンプロトコルのスキャンパラメータのうちの1つ又は複数を調整するオプションもユーザに提示する。この場合、第2のスキャンプロトコル及び第2のFOVは、第1のものとは異なり、ユーザの入力に応じて調整される。場合によっては、スキャンプロトコルは、第2のスキャンプロトコルが第1のスキャンプロトコルとは異なるが、第2のFOVを同じに保つように調整することができる(例えば、放射線量を変更する)。本開示において後により詳細に概説するように、第2の画像データ取得のためのスキャンプロトコルに対する調整は、(例えば、ユーザインターフェース上に提供されるユーザ制御を用いて)完全にユーザが制御するか、又は少なくとも半自動化される(例えば、方法は、カバレッジチェックの結果に基づいてスキャンプロトコルとFOVとを調整するための1つ又は複数の提案を自動的に生成するステップを有する)。後者の場合、ユーザ入力は、提案された調整のユーザ指示による受諾若しくは拒否、又は提案された調整に対するユーザ指示による変更を含む。
【0084】
方法が進むことができる第2の態様は、カバレッジチェックの結果がカバレッジチェックの結果を記憶するためのデータストアに通信され、第2の画像データは、カバレッジチェックの結果と関連付けられて、同じ又は異なるデータストアに記憶されることである。言い換えれば、カバレッジチェックは、後の参照のために記憶され、記憶されたカバレッジチェックと、その結果が導出された後に取得される対応する第2の画像データとを関連付けることができるデータリンクが生成される。この場合、第2のスキャンプロトコル及び第2のFOVは、第1の画像プロトコル及び第1のFOVと同じであり、カバレッジチェックは、第2の画像データの潜在的な品質のその後の分析のために単に使用される。
【0085】
方法が進むことができる第3の態様は、方法が、カバレッジチェックの否定的な結果(すなわち、標的の解剖学的構造が第1のFOVによって完全にカバーされていない)に応答して、拡張されたFOVを取得するように、第1のスキャンプロトコルに対する提案された調整を決定するステップをさらに有することであり、提案された調整は、解剖学的画像分析に基づく。提案された調整は、標的の解剖学的構造を完全にカバーする新しいFOVを結果として生じることを目的とする。例えば、提案された調整は、1つ又は複数のスキャン軸に沿ったスキャン範囲の開始点及び/又は終了点に対する調整を含むことができる。これは、テーブルの動きパラメータ(テーブル速度など)を含むことができる。方法は、場合によっては、第2のFOVが拡張されたFOVとして設定されるように、提案された調整された第1のスキャンプロトコルに従って、第2のスキャンプロトコルを自動的に設定する。代替的には、方法は、第1のスキャンプロトコルに対する提案された調整及び/又は提案された拡張されたFOVをユーザインターフェースに通信するステップを有する。ユーザインターフェースは、ユーザが提案された調整に対する応答、例えば、提案された調整に対する二値の受諾若しくは拒絶、又は提案された調整に対する修正を入力することを可能にするように制御される。
【0086】
解剖学的画像分析に関して、これは、解剖学的構造の少なくとも一部の空間的拡張又は境界を識別することを含む。言い換えれば、それは、解剖学的画像セグメンテーションを含む。
【0087】
カバレッジチェックが肯定的な結果を有する場合、処理機器は、オプションでユーザインターフェースを介してユーザからの確認を求めた後、元の第1のスキャンプロトコルを使用して第2のイメージングデータを単に取得する。
【0088】
本発明の原理をさらに説明するために、例示的な実装形態のステップについて、
図4から
図7を参照して詳細に概説する。
【0089】
第1のステップとして、検査の開始時に1つ又は複数の2D又は3D調査画像が取得される。これらは、前述した第1の画像データを形成する。これらは、撮像装置に対する第1の撮像FOVの取得を結果として生じる第1のスキャンプロトコルに従って生成される。
【0090】
ユーザインターフェース32は、第1の画像データの視覚的表現を生成するように制御される。
【0091】
オプションで、予測の精度を改善するために、後続の処理のために追加情報を取得することができる。これは、画像化される標的の解剖学的構造、管電圧及び/若しくは電流設定などのスキャンパラメータ、並びに/又は年齢及び性別などの患者の人口統計情報などの関連する取得及びプロトコルパラメータを含む。
【0092】
方法は、第1の画像データ内の標的の解剖学的構造を検出するために画像分析(例えば、解剖学的画像セグメンテーション)を適用するステップをさらに有する。ユーザインターフェース32は、解剖学的構造の検出の視覚的表現を表示するように制御される。例えば、検出された標的の解剖学的構造の少なくとも一部の輪郭が表示され、又は標的の解剖学的構造によって占められているものとして検出されたボリュームが強調表示され、標的の解剖学的構造を含む画像FOVの一部が輪郭で表示される。
【0093】
取得された第1の画像データの処理に基づいて、またオプションで上述したパラメータのうちの1つ又は複数に基づいて、方法は、標的の解剖学的構造が現在のFOVにおいて完全にカバーされているかどうかを推論するように適合されたカバレッジチェック動作を適用する。以下でより詳細に説明するように、カバレッジチェック動作は、トレーニングされた機械学習モデルによって実行される。
【0094】
ユーザインターフェース32は、カバレッジチェックの結果の視覚的表現を表示するように制御される。
【0095】
少なくともいくつかの実施形態において、カバレッジチェックが否定的な結果(すなわち、カバレッジチェックが、標的の解剖学的構造が現在のFOVによって完全にカバーされていない)を返した場合、ユーザインターフェース32を使用して警告メッセージが生成され、例えば、視覚的及び/又は聴覚的な警告が生成される。
【0096】
例示的なグラフィカルユーザインターフェース表示画面を示す例を
図4に示す。画面は、取得された第1の画像データ、この場合、CTスキャン装置からの第1の調査画像ビュー72及び第2の調査画像ビュー74を表示する。ビューは、別々に取得された3D画像ビューであり、又は3D調査画像から抽出されたスライスである。ユーザインターフェースは、解剖学的検出の結果、例えばセグメンテーションの視覚的表示をさらに表示する。例えば、
図5の例において、標的の解剖学的構造を含む画像FOVの領域80が、標的の解剖学的構造を含む画像FOVの関連部分の上の半透明のオーバレイとして強調表示されて示されている。説明を容易にするために、これは、白色の破線の輪郭で強調表示されて示されているが、実際には、例えば、単にカラーの陰影が付けられた半透明のオーバレイで構成される。この例において、表示画面は、否定的な(非カバレッジ)結果を示すポップアップメッセージ76をさらに表示するように制御されている。例えばこの例において、メッセージは、肺の上部が「スカウト」画像(調査画像を意味する)によってカバーされていないことをユーザに警告する。オペレータは、メッセージを無視するか、又は、例えば、FOVの調整を引き起こすために、診断スキャンの計画されたスキャンプロトコルを変更することによって行動を起こすことを決定するかのオプションを有する。
【0097】
いくつかの実施形態において、方法は、第1のFOVの少なくとも1つの境界を越える解剖学的物体の空間的拡張を推定するために、解剖学的画像分析を適用するステップをさらに有する。これは、解剖学的構造が広がるFOVの外側の距離を、対応する位置(例えば、上部又は下部)と共に推定し、これをオペレータに通信することを含む。オペレータは、例えば、診断スキャンのスキャン範囲の開始位置及び終了位置を調整するために、スキャンパラメータを変更するためのプロンプトを表示されるか、又はユーザインターフェース上の手段を提供される。
【0098】
ユーザインターフェースは、FOVを越える標的の解剖学的構造の推定された空間的拡張の視覚的表現を表示するように制御される。第1の(調査)画像データからの第1の画像ビュー72及び第2の画像ビュー74を示し、第2の画像ビューの上に、標的の解剖学的構造によって占められるイメージングFOVの検出された部分80の視覚的表現と、第1のFOVの少なくとも1つの境界を越える解剖学的構造の推定された空間的拡張84の境界の輪郭とをオーバレイで示す例を
図5に示す。領域80は、例えば、オプションで実線の輪郭を有する、色付けされた半透明オーバレイボックスによって表される。第1のFOVにおいてカバーされていない標的の解剖学的構造の部分によって占められる推定された領域84は、推定された領域84の周りの輪郭として、例えば、検出された解剖学的構造を含む領域を強調するために使用されるように異なる色で示される。
【0099】
いくつかの例において、FOVの外側の標的の解剖学的構造の推定された空間的拡張84は、標的の解剖学的構造を完全にキャプチャする提案された調整されたFOVを知らせるために使用される。特に、方法は、FOVを越える解剖学的物体の検出された空間的拡張84に基づいて、撮像装置に解剖学的物体を完全にカバーする拡張されたFOVを取得させるための第1のスキャンプロトコルに対する提案された調整を決定するステップをさらに有する。
【0100】
次いで、調整されたスキャンプロトコルは、場合によっては直接実施され、すなわち、第2のスキャンプロトコルは、第2のFOVが拡張されたFOVとして設定されるように決定され、第2の画像取得が開始される。
【0101】
代替的には、オペレータは、第2のスキャンの視野に対する提案された調整を受け入れるか又は拒否するかのオプションを提供される。
【0102】
特に、方法は、第1のスキャンプロトコルに対する提案された調整及び/又は提案された拡張されたFOVの指示を表示するようにユーザインターフェースを制御するステップと、ユーザインターフェース上にユーザ承認を要求するプロンプトを生成するステップと、承認を示すユーザ入力の受信にのみ応答して、拡張されたFOVにまたがり、提案された調整されたスキャンプロトコルに従って第2の画像データを取得するステップとをさらに有する。
【0103】
オプションで、提案された調整を承認又は拒否するオプションに加えて、ユーザは、例えば、ユーザインターフェース上の強調表示された拡張領域84によって示されるように、例えば、提案された調整されたFOVの寸法を変更することによって、示唆されたFOV拡張を変更するオプションも提供される。
【0104】
言い換えれば、方法は、第1の画像データのレンダリングされたビューに対して提案された拡張されたFOVの視覚的表現を表示するようにユーザインターフェースを制御するステップと、ユーザ制御の動作を介して、提案された拡張されたFOVの承認又は提案された拡張されたFOVに対する修正を示すユーザ入力に対するプロンプトを生成するようにユーザインターフェースを制御するステップと、次いで、
ユーザインターフェースからのユーザ承認の受信に応答して、第2のFOVが拡張されたFOVとして設定されるように第2のスキャンプロトコルを決定するステップか、又は
第2のFOVがユーザ修正されたFOVとして設定されるように第2のスキャンプロトコルを決定するステップであって、ユーザ修正されたFOVが、拡張されたFOVに対する修正を示す受信されたユーザ入力に基づいて定義される、ステップのいずれかと
をさらに有する。
【0105】
提案された調整されたFOV、又は提供された調整されたスキャンプロトコルを修正するために、ユーザは、提案されたFOV拡張を画面上で強調表示するボックスの輪郭をドラッグするオプションを有し、並びに/又は1つ又は複数のスキャン軸に沿ったスキャン範囲の開始位置及び終了位置などのスキャンパラメータを手動で設定するオプションを有する。
【0106】
上記のいずれかに加えて、いくつかの実施形態において、FOVの外側の解剖学的物体の空間的拡張の推定は、FOVの外側にある物体の少なくとも一部の境界の輪郭を推定することを含み、方法は、ユーザインターフェースのディスプレイ上に第1の画像データに対する前記輪郭の視覚的描写を生成するステップをさらに有する。FOVの外側の解剖学的構造の推定された拡張の輪郭88がスケッチとしてディスプレイ上に提示されている例を
図6に示す。
【0107】
それに加えて、いくつかの実施形態において、第1の画像データFOV内に描かれた異なる解剖学的構造のラベリングを生成するために、解剖学的画像分析、例えば解剖学的画像セグメンテーションが使用される。例えば、
図7は、第1の画像データのFOV内に存在する様々な臓器がテキスト形式でリストされた一例を示す。いくつかの例において、各解剖学的構造が第1のFOVによって完全に覆われているか、又は完全に覆われていないかを示す視覚的指示がさらに提供される。有利には、これは、テキストの書式設定、例えばテキストの色によって実施される。例えば、緑色のテキストは、FOVにおいて完全にカバーされている場合の解剖学的構造を示すために使用され、オレンジ色のテキストは、解剖学的構造が部分的にFOVの外側にあることを示すために使用され、赤色のテキストは、解剖学的構造が完全にFOVの外側にあることを示すために使用される。
【0108】
上記で説明した例の変形例において、FOVを修正するオプションをユーザに提供する代わりに、より単純な実施形態において、ユーザは、提案された調整されたFOVを承認又は拒否するオプションを単に提示される。
【0109】
上記で説明した例の変形例において、提案された調整されたFOVをユーザに示す代わりに、処理機器は、ユーザ承認を求めることなく、調整されたFOVを使用して第2のイメージングデータを単に自動的に取得する。ユーザインターフェースは、本発明にとって必須ではなく、より単純な実施形態では、まったく使用されない場合もある。
【0110】
上述したように、カバレッジチェック結果に応答して(ユーザ入力あり又はユーザ入力なしのいずれかで)スキャンプロトコルを調整する代わりに、又はそれに加えて、方法は、カバレッジチェック結果のデータ表現を、カバレッジチェックの結果を記憶するためのデータストアに通信するステップを有する。このデータは、その後、イメージング品質分析のために使用される。これは、いくつかの例において、画像データが取得されたときとは異なる時点において、遡及的に行われる。
【0111】
いくつかの例において、方法は、記憶された第2の画像データを取り出すステップと、記憶された第2の画像データの記憶アドレスと第1の画像データの記憶されたカバレッジチェック結果との間のデータポインタを提供するデータリンクに基づいて、カバレッジチェックの記憶された結果を取り出すステップとを有する。方法は、画像データに関連付けられたカバレッジチェックの結果に基づいて第2の画像データの品質指標を導出するステップを有する品質評価を実行するステップをさらに有する。これは、後の取り出しのために記憶することができる。それをユーザインターフェースに出力することができる。いずれの場合でも、品質指標は、第2の画像データを見る臨床医に、診断分析を実行するためのデータの信頼性を知らせるのに有用である。品質が低い場合、臨床医は、データの重要性を低くし、例えば、純粋に画像データに基づいて主要な治療決定を行わない。品質が高い場合、臨床医は、画像データの重要性をより高くする。
【0112】
いくつかの実施形態において、複数の患者、例えば、患者の全コホート又は母集団のカバレッジチェック結果に分析動作が適用される。これは、グループ又は部門内のイメージングの品質に関する統計情報を生成するために使用することができる。結果は、品質監視をサポートするために、例えばダッシュボードの形式で、グラフィカルユーザインターフェース画面上に提示される。いくつかの例において、上述した品質指標は、まず、分析に含まれるべき複数の患者イメージングデータセットの各々の画像データに対して生成され、次いで、複数のデータセットの品質指標に対して分析が実行される。
【0113】
上記で論じたように、実施形態は、定義された標的の解剖学的構造が取得された第1の画像データ内に完全に含まれるかどうかを画像分析から決定することを含むカバレッジチェックを実行するように適合される。この目的のために、実施形態の少なくとも1つのセットによれば、方法は、深層学習人工ニューラルネットワークモデルなどの機械学習モデルの適用を含む。いくつかの例において、モデルは、分類出力、例えば、標的の解剖学的構造が入力画像の視野内でカバーされているかどうかを示す二値出力を提供するように適合される。
【0114】
いくつかの実施形態において、複数の異なる可能な標的の解剖学的構造(例えば、胸部、脊椎、心臓、骨盤、腹部、並びに胸部-腹部、腹部-骨盤、及び胸部-腹部-骨盤などの組み合わされた解剖学的構造)の各々について、各々がその解剖学的構造について特別にトレーニングされた別個の機械学習モデルが提供される。異なる年齢グループ及び性別などの異なる人口統計カテゴリに対して異なるモデルが存在する可能性もある。したがって、可能な標的の解剖学的構造のセットの各々について、及び複数の異なる人口統計カテゴリについて、機械学習モデルのバンドルが提供される。他の例において、複数の異なる標的の解剖学的構造のいずれかを検出するようにトレーニングされた単一の機械学習モデルのみが存在する。
【0115】
実施形態の少なくとも1つのセットによれば、1つ又は複数の機械学習モデルは、対象の解剖学的構造の一部のみを表す画像データを入力として受信し、画像データのフィールドの外側の対象の解剖学的構造の残りの部分の少なくとも寸法範囲の推定値を出力として生成する、及び/又は画像データのフィールドの外側の解剖学的物体の残りの部分の境界の推定値を出力として生成するように構成される。
【0116】
そのような機械学習モデルのトレーニングデータは、結果として生じる画像データから解剖学的構造の一部を意図的に除外するために、特定の標的の解剖学的構造の完全な画像ビューを人為的に切り詰めることによって生成することができる。クロップされていない完全な画像も、トレーニングのグラウンドトゥルースとして使用することができる。完全なバージョンは、クロップする前にセグメンテーションすることができ、クロップされた画像の残りの部分内と、画像のクロップされた部分内の両方の標的の解剖学的構造の境界輪郭(又は注釈マスク若しくはメッシュ)もグラウンドトゥルースとして記憶される。
【0117】
したがって、言い換えれば、機械学習モデルは、トレーニングデータエントリを使用してトレーニングされ、トレーニングデータエントリは、各々が、画像が解剖学的物体の一部のみを描写するように画像のセクションが除去された解剖学的構造のクロップされた画像を含むモデルの第1のデータ入力と、対象の解剖学的構造の全体を含むクロップされていない画像フィールド上の画像のボクセルごとの解剖学的注釈を含む(すなわち、クロップされていない画像の部分内及びクロップされた画像の部分内のボクセル注釈を含む)モデルのグラウンドトゥルースとを含む。例えば、注釈は、画像セグメンテーションから取得され、その出力は、各ボクセルが解剖学的構造の一部であるかどうか、及びそうであればどの解剖学的構造の一部であるかをボクセルごとに示す。
【0118】
例示として、
図8は、標的の解剖学的構造が肝臓である例のトレーニングデータの生成を示す。
図8(a)は、肝臓領域のセグメンテーションマスクに加えて、肝臓の元の完全な画像を示す。
図8(b)は、例示的な人為的にクロップ又はクリップされた画像のセットの構成を示し、各画像は、結果として生じる画像フィールドから肝臓の部分を除外するようにクロップされている。各画像内のより明るい領域は、クロップされていない部分である。肝臓の場合、画像は、例えば、単一のケースから異なるクリッピング位置を有するいくつかの画像を生成するために、上の画像位置又は下の画像位置においてクリップすることができる。各々のシミュレートされたクロップされた画像は、クリップされた解剖学的座標の上又は下でゼロの画像強度(すなわち黒色のピクセル/ボクセル、すなわちゼロパディング)を有するように処理されるが、肝臓の一部がFOVの外側になるようにシミュレートされていても、グラウンドトゥルース画像は、依然として、肝臓全体のピクセルごとの注釈をメタデータとして含む。
【0119】
機械学習モデルのトレーニング段階において、クロップされた画像領域におけるゼロパディングに関係なく、クロップされた画像をトレーニング入力エントリとして、完全な解剖学的構造のボクセルごとの注釈をグラウンドトゥルースエントリとしてモデルに提示することができる。
【0120】
モデルから出力として取得される予測確率マスクは、部分的に欠落した解剖学的構造の範囲を推定するために後処理することができる。この情報は、部分的に欠落した解剖学的構造が第2の画像データ内の第2のFOVにおいて完全にカバーされるように、最適化されたスキャンパラメータ(例えば、スキャン範囲の開始位置及び終了位置)をユーザに推奨するために使用することができる。
【0121】
図9は、特にこの場合は肝臓について解剖学的カバレッジチェックを実行し、画像境界の外側の解剖学的構造の範囲の推定値を生成するようにトレーニングされた機械学習アルゴリズムの適用の結果を示す。
図9(a)は、肝臓を含む領域の外周のグラウンドトゥルース注釈を示し(破線)、領域は、画像の境界の外側に広がっている。機械学習アルゴリズムに提示される実際の画像は、より明るい領域である。
図9(b)は、この画像に適用されたときの機械学習アルゴリズムの出力(実線)を、グラウンドトゥルース(破線)と比較して示す。図示した例は、肝臓が上の位置において切り詰められた1つのテストケースである。ネットワークは、2592枚の画像を使用してトレーニングされた。この例示のために、グラウンドトゥルースのボクセル数が最大である冠状スライスが選択される。
【0122】
同様のアルゴリズムは、例えば、高線量と低線量の両方の3D調査画像を含むCTモダリティを使用して、3Dイメージングに拡張することもできる。
【0123】
図10、
図11は、この例では肝臓の標的の解剖学的構造について解剖学的カバレッジチェックを実行するようにトレーニングされた機械学習アルゴリズムの適用のさらなる結果を示し、トレーニングは、特にCTイメージングのためのものであった。
図10の例は、高線量CT画像を利用し、
図11の例は、低線量CT画像を利用した。ネットワークは、約850枚の高線量及び低線量のCT画像で個別にトレーニングされた。
図10(a)及び
図11(a)は、各々、肝臓を含む領域の外周のグラウンドトゥルース注釈を表し(破線)、領域は、画像の境界の外側に広がっている。機械学習アルゴリズムに提示される実際の画像は、より明るい領域である。
図10(b)及び
図11(b)は、各々、この画像に適用されたときの機械学習アルゴリズムの出力(実線)を、グラウンドトゥルース(破線)と比較して示す。
【0124】
上記の概説した説明において、1つ又は複数の機械学習アルゴリズムを含む機械学習モデルの使用について言及した。
【0125】
機械学習アルゴリズムは、出力データを生成又は予測するために入力データを処理する任意のセルフトレーニングアルゴリズムである。上記で説明した例のコンテキストにおいて、入力データは、第1の画像データを含み、出力データは、標的の解剖学的構造がFOVの内側にあるかどうかについての二値分類、又は入力画像の境界の外側の標的の解剖学的構造の空間的拡張の推定値のいずれかを含む。第1の画像データが3D画像データである場合、機械学習モデルへの入力は、3D画像データから抽出された2Dスライスである。
【0126】
本発明で用いられる適切な機械学習アルゴリズムは、当業者には明らかである。適切な機械学習アルゴリズムの例は、決定木アルゴリズム、及び人工ニューラルネットワークを含む。ロジスティック回帰、サポートベクターマシン、又は単純ベイズモデルなどの他の機械学習アルゴリズムが適切な代替手段である。
【0127】
好ましい例において、深層学習ベースの人工ニューラルネットワークが使用される。
【0128】
人工ニューラルネットワーク(又は単にニューラルネットワーク)の構造は、人間の脳から着想を得ている。ニューラルネットワークは、層で構成され、各層は、複数のニューロンを備える。各ニューロンは、数学的演算を含む。特に、各ニューロンは、単一のタイプの変換の異なる重み付けされた組合せ(例えば、同じタイプの変換、シグモイドなどであるが、異なる重み付けを有する)を含む。入力データを処理するプロセスにおいて、数値出力を生成するために、入力データに対して各ニューロンの数学的演算が実行され、ニューラルネットワークの各層の出力は、順次次の層に供給される。最後の層は、出力を提供する。
【0129】
機械学習アルゴリズムをトレーニングする方法は、よく知られている。典型的には、そのような方法は、トレーニング入力データエントリと対応するトレーニング出力データエントリとを含むトレーニングデータセットを取得するステップを有する。予測された出力データエントリを生成するために、初期化された機械学習アルゴリズムが各入力データエントリに適用される。予測された出力データエントリと対応するトレーニング出力データエントリとの間の誤差は、機械学習アルゴリズムを修正するために使用される。このプロセスは、誤差が収束し、予測された出力データエントリがトレーニング出力データエントリと十分に類似する(例えば、±1%)まで繰り返すことができる。これは一般に、教師あり学習技法として知られている。
【0130】
例えば、機械学習アルゴリズムがニューラルネットワークから形成されている場合、誤差が収束するまで、各ニューロンの数学的演算(の重み付け)が修正される。ニューラルネットワークを修正する既知の方法は、勾配降下アルゴリズム、バックプロパゲーションアルゴリズムなどを含む。
【0131】
トレーニング入力データエントリは、上記で論じた標的の解剖学的構造の例示的なクロップされた画像に対応する。トレーニング出力データエントリは、前記クロップされた画像の注釈付きのセグメンテーションされた完全バージョンに対応する。
【0132】
したがって、欠落した解剖学的範囲を推定するために、深層学習ベースの画像セグメンテーション技法を用いることができる。既知の画像セグメンテーションは通常、所与の画像FOV内の解剖学的構造をセグメンテーションすることに限定されるので、本明細書で提案する手法は、既知の画像セグメンテーション方法とは異なる。本明細書で提案する実施形態において、部分的に欠落した解剖学的構造のセグメンテーションが導出され、このセグメンテーションは、画像境界を越えても拡張することができる。これは、欠落した解剖学的構造の推定範囲が生成されることを可能にし、イメージングFOVに対する提案された調整が導出される。
【0133】
当業者は、上記で説明した目的に適した多数の特定のアーキテクチャを知っている。例示的な例として、U-Netアーキテクチャ又はFoveal-Netアーキテクチャなどの深層学習ベースの画像セグメンテーション方法を用いることができる。さらなる例として、Mask R-CNN又はRetinaNetなどの深層学習ベースの物体検出方法を用いることができる。そのようなネットワークをエンドツーエンド方式でトレーニングすることが可能であり、必要な計算リソースが少ないシステムに統合することができ、標準的なデスクトップCPU上で実行することさえできる。
【0134】
U-Netセグメンテーションネットワークのアーキテクチャの詳細は、例えば、以下の論文、O.Ronneberger、P.Fischer、及びT.Broxによる、「U-Net:Convolutional Networks for Biomedical Image Segmentation」、arXiv:1505.04597[cs]、2015年5月に見られる。
【0135】
Foveal-Netセグメンテーションネットワークのアーキテクチャの詳細は、例えば、以下の論文、Brosch、T.及びSaalbach、A.による「Foveal fully convolutional nets for multi-organ segmentation」、in Medical Imaging 2018:Image Processing、Angelini、E.D.及びLandman、B.A.、eds.、10574、198~206、International Society for Optics and Photonics、SPIE(2018年)に見られる。
【0136】
Mask R-CNNのアーキテクチャの詳細は、以下の論文、Kaiming He、Georgia Gkioxari、Piotr Dollar、Ross Girshickによる「Mask R-CNN」、arXiv eprint 1703.06870、2017年に見られる。
【0137】
RetinaNetモデルのアーキテクチャの詳細は、以下の論文、Tsung-Yi Lin及びPriya Goyal及びRoss Girshick及びKaiming He及びPiotr DollarによるFocal Loss for Dense Object Detection、arXiv eprint 1708.02002、2017年に見られる。
【0138】
さらなる例示及び説明として、イメージングFOVの外側の解剖学的構造のセグメンテーションのための1つ又は複数の実施形態に従って使用するための機械学習モデルを開発する一例についてここで概説する。このモデルは、F-Netとして知られるアーキテクチャを利用する。F-Netは、上述したU-Netアーキテクチャと同様に、複数のスケールの特徴を組み合わせながらマルチ解像度手法を使用する。しかしながら、U-Netモデルは、連続した一連のフィルタを備えるエンコーダを使用するが、F-Netモデルは、エンコーダ内の連続したフィルタを異なる画像解像度において動作するフィルタによって置き換え、したがって、減少した数のニューラルネットワークパラメータを結果として生じる。画像のセグメンテーションは、重なり合わない3Dパッチを連続的にセグメンテーションすることによって達成され、これらの3Dパッチは、今度は、コンテキスト特徴を統合するために、より粗いスケールで重なり合うより大きいパッチを送り込むことによってセグメンテーションされる。特徴は、畳み込み層、バッチ正規化、及び整流化線形活性化関数で構成される事例ベース推論(CBR)ブロックを使用して、複数の解像度レベルの各々において抽出される。より粗い解像度の特徴マップは、ボクセルレベルのクラス確率を取得するために畳み込み層の後にソフトマックス層が続く最も細かいレベルを除き、CBRブロックを使用してアップサンプリング及び統合される。
【0139】
トレーニング段階において、ネットワークには、上記で論じたように標的の解剖学的構造の複数のクロップされた画像を含むトレーニングデータと、グラウンドトゥルースを提供するボクセルごとの注釈とが提示された。強度又はテクスチャなどの低レベルの特徴は、セグメンテーションの目的には最も関連性の低い情報を伝えるが、(上述したように)複数の解像度レベルで抽出された高レベルのコンテキスト特徴が、解剖学的構造が所与のFOVを越えてどこまで広がっているかを学習する際にネットワークを支援するかどうかが調査された。
【0140】
特定の解剖学的構造と所与のテスト画像とに対してトレーニングされたそのようなネットワークを用いて、確率マップが取得され、トレーニングデータセットにおいて計算された最適なしきい値を使用して二値セグメンテーションマスクを生成するために処理された。
【0141】
最後に、評価及び視覚化の目的のために、二値セグメンテーションマスクを緊密に含む境界ボックスが抽出された。方法は、解剖学的構造がクリップされたそれぞれの方向に応じて、GTにおける最も上又は下のボクセルとネットワーク予測との間の距離として計算された範囲検出誤差の観点から評価された。
【0142】
上記で論じた例において、機械学習アルゴリズムは、画像フレームの境界を越える解剖学的構造の推定された拡張の形で出力を生成するが、追加的又は代替的に、さらなる例では、カバレッジチェック手順は、標的の解剖学的構造が第1の画像データによって完全にカバーされているか、又は第1の画像データ内に含まれているかについての二値分類を提供するように適合された機械学習アルゴリズムを用いる。上記で論じたように、ユーザインターフェースは、この決定を示すユーザ出力を提供するように制御される。否定的なカバレッジチェック後のシステムとユーザとの間の対話に関する様々な異なるオプションについては、すでに上記で論じている。
【0143】
さらに、上記で論じた例において、深層学習ベースの人工ニューラルネットワークについて言及したが、例えばボックス回帰アルゴリズムなど、他のタイプの機械学習アルゴリズムを用いることができる。
【0144】
さらに、カバレッジチェックを実行する目的のために機械学習アルゴリズムを使用することは、必須ではない。他の例において、第1の画像データ内の解剖学的構造のセグメンテーションを達成するために、モデルベースのセグメンテーションを用いることができる。セグメンテーションの結果から、対象の解剖学的構造の全体が第1のFOVにおいてカバーされているかどうかを判定することができる。当業者は、形状ベースの物体検出などの古典的なアルゴリズム手法を用いる多数のモデルベースのセグメンテーション手法を知っている。カバレッジチェックを実行する別の可能な手法は、確率的解剖学的アトラスへの第1の画像データのマッピングを実行することである。この手法の一例は、例えば以下の論文、Astrid Franzらによる「Annotation-free probabilistic atlas learning for robust anatomy detection in CT images」、Proc.SPIE9413、Medical Imaging 2015:Image processing、941338(2015年3月20日)に記載されている。
【0145】
解剖学的画像分析及びカバレッジチェックは、別個のステップとして実行することができ、又は両方とも単一のアルゴリズム若しくはモデルによって実行することができる。例えば、機械学習モデルは、第1の画像データを入力として受信し、カバレッジチェック結果を出力として生成するようにトレーニングすることができ、解剖学的画像分析(例えば、セグメンテーション)は、モデルによって達成される分析の一部として本質的に実行される。他の例において、その出力が第1の画像データの解剖学的セグメンテーションである、セグメンテーションを実行する第1のアルゴリズム又はモデルと、その出力がカバレッジチェックの結果である第2のアルゴリズム又はモデルとを使用することが可能であり、カバレッジチェックの結果は、二値分類(カバーされているか又はカバーされていないか)であるか、又は1つ若しくは複数の次元において第1のFOVを越える解剖学的構造の拡張の指示とすることができる。
【0146】
一方の出力が例えばFOVを越えて広がる解剖学的構造の範囲の指示を与えるセグメンテーションであり、他方の出力が、解剖学的構造がカバーされているか又はカバーされていないかを示す二値分類である2つの出力を有する単一のマルチタスクネットワークをトレーニングすることも可能である。
【0147】
上記で概説した様々な特徴に対して追加的又は代替的に、1つ又は複数の実施形態によれば、方法は、取得された第2の画像データにカバレッジチェック動作を適用するステップをさらに有する。ユーザインターフェースは、このさらなるカバレッジチェックの結果を表示するように制御される。これは、例えば、第2の画像データのサブセットのみ、例えば、第2の画像データからの1つ又は複数の画像スライスのみに適用することができる。このチェックは、(例えば、患者がスキャン中に位置をシフトしたので)標的の解剖学的構造の一部が画像フレームのうちの1つ又は複数においてまだ見逃されていた場合、対象者が離れる前に取得を繰り返すことができ、さらなるイメージングスキャンを再スケジュールする時間を節約することができるように、予防措置として実行することができる。
【0148】
例えば、CT撮像のコンテキストでは、典型的なイメージングワークフローにおいて、診断CT画像(すなわち、第2の画像データ)の取得後に、各2Dスライスがプレビュー画像としてユーザインターフェース表示画面上に表示される。したがって、画像化される標的の解剖学的構造がFOV内に含まれるかどうかを調査するために、カバレッジチェック動作をこれらの2Dプレビュー画像に適用することができる。否定的なカバレッジチェック結果をもたらす任意の画像の場合、ユーザインターフェースを使用して警告が生成され、オプションで、標的の解剖学的構造がFOV内に含まれることを保証するために、スキャンプロトコルに対する提案された調整、例えば、スキャン範囲の開始位置及び終了位置と共に生成される。次いで、患者を解放する前に、新しい診断画像を取得することができ、したがって、患者の呼び戻しを回避することができる。
【0149】
本発明のさらなる態様は、プロセッサによって実行されると、プロセッサが医用撮像装置に動作可能に結合され、プロセッサに本開示において概説する任意の方法に従う方法を実行させるように構成されたコード手段を備えるコンピュータプログラム製品を提供する。
【0150】
上記で説明した本発明の実施形態は、処理機器を用いる。処理機器は、一般に、単一のプロセッサ又は複数のプロセッサを備える。処理機器は、単一の収容デバイス、構造、若しくはユニット内に配置され、又は処理機器は、複数の異なるデバイス、構造、若しくはユニット間に分散される。したがって、処理機器が特定のステップ又はタスクを実行するように適合又は構成されることへの言及は、そのステップ又はタスクが、単独で又は組み合わせて複数の処理構成要素のうちの任意の1つ又は複数によって実行されることに対応する。当業者は、分散された処理機器をどのように実現できるかを理解する。処理機器は、データを受信し、さらなる構成要素にデータを出力するための通信モジュール又は入力/出力を含む。
【0151】
処理機器の1つ又は複数のプロセッサは、必要な様々な機能を実行するためにソフトウェア及び/又はハードウェアを用いて様々な態様で実現することができる。プロセッサは、典型的には、必要な機能を実行するためにソフトウェア(例えば、マイクロコード)を使用してプログラムされる1つ又は複数のマイクロプロセッサを用いる。プロセッサは、いくつかの機能を実行するための専用ハードウェアと、他の機能を実行するための1つ又は複数のプログラムされたマイクロプロセッサ及び関連回路との組合せとして実現される。
【0152】
本開示の様々な実施形態において用いられる回路の例は、限定はしないが、従来のマイクロプロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)を含む。
【0153】
様々な実装形態において、プロセッサは、RAM、PROM、EPROM、及びEEPROM(登録商標)などの揮発性及び不揮発性コンピュータメモリなどの1つ又は複数の記憶媒体と関連付けられる。記憶媒体は、1つ又は複数のプロセッサ及び/又はコントローラによって実行されると、必要な機能を実行する1つ又は複数のプログラムでエンコードされる。様々な記憶媒体は、そこに記憶された1つ又は複数のプログラムをプロセッサにロードすることができるように、プロセッサ若しくはコントローラ内に固定されるか、又は持ち運び可能である。
【0154】
開示された実施形態に対する変形例は、図面、開示、及び添付の特許請求の範囲の検討から、特許請求された発明を実施する当業者によって理解され、実現することができる。特許請求の範囲において、「含む」という単語は、他の要素又はステップを排除するものではなく、単数形の要素は、複数を排除するものではない。
【0155】
単一のプロセッサ又は他のユニットは、特許請求の範囲に列挙された幾つかの項目の機能を果たす。
【0156】
特定の手段が相互に異なる従属請求項に列挙されているという単なる事実は、これらの手段の組合せを有利に使用することができないことを示すものではない。
【0157】
コンピュータプログラムは、他のハードウェアと一緒に、又は他のハードウェアの一部として供給される光記憶媒体又はソリッドステート媒体などの適切な媒体に記憶/配布されるが、インターネット又は他の有線若しくはワイヤレスの電気通信システムを介するなどして、他の形態で配布もされる。
【0158】
「に適合される」という用語が特許請求の範囲又は説明で使用される場合、「に適合された」という用語は、「に構成される」という用語と等価であることが意図されていることに留意されたい。
【0159】
特許請求の範囲における任意の参照符号は、範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【国際調査報告】