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特表2024-536181神経変性眼疾患を治療するためのプリドピジン及びその類似体
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  • 特表-神経変性眼疾患を治療するためのプリドピジン及びその類似体 図1
  • 特表-神経変性眼疾患を治療するためのプリドピジン及びその類似体 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-04
(54)【発明の名称】神経変性眼疾患を治療するためのプリドピジン及びその類似体
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/451 20060101AFI20240927BHJP
   A61P 25/02 20060101ALI20240927BHJP
   A61P 27/02 20060101ALI20240927BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240927BHJP
   A61K 31/453 20060101ALI20240927BHJP
   A61K 31/452 20060101ALI20240927BHJP
   A61K 31/435 20060101ALI20240927BHJP
   A61P 27/06 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
A61K31/451
A61P25/02
A61P27/02
A61P43/00 121
A61K31/453
A61K31/452
A61K31/435
A61P27/06
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024519407
(86)(22)【出願日】2022-10-11
(85)【翻訳文提出日】2024-03-28
(86)【国際出願番号】 IL2022051082
(87)【国際公開番号】W WO2023062632
(87)【国際公開日】2023-04-20
(31)【優先権主張番号】17/498,075
(32)【優先日】2021-10-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/513,239
(32)【優先日】2021-10-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519062797
【氏名又は名称】プリレニア ニューロセラピューティクス リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001379
【氏名又は名称】弁理士法人大島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヘイデン、マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ゲヴァ、ミカル
【テーマコード(参考)】
4C086
【Fターム(参考)】
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC16
4C086BC21
4C086GA07
4C086GA16
4C086MA02
4C086MA04
4C086NA05
4C086ZA20
4C086ZA21
4C086ZA33
4C086ZC75
(57)【要約】
本開示によれば、神経変性疾患に罹患した対象を治療するための医薬組成物であって、所定量のプリドピジンとその類似体1~8のうちの1つとを含む医薬組成物、及び、その使用または用途が提供される。また、本開示によれば、神経変性疾患に罹患した対象を治療する方法であって、本開示の医薬組成物を、対象を治療するのに有効な量で対象に投与するステップを含む方法が提供される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象における神経変性眼疾患またはその症状を治療、軽減、または抑制するための方法であって、
プリドピジンまたはその薬学的に許容される塩と、下記の式で表される化合物1~8またはその薬学的に許容される塩のうちの少なくとも1つとを含む組成物を前記対象に投与するステップを有する、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、
前記組成物は、プリドピジンまたはその薬学的に許容される塩と、前記化合物1またはその薬学的に許容される塩とを含む、方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法であって、
前記組成物は、プリドピジンまたはその薬学的に許容される塩と、前記化合物4またはその薬学的に許容される塩とを含む、方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法であって、
前記組成物は、プリドピジンまたはその薬学的に許容される塩と、前記化合物1またはその薬学的に許容される塩と、前記化合物4またはその薬学的に許容される塩とを含む、方法。
【請求項5】
請求項1~4のいずれかに記載の方法であって、
前記神経変性眼疾患は、緑内障、加齢黄斑変性症、視神経症、症候性小眼球症12(MCOPS12)、及び網膜色素変性症からなる群から選択される、方法。
【請求項6】
請求項5に記載の方法であって、
前記加齢黄斑変性症は、湿性加齢黄斑変性症(湿性AMD)または乾性加齢黄斑変性症(乾性AMD)である、方法。
【請求項7】
請求項5に記載の方法であって、
前記視神経症は、レーベル遺伝性視神経症である、方法。
【請求項8】
請求項1~4のいずれかに記載の方法であって、
前記神経変性眼疾患は、症候性小眼球症12(MCOPS12)である、方法。
【請求項9】
請求項1に記載の方法であって、
前記神経変性眼疾患の症状は、網膜神経節細胞の損傷または損失である、方法。
【請求項10】
請求項1に記載の方法であって、
前記組成物は、前記対象における網膜神経節細胞の損傷または損失を低減または予防するのに有効である、方法。
【請求項11】
請求項10に記載の方法であって、
前記網膜神経節細胞の損失が、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、または少なくとも50%低減する、方法。
【請求項12】
請求項10または11に記載の方法であって、
前記網膜神経節細胞の損失が、50%超、60%超、70%超、または80%超低減する、方法。
【請求項13】
請求項1に記載の方法であって、
前記医薬組成物は、前記対象における網膜神経節細胞の生存率を改善するのに有効である、方法。
【請求項14】
請求項1~13のいずれかに記載の方法であって、
前記プリドピジンと前記化合物1~8のうちの少なくとも1つとの重量比が、1:0.0001~1:0.1の範囲である、方法。
【請求項15】
請求項14に記載の方法であって、
前記プリドピジンと前記化合物1~8のうちの少なくとも1つとの重量比が、1:0.0005~1:0.005の範囲である、方法。
【請求項16】
請求項1~15のいずれかに記載の方法であって、
前記組成物は、22.5mg~315mgの範囲の単位用量を含む、方法。
【請求項17】
請求項16に記載の方法であって、
前記組成物は、1日1回、1日2回、または1日3回投与される、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、神経変性眼疾患及び他の神経変性疾患の治療に使用するための組成物であって、プリドピジンまたはその薬学的に許容される塩と、(本明細書に記載の)化合物1~8のうちの少なくとも1つまたはその薬学的に許容される塩とを含む組成物を提供する。
【背景技術】
【0002】
(プリドピジン)
プリドピジン(旧名称:ACR16、Huntexil(登録商標))は、ハンチントン病(HD)や筋萎縮性側索硬化症(ALS)などの神経変性疾患の治療薬として臨床開発中の、高薬理活性かつ高選択性のシグマ-1受容体(S1R)作動薬である。プリドピジンの化学名は、4-(3-(メチルスルホニル)フェニル)-l-プロピルピペリジンであり、化学物質登録番号は、CAS346688-38-8(CSID:7971505、2016)である。また、プリドピジン塩酸塩の化学物質登録番号は、882737-42-0(CSID:25948790、2016)である。プリドピジン及びその薬学的に許容される塩の合成プロセスは、特許文献1及び特許文献2に開示されている。また、特許文献3には、パーキンソン病、ジスキネジア、ジストニア、トゥレット病、医原性または非医原性の精神病または幻覚症、気分障害または不安障害、睡眠障害、自閉症スペクトラム障害、ADHD、ハンチントン病、加齢性認知機能障害、及び、アルコール乱用または麻薬乱用に関連する障害を治療するためのプリドピジンが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第7、923、459号明細書
【特許文献2】国際公開第2017/015609号
【特許文献3】米国特許第6、903、120号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、対象における神経変性眼疾患またはその症状を治療、軽減、または抑制するための方法であって、プリドピジンまたはその薬学的に許容される塩と、下記の式で表される化合物1~8またはその薬学的に許容される塩のうちの少なくとも1つとを含む組成物を対象に投与するステップを有する方法を提供する。
【0005】
【化1】
【0006】
他の実施形態では、神経変性眼疾患の症状は、視神経軸索の損傷または損失である。他の実施形態では、神経変性眼疾患の症状は、網膜神経節細胞(RGC)の損失または細胞死である。他の実施形態では、本開示の組成物は、対象における視神経軸索の損失または損傷を低減または予防するのに有効である。他の実施形態では、本開示の組成物は、対象における網膜神経節細胞(RGC)の損失または細胞死を低減または予防するのに有効である。
【0007】
他の実施形態では、視神経軸索の損失が、少なくとも3%、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、または少なくとも50%低減する。他の実施形態では、視神経軸索損失が、50%超、60%超、70%超、または80%超低減する。他の実施形態では、本開示の組成物は、対象における視神経軸索を変性から保護するのに有効である。他の実施形態では、軸索変性は、眼圧の上昇によって引き起こされる。
【0008】
また、本発明は、対象における網膜神経節細胞の損傷または損失を予防または低減する方法であって、プリドピジンまたはその薬学的に許容される塩と、化合物1~8またはその薬学的に許容される塩のうちの少なくとも1つとを含む組成物を、対象における網膜神経節細胞の損傷または損失を予防または低減するのに有効な量で対象に投与するステップを有する方法を提供する。
【0009】
また、本発明は、対象における神経変性眼疾患を治療する方法であって、プリドピジンまたはその薬学的に許容される塩と、下記の式で表される化合物1~8またはその薬学的に許容される塩のうちの少なくとも1つとを含む組成物を、対象における網膜神経節細胞に対する神経保護作用を提供するのに有効な量で対象に投与するステップを有する方法を提供する。
【0010】
【化1】
【0011】
また、本発明は、神経変性眼疾患に罹患した対象を治療するための医薬組成物であって、所定量のプリドピジンまたはその薬学的に許容される塩と、化合物1~8またはその薬学的に許容される塩のうちの少なくとも1つとを含む医薬組成物を提供する。
【0012】
また、本発明は、神経変性眼疾患を治療するための第2の薬剤を含む第2の医薬組成物と共に併用療法で使用するための医薬組成物であって、所定量のプリドピジンまたはその薬学的に許容される塩と、化合物1~8またはその薬学的に許容される塩のうちの少なくとも1つとを含む医薬組成物を提供する。
【0013】
また、本発明は、神経変性眼疾患に罹患した対象をアドオン療法として治療するための、または、神経変性眼疾患を治療するための第2の薬剤と組み合わせて使用するための医薬組成物であって、所定量のプリドピジンまたはその薬学的に許容される塩と、化合物1~8またはその薬学的に許容される塩のうちの少なくとも1つとを含む医薬組成物を提供する。
【0014】
また、本発明は、神経変性眼疾患に罹患した対象の治療に有用な単位用量製剤形態の医薬組成物であって、所定量のプリドピジンまたはその薬学的に許容される塩と、化合物1~8またはその薬学的に許容される塩のうちの少なくとも1つとを含み、医薬組成物中のプリドピジンの量が、1以上の単位用量製剤形態を対象に投与したときに、対象を治療するのに有効な量である、医薬組成物を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、B104細胞からのBDNF放出に対するプリドピジンと化合物4との相乗効果を示す。B104神経芽細胞腫細胞を試験化合物と共に5日間培養し、BDNF濃度を、in-situ ELISA法を用いて評価した。図1(A):濃度0.001μMのプリドピジンと濃度0.001μMの化合物4とを併用した場合の相乗効果を示す。プリドピジン単独ではBDNF分泌が13.5%増加した。化合物4単独ではBDNF分泌が1.5%減少した。プリドピジンと化合物4とを併用すると、BDNF分泌が59.1%増加し、この効果は、両化合物を単独で投与した場合の効果の合計よりも大きかった。図1(B):0.005μMの濃度のプリドピジンと0.001μMの濃度の化合物4とを併用した場合の相乗効果を示す。プリドピジン単独ではBDNF分泌が26.0%増加した。化合物4単独ではBDNF分泌が1.5%減少した。プリドピジンと化合物4とを併用するとBDNF分泌が80.7%増加し、この効果は、両化合物を単独で投与した場合の効果の合計よりも大きかった。
図2図2は、B104細胞からのBDNF放出に対するプリドピジンと化合物1との相乗効果を示す。B104神経芽細胞腫細胞を試験化合物と共に5日間培養し、BDNF濃度を、in-situ ELISA法を用いて評価した。0.01μMのプリドピジン単独では、BDNF分泌が3.4%増加した。1μMの化合物1単独では、BDNF分泌が12.5%増加した。プリドピジンと化合物1とを併用するとBDNF分泌が53.1%増加し、この効果は、両化合物を単独で投与した場合の効果の合計よりも大きかった。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明は、対象における神経変性疾患または神経発達疾患を治療する、進行を遅らせる、悪化を軽減する、発症を遅らせる、または、その症状の進行を遅らせる方法であって、プリドピジンまたはその薬学的に許容される塩と、下記の式で表される化合物1~8またはその薬学的に許容される塩のうちの少なくとも1つとを含む本開示の組成物を対象に投与するステップを含む方法を提供する。
【0017】
【化1】
【0018】
神経変性疾患または障害は、ハンチントン病、前駆期/顕性期ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、パーキンソン病、グルコセレブロシダーゼ(GBA)欠損に伴うパーキンソン病、ジストニア、認知障害、ジスキネジア、軽度認知障害(MCI)、アルツハイマー病、加齢に伴う記憶障害、うつ病または不安症、細菌感染誘導性うつ病、神経変性眼疾患、緑内障を含む視神経症、加齢黄斑変性(AMD)、レーベル遺伝性視神経症(LHON)、網膜色素変性症、小眼球症、症候群12(MCOPS12)、ミトコンドリア病または機能障害(すなわち、リソソーム蓄積症(LSD)、白質萎縮症、白質消失症(VWM))、ウォルフラム病、及びウイルス感染症(COVID-19)からなる群から選択される。また、神経発達性疾患または障害は、レット症候群または脆弱X症候群である。
【0019】
いくつかの実施形態では、本開示の方法で使用される本開示の組成物は、プリドピジンまたはその薬学的に許容される塩と、化合物1~8またはその薬学的に許容される塩のうちの少なくとも1つとを含み、プリドピジンまたはその薬学的に許容される塩と、化合物1~8またはその薬学的に許容される塩のうちの少なくとも1つとの重量比は、1:0.0001~1:0.1の範囲である。他の実施形態では、プリドピジンまたはその薬学的に許容される塩と、化合物1~8またはその薬学的に許容される塩のうちの少なくとも1つとの重量比は、1:0.0005~1:0.005の範囲である。他の実施形態では、プリドピジンまたはその薬学的に許容される塩と、化合物1~8またはその薬学的に許容される塩のうちの少なくとも1つとの重量比は、1:0.0005~1:0.0035の範囲である。他の実施形態では、プリドピジンまたはその薬学的に許容される塩と、化合物1~8またはその薬学的に許容される塩のうちの少なくとも1つとの重量比は、1:0.005~1:0.1の範囲である。他の実施形態では、プリドピジンまたはその薬学的に許容される塩と、化合物1~8またはその薬学的に許容される塩のうちの少なくとも1つとの重量比は、1:0.001~1:0.1の範囲である。他の実施形態では、プリドピジンまたはその薬学的に許容される塩と、化合物1~8またはその薬学的に許容される塩のうちの少なくとも1つとの重量比は、1:0.001~1:0.005の範囲である。
【0020】
他の実施形態では、本開示の方法で使用される、プリドピジンまたはその薬学的に許容される塩と、化合物1~8またはその薬学的に許容される塩のうちの少なくとも1つとを含む本開示の組成物は、0.5~315mgのプリドピジンまたはその薬学的に許容される塩の1日用量で投与される。別の実施形態では、本開示の組成物は、0.5~315mgのプリドピジンまたはその薬学的に許容される塩の1日用量で投与される経口単位製剤である。別の実施形態では、経口単位製剤は、1~10mgのプリドピジンまたはその薬学的に許容される塩の1日用量で投与される。別の実施形態では、経口単位製剤は、10~22.5mgのプリドピジンまたはその薬学的に許容される塩の1日用量で投与される。別の実施形態では、経口単位製剤は、22.5~315mgのプリドピジンまたはその薬学的に許容される塩の1日用量で投与される。別の実施形態では、経口単位製剤は、10~315mgのプリドピジンまたはその薬学的に許容される塩の1日用量で投与される。別の実施形態では、経口単位製剤は、0.5~50mgのプリドピジンまたはその薬学的に許容される塩の1日用量で投与される。別の実施形態では、経口単位製剤は、45~250mgのプリドピジンまたはその薬学的に許容される塩の1日用量で投与される。別の実施形態では、経口単位製剤は、45~135mgのプリドピジンまたはその薬学的に許容される塩の1日用量で投与される。別の実施形態では、経口単位製剤は、90~315mgのプリドピジンまたはその薬学的に許容される塩の1日用量で投与される。
【0021】
他の実施形態では、対象における神経変性疾患または神経発達疾患を治療する、進行を遅らせる、悪化を軽減する、発症を遅らせる、または、その症状の進行を遅らせる本開示の方法は、プリドピジンまたはその薬学的に許容される塩と、化合物1またはその薬学的に許容される塩とを含む本開示の組成物を対象に投与するステップを含む。他の実施形態では、本開示の組成物は、プリドピジンまたはその薬学的に許容される塩と、化合物2またはその薬学的に許容される塩とを含む。他の実施形態では、本開示の組成物は、プリドピジンまたはその薬学的に許容される塩と、化合物3またはその薬学的に許容される塩とを含む。他の実施形態では、本開示の組成物は、プリドピジンまたはその薬学的に許容される塩と、化合物4またはその薬学的に許容される塩とを含む。他の実施形態では、本開示の組成物は、プリドピジンまたはその薬学的に許容される塩と、化合物5またはその薬学的に許容される塩とを含む。他の実施形態では、本開示の組成物は、プリドピジンまたはその薬学的に許容される塩と、化合物6またはその薬学的に許容される塩とを含む。他の実施形態では、本開示の組成物は、プリドピジンまたはその薬学的に許容される塩と、化合物7またはその薬学的に許容される塩とを含む。他の実施形態では、本開示の組成物は、プリドピジンまたはその薬学的に許容される塩と、化合物8またはその薬学的に許容される塩とを含む。他の実施形態では、本開示の組成物は、プリドピジンまたはその薬学的に許容される塩と、化合物1またはその薬学的に許容される塩と、化合物4またはその薬学的に許容される塩とを含む。他の実施形態では、本開示の組成物は、プリドピジン塩基を含む。他の実施形態では、本開示の組成物は、プリドピジン塩を含む。
【0022】
いくつかの実施形態では、本発明は、対象における神経変性疾患または神経発達疾患を治療する、進行を遅らせる、悪化を軽減する、発症を遅らせる、または、その症状の進行を遅らせる方法であって、プリドピジンまたはその薬学的に許容される塩と、化合物1またはその薬学的に許容される塩、化合物4またはその薬学的に許容される塩、及びそれらの組み合わせのうちの少なくとも1つとを含む本開示の組成物を対象に投与するステップを含む方法を提供する。神経変性疾患または障害は、ハンチントン病、前駆期/顕性期ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、パーキンソン病、グルコセレブロシダーゼ(GBA)欠損に伴うパーキンソン病、ジストニア、認知障害、ジスキネジア、軽度認知障害(MCI)、アルツハイマー病、加齢に伴う記憶障害、うつ病または不安症、細菌感染誘導性うつ病、神経変性眼疾患、緑内障を含む視神経症、加齢黄斑変性(AMD)、レーベル遺伝性視神経症(LHON)、網膜色素変性症、小眼球症、症候群12(MCOPS12)、ミトコンドリア病または機能障害(すなわち、リソソーム蓄積症(LSD)、白質萎縮症、白質消失症(VWM))、ウォルフラム病、及びウイルス感染症(COVID-19)からなる群から選択される。また、神経発達性疾患または障害は、レット症候群または脆弱X症候群である。他の実施形態では、本開示の組成物は、プリドピジン塩基を含む。他の実施形態では、本開示の組成物は、プリドピジン塩を含む。
【0023】
いくつかの実施形態では、本発明は、対象における神経変性疾患または神経発達疾患を治療する、進行を遅らせる、悪化を軽減する、発症を遅らせる、または、その症状の進行を遅らせる方法であって、プリドピジンまたはその薬学的に許容される塩と、化合物1またはその薬学的に許容される塩とを含む本開示の組成物を対象に投与するステップを含む方法を提供する。神経変性疾患または障害は、ハンチントン病、前駆期/顕性期ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、パーキンソン病、グルコセレブロシダーゼ(GBA)欠損に伴うパーキンソン病、ジストニア、認知障害、ジスキネジア、軽度認知障害(MCI)、アルツハイマー病、加齢に伴う記憶障害、うつ病または不安症、細菌感染誘導性うつ病、神経変性眼疾患、緑内障を含む視神経症、加齢黄斑変性(AMD)、レーベル遺伝性視神経症(LHON)、網膜色素変性症、小眼球症、症候群12(MCOPS12)、ミトコンドリア病または機能障害(すなわち、リソソーム蓄積症(LSD)、白質萎縮症、白質消失症(VWM))、ウォルフラム病、及びウイルス感染症(COVID-19)からなる群から選択される。また、神経発達性疾患または障害は、レット症候群または脆弱X症候群である。他の実施形態では、本開示の組成物は、プリドピジン塩基を含む。他の実施形態では、本開示の組成物は、プリドピジン塩を含む。
【0024】
いくつかの実施形態では、本発明は、対象における神経変性疾患または神経発達疾患を治療する、進行を遅らせる、悪化を軽減する、発症を遅らせる、または、その症状の進行を遅らせる方法であって、プリドピジンまたはその薬学的に許容される塩と、化合物1またはその薬学的に許容される塩と、化合物4またはその薬学的に許容される塩とを含む本開示の組成物を対象に投与するステップを含む方法を提供する。神経変性疾患または障害は、ハンチントン病、前駆期/顕性期ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、パーキンソン病、グルコセレブロシダーゼ(GBA)欠損に伴うパーキンソン病、ジストニア、認知障害、ジスキネジア、軽度認知障害(MCI)、アルツハイマー病、加齢に伴う記憶障害、うつ病または不安症、細菌感染誘導性うつ病、神経変性眼疾患、緑内障を含む視神経症、加齢黄斑変性(AMD)、レーベル遺伝性視神経症(LHON)、網膜色素変性症、小眼球症、症候群12(MCOPS12)、ミトコンドリア病または機能障害(すなわち、リソソーム蓄積症(LSD)、白質萎縮症、白質消失症(VWM))、ウォルフラム病、及びウイルス感染症(COVID-19)からなる群から選択される。また、神経発達性疾患または障害は、レット症候群または脆弱X症候群である。他の実施形態では、本開示の組成物は、プリドピジン塩基を含む。他の実施形態では、本開示の組成物は、プリドピジン塩を含む。
【0025】
いくつかの実施形態では、本発明は、対象における神経変性疾患または神経発達疾患を治療する、進行を遅らせる、悪化を軽減する、発症を遅らせる、または、その症状の進行を遅らせる方法であって、プリドピジンまたはその薬学的に許容される塩と、化合物4またはその薬学的に許容される塩とを含む本開示の組成物を対象に投与するステップを含む方法を提供する。神経変性疾患または障害は、ハンチントン病、前駆期/顕性期ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、パーキンソン病、グルコセレブロシダーゼ(GBA)欠損に伴うパーキンソン病、ジストニア、認知障害、ジスキネジア、軽度認知障害(MCI)、アルツハイマー病、加齢に伴う記憶障害、うつ病または不安症、細菌感染誘導性うつ病、神経変性眼疾患、緑内障を含む視神経症、加齢黄斑変性(AMD)、レーベル遺伝性視神経症(LHON)、網膜色素変性症、小眼球症、症候群12(MCOPS12)、ミトコンドリア病または機能障害(すなわち、リソソーム蓄積症(LSD)、白質萎縮症、白質消失症(VWM))、ウォルフラム病、及びウイルス感染症(COVID-19)からなる群から選択される。また、神経発達性疾患または障害は、レット症候群または脆弱X症候群である。他の実施形態では、本開示の組成物は、プリドピジン塩基を含む。他の実施形態では、本開示の組成物は、プリドピジン塩を含む。
【0026】
別の実施形態では、本発明の方法は、ハンチンチン遺伝子に36以上のCAG反復を有する前駆期/顕性期ハンチントン病患者における症状の発症の遅延を目的とし、プリドピジンまたはその薬学的に許容される塩と、化合物1~8またはその薬学的に許容される塩のうちの少なくとも1つとを含む本開示の組成物を対象に投与するステップを含む。別の実施形態では、本開示の組成物は、プリドピジンまたはその薬学的に許容される塩と、化合物1またはその薬学的に許容される塩、化合物4またはその薬学的に許容される塩、及びそれらの組み合わせのうちの少なくとも1つとを含む。別の実施形態では、本開示の組成物は、プリドピジンまたはその薬学的に許容される塩と、化合物1またはその薬学的に許容される塩とを含む。別の実施形態では、本開示の組成物は、プリドピジンまたはその薬学的に許容される塩と、化合物4またはその薬学的に許容される塩とを含む。別の実施形態では、本開示の組成物は、プリドピジンまたはその薬学的に許容される塩と、化合物1またはその薬学的に許容される塩と、化合物4またはその薬学的に許容される塩とを含む。他の実施形態では、本開示の組成物は、プリドピジン塩基を含む。他の実施形態では、本開示の組成物は、プリドピジン塩を含む。
【0027】
他の実施形態では、本発明の方法は、前駆期/顕性期ハンチントン病の症状の治療または進行の遅延を目的とする。
【0028】
他の実施形態では、本発明の方法は、生物流体(すなわち、脳脊髄液、血液、血漿)中のニューロフィラメント軽鎖(NfL)の増加を維持、低減、または軽減する。他の実施形態では、本発明の方法は、ハンチントン病、ALS、及びパーキンソン病を含む神経変性疾患の患者における生物流体(すなわち、脳脊髄液、血液、血漿)中のニューロフィラメント軽鎖(NfL)の増加を維持、低減、または軽減する。
【0029】
他の実施形態では、本発明の方法は、パーキンソン病の治療、進行の遅延、悪化の軽減、発症の遅延、またはその症状の進行の遅延を目的とし、プリドピジンまたはその薬学的に許容される塩と、化合物1~8またはその薬学的に許容される塩のうちの少なくとも1つとを含む本開示の組成物を対象に投与するステップを含む。別の実施形態では、本開示の組成物は、プリドピジンまたはその薬学的に許容される塩と、化合物1またはその薬学的に許容される塩、化合物4またはその薬学的に許容される塩、及びそれらの組み合わせのうちの少なくとも1つとを含む。別の実施形態では、本開示の組成物は、プリドピジンまたはその薬学的に許容される塩と、化合物1またはその薬学的に許容される塩とを含む。別の実施形態では、本開示の組成物は、プリドピジンまたはその薬学的に許容される塩と、化合物4またはその薬学的に許容される塩とを含む。別の実施形態では、本開示の組成物は、プリドピジンまたはその薬学的に許容される塩と、化合物1またはその薬学的に許容される塩と、化合物4またはその薬学的に許容される塩とを含む。他の実施形態では、本開示の組成物は、プリドピジン塩基を含む。他の実施形態では、本開示の組成物は、プリドピジン塩を含む。
【0030】
他の実施形態では、本発明の方法は、グルコセレブロシダーゼ(GBA)欠損に伴うパーキンソン病の治療、進行の遅延、悪化の軽減、発症の遅延、またはその症状の進行の遅延を目的とし、プリドピジンまたはその薬学的に許容される塩と、化合物1~8またはその薬学的に許容される塩のうちの少なくとも1つとを含む本開示の組成物を対象に投与するステップを含む。別の実施形態では、本開示の組成物は、プリドピジンまたはその薬学的に許容される塩と、化合物1またはその薬学的に許容される塩、化合物4またはその薬学的に許容される塩、及びそれらの組み合わせのうちの少なくとも1つとを含む。別の実施形態では、本開示の組成物は、プリドピジンまたはその薬学的に許容される塩と、化合物1またはその薬学的に許容される塩とを含む。別の実施形態では、本開示の組成物は、プリドピジンまたはその薬学的に許容される塩と、化合物4またはその薬学的に許容される塩とを含む。別の実施形態では、本開示の組成物は、プリドピジンまたはその薬学的に許容される塩と、化合物1またはその薬学的に許容される塩と、化合物4またはその薬学的に許容される塩とを含む。他の実施形態では、本開示の組成物は、プリドピジン塩基を含む。他の実施形態では、本開示の組成物は、プリドピジン塩を含む。
【0031】
他の実施形態では、本発明の方法は、パーキンソン病、パーキンソン病に関連する疾患、またはグルコセレブロシダーゼ(GBA)欠損に伴うパーキンソン病の治療、進行の遅延、悪化の軽減、発症の遅延、またはその症状の進行の遅延を目的とし、プリドピジンまたはその薬学的に許容される塩と、化合物1~8またはその薬学的に許容される塩のうちの少なくとも1つとを含む本開示の組成物を対象に投与するステップを含む。他の実施形態では、症状は、機能低下、認知機能低下を含む。特定の実施形態では、機能低下は、振戦、動作緩慢、硬直、姿勢の不安定性、日常生活の活動を含む統一パーキンソン病評価尺度パートII(UPDRSパートII)にしたがった低下、及び、PDの修正版ホーエン・ヤール分類にしたがった低下からなる群から選択される症状として提示される。特定の実施形態では、機能低下は、日常生活動作を含む統一パーキンソン病評価尺度パートII(UPDRSパートII)にしたがった低下として提示される。特定の実施形態では、対象の機能低下は、修正版ホーエン・ヤール分類にしたがった低下として提示される。
【0032】
特定の実施形態では、認知機能低下は、知的障害、思考障害、うつ病、意欲低下、自発性低下、言語障害、唾液分泌量の増加、嚥下障害、書字障害、及び痛覚の増加からなる群から選択される症状として提示される。
【0033】
他の実施形態では、本発明の方法は、ジストニアの治療、進行の遅延、悪化の軽減、発症の遅延、またはその症状の進行の遅延を目的とし、プリドピジンまたはその薬学的に許容される塩と、化合物1~8またはその薬学的に許容される塩のうちの少なくとも1つとを含む本開示の組成物を対象に投与するステップを含む。別の実施形態では、ジストニアは、重度のジストニアである。他の実施形態では、ジストニアの症状は、不随意的な四肢の運動または筋肉の収縮、四肢または体幹のねじれた姿勢、四肢または体幹の異常な固定姿勢、内反尖足、脚の内返し、腕の内返し、手、頭、体幹または腕の振戦、脚の引きずり、斜頸、指けいれん、または、体幹及び/または四肢のジストニアを含む。別の実施形態では、本開示の組成物は、プリドピジンまたはその薬学的に許容される塩と、化合物1またはその薬学的に許容される塩、化合物4またはその薬学的に許容される塩、及びそれらの組み合わせのうちの少なくとも1つとを含む。別の実施形態では、本開示の組成物は、プリドピジンまたはその薬学的に許容される塩と、化合物1またはその薬学的に許容される塩とを含む。別の実施形態では、本開示の組成物は、プリドピジンまたはその薬学的に許容される塩と、化合物4またはその薬学的に許容される塩とを含む。別の実施形態では、本開示の組成物は、プリドピジンまたはその薬学的に許容される塩と、化合物1またはその薬学的に許容される塩と、化合物4またはその薬学的に許容される塩とを含む。他の実施形態では、本開示の組成物は、プリドピジン塩基を含む。他の実施形態では、本開示の組成物は、プリドピジン塩を含む。
【0034】
「重度ジストニア」は、Burke-Fahn-Marsdenジストニア評価尺度(BFMDRS)で、少なくとも1つの身体部位の評価尺度が4以上であることによって判定することができる。BFMDRSは、9つの身体部位(目、口、発話、嚥下、頚部、体幹、右腕、右脚、左腕、左脚)について、各部位の重症度因子及び誘発因子を0(ジストニアなし)から4(安静時にジストニアの存在を示す)の5段階で評価する。目、口、頚部のジストニアスコアには0.5の重み付け係数が割り当てられ、他の6つの部位には1.0の重み付け係数が割り当てられる。各部位の得点は、誘発因子に重症度因子及び重み付け因子を乗算し、その後、各部位の得点を合計することにより得られる。取り得る最大スコアは120点である。
【0035】
重度のジストニアは、統一ジストニア評価尺度(UDRS)で、少なくとも1つの身体部位の評価尺度が4以上であることによっても判定することができる。UDRSは、14の身体部位(眼及び上顔面、下顔面、顎及び舌、喉頭、頸部、体幹、右肩/近位腕、左肩/近位腕、右遠位腕/手、左遠位腕/手、右近位脚、左近位脚、右遠位脚/足、左遠位脚/足)を、各部位の重症度因子及び期間係数を評価することによって評価する。各部位の重症度因子は、0(ジストニアなし)から4(重症ジストニア)までの5段階で評価する。持続時間因子は、0(安静時/動作時)から4(亜最大時/最大時)までの5段階評価で評価する。合計スコアは各領域(部分)の合計であり、取り得る最大スコアは112である。
【0036】
他の実施形態では、本発明の方法は、認知障害の治療、進行の遅延、悪化の軽減、発症の遅延、またはその症状の進行の遅延を目的とし、プリドピジンまたはその薬学的に許容される塩と、化合物1~8またはその薬学的に許容される塩のうちの少なくとも1つとを含む本開示の組成物を対象に投与するステップを含む。別の実施形態では、本開示の組成物は、プリドピジンまたはその薬学的に許容される塩と、化合物1またはその薬学的に許容される塩、化合物4またはその薬学的に許容される塩、及びそれらの組み合わせのうちの少なくとも1つとを含む。別の実施形態では、本開示の組成物は、プリドピジンまたはその薬学的に許容される塩と、化合物1またはその薬学的に許容される塩とを含む。別の実施形態では、本開示の組成物は、プリドピジンまたはその薬学的に許容される塩と、化合物4またはその薬学的に許容される塩とを含む。別の実施形態では、本開示の組成物は、プリドピジンまたはその薬学的に許容される塩と、化合物1またはその薬学的に許容される塩と、化合物4またはその薬学的に許容される塩とを含む。他の実施形態では、本開示の組成物は、プリドピジン塩基を含む。他の実施形態では、本開示の組成物は、プリドピジン塩を含む。
【0037】
特定の実施形態では、認知障害は、軽度認知障害である。特定の実施形態では、認知障害は、記憶喪失を含む。特定の実施形態では、認知障害は、加齢に伴う記憶障害を含む。
【0038】
認知障害とは、全般的認知機能、持続的認知、記憶、言語、実行機能、及び注意からなる群から選択される認知機能の障害を指す。別の実施形態では、認知機能は、記憶である。一実施形態では、記憶は、短期記憶である。別の実施形態では、記憶は、長期記憶である。別の実施形態では、記憶は、作業記憶である。一実施形態では、対象は、認知障害に罹患している。別の実施形態では、対象は、認知障害になりやすい傾向がある。一実施形態では、認知障害は、記憶障害である。一実施形態では、記憶障害は、短期記憶障害である。別の実施形態では、記憶障害は、記憶喪失である。一実施形態では、記憶喪失は、加齢に伴う記憶障害、軽度認知障害、認知症、及びうつ病のうちの1以上によって引き起こされる。一実施形態では、認知障害は、疾患または障害によって引き起こされるか、または、疾患または障害に関連する。一実施形態では、疾患または障害は、NMDA受容体に関連する疾患または障害である。別の実施形態では、疾患または障害は、統合失調症または自閉症である。別の実施形態では、疾患または障害は、てんかんまたは不安障害である。別の実施形態では、疾患または障害は、筋萎縮性側索硬化症(ALS)である。別の実施形態では、疾患または障害は、前頭側頭型認知症(FTD)である。別の実施形態では、疾患または障害は、軽度認知障害(MCI)である。別の実施形態では、疾患または障害は、双極性障害である。別の実施形態では、疾患または障害は、ハンチントン病である。別の実施形態では、疾患または障害は、大うつ病性障害(MDD)、パーキンソン病、アルツハイマー病、遅発性ジスキネジア、うつ病、鎌状赤血球貧血、脳卒中、慢性疼痛症候群、及び、中毒からなる群から選択される。別の実施形態では、疾患または障害は、軽度認知障害、記憶障害、記憶障害、脳損傷または脳卒中後の事象に関連する記憶障害、学習障害、及び、脳腫瘍に関連する行動及び認知の問題からなる群から選択される。別の実施形態では、疾患または障害は、認知症、レビー小体型認知症、加齢に伴う認知機能低下、精神病、注意欠陥障害(ADHD)、双極性障害、脳損傷、気分及び感情障害、トゥレット症候群、精神遅滞、進行性核上性麻痺、クロイツフェルト・ヤコブ病、皮質基底変性症、血管性認知症、及び、ピック病からなる群から選択される。別の実施形態では、疾患または障害は、全般性不安障害(GAD)、社会不安障害(SAD)、遅発性ジスキネジア、うつ病、鎌状赤血球貧血、慢性疼痛症候群、依存症、ニコチン依存症、インターネット依存症、コカイン依存症、トゥレット症候群、精神遅滞、皮質基底核変性症、血管性認知症、ピック病、心的外傷後ストレス障害(PTSD)、強迫性障害、パニック障害(PD)、三叉神経痛、三叉神経筋骨格痛、幻肢痛、過敏性腸症候群、眼瞼痙攣、複合性局所疼痛症候群、慢性腰痛、自閉症スペクトラム障害(ASD)、及び、乳児痙攣(IS)からなる群から選択される。
【0039】
他の実施形態では、本発明の方法は、ジスキネジアの治療、進行の遅延、悪化の軽減、発症の遅延、またはその症状の進行の遅延を目的とし、プリドピジンまたはその薬学的に許容される塩と、化合物1~8またはその薬学的に許容される塩のうちの少なくとも1つとを含む本開示の組成物を対象に投与するステップを含む。別の実施形態では、本開示の組成物は、プリドピジンまたはその薬学的に許容される塩と、化合物1またはその薬学的に許容される塩、化合物4またはその薬学的に許容される塩、及びそれらの組み合わせのうちの少なくとも1つとを含む。別の実施形態では、本開示の組成物は、プリドピジンまたはその薬学的に許容される塩と、化合物1またはその薬学的に許容される塩とを含む。別の実施形態では、本開示の組成物は、プリドピジンまたはその薬学的に許容される塩と、化合物4またはその薬学的に許容される塩とを含む。別の実施形態では、本開示の組成物は、プリドピジンまたはその薬学的に許容される塩と、化合物1またはその薬学的に許容される塩と、化合物4またはその薬学的に許容される塩とを含む。他の実施形態では、本開示の組成物は、プリドピジン塩基を含む。他の実施形態では、本開示の組成物は、プリドピジン塩を含む。
【0040】
ジスキネジアとは、身体の一部が、けいれんしたり、ねじられたり、身もだえたりするような異常な不随意運動のことである。ジスキネジアにはいくつかの種類があり、舞踏病、ジストニア、ミオクローヌス、振戦、及び、発作性遅発型(遅発型)に分類される。そのような運動障害としては、これに限定しないが、パーキンソン病、遅発性ジスキネジア、舞踏病、ジストニア、振戦、アカシジア、アテトーゼ、ミオクローヌス、またはチックが挙げられる。いくつかの実施形態では、ジスキネジアは、L-DOPA誘発ジスキネジア(LID)である。いくつかの実施形態では、ジスキネジアは、パーキンソン病(PD)-LIDである。
【0041】
他の実施形態では、本発明の方法は、アルツハイマー病の治療、進行の遅延、悪化の軽減、発症の遅延、またはその症状の進行の遅延を目的とし、プリドピジンまたはその薬学的に許容される塩と、化合物1~8またはその薬学的に許容される塩のうちの少なくとも1つとを含む本開示の組成物を対象に投与するステップを含む。別の実施形態では、本開示の組成物は、プリドピジンまたはその薬学的に許容される塩と、化合物1またはその薬学的に許容される塩、化合物4またはその薬学的に許容される塩、及びそれらの組み合わせのうちの少なくとも1つとを含む。別の実施形態では、本開示の組成物は、プリドピジンまたはその薬学的に許容される塩と、化合物1またはその薬学的に許容される塩とを含む。別の実施形態では、本開示の組成物は、プリドピジンまたはその薬学的に許容される塩と、化合物4またはその薬学的に許容される塩とを含む。別の実施形態では、本開示の組成物は、プリドピジンまたはその薬学的に許容される塩と、化合物1またはその薬学的に許容される塩と、化合物4またはその薬学的に許容される塩とを含む。他の実施形態では、本開示の組成物は、プリドピジン塩基を含む。他の実施形態では、本開示の組成物は、プリドピジン塩を含む。
【0042】
他の実施形態では、本発明の方法は、加齢に伴う記憶障害の治療、進行の遅延、悪化の軽減、発症の遅延、またはその症状の進行の遅延を目的とし、プリドピジンまたはその薬学的に許容される塩と、化合物1~8またはその薬学的に許容される塩のうちの少なくとも1つとを含む本開示の組成物を対象に投与するステップを含む。別の実施形態では、本開示の組成物は、プリドピジンまたはその薬学的に許容される塩と、化合物1またはその薬学的に許容される塩、化合物4またはその薬学的に許容される塩、及びそれらの組み合わせのうちの少なくとも1つとを含む。別の実施形態では、本開示の組成物は、プリドピジンまたはその薬学的に許容される塩と、化合物1またはその薬学的に許容される塩とを含む。別の実施形態では、本開示の組成物は、プリドピジンまたはその薬学的に許容される塩と、化合物4またはその薬学的に許容される塩とを含む。別の実施形態では、本開示の組成物は、プリドピジンまたはその薬学的に許容される塩と、化合物1またはその薬学的に許容される塩と、化合物4またはその薬学的に許容される塩とを含む。他の実施形態では、本開示の組成物は、プリドピジン塩基を含む。他の実施形態では、本開示の組成物は、プリドピジン塩を含む。
【0043】
他の実施形態では、本発明の方法は、神経変性眼疾患、緑内障を含む視神経症、加齢黄斑変性(AMD)、レーベル遺伝性視神経症(LHON)、網膜色素変性症、及びそれらに関連する症状の治療、進行の遅延、悪化の軽減、発症の遅延、またはその症状の進行の遅延を目的とし、プリドピジンまたはその薬学的に許容される塩と、化合物1~8またはその薬学的に許容される塩のうちの少なくとも1つとを含む本開示の組成物を対象に投与するステップを含む。別の実施形態では、本開示の組成物は、プリドピジンまたはその薬学的に許容される塩と、化合物1またはその薬学的に許容される塩、化合物4またはその薬学的に許容される塩、及びそれらの組み合わせのうちの少なくとも1つとを含む。別の実施形態では、本開示の組成物は、プリドピジンまたはその薬学的に許容される塩と、化合物1またはその薬学的に許容される塩とを含む。別の実施形態では、本開示の組成物は、プリドピジンまたはその薬学的に許容される塩と、化合物4またはその薬学的に許容される塩とを含む。別の実施形態では、本開示の組成物は、プリドピジンまたはその薬学的に許容される塩と、化合物1またはその薬学的に許容される塩と、化合物4またはその薬学的に許容される塩とを含む。他の実施形態では、本開示の組成物は、プリドピジン塩基を含む。他の実施形態では、本開示の組成物は、プリドピジン塩を含む。
【0044】
他の実施形態では、本発明の方法は、ウォルフラム病の治療、進行の遅延、悪化の軽減、発症の遅延、またはその症状の進行の遅延を目的とし、プリドピジンまたはその薬学的に許容される塩と、化合物1~8またはその薬学的に許容される塩のうちの少なくとも1つとを含む本開示の組成物を対象に投与するステップを含む。他の実施形態では、ウォルフラム病の症状としては、尿路異常、運動失調、嗅覚消失、咽頭反射消失、ミオクローヌス、末梢神経障害、発作、うつ病、衝動的及び/または攻撃的行動、精神病、胃腸障害、知的障害、不規則な呼吸、中枢性無呼吸、中枢性呼吸不全、男性の性腺機能低下症、胃及び/または腸潰瘍、及び、創傷からの過剰出血傾向が挙げられる。別の実施形態では、本開示の組成物は、プリドピジンまたはその薬学的に許容される塩と、化合物1またはその薬学的に許容される塩、化合物4またはその薬学的に許容される塩、及びそれらの組み合わせのうちの少なくとも1つとを含む。別の実施形態では、本開示の組成物は、プリドピジンまたはその薬学的に許容される塩と、化合物1またはその薬学的に許容される塩とを含む。別の実施形態では、本開示の組成物は、プリドピジンまたはその薬学的に許容される塩と、化合物4またはその薬学的に許容される塩とを含む。別の実施形態では、本開示の組成物は、プリドピジンまたはその薬学的に許容される塩と、化合物1またはその薬学的に許容される塩と、化合物4またはその薬学的に許容される塩とを含む。他の実施形態では、本開示の組成物は、プリドピジン塩基を含む。他の実施形態では、本開示の組成物は、プリドピジン塩を含む。
【0045】
他の実施形態では、本発明の方法は、細菌感染誘導性うつ病の治療、進行の遅延、悪化の軽減、発症の遅延、またはその症状の進行の遅延を目的とし、プリドピジンまたはその薬学的に許容される塩と、化合物1~8またはその薬学的に許容される塩のうちの少なくとも1つとを含む本開示の組成物を対象に投与するステップを含む。別の実施形態では、本開示の組成物は、プリドピジンまたはその薬学的に許容される塩と、化合物1またはその薬学的に許容される塩、化合物4またはその薬学的に許容される塩、及びそれらの組み合わせのうちの少なくとも1つとを含む。別の実施形態では、本開示の組成物は、プリドピジンまたはその薬学的に許容される塩と、化合物1またはその薬学的に許容される塩とを含む。別の実施形態では、本開示の組成物は、プリドピジンまたはその薬学的に許容される塩と、化合物4またはその薬学的に許容される塩とを含む。別の実施形態では、本開示の組成物は、プリドピジンまたはその薬学的に許容される塩と、化合物1またはその薬学的に許容される塩と、化合物4またはその薬学的に許容される塩とを含む。他の実施形態では、本開示の組成物は、プリドピジン塩基を含む。他の実施形態では、本開示の組成物は、プリドピジン塩を含む。
【0046】
他の実施形態では、本発明の方法は、症候性小眼球症12(MCOPS12)の治療、進行の遅延、悪化の軽減、発症の遅延、またはその症状の進行の遅延を目的とし、プリドピジンまたはその薬学的に許容される塩と、化合物1~8またはその薬学的に許容される塩のうちの少なくとも1つとを含む本開示の組成物を対象に投与するステップを含む。別の実施形態では、本開示の組成物は、プリドピジンまたはその薬学的に許容される塩と、化合物1またはその薬学的に許容される塩、化合物4またはその薬学的に許容される塩、及びそれらの組み合わせのうちの少なくとも1つとを含む。別の実施形態では、本開示の組成物は、プリドピジンまたはその薬学的に許容される塩と、化合物1またはその薬学的に許容される塩とを含む。別の実施形態では、本開示の組成物は、プリドピジンまたはその薬学的に許容される塩と、化合物4またはその薬学的に許容される塩とを含む。別の実施形態では、本開示の組成物は、プリドピジンまたはその薬学的に許容される塩と、化合物1またはその薬学的に許容される塩と、化合物4またはその薬学的に許容される塩とを含む。他の実施形態では、本開示の組成物は、プリドピジン塩基を含む。他の実施形態では、本開示の組成物は、プリドピジン塩を含む。
【0047】
他の実施形態では、本発明の方法は、対象における神経変性眼疾患またはその症状を治療、軽減、または抑制する方法であって、プリドピジンまたはその薬学的に許容される塩と、下記の式で表される化合物1~8またはその薬学的に許容される塩のうちの少なくとも1つとを含む本開示の組成物を対象に投与するステップを含む方法を提供する。
【0048】
【化1】
【0049】
他の実施形態では、本開示の組成物は、プリドピジン塩基を含む。他の実施形態では、本開示の組成物は、プリドピジン塩を含む。
【0050】
他の実施形態では、神経変性眼疾患の症状は、視神経軸索の損傷または損失である。他の実施形態では、神経変性眼疾患の症状は、網膜神経節細胞(RGC)の損失または細胞死である。他の実施形態では、本開示の組成物は、対象における視神経軸索の損失または損傷を低減または予防するのに有効である。他の実施形態では、本開示の組成物は、対象における網膜神経節細胞(RGC)の損失または細胞死を低減または予防するのに有効である。
【0051】
他の実施形態では、視神経軸索の損失が、少なくとも3%、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、または少なくとも50%低減する。他の実施形態では、視神経軸索の損失が、50%超、60%超、70%超、または80%超低減する。他の実施形態では、本開示の組成物は、対象における変性から視神経軸索を保護するのに有効である。他の実施形態では、軸索変性は、眼圧の上昇によって引き起こされる。
【0052】
一実施形態では、プリドピジンまたはその薬学的に許容される塩と、化合物1~8またはその薬学的に許容される塩のうちの少なくとも1つとを含む本開示の組成物の投与は、対象における神経変性眼疾患の症状を軽減または抑制するのに有効である。
【0053】
一実施形態では、神経変性眼疾患は、緑内障、加齢黄斑変性、視神経症、及び網膜色素変性からなる群から選択される。別の実施形態では、神経変性眼疾患は、網膜神経節細胞、光受容体、他の網膜神経細胞、及び、角膜神経に影響を及ぼすあらゆる疾患を指す。
【0054】
網膜神経節細胞及びその結合に影響を及ぼす疾患は視神経症であり、視神経症としては、緑内障性視神経症(緑内障とも呼ばれる)、炎症性視神経症(視神経炎とも呼ばれる)、虚血性視神経症、中毒性視神経症、圧迫性視神経症、浸潤性視神経症、遺伝性視神経症、外傷性視神経症、栄養性視神経症、頭蓋内圧亢進による視神経症(乳頭水腫視神経症とも呼ばれる)、視神経乳頭ドルーゼン、自己免疫性視神経症、及び他の視神経症が挙げられる。視神経症の各カテゴリーにはサブカテゴリーがあり、例えば、虚血性視神経症には、非動脈炎性前部虚血性視神経症、動脈炎性前部虚血性視神経症、及び後部虚血性視神経症がある。
【0055】
いくつかの実施形態では、神経変性眼疾患は、緑内障であり、緑内障のすべての臨床形態を含む。例えば、緑内障には開放隅角緑内障と閉塞隅角緑内障があり、それぞれにサブカテゴリーがある。例えば開放隅角緑内障には、原発性開放隅角緑内障、色素性緑内障、偽偽落屑緑内障、血管新生緑内障、ステロイド誘発緑内障、正常眼圧緑内障、圧力非依存性緑内障などのサブカテゴリーがある。
【0056】
網膜神経節細胞以外の網膜の光受容体及び他の細胞に影響を及ぼす疾患としては、湿性AMD及び乾性AMDを含む加齢黄斑変性症(AMD);嚢胞様黄斑浮腫;中心性漿液性脈絡網膜症;黄斑パッカーまたは黄斑円孔;糖尿病性及び非糖尿病性黄斑浮腫;網膜上膜;網膜色素変性症及び同様の遺伝性または非遺伝性網膜変性症のすべての変種;網膜剥離;日光網膜症;自己免疫性網膜症;網膜動脈閉塞症;網膜静脈閉塞症;糖尿病網膜症;感染性網膜症;ぶどう膜炎を含む網膜の炎症;近視による網膜変性疾患;格子様変性が挙げられる。
【0057】
角膜神経に影響を及ぼす疾患等としては、ヘルペスウイルス、ハンセン病、アカントアメーバ、真菌などの感染症;局所麻酔薬、保存剤などの毒性物質;三叉神経の疾患または損傷、遺伝性または後天性の多発神経障害などの感覚神経障害;角膜ジストロフィー、円錐角膜、水疱性角膜症などの角膜疾患;シェーグレン症候群などの自己免疫疾患;ドライアイ;レーザー原位置角膜切開術(LASIK)、角膜移植などの角膜手術の影響が挙げられる。
【0058】
一実施形態では、神経変性眼疾患は、緑内障である。別の実施形態では、神経変性眼疾患は、湿性加齢黄斑変性(湿性AMD)、または乾性加齢黄斑変性(乾性AMD)である。さらなる実施形態では、神経変性眼疾患は、レーベル遺伝性視神経症(LHON)である。
【0059】
一実施形態では、神経変性眼疾患の症状は、網膜神経節細胞の損傷または損失、あるいは、視神経軸索の損傷または損失である。
【0060】
一実施形態では、本開示の方法は、対象における網膜神経節細胞の損失または損傷を低減することを含む。
【0061】
一実施形態では、プリドピジンまたはその薬学的に許容される塩と、化合物1~8またはその薬学的に許容される塩のうちの少なくとも1つとの量は、対象における網膜神経節細胞の損失または損傷を低減または予防するのに有効な量である。別の実施形態では、網膜神経節細胞の損失が、少なくとも3%、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、または少なくとも50%低減する。さらなる実施形態では、網膜神経節細胞の損失が、50%超、60%超、70%超、または80%超低減する。
【0062】
一実施形態では、治療は、患者における網膜神経節細胞の生存率が、50%超、60%超、70%超、または80%超改善することを含む。
【0063】
別の実施形態では、治療は、患者における網膜神経節細胞の損失が、50%超、60%超、70%超、または80%超低減することを含む。
【0064】
また、本発明は、対象における網膜神経節細胞の損傷または損失を予防または低減する方法であって、プリドピジンまたはその薬学的に許容される塩と、化合物1~8またはその薬学的に許容される塩のうちの少なくとも1つとを含む本開示の医薬組成物を、対象における網膜神経節細胞の損傷または損失を予防または低減するのに有効な量で対象に投与するステップを含む方法を提供する。一実施形態では、本開示の組成物は、対象における網膜神経節細胞の生存率を改善するのに有効である。別の実施形態では、本開示の組成物は、対象における網膜神経節細胞を細胞死から保護するのに有効である。いくつかの実施形態では、細胞死は、眼圧の上昇によって引き起こされる。
【0065】
一実施形態では、本開示の方法は、対象における視神経軸索の損失または損傷を低減することを含む。
【0066】
一実施形態では、プリドピジンまたはその薬学的に許容される塩と、化合物1~8またはその薬学的に許容される塩のうちの少なくとも1つとを含む医薬組成物は、対象における視神経軸索の損失または損傷を低減または予防するのに有効である。別の実施形態では、視神経軸索の損失が、少なくとも3%、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、または少なくとも50%低減する。さらなる実施形態では、視神経軸索の損失が、50%超、60%超、70%超、または80%超低減する。
【0067】
一実施形態では、治療は、患者の視神経軸索の生存率が、10%超、20%超、30%超、40%超、50%超、60%超、70%超、または80%超改善することを含む。
【0068】
別の実施形態では、治療は、患者の視神経軸索の損失が、10%超、20%超、30%超、40%超、50%超、60%超、70%超、または80%超低減することを含む。
【0069】
また、本発明は、対象における視神経軸索の損傷または損失を予防または低減する方法であって、プリドピジンまたはその薬学的に許容される塩と、化合物1~8またはその薬学的に許容される塩のうちの少なくとも1つとを含む本開示の医薬組成物を、対象における視神経軸索の損傷または損失を予防または低減するのに有効な量で対象に投与するステップを含む方法を提供する。一実施形態では、本開示の組成物は、対象における視神経軸索の生存率を改善するのに有効である。別の実施形態では、本開示の組成物は、対象における視神経軸索を細胞死から保護するのに有効である。いくつかの実施形態では、細胞死は、眼圧の上昇によって引き起こされる。
【0070】
別の実施形態では、治療は、対象における眼の神経変性疾患の進行を遅らせることを含む。いくつかの実施形態では、治療は、緑内障に罹患した患者における失明に向かう視野欠損の進行を遅らせることを含む。いくつかの実施形態では、治療は、緑内障に罹患した患者における失明を予防することを含む。
【0071】
一実施形態では、プリドピジンは、プリドピジン塩酸塩である。
【0072】
本開示の方法及び使用において、投与経路は、例えば、経口であり得る。また、投与経路は、効果が局所的であるか(例えば、局所投与において)、または、全身的であるか(例えば、経腸投与または非経口投与において)によって分類することもできる。本明細書で使用するとき、「局所投与」とは、化合物または組成物をその作用が望まれる場所に直接投与することを意味し、特に全身投与を除くものとする。本明細書で使用するとき、化合物または組成物の「局所投与」とは、化合物または組成物を皮膚などの身体表面または眼などの粘膜に適用することを意味するものとする。本明細書で使用するとき、「眼投与」とは、化合物または組成物を対象の眼、眼の周囲の皮膚(眼周囲皮膚)、または眼の周囲の粘膜、特に対象の結膜に適用すること、すなわち局所投与を意味するものとする。眼への投与の例としては、眼への直接的な局所投与、まぶたへの局所適用、眼またはまぶたの一部への注射などが挙げられる。加えて、本明細書で使用するとき、「眼用医薬組成物」とは、眼投与用に製剤化された医薬組成物を意味する。所定量のプリドピジン及び本発明の医薬組成物は、経口投与、局所投与、全身投与、局所投与、または眼投与によって投与され得る。他の実施形態では、本開示の組成物は、経口投与、局所投与、眼内投与、眼周囲投与、または眼投与される。他の実施形態では、本開示の組成物は、結膜への点眼によって投与される。
【0073】
一実施形態では、プリドピジンまたはその薬学的に許容される塩と、化合物1~8またはその薬学的に許容される塩のうちの少なくとも1つとを含む医薬組成物は、全身投与によって投与される。いくつかの実施形態では、本開示の医薬組成物は、経口投与によって投与される。別の実施形態では、本開示の医薬組成物は、エアロゾル、吸入可能な粉末、注射剤、液体、ゲル、クリーム、固体、カプセル、または錠剤の形態で投与される。他の実施形態では、本開示の組成物は、経口投与、局所投与、眼内投与、硝子体内投与、眼周囲投与、または眼投与によって投与される。他の実施形態では、本開示の組成物は、結膜への点眼によって投与される。
【0074】
一実施形態では、本開示の医薬組成物は、眼への局所投与によって投与される。別の実施形態では、プリドピジンと、化合物1~8またはその薬学的に許容される塩のうちの少なくとも1つとは、局所投与によって投与される。さらなる実施形態では、プリドピジンは、眼内投与、眼周囲投与、または眼投与によって投与される。いくつかの実施形態では、プリドピジンは、液体、ゲル、クリーム、またはコンタクトレンズの形態で投与(適用)される。
【0075】
別の実施形態では、本開示の医薬組成物は、例えば、点眼剤、眼内デポ注射剤、アイゲル、結膜に挿入される錠剤、または、プリドピジンを装填したレンズとして、対象の眼に直接(適用)投与される。一実施形態では、プリドピジン塩酸塩が、対象の眼に投与される。
【0076】
一実施形態では、本開示の医薬組成物は、点眼によって投与するのに適した点眼液として製剤化される。点眼液は、液体またはゲルの形態、好ましくは液体の形態とすることができる。本開示の医薬組成物を液体またはゲルの形態で眼に局所投与する場合、より少ない量のプリドピジンで、プリドピジンを全身投与した場合と同じ臨床効果をもたらすことができる。
【0077】
一実施形態では、全身投与されるプリドピジンの量は、22.5~315mg/日、90~315mg/日、90~250mg/日、または90~180mg/日である。別の実施形態では、プリドピジンの投与量は、約22.5mg/日、約45mg/日、約67.5mg/日、約90mg/日、約100mg/日、約112.5mg/日、約125mg/日、約135mg/日、約150mg/日、約180mg/日、約200mg/日、約225mg/日、約250mg/日、または約315mg/日である。他の実施形態では、プリドピジンまたはその薬学的に許容される塩を含む本開示の組成物は、22.5~315mg/日の量のプリドピジンを含む1日用量で投与される。他の実施形態では、プリドピジンまたはその薬学的に許容される塩と、化合物1~8またはその薬学的に許容される塩のうちの少なくとも1つとを含む本開示の組成物は、22.5~315mg/日の量のプリドピジンを含む1日用量で投与される。
【0078】
一実施形態では、1回投与で全身投与されるプリドピジンの量は、約22.5mg、約45mg、約67.5mg、約90mg、約100mg、約112.5mg、約125mg、約135mg、約150mg、約180mg、約200mg、約250mg、または約315mgである。
【0079】
別の実施形態では、本開示の医薬組成物は、対象の眼に直接投与される。いくつかの実施形態では、本開示の医薬組成物は、眼への直接投与、例えば眼への局所投与のために、例えば点眼剤として製剤化され、プリドピジンは、0.1~50mg、または0.2~20mgの用量範囲で調製される。
【0080】
一実施形態では、局所投与されるプリドピジンの量は、0.1~50mg/日、または0.2~mg/日である。別の実施形態では、1回投与で局所投与されるプリドピジンの量は、0.1~50mg、または0.2~20mgである。
【0081】
一実施形態では、本開示の医薬組成物は、定期的に投与される。
【0082】
一実施形態では、本開示の医薬組成物は、毎日投与される。
【0083】
別の実施形態では、本開示の医薬組成物は、1日1回よりも多い頻度で、または1日1回よりも少ない頻度で投与される。一実施形態では、本開示の医薬組成物は、1日1回よりも多い頻度で、例えば、1日2回または1日3回投与される。別の実施形態では、本開示の医薬組成物は、1日1回よりも少ない頻度で、例えば、隔日または週1回で投与される。
【0084】
一実施形態では、本開示の医薬組成物の定期的な投与は、少なくとも3日間、30日間以上、42日間以上、8週間以上、少なくとも12週間、少なくとも24週間、24週間以上、または6ヶ月以上継続する。いくつかの実施形態では、例えば、緑内障に罹患した対象の治療では、治療は、慢性治療であり、本開示の医薬組成物を12ヶ月以上、18ヶ月以上、24ヶ月以上にわたって定期的に投与する。
【0085】
一実施形態では、対象は、ヒト患者である。
【0086】
一実施形態では、本開示の方法は、神経変性眼疾患を治療するための第2の薬剤の投与をさらに含む。別の実施形態では、第2の薬剤は、p-アドレナリン拮抗薬、アドレナリン作動薬、副交感神経作動薬プロスタグランジン類似体、または炭酸脱水酵素阻害薬である。
【0087】
別の実施形態では、第2の薬剤は、対象における上昇した眼圧を低下させる。さらなる実施形態では、第2の薬剤は、プロスタグランジン作動薬、β遮断薬、炭酸脱水酵素阻害薬、α作動薬、またはそれらの任意の組み合わせである。追加の実施形態では、第2の薬剤は、ラタノプロスト、ビマトプロスト、トラボプロスト点眼薬、ウノプロストン点眼薬、タフルプロスト、ベタキソロール点眼薬、カルテオロール、チモロール、レボブノロール、メチプラノロール、ドルゾラミド、ブリンゾラミド、アセタゾールアミド、メタゾラミド、ブリモニジン、アプラクロニジン、またはそれらの任意の組み合わせである。
【0088】
一実施形態では、対象に対して、本開示の医薬組成物と第2の薬剤とを含む多剤混合薬が投与される。
【0089】
一実施形態では、プリドピジンの量及び第2の薬剤の量は、同時に、同時期に、または併用して投与されるように調製される。
【0090】
また、本発明は、神経変性眼疾患に罹患した対象を治療するための医薬組成物であって、プリドピジンまたはその薬学的に許容される塩と、化合物1~8またはその薬学的に許容される塩のうちの少なくとも1つとを含む医薬組成物を提供する。
【0091】
一実施形態では、本開示の医薬組成物は、神経変性眼疾患を治療するための所定量の第2の薬剤をさらに含む。
【0092】
一実施形態では、プリドピジンまたはその薬学的に許容される塩と、化合物1~8またはその薬学的に許容される塩のうちの少なくとも1つと、第2の薬剤とを含む医薬組成物は、同時に、同時期に、または併用して投与されるように調製される。
【0093】
また、本発明は、神経変性眼疾患を治療するための第2の薬剤を含む医薬組成物と共に併用療法で使用するための医薬組成物であって、プリドピジンまたはその薬学的に許容される塩と、化合物1~8またはその薬学的に許容される塩のうちの少なくとも1つとを含む医薬組成物を提供する。
【0094】
また、本発明は、神経変性眼疾患に罹患した対象をアドオン療法(付加治療)として治療するための、または、神経変性眼疾患を治療するための第2の薬剤と組み合わせて使用するための医薬組成物であって、所定量のプリドピジンまたはその薬学的に許容される塩と、化合物1~8またはその薬学的に許容される塩のうちの少なくとも1つとを含む医薬組成物を提供する。
【0095】
一実施形態では、本開示の医薬組成物中のプリドピジンの量は、約22.5mg、約45mg、約67.5mg、約90mg、約100mg、約112.5mg、約125mg、約135mg、約150mg、約180mg、約200mg、約250mg、または約315mgである。
【0096】
一実施形態では、本開示の医薬組成物中のプリドピジンの量は、0.1~50mg、または0.2~20mgである。
【0097】
一実施形態では、本開示の医薬組成物中のプリドピジンの用量は、対象の体重当たりのプリドピジンの量として測定される。別の実施形態では、プリドピジンの用量は、1~100mg/kgである。別の実施形態では、プリドピジンの用量は、1~10mg/kg、20~50mg/kg、または50~100mg/kgである。別の実施形態では、プリドピジンの用量は、3mg/kg、10mg/kg、30mg/kg、または60mg/kgである。本発明はまた、神経変性眼疾患に罹患した対象を治療するのに有用な単位剤形の医薬組成物であって、所定量のプリドピジンまたはその薬学的に許容される塩を含み、該組成物中のプリドピジンの量は、1以上の単位剤形の医薬組成物を対象に投与したときに対象を治療するのに有効な量である、医薬組成物を提供する。
【0098】
また、本発明は、所定量のプリドピジンまたはその薬学的に許容される塩と、化合物1~8またはその薬学的に許容される塩のうちの少なくとも1つと、眼への投与に適した薬学的に許容される賦形剤とを含む眼用医薬組成物を提供する。
【0099】
一実施形態では、本開示の眼用医薬組成物は、神経変性眼疾患を治療するための第2の薬剤をさらに含む。一実施形態では、神経変性眼疾患を治療するための第2の薬剤は、抗緑内障薬である。
【0100】
別の実施形態では、本開示の眼用医薬組成物中のプリドピジンの量は、0.1~50mg、または0.2~20mgである。
【0101】
一実施形態では、本開示の眼用医薬組成物は、液体の形態である。いくつかの実施形態では、本開示の眼用医薬組成物中のプリドピジンの濃度は、0.0001~10.0w/v%、0.001~5w/v%、0.01~1w/v%、または0.1~10w/v%である。
【0102】
また、本発明は、対象における神経変性眼疾患の治療に使用するための眼用医薬組成物を提供する。
【0103】
本発明はさらに、本開示の医薬組成物を含む点眼剤を提供する。本発明はさらに、本開示の医薬組成物と点眼剤とを含む容器を提供する。
【0104】
また、本発明は、本発明の方法で使用するための点眼剤または点眼剤を含む容器を提供する。
【0105】
また、本発明は、神経変性眼疾患に罹患した対象の治療に使用するための、プリドピジンまたはその薬学的に許容される塩と、化合物1~8またはその薬学的に許容される塩のうちの少なくとも1つとを提供する。
【0106】
用語
【0107】
本明細書で使用するとき、特に明記しない限り、以下の各用語は、以下に記載する定義を有するものとする。
【0108】
本明細書で使用するとき、「プリドピジン」とは、プリドピジン塩基またはその薬学的に許容される塩もしくはその誘導体、例えば、重水素濃縮のプリドピジンまたは塩を意味する。
【0109】
「~の塩」とは、化合物の酸性塩または塩基性塩を作製することによって修飾された本化合物の塩である。この点において、「薬学的に許容される塩」という用語は、本発明の化合物の、比較的無毒な、無機または有機の酸付加塩または塩基付加塩を指す。例えば、このような塩を作製する方法の1つは、本発明の化合物を無機塩基で処理することである。
【0110】
本明細書で使用するとき、「神経変性眼疾患」とは、眼球及び/または視神経の神経感覚細胞、とりわけ網膜細胞及び/または網膜軸索の変性を伴う疾患である。神経感覚細胞としては、網膜神経節細胞、視神経軸索、網膜色素上皮細胞、錐体、桿体、及び、網膜の他のすべての神経細胞またはグリア細胞が挙げられる。神経変性眼疾患の例としては、緑内障、湿性AMD及び乾性AMDを含む加齢黄斑変性(AMD)、網膜色素変性症のすべての変種、及び、視神経症、これに限定しないが、例えば、虚血性視神経症(ION)、レーベル遺伝性視神経症(LHON)、及び網膜症(例えば、スターガルト病)が挙げられる。神経変性眼疾患の例としては、眼の神経細胞及びその接続に影響を及ぼす疾患、例えば、網膜神経節細胞、視細胞、及び他の網膜神経細胞、並びに、角膜神経に影響を及ぼす疾患などが挙げられる。
【0111】
網膜神経節細胞及びその結合に影響を及ぼす疾患は視神経症であり、視神経症としては、緑内障性視神経症(緑内障とも呼ばれる)、炎症性視神経症(視神経炎とも呼ばれる)、虚血性視神経症、中毒性視神経症、圧迫性視神経症、浸潤性視神経症、遺伝性視神経症、外傷性視神経症、栄養性視神経症、頭蓋内圧亢進による視神経症(乳頭水腫視神経症とも呼ばれる)、視神経乳頭ドルーゼン、自己免疫性視神経症、及び他の視神経症が挙げられる。視神経症の各カテゴリーにはサブカテゴリーがあり、例えば、虚血性視神経症には、非動脈炎性前部虚血性視神経症、動脈炎性前部虚血性視神経症、及び後部虚血性視神経症がある。
【0112】
いくつかの実施形態では、神経変性眼疾患は、緑内障であり、緑内障のすべての臨床形態を含む。例えば、緑内障には開放隅角緑内障と閉塞隅角緑内障があり、それぞれにサブカテゴリーがある。例えば開放隅角緑内障には、原発性開放隅角緑内障、色素性緑内障、偽偽落屑緑内障、血管新生緑内障、ステロイド誘発緑内障、正常眼圧緑内障、圧力非依存性緑内障などのサブカテゴリーがある。いくつかの実施態様では、神経変性眼疾患は緑内障であり、緑内障のすべての臨床形態、例えば、原発性緑内障及び続発性緑内障を含む。原発性緑内障としては、例えば、原発性開放隅角緑内障(POAG)、正常眼圧緑内障(NTG)、原発性閉塞隅角緑内障(PACG)、急性閉塞隅角緑内障(AACG)、及び閉塞隅角緑内障(ACG)が挙げられる。続発性緑内障としては、例えば、偽落屑緑内障、色素性緑内障、血管新生緑内障、ステロイド誘発緑内障、治療抵抗性緑内障が挙げられる。
【0113】
網膜神経節細胞以外の網膜の光受容体及び他の細胞に影響を及ぼす疾患としては、湿性AMD及び乾性AMDを含む加齢黄斑変性症(AMD);嚢胞様黄斑浮腫;中心性漿液性脈絡網膜症;黄斑パッカーまたは黄斑円孔;糖尿病性及び非糖尿病性黄斑浮腫;網膜上膜;網膜色素変性症及び同様の遺伝性または非遺伝性網膜変性症のすべての変種;網膜剥離;日光網膜症;自己免疫性網膜症;網膜動脈閉塞症;網膜静脈閉塞症;糖尿病網膜症;感染性網膜症;ぶどう膜炎を含む網膜の炎症;近視による網膜変性疾患;格子様変性が挙げられる。一実施形態では、疾患は、症候性小眼球症12(MCOPS12)である。
【0114】
角膜神経に影響を及ぼす疾患等としては、ヘルペスウイルス、ハンセン病、アカントアメーバ、真菌などの感染症;局所麻酔薬、保存剤などの毒性物質;三叉神経の疾患または損傷、遺伝性または後天性の多発神経障害などの感覚神経障害;角膜ジストロフィー、円錐角膜、水疱性角膜症などの角膜疾患;シェーグレン症候群などの自己免疫疾患;ドライアイ;レーザー原位置角膜切開術(LASIK)、角膜移植などの角膜手術の影響が挙げられる。
【0115】
本明細書で使用するとき、ミリグラムで測定されるプリドピジンの「量」または「用量」とは、製剤の形態に関わらず、製剤に含有されるプリドピジンのミリグラム(mg)を指す。例えば、「プリドピジン90mgの用量」は、製剤の形態に関わらず、製剤に含有されるプリドピジンの量が90mgであることを意味する。したがって、プリドピジン塩酸塩などの塩の形態である場合、プリドピジン90mgの用量を提供するために必要な塩形態の重量は、追加の塩イオンの存在に起因して、90mgよりも大きくなるであろう。
【0116】
本明細書で使用するとき、「単位用量」及び「単位剤形」とは、単一の薬物投与エンティティを意味する。
【0117】
本明細書で使用するとき、数値または数値範囲の文脈における「約」とは、記載されたまたは特許請求された数値または数値範囲の±10%を意味する。
【0118】
本明細書で使用するとき、プリドピジンの量を指す場合の「有効」とは、所望の治療反応をもたらすのに十分な量のプリドピジンを指す。有効性は、例えば、網膜神経節細胞数の減少または視神経軸索の喪失または損傷によって測定することができる。
【0119】
本明細書で使用するとき、「対象への投与」または「(ヒト)患者への投与」とは、病的状態などの状態に関連する症状を緩和、治癒、または軽減するための、医薬品、薬物、または治療薬の対象/患者への投与、投薬、または適用を意味する。投与は、定期的投与であってもよい。本明細書で使用するとき、「定期的投与」は、所定期間で区切られた繰り返し/反復投与を意味する。投与間の期間は、毎回一定であることが好ましい。定期的投与は、例えば、1日1回、1日2回、1日3回、1日4回、週1回、週2回、週3回、週4回などの投与を含み得る。
【0120】
本明細書で使用するとき、「眼への投与に適した薬学的に許容される賦形剤」には、眼への直接投与に適していることが知られているか、または適していると予想される任意の賦形剤が含まれる。
【0121】
点眼薬の製剤化に通常使用される賦形剤(または添加剤)は、プリドピジンと一緒に使用することができる。賦形剤は、防腐剤を含み得る。防腐剤としては、例えば、塩化ベンザルコニウムや塩化ベンゼトニウムなどの第四級アンモニウム塩;グルコン酸クロルヘキシジンなどのカチオン性化合物;p-ヒドロキシ安息香酸メチルやp-ヒドロキシ安息香酸プロピルなどのp-ヒドロキシ安息香酸;クロロブタノールやベンジルアルコールなどのアルコール化合物;デヒドロ酢酸ナトリウム;チメロサール;ソルビン酸などが挙げられる(米国特許第6、114、319号明細書)。点眼投与に適した製剤は、緩衝剤を含み得る。緩衝剤としては、例えば、酢酸ナトリウムなどの酢酸塩;リン酸二水素ナトリウム等のリン酸塩、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリウムなどのリン酸塩;アミノカプロン酸;グルタミン酸ナトリウムなどのアミノ酸塩;ホウ酸及びその塩、クエン酸及びその塩などが挙げられる(米国特許第6、114、319号明細書)。また、点眼投与に適した製剤は、安定剤、酸化防止剤、pH調整剤、キレート剤、増粘剤などの賦形剤を含み得る(米国特許第6、114、319号明細書)。酸化防止剤の例としては、アスコルビン酸及びその塩、チオ硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、トコフェロール、チオ硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、ピルビン酸及びその塩などが挙げられる(米国特許第6、114、319号明細書)。キレート剤としては、エデト酸ナトリウム、クエン酸及びその塩などが挙げられる(米国特許第6、114、319号明細書)。pH調整剤の例としては、塩酸、リン酸、酢酸、水酸化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、硫酸、アンモニア水などが挙げられる(米国特許第6、114、319号明細書)。点眼による投与に適した製剤のpHは、眼科学的に許容できる範囲内の任意のpH、例えばpH5.0~pH8.0の範囲であり得る。プリドピジンを点眼投与する場合には、プリドピジンの濃度が0.0001~10.0w/v%となるように製剤を調製することが好ましい。
【0122】
薬学的に許容される塩
【0123】
本発明にしたがって使用するための活性化合物は、意図する投与に適した任意の形態で提供され得る。適切な形態としては、本開示の化合物の薬学的に(すなわち生理学的に)許容される塩、及び、本開示の化合物のプレドラッグ形態またはプロドラッグ形態が挙げられる。薬学的に許容される付加塩の例としては、これに限定しないが、非毒性の無機酸または有機酸の付加塩、例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、硝酸塩、過塩素酸塩、リン酸塩、硫酸塩、ギ酸塩、酢酸塩、アコン酸塩、アスコルビン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、ケイ皮酸塩、クエン酸塩、エンボン酸塩、エナント酸塩、フマル酸塩、グルタミン酸塩、グリコール酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、マンデル酸塩、メタンスルホン酸塩、ナフタレン-2-スルホン酸塩、フタル酸塩、サリチル酸塩、ソルビン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、トルエン-p-スルホン酸塩などが挙げられる。これらの塩は、当該技術分野でよく知られている方法によって形成することができる。
【0124】
他の実施形態では、本発明の方法で使用される医薬組成物は、プリドピジンの塩を含み得る。プリドピジンの塩としては、塩酸塩、臭化水素酸塩、硝酸塩、過塩素酸塩、リン酸塩、硫酸塩、ギ酸塩、酢酸塩、アコン酸塩、アスコルビン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、ケイ皮酸塩、クエン酸塩、エンボン酸塩、エナント酸塩、フマル酸塩、グルタミン酸塩、グリコール酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、マンデル酸塩、メタンスルホン酸塩、ナフタレン-2-スルホン酸塩、フタル酸塩、サリチル酸塩、ソルビン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、トルエン-p-スルホン酸塩などが挙げられる。
【0125】
他の実施形態では、本発明の方法は、化合物1~8の塩のうちの少なくとも1つを含む医薬組成物を使用し、化合物1~8の塩は、塩酸塩、臭化水素酸塩、硝酸塩、過塩素酸塩、リン酸塩、硫酸塩、ギ酸塩、酢酸塩、アコン酸塩、アスコルビン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、ケイ皮酸塩、クエン酸塩、エンボン酸塩、エナント酸塩、フマル酸塩、グルタミン酸塩、グリコール酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、マンデル酸塩、メタンスルホン酸塩、ナフタレン-2-スルホン酸塩、フタル酸塩、サリチル酸塩、ソルビン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、またはトルエン-p-スルホン酸塩を含む。
【0126】
他の実施形態では、本発明の方法は、プリドピジンまたはその薬学的に許容される塩と、化合物1~8またはその薬学的に許容される塩のうちの少なくとも1つとを含む医薬組成物を使用し、プリドピジンと、化合物1~8のうちの少なくとも1つとの重量比は、1:0.0001~1:0.1の範囲である。他の実施形態では、プリドピジンと、化合物1~8のうちの少なくとも1つとの重量比は、1:0.005~1:0.1の範囲である。他の実施形態では、プリドピジンと、化合物1~8のうちの少なくとも1つとの重量比は、1:0.001~1:0.005の範囲である。
【0127】
他の実施形態では、医薬組成物中の化合物1、2、3、4、5、6、7、もしくは8またはそれらの薬学的に許容される塩の濃度は、0.001~10重量%の範囲である。他の実施形態では、医薬組成物中の化合物1、2、3、4、5、6、7、もしくは8またはそれらの薬学的に許容される塩の濃度は、0.001~0.05重量%の範囲である。他の実施形態では、医薬組成物中の化合物1、2、3、4、5、6、7、もしくは8またはそれらの薬学的に許容される塩の濃度は、0.05~0.35重量%の範囲である。他の実施形態では、医薬組成物中の化合物1、2、3、4、5、6、7、もしくは8またはそれらの薬学的に許容される塩の濃度は、0.001~0.5重量%の範囲である。他の実施形態では、医薬組成物中の化合物1、2、3、4、5、6、7、もしくは8またはそれらの薬学的に許容される塩の濃度は、0.001~0.15重量%の範囲である。他の実施形態では、医薬組成物中の化合物1、2、3、4、5、6、7、もしくは8またはそれらの薬学的に許容される塩の濃度は、0.01~0.15重量%の範囲である。他の実施形態では、医薬組成物中の化合物1、2、3、4、5、6、7、もしくは8またはそれらの薬学的に許容される塩の濃度は、0.01~0.5重量%の範囲である。他の実施形態では、医薬組成物中の化合物1、2、3、4、5、6、7、もしくは8またはそれらの薬学的に許容される塩の濃度は、0.01~1重量%の範囲である。
【0128】
本発明にしたがって使用するための活性化合物は、原料化合物の形態で投与してもよいが、活性化合物またはその薬学的に許容される塩は、1以上のアジュバント、賦形剤、担体、緩衝液、希釈剤、及び/または他の一般的な医薬補助剤と共に、医薬組成物中に含めることが好ましい。一実施形態では、本発明は、活性化合物またはその薬学的に許容される塩もしくは誘導体と、1以上の薬学的に許容される担体と、任意選択で、当分野で既知のかつ使用される他の治療成分及び/または予防成分とを含む医薬組成物を提供する。担体は、医薬組成物の他の成分に適合し、かつ、本開示の医薬組成物が投与される対象にとって有害でないという意味で、「許容される」ものでなければならない。
【0129】
他の実施形態では、本開示の組成物は、経口投与、局所投与、眼内投与、硝子体内投与、眼周囲投与、または眼投与によって投与される。他の実施形態では、本開示の組成物は、結膜への点眼によって投与される。
【0130】
他の実施形態では、本開示の組成物は、局所的に(例えば、局所投与において)または全身的に(例えば、経腸投与または非経口投与において)投与される。
・本明細書で使用するとき、「局所投与」とは、組成物をその作用が望まれる場所に直接投与することを意味し、特に全身投与を除くものとする。
・本明細書で使用するとき、「局所投与」とは、皮膚などの身体表面または眼などの粘膜への組成物の投与を指す。
・本明細書で使用するとき、「眼投与」とは、対象の眼、眼の周囲の皮膚(眼周囲皮膚)、または眼の周囲の粘膜、特に対象の結膜への組成物の投与、すなわち局所投与を指す。眼への投与の例としては、眼への直接的な局所投与、まぶたへの局所適用、眼またはまぶたの一部への注射などが挙げられる。
【0131】
本開示の組成物は、経口投与、局所投与、眼内投与、眼周囲投与、または眼投与される。別の実施形態では、角膜、結膜下、結膜下、テノン嚢下、腔内、硝子体内、網膜下、瞼下、後眼房に投与される。
【0132】
他の実施形態では、本開示の組成物は、結膜への点眼によって投与される。
【0133】
本開示の医薬組成物は、所望の治療に適した任意の便利な経路で投与され得る。好ましい投与経路としては、とりわけ、錠剤、カプセル、マルチパーティクル、糖衣剤、粉末、または液体の形態による経口投与、及び、とりわけ、皮膚、皮下、筋肉内、または静脈内注射による非経口投与が挙げられる。
【0134】
本発明の方法で使用される医薬組成物は、錠剤、カプセル、ピル、粉末、液体溶液、または液体懸濁液として製剤化された経口単位製剤であり得る。
【0135】
他の実施形態では、本開示の組成物は、点眼薬、点眼液、点眼懸濁液、点眼乳剤、眼軟膏、眼スプレーとして製剤化される。
【0136】
他の実施形態では、本開示の医薬組成物は、対象の眼に局所的に適用するための眼用組成物の形態であり得る。本明細書で使用するとき、「眼用組成物」という用語は、患者の眼へ直接的及び局所的に投与するために特別に製剤化された任意の組成物を指すものと理解される。本開示の組成物は、眼への局所投与または眼への注射(すなわち、硝子体内注射または眼内注射)用に製剤化され得る。眼用組成物は、眼への局所投与を可能にし、治療化合物が本開示にしたがって機能することを可能にする任意の製剤として提供され得る。眼用組成物は、これに限定しないが、例えば、溶液、滴下剤、ミスト/スプレー、絆創膏及び感圧接着剤、軟膏、ローション、クリーム、ゲル、凍結乾燥/スプレー乾燥形態などの形態で提供され得る。特定の非限定的な一実施形態では、眼用組成物は、これに限定しないが、点眼剤製剤などの局所適用のための形態で提供される。加えて、本開示の眼用組成物は、当技術分野でよく知られている製剤技術を用いて、遅延放出、制御放出、及び/または持続放出を提供するように設計され得る。
【0137】
本発明にしたがって使用するための活性化合物は、原料化合物の形態で投与してもよいが、活性化合物またはその薬学的に許容される塩は、1以上のアジュバント、賦形剤、担体、緩衝液、希釈剤、及び/または他の一般的な医薬補助剤と共に、医薬組成物中に含めることが好ましい。
【0138】
一実施形態では、本発明は、活性化合物またはその薬学的に許容される塩もしくは誘導体と、1以上の薬学的に許容される担体と、任意選択で、当分野で既知のかつ使用される他の治療成分及び/または予防成分とを含む医薬組成物を提供する。担体は、医薬組成物の他の成分に適合し、かつ、本開示の医薬組成物が投与される対象にとって有害でないという意味で、「許容される」ものでなければならない。
【0139】
本発明において有用な剤形を製造するための一般的な技術及び組成物は、以下の参考文献に記載されている(これらの文献の内容全体は、参照により本明細書に援用される)。「Modern Pharmaceutics, Chapters 9 and 10 (Banker & Rhodes, Editors, 1979)」;「Pharmaceutical Dosage Forms: Tablets (Lieberman et al., 1981)」;「Ansel, Introduction to Pharmaceutical Dosage Forms 2nd Edition (1976)」;「Remington's Pharmaceutical Sciences, 17th ed. (Mack Publishing Company, Easton, Pa., 1985)」;「Advances in Pharmaceutical Sciences (David Ganderton, Trevor Jones, Eds., 1992)」;「Advances in Pharmaceutical Sciences Vol 7. (David Ganderton, Trevor Jones, James McGinity, Eds., 1995)」;「Aqueous Polymeric Coatings for Pharmaceutical Dosage Forms (Drugs and the Pharmaceutical Sciences, Series 36 (James McGinity, Ed., 1989)」;「Pharmaceutical Particulate Carriers: Therapeutic Applications: Drugs and the Pharmaceutical Sciences, Vol 61 (Alain Rolland, Ed., 1993)」;「Drug Delivery to the Gastrointestinal Tract (Ellis Horwood Books in the Biological Sciences. Series in Pharmaceutical Technology; J. G. Hardy, S. S. Davis, Clive G. Wilson, Eds.)」;「Modern Pharmaceutics Drugs and the Pharmaceutical Sciences, Vol. 40 (Gilbert S. Banker, Christopher T. Rhodes, Eds.)」。
【0140】
本明細書で使用するとき、「治療」または「治療する」とは、例えば、障害及び/または疾患、例えばうつ病(抑うつ)の抑制、退行、または停止を誘導すること、あるいは、疾患または障害の症状を緩和、軽減、抑制、阻害、重症度の低減、除去または実質的に除去、または改善することを包含する。治療はさらに、眼細胞、例えば対象の網膜神経節細胞または視神経軸索に対する神経保護作用を提供することを含む。プリドピジンの「神経保護作用」は、本明細書に開示されている。神経保護作用は、(a)神経細胞、例えば膜神経節細胞(RGC)または視神経軸索の損傷または細胞死からの保護、または、(b)神経細胞、例えば膜神経節細胞(RGC)または視神経軸索の機能の改善を含む。本明細書で使用するとき、「神経保護作用」とは、神経変性の進行を抑制、予防、減衰、及び/または逆転させることを指す。本明細書で使用するとき、「神経変性」とは、損傷または細胞死によって、神経細胞、例えば膜神経節細胞(RGC)または視神経軸索の損失が進行することを指す。
【0141】
本明細書で使用するとき、対象における疾患進行または疾患合併症の「阻害」とは、対象における疾患進行及び/または疾患合併症の予防または軽減を意味する。
【0142】
緑内障に関連する「症状」には、緑内障に関連するあらゆる臨床所見または検査所見上の徴候が含まれ、対象が感じたり観察したりできるものに限定されない。
【0143】
本明細書で使用するとき、緑内障に「罹患している」対象とは、対象が緑内障と診断されたことを意味する。
【0144】
本明細書で使用するとき、「ベースライン」の対象(患者)とは、本明細書に記載の治療においてプリドピジンを投与する前の対象を指す。
【0145】
「薬学的に許容される担体」とは、妥当な利益/リスク比に見合った過度の副作用(毒性、刺激、またはアレルギー反応など)を引き起こさない、ヒト及び/または動物への使用に適した担体または賦形剤を指す。薬学的に許容される担体は、本発明の化合物を対象に送達するための、薬学的に許容される溶媒、懸濁剤、またはビヒクルであり得る。
【0146】
パラメータ範囲が提供される場合、その範囲内のすべての整数、及びその10分の1も本発明によって提供されることを理解されたい。例えば、「0.1~40.0mg」には、0.1mg、0.2mg、0.3mg、0.4mg、・・・、最大40.0mgまでが含まれる。
【0147】
本明細書で使用するとき、「多剤混合薬」とは、2つの活性剤を含む薬剤を指す。一般的に、この2つの薬剤は、患者が容易に利用できる手段によって分離することは非常に困難である。非限定的な例としては、2つの薬剤を含む錠剤、丸薬、または溶液が挙げられる。
【0148】
本出願において、「対象(患者)の網膜神経節細胞(または視神経軸索)の損失が少なくとも10%低減した」などの比較用語が使用される場合、その比較は、類似の疾患に罹患した対象、例えば、先行する関連臨床試験における対照対象に対するものであり、健康な対象に対するものではない。例えば、網膜神経節細胞(または視神経軸索)の損失は、プリドピジンによる治療を受けない同様の疾患を有する対象の網膜神経節細胞(または視神経軸索)の平均的な損失と比較することができる。このように、比較値は、臨床試験のプラセボ群を基準として求めることができる。
【0149】
本発明による2つの活性化合物の組み合わせは、少なくとも本明細書に記載されているような薬学的に許容される担体、添加剤、アジュバント、または賦形剤を用いて、同時投与、個別投与、または連続的投与のために製剤化され得る。したがって、2つの活性化合物の組み合わせは、
・同一の薬剤として同時に投与されるか、または、
・2つの薬剤として、同時に、連続的に、または個別に投与される。
本明細書で使用するとき、「同時投与」または「併用」投与とは、各薬剤の個々の治療効果が重なるように、2つの薬剤を時間的に十分に近接して投与することを意味する。
【0150】
本明細書で使用するとき、「アドオン」または「アドオン療法」とは、1以上の薬剤を使用した第1の治療レジメンによる療法をすでに受けている対象に対して、1以上の別の薬剤を使用した第2の治療レジメンによる治療を実施することを意味する。したがって、それらの療法で使用されるすべての薬剤が同時に投与されるわけではない。例えば、眼圧を下げる点眼薬による治療をすでに受けている緑内障患者に対して、プリドピジン療法を追加する。
【0151】
上記の実施形態について、本明細書に開示された各実施形態は、本明細書に開示された他の各実施形態に適用可能であると考えられる。例えば、本発明の方法の実施形態において列挙された要素は、本明細書に記載された医薬組成物、パッケージ、及び使用の実施形態において使用することができ、その逆も同様である。
【0152】
本発明は、以下の「実験の詳細」の欄を参照することにより、より良く理解されるであろう。しかし、詳細に説明される特定の実験は、特許請求の範囲においてより完全に説明される本発明の単なる例示に過ぎないことは、当業者であれば容易に理解するであろう。
【0153】
実験の詳細
【0154】
実施例1:プリドピジンと化合物1との相乗効果、または、プリドピジンと化合物4との相乗効果。
【0155】
化合物1及び化合物4はいずれも、B104神経芽腫細胞からの脳由来神経栄養因子(BDNF)分泌に対して、プリドピジンとの相乗効果を示す。化合物1及び化合物4は、表1に示すように、シグマ-1受容体(S1R)に対しては選択的に結合するが(化合物1に対してはKi=0.37μM、化合物4に対してはKi=2.9μM)、シグマ-2受容体(S2R)に対しては選択的に結合しなかった(化合物1及び化合物4に対しては両方ともKi>100μM)。
【0156】
【表1】
【0157】
このように、化合物1及び化合物4は両方とも、シグマ-1受容体(S1R)に対して高い親和性を示すが、シグマ-2受容体(S2R)に対しては親和性を示さなかった(Ki>100)。
【0158】
脳由来神経栄養因子(BDNF)レベルの低下は、神経変性疾患の病因において重要な役割を果たす。ハンチントン病(HD)、パーキンソン病、アルツハイマー病(Zuccato and Cattaneo 2009)、レット症候群(Katz 2014)などの神経変性疾患及び神経発達障害では、BDNFレベルが低下する。
【0159】
in-situ ELISAアッセイによると、プリドピジンは、ラット神経芽腫細胞におけるBDNF分泌の用量依存的な増加を示した。シグマ-1受容体(S1R)を薬理学的に阻害するとプリドピジンの効果が消失することから、この効果はS1Rの活性化によって媒介されると考えられる(Geva, Birnberg, et al. 2016)。
【0160】
化合物1または化合物4とプリドピジンとの相乗効果を評価したところ、予想外の相乗効果が認められた。この効果は、BDNFのin-situ ELISAアッセイで観察された(Geva, Kusko, et al. 2016)。
【0161】
したがって、以下に示すBDNF放出に対する相乗効果は、プリドピジンと化合物1または化合物4との治療効果に直接関係する。
【0162】
以下のデータは、驚くべきことにかつ予期せぬことに、プリドピジンと化合物4または化合物1との併用が、BDNF放出に対する相乗効果を示すことを提示する。
【0163】
BDNF放出に対する化合物4とプリドピジンとの相乗効果
【0164】
プリドピジン単独では、対照の未処理細胞と比較して、0.001μMの濃度では13.5%、0.005μMの濃度では26%、BDNF放出が増加した。濃度0.001μMの化合物4単独では、未処理の対照細胞と比較して、BDNF放出に対して影響を及ぼさなかった(-1.5%)。しかし、プリドピジンと化合物4とを併用すると、BDNF放出に対して予期しない相乗効果が得られた。
【0165】
0.001μMのプリドピジンを0.001μMの化合物4と併用すると、対照の未処理細胞と比較して、BDNF放出が59.1%増加した(図1(A))。
【0166】
0.005μMのプリドピジンを0.001μMの化合物4と併用すると、対照の未処理細胞と比較して、BDNF放出が80.7%増加した(図1(B))。
【0167】
プリドピジンと化合物4との併用の効果は、各化合物の個別の効果の合計よりも大きかった。このことは、プリドピジンと化合物4との併用により、BDNF分泌に対して驚くべき相乗効果が得られることを示す。結果の値は、未処理の対照と比較した変化の割合(%)として示されている。
【0168】
BDNF放出に対する化合物1とプリドピジンとの相乗効果
【0169】
0.01μMの濃度のプリドピジン単独では、対照未処理細胞と比較して、BDNF放出が3.4%増加した。濃度1μMの化合物1単独では、対照と比較して、BDNF放出が12.5%増加した。一方、プリドピジンと化合物1とを併用すると、BDNF放出に対して相乗効果が得られた(+53.1%)。
【0170】
プリドピジン(0.01μM)を化合物1(1μM)と併用すると、対照の未処理細胞と比較して、BDNF放出が53.1%増加した(図2)。
【0171】
化合物4とプリドピジンとを併用した場合と同様に、プリドピジンと化合物1との併用の効果は、各化合物の個別の効果の合計よりも大きかった。このことは、プリドピジンと化合物1との併用により、BDNF分泌に対する驚くべきかつ予期せぬ相乗効果が得られることを示す。
【0172】
このように、本願発明者は、化合物1及び化合物4がS1Rに対して選択的な結合親和性を有すること、並びに、BDNF放出に対するプリドピジンとの驚くべきかつ予期せぬ相乗効果を示すことを明らかにした。
【0173】
実施例1で引用した文献
「Cheng, Yung-Chi, and William H. Prusoff. 1973. "Relationship between the Inhibition Constant (KI) and the Concentration of Inhibitor Which Causes 50 per Cent Inhibition (I50) of an Enzymatic Reaction." Biochemical Pharmacology. https://doi.org/10.1016/0006-2952(73)90196-2.」
「Geva, Michal, Tal Birnberg, Brian Weiner, Andrew Lysaght, Yoonjeong Cha, Avia Merenlender -Wagner, Aric Orbach, et al. 2016. "Pridopidine Activates Neuroprotective Pathways Impaired in Huntington Disease." Human Molecular Genetics 25 (18): 3975-87. https://doi.org/10.1093/hmg/ddw238.」
「Johnston, Tom H., Michal Geva, Lilach Steiner, Aric Orbach, Spyros Papapetropoulos, Juha-Matti Savola, Ian J. Reynolds, et al. 2019. "Pridopidine, a Clinic-Ready Compound, Reduces 3,4-Dihydroxyphenylalanine-Induced Dyskinesia in Parkinsonian Macaques." Movement Disorders, December. https://doi.org/10.1002/mds.27565.」
「Katz, DM. 2014. "Brain-Derived Neurotrophic Factor and Rett Syndrome." Handbook of Experimental Pharmacology 220: 481-95. https://doi.org/10.1007/978-3-642-45106-5_18.」
「Zuccato, Chiara, and Elena Cattaneo. 2009. "Brain-Derived Neurotrophic Factor in Neurodegenerative Diseases." Nature Reviews Neurology 5 (6): 311-22. https://doi.org/10.1038/nrneurol.2009.54.」
図1
図2
【手続補正書】
【提出日】2024-03-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象における神経変性眼疾患またはその症状を治療、軽減、または抑制するための医薬組成物であって、
プリドピジンまたはその薬学的に許容される塩と、下記の式で表される化合物1~8またはその薬学的に許容される塩のうちの少なくとも1つとを含む、医薬組成物
【請求項2】
請求項1に記載の医薬組成物であって、
当該組成物は、プリドピジンまたはその薬学的に許容される塩と、前記化合物1またはその薬学的に許容される塩とを含む、医薬組成物
【請求項3】
請求項1に記載の医薬組成物であって、
当該組成物は、プリドピジンまたはその薬学的に許容される塩と、前記化合物4またはその薬学的に許容される塩とを含む、医薬組成物
【請求項4】
請求項1に記載の医薬組成物であって、
当該組成物は、プリドピジンまたはその薬学的に許容される塩と、前記化合物1またはその薬学的に許容される塩と、前記化合物4またはその薬学的に許容される塩とを含む、医薬組成物
【請求項5】
請求項1~4のいずれかに記載の医薬組成物であって、
前記神経変性眼疾患は、緑内障、加齢黄斑変性症、視神経症、症候性小眼球症12(MCOPS12)、及び網膜色素変性症からなる群から選択される、医薬組成物
【請求項6】
請求項5に記載の医薬組成物であって、
前記加齢黄斑変性症は、湿性加齢黄斑変性症(湿性AMD)または乾性加齢黄斑変性症(乾性AMD)である、医薬組成物
【請求項7】
請求項5に記載の医薬組成物であって、
前記視神経症は、レーベル遺伝性視神経症である、医薬組成物
【請求項8】
請求項1~4のいずれかに記載の医薬組成物であって、
前記神経変性眼疾患は、症候性小眼球症12(MCOPS12)である、医薬組成物
【請求項9】
請求項1に記載の医薬組成物であって、
前記神経変性眼疾患の症状は、網膜神経節細胞の損傷または損失である、医薬組成物
【請求項10】
請求項1に記載の医薬組成物であって、
当該組成物は、前記対象における網膜神経節細胞の消失または障害を低減または予防するのに有効である、医薬組成物
【請求項11】
請求項10に記載の医薬組成物であって、
前記網膜神経節細胞の消失が、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、または少なくとも50%低減する、医薬組成物
【請求項12】
請求項10または11に記載の医薬組成物であって、
前記網膜神経節細胞の消失が、50%超、60%超、70%超、または80%超低減する、医薬組成物
【請求項13】
請求項1に記載の医薬組成物であって、
当該組成物は、前記対象における網膜神経節細胞の生存率を改善するのに有効である、医薬組成物
【請求項14】
請求項に記載の医薬組成物であって、
前記プリドピジンと前記化合物1~8のうちの少なくとも1つとの重量比が、1:0.0001~1:0.1の範囲である、医薬組成物
【請求項15】
請求項14に記載の医薬組成物であって、
前記プリドピジンと前記化合物1~8のうちの少なくとも1つとの重量比が、1:0.0005~1:0.005の範囲である、医薬組成物
【請求項16】
請求項に記載の医薬組成物であって、
当該組成物は、22.5mg~315mgの範囲の単位用量を含む、医薬組成物
【請求項17】
請求項16に記載の医薬組成物であって、
当該組成物は、1日1回、1日2回、または1日3回投与される、医薬組成物
【国際調査報告】