(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-04
(54)【発明の名称】保護ループを備えた電力増幅器
(51)【国際特許分類】
H03F 1/52 20060101AFI20240927BHJP
H03F 3/24 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
H03F1/52
H03F3/24
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024519464
(86)(22)【出願日】2022-09-19
(85)【翻訳文提出日】2024-03-28
(86)【国際出願番号】 US2022044040
(87)【国際公開番号】W WO2023055601
(87)【国際公開日】2023-04-06
(32)【優先日】2021-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517216431
【氏名又は名称】コルボ ユーエス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100189555
【氏名又は名称】徳山 英浩
(72)【発明者】
【氏名】スコット,ベイカー
(72)【発明者】
【氏名】ウー,チョン
(72)【発明者】
【氏名】マキシム,ジョージ
【テーマコード(参考)】
5J500
【Fターム(参考)】
5J500AA01
5J500AA41
5J500AC57
5J500AC81
5J500AF04
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5J500AH06
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5J500AK07
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5J500AM06
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5J500PF05
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5J500PG02
5J500WU08
(57)【要約】
電力増幅器は、安全動作ゾーンの外側の動作の防止を支援するために、過電流保護ループおよび/または過電圧保護ループを含む。さらなる例示的な態様では、過電流保護ループのトリガーは、過電圧保護ループの閾値電圧を調整する。さらなる例示的な態様では、過電流保護ループは、バイアス調整器を調整するだけでなく、電力増幅器に到達する信号をさらに制限する補助制御信号も提供し得る。またさらなる例示的な態様では、過電圧保護ループは、過電流保護電流ループとは独立して動作し得るか、または過電圧保護ループは、過電流保護信号に寄与し得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力増幅器回路であって、
増幅された出力信号を提供するように構成される出力ステージを含む電力増幅器と、
前記電力増幅器に結合され、過電力保護信号を、
前記過電力保護信号を使用して、前記出力ステージに対するバイアス信号を制御する回路に提供するように構成される、電力検出器回路と、を含む、電力増幅器回路。
【請求項2】
前記回路が、抵抗器を通して前記出力ステージに結合されたバイアス回路を含む、請求項1に記載の電力増幅器回路。
【請求項3】
前記回路が、バイアス回路を制御するように構成される調整器回路を含む、請求項1に記載の電力増幅器回路。
【請求項4】
前記電力増幅器に結合され、過電流保護信号を使用して、前記出力ステージのためのバイアス回路を制御するバイアス調整器回路に前記過電流保護信号を提供するように構成される電流検出器回路をさらに含む、請求項1に記載の電力増幅器回路。
【請求項5】
前記過電力保護信号および前記過電流保護信号が合計されるように、前記電力検出器回路および前記電流検出器回路に結合するように構成されるノードをさらに含む、請求項4に記載の電力増幅器。
【請求項6】
前記バイアス回路をさらに含み、前記バイアス回路がミラー対のトランジスターを含み、前記対のトランジスターのうちの少なくとも一つが、前記出力ステージをバイアスするように構成されるエミッターを含む、請求項2に記載の電力増幅器回路。
【請求項7】
前記電力検出器回路が、
前記出力ステージのコレクターに結合された第一の経路と、
前記出力ステージのベースに結合された第二の経路と、
前記第一の経路および前記第二の経路に結合されたミキサーと、を含む、請求項1に記載の電力増幅器回路。
【請求項8】
前記ミキサーが、ベースおよびコレクターを含むバイポーラジャンクショントランジスターを含み、前記ミキサーが前記ベースで前記第一の経路および前記第二の経路に結合され、前記過電力保護信号が前記コレクターで提供される、請求項7に記載の電力増幅器回路。
【請求項9】
前記回路に過温度保護信号を提供するように構成される過温度検出回路をさらに含む、請求項1に記載の電力増幅器回路。
【請求項10】
前記過温度検出回路が、
前記出力ステージから遠隔に位置付けられる基準装置温度センサーと、
前記出力ステージに近接する電力装置温度センサーと、
前記基準装置温度センサーおよび前記電力装置温度センサーに結合された差分回路と、
コンパレーターと、
前記コンパレーターに結合される比例温度対絶対温度回路と、を含む、請求項9に記載の電力増幅器回路。
【請求項11】
前記コンパレーターが、前記過温度保護信号を提供するように構成される、請求項10に記載の電力増幅器回路。
【請求項12】
前記過電力保護信号および前記過温度保護信号が合計されるように、前記電力検出器回路および前記過温度検出回路に結合されたノードをさらに含む、請求項10に記載の電力増幅器回路。
【請求項13】
前記電力増幅器が、前記出力ステージに結合された少なくとも入力ステージを含む、請求項1に記載の電力増幅器回路。
【請求項14】
前記電力増幅器が、前記入力ステージと前記出力ステージとの間に位置付けられる中間ステージを含む、請求項13に記載の電力増幅器回路。
【請求項15】
前記電力増幅器に結合される相補型金属酸化膜半導体(CMOS)ドライバーをさらに含む、請求項1に記載の電力増幅器回路。
【請求項16】
電力増幅器回路であって、
増幅された出力信号を提供するように構成される出力ステージを含む電力増幅器と、
過温度保護信号をバイアス調整器回路に提供するように構成される過温度検出回路と、を含む、電力増幅器回路。
【請求項17】
前記バイアス調整器回路に結合され、前記出力ステージにバイアス信号を提供するように構成されるバイアス回路をさらに含む、請求項16に記載の電力増幅器回路。
【請求項18】
前記過温度検出回路が、
前記出力ステージから遠隔に位置付けられる基準装置温度センサーと、
前記出力ステージに近接する電力装置温度センサーと、
前記基準装置温度センサーおよび前記電力装置温度センサーに結合された差分回路と、
コンパレーターと、
前記コンパレーターに結合される比例温度対絶対温度回路と、を含む、請求項16に記載の電力増幅器回路。
【請求項19】
電流検出器回路をさらに含み、前記過温度検出回路が、過電流保護信号が前記過電圧保護信号と加算されるように、前記電流検出器回路に結合される、請求項16に記載の電力増幅器回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の技術は、一般に、過電力状況および/または過温度状況などの厳しい条件で動作する電力増幅器回路に関する。
【背景技術】
【0002】
モバイル通信装置は、無線通信サービスを提供する現在の社会でますます一般的になっている。これらのモバイル通信装置の普及は、部分的には、こうした装置上で現在有効化される多くの機能によって駆動される。こうした装置における処理能力の向上は、モバイル通信装置が純粋な通信ツールから、強化されたユーザー体験を可能にする洗練されたモバイルマルチメディアセンターへと進化したことを意味する。
【0003】
ほとんどのモバイル通信装置は、アンテナを通した送信の前に信号をブーストする、電力増幅器、電力増幅器アレイ、または一連のステージ的な電力増幅器を含む送信チェーンを含む。こうした状況で使用される電力増幅器は、幅広い条件にわたって動作するように設計されるが、エンドユーザーは、無意識に、または設計によって、意図された動作範囲を超えて電力増幅器にストレスを加える方法を見出すことが多い。電力増幅器がその設計公差を超える条件に供されると、電力増幅器は故障し、結果として、モバイル通信装置に対する対応する機能喪失を伴う送信チェーンの機能不良または機能低下をもたらし得る。
【0004】
この可能性を認識し、モバイル通信装置の一部の製造業者は、電力増幅器に対する激しい要件を発表している。これらの厳しい要件を満たすことは、新しいソリューションの機会をもたらす。
【発明の概要】
【0005】
本開示の実施形態は、保護ループを有する電力増幅器に関する。具体的には、例示的な態様は、安全動作ゾーンの外側での動作の防止を支援するために、過電力保護ループおよび/または過温度保護ループを提供することを企図する。これらの保護ループは、互いに、および他の保護ループとは独立して動作してもよく、または過電流保護ループまたは過電圧保護ループなどの他の保護ループに結合され得る。過電力または過温度条件が検出されると、電力増幅器への入力を絞り込む信号が生成されてもよく、これは次に、電力増幅器が電力増幅器の安全な動作領域外で動作する可能性を低減し、それによってモバイル通信装置製造業者の試験基準を満たし、電力増幅器のライフサイクルを延長する可能性が高い。
【0006】
一態様では、電力増幅器回路が開示される。電力増幅器回路は電力増幅器を含む。電力増幅器は、増幅された出力信号を提供するように構成される出力ステージを含む。電力増幅器回路はまた、電力増幅器に結合された電力検出器回路を含む。電力検出器回路は、出力ステージに対するバイアス信号を制御するために、過電力保護信号を使用する回路に過電力保護信号を提供するように構成される。
【0007】
別の態様では、電力増幅器回路が開示される。電力増幅器回路は、増幅された出力信号を提供するように構成される出力ステージを含む電力増幅器を含む。電力増幅器回路は、過温度保護信号をバイアス調整器回路に提供するように構成される過温度検出回路をさらに含む。
【0008】
当業者であれば、添付図面に関連して好ましい実施形態の以下の詳細な説明を読んだ後に、本開示の範囲を理解し、その追加的な態様を認識するであろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を形成する添付図面は、本開示のいくつかの態様を示し、説明とともに、本開示の原理を説明する役割を果たす。
【0010】
【
図1】
図1は、本開示の一実施形態に従って構成される例示的な無線周波数(RF)フロントエンド回路の概略図である。
【
図2】
図2は、
図1のいくつかのRFフロントエンド回路を含む無線装置の概略図である。
【
図3】
図3は、安全な動作領域、ならびに過剰な電流および/または過剰な電圧が、安全な動作領域の外側で電力増幅器の動作をどの程度押し得るかを示す、電流対電圧の図である。
【
図4】
図4は、保護されていない過電流状態の結果を示す、時間対電圧の定在波比図である。
【
図5】
図5は、リンギングを引き起こし得るか、または過電流/過電圧状態を適切に制限することを失敗した、過電流および過電圧検出器回路を有する従来の電力増幅器回路のブロック図である。
【
図6】
図6は、独立した過電流および過電圧検出器回路を有する電力増幅器回路のブロック図であり、過電流検出器回路からの過電流保護信号が、電力増幅器のドライバーステージに提供されて、調整器回路を使用して電力増幅器の出力ステージへの入力信号を制御する。
【
図7】
図7は、過電流および過電圧検出器回路を有する電力増幅器回路のブロック図であり、過電流検出器回路からの過電流保護信号が、電力増幅器のドライバーステージに提供されて、電力増幅器の出力ステージへの入力信号を制御し、過電圧検出回路は、過電流保護信号と加算される信号を提供する。
【
図8】
図8は、過電流検出器回路および過電圧検出器回路を有する電力増幅器回路のブロック図であり、過電流検出器回路からの過電流保護信号が、電力増幅器のドライバーステージに提供されて、第二のバイアス回路を使用して電力増幅器の出力ステージへの入力信号を制御する。
【
図9】
図9は、過電流検出器回路および過電圧検出器回路を有する電力増幅器回路のブロック図であり、過電流検出器回路からの過電流保護信号が、電力増幅器の出力ステージへの入力信号を制御するためにクランプに提供される。
【
図10】
図10は、過電流検出器回路および過電圧検出器回路を有する電力増幅器回路のブロック図であり、過電流検出器回路からの過電流保護信号が、調整器回路だけでなく、バイアス回路にも提供される。
【
図11】
図11は、二つのダイにわたって広がる電力増幅器回路のブロック図であり、電力増幅器は、第一のダイ内のバイポーラジャンクショントランジスターとしてインスタンス化され、ドライバー回路は、第二のダイ内の相補型金属酸化膜半導体(CMOS)電界効果トランジスター(FET)としてインスタンス化される。
【
図12】
図12は、安全な動作領域を示す電流対電圧の図であり、本開示の例示的な態様が、どのように安全な動作領域を出ることを防止するかを示す。
【
図13】
図13は、安全な動作領域を示す電流対電圧の図であり、本開示の例示的な態様が、安全な動作領域に留まるように、どのように動的に過電圧閾値レベルを低下させるかを示す。
【
図14】
図14は、過電流および過電圧検出器回路を有する電力増幅器回路のブロック図であり、過電流検出器回路からの過電流保護信号が、過電圧閾値レベルへの動的調整を提供する。
【
図15】
図15は、本開示の例示的な態様による動的過電圧保護ループの回路図である。
【
図17】
図17は、過電流、過電圧、および過電力状態が強調表示された安全な動作領域を示す、電流対電圧の図である。
【
図18】
図18は、他の過状態保護ループとは独立して動作する過電力保護ループを有する電力増幅器回路のブロック図である。
【
図19】
図19は、過電流保護ループと併せて動作する過電力保護ループを有する電力増幅器回路のブロック図である。
【
図20A】
図20Aは、過電力保護ループによって使用され得る電力検出回路の概略図を示す。
【
図20B】
図20Bは、過電力保護ループによって使用され得る電力検出回路の概略図を示す。
【
図20C】
図20Cは、過電力保護ループによって使用され得る電力検出回路の概略図を示す。
【
図21】
図21は、例示的な電力検出回路を含む過電力保護ループのみを有する電力増幅器回路のブロック図である。
【
図22A】
図22Aは、過温度保護ループに使用され得る温度センサーのブロック図である。
【
図22B】
図22Bは、固定された基準温度を有する代替的な例示的な温度センサーのブロック図である。
【
図23】
図23は、過温度保護ループに使用され得る絶対温度に比例する(PTAT)回路を持つ温度センサーのブロック図である。
【
図24】
図24は、過電流保護ループと作用し得る温度保護ループのブロック図である。
【
図25】
図25は、過電流保護ループと作用し得る代替的な温度保護ループのブロック図である。
【
図26】
図26は、
図6に示すような過電流保護ループで動作する温度保護ループのブロック図である。
【
図27】
図27は、四つ全ての過状態ループが存在する電力増幅器回路のブロック図である。
【
図28】
図28は、過電圧および過電流保護ループとは独立して動作する過温度ループのブロック図である。
【
図29】
図29は、バンドギャップ電圧およびダーリントン構成を使用した過温度保護ループのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に記載される実施形態は、当業者が実施形態を実践することを可能にするために必要な情報を表し、実施形態を実践する最善モードを例示する。添付の図面に照らして以下の説明を読んだ後、当業者は、本開示の概念を理解し、本明細書に特に記載されていないこれらの概念の適用を認識するであろう。当然のことながら、これらの概念および適用は、本開示の範囲および付随する特許請求の範囲に含まれる。
【0012】
本明細書では、用語、第一、第二、等を使用してさまざまな要素を説明することができるが、これらの要素はこれらの用語によって限定されるべきではないことが理解されよう。これらの用語は、一つの要素を別の要素と区別するためにのみ使用される。例えば、本開示の範囲から逸脱することなく、第一の要素を第二の要素と称し得、同様に、第二の要素を第一の要素と称し得る。本明細書で使用する用語「および/または」は、関連する列挙された項目のうちの一つまたは複数のあらゆる全ての組み合わせを含む。
【0013】
層、領域、または基板などの要素が、別の要素の「上に」ある、または「上へ」延在すると言及される場合、別の要素の直接上にある、または直接上へ延在する、または介在要素も存在し得ることは理解されよう。対照的に、ある要素が別の要素の「直接上に」ある、または「直接上へ」延在すると言及される場合、介在要素は存在しない。同様に、層、領域、または基板などの要素が、別の要素の「上に」ある、または「上に」延在すると言及される場合、別の要素の直接上にある、または直接上に延在する、または介在要素も存在し得ることは理解されよう。対照的に、ある要素が別の要素の「直接上に」ある、または「直接上に」延在すると言及される場合、介在要素は存在しない。また、ある要素が別の要素に「接続」または「結合」していると称される場合、他の要素に直接接続もしくは結合する、または介在要素が存在することも理解されよう。対照的に、ある要素が別の要素に「直接接続している」または「直接結合している」と称される場合、介在要素は存在しない。
【0014】
「~より下」もしくは「~より上」、または「上の」もしくは「下の」、または「水平の」もしくは「垂直の」などの相対的用語は、本明細書では、例示するように、一つの要素、層、または領域と、別の要素、層、または領域との関係を説明するために使用されることができる。これらの用語および上述した語句は、図に描写された配向に加えて、装置の異なる配向を包含することが意図されることは理解される。
【0015】
本明細書で使用する用語は、特定の実施形態を記述する目的のみに使用され、本開示を限定することを意図するものではない。本明細書で使用する単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈によって別途明確に示されない限り、複数形も含むことが意図される。用語「含む」、「含む」、「含む」、および/または「含んでいる」は、本明細書で使用する場合、記載された特徴、整数、ステップ、動作、要素、および/または構成要素の存在を特定するが、一つまたは複数の他の特徴、整数、ステップ、動作、要素、および/またはそのグループの存在または追加を妨げないことは、さらに理解されるであろう。
【0016】
別途定義されない限り、本明細書で使用する全ての用語(技術用語および学術用語を含む)は、本開示が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。さらに、本明細書で使用される用語は、本明細書および関連技術の文脈においてその意味と一致する意味を有するものとして解釈されるべきであり、本明細書に明示的に定義されない限り、理想化されたまたは過度に形式的な意味で解釈されないことが理解されるであろう。
【0017】
本開示の実施形態は、保護ループを有する電力増幅器に関する。具体的には、例示的な態様は、安全動作ゾーンの外側での動作の防止を支援するために、過電力保護ループおよび/または過温度保護ループを提供することを企図する。これらの保護ループは、互いに、および他の保護ループとは独立して動作してもよく、または過電流保護ループまたは過電圧保護ループなどの他の保護ループに結合され得る。過電力または過温度条件が検出されると、電力増幅器への入力を絞り込む信号が生成されてもよく、これは次に、電力増幅器が電力増幅器の安全な動作領域外で動作する可能性を低減し、それによってモバイル通信装置製造業者の試験基準を満たし、電力増幅器のライフサイクルを延長する可能性が高い。
【0018】
本開示の特定の態様に対処する前に、状況の簡単な考察が提供される。具体的には、
図1~16は、過電流および過電圧保護ループの背後にある基本的な概念を論じている。これらの過状態ループは、特に過電圧保護ループが過電流保護ループと協働して、過電圧状態に対する電圧閾値を低減する場合に有用であるが、その中に提供される解決策は、電力増幅器を全ての厳しい状態から保護しえない。追加的な過状態保護ループ、特に、過電力および過温度保護ループの例示的な態様を、
図17を参照して以下に説明する。
【0019】
図1は、本開示の一実施形態に従って構成される例示的なRFフロントエンド回路10の概略図である。本明細書に開示される実施形態では、RFフロントエンド回路10は、一例として、RFフロントエンドモジュール(FEM)の全ての必須機能を提供するために、システムオンチップ(SoC)またはシステムインパッケージ(SiP)内に自己完結され得る。別の方法として、RFフロントエンド回路10の異なる部分が、異なるダイ上に提供され得る。いくつかの実施形態では、異なるダイは、異なる材料(例えば、GaAs、GaAn、Si、SiG、SiNなど)から作製されてもよく、および/または異なる技術(例えば、バイポーラジャンクショントランジスター(BJT)、ヘテロジャンクショントランジスター、電界効果トランジスター(FET)、相補型金属酸化膜半導体(CMOS)FETなど)であり得る。図示したように、RFフロントエンド回路10は、エンベロープ追跡集積回路(ETIC)12、標的電圧回路14、ローカルトランシーバー回路16、およびいくつかの電力増幅器18A(1)~18A(N)を含むように構成される。RFフロントエンド回路10はまた、いくつかの第二の電力増幅器18B(1)~18B(N)を含んでもよい。
【0020】
ETIC12は、それぞれ、いくつかの第一の出力ノードNA1-1~NA1-Nで、いくつかの第一のET電圧VCCOA-1~VCCOA-Nを生成するように構成される。ETIC12はまた、第二の出力ノードNA2で第二のET電圧VCCDAを生成するように構成される。ETIC12は、時間変化ET標的電圧VTGTAに基づき、第一のET電圧VCCOA-1~VCCOA-Nおよび第二のET電圧VCCDAの両方を生成する。時間変化ET標的電圧VTGTAに基づき第一のET電圧VCCOA-1~VCCOA-Nおよび第二のET電圧VCCDAを生成するETIC12の特定の実施形態に関する詳細な説明については、「マルチ電力増幅器を内蔵したエンベロープ追跡電力管理装置」と題する米国特許出願第17/142,507号を参照のこと。
【0021】
標的電圧回路14は、入力信号20に基づき時間変化ET標的電圧VTGTAを生成するように構成され、これは、ミリメートル波(mmWave)周波数、中間周波数(IF)、または同相/直交(I/Q)ベースバンド周波数での変調キャリア信号とすることができる。非限定的な例では、標的電圧回路14は、振幅検出回路22およびアナログルックアップテーブル(LUT)24を含む。振幅検出回路22は、いくつかの入力信号20の時間変化振幅26を検出するように構成され、アナログLUT24は、時間変化振幅26に基づき時間変化ET標的電圧VTGTAを生成するように構成される。
【0022】
ローカルトランシーバー回路16は、数センチメートルに伸び得る導電性距離だけRFフロントエンド回路10から分離される、ベースバンドトランシーバー回路(図示せず)に結合され得る。ベースバンドトランシーバー回路は、入力信号20をIFのローカルトランシーバー回路16に提供して、導電性距離にわたる歪みを低減するのを助け得る。これに関して、非限定的な例では、ベースバンドトランシーバー回路は、ベースバンド周波数信号をIFにアップコンバートして、入力信号20を形成することができる。ローカルトランシーバー回路16は、入力信号20に基づき、IFよりも高いRF周波数(キャリア周波数とも呼ばれる)で、いくつかのRF信号62A(1)~62A(N)およびいくつかの第二のRF信号62B(1)~62B(N)を生成するように構成される。
【0023】
電力増幅器18A(1)~18A(N)の各々は、いくつかのアンテナポート64A(1)~64A(N)のそれぞれ一つに結合され、第一のET電圧VCCOA-1~VCCOA-Nのそれぞれ一つおよび第二のET電圧VCCDAに基づき、RF信号62A(1)~62A(N)のそれぞれ一つを増幅するように構成される。第二の電力増幅器18B(1)~18B(N)の各々は、いくつかの第二のアンテナポート64B(1)~64B(N)のそれぞれ一つに結合され、第一のET電圧VCCOA-1~VCCOA-Nのそれぞれ一つおよび第二のET電圧VCCDAに基づき、第二のRF信号62B(1)~62B(N)のそれぞれ一つを増幅するように構成される。
【0024】
アンテナポート64A(1)~64A(N)および第二のアンテナポート64B(1)~64B(N)は各々、RF信号62A(1)~62A(N)および第二のRF信号62B(1)~62B(N)のそれぞれ一つを放射するためのそれぞれのアンテナ(図示せず)に結合され得る。ローカルトランシーバー回路16は、RF信号62A(1)~62A(N)がRFビームフォーミングを介してそれぞれのアンテナによって放射され得るように、RF信号62A(1)~62A(N)の間に必要な位相コヒーレンシーを提供するために、それぞれいくつかの位相オフセットA1~ANに関連してRF信号62A(1)~62A(N)を生成するように構成され得る。同様に、ローカルトランシーバー回路16はまた、第二のRF信号62B(1)~62B(N)がRFビームフォーミングを介してそれぞれのアンテナによって放射され得るように、第二のRF信号62B(1)~62B(N)の間に必要な位相コヒーレンシーを提供するために、それぞれいくつかの第二の位相オフセットB1~BNに関連して第二のRF信号62B(1)~62B(N)を生成するように構成され得る。特に、RF信号62A(1)~62A(N)の各々は、第二のRF信号62B(1)~62B(N)のそれぞれの一つと同一であり得る(例えば、同じ内容および符号化を有する)。このように、RF信号62A(1)~62A(N)および第二のRF信号62B(1)~62B(N)は、異なる偏光(例えば、水平および垂直の偏光)で同時に放射され得る。
【0025】
非限定的な実施例では、電力増幅器18A(1)~18A(N)の各々は、ドライバーステージ増幅器66および一つまたは複数の出力ステージ増幅器68を含むマルチステージ電力増幅器である。電力増幅器18A(1)~18A(N)の各々におけるドライバーステージ増幅器66は、第二のET電圧VCCDAに基づき、RF信号62A(1)~62A(N)のそれぞれ一つを増幅するように構成される。電力増幅器18A(1)~18A(N)の各々の出力ステージ増幅器68は、ドライバーステージ増幅器66とアンテナポート64A(1)~64A(N)のそれぞれの一つとの間に結合される。従って、電力増幅器18A(1)~18A(N)の各々における出力ステージ増幅器68は、第一のET電圧VCCOA-1~VCCOA-Nのそれぞれの一つに基づき、RF信号62A(1)~62A(N)のそれぞれの一つをさらに増幅するように構成される。
【0026】
同様に、第二の電力増幅器18B(1)~18B(N)の各々は、第二のドライバーステージ増幅器70および一つまたは複数の第二の出力ステージ増幅器72を含むマルチステージ電力増幅器である。第二の電力増幅器18B(1)~18B(N)の各々における第二のドライバーステージ増幅器70は、第二のET電圧VCCDAに基づき、第二のRF信号62B(1)~62B(N)のそれぞれ一つを増幅するように構成される。第二の電力増幅器18B(1)~18B(N)の各々における第二の出力ステージ増幅器72は、第二のドライバーステージ増幅器70と第二のアンテナポート64B(1)~64B(N)のそれぞれの一つとの間に結合される。従って、第二の電力増幅器18B(1)~18B(N)の各々における第二の出力ステージ増幅器72は、第一のET電圧VCCOA-1~VCCOA-Nのそれぞれの一つに基づき、第二のRF信号62B(1)~62B(N)のそれぞれの一つをさらに増幅するように構成される。
【0027】
RFフロントエンド回路10は、較正回路74および結合回路76を含み得る。結合回路76は、電力増幅器18A(1)~18A(N)とアンテナポート64A(1)~64A(N)との間に、および/または第二の電力増幅器18B(1)~18B(N)と第二のアンテナポート64B(1)~64B(N)との間に提供され得る。結合回路76は、電力増幅器18A(1)~18A(N)のいずれか、および/または第二の電力増幅器18B(1)~18B(N)のいずれかの出力電力POUTを示すフィードバック信号78を提供するように構成され得る。従って、較正回路74は、フィードバック信号78に基づきアナログLUT24を較正するように構成され得る。較正回路74の特定の実施形態に関する詳細な説明については、「エンベロープ追跡ルックアップテーブルを較正するための装置および方法」と題する米国特許出願第17/163,685号を参照のこと。
【0028】
図2は、
図1のRFフロントエンド回路10であり得る、いくつかのRFフロントエンド回路102(1)~102(K)を含む無線装置100の概略図である。
【0029】
無線装置100は、RFフロントエンド回路102(1)~102(K)のいずれかから分離されたベースバンドトランシーバー104を含む。ベースバンドトランシーバー104は、入力信号20を生成するように構成される。
【0030】
RFフロントエンド回路102(1)~102(K)の各々は、第一のアンテナアレイ106および第二のアンテナアレイ108に結合される。第一のアンテナアレイ106は、それぞれがアンテナポート64A(1)~64A(N)のそれぞれの一つに結合され、第一の偏光(例えば、水平偏光)でRF信号62A(1)~62A(N)のそれぞれの一つを放射するように構成される、いくつかの第一のアンテナ110(1)~110(N)を含む。第二のアンテナアレイ108は、それぞれが第二のアンテナポート64B(1)~64B(N)のそれぞれの一つに結合され、第二の偏光(例えば、垂直偏光)で第二のRF信号62B(1)~62B(N)のそれぞれの一つを放射するように構成される、いくつかの第二のアンテナ112(1)~112(N)を含む。
【0031】
RFフロントエンド回路102(1)~102(K)は、RF性能の向上およびユーザー体験の改善を助けるために、無線装置100の異なる位置に配置され得る。例えば、RFフロントエンド回路102(1)~102(K)の一部は、無線装置100の上縁上に提供されてもよく、ET RFフロントエンド回路102(1)~102(K)の一部は、無線装置100の下縁上に提供される。
【0032】
上記の考察は、第五世代(5G)セルラーネットワークでの使用に適したRFフロントエンド回路10に焦点を当てているが、本開示はそのように限定されず、本開示は3G、4G、5Gネットワークなどに実装され得る。注目すべきは、電力増幅器18A(1)~18A(N)および電力増幅器18B(1)~18B(N)、より具体的には出力ステージ増幅器68および72の動作である。電力増幅器は堅牢で、幅広い動作状態にわたって動作するように設計されるが、電力増幅器は設計妥協の産物であり、結果として、電力増幅器は、最適な動作領域、電力増幅器が動作するのに安全である領域、および電力増幅器が故障する可能性のある領域を有し得ることが理解されるべきである。
【0033】
図3は、曲線122によってマークされた安全な動作領域を有する電圧対電流グラフ120を示す。線124によって図示されるように電流が変動するにつれて、電流は、領域126によって示されるように、安全な動作領域(安全動作領域(SOA)と呼ばれることもある)を出うる。同様に、電圧が変動するにつれて、線128によって示されるように、電圧は、領域130によって示されるように、安全な動作領域を出うる。領域126は、過電流障害でありえ、領域130は、過電圧障害であり得る。
【0034】
繰り返しになるが、電力増幅器は、堅牢で、広範囲の動作状態での動作を継続するように設計されるが、電力増幅器を安全な動作領域外に押し出し、故障を引き起こし得る。
図4は、電圧対時間グラフ140を提供し、ここで二つの増幅器が動作する。線142で示される第一の増幅器は、安全な動作領域内に留まり、機能し続ける。線144によって示される第二の増幅器は、時間146で過電流状態を有し、故障する。急激な低下148の後、動作は第二の増幅器に対して継続しない。このような故障は、機能の完全な喪失(例えば、装置の「ブリック」と呼ばれる)までの、およびそれを含む性能低下につながり得る。おそらく、こうした故障が消費者の信頼の浸食につながり得ることを認識すると、製造業者は、電力増幅器を無数の試験に供して、電力増幅器が、極度の電圧定在波比(例えば、10:1)、大きな電池電圧レベル(VBat)、およびVcc電圧(例えば、通常よりも+0.5V高い)を含む、十分に堅牢であることを検証している。こうした製造業者の堅牢性試験を満たす必要がない場合でさえ、適切な最悪の場合のマージンを有するさまざまな動作状態に耐えることができる電力増幅器を提供することが望ましい。
【0035】
図5は、堅牢性試験を満たすのを支援するために従来の保護スキームを採用する電力増幅器回路160のブロック図を提供する。特に、電力増幅器回路160は、電力増幅器168の出力ステージ166の過電流および過電圧状態を防止するのを支援する過電流保護ループ162および過電圧保護ループ164を含む。図示されていないが、電力増幅器168は、電力増幅器18Aについて
図1に図示したようなマルチステージ電力増幅器であり得る。さらに、電力増幅器168は、電力増幅器168の一部とみなされ得る(またはそうでなくてもよい)ドライバー増幅器ステージ170を有し得る。ドライバー増幅器ステージ170は、直流(DC)を遮断するが交流電流(AC)を通過するコンデンサー172によって出力ステージ166から分離され得る。出力ステージ168は、バイアス回路174から抵抗器176を通してバイアス信号を受信する。バイアス回路174は、バイアス調整器回路178によって調節され得る。
【0036】
引き続き
図5を参照すると、電流検出器回路180は、この検出された電流がバイアス回路174に提供される電流の合理的なプロキシであり、従って出力ステージ166によって出力される電流の合理的なプロキシでもあるという理解で、バイアス調整器回路178からバイアス回路174に提供される電流を感知し得る。電流検出器回路180はまた、所定の閾値を超える電流レベルが検出されたときに、バイアス調整器回路178に関連付けられる調整可能な電流源184に電流保護信号182を提供する。
【0037】
従来のGaAs電力増幅器は、適切な動作のためにHBT装置によって要求される電圧と比較して、過電流保護ループを実装することが困難であることが理解されるべきである。すなわち、例えば、直接Vccコレクター電流感知は、電力増幅器の動作に悪影響を与えるものとして一般的には推奨されない。ベース側では、一般的に、制御のための追加のHBT装置を含むことを可能にするために、最小供給電圧で十分な電圧ヘッドルームがない。さらに、GaAs HBTプロセスは、効率的なデジタル制御回路および保護ループの調整可能性を実装することができない。
【0038】
図5を引き続き参照すると、電圧検出回路186は、出力ステージ166に関連付けられる電圧レベルを検出し、検出された電圧レベルが所定の閾値を超えた時に、電圧保護信号188をバイアス回路174に提供する。
【0039】
電流検出器回路180および電圧検出回路186は、電流および/または電圧が設計公差を超える事例を低減または除去するのに役立つが、少なくとも三つの制限が観察された。第一に、過電流保護信号182および過電圧保護信号188は、互いに動作して、バイアス回路174内で行われた調整をキャンセルする、バイアス調整器回路178内で調整を行い得る、またはその逆である。各回路が他方を補償すると、変化は、リンギングが性能に悪影響を及ぼし得る、出力ステージ166においてリンギングを誘発し得る。第二に、電流および電圧の制限が適所にあり得るが、ドライバー増幅器ステージ170は、信号190を大きな値で駆動し続けうるが、これは次に、出力ステージ166が安全な動作領域を出て、出力ステージに故障または損傷をもたらし得る。第三に、多くの過電圧保護回路は、ダイオードスタックで実装され、これは典型的には、制限電流を保持する必要があるため、ダイ上に比較的大きな領域を必要とする。同様に、ダイオードスタックは、安全な動作領域の輪郭を反映しえない静電気保護レベルのみを提供する。
【0040】
本開示の例示的な態様は、電力増幅器回路の動作を管理するためのさまざまなツールを提供する。具体的に企図される態様は、ドライバー増幅器ステージのバイアス回路もしくは調整器回路の制御を通して、またはドライバー増幅器ステージと出力ステージとの間の接続上のクランプ回路を通して(例えば、それによって信号190をクランプすること)、ドライバー増幅器ステージに追加的制御を提供することを含む。さらなるツールは、リンギングが低減または最小化されるように、過電圧保護信号を過電流保護信号にリンクしている。さらに別のツールは、過電流状態の有無に基づく過電圧状態の動的調整である。すなわち、過電流状態が発生すると、故障を誘発するのにより少ない電圧しかかからない。従って、過電流状況中、過電圧保護信号の閾値は低下し得る。
【0041】
図示した態様はGaAs BJT実装に焦点を当てているが、本開示はそのように限定されないことが理解されるべきである。例示的な態様では、本開示の概念は、GaAs、GaAN、SiGe、Siなどから形成される増幅器に適用され得る。同様に、増幅器は、BJT、HBT、FETなどであるトランジスターを使用し得る。特に企図される態様では、電力増幅器回路は、CMOSドライバーおよびGaAs(BJTまたはHBTのいずれか)出力ステージを有するハイブリッドRF経路を提供し得る。本明細書に開示される概念は、一端、差動、疑似差動、直交、ドハーティ、位相外などを含むがこれらに限定されない、任意の電力増幅器構成に適用可能であることが理解されるべきである。さらに、
図1および
図2の説明は、5Gの実装を反映するが、本明細書に開示される概念は、3Gおよび/または4Gのユースケースに適用可能であり、デジタル制御回路(以下でより詳細に説明される)は、単一モード送信チェーンが使用されるときに、3G、4G、および5Gのユースケースの間で切り替えるときに、異なる保護限界の間で切り替えることを可能にし得ることが理解されるべきである。
【0042】
上述のように、直流感知は不適切であり得る。従って、一部の実施では、装置のベースにおける間接電流感知が適切であり得る。同様に、過電流保護ループは、はるかに低い制御電圧レベル(例えば、Vgs<<Vbe)を有する装置を有し、過電流保護ループ設定の制御および調整可能性を提供することができるデジタル回路を有することが有利である。従って、エミッターフォロアのコレクターを専用の調節器からバイアスすることが、コレクター電流を感知および制限するための経路を提供し、これは次に、出力装置のベース電流を制限する。こうした調整器は、シリコンプロセス(例えば、CMOSまたはBiCMOS)で実装され得る。デジタル-アナログ変換器(DAC)を使用して、電流制限値を調整およびプログラムすることができる。しかしながら、こうした配設は、本開示の全ての態様に厳密に必要とされるわけではないが、本開示の例示的な態様を例示するために使用される。
【0043】
これに関して、
図6は、出力ステージ208を含む電力増幅器206の保護を支援するために、過電流保護ループ202および過電圧保護ループ204を含む電力増幅器回路200を示す。図示されていないが、電力増幅器206は、電力増幅器18Aについて
図1に図示したようなマルチステージ電力増幅器であり得る。さらに、電力増幅器206は、電力増幅器206の一部とみなされ得る(またはそうでなくてもよい)ドライバー増幅器ステージ210を有し得る。ドライバー増幅器ステージ210は、直流(DC)を遮断するが交流電流(AC)を通過するコンデンサー212によって出力ステージ208から分離され得る。出力ステージ208は、バイアス回路214から抵抗器216を通してバイアス信号を受信する。バイアス回路214は、バイアス調整器回路218によって調節され得る。
【0044】
引き続き
図6を参照すると、電流検出器回路220は、この検出された電流がバイアス回路214に提供される電流の合理的なプロキシであり、従って出力ステージ208によって出力される電流の合理的なプロキシでもあるという理解で、バイアス調整器回路218からバイアス回路214に提供される電流を感知し得る。電流検出器回路220はまた、所定の閾値を超える電流レベルが検出されたときに、バイアス調整器回路218に関連付けられる調整可能な電流源224に電流保護信号222を提供する。
【0045】
図6を引き続き参照すると、電圧検出回路226は、出力ステージ208に関連付けられる電圧レベルを検出し、検出された電圧レベルが所定の閾値を超えた時に、電圧保護信号228をバイアス回路214に提供する。
【0046】
図5のシステムの制限の一つに対処するために、補助過電流保護ループ230が追加される。補助過電流保護ループ230は、ドライバーステージ210を制限するのに役立つような方法で、第二の過電流保護信号232を提供する。
図6に示すように、第二の過電流保護信号232は、ドライバー調整器回路234に提供される。ドライバー調整器回路234は、調整器回路218が出力ステージ208を調節するのとよく似て、ドライバーステージ210を調節する。例示的な態様では、調整器回路218およびドライバー調整器回路234はCMOSダイに実装され、一方、バイアス回路214、出力ステージ208、および検出器回路220、226は全てGaAsダイに実装されることに留意されたい。さらに、過電流保護ループ202および過電圧保護ループ202が独立して動作する場合、過電流保護ループ202のタイミングは、過電圧保護ループのタイミングと比較して比較的速くてもよく、その結果、過電流保護を通して迅速な変更が行われ、過電圧ループ204を通して漸進的な変更が行われることに留意されたい。この異なるタイミングを有することによって、リンギングの可能性が低減される。
【0047】
リンギングの可能性をさらに低減するために、電力増幅器回路200’は、
図7に示すように、信号236を介して過電圧保護信号228を過電流保護信号222に連結する追加のステップを取る。他のほとんどの点において、電力増幅器回路200’は、
図6の電力増幅器回路200とほぼ同一である。過電圧保護信号236を過電流保護信号222に追加する正味の結果は、結果として生じる信号222’であり、これは、高電流が存在する状況のみよりも早く調整器回路218を起動する。例示的な態様では、過電圧保護信号236のみが、過電流保護手段をトリガーする(例えば、制御器224を制限する)のに十分な閾値を超える。組み合わされた信号222’はまた、ドライバー調整器回路234を制御する信号232’にも影響を与える。
【0048】
図6または
図7に示す通り、ドライバー調整器回路234を制御する代わりに、第二の過電流保護信号232または232’は、代わりに、
図8の電力増幅器回路200”に示す通り、抵抗器242を通してドライバーステージ210をバイアスする、ドライバーバイアス回路240を制御し得る。電力増幅器回路200”は、
図7に示すリンクループ202および204、または
図6に示す独立ループ202および204を有し得ることが理解されるべきである。
【0049】
図6~8に示す通り、ドライバー調整器回路234またはバイアス回路240を制御する代わりに、第二の過電流保護信号232または232’は、代わりに、
図9の電力増幅器回路200’’に示す通り、ドライバーステージ210の出力信号252に制限を提供する、クランプ250を制御し得る。電力増幅器回路200”は、
図7に示すリンクループ202および204、または
図6に示す独立ループ202および204を有し得ることが理解されるべきである。
【0050】
ドライバー増幅器210を制御する代わりに、
図10の電力増幅器回路200””に示す通り、バイアス回路214に追加的制御を提供することが可能であり得る。具体的には、信号232は、バイアス回路214を通してバイアス電圧を低下させる。バイアス回路214は、ループ202およびループ204の両方から信号を受信するため、ループ204は、ループ202にリンクされる必要はない(ただし、そうすることができる)。
【0051】
上述のように、本開示は、複数のダイにわたって実装されてもよく、それらのダイは、異なる技術タイプを有し得る。例えば、
図11に示すように、電力増幅器回路270は、デジタル制御回路およびドライバーステージを有するCMOSダイであり得る第一のダイ272と、その中に比較的高い電力BJTを有するGaAsダイであり得る第二のダイ274とを含む。より具体的には、第一のダイ272は、RF信号278を受信するRF入力276を含み得る。RF信号278は、例えば、制御回路284から2ビット制御ワードを受信する可変コンデンサー(Cin)282を含み得る入力整合回路280を通過する。次いで、RF信号278は、CMOSドライバーステージ286に渡される。CMOSドライバーステージ286は、例えば、制御回路284から5ビット制御ワードを受信する電流源288からドライバー電流(Idrv)を受信し得る。可変抵抗器(Rfb)290が存在し、CMOSドライバーステージ286の入力および出力を結合して、ドライバーステージ286に対するフィードバックループを提供し得る。可変抵抗器290は、例えば、制御回路284からの2ビット制御ワードによって制御され得る。CMOSドライバーステージ286はまた、電圧調整器回路292から調節信号を受信し得る。
図11は、電圧調整器回路292がCMOSに実装され得ることを示唆しているが、本開示から逸脱することなく実装され得る、Vcc(Vbatではなく)に依拠する同等のNMOS回路が存在することが理解されるべきである。電圧調整器回路292(
図6の調整器回路234に類似)は、制御回路284によって制御される。電圧調整器回路292からの信号はまた、バイアス回路294(
図8のバイアス回路240に類似)と相互作用してもよく、これは制御回路284によって制御され得る。さらに、調整器回路296(
図6の調整器回路224に類似)は、制御回路284によって制御され得る。制御回路284は、第二のダイ274からの信号298(信号222、222’に類似)に基づき、制御ワードおよび制御信号を生成し得る。
【0052】
引き続き
図11を参照すると、第二のダイ274は、ミラーBJTS302(2)および302(3)を含む、その中に複数のBJT302(1)~302(N)を有するバイアス回路300を含み得る。第二のダイ274は、その中にBJT306を有する出力ステージ304(208に類似)をさらに含み得る。電流センサー回路308および電圧センサー回路310は、過電流保護信号298および過電圧保護信号312を提供し得る。この配置は特に意図されるが、本開示から逸脱することなく、他の配置がなされ得る。例えば、センサー(Vbat、Vccなど)は、第一のダイ272に含まれてもよい。
【0053】
上述の実施例は、過電流および過電圧状態を検出および防止するのに良好であるが、二つの事象は、単独では存在しない。従って、過電圧ループを過電流ループにリンクする利点の一部は、過電圧状態の検出が自動的に電流の制御を開始することである。しかしながら、電流および電圧を制御するだけでは、故障を回避するのに十分ではあり得ない。例えば、
図12のグラフ320によって図示されるように、0.4Aの電流閾値(線322)および14Vの電圧閾値(線324)がある場合、電流326は領域328でクリップ留めされてもよく、電圧は領域330でクリップ留めされてもよく、こうしたクリップ留めは、シフト332を引き起こして、動作の安全な領域336の外側にある領域334での活性をもたらし得、電流および電圧の両方が対応する閾値を下回るにもかかわらず、電力増幅器の故障をもたらし得る。
【0054】
本開示の例示的な態様は、過電流状態の存在に基づき電圧閾値を動的に変更することを可能にすることによって、シフト332に対する解決策を提供する。例えば、
図11の制御回路284を使用して、信号312の電圧閾値は、過電圧保護手段がはるかに低い電圧レベルで係合し、従って、領域334の故障から出力ステージを保護するように調整され得る。さらに、閾値は、セルラー標準が使用されることに基づき変化し得る(例えば、3G、4G、および5Gは、全て異なるベース閾値を有してもよく、全て異なる調整された閾値を有し得る)。さらに、電圧閾値に対する調整の量は、過電流が存在する量によって変化し得る。
【0055】
図13は、調整された電圧閾値324’が、領域334’(
図12の領域334と対比)に記述されるように電流および電圧を湾曲させる、グラフ320’の動的閾値を示す。
【0056】
図14は、こうした動的電圧閾値がどのように実装され得るかの例示的な態様のブロック図を提供する。電力増幅器回路350の要素の多くは、すでに考察したものと同一である。しかしながら、電力増幅器回路350では、電圧検出器226は、コンパレーター回路354に信号352を提供する。コンパレーター回路354は、信号352から検出された電圧が、バンドギャップ回路360から信号358を介して受信された基準電圧(すなわち、閾値)を超えると、過電圧保護信号356を生成する。バンドギャップ回路360は、制御器362によって設定され、これは次に電流制限回路364に結合される。電流制限回路364が電流検出器220によって起動されると、電流制限回路364は信号366を調整器回路362に送信し、調整器回路362にバンドギャップ回路360を修正させる。
【0057】
動的電圧閾値を実施する一つの単純な方法は、一つまたは複数のダイオード接続装置と直列に配置された抵抗器に注入された電流を使用することである。こうした閾値レベルを低下させることは、注入された電流の値を調節することによって達成することができる。過電圧保護ループの出力は、バイアス回路214に注入される電流であり得、出力ステージ208に印加されるバイアス電圧の低下をもたらす。
【0058】
さまざまな回路を使用することができるが、
図15は、バイアス回路214”およびバンドギャップ回路360の例示的な回路を提供する。具体的には、バイアス回路214”は、トランジスター380、382、および384を含んでもよく、トランジスター382および384はミラー化される。抵抗器386および388は、トランジスター380とトランジスター382、384との間に直列に配置される。バンドギャップ回路360は、接地に結合された直列抵抗器392を有する可変電流源390であり得る。
【0059】
図16は、電圧検出器226がダイオード402およびコンデンサー404を含む、電力増幅器回路400におけるさらに別の可能な実装を提供する。電圧検出器226はまた、積み重ねトランジスター406(1)~406(N)および積み重ねトランジスター408(1)~408(M)を含み、ここで
図16では、N=3、M=2である。トランジスター408(M)のコレクターは、信号352を生成する。バイアス回路214”’はバイアス回路214”と類似しているが、さらなる抵抗器およびコンデンサーを含む。
【0060】
上記の説明は、過電流および過電圧の状況に対する優れた解決策を提供するが、閾値を超えないことが可能である。しかし、電力増幅器の全体的な電力は、安全な動作領域外にある。こうした領域に、
図13の電圧調整閾値をトリガーすることなく、到達し得る。例えば、
図17のグラフ500によって図示されるように。前述したように、電流がSOA504で動作を保持する条件よりも大きい、過電流状態502が存在し得る。同様に、電圧がSOA504で動作を維持するものよりも大きい過電圧状態506があり得る。しかしながら、電流制限508および電圧制限510が提供され、過電流状態および過電圧状態をそれぞれ示す場合でも、制限508、510の下であるが、SOA504の外側で動作し得る。例えば、領域512は、限界508、510よりも小さいが、SOA504の外側の値で電流および電圧を有し得る。領域512における持続的な動作は、電力増幅器の故障につながる場合がある。
【0061】
本開示の例示的な態様は、電力増幅器がSOAの外側で動作する可能性を低減するのに役立つ二つの追加的な過状態保護ループを提供する。特に、本開示の例示的な態様は、電力増幅器によって生成される総電力(電流および電圧の両方の関数)を制限する過電力保護ループ、ならびに電力増幅器が温度閾値を超えた時に動作を減衰させ、それによって高温での拡張動作から生じ得る電力増幅器への損傷を防止する過温度保護ループを提供する。
【0062】
これに関して、
図18は、出力ステージ208を含む電力増幅器206の保護を支援するために、過電流保護ループ522および過電圧保護ループ524を含む電力増幅器回路520を示す。出力ステージ208は、バイアス回路214から抵抗器216を通してバイアス信号を受信する。バイアス回路214は、バイアス調整器回路218によって調節され得る。
【0063】
引き続き
図18を参照すると、電流検出器回路220は、この検出された電流がバイアス回路214に提供される電流の合理的なプロキシであり、従って出力ステージ208によって出力される電流の合理的なプロキシでもあるという理解で、バイアス調整器回路218からバイアス回路214に提供される電流を感知し得る。電流検出器回路220はまた、所定の閾値を超える電流レベルが検出されたときに、バイアス調整器回路218に関連付けられる調整可能な電流源224に電流保護信号222を提供する。
【0064】
図18を引き続き参照すると、電圧検出回路226は、出力ステージ208に関連付けられる電圧レベルを検出し、検出された電圧レベルが所定の閾値を超えた時に、電圧保護信号228をバイアス回路214に提供する。この時点では、電力増幅器回路520は、
図6の電力増幅器回路200と類似している。電力増幅器回路520はまた、バイアス回路214に提供される電力保護信号530を生成する電力検出器回路528を含む、過電力保護ループ526を含む。電力検出器回路528の例示的なバージョンの詳細は、
図20A~20Cおよび
図21を参照して以下に提供される。電力検出器回路528は、電力増幅器206からの感知された電力を閾値と比較し、信号530を生成してもよく、これは次に抵抗器216を通して電力増幅器206に提供されるバイアス信号を調整する。
【0065】
過状態ループ522、524、および526が互いに効果的に独立している場合、
図6を参照して上述したように、リンギングまたは他の安定性の問題があり得るが、信号222、228と潜在的に競合する追加の信号530によってさらに複雑になることに留意されたい。この潜在的な安定性の問題を軽減する一つの方法は、
図19の電力増幅器回路540によって示されるように、過電力保護ループを過電流保護ループに従属させることである。電力増幅器回路540は、電力検出器回路528からの信号530が電流検出器回路220の出力に提供され、調整器回路218に提供される、信号222と合計されて信号222”を形成するように配設される。この配置では、過電力状態が検出されると、信号222に追加される信号530は、調整器回路218がバイアス回路214を調整して、ずっと早く電力増幅器206を減衰させる。
【0066】
図20A~20Cは、例示的な可能な電力検出器回路528A~528Cを図示し、それらのいずれかは、
図18または
図19の電力検出器回路528に使用され得る。
図20Aでは、電力検出器回路528A(
図20A)は、コレクター(コレクター)での電圧を直接感知し、コレクター(コレクター)での電流を間接的に感知し得る。乗算器550Aは、電力を決定するために、電流に電圧を乗算し得る。対照的に、電力検出器回路582B(
図20B)は、コレクター(Vコレクター)での電圧およびベース(Vベース)での電圧を感知してもよく、乗算器550Bは、V
2Rがオームの法則の下での電力式であるため、これらの二つの値(および潜在的に抵抗を説明する)を乗算して電力を決定し得る。さらに別の電力検出器回路528Cを
図20Cに示す。電力検出器回路528は、コレクター(コレクター)での電圧およびベース(Vベース)での電圧を感知し、重なった検出器回路552を使用して、信号が重なり合う場所および重なりの合計が何であるかを判定する。重なりの合計は、電力のプロキシとして作用し得、電力保護信号530を生成するために使用され得る。
【0067】
電力検出器回路528A~528Cは全て可能であるが、アナログ技術を使用して直流電圧および電流乗算器を実装することは容易ではない。さらなるGaAs HBTプロセスは、混合信号技術およびデジタル較正ソリューションへの容易なアクセスを有しえない。従って、電力検出器回路528Dが
図21に図示され、
図18または19の電力検出器回路528として作用し得る。
【0068】
これに関して、電力検出器回路528Dは、コンデンサー554および抵抗器556を通るおおよそのコレクター電圧、ならびに抵抗器558を通るおおよそのベース電流を感知し得る。BJTであり得るミキサー560は、BJTのベースで抵抗器556、558から二つの信号を受信し、ミキサー560のコレクターは、過電力信号530を提供する。別の方法として、ミキサー560の代わりに、XOR回路(図示せず)を使用し得る。過電力信号530は、基準レベルおよび過電力状態が検出されたときに、増幅器バイアスを偏向の方向に駆動し得る、制御信号と比較され得る。信号530が信号222に追加される場合、調節器218について前述したものを容易に使用する。
【0069】
持続的な使用が、過電流、過電圧、または過電力状態を誘発しないが、発熱速度では放散することができない実質的な熱を発生する機会があり得る。熱は、過電流、過電圧、または過電力状態として、電力増幅器を損傷し得ることが理解されるべきである。従って、機能喪失を避けるために、過温度条件に基づき動作を低減することができることも望ましい。
【0070】
温度検出が発生し得るさまざまな方法がある。例えば、
図22Aのダイ570によって図示されるように、センサー572は、電力増幅器208を含んでもよく、電力増幅器208が使用される際に一般に熱を発生している電力セル574内または電力セル574に連続して配置され得る。第二のセンサー576は、電力セル574の外側に配置され、ダイ570の一般に冷たい部分でそこから取り外され得る。センサー572、576からの信号は、コンパレーター578に提供され得る。ダイ570は比較的冷たいため、コンパレーター578は、二つのセンサー572、576からの信号間の大きな差の表示を提供する可能性が高い。別の方法として、センサー576は、温度非依存性基準信号によって置き換えられてもよい。同じ比較を行って、電力セル574での温度を示す差分値を生成し得る。こうした交換についてより詳細を、
図22Bを参照して以下に提供する。
【0071】
これに関して、
図22Bは、バンドギャップ基準回路700を通して温度非依存性の基準信号を提供する代替的なセンサー576’を図示する。具体的には、バンドギャップ基準回路700は、コンパレーター578に基準電圧Vrefを提供するために、スケーリングファクタ回路702に提供される電圧Vbgを生成する。可能なスケーリングファクタ回路702に関する詳細は、
図22Cを参照して提供される。
【0072】
これに関して、
図22Cは、電圧Vbgをスケーリングするために抵抗器デバイダーを使用するスケーリングファクタ回路702を図示する。具体的には、第一の抵抗器704は、電圧Vbgによって制御される電流源Ibg706に結合される。第二の抵抗器708は、第一の抵抗器704に直列に結合される。ノード710は、第一の抵抗器704と第二の抵抗器708との間に存在し、バイポーラセンサートランジスター712(またはダイオード(図示せず))に結合され得る。センサートランジスター712は、BJT(図示)またはFET(図示なし)であり得る。第一の抵抗器704および第二の抵抗器708の抵抗の比は、ノード710で生成される基準電圧Vrefを決定する。センサートランジスター712は、コンパレーター578として機能し、過温度制御信号を生成する。このテーマに関する追加的な変形を、
図29を参照して以下に提示する。
【0073】
ダイは、さまざまな回路が使用され、ダイを通して熱が放散されるにつれて温まる可能性がより高い。こうした実例では、センサー572と576との間の信号の差は小さく、これは危険な熱状態を適切に示さない可能性がある。
【0074】
従って、
図23のダイ580によって図示されるように、絶対温度を考慮しながら温度差を見つけることが適切であり得る。ダイ580は、電力増幅器208が使用される電力セル584内またはそれに隣接する類似の第一のセンサー582を有し得る。第二のセンサー586は、電力セル584の外側に配置され、そこから取り外され得るが、おそらくダイ580の温かい部分に置かれてもよい。センサー582、586からの信号は、コンパレーター588に提供され得る。さらに、絶対温度に比例する(PTAT)回路590は、全体的なダイ580が温かであるため、信号間にわずかな差しかない場合でも危険な熱条件が検出され得るように、コンパレーター588に信号を提供し得る。
【0075】
図24に図示するように、電力増幅器回路600内に定置されたとき、過温度保護ループ602は、過電流保護ループ604(
図6のループ202に類似)と統合され得る。しかしながら、差分回路606を使用して、第一のセンサー582からの信号から第二のセンサー586からの信号を減算し、PTAT回路590によって通知される閾値信号と比較されるその差を有し得る。
【0076】
代替ダイ610は、BJTであり得るセンサー582、586についてより詳細に
図25に図示される。
【0077】
他の過状態ループと同様に、
図26に示すように、過温度ループは過電流ループに従属され得ることに留意されたい。過電圧ループ204は、独立したものとして図示されるが、過電流ループに従属され得る。
【0078】
さらに、本明細書に記載の四つの過状態ループ全てが、存在し、
図27に図示するように、電力増幅器208に関連付けら得ることに留意されたい。繰り返しになるが、過電圧ループ204は独立して図示されるが、過電流ループに従属され得ることに留意されたい。
【0079】
また、
図28に示すように、過温度ループが過電流ループとは独立して動作し得ることも可能である。
【0080】
図29は、過温度センサー用のダーリントン構成回路804と動作する過温度保護ループ800を図示する。具体的には、バンドギャップ基準回路700は、電圧Vbg信号を電流源Ibg706に提供し、これは次に抵抗器704、708から形成されるデバイダー回路を駆動する。抵抗器704、708間のノード710’はまた、キャパシタ802に結合されて、スケーリングを支援する独立した電圧基準を提供する。ノード710’はまた、トランジスター806および808および抵抗器810から形成されるダーリントン構成回路804に結合される。制限抵抗器812は、出力814に存在して、otp制御信号を提供する。
【0081】
当業者であれば、本開示の好ましい実施形態に対する改善および変更を認識するであろう。このような全ての改善および修正は、本明細書に開示される概念および以下の特許請求の範囲内であるとみなされる。
【手続補正書】
【提出日】2024-04-02
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力増幅器回路であって、
増幅された出力信号を提供するように構成される
バイポーラジャンクションベースの出力ステージを含む電力増幅器と、
バイポーラジャンクションベースのバイアス回路と、
前記出力ステージに結合され、前記バイアス回路に過電圧信号を提供するように構成される過電圧保護回路と、
前記過電圧保護回路とは別個かつ独立した電力検出回路であって、前記電力検出回路が、前記電力増幅器に結合され、過電力保護信号を
前記バイアス回路に提供するように構成され、前記バイアス回路が、
前記過電力保護信号
に基づいて前記出力ステージに対するバイアス信号を制
御するように構成される、電力検出器回路と、を含む、電力増幅器回路。
【請求項2】
前記
バイアス回路が、抵抗器を通して前記出力ステージに結合
される、請求項1に記載の電力増幅器回路。
【請求項3】
前
記バイアス回路を制御するように構成される調整器回路を
さらに含む、請求項1に記載の電力増幅器回路。
【請求項4】
前記電力増幅器に結合され、
前記過電流保護信号に基づいて前記出力ステージのための
前記バイアス回路を制御する
ように構成されるバイアス調整器回路
に過電流保護信号を提供するように構成される電流検出器回路をさらに含む、請求項1に記載の電力増幅器回路。
【請求項5】
前記過電力保護信号および前記過電流保護信号が合計されるように、前記電力検出器回路および前記電流検出器回路に結合するように構成されるノードをさらに含む、請求項4に記載の電力増幅器。
【請求項6】
前記バイアス回路がミラー対のトランジスターを含み、前記対のトランジスターのうちの少なくとも一つが、前記出力ステージをバイアスするように構成されるエミッターを含む、請求項2に記載の電力増幅器回路。
【請求項7】
前記電力検出器回路が、
前記出力ステージのコレクターに結合された第一の経路と、
前記出力ステージのベースに結合された第二の経路と、
前記第一の経路および前記第二の経路に結合されたミキサーと、を含む、請求項1に記載の電力増幅器回路。
【請求項8】
前記ミキサーが、ベースおよびコレクターを含むバイポーラジャンクショントランジスターを含み、前記ミキサーが前記ベースで前記第一の経路および前記第二の経路に結合され、前記過電力保護信号が前記コレクターで提供される、請求項7に記載の電力増幅器回路。
【請求項9】
前記回路に過温度保護信号を提供するように構成される過温度検出回路をさらに含む、請求項1に記載の電力増幅器回路。
【請求項10】
前記過温度検出回路が、
前記出力ステージから遠隔に位置付けられる基準装置温度センサーと、
前記出力ステージに近接する電力装置温度センサーと、
前記基準装置温度センサーおよび前記電力装置温度センサーに結合された差分回路と、
コンパレーターと、
前記コンパレーターに結合される比例温度対絶対温度回路と、を含む、請求項9に記載の電力増幅器回路。
【請求項11】
前記コンパレーターが、前記過温度保護信号を提供するように構成される、請求項10に記載の電力増幅器回路。
【請求項12】
前記過電力保護信号および前記過温度保護信号が合計されるように、前記電力検出器回路および前記過温度検出回路に結合されたノードをさらに含む、請求項10に記載の電力増幅器回路。
【請求項13】
前記電力増幅器が、前記出力ステージに結合された少なくとも入力ステージを含む、請求項1に記載の電力増幅器回路。
【請求項14】
前記電力増幅器が、前記入力ステージと前記出力ステージとの間に位置付けられる中間ステージを含む、請求項13に記載の電力増幅器回路。
【請求項15】
前記電力増幅器に結合される相補型金属酸化膜半導体(CMOS)ドライバーをさらに含む、請求項1に記載の電力増幅器回路。
【請求項16】
前記出力ステージに結合され、前記バイアス回路に過電流保護信号を提供するように構成される過電流保護回路をさらに含む、請求項1に記載の電力増幅器回路。
【請求項17】
前記出力ステージに結合され、前記バイアス回路に過温度保護信号を提供するように構成される過温度保護回路をさらに含む、請求項16に記載の電力増幅器回路。
【国際調査報告】