(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-04
(54)【発明の名称】抗ガレクチン-9抗体及びその治療的使用
(51)【国際特許分類】
A61K 39/395 20060101AFI20240927BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20240927BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240927BHJP
A61P 35/04 20060101ALI20240927BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20240927BHJP
C07K 16/30 20060101ALN20240927BHJP
【FI】
A61K39/395 T
A61P35/00
A61P43/00 121
A61P35/04
A61K45/00
C07K16/30 ZNA
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024519470
(86)(22)【出願日】2022-09-30
(85)【翻訳文提出日】2024-04-26
(86)【国際出願番号】 US2022077408
(87)【国際公開番号】W WO2023056461
(87)【国際公開日】2023-04-06
(32)【優先日】2021-10-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-11-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521478599
【氏名又は名称】ピュアテック・エル・ワイ・ティ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】PURETECH LYT, INC.
(71)【出願人】
【識別番号】522091427
【氏名又は名称】ベイジーン スウィツァランド ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】フィリポヴィッチ,アレクサンドラ
(72)【発明者】
【氏名】エレンコ,エリック
(72)【発明者】
【氏名】ペイドン,ヘザー
(72)【発明者】
【氏名】コース,クリストファー
(72)【発明者】
【氏名】サハスラナマン,スリクマール
(72)【発明者】
【氏名】ブダ,ネージシュワー
【テーマコード(参考)】
4C084
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4C084AA19
4C084NA14
4C084ZB26
4C084ZC75
4C085AA14
4C085BB11
4C085EE03
4C085GG02
4H045AA11
4H045AA30
4H045BA10
4H045DA76
4H045EA28
4H045FA74
(57)【要約】
抗ガレクチン-9抗体(例えば、G9.2-17(IgG4))をチスレリズマブと組み合わせて使用して、固形腫瘍(例えば、頭頸部癌、尿路上皮癌など)を治療するための方法。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固形腫瘍を治療するための方法であって、それを必要とする対象に、
(a)有効量の、ヒトガレクチン-9を結合する抗体(抗ガレクチン-9抗体)と、
(b)有効量のチスレリズマブと、を投与することを含み、
前記抗ガレクチン-9抗体が、
(i)配列番号1として示される軽鎖相補性決定領域1(CDR1)、配列番号2として示される軽鎖相補性決定領域2(CDR2)、及び配列番号3として示される軽鎖相補性決定領域3(CDR3)を含む軽鎖可変領域(V
L)と、
(ii)配列番号4として示される重鎖相補性決定領域1(CDR1)、配列番号5として示される重鎖相補性決定領域2(CDR2)、及び配列番号6として示される重鎖相補性決定領域3(CDR3)を含む重鎖可変領域と、を含み、
前記抗ガレクチン-9抗体が、約0.2mg/kg~約18mg/kgの用量で前記対象に投与される、前記方法。
【請求項2】
前記固形腫瘍が、頭頸部癌、尿路上皮癌、胃食道癌、または非小細胞肺癌である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記固形腫瘍が、転移性腫瘍である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記抗ガレクチン-9抗体が、約4mg/kg~約18mg/kgの用量で前記対象に投与される、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記抗ガレクチン-9抗体が、約4mg/kg、約6.3mg/kg、約10mg/kg、約12mg/kg、約14mg/kg、約16mg/kg、または約18mg/kgの用量で前記対象に投与され、任意に、前記抗ガレクチン-9抗体の前記用量が、約6.3mg/kg、約10mg/kg、または約16mg/kgである、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記抗ガレクチン-9抗体が、週1回、前記対象に投与される、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記抗ガレクチン-9抗体が、約6.3mg/kg、週1回約10mg/kg、または約16mg/kgの用量で前記対象に投与される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記抗ガレクチン-9抗体が、静脈内注入で前記対象に投与される、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記チスレリズマブが、約200mgの用量で3週間に1回、約300mgの用量で4週間毎に、または約400mgの用量で6週間毎に、前記対象に投与される、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記チスレリズマブが、約300mgの用量で4週間毎に前記対象に投与される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記チスレリズマブが、静脈内注入で前記対象に投与される、請求項9または10に記載の方法。
【請求項12】
前記抗ガレクチン-9抗体が、約6.3mg/kgで週1回、静脈内注入で前記対象に投与され、前記チスレリズマブが、約300mgの用量で4週間毎に静脈内注入で前記対象に投与される、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記抗ガレクチン-9抗体が、約10mg/kgで週1回、静脈内注入で前記対象に投与され、前記チスレリズマブが、約300mgの用量で4週間毎に静脈内注入で前記対象に投与される、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記抗ガレクチン-9抗体が、約16mg/kgで週1回、静脈内注入で前記対象に投与され、前記チスレリズマブが、約300mgの用量で4週間毎に静脈内注入で前記対象に投与される、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記チスレリズマブが、前記対象が前記抗ガレクチン9抗体を投与される日に前記対象に投与されるか、または前記チスレリズマブの投与及び前記抗ガレクチン9抗体の投与が2日連続して行われる、請求項1~14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記チスレリズマブの投与が、前記抗ガレクチン9抗体の投与前に実施される、請求項1~14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記対象が、前記固形腫瘍を有するヒト患者である、請求項1~16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記抗ガレクチン-9抗体の前記V
Lが配列番号8のアミノ酸配列を含み、前記抗ガレクチン-9抗体の前記V
Hが配列番号7のアミノ酸配列を含む、請求項1~17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記抗ガレクチン-9抗体が、IgG1分子またはIgG4分子である、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記抗ガレクチン-9抗体が、ヒトIgG4の改変Fc領域を有するIgG4分子である、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記ヒトIgG4の改変Fc領域が、配列番号14のアミノ酸配列を含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記抗ガレクチン-9抗体が、配列番号19のアミノ酸配列を含む重鎖と、配列番号15のアミノ酸配列を含む軽鎖と、を含む、請求項1~17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
前記対象が、1つ以上の事前の抗がん療法を受けている、請求項1~22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
前記1つ以上の事前の抗がん療法が、化学療法、免疫療法、放射線療法、生物学的薬剤を含む療法、またはそれらの組み合わせを含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記対象が、前記1つ以上の事前の抗がん療法により疾患が進行しているか、または前記1つ以上の事前の療法に耐性がある、請求項23または24に記載の方法。
【請求項26】
前記対象が、対照値と比較してガレクチン-9のレベルが上昇しているヒト患者である、請求項1~25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
前記ヒト患者が、前記対照値と比較して、ガレクチン-9の血清または血漿レベルが上昇している、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記ヒト患者が、ガレクチン-9を発現するがん細胞、ガレクチン-9を発現する免疫細胞、またはその両方を有する、請求項1~27のいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
さらに、前記対象における副作用の発生を監視することを含む、請求項1~28のいずれか1項に記載の方法。
【請求項30】
有害作用が生じたときに、前記抗ガレクチン-9抗体の前記用量、前記チスレリズマブの前記用量、またはその両方を減少させることをさらに含む、請求項29に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年10月1日に出願された米国仮出願第63/251,227号、及び2021年11月9日に出願された米国仮出願第63/277,384号の米国特許法第119条(e)に基づく利益を主張し、これらのそれぞれの内容は、参照により全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
配列表
本出願は、XMLフォーマットで電子的に提出されている配列表を含み、全体が参照により本明細書に組み込まれる。2022年9月30日に作成された該XMLコピーは、112174-0234-NP003WO01_SEQ.xmlという名称で、サイズは25,891バイトである。
【背景技術】
【0003】
免疫系は、がん細胞を認識して破壊する顕著な可能性を保持するが、腫瘍の免疫回避を制御する複雑なネットワークが広範な効果的な免疫調節の障害である(Martinez-Bosch N,et al.,Immune Evasion in Pancreatic Cancer:From Mechanisms to Therapy.Cancers(Basel).2018;10(1))。承認された免疫腫瘍学(IO)薬は、多くの腫瘍タイプ(例えば、メラノーマ、肺癌、腎臓癌、膀胱癌、いくつかの結腸癌など)の生存期間を段階的に改善し、手術、化学療法、及び放射線療法に加えて、及びこれと併用して、標準治療として急速に組み込まれる。しかし、依然として、他の複数の進行性悪性腫瘍の処置及び生存率に大きなギャップがある。例えば、転移性膵管腺癌(PDACまたはPDA)、胆管癌(CCA)、及び結腸直腸癌(CRC)は、依然として、5年生存率が、それぞれ9%未満、5%未満、及び15%未満である。これらの消化管腫瘍は、非常に悪性度が高く、多くの患者は、発症時に進行期の疾患に罹患しており、承認された免疫療法の有効性は、最適ではない(Rizvi,et al.,Cholangiocarcinoma-evolving concepts and therapeutic strategies;Nat Rev Clin Oncol.2018;15(2):95-111、Kalyan,et al.,Updates on immunotherapy for colorectal cancer;J Gastrointest Oncol.2018;9(1):160-169)。
【0004】
第1世代チェックポイント阻害薬(抗PD-1、抗PD-L1、及び抗CTLA4)の成功は、新しいIO臨床試験の有効性及び差別化が爆発的に増加している(Holl et al.,Examining Peripheral and Tumor Cellular Immunome in Patients with Cancer;Front Immunol.2019;10:1767)。しかし、成功の一方で、残念ながら、開発の失敗も数多くあり、したがって、依然として、より新規で効果的な処置が必要とされている。
【0005】
ガレクチン-9は、2つの炭水化物認識ドメイン(CRD)からなるタンデムリピートレクチンであり、1997年にホジキンリンパ腫(HL)に罹患している患者において初めて発見され、記載されている(Tureci et al.,J.Biol.Chem.1997,272,6416-6422)。3つのアイソフォームが存在し、細胞内または細胞外に位置することができる。ガレクチン-9レベルの上昇は、メラノーマ、ホジキンリンパ腫、肝細胞癌、膵臓癌、胃癌、結腸癌、及び腎明細胞癌を含む幅広いがんで観察されている(Wdowiak et al.Int.J.Mol.Sci.2018,19,210)。腎臓癌では、ガレクチン-9発現が高い患者は、腫瘍サイズが大きくなり、より進行した疾患の進行を示した(Kawashima et al.;BJU Int.2014;113:320-332)。メラノーマでは、ガレクチン-9は、腫瘍の57%で発現され、健康な対照と比較して進行性メラノーマ患者の血漿中で有意に増加した(Enninga et al.,Melanoma Res.2016 Oct;26(5):429-441)。いくつかの研究は、予後マーカーとして、及びより最近では潜在的な新薬標的として、ガレクチン-9の有用性を示している(Enninga et al.,2016、Kawashima et al.BJU Int 2014;113:320-332、Kageshita et al.,Int J Cancer.2002 Jun 20;99(6):809-16、及びその中の参考文献)。
【0006】
ガレクチン-9は、接着、がん細胞の凝集、アポトーシス、及び走化性などの多くの細胞プロセスにおいて重要な役割を果たすことが記載されている。最近の研究は、例えば、Th1型応答、Th2分極化、及びマクロファージのM2表現型への分極化の負の調節を介して、腫瘍を支援する免疫調節におけるガレクチン-9の役割を示している。この研究は、ガレクチン-9が、T細胞免疫グロブリン及びムチンタンパク質3(TIM-3)受容体との相互作用を通じてT細胞の直接的な不活化に関与していることを示した研究も含まれる(Dardalhon et al.,J Immunol.,2010,185,1383-1392、Sanchez-Fueyo et al.,Nat Immunol.,2003,4,1093-1101)。
【0007】
ガレクチン-9は、T細胞の分化を腫瘍抑制表現型に分極化させること、ならびに寛容原性マクロファージプログラミング及び適応免疫抑制を促進すること、にも役割を果たしている(Daley et al.,Nat Med.,2017,23,556-567)。膵管腺癌(PDAC)のマウスモデルでは、ガレクチン-9及び腫瘍微小環境(TME)の自然免疫細胞に見られる受容体デクチン-1の間のチェックポイント相互作用を遮断すると、TMEの膵臓における抗腫瘍免疫応答を増加させ、腫瘍の進行を遅らせることが示されている(Daley et al.,Nat Med.,2017,23,556-567)。ガレクチン-9は、M2型マクロファージの表面マーカーであるCD206に結合することもわかっており、その結果、肺癌における生存期間の延長及び再発リスクの低下に関連しているマクロファージ由来ケモカインであるCVL22(MDC)の分泌が低減する(Enninga et al,J Pathol.2018 Aug;245(4):468-477)。
【発明の概要】
【0008】
本開示は、少なくとも部分的に、単独で、または抗PD-1抗体(例えば、チスレリズマブ)などのチェックポイント阻害薬と組み合わせて、頭頸部癌または尿路上皮癌などの固形腫瘍(例えば、転移性固形腫瘍)のための治療レジメンの開発に基づいている。
【0009】
したがって、本開示は、いくつかの態様では、固形腫瘍を治療するための方法であって、それを必要とする対象に、(a)有効量の、ヒトガレクチン-9を結合する抗体(抗ガレクチン-9抗体)と、(b)有効量のチスレリズマブなどの抗PD-1抗体と、を投与することを含む、方法を提供する。いくつかの実施形態では、抗ガレクチン-9抗体は、以下を含んでもよい:(i)配列番号1として示される軽鎖相補性決定領域1(CDR1)、配列番号2として示される軽鎖相補性決定領域2(CDR2)、及び配列番号3として示される軽鎖相補性決定領域3(CDR3)を含む軽鎖可変領域(VL)、ならびに(ii)配列番号4として示される重鎖相補性決定領域1(CDR1)、配列番号5として示される重鎖相補性決定領域2(CDR2)、及び配列番号6として示される重鎖相補性決定領域3(CDR3)を含む重鎖可変領域。いくつかの場合では、抗ガレクチン-9抗体(例えば、本明細書に開示されるG9.2-17(IgG4))は、約0.2mg/kg~約18mg/kgの用量で対象に投与され得る。いくつかの例では、抗ガレクチン-9抗体は、週1回、対象に投与され得る。
【0010】
いくつかの実施形態では、固形腫瘍は、頭頸部癌、尿路上皮癌、胃食道癌、または非小細胞肺癌である。いくつかの実施形態では、固形腫瘍は、転移性腫瘍(例えば、局所進行性の固形腫瘍または転移性固形腫瘍)である。いくつかの実施形態では、固形腫瘍は、難治性及び/または再発性である。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される方法のいずれかによって治療される対象は、固形腫瘍を有するヒト患者である。
【0011】
いくつかの実施形態では、抗ガレクチン-9抗体(例えば、本明細書に開示されるG9.2-17(IgG4))は、約4mg/kg~約18mg/kgの用量で対象に投与され得る。例えば、抗ガレクチン-9抗体は、約4mg/kg、約6.3mg/kg、約10mg/kg、約12mg/kg、約14mg/kg、約16mg/kg、または約18mg/kgの用量で対象に投与される。一例では、抗ガレクチン-9抗体の用量は、約6.3mg/kgである。別の例では、抗ガレクチン-9抗体の用量は、約10mg/kgである。さらに別の実施例では、抗ガレクチン-9抗体の用量は、約16mg/kgである。
【0012】
いくつかの具体例では、抗ガレクチン-9抗体(例えば、本明細書に開示されるG9.2-17(IgG4))は、週1回、約6.3mg/kgの用量で対象に投与され得る。いくつかの具体例では、抗ガレクチン-9抗体(例えば、本明細書に開示されるG9.2-17(IgG4))は、週1回、約10mg/kgの用量で対象に投与され得る。他の具体例では、抗ガレクチン-9抗体(例えば、本明細書に開示されるG9.2-17(IgG4))は、週1回、約16mg/kgの用量で対象に投与され得る。代替的または追加的に、抗ガレクチン-9抗体は、静脈内注入で対象に投与され得る。
【0013】
いくつかの実施形態では、チスレリズマブは、約200mgの用量で3週間に1回、約300mgの用量で4週間毎に、または約400mgの用量で6週間毎に、対象に投与される。一例では、チスレリズマブは、約300mgの用量で4週間毎に対象に投与される。代替的または追加的に、チスレリズマブは、静脈内注入で対象に投与される。
【0014】
一例では、本明細書に開示される方法は、抗ガレクチン-9抗体(例えば、G9.2-17(IgG4))を約6.3mg/kgの用量で週1回投与することと、チスレリズマブを約300mgの用量で4週間毎に投与することを含む。両抗体は、静脈内注入により投与され得る。
【0015】
一例では、本明細書に開示される方法は、抗ガレクチン-9抗体(例えば、G9.2-17(IgG4))を約10mg/kgの用量で週1回投与することと、チスレリズマブを約300mgの用量で4週間毎に投与することを含む。両抗体は、静脈内注入により投与され得る。
【0016】
一例では、本明細書に開示される方法は、抗ガレクチン-9抗体(例えば、G9.2-17(IgG4))を約16mg/kgの用量で週1回投与することと、チスレリズマブを約300mgの用量で4週間毎に投与することを含む。両抗体は、静脈内注入により投与され得る。
【0017】
いくつかの例では、チスレリズマブは、対象が抗ガレクチン-9抗体を投与される日に対象に投与される。あるいは、チスレリズマブの投与及び抗ガレクチン9抗体の投与は、2日連続である。いくつかの例では、チスレリズマブの投与は、抗ガレクチン9抗体の投与前に実施される。
【0018】
本明細書に開示される方法のいずれかでは、抗ガレクチン-9抗体は、配列番号8のアミノ酸配列を含むVL鎖と、配列番号7のアミノ酸配列を含むVH鎖と、を含んでもよい。いくつかの場合では、抗ガレクチン-9抗体は、IgG1またはIgG4分子である。例えば、抗ガレクチン-9抗体は、ヒトIgG4の改変Fc領域を有するIgG4分子である。いくつかの例では、ヒトIgG4の改変Fc領域は、配列番号14のアミノ酸配列を含む。一例では、抗ガレクチン-9抗体は、配列番号19のアミノ酸配列を含む重鎖と、配列番号15のアミノ酸配列を含む軽鎖と、を含む。
【0019】
本明細書に開示される方法のいずれかでは、対象は、1つ以上の事前の抗がん療法を受けている。いくつかの例では、1つ以上の事前の抗がん療法は、化学療法、免疫療法、放射線療法、生物学的薬剤を含む療法、またはそれらの組み合わせを含む。いくつかの場合では、対象は、事前の1つ以上の抗がん療法により疾患が進行しているか、または事前の1つ以上の療法に耐性がある。
【0020】
いくつかの実施形態では、対象は、対照値と比較してガレクチン-9のレベルが上昇しているヒト患者である。例えば、ヒト患者は、対照値と比較してガレクチン-9の血清または血漿レベルが上昇している。いくつかの場合では、ヒト患者は、ガレクチン-9を発現するがん細胞、ガレクチン-9を発現する免疫細胞、またはその両方を有する。
【0021】
本明細書に開示の方法のいずれかは、さらに、対象における悪影響の発生を監視することを含んでもよい。代替的または追加的に、本方法は、有害作用が生じたときに、抗ガレクチン-9抗体の用量、チスレリズマブの用量、またはその両方を減少させることをさらに含み得る。
【0022】
また、固形腫瘍(例えば、本明細書に記載され、転移性固形腫瘍を含む)の治療に使用される医薬組成物、及び固形腫瘍を治療するための薬剤を製造するための抗ガレクチン-9抗体及びチスレリズマブなどの抗PD-1抗体のいずれかの使用も本開示の範囲内であり、本明細書に開示される使用は、いくつかの実施形態では、やはり本明細書に開示される治療条件(例えば、用量、投与レジメン、投与経路など)のうちの1つ以上を伴う。
【0023】
本発明の1つ以上の実施形態の詳細は、以下の説明で記載されている。本発明の他の特徴または利点は、以下の図面及びいくつかの実施形態の詳細な説明から、添付の特許請求の範囲からも明らかである。
【0024】
以下の図面は、本明細書の一部を形成し、本開示の特定の態様をさらに実証するために含まれており、これは、本明細書に提示される特定の実施形態の詳細な説明と組み合わせて図面を参照することにより、よりよく理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】マウスをG9.2-17 mIgG2a単独またはαPD-1mAbと組み合わせて処置した研究結果を示すグラフを示す。同所性にKPC腫瘍を移植したマウス(n=10/群)を、市販のαPD-1(200μg)mAbもしくはG9.2-17 mIg2a(200μg)、またはG9.2-17及びαPD-1もしくは一致するアイソタイプの組み合わせで週1回、3週間処置した。腫瘍を除去し、体重を測定した。各点は、1匹のマウスを表す。*p<0.05;**p<0.01;***p<0.001;****p<0.0001;対応のないStudentのt検定による。
【
図2】A及びBは、B16F10皮下同系モデルにおけるG9.2-17の効果を示すグラフを示す。腫瘍を皮下に移植し、G9.2-17 IgG1マウスmAb、抗PD-1抗体、またはG9.2-17 IgG1マウスmAb及び抗PD-1抗体の組み合わせで処理した。
図9Aは、腫瘍体積に対する影響を示すグラフを示す。
図9Bは、腫瘍内CD8 T細胞浸潤を示すグラフを示す。結果は、腫瘍内存在エフェクターT細胞を、併用治療群で増強したことを示す。
【
図3】A及びBは、G9.2-17で処置された胆管癌患者由来のex vivo腫瘍培養物(オルガノイド)を示すチャートを含む。患者由来のex vivo腫瘍培養物(オルガノイド)を、G9.2-17またはアイソタイプ対照で3日間処理した。PDOTS由来のCD3+T細胞におけるCD44(A)及びTNFα(B)の発現を評価した。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本明細書に提供されるのは、抗PD-1抗体(例えば、チスレリAマブ)などのチェックポイント阻害薬と組み合わせて、固形腫瘍、例えば、頭頸部癌、尿路上皮癌、及び本明細書に開示される他の固形腫瘍を治療するために、抗ガレクチン-9抗体、例えば、G9.2-17を使用する方法である。いくつかの実施形態では、がんは、転移性である。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される方法は、特定の用量及び/または投与スケジュールを提供する。いくつかの場合では、本明細書に開示の方法は、特定の患者集団、例えば、事前の処置を受けており、事前の処置を通じて疾患の進行を示す患者、または事前の処置に対して(de novoまたは後天性)耐性がある患者を標的とする。
【0027】
タンデムリピートレクチンであるガレクチン-9は、β-ガラクトシド結合タンパク質であり、これは、細胞間及び細胞-マトリックスの相互作用を調節する役割があることが示されている。それは、ホジキン病組織及び他の病理学的状態において強く過剰発現されることが判明している。いくつかの場合では、腫瘍微小環境(TME)内で循環していることも発見されている。
【0028】
ガレクチン-9は、PDACのマクロファージ及びがん細胞で高度に発現される自然免疫受容体であるデクチン-1と相互作用することが判明している(Daley,et al.Nat Med.2017;23(5):556-6)。ガレクチン-9の供給源に関係なく、デクチン-1との相互作用が破壊されると、CD4+及びCD8+細胞が抗腫瘍免疫の不可欠なメディエーターに再プログラミングされることが示されている。したがって、ガレクチン-9は、デクチン-1により媒介されるシグナル伝達をブロックするための貴重な治療標的として機能する。したがって、いくつかの実施形態では、本明細書に記載の抗ガレクチン-9抗体は、ガレクチン-9及びデクチン-1間の相互作用を破壊する。
【0029】
ガレクチン-9は、あらゆる種類の急性骨髄性白血病(M3(急性前骨髄性白血病)を除く)の白血病幹細胞の表面に発現するI型細胞表面糖タンパク質であるTIM-3と相互作用することも判明しているが、正常なヒト造血幹細胞(HSC)では発現しない。ガレクチン-9のライゲーションから生じるTIM-3シグナル伝達は、免疫細胞に対して多面的な影響を及ぼし、Th1細胞のアポトーシスを誘導し(Zhu et al.,Nat Immunol.,2005,6:1245-1252)、腫瘍壊死因子α(TNF-α)の分泌を刺激する(これは、自然免疫による炎症を引き起こす、単球の樹状細胞への成熟をもたらす)ことが判明している(Kuchroo et al.,Nat Rev Immunol.,2008,8:577-580)。さらに、ガレクチン-9/TIM-3シグナル伝達は、LSCの自己複製を促進する2つの経路であるNF-κB及びβ-カテニンシグナル伝達を共活性化することが判明している(Kikushige et al.,Cell Stem Cell,2015,17(3):341-352)。ガレクチン-9/TIM-3結合を妨げる抗ガレクチン-9抗体は、特に、白血病及び他の血液悪性腫瘍に関して、治療効果を有し得る。したがって、いくつかの実施形態では、本明細書に記載の抗ガレクチン-9抗体は、ガレクチン-9及びTIM-3間の相互作用を破壊する。
【0030】
さらに、ガレクチン-9は、M2極性マクロファージ上で高度に発現されるマンノース受容体であるCD206と相互作用し、それにより、腫瘍の生存を促進することが判明している(Enninga et al.,J Pathol.2018 Aug;245(4):468-477)。CD206を発現する腫瘍関連マクロファージは、腫瘍免疫抑制、血管新生、転移、及び再発のメディエーターである(例えば、Scodeller et al.,Sci Rep.2017 Nov 7;7(1):14655、及びその中の参考文献を参照されたい)。具体的には、M1(古典的に活性化されたマクロファージとも呼ばれる)は、Th1関連サイトカイン及び細菌産物により誘発され、高レベルのIL-12を発現し、殺腫瘍性がある。対照的に、M2(いわゆる選択的に活性化されたマクロファージ)は、Th2関連因子で活性化され、IL-10などの抗炎症性サイトカインを高レベルで発現し、腫瘍の進行を促進する(Biswas and Mantovani;Nat Immunol.2010 Oct;11(10):889-96)。M2の腫瘍促進効果には、血管新生の促進、浸潤及び転移の進行、ならびに化学療法誘発性アポトーシスからの腫瘍細胞の保護が含まれる(Hu et al.,Tumour Biol.2015 Dec;36(12):9119-9126、及びその中の参考文献)。腫瘍関連マクロファージは、M2様の表現型であり、前腫瘍の役割を有すると考えられる。ガレクチン-9は、M2表現型への骨髄細胞の分化を媒介することが示されている(Enninga et al.,Melanoma Res.2016 Oct;26(5):429-41)。ガレクチン-9がCD206に結合すると、デクチン-1について以前に示されているものと同様に、TAMがM2表現型に再プログラムされ得る可能性がある。理論に拘束されることを望むものではないが、ガレクチン-9のCD206との相互作用を遮断すると、抗ガレクチン-9抗体、例えば、G9.2-17抗体、が治療上有益であり得る1つの機序を提供し得る。したがって、いくつかの実施形態では、本明細書に記載の抗ガレクチン-9抗体は、ガレクチン-9及びCD206間の相互作用を破壊する。
【0031】
ガレクチン-9は、プロテインジスルフィドイソメラーゼ(PDI)及び4-1BBと相互作用することも示されている(Bi S,et al.Proc Natl Acad Sci U S A.2011;108(26):10650-5;Madireddi et al.J Exp Med.2014;211(7):1433-48)。
【0032】
抗ガレクチン-9抗体は、ガレクチン-9に関連する疾患(例えば、ガレクチン-9シグナル伝達が関与するもの)を処置するための治療薬として機能し得る。理論に束縛されるものではないが、抗ガレクチン-9抗体は、ガレクチン-9により媒介されるシグナル伝達経路を遮断し得る。例えば、抗体は,ガレクチン-9及びその結合パートナー(例えば、デクチン-1、TIM-3、またはCD206)間の相互作用を妨害し、それにより、ガレクチン-9/リガンド相互作用により引き起こされるシグナル伝達を遮断し得る。代替的または追加的に、抗ガレクチン-9抗体は、ガレクチン-9を発現する病理学的細胞に対する遮断及び/または細胞傷害性、例えば、ADCC、CDC、またはADCPを誘導することにより、その治療効果も発揮し得る。病的細胞は、直接的または間接的に疾患の開始及び/または発症に寄与する細胞を指す。
【0033】
本明細書に開示の抗ガレクチン-9抗体は、ガレクチン-9により媒介されるシグナル伝達(例えば、ガレクチン-9/デクチン-1またはガレクチン-9/Tim-3により媒介されるシグナル伝達経路)を抑制するか、または、例えば、ADCCにより、ガレクチン-9を発現する病理学的細胞を除去することができる。したがって、本明細書に記載の抗ガレクチン-9抗体は、ガレクチン-9シグナル伝達のいずれかを阻害し、及び/またはガレクチン-9陽性病理学的細胞を除去するために使用することができ、それにより、ガレクチン-9に関連する疾患の処置に利益がもたらされる。
【0034】
抗ガレクチン-9抗体は、ガレクチン-9を発現する細胞に対するアポトーシスの誘導に有効であることが見出された。さらに、抗ガレクチン-9抗体、例えば、G9.2-17、の抗腫瘍効果は、単独で、またはチェックポイント阻害薬(例えば、抗PD-1抗体)と組み合わせて、マウスモデルで実証された。本明細書で報告されるように、G9.2-17の有効性を、PDAC及びメラノーマのマウスモデル、ならびに患者由来の臓器腫瘍モデル(PDOT)で試験した。使用された同所性PDAC KPCマウスモデル(LSL-KrasG12D/+;LSL-Trp53R172H/+;Pdx-1-Cre)は、承認されたチェックポイント阻害薬に対する無反応を含むヒト疾患の多くの特徴を再現する(Bisht and Feldmann G;Animal models for modeling pancreatic cancer and novel drug discovery;Expert Opin Drug Discov.2019;14(2):127-142、Weidenhofer et al.,Animal models of pancreatic cancer and their application in clinical research;Gastrointestinal Cancer:Targets and Therapy 2016;6)。B16F10メラノーママウスモデルは、免疫療法を試験するための長期にわたる標準を有している(Curran et al.,PD-1 and CTLA-4 combination blockade expands infiltrating T cells and reduces regulatory T and myeloid cells within B16 melanoma tumors;Proc Natl Acad Sci USA.2010;107(9):4275-4280)。
【0035】
新しいヒト腫瘍試料から単離されたPDOTは、自己リンパ球及び骨髄細胞集団(抗原を経験した腫瘍浸潤CD4及びCD8Tリンパ球を含む)を保持し、短期間のex vivo培養で免疫療法に応答する(Jenkins et al.Ex Vivo Profiling of PD-1 Blockade Using Organotypic Tumor Spheroids.Cancer Discov.2018;8(2):196-215、Aref et al.,3D microfluidic ex vivo culture of organotypic tumor spheroids to model immune checkpoint blockade;Lab Chip.2018;18(20):3129-3143)。本明細書で報告されているように、がん細胞上のガレクチン-9の発現が、患者由来のオルガノイドアッセイで観察された。
【0036】
G9.2-17マウスIgG1(G9.2-17 mIgG1は、G9.2-17ヒトIgG4とまったく同じ結合エピトープを含み、同じエフェクター機能を有する)を用いて、in vivo研究を実施し、これは、同所性KPCモデルの単剤として既に腫瘍成長の大幅な低減を達成し、承認されたチェックポイント阻害薬が機能しない。B16F10モデルでは、G9.2-17は、抗PD-1の有効性を大幅に上回っている。両方のモデルでは、G9.2-17 mIgG1を使用したエフェクターT細胞活性の上方制御及び免疫抑制シグナルの阻害による腫瘍内免疫微小環境の調節、ならびに腫瘍内CD8T細胞浸潤の増強が実証された。
【0037】
任意に、チェックポイント阻害薬と組み合わせた抗ガレクチン-9抗体を含む本明細書に開示の抗腫瘍方法が、標的固形腫瘍に対して優れた治療効果を達成するであろうことを、これらの結果は実証する。
【0038】
したがって、本明細書に開示の特定のがんを処置するための抗ガレクチン-9抗体の治療的使用が本明細書に記載されている。
【0039】
ガレクチン-9に結合する抗体
本開示は、本明細書に開示の処置方法で使用される抗ガレクチン-9抗体G9.2-17及びその機能的バリアントを提供する。
【0040】
抗体(複数形で互換的に使用)は、免疫グロブリン分子の可変領域に位置する少なくとも1つの抗原認識部位を介して、標的、例えば、炭水化物、ポリヌクレオチド、脂質、ポリペプチドなど、に特異的に結合することができる免疫グロブリン分子である。本明細書で使用される場合、「抗体」という用語、例えば、抗ガレクチン-9抗体は、完全な(例えば、全長)ポリクローナルまたはモノクローナル抗体だけでなく、その抗原結合フラグメント(例えば、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv)、一本鎖(scFv)、その変異体、抗体部分、ヒト化抗体、キメラ抗体、ダイアボディ、ナノボディ、直鎖状抗体、一本鎖抗体、多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)、ならびに抗体のグリコシル化バリアント、抗体のアミノ酸配列バリアント、及び共有結合的に改変された抗体を含む、必要な特異性の抗原認識部位を含む他の任意の改変立体配置の免疫グロブリン分子を含む融合タンパク質も包含する。抗体、例えば、抗ガレクチン-9抗体には、IgD、IgE、IgG、IgA、もしくはIgM(またはそのサブクラス)などの任意のクラスの抗体が含まれ、抗体は、任意の特定のクラスである必要はない。重鎖の定常ドメインの抗体アミノ酸配列に応じて、免疫グロブリンは、様々なクラスに割り当てることができる。免疫グロブリンには、IgA、IgD、IgE、IgG、及びIgMの5つの主要なクラスがあり、これらのうちのいくつかは、さらに、サブクラス(アイソタイプ)、例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1及びIgA2に分類され得る。免疫グロブリンの様々なクラスに対応する重鎖定常ドメインは、それぞれアルファ、デルタ、イプシロン、ガンマ、及びミューと呼ばれる。免疫グロブリンの異なるクラスのサブユニット構造及び三次元構成は、周知である。
【0041】
典型的な抗体分子は、重鎖可変領域(VH)及び軽鎖可変領域(VL)を含み、これらは、通常、抗原結合に関与する。VH及びVL領域は、さらに、「フレームワーク領域」(「FR」)として既知の、より保存されている領域が点在する「相補性決定領域」(「CDR」)としても既知の超可変性の領域に細分することができる。各VH及びVLは、通常、3つのCDR及び4つのFRで構成され、アミノ末端からカルボキシ末端まで以下の順序で配置される:FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4。フレームワーク領域及びCDRの範囲は、当該技術分野で既知の方法論を使用して、例えば、Kabat定義、Chothia定義、AbM定義、EU定義、「Contact」番号付けスキーム、「IMGT」番号付け、「AHo」番号付けスキーム、及び/またはcontact定義により、正確に同定することができ、これらの全ては、当該技術分野で周知である。例えば、Kabat,E.A.,et al.(1991)Sequences of Proteins of Immunological Interest,Fifth Edition,U.S.Department of Health and Human Services,NIH Publication No.91-3242、Chothia et al.,(1989)Nature 342:877、Chothia,C.et al.(1987)J.Mol.Biol.196:901-917、Al-lazikani et al(1997)J.Molec.Biol.273:927-948、Edelman et al.,Proc Natl Acad Sci U S A.1969 May;63(1):78-85、及びAlmagro,J.Mol.Recognit.17:132-143(2004)、MacCallum et al.,J.Mol.Biol.262:732-745(1996)、Lefranc M P et al.,Dev Comp Immunol,2003 January;27(1):55-77、及びHonegger A and Pluckthun A,J Mol Biol,2001 Jun.8;309(3):657-70を参照されたい。以下も参照:hgmp.mrc.ac.uk and bioinf.org.uk/abs)。
【0042】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される抗ガレクチン-9抗体は、2つの重鎖及び2つの軽鎖を含有する全長抗体であり、それぞれは、可変ドメイン及び定常ドメインを含む。あるいは、抗ガレクチン-9抗体は、全長抗体の抗原結合フラグメントであり得る。全長抗体の「抗原結合断片」という用語に含まれる結合断片の例としては、以下が含まれる:(i)Fab断片(VL、VH、CL、及びCH1ドメインからなる一価断片);(ii)F(ab’)2断片(ヒンジ領域でジスルフィド架橋により連結された2つのFab断片を含む二価断片);(iii)VH及びCH1ドメインからなるFd断片;(iv)抗体の単一アームのVL及びVHドメインからなるFv断片;(v)VHドメインからなるdAb断片(Ward et al.,(1989)Nature 341:544-546);ならびに、(vi)機能を保持する単離相補性決定領域(CDR)。さらに、Fv断片の2つのドメイン、VL及びVHは、別個の遺伝子にコードされるが、それらは、単一タンパク質鎖として作ることができる合成リンカーで、組換え法を使用して結合することができ、VL領域とVH領域は、単鎖Fv(scFv)として既知の一価の分子を形成するように対合する。例えば、Bird et al.(1988)Science 242:423-426、及びHuston et al.(1988)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:5879-5883を参照されたい。
【0043】
本明細書に記載の抗体のいずれか、例えば、抗ガレクチン-9抗体は、モノクローナルまたはポリクローナルのいずれかであり得る。「モノクローナル抗体」は、均一な抗体集団を指し、「ポリクローナル抗体」は、不均一な抗体集団を指す。これら2つの用語は、抗体の供給源または抗体の作製方法を限定するものではない。
【0044】
参照抗体G9.2-17は、ヒトガレクチン-9に結合することができる抗体を指し、配列番号7の重鎖可変領域及び配列番号8の軽鎖可変ドメインを含み、その両方が以下に提供される。いくつかの実施形態では、本明細書に開示の方法で使用される抗ガレクチン-9抗体は、G9.2-17抗体である。いくつかの実施形態では、本明細書に開示の方法で使用される抗ガレクチン-9抗体は、参照抗体G9.2-17と同じ重鎖相補性決定領域(CDR)及び/または参照抗体G9.2-17と同じ軽鎖相補性決定領域を有する抗体である。同じVH及び/またはVL CDRを有する2つの抗体は、同じアプローチで決定された場合、それらのCDRが同一であることを意味する(例えば、本明細書で既知のKabatアプローチ、Chothiaアプローチ、AbMアプローチ、Contactアプローチ、またはIMGTアプローチ。例えば、bioinf.org.uk/abs/を参照されたい)。
【0045】
参照抗体G9.2-17の重鎖及び軽鎖CDRは、以下の表1に提示される(Kabat方法を使用して決定)。
【表1】
【0046】
いくつかの例では、本明細書に開示の方法で使用される抗ガレクチン-9抗体は、(Kabatスキームに従って)配列番号4として示される重鎖相補性決定領域1(CDR1)、配列番号5として示される重鎖相補性決定領域2(CDR2)、及び配列番号6として示される重鎖相補性決定領域3(CDR3)を含んでもよく、及び/または、配列番号1として示される軽鎖相補性決定領域1(CDR1)、配列番号2として示される軽鎖相補性決定領域2(CDR2)、及び配列番号3として示される軽鎖相補性決定領域3(CDR3)を含んでもよい。参照抗体G9.2-17を含む抗ガレクチン-9抗体は、本明細書に開示の任意の形式、例えば、全長抗体またはFabであり得る。本明細書で使用される「G9.2-17(IgG4)」という用語は、IgG4分子である(例えば、配列番号19を含む重鎖と、配列番号15を含む軽鎖と、を有する)G9.2-17抗体を指す。同様に、「G9.2-17(Fab)」という用語は、Fab分子であるG9.2-17抗体を指す。
【0047】
いくつかの実施形態では、抗ガレクチン-9抗体またはその結合部分は、重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含み、軽鎖可変領域のCDR1、CDR2、及びCDR3アミノ酸配列は、それぞれ配列番号1、2、及び3に記載の軽鎖可変領域CDR1、CDR2、及びCDR3のアミノ酸配列と、少なくとも80%(例えば、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%、及びその中の任意の増分)の配列同一性を有する。いくつかの実施形態では、抗ガレクチン-9抗体またはその結合部分は、重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含み、重鎖可変領域のCDR1、CDR2、及びCDR3アミノ酸配列は、それぞれ配列番号4、5、及び6に記載の重鎖可変領域CDR1、CDR2、及びCDR3のアミノ酸配列と、少なくとも80%(例えば、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%、及びその中の任意の増分)の配列同一性を有する。
【0048】
追加のガレクチン-9抗体(例えば、ガレクチン-9のCRD1及び/またはCRD2領域に結合するもの)は、共有の同時係属中の米国特許出願第16/173,970号及び共有の同時係属の国際特許出願第PCT/US18/58028号及び同第PCT/US2020/024767号(これらのそれぞれの内容は、全体が参照により本明細書に組み込まれる)に記載される。
【0049】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示の抗ガレクチン-9抗体は、参照抗体G9.2-17の対応するVLCDRと比較して、個別または集合的に、少なくとも80%(例えば、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%及びその中の任意の増分)の配列同一性を有する軽鎖CDRを含む。代替的または追加的に、いくつかの実施形態では、抗ガレクチン-9抗体は、参照抗体G9.2-17の対応するVHCDRと比較して、個別または集合的に、少なくとも80%(例えば、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%及びその中の任意の増分)の配列同一性を有する重鎖CDRを含む。
【0050】
2つのアミノ酸配列の「同一性パーセント」は、Karlin and Altschul Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:5873-77,1993のように改変されたKarlin and Altschul Proc.Natl.Acad.Sci.USA 87:2264-68,1990のアルゴリズムを使用して決定される。そのようなアルゴリズムは、Altschul,et al.J.Mol.Biol.215:403-10,1990のNBLAST及びXBLASTプログラム(バージョン2.0)に組み込まれる。BLASTタンパク質検索は、本発明のタンパク質分子と相同なアミノ酸配列を得るために、XBLASTプログラム、スコア=50、ワード長=3を用いて実行することができる。2つの配列間にギャップが存在する場合、ギャップBLASTは、Altschul et al.,Nucleic Acids Res.25(17):3389-3402,1997に記載されるように利用することができる。BLAST及びGapped BLASTプログラムを利用する場合、それぞれのプログラムのデフォルトパラメーター(例えば、XBLAST及びNBLAST)を使用してもよい。
【0051】
他の実施形態では、本明細書に記載の抗ガレクチン-9抗体は、HC CDR1、HC CDR2、及びHC CDR3を含むVHを含み、これらは、参照抗体G9.2-17のHC CDR1、HC CDR2、及びHC CDR3と比較した、付加、欠失、及び/または置換を含む、集合的に最大8個のアミノ酸残基多様性(8、7、6、5、4、3、2、または1つの多様性(複数可))を含む。代替的または追加的に、いくつかの実施形態では、本明細書に記載の抗ガレクチン-9抗体は、LC CDR1、LC CDR2、及びLC CDR3を含むVHを含み、これは、集合的に、参照抗体G9.2-17のLC CDR1、LC CDR2、及びLC CDR3と比較した(付加、欠失、及び/または置換を含む8、7、6、5、4、3、2、または1つの多様性(複数可))最大8個のアミノ酸残基多様性を含有する。
【0052】
一例では、アミノ酸残基多様性は、保存的アミノ酸残基置換である。本明細書で使用される場合、「保存的アミノ酸置換」は、アミノ酸置換が行われるタンパク質の相対的な電荷またはサイズ特性を変化させないアミノ酸置換を指す。バリアントは、当業者に知られているポリペプチド配列を変化させるための方法、例えば、そのような方法をコンパイルする参照文献、例えば、Molecular Cloning:A Laboratory Manual,J.Sambrook,et al.,eds.,Second Edition,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,New York,1989、またはCurrent Protocols in Molecular Biology,F.M.Ausubel,et al.,eds.,John Wiley&Sons,Inc.,New York.に見出される方法に従って調製することができる。アミノ酸の保存的置換には、以下の群内のアミノ酸間で行われた置換が含まれる:(a)M、I、L、V、(b)F、Y、W、(c)K、R、H、(d)A、G、(e)S、T、(f)Q、N、及び(g)E、D。
【0053】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示の重鎖CDRを有する、本明細書に開示の抗ガレクチン-9抗体は、生殖系列VHフラグメントのサブクラスに由来するフレームワーク領域を含む。そのような生殖系列VH領域は、当該技術分野で周知である。例えば、IMGTデータベース(www.imgt.org)またはwww.vbase2.org/vbstat.phpを参照されたい。例としては、IGHV1サブファミリー(例えば、IGHV1-2、IGHV1-3、IGHV1-8、IGHV1-18、IGHV1-24、IGHV1-45、IGHV1-46、IGHV1-58、及びIGHV1-69)、IGHV2サブファミリー(例えば、IGHV2-5、IGHV2-26、及びIGHV2-70)、IGHV3サブファミリー(例えば、IGHV3-7、IGHV3-9、IGHV3-11、IGHV3-13、IGHV3-15、IGHV3-20、IGHV3-21、IGHV3-23、IGHV3-30、IGHV3-33、IGHV3-43、IGHV3-48、IGHV3-49、IGHV3-53、IGHV3-64、IGHV3-66、IGHV3-72、及びIGHV3-73、IGHV3-74)、IGHV4サブファミリー(例えば、IGHV4-4、IGHV4-28、IGHV4-31、IGHV4-34、IGHV4-39、IGHV4-59、IGHV4-61、及びIGHV4-B)、IGHVサブファミリー(例えば、IGHV5-51、またはIGHV6-1)、ならびにIGHV7サブファミリー(例えば、IGHV7-4-1)が挙げられる。
【0054】
代替的または追加的に、いくつかの実施形態では、本明細書に開示の軽鎖CDRを有する抗ガレクチン-9抗体は、生殖系列Vκ断片由来のフレームワーク領域を含有する。例としては、IGKV1フレームワーク(例えば、IGKV1-05、IGKV1-12、IGKV1-27、IGKV1-33、またはIGKV1-39)、IGKV2フレームワーク(例えば、IGKV2-28)、IGKV3フレームワーク(例えば、IGKV3-11、IGKV3-15、またはIGKV3-20)、及びIGKV4フレームワーク(例えば、IGKV4-1)が挙げられる。他の場合では、抗ガレクチン-9抗体は、生殖系列Vλ断片に由来するフレームワークを含有する軽鎖可変領域を含む。例としては、IGλ1フレームワーク(例えば、IGλV1-36、IGλV1-40、IGλV1-44、IGλV1-47、IGλV1-51)、IGλ2フレームワーク(例えば、IGλV2-8、IGλV2-11、IGλV2-14、IGλV2-18、IGλV2-23)、IGλ3フレームワーク(例えば、IGλV3-1、IGλV3-9、IGλV3-10、IGλV3-12、IGλV3-16、IGλV3-19、IGλV3-21、IGλV3-25、IGλV3-27)、IGλ4フレームワーク(例えば、IGλV4-3、IGλV4-60、IGλV4-69)、IGλ5フレームワーク(例えば、IGλV5-39、IGλV5-45)、IGλ6フレームワーク(例えば、IGλV6-57)、IGλ7フレームワーク(例えば、IGλV7-43、IGλV7-46)、IGλ8フレームワーク(例えば、IGλV8-61)、IGλ9フレームワーク(例えば、IGλV9-49)、またはIGλ10フレームワーク(例えば、IGλV10-54)が挙げられる。
【0055】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示の方法で使用される抗ガレクチン-9抗体は、参照抗体G9.2-17と同じ重鎖可変領域(V
H)及び/または同じ軽鎖可変領域(V
L)を有する抗体であり得、V
H及びV
L領域のアミノ酸配列が以下に提示される:
V
H:
【化1】
V
L:
【化2】
【0056】
いくつかの実施形態では、抗ガレクチン-9抗体は、配列番号7の重鎖可変領域と、少なくとも80%の配列同一性(例えば、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性)を有する。代替的または追加的に、抗ガレクチン-9抗体は、配列番号8の軽鎖可変領域と、少なくとも80%の配列同一性(例えば、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性)を有する。
【0057】
いくつかの場合では、本明細書に開示の抗ガレクチン-9抗体は、参照抗体G9.2-17の機能的バリアントである。機能的バリアントは、(例えば、同じ順序でKD値を有する)ヒトガレクチン-9と実質的に同様の結合親和性を有する(例えば、本明細書に開示のG9.2-17としての重鎖及び/または軽鎖CDRのうちの1つ以上に、限られた数のアミノ酸残基多様性、あるいは、本明細書に開示のG9.2-17の重鎖及び/または軽鎖CDR、またはG9.2-17のVH及び/またはVLとの配列同一性、を含む)参照抗体と構造的に類似し得る。
【0058】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の抗ガレクチン-9抗体は、ガレクチン-9に結合し、その活性を、少なくとも20%(例えば、31%、35%、40%、45%、50%、60%、70%、80%、90%、95%以上、その中の任意の増分を含む)抑制し得る。阻害薬の効力の尺度を提供する見かけの阻害定数(KiappまたはKi,app)は、酵素活性を低減させるのに必要な阻害薬の濃度に関連しており、酵素濃度には依存しない。本明細書に記載の抗ガレクチン-9抗体の阻害活性は、当該技術分野で既知の所定の方法で測定することができる。
【0059】
抗体のK
i,
app値は、反応の程度(例えば、酵素活性)に対する異なる濃度の抗体の阻害効果を測定することにより決定され得、阻害薬濃度の関数として擬一次速度定数(v)の変化を修正モリソン方程式(方程式1)にフィッティングさせることは、見かけのKi値の推定値が得られる。競合阻害薬の場合、Ki
appは、基質濃度に対するK
i,
appのプロットの線形回帰分析から抽出されたy切片から取得することができる。
【数1】
【0060】
Aは、vo/E(総酵素濃度(E)で除した阻害薬(I)の非存在下での酵素反応の初速度(vo))に相当する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される抗ガレクチン-9抗体は、標的抗原または抗原エピトープに対し、1000、900、800、700、600、500、400、300、200、100、50、40、30、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5pM以下のKiapp値を有する。いくつかの実施形態では、抗ガレクチン-9抗体は、第2の標的(例えば、ガレクチン-9のCRD1)と比較して、第1の標的(例えば、ガレクチン-9のCRD2)に対してより低いKiappを有する。Kiappの差(例えば、特異性または他の比較の場合)は、少なくとも1.5、2、3、4、5、10、15、20、37.5、50、70、80、91、100、500、1000、10,000、または105倍であり得る。いくつかの例では、抗ガレクチン-9抗体は、第2の抗原(例えば、第2の立体構造の第1のタンパク質もしくはその模倣物;または第2のタンパク質)と比較して大きく、第1の抗原(例えば、第1の構造の第1のタンパク質またはその模造物)を抑制する。いくつかの実施形態では、抗ガレクチン-9抗体のいずれかは、さらに、標的抗原またはその抗原性エピトープに対する抗体のKiappを低減させるように親和性成熟している。
【0061】
いくつかの実施形態では、抗ガレクチン-9抗体は、例えば、マクロファージなどの腫瘍浸潤免疫細胞におけるデクチン-1シグナル伝達を抑制する。いくつかの実施形態では、抗ガレクチン-9抗体は、ガレクチン-9で誘発されるデクチン-1シグナル伝達を、少なくとも30%(例えば、31%、35%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%以上、その中の任意の増分を含む)抑制する。そのような阻害活性は、所定のアッセイなどの従来の方法で測定することができる。代替的または追加的に、抗ガレクチン-9抗体は、ガレクチン-9で開始されるT細胞免疫グロブリンムチン-3(TIM-3)シグナル伝達を抑制する。いくつかの実施形態では、抗ガレクチン-9抗体は、例えば、腫瘍浸潤免疫細胞における、T細胞免疫グロブリンムチン-3(TIM-3)シグナル伝達を、例えば、いくつかの実施形態では、少なくとも30%(例えば、31%、35%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%以上、その中の任意の増分を含む)抑制する。そのような阻害活性は、所定のアッセイなどの従来の方法で測定することができる。
【0062】
いくつかの実施形態では、抗ガレクチン-9抗体は、例えば、腫瘍浸潤免疫細胞における、CD206シグナル伝達を抑制する。いくつかの実施形態では、抗ガレクチン-9抗体は、ガレクチン-9で誘発されるCD206シグナル伝達を、少なくとも30%(例えば、31%、35%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%以上、その中の任意の増分を含む)抑制する。そのような阻害活性は、所定のアッセイなどの従来の方法で測定することができる。いくつかの実施形態では、抗ガレクチン-9抗体は、ガレクチン-9のCD206への結合を、少なくとも30%(例えば、31%、35%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%以上、その中の任意の増分を含む)遮断または抑制する。そのような阻害活性は、所定のアッセイなどの従来の方法で測定することができる。
【0063】
いくつかの実施形態では、抗ガレクチン-9抗体は、ガレクチン-9を発現する標的細胞に、ADCCなどの細胞傷害性を誘導し、例えば、標的細胞は、がん細胞または免疫抑制免疫細胞である。いくつかの実施形態では、抗ガレクチン-9抗体は、T細胞などの免疫細胞またはがん細胞のアポトーシスを、少なくとも30%(例えば、31%、35%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%以上、その中の任意の増分を含む)誘導する。そのような阻害活性は、所定のアッセイなどの従来の方法で測定することができる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の抗ガレクチン-9抗体のいずれかは、ガレクチン-9を発現する標的細胞に対する補体依存性細胞傷害(CDC)などの細胞傷害性を誘導する。
【0064】
抗体依存性細胞媒介食作用(ADCP)は、食作用を通じてその作用の一部または全てを媒介する、抗体の重要な作用機序である。その場合、抗体は、抗原提示細胞による特定の抗原の取り込みを仲介する。ADCPは、FcγRIIa、FcγRI、及びFcγRIIIaを介して単球、マクロファージ、好中球、及び樹状細胞により媒介され得、マクロファージ上のFcγRIIa(CD32a)が、主要な経路を表す。
【0065】
いくつかの実施形態では、抗ガレクチン-9抗体は、標的細胞、例えば、ガレクチン-9(ADCP)を発現するがん細胞または免疫抑制免疫細胞、の細胞食作用を誘導する。いくつかの実施形態では、抗ガレクチン-9抗体は、標的細胞、例えば、がん細胞または免疫抑制免疫細胞の食作用を、少なくとも30%(例えば、31%、35%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%以上、その中の任意の増分を含む)増加させる。
【0066】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の抗ガレクチン-9抗体は、標的細胞、例えば、がん細胞または免疫抑制免疫細胞、に対する補体依存性細胞傷害(CDC)などの細胞傷害を誘導する。いくつかの実施形態では、抗ガレクチン-9抗体は、標的細胞に対するCDCを、少なくとも30%(例えば、31%、35%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%以上、その中の任意の増分を含む)増加させる。
【0067】
いくつかの実施形態では、抗ガレクチン-9抗体は、例えば、腫瘍浸潤T細胞において、T細胞活性化を誘導する、すなわち、T細胞活性化のガレクチン-9媒介性阻害を直接的または間接的に抑制する。いくつかの実施形態では、抗ガレクチン-9抗体は、T細胞活性化を、少なくとも30%(例えば、31%、35%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%以上、その中の任意の増分を含む)促進する。T細胞活性化は、サイトカイン及びチェックポイント阻害薬を測定するための周知のアッセイ(例えば、CD44、TNF-アルファ、IFN-ガンマ、及び/またはPD-1の測定)の使用などの従来の方法で決定することができる。いくつかの実施形態では、抗ガレクチン-9抗体は、CD4+細胞活性化を、少なくとも30%(例えば、31%、35%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%以上、その中の任意の増分を含む)促進する。非限定例では、抗ガレクチン抗体は、CD4+細胞におけるCD44発現を誘導する。いくつかの実施形態では、抗ガレクチン-9抗体は、CD4+細胞におけるCD44発現を、少なくとも30%(例えば、31%、35%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%以上、その中の任意の増分を含む)増加させる。非限定例では、抗ガレクチン抗体は、CD4+細胞におけるIFN-ガンマ発現を誘導する。いくつかの実施形態では、抗ガレクチン-9抗体は、CD4+細胞におけるIFN-ガンマ発現を、少なくとも30%(例えば、31%、35%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%以上、その中の任意の増分を含む)増加させる。非限定例では、抗ガレクチン抗体は、CD4+細胞におけるTNF-アルファ発現を誘導する。いくつかの実施形態では、抗ガレクチン-9抗体は、CD4+細胞におけるTNF-アルファ発現を、少なくとも30%(例えば、31%、35%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%以上、その中の任意の増分を含む)増加させる。
【0068】
いくつかの実施形態では、抗ガレクチン-9抗体は、CD8+細胞活性化を、少なくとも30%(例えば、31%、35%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%以上、その中の任意の増分を含む)促進する。非限定例では、抗ガレクチン抗体は、CD8+細胞におけるCD44発現を誘導する。いくつかの実施形態では、抗ガレクチン-9抗体は、CD8+細胞におけるCD44発現を、少なくとも30%(例えば、31%、35%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%以上、その中の任意の増分を含む)増加させる。非限定例では、抗ガレクチン抗体は、CD8+細胞におけるIFN-ガンマ発現を誘導する。いくつかの実施形態では、抗ガレクチン-9抗体は、CD8+細胞におけるIFN-ガンマ発現を、少なくとも30%(例えば、31%、35%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%以上、その中の任意の増分を含む)増加させる。非限定例では、抗ガレクチン抗体は、CD8+細胞におけるTNF-アルファ発現を誘導する。いくつかの実施形態では、抗ガレクチン-9抗体は、CD8+細胞におけるTNF-アルファ発現を、少なくとも30%(例えば、31%、35%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%以上、その中の任意の増分を含む)増加させる。
【0069】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の抗ガレクチン-9抗体は、標的抗原(例えば、ガレクチン-9)またはその抗原性エピトープに対して好適な結合親和性を有する。本明細書で使用される場合、「結合親和性」は、見かけの結合定数またはKAを指す。KAは、解離定数(KD)の逆数である。本明細書に記載される抗ガレクチン-9抗体は、標的抗原または抗原性エピトープに対し、少なくとも10-5、10-6、10-7、10-8、10-9、10-10M以下の結合親和性(KD)を有し得る。結合親和性の増加は、KDの減少に相当する。結合親和性(または結合特異性)は、平衡透析、平衡結合、ゲル濾過、ELISA、表面プラズモン共鳴、または分光法(例えば、蛍光アッセイを使用)を含む様々な方法で決定することができる。結合親和性を評価するための例示的な条件は、HBS-P緩衝液(10mMのHEPES(pH7.4)、150mMのNaCl、0.005%(v/v)の界面活性剤P20)中である。
【0070】
これらの手法は、標的タンパク質の濃度の関数として結合した結合タンパク質の濃度を測定するために、使用することができる。特定の条件下では、結合した結合タンパク質の分画濃度([結合]/[合計])は、一般に、以下の式により総標的タンパク質の濃度([標的])に関係する。
[結合]/[合計]=[標的]/(Kd+[標的])
【0071】
必ずしも、KAを正確に決定する必要はないが、それは、場合により、親和性の定量的測定値(例えば、ELISAまたはFACS分析などの方法を使用して決定される)を取得するのに十分であるので、KAに比例し、それにより、親和性の定性的測定を取得するために、または、例えば、機能アッセイ、例えば、in vitroもしくはin vivoアッセイで活性により、親和性の推定を取得するために、比較、例えば、親和性が高いかどうか、例えば、2倍高いかどうか、を決定する比較、に使用することができる。いくつかの場合では、in vitro結合アッセイは、in vivo活性を示す。他の場合には、in vitro結合アッセイは、必ずしもin vivo活性を示さない。いくつかの場合では、強固な結合が有益であるが、他の場合には、強固な結合は、in vivoでは望ましくなく、より低い結合親和性を有する抗体がより望ましい。
【0072】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の抗ガレクチン-9抗体のいずれかの重鎖は、さらに、重鎖定常領域(CH)またはその一部(例えば、CH1、CH2、CH3、もしくはそれらの組み合わせ)を含む。重鎖定常領域は、任意の好適な起源、例えば、ヒト、マウス、ラット、またはウサギのものであり得る。1つの特定の例では、重鎖定常領域は、本明細書に記載の任意のIgGサブファミリーのヒトIgG(ガンマ重鎖)に由来する。
【0073】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される抗体の重鎖定常領域は、定常領域(例えば、配列番号4、5、6)の、単一ドメイン(例えば、CH1、CH2、もしくはCH3)、または単一ドメインのいずれかの組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される抗体の軽鎖定常領域は、定常領域の単一ドメイン(例えば、CL)を含む。例示的な軽鎖及び重鎖配列が以下に記載されている。例示的な軽鎖及び重鎖配列が以下に記載されている。hIgG1 LALA配列は、FcgR結合を抑制する2つの変異L234A及びL235A(EU番号付け)と、補体C1q結合を無効にするP329G変異(EU番号付け)を含み、それにより、全ての免疫エフェクター機能が無効になる。hIgG4 Fabアーム置換変異配列は、Fabアーム置換を抑制する変異(S228P;EU番号付け)を含む。IL2シグナル配列(MYRMQLLSCIALSLALVTNS;配列番号9)は、可変領域のN末端に位置し得る。これは発現ベクターで使用され、これは、分泌中に切断され、それにより、成熟抗体分子では切断されない。成熟タンパク質(分泌後)は、重鎖の場合「EVQ」、軽鎖の場合「DIM」で始まる。例示的な重鎖定常領域のアミノ酸配列が以下に提供される:
hIgG1重鎖定常領域(配列番号10)
ASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK*
hIgG1 LALA重鎖定常領域(配列番号12)
【化3】
hIgG4重鎖定常領域(配列番号13)
ASTKGPSVFPLAPCSRSTSESTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTKTYTCNVDHKPSNTKVDKRVESKYGPPCPSCPAPEFLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK*
hIgG4重鎖定常領域(配列番号20)
ASTKGPSVFPLAPCSRSTSESTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTKTYTCNVDHKPSNTKVDKRVESKYGPPCPSCPAPEFLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLGK*
hIgG4変異重鎖定常領域(配列番号14)
【化4】
hIgG4変異重鎖定常領域(配列番号21)
【化5】
【0074】
いくつかの実施形態では、上記軽鎖定常領域のいずれかを有する抗ガレクチン-9抗体は、以下の軽鎖定常領域を有する軽鎖と対合している:
軽鎖定常領域(配列番号11)
TVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC
【0075】
例示的な全長抗ガレクチン-9抗体が以下に提示される:
G9.2-17 hIgG1重鎖(配列番号16)
【化6】
G9.2-17 hIgG1 LALA重鎖(配列番号17)
【化7】
G9.2-17 hIgG4重鎖(配列番号18)
【化8】
G9.2-17 hIgG4重鎖(配列番号22)
【化9】
G9.2-17 hIgG4 Fabアーム置換変異重鎖(配列番号19)
【化10】
G9.2-17 hIgG4 Fabアーム置換変異重鎖(配列番号23)
【化11】
【0076】
上記の重鎖のいずれも、以下に示されるもの(配列番号:15)の軽鎖と対合させることができる。
【化12】
【0077】
いくつかの実施形態では、抗ガレクチン-9抗体は、配列番号10と、少なくとも80%(例えば、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%及びその中の任意の増分)の配列同一性を有する重鎖IgG1定常領域を含む。一実施形態では、抗ガレクチン-9抗体の定常領域は、配列番号10を含む重鎖IgG4定常領域を含む。一実施形態では、抗ガレクチン-9抗体の定常領域は、配列番号10からなる重鎖IgG1定常領域を含む。
【0078】
いくつかの実施形態では、抗ガレクチン-9抗体は、配列番号20と、少なくとも80%(例えば、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%及びその中の任意の増分)の配列同一性を有する重鎖IgG4定常領域を含む。一実施形態では、抗ガレクチン-9抗体の定常領域は、配列番号20を含む重鎖IgG4定常領域を含む。一実施形態では、抗ガレクチン-9抗体の定常領域は、配列番号20からなる重鎖IgG4定常領域を含む。
【0079】
いくつかの実施形態では、定常領域は、ヒトIgG4に由来する。一実施形態では、抗ガレクチン-9抗体は、配列番号13と、少なくとも80%(例えば、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%及びその中の任意の増分)の配列同一性を有する重鎖IgG4定常領域を含む。一実施形態では、抗ガレクチン-9抗体は、配列番号13を含む重鎖IgG4定常領域を含む。一実施形態では、抗ガレクチン-9抗体は、配列番号13からなる重鎖IgG4定常領域を含む。
【0080】
いくつかの実施形態では、定常領域は、ヒトIgG4に由来する。一実施形態では、抗ガレクチン-9抗体は、配列番号20と、少なくとも80%(例えば、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%及びその中の任意の増分)の配列同一性を有する重鎖IgG4定常領域を含む。一実施形態では、抗ガレクチン-9抗体は、配列番号20を含む重鎖IgG4定常領域を含む。一実施形態では、抗ガレクチン-9抗体は、配列番号20からなる重鎖IgG4定常領域を含む。
【0081】
これらの実施形態のいずれにおいても、抗ガレクチン-9抗体は、配列番号11と、少なくとも80%(例えば、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%及びその中の任意の増分)の配列同一性を有する軽鎖定常領域を含む。いくつかの実施形態では、抗ガレクチン-9抗体は、配列番号11を含む軽鎖定常領域を含む。いくつかの実施形態では、抗ガレクチン-9抗体は、配列番号11からなる軽鎖定常領域を含む。
【0082】
いくつかの実施形態では、IgGは、最小のFc受容体エンゲージメントを有する変異体である。一例では、定常領域は、ヒトIgG1 LALAに由来する。一実施形態では、抗ガレクチン-9抗体は、配列番号12と、少なくとも80%(例えば、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%及びその中の任意の増分)の配列同一性を有する重鎖IgG1定常領域を含む。一実施形態では、抗ガレクチン-9抗体は、配列番号12を含む重鎖IgG1定常領域を含む。一実施形態では、抗ガレクチン-9抗体は、配列番号12からなる重鎖IgG1定常領域を含む。
【0083】
いくつかの実施形態では、抗ガレクチン-9抗体は、改変定常領域を含む。いくつかの実施形態では、抗ガレクチン-9抗体は、免疫学的に不活性であり、例えば、補体媒介溶解を誘発しないか、または抗体依存性細胞媒介細胞傷害(ADCC)を刺激しない、改変定常領域を含む。ADCC活性は、米国特許第5,500,362号に開示された方法を使用して評価することができる。他の実施形態では、定常領域は、Eur.J.Immunol.(1999)29:2613-2624、PCT出願第PCT/GB99/01441号、及び/または英国特許出願第9809951.8号に記載されるように改変される。いくつかの実施形態では、IgG4定常領域は、重鎖置換が減少した変異体である。いくつかの実施形態では、定常領域は、ヒトIgG4 Fabアーム置換変異体S228Pに由来する。
【0084】
一実施形態では、抗ガレクチン-9抗体の定常領域は、配列番号14と、少なくとも80%(例えば、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%及びその中の任意の増分)の配列同一性を有する重鎖IgG4定常領域を含む。一実施形態では、抗ガレクチン-9抗体の定常領域は、配列番号14を含む重鎖IgG4定常領域を含む。一実施形態では、抗ガレクチン-9抗体の定常領域は、配列番号14からなる重鎖IgG4定常領域を含む。
【0085】
一実施形態では、抗ガレクチン-9抗体は、配列番号21と、少なくとも80%(例えば、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%及びその中の任意の増分)の配列同一性を有する重鎖IgG4定常領域を含む。一実施形態では、抗ガレクチン-9抗体は、配列番号21を含む重鎖IgG4定常領域を含む。一実施形態では、抗ガレクチン-9抗体は、配列番号21からなる重鎖IgG4定常領域を含む。
【0086】
いくつかの実施形態では、抗ガレクチン-9抗体は、軽鎖では配列番号15に対応する鎖を有し;例示的な重鎖のアミノ酸配列は、配列番号10(hIgG1);12(hIgG1 LALA);13(hIgG4);20(hIgG4);14(hIgG4変異);及び21(hIgG4変異)に対応する。
【0087】
いくつかの実施形態では、抗ガレクチン-9抗体は、配列番号15を含むか、それから本質的になるか、またはそれからなる軽鎖を有する。いくつかの実施形態では、抗ガレクチン-9抗体は、配列番号16~19、22、及び23からなる群より選択される配列のいずれか1つを含むか、それらから本質的になるか、またはそれらからなる重鎖を有する。いくつかの実施形態では、抗ガレクチン-9抗体は、配列番号15を含むか、本質的にそれからなるか、またはそれからなる軽鎖と、配列番号16~19からなる群より選択される配列のいずれか1つを含むか、それから本質的になるか、またはそれからなる重鎖を有する。いくつかの実施形態では、抗ガレクチン-9抗体は、配列番号15を含む軽鎖と、配列番号16~19、22、及び23からなる群より選択される配列のいずれか1つを含む重鎖を有する。いくつかの実施形態では、抗ガレクチン-9抗体は、配列番号15から本質的になる軽鎖と、配列番号16~19、22、及び23からなる群より選択される配列のいずれか1つから本質的になる重鎖を有する。いくつかの実施形態では、抗ガレクチン-9抗体は、配列番号15からなる軽鎖と、配列番号16~19、22、及び23からなる群より選択される配列のいずれか1つからなる重鎖を有する。具体的な一実施形態では、抗ガレクチン-9抗体は、配列番号15から本質的になる軽鎖と、配列番号19から本質的になる重鎖を有する。別の具体的な実施形態では、抗ガレクチン-9抗体は、配列番号15から本質的になる軽鎖と、本質的に配列番号20から本質的になる重鎖を有する。
【0088】
一実施形態では、抗ガレクチン-9抗体は、配列番号16と、少なくとも80%(例えば、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%及びその中の任意の増分)の配列同一性を有する重鎖配列を含む。一実施形態では、抗ガレクチン-9抗体は、配列番号16を含む重鎖配列を含む。一実施形態では、抗ガレクチン-9抗体は、配列番号16からなる重鎖配列を含む。
【0089】
一実施形態では、抗ガレクチン-9抗体は、配列番号17と、少なくとも80%(例えば、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%及びその中の任意の増分)の配列同一性を有する重鎖配列を含む。一実施形態では、抗ガレクチン-9抗体は、配列番号17を含む重鎖配列を含む。一実施形態では、抗ガレクチン-9抗体は、配列番号17からなる重鎖配列を含む。
【0090】
一実施形態では、抗ガレクチン-9抗体は、配列番号18と、少なくとも80%(例えば、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%及びその中の任意の増分)の配列同一性を有する重鎖配列を含む。一実施形態では、抗ガレクチン-9抗体は、配列番号18を含む重鎖配列を含む。一実施形態では、抗ガレクチン-9抗体は、配列番号18からなる重鎖配列を含む。
【0091】
一実施形態では、抗ガレクチン-9抗体は、配列番号22と、少なくとも80%(例えば、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%及びその中の任意の増分)の配列同一性を有する重鎖配列を含む。一実施形態では、抗ガレクチン-9抗体は、配列番号22を含む重鎖配列を含む。一実施形態では、抗ガレクチン-9抗体は、配列番号22からなる重鎖配列を含む。
【0092】
一実施形態では、抗ガレクチン-9抗体は、配列番号19と、少なくとも80%(例えば、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%及びその中の任意の増分)の配列同一性を有する重鎖配列を含む。一実施形態では、抗ガレクチン-9抗体は、配列番号19を含む重鎖配列を含む。一実施形態では、抗ガレクチン-9抗体は、配列番号19からなる重鎖配列を含む。
【0093】
一実施形態では、抗ガレクチン-9抗体は、配列番号23と、少なくとも80%(例えば、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%及びその中の任意の増分)の配列同一性を有する重鎖配列を含む。一実施形態では、抗ガレクチン-9抗体は、配列番号23を含む重鎖配列を含む。一実施形態では、抗ガレクチン-9抗体は、配列番号23からなる重鎖配列を含む。
【0094】
これらの実施形態のいずれかにおいて、抗ガレクチン-9抗体は、配列番号15と、少なくとも80%(例えば、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%及びその中の任意の増分)の配列同一性を有する軽鎖配列を含む。いくつかの実施形態では、抗ガレクチン-9抗体は、配列番号15を含む軽鎖配列を含む。いくつかの実施形態では、抗ガレクチン-9抗体は、配列番号15からなる軽鎖配列を含む。
【0095】
具体例では、本明細書に開示の処置方法で使用される抗ガレクチン-9抗体は、配列番号19の重鎖及び配列番号15の軽鎖を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に開示の治療方法で使用される抗ガレクチン-9抗体は、G9.2-17 IgG4である。
【0096】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される抗ガレクチン-9抗体(例えば、G9.2-17(IgG4))のいずれかは、欠失した重鎖のC末端リジン残基を有し得る。
【0097】
抗ガレクチン-9抗体の調製
本明細書に記載のガレクチン-9に結合することが可能な抗体は、限定されないが、組換え技術を含む、当該技術分野で既知の任意の方法で作製することができる。一例が以下で提示される。
【0098】
本明細書に記載の抗ガレクチン-9抗体の重鎖及び軽鎖をコードする核酸は、1つの発現ベクターにクローン化することができ、各ヌクレオチド配列は、好適なプロモーターに作動可能に結合している。一例では、重鎖及び軽鎖をコードするヌクレオチド配列のそれぞれは、別個のプロモーターに作動可能に結合している。あるいは、重鎖及び軽鎖をコードするヌクレオチド配列は、重鎖及び軽鎖の両方が同じプロモーターから発現されるように、単一プロモーターと作動可能に連結することができる。必要時に、内部リボソーム侵入部位(IRES)は、重鎖コード配列及び軽鎖コード配列間に挿入することができる。
【0099】
いくつかの例では、抗体の2つの鎖をコードするヌクレオチド配列が2つのベクターにクローン化され、これは、同じまたは異なる細胞に導入することができる。2つの鎖は、異なる細胞で発現される場合、それらのそれぞれが、そのような鎖を発現する宿主細胞から単離することができ、単離重鎖及び軽鎖を、混合し、抗体の形成を可能にする好適な条件下でインキュベートすることができる。
【0100】
一般に、抗体の1つまたは全ての鎖をコードする核酸配列は、当該技術分野で既知の方法を使用して、好適なプロモーターと作動可能に連結して好適な発現ベクターにクローニングすることができる。例えば、ヌクレオチド配列及びベクターは、好適な条件下で、互いに対合してリガーゼで結合することができる各分子上に相補性末端を生じるように、制限酵素と接触させることができる。あるいは、合成核酸リンカーを、遺伝子の末端に連結することをできる。これらの合成リンカーは、ベクター内の特定の制限部位に対応する核酸配列を含有する。発現ベクター/プロモーターの選択は、抗体の産生に使用される宿主細胞の種類に依存するであろう。
【0101】
様々なプロモーターは、本明細書に記載の抗体の発現に使用することができ、これには、サイトメガロウイルス(CMV)中間初期プロモーター、ウイルス性LTR、例えば、ラウス肉腫ウイルスLTR、HIV-LTR、HTLV-1 LTR、シミアンウイルス40(SV40)初期プロモーター、E.coli lac UV5プロモーター、及び単純ヘルペスtkウイルスプロモーターが含まれるが、これらに限定されない。
【0102】
調節可能なプロモーターも使用することができる。そのような調節可能なプロモーターとしては、lacオペレーターを有する哺乳動物細胞プロモーターから転写を調節するために、E.coli由来のlacリプレッサーを転写モジュレーターとして使用するもの[Brown,M.et al.,Cell,49:603-612(1987)]、テトラサイクリンリプレッサー(tetR)を使用するもの[Gossen,M.,and Bujard,H.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:5547-5551(1992)、Yao,F.et al.,Human Gene Therapy,9:1939-1950(1998)、Shockelt,P.,et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,92:6522-6526(1995)]が挙げられる。他のシステムには、アストラジオール、RU486、ジフェノールムリスレロン、またはラパマイシンを使用するFK506二量体、VP16、またはp65が含まれる。誘導システムは、Invitrogen、Clontech、及びAriadから入手可能である。
【0103】
オペロンを伴うリプレッサーを含む調節可能なプロモーターを使用することができる。一実施形態では、E.coli由来のlacリプレッサーは、lacオペレーターを有する哺乳動物細胞プロモーターからの転写を調節する転写調節因子として機能し得(M.Brown et al.,Cell,49:603-612(1987)、Gossen and Bujard(1992)、M.Gossen et al.,Natl.Acad.Sci.USA,89:5547-5551(1992))テトラサイクリンリプレッサー(tetR)を、転写アクチベーター(VP16)と組み合わせて、tetR哺乳動物細胞転写アクチベーター融合タンパク質であるtTa(tetR-VP16)を作成し、ヒトサイトメガロウイルス(hCMV)主要前初期プロモーターに由来するtetOを有する最小プロモーターと組み合わせて、哺乳動物細胞における遺伝子発現を制御するtetR-tetオペレーターシステムを作成する。一実施形態では、テトラサイクリン誘導性スイッチが使用される。tetR哺乳動物細胞転写因子融合誘導体の代わりにテトラサイクリンリプレッサー(tetR)は、テトラサイクリンオペレーターが、CMVIEプロモーターのTATAエレメントの下流に適切に配置されている場合、哺乳動物細胞における遺伝子発現を調節するために、強力なトランスモジュレーターとして機能し得る(Yao et al.,Human Gene Therapy,10(16):1392-1399(2003))。このテトラサイクリン誘導性スイッチの特別な利点の1つは、テトラサイクリンリプレッサー-哺乳動物細胞トランスアクチベーターまたはリプレッサー融合タンパク質の使用を必要としないことであり、いくつかの場合では、これは、その調節可能な効果を達成するように、細胞に毒性を示し得る(Gossen et al.,Natl.Acad.Sci.USA,89:5547-5551(1992);Shockett et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,92:6522-6526(1995))。
【0104】
さらに、ベクターは、例えば、以下のいくつかまたは全てを含有し得る:哺乳動物細胞における安定または一過性トランスフェクタントの選択のためのネオマイシン遺伝子などの選択マーカー遺伝子;高レベルの転写のためのヒトCMVの最初期遺伝子からのエンハンサー/プロモーター配列;mRNAの安定性のためのSV40からの転写終結及びRNAプロセシングシグナル;SV40ポリオーマ複製起点及び適切なエピソーム複製のためのColE1;内部リボソーム結合部位(IRES)、多用途のマルチクローニングサイト;ならびにセンスRNA及びアンチセンスRNAのin vitro転写用のT7及びSP6 RNAプロモーター。導入遺伝子を含有するベクターを作製するための好適なベクター及び方法は、周知であり、当該技術分野で利用可能である。
【0105】
本明細書に記載の方法を実施するのに有用なポリアデニル化シグナルの例としては、ヒトコラーゲンIポリアデニル化シグナル、ヒトコラーゲンIIポリアデニル化シグナル、及びSV40ポリアデニル化シグナルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0106】
抗体のいずれかをコードする核酸を含む1つ以上のベクター(例えば、発現ベクター)は、抗体を産生するために好適な宿主細胞に導入され得る。宿主細胞は、抗体またはその任意のポリペプチド鎖の発現に適した条件下で培養することができる。そのような抗体またはそのポリペプチド鎖は、従来の方法、例えば、アフィニティー精製、で培養細胞から(例えば、細胞または培養上清から)回収することができる。必要に応じて、抗体のポリペプチド鎖を好適な条件下で好適な期間インキュベートして、抗体の産生を可能にすることができる。
【0107】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の抗体を調製する方法は、本明細書にも記載されるように、抗ガレクチン-9抗体の重鎖及び軽鎖の両方をコードする組換え発現ベクターを含む。組換え発現ベクターは、従来の方法、例えば、リン酸カルシウム媒介トランスフェクションにより、好適な宿主細胞(例えば、dhfr-CHO細胞)に導入することができる。陽性の形質転換宿主細胞を選択し、抗体を形成する2つのポリペプチド鎖の発現を可能にする好適な条件下で培養することができ、これは、抗体は細胞または培地から回収することができる。必要に応じて、宿主細胞から回収した2本の鎖を、抗体の形成を可能にする好適な条件下でインキュベートすることができる。
【0108】
一例では、2つの組換え発現ベクターが提供され、一方は、抗ガレクチン-9抗体の重鎖をコードし、他方は、抗ガレクチン-9抗体の軽鎖をコードする。2つの組換え発現ベクターは両方とも、従来の方法、例えば、リン酸カルシウム媒介トランスフェクションにより、好適な宿主細胞(例えば、dhfr-CHO細胞)に導入することができる。あるいは、発現ベクターのそれぞれを、好適な宿主細胞に導入することもできる。陽性の形質転換体を選択し、抗体のポリペプチド鎖の発現を可能にする好適な条件下で培養することができる。2つの発現ベクターが同じ宿主細胞に導入されるとき、そこで産生される抗体を宿主細胞または培地から回収することができる。必要に応じて、ポリペプチド鎖は、宿主細胞または培地から回収し、次に、抗体の形成を可能にする好適な条件下でインキュベートすることができる。2つの発現ベクターが異なる宿主細胞に導入されるとき、それらのそれぞれは、対応する宿主細胞または対応する培地から回収することができる。次に、2つのポリペプチド鎖を、抗体の形成に適した条件下でインキュベートすることができる。
【0109】
標準的な分子生物学手法は、組換え発現ベクターの調製、宿主細胞のトランスフェクション、形質転換体の選択、宿主細胞の培養、及び培地からの抗体の回収を行うために使用される。例えば、いくつかの抗体は、プロテインAまたはプロテインG結合マトリックスを用いるアフィニティークロマトグラフィーで単離することができる。
【0110】
本明細書に記載の抗ガレクチン-9抗体の重鎖、軽鎖、またはその両方をコードする核酸、それを含有するベクター(例えば、発現ベクター)、及びベクターを含む宿主細胞のいずれかが、本開示の範囲内である。
【0111】
このように調製された抗ガレクチン-9抗体は、当該技術分野で既知の方法を使用して特徴とすることができ、それにより、ガレクチン-9の生物学的活性の低下、改善、または中和が、検出及び/または測定される。例えば、いくつかの実施形態では、ELISA型アッセイは、デクチン-1またはTIM-3シグナル伝達のガレクチン-9阻害の定性的または定量的測定に適している。
【0112】
抗ガレクチン-9抗体の生物活性は、候補抗体を、デクチン-1及びガレクチン-9とともにインキュベートし、以下の特性のうちのいずれか1つ以上を監視することにより検証することができる:(a)デクチン-1及びガレクチン-9間で結合し、結合により媒介されるシグナル伝達の阻害すること;(b)固形腫瘍のあらゆる側面を予防、改善、または処置すること;(c)デクチン-1活性化を遮断または減少させること;(d)ガレクチン-9の合成、産生、または放出を阻害(減少)させること。あるいは、TIM-3は、上記のプロトコールを使用して抗ガレクチン-9抗体の生物活性を検証するために使用することができる。あるいは、CD206は、上記のプロトコールを使用して抗ガレクチン-9抗体の生物活性を検証するために使用することができる。
【0113】
いくつかの実施形態では、生物活性または有効性は、例えば、末梢及び腫瘍内T細胞比、T細胞活性化を測定することにより、またはマクロファージ表現型解析により、対象において評価される。
【0114】
抗ガレクチン-9抗体の生物活性を決定するための追加のアッセイには、CD8+及びCD4+(従来の)T細胞活性化の測定(例えば、炎症性サイトカインレベル、例えば、IFNガンマ、TNFアルファ、CD44、ICOSグランザイムB、パーフォリン、IL2(上方制御)、CD26L及びIL-10(下方制御));マクロファージの再プログラミング(in vitroまたはin vivo)測定、例えば、M2表現型からM1表現型(例えば、MHCIIの増加、CD206の減少、TNF-アルファ及びiNOSの増加)の測定、あるいは、例えば、本明細書に記載のin vitroアッセイにおいて、ADCCのレベルを評価することができる。
【0115】
処置方法
本開示は、抗ガレクチン抗体、例えば、G9.2-17、例えば、G9.2-17 IgG4を単独で、または抗PD-1抗体(例えば、チスレリズマブ)などのチェックポイント阻害薬と組み合わせて使用して、頭頸部癌、尿路上皮癌、胃食道癌、または非小細胞肺癌を含むが、これらに限定されない固形腫瘍を治療するための方法を提供する。本明細書に開示される方法による治療のための追加の標的固形腫瘍には、膵管腺癌(PDAC)、結腸直腸癌(CRC)、肝細胞癌(HCC)、胆管癌、腎細胞癌、及び乳癌が含まれ得る。
【0116】
当業者らに既知の従来の方法は、処置されるべき疾患のタイプまたは疾患の部位に応じて、医薬組成物を対象に投与するために使用することができる。いくつかの実施形態では、抗ガレクチン-9抗体及び/または抗PD-1抗体は、静脈内注入で対象に投与することができる。
【0117】
注射用組成物は、様々な担体、例えば、植物油、ジメチルアクトアミド、ジメチルホルムアミド、乳酸エチル、炭酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、エタノール、及びポリオール(グリセロール、プロピレングリコール、液体ポリエチレングリコールなど)を含有し得る。静脈内注入の場合、水溶性抗体は、抗体及び生理学的に許容される賦形剤を含有する医薬製剤が注入される点滴法で投与することができる。生理学的に許容される賦形剤には、例えば、5%のブドウ糖、0.9%の生理食塩水、リンガー液、または他の好適な賦形剤が含まれ得る。筋肉内調製物、例えば、抗体の好適な可溶性塩形態の滅菌製剤は、医薬賦形剤、例えば、注射用水、0.9%の生理食塩水、または5%のグルコース溶液を溶解して投与することができる。
【0118】
本明細書で使用される場合、「処置すること」という用語は、標的疾患もしくは障害、疾患/障害の症状、または疾患/障害に対する素因を有する対象に、1つ以上の活性薬を含む組成物の適用または投与を指し、障害、疾患もしくは障害の症状、または疾患もしくは障害に対する素因を治療、治癒、緩和、軽減、変更、治療、改善、改善する、または影響を与えることを目的とする。
【0119】
標的疾患/障害の緩和には、疾患の発症もしくは進行を遅らせること、または疾患の重症度を低減すること、または生存期間を延長することが含まれる。疾患の緩和または生存期間の延長には、必ずしも治療効果が必要なわけではない。本明細書で使用される場合、標的疾患または障害の発症を「遅延させる」は、疾患の進行を延期、妨害、減速、抑制、安定化、及び/または延期することを意味する。この遅延は、処置される疾患及び/または個体の病歴に応じて、時間を変動させることができる。疾患の発症を「遅延」もしくは軽減する方法、または疾患の発症を遅延させる方法とは、所定の時間枠内で疾患の1つ以上の症状を発症する確率を低減させ、及び/または方法を使用しない場合と比較して、所与の時間枠で症状の程度を低減する方法である。そのような比較は、通常、統計的に有意な結果を得るのに十分な数の対象を使用した臨床研究に基づいている。
【0120】
疾患の「発症」または「進行」は、疾患の初期症状及び/またはその後の進行を意味する。疾患の発症は、当該技術分野で周知の標準的な臨床技術を使用して検出可能で、評価することができる。しかし、開発は、検出不可能であり得る進行も指す。本開示の目的上、発症または進行は、症状の生物学的経過を指す。「発症」には、発生、再発、及び発症が含まれる。本明細書で使用される場合、標的疾患または障害の「発症」または「発生」には、最初の発症及び/または再発が含まれる。
【0121】
(i)抗ガレクチン9抗体による処置
本明細書に記載の抗ガレクチン-9抗体のいずれかは、本明細書に記載の方法のいずれかで使用することができる。いくつかの実施形態では、抗ガレクチン-9抗体は、G9.2-17、例えば、G9.2-17(IgG4)である。そのような抗体は、ガレクチン-9と関連する疾患の処置に使用することができる。いくつかの態様では、本発明は、がんを治療する方法を提供する。いくつかの実施形態では、本開示の方法は、がんと関連する1つ以上の症状(複数可)を低減、改善、または除去するための方法である。
【0122】
いくつかの実施形態では、抗ガレクチン-9抗体は、参照抗体G9.2-17と同じ重鎖CDR配列及び/または同じ軽鎖CDR配列を有する抗体である。いくつかの実施形態では、抗ガレクチン-9抗体は、参照抗体G9.2-17と同じVH及びVL配列を有する抗体である。いくつかの実施形態では、そのような抗体は、IgG1分子(例えば、本明細書に開示されるものと同様の野生型IgG1定常領域またはその変異体を有する)である。あるいは、抗体は、IgG4分子(例えば、本明細書に記載されるものと同様の野生型IgG4定常領域またはその変異体を有する)である。いくつかの実施形態では、抗体は、配列番号1として示される軽鎖相補性決定領域1(CDR1)、配列番号2として示される軽鎖相補性決定領域2(CDR2)、及び配列番号3として示される軽鎖相補性決定領域3(CDR3)を含み、及び/または、配列番号4として示される重鎖相補性決定領域1(CDR1)、配列番号5として示される重鎖相補性決定領域2(CDR2)、及び配列番号6として示される重鎖相補性決定領域3(CDR3)を含む。いくつかの実施形態では、抗体は、配列番号7を含む重鎖可変領域を含む。いくつかの実施形態では、抗体は、配列番号8を含む軽鎖可変領域を含む。いくつかの実施形態では、抗体は、配列番号7を含む重鎖可変領域と、配列番号8を含む軽鎖可変領域と、を含む。いくつかの実施形態では、抗体は、配列番号19を含む重鎖を含む。いくつかの実施形態では、抗体は、配列番号15を含む軽鎖を含む。具体例では、本明細書で使用される抗ガレクチン-9抗体(G9.2-17(IgG4))は、配列番号19の重鎖と、配列番号15の軽鎖と、を有する。
【0123】
本明細書に記載の抗ガレクチン-9抗体(例えば、G9.2-17(IgG4))の有効量は、全身的または局所的に好適な経路を介して治療を必要とする対象(例えば、ヒト)に投与することができる。いくつかの実施形態では、抗ガレクチン-9抗体は、静脈内投与、例えば、ボーラスとして、または一定期間にわたる連続注入により、筋肉内、腹腔内、脳脊髄内、皮下、動脈内、関節内、滑膜内、髄腔内、腫瘍内、尿路上皮下、経口、吸入、または局所経路により投与される。一実施形態では、抗ガレクチン-9抗体は、静脈内注入で対象に投与される。一実施形態では、抗ガレクチン-9抗体は、対象に腹腔内投与される。
【0124】
本明細書で使用される場合、「有効量」は、単独で、または1つ以上の他の活性薬と組み合わせて、対象に治療効果を与えるのに必要な各活性薬の量を指す。いくつかの実施形態では、治療効果は、腫瘍微小環境における、ガレクチン-9活性及び/または量/発現の減少、デクチン-1シグナル伝達の減少、TIM-3シグナル伝達の減少、CD206シグナル伝達の減少、または抗腫瘍免疫応答の増加である。抗腫瘍応答の増加の非限定例としては、エフェクターT細胞の活性化レベルの増加、またはTAMのM2表現型からM1表現型への切り替えが挙げられる。いくつかの場合では、抗腫瘍応答には、ADCC反応の増加が含まれる。抗体の量が治療効果を達成したかどうかの決定は、当業者には明らかであろう。当業者らにより認識されるように、有効量は、処置される特定の状態、状態の重症度、年齢、身体状態、サイズ、性別、及び体重を含む個々の患者パラメーター、処置期間、併用療法(ある場合)の性質、特定の投与経路、ならびに医療従事者の知識及び専門知識の範囲内の同様の要素に応じて変動する。これらの要因は、当業者らに周知であり、日常的な実験のみで対処することができる。一般に、個々の成分またはそれらの組み合わせの最大用量、すなわち、健全な医学的判断に従った最高安全用量、が使用されることが好ましい。
【0125】
一般に、半減期などの経験的考慮事項が、投薬量の決定に寄与する。例えば、ヒト化抗体または完全ヒト抗体などのヒト免疫系と適合する抗体は、いくつかの場合では、抗体の半減期を延長させ、抗体が宿主の免疫系により攻撃されるのを防ぐために使用される。投与頻度は、治療の過程にわたって決定及び調整され得、必ずしもではないが、一般に、標的疾患/障害の処置及び/または抑制及び/または改善及び/または遅延に基づいて行われる。あるいは、抗体の徐放性持続放出製剤が適切であり得る。持続放出を達成するための様々な製剤及びデバイスが、当該技術分野で既知である。
【0126】
一例では、本明細書に記載の抗体の投薬量は、抗体の1回以上の投与(複数可)が投与されている個体において経験的に決定される。個体は、アンタゴニストの増量投与が与えられる。アンタゴニストの有効性を評価するには、疾患/障害の指標を追跡することができる。
【0127】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の抗体、例えば、G9.2-17(G9.2-17(IgG4)など)は、in vivoで腫瘍の免疫抑制免疫細胞におけるガレクチン-9(及び/またはデクチン-1またはTIM-3またはCD206)の活性を、少なくとも20%(例えば、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%またはそれ以上)抑制するのに十分な量で、処置を必要とする対象に投与される。他の実施形態では、本明細書に記載の抗体、例えば、G9.2-17は、免疫抑制免疫細胞のガレクチン-9(及び/またはデクチン-1またはTIM-3、またはCD206)の活性レベルを、(処置前または対照対象のレベルと比較して)少なくとも20%(例えば、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%またはそれ以上)低減させるのに有効な量で投与される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の抗体、例えば、G9.2-17は、TAMにおけるM1様プログラミングを、in vivoで(治療前または対照対象のレベルと比較して)少なくとも20%(例えば、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%またはそれ以上)、促進するのに十分な量で、処置を必要とする対象に投与される。
【0128】
「約」または「およそ」という用語は、当業者で決定される特定値の許容誤差範囲内を意味し、これは、部分的に、値がどのように測定または決定されるか、すなわち、測定システムの限界、に依存する。例えば、「約」は、当該技術分野の慣例に従って、許容可能な標準偏差内を意味し得る。あるいは、「約」は、所与の値の、最大±20%、好ましくは、最大±10%、より好ましくは、最大±5%、さらにより好ましくは、最大±1%の範囲を意味し得る。あるいは、特に生物学的システムまたはプロセスに関して、用語は、値の桁内、好ましくは、2倍以内、を意味し得る。特定値が、出願及び特許請求の範囲に記載されている場合、別途記載のない限り、「約」という用語は、暗黙で、この文脈では、特定値の許容誤差範囲内を意味する。
【0129】
いくつかの実施形態では、抗体は、G9.2-17 IgG4である。いくつかの実施形態では、抗ガレクチン-9抗体は、約0.2mg/kg~約32mg/kgの用量、例えば、0.2mg/kg、0.63mg/kg、2mg/kg、4mg/kg、6mg/kg、6.3mg/kg、8mg/kg、10mg/kg、12mg/kg、及び16mg/kg、またはそれ以上の用量レベルで対象に投与される。いくつかの実施形態では、抗ガレクチン-9抗体は、約1mg/kg~約32mg/kgの用量で対象に投与され、例えば、用量は、2mg/kg、4mg/kg、8mg/kg、12mg/kg、及び16mg/kg、またはそれ以上の用量レベルで選択され得る。いくつかの実施形態では、抗ガレクチン-9抗体は、約0.2mg/kg~約32mg/kgの用量で対象に投与され、例えば、用量は、0.2mg/kg、0.63mg/kg、2mg/kg、4mg/kg、6mg/kg、6.3mg/kg、10mg/kg、及び16mg/kg、またはそれ以上の用量レベルから選択され得る。いくつかの実施形態では、抗体は、例えば、静脈内注入により、2週に1回投与される。
【0130】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示の抗ガレクチン-9抗体(例えば、G9.2-17 IgG4)は、30分~6時間の注入により静脈内に投与される。いくつかの例では、抗ガレクチン-9抗体の静脈内注入は、30分から2時間実施され得る。他の例では、抗ガレクチン-9抗体は、長い注入期間、例えば、約2~6時間、例えば、約2~4時間または約4~6時間を介して投与され得る。具体例では、抗ガレクチン-9抗体は、約3時間、約4時間、約5時間、または約6時間の期間で静脈内注入され得る。
【0131】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される方法のいずれかで使用するための抗ガレクチン-9抗体(例えば、本明細書に開示されるG9.2-17(IgG4))は、0.2mg/kg~約32mg/kgの用量で対象に投与することができ、例えば、用量は、0.2mg/kg、0.63mg/kg、2mg/kg、4mg/kg、6mg/kg、6.3mg/kg、8mg/kg、10mg/kg、12mg/kg、及び16mg/kg、またはそれ以上の用量レベルから選択され得る。いくつかの実施形態では、抗ガレクチン-9抗体は、約1mg/kg~約32mg/kgの用量で対象に投与され、例えば、用量は、2mg/kg、4mg/kg、8mg/kg、12mg/kg、及び16mg/kg、またはそれ以上の用量レベルで選択され得る。いくつかの実施形態では、抗ガレクチン-9抗体は、約0.2mg/kg~約32mg/kgの用量で対象に投与され、例えば、用量は、0.2mg/kg、0.63mg/kg、2mg/kg、4mg/kg、6mg/kg、6.3mg/kg、10mg/kg、もしくは16mg/kg、またはそれ以上の用量レベルから選択され得る。
【0132】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される方法のいずれかで使用するための抗ガレクチン-9抗体(例えば、本明細書に開示されるG9.2-17(IgG4))は、例えば、静脈内注入により、毎週1回、治療を必要とする患者に投与され得る。あるいは、抗ガレクチン-9抗体は、例えば、静脈内注入により、2週間に1回、患者に投与され得る。いくつかの実施形態では、抗ガレクチン-9抗体は、1サイクルでは毎週1回、2サイクルでは毎週1回、3サイクルでは毎週1回、4サイクルでは毎週1回、または4サイクル超では毎週1回投与される。他の実施形態では、抗ガレクチン-9抗体は、1サイクルでは2週間に1回、2サイクルでは2週間に1回、3サイクルでは2週間に1回、4サイクルでは2週間に1回、または4サイクル超では2週間に1回投与される。
【0133】
いくつかの実施形態では、処置期間は、12~24ヶ月以上である。いくつかの実施形態では、サイクルは、3ヶ月~6ヶ月、または6ヶ月~12ヶ月、または12ヶ月~24ヶ月、またはそれ以上の期間にわたる。いくつかの実施形態では、サイクルの長さは、例えば、一時的または永続的に、より長い期間、例えば、3週間または4週間、に変更される。
【0134】
ガレクチン-9の腫瘍促進作用は、免疫細胞との相互作用(例えば、TIM-3、CD44、及び41BBを介したリンパ系細胞との相互作用、ならびに、デクチン-1及びCD206を介したマクロファージとの相互作用)を介して媒介されることを考慮すると、ならびに、ガレクチン-9が多数の腫瘍に発現することを考慮すると、その受容体との相互作用を阻害するために、例えば、ガレクチン-9結合抗体を使用して、標的化ガレクチン-9は、様々な異なる腫瘍タイプに適用することができる治療アプローチを提供する。
【0135】
(ii)抗PD-1抗体との併用治療
本明細書に開示される方法のいずれかは、有効量の抗PD-1抗体、例えば、チスレリズマブを患者に投与することをさらに含み得る。PD-1阻害薬の例としては、ペンブロリズマブ、ニボルマブ、チスレリズマブ、ドスタリマブ、及びセミプリマブなどの抗PD-1抗体が挙げられる。そのようなチェックポイント阻害薬は、本開示による抗ガレクチン-9抗体と同時にまたは連続して(任意の順序で)投与することができる。いくつかの実施形態では、チェックポイント分子は、PD-L1である。PD-L1阻害薬の例としては、デュルバルマブ、アベルマブ、及びアテゾリズマブなどの抗PD-L1抗体が挙げられる。
【0136】
いくつかの実施形態では、PD-1を結合する抗体は、チスレリズマブである。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法は、対象に、約200mgの用量で、3週間に1回、静脈内にチスレリズマブを投与することを含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法は、対象に、6週間に1回、約400mgの用量でチスレリズマブを静脈内に投与することを含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法は、対象に、4週間毎に約300mgの用量でチスレリズマブを投与することを含む。いくつかの実施形態では、チスレリズマブは、28日サイクルで、4週間毎に約300mgで静脈内に投与される。代替的または追加的に、チスレリズマブは、例えば、約30分にわたって静脈内注入として投与される。いくつかの実施形態では、PD-1を結合する抗体は、ドスタリマブである。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法は、対象に、3週間毎に約500mgの用量で静脈内に、または6週間毎に約1000mgの用量で静脈内に、ドスタリマブを投与することを含む。
【0137】
いくつかの場合では、本明細書に開示の抗PD-1抗体(例えば、チスレリズマブ)のいずれか、及びG9.2-17(IgG4)などの本明細書に開示の抗ガレクチン-9抗体のいずれかなどのチェックポイント阻害薬が、同日投与を有し得る。いくつかの例では、チェックポイント阻害薬は、抗ガレクチン-9抗体の投与前に対象に投与され得る。他の例では、チェックポイント阻害薬、例えば、抗PD-1抗体の投与及び抗ガレクチン-9抗体の投与は、2日連続で実施される。チェックポイント阻害薬、例えば、抗PD-1抗体は、投与初日に対象に投与され得、抗ガレクチン-9抗体は、翌日に対象に投与することができる。
【0138】
他の場合では、本明細書に開示の抗PD-1抗体のいずれかのようなチェックポイント阻害薬は、G9.2-17などの本明細書に開示の抗ガレクチン-9抗体の投与前の約1~7日間(例えば、1日間、2日間、3日間、4日間、5日間、6日間、または7日間)投与され得る。
【0139】
いくつかの例では、抗ガレクチン-9抗体は、チェックポイント阻害薬、例えば、抗PD-1抗体、の投与前に対象に投与することができる。他の場合では、抗ガレクチン-9抗体の投与及びチェックポイント阻害薬、例えば抗PD-1抗体、の投与は、2日連続で実施される。抗ガレクチン-9抗体は、投与初日に対象に投与され得、チェックポイント阻害薬、例えば、抗PD-1抗体は、翌日に対象に投与することができる。
【0140】
他の場合では、G9.2-17などの本明細書に開示の抗ガレクチン-9抗体は、本明細書に開示の抗PD-1抗体のいずれかなどのチェックポイント阻害薬の投与前の約1~7日間(例えば、1日間、2日間、3日間、4日間、5日間、6日間、または7日間)投与され得る。
【0141】
本明細書に記載の方法の実施形態のいずれかにおいて、抗ガレクチン-9抗体は、1サイクルでは2週に1回、2サイクルでは2週に1回、3サイクルでは2週に1回、4サイクルでは2週に1回、4サイクル超では2週に1回(単独でまたはチスレリズマブなどの抗PD-1抗体と組み合わせて)投与することができる。いくつかの実施形態では、処置は、1~3ヶ月、3~6ヶ月、6~12ヶ月、12~24ヶ月、またはそれ以上である。いくつかの実施形態では、処置は、1~3ヶ月間で2週に1回、3~6ヶ月間で2週に1回、6~12ヶ月間で2週に1回、または12~24ヶ月間で2週に1回、またはそれ以上である。
【0142】
いくつかの例では、本明細書で提供される方法は、治療を必要とする対象(例えば、頭頸部癌、尿路上皮癌、または本明細書に開示される他の固形腫瘍を有するヒト患者)に、G9.2-17(IgG4)などの抗ガレクチン-9抗体を2mg/kg~20mg/kgの用量で毎週1回、及びチスレリズマブなどの抗PD-1抗体を例えば300mgの用量で4週間に1回投与することを含む。一例では、患者に、G9.2~17(IgG4)を4mg/kgの用量で毎週1回、及びチスレリズマブを300mgの用量で4週間に1回投与する。別の例では、患者に、G9.2~17(IgG4)を6.3mg/kgの用量で毎週1回、及びチスレリズマブを300mgの用量で4週間に1回投与する。さらに別の例では、患者に、G9.2~17(IgG4)を10mg/kgの用量で毎週1回、及びチスレリズマブを300mgの用量で4週間に1回投与する。一例では、患者に、G9.2~17(IgG4)を16mg/kgの用量で毎週1回、及びチスレリズマブを300mgの用量で4週間に1回投与する。
【0143】
(iii)治療のための患者
上記のがんのいずれかを有する対象は、日常的な健康診断、例えば、臨床検査、器官機能検査、遺伝子検査、介入処置(生検、外科)、ありとあらゆる関連イメージング診断法で同定することができる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法で処置されるべき対象は、概説された治療法の任意の組み合わせまたは順序において、全身的及び/または局所的に送達される抗がん療法レジメン、例えば、化学療法、放射線療法、腫瘍治療電場(TTField)、免疫療法、生物学的療法、小分子阻害薬、抗ホルモン療法、細胞ベースの療法、及び/または手術、を受けていたか、または受けているヒトがん患者である。いくつかの実施形態では、対象は、上記の免疫調節薬または他の任意の抗腫瘍剤または治療モダリティを事前に受けている。そのような免疫調節薬の非限定例には、抗PD-1、抗PD-L1、抗CTLA-4、抗TIGIT、抗PVRIG、抗LAG-3、抗CD47、抗CD40、抗CSFR1、抗CD73、抗SIRP、抗A2AR、抗OX40、抗CD137などが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、対象は、処置を通じて疾患進行を示す。他の実施形態では、対象は、処置(de novoまたは後天性のいずれか)に対して耐性がある。いくつかの実施形態では、そのような対象は、進行性悪性腫瘍(例えば、手術不能または転移性)に罹患していることが実証される。代替的または追加的に、いくつかの実施形態では、対象は、標準処置選択肢に利用可能または不適格な標準治療選択肢がなく、これは、対応する固形腫瘍を処置するために臨床環境で一般に使用される療法を指す。
【0144】
腫瘍治療電場(TTField)は、中間周波数(約100~500kHz)及び低強度(1~3V/cm)の交流電場を使用して細胞分裂を破壊するがん治療モダリティである。本明細書に記載の実施形態のいずれかでは、抗ガレクチン-9抗体は、単独で、または抗PD-1抗体などのチェックポイント阻害薬と組み合わせて、腫瘍治療電場(TTFields)レジメンの前、それと同時、またはその後に投与され得る。
【0145】
いくつかの場合では、対象は、難治性疾患、例えば、難治性頭頸部癌、または難治性尿路上皮癌を有するヒト患者であり得る。本明細書で使用される場合、「不応性」は、処置に応答しないか、またはそれに対して耐性を示すようになる腫瘍を指す。いくつかの場合では、対象は、再発性疾患、例えば、再発性頭頸部癌、または再発性尿路上皮癌を有するヒト患者であり得る。本明細書で使用される場合、「再発した」または「再発する」は、処置による一定期間の改善(例えば、部分的または完全な応答)後に再発または進行する腫瘍を指す。
【0146】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示の方法で処置されるべきヒト患者は、以下の実施例3に開示の包含基準及び除外基準の1つ以上を満たす。例えば、ヒト患者は、18歳以上であり得る;(例えば、標準的な治療選択肢がない)組織学的に切除不能な転移性がんまたは手術不能がんに罹患している、余命が3ヶ月を超えている、バイオマーカー分析に利用可能な最近のアーカイブ腫瘍試料を有する(例えば、IHCで評価されたガレクチン-9腫瘍組織発現レベルのアーカイブ種);RECIST v1.1によると、米国東海岸がん臨床試験グループ(ECOG)のパフォーマンスステータスが0~1、またはKarnofskyスコアが70を超える測定可能な疾患に罹患している;利用可能な標準治療の選択肢がない、MSI-H(マイクロサテライト不安定性が高く、MSS(マイクロサテライト安定)を有する);進行性/転移性設定で少なくとも1系統の全身療法を受けている;十分な血液学的機能及び末端臓器機能を有する(以下の実施例1で定義;例えば、パート1のHCCの場合≧50×109/L、好中球数≧1×109/L、血小板数≧100×9/L;前週に輸血なしでヘモグロビン≧9.0g/dL、クレアチニン≦1.5×ULN、AST(SGOT)≦3×ULN(HCCまたは肝転移がある場合、≦5×ULN)、ALT(SGPT)≦3×ULN(HCCまたは肝転移がある場合、≦5×ULN)、ビリルビン≦1.5×ULN(既知のギルバート病患者は、ビリルビン≦3.0×ULNを有し得る)、アルブミン≧3.0g/dL、INR及びPTT≦1.5×ULN;及び/またはアミラーゼ及びリパーゼ≦1.5×ULN));脳転移がある場合、処置を完了している(以下の実施例1を参照);過去1ヶ月以内に活動性の感染の証拠がなく、重篤な感染もない;抗がん治療の最終投与から、第1の抗Gal-9抗体投与前に、少なくとも4(4)週間または5半減期(いずれか短い方)を有する。
【0147】
代替的または追加的に、本明細書に開示の処置に適した対象は、以下のうちの1つ以上を有さないことがある:原発不明の転移性がんと診断される;活動性の管理不能な出血、及び出血性素因(例えば、活動性の消化性潰瘍疾患)を有する任意の患者;抗ガレクチン-9抗体の投与から4週間以内または5半減期以内に他の任意の治験薬を投与される;例えば、骨痛または局所的に痛みを伴う腫瘍塊の処置のための、限定領域に対する症状緩和的放射線療法を除く、抗ガレクチン-9抗体の初回投与の4週間以内に放射線療法を受ける;真菌性腫瘍塊を有する;NCI-CTCAEバージョン5.0のグレード2超の活動性の臨床的に重篤な感染症がある;症候性または活動性の脳転移がある;CTCAEグレード3以上の細胞傷害性がある(実施例1の詳細及び例外を参照);2次悪性腫瘍の病歴がある(実施例1の例外を参照);重症または管理不能な全身疾患、うっ血性心不全の証拠がある;未治癒の重篤な創傷、進行中の潰瘍、または未処置の骨折がある;再発するドレナージ処置を必要とする管理不能な胸水、心嚢水、または腹水がある;手術及び/または放射線療法で最終的に処置されていない脊髄圧迫がある。軟髄膜疾患、進行中または事前に処置済み;重大な血管疾患に罹患している;活動性の自己免疫障害に罹患している(実施例1の例外を参照);全身的な免疫抑制処置が必要である;広範な鎮痛介入(経口及び/またはパッチ)に反応しない腫瘍関連疼痛(グレード3超)がある;ビスホスフォネートの使用にもかかわらず、制御されていない高カルシウム血症に罹患している;事前のチェックポイント阻害薬療法(CIT)に起因する免疫関連グレード4の有害事象の任意の病歴がある;臓器移植(複数可)を受けた;及び/または透析を受けているとき;及び/またはChild-Pughスコア≧7である。いくつかの場合では、ヒト患者は、少なくとも1つの事前の一連の全身療法を受けながら、進行した転移性肝細胞癌に罹患していないか;ソラフェニブを拒絶するか、もしくは許容しなかったか、もしくは、効果がないか、忍容しないか、もしくは不適切であると考えられる標準治療を受けたことがあるか、または有効な標準治療が利用できないことがある。
【0148】
代替的または追加的に、本明細書に開示の任意の処置を受けるヒト患者は、以下がないことがある:(i)原発不明の転移性がん;(ii)臨床的に重大な活動性の管理不能な出血、あらゆる出血性素因(例えば、活動性の消化性潰瘍疾患);(iii)処置の初回投与から4週間以内の放射線療法;(iv)真菌性腫瘍塊がある場合;(v)予めのがん治療によるCTCAEグレード3以上の毒性(脱毛症及び白斑を除く);(v)第2の悪性腫瘍の病歴;(vi)重症もしくは管理不能な全身疾患の証拠、ニューヨーク心臓協会(NYHA)クラス2超のうっ血性心不全、または6ヶ月以内の心筋梗塞(MI);(vii)重篤な非治癒創傷、活動性潰瘍、または未処置の骨折;(viii)管理不能の胸水、心嚢水、または頻発するドレナージ処置を必要とする腹水;(ix)キメラ抗体またはヒト化抗体または融合タンパク質に対する重症のアレルギー反応、アナフィラキシー反応、または他の過敏反応の病歴;(x)処置から6ヶ月以内の重大な血管疾患(例えば、外科的修復を必要とする大動脈瘤もしくは最近の動脈血栓症)、処置前3ヶ月以内の肺塞栓症、脳卒中、もしくは一過性虚血発作の病歴、及び/または処置前6ヶ月以内の腹瘻もしくは胃腸穿孔の病歴;(xi)活動性自己免疫疾患(I型糖尿病、ホルモン補充のみを必要とする甲状腺機能低下症、白斑、乾癬、または脱毛症を除く);(xii)全身的な免疫抑制処置が必要である;(xii)広範な鎮痛介入(経口及び/またはパッチ)に応答しない腫瘍関連疼痛(グレード3超);(xiii)ビスホスフォネートの使用にもかかわらず、管理不能の高カルシウム血症;(xiv)臓器移植(複数可)を受けた。
【0149】
いくつかの場合では、対象は、対照レベルと比較してガレクチン-9のレベルが上昇したヒト患者である。ガレクチン-9のレベルは、ヒト患者におけるガレクチン-9の血漿または血清レベルであり得る。他の例では、ガレクチン-9のレベルは、腫瘍内のがん細胞のガレクチン-9のレベルである。他の例では、ガレクチン-9のレベルは、腫瘍内の免疫細胞のガレクチン-9のレベルである。他の例では、ガレクチン-9のレベルは、細胞表面ガレクチン-9のレベル、例えば、がん細胞上のガレクチン-9のレベル、であり得る。一例において、ガレクチン-9のレベルは、患者由来の器官型腫瘍スフェロイド(PDOT)で測定される、例えば、がん細胞の表面上の、ガレクチン-9発現がん細胞のレベル、または免疫細胞で発現されるガレクチン-9のレベルであり得、これは、例えば、以下の実施例で開示される方法、で調製することができる。対照レベルは、固形腫瘍を持たない同種の対象(例えば、ヒト)の対応する試料におけるガレクチン-9のレベルを指し得る。いくつかの例では、対照レベルは、健康な対象におけるガレクチン-9のレベルを表す。いくつかの実施形態では、対照レベルは、処置前のベースラインレベルであってよい。
【0150】
そのような対象を同定するために、好適な生体試料は、固形腫瘍に罹患している疑いのある対象から取得することができ、生体試料は、従来の方法、例えば、ELISAまたはFACS、を使用して、その中に含有される(例えば、遊離の、細胞表面発現の、または合計の)ガレクチン-9のレベルを決定するために分析することができる。いくつかの実施形態では、オルガノイド培養物は、例えば、本明細書に記載されるように、調製され、対象のガレクチン-9レベルを評価するために使用される。オルガノイド調製プロセスの一部として得られる特定の画分に由来する単一細胞も、対象のガレクチン-9レベルの評価に適している。いくつかの場合では、遊離形態の、または細胞表面に発現したガレクチン-9のレベルを測定するためのアッセイは、ガレクチン-9に特異的に結合する(例えば、ヒトガレクチン-9に特異的に結合する)抗体の使用を含む。当該技術分野で既知の抗ガレクチン-9抗体のいずれも、上記のアッセイのいずれかにおいて適合性について試験し、その後、所定の方法で、そのようなアッセイで使用することができる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の抗体(例えば、G9.2-17抗体)は、そのようなアッセイで使用することができる。いくつかの実施形態では、抗体は、米国特許第10,344,091号及びWO2019/084553に記載されており、これらのそれぞれの関連開示は、本明細書で参照される目的及び主題のために参照により組み込まれる。いくつかの例では、抗ガレクチン-9抗体は、Fab分子である。本明細書に開示のガレクチン-9レベルを決定するためのアッセイ方法も、本開示の範囲内である。
【0151】
(iv)治療への応答
本明細書に開示される治療の有効性は、日常的な実施により評価することができる。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される方法のいずれも、抗腫瘍活性を、治療前または対照対象のレベルと比較して、少なくとも約10%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、またはそれ以上増加させる(例えば、細胞増殖、腫瘍成長、腫瘍体積、及び/または腫瘍量もしくは重量を低減させるか、あるいは、経時的に転移性病変の数を低減させる)ことができる。いくつかの実施形態では、低減は、医薬組成物の投与前後の対象の細胞増殖、腫瘍成長、及び/または腫瘍体積を比較することにより測定される。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される方法は、がんの1つ以上の症状を、少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%またはそれ以上改善し得る。いくつかの実施形態では、医薬組成物の投与前、投与中、及び投与後に、対象のがん性細胞及び/またはバイオマーカーが、組織または臓器由来の、血液、血清、血漿、尿、腹水、及び/または生検などの生体試料において測定される。いくつかの実施形態では、対象の腫瘍の体積、サイズ、重量、もしくは量を、検出不可能なサイズまで、または、処置前の対象の腫瘍のサイズ、重量、もしくは量の約1%、2%、5%、10%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、もしくは90%未満まで、低減する方法には、本発明の組成物を投与することが含まれる。他の実施形態では、対象の細胞増殖速度または腫瘍成長速度を、検出不可能な速度まで、または、処置前の速度の約1%、2%、5%、10%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、もしくは90%未満まで、低減させるための方法が提供される。他の実施形態では、対象の転移性病変の発生または転移性病変の数もしくはサイズを、検出不可能な速度まで、または、処置前の速度の約1%、2%、5%、10%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、もしくは90%未満まで、低減させる方法には、本発明の組成物を投与することが含まれる。
【0152】
本明細書に記載の治療、例えば、固形腫瘍の治療に対する応答は、以下の実施例1及びEisenhower et al.,New response evaluation criteria in solid tumours:Revised RECIST guideline(version 1.1)、European Journal Of Cancer 45(2009)228-247、もしくはBorcoman et al.,Annals of Oncology 30:385-396,2019、Nishino et al.,Clin Cancer Res 2013;19(14):3936-3943(これらのそれぞれの内容は、参照により全体が本明細書に組み込まれる)に記載されるように、RECISTもしくはRECIST1.1基準及び/またはirRC、irRECIST、iRECIST、imRECISTPDACに従って評価することができる。
【0153】
いくつかの実施形態では、方法が、例えば、G9.2-17 IgG4治療レジメンの開始前に得られたベースラインレベルと比較して、本明細書に記載の抗ガレクチン-9抗体を投与することを含む、全奏効/腫瘍量/腫瘍サイズ(例えば、約2、3、6、もしくは12ヶ月、またはそれ以降の時点)を改善及び/または管理するための方法が提供される。いくつかの実施形態では、方法は、約2ヶ月で全奏効/腫瘍量/腫瘍サイズを改善及び/または管理するためのものである。いくつかの実施形態では、抗ガレクチン-9抗体(例えば、G9.2-17(IgG4))が、チェックポイント阻害薬、例えば、抗PD-1抗体(チスレリズマブなど)、との併用レジメンで投与される場合、例えば、処置開始前に得られたベースラインレベルと比較して、全奏効/腫瘍量/腫瘍サイズ(例えば、約2、3、6、もしくは12ヶ月、または以降の時点)を改善または管理し得る。いくつかの実施形態では、完全奏効、部分奏効、または安定した疾患(例えば、約2ヶ月、3ヶ月、6ヶ月、もしくは12ヶ月、またはその後で、もしくは他の臨床的に示される任意の時点で測定)をもたらす方法が提供され、方法は、本明細書に記載の抗ガレクチン-9抗体を投与することを含む。そのような応答は、一定期間にわたって一時的であるか、または永続的であり得る。
【0154】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示の方法は、例えば、G9.2-17 IgG4処置レジメンの開始前に得られたベースラインレベルと比較して、完全奏効、部分奏効、または安定した疾患の可能性を改善し得る(例えば、約2ヶ月、3ヶ月、6ヶ月、もしくは12ヶ月、またはその後で、もしくは他の臨床的に示される任意の時点で測定)。そのような応答は、一定期間にわたって一時的であるか、または永続的であり得る。いくつかの実施形態では、処置は、例えば、G9.2-17 IgG4処置レジメンの開始前に得られたベースラインレベルと比較して、進行性疾患の減少または軽減がもたらされ得る(例えば、約2ヶ月、3ヶ月、6ヶ月、もしくは12ヶ月、またはその後で、もしくは他の臨床的に示される任意の時点で測定)。そのような減衰は、一時的または永続的であり得る。これらの実施形態のいずれにおいても、抗ガレクチン-9抗体は、チェックポイント阻害薬、例えば、抗PD-1抗体と組み合わせて投与され得る。
【0155】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示の方法は、疾患進行を軽減し得るか、または進行性疾患を低減し得る(例えば、約3ヶ月、6ヶ月、もしくは12ヶ月、またはその後で、もしくは他の臨床的に示される任意の時点で測定)。方法は、本明細書に開示の抗ガレクチン-9抗体の治療有効量を対象に投与することを含む。これらの実施形態のいずれにおいても、抗ガレクチン-9抗体は、チェックポイント阻害薬、例えば、抗PD-1抗体と組み合わせて投与され得る。
【0156】
本明細書に記載の方法のいずれかでは、部分奏効、安定した疾患、完全奏効、部分奏効、安定した疾患、進行性の疾患、進行中の疾患(例えば、約2ヶ月、3ヶ月、6ヶ月、もしくは12ヶ月、またはその後で、もしくは他の臨床的に示される任意の時点で測定)は、irC基準、RECIST基準、RECIST1.1、irRECISTもしくはiRECIST、またはimRECIST基準、または当該技術分野で既知の他の基準に従って評価することができる(例えば、Borcoman et al.,Annals of Oncology 30:385-396,2019’iRC:Hoos et al.,J.Immunother.30(1):1-15を参照されたい)。
【0157】
部分奏効は、処置開始前のベースラインレベルと比較して、処置に応答した腫瘍のサイズ、または体内のがんの程度、すなわち、腫瘍量、の減少である。例えば、RECIST奏効基準によれば、部分奏効は、ベースラインの合計直径を基準として、標的病変の直径の合計が少なくとも30%減少することとして定義される。進行性疾患は、進行、拡大、または悪化している疾患である。例えば、RECIST奏効基準によれば、進行性疾患には、標的病変の直径の合計の少なくとも20%の増加が観察される疾患が含まれ、合計は、少なくとも5mmの絶対的な増加も示さなければならない。さらに、1つ以上の新たな病変の出現も進行とみなされる。処置の開始前のベースラインレベルと比較して、範囲または重症度が減少も増加もしていない腫瘍は、安定した疾患とみなされる。例えば、RECIST奏効基準によれば、部分奏効と認定するのに十分な縮小も、進行性疾患と認定するのに十分な増加もない場合、研究中の最小合計直径を基準として、安定した疾患が生じる。
【0158】
いくつかの実施形態では、本開示は、対象における処置の開始前のベースライン腫瘍サイズと比較して、永続的または最小限の期間にわたって、ヒト対象を含む対象における腫瘍サイズを低減または維持するための方法を提供し(例えば、約2ヶ月、3ヶ月、6ヶ月、もしくは12ヶ月、またはその後で、もしくは他の臨床的に示される任意の時点で測定)、方法は、単独でまたはチェックポイント阻害薬、例えば、抗PD-1抗体と組み合わせて、対象に治療有効量の抗ガレクチン-9抗体を投与することを含む。腫瘍サイズ、例えば、腫瘍の直径は、上記で引用された、例えば、Eisenhower et al.に記載されているような、特定の測定プロトコールに従って、様々なソフトウェアツールと組み合わせたCT及びMRI画像からの測定を含む、当該技術分野で既知の方法に従って測定することができる。従って、いくつかの実施形態では、腫瘍サイズは、定期的に計画された再病期スキャン(例えば、造影剤あり/なしのCT、造影剤あり/なしのMRI、PET-CT(診断用CT)及び/またはX線、超音波及び/または他の関連イメージングモダリティ)で測定される。いくつかの実施形態では、腫瘍サイズの減少、腫瘍サイズの維持は、標的病変のサイズを指す。いくつかの実施形態では、腫瘍サイズの縮小、腫瘍サイズの維持は、非標的病変のサイズを指す。RECIST1.1によれば、ベースラインで複数の測定可能な病変が存在する場合、関係する全ての臓器を代表する合計最大5つの全病変(及び臓器毎に最大2つの病変)標的病変として同定されるべきである。病理学的リンパ節を含む他の全ての病変(または疾患部位)は、非標的病変として同定されなければならない。
【0159】
いくつかの実施形態では、本開示は、腫瘍量(例えば、約2ヶ月、3ヶ月、6ヶ月、もしくは12ヶ月、またはその後で、もしくは他の臨床的に示される任意の時点で測定)を低減または維持する可能性を高めるための方法を提供し、方法は、治療有効量の本明細書に開示の抗ガレクチン-9抗体を単独で、またはチェックポイント阻害薬、例えば、チスレリズマブなどの抗PD-1抗体、と組み合わせて対象に投与することを含む。いくつかの実施形態では、処置は、腫瘍量の低減、または腫瘍量の維持の可能性がより高くなり得る(例えば、約2ヶ月、3ヶ月、6ヶ月、もしくは12ヶ月、またはその後で、もしくは他の臨床的に示される任意の時点で測定)。本明細書で使用される場合、腫瘍量は、全ての疾患部位を占める、対象の体内のがんの量、腫瘍のサイズまたは腫瘍の体積を指す。腫瘍量は、限定されないが、FDG陽電子放出断層撮影法(FDG-PET)、磁気共鳴イメージング法(MRI)、及び生物発光イメージング法(BLI)及び蛍光イメージング法(FLI)を含む光学イメージング法を含む、当該技術分野で既知の方法を使用して測定することができる。
【0160】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法は、疾患進行までの時間または無増悪生存期間(例えば、約2ヶ月、3ヶ月、6ヶ月、もしくは12ヶ月、またはその後で、もしくは処置開始後の他の臨床的に示される任意の時点で測定)を延長する。無増悪生存期間は、永続的または一定期間にわたる無増悪生存期間のいずれかであり得る。いくつかの実施形態では、本方法は、無増悪生存期間(永久的無増悪生存期間、または一定期間、例えば、3、6、もしくは12ヶ月、または、例えば、約2ヶ月、3ヶ月、6ヶ月、もしくは12ヶ月、またはその後で、あるいは処置開始後の他の臨床的に示される任意の時点で測定)の可能性をより高める。無増悪生存期間(PFS)は、臨床試験における無作為割り当てから、例えば、処置の開始から、何らかの原因による疾患の進行または死亡までの時間として定義される。いくつかの実施形態では、方法は、特定期間で、例えば、6ヶ月または12ヶ月で、より長い生存またはより高い生存の可能性を達成する。
【0161】
処置、例えば、本明細書に記載の固形腫瘍の処置、に対する応答は、Seymour et al.,iRECIST:guidelines for response criteria for use in trials;The Lancet,Vol18,March 2017(これらの内容は、本明細書に全体が参照により組み込まれる)に記載されるように、iRECIST基準に従って評価することができる。一貫した設計及びデータ収集を保証するために、特に、がん免疫療法試験において、修正RECIST1.1基準を使用するために、iRECISTを開発し、免疫療法が使用される試験に使用される腫瘍サイズ中の客観的な変化に対する固形腫瘍の測定及び定義への標準的アプローチにガイドラインとして使用することができる。iRECISTは、RECIST1.1に基づいている。iRECISTを使用して割り当てられた応答は、RECIST1.1を使用して割り当てられた応答と区別するための、接頭辞「i」(すなわち、免疫)-例えば、「免疫」完全奏効(iCR)または部分奏効(iPR)及び未確認進行性疾患(iUPD)または確認済み進行性疾患(iCPD)または安定した疾患(iSD)を有し、これらの全ては、Seymour et al.RECIST1.1で定義される。いくつかの実施形態では、処置の開始前のベースラインレベルと比較することができる。これらの実施形態のいずれにおいても、抗ガレクチン-9抗体は、単独で、またはチェックポイント阻害薬、例えば、本明細書に開示の抗PD-1抗体と組み合わせて投与され得る。
【0162】
したがって、いくつかの実施形態では、本開示は、処置の開始前の疾患のベースラインレベルと比較して、全奏効(iOR)を改善するための、または「免疫」完全奏効(iCR)、部分奏効(iPR)、もしくは安定した疾患(iSD)を達成する(例えば、約2ヶ月、3ヶ月、6ヶ月、もしくは12ヶ月、またはその後の、もしくは他の臨床的に示される任意の時点で測定)ための方法を提供する。例えば、iCR、iPR、またはiSDの「免疫」応答の低減は、一定期間にわたって一時的であるか、または永続的であり得る。いくつかの実施形態では、処置は、完全奏効(iCR)、部分奏効(iPR)、または安定した疾患(iSD)の可能性を改善し得る(例えば、約2ヶ月、3ヶ月、6ヶ月、もしくは12ヶ月で、またはその後で、もしくは他の臨床的に示される任意の時点で測定)、例えば、いくつかの実施形態では、本開示は、疾患の進行を軽減するか、または進行性疾患を低減する、例えば、未確認の進行性疾患(iUPD)を軽減するか、または確認された進行性疾患(iCPD)を低減するための方法を提供し(例えば、約2ヶ月、3ヶ月、6ヶ月、もしくは12ヶ月、またはその後で、もしくは他の臨床的に示される任意の時点で測定)、方法は、治療有効量の本明細書に開示の抗ガレクチン-9抗体を対象に投与することを含む。これらの上記のiRECIST基準はいずれも、処置の開始前のベースラインレベルと比較することができる。これらの方法のいずれにおいても、抗ガレクチン-9抗体は、単独で、またはチェックポイント阻害薬、例えば、抗PD-1抗体と組み合わせて投与され得る。
【0163】
iUPDまたはiCPDの低減は、定期間にわたって一時的であるか、または永続的であり得る。いくつかの実施形態では、処置は、未確認進行性疾患(iUPD)または確認された進行性疾患(iCPD)の全体的な減少の可能性がより高くなる可能性があり(例えば、約2ヶ月、3ヶ月、6ヶ月、もしくは12ヶ月、またはその後で、もしくは他の臨床的に示される任意の時点で測定)、いくつかの実施形態では、iRECIST基準(例えば、約2ヶ月、3ヶ月、6ヶ月、もしくは12ヶ月、またはその後で、もしくは他の臨床的に示される任意の時点で測定)に従って、ヒト対象を含む対象の新しい病変の数を低減させるための方法を提供し、方法は、本明細書に開示の抗ガレクチン-9抗体の治療有効量を対象に投与することを含む。病変数の低減は、処置の開始前のベースラインレベルと比較したものであり、減少は一定期間にわたる一時的であるか、または永続的であり得る。これらの実施形態のいずれにおいても、抗ガレクチン-9抗体は、チェックポイント阻害薬、例えば、抗PD-1抗体と組み合わせて投与され得る。
【0164】
追加の基準は、処置応答を測定するために使用することができる。例えば、腫瘍量は、irRC基準に従って測定することができる(Hoos et al.,2007)。irRCでは、腫瘍量は、「指標」病変を、新しい病変を組み合わせることにより測定される。すなわち、新しい病変は、腫瘍量の変化とみなされる。irRCでは、免疫関連完全奏効(irCR)は、測定または未測定の全病変の消失し、新たな病変がない;免疫関連部分奏効(irPR)は、irRCで定義されるベースラインからの腫瘍量の50%の低下であり;免疫関連進行性疾患(irPD)は、記録された最低レベルから腫瘍量が25%増加する。他の全ては、免疫関連安定疾患(irSD)とみなされる。
【0165】
免疫関連RECIST(irRECIST)は、RECISTの一次元測定に基づいており、特定の免疫関連基準は、さらに、irRECISTで再定義された。最近、新しい基準を、NSCLCにおけるアテゾリズマブに基づいて評価し、免疫改変RECIST(imRECIST)は、最初の評価の少なくとも4週間後の疾患進行の確認を要求する(Hodi et al,JCO 2018;36(9):850-858)。RECIST1.1.、irRC、irRECIST、iRECIST、及びimRECISTの比較については、例えば、Borcoman et al.,Annals of Oncology 30:385-396,2019;Nishino et al.,Clin Cancer Res 2013;19(14):3936-3943(これらのそれぞれの内容は、参照により全体が本明細書に組み込まれる)の
図4を参照されたい。これらの基準のいずれも、本明細書に記載のいずれかの方法における奏効率を決定するのに適している。
【0166】
(v)有害事象の監視及び処置条件の変更
加えて、本明細書に開示の抗ガレクチン-9抗体(例えば、G9.2-17)のいずれかにより、単独で、または本明細書に開示のチェックポイント阻害薬(例えば、チスレリズマブなどの抗PD-1)と組み合わせて処置されている対象は、悪影響(例えば、重篤な副作用)の発生について監視され得る。監視すべき例示的な悪影響を、以下の実施例3に示す。悪影響の発生が観察された場合、処置条件は、その対象が変更され得る。例えば、抗ガレクチン-9抗体の用量が、低減され得、及び/または投与間隔が、延長され得る。低減の適合性及び程度は、資格のある臨床医により評価され得る。一実施形態では、以前の用量レベルの30または50%の低減レベルが実施される。一具体例では、臨床医の評価による低減レベル、または少なくとも30%が実施される(用量レベル1、最初の用量低減時のレベルまで)。必要に応じて、用量レベル-1の30%による、もう1回の用量低減が実行される(用量レベル-2、2回目の用量低減のレベル)。別の例では、用量レベル-1の50%による、もう1回の用量低減が実行される(用量レベル-2)。いくつかの実施形態では、前の用量レベルの約10%~約80%の1回以上の用量低減が実施される。いくつかの実施形態では、前の用量レベルの約10%~約20%、約20%~約30%、約30%~約40%、約40%~約50%、約50%~約60%、または、約70%~約80%の1回以上の用量低減が実施される。いくつかの実施形態では、前の用量の10%~20%、20%~30%、30%~40%、40%~50%、50%~60%、または70%~80%の1回以上の用量低減が実施される。いくつかの実施形態では、前の用量の約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、または約80%の1つ以上の用量低減が実施される。いくつかの実施形態では、前の用量レベルの10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、または80%の1つ以上の用量低減が実施される。代替的または追加的に、チェックポイント阻害薬の用量を低減させることができ、及び/または、チェックポイント阻害薬の投与間隔を延長させてもよい。いくつかの場合(例えば、生命を脅かす悪影響の発生)では、処置が中止され得る。
【0167】
いくつかの場合では、G9.2-17(IgG4)などの抗ガレクチン-9抗体の用量及び/またはチスレリズマブなどの抗PD-1抗体の用量は、患者において有害作用が観察される場合、低減され得る。いくつかの場合では、用量は、50%減少し得る。必要に応じて、用量は、さらに、50%減少し得る。例えば、以下の実施例3を参照されたい。
【0168】
(vi)治療に対する応答を評価するためのバイオマーカー
処置に対する反応は、血液及び腫瘍の免疫表現型、サイトカインプロファイル(血清)、血液(血清または血漿)中の可溶性ガレクチン-9レベル、免疫組織化学(腫瘍、間質、免疫細胞)、腫瘍変異負荷(TMB)、PD-L1発現(例えば、免疫組織化学による)、ミスマッチ修復状態、または疾患に関連する腫瘍マーカーによるガレクチン-9腫瘍組織の発現レベル、及び発現パターンの1つ以上も特徴とし得る(例えば、約3ヶ月、6ヶ月、もしくは12ヶ月、またはその後で、もしくは他の臨床的に示される任意の時点で測定)。そのような腫瘍マーカーの例としては、CA15-3、CA-125、CEA、CA19-9、アルファフェトプロテインが挙げられるが、これらに限定されない。これらのパラメーターは、処置の開始前のベースラインレベルと比較することができる。これらの実施形態のいずれにおいても、抗ガレクチン-9抗体は、単独で、またはチェックポイント阻害薬、例えば、抗PD-1抗体、と組み合わせて投与され得る。
【0169】
本明細書に開示される方法のいずれにおいても、対象は、治療の前、最中、及び/または後に、以下の特徴のうちの1つ以上を調べることができる。(a)対象からの血液試料中の1つ以上の腫瘍マーカーであって、任意選択的に、1つ以上の腫瘍マーカーが、CA15-3、CA-125、CEA、CA19-9、及び/またはアルファフェトタンパク質、ならびに任意の他の腫瘍型特異的腫瘍マーカーを含む、腫瘍マーカー、(b)サイトカインプロファイル、(c)ガレクチン9血清/血漿レベル、d)末梢血単核細胞免疫表現型決定、e)腫瘍組織生検/切除標本多重免疫表現型決定、f)腫瘍組織生検/切除標本ガレクチン-9発現レベル及びパターン、g)以下のような任意の他の免疫スコアテスト:PD-L1免疫組織化学、腫瘍変異負荷(TMB)、腫瘍マイクロサテライト不安定性状態、ならびに以下のようなパネル:Immunoscore(登録商標)-HalioDx、ImmunoSeq-Adaptive Biotechnologies、TIS、NanoString nCounter(登録商標)遺伝子発現システム上で開発、18遺伝子シグネチャ、PanCancer IO 360(商標)アッセイ(NanoString Technologies)など。PDACなどの標的腫瘍に特異的な他の好適なバイオマーカーも使用され得る。一非限定例では、PD-L1(SP263)(Roche、Ventana)は、免疫組織化学を使用したがん組織におけるPD-L1の検出に使用することができる。
【0170】
いくつかの実施形態では、血中または腫瘍中の免疫細胞及び免疫細胞マーカーのレベルを変化させるための方法が本明細書に記載されており、方法は、抗Gal-9抗体が、単独で、またはチェックポイント阻害薬、例えば、抗PD-1抗体、と組み合わせて投与されることを含む。そのような変化は、マルチプレックスフローサイトメトリー及びマルチプレックス免疫組織化学などの当該技術分野で既知の方法を使用して、患者の血液及び組織試料において測定することができる。例えば、表現型及び機能的PBMC免疫マーカーのパネルは、処置の開始前のベースライン及び処置中の様々な時点で評価することができる。表2は、これらの評価方法に有用なマーカーの非限定例を列挙する。フローサイトメトリー(FC)は、細胞の表現型及び機能を分析するための高速かつ有益な情報を提供する最適な技術であり、免疫表現型監視で注目を集めている。それは、血液などの複雑な混合物中に、まれなサブセットを含む細胞の多くのサブセットの特性評価を可能にし、大量のデータを迅速に取得する方法を表す。FCの利点は、高速性、感度、及び特異性である。標準化された抗体パネル及び手順は、免疫細胞のサブタイプを分析及び分類するために使用することがするできる。マルチプレックスIHCは、強力な調査ツールであり、これは、免疫サブセットの数及び位置の両方で腫瘍の免疫状況を説明する客観的な定量的データを提供し、単一の組織切片で複数のマーカーを評価することができる。コンピュータアルゴリズムは、発色IHC法及び染色をデジタル病理学的アプローチと組み合わせて、患者の生検のスライド画像全体からIHCベースのバイオマーカー内容を定量するために使用することができる。
【0171】
従って、いくつかの実施形態では、免疫応答を調節するための方法、例えば、表2のものなどの免疫活性化マーカーの調節のための方法が本明細書に記載されており、方法は、抗gal9抗体を単独で、またはチェックポイント阻害薬療法と組み合わせて投与することを含む。いくつかの実施形態では、調節は、以下のうちの1つ以上を含む:(1)血漿または腫瘍組織におけるより多くのCD8細胞の増加、(2)血漿または腫瘍組織における制御性T細胞(Treg)の減少、(3)血漿または腫瘍組織におけるM1マクロファージの増加、及び、(4)血漿または腫瘍組織におけるMDSCの減少、及び、(5)血漿または腫瘍組織におけるM2マクロファージの減少(例えば、約2ヶ月、3ヶ月、6ヶ月、もしくは12ヶ月後、またはその後に、もしくは他の臨床的に示される任意の時点で測定)。いくつかの実施形態では、上記の技術または当該技術分野で既知の手法を使用して評価されるマーカーは、CD4、CD8、CD14、CD11b/c、及びCD25から選択される。これらのパラメーターは、処置の開始前のベースラインレベルと比較することができる。
【表2】
【0172】
(vii)免疫応答の調節
いくつかの実施形態では、炎症誘発性サイトカイン及び抗炎症性サイトカインを調節するために、抗gal9を単独で、またはチェックポイント阻害薬療法と組み合わせて投与することを含む方法が本明細書に記載される。いくつかの実施形態では、方法は、以下のうちの1つ以上に提供される:(1)血漿または腫瘍組織におけるIFNガンマのレベルの増加;(2)血漿または腫瘍組織内のTNF-アルファのレベルの増加;(3)血漿または腫瘍組織におけるIL-10のレベルの減少(例えば、約3ヶ月、6ヶ月、もしくは12ヶ月、またはその後で、もしくは他の臨床的に示される任意の時点で測定)。これらのパラメーターは、処置の開始前のベースラインレベルと比較することができる。
【0173】
いくつかの実施形態では、サイトカインレベルまたは免疫細胞レベルは、投与1前の腫瘍生検及び実行可能な時期に実施される再生検間で評価され得る。いくつかの実施形態では、サイトカインレベルまたは免疫細胞レベルは、2回の反復生検間で評価され得る。いくつかの実施形態では、血液(血清または血漿)中の可溶性ガレクチン-9レベル、または免疫組織化学(腫瘍、間質、免疫細胞)によるガレクチン-9腫瘍組織発現レベル及び発現パターンのうちの1つ以上を調節するための方法が提供される(例えば、約3ヶ月、6ヶ月、もしくは12ヶ月、またはその後で、もしくは他の臨床的に示される任意の時点で測定)。いくつかの実施形態では、本方法は、血液(血清もしくは血漿)中の可溶性ガレクチン-9レベル、または免疫組織化学(腫瘍、間質、免疫細胞)によるガレクチン-9腫瘍組織発現レベルもしくは発現パターンを減少させる(例えば、約3ヶ月、6ヶ月、もしくは12ヶ月、またはその後で、もしくは他の臨床的に示される任意の時点で測定)。ガレクチン-9レベルは、処置の開始前のベースラインレベルと比較することができる。いくつかの実施形態では、ガレクチン-9レベルが、処置を受けていない対照群または健康な対象と比較され得る。これらの実施形態のいずれにおいても、抗ガレクチン-9抗体は、単独で、またはチェックポイント阻害薬、例えば、抗PD-1抗体、と組み合わせて投与され得る。いくつかの実施形態では、抗ガレクチン-9抗体を単独で、またはチェックポイント阻害薬、例えば、抗ガレクチン-9抗体、と組み合わせて投与することを含む、例えば、免疫組織化学で評価される、PD-L1発現を調節するための方法が提供される。いくつかの実施形態では、本方法は、疾患に関連する1つ以上の腫瘍マーカーを調節(増加または減少)する(例えば、約2ヶ月、3ヶ月、6ヶ月、もしくは12ヶ月、またはその後で、もしくは他の臨床的に示される任意の時点で測定)。そのような腫瘍マーカーの例としては、CA15-3、CA-125、CEA、CA19-9、アルファフェトプロテインが挙げられるが、これらに限定されない。これらのパラメーターは、処置の開始前のベースラインレベルと比較することができる。これらの実施形態のいずれにおいても、抗ガレクチン-9抗体は、単独で、またはチェックポイント阻害薬、例えば、抗PD-1抗体、と組み合わせて投与され得る。
【0174】
いくつかの実施形態では、本開示は、対象における免疫応答を調節する方法を提供する。本明細書で使用される場合、「免疫応答」という用語には、免疫細胞活性の調節、例えば、T細胞活性化、で影響を受ける、T細胞媒介性及び/またはB細胞媒介性の免疫応答が含まれる。本開示の一実施形態では、免疫応答は、T細胞媒介である。本明細書で使用される場合、「調節する」という用語は、変化または変更することを意味し、上方調節及び下方調節の両方を包含する。例えば、「免疫応答を調節すること」は、1つ以上の免疫応答パラメーター(複数可)の状態を変化または変更することを意味する。T細胞媒介免疫応答の例示的なパラメーターには、T細胞のレベル(例えば、エフェクターT細胞の増加または減少)及びT細胞活性化のレベル(例えば、特定のサイトカインの産生の増加または減少)を含む。B細胞媒介免疫応答の例示的なパラメーターには、B細胞レベルの増加、B細胞活性化、及びB細胞媒介抗体産生を含む。
【0175】
免疫応答が調節されると、いくつかの免疫応答パラメーターが減少し得、他のものは、増加し得る。例えば、いくつかの場合では、免疫応答を調節すると、1つ以上の免疫応答パラメーターが増加(または上方制御)し、1つ以上の他の免疫応答パラメーターが減少(または下方制御)し、その結果、免疫応答の全体的な増加、例えば、炎症性免疫応答の全体的な増加、が生じる。別の例では、免疫応答の調節は、1つ以上の免疫応答パラメーターの増加(または上方制御)及び1つ以上の他の免疫応答パラメーターの減少(または下方制御)を引き起こし、その結果、免疫応答が全体的に減少し、例えば、炎症反応の全体的な減少などである。いくつかの実施形態では、全体的な免疫応答の増加、すなわち、全体的な炎症性免疫応答の増加は、腫瘍重量、腫瘍サイズ、もしくは腫瘍量の減少、または本明細書に記載の任意のRECISTもしくはiRECIST基準で決定される。いくつかの実施形態では、全体的な免疫応答の増加は、例えば、2つ以上、3つ以上などを含む1つ以上の炎症誘発性サイトカイン(複数可)、または大部分の炎症誘発性サイトカインのレベル(複数可)の増加で決定される(1つ以上、2つ以上など、または大部分の抗炎症性サイトカイン及び/または免疫抑制性サイトカイン、及び/または、最も強力な抗炎症性サイトカインもしくは免疫抑制性サイトカインのうちの1つ以上が、減少するか、または一定のままであるかのいずれかである)。いくつかの実施形態では、全体的な免疫応答の増加は、最も強力な炎症誘発性サイトカインのうちの1つ以上のレベルの増加で決定される(最も強力なサイトカインのうちの1つ以上を含む1つ以上の抗炎症性サイトカイン及び/または免疫抑制性サイトカインが、減少するか、または一定のままであるかのいずれかである)。いくつかの実施形態では、全体的な免疫応答の増加は、免疫抑制性サイトカイン及び/または抗炎症性サイトカインの大部分を含む1つ以上のレベルの減少で決定される(例えば、最も強力な炎症誘発性サイトカインを含む炎症促進性サイトカインのうちの1つ以上、または大部分のレベルが、増加するか、または一定のままであるかのいずれかである)。いくつかの実施形態では、全体的な免疫応答の増加は、最も強力な抗炎症性サイトカイン及び/または免疫抑制性サイトカインのうちの1つ以上で増加する(例えば、最も強力な炎症誘発性サイトカインを含む、炎症誘発性サイトカインのうちの1つ以上、または大部分が、増加するか、または一定のままであるかのいずれかである)。いくつかの実施形態では、全体的な免疫応答の増加は、上記のいずれかの組み合わせで決定される。また、あるタイプの免疫応答パラメーターの増加(または上方制御)は、別のタイプの免疫応答パラメーターの対応する減少(または下方制御)を引き起こし得る。例えば、特定の炎症誘発性サイトカインの産生の増加は、特定の抗炎症性サイトカイン及び/または免疫抑制性サイトカインの下方制御につながり得、その逆も同様である。
【0176】
いくつかの実施形態では、本開示は、ヒト対象を含む対象における免疫応答(例えば、約2ヶ月、3ヶ月、6ヶ月、もしくは12ヶ月、またはその後で、もしくは他の臨床的に示される任意の時点で測定)を調節するための方法を提供し、方法は、本明細書に開示の抗ガレクチン-9抗体の治療有効量を対象に投与することを含む。いくつかの実施形態では、本開示は、免疫細胞及び免疫細胞マーカーのレベルを調節するための方法を提供し、これは、限定されないが、ヒト対象を含む対象の血液または腫瘍中の、例えば、処置の開始前のベースラインレベルと比較した、抗Gal9抗体治療レジメンの開始前に得られるベースラインレベルと比較した、本明細書の表2に記載されるものを含み、方法は、本明細書で開示の抗ガレクチン-9抗体の治療有効量を対象に投与することを含む。いくつかの実施形態では、調節の全体的な結果は、炎症誘発性免疫細胞の上方制御及び/または免疫抑制性免疫細胞の下方制御である。いくつかの実施形態では、本開示は、免疫細胞のレベルを調節する方法を提供し、調節することは、(1)血漿または腫瘍組織中のCD8細胞を増加させること、(2)血漿または腫瘍組織中のTregを減少させること、(3)血漿または腫瘍組織におけるM1マクロファージを増加させること、及び、(4)血漿または腫瘍組織におけるMDSCを減少させること、及び(5)血漿または腫瘍組織におけるM2マクロファージを減少させること、のうちの1つ以上を包含し、本方法は、本明細書に開示の抗ガレクチン-9抗体の治療有効量を対照に投与することを含む。いくつかの実施形態では、そのような免疫細胞のレベルを評価するマーカーには、CD4、CD8、CD14、CD11b/c、及びCD25が含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、本開示は、ヒト対象を含む対象の血液または腫瘍における、例えば、処置の開始前のベースラインレベルと比較して、炎症促進性サイトカイン及び免疫抑制性サイトカインのレベルを調節するための方法を提供し(例えば、約2ヶ月、3ヶ月、6ヶ月、もしくは12ヶ月、またはその後で、もしくは他の臨床的に示される任意の時点で測定)、方法は、本明細書に開示の治療有効量の抗ガレクチン-9抗体を対象に投与することを含む。いくつかの実施形態では、調節の全体的な結果は、炎症誘発性サイトカインの上方制御及び/または免疫抑制性サイトカインの下方制御である。いくつかの実施形態では、本開示は、サイトカイン細胞のレベルを調節するための方法を提供し、調節することは、以下のうちの1以上を包含する:(1)血漿または腫瘍組織におけるIFNガンマのレベルを増加させること;(2)血漿または腫瘍組織内のTNF-アルファレベルを増加させること;(3)血漿または腫瘍組織におけるIL-10のレベルを減少させること。
【0177】
いくつかの実施形態では、本開示は、血液(血清もしくは血漿)中の可溶性ガレクチン-9レベル、または免疫組織化学(腫瘍、間質、免疫細胞)によるガレクチン-9腫瘍組織発現レベル及び発現パターンのうちの1つ以上を変化させるための方法を提供し(例えば、2週間、4週間、1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、6ヶ月、もしくは12ヶ月、またはその後で、あるいは他の臨床的に示される任意の時点で測定)、方法は、治療的有効量の本明細書に開示の抗ガレクチン-9抗体対象に投与することを含む。方法のいくつかの実施形態では、血液(血清または血漿)中の可溶性ガレクチン-9レベル、または免疫組織化学(腫瘍、間質、免疫細胞)によるガレクチン-9腫瘍組織発現レベル及び発現パターンのうちの1つ以上は、変化しないままである。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、血液(血清もしくは血漿)中の可溶性ガレクチン-9レベル、または免疫組織化学(腫瘍、間質、免疫細胞)によるガレクチン-9腫瘍組織発現レベル及び発現パターンのうちの1つ以上を減少させる(例えば、2週間、4週間、1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、6ヶ月、もしくは12ヶ月、またはその後で、あるいは他の臨床的に示される任意の時点で測定)。ガレクチン-9レベルは、処置の開始前のベースラインレベルと比較することができる。いくつかの実施形態では、ガレクチン-9レベルは、健康な対象と比較され得る。いくつかの実施形態では、処置することは、例えば、免疫組織化学により、PD-L1発現の変化をもたらす。16mg/kg以上の用量レベル、16mg/kg以上の用量レベル、16mg/kg以上の用量レベル。
【0178】
いくつかの実施形態では、本開示は、例えば、免疫組織化学で評価される(例えば、2週間、4週間、1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、6ヶ月、もしくは12ヶ月、またはその後で、もしくは他の臨床的に示される任意の時点で測定)PD-L1発現を変化させるための方法を提供し、方法は、本明細書に開示の治療有効量の抗ガレクチン-9抗体を対象に投与することを含む。方法のいくつかの実施形態では、例えば、免疫組織化学により評価されるPD-L1発現は、変化しないままである。PD-L1レベルは、処置の開始前のベースラインレベルと比較することができる。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、例えば、免疫組織化学により評価される、PD-L1発現を減少させる。PD-L1レベルは、当該技術分野で既知の日常的な方法を使用して測定され得る。一非限定例では、PD-L1(SP263)(Roche、Ventana)は、免疫組織化学を使用したがん組織におけるPD-L1の検出に使用することができる。16mg/kg以上の用量レベル、16mg/kg以上の用量レベル、16mg/kg以上の用量レベル。
【0179】
いくつかの実施形態では、本開示は、疾患に関連する1つ以上の腫瘍マーカーを変化(増加または減少)させるための方法を提供し(例えば、2週間、4週間、1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月、もしくは12ヶ月、またはその後で、もしくは他の臨床的に示される任意の時点で測定)、方法は、本明細書に開示の治療有効量の抗ガレクチン-9抗体を対象に投与することを含む。この方法のいくつかの実施形態では、疾患に関連する1つ以上の腫瘍マーカー(増加または減少)は、変化しないままである。そのような腫瘍マーカーの例としては、CA15-3、CA-125、CEA、CA19-9、アルファフェトプロテインが挙げられるが、これらに限定されない。腫瘍マーカーのレベルは、処置の開始前のベースラインレベルと比較することができる。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、疾患に関連する1つ以上の腫瘍マーカーの発生を減少させる。
【0180】
いくつかの実施形態では、本開示は、疾患に関連する1つ以上のバイオマーカーを変化(増加または減少)させるための方法を提供し(例えば、2週間、4週間、1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、6ヶ月、もしくは12ヶ月、またはその後で、もしくは他の臨床的に示される任意の時点で測定)、方法は、本明細書に開示の治療有効量の抗ガレクチン-9抗体を対象に投与することを含む。患者由来の臨床組織におけるバイオマーカーのレベルは、本明細書の実施例に記載されるように、多重免疫蛍光(mIF)技術などの所定の方法を使用して測定することができる。バイオマーカーの例示的なパネルには、CD3、CD4、CD8、CD45RO、FoxP3、CD11b、CD14、CD15、CD16、CD33、CD68、CD163、HLA-DR、アルギナーゼ1、グランザイムB、Ki67、PD-1、PD-L1、及びPanCKが挙げられ得る。
【0181】
固形腫瘍の治療における使用のためのキット
本開示はまた、本明細書に開示されるもの(例えば、頭頸部癌または尿路上皮癌)などの固形腫瘍の治療または軽減における使用のためのキットを提供する。そのようなキットには、抗ガレクチン-9抗体、例えば、本明細書に記載されるもの(例えば、G9.2-17(IgG4))のいずれか、及び抗ガレクチン-9抗体と併用されるべき、本明細書に開示の抗PD-1抗体(例えば、チスレリズマブ)などのチェックポイント阻害薬(本明細書にも記載)を含む1つ以上の容器が含まれ得る。
【0182】
いくつかの実施形態では、キットは、本明細書に記載の方法のいずれかに従って使用される使用説明書を含み得る。含まれる使用説明書は、本明細書に記載の標的疾患を処置、その発症の遅延、または緩和するための、抗ガレクチン-9抗体及び抗PD-1抗体の投与の説明を含み得る。いくつかの実施形態では、キットは、さらに、例えば、本明細書に記載の診断方法を適用して、個体が標的疾患に罹患しているかどうかの同定に基づいて処置に適した個体を選択することの説明を含む。さらに他の実施形態では、使用説明書は、標的疾患のリスクがある個体への抗体の投与の説明を含む。
【0183】
本明細書に開示される抗ガレクチン-9抗体及び抗PD-1抗体の使用に関する使用説明書には、通常、目的の処置のための投薬量、投与予定、及び投与経路に関する情報が含まれる。容器は、単位用量、バルクパッケージ(例えば、複数回用量パッケージ)、またはサブユニット用量であり得る。本発明のキットで提供される使用説明書は、通常は、ラベルまたは添付文書(例えば、キットに含まれる紙シート)に書かれた使用説明書であるが、機械読み取り可能な使用説明書(例えば、磁気または光学記憶ディスクに記録された使用説明書)も、許容可能である。
【0184】
本発明のキットは、好適なパッケージング中に存在する。好適なパッケージングには、バイアル、ボトル、瓶、柔軟なパッケージング(例えば、密封されたマイラーまたはプラスチックバッグ)などが含まれるが、これらに限定されない。特定のデバイス、例えば、吸入器、経鼻投与デバイス(例えば、アトマイザー)、または注入デバイス、例えば、ミニポンプ、と組み合わせて使用するためのパッケージも企図される。いくつかの実施形態では、キットは、滅菌アクセスポートを有する(例えば、容器は、皮下注射針により穿刺可能なストッパーを有する静脈内溶液バッグまたはバイアルであり得る)。いくつかの実施形態では、容器は、滅菌アクセスポートも有する(例えば、容器は、皮下注射針により穿刺可能な栓を有する静脈内溶液バッグまたはバイアルである)。組成物中の少なくとも1つの活性薬は、本明細書に記載されるような抗ガレクチン-9抗体である。
【0185】
キットは、任意に、緩衝液及び解釈情報などの追加コンポーネントを提供し得る。通常、キットは、容器と、容器上の、または容器に付随するラベルまたは添付文書(複数可)を含む。いくつかの実施形態では、本発明は、上記のキットの内容物を含む製品を提供する。
【0186】
一般的な手法
本発明の実施は、別途指示のない限り、当該技術分野の範囲内である分子生物学(組換え手法を含む)、微生物学、細胞生物学、生化学、及び免疫学の従来の手法を用いる。このような手法は、Molecular Cloning:A Laboratory Manual,second edition(Sambrook,et al.,1989)Cold Spring Harbor Press、Oligonucleotide Synthesis(M.J.Gait,ed.,1984)、Methods in Molecular Biology,Humana Press;Cell Biology:A Laboratory Notebook(J.E.Cellis,ed.,1998)Academic Press、Animal Cell Culture(R.I.Freshney,ed.,1987)、Introduction to Cell and Tissue Culture(J.P.Mather and P.E.Roberts,1998)Plenum Press、Cell and Tissue Culture:Laboratory Procedures(A.Doyle,J.B.Griffiths,and D.G.Newell,eds.,1993-8)J.Wiley and Sons、Methods in Enzymology(Academic Press,Inc.)、Handbook of Experimental Immunology(D.M.Weir and C.C.Blackwell,eds.)、Gene Transfer Vectors for Mammalian Cells(J.M.Miller and M.P.Calos,eds.,1987)、Current Protocols in Molecular Biology(F.M.Ausubel,et al.,eds.,1987)、PCR:The Polymerase Chain Reaction,(Mullis,et al.,eds.,1994)、Current Protocols in Immunology(J.E.Coligan et al.,eds.,1991)、Short Protocols in Molecular Biology(Wiley and Sons,1999)、Immunobiology(C.A.Janeway and P.Travers,1997)、Antibodies(P.Finch,1997)、Antibodies:a practical approach(D.Catty.,ed.,IRL Press,1988-1989)、Monoclonal antibodies:a practical approach(P.Shepherd and C.Dean,eds.,Oxford University Press,2000)、Using antibodies:a laboratory manual(E.Harlow and D.Lane(Cold Spring Harbor Laboratory Press,1999)、The Antibodies(M.Zanetti and J.D.Capra,eds.,Harwood Academic Publishers,1995)などの文献に十分説明されている。
【0187】
さらに詳しく説明することなく、当業者であれば、上記の説明に基づいて、本発明を最大限に利用し得ると考えられる。従って、以下の特定の実施形態は、単に例示として解釈されるべきであり、いかなる形であっても本開示の残りの部分を限定するものではない。本明細書で引用される全ての刊行物は、本明細書で参照される目的または主題のために参照により組み込まれる。
【実施例】
【0188】
実施例1:膵癌及び腫瘍塊のマウスモデルにおける単独またはチェックポイント阻害と組み合わせた抗Gal-9抗体の評価、及び、G9.2-17 mIgG1で処置されたマウスの免疫プロファイル
腫瘍重量及び免疫プロファイルに対するG9.2-17 mIgG1の効果を、膵癌のマウスモデルで評価した。8週齢のC57BL/6雄(Jackson Laboratory,Bar Harbor,ME)マウスに、Pdx1Cre;KrasG12D;Trp53R172H(KPC)マウス由来のFC1242 PDAC細胞を膵臓内注射した(Zambirinis CP,et al.,TLR9 ligation in pancreatic stellate cells promotes tumorigenesis.J Exp Med.2015;212:2077-94)。腫瘍細胞を50%のマトリゲルを含むPBS(BD Biosciences,Franklin Lakes,NJ)に懸濁させ、1×105個の腫瘍細胞を、開腹術により膵臓本体に注入した。マウス(n=10/群)は、処置前に1回i.p.投与を受け、続いて、市販のαガレクチン-9 mAb(RG9-1、200ug、BioXcell,Lebanon,NH)またはG9.2-17 mIgG1(200μg)を3回(q.w.)投与を受けるか、または対になったアイソタイプ、G9.2-IsoもしくはラットIgG2a(LTF-2、BioXcell,Lebanon,NH)(200μg)(3週間で週1回投与)を受けた。3週間後にマウスを死亡させフローサイトメトリーによる分析のために腫瘍を採取した。組織を処理及び準備し、日常的な実施に従って、フローサイトメトリー分析を実施した。例えば、米国特許第10,450,374号を参照されたい。
【0189】
G9.2-17 mIgG2aを単独で、またはαPD-1 mAbと組み合わせて処置されたマウスの腫瘍量及び免疫プロファイル
腫瘍重量及び免疫プロファイルに対するG9.2-17 mIgG2aの効果を、単独または免疫療法と組み合わせて、膵臓癌のマウスモデルで評価した。8週齢のC57BL/6雄マウス(Jackson Laboratory,Bar Harbor,ME)に、Pdx1Cre;KrasG12D;Trp53R172H(KPC)マウス由来のFC1242 PDAC細胞を膵臓内注射した。腫瘍細胞を50%のマトリゲルを含むPBS(BD Biosciences,Franklin Lakes,NJ)に懸濁させ、1×105個の腫瘍細胞を、開腹術により膵臓本体に注入した。マウスは、示されるように、処置前に1回i.p.投与を受け、続いて、G9.2-17 mIgG2a(200μg)または中和αPD-1 mAb(29F.1A12、200μg、BioXcell,Lebanon,NH)を3回(q.w.)投与を個別にもしくはまとめて受けるか、または対になったアイソタイプ(LTF-2及びC1.18.4、BioXcell,Lebanon,NH)を受けた。26日目にマウスを死亡させ、分析のために腫瘍を採取した。組織を処理及び準備し、日常的な実施に従って、フローサイトメトリー分析を実施した。例えば、US10,450,374を参照されたい。各点は、1匹のマウスを表す。*p<0.05;**p<0.01;***p<0.001;****p<0.0001;対応のないStudentのt検定による。これらの結果は、G9.2-17 mIgG2aによる単剤処置が両方の用量レベルで腫瘍成長を減少させるが、抗PD-1単独は、腫瘍サイズに影響を与えなかったことを示す。
図1。
【0190】
抗ガレクチン-9 mIgG1(200μg)と比較して、抗ガレクチン-9 mIgG1(200μg)+抗PD-1による処置において(p<0.001)、及び、抗PD-1単独と比較した抗ガレクチン-9 IgG1(200μg)+抗PD-1間において(p<0.01)、細胞傷害性T細胞(CD8)のレベルの有意な増加が観察される。そのような結果は、抗Gal9抗体及び抗PD-1抗体を併用して、優れた治療効果が予想されることを示唆する。
【0191】
さらに、G9.2-17 IgG1マウスmAb(別称G9.2-17 mIgG)、抗PD-1抗体、またはG9.2-17 IgG1マウスmAb及び抗PD-1抗体の組み合わせによる処置に対する腫瘍免疫応答は、本明細書に記載のB16F10皮下同系モデルで調査された。
図2A及び2Bに示されるように、G9.2-17及び抗PD-1の組み合わせは、マウスモデルにおいて腫瘍体積の減少及びCD8+細胞の増加において相乗効果を示した。
図3A及び3Bは、G9.2-17抗体が腫瘍内T細胞におけるCD44及びTNFαの発現を増加させたことを示す。
【0192】
実施例2:ヒト研究におけるG9.2-17(IgG4)の薬物動態
単独で、または化学療法もしくは免疫チェックポイント阻害薬(例えば、PD1アンタゴニスト)と組み合わせて、G9.2-17(IgG4)の安全性、薬物動態、及び抗腫瘍活性の第1/2相非盲検多施設試験を、転移性固形腫瘍を有する患者に対して実施した。本研究は、2週間毎(Q2W)に投与される0.2、0.63、2.0、6.3、10、または16mg/kg、ならびに毎週10及び16mg/kg(QW)の用量レベルでG9.2-17(IgG4)を評価している。以下を参照、WO2020/223702、WO2022/109302、国際特許出願第PCT/US2022/027127号、及び国際特許出願第PCT/US2022/027142号、それぞれの関連開示は、本明細書で参照される主題及び目的に関して参照により組み込まれる。
【0193】
本研究からの13人の対象の予備的PKデータは、解析のために利用可能であった。予備的データに基づいて、G9.2-17(IgG4)のベータ半減期(すなわち、2コンパートメントモデルの排出半減期)は、非コンパートメント分析(NCA)由来の半減期よりも長いことが見出された。これらの結果は、G9.2-17(IgG4)の排出半減期が、0.2mg/kg~16mg/kgの用量範囲にわたって102~224時間(すなわち、4.3~9.3日)の範囲であることを示唆し、これは、G9.2-17(IgG4)の毎週の投与が、ヒト治療におけるこの抗体の適切な投与スケジュールであり得ることを示唆している。
【0194】
実施例3:局所進行性または転移性固形腫瘍を有する患者における単剤として、及びチスレリズマブと組み合わせたG9.2-17(IgG4)の安全性、薬物動態、及び抗腫瘍活性の第1/2相非盲検多施設試験
これは、再発性及び/または難治性の、切除不能な局所進行性または転移性の固形腫瘍を有する患者における用量漸増期(パート1)及びコホート拡大期(パート2)を有する非盲検、非無作為化、多施設第1/2相試験である。この研究は、米国内の最大20施設で実施される。研究期間は、12~24ヶ月と推定される。生存の追跡調査は、最長2年間継続する。
【0195】
処置期間
治験薬の投与は、疾患の進行、許容できない毒性、または治験からの離脱まで継続することが計画されている。疾患進行前に治験薬を中止し、他の抗がん療法(複数可)で処置されていない患者は、疾患進行時まで研究が追跡される。
【0196】
処置期間
研究は、パート1及びパート2の両方で以下の期間からなる(以下の開示を参照されたい)。
スクリーニング期間:初回投与の最大4週間前(-28日目~-1日目)
処置期間28日の処置サイクル
処置後期間:最後の処置の30日後(処置訪問の終了/早期中止訪問)
免疫介在性有害反応(IMAR)追跡調査期間:G9.2-17 IgG4+チスレリズマブで処置された全ての患者は、潜在的なIMARの評価のために、治験薬の最後の投与から90日+/-7日後に戻らなければならない。
追跡調査期間:最大2年間の長期追跡調査(3ヶ月毎の追跡調査)。
【0197】
研究設計
パート1:単剤:用量漸増相
用量探索研究は、用量制限毒性(DLT)を確立し、潜在的に推奨第2相用量(RP2D)を評価するために、継続的再評価法(CRM)を使用して実施される。0.2mg/kgの用量から開始して、各28日サイクルの1日目及び15日目に、2週間毎(Q2W)、逐次的に高濃度のG9.2-17 IgG4の静脈内注入を受けるために、処置コホート1~6当たり2~6人の患者を割り当てる。特定の用量漸増コホートに割り当てられた患者には、そのコホートに対応する研究用量が投与される。彼らは、疾患の進行、許容できない毒性、または他の理由で治験から離脱するまで治験薬を投与される。
【0198】
パート1のコホート1~8には、最大で約44人の患者が登録される。合計6つの投与量レベルを評価する。
●用量漸増コホート1=0.2mg/kg Q2W
●用量漸増コホート2=0.63mg/kg Q2W
●用量漸増コホート3=2mg/kg Q2W
●用量漸増コホート4=6.3mg/kg Q2W
●用量漸増コホート5=10mg/kg Q2W
用量漸増コホート6=16mg/kg Q2W
【0199】
コホート1~6中にRP2Dが達成されない場合、RP2Dを考慮して、追加の2つの用量レベルが含まれ得る:
●用量漸増コホート7=10mg/kg QW
●用量漸増コホート8=16mg/kg QW
【0200】
パート1では、連続的に増加する用量のG9.2-17(IgG4)を、Q2W(コホート1~6)またはQW(コホート7~8)のいずれかのIV注入によって投与する。
【0201】
コホート1~6については、一度に2人の患者に投与する。用量漸増は、以前の用量レベルでのDLTの発生と、以前のコホートからの他の関連する安全性及び用量データに焦点を当てた患者の安全性データの分析に基づいて開始され得る。用量漸増は、少なくとも28日(1サイクル)後に行ってもよい。
【0202】
コホート6の完了後設計内で、RP2Dに到達していないことを条件として、週1回(QW)G9.2-17 IgG4投与スキーマを評価するものとする。コホート6からの安全性データが分析され、DLTが特定されていない場合、患者はコホート7に入ることができる。
【0203】
コホート7及び8の用量レベル毎に4人の患者が、各28日サイクルの1、8、15、及び22日目に、QWのG9.2-17 IgG4のIV注入を受けるように割り当てられる。コホート7の最初の4人の患者から始めて、次のコホートへの用量漸増は、DLTが同定されなかった場合に行われる。
【0204】
RP2Dが同定される前に初期コホートで処置された患者は、RP2Dレベルまで用量漸増することが可能になる。患者は、毒性、疾患進行、または他の理由で処置が中止されるまでRP2Dを継続することができる。
【0205】
用量漸増は、事前の用量レベルで処置された患者におけるDLTの発症に基づいている。各用量コホートでは、事前のDLT確率は、GLP準拠の毒性研究及び前臨床モデルから特定されるものとする。指定された標的DLT率及び用量レベルの総数について、パワーモデルd^exp(a)のスケルトンは、PK/PDデータで調整された事前のMTDまたはOBDを使用して、Lee及びCheungのアプローチに従って生成され、用量レベルの中央値及び間隔の測定値は、デルタ=0.05で位置である(Lee and Cheung、2011)。パラメーター「a」の事前分布は、事前分散の情報が最も少ない平均ゼロ正規分布を有する。RP2Dは、パート1から導出されたOBD/MTD用量である。
【0206】
DLTウィンドウ外で毒性(IMARを含む)を経験した患者では、臨床上の利益が得られている場合にのみ、用量低減が許可され、G9.2-17 IgG4の低用量で継続して得られ得る。G9.2-17 IgG4の用量は、プロトコールに提示されている用量変更ガイダンスの定義に従って、最初に50%低減し、さらに、50%低減する可能性がある。さらなる用量低減は許可されない。用量変更の詳細な指示については、付録8を参照されたい。
【0207】
パート1併用処置:用量漸増
パート1併用処置(以下に列挙されるコホート9~14)では、患者は、4+2設計アルゴリズムを使用して投与される。各疾患適応(コホート9及び10-膵管腺癌[PDAC]、コホート11及び12-頭頸部[H/N]、コホート13及び14-尿路上皮癌)は、以下のように、独立したコホートで実施される:
●併用コホート9=G9.2-17 IgG4 6.3mg/kg QW+ゲムシタビン/nab-パクリタキセル(PDAC)(最大n=10)
●併用コホート10=G9.2-17 IgG4 16.0mg/kg QW+ゲムシタビン/nab-パクリタキセル(PDAC)(最大n=10)
●併用コホート11=G9.2-17 IgG4 6.3mg/kg QW+4週間毎に300mgのチスレリズマブ(Q4W)(H/N)(最大n=6)
●併用コホート12=G9.2-17 IgG4 16.0mg/kg QW+チスレリズマブ300mg Q4W(H/N)(最大n=6)
●併用コホート13=G9.2-17 IgG4 6.3mg/kg QW+チスレリズマブ300mg Q4W(尿路上皮)(最大n=6)
●併用コホート14=G9.2-17 IgG4 16.0mg/kg QW+チスレリズマブ300mg Q4W(尿路上皮)(最大n=6)
【0208】
コホート9、11、及び13(それぞれ、PDAC、H/N、及び尿路上皮に対して6.3mg/kgより低用量)は、並行して実行することができる。これらのコホートの各々のより高い用量(16.0mg/kg)では、登録DLTが発生し、他の安全性パラメーターが評価される。
【0209】
用量の段階的増加
サイクル1中にDLT(複数可)が発生した場合、次のことが発生する。コホート9のサイクル1中に、4人の患者のうちの1人がDLTに達した場合、さらに2人の患者が同じコホートに追加されるものとする。コホート9の4~6人の患者のうち2人以上の患者がDLTに到達した場合、コホート10は、G9.2~17 IgG4のより低い用量で開始される場合がある。同じ手順が、それぞれ、コホート11~12及び13~14に使用されるものとする。
【0210】
DLTウィンドウ外で毒性(IMARを含む)を経験した患者では、臨床上の利益が得られている場合に、用量低減が許可され、G9.2-17 IgG4の低用量で継続して得られ得る。G9.2-17 IgG4の用量は、プロトコールに提示されている用量変更ガイダンスの定義に従って、最初に50%低減し、さらに、50%低減する可能性がある。さらなる用量低減は許可されない。
【0211】
パート2:拡大
パート1コホートのいずれかにおいて安全性が確立され、予備的有効性及び/またはPDシグナルが同定されると、その特定の腫瘍タイプにおける安全性及び有効性をさらに評価するために、1つ以上の拡大コホートを開始してもよい。拡大アームの各々についての試料サイズは、パート1で調査された各腫瘍タイプについて、(1)標準的なケアで利用可能な推定値[帰無仮説]対(2)提案された併用療法で予想される推定値[対立仮説]に基づいて決定される。プロトコール修正版は、パート2を開始する前に、拡大集団、処置レジメン、及び統計的方法についての詳細とともに提出され得る。
【0212】
パート2では、患者は、(パート1で決定されたように)G9.2-17 IgG4のRP2Dを単剤として、または頭頸部癌、尿路上皮癌、または他の固形腫瘍を有する患者ではPD-1チスレリズマブと組み合わせたRP2D-1を受ける。
【0213】
G9.2-17 IgG4。何らかの理由で同日投与が不可能な場合は、初日に、チスレリズマブが投与され、翌日に、G9.2-17(IgG4)が投与されてもよい。
【0214】
試験目的及び評価項目
パート1-用量漸増
【表3-1】
【表3-2】
パート2:コホート拡大
【表4-1】
【表4-2】
【0215】
単剤及び併用治療
固形腫瘍患者(例えば、頭頸部癌または尿路上皮癌)のための単剤コホートまたは併用剤コホートの治療は、並行して実行されてもよい。
【0216】
G9.2-17 IgG4単独治療
単独治療におけるG9.2-17 IgG4の開始用量は、パート1で特定されたRP2Dであり得る。ステージIの23人の患者に対して治験薬を試験した後、この治験群は、応答する患者が1人以下である場合、中止する場合がある。治験が、Simonの最適設計のステージIIに進む場合、単剤治療群のそれぞれで約33人の患者が追加処置されるものとする。応答患者の総数が5人以下である場合、その治療群内の治験薬は、拒否される。ORR-3が確認された患者が6人以上である場合、その治療群のパート3拡大コホートが、活性化され、プロトコールの修正版に記載されている。
【0217】
臨床的利益が得られている場合、用量低減が許容されてもよく、より低用量のG9.2-17 IgG4で引き続き導出されてもよい。G9.2-17 IgG4の用量は、本明細書で提供されている用量変更ガイダンスの定義に従って、最初に50%低減し、さらに、50%低減する可能性がある。
【0218】
G9.2-17 IgG4+チスレリズマブ併用治療
チスレリズマブとの併用治療におけるG9.2-17 IgG4の用量は、RP2D-1であり、これは、パート1で同定されたRP2D用量の直前の用量である。最適な2段階設計は、ORR-3が10%以下であるという帰無仮説と、ORR-3が25%以上であるという対立仮説を検定するためにも使用され得る。
【0219】
患者の安全性を確保するために、最初の8人の患者に投与する安全性ランインが実施される。この治療群は、25%の目標毒性レベル(TTL)を下回るDLTを発症した患者が2人以下の場合にのみ登録を継続してもよい。3人以上の患者がDLTを発症した場合、この併用治療群は、処置されるがんタイプのために中止される場合がある。処置の最初の28日間に、患者に対する8回の安全運転のいずれかで、DLTが発生した場合、その患者は、治験薬の投与を永久に中止される場合がある。
【0220】
DLTウィンドウ外で毒性を経験した患者では、臨床上の利益が得られている場合にのみ、用量低減が許可され得、G9.2-17 IgG4の低用量で継続して得られ得る。G9.2-17 IgG4の用量は、プロトコールに提示されている用量変更ガイダンスの定義に従って、最初に50%低減し、さらに、50%低減する可能性がある。さらなる用量低減は許可され得ない。チスレリズマブの用量変更もまた、本明細書のガイダンス及び以下の表7によって定義されるように許容されてもよい。
【0221】
いずれかの薬剤の用量低減により管理できないIMARが発生/再発した場合、両方の治験薬を中止される場合がある。
【0222】
用量制限毒性(DLT)基準
この治験で評価された用量制限毒性は、臨床的に重大な血液学的AE及び/または非血液学的AE、または転移性腫瘍疾患の進行、併発疾患、または併用投薬と無関係であると評価された異常な検査値として定義され、治験薬に関連している可能性があるか、または関連しており、試験の最初のサイクル(28日間)中に行われている。処置の最初の28日間にパート1またはパート2でDLTを経験した患者は、治験薬の投与を永久に中止される。
【0223】
DLTは、以下の基準のいずれかを満たす毒性である:
●基礎疾患または外部原因が明らかでない任意の死亡
●以下のように、潜在的な薬物誘発性肝障害の徴候(ハイの法則の場合):
○ALTまたはASTが、正常上限(ULN)の3倍を超え、24時間後の再検査で確認され、及び
○血清総ビリルビン(TBL)>2×ULN(24時間後の再検査により確認)
○TBL及び/またはAT、例えば、ウイルス性肝炎(A、B、またはC)、アルコール性肝炎もしくは自己免疫性肝炎、既存もしくは急性肝疾患、胆嚢閉塞または胆管疾患、ギルバート氏症候群、疾患の進行、または観察された影響を引き起こす可能性のある別の投薬、の上昇については、他に説明が見出すことができない。
●任意の持続期間を問わず、全てのグレード4の非血液学的毒性及び血液学的毒性
●全てのグレード3の非血液毒性及び血液毒性。例外は、次の通りである:
○入院または完全非経口栄養サポートを必要とせず、支持療法で48時間以内にグレード2以下まで管理することができるグレード3の悪心、嘔吐、及び下痢。
○グレード3の電解質異常が、24時間以内にグレード2以下に修正される。
○持続時間が24~72時間未満で、臨床的に複雑ではなく、自然に回復するか、従来の医療介入に応答するグレード3の電解質異常。
○膵炎の症状または臨床症状を伴わないグレード3以上のアミラーゼまたはリパーゼ。
【0224】
統計的方法:
試料サイズ
用量漸増は、事前の用量レベルで処置された患者におけるDLTの有無に基づいている。各用量コホートでは、事前のDLT確率は、優良試験所基準(GLP)準拠の毒性研究及び前臨床モデルから特定されるものとする。指定された標的DLT率及び用量レベルの総数について、パワーモデルd^exp(a)のスケルトンは、薬物動態(PK)/薬力学(PD)データで調整された事前のMTDを使用して、Lee及びCheung(2011)のアプローチに従って生成され、用量レベルの中央値及び間隔の測定値は、デルタ=0.05で位置である。パラメーター「a」の事前分布は、事前分散の情報が最も少ない平均ゼロ正規分布を有する。最低研究用量レベルに対するアグレスティ及びクールのCIの下限が目標DLT率を超える場合、安全のために試験が停止される。
【0225】
1000回の反復を用いたCRM試験シミュレーション分析は、RP2Dの選択を知らせるために平均約20人の患者が必要であることを示唆し、RP2Dは、DLTがTTLの25%以下の推定確率を有する最大用量である。使用されるCRMは、最初の6つのコホートに基づいているが、コホート7~14からのデータもまた、RP2Dを決定するために使用されるため、それ自体が必ずしもRP2Dを決定するとは限らない。
【0226】
この研究のパート1では、合計約80人の患者の試料サイズが予想される。バックフィルは、必要と思われる場合、追加の患者の登録を提供する。
【0227】
本研究のパート2(コホート拡大相)は、パート1で安全性及び予備的有効性が実証された腫瘍タイプの患者におけるLYT-200の安全性及び有効性を確立するためのSimonの2段階最適設計を採用することができる。パート2では、総試料サイズは、パート1単剤及び併用コホートにおける安全性及び有効性所見の結果として選択された拡大コホートの数に依存し得る。
【0228】
無作為化層別:
これは非盲検試験である。パート1では、患者は、研究のCRM設計に従って治療に割り当てられるべきである。パート2では、患者は、例えば、選択基準及び除外基準に沿って、治療群に割り当てられるものとする。
【0229】
分析母集団
別途明記のない限り、包括解析(ITT)集団は、治験薬を少なくとも1回投与された患者として定義され得る。一次有効性分析は、ITTに対して実施され得る。ITTでは、患者の処置が実施され得る。
【0230】
有効性母集団は、ITT内で少なくとも1つの測定可能なORR3またはPFS6評価を有する全ての患者として定義され得る。この母集団は、感度分析に使用され得る。
【0231】
プロトコール別(PP)集団は、G9.2-17(IgG4)を少なくとも1サイクル受け、プロトコールから大きな逸脱がなかった患者として定義され得る。
【0232】
安全性集団(SAF)は、治験薬を少なくとも1回投与される全ての患者として定義され得る。安全性分析は、SAFに対して実施され得る。
【0233】
PK/PD集団は、G9.2-17(IgG4)を少なくとも1サイクル受けている患者として定義され得る。
【0234】
一般統計計画
データベースロック及び一次分析は、最後の患者が一次エンドポイント事象を有した後に実施され得る。最終的な治験分析は、治験完了後に実施されてもよい。全ての分析は記述的であり得る。
【0235】
安全性分析
全ての安全性分析は、別途指定されない限り、SAF上で行われ得、記述的統計を使用して分析され得る。
【0236】
有効性分析
RECIST v1.1に従って評価された疾患応答は、ITT及びPPについて説明的に要約され得る。感度分析は、有効性母集団について実施され得る。
【0237】
薬物動態、薬力学、及び免疫原性
PK、PD、及び免疫原性は、PK/PD母集団について記述的に要約することができる。
【0238】
評価予定
治験薬の投与を除いて、表3に提供される評価の評価予定は以下の通りである:G9.2-17 IgG4処置は、各サイクルのC1D1及びC1D15に投与されてもよい。パート2では、チスレリズマブは、G9.2-17 IgG4併用レジメンにおける各サイクルの1日目に投与されてもよい。治験薬は、C2以降、1日目、8日目、及び15日目±3日に投与され得る。G9.2-17 IgG4+チスレリズマブで処置された全ての患者は、潜在的な免疫介在性有害反応(IMAR)の評価のために、治験薬の最後の投与から90日+/-7日後に戻らなければならない)。
【0239】
研究集団
患者は、以下の組み入れ基準を満たし、除外基準のいずれも満たしていない後に研究の対象となる。
【0240】
包含基準
パートI
1.書面によるインフォームドコンセント(精神的に正常な患者、インフォームドコンセント書を理解することができ、署名する意思がある)
【0241】
2.年齢18歳以上、男性または妊娠していない女性
【0242】
3.治験責任医師の判断に従って、治験プロトコールに従うことができる
【0243】
4.組織学的に確認された、切除不能な局所進行性または転移性がん。患者がこの研究に登録されているがん状態の治療のために受けた療法の以前のラインに制限はない。
a.パート1の併用尿路上皮癌コホート:切除不能な、局所進行性または転移性の腎盂、尿管、膀胱、または尿道の尿路上皮癌(すなわち移行上皮癌)の組織学的または細胞学的に確認された診断。
b.パート1併用頭頸部癌コホート:組織学的に確認された、局所進行性または転移性のSCCHN(口腔、中咽頭、下咽頭、または喉頭)。
【表5-1】
【表5-2】
【表5-3】
【表5-4】
【表5-5】
【0244】
5.尿路上皮及び頭頸部併用がんコホートの場合、免疫療法への事前曝露は、標準的なケア治療の選択肢及び/または臨床試験の文脈内で許容される。患者が任意の時点で抗PD-1及び/または抗PD-L1含有レジメンを受けた場合、これらの測定値が利用可能である場合、RECIST1.1.またはiRECIST基準に従って、これらの治療レジメンのうちの1つに対して少なくとも安定した疾患を示していなければならない。RECISTまたはiRECIST測定が利用できない場合、少なくとも4ヶ月の臨床PFSが、以前の抗PD-1及び/または抗PD-L1含有レジメンのいずれかで達成されている必要がある。
【0245】
6.パート1の尿路上皮及び頭頸部コホートの組み合わせにはPD-L1発現要件はないが、IHCによるPD-L1の評価には新たな生検またはアーカイブ組織が必要であるか、またはIHCによる過去のPD-L1発現が利用可能でなければならない。PD-L1発現データが既に利用可能である場合、これは、可能な限り新たな生検を得るためのプロトコールの優先順位を変更しない。
【0246】
7.中咽頭由来のパート1の併用コホート頭頸部癌患者:ヒトパピローマウイルス(HPV)の状態は、スクリーニング期間中、または患者が治験薬を服用している間の任意の時点で、それが過去に知られていない限り、確立される必要がある。HPV+、HPV RNA ISHまたはDNA PCRの代替物としてのp16+は全て許容される。本研究は、HPV+及びHPV-患者の両方を許容する。
【0247】
8.治験責任医師の判断に従った、3ヶ月超の平均余命。
【0248】
9.ECOGパフォーマンスステータス0~1。
【0249】
10.処置前及び処置中/処置後の生検を受けることができ、受けたい患者。治験責任医師の判断によれば、計画された生検は、患者を合併症の大幅なリスク増加に曝露すべきでない。生検を繰り返す際に、同じ病変を生検するように、あらゆる取り組みがなされる。患者が他の全ての基準に従って適格であるが、生検に同意しない場合、または生検を妨げる他の医学的理由がある場合、これは治験委託者と議論される。
【0250】
11.RECIST v1.1に従って、測定可能な疾患。生検を目的とした病変が、標的病変であるべきでないことに留意すべきである。
【0251】
12.過去7日以内に抗がん治療が施されていないことを条件として、治験薬による処置の初回投与前に得られた以下の臨床検査結果で定義される、十分な血液機能及び末端臓器機能:
a.好中球数≧1×109/L
b.血小板数≧100×109/L;パート1の肝細胞癌(HCC)≧50×109/Lの場合
c.前週の輸血なしでヘモグロビン≧9.0g/dL
d.クレアチニン≦1.5×ULN;またはeGFR>50mg/mmol
e.アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼAST(SGOT)≦3×ULN(HCCまたは肝転移がある場合、≦5×ULN)
f.アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT[SGPT])≦3×ULN(HCCまたは肝転移がある場合、≦5×ULN)
g.ビリルビン≦1.5×ULN(既知のギルバート病患者は、ビリルビン≦3.0×ULNを有し得る)
h.アルブミン≧3.0g/dL
i.抗凝固療法を受けている患者を除き、国際標準比(INR)及び部分トロンボプラスチン時間(PTT)≦1.5×ULN。
【0252】
13.活動性重篤感染または非経口抗生物質を必要とする感染の証拠がない。
【0253】
14.妊娠の可能性のある女性は、処置開始前72時間以内に妊娠検査結果が陰性でなければならない。妊娠の可能性のある女性の場合:治療期間中及び最後の治験治療後少なくとも180日間、禁欲を続ける(異性間性交を控える)か、または失敗率が年間1%未満となる避妊方法を使用することに同意する。
【0254】
女性は、初経後であり、閉経後の状態に達しておらず(閉経以外の原因が同定されず、連続12ヶ月以上の無月経)、かつ、外科的不妊手術(卵巣及び/または子宮の摘出)を受けていない場合、妊娠の可能性がある。
【0255】
失敗率が年間1%未満の避妊方法の例としては、両側卵管結紮、男性不妊手術、排卵を阻害するホルモン避妊薬、ホルモン放出子宮内避妊具、及び銅製子宮内避妊具が挙げられる。性的禁欲の信頼性は、臨床試験の期間及び患者の好みの通常のライフスタイルに関連して評価されるべきである。定期的な禁欲(例えば、カレンダー、排卵、症状体温法、または排卵後の方法)及び離脱は、許容される避妊方法ではない。不妊症の証拠が存在しない限り、生殖能力のある男性は、研究中に効果的な避妊方法を実践しなければならない。
【0256】
15.最初のG9.2-17(IgG4)の投与前の最後の抗がん療法投与から4週間または5半減期(どちらか短い方)。
【0257】
16.ビスホスフォネート処置(例えば、ゾレドロン酸)またはデノスマブは、臨床試験の開始前に以前に使用された場合に許容される。
【0258】
17.患者:
a.転移性または局所進行性の疾患に対して少なくとも1つの事前の一連の全身療法を既に受けている者、及び/または
b.利用可能な標準治療の選択肢がない腫瘍タイプの者。
【0259】
18.ゲムシタビン含有レジメンを以前に受けていない患者。
【0260】
除外基準
1.患者がプロトコールの要件に従うことを望まない、または従うことができない
【0261】
2.原発不明の転移性がんと診断された患者
【0262】
3.現在の違法薬物中毒(医療用及び娯楽用大麻/カンナビジオール[CBD]/テトラヒドロカンナビノール[THC]は、「違法」とみなされないであろう)
【0263】
4.臨床的に重大な活動性の制御不能な出血、及び出血性素因(例えば、活動性の消化性潰瘍疾患)を有する任意の患者。抗凝固剤の予防的または治療的使用は許可される。
【0264】
5.妊娠中及び/または授乳中の女性
【0265】
6.他の任意の治験薬を投与されること、あるいは治験薬の初回投与より前の3週間以内もしくは投与薬剤の5半減期以内(いずれか短い方)に固形腫瘍の処置のために別の治験薬を含む他の任意の臨床試験、または、治験薬の初回投与から4週間以内に大手術もしくは予定されている手術(これには歯科手術が含まれる)に参加すること。
【0266】
7.骨痛または局所的に痛みを伴う腫瘍塊の処置などの限定された領域に対する緩和的放射線療法を除く、治験薬の初回投与から4週間以内の放射線療法。これは、応答評価に必要な測定可能な病変を危険にさらさない(RECIST v1.1)。
【0267】
8.真菌性腫瘍塊がある患者
【0268】
9.臨床試験の結果を混乱させる可能性があり、治験の全期間を通じて患者の参加を妨げるか、または治験責任医師の意見によれば参加することが患者の最善の利益にならない、任意の状態、療法、任意の活動性感染、または検査所見の異常(laboratory abnormality)についての過去または現在の証拠
【0269】
10.事前のチェックポイント阻害薬によるグレード4の免疫介在性毒性。免疫療法処置の中止につながったグレード2またはグレード3の肺炎、または他のグレード3のチェックポイント阻害薬関連の毒性。低悪性度(グレード3未満)の毒性、例えば、事前の処置による神経障害、管理可能な電解質異常及びリンパ球減少症、脱毛症、ならびに白斑は許容される。
【0270】
11.他の積極的な治療を必要とする他の以前のまたは他の併発する悪性腫瘍の病歴。
【0271】
12.活動性脳、がん性髄膜炎または軟髄膜転移を有する患者。脳転移のある患者は、根治的治療後少なくとも4週間に臨床的及びX線像で安定した疾患を示しており、治験薬の初回投与前の少なくとも4週間、ステロイド(10mg/日以上のプレドニゾンまたは同等物)を使用していないならば、適格である。
【0272】
13.重症もしくは制御不能な全身疾患、うっ血性心不全>ニューヨーク心臓協会(NYHA)クラス2、6ヶ月以内の心筋梗塞(MI)、または治験責任医師の見解では患者が治験に参加することが望ましくない検査所見の証拠
【0273】
14.患者の安全性を損なう重大な症状であると治験責任医師が判断するか、またはLYT-200毒性評価の解釈を損なう医学的状態
【0274】
15.治癒していない重篤な創傷、活動性潰瘍、または治療されていない骨折(例えば、治療を引き起こさない肋骨骨折を除く)
【0275】
16.制御不能な胸水、心嚢水、または繰り返し排液手続きを必要とする腹水。この治験の目的では、「再発」は、過去30日間に33回以上のドレーンと定義される。
【0276】
17.キメラ抗体またはヒト化抗体または融合タンパク質に対する重度のアレルギー反応、アナフィラキシー反応、または他の過敏反応の病歴
【0277】
18.サイクル1、1日目から6ヶ月以内の重大な血管疾患(例えば、外科的修復を必要とする大動脈瘤、または最近の動脈血栓症)
【0278】
19.サイクル1、1日目前の3ヶ月以内の肺塞栓症、脳卒中、または一過性虚血発作の病歴
【0279】
20.活動性自己免疫疾患(I型/II型糖尿病、ホルモン補充のみを必要とする甲状腺機能低下症、白斑、乾癬、または円形脱毛症を除く)。
【0280】
21.限定されないが、シクロホスファミド、アザチオプリン、メトトレキサート、サリドマイド、及び抗腫瘍壊死因子(抗TNF)剤を含む、全身的な免疫抑制治療を必要とする。急性の低用量の全身性免疫抑制薬(例えば、10mg/day以下のプレドニゾンまたは同等物)を投与されたか、または投与されている患者が登録され得る。補充療法(例えば、副腎または下垂体機能不全に対するチロキシン、インスリン、生理的コルチコステロイド補充療法[例えば、プレドニゾン換算値10mg/日以下])は、全身処置の一形態とはみなされない。吸入コルチコステロイド及びミネラルコルチコイド(例えば、フルドロコルチゾン)、局所ステロイド、鼻腔内ステロイド、関節内ステロイド、及び眼科用ステロイドの使用が許可される
【0281】
22.広範な鎮痛介入(経口及び/またはパッチ)に反応しない、重症の腫瘍関連疼痛(グレード3、CTCAE v.5.0)
【0282】
23.ビスホスフォネートの使用にもかかわらず、高カルシウム血症(CTCAE v5.0による3グレード3)
【0283】
24.治験薬の使用を禁忌とするか、または結果の解釈に影響を与えるか、もしくは患者の処置の合併症のリスクを高くし得る疾患または状態の合理的な疑いを与える他の任意の疾患、代謝機能障害、身体検査所見、または臨床検査所見
【0284】
25.臓器移植(複数可)を投与した
【0285】
26.透析を受けている患者
【0286】
27.パート1では、ホルモンアンドロゲン遮断療法が、転移性去勢抵抗性前立腺癌患者に対する継続が許可される
【0287】
28.治験参加前の6週間未満のHCCに対する、任意の切除療法(高周波切除または経皮的エタノール注射)
【0288】
29.肝性脳症または重症の肝腺腫
【0289】
30.チャイルドピュースコア≧7
【0290】
治験薬及び他の介入
治験介入(複数可)は、治験プロトコールに従って、治験参加者に投与/使用されることを意図された治験薬(複数可)、市販製品(複数可)、プラセボ、または医療デバイス(複数可)として定義される。
【0291】
G9.2-17 IgG4と組み合わせて投与される薬剤
チスレリズマブ
チスレリズマブは、がん治療のために開発されているPD-1阻害mAb薬剤である。チスレリズマブは、10mLの緩衝等張溶液中に合計100mgのチスレリズマブmAbを含有するゴムストッパーを備えた使い捨てガラスバイアル(20Rガラス、USP I型)中でのIV注射のために製剤化される。チスレリズマブは、28日サイクルで4週間毎に300mgを(別途指示がない限り)約30分間かけて静脈内注入として投与される。
【0292】
チスレリズマブの有効成分は、高い特異性及び親和性(KD=0.15nM)を有するヒトPD-1のECDに結合する、PD-1に対するヒト化IgG4バリアントmAbである。チスレリズマブの賦形剤としては、クエン酸ナトリウム二水和物、クエン酸一水和物、L-ヒスチジン塩酸塩一水和物、L-ヒスチジン、トレハロース二水和物、ポリソルベート-20、及びWFIが挙げられる。チスレリズマブは、in vitro細胞系アッセイにおいて、PD-L1及びPD-L2の両方の結合を競合的に遮断し、PD-1媒介性の陰性シグナル伝達を阻害し、T細胞における機能的活性を増強する。加えて、チスレリズマブは、いくつかのヒトがん同種異種移植片モデル及びヒトPD-1トランスジェニックマウスモデルにおいて抗腫瘍活性を示した。
【0293】
IgG4バリアント抗体は、in vitroアッセイによってFcγ RIIIA及びC1qに対する非常に低い結合親和性を有し、ヒトにおけるADCC及びCDC効果が低いか、または効果がないことを示唆する。天然IgG4抗体とは異なり、チスレリズマブは、in vitroアッセイによって観察可能なFab-アーム交換活性を有さず、抗体がin vivoで安定であり、二重特異性抗体を形成する可能性は低いと予測する。
【0294】
様々な進行した固形腫瘍にわたるチスレリズマブ曝露と有効性との間の曝露反応(E-R)関係は、300mgのQ4Wレジメンを支持する。300mgのQ4Wレジメンは、安全性または有効性の転帰の点で200mgのQ3Wと臨床的に異なることは予想されない。
【0295】
チスレリズマブの安全性プロファイルは、治療関連グレード3以上の毒性を比較的低い割合で有する薬物の治療クラスと一致する。
【0296】
チスレリズマブAEは、それらの発生頻度に従って以下の表4に提示される。IMARに関連する可能性のある報告されたAEを、表5にまとめる。
【表6-1】
【表6-2】
【0297】
PD-1媒介シグナル伝達を阻害することによって、チスレリズマブは、抗腫瘍免疫を回復し、腫瘍増殖の進行を停止するように作用する。この免疫系活性の回復は、1つ以上の身体系を含む免疫関連有害反応をもたらす可能性があり、まれに生命を脅かすかまたは致命的になる可能性がある。これらの事象は、通常、チスレリズマブによる治療中に明らかになるが、チスレリズマブ療法の中止後にも生じ得る。
【表7】
【0298】
G9.2-17(IgG4)とチスレリズマブの組み合わせによって引き起こされるIMARの管理については、以下の表6も参照されたい。
【表8-1】
【表8-2】
【表8-3】
【表8-4】
【表8-5】
【表8-6】
【表8-7】
【表8-8】
【表8-9】
【表8-10】
【0299】
併用治療群で発生する非IMAR、血液学的及び非血液学的AEについては、因果関係の評価に基づいて:
○G9.2-17 IgG4に関連する場合、G9.2-17 IgG4のAE管理指示に従う
○併用剤に関連する場合(チスレリズマブ)、チスレリズマブについては表7の管理指示に従う。
【0300】
用量の変更
パート1におけるG9.2-17 IgG4の次の用量レベルに進むという決定は、以前の用量レベルで少なくとも2人の患者で得られた安全性、耐容性、及び予備的PKデータに基づいて行われてもよい。
【0301】
投与スケジュールはまた、得られたPKデータに基づいて調整され得る。表7~9に記載されるように、詳細な用量変更指示が利用可能である。
【表9】
【表10-1】
【表10-2】
【表10-3】
【表10-4】
【表10-5】
【表10-6】
【表10-7】
【表11-1】
【表11-2】
【0302】
用量投与及び用量遅延
注入関連の反応が発生した場合は、注入を中断し、臨床的に必要な場合は、関連投薬(複数可)(例えば、抗ヒスタミン薬、制吐薬、ステロイド薬、抗発熱薬、ベータ遮断薬(複数可)など)を投与する。注入を再開することが適切であると判断された場合は、より遅い注入速度で再開する。
【0303】
同じ患者のその後のサイクルでは、臨床的に必要な適切な前投薬(抗ヒスタミン薬、制吐薬、ステロイド薬、抗発熱薬、ベータ遮断薬(複数可)など)を適用し、より遅い注入速度を利用することを検討する。
【0304】
1つ以上の治験薬に関連する可能性があるか、または関連する臨床的に有意なグレード3以上のAEが発生した場合、投与を継続する前に、メディカルモニターと協議する。Aグレード3以上のAEについては、用量遅延が必要である場合がある。
【0305】
用量低減
DLTについて評価されている患者(28日DLTウィンドウ内)については、用量低減は許容されない。用量低減が必要な場合、治験介入は以下のように投与される:
【0306】
パート1及び2のG9.2-17 IgG4単独の患者の場合:臨床的利益が得られていると評価され、用量低減条件下で継続して得られ得る場合、用量低減は許容され得る。表8(IMARについて)または表9(他のAEについて)を参照されたい。
【0307】
G9.2-17 IgG4またはG9.2-17 IgG4チスレリズマブのパート2併用治療コホートについて、承認された製品ラベルに要約されているように、承認された薬物の臨床試験から得られた経験は、チスレリズマブを完全に遅延させる、その用量を低減する、及び/または保留することに関するガイダンスを含む有害事象管理情報を提供する。表6~7及び9を参照されたい。
【0308】
チスレリズマブの投与に関連する特定のAEに対する用量変更
特定のAEに基づくチスレリズマブ修飾の推奨が、表6(IMARについて)及び表7(他のAEについて)に提供される。
【0309】
IMARの用量変更
IMARが発生した場合、G9.2-17 IgG4及び/またはチスレリズマブの用量管理に関するガイダンスについては、表8及び表6を参照されたい。有害事象がIMARであることを確認するための全ての関連する医療検査(複数可)/試験(複数可)。
【0310】
治験介入の中止
まれな場合では、患者が治験介入を永久に中止する必要があり得る。疾患進行以外の理由で治験介入が永久に中止され、患者が他の抗がん療法(複数可)で処置されていない場合、患者は、最長2年間、疾患進行について評価され続ける。治験介入及び追跡調査の中止時に収集されるべきデータ、及び完了する必要があるさらなる任意の評価については、評価スケジュール表を参照されたい。
【0311】
治験担当者は、治験処置中止の理由の1つ(疾患の進行、治験薬に関連する毒性、同意の撤回)が満たされるまで、患者を治験処置に継続させるためにあらゆる取り組みをなさなければならない。患者がX線検査上進行を有する場合、明確な臨床的進行がなく、代替処置が開始されない場合、患者は、治験処置を継続し得る。しかし、患者が、X線検査による進行がなく臨床的進行が明らかな場合、治験処置を停止すべきであり、利用可能な処置選択肢について患者にアドバイスした。
【0312】
以下のいずれかの理由により、患者が、疾患進行前に中止され得る。
●本明細書で提供される定義によるDLT
●AEは、研究処置(複数可)の中止が必要なDLTウィンドウ外で発生/再発する
●研究処置(複数可)の中止が必要なIMARが発生/再発する
●処置のさらなる投与を予防するか、または治験処置に継続する場合、患者の安全性を危険にさらし得る併発疾患または病状
●妊娠
●非プロトコール抗がん療法の使用
以下のいずれかの理由により、患者が、疾患進行前にも中止され得る:
●患者側のプロトコールからの重大な逸脱(コンプライアンスの欠如を含む)
【0313】
併用療法
参加者が、登録時に投与されているか、または研究中に投与されるあらゆる投薬またはワクチン(市販薬または製剤化薬、レクリエーション用薬物、ビタミン、及び/またはハーブサプリメントを含む)は、以下の情報とともに記録する必要がある。
●使用理由
●開始日及び終了日を含む投与日
●投与量及び頻度を含む投薬量情報
【0314】
許可されている投薬
以下の併用投薬が許可されている:
●併用処置レジメンの患者に対する標準治療の前投薬。
●骨転移に対するビスホスフォネート処置(例えば、ゾレドロン酸)またはデノスマブの継続が、処置前の少なくとも6ヶ月間安定している(C1D1)。
●吸入コルチコステロイド及びミネラルコルチコイド(例えば、フルドロコルチゾン)、局所ステロイド、鼻腔内ステロイド、関節内ステロイド、及び眼科用ステロイドの使用。
●抗凝固剤の予防的または治療的使用\
●COVID-19、一般的なインフルエンザ、及び/または他の一般的な臨床的に必要な適応症(例えば、破傷風、肺炎球菌、HBVなど)に対するワクチン接種が、研究期間前または研究期間中に許可される。ワクチンの時期及び種類を記録しなければならない。
【0315】
禁止されている投薬
この治験中は、以下の投薬の服用が許可されない:
●任意の適応症の場合、G9.2-17 IgG4以外の他の治験薬の併用投与
●限定されないが、シクロホスファミド、アザチオプリン、メトトレキサート、サリドマイド、及び抗TNF剤が含まれる全身的な免疫抑制処置。しかし、患者は、急性の低用量の全身性免疫抑制薬の服用が許可される(例えば、プレドニゾンまたは同等品を10mg/日以下)。
●補充療法(例えば、副腎または下垂体機能不全に対するチロキシン、インスリン、生理的コルチコステロイド補充療法[例えば、プレドニゾン相当量の10mg/日以下])は全身処置の一形態とはみなされない。
【0316】
有効性評価
全ての有効性評価の計画された時点を評価スケジュールの表に提供する。
【0317】
腫瘍評価のRECIST v1.1基準
スクリーニング腫瘍評価では、腫瘍病変/リンパ節は、測定可能または測定不可能に分類され、測定可能な腫瘍病変は、測定面の最長直径に従って記録される(病理学的リンパ節は除き、これを最短軸で測定する)。スクリーニングで複数の測定可能な病変が存在する場合、関係する全ての臓器を代表する合計最大5つの全病変(及び臓器毎に最大2つの病変)標的病変として同定されるべきである。標的病変は、そのサイズ(直径が最も長い病変)に基づいて選択すべきである。全ての標的病変の直径の合計が計算され、ベースライン合計直径として報告され得る。
【0318】
病理学的リンパ節を含む他の全ての病変(または疾患部位)は、非標的病変として特定され、スクリーニング時にも記録されるべきである。測定は必要なく、これらの病変は、「存在」、「不在」、または「明確な進行」として追跡されるべきである。
【0319】
腫瘍標的病変を、以下の疾患応答手段を使用して、RECIST v1.1ガイドライン(Eisenhauer et al.,2009)に従って評価される。
●完全奏効(CR):全ての標的病変の消失。(標的か非標的かにかかわらず)病理学的リンパ節のいずれかは、短軸が10mm未満の低減を有さなければならない。
●部分奏効(PR):ベースラインの合計直径を基準として、標的病変の直径の合計が少なくとも30%減少する。
●安定した疾患(SD):試験中の最小合計直径を参考として、PRに適格となるのに十分な縮小も、PDに適格となるのに十分な増加もない。
●進行性疾患研究上の最小合計を参考として、標的病変の直径の合計が少なくとも20%増加する(研究上の最小の場合、これには、ベースライン合計が含まれる)。20%の相対的な増加に加えて、合計はまた、少なくとも5mmの絶対的な増加を実証しなければならない。(注:1つ以上の新しい病変の出現も進行とみなされる)。
【0320】
以下のガイドラインは、非標的病変を評価するために使用することができる。以下の表10も参照されたい。
●完全奏効(CR):全ての非標的病変が消失し、腫瘍マーカーレベルが正常化する。全てのリンパ節は、非病理学的大きさ(短軸10mm未満)でなければならない。
●非CR/非PD:1つ以上の非標的病変(複数可)の持続及び/または正常限界を超える腫瘍マーカーレベルの維持。
●進行性疾患(PD):既存の非標的病変の明らかな進行。(注記:1つ以上の新たな病変の出現も進行とみなされる)。
【0321】
様々な時点での疾患応答の測定は、以下の計算が可能になる:
●疾患制御率(DCR)、CR、PR、及びSDを達成している患者の割合として定義される。
●客観的奏効率(ORR)、所定量の腫瘍サイズが低減した患者の割合として定義される(30%以上の腫瘍縮小率)。
●無増悪生存期間(PFS)は、治験薬処置の開始から疾患進行(腫瘍増殖≧30%)までの時間として定義される。
●奏効期間(DoR)、がんが成長または広がることなく、腫瘍が処置に応答し続ける時間の長さとして定義される。
●全生存期間(OS)は、治験薬処置の開始から何らかの原因による死亡までの時間として定義される。
【表12】
【0322】
有害事象の管理
有害事象は、治験薬の最初の用量の投与前には記録されない場合がある。治験薬の投与後に開始するAEか、または病歴に関連して悪化する症状が記録される。AEは、回復するか、ベースラインに戻るか、または安定した状態もしくは慢性状態であると判断されるまで、追跡されるべきである。全てのSAEは、治験薬の最後の投与後30日まで収集されるものとする
【0323】
免疫介在性有害反応
免疫介在性有害反応(IMAR)は、チスレリズマブに対して同定される。
【0324】
注目される具体的なIMARは、次の通りである:
■免疫介在性肝炎
■免疫介在性腎炎
■免疫介在性肺炎
■免疫介在性肺炎
■免疫介在性大腸炎及び下痢免疫介在性内分泌障害
■免疫介在性皮膚反応
■他の免疫介在性有害反応:関節炎、脳炎、横紋筋融解症、筋炎、心筋炎、膵炎、及びブドウ膜炎。
【0325】
監視計画は、合剤開発中に発生するIMARの重症度及び期間を制限することを目的としており、身体検査の予定の訪問、バイタルサイン、血液学を含む安全性実験的評価、生化学、新しい投与サイクルの(投与前)1日目毎の内分泌腺機能の評価、凝固状態の評価、及び尿分析を包含する。評価予定(実施例1を参照されたい)は、3ヶ月に1回の駆出率の評価と定期的なECGの実施も包含する。
【0326】
有害事象がIMARであることを確認するために、全ての関連する医療検査(複数可)/試験(複数可)が実施される。
【0327】
これらのIMARの管理のための指示は、G9.2-17 IgG4単独についての表8、及びG9.2-17 IgG4+チスレリズマブの併用治療の場合についての表6に含まれる。
【0328】
均等物
上記の説明から、当業者は、本発明の本質的な特徴を容易に確認し得、その趣旨及び範囲から逸脱することなく、本発明を様々な変更及び修正を、様々な使用法及び条件に適合させ得る。したがって、他の実施形態も、特許請求の範囲内にある。
【0329】
いくつかの発明の実施形態が、本明細書で記載及び実証されているが、当業者らは、容易に、機能を実施し、及び/または本明細書に記載の結果及び/または利点のうちの1つ以上を取得するための、様々な他の手段及び/または構造を想定しており、そのような変形形態及び/または変更のそれぞれが、本明細書に記載の本発明の実施形態の範囲内であると思われる。より一般には、当業者らは、容易に、本明細書に記載の全てのパラメーター、寸法、材料、及び構成が、例示的なものであり、実際のパラメーター、寸法、材料、及び/または構成が、本発明の教示が使用される特定の用途(複数可)に依存することを理解するであろう。当業者らは、従来の実験のみを使用して、本明細書に記載の特定の本発明の実施形態の多くの均等物を理解するか、または、それを確認することができる。それ故、上述の実施形態が、例としてのみ、添付の特許請求の範囲及びその均等物の範囲内で提示されており、具体的に記載及び請求の範囲に記載されている以外の本発明の実施形態が実施され得ることが理解される。本開示の発明の実施形態は、本明細書に記載される個々の特徴、システム、物品、材料、キット、及び/または方法を対象とする。さらに、そのような特徴、システム、物品、材料、キット、及び/または方法の2つ以上の任意の組み合わせは、そのような特徴、システム、物品、材料、キット、及び/または方法が相互に矛盾しない場合、本開示の発明の範囲内に含まれる。
【0330】
本明細書で定義及び使用される全ての定義は、辞書の定義、参照により組み込まれる文書内の定義、及び/または定義された用語の通常の意味を制御すると理解されるべきである。
【0331】
本明細書に開示の全ての参考文献、特許、及び特許出願は、それぞれが引用されている主題に関して参照により組み込まれ、いくつかの場合では、これは、文書全体を包含し得る。
【0332】
本明細書及び特許請求の範囲において使用される不定冠詞「a」及び「an」は、明確に反対の指示のない限り、「少なくとも1つ」を意味すると理解されるべきである。
【0333】
本明細書及び特許請求の範囲において、本明細書で使用される「及び/または」という表現は、そのように結合された要素の「いずれかまたは両方」、すなわち、いくつかの場合では、結合的に存在し、他の場合には、分離的に存在する要素、を意味すると理解されるべきである。「及び/または」でリストされた複数の要素は、同じように、すなわち、そのように結合された要素の「1つ以上」と解釈されるべきである。具体的に特定された要素に関連しているか、または無関係であるかにかかわらず、「及び/または」節により具体的に特定される要素以外の他の要素が、任意に存在する。したがって、非限定例として、「A及び/またはB」への言及は、「含むこと」などの制限のない言語と組み合わせて使用される場合、一実施形態では、Aのみ(任意に、B以外の要素を含む);別の実施形態では、Bのみ(任意に、A以外の要素を含む);さらに別の実施形態では、A及びBの両方(任意に、他の要素を含む)等を指し得る。
【0334】
本明細書及び特許請求の範囲において、本明細書で使用される場合、「または」は、上で定義された通り、「及び/または」と同じ意味を有すると理解されるべきである。例えば、リスト内の項目を区切る場合、「または」または「及び/または」は、要素の数またはリスト及び、任意に、追加のリストに掲載されていない項目を、包含する、すなわち、それらのうちの少なくとも1つを包含するが、それらのうちの複数も含む、と解釈されるべきである。明らかにそれとは反対に示された用語、例えば、「のうちの1つだけ」もしくは「のまさに1つ」、または特許請求の範囲で使用される場合、「からなる」は、まさに要素の数またはリストの1つの要素を含むことを指す。一般に、本明細書で使用される「または」という用語は、独占的条件が先行する場合、排他的な選択肢(すなわち、「どちらか一方であるが両方ではない」)、例えば、「いずれか」、「のうちの1つ」、「のうちの1つのみ」、または「のうちのちょうど1つ」を示すものとしてのみ解釈されるべきである。特許請求の範囲で使用される場合、「から本質的になる」は、特許法の分野で使用される通常の意味を有するものとする。
【0335】
本明細書及び特許請求の範囲で使用される場合、1つ以上の要素のリストに関して「少なくとも1つの」という語句は、要素のリスト内の要素のいずれか1つ以上から選択されるが、必ずしも、要素のリスト内に具体的に記載されるありとあらゆる要素のうちの少なくとも1つ以上を含まず、要素のリスト内の要素の任意の組み合わせを除外しない、少なくとも1つを意味することが理解されるべきである。この定義は、具体的に同定されたそれらの要素に関連するか、または無関係であるかにかかわらず、任意に、「少なくとも1つ」という表現が指す要素のリスト内で具体的に同定された要素以外の要素が存在することがあることも許容する。したがって、非限定例として、「A及びBのうちの少なくとも1つ」(または同様な意味合いで「AまたはBのうちの少なくとも1つ」、または同様な意味合いで「A及び/またはBの少なくとも1つ」)は、一実施形態では、任意に、Bが存在しない複数のAを含む(及び、任意に、B以外の要素を含む)少なくとも1つ;別の実施形態では、任意に、Aが存在しない複数のBを含む(及び、任意に、A以外の要素を含む)少なくとも1つ;さらに別の実施形態では、任意に、複数のAを含む少なくとも1つ;ならびに、任意に、複数のBを含む(及び、任意に、他の要素を含む)少なくとも1つ等を指し得る。
【0336】
さらに、明確に反対の指示のない限り、複数のステップまたは行為を含む本明細書で特許請求される任意の方法では、方法のステップまたは行為の順序は、必ずしも、方法のステップまたは行為が列挙される順序に限定されないことも理解されるべきである。
【配列表】
【国際調査報告】