(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-04
(54)【発明の名称】リファイナのための精製セグメント
(51)【国際特許分類】
D21D 1/30 20060101AFI20240927BHJP
【FI】
D21D1/30
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024519484
(86)(22)【出願日】2022-10-07
(85)【翻訳文提出日】2024-03-28
(86)【国際出願番号】 FI2022050668
(87)【国際公開番号】W WO2023062273
(87)【国際公開日】2023-04-20
(32)【優先日】2021-10-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FI
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515183610
【氏名又は名称】バルメット テクノロジーズ オサケユキチュア
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100229448
【氏名又は名称】中槇 利明
(72)【発明者】
【氏名】フェーストレーム,ホーカン
(72)【発明者】
【氏名】ヴィルタネン,ユッカ
【テーマコード(参考)】
4L055
【Fターム(参考)】
4L055CA17
4L055CA22
4L055CB14
4L055CB20
4L055FA22
(57)【要約】
繊維材料を精製するためのリファイナ(1)のための精製セグメント(4、8)である。精製セグメント(4、8)は前側(21)及び後ろ側(22)を含む本体(20)であって、前側は精製面(5、9)を含み、後ろ側は背面(23)を含む本体と、第1の端縁(15)と、第1の端縁の反対側にある第2の端縁(16)と、第1の側縁(17)と、第1の側縁の反対側にある第2の側縁(18)とを含み、第1の側縁及び第2の側縁は、第1の端縁と第2の端縁との間に延在する。精製セグメントは、背面から突出し、第1の側縁及び第2の側縁に実質的に沿って延びる背面支持突起(29、30)を背景上に含み、第1の端縁及び第2の端縁に実質的に沿って延びる支持突起を背面上に含まない。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維材料を精製するためのリファイナのための精製セグメントであって、当該精製セグメントは、
前側及び後ろ側を含む本体であって、該前側は精製面を含み、該後ろ側は背面を含む、本体と、
第1の端縁及び第2の端縁であって、該第2の端縁は該第1の端縁の反対側にある、第1の端縁及び第2の端縁と、
第1の側縁及び第2の側縁であって、該第2の側縁は該第1の側縁の反対側にあり、該第1の側縁及び該第2の側縁は前記第1の端縁と前記第2の端縁との間で延びる、第1の側縁及び第2の側縁と、
を含み、
前記精製セグメントは、前記背面から突出し、前記背面上で前記第1の側縁及び前記第2の側縁に実質的に沿って延びる支持突起を前記後ろ側に含むが、前記背面上で前記第1の端縁及び前記第2の端縁に実質的に沿って延びる支持突起を含まない、精製セグメント。
【請求項2】
前記精製セグメントの背面は、前記第1の側縁及び前記第2の側縁に支持突起を実質的に有さない、請求項1に記載の精製セグメント。
【請求項3】
前記精製セグメントの背面は、前記第1の側縁及び前記第2の側縁に沿って延びる前記支持突起の間で延び且つ前記支持突起まで延びる支持突起を有さない、請求項1又は2に記載の精製セグメント。
【請求項4】
前記支持突起は、前記精製セグメントの第1の側縁及び第2の側縁に沿って延びる細長い突起である、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の精製セグメント。
【請求項5】
前記第1の側縁及び前記の第2の側縁にある前記支持突起は、前記第1の端縁から前記第2の端縁の方に実質的に途切れなく延びるように配置されている、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の精製セグメント。
【請求項6】
前記第1の側縁及び前記の第2の側縁にある前記支持突起は、前記第1の端縁から前記第2の端縁まで実質的に途切れなく延びるように配置されている、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の精製セグメント。
【請求項7】
前記精製セグメントは、前記精製セグメントの本体を貫通し、前記リファイナに前記精製セグメントを締結することを意図する締結部材を受容するための少なくとも1つの締結孔を含み、前記精製セグメントは、該締結孔のそれぞれの周囲で前記背面から突出する少なくとも1つの補助支持突起を前記背面上に含む、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の精製セグメント。
【請求項8】
前記補助支持突起は、前記締結孔の周囲にある途切れのない周方向突起である、請求項7に記載の精製セグメント。
【請求項9】
前記支持突起及び前記補助支持突起は、前記精製セグメントの本体と一体の部分である、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の精製セグメント。
【請求項10】
繊維材料を精製するためのリファイナであって、当該リファイナは請求項1乃至9のいずれか一項に記載の精製セグメントを少なくとも1つ含む、リファイナ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は繊維材料を精製するためのリファイナに関し、具体的には繊維材料を精製するためのリファイナのための精製セグメント(refining segment)に関する。
【背景技術】
【0002】
機械パルプを製造するために又は低コンシステンシー精製に用いられるリファイナ等の繊維材料を精製するために用いられるリファイナは、互いに反対にあり、互いに対して回転される、すなわち、それらの一方又は両方が回転する2つの精製要素を通常含む。精製要素は、ブレードバーとそれらの間にあるブレード溝とを備える精製面を含み、ブレードバーは精製すべき材料を脱繊維及び精製することを意図したものであり、ブレード溝は、精製すべき材料を精製面に沿って前方に運ぶことを意図したものである。精製要素の精製面は、精製要素の本体に固定されたいくつかの精製セグメントから通常形成される。そのため、精製要素の完全な精製面は、精製要素において互いに隣り合って固定されたいくつかの精製セグメントの精製面から形成される。
【0003】
紙及び板紙の効率的な製造は、生産ラインのボリュームを増加させる傾向にある。精製の観点から、これはしばしば、互いに連続して何度も追加的に接続されたリファイナのサイズ及び数が増えることを意味する。しかしながら、例えば、単一のリファイナ又は完全な精製工場にかかる圧力の制御の観点から及び最終製品の品質の面で設定された要求を満たす精製された繊維材料の品質レベルを同時に維持する観点から、いくつかの大規模なリファイナを連続的に接続することは完全な精製工場の制御を困難し得る。その結果、精製に関する多くの要求が、精製セクションにおける複雑な制御アプリケーションをもたらすことが多い。
【発明の概要】
【0004】
本発明は、繊維材料を精製するための精製機のための新規な精製セグメント及び繊維材料を精製するための新規な精製機を提供することを目的とする。
【0005】
本発明は独立請求項の特徴によって特徴付けられる。
【0006】
本発明は、精製すべき繊維材料の一部を、精製セグメントの背面に配置された空間を通して再循環させるというアイデアに基づく。
【0007】
本発明の利点は、運転中の精製機にかかる圧力に対して影響を及ぼす追加的な方法であり、これにより、連続的に接続された複数の精製機の制御を容易にする。加えて、繊維材料を精製セグメントの背面で再循環させることで、意図せずに精製セグメントの背面に入った繊維材料がそこに蓄積するか又はトラップするのを防止する。
【0008】
本発明のいくつかの実施形態は従属請求項に開示されている。
【図面の簡単な説明】
【0009】
以下において、本発明は、添付の図面を参照しながら好ましい実施形態を用いてより詳細に説明する。
【
図1】
図1はディスクリファイナの断面の概略的な全体側面図である。
【
図2】
図2はディスクリファイナのための精製セグメントの概略正面図である。
【0010】
明確にするために、図面は本発明のいくつかの実施形態を簡略化して示す。同様の参照符号は図面中の同様の要素を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は、リファイナ1の断面の一般的な構造の概略的な側面図であり、このリファイナ1は、例えば、リグノセルロースを含有する木質材料又は紙若しくは板紙の製造に用いるのに適した別の繊維材料等の繊維材料を精製するために用いられ得る。
図1に示すリファイナ1はディスクリファイナであるが、ここでの例と同様に、円錐形リファイナ、円錐形ディスクリファイナ及び円筒形リファイナを用いることもできる。一般に、リファイナは、互いに実質的に反対側に位置する少なくとも2つの精製要素を含み、そのうちの少なくとも1つは回転し、互いに実質的に反対側に位置する2つの精製要素のそれぞれの間に精製間隙が形成される。以下では、回転可能な精製要素を1つだけ備えるリファイナについて説明する。
【0012】
図1のリファイナ1は、フレーム2と、フレーム2に支持される固定された精製要素3、すなわちステータ3とを備える。ステータ3は2つ以上のステータ精製セグメント4を含み、それらのそれぞれはブレードバーと、それらの間にあるブレード溝とを含む。各ステータ精製セグメント4のブレードバー及びブレード溝は、それぞれのステータ精製セグメント4の精製面5を形成し、各ステータ精製セグメント4の精製面5はステータ3の精製面の一部を提供する。ステータ3の完全な精製面はステータ3内で互いに隣接して固定された必要な数のステータ精製セグメント4の精製面5によって形成され、ステータ3の全周に及ぶ完全な精製面5が提供される。ここでは、明確化のために、個々のステータ精製セグメント4の精製面及びステータ3の完全な精製面の双方を同じ参照符号5で示す。
【0013】
リファイナ1は、回転可能な精製要素6、すなわち、リファイナ1のロータ6をさらに含む。ロータ6は、ロータフレーム7を含む。ロータ6は、ロータフレーム7に支持された2つ以上のロータ精製セグメント8をさらに含み、各ロータ精製セグメント8はブレードバーと、その間にあるブレード溝とを含む。各ロータ精製セグメント8のブレードバー及びブレード溝はそれぞれのロータ精製セグメント8の精製面9を形成し、各ロータ精製セグメント8の精製面9は、ロータ6の精製面の一部を提供する。ロータ6の完全な精製面は、ロータ6内で互いに隣接して固定された必要な数のロータ精製セグメント8の精製面9によって形成され、ロータ6の全周に及ぶ完全な精製面9が提供される。ここでは、明確化のために、個々のロータ精製セグメント8の精製面及びステータ3の完全な精製面の双方を同じ参照符号9で示す。
【0014】
ロータフレーム7は、シャフト11によって駆動モータ10に接続され、ロータ6は、ステータ3に対して、例えば矢印RDの方向に回転可能であり、矢印RDはロータ6の意図する回転方向RDを示す。
【0015】
リファイナ1は、明確性のために
図1に示していないローディング装置も含み得る。ローディング装置は、繊維材料が精製される、ステータ3とロータ6との間の精製間隙12のサイズを調整するために、シャフト11に取り付けられたロータ6を矢印Sで概略的に示すように前後に動かすために用いられる。他の種類のリファイナでは、ステータを動かすためにローディング装置を用いることができる。
【0016】
精製すべき繊維材料は、矢印Fで示すように、供給チャネル13を介してリファイナ1内の精製間隙12に供給される。精製された材料は、矢印Dで概略的に示すように、排出チャネル14を介してリファイナ1から取り除かれる。精製すべき繊維材料は、少なくとも水及びバージン繊維材料及び/又は再生繊維材料を含む混合物であるパルプ懸濁液の形態でリファイナ1に供給される。精製すべき繊維材料の濃度は一般的に3~40%である。
【0017】
図2は、ディスクリファイナ1のステータ3又はロータ6の精製面5、9の一部を形成するための使用に適応可能な精製セグメント4、8の概略正面図であり、ステータ3又はロータ6の周囲に必要な数の
図2の精製セグメント4、8を互いに隣接して配置することによって、ステータ3及びロータ6の完全な精製面5、9が提供される。
図3は、
図2の精製セグメントの概略背景図であり、
図4は、
図3の線B-Bに沿った
図2及び
図3の精製セグメントの概略断面図である。精製セグメント4、8の精製表面5、9は
図4では省略されている。
【0018】
精製セグメント4、8は、ステータ3又はロータ6の内周に向けられるように意図された内端縁15又は第1の端縁15を含む。精製セグメント4、8は、精製セグメント4、8の長手方向において内端縁15の反対側にある外端縁16又は第2の端縁16をさらに含み、外端縁16は、ステータ3又はロータ6の外周に向けられるように意図されている。精製セグメント4、8は、精製セグメント4、8の内端縁15から精製セグメント4、8の外端縁16まで延びる第1の側縁17をさらに含む。精製セグメント4、8は、精製セグメント4、8の周方向において第1の側縁17の反対側にある第2の側縁18をさらに含む。第2の側縁18は、精製セグメント4、8の内端縁15から精製セグメント4、8の外端縁18まで延びる。内端縁15及び外端縁16は、第1の側縁17及び第2の側縁18と共に、精製セグメント4、8の周囲19を画定するのに寄与する。円錐形リファイナでは、一般的に、ステータ/ロータの、半径方向に小さい方の端部はステータ/ロータの内周と呼ばれ、ステータ/ロータの、半径方向に大きい方の端部はステータ/ロータの外周を呼ばれるものと考えられる。
【0019】
精製セグメント4、8は、内端縁16と外端縁17との間に延びる長手方向又は長手軸を有する。精製セグメント4、8の長手方向又は長手方向軸は、
図2及び
図3において、明確にするために、精製セグメント4、8の左側に矢印Xで概略的に示されている。精製セグメント4、8の長手方向軸Xも、ディスクリファイナを対象とする精製セグメントについては精製セグメントの半径方向を意味し、円錐形リファイナ又は円筒形リファイナを対象とする精製セグメントについては、精製セグメントの軸方向を意味する。精製セグメント4、8の長手方向軸Xに直交する精製セグメント4、8の方向は精製セグメント4、8の周方向又は横軸である。精製セグメント4、8の周方向又は横軸は、
図2において、明確にするために、精製セグメント4、8の下方に矢印Cで概略的に示されている。
【0020】
精製セグメント4、8は、精製セグメント1の精製間隙12の方に向けられた前面21、すなわち前側21と、ステータ精製セグメント4の場合には精製セグメント1のフレーム2の方に向けられ、ロータ精製セグメント8の場合にはロータ6のフレーム7の方に向けられた背面23を含む後ろ側22とを有する本体20又は基板20を含む。精製セグメント本体20の前面21は、ブレードバー24と、ブレードバー24の間にあるブレード溝25とを備え、ブレードバー24及びブレード溝25は共に精製セグメント4、8の精製面5、9を形成する。ブレードバー24は、精製すべき材料を脱繊維及び精製するためのものであり、ブレード溝25は、精製すべき材料をブレードバー24間で精製面5、9に沿って前方に運ぶためのものである。精製セグメント4、8の精製面5、9は、精製すべき材料を精製面5、9上に供給又は分配するために、精製セグメント4、8の内端縁15から精製セグメント4、8の外端縁16の方に延びる供給溝26をさらに含む。精製セグメント4、8は、精製セグメント本体20を貫通し、それぞれの精製セグメント4、8をリファイナ1のフレーム2又はロータ6のフレーム7に締結するためのボルト等の適切な締結部材28を受け入れるように意図された1つ以上の締結孔27をさらに含み得る。精製セグメント4、8の端部15、16及び側端17、18から離れた距離で1つ以上の締結孔27は精製セグメント4、8の中央に通常位置する。
【0021】
精製セグメント4、8の精製面5、9は例示のみを目的として
図2に示す。精製面5、9の実際の実施は多くの点で変化し得る。
【0022】
精製セグメント4、8が他の方法でステータ3及び/又はロータ6に締結されている場合、例えば、精製セグメント4、8の側縁部17、18で精製セグメント4、8に締結するように適合された締結具が用いられる場合、精製セグメント4、8の締結孔27は省略されてもよい。その場合、
図2~
図4の精製セグメント4、8は現在図示の締結孔27を含まない。
【0023】
精製セグメント4、8は、精製セグメント4の背面23に、精製セグメント4、8の背面23から突出する8つの支持突起29、30をさらに含む。支持突起29、30は、精製セグメント4、8の第1の側縁17及び第2の側縁18に実質的に沿って、精製セグメント4、8の第1の側縁17及び第2の側縁18に延びる。そのため、精製セグメント4、8は、精製セグメント4、8の周囲19に、精製セグメント4、8の第1の側縁17に実質的に沿って背面23上の第1の側縁17で延びる第1の支持突起29と、精製セグメント4、8の第2の側縁18に実質的に沿って背面23上の第2の側縁18で延びる第2の支持突起30とを含むが、精製セグメント4、8の背面23上の第1の端縁15及び第2の端縁16に実質的に沿って延びる支持突起を含まない。支持突起29、30は、精製セグメント4、8のそれぞれの端縁15、16に沿って第1の端縁15又は第2の端縁16で実質的に延びていない。すなわち、それらは、精製セグメント4、8のそれぞれの端縁15、16に沿って第1の端縁15又は第2の端縁16で実質的に精製セグメント4、8の周方向Cの寸法にのみ延びている。
【0024】
そのため、
図3及び
図4の実施形態に示す第1の支持突起29及び第2の支持突起30は、精製セグメント4、8の本体20の背面23上で精製セグメント4、8の側縁17、18に実質的に沿って延びる細長い支持突起29、30である。精製セグメント4、8の端縁15、16に沿って実質的に延びる支持突起はないため、精製セグメント4、8の本体20の背面23は、精製セグメント4、8の周辺19で第1の端縁15及び第2の端縁16に支持突起が実質的にない。
【0025】
支持突起29、30は、支持突起29、30間の精製セグメント4、8の中央部で、精製セグメント4の背面23とリファイナ1のフレーム2との間又は精製セグメント8の背面23とロータ6のフレーム7との間にある程度の自由体積があるように、ステータ精製セグメント4の場合には精製セグメント1のフレーム2に、ロータ精製セグメント8の場合にはロータ6のフレーム7に精製セグメント4、8を支持することを意図している。リファイナ1のフレーム2の表面又はロータ6のフレーム7の表面は、
図4で参照符号2’、7’が付された破線で概略的に示されている。そのため、精製セグメント4、8の側縁17、18における第1の支持突起29及び第2の支持突起30は、支持突起が実質的にない精製セグメント4、8の第1の端縁15及び第2の端縁16と共に、精製セグメント4、8の背面22で精製セグメント4、8の内端縁15と外端縁16との間に精製セグメント4、8の長手方向Xに延びるオープンフロー空間32を形成する。精製セグメント4、8の背面23の側のオープンフロー空間32はボリューム又は流路を提供し、精製すべき繊維材料の一部であって、精製セグメント4、8の背面22に入ることを意図したか又は入った一部は、参照符号BFで示す矢印で概略的に示されるように、ステータ3/ロータ6の内周に向かって自由に戻ることができる。
【0026】
精製セグメント4、8の背面23の側のフロー空間32は、ステータ3/ロータ6の外周からステータ3/ロータ6の内周に向かって、精製される繊維材料の一部の意図的な背面での再循環を可能にする。リファイナにわたって圧力が通常上昇するため、すなわち、リファイナの供給口からリファイナの出口にかけて圧力が上昇するため、繊維材料のこの再循環は、特に、リファイナ1のステータ3に適用されて、リファイナ1内の圧力上昇を低減することができ、さらに、いくつかの大型のリファイナ1を、過度に高い圧力を生成するリスクなしに直列に動作させることができる。この背面再循環は、外部再循環ラインを必要としないことも意味する。この背面再循環は自己調整もされる。すなわち、それを実施するために別個の制御アプリケーションを必要としない。
【0027】
精製セグメント4、8の本体20の背面23の側のオープンフロー空間32、特に、精製セグメント4、8の背面における繊維材料の再循環は、精製セグメント4、8の背面22における繊維材料の交換を提供する。これは、意図せずに精製セグメント4、8の背面22に入った繊維材料がそこに蓄積又は閉じ込められるのを防止する。この繊維材料の蓄積又は閉じ込めにより、ロータ6の回転に不安定性を引き起こす可能性があるため、開示された再循環をロータ6にも適用することも有利である。
【0028】
時間の経過とともに、蓄積又は閉じ込められた繊維材料は腐り始めるか又は腐敗する可能性がある。精製セグメント4、8の背面22上で繊維材料を連続的に交換することにより、腐敗した可能性のある繊維材料が精製セグメント4、8の背面22から遊離して、精製すべき繊維材料に入り、最終製品の清浄度を低下させるか又は色の劣化を引き起こす事象も防止される。このようにして、最終製品の衛生性又は他の品質が改善され、これは、高い細菌学的清浄度が要求される紙のグレードにとってとりわけ重要である。
【0029】
精製セグメント4、8は、精製セグメント4、8の第1の端縁15及び第2の端縁16で精製セグメント4、8の周縁上に支持突起が実質的にないことに加えて、開示した精製セグメント4、8の背面23は、第1の支持突起29及び第2の支持突起30の間で精製セグメント4、8の周方向Cに延び、精製セグメント4、8の第1の側縁17及び第2の側縁18に沿って延びる第1の支持突起29及び第2の支持突起30に達し得るいかなる支持突起もない。これにより、精製セグメント4、8の背面22に大きな途切れることのないフロー空間32が提供される。
【0030】
精製セグメント4、8の一実施形態によれば、
図3に示す実施形態に従って、精製セグメント4、8の第1の側縁17及び第2の側縁18における支持突起29、30は、精製セグメント4、8の第1の端縁15から精製セグメント4、8の第2の端縁16に向かって実質的に切れ目なく延びるように配置される。支持突起29、30の実質的に切れ目のない細長い構造は、精製セグメント4、8をステータ3及び/又はロータ6で非常に強固に支持できる効果を有する。支持突起29、30の実質的に切れ目のない細長い構造の別の効果は、繊維材料の再循環を妨げ得る1つの精製セグメント4、8から隣接する精製セグメント4、8への周方向Cに沿った再循環する繊維材料の流れの防止である。
【0031】
さらに、
図3の精製セグメント4、8の実施形態では、支持突起29、30は、精製セグメント4、8の第1の端縁15から精製セグメント4、8の第2の端縁16にまで延びるように配置されていない。この種の支持突起29、30により、精製セグメント4、8の側縁領域の剛性に実質的に悪影響を及ぼすことなく、精製セグメント4、8の重量を減らすことができる。精製セグメント4、8の重量が少ないことは、製造コスト及び輸送コストが低いことを意味し、組み立てが容易であることを意味する。
【0032】
精製セグメント4、8の一実施形態によれば、精製セグメント4、8の第1の側縁17及び精製セグメント4、8の第2の側縁18における支持突起29、30は、精製セグメント4、8の第1の端縁15から精製セグメント4、8の第2の端縁16まで実質的に切れ目なく延びるように配置されている。この種の支持突起29、30の寸法付け(dimensioning)により、精製セグメント4、8の側縁領域の剛性がさらに高められ得る。この種の支持突起29、30の寸法付けはリファイナ1のステータ3においてとりわけ有用である。何故なら、繊維材料の再循環部分が円周方向Cに過剰に流れることなく、繊維材料の再循環部分を精製セグメント4、8の背面22に効果的にガイドするからである。支持突起29、30を精製セグメント4、8の第2の端縁16まで達するように長くすることによって
図3の精製セグメント4、8を変更して、この種の実施形態を提示してもよい。
【0033】
精製セグメント4、8の実施形態によれば、精製セグメント4、8は、精製セグメント本体20を貫通し、精製セグメント4、8をリファイナ1に締結することを意図した締結部材28を受容するための少なくとも1つの締結孔27を含み、さらに、精製セグメント4、8は、精製セグメント4、8の背面23に、各締結孔27の周囲で背面23から突出する少なくとも1つの補助支持突起31を含む。このような実施形態は
図3及び
図4に概略的に示され、各締結孔27は、精製セグメント4、8の背面23から突出する補助支持突起31によって取り囲まれている。この補助支持突起31は、精製セグメント4、8がステータ3又はロータ6に締結されている場合に、その中央部で精製セグメント4、8に対する追加の支持を提供することにより、ステータ3又はロータ6に締結される精製セグメント4、8の剛性を高める。精製セグメント4、8の締結孔27の数は異なり得るが、典型的には、締結孔27の数は、補助支持突起31がフロー空間32の容積を実質的に減少させないように制限される。
【0034】
補助支持突起31は、
図3の実施形態に示すように、締結孔27の周囲にある切れ目のない周方向突起であることが好ましい。それによって、補助支持突起31は、繊維材料が、締結孔27を通って精製セグメント4、8の背面22から精製セグメント4、8の前面21に又はその逆に流れるのを防止するための一種の追加のシールを締結孔27で形成する。
【0035】
締結孔27の周囲における補助支持突起31の切れ目のない周方向の形状は様々な断面形状を有し得るが、フロー空間32を循環する繊維状材料の部分の流れの乱れを最小限にする観点から補助支持突起31の環状形状であることが好ましい。
【0036】
精製セグメント4、8の一実施形態によれば、支持突起29、30及び/又は補助支持突起31は、精製セグメント4、8の背面23において、精製セグメント4、8の本体20の一体化された部分である。精製セグメント4、8の本体20の一体化された部分である支持突起29、30及び/又は補助支持突起31は、鋳造又は三次元印刷製造方法によって精製セグメント4、8を製造する際に同時に容易に製造できる。しかしながら、支持突起29、30及び/又は補助支持突起31は、例えば溶接又ははんだ付けにより精製セグメント4、8の本体20に締結され得る別個の部品であり得る。
【0037】
上記で開示したディスクリファイナに加えて、説明した解決策の精製セグメントは、他の種類のディスクリファイナにも適用できることを強調する。ディスクリファイナに加えて、本願で説明した解決策の精製セグメントは円錐形リファイナ及び円筒形リファイナ並びに円錐部及びディスク部の双方を含むリファイナにも適用できる。
【0038】
技術の進歩に伴って、本発明の概念を様々な方法で実現できることは当業者には明らかである。本発明及びその実施形態は上記で説明した例に限定されず、特許請求の範囲内で変化し得る。
【手続補正書】
【提出日】2024-04-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維材料を精製するためのリファイナのための精製セグメントであって、当該精製セグメントは、
前側及び後ろ側を含む本体であって、該前側は精製面を含み、該後ろ側は背面を含む、本体と、
第1の端縁及び第2の端縁であって、該第2の端縁は該第1の端縁の反対側にある、第1の端縁及び第2の端縁と、
第1の側縁及び第2の側縁であって、該第2の側縁は該第1の側縁の反対側にあり、該第1の側縁及び該第2の側縁は前記第1の端縁と前記第2の端縁との間で延びる、第1の側縁及び第2の側縁と、
を含み、
前記精製セグメントは、前記背面から突出し、前記背面上で前記第1の側縁及び前記第2の側縁に実質的に沿って延びる支持突起を前記後ろ側に含むが、前記背面上で前記第1の端縁及び前記第2の端縁に実質的に沿って延びる支持突起を含まない、精製セグメント。
【請求項2】
前記精製セグメントの背面は、前記第1の側縁及び前記第2の側縁に支持突起を実質的に有さない、請求項1に記載の精製セグメント。
【請求項3】
前記精製セグメントの背面は、前記第1の側縁及び前記第2の側縁に沿って延びる前記支持突起の間で延び且つ前記支持突起まで延びる支持突起を有さない、請求項
1に記載の精製セグメント。
【請求項4】
前記支持突起は、前記精製セグメントの第1の側縁及び第2の側縁に沿って延びる細長い突起である、請求項
1に記載の精製セグメント。
【請求項5】
前記第1の側縁及び前記の第2の側縁にある前記支持突起は、前記第1の端縁から前記第2の端縁の方に実質的に途切れなく延びるように配置されている、請求項
1に記載の精製セグメント。
【請求項6】
前記第1の側縁及び前記の第2の側縁にある前記支持突起は、前記第1の端縁から前記第2の端縁まで実質的に途切れなく延びるように配置されている、請求項
1に記載の精製セグメント。
【請求項7】
前記精製セグメントは、前記精製セグメントの本体を貫通し、前記リファイナに前記精製セグメントを締結することを意図する締結部材を受容するための少なくとも1つの締結孔を含み、前記精製セグメントは、該締結孔のそれぞれの周囲で前記背面から突出する少なくとも1つの補助支持突起を前記背面上に含む、請求項
1に記載の精製セグメント。
【請求項8】
前記補助支持突起は、前記締結孔の周囲にある途切れのない周方向突起である、請求項7に記載の精製セグメント。
【請求項9】
前記支持突起及び前記補助支持突起は、前記精製セグメントの本体と一体の部分である、請求項
8に記載の精製セグメント。
【請求項10】
繊維材料を精製するためのリファイナであって、当該リファイナは請求項1乃至9のいずれか一項に記載の精製セグメントを少なくとも1つ含む、リファイナ。
【国際調査報告】