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特表2024-536230塩基性アミン及びイオン対形成剤を含む口腔用製品
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  • 特表-塩基性アミン及びイオン対形成剤を含む口腔用製品 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-04
(54)【発明の名称】塩基性アミン及びイオン対形成剤を含む口腔用製品
(51)【国際特許分類】
   A24B 13/00 20060101AFI20240927BHJP
   A24B 15/30 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
A24B13/00
A24B15/30
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024519617
(86)(22)【出願日】2022-09-29
(85)【翻訳文提出日】2024-05-27
(86)【国際出願番号】 IB2022059305
(87)【国際公開番号】W WO2023053062
(87)【国際公開日】2023-04-06
(31)【優先権主張番号】63/250,631
(32)【優先日】2021-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519138265
【氏名又は名称】ニコベンチャーズ トレーディング リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Nicoventures Trading Limited
【住所又は居所原語表記】Globe House, 1 Water Street,WC2R 3LA London,United Kingdom
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ザワトツキ,マイケル
(72)【発明者】
【氏名】タン,カイ
(72)【発明者】
【氏名】アルダーマン,スティーブン・リー
(72)【発明者】
【氏名】プール,トーマス・エイチ
【テーマコード(参考)】
4B043
【Fターム(参考)】
4B043BB08
4B043BB22
4B043BC02
4B043BC03
4B043BC04
4B043BC12
4B043BC19
4B043BC26
(57)【要約】
本開示は、少なくとも1つのフィラー、水、塩基性アミン、及び有機酸、有機酸のアルカリ金属塩又はこれらの組合せを含む、口腔用に構成されている組成物であって、有機酸が、約1~約12のlogP値を有する、組成物を提供する。塩基性アミンの少なくとも一部は、有機酸又はそのアルカリ金属塩の少なくとも一部と会合している。その会合は、塩基性アミン-有機酸塩、塩基性アミンと有機酸の共役塩基との間のイオン対、又はその両方の組合せの形態にある。有機酸は、ジカルボン酸のモノエステルである、又は1つ以上のカルボン酸を有するカロチノイド誘導体である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのフィラー
塩基性アミン
水、及び
有機酸、有機酸のアルカリ金属塩、又はこれらの組合せ、を含む、口腔用に構成構成されている組成物であって、前記有機酸が、約1~約12のlogP値を有し、前記塩基性アミンの少なくとも一部が、前記有機酸又はそその前記アルカリ金属塩のうちの少なくとも一部と会合しており、前記会合が、塩基性アミン-有機酸塩、前記塩基性アミンと前記有機酸の共役塩基との間のイオン対、又はその両方の形態にあり、前記有機酸が、ジカルボン酸のモノエステルである、又は1つ以上のカルボン酸を有するカロチノイド誘導体である、組成物。
【請求項2】
前記有機酸が、約3~約12、約3~約10、又は約3~約8のlogP値を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記有機酸が、ジカルボン酸のメンチルモノエステル又はトコフェロールモノエステルである、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記ジカルボン酸が、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、フマル酸、マレイン酸、又はこれらの組合せである、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
前記有機酸が、ノルビキシン、ビキシン、又はこれらの異性体である、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記有機酸が、コハク酸トコフェロール、コハク酸モノメンチル、フマル酸モノメンチル、グルタル酸モノメンチル、又はこれらの組合せである、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
組成物が溶解性改善剤をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記溶解性改善剤が、グリセロール又はプロピレングリコールである、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
アミン遊離塩基として計算される、前記塩基性アミンに対して、約0.05、約0.1、約1、約1.5、約2又は約5から、約10、約15又は約20モル当量までの前記有機酸、その前記アルカリ金属塩、又はこれらの組合せを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
アミン遊離塩基として計算される、前記塩基性アミンに対して、約2~約10モル当量の前記有機酸、その前記アルカリ金属塩、又はこれらの組合せを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
前記有機酸が、安息香酸、そのアルカリ金属塩、又はこれらの組合せをさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
前記アルカリ金属が、ナトリウム又はカリウムである、請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
前記有機酸及び前記有機酸のナトリウム塩を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項14】
前記有機酸のナトリウム塩に対する前記有機酸の比が約0.1~約10である、請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
組成物のpHが、約4.0~約9.0である、請求項1に記載の組成物。
【請求項16】
組成物のpHが、約4.5~約7である、請求項1に記載の組成物。
【請求項17】
組成物のpHが、約5.5~約7である、請求項1に記載の組成物。
【請求項18】
組成物のpHが、約4.0~約5.5である、請求項1に記載の組成物。
【請求項19】
組成物のpHが、約7.0~約9.0である、請求項1に記載の組成物。
【請求項20】
前記塩基性アミンがニコチンである、請求項1に記載の組成物。
【請求項21】
ニコチンが、組成物の総重量に対して、遊離塩基として計算すると、組成物の約0.001~約10重量%の量で存在する、請求項20に記載の組成物。
【請求項22】
前記少なくとも1つのフィラーがセルロース材料を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項23】
前記セルロース材料が微結晶性セルロースを含む、請求項22に記載の組成物。
【請求項24】
前記少なくとも1つのフィラーが、組成物の総重量に対して、重量基準で約1%~約3%の量のセルロース誘導体をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項25】
前記セルロース誘導体がヒドロキシプロピルセルロースである、請求項24に記載の組成物。
【請求項26】
組成物の総重量に対して、約10~約50%の前記少なくとも1つのフィラー、及び
約5~約60重量%の水
を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項27】
1つ以上の活性成分、1つ以上の香味剤、1つ以上の塩、1つ以上の甘味剤、1つ以上の結合剤、1つ以上の湿潤剤、1つ以上のガム、タバコ材料、又はこれらの組合せをさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項28】
機能性食品、ボタニカル、刺激剤、アミノ酸、ビタミン及びカンナビノイドからなる群から選択される、1つ以上の活性成分をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項29】
組成物の総重量に対して、存在するいずれのニコチン成分を除いて、約10重量%以下のタバコ材料を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項30】
タバコ材料を含まない、請求項1に記載の組成物。
【請求項31】
組成物が任意選択的に粒状形態にあり、パウチ製品を形成するようにパウチ内に封入されている、請求項1~30のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項32】
ゲル、パステル、ガム、チューチュー、溶解物、タブレットタブレット、ロゼンジ、粒状物質、又は粉末の形態にある、請求項1~30のいずれか一項に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ヒトへの使用を目的とする組成物に関する。本組成物は、口腔用になされており、使用中にニコチン、香味料及び/又は活性成分などの物質を送達する。そのような組成物はタバコ又はタバコ由来の製品を含んでもよく、又はタバコを含まない代用品であってもよい。
【背景技術】
【0002】
タバコは、いわゆる「無煙」形態で楽しまれることがある。特に人気のある無煙タバコ製品は、いくつかの形態の加工タバコ又はタバコ含有配合物を使用者の口腔内に挿入することにより使用される。そのような無煙タバコ製品に関する従来のフォーマットとして、湿潤型嗅ぎタバコ、スヌース及び噛みタバコが挙げられ、これらは通常、ほとんど完全に微粒子、顆粒又は刻みタバコから形成されており、使用者によって分量分けされる、又は使い捨てパウチ中若しくはサッシェ中などの1回ずつの分量で使用者に供給されるかのどちらかである。無煙製品の他の従来の形態として、プラグ、タブレット又はペレットなどの圧縮形態又は凝集形態が挙げられる。タバコ含有ガム及びタバコと他の植物材料との混合物などの代替製品フォーマットもまた公知である。例えば、それらの各々が参照により本明細書に組み込まれている、Schwartzの米国特許第1,376,586号;Pittmanらの同第4,513,756号;Sensabaugh,Jr.らの同第4,528,993号;Storyらの同第4,624,269号;Tibbettsの同第4,991,599号;Townsendの同第4,987,907号;Sprinkle,IIIらの同第5,092,352号;Whiteらの同第5,387,416号;Williamsの同第6,668,839号;Williamsの同第6,834,654号;Atchleyらの同第6,953,040号;Atchleyらの同第7,032,601号;及びAtchleyらの同第7,694,686号;Williamsの米国特許公開第2004/0020503号;Quinterらの同第2005/0115580号;Stricklandらの同第2006/0191548号;Holton,Jr.らの同第2007/0062549号;Holton、Jr.らの同第2007/0186941号;Stricklandらの同第2007/0186942号;Dubeらの同第2008/0029110号;Robinsonらの同第2008/0029116号;Robinsonらの同第2008/0173317号;Neilsenらの同第2008/0209586号;Essenらの同第2009/0065013号;及びAtchleyの同第2010/0282267号、並びにArnarpらのWO2004/095959に記載されている、無煙タバコ配合物のタイプ、成分及び加工方法を参照されたい。
【0003】
タバコ材料、ニコチン成分及び/又は他の活性成分を様々な結合剤及びフィラーと組み合わせる無煙タバコ製品の構成は、ロゼンジ、パステル、ゲル、押出し形態などを含む例となる製品フォーマットでごく最近提案されている。例えば、それぞれが参照により本明細書に組み込まれる、Engstromらの米国特許出願公開第2008/0196730号;Crawfordらの米国特許出願公開第2008/0305216号;Kumarらの米国特許出願公開第2009/0293889号;Gaoらの米国特許出願公開第2010/0291245号;Muaらの米国特許出願公開第2011/0139164号;Cantrellらの米国特許出願公開第2012/0037175号;Huntらの米国特許出願公開第2012/0055494号;Cantrellらの米国特許出願公開第2012/0138073号;Cantrellらの米国特許出願公開第2012/0138074号;Holton,Jr.の米国特許出願公開第2013/0074855号;Holton,Jr.の米国特許出願公開第2013/0074856号;Muaらの米国特許出願公開第2013/0152953号;Jacksonらの米国特許出願公開第2013/0274296号;Moldoveanuらの米国特許出願公開第2015/0068545号;Marshallらの米国特許出願公開第2015/0101627号;及びLampeらの米国特許出願公開第2015/0230515号に記載されている製品の種類を参照されたい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第1,376,586号明細書
【特許文献2】米国特許第4,513,756号明細書
【特許文献3】米国特許第4,528,993号明細書
【特許文献4】米国特許第4,624,269号明細書
【特許文献5】米国特許第4,991,599号明細書
【特許文献6】米国特許第4,987,907号明細書
【特許文献7】米国特許第5,092,352号明細書
【特許文献8】米国特許第5,387,416号明細書
【特許文献9】米国特許第6,668,839号明細書
【特許文献10】米国特許第6,834,654号明細書
【特許文献11】米国特許第6,953,040号明細書
【特許文献12】米国特許第7,032,601号明細書
【特許文献13】米国特許第7,694,686号明細書
【特許文献14】米国特許出願公開第2004/0020503号明細書
【特許文献15】米国特許出願公開第2005/0115580号明細書
【特許文献16】米国特許出願公開第2006/0191548号明細書
【特許文献17】米国特許出願公開第2007/0062549号明細書
【特許文献18】米国特許出願公開第2007/0186941号明細書
【特許文献19】米国特許出願公開第2007/0186942号明細書
【特許文献20】米国特許出願公開第2008/0029110号明細書
【特許文献21】米国特許出願公開第2008/0029116号明細書
【特許文献22】米国特許出願公開第2008/0173317号明細書
【特許文献23】米国特許出願公開第2008/0209586号明細書
【特許文献24】米国特許出願公開第2009/0065013号明細書
【特許文献25】米国特許出願公開第2010/0282267号明細書
【特許文献26】国際公開第2004/095959号
【特許文献27】米国特許出願公開第2008/0196730号明細書
【特許文献28】米国特許出願公開第2008/0305216号明細書
【特許文献29】米国特許出願公開第2009/0293889号明細書
【特許文献30】米国特許出願公開第2010/0291245号明細書
【特許文献31】米国特許出願公開第2011/0139164号明細書
【特許文献32】米国特許出願公開第2012/0037175号明細書
【特許文献33】米国特許出願公開第2012/0055494号明細書
【特許文献34】米国特許出願公開第2012/0138073号明細書
【特許文献35】米国特許出願公開第2012/0138074号明細書
【特許文献36】米国特許出願公開第2013/0074855号明細書
【特許文献37】米国特許出願公開第2013/0074856号明細書
【特許文献38】米国特許出願公開第2013/0152953号明細書
【特許文献39】米国特許出願公開第2013/0274296号明細書
【特許文献40】米国特許出願公開第2015/0068545号明細書
【特許文献41】米国特許出願公開第2015/0101627号明細書
【特許文献42】米国特許出願公開第2015/0230515号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
口腔用製品は、頬とガムとの間に、ニコチン含有マトリックスを留置することによって使用される。次に、ニコチンは、製品から放出され、通常、口腔粘膜を介して吸収され、これによって血流に入り、ここで、全身に循環される。香味料の安定性及び肯定的な官能属性が、使用者に受け入れられる口腔用製品にとって重要な要素となる。香味料の感覚刺激作用は、製品のpHに特に影響を受けやすいことが示されている。製品のpHが約7.0を超えると、一部の香味料の見た目、香り及び味の効果は経時的に劣化し、ニコチンは、製品から蒸発することがある。特に、そのような不安定性は、エチルバニリン、ライム及びシナモンなどのある特定の香味料の場合に顕著であり、これによって、元々は白色の製品の経時的な暗色化をやはり引き起こす。しかし、pHを低下させると、プロトン化形態で存在するニコチンの程度が増加する。ニコチンは、二塩基性アルカロイドとして、2個のプロトンを受容することが可能であり(ピリジン環窒素:logKa1=3.41;及びピロリジン環窒素:logKa2=8.02)、極性を顕著に変化させる。ニコチンの全体的な極性は、log(P)=1.09(非プロトン化ニコチン)から-2.07(ピロリジン環窒素においてプロトン化されているニコチンの場合)まで向上する。ニコチンなどの物質が膜(例えば、粘膜)を通過する受動拡散は、分子の極性及び膜特性、並びに分子サイズ及びイオン化の関数となる(Kokateら、PharmSciTech 2008、9、501~504頁)。
【0006】
理論によって拘泥されることを望むものではないが、プロトン化状態の結果としてlogPが下方にシフトすることは、pHの低下に伴い、ニコチン吸収量が低下する主要な推進力であると考えられる(Nairら、Journal of Pharmaceutical Sciences 1997、86、257~262頁;Chenら、International Journal of Pharmaceutics 1999、184、63~72頁;Adrianら、International Journal of Pharmaceutics 2006、311、196~202頁)。具体的に、Adrianらにおいて報告されている通り、pH=6のニコチン溶液の場合(ニコチンが、主に、一プロトン化されている場合。)、灌流細胞におけるヒト口腔内組織を通過する拡散が依然としてある程度あるが、その速度は、pH8.1のニコチン溶液に比べると、かなり低下する(約7分の1)。
【0007】
本開示は、塩基性アミン及び有機酸、有機酸のアルカリ金属塩、又はこれらの組合せ、を含む、口腔用に構成されている組成物を概して提供し、有機酸は、約3~約10、又は約3~約8などの約1~約12のlogP値を有する。塩基性アミンの少なくとも一部が有機酸又はそのアルカリ金属塩のうちの少なくとも一部に会合しており、その会合が、塩基性アミン-有機酸の塩の形態、塩基性アミンと有機酸の共役塩基との間のイオン対の形態、又はその両方の形態にある。本開示によれば、1つ以上のカルボン酸及びある特定のジカルボン酸モノエステルを有するある特定のカロチノイド誘導体は、塩基性アミン、例えばニコチンと適切なイオン対を形成する機会を得て、それらを含む組成物に所望の特徴、例えば、色、清涼感、咽頭刺激の低下又はこれらの組合せをさらに付与することがあることが見出されている。
【0008】
したがって、一態様において、少なくとも1つのフィラー;塩基性アミン;水;及び有機酸、有機酸のアルカリ金属塩、又はこれらの組合せ、を含む、口腔用に構成されている組成物であって、有機酸が、約1~約12のlogP値を有しており、塩基性アミンの少なくとも一部が有機酸又はそのアルカリ金属塩の少なくとも一部と会合しており、その会合が、塩基性アミン-有機酸塩、塩基性アミンと有機酸の共役塩基との間のイオン対、又はその両方の形態にあり、有機酸が、ジカルボン酸のモノエステル又は1つ以上のカルボン酸を有するカロチノイド誘導体である、組成物が提供される。
【0009】
一部の実施形態において、有機酸は、約3~約12のlogP値を有する。一部の実施形態において、有機酸は、約3~約10のlogP値を有する。一部の実施形態において、有機酸は、約3~約8のlogP値を有する。
【0010】
一部の実施形態において、有機酸は、ジカルボン酸のメンチルモノエステル又はトコフェロールモノエステルである。一部の実施形態において、ジカルボン酸は、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、フマル酸、マレイン酸、又はこれらの組合せである。一部の実施形態において、有機酸は、コハク酸トコフェロール、コハク酸モノメンチル、フマル酸モノメンチル、グルタル酸モノメンチル又はこれらの組合せである。
【0011】
一部の実施形態において、有機酸は、2E,4E,6E,8E,10E,12E,14E,16Z,18E)-20-メトキシ-4,8,13,17-テトラメチル-20-オキソイコサ-2,4,6,8,10,12,14,16,18-ノナエン酸(ビキシン)、又はその異性体である。一部の実施形態において、有機酸は、(2E,4E,6E,8E,10E,12E,14E,16E,18E)-4,8,13,17-テトラメチルイコサ-2,4,6,8,10,12,14,16,18-ノナエン二酸(ノルビキシン)である。
【0012】
一部の実施形態において、本組成物は、溶解性改善剤をさらに含む。一部の実施形態において、溶解性改善剤は、グリセロール若しくはプロピレングリコール、又は本明細書において記載されている別の湿潤剤である。
【0013】
一部の実施形態において、本組成物は、アミン遊離塩基として計算すると、塩基性アミンに対して、約0.05、約0.1、約1、約1.5、約2又は約5から、約10、約15又は約20モル当量までの有機酸、そのアルカリ金属塩、又はこれらの組合せを含む。一部の実施形態において、本組成物は、アミン遊離塩基として計算すると、塩基性アミンに対して、約2~約10モル当量の有機酸、そのアルカリ金属塩、又はこれらの組合せを含む。
【0014】
一部の実施形態において、有機酸は、安息香酸、そのアルカリ金属塩、又はこれらの組合せをさらに含む。
【0015】
一部の実施形態において、アルカリ金属は、ナトリウム又はカリウムである。
【0016】
一部の実施形態において、本組成物は、有機酸及び有機酸のナトリウム塩を含む。一部の実施形態において、有機酸のナトリウム塩に対する有機酸の比は、約0.1~約10である。
【0017】
一部の実施形態において、本組成物のpHは、約4.0~約9.0である。一部の実施形態において、本組成物のpHは、約4.5~約7である。一部の実施形態において、本組成物のpHは、約5.5~約7である。一部の実施形態において、本組成物のpHは、約4.0~約5.5である。一部の実施形態において、本組成物のpHは、約7.0~約9.0である。
【0018】
一部の実施形態において、塩基性アミンは、ニコチンである。一部の実施形態において、ニコチンは、遊離塩基として計算すると、組成物の総重量に対して、組成物の約0.001~約10重量%の量で存在する。
【0019】
一部の実施形態において、少なくとも1つのフィラーは、セルロース材料である。一部の実施形態において、セルロース材料は、微結晶性セルロースを含む。一部の実施形態において、少なくとも1つのフィラーは、組成物の総重量に対して、重量基準で約1~約3%の量のセルロース誘導体をさらに含む。一部の実施形態において、セルロース誘導体は、ヒドロキシプロピルセルロースである。
【0020】
一部の実施形態において、本組成物は、組成物の総重量に対して、約10~約50%の少なくとも1つのフィラー;及び約5~約60重量%の水を含む。
【0021】
一部の実施形態において、本組成物は、1つ以上の活性成分、1つ以上の香味剤、1つ以上の塩、1つ以上の甘味剤、1つ以上の結合剤、1つ以上の湿潤剤、1つ以上のガム、タバコ材料、又はこれらの組合せをさらに含む。
【0022】
一部の実施形態において、本組成物は、機能性食品、ボタニカル、刺激剤、アミノ酸、ビタミン及びカンナビノイドからなる群から選択される、1つ以上の活性成分をさらに含む。
【0023】
一部の実施形態において、本組成物は、組成物の総重量に対して、存在するニコチン成分のいずれも除き、約10重量%以下のタバコ材料を含む。一部の実施形態において、本組成物は、タバコ材料を含まない。
【0024】
一部の実施形態において、本組成物は、パウチ内に封入されてパウチ入り製品を形成し、任意選択的に粒状形態にある。
【0025】
一部の実施形態において、本組成物は、ゲル、パステル、ガム、チュー、溶解物(melt)、タブレット、ロゼンジ、粒状物質又は粉末の形態にある。
【0026】
本開示は、以下の実施形態を非限定的に含む。
【0027】
実施形態1:少なくとも1つのフィラー;塩基性アミン;水;及び有機酸、有機酸のアルカリ金属塩、又はこれらの組合せを含む、口腔用に対して構成されている組成物であって、有機酸が、約1~約12のlogP値を有しており、塩基性アミンの少なくとも一部が有機酸又はそのアルカリ金属塩の少なくとも一部と会合しており、結合が、塩基性アミン-有機酸塩、塩基性アミンと有機酸の共役塩基との間のイオン対、又はその両方の形態にあり、有機酸が、ジカルボン酸のモノエステルである又は1つ以上のカルボン酸を有するカロチノイド誘導体である、組成物。
【0028】
実施形態2:有機酸が、約3~約10、又は約3~約8のlogP値を有する、実施形態1の組成物。
【0029】
実施形態3:有機酸が、ジカルボン酸のメンチルモノエステル又はトコフェロールモノエステルである、実施形態1又は2の組成物。
【0030】
実施形態4:ジカルボン酸が、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、フマル酸、マレイン酸、又はこれらの組合せである、実施形態3の組成物。
【0031】
実施形態5:有機酸が、ノルビキシン、ビキシン、又はこれらの異性体である、実施形態1~3のいずれか1つの組成物。
【0032】
実施形態6:有機酸が、コハク酸トコフェロール、コハク酸モノメンチル、フマル酸モノメンチル、グルタル酸モノメンチル、又はこれらの組合せである、実施形態1~3のいずれか1つの組成物。
【0033】
実施形態7:溶解性改善剤をさらに含む、実施形態1~6のいずれか1つの組成物。
【0034】
実施形態8:溶解性改善剤が、グリセロール又はプロピレングリコールである、実施形態7の組成物。
【0035】
実施形態9:アミン遊離塩基として計算される、塩基性アミンに対して、約0.05、約0.1、約1、約1.5、約2又は約5から、約10、約15又は約20モル当量までの有機酸、そのアルカリ金属塩、又はこれらの組合せを含む、実施形態1~8のいずれか1つの組成物。
【0036】
実施形態10:アミン遊離塩基として計算される、塩基性アミンに対して、約2~約10モル当量の有機酸、そのアルカリ金属塩、又はこれらの組合せを含む、実施形態1~9のいずれか1つの組成物。
【0037】
実施形態11:有機酸が、安息香酸、そのアルカリ金属塩、又はこれらの組合せをさらに含む、実施形態1~11のいずれか1つの組成物。
【0038】
実施形態12:アルカリ金属がナトリウム又はカリウムである、実施形態1~11のいずれか1つの組成物。
【0039】
実施形態13:有機酸及び有機酸のナトリウム塩を含む、実施形態1~12のいずれか1つの組成物。
【0040】
実施形態14:有機酸のナトリウム塩に対する有機酸の比が約0.1~約10である、実施形態1~13のいずれか1つの組成物。
【0041】
実施形態15:組成物のpHが約4.0~約9.0である、実施形態1~14のいずれか1つの組成物。
【0042】
実施形態16:組成物のpHが約4.5~約7である、実施形態1~15のいずれか1つの組成物。
【0043】
実施形態17:組成物のpHが約5.5~約7である、実施形態1~16のいずれか1つの組成物。
【0044】
実施形態18:組成物のpHが、約4.0~約5.5である、実施形態1~15のいずれか1つの組成物。
【0045】
実施形態19:組成物のpHが、約7.0~約9.0である、実施形態1~14のいずれか1つの組成物。
【0046】
実施形態20:塩基性アミンがニコチンである、実施形態1~19のいずれか1つの組成物。
【0047】
実施形態21:ニコチンが、組成物の総重量に対して、遊離塩基として計算すると、組成物の約0.001~約10重量%の量で存在する、実施形態20の組成物。
【0048】
実施形態22:少なくとも1つのフィラーがセルロース材料を含む、実施形態1~21のいずれか1つの組成物。
【0049】
実施形態23:セルロース材料が微結晶性セルロースを含む、実施形態1~22のいずれか1つの組成物。
【0050】
実施形態24:少なくとも1つのフィラーが、組成物の総重量に対して、重量基準で約1%~約3%の量のセルロース誘導体をさらに含む、実施形態1~23のいずれか1つの組成物。
【0051】
実施形態25:セルロース誘導体がヒドロキシプロピルセルロースである、実施形態24の組成物。
【0052】
実施形態26:組成物の総重量に対して、約10~約50%の少なくとも1つのフィラー;及び約5~約60重量%の水を含む、実施形態1~25のいずれか1つの組成物。
【0053】
実施形態27:1つ以上の活性成分、1つ以上の香味剤、1つ以上の塩、1つ以上の甘味剤、1つ以上の結合剤、1つ以上の湿潤剤、1つ以上のガム、タバコ材料、又はこれらの組合せをさらに含む、実施形態1~26のいずれか1つの組成物。
【0054】
実施形態28:機能性食品、ボタニカル、刺激剤、アミノ酸、ビタミン及びカンナビノイドからなる群から選択される、1つ以上の活性成分をさらに含む、実施形態1~27のいずれか1つの組成物。
【0055】
実施形態29:組成物の総重量に対して、存在するいずれのニコチン成分を除いて、約10重量%以下のタバコ材料を含む、実施形態1~28のいずれか1つの組成物。
【0056】
実施形態30:タバコ材料を含まない、実施形態1~28のいずれか1つの組成物。
【0057】
実施形態31:組成物が任意選択的に粒状形態にあり、パウチ入り製品を形成するようにパウチ内に封入されている、実施形態1~30のいずれか1つの組成物。
【0058】
実施形態32:ゲル、パステル、ガム、チュー、溶解物、タブレット、ロゼンジ、粒状物質、又は粉末の形態にある、実施形態1~30のいずれか1つの組成物。
【0059】
実施形態33:少なくとも1つのフィラー;塩基性アミン(例えば、ニコチン);水;及び有機酸を含む、口腔用に構成されている組成物であって、有機酸が、ジカルボン酸のメンチルモノエステル又はトコフェロールモノエステルであるなど、有機酸が、ジカルボン酸のモノエステルである、又は1つ以上のカルボン酸を有するカロチノイド誘導体であり、例となるジカルボン酸が、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、フマル酸、マレイン酸、又はこれらの組合せを含む、又は有機酸が、ノルビキシン、ビキシン、又はこれらの異性体である、又は有機酸が、コハク酸トコフェロール、コハク酸モノメンチル、フマル酸モノメンチル、グルタル酸モノメンチル、又はこれらの組合せである、組成物。
【0060】
本開示のこれら及び他の特徴、態様及び利点は、添付の図と一緒に以下の詳細な説明を一読することから明らかとなり、図が以下に簡単に説明されている。本発明には、上述の実施形態のうちの2つ、3つ、4つ、又はこれよりも多くの任意の組合せ、並びに本開示に記載の任意の2つ、3つ、4つ、又はこれよりも多くの特徴又は要素の組合せが、そのような特徴又は要素が本明細書の特定の実施形態の説明において明示的に組み合わせられているかどうかに関わらず、含まれている。本開示は、全体的に読み取るように意図されているので、特に文脈が明確に他を指示しない限り、開示された発明の任意の分離可能な特徴又は要素は、その様々な態様及び実施形態のいずれかにおいて結合可能なことが意図されていると見なされるべきである。
【0061】
前述の一般的用語において本開示の態様をこうして記載してきたが、これより、必ずしも縮尺通りに描かれているわけではない添付の図について言及する。図は単なる例であり、本開示を限定するものと解釈されるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0062】
図1】口腔用に構成された組成物の少なくとも一部が充填されたパウチ又はフリースを含む、本開示の例となる実施形態によるパウチ入り製品の実施形態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0063】
本開示は、これより、その例示的実施形態を参照して、本明細書のこれ以降にさらに完全に記載される。これらの例示的実施形態は、本開示が十分かつ完全となるように記載され、本開示の範囲を当業者に完全に伝達するものである。実際に、本開示は、多数の異なる形態で具現化され得、本明細書において説明されている実施形態に限定されると解釈されるべきではない。むしろ、これらの実施形態は、本開示が、適用可能な法的要件を満足するよう提供されている。
【0064】
本明細書及び特許請求の範囲において使用される場合、単数形「a」、「an」及び「the」は、特に文脈が明確に他を指示しない限り、複数の指示対象を含む。
【0065】
「乾燥重量パーセント」又は「乾燥重量基準」と言う場合、乾燥成分(すなわち、水を除く全成分)を基準にした重量を指す。「湿潤重量」という言及は、水を含めた混合物の重量を指す。特に示さない限り、混合物の「重量パーセント」と言う場合、混合物の全湿潤重量(すなわち、水を含む)を反映する。
【0066】
顧客が満足するため、保管の間、塩基性アミンの最初の含有量を保持し、組成物中に最初に存在する塩基性アミンの全量を実質的に送達する、口腔用に構成された塩基性アミン含有組成物を提供することが望ましい。本開示は、塩基性アミン-有機酸塩、塩基性アミンと有機酸の共役塩基との間のイオン対、又はこれらの両方の形態にある、塩基性アミンと非極性有機酸塩又は親油性有機酸塩とを一緒にした組成物を提供する。
【0067】
一部の実施形態において、塩基性アミンは、ニコチンである。ある特定の実施形態において、非極性有機酸又は親油性有機酸の存在により、ニコチンとイオン体を形成した場合、口腔用に対して構成された、極性有機酸を含む組成物に比べ、ニコチンの膜透過性の増大をもたらすことができる。1つ以上のカルボン酸を有するカルテノイド誘導体又はジカルボン酸のある特定のモノエステルなどの、ある特定の有機酸を選択すると、それぞれ、色又は清涼感などの、さらに望ましい感覚特性を組成物にもたらすことがある。
【0068】
組成物
本明細書において開示されている組成物は、少なくとも1つのフィラー、ニコチン又はニコチン成分などの塩基性アミン、水及び有機酸、有機酸のアルカリ金属塩、又はこれらの組合せを含み、有機酸が、約3~約12のlogP値を有する。塩基性アミンの少なくとも一部は、有機酸又はそのアルカリ金属塩の少なくとも一部と会合している。その会合は、塩基性アミン-有機酸塩、塩基性アミンと有機酸の共役塩基との間のイオン対、又はそのの両方の形態にある。組成物内の様々な構成成分の相対量は、異なってもよく、通常、所望の感覚性及び性能特徴を組成物にもたらすように選択される。組成物の例となる個々の構成成分は、本明細書の以下にさらに記載されている。
【0069】
イオン対形成
本明細書において開示されている通り、塩基性アミンの少なくとも一部は、有機酸又はそのアルカリ金属塩の少なくとも一部と会合している。複数の変数(有機酸の濃度、pH、性質など)に応じて、組成物中に存在する塩基性アミンは、遊離塩基として、陽イオンとして、塩として、又はこれらの任意の組合せとして、溶液中(すなわち、完全に溶媒和される)において、イオン対形成を含め、複数の形態で存在することができる。一部の実施形態において、塩基性アミンと有機酸又はそのアルカリ金属塩の少なくとも一部との間の会合は、塩基性アミンと有機酸の共役塩基との間のイオン対の形態にある。
【0070】
イオン対形成とは、イオン対と呼ばれるはっきりと異なる化学種を形成するための比較的濃縮された溶液中の反対に荷電したイオンの部分的な会合について記載している。会合の強度(すなわち、イオン対形成)は、陽イオンと陰イオン(すなわち、ニコチンなどのプロトン化された塩基性アミンと有機酸の共役塩基)との間の引力の静電力に依存する。「共役塩基」とは、対応する酸の脱プロトン化から生成される塩基を意味する(例えば、安息香酸イオンは安息香酸の共役塩基)。平均して、これらイオン対のある特定の集団は、いかなる時点にも存在するが、イオン対の形成及び解離は連続的である。本明細書において開示されている組成物において、及び/又は前記組成物の口腔使用時(例えば、唾液との接触時)に、塩基性アミン、例えばニコチン及び有機酸の共役塩基は、少なくとも一部がイオン対の形態で存在する。理論によって拘泥されることを望むものではないが、そのようなイオン対形成は、塩基性アミンの化学分解を最小限にすることがある、及び/又は塩基性アミン(例えば、ニコチン)の口腔利用可能性を増大することがあると考えられる。アルカリpH値(例えば、約7.5~約9など)において、ある特定の塩基性アミン、例えばニコチンは、大部分が遊離塩基形態で存在し、その遊離塩基形態は、比較的低い水溶解度、並びに溶媒蒸発及び酸化的分解に対して低い安定性を有するが、高い粘膜利用可能性を有する。反対に、酸性pH値(約6.5~約4など)において、ある特定の塩基性アミン、例えば、ニコチンは、大部分がプロトン化形態で存在し、そのプロトン化形態は、比較的高い水溶解度、並びに溶媒蒸発及び酸化的分解に対してより高い安定性を有するが、低い粘膜利用可能性を有する。驚くべきことに、本開示によれば、口腔用に構成された組成物中のニコチンの安定性、溶解度及び利用可能性という特性は、ニコチンと適切な有機酸及び/又はその共役塩基とのイオン対形成又は塩形成により相互に増強され得ることが見出された。具体的に、中程度の脂溶性のニコチン-有機酸のイオン対は、有利な安定性及び吸収特性をもたらす。脂溶性は、親油性相と水相、通常、それぞれオクタノールと水との間の分子の分配係数である、logPに関して都合よく測定される。塩基性アミン-有機酸イオン対のオクタノールへの分布を有利にするオクタノール-水分配は、組成物中に存在する塩基性アミンの口腔粘膜を介する良好な吸収を予測する。
【0071】
当業者は、使用者による使用前と使用中の両方において、開示組成物におけるイオン対形成の程度は、例えば、pH、組成物中に存在する有機酸の性質、塩基性アミンの濃度、有機酸又は有機酸の共役塩基の濃度、組成物の含水量、組成物のイオン強度などに基づいて異なり得ることを認識している。当業者はまた、イオン対形成が前述の変数により影響される平衡過程であることを認識する。したがって、イオン対形成の範囲の定量化は困難であるか、又は計算又は直接的観察では不可能である。しかし、イオン対形成の存在は、オクタノールと水との間の塩基性アミンの分配などの代用尺度により、又は塩基性アミンと有機酸及び/又はその共役塩基の水溶液の膜浸透度の検討を行うことによって実証され得る。
【0072】
有機酸
本明細書で使用される場合、「有機酸」という用語は、酸の特性により特徴付けられる有機(すなわち、炭素ベースの)化合物を指す。通常、有機酸は比較的弱酸(すなわち、これらは水の存在下で完全に分離しない)、例えば、カルボン酸(-COH)又はスルホン酸(-SOOH)である。本明細書で使用される場合、有機酸についての言及は、意図的に添加された有機酸を意味する。これに関連して、有機酸は、別の組成物の成分の構成成分として単に本来存在する有機酸(例えば、組成物成分、例えば、タバコ材料中に本来存在し得る少量の有機酸)とは対照的に、特定の組成物成分として意図的に添加することができる。
【0073】
適切な有機酸は通常ある範囲の親油性を有する(すなわち、水と有機の溶解度との適当な平衡を付与する両極性を有する)。通常、logPで示される適切な有機酸の親油性は、約1~約12(水中よりもオクタノール中でより溶解性がある)の間で変動する。一部の実施形態では、有機酸は、約1~約12、例えば、約1.0、約1.5、約2.0、約2.5、約3.0、約3.5、約4.0、約4.5、約5.0、約5.5、約6.0、約6.5、約7.0、約7.5、又は約8.0から、約8.5、約9.0、約9.5、約10.0、約10.5、約11.0、約11.5、又は約12.0までのlogP値を有する。
【0074】
理論によって拘泥されることを望むものではないが、中程度に親油性の有機酸(例えば、約1.4~約4.5のlogP)は、ニコチンとイオン対を生成し、そのイオン対は、イオン対の良好なオクタノール-水分配をもたらし、こうして、水よりもオクタノールにニコチンを分配する極性があると考えられる。上に議論されている通り、オクタノールへのそのような分配は、有利な口腔利用可能性を予測する。
【0075】
特定の実施形態において、有機酸は、約3.0~約8.0、約10.0、又はさらには12.0のlogP値を有する。一部の実施形態において、ある特定の溶媒又は可溶化剤が存在(例えば、組成物中にグリセリン又はプロピレングリコールを含む)すると、高い親油性有機酸(例えば、約4.5より高い)の場合、有機酸及び対応する塩、又はその塩基性アミンとのイオン対の溶解に有利となり得る。
【0076】
一部の実施形態では、有機酸はカルボン酸又はスルホン酸である。カルボン酸又はスルホン酸官能基は、例えば、1~20個の炭素原子(C~C20)を有する任意のアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、又はヘテロアリール基に結合していてもよい。一部の実施形態では、有機酸はアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、又はヘテロアリールカルボキシル又はスルホン酸である。
【0077】
本明細書で使用される場合、「アルキル」は、任意の直鎖又は分枝鎖炭化水素を指す。アルキル基は飽和していてもよく(すなわち、すべてのsp炭素原子を有する)、又は不飽和であってもよい(すなわち、少なくとも1つの不飽和部位を有する)。本明細書で使用される場合、「不飽和の」という用語は、アルキル基内の1つ以上の位置における炭素-炭素、sp二重結合の存在を指す。不飽和のアルキル基は、単価不飽和又は多価不飽和であってもよい。代表的な直鎖アルキル基として、これらに限定されないが、メチル、エチル、n-プロピル、n-ブチル、n-ペンチル、及びn-ヘキシルが挙げられる。分枝鎖アルキル基として、これらに限定されないが、イソプロピル、sec-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、イソペンチル、及び2-メチルブチルが挙げられる。代表的な不飽和アルキル基として、これらに限定されないが、エチレン又はビニル、アリル、1-ブテニル、2-ブテニル、イソブチレニル、1-ペンテニル、2-ペンテニル、3-メチル-1-ブテニル、2-メチル-2-ブテニル、2,3-ジメチル-2-ブテニルなどが挙げられる。アルキル基は非置換であっても、又は置換されていてもよい。
【0078】
「シクロアルキル」は本明細書で使用される場合、炭素環式基を指し、その炭素環式基は単環式であっても、又は二環式であってよい。シクロアルキル基として、単環式として3~7個の炭素原子を有する環又は二環式として7~12個の炭素原子を有する環が挙げられる。単環式シクロアルキル基の例として、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、及びシクロオクチルが挙げられる。シクロアルキル基は非置換であっても、又は置換されていてもよく、1つ以上の不飽和部位を含むことができる(例えば、シクロペンテニル又はシクロヘキセニル)。
【0079】
「アリール」という用語は、本明細書で使用される場合、炭素環式芳香族基を指す。アリール基の例として、これらに限定されないが、フェニル及びナフチルが挙げられる。アリール基は非置換であっても、又は置換されていてもよい。
【0080】
「ヘテロアリール」及び「ヘテロシクロアルキル」は、本明細書で使用される場合、芳香族又は非芳香族環系をそれぞれ指し、その中で1個以上の環原子はヘテロ原子、例えば窒素、酸素、及び硫黄である。ヘテロアリール又はヘテロシクロアルキル基は、20個までの炭素原子並びにN、O、及びSから選択される1~3個のヘテロ原子を含む。ヘテロアリール又はヘテロシクロアルキルは、3~7環員を有する単環式(例えば、2~6個の炭素原子及びN、O、及びSから選択される1~3個のヘテロ原子)又は7~10環員を有する二環式(例えば、4~9個の炭素原子及びN、O、及びSから選択される1~3個のヘテロ原子)、例えば、ビシクロ[4,5]、[5,5]、[5,6]、又は[6,6]系であってもよい。ヘテロアリール基の例は、例として、ただしこれらに限定されないが、ピリジル、チアゾリル、テトラヒドロチオフェニル、ピリミジニル、フラニル、チエニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、テトラゾリル、ベンゾフラニル、チアナフタレニル、インドリル、インドレニル、キノリニル、イソキノリニル、ベンゾイミダゾリル、イソオキサゾリル、ピラジニル、ピリダジニル、インドリジニル、イソインドリル、3H-インドリル、1H-インダゾリル、プリニル、4H-キノリジニル、フタラジニル、ナフチリジニル、キノキサリニル、キナゾリニル、シンノリニル、プテリジニル、4aH-カルバゾリル、カルバゾリル、フェナントリジニル、アクリジニル、ピリミジニル、フェナントロリニル、フェナジニル、フェノチアジニル、フラザニル、フェノキサジニル、イソクロマニル、クロマニル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、ピラゾリジニル、ピラゾリニル、ベンゾトリアゾリル、ベンズイソオキサゾリル、及びイサチノイルが挙げられる。ヘテロシクロアルキルの例は、例として、ただしこれらに限定されないが、ジヒドロピリジル(dihydroypyridyl)、テトラヒドロピリジル(ピペリジル)、テトラヒドロチオフェニル、ピペリジニル、4-ピペリドニル、ピロリジニル、2-ピロリドニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、ビス-テトラヒドロピラニル、テトラヒドロキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、デカヒドロキノリニル、オクタヒドロイソキノリニル、ピペラジニル、キヌクリジニル、及びモルホリニルが挙げられる。ヘテロアリール及びヘテロシクロアルキル基は非置換であっても、又は置換されていてもよい。
【0081】
「置換されている」は、本明細書で使用される場合及び上記アルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクリルのいずれかに適用される場合、1個以上の水素原子がそれぞれ独立して置換基で置き換えられていることを意味する。典型的置換基として、これらに限定されないが、-Cl、Br、F、アルキル、-OH、-OCH、NH、-NHCH、-N(CH、-CN、-NC(=O)CH、-C(=O)-、-C(=O)NH、及び-C(=O)N(CHが挙げられる。基が「任意選択的に置換されている」と記載されている場合は常に、その基は、それぞれの場合に対して独立して選択される上記置換基のうちの1個以上で置換されていることができる。一部の実施形態では、置換基は1個以上のメチル基又は1個以上のヒドロキシル基であってもよい。
【0082】
一部の実施形態では、有機酸はアルキルカルボン酸である。アルキルカルボン酸の非限定的例として、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、バレリアン酸、カプロン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、ウンデカン酸、ドデカン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸などが挙げられる。
【0083】
一部の実施形態では、有機酸はアルキルスルホン酸である。アルキルスルホン酸の非限定的例として、プロパンスルホン酸、ヘプタンスルホン酸、及びオクタンスルホン酸が挙げられる。
【0084】
一部の実施形態では、アルキルカルボキシル又はスルホン酸は1つ以上のヒドロキシル基で置換されている。非限定的例として、グリコール酸、4-ヒドロキシ酪酸、及び乳酸が挙げられる。
【0085】
一部の実施形態では、有機酸として、1つより多くのカルボン酸基又は1つより多くのスルホン酸基(例えば、2、3、又はそれよりも多くカルボン酸基)を含むことができる。非限定的例として、シュウ酸、フマル酸、マレイン酸、及びグルタル酸が挙げられる。複数のカルボン酸を含有する(例えば、2~4つのカルボン酸基)有機酸において、カルボン酸基の1つ以上がエステル化していてもよい。非限定的例として、コハク酸モノエチルエステル、フマル酸モノメチル、クエン酸モノメチル、又はクエン酸ジメチルシトレートなどが挙げられる。
【0086】
一部の実施形態では、有機酸は1つより多くのカルボン酸基及び1つ以上のヒドロキシル基を含むことができる。そのような酸の非限定的例として、酒石酸、クエン酸などが挙げられる。
【0087】
一部の実施形態では、有機酸はアリールカルボン酸又はアリールスルホン酸である。アリールカルボン酸及びスルホン酸の非限定例は、安息香酸、トルイル酸、サリチル酸、ベンゼンスルホン酸、及びp-トルエンスルホン酸を含む。
【0088】
ある特定の実施形態において有用になり得る有機酸のさらなる非限定例は、2-(4-イソブチルフェニル)プロパン酸、2,2-ジクロロ酢酸、2-ヒドロキシエタンスルホン酸、2-オキソグルタル酸、4-アセトアミド安息香酸、4-アミノサルチル酸、アジピン酸、アスコルビン酸(L)、アスパラギン酸(L)、アルファ-メチル酪酸、シヨウノウ酸(+)、カンファー-10-スルホン酸(+)、桂皮酸、シクラミン酸、ドデシル硫酸、エタン-1,2-二スルホン酸、エタンスルホン酸、フロ酸、粘膜酸、ゲンチジン酸、グルコヘプトン酸、グルコン酸、グルクロン酸、グルタミン酸、グリセロリン酸、グリコール酸、馬尿酸、イソ酪酸、イソ吉草酸、ラクトビオン酸、ラウリン酸、レブリン酸、リンゴ酸、マロン酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、ナフタレン-1,5-二スルホン酸、ナフタレン-2-スルホン酸、オレイン酸、パルミチン酸、パモ酸、フェニル酢酸、ピログルタミン酸、ピルビン酸、セバシン酸、ステアリン酸、及びウンデシレン酸を含む。
【0089】
適切な酸の例は、以下に限定されないが、表1中の有機酸のリストを含む。
【0090】
【表1】
【0091】
有機酸の選択は、logP値を考慮することに加え、追加の特性にさらに依存し得る。例えば、有機酸は、ヒトの消費にとって安全と認識されるものであるべきであり、許容される風味、臭気、揮発性、安定性などを有する。適切な有機酸の決定は、当業者の範囲内にある。
【0092】
一部の実施形態では、有機酸はジカルボン酸又はポリカルボン酸のモノエステルである。一部の実施形態では、ジカルボン酸はマロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、フマル酸、マレイン酸、又はこれらの組合せである。一部の実施形態では、ジカルボン酸はコハク酸、グルタル酸、フマル酸、マレイン酸、又はこれらの組合せである。一部の実施形態では,ジカルボン酸はコハク酸、グルタル酸、又はこれらの組合せである。
【0093】
一部の実施形態では、ジカルボン酸のアルコール形成モノエステルは親油性アルコールである。適切な親油性アルコールの例として、これらに限定されないが、オクタノール、メントール、及びトコフェロールが挙げられる。一部の実施形態では、有機酸はジカルボン酸のオクチルモノエステル、例えば、コハク酸モノオクチル、フマル酸モノオクチルなどである。一部の実施形態では、有機酸はジカルボン酸のモノメンチルエステルである。ある特定のメンチルエステルは、組成物を含む製品の使用時にこれらが冷却感覚をもたらすことができるため、本明細書に記載されている口腔用組成物中あるのが望ましいこともある。一部の実施形態では、有機酸はコハク酸モノメンチル、フマル酸モノメンチル、グルタル酸モノメンチル、又はこれらの組合せである。一部の実施形態では、有機酸はジカルボン酸のモノトコフェリルエステルである。ある特定のトコフェリルエステルは、これらが抗酸化剤作用をもたらすことができるため、本明細書に記載されている口腔用組成物中にあるのが望ましいこともある。一部の実施形態では、有機酸はコハク酸トコフェリル、フマル酸トコフェリル、グルタル酸トコフェリル、又はこれらの組合せである。
【0094】
一部の実施形態では、有機酸は1つ以上のカルボン酸を有するカロチノイド誘導体である。カロチノイドはテトラテルペンであり、これらは8個のイソプレン分子から生成され、40個の炭素原子を含有することを意味する。したがって、これらは普通長い不飽和の脂肪族鎖の存在により親油性であり、色は一般的に黄色、オレンジ色、又は赤色である。ある特定のカロチノイド誘導体は、イオン対形成と、組成物中の着色剤としての役目の両方をもたらすことにより、口腔用組成物において有利となり得る。一部の実施形態では、有機酸は、2E,4E,6E,8E,10E,12E,14E,16Z,18E)-20-メトキシ-4,8,13,17-テトラメチル-20-オキソイコサ-2,4,6,8,10,12,14,16,18-ノナエン酸(ビキシン)、又はその異性体である。ビキシンは、アチョーテ木(ビクサ・オレラナ(Bixa orellana))からのアナトーシードに見出されるアポカロテノイドであり、赤みを帯びたオレンジ色をアナトーに提供する天然由来の顔料である。ビキシンは脂肪及びアルコールに溶解性があるが、水には不溶性であり、単離した場合、化学的に不安定であり、異性化を介して二重結合異性体、trans-ビキシン(β-ビキシン)へと変換され、以下の構造を有する:
【0095】
【化1】
【0096】
一部の実施形態では、有機酸は、(2E,4E,6E,8E,10E,12E,14E,16E,18E)-4,8,13,17-テトラメチルイコサ-2,4,6,8,10,12,14,16,18-ノナエン二酸(ノルビキシン)であり、ビキシンの水溶性加水分解生成物であり、以下の構造を有する:
【0097】
【化2】
【0098】
一部の実施形態では、1つより多くの有機酸が存在してもよい。例えば、組成物は、2つ、又は3つ、又は4つ、又はそれよりも多く有機酸を含むことができる。したがって、本明細書での「有機酸」という言及は、2つ又はそれよりも多くの有機酸の混合物を想定している。複数の有機酸の相対量は変動し得る。例えば、組成物は、等量の2つ、又は3つ、又はそれよりも多くの有機酸を含むことができ、又は異なる相対量を含むこともできる。そのように、他の有機酸と組み合わせた場合、組合せに対して所望の平均logP範囲をもたらすように、所望の範囲の外側のlogP値を有するある特定の有機酸(例えば、クエン酸又はミリスチン酸)を含めることも可能である。一部の実施形態では、目的に対して所望の範囲の外側のlogP値を有する組成物中に、例えば、これらに限定されないが、望ましい官能特性、安定性を香味成分として提供する有機酸を含むことが望ましいこともある。さらに、ある特定の親油性有機酸は、唯一の有機酸(例えば、ニコチンと比べて等モル又はより大きな量の)としてのこれらの存在を妨げる有害な香味及び又は芳香特徴を有する。理論に制約されることを望むことなく、異なる有機酸の組合せは、組成物中の任意の単一有機酸の濃度を、感覚性の観点から好ましくないと判明した閾値よりも低いまま保ちながら、所望のイオン対形成を提供することができると考えられる。
【0099】
一部の実施形態において、本組成物は、ジカルボン酸のモノエステルである有機酸又は本明細書の上に記載されている1つ以上のカルボン酸を有するカロチノイド誘導体を含み、さらなる有機酸又はその塩をさらに含む。一部の実施形態において、さらなる有機酸は、安息香酸、そのアルカリ金属塩又はこれらの組合せである。
【0100】
一部の実施形態において、組成物は有機酸のアルカリ金属塩を含む。例えば、有機酸の少なくとも一部はアルカリ金属塩の形態で組成物中に存在し得る。適切なアルカリ金属塩として、リチウム、ナトリウム及びカリウムが挙げられる。一部の実施形態において、アルカリ金属は、ナトリウム又はカリウムである。一部の実施形態では、アルカリ金属はナトリウムである。一部の実施形態では、組成物は有機酸及び有機酸のナトリウム塩を含む。
【0101】
一部の実施形態において、ナトリウム塩(又は、他のアルカリ金属)に対する有機酸の重量比は、約0.1、約0.25、約0.3、約0.5、約0.75、又は約1から、約2、約5、又は約10までなどの約0.1~約10である。例えば、一部の実施形態では、有機酸とそのナトリウム塩の両方が組成物の他の構成成分に添加され、有機酸は、ナトリウム塩を超える量で、ナトリウム塩と等モルの量で、又はナトリウム塩の一部として添加される。当業者は、相対量は、組成物の所望のpH、並びに所望のイオン強度により決定されることを認識している。例えば、有機酸は組成物の所望のpHレベルをもたらす量で添加されてもよく、その一方でアルカリ金属(例えば、ナトリウム)塩は所望の範囲のイオン対形成をもたらす量で添加される。組成物中に存在するアルカリ金属塩又は共役塩基形態に対する、組成物中に存在する有機酸(すなわち、プロトン化形態)の量は、組成物のpH及び有機酸のpKaにより、並びに組成物に最初に添加された実際の相対的な量により変動することを当業者は理解している。
【0102】
塩基性アミン(例えば、ニコチン)に対する、組成物中に存在する有機酸又はそのアルカリ金属塩の量は異なり得る。一般に、有機酸(又はその共役塩基)の濃度が向上するにつれて、有機酸とイオン対を形成する、塩基性アミン(例えば、ニコチン)の割合が向上する。これによって、logP(分配係数のlog10)によって測定される、イオン対の形態にある塩基性アミン(例えば、ニコチン)の、水に対するオクタノールへの分配が通常、増大する。一部の実施形態において、本組成物は、塩基性アミンの遊離塩基として計算すると、塩基性アミン(例えば、ニコチン)に対して、約0.05、約0.1、約1、約1.5、約2又は約5から約10、約15又は約20モル当量までの有機酸、そのアルカリ金属塩又はこれらの組合せを含む。
【0103】
一部の実施形態において、本組成物は、遊離塩基を基準にすると、塩基性アミン(例えば、ニコチン)に対して、約2~約10、又は約2~約5モル当量の有機酸、そのアルカリ金属塩又はこれらの組合せを含む。一部の実施形態において、有機酸、そのアルカリ金属塩又はこれらの組合せは、約2、約3、約4又は約5から、約6、約7、約8、約9又は約10までとなる、塩基性アミン(例えば、ニコチン)とのモル比で存在する。1つより多い有機酸、そのアルカリ金属塩又はこれらのどちらも存在する実施形態において、そのようなモル比は、存在する有機酸の総量に反映することを理解すべきである。
【0104】
ある特定の実施形態において、有機酸の含有は、約4.5~約7.0又は約5.5~約7.0、約4.0~約5.5又は約7.0~約9.0などの、約4.0~約9.0のpHの組成物をもたらすのに十分である。一部の実施形態では、有機酸の包含は、約4.5~約6.5、例えば、約4.5、約5.0、又は約5.5から、約6.0、又は約6.5までの組成物pHをもたらすのに十分である。一部の実施形態では、有機酸は、約5.5~約6.5、例えば,約5.5、約5.6、約5.7、約5.8、約5.9、又は約6.0から、約6.1、約6.2、約6.3、約6.4、又は約6.5までの組成物のpHをもたらすのに十分な量で提供される。他の実施形態では、鉱酸(例えば、塩酸、硫酸、リン酸、など)を添加して、組成物のpHを所望の値に調節する。
【0105】
一部の実施形態において、有機酸は、遊離酸として、ニート(すなわち、元々の固体形態又は液状形態)、又は例えば水中の溶液としてのどちらかにおいて、他の組成物の構成成分に添加される。一部の実施形態において、有機酸のアルカリ金属塩は、ニート又は例えば水中の溶液としてのどちらかにおいて、他の組成物の構成成分に添加される。一部の実施形態において、組成物への添加前、又は塩がその中で形成される前のどちらか一方において、有機酸及び塩基性アミン(例えば、ニコチン)は一緒にされて塩を形成し、組成物中にそのまま存在する。他の実施形態において、有機酸及び塩基性アミン(例えば、ニコチン)は、組成物において個々の構成成分として存在し、水分(例えば、使用者の口腔内の唾液)に接触すると、イオン対を形成する。
【0106】
一部の実施形態では、有機酸は、遊離酸として、純粋な形態(すなわち、天然の固体又は液体形態)又は溶液、例えば、水中溶液として、他の組成物構成成分に添加される。一部の実施形態では、有機酸のアルカリ金属塩は、純粋な形態又は溶液、例えば、水中溶液として、他の組成物構成成分に添加される。一部の実施形態において、組成物への添加前、又は塩が形成される前のどちらか一方において、有機酸及び塩基性アミン(例えば、ニコチン)を一緒にして塩を形成させ、組成物中にそのまま存在する。他の実施形態において、有機酸及び塩基性アミン(例えば、ニコチン)は、組成物中に個々の構成成分として存在し、水分(例えば、使用者の口腔内の唾液)に接触すると、イオン対を形成する。
【0107】
一部の実施形態において、本口腔用組成物は、安息香酸ニコチン及び安息香酸ナトリウムを含み、存在するニコチン及び安息香酸イオンの少なくとも一部は、イオン対を形成した形態で存在する。一部の実施形態において、本組成物は、安息香酸ニコチン、安息香酸ナトリウム及び有機酸、有機酸のアルカリ金属塩、又はこれらの組合せを含み、有機酸は約1~約12のlogP値を有しており、有機酸は、ジカルボン酸のモノエステルである、又は1つ以上のカルボン酸を有するカロチノイド誘導体である。
【0108】
一部の実施形態において、口腔用組成物は、有機酸又はその塩の少なくとも1つ以上の溶解度を増大させるため、溶解性改善剤をさらに含む。適切な溶解性改善剤には、以下に限定されないが、本明細書に記載されている保湿剤、例えばグリセロール又はプロピレングリコールを含む。
【0109】
塩基性アミン
本明細書において開示されている組成物は、塩基性アミンを含む。「塩基性アミン」とは、少なくとも1つの塩基性アミン官能基を含む分子を意味する。塩基性アミンの例には、以下に限定されないが、アルカロイドが含まれる。「塩基性アミン官能基」とは、電子の孤立電子対を有する窒素原子を含有する基を意味する。塩基性アミン官能基は、前記窒素原子への1つ以上の共有結合を介して、分子に結合している、又は分子内に組み込まれている。塩基性アミンは、一級、二級又は三級アミンであってもよく、窒素が、炭素原子への共有結合を1つ、2つ又は3つ有することを意味する。窒素原子上の孤立電子対のため、そのようなアミンは、「塩基性」と称され、孤立電子対が水素結合に利用可能であることを意味する。塩基性アミンの塩基性(すなわち、窒素原子上の電子密度であり、したがって、水素結合の窒素原子への利用可能性及び強度)は、隣接原子の性質、分子の立体的な嵩高さなどによって影響を受け得る。
【0110】
一般に、塩基性アミンは、組成物から放出され、口腔粘膜を介して吸収され、これによって血流に入り、ここで、全身に循環される。一般に、塩基性アミンは、本明細書の以下に記載されている通り、組成物中に存在する、又は組成物中の活性成分として存在する。一部の実施形態において、塩基性アミンは、ニコチン又はニコチン成分である。「ニコチン成分」とは、存在するニコチンの少なくとも一部の経口吸収をもたらすための、任意の適切な形態のニコチン(例えば、遊離塩基、塩又はイオン対)を意味する。ニコチンは組成物から放出され、口腔粘膜を介して吸収され、これによって血流に入り、ここで、全身に循環される。
【0111】
塩基性アミンとして存在する場合、ニコチン源は様々であってもよく、天然物であってもよく、又は合成物であってもよい。ニコチンは、タバコに由来することができる(例えば、タバコ抽出物)、又は非タバコに由来することができる(例えば、合成又は他の方法で得られるもの)。最も好ましくは、ニコチンは天然物であり、ニコチアナ属種(例えば、タバコ)から抽出物として得られる。ニコチンは、エナンチオマー形態S(-)-ニコチン、R(+)-ニコチン、又はS(-)-ニコチンとR(+)-ニコチンの混合物を有することができる。最も好ましくは、ニコチンはS(-)-ニコチンの形態(例えば、実質的にはすべてS(-)-ニコチンである形態)、又は主に若しくは大部分S(-)-ニコチン(例えば、約95重量部のS(-)-ニコチンと約5重量部のR(+)-ニコチンで構成される混合物)で構成されるラセミ混合物である。最も好ましくは、ニコチンは、実質的に純粋な形態で又は本質的に純粋な形態で利用される。利用される極めて好ましいニコチンは、重量ベースで、約95パーセントより大きい、より好ましくは約98パーセントより大きい、最も好ましくはより大きい約99パーセントより大きい純度を有する。
【0112】
通常、ニコチン成分は、ニコチン遊離塩基、イオン対としてのニコチン、及びニコチン塩からなる群から選択される。一部の実施形態において、ニコチンの少なくとも一部は、その遊離塩基形態で存在する。一部の実施形態において、ニコチンの少なくとも一部は、ニコチン塩として存在する、又はニコチンの少なくとも一部は、本明細書の上に開示されている通り、有機酸若しくはその共役塩基の少なくとも一部とのイオン対として存在する。
【0113】
通常、ニコチン成分(遊離塩基として計算)は、組成物の約0.001%~約10%の範囲などの、少なくとも約0.001重量%の濃度で存在する。一部の実施形態において、ニコチン成分は、遊離塩基として計算すると、組成物の総重量に対して、例えば、約0.1%w/w、約0.2重量%、約0.3重量%、約0.4重量%、約0.5重量%、約0.6重量%、約0.7重量%、約0.8重量%又は約0.9重量%から、約1重量%、約2重量%、約3重量%、約4重量%、約5重量%、約6重量%、約7重量%、約8重量%、約9重量%又は約10重量%までなどの、約0.1%w/w~約10重量%の濃度で存在する。一部の実施形態において、ニコチン成分は、遊離塩基として計算すると、組成物の総重量に対して、例えば、約0.1%w/w~約2.5重量%、約0.1重量%~約2.0重量%、約0.1重量%~約1.5重量%又は約0.1重量%~約1重量%などの、約0.1%w/w~約3重量%の濃度で存在する。
【0114】
本明細書の上に記載されている通り、組成物中に存在する塩基性アミンは、ニコチン又はニコチン成分であってもよく、又は活性成分若しくは塩基性アミン官能基を含む活性成分の構成成分であってもよい。当業者は、本明細書の下に記載されている多数の活性成分が、塩基性アミンとして分類され得る分子からなることを認識している。したがって、そのような塩基性アミン含有活性成分と本明細書に記載されている親油性有機酸とのイオン対形成が企図される。そのような実施形態において、活性成分と有機酸、有機酸のアルカリ金属塩又はこれらの組合せとのイオン対は、イオン対を含む組成物の安定性を増大することができる、又はイオン対を形成した形態の活性成分が存在するために、活性成分の口腔粘膜による吸収を増大させる。
【0115】
フィラー
本明細書に記載されている組成物は、少なくとも1つのフィラーを含む。フィラーは、テキスチャー及び口当たりなどのある特定の官能特性の増強、製品の凝集性又は圧縮性の増強などの複数の機能を果たすことがある。
【0116】
一般的に、フィラーは、多孔質微粒子材料であり、セルロースベースである。例えば、適切なフィラーは、任意の非タバコ植物材料又はその誘導体であり、そのような供給源由来のセルロース材料を含む。セルロース系非タバコ植物材料の例として、穀物(例えば、メイズ、カラスムギ、オオムギ、ライムギ、ソバなど)、テンサイ(例えば、International Fiber Corporationから入手可能なFIBREX(登録商標)というブランドのフィラー)、ふすま繊維及びこれらの混合物が挙げられる。非タバコ植物材料の誘導体の非限定例として、デンプン(例えば、ジャガイモ、コムギ、コメ、トウモロコシ由来のもの)、天然セルロース系材料及び修飾セルロース系材料が挙げられる。
【0117】
「デンプン」とは、本明細書において使用される場合、任意の供給源に由来する純粋なデンプン、加工デンプン又はデンプン誘導体を指すことができる。デンプンは、通常、ほとんどすべての緑色植物において、並びに様々なタイプの植物組織及び器官(例えば、種子、葉、根茎、根、塊茎、新芽、果実、穀粒、及び茎)において顆粒状の形態で存在する。デンプンは、組成、並びに顆粒の形状及びサイズが様々となり得る。多くの場合、異なる供給源由来のデンプンは異なる化学的及び物理的特徴を有する。特定のデンプンは、特定の感覚刺激特性を組成物に付与するデンプン材料の能力に基づき、混合物に含ませるよう選択され得る。様々な供給源由来のデンプンが使用され得る。例えば、デンプンの主要源として、穀物(例えば、コメ、コムギ及びメイズ)、及び根菜(例えば、ジャガイモ及びキャッサバ)が挙げられる。デンプン源の他の例として、ドングリ、クズウコン、アラカチャ、バナナ、オオムギ、マメ(例えば、ソラマメ、レンズマメ、リョクトウ、エンドウマメ、ヒヨコマメ)、パンノキ、ソバ、カンナ、クリ、コラカシア、カタクリ、クズ、マランガ、アワ、カラスムギ、オカ、ポリネシアンアロールート、サゴ、ソルガム、サツマイモ、キノア、ライムギ、タピオカ、タロ、タバコ、ウオーターチェストナット及びヤムが含まれる。ある特定のデンプンは加工デンプンである。加工デンプンは、多くの場合、その高い熱特性を変化させるように設計されている、1つ以上の構造的変化を受ける。一部のデンプンは遺伝的修飾により開発され、「加工」デンプンと見なされる。他のデンプンが得られ、続いて加工される。例えば、加工デンプンは、エステル化、エーテル化、酸化、塩基の存在下での酸触媒若しくは酸化による解重合(低粘稠化)、漂白、グリコシル転移及び解重合(例えば、触媒の存在下でデキストリン化)、架橋、酵素処理、アセチル化、ヒドロキシプロピル化、及び/又は部分加水分解など化学反応が施されたデンプンとすることができる。他のデンプンは、アルファ化、デキストリン化、及び/又は冷水膨潤プロセスなどの加熱処理により加工される。ある特定の加工デンプンには、リン酸化モノデンプン、グリセロール架橋デンプン、トリメタリン酸ナトリウムによりエステル化したリン酸架橋デンプン、リン酸化リン酸架橋デンプン、アセチル化リン酸架橋デンプン、無水酢酸によりエステル化した酢酸デンプン、酢酸ビニルによりエステル化した酢酸デンプン、アセチル化アジピン酸架橋デンプン、アセチル化グリセロール架橋デンプン、ヒドロキシプロピルデンプン、ヒドロキシプロピルグリセロール架橋デンプン、オクテニルコハク酸デンプンナトリウムが挙げられる。
【0118】
潜在的なフィラーの追加の例として、マルトデキストリン、デキストロース、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、ラクトース、及び糖アルコールが挙げられる。フィラーの組合せもまた使用され得る。一部の実施形態において、フィラーは、グルコース及びデンプン由来多糖の混合物を含む、又は混合物である。グルコース及びデンプン由来多糖のそのような適切な混合物の1つは、JRS PHARMA LP(米国、2981 Route 22、Patterson、NY 12563-2359)から入手可能なEMDEX(登録商標)である。
【0119】
一部の実施形態において、微粒子フィラーは、セルロース材料又はセルロース誘導体である。本明細書に記載されている組成物における使用に対して特に適切な微粒子フィラーの1つは、微結晶性セルロース(「mcc」)である。MCCは合成であっても、半合成であってもよく、又は全面的に天然セルロースから得ることもできる。MCCは、AVICEL(登録商標)グレードPH-100、PH-102、PH-103、PH-105、PH-112、PH-113、PH-200、PH-300、PH-302、VIVACEL(登録商標)グレード101、102、12、20、及びEMOCEL(登録商標)グレード50M及び90Mなど、並びにこれらの混合物からなる群から選択することができる一実施形態において、本組成物は、微粒子フィラーとしてmccを含む。存在するmccの量は、所望の特性に応じて異なり得る。
【0120】
フィラーの量は異なることができるが、通常、組成物の総重量に対して、重量基準で組成物の最大約75パーセントである。組成物内のフィラー(例えば、mcc)の典型的な範囲は、組成物の総重量基準で、約10~約75パーセント、例えば、約10、約15、約20、約25又は約30から約35、約40、約45、又は約50重量パーセント(例えば、約20~約50重量パーセント又は約25~約45重量パーセント)までとすることができる。ある特定の実施形態において、フィラーの量は、組成物の総重量に対して、少なくとも約20パーセント、又は少なくとも約25パーセント、又は少なくとも約30パーセント、又は少なくとも約35パーセント、又は少なくとも約40パーセントなどの少なくとも約10重量パーセントである。
【0121】
一実施形態において、フィラーは、セルロース誘導体又はそのような誘導体の組合せをさらに含む。一部の実施形態において、本組成物は、組成物の総重量に対して、重量基準で、約1~約10%のセルロース誘導体を含み、ある特定の実施形態は、約1~約5重量%のセルロース誘導体を含む。ある特定の実施形態において、セルロース誘導体は、セルロースエーテル(カルボキシアルキルエーテルを含む)であり、これはセルロース構造中の1つ以上のヒドロキシル基の水素がアルキル、ヒドロキシアルキル又はアリール基により置き換えられたセルロースポリマーを意味する。そのようなセルロース誘導体の非限定的例として、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース(「HPC」)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(「HPMC」)、ヒドロキシエチルセルロース及びカルボキシメチルセルロース(「CMC」)が挙げられる。一実施形態において、セルロース誘導体はメチルセルロース、HPC、HPMC、ヒドロキシエチルセルロース、及びCMCのうちの1つ以上である。一実施形態において、セルロース誘導体はHPCである。一部の実施形態において、本組成物は、組成物の総重量に対して、重量基準で約1~約3%のHPCを含む。
【0122】

本組成物の含水量は、組成物の使用者による使用前に、所望の特性に応じて様々になり得る。通常、本組成物は、約60重量パーセント未満の水であり、一般に、約1~約60重量%の水、例えば、約5~約55重量パーセント、約10~約50重量パーセント、約20~約45重量パーセント、又は約25~約40重量パーセントの水であり、少なくとも約5重量%、少なくとも約10重量%、少なくとも約15重量%、及び少なくとも約20重量%の水量を含む。一部の実施形態において、本組成物は、約9重量パーセント以下、約7重量パーセント以下、約5重量パーセント以下、約4重量パーセント以下、約3重量パーセント以下、又は約2重量パーセント以下などの、約10重量パーセント未満の水である。一部の実施形態において、組成物の含水率は、組成物の総重量に対して、約0.1重量パーセント~約10重量パーセントの範囲にある。
【0123】
活性成分
本明細書において開示されている組成物は、ある特定の実施形態において、活性成分を含む。本明細書で使用される場合、「活性成分」とは、以下のカテゴリーのいずれかに属する1つ以上の物質を指す:API(活性医薬物質)、食品添加物、天然薬剤及びヒトに対して作用を有し得る天然由来物質。例示的活性成分として、1つ以上の体内の生物学的機能に影響を及ぼすことが公知の任意の成分、例えば、疾患の診断、治癒、軽減、治療、若しくは予防において、薬理学的活性又は他の直接的作用をもたらす、又はヒトの身体の構造又は任意の機能に影響を与える成分(例えば、中枢神経系に刺激作用をもたらす、活発化作用、解熱作用若しくは鎮痛作用、又は身体に有用な他の作用を有する)が挙げられる。一部の実施形態では、活性成分は、一般的に栄養補助食品、機能性食品、「植物化学作用物質」又は「機能性食品」と呼ばれる種類であってもよい。これらの種類の添加剤は、1つ以上の有利な生物学的作用(例えば、健康促進、疾患予防、又は他の薬理作用)を提供するが、薬物として分類されても、規制されてもいない天然由来の供給源(例えば、ボタニカル材料)から通常入手可能な物質を包含するように当技術分野で定義される場合もある。
【0124】
活性成分の非限定例は、ボタニカル成分、刺激剤、アミノ酸並びに/又は医薬品、機能性食品及び薬用成分(例えば、B6、B12及びCなどのビタミン、並びに/又はテトラヒドロカンナビノール(THC)及びカンナビジオール(CBD)などのカンナビノイド)のカテゴリーに入るものを含む。これらのカテゴリーのそれぞれがさらに以下の本明細書に記載されている。活性成分の特定の選択は、特定の製品の所望の香味料、テキスチャー及び所望の特徴に応じて異なる。
【0125】
存在する活性成分の特定のパーセンテージは、特定の製品の所望の特徴に応じて異なる。通常、活性成分又はこれらの組合せは、組成物の少なくとも約0.001重量%、例えば、約0.001重量%~約20重量%の範囲の総濃度で存在する。一部の実施形態において、活性成分又は活性成分の組合せは、組成物の総重量に対して、約0.1%w/w~約10重量%、例えば、約0.5%w/w~約10重量%、約1重量%~約10重量%、又は約1重量%~約5重量%の濃度で存在する。一部の実施形態において、活性成分又は活性成分の組合せは、組成物の総重量に対して、約0.001重量%、約0.01重量%、約0.1重量%又は約1重量%から、約20重量%まで、例えば、約0.001重量%、約0.002重量%、約0.003重量%、約0.004重量%、約0.005重量%、約0.006重量%、約0.007重量%、約0.008重量%、約0.009重量%、約0.01重量%、約0.02重量%、約0.03重量%、約0.04重量%、約0.05重量%、約0.06重量%、約0.07重量%、約0.08重量%、約0.09重量%、約0.1重量%、約0.2重量%、約0.3重量%、約0.4重量%、約0.5重量%約0.6重量%、約0.7重量%、約0.8重量%又は約0.9重量%から、約1重量%、約2重量%、約3重量%、約4重量%、約5重量%、約6重量%、約7重量%、約8重量%、約9重量%、約10重量%、約11重量%、約12重量%、約13重量%、約14重量%、約15重量%、約16重量%、約17重量%、約18重量%、約19重量%又は約20重量%までの濃度で存在する。特定の活性成分のさらに適切な範囲は、本明細書の以下に提示されている。
【0126】
ボタニカル
一部の実施形態では、活性成分はボタニカル成分を含む。本明細書で使用される場合、「ボタニカル成分」又は「ボタニカル」という用語は、任意の植物材料又は菌類由来の材料(その天然形態での植物材料を含む)及び天然植物材料由来の植物材料、例えば、植物材料又は処理した植物材料からの抽出物又は分離物(例えば、材料の物理的及び/又は化学的性質を改変することが可能な加熱処理、発酵、漂白、又は他の処理プロセスに供された植物材料)を指す。本開示の目的のため、「ボタニカル」には、これらに限定されないが、「薬草材料」が含まれ、その薬草材料とは、持続性の木質組織を生み出さず、多くの場合、これらの薬用特性又は感覚特性(例えば、茶又はハーブ茶)に対して評価されている種子生成植物を指す。「非タバコ」とボタニカル材料を言及する場合、タバコ材料を除外することが意図される(すなわち、いかなるニコチアナ(Nicotiana species)属種も含まない)。
【0127】
存在する場合、ボタニカルは、通常、発泡性の組成物の総重量に対して、約0.01w/w%~約10重量%、例えば、約0.01%w/w、約0.05w/w%、約0.1w/w%又は約0.5w/w%から、約1重量%、約2重量%、約3重量%、約4重量%、約5重量%、約6重量%、約7重量%、約8重量%、約9重量%又は約10重量%、約11重量%、約12重量%、約13重量%、約14重量%又は約15重量%までの濃度である。
【0128】
本開示に有用なボタニカル材料は、制限なしに、これらの混合物を含めた、本明細書において記載の化合物及び供給源のいずれかを含むことができる。その種類のある特定のボタニカル材料は、時には栄養補助食品、機能性食品、「植物化学作用物質」又は「機能性食品」と呼ばれる。ある特定のボタニカルは、ボタニカル材料又はボタニカル抽出物として、従来の薬草薬における使用が見出され、本明細書でさらに記載されている。
【0129】
非タバコボタニカル材料の非限定例は、非限定的に、アサイーベリー(エウテルペオレラセア・マルティウス(Euterpe oleraceamartius))、アセロラ(マルピグイア・グラブラ(Malpighia glabra))、アルファルファ、オールスパイス、アンジェリカルート、アニス(例えば、スターアニス)、アナトーシード、リンゴ(マルス・ドメスティカ(Malus domestica))、アプリコット油、アシュワガンダ、バコパ・モニエラ(Bacopamonniera)、バオバブ、バジル(オシムム・バシリクム(Ocimum basilicum))、月桂樹、ビーバーム、ビート根、ベルガモット、ブラックベリー(モルス・ニグラ(Morus nigra))、ブラックコホシュ、黒コショウ、紅茶、ブルーベリー、ボルド(ペウムス・ボルドゥス(Peumus boldus))、ルリヂサ、キランソウ、カカオ、カラマスルート、カム(ミルカリア・ドュビア(Myrcaria dubia))、アサ/ヘンプ、キャラウェイ種子、カルダモン、カシス、イヌハッカ、カツアバ、カイエンペッパー、センテラ・アジアチカ(Centella asiatica)、チャガマッシュルーム、チャイフー、カモミール、サクラ、チャービル、チャイブ、クロロフィル、チョコレート、コリアンダー、シナモン(シンアモムム・カッシア(Cinnamomum cassia))、シトロングラス(シムボポゴン・シトラトゥス(Cymbopogon citratus))、カンキツ、クラリーセージ、クローブ、ココナッツ(ココス・ヌシフェラ(Cocos nucifera))、コーヒー、ヒレハリソウの葉及び根、ノムシタケ属(cordyceps)、コリアンダー種子、クランベリー、クミン、クルクミン、ダミアナ、タンポポ、ドルステニア・アリフォリア(Dorstenia arifolia)、ドルステニア・オドラータ(Dorstenia odorata)、エキナセア、エルダーベリー、エルダーフラワー、エンドロ(endro)(アネスム・グラベオレンス(Anethum graveolens))、イブニングプリムローズ、ユーカリ、フェンネル、ナツシロギク、フラックス、ガルフィミア・グラウカ(Galphimia glauca)、ニンニク、ショウガ(ジンギベル・オフィシナレ(Zingiber officinale))、イチョウ、ニンジン、ゴジベリー、ゴールデンシール、ブドウ種、グレープフルーツ、ピンクグレープフルーツ(シトラス・パラディシイ(Citrus paradisi))、グラビオーラ(アンノナ・ムリカタ(Annona muricata))、緑茶、ガラナ、ゴツコーラ、サンザシ、ヘーゼル、ヘンプ、ハイビスカスの花(ヒビスクス・サドダリファ(Hibiscus sabdariffa))、ハニーブッシュ、ホップ、アマチャヅル、ジャンブー(スピランテス・オレラセアエ(Spilanthes oleraceae))、ジャスミン(ジャスミヌム・オフィシナレ(Jasminum officinale))、ジュニパーベリー(ジュニペルス・コムニス(Juniperus communis))、カエンフェリア・パルビフローラ(Kaempferia parviflora)(ウコン)、カバ、ローレル、ラベンダー、レモン(シトラス・リモン(Citrus limon))、レモンバーム、レモングラス、甘草、ライラック、ヤマブシタケ、ルテイン、マカ(レピディウム・メイエニイ(Lepidiummeyenii))、メース、ハナハッカ、マッチャ、オオアザミ、ミント(マント)、クワ、ナルドスタキス・チネンシス(Nardostachys chinensis)、ナツメグ、オリーブ、ウーロン茶、オレンジ(シトラス・シネンシス(Citrus sinensis))、オレガノ、パパイヤ、パプリカ、ペニーロイヤル、ペパーミント(メンタ・ピペリタ(Mentha piperita))、ピメント、ジャガイモの皮、月見草、ケルセチン、クインス、レッドクローバ、リスベラトロール、リゾマ・ガストロジアエ(Rhizoma gastrodiae)、ロディオラ、ルイボス(レッド又はグリーン)、ローズヒップ(ロサ・カニナ(Rosa canina))、ローズマリー、サフラン、セージ、セイヨウオトギリ、サンダルウッド、サルビア(サリビア・オフィシナレ(Salvia officinalis))、セイボリー、ノコギリヤシ、スケレチウム・トルトゥオスム(Sceletium tortuosum)、チョウセンゴミシ、シリバム・マリアナム(silybummarianum)、スカルキャップ、スペアミント、スパイクナード、スピルリナ、スリッペリーエルムバーク、ソルガムふすま高タンニン、ソルガム種子高タンニン、スペアミント(メンタ・スピカタ(Mentha spicata))、スピルリナ、スターアニス、スマックふすま、タラゴン、タイム、ハーブ茶、ターメリック、トゥルネラ・アフロディシアカ(Turnera aphrodisiaca)、ウバウルシ、バレリアン、バニラ、ビオラ・オドラータ(Viola odorata)、野生型ヤムの根、ウィンターグリーン、アシュワガンダ、ヤーコンの根、イエロードック、イェルバマテ及びイェルバサンタを含む。
【0130】
刺激剤
一部の実施形態では、活性成分は1つ以上の刺激剤を含む。本明細書で使用される場合、「刺激剤」という用語は、中枢神経系及び/又は身体の活性を増加させる、例えば、集中、認知、活力、気分、警戒などを増強する材料を指す。刺激剤の非限定的例として、カフェイン、テアクリン、テオブロミン、及びテオフィリンが挙げられる。テアクリン(1,3,7,9-テトラメチル尿酸)はカフェインと構造的に関係しているプリンアルカロイドであり、刺激作用、鎮痛作用及び抗炎症作用を有する。存在する刺激剤は天然のものでも、自然に由来するものでも、又は完全に合成のものであってもよい。例えば、ある特定のボタニカル材料(ガラナ、茶、コーヒー、ココアなど)は、例えば、カフェイン又は関連アルカロイドの存在により刺激作用を有することができ、したがって「天然の」刺激剤である。「自然に由来する」とは、刺激剤(例えば、カフェイン、テアクリン)は、その天然(例えば、ボタニカル)マトリックスの外側が精製された形態であることを意味する。例えば、カフェインは、ボタニカル供給源(例えば、茶)からの抽出及び精製により得ることができる。「完全に合成による」とは、刺激剤が化学合成により得られることを意味する。一部の実施形態では、活性成分はカフェインを含む。一部の実施形態において、活性成分はカフェインである。一部の実施形態では、カフェインは封入された形態で存在する。封入されたカフェインの1つの例は、Balchem Corp.、52 Sunrise Park Road、New Hampton、NY、10958から入手可能なVitashure(登録商標)である。
【0131】
存在する場合、刺激剤又は刺激剤の組合せ(例えば、カフェイン、テアクリン、及びこれらの組合せ)は通常、組成物の総重量に対して、約0.1%w/w~約15重量%、例えば、約0.1%w/w、約0.2%w/w、約0.3%w/w、約0.4%w/w、約0.5%w/w約0.6%w/w、約0.7%w/w、約0.8%w/w、又は約0.9%w/wから、約1重量%、約2重量%、約3重量%、約4重量%、約5重量%、約6重量%、約7重量%、約8重量%、約9重量%、約10重量%、約11重量%、約12重量%、約13重量%、約14重量%、又は約15重量%までの濃度である。
【0132】
アミノ酸
一部の実施形態では、活性成分はアミノ酸を含む。本明細書で使用される場合、「アミノ酸」という用語は、アミン(-NH)及びカルボキシル(-COOH)又はスルホン酸(SOH)官能基を、各アミノ酸に特異的である側鎖(R基)と共に含有する有機化合物を指す。アミノ酸はタンパク質原性であっても、非タンパク質原性であってもよい。「タンパク質原性」とは、アミノ酸がタンパク質中に見出される20種の天然由来アミノ酸のうちの1つであることを意味する。タンパク質原性アミノ酸として、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リシン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、スレオニン、トリプトファン、チロシン、及びバリンが挙げられる。「非タンパク質構成性の」とは、アミノ酸がタンパク質中に天然に見出されないこと、又は細胞機構により直接、産生されない(例えば、翻訳後修飾の産生物である。)ことのどちらかを意味する。非タンパク質原性アミノ酸の非限定的例として、γ-アミノ酪酸(GABA)、タウリン(2-アミノエタンスルホン酸)、テアニン(L-γ-グルタミルエチルアミド)、ヒドロキシプロリン、及びβ-アラニンが挙げられる。
【0133】
アミノ酸又はアミノ酸の組合せ(例えば、タウリン、テアニン及びこれらの組合せ)は、存在する場合、通常、発泡性の組成物の総重量に対して、約0.1%w/w~約15重量%、例えば、約0.1%w/w、約0.2w/w%、約0.3w/w%、約0.4w/w%、約0.5w/w%、約0.6w/w%、約0.7w/w%、約0.8w/w%、又は約0.9w/w%から、約1重量%、約2重量%、約3重量%、約4重量%、約5重量%、約6重量%、約7重量%、約8重量%、約9重量%、約10重量%、約11重量%、約12重量%、約13重量%、約14重量%、又は約15重量%までの濃度である。
【0134】
ビタミン及びミネラル
一部の実施形態では、活性成分はビタミン又はビタミンの組合せを含む。本明細書で使用される場合、「ビタミン」という用語は、哺乳動物における代謝の適正な機能に必要とされる主要な微量栄養素である有機分子(又は関連する分子のセット)を指す。ヒトの代謝には13種のビタミンが必要とされ、これらは以下の通りである:ビタミンA(all-trans-レチノール、all-trans-レチニル-エステル、並びにall-trans-β-カロテン及び他のプロビタミンAカロチノイド)、ビタミンB1(チアミン)、ビタミンB2(リボフラビン)、ビタミンB3(ナイアシン)、ビタミンB5(パントテン酸)、ビタミンB6(ピリドキシン)、ビタミンB7(ビオチン)、ビタミンB9(葉酸又はフォレート)、ビタミンB12(コバラミン)、ビタミンC(アスコルビン酸)、ビタミンD(カルシフェロール)、ビタミンE(トコフェロール及びトコトリエノール)、及びビタミンK(キノン)。一部の実施形態において、活性成分は、ビタミンCを含む。一部の実施形態において、活性成分は、ビタミンC、カフェイン及びタウリンの組合せである。一部の実施形態において、活性成分は、ビタミンB6及びB12のうちの1つ以上を含む。一部の実施形態において、活性成分は、テアニン、並びにビタミンB6及びB12のうちの1つ以上を含む。
【0135】
存在する場合、ビタミン又はビタミンの組合せ(例えば、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンE、ビタミンC又はこれらの組合せ)は、通常、組成物の総重量に対して、約0.01%w/w~約1重量%、例えば、約0.01w/w%、約0.02w/w%、約0.03w/w%、約0.04w/w%、約0.05w/w%、約0.06w/w%、約0.07w/w%、約0.08w/w%、約0.09w/w%、又は約0.1w/w%から、約0.2重量%、約0.3重量%、約0.4重量%、約0.5重量%、約0.6重量%、約0.7重量%、約0.8重量%、約0.9重量%又は約1重量%までの濃度である。
【0136】
一部の実施形態において、活性成分は、ビタミンAを含む。一部の実施形態において、ビタミンAは封入されている。一部の実施形態において、ビタミンは、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンE、ビタミンC、又はこれらの組合せである。
【0137】
一部の実施形態において、活性成分は、ミネラルを含む。本明細書において使用される場合、「ミネラル」という用語は、哺乳動物における様々な系の適正な機能に必要とされる必須微量栄養素である無機分子(又は、関連する分子のセット)を指す。ミネラルの非限定例には、鉄、亜鉛、銅、セレン、クロム、コバルト、マンガン、カルシウム、リン、硫黄、マグネシウムなどが含まれる。一部の実施形態において、活性成分は鉄を含む。適切な鉄源には、以下に限定されないが、第一鉄の塩、例えば、硫酸第一鉄及びグルコン酸第一鉄が含まれる。一部の実施形態において、鉄は封入されている。
【0138】
カンナビノイド
一部の実施形態では、活性成分は1つ以上のカンナビノイドを含む。本明細書で使用される場合、「カンナビノイド」という用語は、脳内の神経伝達物質放出を変化させる、細胞内のカンナビノイド受容体(すなわち、CB1及びCB2)に作用するクラスの多様な天然又は合成化学化合物を指す。カンナビノイドは、特定の特性、例えば、血液脳関門を簡単に横断する能力などを示す環式の分子である。カンナビノイドは、植物、例えばアサなどからの天然由来(植物性カンナビノイド)であっても、動物由来(内在性カンナビノイド)であっても、又は人為的に製造されたもの(合成カンナビノイド)であってもよい。アサ種は、少なくとも85種の異なる植物性カンナビノイドを発現し、これらはカンナビゲロール、カンナビクロメン、カンナビジオール、テトラヒドロカンナビノール、カンナビノール及びカンナビノジオール、及び他のカンナビノイド、例えば、カンナビゲロール(CBG)、カンナビクロメン(CBC)、カンナビジオール(CBD)、テトラヒドロカンナビノール(THC)、カンナビノール(CBN)、及びカンナビノジオール(CBDL)、カンナビシクロール(CBL)、カンナビバリン(CBV)、トラヒドロカンナビバリン(THCV)、カンナビジバリン(CBDV)、カンナビクロメバリン(CBCV)、カンナビゲロバリン(CBGV)、カンナビゲロールモノメチルエーテル(CBGM)、カンナビネロール酸、カンナビジオール酸(CBDA)、カンナビノールプロピル変化形(CBNV)、カンナビノトリオール(CBO)、テトラヒドロカンナビノール酸(THCA)、及びテトラヒドロカンナビバリン酸(THCV A)を含むサブクラスに分割することができる。
【0139】
一部の実施形態において、カンナビノイドは、カンナビゲロール(CBG)、カンナビクロメン(CBC)、カンナビジオール(CBD)、テトラヒドロカンナビノール(THC)、カンナビノール(CBN)及びカンナビノジオール(CBDL)、カンナビシクロール(CBL)、カンナビバリン(CBV)、テトラヒドロカンナビバリン(THCV)、カンナビジバリン(CBDV)、カンナビクロメバリン(CBCV)、カンナビゲロバリン(CBGV)、カンナビゲロールモノメチルエーテル(CBGM)、カンナビネロール酸、カンナビジオール酸(CBDA)、カンナビノールプロピル変異体(CBNV)、カンナビトリオール(CBO)、テトラヒドロカンナビノール酸(THCA)、テトラヒドロカンナビバリン酸(THCV A)、及びこれらの混合物からなる群から選択される。一部の実施形態において、カンナビノイドは少なくともテトラヒドロカンナビノール(THC)を含む。一部の実施形態において、カンナビノイドはテトラヒドロカンナビノール(THC)である。一部の実施形態において、カンナビノイドは少なくともカンナビジオール(CBD)を含む。一部の実施形態において、カンナビノイドはカンナビジオール(CBD)である。一部の実施形態において、CBDは合成CBDである。
【0140】
一部の実施形態において、カンナビノイド(例えば、CBD)は、分離物の形態で組成物に添加される。分離物とは、植物、例えば、アサからの抽出物であり、目的の活性物質(その場合カンナビノイド、例えば、CBD)は、高度の純度で、例えば、95%より大きい、96%より大きい、97%より大きい、98%より大きい、又は99%の周辺の純度で存在する。
【0141】
一部の実施形態において、カンナビノイドは、高度の純度のCBDの分離物であり、組成物中のいずれかの他のカンナビノイドの量は、組成物の約0.5重量%以下など、組成物の約0.1重量%以下など、組成物の約0.01重量%以下など、組成物の約1重量%以下である。
【0142】
開示された組成物内に存在し得るカンナビノイドの選択及びその特定のパーセンテージは、組成物の所望の香味料、テキスチャー、及び他の特徴に応じて変動することになる。
【0143】
一部の実施形態において、カンナビノイド(CBDなど)は、組成物中に、組成物の約0.001重量%~約2重量%の範囲などの、組成物の少なくとも約0.001重量%の濃度で存在する。一部の実施形態において、カンナビノイド(CBDなど)は、組成物中に、組成物の総重量に対して、約0.1重量%~約1.5重量%の濃度で存在する。一部の実施形態において、カンナビノイド(CBDなど)は、口腔用組成物の総重量に対して、約0.4濃度%~約1.5重量%の濃度で存在する。
【0144】
代替的に、又はカンナビノイドに加え、活性成分は、カンナビノイドと同様にエンドカンナビノイド系に対する生物学的作用を有する、アサ以外の植物由来のクラスの化合物である大麻類似物を含んでもよい。例として、ヤンゴニン、アルファ-アミリン又はベータ-アミリン(テルペンとしても分類される)、シアニジン、クルクミン(ターメリック)、カテキン、ケルセチン、サルビノリンA、N-アシルエタノールアミン、及びN-アルキルアミド脂質が挙げられる。そのような化合物は、カンナビノイドに関して本明細書において明記したものと同量及び同じ比で使用され得る。
【0145】
テルペン
本開示における使用に適した活性成分はまたテルペンとして分類され得、そのうちの多くは生物学的作用、例えば、沈静作用を伴う。テルペンは、一般式(Cを有すると考えられ、モノテルペン、セスキテルペン、及びジテルペンを含む。テルペンは非環式、単環式又は二環式の構造であることができる。一部のテルペンは、カンナビノイド又は大麻類似物と組み合わせて使用された場合、アントラージュ効果を提供する。例として、ベータ-カリオフィレン、リナロール、リモネン、ベータ-シトロネロール、酢酸リナリル、ピネン(アルファ又はベータ)、ゲラニオール、カルボン、ユーカリプトール、メントン、イソ-メントン、ピペリトン、ミルセン、ベータ-ブルボネン、及びゲルマクレンが挙げられ、これらは個々に又は組み合わせて使用することができる。
【0146】
一部の実施形態では、テルペンは、植物性カンナビノイド生成植物、例えば、カンナビス・サティヴァ種、例えば、大麻の株の植物から誘導可能なテルペンである。その関連で適切なテルペンとして、いわゆる「C10テルペン」(10個の炭素原子を含むようなテルペン)、及びいわゆる「C15テルペン」(15個の炭素原子を含むようなテルペン)が挙げられる。一部の実施形態では、活性成分は1つより多くのテルペンを含む。例えば、活性成分は、本明細書で定義された、1種、2種、3種、4種、5種、6種、7種、8種、9種、10種、又はそれよりも多くのテルペンを含むことができる。一部の実施形態では、テルペンは、ピネン(アルファ及びベータ)、ゲラニオール、リナロール、リモネン、カルボン、ユーカリプトール、メントン、イソ-メントン、ピペリトン、ミルセン、ベータ-ブルボネン、ゲルマクレン、及びこれらの混合物から選択される。
【0147】
抗酸化剤
一部の実施形態において、活性成分は1つ以上の抗酸化剤を含む。本明細書で使用される場合、「抗酸化剤」という用語は、フリーラジカル反応を終結させることによって、酸化を防止又は抑制する物質を指し、一部の種類の細胞損傷を遅延又は防止することができる。抗酸化剤は天然由来でも、又は合成でもよい。天然由来の抗酸化剤として、食物及びボタニカル材料に見出されるものが挙げられる。抗酸化剤の非限定的例として、ある特定のボタニカル材料、ビタミン、ポリフェノール、及びフェノール誘導体が挙げられる。
【0148】
抗酸化性特徴を伴うボタニカル材料の例として、制限なしで、アサイーベリー、アルファルファ、オールスパイス、アナトーシード、アンズ油、バジル、ビーバーム、野生型ベルガモット、黒コショウ、ブルーベリー、ルリジサ種子油、キランソウ、カカオ、カラマスルート、イヌハッカ、カツアバ、カイエンペッパー、チャガマッシュルーム、チャービル、シナモン、ダークチョコレート、ジャガイモの皮、ブドウ種、ニンジン、イチョウ、セイヨウオトギリ、ノコギリヤシ、緑茶、紅茶、ブラックコホシュ、カイエン、カモミール、クローブ、ココア粉末、クランベリー、タンポポ、グレープフルーツ、ハニーブッシュ、エキナセア、ニンニク、イブニングプリムローズ、ナツシロギク、ショウガ、ゴールデンシール、サンザシ、ハイビスカスの花、アマチャヅル、カバ、ラベンダー、甘草、ハナハッカ、オオアザミ、ミント(マント)、ウーロン茶、ビート根、オレンジ、オレガノ、パパイヤ、ペニーロイヤル、ペパーミント、赤色クローバ、ルイボス(レッド又はグリーン)、ローズヒップ、ローズマリー、セージ、クラリーセージ、セイボリー、スペアミント、スピルリナ、スリッペリーエルムバーク、ソルガムふすま高タンニン、ソルガム種子高タンニン、スマックふすま、ヒレハリソウの葉及び根、ゴジベリー、ゴツコーラ、タイム、ターメリック、ウバウルシ、バレリアン、野生型ヤムの根、ウィンターグリーン、ヤーコンの根、イエロードック、イェルバマテ、イェルバサンタ、バコパ・モニエラ、アシュワガンダ、ヤマブシタケ、及びシリバム・マリアナム(silybum marianum)が挙げられる。そのようなボタニカル材料は新鮮なまま又は乾燥させた形態、エッセンシャルオイルで提供されてもよいし、又は抽出物の形態であってもよい。ボタニカル材料(並びにこれらの抽出物)は、多くの場合、抗酸化作用をもたらすことが公知の様々なクラスの化合物、例えば、ミネラル、ビタミン、イソフラボン、フィトステロール(phytoesterols)、硫化アリル、ジチオールチオン、イソチオシアネート、インドール、リグナン、フラボノイド、ポリフェノール及びカロチノイドを含む。ボタニカル抽出物又は油に見出される化合物の例として、アスコルビン酸、ピーナッツ内果皮、リスベラトロール、スルフォラファン、β-カロテン、リコペン、ルテイン、コエンザイムQ、カルニチン、ケルセチン、ケンフェロールなどが挙げられる。例えば、参照により本明細書に組み込まれる、Santhoshら、Phytomedicine、12(2005)216~220頁を参照されたい。
【0149】
他の適切な抗酸化剤の非限定的例として、クエン酸、ビタミンE又はその誘導体、トコフェロール、エピカテコール、エピガロカテコール、没食子酸エピガロカテコール、エリソルビン酸、エリトルビン酸ナトリウム、4-ヘキシルレソルシノール、テアフラビン、テアフラビンモノガレートA又はB、テアフラビンジガレート、フェノール酸、グリコシド、クエルシトリン、イソクエルシトリン、ヒペロシド、ポリフェノール、カテコール、リスベラトロール、オレウロペイン、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、第三級ブチルヒドロキノン(TBHQ)、及びこれらの組合せが挙げられる。
【0150】
抗酸化剤は、存在する場合、通常、組成物の総重量に対して、約0.001%w/w~約10重量%、例えば、約0.001%w/w、約0.005%w/w、約0.01%w/w、約0.05%w/w、約0.1%w/w、又は約0.5%w/wから、約1重量%、約2重量%、約3重量%、約4重量%、約5重量%、約6重量%、約7重量%、約8重量%、約9重量%、又は約10重量%までの濃度である。
【0151】
医薬品成分
一部の実施形態において、活性成分は、活性医薬成分(API)を含む。APIは、治療用、予防用又は診断用の使用に適応した任意の公知の薬剤であることができる。これらは、例えば、合成有機化合物、タンパク質及びペプチド、多糖及び他の糖、脂質、リン脂質、無機化合物(例えば、マグネシウム、セレン、亜鉛、硝酸塩)、神経伝達物質又はその前駆体(例えば、セロトニン、5-ヒドロキシトリプトファン、オキシトリプタン、アセチルコリン、ドーパミン、メラトニン)及び核酸配列を含むことができ、これらは治療的、予防的又は診断用活性を有する。APIの非限定的例として、鎮痛剤及び解熱剤(例えば、アセチルサリチル酸、アセトアミノフェン、3-(4-イソブチルフェニル)プロパン酸)、ホスファチジルセリン、ミオイノシトール、ドコサヘキサエン酸(DHA、オメガ-3)、アラキドン酸(AA、オメガ-6)、S-アデノシルメチオニン(SAM)、ベータ-ヒドロキシ-ベータ-メチルブチレート(HMB)、シチコリン(シチジン-5’-ジホスフェート-コリン)、及びコチニンが挙げられる。
【0152】
存在する場合、APIの量は、異なってもよい。例えば、存在する場合、APIは、通常、組成物の総重量に対して、約0.001%w/w~約10重量%、例えば、約0.01w/w%、約0.02w/w%、約0.03w/w%、約0.04w/w%、約0.05w/w%、約0.06w/w%、約0.07w/w%、約0.08w/w%、約0.09w/w%、約0.1%w/w、約0.2w/w%、約0.3w/w%、約0.4w/w%、約0.5w/w%、約0.6w/w%、約0.7w/w%、約0.8w/w%、約0.9w/w%、又は約1w/w%から、約2重量%、約3重量%、約4重量%、約5重量%、約6重量%、約7重量%、約8重量%、約9重量%、又は約10重量%までの濃度である。
【0153】
活性成分の封入及び安定化
一部の実施形態において、本明細書に記載されている活性成分は、組成物の加工中又は保管時に、分解(例えば、酸化、光分解、熱、蒸発)を受けやすいことがある。そのような実施形態において、活性成分(カフェイン、ビタミンA及び鉄(Fe)など)は封入され得る、又は組成物は、適切な構成成分(フィラー、結合剤など)を用いて他の方法で改変されて、活性成分の安定性の増強を実現することができる。例えば、機能性セルロース(例えば、以下に限定されないが、ヒドロキシプロピルセルロースを含むセルロースエーテル)又はアルギネートベースの物質(例えば、架橋アルギネート)などの結合剤が使用されて、そのような活性剤の分解に対する安定性を増強することができる、又は活性成分の持続送達及び/若しくは個別送達を実現することができる。さらに、封入した活性物は、その溶解度及び/又は生体利用率を増大するため、組成物中に賦形剤と対を形成する必要があることがある。適切な賦形剤の非限定的例として、ベータ-カロテン、リコペン、ビタミンD、ビタミンE、コエンザイムQ10、ビタミンK及びクルクミンが挙げられる。
【0154】
他の実施形態において、活性成分の重量基準での所望の濃度をもたらすため、活性成分の最初の量を増量して、分解が徐々に起こる喪失分を補ってもよい。したがって、本明細書において開示されている量よりも多い最初の量が、本開示によって企図される。
【0155】
香味剤
一部の実施形態において、本明細書に記載されている組成物は、香味剤を含む。本明細書において使用される場合、「香味剤」又は「着香剤」は、口腔用製品に伴う感覚特性を改変することが可能な任意の風味豊かな又は香りの良い物質である。香味剤で修正することができる感覚特性の例として、味覚、口当たり、湿り気、冷却/加熱、及び/又は香料/芳香が挙げられる。香味剤は天然又は合成であってよく、これによりもたらされる香味料の性質は、制限なしで、フレッシュ、スイート、ハーバル、菓子類、フローラル、フルーティー、又はスパイシーと記載することができる。
【0156】
香味剤は、模倣品、合成成分若しくは天然成分、又はこれらのブレンドであってもよい。香味剤は、天然香味物質、ボタニカル、ボタニカルの抽出物、合成により得られる物質、又はこれらの組合せ(例えば、タバコ、アサ、甘草(licorice)(甘草(liquorice))、アジサイ、オイゲノール、白樹皮モクレンの葉、カモミール、フェヌグリーク、クローブ、カエデ、抹茶、メントール、和ハッカ、アニシード(アニス)、シナモン、ターメリック、インドスパイス、アジアンスパイス、ハーブ、ウィンターグリーン、チェリー、ベリー、レッドベリー、クランベリー、ピーチ、アップル、オレンジ、マンゴー、クレメンタイン、レモン、ライム、トロピカルフルーツ、パパイヤ、ルバーブ、ブドウ、ドリアン、ドラゴンフルーツ、キュウリ、ブルーベリー、クワ、柑橘、ドランブイ、バーボン、スコッチ、ウィスキー、ジン、テキーラ、ラム、スペアミント、ペパーミント、ラベンダー、アロエベラ、カルダモン、セロリ、カスカリラ、ナツメグ、サンダルウッド、ベルガモット、ゼラニウム、ハット、ナスワール、キンマ、シーシャ、パイン、ハニーエッセンス、ローズオイル、バニラ、レモンオイル、オレンジオイル、オレンジの花、サクラの花、カッシア、キャラウェイ、コニャック、ジャスミン、イランイラン、セージ、フェンネル、ワサビ、ピメント、ショウガ、コリアンダー、コーヒー、アサ、ハッカ(Mentha)属のあらゆる種のハッカ油、ユーカリ、スターアニス、ココア、レモングラス、ルイボス、亜麻、イチョウ、ヘーゼル、ハイビスカス、ローレル、マテ茶、オレンジの皮、バラ、緑茶又は紅茶などのお茶、タイム、ジュニパー、エルダーフラワー、バジル、月桂樹の葉、クミン、オレガノ、パプリカ、ローズマリー、サフラン、レモンピール、ミント、ビーフステーキプラント、クルクマ、シラントロ、マートル、カシス、バレリアン、ピメント、メース、ダミエン(damien)、ハナハッカ、オリーブ、レモンバーム、レモンバジル、チャイブ、カルビ、バーベナ、タラゴン、リモネン、チモール、カンフェン)、風味増強剤、苦味受容体部位遮断剤、感覚受容体部位活性化因子又は刺激因子、糖及び/又は糖代替品(例えば、スクラロース、アセスルファムカリウム、アスパルテーム、サッカリン、シクラメート、ラクトース、スクロース、グルコース、フルクトース、ソルビトール又はマンニトール)、及びその他の添加剤(木炭、クロロフィル、ミネラル、ボタニカル又は口臭清涼剤など)を含むことができる。
【0157】
着香剤は、風味増強剤、苦味受容体部位遮断剤、感覚受容体部位活性化因子又は刺激因子及び三叉神経感覚剤をさらに含んでもよい。本明細書において使用する場合、「三叉神経感覚剤」とは、三叉神経に作用して、温感、冷感、ヒリヒリ感などを含めた感覚を生じる、香味剤を指す。三叉神経感覚剤である香味剤の非限定例として、カプサイシン、クエン酸、メントール、四川ボタン(Sichuan button)、エリスリトール、及びクベボールが挙げられる。適切な熱作用剤は、以下に限定されないが、バニリルエチルエーテルであってもよく、適切な冷却剤は、以下に限定されないが、ユーカリプトール、又はN-エチル-p-メンタン-3-カルボキサミド(WS-3)であってもよい。
【0158】
香味剤は、任意の適切な形態、例えば、オイルなどの液体、粉末などの固体、又はガスであってもよい。ある場合において、香味剤は、噴霧乾燥形態又は液体形態で供給されてもよい。一部の実施形態において、液状着香剤は、多孔質粒状担体、例えば微結晶性セルロース中又はその表面に配置されており(すなわち、その内部若しくは表面に吸着又は吸収される)、これは、次に、他の組成物の成分と一緒にされる。
【0159】
組成物において利用される香味剤の量は異なってもよいが、通常、約10重量%までであり、ある特定の実施形態は、組成物の総重量に対して、約0.5~約10重量%、約1~約5重量%又は約2~約4重量%などの、少なくとも約0.1重量%の香味剤含有量であることを特徴とする。
【0160】
味覚改質剤
本明細書において開示されている組成物の感覚刺激特性を改善するため、本組成物は、例えば、本明細書に記載されている組成物の風味をマスクする、改変する、遮断する又は改善する働きをすることができる、1つ以上の味覚修飾剤(「味覚改質剤」)を含んでもよい。そのような味覚改質剤の非限定例には、鎮痛性又は麻酔性ハーブ、スパイス、及び香味料を含み、これらは、清涼感(例えば、メントール、ユーカリ、ミント)、温まり(例えば、シナモン)、又は疼痛(例えば、カプサイシン)の感覚を生じる。ある特定の味覚改質剤は、1つ超の重なる分類に収まる。
【0161】
一部の実施形態において、味覚改質剤は、苦味、甘味、塩味、又は酸味のうちの1つ以上を改変する。一部の実施形態において、味覚改質剤は、疼痛受容体を標的とする。一部の実施形態において、本組成物は、苦味を有する活性成分、及びその苦味の感覚をマスク又は遮断する味覚改質剤を含む。一部の実施形態において、味覚改質剤は、例えば、別の構成成分(例えば、活性成分)の苦味をマスクするための、使用者の口腔内における疼痛受容体(例えば、バニロイド受容体)を標的とする物質である。適切な味覚改質剤として、以下に限定されないが、カプサイシン、ガンマ-アミノ酪酸(GABA)、アデノシン一リン酸(AMP)、ラクチゾール、又はこれらの組合せが含まれる。
【0162】
味覚改質剤の代表的な量は、存在する場合、約0.01重量%以上、約0.1重量%以上、又は約1.0重量%以上であるが、通常、組成物の総重量の約10重量%未満(例えば、組成物の総重量の、約0.01重量%、約0.05重量%、約0.1重量%又は約0.5重量%から、約1重量%、約5重量%又は約10重量%まで)を構成する。
【0163】

一部の実施形態において、本組成物は、所望の官能属性を組成物に与えるのに十分な量で通常、使用される塩(例えば、アルカリ金属塩)をさらに含んでもよい。適切な塩の非限定的例として、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化アンモニウム、穀粉塩などが挙げられる。
【0164】
塩の代表的な量は、存在する場合、約0.5重量パーセント以上、約1.0重量パーセント以上又は約1.5重量パーセント以上であるが、組成物の総重量の約10パーセント以下、又は約7.5パーセント以下、又は約5パーセント以下(例えば、約0.5~約5重量パーセント)を通常、構成する。
【0165】
甘味剤
本開示による組成物の感覚特性を改善するため、1つ以上の甘味剤が添加されてもよい。甘味剤は、天然若しくは人工の形態、又は天然甘味剤と人工甘味剤の組合せとして、任意の甘味剤又は甘味剤の組合せであることができる。天然甘味剤の例として、フルクトース、スクロース、グルコース、マルトース、マンノース、ガラクトース、ラクトース、ステビア、蜂蜜などが挙げられる。人工甘味料の例として、スクラロース、イソマルツロース、マルトデキストリン、サッカリン、アスパルテーム、アセスルファムK、ネオテームなどを含む。一部の実施形態において、甘味剤は、1つ以上の糖アルコールを含む。糖アルコールは、部分水素化された又は完全に水素化された形態を有する、単糖又は二糖由来のポリオールである。糖アルコールは、例えば、約4~約20個の炭素原子を有し、エリスリトール、アラビトール、リビトール、イソマルト、マルチトール、ズルシトール、イジトール、マンニトール、キシリトール、ラクチトール、ソルビトール、及びこれらの組合せ(例えば、水素化デンプン加水分解物)が挙げられる。一部の実施形態において、甘味剤は、スクラロース、アセスルファムK、又はこれらの組合せである。
【0166】
甘味剤又は甘味剤の組合せは、存在する場合、組成物の総重量に対して、重量基準で組成物の約0.01~約20%又はそれ超、例えば、約0.01~約0.1、約0.1~約1重量%、約1~約5重量%、約5~約10重量%、又は約10~約20重量%を構成することができる。一部の実施形態において、甘味剤の組合せは、組成物の約0.01、約0.02、約0.03、約0.04、約0.05、約0.06、約0.07、約0.08、約0.09、又は約0.1重量%などの、組成物の約0.01重量%~約0.1重量%の濃度で存在する。一部の実施形態において、甘味剤の組合せは、組成物の約0.1、約0.2、約0.3、約0.4、又は約0.5重量%などの組成物の約0.1重量%~約0.5重量%の濃度で存在する。一部の実施形態において、甘味剤の組合せは、組成物の約1重量%~約3重量%の濃度で存在する。
【0167】
結合剤
結合剤(又は結合剤の組合せ)が、ある特定の実施形態において使用されてもよい。典型的な結合剤は有機物でもあってもよく、若しくは無機物であってもよく、又はこれらの組合せであってもよい。代表的な結合剤として、ポビドン、アルギン酸ナトリウム、デンプンベースの結合剤、ペクチン、カラギーナン、プルラン、ゼインなど、及びこれらの組合せが挙げられる。結合剤は、望ましい物理的特質及び物理的一体性を組成物にもたらすのに十分な量で使用され得る。本組成物において利用される結合剤の量は異なることができるが、通常、最大で約30重量パーセントであり、ある特定の実施形態は、組成物の総重量に対して、約1~約30重量%、又は約5~約10重量%などの、少なくとも約0.1重量%の結合剤含有率であることを特徴とする。
【0168】
他の適切な結合剤は、ガム、例えば天然ガムを含む。本明細書において使用される場合、天然ガムとは、結合特性を有し、かつ増粘剤又はゲル化剤としても有用である天然起源の多糖材料を指す。植物由来の代表的な天然ガムは、通常、ある程度水溶性であり、キサンタンガム、グアーガム、アラビアガム、ガティガム、トラガカントガム、カラヤガム、ローカストビーンガム、ジェランガム及びこれらの組合せが挙げられる。存在する場合、天然ガム結合剤材料は、組成物の総重量に対して、最大で約5重量%、例えば、約0.1、約0.2、約0.3、約0.4、約0.5、約0.6、約0.7、約0.8、約0.9又は約1%から、約2、約3、約4又は約5重量%までの量で、通常、存在する。
【0169】
湿潤剤
ある特定の実施形態において、1つ以上の湿潤剤が、組成物中に使用されてもよい。湿潤剤の例として、以下に限定されないが、グリセリン、プロピレングリコールなどのポリオールが挙げられる。湿潤剤は、含まれる場合、通常、組成物に所望の水分特質をもたらすのに十分な量で供給される。さらに、ある場合において、湿潤剤は、鋳型内に堆積させるために、組成物に望ましい流動特性を付与することができる。
【0170】
湿潤剤は、存在する場合、組成物の重量の約5重量%以下(例えば、約0.5~約5重量%)を、通常、構成する。存在する場合、湿潤剤の代表的な量は、組成物の総重量に対して、約0.1%~約1重量%、又は約1重量%~約5重量%である。
【0171】
緩衝剤
ある特定の実施形態において、本開示の組成物は、pH調節剤又は緩衝剤を含むことができる。使用することができるpH調整剤及び緩衝剤の例として、これらに限定されないが、金属水酸化物(例えば、アルカリ金属水酸化物、例えば、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウム)、及び他のアルカリ金属緩衝液、例えば、金属炭酸塩(例えば、炭酸カリウム又は炭酸ナトリウム)、又は金属炭酸水素塩、例えば、炭酸水素ナトリウムなどが挙げられる。適切な緩衝液の非限定的例として、アルカリ金属の酢酸塩、グリシン酸塩、リン酸塩、グリセロリン酸塩、クエン酸塩、炭酸塩、炭酸水素塩、ホウ酸塩、又はこれらの混合物が挙げられる。
【0172】
緩衝剤は、存在する場合、組成物の重量に対して、通常、約5パーセント未満の量で存在し、例えば、組成物の総重量に対して、約0.75重量%~約4重量%、約0.75重量%~約3重量%、又は約1重量%~約2重量%などの、例えば、約0.5%~約5%の量で存在する。
【0173】
着色剤
着色剤は、組成物に所望の物理的特質をもたらすのに十分な量で使用され得る。天然又は合成染料、食物グレードの着色剤、及び医薬品グレードの着色剤などの、天然又は合成着色剤が使用されてもよい。着色剤の例として、カラメル着色剤及び二酸化チタンなどの様々な染料及び顔料が挙げられる。クルクミン、ビートジュース抽出物、スピルリナなどの天然着色剤、やはりまた様々な合成顔料も使用されてもよい。組成物において利用される着色剤の量は様々となり得るが、存在する場合、通常、組成物の総重量に対して、約0.1重量%、約0.5重量%、又は約1%から約3重量%までなどの、最大で約3重量%である。
【0174】
タバコ材料
一部の実施形態において、組成物は、タバコ材料を含んでもよい。タバコ材料は、種、種類及び形態が異なってもよい。一般的に、タバコ材料は、ニコチアナ属種の収穫された植物から得る。例示的ニコチアナ属種として、N.タバカム(N.tabacum)、N.ルスチカ(N.rustica)、N.アラタ(N.alata)、N.アレントシ(N.arentsii)、N.エクセルシオール(N.excelsior)、N.フォルゲティアナ(N.forgetiana)、N.グラウカ(N.glauca)、N.グルチノーザ(N.glutinosa)、N.ゴッセイ(N.gossei)、N.カワカミ(N.kawakamii)、N.ナイチアナ(N.knightiana)、N.ラングスドルフィ(N.langsdorffi)、N.オトホラ(N.otophora)、N.セトケリ(N.setchelli)、N.シルベストリス(N.sylvestris)、N.トメントサ(N.tomentosa)、N.トメントシホルミス(N.tomentosiformis)、N.アンドゥラタ(N.undulata)、N.xサンデラエ(N.x sanderae)、N.アフリカーナ(N.africana)、N.アムプレキシカウリス(N.amplexicaulis)、N.ベナビデシ(N.benavidesii)、N.ボナリエンシス(N.bonariensis)、N.デブネイ(N.debneyi)、N.ロンギフロラ(N.longiflora)、N.マリチナ(N.maritina)、N.メガロシホン(N.megalosiphon)、N.オシデンタリス(N.occidentalis)、N.パニクラタ(N.paniculata)、N.プルムバギニフォリア(N.plumbaginifolia)、N.ライモンジ(N.raimondii)、N.ロスラタ(N.rosulata)、N.シムランス(N.simulans)、N.ストクトニ(N.stocktonii)、N.スアベオレンス(N.suaveolens)、N.アンブラチカ(N.umbratica)、N.ベルチナ(N.velutina)、N.ウィガンジオイデス(N.wigandioides)、N.アカウリス(N.acaulis)、N.アクミナタ(N.acuminata)、N.アテヌアタ(N.attenuata)、N.ベンサミアナ(N.benthamiana)、N.カビコラ(N.cavicola)、N.クレベランジ(N.clevelandii)、N.コルジフォリア(N.cordifolia)、N.コリンボサ(N.corymbosa)、N.フラグランス(N.fragrans)、N.グッドスピーディ(N.goodspeedii)、N.リネアリス(N.linearis)、N.ミエルシ(N.miersii)、N.ヌジカウリス(N.nudicaulis)、N.オブツシフォリア(N.obtusifolia)、N.オシデンタリス亜種ヘスペリス(N.occidentalis subsp.Hersperis)、N.パウシフロラ(N.pauciflora)、N.ペツニオイデス(N.petunioides)、N.クアドリバルビス(N.quadrivalvis)、N.レパンダ(N.repanda)、N.ロツンジフォリア(N.rotundifolia)、N.ソラニフォリア(N.solanifolia)、及びN.スペガジニ(N.spegazzinii)が挙げられる。ニコチアナ属種の様々な代表的な他の種類の植物が、それぞれが参照により本明細書に組み込まれる、Goodspeed、The Genus Nicotiana、(Chonica Botanica)(1954年);Sensabaugh,Jr.らの米国特許第4,660,577号;Whiteらの米国特許第5,387,416号、Lawsonらの米国特許第7,025,066号;Lawrence,Jr.の米国特許第7,798,153号及びMarshallらの米国特許第8,186,360号に記載されている。様々な種類のタバコ、栽培の実施及び収穫の実施の説明が、参照により本明細書に組み込まれる、Tobacco Production、Chemistry and Technology、Davisら(編)(1999年)に記載されている。
【0175】
適切なタバコ材料を得ることができるニコチアナ属種は、遺伝的改変又は交配育種技術を使用して誘導することができる(例えば、タバコ植物は、遺伝子操作又は異種交配して、構成成分、特徴又は特質の生成を増加又は低減することができる)。例えば、Fitzmauriceらの米国特許第5,539,093号;Wahabらの米国特許第5,668,295号;Fitzmauriceらの米国特許第5,705,624号;Weiglの米国特許第5,844,119号;Dominguezらの米国特許第6,730,832号;Liuらの米国特許第7,173,170号;Colliverらの米国特許第7,208,659号及びBenningらの米国特許第7,230,160号;Conklingらの米国特許出願公開第2006/0236434号;並びにNielsenらのPCT WO2008/103935に記載の植物の遺伝子改変の種類を参照されたい。また、それぞれが参照により本明細書に組み込まれる、Sensabaugh,Jr.らの米国特許第4,660,577号;Whiteらの米国特許第5,387,416号;及びDominguezらの米国特許第6,730,832号に記載の種類のタバコも参照されたい。
【0176】
一部の実施形態では、ニコチアナ属種は、その中に存在する様々な化合物の含有量に対して選択することができる。例えば、植物は、単離を希望する1つ以上の化合物を比較的多量に生成するような植物であることに基づき選択することができる。ある特定の実施形態では、ニコチアナ属種の植物(例えば、ガルパオコムンタバコ)は、これらの葉面化合物が豊富なことから特別に栽培されている。タバコ植物は、温室、生育チャンバー、又は屋外のフィールドで栽培することができ、又は水耕栽培することができる。
【0177】
ニコチアナ属種の植物の様々な部分又は一部が、本明細書で開示されている組成物内に含まれていてもよい。例えば、実質的には植物のすべて(例えば、植物全体)を収穫し、そのまま利用することができる。代わりに、植物の様々な部分又は小片は、収穫する、又は収穫後のさらなる使用のために分離することもできる。例えば、花、葉、茎、幹、根、種子、及び様々なこれらの組合せは、さらなる使用又は処理のために単離することができる。一部の実施形態では、タバコ材料はタバコ葉(葉身)を含む。本明細書で開示されている組成物は、加工したタバコ部分若しくは小片、本質的に天然葉身及び/又は茎の形態で乾燥加工し、熟成させたタバコ、タバコ抽出物、抽出タバコパルプ(例えば、水を溶媒として使用)、又は前述の混合物(例えば、抽出タバコパルプを顆粒化し、乾燥加工して、熟成させた天然のタバコ葉身と合わせた混合物)を挙げることができる。
【0178】
ある特定の実施形態では、タバコ材料は、葉身及び茎からなる群から選択される固形タバコ材料を含む。混合物に使用されるタバコは、最も好ましくは、タバコ葉身、又はタバコ葉身と茎の混合物(そのうち少なくとも一部は煤煙処理している)が挙げられる。混合物内のタバその一部は加工した形態、例えば、加工タバコ茎(例えば、切断圧延茎、切断圧延拡張茎又は切断パフ茎)、又は体積膨張タバコ(例えば、パフタバコ、例えば、ドライアイス膨張タバコ(DIET))を有してもよい。例えば、すべてが参照により組み込まれているde la Burdeらの米国特許第4,340,073号;Guyらの米国特許第5,259,403号;並びにPoindexterらの米国特許第5,908,032号;及びPoindexterらの米国特許第7,556,047号に記載のタバコ膨張加工を参照されたい。加えて、混合物は任意選択的に発酵性であるタバコを組み込んでもよい。参照により本明細書に組み込まれる、AtchleyらのPCT WO2005/063060に記載のタバコ加工技術の種類を参照されたい。
【0179】
タバコ材料は通常、粒状と記載することができる形態(すなわち、細断、製粉、顆粒化、又は粉末形態)で使用されている。タバコ材料が微細に分割された又は粉末形態のタイプで提供される方式は異なり得る。好ましくは、植物部分又は小片は、製粉、ミリングなどに対する装置及び技術を使用して、粉末化、製粉、又は微粉化されて粒状形態となる。最も好ましくは、植物材料は、ハンマーミル、カッターヘッド、空気制御ミルなどの装置を使用して製粉又はミリングしている間、比較的乾燥した形態である。例えば、タバコ部分又は小片は、その含水量が約15重量パーセント未満又は約5重量パーセント未満である場合、製粉又はミリングすることができる。最も好ましくは、タバコ材料は、1.4ミリメートル~250ミクロンの間の平均粒径を有する部分又は小片の形態で利用される。ある場合には、タバコ粒子は、必要とされる粒径範囲を得るため、スクリーンメッシュの通過サイズにすることができる。所望する場合、空気分級装置を使用して、所望のサイズ、又はサイズ範囲の、小さなサイズのタバコ粒子を確実に収集することができる。所望する場合、顆粒化タバその異なるサイズの小片を一緒に混合することができる。
【0180】
タバコが微細に分割された又は粉末タイプの形態で提供される方式は異なってもよい。好ましくは、タバコ部分又は小片は、製粉、ミリングなどのための装置及び技術を使用して、粉末化、製粉、又は微粉化され、粉末タイプの形態にする。最も好ましくは、タバコは、ハンマーミル、カッターヘッド、空気制御ミルなどの装置を使用して製粉又はミリングしている間、比較的乾燥した形態である。例えば、タバコ部分又は小片は、その含水量が約15重量パーセント未満~約5重量パーセント未満である場合、製粉又はミリングすることができる。例えば、タバコ植物又はその一部は、個々の部分又は小片へと分離することができる(例えば、葉は茎から除去することができ、並びに/又は茎及び葉は幹から除去することができる)。収穫された植物又は個々の部分又は小片は、部分又は小片へとさらに細分することができる(例えば、葉は、細断、切断、粉末化、微粉化、ミリング、又は製粉して、小片又は部分にすることができ、これら小片又は部分はフィラータイプ小片、顆粒、粒状又は微細な粉末であることを特徴とし得る)。植物、又はその部分は、外部の力又は圧力に供することができる(例えば、圧縮又はロール処理により)。そのような加工条件を実行する場合、植物若しくはその一部はその天然含水量に近似する含水量(例えば、収穫直後のその含水量)、水分を植物若しくはその一部に添加することにより達成される含水量、又は植物若しくはその一部の乾燥から得られる含水量を有することができる。例えば、粉末化、微粉化、製粉又はミリングした植物の小片又はその一部は、約25重量パーセント未満、多くの場合約20重量パーセント未満、及び頻繁には約15重量パーセント未満の含水量を有することができる。
【0181】
口腔用組成物の調製のため、ニコチアナ属種の収穫された植物を乾燥加工化プロセスに供することが通常である。本明細書において開示されている組成物内に配合されるタバコ材料は、適切に乾燥加工したもの、及び/又は熟成したものである。様々な種類のタバコに対する様々な種類の乾燥加工プロセスの説明が、Tobacco Production、Chemistry and Technology、Davisら(編)(1999年)に記載されている。熱風乾燥したタバコを乾燥加工するための技術及び条件の例が、参照により本明細書に組み込まれる、Nestorら、Beitrage Tabakforsch.Int.、20巻、467~475頁(2003年)及びPeeleの米国特許第6,895,974号に記載されている。タバコを空気乾燥加工するための代表的な技術及び条件が、参照により本明細書に組み込まれる、Grovesらの米国特許第7,650,892号;Rotonら、Beitrage Tabakforsch.Int.、21巻、305~320頁(2005年)及びStaafら、Beitrage Tabakforsch.Int.、21巻、321~330頁(2005年)に記載されている。ある特定の種類のタバコは、代替の種類の乾燥加工プロセス、例えば、直火煙乾燥又は日光乾燥に供することもできる。
【0182】
ある特定の実施形態では、利用することができるタバコ材料として、熱風乾燥した又はバージニア(例えば、K326)、バーレー種、日光乾燥したもの(例えば、インディアンクルヌール及びオリエンタルタバコ、これにはカテリニ、プレリップ、コモティニ、クサンティ及びヤンボルタバコが含まれる)、メリーランド、ダーク、ダークファイアード、ダーク空気乾燥(例えば、マドール、パサンダ、クバーノ、ジャティン、及びベズキタバコ)、ライト空気乾燥(例えば、ノースウィスコンシン及びガルパオタバコ)、インディアン空気乾燥、レッドロシアン及びルスチカタバコ、並びに様々な他の稀な又は専門タバコ及び前述のタバそのいずれかの様々なブレンドが挙げられる。
【0183】
タバコ材料はまた、いわゆる「ブレンド」形態を有することができる。例えば、タバコ材料は、熱風乾燥、バーレー種(例えば、マラウイバーレー種タバコ)及びオリエンタルタバその部分又は小片の混合物を含むことができる(例えば、タバコ葉身、又はタバコ葉身とタバコ茎の混合物で構成される、又はこれら由来のタバコ)。例えば、代表的なブレンドは、乾燥重量ベースで、約30~約70部のバーレー種タバコ(例えば、葉身、又は葉身及び茎)、及び約30~約70部の熱風乾燥タバコ(例えば、茎、葉身、又は葉身及び茎)を組み込むことができる。他の例示的タバコブレンドは、乾燥重量ベースで、約75部の熱風乾燥タバコ、約15部のバーレー種タバコ、及び約10部のオリエンタルタバコ;又は約65部の熱風乾燥タバコ、約25部のバーレー種タバコ、及び約10部のオリエンタルタバコ;又は約65部の熱風乾燥タバコ、約10部のバーレー種タバコ、及び約25部のオリエンタルタバコを組み込んでいる。他の例示的タバコブレンドは、乾燥重量ベースで、約20~約30部のオリエンタルタバコ、及び約70~約80部の熱風乾燥タバコを組み込んでいる。
【0184】
本開示において使用されているタバコ材料は、例えば、発酵、漂白などに供することができる。所望する場合、タバコ材料は、例えば、照射、低温殺菌、又はさもなければ制御された加熱処理に供することもできる。そのような処理プロセスは、例えば、参照により本明細書に組み込まれる、Muaらの米国特許第8,061,362号に詳述されている。ある特定の実施形態では、タバコ材料は、水で、及びタバコ材料の加熱時にアクリルアミドを形成するアスパラギンの反応を阻害することが可能な添加剤(例えば、リシン、グリシン、ヒスチジン、アラニン、メチオニン、システイン、グルタミン酸、アスパラギン酸、プロリン、フェニルアラニン、バリン、アルギニン、二価及び三価のカチオンを組み込んでいる組成物、アスパラギナーゼ、ある特定の非還元性糖類、ある特定の還元剤、フェノール系化合物、少なくとも1つの遊離チオール基又は官能基を有するある特定の化合物、酸化剤、酸化触媒、天然の植物抽出物(例えば、ローズマリー抽出物)、並びにこれらの組合せからなる群から選択される添加剤)で処理することができる。例えば、すべて参照により本明細書に組み込まれる、Chenらの米国特許公開第8,434,496号、米国特許公開第8,944,072号及び米国特許公開第8,991,403号に記載されているタイプの処理プロセスを参照されたい。ある特定の実施形態では、そのタイプの処理は、以前に記述されたプロセスにおいて元のタバコ材料を加熱に供する場合有用である。
【0185】
一部の実施形態では、タバコ材料の種類は、最初に目視により他のタバコ材料よりも色がある程度薄いものが選択される(例えば、白色化又は漂白されている)。ある特定の実施形態において、タバコパルプは、当分野において公知の手段のいずれかに準拠して白色化され得る。例えば、様々な漂白剤又は酸化剤及び酸化触媒を使用して様々な白色化方法により生成された漂白タバコ材料を使用することができる。例示的酸化剤として、過酸化物(例えば、過酸化水素)、亜塩素酸塩、塩素酸塩、過塩素酸塩、次亜塩素酸塩、オゾン、アンモニア、過マンガン酸カリウム及びこれらの組合せが挙げられる。例示的酸化触媒は二酸化チタン、二酸化マンガン及びこれらの組合せである。漂白剤を用いてタバコを処理するためのプロセスは、例えば、すべて本明細書に参照により組み込まれている、Daniels,Jr.の米国特許第787,611号;Oelenheinzの米国特許第1,086,306号;Dellingの米国特許第1,437,095号;Rosenhochの米国特許第1,757,477号;Hawkinsonの米国特許第2,122,421号;Baierの米国特許第2,148,147号;Baierの米国特許第2,170,107号;Baierの米国特許第2,274,649号;Pratsらの米国特許第2,770,239号;Rosenの米国特許第3,612,065号;Rosenの米国特許第3,851,653号;Rosenの米国特許第3,889,689号;Minamiの米国特許第3,943,940号;Rosenの米国特許第3,943,945号;Rainerの米国特許第4,143,666号;Campbellの米国特許第4,194,514号;Rainerらの米国特許第4,366,823号、米国特許第4,366,824号及び米国特許第4,388,933号;Schmekelらの米国特許第4,641,667号;Bergerの米国特許第5,713,376号;Byrd Jr.らの米国特許第9,339,058号;Beesonらの米国特許第9,420,825号;並びにByrd Jr.らの米国特許第9,950,858号;並びにBjorkholmらの米国特許出願公開第2012/0067361号;Crooksの米国特許出願公開第2016/0073686号;Bjorkholmの米国特許出願公開第2017/0020183号;及びBjorkholmの米国特許出願公開第2017/0112183号、並びにGiolvasのPCT公開出願第1996/031255号及びBjorkholmのPCT公開出願第2018/083114号において論じられている。
【0186】
一部の実施形態において、白色化タバコ材料は、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、又は少なくとも約80%のISO白色度を有することができる。一部の実施形態において、漂白されたタバコ材料は、約50%~約90%、約55%~約75%、又は約60%~約70%の範囲のISO白色度を有することができる。ISO白色度は、ISO3688:1999又はISO2470-1:2016に従い測定することができる。
【0187】
一部の実施形態において、白色化タバコ材料は、未処理のタバコ材料と比較して、明色化した色を特徴とすることができる(例えば、「白色化」)。白色の色は多くの場合、国際照明委員会(International Commission on Illumination(CIE))の色度図を参照して定義される。ある特定の実施形態において、白色化タバコ材料は、色度図上で未処理のタバコ材料よりも純粋な白色により近いことを特徴とすることができる。
【0188】
様々な実施形態では、タバコ材料は、処理して、タバコ材料の溶解性構成成分をそれから抽出することができる。「タバコ抽出物」は本明細書で使用される場合、抽出プロセスでタバコ材料と接触させる溶媒により、固形のタバコパルプから抽出されるタバコ材料の単離した構成成分を指す。タバコ材料の様々な抽出技術を使用して、タバコ抽出物及びタバコ固形材料を得ることができる。例えば、参照により本明細書に組み込まれる、Beesonらの米国特許出願公開第2011/0247640に記載されている抽出プロセスを参照されたい。タバコの構成成分を抽出するための他の例示的技術は、すべてが参照により本明細書に組み込まれる、Fioreの米国特許第4,144,895号;Osborne,Jr.らの米国特許第4,150,677号;Reidの米国特許第4,267,847号;Wildmanらの米国特許第4,289,147号;Brummerらの米国特許第4,351,346号;Brummerらの米国特許第4,359,059号;Mullerの米国特許第4,506,682号;Keritsisの米国特許第4,589,428号;Sogaらの米国特許第4,605,016号;Pouloseらの米国特許第4,716,911号;Niven,Jr.らの米国特許第4,727,889号;Bernasekらの米国特許第4,887,618号;Clappらの米国特許第4,941,484号;Faggらの米国特許第4,967,771号;Robertsらの米国特許第4,986,286号;Faggらの米国特許第5,005,593号;Grubbsらの米国特許第5,018,540号;Whiteらの米国特許第5,060,669号;Faggの米国特許第5,065,775号;Whiteらの米国特許第5,074,319号;Whiteらの米国特許第5,099,862号;Whiteらの米国特許第5,121,757号;Faggの米国特許第5,131,414号;Munozらの米国特許第5,131,415号;Faggの米国特許第5,148,819号;Kramerの米国特許第5,197,494号;Smithらの米国特許第5,230,354号;Faggの米国特許第5,234,008号;Smithの米国特許第5,243,999号;Raymondらの米国特許第5,301,694号;Gonzalez-Parraらの米国特許第5,318,050号;Teagueの米国特許第5,343,879号;Newtonの米国特許第5,360,022号;Clappらの米国特許第5,435,325号;Brinkleyらの米国特許第5,445,169号;Lauterbachの米国特許第6,131,584号;Kierulffらの米国特許第6,298,859号;Muaらの米国特許第6,772,767号;及びThompsonの米国特許第7,337,782号に記載されている。
【0189】
タバコ材料に対する典型的な包含範囲は、タバコ材料の性質及びタイプ、並びに最終混合物に対する所期の作用に応じて様々となり得、例となる範囲は、組成物の総重量に対して、最大で約30重量%(又は最大で約20重量%、又は最大で約10重量%、又は最大で約5重量%)(例えば、約0.1~約15重量%)である。一部の実施形態において、本開示の組成物は、タバコ材料を完全に含まない又は実質的に含まないことを特徴とすることができる(活性成分としての精製ニコチン以外)。例えば、ある特定の実施形態は、1重量%未満、又は0.5重量%未満、又は0.1重量%未満のタバコ材料、又は0重量%のタバコ材料を有することを特徴とすることができる。
【0190】
オーラルケア添加剤
一部の実施形態において、本組成物は、オーラルケア成分(又は、そのような成分の混合物)を含む。オーラルケア成分は、虫歯又は歯の喪失を阻止する、歯茎の疾患を阻止する、口腔内疼痛を緩和する、歯を白くする、又は他に、歯の汚れの阻止、唾液刺激の誘導、口臭を阻止する、息の清涼感を出すなどの能力をもたらす。例えば、タイム油、ユーカリ油及び亜鉛(例えば、Discus Dental製のZYTEX(登録商標)として市販されている配合物の成分など)などの成分の有効量が、組成物に配合され得る。本発明の組成物内の所望の有効量で配合され得る成分の他の例は、Takahashiら、Oral Microbiology and Immunology、19巻(1)、61~64頁(2004);Thistleの米国特許第6,083,527号;及びJakubowskiの米国特許出願公開第2006/0210488号及びCumminsらの米国特許出願公開第2006/02228308号に記載されているオーラルケア組成物のタイプに配合されているものを含むことができる。タバコ含有配合物の他の例示的な成分は、RoquetteによるMALTISORB(登録商標)として、及びNatraRxによるDENTIZYME(登録商標)として上市されている配合物に含まれるものを含む。オーラルケア添加剤の代表的な量は、存在する場合、発泡性の組成物の総乾燥重量の少なくとも約1%、多くの場合、少なくとも約3%、及び頻繁には少なくとも約5%である。発泡性の組成物内のオーラルケア添加剤の量は、発泡性の組成物の総乾燥重量の、約30%を、通常、超えず、多くの場合、約25%を超えず、頻繁に、約20%を超えない。
【0191】
加工助剤
造粒、混合又は成形などの組成物の下流での加工を必要とする場合、流動助剤もまた、組成物の流動性を増大するため、組成物に添加され得る。一部の実施形態において、本組成物(例えば、溶融形態及び咀嚼形態)は、オイル、シリコーンなどの、付着防止剤により表面処理されてもよい。例示的な流動助剤として、微結晶性セルロース、シリカ、ポリエチレングリコール、ステアリン酸、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、フマル酸ステアリルナトリウム、カルナウバ(canauba)ワックス、及びこれらの組合せが挙げられる。一部の実施形態において、流動助剤は、フマル酸ステアリルナトリウムである。
【0192】
流動助剤の代表的な量は、存在する場合、組成物の総乾燥重量の、少なくとも約0.5パーセント又は少なくとも約1パーセントを構成することができる。好ましくは、組成物内の流動助剤の量は、組成物の総乾燥重量の、約5パーセントを超えず、頻繁には約3パーセントを超えない。
【0193】
他の添加剤
他の添加剤が開示された組成物中に含まれ得る。例えば、組成物は、他の材料又は成分と共に、加工されて、ブレンドされて、配合されて、一緒にされて、及び/又は混合される。添加剤は人工のものとすることができ、又は薬草若しくは生物源から得られるもの若しくはこれら由来のものとすることができる。さらなるタイプの添加剤の例は、増粘剤若しくはゲル化剤(例えば、魚ゼラチン)、乳化剤、保存剤(例えば、ソルビン酸カリウムなど)、崩壊助剤、又はこれらの組合せを含む。例えば、それぞれが参照により本明細書に組み込まれる、Muaらの米国特許第9,237,769号、Holton,Jr.らの米国特許第7,861,728号、Gaoらの米国特許出願公開第2010/0291245号及びHolton,Jr.らの米国特許出願公開第2007/0062549号に記載されているような、代表的な構成成分、構成成分の組合せ、それら構成成分の相対量、並びにこれら構成成分を利用するための方式及び方法を参照されたい。
【0194】
そのような追加の添加剤に対する典型的な包含範囲は、添加剤の性質及び機能、並びに最終組成物に対する所期の作用に応じて様々となり得、例となる範囲は、組成物の総重量に対して、最大で約10重量%(例えば、約0.1~約5重量%)である。
【0195】
上述の添加剤は一緒に(例えば、添加剤配合物として)又は別々に利用され得る(例えば、個々の添加剤成分は、最終混合物の調製に関与している異なる段階において添加され得る)。さらに、上述のタイプの添加剤は、最終生成物又は組成物で提供される場合、封入されていてもよい。例となる封入添加剤は、例えば、本明細書において参照により既に組み込まれている、AtchleyのWO2010/132444に記載されている。
【0196】
微粒子
一部の実施形態において、1つ以上のフィラー、タバコ材料、組成物の他の構成成分及び本明細書に記載されている全組成物は、微粒子材料として記載され得る。本明細書において使用される場合、「微粒子」という用語は複数の個々の粒子の形態にある材料を指し、そのうちの一部は、複数の粒子の凝集の形態にあることができ、粒子は、1.5:1未満など、約1:1未満などの2:1未満の平均長対幅の比を有する。様々な実施形態において、微粒子材料の粒子は、実質的に球状又は粒状と記載され得る。
【0197】
微粒子材料の粒径は、ふるい分折によって測定され得る。当業者が容易に認識している通り、ふるい分折(他には、グラデーション試験としても公知である)は、微粒子材料の粒径分布を測定するために使用される方法である。通常、ふるい分折は、入れ子になったふるいのカラムを含み、ふるいは、好ましくはワイヤ製メッシュ布の形態のスクリーンを備える。予め秤量した試料をカラム内の上部又は最上端のふるいに導入することができ、その上部又は最上端は最も大きなスクリーン開口又はメッシュサイズ(すなわち、ふるいの最も大きな細孔径)を有する。カラム内で下方の各ふるいは、上にあるふるいよりも、スクリーン開口又はメッシュサイズが次第に小さくなる。通常、ふるいのカラムの底部は、カラム内の底部又は1番下のふるいのスクリーン開口サイズ又はメッシュサイズ(これが、最も小さいスクリーン開口又はメッシュサイズを有する。)よりも小さな粒径を有するあらゆる粒子を収集するためのレシーバー部分である。
【0198】
一部の実施形態において、ふるいのカラムは、機械的振とう器の上又はその中に置かれ得る。振とう器は、カラム内のふるいのそれぞれに振動を起こす。機械的振とう器は、全粒子が確実に適正なふるいに収集されるため、所定の期間の間、稼働させることができる。一部の実施形態において、ふるいのカラムは、1分間~10分間など、1分間~5分間など、ほぼ3分間など、0.5分間~10分間の一定期間、振とうされる。カラム内のふるいの振とうが一旦、完了すると、各ふるい上に収集された物質を秤量する。次に、各ふるい上に保持された質量パーセンテージを得るため、各ふるい上の各試料の重量を総重量により除算することができる。当業者は容易に認識している通り、ふるい分折に対して使用されるカラム内の各ふるいに対するスクリーン開口サイズ又はメッシュサイズは、分析される試料の粒度又は公知の最大/最小粒径に基づいて選択され得る。一部の実施形態において、ふるいのカラムは、ふるい分折に使用されることができ、カラムは、5~15個のふるいなどの2~20個のふるいを備える。一部の実施形態において、ふるいのカラムは、ふるい分折に使用されることができ、カラムは10個のふるいを備える。一部の実施形態において、ふるい分折に使用されるふるいの最大スクリーン開口又はメッシュサイズは、500μmなど、400μmなど、300μmなどの1000μmとすることができる。
【0199】
一部の実施形態において、本明細書において言及されているあらゆる微粒子材料(例えば、フィラー、タバコ材料及び全組成物)が、ふるい分析によって測定すると、約500μm以下など、約400μm以下など、約350μm以下など、約300μm以下などの約1000μm以下の粒径を有する粒子を少なくとも50重量%有すると特徴付けることができる。一部の実施形態において、本明細書において言及されているあらゆる微粒子材料の少なくとも60重量%の粒子が、ふるい分析によって測定すると、約500μm以下など、約400μm以下など、約350μm以下など、約300μm以下などの約1000μm以下の粒径を有する粒子を有する。一部の実施形態において、本明細書において言及されているあらゆる微粒子材料の少なくとも70重量%の粒子が、ふるい分析によって測定すると、約500μm以下など、約400μm以下など、約350μm以下など、約300μm以下などの約1000μm以下の粒径を有する粒子を有する。一部の実施形態において、本明細書において言及されているあらゆる微粒子材料の少なくとも80重量%の粒子が、ふるい分析によって測定すると、約500μm以下など、約400μm以下など、約350μm以下など、約300μm以下などの約1000μm以下の粒径を有する粒子を有する。一部の実施形態において、本明細書において言及されているあらゆる微粒子材料の少なくとも90重量%の粒子が、ふるい分析によって測定すると、約500μm以下など、約400μm以下など、約350μm以下など、約300μm以下などの約1000μm以下の粒径を有する粒子を有する。一部の実施形態において、本明細書において言及されているあらゆる微粒子材料の少なくとも95重量%の粒子が、ふるい分析によって測定すると、約500μm以下など、約400μm以下など、約350μm以下など、約300μm以下などの約1000μm以下の粒径を有する粒子を有する。一部の実施形態において、本明細書において言及されているあらゆる微粒子材料の少なくとも99重量%の粒子が、ふるい分析によって測定すると、約500μm以下など、約400μm以下など、約350μm以下など、約300μm以下などの約1000μm以下の粒径を有する粒子を有する。一部の実施形態において、本明細書において言及されているあらゆる微粒子材料のほぼ100重量%の粒子が、ふるい分析によって測定すると、約500μm以下など、約400μm以下など、約350μm以下など、約300μm以下などの約1000μm以下の粒径を有する粒子を有する。
【0200】
一部の実施形態において、ふるい分折によって測定した場合、本明細書において言及されているあらゆる微粒子材料の、少なくとも60重量%など、少なくとも70重量%など、少なくとも80重量%など、少なくとも90重量%など、少なくとも95重量%など、少なくとも99重量%などの少なくとも50重量%の粒子が、約0.05μm~約750μmなど、約0.1μm~約500μmなど、約0.25μm~約500μmなどの約0.01μm~約1000μmの粒径を有する。一部の実施形態において、ふるい分折によって測定した場合、本明細書において言及されているあらゆる微粒子材料の、少なくとも60重量%など、少なくとも70重量%など、少なくとも80重量%など、少なくとも90重量%など、少なくとも95重量%など、少なくとも99重量%などの少なくとも50重量%の粒子が、約50μm~約350μmなど、約100μm~約350μmなど、約200μm~約300μmなどの約10μm~約400μmの粒径を有する。
【0201】
組成物の調製
混合物の様々な構成成分が組み合わされる方法は様々であってもよい。したがって、様々な構成成分と、例えば、粉末混合物構成成分との全体的な混合物は、比較的均一な性質となり得る。上述の構成成分は、液体形態又は乾燥固体形態にあってもよく、混合物の任意の残りの構成成分との混合物の前の事前処理工程において混合され得る、又は単にすべての他の液体成分若しくは乾燥成分と一緒に混合され得る。混合物の様々な構成成分は、当分野において公知の任意の混合技法又は装置を使用して、一緒に接触されてもよく、合わされてもよく又は混合されてもよい。混合物成分を密に接触させる、インペラ又は撹拌可能な他の構造を特徴とする混合装置などの任意の混合方法が使用され得る。混合装置の例として、ケーシングドラム、コンディショニングシリンダー又はドラム、液体スプレー装置、コニカル型ブレンダー、リボンブレンダー、Littleford Day、Inc.から入手可能なミキサー、例えば、FKM130、FKM600、FKM1200、FKM2000及びFKM3000、Plough Share型ミキサーシリンダー、Hobartミキサーなどが挙げられる。また、例えば、それぞれが参照により本明細書に組み込まれる、Solomonらの米国特許第4,148,325号;Korteらの米国特許第6,510,855号;及びWilliamsの米国特許第6,834,654号に記載されている方法論の種類を参照されたい。混合物を配合するための方式及び方法は当業者には明らかである。例えば、それらの各々が参照により本明細書に組み込まれている、Solomonらの米国特許第4,148,325号;Korteらの米国特許第6,510,855号;及びWilliamsの米国特許第6,834,654号、Ridgwayらの米国特許第4,725,440号及びBolderらの同第6,077,524号に記載されている方法論のタイプを参照されたい。
【0202】
一部の実施形態において、本組成物は、該組成物混合物が、非デンプン鋳型法又はデンプンベースの鋳型法において使用され得るよう調製されてもよい。生成プロセスに使用され得る鋳型の例となるタイプとして、例えば、デンプン鋳型、非デンプン鋳型、ペクチン鋳型、プラスチックトレイ鋳型、シリコーントレイ鋳型、金属製トレイ鋳型、ネオプレントレイ鋳型などが挙げられる。
【0203】
口腔用に構成
口腔用に構成されている組成物が本明細書において提供される。「口腔用に構成された」という用語は、本明細書において使用される場合、使用中、使用者の口内唾液により組成物の1つ以上の構成成分(例えば、塩基性アミン、香味剤及び/又は活性成分)が使用者の口の中に運ばれるような形態で、組成物が提供されることを意味する。ある特定の実施形態において、本組成物は、構成成分を、使用者の口腔内の粘膜、使用者の消化系又はこれらの両方を介して使用者に送達するように適合されており、ある場合において、前記構成成分は、製品が使用される際に口腔内粘膜を介して吸収され得る、又は消化管を介して吸収され得るニコチン成分又は活性成分(以下に限定されないが、例えば、ニコチン、刺激剤、ビタミン、アミノ酸、ボタニカル、又はこれらの組合せを含む)である。
【0204】
本明細書に記載されている口腔用に構成されている組成物は、ゲル、パステル、ガム、チュー、溶解物、タブレット、ロゼンジ、粒状物質、粉末、及びパウチ剤を含めた、様々な形態をとることができる。ゲルは、軟質又は硬質であり得る。本開示のある特定の組成物は、固体の形態にある。ある特定の組成物は、例えば、以下の特徴:クリスピー状、粒状、噛み応えのある、シロップ状、ペースト状、ふわふわ状、スムース、及び/又はクリーム状のうちの1つ以上を示すことができる。ある特定の実施形態において、所望のテキスチャー特性は、接着性、凝集性、密度、乾燥、破砕性、粒状性、粘着性、硬さ、重量感、水分吸収、水分放出、口腔内コーティング、ざらつき感、すべすべ感、滑らかさ、粘度、濡れ具合及びこれらの組合せからなる群から選択され得る。
【0205】
本開示の組成物は可溶性のことがある。本明細書において使用される場合、用語「溶解する」、「溶解すること」及び「可溶性の」とは、口腔内の水分と相互作用して、溶液に入り、こうして、組成物の段階的な消費を引き起こす、水可溶性構成成分を有する組成物を指す。一態様によれば、可溶性組成物は、これが完全に溶解するまでの所与の時間、使用者の口腔内において持続することが可能である。溶解速度は、約1分間以内から約60分間まで、幅広い範囲にわたり変わり得る。例えば、高速放出組成物は、約2分以内、多くの場合、約1分以内(例えば、約50秒以内、約40秒以内、約30秒以内又は約20秒以内)に所望の構成成分(例えば、活性成分、香味料など)を、通常、溶解及び/又は放出する。溶解は、溶融、機械的破壊(例えば、咀嚼)、酵素的分解若しくは他の化学的分解などの任意の手段によって、又は組成物の構成成分同士の相互作用の破壊によって起こり得る。他の実施形態において、製品は、使用者の口腔内に製品が留まっている間、溶解しない。
【0206】
本明細書において開示されている組成物は、丸状、タブレット状、球体状、ストリップ状、フィルム状、シート状、コイン状、立方体状、ビーズ状、卵状、オブロイド状、円筒状、豆形状、スティック状、又は棒状を含めた、様々な形状に形成され得る。組成物の断面形状は様々であり得、例となる断面形状は、丸、正方形、長円形、矩形などを含む。そのような形状は、移動式ベルト、ニップ、押出成形器、造粒装置、圧縮装置などの装置を使用する様々な方法において形成され得る。
【0207】
口腔用に構成されているある特定の組成物は、パステルの形態にある。本明細書において使用される場合、用語「パステル」とは、液体組成物又はゲル組成物を固化させることによって作製され、その結果、最終組成物がいくらか硬質化した固形ゲルとなる、可溶性の口腔用組成物を指す。そのゲルの剛性は非常に変化し得る。パステル製品は、代替として、軟質ロゼンジとも称されることがある。ある特定の実施形態において、本開示のパステル製品は、迅速に崩壊することなく、口腔内の軽度の咀嚼作用に耐えるほど十分な凝集性によって特徴付けられる。本開示のパステル製品は、通常、従来のチューイングガムにおいて見出されるような、非常に変形可能なチューイング性を、通常、示さない。
【0208】
一部の実施形態において、本明細書において開示されている製品は、口腔用に構成された可溶性ロゼンジ製品の形態にあることができる。本発明の例となるロゼンジ型製品は、ロゼンジ、タブレット、マイクロタブ又は他のタブレット型製品の形態を有する。例えば、参照により本明細書において組み込まれている、Shawの米国特許第4,967,773号;Acharyaの同第5,110,605号;Damへの同第5,733,574号;Santusへの同第6,280,761号;Anderssonらへの同第6,676,959号;Wilhelmsenの同第6,248,760号;及び同第7,374,779号;Wilhelmsenの米国特許公開第2001/0016593号;Liuらの同第2004/0101543号;Mcneightの同第2006/0120974号;Chauらの同第2008/0020050号;Ginらの同第2009/0081291号及びAxelssonらの同第2010/0004294号に記載されている、ニコチン含有ロゼンジ、ロゼンジ配合物、ロゼンジフォーマット及び構成のタイプ、ロゼンジの特徴、並びにロゼンジを配合又は製造するための技法を参照されたい。
【0209】
ロゼンジ製品は、一般に、「硬質」と記載され、軟質ロゼンジ(すなわち、パステル)とはそのように区別される。硬質ロゼンジは、アモルファス状態の糖及び/又は炭水化物の混合物である。硬質ロゼンジは、水性シロップから作製されるが、最初に存在する水は、加工中にシロップが沸騰すると蒸発し、その結果、最終製品中の含水率は、0.5~1.5重量%など、非常に低い。硬質の非粘着性のロゼンジを得るため、溶融温度は、ハードクラックステージに一般に到達しなければならず、例となる温度範囲は、149°~154℃である。
【0210】
一部の実施形態において、本組成物はチュアブルとすることができ、本組成物は、咀嚼時に軽い復元力又は「跳ね返り」を有し、所望の程度の展性を有することを意味する。チュアブル形態の組成物は、全体が溶解性であってもよく、又は非溶解性ガムの形態にあってもよく、後者の場合、ある特定の構成成分(例えば、活性成分、香味料、甘味剤など)だけが溶解して、非溶解性マトリックスが後に残る。チュアブルの実施形態は、一般に、天然ガム又はペクチンなどの結合剤を含む。一部の実施形態において、チュアブル形態における組成物は、組成物の総重量に対して、重量基準で少なくとも50%の量の1つ以上の糖アルコールと共に、ペクチン及び有機酸を含む。一般に、ペクチンは、組成物の総重量に対して、約1~約3重量%の量で存在する。
【0211】
一部の実施形態において、本組成物は、その全体が参照により本明細書に組み込まれている、例えば、Cantrellらの米国特許出願第2012/0037175号において議論されている通り、溶融性であり得る。本明細書において使用される場合、「溶融する」、「溶融すること」及び「溶融性の」とは、組成物が、固体状態から液体状態に変化する能力を指す。すなわち、溶融は、物質(例えば、本明細書において開示されている組成物)が、通常、熱の適用によって固体から液体に変化する際に起こる。本明細書において開示されている組成物に関する熱の適用は、使用者の口腔内温度によって供給される。したがって、用語「溶融性の」とは、組成物が相を固体から液体に変化すると、使用者の口腔内で液状化することが可能な組成物を指し、組成物の水溶性構成成分が水分と相互作用した際に、口腔内において単に溶解する組成物の内部において凝集性が喪失することにより口腔内で単に崩壊が起こる組成物とは区別されることが意図される。一般に、溶融性組成物は、本明細書の上に記載されている脂質を含む。一部の実施形態において、溶融性形態にある組成物は、組成物の総重量に対して、約35~約50重量%の量の脂質、及び組成物の総重量に対して約35~約55重量%の量の糖アルコールを含む。一部の実施形態において、糖アルコールは、イソマルト、エリスリトール、ソルビトール、アラビトール、リビトール、マルチトール、ズルシトール、イジトール、マンニトール、キシリトール、ラクチトール又はこれらの組合せである。一部の実施形態において、糖アルコールはイソマルトである。
【0212】
ある特定の実施形態において、本組成物は、圧縮ペレット又は成形ペレットの形態にある。例となるペレットの重量は、約250mg~約700mg、又は約700mg~約1500mgなどの、約250mg~約1500mgの範囲にある。ペレットは、従来的な丸剤又はタブレットの形状を含めた、様々な形状のいずれかを有することができる。一般に、タブレット形態の組成物は、グルコース-多糖ブレンド、及び糖アルコールを含む。一部の実施形態において、グルコース-多糖ブレンドは、組成物の総重量に対して、約35~約50重量%の量で存在し、糖アルコールは、組成物の総重量に対して約30~約45重量%の量で存在する。一部の実施形態において、糖アルコールは、イソマルト、エリスリトール、ソルビトール、アラビトール、リビトール、マルチトール、ズルシトール、イジトール、マンニトール、キシリトール、ラクチトール、又はこれらの組合せである。一部の実施形態において、糖アルコールは、イソマルトである。
【0213】
一実施形態において、本開示の組成物は、水分透過性容器(例えば、水透過性パウチ)内に配置される。パウチに封入される組成物は、任意の所望の形態にあってもよい。ある特定の実施形態において、本組成物は、粒状形態にある。水透過性パウチフォーマットにおけるそのような組成物は、組成物を含有するパウチの1つをヒト対象/使用者の口腔内に置くことにより、通常、使用される。一般に、パウチは、湿潤型嗅ぎタバコ製品が一般的に使用される方法と同じ方法で、使用者の口腔内のどこかに、例えば唇の下に置かれる。本明細書の以下に記載されている通り、パウチ組成物又は物質が摂取可能でない限り(例えば、可溶性又は分散性である)、パウチは、好ましくは咀嚼されない、又は嚥下されない。次いで、唾液への曝露により、その中の混合物の構成成分のいくつか(例えば、香味剤及び/又はニコチン)が、例えば、水透過性パウチの通り抜けを引き起こし、使用者に香味及び満足感をもたらして、使用者は混合物のいずれかの部分を吐き出す必要はない。約10分間~約60分間、通常、約15分間~約45分間の使用/楽しんだ後、相当量の混合物がヒト対象により摂取され、パウチは廃棄のためにヒト対象の口から取り除かれ得る。
【0214】
一部の実施形態において、本明細書において提供されている口腔用製品は、例えば、製品の内部(又は、少なくとも一部)が、その外側表面(又はその他の一部)から1つ以上の異なる感覚刺激特性(例えば、テキスチャー、口当たり、味感など)を有するよう、中心部が充填されたパステル又はロゼンジの形態にあってもよい。そのような中心部に充填されたパステル又はロゼンジの配合物は、本明細書に記載されているパステルタイプの製品又はロゼンジ製品と結合し得る一層硬質の外側シェルによって取り囲まれた、液状及び/又はゲル状及び/又は溶融性及び/又はチュアブル可能な及び/又はグミ状及び/又は発泡性の中心部を含むことができる。そのような実施形態において、中心部の充填物は、外側シェルに比べて、剛性が一層低い及び/又は柔らかさが高いと記載され得る。一部の実施形態において、中心部の充填物は、その中に活性成分を含んでもよく、又は含まなくてもよい。例えば、一部の実施形態において、外側シェルと中心部の配合物のどちらも、それらから活性成分の徐放をもたらすよう、活性成分を含んでもよい。一部の実施形態において、少なくとも外側シェルの配合物は、本明細書の上に記載されているパステル配合物を含む。他の実施形態において、外側シェルの配合物及び中心部の配合物はどちらも、類似の又は異なる感覚刺激特性を有する、本明細書に記載されているパステル配合物を含んでもよい。
【0215】
したがって、ある特定の実施形態において、本明細書において開示されている組成物及び上記の任意の他の構成成分は、組成物を使用するための容器として働く水透過性パケット又はパウチ内において一緒にされて、口腔用に構成されたパウチ入り製品を得る。本開示のある特定の実施形態は、添付の図面の図1を参照して記載されており、これらの記載された実施形態は、外側パウチを有し、かつ本明細書に記載されている混合物を含有する、スヌースタイプの製品を含む。以下に一層詳細に説明されている通り、そのような実施形態は、単なる例として提示されており、本開示のパウチ入り製品は、他の形態の組成物を含むことができる。図1に例示されている実施形態における、容器パウチ102などの、そのようなパケット又はパウチの混合物/構成物は、様々になり得る。図1を参照すると、パウチ入り製品100の第1の実施形態が示されている。パウチ入り製品100は、本明細書に記載されている組成物を含む物質104を含有する、パウチ102の形態の水分透過性容器を含む。
【0216】
無煙タバコ製品の製造に使用される適切なパケット、パウチ又は容器のタイプは、CatchDry、Ettan、General、Granit、Goteborgs Rape、Grovsnus White、Metropol Kaktus、Mocca Anis、Mocca Mint、Mocca Wintergreen、Kicks、Probe、Prince、Skruf and TreAnkrareという商標名で入手可能である。混合物は、ある方法で、及び製品の慣用的なスヌースタイプの製造に使用される構成成分のタイプを使用して、パウチに入れられて包装されてもよい。パウチは、ティーバッグの構築に使用されているメッシュ様タイプの材料と性質が類似すると考えられ得るタイプの液体透過性容器を設ける。混合物の構成成分は、パウチから使用者の口腔内に容易に拡散する。
【0217】
パウチの適切なタイプの非限定性には、例えば、Kjerstadの米国特許第5,167,244号及びSebastianらの同第8,931,493号、並びにSebastianらへの米国特許出願公開第2016/0000140、Sebastianらの同第2016/0073689号、Chapmanらの同第2016/0157515号;及びSebastianらへの同第2016/0192703号に説明されており、それらの各々が参照により本明細書に組み込まれている。パウチは、個々のパウチとして供給され得る、又は複数のパウチ(例えば、2個、4個、5個、10個、12個、15個、20個、25個、又は30個のパウチ)が、繋げられ得、又は一緒に連結(例えば、端同士の様式で)され得、こうして、1つずつ繋がった鎖又はパウチのマトリックスから使用するため、単一パッチ又は個々の分量が容易に取り出され得る。
【0218】
例となるパウチは物質からそのような方法で製造されてもよく、こうして、使用者によって使用されている間、パウチは分散又は溶出の制御を受ける。そのようなパウチ材料は、メッシュ、スクリーン、ミシン目付き紙、透過性布地などの形態を有してもよい。例えば、ライスペーパー又はミシン目付きライスペーパーのメッシュ様形態から製造されたパウチ材料は、使用者の口腔内において溶解することができる。その結果、パウチ及び組成物はそれぞれ、使用の通常の条件の間、使用者の口腔内において完全な分散を受けることができ、こうして、パウチと組成物のどちらも、使用者によって摂取され得る。パウチ材料の他の例は、水分散性フィルム形成材料(例えば、アルギネート、カルボキシメチルセルロース、キサンタンガム、プルランなどの結合剤)、及び摩砕セルロース誘導体(例えば、微粒子サイズの木材パルプ)などの材料と組み合わせた材料を使用して製造されてもよい。好ましいパウチ材料は、水分散性又は可溶性であるが、通常使用の条件下、有意な量の混合物の内容物が、パウチがその物理的完全性を失う時点よりも前に、パウチ材料を透過するように設計及び製造され得る。所望の場合、香味成分、崩壊助剤及び他の所望の構成成分を、パウチ材料内に配合されてもよく、又はパウチ材料に適用されてもよい。
【0219】
各製品単位、例えば、パウチ内に入れられる物質の量は様々となり得る。一部の実施形態において、各パウチ内の組成物の重量は、少なくとも約50mg、例えば、約50mg~約1グラム、約100~約800mg、又は約200~約700mgである。一部のより小さな実施形態において、各パウチ内の組成物の重量は、約100mg~約300mgとすることができる。より大きな実施形態の場合、各パウチ内の組成物の重量は、約300mg~約700mgとすることができる。所望の場合、他の構成成分は、各パウチ内に入れられることができる。例えば、風味付けされた水分散性又は水溶性材料からなる少なくとも1枚の風味付けされたストリップ、小片又はシート(例えば、息爽快性食用フィルムタイプの材料)は、少なくとも1つのカプセルと共に又はこれなしで、各パウチ内に配置され得る。そのようなストリップ又はシートは、パウチ内に容易に組み込まれるよう、折り畳まれてもよい、又はクランプされてもよい。例えば、参照により本明細書に組み込まれるScottらの米国特許第6,887,307号及びLeungらの同第6,923,981号;並びにThe EFSA Journal(2004)85、1~32頁に記載されている材料のタイプ及び技術を参照されたい。
【0220】
本明細書に記載されているパウチ入り製品は、任意の適切な内側包装材料及び/又は外側容器内にパッケージされ得る。例えば、参照により本明細書に組み込まれる、Hensonらの米国特許第7,014,039号;Kutschらの同第7,537,110号;Kutschらの同第7,584,843号;Gelardiらの同第8,397,945号、Thiellierらの同第D592,956号;Patelらの同第D594,154号;及びBaileyらの同第D625,178号;Robinsonらの米国特許公開第2008/0173317号;Clarkらの同第2009/0014343号;Bjorkholmの同第2009/0014450号;Bellamahらの同第2009/0250360号;Gelardiらの同第2009/0266837号;Gelardiの同第2009/0223989号;Thiellierの同第2009/0230003号;Gelardiの同第2010/0084424号;並びにBaileyらの同第2010/0133140号;Baileyらの米国特許公開第2010/0264157号;及びBaileyらの同第2011/0168712号に記載されている無煙タイプ製品に対する様々な種類の容器も参照されたい。
【0221】
前述の説明において提示されている教示の恩恵を受ける、本発明に関連する当業者であれば、本発明の多くの修正及び他の実施形態が想起するであろう。したがって、本発明は、開示された特定の実施形態に限定されないこと、及び修正及び他の実施形態が添付の特許請求の範囲内に含まれることが意図されていることを理解されたい。特定の用語が本明細書において使用されているが、これらは一般的意味及び説明的な意味で使用されているに過ぎず、制限目的のためではない。
【実施例
【0222】
本発明の態様を、以下の実施例によって一層完全に例示し、その実施例は、本発明のある特定の態様を例示するために記載され、本発明の限定として解釈されるべきではない。
【0223】
[実施例1] ニコチン-コハク酸モノメンチルのイオン対溶液(重量基準で12%ニコチン)
イオン対溶液は、72gの25%ニコチン水溶液、28.4gのコハク酸モノメンチル及び49.5gの脱イオン水を一緒に混合することによって形成した。その溶液中の、ニコチンとして表されるニコチン-コハク酸モノメンチルイオン対の濃度は、約12重量%であった。
【0224】
[実施例2] ニコチン-コハク酸モノメンチルのイオン対溶液(重量基準で18%ニコチン)
イオン対溶液は、114.7gの25%ニコチン水溶液及び45.3gのコハク酸モノメンチルを一緒に混合することによって形成した。その溶液中の、ニコチンとして表されるニコチンとコハク酸モノメンチルとのイオン対の濃度は、約18重量%であった。
【0225】
[実施例3] ニコチン-コハク酸トコフェロールのイオン対溶液(重量基準で9%のニコチン)
イオン対溶液は、72gの25%ニコチン水溶液、58.9gのコハク酸トコフェロール及び69gのプロピレングリコールを混合することによって形成した。その溶液中の、ニコチンとして表されるニコチン-コハク酸トコフェロールのイオン対の濃度は、約9重量%であった。
【0226】
[実施例4] 追加のニコチンイオン対溶液
イオン対溶液は、実施例1~3の手順に従い、25%のニコチン水溶液をグルタル酸モノメンチル、ビキシン又はノルビキシンと混合することによって形成する。溶液中のイオン対の溶解度を増大するため、溶解性改善剤、例えば、グリセロール、プロピレングリコール又は他の適切な溶媒が添加されてもよい。その溶液中の、ニコチンとして表されるニコチン-有機酸のイオン対の濃度は、様々であり得る。
【0227】
[実施例5] イソマルトシロップ基剤
イソマルトシロップ基剤は、1437gのイソマルト粉末、15.2gの75%マルチトール水溶液、21gの塩化ナトリウム、75gの脱イオン水及び0.5gのスクラロースを一緒にして、その混合物を160℃に加熱することによって作製される。
【0228】
[実施例6] ニコチン-コハク酸モノメンチルのイオン対を含むロゼンジ
イソマルトベースのロゼンジは、約285°Fの温度において、実施例2のイオン対形成溶液0.91gを実施例5のイソマルトシロップ154.7gと混合することによって調製した。その温混合物を金属鋳型に注ぎ入れて、約1.9gの重量を有し、かつ約2mgのニコチン(遊離塩基基準)をニコチン-コハク酸モノメンチルイオン対として含有する、個々の小片を得た。その個々の小片を室温まで冷却した。ロゼンジは、良好な透明度を示した。定性的に、口腔内溶出時に、ロゼンジは、口腔内及び咽頭への刺激がほとんどないことを示した。
【0229】
[実施例7] ニコチン-コハク酸トコフェロールのイオン対を含むパウチ入り製品
ニコチン-コハク酸トコフェロールのイオン対組成物を含有する口腔用パウチ入り製品を、表2の配合に従い調製する。微結晶性セルロース及び塩を一緒にブレンドする。実施例3のニコチンとコハク酸トコフェロールとのイオン対溶液を、安息香酸ニコチンのイオン対溶液(12%ニコチン)、甘味剤及び脱イオン水と一緒にする。その混合物を先に調製した微結晶性セルロースと塩とのブレンドと一緒にして、組成物を得る。その組成物をパウチフィラーに移し、パウチフィラー内容物を不織フリースに加え、そのフリースをヒートシールすることにより、口腔用パウチ入り製品を作製した。最終パウチ入り製品は、約494mgの組成物を含有する。パウチに水を加え、約588mgの最終重量を得る。安息香酸ニコチン及びニコチンとコハク酸トコフェロールとのイオン対の形態の、各パウチのニコチン含有量は、遊離塩基ニコチン基準で約6.0mgである。
【0230】
【表2】
【0231】
[実施例8] ニコチン-コハク酸モノメンチルのイオン対を含むパウチ入り製品
ニコチン-コハク酸モノメンチルのイオン対組成物を含有する口腔用パウチ入り製品を、表3の配合に従い調製する。微結晶性セルロース及び塩を一緒にブレンドする。実施例2のニコチンとコハク酸モノメンチルのイオン対溶液を、安息香酸ニコチンのイオン対溶液(12%ニコチン)、甘味剤及び脱イオン水と一緒にする。その混合物を先に調製した微結晶性セルロースと塩とのブレンドと一緒にして、組成物を得る。その組成物をパウチフィラーに移し、パウチフィラー内容物を不織フリースに加え、そのフリースをヒートシールすることにより、口腔用パウチ入り製品を作製した。最終パウチ入り製品は、約494mgの組成物を含有する。パウチに水を加え、約588mgの最終重量を得る。安息香酸ニコチン及びニコチンとコハク酸トコフェロールとのイオン対の形態の、各パウチのニコチン含有量は、遊離塩基ニコチン基準で約6.0mgである。
【0232】
【表3】
【0233】
[実施例9] ニコチン-コハク酸モノメンチルのイオン対のLogP決定
100ppmのニコチン及び2モル当量のコハク酸モノメンチルからなるイオン対水溶液を調製し、pHを6.0に調節した。イオン対形成した溶液に関するオクタノール水分配係数(LogP)のlogは、0.86と求まった。その正の分配係数は、得られたイオン対が親油性であることを意味し、したがって、そのようなイオン対を含む製品が消費されると、吸収の増大をもたらすことが予想される。
図1
【国際調査報告】