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特表2024-536258片頭痛を治療するための方法及び装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-04
(54)【発明の名称】片頭痛を治療するための方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   A61M 16/16 20060101AFI20240927BHJP
【FI】
A61M16/16 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024519745
(86)(22)【出願日】2022-10-03
(85)【翻訳文提出日】2024-05-24
(86)【国際出願番号】 US2022045557
(87)【国際公開番号】W WO2023056094
(87)【国際公開日】2023-04-06
(31)【優先権主張番号】63/251,287
(32)【優先日】2021-10-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/959,025
(32)【優先日】2022-10-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521038337
【氏名又は名称】クールテック・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】CoolTech, LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100184343
【弁理士】
【氏名又は名称】川崎 茂雄
(74)【代理人】
【識別番号】100197561
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 三喜男
(72)【発明者】
【氏名】タンドリ,ハリクリシュナ
(72)【発明者】
【氏名】デモア,ウィリアム
(72)【発明者】
【氏名】ジモフスキ,クリスティアン
(72)【発明者】
【氏名】リップフォード,ブライアン
(72)【発明者】
【氏名】シェイファー,スティーブン
(72)【発明者】
【氏名】レイン,ベンジャミン アール
(72)【発明者】
【氏名】プレスコット,エドワード アール
(72)【発明者】
【氏名】グリーン,ジョナサン エイチ
(72)【発明者】
【氏名】リィ,クン
(72)【発明者】
【氏名】ジェイムズ,トーマス ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】ボイル,ケイリー イー
(72)【発明者】
【氏名】ジョンソン,コルビー
(72)【発明者】
【氏名】ダミアーニ,マイケル
(57)【要約】
片頭痛の治療のためのポータブル装置は、乾燥剤、ヒートシンク、エアムーバ、及び空気出口を通る空気経路を画定するデスクトップユニットと、デスクトップ空気出口に接続するための1つの端部及びハンドヘルドユニットに接続されるもう1つの端部を有するチューブを含むチューブセットであって、ハンドヘルドユニットが水区画及び水滴を空気流に導入するためのネブライザ/トランスデューサを含むチューブセットとを有する。鼻ピローは、ユーザの鼻に配置するためにハンドヘルドユニットの端部に設けられる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
片頭痛に関連する症状を改善するための装置であって、統合ユニットに、
デスクトップユニットの空気供給サブアセンブリであって、
空気入口と、
空気出口と、
前記空気入口と前記空気出口とを接続する空気流路と、
前記空気流路内に位置し、前記空気入口から周囲空気を引き込み、前記周囲空気を前記空気流路を通じて前記空気出口から押し出すように構成されたブロワと、
前記空気流路内に位置し、取り外し可能及び交換可能な乾燥剤要素を受け入れるように構成された乾燥剤チャンバと、
前記空気流路内に位置し、前記乾燥剤要素によって空気から水分の除去中に前記空気流路内の空気に加えられた熱を除去するように構成されたヒートシンクと、
空気温度、空気流量、空気圧力、又はそれらの組み合わせを測定するように構成された空気出口センサと、を有する空気供給サブアセンブリと、
ハンドヘルドユニットであって、
空気入口ポート及びチューブと、
前記チューブの遠位端にあるハンドヘルドユニット出口と、
デスクトップユニットの空気入口ポートとハンドヘルドユニット出口との間の空気経路と、
水の導入のための開閉可能なアクセスを含む水区画と、
前記水区画と前記ハンドヘルドユニット出口との間の水経路と、
前記水経路内の水を、前記水が前記ハンドヘルドユニット出口に入る直前に水滴に変換するように配置及び構成されたネブライザ又は超音波トランスデューサと、を有するハンドヘルドユニットとを備える、装置。
【請求項2】
前記デスクトップユニットの前記空気出口に1つの端部を取り付け、前記ハンドヘルドユニットの前記空気入口ポートにもう1つの端部を取り付けるように構成されたチューブをさらに備える、
請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記ハンドヘルドユニット出口の遠位端に適合するように構成された使い捨て鼻ピローをさらに備える、
請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記水経路は、重力を受けて前記水区画から前記ハンドヘルドユニット出口に水を送達するように構成されている、
請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記水区画から前記水経路を通じて水を押し出すように構成及び配置された水ポンプをさらに備える、
請求項1に記載の装置。
【請求項6】
片頭痛による痛みを改善するための方法であって、
約2リットル/分(「L/分」)から約24L/分の連続流量において被験者の鼻孔に周囲空気を送達し、
同時に前記被験者の鼻孔に水をミストの形態において送達し、
前記周囲空気と前記水のミストとを前記被験者の鼻孔に送達する直前まで前記周囲空気と前記水との間の隔離を維持する、
方法。
【請求項7】
前記連続流量は、約4L/分から約12L/分である、
請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記連続流量は、約6L/分である、
請求項6に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本発明は概括的に、片頭痛を治療するための方法及び装置に関する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0002】
本発明は、片頭痛、頭痛、並びに他の痛み及び気分障害を治療するための方法及びハンドヘルド(handheld)装置を含む。本発明者らは、翼口蓋神経節が存在する鼻咽頭の領域に指向された(通常の呼吸を補助する)適度な追加の空気の流れが、片頭痛の症状に予期せぬ軽減を引き起こすことを不意に発見した。好ましい実施形態によれば、空気の追加の流量は、すべてユーザの自然呼吸に加えて、2リットル/分(「L/分」)から24L/分、好ましくは4L/分から12L/分、最も好ましくは6L/分であり得る。
【0003】
従って、本発明によれば、片頭痛、頭痛、並びに他の痛み及び気分障害の治療のための方法が提示され、この方法は、鼻咽頭の後方に追加の空気の流れを送達することを有し、それは、翼口蓋神経節の活性に鎮静をもたらし、片頭痛、頭痛、痛み、又は他の気分障害の症状の軽減を引き起こす。
【0004】
本発明の様々な実施形態によれば、(通常の呼吸と比べて)追加的に増加する空気の流れは、鼻甲介に噴霧された水滴の独立した供給を伴うことができる。
【0005】
本発明によれば、片頭痛の症状を自己治療するために片頭痛の患者によって使用され得るハンドヘルド装置も提示される。ハンドヘルド個人用装置は、吸気ポートを通じて周囲/環境の空気を取り込み、随意的に空気を除湿し、空気をチューブに通じて、患者が1つの鼻孔に空気の流れを指向させるチューブの端部から押し出す。
【0006】
本発明の好ましい実施形態によれば、装置は、単一の鼻孔ポートを有し、1つの鼻孔に空気を吹き込み、空気はもう1つの鼻孔から出るが、部分的又は全体的に口から出ることもあり得る。
【0007】
一実施形態によれば、チューブは、患者の鼻孔に対して配置される又は患者の鼻孔に短い距離挿入されて患者の鼻孔と緩やかなシールを形成するように適合されたテーパ端部を有する。別の実施形態によれば、チューブの遠位端は、患者の鼻孔とインターフェース(interface)及びシールを形成するために使用される交換可能/取り外し可能/使い捨て可能な鼻孔インターフェースを受け入れるように適合され得る。空気は、内部ファン又は遠心ポンプを介して装置に引き込まれ、出口ポートから出ることが好ましく、一般の壁コンセントへの接続を介して及び/又は随意的に搭載バッテリによって作動するように構成され得る。
【0008】
装置の好ましい実施形態によれば、空気流の投与と同時に又は断続的に、水道水と同様に生理学的にバランスのとれた溶液の細かなミストを被験者の鼻咽頭に送達するように構成することができ、それは、空気流の耐性を向上させる。
【0009】
本発明の好ましい実施形態によれば、装置は、チューブの遠位端に取り付けられたハンドヘルドユニットを有することができ、ハンドヘルドユニットは、患者によって彼又は彼女の顔に、鼻孔インターフェースが彼又は彼女の鼻孔に配置された状態で快適に保持されるように適合される。ハンドヘルドユニットは、鼻孔インターフェースを介して送達するために生理学的にバランスのとれた溶液又は水の源を噴霧するためのネブライザ(nebulizer)又は超音波トランスデューサ(transducer)を含み得る。ハンドヘルドユニットは、生理学的にバランスのとれた水、生理食塩水及び/又は薬液の供給を保持するための水/液体リザーバを含み得る。リザーバは、交換可能なカートリッジの形態であってもよく、その場合、ハンドヘルドユニットは、交換可能なカートリッジを受け入れるためのカートリッジポートを備えて構成される。
【0010】
別の実施形態によれば、装置は、患者の鼻孔に薬剤を送達するように構成され得る。本発明の装置を使用して送達され得る薬剤のタイプは、例えば鼻ミスト又はスプレを介して、鼻を通じて患者に送達される任意の薬剤を含む。リドカインは、片頭痛を治療するために鼻腔用スプレとして販売されている薬の一例である。
【0011】
本発明の別の実施形態によれば、ハンドヘルドユニットは、薬剤を収容するように構成された交換可能な薬剤カートリッジを受け入れるための第2の薬剤リザーバ又はカートリッジポートを有し得る。例えば、装置は、空気と、水、生理食塩水及び/又はリドカインなどの薬剤のスプレとを交互に又は同時に患者の鼻孔に送達するために使用され得る。空気流の統合された効果とリドカインの麻酔効果とは、片頭痛の痛みの軽減に予期せぬ助長を提供する。
【0012】
本発明のさらなる実施形態によれば、装置からの空気の流れは、リドカイン溶液又は他の麻痺薬又は局所麻酔薬を、SPG神経束が片頭痛からの反応を弱めるために位置している鼻咽頭までずっと送達又は押し出す媒体として使用され得る。SPG神経束の位置は、気道の非常に後にあり、孤立され、物理的にアクセスするのが困難である。従って、本発明による装置は、リドカインを鼻腔の非常に奥に及び/又は鼻咽頭及び/又は喉の非常に奥に運ぶ又は押し返すことができる追加の空気の流れを送達するために使用され得る。好ましい実施形態によれば、リドカイン又は他の薬を気道の奥に押し込むために必要である空気の流れは、すべてユーザの自然呼吸に加えて、2リットル/分(「L/分」)から24L/分、好ましくは4L/分から12L/分、最も好ましくは6L/分である。
【0013】
空気流及び生理学的にバランスのとれた水、生理食塩水又は他の適切な液体は、空気及び水を鼻孔の開口部における送達ポイントにおいて又はその直前において患者に送達し、そのポイントまで空気と水の別々の流路が互いに隔離されたままである特別に設計された装置、チューブ、及びマスクを使用して、隔離された送達経路を介して患者に提供される。装置のどの部分も、鼻腔に挿入される必要はない。
【0014】
本発明の好ましい実施形態によれば、周囲空気は、被験者に送達する前に加熱又は冷却、乾燥又は加湿される必要はない。
【0015】
様々な実施形態によれば、水は、アトマイザ(atomizer)又はネブライザを使用して、一般的には超音波トランスデューサを介してミストにされ得る。いずれにしても、結果として生じる水の粒子は、加湿された空気又は水蒸気中の水粒子より1桁以上大きく、従って、投与される水の大部分は、患者への投与中又は投与直後に相変化を受けず、ミストは、追加流空気の水分含量にほとんど又はまったく実質的な影響を与えず、すなわち液体水の投与は、ミストポイント(misting point)を通過する前の空気の湿度を超えて0%を超えて5%までの湿度によって空気を加湿しない。
【0016】
装置は、フィルタ処理される入口プレナムを通じて周囲空気を引き込み、随意的に患者/ユーザに送達するために空気を乾燥させる。いったん装置の内部に入ると、空気経路は、入口プレナム経路、バルクプレナム経路(bulk plenum pathway)、乾燥剤カートリッジ、ヒートシンクを通過し、様々なセンサを渡って空気出口から出る。装置内部では、空気流路は、入口から出口まで隔離されている。装置は、水流路を空気流路から隔離させる別個の水供給システムも有する。ハンドヘルドユニットは、水/液体の供給を貯蔵及び噴霧し、患者に送達する直前に噴霧された液体を空気流に供給するという二重機能を有する。
【0017】
好ましい実施形態によれば、装置は、装置を通る空気流路によって接続された空気入口及び空気出口を有するポータブルハウジングと、空気を空気源から空気入口を通じて、空気流路を通じて引き込み、空気送達チューブに空気出口から空気が出るためにハウジング内に位置するファンと、流体を水/液体リザーバ/カートリッジから引き込み、それを鼻孔インターフェースに送達するためにハンドヘルドユニットに位置する流体ポンプ又はネブライザ/アトマイザとを有する。装置はまた、空気流のための温度、湿度、圧力、及び流量のセンサと、壁面コンセント(110V-240V)の標準接続と連動する1つ又は複数のバッテリとを含む。さらに、装置インターフェースは、オペレータが空気流量(低流量から高流量まで複数の増分において)と水/生理食塩水/液体の供給量(低供給量から高供給量まで複数の増分において)とを手動で選択することができるように構成され得る。
【0018】
本発明の好ましい実施形態によれば、装置は小型軽量であり、およそTVのリモコンのサイズであり、ポケット又は財布に容易に配置される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
前記概要及び好ましい発明の以下の詳細な説明は、添付図面と併せて読むとより良く理解されるであろう。本発明を説明する目的で、現在好ましい実施形態を図面に示している。しかしながら、本発明は、図示された正確な配置及び手段に限定されないことを理解されたい。
【0020】
図1】本発明の一実施形態に係る片頭痛治療装置の斜視図である。
図2図1の実施形態の上部カバー及び底部構成要素を示す。
図3】乾燥剤カートリッジと図1の実施形態の底部構成要素へのその接続を示す。
図4】ヒートシンク部分を示す図1の実施形態の断面図である。
図5図1の実施形態の真空マニホールド及び流量制限領域を示す。
図6図1の実施形態のブロワ及びブロワインターフェースを示す。
図7図1の実施形態の底部内側部分の断面図である。
図8】本発明の一実施形態に係るチューブセット及びハンドヘルドユニットの断面図を示す。
図9図1の実施形態の装置カバーの底部側に取り付けられた第1装置PCBを示す。
図10図1の実施形態のボタンレイアウトを示す。
図11図1の実施形態に係るミストPCBの位置を示す。
図12図1の実施形態に係るEEPROMのPCBの位置を示す。
図13図1の実施形態に係るメイン装置に取り付けるハンドピースの位置を示す。
【0021】
添付図面の特徴に、以下の参照番号が付けられている。
1 乾燥剤カートリッジ
1.1 乾燥剤カートリッジ上部
1.2 乾燥剤カートリッジ底部
1.3 入口フィルタ格子
1.4 乾燥剤入口フィルタ
1.5 乾燥剤ビーズ
1.6 底部フィルタ格子
1.7 乾燥剤出口フィルタ
1.8 乾燥剤カートリッジ発泡ガスケット
2 耐久ユニット(メインハウジング)
2.1 乾燥剤接続キャップ
2.2 乾燥剤接続カップ
2.3 プラスチック用ネジ形成スクリュ
2.4 上部負圧マニホールド
2.5 負圧マニホールド、底部
2.6 Oリング
2.7 ヒートシンク
2.8 流量制限器
2.9 差圧センサチューブ
2.10 差圧センサ
2.11 底部ブロワ減衰マウント
2.12 上部ブロワ減衰マウント
2.13 ブロワ
2.14 圧力マニホールド
2.15 サーミスタ
2.16 温度/湿度センサ
2.17 フレキシブルチューブ
2.18 基本格納機構収納箱
2.19 チューブ
2.20 絶対圧力センサ
2.21 装置出口フィルタ
2.22 基本格納機構捕捉プレート
2.23 乾燥剤接続Oリング
2.24 ヒートシンクOリング
2.25 RTVシリコンシーラント
3 チューブセット
3.1 空気チューブ
3.2 流導管
3.3 超音波トランスデューサ
3.4 トランスデューサガスケット
3.5 生理食塩水
3.6 鼻ピロー
【発明を実施するための形態】
【0022】
特に規定のない限り、本明細書で使用されるすべての用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書に記載されるものと類似又は同等の任意の方法及び材料を本発明の実施又はテストに使用することができるが、好ましい方法及び材料をここで説明する。
【0023】
本明細書で使用されるように、「周囲空気」という用語は、他のガス又は蒸気の追加、あるいは純粋な空気(乾燥剤によって除去され得る微量のガス及びその他の物質以外である)のガス成分の除去なしに、特定の汚染物質の除去を除き、周囲温度(能動的な加熱又は冷却のない)及び周囲湿度(能動的な加湿又は除湿のない)を含む、装置が使用される環境に存在する呼吸可能な空気を意味する。
【0024】
本発明は、安静時、運動中又は運動後にかかわらず、全体にわたってユーザの自然呼吸速度に、ユーザの自然呼吸速度を超える追加的/段階的に増加する空気の流れを利用し、これは、2リットル/分(「L/分」)から約24L/分の間、好ましくは約4L/分から約12L/分、最も好ましくは約6L/分である単一鼻孔流量を含む。
【0025】
本発明の好ましい実施形態によれば、霧状にされた又は噴霧された水の隔離された供給の同時送達を伴う、翼口蓋窩内のSPGへの周囲空気の追加的な流れの投与は、驚くべきことに片頭痛からの痛み及び他の症状の著しい改善を引き起こす。
【0026】
本発明の好ましい実施形態では、水は、人体の塩分含有量とほぼ一致し、周囲環境温度の水が特に好ましい、周囲温度から通常の体温(例えば人の場合37℃)までの温度、さらに臨床的に許容可能である最高温度と同じ暖かさで供給される食塩溶液である。40℃が臨床的に許容可能である温度と考えられるので、本発明は、(周囲温度)℃から約40℃までの水温を使用し得る。
【0027】
様々な実施形態によれば、本発明は、患者の鼻孔に供給される周囲空気の流れ及び/又は量を監視し、同時に、隔離された送達経路及び患者の鼻孔の開口部に配置されたミストノズルを介して、霧状にされた水の投与量を供給する。
【0028】
図1及び図2を参照すると、本発明に係る装置は、ファンなどのエアムーバ、取り外し可能な乾燥剤カートリッジ、空気温度、流量、湿度及び圧力のセンサ、オン/オフ及び流量制御を含む入力コンソール、ディスプレイ、コントローラ、並びに周囲空気入口とファン及び乾燥剤カートリッジを通過する空気チューブインターフェース/ポートとの間の空気経路を備えたポータブルデスクトップユニットを含む。
【0029】
装置はさらに、空気チューブによってデスクトップユニットに接続されるハンドヘルドユニットを含む。ハンドヘルドユニットは、水/生理食塩水リザーバと、チューブインターフェース/ポートと鼻インターフェースとの間の空気経路とを含み、鼻インターフェースは、好ましくはハンドヘルドユニットの上部又はその近くにある、短い空気出口スタブ(stub)に位置する使い捨てシリコン鼻ピローであることが好ましい。水送達経路は、水/生理食塩水リザーバを空気出口スタブと接続し、重力又は小型ポンプは、リザーバから出口スタブに向かって水の微細な流れを強制する。超音波トランスデューサは、水に接続され、水が空気出口スタブに入ると同時に水を直径およそ3μmから8μmの最適なサイズの水滴のミストにする。別の実施形態によれば、水の微細な流れは、空気出口スタブに入る直前にネブライザを通過する。
【0030】
装置は、標準的な電源コード、バッテリ区画、又はその両方を備え得る。
【0031】
使用するために、患者は、デスクトップユニットの入力コンソール上の電源ボタンを押し、随意的に好ましい空気及び生理食塩水の流量を選択する。ファンは、電源をオンにし、周囲空気入口を通じて空気を引き込み、空気がデスクトップユニットの出口から出て、選択された流量で空気チューブに入るのに十分な割合で乾燥剤を通じて空気を強制する。数秒遅れた後に、ハンドヘルドユニットのネブライザ/アトマイザ/トランスデューサは、電源をオンにし、ネブライザ/アトマイザ/トランスデューサの位置を通過する際に、霧状にされた/噴霧された水滴を空気の流れに供給する。ユーザは、鼻ピローを彼又は彼女の鼻孔の1つに配置し、追加量の空気は、SPG神経束に隣接する領域を効果的に治療するために水滴を伴って患者の鼻咽腔の後ろに流れる。装置は、患者に供給される流れが過度に高い圧力又は温度から安全であることを確保するために圧力及び温度の空気センサを使用し得る。
【0032】
本発明の基本的な構造、機能、及び使用方法が前述されているが、MiHelperと呼ばれる非限定的な好ましい実施形態を以下に詳細に説明する。
【0033】
装置の概観
【0034】
MiHelperは、片頭痛に関連する痛み及び症状を軽減するために使用される装置であり、家庭で使用するために設計されている。装置は、周囲環境からプロセス空気経路に空気を引き込み、それはその後に、乾燥され、冷却され、生理食塩水ミストの導入とともに患者に送達される。このプロセスは、経鼻冷却として知られ、患者の上気道の片頭痛の痛みに関連する神経束からエネルギを取り出すために使用される。ユーザインターフェイスは、装置を起動するため且つ流量と生理食塩水の堆積割合を管理するための3つのボタンで構成されている。
【0035】
設計の説明
【0036】
MiHelperには、乾燥剤カートリッジ1、装置2、及びチューブセット3の3つの主要な構成要素があり、図面を参照して以下に説明される一般的な流路を備えている。以下の装置の説明は、空気通路アセンブリと非空気通路アセンブリに分けられ、途中で主要な設計特性の概要が説明されている。本明細書で使用される用語「空気通路」は、空気が患者に送達されること及び空気が装置を通過する経路に言及する。
【0037】
空気通路構成要素
【0038】
図1及び図2は、MiHelperの空気通路のすべての構成要素を示している。空気経路は、乾燥剤カートリッジ1の吸気口から始まる。
【0039】
乾燥剤カートリッジ及び装置接続インターフェース
【0040】
乾燥剤カートリッジ1は、より大きい微粒子を排除するための吸気フィルタ1.4、通過する空気を乾燥させるための乾燥剤ビーズ1.5、及び疎水性、細菌及びウイルス出口フィルタ1.7で満たされた超音波溶接アセンブリで構成される。例えば図3参照。カートリッジ1は、カートリッジのタブが装置のそれぞれのスロットに係合してロックするまで、バネ搭載排出プレートを押し下げることによって装置2に挿入され得る。いったんカートリッジが挿入されると、空気経路は、装置内のリブによるガスケット1.8の圧縮によってシールされ、周囲空気をカートリッジ及びその要素を通じて強制する。しかしながら、前述の実施形態にもかかわらず、装置内のティーバッグ乾燥剤区画に配置されるティーバッグタイプ乾燥剤を含むが、これに限定されない任意の種類の交換可能な乾燥剤及び乾燥剤区画を使用することができる。
【0041】
乾燥剤カートリッジは、ユーザが不正、使用済み、又は期限切れの乾燥剤カートリッジの使用から保護されることを確保するために、装置上のそれぞれのPCBに接続するEEPROMのPCBを随意的に含み得る。
【0042】
カートリッジが存在しないとき、装置は、接続キャップ2.1によって空気経路からの侵入保護を維持する。水が、乾燥剤カップ2.2の排出プレート領域に滴るとしたら、集められた水を装置の底部を通じて排出するためにチューブに接続されたポートが存在する。
【0043】
負圧マニホールド
【0044】
負圧(vacuum)マニホールドは、2つのプラスチック片2.4,2.5及びヒートシンク2.7を使用して構成される。例えば図4参照。カートリッジカップ2.2への1つのインターフェース構成要素を含むすべてのインターフェース構成要素は、空気経路内のシールを維持するためにOリング2.6を使用して接続される。周囲空気が乾燥剤ビーズ1.5を通じて強制されるとき、空気は、50℃あるいはそれ以上の高さの温度に加熱される可能性があり、従って周囲温度まで冷却する必要がある。これは、アルミニウムヒートシンク2.7によって実現される。
【0045】
ヒートシンク2.7は、負圧マニホールドアセンブリの上部に取り付けられ、中空のOリング2.6によって空気経路をシールする。空気経路内のリブによって捕捉された熱は、空気経路の外側のリブに伝導され、次に上部に取り付けられたファンによって冷却される。ファンは、乾燥剤カートリッジ1とは別に独自の空気吸入口を有する。この吸入口は、患者の空気経路に露出されないのであらゆるフィルタを有していないが、侵入保護を提供する、すなわち、吸入口の穴は、液体の侵入を防止するために上向きに角度が付けられ、家庭で使用するために固形物からの保護のために十分に小さい。
【0046】
空気は、ヒートシンク2.7によって冷却された後、差圧センサ2.10に接続するために両側にバーブ(barb)を備えた流量制限器2.8を通過する。例えば図5参照。このセンサによって測定されるこの差圧は、装置のソフトウェアによって流量に対して経験的に計算される。
【0047】
ブロワ+圧力マニホールド
【0048】
ブロワ2.13は、負圧マニホールドアセンブリの端部に取り付けられ、振動絶縁のために2つのシリコンマウント2.11,2.12の間に挟まれている。例えば図6参照。
【0049】
ブロワ2.13は、室温硬化型(RTV)シリコンシーラントで埋め込まれた空気経路内に2つのセンサ、すなわちサーミスタ2.15及び湿度センサ2.16を有する圧力マニホールド2.14に直接接続される。どちらも、患者のエンタルピー限界を計算するために、且つカートリッジによる空気の乾燥を確認するために使用される。
【0050】
収納箱アセンブリ
【0051】
空気経路構成要素の正圧側は、前セクションですでに述べたように圧力マニホールド2.14と収納箱アセンブリ2.18とで構成される。例えば図7参照。それらは、一片のシリコンチューブ2.17によって接続され、ジョイントにおいてRTVシリコン2.25シーラントによってシールされる。収納箱アセンブリ2.18に、チューブ2.19を介してボード上の圧力センサ2.20に接続するポートが存在する。このセンサのこの目的は、患者の安全のために過度な加圧を検出して約30cmHOで空気流の供給を遮断することである。チューブセット3へ装置を出て行く前に、空気は、冗長な細菌及びウイルスフィルタ2.21を通過し、乾燥剤1の出口フィルタと同じ目的を果たす。このフィルタ2.21は、疎水性でもあるため、チューブセットが接続されていないときの外部の液体だけでなくチューブセットから装置内に滴下する可能性がある生理食塩水からの水の浸入の保護を提供する。
【0052】
チューブセット及びハンドピース
【0053】
装置2から流入する空気は、最終的に患者の鼻腔に入る前にチューブ3.1及びハンドピース(図8)を通過する。鼻ピロー3.6は、治療時に患者と接触する唯一の部品である。生理食塩水は、図8の白い点線によって示されるように、超音波トランスデューサ3.3を通じて流導管3.2の空気流にミストの形で噴射される。トランスデューサ3.3は、メイン装置に接続するチューブの外側部分に沿って走行する電気ケーブルによって電力が供給される。生理食塩水は、隣接する生理食塩水リザーバ3.5に貯蔵され、ユーザが所定の量まで満たし、蓋に取り付けられたガスケットを用いて外部環境から遮断することができる。チューブを含むこのハンドピースに記載されるすべてのアイテムは、化粧品の外殻に捉えられている。
【0054】
非空気経路構成要素
【0055】
複数のPCB
【0056】
装置には、3つのカスタムプリント回路基板がある、すなわちメインPCB、装置前面のミストPCB、及び乾燥剤カートリッジのためのEEPROMのPCBがある。また、ブロワを作動するために必要である1つの既製のPCBと、乾燥剤カートリッジ上にある対応するEEPROMのPCBがある。
【0057】
メインPCB
【0058】
メインPCBは、装置の上側の操作ボタンとインターフェースするために装置の下側に取り付けられ(図9)、操作ボタンは、(1)再生/一時停止、(2)流量調整、及び(3)生理食塩水噴霧調整(図10)の3つがある。ボタンは、PCBが装置の外側シュラウドに取り付けられる場合、ガスケットのように機能し、侵入保護を提供し、PCB上の多数の取付位置は、ユーザのボタン相互作用のための適切なサポートを提供する。
【0059】
ミストPCB
【0060】
ミストPCBは、収納箱アセンブリ内に2つのネジ及びワッシャを使用して取り付けられ、補助ポートの形態を介してハンドピース内のトランスデューサに電気的接続を提供する。例えば図11参照。しかしながら、前記ポートは、ユーザによる誤用及び装置への可能性のある損傷を最小限にするために、一般的な3.5mmヘッドフォンケーブルに比べて小さく、2.5mmのみである。
【0061】
EEPROMのPCB
【0062】
EEPROMのPCBは、ミストPCBと同様に、ネジ及びワッシャを用いてプラスチックに対して垂直に取り付けられる。例えば図12参照。乾燥剤カートリッジが挿入されるとき、装置PCB上の板バネは、対応するカートリッジPCBへの接続を形成するために圧縮する。
【0063】
ハンドピースマウント
【0064】
ハンドピースマウント(図13)は、装置側とハンドピース側の両方にある磁石のおかげで、患者によって使用されないときハンドピースを保管する。ユーザが正確に取り付けることを支援するために、対応するシンボルが存在する。取り付けの向きはまた、ユーザがハンドピースを直立に保持し、リザーバの蓋を操作し、生理食塩水リザーバをこぼさずに規定の量まで注ぐことを可能にする。
【0065】
空気経路の説明
【0066】
空気は、乾燥剤カートリッジ上部1.1を通じてプロセス空気経路に入る。乾燥剤カートリッジは、空気流の作動前に耐久ユニットに挿入され、乾燥剤カートリッジフォームガスケット1.8と乾燥剤接続カップ2.2との間にシールが生成される。周囲空気は、耐久ユニットの乾燥剤接続カップと負圧マニホールドとを通過する前に、一連のフィルタ及び乾燥剤ビーズ1.5を通じて引き込まれる。負圧マニホールドの上部と下部との間に、Oリング2.6を介してシールが形成される。エラー!参照元が見当たらない。図3-2は、マニホールド内のヒートシンクを通過する空気を示している。流路の続きについては、図3-3参照。
【0067】
図3-3は、ヒートシンク2.7及び流量制限器2.8を通る空気経路の上から見た図(チューブバーブが左上に示されている場所を除き、上部負圧マニホールドが取り外された状態)を示す。上部負圧マニホールド2.4に流量制限器の両側に、チューブを介して差圧センサ2.10に接続する2つのバーブがある。空気は次に、図3-4に示すブロワ2.13に移動する。
【0068】
2つのシリコンゴムマウント(底部ブロワ減衰マウント2.11及び上部ブロワ減衰マウントアイテム2.12)によって所定の位置に保持されたブロワは、2つの取り付けられたセンサ、すなわちサーミスタ2.15及び温度/湿度センサ2.16を有する圧力マニホールド2.14を通じてプロセス空気を強制する。サーミスタは、RTVシリコンシーラント2.25を使用して所定の位置に埋め込まれている。
【0069】
耐久ユニットプロセス空気経路の最終段階は、圧力マニホールドを基本格納機構収納箱2.18に取り付けるフレキシブルチューブ2.17を含む。この基本格納機構収納箱上のバーブは、絶対圧力センサ2.20がチューブ2.19を介して接続されることを可能にする。空気は、装置出口フィルタ2.21を通じて装置から出て、基本格納機構捕捉プレート2.22によって捕捉され、ハンドピースで終端されるチューブセットに移動する。
【0070】
装置から入ってくる空気は、最終的に患者の鼻腔に入る前に空気チューブ3.1及びハンドピースを通過する。空気がハンドピースを通過する際、空気は、流導管3.2、超音波トランスデューサ3.3、トランスデューサガスケット3.4、及び鼻ピロー3.6に接触する。生理食塩水リザーバ3.5内の生理食塩水は、図3-6の白い点線によって示されるように、超音波トランスデューサ3.3を介して空気流にミストとして注入される。
【0071】
以下の重要なポイントは、この文書において説明される空気流路に適用する。
・患者に送達される空気は、3つの別々の場所において濾過される。
〇乾燥剤カートリッジへの入口にある乾燥剤入口フィルタ1.4
〇乾燥剤材料を通過した後の乾燥剤出口フィルタ1.7
〇装置から出てチューブセットに入るときの装置出口フィルタ2.21
・最初の2つのフィルタ1.4及び1.7は、1回限り使用の使い捨て乾燥剤カートリッジ内に捕捉され、そして使用後に交換される。
・装置出口フィルタ2.21は、定期的なメンテナンス間隔で交換される。
・ブロワを通過した後、空気流経路の残りの部分では、空気は、周囲環境より高い圧力で作動する(これは空気の流れに必要である)。圧力センサは、安全機構として機能し、圧力が患者にとって危険なレベルまで上昇しないことを保証する。
・圧力センサの配置は、チューブセットの初めにあるので保守的である。空気流は、チューブセットにわたって(チューブセットの抵抗のために)圧力が低下するので、装置内の測定値は、常に患者体験よりも高くなる。従って、装置によって実装される圧力安全制限は、保守的である。
・温度センサの配置は、チューブセットの前の装置出口にあるので保守的である。ほとんどの環境では、プロセス空気は、装置内の空気が常に周囲温度より高い又は等しいのどちらかであるので、チューブを通過する際に温度低下を経験する。前記空気がチューブセットを通過するとき、前記空気は、気流温度より冷たい又は気流温度に等しい周囲空気に囲まれる。ある程度のエネルギは、チューブ壁を通じて周囲に移され、空気流を冷却する。そのため、測定された温度値は常に保守的である。
・2つの温度センサが冗長性のために設けられる。
・乾燥剤カートリッジを通過した後、空気流は、(乾燥剤に吸着された水分子による潜熱の放出のために)周囲状態より加熱されるとともに周囲状態より乾燥する。そのため、装置内部の凝縮は、起こり得ない(高くされた温度と乾いた空気の両方が凝縮を防止する)。
【0072】
本発明の概念から逸脱することなく、前記の好ましい実施形態に変更が可能であることが当業者に理解されるであろう。従って、本発明は、開示された特定の実施形態に限定されるものではなく、本明細書で概説され、本明細書に照らして以下の特許請求の範囲の最も広く合理的な解釈に従って規定される本発明の精神及び範囲内の変更に及ぶことが意図されることが理解される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
【国際調査報告】