IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ボード・オブ・リージエンツ,ザ・ユニバーシテイ・オブ・テキサス・システムの特許一覧

特表2024-536279抗体を担持した免疫細胞及び癌治療における使用方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-04
(54)【発明の名称】抗体を担持した免疫細胞及び癌治療における使用方法
(51)【国際特許分類】
   C12N 5/10 20060101AFI20240927BHJP
   C12N 5/078 20100101ALI20240927BHJP
   C12N 5/0783 20100101ALI20240927BHJP
   C12N 15/12 20060101ALI20240927BHJP
   C12N 15/13 20060101ALI20240927BHJP
   C12N 15/62 20060101ALI20240927BHJP
   C12N 15/24 20060101ALI20240927BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240927BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20240927BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240927BHJP
   A61K 35/17 20150101ALI20240927BHJP
   A61K 35/28 20150101ALI20240927BHJP
   A61K 35/545 20150101ALI20240927BHJP
   A61K 35/15 20150101ALI20240927BHJP
【FI】
C12N5/10 ZNA
C12N5/078
C12N5/0783
C12N15/12
C12N15/13
C12N15/62 Z
C12N15/24
A61P35/00
A61P35/02
A61P43/00 111
A61K35/17
A61K35/28
A61K35/545
A61K35/15
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024519856
(86)(22)【出願日】2022-09-29
(85)【翻訳文提出日】2024-05-29
(86)【国際出願番号】 US2022077227
(87)【国際公開番号】W WO2023056330
(87)【国際公開日】2023-04-06
(31)【優先権主張番号】63/251,435
(32)【優先日】2021-10-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500039463
【氏名又は名称】ボード オブ リージェンツ,ザ ユニバーシティ オブ テキサス システム
【氏名又は名称原語表記】BOARD OF REGENTS,THE UNIVERSITY OF TEXAS SYSTEM
【住所又は居所原語表記】210 West 7th Street Austin,Texas 78701 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】レズヴァニ、ケイティ
(72)【発明者】
【氏名】シュポール、エリザベス ジェー.
(72)【発明者】
【氏名】バサール、ラフェット
(72)【発明者】
【氏名】アチャリヤ、スニル
(72)【発明者】
【氏名】マリン コスタ、ダビド
【テーマコード(参考)】
4B065
4C087
【Fターム(参考)】
4B065AA94X
4B065AA94Y
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA02
4B065CA24
4B065CA25
4B065CA44
4C087AA01
4C087AA02
4C087BB37
4C087BB63
4C087BB65
4C087NA14
4C087ZB26
4C087ZB27
(57)【要約】
【課題】
抗体を担持した免疫細胞及び癌治療における使用方法を提供する。
【解決手段】
本開示の局面は、遺伝子操作された受容体(例えば、キメラ抗原受容体、T細胞受容体)をコードするポリヌクレオチドを含み、抗CD20抗体(またはその断片)をその表面に付着させた免疫細胞に向けられている。特定の態様は、抗CD20抗体(またはそのフラグメント)をその表面に有する、予め活性化および/または拡大されたナチュラルキラー細胞に向けられている。また、このような細胞を含む組成物、およびCD20陽性癌を有する個体を治療するためにこのような組成物を使用する方法も開示される。さらなる態様は、ナチュラルキラー細胞をサイトカイン(例えば、IL-12、IL-15、および/またはIL-18)とともに培養し、細胞を抗CD20抗体とともにインキュベートすることを含む細胞調製方法を包含する。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
改変された免疫細胞であって、
(a)(i)1つまたは複数のキメラ抗原受容体(CAR)および/または(ii)1つまたは複数のT細胞受容体(TCR)をコードするポリヌクレオチドと、
(b)任意選択的に前記免疫細胞の表面に結合させられた、抗CD20抗体またはその抗原結合断片と、
を含む、改変された免疫細胞。
【請求項2】
前記ポリヌクレオチドが前記CARをコードする、請求項1に記載の改変された免疫細胞。
【請求項3】
前記CARがCD19特異的CARである、請求項2に記載の改変された免疫細胞。
【請求項4】
前記CARがCD70特異的CARである、請求項2に記載の改変された免疫細胞。
【請求項5】
前記CARがCD5特異的CARである、請求項2に記載の改変された免疫細胞。
【請求項6】
前記CARが二重特異性CARである、請求項2~5の何れか1項に記載の改変された免疫細胞。
【請求項7】
前記ポリヌクレオチドが前記TCRをコードする、請求項1に記載の改変された免疫細胞。
【請求項8】
前記抗CD20抗体がオビヌツズマブである、請求項1~7の何れか1項に記載の改変された免疫細胞。
【請求項9】
前記抗CD20抗体がリツキシマブである、請求項1~7の何れか1項に記載の改変された免疫細胞。
【請求項10】
前記ポリヌクレオチドが、関心対象のさらなるポリペプチドをさらにコードする、請求項1~9の何れか1項に記載の改変された免疫細胞。
【請求項11】
前記関心対象のさらなるポリペプチドが、治療用タンパク質、または細胞の活性、拡大培養および/もしくは持続性を増強するタンパク質である、請求項10に記載の改変された免疫細胞。
【請求項12】
前記関心対象のさらなるポリペプチドが、自殺遺伝子、サイトカイン、または増殖、拡大培養および/もしくは代謝適応性を増強するヒトもしくはウイルスのタンパク質である、請求項10または11に記載の改変された免疫細胞。
【請求項13】
前記関心対象のさらなるポリペプチドがサイトカインである、請求項10に記載の改変された免疫細胞。
【請求項14】
前記サイトカインが、IL-15、IL-2、IL-12、IL-18、IL-21、IL-23またはIL-7である、請求項13に記載の改変された免疫細胞。
【請求項15】
前記サイトカインがIL-15である、請求項13または14に記載の改変された免疫細胞。
【請求項16】
前記免疫細胞が、ナチュラルキラー(NK)細胞、T細胞、ガンマデルタT細胞、アルファベータT細胞、インバリアントNKT(iNKT)細胞、B細胞、マクロファージ、間葉系間質細胞、樹状細胞またはそれらの混合物である、請求項1~15の何れか1項に記載の改変された免疫細胞。
【請求項17】
前記免疫細胞がNK細胞である、請求項16に記載の改変された免疫細胞。
【請求項18】
前記NK細胞が、臍帯血、末梢血、人工多能性幹細胞、造血幹細胞、骨髄由来、または細胞株由来である、請求項17に記載の改変された免疫細胞。
【請求項19】
前記NK細胞が細胞株に由来し、前記細胞株がNK-92である、請求項17または18に記載の改変された免疫細胞。
【請求項20】
前記NK細胞が臍帯血単核細胞に由来する、請求項17または18に記載の改変された免疫細胞。
【請求項21】
前記NK細胞がCD56+NK細胞である、請求項17または18に記載の改変された免疫細胞。
【請求項22】
CD20陽性癌細胞を有する個体を処置するための方法であって、請求項1~21の何れか1項に記載の改変された免疫細胞を含む免疫細胞の集団の有効量を前記個体に投与することを含む、方法。
【請求項23】
前記個体がB細胞非ホジキンリンパ腫を有する、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記個体が、慢性リンパ性白血病または急性リンパ芽球性白血病を有する、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
請求項1~21の何れか1項に記載の改変された免疫細胞を含む、細胞の集団。
【請求項26】
抗CD20抗体またはその抗原結合断片に結合させられたNK細胞の集団であって、有効濃度のIL-12、IL-15およびIL-18の1つまたは複数を含む予備活性化培養物中で予め予備活性化された、NK細胞の集団。
【請求項27】
有効濃度のIL-12、IL-15およびIL-18を含む予備活性化培養物中で予め予備活性化された、請求項26に記載のNK細胞の集団。
【請求項28】
IL-12、IL-15およびIL-18の1つまたは複数による複数回の処理によって予め予備活性化された、請求項26または27に記載のNK細胞の集団。
【請求項29】
CD137リガンドを発現する人工抗原提示細胞(aAPC)を含む拡大培養物において予め拡大培養された、請求項26~28の何れか1項に記載のNK細胞の集団。
【請求項30】
前記抗CD20抗体がオビヌツズマブである、請求項26~29の何れか1項に記載のNK細胞の集団。
【請求項31】
前記抗CD20抗体がリツキシマブである、請求項26~29の何れか1項に記載のNK細胞の集団。
【請求項32】
前記NK細胞が、CARをコードするポリヌクレオチドを含む、請求項26~31の何れか1項に記載のNK細胞の集団。
【請求項33】
前記CARがCD19特異的CARである、請求項32に記載のNK細胞の集団。
【請求項34】
前記CARがCD70特異的CARである、請求項32に記載のNK細胞の集団。
【請求項35】
前記CARがCD5特異的CARである、請求項32に記載のNK細胞の集団。
【請求項36】
前記NK細胞が、TCRをコードするポリヌクレオチドを含む、請求項26~35の何れか1項に記載のNK細胞の集団。
【請求項37】
CD20陽性癌を有する個体を処置するための方法であって、(a)有効濃度のIL-12、IL-15およびIL-18の1つまたは複数を含む予備活性化培養物中で予め予備活性化されたNK細胞の集団ならびに(b)抗CD20抗体またはその抗原結合断片の有効量を前記個体に投与することを含む、方法。
【請求項38】
前記NK細胞の集団が、有効濃度のIL-12、IL-15およびIL-18を含む予備活性化培養物中で予め予備活性化された、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記NK細胞の集団が、IL-12、IL-15およびIL-18の1つまたは複数による複数回の処理によって予め予備活性化された、請求項37または38に記載の方法。
【請求項40】
前記NK細胞の集団が、CD137リガンドを発現する人工aAPCを含む拡大培養物中で予め拡大培養された、請求項37~39の何れか1項に記載の方法。
【請求項41】
前記抗CD20抗体がオビヌツズマブである、請求項37~40の何れか1項に記載の方法。
【請求項42】
前記抗CD20抗体がリツキシマブである、請求項37~40の何れか1項に記載の方法。
【請求項43】
前記NK細胞がCARをコードするポリヌクレオチドを含む、請求項37~42の何れか1項に記載の方法。
【請求項44】
前記CARがCD19特異的CARである、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記CARがCD70特異的CARである、請求項43に記載の方法。
【請求項46】
前記CARがCD5特異的CARである、請求項43に記載の方法。
【請求項47】
前記NK細胞が、TCRをコードするポリヌクレオチドを含む、請求項37~46の何れかに記載の方法。
【請求項48】
前記NK細胞の集団および前記抗CD20抗体またはその抗原結合断片が、同じ組成物中で投与される、請求項37~47の何れか1項に記載の方法。
【請求項49】
前記抗CD20抗体またはその抗原結合断片が、前記NK細胞の表面に結合させられている、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記NK細胞の集団および前記抗CD20抗体またはその抗原結合断片が、異なる組成物中で投与される、請求項37~47の何れか1項に記載の方法。
【請求項51】
前記個体がB細胞非ホジキンリンパ腫を有する、請求項37~50の何れか1項に記載の方法。
【請求項52】
前記個体が、慢性リンパ性白血病または急性リンパ芽球性白血病を有する、請求項37~50の何れか1項に記載の方法。
【請求項53】
CD20陽性癌を有する個体を処置するための方法であって、(a)(i)1つもしくは複数のCARおよび/または(ii)1つもしくは複数のTCRをコードするポリヌクレオチドを含む改変された免疫細胞ならびにb)抗CD20抗体またはその抗原結合断片の有効量を前記個体に投与することを含む、方法。
【請求項54】
前記ポリヌクレオチドが前記CARをコードする、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
前記CARがCD19特異的CARである、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
前記CARがCD70特異的CARである、請求項54に記載の方法。
【請求項57】
前記CARがCD5特異的CARである、請求項54に記載の方法。
【請求項58】
前記CARが二重特異性CARである、請求項54に記載の方法。
【請求項59】
前記ポリヌクレオチドが前記TCRをコードする、請求項53に記載の方法。
【請求項60】
前記抗CD20抗体がオビヌツズマブである、請求項53~59の何れか1項に記載の方法。
【請求項61】
前記抗CD20抗体がリツキシマブである、請求項53~59の何れか1項に記載の方法。
【請求項62】
前記ポリヌクレオチドが、関心対象のさらなるポリペプチドをさらにコードする、請求項53~61の何れか1項に記載の方法。
【請求項63】
前記関心対象のさらなるポリペプチドが、治療用タンパク質、または細胞の活性、拡大培養および/もしくは持続性を増強するタンパク質である、請求項62に記載の方法。
【請求項64】
前記関心対象のさらなるポリペプチドが、自殺遺伝子、サイトカイン、または増殖、拡大培養および/もしくは代謝適合性を増強するヒトもしくはウイルスタンパク質である、請求項62に記載の方法。
【請求項65】
前記関心対象のさらなるポリペプチドがサイトカインである、請求項62に記載の方法。
【請求項66】
前記サイトカインが、IL-15、IL-2、IL-12、IL-18、IL-21、IL-23またはIL-7である、請求項65に記載の方法。
【請求項67】
前記サイトカインがIL-15である、請求項66に記載の方法。
【請求項68】
前記免疫細胞が、NK細胞、T細胞、ガンマデルタT細胞、アルファベータT細胞、iNKT細胞、B細胞、マクロファージ、間葉系間質細胞または樹状細胞である、請求項53~67の何れか1項に記載の方法。
【請求項69】
前記免疫細胞がNK細胞である、請求項68に記載の方法。
【請求項70】
前記NK細胞が、臍帯血、末梢血、人工多能性幹細胞、造血幹細胞、骨髄由来、または細胞株由来である、請求項69に記載の方法。
【請求項71】
前記NK細胞が細胞株に由来し、前記細胞株がNK-92である、請求項69または70に記載の方法。
【請求項72】
前記NK細胞が臍帯血単核細胞に由来する、請求項69または70に記載の方法。
【請求項73】
前記NK細胞がCD56+NK細胞である、請求項69または70に記載の方法。
【請求項74】
改変されたNK細胞の集団を調製するための方法であって、
(a)NK細胞の集団をIL-12、IL-15およびIL-18の1つまたは複数と共に培養することと、
(b)前記NK細胞の集団を抗CD20抗体またはその抗原結合断片とインキュベートすることと、
を含む、方法。
【請求項75】
(a)前記NK細胞の集団を、IL-12、IL-15およびIL-18の2つ以上と共に培養することを含む、請求項74に記載の方法。
【請求項76】
(a)前記NK細胞の集団を、IL-12、IL-15およびIL-18と共に培養することを含む、請求項75に記載の方法。
【請求項77】
(b)が少なくとも30分間行われる、請求項74~76の何れか1項に記載の方法。
【請求項78】
(b)が少なくとも60分間行われる、請求項74~76の何れか1項に記載の方法。
【請求項79】
(a)の後および(b)の前に、CD137リガンドを発現するaAPCを含む拡大培養物中で前記NK細胞の集団を拡大培養することをさらに含む、請求項74~78の何れか1項に記載の方法。
【請求項80】
前記抗CD20抗体がオビヌツズマブである、請求項74~79の何れか1項に記載の方法。
【請求項81】
前記抗CD20抗体がリツキシマブである、請求項74~79の何れか1項に記載の方法。
【請求項82】
前記NK細胞が、臍帯血、末梢血、人工多能性幹細胞、造血幹細胞、骨髄由来、または細胞株由来である、請求項74~81の何れか1項に記載の方法。
【請求項83】
前記NK細胞が細胞株に由来し、前記細胞株がNK-92である、請求項74~81の何れか1項に記載の方法。
【請求項84】
前記NK細胞が臍帯血単核細胞に由来する、請求項74~82の何れか1項に記載の方法。
【請求項85】
前記NK細胞がCD56+NK細胞である、請求項74~84の何れか1項に記載の方法。
【請求項86】
前記NK細胞がCARをコードするポリヌクレオチドを含む、請求項74~85の何れか1項に記載の方法。
【請求項87】
前記CARがCD19特異的CARである、請求項86に記載の方法。
【請求項88】
前記CARがCD70特異的CARである、請求項86に記載の方法。
【請求項89】
前記CARがCD5特異的CARである、請求項86に記載の方法。
【請求項90】
前記CARが二重特異性CARである、請求項86に記載の方法。
【請求項91】
前記NK細胞が、TCRをコードするポリヌクレオチドを含む、請求項74~85の何れか1項に記載の方法。
【請求項92】
前記ポリヌクレオチドが、1つまたは複数の関心対象のさらなるポリペプチドをさらにコードする、請求項74~91の何れか1項に記載の方法。
【請求項93】
前記関心対象のさらなるポリペプチドが、治療用タンパク質、または細胞の活性、拡大培養および/もしくは持続性を増強するタンパク質である、請求項92に記載の方法。
【請求項94】
前記関心対象のさらなるポリペプチドが、自殺遺伝子、サイトカイン、または増殖、拡大培養および/もしくは代謝適応性を増強するヒトもしくはウイルスのタンパク質である、請求項74~91の何れか1項に記載の方法。
【請求項95】
前記関心対象のさらなるポリペプチドがサイトカインである、請求項92~94の何れか1項に記載の方法。
【請求項96】
前記サイトカインが、IL-15、IL-2、IL-12、IL-18、IL-21、IL-23またはIL-7である、請求項95に記載の方法。
【請求項97】
前記サイトカインがIL-15である、請求項96に記載の方法。
【請求項98】
(b)の後に、癌を有する対象に前記NK細胞の集団を投与することをさらに含む、請求項74~97の何れか1項に記載の方法。
【請求項99】
前記個体がB細胞非ホジキンリンパ腫を有する、請求項98に記載の方法。
【請求項100】
前記個体が、慢性リンパ性白血病または急性リンパ芽球性白血病を有する、請求項98に記載の方法。
【請求項101】
改変された免疫細胞であって、
(a)CARをコードするポリヌクレオチドと、
(b)前記免疫細胞の表面に結合させられたオビヌツズマブと、
を含む、改変された免疫細胞。
【請求項102】
オビヌツズマブに結合させられたNK細胞の集団であって、有効濃度のIL-12、IL-15およびIL-18の1つまたは複数を含む予備活性化培養物中で予め予備活性化された、NK細胞の集団。
【請求項103】
有効濃度のIL-12、IL-15およびIL-18の1つまたは複数を含む予備活性化培養物中で予め予備活性化された、請求項102に記載のNK細胞の集団
【請求項104】
CD137リガンドを発現するaAPCを含む拡大培養物中で予め拡大培養された、請求項102または103に記載のNK細胞の集団。
【請求項105】
CD20陽性癌を有する個体を処置するための方法であって、(a)有効濃度のIL-12、IL-15およびIL-18の1つまたは複数を含む予備活性化培養物中で予め予備活性化されたNK細胞の集団および(b)オビヌツズマブの有効量を前記個体に投与することを含む、方法。
【請求項106】
前記NK細胞の集団が、有効濃度のIL-12、IL-15およびIL-18を含む予備活性化培養物中で予め予備活性化された、請求項105に記載の方法。
【請求項107】
前記NK細胞の集団が、IL-12、IL-15およびIL-18の1つまたは複数による複数回の処理によって予め予備活性化された、請求項105または106に記載の方法。
【請求項108】
前記NK細胞の集団が、CD137リガンドを発現するaAPCを含む拡大培養物中で予め拡大培養された、請求項105~107の何れか1項に記載の方法。
【請求項109】
CD20陽性癌を有する個体を処置するための方法であって、(a)(i)CARまたは(ii)TCRをコードするポリヌクレオチドを含む改変された免疫細胞および(b)オビヌツズマブの有効量を前記個体に投与することを含む、方法。
【請求項110】
NK細胞の集団を調製するための方法であって、順番に
(a)NK細胞の集団をIL-12、IL-15およびIL-18の1つまたは複数と共に培養することと、
(b)前記NK細胞の集団をオビヌツズマブとインキュベートすることと、
を含む、方法。
【請求項111】
(a)前記NK細胞の集団を、IL-12、IL-15およびIL-18の2つ以上と共に培養することを含む、請求項110に記載の方法。
【請求項112】
(a)前記NK細胞の集団を、IL-12、IL-15およびIL-18と共に培養することを含む、請求項111に記載の方法。
【請求項113】
(a)の後および(b)の前に、CD137リガンドを発現するaAPCを含む拡大培養物中で前記NK細胞の集団を拡大培養することをさらに含む、請求項110~112の何れか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2021年10月1日に出願された米国仮特許出願シリアル番号63/251,435の優先権を主張するものであり、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
(配列リスト)
本出願は、XML形式で提出されたシーケンスリストを含み、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。2022年9月27日に作成された当該XMLコピーは、MDACP1317WO_Sequence_Listing_ST26.xmlと命名され、サイズは33,741バイトである。
【0003】
本開示の実施形態は、少なくとも細胞生物学、分子生物学、免疫学、および癌医学を含む医学の分野を含む。
【背景技術】
【0004】
養子癌免疫療法のためのナチュラルキラー(NK)細胞の遺伝子初期化は、臨床的に関連する用途および利点を有する。しかしながら、ある種の課題が存在する;例えば、NK細胞の遺伝子改変は高価であり、技術的課題を提起し、そして、改変(操作)されたNK細胞で治療された患者は、治療の持続性が低いために再発する可能性がある。高度に機能的で長寿命のNK細胞およびがん治療におけるそのような細胞の使用方法に対する必要性が存在する。
【0005】
本開示は、特定の実施形態において、癌を標的とする細胞療法のためのNK細胞の活性化、拡大、及び操作に関する方法及び組成物に関する。
【発明の概要】
【0006】
本開示の実施形態は、キメラ抗原受容体(CAR)を含む改変された細胞受容体ならびに、活性化された、拡大培養された、および/または抗体負荷された免疫細胞に関連する方法および組成物を包含する。特定の実施形態では、改変された受容体は、ポリヌクレオチド、ポリペプチドの形態であり、および/またはあらゆる種類の免疫細胞を含むあらゆる種類の細胞の表面上に含まれる。特定の場合において、細胞は免疫細胞であり、特定の実施形態では、免疫細胞は、あらゆる供給源からの、NK細胞、NKT細胞、インバリアントNKT細胞、ガンマデルタT細胞、アルファベータT細胞、制御性T細胞、B細胞、マクロファージ、間葉系間質細胞(MSC)、樹状細胞、それらの混合物などである。いくつかの実施形態では、免疫細胞はNK細胞である。特定の場合において、本開示のNK細胞は、1つまたは複数の抗体、特定の態様では抗CD20抗体が負荷される。特定の実施形態では、臍帯血由来のNK細胞(CB-NK)、特に抗CD20抗体負荷NK細胞が、癌を標的化するために包含される。そのようなNK細胞は、(例えば、IL-12、IL-15および/またはIL-18とのインキュベーションを介して)予め活性化され得および/または(例えば、CD137リガンドを発現する人工抗原提示細胞を含む培養物中での拡大培養を介して)拡大培養され得る。
【0007】
IL-12、IL-18、IL-2、IL-21、IL-15の組み合わせまたはそれらの何れかの組み合わせによるNK細胞の予備活性化によって、再刺激時にサイトカイン産生が増強される長寿命のメモリー様NK細胞が生じる。NK細胞供給源として臍帯血(CB)を使用する、開示されたエクスビボ予備活性化および拡大培養ストラテジーにより、メモリー表現型を有するものを含む多数の高機能NK細胞が生成される。本明細書中に記載のように、これらの細胞の特異性は、それらを1つまたは複数の抗体もしくはその断片(例えば、オビヌツズマブなどの抗CD20抗体)とエクスビボおよび/またはインビボの何れかで組み合わせることによって癌抗原に向け直すことができ、CAR様特性を有する非常に強力なNK細胞が得られる。したがって、本開示の態様は、抗CD20抗体が負荷された(すなわち、NK細胞の表面に抗CD20抗体が結合させられた)、予備活性化され、拡大培養されたNK細胞を含む。
【0008】
本開示の特定の態様は、改変された受容体(例えばCAR)をコードするポリヌクレオチドを含む。そのようなポリヌクレオチドを含む免疫細胞(例えばNK細胞)も開示される。特定の場合において、免疫細胞は、細胞の拡大培養および持続性を促進する1つまたは複数のサイトカインを発現するように改変される。特定の場合において、1つまたは複数のサイトカインには、インターロイキン(IL)-15、IL-2、IL-7、IL-12、IL-18、IL-21および/またはIL-23が含まれる。特定の態様では、CARをコードするベクターはまた、1つまたは複数のサイトカインをコードし、それぞれが最終的に別個のポリペプチドとして産生される。他の態様では、CARおよびサイトカインは、別々のベクター上にコードされる。
【0009】
本開示の特定の実施形態は、癌抗原(例えばCD20)陽性細胞を標的とし、IL-15、IL-2、IL-21、IL-12、IL-23、IL-7および/またはIL-18などの1つまたは複数のサイトカインを発現するように形質導入されてもよいし、またはされなくてもよい、レシピエント個体に対して同種異系の少なくともNK細胞を含む既製の免疫細胞の使用を可能にする。
【0010】
本開示の特定の実施形態では、免疫細胞における1つまたは複数の内因性遺伝子の発現が変更されており、例えば、発現が部分的にまたは完全に低下し得る。この変更はあらゆる手段によって起こり得るが、特定の実施形態では、1つまたは複数の遺伝子の発現は、例えば発現レベルを低下させることによって変更されており、これは、少なくともCRISPR/Cas技術を含むあらゆる適切な手段によって起こり得る。単なる例として、内因性遺伝子は、NKG2A、SIGLEC-7、LAG3、TIM3、CISH、FOXO1、TGFBR2、TIGIT、CD96、ADORA2、NR3C1、PD1、PDL-1、PDL-2、CD47、SIRPA、SHIP1、ADAM17、RPS6、4EBP1、CD25、CD40、IL21R、ICAM1、CD95、CD80、CD86、IL10R、CD5、CD7、CTLA-4、TDAG8、CD38、CREMおよびそれらの組み合わせからなる群から選択される。産生されたタンパク質の活性はまた、抗体および/または低分子などで部分的または完全に損なわれ得る。
【0011】
本開示のある特定の態様は、(a)(i)キメラ抗原受容体(CAR)または(ii)T細胞受容体(TCR)をコードするポリヌクレオチドと、(b)免疫細胞の表面に結合させられた抗CD20抗体またはその抗原結合断片と、を含む、改変された免疫細胞を対象とする。CARは、例えば、CD19、CD70もしくはCD5特異的CARであり得るか、または二重特異性もしくは三重特異性CARであり得る。抗CD20抗体は、例えば、リツキシマブまたはオビヌツアウマブ(obinutuaumab)であり得る。いくつかの実施形態では、抗CD20抗体はオビヌツズマブである。
【0012】
特定の実施形態では、本開示のCARをコードするポリヌクレオチドは、1つまたは複数のさらなる関心対象のポリペプチドをさらにコードする。関心対象のさらなるポリペプチドをコードする配列およびCARをコードする配列は、E2Aエレメントなどの何れかの種類の2Aエレメントによってポリヌクレオチド上で分離され得る。特定の態様では、関心対象のポリペプチドは、治療用タンパク質、または細胞の活性、拡大培養および/もしくは持続性を増強するタンパク質である。いくつかの実施形態では、関心対象のさらなるポリペプチドは、自殺遺伝子、1つもしくは複数のサイトカイン、または増殖、拡大培養および/もしくは代謝適応性を増強する1つもしくは複数のヒトもしくはウイルスのタンパク質である。特定の実施形態では、関心対象のさらなるポリペプチドは、サイトカイン、例えばIL-15、IL-2、IL-12、IL-18、IL-21、IL-23またはIL-7である。特定の実施形態では、サイトカインはIL-15である。一実施形態では、サイトカインはIL-21である。
【0013】
本開示のポリヌクレオチドを含むベクターも本明細書中で提示される。本明細書中で企図されるベクターとしては、ウイルスベクター(例えば、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクター、レンチウイルスベクターおよびレトロウイルスベクター)および非ウイルスベクター(例えばプラスミド)が挙げられる。
【0014】
本開示の実施形態は、本明細書中に包含されるあらゆるポリヌクレオチドおよび/またはポリペプチドを含むあらゆる種類の免疫細胞を含む。特定の実施形態では、免疫細胞は、NK細胞、T細胞、ガンマデルタT細胞、アルファベータT細胞、インバリアントNKT(iNKT)細胞、B細胞、マクロファージ、MSC、樹状細胞またはそれらの混合物である。免疫細胞がNK細胞である場合、NK細胞は、臍帯血(プールされた臍帯血単位を含む)、末梢血、人工多能性幹細胞、骨髄、造血幹細胞に由来し得る、および/または細胞株に由来し得る。特定の態様では、NK細胞株は、NK-92細胞株、または腫瘍もしくは健康なNK細胞もしくは前駆細胞に由来する別のNK細胞株である。
【0015】
特定の実施形態では、免疫細胞は、NK細胞、例えば臍帯血に由来するもの、例えば臍帯血単核細胞由来である。NK細胞は、特定の場合において、CD56NK細胞であり得る。NK細胞は、IL-15、IL-2、IL-12、IL-18、IL-21、IL-23、IL-7またはそれらの組み合わせなどの1つまたは複数の外から提供されるサイトカインを発現し得る。特定の実施形態は、本開示のあらゆる種類の免疫細胞の集団を含み、細胞は、あらゆる種類の適切な培地または適切な担体中に存在し得る。
【0016】
また、抗CD20抗体またはその抗原結合断片に結合させられたNK細胞の集団も開示され、NK細胞の集団は、有効濃度のIL-12、IL-15およびIL-18のうちの1つまたは複数を含む予備活性化培養において予め予備活性化された。いくつかの場合では、NK細胞は、人工抗原提示細胞(aAPC)を含む拡大培養において予め拡大培養した。いくつかの実施形態では、aAPCはCD137リガンドを(「4-1BBリガンド」または「4-1BBL」も)発現する。
【0017】
何れかの種類の癌を処置または予防する方法が本明細書に包含され、それには、治療有効量で、特定のCARを発現し得る、および/または予め活性化および拡大培養され得る抗体負荷細胞を投与して、癌を改善もしくは予防する、または癌のリスクを低下させる、癌の1つまたは複数の症状の重症度を低下させる、腫瘍負荷を低減する、転移もしくはそのリスクを予防する、または転移を遅延させる、または癌の発症を遅延させることが含まれる。いくつかの実施形態では、本明細書中に包含される細胞および抗体を同じ製剤または異なる製剤で実質的に同時に、何れかの種類の癌の処置または予防を必要とする個体に投与することを含む、あらゆる種類の癌を処置または予防する方法が本明細書に包含される。特定の実施形態では、本明細書中に包含される細胞および抗体を異なる製剤で異なる時間に(あらゆる順序を含む)投与することによって、何れかの種類の癌を処置または予防する方法がある。
【0018】
いくつかの実施形態では、本明細書中で開示される何れかの抗体負荷細胞の有効量を個体に投与することを含む、個体において癌細胞を死滅させる方法が開示される。特定の実施形態では、細胞は、NK細胞、T細胞、ガンマデルタT細胞、アルファベータT細胞、インバリアントNKT細胞、B細胞、マクロファージ、間葉系間質細胞(MSC)、樹状細胞またはそれらの混合物である。いくつかの実施形態では、細胞はNK細胞である。NK細胞は、臍帯血、末梢血、人工多能性幹細胞、造血幹細胞、骨髄由来、または細胞株由来であり得る。NK細胞は、臍帯血単核細胞に由来し得る。細胞は、ヒトであってもよいしまたはヒトでなくてもよい個体にとって同種であってもよいしまたは自家であってもよい。細胞は、注射、静脈内、動脈内、腹腔内、気管内、腫瘍内、筋肉内、内視鏡、病巣内、頭蓋内、経皮、皮下、局所、灌流、腫瘍微小環境またはそれらの組み合わせによって個体に投与され得る。
【0019】
本方法の特定の実施形態では、細胞は、個体に1回または複数回投与され得る。細胞の個体への投与と投与との間の期間は、1~24時間、1~7日、1~4週間、1~12カ月または1年以上であり得る。本方法は、有効量のさらなる治療、例えば、手術、放射線、遺伝子治療、免疫療法および/またはホルモン療法などを個体に提供する段階をさらに含み得る。さらなる治療は、いくつかの場合では、1つまたは複数の抗体および/または抗体に基づく薬剤を含み得る。本方法のいくつかの態様では、それらは、個体中の何れかの種類のCD20陽性細胞を同定する段階をさらに含み得る。
【0020】
本明細書中で論じられる何れの実施形態も、本発明の何れの方法または組成物に関しても実施され得、逆もまた同様であることが企図される。さらに、本発明の組成物は、本発明の方法を達成するために使用され得る。
【0021】
続く発明を実施するための形態がより良好に理解され得るように、前述の説明で本開示の特性および技術的な長所をかなり広く概説してきた。本明細書中の特許請求の範囲の主題を形成するさらなる特性および利点を以下で説明する。当業者により当然認識されるはずであるが、開示される概念および具体的な実施形態は、本設計の同じ目的を遂行するための他の構造を修飾または設計するための基礎として、容易に利用され得る。当業者によりまた理解されるはずであるが、このような同等の構築は、添付される特許請求の範囲に記載のような精神および範囲から逸脱しない。添付の図面と関連付けて考える場合、次の記載から、さらなる目的および長所と一緒に、操作のその機構および方法の両方に関して、本明細書中で開示される設計の特徴であると考えられる新規特性がより良好に理解されよう。しかし、例示および記載の目的でのみ、図面のそれぞれが提供され、本開示の制限の定義として意図するものではないことが明らかに理解されるはずである。
【図面の簡単な説明】
【0022】
以下の図面は、本明細書の一部を形成し、本開示の特定の態様をさらに実証するために含まれる。本開示は、本明細書中で提示される特定の実施形態の詳細な説明と組み合わせてこれらの図面の1つまたは複数を参照することによってより良好に理解され得る。
【0023】
図1図1は、オビヌツズマブ負荷NK細胞のフローサイトメトリー分析を示す。
【0024】
図2A図2Aは、オビヌツズマブを負荷したNK細胞(NK;図2A)と同時培養した場合のRaji CD19ノックアウト(KO)細胞に対するIncucyte(登録商標)キリングアッセイからの結果を示す。
図2B図2Bは、オビヌツズマブを負荷し、サイトカイン(IL-12、IL-15およびIL-18)で予備活性化され、拡大培養されたNK細胞(NK P+E;図2B)と同時培養した場合のRaji CD19ノックアウト(KO)細胞に対するIncucyte(登録商標)キリングアッセイからの結果を示す。Raji CD19 KO細胞にmKate2を形質導入したので、赤色の強度は腫瘍細胞数に対応した。
【0025】
図3図3は、オビヌツズマブ負荷あり、またはなしでの、示されるような、様々なエフェクター細胞対標的細胞比でのRaji細胞のパーセント細胞死滅率を示す。
【0026】
図4A図4Aは、オビヌツズマブを負荷したCD19 CAR NK細胞(NK CD19 CAR;図4A)と同時培養した場合のRaji野生型(WT)細胞におけるIncucyte(登録商標)キリングアッセイからの結果を示す。
図4B図4Bは、オビヌツズマブを負荷し、サイトカイン(IL-12,IL-15およびIL-18)で予め活性化され、拡大培養されたCD19 CAR NK細胞(NK P+E CD19 CAR;図4B)と同時培養した場合のRaji野生型(WT)細胞におけるIncucyte(登録商標)キリングアッセイからの結果を示す。Raji WT細胞にmKate2を形質導入したので、赤色の強度は腫瘍細胞数に対応した。
【0027】
図5A図5A~5Cは、オビヌツズマブを負荷したCD19 CAR NK細胞のインビボ分析の結果を示す。図5Aは、異なる処理条件からの腫瘍の生物発光イメージングを示す。
図5B図5Bは、図5Aで示される生物発光の定量化を示す。
図5C図5Cは、示されるように、異なる処理条件の生存曲線を示す。
【0028】
図6A図6Aは、オビヌツズマブを負荷したCD19 CAR NK細胞(NK CD19 CAR;図6A)と同時培養した場合のRaji CD19ノックアウト(KO)細胞におけるIncucyte(登録商標)キリングアッセイからの結果を示す。
図6B図6Bは、オビヌツズマブを負荷し、サイトカイン(IL-12,IL-15およびIL-18)で予備活性化され、拡大培養されたCD19 CAR NK細胞(NK P+E CD19 CAR;図6B)と同時培養した場合のRaji CD19ノックアウト(KO)細胞におけるIncucyte(登録商標)キリングアッセイからの結果を示す。Raji細胞にmKate2を形質導入したので、と色の強度は腫瘍細胞数に対応した。
【0029】
図7A図7Aは、オビヌツズマブを負荷したCD19 CAR NK細胞(NK CD19 CAR;図7A)と同時培養した場合のRaji CD19ノックアウト(KO)細胞またはRaji野生型(WT)細胞におけるIncucyte(登録商標)キリングアッセイからの結果を示す。
図7B図7Bは、オビヌツズマブを負荷し、サイトカイン(IL-12,IL-15およびIL-18)で予備活性化され、拡大培養されたCD19 CAR NK細胞(NK P+E CD19 CAR;図7B)と同時培養した場合のRaji CD19ノックアウト(KO)細胞またはRaji野生型(WT)細胞におけるIncucyte(登録商標)キリングアッセイからの結果を示す。Raji細胞にmKate2を形質導入したので、赤色の強度は腫瘍細胞数に対応した。
【0030】
本開示の様々な実施形態を本明細書で示し、説明してきたが、そのような実施形態が単なる例として提供されていることは当業者にとって明らかであろう。当業者であれば、本発明から逸脱することなく、多数の変形、変更および置換を行い得る。本明細書に記載の本開示の実施形態に対する様々な代替形態が使用され得ることを理解されたい。
【発明を実施するための形態】
【0031】
I.定義の例
長年の特許法の表記規則に合わせて、特許請求の範囲を含む本明細書中で、文言「含む(comprising)」と併せて用いられる場合の文言「1つ(“a”および“an”)」は、「1つ以上」を示す。本開示の一部の実施形態は、本開示の1つ以上の要素、方法の工程、および/または方法からなり得るか、またはこれから本質的になり得る。本明細書中に記載のあらゆる方法または組成物は、本明細書中に記載の他のあらゆる方法または組成物に関して実施することができ、そして異なる実施形態を組み合わせることができると考えられる。
【0032】
本明細書の全体を通して、文脈上別段の要求がない限り、文言「含む(“comprise”、“comprises”、および“comprising”)」は、記載される工程もしくは要素、または工程もしくは要素の群を含むが、他のあらゆる工程もしくは要素、または工程もしくは要素の群を除外しないことを意味すると理解される。「からなる(consisting of)」とは、文言「からなる(consisting of)」に続くものは何でも含み、かつそれに限定されることを意味する。ゆえに、文言「からなる」は、列挙される要素が必要または必須であること、そして他の要素が存在し得ないことを示す。「から本質的になる(consisting essentially of)」とは、文言の後に列挙されるあらゆる要素であって、列挙される要素について、本開示において指定される活性または作用に干渉も寄与もしないその他の要素に限定される要素を含むことを意味する。ゆえに、文言「から本質的になる」は、列挙される要素が必要または必須であるが、その他の要素が任意選択ではなく、列挙される要素の活性または作用に影響を及ぼすか否かに応じて存在してもしなくてもよいことを示す。
【0033】
本明細書の全体を通して、「一実施形態」、「実施形態」、「特定の実施形態」、「関連する実施形態」、「特定の実施形態」、「追加の実施形態」、もしくは「更なる実施形態」、またはそれらの組合せへの言及は、実施形態と関連して説明される特定の特徴、構造、または特性が、本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。ゆえに、本明細書の全体の種々の箇所における前述の文言の出現は、必ずしも全てが同じ実施形態に言及しているわけではない。さらに、特定の特徴、構造、または特性は、1つ以上の実施形態において、適切なあらゆる方法で組み合わせることができる。
【0034】
本明細書中で用いられる用語「または」および「および/または」は、互いに組み合わせて、または排他的に、複数の構成要素を説明するのに利用される。例えば、「x、y、および/またはz」は、「x」単独、「y」単独、「z」単独、「x、y、およびz」、「(xおよびy)またはz」、「xまたは(yおよびz)」、または「xまたはyまたはz」を指し得る。x、y、またはzは、実施形態から明確に除外され得ることが特に企図される。
【0035】
本出願の全体を通して、用語「約」は、値が、当該値を求めるのに使用されている装置または方法の誤差の標準偏差を含むことを示すのに、細胞および分子生物学の分野におけるその明白かつ通常の意味に従って用いられる。
【0036】
本明細書中で用いられる用語「改変された」は、細胞、核酸、ポリペプチド、ベクター等が挙げられる、人の手によって生成される実体に言及する。少なくとも一部の場合には、改変された実体は、合成的である。そして、天然には存在しないか、または本開示において利用されるように構成されていない要素を含む。
【0037】
本明細書中で用いられる用語「単離された」は、他の材料が実質的にない分子または生物製剤または細胞物質について言及する。一態様において、用語「単離された」は、例えば天然の源に存在する、他のDNAもしくはRNA、またはタンパク質もしくはポリペプチド、または細胞もしくは細胞小器官、または組織もしくは器官からそれぞれ分離された核酸、例えばDNAもしくはRNA、またはタンパク質もしくはポリペプチド、または細胞もしくは細胞小器官、または組織もしくは器官に言及する。また、用語「単離された」は、組換えDNA技術によって生成される場合の細胞物質、ウイルス物質、もしくは培地、または化学合成される場合の化学前駆体もしくは他の化学物質が実質的にない核酸またはペプチドににて言及する。さらに、「単離された核酸」は、断片として天然に存在せず、かつ天然の状態では見出されない核酸断片を含むことを意味する。また、用語「単離された」は、他の細胞タンパク質から単離されたポリペプチドに言及するために本明細書中で用いられており、精製ポリペプチドおよび組換えポリペプチドの双方を包含することを意味する。また、用語「単離された」は、他の細胞または組織から単離された細胞または組織に言及するために本明細書中で用いられており、培養された細胞または組織および改変(操作)された細胞または組織の双方を包含することを意味する。
【0038】
本明細書中で用いられる「予防する」、および「予防された」、「予防する」等の同様の文言は、疾患または症状、例えば癌の発生または再発を予防し、阻害し、またはその可能性を引き下げるアプローチを示す。また、疾患もしくは症状の発症もしくは再発を遅延させること、または疾患もしくは症状の徴候の発生もしくは再発を遅延させることを指す。また、本明細書中で用いられる「予防」、および同様の文言は、疾患または症状の発症または再発の前に、疾患または症状の強度、効果、徴候、および/または負荷を引き下げることを含む。
【0039】
本明細書中で用いられる用語「試料」は、一般に、生体試料を指す。試料は、個体由来の組織または細胞から採取され得る。一部の例では、試料は、組織生検、血液(例えば全血)、血漿、細胞外液、乾燥血液スポット、培養細胞、廃棄組織を含むか、またはこれらに由来し得る。試料は、収集前に供給源から単離されていてもよい。非限定的な例として、血液、脳脊髄液、胸水、羊水、リンパ液、唾液、尿、便、涙、汗、または粘膜分泌液、および収集前に一次供給源から単離された他の体液が挙げられる。一部の例では、試料は、試料調製中にその一次供給源(細胞、組織、体液、例えば血液、環境試料等)から単離される。試料は、その一次供給源から精製、またはそうでなければ富化されていてもされていなくてもよい。一部の場合には、一次供給源は、更なる処理の前に均質化される。試料を濾過または遠心分離して、バフィーコート、脂質、または粒子状物質を除去してもよい。また、試料は、核酸について精製または富化されていてもよいし、RNaseで処理されていてもよい。試料は、無傷の、断片化された、または部分的に分解されている組織または細胞を含有してもよい。
【0040】
本明細書中で用いられる用語「対象」は、一般に、処理または分析を受けており、特定の場合には、癌を有するか、または有する疑いがある生物学的試料を有する個体を指す。対象は、哺乳動物、例えば、ヒト、実験動物(例えば、霊長類、ラット、マウス、ウサギ)、家畜(例えば、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ブタ、シチメンチョウ、およびニワトリ)、家庭用ペット(例えば、イヌ、ネコ、およびげっ歯類)、ウマ、およびトランスジェニック非ヒト動物が挙げられる、方法または材料の対象であるあらゆる生物または動物対象であり得る。対象は、患者であり得、例えば、良性もしくは悪性新生物または癌等の疾患(医学的症状と呼ばれ得る)を有するか、または有する疑いがあり得る。対象は、処置を受けていてもよいし、処置を受けたことがあってもよい。対象は無症候性であってもよい。対象は、癌の予防を望む健康な個体であってもよい。用語「個体」は、少なくとも一部の場合には、互換的に用いられ得る。本明細書中で用いられる「対象」または「個体」は、医療施設に収容されていてもいなくてもよく、そして医療施設の外来患者として処置されてもよい。個体は、インターネットを介して1つ以上の医薬組成物を受けていてもよい。個体は、あらゆる年齢のヒトまたは非ヒト動物を含んでよいので、成人および若年者(すなわち子供)の双方、ならびに乳児が挙げられ、そして子宮内個体が挙げられる。当該用語は、医学的処置の必要性を暗示することは意図されないので、個体は、自発的または非自発的に、臨床であろうと、基礎科学研究の支援であろうと、実験の一部であり得る。
【0041】
本明細書中で用いられる「処置」または「処置する」は、疾患または病理学的症状の徴候または病理に及ぼすあらゆる有益な、または望ましい効果を含み、処置されている疾患または症状、例えば癌の1つ以上の測定可能なマーカーの最小限の引下げすら含み得る。処置は、場合によっては、疾患もしくは症状の徴候の軽減もしくは改善、または疾患もしくは症状の進行の遅延のいずれかを含み得る。「処置」は必ずしも、疾患もしくは症状、またはその関連徴候の完全な根絶もしくは治癒を示すものではない。
【0042】
また、治療的、診断的、または生理学的な目的または効果の文脈におけるあらゆる方法は、記載される治療的、診断的、または生理学的な目的または効果を達成または実施するための、本明細書中で論じられるあらゆる化合物、組成物、または剤「の使用」等の「使用」クレームの文言に記載され得る。
【0043】
本開示は、特に、細胞の表面上の抗体(例えば抗CD20抗体)を介して、およびいくつかの場合では、遺伝子改変された受容体(例えば、キメラ抗原受容体(CAR))の発現も介して、癌細胞を標的とする養子細胞療法を利用する、様々な種類の癌に対する治療を対象とする方法および組成物に関する。特定の実施形態では、CAR NK細胞および予め活性化され、拡大培養されたNK細胞を含む抗体負荷NK細胞を含む組成物が提供される。癌の処置においてそのような細胞を使用するための方法も開示される。
【0044】
II.遺伝子改変された受容体
本開示の免疫細胞は、いくつかの場合では、癌抗原を標的とする1つまたは複数の抗原結合受容体、例えば改変されたCARまたはあるいは改変されたTCRを発現するように遺伝子改変され得る。例えば、免疫細胞は、癌抗原に対する抗原特異性を有するCARおよび/またはTCRを発現するように変更される免疫細胞であり得る。いくつかの態様では、免疫細胞は、CRISPR/Cas技術を使用したタンパク質のノックインによって、癌抗原特異的CAR、抗原特異的TCRまたは他の改変されたタンパク質を発現するように改変される。様々な癌抗原が当技術分野で認識されており、遺伝子改変された受容体による標的化のために本明細書中で企図される。そのような癌抗原としては、例えば、BCMA、CD5、CD19、CD20、CD22、CD33、CD38、CD70、CD138、FAP、HER2、MUC1およびNKG2Dが挙げられる。いくつかの実施形態では、本開示のCARはCD19特異的CARである。いくつかの実施形態では、本開示のCARはCD70特異的CARである。いくつかの実施形態では、本開示のCARはCD5特異的CARである。特定の実施形態では、本開示の免疫細胞は遺伝子改変されていないことが具体的に企図される。
【0045】
細胞の適切な変更方法は当技術分野で公知である。例えば、Sambrook et al.,2001およびAusubel et al.,1996を参照されたい。例えば、細胞に対して、Heemskerk et al.,2008およびJohnson et al.,2009に記載されている形質導入技術を使用して、癌抗原に対する抗原特異性を有する1つまたは複数のCAR、TCRおよび/または他の改変されたタンパク質、または何れかの異種タンパク質を発現するように形質導入が行われ得る。
【0046】
いくつかの実施形態では、細胞は、1つまたは複数の抗原を標的とする受容体をコードする遺伝子改変を介して導入された1つまたは複数の核酸、およびそのような核酸の遺伝子改変された産物を含む。いくつかの実施形態では、核酸は異種であり、すなわち、細胞またはその細胞から得られた試料中に通常は存在せず、例えば改変されている細胞および/またはそのような細胞が由来する生物には通常見られない、別の生物または細胞から得られたものなどである。いくつかの実施形態では、核酸は、天然では見出されない核酸(例えばキメラ)など、天然には存在しない。
【0047】
CARおよび組み換えTCRを含む例示的な抗原受容体ならびに受容体を改変し、細胞に導入する方法としては、例えば、国際公開第200014257号パンフレット、同第2013126726号パンフレット、同第2012/129514号パンフレット、同第2014031687号パンフレット、同第2013/166321号パンフレット、同第2013/071154号パンフレット、同第2013/123061号パンフレット、米国特許出願公開第2002131960号明細書、同第2013287748号明細書、同第20130149337号明細書、米国特許第6,451,995号明細書、同第7,446,190号明細書、同第8,252,592号明細書、同第8,339,645号明細書、同第8,398,282号明細書、同第7,446,179号明細書、同第6,410,319号明細書、同第7,070,995号明細書、同第7,265,209号明細書、同第7,354,762号明細書、同第7,446,191号明細書、同第8,324,353号明細書および同第8,479,118号明細書ならびに欧州特許出願公開第2537416号明細書に記載のもの、および/またはSadelain et al.,2013;Davila et al.,2013;Turtle et al.,2012;Wu et al.,2012に記載のものが挙げられる。いくつかの態様では、遺伝子改変された抗原受容体は、米国特許第7,446,190号明細書に記載されるようなCARおよび国際公開第2014055668Al号パンフレットに記載されているものを含む。
【0048】
A.キメラ抗原受容体
一部の実施形態において、改変(操作)された抗原受容体として、活性化もしくは刺激CAR、または共刺激CARが挙げられるCARが挙げられる(国際公開第2014/055668号参照)。CARは一般に、一部の態様においてリンカーおよび/または膜貫通ドメインを介して、1つ以上の細胞内シグナル伝達構成要素に連結される細胞外抗原(またはリガンド)結合ドメインを含む。そのような分子は、典型的には、天然抗原受容体を介したシグナル、そのような受容体を介した、共刺激受容体と組み合わせたシグナル、および/または共刺激受容体単独を介したシグナルを模倣するか、またはこれに近似する。
【0049】
キメラ構築物は、裸のDNAとして、または適切なベクター内にあって免疫細胞中に導入され得ると考えられる。裸のDNAを用いるエレクトロポレーションによって細胞を安定して形質移入する方法が、当該技術において知られている。例えば、米国特許第6,410,319号明細書参照。裸のDNAは、一般に、発現に適した向きにプラスミド発現ベクター内に含有される、キメラ受容体をコードするDNAを指す。
【0050】
これ以外にも、ウイルスベクター(例えば、レトロウイルスベクター、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクター、またはレンチウイルスベクター)を用いて、キメラCAR構築物を免疫細胞中に導入することができる。本開示の方法に従って用いるのに適したベクターは、免疫細胞内で非複製性である。細胞内で維持されるウイルスのコピー数が、細胞の生存率を維持するほど十分に低い、ウイルスに基づく多数のベクター、例えば、HIV、SV40、EBV、HSV、またはBPVに基づくベクターが知られている。
【0051】
本開示の特定の実施形態は、少なくとも1つの細胞内シグナル伝達ドメイン、膜貫通ドメイン、および1つ以上のシグナル伝達モチーフを含む細胞外ドメインを含む、一部の場合には免疫原性を引き下げるようにヒト化されたCAR(hCAR)が挙げられるがん抗原特異的CARポリペプチドをコードする核酸が挙げられる核酸の使用に関する。特定の実施形態において、がん抗原特異的CARは、1つ以上の抗原間の共有空間を含むエピトープを認識し得る。特定の実施形態において、結合領域は、モノクローナル抗体の相補性決定領域、モノクローナル抗体の可変領域、および/またはその抗原結合断片を含み得る。別の実施形態において、その特異性は、受容体に結合するペプチド(例えばサイトカイン)に由来する。
【0052】
ヒトCAR核酸は、ヒト患者のための細胞免疫療法を強化するのに用いられるヒト遺伝子であり得ると考えられる。特定の実施形態において、本開示は、全長CAR cDNAまたはコード領域を含む。抗原結合領域またはドメインは、特定のヒトモノクローナル抗体に由来する単鎖可変断片(scFv)のV鎖およびV鎖の断片に記載されるものを含み得る。また、断片は、ヒト抗原特異的抗体の任意の数の異なる抗原結合ドメインであり得る。より具体的な実施形態において、断片は、ヒト細胞内での発現のためのヒトコドン使用頻度向けに最適化された配列によってコードされるがん抗原特異的scFvである。
【0053】
構成は、ダイアボディまたはマルチマー等の多量体であり得る。マルチマーは、軽鎖および重鎖の可変部分の、ダイアボディ中への交差対合によって形成される可能性が最も高い。構築物のヒンジ部分は、完全に欠失されることから、第1のシステインが維持されること、セリン置換ではなくプロリンになること、第1のシステインまで切断されることまで、多数の選択肢を有し得る。Fc部分は欠失され得る。安定かつ/または二量体化するあらゆるタンパク質が、この目的を果たし得る。Fcドメインの1つのみ、例えばヒト免疫グロブリン由来のCH2またはCH3ドメインのいずれかを用いることができる。二量体化を向上させるように修飾されたヒト免疫グロブリンのヒンジ、CH2およびCH3領域を用いることもできる。免疫グロブリンのヒンジ部分のみを用いることもできる。CD28及び/又はCD8アルファの一部を用いることもできる。
【0054】
キメラ受容体をコードするオープンリーディングフレームの配列は、ゲノムDNA源、cDNA源から得ることもできるし、(例えばPCRを介して)合成することもできるし、それらの組合せであってもよい。ゲノムDNAのサイズおよびイントロンの数に応じて、cDNAまたはその組合せを用いることが望ましい場合がある。というのも、イントロンがmRNAを安定化することがわかっているからである。また、mRNAを安定化するために内因性または外因性の非コード領域を用いることがさらに有利である場合がある。
【0055】
一部の態様において、抗原特異的結合または認識構成要素は、1つ以上の膜貫通ドメインおよび細胞内シグナル伝達ドメインに連結されている。一部の実施形態において、CARは、CARの細胞外ドメインに融合した膜貫通ドメインを含む。一実施形態において、CAR内のドメインの1つと天然に結合する膜貫通ドメインが用いられる。一部の例では、膜貫通ドメインは、そのようなドメインの、同じまたは異なる表面膜タンパク質の膜貫通ドメインへの結合を回避して、受容体複合体の他のメンバーとの相互作用を最小限に抑えるように、アミノ酸置換によって選択または修飾される。一部の実施形態における膜貫通ドメインは、天然源または合成源のいずれかに由来する。供給源が天然である場合、一部の態様におけるドメインは、あらゆる膜結合タンパク質または膜貫通タンパク質に由来する。膜貫通領域として、T細胞受容体のアルファ鎖、ベータ鎖、またはゼータ鎖、CD28、DAP12、DAP10、NKG2D、CD3ゼータ、CD3イプシロン、CD3ガンマ、CD3デルタ、CD45、CD4、CD5、CD8、CD9、CD16、CD22、CD33、CD37、CD64、CD80、CD86、CD134、CD137、CD154、ICOS/CD278、KIR2DL4のようなKIR、GITR/CD357等に由来するものが挙げられる(すなわち、少なくともこれらの膜貫通領域を含む)。これ以外にも、一部の実施形態における膜貫通ドメインは、合成である。一部の態様において、合成膜貫通ドメインは、ロイシンおよびバリン等の疎水性残基を主に含む。一部の態様において、フェニルアラニン、トリプトファン、およびバリンのトリプレットが、合成膜貫通ドメインの各末端にて見出される。
【0056】
一部の実施形態において、CAR核酸は、膜貫通ドメインおよび1つ以上の細胞内シグナル伝達ドメイン等の他の共刺激受容体をコードする配列を含む。CD3ζおよび/またはFcεRIγによって開始され得るような一次T細胞活性化シグナルに加えて、キメラ受容体の、標的抗原との結合後の免疫エフェクタ細胞増殖およびエフェクタ機能用の追加の刺激シグナルが利用され得る。例えば、インビボ持続性を向上させ、かつ養子免疫療法の治療的成功を向上させるのに役立ち得る、細胞の活性化の増強のためのヒト共刺激受容体の一部または全部が利用され得る。例として、DAP12、DAP10、NKG2D、CD2、CD28、CD27、4-1BB、(CD137)、OX40、ICOS、(CD278)、CD30、HVEM、CD40、LFA-1(CD11a/CD18)、および/またはICAM-1、および/または活性化シグナルを誘導することができるKIR2DL4細胞質ドメインの一部等の分子由来の共刺激ドメインが挙げられるが、代替の特定の実施形態において、列挙されるこれらのいずれか1つが、CARでの使用から除外され得る。
【0057】
特定の実施形態において、NK細胞等の免疫細胞を遺伝子修飾するための本明細書中で開示されるプラットフォーム技術は、(i)エレクトロポレーションデバイス(例えばヌクレオフェクタ)を用いる非ウイルス遺伝子導入、(ii)エンドドメインを介してシグナル伝達するCAR(例えば、CD28/CD3-ζ、CD137/CD3-ζ、または他の組合せ)、(iii)抗原認識ドメインを細胞表面に連結する可変長の細胞外ドメインを有するCAR、および一部の場合には、(iv)CAR免疫細胞をロバストかつ数値的に拡大させることができるようなK562由来の人工抗原提示細胞(aAPC)を含む(Singh et al.,2008;Singh et al.,2011)。
【0058】
B.特異的CAR実施形態の例
特定の実施形態では、特異的なCAR分子が本明細書中に包含される。いくつかの場合では、CARの抗原結合ドメインはscFvであり、癌抗原に結合するあらゆるscFvを本明細書中で利用し得る。scFvがCARの細胞外ドメインで利用される場合、scFvに対する可変重鎖および可変軽鎖は、N末端からC末端に向かう方向であらゆる順序であり得る。例えば、可変重鎖は、可変軽鎖のN末端側にあってもよく、またはその逆であってもよい。CAR中の抗原に結合するscFvおよび/またはリガンドは、コドン最適化されていてもよいし、またはコドン最適化されていなくてもよい。特定の実施形態では、ベクターは、癌抗原特異的CARをコードし、1つ以上の他の分子もコードする。例えば、ベクターは、CARをコードし得、また、関心対象の別のタンパク質、例えば、別の改変された抗原受容体、自殺遺伝子および/または特定のサイトカインをコードし得る。
【0059】
同じ分子上で、癌抗原特異的CARは、1つまたは複数の抗原特異的細胞外ドメイン、特異的ヒンジ、特異的膜貫通ドメイン、1つまたは複数の特異的共刺激ドメインおよび1つまたは複数の特異的活性化シグナルを含み得る。2つの異なる抗原を標的とするためなど、複数の抗原特異的細胞外ドメインが利用される場合、2つの抗原特異的細胞外ドメインの間にリンカーが存在し得る。本明細書中で企図されるCARの例としては、CD19特異的CAR、CD70特異的CARおよびCD5特異的CARが挙げられるが限定されない。
【0060】
特異的なCAR分子の特定の実施形態では、CARは、DAP10、DAP12、4-1BB、NKG2Dまたは他の共刺激ドメイン(本明細書中では細胞内ドメインまたは細胞質内ドメインと呼ばれ得る)を利用し得る。いくつかの場合では、CD3ゼータは共刺激ドメインなしで利用される。特異的なCAR分子の特定の実施形態では、CARは、DAP12、DAP10、4-1BB、2B4、OX40、CD27、NKG2D、CD8またはCD28などからの何れかの適切な膜貫通ドメインを利用し得る。
【0061】
具体的な配列実施形態の例を以下に提供する。
【0062】
1.膜貫通ドメイン
あらゆる適切な膜貫通ドメインが、本開示のCARにおいて利用され得る。例としては、少なくとも、DAP10、DAP12、CD28、NKG2D、CD3イプシロン、CD4、CD5、CD8、CD9、CD16、CD22、CD28、CD33、CD37、CD45、CD64、CD80、CD86、CD134、CD137またはCD154由来の膜貫通ドメイン、T細胞受容体aまたはb鎖由来のもの、CD3ゼータ鎖由来のもの、ICOS由来のもの、それらの機能的誘導体、およびそれらの組み合わせが挙げられる。特定の場合において、DAP10、DAP12、CD28、CD8またはNKG2D由来の膜貫通ドメインが利用される。特定の膜貫通ドメイン配列の例は、以下のように使用され得る。
【0063】
CD28膜貫通ドメインヌクレオチド配列:
TTTTGGGTGCTGGTGGTGGTTGGTGGAGTCCTGGCTTGCTATAGCTTGCTAGTAACAGTGGCCTTTATTATTTTCTGGGTG(配列番号1)
【0064】
CD28膜貫通ドメインアミノ酸配列:
FWVLVVVGGVLACYSLLVTVAFIIFWV(配列番号2)
【0065】
CD8膜貫通ドメインヌクレオチド配列:
ACCACAACACCAGCACCTAGACCTCCAACTCCAGCTCCTACAATCGCCAGCCAGCCTCTGTCTCTGAGGCCTGAAGCTTGTAGACCTGCTGCTGGCGGAGCCGTGCATACCAGAGGACTGGATTTCGCCTGCGATATCTACATCTGGGCCCCTCTGGCTGGAACATGTGGCGTGCTGCTGCTGAGCCTCGTGATCACA(配列番号3)
【0066】
CD8膜貫通ドメインアミノ酸配列:
TTTPAPRPPTPAPTIASQPLSLRPEACRPAAGGAVHTRGLDFACDIYIWAPLAGTCGVLLLSLVIT(配列番号4)
【0067】
4-1BB膜貫通ドメインヌクレオチド配列:
ATCATCTCCTTCTTTCTTGCGCTGACGTCGACTGCGTTGCTCTTCCTGCTGTTCTTCCTCACGCTCCGTTTCTCTGTTGTT(配列番号5)
【0068】
4-1BB膜貫通ドメインアミノ酸配列:
IISFFLALTSTALLFLLFFLTLRFSVV(配列番号6)
【0069】
DAP10膜貫通ドメインヌクレオチド配列:
CTCCTGGCAGGCCTCGTGGCTGCTGATGCGGTGGCATCGCTGCTCATCGTGGGGGCGGTGTTC(配列番号7)
【0070】
DAP10膜貫通ドメインアミノ酸配列:
LLAGLVAADAVASLLIVGAVF(配列番号8)
【0071】
DAP12膜貫通ドメインヌクレオチド配列:
GGCGTGCTGGCAGGGATCGTGATGGGAGACCTGGTGCTGACAGTGCTCATTGCCCTGGCCGTG(配列番号9)
【0072】
DAP12膜貫通ドメインアミノ酸配列:
GVLAGIVMGDLVLTVLIALAV(配列番号10)
【0073】
NKG2D膜貫通ドメインヌクレオチド配列:
GCGGTGATGATTATTTTTCGCATTGGCATGGCGGTGGCGATTTTTTGCTGCTTTTTTTTTCCG(配列番号11)
【0074】
NKG2D膜貫通ドメインアミノ酸配列:
AVMIIFRIGMAVAIFCCFFFP(配列番号12)
【0075】
本開示に包含される何れのポリヌクレオチドも、配列番号15、17、19、21、23もしくは25、または配列番号15、17、19、21、23もしくは25と少なくとも70、75、80、85、90、95、96、97、98、99%またはそれを超えて同一である配列を含み得る。本開示に包含される何れのポリペプチドも、配列番号16、18、20、22、24もしくは26、または配列番号16、18、20、22、24もしくは26と少なくとも70、75、80、85、90、95、96、97、98、99%またはそれを超えて同一である配列を含み得る。
【0076】
2.細胞内ドメイン
1つまたは複数の細胞内ドメイン(適切な場合、本明細書ではシグナル活性化ドメインまたは共刺激ドメインとも呼ばれ得る)は、本開示の特異的なCARにおいて利用されてもよいし、または利用されなくてもよい。具体的な例としては、CD3ゼータ、4-1BB、NKG2D、OX-40、CD27、DAP10、DAP12、B7-1/CD80、CD28、2B4、4-1BBL、B7-2/CD86、CTLA-4、B7-H1/PD-L1、ICOS、B7-H2、PD-l、B7-H3、PD-L2、B7-H4、PDCD6、BTLAまたはそれらの組み合わせに由来する細胞内ドメインが挙げられる。
【0077】
本開示のCARにおいて使用され得る特定の細胞内ドメインの例は以下の通りである。
【0078】
4-1BB細胞内ドメインヌクレオチド配列:
AAACGGGGCAGAAAGAAACTCCTGTATATATTCAAACAACCATTTATGAGACCAGTACAAACTACTCAAGAGGAAGATGGCTGTAGCTGCCGATTTCCAGAAGAAGAAGAAGGAGGATGTGAACTG(配列番号13)
【0079】
4-1BB細胞内ドメインアミノ酸配列:
KRGRKKLLYIFKQPFMRPVQTTQEEDGCSCRFPEEEEGGCEL(配列番号14)
【0080】
DAP10細胞内ドメインヌクレオチド配列:
CTTTGCGCACGCCCACGCCGCAGCCCCGCCCAAGAAGATGGCAAAGTCTACATCAACATGCCAGGCAGGGGC(配列番号15)
【0081】
DAP10細胞内ドメインアミノ酸配列:
LCARPRRSPAQEDGKVYINMPGRG(配列番号16)
【0082】
DAP12細胞内ドメインヌクレオチド配列:
TACTTCCTGGGCCGGCTGGTCCCTCGGGGGCGAGGGGCTGCGGAGGCAGCGACCCGGAAACAGCGTATCACTGAGACCGAGTCGCCTTATCAGGAGCTCCAGGGTCAGAGGTCGGATGTCTACAGCGACCTCAACACACAGAGGCCGTATTACAAA(配列番号17)
【0083】
DAP12細胞内ドメインアミノ酸配列:
YFLGRLVPRGRGAAEAATRKQRITETESPYQELQGQRSDVYSDLNTQRPYYK(配列番号18)
【0084】
NKG2D細胞内ドメインヌクレオチド配列:
AGCGCGAACGAACGCTGCAAAAGCAAAGTGGTGCCGTGCCGCCAGAAACAGTGGCGCACCAGCTTTGATAGCAAAAAACTGGATCTGAACTATAACCATTTTGAAAGCATGGAATGGAGCCATCGCAGCCGCCGCGGCCGCATTTGGGGCATG(配列番号19)
【0085】
NKG2D細胞内ドメインアミノ酸配列:
SANERCKSKVVPCRQKQWRTSFDSKKLDLNYNHFESMEWSHRSRRGRIWGM(配列番号20)
【0086】
本開示に包含される何れのポリヌクレオチドも、配列番号27、29、31もしくは33、または配列番号27、29、31もしくは33と少なくとも70、75、80、85、90、95、96、97、98、99%またはそれを超えて同一である配列を含み得る。本開示に包含される何れのポリペプチドも、配列番号28、30、32もしくは34、または配列番号28、30、32もしくは34と少なくとも70、75、80、85、90、95、96、97、98、99%またはそれを超えて同一である配列を含み得る。
【0087】
3.ヒンジ
CARのいくつかの実施形態では、1つまたは複数の細胞外抗原結合ドメインと膜貫通ドメインとの間にヒンジ領域が存在する。特定の実施形態では、ヒンジは、特定の長さ、例えば、10~20、10~15、11~20、11~15、12~20、12~15または15~20アミノ酸長である。ヒンジは、あらゆる適切なヒンジであってよく、いくつかの場合では、IgGまたはCD28由来のヒンジを含む。特定の実施形態では、ヒンジは、IgG FcのCH2-CH3ドメインとCH1ドメインとを接続する小さい可撓性ポリペプチドである。例えば、様々なIgGサブクラス(IgG1~4、修飾されているかまたは修飾されていないかの何れか)からのCH2-CH3ヒンジ(一部または全部)を利用し得る。しかしながら、いくつかの場合では、CH2-CH3ヒンジ全体が利用されないが、代わりにヒンジの一部が使用される(CH3単独またはCH3単独の一部など)。特定の実施形態では、IgG1由来のCH2-CH3ヒンジが利用され、いくつかの場合では、CH2-CH3ヒンジ全体が使用される(229アミノ酸全て)か、CH3ヒンジのみ(119アミノ酸)が使用されるか、または短いヒンジ(12アミノ酸)が使用される。
【0088】
特定の場合において、CARの効率を最適化するためにスペーサーおよび/またはヒンジの正体または長さを変更し得る。例えば、Hudecek et al.(2014)およびJonnalagadda et al.(2015)を参照されたい。
【0089】
したがって、特定の実施形態では、利用されるIgGヒンジ領域は、典型的にはIgG1またはIgG4であり、いくつかの場合では、CARは、IgG FcのCH2-CH3ドメインを含む。IgG Fcドメインの使用は、CARに柔軟性を提供し得、免疫原性が低く、抗Fc試薬を使用したCAR発現の検出を容易にし、1つまたは複数のCH2またはCH3モジュールを除去して異なるスペーサーの長さに対応することを可能にする。しかしながら、一実施形態では、FcγR結合を回避するための特定のスペーサーにおける突然変異は、CAR+T細胞の生着および抗腫瘍効果を改善して、可溶性および細胞表面Fcガンマ受容体の結合を回避し得、例えばまた抗原特異的溶解に介在する活性を維持し得る。例えば、CH2領域において修飾されたIgG4-Fcスペーサーを使用し得る。例えば、CH2領域は、点突然変異および/または欠失を含めて、突然変異させられ得る。特異的修飾は、CH2領域内の2つの部位(L235E;N297Q)で実証されており、および/またはCH2欠失を組み込んでいる(Jonnalagadda et al,2015)。特定の実施形態では、IgG4ヒンジ-CH2-CH3ドメイン(229aa長)またはヒンジドメインのみ(12aa長)を使用し得る(Hudececk et al.,2015)。
【0090】
具体的な実施形態では、ヒンジは、IgG、CD28、CD8-アルファ(CD8α)、4-1BB、0X40、CD3-ゼータ(CD3ζ)、T細胞受容体aまたはb鎖、CD3ゼータ鎖、CD28、CD3e、CD45、CD4、CD5、CD8、CD9、CD16、CD22、CD33、CD37、CD64、CD80、CD86、CD134、CD137、ICOSまたはCD154に由来する。
【0091】
利用され得るヒンジの具体的な配列の例には、少なくとも以下が含まれる。
【0092】
IgGヒンジヌクレオチド配列:
GTACGGTCACTGTCTCTTCACAGGATCCCGCCGAGCCCAAATCTCCTGACAAAACTCACACATGCCCACCGTGCCCAGCACCTGAACTCCTGGGGGGACCGTCAGTCTTCCTCTTCCCCCCAAAACCCAAGGACACCCTCATGATCTCCCGGACCCCTGAGGTCACATGCGTGGTGGTGGACGTGAGCCACGAAGACCCTGAGGTCAAGTTCAACTGGTACGTGGACGGCGTGGAGGTGCATAATGCCAAGACAAAGCCGCGGGAGGAGCAGTACAACAGCACGTACCGTGTGGTCAGCGTCCTCACCGTCCTGCACCAGGACTGGCTGAATGGCAAGGAGTACAAGTGCAAGGTCTCCAACAAAGCCCTCCCAGCCCCCATCGAGAAAACCATCTCCAAAGCCAAAGGGCAGCCCCGAGAACCACAGGTGTACACCCTGCCCCCATCCCGGGATGAGCTGACCAAGAACCAGGTCAGCCTGACCTGCCTGGTCAAAGGCTTCTATCCCAGCGACATCGCCGTGGAGTGGGAGAGCAATGGGCAACCGGAGAACAACTACAAGACCACGCCTCCCGTGCTGGACTCCGACGGCTCCTTCTTCCTCTACAGCAAGCTCACCGTGGACAAGAGCAGGTGGCAGCAGGGGAACGTCTTCTCATGCTCCGTGATGCATGAGGCTCTGCACAACCACTACACGCAGAAGAGCCTCTCCCTGTCTCCGGGTAAAAAAGATCCCAAATT(配列番号21)
【0093】
IgGヒンジアミノ酸配列
TVTVSSQDPAEPKSPDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEAL(配列番号22)
【0094】
CD28ヒンジヌクレオチド配列:
ATTGAAGTTATGTATCCTCCTCCTTACCTAGACAATGAGAAGAGCAATGGAACCATTATCCATGTGAAAGGGAAACACCTTTGTCCAAGTCCCCTATTTCCCGGACCTTCTAAGCCC(配列番号23)
【0095】
CD28ヒンジアミノ酸配列
IEVMYPPPYLDNEKSNGTIIHVKGKHLCPSPLFPGPSKP(配列番号24)
【0096】
CD8αヒンジヌクレオチド配列:
AAGCCCACCACCACCCCTGCCCCTAGACCTCCAACCCCAGCCCCTACAATCGCCAGCCAGCCCCTGAGCCTGAGGCCCGAAGCCTGTAGACCTGCCGCTGGCGGAGCCGTGCACACCAGAGGCCTGGATTTCGCCTGCGACATCTACATCTGGGCCCCTCTGGCCGGCACCTGTGGCGTGCTGCTGCTGAGCCTGGTCATCACCCTGTACTGCAACCACCGGAAT(配列番号32)
【0097】
CD8αヒンジアミノ酸配列
KPTTTPAPRPPTPAPTIASQPLSLRPEACRPAAGGAVHTRGLDFACDIYIWAPLAGTCGVLLLSLVITLYCNHRN(配列番号33)
【0098】
本開示に包含される何れのポリヌクレオチドも、配列番号21、23もしくは32、または配列番号21、23もしくは32と少なくとも70、75、80、85、90、95、96、97、98、99%またはそれを超えて同一である配列を含み得る。本開示に包含される何れのポリペプチドも、配列番号22、24もしくは33、または配列番号22、24もしくは33と少なくとも70、75、80、85、90、95、96、97、98、99%またはそれを超えて同一である配列を含み得る。
【0099】
4.他のタンパク質
いくつかの実施形態では、1つまたは複数の他のタンパク質が本開示のCARと共に利用される。1つまたは複数の他のタンパク質は、CAR自体および/またはCARを発現するあらゆる種類の細胞の有効性を促進することを含め、あらゆる理由で利用され得る。いくつかの場合では、他のタンパク質は、他のタンパク質がCARまたは細胞の活性に直接的または間接的に影響を及ぼすか否かにかかわらず、CARを発現する細胞を治療として受ける個体の処置を容易にする。いくつかの場合では、他のタンパク質は、自殺遺伝子、1つもしくは複数のサイトカインまたはその両方である。特定の実施形態では、1つまたは複数の他のタンパク質がベクターから産生され、最終的に2つの別個のポリペプチドとして産生される。例えば、CARおよび他のタンパク質は、例えば、2A配列によってまたはIRESによって分離され得る。
【0100】
特定の実施形態では、IL-15などのサイトカインがCARと共に利用される。
【0101】
IL-15ヌクレオチド配列の一例は以下の通りである:
【0102】
IL-15ヌクレオチド配列:
GCATTAGCAAGCCCCACCTGCGGAGCATCAGCATCCAGTGCTACCTGTGCCTGCTGCTGAACAGCCACTTCCTGACCGAGGCCGGCATCCACGTGTTCATCCTGGGCTGCTTCAGCGCCGGACTGCCCAAGACCGAGGCCAACTGGGTGAACGTGATCAGCGACCTGAAGAAGATCGAGGACCTGATCCAGAGCATGCACATCGACGCCACCCTGTACACCGAGAGCGACGTGCACCCCAGCTGCAAGGTGACCGCCATGAAGTGCTTTCTGCTGGAACTGCAGGTGATCAGCCTGGAAAGCGGCGACGCCAGCATCCACGACACCGTGGAGAACCTGATCATCCTGGCCAACAACAGCCTGAGCAGCAACGGCAACGTGACCGAGAGCGGCTGCAAAGAGTGCGAGGAACTGGAAGAGAAGAACATCAAAGAGTTTCTGCAGAGCTTCGTGCACATCGTGCAGATGTTCATCAACACCAGCTGACAATT(配列番号25)
【0103】
IL-15アミノ酸配列:
ISKPHLRSISIQCYLCLLLNSHFLTEAGIHVFILGCFSAGLPKTEANWVNVISDLKKIEDLIQSMHIDATLYTESDVHPSCKVTAMKCFLLELQVISLESGDASIHDTVENLIILANNSLSSNGNVTESGCKECEELEEKNIKEFLQSFVHIVQMFINTS(配列番号26)
【0104】
特定の実施形態では、IL-21などのサイトカインがCARと共に利用される。
【0105】
IL-21アミノ酸配列の一例は以下の通りである:
MRSSPGNMERIVICLMVIFLGTLVHKSSSQGQDRHMIRMRQLIDIVDQLKNYVNDLVPEFLPAPEDVETNCEWSAFSCFQKAQLKSANTGNNERIINVSIKKLKRKPPSTNAGRRQKHRLTCPSCDSYEKKPPKEFLERFKSLLQKMIHQHLSSRTHGSEDS(配列番号27)
【0106】
同じベクター中のCARおよび別のタンパク質が2つの異なるポリペプチドになるように産生されることが意図される場合、特定の2A配列が利用され得る。
【0107】
E2Aアミノ酸配列は、以下のように利用され得る:
QCTNYALLKLAGDVESNPGP(配列番号28)
【0108】
他の2Aの例を利用し得、以下の通りである:
【0109】
T2A:EGRGSLLTCGDVEENPGP(配列番号29)
【0110】
P2A:ATNFSLLKQAGDVEENPGP(配列番号30)
【0111】
F2A:VKQTLNFDLLKLAGDVESNPGP(配列番号31)
【0112】
本開示はまた、何れかのタイプの免疫エフェクター細胞における発現を含む、特異的CAR分子も包含する。
【0113】
C.T細胞受容体(TCR)
いくつかの実施形態では、癌抗原標的指向性の遺伝子改変された抗原受容体は、組み換えTCRおよび/または天然のT細胞からクローニングされたTCR、またはその1つもしくは複数の部分を含む。「T細胞受容体」または「TCR」は、可変a鎖およびβ鎖(それぞれTCRαおよびTCRβとしても知られる)または可変γ鎖およびδ鎖(それぞれTCRγおよびTCRδとしても知られる)を含有し、MHC受容体に結合した抗原ペプチドに特異的に結合可能である分子を指す。いくつかの実施形態では、TCRはαβ形態である。
【0114】
典型的には、αβおよびγδ形態で存在するTCRは、一般に構造的に類似しているが、それらを発現するT細胞は、異なる解剖学的位置または機能を有し得る。TCRは、細胞の表面上でまたは可溶性形態で見出され得る。一般に、TCRはT細胞(またはTリンパ球)の表面上で見られ、ここでTCRは一般に主要組織適合遺伝子複合体(MHC)分子に結合した抗原の認識に関与する。いくつかの実施形態では、TCRはまた、定常ドメイン、膜貫通ドメインおよび/または短い細胞質尾部も含有し得る(例えば、Janeway et al,1997を参照)。例えば、いくつかの態様では、TCRの各鎖は、1つのN末端免疫グロブリン可変ドメイン、1つの免疫グロブリン定常ドメイン、膜貫通領域およびC末端の短い細胞質尾部を有し得る。いくつかの実施形態では、TCRは、シグナル伝達の媒介に関与するCD3複合体のインバリアントタンパク質(invariant proteins)と関連付けられる。別段述べられない限り、「TCR」という用語は、その機能的TCR断片を包含すると理解されるべきである。この用語はまた、αβ形態またはγδ形態のTCRを含む、インタクトなまたは全長のTCRも包含する。
【0115】
したがって、本明細書中の目的のために、TCRへの言及は、MHC分子において結合した特異的な抗原性ペプチド、すなわちMHCペプチド複合体に結合するTCRの抗原結合部分などの何れかのTCRまたは機能的断片を含む。交換可能に使用され得る、TCRの「抗原結合部」または抗原結合断片」は、TCRの構造ドメインの一部を含有するが、完全なTCRが結合する抗原(例えばMHCペプチド複合体)に結合する分子を指す。いくつかの場合では、抗原結合部分は、一般に各鎖が3つの相補性決定領域を含有する場合など、特異的なMHCペプチド複合体に結合するための結合部位を形成するのに十分なTCRの可変ドメイン、例えばTCRの可変a鎖および可変β鎖を含有する。
【0116】
いくつかの実施形態では、TCR鎖の可変ドメインは、会合してループ、または免疫グロブリンに類似した相補性決定領域(CDR)を形成し、それは抗原認識を付与し、TCR分子の結合部位を形成することによってペプチド特異性を決定し、ペプチド特異性を決定する。典型的には、免疫グロブリンと同様に、CDRはフレームワーク領域(FR)によって分離されている(例えば、Jores et al.,1990;Chothia et al.,1988;Lefranc et al.,2003を参照)。いくつかの実施形態では、CDR3は、プロセシングされた抗原の認識に関与する主要なCDRではあるが、アルファ鎖のCDR1は抗原性ペプチドのN末端部分と相互作用することも示されており、一方でベータ鎖のCDR1はペプチドのC末端部分と相互作用する。CDR2はMHC分子を認識すると考えられている。いくつかの実施形態では、β鎖の可変領域は、さらなる超可変性(HV4)領域を含有し得る。
【0117】
いくつかの実施形態では、TCR鎖は定常ドメインを含有する。例えば、免疫グロブリンのように、TCR鎖の細胞外部分(例えば、a鎖、β鎖)は、2つの免疫グロブリンドメイン、N末端の可変ドメイン(例えば、VaまたはVp;典型的には、KabatナンバリングKabat et al.,「Sequences of Proteins of Immunological Interest」,US Dept.Health and Human Services,Public Health Service National Institutes of Health,1991,5th ed.に基づくアミノ酸1~116)、および細胞膜に隣接する1つの定常ドメイン(例えば、a鎖定常ドメインまたはC、典型的にはKabatに基づくアミノ酸117~259、β鎖定常ドメインまたはCp、典型的にはKabatに基づくアミノ酸117~295)を含有し得る。例えば、いくつかの場合では、2本の鎖によって形成されるTCRの細胞外部分は、2つの膜近位定常ドメインおよびCDRを含有する2つの膜遠位可変ドメインを含有する。TCRドメインの定常ドメインは、システイン残基がジスルフィド結合を形成して2本の鎖の間を連結させる短い連結配列を含有する。いくつかの実施形態では、TCRが定常ドメインにおいて2つのジスルフィド結合を含有するように、TCRはα鎖およびβ鎖のそれぞれにさらなるシステイン残基を有し得る。
【0118】
いくつかの実施形態では、TCR鎖は膜貫通ドメインを含有し得る。いくつかの実施形態では、膜貫通ドメインは正に荷電している。いくつかの場合では、TCR鎖は細胞質尾部を含有する。いくつかの場合では、この構造は、TCRがCD3のような他の分子と会合することを可能にする。例えば、膜貫通領域を有する定常ドメインを含有するTCRは、タンパク質を細胞膜に固定し得、CD3シグナル伝達装置または複合体のインバリアントサブユニットと会合し得る。
【0119】
一般に、CD3は、哺乳動物における3つの異なる鎖(γ、δ、ε)およびζ鎖を有し得る複数タンパク質の複合体である。例えば、哺乳動物では、複合体は、CD3γ鎖、CD3δ鎖、2本のCD3ε鎖、およびCD3ζ鎖のホモ二量体を含有し得る。CD3γ、CD3δおよびCD3ε鎖は、単一の免疫グロブリンドメインを含有する免疫グロブリンスーパーファミリーの高度に関連する細胞表面タンパク質である。CD3γ鎖、CD3δ鎖およびCD3ε鎖の膜貫通領域は負に荷電しており、この特徴により、これらの鎖が正に荷電したT細胞受容体鎖と会合することが可能になる。CD3γ鎖、CD3δ鎖およびCD3ε鎖の細胞内尾部はそれぞれ、免疫受容体チロシンに基づく活性化モチーフまたはITAMとして知られる単一の保存されたモチーフを含有するが、各CD3ζ鎖は3つを有する。一般に、ITAMは、TCR複合体のシグナル伝達能力に関与する。これらの補助的な分子は、負に荷電した膜貫通領域を有し、TCRからのシグナルを細胞内に伝播させる役割を果たす。CD3鎖およびζ鎖は、TCRと共に、T細胞受容体複合体として知られるものを形成する。
【0120】
いくつかの実施形態では、TCRは、2本の鎖αおよびβ(または任意選択的にγおよびδ)のヘテロ二量体であり得るか、または単鎖TCRコンストラクトであり得る。いくつかの実施形態では、TCRは、ジスルフィド結合(単数または複数)などによって連結される2本の別個の鎖(αおよびβ鎖またはγおよびδ鎖)を含有するヘテロ二量体である。いくつかの実施形態では、標的抗原(例えば、癌抗原)に対するTCRが同定され、細胞に導入される。いくつかの実施形態では、TCRをコードする核酸は、公開されているTCR DNA配列のポリメラーゼ連鎖反応(PCR)増幅によるなど、様々な供給源から得られ得る。いくつかの実施形態では、TCRは、生物学的供給源、例えばT細胞(例えば細胞傷害性T細胞)などの細胞、T細胞ハイブリドーマまたは他の公開されている供給源から得られる。いくつかの実施形態では、T細胞はインビボの単離細胞から得られ得る。いくつかの実施形態では、高親和性T細胞クローンを患者から単離し、TCRを単離し得る。いくつかの実施形態では、T細胞は培養T細胞ハイブリドーマまたはクローンであり得る。いくつかの実施形態では、標的抗原に対するTCRクローンは、ヒト免疫系遺伝子(例えば、ヒト白血球抗原系またはHLA)を用いて改変されたトランスジェニックマウスにおいて作製されている。例えば、腫瘍抗原(例えば、Parkhurst et al.,2009およびCohen et al.,2005を参照)を参照のこと。いくつかの実施形態では、ファージディスプレイを使用して、標的抗原に対するTCRを単離する(例えばVarela-Rohena et al.,2008およびLi,2005を参照)。いくつかの実施形態では、TCRまたはその抗原結合部分は、TCRの配列の知識から合成により作製され得る。
【0121】
III.抗CD20抗体および免疫細胞負荷
本開示のある特定の態様は、抗CD20抗体ならびにその抗原結合断片を含む方法および組成物を含む。完全長抗CD20抗体、ならびに例えばFab断片、scFvなどを含む、CD20に結合可能な抗CD20抗体の何れかの断片(「抗原結合断片」)が企図される。本開示の抗CD20抗体は、リツキシマブの1つまたは複数の領域(例えば、VH、VL)と少なくとも、最大で、または正確に80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、99.5、99.5または100%の配列同一性(またはその中で導き出せるあらゆる範囲または値)を有し得る。いくつかの実施形態では、本開示の抗CD20抗体はリツキシマブである。本開示の抗CD20抗体は、オビヌツズマブの1つまたは複数の領域(例えば、VH、VL)と少なくとも、最大で、または正確に80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、99.5、99.5または100%の配列同一性(またはその中で導き出せるあらゆる範囲または値)を有し得る。いくつかの実施形態では、本開示の抗CD20抗体はオビヌツズマブである。例えば、オクレリズマブおよびオファツムマブを含む、さらなる抗CD20抗体が当技術分野で認識されており、本明細書中で企図される。本開示の組成物は、1つ以上の抗CD20抗体を含み得る。本開示の方法は、例えば、単独で、または改変された免疫細胞である治療剤を含む1つもしくは複数の他の治療剤と組み合わせて、抗CD20抗体を投与することを含み得る。
【0122】
抗CD20抗体およびその断片は、NK細胞、活性化NK細胞、CAR NK細胞および他の天然または改変された免疫細胞を含む本開示の免疫細胞と組み合わせて癌の処置のために使用され得る。いくつかの態様では、本開示の免疫細胞(例えばCAR NK細胞)は、抗CD20抗体またはその断片と組み合わせて対象に投与される。免疫細胞および抗CD20抗体は、同時にまたは連続的に、の何れかで、別々の組成物中で対象に投与されてもよく、または同じ組成物中で投与されてもよい。
【0123】
本明細書中で開示されるように、免疫細胞は、抗体が免疫細胞の表面に付着し、それによって免疫細胞に抗CD20抗体が「負荷」されるように、抗体(例えば抗CD20抗体)と共にインビトロでインキュベートされ得る。本明細書中で使用される場合、免疫細胞に抗体(またはその断片)を「負荷する」ことは、抗体が免疫細胞の表面に付着するのを可能にするのに十分な条件下で免疫細胞を抗体とインキュベートすることを述べる。表面に結合した抗体(または断片)を含むそのような免疫細胞は、本明細書中では「負荷された」(または「抗体負荷された」)免疫細胞として記載される。例えば、表面に結合した抗体を含むNK細胞は、抗体負荷NK細胞として記載される。
【0124】
免疫細胞に抗体を負荷することは、いくつかの態様では、免疫細胞を抗体と少なくとも、最大で、または約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、22、23、24、25、26、27、28、29、30、35、40、45、50、55、60、90、120または240分間(またはその中で導出可能なあらゆる範囲または値)インキュベートすることを含む。抗体は、少なくとも、最大で、または約0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19もしくは20μg/ml、またはその中で導き出せるあらゆる範囲もしくは値の量で免疫細胞に提供され得る。いくつかの態様では、免疫細胞を抗体と共に少なくとも15、30、45、60、90または120分間インキュベートする。いくつかの態様では、免疫細胞を抗体と共に少なくとも30分間インキュベートする。いくつかの態様では、免疫細胞を抗体と共に少なくとも60分間インキュベートする。
【0125】
本開示の態様は、抗CD20抗体またはその抗原結合断片がその表面に付着している免疫細胞(例えば、活性化NK細胞、改変されたNK細胞、例えばCAR NK細胞など)の組成物を含む。そのような組成物を投与することを含む、癌を有する対象を処置する方法も開示される。いくつかの実施形態では、抗CD20抗体(例えば、オビヌツズマブ)が負荷された免疫細胞、例えば負荷されたNK細胞の集団を、癌を有する個体に投与することを含む方法が開示される。いくつかの態様では、そのような負荷NK細胞は、例えばCD19、CD70および/またはCD5に特異的な負荷CAR NK細胞などの負荷CAR NK細胞である。いくつかの態様では、そのような負荷NK細胞は、活性化NK細胞(例えば、IL-12、IL-15およびIL-18で活性化されたNK細胞)である。
【0126】
本明細書中で使用される場合、「活性化された」または「予備活性化された」免疫細胞(例えば、予備活性化NK細胞)は、例えば、IL-12、IL-15およびIL-18の1つまたは複数などの1つまたは複数のサイトカインと共に培養することによって活性化された免疫細胞を述べる。本開示の態様は、NK細胞の集団をIL-12、IL-15およびIL-18の1つ、2つまたは全てと共に培養することによるNK細胞の活性化(「予備活性化」とも)を含む方法を対象とする。いくつかの実施形態では、NK細胞の集団は、IL-12およびIL-18と共に培養される。いくつかの実施形態では、NK細胞の集団は、IL-12、IL-15およびIL-18と共に培養される。いくつかの実施形態では、予備活性化NK細胞は、IL-12、IL-15およびIL-18で活性化されたNK細胞である。
【0127】
NK細胞の予備活性化は、1つまたは複数のサイトカインの存在下で単離NK細胞を培養することを含み得る。NK細胞は、IL-2、または共通のガンマ鎖に結合する他のサイトカイン(例えば、IL-7、IL-12、IL-15、IL-21など)で刺激され得る。特定の実施形態では、予備活性化サイトカインは、IL-12、IL-15およびIL-18のうちの1つ、2つまたは全てであり得る。いくつかの実施形態では、予備活性化サイトカインは、IL-18、IL-12およびIL-15である。1つまたは複数のさらなるサイトカインが、予備活性化段階のために使用され得る。予備活性化は、5~72時間、10~50時間、10~20時間、または12、13、14、15、16、17、18、19または20時間、いくつかの場合では、約16時間などの短時間であり得る。予備活性化培養物は、10~100ng/mL、例えば40~60ng/mLなど、または45、46、47、48、49、50、51、52、53、54または55ng/mL、いくつかの場合では約50ng/mLの濃度でIL-18および/またはIL-15を含み得る。予備活性化培養物は、0.1~150ng/mL、例えば0.5~50ng/mL、1~20ng/mL、または2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14または15ng/mL、いくつかの場合では約10ng/mLの濃度でIL-12を含み得る。予備活性化は、拡大培養段階前、拡大培養段階中または拡大培養段階後であり得る。NK細胞の予備活性化は、培養および拡大培養工程中に1回または複数回の何れかでIL-12、IL-18および/またはIL-15と共に培養することを含み得る。NK細胞は、本開示の工程または方法の間に、IL-12、IL-18および/またはIL-15で1回、2回、3回、4回、5回またはそれを超える回数、予備活性化され得る。
【0128】
予備活性化NK細胞は、いくつかの場合では人工抗原提示細胞(aAPC)の存在下で、拡大培養NK細胞を生成させるために拡大培養され得る。予備活性化NK細胞は、拡大培養前に、例えば2、3、4または5回など、いくつかの場合では3回、洗浄され得る。aAPCは、CD137リガンドおよび/または膜結合サイトカインを発現するように改変され得る。膜結合サイトカインは、膜結合IL-21(mIL-21)または膜結合IL-15(mIL-15)であり得る。特定の実施形態では、aAPCは、CD137リガンドおよびmIL-21を発現するように改変される。aAPCは、白血病細胞などの癌細胞に由来し得る。aAPCは、内因性HLAクラスI、IIまたはCD1d分子を発現しない場合がある。それらは、ICAM-1(CD54)およびLFA-3(CD58)を発現し得る。特に、aAPCは、CD137リガンドおよびmIL-21を発現するように改変されたK562細胞などのK562細胞であり得る。aAPCは照射され得る。改変は、レトロウイルス形質導入などの当技術分野で公知の何れかの方法によるものであり得る。aAPCは細胞でなくてもよく;例えば、aAPCは、微粒子または他の合成aAPCによるものであり得る。細胞拡大培養は、約2~30日間、例えば3~20日間、12~16日間、または12、13、14、15、16、17、18または19日間、いくつかの場合では約14日間であり得る。予備活性化NK細胞およびaAPCは、約3:1~1:3、例えば2:1、1:1または1:2、いくつかの場合では約1:2の比で存在し得る。拡大培養物は、IL-2などの拡大培養を促進するためのサイトカインをさらに含み得る。IL-2は、約10~500U/mL、例えば100~300U/mL、特に約200U/mLの濃度で存在し得る。IL-2は、拡大培養において、例えば2~3日毎に補充され得る。aAPCは、少なくとも2回目に、例えば拡大培養の約7日目などに、培養物に添加され得る。
【0129】
予備活性化および拡大培養されたNK細胞、ならびに両方ともその全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2020/0390816A1号明細書およびKerbauy et al.,Clin Cancer Res.2021;27(13):3744-3756に記載されているものなど、このような細胞を作製するための方法が本明細書中で企図される。
IV.サイトカイン
【0130】
1つ以上のサイトカインが、いくつかの例では、遺伝子操作された1つ以上の抗原標的化受容体、例えば抗原特異的CARと共に利用さてもよい。場合によっては、1つ以上のサイトカインが、操作された受容体と同じベクター分子上に存在するが、他の場合には、別個のベクター分子上に存在する。ある場合には、本開示の免疫細胞はサイトカインを発現し、抗原特異的CARを発現しない。特定の実施形態において、1つ以上のサイトカインが、操作された受容体と同じベクターから共発現される。一例として、インターロイキン-15(IL-15)が利用される。IL-15が使用され得る。なぜなら、例えば、組織に制限されており、かつ病的条件下でのみ血清中で、または全身的に何らかのレベルにて観察されるからである。IL-15は、養子療法に望ましいいくつかの属性を有する。IL-15は、ナチュラルキラー細胞の発生および細胞増殖を誘導し、腫瘍内在細胞の機能的抑制の緩和を介して、確立された腫瘍の根絶を促進し、かつ活性化誘導細胞死を阻害する恒常性サイトカインである。IL-15に加えて、他のサイトカインが想定される。これらとして、サイトカイン、ケモカイン、ならびにヒト用途に用いられる細胞の活性化および増殖に寄与する他の分子が挙げられるが、これらに限定されない。一例として、1つ以上のサイトカインは、IL-15、IL-12、IL-2、IL-18、IL-21、IL-23、IL-7、またはそれらの組合せである。IL-15を発現するNK細胞が利用され得、そして継続的な支援サイトカインシグナル伝達が可能であり、これは、注入後の生存に有用である。
【0131】
特定の実施形態において、NK細胞は、1つ以上の外因的に提供されるサイトカインを発現する。サイトカインは、NK細胞に外因的に提供され得る。なぜなら、細胞内の発現ベクターから発現され、かつ/または細胞の培養培地中に提供されるからである。代わりの場合には、細胞中の内因性サイトカインは、サイトカインのプロモータ部位での遺伝子組換え等の内因性サイトカインの発現の調節操作によって上方制御される。サイトカインが発現構築物上で細胞に提供される場合、サイトカインは、自殺遺伝子と同じベクターからコードされ得る。サイトカインは、自殺遺伝子とは別個のポリペプチド分子として、そして細胞の操作された受容体とは別個のポリペプチドとして発現され得る。一部の実施形態において、本開示は、特にNK細胞における、CARおよび/またはTCRベクターの、IL-15との共利用に関する。
V.自殺遺伝子
【0132】
特定の実施形態において、自殺遺伝子は、あらゆる種類の細胞療法と共に利用されて、その使用を制御し、かつ所望の事象および/または時間での細胞療法の終了を可能にする。自殺遺伝子は、必要に応じて形質導入細胞の死を誘発する目的で、形質導入細胞に使用される。本開示によって包含されるベクターを有するように修飾された本開示の抗原標的化細胞は、1つ以上の自殺遺伝子を含み得る。一部の実施形態において、本明細書中で用いられる用語「自殺遺伝子」は、プロドラッグまたは他の剤の投与により、その宿主細胞を死滅させる化合物への遺伝子産物の移行をもたらす遺伝子として定義される。他の実施形態において、自殺遺伝子は、所望の場合、自殺遺伝子産物を標的とする剤(抗体等)によって標的とされる遺伝子産物をコードする。
【0133】
用いられ得る自殺遺伝子/プロドラッグの組合せの例として、単純ヘルペスウイルス-チミジンキナーゼ(HSV-tk)およびガンシクロビル、アシクロビル、またはFIAU;酸化還元酵素およびシクロヘキシミド;シトシンデアミナーゼおよび5-フルオロシトシン;チミジンキナーゼチミジラート(thymidilate)キナーゼ(Tdk::Tmk)およびAZT;ならびにデオキシシチジンキナーゼおよびシトシンアラビノシドがある。大腸菌(E.coli)プリンヌクレオシドホスホリラーゼ、いわゆる、プロドラッグ6-メチルプリンデオキシリボシドを毒性プリン6-メチルプリンに変換する自殺遺伝子が用いられ得る。プロドラッグ療法に用いられる自殺遺伝子の他の例として、大腸菌(E.coli)シトシンデアミナーゼ遺伝子およびHSVチミジンキナーゼ遺伝子がある。
【0134】
また、例示的な自殺遺伝子として、CD20、CD52、EGFRv3、または誘導性カスパーゼ9が挙げられる。一実施形態において、EGFRバリアントIII(EGFRv3)の切断型バージョンが、セツキシマブによって除去され得る自殺抗原として用いられ得る。本開示に用いられ得る、当該技術において知られている更なる自殺遺伝子として、プリンヌクレオシドホスホリラーゼ(PNP)、シトクロムp450酵素(CYP)、カルボキシペプチダーゼ(CP)、カルボキシルエステラーゼ(CE)、ニトロレダクターゼ(NTR)、グアニンリボシルトランスフェラーゼ(XGRTP)、グリコシダーゼ酵素、メチオニン-α、γ-リアーゼ(MET)、およびチミジンホスホリラーゼ(TP)が挙げられる。いくつかの実施形態では、誘導性カスパーゼ9(iC9)が使用される。
【0135】
特定の実施形態において、抗原標的化CARをコードするベクター、または本明細書中で包含されるNK細胞内のあらゆるベクターが、1つ以上の自殺遺伝子を含む。自殺遺伝子は、抗原標的化CARと同じベクター上にあってもなくてもよい。
VI.ベクター
【0136】
本開示の抗原標的化CARは、ウイルスベクターまたは非ウイルスベクターが挙げられる適切なあらゆるベクターによってレシピエント免疫細胞に送達され得る。ウイルスベクターの例として、少なくともレトロウイルス、レンチウイルス、アデノウイルス、またはアデノ随伴ウイルスベクターが挙げられる。非ウイルスベクターの例として、少なくともプラスミド、トランスポゾン、脂質、ナノ粒子等が挙げられる。
【0137】
免疫細胞が、抗原標的化CARをコードするベクターにより形質導入され、そしてまた、自殺遺伝子および/またはサイトカインおよび/または任意選択の治療用遺伝子産物等の別の遺伝子の、細胞中への形質導入を必要とする場合、抗原標的化CAR、自殺遺伝子、サイトカイン、および任意選択の治療用遺伝子は、同じベクターに含まれても含まれなくてもよい。場合によっては、抗原標的化CAR、自殺遺伝子、サイトカイン、および任意選択の治療用遺伝子は、同じウイルスベクター分子等の同じベクター分子から発現される。そのような場合、抗原標的化CAR、自殺遺伝子、サイトカイン、および任意選択の治療用遺伝子の発現は、同じ調節要素によって調節されてもされなくてもよい。抗原標的化CAR、自殺遺伝子、サイトカイン、および任意選択の治療用遺伝子は、同じベクター上にある場合、別個のポリペプチドとして発現されてもされなくてもよい。これらは、別個のポリペプチドとして発現される場合、例えば、2A要素またはIRES要素によってベクター上で分離され得る(または双方の種類が、1回以上、同じベクター上で用いられ得る)。
A.一般的な実施形態
【0138】
当業者であれば、本開示の抗原受容体の発現のための標準的な組換え技術(例えば、いずれも参照により本明細書に組み込まれるSambrook et al.,2001およびAusubel et al.,1996参照)によってベクターを構築するのに十分な知識があろう。
1.調節要素
【0139】
本開示において有用なベクターに含まれる発現カセットは、特に、タンパク質コード配列に作動可能に連結された真核生物転写プロモータ、介在配列を含むスプライスシグナル、および転写終結/ポリアデニル化配列を(5’から3’方向に)含有する。真核細胞におけるタンパク質コード遺伝子の転写を制御するプロモータおよびエンハンサは、多数の遺伝要素で構成され得る。細胞機構は、各要素によって伝達される調節情報を集めて組み込むことができ、異なる遺伝子が、転写調節の異なる、多くの場合複雑なパターンを進化させることを可能にする。本開示に関連して用いられるプロモータとして、例えば、構成的プロモータ、誘導性プロモータ、および組織特異的プロモータが挙げられる。ベクターが癌治療の生成に利用される場合、プロモータは、低酸素の条件下で有効であり得る。
2.プロモータ/エンハンサ
【0140】
本明細書中で提供される発現構築物は、抗原受容体および他のシストロン遺伝子産物の発現を駆動するためのプロモータを含む。プロモータは、一般に、RNA合成のための開始部位を配置するように機能する配列を含む。この最もよく知られている例が、TATAボックスであるが、TATAボックスを欠くいくつかのプロモータ、例えば、哺乳動物末端デオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ遺伝子用のプロモータ、およびSV40後期遺伝子用のプロモータにおいて、開始部位自体を覆う別個の要素が、開始の場所を固定するのに役立つ。追加のプロモータ要素が、転写開始の頻度を調節する。典型的には、これは、開始部位の上流の領域内に位置決めされているが、いくつかのプロモータは、開始部位の下流にも機能的要素を含有することが示されている。コード配列をプロモータの「制御下」に置くために、転写リーディングフレームの転写開始部位の5’末端が、選択されたプロモータの「下流」(すなわち3’側)に配置される。「上流」プロモータは、DNAの転写を刺激して、コードされたRNAの発現を促進する。
【0141】
プロモータ要素間の間隔は高頻度で、要素が互いに対して反転または移動した場合にプロモータ機能が保存されるほどフレキシブルである。tkプロモータにおいて、例えば、プロモータ要素間の間隔は、活性が落ち始める前の50bpまで広げることができる。プロモータに応じて、個々の要素は、転写を活性化するように協働的に、または独立して機能し得るようである。プロモータは、核酸配列の転写活性化に関与するシス作用性調節配列を指す「エンハンサ」と併用されてもされなくてもよい。
【0142】
プロモータは、コードセグメントおよび/またはエクソンの上流に位置決めされた5’非コード配列を単離することによって得られ得るように、核酸配列と本来関連しているものであり得る。そのようなプロモータは、「内因性」と称され得る。同様に、エンハンサは、核酸配列と天然に結合して、当該配列の下流または上流のいずれかに位置決めされるものであり得る。これ以外にも、特定の利点が、コード核酸セグメントを、組換えまたは異種プロモータ(その天然環境において、核酸配列と通常関連しないプロモータを指す)の制御下に配置することによって得られることとなる。また、組換えまたは異種エンハンサは、その天然環境において核酸配列と通常関連しないエンハンサを指す。そのようなプロモータまたはエンハンサとして、他の遺伝子のプロモータまたはエンハンサ、ならびに他のあらゆるウイルスまたは原核細胞もしくは真核細胞から単離されたプロモータまたはエンハンサ、ならびに「天然に存在」しない、すなわち、異なる転写調節領域の異なる要素、および/または発現を変更する変異を含有するプロモータまたはエンハンサが挙げられ得る。例えば、組換えDNA構築に最も一般的に用いられるプロモータとして、β-ラクタマーゼ(ペニシリナーゼ)、ラクトース、およびトリプトファン(trp-)プロモータ系が挙げられる。プロモータおよびエンハンサの核酸配列を合成的に生成することに加えて、配列は、本明細書中で開示される組成物と関連して、PCR(商標)が挙げられる組換えクローニングおよび/または核酸増幅技術を用いて生成され得る。さらに、ミトコンドリア、葉緑体等の非核オルガネラ内の配列の転写および/または発現を指示する制御配列も同様に使用することができると考えられる。
【0143】
当然のことながら、発現のために選択された細胞小器官、細胞型、組織、器官、または生物におけるDNAセグメントの発現を効果的に指令するプロモータおよび/またはエンハンサを使用することが重要であろう。分子生物学の当業者であれば、一般に、タンパク質発現のためのプロモータ、エンハンサ、および細胞型の組合せの使用を知っている(例えば、参照により本明細書に組み込まれるSambrook et al.1989参照)。使用されるプロモータは、組換えタンパク質および/またはペプチドの大規模生産において有利である等、導入されたDNAセグメントの高レベル発現を指示するのに適切な条件下で構成的、組織特異的、誘導性、かつ/または有用であり得る。プロモータは、異種または内因性であり得る。
【0144】
加えて、あらゆるプロモータ/エンハンサの組合せ(例えば、epd.isb-sibi.ch/のワールド・ワイド・ウェブを介した、Eukaryotic Promoter Data Base EPDBに従う)を用いて発現を駆動することもできる。T3、T7、またはSP6細胞質発現系の使用が、別の可能な実施形態である。真核細胞は、適切な細菌ポリメラーゼが、送達複合体の一部として、または追加の遺伝子発現構築物として提供されるならば、特定の細菌プロモータからの細胞質転写を支持することができる。
【0145】
プロモータの非限定的な例として、初期または後期ウイルスプロモータ、例えばSV40初期または後期プロモータ、サイトメガロウイルス(CMV)最初期プロモータ、ラウス肉腫ウイルス(RSV)初期プロモータ、真核細胞プロモータ、例えば、ベータアクチンプロモータ、GADPHプロモータ、メタロチオネインプロモータ、および連結された応答要素プロモータ、例えば、サイクリックAMP応答要素プロモータ(cre)、血清応答要素プロモータ(sre)、ホルボールエステルプロモータ(TPA)、および最小TATAボックス付近の応答要素プロモータ(tre)が挙げられる。ヒト成長ホルモンプロモータ配列(例えば、GenBank(登録商標)、受託番号X05244、ヌクレオチド283~341に記載されるヒト成長ホルモン最小プロモータ)またはマウス乳腺腫瘍プロモータ(ATCC、Cat番号ATCC 45007から入手可能)を用いることも可能である。特定の実施形態において、プロモータは、CMV IE、デクチン-1、デクチン-2、ヒトCD11c、F4/80、SM22、RSV、SV40、Ad MLP、ベータ-アクチン、MHCクラスI、またはMHCクラスIIプロモータである。しかしながら、治療用遺伝子の発現を駆動するのに有用な他のあらゆるプロモータが、本開示の実施に使用可能である。
【0146】
特定の態様において、本開示の方法はまた、エンハンサ配列、すなわち、プロモータの活性を増大させ、かつシスで、そしてその向きに拘わらず、比較的長い距離(標的プロモータから最大数キロベース離れている)にわたってすら作用する潜在性を有する核酸配列に関する。しかしながら、エンハンサ機能は、必ずしもそのような長い距離に限定されない。というのも、所与のプロモータに近接して機能する場合もあるからである。
3.開始シグナルおよび連結された発現
【0147】
また、特定の開始シグナルが、コード配列の効率的な翻訳のために、本開示において提供される発現構築物に用いられ得る。当該シグナルは、ATG開始コドンまたは隣接配列を含む。ATG開始コドンを含む外因性翻訳制御シグナルを提供する必要がある場合がある。当業者であれば、これを決定して、必要なシグナルを提供することが容易にできよう。挿入物全体の翻訳を確実にするために、開始コドンは、所望のコード配列のリーディングフレームと「インフレーム」でなければならないことは周知である。外因性翻訳制御シグナルおよび開始コドンは、天然または合成のいずれかであり得る。発現の効率は、適切な転写エンハンサ要素を含めることによって増強され得る。
【0148】
特定の実施形態において、内部リボソーム進入部位(IRES)要素が、多遺伝子またはポリシストロン性メッセージをもたらすのに用いられる。IRES要素は、5’メチル化Cap依存性翻訳のリボソームスキャニングモデルを迂回して、内部部位にて翻訳を開始することができる。ピコルナウイルス科の2つのメンバー(ポリオおよび脳心筋炎)由来のIRES要素、ならびに哺乳動物メッセージ由来のIRESが記載されている。IRES要素は、異種オープンリーディングフレームに連結され得る。それぞれがIRESによって分離されてポリシストロン性メッセージをもたらす、多数のオープンリーディングフレームが、一緒に転写され得る。IRES要素のおかげで、各オープンリーディングフレームは、効率的な翻訳のためのリボソームにアクセス可能である。多遺伝子が、単一のプロモータ/エンハンサを用いて効率的に発現されて、単一のメッセージを転写することができる。
【0149】
本明細書中の他の箇所で詳述するように、特定の2A配列要素を用いて、本開示中で提供される構築物中での遺伝子の連結発現または共発現をもたらすことができる。例えば、切断配列を用いて、オープンリーディングフレームを連結して単一シストロンを形成することによって、遺伝子を共発現させることができる。例示的な切断配列として、ウマ鼻炎Aウイルス(E2A)またはF2A(口蹄疫ウイルス2A)または「2A様」配列(例えば、トセア・アシグナ(Thosea asigna)ウイルス2A;T2A)またはブタテッショウウイルス-1(P2A)がある。特定の実施形態において、単一のベクターでは、多数の2A配列は同一ではないが、代替の実施形態において、同じベクターは、2つ以上の同じ2A配列を利用する。2A配列の例が、その全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2011/0065779号明細書に記載されている。
4.複製起点
【0150】
ベクターを宿主細胞内で増殖させるために、ベクターは、1つ以上の複製起点部位(しばしば「ori」と称される)、例えば、上記のEBVのoriPに対応する核酸配列、または複製が開始される特定の核酸配列である、プログラミングにおける機能が類似するか、または高い、遺伝子操作されたoriPを含有してよい。これ以外にも、上記の他の染色体外で複製するウイルスの複製起点、または自己複製配列(ARS)が使用され得る。
5.選択およびスクリーニング可能マーカー
【0151】
一部の実施形態において、本開示の構築物を含むNK細胞は、発現ベクター内にマーカーを含めることによって、インビトロまたはインビボで特定され得る。そのようなマーカーは、発現ベクターを含有する細胞の容易な特定を可能にする、細胞に特定可能な変化を付与することとなる。一般に、選択マーカーは、選択を可能にする特性を付与するものである。陽性選択マーカーは、マーカーの存在が選択を可能にするものであり、陰性選択マーカーは、その存在が選択を妨げるものである。陽性選択マーカーの例として、薬物耐性マーカーがある。
【0152】
通常、薬物選択マーカーを含めることは、形質転換体のクローニングおよび特定に役立ち、例えば、ネオマイシン、ピューロマイシン、ハイグロマイシン、DHFR、GPT、ゼオシン、およびヒスチジノールに対する耐性を付与する遺伝子が、有用な選択マーカーである。条件の実施に基づいて形質転換体の識別を可能にする表現型を付与するマーカーに加えて、その基礎が比色分析であるGFP等のスクリーニング可能マーカーが挙げられる他の種類のマーカーも考えられる。これ以外にも、単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ(tk)またはクロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)等の陰性選択マーカーとしてのスクリーニング可能酵素が利用され得る。また、当業者であれば、おそらくFACS分析と組み合わせて、免疫学的マーカーを使用する方法を知っているであろう。用いられるマーカーは、遺伝子産物をコードする核酸と同時に発現され得る限り、重要ではないと考えられている。選択マーカーおよびスクリーニング可能マーカーの更なる例が、当業者に周知である。
B.マルチシストロン性ベクター
【0153】
特定の実施形態において、抗原標的化CAR、任意選択の自殺遺伝子、任意選択のサイトカイン、および/または任意選択の治療用遺伝子は、マルチシストロン性ベクターから発現される(本明細書中で用いられる用語「シストロン」は、遺伝子産物が生成され得る核酸配列を指す)。特定の実施形態において、マルチシストロン性ベクターは、抗原標的化CAR、自殺遺伝子、ならびに少なくとも1つのサイトカインおよび/もしくは操作された受容体、例えばT細胞受容体をコードする。場合により、マルチシストロン性ベクターは、少なくとも1つの抗原標的化CAR、および少なくとも1つのサイトカインをコードする。サイトカインは、ヒトもしくはマウス等、またはあらゆる種の特定の種類のサイトカインであり得る。特定の場合には、サイトカインは、IL15、IL12、IL2、IL18、および/またはIL21である。いくつかの態様において、サイトカインはIL15である。いくつかの局面において、サイトカインはIL21である。
【0154】
特定の実施形態において、本開示は、多数のシストロンを実質的に同一のレベルで発現する能力を有するポリシストロン性ベクターを利用するフレキシブルなモジュール系(本明細書中で用いられる用語「モジュール」は、例えば標準的な組換え技術を用いることによる、シストロン全体の、またはシストロンの構成要素のそれぞれの除去および置換等によって、その互換性を可能にするシストロンまたはシストロンの構成要素を指す)を提供する。当該系は、多遺伝子の組合せ発現(過剰発現が挙げられる)を可能にする細胞工学に用いられ得る。特定の実施形態において、ベクターによって発現される遺伝子の1つ以上が、1つ、2つ、またはそれを超える抗原受容体を含む。多遺伝子は、CAR、TCR、サイトカイン、ケモカイン、ホーミング受容体、CRISPR/Cas9媒介性遺伝子変異、デコイ受容体、サイトカイン受容体、キメラサイトカイン受容体等を含み得るが、これらに限定されない。ベクターはさらに、以下を含み得る:(1)1つ以上のレポーター、例えば、細胞アッセイおよび動物イメージング等のための蛍光もしくは酵素レポーター;(2)1つ以上のサイトカインもしくは他のシグナル伝達分子;および/または(3)自殺遺伝子。
【0155】
特定の場合には、ベクターは、2A切断部位等のあらゆる種類の切断部位によって分離された少なくとも4つのシストロンを含み得る。ベクターは、pUC19骨格内にpsiパッケージング配列を有する、3’および5’LTRを含むモロニーマウス白血病ウイルス(MoMLVまたはMMLV)ベースであってもなくてもよい。ベクターは、3つ以上の2A切断部位を有する4つ以上のシストロン、および遺伝子交換のための多数のORFを含み得る。当該系は、一部の実施形態において、サブクローニングによる迅速な組込みのための制限部位の側面に位置する多遺伝子(7つ以上)のコンビナトリアル過剰発現を可能にし、そしてまた、少なくとも3つの2A自己切断部位を含む。ゆえに、当該系は、多数のCAR、TCR、シグナル伝達分子、サイトカイン、サイトカイン受容体、および/またはホーミング受容体の発現を可能にする。また、当該系は、限定されないが、レンチウイルス、アデノウイルスAAV、および非ウイルスプラスミドが挙げられる他のウイルスベクターおよび非ウイルスベクターに使用され得る。
【0156】
また、系のモジュール性は、ポリシストロン性発現ベクター内の4つのシストロンのそれぞれへの遺伝子の効率的なサブクローニング、および迅速な試験等のための遺伝子の交換を可能にする。ポリシストロン性発現ベクター内に戦略的に位置決めされた制限部位は、遺伝子を効率的に交換することを可能にする。
【0157】
本開示の実施形態は、例えば、ベクターのモジュール使用を促進するために同一性および位置が特異的に選択される1つ以上の制限酵素部位を利用すること等による、1つ以上のシストロン(または1つ以上のシストロンの構成要素)の除去および置換を可能にすることによって、ベクターの少なくとも一部がモジュールであるポリシストロン性ベクターを利用する系を包含する。また、ベクターは、多数のシストロンが単一のポリペプチドに翻訳されて、別個のポリペプチドにプロセシングされることによって、ベクターが実質的に等モル濃度で別個の遺伝子産物を発現する利点を付与する実施形態を有する。
【0158】
本開示のベクターは、モジュラリティがベクターの1つ以上のシストロンを変えることができるように、かつ/または1つ以上の特定のシストロンの1つ以上の構成要素を変えることができるように構成されている。ベクターは、1つ以上のシストロンの末端の側面に位置し、かつ/または特定のシストロンの1つ以上の構成要素の末端の側面に位置する、固有の制限酵素部位を利用するように設計され得る。
【0159】
本開示の実施形態は、それぞれが1つ以上の制限酵素部位の側面に位置する少なくとも2つ、少なくとも3つ、または少なくとも4つのシストロンを含むポリシストロン性ベクターを含み、少なくとも1つのシストロンは、少なくとも1つの抗原受容体をコードする。場合によっては、2つ、3つ、4つ、またはそれを超えるシストロンが単一のポリペプチドに翻訳されて、別々のポリペプチドに切断されるが、他の場合では、多数のシストロンが単一のポリペプチドに翻訳されて、別々のポリペプチドに切断される。ベクター上の隣接するシストロンが、2A自己切断部位等の自己切断部位によって分離され得る。場合によっては、各シストロンは、ベクターから別個のポリペプチドを発現する。特定の場合には、ベクター上の隣接するシストロンが、IRES要素によって分離されている。
【0160】
特定の実施形態において、本開示は、例えば、1つ、2つ、またはそれを超える抗原受容体を含み得る多数のシストロンの、過剰発現が挙げられるコンビナトリアル発現を可能にする細胞工学用の系を提供する。特定の実施形態において、本明細書中に記載されるポリシストロニックベクターの使用により、ベクターは、同じmRNAから等モルレベルの多遺伝子産物を生成することが可能となる。多遺伝子は、CAR、TCR、サイトカイン、ケモカイン、ホーミング受容体、CRISPR/Cas9媒介性遺伝子変異、デコイ受容体、サイトカイン受容体、キメラサイトカイン受容体等を含み得るが、これらに限定されない。ベクターは、細胞アッセイおよび動物イメージング等のための1つ以上の蛍光または酵素レポーターをさらに含み得る。また、ベクターは、ベクターを有する細胞がもはや必要とされない場合の、またはこれが提供される宿主にとって有害となる場合の、当該細胞の終結のための自殺遺伝子産物を含み得る。
【0161】
特定の実施形態において、ベクターは、ウイルスベクター(例えば、レトロウイルスベクター、レンチウイルスベクター、アデノウイルスベクター、またはアデノ随伴ウイルスベクター)または非ウイルスベクターである。ベクターは、モロニーマウス白血病ウイルス(MMLV)5’LTR、3’LTR、および/またはpsiパッケージング要素を含み得る。特定の場合には、psiパッケージングは、5’LTRと抗原受容体コード配列との間に組み込まれる。ベクターは、pUC19配列を含んでも含まなくてもよい。ベクターの一部の態様において、少なくとも1つのシストロンは、サイトカイン(例えば、IL-15、IL-7、IL-21、IL-23、IL-18、IL-12、またはIL-2)、ケモカイン、サイトカイン受容体、および/またはホーミング受容体をコードする。
【0162】
2A切断部位がベクターに利用される場合、2A切断部位は、P2A、T2A、E2A、および/またはF2A部位を含み得る。
【0163】
制限酵素部位は、いかなる種類のものであってもよく、その認識部位に任意の数の塩基、例えば4~8塩基を含んでもよい;認識部位内の塩基数は、少なくとも4、5、6、7、8、またはそれを超えてもよい。切断された場合の部位は、平滑切断末端または粘着末端を生成し得る。制限酵素は、例えば、I型、II型、III型、またはIV型のものであり得る。制限酵素部位は、利用可能なデータベース、例えばIntegrated relational Enzyme database(IntEnz)またはBRENDA(The Comprehensive Enzyme Information System)から得ることができる。
【0164】
例示的なベクターは、環状であってよく、慣例により、位置1(円の上部の12時の位置、残りの配列は時計回りの方向にある)が5’LTRの出発点に設定される。
【0165】
自己切断性2Aペプチドが利用される実施形態において、2Aペプチドは、真核細胞における翻訳中にポリペプチドの「切断」を媒介する18~22アミノ酸(aa)長のウイルスオリゴペプチドであり得る。呼称「2A」は、ウイルスゲノムの特定の領域を指し、様々なウイルス2Aが一般的に、それらが由来するウイルスの後に命名されている。最初に発見された2AはF2A(口蹄疫ウイルス)であり、その後、E2A(ウマ鼻炎Aウイルス)、P2A(ブタテッショウウイルス-1 2A)、およびT2A(トセア・アシグナ(Thosea asigna)ウイルス2A)も特定された。2A媒介「自己切断」の機構は、2AのC末端でのグリシル-プロリルペプチド結合の形成をスキップするリボソームスキッピングであることが発見された。
【0166】
特定の場合には、ベクターはγ-レトロウイルス移入ベクターであり得る。レトロウイルス移入ベクターは、pUC19プラスミド(HindIIIとEcoRIの制限酵素部位間の大きな断片(2.63kb))等のプラスミドに基づく骨格を含み得る。骨格は、5’LTR、psiパッケージング配列、および3’LTRを含むモロニーマウス白血病ウイルス(MoMLV)由来のウイルス構成要素を有し得る。LTRは、レトロウイルスプロウイルスの両側に見出される長い末端反復配列であり、移入ベクターの場合、目的の遺伝的カーゴを囲っている。また、ヌクレオカプシドによるパッケージング用の標的部位であるpsiパッケージング配列は、シスで組み込まれて、5’LTRとCARコード配列との間に挟まれている。ゆえに、トランスファベクターの例の基本構造は、pUC19配列-5’LTR-psiパッケージング配列-目的の遺伝的カーゴ-3’LTR-pUC19配列のように構成され得る。また、当該系は、限定されないが、レンチウイルス、アデノウイルスAAV、および非ウイルスプラスミドが挙げられる他のウイルスベクターおよび非ウイルスベクターに使用され得る。
VII.細胞
【0167】
本開示は、抗原標的化CARをコードし、かつ少なくとも1つのサイトカインおよび/または少なくとも1つの自殺遺伝子をもコードし得る少なくとも1つのベクターを有するあらゆる種類の免疫細胞または幹細胞を包含する。場合によっては、様々なベクターが、自殺遺伝子および/またはサイトカインをコードするのと対比して、CARをコードする。NK細胞が挙げられる免疫細胞は、臍帯血(複数の源からプールされた臍帯血が挙げられる)、末梢血、人工多能性幹細胞(iPSC)、胚性幹細胞(ESC)、造血幹細胞(HSC)、骨髄、またはそれらの混合物に由来し得る。NK細胞は、例えば、以下に限定されないが、NK-92細胞等の細胞株に由来し得る。NK細胞は、CD56NK細胞等の臍帯血単核細胞であり得る。
【0168】
本開示は、従来のT細胞、ガンマ-デルタT細胞、NK TおよびインバリアントNKT細胞、制御性T細胞、マクロファージ、B細胞、樹状細胞、間葉系間質細胞(MSC)、またはそれらの混合物が挙げられる、あらゆる種類の免疫細胞または他の細胞を包含する。
【0169】
場合によっては、細胞は、適切なあらゆる比率が挙げられる有効量のユニバーサル抗原提示細胞(UAPC)の存在下で拡大した。細胞は、UAPCと、10:1~1:10;9:1~1:9;8:1~1:8;7:1~1:7;6:1~1:6;5:1~1:5;4:1~1:4;3:1~1:3;2:1~1:2;または1:1の比率(例えば1:2の比率が挙げられる)にて培養され得る。場合によっては、NK細胞を、例えば10~500、10~400、10~300、10~200、10~100、10~50、100~500、100~400、100~300、100~200、200~500、200~400、200~300、300~500、300~400、または400~500U/mLの濃度でのIL-2の存在下で、拡大させた。
【0170】
ベクターによる遺伝子修飾の後に、NK細胞は、直ちに注入されてもよいし、保存されてもよい。特定の態様において、遺伝子修飾後、細胞中への遺伝子導入後の約1、2、3、4、5日以内に、またはそれを超えて、細胞をバルク集団としてエクスビボで数日間、数週間、または数ヶ月間増殖させることができる。更なる態様において、トランスフェクタントがクローニングされて(クローンは、単一の組み込まれたか、またはエピソームによって維持された発現カセットまたはプラスミドの存在を示す)、抗原標的化CARの発現がエクスビボで拡大する。拡大のために選択されたクローンは、抗原発現標的細胞を特異的に認識して溶解する能力を実証する。組換え免疫細胞は、IL-2、または共通のガンマ鎖に結合する他のサイトカイン(例えば、IL-7、IL-12、IL-15、IL-21、IL-23等)による刺激によって拡大させることができる。組換え免疫細胞は、人工抗原提示細胞による刺激によって拡大し得る。更なる態様において、遺伝子修飾細胞は、凍結保存され得る。
【0171】
本開示の実施形態は、本明細書中に包含される1つ以上の抗原標的化CARおよび1つ以上の自殺遺伝子を発現する細胞を包含する。
【0172】
細胞は、個体から直接得られてもよいし、保管所または他の貯蔵施設から得られてもよい。治療法としての細胞は、治療法として細胞が提供される個体に対して自己由来であっても同種異系であってもよい。
【0173】
細胞は、医学的症状について治療を必要とする個体に由来し得、そして抗原標的化CAR、任意選択の自殺遺伝子、任意選択のサイトカイン、および任意選択の治療用遺伝子産物を(例えば、養子細胞療法のための形質導入および拡大のための標準的な技術を用いて)発現させる操作の後に、最初に供給された個体に戻され得る。場合によっては、細胞は、個体または別の個体に後に用いるために保存される。
【0174】
免疫細胞は、細胞の集団内に含まれ得、当該集団は、大部分が、1つ以上の抗原標的化受容体および/または1つ以上の自殺遺伝子および/または1つ以上のサイトカインで形質導入されていてよい。細胞集団は、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、または100%の、1つ以上の抗原標的化受容体および/または1つ以上の自殺遺伝子および/または1つ以上のサイトカインを形質導入した免疫細胞を含み得る。1つ以上の抗原標的化受容体および/または1つ以上の自殺遺伝子および/または1つ以上のサイトカインは、別個のポリペプチドであり得る。
【0175】
免疫細胞は、特定の目的に関してモジュールであるという意図のために、1つ以上の抗原標的化受容体および/または1つ以上の自殺遺伝子および/または1つ以上のサイトカインと共に生成され得る。例えば、抗原標的化CARおよび/または1つ以上の自殺遺伝子および/または1つ以上のサイトカインを発現する(またはその後の形質導入のために変異体をコードする核酸が分配されている)細胞が、例えば商業的流通用に生成され得、ユーザは、意図される目的に応じて、1つ以上の他の目的の遺伝子(治療用遺伝子が挙げられる)を発現するように細胞を修飾することができる。
【0176】
特定の実施形態において、NK細胞が利用されて、1つ以上の抗原標的化受容体および/または1つ以上の自殺遺伝子および/または1つ以上のサイトカインを発現する、形質導入されたNK細胞のゲノムが修飾され得る。ゲノムは、あらゆる様式で修飾され得るが、特定の実施形態において、ゲノムは、例えば、CRISPR遺伝子編集によって修飾される。細胞のゲノムは、あらゆる目的について細胞の有効性を増強するように修飾され得る。
VIII.細胞の遺伝子編集
【0177】
特定の実施形態において、本発明の細胞は、細胞内での1つ以上の内因性遺伝子の発現を修飾するように遺伝子編集されている。特定の場合には、細胞は、1つ以上の内因性遺伝子の発現の阻害(ノックアウトと称され得る)が挙げられる、1つ以上の内因性遺伝子の発現レベルの引下げがあるように修飾されている。そのような細胞は、拡大させてもさせなくてもよい。
【0178】
特定の場合には、細胞の1つ以上の内因性遺伝子が修飾されて、例えば、発現が破壊されて、発現が部分的または完全に引き下げられる。特定の場合には、1つ以上の遺伝子が、本開示のプロセスを用いてノックダウンまたはノックアウトされる。特定の場合には、多遺伝子がノックダウンまたはノックアウトされ、これは、それらの生成における同じ工程において起こっても起こらなくてもよい。細胞において編集される遺伝子は、いかなる種類のものであってもよいが、特定の実施形態において、当該遺伝子は、遺伝子産物が、細胞(一例として、臍帯血に由来するもの等の抗原特異的CAR NK細胞が挙げられる)の活性および/または増殖を阻害する遺伝子である。特定の場合には、細胞内で編集される遺伝子は、細胞が腫瘍微小環境においてより効果的に作用することを可能にする。特定の場合には、遺伝子は、NKG2A、SIGLEC-7、LAG3、TIM3、CISH、FOXO1、TGFBR2、TIGIT、CD96、ADORA2、NR3C1、PD1、PDL-1、PDL-2、CD47、SIRPA、SHIP1、ADAM17、RPS6、4EBP1、CD25、CD40、IL21R、ICAM1、CD95、CD80、CD86、IL10R、CD5、CD7、およびCD38の1つ以上である。特定の実施形態において、TGFBR2、CISH、および/またはCD38遺伝子は、細胞においてノックアウトまたはノックダウンされる。
【0179】
一部の実施形態において、遺伝子編集は、1つ以上のDNA結合核酸を用いて実行され、例えばRNAガイドエンドヌクレアーゼ(RGEN)を介した変更である。例えば、変更は、クラスター化して規則的な配置の短い回文配列リピート(CRISPR)およびCRISPR関連(Cas)タンパク質を用いて実行され得る。一部の実施形態において、Cas9の代わりにCpF1が利用される。一般に、「CRISPR系」は、集合的に、Cas遺伝子をコードする配列、tracr(トランス活性化CRISPR)配列(例えば、tracrRNAまたは活性部分tracrRNA)、tracr-mate配列(「直接反復」、内因性CRISPR系の文脈においてtracrRNAプロセスド部分直接反復を包含する)、ガイド配列(内因性CRISPR系の文脈において「スペーサ」とも称される)、ならびに/またはCRISPR遺伝子座からの他の配列および転写物が挙げられる、CRISPR関連(「Cas」)遺伝子の発現に関与するか、またはCRISPR関連(「Cas」)遺伝子の活性を指示する転写物および他の要素を指す。
【0180】
CRISPR/CasヌクレアーゼまたはCRISPR/Casヌクレアーゼ系は、DNAに配列特異的に結合する非コードRNA分子(ガイド)RNA、およびヌクレアーゼ機能性(例えば2つのヌクレアーゼドメイン)を有するCasタンパク質(例えばCas9)を含み得る。CRISPR系の1つ以上の要素が、I型、II型、またはIII型CRISPR系に由来し得、例えば、化膿連鎖球菌(Streptococcus pyogenes)等の、内因性CRISPR系を含む特定の生物に由来する。
【0181】
一部の態様において、CasヌクレアーゼおよびgRNA(標的配列に特異的なcrRNA、および固定tracrRNAの融合物が挙げられる)が細胞中に導入される。一般に、gRNAの5’末端の標的部位が、相補的塩基対合を用いて、Casヌクレアーゼを標的部位、例えば遺伝子に標的化する。標的部位は、典型的にはNGGまたはNAG等のプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)配列のすぐ5’側の位置に基づいて選択され得る。この点において、gRNAは、ガイドRNAの最初の20、19、18、17、16、15、14、14、12、11、または10ヌクレオチドを、標的DNA配列に対応するように修飾することによって、所望の配列に標的化される。一般に、CRISPR系は、標的配列の部位にてCRISPR複合体の形成を促進する要素を特徴とする。典型的には、「標的配列」は、一般に、ガイド配列が相補性を有するように設計されている配列であって、標的配列とガイド配列との間のハイブリダイゼーションがCRISPR複合体の形成を促進する配列を指す。ハイブリダイゼーションを引き起こして、CRISPR複合体の形成を促進するのに十分な相補性があるならば、完全な相補性は必ずしも必要とされない。
【0182】
CRISPR系は、本明細書中で論じられるように、標的部位にて二本鎖切断(DSB)を、続いて破壊または変更を誘導することができる。他の実施形態において、「ニッカーゼ」とみなされるCas9バリアントが用いられて、標的部位にて一本鎖にニックを入れる。対になったニッカーゼは、例えば特異性を向上させるのに用いられ得、それぞれ、ニックが同時に導入されると、5’オーバーハングが導入されるように、一対の異なるgRNA標的化配列によって導かれる。他の実施形態において、触媒的に不活性なCas9は、遺伝子発現に影響を及ぼすように、転写リプレッサまたは活性化因子等の異種エフェクタドメインに融合される。
【0183】
標的配列は、あらゆるポリヌクレオチド、例えばDNAまたはRNAポリヌクレオチドを含み得る。標的配列は、細胞の核または細胞質内、例えば細胞の細胞小器官内に位置決めされ得る。一般に、標的配列を含む標的遺伝子座中への組換えに用いられ得る配列または鋳型が、「編集鋳型」または「編集ポリヌクレオチド」または「編集配列」と称される。一部の態様において、外因性鋳型ポリヌクレオチドが、編集鋳型と称される場合がある。一部の態様において、組換えは相同組換えである。
【0184】
典型的には、内因性CRISPR系の文脈において、CRISPR複合体の形成(標的配列にハイブリダイズされて、1つ以上のCasタンパク質と複合体形成されるガイド配列を含む)は、標的配列内またはその近傍(例えば、標的配列から1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、50、またはそれを超える塩基対以内)で一方または双方の鎖の切断をもたらす。また、tracr配列は、野生型tracr配列(例えば、野生型tracr配列の約20、26、32、45、48、54、63、67、85、またはそれを超えるヌクレオチド)の全部または一部を含み得るか、またはそれからなり得るが、例えば、tracr配列の少なくとも一部に沿った、ガイド配列に作動可能に連結されたtracr mate配列の全部または一部とのハイブリダイゼーションによって、CRISPR複合体の一部を形成し得る。tracr配列は、ハイブリダイズしてCRISPR複合体の形成に関与するのに十分な、tracr mate配列に対する相補性(最適にアラインメントされたときのtracr mate配列の長さに沿って少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、または99%の配列相補性等)を有する。
【0185】
CRISPR系の要素の発現が1つ以上の標的部位にてCRISPR複合体の形成を指示するように、CRISPR系の1つ以上の要素の発現を駆動する1つ以上のベクターが細胞中に導入され得る。また、構成要素は、タンパク質および/またはRNAとして細胞に送達され得る。例えば、Cas酵素、tracr-mate配列に連結されたガイド配列、およびtracr配列がそれぞれ、別個のベクター上の別個の調節要素に作動可能に連結され得る。これ以外にも、同じまたは異なる調節要素から発現される要素の2つ以上が、単一のベクター内で、第1のベクター内に含まれないCRISPR系のあらゆる構成要素を提供する1つ以上の追加のベクターと組み合わされ得る。ベクターは、制限エンドヌクレアーゼ認識配列等の1つ以上の挿入部位(「クローニング部位」とも称される)を含み得る。一部の実施形態において、1つ以上の挿入部位は、1つ以上のベクターの1つ以上の配列要素の上流および/または下流に位置決めされている。多数の異なるガイド配列が用いられる場合、単一の発現構築物が用いられて、CRISPR活性を、細胞内の多数の異なる、対応する標的配列に標的化し得る。
【0186】
ベクターは、Casタンパク質等のCRISPR酵素をコードする酵素コード配列に作動可能に連結された調節要素を含み得る。Casタンパク質の非限定的な例として、Cas1、Cas1B、Cas2、Cas3、Cas4、Cas5、Cas6、Cas7、Cas8、Cas9(Csn1およびCsx12としても知られている)、Cas10、Csy1、Csy2、Csy3、Cse1、Cse2、Csc1、Csc2、Csa5、Csn2、Csm2、Csm3、Csm4、Csm5、Csm6、Cmr1、Cmr3、Cmr4、Cmr5、Cmr6、Csb1、Csb2、Csb3、Csx17、Csx14、Csx10、Csx16、CsaX、Csx3、Csx1、Csx15、Csfl、Csf2、Csf3、Csf4、Cpf1(Cas12a)、それらのホモログ、またはそれらの修飾バージョンが挙げられる。これらの酵素は知られている。例えば、化膿連鎖球菌(S.pyogenes)Cas9タンパク質のアミノ酸配列は、受託番号Q99ZW2でSwissProtデータベース内に見出され得る。
【0187】
CRISPR酵素は、Cas9(例えば、化膿連鎖球菌(S.pyogenes)または肺炎連鎖球菌(S.pneumonia)由来)であってよい。場合によっては、Cas9の代わりにCpf1(Cas12a)がエンドヌクレアーゼとして用いられてもよい。CRISPR酵素は、標的配列内かつ/または標的配列の相補体内等の標的配列の位置での一方または双方の鎖の切断を指示し得る。ベクターは、変異CRISPR酵素が、標的配列を含有する標的ポリヌクレオチドの一方または双方の鎖を切断する能力を欠くように、対応する野生型酵素に対して変異したCRISPR酵素をコードし得る。例えば、化膿連鎖球菌(S.pyogenes)由来のCas9のRuvCI触媒ドメインにおけるアスパラギン酸からアラニンへの置換(D10A)が、Cas9を、双方の鎖を切断するヌクレアーゼからニッカーゼ(一本鎖を切断する)に変換する。一部の実施形態において、Cas9ニッカーゼが、DNA標的のセンス鎖およびアンチセンス鎖をそれぞれ標的とするガイド配列、例えば2つのガイド配列と組み合わせて用いられ得る。この組合せは、双方の鎖にニックを入れて、NHEJまたはHDRを誘導するのに用いられるのを可能にする。
【0188】
一部の実施形態において、CRISPR酵素をコードする酵素コード配列が、真核細胞等の特定の細胞における発現のためにコドン最適化されている。真核細胞は、ヒト、マウス、ラット、ウサギ、イヌ、または非ヒト霊長類が挙げられるがこれらに限定されない哺乳動物等の特定の生物のものであり得るか、またはそれらに由来し得る。一般に、コドン最適化とは、目的の宿主細胞における発現を、ネイティブアミノ酸配列を維持しながら、ネイティブ配列の少なくとも1つのコドンを、当該宿主細胞の遺伝子においてより頻繁に、または最も頻繁に用いられるコドンで置換することによって増強するために核酸配列を修飾するプロセスを指す。種々の種が、特定のアミノ酸の特定のコドンについて、特定のバイアスを示す。コドンバイアス(生物間のコドン使用頻度の差異)は、多くの場合、メッセンジャーRNA(mRNA)の翻訳効率と相関し、これは、とりわけ、翻訳されることとなるコドンの特性、および特定の転移RNA(tRNA)分子の利用可能性に依存すると考えられる。細胞における選択されたtRNAの優位性は、一般に、ペプチド合成において最も頻繁に用いられるコドンの反映である。したがって、コドン最適化に基づいて、所与の生物における最適な遺伝子発現のために遺伝子を調整することができる。
【0189】
一般に、ガイド配列は、標的配列とハイブリダイズして、標的配列へのCRISPR複合体の配列特異的結合を指示するのに十分な、標的ポリヌクレオチド配列との相補性を有するあらゆるポリヌクレオチド配列である。一部の実施形態において、ガイド配列とその対応する標的配列との間の相補性の程度は、適切なアラインメントアルゴリズムを用いて最適にアラインメントされた場合、約50%、60%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、99%、またはそれを超える。
【0190】
最適なアラインメントは、配列をアラインするのに適したあらゆるアルゴリズムの使用により決定することができ、その非限定的な例として、Smith-Watermanアルゴリズム、Needleman-Wunschアルゴリズム、Burrows-Wheeler Transformに基づくアルゴリズム(例えば、Burrows Wheeler Aligner)、Clustal W、Clustal X、BLAT、Novoalign(Novocraft Technologies)、ELAND(Illumina,San Diego,Calif.)、SOAP(soap.genomics.org.cnにて入手可能)、およびMaq(maq.sourceforge.netにて入手可能)が挙げられる。
【0191】
CRISPR酵素は、1つ以上の異種タンパク質ドメインを含む融合タンパク質の一部であり得る。CRISPR酵素融合タンパク質は、追加のあらゆるタンパク質配列、および任意選択で2つのあらゆるドメイン間のリンカー配列を含み得る。CRISPR酵素に融合され得るタンパク質ドメインの例として、限定されないが、エピトープタグ、レポーター遺伝子配列、ならびに以下の活性:メチラーゼ活性、デメチラーゼ活性、転写活性化活性、転写抑制活性、転写放出因子活性、ヒストン修飾活性、RNA切断活性、および核酸結合活性のうちの1つ以上を有するタンパク質ドメインが挙げられる。エピトープタグの非限定的な例として、ヒスチジン(His)タグ、V5タグ、FLAGタグ、インフルエンザヘマグルチニン(HA)タグ、Mycタグ、VSV-Gタグ、およびチオレドキシン(Trx)タグが挙げられる。レポーター遺伝子の例として、グルタチオン-5-トランスフェラーゼ(GST)、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)ベータガラクトシダーゼ、ベータ-グルクロニダーゼ、ルシフェラーゼ、緑色蛍光タンパク質(GFP)、HcRed、DsRed、シアン蛍光タンパク質(CFP)、黄色蛍光タンパク質(YFP)、および青色蛍光タンパク質(BFP)が挙げられる自己蛍光タンパク質が挙げられるが、これらに限定されない。CRISPR酵素は、マルトース結合タンパク質(MBP)、Sタグ、Lex A DNA結合ドメイン(DBD)融合物、GAL4A DNA結合ドメイン融合物、および単純ヘルペスウイルス(HSV)BP16タンパク質融合物が挙げられるがこれらに限定されないDNA分子または他の細胞分子に結合するタンパク質またはタンパク質の断片をコードする遺伝子配列に融合され得る。CRISPR酵素を含む融合タンパク質の一部を形成し得る追加のドメインが、参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2011/0059502号明細書に記載されている。
IX.処置方法
【0192】
種々の実施形態において、その表面上で内因性抗原(例えばCD20)を発現する疾患細胞または他の細胞が、医学的症状を有する個体において医学的症状を向上させるために、あるいは個体において医学的症状のリスクを引き下げるか、または重症度および/もしくは発症を遅延させるために標的とされる。特定の場合には、内因性抗原を発現する癌細胞が、癌細胞を死滅させる目的で標的とされる。
【0193】
本明細書中で企図される抗原標的化CAR構築物、核酸配列、ベクター、免疫細胞等、および/またはそれらを含む医薬組成物が、腫瘍性疾患等の癌性疾患の予防、処置、または寛解に用いられる。
【0194】
抗原標的化受容体が利用される免疫細胞は、特定の実施形態において、NK細胞、T細胞、ガンマデルタT細胞、アルファベータT細胞、またはNKTもしくはインバリアントNKT(iNKT)、あるいは哺乳動物用の細胞療法のために操作されたインバリアントNKT細胞であり得る。細胞がNK細胞である場合、NK細胞療法は、いかなる種類のものであってもよく、NK細胞は、いかなる種類のものであってもよい。いくつかの実施形態において、本発明のNK細胞は、1つ以上の自殺遺伝子および/または1つ以上のサイトカインを発現するように操作されており、抗原標的化CARを発現しない。特定の実施形態において、本開示のNK細胞は、いかなる外因性遺伝子も発現するように操作されていない。
【0195】
特定の実施形態において、本開示は、部分的には、標準的なベクターおよび/または遺伝子送達系を用いて単独で、またはあらゆる組合せで、そして少なくとも一部の態様において、薬学的に許容される担体または賦形剤と共に投与され得る抗原 CAR発現細胞、抗原標的化CAR構築物、抗原標的化CAR核酸分子、および抗原標的化CARベクターを企図する。特定の実施形態において、投与後、核酸分子またはベクターは、対象のゲノム中に安定して組み込まれ得る。
【0196】
特定の実施形態において、特定の細胞または組織に特異的であり、かつNK細胞内で持続するウイルスベクターが用いられ得る。適切な医薬担体および賦形剤が、当該技術において周知である。本開示に従って調製される組成物は、上記の特定された疾患の予防もしくは処置または遅延のために用いられ得る。
【0197】
さらに、本開示は、腫瘍性疾患の予防、処置、または寛解のための方法であって、それを必要とする対象に、本明細書中で企図されるような、かつ/または本明細書中で企図されるようなプロセスによって生成される抗原標的化CAR、核酸配列、ベクターを発現する有効量の細胞を投与する工程を含む方法に関する。
【0198】
例示的な抗原標的化細胞の組成物の投与の可能な適応症は、例えば、B細胞悪性腫瘍、多発性骨髄腫、白血病、乳癌、神経膠芽腫、腎癌、膵臓癌、または肺癌が挙げられる腫瘍性疾患が挙げられる癌性疾患である。本開示の組成物の投与は、例えば、微小残存病変、早期癌、進行癌、ならびに/または転移癌および/もしくは難治性癌が挙げられる、全てのステージ(I、II、III、またはIV)および種類の癌に有用である。
【0199】
本開示はさらに、他の化合物、例えば、二重特異性抗体構築物、標的毒素、または免疫細胞を介して作用する他の化合物との同時投与プロトコルを包含する。本発明の化合物の同時投与のための臨床レジメンは、他の成分の投与と同時、前、または後の同時投与を包含し得る。特定の併用療法として、化学療法、放射線、外科手術、ホルモン療法、または他の種類の免疫療法が挙げられる。
【0200】
実施形態は、本明細書中で定義される構築物、本明細書中で定義される核酸配列、本明細書中で定義されるベクター、および/または本明細書中で定義される宿主細胞(免疫細胞等)を含むキットに関する。また、本開示のキットは、単独で、または医学的処置もしくは介入を必要とする個体に投与されることとなる更なる薬剤と組み合わせて、本明細書中で先に記載されるような医薬組成物を含むことが企図される。
A.医薬組成物
【0201】
また、本明細書中で提供されるのは、NK細胞(形質導入NK細胞、前活性化および拡大NK細胞、負荷NK細胞を含む)および薬学的に許容される担体を含む医薬組成物および製剤である。形質導入された細胞は、個体への移入に適した培地、および/または個体への移入前を含む凍結保存等の保存に適した培地中に含まれ得る。
【0202】
本明細書中に記載される医薬組成物および製剤は、凍結乾燥製剤または水溶液の形態で、所望の純度を有する活性成分(細胞等)を、1つ以上の任意選択の薬学的に許容される担体(Remington’s Pharmaceutical Sciences 22nd edition,2012)と混合することによって調製され得る。薬学的に許容される担体は、一般に、使用される投与量および濃度にて、レシピエントに対して非毒性であり、以下に限定されないが:リン酸、クエン酸、および他の有機酸等のバッファ;アスコルビン酸およびメチオニンが挙げられる酸化防止剤;防腐剤(オクタデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド;塩化ヘキサメトニウム;塩化ベンザルコニウム;塩化ベンゼトニウム;フェノール、ブチル、またはベンジルアルコール;メチルまたはプロピルパラベン等のアルキルパラベン;カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール;3-ペンタノール;およびm-クレゾール等);低分子量(約10残基未満)ポリペプチド;血清アルブミン、ゼラチン、もしくは免疫グロブリン等のタンパク質;ポリビニルピロリドン等の親水性ポリマー;グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、もしくはリジン等のアミノ酸;単糖類、二糖類、およびグルコース、マンノース、もしくはデキストリンが挙げられる他の炭水化物;EDTA等のキレート剤;スクロース、マンニトール、トレハロース、もしくはソルビトール等の糖;ナトリウム等の塩形成対イオン;金属錯体(例えば、Zn-タンパク質複合体);ならびに/またはポリエチレングリコール(PEG)等の非イオン性界面活性剤が挙げられる。本明細書中の例示的な薬学的に許容される担体としてさらに、間質性薬物分散剤、例えば、可溶性の中性活性ヒアルロニダーゼ糖タンパク質(sHASEGP)、例えばヒト可溶性PH-20ヒアルロニダーゼ糖タンパク質、例えばrHuPH20(HYLENEX(登録商標)、Baxter International,Inc.)が挙げられる。rHuPH20が挙げられる特定の例示的なsHASEGPおよび使用方法が、米国特許出願公開第2005/0260186号明細書および米国特許出願公開第2006/0104968号明細書に記載されている。一態様において、sHASEGPは、コンドロイチナーゼ等の1つ以上の追加のグリコサミノグリカナーゼと組み合わされる。
B.併用療法
【0203】
特定の実施形態において、本実施形態の組成物および方法は、少なくとも1つの追加の療法と組み合わせた免疫細胞集団(NK細胞集団が挙げられる)を包含する。追加の療法として、放射線療法、外科手術(例えば、乳腺腫瘤摘出術および乳房切除術)、化学療法、遺伝子療法、DNA療法、ウイルス療法、RNA療法、免疫療法、骨髄移植、ナノ療法、モノクローナル抗体療法、ホルモン療法、腫瘍溶解性ウイルス、または前述の組合せがあり得る。追加の療法は、アジュバント療法またはネオアジュバント療法の形態であり得る。
【0204】
一部の実施形態において、追加の療法は、小分子酵素阻害剤または抗転移剤の投与である。一部の実施形態において、追加の療法は、副作用制限剤(例えば、処置の副作用の発生および/または重症度を軽減することが意図される剤、例えば嘔吐抑制剤、その他)の投与である。一部の実施形態において、追加の療法は放射線療法である。一部の実施形態において、追加の療法は外科手術である。一部の実施形態において、追加の療法は、放射線療法および外科手術の組合せである。一部の実施形態において、追加の療法はガンマ線照射である。一部の実施形態において、追加の療法は、PBK/AKT/mTOR経路を標的とする療法、HSP90阻害剤、チューブリン阻害剤、アポトーシス阻害剤、および/または化学予防剤である。追加の療法は、当該技術において知られている1つ以上の化学療法剤であり得る。
【0205】
特定の実施形態において、本開示の本発明の細胞療法に加えて、個体は、外科手術、放射線、免疫療法(本開示の細胞療法以外)、ホルモン療法、遺伝子療法、化学療法等のうちの1つ以上が挙げられる、癌用の特定の追加の療法が施されていてもよく、施されてもよく、かつ/または施されることとなる。
【0206】
免疫細胞療法は、追加の癌治療に対して前、間、後に、または種々の組合せで施され得る。施用は、同時~数分~数日~数週に及ぶ間隔であり得る。免疫細胞療法が、追加の治療剤とは別に患者に施される実施形態において、当業者であれば、一般に、2つの化合物が、有利に組み合わされた効果を患者に対してなお発揮することができるように、重要な期間が各送達時間の間に失効しないことを確実にするであろう。そのような場合、互いに約12~24または72時間以内、より具体的には互いに約6~12時間以内に抗体療法および抗癌療法が患者に施され得ると考えられる。一部の状況では、それぞれの投与の間に数日(2、3、4、5、6、または7)~数週(1、2、3、4、5、6、7、または8)が経過する場合、処置期間を大きく延長することが望ましい場合がある。
【0207】
種々の組合せを使用することができる。以下の例では、免疫細胞療法は「A」であり、抗癌療法は「B」である。
A/B/A B/A/B B/B/A A/A/B A/B/B B/A/A A/B/B/B B/A/B/B
B/B/B/A B/B/A/B A/A/B/B A/B/A/B A/B/B/A B/B/A/A
B/A/B/A B/A/A/B A/A/A/B B/A/A/A A/B/A/A A/A/B/A
【0208】
本実施形態のあらゆる化合物または細胞療法を患者に施すには、もしあれば剤の毒性を考慮して、そのような化合物の投与のための一般的なプロトコルに従うこととなる。したがって、一部の実施形態において、併用療法に起因する毒性を監視する工程が存在する。
1.化学療法
【0209】
多種多様な化学療法剤が、本実施形態に従って用いられ得る。用語「化学療法」は、癌を処置するための薬物の使用を指す。「化学療法剤」は、癌の処置の際に投与される化合物または組成物を意味するのに用いられる。当該剤または薬物は、細胞内の活性様式によって、例えば、細胞周期に影響を及ぼすか、そしてどの段階で影響を及ぼすかで分類される。これ以外にも、剤は、DNAを直接架橋する能力、DNA中にインターカレートする能力、または核酸合成に影響を及ぼすことによって染色体異常および有糸分裂異常を誘導する能力に基づいて特徴付けられ得る。
【0210】
化学療法剤の例として、アルキル化剤、例えば、チオテパおよびシクロホスファミド;スルホン酸アルキル、例えば、ブスルファン、インプロスルファン、およびピポスルファン;アジリジン、例えば、ベンゾドーパ、カルボコン、メツレドーパ(meturedopa)、およびウレドーパ;エチレンイミンおよびメチルアメラミン(アルトレタミン、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホラミド、トリエチレンチオホスホラミド、およびトリメチロメラミンが挙げられる);アセトゲニン(とりわけ、ブラタシンおよびブラタシノン);カンプトテシン(合成類似体トポテカンが挙げられる);ブリオスタチン;カリスタチン;CC-1065(そのアドゼレシン、カルゼレシン、およびビゼレシン合成類似体が挙げられる);クリプトフィシン(特に、クリプトフィシン1およびクリプトフィシン8);ドラスタチン;デュオカルマイシン(合成類似体、KW-2189およびCB1-TM1が挙げられる);エレウテロビン;パンクラチスタチン;サルコジクチン;スポンジスタチン;ナイトロジェンマスタード、例えば、クロラムブシル、クロルナファジン、クロロフォスファミド、エストラムスチン、イホスファミド、メクロレタミン、メクロレタミンオキシドヒドロクロリド、メルファラン、ノベンビチン、フェネステリン、プレドニムスチン、トロフォスファミド、およびウラシルマスタード;ニトロソウレア、例えば、カルムスチン、クロロゾトシン、フォテムスチン、ロムスチン、ニムスチン、およびラニムスチン;抗生物質、例えば、エンジイン抗生物質(例えば、カリケアマイシン、とりわけ、カリケアマイシンガンマII(calicheamicin gammaII)およびカリケアマイシンオメガII(calicheamicin omegaII));ダイネマイシン(ダイネマイシンAが挙げられる);ビスホスホナート、例えばクロドロナート;エスペラマイシン;ならびにネオカルジノスタチンクロモフォアおよび関連する色素タンパク質エンジインアンチビオティッククロモフォア、アクラシノマイシン、アクチノマイシン、オートラルマイシン、アザセリン、ブレオマイシン、カクチノマイシン、カラビシン、カルミノマイシン、カルジノフィリン、クロモマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デトルビシン、6-ジアゾ-5-オキソ-L-ノルロイシン、ドキソルビシン(モルホリノ-ドキソルビシン、シアノモルホリノ-ドキソルビシン、2-ピロリノ-ドキソルビシン、およびデオキシドキソルビシンが挙げられる)、エピルビシン、エソルビシン、イダルビシン、マルセロマイシン、マイトマイシン、例えばマイトマイシンC、ミコフェノール酸、ノガラルナイシン(nogalarnycin)、オリボマイシン、ペプロマイシン、ポトフィロマイシン、ピューロマイシン、クエラマイシン、ロドルビシン、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン、ウベニメクス、ジノスタチン、およびゾルビシン;代謝拮抗薬、例えば、メトトレキサートおよび5-フルオロウラシル(5-FU);葉酸類似体、例えば、デノプテリン、プテロプテリン、およびトリメトレキサート;プリン類似体、例えば、フルダラビン、6-メルカプトプリン、チアミプリン、およびチオグアニン;ピリミジン類似体、例えば、アンシタビン、アザシチジン、6-アザウリジン、カルモフール、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン、およびフロクスウリジン;アンドロゲン、例えば、カルステロン、プロピオン酸ドロモスタノロン、エピチオスタノール、メピチオスタン、およびテストラクトン;抗副腎剤(anti-adrenals)、例えば、ミトタンおよびトリロスタン;葉酸補充剤、例えばフロリン酸;アセグラトン;アルドホスファミドグリコシド;アミノレブリン酸;エニルラシル;アムサクリン;ベストラブシル;ビサントレン;エダトラキサート;デフォファミン;デメコルシン;ジアジクォン;エルフォルミチン;酢酸エリプチニウム;エポチロン;エトグルシド;硝酸ガリウム;ヒドロキシウレア;レンチナン;ロニダミン(lonidainine);マイタンシノイド、例えば、マイタンシンおよびアンサマイトシン;ミトグアゾン;ミトキサントロン;モピダンモル(mopidanmol);ニトラエリン(nitraerine);ペントスタチン;フェナメット;ピラルビシン;ロソキサントロン;ポドフィリン酸;2-エチルヒドラジド;プロカルバジン;PSK多糖複合体;ラゾキサン;リゾキシン;シゾフィラン;スピロゲルマニウム;テヌアゾン酸;トリアジクオン;2,2’,2’’-トリクロロトリエチルアミン;トリコテセン(とりわけ、T-2トキシン、ベラキュリンA、ロリジンA、およびアングイジン);ウレタン;ビンデシン;ダカルバジン;マンノムスチン;ミトブロニトール;ミトラクトール;ピポブロマン;ガシトシン;アラビノシド(「Ara-C」);シクロホスファミド;タキソイド、例えば、パクリタキセルおよびドセタキセルゲムシタビン;6-チオグアニン;メルカプトプリン;白金配位錯体、例えば、シスプラチン、オキサリプラチン、およびカルボプラチン;ビンブラスチン;白金;エトポシド(VP-16);イホスファミド;ミトキサントロン;ビンクリスチン;ビノレルビン;ノバントロン;テニポシド;エダトレキサート;ダウノマイシン;アミノプテリン;ゼロダ;イバンドロナート;イリノテカン(例えばCPT-11);トポイソメラーゼ阻害剤RFS 2000;ジフルオロメチルオルニチン(DMFO);レチノイド、例えばレチノイン酸;カペシタビン;カルボプラチン、プロカルバジン、プリカマイシン(plicomycin)、ゲムシタビン、ナベルビン、ファルネシル-タンパク質トランスフェラーゼ阻害剤、トランス白金、ならびに先のいずれかの薬学的に許容される塩、酸、または誘導体が挙げられる。
2.放射線療法
【0211】
DNA損傷を引き起こし、かつ広く用いられてきた他の因子として、γ線、X線、および/または腫瘍細胞への放射性同位体の指向性送達として一般に知られているものが挙げられる。また、マイクロ波、陽子ビーム照射(米国特許第5,760,395号明細書および米国特許第4,870,287号明細書)、およびUV照射等の他の形態のDNA損傷因子が企図される。これらの因子は全て、DNA、DNAの前駆体、DNAの複製および修復、ならびに染色体のアセンブリおよび維持に対する広範囲の損傷に影響を及ぼす可能性が最も高い。X線の線量範囲は、長期間(3~4週)の50~200レントゲンの1日線量から、2000~6000レントゲンの単回線量に及ぶ。放射性同位体の線量範囲は、広く変動し、同位体の半減期、放たれる放射線の強度および種類、ならびに新生物細胞による取込みによって決まる。
3.免疫療法
【0212】
当業者であれば、免疫療法が、実施形態の方法と併用され得、もしくは組み合わせて用いられ得ることを理解するであろう。癌処置の文脈において、免疫療法は、一般に、癌細胞を標的として破壊するための免疫エフェクタ細胞および分子の使用に依存する。リツキシマブ(RITUXAN(登録商標))がそのような例である。免疫エフェクタは、例えば、腫瘍細胞の表面上のいくつかのマーカーに特異的な抗体であり得る。抗体は単独で、療法のエフェクタとして機能し得るか、または他の細胞を動員して細胞死に実際に影響を及ぼし得る。また、抗体は、薬物または毒素(化学療法剤、放射性核種、リシンA鎖、コレラ毒素、百日咳毒素、その他)にコンジュゲートされて、標的化剤として機能し得る。これ以外にも、エフェクタは、腫瘍細胞標的と直接的または間接的に相互作用する表面分子を担持するリンパ球であり得る。種々のエフェクタ細胞として、細胞傷害性T細胞およびNK細胞が挙げられる。
【0213】
抗体-薬物コンジュゲートは、癌治療薬の開発への画期的なアプローチとして出現した。癌は、世界における主要な死因の1つである。抗体-薬物コンジュゲート(ADC)は、細胞死滅薬物に共有結合したモノクローナル抗体(MAb)を含む。このアプローチは、抗原標的に対するMAbの高い特異性を、高度に強力な細胞傷害性薬物と組み合わせて、抗原レベルが富化された腫瘍細胞にペイロード(薬物)を送達する「武装」MAbをもたらす。また、薬物の標的送達は、正常組織における曝露を最小限に抑えて、毒性の低下および治療指数の改善をもたらす。FDAによる2011年のADCETRIS(登録商標)(ブレンツキシマブベドチン)および2013年のKADCYLA(登録商標)(トラスツズマブエムタンシンまたはT-DM1)という2つのADC薬物の承認は、当該アプローチを検証した。現在、癌処置のための臨床試験の種々の段階において、30を超えるADC薬物候補が存在する(Leal et al.,2014)。抗体工学およびリンカー-ペイロード最適化がますます成熟してきているので、新しいADCの発見および開発は、このアプローチおよび標的化MAbの生成に適した新しい標的の同定および検証にますます依存している。ADC標的についての2つの基準は、腫瘍細胞における発現の上方制御/高いレベル、およびロバストな内在化である。
【0214】
免疫療法の一態様において、腫瘍細胞は、標的化に適した、すなわち他の細胞の大部分に存在しない何らかのマーカーを有していなければならない。多くの腫瘍マーカーが存在し、これらはいずれも、本実施形態の文脈における標的化に適し得る。一般的な腫瘍マーカーとして、CD20、癌胎児性抗原、チロシナーゼ(p97)、gp68、TAG-72、HMFG、シアリルルイス抗原、MucA、MucB、PLAP、ラミニン受容体、erb B、およびp155が挙げられる。免疫療法の代替的な態様は、抗癌効果を免疫刺激効果と組み合わせるものである。また、IL-2、IL-4、IL-12、GM-CSF、ガンマ-IFN等のサイトカイン、MIP-1、MCP-1、IL-8等のケモカイン、およびFLT3リガンド等の増殖因子が挙げられる免疫刺激分子が存在する。
【0215】
現在調査中または使用中の免疫療法の例として、免疫アジュバント、例えば、ウシ型結核菌(Mycobacterium bovis)、熱帯熱マラリア原虫(Plasmodium falciparum)、ジニトロクロロベンゼン、および芳香族化合物(米国特許第5,801,005号明細書および米国特許第5,739,169号明細書;Hui and Hashimoto,1998;Christodoulides et al.,1998);サイトカイン療法、例えば、インターフェロンα、β、およびγ、IL-1、GM-CSF、ならびにTNF(Bukowski et al.,1998;Davidson et al.,1998;Hellstrand et al.,1998);遺伝子療法、例えば、TNF、IL-1、IL-2、およびp53(Qin et al.,1998;Austin-Ward and Villaseca,1998;米国特許第5,830,880号明細書および米国特許第5,846,945号明細書);ならびにモノクローナル抗体、例えば、抗CD20、抗ガングリオシドGM2、および抗p185(Hollander,2012;Hanibuchi et al.,1998;米国特許第5,824,311号明細書)がある。1つ以上の抗癌療法が、本明細書中に記載される抗体療法と共に使用され得ることが企図される。
【0216】
一部の実施形態において、免疫療法は、免疫チェックポイント阻害剤であり得る。免疫チェックポイントは、シグナル(例えば共刺激分子)を強くするか、またはシグナルを弱くする。免疫チェックポイント遮断によって標的とされ得る阻害性免疫チェックポイントとして、アデノシンA2A受容体(A2AR)、B7-H3(CD276としても知られている)、BおよびTリンパ球アテニュエータ(BTLA)、細胞傷害性Tリンパ球関連タンパク質4(CTLA-4、CD152としても知られている)、インドールアミン2,3-ジオキシゲナーゼ(IDO)、キラー細胞免疫グロブリン(KIR)、リンパ球活性化遺伝子-3(LAG3)、プログラム死1(PD-1)、T細胞免疫グロブリンドメインおよびムチンドメイン3(TIM-3)、ならびにT細胞活性化のVドメインIgサプレッサ(VISTA)が挙げられる。特に、免疫チェックポイント阻害剤は、PD-1軸および/またはCTLA-4を標的とする。
【0217】
免疫チェックポイント阻害剤は、小分子等の薬物、リガンドもしくは受容体の組換え形態であり得るか、または特に、ヒト抗体(例えば、国際公開第2015/016718号;Pardoll,Nat Rev Cancer,12(4):252-64,2012;双方とも参照により本明細書に組み込まれる)等の抗体である。免疫チェックポイントタンパク質またはその類似体の知られている阻害剤が用いられ得、特にキメラ化、ヒト化、またはヒト形態の抗体が用いられ得る。当業者が知っている代替的かつ/または同等の名称が、本開示において言及される特定の抗体に用いられ得る。そのような代替的かつ/または同等の名称は、本開示の文脈において交換可能である。例えば、ラムブロリズマブは、MK-3475およびペンブロリズマブという代替的かつ同等の名称でも知られていることが知られている。
【0218】
一部の実施形態において、PD-1結合アンタゴニストは、PD-1の、そのリガンド結合パートナーへの結合を阻害する分子である。特定の態様において、PD-1リガンド結合パートナーは、PDL1および/またはPDL2である。別の実施形態において、PDL1結合アンタゴニストは、PDL1の、その結合パートナーへの結合を阻害する分子である。特定の態様において、PDL1結合パートナーは、PD-1および/またはB7-1である。別の実施形態において、PDL2結合アンタゴニストは、PDL2の、その結合パートナーへの結合を阻害する分子である。特定の態様において、PDL2結合パートナーはPD-1である。アンタゴニストは、抗体、その抗原結合断片、イムノアドヘシン、融合タンパク質、またはオリゴペプチドであり得る。例示的な抗体が、米国特許第8,735,553号明細書、米国特許第8,354,509号明細書、および米国特許第8,008,449号明細書に記載されており、これらは全て、参照により本明細書に組み込まれる。本明細書中で提供される方法に用いられる他のPD-1軸アンタゴニストが、米国特許出願公開第2014/0294898号明細書、米国特許出願公開第2014/022021号明細書、および米国特許出願公開第2011/0008369号明細書(全て、参照により本明細書に組み込まれる)に記載されるように、当該技術において知られている。
【0219】
一部の実施形態において、PD-1結合アンタゴニストは、抗PD-1抗体(例えば、ヒト抗体、ヒト化抗体、またはキメラ抗体)である。一部の実施形態において、抗PD-1抗体は、ニボルマブ、ペンブロリズマブ、およびCT-011からなる群から選択される。一部の実施形態において、PD-1結合アンタゴニストは、イムノアドヘシン(例えば、定常領域(例えば、免疫グロブリン配列のFc領域)に融合されたPDL1またはPDL2の細胞外またはPD-1結合部分を含むイムノアドヘシン)である。一部の実施形態において、PD-1結合アンタゴニストはAMP-224である。ニボルマブは、MDX-1106-04、MDX-1106、ONO-4538、BMS-936558、およびOPDIVO(登録商標)としても知られており、国際公開第2006/121168号に記載される抗PD-1抗体である。ペンブロリズマブは、MK-3475、Merck 3475、ラムブロリズマブ、KEYTRUDA(登録商標)、およびSCH-900475としても知られており、国際公開第2009/114335号に記載される抗PD-1抗体である。CT-011は、hBATまたはhBAT-1としても知られており、国際公開第2009/101611号に記載される抗PD-1抗体である。AMP-224は、B7-DCIgとしても知られており、国際公開第2010/027827号および国際公開第2011/066342号に記載されるPDL2-Fc融合可溶性受容体である。
【0220】
本明細書中で提供される方法において標的とされ得る別の免疫チェックポイントは、CD152としても知られている細胞傷害性Tリンパ球関連タンパク質4(CTLA-4)である。ヒトCTLA-4の完全なcDNA配列は、Genbank寄託番号L15006を有する。CTLA-4は、T細胞の表面上に見出され、抗原提示細胞の表面上のCD80またはCD86に結合した場合に、「オフ」スイッチとして作用する。CTLA4は、ヘルパーT細胞の表面上に発現されて、阻害性シグナルをT細胞に伝達する免疫グロブリンスーパーファミリーのメンバーである。CTLA4は、T細胞共刺激タンパク質CD28に類似しており、双方の分子は、抗原提示細胞上のそれぞれB7-1およびB7-2とも呼ばれるCD80およびCD86に結合する。CTLA4は阻害シグナルをT細胞に伝達するが、CD28は刺激シグナルを伝達する。また、細胞内CTLA4は、制御性T細胞において見出され、その機能にとって重要であり得る。T細胞受容体およびCD28を介したT細胞活性化は、B7分子の阻害性受容体であるCTLA-4の発現の増大をもたらす。
【0221】
一部の実施形態において、免疫チェックポイント阻害剤は、抗CTLA-4抗体(例えば、ヒト抗体、ヒト化抗体、またはキメラ抗体)、その抗原結合断片、イムノアドヘシン、融合タンパク質、またはオリゴペプチドである。
【0222】
本方法での使用に適した抗ヒトCTLA-4抗体(またはそれに由来するVHおよび/またはVLドメイン)は、当該技術において周知の方法を用いて生成され得る。これ以外にも、当該技術において認識されている抗CTLA-4抗体が用いられ得る。例えば、米国特許第8,119,129号明細書、国際公開第01/14424号、国際公開第98/42752号、国際公開第00/37504号(CP675,206号明細書、トレメリムマブとしても知られている;以前はチシリムマブ)、米国特許第6,207,156号明細書;Hurwitゼータl.(1998)Proc Natl Acad Sci USA 95(17):10067-10071;Camacho et al.(2004)J Clin Oncology 22(145):Abstract No.2505(抗体CP-675206);およびMokyr et al.(1998)Cancer Res 58:5301-5304に開示される抗CTLA-4抗体が、本明細書中で開示される方法に用いられ得る。前述の刊行物の各々の教示は、参照により本明細書に組み込まれる。また、CTLA-4への結合について、これらの当該技術において認識されている抗体のいずれかと競合する抗体が用いられ得る。例えば、ヒト化CTLA-4抗体は、国際公開第2001/014424号、国際公開第2000/037504号、および米国特許第8,017,114号明細書(全て、参照により本明細書に組み込まれる)に記載されている。
【0223】
例示的な抗CTLA-4抗体は、イピリムマブ(10D1、MDX-010、MDX-101、およびYervoy(登録商標)としても知られている)またはその抗原結合断片およびバリアント(例えば、国際公開第01/14424号参照)である。他の実施形態において、抗体は、イピリムマブの重鎖および軽鎖のCDRまたはVRを含む。したがって、一実施形態において、抗体は、イピリムマブのVH領域のCDR1、CDR2、およびCDR3ドメイン、ならびにイピリムマブのVL領域のCDR1、CDR2、およびCDR3ドメインを含む。別の実施形態において、抗体は、上記の抗体と同じ、CTLA-4上のエピトープとの結合について競合し、かつ/またはこれに結合する。別の実施形態において、抗体は、上述の抗体と少なくとも約90%の可変領域アミノ酸配列同一性(例えば、イピリムマブと少なくとも約90%、95%、または99%の可変領域同一性)を有する。
【0224】
CTLA-4を調節するための他の分子として、米国特許第5,844,905号明細書、米国特許第5,885,796号明細書、ならびに国際公開第1995/001994号および国際公開第1998/042752号(全て、参照により本明細書に組み込まれる)に記載されているようなCTLA-4リガンドおよび受容体、ならびに米国特許第8,329,867号明細書(参照により本明細書に組み込まれる)に記載されるようなイムノアドヘシンが挙げられる。
4.外科手術
【0225】
癌を患う人のおよそ60%が、予防的な、診断的な、または病期分類する(staging)根治目的の手術および緩和手術が挙げられる何らかの種類の外科手術を受けることとなる。根治目的の手術として、癌性組織の全てまたは一部が物理的に除去、切除、かつ/または破壊される切除が挙げられ、本実施形態の処置、化学療法、放射線療法、ホルモン療法、遺伝子療法、免疫療法、および/または代替療法等の他の療法と組み合わせて用いられ得る。腫瘍切除術は、腫瘍の少なくとも一部の物理的除去を指す。腫瘍切除術に加えて、外科手術による処置として、レーザー手術、凍結手術、電気手術、および顕微鏡下手術(Mohs手術)が挙げられる。
【0226】
癌性細胞、組織、または腫瘍の一部または全部を切除すると、体内に空洞が形成され得る。処置は、追加の抗癌療法による領域の灌流、直接注射、または局所施用によって達成され得る。そのような処置は、例えば、1、2、3、4、5、6、もしくは7日毎、または1、2、3、4、および5週毎、または1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、もしくは12ヶ月毎に繰り返され得る。これらの処置は、同様に、投与量を変えるものであってもよい。
5.その他の薬剤
【0227】
他の薬剤が、本実施形態の特定の態様と組み合わせて用いられて、処置の治療有効性を向上させることができると考えられる。これらの追加の剤として、細胞表面受容体およびGAP接合部の上方制御に影響を及ぼす剤、細胞増殖抑制剤および分化剤、細胞接着の阻害剤、アポトーシス誘導因子に対する過剰増殖性細胞の感受性を増大させる剤、または他の生物学的剤が挙げられる。GAP接合部の数を増やすことによる細胞間シグナル伝達の増大が、隣接する過剰増殖性細胞集団に及ぼす抗過剰増殖効果を増大させるであろう。他の実施形態において、細胞増殖抑制剤または分化剤が、本実施形態の特定の態様と組み合わせて用いられて、処置の抗過剰増殖効果を向上させることができる。細胞接着の阻害剤が、本実施形態の有効性を向上させると考えられる。細胞接着阻害剤の例として、焦点接着キナーゼ(FAK)阻害剤およびロバスタチンがある。さらに、アポトーシスに対する過剰増殖性細胞の感受性を増大させる他の剤、例えば抗体c225が、本実施形態の特定の態様と組み合わせて用いられて、処置効力を向上させることができると考えられる。
X.タンパク質
【0228】
本明細書中で用いられる「タンパク質」または「ポリペプチド」は、少なくとも3つのアミノ酸残基を含む分子を指す。本明細書中で用いられる用語「野生型」は、生物において天然に生じる分子の内因性バージョンを指す。一部の実施形態において、野生型バージョンのタンパク質またはポリペプチドが使用される。しかしながら、本開示の多くの実施形態において、修飾タンパク質またはポリペプチドが、免疫応答を生成するために使用される。上記の用語は、互換的に用いられ得る。「修飾タンパク質」または「修飾ポリペプチド」または「バリアント」は、その化学構造、特にそのアミノ酸配列が野生型タンパク質またはポリペプチドに対して変化しているタンパク質またはポリペプチドを指す。一部の実施形態において、修飾/バリアントタンパク質またはポリペプチドは、少なくとも1つの修飾された活性または機能を有する(タンパク質またはポリペプチドが、多数の活性または機能を有し得ることを認識する)。修飾/バリアントタンパク質またはポリペプチドは、1つの活性または機能に関して変更され得るが、免疫原性のような他の点では、野生型の活性または機能を保持し得ることが特に企図される。
【0229】
タンパク質が本明細書で具体的に言及される場合、一般に、天然(野生型)もしくは組換え(修飾)タンパク質、または任意選択で、任意のシグナル配列が除去されているタンパク質を指す。タンパク質は、天然の生物から直接単離されてもよいし、組換えDNA/外因性発現方法によって生成されてもよいし、固相ペプチド合成(SPPS)または他のインビトロ方法によって生成されてもよい。特定の実施形態において、ポリペプチド(例えば、抗体またはその断片)をコードする核酸配列を組み込んだ単離核酸セグメントおよび組換えベクターが存在する。用語「組換え」は、ポリペプチド、または特定のポリペプチドの名称と共に用いられ得、これは一般に、インビトロで操作されたか、またはそのような分子の複製産物である核酸分子から生成されるポリペプチドを指す。
【0230】
特定の実施形態において、タンパク質またはポリペプチド(野生型または改変型)のサイズは、以下を含み得るが、これらに限定されない。
5, 6, 7, 8, 9, 10, 11, 12, 13, 14, 15, 16, 17, 18, 19, 20, 21, 22, 23, 24, 25, 26, 27, 28, 29, 30, 31, 32, 33, 34, 35, 36, 37, 38, 39, 40, 41, 42, 43, 44, 45, 46, 47, 48, 49, 50, 51, 52, 53, 54, 55, 56, 57, 58, 59, 60, 61, 62, 63, 64, 65, 66, 67, 68, 69, 70, 71, 72, 73, 74, 75, 76, 77, 78, 79, 80, 81, 82, 83, 84, 85, 86, 87, 88, 89, 90, 91, 92, 93, 94, 95, 96, 97, 98, 99, 100, 110, 120, 130, 140, 150, 160, 170, 180, 190, 200, 210, 220, 230, 240, 250, 275, 300, 325, 350, 375, 400, 425, 450, 475, 500, 525, 550, 575, 600, 625, 650, 675, 700, 725, 750, 775, 800, 825, 850, 875, 900, 925, 950, 975, 1000, 1100, 1200, 1300, 1400, 1500, 1750, 2000, 2250, 2500 アミノ酸残基以上、およびそこから誘導可能な任意の範囲、または本明細書に記載または参照される対応するアミノ酸配列の誘導体である。ポリペプチドは、切断によって変異され、対応する野生型よりも短くされ、また、特定の機能(例えば、標的化または局在化のため、免疫原性の増強のため、精製の目的のためなど)を有する異種タンパク質またはポリペプチド配列を融合または結合させることによって改変され得ることが企図される。本明細書で使用される場合、用語「ドメイン」は、タンパク質またはポリペプチドの任意の別個の機能的または構造的単位を指し、一般に、当業者に認識可能な構造または機能を有するアミノ酸の配列を指す。
【0231】
本開示のポリペプチド、タンパク質、またはこのようなポリペプチドもしくはタンパク質をコードするポリヌクレオチドは、以下を含み得る。
配列番号1~31と、1, 2, 3, 4, 5, 6, 7, 8, 9, 10, 11, 12, 13, 14, 15, 16, 17, 18, 19, 20, 21, 22, 23, 24, 25, 26, 27, 28, 29, 30, 31, 32, 33, 34, 35, 36, 37, 38, 39, 40, 41, 42, 43, 44, 45, 46, 47, 48, 49, 又は 50 (またはその誘導可能な範囲)以上の変異アミノ酸または核酸置換であるか、
または少なくとも 60%, 61%, 62%, 63%, 64%, 65%, 66%, 67%, 68%, 69%, 70%, 71%, 72%, 73%, 74%, 75%, 76%, 77%, 78%, 79%, 80%, 81%, 82%, 83%, 84%, 85%, 86%, 87%, 88%, 89%, 90%, 91%, 92%, 93%, 94%, 95%, 96%, 97%, 98%, 99%, 又は 100% (またはそこから派生する範囲)と、類似、同一、または相同であるか
最大で、3, 4, 5, 6, 7, 8, 9, 10, 11, 12, 13, 14, 15, 16, 17, 18, 19, 20, 21, 22, 23, 24, 25, 26, 27, 28, 29, 30, 31, 32, 33, 34, 35, 36, 37, 38, 39, 40, 41, 42, 43, 44, 45, 46, 47, 48, 49, 50, 51, 52, 53, 54, 55, 56, 57, 58, 59, 60, 61, 62, 63, 64, 65, 66, 67, 68, 69, 70, 71, 72, 73, 74, 75, 76, 77, 78, 79, 80, 81, 82, 83, 84, 85, 86, 87, 88, 89, 90, 91, 92, 93, 94, 95, 96, 97, 98, 99, 100, 101, 102, 103, 104, 105, 106, 107, 108, 109, 110, 111, 112, 113, 114, 115, 116, 117, 118, 119, 120, 121, 122, 123, 124, 125, 126, 127, 128, 129, 130, 131, 132, 133, 134, 135, 136, 137, 138, 139, 140, 141, 142, 143, 144, 145, 146, 147, 148, 149, 150, 151, 152, 153, 154, 155, 156, 157, 158, 159, 160, 161, 162, 163, 164, 165, 166, 167, 168, 169, 170, 171, 172, 173, 174, 175, 176, 177, 178, 179, 180, 181, 182, 183, 184, 185, 186, 187, 188, 189, 190, 191, 192, 193, 194, 195, 196, 197, 198, 199, 200, 201, 202, 203, 204, 205, 206, 207, 208, 209, 210, 211, 212, 213, 214, 215, 216, 217, 218, 219, 220, 221, 222, 223, 224, 225, 226, 227, 228, 229, 230, 231, 232, 233, 234, 235, 236, 237, 238, 239, 240, 241, 242, 243, 244, 245, 246, 247, 248, 249, 250, 300, 400, 500, 550, 1000 あるいはそれ以上の連続するアミノ酸又は核酸又はその誘導される範囲。
【0232】
いくつかの実施形態において、タンパク質、ポリペプチド、またはポリヌクレオチドは、以下を含み得る。
配列番号1~31の配列のいずれかの 1, 2, 3, 4, 5, 6, 7, 8, 9, 10, 11, 12, 13, 14, 15, 16, 17, 18, 19, 20, 21, 22, 23, 24, 25, 26, 27, 28, 29, 30, 31, 32, 33, 34, 35, 36, 37, 38, 39, 40, 41, 42, 43, 44, 45, 46, 47, 48, 49, 50, 51, 52, 53, 54, 55, 56, 57, 58, 59, 60, 61, 62, 63, 64, 65, 66, 67, 68, 69, 70, 71, 72, 73, 74, 75, 76, 77, 78, 79, 80, 81, 82, 83, 84, 85, 86, 87, 88, 89, 90, 91, 92, 93, 94, 95, 96, 97, 98, 99, 100, 101, 102, 103, 104, 105, 106, 107, 108, 109, 110, 111, 112, 113, 114, 115, 116, 117, 118, 119, 120, 121, 122, 123, 124, 125, 126, 127, 128, 129, 130, 131, 132, 133, 134, 135, 136, 137, 138, 139, 140, 141, 142, 143, 144, 145, 146, 147, 148, 149, 150, 151, 152, 153, 154, 155, 156, 157, 158, 159, 160, 161, 162, 163, 164, 165, 166, 167, 168, 169, 170, 171, 172, 173, 174, 175, 176, 177, 178, 179, 180, 181, 182, 183, 184, 185, 186, 187, 188, 189, 190, 191, 192, 193, 194, 195, 196, 197, 198, 199, 200, 201, 202, 203, 204, 205, 206, 207, 208, 209, 210, 211, 212, 213, 214, 215, 216, 217, 218, 219, 220, 221, 222, 223, 224, 225, 226, 227, 228, 229, 230, 231, 232, 233, 234, 235, 236, 237, 238, 239, 240, 241, 242, 243, 244, 245, 246, 247, 248, 249, 250, 251, 252, 253, 254, 255, 256, 257, 258, 259, 260, 261, 262, 263, 264, 265, 266, 267, 268, 269, 270, 271, 272, 273, 274, 275, 276, 277, 278, 279, 280, 281, 282, 283, 284, 285, 286, 287, 288, 289, 290, 291, 292, 293, 294, 295, 296, 297, 298, 299, 300, 301, 302, 303, 304, 305, 306, 307, 308, 309, 310, 311, 312, 313, 314, 315, 316, 317, 318, 319, 320, 321, 322, 323, 324, 325, 326, 327, 328, 329, 330, 331, 332, 333, 334, 335, 336, 337, 338, 339, 340, 341, 342, 343, 344, 345, 346, 347, 348, 349, 350, 351, 352, 353, 354, 355, 356, 357, 358, 359, 360, 361, 362, 363, 364, 365, 366, 367, 368, 369, 370, 371, 372, 373, 374, 375, 376, 377, 378, 379, 380, 381, 382, 383, 384, 385, 386, 387, 388, 389, 390, 391, 392, 393, 394, 395, 396, 397, 398, 399, 400, 401, 402, 403, 404, 405, 406, 407, 408, 409, 410, 411, 412, 413, 414, 415, 416, 417, 418, 419, 420, 421, 422, 423, 424, 425, 426, 427, 428, 429, 430, 431, 432, 433, 434, 435, 436, 437, 438, 439, 440, 441, 442, 443, 444, 445, 446, 447, 448, 449, 450, 451, 452, 453, 454, 455, 456, 457, 458, 459, 460, 461, 462, 463, 464, 465, 466, 467, 468, 469, 470, 471, 472, 473, 474, 475, 476, 477, 478, 479, 480, 481, 482, 483, 484, 485, 486, 487, 488, 489, 490, 491, 492, 493, 494, 495, 496, 497, 498, 499, 500, 501, 502, 503, 504, 505, 506, 507, 508, 509, 510, 511, 512, 513, 514, 515, 516, 517, 518, 519, 520, 521, 522, 523, 524, 525, 526, 527, 528, 529, 530, 531, 532, 533, 534, 535, 536, 537, 538, 539, 540, 541, 542, 543, 544, 545, 546, 547, 548, 549, 550, 551, 552, 553, 554, 555, 556, 557, 558, 559, 560, 561, 562, 563, 564, 565, 566, 567, 568, 569, 570, 571, 572, 573, 574, 575, 576, 577, 578, 579, 580, 581, 582, 583, 584, 585, 586, 587, 588, 589, 590, 591, 592, 593, 594, 595, 596, 597, 598, 599, 600, 601, 602, 603, 604, 605, 606, 607, 608, 609, 610, 611, 612, 613, 614, 615, 616, 617, 618, 619, 620, 621, 622, 623, 624, 625, 626, 627, 628, 629, 630, 631, 632, 633, 634, 635, 636, 637, 638, 639, 640, 641, 642, 643, 644, 645, 646, 647, 648, 649, 650, 651, 652, 653, 654, 655, 656, 657, 658, 659, 660, 661, 662, 663, 664, 665, 666, 667, 668, 669, 670, 671, 672, 673, 674, 675, 676, 677, 678, 679, 680, 681, 682, 683, 684, 685, 686, 687, 688, 689, 690, 691, 692, 693, 694, 695, 696, 697, 698, 699, 700, 701, 702, 703, 704, 705, 706, 707, 708, 709, 710, 711, 712, 713, 714, 715, 716, 717, 718, 719, 720, 721, 722, 723, 724, 725, 726, 727, 728, 729, 730, 731, 732, 733, 734, 735, 736, 737, 738, 739, 740, 741, 742, 743, 744, 745, 746, 747, 748, 749, 750, 751, 752, 753, 754, 755, 756, 757, 758, 759, 760, 761, 762, 763, 764, 765, 766, 767, 768, 769, 770, 771, 772, 773, 774, 775, 776, 777, 778, 779, 780, 781, 782, 783, 784, 785, 786, 787, 788, 789, 790, 791, 792, 793, 794, 795, 796, 797, 798, 799, 800, 801, 802, 803, 804, 805, 806, 807, 808, 809, 810, 811, 812, 813, 814, 815, 816, 817, 818, 819, 820, 821, 822, 823, 824, 825, 826, 827, 828, 829, 830, 831, 832, 833, 834, 835, 836, 837, 838, 839, 840, 841, 842, 843, 844, 845, 846, 847, 848, 849, 850, 851, 852, 853, 854, 855, 856, 857, 858, 859, 860, 861, 862, 863, 864, 865, 866, 867, 868, 869, 870, 871, 872, 873, 874, 875, 876, 877, 878, 879, 880, 881, 882, 883, 884, 885, 886, 887, 888, 889, 890, 891, 892, 893, 894, 895, 896, 897, 898, 899, 900, 901, 902, 903, 904, 905, 906, 907, 908, 909, 910, 911, 912, 913, 914, 915, 916, 917, 918, 919, 920, 921, 922, 923, 924, 925, 926, 927, 928, 929, 930, 931, 932, 933, 934, 935, 936, 937, 938, 939, 940, 941, 942, 943, 944, 945, 946, 947, 948, 949, 950, 951, 952, 953, 954, 955, 956, 957, 958, 959, 960, 961, 962, 963, 964, 965, 966, 967, 968, 969, 970, 971, 972, 973, 974, 975, 976, 977, 978, 979, 980, 981, 982, 983, 984, 985, 986, 987, 988, 989, 990, 991, 992, 993, 994, 995, 996, 997, 998, 999, 又は 1000(またはその誘導可能な範囲)の連続するアミノ酸またはヌクレオチド。
【0233】
いくつかの実施形態において、ポリペプチド、タンパク質、またはポリヌクレオチドは、少なくとも、多くとも、または正確に、以下を含み得る。
配列表の配列番号1~31のいずれかの配列と
1, 2, 3, 4, 5, 6, 7, 8, 9, 10, 11, 12, 13, 14, 15, 16, 17, 18, 19, 20, 21, 22, 23, 24, 25, 26, 27, 28, 29, 30, 31, 32, 33, 34, 35, 36, 37, 38, 39, 40, 41, 42, 43, 44, 45, 46, 47, 48, 49, 50, 51, 52, 53, 54, 55, 56, 57, 58, 59, 60, 61, 62, 63, 64, 65, 66, 67, 68, 69, 70, 71, 72, 73, 74, 75, 76, 77, 78, 79, 80, 81, 82, 83, 84, 85, 86, 87, 88, 89, 90, 91, 92, 93, 94, 95, 96, 97, 98, 99, 100, 101, 102, 103, 104, 105, 106, 107, 108, 109, 110, 111, 112, 113, 114, 115, 116, 117, 118, 119, 120, 121, 122, 123, 124, 125, 126, 127, 128, 129, 130, 131, 132, 133, 134, 135, 136, 137, 138, 139, 140, 141, 142, 143, 144, 145, 146, 147, 148, 149, 150, 151, 152, 153, 154, 155, 156, 157, 158, 159, 160, 161, 162, 163, 164, 165, 166, 167, 168, 169, 170, 171, 172, 173, 174, 175, 176, 177, 178, 179, 180, 181, 182, 183, 184, 185, 186, 187, 188, 189, 190, 191, 192, 193, 194, 195, 196, 197, 198, 199, 200, 201, 202, 203, 204, 205, 206, 207, 208, 209, 210, 211, 212, 213, 214, 215, 216, 217, 218, 219, 220, 221, 222, 223, 224, 225, 226, 227, 228, 229, 230, 231, 232, 233, 234, 235, 236, 237, 238, 239, 240, 241, 242, 243, 244, 245, 246, 247, 248, 249, 250, 251, 252, 253, 254, 255, 256, 257, 258, 259, 260, 261, 262, 263, 264, 265, 266, 267, 268, 269, 270, 271, 272, 273, 274, 275, 276, 277, 278, 279, 280, 281, 282, 283, 284, 285, 286, 287, 288, 289, 290, 291, 292, 293, 294, 295, 296, 297, 298, 299, 300, 301, 302, 303, 304, 305, 306, 307, 308, 309, 310, 311, 312, 313, 314, 315, 316, 317, 318, 319, 320, 321, 322, 323, 324, 325, 326, 327, 328, 329, 330, 331, 332, 333, 334, 335, 336, 337, 338, 339, 340, 341, 342, 343, 344, 345, 346, 347, 348, 349, 350, 351, 352, 353, 354, 355, 356, 357, 358, 359, 360, 361, 362, 363, 364, 365, 366, 367, 368, 369, 370, 371, 372, 373, 374, 375, 376, 377, 378, 379, 380, 381, 382, 383, 384, 385, 386, 387, 388, 389, 390, 391, 392, 393, 394, 395, 396, 397, 398, 399, 400, 401, 402, 403, 404, 405, 406, 407, 408, 409, 410, 411, 412, 413, 414, 415, 416, 417, 418, 419, 420, 421, 422, 423, 424, 425, 426, 427, 428, 429, 430, 431, 432, 433, 434, 435, 436, 437, 438, 439, 440, 441, 442, 443, 444, 445, 446, 447, 448, 449, 450, 451, 452, 453, 454, 455, 456, 457, 458, 459, 460, 461, 462, 463, 464, 465, 466, 467, 468, 469, 470, 471, 472, 473, 474, 475, 476, 477, 478, 479, 480, 481, 482, 483, 484, 485, 486, 487, 488, 489, 490, 491, 492, 493, 494, 495, 496, 497, 498, 499, 500, 501, 502, 503, 504, 505, 506, 507, 508, 509, 510, 511, 512, 513, 514, 515, 516, 517, 518, 519, 520, 521, 522, 523, 524, 525, 526, 527, 528, 529, 530, 531, 532, 533, 534, 535, 536, 537, 538, 539, 540, 541, 542, 543, 544, 545, 546, 547, 548, 549, 550, 551, 552, 553, 554, 555, 556, 557, 558, 559, 560, 561, 562, 563, 564, 565, 566, 567, 568, 569, 570, 571, 572, 573, 574, 575, 576, 577, 578, 579, 580, 581, 582, 583, 584, 585, 586, 587, 588, 589, 590, 591, 592, 593, 594, 595, 596, 597, 598, 599, 600, 601, 602, 603, 604, 605, 606, 607, 608, 609, 610, 611, 612, 613, 614, 615, 616, 617, 618, 619, 620, 621, 622, 623, 624, 625, 626, 627, 628, 629, 630, 631, 632, 633, 634, 635, 636, 637, 638, 639, 640, 641, 642, 643, 644, 645, 646, 647, 648, 649, 650, 651, 652, 653, 654, 655, 656, 657, 658, 659, 660, 661, 662, 663, 664, 665, 666, 667, 668, 669, 670, 671, 672, 673, 674, 675, 676, 677, 678, 679, 680, 681, 682, 683, 684, 685, 686, 687, 688, 689, 690, 691, 692, 693, 694, 695, 696, 697, 698, 699, 700, 701, 702, 703, 704, 705, 706, 707, 708, 709, 710, 711, 712, 713, 714, 715, 716, 717, 718, 719, 720, 721, 722, 723, 724, 725, 726, 727, 728, 729, 730, 731, 732, 733, 734, 735, 736, 737, 738, 739, 740, 741, 742, 743, 744, 745, 746, 747, 748, 749, 750, 751, 752, 753, 754, 755, 756, 757, 758, 759, 760, 761, 762, 763, 764, 765, 766, 767, 768, 769, 770, 771, 772, 773, 774, 775, 776, 777, 778, 779, 780, 781, 782, 783, 784, 785, 786, 787, 788, 789, 790, 791, 792, 793, 794, 795, 796, 797, 798, 799, 800, 801, 802, 803, 804, 805, 806, 807, 808, 809, 810, 811, 812, 813, 814, 815, 816, 817, 818, 819, 820, 821, 822, 823, 824, 825, 826, 827, 828, 829, 830, 831, 832, 833, 834, 835, 836, 837, 838, 839, 840, 841, 842, 843, 844, 845, 846, 847, 848, 849, 850, 851, 852, 853, 854, 855, 856, 857, 858, 859, 860, 861, 862, 863, 864, 865, 866, 867, 868, 869, 870, 871, 872, 873, 874, 875, 876, 877, 878, 879, 880, 881, 882, 883, 884, 885, 886, 887, 888, 889, 890, 891, 892, 893, 894, 895, 896, 897, 898, 899, 900, 901, 902, 903, 904, 905, 906, 907, 908, 909, 910, 911, 912, 913, 914, 915, 916, 917, 918, 919, 920, 921, 922, 923, 924, 925, 926, 927, 928, 929, 930, 931, 932, 933, 934, 935, 936, 937, 938, 939, 940, 941, 942, 943, 944, 945, 946, 947, 948, 949, 950, 951, 952, 953, 954, 955, 956, 957, 958, 959, 960, 961, 962, 963, 964, 965, 966, 967, 968, 969, 970, 971, 972, 973, 974, 975, 976, 977, 978, 979, 980, 981, 982, 983, 984, 985, 986, 987, 988, 989, 990, 991, 992, 993, 994, 995, 996, 997, 998, 999, 又は 1000 (またはその誘導可能な範囲)連続するアミノ酸であって、配列番号1~31のそれぞれ、少なくとも、多くとも、または正確に60%, 61%, 62%, 63%, 64%, 65%, 66%, 67%, 68%, 69%, 70%, 71%, 72%, 73%, 74%, 75%, 76%, 77%, 78%, 79%, 80%, 81%, 82%, 83%, 84%, 85%, 86%, 87%, 88%, 89%, 90%, 91%, 92%, 93%, 94%, 95%, 96%, 97%, 98%, 99%, 又は 100% (またはその誘導可能な範囲)は、配列番号:1-31のいずれか1つと類似、同一、または相同である。
【0234】
ある態様では、配列番号1~31のいずれかのうち、以下の位置で始まる核酸分子またはポリペプチドであって、
1, 2, 3, 4, 5, 6, 7, 8, 9, 10, 11, 12, 13, 14, 15, 16, 17, 18, 19, 20, 21, 22, 23, 24, 25, 26, 27, 28, 29, 30, 31, 32, 33, 34, 35, 36, 37, 38, 39, 40, 41, 42, 43, 44, 45, 46, 47, 48, 49, 50, 51, 52, 53, 54, 55, 56, 57, 58, 59, 60, 61, 62, 63, 64, 65, 66, 67, 68, 69, 70, 71, 72, 73, 74, 75, 76, 77, 78, 79, 80, 81, 82, 83, 84, 85, 86, 87, 88, 89, 90, 91, 92, 93, 94, 95, 96, 97, 98, 99, 100, 101, 102, 103, 104, 105, 106, 107, 108, 109, 110, 111, 112, 113, 114, 115, 116, 117, 118, 119, 120, 121, 122, 123, 124, 125, 126, 127, 128, 129, 130, 131, 132, 133, 134, 135, 136, 137, 138, 139, 140, 141, 142, 143, 144, 145, 146, 147, 148, 149, 150, 151, 152, 153, 154, 155, 156, 157, 158, 159, 160, 161, 162, 163, 164, 165, 166, 167, 168, 169, 170, 171, 172, 173, 174, 175, 176, 177, 178, 179, 180, 181, 182, 183, 184, 185, 186, 187, 188, 189, 190, 191, 192, 193, 194, 195, 196, 197, 198, 199, 200, 201, 202, 203, 204, 205, 206, 207, 208, 209, 210, 211, 212, 213, 214, 215, 216, 217, 218, 219, 220, 221, 222, 223, 224, 225, 226, 227, 228, 229, 230, 231, 232, 233, 234, 235, 236, 237, 238, 239, 240, 241, 242, 243, 244, 245, 246, 247, 248, 249, 250, 251, 252, 253, 254, 255, 256, 257, 258, 259, 260, 261, 262, 263, 264, 265, 266, 267, 268, 269, 270, 271, 272, 273, 274, 275, 276, 277, 278, 279, 280, 281, 282, 283, 284, 285, 286, 287, 288, 289, 290, 291, 292, 293, 294, 295, 296, 297, 298, 299, 300, 301, 302, 303, 304, 305, 306, 307, 308, 309, 310, 311, 312, 313, 314, 315, 316, 317, 318, 319, 320, 321, 322, 323, 324, 325, 326, 327, 328, 329, 330, 331, 332, 333, 334, 335, 336, 337, 338, 339, 340, 341, 342, 343, 344, 345, 346, 347, 348, 349, 350, 351, 352, 353, 354, 355, 356, 357, 358, 359, 360, 361, 362, 363, 364, 365, 366, 367, 368, 369, 370, 371, 372, 373, 374, 375, 376, 377, 378, 379, 380, 381, 382, 383, 384, 385, 386, 387, 388, 389, 390, 391, 392, 393, 394, 395, 396, 397, 398, 399, 400, 401, 402, 403, 404, 405, 406, 407, 408, 409, 410, 411, 412, 413, 414, 415, 416, 417, 418, 419, 420, 421, 422, 423, 424, 425, 426, 427, 428, 429, 430, 431, 432, 433, 434, 435, 436, 437, 438, 439, 440, 441, 442, 443, 444, 445, 446, 447, 448, 449, 450, 451, 452, 453, 454, 455, 456, 457, 458, 459, 460, 461, 462, 463, 464, 465, 466, 467, 468, 469, 470, 471, 472, 473, 474, 475, 476, 477, 478, 479, 480, 481, 482, 483, 484, 485, 486, 487, 488, 489, 490, 491, 492, 493, 494, 495, 496, 497, 498, 499, 500, 501, 502, 503, 504, 505, 506, 507, 508, 509, 510, 511, 512, 513, 514, 515, 516, 517, 518, 519, 520, 521, 522, 523, 524, 525, 526, 527, 528, 529, 530, 531, 532, 533, 534, 535, 536, 537, 538, 539, 540, 541, 542, 543, 544, 545, 546, 547, 548, 549, 550, 551, 552, 553, 554, 555, 556, 557, 558, 559, 560, 561, 562, 563, 564, 565, 566, 567, 568, 569, 570, 571, 572, 573, 574, 575, 576, 577, 578, 579, 580, 581, 582, 583, 584, 585, 586, 587, 588, 589, 590, 591, 592, 593, 594, 595, 596, 597, 598, 599, 600, 601, 602, 603, 604, 605, 606, 607, 608, 609, 610, 611, 612, 613, 614, 615, 616, 617, 618, 619, 620, 621, 622, 623, 624, 625, 626, 627, 628, 629, 630, 631, 632, 633, 634, 635, 636, 637, 638, 639, 640, 641, 642, 643, 644, 645, 646, 647, 648, 649, 650, 651, 652, 653, 654, 655, 656, 657, 658, 659, 660, 661, 662, 663, 664, 665, 666, 667, 668, 669, 670, 671, 672, 673, 674, 675, 676, 677, 678, 679, 680, 681, 682, 683, 684, 685, 686, 687, 688, 689, 690, 691, 692, 693, 694, 695, 696, 697, 698, 699, 700, 701, 702, 703, 704, 705, 706, 707, 708, 709, 710, 711, 712, 713, 714, 715, 716, 717, 718, 719, 720, 721, 722, 723, 724, 725, 726, 727, 728, 729, 730, 731, 732, 733, 734, 735, 736, 737, 738, 739, 740, 741, 742, 743, 744, 745, 746, 747, 748, 749, 750, 751, 752, 753, 754, 755, 756, 757, 758, 759, 760, 761, 762, 763, 764, 765, 766, 767, 768, 769, 770, 771, 772, 773, 774, 775, 776, 777, 778, 779, 780, 781, 782, 783, 784, 785, 786, 787, 788, 789, 790, 791, 792, 793, 794, 795, 796, 797, 798, 799, 800, 801, 802, 803, 804, 805, 806, 807, 808, 809, 810, 811, 812, 813, 814, 815, 816, 817, 818, 819, 820, 821, 822, 823, 824, 825, 826, 827, 828, 829, 830, 831, 832, 833, 834, 835, 836, 837, 838, 839, 840, 841, 842, 843, 844, 845, 846, 847, 848, 849, 850, 851, 852, 853, 854, 855, 856, 857, 858, 859, 860, 861, 862, 863, 864, 865, 866, 867, 868, 869, 870, 871, 872, 873, 874, 875, 876, 877, 878, 879, 880, 881, 882, 883, 884, 885, 886, 887, 888, 889, 890, 891, 892, 893, 894, 895, 896, 897, 898, 899, 900, 901, 902, 903, 904, 905, 906, 907, 908, 909, 910, 911, 912, 913, 914, 915, 916, 917, 918, 919, 920, 921, 922, 923, 924, 925, 926, 927, 928, 929, 930, 931, 932, 933, 934, 935, 936, 937, 938, 939, 940, 941, 942, 943, 944, 945, 946, 947, 948, 949, 950, 951, 952, 953, 954, 955, 956, 957, 958, 959, 960, 961, 962, 963, 964, 965, 966, 967, 968, 969, 970, 971, 972, 973, 974, 975, 976, 977, 978, 979, 980, 981, 982, 983, 984, 985, 986, 987, 988, 989, 990, 991, 992, 993, 994, 995, 996, 997, 998, 999, 又は 1000
そして、配列番号1~31のいずれかの配列の少なくとも、あるいは最大で、又は正確に、2, 3, 4, 5, 6, 7, 8, 9, 10, 11, 12, 13, 14, 15, 16, 17, 18, 19, 20, 21, 22, 23, 24, 25, 26, 27, 28, 29, 30, 31, 32, 33, 34, 35, 36, 37, 38, 39, 40, 41, 42, 43, 44, 45, 46, 47, 48, 49, 50, 51, 52, 53, 54, 55, 56, 57, 58, 59, 60, 61, 62, 63, 64, 65, 66, 67, 68, 69, 70, 71, 72, 73, 74, 75, 76, 77, 78, 79, 80, 81, 82, 83, 84, 85, 86, 87, 88, 89, 90, 91, 92, 93, 94, 95, 96, 97, 98, 99, 100, 101, 102, 103, 104, 105, 106, 107, 108, 109, 110, 111, 112, 113, 114, 115, 116, 117, 118, 119, 120, 121, 122, 123, 124, 125, 126, 127, 128, 129, 130, 131, 132, 133, 134, 135, 136, 137, 138, 139, 140, 141, 142, 143, 144, 145, 146, 147, 148, 149, 150, 151, 152, 153, 154, 155, 156, 157, 158, 159, 160, 161, 162, 163, 164, 165, 166, 167, 168, 169, 170, 171, 172, 173, 174, 175, 176, 177, 178, 179, 180, 181, 182, 183, 184, 185, 186, 187, 188, 189, 190, 191, 192, 193, 194, 195, 196, 197, 198, 199, 200, 201, 202, 203, 204, 205, 206, 207, 208, 209, 210, 211, 212, 213, 214, 215, 216, 217, 218, 219, 220, 221, 222, 223, 224, 225, 226, 227, 228, 229, 230, 231, 232, 233, 234, 235, 236, 237, 238, 239, 240, 241, 242, 243, 244, 245, 246, 247, 248, 249, 250, 251, 252, 253, 254, 255, 256, 257, 258, 259, 260, 261, 262, 263, 264, 265, 266, 267, 268, 269, 270, 271, 272, 273, 274, 275, 276, 277, 278, 279, 280, 281, 282, 283, 284, 285, 286, 287, 288, 289, 290, 291, 292, 293, 294, 295, 296, 297, 298, 299, 300, 301, 302, 303, 304, 305, 306, 307, 308, 309, 310, 311, 312, 313, 314, 315, 316, 317, 318, 319, 320, 321, 322, 323, 324, 325, 326, 327, 328, 329, 330, 331, 332, 333, 334, 335, 336, 337, 338, 339, 340, 341, 342, 343, 344, 345, 346, 347, 348, 349, 350, 351, 352, 353, 354, 355, 356, 357, 358, 359, 360, 361, 362, 363, 364, 365, 366, 367, 368, 369, 370, 371, 372, 373, 374, 375, 376, 377, 378, 379, 380, 381, 382, 383, 384, 385, 386, 387, 388, 389, 390, 391, 392, 393, 394, 395, 396, 397, 398, 399, 400, 401, 402, 403, 404, 405, 406, 407, 408, 409, 410, 411, 412, 413, 414, 415, 416, 417, 418, 419, 420, 421, 422, 423, 424, 425, 426, 427, 428, 429, 430, 431, 432, 433, 434, 435, 436, 437, 438, 439, 440, 441, 442, 443, 444, 445, 446, 447, 448, 449, 450, 451, 452, 453, 454, 455, 456, 457, 458, 459, 460, 461, 462, 463, 464, 465, 466, 467, 468, 469, 470, 471, 472, 473, 474, 475, 476, 477, 478, 479, 480, 481, 482, 483, 484, 485, 486, 487, 488, 489, 490, 491, 492, 493, 494, 495, 496, 497, 498, 499, 500, 501, 502, 503, 504, 505, 506, 507, 508, 509, 510, 511, 512, 513, 514, 515, 516, 517, 518, 519, 520, 521, 522, 523, 524, 525, 526, 527, 528, 529, 530, 531, 532, 533, 534, 535, 536, 537, 538, 539, 540, 541, 542, 543, 544, 545, 546, 547, 548, 549, 550, 551, 552, 553, 554, 555, 556, 557, 558, 559, 560, 561, 562, 563, 564, 565, 566, 567, 568, 569, 570, 571, 572, 573, 574, 575, 576, 577, 578, 579, 580, 581, 582, 583, 584, 585, 586, 587, 588, 589, 590, 591, 592, 593, 594, 595, 596, 597, 598, 599, 600, 601, 602, 603, 604, 605, 606, 607, 608, 609, 610, 611, 612, 613, 614, 615, 616, 617, 618, 619, 620, 621, 622, 623, 624, 625, 626, 627, 628, 629, 630, 631, 632, 633, 634, 635, 636, 637, 638, 639, 640, 641, 642, 643, 644, 645, 646, 647, 648, 649, 650, 651, 652, 653, 654, 655, 656, 657, 658, 659, 660, 661, 662, 663, 664, 665, 666, 667, 668, 669, 670, 671, 672, 673, 674, 675, 676, 677, 678, 679, 680, 681, 682, 683, 684, 685, 686, 687, 688, 689, 690, 691, 692, 693, 694, 695, 696, 697, 698, 699, 700, 701, 702, 703, 704, 705, 706, 707, 708, 709, 710, 711, 712, 713, 714, 715, 716, 717, 718, 719, 720, 721, 722, 723, 724, 725, 726, 727, 728, 729, 730, 731, 732, 733, 734, 735, 736, 737, 738, 739, 740, 741, 742, 743, 744, 745, 746, 747, 748, 749, 750, 751, 752, 753, 754, 755, 756, 757, 758, 759, 760, 761, 762, 763, 764, 765, 766, 767, 768, 769, 770, 771, 772, 773, 774, 775, 776, 777, 778, 779, 780, 781, 782, 783, 784, 785, 786, 787, 788, 789, 790, 791, 792, 793, 794, 795, 796, 797, 798, 799, 800, 801, 802, 803, 804, 805, 806, 807, 808, 809, 810, 811, 812, 813, 814, 815, 816, 817, 818, 819, 820, 821, 822, 823, 824, 825, 826, 827, 828, 829, 830, 831, 832, 833, 834, 835, 836, 837, 838, 839, 840, 841, 842, 843, 844, 845, 846, 847, 848, 849, 850, 851, 852, 853, 854, 855, 856, 857, 858, 859, 860, 861, 862, 863, 864, 865, 866, 867, 868, 869, 870, 871, 872, 873, 874, 875, 876, 877, 878, 879, 880, 881, 882, 883, 884, 885, 886, 887, 888, 889, 890, 891, 892, 893, 894, 895, 896, 897, 898, 899, 900, 901, 902, 903, 904, 905, 906, 907, 908, 909, 910, 911, 912, 913, 914, 915, 916, 917, 918, 919, 920, 921, 922, 923, 924, 925, 926, 927, 928, 929, 930, 931, 932, 933, 934, 935, 936, 937, 938, 939, 940, 941, 942, 943, 944, 945, 946, 947, 948, 949, 950, 951, 952, 953, 954, 955, 956, 957, 958, 959, 960, 961, 962, 963, 964, 965, 966, 967, 968, 969, 970, 971, 972, 973, 974, 975, 976, 977, 978, 979, 980, 981, 982, 983, 984, 985, 986, 987, 988, 989, 990, 991, 992, 993, 994, 995, 996, 997, 998, 999, 又は 1000 (またはその誘導可能な範囲)の連続するアミノ酸またはヌクレオチドを含む。
【0235】
様々な遺伝子のヌクレオチドならびにタンパク質、ポリペプチドおよびペプチド配列は、以前に開示されており、そして公知のコンピュータ化されたデータベースにおいて見出され得る。2つの一般的に使用されるデータベースは、National Center for Biotechnology InformationのGenbankおよびGenPeptデータベース(ワールドワイドウェブ上のncbi.nlm.nih.gov/)およびThe Universal Protein Resource(UniProt;ワールドワイドウェブ上のuniprot.org)である。これらの遺伝子のコード領域は、本明細書中に開示される技術、または当業者に公知であろう技術を用いて増幅および/または発現され得る。
【0236】
本開示の組成物において、1mlあたり約0.001mg~約10mgの総ポリペプチド、ペプチド、および/またはタンパク質が存在することが企図される。組成物中のタンパク質の濃度は、約、少なくとも約、または多くとも約0.001、0.010、0.050、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0. 8、0.9、1.0、1.5、2.0、2.5、3.0、3.5、4.0、4.5、5.0、5.5、6.0、6.5、7.0、7.5、8.0、8.5、9.0、9.5、10.0mg/ml以上(またはそこから派生する任意の範囲)。
XI.本開示のキット
【0237】
本明細書中に記載されるあらゆる組成物が、キット内に含まれ得る。非限定的な例において、細胞、細胞を生成するための試薬、ベクター、ならびにベクターおよび/またはその構成要素を生成するための試薬がキット内に含まれ得る。特定の実施形態において、NK細胞がキットに含まれてもよく、これは、抗原標的化受容体、任意選択のサイトカイン、または任意選択の自殺遺伝子を発現してもしなくてもよい。そのようなキットは、細胞の操作のための1つ以上の試薬を有していても有していなくてもよい。そのような試薬として、例えば、小分子、タンパク質、核酸、抗体、バッファ、プライマー、ヌクレオチド、塩、および/またはそれらの組合せが挙げられる。1つ以上の抗原標的化CAR、自殺遺伝子産物、および/またはサイトカインをコードするヌクレオチドがキット内に含まれ得る。サイトカイン、またはモノクローナル抗体が挙げられる抗体等のタンパク質がキット内に含まれ得る。改変(操作)されたCAR受容体の構成要素をコードするヌクレオチドが、当該構成要素を生成するための試薬を含めて、キット内に含められ得る。
【0238】
特定の態様において、キットは、本開示のNK細胞療法および別の癌治療も含む。場合によっては、キットは、細胞療法の実施形態に加えて、例えば、化学療法、ホルモン療法、および/または免疫療法等の第2の癌治療も含む。キットは、個体の特定の癌に合わせて調整され得、かつ個体に対するそれぞれの第2の癌治療を含み得る。
【0239】
キットは、本開示の適切に等分された組成物を含み得る。キットの構成要素は、水性媒体または凍結乾燥形態のいずれかでパッケージされ得る。キットの容器手段として、一般に、その中に構成要素が配置され得、好ましくは適切に等分され得る、少なくとも1つのバイアル、試験管、フラスコ、ボトル、シリンジ、または他の容器手段が挙げられる。キット内に複数の構成要素が存在する場合、キットはまた、一般に、追加の構成要素が別々に配置され得る第2、第3、または他の追加の容器を含有し得る。しかしながら、構成要素の種々の組合せがバイアル内に含まれ得る。本発明のキットはまた、典型的には、組成物および他のあらゆる試薬容器を商業的販売のために密閉して収容するための手段を含む。そのような容器として、所望のバイアルが保持される射出またはブロー成形プラスチック容器が挙げられ得る。
【実施例
【0240】
以下の実施例は、本発明の特定の実施形態を示すために含まれる。以下に続く実施例において開示される技術は、本発明の実施において良好に機能するように本発明者によって発見された技術を表すものであり、したがって、その実施のための特定の態様を構成すると考えることができることを、当業者は理解すべきである。しかしながら、当業者は、本開示に照らして、開示されている特定の実施形態において多くの変更を加えることができ、それでもなお、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、同様または類似の結果を得ることができることを理解すべきである。
【0241】
実施例1-NK細胞へのオビヌツズマブ結合の検証
NK細胞は臍帯血に由来し、完全無血清幹細胞増殖培地(SCGM)中で照射した(100Gy)UAPCフィーダー細胞(フィーダー細胞:NK比2:1)および組み換えヒトIL-2(200U/ml)と共に拡大培養した。NK細胞は、形質導入していないか(NT)またはCD19キメラ抗原受容体(CD19 CAR)を用いて形質導入したかの何れかであった。SCGM培地中37℃でNK細胞にオビヌツズマブ(10μg)を1時間負荷し、洗浄した後、オビヌツズマブの結合をフローサイトメトリーで検証した。Alexa-Fluor647アフィニティー精製F(ab’)断片ヤギ抗ヒトIgG(H+L)抗体でNK細胞を染色し、フローサイトメトリーにおいて分析した。図1は、オビヌツズマブがNK細胞に結合可能であり、CD19 CARと同程度にNK細胞の表面に発現されたことを実証する、染色の結果を示す。
【0242】
実施例2-オビヌツズマブ負荷NK細胞は、非負荷またはリツキシマブ負荷NK細胞と比較して、Raji細胞の死滅の増強を示した
NK細胞は臍帯血に由来し、これを拡大培養した(NK)か、またはサイトカイン(IL-12、IL-15およびIL-18)で予備活性化し、拡大培養した(NK P+E)。SCGM培地中37℃でNK細胞にオビヌツズマブ(10μg)またはリツキシマブ(10μg)の何れかを1時間負荷し、洗浄した後、Raji CD19 KO細胞と1:1の比で同時培養した(各条件につき100,000個の細胞)。図2Aで示されるように、オビヌツズマブを負荷したNK細胞は、非負荷NK細胞またはリツキシマブを負荷したNK細胞と比較した場合、Raji CD19 KO細胞の死滅の増強を示した。SCGM培地中37℃でNK P+E細胞にオビヌツズマブ(10μg)またはリツキシマブ(10μg)を1時間負荷し、洗浄した後、Raji CD19 KO細胞と1:1の比で同時培養した(各条件につき100,000個の細胞)。図2Bで示されるように、オビヌツズマブを負荷したNK P+E細胞は、非負荷NK細胞またはリツキシマブを負荷したNK細胞と比較した場合、Raji CD19 KO細胞の死滅の増強を示した。
【0243】
実施例3-オビヌツズマブ負荷NK細胞は、非負荷NK細胞と比較して、Raji細胞に対する細胞傷害性の増強を示した
NK細胞は臍帯血に由来し、この細胞にCD19 CARを形質導入してNK CD19 CAR細胞を作製した。SCGM培地中37℃で、形質導入していない(NT)細胞およびCD19 CARで形質導入したNK細胞(CD19)の両方に、オビヌツズマブ(10μg)を1時間負荷し、洗浄した後、図面に記載されるように様々なエフェクター対標的比でRaji細胞と同時培養した。図3で示されるように、非負荷NK細胞と比較して、クロム放出アッセイによって示されるように、オビニツズマブ(Obinituzumab)負荷NK細胞は、NT NK細胞およびCD19 CAR NK細胞の両方について、Raji細胞の細胞傷害性の向上を示し、オビヌツズマブ負荷がNK細胞の細胞傷害活性を向上させることが示された。最大の毒性は、オビヌツズマブを負荷したCD19 CAR NK細胞に対して観察された。
【0244】
実施例4-オビヌツズマブ負荷CD19 CAR NK細胞は、非負荷CD19 CAR NK細胞と比較して、Raji細胞(Raji WT)のより良好な死滅を示した
NK細胞は臍帯血に由来し、これを拡大培養した(NK)か、またはサイトカイン(IL-12、IL-15およびIL-18)で予備活性化し、拡大培養した(NK P+E)。SCGM培地中37℃でCD19 CAR NK細胞にオビヌツズマブ(10μg)を1時間負荷し、洗浄した後、Raji WT細胞と1:1の比で同時培養した(各条件につき100,000個の細胞)。図4Bで示されるように、オビヌツズマブを負荷したCD19 CAR NK細胞は、非負荷CD19 CAR NK細胞と比較した場合、Raji WT細胞のより良好な死滅を示した。
【0245】
SCGM培地中37℃でCD19 CAR NK P+E細胞にオビヌツズマブ(10μg)を1時間負荷し、洗浄した後、Raji WT細胞と1:1の比で同時培養した(各条件につき100,000個の細胞)。図4Bで示されるように、オビヌツズマブを負荷したCD19 CAR NK P+E細胞は、非負荷CD19 CAR NK細胞と比較した場合、Raji CD19 KO細胞のより良好な死滅を示した。
【0246】
実施例5-オビヌツズマブ負荷CD19 CAR NK細胞は、非負荷CD19 CAR NK細胞と比較して、マウスでのRaji細胞の腫瘍成長の制御においてより良好であった
CD19を高発現する20,000個のルシフェラーゼ標識Raji細胞(Raji-FFluc)をNSGマウスに移植した。NK細胞は臍帯血に由来し、これをサイトカイン(IL-12、IL-15およびIL-18)で予備活性化し、拡大培養した(NK P+E)。これらのNK P+E細胞にCD19 CARを形質導入してNK P+E CD19 CAR細胞を作製し、SCGM培地中37℃で、オビヌツズマブ(10μg)を1時間負荷し、2回洗浄した後、マウスに注入した。図5Aおよび5Bで示されるように、オビヌツズマブ負荷NK P+E CD19 CAR細胞は、非負荷NK P+E CD19 CAR細胞と比較して、マウスでのRaji細胞の腫瘍の制御においてより良好であった。図5Cで示されるように、オビヌツズマブ負荷NK P+E CD19 CAR細胞は、非負荷NK P+E CD19 CAR細胞と比較して、Raji細胞を注入したNSGマウスの生存を向上させた。
【0247】
実施例6-オビヌツズマブ負荷CD19 CAR NK細胞は、抗原喪失があるRaji細胞(Raji CD19 KO)の死滅の増強を示した
NK細胞は臍帯血に由来し、これを拡大培養した(NK)かまたはサイトカインで予め活性化し、拡大培養した(NK P+E)。SCGM培地中37℃でCD19 CAR NK細胞にオビヌツズマブ(10μg)を1時間負荷し、洗浄した後、Raji CD19 KO細胞と1:1の比で同時培養した(各条件につき100,000個の細胞)。図6Aおよび図7Aで示されるように、オビヌツズマブを負荷したCD19 CAR NK細胞は、非負荷CD19 CAR NK細胞と比較した場合、Raji CD19 KO細胞の死滅の増強を示した。SCGM培地中37℃でCD19 CAR NK P+E細胞にオビヌツズマブ(10μg)を1時間負荷し、洗浄した後、Raji CD19 KO細胞と1:1の比で同時培養した(各条件につき100,000個の細胞)。図6Bおよび図7Bで示されるように、オビヌツズマブを負荷したCD19 CAR NK P+E細胞は、非負荷CD19 CAR NK細胞と比較した場合、Raji CD19 KO細胞の死滅の増強を示した。
【0248】
本明細書中で開示され、特許請求される方法は全て、本開示に照らして過度の実験を行うことなく作製および実行され得る。本発明の組成物および方法をある一定の実施形態に関して説明してきたが、本発明の概念、精神および範囲から逸脱することなく、本明細書中に記載の方法に、および本方法の段階において、または本発明の段階の順序において、変形物が適用され得ることは当業者にとって明らかであろう。より具体的には、化学的にも生理学的にも関連する特定の薬剤を本明細書中に記載の薬剤に置き換え得るが、一方で同じまたは同様の結果が達成されることは明らかであろう。当業者にとって明らかな全てのそのような類似の置換および修正は、添付の特許請求の範囲によって定義されるような本発明の精神、範囲および概念内にあるとみなされる。
図1
図2A
図2B
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
図7A
図7B
【配列表】
2024536279000001.xml
【国際調査報告】