(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-04
(54)【発明の名称】非破壊圧力アシスト組織剛性測定装置
(51)【国際特許分類】
A61B 1/00 20060101AFI20240927BHJP
A61B 1/01 20060101ALI20240927BHJP
A61B 1/045 20060101ALI20240927BHJP
A61B 1/12 20060101ALI20240927BHJP
A61B 18/22 20060101ALI20240927BHJP
A61K 45/00 20060101ALN20240927BHJP
A61P 35/00 20060101ALN20240927BHJP
【FI】
A61B1/00 550
A61B1/00 732
A61B1/00 621
A61B1/01 513
A61B1/045 618
A61B1/12 523
A61B18/22
A61K45/00
A61P35/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024519860
(86)(22)【出願日】2022-09-29
(85)【翻訳文提出日】2024-05-27
(86)【国際出願番号】 US2022077311
(87)【国際公開番号】W WO2023056395
(87)【国際公開日】2023-04-06
(32)【優先日】2021-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505166627
【氏名又は名称】ザ トラスティーズ オブ ザ スティーブンズ インスティテュート オブ テクノロジー
(71)【出願人】
【識別番号】501271033
【氏名又は名称】バンダービルト・ユニバーシティ
【氏名又は名称原語表記】VANDERBILT UNIVERSITY
(71)【出願人】
【識別番号】524121029
【氏名又は名称】ザ トラスティーズ オブ コロンビア ユニバーシティー イン ザ シティー オブ ニューヨーク
(71)【出願人】
【識別番号】515158308
【氏名又は名称】ザ ボード オブ トラスティーズ オブ ザ レランド スタンフォード ジュニア ユニバーシティー
(74)【代理人】
【識別番号】110001612
【氏名又は名称】弁理士法人きさらぎ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キム,ジンホ
(72)【発明者】
【氏名】ヴァンジャク-ノヴァコヴィク,ゴーダナ
(72)【発明者】
【氏名】オニール,ジョン ディー.
(72)【発明者】
【氏名】ピネツィヒ,ミーガン
(72)【発明者】
【氏名】グエンタート,ブランドン エー.
(72)【発明者】
【氏名】ミール,セイエド モハマド
(72)【発明者】
【氏名】チェン,ジァウェン
(72)【発明者】
【氏名】バチェッタ,マシュー
【テーマコード(参考)】
4C026
4C084
4C161
【Fターム(参考)】
4C026AA02
4C026AA04
4C026FF17
4C084AA17
4C084NA20
4C084ZB26
4C161BB02
4C161BB04
4C161CC04
4C161CC07
4C161DD03
4C161FF36
4C161HH02
4C161HH05
4C161HH51
4C161HH56
4C161LL01
(57)【要約】
生体内(in vivo)および生体外(ex vivo)で組織の剛性を測定するための、圧力チャネル、カメラ、光ファイバー撮像プローブを含む低侵襲装置が開示されている。この装置は患者に挿入され、関心組織まで誘導され、そこで吸引して伸びを測定することにより、あるいは圧縮力を印加して組織の圧縮を測定することにより、剛性が評価される。さらなる分析のために生検を取ることが可能で、あるいはアブレーションレーザを使って組織を切除することもできる。小さな蛍光分子や治療薬を送達して、可視化を向上させ、標的を絞った治療を行うこともできる。このように、この技術は、生体材料の剛性だけでなく、アクセスが困難な組織や臓器の評価に使用することができ、診断、治療、病変組織の切除を同時に行うことができる。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮ヘッドを有するプローブを提供するステップと、
前記圧縮ヘッドが関心組織に近接するように前記プローブを配置するステップと、
前記圧縮ヘッドに圧力を印加するステップと、
前記印加するステップを介して印加された前記圧力に応じて、前記関心組織における応答を検出するステップと、
前記応答に基づいて、前記関心組織の1つ以上の物理的特性を計算するステップと
を備える、
関心組織の剛性測定方法。
【請求項2】
前記方法が生体内(in-vivo)条件下で関心組織に対して実施され、
前記方法が、前記プローブを患者に挿入するステップをさらに備える、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
撮像素子を用いて前記関心組織を撮像するステップをさらに備える、
請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記撮像素子は光ファイバープローブを有する、
請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記撮像素子が小型化されたカメラを有する、
請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記関心組織をアブレーションするステップをさらに備える、
請求項2に記載の方法。
【請求項7】
前記アブレーションするステップがレーザを用いて実施される、
請求項6に記載の方法。
【請求項8】
治療用化合物を前記関心組織に送達するステップをさらに備える、
請求項2に記載の方法。
【請求項9】
前記送達するステップが蛍光分子の送達を含む、
請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記プローブがシリンジニードルを介して前記関心組織に近接して導入される、
請求項2に記載の方法。
【請求項11】
前記プローブがバルーンプローブである、
請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記バルーンプローブを膨張させるステップと、前記関心組織における前記バルーンプローブの圧力および体積を監視するステップとをさらに備える、
請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記圧縮ヘッドに印加される前記圧力を調節するステップをさらに備える、
請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記計算するステップは、組織剛性を決定するステップを含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記関心組織は腫瘍であり、
前記方法は、前記腫瘍の境界をリアルタイムで決定するステップをさらに備える、
請求項1に記載の方法。
【請求項14】
コンピュータビジョンを用いて前記関心組織を分析するステップをさらに備える、
請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記関心組織に近接して接触電極を配置し、前記圧力に応じて前記関心組織の電気抵抗を測定するステップをさらに備える、
請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記圧力は吸引力として印加され、
前記方法は、吸引力に応じた前記関心組織の伸長長さを測定するステップをさらに含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記圧力は圧縮力として印加され、
前記方法は、前記圧縮力に応じた前記関心組織の組織変形長を測定するステップをさらに含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記方法が、生体外(ex-vivo)条件下で関心組織に対して実施される、
請求項1に記載の方法。
【請求項19】
圧縮ヘッドと、
前記圧縮ヘッドに結合された撮像素子と、
前記撮像素子および前記圧縮ヘッドを移動させるように適合された電動誘導手段と、
前記圧縮ヘッドに正圧または負圧を加えるように適合された圧力ネットワークと、
前記圧力ネットワークを調節および制御するように適合された制御装置と
を備える、
材料の剛性を評価する装置。
【請求項20】
前記圧力ネットワークが圧力ラインを備える、
請求項19に記載の装置。
【請求項21】
前記圧力ラインおよび前記撮像素子は、前記装置の誘導可能な区画の一部として前記電動誘導手段と一体化されている、
請求項19に記載の装置。
【請求項22】
前記撮像素子は光ファイバープローブを備える、
請求項19に記載の装置。
【請求項23】
前記撮像素子は小型化されたカメラを備える、
請求項19に記載の装置。
【請求項24】
前記制御装置が、前記圧縮ヘッドに印加される圧力を調節し、収集された組織変形データを分析し、組織剛性を計算するように適合されている、
請求項19に記載の装置。
【請求項25】
アブレーション手段をさらに含む、
請求項19に記載の装置。
【請求項26】
前記アブレーション手段がレーザである、
請求項25に記載の装置。
【請求項27】
治療用化合物を関心組織に送達するための送達手段をさらに備える、
請求項19に記載の装置。
【請求項28】
前記送達手段が、蛍光分子を送達するようにさらに適合されている、
請求項27に記載の装置。
【請求項29】
前記装置は、直径が5mm未満であり、長さが少なくとも1mである、
請求項19に記載の装置。
【請求項30】
シリンジニードルを介して導入されるように適合されたバルーンプローブをさらに備え、
前記バルーンプローブは、関心組織における圧力および体積を監視するために拡張可能である、
請求項19に記載の装置。
【請求項31】
リアルタイムで腫瘍境界を決定する術中ツールとして使用するように適合されている、
請求項19に記載の装置。
【請求項32】
前記制御装置は、コンピュータビジョンを利用して関心組織を分析する、
請求項19に記載の装置。
【請求項33】
前記圧縮ヘッドがドーム状の先端部である、
請求項19に記載の装置。
【請求項34】
前記圧縮ヘッドが、接触電極と、関心組織に印加される圧縮力を監視する力センサとをさらに含む、
請求項19に記載の装置。
【請求項35】
前記制御装置は、関心組織の伸長長さを決定するように適合されている、
請求項19に記載の装置。
【請求項36】
前記制御装置が、関心組織の組織変形長さを決定するように適合されている、
請求項19に記載の装置。
【請求項37】
前記制御装置は、関心組織の電気抵抗を決定するように適合されている、
請求項19に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年9月29日に出願された米国仮特許出願番号63/250,123の優先権を主張するものであり、その開示全体は参照により本明細書に組み込まれる。
連邦政府による支援を受けた研究開発に関する記載
この発明は、米国国立衛生研究所から授与されたP41 EB027062および米国国立科学財団から授与された2143620の政府支援を受けてなされたものである。政府は本発明に対して一定の権利を有する。
【0002】
発明の分野
本発明は、機械的特性の測定に関し、特に、軟組織、臓器、生体材料の弾性率を、その本来の構造を損なうことなく決定することに関する。
【背景技術】
【0003】
生体組織では、機械的剛性が細胞や組織の機能において基本的な役割を果たしている。組織の剛性、あるいは弾性の変化は、細胞活動や組織機能に影響を及ぼす病理学的相互作用を引き起こす可能性がある。組織剛性と疾患との間に密接な関係があることから、軟部組織の力学を正確に定量的に評価することの重要性が浮き彫りになり、疾患に対する理解を深め、治療法の開発に役立てることができる。例えば、肺組織の機械的特性を正確に評価することは、その解剖学的・力学生物学的な複雑さのため、特に困難であった。解剖された肺組織サンプルと生体内(in vivo)の無傷の肺組織とでは、測定された機械的特性に不一致があるため、肺本来の機械的特性を正確に評価することには限界があった。
【0004】
軟組織の剛性を測定する現在の装置や方法は、アクセス可能な組織表面に限られており、操作者は視覚に頼って装置を配置する必要がある。このことは、研究者や外科医が健康な組織と病的な組織の両方の特性を理解する能力を制限している。この理解は、軟部組織疾患の診断と治療を進歩させる上で極めて重要である。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、多種多様な組織、臓器および生体材料の剛性を非破壊的かつ迅速に測定できる装置、ならびに組織または材料の剛性を定量化するためにこのような装置を使用する方法を含む。本発明装置は、生体材料、組織および臓器の剛性を非破壊的および/または低侵襲的に評価できる圧力アシスト装置であり、これにより生体内(in vivo)および生体外(ex vivo)で組織および臓器の剛性を正確かつ迅速に定量化することができる。さらに、この装置は、損傷した組織や病気の組織を検出、治療、および/または除去するために適用することができる。
【0006】
引張試験や圧縮試験のような従来の方法では、測定のために組織サンプルを分離する必要があり、その結果、本来の組織構造や解剖学的構造が大きく変化し、正確な測定値が得られない可能性がある。本発明装置により、組織を採取する必要がなく、真空または圧縮アシストにより局所組織をその場で直接測定できるため、アクセスが困難な組織や臓器の評価が可能になる。この装置は、呼吸器、消化管、尿路など、アクセスが困難な患者の体内の測定部位に局所的に挿入して配置できるように、誘導可能で適合性のある構成で設計することができる。
【0007】
本発明装置は小型化されたカメラまたは光ファイバー撮像プローブと一体化されており、臨床医が患者の体内への挿入およびナビゲーション中に装置の位置を正確に決定することができ、それにより剛性測定のための空間分解能を向上させた目標位置への装置の配置が容易になる。さらに、測定装置は適合可能、誘導可能、薄型(例えば、直径5mm未満)、長尺(例えば、長さ約1m)とすることができ、患者の体に形成される小さな切開開口部を介した低侵襲的な装置の挿入と、肺、呼吸器管、肝臓、心臓、脳、腸などの測定のための任意の組織または臓器表面への装置の配置を可能にする。
【0008】
さらに、本発明装置をバルーン一体型プローブとして構成すれば、組織内部の剛性測定が可能となる。バルーンを装備した場合、本発明プローブはシリンジニードルを介して肺組織内に局所的に導入することができ、空気または流体を導入することにより、バルーンを肺組織内で容易に拡張させることができる。バルーン内の圧力と体積は、それぞれ外部ポンプに接続された圧力センサと体積センサを介してリアルタイムで決定することができ、組織剛性を正確に定量化することができる。
【0009】
本発明は多くの商業的応用の可能性を包含している。本発明プローブは、腫瘍の境界を識別することが困難であるために生じる腫瘍切除手術中に遭遇する主要な課題を軽減することができ、手術中に腫瘍全体を確実に除去することができる。具体的には、本発明装置は、腫瘍の完全切除を容易にするために、リアルタイムで腫瘍のマージンを決定する術中ツールとして機能することができる。さらに、生体外(ex vivo)肺灌流時を含め、移植の適性を決定するためのドナー臓器の損傷や機能を評価する機械的な検査にも応用できる。他の潜在的な用途は、様々な臓器(例えば、腸ポリープ、肺線維化病巣など)からの損傷した組織や病気の組織の検出、標的送達、および除去である。本発明はまた、研究、診断、予後予測、治療目的のために、腸、皮膚、血管系、肝臓などを含む他の臓器や組織の機械的特性の特徴付けにも使用できる。幹細胞-組織、細胞-細胞結合相互作用の機械的評価も可能である。必ずしも最終的な使用例ではないが、アテローム性動脈硬化症の診断と治療が挙げられる。本発明の装置は、アテローム性動脈硬化症を起こしやすい患者の動脈の剛性を測定し、蓄積した脂肪、コレステロール、カルシウムを除去するために使用することができる。獣医への応用も可能である。
【0010】
本発明による方法は、圧縮ヘッドを有するプローブを提供すること、圧縮ヘッドが関心組織に近接するようにプローブを配置すること、圧縮ヘッドに圧力を印加すること、印加ステップを介して印加された圧力に応じて関心組織における応答を検出すること、および応答に基づいて関心組織の1つ以上の物理的特性を計算することを伴う関心組織の剛性測定を含むことができる。本方法は、プローブが患者に挿入される生体内(in-vivo)条件下、または生体外(ex-vivo)条件下で、関心組織に対して実施することができる。生体内(in-vivo)の用途では、例えば光ファイバープローブや小型化されたカメラなどの撮像素子を用いて関心組織を撮像することができる。さらに、プローブ上に配置したレーザを用いて、損傷した組織やその他の問題のある組織をアブレーションすることもできる。さらに、治療用化合物および/または蛍光分子を同時に関心組織に送達することができる。
【0011】
一実施形態では、プローブはシリンジニードルを介して関心組織に近接して導入される。プローブは、関心組織での圧力および体積を監視するために膨張可能なバルーンプローブとすることもできる。
【0012】
この方法はまた、圧縮ヘッドに印加される圧力の調節(例えば、制御装置を介して)を伴うことができる。別の実施形態では、計算ステップは組織剛性を決定することを含む。別の実施形態では、関心組織は腫瘍とすることができ、その境界は(例えば、コンピュータビジョンを介して)リアルタイムで決定することができる。
【0013】
別の実施形態では、接触電極を関心組織に近接して配置され、圧力に応じて関心組織の電気抵抗を測定する。さらに別の実施形態では、圧力は吸引力として印加され、吸引力に応じて関心組織の伸長長さが測定される。さらに別の実施形態では、圧力は圧縮力として印加され、圧縮力に応じた関心組織の組織変形長が測定される。このような方法を用いて、組織または合成生体材料の両方を評価することができる。
【0014】
本発明の別の実施形態では、材料の剛性を評価するための装置を提供することができる。この装置は、圧縮ヘッド、圧縮ヘッドに結合された撮像素子、撮像素子および圧縮ヘッドを移動させるように適合された電動誘導手段、圧縮ヘッドに正圧または負圧を印加するように適合された圧力ネットワーク(例えば、圧力ライン)および圧力ネットワークを調節および制御するように適合された制御装置を含み得る。
【0015】
一実施形態では、圧力ラインと撮像素子は、装置の誘導可能な区画の一部として電動誘導手段と一体化されている。撮像素子は光ファイバープローブまたは小型化されたカメラとすることができる。一実施形態では、制御装置は、圧縮ヘッドに印加される圧力を調節し、収集された組織変形データを分析し、組織剛性を計算するように適合されている。本発明装置はアブレーション手段(例えば、レーザ)を含むこともできる。別の実施形態では、装置は、治療用化合物を関心組織に送達するための送達手段も含む。送達手段は、蛍光分子を送達するようにさらに適合され得る。一実施形態では、装置は直径5mm未満、長さは少なくとも1mである。
【0016】
さらなる実施形態において、本発明装置は、シリンジニードルを介して導入されるように適合されたバルーンプローブを有し、バルーンプローブは、関心組織における圧力および体積を監視するために拡張可能である。特定の用途において、本発明装置は、リアルタイムで腫瘍境界を決定する術中ツールとして使用するために適合させることができる。例えば、制御装置はコンピュータビジョンを利用して関心組織を分析することができる。例えば、制御装置は、関心組織の伸長長さ、関心組織の組織変形長さ、または関心組織の電気抵抗を決定するように適合させることができる。
【0017】
さらなる実施形態では、圧縮ヘッドはドーム状の先端部である。圧縮ヘッドは、関心組織に印加される圧縮力を監視する接触電極および力センサをさらに含み得る。
【0018】
本発明の目的は、組織剛性を迅速かつ正確に定量化可能な低侵襲プローブを提供することである。
【0019】
本発明の第2の目的は、低侵襲で体内に挿入するための電動誘導可能な区画を含むプローブを提供することである。
【0020】
本発明のもう一つの目的は、負圧または正圧を与えることが可能な圧力ネットワークを関心組織に当てることができるプローブを提供することである。
【0021】
本発明のさらに別の目的は、装置のナビゲーションを誘導し、組織の変形を監視するために小型化されたカメラを利用する光ファイバープローブを提供することである。
【0022】
本発明のさらなる目的は、圧力を調節し、収集された組織変形データを分析し、組織剛性を計算するコンピュータベースの制御装置を組み込んだ装置を提供することである。
【0023】
本発明のさらなる目的は、圧力ライン、撮像プローブおよびカメラを、装置の誘導可能な区画に一体化した装置を提供することである。
【0024】
本発明のさらに別の目的は、膨張可能なバルーン針を介して内部組織の剛性測定を可能にするプローブを提供することである。
【0025】
本発明のもう一つの目的は、(i)撮像を強調するために蛍光分子を標的領域に導入する、および/または(ii)治療薬を関心組織に局所的に送達することが可能なプローブを提供することである。
【0026】
本発明の必ずしも最終的なものではない目的は、レーザアブレーションまたは生検による組織の除去を可能にするプローブを提供することである。
【図面の簡単な説明】
【0027】
本発明をより完全に理解するために、添付図面と併せて考慮される様々な例示的実施形態の以下の詳細な説明を参照されたい。
【
図1A】局所組織の剛性を測定する装置の概略図である。
【
図1B】局所組織の剛性を測定する装置の概略図である。
【
図2A】胸腔内への
図1の装置の挿入を示す概略図である。
【
図2B】
図2Aの装置からのビデオによる伸長長さデータの取得を示す概略図である。
【
図3A】
図1の装置の呼吸器管への挿入を示す概略図である。
【
図3B】
図3Aの装置からのビデオによる伸長長さデータの取得を示す概略図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る拡張バルーンと一体化された針を使用した組織剛性の測定を示す概略図である。
【
図5A】本発明の実施形態に係る生化学的処理による組織の局所的除去を示す概略図である。
【
図5B】本発明の実施形態に係るレーザ治療による組織の局所的除去を示す概略図である。
【
図6A】(i)ヒドロゲルを示す、軟質生体材料の弾性率の真空ベースの測定の概要図である。
【
図6B】(ii)真空圧を介して変形した肺組織の概要図である。
【
図6C】(iii)軟質生体材料の剛性を測定するための特注システムの概要図である。
【
図7A】本発明の実施形態に係る剛性測定を受けるヒドロゲルを示す一連の画像である。
【
図8A】本発明の実施形態に係る周期的真空負荷を受けている種々のヒドロゲルの印加負圧と測定伸長長さを示す一連のグラフである。
【
図8B】本発明の実施形態に係る
図8Aの周期的真空負荷工程を受けた種々のヒドロゲルの測定伸長長さを示す一連のグラフである。
【
図8C】
図8Aおよび
図8Bの測定に基づく様々なヒドロゲルの弾性率を示す一連のグラフである。
【
図9B】真空圧下で変形した
図9Aの気泡ゼラチンを示す一連の画像である。
【
図9C】
図9Aの気泡ゼラチンおよび非気泡対照ゼラチンサンプルの変形を示すグラフである。
【
図9D】対照サンプルと
図9Cの気泡ゼラチンの弾性率を示すグラフである。
【
図10A】本発明の実施形態に係る生体外(ex vivo)ラット肺の剛性を測定するためのセットアップの写真である。
【
図10Aii】本発明の実施形態に係る生体外(ex vivo)ラット肺の剛性を測定するためのセットアップの概略図である。
【
図10E】
図10Aおよび
図10Bの肺組織の胸膜表面全体に発生した張力(T)を示す力図であり、肺組織の伸展に必要なP
Vの増加につながるP
Alvの増加によるものである。
【
図11A】ICG蛍光色素を用いたトリプシンの気管内注入によって誘発される肺損傷の概略図である。
【
図11B】摘出したラットの肺の写真(i)とNIR画像(ii)を示す画像である。
【
図11C】小動物用人工呼吸器を用いて、肺の気管を通して吸入または排出された空気の肺胞内圧力P
Alvおよび体積V
Lを測定することによって得られた、損傷前後の
図11Bのラット肺の圧力-体積曲線を示すグラフである。
【
図11D】
図11Bの肺の肺胞の一連のH&E画像であり、急性損傷ラット(i)および対照(すなわち、健康)ラット肺(ii)を示す。
【
図11F】損傷肺と対照肺の両方について、異なるP
Alvにおける
図11Bの肺の弾性率を示すグラフである。
【
図12A】本発明の光学撮像プローブと共に使用する特注イメージングシステムを示す写真である。
【
図12B】本発明の実施形態に係る正面視撮像プローブ(12B(i))と、
図12B(i)のプローブを用いて達成される明視野画像(12B(ii))および蛍光画像(12B(iii))を示す。
【
図12C】本発明の実施形態に係る側面視撮像プローブ(12C(i))を、蛍光標識された10μm微粒子(12C(ii))および蛍光標識した間葉系幹細胞(赤色)をラット気管(12C(iii))に注入した後にプローブを用いて得られた蛍光画像とともに示す。
【
図13A】ラットの肺への
図12Bの正面視撮像プローブの挿入を示す写真および概略図である。
【
図14A】本発明の実施形態に従って構築された電動誘導可能カテーテル装置の3D図面(i)、装置の誘導可能な遠位端部(ii)、およびシステムに一体化されたサーボモータと牽引ワイヤを介して達成される装置の遠位端部の偏向を示す概略図(iii)である。
【
図15】
図14Bのプロトタイプを使用したターゲットの視覚支援追跡を示す一連の写真である。
【
図16A】
図16A乃至
図16Cは、プロトタイプ装置(
図14B参照)の摘出ブタ肺の呼吸器管への挿入を示す一連の画像であり、ブタ肺の気管に接続されたプラスチックポートへの装置挿入過程を示す写真画像を含む。
【
図16B】ブタ肺気道に配置されたプロトタイプ装置の写真である。
【
図16C】肺に挿入されたプロトタイプ装置を用いた気道内部を可視化している。
【
図17A】0.58mmプローブ(17A)と1.5mmプローブ(17B)のプローブ直径と組織伸長深度の相関関係を示す一連の図である。
【
図17B】0.58mmプローブ(17A)と1.5mmプローブ(17B)のプローブ直径と組織伸長深度の相関関係を示す一連の図である。
【
図18】組織の伸長長さに対する真空圧の影響を示すグラフである。
【
図19】組織伸長長さ(L
E)に対する負圧の大きさ(|P
V|)の変化率(S
P)の影響を示すグラフである。
【
図20】真空圧(|P
V|)と組織伸長長さ(L
E)の相関関係を示すグラフである。
【
図21】組織網内の張力(T)および気液界面における肺胞表面張力(FST)を示す力図であり、P
Alvが増加するとTおよびF
STが上昇し、肺実質組織の伸展に必要なP
Vが大きくなる。
【
図22A】本発明の実施形態に係る健康なラットの肺胸膜の完全性を示す一連の写真である。
【
図22B】本発明の実施形態に係るトリプシン処理したラットの肺胸膜の完全性を示す一連の写真である。
【
図23A】本発明の実施形態に係る圧迫式組織触診装置およびその操作手順を示す概略図である。
【
図23B】圧迫式剛性測定装置のプロトタイプの遠位端を示す写真である。
【
図24】本発明の実施形態に係る誘導可能な圧迫式組織剛性測定装置の写真である。
【
図25A】力を電圧(V)の形で測定するために使用される電気回路の概略図である。
【
図25B】異なる抵抗値(R)を用いて測定電圧(V)と力(F)を相関させた一連の較正曲線である。
【
図26】本発明の実施形態に従って分離されたブタ肺の剛性を測定するための圧迫式組織剛性測定装置の試験を示す実験セットアップである。
【
図27A】組織剛性を決定するための、力センサおよび接触電極を介した電圧および電流の測定をそれぞれ示す概略図およびグラフである。
【
図27B】測定された電気信号を介して、本発明の実施形態に係る圧迫式装置を用いて試験されたブタ肺の剛性測定結果の計算を示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下の開示は、本発明の一般的な原理の説明を提供するために提示されたものであり、本明細書に含まれる発明概念をいかなる意味においても限定するものではない。さらに、本項に記載された特定の特徴は、本明細書に含まれる多数の可能な置換および組み合わせのそれぞれにおいて、他の記載された特徴と組み合わせて使用することができる。
【0029】
本明細書で定義されるすべての用語は、当業者および/または辞書、専門書、または同様の権威がそれに付与するであろう単語と同様に、本明細書の読解によって指示される暗示的な意味を含め、可能な限り広範な解釈が与えられるべきである。
【0030】
さらに、本明細書において、単数形「a」、「an」、「the」、および「one」は、特に断らない限り、複数形を含むことに留意すべきである。さらに、本明細書で使用される場合、用語「comprises」および「comprising」は、特定の特徴がその実施形態に存在することを指定するが、この語句は、追加のステップ、操作、特徴、構成要素、および/またはそれらの群の存在または追加を排除するように解釈されるべきではない。
【0031】
本明細書で援用されるすべての実施例および条件文は、読者が本発明の原理および当該技術をさらに発展させるために本発明者が貢献した概念を理解するのを助ける教育的な目的のために意図されたものであり、そのような具体的に援用された実施例および条件に限定されないものと解釈される。さらに、本発明の原理、態様、および実施形態、ならびにそれらの具体例を本明細書に記載するすべての記述は、それらの構造的および機能的等価物の両方を包含することを意図している。さらに、そのような等価物には、現在知られている等価物および将来開発される等価物の両方、すなわち、構造に関係なく同じ機能を果たすよう開発されたあらゆる要素を含むことが意図される。
【0032】
本発明は、組織および臓器の剛性を非破壊的かつ迅速に測定できる局所展開可能な装置に関する(
図1参照)。一実施形態では、患者体内の局所組織の剛性(すなわち弾性)を局所的かつ低侵襲的に測定できる圧力アシスト誘導可能装置である。圧力チャネル、撮像プローブ、カメラが装置の誘導可能な区画に一体化されている。この装置は、i)患者の体内に低侵襲的に挿入可能な電動誘導可能な区画、ii)評価される組織に負圧または正圧を印加可能な圧力ネットワーク、iii)装置のナビゲーションを誘導し、組織の変形を監視可能な光ファイバープローブおよび小型化されたカメラ、iv)圧力を調節し、収集された組織の変形データを分析し、組織剛性を計算するコンピュータベースの制御装置から構成される。圧力ライン、撮像プローブ、カメラは、装置の誘導可能な区画に組み込まれており、組織剛性測定は、関心組織表面と装置先端部との接触により達成される。具体的には、真空ポンプで作られた負圧(PV)が装置の先端部を介して組織表面に直接印加される一方、組織の伸長長さ(LE)は側面視撮像プローブを介して決定される(
図2A乃至2B参照)。
【0033】
本発明の実施形態に従って製造された装置は、胸部に形成された小さな切開部(直径:1cm未満)を介して胸腔に挿入することができ、装置の先端部は肺胸膜表面に直接配置される。その後、圧力チャネルを介して負圧(PV)を印加し、その間に肺組織の変形を側面視撮像プローブで連続的に監視する。変形した組織の伸長長さ(LE)は、リアルタイムで取得されたビデオから決定される。組織剛性を測定する量である生体材料の弾性率(E)は、E=3C
*RP
*PV/2πLEの式で決定される。ここで、Cはサンプルに真空圧を印加するために使用するピペットの形状に固有の定数、RPは測定に使用するピペットの半径、PVは真空圧、LEはサンプルの伸長長さである。管状ピペットの場合、Cの典型的な値は約2.1である(
図2C参照)。
【0034】
呼吸器、消化管、尿路内組織などの管腔組織を測定するために、この装置は、真空圧が装置先端部の周面から局所組織に供給されるように設計・作成されている(
図3A参照)。組織の変形と伸長は、装置に一体化された正面視撮像プローブを介して監視することができる(
図3B参照)。装置を患者の口または鼻から呼吸器管に挿入可能であり、装置の先端部を測定部位に配置される。その後、負圧を印加しつつ、組織の変形を正面視撮像プローブで連続的に監視する。変形した組織の伸長長さ(LE)は、リアルタイムで取得されたビデオから決定される。組織剛性を測定する量である弾性率は、
図2Cに示す式を用いて計算される。
【0035】
さらに、内部組織または生体材料の剛性を測定するために、バルーンと一体化したシリンジニードル(例えば、直径:1~2mm)を局所的に挿入することができる(
図4参照)。具体的には、一実施形態では、バルーンと一体化したシリンジニードルを、加圧された空気または流体を介して拡張して組織に挿入し、内部組織の剛性を測定することができる。この方法では、組織剛性(E)は、空気または流体の圧力(P)とバルーンの直径(D)を関連付けることによって得られる。Pは外部から空気または液体の圧力センサを用いて測定する。Dは、シリンジに導入された空気または液体の体積(V)から推定され、V=1/6πD
3となる。バルーン針が内部に配置されている間、空気または液体(水など)が供給され、バルーンが拡張される。空気または流体の圧力(P)および体積(V)は、外部からセンサを使用して測定する。組織または生体材料の弾性率(E)は、PとVを用いて計算される。さらに、この装置は、病理学的領域に治療薬を局所的に送達し、インビトロ分析のために組織サンプルを採取、疾患組織や損傷組織の除去のために使用することができる。例えば、腫瘍などの特定の組織の特徴を可視化するために、蛍光分子(例えば、抗体、低分子など)を、圧力チャネルを介して導入することができる。局所組織はまた、生化学的薬剤(例えば、タンパク質分解酵素または洗剤分子)を導入することによって破壊することができ、それによって破壊された組織は、圧力チャネルへの真空圧の印加によって除去することができる(
図5A参照)。いくつかの実施形態では、タンパク質分解酵素または洗剤(例えば、SDS、CHAPS)が局所的に導入されて組織を破壊し、そこで破壊された組織が負圧(PV)を印加することによって除去される。他の実施形態では、印加された真空圧を介して組織が伸展されている間に組織を熱アブレーションし得るレーザ(例えば、1550nmレーザ)の照射によって、局所組織を除去し得る(
図5B)。
【0036】
実施例1:ラット肺組織と軟質ヒドロゲルの真空を利用した剛性測定。
肺組織やゼラチンヒドロゲルのような軟質生体材料の弾性率を測定するための真空ベースのプラットフォームが開発された(
図6A-D)。基板上に形成したドーム状の4%ゼラチンヒドロゲルを用いて、このプラットフォームの機能性をテストした(
図7)。剛性測定は、PDMS基板上に形成されたドーム状4%w/vゼラチンヒドロゲルを用いて実証された。ゲルの変形を見やすくするために、フルオレセイン色素をゼラチンに加えた。エッジ検出により、ゼラチンの変形形状が決定された。ゲルの上に静かに配置したガラスキャピラリー(内径:0.58mm)を介して、ヒドロゲルに負圧を印加した。ゲルが-8.2kPaにさらされたとき、ゲルは0.115mm伸びた。ヒドロゲルの変形形状を正確に決定するために、ゲルの境界を画像処理、特にキャニーエッジ検出器を用いて決定した(
図7A-B)。
図7Bは、経時的な真空圧によるゲルの伸びを示すゼラチンの変形領域の合成画像を示している。また、プラットフォームが異なる機械的特性を持つヒドロゲルの剛性を決定できるかどうかを調べるために、異なる濃度(すなわち、4%、10%、15%)のゼラチンヒドロゲルを調製した(
図8A-C)。ゲルに周期的負圧を印加すると、ゲルに異なる伸長長さが観察された(
図8A)。すべてのサンプルについて、負圧の増減率(すなわち吸引曲線の傾き)はおよそ2.25kPa/sであった。
【0037】
負圧やチューブ直径などの実験パラメータに基づき、ヒドロゲルから測定された伸長長さから、異なるゲルの弾性率を決定することができ、計算値は文献で報告されている値とよく一致した。4%、10%、15%のゼラチンの場合、E値はそれぞれ11.913±1.008、36.568±1.297、59.108±3.932kPaであった(
図8B乃至
図8C)。PV-5kPa下でのゼラチンの伸長長さ(LE)は、ゲルの伸長期と緩和期にそれぞれ決定した。各ゼラチンヒドロゲルの弾性率(E)は、測定条件に基づいて決定した。すべての値は平均±標準偏差を表す。
*p<0.001
【0038】
異なるゼラチングループ間(例えば、4%対10%、4%対10%など)の弾性率の比較から、Eとゼラチン濃度の間に有意な相関があることが示された(p<0.001)。注目すべきは、キャピラリー・プローブの内径(D
I)は、ゲル内を伝播する負圧エネルギーの深さに比例していたことである(
図17Aおよび17B)。特に、より大きなプローブ(D
I=1.5mm)は、より表面的な測定を提供する薄いプローブ(D
I=0.58mm)と比較して、ヒドロゲルのより深い領域を伸長させ、したがって剛性を測定することができる。
【0039】
具体的には、このプローブを用いて、ゼラチンヒドロゲル内でのチューブ直径と真空圧エネルギーの伝播深さとの相関を調べた。ヒドロゲルの伸長を視覚化するために、10μmの蛍光粒子を4%ゼラチンヒドロゲル中に混合し、その動きをカメラで監視した。-20kpaの一定真空圧下で、より大きなプローブ(d1=1.5mm)はゲルブロック内のより深い位置にある粒子の動きを引き起こすことができ、より大きなプローブはより中心部に位置する組織の測定を可能にすることが示唆された。
【0040】
このプラットフォームは、気泡肺組織を模倣した多孔性ゼラチンヒドロゲルの剛性を測定するために使用された(
図9)。その結果、多孔性10%ゼラチン(E=19.065±1.298kPa)の剛性は固形10%ゼラチン(E=36.568±1.297kPa)よりかなり低いことが決定された(
図9A乃至
図9D)。ゲルの多孔性と剛性との相関を調べるために、気泡10%w/vゼラチン(
図9A)を試験した。
図9Bは、-10kPaの真空圧(PV)下で変形した形状を示す気泡ゲルの画像を示す。
図9Cは、経時的な周期的真空圧負荷下での気泡または非気泡(対照群)10%w/vゼラチンの変形を示す。
図9Dは、気泡または非気泡10%w/vゼラチンの弾性率Eを示す。すべての値は平均±標準偏差を表す。
*p < 0.001。
【0041】
次に、ラットの肺組織の弾性挙動(
図10A乃至
図10E)を調べた。組織の視認性を向上させるため、測定前に肺組織をフルオレセイン蛍光剤で標識した(
図10A;P:気圧センサ)。注目すべきことに、肺組織の伸長長さ(LE)は肺内部の圧力(PALV)に依存していた。その結果、PALV値が2、5、10cmH
2Oの場合、E値はそれぞれ4.443±0.613、7.420±1.056および13.174±3.854kPaと決定された(
図10B乃至
図10E)。
図10Bでは、肺胞内圧力(P
Alv)を異なる圧力レベル(i)2cmH
2O、(ii)5cmH
2O、(iii)10cmH
2Oに維持しながら、ガラスキャピラリーチューブ(内径=1.5mm)を介して2kPaの真空圧を肺組織にかけた。
図10Cおよび10Dはそれぞれ、異なるP
Alvに対する肺組織の最大伸長長さ(L
E)および弾性率Eを示している。
図10の値はすべて平均±標準偏差を表す。
**p<0.05。
【0042】
さらに、この測定プラットフォームにより、健康肺と損傷肺の間の組織剛性の違いを定量化することができた(
図11)。ラット肺の気管から0.25%トリプシン溶液を注入することにより、急性肺損傷を誘発した。肺における溶液の送達を視覚的に確認するために、インドシアニングリーン(ICG)蛍光色素分子をトリプシン溶液に加えた(
図11A乃至
図11B)。
図11Bは、(i)損傷前の摘出ラット肺と、(ii)NIRイメージングによって可視化されたトリプシン/ICG(赤色)の分布を示す。
図11Cは、損傷前後の肺の圧力-体積(PV)曲線を示している。これは、小動物用人工呼吸器を用いて、肺胞内圧力(P
Alv)と、肺の気管を通して吸気または呼気された空気の体積(V
L)とを測定することによって得られた。損傷を受けた肺のコンプライアンスは大幅に低下する一方(
図11C)、損傷組織の組織学的分析は肺胞組織に深刻な損傷を示した(
図11D)。注目すべきことに、損傷肺の剛性は健康肺よりも大きかった(
図11Eおよび
図11F)。損傷肺の剛性の増加は、酵素溶液による置換と希釈によって引き起こされた肺胞内の本来の肺サーファクタントの調節不全によるものと思われる。
図11の値はすべて平均±標準偏差を表す。
**p<0.05。
【0043】
また、真空アシスト法を用いて肺組織の弾性率を非破壊で測定できるかどうかを調べるために、無傷のラット肺を用いた。測定中、肺の肺胞内圧力(P
Alv)は、運動による測定誤差を最小化し、キャピラリー・プローブが組織表面に無制限に接触することによって引き起こされる可能性のある組織損傷を防ぐために、肺を換気することなく一定レベル(2、5、10cmH
2O)に維持した。組織変形の可視化を強調するため、測定前にフルオレセイン分子で標識した肺胸膜組織を直接照射するために488nmのレーザを使用した。肺内部の圧力(P
Alv)は、圧力センサに接続したシリンジを用いて制御・監視した。異なるP
Alv(2、5、10cmH
2O)を肺内に維持しながら、キャピラリーチューブ(内径:1.5mm)を介して-2kPaの負圧(P
V)下での肺組織の変形を写真で示した。さらに、肺の応力-ひずみ(すなわち、圧力-体積)測定を模倣するため、P
Vを増減させながら、肺組織の伸長長さ(L
E)を測定した(
図18)。測定されたL
Eは、P
Vに応じて非線形に変化し、負荷-徐荷曲線は、肺組織を含む粘弾性材料特有の挙動であるヒステリシスを示した。
【0044】
図18はまた、組織伸長長さ(L
E)に対する真空圧(P
Alv)の影響も示している。異なるP
Alvで維持されたラット肺について、Pを0~2kPaの間で変化させながら、L
Eを連続的に測定した。L
EとP
Vは非線形の関係にあり、曲線はヒステリシスを示した。P
Alvを増加させると、肺胞ネットワークと胸膜層内の力が増加するため、L
Eが減少した。さらに、真空圧の大きさの変化率(|P
V|)を変化させながら(すなわち、2kPa/s、0.66kPa/s、および0.2kPa/s)、L
Eを測定した(
図19)。注目すべきことに、|PV|の速度変化の増加は、肺の粘弾性変形パターンを示すL
Eの減少をもたらした。さらに、|P
V|を0.7から10kPaまで段階的に増加させながらL
Eを測定することにより、肺組織の非線形変形が存在することが確認された(
図20)。より低い圧力(|P
V|<2kPa)では、L
Eは|P
V|とともに急速に増加したが、負圧の大きさをさらに増加させると(たとえば|PV|>5kPa)、組織の伸長率が低下し、L
E|と|P
V|との間に非線形相関があることが浮き彫りになった。
【0045】
図19を参照すると、組織の長さ(L
E)に対する負圧(|P
V|)の大きさの変化率(S
P)の影響が示されている。L
Eは、(|P
V|)を0~2kPaの間で変化させながら連続的に記録した。得られた曲線は、L
Eと(|P
V|)の間に非線形の関係を示し、L
Eが負荷時よりも除荷時の方が一般的に大きいことから、ヒステリシスが観察された。さらに、圧力の値を急激に変化させると(すなわち、S
Pを増加させると)、全体のL
Eが減少した。これらの結果から、肺実質組織の粘弾性挙動が確認された。
【0046】
図20を参照すると、真空圧|P
V|と組織伸長長さ(L
E)との相関関係が示されている。L
Eは、0.7~10kPaの間の異なる|P
V|に対して測定した。L
Eと|P
V|は2kPa未満ではほぼ直線的な関係であったが、L
Eは|P
V|(例えば5kPa超)が高くなるにつれてゆっくりと増加した。このことは、荷重を受ける肺組織を変形させるにはより大きな負圧が必要であることを示唆している。L
Eと|P
V|の間にはこのような非線形の関係があるため、異なる肺の剛性を比較するために試験全体を通して|P
V|=2kPaが使用された。
【0047】
注目すべきは、肺内圧が上昇するにつれて、L
Eが減少したことである。P
Alvが2、5、10cmH
2Oの場合、L
Eは0.33±0.05、0.20±0.03、0.12±0.03mm、Eはそれぞれ4.4±0.6、7.4±1.1、13.2±3.9kPaであった。その結果、P
AlvとEとの間に相互作用があることが示された(0.2対0.5kPa:p=0.005、0.2対1.0kPa:p=0.0058、0.5対1.0kPa:p=0.067)。このような肺胞圧依存性は、内部の気圧に対する胸膜層と肺胞隔壁ネットワーク内の張力(T)の変化によるものである。肺体積が増加すると、組織内のコラーゲン線維は応力を負担するようになる一方で、そのうねりは失われ、組織の弾性率が増加する。従って、肺内の空気体積の増加により肺の内圧が上昇すると、肺組織の張力も増加し、抵抗する引張力に抗して肺組織を伸展させるために、より大きな真空圧が必要となる(
図21)。真空ベースの方法を用いて測定された肺の剛性は、圧子押込み、原子間力顕微鏡、引張試験などの広範な機械的試験方法を用いて得られた文献に報告されている範囲内であった。
【0048】
実施例2:組織監視用光ファイバープローブ
明視野および蛍光で局所組織を撮像できる光学撮像プローブ(正面視プローブと側面視プローブの両方)を利用して、特注の撮像プラットフォームを作成した(
図12)。このイメージングシステムは、科学用カメラ、LEDまたはレーザ光源、光学フィルター、光学撮像プローブで構成されている(
図12A)。この撮像システムを用いて、ラット肺内部の可視化が実証された。特に、正面視撮像プローブを用いて、ラット気管内部の明視野撮像と蛍光撮像の両方が達成された(
図12B)。側面視撮像プローブを用いると、ラット気管の管腔表面が光学的歪みを抑えて可視化された(
図12C)。
【0049】
両方の撮像プローブを用いた蛍光撮像では、赤色10μm微粒子または間葉系幹細胞を移植した。さらに、この撮像システムを用いて、ラットの肺をその場で可視化した(
図13)。ラット肺の画像化は、プローブを動物の胸部に設けた小さな切開創から胸腔内に挿入することで達成された(
図13A)。ラット肺の明視野画像は、この撮像アプローチによって得られた。このアプローチでは、正面視撮像プローブが肺胸膜の近くに配置された。画像のコントラストを強調することにより、個々の肺胞を明瞭に可視化することができた(
図13B)。さらに、この撮像システムにより、ラット肺の「in situ」での蛍光撮像が可能となり、ラット肺の肺胞腔に導入された10μm粒子と間葉系幹細胞(赤色)が、薄い胸膜層を通して明瞭に可視化された(
図13C)。この結果は、この撮像システムを用いて、組織の変形を局所的に検査し、変形した組織の伸長を、真空圧を介して測定できることを示唆している。
【0050】
実施例3:真空チャンネルと撮像プローブを一体化するための誘導可能カテーテルの構築
真空チャンネルと撮像プローブの一体化を可能とし、局所的な組織剛性測定をするための電動誘導可能カテーテル装置が作成された(
図14)。装置の3Dレンダリング画像に示すように、サーボモータ、牽引ワイヤ、およびモータ制御装置が一体化され、装置先端部の偏向および並進運動を一括して制御する(
図14A)。本装置のプロトタイプは、3つのサーボモータ、モータ制御装置、光ファイバー撮像プローブから構成され、空間内での視覚支援3次元ナビゲーションが可能であった(
図14B)。プロトタイプでは、誘導可能カテーテルは、サーボモータと、装置の動きを制御できるモータ制御装置(すなわち、ジョイスティック)と一体化している。この装置を用いて、コンピュータ制御サーボモータを介してモータ制御装置を用いて装置の偏向動作を操作することにより、視覚支援による対象物の連続追跡が実証された(
図15A乃至
図15C)。さらに、摘出した豚の肺を用いた気道内腔の可視化において、本装置の実現可能性が実証された(
図16A乃至
図16C)。アクセスポートを介して、気管を通して装置を肺に挿入した(
図16A乃至
図16B)。挿入した装置を用いて肺の気道内部を可視化した(
図16C)。
【0051】
本明細書に記載された発明は、組織の評価と切除を同時に行うことを容易にする。類似の技術/装置は組織の剛性評価に限定されているが、本発明は局所的な組織評価だけでなく、組織生検やアブレーションも可能にする(
図5)。本発明の多機能アプローチは、1回の介入で診断と治療を同時に行うことができるため、患者に必要な処置の回数を減らすことができる。
【0052】
コンピュータ視覚支援による組織変形の正確な決定に関しては、真空圧への曝露によって生じる組織の正確な変形形状を決定することが重要である。本発明装置では、真空誘起変形前後の組織の形状を、コンピュータビジョンを利用した境界検出(またはエッジ検出)法によりリアルタイムで正確に決定することができる(
図7乃至
図8)。コンピュータ支援による組織の境界検出により、組織の伸びを正確に測定することができ、そこから評価されている組織の剛性を計算することができる。
【0053】
組織の変形を正確に評価するために、組織の変形中に取得される画像の質を高めるために、「in situ」の蛍光組織の可視化に関して、本発明は「in situ」蛍光撮像機能と一体化することができる(
図6A-D)。ここで、PVは真空圧、LEは伸長長さ、Pは空気圧センサである。自家蛍光によって、人間の組織は通常、青色光を受けると緑色に発光する。したがって、本装置を使用して評価される局所組織には青色レーザ光(波長約488nm)が照射され、組織から発生する緑色光は、本装置に外部接続されたカメラを介して収集される。取得された画像はコンピュータアルゴリズムによって処理され、組織の境界、伸長長さ、組織剛性が決定される。さらに、組織および/または特定の組織の特徴を蛍光標識できる蛍光分子(例えば、フルオレセイン、ローダミン、タグ化抗体)を装置内腔から導入して、組織の可視性をさらに向上させ、特定の組織の特徴を識別し、組織の変形と伸長の精度を高めることができる。
【0054】
実施例4:肺胞破壊による剛性の変化
さらに、酵素的破壊による肺実質組織の剛性変化が、本発明のアプローチを用いて検出できるかどうかを調べた。急性の組織破壊を引き起こすために、肺を酵素溶液(すなわちトリプシン)にさらし、ECMから上皮細胞を剥がし、肺胞空間の表面張力をさらに破壊した(
図11参照)。トリプシン化の目的は、1つの病態の定型的提示を模倣することではなく、肺組織の剛性変化を定量化する真空アシスト法の能力を評価することであった。ラットの肺にICG色素を含む0.25%トリプシン(1mL)を気管から注入し、10分間インキュベートした。肺のNIRイメージングによるトリプシン/ICGの可視化により、肺の呼吸器管におけるトリプシン溶液の分布を確認した。トリプシン・チャレンジの前後で、肺全体の静的コンプライアンス(CS)を、圧力と体積の関係を測定することにより監視した。ここで、気圧(PAlv)と肺体積(V)は、特注のセンサモジュールを用いて測定した。静的コンプライアンス(C
S)は、C
S=TV/(P
Plat-PEEP)で計算した。ここで、TVは潮汐体積、P
Platはプラトー圧、PEEPは呼気終末正圧である。健康な肺(対照)は高い静的コンプライアンス(0.70mL/cmH
2O)を示したが、損傷した肺は、トリプシン処理した肺が同じ体積の空気で換気したときに著しく大きな圧力を必要としたため、コンプライアンス(0.29mL/cmH
2O)が大幅に低下した(
図11C)。トリプシン処理肺のH&E染色による組織学的分析では、肺胞腔に液体と残屑が過剰に蓄積し、無傷の細胞が大幅に減少し、核の数が対照の肺に比べて減少していた(
図11D)。トリプシン処理した肺では、-2kPaのP
V下での最大伸長長さは、5および10cmH
2OのP
Alvで、それぞれ0.11±0.01および0.07±0.01mmであった(
図7A)。その結果、酵素的に損傷した肺の弾性率は、5および10cmH
2OのP
Alvでそれぞれ12.8±1.0および21.7±3.9kPaと決定され、同じ測定条件下で対照(健康)の肺と比較して組織剛性が73.1%および64.6%増加したことが示された。タンパク質分解組織破壊後のEの有意な増加、特に5cmH
2OのP
Alv(p=0.003)は、トリプシン・チャレンジ後に肺組織実質の内在的な変形力学と剛性が損なわれたことが示唆される。さらに、損傷を受けた肺では、Eに対するP
Alvの影響はかなり大きく(p=0.02)、肺胞内圧力などの測定条件が組織の特徴に及ぼす影響が強調された。注目すべきことに、真空を用いた測定後、肺の内臓胸膜層では、肺実質や胸膜の物理的損傷(例えば、水ぶくれや破裂)は観察されなかった(
図22)。
図22は、健康なラット肺(
図22A)とトリプシン処理したラット肺(
図22B)の両方を示している。両者とも、胸膜表面に印加された負圧のために生じうる水ぶくれのような物理的損傷が無いかを目視で検査した。真空を利用した剛性測定(P
V=-2kPa)中に撮影された肺の写真によると、印加された真空によって生じた物理的損傷の徴候はなく、肺の胸膜層は無傷のままであることが示された。
【0055】
実施例5:圧迫式触診装置
図23Aは、圧迫式組織触診装置とその操作手順の概略図である。接触電極は、組織の圧縮が不完全な場合には電気信号が検出されないため、測定中に装置先端部と組織との間の強固な接触を保証する。装置先端部に一体化された力センサは、組織に印加された圧縮力(F)を測定する。固定された既知の高さの圧縮ヘッドが組織変形長さ(Lc)を定義し、測定全体にわたって一貫した組織変形を可能にする。そして組織剛性(K)は、FとLcを関連付けることによって計算される。
図23Bは、圧迫式剛性測定装置のプロトタイプの遠位端を示す写真である。
【0056】
実施形態では、本発明の実施形態に従って製造された装置は、組織変形長さ(Lc)を規定する固定された既知の高さを有する圧縮ヘッドを特徴とし、測定にわたって一貫した組織変形を可能にする。接触電極を使用することで、組織の圧縮が不完全であれば電気信号が検出されないため、測定中の装置先端部と組織との間の強固な接触を保証する。装置先端部に一体化された力センサは、組織に印加された圧縮力を測定する。このような装置は、外部組織を迅速に評価するための携帯型のハンドヘルド構成や、生体内(in vivo)組織評価のための誘導可能な構成にすることができる。
【0057】
本発明のこのような実施形態では、測定手順に従うことができる。まず、組織剛性測定中に、装置の先端部を組織に軽く押し当てる。次に、接触電極を介して電気信号が検出されるまで組織の変形が続く。最後に、組織剛性は電気信号検出時に記録された組織変形(Lc)と力(F)に基づいて計算される。
【0058】
図24は、誘導可能な圧迫式組織剛性測定装置のプロトタイプを示す写真である。装置の偏向および並進運動は、サーボモータとモータ制御装置によって制御される。力センサを介して測定された圧縮力と、装置の遠位端に一体化された接触電極を介して検出された電気信号は、電気回路によって記録・処理される。
【0059】
図25Aは、力を電圧(V)の形で測定するために使用される電気回路の概略図である。
図25Bは、異なる抵抗値(R)を用いて測定された電圧(V)と力(F)を相関させる一連の較正曲線である。
【0060】
図26は、分離されたブタ肺の剛性を測定するための圧迫式組織剛性測定装置の試験を示す実験セットアップである。
【0061】
図27は、本発明の圧迫式装置を用いたブタ肺の剛性測定結果を示す。
図27Aは、組織剛性を決定するための、力センサおよび接触電極を介した電圧および電流の測定をそれぞれ示す概略図である。
図27Bは、
図27Aの測定電気信号を用いて組織剛性(すなわち、弾性率)を計算するための公式を含む表である。
【0062】
本発明に関連する追加の詳細は、Jiawen Chenらによる刊行物「肺弾性率の非破壊真空支援測定(Non-destructive vacuum-assisted measurement of lung elastic modulus)」と題され、Acta Biomater. 2021, Sep 1;131:370-380に記載されており、その開示全体はあらゆる目的のために参照により本明細書に組み込まれ、本開示の一部となる。
【0063】
本明細書に記載された実施形態は単なる例示であり、当業者であれば、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、多くの変形および修正を行うことができることが理解されよう。そのような全ての変形および修正は、本発明の範囲内に含まれることが意図される。
【手続補正書】
【提出日】2024-06-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮ヘッドを有するプローブを提供するステップと、
前記圧縮ヘッドが関心組織に近接するように前記プローブを配置するステップと、
前記圧縮ヘッドに圧力を印加するステップと、
前記印加するステップを介して印加された前記圧力に応じて、前記関心組織における応答を検出するステップと、
前記応答に基づいて、前記関心組織の1つ以上の物理的特性を計算するステップと
を備える、
関心組織の剛性測定方法。
【請求項2】
前記方法が生体内(in-vivo)条件下で関心組織に対して実施され、
前記方法が、前記プローブを患者に挿入するステップをさらに備える、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
撮像素子を用いて前記関心組織を撮像するステップをさらに備える、
請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記撮像素子は光ファイバープローブを有する、
請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記撮像素子が小型化されたカメラを有する、
請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記関心組織をアブレーションするステップをさらに備える、
請求項2に記載の方法。
【請求項7】
前記アブレーションするステップがレーザを用いて実施される、
請求項6に記載の方法。
【請求項8】
治療用化合物を前記関心組織に送達するステップをさらに備える、
請求項2に記載の方法。
【請求項9】
前記送達するステップが蛍光分子の送達を含む、
請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記プローブがシリンジニードルを介して前記関心組織に近接して導入される、
請求項2に記載の方法。
【請求項11】
前記プローブがバルーンプローブである、
請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記バルーンプローブを膨張させるステップと、前記関心組織における前記バルーンプローブの圧力および体積を監視するステップとをさらに備える、
請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記圧縮ヘッドに印加される前記圧力を調節するステップをさらに備える、
請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記計算するステップは、組織剛性を決定するステップを含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記関心組織は腫瘍であり、
前記方法は、前記腫瘍の境界をリアルタイムで決定するステップをさらに備える、
請求項1に記載の方法。
【請求項16】
コンピュータビジョンを用いて前記関心組織を分析するステップをさらに備える、
請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記関心組織に近接して接触電極を配置し、前記圧力に応じて前記関心組織の電気抵抗を測定するステップをさらに備える、
請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記圧力は吸引力として印加され、
前記方法は、吸引力に応じた前記関心組織の伸長長さを測定するステップをさらに含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記圧力は圧縮力として印加され、
前記方法は、前記圧縮力に応じた前記関心組織の組織変形長を測定するステップをさらに含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記方法が、生体外(ex-vivo)条件下で関心組織に対して実施される、
請求項1に記載の方法。
【請求項21】
圧縮ヘッドと、
前記圧縮ヘッドに結合された撮像素子と、
前記撮像素子および前記圧縮ヘッドを移動させるように適合された電動誘導手段と、
前記圧縮ヘッドに正圧または負圧を加えるように適合された圧力ネットワークと、
前記圧力ネットワークを調節および制御するように適合された制御装置と
を備える、
材料の剛性を評価する装置。
【請求項22】
前記圧力ネットワークが圧力ラインを備える、
請求項
21に記載の装置。
【請求項23】
前記圧力ラインおよび前記撮像素子は、前記装置の誘導可能な区画の一部として前記電動誘導手段と一体化されている、
請求項
22に記載の装置。
【請求項24】
前記撮像素子は光ファイバープローブを備える、
請求項
21に記載の装置。
【請求項25】
前記撮像素子は小型化されたカメラを備える、
請求項
21に記載の装置。
【請求項26】
前記制御装置が、前記圧縮ヘッドに印加される圧力を調節し、収集された組織変形データを分析し、組織剛性を計算するように適合されている、
請求項
21に記載の装置。
【請求項27】
アブレーション手段をさらに含む、
請求項
21に記載の装置。
【請求項28】
前記アブレーション手段がレーザである、
請求項
27に記載の装置。
【請求項29】
治療用化合物を関心組織に送達するための送達手段をさらに備える、
請求項
21に記載の装置。
【請求項30】
前記送達手段が、蛍光分子を送達するようにさらに適合されている、
請求項
29に記載の装置。
【請求項31】
前記装置は、直径が5mm未満であり、長さが少なくとも1mである、
請求項
21に記載の装置。
【請求項32】
シリンジニードルを介して導入されるように適合されたバルーンプローブをさらに備え、
前記バルーンプローブは、関心組織における圧力および体積を監視するために拡張可能である、
請求項
21に記載の装置。
【請求項33】
リアルタイムで腫瘍境界を決定する術中ツールとして使用するように適合されている、
請求項
21に記載の装置。
【請求項34】
前記制御装置は、コンピュータビジョンを利用して関心組織を分析する、
請求項
21に記載の装置。
【請求項35】
前記圧縮ヘッドがドーム状の先端部である、
請求項
21に記載の装置。
【請求項36】
前記圧縮ヘッドが、接触電極と、関心組織に印加される圧縮力を監視する力センサとをさらに含む、
請求項
21に記載の装置。
【請求項37】
前記制御装置は、関心組織の伸長長さを決定するように適合されている、
請求項
21に記載の装置。
【請求項38】
前記制御装置が、関心組織の組織変形長さを決定するように適合されている、
請求項
21に記載の装置。
【請求項39】
前記制御装置は、関心組織の電気抵抗を決定するように適合されている、
請求項
21に記載の装置。
【国際調査報告】