(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-04
(54)【発明の名称】セピアプテリンの医薬組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 31/519 20060101AFI20240927BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20240927BHJP
A61K 47/38 20060101ALI20240927BHJP
A61K 47/36 20060101ALI20240927BHJP
A61K 47/32 20060101ALI20240927BHJP
A61K 47/14 20170101ALI20240927BHJP
A61K 47/04 20060101ALI20240927BHJP
A61K 47/02 20060101ALI20240927BHJP
A61K 47/22 20060101ALI20240927BHJP
A61K 47/44 20170101ALI20240927BHJP
A61K 47/12 20060101ALI20240927BHJP
A61K 47/18 20170101ALI20240927BHJP
A61K 47/20 20060101ALI20240927BHJP
A61P 3/00 20060101ALN20240927BHJP
A61P 25/16 20060101ALN20240927BHJP
A61P 25/24 20060101ALN20240927BHJP
A61P 25/18 20060101ALN20240927BHJP
A61P 25/22 20060101ALN20240927BHJP
A61P 25/28 20060101ALN20240927BHJP
A61P 9/00 20060101ALN20240927BHJP
A61P 1/00 20060101ALN20240927BHJP
A61P 13/12 20060101ALN20240927BHJP
A61P 15/10 20060101ALN20240927BHJP
A61P 1/16 20060101ALN20240927BHJP
A61P 9/12 20060101ALN20240927BHJP
A61P 9/10 20060101ALN20240927BHJP
A61P 31/00 20060101ALN20240927BHJP
【FI】
A61K31/519
A61K47/26
A61K47/38
A61K47/36
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A61K47/18
A61K47/20
A61P3/00
A61P25/16
A61P25/24
A61P25/18
A61P25/22
A61P25/28
A61P9/00
A61P1/00
A61P13/12
A61P15/10
A61P1/16
A61P9/12
A61P9/10 101
A61P31/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024519861
(86)(22)【出願日】2022-09-29
(85)【翻訳文提出日】2024-05-14
(86)【国際出願番号】 US2022045214
(87)【国際公開番号】W WO2023055923
(87)【国際公開日】2023-04-06
(32)【優先日】2021-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524009082
【氏名又は名称】ピーティーシー セラピューティクス、インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】ウディーン, アークム, ナーシル
(72)【発明者】
【氏名】ダリ, マンダール, バサント
(72)【発明者】
【氏名】パテル, ダヴァル
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA22
4C076AA29
4C076BB01
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4C086ZA66
4C086ZA75
4C086ZA81
4C086ZB32
4C086ZC21
(57)【要約】
本発明は、加工性、安定性、及び嗜好性が改善されたセピアプテリンの医薬組成物を開示する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
セピアプテリン、水溶性希釈剤、水不溶性希釈剤、崩壊剤、懸濁化剤、流動化剤、甘味料及び滑沢剤を含む固形医薬組成物。
【請求項2】
前記セピアプテリンは、結晶性である、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
前記結晶性セピアプテリンは、結晶性形態Fである、請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項4】
前記結晶性セピアプテリンは、結晶性形態Dである、請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項5】
前記結晶性セピアプテリンは、結晶性形態A、B、C、E又はGである、請求項2に記載の薬学的組成物。
【請求項6】
前記医薬組成物は、粉末である、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項7】
前記医薬組成物は、60%未満の湿度を含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項8】
前記医薬組成物は、小袋に包装される、請求項1から7のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項9】
前記医薬組成物は、約20重量%-50重量%のセピアプテリンを含む、請求項2から8のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項10】
前記医薬組成物は、約25重量%のセピアプテリンを含む、請求項9に記載の医薬組成物。
【請求項11】
前記医薬組成物は、乳糖、グルコース、マンニトール、キシリトール、マルチトール、ソルビトール、イソマルト、結晶セルロース、スクロース、フルクトース、マルトース、トレハロース、及び微結晶セルロースから選択される複数の希釈剤を含む、請求項1から10のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項12】
少なくとも1つの希釈剤は、水に可溶であり、及び、少なくとも1つの希釈剤は、水に不溶である、請求項1から11のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項13】
前記医薬組成物は、約5から65重量%の水溶性希釈剤及び約15から40重量%の水不溶性希釈剤を含む、請求項12に記載の医薬組成物。
【請求項14】
前記水溶性希釈剤は、イソマルト及びマンニトールである、請求項13に記載の医薬組成物。
【請求項15】
前記組成物は、約40重量%のイソマルト及び約10重量%のマンニトールを含む、請求項14に記載の医薬組成物。
【請求項16】
前記1つの水不溶性希釈剤は、微結晶セルロースである、請求項12に記載の医薬組成物。
【請求項17】
前記組成物は、約21重量%の微結晶セルロースを含む、請求項15に記載の医薬組成物。
【請求項18】
前記崩壊剤は、デンプングリコール酸ナトリウム、クロスポビドン、架橋アルギン酸、架橋デンプン、架橋アルギン酸ナトリウム、カルメロース、カルメロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、グリセリン脂肪酸エステル、低置換カルボキシメチルデンプンナトリウム、及び部分アルファ化デンプンから選択される、請求項1から17のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項19】
前記組成物は、約0.5から1.5重量%の崩壊剤を含む、請求項18に記載の医薬組成物。
【請求項20】
前記崩壊剤は、クロスカルメロースナトリウムであり、及び前記組成物は、約1.0重量%のクロスカルメロースナトリウムを含む、請求項18に記載の医薬組成物。
【請求項21】
前記流動化剤は、コロイド状二酸化ケイ素、水和スルホアルミン酸ナトリウム及びタルクを含むものから選択される、請求項1から20のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項22】
前記組成物は、約0.2から0.6重量%の流動化剤を含む、請求項21に記載の医薬組成物。
【請求項23】
前記流動化剤は、コロイド状二酸化ケイ素であり、及び、前記組成物は約0.4重量%のコロイド状二酸化ケイ素を含む、請求項22に記載の医薬組成物。
【請求項24】
前記甘味料は、スクラロース、サッカリンナトリウム、アスパルテーム、及びニュートレームから選択される、請求項1から23のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項25】
前記甘味料は、スクラロースであり、前記医薬組成物は、約0.5重量%から約2.0重量%の甘味料を含む、請求項24に記載の医薬組成物。
【請求項26】
前記甘味料は、スクラロースであり、前記医薬組成物は、約1重量%のスクラロースを含む、請求項25に記載の医薬組成物。
【請求項27】
前記滑沢剤は、ベヘン酸グリセリル、ベハプト酸グリセリル、フマル酸ステアリルナトリウム、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸ナトリウム、水素添加植物油、コロイドシリカ、タルク、ワックス、ホウ酸、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、フマル酸ナトリウム、塩化ナトリウム、DL-ロイシン、ポリエチレングリコール、オレイン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、及びラウリル硫酸マグネシウム、から選択される、請求項1から26のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項28】
前記組成物は、約0.4から0.8重量%の滑沢剤を含む、請求項27に記載の医薬組成物。
【請求項29】
前記滑沢剤は、ステアリン酸マグネシウムであり、及び前記医薬組成物は、約0.6重量%のステアリン酸マグネシウムを含む、請求項28に記載の医薬組成物。
【請求項30】
前記懸濁化剤は、キサンタンガム及びヒドロキシエチルセルロースから選択される、請求項1から29のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項31】
前記医薬組成物は、約0.5から2.0重量%の懸濁化剤を含む、請求項30に記載の医薬組成物。
【請求項32】
前記懸濁化剤は、キサンタンガムであり、及び前記医薬組成物は約1重量%のキサンタンガムを含む、請求項31に記載の医薬組成物。
【請求項33】
前記組成物は、約25重量%のセピアプテリン、約21重量%の微結晶セルロース、約40重量%のイソマルト、約10重量%のマンニトール、約1重量%のクロスカルメロースナトリウム、約1重量%のキサンタンガム、約0.4重量%のコロイド状二酸化ケイ素、約1.0重量%のスクラロース、及び約0.6重量%のステアリン酸マグネシウムを含む、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項34】
前記組成物は、抗酸化剤をさらに含む、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項35】
(1)セピアプテリン及び少なくとも1種の水溶性希釈剤、水不溶性希釈剤、崩壊剤、懸濁化剤、流動化剤及び甘味料をふるいにかけ、混合し、予備混合した混合物を形成する工程、(2)滑沢剤をふるいにかける工程、(3)前記滑沢剤を前記予備混合した混合物と混合し、滑沢剤入りの予備混合した混合物を形成する工程、(4)乾式圧縮造粒機を用いて、前記滑沢剤入の予備混合した混合物の小片を調製する工程、(5)前記小片を粉砕して粉砕製剤を形成する工程、(6)前記粉砕製剤を混合機で混合し、請求項1に記載の医薬組成物を形成する工程を含む、請求項1から34のいずれか1項に記載の医薬組成物を調製する方法。
【請求項36】
小袋充填機を用いて前記医薬組成物を小袋に充填することをさらに含む、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
請求項1から34に記載の医薬組成物を液体中に分散させることを含む液体製剤を調製する方法であって、任意に、前記液体は、水又は果汁である方法。
【請求項38】
前記液体製剤は、懸濁液である、請求項37に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願との相互参照
本出願は、2021年9月29日に出願された米国仮出願番号63/250,167の優先権を主張するものであり、その内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、典型的には、セピアプテリンの医薬組成物、例えば、セピアプテリンの代替医薬組成物に比べて加工性及び安定性が改善された医薬組成物、ならびにその製造方法及び使用方法に関する。
【背景技術】
【0003】
複数の障害が、テトラヒドロビオプテリン(BH4)濃度の欠乏又は低値と関連している(例えば、原発性テトラヒドロビオプテリン欠乏症、フェニルケトン尿症、及び糖尿病性胃アトニー)。これらの障害では、高フェニルアラニン血症(HPA)の原因となるフェニルアラニン(Phe)からチロシン(Tyr)への水酸化障害、又は神経伝達物質(例えば、ドーパミン、セロトニン、及びNO)の産生不全の原因となる、Tyr若しくはトリプトファン(Trp)の水酸化障害、若しくは一酸化窒素(NO)の合成障害が生じる可能性がある。
【0004】
セピアプテリンは天然に存在する低分子で、プテリンサルベージ経路を介したBH4のde novo合成の基質となるため、セピアプテリンは天然に存在するBH4の前駆体となる。BH4は、PAH、チロシンヒドロキシラーゼ、トリプトファンヒドロキシラーゼ、脂肪酸グリセリルエーテルオキシゲナーゼ、及びNO合成酵素を含む酵素の必須補酵素である。
【0005】
合成BH4(サプロプテリンジヒドロクロライド)による治療は、生物学的利用能の低さによって制限されている。経口投与された合成BH4の取り込みは、7,8-ジヒドロビオプテリン(BH2)への急速な酸化及び細胞内への浸透の乏しさによって阻害され、その結果、取り込まれるレベルは非常に低いことが示されてきた。一方、セピアプテリンは、血漿中で安定であり、細胞内に積極的に輸送され、プテリンサルベージ経路の一部として、単純で迅速な一方向の2工程酵素還元プロセスによって細胞内BH4に変換されるセピアプテリンの外因性供給源を提供する。
【0006】
セピアプテリンは、水分、酸素、及び日光の存在下で分解することが知られている。さらに、セピアプテリンの既知の組成物は、プロセス効率、流動特性、及び安定性が低いという問題がある。したがって、セピアプテリンの新規医薬組成物に対する必要性が存在する。
【発明の概要】
【0007】
一態様において、本発明はセピアプテリン、水溶性希釈剤、水不溶性希釈剤、崩壊剤、懸濁化剤、流動化剤、甘味料及び滑沢剤を含む固形医薬組成物を特徴とする。
【0008】
いくつかの実施形態において、上記セピアプテリンは、結晶性、例えば結晶性形態F又は形態Dである。他の実施形態において、結晶性セピアプテリンは結晶性形態A、B、C、E又はGである。
【0009】
いくつかの実施形態において、上記医薬組成物は、粉末である。
【0010】
いくつかの実施形態において、上記医薬組成物は、60%未満の湿度を含む。
【0011】
いくつかの実施形態において、上記医薬組成物は、小袋に包装される。
【0012】
いくつかの実施形態において、上記医薬組成物は、約20から50重量%のセピアプテリン、例えば、約20から30重量%のセピアプテリン、約22から28重量%のセピアプテリン、約24から26重量%を含む。いくつかの実施形態において、上記組成物は、約25重量%のセピアプテリンを含む。
【0013】
いくつかの実施形態において、上記希釈剤は、乳糖、グルコース、マンニトール、キシリトール、マルチトール、ソルビトール、イソマルト、セルロース(例えば、結晶又は微結晶性)、スクロース、フルクトース、マルトース、及びトレハロースから選択される。いくつかの実施形態において、上記医薬組成物は、例えば、乳糖、グルコース、マンニトール、キシリトール、マルチトール、ソルビトール、イソマルト、セルロース(例えば、結晶又は微結晶性)、スクロース、フルクトース、マルトース、及びトレハロースから選択される2つ又はそれより多くの希釈剤を含む。いくつかの実施形態において、上記希釈剤は、水に可溶である。いくつかの実施形態において、上記希釈剤は、水に不溶である。
【0014】
いくつかの実施形態において、上記医薬組成物は、約5から65重量%の水溶性希釈剤、例えば、約40から60重量%の水溶性希釈剤、約45%から55重量%の水溶性希釈剤を含む。いくつかの実施形態において、上記医薬組成物は、約50%の水溶性希釈剤を含む。
【0015】
いくつかの実施形態において、1つの水溶性希釈剤は、イソマルトである。いくつかの実施形態において、上記医薬組成物は、約5から45重量%のイソマルト、例えば、約35から45重量%のイソマルトを含む。いくつかの実施形態において、上記組成物は、約40重量%のイソマルトを含む。
【0016】
いくつかの実施形態において、1つの水溶性希釈剤は、マンニトールである。いくつかの実施形態において、上記医薬組成物は、約5から20重量%のマンニトール、例えば、約5から15重量%のマンニトールを含む。いくつかの実施形態において、上記医薬組成物は、約10重量%のマンニトールを含む。
【0017】
いくつかの実施形態において、1つの水不溶性希釈剤は、微結晶セルロースである。いくつかの実施形態において、上記組成物は、約15から39重量%の微結晶セルロース、例えば、約17から25重量%の微結晶セルロース、約19から23重量%の微結晶セルロースを含む。いくつかの実施形態において、上記組成物は、約21重量%の微結晶セルロースを含む。
【0018】
いくつかの実施形態において、上記組成物は、イソマルト、マンニトール、及び微結晶セルロースを含む。
【0019】
いくつかの実施形態において、上記崩壊剤は、デンプングリコール酸ナトリウム、クロスポビドン、架橋アルギン酸、架橋デンプン、架橋アルギン酸ナトリウム、カルメロース、カルメロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、グリセリン脂肪酸エステル、低置換カルボキシメチルデンプンナトリウム、及び部分アルファ化デンプンから選択される。いくつかの実施形態において、上記組成物は、約0.5から1.5重量%崩壊剤を含む。いくつかの実施形態において、上記崩壊剤は、クロスカルメロースナトリウムである。いくつかの実施形態において、上記医薬組成物は、約0.5から1.5重量%のクロスカルメロースナトリウムを含む。いくつかの実施形態において、上記医薬組成物は、約1重量%のクロスカルメロースナトリウムを含む。
【0020】
いくつかの実施形態において、上記流動化剤は、二酸化ケイ素(例えば、コロイド状)、水和スルホアルミン酸ナトリウム、及びタルクから選択される。いくつかの実施形態において、上記医薬組成物は、約0.2%から0.6重量%の流動化剤を含む。いくつかの実施形態において、上記流動化剤は、コロイド状二酸化ケイ素である。いくつかの実施形態において、上記医薬組成物は、約0.2重量%から0.6重量%のコロイド状二酸化ケイ素を含む。いくつかの実施形態において、上記医薬組成物は、約0.4重量%のコロイド状二酸化ケイ素を含む。
【0021】
いくつかの実施形態において、上記甘味料は、スクラロース、サッカリンナトリウム、アスパルテーム、及びニュートレーム(neutrame)から選択される(高フェニルアラニン血症の治療にはアスパルテームは禁忌である。)。いくつかの実施形態において、上記医薬組成物は、約0.5%から2.0重量%の甘味料を含む。いくつかの実施形態において、上記甘味料は、スクラロースである。いくつかの実施形態において、上記医薬組成物は、約0.5%から2.0重量%のスクラロースを含む。いくつかの実施形態において、上記医薬組成物は、約1.0重量%のスクラロースを含む。
【0022】
いくつかの実施形態において、上記滑沢剤は、ベヘン酸グリセリル、ベハプト酸グリセリル(glyceryl behaptate)、フマル酸ステアリルナトリウム、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸ナトリウム、水素添加植物油、コロイドシリカ、タルク、ワックス、ホウ酸、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、フマル酸ナトリウム、塩化ナトリウム、DL-ロイシン、ポリエチレングリコール、オレイン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、及びラウリル硫酸マグネシウム、から選択される。いくつかの実施形態において、上記医薬組成物は、約0.4%から0.8重量%の滑沢剤を含む。いくつかの実施形態において、上記滑沢剤は、ステアリン酸マグネシウムである。いくつかの実施形態において、上記医薬組成物は、約0.4%から0.8重量%のステアリン酸マグネシウムを含む。いくつかの実施形態において、上記組成物は、約0.6重量%のステアリン酸マグネシウムを含む。
【0023】
いくつかの実施形態において、上記懸濁化剤は、キサンタンガム及びヒドロキシエチルセルロースから選択される。いくつかの実施形態において、上記医薬組成物は、約0.5%から2.0重量%の懸濁化剤を含む。いくつかの実施形態において、上記懸濁化剤は、キサンタンガムである。いくつかの実施形態において、上記医薬組成物は、約0.5%から2重量%のキサンタンガムを含む。いくつかの実施形態において、上記医薬組成物は、約1重量%のキサンタンガムを含む。
【0024】
一実施形態において、上記医薬組成物は、約25重量%のセピアプテリン、約21重量%の微結晶セルロース、約40重量%のイソマルト、約10重量%のマンニトール、約1重量%のクロスカルメロースナトリウム、約1重量%のキサンタンガム、約0.4重量%のコロイド状二酸化ケイ素、約1.0重量%のスクラロース、及び約0.6重量%のステアリン酸マグネシウムを含む。
【0025】
別の実施形態において、本発明は、(1)セピアプテリン及び少なくとも1種の水溶性希釈剤、水不溶性希釈剤、崩壊剤、懸濁化剤、流動化剤及び甘味料をふるいにかけ、混合し、予備混合した混合物を形成する工程、(2)滑沢剤をふるいにかける工程、(3)上記滑沢剤を上記予備混合した混合物と混合し、滑沢剤入りの予備混合した混合物を形成する工程、(4)乾式圧縮造粒機を用いて、上記滑沢剤入の予備混合した混合物の小片を調製する工程、(5)上記小片を粉砕して粉砕製剤を形成する工程、(6)上記粉砕製剤を混合機で混合し、それによって医薬組成物を形成する工程を含む、任意の上述の医薬組成物を調製する方法に関する。いくつかの実施形態において、小袋充填機を用いて上記医薬組成物を小袋に充填することをさらに含む
【0026】
別の実施形態において、本発明は、任意の上述の医薬組成物を液体中に分散させることを含む液体製剤を調製する方法に関する。いくつかの実施形態において、上記液体は、水又は果汁である。いくつかの実施形態において、上記液体製剤は、懸濁液である。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】
図1は、セピアプテリン原薬の動的水蒸気吸着曲線を示すグラフである。
【
図2】
図2は、本発明の製剤の動的水蒸気吸着曲線を示すグラフである。
【
図3】
図3は、経口用セピアプテリン粉末の製剤の溶解プロファイルを示すグラフである。
【
図4】
図4は、セピアプテリンの2つの製剤の相対的経口バイオアベイラビリティを評価するための、第1相無作為化非盲検クロスオーバー試験のデザインを示す概略図である。
【
図5A】
図5Aは、処方A(空白の四角)又は処方B(実線の三角)による20 mg/kgのセピアプテリンを経時的に投与した後の、ヒト対象におけるBH
4の平均濃度 ng/mlのグラフである。
【
図5B】
図5Bは、処方A(空白の丸)又は処方B(実線の四角)による60 mg/kgのセピアプテリンを経時的に投与した後の、ヒト対象におけるBH
4の平均濃度 ng/mlのグラフである。
【
図6A】
図6Aは、処方A(空白の四角)又は処方B(実線の三角)による20 mg/kgのセピアプテリンを経時的に投与した後の、ヒト対象におけるBH
4の平均濃度 ng/mlのグラフであり、ここでデータはベースライン調整されている。
【
図6B】
図6Bは、処方A(空白の丸)又は処方B(実線の四角)から60 mg/kgのセピアプテリンを経時的に投与した後のヒト対象におけるBH
4の平均濃度 ng/mlのグラフであり、ここでデータはベースライン調整されている。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明者らは、水溶性希釈剤、水不溶性希釈剤、崩壊剤、懸濁化剤、流動化剤、甘味料、及び滑沢剤を含むセピアプテリンの医薬組成物を発見した。本明細書に開示された組成物は、セピアプテリンの代替組成物と比較して、改善された加工性及び安定性を提供する。
【0029】
本発明のセピアプテリンの組成物は、好ましくは、少なくとも1つの以下の特徴を有する。
・水溶液中での急速な分散(1分未満)。
・良好な加工性。
・組成物中のセピアプテリンの安定性。
・対象に投与したときのセピアプテリンの良好なバイオアベイラビリティ。
【0030】
本発明の医薬組成物は、代替の医薬組成物と比較して優れた加工性を有する。本発明の医薬組成物が有する加工性の品質の非限定的な例としては、良好なスクリュー速度、乾式圧縮造粒機におけるロールの粘着性のなさ、ローラー圧縮中の小片の形成が破断又は破断して脆くなるのではなく連続的であること、非常に硬い小片、まあ良好(fair)/普通の(passable)流動性、及び30秒未満での水中での均一な分散が挙げられる。本発明の医薬組成物は、代替の医薬組成物と比較して優れた安定性を有する。いくつかの実施形態において、本発明の医薬組成物は、2-8℃及び25℃/相対湿度60%で少なくとも6ヶ月間安定である。セピアプテリンは酸化分解を受けやすいので、セピアプテリンの安定性は重要である。
【0031】
他に説明がない限り、本明細書において使用される全ての技術用語及び科学用語は、本開示が属する技術分野における通常の当業者に一般的に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書において記載されるものと類似又は同等の方法及び材料が、本開示の実施又は試験において使用され得るが、材料、方法、及び実施例は例示に過ぎず、限定を意図するものではない。本開示の他の特徴は、以下の詳細な説明及び特許請求の範囲から明らかである。
【0032】
タイトル又はサブタイトルは、読者の便宜のためだけに本明細書で使用されることがあるが、本開示の範囲に影響を及ぼすこと、又は本開示の任意の側面を任意のサブセクション、サブタイトル、又は段落に限定することを意図するものではない。
【0033】
定義
本明細書において、単数形の「a」、「an」、及び「the」は、文脈上明らかにそうでない場合を除き、複数形も含むことを意図している。
【0034】
本明細書、及び特許請求の範囲において、1つ又は複数の要素のリストに言及する場合、「少なくとも1つ」という句は、要素のリスト内の任意の1つ又は複数の要素から選択される少なくとも1つの要素を意味すると理解されるべきであるが、要素のリスト内に具体的に列挙される各要素及び全ての要素の少なくとも1つを必ずしも含む必要はなく、要素のリスト内の要素の任意の組み合わせを除外するものではない。この定義はまた、「少なくとも1つ」という句が指す要素のリスト内で具体的に特定された要素以外の要素が、具体的に特定された要素に関連するか否かにかかわらず、任意に存在することを許容してもよい。したがって、非限定的な例として、「A及びBのうちの少なくとも1つ」(又は、同等に、「A又はBのうちの少なくとも1つ」、又は、同等に、「A及び/又はBのうちの少なくとも1つ」)は、一態様において、Bが存在しない(及び任意にB以外の要素を含む)、少なくとも1つの、任意に1つより多くを含むAを指すことができ、別の態様においては、Aが存在しない(及び任意にA以外の要素を含む)、少なくとも1つの、任意に1つよりも多くを含むB、さらに別の態様においては、少なくとも1つの、任意に1つよりも多くを含むA、及び少なくとも1つの、任意に1つよりも多くを含むB(及び任意に他の要素を含む)、などを指すことができる。
【0035】
「約」という用語が数値範囲とともに使用される場合、その数値の上下に境界を広げることによってその範囲を加減する。典型的には、「約」という用語は、記載された値の上下に10%のばらつきで数値を加減するために本明細書において使用される。ある態様において、「約」という用語は、記載された値の上下に10%のばらつきで数値を加減するために使用される。
【0036】
本明細書において、「BH4関連障害」という用語は、BH4レベルの調節(例えば、阻害)から治療上の利益を得る可能性のある任意の疾患又は障害、例えば、フェニルケトン尿症を指す。
【0037】
本明細書において、「対象」又は「患者」という用語は、本明細書に記載される組成物の投与によって治療され得る本明細書に記載される疾患(例えば、フェニルケトン尿症)に罹患している個々のヒトを指すために互換的に使用される。
【0038】
本明細書において値の範囲が記載されている場合、その範囲内の各値及び部分範囲を包含することを意図している。例えば、「1-5 ng」又は「1 ngから5 ng」の範囲は、1 ng、2 ng、3 ng、4 ng、5 ng、1-2 ng、1-3 ng、1-4 ng、1-5 ng、2-3 ng、2-4 ng、2-5 ng、3-4 ng、3-5 ng、及び4-5 ngを包含することを意図している。
【0039】
「含む(comprises)」、「含んでいる(comprising)」、「含む(includes)」、及び/又は「含んでいる(including)」という用語は、本明細書で使用される場合、記載された特徴、整数、工程、操作、要素、及び/又は構成要素の存在を特定するが、1つ又は複数の他の特徴、整数、工程、操作、要素、構成要素、及び/又はそれらの群の存在又は追加を排除するものではないことがさらに理解されるであろう。
【0040】
本明細書において、「治療する」、「治療」、「治療している」という用語は、治療的処置を指し、その目的は、障害の進行又は重症度を逆転させる、緩和する、改善する、阻害する、減速させる、又は停止させることである。「治療している」という用語は、状態、疾患、又は障害の少なくとも1つの副作用又は症状を軽減又は緩和することを含む。治療は、典型的には、1つ又は複数の症状又は臨床マーカーが軽減すれば「有効」である。あるいは、障害の進行が軽減又は停止されれば、治療は「有効」である。すなわち、「治療」には、症状又はマーカーの改善だけでなく、治療がない場合に予想されるものと比較して、症状の進行又は悪化が止まること、又は少なくとも減速することも含まれる。有益な又は所望の臨床結果としては、1つ又は複数の症状の緩和、疾患の範囲の縮小、疾患の状態の安定化(すなわち、悪化していない)、疾患の進行の遅延又は減速、疾患状態の改善又は緩和、寛解(部分的であるか全体的であるかを問わない)、及び/又は検出可能であるか検出不可能であるかを問わない死亡率の減少が挙げられるが、これらに限定されない。疾患の「治療」という用語には、疾患の症状又は副作用の緩和を提供すること(緩和治療を含む)も含まれる。
【0041】
「賦形剤」という用語は、本明細書において、対象への治療薬剤の送達のための担体若しくはビヒクルとして使用される、又はその取り扱い若しくは保存特性を改善するため、又は経口投与に適したカプセル若しくは錠剤のような個別の物品への組成物の用量単位の形成を可能にする若しくは容易にするために医薬組成物に添加される、それ自体治療薬剤ではない任意の物質を意味する。賦形剤としては、例示であって限定するものではないが、希釈剤、崩壊剤、結合剤、接着剤、界面活性剤、滑沢剤、流動化剤、表面改質剤、不快な味若しくは臭いをマスキング若しくは打ち消すために添加される物質、フレーバー、着色料、香料、及び組成物の外観を改善するために添加される物質が挙げられる。
【0042】
本明細書において、「投与する」又は「投与」は、体外に存在する物質を対象に物理的に送達する行為を指す。
【0043】
セピアプテリン
本発明の医薬組成物は、セピアプテリンを含む。任意の前述の組成物のいくつかの実施形態において、セピアプテリンは、結晶形態、例えば、WO2018/102314及びWO2018/102315に記載されるような形態A、B、C、D、E、F、又はGであり、これらの結晶形態は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0044】
いくつかの実施形態において、セピアプテリンの結晶形態は、セピアプテリン遊離塩基の形態Fである。形態Fは、少なくとも約9.7°、約10.2°、約11.3°、約14.0°、約14.6°、約19.9°、約22.2°、約25.3°、及び約32.4°の屈折角2θで屈折することを特徴とする。セピアプテリン遊離塩基の形態Fの実質的に純粋な物質では、表2に示す屈折角2θにピークが観察される。
【0045】
【0046】
いくつかの実施形態において、結晶形態は、セピアプテリン遊離塩基の形態Dである。形態Dは、少なくとも約8.9°、約10.3°、約10.9°、約17.8°、約24.9°、約26.0°、約26.7°、約26.8°、及び約28.3°の屈折角2θでの屈折によって特徴付けられる。セピアプテリン遊離塩基の形態Dの実質的に純粋な物質では、表3に示す屈折角2θにピークが観察される。
【0047】
【0048】
いくつかの実施形態において、結晶形態はセピアプテリン遊離塩基の形態Aである。形態Aは、少なくとも約4.7°、約7.4°、約9.5°、約11.3°、約15.6°、約26.2°、及び約27.2°の2θピーク位置によって特徴付けられる。セピアプテリン遊離塩基の形態Aの実質的に純粋な物質では、表4に示す屈折角2θにピークが観察される。
【0049】
【0050】
いくつかの実施形態において、結晶形態は、セピアプテリン遊離塩基の形態Bである。形態Bは、少なくとも約8.4°、約14.9°、約16.9°、約25.4°、及び約34.1°の屈折角2θで屈折することを特徴とする。セピアプテリン遊離塩基の形態Bの実質的に純粋な物質では、表5に示す屈折角2θにピークが観察される。
【0051】
【0052】
いくつかの実施形態において、結晶形態は、セピアプテリン遊離塩基の形態Cである。形態Cは、少なくとも約5.7°、約7.8°、約9.1°、約11.5°、約15.3°、約16.0°、約20.1°、約25.4°、及び約26.6°の屈折角2θで屈折することを特徴とする。セピアプテリン遊離塩基の形態Cの実質的に純粋な物質では、表6に示す屈折角2θにピークが観察される。
【0053】
【0054】
いくつかの実施形態において、結晶形態は、セピアプテリン遊離塩基の形態Eである。形態Eは、少なくとも約6.0°、約10.6°、約12.1°、約15.9°、約20.9°、及び約24.6°の屈折角2θでの屈折によって特徴付けられる。セピアプテリン遊離塩基の形態Eの実質的に純粋な物質では、表7に示す屈折角2θにピークが観察される。
【0055】
【0056】
いくつかの実施形態において、結晶形態は、セピアプテリン遊離塩基の結晶形態Gである。形態Gは、少なくとも約10.0°、約10.6°、約11.2°、約15.3°、約15.9°、約22.8°、約24.4°、約25.0°、約25.7°、及び約26.6°の屈折角2θでの屈折によって特徴付けられる。セピアプテリン遊離塩基の形態Gの実質的に純粋な物質では、表8に示す屈折角2θにピークが観察される。
【0057】
【0058】
いくつかの実施形態において、本発明の医薬組成物は、総重量で約20-50%のセピアプテリン、例えば、約20から40重量%のセピアプテリン、約20から35重量%のセピアプテリン、約20から30重量%のセピアプテリン、約22から28重量%のセピアプテリン、約24から26重量%のセピアプテリンを含む。いくつかの実施形態において、本発明の医薬組成物は、約20重量%のセピアプテリン、約25重量%のセピアプテリン、約30重量%のセピアプテリン、約35重量%のセピアプテリン、約40重量%のセピアプテリン、約45重量%のセピアプテリン、約50重量%のセピアプテリンを含んでもよい。
【0059】
賦形剤
いくつかの実施形態において、本明細書に開示されるセピアプテリンの医薬組成物は、少なくとも1つの希釈剤、崩壊剤、流動化剤、懸濁化剤、甘味料、抗酸化剤、及び滑沢剤などの賦形剤を含んでもよい。本発明の医薬組成物に使用するのに適した賦形剤は、Remington:The Science and Practice of Pharmacy(第22版)ed. L.V. Allen, Jr.、2013、Pharmaceutical Press、Philadelphia、PAに記載されている。
【0060】
希釈剤
医薬組成物は、安定性又は成形性の向上を付与し得る希釈剤を含んでもよい。希釈剤の例としては、セルロース(例えば、結晶性又は微結晶性)、ラクトース又はグルコースなどの糖、マンニトール、キシリトール、マルチトール、ソルビトール、及びイソマルトなどの糖アルコールが挙げられる。1つよりも多くの希釈剤を採用してもよい。
【0061】
希釈剤は水に可溶性のもの、例えばグルコース、ラクトース、イソマルト、マンニトールなど、又は水に不溶性のもの、例えばセルロース(結晶性又は微結晶性)などであってもよい。水溶性希釈剤及び水不溶性希釈剤の両方を、同じ組成物に使用してもよい。
【0062】
医薬組成物は、約10から85重量%の希釈剤、例えば、約50から85重量%の希釈剤、約60から80重量%の希釈剤、約65から75重量%の希釈剤を含んでもよい。いくつかの実施形態において、医薬組成物は、約71重量%の希釈剤を含んでもよい。
【0063】
いくつかの実施形態において、医薬組成物は、結晶セルロース及び微結晶セルロースから選択される水不溶性希釈剤、ならびにラクトース、グルコース、マンニトール、キシリトール、マルチトール、ソルビトール、イソマルト、スクロース、フルクトース、マルトース、及びトレハロースから選択される少なくとも1つの水溶性希釈剤を含む。いくつかの実施形態において、医薬組成物は、微結晶セルロース及び少なくとも2つの水溶性希釈剤を含む。いくつかの実施形態において、水不溶性希釈剤及び水溶性希釈剤又は水溶性希釈剤の組み合わせは、約1:1から約1:4、約1:2から約1:3、又は約1:2.5の比率で存在する。
【0064】
本発明の医薬組成物の一実施形態において、希釈剤はマンニトール、イソマルト及び微結晶セルロースである。
【0065】
医薬組成物は、約5から65重量%の水溶性希釈剤、例えば、約40から60重量%の水溶性希釈剤、約45から55重量%の水溶性希釈剤を含んでもよい。いくつかの実施形態において、医薬組成物は、約50重量%の水溶性希釈剤を含む。
【0066】
医薬組成物は、約5から45重量%のイソマルト、例えば約35から45重量%のイソマルトを含んでもよい。いくつかの実施形態において、組成物は約40重量%のイソマルトを含む。
【0067】
医薬組成物は、約5から20重量%のマンニトール、例えば約5から15重量%のマンニトール、約5から10重量%のマンニトールを含んでもよい。いくつかの実施形態において、医薬組成物は、約10重量%のマンニトールを含む。
【0068】
いくつかの実施形態において、高レベルのマンニトール(例えば、10%超のマンニトール)を含む医薬組成物は、ローラー圧縮中にローラーに付着し、その結果、破損した小片が生じた。
【0069】
医薬組成物は、約15から40重量%の水不溶性希釈剤、例えば、約15から30重量%の水不溶性希釈剤、約15から25重量%の水不溶性希釈剤を含んでもよい。いくつかの実施形態において、組成物は、約21重量%の水不溶性希釈剤を含む。
【0070】
組成物は、約15から40重量%の微結晶セルロース、例えば約17から25重量%の微結晶セルロース、約19から23重量%の微結晶セルロースを含んでもよい。いくつかの実施形態において、組成物は約21重量%の微結晶セルロースを含む。
【0071】
いくつかの実施形態において、イソマルト、マンニトール、及び微結晶セルロースは、代替の希釈剤又は上述の割合以外のイソマルト、マンニトール、及び微結晶セルロースの割合を用いて製剤化された医薬組成物よりも、液体(例えば、水又は果汁)中で再構成した後の優れた沈降特性、用量回収率、及び口当たりを有する本発明の組成物を提供する。
【0072】
懸濁化剤
医薬組成物は、懸濁化剤を含んでもよい。いくつかの実施形態において、本明細書に開示される医薬組成物は、対象に投与する前に液体中に分散される。懸濁化剤を含むことにより、液体中に分散されたときに医薬組成物の沈降が防止される。例示的な懸濁化剤としては、寒天、アルギン酸、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カラギーナン、デキストリン、ゼラチン、グアーガム、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒプロメロース、メチルセルロース、ポリエチレングリコール、ポビドン、トラガント、又はキサンタンガムが挙げられる。
【0073】
組成物は、約0.5重量%から2.0重量%の懸濁化剤を含んでもよい。
【0074】
本発明の医薬組成物の一実施形態において、懸濁化剤はキサンタンガムである。組成物は、約0.5から2.0重量%のキサンタンガム、例えば約0.5から1.5重量%のキサンタンガム、約0.75から1.25重量%のキサンタンガムを含んでもよい。いくつかの実施形態において、医薬組成物は、約1重量%のキサンタンガムを含む。
【0075】
いくつかの実施形態において、0.5重量%のキサンタンガムを含有する製剤は、より多量のキサンタンガムを含有する製剤よりも早い水中分散後の沈降を示す。2重量%のキサンタンガムを含有する製剤は、ローラー成形中にローラーの粘着性を示した。しかしながら、1重量%のキサンタンガムを含有する製剤は、良好な加工性を示し、そして、最小限の沈降及びケーキングのない許容可能な分散特性を示した。
【0076】
崩壊剤
医薬組成物は崩壊剤を含んでもよい。
【0077】
好適な崩壊剤の例としては、デンプングリコール酸ナトリウム、クロスポビドン、架橋アルギン酸、架橋デンプン、架橋アルギン酸ナトリウム、カルメロース、カルメロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、グリセリン脂肪酸エステル、低置換カルボキシメチルデンプンナトリウム、及び部分アルファ化デンプンが挙げられる。
【0078】
医薬組成物は、約0.5から1.5重量%の崩壊剤、例えば約0.75から約1.25重量%の崩壊剤、約0.75から1重量%の崩壊剤を含んでもよい。一実施形態において、崩壊剤は、クロスカルメロースナトリウムである。
【0079】
医薬組成物は、約0.5から1.5重量%のクロスカルメロースナトリウム、例えば、約0.75から約1.25重量%のクロスカルメロースナトリウム、約0.75から1重量%のクロスカルメロースナトリウムを含んでもよい。いくつかの実施形態において、医薬組成物は、約1重量%のクロスカルメロースナトリウムを含む。
【0080】
いくつかの実施形態において、クロスカルメロースナトリウムを用いて形成された医薬組成物は、良好な加工性を示し、30秒未満で水と均一な分散を形成する。クロスカルメロースナトリウムを欠く代替製剤は、分散により長い時間(例えば、約1分)を要し得る。
【0081】
滑沢剤
医薬組成物は滑沢剤を含んでもよい。好適な滑沢剤の例としては、ベヘン酸グリセリル、ベハプト酸グリセリル、フマル酸ステアリルナトリウム、ステアリン酸及びその塩(ステアリン酸マグネシウム、カルシウム及びナトリウムを含む)、水素化植物油、二酸化ケイ素、タルク、ワックス、ホウ酸、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、フマル酸ナトリウム、塩化ナトリウム、DL-ロイシン、ポリエチレングリコール、オレイン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、及びラウリル硫酸マグネシウムなどが挙げられる。
【0082】
医薬組成物は、約0.4重量%から0.8重量%の滑沢剤、例えば約0.5重量%から0.7重量%の滑沢剤、約0.5重量%から0.6重量%の滑沢剤を含んでもよい。
【0083】
一実施形態において、滑沢剤はステアリン酸マグネシウムである。組成物は、約0.4重量%から0.8重量%のステアリン酸マグネシウム、例えば約0.5重量%から0.7重量%のステアリン酸マグネシウム、約0.5重量%から0.6重量%のステアリン酸マグネシウムを含んでもよい。いくつかの実施形態において、組成物は、約0.6重量%のステアリン酸マグネシウムを含む。
【0084】
流動化剤
医薬組成物は流動化剤を含んでもよい。流動化剤の例としては、コロイド状二酸化ケイ素、水和スルホアルミン酸ナトリウム、及びタルクが挙げられる。
【0085】
医薬組成物は、約0.2から0.6重量%の流動化剤を含んでもよい。
【0086】
一実施形態において、流動化剤はコロイド状二酸化ケイ素である。医薬組成物は、約0.2重量%から0.6重量%のコロイド状二酸化ケイ素を含有してもよい。いくつかの実施形態において、医薬組成物は、約0.4重量%のコロイド状二酸化ケイ素を含む。
【0087】
甘味料
医薬組成物は甘味料を含んでもよい。甘味料の例としては、スクラロース、サッカリンナトリウム、アスパルテーム、及びニュートレームが挙げられる。
【0088】
医薬組成物は、約0.5重量%から2.0重量%の甘味料、例えば約0.5重量%から1.5重量%のスクラロース、約0.5重量%から1.0重量%のスクラロースを含んでもよい。
【0089】
一実施形態において、甘味料はスクラロースである。
【0090】
医薬組成物は、約0.5重量%から約2.0重量%のスクラロース、例えば約0.5重量%から約1.5重量%のスクラロース、約0.5重量%から約1.0重量%のスクラロースを含有してもよい。いくつかの実施形態において、医薬組成物は、約1.0重量%のスクラロースを含む。
【0091】
抗酸化剤
医薬組成物は抗酸化剤を含んでもよい。抗酸化剤の例としては、4-クロロ-2,6-ジ-tert-ブチルフェノール、トコフェロール、α-トコフェロール、アルキル化ジフェニルアミン、アスコルビン酸、ミリスチン酸アスコルビル、パルミチン酸アスコルビル、ステアリン酸アスコルビル、β-カロテン、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエン、クエン酸、システイン、コハク酸D-α-トコフェロールポリエチレングリコール1000、メタンスルホン酸デフェロキサミン、没食子酸ドデシル、エチルパラベン、葉酸、フマル酸、没食子酸、グルタチオン、レシチン、リンゴ酸、メチルパラベン、モノチオグリセロール、N-アセチルシステイン、ノルジヒドログアイアヤレト酸、没食子酸オクチル、p-フェニレンジアミン、アスコルビン酸カリウム、メタ重亜硫酸カリウム、ソルビン酸カリウム、プロピオン酸、没食子酸プロピル、レチノール、ソルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、イソアスコルビン酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、酒石酸、tert-ブチルヒドロキノン、酢酸トコフェロール、ビタミンA、ビタミンB6、ビタミンB12、又はビタミンE、又はそれらの組み合わせが挙げられる。前述の医薬組成物のいくつかの実施形態において、抗酸化剤は、アスコルビン酸、トコフェロール、レチノール、メタ重亜硫酸ナトリウム、パルミチン酸アスコルビル、N-アセチルシステイン、グルタチオン、ブチル化ヒドロキシトルエン、及び/又はブチル化ヒドロキシアニソールである。任意の前述の医薬組成物のいくつかの実施形態において、抗酸化剤はアスコルビン酸又はメタ重亜硫酸ナトリウムである。
【0092】
医薬組成物は、約0.05から0.2重量%の抗酸化剤、例えば0.05から0.15重量%の抗酸化剤、0.08から0.1重量%の抗酸化剤を含有してもよい。
【0093】
一実施形態において、抗酸化剤はメタ重亜硫酸ナトリウムである。医薬組成物は、約0.05から0.2重量%のメタ重亜硫酸ナトリウム、例えば約0.05から0.15重量%のメタ重亜硫酸ナトリウム、約0.08から0.1重量%のメタ重亜硫酸ナトリウムを含んでもよい。いくつかの実施形態において、医薬組成物は、約0.1重量%のメタ重亜硫酸ナトリウムを含む。
【0094】
他の実施形態において、医薬組成物は抗酸化剤を含まない。
【0095】
典型的な組成物
本発明の医薬組成物には多種多様な製剤がある。経口投与に適した製剤としては、それぞれ所定量の有効成分を固体又は顆粒として含有する(a)粉末剤、(b)カプセル剤、錠剤、ロゼンジ剤、トローチ剤、(c)有効量の化合物を水、生理食塩水、又はジュースなどの希釈剤に溶解した液体溶液、(d)適切な液体中の懸濁液、及び(e)適切な乳剤が挙げられる。好ましくは、カプセル剤、錠剤、粉末剤などの固体経口剤形である。
【0096】
いくつかの実施形態において、本発明の医薬組成物は、投与前に投与ビヒクルと組み合わされる。任意の前述の組成物のいくつかの実施形態において、組成物は、例えば、医薬組成物の懸濁及び投与を助けるために、約50-1750センチポアズ(cP)の粘度を有する投与ビヒクル中で投与されてもよい。使用できる懸濁化剤の1つのタイプは、水中のグリセリン及びスクロースの組み合わせである(例えば、水中の2.5%のグリセリン及び27%のスクロースを有するMEDISCA(登録商標)oral mix)。
【0097】
本発明のいくつかの実施形態において、組成物は製剤Bであり、表9に記載の比率のセピアプテリン及び賦形剤からなる。一実施形態において、組成物は250 mgのセピアプテリンを含む。第二の実施形態において、組成物は1000 mgのセピアプテリンを含む。
【0098】
【0099】
第3及び第4の実施形態において、組成物は製剤C又はDであり、表10に記載の比率からなる。
【0100】
【0101】
製剤の調製方法
いくつかの実施形態において、本発明の医薬組成物は、乾式造粒を介して調製される。本発明のいくつかの実施形態において、乾式造粒プロセスは、ローラー圧縮、及びそれに続く粉砕、混合、及び小袋充填を含んでもよい。従って、乾式圧縮造粒機の使用に適合する賦形剤、例えばローラーの粘着を引き起こさない賦形剤の選択が重要である。
【0102】
本発明の組成物を製造するための1つのプロセスは、以下の工程に従ってローラー圧縮を用いる。(1)セピアプテリン及び少なくとも1種の水溶性希釈剤、水不溶性希釈剤、崩壊剤、懸濁化剤、流動化剤及び甘味料をふるい分け、混合し、予備混合した混合物を形成する工程、(2)滑沢剤をふるいにかける工程、(3)滑沢剤を予備混合した混合物と混合し、滑沢剤入りの予備混合した混合物を形成する工程、(4)乾式圧縮造粒機を用いて、滑沢剤入りの予備混合した混合物の小片を調製する工程、(5)小片を粉砕して粉砕製剤を形成する工程、(6)粉砕製剤を混合機で混合して医薬組成物を形成する工程。本発明の組成物を製造するプロセスは、医薬組成物を小袋に充填することをさらに含んでもよい。
【0103】
使用方法
本発明のセピアプテリンの医薬組成物は、対象において細胞内BH4レベルを増加させる役割を果たしてもよい。したがって、本明細書において開示されるセピアプテリンの医薬組成物は、細胞内BH4レベルの低下、又は一次テトラヒドロビオプテリン欠乏症、GTPCH欠損症、胃不全麻痺、高フェニルアラニン血症、6-ピルボイル-テトラヒドロプテリン合成酵素(PTPS)欠損症、DHPR欠損症、セピアプテリン還元酵素欠損症、ドーパミン応答性ジストニア、瀬川症候群、チロシン水酸化酵素欠損症、フェニルケトン尿症、DNAJC12欠損症、パーキンソン病、パーキンソン病によるうつ病、パーキンソン病患者の衝動性、大うつ病、自閉症スペクトラム、ADHD、統合失調症、双極性障害、脳虚血、レストレスレッグ症候群、強迫性障害、不安、アルツハイマー病における攻撃性、脳血管障害、くも膜下出血後の痙攣、心筋炎、冠血管攣縮、心肥大、動脈硬化、高血圧、血栓症、感染症、エンドトキシンショック、肝硬変、肥厚性幽門狭窄症、胃粘膜傷害、肺高血圧症、腎機能障害、性交不能、及び低血糖症を含むがこれらに限定されない様々なBH4依存性代謝経路の機能不全に関連する疾患に対する有用な治療薬として機能する可能性がある。したがって、本発明に係るセピアプテリンの医薬組成物は、有効量を患者に投与して、疾患、障害又は状態の治療又は改善を得ることができる。
【0104】
用量
セピアプテリンは任意の適切な用量で使用できる。適切な用量及び投与レジメンは、従来の範囲決定技術によって決定することができる。一般的には、治療は最適用量よりも少ない用量で開始される。その後、その状況下で最適な効果が得られるまで、用量を少しずつ増やしていく。便宜上、所望により1日の総用量を分割し、日中に一部ずつ投与してもよい。適切な用量で、適切な特定の化合物の投与により、本発明は広範囲の応答を提供する。
【0105】
いくつかの実施形態において、用量は、CNSにおけるBH4の濃度、例えばCSFにおいて測定される濃度を生成するのに十分な量であり、及び/又は治療結果、例えばCNSにおけるセロトニン若しくはドーパミンの濃度の増加を生成するのに十分な量である。いくつかの実施形態において、用量は、血漿中のBH4のレベルを生成するのに十分な量である。
【0106】
一態様において、セピアプテリンの医薬組成物は、小袋中の経口粉末として提供される。小袋は任意の適切な大きさであり得る。いくつかの実施形態において、セピアプテリンの医薬組成物は、250 mg又は1000 mgの小袋として提供される。体重に基づく1日の計算用量は、必要に応じて、250 mg又は1000 mgの最も近い倍数に丸めることができる。例えば、1251から1374 mgの計算用量は、1×250 mg小袋及び1×1000 mg小袋に対応する1250 mgに切り捨てられる。1375から1499 mgの用量は、2×250 mgの小袋と1×1000 mgの小袋に対応する1500 mgに切り上げられる。
【0107】
250 mg又は1000 mgの小袋1袋の全内容物を、それぞれ10 mL又は20 mLの水又は果汁に懸濁させてもよい。添加したら、懸濁液を形成するために配合物を少なくとも30秒間振盪又は攪拌してもよい。混合後、得られた懸濁液の全量又は得られた懸濁液の個人の体重に応じた適量を計量し、直ちに対象にPO投与してもよい。
【0108】
体重18 kg以下の2歳以上の対象への20 mg/kg/日用量の投与
体重18 kg以下の2歳以上の対象には、セピアプテリンの医薬組成物を250 mg小袋あたり9 mLの水又はリンゴジュースに懸濁し、20 mg/kg用量に相当するこの懸濁液のアリコートを経口投与シリンジを介して経口投与してもよい。表1に、20 mg/kg用量における対象への投与情報を示す。体重18 kg以下の対象には、この用量のための目盛り付き投与シリンジを使用できる。
【0109】
【表11】
a 対象の体重は、最も近い表中に記載された体重(kg)に四捨五入する。例えば、体重が8.01 kg及び8.49 kgの間の体重の対象は8 kgに切り捨て、8.7550 kg及び8.99 kgの間の体重の対象は9 kgに切り上げてもよい。
b 対象への目標用量は20 mg/kg/日。
c セピアプテリンの医薬組成物、単回使用小袋で提供される250 mg。
d セピアプテリンの医薬組成物250 mgを懸濁させる液体(水又はリンゴジュース)の体積。
e 投与する量を抜き取った後、混合液の残りを廃棄する。
【0110】
体重15 kg以下の2歳以上の対象への40及び60 mg/kg用量の投与
体重15 kg以下の2歳以上の対象には、セピアプテリンの医薬組成物を250 mg小袋あたり9 mLの水又はリンゴジュースに懸濁し、40及び60 mg/kg用量に相当するこの懸濁液のアリコートを経口投与シリンジを介して経口投与してもよい。表12及び表13は、それぞれ40及び60 mg/kg用量における対象への投与情報を示す。体重15 kg以下の対象には、これらの2つの用量のための目盛り付き投与シリンジを使用できる。
【0111】
【表12】
a 対象の体重は、最も近い表中に記載された体重(kg)に四捨五入する。例えば、体重が8.01 kg及び8.49 kgの間の体重の対象は8 kgに切り捨て、8.50 kg及び8.99 kgの間の体重の対象は9 kgに切り上げてもよい。
b 対象への目標用量は40 mg/kg/日。
c セピアプテリンの医薬組成物、単回使用小袋で提供される250 mg。
d セピアプテリンの医薬組成物250 mgを懸濁させる液体(水又はリンゴジュース)の体積。
e 投与する量を抜き取った後、混合液の残りを廃棄する。
【0112】
【表13】
a 対象の体重は、最も近い表中に記載された体重(kg)に四捨五入する。例えば、体重が8.01 kg及び8.49 kgの間の体重の対象は8 kgに切り捨て、8.75 kg及び8.99 kgの間の体重の対象は9 kgに切り上げてもよい。
b 対象への目標用量は60 mg/kg/日。
c セピアプテリンの医薬組成物、単回使用小袋で提供される250 mg。
d セピアプテリンの医薬組成物250 mgを懸濁させる液体(水又はリンゴジュース)の体積。
e 投与する量を抜き取った後、混合液の残りを廃棄する。
f 表示されている場合は、1000 mgの小袋を使用する。
【0113】
体重12 kg以下の生後6ヵ月未満の対象への7.5 mg/kg用量の投与
体重12 kg以下の生後6ヶ月未満の対象には、セピアプテリンの医薬組成物を250 mg小袋あたり9 mLの水又はリンゴジュースに懸濁し、7.5 mg/kg用量に相当するこの懸濁液のアリコートを経口投与シリンジを介して経口投与してもよい。表14は、7.5 mg/kg用量における6ヵ月未満の対象への投与情報を示す。体重12 kg以下の対象には、この用量のための目盛り付きシリンジが提供される。
【0114】
【表14】
a 対象の体重は、最も近い表中に記載された体重(kg)に四捨五入する。例えば、体重が2.01 kg及び2.24 kgの間の体重の対象は2 kgに切り捨て、4.75 kg及び4.99 kgの間の体重の対象は5 kgに切り上げてもよい。
b 対象への目標用量は7.5 mg/kg/日。
c セピアプテリンの医薬組成物、単回使用小袋で提供される250 mg。
d セピアプテリンの医薬組成物250 mgを懸濁させる液体(水又はリンゴジュース)の体積。
e 投与する量を抜き取った後、混合液の残りを廃棄する。
【0115】
体重15 kg以下の生後6ヵ月以上から12ヵ月未満の対象への15 mg/kg用量の投与
体重15 kg以下の6ヶ月以上から12ヶ月未満の対象には、セピアプテリンの医薬組成物を250 mg小袋あたり9 mLの水又はリンゴジュースに懸濁し、15 mg/kg用量に相当するこの懸濁液のアリコートを経口投与シリンジを介して経口投与してもよい。表は、15 mg/kg用量における生後6ヶ月以上から12ヶ月未満の対象への投与情報を示す。体重15 kg以下の対象には、この用量のための目盛り付き投与シリンジが提供される。
【0116】
【表15】
a 対象の体重は、最も近い表中に記載された体重(kg)に四捨五入する。例えば、体重が4.01 kg及び4.24 kgの間の体重の対象は4 kgに切り捨て、4.75 kg及び4.99 kgの間の体重の対象は5 kgに切り上げてもよい。
b 生後6ヵ月以上から12ヵ月未満の対象への目標用量は15 mg/kg/日。
c セピアプテリンの医薬組成物、単回使用小袋で提供される250 mg。
d セピアプテリンの医薬組成物250 mgを懸濁させる液体(水又はリンゴジュース)の体積。
e 投与する量を抜き取った後、混合液の残りを廃棄する。
【0117】
体重18 kg以下の生後12ヵ月以上から2歳未満の対象への30 mg/kg用量の投与
体重18 kg以下の生後12ヶ月以上から2歳未満の対象には、セピアプテリンの医薬組成物を250 mg小袋あたり9 mLの水又はリンゴジュースに懸濁し、30 mg/kg用量に相当するこの懸濁液のアリコートを経口投与シリンジを介して経口投与してもよい。表は、30 mg/kg用量における12ヵ月以上から2歳未満の対象への投与情報を示す。体重18 kg以下の対象には、この用量のための目盛り付き投与シリンジが提供される。
【0118】
【表16】
a 対象の体重は、最も近い表中に記載された体重(kg)に四捨五入する。例えば、体重が5.01 kg及び5.49 kgの間の体重の対象は5 kgに切り捨て、5.50 kg及び5.99 kgの間の体重の対象は6 kgに切り上げてもよい。
b 対象への目標用量は30 mg/kg/日。
c セピアプテリンの医薬組成物、単回使用小袋で提供される250 mg。
d セピアプテリンの医薬組成物250 mgを懸濁させる液体(水又はリンゴジュース)の体積。
【0119】
いくつかの実施形態において、本発明の医薬組成物は、250 mg又は1000 mgのセピアプテリンのいずれかを含むアルミニウム小袋に包装された、黄色からオレンジ色の粉末であり、2℃から8℃で冷蔵保存されてもよい。構成されたセピアプテリン懸濁液は直ちに投与してもよい。構成から投与までの時間、得られた懸濁液は室温で保存してもよい。組成物の250 mg又は1000 mgの小袋1袋の全内容物を、それぞれ10 mL又は20 mLの水又は果汁に懸濁してもよい。添加したら、懸濁液を形成するために少なくとも30秒間振盪又は攪拌してもよい。調製後、得られた懸濁液の全量又は得られた懸濁液の個人の体重に応じた適切な量を計量し、直ちに対象にPO投与してもよい。
【実施例】
【0120】
本明細書では、本発明の特定の特徴を図示及び説明したが、当業者であれば、多くの修正、置換、変更、及び等価物が生じるであろう。したがって、添付の特許請求の範囲は、本発明の真の趣旨に属するようなすべての修正及び変更を包含することを意図していることを理解されたい。このように、以下の実施例は、本発明の様々な態様を教示するために提供される。以下に特記する場合を除き、これらの実施例は本発明の態様の個々の実施形態を表すものであり、当業者であれば、本発明の態様を等しく教示するために追加の実施例を生成できることを認識するであろう。
【0121】
以下の実施例は、本発明の態様の例示を含む。以下の全ての実施例において例示された製剤において使用されたセピアプテリンは、結晶形態Fの形態であった。実施例は限定として解釈されるものではない。
【0122】
実施例1-製剤A
以下のセピアプテリンの製剤、製剤Aは、以前、Censa Pharmaceuticals(現、PTC Therapeutics,Inc.)によるフェニルケトン尿症の第I相臨床試験で使用されたものである。その同じ製剤が、以下の実施例8-10及び12に記載の試験において参照製剤として使用された。処方Aは、以下の組成を有する経口粉末製剤である。セピアプテリン(23%)、アスコルビン酸(5%)、微結晶セルロース(57%)、クロスカルメロースナトリウム(9%)、及びコロイド状二酸化ケイ素(6%)、ここですべてのパーセンテージは重量パーセントである。その製剤の製造方法は、WO 2019/046849として公開された国際出願の実施例1に開示されており、参照により本明細書に組み込まれる。
【0123】
その製剤が使用された第I相臨床試験の概要は、Smith et al、「Phase I clinical evaluation of CNSA-001 (sepiapterin)、a novel pharmacological treatment for phenylketonuria and tetrahydrobiopterin deficiencies in healthy volunteers」、Molecular Genetics and Metabolism 126 (2019) 406-412に記載されている。その試験の説明はclinicaltrials.govにも掲載されている。
【0124】
実施例2.加速安定性評価プログラム(ASAP)を用いた医薬品賦形剤適合性(DEC)試験
加工性、安定性、及び嗜好性を改善するためのセピアプテリン製剤を開発するために、いくつかの賦形剤をスクリーニングした。
・原薬及び種々の希釈剤(イソマルト、微結晶セルロース、マンニトール)が1:4のw/w比(原薬:希釈剤)の二元混合物。
・原薬、希釈剤、及び滑沢剤(ステアリン酸マグネシウム)、崩壊剤(クロスカルメロースナトリウム、デンプングリコール酸ナトリウム)、流動化剤(コロイド状二酸化ケイ素)、結合剤(ポリビニルピロリドンK30)、酸味料(クエン酸)、界面活性剤(ポロキサマー407)、懸濁化剤(ヒドロキシエチルセルロース、キサンタンガム)、及び甘味料(スクラロース)などの他の機能性賦形剤が1:3.75:0.25のw/w比(原薬:希釈剤:その他の賦形剤)の三元混合物。
【0125】
加速安定性評価プロトコルを用いて、二元及び三元混合物のサンプルを40℃、40℃/75%RH、60℃、60℃/75%RH、70℃及び70℃/50%RHで2週間保存した。DEC試験では、より短期間で潜在的な分解動態を観察するため、ストレス条件を選択した。分析物及び分解物レベルの任意の変化は、非互換性の指標としてストレスを与えたサンプルについて評価し、ストレスを与えていない対照サンプルと比較した。
【0126】
40℃/75%RHでの14日間の暴露後、分解生成物がそれぞれ0.61から3.59% w/w、及び0.47から2.06% w/wに増加した、クエン酸及びポロキサマー407を含有する混合物を除き、二元及び三元混合物の両方において、ストレス貯蔵条件下での分析物及び分解物レベルに有意な変化は見られなかった。
【0127】
混合物安定性
さらに、セピアプテリンと賦形剤混合物との相互作用の可能性を評価するため、試作混合物の安定性試験を行った。調製した混合物は、50℃/75%RH、60℃、60℃/75%RH、70℃、及び70℃/50%RHで2週間保存した。セピアプテリンは酸化分解を受ける性質があるため、いくつかの選択された抗酸化剤を評価した。セピアプテリン及び賦形剤のさまざまな混合物を調製し、薬物負荷、希釈剤の比率、及び種々の抗酸化剤(メタ重亜硫酸ナトリウム、没食子酸プロピル、ブチル化ヒドロキシトルエン)が分析物及び分解生成物に及ぼす影響を評価した。
【0128】
混合物安定性試験の結果、微結晶セルロースを39% w/w含有する混合物は、60℃/75% RHで2週間暴露した後、微結晶セルロースを19% w/w含有する混合物の総分解生成物が2.0% w/wであったのに比べ、わずかに高い総分解生成物(2.5% w/w)を示した。
【0129】
25% w/wから50% w/wのセピアプテリンを含有する混合物は、分析物及び分解生成物に大きな影響を示さなかった。したがって、25% w/wから50% w/wの薬物負荷レベルが採用されてもよい。
【0130】
抗酸化剤の評価。混合物中の抗酸化剤の存在は、60℃/75%RHで2週間暴露した後の分解生成物の総量で示されるように、混合物の安定性に大きな改善を示さなかった。対照混合物(抗酸化剤なし)及びメタ重亜硫酸ナトリウム、ブチル化ヒドロキシトルエン、及び没食子酸プロピルを含有する混合物の分解生成物の量は、それぞれ2.14、1.83、2.01、及び2.31% w/wであった。
【0131】
実施例3.製剤の製造
製剤は、表17に記載の組成を用いて、ローラー圧縮により100 g規模で製造した。製剤は、表17に示すように、薬物負荷、希釈剤の比率及び他の賦形剤のレベルを含む製剤変数が加工性に及ぼす影響を評価するために設計された。プロセス観察及びインプロセスデータを表18に示す。
【0132】
【0133】
【0134】
上記の表において、BDはかさ密度、DTは崩壊時間、HRはHausner比、及びTDはタップ密度を指す。崩壊時間は0.5インチの小片の場合である。表中のプラス記号は、以下の観察特性を指す。「+」は軟質、「++」は中程度の硬質、「+++」は硬質、「++++」は非常に硬質である。
【0135】
実施例4.薬物負荷、賦形剤、及びそれぞれの濃度
薬物負荷
ローラー圧縮プロセスにおいて、40% w/w又はそれよりも高い薬物負荷を含有する製剤では、ローラーの粘着が観察された。25%w/wのセピアプテリンを含有する製剤では、ローラーの粘着は観察されなかった。
【0136】
希釈剤及び濃度
セピアプテリンの医薬組成物は、経口投与前に水性媒体中で分散することを意図していてもよい。MCCは水不溶性の賦形剤であり、液体ビヒクル中でセピアプテリンの医薬組成物を再構成した後の沈降特性に影響を及ぼし得る。したがって、再構成後の沈降特性、用量回収率、口当たりを向上させるために、低濃度の微結晶セルロース(20-40%)及び2種類の追加の水溶性希釈剤(すなわち、イソマルト及びマンニトール)を採用した。20-40% w/wレベルの微結晶セルロースが、最適な加工性、小片特性、及びインプロセスの結果をもたらした(表18)。
【0137】
マンニトールの量が少ない製剤(0-10% w/w)はローラーに付着せず、連続した小片が得られた。
【0138】
30-40%w/wレベルのイソマルトを含有する製剤は、良好な加工性を示した(表18)。
【0139】
全体として、マンニトール(0-10%)、イソマルト(30-40%)、微結晶セルロース(20-40%)を採用してもよい。
【0140】
崩壊剤濃度
クロスカルメロースナトリウムは、水性媒体中で顆粒を構成する際に崩壊を促進するために製剤に添加される。1% w/wのクロスカルメロースナトリウムで製造された製剤バッチは、クロスカルメロースナトリウムを含まない参照R2製剤(R1、分散時間~1分)と比較して、良好な加工性を示し、水と均一な分散体を形成した(5、<30秒)。
【0141】
流動化剤濃度
2つの異なる濃度のコロイド状二酸化ケイ素(すなわち、それぞれ0.2%及び0.4% w/w)を添加した参照製剤R2及び5を製造した。5とは異なり、R2の予備混合物だけでなく粉砕された顆粒も低い流動性を示し、これは小袋充填作業中の重量均一性に潜在的に影響を与えうるものであった。
【0142】
滑沢剤濃度
それぞれ0.4%、0.6%、及び0.8% w/wのステアリン酸マグネシウムを含有する3種類の製剤を評価した。0.4% w/wのステアリン酸マグネシウムを用いた試作品PTC 30では、ロールの粘着が観察された。0.6% w/wのステアリン酸マグネシウムを用いた製剤では、粘着なしに許容できる小片が得られた。
【0143】
懸濁化剤及び濃度
ヒドロキシエチルセルロース及びキサンタンガムを、水中での構成時に均一な分散液を形成するために、2% w/w濃度の懸濁化剤として評価した。キサンタンガムとは異なり、ヒドロキシエチルセルロースを含有する製剤は、水で構成した後、急速に沈降する凝結懸濁液となった。0.5、1、及び2% w/wの3つの異なるレベルのキサンタンガムを評価した。0.5% w/wのキサンタンガムを含有する製剤は、水で構成した後、より速い沈降を示したが、2% w/wのキサンタンガムを含有する製剤は、ローラー粘着を示した。さらに、1.0% w/wのキサンタンガム製剤は、良好な加工性を示すとともに、ケーキングの全くない最小限の沈降で許容できる分散特性を示した。
【0144】
抗酸化剤及び濃度
2種類の抗酸化剤、メタ重亜硫酸ナトリウム及びBHT(ブチル化ヒドロキシトルエン):BHA(ブチル化ヒドロキシアニソール)の1:1混合物の効果を、60℃/75%RHで2週間保存した後に評価した。メタ重亜硫酸ナトリウムは、0.05% w/w、0.1% w/w、及び0.2% w/wの濃度で評価した。1:1のBHT:BHA混合物は、0.01% w/w、0.05% w/w、及び0.1% w/wの濃度で評価した。
【0145】
抗酸化剤を含有するすべての製剤において、抗酸化剤を含有しない対照製剤と比較して、分析物及び総分解生成物に有意な変化は認められなかった。
【0146】
実施例5.製造プロセス
未形成のセピアプテリンは低い嵩密度及び乏しい流動特性を有する。本発明のセピアプテリン組成物の流動特性を改善するために、乾式造粒法を選択した。製造プロセスには、予備混合、ローラー圧縮に続く粉砕、最終混合、及び小袋充填が含まれた。選択した製造プロセスからのバッチ分析データは、規格限界内で許容可能な医薬品をもたらした。代表的な製造プロセスは、
1)セピアプテリン及び少なくとも1種の水溶性希釈剤、水不溶性希釈剤、崩壊剤、懸濁化剤、流動化剤及び甘味料をふるいにかけ、混合し、予備混合した混合物を形成する工程、
2)滑沢剤をふるいにかける工程、
3)上記滑沢剤を上記予備混合した混合物と混合し、滑沢剤入りの予備混合した混合物を形成する工程、
4)乾式圧縮造粒機を用いて、上記滑沢剤入の予備混合した混合物の小片を調製する工程、
5)上記小片を粉砕して粉砕製剤を形成する工程、
6)上記粉砕製剤を混合機で混合し、医薬組成物を形成する工程、及び任意に、
7)小袋充填機を用いて医薬組成物を小袋に充填する工程
を含む。
【0147】
実施例6.セピアプテリン原薬及び製剤の吸湿性
加工エリアにおける最適湿度条件を理解するため、セピアプテリン及び表17に記載の医薬組成物の吸湿性を動的水蒸気吸着(DVS)を用いて評価した。吸着/脱着プロットを
図1及び2に図示する。
【0148】
この物質は中程度の吸湿性(80%RHで2-15% w/wの重量増加)であり、0及び0.35%の間の吸着した水が脱着後に残る。したがって、物質の保存、取り扱い、加工、包装、及び安定において、防湿処置が実施される。DVSデータ及び吸湿性に基づき、医薬品製造エリアは50%RH又はそれよりも低い条件に維持する必要がある。
【0149】
実施例7.リード試作製剤の安定性評価
上記のデータに基づき、さらなる安定性評価のために3つの製剤を選択した(表19)。
【0150】
【0151】
3つのセピアプテリン製剤(製剤A、製剤B、製剤C)の安定性評価は、2つのアプローチを用いて行った。(1)各製剤の長期安定性を予測するための加速安定性評価プロトコル(ASAP)試験、及び(2)ICH条件における安定性評価
【0152】
加速安定性評価プロトコル試験
セピアプテリン製剤の長期安定性成績を予測するために、短期(64日間)のASAP試験から得られた実験デザイン及びデータ解析を用いた。製剤の予測貯蔵寿命は、8週間の時間枠で相対湿度及び温度の影響をモデル化するように設計された7点プロトコルを用いて試験した。サンプルは指定されたストレス条件で保存し、表20に示すタイムポイントで分析した。サンプルは、HPLC-UV法を用いて分析物及び分解物を分析した。
【0153】
【表20】
反応速度は、分析物及び薬物の分解によって生成される不純物のほとんどについて、湿度修正アレニウス速度論に従う。アレニウス速度論は、反応速度kの自然対数の、%RH及び絶対温度Tの逆数に対する線形依存性である。これは、相対湿度及び温度の両方をモデル化し、湿度補正アレニウス方程式(式1)の適合パラメーター(ln A、Ea、及びB)の迅速な決定の提供を可能にする。
式.1
【化1】
ここで、
k=%/日で表された対照からの分解物の増加速度
ln A=定数、フィッティングによって決定される
Ea=活性化エネルギー
R=普遍的ガス定数
Ea/R=定数、フィッティングによって決定される(アレニウスモデル)
T=ケルビン温度
B=定数、フィッティングによって決定される
【0154】
7つの加速保存条件からLn A、Ea、及びB条件を推定するために重回帰アプローチを用いた。密封アルミホイルの小袋に包装された製剤の分解レベルは、包装の水蒸気透過率(MVTR)、試料の水分活性、医薬製剤に関連する水分等温線プロファイルなどの入力パラメーターを用いて予測した。この情報とLn A、Ea、B値を用いて、長期保存条件及び加速保存条件における包装内の薬物の分解生成物レベルを予測した。
【0155】
表21に示したパラメーターは、セピアプテリン製剤のASAP予測値を決定する際に利用した。ここで、RRTは分解物の相対保持時間を指す。
【0156】
【0157】
実験データをASAPモデルにフィッティングし、製剤の予想寿命期間中の分解物生成を予測した。ASAP予測には下限及び上限95%信頼区間がある。上限の信頼区間は、製品の使用期限における最悪のシナリオを表している。これは、指定された使用期限前に上限信頼区間が規定限界に達した場合、提案された受入基準を満たす確率が著しく低下することを意味する。
【0158】
アルミホイル小袋に包装された経口用セピアプテリン粉末製剤の長期安定性成績のシミュレーションに適した短期間(すなわち64日間)の加速安定性プロトコルを実施した。貯蔵寿命の予測は、5℃(表22)及び25℃/60%RH(表23)の保存条件に基づいている。
【0159】
実施例8-3製剤の相対的バイオアベイラビリティ試験
製剤
【0160】
【0161】
【0162】
主要な分解物であるRRT 0.52、RRT 0.61、RRT 0.66、RRT 0.74、RRT 0.88(CC-06)、及びRRT 0.95をモデル化し、貯蔵寿命の推定に使用した。「RRT」とは相対保持時間を指す。
【0163】
5℃の保存条件では、RRT 0.88(CC-06)の分解物を除き、3製剤間で分解物レベルに明確な差は認められなかった。リード製剤の3製剤すべてについて、5℃で36ヵ月間保存した後の特定不能の分解物濃度はICH規格の限界値(0.15%)以内であると予測された(表9)。一方、製剤B及び製剤Dとは対照的に、製剤Cでは5℃で36ヵ月間保存した後、RRT0.88(CC-06)の高いレベルが予測された。
【0164】
同様の予測傾向が25℃/60%RH条件でも観察された。このモデルは、製剤A及び製剤Cと比較して、製剤Cでは25℃/60%RHで12ヵ月間保存した後のRRT 0.88(CC-06)の形成レベルが高いことを予測した。本明細書において、「RH」という用語は相対湿度を指す。
【0165】
全体として、ASAP予測に基づき、製剤B及び製剤Dは、製剤Cと比較してわずかに良好な安定性プロファイルを示した。
【0166】
ICH条件下での安定性評価
さらに、3つのリード製剤すべてについて、2-8℃及び25℃/60%RHを含むICH条件下で、6ヵ月までの安定性試験を実施した。2-8℃及び25℃/60%RHでは、6ヵ月間までいずれの医薬品品質特性にも大きな変化は認められなかった。25℃/60%RHでは、3つのリード試作製剤すべてにおいてRRT 0.88(CC-06)のわずかな増加が観察されたが、しかしそのレベルは規格限界よりはるかに低いことがわかった。それゆえ、安定性の結果に基づくと、3種類のリード製剤はすべて、2-8℃及び25℃/60%RHの条件下で6ヵ月まで安定であることが分かったものと推察される。
【0167】
結論として、ASAPモデリングに基づくと、メタ重亜硫酸ナトリウムを添加した製剤は医薬品の安定性を改善せず、2-8℃及び25℃/60%RHの条件下でより高いレベルのRRT 0.88(CC-06)を生じると予測された。
【0168】
実施例8.リード試作製剤のin vitro溶解性
製剤B及び製剤Dについて、USP溶解装置II(paddle)を用い、回転数75 rpm、及び温度37℃、及びpH6.8 リン酸緩衝液900 mLで溶解試験を行った。さらに、参照セピアプテリン製剤(上記実施例1に記載の製剤A)のpH6.8リン酸緩衝液中でのin-vitro溶解(500 mL中175 mg用量)を、USP溶解装置II(Paddle)を用い、温度37℃に維持した回転速度50 rpmで行った。
【0169】
参照製剤及び本発明の製剤のリン酸緩衝液pH6.8におけるin vitro溶解プロファイルを
図3に示す。
【0170】
図3に示した溶解プロファイルに基づくと、本発明の製剤及び参照製剤の両方が、15分以内に85%より多くの薬物が溶解し、同様の急速溶解プロファイルを示したことが明らかである。
【0171】
実施例9.非ナイーブ雄サルへの単回経口投与後の異なるセピアプテリン経口製剤の薬物動態の測定
本発明の2つのセピアプテリン製剤(製剤B及びD)の参照セピアプテリン製剤(参照)に対する相対的バイオアベイラビリティを、50 mg/kgの単回経口投与後に、成体の非ナイーブ雄カニクイザルで評価した。4匹の動物に、Medisca Oral Mix中の懸濁液として調製した参照製剤(製剤A)、及び脱イオン水中の懸濁液として調製した製剤B及びDを、最低5日間のウォッシュアウトを間に挟んで順次投与した。投与後24時間までの連続した血液サンプルを採取した。ベースラインの血漿中セピアプテリン濃度(投与前)はすべてBLQ(LLOQ 11.1 ng/mL)であった。セピアプテリンの医薬組成物を経口投与後、セピアプテリンは速やかに吸収され、BH4に変換された。血漿中セピアプテリン濃度は、サンプルをとった全ての時点でBLQ(LLOQ 11.1 ng/mL)であった。投与前の血漿中BH4濃度はBLQ(LLOQ 11.1 ng/mL)か、又はそれをほんのわずかに上回った(測定可能な場合は12.8から26.5 ng/mLの間であった)。血漿中BH4濃度は、3製剤すべてにおいて投与後約2時間で最大(Tmax)に達した。T1/2は3製剤とも3.21から4.2時間の間であった。B製剤、D製剤及び参照製剤の未補正(ベースライン)のBH4のCmax及びAUC0-lastの群平均は、それぞれ908、893及び715 ng/mL並びに4540、4270及び4240μg・h/mLであった。Cmaxにおける製剤B及びDの参照に対する平均比はそれぞれ127%及び125%であった。AUC0-lastにおける製剤B及びDの参照に対する平均比はそれぞれ106%及び100%であった。
【0172】
実施例10.非ナイーブ雄イヌへの単回経口投与後の異なるセピアプテリン経口製剤の薬物動態の測定
本発明の2つのセピアプテリン製剤(製剤B及びD)の参照製剤に対する相対的バイオアベイラビリティを、30 mg/kgの単回経口投与後、成体の非ナイーブ雄のビーグル犬で評価した。4匹の動物に、Medisca Oral Mix中の懸濁液として調製した参照製剤(製剤A)、及び脱イオン水中の懸濁液として調製した製剤B及びDを、最低4日間のウォッシュアウトを間に挟んで順次投与した。投与後24時間までの連続した血液サンプルを採取した。ベースラインの血漿中セピアプテリン濃度(投与前)はすべて定量限界(BLQ、LLOQ 11.1 ng/mL)より低かった。経口投与後、セピアプテリンは速やかに吸収され、血漿中濃度は製剤A及びCでは投与後約1時間、参考製剤では投与後約2時間で最大(Tmax)に達した。T1/2は3製剤で観察され、平均値は1.6から3.4時間であった。投与後24時間までに、血漿中セピアプテリン濃度は、LLOQ(15.9 ng/mL)をわずかに上回った1匹を除き、すべて定量限界(BLQ)より低かった。製剤B、製剤D及び参照製剤のセピアプテリンの平均Cmax及びAUC0-lastはそれぞれ967、746及び808 ng/mL及び2210、2960及び2470h×ng/mLであった。Cmaxにおける製剤B及びDの参照に対する平均比はそれぞれ120%及び92.3%であった。AUC0-lastの参照に対する製剤B及びDの平均比はそれぞれ89.5%及び120%であった。
【0173】
血漿中BH4濃度は投与前に14.3から20.1 ng/mLの範囲で測定可能であった。セピアプテリンの医薬組成物投与後、セピアプテリンの医薬組成物中のセピアプテリンは速やかにBH4に変換され、血漿中BH4濃度は3製剤すべてにおいて投与後2から4時間の間に最大(Tmax)に達した。T1/2は3製剤で同程度であり、群平均は6.08から7.01時間であった。BH4の未補正(ベースライン)のCmax及びAUC0-24hの群平均は、製剤B、製剤D及び参照製剤でそれぞれ867、861及び1010 ng/mL、ならびに5980、7080及び6920μg×h/mLであった。Cmaxにおける製剤B及び製剤Cの参照製剤に対する平均比はそれぞれ86%及び85%であった。AUC0-24hにおける製剤B及び製剤Cの参照に対する平均比は、それぞれ86%及び102%であった。
【0174】
実施例11.開発安定性試験
製剤Bは250 mg及び1000 mgの強度でヒートシールされたアルミニウム小袋に包装し、その安定性評価が2-8℃及び25℃/60%RHを含むICH条件下で実施した。製剤Bの2-8℃及び25℃/60%RHにおける250 mgの18ヶ月間まで、1000 mgの12ヶ月間までの安定性データを表24から表27に示す。
【0175】
【0176】
【0177】
【0178】
【0179】
実施例12-2つの製剤の相対的経口バイオアベイラビリティの評価
第1相無作為化非盲検クロスオーバー試験が、処方A(実施例1に記載した第1相試験の比較対象)及び処方B(上記実施例7参照)の相対的経口バイオアベイラビリティを評価するために、18人のヒト対象で以下のように実施された。主要目的は、健康な成人ヒト対象において、低脂肪食の摂食条件下で2つの用量レベル(20及び60 mg/kg/日)の2つの製剤をそれぞれ投与した後の、BH4及びセピアプテリンの相対的バイオアベイラビリティを評価することであった。副次的な目的は、2つの異なる用量レベルにおける2つの製剤の安全性及び忍容性を評価すること、及び製剤Bの嗜好性を評価することであった。
【0180】
本試験に参加した対象は、臨床試験期間中(1日目から11日目まで)に、低脂肪摂食状態で20 mg/kg及び60 mg/kgの製剤A及び製剤Bのそれぞれを含む2つの治療手順(手順1又は手順2)のうち1つに無作為に割り付けた。対象は、低脂肪食中の1日目、4日目、7日目及び10日目に、指定された試験治療の単回経口投与を受けた。投与間に3日間のウォッシュアウトがあった。各試験薬の投与ごとに、分析物BH
4及びセピアプテリンの薬物動態学的(PK)評価のために、投与前及び投与後24時間までの血液サンプルを採取した。
図4に試験概略を図示する。
【0181】
嗜好性評価は各試験治療薬投与後に行った。安全性は、症状に応じた身体診察、バイタルサイン評価、12誘導心電図、日常臨床評価、及び有害事象評価によって評価した。
【0182】
この試験の対象はすべて、以下の参加基準を満たしていた。18歳から55歳までの男性又は女性で、BMI(Body Mass Index)が18.5及び30.0 kg/m2の間であった。妊娠の可能性のある女性は、妊娠検査スクリーニングが陰性であることが必要であった。
【0183】
処方Aは投与前にMedisca Oral Mixに懸濁し、処方Bは投与前に水に懸濁した。各対象に以下のものを単回用量投与した。
・製剤A懸濁液、20 mg/kgのセピアプテリン用量
・製剤A懸濁液、60 mg/kgセピアプテリン用量
・製剤B懸濁液、20 mg/kgセピアプテリン用量
・製剤B懸濁液、60 mg/kgセピアプテリン用量
【0184】
すべての用量は、10時間の一晩絶食後、240 mLまでの水を含む標準的な低脂肪朝食(FDA-定義)の後30分以内に、低脂肪食の状態で投与された。対象者は、希望により投与4時間後に間食を摂取することが許可された。
【0185】
評価基準:
血漿中のBH4及びセピアプテリンについて、以下の薬物動態パラメーターを算出した。時間ゼロから最後の非ゼロ濃度までの濃度対時間曲線下面積(AUC)(AUC0-t)、時間ゼロから無限大までのAUC(AUC0-inf)、AUC0 infの外挿パーセント(AUC%extrap)、Cmax、Tmax、T1/2、排泄速度定数(Kel)、見かけの全血漿クリアランス(CL/F)、及び見かけの分布容積(Vz/F)。
【0186】
BH4のPKパラメーターは、ベースラインで補正したデータと補正していないデータの両方から導き出した。
【0187】
自然対数変換したBH4及びセピアプテリンのAUC0-t、AUC0-inf及びCmaxについて、製剤及び順序を固定効果、対象をランダム効果として混合効果分散分析モデルを実施する。Tmaxは対数変換しない。
【0188】
結果:
ベースライン補正なしの、直前に上述した試験におけるBH
4レベルの測定からの予備結果は、
図5A及び5Bに図示し、そして以下の表28に要約する。具体的には、処方A(空白の四角)及びB(実線の三角)からの20 mg/kg用量のセピアプテリンの投与によるBH
4の測定から得られた幾何最小二乗平均データを
図5Aに図示する。処方A(空白の丸)及びB(実線の四角)からの60 mg/kg用量のセピアプテリン投与によるBH
4の幾何最小二乗平均測定値を、
図5Bに図示する。
【0189】
【0190】
ベースライン補正した、直前に上述した試験におけるBH
4レベルの測定からの予備結果は、
図6A及び6Bに図示し、そして以下の表29に要約する。具体的には、処方A(空白の四角)及びB(実線の三角)からの20 mg/kg用量のセピアプテリンの投与によるBH
4の測定から得られた幾何最小二乗平均データを
図5Aに図示する。処方A(空白の丸)及び処方物B(実線の四角)からの60 mg/kg用量のセピアプテリンの投与によるBH
4の幾何最小二乗平均測定値を、
図5Bに図示する。
【0191】
【0192】
表28及び29、ならびに
図5及び6のいずれにおいても、測定された各因子の平均比率は、処方Bの方が処方Aよりも低いことがわかる。しかし、平均結果はすべて、処方Aで得られた値の少なくとも85%であることもわかり、この2つの処方が非常に類似したPK特性を有していることがわかる。
【0193】
その他の実施形態は特許請求の範囲に記載されている。
【国際調査報告】